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1970/03/16 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 外務委員会 第6号
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1970/03/16 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 外務委員会 第6号

#1
第065回国会 外務委員会 第6号
昭和四十六年三月十六日(火曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     山崎 五郎君     廣瀬 久忠君
     浅井  亨君     黒柳  明君
     岩間 正男君     野坂 参三君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松平 勇雄君
    理 事
                石原慎太郎君
                長谷川 仁君
                山本 利壽君
                西村 関一君
    委 員
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                廣瀬 久忠君
                三木與吉郎君
                加藤シヅエ君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務大臣官房長  佐藤 正二君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省条約局長  井川 克一君
       外務省条約局外
       務参事官     山崎 敏夫君
       外務省国際連合
       局長       西堀 正弘君
       海上保安庁次長  上原  啓君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       科学技術庁原子
       力局次長     田宮 茂文君
       水産庁長官官房
       調査官      竹原 幸吉君
       運輸大臣官房政
       策計画官     田付 健次君
       郵政省郵務局次
       長        高仲  優君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○千九百六十九年十一月十四日に東京で作成され
 た万国郵便連合憲章の追加議定書、万国郵便連
 合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出)
○アジア=オセアニア郵便条約の締結について承
 認を求めるの件(内閣提出)
○千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止の
 ための国際条約の改正の受諾について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○油による汚染を伴う事故の場合における公海上
 の措置に関する国際条約の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (中国問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松平勇雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 去る十二日浅井亨君、山崎五郎君及び岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として黒柳明君、廣瀬久忠君及び野坂参三君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松平勇雄君) 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。
 愛知外務大臣。
#4
○国務大臣(愛知揆一君) 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。
 この法律案におきましては、まず、ミュンヘンに新たに総領事館を設置し、カナダの在エドモントン領事館及びニュー・ジーランドの在オークランド領事館をそれぞれ総領事館に昇格させ、これらの総領事館に勤務する職員に支給する在勤手当の額を定めることとしております。
 さらに、一部の在外公館所在地におきましては、住居費が大幅に上昇しておりますので、これに対処するため、在インドネシア大使館ほか九公館に勤務する職員に支給する住居手当の限度額を最高二四%、最低八%の引き上げを行なうものであります。
 なお、今回「在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律」の題名を、「在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律」と改めることといたしましたのは、従来「外務省設置法」の別表に在外公館の名称及び位置が規定されており、本法律の規定する在外公館職員の給与とともに常に二本の法律改正を必要とする不便がありましたものを、改めることといたしたいからであります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。
#5
○委員長(松平勇雄君) 引き続き補足説明を聴取いたします。
 佐藤官房長。
#6
○政府委員(佐藤正二君) ただいま大臣から御説明がありましたとおり、この法律案は大体三本に大別されると思います。
 第一番目がミュンヘンの総領事館を新設いたしまして、それからエドモントン――これはカナダでございますが――それからオークランド――これはニュー・ジーランドでございますが――これら二つの領事館を総領事館に昇格させる。それに伴いましてこれらの公館に勤務しております職員に支給する在勤手当を定める必要がございますので、それが一つ。
 それから二番目が、住居手当と申しますのがございますが、これが全在外公館にきめられておりますが、諸外国の中で、住居の値段と申しますか、家賃が非常に上がるところがございますので、それをピックアップして毎年お願いいたしまして住居手当の限度額を上げておるわけでございますが、今回十公館につきまして住居手当の限度額を上げたい、それが二番目でございます。
 それから三番目は、大臣からも御説明がございましたとおり、現在まで、新設公館ができますと二つの法律をさわらなくてはならなかったわけです。一つは、設置法のいわゆる名称、位置という点をさわらなくてはならないのと、それからもう一つは、そこにおります職員の給与をきめなくちゃならない。したがって、給与法のほうもさわらなくちゃならないということになっておりましたので、それを一つの法律にまとめまして、別表一、二というような形で処理いたしたい。そういうことで三本の柱になっております。
 あとの問題はたいした問題はないと思いますがミュンヘンの総領事館につきましては、ミュンヘンは御存じのとおり、ベルリン、ハンブルグに次ぐドイツの第三の都会でございまして、人口が百五十七万ぐらいでございまして、まあ、ドイツの南部の政治、経済、文化の中心地でございます。在留民といたしましても、留学生を中心といたしまして二百五十人ぐらい現在おります。御承知のとおり、明年の八月にはオリンピックがあそこで開かれることになっております。
 以上、簡単でございますが、補足説明させていただきます。
#7
○委員長(松平勇雄君) 以上をもって説明は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#8
○西村関一君 いま官房長から補足説明のありましたミュンヘンについてはよくわかりましたが、ドイツ連邦共和国内における公館はどことどこにございますか、この際お伺いしておきます。
#9
○政府委員(佐藤正二君) 御承知のとおり、ボンに大使館がございまして、あと総領事館がベルリンとハンブルグとデュッセルドルフ、それだけございます。
#10
○西村関一君 それにこのミュンヘンが加わったということでございますね。
 エドモントンとオークランドの領事館を総領事館にするという特別な理由は何でございますか。
#11
○政府委員(佐藤正二君) エドモントンは、御承知のとおり、カナダの西部に近く、アルバータ州の中心地でございますが、あそこは、小麦を中心とする農産物のほかに、石油だとか石炭だとか天然ガスというような豊富な鉱物資源に恵まれておりまして、わが国もアルバータ州から多量の小麦や鉱物資源を輸入する必要がだんだんこれから多くなってくるというようなことで、まあ、企業進出も必要になるのじゃないかというふうに考えております。ジェトロの事務所があそこに近々開設――たしかもう開設されたと思いますが、で、貿易、経済関係が非常に緊密になっていることでございます。
 それからオークランドのほうはニュー・ジーランドでございますが、あそこはオークランド自体が貿易、経済、商工業の中心地でございまして、ニュー・ジーランドとわが国との間の貿易の関係が非常にいま伸びておりますためにあそこに非常にウエートがかかっておりまして、今度総領事館にいたしたいと、こういうことでございます。
#12
○西村関一君 それから、ミュンヘンに総領事館が新設されるということは時宜を得たことであろうと思いますけれども、いままで領事館さえもなかったというのはどういうことだったのですか。当然あってしかるべきところだと思いましたが。
#13
○政府委員(佐藤正二君) 特別な理由もございませんでございますが、御承知のとおり、ベルリンは政治的な問題がございましてつくりまして、それからデュッセルドルフは、御承知のとおり、あそこに非常に日本の商社の方もたくさん行っておられましたんで、デュッセルドルフにつくりました。ハンブルグは、昔からございまして、古い建物もあったような関係でつくりましたんですが、その次につくるのはミュンヘンだということで、前々から考えておりましたんですが、だんだんおくれてしまいました。こういうことでございます。名誉総領事は持っておりました。
#14
○西村関一君 住居費が大幅に上昇しておると、これに対処するためにインドネシア大使館のほか九公館に勤務する職員に支給する住居手当の限度額を最高二四%から最低八%まで上げるということでございますが、全体として住居費が上昇しておるということはわかりますが、限度額が二四%から八%まで、だいぶ開きが大きいようでございますが、これはそれぞれの地域の特殊性もあることだと思いますけれども、その内容を少し聞かしていただけませんでしょうか。
#15
○政府委員(佐藤正二君) これは、御承知のとおり、それぞれのところの住居費の家賃を、職員自体の家賃をそれぞれとりまして毎年調査しておりまして上げていくわけでございますけれども、今度のパーセンテージのとり方は、二四%はソビエトでございます。これは特にこの法律の附則にもつけておりますのでございますが、ことしの一月一日からソ連が家賃を――あそこの家賃というのは公定でございますが――政府の命令で引き上げたわけです。これはしたがって、有無を言わさず上がってしまったわけでございます。したがって、二四%というのはそのままの比率をとっておるわけです。したがって、ここのこのソビエトの住居手当だけは、今回法律を御審議願って御承認願えますれば、一月一日にさかのぼってやりたいというふうに考えております。ほかの点はコンゴ(キンシャサ)が二〇%、香港が二〇%、それから一八%がサンフランシスコ、一七%がセイロン、一〇%がジャカルタでございますね、八%がニューヨークということになっております。
#16
○西村関一君 本案件に対する質疑は本日はこれで一応終わりますが、次回に継続して行ないます。
#17
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#18
○委員長(松平勇雄君) 次に、
 千九百六十九年十一月十四日に東京で作成された万国郵便連合憲章の追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件
 及び
 アジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を便宜一括して議題といたします。
 二案件につきましては去る十一日趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#19
○西村関一君 まず万国郵便連合関係条約について若干の質疑を行ないます。
 第一は、現在わが国は万国郵便条約の八約定のうち六約定の当事国となっているが、「現金取立に関する約定」及び「新聞紙及び定期刊行物の予約に関する約定」についてはその当事国となっていないことはどういうことでありますか。
 また、今回の条約提出に際しては、現在当事国となっておる六約定のうち四約定のみを締結することとしております。「代金引換郵便物に関する約定」及び「貯金の国際業務に関する約定」の二約定は締結しないこととなっておりますが、その理由はどういうところにあるのですか。
#20
○政府委員(山崎敏夫君) お答え申し上げます。
 まず最初に、「新聞紙及び定期刊行物の予約に関する約定」は、これは現在署名した国は五十三カ国でございますが、この業務は郵便局が公衆から予約料を徴収しまして、新聞紙及び定期刊行物の予約申し込みを引き受けまして、申し込み者に各国で発行される新聞紙及び定期刊行物を供給する業務でございますが、わが国ではこの業務を実施しておりませんので、これまでと同様今回はこれに参加しないこととした次第であります。
 それから、「現金取立に関する約定」に関しましては、これは五十八カ国が署名しておりますが、この業務は郵便局が委託者から受託しました受領書、手形指図書その他によりまして、委託者が指定する金額を現金で借方から取り立てて、この取立金額を郵便為替または郵便振替によって委託者に送付する業務であります。実はこの業務もわがほうはまだ実施しておりませんので、今回もこれに参加しないことといたした次第であります。
 それから次いで、代金引換約定及び貯金約定はなぜ今回は参加しなかったかという御質問でございますが、御指摘のとおり、従来わが国は「代金引換郵便条約に関する約定」に参加してまいったわけでございますが、この業務の実施国がヨーロッパ及びアフリカの三十一カ国にとどまっております。それからもう一つは、わが国の外国為替管理法による送金上の制約があるということ等のために、実際問題としてはこの業務を実施するに至らなかったわけでございます。それで、この状況、特にまあ実際に実施している国がわが国から遠いヨーロッパ及びアフリカに限られているという状況は今後も当分変わらないと思いますので、これを実施いたしましてもあまり実益がないであろうというふうに考えまして、今回この約定には参加しないこととした次第であります。
 最後に、「貯金の国際業務に関する約定」に関しましては、現在この業務を実施しておりますのはわずか十数カ国でございまして、しかも、それもすべてがわが国にとっては遠いヨーロッパ及びアフリカの諸国でございます。で、アジアの国はほとんど参加いたしておりません。そういうこともございまして、この業務も現在実施する情勢にない次第でございますので、これに参加しなかったわけでございます。
#21
○西村関一君 いま御承知のように一昨年、昭和四十四年の十月東京で開かれました万国郵便連合――UPU第十六同大会議におきまして、わが国は次の大会議開催までの間UPUの活動の総括機能を果たす執行理事会の構成国に選出され、さらに満場一致で理事会議長国に推挙されたとのことでありますが、郵便業務における国際協力をますます維持増進させようと努力しているわが国にとりまして非常に喜ばしいことであるとともに、その責任もまた非常に重大であると思われるのでございます。元来わが国は郵便制度ではかなり指導的な役割りを果たしてまいっておるのではないかと思われますが、従来わが国が果たしてきた役割り、また、現在執行理事会でかかえている制度上、技術上の問題があれば説明を承りたいと思います。
#22
○説明員(高仲優君) 仰せのとおり執行理事会は大会議から大会議の間、すなわち五年に一回大会議というものが開かれるわけでございますが、その間の連合の実質的な事務の継続を確保する仕事をやっておる次第でございます。大会議は五年に一回開かれるわけでございますが、これがUPUの最高機関ということになっております。しかしながら、五年に一回でございますので、その間は執行理事会が実質的な事務を取り運ぶことと相なっておりまして、年次予算の承認、それから国際事務局の監督、事務局職員の人事の承認、郵便に関する各種の問題の研究等、各般の日常の事務をすべて行なう責任を有しております。したがいまして、執行理事会の問題といたしましては、日常のあらゆる方面にわたっての事務が行なわれるわけでございますが、特に問題となる点ということについて申し上げるといたしますれば、年次予算の決定という点につきましては、効率的なUPU業務の運行をはかること、これがまず第一の問題であろうかと思います。また、国際協力の面におきまして、その加盟各国からの要望を、具体的に予算面を考えながら実施していく責任を有しております。人事の問題につきまして申し上げれば、適切な地域的配分を確保し、かつ能率的な人間の配置を考えていく、こうした点を考えておる次第でございます。
#23
○西村関一君 UPUの関係におきまして、スイス政府はUPUの国際事務局長の候補者を提議して、事務局の会計を監査するとともに、UPU加盟国が支払うべき分担金を立てかえ払いをして翌年中に各加盟国から償還を受けるなど、非常に特殊な地位に置かれております。これはUPUとスイスとの歴史的なつながりによるのでありましょうが、将来もこのような特殊な関係が存続される傾向でございますか、伺っておきたいと思います。
#24
○政府委員(山崎敏夫君) 万国郵便連合はスイスを発祥の地といたしておりまして、国際事務局も創設以来スイスのベルンに設置されている次第でございます。そういう事情がございまして、従来からスイス政府は連合の経費の立てかえ払いを行なってきておるということがございます。こういうこともございまして、UPUとスイス政府との間には特別のつながりがあるわけでございます。この経費の立てかえ払いという制度そのものは、今日のわれわれから見れば若干特殊な制度だとは思いますけれども、それが廃止されるまでの間は、当分の間こういう特殊な関係は続くものと思います。この立てかえ払いの制度は、やはり外貨に乏しい後進国あたりにとりましては、かなり便利な制度でもありますので、いまのところ当分の間はこの制度が続くのではないかと思います。
#25
○西村関一君 本案件の質疑は本日はこれで終わりまして、次回に続行したいと思います。
 次に、アジア=オセアニア郵便条約についてお伺いをいたします。この条約の第十六条によりますと、アジア=オセアニア郵便連合の加盟国は、万国郵便連合の大会議において、加盟国に共通の利害関係のある問題については、お互いに協力するということになっておりますが、どのような問題について協力するのでございましょう。
#26
○政府委員(山崎敏夫君) この協力を具体的に申し上げますと、万国郵便大会議へのいろいろな提案につきまして、必要に応じて共同提案を行なうということなどもその協力の一つであろうと存じます。また、その万国郵便連合のいろいろな機関の理事国への選出とか、その他議事運営の全般に関しまして、このアジア=オセアニア地域に共通の利益の上に立って相互に連絡を密にして協力し合うということなどが考えられると思います。
#27
○西村関一君 この条約の第十七条によりますと、郵便業務を向上させるために加盟国間で郵便職員を交換しあるいは派遣をするということに協力するとなっておりますが、わが国ではこの分野でどのような寄与をしていこうと考えておられますか。
#28
○説明員(高仲優君) アジア=オセアニア地域におきまして、わが国はいわば先進的な立場にあるわけでございますので、そうした関係から、加盟国の職員の研修であるとかあるいは技術協力の面で積極的に寄与いたしたいと考えております。なお、本年度におきまして、加盟国から二十一名の職員を受け入れ、郵便業務の研修、施設見学等の便宜を与えております。このほか、アジア地域諸国の郵政関係の幹部をわが国に招いてゼミナールを開催いたしております。また、地域内で開催されるゼミナールは、わが国が行なうもの以外にもございますが、そうした場合におきましては講師を派遣するなど、積極的にこの面で活動いたしておりますし、また今後も活動を続けたいと考えております。
#29
○西村関一君 本案件の質疑は保留いたします。
#30
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、二案件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#31
○委員長(松平勇雄君) 次に、
 千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の改正の受諾について承認を求めるの件
 油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 及び
 国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件
 以上三案件を便宜一括して議題といたします。
 三案件につきましては去る十一日趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#32
○西村関一君 まず、千九百五十四年の海水油濁防止条約の改正について質疑をいたします。
 この条約は一九六二年に改正され、さらに今回、すなわち一九六九年に改正されて、一そう厳格な基準が要求されるようになったことは、海水油濁を最小限に食いとめるという意味でまことにけっこうなことだと思います。しかし、タンカーによるところの石油の輸送量が年々増加していくことを考えますと、はたしてこの改正条約によるところの防止措置で十分でありますか。すなわち、今回の改正では、タンカーとそれ以外の船舶とに分けて、それぞれにつききびしい油の排出基準を設けておりますが、この規則で十分であると考えられますか。現在の海水汚染の現状はどうなっておりますか。この油の排出基準によりますと、一〇〇PPMとなっておりますが、これは逐次蓄積されてまいりました場合にはどうなりますか。これらの点についてお伺いしたいと思います。
#33
○説明員(田付健次君) 一番最初にお話のございました、今回の改正条約の規制で十分かどうかという点でございますが、もちろん、技術開発等が進みましてさらに排出の防止がはかれる装置その他が出ました場合には、さらにわれわれとしては減らしていくべきであるというふうに考えております。ただ、現状におきましては、現在タンカー等が運航してまいります場合の排出防止上できますぎりぎりの限度までさせておりますので、現状におきましてはこれでよろしいのではないかと考えております。
 それから、世界的な汚染状況はどうかという点でございますが、特に一番古くからこの油濁問題が発生いたしましたのは、海流の関係で主としてイギリスとかヨーロッパ大陸でございます。現在の海水汚濁防止条約の原型は、実はその辺の問題から発生していると言ってもいい問題であります。その後タンカーによります海上運搬量が急速にふえてまいりまして、先生御指摘のように、かなりの量の廃油が海面に流されるという状態になってきておりまして、ある試算によりますと、十億トンの海上輸送量があって、そのために百万トン程度の廃油が流されているのではないかというような試算もございます。また、世界的なそういうふうな海上の汚染の状態が進行してまいりましたので、現在国連それからIMCO等の国際機関でもこの油濁防止問題につきまして真剣に取り組んでおります。油濁防止装置のいろいろな開発であるとかリコメンデーションであるとかという点と現在取り組んでおる状況でございます。
 また、タンカーの事故が起きまして発生する問題もございます。で、耳新しい、私どもが記憶しておりますものをあげましても、比較的大きかったのは、一九六七年にドーバー海峡で起こりましたトリー・キャニオン号の事件がございました。このときは約六万トン程度の石油が英仏海峡に流れて皆さん非常に困ったわけですが、こういう大きな事故もございました。ごく最近は、ついこの一月にサンフランシスコ湾でタンカーがぶつかりまして湾内の油濁を起こしております。一方、私どものおります日本の海域におきましても、油が流れることによりましていろいろな漁業上の被害があがっておりまして、ちょっとデータが古いのですが、三十九年当時の試算では五十億もあるということが言われております。
 そのようなことで、海水の油濁の問題は、今後タンカーによります石油の輸送量がふえてまいりますにつれましてますますふえていくと私どもは考えざるを得ないということですので、今後もそういう点についてきびしい規制をしていく必要があると考えております。
 それから、一〇〇PPMで出していけば、たまったあとどうなるかという問題でございますが、私、そのほうの専門家ではございませんのですけれども、現在までにこの一〇〇PPMがとられております理由としましては、一つは条約上に規制をいたしますので、実際に各国がみんな実行できるというような技術的な可能性のあるものでなければならない。そういう意味で、現在、船舶に取りつけます油水分離器というので油と水とを分離いたしますのですが、その装置の性能として国際的にはこれ以下に下げるというものがいまありませんので、一応そのぎりぎりまで押えた。それから、実際に一〇〇PPMで海面にその油性汚水を流しました場合に、陸上の場合と違いまして船舶は移動いたします。また海流、潮流等がございますので、拡散がすみやかに行なわれまして、この一〇〇PPMの基準が出ましたのは一九五四年の条約からでございますが、実際には五八年から発効いたしておりまして、約現在までに十何年かになるわけでございますが、いまのところ問題がないように聞いておりますので、一〇〇PPM自身につきましてはこのまま続けてよろしいのではないかと私は考えております。
#34
○西村関一君 二番目には、現在わが国の海水汚濁についてはどのような状況になっておりますか。
 海水油濁条約につきましては、昨年の海水油濁防止法が制定されておりますが、海水油濁防止施設の整備状況、油水分離器等の船舶内の施設、監視取り締まり体制はどうなっておりますか。陸上にあるところの防止施設、それから船舶の中にあるところの油水分離器等の施設、監視取り締まり体制、こういうものは一体どうなっているか。
 また、日本近海は海水の汚染が特にひどいようでありますが、その汚染の状況、被害、これは水産庁の方来ておるかと思いますが、どういう被害の状況にあるか。工業排水からの汚染をも含めまして、日本近海の汚染の状況と被害の状況についてお伺いいたしたい。
#35
○説明員(田付健次君) 前半の先生の御質問の監視取り締まりにつきましては後ほど保安庁のほうからお答えいたします。
 まず、わが国の海水油濁状況でございますが、農林省のほうからお話があるかと思いますが、現在私どもの対象にいたしております船舶約一万隻ばかりございますが、年間にこれらの船が排出する油性汚水、すなわち、タンカーにつきましてはバラスト水、それから一般船舶につきましてはビルジの油性汚水などでございますが、これらの総量が約二千万トンくらいあるという試算がございます。もちろん、これらの油性汚水を出さないように、私どもといたしましては、従来から船にはビルジの排出防止施設、また陸上では廃油処理施設をそれぞれ整備を促進させてまいっておりまして、現在廃油処理施設の整備につきましては、主として港湾管理者を中心にいたしまして整備をいたしてまいっております。現在やっております港湾整備計画によりますと、四十五年度末までには二十二港に三十三カ所、これは必ずしも数字が合いませんのは、一つの港に複数の廃油処理施設がある場合がございますので数が合いませんが、二十二港三十三カ所の廃油設備を整備することになっております。さらに、四十八年度末までには三十四港五十五カ所を目標に整備を進めております。
 で、ここまでの整備は、先ほど申し上げました油性汚水の約九割が吸収できる予定で進めてまいったわけでございますが、今度の六九年の条約改正によりましてさらにその排出規制が強化されまして、また国内では、条約の対象船舶はございましたけれども、さらにその対象船舶を広げまして規制を強化いたしましたので、その分の廃油を処理しなければならないという必要から、さらに三十数港につきましてその廃油処理施設の整備を進めていこうという計画を進めております。
 それから船舶の油水分離器の問題でございますが、これは現在の海水の油濁防止に関する法律というのがございますが、これによりますと、対象船舶は、タンカーにつきましては百五十トン以上、それから一般船舶につきましては五百トン以上ということで、この分につきましてはすでに油水分離器の取りつけを終えさせております。
 それから、昨年の暮れの公害国会で海洋汚染防止法をつくりましてさらに六九年に改正強化された部分を吸収しました際に、先ほどお話し申し上げましたが、船舶を一部拡大いたしましたので、一般船舶については三百トンまで適用させることにいたしました。タンカーにつきましては百五十トン未満でも適用することにいたしましたので、その分がこれからの取りつけの必要数になっております。これにつきましては暫時の猶予期間を与えまして取りつけを進めております。
 以上、陸上側の廃油処理施設と船舶内に取りつけます油水分離器等につきましてそれぞれ国または船舶整備公団等の助成を行ないまして取りつけを進めておる状態でございます。
#36
○政府委員(上原啓君) 御説明申し上げます。
 まず、海水油濁の発生状況でございますが、少し古い資料でございますけれども、暦年でございますが四十四年におきまして全部で二百七十三件の油濁の発生が報告されております。そのうち船舶によるものが百七十五件で一番多うございます。陸上から流出されたことが確認されたものが二十九件でございます。発生源の不明なものが六十九件、大体こういう状況になっております。
 この海水油濁の監視取り締まり体制について簡単に御説明申し上げますと、現在海上保安庁といたしましては、海水油濁事犯の取り締まりということは最重点事項といたしまして、全管内に厳重に指令をいたしております。特に油濁事案の発生の可能性の多い、またその結果が大きな被害をもたらすものと認められます東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海というところは特に重点海域として指定いたしまして、これにつきましては船艇、航空機等によりまして天候の許す限りほとんど常時パトロールをしているというような状況でございます。その他船舶に立ち入り検査などできるだけの努力を目下傾注いたしております。
 そういう状況でございます。
#37
○説明員(竹原幸吉君) 日本近海におきますところの水質汚濁によりましてどのような漁業被害が生じているかということでございますけれども、水質汚濁によりますところの漁業被害の態様といたしましては、陸上からの工場、事業場等から流れ出しますところの排水による水質汚濁によるもの、あるいは都市下水等によりますところの水質汚濁によります漁業への影響、そのほか船舶からの油の流出、あるいは産業廃棄物等の投棄によりますところの漁業への被害、こういったものがございます。これらを含めまして、近年におきます漁業被害の状況といたしましては、各都道府県からの報告によりますと、年間約百三十億円程度に達しております。
#38
○委員長(松平勇雄君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#39
○委員長(松平勇雄君) 速記をとってください。
#40
○加藤シヅエ君 いまの西村委員の海水汚濁の問題について海上保安庁にひとつ関連の質問をさせていただきます。
 海水の汚濁について海上保安庁では非常に厳重に、ことに重要地区を指定して検査をしていらっしゃる由、たいへん御苦労さまだと思っております。この間からいろいろの事件などございまして、いろいろ厳重に監視していらっしゃることなどもニュースその他で承知いたしております。私そのときに感じましたことは、非常にこの問題を重要視していらっしゃるにもかかわらず、海上保安庁のその目的のために使える手が足りない、設備が足りないというような問題で悩んでいらっしゃるのではないかと推察するのでございますが、その点はいかがでございますか、率直に聞かしていただきたいと思います。
#41
○政府委員(上原啓君) 先生の御質問、実はわれわれに対する非常な御理解と御激励のことばというぐあいに承りますが、率直に申しまして、現在航空機、船艇、極力、この油濁防止、油濁事犯の監視取り締まりに当たっておりますけれども、率直に申し上げまして、現在の勢力で十分であるということは申し上げかねると思います。四十六年度予算につきましても、この油濁防止関係につきまして超重点的に要求いたしたのでありますが、大蔵省のほうもこの点につきましては相当理解を示されまして、たとえば空から監視するのに非常に有効なヘリコプターにつきましては、国庫債務負担行為の分を含めまして一挙に四機という予算が認められましたし、また、この監視に非常にハンディによく働きます巡視艇の代替建造につきましては、十九隻という、かつてない大きな数字を、代替建造の予算を認めてもらったような次第でございます。決して十分とは申せませんけれども、われわれは今後も予算的な措置、それから人員につきましての措置につきましても超重点的に整備をはかっていきたい、また、関係各省の御理解も得られるのではないか、このように存じております。現状において万全な体制でないことは率直に申し上げます。今後さらに努力いたしたいと思います。
#42
○加藤シヅエ君 予算が今度多少ふえたことは当然のことと思いますけれども、それに関連した人員の増加ももちろん認められたのでございますか。
#43
○政府委員(上原啓君) 人員、組織につきましても四十六年度は相当な補強をいたすことになっております。現在、本庁自体におきましてこの海上公害の問題を、海洋汚染の問題を専門に担当する部課がございませんでしたけれども、今度は本庁内の警備救難部に海上公害課という専任の課の新設が認められました、ただし、その要員は振りかえでございますけれども。それから、先ほど御説明申し上げました四つの重点海域を担当いたします第三から第六にわたります管区本部につきましては、それぞれ公害監視センターというものの新設が認められたわけでございます。これにつきましては十二名の増員ということになっております。それから、ほんとうに第一線で働いております海上保安部につきましては、これは五名でございましたが、現状といたしましては相当な補強を認められた、こういう状況でございます。
#44
○西村関一君 本案件の質疑並びに海水油濁公法条約についての質疑は次回まで保留をいたします。
 次に、国際原子力機関(IAEA)憲章第六条の改正の問題につきまして質疑に入りたいと思います。
 昨日の読売紙上によりまして承知したのでありますが、昨三月十五日、東京で開かれました日本原子力産業会議に出席をいたしましたアメリカの原子力委員会のウラン濃縮工場運営事務所長のサピアリー氏が次のようなアメリカ原子力委員会の新方針を発表をいたしております。一九七三年以降は濃縮ウラン供給契約を解除する場合には相当額の弁償金を支払ってもらうとの契約条件に改める。もしこのとおり実施されるということになりますと、自主開発ができ次第アメリカへの依存から切りかえるということが困難になると思いますが、そういうことになりますと、永久にアメリカに濃縮してもらうか、それとも自主開発にするか、その二者択一、選択を迫られるという問題に直面するのではないかと思いますが、自主開発と申しましてもなかなか容易ではないと思いますが、政府はこのような点に対してどのような見通しを持っておられるか、外務大臣の見解を承りたい。
#45
○説明員(田宮茂文君) 現在のところ、先生の御承知のように、わが国はアメリカと原子力平和利用に関します協定を結びまして、それに基づきまして濃縮ウランをアメリカから供給を受けております。それで、ただいままでのところ、アメリカの濃縮設備は現在四〇%程度の稼働率でございますので、従来までの契約におきましては、御指摘のように、三年半の予告をもちまして契約を解除いたしましても何らそれに対するペナルティというものがない契約になっております。ただし、世界各国の濃縮ウランの需要が非常にふえまして、アメリカにおきましても一九七九年ころになりますと、需要と供給がバランスしてしまう。したがいまして、七三年以降、現在持っております三つの濃縮工場を改良する計画がございます。それで、そうなりますと、七三年以降の契約につきましては、普通の商業契約と同じように契約の解除につきましては何らかのペナルティをつけるというのがサピアリー氏のきのうの発言でございます。原子力委員会といたしましてもこのような情勢はつとに察知しておりまして、現在ウラン濃縮に関します研究を促進しておりまして、遠心分離法とガス拡散法を、それぞれ動力炉・核燃料開発事業団と日本原子力研究所が中心になりまして開発をしております。そうして、そのいずれの方法でどの程度の規模でパイロット・プラント等をつくるかは、来年の末に、研究の開発状況を見ましてきめるつもりでおります。ただし、御指摘のように、なかなか、研究開発から工場建設に至る期間はそう簡単にまいりませんので、その間はやはり現行の日米共同によりましてアメリカから供給を受けるということになると思います。
#46
○西村関一君 本件に関する質疑は次回まで保留いたします。
#47
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、三案件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#48
○委員長(松平勇雄君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#49
○森元治郎君 時間がありませんから、事実関係だけでとどめます。
 最近新聞で、国民政府がアメリカ政府に対して「中華人民共和国」なんということばを使うことはおもしろくないという抗議をしたというようなことが出ておりましたが、そういうことがあったのか、また、日本にはそういうことはあったのかなかったのか。
#50
○国務大臣(愛知揆一君) 「中華人民共和国」という名前を使ったことについて、日本政府に何ら国民政府側からそういった苦情のようなものを申し入れた事実はないと承知しております。
 それから、アメリカに対してどういうことをやりましたか、私はまだよく報告を読んでおりませんけれども、アメリカから特に連絡があったとも思いませんし、あるいは国民政府からそういう要請を受けたこともないと承知しておりますが、念のためアジア局長からもお答えさせたいと思います。
#51
○政府委員(須之部量三君) いまちょうど留守で恐縮でございましたが、御質問の趣旨は、アメリカが使ったことに対して抗議があったかという御質問かと思いますが、台湾の新聞にそれが非常に大きく出ておったのは事実でございます。しかし、正式の抗議をしたということは聞いておりません。なお、日本に対しても何らの申し入れもございません。
#52
○森元治郎君 きのうの新聞あたり、国民政府承認国のクウェートの中国承認で第五十九番目の国だと新聞に出ておりましたが、これはそうなんでしょう。そこで時間がないから進んで伺いますが、これから台湾から中国に切りかえるような国がだいぶあるようなんです。私名前を読み上げますから、専門当局でけっこうです。オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグ、オーストラリア、ニュー・ジーランド――大洋州、ナイジェリア、メキシコ、トルコ、ペルー、レバノン、チリー――これはどうなっていたか、そういう国々が新聞にちらちらしているのを集めてみたんですがね。この約十くらいの国がどうも北京のほうを承認するようになりそうなんですが、あなたのほうのつかんでいる情報を聞かせてください。
#53
○政府委員(須之部量三君) 新聞等に出ておりますし、私ども非常に動向を注意しておりますが、このうちで一番はっきりしておりますのはオーストリア、これはオーストリアのほうの国会の外交委員会で一応北京との国交回復をはかるというラインについての原則的な了承を得たということで、政府がどんな形でいつから交渉を始めるかという段階に入っておると了解しております。場所につきまして、あるいは時期につきましていろいろございますが、少なくとも場所につきましては、たとえばルーマニアの説、あるいはスイスの説等々ございますけれども、まだ決定したということは聞いておりません。
 それからベルギーにつきましても、北京との国交関係を何とかしたいという動きがあるのはそのとおりでございますが、ただ、ベルギーの場合は前からはっきりしておりますように、言うならば、自分自身も小国である。したがって、国民政府の立場というものにも非常に深い同情を持っているし、いわゆる北京との国交回復と、それから国民政府――中華民国の地位を何とか両立させる方法はないかという点で依然として模索しているという状況と了解しておりますし、具体的な交渉を進めるという段階まではまだ入っていないというふうに了解しております。
 ルクセンブルグも同様でございまして、これはむしろベルギーの動きを見ているということだと思います。
 それからオーストラリアでございますが、オーストラリアにおきまして先般国会の討議がございまして、外務大臣が、外務大臣に対する質問の中でこの問題に触れたのは事実でございますが、これは依然として原則的にまだ問題の検討を行なっている段階だというふうに考えます。その質問の趣旨は、カナダが北京を承認した結果、小麦が非常に売れる。欧州は現にいまのところまだ北京との間の小麦の本年度の売り込みの契約は全然始まってないわけでございますが、それらのことに関連しての質問に対しまして、基本問題として考えているけれども、この小麦が売れるか売れないかというようなことは、北京との国交関係を基本的にどうするかという点を考えるに際してのポイントとしないというふうに言っております。
 ニュー・ジーランドにつきましても、もちろんいろいろ考えていると思いますけれども、必ずしもいますぐにどうこう、たとえばオーストリアとかベルギーというように進んで問題が突き詰めて考えられているというふうには考えておりません。
 それから、ほかの国については、必ずしもどこまで問題が煮詰められているかということははっきりいたしませんが、トルコの場合には、最近までいろいろまじめに考えておったのは事実でございます。これはNATOの一角として、ほかの国が北京との国交関係を進めてまいりましたので、その点からも考えたいというような点、それからトルコは、貿易上の利害関係から従来も第三国経由で北京との間に若干の貿易がございましたので、むしろ直接やったほうが有利ではないかというような観点がトルコとしても北京との国交回復を考える要因となり、他方、やはり朝鮮事変のときにトルコ軍は朝鮮半島で中共軍と戦ったということがございますので、その点のいろいろ心理的な抵抗もあるようでございますし、依然として検討段階であるというふうに了解いたしております。
 その他の国々につきましては、動きはあるようでございますが、いま申し上げたような的確な動きを示しているとは考えておりません。
#54
○森元治郎君 だいぶ国府承認国と中国承認国がクウェートを入れても双方とも六十カ国台になって対等になりつつあるようですね。こういうふうな勢いで、あと七、八カ国でも棄権の国あるいは国府承認から中共承認に切りかえるような国があれば、重要事項指定方式ではますますことしの国連総会は非常に危険になると思うのですが、きょう現在の見通しとして、かりに重要事項指定の確認の決議案を出しても否決されることは絶対ないという確信ありますか。
#55
○政府委員(西堀正弘君) 昨年の重要事項指定方式は六十八対五十四でございましたか、十四の差でございます。しかし反面、棄権国が非常に多うございます。したがいまして、われわれといたしましても、現段階におきまして、かりに昨年と同じ重要事項指定方式を出した場合にどうなるであろうかという票読みはもちろんやっております。その票読みは、何ぶんにもアフリカ諸国、それからラ米諸国といった国々が多うございますので、何としても、極端なことを申しますならば、棄権を通り越しまして賛成に回るのか、あるいは否決、反対であるのか、もうこれは百八十度の差がございますので、したがいまして、その票読みにおきましても、賛成票についてわれわれ非常に甘く見た場合と、きつく見た場合と二十数票の差がございますし、それから反対の票につきましても、これが甘く見た場合とそれからゆるく見た場合と、やはりこれまた二十数票の差がございますので、したがいまして、結論として申し上げますならば、非常に現在の段階において、申しわけないのでございますけれども、何ともわからぬと言わざるを得ない状況でございます。
#56
○森元治郎君 重要事項をかたく過去守ってきた日本政府としても薄氷を踏む思いのように思うのですが、大臣いかがですか、いまの御説明を伺って。
#57
○国務大臣(愛知揆一君) この問題は、しばしば申し上げておりますように、昨年の総会での結果というものも十分承知しておるわけでありますし、それからの国際的な動きなども見通しながら、国益に踏まえて、最も妥当であるという措置をとりたいと思って慎重に検討いたしておりますと、こう申し上げておるわけですが、その状態が現に続いておるわけでございます。いかなる態度をとるかということに関連してのお尋ねだと思いますが、いまいわば事務当局の客観的な情報を基礎にした見方を申し上げたわけですけれども、これはいまもお聞き取りのように、とりようによってとにかく非常な差がございますから、にわかにその中から結論づけるということはまだ早計ではないかと思っております。
#58
○森元治郎君 いま大臣の御答弁で、いかなる態度をとるかのお尋ねだと思うと。私は、態度をとれとかとらないという意味じゃなくて、いまの事務当局の説明では、甘く見ても二十数票、辛く見ても二十数票、全くわからぬ。おそるべき状態ではないか、薄氷を踏む思いではないかというあなたの心境を伺っているのです。
#59
○国務大臣(愛知揆一君) これは、かりにいままでのようなやり方でいった場合の各国の動向がどうであるかということの一つの見方であるというわけでございますから、政府としては、ほんとうにいま申しましたような立場に立って慎重に検討して、いかなる方法をとることが最善であるかというふうに目下真剣な検討を続けておるわけでございます。ですから、これは薄氷を踏むとか、踏まないということではございませんで、いろいろな要素があるわけでしょうから、そのいろいろの要素を踏まえ、かつ見通しもつけて、最善の立場をとるというふうに考えてしかるべきじゃないか。
 それからなお、私特につけ加えておきたいと思いますのは、やはり代表権の問題というものは、国連加盟国のそれぞれの立場からいっても、国連の憲章あるいは精神、そういう点からいって非常に重要な、大切な事項であるということは、これは各国ともよく承知しておるところであると思います。したがって、いま単純にいろいろの情報を集めただけではわからないので、やはり最終的に各国がいかなる態度をとるかということをこれからまだまだ十分見きわめていかなければ、各国の動向にしても最終的な捕捉は非常にむずかしいと思っております。
#60
○森元治郎君 これはたいへんなことだと思うんですね、この対策は。これをうまく切り抜けたら愛知大外相と、「大」をくっつけてやってもいいくらいの功績ですよ、これは。そこで、もしこれで負けるとなったら、これは内閣総辞職もんでしょうね、事、内閣にとっては。というのは、これは重要事項の決議案というのは、単純多数で成否がきまるんでしたね。だから、この間は幾らだったかな、六十六が賛成、五十二が反対。ここで反対のほうが多くなれば、重要事項じゃありません。重要事項にはかからないんだとなれば、もし続いて例のいわゆるアルバニア案がかかったとして、しかも賛成が多ければ、その瞬間にどんぴしゃり、これは中国招請、国府追放がきまるんだと思うんですね。いろいろ議事手続とか提出の手続がありましょう。前だ、あとだといろいろありましょうが、手続は一応別にして、従来どおりに重要事項が先に出て――先に出すように工作するでしょう――先に採決して、続いてアルバニア案となった場合、重要事項であと七、八カ国あれば負けるのですから、負けた。続いて中国招請、国府追放がかかる。何票かの差で賛成が多ければ、その瞬間に、ことしの秋に国府追放がきまる。政府がねらったことはもう根底から、一も二もなく、何のリザーブもなくすっ飛んじまうんだと思うのですね。だから、内閣は当然総辞職に値する、そうして次の者にあとを渡す、こういう次第になるほど重大問題だと思うのです。大臣の御決意をひとつ伺いたい。
#61
○国務大臣(愛知揆一君) これは今国会の当初から公式に申し上げておりますように、いろいろこれからの情勢を見きわめて日本としての態度をきめるべく慎重に検討いたしております、というのが政府の態度でございますから、いま断定的におっしゃいましたように、一つの方式で終始するということだけでもない場合もあり得るわけですから、いまのお尋ねはお尋ねとして、それに対してストレートにまだ私お答えするような政府として腹案を持っておるわけでございませんから、いま少しあとのことにしていただきたいと思っております。
#62
○森元治郎君 一つの方式に終始こだわっていないという場合もあり得ると。やわらかですが、そうすると、重要事項だということは、この国会でも、ただいまでも重要事項だということはこれは政府は変えてないんだというたてまえなんですが、この点はどうなりますか。これもゆらぐこともあり得るんですか。
#63
○国務大臣(愛知揆一君) しかし、いずれにいたしましても、加盟国のステータスの問題ということになれば、これは、先ほど申しましたように、国連憲章あるいはその精神からいっても大切な、重要な事項として扱わなければならないということが私は基本的な精神だろうと思いますし、それから、現にこれは先ほどの情勢分析の中にもございましたけれども、どうしてそう幅が非常に広くあるかといえば、その辺のやはり非常なむずかしさということを私は反映しておることだと思うのです。たとえば、すでに昨年の総会にもあらわれておるように、一方を入れることは非常にけっこうなことだけれども、さりとて一方を追放するということについては非常なためらいを感ずるというようなことが多くの棄権票にもあらわれておりますので、そういう点を考え合わせてみましても、やはり国連加盟国の立場である各国の立場からいえば、そういう点を、どういうふうに国連の精神、主義を守りながら、また従来の国連としての信義といいますか、そういうところから考えて、いかに善処すべきかということについては、各国それぞれまだまだいろいろの考え方を検討しているんじゃないか。それらが固まって出てくるのにはまだ相当の時間がかかるように思われます。
#64
○森元治郎君 「重要な問題として取り扱う」という表現と例の憲章十八条にいう三分の二ということが関連しますか。ただ大事な問題だという常識的な取り扱いをおっしゃっているんですか。三分の二の例の十八条を頭に置かれて「重要な問題」とおっしゃっているのか。
#65
○国務大臣(愛知揆一君) 実はそこまで詰めてお尋ねになると、私も、先ほど来るる申し上げておりますような環境の中にありますから、クリアカットのお答えはできませんが、しかし、私は、何といいましても日本にとってもきわめて重要な問題であるし、国連としてもこれは非常に重要な問題であって大切に扱わなければならない問題であるということは、これはいかなる人も主義として認めざるを得ないのではないだろうかと思われます。現に、憲章第十八条第二項でございますか、これを読み直してお互いに常に考えるべきことではないかと思います。
#66
○森元治郎君 まあ、いまからどういう案でいくかといったってそれは無理でしょうが、法眼君を出すとか出さぬとか、これはラジオやテレビで思ったんですが、せっかくアメリカと協議中なんですか、どうなんですが。
#67
○国務大臣(愛知揆一君) 法眼君は、この機会に明らかにいたしておきたいと思いますけれども、ジョージタウン・ユニバシティ・ストラテジック・インスティチュートですか、これのかねがね招待を受けておりまして、先方の招待によって講演に招かれた。政府としては、ただいまタイミングから申しましても一番忙しいときですから、いろいろ日程等調整いたしたのでありますけれども、非常に熱心に招請をされ、また、在ワシントンの日本大使館、それから在東京のアメリカ大使館等も熱心にこの実現を推奨いたしましたので、私も踏み切って、きわめて短期間このインスティチュートの要請にこたえたわけです。はたせるかな、時節柄、アメリカへ法眼審議官が行くというので、何か大会議、大情報を取材に行くのかというふうに伝えられましたけれども、私はそれだけの配慮をいたしまして了承を与えたくらいでございますから、本件は先方の御招待に応じまして、パネルディスカッションですか、講師として参加をする、こういう形でございますから、特別の用件は与えておりません。
#68
○森元治郎君 そうすると大問題で、私は、甘く見ても辛く見ても二十票の差なんていう専門当局の検討ですから、ほんとうにもうつばぜり合いのものすごい外交戦だと思う。しかも、これから選挙、それから沖繩の国会もあれば、天皇の外遊もあれば、たいへんないろんな重大なものが山ほどある。そこへ国連総会が開かれる。そこで日本がうまく立ち回ろうというのは、よほど落ちついた冷静な頭と組織的な対策ですね、各方面の知のうを集めて、これはたいへんなことだと思うので、私は薄氷の思いだと思うのです。
 そこでもう一つ伺いたいのは、きのうきょうあたり新聞にアメリカで中国への旅行の制限を全廃したとか、それから下院議員のフィンドレーとかいう共和党の下院議員が、たいへん、いろんなゆるめられるものはみなゆるめようといった書簡をニクソン大統領に出したらしいと報じて、台湾駐留米軍を引き上げるとか、台中の紛争に介入するという一九五五年の台湾決議までも廃止しろとか、旅行の制限、貿易の制限の緩和、それから政府特使の派遣とか、とにかくアメリカでも日本と同じようにだいぶこういう声が上がってきましたが、大臣はどんなふうにこれを受けとめられておられますか。日中関係を見ると、こういうふうにこれを緩和した、これを廃止したというようなことはほとんどない。かたくなっているのですね。向こうはゆるめられるもの、可能なものはどんどんゆるめていくという態度は非常にりっぱだと思うのです。そこで、これについての御意見と――もうまとめます。時間がないからまとめて伺いたいのは――去年の国連総会の鶴岡代表とアメリカのフィリップス代表の演説その他見て感ずる大きな点は、同じ台湾擁護であっても、同じ国連の普遍性をうたうにあたっても、アメリカのほうは、普遍性だから一つでも多く入ってきたほうがいいのだというようなところに力点がある。日本は、普遍性なんだから、それを減らそうというのはおかしいじゃないか。台湾を追放してしまうというのは非常におかしいではないか。同じことでも力の入れ方がアメリカと日本との大きい違いだと思うのです。私の伺いたいのは、これをアメリカの表現までに切りかえられるか。台湾はたいへんだ、除名されちゃ普遍性にも反するし、歴史的にもおかしいじゃないかというのじゃなくて、やはりフィリップスが言うように、国際社会において建設的な動きができるような中国、こういうものに非常な関心を持っている。しかも、皮肉にも、いかなる加盟国にも劣らない、日本にも劣らないほど関心を持っている。中国が国際社会で活動すること、こういうところに重点を置いているのですね。そのくらいの心境にただいまはなっておられるかどうか、この二点を伺いたい。
 もう一点は――まとめます――ウ・タント事務総長が七二年には中国の加盟が実現するだろうというような、きわめて示唆に富む談話を去年あたりやっているのですね。どういう確信を持ってああいうことを言っているのか、あの人の東洋人の肉体から受ける肉体的情報というか、感覚というか、こういうものはやはり恐るべきものがあると思いますので、見なくちゃならぬ。いま西堀国連局長のことばによれば、甘く見ても二十の票差、辛く見ても二十、どっちがどっちだかわからないというふうなことになれば、やはり七二年もあり得るのではないか。もう一つの理由は、中国問題の解決はニクソン大統領のときには無理なんじゃないか。やはり解決といっても全部どんぴしゃりじゃない。いわゆる中共承認、中共の国連加盟、台湾が弱い立場に立つというような事態は、ニクソン時代には無理なのじゃないだろうか。日本でとってみれば、佐藤さんも国会でおっしゃったように、佐藤さんの時代には前進しないのじゃないか。ちょうどその時期が、佐藤さんの総裁二年目が来年になりますかね。その後に中国問題が大きなビッグ・ストライドをするが、いまの時代では無理だ。それにしても七二年というのは、そういう意味で、ニクソンさんが落ちるかどうか私知りませんが、そういうことも踏まえてかどうか、これを大臣はどういうふうにお考えになるか。もちろん、ニューヨーク駐在のわが方の国連代表の鶴岡君のお話も来ているだろうし情報もおありだと思う。三点をまとめて伺います。それで終わります。
#69
○国務大臣(愛知揆一君) 非常に、三点とはおっしゃいますけれども、広範な御質問でございますから、まず第一の、米国はなるほど旅行者の制限を緩和というか、撤廃といいますか、いたしたようでございます。それからアメリカがどんどん中国大陸との間の接触をやっているではないか。日本は何もやっていないではないかというおことばですけれども、アメリカは、従来の経過を見ましても、中国へ米国人が渡航いたしましたのはたしか三人でございます。日本は年とともにふえておりまして、昨年は日本人は約三千人年間に旅行をいたしております。それから貿易の問題にしても、それから新聞記者の交換にいたしましても、私はそういう点で、日本としては相当に、いままで政経分離ということにも御批判がありましょうけれども、こういう事実上の関係はもうアメリカとは比べものにならないくらいにやっておりますことを私は指摘しておきたいと思います。
#70
○森元治郎君 政府の努力じゃないんじゃないかな、これは。
#71
○国務大臣(愛知揆一君) それから第二が、国連代表権の問題にしても、アメリカと力の入れ方が違うではないかと、こういう御批評でございますけれども、一番最近のニクソン大統領の外交教書の中国に関するくだりも、私もよく読んでおりますつもりでございますけれども、なかなく熟読玩味すればするほど、アメリカとしてもこれは非常に重大な問題として取り上げているということはよくわかります。同時に、日本としては日本の立場があることは当然でございますから、こういった大問題については、米国のみならず、友邦の国々といろいろと協調していかなければならないことは当然でありますけれども、やはり日本には日本の立場がある。日本としてことしの総会にどうやるかということについては、先ほど来申しておりますように、これはきわめて重要な問題であるという前提の上に立っていかなる態度をとるかということについては、まだまだ政府としての見解を申し上げる時期ではないと思います。
 それからその次の、ウ・タン事務総長は、事務総長の立場としてですか、個人的な見解としてですか、本件についてもおりおり発言しているようでございますけれども、これはやはり私としてはきわめて重要な問題でございますから、こうした言動に対して一々コメントすべき時期ではないと思います。コメントするということは、日本政府の態度というものがすでに明らかにされつつあるのならば格別ですけれども、まだ日本の態度を明らかにすべき時期ではないと思います。
 それから第四の、ニクソン政権が一体どう考えているだろうか。これは先ほど申し上げましたとおりで、やはりニクソン政権としては、一番最近のところでは外交教書にあらわれたところがニクソン大統領としての見解であって、それ以上の点については私もつまびらかでございません。これはやはり見る人によっていろいろの見方がございましょうが、日本は日本として、現在は佐藤内閣でございますけれども、佐藤内閣の立場としては、まあ繰り返すようでございますが、きわめて重要な問題として扱う。そして、これからのいろいろの動向も十分見きわめて最終的に態度をきめるべきものであって、まだその時期ではない、かように考えております。
#72
○森元治郎君 後日に譲ります。
#73
○石原慎太郎君 日中問題について少しお尋ねしたいと思います。
 新聞の伝えるところによりますと、自由民主党の総務会はやはりこの問題についての態度表明をしないということにきまったようでありますが、まあ与党がそういう態度を表明しないと、政府もおのずと自分の姿勢というものをはっきりされにくいと思いますけれども、ただ私は、やはりこの日中問題に対するこちら側の原則を示すといいますか、こちら側の姿勢を示す時期に来ていると思う。それをしませんと、やはり見えざる国益というものが失われていくというおそれが非常にいたします。ここで、いまこの場で大臣の口から原則というものまでも引き出すことはできないと思いますが、いままであります、この問題をめぐる既成の事実についてどのようにお考えかということをお尋ねして、私たちなりのこの問題に対する姿勢のよすがをつかみたいと思うのですが、私は、日中議員連盟などに入っておりません。どうもよくわかるようでわからない集まりなので入っておりませんが、しかし私は、日中の国交回復をしなくちゃいかぬという立場の人間のつもりでおります。それはむしろ私のほうがはっきりしていると思いますが、中国という国が、いままでの経過というものを見てみますと、日本にとって将来にはなはだある危険、有害性というものを持った国であるがゆえに、正常なルートというものでいろいろな問題についての話をすべきだと思います。いずれにしても、このごろの日本の状況を見ておりますと、何か中国という非常に全体主義的な国家に対する幻想的な過大評価というものが非常に多くて、そのはね返りが、向こうに対する非常にいわれのない、あるいは非常に過大な反発、過小評価という形になっているような気がする。どうもこういう日本人の心理というものは過去にもあったような気がいたします。まあ、紅衛兵に対する理由のないシンパシーというものが、実は昔のナチス・ドイツの全体主義のヒトラー・ユーゲントに対する理由のない共感であったような、そういう気がしますし、この間も週刊の、非常に高級とは言えない漫画雑誌を見ましたらば、非常に宣伝的な毛沢東の伝記の漫画が連載されておりまして、表紙に「圧倒的好評」というような字が刷ってあって、私はあ然といたしました。あるいは、覚書交渉の経過を伝えたニュースの中で、日本側の代表が普通の写真で映りましたが、当事者の周恩来首相の、これはただの肖像ではなしに、背景に群衆が手を振り上げて絶叫している一種の宣伝ポスターの絵が写真のかわりに使われて、私はどうも、それがいい傾向か悪い傾向か知りませんけれども、非常にあ然とせざるを得ない。しかし、この問題を考えてみますと、私はどう考えても、たとえば、どうも日中問題というものはいつも貿易問題を中心にして論議されがちでありますが、貿易という経済活動一つをとってみましても、非常に初歩的な経済学的な分析をしても、どうも中国の経済性というものは日本の経済にとってそれほど大きなポテンシャルを持っていると考えられない。どうもそういう結論が出ざるを得ないし、貿易の輸出額を見ても、向こうは全輸出額の一六%で、日本の対中国輸出は全輸出額のわずかに二%。明らかに数字が違いますし、どう見ましてもこの問題は、ごく原則的に日本側が外交的オプションを持っている問題だと私は考えざるを得ないのでございますが、この点、いかがでございましょうか。
#74
○国務大臣(愛知揆一君) 全体としてのまず御質問にお答えをいたしたいと思いますけれども、これはいま森委員にもお答えしましたけれども、くどいようですけれども、整理をして申し上げますと、中国問題というのは、要するに、わが国にとっても世界にとってもきわめて重要な課題であると同時に、きわめて複雑な問題であるということにまず十分留意してかからなければならないということが一番の前提であると思います。そうして、そのむずかしさの根本が非常にはっきりしていると思いますのは、「一つの中国」の問題で、一方と国交を結べば一方とは断交するというのが双方の非常なきつい態度である。これは筋合いの問題としては本来解決すべき――まあ私のことばで言えば、向こう様の内輪の問題だ。これをまあむずかしいことばで言って内政問題であるということになるのかもしれませんが、それはそういう筋合いの問題であると思います。同時にしかし、双方ともが「一つの中国」ということで、たてまえとしては、何としてもこれは一方が「解放する」と言い、一方が「進攻する」と言っている。この点が日本としても、アジアとしても非常に困ることで、武力抗争だけは何としてもやめてもらいたいという立場をとっている。それから、それはそれとして、大陸中国の現状に対して、ただ単に民間の接触だけではなくって、政府間の対話を持ちたいということは随時明らかにしているところでありますから、ただ、その政府間の対話というのは、いわゆるプレコンディションを前提にして、向こうがこう言っているから、それには頭を下げてそこで入っていくというようなことは、日本外交のとるべき態度ではないと私は考えておるわけでございますから、双方の立場を尊重し、双方の内政に干渉しないという二大原則のもとに話し合いに入っていく。そして、その政府間の対話の中で、いろいろの問題が、そこで率直に双方の立場が話し合えるようになれば、これは時間はかかりましょうけれども、その中でおのずからよい道が発見されるに違いない。こういう考え方で政府間の接触も求めていきつつあるわけであります。
 それからもう一つ問題は国連代表権の問題でありますけれども、これはただいまるる森さんにお答えを申し上げたとおりでございます。私は実はこの国会の冒頭にも外交演説の中でも申し上げているように、客観的な事実として中華人民共和国政府を中国の唯一の合法代表と認め国民政府を国連から追放するというアルバニア決議案が、初めて反対票を上回る賛成票を獲得いたしましたということも客観的にそのままをお話しをいたしているわけでございまして、政府としてはこのような結果をもたらした国際環境等について綿密な分析を行ない、今後の国際情勢の推移も見きわめつつ今後とるべき方策を慎重に検討してまいります。私は、現在の状況下におきましては、政府は態度を明らかにしないという批判もあるけれども、私がいま申し上げたことが、そしてまたこれに関連していろいろの機会にいろいろの角度から御質疑を受けたのに対してお答えしていることが、現在日本政府として示し得る態度の表明としては、これ以上にいけるものではないんじゃないかと思います。同時に、その環境、条件のもとにおいて政府として、責任当局として申し得ること、そしてその考え方の中身の取り上げ方というものは、私はかなり明確にしておるつもりでございます。こういうかまえ方の中で私はいろいろの、それは自由民主党の中にも議論があることはいまも御指摘のとおりでございますけれども、政府としてはこの態度で私はけっこうなんではないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
 なお、そのほかに経済的のあれでどれだけのメリットがあるかどうかというような点にもお触れになり御質問ございましたけれども、現状だけを基礎にしてとってみれば、たとえばアメリカを例に出すことがいいかどうかわかりませんけれども、アメリカに対するいろいろ問題があるのにかかわらず、一昨年と昨年との比較をしてみて、日本の対米輸出の伸びた額と、それから中国との間の往復を一緒にした額と比べてみれば、それが同様あるいは中国の関係のほうが少ないわけですが、年間の対米輸出貿易の伸びた額よりも日中間の前年間の輸出、輸入を引っくるめた額、これとがちょうど同じかあるいは少ないかぐらいの比重でございますから、現状から見れば、私は経済関係から見ましてもまことにこれは比重は少ないと言わざるを得ない。これが少なくとも現状であると思います。しかも、その日本が中国大陸との間に行なっておる貿易の額というものは、他のどこの国よりも一番大きな額であるというような事実から申しまして、現在の中国大陸の経済状態というものがおのずから判断されるわけではないだろうか、こういうふうに考えます。
#75
○石原慎太郎君 いつも具体的にお尋ねしますと総体論が返ってくるのですが、しかし、その中の落ち穂拾いみたいにおっしゃっておることをおっしゃったとおりに点と線とで結んでいきますと、一つのばく然といいますか、しかし、かなりにおぼろげですが、はっきりしたフィギュアが出てくるのですが、それならば私は、やはりそれを、いまの段階のばく然としてつかめるようでつかめない状態に置かれるよりも、はっきりと、つまり、どんなに向こうから大きな反発が返ろうと、自分が、こちら側がいろいろな機会に言ったことをつなげた一つの原則線みたいなものを出されたほうが、たとえば大使級の会談なんかも、要するに、実現の可能性があるのではないかと思う。で、どうも外相のおっしゃり方をお聞きしておりましても、「一つの中国」論をとらぬと両方がおこるというおっしゃり方のように、何か、向こうが出している原則というものが、こちら側の原則を出す前に一つのアプリオリになって入っていくきらいが非常に感ぜられるのですけれども、たとえば経済の問題でも、政経不分離と言いながらも、実は、おっしゃったように、中国にとっての日本との貿易というもののあり方というものを分析してみれば、他の国と比べて、結果的には政経分離という形になっていると思わざるを得ない。そういうふうに、やはり原則と実体が非常に食い違った形で、実はそこに向こう側のハンディキャップというか、われわれ側のオプションというものがはっきり出ていると思うのですけれども、私はやはり、大使級の会談というものが日中国交の促進の一つのよすがになり得るためにも、原則論というものをこちら側から、どんな反発が返ろうとも、出されるべきものではないかと思います。
 それから、これは非常にばく然とした質問になるかもしれませんが、確認いたしますけれども、いまのような形で、つまり、原則を出さずに点と線と結ぶ形で憶測させるほうが、この問題について日本の外交としてやはり有利とお考えになるわけでございますか。
#76
○国務大臣(愛知揆一君) この中国との対話を求めているという政府の姿勢は、要するに、双方の立場を尊重し合って、内政干渉ということでなくって、その二大原則のもとにあらゆる問題について話し合いをいたしましょうと、これから私は始まるべき問題だろうと、かように思っております。先ほど申しましたように、プレコンディションというか、いま石原さんのことばで言えばアプリオリ、こうしかならないのだと、向こうがこう言っているからということを前提にして話し合いを始めるということは、私はいかがかと思います。これはあらゆる国に対しあらゆる立場からいって、日本の自主外交ということがよくいわれるわけでございますけれども、まさにその基本線に従っていけばそういうことではないか、こういうように考えているわけでございます。
#77
○石原慎太郎君 そうすると、いまのおことばは、つまり、こちらの原則もあり得る、いずれの日にかそれを明示し得る機会があり得ると解釈してよろしゅうございますか。
#78
○国務大臣(愛知揆一君) 大使級会談ということをまず言っておりましたのは、また現にそう言っておりますのは、どういうふうなかっこうで政府間の対話を始めるかということのスタートとしては、外交の常道として、いままで国交がない、しかも、それが長い間不幸にして続いている状況においては、一番妥当であり現実的なやり方である、こう考えておるわけであります。
#79
○石原慎太郎君 それから、中国の国連加入に関して私たちが一番気になることは、つまり、国連に加入し国連のメンバーとして、現在の中国が過去にとってきた国際関係というようなものから見ますと、国連の精神というものに合致し得ない点が非常にあるわけです。インドネシアの革命の援助とか、あるいは北ベトナムヘの援助、あるいはインドに対する国境問題でのはっきりした軍隊を使っての介入、あるいは来日した中国の要人の言動などを見ましても、そういう非常に危惧を私は抱かざるを得ませんが、大臣は過去の中国のそういった国際関係の実績から見まして同じような危惧をお抱きになりませんか。
#80
○国務大臣(愛知揆一君) 私のとっております態度は、御承知のとおり、いろいろ言っておられるけれどもこれは政府間の対話に出ていることでもございませんし、それから、こちらの真意というものもなかなかわからないで言っておられることもあろうと思いますから、それに一々反撃をしたり、あるいはことばは悪いですけれども、売りことばに買いことばというような姿勢はできるだけ慎むべきものである。というのは、一切がっさい双方の態度や意見というものは、政府間の対話が始まればその中でほんとうに対等な相互の立場尊重ということでできると、またでかさなければいかぬと、こういう態度をとっておりますから、それだけに、ますますもって、それよりも前にいろいろと売りことばに買いことばというようなことは慎しむのが日本の外交の立場としてしかるべきところじゃないかと、こういうふうに考えているわけでございます。
#81
○石原慎太郎君 売りことばに買いことばというと、日本と中国との問題になりますが、実際日本に直接に影響のあるアジアの平和と安全に関係あるインドネシアにおけるPKI革命のああいったはっきりした中国の出方、あるいはインドに対する出方というものを見ましても、これはやはり他国のことではありますが、私たち、中国というものの今後の国際政治における動向というものを類推せざるを得ない。やはり国連における中国の問題についても、決して日本の態度が現在のままでないということをさっき森さんの質問に対してもおっしゃいましたので、そういう場合に、日本が現在の中国の国連加入に対する態度というものを変更する場合には、やはりいろんな附帯の条件というようなものがつくべきだと思います。その一つに、私は当然、中国の今日までとってきた非常に攻撃的といいますか、非常に彼らが日本に要求している三原則なるものをみずから無視したようなああいう姿勢というものは、私たちがやはり一つの大きな障害としてマークしなくちゃいけない問題だと思いますが、いかがでしょうか。
#82
○国務大臣(愛知揆一君) それは私もごもっともだと思います。幸いにして政府間の対話というようなものができるようになれば、それに臨む日本のかまえ方の中に、いろいろのこれが一つの参考になるだろうと思います。また、先方の真意ということも確かめてみたいと思います、これはバイラテラルの関係で。おっしゃるように多数国間の関係でこれを取り上げてみれば、やはり中国の代表権の問題などは国連の場において大いに論議されるわけでございますから、そういう場を通して、たとえばアジアの諸国に対して中華人民共和国政府がどういうふうに見られているか、また、将来に対してどういう期待とまた危惧を持っているかというようなことも非常にはっきりしてくるだろうと思います。そういうことがまた、中国側に対しても、私は希望を込めて言うならば、これは相当な影響力を与えてしかるべきことであり、自然中国側のビヘイビアに対しましても相当な影響力があるのではなかろうかと、そういうふうにも期待できるのじゃないかと思います。
#83
○石原慎太郎君 それから中国との戦争継続の問題について、これは条約局長でもけっこうでございますけれども、お答え願いたいのですけれども、戦争が今日なお法的に続いているという根拠はどうもなさそうなんですが、あるとすれば、一九三一年ですか二年に中華ソビエト共和国臨時中央政府というものが延安ですかにできまして、それが一方的に日本に対して対日宣戦を布告した。しかし、当時の状況から見て、蒋政権の国民政府はこれを認めずにむしろその布告というものを禁止したといわれておりまするし、当時の日本側もこれを明確な形で聞き取っていないわけでありますが、こういったその宣戦布告、一方的な宣戦布告というものの、何といいますか、条約的な価値とか意味というものは条約論的にどういうふうに解釈したらよろしいのでございましょうか。
#84
○政府委員(井川克一君) 宣戦の布告でございますが、私、実はその事実をあまりよく知っておらなかったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、宣戦の布告はその国の正統政府が当然なすのが宣戦でございますから、その当時の正統政府というものは、何ぴとも中華民国政府であったということは全く疑いのない事実でございまして、それ以外の政権あるいは集団が宣戦布告をかりにいたしましても、国際法上何らの価値がないと私は思います。
#85
○石原慎太郎君 よくある論なんですけれども、つまり、そういう臨時中央政府というものをつくって、名前も中華ソビエト共和国、それが宣戦を布告し、毛沢東は結局その臨時政府と蒋政権との統一戦線をつくったわけで、ならば、みずからその時期において二つの中国を認めたのではないか、それは自家撞着であるという論がありますけれども、私もそんなような気がする。それで、条約局長もおっしゃったように、私はその宣戦布告というのは条約的に無効としか判断できない。ならば、今日使われている中国との、特に北京政府との国交回復ということばが非常に問題になってくる。「回復」という限りは、すでに国対国の間に国交があり得たから、それが一度途絶してかつこの時期に回復ということになるわけでありますけれども、「回復」ということばが、そうなってくると、小さな問題かもしれませんけれども、非常に大きな暗示というものを与える問題だと思いますが、この北京政府との間に「回復」ということばが使われること自体が妥当とお考えでしょうか、あるいは非常にまぎらわしい、誤解を招きやすいものであるとお考えでしょうか。
#86
○政府委員(井川克一君) 私は思いますのに、これは別段法律的意味で、もともとあったものを回復するとか、そういう意味でお使いになっているいわゆる国際法上のことばであるとか条約論的なことばとしてお使いになっていない政治的なことばではなかろうかと思いますので、私としてはコメントする立場にないわけでございます。
#87
○石原慎太郎君 それではまた大臣にお尋ねいたしますが、つまり、私たちが北京政府との国交を云々するのは、あくまでも日本の敗戦後にでき上がった新しい国家との国交を考えるわけでありまして、私はその限りで、これは政治的なカテゴリーで使われるにしても、それならなおさら一そう「回復」ということばは妥当ではないと考えますが、いかがお考えでしょうか。
#88
○国務大臣(愛知揆一君) これはまず、条約論的な問題の取り上げ方と、それから政治的な問題の取り上げ方とあると思いますし、それから、そういう点をまず踏まえて必ずしもクリアカットな答弁というか、解釈というのが非常に私はむずかしい問題だと思います。というのは、第一、この中国問題というのは、先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、ずいぶん長い問題でありますが、同時に、非常に異例な歩みをしているわけです。これは全部が全部というわけではございませんが、いわゆる第二次大戦のあと分裂国家といわれているようなものが出てきている。この分裂国家というものに対する国際条約的な法理というものは私はまだ確立していないと思うんです。ですから、そういう点ではっきりしたことが国際上の通念としても言えない点が多いような感じがいたします。そのことは、たとえば国連に中華人民共和国のいわば参加を求めるという問題にしても、これを「加盟」というふうにことばを使っている国もありますし、それから「招請する」ということばを使っている国もありますし、そういうところは分裂国家の一つとしての政体――ステータスというものをどういうふうに解明していくかということ、あるいはまた国連憲章上の扱い方としてどういう扱い方がいいか、中華人民共和国をあの中に入れるべきであるという議論の中にも、そういうテクニカルな法理論からいいますといろいろ違った表現がされているということにやはり法理論的なむずかしさもそこにあるのではないかと思います。ですから、私どもの申し上げますことは非常にもたもたするようにおとりだと思いますけれども、本来もたもたしたようなこれは問題かと思います。それから同時に、しかし、日本政府のこの中国問題に対する態度というのは、私は法理論的にもはっきりしていると思います。というのは、日本政府は中華民国を代表する機関としての国民政府との間に平和条約を結んだのであるから、その政府間で合意されたところは、主体である国を代表する機関として結んだものである。したがって、国と国とが法律的には合意ができた。したがって、国と国との間を律する一番基本である、戦争状態の終結であるとか、それから戦争前に結んだ条約の無効を合意し合ったというようなことは、主体であるところの国際法上の国を拘束するものである。したがって、日本と中華民国との間には戦争状態は終結したものである。これが私は法理論的に正しい、また経過的にもそれが正しかったものと思います。しかし、同時に、私はいつもそれにつけ加えて申し上げておりますことを忘れないでいただきたいと思いますのは、中華人民共和国政府はそもそも当初からと申しましょうか、この日華平和条約というものを認めていない立場である。したがって、日本政府は、戦争状態は中国全土と終結したと言っているけれども、その見解には絶対反対である、その説はとらないということを中華人民共和国政府は明確にしておるということを日本政府はよく承知いたしておりますということを必ずつけ加えて申し上げておりますことに、同時に御注目を願いたいと思っておるわけであります。
#89
○石原慎太郎君 最後に一問、いまもたもたということばを使われました。実にそれは感覚的に非常に妥当な表現だと思いますけれども、いまおっしゃいましたように、日本側は法理論的にはっきりしている。しかし、中国問題は、非常に日中問題はもたもたした印象を与える。向こう側の言い分は、日本側ははっきり承知しているというわけでありますが、これは、こう要約してよろしいでしょうか。この問題の分析をすれば、日本側の態度の法理論的な裏づけというのは非常にはっきりしておるが、日華条約を認めない中共側の法理論的な言い分というものは、法理論的にもたもたしている。つまり、それによって、こちらは非常にはっきりしておるが、日中関係というものはもたもたした印象を持たざるを得ないというふうに解釈してよろしいでしょうか。
#90
○国務大臣(愛知揆一君) これは、現在の政府の立場として、私はやはりその立場をとっていることが非常に大切なことであると、まあ、こういうふうに思います。
#91
○石原慎太郎君 終わります。
#92
○委員長(松平勇雄君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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