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1970/03/18 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 外務委員会 第7号
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1970/03/18 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 外務委員会 第7号

#1
第065回国会 外務委員会 第7号
昭和四十六年三月十八日(木曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十七日
    辞任          小野  明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松平 勇雄君
    理 事
                長谷川 仁君
                山本 利壽君
                西村 関一君
    委 員
                鹿島守之助君
                梶原 茂嘉君
                杉原 荒太君
                三木與吉郎君
                加藤シヅエ君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務大臣官房長  佐藤 正二君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省条約局長  井川 克一君
       外務省条約局外
       務参事官     山崎 敏夫君
       外務省国際連合
       局長       西堀 正弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       外務大臣官房領
       事移住部長    遠藤 又男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○航空機の不法な奪取の防止に関する条約の締結
 について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院
 送付)
○在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (中国代表権問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松平勇雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 昨十七日小野明君が委員を辞任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松平勇雄君) 航空機の不法な奪取の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。
 愛知外務大臣。
#4
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました「航空機の不法な奪取の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件」につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、近年における航空機乗っ取り事件、いわゆるハイジャック事件の続発にかんがみ、国際民間航空機関の主催のもとに一九七〇年十二月一日から十六日までヘーグで開催された航空法に関する国際会議において作成されたものであります。その内容は、航空機の不法な奪取等を犯罪と定め、その犯罪行為につき重い刑罰を科し得るようにすることを締約国間で約束し、航空機の登録国、着陸国及び運航国並びに犯人の所在国による裁判権の設定義務について規定するとともに、各締約国は、犯人を犯罪人引渡条約もしくは国内法に基づき一定条件のもとに引き渡すか、または引渡しを行なわない場合には訴追のため自国の権限のある当局に事件を付託すること等について規定するものであります。
 なお、この条約は、その趣旨にかんがみ、分裂国家をも含むすべての国が加入できるようにいわゆるオールステーツ方式をとっております。
 この条約を締結することは、航空機の不法な奪取等を抑止し、民間航空の安全を確保する見地から有意義と認められますとともに、これらの面における国際協力を増進する見地からもきわめて望ましいと考えられます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#5
○委員長(松平勇雄君) 引き続き補足説明を聴取いたします。
 山崎条約局参事官。
#6
○政府委員(山崎敏夫君) 「航空機の不法な奪取の防止に関する条約」について補足説明を申し上げます。
 昨年の第六十三回国会の御承認を得て締結いたしました「航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約」、いわゆる「東京条約」は、航空機内の犯罪一般に関する裁判権の設定及び機長の権限について規定しますとともに、ハイジャックにつきましても、その第十一条におきまして、ハイジャックが起こった場合に締約国は機長に対し適当な方法で援助すべきこと、また、旅客、乗組員がすみやかに旅行を継続できるようにすること、さらにその航空機及び貨物を返還すべきことを規定いたしております。東京条約は、ハイジャックの発生がまだたくさんありませんでした一九六三年に作成されたものでありまして、ハイジャックのみを対象とするものではございませんので、これを抑止する立場から見ますとまだ不十分なものでございました。その後、ハイジャックを含む民間航空に対する不法妨害事件は、一九六八年には急にふえまして三十四件を数えるに至りました。さらに、一九六九年にはこれが七十二件に達しましたため、特にハイジャック行為に対処するための条約草案の作成作業が国際民間航空機関−ICAOにおいて急いで進められまして昨年末のヘーグの外交会議においてICAOの最終草案を基礎として審議が行なわれた結果、この条約が採択された次第であります。
 この条約は、まずハイジャック犯人が処罰を免れることがないように、締約国に対し裁判権を広く設定することを義務づけております。またその犯人の引渡しが円滑に行なわれますようにハイジャックを逃亡犯罪人引渡条約上または国内法上において引渡犯罪と認めることを義務づけ、また、もし犯人を引き渡さない場合には処罰のための手続をとることを義務づけております。このような国際的な協力体制がとられることにより、ハイジャック犯人は、究極的にはいずれかの国で処罰されるようになっておりますので、ハイジャックの発生を防止する上で大きな効果があるものと存じます。なお、この条約の作成には七十七カ国が参加し、会議最終日に五十カ国が署名し、さらに本年三月三日現在では五十七カ国が署名しておりますことからもうかがえますとおり、多くの国がこの条約の実施にきわめて積極的な姿勢を示しております。さらにハイジャック事件が体制の異なる国の間で起こることも多いことを考慮いたしまして、この条約は特にいわゆるオールステーッ・フォーミュラを採用しておりますので、いわゆる分裂国家も進んでこの条約に加入することを強く期待しておる次第であります。
#7
○委員長(松平勇雄君) 以上をもって説明は終了いたしました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(松平勇雄君) 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続きこれより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#9
○西村関一君 まず第一点、今回法律の題名を改正するわけでありますが、この「在外公館の名称及び位置」というのは従来単独の法律としてあったものを、第六十一回国会において外務省設置法の一部改正により設置法に吸収いたしたものでありました。政府は、常に二本の法律を改正しなければならないから、名称・位置と給与とを一つの法律で規定するとその不便が解消されると言っておられますが、それならば、何ゆえ設置法に吸収しないで最初から外務公務員の給与法に吸収させなかったのか、まず、その点をお伺いいたしたいと思います。
#10
○政府委員(佐藤正二君) まことに御指摘のとおりの経過をたどっておるわけでございますが、今度の改正自体は、むしろ給与法のほうにこの名称・位置のほうをくっつけたと考えますよりも、何と申しますか、名称・位置をつくる法律のほうに給与をくっつけたという考えのほうがわれわれの考えとしては強いのでございます。もともと設置法のほうにつけましたときには、在外公館の一つの館というものが設置法の一つの機関という考え方でありましたために設置法のほうに入れたわけでございますが、考えてみますと、今回行政組織法の改正なんかもございまして、いろいろな内部部局の中の一部は政令に譲るというような考え方も政府の中にありますものでございますから、そういう考え方から持ってまいりますれば、在外公館自体のそれぞれの位置なり名称というものは、むしろ何と申しますか、組織法の考え方からいえば、政令に落ちるようなものになるのじゃないか。それから一方、やはりこちらのほうからいいますれば、名称・位置というものは必要なんで、そこに給与の観念を一緒にくっつけてしまおう、そういう考え方でいたしてまいりましたので、ちょっといささか朝令暮改の気味がございましてまことに恐縮なんでございますが、今回いろいろ法制局とも相談いたしましてこういう形にいたしましたわけであります。
#11
○西村関一君 給与法に吸収するということになりますと、どういう点がぐあいが悪いのですか。
#12
○政府委員(佐藤正二君) まあ結果といたしましては給与と一緒になったわけでございますが、むしろ何と申しますか、一つの館が先にできまして、それがまずそういう一つの事実がございまして、そこに働く職員がどうしてもおります。それに対する給与がもう一つの形で、それにくっついた形で出てくる、そういう観念でございます。
#13
○西村関一君 そのほうが法の改正としてはむしろ自然の姿である、こういうことなんですか。
#14
○政府委員(佐藤正二君) さようでございます。
#15
○西村関一君 次に、住居手当の引き上げに関連をいたしましてお伺いいたします。
 インドネシアは、昨年の国会に提出されました法律におきましても引き上げが行なわれております。今回も引き上げなければならないという事情について御説明を願いたい。
#16
○政府委員(佐藤正二君) 昨年、御承知のとおり四割ばかり引き上げております。ところが、また事実、昨年の時点におきましては、それで何とかなるだろうという考え方でございましたのですが、あそこは御承知のとおり非常に、何と申しますか、発展してまいりましたために、住宅事情が非常に悪くなり、実際にいわゆる現地人でない外交官その他外国人が住むような家というものは非常に少ないために、そういう家の値上がりが非常に激しくて、どうにもこうにもなりませんので、もう一度お願いしたわけでございます。
#17
○西村関一君 結局、現地の特殊事情によって今年も上げなければならないのですね。
#18
○政府委員(佐藤正二君) そのとおりでございます。
#19
○西村関一君 住居手当につきましては、今後も毎年各国別に引き上げられる場合が考えられると思いますが、その経費は相当な額にのぼると思うのでございます。むしろ政府は、在外職員の住宅はできるだけ相手国から購入するように努力されるほうがいいのではないか。この点、いかがでございましょうか。現在そういう措置をとっておられるところが他にあれば、それもお示しをいただきたい。今後どういう方針で臨まれるか。毎年住居手当を引き上げていくということもわかりますけれども、それを職員の住宅――もちろん大使の公館は別といたしまして、職員の住宅は、これはやはり相手国から買い上げるということが財政措置として許されるならば、そうしたほうがむしろ在外職員の方も落ちついてやれるのではないかというように考えます。そういう点の外務省のお考えはどうなんですか。
#20
○政府委員(佐藤正二君) 大体今回のあれが二千万円くらいの金になりますが、買い入れると申しますか、こちらの日本のほうのものにするという形のものは、主として発展途上国でやっておりますわけでございますが、職員宿舎という形で長期契約ないし買い入れあるいは建築いたしましてやっておるところがございます。これは主として発展途上国でございますが、現在のところ四十二軒でございます。インド、インドネシア、ベトナム、カンボジア、マレーシア、ラオス、ブラジル、オーストラリア、セネガル、ナイジェリア、釜山、こういうことで四十二軒でございます。現在つくっておりますのはザンビアでつくっております。これは主として発展途上国の問題になりまして、先進国ではわりあいに借り家が手に入りますものですから、それぞれの好みもございますので、固定したものを買うよりも、先進国ではむしろ借りさしたほうがいいと、それぞれの実情に即しましてやっていかなければならないと思っております。このこちらのほうのいわゆる簡易宿舎のほうは、発展途上国のほうではなるべくたくさんつくりたいと思いまして、毎年大蔵省に頼みまして、少しずつでございますけれども、だんだん増加させております。
#21
○西村関一君 住居手当の問題に関連をいたしまして、在外職員の家具の問題、これはなかなかの負担になっていると思われるのでございますが、しかも、移転の場合、転勤を命ぜられた場合に、その家具を持ち運ぶということがなかなか困難な事情にあると思うのです。せっかくととのえたものを二束三文で処分して行かなきゃならぬという実情にもあるかと思うんでございまして、そういう点につきましては、これは政府で、外務省でそういうものを用意するといっても、それこそいまのおことばのように、やっぱり各人の好みがありまして、そういうぐあいにいかないと思いますが、家具につきましては特別な配慮がなされておりますか。
#22
○政府委員(佐藤正二君) まことに御指摘のとおりで、非常に困っておる一つの問題でございます。まあ、いまのところは、ある意味では全然対策なしという、政府側としては何ら対策を講じてないというのが実態でございますが、お互いの個人的な取引で――取引と申しますか、前任者から買い取るとかいうようなことでやっているのが実情でございます。
 ただ、二面ございまして、家具の移転料という問題が一つございます。この移転料はなるべく実情に沿うように、旅費の中に入っておりますけれども、移転のときの旅費をなるべく実情に沿うようにしたいと思いまして、昨年なんかもちょっと改正いたしましたんですが、それ以外の、いわゆる政府で何らかのものを買い取ってそれを順々に、何といいますか、減価償却しながら貸していくというような形のものが何らか考えられないかと思っておりますが、いまのところまだ実現に至っておりません。
#23
○西村関一君 その移転のときの移転費の問題ですが、これは手当の中に含まれるということでございますけれども、おそらく相当の足が出るんじゃないかと思う。その実情はどうでございますか。
#24
○政府委員(佐藤正二君) これも場所によりますし、それから、いろいろ荷物の多さにもよるものでございますから、一がいに足が出ているか、出ていないかと言えないという問題がございますけれども、昨年の予算で御承認いただいた分で旅費が相当ふえまして、いわゆる移転料というものがわりあいに実情に沿ったものになったと思いますけれども、まだおそらく足らない人は足らないだろうと思います。また、これは非常に個人差がございまして、家族が多い人はやはり非常に多いわけでございます。したがって、一がいには言えませんでございますけれども、もう少しやはりふやしたほうがいいんじゃないかというぐあいに考えております。
#25
○西村関一君 家具は、申すまでもなく、やはり生活の必需品で重要な要素でございます。そういうものですし、しかも、外国公館に勤務する職員の方は、やはり自分の家庭でいろいろその国あるいはほかの国の外交官と接触をするという場合も相当あると思うんです。そういう場合にひけ目を感ずるような状態では、これ、ぐあい悪いと思うんです。その点についての特別な配慮が必要でないかと思うのでございますが、いまのお話ですと、ほとんどもう対策なしと、個人の考え方、個人の配慮によって何とかやっておるというふうに受け取れるのでございますが、もちろん、その旅費の手当の中に幾らかそれが認められてきたということでございますけれども、その点、もう一度、どういうふうにお考えになっておられるか、ちょっと伺っておきたいと思います。
#26
○政府委員(佐藤正二君) まことに御同情のあるおことばをいただきましてどうもありがとうございました。ほんとうに何とかいたしたいと思っております。ぜひともそういった御趣旨に従って努力したいと存じます。
#27
○西村関一君 次は、在外公館勤務職員の子弟の教育費の問題でございますが、在外公館に勤務する場合に、若い職員の方々の教育費の負担というものは相当大きいと思うのでございますが、実情はどうなっておりますか。その子女の教育費の問題につきましては、毎国会において政府は検討していくということを約束しておられるのでございますけれども、諸外国の事例と比べて、一向それがまだ十分になされていないというふうに私は感じておるのでございますが、その点、実現がむずかしいのか、むずかしいとすればどういうところにその原因があるのか。やはり子女の教育について十分というところまではいかなくても、外国勤務の公務員の方はその点においては非常な犠牲を払っておるわけですから、安心してとにかく職務に励むことができるように、子女の教育については心配ないというようなそういった措置がとられないといけないと思いますが、その点、いかがでございますか。
#28
○政府委員(佐藤正二君) 実は先生御指摘のとおりでございまして、われわれの仕事の面でも、やはり子女の教育をきちんとやるということが、われわれの仕事にも後顧の憂いをなからしめるゆえんであると思っております。それで、今回の予算折衝の場合にも大蔵省とも話しまして、何かそういうようなものをつくってもらえないかというようなことをいろいろ話し合ったわけでございますが、まあ、子女関係にはいろいろの問題がございまして、いまの御指摘の教育手当の問題、それから日本に置いております子女の呼び寄せという問題がございまして、これと両建てでまいりまして、今回は、年に一回日本におります子女を呼び寄せる旅費を出してもらいまして、それで妥協したわけでございます、ある意味では。しかし、この子女教育手当の問題は依然としてわれわれ考えておりますし、いつの日にかこれを実現したいと思っております。したがって、調査はずっと継続して行なっております。大体どういうふうな金がかかっておるかというような調査はずっと行なっております。その一端でございますが、小学校の生徒を一人持っておる場合に、世界の平均として大体五十ドルぐらいかかるということの調査結果が出ております。
#29
○西村関一君 現地に適当な教育機関がない場合に、ほかの国――第三国において教育をさせなければならないということなんですが、その場合でも小学生は五十ドルということなんですか。さらに高学年になりますと相当な費用が要ると思う。高等学校、大学ということになりますと相当な費用が要ると思いますが、その点は実情はどうなっておりますか。
#30
○政府委員(佐藤正二君) 御指摘のとおりでございます。後進国地域ないし東欧地域におきましては、必ずしも現地で適当な学校が見つけられないという場合が非常に多いわけでございます。したがって、たとえば中近東地域をとってみますと、一人の小学生を持っている人が大体月平均七十四ドル、それから中学生といたしますと百十三ドル、それから高等学校で一番たくさんかかっているのが百七十三ドルというような数が出ております。それから小中学生にいたしましても、最高は非常に高いものになっております。三百ドルくらいかかっているのがございます。個人差がいろいろございます。
#31
○西村関一君 いま官房長のお話によりますと、相当な費用がかかっている。しかも、子女の教育費として出されておるのは、呼び寄せのための費用だけがようやく予算が取れたという実情でありますが、これでは、さっき申し上げましたように、また官房長もそうだとおっしゃったように、実際安心して仕事に励むことができないと思うのです。子供のことばかり気にかかっている。金の問題がつきまとってくるということなんですが、これは外務当局としても苦労しておられると思いますが、もう少し大蔵当局に強く当たって、この問題をもう少し前向きに処理できるように御努力していただきたいと思います。大臣にはあとで伺いますが、官房長、どうですか。
#32
○政府委員(佐藤正二君) 全く御趣旨のとおりでございまして、今後とも努力いたしたいと思っております。
#33
○西村関一君 いま在外公館のあるところで教育施設のあるところは幾つくらいありますか。
#34
○説明員(遠藤又男君) いまの御質問が、もし日本人学校ということでございますと、現在二十三校でございます。
#35
○西村関一君 在外職員の子弟の教育の問題につきまして一つの悩みは、日本語を忘れてしまうということだと思うのですね。外国で教育を受けるという場合に、母国語日本語がわからない。読むことも書くことも話すこともできないというような状態で日本に帰ってこられるという事例があると思うのですよ。日本語の教育につきましてはどういう配慮をしておられますか。日本語学校のあるところは、しかも、それは低学年の場合だけだとそこに入れるということも可能でございますが。日本語の教育につきまして。
#36
○説明員(遠藤又男君) いま申し上げました二十三校のほかに補習学校がございます。現地のほかの学校に通学して、その余暇に、日本人団体でつくっております補習学校に入れて、日本語その他、特に日本に関係の深い勉強をするということになっておりますが、これは現在約二十校ございます。
#37
○西村関一君 たとえばどういうところにございますか。
#38
○説明員(遠藤又男君) 補習学校の例を申し上げますと、大体先進国でございまして、ロンドン、デュッセルドルフ、ハンブルク、アムステルダム――ヨーロッパはいろいろございます。あとアメリカは、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、シアトル、ロサンゼルス、ワシントン、それから豪州にございます。
#39
○西村関一君 さっきのお話にありました日本語学校といま申されました補習学校に勤務する教師はどういう身分で、どういう待遇で勤務しておられるのですか。
#40
○説明員(遠藤又男君) 現在のところ、日本人学校に派遣されております教員については三つございます。一つは、文部教官のままで行っている人、それから各都道府県の公立学校の教員の身分で行っている人、それから国内に身分を持たないで行っている人――これは大学を出てすぐに国内でつとめないで、すぐに在外の学校につとめるために出かけるという人でございます。これは現在の数で申し上げますと、現在派遣されております先生の数が百人でございますが、最初の文部教官が十六名、それから地方の公立学校の教員――地方公務員が四十二名、それから国内に身分を持たない人が四十二名、こういうふうになっております。ただ、最後の、国内に身分を持たない人というのは、いろいろの関係で支障が大きいものでございますから、四十五年度からこの派遣を取りやめまして、全部、最初申し上げました文部教官か地方公務員の身分で行くか、どっちかに限るようにしているわけであります。
 これの給与でございますけれども、各地によってそれぞれ在勤手当が違っておりますが、平均しますと、インドのボンベイ、これが平均のところになっておりますけれども、二十年以上教職の経験ある人が五百七十六ドル――月額ですが、以下段階がありまして、六年以下の人が一番低くて三百四十六ドルというふうになっております。これに加えまして、配偶者を同伴する場合には、在勤手当の二五%が支給されております。さらに四十六年度から実施されることになっているものとして住宅手当がございまして、これは同じく在勤手当の二五%を加えるということになっております。
#41
○西村関一君 これらの教師の方々の帰国後の身分保障、これはどういうふうになっておりますか。
#42
○説明員(遠藤又男君) 先ほど申し上げましたように、現在三つの区分がございますが、文部教官と、地方公務員の資格を持っている公立学校の先生、これにつきましては帰国後身分がそのまま保障されているわけでありますが、第三番目の国内に身分を持たない者で大学を卒業してすぐ出かけた先生、これにつきましては法的な身分の保障がないわけであります。それで、これにつきましては、実際問題といたしまして、文部省を通じて各都道府県の教育委員会その他に依頼いたしまして、支障なく学校に採用してもらえるように手配しております。実際問題として大体問題なくいっているわけでありますが、これはいろいろ支障があるので、本年度からやめているということは先ほど申し上げたとおりでございます。
#43
○西村関一君 そういう状態でございますが、その点、補充には不便はございませんですか、教師の補充には。
#44
○説明員(遠藤又男君) 文部省それから地方の教育委員会等も非常に先生の問題につきまして同情的にやってくださっておるものですから、実際問題としては不便のない、支障のないように運営されておるわけでございます。
#45
○西村関一君 在外勤務年数と勤続年数との関係はどうなっておりますか。
#46
○説明員(遠藤又男君) 文部教官は、在外に出ます場合に出張扱いで出ております。それで、そのまんま在外勤務の年数が勤続年数に加えられますので、全然問題がございません。
 それから、地方の公立学校の先生の身分で出ておる者につきまして二つのやり方がございまして、一つは出張扱いになっております。これにつきましては、文部教官と同じように全然支障がないわけでございます。これは大体半分でございます。それからあとの半分は休職扱いで出ておるのでございますが、その場合は、在外勤務年数の半分、二分の一が勤続年数として加算されるということになっております。
 それから最後に、国内に身分を持たないで出かけた人につきましては、勤続年数としては加算されないのが通例になっております。
#47
○西村関一君 次にお伺いいたしたいと思いますのは、この法律の改正によりまして幾らか在外公館に勤務する聴員の給与が改善されるわけでございますけれども、それでも諸外国と比較いたしまして、全体として必ずしも十分だと言えない。経済大国といわれている日本の在外公館に勤務する職員の給与は十分だとは言えないと思うのでございますが、諸外国と比べましてどういう比較になっておりますか。一等書記官の場合、二等書記官の場合、日本とドイツとイタリアと、英国、豪州そういったようなところと比べましてどういう状態になっておりますか。これはそれぞれの国との比較についてお伺いしておきたいと思います。
#48
○政府委員(佐藤正二君) それは駐在地によりましてちょっと違うわけでございます。したがって、例といたしましてワシントン在勤の例をとりますと、ワシントン在勤の日本のわれわれの同僚の一等書記官が、いわゆる本俸、在勤基本手当、奥さんを連れて行ったと仮定いたしまして配偶者手当、住居手当、みな入れまして月額千三百八十四ドルでございます。それから、これと同じような仮定でドイツの一等書記官、大体同じぐらいの人をとりますと千六百六十八ドル。それからイタリアの例でいきますと千九百八十四ドル、豪州の例で千五百七十九ドル、それから英国の例で千七百二十六ドルということで、非常に格差があるわけじゃございませんが、日本が一番下でございます。
#49
○西村関一君 いま官房長の御説明によりますと、日本が一番低いということが数字ではっきりいたしました。これは比較のしかたにもよると思いますし、必ずしも向こうの資料が日本の例と合致するかどうかということにも問題があると思います。とにかく、やはりこれらの国々と比べて非常に低い――「非常に」じゃないのですが、とにかく低いということが言えると思うのでございます。二等書記官の場合はどうでしょう。
#50
○政府委員(佐藤正二君) 同様な設定でまいりましてワシントン在勤ということにいたしますれば、日本の場合が千五十三ドル、ドイツが千五百六十二ドル、イタリアが千六百五ドル、それから豪州が千三百五十一ドル、それから英国が千三百七十一ドル、大体同様な傾向をたどっております。
#51
○西村関一君 二等書記官も一番下ですね。一等書記官よりはもっと差が開いておるということなんです。数字ではっきり出ておる。ですから私は、今日経済大国といわれておる日本の在外公務員の方々の待遇は十分だとは言えないと思うのです。さっきも触れましたように、職員の方が外地において勤務をせられる場合において、ただ、役所で――大使館、総領事館でつとめられるというだけでなしに、そこに派遣されておるということ自体、これは日本国を代表する者であることは言うまでもありませんし、そういうことにふさわしい待遇がなされているかどうかというところに私は問題があると思いますし、子女の教育費の問題もあるし、住居費の問題も生ずるであろうし、私がいただきました資料によりますと、この中には日本の場合は交際費というものが費目が出ておりませんし、他の国の場合を見ますると、子女手当であるとか、あるいは交際費であるとかいうような費目がついておりますから、こういうことと比較をいたしまして、英国の場合のごときは体面維持手当というのが加算されているようでございますが、やはり外交官として体面を維持するために必要な費用が考慮されておる。そういう点につきましては、日本の場合は全体の中でそれらの点が考慮されて、子女の場合は、先ほど御説明があったとおり、不十分であるということでございますが、この在勤基本手当というのはそういうことを意味するのですか。いま私の伺ったようなものについてはどういう待遇になっておりますか。
#52
○政府委員(佐藤正二君) 基本手当は、何といいますか、在外に出ましていろいろの仕事をする、体面を維持する、外交活動もする、そういうふうな、何と申しますか、全部のものをグローバルに考えまして、それをある意味では大福帳的にたたき込んでしまってつくったものでございます。もともと昔は在勤俸と言っておりました分でございます。それで日本の制度はもともとそれ一本でやっておりましたわけでございます。それと、配偶者を連れてまいりますれば、いわゆるその在勤俸の四割をつけるという形でやっておったわけでございます。ただ、それをやっておりますと、やはり住居の問題は非常に特殊な問題でございまして、その中に住居の費用までたたき込みますと、住居の費用を非常に圧縮いたしまして、逆に申しますれば、ほかの費用がたくさんかかるために住居の費用が圧縮されてしまって、非常に外交官としてはふさわしくないような住居に入るというような例もありますものですから、住居手当というものを別にいたしまして初めて、そういった、何と申しますか、特殊の手当をつくったわけでございます。したがって、日本の制度はそういった形から出てまいりましたものでございますから、いろいろのほかのいわゆる手当というものが新しくこれから出ていくという形になっております。一方のほかの国の制度は、もともとそういうものの一部として基本手当みたいなものがあったわけでございますから、ちょっと沿革が違うのだろうと思います。まあ国によりますけれども、交際費にいたしましても、豪州なんか交際費を各館員に分けているといいますか、むしろ交際をしなければならないということで、一種の手当的な観念を持っておりますが、日本の観念は、むしろ交際費というものは館で交際費を必要とするから、交際費というものは館につけて、館長がこれを全部どういうふうにするかということをきめるというような形で、そういう観念でやっておりますために、交際費というものが手当の中に入ってこないわけでございます。まあ、いろいろ考え方の違いがございますし、実情に即したものにだんだん変えていかなければならないと思いますが、現在の状態はそういうところの沿革からも来ている理由があるわけでございます。
#53
○西村関一君 交際費は館から支払う、館につけるというたてまえになっているということですが、館全体の予算として、いま申されたこれらの国々と比較して、館全体の予算は日本はどのくらいのランクになっておりますか。
#54
○政府委員(佐藤正二君) これは館によって非常に千差万別でございますが……。
#55
○西村関一君 ワシントンの場合は。
#56
○政府委員(佐藤正二君) ワシントン自体は、これは非常に大きなものになっております。ちょっと全部の数がわかりませんですが、交際費なんかを考えますれば、在外の交際費が現在七億八千万でございますが、一割以上ワシントンに行っているのじゃないかと思います。七千万、一億近いものが行っているのじゃないかと思います。
#57
○西村関一君 いや、交際費の場合だけでなくて、たとえばワシントンにあるところの日本大使館とドイツ大使館と、それからその他の、いま例をあげたような国々、イタリーとか、そういう国の全体の予算と比べて、これはなかなかわからぬと思いますが、どのくらいのランクになるかということなんですよ。
#58
○政府委員(佐藤正二君) これはおっしゃるとおり非常にわかりにくいのでございます。と申しますのは、まず、現地で雇っております人間の給料だとかあるいは電信料だとか、そういうふうなものはまだわかりやすいのでございますが、その他の工作費その他になりますれば、これは絶対にわかりません。これは向こうのほうを取ろうとしても――こちらも出しませんけれども、向こうのほうを取ろうとしてもわかりませんものでございますから、そこらのところが入りませんと、全体のスケールというのは、これが非常に大きゅうございますから、全体のスケールがわからなくなるわけでございますが、おそらくやはり先進国の中ではそれほど上のほうじゃないような気がいたします。
#59
○西村関一君 上のほうでないような気がするということですが、私五年ほど前にその調査をしてもらってデータを出してもらったんです。大体中ぐらいのランクなんですね。先進国じゃなくて開発途上国を含めて中ぐらいのランク。いまそれよりもっと上へ上がっているかと思いますけれども、いずれにしてもまだ低いところにあるんじゃないかというふうに思うんです。私が伺っておりますのは、外交官の方々がみすぼらしいかっこうでひけ目を感じなさるようなことのないように給与改定の法案を審議しているんですから、そういう点に対する積極的な外務当局の姿勢がほしいという意味から伺っておるんです。
 それで大体わかりましたから、大体わかったところによりますと、これらの国々と比べても非常に低い、一番下のランクになっておるということなんでございますが、この点はよく考慮してもらいたいと思います。
 次に、外交官の公の名称、たとえば参事官、一等書記官、二等書記官、三等書記官、その在勤年数はどういうふうになっていますか。これはほかの主要な国々と比べまして、在勤年数、つまり、三等書記官を何年やって二等書記官になる、二等書記官を何年やって一等書記官になる、一等書記官を何年やって参事官になるのか。それはフランス、アメリカ、連合国、ソ連などと比べてどういう比例になっておりますか。
#60
○政府委員(佐藤正二君) 現在の日本のほうの関係でございますが、われわれ上級試験と申しておりますが、外交官試験を通った人間の基準でまいりますと、三年で大体三等書記官、七年で二等書記官、十二年で一等書記官、それから二十年で参事官。大使はそれぞれの人によりましていろいろでございますから、これはちょっとわかりません。
 それから、これを各国と比べますと少しずつおくれております。たとえばフランスでございますが、二年で三等書記官、三年で二等書記官、十年で一等書記官、十九年で参事官。それから連合国をとりますと、やはり参事官になるのは十七年、それから一等書記官七年、二等書記官三年。ソ連が三等書記官が四年、二等書記官が七年、一等書記官が十年、参事官が十二年。大体少しずつおくれております。参事官ぐらいのところまで行きますと、日本の参事官のほうがほかの国の参事官よりも年を取っている、こういうことになるわけでございます。
#61
○西村関一君 これはそれぞれ理由があり事情があると思うんですけれども、たとえば二等書記官であっても実際は一第書記官と同じような仕事の内容を持っている、またそういう立場で折衝をしておられるという場合に、参事官までなるのには上級試験を受けてから二十年かかる。そういうようなことで、対外折衝せられる場合に、やはり日本の大使館は二等書記官である、あるいは三等書記官であるというようなことで、そのような幾らかのズレがあるということでございますが、それは差しつかえないんですか。
#62
○政府委員(佐藤正二君) これは御指摘のとおりでございまして、特に発展途上国の関係ではわりあいに相手方が若い場合が多いわけでございます。そういうふうなときに、特に名称が三等書記官だと相手にされないというような場合もあるものでございますから、ローカルに、たとえば三等書記官でも二等書記官を名乗る、一等書記官でも参事官を名乗るということを許可する場合がございます。これは外務省の関係でやっておるわけでございます。それからもう一つはいわゆる名称公使と称するものがあるわけでございますが、公使は、御承知のように、いままでの慣行では特命全権公使というものがあったわけでございますが、これは、定員が現在のところ四人でございますか、ということでございますので、これは政令で参事官の一部を公使と名乗らせることができるようになっておりまして、それを認めておるのが相当数ございます。
#63
○西村関一君 公使の場合、参事官に公使という名称を使わせるということはいいんですけれども、開発途上国において三等書記官でも一等書記官という名称を使っていいという、そういう一つの便法を使っておられる。それはわかります。それはそれでいいと思いますが、いわゆる先進国においてそういうことはなされてないと思うのですが、そういうことで、二等書記官の方が対外折衝せられる場合に、あるいは三等書記官の方が対外折衝せられる場合に、もう少しひとつ何とか配慮できないものだろうか、年数を縮めるというようなことをすることはできないのでしょうか、その点はいかがでしょうか。
#64
○政府委員(佐藤正二君) お話しのとおりでございますが、主として問題が起こりましたところが後進国――後進国と申しますか、発展途上国であったものですから、そちらのほうに非常に集中してやったわけでございますが、これはむしろ全体的に二十年とか何年とかいう、いわゆる昇進の年数自体をローカル・ランクじゃございませんで、実際に昇進の実施を早めたほうが根本的な解決方法でございますものですから、そちらのほうに努力したいと思っております。これは徐々に短くと申しますか、早く上に上がれるようにしておりますのでございますけれども、まだ依然として国際水準に達しておりませんのでございますので、今後とも努力したいと思います。
#65
○西村関一君 官房長もそういう御経験をずっと持っていらっしゃるわけですから、私が聞くまでもなくよく事情は御存じだと思うのですので、せっかく御努力願いたいと思います。
 最後に、外務大臣にお伺いいたします。
 いまお聞き及びのとおり、日本の外交官の待遇は必ずしも満足とは言えないことがはっきり出てまいりましたのですが、これは外務大臣としてもぜひお考えをいただきたい。私は、諸外国の公務員と接触をいたしましても、いいところも悪いところもございますが、とにかく落ちついて仕事をやっておる。これは外務省、外交官の場合だけではございません。ほかの諸外国の公務員の場合をひっくるめまして落ちついて仕事をしておると思うのでございます。それは、やはり一つは待遇の問題において後顧の憂いがないようにされておるということだと思います。落ちついて仕事をしております。これは子女の教育の問題、住居の問題、また全体の給与の問題を含めまして、いま官房長その他から伺いましたところによっても明確でございますけれども、私が言うまでもなく大臣がよくおわかりだと思います。そういう点に対しまして、大臣としてこの法案を審議する過程において今後外務省の最高責任者としてどういうお考えを持っておられますか、まとめてお伺いをしておきたいと思います。
#66
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来、外交官の待遇の問題についていろいろこまかい御配慮のあるお尋ねをいただいて、私も聞いておりましてたいへんありがたく思ったわけでございます。私も、せっかくのお尋ねですから、少し事務的でないお答えになると思いますけれども、私はこういうふうに考えておりますが、なかなかうまくいっておりません。
 一つは、この外交官の在外手当、給与というものを外務省の職員の手で立案してもらうことは気の毒だと思うのです。で、これはどうしても第三者機関でもって、そして日本の外交活動に対して御理解のある方々から、しかも第三者的客観的に見てどういうふうな給与を、あるいは給与基準をつくるべきかということをぜひ見ていただきたい。具体的にはたとえば人事院にひとつお骨折りをいただくということも必要かと思います。現に外務省の給与についての審議会もございますけれども、どうしてもこの外務公務員の給与の問題だけを取り上げる審議会ですと、そこへ出す原案は外務省がつくりますし、いわばお手盛りと見られないように遠慮がちなものに原案自身がなってしまう。こういうふうなことを私が見ておりまして、まあ第三者的に、できれば人事院というようなところでこの問題を本格的に取り上げていただきたい。で、国内の国家公務員の給与は毎年人事院の勧告によってしかるべく保障されている。ところが、外務公務員につきましてはそういった保障されている制度はございませんで、みずから案をつくり、遠慮がちに大蔵省とも接触をして、出てくる結論は不承不承のまざるを得ない程度であって、それをごもっともだと言うて、国会等にはこれが最善の案でございますと言って説明せざるを得ない。これが私は偽らざる実情であると思いますから、どうかひとつそういう点で今後ともいろいろの面から御協力をいただきたいと、こういうふうに存じます。
 それからそれについては、したがって、そういうところでほんとうに本格的に取り上げていただければ、いろいろいいお知恵が期待できると思うのですけれども、やはり教育手当の問題というようなことはまことにゆるがせにできない問題である。で、ことしの問題は、いわゆる呼び寄せ問題とそれから在外における教育の問題と二つの問題にして両方ともお願いしたかったのですが、折衝の過程において、一つは来年の問題にいたしました。ことしは呼び寄せのほうだけを解決したということになっております。
 それからその次に、非常にこまかく、たとえばワシントン在勤の各国との各クラスの比較についても御関心を持っていただいてたいへんありがたく思ったのですけれども、問題は二つ私はあるように思う。一つは、昇進自身をもっと早くしなければならないということですが、これは戦前戦後を通じてのいろいろの経過がございまして、傾向としてはこれからの昇進は私は早くなると思います。自然の勢いにまかせておいても、そこに若干の人事行政上の配慮を加えれば。いまが一番つかえているときだ。――つかえているというのは、何といいますか、一番昇進がおそいところに際会にしております。したがって、これはいまから十年ぐらい先を展望すれば、むしろ日本の外交官の働き手の一番大事なところが非常に不足になるということをおそれられる。逆にいえば、日本の外交官の昇進は総体的に早くなる、こういうことに私はなるだろうと思いますが、これに対しては事務当局も十分今後配慮していかれるだろうと期待しております。
 それからもう一つは、一等書記官、二等書記官という最も大事な働き手のところを中心にお尋ねでありましたけれども、実は大使の在勤手当も見ていただきたいんですね。これはやはり遠慮がございまして、下に厚くということで、この数年手をつけておりませんけれども、これをたとえば駐米大使の在勤手当ということを各国の在米大使の手当と、――これははっきりしたところはなかなか捕捉できませんけれども――比べていただきたい。あるいはその間におけるアメリカ本国自身の公務員といいますか、役人の俸給の上がり方と駐米日本大使の在外手当を比べていただきたいと思います。全く問題にならないほど低いんです。それから昇進――昇進といいますか、物価その他の諸式の上がり方に比べて全く固定的に、一つも上げられていない。こういう点に、外交活動の不活発を御指摘いただくのも無理からぬところだと思いますし、その面に反省が必要だと思いますが、同時に、十分に驥足を伸ばして働けるような環境をつくっていただくということは、私は西村さんの御意見に全く同感でございまして、そういう点を全部総合的に伸ばしていくためには、どうしても外務省の会計課中心の遠慮がちな案だけで、そうして特殊なものとして国家公務員の全体の給与問題と切り離していかなければならないというのは、たいへん外交官諸君に対して私はお気の毒だと思います。私の外務省に参りましてからの非常にラフな所感ですけれども、これをこれ以上大きく取り上げていただくためには組織的な改善がどうしても必要だということに私は結論づけられたようなわけでございます。たいへん大ざっぱなことですけれども、以上のような考え方を持ちますし、また、そうは言っていても、一ぺんにはそういうふうにはならないかもしれませんが、そういう点を十分に頭に置きまして、具体的な問題にも絶えず積極的な工作をしてまいりたいと思っております。
#67
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#69
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#71
○委員長(松平勇雄君) 次に、国際情報等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#72
○長谷川仁君 外務大臣にまずお伺いしたいんですが、私、中国問題からきょうはお伺いしたいと思います。
 中国問題は、ここ数カ月来非常にいろいろと論ぜられておるのでございますけれども、私どもいろいろずっとマスコミの論調その他を見ておりまして、日本が中国問題を解決する基本的な姿勢といいますか、方針というか、これは四つあると思うのです。一つは、国際信義あるいは経済的利益あるいは国際世論についていく。最後はやはりイデオロギー、この四つあると思うんですが、外務大臣としてこの中国問題の解決はどの姿勢、どの方針が一番正しいというふうにおとりになるんでしょうか。
#73
○国務大臣(愛知揆一君) いま四つおあげになりましたけれども、私は、イデオロギーというのは、基本的にどんなイデオロギーをとるかということは、それぞれの国の、あるいは国民の自主的な立場の問題ですから、これは問題にならないと思います。すでに体制の違う国とも十分よく団交が結ばれておるわけですから、これは問題ないと思います。ですから、私ども政府といたしましては、国際信義とかそれから国益それから国際的緊張の緩和ということを、よく三つの条件の中にあげておりますが、そういう点がやはり一番中心の考え方でしかるべきではないだろうかと思っております。したがって、いまおあげになりました前の三つの点が政府の取り上げておる取り上げ方とは多少表現が違いますけれども、大体似たようなお考えではないかと思われます。
#74
○長谷川仁君 そこで外務大臣にお尋ねいたしますけれども、戦後の憲法、いわゆる平和憲法、この憲法の中で九十八条というのが特に加えられたその経緯というものを調べてみますと、日ソ不可侵条約を犯したと言ってソ連を責めておりますけれども、戦前から終戦までの日本の外交面において、不戦条約あるいは九カ国条約とかあるいはいろいろな国際法規にしばしば違反してきた。そこで、今後日本にそういうあやまちをさせまい、また制約しようという意味で九十八条を加えられたというわけですね、経緯を調べてみると。そうすると、一九五二年に結んだところの日華平和条約、この破棄の問題が盛んに出ておりますけれども、外務大臣としては、これをかりに破棄するというようなことがあると、これは憲法違反になるというふうにお考えでございますか。
#75
○国務大臣(愛知揆一君) 私の意見を率直に申し上げますと、まず憲法の問題よりも前に、国際条約というものは、その条約にきめられた廃棄の手続によって廃棄する場合でない限り廃棄できないというのが国際法の通論的通則ではないかと思います。それから、それならば絶対に廃棄できないかといえば、たとえば両国間の条約であった場合に、一方が条約にきめておる条項について非常な義務違反、条約にきめられておるところの義務を履行しないというような場合はあるいは廃棄の要因になるかもしれません。それはやっぱり国際条約の論議としてはあり得る議論であると思いますけれども、しかし、そういった場合でも、廃棄の手続、あるいはどうしても義務違反か違反でないかということが論議になる場合には、第三者的あるいは国際機関等の判定を求めるというのが筋合いであるというのが大体国際条約論の国際的に通用した議論じゃないかと思います。
 それからもう一つは、事情変更の原則ということが国際法論議の中の議論としてあり得るわけです。そしていわゆるウイーン会議ですか、ウイーン条約というようなところでもそうしたことが論議の対象にはなった事実がありますが、しかし、何をもって事情変更とするかということについては国際的なよるべき通則がない。それから、ウイーン会議でもそれについての結論は出ていない。こういうふうに私は承知しておりますので、私は条約学者ではございませんから、いずれそれらの点について必要があれば専門的に政府委員からもお答えいたさせますけれども、私が承知しております条約と条約廃棄問題というのは、そういう点から論議さるべきである、かように存じます。そういう国際法的な、国際的な論議等を通じての考え方が、わが国の日本国憲法ができましたときのこれを制定された方々の背景に考えられたのではないだろうか、こういうふうに私は理解いたしておりますが、しかし、お断わりしておきましたように、これは私は学者としての論議ではございません、学識論でございますから、そういうふうにお受け取り願いたいと思います。
#76
○長谷川仁君 この問題だけ取り上げましてもこれは相当に論議が続くわけですが、時間がございませんので、やや個条書き的な質問をいたしたいと思いますが、中共側の論理に立ってかりに国交回復交渉をするとした場合、どうしても日中の戦争状態が継続しておるということが当然これからも論議のあれになってくるだろう。中共側あるいは日本側の一部が言っているところの日中の戦争状態、この継続というものの根拠は、この間も石原慎太郎君が言っておりましたけれども、一九三二年の対日宣言が有効だ、こう言っているわけでございますね。そうすると、これは事実上中共自身が「二つの中国」、あるいはその当時から「一つの中国」「一つのソビエト」を是認する逆説に通ずるわけでございますね。言うなれば、中共が対日賠償請求権を留保する限り、中共は好むと好まざるとにかかわらず、二つの政府の存在を認めることになる。そういうことになりますね。そうすると、外務大臣としては、日中の戦争状態というものは、この間の石原君の質問では、条約局長は、これは私ちょっとはっきりつかめなかったんですが、黙殺といいますか、あるいはこれは認めていないというような方向だったんですけれども、外務大臣としてはいかがですか、この日中の戦争状態は。
#77
○国務大臣(愛知揆一君) これは一九五二年の日華平和条約から以降の点を私は中心に申し上げております。それから、一九三二年のときの問題については、私もあまり知識はございませんから、この辺を論議することはアカデミックな論議としてはあり得るかもしれませんが、私は現実の政治問題としては一九五二年の日華平和条約、これ以降の点を論議することが必要にして十分じゃないかといまもって思っておりますが、もし前段の答弁をさらに、何といいましょうか、インテグレートする必要があれば、条約局長を呼んでまいりますから、しばらくお待ち願いたいと思います。
#78
○長谷川仁君 そうすると、中共がおそらく日中は戦争状態が続いていると主張すると思うのですが、それに関連して、これは従来からいわれているんですが、いわゆる賠償の問題が出てくるわけですが、五百億ドルに及ぶところの賠償というのは、当然現在の外務省、外務大臣の見解としては、これは支払う必要はないと、こういうことになりますか。
#79
○国務大臣(愛知揆一君) そこは政府の見解は、日華平和条約において国と国との関係においては戦争状態は終結したのであるという見解をとっておりますし、それから、読み上げるまでもないと思いますけれども、第十一条に関する了解事項として議定書の(b)においてそのことは規定されておるわけですから、これでもう済んだことであると、こういう政府は見解をとっておりますから、それがそうでない場合どうかということは、これはお答えできませんと申し上げざるを得ないと思います。
#80
○長谷川仁君 いまお伺いしました二点に関しまして外務省側の資料を、条約局としての資料をひとつお願いしたいと思います。
#81
○国務大臣(愛知揆一君) 承知いたしました。
#82
○長谷川仁君 それではひとつ、国連総会における代表権の問題をお伺いしたいと思うのですが、まず国連局長にお伺いいたしますが、国連局としては、この中国代表権の問題についてはどういうふうに考えているか、検討というか、あなたのひとつ国連局としてのあれを聞かせていただきたいと思います。
#83
○政府委員(西堀正弘君) たいへんめんどうな御質問なのでちょっと……。
#84
○長谷川仁君 簡単でけっこうですから。
#85
○政府委員(西堀正弘君) まあ、昨年の総会における結果があのようでございます。これは申し上げるまでもないことでございます。さて、その後のそれからの国際情勢の変化もございます。来たるべき国連総会においてどういうようにやるべきかという点につきましては、事務当局といたしましてはもう、万全とまあ申しますと口幅ったい言い方でございますけれども、あらゆる事態を想定いたしましてこれに対処する方策を、この場合にはこう、この場合にはこうというように立てております。まあ、昨年の状況の直後に、われわれは来年――すなわちことしには重要事項指定方式とアルバニア方式、この二つだけで対決させるということはあるいは事態の推移によっては必ずしも適当な方策ではなくなるのではないかといったような私自身も考えを抱いたのでございますけれども、その点もまた、その後の情勢を考えまして、必ずしもそうでもないようでもありまして、ともかくそのレインジが非常に多うございますので、いまのところは非常に抽象的な言い方でございますけれども、大臣がおっしゃっておりますような条件のもとに、とにかくあらゆる方式を考えているという以上には申し上げられない現状でございます。
#86
○長谷川仁君 同じ質問をアジア局長にいたしたいと思うのですが、アジア局長、いかがですか。
#87
○政府委員(須之部量三君) 私どもの関心といたしまして、おのずから国連の問題と、それから二国間と申しますか、北京との関係をどうするかというような点を含めていろいろ考えざるを得ないという面がございます。もちろん、いまのところ、二国間の関係といいましても、先般の覚書貿易コミュニケ等ございましたし、そう簡単に動くものではございませんが、一方、国連のほうは時期的に限られていることでございますから、その面で、おのずから今度の国連でどうすべきかという問題は、時間の面からも、言うならば、具体的な課題として出てくるということがあるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、もちろん、当面の国連の問題と、それから、ある意味で、より長い意味での北京との関係ということも考慮に入れながらいろいろ考えているわけでございますが、御質問の、当面の国連でどうするかという点に関連しましては、具体的にどういう案でどういうふうに動くだろうかという点は、いま国連局長から申したとおりでございます。その面を考えつつ、同時に、やはりある程度長期的な見通しというものも持って対処せねばならないということで、種々いろいろなやり方を検討しているというのが現状でございます。
#88
○長谷川仁君 私がなぜ国連局長とアジア局長に質問したかといいますと、最近の新聞あるいは通信のスクラップを見ますと、見出しを読んでみますと、こういうのがあります。中国代表権対策に迷う――外務省は迷っている。それからもう一つは、外務省の対中国政策暗中模索、アジア、国連両局の主張かみ合わず、こういうのがあるわけです、お二人とも笑っておられるが。
 それで、さらに追い打ちをかけるわけじゃありませんけれども、国連局長にお伺いしますけれども、国連局は、私が調査したところによると、現在の国府の地位を確保しようとされている。国連局は二点――個条書きを読みますと、現在の国連局の考え方は、現在の重要事項指定再確認決議案では国府の地位の確保が十分でない。したがって、国連憲章第十八条三項によって、国府を国連から追放するには三分の二以上の得票を必要とするという新重要事項指定決議案を提出しようとしている。これが国連局の考え方だというのですが、どうですか。
#89
○政府委員(西堀正弘君) まず最初に、アジア局と国連局の主張かみ合わずという、そういう点は毛頭ございませんので、その点だけまず申し上げさしていただきたいと存じます。
 それから、国連局の立場として国府をぜがひでも国連にとめておくという点が第一義だと申されましたけれども、これもわれわれに言わしていただきますならば、国府を追放すると申しますか、国府の犠牲において中共加盟と申しますか、そういったことをはかるということは、公正妥当な解決ではないという点、この点はアジア局も国連局も私は何ら差異のないところであろうと、こう考えます。
 そこで重要事項方式でございますけれども、これがいまのままではあぶないから、あるいはもう少し強化した方法、いま御指摘の十八条、第四条になりますけれども、とにかくそれを使うというようなこと――もちろんわれわれとしてあらゆる方策といいますか、当然のこととして考えてはおりますけれども、それは先ほど申し上げましたように、要するに、昨年どおりでもあるいはいいかもしれませんし、それでは足りない、それではあぶなっかしいということであれば、それを強化するというような方策、そういったものも、あらゆる仮定の上に立ちましての議論はわれわれとしていたしておりますけれども、それ以上のものではございませんので、最後の御判断はやはり政治的にしていただかなければならぬ、こういうことでございます。
#90
○長谷川仁君 国連局長、うまく逃げようとしましたけれども、まだ逃がしませんよ。
 これは今度はアジア局長にお伺いしますけれども、国連局が国府の地位を確保しようとしているのに対して、アジア局では中国との関係――中共です――中国との関係改善を推進しようとしている。二つのポイントがある。すなわち、今次の国連総会に中国招請決議案を提出する、第二点は、国連における国府の地位については別途国連内部で協議する、というのがアジア局の見解だというのですけれども、いかがですか。
#91
○政府委員(須之部量三君) まず第一に、先ほど国連局長申しましたが、両方の見解がいがみ合っている、これはいささか私、表現が適当でないように思います。私どもの内部で議論いたしますときに、現にどの局の意見ということで議論をすることはやっておりません。内部にいろいろな議論があり得るのはこれは当然のことでございまして、したがいまして、どの局がどう、どの局がどうというような議論のやり方もまずいたしておりませんし、そういう意識なしにいろいろなことを議論しておるわけでございます。
 それからいまの、アジア局はこういう意見だ。それはどういうところからおまとめになったのか私よく存じませんけれども、私どもとしまして実は何が――いま議論になっている、これ非常にいろいろな点が問題になっておりますので、いま御指摘の点についてどう考えるかと言われましても、私どもいまアジア局の中でも実は人によっていろいろな議論がございます。私どもでいま考えておりますのは、いろいろな問題点についてプロとコンというものをなるべく整理してみるということによっていろいろなこれは方式があり得るわけでございますから、それのプロとコンをまとめて政治的な判断をする時期が来れば御決定をお願いするというふうな、言うならば、検討を重ねておるという段階でございます。
#92
○長谷川仁君 私は、両局長さんに申し上げたいことは、中国問題は意見を大いにかみ合わしたほうがいいと思うのです。というのは、中国の問題を論ずる場合に、歴史学者が言っているように、中国の問題は十年や二十年じゃ片づかない、あくまでも波乱興亡の四千年の歴史を持った漢民族の問題を論ずるには、少なくとも文化面、あるいは歴史面では一世紀――百年を単位に見ろと、こう言っているわけです。ですから、私は、この中国問題を外務省の中でアジア局あるいは国連局が百花斉放、百家争鳴、大いにけっこうだと思う。むしろ私は、誤解していただきたくないのですけれども、その両局の間に、ことに若手の間に意見の対立があるということは非常にけっこうなことだと思う。堂々とやっていただきたいのです。何も私はあなた方両局が見解の相違があるからいけないと言うのじゃなくて、むしろ大いに論じ合って、そうして、私は時間をかけてやっていただきたいという観点から言うわけです。その点ひとつ誤解のないようにお願いしたいと思うのですけれども。
 ここに鹿島先生いらしゃいますけれども、鹿島研究所で西堀さんが書かれました「国連における中国問題」、非常にいい文章です、これは。この中に中国代表権の問題について八つの解決方法があると言うのですが、外務大臣よくお聞き願いたいと思うのですが、どの方式が一番妥当かということなんですが、第一は、「中国代表権の問題は原則問題であり、」「今後とも基本的に従来と同一の方針を堅持する。」これが第一。
 第二は、「重要問題方式を……国府追放は重要問題であるとする」。
 第三は、アルバニア案の後段の部分を削除する修正案を出す。
 第四が、「中共、国府双方の議席確保を明文で規定する」。
 第五が、「事務総長に普遍性の原則に基づいて適当な措置をとることを求める案」。
 第六が、「一民族二国家の方式に基づき中共と国府をともに国連加盟国とする案」。
 第七が、「すべての分裂国家を同時に国連に参加させる案、」。
 最後が、「ウクライナ、白ロシアがソ連邦とともに国連においてそれぞれ一票を与えられた故智に倣う案」。
 西堀さんは八つあげている。これは外務大臣、あとで渡しておきます。この中でどれが一番妥当だというふうにお考えですか、ひとつお伺いしたい。
#93
○国務大臣(愛知揆一君) いまこれはアカデミックな問題として取り上げれば、そういう前提からいえば、私の頭の中には八つどころではございません。その倍も倍もあり得ると思います。したがって、この八つの、私も読んでおりますが、そのいずれというようなことは、いま私としては申すべき段階ではございません。
#94
○長谷川仁君 それではちょっとお伺いいたしますが、一昨日ですか、森先生が質問した法眼審議官の渡米に関連しますが、去る二月一日から四日にかけて米国務省のハーツ国連担当国務事務次官補代理とスチーブンソン同省法律顧問が東京で会議を開いていますね、この際にアメリカ側はいわゆるワン・チャイナ、ワン・タイワンの方式をにおわせるようなことをおっしゃったと、こういうのでございますけれども、かりにこのワン・チャイナ、ワン・タイワンの方式というものが出れば、これは双方、すなわち台北も北京もこれは承知しないと思う。この点については外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
#95
○国務大臣(愛知揆一君) これは、私はたびたび率直に答弁しておりますように、また先ほどこちら側からも答弁もありましたように、国連加盟国の立場における各国が国連における中国代表権問題をいかに取り扱うべきやということについていろいろの角度から非常に深刻に検討をいたしておることは事実であります。したがって、そういう各国のたとえばワーキング・レベルにおけるいろいろの研究素材というものがそれぞれ情報として交換されているということも事実でございます。しかし、いずれの政府も、政府としての決定的な意見というものはまだ開陳しておりません。アメリカにいたしましても、一番最近の本件についての政府としての見解というものは、たとえば大統領の外交教書に抽象的に示されたようなところでうかがい知る以外にはございませんから、いま名前を指名して、こういう者がどこでどう言ったらしいとおっしゃっても、それに対して私の立場としてはコメントできません。
#96
○長谷川仁君 外務大臣にお伺いいたしますけれども、この中国問題は北京にいまフットライトを合わせて、台湾を中心に言うと――台湾を中心と言うとおかしいのですけれども、台湾側の意向、台北から見るというあれが非常に少ないわけですけれども、いつぞや森委員がおっしゃっておりましたけれども、台湾に対する日本人の感情というものはこれは特殊なものがあると思うのですね。だから、ある方に言わせますと、七億の方に対する贖罪ということも必要だ、しかし、戦後いろいろ問題はあるには違いないだろうけれども、アジアにおいて最も安定した生活をしている千四百万の台湾住民、ことに五十年から六十年間日本がかつて統治していた、現在もなお日本人に郷愁を感じ、世界の中で最も日本人に対して信頼の情を持っている千四百万の台湾住民の意思というものを全然考慮に入れないで中国問題を解決していいのかという見解もあるわけです。だから、七億の人たちに対する贖罪ということと同時に、私はいわゆる取引の道具に台湾というものを使ったとした場合には、せっかく日本に対して信頼の情を持っている千四百万、ある台湾のインテリに言わせると、自分は八つのときから林さんが鈴木さんになり、そして天皇陛下万歳と叫んできた。日本が負けたとたんに、お前はどこにでも行けと言って、中国人か台湾人かわけのわからぬ立場にやられた。今後は自分たちの都合で中共にでもどこにでも行きやがれと言うんですからあまりにも無情じゃないかというのが台湾のインテリの人たちの一つの声なんですね。ですから、台湾の人たちの千四百万の住民の意思というものを考慮に入れなければ私は中国問題の解決にはならないというふうに考えるんでございますけれども、この点、いかがでございますか。
#97
○国務大臣(愛知揆一君) 私もこれはごもっともなことだと思うのでありまして、政府の国際信義というようなことばにもそういう含蓄があることを御理解いただきたいと思います。また、これはよく私も公に申しておりますけれども、国連の場において、国連加盟国の相当多くの国々の間に、中華人民共和国は国連の中に招きたいけれども、しかし、それを台湾追放ということによってやることには少なくとも非常なためらいを感ずる、何とかこれはできないものかという意見が相当多数あるということも認識できるわけで、こういったようなところで、私はいま大事なところでございますから、百家争鳴大いにけっこうですけれども、政府としては意見を申し上げる段階でまだないと思うので、非常にかたくななお答えをいたしております。考えなければならない要素として、いまも大きな問題を御提案になっておりますが、そういう点は私もまことに同感に思います。
#98
○長谷川仁君 私の質問に対して外務大臣に結論を出せということも私申し上げませんし、また、この結論が出るはずもないわけでございますが、中国問題の基本的な姿勢として、中国の外交政策というものをずっと見ておりますと、一九五〇年から六〇年の十年間というものは「アメリカ帝国主義打倒」というスローガンだったわけですね。それから今度は、六〇年から七〇年までは「ソ連修正主義打倒」というスローガンだったわけです。今後予想されることば、いま、今度問題になってきましたけれども、七〇年から八〇年、この十年間は、おそらく「日本軍国主義打倒」というスローガンを道具にいたしまして国内団結をはかっていくんじゃないか。そういうふうな北京の姿勢であるならば、ここであわてないで、じっくりと腰を据えて、そして十年でも二十年でも待つと、こういうことばを使ってはいけないと思いますけれども、国内の一部には、一国の元首を誹謗する、あるいは一国の元首を罵倒するようなそういう教養のない現在の国柄の人たちとあえて国交を急ぐことはない、もう少し教養のある国になるまで待ったらどうだ、十年でも二十年でも待ったらどうだという見解もあるわけです。これは中国を知っておる人であればあるほどそういう見解を持っておる。これは外務大臣、いかがですか。
#99
○国務大臣(愛知揆一君) 私は、ですから、中国と対話を政府間で持ちたいということは提唱しているわけですが、同時に、その対話は、向こうさんの出している条件、向こうさんが、日本が従えと言っておるところへ頭から従ったかっこうで対話を持つべきでないということを、同時に提唱しておるわけでございます。いわゆるプレコンディションというようなことを考えないで、双方が相手の立場を尊重して、双方が内政に干渉しないで、その原則のもとに話し合いを開くのはたいへんけっこうじゃないかと言っておりますのもそういう点にあるので、現在すぐということでありますと、どうもなかなかそういうことにはいきそうもないじゃないかというようなことも考えられますが、少し腰を落ちつけてやっていいのではないかという御意見に対しましては、私もなるほどと思います。
#100
○長谷川仁君 時間もございませんので、いま「なるほど」とおっしゃられたことは、ある程度認められたことだと思いますので、私どもは日本人でありながら日本の文化あるいは日本の古来の道というのを忘れがちな傾向があるのでありますが、この間、香港から参りました中共問題を研究しておる方であり、かつまた日本の文化を研究しておる方が私に書いた歌があるわけです。それは、「倒されし竹はいつしか立ち直り倒せし雪は消えてなくなる」というのです。権力政治が行なわれる限り必ず歴史的にこういう傾向がある。中国を見る場合には、四千年の動乱の歴史をよく見て、日本も漢民族の過去及び現状と未来を国民も政府の要路もかみしめて中国問題を見つめろということを言っておりますが、大臣、これを最後に私の質問を終わりたいと思います。
#101
○国務大臣(愛知揆一君) これも私はごもっともと思うのでありまして、私、まじめに考えて、日中関係というものが将来長きにわたってよき関係をつくり上げるためにはいまが大事なときで、へたに迎合し過ぎたりその他をいたしますことは、かえって両国の永遠の相互信頼、親善関係をつくり上げることにならないのではないか。一部の非常に性急にお考えになる方にはなかなか御理解いただけない考え方かもしれませんけれども、私はひそかにさように考えております。
#102
○長谷川仁君 これで終わります。
#103
○委員長(松平勇雄君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十二時散会
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ソース: 国立国会図書館
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