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1970/03/04 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第10号
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1970/03/04 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第10号

#1
第065回国会 大蔵委員会 第10号
昭和四十六年三月四日(木曜日)
   午前十時四十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三日
    辞任         補欠選任
     鈴木 省吾君     小林  章君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柴田  栄君
    理 事
                玉置 猛夫君
                成瀬 幡治君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                栗原 祐幸君
                津島 文治君
                丸茂 重貞君
                松井  誠君
                鈴木 一弘君
                向井 長年君
                渡辺  武君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵省理財局長  相澤 英之君
       大蔵省理財局次
       長        小口 芳彦君
       大蔵省銀行局長  近藤 道生君
       大蔵省国際金融
       局長       稲村 光一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (国有財産に関する件)
○国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○預金保険法案(内閣提出、衆議院送付)
○貸付信託法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 昨三日、鈴木省吾君が委員を辞任され、その補欠として小林章君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(柴田栄君) まず、租税及び金融等に関する調査中、国有財産に関する件を議題といたします。
 藤田大蔵政務次官から発言を求められておりますので、この際これを許します。藤田大蔵政務次官。
#4
○政府委員(藤田正明君) 前回の当大蔵委員会におきまして、成瀬委員から、国有財産の件につきまして御質問がございました。そのときに、その準備をいたしておりませんので、後刻御報告を申し上げるという答弁をいたしましたが、本日その答弁をさしていただきたいと思います。ここに理財局の小口次長が参っておりますので、小口次長からその答弁をさしていただきます。
#5
○政府委員(小口芳彦君) グラントハイツの件についてでございますけれども、この計画は、現在提供中の財産ということになっておりまして、グラントハイツ地区におきまして米軍に提供して使用してもらっている住宅が千四百八十六戸ございます。これを向こう側では横田の飛行場の施設内に移したいということでございまして、この住宅を移す計画があるわけでございます。これは四十五年度以降三年度ないし四年度にわたりましてこの移設を行なう計画でございまして、これを特定国有財産の特別会計をもちましてこの計画を実行していくということに相なっております。
 アメリカ側の要求が、このグラントハイツの移転につきましては、別に武蔵野市にグリーンパークと称しております武蔵野住宅地区というのがございまして、ここに六百九十九戸の提供中の建物があるわけでございますけれども、それも合わせまして横田の飛行場の施設内に移したいという計画になっておりまして、特定国有財産特別会計の全体計画におきましても、このグラントハイツの移転とそれからただいま申し上げました武蔵野住宅の移転とを一括して行なうという計画になっております。そういたしますと、全体計画といたしましては、グラントハイツから移します分が一千四百八十六戸、それから武蔵野住宅の移転分が六百九十九一尺合わせまして二千百八十五戸の住宅のリロケーションを行なうという計画になるわけでございます。これにかわる施設を横田の飛行場の施設内に取得するわけでございますけれども、その計画が両方合わせまして全体として約三百五十億円ぐらいの資金が必要であるというふうに存ぜられます。
 それで、跡地の利用につきましては、建設省からの住宅の建設、あるいは東京都方面からの運動公園あるいは防災のための空地、その他地元からの緑地公園、いろいろな要望が出ておるわけでございますけれども、この点につきましては、先生もおっしゃいますように、十分に公共的な目的を果たすというふうな観点からよく検討をいたしまして、最も公用、公共用、あるいは地元の御要望に沿うような方法で実現していきたいということを念頭に置きまして検討しておる次第でございます。
#6
○委員長(柴田栄君) 本件に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○成瀬幡治君 簡単に言って、三百五十億の資金が必要になってくると。だから、資金が必要なんだから、この資金全部をどこかへ払い下げをしてしまって出すというのか、それとも、三百五十億というものは全くこの跡地等を処分せずに国が出そうとされるのかどうかというのが一つ。
 それからもう一つ、いや、そうじゃなくて、一部そういうことをやるんだというような場合、払い下げてほんとに金をとるのか。その場合でも、公共団体の建設省なり東京都なり、地元とおっしゃいますが、それは練馬区をさすものなのかよくわかりませんが、民間のものまで入って払い下げようとしておるのかどうか、その辺はどうですか。
#8
○政府委員(小口芳彦君) 御質問の点でございますけれども、特定国有財産特別会計におきまして横田の施設内にこれらの住宅を移設いたしますためには当然その財源が必要でございまして、特定国有財産整備特別会計におきましてはその取得に見合うだけの財源を移しました跡地を処分するということによりまして調達するというたてまえになっておりますので、三百五十億に見合う所要資金は跡地の売り払い等をいたしまして調達するというたてまえになっておるわけでございます。
 建設省、東京都あるいは練馬の地元の住民の方々から、いろいろな要望が出ておるわけでございますけれども、その要望の実現につきましては、たとえば住宅公団がそこに住宅をつくるということになりますと、これは時価で売り払うということになりますし、公営住宅を建てるというようなことになりますれば、これは減額の規定がございまして、五割程度までは減額できるという規定がございます。公園の場合におきましては、地方公共団体がその公園をつくります場合には無償貸し付けというふうな制度がございますが、地元の要望とそれらの資金計画をもかみ合わせまして極力効率的に跡地の処理については考えていくというつもりでおるわけでございます。
#9
○成瀬幡治君 わかりますが、そうすると、あなたのおっしゃるのを聞いておりますと、民間の企業は入らないということですね、私企業は。
#10
○政府委員(小口芳彦君) この点につきましては、国有財産の処分の全体の方針といたしまして、現在持っております、あるいはこれからいろいろな状況から国有地となってまいりますものにつきましては、極力公用、公共用を優先的にいたしまして、民間企業に対する払い下げというふうなものは極力抑制をしていくというたてまえになっておりまして、今度の跡地の処理につきましてもその基本的な方針は変えないでこれをやっていこうというふうに考えております。
#11
○成瀬幡治君 民間私企業は極力抑制するんだと。絶対ではないわけですね、お話を聞いておりますと。これはすでにそういう民間に払い下げられるような計画をあなたのほうは持ち合わせじゃないんですか。
#12
○政府委員(小口芳彦君) ただいまのところ、そういう計画は全然ございません。
#13
○成瀬幡治君 私は、こういうことについて、正・不正があるとかどうだなんということは言いたくないわけです。そういうことではなくて、普通で申しますと、どんなことをしても、国有財産が時価で払い下げられたとは言いますけれども、やはり民間に払い下げられますと、時価よりも安くなっていくということは常識ですね。そうしますと、その民間の人たちがいわゆる公共的にやったんだから結局は国民にバック・ペイがされていくと、そう主張されましても、土地だけの問題で評価いたしますと、何か利益を得たようなふうに感ずる。そういうことはつまらないことだと思います。
 それからもう一つは、土地行政と申しますか土地政策の問題からいっても、できるだけ国有地というものは払い下げをされずにそれを利用するということになるなら、貸し付けるとかいろいろなことがあると思うんです。特に今度のロスの地震などというものは、東京都にとっては他山の石ではないかと思う。どうしたって都市再開発が必要になってくるのじゃないか。とすれば、そういうような再開発のためにも備えてクッション・ハウスにするとかいろいろな活用のしかたというものがあるんだから、なるほど三百五十億という資金が要るんだということもわかりますが、それをひねり出すために全部を処分しちゃうんだというのじゃ何ら妙味のない話になってきますから、十分そういう点については留意してやっていただきたい。また、ここで、金が要りましたから民間に払い下げた、それがどうだとか何とかいってつまらないことを言われるということは、私は、国としてとるべき姿じゃないと思っております。
 しかも、こういう問題になると、たとえば万博の跡地の問題も出てまいりましょう。あるいは、今後米軍が帰った場合に、やはりその跡地の問題も出てまいると思います。ですから、そういう問題全体について私は申し上げておるわけです。たまさか、いまは、グラントハイツが中心になってみたり、あるいはグリーンパークの問題が話題に出てきておるわけですけれども、そうじゃなくて、いま申しましたように、国全体の問題として十分――管財局がなくなって、理財局の中の一部になったと申しましょうか、そういうようなことになったとしても、とにかく、国有財産というものは、公共性と申しましょうか、国のお金なのでございますから、これによってだれかがもうけたとか、だれかが損をしたということではなくて、みんなが、不特定多数の人が、利益と申しますか、恩典に浴したという、そういう基本姿勢でやっていただきたいということをくれぐれもお願いをしまして、この点、よろしゅうございますか。――ありがとうございました。
#14
○委員長(柴田栄君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#15
○委員長(柴田栄君) 次に、国際開発協会への加盟に件う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤田大蔵政務次官。
#16
○政府委員(藤田正明君) ただいま議題となりました国際開発協会への加盟に件う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 国際開発協会は、昭和三十五年十一月に設立され、開発途上国に対し、きわめて緩和された条件での融資を行ない、低開発地域の経済開発の促進に大きな役割りを果たしてまいりました。わが国は、その原加盟国として当初出資を行なったほか、昭和三十九年の第一次増資及び昭和四十四年の第二次増資の際にも応分の寄与を行なってまいりました。
 しかしながら、開発途上国の同協会に対する融資の要請は年々増大し、同協会の保有する資金の大部分は遠からず貸し付け約束済みとなる見通しとなったため、昭和四十四年九月の総会において、同協会の第三次増資が提案されました。その後、この増資提案に関し関係国間で累次検討が行なわれ、昨年七月、総額約二十四億ドルの増資及びその分担に関する理事会決議が採択され、これを内容とする総務会決議案を各国を代表する総務の投票に付されました。これに対し、わが国は、昨年十月末、わが国総務である大蔵大臣が賛成投票を行なっております。
 ここにおいて、わが国といたしましては、決議の定めるところに従い、同協会に対し新たに一億四千四百万合衆国ドル相当額の本邦通貨(五百十八億四千万円)による出資を行なうため、所要の国内措置を講ずる必要が生じたものであります。したがいまして、この法律案により、新たな出資についての規定を設けることとし、この法律案の成立後、出資の分担を引き受ける旨の正式通告を行ないたいと考えております。
 なお、国際開発協会に対する出資は、本邦通貨に代えて、国債で行なうことが認められておりますので、今回の出資も、前回及び前々回と同様、さしあたり国債で行なうことを予定しております。
 以上がこの法律案の提案の理由であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますよう、お願い申し上げます。
#17
○委員長(柴田栄君) 引き続き、補足説明を聴取いたします。稲村国際金融局長。
#18
○政府委員(稲村光一君) 国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明に関連いたしまして、国際開発協会が第三次増資を行なうことが必要となりました理由、及び今回の増資に参加することがわが国にどのような影響を及ぼすか等につきまして、私から簡単に補足説明を申し上げます。
 まず、増資が必要となりました事情等について申し上げます。
 御承知のように、開発途上国の経済開発の促進は、今日の世界経済における重要な課題の一つでありますが、これら諸国の国際収支事情等から、これら諸国が経済開発を進めていくためには、きわめて緩和された条件での融資を受けることが必要であり、特に開発のおくれている国、国民所得水準が低い国につきましては、その必要性が大きいのであります。このため、国際開発協会の行なう融資に対する需要は年々増加し、すでに協会の保有する資金の大部分は遠からず貸し付けられる見通しとなりました。すなわち、同協会が創立されてから昨年六月までの間、協会が受領いたしました貸し付け可能資金の総額は、当初出資、第一次増資及び第二次増資等を含めまして合計三十二億三千万ドルとなっております。これに対し、同期間に協会が締結した貸し付け契約の総額は、二十七億七千三百万ドルに達したため、昨年六月末現在で協会が新規の貸し付けに使用し得る資金は四億五千七百万ドルで、これは本年六月差でに全額貸し付け約束される見通しとなっております。したがって、協会が今後とも円滑にその活動を継続していくためには、第三次増資による資金の調達がぜひとも必要となってきたのであります。
 次に、今回の増資がわが国に対していかなる影響を及ぼすかという点につきまして申し上げます。
 協会が行なっている貸し付けは、期間五十年、金利ゼロ、手数料年四分の三%と、通常の貸し付けの条件よりもきわめて緩和された条件によるものであります。この貸し付けは、主として道路、鉄道一かんがい、通信、教育等の基礎的資本の充実などのために使用されており、開発途上国の経済開発を促進する上に大いに寄与しているのであります。このように開発途上国の経済開発が促進されることは、先進国と開発途上国との間の貿易の拡大をもたらし、これがひいては世界経済全体の繁栄にも資するものであり、わが国経済の持続的発展にとっても好ましい影響を与えるものと考えられます。
 以上御説明いたしましたように、協会の第三次増資は世界経済及びわが国経済の調和ある発展に資するものでありますが、近年めざましい経済発展を遂げ世界有数の先進工業国となったわが国に対しましては、これに応分の協力を行なうことが強く期待されている次第でありまして、わが国といたしましては、かかる期待にこたえて増資に参加することが、国際経済社会の場におけるわが国の責務を果たし、また、それとともにわが国の発言力を一そう強めるゆえんであると考えるものであります。
 最後に、今回の増資の内容について若干補足いたしますと、増資の総額は約二十四億ドルでありますが、これは、開発途上国の経済開発促進のため必要と思われる協会の融資承諾規模と先進国の負担能力等を勘案しつつ、累次の関係国会議で検討された結果合意ざれたも一のであり、これを日本、米国、英国、西独等関係十八カ国で分担することとされております。
 また、払い込みは、三回の分割払いで行なわれ、全額を現金に代え、国債で行なうことが認められております。日本の分担額は、一億四千四百万ドル相当の五百十八億四千万円でありますので、これを昭和四十六年度から四十八年度までの間に各年度四千八百万ドル相当の百七十二億八千万円ずつ円貨国債で払い込むことと相なります。なお、協会に対する増資分担額の引き受け通告期限は本年六月三十日となっております。
 以上、簡単ではありますが、補足説明を終わらせていただきます。
#19
○委員長(柴田栄君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#20
○松井誠君 いま議題になりましたIDAの増資の法律案につきましてお尋ねをいたしたいのでありますが、この法律案そのものよりも、むしろこの法律案のいわば前提というか、基礎になるいわゆる経済協力あるいは経済援助全般の問題に主として焦点を当ててお尋ねをいたしたいと思います。
 いわゆる経済協力というのは、経済的な問題であると同時に、あるいはむしろそれ以上にきわめて政治的な問題であるわけでありますけれども、きょうは大臣がお見えになっておりませんので、主として具体的な事実関係を確かめるというようなことで質問をいたしたいと思うのです。昨年、一昨年と、海外で、外務大臣や大蔵大臣が、国民総生産の一%を経済援助に振り向けるのだというような演説をされ、七五年には四十億ドルになるし、八〇年には五十億ドルでしたか、とにかく経済社会発展計画に基づいて一%の援助をしたいというような発言がありましたですね。問題は、われわれから言わせれば、量のこともさることながら、政治的な性格というものを非常に色濃く帯びた問題であるだけに、むしろ援助のあり方、その方法、あるいは目的、そういう量より以前の問題として大事じゃないかと思うのです。現にアメリカなんか盛んに援助をやっておりますけれども、やればやるほどきらわれるというような奇妙な結果を招いていると思われますし、アメリカが援助をやればやるほどむしろ戦争への足音が強くなるというような奇妙な結果になる場合もある。日本が、どうも、その肩がわりと言うのがいいかどうかは別として、いわゆるミニアメリカみたいにそういうあとを追いそうな気配があることが気になるわけです。
 そこで、政府の経済協力ないし経済援助というものの基本的な考え方というものを聞きたいわけでありますが、最初に、去年のあの国連の総会で経済援助のあり方について何か非常に体系的な基本的な考えがまとまって、それが全会一致で採択されたという話を聞いておりますので、それの大まかな内容ですね、特に援助の条件というものを中心にした内容、そのことをまずお伺いをいたしたい。
#21
○政府委員(稲村光一君) 昨年の十月、国連の第二十五回総会におきまして、ただいま先生御指摘のとおり、第二次国連開発十年のUNDDIIと申しますかのための国際開発方策が採択されたわけでございますが、この方策は、七〇年代に開発途上国の経済社会開発を一そう促進させるというためにいろいろな目標を設定しておりますのみならず、また、目標実現の手段としての具体的な政策措置をも包含した総合的なものでございます。
 このうちの援助関係の目標の内容及びこれらに対しまする関係について申し上げますが、満場一致で採択されたということではございませんで、各国はそれぞれ留保をいろいろ付しております。また、国の状況によりまして全部をそのままのむということではございません。
 個々の問題について申し上げますが、その目標の一つは量的な問題でございまして、GNPの一%目標と申しますか、先進国は一九七二年までにGNPの一%相当の援助を提供するように努力すべきであるというのがこの一つの目標でございます。その一九七二年までに上記目標を達成できない国は、一九七五年までに達成するように努力する、こういうふうになっております。これにつきましては、わが国といたしましては、一九七五年までに達成するように努力するということを、これは政府の方針でございまして、そのとおり表明をしました。ただ、この点に関しましては、アメリカ、カナダ、豪州などは留保をいたしております。
 それから次に、援助総額でなくてその中の政府開発援助、ODAと言っておりますが、これにつきましては、先進国は、政府開発援助を漸進的に増大して、その量が七〇年代の半ばまでにGNPの〇・七%に達するように最大の努力をする、こういう政府開発援助についての目標が設定されておりますが、これにつきまし七は、わが国といたしましては、政府開発援助の対GNP比を高めるように努力はするけれども、それを目標とすること及びそれをいつ達成できるかというそういう達成期限の設定までについてはこれは約束できないという趣旨で留保をいたしました。この政府開発援助のGNP〇・七%の目標につきまして留保をいたしました国は相当たくさんございまして、わが国のほか、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、豪州等、いずれも留保をいたしております。
 それからその次に、今度は条件でございますが、条件につきましては、DAC加盟国は、DACの援助に関する勧告というのがございますが、それを達成するようにということでございますが、これは、わが国といたしましては、努力はするけれども、やはりこれにはいろいろと財政資金その他の問題がからんでおりまして、先ほど先生御指摘のとおり、国内の財政需要その他との関連もありまして、この点は先ほど第二番目に申し上げました政府開発援助のときも一同じ問題があるわけでございますが、この援助条件の目標につきましては、やはりこの勧告を達成することは困難である、こういう旨の留保をいたしております。この点は、日本だけでなくて、イギリスも留保をいたしております。
 大体、第二次国連開発十年の量及び条件についての目標に関しましての国連決議というものの状況は、ただいま申し上げましたようなことでございます。
#22
○松井誠君 全会一致でなかったというのは、言いようによればそうかもしれませんけれども、あるいは留保をして、留保のない部分は全会一致という形式だったわけですね。
 そこで、留保のなかった点については、日本も、これは別に条約や何かじゃないわけですから法的な拘束力はないとしても、道義的な拘束力といいますか、そういうものはあるわけですね。そこで、たとえば一%援助というこれに対して、現在、日本の援助のGNPに対するパーセンテージは幾らなのか。それから政府開発援助が〇・七%と言っておるけれども、日本の現在の比率というのは幾らなのか。それから三番目に言われた援助条件ですけれども、DACの援助条件についての勧告をその条件にするようにという決議の趣旨なんでしょう。そのDACの条件の勧告というのは具体的にどういうことなのか、それに対して現在日本の状況というのはどういうことなのか。それらをまずお伺いをしたいと思います。
#23
○政府委員(稲村光一君) ただいまの御質問でございますが、ただいま計数的に統計的にはっきりいたしておりますのは、一九六九年の実績でございます。これは、日本が、DACの方式によりまする開発途上国への資金の流れという統計で申しますと、十二億六千三百万ドルになっておるかと思いますが、これはGNP比で申しますと、〇・七六%になります。その中のそれでは政府開発援助というのはどれだけかといいますと、〇・二六%でございます。したがいまして、政府開発援助につきましては、GNPの〇・七ということには非常にまだかけ離れておりまして、現実問題としてたとえば五年後までにそういうものを達成するということは非常にむずかしいと、こういうことでございます。
 それからDACの援助条件に関する勧告と申しますのは、これは非常に複雑でございますが、簡単に申し上げますと、まず、「政府援助の七〇%以上を贈与で供与する。」と、こういうのが一つございます。しかし、それがそこまでいけない国につきましては、若干いろいろなフォーミュラがあるわけでございますが、「政府援助約束総額の八一%以上を贈与もしくは金利三%以下の借款で、また八二%以上を贈与もしくは償還期間二十五年以上の借款で供与し、新規借款約束総額の据置期間の加重平均を七年以上とする。」というようないろいろこまかいフォーミュラができておりますが、いずれにいたしましても、現在の日本の状況ではこういう条件を達成することは非常にむずかしいということでございます。
#24
○松井誠君 DACの勧告の条件というのは、政府開発援助の比率だけのことなんですか。
#25
○政府委員(稲村光一君) これは条件でございますから、政府開発援助の中で、七〇%を贈与、つまりただでやるべきだ。しかし、そこまでいけないまでも、さらに相当の部分を贈与もしくは非常に低利・長期の条件の借款で与えるべきだと、こういうのが、一口に申しますと、DACの条件に関する勧告でございます。
#26
○松井誠君 金利とか貸し付け期間というようなものは、そういう勧告の条件の中に入っていないわけですか。
#27
○政府委員(稲村光一君) ただいまお答え申しましたとおり、入っておるわけでございます。つまり、第一の目標は、勧告は政府開発援助の七〇%以上を贈与でやるべきだ。しかし、それではまたなかなか達成困難でございますから、そうでない場合には、いまのように「八一%以上を贈与もしくは金利三%以下の借款」というふうな、借款でもいいけれどもその場合には非常に低利の借款でやれと、こういう勧告になっておるわけでございます。
#28
○松井誠君 私は、冒頭に申し上げましたように、量よりも条件といいますか質といいますか、そういう問題のほうが大事だと思いますので、その点をお伺いをいたしたいのですが、そういうような条件というようなものを含めて、日本の経済援助のあり方の一般的にいわれておるいわば特徴というようなものでどういうことがあげられるか、ちょっとお伺いしたいのですが。
#29
○政府委員(稲村光一君) DACで毎年援助国の年次審査というのがございまして、これはその国の援助の全体につきましていろいろ多数国の間で論議が行なわれるわけでございますが、その場合の一つの日本に対する批判と申しますか、それは、ただいま先生御指摘のとおり、量は相当のところに行っているけれども、条件がもう少し受け入れ国側に有利にできないかという点でございます。
 それからもう一つは、これは援助全体の問題でございますけれども、たとえばあまり輸出促進を主たる目標にしたようなあれになっては困るので、その意味では、世界全体の問題で、特に日本に対するあれということではございませんけれども、ひもつき援助をやめるべきではないか。これは、実は、昨年の九月東京で行なわれましたDACの上級会議で、ほんの一部の国を除きまして大多数の国がこの原則に賛同をしたということでございます。
#30
○松井誠君 経済援助のあり方として基本的にどういうものが望ましいかという問題、これはまあ考え方はいろいろありますし、それもずいぶんむずかしい問題だと思うのですね。政経分離か不可分かというような問題も基本的な問題ですけれども、その問題は一応別にして考えると、やはり、二国間の援助というと、いまひもつきの話が出ましたけれども、どうしてもひもつきというものになりやすい。二国間の援助よりも多国間の援助、それが組織化をされた国際機関による援助、そういうものの比率が高まることが望ましいのではないか。そういうことを考えますと、あるいは国際機関を通す援助のほかに二国間の援助にしても、やはり政府の開発援助というものの比率が高いほど好ましいのじゃないか。民間資金による援助というのは、どうしてもひもつきになりやすい。これが、先ほど言われたように、日本の経済援助というのは輸出振興の機関ではないかというエコノミック・アニマルの批判の源泉にもなっておるわけです。ところが、日本の経済援助のあり方というのは、先ほども政府の開発援助の比率が低いという話が出ましたけれども、それもDAC全体の平均よりも政府の開発援助の中における贈与の比率というのが日本はやっぱり低い。金利にしても、期間にしても、DAC全体の平均よりも政府の開発援助の条件というものはきびしい。そして、政府開発援助の比率が低くて、民間の援助の比率が高い。そういう意味では、最大公約数的に考えても、一番好ましくない経済協力のあり方のように思われるわけです。これは、一体、どういうところに原因があるのか。ここまで日本のGNPというのが高まってきたのに、依然として政府のそういう援助の金利も平均を上回っておる。いろいろな歴史的な沿革もあろうし、国内事情との関係もありましょうけれども、そういうものをこれから――これはむしろ大臣にお聞きしなければいかぬわけですけれども、どういう方向へ持っていこうとするのか、次官もおいでになりますから、どちらでもけっこうですが、そのいわば見通しというか方向についてのお考えをお聞きをしたいと思います。
#31
○政府委員(藤田正明君) おっしゃるとおり、民間の援助が大きければ、ひもつきにならざるを得ないといいますか、ひもつきになることが多いのでありまして、低開発諸国にいたしましても、その辺において、ひもつき融資をやめるべきである、そして政府の開発援助を大いにもらいたいということを言っているわけであります。先ほど、政府の基本的姿勢云々と言われましたが、この問題はやはりそこに通ずると思うのであります。日本は、現在、国際的地位におきましても、先進国の尤たるものでございます。しかし、一面を考えますれば、日本の社会資本はまだまだ貧しいというふうな事情もございまして、それらを考えましたときに、政府の援助の増大を大いに今後努力をいたさなければならないのでございますけれども、その辺の国内事情との関連もございます。今後とも、ひもつき融資であるとかあるいは何らかの目的を持った融資なり援助というものに対しては、諸外国が歓迎しないのは当然でありますし、また、日本の立場といたしましても、それらを少なくすることは当然だと思うのであります。日本が海外資源に今後とも大いにたより、なおかつ、海外の市場の拡大強化によって、日本の経済力というものがまた強くなっていくわけであります。日本の経済の援助は、イデオロギーであるとかあるいは利害であるとか、そういうものをこえた無償の無目的、そういうものに対する期待をなくした人道的なヒューマニズムを持った援助であるとともに、その反面、日本のための援助でもある、日本の今後の経済のますます確立した状態に対する一つの道でもある、かように考えます。そういうことにおきまして、今後、政府援助の増大を大いに努力するという方針であることは間違いございません。
#32
○松井誠君 経済援助の目的という問題については、私は先ほどわざわざ触れなかったのでありますけれども、いま次官が言われた資源の開発、それから援助が日本の経済の発展にもはね返るというそういう考え方、これは財界の考え方としては当然だと思うんです。しかし、そのすぐあとで、無目的な無償が目的でなければならぬと言われ、人道的な立場でなければならぬと言われた。先ほどの経済的ないわば効果というものを期待をしてという考え方とは私は矛盾をすると思うんです。われわれも、われわれが腹一ぱい食って、残りがあったら援助しましょうというようなことを考えておるわけではない。やはり国際連帯の精神というものに基づいてやらなければならぬことは、大いに私たちはやるつもりでおる。しかし、いま言われるように、社会資本というものが非常に不足をしておる、そういう中で援助をしようというのですから、それなりの大義名分がなければならぬし、それなりのシビアな考え方というものがなければ国民は納得しない。しかし、そのときに、いまあなたが言われたような資源開発のようなことを何か目的の一つに入れて、この補足説明にもそういうことになっておりますけれども、そういうことですと、必ずしも国民的なコンセンサスというのが得られるかどうか、実は疑問だと思うんです。しかし、その問題を議論しようと思うわけではない。ただ、いわば最大公約数を考えても、政府の開発援助というもの、それも国際機関を通す開発援助というもの――国際機関を通せば、おそらくひもつきでない場合が多いのでありましょうけれども、そのひもつきでない援助、そういうものを少なくともはっきり指向すべきではないかという質問のわけなんです。
 そこで、先ほどもちょっと出ましたけれども、ひもつきという問題について、いままでだいぶ議論があった。で、ひもつきでなくする、アンタイドという問題について、国連の決議の際に、日本は、その問題もおそらく決議の中に入っておったと思うんですけれども、何かそれについては非常に留保をつけた、条件をつけた。結論としては承諾をするけれども、留保をつけたという形で承知をしたのではないかと思うんですけれども、その理由ですね。
 それから、DACの勧告の条件で政府の開発援助の比率を高めろということは、これは当然だと思うんですけれども、それを日本が留保をしたという。いまの次官の答弁の中にもあったのかもしれませんけれども、それは、一体、どういう具体的な根拠に基づいてわれわれから言わせれば一番大事な援助条件の結論を留保されたか。
 その二つを……。
#33
○政府委員(稲村光一君) ただいまの二つの御質問のうちの、ひもつき援助、つまりアンタイドの問題でございますが、これにつきましては、むしろ、国連の決議というよりも、昨年九月に東京で行なわれましたDACの上級会議というのがございました。そのときに、実は、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、ほんの一部の国を除きまして、大多数のほとんど全部の国が、そのアンタイドの原則、ひもつき援助廃止の原則について賛成をいたしました。それにつきましては、日本もむろん賛成をいたしたわけでございます。それにつきまして、ただ、これは各国とも原則はそういうふうに賛成をいたしましたけれども、具体的にそれではアンタイドをどういうふうにやって各国の法制上できるようにやっていくかということ、それと同時にまた、アンタイイングと申しましても、技術的にいろいろな問題がございますので、これはDACの上級会議でその方針が昨年の九月原則的な大筋がきまったわけでございまして、それに基づきましてその後DACの会議でいろいろな点をいま議論を詰めておる段階でございます。したがいまして、具体的には、これがきまってまいりますと同時にひもつき援助を廃止をするというためには、わが国といたしましては、国内法上の問題がございまして、国内法の一部について手直しをする必要が起こってくるかと思われますが、たとえば輸出入銀行法にいたしましても、あるいは経済協力基金にいたしましても、いずれもひもつきでない援助ができるようには必ずしも全体としてなっておりませんので、その点の国内体制の整備ということも必要であるわけでございます。したがいまして、ひもつきの廃止につきましては、その原則につきましては日本は留保ではございませんで賛成をしたわけでございますが、ただ、具体的なやり方については、いまDACの場において各国ともあわせてこまかい点の議論が進められていると、こういう状況でございます。
 それから政府開発援助がなかなか国連の決議による目標どおりには日本としてはむずかしいと、そのために留保をしたという点につきましては、これは先ほども政務次官から答弁がございましたとおり、政府開発援助と申しますのは、直接的に予算なり財投等、国の財政に関係するところが非常に強いものでございます。したがいまして、国内需要との関連でなかなか現在の〇・二六%――一九六九年の実績でございますが、〇・二六%というのを〇・七にまで、五年間にほぼ三倍に率を上げるということは非常にむずかしい問題でございまして、これはとても現実的問題として約束することができないということでございますが、ただ、このとき、日本は、留保はいたしましたけれども、しかし、〇・二六%という政府開発援助の率を特定のパーセントまで上げるとかあるいは特定の年までにそれを何%までやるというような約束は国際的に方針としてはお約束はできませんけれども、しかし、その率をともかく上げていくというふうに毎年今後努力をしていく、こういうことを方針を明らかにいたしているわけでございます。
#34
○政府委員(藤田正明君) 先ほどの松井委員の御発言の中に、私の発言を多少誤解されたような点がありますので、訂正させていただきたいと思います。
 私が申し上げたのは、日本の低開発国に対する援助は、第一義的にはその国々の自助自立のための援助である。それが何らかのそこに目的があってはならない。しかしながら、それが結果においては日本の市場の拡大なりあるいは資源の確保に通ずるものではないかということを申し上げたものでありまして、(「当然じゃないか」と呼ぶ者あり)決して市場を拡大する目標であるとか資源の確保が問題であるから経済援助をしているんだということを申し上げたわけではないのでありまして、その点を一百発言させていただきます。
#35
○松井誠君 いまの不規則発言で当然だというお話がありましたけれども、私は、先ほど言いましたように、それは必ずしも国民的な合意を得られる目的ではないということを言っておる。で、どこで言ったのか知りませんが、たとえば宮澤長官が、五千億ドルの国民生産をやるためには、やはり五十億ドルくらい海外に出さなければそのこと自体達成をされないんだというようなことをどこかに書いておる。そういうように、市場の開発というようなことを考えなければこれ以上日本の国民生産が伸びないという、そこのところにもし目的が間違って置かれれば、これは本来の経済援助ではなくなるわけですよ、形の上ではそうであっても。ですから、それを当然のことであるかのような考え方ですと、私はやっぱり危険なあれにつながっていく、そういうこともありますから申し上げたのでありますけれども、一%はやりますよということは早々とのろしを上げた。しかし、その中で、政府の開発援助の比率になると、はやしり込みをする。そうすると、低開発国のほうでは、それじゃ一%と言ったって、政府援助がふえるのではなくて、民間の援助がふえてくるのだ、援助という名前の輸出がふえてくるのだ、やっぱりエコノミック・アニマルだというそういう不安を現に持つと思いますね。それは、確かに、日本の社会資本が貧しいことは間違いありませんけれども、しかし、このDACという先進国の中で政府開発援助の率をここまで上げるということについて留保をしたのは日本だけだというのでしょう。もしそうだとすると、その理由ですね。いま言われたような理由では納得ができない。
 それからもう一つ気になりますのは、政府の援助の中における無償援助の比率ですね。政府援助の中における無償援助の比率というのは最近伸びたというようなことを言うのですけれども、調べてみると、たとえばベトナムの難民を収容する援助だとか、そういういわば直接戦争をしておる国の当事国の中へ入っていって行なう援助、そういう形で無償援助がもしふえておるとすれば、これは無償援助というのが何か南北問題の表向きの看板である平和を維持するためのというそういう問題からむしろはずれて、戦争の一方の当事国を鞭撻するそういう援助、そういうものが政府の無償援助としてかりに伸びたところで、それは本来の経済援助というものの精神からはみ出すどころか、むしろ逆になってしまう。その辺のところを考えますと、やっぱり全体の経済援助のあり方についてきちっとした考えをまとめていくということをやらないと、きわめてあぶない、そう思うんです。
#36
○政府委員(稲村光一君) ただいま御指摘のとおり、いろいろな問題は確かにあるわけでございますが、先ほども申し上げましたとおり、まず一%という総量、これは政府開発援助だけでなくて民間の資金も入ってはおりますけれども、それにつきまして全体として一九七五年差でにGNPの一%に達するように努力をいたしたいということと同時に、その中でやはり発展途上国にとりまして一番必要とされるのは条件のゆるい政府開発援助のほうでございますから、したがって、その政府開発援助については、政府といたしましても極力努力をして、GNPの〇・二六というような低い比率ではなくて、もっとその比率を高めていきたいという方針をとっておるわけでございます。ただ、それにつきましては、先ほど申し上げましたように、種々の問題がございまして、具体的に何%まで何年までにそういう政府開発援助の比率を高めるというそのことは国際的に政府としてこの方針の弁明をいたすことはできないと、こういうことでございますが、ただ、同じその援助の総額の中で政府開発援助の比率を今後ますます高めていきたいということ、これは政府としても十分にそういう方向に進むべく考えているわけでございます。
#37
○松井誠君 去年の国連総会で決議をされた、何というのですか、開発戦略というのですか、その開発戦略の中で一つちょっとお聞きしたいのは、SDRを開発援助の資金に使うのか、開発金融とのリンクというような表現でいわれておるわけですけれども、それはまだ具体的に結論が出たのでもなさそうですが、それは具体的にどういうことなのか、政府としてはどういう対応をされるつもりなのか。
#38
○政府委員(稲村光一君) SDRと援助のリンクの問題につきましては、これは実はいろいろといままで議論がたくさんなされておったわけでございますが、最近の情勢について申し上げますと、元来、SDRというものを援助にリンクすべきだという発展途上国側の相当強い要望と申しますか意見というものは、前からあったわけでございます。それに対しまして、他方、先進国側としましては、SDRというのは、よく第三の通貨といわれますが、ともかく国際流動性の補充のためにつくられましたIMFのいわゆる特別引き出し権でございまして、いわばこれを準備資産として健全に育てていきたい、こういう強い希望と申しますか方針をとっておるわけでございます。したがいまして、SDRと援助というものとをリンクさせるということ自体若干問題でございまして、つまり、援助というほうになりますと、これは長期の開発資金が要るという問題でございます。SDRはいわば国際流動性の補充資産と申しますか、新資産でございますから、したがいまして、発展途上国側としてはSDRを何らかのかっこうでよけい配分を受けたい、こういうような感じがいまの援助とのリンクの問題として出てきているものだと思うのですが、形としましてはいろいろの議論がございまして、たとえば、一九七二年のこの次のSDRの配分額あるいは総額――まず総額を決定いたしまして、それから各国の配分額がきまるわけでございますけれども、そのときに、SDRを従来のいま控でのやり方でございますと、IMFのクォータに基づいて配分をする、こういうことをやっておるわけでございますが、後進国に対しては、IMFクォータというような基準でなしに、後進国には特別に増額して配分をしろというような意見、あるいは、SDRをIMFとかあるいは世銀に特別に割り当てて、それで後進国の援助資金に充てる、つまりSDRの総額をふやしてその部分をそういうふうに充てる、あるいは、先進国側のもらうSDRの一部をいわば援助にひもつきにしろというような、形としてはいろいろな議論があるわけでございます。それに対しましていろいろな場で議論が行なわれておるわけでございますが、現在のわれわれのほうの感じは、これは日本だけではなくて、先進国全体が一致した感触なり立場をとっておりますけれども、何と申しましても、先ほど申し上げましたとおり、SDRというのは国際流動性を補充するための新資産でありまして、まだできましてからやっと二年目、こういうことで、いよいよこれからほんとうの意味の健全なSDR制度というものの発展を見ていかなければいかぬ、こういうときに、これを援助とリンクするということはむしろ今後のSDR制度の健全な発展に害があるのではないか。そういう意味で、いま、SDR制度が、元来援助とは関係のない、関係をつけるべきでない制度、国際流動性の問題でございますから、これのほうが十分に確立をするまでは、少なくもそういう事態になるまではSDRと援助とのリンクというものは適当でない、こういう立場でほぼ先進国のほうは一致した見解、そういう立場をとっております。
#39
○松井誠君 SDRというのがあまりたくさん出されるのは、われわれにはあまりありがたいとは思わないんで、アメリカの国際収支に対する無節操な態度をいわば助長するだけ、世界的にインフレを助長するだけだと思いますから、それについて健全な発達ということをわれわれは考えませんけれども、それを開発途上国のために多くして割り当てるというのではなしに、いまお話の中にありましたように、先進国に対する割り当ての一部をいわばひもつきにするということならば私はやはり考慮の余地があるという気がするんです。これは意見だけ申し上げまして、IDAについて一点か二点お伺いしたいと思います。
 IDAにしても世銀にしても、融資の基本的な態度というか目的というか、そういうものがきまっておるだろうと思いますけれども、簡単に言えば、どういう目的で、具体的にはどういう事業というものを重点的にやろうというようにきめられておるのですか。
#40
○政府委員(稲村光一君) これは、同じような国際的な多角的な金融機関でございます世界銀行と比較をしていただきますとはっきりいたすかと思いますが、IDAにつきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、非常に低利の長期の資金を貸し付ける。したがいまして、その国のいわばインフラストラクチュアと申しますか、道路、港湾、農業、漁業というようなこともあろうかと思われますが、そういうむしろ重点は後進国の社会資本の充実、インフラストラクチュア的な部門で収益性の非常に少ない、こういうものに対して主として出されるわけでございまして、これに対しまして、世銀のほうは、同じく発展途上国に対しても出されますけれども、これはむしろプロジェクトとしては収益性のあるプロジェクトに対して世銀が出す。世銀のほうは、貸し付けの条件も、IDAのように長いものではございません。最長三十年、普通は十五年ないし二十五年、貸し出し金利のほうも七・二五%で、これは世銀としても市場からの調達金利をもとにしてきめておりますので、コマーシャル・ベーシスと申しますか、そういう貸し出し金利でございます。したがいまして、そのプロジェクトとしましても、むしろコマーシャル・ベーシスに乗るようなプロジェクト、それに対しまして世銀は出しておる。それに対しまして、IDAのほうは、むしろ、先ほど申し上げましたとおり、コマーシャル・ベーシスに乗りがたいインフラストラクチュア的なもの、そういうものに出す。もう一つは、IDAは、先ほども申しましたとおり、非常に長期、低利のものでございまして、同じ後進国の中でもいわば後発の後進国と申しますか、GNPで一人当たり三百ドル以下というのを一応のめどとしておりまして、それ以上の国に対しては出さないということを一つのめどといたしております。
 そういうふうに、負担能力等からしまして、やはり、長期、低利の貸し付け資金を必要とするという国に対してそのプロジェクトを選定いたしまして貸し付ける、こういうことになっております。
#41
○松井誠君 この調査室からもらった資料の中にも、私が政府からもらった資料の中にも、いままでの融資の使途別の一覧表があるのですけれども、それにプログラム・ローンというのがありますね。相当大きな比重を占めているのですが、これはどういうことかよくわかりませんが、いま言われたように、インフラストラクチュアというものの一部なのかどうかですね。それから教育というのが相当な比重なんですが、これは確かに必要だと思いますけれども、それもそのインフラストラクチニアの中に入るのかどうか。そうして、教育というのは、主として何に対する融資なのか。建物だけなのか、人間というものも含めておるのか、その辺を一緒にお願いしたいと思います。
#42
○政府委員(稲村光一君) 第一のプログラム・ローンでございますが、これは六億五千五百万ドルぐらいになっているかと思われますが、これはインドとパキスタンで、インドが六億五百万、それからパキスタンが五千万というこの二国でございますが、これはインド、パキスタンにおきましてすでに既存の工場設備がございまして、それに対するスペアパーツというものの輸入、これをIDA資金で見るということでございます。
 それから教育につきましては、これはIDAの資金は、その国の現地通貨を必要とするものではオープンに出すものではございませんで、やはり外貨を必要とするものに出すのが原則でございますので、教育の場合には、むろん教員の俸給というようなものではございませんで、これは学校をつくりますについての必要とする輸入資材のファイナンスのために貸し付けをするということでございます。
#43
○松井誠君 私の聞いているのは、人間というのは、留学生とかそういうものもその中に入っておるのかという趣旨だったんです。
#44
○政府委員(稲村光一君) ただいまの最後の御質問の点でございますが、これはむろん教育に対する指導と申しますか、そういうものの一種の技術援助のようなものも入っております。
#45
○委員長(柴田栄君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#46
○委員長(柴田栄君) 次に、預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#47
○成瀬幡治君 大臣、四つお尋ねしたいと思います。
 第一は、預金保険法案に対する附帯決議を各党で用意をいたしました。その中に、「農業協同組合、漁業協同組合および労働金庫等の預金者保護について、積極的に検討すること。」と、こういうことを附帯決議することにいたしました。これは、おそらく、全会一致で、あるいは多数でかどうかは別として、成立することは間違いございません。過般、近藤銀行局長からも、積極的にこうした問題について努力する旨の答弁がございました。いままでの例で申しますと、まあ附帯決議がつく。そうして、大蔵大臣も、そこで附帯決議を尊重をして努力する旨の発言をされるというのが恒例になっております。しかし、また、それが実現しないことも、ままあると申しますか、そういうものも多いということも、またこれも恒例になっております。これがせっかくそういうふうに過般御答弁があり、また、後刻御答弁をいただくことになると思いますが、それじゃ、全く形式的な、意味のないことになると思いますから、そこで、そういうふうではなくて、この問題に限ってはどうするかという点についての大臣の御決意がまず第一に伺いたいと思います。
 それから二つ目の問題については、これはきょうの委員会で大臣に御決意を伺うというようなことで、この法律案に直接実は関係がございません。ございませんですが、特に御答弁をお願いしたいと思いますことは、グラントハイツの払い下げについて、あるいはグリーンパークの跡地の払い下げの問題でございますが、先ほど理財局の小口次長に伺いますと、民間私企業等には払い下げずに、しかも、グリーンパークなりあるいはグラントハイツの約二千余戸を横田のほうへ移転させるためには、所要資金が三百五十億ほど要るというような御答弁がございました。そうして、そういう資金等の関係もあり、いろいろなことを苦慮しながらやるのだが、しかし、民間の私企業に払い下げないという。そこで、私のほうから特に大臣に伺っておきたい点は、国有財産というものが民間に払い下げられますと、やれ安く売ったとか、なんだかんだと、いろいろなことがあります。そこで、今後予想されるのは、米軍がいろいろな点で引き揚げていった跡地が出てくるとか、あるいは万博の問題等が出てまいりますから、国有財産というものはいろんなことはあろうけれども、少なくとも民間私企業等にはぜひ払い下げることをやめていただく。特にグラントハイツの問題ともなってまいりますと、東京都がロスの地震等を他山の石とした場合には、クッション・ハウスなどにして都市再開発をするというようなふうに、たいへん大切な問題だと思いますから、ぜひ国有財産というものを大事に扱って、少なくとも民間私企業等に、いろんなことがあるけれども、そういうものに対しては極力売らないようにするというような基本方針なのか、それとも、まあいままでずいぶん払い下げておみえでありまして、国有財産がなくなったから管財局がなくなっちゃって理財局の一部にしたというような形になっておるようでありますが、この国有財産払い下げの問題についてどういうのか、基本的な御答弁を承っておきたいと思います。
 それから三つ目は、中小企業向けについて、過般、政府資金としていろんな問題について資金をお出しになりまして、ずいぶん中小企業の金融対策に対して対処されたようでありますが、しかし、この貸付信託とかいろんなことをやっておる中でも、問題は中小企業向けの長期資金をどういうふうに確保するかというような点がいろいろな点で大事な点だと思いますが、今後、中小企業向けの長期資金確保のために、なるほど長銀がございますけれども、長銀は大企業向けでございまして、中小企業向けになっておりませんから、たとえば第二長銀というようなものをつくって、中小企業の長期資金確保のために努力されるようなそういう意向があるのかないのかどうかという点が三つ目でございます。
 それから四つ目の問題については、とかくこの不況が相当きびしい。過般の日銀発表等によりますと、四十年度型になるんじゃないかというような点を非常に心配をしております。そこで、大臣もしばしば機動型の予算を組んだんだというようなことを言っておみえになりますが、私はいま財投をどういうふうに――なるほど予算が通過せない前でございますから、いろんな問題があると思いますけれども、この財投をうまく、そして、しかも早急に使って、この落ち込みを上げてくる対策を立てられるというのが非常に大切じゃないかと思っておりますから、そこで、成立との関連もございますけれども、さて予算が成立したわ、それから五月、六月というようなふうになっていってしまっては、非常におくれてくるのじゃないかということを非常に心配しておりますから、そういうようなことについて大臣として何かお考えがあるなら、この際承っておきたいと思います。
 以上でございます。
#48
○国務大臣(福田赳夫君) 成瀬さんから四点についての御質問でありますが、気持ちは私もよく理解できるところでございます。
 第一点の、農業協同組合、漁業協同組合、これの預金者を保護する方法ですね。これは、今度の預金保険法ではこれを除外したわけです。これはよく御理解と思いますが、農協や漁協、これはおい立ちが他の金融機関とは全く違います。しかし、その預金者を保護するという必要においては、他の金融機関と農・漁協、これは同じ理由があると思います。そういうようなことから、この残された農・漁協の預金者を保護するという問題につきましては、これは農林省とよく相談しなきゃならぬ問題でありますが、これは積極的に考案をしてみたい、かように考えます。
 それから第二の国有財産の払い下げの問題この基本的な方針のことを申し上げれば、私はみだりにこれを払い下げるという考え方をいたしたくないのです。これは国用に使うか、あるいは公共用に使うか、あるいはその他の公共類似の目的のために使用したい。まあ財源をあげるというような意味合いにおいて、いままで、まあやや積極的に民間に払い下げると、こういうような傾向もあったように私は認めますが、さような考え方は今後はとらないということを前々から申し上げておるわけであります。
 御指摘なような方法で今後やっていきたいと、かように考えます。グラントハイツにつきましては、これは地元の皆さんからもいろいろ話を聞いておるのです。ですから、そういう方向を十分尊重をする。ただ、これは、いま移転問題につきまして金がかかるというお話がありましたが、その問題もあるのです。その問題もちょっと考えなきゃならぬかなとも考えておりますが、大筋の方向といたしましては、成瀬さんのおっしゃるような方向で対処したいと、かように考えます。
 それから中小企業向けの長期銀行はどうだという話ですが、いま公庫という制度があるわけです。国民金融公庫、中小企業公庫、これがすなわちそういう性格を持っておるのです。これを私企業的な長期信用銀行だということになると、金利も高い、そういうようなことで、中小企業にはたして向くかと、こういう問題がありますが、それじゃいかぬと、こういうことからまあ公庫という制度をとっておるわけでありまして、この公庫制度を運用していくということで御指摘の問題は十分対処し得ると、かように考えております。
 それから第四点の財投の問題でありますが、これはまあ景気の運営に非常に重要な役割りを尽くし得ると、さように考えておるのであります。したがいまして、四十六年度予算では、まあ御無理のところではありましょうが、政府保証債を臨機に千三百億発行し得る権限を与えられるように御要請申し上げておるわけでありまするし、なお、政府関係八公庫というものがありますが、その八公庫につきましても、その借り入れ権限を、これは従来も予算書上お願いをしておりますが、今度も引き続いてお願いをすると、こういうことにいたしております。景気情勢の推移を見ましてそれらを弾力的に運営いたしていきたいと、また、機動的に運営いたしていきたいと、そういうふうに考えておりますが、しかし、四月の新年度を待つまでもなく、ただいまの傾向といたしましては経済界がかなり落ち込みの傾向である。そういうことを考えまするときに、財投の活用ということを考えなきゃならぬ。ことに、繊維でありますとか、あるいは自動車産業でありますとか、特に困難な中小企業が出てきております。そういうものに対処するというので、過日、二百九十億にのぼるところの中小三機関の貸し出しの追加を実行するという決意をいたしたようなわけであります。御趣旨の点はまことに私も同感と思いますので、十分その線に沿って対処していきたいと、かように考えます。
#49
○成瀬幡治君 一言だけ……。私はちょっと大臣と意見が違うと思うんです。と申しますことは、なるほど制度金融の道はございます、中小企業向けの。私は、それだけでは中小企業の長期資金というようなものが確保できないのじゃないか。そこで、今後たとえば信託なりあるいは信用金庫、そういうようなものを中心としたようなかっこうになって――長銀というものが大企業には確かにありますけれども、中小企業向けにはそういう長期資金確保のもあがないんだから、何か、第二長銀ということばは悪いかもしれませんけれども、そういうようなものを検討されてしかるべきじゃないかと思うわけですがね。その点、どうも公庫だけで大臣はいいじゃないかと、こういうお考えのようですが、いかがなものでしょう。
#50
○国務大臣(福田赳夫君) 長期信用銀行というものが三つあるんです。日本興業銀行、それから日本長期信用銀行、それから不動産銀行と。それで、日本長期信用銀行も興業銀行も、大企業ばかりじゃないんです。中小企業もやることにしております。額は中小企業でございますから小そうございます。それから不動産銀行につきましては、これは中小企業が土地建物等の不動産を持っておる、そういうものに担保を中心としてその企業を評価する、そしてそれに対し貸し出しを行なうというような発想のもとに不動産銀行というものが設けられたんです。ですから、不動産銀行は中小に対しましてもかなり融資をやっております。もとよりそればかりじゃないんですがね。さあそのほかにまた特殊な長期信用銀行を設ける、そしてかなりの貸し出し金利にもなるというような行き方がいまの段階で必要であるかどうか、これは私はまだ成瀬さんとその点は違うんですが、同じような目的をさらに有効に進めていくということは、これは公庫で十分できるんじゃないかと、こういうふうに考えております。公庫の運用については、御趣旨の方向で考えてまいりたい、かように考えます。
#51
○鈴木一弘君 預金保険法にからんでですけれども、いま農協関係で預金者の保護については積極的に考案したいというお話ですから、その点は了解したんですが、私は、はっきり申し上げて、農協というもののおい立ち、いろいろ考えてみれば、結局、国の行政によって現在のような総合農協ができてきて、まあ専門農協もありますが、総合農協というのが実に多い。そして、そういう国からの介入ということは、行政によってできたということから、行政的に掌握する力といいましょうか、それに非常に都合のいいように、はっきり申し上げて育成している感じがあるわけです。ですから、場所によっては政治を大きくゆり動かす、県にしても何にしても動かすという点に立ってる。その業務内容を見てみますと、こういうように信用とか購買とか販売というような業務、事業をやっておるわけですけれども、諸外国の例を見ても、信用業務というのは通常農協はやっていないというのが多いわけです。それが本来の筋であろう。信用業務を持っておるために、農家の間から言われることは、殿さまのようにいばっているとか、高利貸しのように冷たいとか、こういう非難があがっていることは、大臣も御存じのとおりだと思います。そういうものが一つある。もう一つのほうには、組合員よりも準組合員というのが多くなっている農協がかなりある。場所によれば、倍以上も組合員よりもいわゆる非農家の準組合員というものが多いというところもあります。そういうところがなぜ起きたか。結局、信用業務というものが主要業務にさえなってしまっているところがあるということからだろうと思いますが、そういういろんな点から見ると、信用業務というものを農協自体が持つということは、農協本来の姿からはずれてきているんじゃないか。しかも、これは大臣もよく知っていると思いますけれども、景気の操作の問題、景気調整の問題、いろいろのときにも、どうしても農協の融資というものが穴抜けになって、いい影響というものが与えられない。しかも、都市化が進んでいるところにはなおのことそのようになってきている。そこで、いま一つの理由としては、いま申し上げたことや、農協本来の姿にするということ、専門農協というものを強化するというのがこれはほんとうの行き方だと思うのです。それからいま一つは、先ほどの質問にありました預金者保護です。こういう三つの点から考えれば、どうしても信用部門というものは別のものにして切り離させる必要があるのではないか。幸い、購買事業、販売事業、こういうものを統一するという機運があるようですから、この辺で大蔵省自身としても、はっきりと信用業務なら信用業務としての一つの金融機関として独立をさせる、こういう方向を持つべきではないか。そうでないと、ほんとうの預金者保護というものは最終的にはでき得ないし、農業の今後の育成にも暗い影を投げかけるというふうになりかねない。その点を一つ伺いたい。
 いま一つは、法案とは関係がないのですけれども、いまの景気の行き方を見てみますと、非常に設備投資が減少してきて、これがだんだん加速度を加えてくるのではないかというような予想がある。まあ一千億程度のいわゆる機動的予算ということでありますけれども、こういうデフレの傾向が起こってきたときに、はたしてそれで対応できるかどうかということは非常に不安があります。金利をアメリカが下げたときに、第一回の下げでこれに追随して下げた。そのときの理由は、金利の引き下げはアメリカが下げたからだと言われたのですが、二次、三次になってきますと、わが国はついていけないという状態です。これは金融機関の問題もありますけれども、そういう面から見ますと、これは何らかのデフレギャップを埋めるくふうを一千億以上のものを考えなければならないのではないか。公共投資というものを大幅に増大をしなければたいへんなことになるのではないか。当然、不況ということになれば、輸出はドライブがかかってくるでしょうし、外貨保有高がふえてくる。そうなれば、円の切り上げの圧力も強くなるということを考えざるを得ない。そうなれば、なべ底どころか、その底を割ってしまうという心配が出てくる。そこで、そういうような機動型だけでは間に合わないのではないかという判断が私はもうしているわけでございますけれども、そういうことについて、それに応じ切れないというようなときには、本格的に明年度の後半において、あるいは秋から、大幅に公共投資を増大させるくふうというものをしなければ、小手先だけでは、いままでの経済とは違って、私は形が変わった経済になっていくのではないかと思います。
 そういう点について……。
#52
○国務大臣(福田赳夫君) まず、農業金融、その中で重要な役割りを占めておる協同組合の信用事業の問題でありますが、まず、農業金融全体の問題からお答え申し上げますと、これがいまわが国の金融体系の中では特殊的な立場にあるのです。農業金融の分野、これを除きますと、大体、政府、日銀、これが話し合いをいたしますと、それに政策意図というものはかなり浸透し得る、こういうような状態にあるのでありますが、農業金融は、まあ特殊地帯と申し上げましたが、その辺の連動体制が緩慢な形になっておる。でありますから、景気政策を行なうというような場合におきましては、どうも十分でないというような面があるわけであります。そういうことに着目をいたしまして、何とかこれが特殊地帯であるというような性格でないようにしたいということをかねがね考えておるわけでございますが、一方、そういうふうにすることについて難点もあるのです。難点があります第一点は、これは農業金融でありまするから、どうしても長期の金融になる。また、低利の金融ということにならざるを得ないわけでありますが、そういたしますと、あるいはかりにいま御提案のように、他の協同組合の他の事業と切り離して一つの独立の農業金融地帯というものをつくる。つまり、信用部門を独立させるというようなことになりますると、なかなかこれが運営はむずかしくなっていくというような面もあるわけであります。また、農家を代表する農業協同組合の気分、これもあながち無視することができない。こういうような問題がありまして、なかなか農業金融問題の再編成というか、再検討というか、それは手がつかない状態で今日に至っておるわけでありますが、だんだん世の中も変わってくる。その変わってくる世の中の情勢に対応した農業金融のあり方、そういうものは見直しもしなければならぬ時期に来ているのじゃないか、そういうふうに考えます。農林省とも十分話し合ってみたいと、かように考えます。
 それから次は、景気の問題であります。今度の予算は御承知のように、四十五年度に比べまして一兆五千億円ふえております。一兆五千億円というのは、これは、GNP、わが国の総生産の約二%に相当するわけであります。その上に、さらに、まあ予算の額ではございませんけれども、いわゆる弾力条項といいますか、政府保証債、また、支払いは行ないませんが発注を行なう権限という債務負担の増額、それからさらに、従来からもやっておりますが、政府関係八公庫の貸し出し、これが五千億くらいになります。総計しますと、七千億くらいになる。これはちょうど総生産の一%に相当するわけです。そういうものをもっていま景気に対処していきたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、まあ景気が過熱をするときには、金融の力がこれを引き締める即効を生ずる、こういうふうに思いますが、下がるのを下ささえする、これは金融は受け身な立場になると思うのです。どうしても直接に購買力を喚起する必要がある。それは財政以外にない。こういうふうに考えましてさような考え方をしたわけでございますが、この運用を適切にやらなければならない。そういうようなことで、すでに建設省に対しましては、まだ執行のタイミングは申しておりませんけれども、いつでも機動的に執行できるように諸準備を整えていただきたい、こういうことを申し入れております。建設省においても、その準備をいたしておるわけであります。つまり、GNPの二%もふえる予算の執行の促進、あるいは繰り上げ、あるいは支払いの促進、そういうようなことでかなりの影響を持つであろう。その上、もし万一それでも足らぬというときには機動体制の発動と、こういうふうに考えておるわけでございまして、ただいま申し上げましたスケールの財政手段を持っておりますれば、私はそう急ということはないと思う。また、急であってはならぬと思うのです。つま先のぼりに、だんだんと曇り後薄日という状態が出現できるのではあるまいか。これだけの装備を持てば、景気の動向に対しましては、自信が持てると、こういうふうに考えておるわけでございます。
#53
○委員長(柴田栄君) ほかに御発言もなければ、両案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより両案の一括討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、両案の討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより順次採決に入ります。
 まず、預金保険法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#56
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、貸付信託法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#57
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#58
○玉置猛夫君 私は、ただいま可決されました預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案の両案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党四派共同による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   預金保険法案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当り、預金者保護の徹底に資するため、左記事項に留意すべきである。
一、農業協同組合、漁業協同組合および労働金庫等の預金者保護について、積極的に検討すること。
二、信用協同組合については、検査、監督等の厳正化を図り、経営の健全化に万全を期すること。
三、保険金限度額の変更については、国民の所得および金融資産の水準等を考慮し、弾力的に改定の措置を講ずるとともに、保険料については、金融機関が預金金利あるいは貸出金利に影響を及ぼすことがないよう指導、監督を行なうこと。
 右決議する。

   貸付信託法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法の運用に当り、融資先拡大の趣旨の徹底に資するため、流通部門、中小企業および個人の住宅建設に対して、貸付信託の資金が円滑に供給されるよう、十分な指導、監督を行なうべきである。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#59
○委員長(柴田栄君) ただいまの玉置君提出の両附帯決議案を一括して議題といたします。
 まず、預金保険法案の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#60
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。
 次に、貸付信託法の一部を改正する法律案の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#61
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。
 よって、玉置君提出の両附帯決議案は、全会一致をもっ本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。福田大蔵大臣。
#62
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても、御趣旨を体して一十分努力してまいりたいと存じます。
#63
○委員長(柴田栄君) なお、ただいま可決されました両案につきまして、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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