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1970/03/26 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第17号
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1970/03/26 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第17号

#1
第065回国会 大蔵委員会 第17号
昭和四十六年三月二十六日(金曜日)
   午前十時十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     今  春聴君     矢野  登君
     高山 恒雄君     向井 長年君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柴田  栄君
    理 事
                大竹平八郎君
                玉置 猛夫君
                中山 太郎君
                多田 省吾君
    委 員
                青木 一男君
                青柳 秀夫君
                伊藤 五郎君
                岩動 道行君
                栗原 祐幸君
                津島 文治君
                丸茂 重貞君
                矢野  登君
                木村禧八郎君
                戸田 菊雄君
                松井  誠君
                鈴木 一弘君
                向井 長年君
                渡辺  武君
   衆議院議員
       内閣委員長代理
       理事       伊能繁次郎君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房管理室長    吉岡 邦夫君
       大蔵政務次官   藤田 正明君
       大蔵大臣官房長  高木 文雄君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        大塚 俊二君
       大蔵大臣官房審
       議官       吉田太郎一君
       大蔵省主計局次
       長        橋口  收君
       大蔵省主税局長  細見  卓君
       大蔵省関税局長  谷川 寛三君
       大蔵省理財局長  相澤 英之君
       大蔵省国際金融
       局長       稲村 光一君
       国税庁長官    吉國 二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       外務省経済局外
       務参事官     小山田 隆君
       通商産業省通商
       局国際経済部長  室谷 文司君
       日本専売公社総
       裁        北島 武雄君
       日本専売公社総
       務理事      園部 秀男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置
 法案(内閣提出、衆議院送付)
○引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法
 律の一部を改正する法律案(衆議院提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 関税定率法等の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上四法案を便宜一括して議題といたします。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○木村禧八郎君 まず、税制改正について質問いたします。
 第一点は、入場税ですが、大蔵大臣、大蔵大臣は入場税について前に私に非常に前向きな答弁をしたのですが、今度は、三十円の免税点を百円に引き上げる程度にとどめておるのですけれども、これは前の大蔵大臣の発言からいって、失礼じゃないかと思うくらい、侮辱されているようですよ、これは。大蔵大臣、どうしてこんな程度の入場税の免税点の引き上げにとどめたんですか。非常に不満ですよ。衆議院では千円に引き上げろという修正案が出たようであります。少なくとも千円に引き上げられないかどうか。それからもし、これで間に合わなければ、今後もっと――前に大蔵大臣は約束しているんですよ。これは前の前の国会ですね、あのとき、大蔵大臣は、この次に何とかするからと。この次って、この前の国会でなんにもしなかった。それで出てきたのが今度でしょう。それで三十円が百円です。大蔵大臣、これは私はもう何か侮辱されたような気がいたしましたが、もう少し誠意のある――それから諸外国から比べても、音楽等に課税しているところはありません、資料をもらいましたけれどもね。この点、大蔵大臣、はっきりひとつ前向きに答弁してくれなきゃ困りますよ。
#4
○国務大臣(福田赳夫君) 昨年の国会で、木村さんから……
#5
○木村禧八郎君 一昨年ですよ。
#6
○国務大臣(福田赳夫君) 御質問もあり、私はいろいろこれ考えてみたんです。ことに、なまものというか、あの扱いなんかどういうふうにしたらいいか。芸術性の高い催しもの、そういうものに対する入場税、こういう扱いをどうするか、これはいろいろ考えてみたんです。みたんだが、芸術性というものの判断ですね、これが非常にむずかしい。ある線でこうしてみると、それはまずたいへんな議論が起こってくるんじゃないだろうか。そういうようなことを考えますときに、どうも特殊地帯を設定するという構想がなかなか立てにくいんです。そういうようなことで、特殊地帯の設定、そういう構想はなかなかふん切りがつかない。じゃ、一般的に一体どうするんだということになりますと、まあいままで三十円だった。三十円は、これはどうもいまの経済情勢からいうとあまりにも少ない額じゃないか、こういうふうに考え、あるいはこれを二百円、三百円ぐらいまでできないかとも考えたわけでありますが、物品税は今度動かさぬというような措置をとった、そういう措置とのつり合いというようなことを考えますと、どうも三十円をそう大幅に引き上げるというのもなかなかむずかしい。そういうようなことで、私の気分とすると、ちょっと、木村さんいま御指摘のように、昨年御答弁申し上げました気分とは違うんです。しかし、これは何がしかのことはしなけりゃ、これまた木村さんにも大いにおしかりを受けなければならぬということに相なるわけであります。そういうふうなことを彼此考えまして、百円と、こういうふうにいたしたわけでございますが、今後ともこの問題は検討してみたいと、かように考えます。
#7
○木村禧八郎君 いや、今後検討されるって、今後はどういうふうに検討されるのですか。
#8
○国務大臣(福田赳夫君) 物品税の問題なんかもありますが、他のそういうものとの関連等も考えながら、この問題の扱いを、何とかもう少し皆さんが考えるような方向が出得ないものであるかどうか、そういうふうな点について検討してみたい、こういうことであります。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(柴田栄君) 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として向井長年が選任されました。
    ―――――――――――――
#10
○木村禧八郎君 衆議院で千円まで免税点を引き上げろという修正案を出しております。その点をやはり考慮されますか。
#11
○国務大臣(福田赳夫君) 衆議院で千円まで免税点を引き上げるべしという修正案が出まして、私は、それに対して、反対の意思表明をしたわけであります。ただいま申し上げましたような事情でございますので、この際、一挙に千円ということにつきましては、ふん切りがつきません。
#12
○木村禧八郎君 千円に上げた場合の減収はどのぐらいになりますか。
#13
○政府委員(細見卓君) 正確ではございませんが、百三十数億のうちの百十五億、ほとんど大半が減収になるというようなことでございます。
#14
○木村禧八郎君 一兆五千億も自然増収があるもとで、どうですか、その程度の減収は十分カバーできるのじゃないですか。
#15
○政府委員(細見卓君) いま申し上げましたように、入場税全体の収入が百三十数億しかないわけでありますから、そのうちの百十五億がなくなるということになりますと、およそ税としては体をなさなくなるのじゃないかと、こういうことを申し上げたわけであります。
#16
○木村禧八郎君 これは財源問題じゃないじゃないですか。四千三百億も国債を発行するのじゃないですか。それで、自然増収が一兆五千億もあるというもとで、前にもっと前向きに考慮すると言いながら、そうして、文化政策からいっても、また、この調査を見ましても諸外国で音楽に課税しているようなところはありませんし、いま大衆的な料理飲食の免税点だって百円なんていうところはないでしょう。常識から考えて、私はお話にならぬと思うのです。これは財源問題じゃないですよ。どうしてこれにこだわるのか、私はどうもおかしいと思うんです。その点、もう一ぺん伺いたい。
#17
○政府委員(細見卓君) 御承知のように、わが国にはサービス課税の系統がございまして、国税としましては通行税がございますし、地方税といたしましては娯楽施設利用税とかあるいは料理飲食税というようなものがございます。これらはいずれも税率は一〇%というようなところでそろえまして、わが国の消費に対する課税としては、物品税とサービスに対する課税と、この二つがある、いわば消費税の二つの柱になっておる、こういうわけでございます。
#18
○木村禧八郎君 先ほど、大蔵大臣は、今度の三十円を百円に引き上げたことは、前に前向きに考えるということと比べてどうも意に満たない、不足のように思うと。だから、今度また検討すると言いましたが、じゃ千円に上げなくても、百円よりさらに上げることを考えているのかどうかですね。
#19
○国務大臣(福田赳夫君) まあこの際は百円で御承認を願いたい。しかし、経済事情の変化等もあるわけですし、それからまた、なおわれわれの検討の余地も残されていると、こういうふうに考えます。私も、木村さんのおっしゃるとおり、芸術性の高い催しものに対する入場税、それが百円というような免税点であると。これについては、一種の感触を持っておるわけであります。そういうようなことで、四十七年度以降の検討問題にさしていただきたいと、こういうことを申し上げておるわけであります。
#20
○木村禧八郎君 検討と言うだけでは済まない。もっと前向きで、引き上げるという方向で検討するわけですか。
#21
○国務大臣(福田赳夫君) こういう際、検討と言えば、前向きということを言わなくてもそのとおり検討する、さように御了承願います。
#22
○木村禧八郎君 前の大蔵大臣の私に対する公約に違反していますから、まただまされるのじゃないかと思って……。(笑声)そうなんですよ。だから、念を押しておかないといけない。
 次に伺いますが、四十六年度の減税は見せかけだと思うんです。減税よりも、あとで質問いたしますが、増税のほうが多くなっている。これはどうなんですか。
#23
○政府委員(細見卓君) 私どもは、所得税につきまして、平年度でありますと二千億の減税であり、課税最低限の引き上げ、あるいは負担の軽減という意味におきましておしなべて一〇%程度の軽減が行なわれておりまして、自然増収に対しまする減税の割合も一〇%前後で、大体ここ数年の傾向をそのまま踏襲しておるもので、われわれといたしましては、消費者物価の値上がりを上回ります実質減税が行なわれておると、かように考えております。
#24
○木村禧八郎君 それでは、物価調整減税は幾らですか。
#25
○政府委員(細見卓君) 五%ぐらいといたしまして、七百四十億ぐらいになろうかと思います。
#26
○木村禧八郎君 自動車重量税は幾らですか。
#27
○政府委員(細見卓君) 四百億の税収を予定いたしておるわけでございます。そのうち百億は地方の財源になります。
#28
○木村禧八郎君 それから郵便料金の引き上げによる負担増は幾らですか。
#29
○政府委員(細見卓君) それは、実は計算いたしておりません。
#30
○木村禧八郎君 それじゃ、私が言います。政府資料では四百七億です。
 次に、健康保険の改正による負担増は幾らになりますか。
#31
○政府委員(細見卓君) 手元に資料を持っておりませんので、ちょっとわかりかねます。
#32
○木村禧八郎君 減税をする場合、全体として国民負担がどうなるかということを総合的につかまなければ困りますね。政府の資料では、二百九十億の負担増になるんです。
 そうしますと、いまの合計で幾らになりますか。
#33
○政府委員(細見卓君) 六百九十七億ですか、約七百億ということでございます。
#34
○木村禧八郎君 何ですか……。
#35
○政府委員(細見卓君) 六百九十七億、約七百億。千億のほうは別にいたしまして。
#36
○木村禧八郎君 いままでの負担増を計算すると幾らになるかというんです。
#37
○政府委員(細見卓君) 千億ちょっとこす、千百億ぐらいになろうかと思います。
#38
○木村禧八郎君 だめですね。千八百三十七億です。よく聞いていてくださいよ。物価調整減税が七百四十億でしょう。それは五・五%の物価値上げの減税でしょう。
#39
○政府委員(細見卓君) それは負担の軽減でございますから、増税ではないと思います。
#40
○木村禧八郎君 もしこれを減税しなければ、増税になるんでしょう。ですから、千六百六十六億からこれは引かなきゃなりませんよ。千六百六十六億というのは、ほんとうの減税ではない。その残りがほんとうの減税でしょう。ですから、それを引かなきゃなりません。さらに、自動車新税四百億でしょう、まあ地方負担もありますが。郵便料金引き上げ四百七億。それから健保負担増二百九十億。千八百三十七億。ことしの減税は千六百六十六億。そうすると、負担増のほうが多い、こういう計算になるでしょう。ですから、見せかけの減税だというんですよ。どうしてこんなミニ減税をやったんですか。それからわざわざ増税を盛り込んで、そうして実質的には増税になっているんです。どうしてこういうことをしたんですか。
#41
○政府委員(細見卓君) どこまでも物価調整減税を増税のほうに計算されることは、私どもは不敏にしてわからないのでございます。
#42
○木村禧八郎君 増税じゃない。千六百六十六億の減税から物価調整減税を引かなきゃ、実際の減税にならぬじゃないですか。実際の減税は、物価調整減税を引いたものです。そうでしょう。もし引かなければ、増税になるんですよ、それは。
#43
○政府委員(細見卓君) この部分につきましては、先生御承知のように、物価上昇率をそのまますべての人に調整した場合の減税額でございまして、この前の委員会でも木村先生から御指摘がございましたように、むしろ高額所得者のほうに減税が大きくなるとふだんおっしゃっておる、その減税が大きくなる人たちの減税分も全部物価調整として調整してみたならばこういう数字が出るというわけでございまして、私どもは、そういう人について、あるいは貯蓄部分に関係しておるかもしれませんが、いわゆる物価調整減税というものではないのではないかと思います。
#44
○木村禧八郎君 そんなことを言ったら、千六百六十六億の減税の中には、高額所得者のものも入っているんでしょう。ですから、総合的に政府が減税額を発表するときに、千六百六十六億じゃないんです。前に中山伊知郎氏が税制調査会のときに物価調整減税と言い出して、そうして物価調整減税という考え方を導入して、もしそれをやらなければ増税になる。千六百六十六億だって、これは全部高額所得も入っているんですよ。ですから、ネット減税というときには、それを引いたものをネット減税といわなければならぬですよ。そういうふうにいままでなっている。だから、物価調整減税を発表するわけでしょう、わざわざ。もちろん、その中には、高額所得と低額所得とありますけれども、しかし、千六百六十六億の減税という場合には、高額所得も入っているんですから、そこで、純減税は物価調整減税を引いたものだ。それからさっき言った負担増を引く。私はこれだけでは足りないと思う。たとえば、消費者米価の値上がりですね、この負担増は入っていませんよ。ニクソンだって、物価値上がりというのは不公平な増税だと言っています。アンフェア・タックスだと。だから、そういう米価の引き上げなんかを考えると、増税と見ることができます。いわゆる公共料金、広義の公共料金です、米価はですね。
 ですから、私は、いままでと違って、四十六年度の減税というのは、総合的に考えてみると、ちっとも負担減になっていないですよ。減税というのは、それによって負担が軽くなるということでなきゃならぬわけですよね。その点、大蔵大臣、なぜ、四十六年度にミニ減税にし、しかも、減税のほかに、自動車重量税とか、あるいは郵便料金の引き上げとか、あるいは健保の負担の増加とか、そういうものを持ち出してきて、実質的に減税にならない見せかけ減税にしたかと、その点を聞いているんですよ。
#45
○国務大臣(福田赳夫君) 木村さんのおっしゃることをまた裏から見ますと、結局、国民の負担率が、四十五年度の実績見通しからいいますと、一九・四になるんです。それが、今度、減税を考慮いたしました四十六年度におきましても、また横ばいの一九・四%になる。そういうことからいうと、減税にはなっておらぬと、こういうふうに言えます。しかしながら、もしかりにこの減税措置をやらなかったならば一体この一九・四%というのはどうなるかという――いま四と言いましたが、一九・三の間違いでございます。訂正させていただきます。一九・三、一九・三と、こう横ばいになっております。そういうことから申し上げますと、これは負担の軽減というふうに言えないという見方もあるわけでありますが、さて、減税をしなかったならばどういうふうになるかと、こう言いますと、これがまたふえてくる。どういうふうになりますか、私はいま数字を持っておりませんけれども、ふえてくるということになる。税制改正の結果、一九・三でおさまるということからいいますると、これは減税であると、こういうふうに言えると思うのです。
 しかし、それはそれといたしまして、皆さんも御主張なさる社会資本のおくれを早く取り戻さなければならぬという問題、また、社会保障費等の充実をしなければならぬというような問題、そういうふうに国家的要請が山積しておるわけであります。それに対して財政は立ち向かう必要がある。そういうようなことを考えますと、四十五年度に比べまして一兆五千億程度の歳出の増加を必要とする、こういうことになりますので、減税はもとより私どもも望ましいことであるというふうに考えまするけれども、そういう社会的要請を考えまするときに、そうもしておられないと、こういう結果、今回の措置をとるに至った、かように了承願います。
#46
○木村禧八郎君 国家的要請をまかなうために税収確保が必要だと、こういうことを言われますが、それはもちろんわれわれも反対しない。しかし、取るべきところから税金を取るべきだ。あとで今度の税負担の不公平につきまして質問いたしますが、ものすごい不公平なんですよ。減税なんかも、ものすごい不公平ですよ。取るべきところから税金を取らないで、そうして、さっき言うとおりに、ミニ減税といいながら、ほかのほうでいろいろな形の増税をやって取ってしまって、結局は増税になっている。さっきの計算でもはっきりしているでしょう。
 時間がありませんから次に移りますが、増税に踏み切ったら、自動車重量税、この次は付加価値税といわれていますよね。付加価値税がいよいよ諮問する段階になっているといわれますね。その前提として、諮問する際に、これは水田政調会長の報告にもありますけれども、これは非常に手数がかかると。それで、徴税機構を一本化する。国税と地方税の徴税機構の一本化が前提になっていると。それからもう一つは、住民税を所得税の付加税にすると。そういうことにすれば非常に手があくわけですね、税務官吏の。それで付加価値税を実施する。そうしないと、非常に手数がかかるのでなかなか実行できない。ですから、諮問する際に、徴税機構の一本化と、それから住民税について何か検討を加える、国税の付加税的なもの。自民党の税制調査会に報告されていますわね。その点、どうですか。
#47
○国務大臣(福田赳夫君) 付加価値税につきましては、先般の当委員会におきましてもお答えを申し上げたわけでございますが、これはEEC諸国がおおむね採用した。そして、さらに、英米におきましても、これが検討にとりかかっておると、こういう世界情勢の中におきまして、わが国におきましても、これを手放しにしておくということは妥当でない、こういうふうに考えまして、水田政務調査会長みずから昨年はヨーロッパへ参りまして、この実施の状況等をつぶさに調査したわけであります。私どもといたしましては、検討は日本といたしましてもする段階であるというふうに考えまするが、しかし、これが実施ということになりますると、これはよほど慎重でなければならぬ。ことに、今日、わが国の物価情勢、これはきわめて機微な段階にあります。そういう際に、とても付加価値税を実施するというようなわけにはいくまいだろうと、こういうふうに考えるわけであります。そういう慎重なかまえでございますが、とにかく検討だけはしておく必要があるのではないかというふうに考えまして、税制調査会におきましてもこの検討をお願いをいたしたいと、こういうふうに考えておるのです。これは実施とは別問題である、そういうふうに御理解を願います。
 それから地方税との関係……
#48
○木村禧八郎君 税務機構です。
#49
○国務大臣(福田赳夫君) 地方税、つまり地方との税務機構の関係ですね。これにつきましては、税制調査会ですでにいろいろ御検討をくださっておるんですが、私の考えは、これはいま急にというわけにはまいりませんけれども、住民税の免税点、所得税の免税点、こういうものはそろえたらどうだろうか。いま直ちにというわけには地方財政の状況からはまいりませんけれども、そういうところを目標にしたらどうだろうか。そういう前提に立ちまして、住民税は所得税の付加税的なものに直したらどうだろうと。いま、所得税があり、また住民税がある。しかし、その対象とするところは、同じ国民個人でございます。個人から見れば、二つの機構から調査を受け、徴収を受けると、こういうことになる。そういう煩瑣は省略するということが今後の税制改正の方向ではあるまいか、そういうふうに考えるわけなんです。そうすると、これは調査機構の一本化ということにもなるわけです。同時に、徴収も一本化したらいいと思うのです。これは、何も、国が徴収せぬでもいいと思う。地方に徴収してもらって、そして国はそれを収納するということでいいのじゃないかと思いますが、徴収機構も一本化する。そうすると、いま膨大な税務機構というものが中央・地方に分立しておるわけでありますが、これの調整も大幅にできると、こういうことに相なるわけであります。そういうことを私は考え方として国会にも申し上げておるんですが、一部には、それは地方の自治を冒涜するものである、踏みにじるものであるというような御意見もあるんです。しかし、だんだんと御理解を得まして、長い目の問題でありまするが、そういう方向に中央・地方の税制というもの、また税務機構というものを持っていったらどうだろう、こういうふうに考えておるわけです。ただ、これも早急というわけにはまいらない。一歩一歩そういう方向に地ならしをすると、こういうふうな考え方をとらざるを得ないのじゃないかと、かように考えます。
#50
○木村禧八郎君 次に、税の不公平の点について伺いたいんですが、第一は、これまで減税減税と言う場合、政府の発表する減税割合、税金に占める減税割合を発表しているんですよね。夫婦子供三人百五十万円では四十六年度の減税割合は二四・九、二百万円は一五・六、 三百万円は一二%、五百万円は九・九、七百万円は六・八、一千万円は四・四と、高額所得層ほど減税割合が低下していますよね。しかし、今度は、所得に対する減税割合は逆になるんですよ。百五十万円の人は〇・七しか減税にならぬですね。ところが、三百万円は一・二、五百万円は一・七、一千万円は一・三、百五十万円の人は所得に対して〇・七しか減税になりませんけれども、一千万円の人は一・三も減税になる。なぜこういう形で発表しないんですかね。税金に対する減税割合というと、いかにも公平のように見えるんですよ。しかし、所得に対すると、低額所得層は非常にわずかの減税で、高額所得層に非常に減税割合は大きいんですよ。ですから、下に薄く上に厚いと、こういう減税になっている。これをどうしてこういうことを言うんですか。やっぱり、減税という場合には、下に厚く上に薄いというようにするには、所得に対してどのぐらい減税になったか、こういう形でやらなきゃならぬでしょう。いままでは、全くごまかしだ。だまかしですよ。これは今後直さなきゃいかぬのじゃないですか。
#51
○政府委員(細見卓君) 私どもは直す必要がないと思っております。と申しますのは、所得税率は御承知のように累進税率をとっておりますので、基礎控除あるいは配偶者控除というような基礎的な控除を上げますれば、七割の税率がかかっておる人は、その七割がまかるわけでありますし、一割の税率しかかかっておらない人は一割しかまからぬわけでありますから、軽減割合というのは、やはり、いま納めておる税金が幾ら安くなるかということであって、所得に対しての割合を木村先生のように言われるのでしたら、所得税に累進税率を置かないということにしない限りできないわけでありますし、もしそれを避けようということになりますと、衆議院で堀委員からお話のありました、いわゆる、何といいますか、消去控除制度というんですか、バニシング・エグゼンプションというようなことをやるわけでありますが、これは要するに税率の刻み方を減税のつど動かしていく、端的に申せば税率を動かすということでありまして、私どもは、そういう複雑な制度をとるのではなくて、現実に所得に対して七割の税を払っておられる人は、やっぱり基礎控除が一万円まかればその七割まかるというのは、累進税率のあるところ当然のことであり、負担の軽減というのは、いま幾ら払っていた税が幾ら安くなるかということでいいのではないかと思います。
#52
○木村禧八郎君 これは全く私の考えと違うんですけれどもね。税負担の公平化という見地から言えば、かりに累進課税があるから差が出てくるといいましても、それにしても極端じゃないですか。片方は倍ですよ。百五十万の人と一千万の人とでは、倍ですよ、負担軽減がね。〇・七が、片方は一・三でしょう。五百万、一・七ですよ。ですから、ここにもっと調整を加える必要があるのじゃないかと思うんです。当然のことのように言うけれども、これじゃだまかしみたいなものですよ、いかに累進課税と言っても。
#53
○政府委員(細見卓君) つまり、高額者は一万円の中から七千円税を払っておられるわけでありますし、低い所得層は一万円の中で千円の税を払っておられるわけでありますから、その一万円が同じようにまかりましたときには、高額者には七千円まかり、低額者には一千円まかると、これは、もう、累進税率をとるところ、いかにしてもやむを得ないのじゃないかと思います。
#54
○木村禧八郎君 それは税率自体の改正をする必要もありますけれども、こういう結果になるような税制ではいけないというんですよ。これこそ高額所得者を非常に優遇しているですよ。何のためにこういうふうにする。それなら、こうならないようにやはり税制を改正する必要があるというんですよ、ぼくは。いまの税制をそのままいけばそうなる。だから、こうなってしまう。公平化とか言いますけれども、そうなっていない。これは議論になりますし、時間がありませんから、こういう実態であるということを私は明らかにしておく必要があると思うんですよ。減税の割合からいくと非常に公平なごとく表面見えるんですけれども、実態はそうでないんですよ。
 それから第二の不公平につきまして、時間がございませんから、これは報告してもらいますと、夫婦子供三人の場合、配当所得の所得税がかからない限度は四十六年度幾らになるか。それが、今度は、給与所得、あるいは個人事業所得者――その配当所得で所得税がかからない、これは三百十三万円ぐらいになりますけれども、それがもし今度は勤労所得あるいは事業所得の場合はどのぐらい税金がかかるか。国税、地方税、事業税ですね。それからもう一つ、事業所得と生活保護費との関係ですね。この二つについて報告してもらいたい。
#55
○政府委員(細見卓君) 夫婦子三人の場合、所得税がかからない金額は、いま御指摘のありましたように、三百十三万二千円ということになります。この場合、もしその同額の収入であったといたしますれば、給与所得者の場合は四十三万八千円の税が所得税、住民税をこめましてかかりますし、それが……
#56
○木村禧八郎君 ちょっと、所得税、住民税を分けてください。
#57
○政府委員(細見卓君) 所得税二十七万八千八百円、それから住民税が十五万九千六百円。事業所得者の場合でありますと、三十九万一千五百円の所得税がかかりまして、住民税が二十万八千九百円、事業税が十三万八千六百円、合計いたしまして七十三万九千百円。それから配当所得者でありましても、住民税はかかるわけでございまして、これが七万七千四百円、それからこの配当を得るために法人が支払っております税額は百四万八千円ということになりますので、現在の法人税と所得税の仕組みからいたしますれば、この法人税が源泉の段階で納められておると考えなければならないと思います。
 それからいまの課税最低限と生活保護との関係でありますが、四人世帯の生活保護を受け得る限度額になる所得金額が四十四万八千円でありますが、御承知のように、事業所得の課税最低限は一般世帯で六十一万一千九百円、母子世帯でありますと例の寡婦控除がございますので六十五万八千三百円、こういうことになりまして、これはただし四十五年の数字でございますが、課税最低限と生活保護の所得限度とはかなり開いておるというわけでございます。
#58
○木村禧八郎君 大蔵大臣、いま報告がありましたように、同じ所得でも、税負担が非常に違うわけですね。ですから、これまでかなりこの格差を縮めるように努力してまいりましたけれども、まだまだこんなに開いているわけですよね。これについて、今後どういうふうにもっと縮める努力をされるのか。それから課税最低限でも、所得税と、それから配当、住民税ですね、それぞれみな違うでしょう。ことに住民税とは非常に差がありますよね、課税最低限が。それをもっと私は縮めなければならぬと思うのですけれども、それはどうなんでしょうか、今後。
#59
○国務大臣(福田赳夫君) 配当所得に対する課税につきましては、四十五年度税制でかなり根本的な改正をいたしたわけなんです。それにもかかわらず、ただいまお話しのような格差が出ております。四十五年度改正の措置は、四十七年度の末に一段階を画し、その次から第二段階に入る、そして昭和五十年度でその措置全部を終了すると、こういうことになるのですが、その際にまた諸般の情勢を考慮いたしまして再検討いたしたい、かように考えておるわけであります。
#60
○木村禧八郎君 これで私は終わりますが、一点だけ。前の税制調査会の答申では、配当の分離課税とか、非常に特定の所得者に恩典を与えるようなそういうことはやめるべきだと。それからこれは利子所得についてもそうですね。やっぱりこんな不公平なことはないと思うんですよ、いかに資本蓄積といえどもですね。これはやはり廃止の方向で考えるんですか。
#61
○国務大臣(福田赳夫君) これは所得税制の特例措置でありますので、特例措置は特例措置、これはだんだんとこれを縮減整理いたしたいと、こういうので、昭和五十年度を目しまして、二段階に分けましてそういう縮小過程に入っておるわけであります。その縮小過程を終えたその後の措置をどうするか、それにつきましては、とにかくこれは特例措置であるという前提のもとに、その時点においてどういうふうにするかを検討してみたいと、こういうふうに申し上げておるわけであります。
#62
○戸田菊雄君 大臣に関係のある質問をまず進めてまいりまして、あと、こまかい諸点については、このあとの時間にそれぞれ主税局長等に質問してまいりたいと思います。
 それで、まず、自動車新税創設を皮切りにいたしまして、間接税増徴という政府の新しい税体系のもくろみが出てきたわけであります。この辺を中心にして質問したいと思います。
 大臣は、日本人の税負担のあり方を間接税増徴の方向で改めたい、こういう言明をしばしば行なっておるのでありますが、その根拠は何でありますか。
#63
○国務大臣(福田赳夫君) いま、いわゆる直間比率というのが、三分の二対三分の一、つまり、三分の二までが直接税であり、間接税はわずかに三分の一である。この直間比率というものは、戦前はちょうど逆だったのが、戦後逆転をいたしまして、しかも、逐次その比率が直接税にかえって片寄ってくる、こういう傾向を示しておるんです。今後を展望してみますると、ますますこれが高まってくるという傾向を示すものと想像されるのであります。そういうことになりますると、いわゆる負担感、これが大きく国民にのしかかってくる、そういう傾向を持つであろう、こういうふうに思うのでありまして、私は、直接税中心主義、これを変更する意思はありません。しかし、ほうっておいてもふえようとする直接税の比率、こういうものはどうしても是正する必要がある。のみならず、むしろこの比率というものを減小させる必要があると、こういうふうに考えておるのであります。しかし、一方において歳出は増加する。そういうことになると、その置きかえの財源を求めなければならぬ。置きかえの財源は何であるかといえば、これは間接税である、こういうふうに考えるのです。直接税中心主義は放棄するわけじゃございませんけれども、ある程度間接税をふやし、そして、直接税、特に所得税につきましてこれは大幅な減税をいたしたいもんだという考え方、これを持っておる、そこから出発している議論であります。
#64
○戸田菊雄君 そこで、最近とみに活発に論議されるようになったのですけれども、付加価値税の導入ですね。この問題について、大臣は、予算委員会あるいは大蔵委員会、こういう中で、物価が安定することが導入の前提条件であるということを言われておるわけですね。その点で、付加価値税の導入と物価上昇の見合いですね。これは、付加価値導入をすれば物価は上がると、こういう判断でございますか。
#65
○国務大臣(福田赳夫君) そういう判断でございます。特に物価上昇過程においてはもろに付加価値税というものが物価にはね返ってくる、こういうふうに考えております。
#66
○戸田菊雄君 そこで、大臣にお伺いをするのですが、大臣のいわゆる物価が安定するというそういう条件というものは、どういう条件だとお考えになっておるのですか。
#67
○国務大臣(福田赳夫君) 物価の安定につきましては、こういう今日の程度の高成長の過程では、三、四%ぐらいはやむを得ないのじゃないかという説が多いんです。新経済社会発展計画におきましても、三%台、これを目標にして物価諸施策を進めたい、こういうことを言っておる。このあいだ、総理大臣は、衆議院の大蔵委員会におきまして、三・五%ということを言っておりまするが、まあ比率にいたしますとその辺かと思いますが、もっと大事な点は、私は、比率じゃない、傾向だと、こういうふうに思うのです。物価はかりに四%でありましても、なおこれ以上は上がらない、まあむしろこれは下がりぎみであると、こういうような情勢、この物価が安定するという基調そのものが私は大事であると。そういう状態になりますれば、私は、付加価値税を実行し得る一つの条件は整う、こういうふうに見ておるわけであります。
#68
○戸田菊雄君 いま大臣もいったん御指摘をされて答弁されたんですが、物価安定ということについては私は次のように考えておるのです。一つは卸売り物価の安定、一つは消費者物価、このどっちを一体大臣としては安定のめどとして考えられておるか、おそらく両方かどうかわかりませんけれども。卸売り物価の場合を考えますと、それは大臣も再々言っていますように、横ばい状態だと、こう言うのですね。その限りでは安定している。だから、卸売り物価を考えるなら、付加価値税の導入というものは可能だというふうに私は考える。ただし、消費者物価になりますと、これは年々上昇して、きわめて不安定な状況ですね。たとえば全国平均で四十年――四十四年の五年間の平均上昇率は五・四%になっている。だから、どっちにウエートを置いて、物価安定、それに向かって付加価値税導入というものを考えておられるか、その辺の見解についてお伺いしておきたい。
#69
○国務大臣(福田赳夫君) 政策目的によりましてどっちのほうに重きを置くかということはおのずから違いが出てくるんですが、付加価値税を採用するかどうかというその前提としての物価論議でありますれば、これは消費者物価であります。
#70
○戸田菊雄君 そういうことになりますと、やはり消費者物価の安定の尺度というものをどの辺に標準を置いて考えるか、その辺が私は問題だろうと考えるわけなんですが、そこで、大臣も指摘されましたように、一つは経済社会発展計画で言う三%という提案がございますね……
#71
○国務大臣(福田赳夫君) 台です。
#72
○戸田菊雄君 それからもう一つは、三月十九日でありまするが、衆議院の大蔵委員会で佐藤総理がみずから言明した三・五%。それからさらに、毎年度の政府経済見通しの年上昇率がございますね。これは四十六年度では五・五%、四十五年度は当初五・七%が七・三%。こういうぐあいに、幾つか物価安定の要素というものを引き出し得る要因があるわけですけれども、こういうものをどう一体大臣としてはその物価安定条件が整ったと判断をする材料にするのか、この辺の問題について明確にお答え願いたいと思います。
#73
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、率よりは傾向を重要視したいと思います。つまり、かりに四%という数字が出てきた。しかし、その四%というものが、一時的なものであるか。今後それがまた頭を再びもたげるというような傾向を内在した四%であれば、それは四%というものに安心することはできない。しかし、四%というものが内容的にこれからさらに下がって、しかも三%台ぐらいで安定をするという見通しを持った四%であるというならば、私はその四%というものは非常に評価さるべき四%である、こういうふうに考えておるんで、問題は傾向なんです。その傾向が、これが三%台に諸物価が安定すると、こういうような状態でありますれば、私はこれはまあまあ物価安定の状態であるというふうに考えていいのじゃあるまいか、そういうふうな所見であります。
#74
○戸田菊雄君 傾向と言われるんですけれども、では、そのパターンがどの程度の上昇率――四%、ないし五%、七・三%と、こういうぐあいになっているんですけれども、当初見込みでいけばそのとおり実行されていったらいいのかもしれませんけれども、そういう見通しは現状の中では不可能だということですか。
#75
○国務大臣(福田赳夫君) いま、物価問題につきましては、長期、短期の諸施策を進めておるわけです。一番力を入れておりますのは、何にしても低生産性部門の生産性の向上、つまり、中小企業、あるいは農村、あるいはサービス業、そういうものの近代化、合理化、この施策が物価政策には長期的には重大な問題でありまして、四十六年度の予算におきましても、八千億円と、こういう物価対策費ということになっておりますが、その大半というものはそういう方向の施策になっておるわけです。つまり、物価がなぜ上がるか、しかも、卸売り物価が安定しておるにかかわらず、消費者物価が上がるかと、こういう問題は、個々の消費物資についての需給の問題もあります。特に季節性商品についての需給問題、これはありますが、もう一つはコスト問題があるわけなんです。御承知のように、昨年におきましては、賃金が一八%も上がった。それから世界じゅうが、卸売り物価が、つまり世界の各国の輸出物価が上がる状態です。それがわが国にもはね返ってくる。それらがコスト要因としてわが国の経済に作用する、こういうことでございますが、大企業のほうは、賃金が上がりましても、あるいは原材料が上がりましても、これは合理化、近代化が進んでおる。大量生産あるいは近代化、合理化の措置によりましてそれらのコスト要因というものを吸収し得る。そこで、もともとなら下がらなければならぬ卸売り物価でありまするけれども、とにかくこれを上げないで済まし得るというような状態にあるのでありまするが、生産性の低い中小企業、農村、サービス業においては、賃金の上がり、そういうものを吸収し得ない。しかし、賃金を上げなければ人手が集まらない。こういうことで賃金を中小企業といえども上げるわけです。そのしわ寄せを一体どこに持っていくかというと、これは販売価格に持っていくほかはない。そういうことで消費者物価というものが上がってくる。こういう過程を考えてみまするときに、やっぱり一番大事なことは、そういう低生産性部門の近代化、合理化であるというので、そこに力を入れておるわけなんです。同時に、一つ一つの物資の需給、これもおろそかにすることはできない。特に農林省の関係の物資、そういうものにも力を入れなければならない。さらに、おくれておる流通過程の問題、そういうものもあります。また、公正取引委員会の関係しておる管理価格等の独占価格の傾向に対してこれを阻止するというような努力も必要である。もろもろの施策をとりまして、なだらかではあるけれども将来物価を安定させたい。一番主軸になるのは、低生産性部門が近代化、合理化される、そこだろうと思うんですが、そういう時期になりますれば、私は、物価というものは、まあ成長下でありまするから多少の上がりはやむを得ない。その多少の上がりというものを学者また専門家は三%台というようなことを言っておりますが、その辺になりますれば、私はもう物価問題というものは安定段階に入ったと、こう言って差しつかえない、そういう所見であります。
#76
○戸田菊雄君 大臣の御意見でいけば、やはり相当困難だ、長期の物価安定というものは時期を必要とすると考えられるわけです。私は、この付加価値税の導入とは別の角度から再度また質問したい。それは、いま大臣もおっしゃられましたように、直間比率が極端に直税のほうにウエートがかかっておる。それを大幅減税に持っていきたい、間接税のほうは引き上げたい、こういう前の回答でありましたけれども、はたしてこの直間比率の割合の妥当な線はどの辺にあると大臣はお考えですか。
#77
○国務大臣(福田赳夫君) これは、私は、数字で申し上げることは非常に困難だと思いますが、少なくともいまの六六というような高い直接税比率をさらに高進させるということは妥当でない。のみならず、これを多少引っ込ませることが妥当であると、こういうふうに考えておるわけなんです。その引っ込ませる限度、それは何かというと、私は所得税の減税ということを一方においては考えておるわけですが、それに置きかえるところの置きかえ財源、いま問題になっておるのはそれは付加価値税でありますが、付加価値税というようなものがどの規模で採用し得るかと、こういうようなところから結論的に出てくるんです。気持ちは、私がただいま申し上げたとおりであります。
#78
○戸田菊雄君 そうしますと、大臣が先ほど所得税関係ないし直接税というものはできるだけ大幅減税をしたい、こういう回答でありましたけれども、たとえば付加価値税を導入するような場合、間接税は増税になりますね。結局、直接税を減税した分だけ間接税を増額していくということになるわけですか。――直接税は大幅に減税をしたいと大臣おっしゃる。その分だけ財源を必要とするわけですから、間接税のほうはその分を増徴していくと、こういうことですか。
#79
○国務大臣(福田赳夫君) そういう考えであります。
#80
○戸田菊雄君 そういうことになりますと、国民の税負担感というものは、いずれにしても、確かに税制七は直接税と間接税とに区分をされております。国民が納めるふところというのは一つですから、そういうことからいえば、間税が引き上がれば、その分だけ税負担総体として変わっていかないということになるんじゃないでしょうか。どうでしょう。
#81
○国務大臣(福田赳夫君) いわゆる負担比率から見れば、変わるばかりじゃないんです。私は、この数年間を展望してみまして、二、三%ぐらいは負担率全体としてふえる傾向にあるというふうに考えておるのです。そのふえる中におきましても、内容的には直接税、特に所得税については大幅な減税をしたい。しかし、そうなれば、負担率は二、三%上がるというのですから、それを含めまして置きかえ財源というものが必要となる。そこで、自動車新税の問題でありますとか、あるいは付加価値税論議、そういうものが起こってくる、こういうことに相なる次第でございます。
#82
○戸田菊雄君 そうしますと、直間比率の均衡化ということは、結果的には税総体が軽減をされるのじゃなくて、間接税の増税でいくから、負担感というものは変わらない。なお、大臣がおっしゃられますように、今後は三%くらいの負担も上昇するであろうということになれば、国民の納税負担というものは一向に変わらないということで理解していいですね。
#83
○国務大臣(福田赳夫君) 負担率とすれば、これが多少ふえていく傾向になるだろう。しかし、その中において、直接税負担は軽くなる。しかし、間接税負担は重くなる。こういう傾向になるであろう、また、そうすべきである、こういうふうに考えておるのであります。
#84
○戸田菊雄君 税制以外の問題で二、三点お伺いしたいのですが、一つは、国債減額問題についてですけれども、いままでは年々幾らかは減額をしてまいったんですね。四十六年度は、前年度同額ですから、減額をストップしたということになるわけですが、これはどういう理由でしょうか。それから今後の見通しはどういうお考えでしょうか。
#85
○国務大臣(福田赳夫君) 景気状態が普通の状態でありますれば、私は、四十六年度予算の編成では、国債をさらに四十五年度よりは減額をいたしたいと、こういうふうに考えるところであったであろうと、こういうふうに思います。ところが、景気情勢がいま沈滞化の傾向にある。これをほっておきますると、さらにその沈滞化が進むということが予見し得るのであります。そういう状態でありますので、いままでとってきた公債漸減という考え方、これを一時やめまして、まあ横ばいであると、こういう考え方。しかし、これを、四十五年度の公債発行額、予算額に対すると横ばいですが、実行額よりは若干ふえるという程度に押えていくことが妥当である、こういうふうに考えまして、横ばい、四千三百億と、こういう結論に達したわけでございます。これは、景気情勢の判断に立脚いたしましてさような判断をしたと、こういうふうに御了承いただきたいと思います。
#86
○戸田菊雄君 そこで、確かに景気落ち込みその他によって税収額が鈍化の傾向にあるわけですね。そういうところから国債の減額もおそらくストップしたんだろうと思うのです。今後の見通しについてはいまお聞かせ願えなかったわけですが、一緒にお答え願いたいと思うのですが、四十五年度補正後の歳入見通しは、大臣、どうお考えでしょう。――これは四十五年度補正以降の歳入です。これは昨年の十一月ごろからだいぶ景気動向が鈍化傾向に入っておるわけであります。こういう状況の中で、税収に穴があくというようなことはございませんか。
#87
○国務大臣(福田赳夫君) 予算に比べますると若干の増収が期待されますので、そこでそれだけ国債の減額をやったんです。国債の減額をやった後において、さらに余剰が残るかどうか。普通の年でありますると多少残る、そういうような勘定になるのであります。ところが、ことし四十五年度は、景気情勢がとみに鈍化しておる、こういうような状況を反映いたしまして、いま法人税が例年のように思わしくございません。そういうような状態下でありますので、国債減額をいたしたというあとのことを考えると、まあとんとん、あるいはごくわずかな余剰が残るかと、このくらいな情勢かというふうに見ております。
#88
○戸田菊雄君 租税収入の伸びが鈍化する場合は、どうしても歳出をまかなうのには、一つは増税、一つは国債発行の増加、こういう手段によらなければならないと思う。過去もそういう手段に訴えてきたと思う。しかし、四十年以降、国債を発行して以来、大蔵省自体としても、あるいは政府もそうなんでありますが、非常に慎重に物事を対処してきたことは私は認めます。認めますけれども、今後の景気動向を判断をいたしますと、どうしても国債発行についてのブレーキ役をかけていくということが限界に来ている、むずかしくなってきている、こういうふうに私は判断をするわけでありますが、そういう部面について、どう大臣としてはお考えになっておるか。
#89
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、昭和四十一年度に公債発行にふん切りをつけた、そのときの考え方としましては、公債というものは、普通の事態におきましては、これは非常に慎重に扱わなきゃならぬというふうに考えるが、景気停滞期におきましては、経済の浮揚政策といたしまして、金融よりはむしろ財政にこの力がある。そういうことを考えるゆえんのものは、これは財政は直接に需要を喚起する、物財の需要を喚起するという力を持っておる、こういうことに基づくものでありますが、さて、そういう財政の規模を拡大し、そうして需要の喚起に当たるという際に、財源をどうするかということになりますると、これを増税に求める、ということは、またこれは景気政策と相背馳する。そういう際には、これは非常手段として公債を発行することが妥当である、こういうふうに考えてあのような措置をとったわけでありまするが、今日の経済状態は、四十一年度のような深刻なものとは判断いたしておりませんけれども、とにかくかなりの沈滞情勢である。そこで、四十一年度にとったと同様な似通った措置をとる必要がある、こういうふうに判断いたしまして、先ほど申し上げましたような公債、これをあえて減額をしないという措置、他面におきまして、政府保証債の発行を増額をするとか、そういう措置をとるとか、また、財放全体の規模につきましても、減税のほうは四十五年度よりは小さいものにいたしまして、財政規模の拡大というものを考えるとか、いろいろその措置をとったわけでありまするが、今後長い目で見ました場合におきまして、もし景気の落ち込みが非常に激しいというような事態がありますれば、また公債政策を、そのときの情勢において、あるいは大規模に、あるいは中規模に、あるいは小規模に、これを採用するということは私は妥当な行き方であると、そういうふうに考えております。
#90
○戸田菊雄君 これは、きのう、特恵関税等について若干の質疑をいたしたわけでありますが、その際に、政務次官のほうにも要望しておいたのですが、今後、開放経済体制、貿易の自由化がどんどん拡大されて、こういう中において、規制品目の設定については、ことさら厳格にやっていく必要があるんじゃないか。いまのところ、きのうの質問の内容では、この規制品目の設定というものは、行政ペースでやっていく。もっと高度な政治判断も必要とする場合があるんじゃないか。そういう意味合いにおいて、この規制品目の設定については、もう少し多面的な、多くの関係者が集まって、もちろんこれは大臣は入っておるのでありましょうけれども、そういう面で規制品目の規制というものをやっていく必要があるんじゃないか。その辺の見解について一言聞きたい。
#91
○政府委員(谷川寛三君) 原案は政府で作成いたしましたが、御意見のとおり、決定につきましては関税率審議会に付議をいたしまして御答申をいただいて、ただいま御審議いただいているところでございます。資料は、御提出申し上げております答申書をごらんいただきたいと思います。
#92
○戸田菊雄君 まだ時間があるようですから、大綱方針について、あとでまた大臣に質問の時間がありますから、その際にお願いをしたいと思います。
 所得税関係について、今回基礎控除をそれぞれ一万円あて引き上げをしたわけでありますが、これの引き上げの積算基礎をもう一度説明していただきたい、どういう計算でこの一万というものが出てきたかですね。
#93
○政府委員(細見卓君) 各世帯を通じまして、おおむね減税額が一〇%になるようなところを一応のめどといたしておりますが、それぞれの金額について、こまかく、何が幾らだというようなことでなくて、バランスのとれた引き上げを行なったと、こういうわけでございます。
#94
○戸田菊雄君 何回お伺いしても明確な答弁がないんですけれども、まあ前に進みますけれども、人的控除の中に、障害者控除、あるいは寡婦控除、あるいは勤労学生控除、こういうものがあるんですけれども、私は、障害者控除の中で、重症身体障害者ですね、こういうものについては特段の配慮をしてもいいんじゃないか、制度として。具体的に言うなら、免税制度というようなものに組み入れてもいいんじゃないかと、こういうふうに考える。
 もう一つは、寡婦控除の場合ですね。これは、いままで夫婦でもって子供一人、三人生活でやってきた、それが突然主人が交通事故で死亡した、ところが、固定資産税に該当する土地や家屋は持っている、そういう場合があるんです。しかし、無職だという状態が発生しますね。それでも、やっぱり固定資産税というものは依然として従前のものを取り立てる、こういうことになるわけです。ですから、こういうものは、何とか制度上、もう少し緩和した方式がとれないものかどうか、こういうふうに考えるのでありますけれども、その辺の制度設定についてどう一体お考えですか。
#95
○政府委員(細見卓君) 重障害者の問題につきましては、四十三年に、従来は一般の障害者控除として扱っておったものを、特に特別障害者については、いろいろ世話もかかり、生活費もかさむであろうということで、区別して、現在でも、御承知のように、障害者控除が十一万であるのに比べまして、この特別障害者控除は十五万というふうに、四万円の差がついておるわけでございます。
  〔委員長退席、理事中山太郎君着席〕
 それからまた、寡婦の問題につきまして、所得税につきましては、御承知のように、寡婦控除というような制度が設けられて、寡婦が所得を得られる場合について、その所得を得られるにあたっても、普通の人以上にいろいろ苦労もあろうということで寡婦控除が設けられておるわけでありますが、いまおっしゃいましたような、固定資産税のように、だれがどの家に住んでいるかということを人を見て課税するのでなくて、どのような家であるか、あるいはどのような土地であるかということだけを見て課税いたしておりまする固定資産税につきまして、人的控除というようなものが取り入れられるかどうかというのは、かなり税の基本的な問題にも触れるところでございますので、御意見は自治省のほうにお伝えはいたしますが、私個人の考えといたしましては、かなりむずかしい問題ではなかろうかと思います。
#96
○戸田菊雄君 大臣にそれらの点の見解をお聞きしたいと思います。
 それからもう一つは、きのう四名の参考人が参りまして、いろいろと意見を陳述されております。その中でも指摘をされたんですが、いまの税法上、非常に違憲性のものがある。たとえば法人税の八十二条等については、そういう違憲の内容になっている、こういう御指摘があったのでありますが、そういう違憲の問題については、私は早急に改善する必要があろうというふうに考えますけれども、この二点について大臣の見解を聞きまして、私の質問を終わります。
#97
○国務大臣(福田赳夫君) 前段の問題につきましては、これは地方税であります関係で、私も的確な御答弁を申し上げることは困難でございますが、まあ地方税当局はなかなか消極的というか慎重なかまえをしておる。しかし、御意見の次第もありますので、なお検討してみたいと思います。
 それから後段の憲法問題ですね、これは主税局長のほうからお答えをいたさせたいと思います。
#98
○政府委員(細見卓君) きのうの御意見は、私も聞いておりましてかなり意外に思ったのでありますが、憲法に違反しておると言われる根拠が、法の前に平等であるということを論拠にしておられるわけで、同族会社に行為計算の否認がございますのは、同族会社は、いろいろ、普通の上場会社で公に管理されておるのであればやらなかったようなことをして逋脱の行為がはかれる。私法行為そのものはそういう行為ができても、税の上ではそういう場合に一般の会社と同様の税を払っていただく。むしろ憲法のみんな平等でなきゃならないということを保障しておる法律でございまして、それが違憲だというようなことは、学説としてはいろいろございましょうが、私どもは通説だとは思っておりません。
#99
○鈴木一弘君 最初に、大蔵大臣に、法人企業並びに製造業について、税負担の問題で伺っておきたいのですが、大蔵省から資料もいただきましたし、また、大蔵省編集の「財政金融統計月報」を見ましても、付加価値額全体を見ますというと、昭和三十五年に六兆九千五百億だったのが、四十四年には三十兆に拡大しております。それについての租税公課の負担分というのを見ますというと、四十四年では一二・七%というように下がってきております。また、全産業でありますけれども、それに伴って社内留保という分が五・七%から八・二%というふうに増加をしている。租税公課分といいましょうか、付加価値額における配分で租税分が非常に下がってき過ぎているんじゃないか。製造業でいいましても、現在四十四年で一兆五千億をこえる付加価値額を目指しておりながら、租税については一四・四%ということになっております。
   〔理事中山太郎君退席、委員長着席〕
 これは昭和三十六年とかあるいは三十七年あたりの一六%とか二一%というような租税公課の負担の配分に比べますというと、非常に下がってきている感じがする。前回、法人税を昨年には若干上げたのでありますけれども、その点で私としては少し企業について甘過ぎるのではないかということが考えられるわけです。もし、ここのところで、一%、たとえば全産業、あるいは製造業でもけっこうでありますけれども、租税公課分がふえれば、三千億とか千五百億というものが増収になってくるということが考えられるわけです。そういう点で、一方でサラリーマン減税というような、これはまあ政府がやっておる、そういうような個人所得についてはなかなかきびしくて、今回の所得税改正でもまだまだ不満の点はぬぐえないということが感じられるわけでありますが、その点、企業についての租税負担分というのは減少し過ぎてきているのじゃないか。この点で、一つは法人税というものを増加をさせて前に戻すべきであるということを思うわけでありますが、その点についての考え方をまず伺っておきたい。
 それと、でき得れば、この付加価値額に対しての課税ということで、所得税というものをもっともっと大幅に減税させる方向に持っていくという点は考えられないかどうか。
 その二つをまず伺いたい。
#100
○国務大臣(福田赳夫君) まず、法人税の税率の高さについての問題でございますが、法人税は、御承知のとおり、地方税もあるわけであります。そういうものもくるめますと、必ずしも国際社会の中でわが国の法人税が低いと、こういうような状態ではない。そこへもっていって、わが国は、鈴木さんもよく御承知のように、法人体質が非常に弱い。自己資本比率のごときは一八%であると、こういうような状態であります。そういうような客観情勢を踏んまえて、わが国のいまの税における法人負担がどうかというようなことを考えてみまするときに、私は、これがわが国の税制体系の中で必ずしも低過ぎるというような認識は持っておらないんです。所得税について私は大幅にこれを減額したいということを考えておりまするけれども、法人税は減額をするというところまでは考えておりませんけれども、これを増徴しなければならぬというところまでの認識は持っておらないんです。まあ今日の程度の税率が妥当なところではあるまいか、こういうふうに考えております。
 それから第二の所得税につきましては、これは、ただいまも申し上げましたとおり、できましたならばもっともっと減額をして、一般の個人の蓄積これが進み得るような状態にいたしたいものだと、かように考えております。
#101
○鈴木一弘君 いまの自己資本率が少ないという話でありますが、この大蔵省の資料では、社内留保については、毎年のようにその付加価値額における社内留保分等はふえてきておる。これが、すでに、全産業で四十四年で一一・七%、製造業では一三・六%、四十年度等の社内留保、製造業で五・七に比べると、大幅に増加している。それに対して、人件費のほうは、パーセンテージが下がってきているということが言えるわけであります。そういう点で、本来考えるならば、法人税とか住民税とか、そういう個別的な税のこともありますが、全体的に見て、付加価値額の中に占める租税公課というものは減っているのではないか。その点について、これを増加させることがまた一つの所得税減税への財減にもなり得る、こういうふうに思うのですけれども、そう点はどうなんですか。
#102
○政府委員(細見卓君) 全体の税収におきまして法人税が占める割合ということになりますと、日本の場合は、御承知のように、三割を上回る率を占めておるわけでありますが、ヨーロッパのような国でありますと、もう八%台というようなことになっておるわけであります。アメリカが比較的多いのですが、これでも二五%ぐらい。そういう意味におきまして、国民のいろいろな所得の発生源に対して税のかけ方として日本の法人税が特に低いというようなことはないんで、日本の国民全体に対しまする租税負担が一九・三ということで、どこの国に比べても低いわけであります。反面を見ますと、日本の法人の企業体質の弱い点というような点も考えれば、所得税、法人税のバランスというのは、いろいろ御意見もございましょうが、それなりに一応とれておるのではなかろうかと、かように考えております。
#103
○鈴木一弘君 法人税と言わないで、租税公課全部合わせましてパーセンテージが下がっているということを私は申し上げたわけですから、租税公課全体として付加価値額に対する課税というものが少ないのではないか、その点はどうなのかということです。
#104
○政府委員(細見卓君) 租税公課というのが、まあこの「法人企業統計」を別に悪く言う意味でございませんが、たとえば製造課税の物品税のようなものを租税公課に入れておる企業があり、入れておらない企業があり、入れておったやつを今度は入れなくしてしまったというような、統計上の問題があるようでありますので、やはり税負担としては法人税及び住民税というところをごらん願いたいのでありまして、それをごらん願う限り、四十年以降は一貫して高くなってきておるというわけでございます。
#105
○鈴木一弘君 この統計がずいぶんいいかげんな統計だということで、これをもとにしては大蔵省は仕事ができないだろうという感じがいたします。(笑声)これは大蔵省でつくった権威ある統計だと私は思っていたのですけれども、まるきりいまの御答弁だとおかしな話ですが、確かに五年間はそうです。じゃ、その前を見たらいかがですか、法人税について。
#106
○政府委員(細見卓君) それは、税率の引き下げが行なわれておるわけでありますから、三十八年あるいは三十七年から比べれば確かに軽くはなっております。
#107
○鈴木一弘君 そういう点で、私は、付加価値額全体の中に占める租税公課分というのは、これは法人も全部入れて租税公課分になるわけでありますから、その点の率が下がってきているということは、これは一つの企業偏重というような感じを受けざるを得ないわけです。そういう点で、そういう意識をもっておやりになっているんじゃないと思いますけれども、大蔵大臣、あらためて、製造業なり全産業に対しての租税のいわゆるパーセンテージというものが、付加価値額の中に占める配分のパーセンテージが下がってきている、これについてはどういうふうにお考えなんですか。先ほどのように、さらにさらに社内留保をふやし、自己資本率を上げると、そのためにやっていくんだと、この姿勢を貫かれるのかどうか、伺っておきたい。
#108
○国務大臣(福田赳夫君) 三十年代に比べますと、税制の改正がありましたので、四十年代になりますると下がってくると、こういう傾向でございますが、四十年代を年度別に見てみますると、逐次負担率は上がっておると、こういう傾向になっておるわけであります。法人税、住民税、これを含めますと、四十年度が六・三、四十一年が六・六、四十二年が七・〇、四十三年が七・〇、四十四年が七・七と、こういうふうに上がっておるのであります。先ほど申し上げましたように、わが国の現状の租税負担、こういうものは、国際社会の中におきましてまあ大体均衡のとれた租税負担であると、こういうふうに考えておるのでありまして、いまの税体系の中で法人負担をさらに引き上げるという考え方、これについてはどうも私もまだ賛同いたしかねる、こういう状態でございます。
#109
○鈴木一弘君 大蔵大臣はなかなかじょうずに答弁されるので困るんですけれども、いま法人税のところだけをお読みになった。租税の計というところをお読みになっていただけば、全産業についても、一二・六、一二・九、一二・六、一二・五、一二・七、あまり変わらない。しかし、製造業のほうを見ると、だんだん下がってまいりまして、一五・〇、一四・八、一五・一、一四・七、一四・六、一四・四というふうに下がってきている。そういう点で、いまの答弁は大体わかりますけれども、租税公課全体としてのあり方としては、私はやはり企業偏重過ぎるのではないかということを断ぜざるを得ないわけです。
 そこで、この問題はどうもすれ違いになりそうなので、この問題に関係して申し上げたいんですが、いままで言われている付加価値税というのは、こういうような付加価値額についてどのぐらいということで考えられていくのか。それとも、各企業における付加価値額に対して税をかけていくというやり方なのか。つまり、企業税的な考え方をしていくか、あるいは売り上げ税的な考え方をしていくかということで、大きく姿が変わってくる。付加価値税というものの設けようによっては法人税も要らなくなってくるということになるわけでありますが、その点の感覚はどういうふうにお考えでしょうか。
#110
○国務大臣(福田赳夫君) いま一般に論議されております付加価値税というのは、鈴木さんのおっしゃる二つの中で、売り上げ税的な感覚の付加価値税です。企業課税というような性格のものじゃございません。
#111
○鈴木一弘君 次に直間の問題でありますが、これは、大臣、砂糖消費税について昨年も私はここで質問したと思います。現在、一キログラムについて十六円という砂糖消費税がかかっている。しかし、現在の糖価安定のいわゆる国際砂糖協定等ができておりますし、そこへもってきて国内にも糖価安定事業団という、二重構造で糖価の安定がされている。そこでも課徴金をとられているわけです。そうして、その上に砂糖消費税がかかってきている。驚くなかれ、約六〇%近いものが現在の小売りの砂糖の値段の中では消費税、関税そのほかいろいろとなっておりますが、少なくも砂糖消費税一つだけを見ましても、北清事変というときの戦費調達のためにできたという歴史があるし、いま一つには、物品税として見れば、価格に対して約一五%の課税ということになる。そうなりますと、乗用車のパーセンテージが一五%、あるいはダイヤモンド等でも二〇%ということで、砂糖はダイヤに近いものになってくる。そういう点で、これはあくまでそのほかの甘味資源の問題等でかかっているのだと思いますけれども、しかし、それはあくまで農政のほうで補うべきじゃないか。今回は、砂糖消費税について、十六円を十円にしたらどうかというようなそういう意見があった。六円下げて十円にしろとか、十円下げて六円にしろとかいうことが、農林省、経企庁等からも話があったということを聞いているのでありますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。私は、これは早々撤廃するのがほんとうだろうと思っておりますが。
#112
○国務大臣(福田赳夫君) わが国の砂糖消費税は、いまちょっと鈴木さんもお触れになりましたが、甘味資源対策という側面もありまするし、同時に、これがかなりの額の財政収入というような面もありまして、そう簡単な問題でないというふうな理解をいたしておるわけであります。ただ、最近、物価政策、そういうとらえ方がある。それからもう一つは、自由化という問題があるんです。菓子類の自由化、それに対してわが国のいまの負担は一体適正であるかと、こういうような問題もある。そういうようなことで農林省等からかなりいろいろの議論がいま持ちかけられておるような状態でございますが、しかし、現行の税をかけました後の消費者価格というものがわが国において特に高い状態であるかということを調べてみますると、そうでもないんです。まあまあこれは国際水準の価格になっておると、こういうような状態でございますので、そこへいろいろの要請はありまするが、砂糖の消費税の引き下げを行ない、そうして財政収入が減る、また、他面におきまして甘味資源対策として財政の支出を要請をされるというような事態が適当であるかどうか、そういうようなことでいろいろ問題のある点であろうと、こういうふうに考えておるわけでありますが、いま一番うるさく言われているのは自由化対策ということでございますが、まあ大蔵省としては慎重なかまえでいま応答をしているという最中でございます。
#113
○鈴木一弘君 その問題で、大臣の言われた、財源的に大きいといいますが、大体年間四百五十億程度あると。現在、糖価安定事業団が課徴金として手数料で得ておるような金がすでに二百五十何億という金額になっておる。そうすると、たとえば十六円のものを六円にするとか十円にしましても、半分にしても、その分は、初年度だけはその糖価安定事業団が得ている収入というものを納付させれば埋まっていくと思うんですね。そうすると、初年度においては影響ゼロということになるわけです。一方の、これは確かに輸入自由化ということから考えれば、六〇%ぐらいは菓子等に使われていると思いますけれども、ぜひともやらなければならないという大きな問題がある。だけれども、一方で甘味資源の問題があるというけれども、これは、大臣、ほんとうを言えば税金でもって見るべきものじゃないだろうと私は思う。農政のほうできちっと手当てをするべきものである。お米について特別にお米のための課徴金を取ったり税金を取ったりしているわけではありません。お米消費税というのを私は払ったこともないわけでありますから、そういう点から見ると、砂糖だけが特別に手厚過ぎるという感じを受けるわけであります。そういう点の見解、また、検討というものもしてもらいたいと思うのでありますが、いまの二点について重ねてお伺いしておきたい。
#114
○国務大臣(福田赳夫君) 日本の砂糖の小売り価格が国際水準よりも高いんだという状態でありますれば、確かにそれは考えなければならぬ問題だろうというふうに思います。しかし垣大体、国際社会並みの砂糖の小売り価格であると、こういう状態でありますので、これはあえて財政支出までいたしましてこれが減税を行なうかということにつきましては、まだちょっとふん切りがつけられない。それから一番うるさく言われておりますのは、菓子類に対する輸入の自由化、これに対しまして、日本の菓子業界がこうむる影響ということを考えて、何か対策が必要じゃないかというような議論も強く農政当局から出ておるわけでございますが、なお、そういう点につきましては、慎重に検討いたしてみることにいたします。
#115
○鈴木一弘君 慎重に検討するということですが、砂糖についてはあまりやりたくないんですけれども、いまの御答弁では私はまだ納得できない面がある。とにかく、国際的価格云々というのも、はっきり申し上げれば、前回の糖価安定事業団法ができたあとで、とたんに、子供が買うキャラメルにしてもチョコレートにしても、値段は同じであっても、量が減ったということは、大臣御存じのとおりです。それほど敏感にわずかに二円か十円のことで動いていくのが実際なんでありますから、そういうことを考えたら、そこの辺のところを考えて手を打つのがほんとうの政治だろうと思いますし、そういう人間性のあるものをお願いをしたいと、これは意見でありますから答弁は要らないですけれども、思うわけです。
 それからその次に、交際費課税について伺いたいんですが、交際費の支出が四百万円と資本金の千分の二・五の合計額、それを基礎控除として、その基礎控除の一つに四百万円というのがあるわけでありますが、この一律四百万円というところに問題があるんじゃないかということを感じるわけでありますが、これは変更するというような考えはないかどうか。
#116
○国務大臣(福田赳夫君) この問題は、交際費課税全体の問題として四十六年度税制におきましてもずいぶん検討いたしたわけです。結論といたしましては、中小企業に対する影響がかなり深刻になりはしないかと、こういうふうな判断のもとに、税制調査会といたしましても、当面これは据え置きだと、そうして課税対象率を六〇%から七〇%に引き上げると、こういう措置にとどめるということにいたしたわけでありまするが、確かに、鈴木さん御指摘のように、四百万円という問題、これは問題があると思うんです。これは、四十七年度税制の課題といたしまして十分資料等をととのえ、もしいい案ができますればこれが是正をいたしてみたいと、かように考えております。
#117
○鈴木一弘君 わが国ではよく社用天国ということばがずいぶん言われるわけでありますが、諸外国の例を見ると、アメリカでは、事業と密接に関連するものと認められるもの以外、接待費の損金算入はいけない、贈答品も受け取る人一人について年間二十五ドル、九千円ということになっておりますし、西ドイツでも、贈答品は一人当たり百マルク、つまり九千八百三十六円まで損金に算入される、しかし、それをこえた場合には、超過分だけではなくて、贈答品全部が損金算入からはずされるというふうになっておりますし、イギリスの場合も、各課税年度当たり受贈者一人について一ポンドつまり八百六十四円以内ということになっておりまして、日本ではあたりまえになっている飲食物であるとか、たばことか、商品券は、英国では一切交際費の中には入っていないわけであります。こういうように、各国の交際費規制や課税については、非常にきびしい態度がとられている。そういう点で、だんだんわが国が国際化してくる、自由化してくるという現在の時代から考えると、交際費そのものの内容というものを考え直す必要があるし、交際費課税の対象としての規定というものを整備する必要があるのではないかということが考えられるわけでありますが、そういう点、わが国は非常に甘いわけであります。その甘い点を何とかするという考えはないかどうか、伺いたい。
#118
○国務大臣(福田赳夫君) 交際費につきましては、四十六年度において若干の課税についての改正をいたすわけでございますが、なお、ただいま御指摘のような四百万円問題、そういうものがあります。そういうものも含めまして、なお今後検討するということにいたします。
#119
○鈴木一弘君 今度はちょっと大きい問題であれですけれども、四十年のときの不況を脱出する場合には非常に苦労したわけであります。そのときの貴重な体験からすると、あのときには、政府は、公債を発行して公共事業費等を歳出面であおるということで景気対策をとった。いま一つは、税制の面で、自然増収が当時千百九十億円、それを大きく上回る二千九十億円という一七五.六%の減税を行なって、一方で最終需要の喚起というそういう消費面での景気浮揚をやったわけでありますが、今回は、そういう組み合わせが景気を刺激して不況というものを脱出してきたのに対して、減税の面が非常に弱過ぎるということを私は思うのです。とにかく、自然増収のわずか九・三%というようなことで、過去十年間の一番低い四十三年度の五・八%というのに続いて減税が小幅であるということは、非常に弱過ぎるという感じを受けるわけでありますが、その点についての見解を伺います。
#120
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の不況は、四十年、四十一年の不況と比べますると、まあその程度におきましてまだ傷が浅いというか、そういう認識をいたしております。そういうようなことで、四十年、四十一年の感覚の対策、そういうところまでとる必要はない、そういうふうな考え方をいたしておるわけでございます。しかし、不況の内容を見てみますると、あれは非常にいいんです、国民消費は。これはかなり堅調であります。輸出も堅調である。悪いのは何かというと、民間の設備投資です。ですから、あのときは、法人税、所得税について減税をしたわけでありまするが、今回は、筋からいいますれば企業減税をする、こういう年柄になるわけでありますが、企業につきましては、昨年、増税をいたしたばかりである。そして、しかも、これが二年という時限をつけた増税であると、こういうようなことで、それもありまするし、国会におきましても皆さんから法人負担が軽過ぎるんだというような御議論もある。そういうようなことを彼此勘案いたしまして、企業減税というものはあえていたさなかったわけであります。ただ、所得税につきまして、経済諸般の情勢にかんがみまして中規模の減税を行なう、こういうことにいたしたわけでありますが、しかし、減税はそういう状態でございますが、他方におきまして、歳出につきましてはかなりの思い切った施策がとられておるわけであります。つまり、歳出規模におきまして、一兆五千億円、GNPの二%に相当する額を増額をすると、こういうことにいたしまして、実は、けさ、閣議におきまして、一兆五千億円増額いたしました九兆四千億円予算、並びに財政投融資等にわたりましてその支出を上半期に繰り上げ支出をすると、七二%の額になりまするが、繰り上げ支出をすると、こういうことをおはかりをいたして決定をみたわけであります。この繰り上げ支出措置によりましてかなりの影響を持ってくる。また、その繰り上げ支出の影響を受けまして、四月、五月のころの政府の払い超、これは六、七千億円の多額にのぼるわけであります。金融はかなり緩和すると、こういうふうに見ておるわけです。金融の緩和情勢の中で財政が繰り上げ支出によって需要の喚起を直接行なうと、こういうことに相なりますれば、私はこの景気動向に対しましては決定的な影響がある、こういうふうに見ておるのであります。まあ税制の措置はこの程度でございますが、そういう特別の税制措置がなくとも、景気動向に対しましては不安はないと、こういうふうにかたい見通しを持っておるわけであります。
#121
○鈴木一弘君 最後に、時間がだいぶ超過しますので、これ一つで終わりますけれども、いま、設備投資が非常に激減しているから、企業減税を見送るという話があったんですが、一面のほうから見ますと、耐久消費財の売れゆき不振ということから、思いがけないような在庫の増加ということが私は一因ではないかと思う。そういうことで、これが一つの不況というものをつくっているたぶん要因になっている。そういう性格のものを、この不況というか景気を変えていくには、手っとり早いのは商品が売れればいいということでありますから、そういう面で減税で購売力をつけるというか、一つの最終需要ということに限ると非常にあれでありますけれども、そういうような商品を買わす――買わすというのか、購売力をつけるというか、そういう方向に持っていくべきではないか。そういう意味でも、今回の減税というものをもうちょっと考えてよかったんではないかというふうに思うのでありますが、そういう点で特に所得税にしぼって御答弁をいただきたい。
#122
○国務大臣(福田赳夫君) 所得税減税は、かりにそれを考えましても、この国会において御審議を願う、こういうことになる。そうして、それが来年の三月十五日になってその税制によっての申告が行なわれるということになりますので、まあかなり時間がずれちゃうのです。そのころには景気はもうちゃんと立ち直っちゃいます。そういうようなことを考えますと、景気対策としてこの段階で所得税減税をやるかどうかですね、これは私はまあ問題だろうと、こういうふうに考えます。そういう減税をやらぬでも景気のほうはだいじょうぶですから、御安心を願いたい。
#123
○委員長(柴田栄君) 大蔵大臣に申し上げます。
 予算委員会の主査報告がありますので、一時御退席願ってけっこうでございます。
#124
○委員長(柴田栄君) この際、ただいま議題となっておりまする四法案にあわせて、塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案を議題とし、まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤田政務次官。
#125
○政府委員(藤田正明君) ただいま議題となりました塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、最近における製塩技術の著しい進展にかんがみ、塩の製造方法を塩田方式のものからイオン交換膜の利用によるものに転換して塩業の近代化を促進するため、塩業整理交付金を交付して塩田等の整理を行なうとともに、塩の価格の国際水準へのさや寄せをはかる等の措置を講ずることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。
 まず、塩またはかん水の製造を廃止した者に対し塩業整理交付金を交付することとしております。すなわち、一定期間内に塩もしくはかん水の製造の全部または塩田におけるかん水の製造を廃止した者に対して、製塩施設の廃止による減価を埋めるための費用、廃止に伴って必要とされる退職金を支払うための費用及び廃止にかかる転廃業を助成するための費用として、一定の基準により算出した金額の塩業整理交付金を日本専売公社が交付することとしております。
 また、塩の製造者は、交付金の交付にかかる費用の一部を埋めるため、昭和四十七年度以降三年度にわたり一定の金額の納付金を公社に納付しなければならないこととしております。
 さらに、塩業整理交付金について、租税特別措置法の定めるところにより、所得税または法人税を軽減することとしております。
 次に、塩の価格の国際水準へのさや寄せをはかるなど、塩業の近代化のための措置を講ずることとしております。
 その第一は、塩の収納価格にかかる合理化目標価格の設定であります。すなわち、塩の収納価格を昭和五十年度の始まる時期において輸入塩価格の水準とすることを目途として、昭和五十年度までの各年度の合理化目標価格を日本専売公社が定めることとしております。また、これらの各年度において収納価格を定めるときは、合理化目標価格を基準とし、その他の経済事情を参酌して決定することとしております。
 第二は、事業近代化計画書の提出であります。すなわち、昭和四十七年一月一日以降引き続いて塩を製造しようとする者は、事業近代化計画書を公社に提出しなければならないこととしております。また、その事業近代化計画書の内容が公社の定める一定の基準に適合していない等の場合には、公社は、その者について製造変更の許可をしてはならないこととしております。
 以上のほか、当分の間、塩の製造者は、日本専売公社の許可を受けて食卓塩等の特定の塩を直接塩元売り人に販売することができることとするとともに、公社は、収納すべき塩の製造数量を割り当てることができることとする等の所要の措置を講ずることとしております。
 以上、塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し上げました。
 何とぞ御審議の上すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#126
○委員長(柴田栄君) 引き続き、補足説明を聴取いたします。大塚大臣官房日本専売公社監理官。
#127
○政府委員(大塚俊二君) 最初に、本法律案の背景となっている事情について、簡単に御説明申し上げます。
 御承知のとおり、政府は、塩業の合理化につきまして、戦後一貫して努力してまいりました。すなわち、昭和三十四、三十五年の両年にわたりまして、塩の需給を調整するため塩業整理交付金の交付等の措置を講じて、塩田製塩の過剰生産力の整理を行なったところであります。
 その後も引き続き塩業の合理化につとめてまいりましたが、期待されたイオン交換膜製塩技術の進展が予想よりおくれたこと及び塩業経営の主体が近代的な体質を備えた企業に転換し得なかったこと等により、その後の合理化が十分進展しなかったのであります。
 その結果、生産費の上昇が避けがたく、昭和四十年以降塩の収納価格の引き上げを行なわざるを得なかったのであります。
 このような塩の収納価格の引き上げに加えて、流通経費の増高という事情があったにもかかわらず、昭和二十九年以降塩の消費者価格を据え置いてきたため、公社の塩事業会計の収支は、昭和四十年度以降悪化の一途をたどり、昭和四十五年度においては、約三十八億円の経常赤字が見込まれるに至っております。
 一方、近年メキシコ、オーストラリア等におきまして大規模な塩田開発が行なわれ、輸入塩の供給源はとみに安定化の方向に進んできており、このような事態を背景として、塩を原料として使用している産業界からは、年来の主張であります塩の公社売渡価格の引き下げあるいは自己輸入制度実施の要望が強く出されてきている状況にあります。
 また、イオン交換膜製塩方式につきましては、昭和三十五年に一部の製塩企業に試験的に導入され、その後、イオン交換膜の性能の向上その他の技術的改良が加えられ、その結果、昭和四十一年ごろより本格的に導入されるに至ったのであります。
 その製塩量は、昭和四十四年度におきまして、国内における塩の生産高約百二万九千トンのうち二十二万七千トン(全生産高の二二%)を占めており、その生産費も塩田製塩のそれと比較して著しく低廉となり、今後イオン交換膜技術の進展によって、生産費はさらに大幅な引き下げが可能と見込まれる状況になっております。
 このような情勢を背景に、日本専売公社は、昭和四十四年一月に、総裁の諮問機関である塩業審議会に対し「新技術の進展に伴う塩業の合理化方策は如何にあるべきか」を諮問し、本年一月二十六日にその答申を得るに至ったのであります。
 その答申の骨子は、
 (1) 最近におけるイオン交換膜製塩技術の著しい進歩と日本経済の開放体制への移行に伴い、塩の製造方法をイオン交換膜製塩方式に全面的に転換して、大規模な製塩企業の出現を促すとともに、国内塩の価格を五カ年以内に輸入塩の価格水準(包装並み塩トン当たり七千円)とするため収納価格を毎年段階的に引き下げること。
 (2) 将来化学工業化された製塩業が、公社の収納制度のみに依存することなく、その企業の努力によって成長が可能となるよう生産・販売業者の市場機能を育成する方向で取引の自主化をはかるとともに、一次卸の機能を果たす組織の形成を促すほか、公社の収納塩及び輸入塩の収納、保管売り渡し等の業務についても、関係業者の流通機能の成熟を促すため極力簡素化をはかること。
 (3) 今回の塩業近代化に適応し得ない企業は、塩業からの離脱を余儀なくされることとなるが、それらの者の転廃業を円滑に進めるため、一般に妥当と認められる範囲において助成を行ない、無用の社会的、経済的混乱の発生を防止することが必要であること。
 の三点を主たる内容としております。
 以上の塩業審議会の答申の趣旨に沿って法文化したものが、今回刀法律案であります。
 次に、法律案の内容について、簡単に補足して説明をいたしますが、
 第一に、今回の塩業の整備及び近代化の目的でありますが、これについては、第一条に規定しております。
 最近における製塩技術の著しい進展等、塩業の経済的諸条件の変化に対処して、塩の製造方法を従来の塩田製塩方式から大規模なイオン交換膜製塩方式に全面的に転換することを基本に、塩業の近代化を促進するため、塩業整理交付金の交付に関する措置等を講ずることにより塩田等の整理を行なうとともに、昭和五十年度の始まる時期において塩の収納価格を輸入塩の価格水準とすることを目途として、毎年度塩の収納価格を段階的に引き下げることにより、塩の価格の国際水準へのさや寄せをはかることであります。
 第二に、塩田等の整理及び塩業整理交付金の交付についてでありますが、これについては第三条から第七条までに規定しております。
 まず、塩業整理交付金の交付対象者及び廃業に関する諸手続等は、第三条に規定しております。
 すなわち、塩またはかん水の製造を全部廃止した者、この者を以下「全部廃止業者」と呼称いたしますが、この者については、昭和四十五年十二月一日から昭和四十六年十二月三十一日までに、また、塩田におけるかん水の製造のみを廃止した者、この者を以下「一部廃止業者」と呼称いたしますが、この者については、この法律施行の日から昭和四十六年十二月三十一日までに、それぞれその廃止の許可を申請し、その許可を受けて公社の指定する日までにその製造を廃止した者に交付金を交付することとしております。
 なお、全部廃止業者について、その廃止申請の期間を昭和四十五年十二月一日から昭和四十六年十二月三十一日までとしたのは、すでに昭和四十五年度の公社の予算に基づいて公社の定める塩業整理に関する補助金の交付を受けた者も、今回の措置により交付金の交付を受けることとすることが適当と考えたものであり、この場合すでに交付を受けている金額は控除することとしております。
 次に、塩業整理交付金の交付基準は、第四条に規定しておりますが、全部廃止業者と一部廃止業者に交付するものとに区分しております。第四条の法文そのものは、きわめて抽象的に表現されておりますので、政令で規定する予定の内容を補足して具体的に申し上げます。
 (1) 全部廃止業者につきましては、第四条第一項に規定しておりまして、
 (a) 塩またはかん水の製造の廃止の際に、製造の用に供されている製塩施設の廃止による減価を埋めるための費用として、廃止日における製塩施設の帳簿価額からその施設の処分見込み価額を控除した額に相当する金額を交付することとしております。この費用を以下「減価補てん費用」と呼称いたします。
 (b)塩又はかん水の製造の廃止に伴って必要とされる退職金を支払うための費用、この費用を以下「退職金支払い費用」と呼称いたしますが、この費用として、塩業の廃止に伴って退職を余儀なくされる従業員等について、昭和四十五年中に支払った基準内給与の平均月額を年度換算、ベースアップ等を考慮して算出した四十六年度推定平均月額を基礎に、公務員の整理退職の場合に準じて計算した金額と、昭和四十五年中に支払った基準内給与の平均月額の六カ月分に相当する金額の合計額を交付することとしております。
 (c)塩またはかん水の製造の廃止にかかる転廃業を助成するための費用、この費用を以下「転廃業助成費用」と呼称いたしますが、この費用につきましては、小規模な個人事業者が大半を占める塩業の実情にかんがみ、これらの者の塩業からの円滑な離脱をはかるため、前回整備の例にならい、前回の措置にほぼ相当するものを交付することとしたものでありまして、その具体的な内容は、次のようになっております。
  (イ)廃止業者の転廃業を促進する費用として、その廃止塩量に比例してトン当たり八千円を一律に配分する部分と、特に転廃業の困難な塩田業者のみを対象とし、その中の零細業者に手厚くなるよう塩田の廃止塩量トン当たりほぼ一万円の原資をもって傾斜配分する部分に区分し、それぞれについて計算した金額の合計額を交付することとしております。
  (ロ) 廃止業者が塩田施設を撤去する費用として、トン当たり千百七十五円を廃止業者の塩田塩量に応じて交付することとしております。これを以下「塩田施設撤去費用」と呼称いたします。
 (2) 一部廃止業者に交付する交付金につきましては、第四条第二項に規定しておりまして、
 (a) 減価補てん費用
 (b) 退職金支払費用
 (c) 塩田施設撤去費用
 を交付することとしております。
  この場合の減価補てん費用、退職金支払い費用につきましては、全部廃止業者に交付するものと同様でありますが、転廃業助成費用につきましては、交付を受ける廃止業者が、塩田におけるかん水の製造を廃止するのみで、今後塩の製造を続ける者であることから、塩田施設撤去費用のみを交付することとしております。
 以上により、交付する塩業整理交付金は、減価補てん費用として二十八億円、退職金支払い費用として六十億円、転廃業助成費用として百二億円、合計百九十億円でありますが、このうち五十億円は昭和四十五年度の公社の予算に計上された塩業整理交付金を繰り越して支出する予定であります。
 さらに、交付金の請求及び交付の手続につきまして、第五条に規定しております。
 なお、公社は、特に必要があると認めるときは、交付金の額を決定する前に、概算見積もりにより交付金の一部を交付することができる旨を同条第四項に規定しております。
 次に、塩業整理交付金についての課税上の特例であります。
 今回の交付金の交付の目的が十分に達成されるよう、第七条の規定により廃止業者の受ける交付金について、租税特別措置法で定めるところにより、これらの者の所得税または法人税を軽減することとしております。
 次に、塩の製造者から納付させる納付金について申し上げます。
 従来、各種の企業整備の例、たとえば、特定繊維工業構造改善、清酒製造業の安定化の措置の例に徴しましても、残存する業者は、それぞれ応分の納付金を負担することとなっております。塩業審議会の答申にも、「今後製塩を行なう近代化企業は、整理資金の一部について応分の負担をすべきである」ことを明示しておりますので、その趣旨を受けまして、第六条では、塩の製造者は、塩業整理交付金の交付にかかる費用の一部を埋めるために、昭和四十七年四月一日から昭和五十年三月三十一日までの間に公社に納付する塩について、その収納代金の支払いを受けるつど、一トンにつき七百円をこえない範囲内の金額を納付金として、公社に納付しなければならないこととしております。
 第三に、塩業の近代化の措置につきまして御説明申し上げます。
 前述のごとく、今回の塩業近代化は、価格政策を基本に実施するものでありまして、このような価格政策につきましては、第八条及び第九条に規定しております。
 第八条では、公社は、塩の収納価格を昭和五十年度の始まる時期において輸入塩価格の水準とすること及び段階的にこれに近づけることを旨として、この法律施行の日から一月以内に、昭和四十六年度から昭和五十年度までの各年度における塩の収納価格にかかる合理化目標価格を定めるものとし、これらの各年度において塩の収納価格を定めるときは、目標価格を基準とし、その他の経済事情を参酌してこれを決定することとしております。この場合の輸入塩価格の水準と申しますのは、輸入した塩を食料の用に供する塩とするため再製しまたは加工した場合の価格でありまして、包装並み塩でトン当たり七千円と想定しております。
 したがって、この目標価格は、今後公社が収納価格を定める際の基本となるものでありまして、今後とも引き続いて塩を製造しようとする者は、当然この目標価格を前提として企業の経営を行なうこととなりますので、第九条第一項及び第二項では、昭和四十七年一月一日以降引き続き塩を製造しようとする者は、目標価格により塩の収納代金を受けるものとした場合に、健全な経営をすることができることを目標として、事業近代化計画書を作成して、公社に提出しなければならないとしております。
 また、前述の価格政策に適合できるような近代化企業を選定できるよう第九条第三項で所要の規制を加えることとしております。
 すなわち、今後とも引き続き塩の製造を行なう企業は、少なくともイオン交換膜製塩方式により、年間の製造能力が十五万トン以上の規模を有しなければならないと考えておりますが、現在の製塩企業でこのような条件に適合しているものはありませんので、今後このような規模拡大をはかろうとする者は、製造の変更許可の申請をしなければなりませんが、その申請を許可する際に、公社は、その者が提出しました事業近代化計画書を審査した上、その計画書の内容が、製造の方法、製造能力、その他の事項について公社の定める基準に適合しており、かつ、その者がその計画書の内容を的確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有すると認めるときでなければ、許可をしてはならないこととしております。
 さらに、今後、新たに塩を製造しょりとする者についても、同様第九条第四項により、その許可の要件を規制することとしております。
 すなわち、新たに塩の製造者となろうとする者は、塩専売法第六条第一項の規定により、製造の方法、製造能力等について申請し、公社の許可を受けることになっております。その場合は、同法第七条に規定する許可の制限事項に該当しないことが必要でありますが、これらの制限事項のほかに、その申請した者の製造にかかる塩またはかん水の製造原価の見積もりが、公社の定める基準に適合しないと認めるときは、その許可をしないことができる旨の要件を新たに加えることとしております。
 最後に、塩業審議会の答申の趣旨に沿いまして、塩の販売及び収納につきまして、塩専売法の特例措置を講することとしましたので、御説明申し上げます。
 まず、第十条に規定する販売の特例についてであります。
 御承知のとおり、現行塩専売制度のもとにおいては、塩の製造者が製造した塩は、すべて公社が収納し、公社またはその指定を受けた販売人がそれを販売することとされており、したがって、製塩企業は、単に塩を製造し、元売り人は、消費地で公社から買い受けた塩を販売するにすぎず、また、塩の商品計画、需給調整、価格形成、輸送保管、その他塩の流通機構のほとんどを公社が担当している実情でありますが、このような制度のもとにおいては企業の合理化意欲が十分発揮されるとは言いがたい状況にあります。
 今回の塩業近代化におきましては、今後残存する製塩企業は、化学工業化された大規模企業でありまして、イオン交換膜技術の進展により、製造能力の増大が見込まれておりますので、これらの企業が今後公社の収納制度のみに依存することなく、その企業努力によって成長が可能となるよう、生産者が塩元売り人に直接塩を販売することができる道を開くとともに、元売り人間の売買を認めることとしたものであります。
 しかしながら、塩の専売制度が公益専売である趣旨にかんがみ、直ちにこのような制度を大幅に導入することは、塩の需給の調整、価格の安定に問題があると考えられますので、次に申し上げるようなその需要の大部分が輸入原塩またはそれを再製、加工した塩でまかなわれております塩種等に限定して試行的に実施することとしたのであります。
 すなわち、これらの塩種等は、第十条第一項の各号に列記しておりますが、
 第一号の塩化ナトリウムの含有量が百分の九十九・五以上の塩とは、現行の塩の種類で申しますれば、精製塩及び特級精製塩に相当するものでありまして、主として高級加工食品の原料用であります。
 第二号の塩専売法第二十九条第一項に規定する化学製品の製造または漁獲物の塩蔵の用に供される塩とは、合成ゴムの製造等の用途に供される塩で、国の政策上の見地から現在特別の価格で公社が販売しているものであります。
 第三号の添加物を混入した塩とは、現在の食卓塩に相当するもの、その他アジシオ等のように特別に加工された塩であります。
 第四号のその他政令で定める規格を有する塩とは、かん詰め用塩、フレーク塩等、粒子の大きさや形が特殊な塩を予定しております。
 これらの塩の販売数量は、昭和四十四年度実績で、ソーダ工業用塩を除き約二十二万トン程度でありまして、生産者と販売業者の直接取引の対象としては、当面、この程度のものと見込んでおりますが、将来さらに生産コストの引き下げがはかられれば、ソーダ工業用塩の需要分野に進出することも期待されております。
 次に、これらの塩の販売等の手続きにつきましては、塩の製造者は、あらかじめ、販売先・販売数量等について、公社の許可を受けなければならない等の所要の規定をしております。
 また、現行塩専売法は、塩元売り人間の売買を認めておりませんが、塩の製造者と塩元売り人との間に特定の塩について直接取引の道を開いたことに伴いまして、これらの塩の流通の円滑化のため、生産者・販売業者の間でその取引の仲介の機能を果たす組織の形成がはかられるよう、塩元売り人間においても、これらの塩を売買することができる措置を講ずることとし、この旨を第十条第五項に規定しております。
 次に、第十一条の収納の特例についてであります。
 現行の塩専売法第九条におきまして、公社は、塩またはかん水の需給調整上必要があるときは、製造者に対し塩またはかん水の製造を制限できる旨の規定がありますが、実際には、昭和三十五年度以降は、公社の指導により、業界の自主的な規制によって生産数量の調整を行なっております。業界の自主規制措置には、弾力性が乏しい等の問題があること、また、今後残存する製塩企業の生産数量は、技術革新の進展に応じ飛躍的に増大することが見込まれていること等から、再び過剰在庫の問題を生ずることのないよう、収納の特例の措置を講ずることとしております。
 すなわち、公社は、当分の間、塩専売法第九条の規定により塩の製造数量を制限した場合には、同法第五条第一項の規定にかかわらず、その数量をこえない範囲内において、あらかじめ製造場ごとに割り当てた数量に限り収納することとしたものであります。
 なお、企業努力による自律的発展の途を開くため、販売の特例の措置を講ずることとした趣旨に照らし、製造数量の制限をする場合に、その対象から販売の特例にかかる塩を除外することとしております。
 以上の第十条の販売の特例及び第十一条の収納の特例につきましては、実際にその適用が考えられますのは、塩田の整理等塩業の整備が完了して、大規模なイオン交換膜製塩企業の本格的な稼働が開始される時期以降と考えておりますので、その施行の日を昭和四十七年四月一日からとし、この旨を附則に規定した次第であります。
 以上で法律案の主要な事項の説明を終わります。
#128
○委員長(柴田栄君) 先ほどの四法案に本案をあわせ、五案一括質疑を続けます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#129
○戸田菊雄君 詳細な説明で、あまり質問がないのでありますが、五、六点質問しておきたいと思うのであります。
 今回の塩業整備及び近代化の促進によって、廃止される業者はどのくらいありますか。それから廃止をする現地の業者との話し合いというものの内容について、いま円満に解決されておるのかどうか。その辺の問題についてまず伺いたい。
#130
○説明員(園部秀男君) いま全国の製塩企業が二十六企業でございます。そのうち、どれだけやめるかどうかという点につきましては、まだ希望なり申請なりというものがわかっておりませんけれども、近代化された企業が少なくとも十五万トン以上であり、食料塩分野における九十万トン程度を当面の規模というふうに考えますと、六企業程度になるかと思われますので、差し引き二十企業程度がやめるということになろうかというふうに考えられます。円満に塩田が全部この年内にやめるというふうになっているわけでございますが、そういうことで業者としても覚悟をしておりまして、年内に廃止が円満に行なわれるものというふうに思われております。
 労使関係につきましても、退職金その他の話し合いを現在続けているようでございますが、円満に解決のつくところもあり、現在話し中のところもあるというのが現状でございます。
#131
○戸田菊雄君 これは総裁にお伺いをしたいのですが、この塩業審議会の答申によりまして塩の専売制度について相当な意見がいま国内にあるようでありますが、専売制度は今後持続するという考えですか、それとも、また、答申で指摘されるように、塩専売制度そのものに対する御批判を受けてこれを撤去していく、その辺の見解はどうですか。
#132
○説明員(北島武雄君) ただいまから申し上げることは、たいへんむずかしい問題と思います。塩業審議会の御答申では、最後の結論といたしまして、「近代化が達成された暁において、塩専売制度は廃止されるべきものと考えられるが、塩の需給調整、価格安定等のため必要な措置を含めて、この問題の取扱い方については、政府において慎重に検討すべきものであると考える。」と、こういうふうに言っておられます。私どもは、当面、とにかく、現在の非常に非能率な塩田製塩というものをすべてやめていただきまして、イオン交換膜製塩に切りかえる。これに伴って必要な流通機構もそれに沿っていかなければならぬとは思っておりますが、最後的に専売制度を廃止することは、これは非常に重要な大きな問題でございますので、近代化が達成された暁におきまして政府とも十分に話し合って慎重に検討いたしたい、こう考えております。
#133
○戸田菊雄君 この整備及び近代化等に伴って、製作コストは下がりますか。
 それから二十六企業で整理したあとは二十企業くらいになるだろう、こういう説明でありましたけれども、それで国内消費のどの程度生産ができるんですか、見通しですね。
 それから主としていま塩の輸入はメキシコ、オーストラリアだと思うんですが、今後やはりそういうところから輸入を続けていくことになると思うんですが、大部分はそっちによっていくということですか、考え方はどうですか。
#134
○説明員(園部秀男君) 国内の消費は、ソーダ工業用塩を除きます、一般用塩というふうに申しておりますが、それが年間の消費が百五十万トンぐらいでございます。そのうち、当面国際競争力のある食料塩分野ということを考えまして、一応当面九十万トン程度を今後の近代化企業でまかなってまいりたい。近代化企業のコストのさらに低減あるいは技術の進歩によりまして、同じ設備でよけいな生産ができるということになりますと、百五十万トンへ向けて九十万トンの数量がふえていくということになろうかというふうに考えております。現在までのところ、その差額でございます五十万なり六十万トンなりは、公社におきまして、メキシコ、オーストラリア、アメリカ等から輸入してまかなっておりますし、今後もそのつもりでございます。
#135
○戸田菊雄君 私が聞いておるのは、国内生産にウェートを置きながらも、外国からの輸入がいま多いようですね。だから、こういう状態は今後も続いていくのかどうか、その辺の見解です。
#136
○説明員(園部秀男君) 全体の消費がふえてまいりますが、国内生産の割合は、今後の技術の進歩によって、国内生産の割合がふえていくのではなかろうかというふうに思われます。
#137
○戸田菊雄君 それから先ほどの答弁で、現地でまだ話し合いがついておらない業者がおる、こういう話ですが、それは見通しとしてはどうなんでしょうか。いつごろまで全体解決ができる見通しなのか、その辺の見解を聞かせていただきたいと思います。
 それからもう一つは、専売の説明によりますと、転廃業者に対して塩業整理交付金をやるということで、一定の基準案が出されておるわけです。出されておるのですが、一事業当たり平均どのくらい大体行くのか、あるいは、退職金は一人当たり大体どのくらいか、その辺の内容についてお答えを願いたい。
#138
○説明員(園部秀男君) 労使間の話し合いは、現在退職金の問題をめぐって各製塩企業で労使間で話し合いをしておりますが、ほぼ半分に近いところが解決をしておりますし、時期はわかりませんけれども、近々片づくものというふうに思っております。塩業者に対する転廃業助成費用につきましては、千八百人ほどの採かん人というものがおりますが、その採かん人一人当たり四百万から四百五十万程度になるのではないか、かように考えます。塩業労務者につきましては、一人当たり二百万程度になるのではないか、かように考えております。
#139
○戸田菊雄君 やめて、その後の就職なり、転換ですね、業者転換、こういうものに対しては、やはり専売公社としてはあくまでめんどうみていく、こういう考えですか。
#140
○説明員(園部秀男君) 公社といたしましても、約三千人ほどの従業員が離職をするということになります。しかも、比較的中高年齢であるというようなこと、地域的に集中するというようなこと、あるいは時期的にも本年いっぱいというようなことになってまいりますので、労働省のほうと十分連絡をとりまして、就職のあっせん、あるいは職業訓練所の入所についての問題ということについて十分連絡をとっております。かたがた、塩業労働者につきましても、現在どういう種類の職業訓練を受けたいかというような希望を企業なり労働組合を通じて具体的にとっておりまして、それがまとまり次第、さらに労働省に折衝いたしまして、所在地の職業訓練所にどれだけの人間がどういう訓練希望をしておるかというようなことも連絡し、労働省のほうにおきましても、その所在地の職業訓練所で希望の職種がない場合は、民間の訓練施設あるいは企業内の職場内訓練施設への委託等までいろいろ考えていただけるように聞いておりますので、そういった点について万全を期したい、かように思っております。
#141
○戸田菊雄君 これで終わりますけれども、総裁にも要望しておきたいんですが、いまの内容等については、離職者ですね、そういうものの再就職その他については、やはり最後まで専売公社ができるだけ今後めんどうをみていくような配慮をぜひしていただきたい、以上要望して、私は終わります。
#142
○鈴木一弘君 塩業のことについて伺いたいんですが、いまの話ですと、一般用塩で百五十万トンのうち九十万トン、その差の云々ということで、だんだん国内の製塩が伸びるであろうというような答弁があったのでありますが、将来のところまで考えて、輸入量と国内生産量との関係、これを今度の塩業整備・近代化に伴ってどういうふうなスケジュールに持っていこうとしているのか、その点を伺いたいと思います。
#143
○説明員(園部秀男君) イオン交換膜の技術がここ三、四年の間にたいへん進んでまいりまして、御提案いたしましたような、塩田を全部やめて、大規模なイオン交換膜十五万トン以上の規模の程度で国際競争力のある製塩ができる刀ではないかという見通しの確信を得て今日に至っているわけでございますが、イオン交換膜の技術は、膜ばかりでございません、いろいろ作業条件その他の進歩がまだ現在のところも進んでおります。そういう点から考えますると、先ほどの九十万トンという国内生産の数量がふえていくのではないか。直ちにどれくらいふえるというか、あるいは何年ごろにどれくらいふえるかということについては、まだつまびらかでございませんけれども、四十九年、五十年段階へ向けてまあ二十万トン程度ふえる可能性を秘めているのではなかろうか、かように考えられます。一方、輸入塩は、七百万トン近くソーダ工業用塩として輸入しておりますが、イオン交換膜の技術そのものが最終的にはソーダ工業用塩が国内生産ということを目ざして技術開発等進めておりますので、ソーダ工業用塩の一部についても数年後にはイオン交換膜による濃い塩水から生産される日も考えられるのではなかろうか、かように考えております。
#144
○鈴木一弘君 答弁が非常に矛盾していて、四十九年、五十年で二百万トンになるだろうと言っていながら、さらに多くなるだろうと言う。
 昭和五十年というのが一つのめどになっておりますけれどもね、法案では。この五十年のときには、輸入塩はどのぐらい、国内生産ではどのぐらいということはちょっと出ないということですね。その目標はないということですね。
#145
○説明員(園部秀男君) 量的な問題より、やはり設備と技術によって国際競争力に耐え得る塩価で供給できる体制をまずつくりたいというのが念願でございます。そういう段階になりますれば、品質あるいは消費者の需要というものに応じまして量的な問題もはっきり見通しがつき得る段階に来るのではないか。したがいまして、五十年へ向かって、国際競争力に――標準として包装並塩七千円の価格、利益を入れて七千円で、耐え得る生産企業をつくっていく。さらに、その七千円になったら、その後の物価上昇で生産費が上がるということでなしに、早期の資本回収なり、あるいはそれに伴う技術の進歩なりというものを含めて、七千円にとどまらず、コストの上でもさらに低減し、あるいは量的にもふえる、そういう体質の企業をつくってまいりたいというのが私どもの念願でございます。
#146
○鈴木一弘君 それはわかっておるんです。
 先ほどから提案理由等で伺いました。整備をして国際競争力を付与して、国際価格ないしそれ以下になるぐらいまでのものにしていきたいと、そういうことはわかるんですが、それじゃ、ならせるのに、ガイドラインが全然ないということです、いまの話では。それはけっこうです。わかりますよ。ですが、それじゃ一体昭和五十年にはどのぐらい国内産の生産というものが進むのか。そういう目標というものなしでいくということになると、何でもいいからいまのところはとにかくやり切れないからイオン交換膜法による製塩という新らしい技術に切りかえさせていきたいと、そういう当座しのぎということだけなんですね。そういうふうにしか考えられない。というのは、その先々どう手を打っていくのかということが何もないような、ちょうど羅針盤なしでもって航海して、いるような感じを私は受けるのですけれども、まあ質問に対する答弁になっていないからもう一ぺん伺うのですけれども、一体、五十年には輸入はどのぐらい、国内生産は何ぼと、こういうことの目標はないんですか。
#147
○説明員(園部秀男君) 塩の消費の態様がいろいろございまして、ソーダ工業用塩におきましては、要するに、塩がどんな結晶であってもかまわない、とにかくNaなりClなりを目ざして塩の消費が行なわれるという消費もございます。しょうゆにおきましても、とにかく塩が溶けてしょうゆ用に供し得る塩であればいいという消費もございます。水産用とか漬けもの用とかいうふうになってまいりますと、単にNa、Clということでなしに、結晶系なり、あるいは溶解速度なりというような、いろいろな要件が備わってくることが必要になってまいります。現在までのイオン交換膜の技術の段階で、いま直ちにということになってまいりますると、小売りに供せられます五十万トン程度がカバーできる範囲ではなかろうか。それを五十年へ向かって九十万トンなり、それをさらに上回るシェアを国内生産で占めるようなコストで、あるいはその量で、向けてまいりたい。その先をさらに量的に輸入塩に置きかわって国内生産で供給できる体制で持ってまいりたいというのが趣旨でございまして、どうも御質問に対して正確に答えられないのは残念でございますが、私どもの考え方はそういう考え方でございます。
#148
○鈴木一弘君 ということは、ソーダ工業用以外の、家庭用とか、味噌・しょうゆとか、そういう業者が使うものとか、あるいは水産用とか、加工食品用とか、そのほかのソーダ工業用以外の工業用と、こういうものについては、大体五十年にはまかなえると、こういうように私はいま答弁を伺ったような気がするんですけれども、そういう目標になるわけですね。
#149
○説明員(園部秀男君) ソーダ工業以外の工業用と申しますと、合成ゴムとか、染料とか、いろいろあるわけでございますが、それはソーダ工業用と同じような分野ではなかろうか。それから塩を原塩を溶かして使うというしょうゆ等の需要もあるわけでございますが、その辺がボーダーラインになってくるのではなかろうか。百五十万トン全部五十年に供給できる体制になるというふうには必ずしもいまの段階で予測はできないのではないか、かように考えております。
#150
○鈴木一弘君 まあ大体のところのぼうっとしたものだけは伺いましたから、これはやめておきますけれども、はっきり申し上げて、もう一つ、これから先、塩業を進めていくのに大きな問題としては、公害問題があるだろう。人口が、御承知のように、太平洋岸に移動をしているということをいわれております。そういうことから見ても、日本の工業化が進むにつれて、海岸の汚染がひどくなる。当然、海水の汚染がひどくなる。高松等でも石油のコンビナートが進出してきている。そういうことで、当然これについての対策というものがなされないと、せっかくの塩業整備といいましても、今度は別の次元の問題でつまずかないとも限らないわけですが、そういう点についてはどういう対策を公社では考えているのか。
#151
○説明員(園部秀男君) 先生御指摘のとおり、瀬戸内海の海水が年々悪くなっているのは、現在の製塩業の海水取り入れについても見られるところでございますが、この法案成立後、近代化企業として四十七年度以降事業計画書を作成してまいります段階で、海水の条件、あるいは海水の条件によって、いわゆる原料費といいますか、海水取り入れによる塩の生産費のうちの原料費が一体どういうふうになるかという点についても十分配慮して選定にも考えてまいりたいと思います。ただ、イオン交換膜の製塩におきましては、海水のろ過ということを相当徹底してやって、それからイオン交換膜の設備に入れるということでございますので、塩そのものには海水の悪い状態というのは影響してまいらない。ろ過その他にコストがかかる、あるいは運転効率も悪くなるというような面で出てくるものと、かように予想しております。
#152
○鈴木一弘君 ですから、イオン交換膜製法によって一体どこから海水を引き入れるかというやり方によっても変わると思いますし、それからいまのように、ただのろ過というのか、おそろしいシアンであるとかそういうものが混入してこないとも限らないという現状であります。そうなったときに、塩そのものの製塩には一向差しつかえございませんとも言えないということになる。イオンで存在しているものがあるわけですから、そういう点を考えると、これは相当の研究がされていなければならない。一つは、業者からの要望というようなものはどうなっているのか。それからこれについての製造研究についてどういうふうに対処しようとしてきていたのか、これからしようとしているのか。その三点を伺っておきたいと思います。
#153
○説明員(園部秀男君) 特に、現在の段階で、業者からの要望という点はございません。一般的に現在までも専売公社が塩業者から塩を買い上げるわけでございますが、それの買い上げにあたって塩の分析というものを行なっております。塩の分析の段階で、微量成分、重金属等につきまして十分検査をやっておりますが、いま先生の御指摘の点のような問題は、今後十分研究し検討してまいりたいと、かように思います。
#154
○鈴木一弘君 今後十分検討し研究するということは、いまのところは、受け取ったときにそういう重金属とかそういうものが入っていないかどうかを調べるということだけであって、製造段階で入らないようにするという点については、やっていなかったということですか。
#155
○説明員(園部秀男君) 現在の段階では、イオン交換膜においては、ろ過器、あるいは製塩設備においては除鉄機その他そういう鉄分等が混入しないような設備はつけさせていままでやってきております。
#156
○鈴木一弘君 いずれにしても、その辺がしっかりしていただかないと、特に一般用塩ということになりますと、家庭用にもなるわけでありますから、それが検査でチェックはされる。しかし、製造のところでそうなってしまったら、これは製造業者にとっては非常に大きい痛手になってくるわけでありますから、十分な検討をしてほしいと思います。
 それから塩業の整理交付金、この交付の問題でありますけれども、製塩業界では一千億円を主張していたということもいわれているわけでありますし、今回の措置で十分というふうに考えておるのか。現在、大蔵当局では、百何億ですか、百三十何億というところまでで話がついたとかつかないとかといわれておりますが、そういう点、交付金額は全体でどのぐらい考え、どういうふうに業界との差のある点は埋めていく決心ですか。
#157
○説明員(園部秀男君) 今回の塩業の整備廃止につきましては、一応、現在、二十六企業九十万トン程度の規模の設備でやっておりますが、そのうちの三分の二、塩田製塩は全部やめる、三分の二がやめるということにいたしまして、昭和四十五年度の予算に計上されました五十億円を合わせまして百八十九億九千五百万円という交付金予算で塩業整備を行なってまいりたいと、かように考えております。昨年来、業者のほうと塩業の整備にあたっての条件等について十分話し合いを詰めて、昨年の段階で円満に御提案しましたような内容の線で話し合いをしておりますし、塩業労働者についても、十分私どもの意見、あるいは塩業労働組合の意見というものを参酌いたしまして現在までに至っておりますので、そういった点については、できるだけ万全を期したものと、かように思っております。
#158
○委員長(柴田栄君) 午前の会議はこの程度とし、午後一時五十分から隣の第三号委員室において再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四分開会
#159
○委員長(柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 関税定率法等の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案及び塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案、以上五法案を便宜一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#160
○松井誠君 私は、大蔵大臣に、租税特別措置の問題に限ってお伺いをしたいと思いますのは、基本的な問題、そういう意味ではあるいは初歩的な問題かもしれませんけれども、二、三点お伺いをいたしたいと思うんですが、最初に、去年の秋、これは予算編成前のころのある新聞に載っておったのでありますけれども、その年の経団連の総会で、会長のあいさつの中で、輸出優遇措置というものを政府が廃止をするやに聞いておるけれども、とんでもないことだといって原稿を離れてそこのところは強調した。これは、その年の春に、衆議院で平林議員が総理大臣にこの輸出優遇の特別措置は廃止をする意思があるかどうかということを聞いたら、総理大臣は、私個人としては――これは議事録らしいのでありますけれども、私個人としてはそういうものを廃止してしかるべきじゃないか、かように思うけれども、私の意見よりも税制調査会がどういうような結論を出してくるか云々というようなことを言った、それに対する牽制だと、こういう記事が出ておるわけです。これは、もう、非常に、何といいますか、描写のしかたが戯画化されて、そういう意味では非常に痛烈な皮肉を持った記事なんですけれども、そのときには、このニュースによれば、福田大蔵大臣もその経団連の席に臨席をされている。そこで、この輸出の優遇措置がどうなったかということを、おそらく、国民は、今度はもう要らないのじゃないか、そういう意味で輸出優遇措置というものはもう終わりになるのじゃないかという期待をしている。ところが、なるほど何がしかの優遇措置の廃止といいますか、そういうものがとられてはおりますけれども、まだ、しかし、この統計を見ますと、輸出の優遇措置による減収額の租税特別措置全体の減収額の比率というものは二割をこしている。こういう状況でありますので、経団連の五月の総会の記事と思い合わせて、思い当たる節があるわけです。そういう意味で、われわれは、特に大企業向けの特別措置が整理をされて廃止をされる、縮小に向かうということを毎年毎年期待をしておるのでありますけれども、むしろいつも期待を裏切ってこれが拡大をされていく。そういう特別措置でありますので、それじゃ具体的に一体特別措置というものがどういう実態になっておるのかということをお伺いをしたいのです。
 そこで、最初に、特別措置による準備金なり引き当て金が現在どれくらいの残高になっておるか、資料はいただきましたけれども、まずその辺からお願いいたしたいと思います。
#161
○政府委員(細見卓君) おもなものについて申し上げてみたいと思います。
 退職給与引き当て金、これは二十七年に創設されたものでありますが、三十年に一千五百八十七億でありましたが、一兆四千九十六億に現在なっております。貸し倒れ引き当て金は、これは二十五年に創設されたものでありますが、現在はこの残高が一兆二千七百四十億円。それから賞与引き当て金、これはもう一期終われば終わってしまうようなものでありますが、四千七百二十七億、これは繊維などについてあるだけでありまして、期がかわればなくなってしまうのでありますが、一応残高としては四千七百二十七億。価格変動準備金が五千五百五十六億。海外市場開拓準備金が千三百五十四億。海外投資損失準備金が二百四十一億。特別償却の実施額はほぼ三千八百億前後ではなかろうかと考えております。
#162
○松井誠君 退職給与引き当て金については昭和三十年の数字を言われましたから、それと四十四年が比べられるのでありますが、あとは省略をされたようでありますので、私のほうから申し上げますと、貸し倒れ引き当て金、これは昭和三十年に九百七十三億でありました。価格変動準備金は千九十二億、特別償却実施額というのは、先ほどの言い方によれば、約五十七億ぐらいであると。こうなりますと、退職給与引き当て金がこの十四年間で約十倍に近い。しかし、この増加の率の一番多いのは貸し倒れ引き当て金、これはもう十数倍にふくれておる。こういうように、残高というものは非常な勢いで増加をしているわけです。引き当て金と準備金というのは会計的にどういう区別があるのかはわかりませんけれども、ともかく、引き当て金であろうと、準備金であろうと、こういう形でふえてきておる。そうしますと、引き当て金は費用であるというそういう考えがかりに正しかったとしても、この現実の姿というのは、現実にはこれは費用ではないんだということに私はならざるを得ないと思うのでありますが、大臣、いかがでございますか。
#163
○政府委員(細見卓君) 技術的なことにわたると思いますので、私からお答えいたしたいと思いますが、この退職給与引き当て金につきましては、実は、企業会計原則などの方面に関係しておられる学者あるいはそれらの人の意見というのは、いま税法でいたしておりますように要支給額の半額程度に押えるということでなくて、要支給額の全額を引き当てるべきだというような答申が出ておるわけでありますが、私どもも、すべての人が一ぺんに退職するということも何か現実的でないというので、大体通常の勤続年数等を勘案して人員の交代が行なわれるとすれば、そのときの支給額の半分ぐらいで足りるという会計学者のほうの説をとって、いま御指摘のように、あまり大きな金額になることは税収を失うことでもありますので、こういうふうにいたしておるわけで、むしろ引き当て金についての議論は、会計学者と財政学者の人たちとの間の意見の違いがありまして、引き当て金をさも利益留保であるような議論がありますが、私どもは、一方におきましては、会計学者から、税法は、引き当て金その他の会計の考え方について非常に冷淡であるという非難を受けておるというようなわけでございます。このように金額が大きくなりましたのは、もう申し上げるまでもないわけでありますが、人件費といいますか、退職に際して受け取るべき退職金の金額が非常に大きくなっておる。したがって、こういうふうに大きくならざるを得ない。ちなみに、この間の取引高の大きさで申しますと、十倍程度になっておるわけでございまして、この程度の大きさというのは、企業全体の規模の大きさから見れば、これだけが異常に大きくなっておるというものでもなかろうと思います。
#164
○松井誠君 退職給与の引き当て金については、あるいはいまのような議論があるかもしれませんが、貸し倒れ引き当て金、これは何か聞くところによりますと、引き当て金の実際に貸し倒れになるのは〇・一%くらいだといわれておる。私はきょうは詳しい会計法上のそういう理論をお伺いをしようということじゃなくて、かりにこれが費用であったとしても、現実にはこれは全く社内留保の一つの方法になってきておるのではないか。そういう現実から見て、たとえば、はっきりした利潤の場合には、利潤が確定をしてから課税をされるということになっておる。しかし、この費用の場合には、おそらくこれだけの費用がかかるであろうということで一応積み立てされる。しかし、実際に年度が終わってみたときに、そのうちのほんの少々しか実際は費用になっていない。しかし、もうそれは問わないで、初めこれだけ必要があるだろうと思われるそういう費用を、まずそこから特別措置という方法を講ずる。ですから、振り返ってみて、費用でなかったという段階で、何がしかの措置をされるならば、利潤と同じような取り扱いになるわけですけれども、このごろ、よく、費用の利潤化、利潤の費用化ということがいわれて、なんでもかんでも利潤を費用のほうへ持っていこうとするそういう傾向があるそうでありますけれども、この費用というものが、確かに予定された費用でありましょうけれども、さて、年度が終われば、費用じゃなかったという、そういう実体を持ってきておるとすると、準備金と引き当て金というものは、会計法上の理屈は別として、それほど違うものなんだろうかという疑問を持つわけです。ですから、会計法上の理屈は別として、現実に年々非常に累増しておる。これは確かにいろいろな意味で人件費がふえるとかなんとかいま言われたそういう要素もあるでしょうけれども、しかし、実際にこれの額そのものが累増をしておるというそこから、特別措置にはおかしいという、そういうわれわれの素朴な常識というんですか、そういうものが出てくる。これに対して、会計法上の理屈じゃありませんから、大臣からひとつ御意見を伺いたい。
#165
○国務大臣(福田赳夫君) 引き当て金や準備金についての考え方につきましては、ただいま申し述べたような次第で、これは妥当な考え方であるというふうに考えておるわけでありますが、実際のその考え方の運用ということになりますと、これはいろいろ問題があるんです。たとえば、貸し倒れ引き当て金、この貸し倒れ引き当て金というものは、一体どういう基準で引き当て金を算出するかと、こういうところに一つ問題がある。いま、現在の制度におきましては、業種ごとに貸し倒れ率というものを算定いたしまして、業種ごとの比率を求めるわけであります。その比率が適正であるかどうかと、こういうような問題もありまして、かねて大蔵省におきましても、現在の貸し倒れ比率が適正であるかどうかということを検討いたしております。特に銀行の貸し倒れ準備率が非常に高い。実際の貸し倒れ率に比べまして、税法上の貸し倒れ率が非常に高いと、こういうことになっておるという御指摘がいま各方面からあります。そういうようなことは、これは検討しなければならぬというふうに存じておりまして、昭和四十七年度税制におきましてはその改正をいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
 考え方については、どうも、会計学上も、当省の考え方を支持しておるということでございまして、私どもは考え方を変えるという考え方は持っておりませんけれども、運用につきましては、よく検討いたしまして妥当なものにしたいと思います。
#166
○松井誠君 時間がありませんから、かけ足になりますけれども、この特別措置が現実に一体どういう企業に主として利用されておるのか、どういう規模の企業がこの恩恵を最も多く受けておるのか、そういうことを知りたいと思いまして資料をお願いをいたしたのでありますが、それがあまりはっきりした形の資料としては出ておりませんので、私がいま持っておる資料で申し上げますと、これはほんの概数になるわけですが、たとえば、貸し倒れ引き当て金などというのは、資本の規模で一千万くらいの会社のところまでは、利用する会社が約五〇%ぐらい。だんだん上がっていきまして、十億以上くらいになりますと、大体八割くらいが利用しておるという、そういうグラフがあるわけです。価格変動準備金は、これは一億円以上ぐらいのところまでは、半分くらいの数しか利用しておりませんけれども、その辺をこして、十億、五十億以上の会社の規模になりますと、どんどん広がって上がっていっておりまして、百億以上になりますと、大体七割五分くらいの会社が利用しておる。退職給与の金引き当て金に至りましては、これは百億以上の会社なんかほとんど一〇〇%が利用しておるのに、五千万円くらいの会社ですと、約半分、五〇%くらいの会社しか利用をしていない。こういうことで、こういう種類の特別措置というものは、圧倒的に大企業が利用度が高い、これはもう争うべからざる事実だと思うのです。
 そういう点から、われわれは、こういう特別措置というものの廃止を強く要求しておるわけでありますけれども、実際には、そういう特別措置というものは、実は年々歳々ふえてきておる。初め税金がかかることを承知の上でいろいろな準備金をつくってみて、それがだんだん一般化をして、それが会計上いわば公認をされる、そういう段階で特別措置を要求をするという順序を経るのが多いのだそうでありますけれども、最近の新聞によりますと、例の為替変動の準備金というものをすでに設けた会社がある。これは、おそらくは、円切り上げに備えるという名目でつくったのでしょうが、それも、この新聞の見通しによりますと、やはり特別措置の一つとして認めさせるいわばスタートをここで切ったんだという見通しなんです。こういうものも、いずれはやはり特別措置化をされるのじゃないかと私たちは心配をするわけでありますが、この点は、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#167
○国務大臣(福田赳夫君) しばしば申し上げているように、円の切り上げというものは全然考えておりませんですから、それを前提としたいかなる措置もとる考えは持っておりませんです。これははっきり申し上げます。
#168
○松井誠君 もうこれで時間がまいりましたけれども、こういう形で特別措置というものがまずできて、そしてその特別措置というのはしまいには一般的な措置というような形をとられていく。私の聞くところによりますと、昭和三十九年でありましたか、この貸し倒れ引き当て金とかなんとかという三つくらいの引き当て金が、いままでは特別措置として数えられておったのに、その後統計の上からも特別措置ではなくなった。そういうことで、特別措置とは一体何ぞやということがどだいわかりにくくなってくると同時に、ほんとうに特別措置による減収額がどれくらいかということも、どうも統計を任意に操作ができるのじゃないか。そして、そのかわりには特別措置がいつの間にか一般化をしておると、そういうことになるのではないかということもいわれておるわけであります。そういう意味では、特別措置というものが国民の目の前からもだんだんつかまえにくいような形にさえなっていっておる。そうでなくて、やはりほんとうにそれこそ包み隠しもせず、実質的な特別措置であるものは一体幾らかという、そういうことをはっきりさせるという態度をこれからあとぜひ堅持をしてもらいたい。
 もう時間がありませんから、これで終わります。
#169
○国務大臣(福田赳夫君) 特別措置はあくまでも特別措置でありますので、その特別というものが固定化する、定着化する、これは警戒をしなければならぬことだと思いますが、年々のことでございまするけれども、今後とも努力をいたしたい、かように存じます。
 なお、戸田委員が見えましたので、ちょっと発言さしていただきたいんですが、先ほど戸田委員の御質問がありまして、その御質問は、四十五年度の自然増収はどうなるか、また、国債発行はどうなるかということだったわけでございます。私は、それに対して、国債を五百億円減額をするという措置をとったら、その後の自然増収の状態、その上自然増収がさらに出るかと、こういうことになりますと、まずまず経済の状態を反映いたしましてそういう状態はあるまいと、五百億減額後はまずとんとんぐらいなところではあるまいかという趣旨のお答えをいたしたんです。ところが、けさがた、いろいろ集計がまとまりまして、特に大阪方面からの報告等がありまして、それを見ますと、五百億減額をいたしましたが、なおその上自然増収が若干出る見込みであります。
 国債は、四十五年度においては四千三百億円を予定いたしまして、そのうち五百億を減額いたした次第でございますから、発行予定額は三千八百億円になるわけであります。そのうち約三千億円をすでに発行済みでありまして、出納整理期間中に三百二十億ばかりを残しておるわけでございますが、場合によるとこの三百二十億ばかりの発行未済額があるいは発行しないで済むようなことに相なるかもしらぬと、こういう状態であります。
 大阪からの報告がありましたので、この際、先ほどの答弁を訂正さしていただきます。
#170
○向井長年君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、私の持ち時間が、持ち時間というのはおかしいのだが、与えられた時間が、前半十五分と後半五分。したがって、全く短時間でございまして、こま切れな質問をいたしますから、簡明な答弁をお願いいたしたいと思います。
 まず、私は、税制の一つの焦点であるところの直接税と間接税との関係についてお伺いいたします。
 政府は、よく、現在の直接税・間接税の比率は、直接税に片寄り過ぎていると、こう言われているが、正常な直間比率はしからはどれくらいが正確と考えておられるのか、これを伺います。
#171
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほども申し上げたんですが、比率で申し上げるのは非常に困難でございまして、いまほうっておきますると、今日の六六%という直接税比率が今後ますます拡大をされる、こういう傾向と見るので、まずとにかくそれを頭打ちにしたい。なお、できれば多少それをめり込ませるというふうにしたいと、こういうふうに考えておるので、どの辺になるかということは、所得税とのかわり財源がどういうものが見つかるかということにかかると思うのであります。いま、比率を予定をして、それに税制を合わせると、そういう考えは持っておりません。
#172
○向井長年君 今後、五年後あるいは十年後においては、現在のように毎年十万円ずつ免税点の引き上げを行なう、こうした場合に、直間の比率が非常に変わってくると思うんですよ。この問題についての今後の想定をどう考えますか。
#173
○政府委員(細見卓君) たいへんむずかしい御質問でございますが、ことしの場合、御承知のように、自然増収の中から一割を減額したわけでありますが、それでも直接税のウェートが若干上がってくる。つまり、このことは、直接税、特に所得税は、経済の伸びに対しまして一・五とか六とかあるいは二に近いような弾性値で伸びるわけでありますが、間接税のほうになりますと、酒とかたばことかいったようなものは、経済の伸びの大体半分ぐらいの伸びしか税収が伸びていかないというわけでありますので、よほどの減税をいたしましても直接税のほうに片寄った税制にならざるを得ない。それが幾らかというのは、経済の伸び、それからその場合に所得税が伸びるのか法人税が伸びるのか、その辺もわかりませんので、確たることは見通せないわけであります。
#174
○向井長年君 続いて、政府は、現在のような直間比率では国民の重税感というものはいつまでたってもなくならないと。したがって、重税感というようなばく然とした概念と実際の税負担のどちらを重視していくつもりであるのか。いま言いました感じの問題と、実際のいわゆる税負担、こういう問題について、重税感が減少しても実際の税負担が増大するというような問題が起きてくると思うのですが、こういう問題についていかがですか。
#175
○国務大臣(福田赳夫君) 実際の税負担は、これは今後数年間を展望しますと、二、三%程度ふえて二一、 二%になるであろうかと、こういうふうに見ておるのであります。しかし、いずれにいたしましても、今日の一九%という程度の負担にいたしましても、あるいは二一、二%という負担率になるにいたしましても、いま負担感ということを国民は非常に訴えるわけであります。たとえば、所得最低限という問題についても、皆さんは百二十万円まで引き上げべしと言う。共産党は、百四十万円まで引き上げべしと、こうおっしゃる。そういうようなことをいますぐには実現はできませんけれども、これを実現の方向に努力をしたいと、こういうふうに思うのです。しかし、全体としては負担率がふえるんですから、どうしても他に財源を求めるということを考えなければいかぬ。そういう過程において直間比率というものは是正をされると、こういうことになるわけであります。
 私の念願とするところは、所得税について、もっと減税をしたい。それに関連をいたしまして、それとうらはらをなしまして、直間比率というものを改正をいたしたい、こういうふうにいま考えるわけであります。
#176
○向井長年君 そこで、政府は、直接税の比率を下げるために、付加価値税の問題を導入したいという意向――直ちにできる・できぬは別として、そういう形を考えておられるように先般言われておりますが、この中身の問題は別として、大蔵大臣は、予算委員会において、付加価値税を導入すれば大胆ないわゆる所得減税ができ得るというようなことを言われたと私は記憶しておるのですが、こうなってくると、もしそうだとしたら、来年度の減税改正で政府が所得税の免税点はすでに国際水準並みになっていると、こう一方で言われている。そうすると、来年度の所得減税は大幅に行なう必要がないというような、こういう矛盾した問題が出てくる。その点について、ただ方便的に言われておるような感じがするんですが、財源さえあれば所得税の免税点が国際水準であろうとなかろうと、大幅に上回って減税したい、こういう意向が大臣にあるのかないのか。
#177
○国務大臣(福田赳夫君) 免税点が低過ぎると言うものですから、そうじゃないんだと、もう国際水準に行っておりますよと、こう申し上げているんです。これをもっと引き上げる、これはもとより私は希望するところでございます。また、努力したいところでございます。しかも、わが国におきましては、諸外国と違いまして、家庭の蓄積というものが非常に弱い国柄でございます。そういうようなことを考えまするときに、ひとり国際水準というところだけで満足をしちゃいかん、そういうふうに考えます。今後とも努力をしたいと、かように考えております。
#178
○向井長年君 大臣の発言が若干誤解されておりますから、これはひとつ十分考えていただきたいと思うことは、いま申しました免税点が国際水準に達しておるから、来年度は大幅減税をする必要はないんだというような、こういう印象にとっておると思いますから、これはひとつ訂正していただきたい。
#179
○国務大臣(福田赳夫君) 別に訂正というわけでもありませんけれども、そういう誤解がありますれば、そういう趣旨じゃない。今日、非常な批判を受けるような免税点ではなくなっておりますよ。しかし、この上とも努力するんだということを、声を少し大きくしてつけ加えさしていただきます。
#180
○向井長年君 続いて、先ほど言いました付加価値税の問題について、いろいろと先般来討議されておりますが、この付加価値税の導入が三年後としますならば、そのときどきにすでに十万円ずつの免税点が上がっておると、たとえばですね。そういう形になると、課税最低限が百五十万円になった。こういう場合に、アメリカの課税最低限とほぼ同じだというようなことで、減税比率の大幅ダウンはしなくたっていいと、こういうような形には先ほども申しましたがならない、こう解釈してよろしいですか。
#181
○国務大臣(福田赳夫君) 免税点は、国際社会の状態もながめる必要がありましょうと思います。ことに、最低率がどうだという判断として国際水準ということは重要だと思いますが、それを上回って免税点を設定するという問題につきましては、そのときの国民の生活の状態、また、国の財政の状態、そういうことを踏んまえて適当な水準にきめたらよかろうかと、こういうふうに考えまするが、とにかく、いずれにいたしましても、私は今日の免税点ではまだ満足をしないんです。今後とも努力をいたしたい、こういう意向を持っておる次第でございます。
#182
○向井長年君 検討中だと思うんですけれども、付加価値税の問題についていろいろとこれから検討されることだと思うのですが、これの短所と長所がある。この短所と長所について、どういま構想で持っておられるか、こういう長所があるからこれはひとつやりたい、こういう短所があるからこれは是正しなきゃいかぬ、こういう問題があろうと思うのです、政府で考えておられる。この点についてお聞かせいただきたい。
#183
○国務大臣(福田赳夫君) 長所といいますれば、これは一般的な間接税、一般的な消費税、そういうような性格でありますので、まあそう負担感というものを伴わないでこれが徴収されるという点、そこが私は一番大きな点ではあるまいか、そういうふうに考えます。
 短所といいますると、学問的に、これが、悪平等というか、そういう性格を持つ。所得税のような累進性というものはないわけでございますから、そういう性格。それからもう一つは、政策的な角度から、物価との関係、これが一ときの問題でありますけれども、非常にむずかしい配慮を要する。こんなようなとらえ方をしております。
#184
○向井長年君 これは、長所の場合においてはただ一般的な通念、感じという問題があるかもしらぬが、短所には大きくこれは問題があるんじゃないですか。ということは、たとえば低所得階層に物品税の形においてこれが負担になってくるというならば、税金の場合においてはかからない人も、これによって悪平等でかかってこざるを得ないということ、そういう問題が一つ一番大きな問題ではないか、こう私は思うんですよ。その問題については、これは認めざるを得ないんじゃないか。あわせて、あれじゃないですか、特に中小企業のほうに生産する製品のストックがあるとすれば、この問題だけは中小企業で非常に犠牲を払うと、こういう形になるんじゃないですか、消費はしないという場合にですね。生産した、しかしこれは税金を払わなきゃならぬ、こういうかっこうになってくるのではないかと、こう思うんですよ。だから、その長所よりも短所のほうが非常に大きい。それからそれに対する政治上の複雑な問題が出てくるだろう。いわゆる帳簿上の問題あるいはそれに対するいろいろ答申の作成とか、こういう問題の短所についてどう考えておられますか。
#185
○国務大臣(福田赳夫君) 消費者に一律にこの税が賦課されるということから、悪平等というような面が一つは出てくる、先ほど申し上げたとおりです。だから、ただ単に他の税制をいらわないで、この付加価値税というものを施行いたしますと、私は弊害のほうがむしろ強く出てくると思う。これを消すことを考えなきゃならぬ。消すにはどうするかというと、私は、大幅な所得税減税だと。これは所得税減税が徹底的に行なわれるということになれは、付加価値税のただいま申し上げた欠陥、これを償って余りあると、こういうふうに考える次第でございます。
 それから第二の、企業との関係はどうだというと、まあ手間ひまの問題はあります。ありますが、これは諸外国でも克服してそういうことやっている問題でありますので、わが国にだけ克服できないという問題じゃなかろうと思いまするが、これはもとより間接税でありまして、付加価値税が付加されるという際におきまして、その増加負担というものは、これは消費者に転嫁をされる、そういう性格のものでありますので、基本的にこれは企業会計に影響を及ぼすものではないと、こういうふうに考えます。
#186
○渡辺武君 私は、いまも議論になっておりました付加価値税制の問題について伺いたいと思います。
 先日の予算委員会での私の質問に対しまして、大臣は、付加価値税の導入は物価の動向を見きわめて慎重に検討するというふうに御答弁されましたが、一体、物価動向がどういう状態になったら付加価値税制を導入するおつもりなのか。たとえば、物価上昇率が何%台になったら採用していいというふうにお考えになるのか、まず、その点をお伺いしたい。
#187
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、先ほども質問がありまして申し上げたんですが、率のほうはそう問題にしないんです。つまり、安定の趨勢、それを問題にしておるんです。いま、経済社会発展計画におきましては、最終年度にとにかく三%台の消費者物価の上昇率に持っていきたいと。成長経済下において物価がある程度上昇すること、これはやむを得ないというのが、もう皆さんもそうおっしゃるところでございますが、そのやむを得ない限度というのはどうだというと、大体三%、その辺を皆さんがとらえておられるようでございます。しかし、私は、かりに三%にならぬで、四%でもいいと思うんです。ただ、その先、これからさらにこれが三%台に定着をする勢いで物価趨勢というものが動いておる、そういう状態でありますれば、私はもうその時点をとらえて、付加価値税実施の物価の側面からの障害は取り除かれたと、そういうふうに考える次第であります。
#188
○渡辺武君 そうしますと、たとえば昭和四十二年から三年にかけて一時消費者物価の上昇率が落ちましたですね。そして、四十四、四十五とまた上昇率が高まってきたということになっておりますが、そういう一時的な物価の上昇率の低下、そうではなくて、新経済社会発展計画で言っている年率四・四%、最終年度三%台という、そのワクの中で考えておられるということですか。
#189
○国務大臣(福田赳夫君) このあいだ、総理大臣は、三・五%ということを衆議院で言われましたが、別に私はそう三・五にならなきゃ付加価値税実施の条件が整わないんだという考え方でなくていいと思うんです。まあとにかく三%台ぐらいで安定するんだというような状態が実現する、経済を総合的に判断しましてそういう趨向であるという判断ができますれば、まずまず条件は成立するんじゃないか、そういうふうに考えます。
#190
○渡辺武君 それでは、次に伺いますけれども、私の質問に答えて、大臣は、さらに次のように言われました。所得税の減税をするために、いわばそのかわり財源として付加価値税制の採用を検討したいということを言われたわけですけれども、ただいまも若干質問もありましたけれども、そういうふうに大臣がお考えになっておられるということは、直間比率ですね、これを大幅に変えて、間接税の比重を高めるということ。さらに言えば、従来、大臣は、直接税中心主義で行くんだということをたびたび言っておられましたけれども、それをお捨てになって、間接税中心主義に移られるということを意味しておられるんでしょうか。
#191
○国務大臣(福田赳夫君) 直接税中心主義の税制を変えるという考え方は、持っておりませんです。あくまでも直接税中心主義である。しかし、今日の税制をこれをほうっておきますると、ますます直接税中心の度合いが高くなる。そして、負担感に問題が出てくる。これを是正したいと、こういうことを考えておるわけでありまして、まあ直間比率ということばを言われますが、結論として、私の気持ちは、所得税をもう少し大幅に減税したい、その結果、うらはらとして直間比率というものが変わってくると、こういうんだというふうな御理解を願いたいと思います。
#192
○渡辺武君 直接税の中には、申し上げるまでもなく、大きなものは所得税と法人税ですね。ところが、その所得税のほうは大幅に減税をされるといま言明されたわけですが、しかも、直接税中心主義で行くと言われますと、これは残ったものは法人税で、法人税のほうを増徴するという御趣旨ですか。
#193
○国務大臣(福田赳夫君) 法人税を増徴する考えは持っておりません。
#194
○渡辺武君 そうしますと、これは論理の帰結として、所得税の大幅減税というふうに言われましたけれども、結局のところは、形の上は大幅減税。しかし、従来と同じように、名目所得の増加に伴って実質的な所得税の増税が従来行なわれてきたけれども、そういう行き方が今後引き続き続くというふうに私はいま御答弁を伺って理解しました。その上に付加価値税が採用されるということになりますと、所得税をいままで納めていた人たちは、名目所得の増大につれて実質上増税になる上に、付加価値税がさらにそれにかかってくるということになるんじゃないかと思うけれども、どうですか。
#195
○国務大臣(福田赳夫君) そういうことを言っているのじゃないんです。私が申し上げておりますのは、直接税、まあ所得税と言ったほうがいいかもしれませんね、所得税を大幅に思い切って減税をしたいんだ。それにはかわりの財源が必要である。そのかわりの財源を何に求めるかというと、まあ付加価値税になりますか、あるいは自動車新税になりますか、とにかく間接税にこれを求めるというほかないじゃないかと、こういうふうに考えておることを申し上げておるわけでございまして、まあかりに、いまきめておるわけじゃありませんけれども、付加価値税を採用いたしますというようなことになれば、大幅な増収が期待されるわけであります。そのときには、それを財源として皆さんの御期待に沿えるような大幅な減税ができる、所得税減税ができると、こういうことを申し上げておるわけであります。
#196
○渡辺武君 政治的には大幅減税と盛んに言っておられると思うんですね。しかし、いままでの国民の生活体験の中から、大幅減税と言われたときでも、結局のところ、名目所得がふえて、大蔵省の帳面の上では大幅減税になっているけれども、実質上の増税になっているというのが普通ですね。いまも大臣が御答弁になったように、直接税中心主義で行く、しかも直接税の中で法人税はそう増徴しないということになれば、大臣のおっしゃる大幅な所得税の減税というのも、結局、従来どおりであって、もし付加価値税制を採用すれば、それにこの付加価値税がさらにかけられるということになっていくと私は思わざるを得ないですね。
 それはなにですけれども、さらに質問を次に移しますが、ただいまの向井委員の質問に答えて、大臣は、次のように答弁されました。いろいろ、付加価値税の短所として、悪平等ということがあるんだと。しかし、それを補うに所得税の大幅減税をやるから、償って余りあるんだというふうに言われましたけれども、私は問題はそんなところにあるのじゃないと思うんですね。この付加価値税というのは、大臣も言明されているように、物価に織り込まれる。したがって、所得税を納めている人は当然ですけれども、所得税を納めることができないほどの低所得者層ここにこそ税金がかかってくるというところに付加価値税制の一番大きな問題があると思う。そうでしょう。いま大蔵省の発表している数字を私ちょっと見てきましたけれども、就業人口は約五千万人といわれる。その五千万の中の約四割、二千万の人たちが所得税も納められない低所得者層です。それに今度付加価値税制でもって税金がかかってくるんですよ。簡単にいえは、付加価値税でいま大幅な増収になるとおっしゃいましたが、その大幅増収の中の四割は、所得税も納めていない人が負担すると、こういうことになっちゃう。たいへんなものですよ、これは。ですから、問題は、物価問題だけじゃない。そこのところが一番問題です。この点を一体お考えになっておられるのかどうか、十分に考えなきゃならぬと思いますが、どうですか。
#197
○国務大臣(福田赳夫君) 税は、収入になって、そしてこれは使われるわけです。使われない場合におきましては、減税財源になる、こういうことになる。減税財源になるという場合を考えてみますると、それは大体低所得者対策、そういうことになるわけです。低所得階層に多くを振り向けるということになる。所得税減税はそういうことをねらっているわけであります。
 それからこれが歳出としての財源として使われるという場合におきましては、何といっても私はしょっちゅう申し上げておりまするように、社会資本の充実、社会保障、これがどうしても二つの眼目になるわけです。
 やっぱり、それは、政府が付加価値税で吸い上げて、そしてこれを格納しておくわけじゃないんで、みんなこれは減税かまた歳出として放出するわけですから、その使い方をどうするかということが問題である。それさえ賢明でありますれば、さらにさらに所得再配分の効力を発揮する、こういうことになろうと、かように考えております。
#198
○渡辺武君 いま大臣のおっしゃったことに対する重ねての質問の前に、もう一つ問題を提起したいと思うのですけれども、大臣ね、社会保障その他でやるとおっしゃいますけれども、税金を取られないで、しかも社会保障でもって生活を擁護してくれる場合と、大増収になるというそのうちの四割をいままで税金も納めていない人から取り上げておいて、そうして、やあ社会保障だといっていろいろ施策を講ずる。どっちが国民のためになるのか、そのくらいの判断は、大蔵大臣、やっぱりしていただきたいと思いますね。
 それで、次の質問に移りますけれども、付加価値税の種類はいろいろあるといわれておりますけれども、しかし、その課税標準ですね、種類いかんにかかわらず、課税標準は、所得税や法人税の場合の所得の概念と私は違っておると思うのですね。付加価値税制の場合は、原則としてはどういう課税標準になるのか、それをまず伺いたい。
#199
○国務大臣(福田赳夫君) まだ、付加価値税については、検討を始めてもおらない、これからぽつぽつ始めようかと、こういうことでありまして、どういう体系をとりますか、また、その体系のもとにおいてどういう課税対象にするか、課税率にするか、そういうようなことは全然まだ手につけていない問題でありますので、まだお答えいたしかねます。
#200
○渡辺武君 だから、私、いろいろ言ったんですよ。具体的にどういうような形態をとるかということは今後の検討でしょうけれども、いずれにしても、付加価値税制の採用を検討していると言われるんだから、付加価値税制といえば、所得税、法人税とは違った税の体系になるわけですね。率直にいえは、フランスで採用している付加価値税制、あるいはその他の国で採用している付加価値税制、形態はいろいろ違うけれども、しかし、課税標準ですね、これは所得税、法人税と私は根本的に違うと思う。所得税、法人税の場合は、これは収入から経費を引いたものが所得だという概念、これはちゃんと税法に出ております。付加価値税制の場合は、収入から経費を引くのじゃないです。大体、付加価値にかかる、大まかにいえば。つまり、支払った人件費、それから利潤、それから利子、あるいはまた地代、などにかかっていくわけですね。商店の場合でいえば、売り上げた売り上げ高から仕入れた仕入れ高を引いてそれにかかるというのが大体通常ですよ。全然課税標準が違う。
 さて、その場合、どうですか、中小企業、零細企業の場合は。大企業のほうは、物価に織り込まれて、先ほど大臣がいみじくも御答弁されたように、企業の収支には関係なしという状態は確かに起こるでしょう。しかし、中小企業、零細企業の場合は、利潤が出ようと出まいとこの税金はかかる。付加価値にかかるんですよ。これは、消費者に転嫁できるところはいいけれども、零細商店などは転嫁できないですよ、とうてい。そうなった場合は、利潤が出なくても重い税金がかかってくる。これは中小企業、零細企業泣かせのたいへんな悪税だと私は思いますけれども、その点、どうお思いですか。
#201
○国務大臣(福田赳夫君) この税制は、転嫁というものが行なわれないと、いまお話しのような状態が起こるわけなんです。ですから、転嫁が行なわれやすいような仕組みというものをこの問題を考える場合に的確に盛り込んでいかなければいかぬ、こういうふうに考えます。いずれにいたしましても、大蔵省では何らの検討をまだいたしておりませんから、検討いたしましたら、十分お尋ねを受けたいと、かように考えます。
#202
○渡辺武君 最後に、一言だけ。非常に危険な税制ですね、さっきも言ったように。いままで税金を納めていない人にかかってくる。たいへんな重い税金が物価に織り込まれる。しかも、中小企業は、もうけが出ようと出まいと、重い税金をかけられる。これはとてもたいへんなものだと思うのです。
 さて、先ほど、いやそういう人たちには社会保障をやればいいじゃないかという議論がありましたけれども、しかし、ひるがえって考えてみれば、いまの法人税率というのは、これはヨーロッパ諸国に比べても低いことは、大臣も御存じのとおりです。その上に、租税特別措置その他で大企業に対しては至れり尽くせりの減税が行なわれているんですね。ある人が四十六年度で推計しまして、大企業や大資産家に対する国税だけでの特別な税の減免は約二兆円くらいになるという推計をしております。高福祉・高負担論ということを盛んに言っておられますけれども、それならば、負担力の高いこういう大企業や大資産家に負担をさせて、公平に公正な税金を取り立てて、そうして、貧しい国民に対しては社会保障なり何なり十分やってもらって、そうして高福祉にするということこそ、ほんとうの高福祉・高負担じゃないか。そうして、この付加価値税制の採用などはおやめになったほうがいいのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
#203
○国務大臣(福田赳夫君) まだ付加価値税を採用するというようなことを申し上げているわけじゃないんです。まだ検討もいたしていない、こう言うのですから、採用を前提としての御議論には、まことにお答えがいたしにくいのであります。とにかく、あなたのおっしゃることはおっしゃることでお聞きをしておきまするが、私どもは、まだ検討段階にも入っておらないんだと。この夏ごろぽつぽつ税制調査会のほうでお調べ願おうか、こういうふうな段階であるということだけを特に申し上げておきます。
#204
○鈴木一弘君 外務省等を呼んでございますので、若干の時間だけちょっと質問したいんですが、例の特恵関税で、対日三十五条を援用している国、こういう国については、この三十五条の援用をやめさせないといかぬ。もう一つは、逆特専をやっている国についても、日本が特恵を与えるという受益国に選ぶべきではないだろう。おそらく、その点については、外務省のほうでは、専門分野でありますから、専門的に析衝していると思うのですが、その経過だけをちょっと伺いたい。
#205
○説明員(小山田隆君) わが国が昭和三十年にガットに入りましてから、イギリス、フランスなど主要貿易国が日本に対してガットの三十五条を援用しまして、一番ひどい時期には四十八の国が日本に対してガットの三十五条を援用しておりました。逐一、政府は、その援用撤回に努力をいたしまして、昨年昭和四十五年中に六カ国、それからつい一週間前、今月の十七日にもアフリカのチャッドという国が三十五条の援用撤回を正式に通告してまいりまして、現在では三十五条の援用国は二十二が国になっております。もちろん、これでは十分ということは申せませんので、ごく近い、近々、来週の木曜日にも、政府は、アフリカ以下に対しまして、三十五条の援用撤回を主眼とする使節団を出しまして、大いに三十五条援用撤回を実現したいと努力しております。また、近く実施したいと考えております特恵供与国に対しましても、特恵供与国の中でもガット三十五条を援用している国がございますから、これらに対しましても極力三十五条援用撤回を促進するように説得したいと努力しております。
 なお、逆特恵の問題でございますけれども、逆特恵は確かに望ましくないので、できるだけ逆特恵などはしないようにということは、これは機会あるごとに逆特恵供与国に対して申し入れをしております。
 以上でございます。
#206
○鈴木一弘君 いまのいわゆる特恵の受益国になる国でまだ三十五条を援用している国は、あと何カ国残っていますか、二十二の中で。
#207
○説明員(小山田隆君) 現在、三十五条援用国は二十二ございますけれども、その中で、特恵供与されるであろうと、つまり、これは、特恵供与というのは、自已選択の原則というのがございまして、向こうのほうで特恵を与えてほしいと言ってこなければ与えないのでございますが、一応特恵供与国になるであろうと思われる国は、全部で十九ございます。
#208
○鈴木一弘君 外務省はそれでけっこうでありますが、通産省にちょっと伺いたいんですが、例のヘップサンダルについて、これがわが国からアメリカへ輸出して、年々のように台湾そのほかの国々に押されてきておりますけれども、アメリカの特恵供与のしかたいかんによっては、これはたいへんなことになってしまう。その点はどういうふうになっているのか。特に、最近の情報では、アメリカがケミカルシューズそのほかに対して関税割り当て制というものをやりたいということを言っておるわけでありますが、その点についての経過と見通しを話してもらいたいと思います。
#209
○説明員(室谷文司君) まず、アメリカの特恵におけるはきものの取り扱いでございますが、現在のところ、アメリカとしましては、ケミカルサンダルを含みましたはきものについては、一応例外措置にするということを発表いたしております。
 なお、ケミカルサンダルを含めました靴につきましては、はきものにつきまして最近輸入制限運動が非常に高まっておることは御承知のとおりでございますが、昨年、繊維を含めました割り当て規定を含みましたいわゆる七〇年の通商法案が流れたわけでございまして、その対策としまして、靴につきましても、はきものにつきましても、関税割り当て制度を業界から強く希望されているということを聞いております。
 なお、いわゆる輸入割り当てということではなくて、国内の企業なりあるいは労働者が輸入の製品によって損害を受けた場合に、いわゆる調整援助の措置を受けるということが通商拡大法に基づいてできることになっておりますが、それについて、昨年の末に、調整援助措置がなされまして、関税委員会で調査された結果、一部被害なしと、一部二対二で結論が出てなかったということに現在なっておりまして、今後どういう推移になるか、われわれとしては注目をいたしている次第でございます。
#210
○木村禧八郎君 総理大臣がお見えになりましたから、二点質問したいと思います。
 その第一点は、国際通貨に関する問題です。それからもう一つは、予算運営の基本態度につきましてです。まず、時間が二十分しかございませんから、その第一点の国際通貨について質問の焦点を一応私のほうからしぼって申し述べますので、それにお答え願って、それからその次の質問に移ります。
 まず、国際通貨の問題ですが、総理も御承知のように、OECDでは、昨年五月の閣僚理事会以来、インフレ克服を七〇年代の最も重要な課題として取り上げていることは、御承知のとおりですね。世界的インフレの根源をなすものはアメリカの国際収支であることは、御承知のとおりです。その国際収支が最近また非常な巨額な赤字を出すようになっております。依然として大幅な赤字が続いているわけです。そこで、欧州大陸の諸国では、もう国際的なそうしたインフレにお手上げの状態なんですけれども、特にそういう状況のもとでSDRが今度ことしのIMFの総会でまた第二回の発動が要請される可能性もあるが、そうなると、ますますSDRの発動によってインフレがひどくなるのじゃないかと非常に懸念されているといわれているんですね。そこで、このSDRについての日本の立場なんですが、その点を伺いたいんですがね。
 SDRにつきましては、これを批准しました際に、SDRの発動条件としまして三つの条件をわれわれはこれに付していると理解しているわけです。一つは、世界的に国際流動性の不足が生じると見られるときですね。それからもう一つは、基軸通貨国の国際収支の均衡が回復したとき。第三は、国際収支調整過程がもっと改善されたときがSDRの発動の時期である。そういう条件であったと思うんですよ。ところが、総理の御承知のように、その後二カ年間の情勢はもう全く逆なんでありましてね。ですから、世界的に国際流動性の不足が生じると見られたが、そうでなく、それからアメリカの国際収支の均衡が回復しない。それから国際収支調整過程が改善されない。そこで、第二回のSDRの発動が要請されたとき、日本として、これは条件がいままでまだ満たされていないんですから、拒否すべきじゃないかと思うんです。
 そこが一つの質問の問題点ですがいかがでしょうか。
#211
○国務大臣(福田赳夫君) まず、私からお答え申し上げますが、アメリカが昨年たいへんな赤字を出した。約百億ドルであります。しかし、その多くは短期資本なんです。つまり、アメリカがいま低金利政策をとっております。だものですから、そのアメリカのドルが、アメリカより高い金利のヨーロッパだとか、まあ日本にも幾らかありますが、そういうところへ動く、そういうことなんです。SDRというのは、そういう短期的な動きでなくて、長期的に世界経済が発展をする、そういう発展に対して決済資金が不足すると、こういうことをねらっておるわけでありますから、一時的なアメリカの赤字状態、こういうものをとらえてSDRがどうだとかああだとかいうような議論をするのは適当じゃないと、こういう基本的な考え方でございます。
#212
○木村禧八郎君 それは国際感覚についての認識が足りませんよ。佐々木日本銀行総裁は、二十五日に、外人記者クラブで「日本経済の現状」と題して講演をしまして、その中でこう述べていますよ。「国際通貨情勢はしばらく安定しているが、米国の赤字が続き――続いているんですよ――各国のドル保有がふえ続けると、一九六八年の事態に近いことが起る環境ができてこよう。SDRの第二回発動の話合いが今秋から始ろうが、いまのような状態では、SDRをふやす必要がないという意見が高まろう。」と、こういう意見を述べています。ですから、大蔵大臣、この前われわれがSDRを国会審議して批准したでしょう。そのとき、いま話した三つの条件があったんですよ。その条件がまるで満たされないで反対になっているから、今度第二回目の発動を要請されたときに、日本としては、条件が満たされていないのに、そのままイエスと言えますかというんですよ。そこを質問している。もっと自主的な判断をしないといけませんよ。この前の批准の際の条件をよく考えてごらんなさいよ。
#213
○国務大臣(福田赳夫君) SDRは、世界的に経済が発展をすると。そうすると、限られた金を背景としたドル、これの流通だけではどうも不足をするんじゃないかと、そういうことなんです。ところが、いま木村さんが御指摘のように、アメリカは赤字だと。ですから、ドルが各国にばらまかれる、こういう状態になっております。現在のこの時点だけをとらえて見ると、これは通貨増発というか、SDRを付加するというような必要はない、こういう判断もできるかもしらぬ。しかし、アメリカのいまドルを放出している状態というのは、アメリカの低金利政策が原因になっている。世界各国はアメリカに比べて高金利だと。そこで、ドルがヨーロッパヘあるいは日本へというふうに流れている。そういう現象がいま起こっているんです。しかし、これがいつ是正されるか。これは、アメリカが高金利政策をとるようになりますれば、すぐ是正されちゃうんです。そうすると、そこでまた世界通貨の不足が出てくると、こういうことなんで、いま当面の現象だけを見まして、それでSDRがどうだというような議論をするのは、私は早計に過ぎると、こういうふうに思います。
#214
○木村禧八郎君 時間がございませんから、簡潔にイエスかノーを答えてもらいたい。大蔵大臣、強弁していますが、二年前に批准したときの条件をさっき言ったでしょう。二年たっているんですよ。逆の方向に行っているんですよ、あなたそんなことを言ったって。世界的インフレの原因は、何といったって、アメリカのベトナム戦費を基軸通貨であるドルの札をどんどん刷って諸外国から物を買うからですよ。日本の円なんか諸外国から買えませんから。ドルは基軸通貨でしょう。基軸通貨をいいことにしてどんどんドルの札を刷ってベトナム戦費をまかなっている、そこに問題があるわけですよ。SDRは、また、ドルにかわるけれども、金にかわらない。そこで、これがまたインフレの原因になるということでしょう。だから、今度の秋のIMF総会で必ず問題は出ますよ。それで、各国が、いま日銀総裁が言っていますように、各国がこれについてはいろんな批判が高まろうと言っているんですから、そのときに恥をかかないようにいま私は質問しているんですよ。そうですよ。この前の三つの条件を、われわれ、条件が満たされたら発動するといって、満たされていないでしょう。それじゃ、日本が、まだそういう条件が満たされていないのに、今度はよろしゅうございますと言ったら、国会の権威にも関しますよ、日本の国会の。そこを質問しているんです。総理、いかがですか。
#215
○国務大臣(佐藤榮作君) 専門家同士でいろいろ議論しておられるただいまの問題は、来年の春くらいになると本格的な議論が出てくる、したがって、おそらくことしの秋はこういう問題がすでに出るだろう、そういうことを予定して専門家が御注意なさる、かように思います。私は、この話は、そう簡単に第二回目の発動と、こういうことに踏み切れるとは思いません。これはもちろんいろいろな――戦費ばかりじゃない、いろいろな事情がかみ合っているから、そういう点を十分勘案してそういう事態に対して対処する、そのときの心がまえ、これがただいまのお尋ねだろうと思います。具体的な問題では、将来の問題として十分注意してまいる、これだけを申し上げます。
#216
○木村禧八郎君 十分にやっぱりそういう情勢になったときの心がまえもいまから用意しておかなければ、われわれも国会でこれを審議した関係上、その後条件が満されていないんですよ。それで、今度の秋にまた問題になるだろう。そのときに、これを政府が無原則にまた第二回目発動のときにあれしたら、私は非常におかしいと思いますから、いま質問したんです。
 第二は、OECDあたりは国際機関ですから、円の切り上げの問題はOECDの会議では表立って論議されないと思うんですよ。しかし、そのかわりに、私は、どうしても変動為替の問題が今度IMFで取り上げられるのじゃないかと思う。アメリカは強力にこれを主張しているわけです、変動為替の問題はね。ことに、このあいだ、ニクソン大統領のことしの経済白書を見ましても、国際収支の部分を読みますと、これは非常に重大な内容を含んでおります。こう言っているですよ。国際収支の黒字をSDRの配分額以上に累積する国がある限り、アメリカの国際収支はなかなか改善されない。だから、そういう国には為替調整をやってもらうほかはないと、こう言っているわけですね。そこで、アメリカは、変動為替をいま主張しているわけです。この前からしておりますね。いわゆるクローリングぺッグという問題もあります。そこで、おそらく今度やはりIMFにこの変動為替の問題がアメリカから出されるのじゃないか。そのときに、日本は、どういうふうにこれに対処するか。いままでは議論の段階だったが、今度IMFで出された場合、日本政府としては、なんでもかんでも固定為替でこれまでどおり行くのかどうか。そういう情勢が許されるかどうか。アメリカは強力にやってくる。このごろアメリカの態度は変わってきまして、前はドルの切り下げが問題になっていましたが、このごろは、アメリカドルよりも強い国は切り上げなさい、弱い国は切り下げなさいと、こういう態度でしょう。そうして、その切り上げ――日本にとっては切り上げは、直接出してこないかもしれませんが、その前段として私は変動為替相場の問題を提起してくると思う。だから、そのときの用意に、われわれは変動為替は反対です、固定為替に行くんだと、もっと国際的に説得性のあるそういう立場がなければおかしいと思う。ですから、あくまでも固定為替で行くのか、その場合にどういうふうに対処されるかこの点を……。
#217
○国務大臣(福田赳夫君) その問題につきましては、昨年の国際通貨不安、あのときたいへん議論があったんです。これは木村さんも御承知のとおりです。それで、いま御指摘のクローリングペッグだとかいろいろな形の為替流動幅の議論が出てきたわけでありますが、その後国際通貨不安が一応まあ解消した。ただいまは、何というか、比較的国際通貨状態が安定した実態にあるわけなんです。そういう体制下において、国際社会でこれからの国際通貨問題をどういうふうにすべきかという相談をしておるのでありますが、クローリングぺッグというような根本的な改革を主張する者はだんだんと少なくなりまして、そういう主張は陰をひそめたと、こう言ってもいいんです。ただ一つ残っているのが、いま御指摘の変動幅を、いま一%になっています、それを二%だ、三%だというふうに拡大したらどうだろうかと、この議論がただ一つ具体的な考え方として残っておる。ですから、国際社会におきましては、わが国のように一%というような考え方で固定をするという考え方と、この固定でいいが、一%を二%、三%にふやしたらどうかという、この二つの潮流があると、こういう御理解でいいと思うのでありますが、とにかく一%というものを直すということになりますと、これはどうしてもIMF協定の改定になるんです。このIMF協定を改定して関係諸国の承認を求める、こういうことは容易なことじゃない。かりに、これが実現をされるということになりましても、これは現実問題とするとなかなか実行は困難であろうというふうに私どもは見通しておるのであります。
 それから今度は理論的な問題としてどうだと、こういうことになると、これはもう一%で固定しておく、これほど安定した為替決済の方法はないんですから、これは私ども日本の主張でありまするけれども、これをあえて変えて二%、三%というふうにふやそうという議論は、優等生に対しまして、もう勉強を少しやめろ、劣等生のランクまで引き下がれと言うに等しい議論であって、私どもといたしましては、どこまでも、おくれておる国々は、あるいは乱れておる国々は、日本のように姿勢を正せと、こういうふうに主張をすべきである。どこまでも固定為替相場は一%で、これで邁進すべきものであると、かように考えております。
#218
○木村禧八郎君 おそらく、今度、IMFにこの問題は出ると思うんです。いままでは、大体、アメリカのシュバイツアーあたりがIMFで非常に主張しています。アメリカ、西独、イタリアは賛成ですよね。いま、日本、フランス、ベルギー等が反対なんですが、アメリカがこれを強力に出してきますと、押し切れるかどうか、一つの今後の大きな課題だと思うんですよ。
 次に伺いますが、もう一つ、この国際通貨につきましては、国際収支の黒字がどんどん続いていますね。黒字が続くと、いま外貨集中制ですから、どうしても外為にこれを売りますと円が出てきますね。それがインフレの原因になってきますね。だから、この際、外貨集中制につきまして再検討する必要はないかどうか。外貨集中がどうしてもインフレになりますからね。そういうことと、それからもう一つ、こんなに黒字がどんどん続いてきますと、どうしてもいわゆる社会資本のほうに投資が行かないで、いわゆる設備投資のほうに投資がどんどん行くんじゃないんですかね。そういう情勢が是正されないんじゃないか、こんな大幅黒字が続きますと。そういう点につきまして、いかがですか。
#219
○国務大臣(福田赳夫君) わが国が、戦後二十六年間、まあいろんな経験をしながら今日に立ち至ったわけでございますが、その間、日本の経済を変動させる、あるいは混乱させるという要因は、一に国際収支にあったわけです。その間、国際収支の困難を切り抜けて、そうして今日の事態を出現した。それは、やはり、為替集中制です。日本経済がよく外貨を管理して、変動する国際情勢の中でその荒波を切り抜けてきたゆえんのものは、私は、為替集中制、こういうところにあったと、こういうふうに思うのでありまして、積み立てられた外貨をいかに活用するかと、こういう問題は別途の問題があります。しかし、制度といたしまして集中制を変えるということは妥当でない、こういう考えを持っておるわけでございます。
 それから外貨が入ってくると円資金がそれだけ放出されるわけでございますが、それが民間設備投資の増加につながるというような御議論でありますが、そうは私どもは考えておりません。政府資金の支払い超過という形で外貨の積み立てが国内経済には影響してきますけれども、それは日本銀行のオペレーションというような形で適当に調整をいたしておりますので、いささかも実体の経済面には影響がない、こういうふうに考えております。
#220
○木村禧八郎君 この外為の運用で、アメリカの金利がどんどん下がってきますね、外為証券と延べ払いと逆ざやにならぬかどうか、そういう点が一つ。
 それからもう一つ、時間がなくなりましたから総理に伺いたいのは、予算運営の基本態度なんですが、これは中身はこういうことなんです。四十六年度予算は、中立機動型とか、あるいは財政の弾力的運用、そういうたてまえで、特に景気対策を意識して編成されていることは、御承知のとおりですね。ところで、財政の弾力的運用ということで、総額七百億円の政保債、借り入れ金等の増額を予算総則に規定しているわけです。それは何の法的根拠に基づいているのか。
 それからその法的根拠は、おそらく財政法の二十二条の規定だと思うんですが、この財政法の二十二条六号の規定は、予算の執行に関して必要な事項は予算総則に書くということになっています。しかし、それは一これは私が前に決算委員長をやっているときに問題にしましたけれども、そこに弾力条項というものを設けて弾力的に運用するということになっていますが、これはもっと厳格に解釈運用することが必要であると思うのです。この弾力条項は、予算執行上技術的に必要事項に限るべきだ、そういうことになって、この技術的な問題を、景気調整のための政保債をあらかじめ予算総則にきめ、増額を五〇%規定しておいて、そうしてこれを運用するということは、私はそれは財政法違反じゃないかと思うんです。この弾力条項の規定の範囲をこえているんじゃないか。乱用になる。それには、どうしても補正予算の条項を適用すべきであって、つまり、予算作成後に行じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出、または債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なうことができる。ですから、そういう場合には、予見しがたい経済事情の変化というものに対して、それまでも予算総則に書いてそうして景気調整として弾力条項を利用することは、私は行き過ぎじゃないかと思うんですよ。乱用になると思う。ですから、事務的に、増収になって、その増収に――たとえば郵政特別会計が増収になって、その増収の範囲内で国会の承認を得なくても、それに関する経費等については増額してもいいという弾力条項なんですね、本来は。それが、何か景気調整にまでこれを拡大するということは行き過ぎであって、そういう場合にはやっぱり補正を組むべきじゃないかと思うんですよ、あらかじめ予見できないのですから。そこのところを私は問題にしなきゃいけない。ですから、どんどんこうやって、それから五〇%の限度も、それが正しいのかどうかですよ。五割でいいのか、三割でいいのか、二割でいいのか、あるいは六割、七割でいいのか、基準がないわけですよ。ですから、あらかじめ予見しがたいものにつきましては、これはやっぱり補正予算を組むことができる条項があるんですから、それを適用すべきであって、弾力条項をあんまり乱用すべきじゃないと、こう思うんですが、これは、総理、いかがでしょうか。
#221
○国務大臣(福田赳夫君) 私から先に……
#222
○木村禧八郎君 これは総理から……。
#223
○国務大臣(福田赳夫君) 法律問題ですから、私から先にお答えさしていただきます。
 今度は、弾力条項に該当するものは七千億余りなんですが、そのうちの大宗をなすものは、五千七百七十五億円の八公庫の借り入れ弾力です。この八公庫の借り入れ弾力は、予算額のかりに予定しております借り入れ額の五割、こういうふうになっておるわけでありますが、これは、木村さん、もう毎年毎年これだけのものを予算に計上しておるんです。今度どこが違うかというと、これは発動含みである。つまり、景気情勢がどうも思わしくないという際にはこの借り入れを発動しますよと、こういうことなんです。いままでは、これは五割の弾力条項があるんです。あるのでありますが、たとえば四十五年度につきましても、五割の弾力条項は四千何百億になります。それが、ことしの下半期は景気がどうもおかしいと、こういうので、そのうちの約二割方の発動をいたしたわけでありますが、今度は、場合によれば、全額の発動もするかもしらぬよというような意味合いで、まあ気分的に違った面があるのでありまするけれども、制度といたしましては全く従来のものの踏襲であります。
 それからもう一つのあれは、債務負担行為でありますが、これも従来二百億円というものがあるんです。これを、今度は、まあ景気情勢にもかんがみましてこれを増ワクするというので、問題がありとすればいままでも問題があったはずなんです。いまさら問題というのもいかがかと、こういうふうに思います。
 それから新たに設定したものがあるんです。それは何かというと、政府保証債です。これを約千二百億になりますか、新たに政府保証債というものの発行をお願いすることにいたしたわけでありますが、これも政府借り入れ金と同じ性格のものでありまして、私どもは、財政法の解釈といたしまして決して不当な措置ではないと、こういうふうに考えております。
#224
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、法律違反をして皆さん方の御審議を願うと、そういうような大それた考え方はございません。いま大蔵大臣の答えるとおりでございます。しかし、御指摘になりましたように、弾力条項だというそういうものが拡張解釈されて、そしてせっかくの予算制度の根本を乱るようなことがあってはならない、これはもうお説のとおりです。厳正に皆さま方の御審議を受ける。そのためには、必要な資料等も備え、十分説明のできる範囲こういうものにとどめなきゃならぬ。したがって、いま大蔵大臣から答えましたように、もちろん法律の範囲内ではございますが、もともとこの種の制度は、新しく追加され、また、拡張さるべき筋のものでないということはもうお説のとおりだと、かように思いますから、私は、まあこの程度は許されるのじゃないだろうか、かように思って提案したような次第であります。
#225
○木村禧八郎君 弾力条項は前からあることは承知しておりますし、前に決算委員会でこれ取り上げたわけですよ、弾力条項につきましてね。これは、結局、あれでしょう、財政法二十二条の六号が法的根拠でしょう。
#226
○政府委員(橋口收君) 財政法の解釈の問題でございますので、私からお答えを申し上げます……
#227
○木村禧八郎君 弾力条項の法的根拠です。
#228
○政府委員(橋口收君) 弾力条項の法的根拠といたしましては、財政法第二十二条第六号に規定がございます。この規定は、第一号から第五号まで予算総則に記載すべき事項が法定をされておりますが、それに加えて、調整的包括的な規定といたしまして、「前各号に掲げるものの外、予算の執行に関し必要な事項」、これで弾力条項の規定を置いているわけでございます。
#229
○木村禧八郎君 ですから、いま二十二条六号に基づくということははっきりしたわけですけれども、それに基づいて結局今度弾力条項を非常に拡張しましたが、いずれも「予見し難い経済事情の変動」となっているんですよ。予見し得るものについてはいいというんですよ。何も指定しているんじゃないんです、いままで。つまり、予算化されている部分、これは予見し得る範囲内、それに限ってその執行に必要な事項は財政法二十二条六号によって規定してよろしいが、その範囲をこえる規定はいけないということなんですよ。
 それからもう一つ、大蔵大臣は、財政法の関係で、使途を特定しない国庫債務負担行為について、これを限度を増額しているんですよ。これも、財政法から見ると、財政法は、たとえば特定した国庫債務負担行為に規定するもののほか、「災害復旧その他緊急の必要がある場合」となっていて、これは災害とか緊急の必要がある場合にふやすことができるのであって、これを拡張解釈して、何か景気調整にこれを拡大しているということですね。それで、使途を特定しない国庫債務負担行為の限度を拡大している。ですから、財政法は、景気調整ということを前提にしていないんですよ、この財政法は。非常に厳格になっている。もしそうしたいのなら、財政法を改正すべきですよ。そうしなきゃ非常に無理が出てきます。ですから、いま総理は決して法律に反してまでもそういうことを無理にすべきじゃないと、こう言われて、もちろんそうしていないと言われますけれども、財政法のたてまえは、これは総理も御存じのとおり、非常にきびしいんですよ。それを無理して拡大解釈しようしようとしているから、無理が出てくるんですよ。ですから、前に私は弾力条項を問題にしたんです。そのときに、拡大解釈をしないように――もしそうすると、今後、防衛費で第四次防衛計画で、非常な予算が出てくるでしょう。どうも私はそれに備えるために――結局、そうなりますよ。結局、防衛費のほうにたくさんお金を使うから、ほかのほうが足りなくなって、そうして政府保証債、あるいは道路公団債、そういうものをどんどん拡大していく。これは乱用したらたいへんなことになりますよ。ですから、私は、この際きびしくやっぱり一応ここで問題にしておく必要がある。それで、ある程度この質疑を通じて歯どめ的ないわゆる警告を発しておかなきゃいけないのじゃないかと、こう思うので質問しているわけです。総理大臣、再度……。
#230
○国務大臣(佐藤榮作君) この予算総則の十一条の第二項「政府は、予見し難い経済事情の変動により」云々と、こういう書き出しがしてございまして、「予見し難い経済事情の変動により」、まあこういうところに、景気対策と、さように言うことはどうかと思いますが、一つの現在予見しない事情が起きた場合に、そのときに、これをずっと読んでみると、各公団、公庫等が「百分の五十に相当ずる金額の範囲内において、当該額面総額及び元本金額の合計額を増額することができる。」と、この規定があるわけですね。この範囲にいまのものが該当するのじゃないかと、政府はかように考えておるわけであります。これは、いま注意がございましたが、もちろん、政府とすれば、拡張解釈する、何でもやるんだと、こういうことはありません。四次防などはまだ議論されておらない。そこまで話が飛んでは、私もちょっと面くらうんですが、もう何度も予算委員会で申しましたように、中曽根私案なるものはまだ私は説明も受けておらない状態です。もちろん、そういうものがかかります際に、ただいまの原則が守られるようにこれは十分注意していくつもりでございます。
#231
○木村禧八郎君 あと一つだけですが、大蔵大臣、補正予算をそのとき組むべきじゃないかというんです、財政法二十九条による。
#232
○国務大臣(福田赳夫君) これは、補正予算を組むということもまた考えられます。それは、政治情勢がこれを許し、国会を開催するというような時期でありますれば、補正予算を組んで一向差しつかえないものであります。ただ、国会の閉会中のは、さあ急にというようなお願いがいたしかねる場合が多いわけでございます。そういう場合に、一体どうするか、経済の状態を放置していいかというようなケースもあろうかと思いまして、この弾力条項というものが設けられておるのであります。決して乱用はいたしません。
#233
○戸田菊雄君 本論に入る前に、総理に、政治姿勢について一点お伺いをしておきたいと思います。
 それは、今次の予算の審議を通じて見まして、日中国交回復、あるいはアメリカとの繊維交渉の問題、あるいは国内においてはインフレ、公害、交通事故、なかんずく政府が四十六年度予算提案で三Kと言われた、米の問題、あるいは健保の問題あるいは国鉄の赤字克服の問題、こういう各重要案件について見ますると、全然前向きで解決しようというそういう姿勢が見受けられない。総理はきわめて消極的じゃないかという考えを持つのですが、その辺に対する総理の政治の姿勢について一言お尋ねをしたい。
#234
○国務大臣(佐藤榮作君) 最近の、ことしの問題、あるいは昨年来起きておる問題ことに、私自身が、こういう問題に対処する姿勢として、ただいまは内政の年だと、こういう表現で昨年来来ておるわけであります。外交よりも内政の年だと。これがいまの山積する問題と取り組む姿勢であります。もちろん、繊維対米輸出の問題、あるいは中国問題、これもたいへんな問題ですが、それはどうも簡単に一朝一夕には片づかない、かように思うからこそ、内政の問題だと、こういう取り組み方をしております。これが消極的だとか、前向きではないとか、こういうような御批判を受けますが、これはどうも戸田君に御自由に御批判してくださいと申し上げる以外にないようです。私は、とにかく、そういう問題を前向きな姿勢で取り組んでいく、その気持ちはもう十分でございますから、それ以上はつけ加えるものはないように思います。
#235
○戸田菊雄君 それじゃ、本論に入りまして、第一点は、従来もそうでありますが、総理も、福田大蔵大臣も、佐藤内閣は常に安定成長ということを言ってきました。四十年以降、一〇%ないし一二%の経済成長を歩み続けてきておるわけでありますけれども、安定成長というものは一体どういうふうにお考えになっておるか、その見解についてお答えを願いたい。
#236
○国務大臣(佐藤榮作君) 大体、日本の場合は、一〇%前後の成長を続けたい、そうして息の長い成長の道をたどりたいと、これが安定成長を期待しておる気持ちでございます。どうも、しかし、一〇%程度ではなかなか国民も納得しない。とかく、どうも、一二%、一三%、こういう高度成長を続けておる。これがいままでの実情ではないかと思います。どうも、しかし、国民のバイタリティ、エネルギー、これはたいへんなものですから、これを政府自身がゆがめることもいかがかと思います。ただ、そのよって生ずる弊害さえないならば、これはそれなりにいいのじゃないか、かように思っていままでは来ておったわけであります。ところが、昨年からことしにかけまして、いままでやや停滞している、そういう問題が起きておる。これはもうすでに私どもが心配していた安定より以上の高度成長だと、こういう結果が出てきた。ところで、ことしの予算編成は、そういうことのないように、大体一〇%程度をねらった予算を計上したと、かような状態でございます。
#237
○戸田菊雄君 ずばりお伺いしますけれども、安定成長における財政なり税制の姿というものはどうあるべきか、具体的にひとつお答え願いたい。
#238
○国務大臣(佐藤榮作君) 戸田君、どういう点をお聞きになるのか、ちょっとわかりかねるのですが、もうちょっと説明してください。
#239
○戸田菊雄君 時間がないもんですから省略をしたんですけれども、では、丁寧に御質問いたします。
 いまお答えになったように、総理自身も安定成長ということを再々口にされた。しかし、現在の経済状況というものは、非常に景気状況が下降ぎみですね、やや不景気状況に入りつつある。内容はいろいろありますが割愛をいたしますが、そういう中で、私は、安定成長というものは、本来ならば、民間主導型で産業経済が行くことがほんとうの安定成長ではないか、こういうように思うのでありますが、現在はすべて政府のテコ入れですね、財政的テコ入れ。多額の国民の税金を繰り入れをして、各般の民間企業、大資本というものの育成強化をしていく。こういう状態でなければ立っていけないというのが、いまの民間の各種産業の、ことに大資本の姿ではないかと思う。こういうことは、私は、きわめて本来転倒の姿ではないかと思うのですね。だから、あくまでも民間主導型、そういう中において安定成長をはかっていくということが、当然、財政の面からも税制の面からもあってしかるべきじゃないか。そうでないから、安定成長下における財政、税制の本来の姿というものはどういう姿にあるべきが一番正しいのか、その辺の見解を総理にお示しを願いたいと思うわけです。
#240
○国務大臣(福田赳夫君) 前座をいたしますがまあ安定成長といいますれば、何といっても、あるときは山が高く、あるときは谷が深いと、こういうのでなくて、なだらかに経済が成長していくということ、それからまた、成長の過程において社会各般の均衡ある政策が実現される。つまり、物価も安定するとか、国際収支も安定するとか、あるいはその間において社会資本あるいは民間資本の均衡がとれるとか、あるいは低生産性部門のものが肩を並べて生産性を向上していくというような施策が進められるとか、そういうような均衡ということ、この二つを内容といたしておるわけでありますが、財政金融政策を進めるにあたりましては、その二つの点、一番大きな問題は、やっぱり景気がなだらかに進行していくということ、それからもう一つは、国際収支、物価、この辺に十分な配意をしていくということが基本的な考え方ではあるまいか、さように考えます。
#241
○戸田菊雄君 きょうの午前中に大蔵大臣に税制問題を中心に質問いたしたのでありますが、そういう中において、大蔵大臣は、今後、間接税の増徴体制、いわばこのウェートを若干引き上げたいと、直間比率においてそういう答弁をなされました。こういうことを聞きますと、私は、間接税の率の引き上げというものは、即増税につながるのではないか、そういう政策だというふうに理解をしたわけです。したがって、付加価値税の導入と物価の関係、あるいは付加価値税と直間比率の関係、こういう点から付加価値税の導入を必要としているというのではなくて、あくまでもそれは歳出の面から間接税による増徴というものを必要とする要因が出てきているのではないか、こういうふうに考えるのでありまするけれども、この辺に対する見解はどうでしょう。
#242
○国務大臣(福田赳夫君) 午前中もお答えいたしたのでありますが、私は、直間比率の改正ということを言い、また、間接税で適当な税制は考えられないかということを申しておりますのは、これは増税じゃないんです。問題は、所得税負担について皆さんからいろいろな問題が提起される。戸田さんなんかからは、ことし直ちに免税点を百三十万円まで持っていけと言う。共産党は、百四十万円まで持っていけと言う。そういうような御議論がある。私もそれをぜひそういうように持っていきたいと思うんです。しかし、それを持っていくためには、財源が必要じゃないか。これから財源を求めるとすれば、また所得税に求めれば、これはまた、何というか、所得税の増税で、ねらうところを失うわけでございますが、そうじゃない。いま、とにかく、直間比率というのが、六六%直接税というところまで行っておりますので、間接税にこれを幾ぶんかを求めるというような考え方はとれないかということを申し上げておるのです。例の付加価値税につきましても、まだ検討はいたしておりませんけれども、EEC諸国がこれを採用し、また、英米におきましてもこれの検討を始めようとしておる。そういう段階でありますので、わが国においてもこれを検討してみたいというふうに考えておりますが、これは、あくまでも、直接税、特に所得税の大減税を行なうためにはそれしか方法がない、こういうふうに考えるからであります。
#243
○戸田菊雄君 私は、歳出面から見ていま増税というものを要請しているんじゃないかというふうに考える。それは、第一は、いま木村委員からも指摘がありましたけれども、第四次防衛計画で五兆八千億円という膨大な歳出を必要としているわけですね。四十七年から五カ年間そういう計画を進めるということ。もう一つは、日本の経済がかつての急激な高成長からそのテンポが落ちることはもう避けられないと、こういう状況に来て、財政による産業経済の下ざさえの費用、こういうものが当然増大してくるのではないか。第三は、高度経済成長のひずみが各地に発生をしまして、結局、早急に過疎・過密、こういう対策が必要になってきている。あるいは公害、低生活者に対する生活基盤の整備、あるいは民生行政の低水準等による住民の不満の解決、こういう差し迫った解決施策というものが横たわっておる。同時に、アメリカ等に対する指摘がありましたダンピングの問題ですね。これから輸出優先の荒かせぎというものはどうしてもできなくなってきている、こういう要因が一つはあるんじゃないか。それから四といたしましては、経済成長ないし景気動向が非常に敏感に影響する日本の租税構造、こういうものが、第二で指摘いたしたように、経済成長がきわめてスローテンポに移って、今後大きな税収の伸びというものが期待できない、こういう面があるのではないか。さらに、財政面から見て、いま財政体質は増税を要求する、そういう政府の言う、ことばをかえて言うなら高福祉・高負担でありましょうね、こういうものが差し迫って必要になってきている。さらには、歳入構造の面から見ても、所得税の増徴、これは壁にぶち当たって、各般の国民からえらい反発、たとえばサラリーマン減税というようなことがあって、あるいは農村からの労働力の流出困難、また資源の確保の困難、各般の困難がいま周囲を取り巻くような状況になっておる。
 こういうところから、どうしても歳出面から増税の要請というものは必然的に出てきているのではないか。そういうところにいま間接税増徴の方向なり、あるいは付加価値税導入の意向なり、こういうものがのしかかってきていると思うのですが、その辺の見解はいかがですか。
#244
○国務大臣(福田赳夫君) 今後のわが国の社会情勢を考えてみますと、社会資本の充実、これはどうしても避け得られない、また、これはしなければならぬ、こういうふうに思うのです。それからもう一つは、社会保障です。これも進めていく必要がある。まあその他もろもろのことを考えまして、刻下の需要はだんだんふえていくのであって、減るというようなことは絶対にあり得ないと、こういうふうに思うのですが、そうすると、どうしてもそれに対する財源対策というものを考えなきゃならぬ。そういうことを考えてみますると、今後数年間の間において、今日一九%という国民の負担比率、これは、ある程度、まあ二、三%ぐらいじゃないかと思いますが、その程度ふえるということはこれはやむを得ないと思います。ですから、それだけの財源はととのえなきゃならぬわけでありまするが、その間においてどういう税制をとっていくかというと、今日はどうしても直接税に偏重していると思う。六六%が直接税だ。しかも、これを放置しますと、この六六が、六六じゃない、これがやがては七〇%にも、それをまたこえるというような状態になるかもしらぬ。そうすると、その負担感というものがすみずみにみなぎるというような状態になってきはしないか。それは私はよくないと思うのです。そこで、そういうような国の財政の伸展する過程においてどうしても税制改正をやりたい。これは直間比率の改訂である。また、それを実体的に言うと、所得税の減税である。それを補う意味において何らかの間接税というものを考えなきゃならぬ、そういうふうに考えているわけであります。いま防衛費の話がありましたが、防衛費が国の財政の膨張の趨勢をこえて拡大されるというようなことは、私ども考えておりませんでございますから、この点は御安心願いたいと思います。
#245
○戸田菊雄君 まあ、大蔵大臣は、増税とか、あるいはいま申し上げたような背景については、百も承知しているのだと思うんですね。だから、直間比率の改善によって増税が避けられるとか、あるいは所得税が大幅に減税になるなんというようなこと、国民は決して考えていない。そういう意味では、大臣の指摘される答弁というものは、非常に国民をまどわすものではないか、こういうふうに考えるわけです。直間比率を引き上げるということは、そのものずばり私は増税につながっていくのじゃないかと思うのですが、それは前にも答弁を聞きましたから、答弁はけっこうです。
 時間もありませんから、最後に、総理にお伺いをするのでありますが、金融関係で第一銀行と勧銀が合併をいたしました。政府は心からこれを歓迎するという言明をなしているわけです。金融機関の合併について、今後どのようにお考えになるのか、この辺の見解をお聞かせ願いたい。
#246
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、合併大賛成でございます。これが成功するように、そうして良質な金融機関であるようにと、かように願っております。おそらく、第一と勧銀の合併は、そういう結果をもたらすのじゃないかと、かように思っております。
#247
○戸田菊雄君 大蔵大臣にお伺いをするんですが、合併を進める場合に、今回のように都市銀行同士の合併、そのほかに考えられるのは、都市銀行と相互銀行、あるいは地方銀行の合併、あるいは都市銀行と長期資金確保のための金融機関である興銀とか長銀とか不動産銀行との合併、あるいは市中銀行と信託銀行との合併、こういう異種金融機関同士の合併ということも考えられる。どういうケースでいくことが政府としては一番望ましいと思っておられるのか、これについて。
#248
○国務大臣(福田赳夫君) 国際化時代でありますので、やはり金融機関の数はもう少し少数精鋭であったほうがいいと、こういうふうに思うわけであります。これが寡占化というようなことになると、これは困る。困るが、それに至らざる程度において少数精鋭ということがぜひ好ましい姿であると、こういうふうに考えますが、そういう目的を達するために、これが、同種でありましょうが、異種の間において行なわれましょうが、それは私は問うところではない、こういうふうに考えます。ただ、合併の結果、中小企業に対する金融が阻害されるとか、そういうようなことになることはこれは絶対に避けなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
#249
○戸田菊雄君 二つほどさらにお伺いをしたいのですが、金融機関の合併による効率化の考え方ですね。確かに、第一銀行と勧銀の合併、こういうものは重複店舗が整理される、あるいは新しい店舗が開設できる、こういった効率部面の効果はあると思うのです。しかし、融資を受けるほうですね。これは、多くは、産業資本なり企業側が、資金量がふえて融資が受けやすいのは、合併をやったメリットとして当然私は出てくると思う。しかし、金融機関の合併によって効率化という場合には、一番大事なのは預金者にどういう影響を与えるかということが一つあると思う。この辺に対してどうお考えになるのかが第一点。第二の問題としては、さきに質問いたしましたように、異種金融の合併を進めようということになりますと、たとえば地方銀行でありますと、地場産業や地域住民への融資、こういう面に金が回りにくくなるのではないか、こういう心配があるわけです。こういう部面の困難をどう一体克服していくおつもりか。この二点について金融関係はお聞かせを願いたい。
 それから最後に――一ぺんにやっちまいます、時間がありませんから。総理に、いろいろこまかいことはありますけれども、きょうは農林大臣もおりませんから、いままで自民党がせってきた基本農政、あるいは総合農政、あるいは農産物の長期見通し政策、最近は昨年の十二月十二日に農産物の地域分担指標、こういうものをいろいろ発表してやってまいりましたけれども、これは一貫して農民のごまかし政策に終わっておる。ことに、いままで、基本農政でいう百万戸自立農家、あるいは農工間の格差解消、こういうものは全然できていない。だから、そういう意味では、基本農政というものは全く死んでしまったのじゃないか。葬式に追いやってそのままになっている、こういう考え方を持つのでありますが、この件の大綱方針について総理の見解を承って、終わります。
#250
○国務大臣(福田赳夫君) 金融機関の合併の結果、預金者にどういう影響があるか、こういうお話でございますが、これは何らの変化はございませんです。変化があるといえば、銀行が堅実になって、そして安心してお預けできる、こういうような状態になると、こういうことかと思います。つまり、合併になりますると、重複店舗、一地域に重複した店舗ができるというような場合があると思うんですが、そういう際には、できるだけ重複する店舗はその重複分を整理いたしまして他の地域へ回すと、こういうふうにいたしたい。そうすると、国全体とすると、なかなか効率的な店舗配置網ということになるだろうと、こういうふうに思いまして、その点からも預金者には利便がある、こういうふうに考えます。
 それから異種金融機関が合併をする、そういう際におきまして、特に地方銀行だ、あるいは相互銀行と都市銀行が合併をするという際におきましては、よほど気をつけませんと、ただいま戸田さんの御指摘のような事態が起こり得るんです。ですから、これは行政指導上どうしてもそういうことがないように十分手配をいたしまして合併を認める、そういうふうにいたしたいと、十分配意をいたしております。
#251
○国務大臣(佐藤榮作君) いま大蔵大臣がお答えしたので、これはもうはっきりしたと思いますが、私も、戸田君と同じように、異種銀行というか金融機関が特殊なものを目標にしての金融機関である場合の合併、そういうものの場合に、合併の結果特質を失う、あるいは地場産業に金融がおろそかになって中央に集中されるとか、中小企業向けのものが考えられないとか、こういうようなことになっては困ると思います。したがって、合併の際に特に注意すべきはそういう点ではないだろうか。これだけは心して合併を進める。数のいかんよりも、これはその存立の目的、生命とするものですから、それは大事にしなきゃいかぬ、この点はつけ加えて申し上げておきます。
 それからまさかこの委員会で農政の基本についてお尋ねがあろうとは思いませんでした。(笑声)私は私なりに当面する問題として農政は最も力を入れなきゃならない問題でございますから、一応お尋ねがありましたのでお答えをいたします。
 もちろん、いま考えておりますところのものは、農業基本法をはみ出るような考え方はございません。しかし、農業基本法が制定されたときと今日とでは、やはり農業のあり方がだいぶ変わってきている、かように思っております。農業基本法のねらいは、何といっても、生産性の向上、近代化の農業をつくること。同時に、また、国民食生活に安心を与えるというのが目標だったろうと思います。その需給の関係が絶えず変化を来たしておりますから、それをやっぱりそのつど調整をしていく必要があるのではないかと、かように思います。米はあり余る、残っておるが、食糧全体から見ればどうも自給度は八〇%になかなかならない、こういうような状態では、近代農業が育成されたとは言えないんじゃないか、かように私は思いますので、この自給度をもっと高める方法――ねらっているのがそう高いところをいきなりねらうわけでもないけれども、まず八〇%程度は自給度を引き上げるべきだ、かように実は考えております。われわれの食生活も変わってまいりましたし、ことに、飼料となりますと、これまた、回っては畜産、それが食糧確保の道につながるものだと、かように思いますから、飼料をも含めてどういうような供給体制になるか。それには、やはり近代的農業というものが起こらなければ、どうも需要にこたえない、かように私思いますので、この辺はまた他の機会におきましてとくと説明する時間を与えていただきたいと思います。いま感じたことは、そういうような点であります。ただいまの状態でいろいろの問題のあることは、御指摘になったとおりであります。要は、もっと生産性の高い近代農業、それと取り組む、かように思います。
#252
○鈴木一弘君 最初に、所得税の課税最低限度について若干伺いたいのですが、今回の改正案によれば、初年度で百十三万一千円ということに夫婦子供三人の標準世帯ではなってきますけれども、その場合、いままでの答弁では、ほとんどが国際比較で来まして、外国に比べてフランスに次いで課税最低限の水準があると、こういうような答弁に終始してきている。昨年のことだと思いますが、この委員会で話があったときにはそれだけで比較をすべきではないだろう、たとえば、社会保障費とか、あるいは住宅問題であるとか、そういうことから見ていかなきゃいけないのではないか、そういう全体を入れて検討をするのが当然ではないかということで、それに対して今回は十分検討いたしますという答弁があった。ところが、その辺の考慮が答弁のいままでの中ではほとんど見られないわけなんです。最近特にNNWといわれて国民純福祉ということばが出てきているよう、でありますけれども、私は所得税の課税最低限度をきめるには、物価の上昇であるとか、社会保障給付費の国民所得に対するパーセンテージであるとか、こういうものから見てきめるという一つの面を持つべきではないか、こういうように思うわけですが、その点、総理はどうお考えになっておられますか。
#253
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、大蔵大臣からたびたびお答えしたことだと思います。とにかく、課税最低限をだんだん引き上げてきまして、百万円が実施されると、もっと引き上げて百三十万にしろ、おそらく百三十万になれば百五十万にしろと、こういう議論に発展するだろうと思います。私は、また別な見方をしなきゃならぬのじゃないか。と申しますのは、所得がだんだんふえると、所得のふえ方によってやっぱり課税率を負担と感じない場合もあるのじゃないか、かようにも思うのです。百万円でとどまっていて、それに一割かけて、残りは九十万。二百万の所得で一割かけて百八十万ですか。ところが、その二百万の場合に、今度は二割かけてもやっぱり百六十万と、そういうことになりますから、所得のほうと比べてみないと、一がいに残りが一体幾らあるかと、こういうところに問題があるのじゃないか。したがって、いま国際的あるいは社会的にどの程度ならば最低限一応満足ができるか、こういうものがあってしかるべきである。やっぱり、所得をふやして、そうして、場合によれば、税金も出してもあまり苦しくない、税率は高いけれど手取りはうんと残ると、こういうことになると、お互いもまあ喜んで税が払えると、こういうような状態になるのじゃないだろうか、それが高負担・高福祉につながるのじゃないかと、かように私は思います。
 したがって、ただいま、所得がいまのままでも何とかできないだろうかといって努力しているのが政府自体の姿でもあります。もっと安くする方法はないか、何か支出を切り詰める方法はないか、むだな使い方はしなくても済むような方法はないか、こういうことを絶えず考えてこの問題と取り組まなきゃならない、かように私は思っております。
#254
○鈴木一弘君 たとえば、住宅問題等を見ても、私の持っている資料は古いんですけれども、三十八年のしかないんですけれども、日本では、その当時四百何十万戸足らなかった。アメリカでは足らない不足数というものはなし。フランスでは、一九六二年で、百八十三万戸である。イギリスは五十万戸ぐらい足らない。そういうような条件を見ますというと、若干の住宅貯蓄控除というようなものではなくて、やはり課税最低限そのものを大きく引き上げるということが一番大事じゃないか。そうして、アメリカのような、いま総理がおっしゃった、高所得になって高い税率をかけても収入がふえればいいではないか、喜ぶであろう、こういう話があったわけであります。それも一面の理だと思いますが、住宅も不足している、社会保障費についても外国の三分の一という国民所得に対してのパーセンテージしかない、こういうことになりますと、そういう点も計数的に出せるものなら出して考慮をするべきではないか、そうして一つの算定というものをつくるのがほんとうじゃないかということを申し上げたわけですが、特に、最近いわれているGNPのかわりにこれからはNNWであるといわれておりますから、そういうものを基準にした所得税の課税最低限度というものの考え方は出ないものだろうかということ、その点、くどいようですが、もう一度お尋ねしたい。
#255
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの経済発展の途上だと、われわれの予測しないような事態が起こるのではないかと思っております。たしか、池田内閣時分に、第一次住宅政策、これをやれば住宅は必ず不足が解消すると、かように申しました。しかし、その後の過密、都市集中、これはたいへんな急激な状態なんです。そうすると、やっぱり住宅が足らないということになる。これはもう変化の途中だということである程度しんぼうしていただかないと、たいへん不足がちである。これを何とかまかなうように対応していこうとしておるわけでありますが、それが住宅ばかりじゃない、道路の問題もあるし、そのほかすべてのものが全部関係してくるものですから、過密問題、この急激な都市構造の変化、そこらにいま言われるような不足な状態が出てくる。これが、一面からいえば、うれしい悲鳴とでも申しましょうか、経済が発展するんだから、苦しいながらもそこに一つの――苦しみながら成長しているという、そういう姿をまざまざ見ていると、こういうように私は思います。したがって、ただいまの税そのものがずいぶん負担も高くなってはいます。しかし、ただいま言われるような点で、社会資本の充実には相当いままで予想しないような金額がつぎ込まれている。この辺も御了承をいただきたいと思います。
#256
○鈴木一弘君 交際費の問題でちょっと伺っておきたいんですが、四十五年度の企業交際費の名で使われた金額の合計は九千百五十五億円というように国税庁で発表しているわけでありますが、はっきり申し上げて、政府の公害予算の十倍程度というよな交際費が使われている。それについて、先ほど、大蔵大臣は、来年度の交際費課税については検討を強く約束していただきましたので、納得はしたんですが、この交際費について、企業経営者の大部分でさえも交際費を改善する必要があるということを言っている。やはり、税制の表だけではなくて、交際費そのものというものを、きちちっと、こうこうこういうようなものを交際費にするべきではないか。それ以上の余分なものというか、そういう過大なる贈りものであるとか、過大なるリベートであるとか、いろいろなものがあると思いますが、そういうものについては、一つの法だけではなくて、モラルも必要だろう。そういう点で、交際費の課税について改善をしていくと同時に、そういう動きについて、これは非常に大事なことだと思いますので、総理にちょっとお伺いしたいと思います。
#257
○国務大臣(福田赳夫君) 近ごろ交際も派手になりまして、ばく大な交際費が、個人といわず、法人といわず、かかる。こういう風潮はいかがかというふうには思います。思いますが、これを法的に規制をする、これはまたむずかしい問題になってくるんじゃあるまいか、そういうふうに思います。私どもは、せめて法人の社用消費的な交際費、これをなくしていきたいと、こういうので税制上の措置をとっておる、また、今後も検討しますということを申し上げたわけでございます。税でなくて、ほかの方法でこれを調整するということは、これはなかなか難問題だと思いますが、何か名案でもありましたならば、承りまして勉強してみたいと、かように考えます。
#258
○鈴木一弘君 税目の中でいわゆる交際費をどう規定していくかということが非常に大事だということでお伺いをしたわけですから、当然、それと一緒に、総理のほうから、一国を引っぱっていくのでありますから、そういうようなモラルというものをつくるようにしてもらわなければならないい、こういうことを私は申し上げたわけですが、その点はよろしゅうございますか。
#259
○国務大臣(福田赳夫君) お話しのような配意で、ただいまの制度、仕組みというものができておるわけなんです。しかし、それを非常に具体的にこまかにいたしまして、さあ幾らをこえる贈りものをしたならば幾らの税をかけると、こういうところはとても税ではやり切れないと、こういうことを申し上げておるわけであります。ひとつ、名案でもありましたならば、承りまして勉強さしていただきますと、かように存ずる次第であります。
#260
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの鈴木君の言われるとおり、私は、どうも、最近の世相は、どことなしに相当享楽的なものを持っていると、こういうような世風があると、かように思います。
 私は、そういうものが、税制その他でも、いまの交際費等がもう少し厳格にやられれば押えになるかと思いますが、やっぱり十分でない、こういうようなところから、使いやすいし、そういう金の方向へ行く。よく聞くことですが、どうも金を残してりっぱな事業をやっても、みんなごっそり税金に取られる、それはつまらないから、交際費で使う、そのほうが社員としても喜ぶというような話も耳にしないわけではありません。そういうことがやっぱり指摘されるんじゃないか。やはりもっときちんとした方向でないと、いま私が申したように、これは全部が全部そうだとは申しません。しかし、ときにそういう者もあるのじゃないだろうか、かように思うと、最近の秩序の乱れ、そういうようなものにもつながると、かように思いますので、交際費の使い方というものは、ある程度経営者自身もその適正化というものを考えていただく。それが、税の方法であろうが、何であろうが、やっぱり適当な方法を講じていただくことが何よりも必要じゃないか。まあ経費として落とされる、そういう安易さで交際費を使われるということは、これはほうってはおけない問題だと、かように私も思います。ただいまのお話は、そういう意味かと思います。そういう意味には私も賛成です。
#261
○鈴木一弘君 ちょっと税とははずれますが、前回ここで審議をしました海外経済の問題でありますが、例の尖閣列島の石油開発の問題、これが総理も十分御存じだと思いますが、日本から行った調査団も、実に有望な油田であるということをはっきりと政府への答えを出しているだろうと思うのです。これについて、総理も御承知のように、一本掘るのに二十億かかるというような巨額な金額がかかるわけでありますけれども、そのうち二十本のうち一本ぐらいが当たるのであると、こういうのが常識だそうであります。そうなりますと、民間では無理ではないか。先日も、例のスマトラからは引き揚げてこなければならない、あとをガルフ石油にまかせるというようなふうにもなってきております。海外からの資源の確保ということも非常に大事でありますけれども、わが国の領域内にある資源の確保ということは、これは最大の問題だと思うのです。しかも、世界一といわれているような推定量があるとすれば、これは一般会計からは無理かもしれませんけれども、本格的に力を入れなきゃならない。いろいろ大陸だなの問題そのほかで、大陸側の大陸だなが入っていますからむずかしい点があるかもしれませんけれども、これは沖繩が返還されたときに早々に手を打たないことには、取り返しのつかない事態が出てくるのではないか、こういうふうにも考えられる。それだけに、総理の相当大きい決断が私は必要だと思うのです。一つは投資の面、一つはそこの領有の問題について、この二つのことについてお伺いをしたいと思います。
#262
○国務大臣(佐藤榮作君) 鈴木君にお答えいたしますが、尖閣列島、これ自身は沖繩の一部と、そういうことはたいへんはっきりしている。ただ、それにつながる海底油田、大陸だな、その問題になりますと、簡単にわが国だけで主張もできない。やっぱり関係国同士で話し合う必要があると、これがいままでの考え方であります。これは、関係国というのがどういうことになりますか、尖閣列島のことなら、台湾と話をすればいいのか、さらに北京政府もこのごろは領有権をはっきり発言している、そういう状態だし、あるいは韓国の場合についても、そのつながり方によってはやはり韓国とも話し合わなきゃならない。こういうような、大陸だな条約、そういうものからも行動を羽目をはずさないようにしていかなきゃならぬ問題だと思います。したがって、いま有望だと言われる、確かにそういう話もあります。そうして、おそらくそれが出てくれれば、石油資源に恵まれないわが国としてはたいへんしあわせだ、近海であるだけにですよ。しかし、これには、ただいま申すように、関係国が相当ありますので、そこらにも話をよくつけて、対話の状態で問題の開発、そういうものと取り組まなきゃならぬと、かように思っておる次第であります。これは、ただいま、外務省でも、そういう問題を、やはり大陸だなとしての扱い方をいかにすべきか、こういうことで内々検討はいたしております。
#263
○向井長年君 総理あるいは大蔵大臣、常に野党の諸君は、減税を多くしろ、あるいは社会保障をたくさんやりなさい、いろいろこういうことを主張されるけれども、その財源というものはやはりすべて国民に負担を願わなければならぬと、こういうことを私はよく聞くわけなんです。確かにそのとおりだと思うのです。ところが、現在の財源に対する経費の節減は、これはもちろん当然でございますけれども、もっと財源を求める法があるのではないかと思いますね。それは、特に若干検討されておるようでございますが、今回も租税特別措置法の抜本的改正をまずすべきじゃないかと思うのです。それが一つ。
 それからいま鈴木委員から言われましたように、交際費の課税について、いままでから言うならば野放しになっておりますが、もう一兆に及ぶと、こういうばく大な状態になっておる以上は、一定の価額を超過するとするならばこれは全額課税すると、こういう形に考えて一つの財源を求めるという方法があるのではないか、こう思うわけです。したがって、これは非常に建設的な意見でございますので、これは今後、もうことしは無理ですが、来年度から十分検討されて、租税特別措置法に対する根本的な改正検討を加える、あるいはまた、交際費に対する問題の課税対象をきめていく、こういうことで来年度はやるという見通しというか、決意というか、あるいは検討されるか、その点をお伺いしたいと思います。
#264
○国務大臣(福田赳夫君) 特別措置の整理の問題ですね、これはもうあくまでも特別措置でありますから、常に政策効果というものを検討いたしまして、そしてその存否を調べていかなきゃならぬと、こういうふうに思います。特に交際費について例をあげてのお話でございますが、交際費につきましても、例の基礎控除四百万円問題というようなものがあります。確かに、私は、これは検討問題だと、こういうふうに考えます。今後とも、こういう問題を含めまして、特別措置につきましては十分検討し、使命の終わったものにつきましてはこれを整理していきたいと、かように思います。
#265
○向井長年君 そういう形で検討されて一つの財源を見つけ出してくるならば、いま問題になっているような自動車重量税というようなものを四百億程度取らなくても済むんですよ。こういう新しいやつをひとつ十分検討して、国民が納得するようにしていただきたいと、こう思うわけです。まあ、検討していただくということでけっこうでございます。
 それからただいま租税三法を審議しておりますが、特に扶養控除の問題でございますが、これはもうたびたび本会議の質問なり予算委員会でも触れておりますけれども、あえて私は申し上げますけれども、なるほど若干控除額の増額をいたしましてけっこうでございますが、特に老人に対して――老人と申しますか、扶養家族の中で老人の地位を高めるという立場、あるいはまた、家族のいわゆる環境をよくするという意味、それからまた、同時に、いわゆる敬老の精神を養うという、こういうような立場から、老人扶養というものを、子供並みじゃなくて、少なくとも配偶者あるいは配偶者以上に控除額を増額していいのではないかと、こう思うんですよ。来年度は必ずこれは実現のために御検討をいただきたいと思いますが、いかがですか。
#266
○国務大臣(福田赳夫君) 老人を大事にするという大前提につきましては、私は全面的に賛成でございます。しかし、その大事にする方法ですね、これはまあ社会風潮というか、そういうようなもの、これが基本であろうと思いますが、国においてもそういう風潮を助長したい、また、そういう風潮のあるなしにかかわらず、これは十分の老人対策を講じなきゃならぬ、そういうふうに考えておるわけでございます。老人がだんだんふえてくる、これは大きな社会問題だというふうに観念しておるのですが、これはひとり税だけで解決ということはできない。やっぱり、これは、税よりもっと進んだ国の歳出面においてこれを配慮するということでなければならぬと、こういうふうに思うんです。そこで、ことし、四十六年度の予算でも、老人対策費――千億円ちょっと欠けますが、の巨額のものを投じまして、老人の福祉、これの向上というものに努力しておりますが、御指摘の税の面になりますと、これは、老人控除となりますと、さあ、それじゃ乳幼児控除をどうするとか、いろいろそういう彼此権衡の問題があります。老人だけを取り上げて控除というものを考える、これもなかなか権衡論としてむずかしいと思います。これは、しかし、税だけじゃなくて、いろんな国家施策全体として考えるべき問題でありますので、そういうむずかしい税の問題の適用は別問題といたしまして、老人対策自体につきましては最大の努力をいたしたい、そういう考えであります。
#267
○向井長年君 大蔵大臣、これは意味を取り違えておるんですよ。私は、もちろん、老人を大事にするためにいろんな方策を講じる、けっこうですよ。そうじゃなくて、いまの風潮を見てみなさい。昔は日本にうるわしい家族制度があったはずです。しかし、最近は、自立ということで、若い諸君が老人に対する扶養の義務はあるなしは別として、風潮がやっかいもののような状態になりつつある。そういう状態が出ておるじゃないですか、現に。したがって、いわゆる働く子供さんに、やはり老人を養っているんだと、そのためにはこれだけの控除があるんだというそういう気風を持たすために、そういう問題を配偶者並みぐらいにはすべきではないか。幼児の問題といって、幼児はこれはほんとうに扶養しなければならぬ義務があるんじゃないですか。そういう意味から、ただ税金の問題を私は言うにいたしましても、精神面が家族の環境をよくするではないかと、こういう立場からこの問題を取り上げておるので、まあことしはよろしいわ、もうしょうないから。(笑声)来年度は少なくとも配偶者並みぐらいには上げるという、これくらいの度量はあってもその精神からいいのではないか。これは、総理、どうですか。
#268
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどの大蔵大臣の説に私は賛成なんです。やっぱり、老人は大事にしなければならない、これはどこまでも大事にする。しかし、社会保障制度というものがそういう意味では大きな働きをするものじゃないか。これは、老人、あるいは子供、さらにまた心身障害者等々、やっぱり社会保障の対象になるその一つとしての老人対策、こういうものが考えられてしかるべきじゃないか。どうも、そのほうが本筋で、税で対策を立てるというのはちょっと筋道が違いやしないか。だから、どうも、税で対策を立てる、そうすれば子供と一緒におれると、こういうわけにもいかないと私は思うのです。だから、いま言われる点はわからないではございませんが、やっぱり、必要なことは、それぞれ税で必要なものは税で対策をやるし、また、一般社会保障制度を拡大し充実していく、こういうようなことであってほしい、こういうふうに思います。
#269
○向井長年君 それは検討を願うことを要望いたしまして、それは終わりますが、総理、私が立ちますと、常に同じことを言うじゃないかといわれるかしらぬが、六年間言い続けてきましたが、総理は実現してくれません、まだ。このあいだ大蔵大臣に私はちょっと地方税の関係で質問しましたけれども、昨年予算委員会で前向きで軽減の方向をもって検討しましょう、こういう答弁をいただいて、おそらくや、ことしは若干の軽減がある程度なされるものと、少なくとも……
#270
○国務大臣(佐藤榮作君) 電気ガス税の問題ですね。
#271
○向井長年君 ええ、電気ガス税の問題でございます。私が言わぬでも総理は知っているくらいです。六年間です。そこで、ことしは、免税点の百円の引き上げいたしましたけれども、同じく七%はそのままなんですよ。国民全般の税金、消費税ですから。これはどうしてできないのですか。まあ総理は何か軽減するように示唆したということを私は聞いておるのだが、このあいだも大蔵大臣にこれを質問いたしますと、これほど取りよいいい財源はないから、地方自治は何とか確保したいということを言われておりますが、なるほどそのとおりだと思うんですよ。しかし、これほど悪税はまたないわけなんですから。しかし、自然増収が少なくとも七十億近くあるんですね、全国で。自然増収くらいは軽減してはどうかということをたびたび言うんですが、総理、これは非常に努力されたと思いますけれども、まだ実現しておりません、一%も。またげたを預けるようですが、予算委員会で私は申し上げませんから、来年度は最低一%は軽減の努力すると、これは大蔵大臣もあわせて、自治省の関係ですけれども地方財源の問題がございますから、これを御答弁いただいて、私は質問を終わりたいと思います。
#272
○国務大臣(佐藤榮作君) 地方税と国税とあわせて考えてみると、幾多改正すべき点があると思います。そのうちの一つが、ただいま御提起になりました電気ガス税です。これは前の池田総理の時分からいわれておることで、悪税だといわれておる。同時に、また、住民税という税が、所得税の最低限が上がったにかかわらず、どうも所得税の課税最低限と住民税との課税にやっぱり差がある。ずいぶんおかしな問題があるわけですね。どちらのほうを先に取り組んだほうがいいのか、まあいろいろな問題があろうかと思います。ここらに、その他の問題にも、地方税のほうが独立性を主張する結果かと思いますが、どうもやはり徴税の吏員を使わなきゃならない。人件費だって、ダブっているんだ、こういうよう々こともありますし、どうもここらにも地方・中央を通じてもっと一体化を考えるべきものがあるのじゃないか、必要なんじゃないか、かように私は思います。まあそのうちの一つとしてこの電気ガス税――そう多きをいまのわれわれに期待されても因りますから、いま、一つの電気ガス税、それにしぼってただいまのお話を十分承り、ただ、これは一ぺんにどうこうしろというわけにもいきませんから、ある程度まで引き下げるところを一つの目標にして、それに順次近づいていくとか、逐年そういうような形で下げるとか、これはやっぱりやらざるを得ないのじゃないか、かように私は思っております。
 そういう意味でいろいろ大蔵当局にも意見を述べたのですが、どうも、予算をつくるほうから申すと、なかなか問題があるようです。ことに、大蔵当局というよりも、自治省の関係になりますと、一番頼りにしている税源だと、こういうような意味でたいへんな抵抗がある。今日百円だけにいたしましても、取り扱い者としては非常な進歩改善を見たように思いますけれども、首を振られるようにお気には召さなかったと思いますが、この上とも努力することにいたしますから……
#273
○向井長年君 時間がないからやめますけれども、自然増収が多いんだから、自然増収ぐらい減税をしろと……。
#274
○国務大臣(佐藤榮作君) 御鞭撻のほうをお願いいたします。
 そうして、いま自然増収が多いと言われるけれども、やはり地方財源は非常に貧弱だというのが皆さん一般の通説のようであります。私は、どうもその説には賛成しかねる。むしろ、いま向井君のいわれるように、自然増収分だけでも下げろ、そのほうに理論的には賛成をいたしますけれども、地方税収のほうを扱っておるほうから見れば、地方でやるべき仕事がうんとある、財源が不足だと、こういうほうもどうもなかなか強いので、だから、耳をかさないわけにもいかない。こういう実情ですから、そこらのところを政府は勘案しながら適切な処置をとるということで御了承いただきたいと思います。
#275
○渡辺武君 総理大臣に二つの点について伺いたいと思いますが、質問に先立ちまして、一つ伺いたいと思っております。
 現在、いろいろな請願が国会に寄せられております。この請願が衆参両院で採択すべきことを議決されて、そうして内閣に送付されたときは、この請願の内容に対して国会が賛成の意思を表明したのだというふうに理解すべきものだと思いますけれども、どうでしょうか。
#276
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの、請願があって、それを政府に取り次いだときには……
#277
○渡辺武君 両院で採択を議決して政府に……
#278
○国務大臣(佐藤榮作君) 両院がそれを賛成されたと、その請願を直ちにそういうような採択されたと、そういうものじゃないのじゃないでしょうか。請願のあったという事実自身を確認したと、こういうものじゃないでしょうか。
#279
○渡辺武君 請願の中にも、採択されないものもあれば、採択されるものもあるわけですよ。それが両院でその採択を議決したと。そうして政府に送付した。ですから、その請願の内容について国会が賛成の意思を表明したというふうに当然理解すべきだと思うのです。どうでしょうか。
#280
○国務大臣(佐藤榮作君) 少し論理の飛躍はないでしょうか、ちょっと私はそういうように思います。こういうものがあったと、だからこれは政府に取り次ぐと、こういうふうな両院が政府に取り次ぐ決議をしたんだと、かように思いますがね。いかがでしょう。
#281
○渡辺武君 時間がないのであまり総理とやりとりできないので残念ですが、私は、やはり、数ある請願の中で、両院が、自由民主党も含めて、その採択を議決した。これは議決ですから、ただ単なる決議と違うと思うのです。これは当然国会の意思として尊重すべきものだ。その請願の内容について賛意を表したというふうに尊重すべきだと思うのですね。
 ところで、本題に入りますけれども、「音楽、舞踊、演劇、映画等の入場税撤廃に関する請願」というのが、昭和四十三年の六月三日に五十八国会の衆参両院の本会議で全会一致で採択を議決されて政府に送付されました。ところが、御承知のように、去る二十四日成立した入場税法の一部改正法は、入場税の撤廃とはほど遠い内容になっております。総理も御存じのとおり、入場税は、昭和十四年に戦時税としてつくられたものでありまして、これがいまだに残っているということは、すでにこういう入場税を撤廃した諸外国に対してもまことに恥ずかしいことじゃないかというふうに思います。大蔵省のほうは、入場税を物品税やその他のサービス税とのバランスを保つために撤廃しないんだという趣旨の答弁をしておりますけれども、このようなバランス論自体が、芸術の鑑賞をぜいたく視する、あるいは敵視して、バーやキャバレーでの遊興と同一視した戦争中のいわば総力戦思想ですね、それがあってはじめて成立したものだと思うのです。いまの大蔵省の立場は、それと同じ立場に立っているというふうに当然見られなければなりません。総理は、やはり両院の意思を尊重されて、そうして戦争税である音楽、舞踊、演劇、映画等への入場税をすみやかに撤廃すべきだというふうに思いますけれども、どのようにお考えですか。
#282
○国務大臣(佐藤榮作君) 最初の質問は、やっぱりこの入場税に関係があったんですね。(笑声)私、失礼なことを言うようですけれども、最初の、まあ請願を政府に送り込んだということを言ったんですが、これはそのまま答えたんで、入場税についての請願があったことは私もよく知っております。そうして、今回免税点を変えたというのは幾ぶんかそういう実情も考えたのかと思いますが、いまの三十円から百円にしたというこの状態を見ますと、五百円以下の入場税というようなものがどうなのか。最近の状態から見ると、どうも実情に合わないのじゃないだろうか、かように思いますが、ただ、どうも、百円程度では納得がいかないと、こういうことなら御議論もあろうかと思います。もっと上げて実情に合うように三百円ぐらいにすればよかったのかもわからない、かように思いますが、それはどうも全然税をなくするというほうには私はちょっと賛成いたしかねますけれども、ただいま改正したばかりですから、これをすぐどうこう取り上げると、こういうことでなしに、これは大蔵省で十分検討するということにしたいと思います。御了承願います。
#283
○渡辺武君 それでは、もう一つ伺いますけれども、総理は、高福祉社会を目ざすということをたびたび言っておられるわけですね。ところが、現在、わが国には、所得税も納めることができないというような低所得層というのが非常にたくさんあります。就業人口で見ますと、就業人口約五千万人の中で、その四割、二千万人が所得税も納められない低所得者だというふうになっております。こういう人たちに税金をかけるということは、好ましいことでしょうか、好ましくないことでしょうか。
#284
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの、所得税はかからない一まあ先ほどもちょっと向井君にお答えしたように、住民税と相違があると、そういうことで、ある程度やっぱり国民として費用負担というか、そういうものがあったと考えなきゃならないのじゃないか、かように思いますが、どういうことになりますか。さっきのようにちょっと伏線があると困るから、(笑声)打ち明けてお尋ねを願います。
#285
○渡辺武君 これは、国民としては理の当然のことを伺っているわけで、総理、そうびくびくすることは少しも必要でないんですよ。
 付加価値税制の問題ですけれども、福田大蔵大臣は、この付加価値税制を導入することを検討するということを言明していることは、御存じのとおりだと思います。同時に、大蔵大臣が、これを採用すると物価を上げるという趣旨のことを言っておりますように、物価に織り込まれる。そうして、所得税も納めることのできないような低所得者層がこれを負担する。いまの例で言えば、就業人口の四割くらいがそういう人たちですから、これで大増徴――増徴というか増収があるんだと大蔵大臣は言っていますが、その大増収の四割はこういう人たちが負担するということになるんです。いいですか。そこで、もう一方のほうを見ますと、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、日本の大企業、これに対しては租税特別措置その他で特別な税の減免が行なわれている。それからまた、法人税の税率が諸外国に比べて低いことも、これは総理自身御存じだと思うのですね。で、推算によりますと、この四十六年度で、大法人、それからまた大きな資産家、これらに対する租税特別措置その他による税の特別な減免は国税だけで約二兆円ぐらいだろうという計算があります。それで、総理が高福祉・高負担ということを言われ、あるいは高福祉社会を目ざすというふうに言われるならば、担税力のあるこれら大企業やそれからまた大きな資産家、これらに対する特別な税の減免はやめて、正当に取り立てる。負担力のある人に負担をさせて、そうして、負担力のない、所得税も納めることもできないような人たちにいろいろな施策を講ずるということこそが、最も合理的な、国民として当然の考えだというふうに思います。したがって、こういう施策をおとりになるかどうか。付加価値税制はこれと全く逆行するものだけれども、この採用は思いとどまるというように大蔵大臣に言ってほしいと思う。
#286
○国務大臣(佐藤榮作君) 話の筋がどこにあるのか、だんだんわかりました。とにかく、所得税は納めていないけれども、たばこはのんでおる、お酒も飲む、いつの間にか税は払っておった、こういうものも払わないようにしろとおっしゃるのかと思って実はびくびくしていたんですが、たばこや酒はあまりおっしゃらない。ただ、いま言われるように、もう少し取り方が変わっていいんじゃないか、こういうようなお話ですけれども、どうも、付加価値税というものの問題になってくると、これは物価を高くする、そういうこともいわれるんですが、総需要をやっぱり押えるだけの資格はある、それだけのものはあるんだと、こういうような議論もございます。したがって、付加価値税の創設、これに踏み切るわけじゃありませんが、その辺はよく心得ている大蔵大臣ですから、慎重には考えますといま私が立ち上がる前に申しておりましたので、間違いなく慎重に扱うことだと思っております。いま言われるように、税を納めない、所得税を納めないといっても、先ほどは住民税という話をしましたが、これも住民税と所得税の最低課税限は一緒にすべきだと、かように私は思っておりますが、しかし、同時に、物の消費、たとえばたばこや酒というものになると、価格の中にこれはもうほんとうに織り込まれておる。そうして、それを消費されるその際に、わからないうちに税を払っておられる。これがやっぱり国民として当然のことではないかなと。しかし、その範囲をどこまで拡大できるのか、そういう点をよほど慎重にやらないと、これは意外な問題を引き起こすのじゃないか、かように私は思います。だから、ここはあまりこまかな理屈にとらわれないで、大きく見ていただいてぜひよろしく御理解のほどをお願いいたします。
#287
○委員長(柴田栄君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#288
○委員長(柴田栄君) 速記を起こして。
    ―――――――――――――
#289
○委員長(柴田栄君) この際、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案が本委員会に付託されましたので、これを五法案にあわせて議題といたします。
 まず、衆議院内閣委員長代理理事伊能繁次郎君から趣旨説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理理事伊能繁次郎君。
#290
○衆議院議員(伊能繁次郎君) ただいま議題となりました引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律は、長年の懸案であった在外財産問題の最終的解決をはかるため、引揚者、その遺族及び引揚前死亡者の遺族に対して、特別の措置として特別交付金を支給する趣旨により昭和四十二年に制定されたものであります。
 この特別交付金は、制定当時、原則として昭和四十五年三月三十一日まで請求しなかった者に対しては支給しないこととなっていたのでありまするが、その請求状況等にかんがみ、御承知のように、昨年その請求の期限を一年延長して、本年三月三十一日までと改めたのであります。
 すでに大部分の方々はその請求手続を終了されているのでありまするが、戦後二十五年余を経過しておりますため、請求に必要な資料の収集などの理由により、いまだなお請求されない方々もあるように見受けられます。
 そこで、この法律制定の趣旨からして、一人でも多くの方々がその利益に均霑できるようにその請求の期限をさらに一年延長し、昭和四十七年三月三十一日までとするとともに、引揚者の引き揚げの日または死亡者の死亡の事実が判明した日が昭和四十三年四月二日以後である場合におけるその請求の期限についても一年延長して、それぞれそれらの日から起算して四年を経過する日に改めようとするものであります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますよう、お願い申し上げます。
#291
○委員長(柴田栄君) それでは、六法案について質疑のある方は、順次御発言を願います。
  〔委員長退席、理事大竹平八郎君着席〕
#292
○戸田菊雄君 特恵関税についてきのう実は通産省の見解を聞いたのでありますが、資料として説明がありましたので、きのうの内容について質問しておきたいと思います。
 中小企業の近代化のための、ことに特恵関税にかかわる諸問題について若干質問しておきたいと思うのでありますが、中小企業近代化のための措置として通産省からいろいろ出ておるわけでありますが、この該当事業数は、通産省でもいまのところ正確な数字を掌握しかねる状況でありますが、私の調査によりますと、おおむね、輸入面では、綿織物、女子用外衣、男子用外衣、男子用下着、こういった各般の、ことに綿織業にこういう影響が相当出ておるわけであります。あるいはまた、輸出面では、おおむね十四業種ぐらいに影響が及ぶ、こういうことになるのであります。したがって、影響を受ける業種といたしましては七万五千ぐらい出るだろう。従業員の数にしますると、八十九万九千、約九十万人に近い、こういう状態になっておるのでありますから、こういう面に対する保護政策というものは、非常に重要視しなければいけないと思います。
 そこで、主として保護政策の金の面でありまするけれども、金の面の金利体制が、この資料によりますと、工場団地の場合は二厘七毛ぐらいいっておるようであります。共同工場の場合には、大体二十人以下でありますけれども、これは無利子になっておるですね。ですから、こういう金利体制で、工場団地以下のものについては、無利子体制までいかないものかどうか、この辺を大蔵大臣に一ぺんお伺いしておきたい。
 それから税制面におきましては、割り増し償却制度、これは大体構造改善については二分の一、一般近代化については三分の一ということになっております。さらに、この構造改善準備に、売り上げ高の千分の十五ないし千分の二十五、こういうことになっておるのでありますが、こういう税制上の優遇措置が一応なされていますが、この割合をもう少し引き上げることができないのか、この点が第二であります。
 それから転換に対する助成措置でありますけれども、これは事業規模によっていろいろ違うのでありますが、大体十億程度しかいっておらない。
  〔理事大竹平八郎君退席、委員長着席〕
もちろん、足らないときには、前段の、設備近代化資金制度、あるいは設備貸与制度、設備近代化の推進、各般の予算項目の中からおそらく取りくずしてくるだろうと思いますが、そういう面についてはどうなっているのか。
 以上三点についてお伺いをしておきたい。
#293
○説明員(室谷文司君) 担当の計画部長が追って参りますので、私からお答え申し上げるのは十分にお答えできないかと思いますが、第一点の、無利子にすべきではないかということでございますけれども、特恵対策といたしまして、特に高度化資金の場合に、事業団から融資されるものにつきましては二分七厘ということで、一般の設備資金を市中銀行等から借りる場合の、まあ私は的確には覚えておりませんが、約一割ぐらいの利子負担に比べますと、大幅に低減をされているという点を御理解願いたいと思います。
 第二点は、割り増し償却のことであったかと思いますが……
#294
○政府委員(細見卓君) 割り増し償却の問題、税の問題でございますので、私のほうでお答え申し上げます。
 中小企業の機械等の割り増し償却が、いま御指摘がございましたように、三分の一割り増し償却になっておるわけでありますが、これはかなり優遇された制度であって、これによりまして一般的な企業の近代化をはかりまして、さらに、いわばそれを卒業した段階におきまして、中小企業構造改善計画を組合として組合の構成員となって実施いたします場合には、この五年間五割増しの割り増し償却をもう一度認めるというわけで、いわば二段になって近代化合理化が進められるようになっておるわけで、他のいわゆる一般的な割し増し償却に比べましてかなり優遇されており、しかも、割り増しという形でありますので、中小企業の企業負担などから見ましても、取得時三分の一落とすとか、あるいは取得時に半分にするというようなものよりも、中小企業の実情に適しておるのではないかと思いますし、それから特恵等によりまして転換が生じます場合におきましては、御承知のように、転換期間に応じまして全額償却できるというような制度も設けておるわけでございまして、税制上の優遇としてはいわばかなり手厚くなっておるので、問題は、こういう厚い償却が実施できるほど収益状態がいいかどうかというほうにむしろ問題があるのではなかろうか、あるとすればそういうことでなかろうかと考えております。
#295
○戸田菊雄君 関税局長にお伺いしますが、「アメリカ市場におけるわが国主要軽工業品の輸出額及びシェアの推移」は、大体現行三・八%程度占めるといわれておるわけですね、アメリカの貿易が。そこから来ますと、私の資料によりますると、人形、ゴムぞうり、あるいはバドミントン・ラケット、敷物類、人造真珠、こういったものは、軒並み半分ぐらいシェアとしてかぶることになるわけですね。だから、こういう問題について、今後一体どういう具体的対策を用意されておるか。もちろん、この制度の骨格としては、そういう緊急事態発生のいわばシーリレングその他の上限のつくり方や、あるいは五〇%をこえた場合の輸入総ワクの規制や、いろいろあるようでありまするけれども、はたしてそれだけでこういうシェアのかぶりをうまく運用していくことができるのかどうか。この辺が私としては非常に心配なものがあるわけですが、そういう点、関税局長としてどういうお考えを持っておられるか。
 それからもう一つは、「特恵対象輸入額」で、鉱工業品の場合には、発展途上国での対世界との関係でありますが、合計でおおむね百二十二億ドル程度あるわけでありますが、四十七億ドルくらい対象輸入額というものがかぶってくる、こういう状況のようであります。あるいは、特恵対象品目の発展途上国からの輸入額が約二億ドルやられるわけですね。こういうことになると、やっぱり総なめに、ことに中小企業の輸出・輸入、こういうものに対してこの影響は甚大なものがあるというふうに考えるのでありまするけれども、その辺はどう一体今後対処していくのでありますか。
#296
○政府委員(谷川寛三君) 第一点につきましては、これは通産省からもお話があっておりますように、引き続き近代化並びに合理化を推進しますと同時に、これによりまして転換を必要とするような問題が起こりました場合は、ただいま別途御審議をいただいております対策法案によりまして、それからまた、いろいろな予算措置によりまして手当てをしてまいる。そこで、対米関係でいろいろ問題が起こった場合にどうするかということでございますが、私どもといたしましては、OECDの場におきまして、いままでも、特恵供与によりまして日本が第三国市場で影響を受けるようになった場合には、ひとついろいろお考えをいただけないかという要請をしております。先日も申し上げましたように、また実施後のレビューの期間が設けられることでございますから、そういう場合におきまして、対策を何とか講じてくれぬかという要請を強くしてまいりたいと思っております。対内的には、先日来申しておりますように、それからまた、差し上げました資料でごらんのように、特恵のワクが、この二億ドルに先進国家の一割が加わりましても五億ドルでございまして、これがまた、すぐいまみなされるわけではございませんし、それからいろいろな歯どめも設けておりますから、国内的にはさしたる影響はない。また、個々の企業につきましては、いろいろな問題が起こってくるかもしれませんが、それにつきましては、先ほど来申し上げておりますような、別途予算措置、それから対策法案等によりまして手当てをしてまいるということでございます。
#297
○戸田菊雄君 私の質問はこれで終わりますが、主税局長にお尋ねをしたいのですが、課税最低限の問題ですね。大体、実態もそうですし、内閣総理府等の統計を見ましてもそうなんですが、標準世帯は四人家族ということになっているのですね。しかし、大蔵省の税制部面だけは、一貫して、まだ五人平均家族ということになっておる。そういうことで、今回も百十三万一千三百四十二円と課税最低限を打ち出しておるわけです。四人平均家族でいきますと九十六万ですね。だから、こういう部面での統計の置き方について、どうも私はしっくりしない。
 それからもう一つは、やっぱり給与所得者と事業所得者と不労所得者、こういうものの課税最低限というものは極端に開きがあるのじゃないか。たとえば、四人家族でいきますと、給与所得の場合は九十六万ですね、四十六年。それから五人家族の場合には百十三万千三百四十二円。ところが、配当の場合は二百八十六万六千四百三十四円ですね。実に三倍に近いのじゃないかという気がするわけです。こんなに大きな開きがあるということは、どうもやっぱり税の公平さからいって端的に不公平をあらわすものじゃないか、こういうふうに考えるわけですけれども、この見解が一つであります。
 それからもう一つは、一ぱいあるんですが、時間がありませんからごく簡単にやりますが、給与所得の控除引き上げ、今回平年度で三万円ですか、若干引き上がったのでありまするけれども、これは、結局、私の見るところでは、重役や部長の減税の非難の手直し、この程度におさまっているんじゃないかという気がするわけです。それから不労所得の優遇措置が先に出ているんじゃないか、それは資産所得の場合ですよ。配偶者控除、扶養控除、これは五万円から十万円に引き上がったですね。だから、引き上げ額は、それぞれの額と見合わせると、基礎控除の場合は一万円、あるいはその他は多くて三万円しか上がっていない。ところが、不労所得の場合になると、資産所得で五万円から十万円というふうに、五万の大きな開きで上昇している。あるいは山林所得、譲渡所得、一時所得、こういった各般の所得についても、三十万から四十万、十万の引き上げですね。こういうぐあいに、その開きが非常に大きい。どうしてもやっぱり資産所得やそういうものに優遇措置が片寄っているんじゃないか、こういう気がするわけでありますけれども、その辺の見解をお聞かせ願って、あと木村先生のほうから……。
#298
○政府委員(細見卓君) 順次お答え申し上げます。
 五人家族で課税最低限を表示いたしておりますのは、沿革的な関係で五人家族の場合は幾らということを申し上げておるわけでありまして、その場合に四人家族のほうが適当だという御意見もございまして、いま大蔵省でお出ししております書類には、四人家族の場合幾ら、夫婦者の場合幾ら、五入家族の場合幾らということで、決して標準家族ということばは使っておらないので、比較の一貫性という意味で五人の場合も表示しているというのが実情でございます。
 それから二番目の給与所得者とそれからそのほかの事業所得者との間の課税最低限の違いというお話でございますが、これは給与所得控除を手厚くいたしてまいりますと、どうしてもこういう問題が出てくる。私どもは、そういう意味で、日本の給与所得控除はどこの国にも劣らないほど給与所得者に対して優遇した税制になっておると思うのでありますが、きのうはこれすら違憲だというような御意見があったわけでございます。
 それから配当所得の問題は、これは法人税制の仕組みからつながってくる配当控除の問題でございまして、これをどうするかというのは、今後のむずかしい検討問題であろうと思っております。
 それから五万円から十万円に申告を要しない金額が上がったというのは、いま戸田先生からお聞きして実は意外な感じを持ったのでございますが、これが出ましたのは、むしろ、いろいろの方が原稿を書いたりあるいは講演に行ったりしてわずかな収入を得たものも一々申告しなければならないので困るんだという形の御非難があって、そういえば十万ぐらいはいいじゃございませんかというふうにしたので、おっしゃるような資産所得の意味でございますと、いまは五万円までは御承知の例の申告不要があるとか、あるいはそういうことであって、これはそうした事業所得を優遇という意味じゃなくて、むしろ、ここにもおられますが、一般のサラリーマンで筆の立つ人が内職をしたというような場合のものについての申告であるというふうにお聞き取り願いたいと思います。
#299
○戸田菊雄君 もう一点、大臣に、この前質問したのですが納得がいかないので……。
 この前、時間がなくて省略したんですが、自動車重量税でありますが、この前、大臣は、間接税だということを言われたわけですが、私は、自動車の重量に応じて車検のつど課税する、そういうことになると、これは自動車を持つ者にとっては固定資産税と同じようなそういう課税になるんじゃないか。だから、当然これは直接税になっていくんじゃないだろうか、こういうように解釈をするわけですけれども、この前、大臣の回答では、間接税だと、こういう言い方をしておる。どうも納得がいかない。
#300
○政府委員(細見卓君) 御承知のように、固定資産税は所有者にかかるわけでございますが、この自動車重量税は自動車の使用者が事検を交付を受けることに対して支払う、車検を交付を受けることによって道路上を走行することができるようになる、そういう一種の権利の設定に対して一種の広い意味での流通税といいますか、登録税と申しますか、そういう形で税としては分類できるような税を払っていただく。したがって、これは流通税であり、流通税が間接税という意味で間接税であって、所得者にかかる固定資産税とはその意味で違っておろうかと思います。
#301
○委員長(柴田栄君) 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、今春聴君が委員を辞任され、その補欠として矢野登君が選任されました。
    ―――――――――――――
#302
○木村禧八郎君 資料だけ要求したいんですが、通産省の人おりますね。大蔵省のほうからは資料をいただいたんですが、わが国の中小企業製品と発展途上国の製品との競合関係ですね。特にアメリカ市場においては六六・八%、これは意識調査ですが、「中小企業白書」にあるんですよ。これについては、特にアメリカ市場については、大蔵省のほうから――これは大蔵省が通産省に調べてもらって出したのかどうか知りませんが、とにかくアメリカ市場についてはありました。しかし、ほかの市場でも、西欧のほうは二一・八でしょう。それからカナダでは一八・九ですよ。東南アジアは三一・八、国内は二一・二と、こうなっている。ですから、これを――これは単なる意識調査ですわね。しかし、いよいよこれが実施段階に入りますからね。そこで、もう少しアメリカ市場について調べたような形のそうした資料ができないか。ことに商品別にだんだん追い上げられている状況がアメリカ市場についてはあれでかなり顕著によくうかがえるわけですよ。ですから、それをアメリカ以外の市場についても、アメリカ市場におけるようなああいう資料を出してもらえるかどうか。
#303
○説明員(室谷文司君) ただいまの資料につきましては、日本の中小企業は非常にアメリカ市場に対する依存度が高いために、特に特恵によって受ける影響が、したがって、対アメリカの依存度の高いそういう中小企業に多い。ところが、ほかの市場につきましては、アメリカほど心配をする点があまりないというふうに考えられておりますので、いますぐ的確な資料がお出しできるかどうかちょっと疑問がありますが、できるだけ御要望に沿うように調査いたしまして提出いたしたいと思います。
#304
○木村禧八郎君 それはアメリカ以外は心配ないと言いますけれども、これはあなたのほうから出した資料ですよ、中小企業庁から。これですと、西欧は二一・八ですよ。そう心配ないと言ったって、かなりこれは競合度が高いんじゃないですか。それからカナダが一八・九ですからね。ですから、アメリカはこれでは六六・八ですからかなり大きいわけですけれども、ほかの市場だって決して小さくありませんよ。ですから、やっぱりそういう調査をかなり商品別にでもアメリカ市場におけるごとくやっていただかないと、今後、いろいろ倒産したり、それから非常に不況になったりする、それの救済法案がいま用意されて審議されているんでしょう。その裏づけとしてそういうものがないと、やっぱりそれは審議しにくいわけですね。ですから、できるだけそういう、非常にむずかしいかもしれませんが、ほんとはもっと前からやっておかなきゃいけないのじゃないですかね。それはなるべく出してもらいますように、どうですか。
#305
○説明員(室谷文司君) できるだけ御要望に沿うように努力いたします。
#306
○鈴木一弘君 関税の今回の改正案で引き下げになる品目の問題でありますけれども、バナナ、あるいは羊の肉、馬肉、そういうように、関税が、バナナの場合は季節関税でありますが、下がってくるわけであります。特に馬肉は無税ということになってまいりますが、こういう生活関連物資の物価対策としての関税の引き下げが、場合によると、そのまま消費者価格にはね返ってくればよろしいんですけれども、逆に中間の関係業者、関連業者というものが吸収する、こういう動きが見られる。そういう点について、まあ大蔵省のほうで一生懸命関税を引き下げても、結局物価安定にはならないということになるわけでありますが、その点のことを、大蔵大臣、決意のほどを、どういうふうにまた対策を立てていくか、伺いたいと思います。
#307
○国務大臣(福田赳夫君) その問題につきましては、企画庁が中心になりましてかなり強力な指導をいたすことにいたしております。
#308
○鈴木一弘君 経企庁が中心でやることは重々わかっているんですけれども、しかし、こちらは関税さえ引き下げればそれでよろしいというわけじゃないだろう。向こうと関係しての会議というものを必ず持たれなければ、まるきり業者サービスだけを大蔵省がやったということになってしまうわけです。そういう定期的な会合を持つなり、きちんとした申し入れ等は行なってやられているのかどうか。また、それをやっておられれば、その経緯をちょっと聞きたいのですが。
#309
○国務大臣(福田赳夫君) これは、お話のような筋で厳重に実効を期するようにいたしております。すでに第一回の連絡会議をいたしまして、それらの諸問題について協議をいたしております。
#310
○向井長年君 大蔵大臣、これは答弁されたということを聞いておるのですけれども、私は欠席しておったのですが、特恵付与について国連でのいわゆる開発途上国のあの問題について、中共に対して特恵付与が要望あれば考えてもいいというような答弁があったように聞くんですが、この点、あらためてお聞きしたいと思います。
#311
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、日中の通商関係ですね、これはまあ政治問題とそうからめることなく、円滑に進めたらどうかと、こういうふうに思うのです。その一環といたしまして、特恵問題これも中国側におきましてそういう希望があれば前向きに対処していきたいと、こういうふうな考えでおります。
#312
○向井長年君 先ほどから聞いておりました問題で、あらためて言う必要はないかと思いますが、付加価値税の問題について、ただ、いま検討しておるときだと、だからまだ導入するかしないか未定だと、こういうことでしたですな。
#313
○国務大臣(福田赳夫君) ええ。
#314
○向井長年君 ところが、導入する方法で大蔵省のほうで検討しておるのじゃないかと、こうわれわれは思うわけですよ。これは、七月の十八日に、大蔵省から、「付加価値税とは」というような一つの方向が出されておるわけです、諸外国の問題としてですね。特に、これは、フランス、西ドイツ、オランダ等で採用されている問題とか、あるいはベルギー、イタリアも近くこれをやるであろうとか、こういう問題が出されておるわけですが、この内容を見ますと、前段階税額控除方式といいますか、こういう形になっておると思うのですね。だから、こういう形でいま検討を続けられておるとするならば、もしこういう形で導入されるとするならば、大蔵大臣、先ほどの低所得階層の問題もありますし、あわせて中小企業に対するしわ寄せというものはないとは言えないですよ、これは。段階的に一万円に対して一〇%ですから千円かかる、こういう形になってまいりますと、最後のところでストック品ができると――消費者に渡ってはじめてこれが支払われるわけですが、そうじゃない限りにおいては、ここでストック品ができた場合に、これは大きな損失というか犠牲をこうむると、こういう結果になるわけです。あるいは金融にも非常に苦しくなるのじゃないかと、こう思うわけですよ。この点についていかがでしょうか。
#315
○国務大臣(福田赳夫君) 政府のほうでは、付加価値税につきましては、全然まだ検討に着手しておりませんです。したがって、まだそれを採用する意向があるかないか、そういうような段階ではないんです。ただ、自由民主党のほうで、去年政務調査会長がヨーロッパへ参りましてそうして諸外国の状況を調査した。その調査報告をプリントにしたことはありますが、当省においては検討にまだ入っておりません。
#316
○向井長年君 これは自民党が出されたやつですか、大蔵省じゃなくて。――ああ、そうですか。まあ自民党は政府を持っておるんですから、(笑声)おそらくこの案が基礎になってくると思うんですよ、この前段階控除方式というやつね。だから、これ、まあやらぬちゃいいんだ、導入しないっちゃしめますけれども、これが基礎になってまいりますと、大蔵大臣が中小企業にしわ寄せばないとか、こういう話があったが、そうではないですよということを私はいまあらためて言うておかないといかぬから言うておきます。だから、この点は、ひとつ是認してもらわなきゃいかぬですよ。これをもし採用とすると、やっぱり中小企業にしわ寄せになってきますよ、この前段階方式というやつは。大蔵大臣、どうですか。
#317
○国務大臣(福田赳夫君) まだ付加価値税を採用するともしないとも、全然まだ検討段階に入っておりませんですから、そのとおり御了承願います。
#318
○向井長年君 入らなければこれはけっこうなんですが、ただ、これは、自民党のは大蔵大臣は知らないんですか。そんなことないでしょう、自民党のこれは。
#319
○国務大臣(福田赳夫君) まだ見ておりませんです。
#320
○向井長年君 そうですが。主税局長は……。
#321
○政府委員(細見卓君) 私どもはお話は聞いております。
#322
○向井長年君 ああ、そうですが。では、まあそういうことで、導入しないと、こういうように解釈しまして終わります。
#323
○渡辺武君 大蔵大臣に伺いますけれども、物価問題懇談会ですね、また、その後身である物価安定推進会議、これらが現在の物価の上昇に財政金融などが大きな影響を持っているということを強調していることは、御存じだと思うのです。で、大臣、これまでの財政がどの点で物価の上昇に大きな影響があったと思っておられるのか、また、以上の提言にこたえて物価対策としての財政運営を今後どのようにやっていかれるおつもりか、それを伺いたいと思います。
#324
○国務大臣(福田赳夫君) これは、財政の運営ばかりじゃございません。国民総需要という見地で、その構成一要素としての財政、そういうことで財政は物価問題に非常に影響がある。過去を顧みますと、三十六年度に財政の規模を一挙に二四%拡大したことがある。そのときからわが国の物価問題というのが新しい段階に入った。そして、ずっと尾を引いておると、こういうのであります。そのときは、財政ばかりじゃないんです、経済活動もそれに準じて大きくなったわけでありますが、そういうふうに総需要を拡大するということが物価問題に非常に影響があるわけでございまして、その一環として財政も大きく作用していると、こういうふうに考えております。
#325
○渡辺武君 大臣は、去年だったと思いますけれども、政府の財貨サービスの購入ですね、これの伸び率がGNPの伸び率を上回っていないから、これは物価刺激的な予算じゃないんだという趣旨の御説明をされましたね。いまもそういう見地で財政の運営をやっていらっしゃるのですか。
#326
○国務大臣(福田赳夫君) 財貨サービスの需要量ですね、これも財政運営においては重要な指標としてにらみながら運営をやっております。
#327
○渡辺武君 政府の財貨サービスの購入の伸び率がGNPの伸び率を上回るか下回るか、下回れば物価刺激的でなくて、上回れば物価刺激的になるんだという、こういう御議論ですね。これは私は正しい議論じゃないと思うのです、物価問題という見地から言えばですね。GNPの伸び率を政府の財貨サービス購入の伸び率が上回るということは、これは国家独占資本主義の発展の度合いをある程度示すだろうと思いますけれども、それ自体としては物価とは関係がない。需要供給論という見地から現在の物価問題を見るというふうに先ほど御答弁がありましたが、需要供給が物価に影響のあることは私は全然否定するわけにはいかぬと思いますけれども、しかし、これは副次的な要因です。現在の物価上昇の根本原因の一つはもこれはインフレーションにある。インフレーションによって貨幣価値が下がる、そのために物価が上がっているというところに一つの大きな原因がある。そのほかには、大企業の独占価格、あるいは政府の公共料金引き上げなどがあると思います。とにかく、景気がよかろうと悪かろうと、つまり、景気が悪いときには需給関係は緩和するわけですから、そういうときにもなお物価が上がるということは、需要供給の関係が現在の物価値上がりの主要な原因じゃないということをはっきり示していると思うのです。スタグフレーションなどと言いにくいことばまではやっているわけですから。
 そこで、私は、今後財政運営をやっていかれるにあたって、物価問題という見地から重要視されなければならぬのは、財政の性質だと思うのですね。その中でも大事なものは、国債の発行だと思う。この前、予算委員会の一般質問で、私が日本銀行総裁に質問しましたところが、政府の出された国債は、買いオペレーションを通じてどんどん日本銀行の手に集まっている。また、これが担保になって日本銀行の金融機関への貸し出しの材料に使われている。こういうことで、国債を基礎として日本銀行の新たなる通貨信用が供給されている。これがいまの物価上昇の一つの大きな原因になっている。そのほか、もう時間がないから、簡単に省略しますけれども、今後、軍事費は、支出総額の中の比率という点ではなくして、絶対額そのものが大きくなると思う。ところが、この軍事費の増大は、軍需生産を誘発するわけですね、当然のことながら。そうして、軍需生産は、これは軍需品として国が買い上げるものです。ですから、日本の経済の過程の中ではしょっちゅう再生産過程から除かれている。したがって、それを購入する通貨は、しょっちゅう再生産過程に滞留するという傾向を持ちます。これまたインフレーションの一つの大きな原因です。それに加えて、もし付加価値税制を導入すれば、これまた大きな物価上昇要因になると思う。したがいまして、これらの問題について、物価安定という見地からどのように対処されるのか、それを伺いたい。
#328
○国務大臣(福田赳夫君) 物価安定は、総需要と総供給のバランス、これがまあ何といっても中心です。それなくして物価対策は何をやっても意味がないと、こういうくらいに思います。いま渡辺さんは公債のことを言われましたが、日本銀行は成長通貨を供給しなきゃならぬ。その成長通貨を供給するオペレーション種として公債を使っているんですが、その公債がいまは種がないというくらいな状態でありまして、それで、いま、手形オペレーションを考えなきゃならぬとか、そういうような状態です。公債がインフレーションにつながっているというような状態は全然ない。つまり、問題は、公債を使って政府が金を調達し、そして物を調達するとか、そういうところに問題がある。その物を使った結果、他の需要と合わせましてバランスを得ておれば、これは物価上昇の原因には全然相ならぬと、こういうふうに思います。
#329
○大竹平八郎君 引揚者等に対しまする特別交付金の問題につきまして、ごく簡単に質問をいたします。二点ほど質問いたしますが、時間の関係上、これを一括して申し上げますから、簡単に総理府からお答えを願いたいと思うのであります。
 第一は、昨年もこの法律は期限が一年延長されたわけであります。昭和四十四年の末までに支給せられました特別交付金の実績ですね、件数並びに金額、それからさらに延長後のこの一年間に処理されたものがどのくらいあるか、また、見込み、こういう点についてお聞きしたい。
 それから次の二点目は、四十六年三月末、すなわち四十五年度末現在で、まだ手続の済まないものがどの程度残っておるか、これは推定でけっこうでございまするから、この数字をお聞きしたい。なお、今回、一年間延長することによって、残余のものはみな手続を済ませることが可能であると考えられるかどうか、もし全部片づかないときは、来年度いかなる処置をするか、また、延長するようなことになるのではないかと思いますが、この二つの点につきまして簡単に御答弁願いたいと思います。
#330
○国務大臣(山中貞則君) 最初の点は室長から……。
#331
○大竹平八郎君 ええ、室長でけっこうです。
#332
○政府委員(吉岡邦夫君) お答えいたします。
 この法律ができまして昨年の三月三十一日で一応申請期限が切れたわけでございますが、昨年の年度末に一年延長したわけでございます。その結果、今日までどれだけ伸びたかと申しますと、約二十三万ほど伸びたわけでございます。しかし、これは、昨年の年度末の急にふえました申請が四月、五月にずれ込みまして、それが十数万ございます。一年の延長の実際の効果と申しますと、四、五万の程度ではなかろうかと思うわけでございます。
 なお、現在までの申請の件数は、当初予定の三百四十九万七千人、それの約九一・六%でござい産して、三百二十万三千人ほどが現在まで――一月末現在でございますが、申請しております。そういたしますと、あと、当初予定からいたしますと、二十八、九万残っているわけでございます。
 これを今後一年延長した場合にどうなるかという問題になりますと、二十九万の人がすべて申請するかどうか、これは非常に問題がございます。当初の予定と現在の実績との間の差というようなものは、いろいろな原因があろうかと思います。推定上の若干の誤りもございましょうし、あるいはまた、引き揚げた当時乳飲み子でございまして、現在成人されておる、そういう方が一本立ちになりましてそういう引き揚げということ自体にあまり関心を持たない方もございましょうし、ある程度成功されてそれくらいの交付金ならもらわなくてもいいという方もございましょう。ただ、一年延長することによって、ある程度の申請が増加することは予想されるわけでございます。
 なお、国債につきましては、千九百二十五億を当初予定しておるわけでございます。すでに交付済みになっておるのが千五百六十六億でございます。
#333
○国務大臣(山中貞則君) 第二点につきまして申し上げますが、今回は議員立法で延長されました期限が到来することに伴い、あらためてまた議員立法をもってさらに一年延長という措置をとられるわけであります。現在までに約九二%一応見通しが立っておりますが、さらに今後これの一〇〇%完遂を目ざすことは当然でありますけれども、前回の一時金の場合における実績も、議員立法等によってたびたび延長いたしました結果、最終的に九二%でございました。それらのことも考えますと、今後の見込まれる量というものは、大体限度があるのではないかと。そのために、再び一〇〇%に達するまで延長するかどうかという御質問でございましょうが、これは議員立法でございますので、政府のほうから意見を申し上げる筋合いではございませんが、私どもとしては、今回の延長によって、おおむね、実質上、その意思のある人というものは完全に手続を終わられるものと思いますので、残された問題は、四十七年度においては残務整理ということで予定をいたしておるつもりでございます。
#334
○委員長(柴田栄君) 他に御発言もなければ、六法案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#335
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより、関税定率法等の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#336
○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表して、租税三法並びに関税定率法等の一部を改正する法律案の四法案に反対の立場で討論を行なうものであります。
 まず、租税三法についてであります。
 四十六年度租税及び印紙収入は、八兆八千二百七十五億円(専売納付金も含め)、前年比一九・四%強となっております。これは予算の伸び率を上回る増収が見込まれており、税負担率は一九・三%を予測され、前年比一八・八%より〇・五%の上昇であり、税負担率が増大いたしております。
 所得税減税額は千三百八十七億円で、これは、自然増収一兆四千九百六十五億円のわずか九・三%であり、また、基本的控除の引き上げもおのおの一万円ずつ引き上げてはおりますが、減税額計は七百七十二億円で四十四年の八百五十七億円、四十五年の千二十三億円よりも大幅に下回っております。この減税は、物価騰貴、社会保険の負担、その他の財政負担の増大を考慮するとき、減税とは言い得ないし、調整減税にもなっていないのであります。また、自然増収一兆四千九百六十五億円の見積もりについても、所得税は六千九百四十七億円、全体の四六・四%で、前年比一七%増と、結局、所得税の増税が柱になっております。
 政府は、また、間接税増徴の方針を示し、自動車重量税を新設して間接税の中に組み入れ、制度化いたしました。直接税の比率は六六・六%と税理史上最高の比率を示し、かつ、所得納税人員は三千七十万人と開聞以来これまた最高を示すに至っております。まさに、増税路線により、一般的減税は実質的に放棄し、減税は特定のものに集中し、国民の負担軽減や公平化の要求を無視する一方、大資本には公害防止施設に対する特別償却の拡大、海外投資損出準備金制度の拡充等、一貫して不公平の典型であります租税特別措置をもって大資本優遇を行ない、それの重点的強化を推し進めようといたしておるのであります。
 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案についてでありますが、日本軽工業製品は、アメリカ輸出が断たれ、発展途上国と競合する品目を多くかかえ、相当な打撃が予想できるのであります。すなわち、輸出・輸入両面での関係業者への被害が当然予測できるのであります。私の調査によりますると、輸入面では綿織物、女子用外衣、男子用外衣、同下着など、輸出面では綿織物をはじめ十四業種がその影響を受け、その業種は七万五千七百五十一企業に及び、従業員は八十九万九千人の膨大な数にのぼるのであります。ことに、輸入品目の業種は、その比率は九七・二%ないし九九・九%までが中小企業の日本の現状を考慮するとき、きわめて憂慮されるのであります。
 また、政府が考えている協業、共同化は、中小企業の切り捨てに通じはしないかと危惧をいたすものであります。まさに中小企業構造改善の特恵版ではないかと思うのであります。
 本制度実施にあたっては、政府は、特段の考慮を払い、遺憾なきを期するように切に要望して、私の反対討論を終了いたします。
#337
○中山太郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました四法律案につきまして、賛成の意を表するものであります。
 まず、関税定率法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 その理由の第一は、今回の改正が、物価対策、輸入自由化対策に積極的に取り組んでいる点であります。すなわち、物価への影響を考慮して、ケネディ・ラウンドで譲許されている千九百二十三品目を九カ月繰り上げて本年四月から適用することとし、そのほか、生活に直接関連する物資として、バナナ、馬肉、カラーフィルム等百二十四品目について関税率を引き下げている点であります。また、輸入自由化の促進等に関連しまして、豚肉に差額関税を採用することなど、国内産業に対する無用な混乱を防止するため、きめのこまかい配慮をしつつ関税率の調整を行なっている点であります。
 第二は、特恵関税制度の新設であります。これにより、開発途上国の貿易が一そう促進されることが期待されるのであります。しかし、特恵の供与にあたりましては、少なからず関連国内産業、特に中小企業に与える影響が大きいので、この対策には別途中小企業特恵対策臨時措置法案を提出し、合理化の促進、業種転換等について十分な配慮をいたしております。
 第三は、公害対策の一環として重油脱硫減税制度を拡充し、積極的に大気汚染防止に取り組んでいることであります。
 最後に、今回の関税改正による減収額は約三百六十一億円で、かつてない大規模なものであり、いかに政府が今回の改正に意を尽くしているかが理解されるのであります。
 以上、簡単でありますが、本案の賛成討論といたします。
 次に、所得税法改正案等三法律案は、税制調査会の答申に基づき、昭和四十六年度税制改正の一環として、初年度約千六百六十六億円となる所得税減税を行なうとともに、当面の経済社会情勢の推移に即応した特別措置の整備合理化等を行なっております。
 四十六年度税制改正の減税額が少ないとよく批判の対象と相なりますが、高度福祉国家を目ざすとともに、社会資本の充実が要請されます現在の日本財政において、最大の努力を示したものと考えます。
 また、租税特別措置につきましても、公害対策等当面する経済社会情勢に対応して、新たな措置を設けるとともに、その財源は既存の特別措置の改廃によりまして、初年度減収ゼロということにいたしまして、大方の御期待にこたえたわけであります。
 以下、具体的に申し上げますと、所得税法案では、この改正により夫婦子供三人の給与所得者の場合、課税最低限は約百十三万円に引き上げられ、西欧水準に達したといわれるのであります。
 法人税法案では、企業合理化のため、製品保証等引当金を設け、その整備合理化をはかっております。
 租税特別措置法案は、第一に、最近における公害問題の緊要性にかんがみ、企業の公害防止対策の推進について、税制上も積極的に対処しております。
 第二は、今後における海外経済協力の必要性、基礎資源の確保等の要請にこたえ、海外投資、資源開発の推進のため、他の諸施策と相まって税制上の配慮をいたしております。
 第三は、輸出振興税制の洗い直しを行ない、輸出入取引の実情に即し、縮減合理化を行なっております。
 その他、青色申告の事業主特別経費準備金制度の創設、勤労者財産形成に資するための貯蓄奨励、住宅対策企業体質の強化に資するための措置等、いずれも緊急に必要とされ、時宜にかなったものと言えましょう。
 また、課税の強化の面では、世論のきびしい批判の的であります企業の交際費につきまして、損金不算入割合を引き上げていることも、支出を抑制し、企業の体質強化、合理化に資するものと思われます。
 以上、三案は、国民経済の動向や財源事情からすれば、十分国民の納得の得られるものであると確信いたします。簡単でありますが、四案に対する賛成の討論といたします。
#338
○鈴木一弘君 私は、ただいま議題となっております租税三法案並びに関税定率法の一部を改正する法律案に対し、次の理由により、反対の意を表明するものであります。
 まず、所得税法改正に反対する理由としては、実質減税規模がきわめて少ないということであります。
 すなわち、所得税初年度千六百六十億円の減税は、約一兆五千億円を上回ると見込まれる自然増収分の一割程度にしか当たらず、しかも、物価上昇率を本年度並みの七%と低く見積もっても、この物価上昇分だけでその大半の九百億円が消え去り、実質はわずかに七百億円足らずという超ミニ減税と相なるわけであります。
 また、わが国の租税負担率が諸外国と比較して低いことを政府は強くうたいあげておりますが、わが国の社会資本、社会保障の著しい立ちおくれや、その他生活水準を考慮しても、単なる数字のみの比較だけでは決して優劣は定まらないのであります。
 また、各種所得控除の若干の手直しをしておりますが、寡婦、老人等に対する控除は冷たく、欧米諸国とはけた違いの格差があり、優遇されておりません。
 第二は、法人税の改正についてであります。
 今回の改正では、税率の手直しを見送っておりますが、負担公平の原則から考えても、中小企業、法人企業の負担能力に応じた課税を行ない、法人擬制説を実在説の精神に改め、法人税制における累進税率をこまかく段階的に行なうべきであると思うのであります。
 また、今回の改正では、昨年創設された完成工事補償引当金制度を拡大して製品保証引当金制度に改め、さらに対象事業の範囲を拡大しておりますが、これは将来発生する可能性のある費用を引当金とし、これによる利潤の隠蔽、利益金の費用化等の傾向を一そう促進させる結果となると思われるのであります。このような反面、中小企業の大きな負担となっている留保所得の特別課税の廃止については、全く手がつけられていないのであります。
 第三は、租税特別措置についてであります。
 わが国の租税特別措置は、その規模といい、また、量といい、これほどの幅広いものは国際的にもその類例がなく、多くの学者も「シャウプ税制以来、大企業優先のための特別措置を積み重ね、極端にゆがめられたのが今日の日本税制の最大の特徴だ」と述べております。
 特に、不公平、不平等の例として悪名高いのが、大蔵当局も反対した利子・配当所得の特例、さらに輸出振興に名を借りた四種の特別措置、医師の優遇措置、金融機関をはじめとする貸倒れ引当金、最も多くの問題をはらむ交際費非課税の特例等、その数は国税だけでも百四十三種類を数えるといわれ、その大部分は大企業を対象としたものであります。
 しかも、税調の答申とは反対に、整理改廃は一向に進まず、ずるずると特別措置を引き延ばし、既得権化されようとしております。このことは、政府みずからが国民の税に対する不平、不満をますます助長させ、納税意欲を著しく減退させているという以外にないのであります。
 最後に、関税定率法についてであります。
 政府が今回の改正案に対して最も力を入れているといわれる物価対策並びに公害対策という点に対する疑問であります。
 まず、関税引き下げによる価格の低下分が、はたして、複雑な流通機構を通じて一般消費者の手に届くまでに、そのままの低価額の維持が行政措置でどこまでできるかということであります。
 また、物価上昇率が毎年政府見通しを大幅に上回っていることを考慮するならば、それほどの期待はまず無理ではないかということも考えられるわけであります。
 さらに、公害防止といわれておりますが、石油使用量の伸びの増大は、とても関税の格差をつける程度では追いつかないことは、実情より見ても明らかであります。
 以上、今回の改正案につきましては、若干の手直しが行なわれておりますが、肝心の税制全体の不公平是正についてはほとんど手がつけられておりません。したがって、これらの諸点を考慮するならば、今回の税制改正は国民不在の税制と言わざるを得ず、以上反対の趣旨を述べ、私の反対討論を終わります。
#339
○向井長年君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題の四案のうち、関税定率の改正案には賛成し、租税三案には以下申し述べます理由により反対します。
 まず、所得税法の改正について、昭和四十六年度の減税は自然増収に対しまして、わずかに二・一%にすぎません。しかも、政府提出の資料によりますと、右減税額のうち、七百四十億円は物価調整に相当するものだとされております。だが、しかし、これは消費者物価の上昇率が政府の見込む五・五%におさまった場合の数字でありまして、むしろここ数年の動向から見ても、この程度の上昇でおさまるはずはないと断定して差しつかえなかろうと思うのであります。したがって、私は、政府の意図する減税規模では物価調達をも危うくするのではないかと懸念いたします。
 次に法人税の改正案について理由を申し述べます。申すまでもなく、銀行の貸倒引当金は、回収不能になったときの備えで、現在は貸出残高の一・五%まで無税の積み立てが認められております。ところが、実際の回収不能率は、総貸出額の約〇・一%にすぎないのであります。したがって、私は、無税積立率を半分に縮減すべきであったと思います。残念ながら今回も何らの改善措置が講じられていないことは不満であります。また、法人税の基本的な仕組みについて利潤税を肯定する方向で検討することが望ましいとしながらも、ここ数年その検討が中断したま、何らの進展を見ていないことは、はなはだ遺憾であります。
 租税特別措置の改正案については、幾つかの点で合理化が徹底していないことを指摘いたします。とりわけ、交際費課税については、今回若干の手直しを加えてはおりますが、その支出額が一兆円に達するであろうといわれる現状において、この程度では不十分であります。この際、英米の例にならい、もっときびしく規制し、交際費のうち一定限度をこえる部分については全額課税対象にすべきであると思います。また、医師の社会診療報酬の特例についても、これまでたび重なる税調答申にもかかわらず、政府はその既得権益の排除に勇断をふるおうとしていないことは、まことに遺憾しごくであります。
 以上申し上げました理由に基づき、私は租税三案に反対の意向を述べまして討論を終わります。
#340
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました関税定率法の一部改正法案、所得税法の一部改正法案、法人税法の一部改正法案及び祖税特別措置法の一部改正法案の四法案に、それぞれ反対するものであります。
 まず、関税定率法の一部改正法案でありますが、今度の改正は、最近特に激しさを加えてきたアメリカの対日自由化要求に追随して、自動車、グレープフルーツなどアメリカの関心品目を中心に自由化を行ない、また、ケネディ・ラウンドの繰り上げ実施を行なうなど、関連業種の労働者、下請企業にきびしい資本主義的合理化を強要し、また、果樹農民等に大きな被害を与えるものであります。また、特恵関税制度では、アジアの社会主義国を差別し、韓国、台湾、フィリピンなどに特恵関税を供与して、それらの国からのわが国への輸出を改善させ、反面、大企業の工業製品の販売市場をさらに開拓させようとするものであり、このため、国内の繊維、雑価等、中小企業の比重の高い業種での転廃業を余儀なくさせるものであります。
 わが党は、日本がすべての国と自主的な平等互恵の立場に立って貿易を行なうべきであるという立場をとっておりますが、今回の改正による関税率の引き下げ、特恵関税などは、一方ではアメリカの対日進入の要求にこたえ、他方では日本の大企業のアジア進出の要求にこたえるものにほかなりません。したがって、わが党は、このような性格を持つ本法案に反対するものであります。
 次に、所得税法の一部改正法案の反対理由でありますが、今日、勤労者の名目所得が増加していることは事実でありますが、消費者物価の急激な上昇でその生活は楽ではありません。勤労者の名目所得の増加に応じて累進する現行税率のもとでは、大幅減税を行なわない限り、所得税は生計費に食い込むものにならざるを得ません。ところが、今度の所得税減税は、基礎控除、配偶者控除、扶養控除をおのおの一万円しか引き上げず、また、給与所得控除の定額控除分三万円引き上げ、その他諸控除の若干の引き上げなど、初年度一千六百六十六億円のミニ減税しか行なおうとしておりません。これでは、低所得者には事実上の増税となり、依然として生計費に食い込む課税とならざるを得ません。政府資料でも、昭和四十六年度の納税人口が三千七十万人と三千万人の大台を突破し、戦前戦後最高の納税人口となる見込でありますが、これは、所得税がますます低所得者層に広がり、明らかにますます大衆課税となりつつあるという否定し得ない証拠であります。わが党は、課税最低限を夫婦子供二人で百四十万円にすることを主張しておりますが、これに反する今回の政府改正案には反対するものであります。
 最後に、法人税法及び祖税特別措置法の一部改正案に反対する理由でありますが、法人税法では、昨年の建設業に続いて、船舶、テレビ、カメラ等に製品保証等引当金をつくり、いわゆる利潤の費用化を一そう拡大したほか、祖税特別措置法では、海外投資損失準備金、資源開発投資損失準備金、公害防止施設の特別償却制度、その他企業体質の強化と称する各種準備金など、独占資本の海外進出、海外資源の略奪、企業の資本主義的合理化などのために、ますます特定業種の特定大企業に対する優遇措置を強めております。わが党は、このような、大企業、大資本家に奉仕し、税の公平の原則をますます踏みにじる本法案に対して反対するものであります。
#341
○委員長(柴田栄君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#342
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより順次採決に入ります。
 まず、関税定率法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#343
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、所得税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#344
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#345
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#346
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#347
○玉置猛夫君 私は、ただいま可決されました関税定率法等の一部を改正する法律案及び所得税法の一部を改正する法律案の両案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党四派共同による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   関税定率法等の一部を改正する法律案に対
   する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当り、次の諸点につい
 て十分留意すべきである。
 一、物価対策の見地から、今般関税率の引下げ
  を図ったものについては、その減税効果が消
  費者価格に対し、有効かつ適正に反映するよ
  うな強力な措置を講ずるとともに、今後とも
  積極的に関税率の引下げを図り、物価対策に
  資するよう努力すること。
 二、ケネディ・ラウンドによる関税一括引下げ
  が実施されることによって、協定税率が適用
  されない国との間の貿易が阻害されることの
  ないよう国内産業への影響を考慮しつつ、万
  全の措置を講ずること。
 三、特恵関税の制度の運用については、関連国内
  産業、特に中小企業に及ぼす影響等にかんが
  み、地域に対する特恵供与品目の選定、特恵
  供与枠の設定、管理等について十分配意する
  とともに、一層中小企業の近代化、構造改善
  等を図り、企業体質の強化に万全を期するこ
  と。
 四、豚肉、バナナ等の関税措置については、こ
  れらと競合する国内産品に対する影響をも考
  慮しつつ弾力的に運用すること。
  右決議する。
   所得税法の一部を改正する法律案に対する
   附帯決議(案)
 一、政府は、明年度以降においても、わが国の
  物価水準、所得水準の推移に即応して、課税
  最低限の引上げ等引続き所得減税を行なうべ
  きである。
 二、政府は、中小企業について、個人及び法人
  を通じ、企業体質を強化するため、その税負
  担の適正化に努めるべきである。
 三、政府は、租税特別措置について、常に検討
  を加え、その政策目的を達成したもの及び政
  策効果がみられないものについては、すみや
  かに整理合理化を行なうべきである。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#348
○委員長(柴田栄君) ただいまの玉置君提出の両附帯決議案を一括して議題といたします。両附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#349
○委員長(柴田栄君) 全会一致と認めます。よって、玉置君提出の両附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福田大蔵大臣。
#350
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの附帯決議に対しましては、政府といたしましても、御趣旨を体し、十分努力をいたしたいと存じます。
#351
○委員長(柴田栄君) 次に、塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案及び引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います――別に御発言もないようでございますが、両案の討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#352
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより順次採決に入ります。
 ます、塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#353
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#354
○委員長(柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、ただいま可決されました六法案につきまして、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#355
○委員長(柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。
  午後六時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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