くにさくロゴ
1970/02/09 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 外務委員会 第2号
姉妹サイト
 
1970/02/09 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 外務委員会 第2号

#1
第065回国会 外務委員会 第2号
昭和四十六年二月九日(火曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十六日
    辞任         補欠選任
     高橋  衛君     松平 勇雄君
    ―――――――――――――
   委員長の異動
 一月二十七日長谷川仁君委員長辞任につき、そ
 の補欠として松平勇雄君を議院において委員長
 に選任した。
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松平 勇雄君
    理 事
                長谷川 仁君
                山本 利壽君
                西村 関一君
    委 員
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                廣瀬 久忠君
                増原 恵吉君
                三木與吉郎君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
                白木義一郎君
   政府委員
       外務政務次官   竹内 黎一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       外務大臣官房外
       務参事官     御巫 清尚君
       外務省条約局外
       務参事官     山崎 敏夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○国際情勢等に関する調査
 (昭和四十六年度外務省関係予算に関する件)
 (今期国会における外務省関係提出予定法律案
 及び条約に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松平勇雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 去る一月二十六日高橋衛君が委員を辞任され、その補欠として私が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松平勇雄君) この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 私、このたび、はからずも長谷川前委員長のあとを受けまして委員長に選任されました。はなはだ微力ではございますが、皆さま方の御指導、御協力を賜わりましてその職責を全うしてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 長谷川前委員長から発言を求められております。これを許します。
#4
○長谷川仁君 私、このたび、本委員会の委員長を辞任いたしました。
 委員長在任中は、理事各位並びに委員各位の心からなる御協力によりまして大過なくその職責を果たすことができました。まことに感謝にたえない次第でございます。ここに厚く御礼申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○委員長(松平勇雄君) 木内四郎君及び増原恵吉君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、理事の補欠選任を行ないたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に長谷川仁君及び山本利壽君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(松平勇雄君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 まず、昭和四十六年度外務省関係予算及び今期国会提出予定法律案及び条約につきまして説明を聴取いたします。
 竹内政務次官。
#9
○政府委員(竹内黎一君) 愛知外務大臣はただいま衆議院の予算委員会に出席しておりますので、私、かわりまして発言させていただきます。
 今国会もまた、わが外務省に対しまして、諸先生方の変わらざる御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いをいたします。
 ただいま委員長からお求めのありました昭和四十六年度外務省予算及び今期国会に提出を予定しております外務省関係の法律案及び条約などにつきましては、事務当局より説明いたさせます。
#10
○委員長(松平勇雄君) 御巫総務参事官。
#11
○説明員(御巫清尚君) 昭和四十六年度外務省予算の概要について御説明申し上げます。
 本日は佐藤官房長が欠席いたしておりますので、私から、かわって御説明申し上げたいと思います。
 昭和四十六年度の外務省予算の総額は五百二十九億余りでございまして、この額は、前年度――昭和四十五年度予算額に比較いたしまして一七・三%の増加を示しておりますが、国家予算総額に対しましては〇・五六%と、きわめて少額の予算でございます。
 外務省が予算を構成いたしますときに、三つの重点を考えて要求をいたしました。
 その第一は、対日認識の向上をはかるための諸施策の積極的推進ということでございます。
 その第二は、一九七五年に国民総生産の一%を援助に充てるという目標に向かっての経済技術協力の拡充強化ということでございます。
 その第三は、国力に相応した外交強化体制を整備拡充するということでございます。
 この三つの重点のほかに、まあいわば第四の重点と申しますか、若干のこまかい問題がございますが、その順序に従って御説明申し上げたいと思います。
 第一番目の「対日認識の向上を計るための諸施策の積極的推進」と申しますのは、要するに、最近におきまして日本の国力が増大してまいりますとともに、日本に対する批判とか、日本に対する不満とか、そういうものが各国において見られておるところでございますが、これらのことは、要するに、日本に対する正しい理解と認識ということが十分に行き渡っておらないということから来るものではないかと考えまして、そのための諸施策を明年度におきましては大いに積極的に推進してまいりたいというための予算を計上した次第でございます。
 その第一といたしましては、昨年万博が催されまして、それによりまして諸外国から多くの要人が来日して、対日認識も著しく向上しておるこの機会を利用いたしまして、各国の要人その他を日本に招いて、いわゆる招待外交というようなものを積極的に推進したいということでございまして、そのために国賓とか公賓という外国の要人のほかに、各国の政府その他の中堅的な指導者、さらにはまた報道関係者、文化人の招待というようなことをやってまいりたいと存じます。そのための予算、二億六千万円を政府原案で認めてもらった次第でございます。
 第二番目には、「海外広報及び対外文化活動の強化」でございまして、これらにつきましてはすでに年来実施しておりまするわけでございますが、それらに必要な経費を増額いたしまして、さらに積極的に推進したいということを考えております。
 特に海外におきまして広報活動体制というものを整備強化する必要がございますので、従来各地に設けております広報文化センターというようなものもさらにまた新しく二カ所設けて、従来のものに加えて活動させようと考えております。
 それから、日本のことを研究する人たちのために、日本語の普及または日本研究講座というようなものも充実していきたいと考えまして、そのための予算も増額いたしました。
 以上が第一点の重点事項の大要でございます。
 第二の重点事項は、いわゆる経済技術協力費でございますが、この中では、日本が単独でやる経済技術協力のほかに、他の諸外国と協力してやります多数国間の経済技術協力というものがございまして、これを拡充したいということがまず考えられております。
 特にアジア地域におきまして、地域協力の機関といたしまして、たとえばアジア太平洋協議会であるとか、東南アジア開発閣僚会議であるとか、そういうものがございますが、そういうものの考えました各種のプロジェクトに積極的に参加していきたいという予算を計上しております。
 また、アジア地域の地域的研修機関、たとえばアジア工科大学――バンコックにございますが――こういうものとか、フィリピンにごさいます国際稲研究所というようなものに対する拠出金等も増大する。特にアジア工科大学につきましては、その校舎の建築を日本に依頼してまいっておりますので、そのための経費も計上いたしたいと考えております。
 それから、国連その他の開発計画についての拠出金等の大幅な増額を考えました。いわゆる国連開発計画――UNDPと申しますが、これに対する拠出金の増額、それからアジア経済開発研修所というものに対する拠出金、国連のアジア地域開発信託基金に対する拠出金、国連の人口活動基金というものに対します拠出金等々の金額を計上してございます。
 わが国の行ないます技術協力につきましても、海外技術協力事業団というものがございますが、それに対します委託費、それに対します交付金、出資金等々を合わせて、かなりの増額を考えております。
 それからまたアジア諸国におきます経済社会基盤強化のために、従来から無償で援助をやるという計画を持っておりますが、これらにつきましても、たとえば現在も続けられております南ベトナムにおきますチョーライ病院の改築等の事業に無償協力をいたすという金額を計上してございます。
 以上が、第二番目の重点であります経済技術協力関係のおもな項目でございます。
 三番目の、国力に相応した外交強化体制ということにつきましては、かねて外交の積極的な展開をはかってまいりましたが、いろいろ制約がございまして、なかなか十分な施設、人員等の確保ができませんでしたが、本年はますますその点に力を入れて予算を拡充いたしたいと考えて、外務省自体の定員の増強、それから在外公館の新設等を要求いたしましたが、在外公館につきましては、ガボンに大使館を設ける、それからミュンヘンに総領事館を設けるというような点が認められております。
 それからまた、在外に勤務いたします職員の住居手当の増額等も、鋭意折衝いたしました結果、九公館について住居手当の増額が認められております。また、在外公館で雇用いたしております現地補助員の給与等も、他の同種のものと比較してやや低かったわけでございますが、これらの給与の改善、さらにまた、人員の増加等の予算も計上されております。それから、海外におります在外公館の職員の子女が本邦に残されておりますときは、年に一度ぐらいは親元に呼び寄せることができるようにしてやるべきだという考え方で、子女呼び寄せの旅費というものを計上いたしました。
 それからまた、在外公館の土地、建物の購入を行なって、逐次在外公館を国有化したいという計画をかねがね実施しておりますが、本年につきましても新規在外公館の新営工事六カ所、継続工事六カ所等が認められております。
 さらにまた、国際情勢及び外交問題の調査研究並びに国内広報の強化ということにも力を入れていきたいと考えておりますが、そのために必要な経費も計上してございます。
 以上が第三番目の重点のおもな内容でございますが、それにつけ加えまして、在外子弟教育の強化、それから、すでに移住しております移住者の自立基盤の強化、それから、旅券法の改正に伴います渡航事務の地方公共団体への委託といったような費用が認められておりまして、これらの合計が、冒頭に申し上げました五百二十九億という金額になるわけでございます。
 以上、はなはだ簡単でございますが、四十六年度外務省予算の概要を御説明申し上げました。
 さらに引き続きまして、外務省から提出を予定しております法律案の概要を御説明申し上げます。
 外務省から今国会に提出いたします法律案は二件ございまして、第一番目は、「在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案」でございます。これは、先ほど御説明申し上げました予算の関係から提出いたす法律でございます。先ほど申し上げました中で、ガボンにおきます大使館の新設は、これは法律上はすでに別表に加えられておりまして、法律上の改正は要らないわけでございますが、ミュンヘンにおきます総領事館の新設、これにつきましては法律の改正を要するということになっております。それから、カナダのエドモントン並びにニュージーランドのオークランドにすでに設けられております領事館を総領事館に昇格させるということが、これも予算上認められましたが、これにつきましては法律の改正を要する。それから、これらの総領事館に勤務いたします職員の在勤手当等を新しく定める必要がございますので、これらの点についての法律改正をいたしたい。さらにまた、先ほど申し上げました十の公館の住居手当の限度額を引き上げるということが予算上認められましたので、それに要する法律の改正をいたしたい。これがおもな法案の内容でございますが、この改正をいたしますにあたりまして、従来総領事館の新設等の場合に、外務省設置法の一部を改正するのと同時に、在外公館の公務員の給与に関する法律の一部改正をするという必要がございまして、一つの小さな事柄を実施いたしますのに二つの法律の改正の手続が必要であったという点が不便でございましたので、今回、この機会に、この「在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律」の題名を、「在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律」というぐあいに改めていただきまして、その別表第一において名称、位置を定めるということを規定していただきまして、そのほか給与の関係を規定するというかっこうにいたしますと、将来は在外公館の新設その他の異動につきまして、この一本の法律を改正していただければ足りるということになると存じまして、そういう趣旨の改正案を提出してございます。なおまた、住居手当の増額の中にありまして、在ソビエト連邦大使館の住居手当につきましては、ソビエト政府が家を貸与しておるわけでございますが、本年の一月一日から約二四%の増額を要求してまいっておりますので、これに応ずるために、できればこの法律を年度内に――三月三十一日までに成立させていただければ、一月一日にさかのぼってその差額を給与することができるというふうに考えまして、そういうふうな法律の規定のしかたを提案してございます。何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 第二番目の法律案として考えておりますのは、海外技術協力事業団法の一部を改正する法律案でございます。これにつきましては、先ほどの経済技術協力の予算の中で無償協力というのが出てまいりましたが、従来もこの海外技術協力事業団は無償の協力に近いものを実施しておりますので、ただ法律上その点が明確になっておらないという点に着目いたしまして、そのための法律改正を考えておる次第でございます。しかしながら、これにつきましては、現在のところ鋭意関係各省と意見の調整をはかっておりますが、いまだに意見の調整ができておりません。したがいまして、今国会のうちにその意見の調整を終わって提出できるかどうか、いまだ現在のところでははっきりいたしておりませんので、はっきりいたしまして、調整ができ次第に御提出申し上げるということのみが、現在申し上げられるところでございます。
 以上、簡単でございますが、法律案二件の御説明を終わります。
#12
○委員長(松平勇雄君) 山崎参事官。
#13
○説明員(山崎敏夫君) 今度の国会に提出を予定しております条約について御説明を申し上げます。現在のところ十六件を予定しておるわけでございますが、実はそのほかにもう一件、現在交渉がまとまりそうなものがございますので、その一件を加えますと十七件になるかと思います。その内容については後ほど申し上げます。
 大体提出順序に従いまして御説明を申し上げたいと思います。
 第一番目は租税条約でございますが、租税条約は三件を予定しております。租税条約の内容につきましては、従来も何回も提出申し上げておりますので、御説明申し上げる必要はないかと思いますが、第一にございます日本とスイスとの租税条約は、昭和三十六年以来交渉を続けてまいったのでございますが、これは先進国同士の租税条約としていわゆるOECDモデルに従ってつくられたものでございます。
 次に、シンガポールとの租税条約でございますが、これは昭和三十六年にシンガポールとの間に租税条約が締結されたのでございます。しかしながら、昭和四十五年の三月に至りましてシンガポール政府は、元の条約は完全独立の前に締結されたものだから、現在工業化を進めつつあるシンガポールとしては最近の実情に沿わなくなったというわけで、廃棄を通告してまいったのでございます。そこで、昭和四十五年の八月以来新たな条約の締結交渉をいたしまして、本年の一月二十九日に署名に至った次第でございます。内容的には、そういうわけで、かなりモダンな形になりまして、いわばOECDモデルに近いものでございます。これはもちろん後進国に対する考慮その他も加えてございます。
 三番目は日米租税条約でございます。この日米租税条約は昭和二十九年に調印を見たものでありまして、三十年に発効いたしました。これはわが国が締結いたしました最初の租税条約でございます。その後三回にわたりまして部分的な改定が行なわれたのでありますが、わが国も、他方二十五カ国にのぼる国との間に租税条約を締結していろいろと経験を積みまして、他方またいわゆるOECDモデルというものもできましたので、この条約もそのモデルをも参照し、また、われわれのいろんな交渉の経験も加味いたしまして改定するということになりまして交渉を続けたわけでございます。そして最近の日米の緊密な経済関係を反映したかなり詳細な条約案が大体まとまったわけでございます。実はその細部につきましてはまだ交渉中でございまして、われわれの見込みとしては、おそくとも三月上旬までには調印に持ち込みたいと思っております。内容はきわめて詳細でございますので省略いたしますが、たとえば日航とか船会社のようなものの所得免税の範囲が拡大されたとか、その他、かなりのわがほうにとって有利な規定を含んでおります。
 以上三件が租税条約でございまして、この三件につきましては、できますれば参議院の御先議をお願いいたしたいと考えております。
 次に、「一九五四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の改正」でございます。この条約は、その題名にもございますように、一九五四年に作成されたものでありますが、その後一九六二年に改正を見ました。この六二年に改正された条約はすでに国会の御承認を得ております。これはいわゆるIMCO――政府間海事協議機関によって作成されたものであります。六二年の改正を見ましたこの条約は、その後適用対象がある特定の海域に限られております。特定の海域と申しますのは、原則として陸地から五十海里以内において油とかあるいは油性混合物といいますか、油のまじったものの排出を禁止するというふうになっております。したがって、その規制において必ずしも十分ではございません。また、御承知のとおり、近年におきましてはタンカーは非常に大型化いたしまして、またそのタンカーの船腹量も非常にふえております。それに伴いまして油によって海が汚染される事故も激増しておる次第でございます。他方、世界的にも環境保護という海洋環境の保護に対する認識も非常に高まってまいりまして、この条約をさらに改正強化しようという声が上がってきたわけでございます。そこでIMCOで検討されました結果、一九六九年の総会でこの改正が採択された次第であります。この六九年の改正の特色は、一言で申し上げるならば、世界のいかなる海域におきましても、一定のきびしい条件を満たす場合以外は、油あるいは油性混合物を排出してはならないということになっておるわけでございます。この条約はまだ受諾したのは二カ国にすぎませんが、わが国としては、これを率先受諾して海洋国としての責任を果たしたいというふうに考えております。ただ、これを受諾するにあたりましては法律的な手当てが必要なんでございますが、昨年末の臨時国会におきまして海洋汚染防止法が成立を見まして、この法律は、いま申し上げました条約の趣旨を十分取り入れてつくられておりますので、法制的な手当ても十分できておる次第でございます。
 次に、「油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約」でございますが、これも、いま申し上げました条約と合わせまして油濁関係の条約になるわけでございます。これは実は一九六七年の三月に英仏海峡の近くでトリー・キャニヨン号と称する大型タンカーが海難事故を起こしまして油を大量に流したということがございまして、これは非常に世界の人々の注目を集めたわけでございます。これを契機といたしまして、やはりそういう場合の事故に迅速に対処するための条約が必要であるということが叫ばれまして、同じくIMCOにおいて検討されまして、一九六九年の十一月のブラッセルの会議でこの条約が作成を見たわけでございます。まだこの条約は批准した国はございませんが、これもわが国としては率先して入るように準備いたしたいと思っております。この条約の趣旨を一言にして申し上げますと、船が海難を起こしまして油を流して海洋が汚染される危険があります場合には、その沿岸国は自国の沿岸及びその他の関係の利益を保護するために必要な措置を公海上においてもとることができるというわけでございます。極端な場合には、その船を沈めてしまってもいいというわけでございます。従来の国際法の一般的な考え方からすれば、公海上にあります船舶は、その船舶の属する国以外は手を触れることができなかったわけでございますが、これはその点において、ある意味で非常に進歩的な条約でございます。しかし、これも海洋汚染防止という大義名分の見地からそういう例外的な措置が認められるということになっておるわけでございます。ただ、まあそういうことでございますので、沿岸国がこの条約の規定に反しましてあまり適当でない措置をとった場合には、もちろん損害を補償する責任があるわけでございます。また、そこに紛争が生ずるおそれがございますので、その点についても規定がございます。いずれも公害関係の条約としてわが国としては率先してこれに入りたいと考えており
 ます。
 次に、「国際原子力機関憲章の改正」でございますが、これは実は国際原子力機関――IAEAの加盟国が非常に最近増加いたしました。また、技術の進んだ国もふえてまいりましたので、理事会の構成を改正するという必要が生じてまいったわけでございます。したがいまして、その中で特に最も進んでいる国、つまり最先進国の数を五カ国から九カ国に増加する、その他、数をふやしまして、全体として大体理事会の数を二十五カ国から三十四または三十五にするというふうな趣旨の改正でございます。わが国はIAEAの発足以来地域先進国ということになっておりまして、実際に理事国に選出されておりますが、今度最先進国が五カ国から九カ国にふえますと、事実上の常任理事国として常時その席を占めることができると思いますので、これは非常に望ましい改正でございますので、わが国としてはこの改正には積極的に賛成したいと考えております。
 次は、「万国郵便連合憲章追加義定書及び関係諸条約」でございます。万国郵便連合、いわゆるUPUというのは、非常に古い国際機関でございます。これは五年に一回大会議を開きましてその関係条約を改定するわけでございます。一九六九年に東京で大会議が開催されましてこれらの諸条約がつくられたわけでございます。これは内容は、UPUの機構の改革及び郵便関係諸料金の改訂等を規定しております。内容は非常に大部なものでございますが、きわめて技術的なものでございます。
 それからアジア=オセアニア郵便条約は、これはいま申し上げましたUPUのいわゆる限定連合――地域的な連合の一つでございます。加盟国は現在九カ国でございますが、これもUPUの条約の改正のあとを受けまして、旧条約をアップツーデートにしたものでございます。いずれも、内容は非常に大部にわたりますけれども技術的なもので、特に問題はないかと存じます。
 次に、「コンテナーに関する通関条約」でございます。それからさらにその次の「国際道路運送手帳による担保のもとに行なわれる貨物の国際運送に関する通関条約」、いわゆるTIRカルネ条約、この二件を合わせ御説明申し上げます。
 実は最近は船舶のコンテナー輸送が非常に発達してまいりまして、本年の秋には、欧州向けにもコンテナー輸送が開始されることになった次第でございます。そうしますと、そのコンテナーの通関ということ及びその貨物の通関ということは非常に大きな問題になってまいるわけでございますが、ヨーロッパにおきましては小さな国が国境を相互に接してやっておりますので、その問題についてはその必要がつとに感じられて、ヨーロッパではそういう一つの条約ができておったわけでございます。したがいまして、これらの条約に加盟いたしますれば、コンテナーが簡単に免税で一時輸入ができるという組織になっております。また荷物につきましても、いわゆるTIRカルネというものを携行すれば、中身について税関検査をきわめて簡略化して通関できるというわけでございます。したがいまして、わがほうの欧州向けコンテナー輸送というのがいよいよこの秋から始まりますので、その平等の条件のもとに競争するためにもこの条約にはぜひ加入すべきであるというのが、わがほうの海運業界及びコンテナー製造業界からも言われておるわけでございます。したがいまして、これも内容的にはきわめて技術的な条約でございますが、わが国の貿易の振興に非常に役立つと存じますので、いずれも早急に加入したいと考えております。
 次に、ILO条約三件を合わせ御説明申し上げます。
 ILO条約三件のうち、特に上の二件は最低賃金に関する条約でございます。最初の、ILO条約第二十六号、「最低賃金決定制度の創設に関する条約」でございますが、これは番号からもおわかりのように、非常に古い条約でございまして、一九二八年にILOの総会で採択されたものでありまして、現在その加盟国は七十八カ国に達しております。その内容は、労働協約その他の方法で賃金を有効に規制する制度が存在しておらず、また、賃金が例外的に低い幾つかの産業の労働者のために最低賃金制度を設けるべきであるということを大目的とした条約でございます。各国は、その最低賃金を決定する制度の性質とか形態等は自由に決定できることになっておりますが、その制度の適用にあたりましては、関係労使と協議すべきこと、また、制度の運用への労使の参与は平等であるべきこと、また、決定された最低賃金率は関係労使を拘束するということを条件とするものであること、そういうことが規定されておりまして、最低賃金決定制度に関して基本的と考えられる原則を規定したものでございます。
 さらに次に、開発途上にある国を特に考慮した最低賃金の決定に関する条約――ILO第百三十一号条約は、一九七〇年の六月にILOの総会で採択されたもので、これはきわめて新しい条約でございます。これは、先ほど申し上げました一九二八年の条約を補足するものでございまして、一般的に適用される条約でございますが、特に開発途上国の必要を考慮したものでございます。内容は、そういう意味で、二八年条約を補足強化したものと御承知願いたいと存じます。わが国におきましては、最低賃金制度につきましては、主として最低賃金法によりまして行なわれておりまして、この二つの条約において規定されております最低賃金決定制度に関する諸原則はすべて充足されております。したがいまして、この二つの条約をわが国が批准いたしますことは、最低賃金制度の推進ということ、及び、わが国の労働面における国際協力という面においても非常に望ましいことであると存じます。
 第三番目の条約は、たいへん長い表題で恐縮でございますが、「国際労働機関の総会がその第三十二回までの会期において採択した諸条約の一部改正で条約の運用に関する報告をILO理事会が作成することについての規定の統一を目的とするものに関する条約」、ILO第百十六号条約と称せられております。これは実は内容的にはきわめて技術的な手続的なものでございまして全然問題はないのでございますが、実は一九四九年以前の諸条約につきまして、理事会の総会に対する条約運用に関する報告を弾力的に行なうということができるようにするということを規定しただけのものでございます。これによりまして、各条約が、一九四九年の条約が自動的に修正されるという効果を持っております。わが国は、一九四九年以前の条約につきましてすでに二十四を批准しておりますが、今後も批准することがございますので、この条約に加入しておきたいと存ずる次第でございます。
 次に、航空機の不法奪取防止に関する条約でございますが、これは皆さまよく御存じの東京条約――機上犯罪一般に関します東京条約に続く条約でございます。これは、昨年の十二月にヘーグで会議が開かれまして、署名を見るに至ったものでございます。趣旨は、ハイジャックというものそれ自体を重罪というふうに規定いたしまして、それに各国が必ず処罰できるように裁判権を設定する。登録国であれ、着陸国であれ、運航国であれ、必ず裁判権を設定するようにする。さらに少なくともそういうハイジャック犯人につきましては、引き渡しを行なうか、少なくとも訴追のために関係当局に事件を付託する義務を負っております。それから、特色といたしまして、これはいわゆるオール・ステーツ・フォーミュラになっておりまして、あらゆる分裂国家もこれには加入できるという仕組みになっております。
 次に、「海底及びその地下における核兵器その他の大量破壊兵器の設置の禁止に関する条約」でございますが、これは、御承知のとおり、ジュネーブで行なわれております軍縮委員会の成果の一つでありまして、昨年の十二月の国連総会でその条約の趣旨は可決を見たものであります。そしてこの条約は、来たる二月十一日にワシントン、ロンドン及びモスコーの三国の首都で署名に開放されることになっております。わが国としてはその第一日に署名する予定であります。この趣旨は、簡単に申しますと、陸上から十二マイルより外の海底で核兵器その他の大量破壊兵器を置くことを禁止する条約であります。また、それに伴う必要な検証手続を定めております。これも一つの軍縮措置でありまして、不十分ではありますが、軍縮の一つの成果としてわが国としても積極的にこれには参加してまいりたいというふうに考えております。
 最後の、「第四次国際すず協定」でございますが、これは第四次と申しますように、従来三回つくられ、今回第四回目のものがつくられたわけでございますが、実は昨年の四、五月にかけて採択をされましたが、第三次すず協定はことしの六月末で効力を失うこととなっております。考え方といたしましては従来の協定と変わっておりませんで、要するに、一定の価格の幅を定めまして、その中でいわゆる緩衝在庫――バッファー・ストック――制度を活用してすずの国際価格の安定をはかるという趣旨のものでございます。わが国は、この協定に参加している国のうちでは最大のすずの消費国でございまして、また、東南アジアのすずを生産しておりますマレーシアとか、インドネシアとか、タイとか、そういう国に対する経済協力の意味からもこの条約には参加すべきであると存じます。一月二十六日に署名をいたしました。
 以上で十六件でございますが、最後に一つつけ加えさしていただきたいのは、実は非常に具体的な話でございますが、チューインガムが近く自由化になる見込みでございます。ただ、このチューインガムは、砂糖その他の原料面で諸外国に比べて不利であるということで、関税を三五から四〇〇%に引き上げたいということになっておりまして、これは最も重要な国であるアメリカとの間にいまこの三五%をいわばバインド――約束しておりますので、その点を三五から四〇に上げるための交渉をやっております。これが大体まとまる見込みがあるという報告を最近受けましたので、これがまとまりましたならば、その段階において国会に提出して御承認をいただきたいと思います。そうすることによってこの自由化が進むわけでございます。形といたしましては、ガットのいわゆる譲許表の修正という形になると存じます。
 以上をもちまして条約の御説明を終わらしていただきます。
#14
○委員長(松平勇雄君) 以上をもって説明は終了いたしました。
 ただいまの説明に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト