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1970/03/23 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 外務委員会 第8号
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1970/03/23 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 外務委員会 第8号

#1
第065回国会 外務委員会 第8号
昭和四十六年三月二十三日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     黒柳  明君     浅井  亨君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松平 勇雄君
    理 事
                石原慎太郎君
                長谷川 仁君
                山本 利壽君
                西村 関一君
    委 員
                梶原 茂嘉君
                木内 四郎君
                杉原 荒太君
                廣瀬 久忠君
                増原 恵吉君
                加藤シヅエ君
                羽生 三七君
                森 元治郎君
                浅井  亨君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務省条約局長  井川 克一君
       外務省条約局外
       務参事官     山崎 敏夫君
       外務省国際連合
       局長       西堀 正弘君
       海上保安庁次長  上原  啓君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小倉  満君
   説明員
       警察庁刑事局調
       査統計官     丸谷 定弘君
       科学技術庁原子
       力局次長     田宮 茂文君
       法務省刑事局参
       事官       吉田 淳一君
       運輸大臣官房政
       策計画官     田付 健次君
       運輸省航空局監
       理部総務課長   范  光遠君
       郵政省郵務局次
       長        高仲  優君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び
 脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国と
 の間の条約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出)
○千九百六十九年十一月十四日に東京で作成され
 た万国郵便連合憲章の追加議定書、万国郵便連
 合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締
 結について承認を求めるの件(内閣提出)
○アジア=アオセアニア郵便条約の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出)
○千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止の
 ための国際条約の改正の受諾について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○油による汚染を伴う事故の場合における公海上
 の措置に関する国際条約の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (沖繩の施政権返還交渉に関する件)
○航空機の不法な奪取の防止に関する条約の締結
 について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松平勇雄君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 本日黒柳明君が委員を辞任され、その補欠として浅井亨君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松平勇雄君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。
 愛知外務大臣。
#4
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま議題となりました「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の締結について承認を求めるの件」につきまして提案理由を御説明いたします。
 わが国とアメリカ合衆国との間には、昭和二十九年四月十六日に署名され、その後、議定書によって補足修正された「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約」が締結されていますが、わが国は、昭和三十八年にOECDモデル条約案が公表されました後は、できる限り同条約案に沿って二重課税防止条約を締結することとしておりますので、そのような一般的方針に従うとともに、日米経済関係の現状に一そう適合した課税関係を樹立するため、現行の条約を全面的に改訂する新条約を締結することとし、昭和四十三年十月以来、東京及びワシントンにおいて交渉を行ないました結果、昭和四十六年三月八日に東京において、わが方、本大臣とアメリカ合衆国側マイヤー駐日大使との間でこの条約に署名を行なった次第であります。
 この条約は、本文二十九カ条から成り、そのおもな内容は、次のとおりであります。事業利得につきましては、相手国にある支店等の恒久的施設に帰属する利得についてのみ相手国において課税できるものとし、船舶または航空機による国際運輸からの所得につきましては、それらの船舶または航空機が自国に登録されている場合には、相手国で全額免税となりますが、日本の企業の場合には、これに加えて、登録国のいかんを問わず、その賃借している船舶または航空機による国際運輸からの所得についても合衆国で全額免税となります。投資所得に対する源泉地国での課税につきましては、配当については原則として一五%、利子及び使用料については一〇%をこえない税率で課税し得るものとしております。さらに、政府職員、短期滞在者、短期滞在の教授、学生等の受け取る報酬、手当等につきましては、原則として滞在地国で免税としております。
 この条約の締結によりまして、二重課税の回避の制度を通じ、両国間の経済、技術及び文化の面での交流は一そう促進されるものと期待されます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につき、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#5
○委員長(松平勇雄君) 引き続き補足説明を聴取いたします。
 山崎条約局参事官。
#6
○政府委員(山崎敏夫君) 昭和二十九年に署名されました現行の日米租税条約は、わが国が締結いたしました最初の租税条約でございまして、その後、必要に応じて補足修正されてきておりますが、日米経済関係の現状に照らしますとまだ不十分なところもございますので、今回全面的に改訂した次第でございます。今回御審議いただきます改訂条約と現行条約とのおもな相違点を申し上げれば次のとおりでございます。まず、事業利得につきましては、従来は企業が相手国に支店等の恒久的施設を有しております場合には、その企業が相手国の源泉から取得する利得がすべて相手国で課税されるといういわゆる総合主義――エンタイヤ主義によっておりましたが、OECDモデル条約等に見られますように、最近は帰属主義――アトリビュータブル方式、すなわち恒久的施設に帰属する利得に限って課税する方式が一般的になっておりますので、この方式を採用することといたしました。なお、わが国が他の諸国との間に締結しております租税条約ではほとんどこの方式を採用しております。次に、国際運輸業所得につきましては、従来は、自国に登録されているか、または日米両国に相互免税を与えている第三国に登録されている船舶、または航空機を運用することから生ずる所得だけが相互免税の対象となっておりました。しかし、わが国におきましては、外国船または外国の航空機をチャーターする場合も多いので、今回の改訂では、日本の会社がチャーターしております船舶及び航空機については、その登録国のいかんを問わず、米国で免税の取り扱いを受ける等免税の範囲を拡大いたしました。そのほか、条約全般にわたりまして規定を一そう整備いたしましたが、特にその中でも、それぞれの所得についてその源泉地がどこにあるかを詳細に規定いたしまして課税関係を明確にいたしましたことをあげておきたいと思います。
 次に、御手元に配付してございます資料に基づきまして、わが国と米国との間の経済関係について簡単に御説明申し上げます。貿易関係につきましては、申すまでもなく、米国はわが国最大の貿易相手国でありまして、輸出、輸入いずれをとりましてもわが国貿易額の約三割を占めております。このような貿易関係を背景といたしまして、双方の企業進出も非常に盛んでありまして、わが国からは、現地法人の形で四百六十五、支店の形で四十六が米国に進出しており、また、そのほかに駐在員事務所が五百八十一もありまして、おもな商社、銀行、メーカーはほとんど何らかの形で米国に進出している次第でございます。他方、米国からも現地法人で九百十、支店で三百八十六がわが国に来ております。また、投資関係につきましては、数字は若干古いのでありますが、一九六五年度において配当、利子及び支店収益、これは支店から本国に送金される収益でございますが、この配当、利子及び支店収益の流れは、米国からわが国へは約八千万ドル、わが国から米国へは約一億四千万ドルとなっており、特許権使用料は、米国からわが国への支払いが約三百万ドル、わが国から米国への支払いが約一億ドルとなっております。船舶、航空機の往来も、いま申し上げましたような緊密な経済関係を反映して、きわめて活発であり、船舶につきましては、両国間に一九六九年度で日本の会社が二千八百二十五便、米国の船会社が六百三十六便就航させております。航空機につきましては、現在週の便数で日航が四十便、そのうち十便は貨物専用であります。それから米国の航空会社が八十二便、そのうち三十便が貨物専用でありますが、それぞれ両国間に就航させております。
 以上をもって補足説明を終わらせていただきます。
#7
○委員長(松平勇雄君) 以上をもって説明は終了いたしました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(松平勇雄君) 次に、千九百六十九年十一月十四日に東京で作成された万国郵便連合憲章の追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件
 及び
 アジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を便宜一括して議題とし、これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は、順次御発言願います。
#9
○西村関一君 前回に引き続きまして二条約について質疑をいたします。
 これまでUPUの経費は経常費と臨時費とに二分されて、経常費の年額のみ大会議で最高限が定められ、臨時費につきましては限度が定められていなかったのであります。しかし、新条約によりますと、この二種類の経費が一本化されて一九七一年から七五年までの各年につきそれぞれ最高限が定められております。これはどういう理由でこういうことになったのでございますか。また、この定められた最高限度額は過去の実情に照らして適切なものと言うことができるでしょうか。さらに、これに基づきましてわが国の分担金はどのくらいになるでございましょうか、お伺いいたします。
#10
○説明員(高仲優君) 従来は経常費のみ限度を設けまして、臨時費につきましてはワク外の形になっておりました。その関係上、とかく臨時のほうにつきましていわゆるとめ金になるものがないということが問題になっておったのでございますが、今回の改正によりまして、経常費のみならず臨時費についても一定のワクを設けるという趣旨から、これを一本化した次第でございます。したがいまして、大会議から大会議までの間における業務運営経費のすべてにわたって、加盟国のコントロールがきくようになったと、このように了解いたしております。
 なお、今次の取りきめによるその経費が適切であるかどうかという問題でございますが、この点につきましては、従来の経費、それから今後の経費、人件費等、各種経費の伸びを勘案いたしまして定めた次第でございまして、妥当な線でございます。
 なお、わが国の分担額につきましては、一九七一年度について見ますると、約千七百五十万円程度でございます。国際機関といたしましてUPUは比較的小さいものでございまして、わが国は二十五単位を払っておりますが、その場合におきましても、千七百五十万円の程度の年額で済むように相なっております。
#11
○西村関一君 これまで請求できなかった外国からの通常郵便物の国内取扱費は、今回の改正によりまして、発着郵便物の差につきましては、発送郵政省に対して請求することとなりましたが、対後進国との関係におきまして、発送郵便物のほうが多いと考えられますが、わが国にとりましては、このことに関して、ある程度の影響があらわれると予測されると思うんでございますが、対後進国との関係、この点いかがでございましょうか。
#12
○説明員(高仲優君) 仰せのとおり、従前は差出国が総額を取得し、到着国のほうは、いわば無料サービスになっておりました。これは発着がほぼ同数であるということを前提にして、そのようにきめておった次第でございますが、個々の国別に見ますと、必ずしも発着同数というわけにはまいらぬという点から、今回この規定がつくられたものでございます。しかしながら、その金額は交換差一キログラムについて五十サンチーム、日本金に直しまして、六十円ということになっておりまして、それほど高額ではございません。
 また、対国別に見まして、年間の額が二千フランをこえない場合は支払いを免除されるということになります。したがいまして、年間の交換差額が四千キログラムになるまでは計算されないということと相なっております。
 なお、わが国について考えますると、わが国はやや到着郵便物のほうが多くなっております。約一割程度到着が多いのではないかと思われますので、どちらかと申せば、わが国は若干の取り分がふえるということに相なろうかと思います。しかしながら、国別に見ました場合、特に東南アジアの国々につきましては、わが国からの差し出しのほうが若干多いのが実情でございます。
 なお、この支払いは何に基づいてやるかということと相なりますと、三年に一回、時期をきめて、二国間別に調査いたしまして、その調査の結果に基づいて支払い、あるいは受け取りを行なうことになっております。その一回目の統計をとるのが一九七三年ということになっております。七十三年統計に基づいて、さかのぼって支払いまたは受け取りを行なうということになります。したがいまして、確たる金額につきましては、その統計の結果を見なければ判明いたさない次第でございますが、先ほど私申し上げましたように、わが国は若干の受け取り超過、郵便物の物数から言いまして受け取り超過になっております点と、それから年間の差額が四千キログラムまでは支払いが行なわれないという点がございまして、わが国に対する影響はあまりないのではないかというふうに考えております。
 以上のとおりでございます。
#13
○西村関一君 政府は日中間、わが国と中華人民共和国との間における郵便協定を結ぶために、業務当局間において準備をしておられるというふうに聞くんでございますが、この点、いかがでございますか。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) まず、日中間の実情でございますけれども、これは御承知のことと思いますけれども、この点にちょっと触れて申し上げますと、昭和二十四年に香港経由による通常郵便物の送達の開始が始まったわけでございます。それから小包郵便物については、昭和四十年の四月からビルマ経由による取扱いが開始されました。それから四十年の八月からは、ソ連のナホトカ経由によるものも開設されたわけでございます。
 それですから、現在では中国大陸への郵便物は、第三国を経由してではありますけれども、通常郵便物と小包郵便物の海路と航空路による交換は確保されている形になっております。しかしながら、第三国経由の方法によらないで、直接交換の道を開くことはけっこうなことでございますので、こうしたことのための取りきめについて、実務者間の話し合いによるとりきめができるということであるならば、これは前向きに取り上げてまいりたいと、こういう政府としては態度でおる次第でございます。
#15
○西村関一君 実務者間の打ち合わせは事実行なわれているんでございますか。あるいはこれは行なわれているとすれば、どの程度まで進められておりますか。
#16
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま私が申し上げましたのは、日本側としての姿勢でございまして、現実に実務者間の話し合いが現在は行なわれておりません。
#17
○西村関一君 その問題につきまして、何らかの意思表示を相手側としておられますですか。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) 日本政府の実務者間同士の話し合い、そして何らかの取りきめということがけっこうであると、前向きに検討したいということは、先方も私は承知しているであろうと、かように存じております。
#19
○西村関一君 いま大臣も言われますように、現在、日中間を往復するところの船舶は不定期便しかありませんし、もちろん航空便、航空路は開設されておりません。このような状況下におきましては、現在のままのほうが早く着くということになっております。直接の交換のための日中間の郵便協定を結ぶという利益は、現在の状況下においてはあまり期待できないと思います。しかし、これはやはり日中国交回復ということを前提といたしまして直接航空路の開設も考えられますし、船舶の往来も直接の往来ができるばかりでなく定期的な船舶の往来もできるというようなことを予想しながらこの日中間の郵便取りきめをやろうというふうに考えておられるのだとすれば、これは私は意義があると思いますけれども、その点、いかがですか。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げましたような考え方、姿勢でございまして、いまお話しのように、直接の航空路あるいは直接の船舶の航路というとこまでは含めて考えるところまでにはまだいっておりません。
#21
○西村関一君 私の伺っておりますのは、現在のままではもうお題目だけになってしまう、たとえこれが成功いたしましても、お題目だけになってしまう。やはり進んで日中間の国交回復と定期航空路の開設、定期航路の開設ということを目ざさなければあまり効果がないと思うのです。これは諸般の情勢から、いますぐに政府も直ちにそうだと言い切ることはできないでしょうけれども、やはり国際情勢の現状及び将来の見通しの中におきまして、そういうことを含みながらこの当事者間、実務著聞の話し合いを進めていこうというふうに理解してよろしゅうございますか。
#22
○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともな御意見であると思いますので、終局的にはさよう考えるべきものと考えます。
#23
○西村関一君 次に、アジア=オセアニア郵便条約についてお尋ねをいたします。
 この条約の第十六条によりますと、アジア=オセアニア郵便連合の加盟国は万国郵便連合の大会議において加盟国に共通の利害関係のある問題についてはお互いに協力することになっているというわけでございますが、どのような問題について協力をするということでございますか。
#24
○政府委員(山崎敏夫君) 具体的な問題といたしましてはいろいろなことがあると思いますが、たとえば万国郵便連合の大会議に何らかの提案をいたします場合に、まあ、地域に共通の問題をお互いに相談しまして共同提案をやるというふうなことも考えられますし、さらにそれについて、それが採択されるように協力するということもあると思います。
 それから、万国郵便連合のいろいろな諸機関の、その中の理事国として選出されるように協力するというようなこともあると存じます。
#25
○西村関一君 AOPUの加盟国間で交換されます船便通常郵便物につきましては、原則といたしまして、内国郵便料金を適用し、例外的には国際料金を適用する、あるいは最恵引下料金または特別料金を適用することができるということになっておりますが、加盟各国は現在いかなる方式を適用しておりますか、また、その料金はどの程度になっておりますか、お伺いをいたします。
#26
○説明員(高仲優君) まず、わが国について申し上げますと、わが国は、加盟国あての船便書状及び葉書につきまして国際料金の六〇%の料金を適用いたしております。他の国につきましても、おおむねそのように相なっておりますが、英連邦系の国――豪州、ニュー・ジーランドにつきましては、英連邦諸国あて料金を適用しております。ということは、豪州、ニュー・ジーランドにつきましては、国内料金並みの料金で域内あて郵便物を引き受けておるということでございまして、この二国につきましては自国並み、他の国につきましては六〇%の料金ということになっておるわけでございます。
#27
○西村関一君 フィリピンはアジア=オセアニア郵便連合の中央事務局のある国でありますのに、この条約に署名していないのはどういう理由でございますか。
 また、今回の改正で、中央事務局を、必要ならば、マニラ以外の地に移せることとなりましたが、これは条約を採択したアジア、オセアニアの大会議にフィリピンが欠席したことがおもな理由となっておりますが、さらに、現行条約の加盟国は九カ国でありますが、新条約の批准の見通しは、フィリピンを含めてどういうふうに考えられますかお伺いをいたします。
#28
○政府委員(山崎敏夫君) この新条約にフィリピンが署名いたさなかったのは事実でございますが、これは実はフィリピンの何らかの国内事情によりまして、昨年の京都大会議に代表を派遣できなかったためでございます。
 それから中央事務局につきまして、この第十一条の第一項に、「執行委員会が別段の決定をしない限りマニラにおいて職務を行なう」となっておりますが、これはそういう「別段の決定」は従来からもなされておらないのでありまして、今後も別にそういうことはないと思いますので、従来どおりマニラに中央事務局は置かれるものと思います。ただここで、こういう「別段の決定をしない限り」というふうに書いてありますのは、将来何らかの理由でマニラからどこかへ中央事務局を移すということもあり得るということを考えて、弾力性を持たせるために書いてあるわけでございます。御参考までに申し上げれば、北欧の郵便連合とかヨーロッパの郵便電気通信連合は、事務局を持ち回りでやっておるわけでございまして、そういう意味で、事務局についてもあまりマニラとはっきりきめておかないほうが今後いろいろ運営上便利であるということでこういう書き方になっておる次第でございます。
 それから、この条約は、発効に関しましては明文はないのでございますが、従来の郵便の例によりまして、二国が受諾すれば発効することになると存じます。そこで、ただ、この二十六条には、「この条約は、千九百七十一年七月一日に効力を生じ、次回の大会議の条約の効力発生の時まで効力を有する」と書いてございますので、それまでにまあ二国が批准するということは当然期待されておる次第でございます。
#29
○羽生三七君 ちょっと関連して。
 郵便関係ではないんですが、日比通商航海条約はその後どうなっておりますか。
#30
○国務大臣(愛知揆一君) 日比通商航海条約につきましては、日本側の手続が済みましてから、長い間にわたってフィリピン側の批准の手続が済んでおりません。政府としては、累次、フィリピン側に批准手続を終了するように何回かにわたって申し入れをいたしておるわけでございます。現在のところでは、マルコス大統領再選後においては、マルコス大統領が、誠意を持って批准の手続が完了するように努力を傾けるという態度を表明しておりますが、まだその成果があがっていない。今後とも政府といたしましては厳重にかつ強硬にフィリピン側の誠意のある態度を期待して努力してまいりたいと考えております。
#31
○羽生三七君 それで、いまの件は、当委員会で十年――もっと前でしょうか――前に審議してこれを可決するときに、フィリピン側の事情はどうかということを十分念を押して、だいじょうぶだということで可決したわけですが、それで大統領がかわること何回――三回だと思いますね、それでもなおかつ長い間遷延しておるという根本的な理由は一体どこにあるとお考えになりますでしょうか。
#32
○国務大臣(愛知揆一君) これはお話しのように、たしかもう大統領も三回かわったわけなんでありますが、率直に申しまして、的確には、批准の手続がとられないことはなかなか理解ができない。やはり国内的ないろいろの要素があるのではなかろうかとも思われますわけですけれども、とにかく歴代政府、特にマルコス政権になりましてからは、従来の政府に比して一段と誠意と力を尽くして本件に努力をしていることは十分読み取れるわけでございます。
 それから、ごく最近の情報といたしまして、ここ十日ほど前にフィリピンに経済ミッション――民間の方々でありますけれども――外務省も後援をして派遣いたしたわけでございます。その団長の土井さんに対してマルコス大統領から、きわめて近い機会にぜひ結着をつけるつもりだということの――これはごく最近でございますが――言明がありましたわけでございますので、これに大いに期待を寄せておりますわけでございます。
#33
○西村関一君 山崎参事官の御答弁の中で、二カ国が批准をすれば条約が成立するということですが、何カ国ぐらい批准をする見通しでございますか。
#34
○政府委員(山崎敏夫君) もちろん、われわれといたしましては、この加盟国九カ国が全部批准することを期待しておりますし、われわれの見通しとしてはたぶん全部批准するだろうと思っております。
#35
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、二案件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより二案件について一括討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、千九百六十九年十一月十四日に東京で作成された万国郵便連合憲章の追加議定書、万国郵便連合一般規則、万国郵便条約及び関係諸約定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#37
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、アジア=オセアニア郵便条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#38
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、二案件についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#40
○委員長(松平勇雄君) 次に、千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の改正の受諾について承認を求めるの件
 油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約の締結について承認を求めるの件
 及び
 国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件
 以上三案件を便宜一括して議題とし、これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#41
○西村関一君 まず、海水油濁防止条約の改正条約について前回に続いて質疑を行ないます。
 わが国の外国航路の船舶は、実際問題といたしまして、今回の改正によって現在よりもさらにきびしい油の排出規制を実施しなければならないということになると思いますが、この点、いかがでしょうか。それとも、今回の改正で定められました基準に合致するような排出規制を現在すでにとっているのか、タンカーとそれ以外の船につきましては、別々にどうなっているのか、その点をお伺いいたしたいと思います。
 また、今回の規制強化によりまして船舶内の油水――油と水の――分離器等、構造上改善を要することになると思いますが、その点もあわせて御答弁いただきたいと思います。
#42
○説明員(田付健次君) まず第一点の、外航タンカーにつきましてどの程度今度の排出規制がきびしくなっているかということでございますが、現在の外航タンカーにつきましては一部の船につきましてはロード・オン・トップ方式というものを実行いたしております。今度の条約改正によりまして一万五千分の一以上の絶対量を排出できませんので、従前のような五十海里外に出ましたときはバラストをそのまま捨てるというようなことをやってまいりますと、この制限が守れません。したがいまして、できるだけバラストの中の水分を排出いたしますが、油分はできるだけ残すことにいたしまして、さらにその上に新しい油を積むというロード・オン・トップ方式をとりませんと、今回の改正に外航タンカーが対応できなくなります。したがいまして、現在一部の外航タンカーがやっておりますロード・オン・トップを、なるべく早くこの条約の施行に合わせて採用していくということが必要になってまいります。ただ、その場合に、特にそのために必要な改装というものはほとんど要らないので、そういう油水分離を行なっていくということが重要なことになりますので、石油業界と話し合いがつきロード・オン・トップ方式がとれれば、外航タンカーは直ちにそのような方法がとれると考えております。
 それから、現在、タンカーとタンカー以外に分けまして、このたび行なわれました新しい条約の基準が現状の船についてどのように行なわれているかという点でございますが、タンカーにつきましては先ほど申しましたようなことで、現在の現行法ではロード・オン・トップ方式をとっていかなければなりませんので、新しいものに合わせるためにはロード・オン・トップ方式が必要になります。
 それから一般船舶につきましては、今度の条約の改正によりますと、ビルジにつきまして制限がかなりきびしくなりますので、油水分離器を設定いたしまして、それによって排水をするということになりますれば、そのまま守ることができます。
 なお、今度の改正によりましても、実はビルジの排水基準につきまして対象になります船舶は、条約上は改正をしておりません。したがいまして、すでに現行の国内法によりましてその対象の船舶には油水分離装置というものがつけてありますので、その条約にきめられております範囲の船につきましては、そのまま移行しても実際上は支障はない。実は国内法的には前回の海洋汚染防止法作成の際にその範囲を広げましたので、これは全く国内問題としてではございますが、その範囲を広げた分についてのみ油水分離器をつけなければならないということになります。
 三番目は油水分離器の問題でございますが、先ほど申しました範囲の船について今後取りつけをいたしてまいらなければなりませんが、私どもの調べております範囲では、タンカーにつきましては約千七百隻、それから一般船につきましては約二千隻ばかり、条約外に、国内的な要請からその範囲を広げて強化しております。その分につきまして、合わせて約三千七百隻ばかりございますが、油水分離器をつけまして、総計約七億ばかりの経費がかかるものと見込んでおります。この分につきましては、船舶整備公団という公団がございます、この公団を通じまして取りつけの設備費その他についての融資を行なっております。以上でございます。
#43
○西村関一君 日本近海の油濁の状況につきましてはこの前お伺いしたわけでございますが、きょうの新聞を見まするというと、審議会で答申が出されている。そういうことの各海域、水域の状態について答申をされておるようでございます。この答申につきましては当局としてはどういうふうに受け取っておられますか。
#44
○説明員(田付健次君) 先生がいまお話しの審議会の基準は、環境基準の当てはめの部分をおっしゃっていらっしゃるんだろうと思いますが、現在経済企画庁が中心になりまして関係省それぞれ実態を調査した上で調べております。その水域の当てはめの対象になります水域、それ以外には沿岸海域等も入ってまいりますが、主たるねらいは、工場とか事業場等から河川を伝わって流れてまいりますものについての当てはめをやっておりますので、直接船舶に関係がございます分はその当てはめのほうにはあまりございません。その工場、事業場等の排水基準を守り、この改正の見通しを立てることによって、その当てはめられました基準を守る見通しがつくように基準を策定し、また、関係者はそれに対して努力をしていく、こういうたてまえになっております。
#45
○西村関一君 もう大型タンカーの航行につきましては、各水域によっては、たとえば東京湾、伊勢湾、瀬戸内海というようなところの航行につきましては規制が必要でないかと思うのでございますが、その点はどうなっておりますか。
#46
○政府委員(上原啓君) お答え申し上げます。
 先生の御意見のとおりでございまして、現在の大体航行に関する規制といたしましては、海上衝突予防法、それから瀬戸内海一帯につきましては、特定水域航行令でございますか、そういう制度がございまして、それでは、浦賀水道とか伊良湖水道とかいうところにつきましては、まさに不十分でございますので、これにつきまして海上保安庁といたしましては、海上交通法案というものを制定して早期にこれを実施させたいというぐあいに考えております。この問題につきましては、なかなかいろんな問題がございまして、現在関係機関と協議を続行しておる段階でございますが、早急に協議がまとまりまして実施に移せることを希望いたしておるところでございます。
 なお、現在、これは行政指導ではございますけれども、浦賀水道なり伊良湖水道というようなところを通る大型タンカーにつきましては、たとえば警戒船をつけさせるとか、入出港時刻を前もって保安部署に届け出させまして保安部長の指揮を得せしめるというような実際的な措置はとっておりますし、これはタンカー側も厳重に守っておるというのが現状でございます。
#47
○西村関一君 直接この条約に関係がないんでございますが、関連をいたしまして、原子力施設の廃棄物処理が海洋において行なわれておるということが問題になっておるようであります。原子力船また外国の原子力潜水艦の航行等によりまして、廃棄物の処理が海水を汚濁するということが、これは油濁の問題とは別でございますけれども、そういう問題が国民の心配の的になっておると思うのでございますけれども、これは科学技術庁のほうから御説明をいただきたいと思います。
#48
○説明員(田宮茂文君) 現在、新聞紙上で問題になっておりますのは、いわゆる固体廃棄物でございまして、これは日本で放射性同位元素を輸入して頒布をしております放射性同位元素協会というところが、放射性同位元素を小分けいたしますときに出ました廃物等を海洋に試験的に投棄したわけでございますが、これにつきましては関係いたします法令の基準に従いまして投棄をしておりまして、固体廃棄物が海中において漏洩することがないように確かめてやっておりますし、またその後、それの海流調査等もしておりまして、異常を認めておりません。なお慎重を期するために、科学技術庁に放射性固体廃棄物処理処分検討会というのを設けまして、昭和四十四年九月以来検討を進めておりますが、その結論が近く出ますので、それを待ちまして、海洋投棄、陸上処分等、慎重を期してまいりたいと考えております。
 第二のお尋ねの、原子力潜水艦等からの、航行に際しまして、廃棄物が出て海洋を汚染するという問題につきましては、原子力軍艦等からは固体廃棄物は投棄されない、これはそういうことになっておりますし、また液状廃棄物も、原則としては、いわゆるたれ流しはないということになっております。
#49
○西村関一君 海水油濁防止のためには特に国際協力が必要であると考えられますが、油濁防止のための監視体制、油濁防止の実効性の確保、科学技術の研究及び開発その他の点につきまして現どういう状況になっているのかお伺いいたしたいと思います。また、去る公害国会で採択されました海洋汚染防止法との関係はどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。
#50
○説明員(田付健次君) 海水油濁の問題につきましては、先生お話しのとおり、非常に国際的な協力をまたないと目的を達することはできませんので、IMCOを中心にいたしまして、私ども関係国が再々集まりまして、いろいろこまかい点を全部網羅するような範囲で議論を進めてまいってきております。いまお話しの、モニタリングの問題あるいは技術開発の問題その他につきましては、そのような方法でIMCOを中心にして関係国が協力をいたしております。特に技術的な開発の問題につきまして、油濁防止ができますように機器の開発等をいま進めておりますが、先ほど先生お話しの油水分離器、あるいは海水中の油分の濃度をはかります油分濃度計、これらにつきまして技術的な基準統一をはかろうということで、先ほどお話しいたしましたIMCOで検討を続けておりまして、で、これらにつきましては、私どものほうからも専門のメーカーが会議に参加するということで成果をあげつつあります。また、実際に海上に流れ出ました場合の流出油の処理も非常に問題でございまして、オイル・フェンスの構造をどうするか、あるいは沈でん剤、油吸引器その他の問題につきましても、これらの処理方法の検討をIMCOを中心に行なっている状況でございます。
 それから海洋汚染防止法との関係でございますが、海洋汚染防止法の中に、六九年の改正によりますこの条約の内容をすべて網羅してございます。さらに、むしろそれよりは国内的な問題のほうも考えまして、先ほど申しました船舶の対象を広げるほかに、こういうきびしい基準を守らせるための専門家を船舶内に置いてもらって十分な管理をしてもらおうということから、油濁防止の管理者制度であるとか、その油濁防止管理者が作業を行ないます場合のマニュアルを船主にきめさせるというような、条約よりはさらに強化した点が二、三点ございます。なお、海洋汚染防止法は、船舶が動くことによりまして実際に汚濁を発生するいまの油のほかに、船舶に陸上から出ました廃棄物を乗せまして海上に投棄をするということについての制限、それから、内航タンカー等が主体になりますが、実際に出ました廃油を陸上で処理しなければなりませんので、その陸上に整備する廃油処理場に関する規定、それから先ほど例を申し上げましたが、たとえばタンカー等が大きな事故を起こしました際に大量の油が海上に流れ出る、そのような場合の防除措置、このようなことを中心にした内容になっております。
#51
○羽生三七君 関連して。
 この条約ができるようになった直接の契機は、英仏海峡における海難事故だと思うのですが、つい最近、どこですか、アフリカの近海か何かで事故があって、空軍が出て船を爆撃して沈めて解決したようにテレビなんかで聞いておったような気がするのですが、そういうような場合は具体的にはどういう解決方法があるのか。私の勘違いではないと思いますが、何か最近の事情がわかっておったら説明していただきたい。
#52
○政府委員(山崎敏夫君) お尋ねの点は、「油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する条約」の問題と存じますが、ごく最近南アの沖でそういう事件がまた起こったわけでございます。これはリベリアのタンカーでございまして、ワフラ号という二万八千トンばかりの船が南アの沖合いで座礁しまして、結局、これにつきましてもトリー・キャニオン号事件と似たような事件で、いろいろやってみたけれどもうまくいかないということで船を沈めたと、こういう事件がございます。これはやはり油は相当流れ出まして、一万二千トンぐらい流れ出たというふうに聞いております。それから、それをやるまでに、最初に、やはり深い水域で薬剤を六十万リットルぐらいは散布した。それから防材とかいろいろなものを使ってみたわけでございますが、結局うまくいかない。そこで油を積みかえられないかということでやってみたが、これもうまくいかない。それから、その船をどこか遠くへ連れていこう、引っぱっていこうとしたのでありますが、これも天候が悪化いたしまして危険となったというふうな事情で、南ア政府としては、これを静かに沈める以外にしかたがないという結論に達して、空軍機を用いて沈めたということでございます。南ア政府は、いま御審議願っております条約の当事国にはまだなっておりませんけれども、その精神に従ってやったので国際法上も問題はないと言っております。さらに、これをやりますにあたりまして、その関係者には、こういう措置をとるということについて了解を求めたということでございます。したがいまして、南ア政府がやった措置は、この条約の当事国ではありませんが、大体その趣旨に沿ってやったものと認められると思います。
#53
○加藤シヅエ君 関連。
 いまの御説明でいろいろ伺いましたのですけれども、そういう事故が起こったときに、たとえば南ア政府とかあるいは日本とか、自分の領海あるいは近海で起こった場合に、いろいろ処置をする。それに対して、薬を使うとか船を動かすとか、そうしたいろいろの処置に対する費用はどこが負担をするように取りきめられておりますか。そうして、その処置を決定したことについて、あとで、もし船の持ち主の国あるいは荷主の国などから抗議を申し込まれるというようなこともあり得るのか。そういうようなことがもしあった場合にはどういうふうにしてそれを裁判するかというような手続がどうなっているか。そういう点を伺いたいと思います。
#54
○政府委員(山崎敏夫君) まず、処置をした場合にいろいろ――この場合で申しますと南ア政府でございますが、南ア政府が使った金をどうするかという問題でございますが、実はこの御審議願っております条約には、その点は触れておりません。結局、この問題は、やはり当事者間で話し合うことになると思います。ただ、実はこの条約と同時に審議されましたいわゆる私法条約というのがございまして、私法条約においては、私法条約というのは正式には「油濁損害に対する民事責任に関する条約」でございますが、これにはその処置に要した費用の問題についても一つの基準を設けております。ただ、この条約は損害の民事責任の問題でございますので、非常に複雑な問題がございまして、いまだどこの国も加入しておりませんので、まだ議論されている段階でございますが、その条約がいずれは発効いたしますれば、そこに一つの基準が出てくると存じます。
 それから第二にお尋ねになりました、まあいまのような例で申しますれば、爆撃してやった結果船主あるいは荷主に損害が生じたという場合の取り扱いでございますが、これに関しましては、この条約に一つの基準が設けられておるわけでございます。そうしてこの条約は、第五条にありますように、「沿岸国が第一条の規定に基づいてとる措置は、実際に被った損害又は被るおそれがある損害と権衡を失しないものでなければならない」――大体バランスのとれたものでなければならないという原則がございまして、それについてこの場合の考慮すべき点がいろいろ書いてございまして、さらにその第六条で、「締約国は、この条約の規定に反する措置をとり、他の者に損害を与えた場合には、その損害のうち第一条の目的を達成するため合理的に必要とされる限度をこえた措置によって生じた部分につき補償しなければならない」。まあ、やはりこの条約に書いておりますことは、最後の手段ではあるが、かなりの非常手段でございますから、まあ、例外的な手段でございますから、それについて「合理的に必要とされる限度」を越えました場合は、やはり荷主なり船主なりは補償を要求する権利があり、また、そういう行為を行なった沿岸国は補償しなければならない、こういうことになっておるわけでございます。しかしながら、どこまでが合理的であるかどうか、その辺はなかなかむずかしい問題で、実際まあ紛争は起こる可能性もございます。その点はこの条約でそういう紛争解決手続もあわせ規定しておるわけでございます。したがいまして、この条約が発効いたしますれば、そういう問題についても一つのここで基準ができるものと存じます。
#55
○加藤シヅエ君 もう一点、少し別のことでございますけれども、海上に油が流れたような場合に、もう一つ非常に被害を受けますのはその辺に住んでいる野鳥の問題でございます。いま野鳥の保護の国際協定というものが、日本の場合も、北米とかあるいは将来ソ連とかと結ばれるというような動きもあるやに承っておりますので、英国などではそういう問題はかなり進んでおりまして、先般の英仏海峡の事故のときなども、やはり野鳥が、とまることもどうすることもできなくて一番先に死んでしまうわけでございます。そういうようなものに対しても相当一生懸命保護を加えたというようなところまで進んでいたように聞いているんでございますが、日本もやがては野鳥の保護の協定もできるというようなことだと思いますので、そういうような場合には日本としてはどういうふうに考えてらっしゃるか。その条約には何にも関係がないかのどうか。その辺もちょっと伺いたいと思います。
#56
○政府委員(山崎敏夫君) まあ、この条約は、第二条の第四項をごらんいただきますとわかりますように、「関係利益」という問題があるわけでございますが、つまり、これは第一条で「自国の沿岸又は関係利益に対する重大なかつ急迫した危険を防止」し、その他のために「必要な措置を公海上でとることができる」という中に、「「関係利益」とは」ということで、漁業活動その他と関連いたしまして、第二条第4項(C)におきまして、「沿岸の住民の健康及び関係地域の福祉」ということで、「(水産生物資源及び野生動植物の保存を含む。)」となっておりまして、そういう野鳥その他に関しましての保存という見地からもある程度の措置がとれるというふうになっております。したがいまして、それは「関係利益」の中に含まれて、野鳥保護その他のことを含めて自分たちの利益を判断して、沿岸国としては必要な措置をとれることになっております。
 それから第二のお尋ねの、二国間の野鳥保護の協定の問題でございますが、これに関しましては、アメリカからも、日米間でお互いにそういう渡り鳥の保護その他絶滅に瀕しておる鳥類の保護に関してはひとつ協定をつくろうではないかという話がございます。そして現在アメリカとの間でも話し合いを行なっておる段階でございます。ただ、これは国内法の整備も若干必要と聞いておりますので、農林省――主管は林野庁だと承知いたしておりますが――ともいろいろ御相談申し上げておりまして、できるだけ早くそういう条約はつくるように持っていきたいと考えておる次第でございます。
#57
○西村関一君 次の海水油濁公法の条約についてでありますが、それの関連質問の中で条約についての質疑が出ておりますが、一括してその条約について質問いたしますから簡潔にお願いいたします。
 この条約の第一条で、海難の結果として海洋汚染沿岸国が危険から免れるために「必要な措置を公海上でとることができる」とされている「必要な措置」というのはどういうことであるか。先ほどの山崎参事官のお話では、羽生委員の質問に対して、海難事件が起こったときにつきましてはあまり適切な措置がとれなかったということでございますが、わが国といたしましては、わが国の近海においてこういう事故が起こった場合にどういう「必要な措置」がとれるのでございましょうか。
 第二点は、この条約を採択いたしました政府間の海事協議機関の国際法律家会議ではどのようなことが問題になるか。
 第三点は、海難の場合の油濁に対する緊急措置として、この海水油濁公法条約を見ますると、防止措置のために事前に協議することができるということでございますが、緊急措置、緊急性を要する問題でございますが、利害関係者及び専門家によりますところの事前協議、慎重な協議をするということでございますが、緊急性を要する措置と事前協議と何か矛盾するようにも考えられるのでありますが、この点はどういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#58
○政府委員(山崎敏夫君) まず第一点のお尋ねでございますが、「必要な措置」というのはどういうことかということでございます。この条約以前の問題として、もちろん船の回りにオイル・フェンスを設けるとかいうこともございますが、船そのものに対して「必要な措置」となりますと、一般論として申し上げれば、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、まず、その船を沿岸に影響を及ぼさないように沖合に引き出すということがあるのだろうと思います。それからさらに、その油をほかの船に積みかえるということが次に出てくるであろう。それからさらに、すでに出た油は何とかして燃やすという問題。それからさらに、船の中に残っております油につきましてもこれを燃やすという問題が出てまいります。いままでの経験、トリー・キャニオン号の経験あるいは今回の経験から申しますと、油を燃やすということは案外むずかしいのでございまして、甲板をこわして火をつけてもなかなか完全には燃えないもののようであります。しかし、できればそれを燃やすということでございます。それから最後の手段としては、まあ一部を破壊してでもするとか、あるいは最後にほんとうに爆撃して沈めるということでございます。これは全くの非常手段でございます。さらに具体的なことでございましたら、あるいは海上保安庁から御説明願ったほうがいいかと存じます。
 それから次に、御質問の点を引き続きお答え申し上げますと、六九年の会議はどんなことが問題になったかということでございますが、この点につきましては、この条約が一つの成果でございますが、そういうふうな急迫した危険が生じた場合の沿岸国がどんな措置がとれるかという問題でございます。
 それから第二の点は、先ほどちょっと答えましたように、油濁損害を与えた場合にだれがどの程度まで損害賠償の責任を負うかということでございますが、そこで結局その成果といたしましては、公法条約とさらにいわゆる私法条約と称しますが、「油濁損害に対する民事責任に関する条約」がそれぞれ作成された次第でございます。この公法条約をつくります場合に問題になりましたのは、やはり油だけでいいのかという問題があったわけでございますが、ほかの問題になってまいりますと、いろいろと複雑な問題が生じてまいりますので、とりあえず一つということで油に限定されたというふうな問題がございます。その他、まあ、公海上の問題だけでいいのか、領海の問題はどうなるのかということもあったのでございますが、領海の問題はやはり各国の国内法にゆだねるべきであろうということで、一応、これは国際法上特に問題となる公海上の問題に限定した次第でございます。
 さらに、紛争処理の場合に、一体強制的なこういう仲裁制度をつくるのがいいのかどうかということも問題になった次第でございます。これは強制的な仲裁制度が採用された次第でございます。
 それから第三番目のお尋ねの、事前協議をするようだが、この条約の趣旨と合致するのかということでございますが、もちろん、やはり公海上においてよその人の船について何らかの措置をとるわけでございますから、やはり慎重を期さなければならないということで、この第三条に書いてありますような手続が規定されておるわけであります。ですから、最初は、その「措置をとる前に、海難によって影響を受ける他の国、特に旗国と協議する」というふうなこと、それから関係者にも知らせ、あるいは専門家の意見も聴するということでございますが、ただ最後に(d)項につきましては、「沿岸国は、直ちに措置をとる必要がある極度に緊急の場合には、事前の通告若しくは協議を行なうことなく又はすでに開始した協議を継続することなく、事態の緊急性によって必要とされる措置をとることができる」となっておりまして、もちろん、協議をするにしても、非常に緊急の場合にはそれを打ち切るとしても、措置がとれるということでございます。したがいまして、いざという場合のときには、この(d)項を援用して緊急措置がとれるものと存じます。
#59
○西村関一君 もう一点だけですが、この条約で設定されております「独立の専門家」というのはどういう人たちを考えるんでございましょうか。海難に対する対策といたしましては専門知識は非常に広範な範囲にわたると思われますが、どのような事項につきまして専門家なのでありますか。わが国といたしましては、専門家をどの方面から何名ぐらい指名をする予定なんでございますか。その点も伺っておきたいと思います。
#60
○政府委員(山崎敏夫君) 御指摘のとおり、この「専門家」というのは非常にむずかしい問題だと思います。まあ、そこで具体的に申し上げますれば、結局、油濁防止の技術面の専門家、それからさらには、損害が生じた場合のいろいろなあとのトラブルが予想されますので、油濁損害額の算定の専門家というふうな人も考えられると思います。さらに、法律論が生ずる問題がありますから、こういう関係の国際法の専門家も考えられると思います。わが国がどういう人をどのくらい出すかという問題は、まだ関係省庁の間で協議中でございまして、条約の発効とにらみ合わせながらきめてまいりたいと存じます。
#61
○西村関一君 次に、国際原子力機関憲章改正条約第六条の改正について質問いたします。第一回の改正のときは国会の承認案件となっていなかったと思うのでございます。わが国が受諾しないままに改正そのものが他国の受諾によって効力を生じた。わが国がこれに縛られることになったのですが、このような同趣旨の案件であるにもかかわらず、一方においては国会の承認案件とし、他方においてはそうしない、その理由はどこにございますか。
#62
○政府委員(山崎敏夫君) 今回の改正につきましては、説明書その他でも申し上げましたとおり、わが国がIAEAの理事会におきまして、従来の「地域先進国」から「最先進国」になるということでございまして、IAEAの理事国としてのわが国の地位の安定が増す問題でございます。その点につきましては、わが国にとりましてもたいへん重要な改正でございますので、政府としてこれを積極的に受諾するという考えで国会の御承認を求めておる次第でございます。
 ところが、御指摘もありましたように、一九六三年に理事会の構成について若干の改正が行なわれたわけでございます。これの内容は、実は中南米地域と中近東及びアフリカ地域からの理事国の増加に関するものでございまして、わが国としてはもちろんこれに特に反対ではなかったのでありますが、わが国にとりましてさほど重要性のないものでもございましたので、政府としては積極的に受諾するということは行なわずに見守っておったわけでございます。したがって、国会の御承認も求めなかった次第でございます。ところが、この改正がその後加盟国の三分の二の受諾を得まして、わが国についても、この国際原子力機関憲章の関係規定によりましてこの改正が発効いたしましたので、この事実は外務省の告示をもって官報に掲載して国民一般には知らせてございます。このようなことが起こりますのは、結局、国際原子力機関憲章の規定によるものでありまして、国際原子力機関憲章の改正は、機関の総会において、「出席しかつ投票する加盟国の三分の二の多数決により」採択された改正案が全加盟国の三分の二により受諾された場合に「すべての加盟国につき効力を生ずる」ということになっているからであります。したがいまして、こういうふうな規定になっております関係上、改正案を積極的に受諾しなかった加盟国の場合も、その意思とは関係なしに、改正が発効すればこれに拘束されるという一つのメカニズムになっているのでありまして、そのメカニズム自体は、憲章自体を御承認いただくときにお認めいただいたものとわれわれとしては了解しておる次第でございます。しからばなぜそういうメカニズムがあるのかということでございますが、これは結局、国際社会が複雑化しまして、そういう国際機関に加入する国の数も非常にふえ、また組織化も進んできたということでございまして、こういうふうな条約の中で理事国の数をふやすというふうな、機構関係の規定についての技術的な改正が非常に最近はふえております。そういうことで、そういう問題については若干簡便な規定を設けなければ改正がスムーズにいかないということから設けられたものと存じます。卑近な例でございますが、たとえば、理事国の数を十五から二十にふやすというふうな改正があった場合に、これを認めない国については改正は発効しないということになりますと、改正を受諾した国は二十と思い、改正を受諾しない国は十五と思っているのでは、理事会の運用も非常に困難となるわけでございます。そういう実際的な必要に迫られてこの種の改正規定が設けられておるのであると了解する次第でございます。
#63
○西村関一君 わが国の原子炉につきましては、すでに早くからIAEAの保障措置制度のもとに置かれている。さきに行なわれました敦賀の原子力発電所に対するIAEAの査察はきわめてきびしいものであったというふうに伝えられておりますが、そのようなきびしいといわれる査察でありましても、現行のIAEAの保障措置制度のもとではやむを得ないものというふうに理解してよろしいでしょうか。査察の実態を、この際、明らかにしていただきたいのでありますけれども、また、わが国自体としてどのような査察を行なっておられるか、これも簡潔にひとつ外務省並びに科学技術庁からお答え願いたい。
#64
○国務大臣(愛知揆一君) それでは私からきわめて簡単にまず申し上げて、あと政府委員からお答えすることにしたいと思います。
 IAEAの査察の問題は、これはもうNPTの問題と直接に関係のある問題であるから政府としても非常に重大な関心を持っておるわけでございます。そして、IAEAにおける査察の合理的な簡素化ということについては、政府が一体になりまして日本としての主張をできるだけ通すように努力をしてまいりまして、大体のところは日本側の主張が通ったということは言えるのではないかと思います。すなわち、できるだけ合理的で、できるだけ簡素化される形で、今後平和利用の査察については大体ユーラトム並みということが確保できつつあるのではないかと考えますが、ところで、いま御指摘のように、これまで行なわれておりましたIAEAの査察に対しては日本はきわめて協力的でありましただけに、非常に厳格で行き届き過ぎた査察を受けておりました。それだけに企業側としてもたいへん迷惑な話で、これは日本の原子力産業界からも政府に対しましても詳細な要請があり、これはきわめてごもっともだと考えているわけでありますから、IAEAのいよいよ保障措置が国際的にまとまり、日本もこれに正式に参加するということになります場合には、査察を受けるほうの立場からいっても、ほんとうにこれならば協力ができるという保障を得て参加すべきものであると、私は政治的、原則的にはさように考えておりますが、なお、詳細かつ技術的な問題でございますから、原子力局のほうから御説明するほうが妥当だと思います。
#65
○西村関一君 この条約によりますと、非核兵器国に対しまして査察のための協定を締結するということでございますが、この条約発効後百八十日以内に開始しなければならないことになっているのですが、との進捗状況はどうなっておりまますか。
#66
○政府委員(西堀正弘君) 先生ただいま御指摘のように、本条約によりまして、第三条におきまして百八十日以内にこの保障措置協定の締結交渉をIAEAとの間に開始しなきゃならないことになっております。この条約は昨年の三月五日に発効いたしました。したがいまして、この条約の締約国になった国々につきましては、三月五日から百八十日目、すなわち昨年の八月三十一日までにIAEAとの間で締結交渉を行なわなければならないということになっております。これはすでにもう六十カ国ほど締約国になっておりますので、これらの国々は昨年の八月三十一日までに一応締結交渉を開始したたてまえになっております。しかしながら、実際問題といたしましては、この保障措置というものは非常に重要なものでございますので、御承知のように、保障措置委員会というものが設けられまして、そこで保障措置協定のモデル、これを作成いたしていく。そのモデルの作成、これがこの保障措置委員会において行なわれております。これが、大臣が申されましたように、大体まとまったということでございまして、この保障措置委員会でまとまった案が、おそらく四月かもしくは六月のIAEA理事会において確定いたしましたならば、それらのモデルに従いまして、百八十日以内に開始したことになっております締約国につきましては、これはおそらくあまり長い時間を要さずに締結されることになると思います。その「発効しなければならない」という規定は、開始いたしましてから一年半となっております。それは、八月三十一日に開始とかりにいたしましたならば、一年半でございますから十八カ月、来年の二月二十九日、これまでに発効しなければならないということになっております。それで、まだ締約国になっておりません日本、それからユーラトム、こういった重要な国々につきましては、それらの国々が批准する前にこの保障措置協定の締結交渉を開始しなければならないということになっております。したがいまして、あるいは日本とかユーラトムのように、この保障措置協定の内容を非常に重視しておるという観点から、批准に際しましてはその保障措置協定の内容を考慮するということをたてまえにしている国々におきましては、実際問題といたしましては、批准をする前に大体の保障措置協定の実質的内容というものについては、確信を得ると申しますか、大体その内容について満足のいくという確信が持てて初めて批准行為を進めるということになろうかと存じます。したがいまして、日本について申しますならば、来年のおそらく二月、ほかの国々について発効することになりますから、それとの見合いでもって、それになるべくおくれないようにという考慮がかりにあるといたしましたならば、早ければ、そういった時間、しかしながら、これはまだ締約国になっておりませんので何らの拘束はされません。これ以外の署名時に発表いたしましたところのいろいろな考慮、すなわち、安全保障上の考慮もございますし、それから、核兵器国が誠実に核軍縮の交渉を行なっておるかどうかといったような点を勘案いたしまして決定されるわけでございますけれども、非常に早くても来年の二月以前ということはまあ考えられないんじゃないかと、このように考えております。
#67
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、三件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより三案件について一括討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の改正の受諾について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#69
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、油による汚染を伴う事故の場合における公海上の措置に関する国際条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#70
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、国際原子力機関憲章第六条の改正の受諾について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#71
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、三案件についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#73
○委員長(松平勇雄君) 速記をつけてください。
    ―――――――――――――
#74
○委員長(松平勇雄君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#75
○森元治郎君 十三分間質問をやります。(笑声)これはわれわれがうまい質問を十三分向きに羅列します。特に論議の交換のないやつを伺います。
 沖繩返還交渉が新聞にしばしば出ていますが、全貌がわからないので、その進捗状況。
 それから、新聞では、国会が終わってあと調印をするのじゃないか、国会中だといろいろまた国会で報告しろ云々があるので、というような話。調印の日取りがどんなふうになっているのか。
 それから、これは条約という形式になるのでしょう。「返還」などという字が入る協定になるのか。奄美大島等に関する協定、あんなふうに簡単なものになるのか。それから、これに伴う交換公文とか議定書とか、あるいは別の協定、ことに奄美大島の協定なんかの場合を見ると、これはお返しするが、何といっても軍事的な重要な位置にあるので、極東の平和と安全にも必要だから、アメリカとしては引き続きここで軍事の力を強化するような措置をとりたいのだというようなことを申し出てきて、ノートの交換がありましたね。ああいうようないろいろな取りきめの項目、どんなものが一体あるのか私は全然わからない。それから、これに伴う国内の案件、ことに国会にはかる案件の数ですね。五百と言い、六百と言い、わからない。政令にゆだねるものもあるだろうし、たいへんなことだと思うのです。国会にかけるもの、それから条約、協定など交換公文とか、かけるもの、あるいはかけないもの、そんなようなことをとりあえず一括して教えてもらいたいと思うのです。
#76
○国務大臣(愛知揆一君) お答え申し上げます。
 返還交渉はまず順調に進んでいるということが言えると思いますけれども、やはりいわば胸突き八丁になってまいりますと、それぞれのやはり希望、主張が相当対立しておる点もございますから、なかなか困難を感じておる点も実はございます。まあ、率直に申しますと、私自身といたしましても、予算審議が国会で終わりましたならば多少時間的余裕もできますので、いよいよ最後の本腰を入れた折衝に当たりたいと思っております。
 それから調印の時期は、かなり正確に報道されていると思いますけれども、実は米国側がすでに方針をきめまして、小笠原、奄美等と違ってやはり重大な問題であります。「違って」と申しますか、「に比較して」大きな問題であるので、上院の正式の手続を経た審議をやることに政府としても国会にお願いをいたしましたという連絡がございました。そうなりますと、アメリカ政府としてはなるべく早く上院に送りつけたい。もう早いほどよろしい。というのは、アメリカの上院では独自の立場で審議の日程をつくるし、従来の慣行から申しまして、これが何番目の日程に上がるかということも政府としては全然これは介入の余地のない問題である。したがって、アメリカ政府の立場としては、ここまで来た以上は、もうほんとうに数日を争ってでも早く上院に回したい、こういう気持ちを国務省その他政府筋は持っているように見受けられます。こちらは返還してもらうほうでございますから、もちろんこちらも早ければ早いほどよろしいわけでございますが、同時に、いま申しましたように、相当の点においてまだ意見がかなり隔たっておりますから、急ぐことももちろん必要でございますが、内容で十分日本の主張を通すことも必要なことでございますから、まだ調印の日取りはそういう意味できめてもおりませんし、双方ともなるべくすみやかにというだけのことでございます。見込みはちょっと申し上げられませんけれども、まあ、やはりいま段階では、おそくとも暑くなる前というところに依然として目標を置いている次第でございます。
 それから、条約の形式でございますが、これはアメリカのほうの立場からいえば、名前にはとらわれない。これが「協定」と訳さるべきものでありましても、もう上院に正式の手続がかかるということがきまっておりますから、これは今後の日米間の政府間の話し合いで名称はきまると考えております。まだ「条約」という名称になるか、あるいは「返還」という字が入るか入らぬか、こういうふうな文言についてはまだきまっておりません。
 それから、交換公文、議定書というようなものがあるかどうか。これは私の気持ちといたしましては、もう条約なり協定なり、できるだけ一本の形でまいりたいと思います。これは私の希望でございますが、ただ条約にする、そして双方とも国会の御承認を得るというものにしては多少行政的過ぎるというようなものもあり得るかもしれませんが、これはいまのところ私はできるだけそういう形は避けたほうがよろしいと考えております。
 それからその次は国内的案件の問題でございますが、これは実は本日も朝、沖繩問題閣僚協議会を開催いたしまして、第二次沖繩の復帰に伴う諸措置を決定をいたしました。また今後の運び方の相談をいたしました。やはり当然立法事項は国会の御審議を願うことになっております。その国会の御審議を願える段階において、条約等一本でいわゆる批准国会をお願いしたいと思っております。通常の法律の件数の勘定のしかたからいうと、まあ、総理府沖繩対策庁の事務的見解では、数百件にのぼるようでございますけれども、これはまとめてまとめ得ないことはないのではないだろうかと思っております。御審議の便宜をはかって、しかも実態にそぐわないことがないようにいたしたいと思っております。それから政令に譲るものがあるかどうか。これは私もあり得ると思いますけれども、しかし、立法事項は当然国会の御審議を十分に経るものである。そういう基本的姿勢で臨むべきものであると、かように考えております。
#77
○森元治郎君 よく平和条約の三条、これを議会に、削除とか改定とか、外務省のほうではその必要もないとか、いろいろ出ておりますが、これは法律的に見て、平和条約、ことに平和条約の中の条項を削除改定といったような前例もないだろうと思いますがね、ただ、その平和条約の場合には、戦争の終了とか領土とか捕虜の交換とか、いろいろありますよね。で、拘束するようなものも将来に残るわけですよ。たとえばベルサイユ講和条約の場合なんかは、ドイツの軍縮の義務を課しているような場合、この場合はそのアメリカが信託統治をやる措置をとるまではこの特例をおくのだという、あとを拘束するような形式がありますから、これはただ何もしないでもいいんだではちょっと措置が足りないのじゃないか。たとえば奄美大島返還の場合でも、アメリカ合衆国は、自分の権利、利益を捨てて奄美大島をおまえのほうに渡す。日本はそれを受け入れて責任と権能――オーソリテーを持つんだというような文章がありますよね。あのような形であとへ拘束するような感じが平和条約の中に残っているよりは、何らかの形でこれを拘束を断ち切るというような措置があってもいいんじゃないかと思うが、どんなものですかな。
#78
○国務大臣(愛知揆一君) それもごもっともな御意見でございますけれども、私の考えとしては、すでに奄美、小笠原の返還のときもあのようなフォーミュラで実行いたしましたので、その点については沖繩の場合も同じフォーミュラで適当であろうと考えておるわけでございます。すなわち、平和条約としてはその当該のくだりが死文になる、空文になる、こういう解釈で、これは日米両方とも条約関係等の専門家もそういう点では合意をいたしておりますので、そういうフォーミュラで考えてよろしいのじゃないかと思っておまりす。
 なお、これはまあ速記に残してお話するまでのこともないかとも思いますけれども、先般、アメリカの政府から上院へ先ほど申しましたように手続をいたしました際に、受け取ったほうの上院の委員長の秘書の人か何かが、これはそういう解釈やいままでのあれを知らないで、平和条約の何か改定が行なわれるのだというような誤解をした談話が新聞にキャリーされたようでございますけれども、これは全然その衝にない人の、また事態を、よく経過も知らない人の何か発言だったそうでございますので、その点、誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
#79
○森元治郎君 義務はないでしょうが、締約国にこんなふうにしたということは一応一方的に通告でもするものなんでしょうか。
#80
○国務大臣(愛知揆一君) その点は条約の解釈と関連いたしますので、ただいまのところ、そこを考えておりませんですけれども、なお最後的に締めくくりを両国間でつけます場合、十分その辺のところも注意して扱いたいと思っております。
#81
○森元治郎君 そうですね、やはりそうだろうと思うのです。
 時間もないから、きょうはやめます。
#82
○委員長(松平勇雄君) 本件に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#83
○委員長(松平勇雄君) 次に、航空機の不法な奪取の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件を議額といたします。
 本件につきましては、去る十八日趣旨説明及び補足説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#84
○西村関一君 先日の御説明によりますと、現在まで五十七カ国がこの条約に加盟しておるのでありますが、すでに批准した国もあるのでございましょうか、また、近く批准する見通しがあるのはどのような国でございましょうか、御説明を願いたいと思います。
 また、この条約は十カ国が批准をすれば発効することになっておりますが、発効の見通しはいかがでございましょうか。
#85
○政府委員(山崎敏夫君) この条約を批准をした国については、まだ聞いておりません。わが国と同様に今年中に条約を批准することを目標に手続を進めております国には、英国、カナダ、スイス、米国、デンマーク、ベルギー、オランダ、ドイツ、スウェーデン、ギリシャ、ブラジル、イスラエル、ハンガリー、イラン、チェッコスロバキア等がございまして、ソ連やポーランドも早期批准の意向を有しているというふうに承知しております。
 御指摘のように、この条約はへーグ会議に参加いたしました十カ国の署名国の批准書の寄託の三十日の後に効力を生ずることとなっておりますので、このような情勢から見まして、この条約は今年中にも発効するものと予想されております。
#86
○西村関一君 署名をいたしました五十七カ国の内訳を見ますると、ハイジャックが頻発しておりますキューバは署名しておりません。アラブ諸国もこの条約を採択いたしましたへーグ会議に出席をし採択に賛成したということでありますが、やはり署名をしておりません。また、先日も参事官の説明によりますと、ハイジャックは体制の異なる国の間で行なわれることが多いので、いわゆる分烈国家も加入できるようにオールステーツ方式にしたとのことでございますが、署名をいたしましたのはドイツ民主共和国だけでございまして、中華人民共和国も朝鮮民主主義人民共和国も加盟する見通しはまずないというふうに伺います。また、いま紛争いたしております両ベトナムもそのように考えられます。こういうふうに考えてまいりますと、せっかくこの条約でハイジャックに対して厳罰主義で臨むということをきめておりましても、実際問題といたしましてこの条約がハイジャックの防止にどれだけ効果を発揮することができるのでありましょうか。その点、若干疑問を抱かざるを得ないのでございます。この点につきまして御見解を承っておきたいと思います。
#87
○政府委員(山崎敏夫君) まず、キューバとかアラブ諸国の問題でございますが、仰せのとおり、キューバはへーグ会議に欠席いたしておりまして、この条約に加入するかどうかは予測できない次第でございます。
  〔委員長退席、理事石原慎太郎君着席〕
しかしながら、キューバは自国にはやはりハイジャック防止法というものを持っておるようでありまして、ハイジャックの防止そのものについてはかなり関心を有しておるものとわれわれは思っておりますので、将来はキューバもこの条約に入る可能性は排除し得ないのではないかと思っております。
 それから、アラブ諸国に関しましては、アラブ連合、クウェート、レバノン、リビア、チュニジア、アルジェリアはこの会議に参加したのでありまして、アルジェリアを除きましたこれらの諸国は条約の採択には賛成しておりまして、署名は仰せのとおりいたしておりませんけれども、会議には関心を持っておったということは事実でございます。したがいまして、こういう国はもう将来としては加入する可能性は十分あるのではないかとわれわれは考えております。
 アラブがこの問題に関して非常に慎重であるのは御承知のとおりでございまして、中近東のあの紛争に関連して、アラブ・ゲリラの問題があるからでございます。しかし、このアラブ・ゲリラの問題も、これらの政府としては内心迷惑な面もあるようでございまして、したがいまして、アラブ、イスラエル紛争の成り行きが好転すれば、こういうアラブ諸国の態度もだいぶ変わってくるのではないかとわれわれとしては期待しておるわけでございます。
 それから、分裂国家のためにせっかくオールステーツ方式をつくったけれども、入らないようではないかというお話でございますが、この点はわれわれとしても非常に残念に思っております。わが国といたしましても、従来の国連でつくります条約の一つの例外として、軍縮以外の条約では初めての例として、この条約についてはオールステーツ方式をとることにむしろ積極的に働いたわけでございまして、われわれも過去の「よど」号の事件その他の経験に照らして、ことにアジアにあります分裂国家が入り得るように十分な配慮をしたつもりでございますが、それにもかかわらず、これらの諸国からまだ何らのインディケーションがないことは非常に残念に思います。しかし、われわれがそういうことでやっておることはこれらの諸国も承知しておりますし、各国がどんどんこれに入ってくれるなれば、そういうアジアにあります分裂国家もかなり関心を示してくるのではないかと思います。その意味で、われわれとしても率先してこれには加入したいと考えておる次第であります。
 それから、そういうわけで、あまりこの条約は、せっかくつくっても効果がないのではないかというお話でございますけれども、私たちとしては必ずしもそうは考えておりません。ハイジャックはもちろん体制の異る国の間で起こることが多いことは事実でございますけれども、同じ西欧諸国の西の国の間におきましても起こっておるのでありまして、たとえばアメリカの脱走兵が飛行機をハイジャックしてイタリアのローマのほうに逃げたというようなこともあるわけでございまして、やはり世の中には頭の変な人もいて、そういうふうなことをやる人もたくさんいるわけでございますから、必ずしも主義主張だけではなく、やはりそういう人間もおるのでございますからして、
  〔理事石原慎太郎君退席、委員長着席〕
そういう人たちの処罰には十分役立ちますし、また、そういう人たちがそういうことをやれば厳罰に処せられるということをこの条約をもって示すことは十分効果があることと考えておる次第でございます。
#88
○西村関一君 別に効果がないとは申しません。これは非常に大きな効果があると思いますが、やはりオールステーツ方式をとってやろうということ、これは体制の異る国であっても入れる、入るように、むしろ歓迎するというふうに門戸を開いているわけでございますから、そういうことに対して、この条約に署名をしまた国会に批准を求めておられるそういう立場において、何とかしてこれはもうアジアにあるところのいわゆる分裂国家もこれに参加できるような努力を政府としてはしていただきたいと思うのでございますが、この点、参事官のおっしゃったとおりでけっこうだと思います。
 次に、昨年二月、イスラエル人などを乗せましたところのスイス航空機がアラブ・ゲリラと思われるところの手によって飛行中に爆破された。これがきっかけになりまして、ICAO――国際民間航空機関の臨時総会が開かれまして、このハイジャック防止条約の採択が急がれれることとなったと聞いております。しかし、この条約の第一条によりますと、「航空機を不法に奪取し又は管理する行為」を対象としておりまして、空中爆破、地上爆破などは含まれていないのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。このため別の条約を検討中ということであるならば、そういうこともまたあわせて説明を願いたいと思います。この新たな条約に対するわが国の態度はいかがでございますか。あわせて伺っておきたいと思います。
#89
○政府委員(山崎敏夫君) 先生仰せのとおり、この条約はいわゆるハイジャックの防止だけを目的としておりまして、航空機の地上爆破というふうな事態は対象としておりません。その点でまだ範囲が狭い点がございます。そこで、このハイジャック以外の民間航空機に対するあらゆる不法な妨害事件というものを防止することを目的として別の条約をつくるという話がICAOを中心にして進められております。そこで、昨年の九月のロンドンで開かれました法律委員会で条約案の起草が行なわれまして、この条約を採択するための外交会議がことしの九月にモントリオールで開かれることとなっております。
 この法律委員会で作成されました条約案の骨子としましては、飛行中の航空機内の人命に対して武力攻撃を行なうこと。航空機を破壊すること。それから、航空機を損壊することによりその飛行の安全を危うくすること。さらに、飛行機のみならず、航空関係施設を損壊したり航空通信を妨害することによって飛行中の航空機の安全を危うくすること。航空機を破壊したりその飛行の安全を危うくするおそれのある装置や物質を郵便物や航空貨物等を利用して航空機にしかけること。そういう、あらゆる予想し得る行為、不法妨害行為を犯罪と規定しておりまして、この条約と同様に、そういう犯罪に対しては重い刑罰を科することができるようにし、また、裁判管轄権についても広く設定しまして、またこの条約と同様に、犯人の引き渡しまたは処罰のために必要な措置をとるというようなことを規定することになっております。これによってこのハイジャック条約と合わせてあらゆる航空機にに対する不法妨害行為を抑止するために国際的な協力が進められておる次第でございます。
#90
○西村関一君 警察庁の方はおられますね。昨年の「よど」号の事件以来、警察庁当局といたしましてはハイジャック事件を予防するために万全の警備体制をとっておられると思うのでございますが、その場合にどのような警備体制をとっておられますか説明を願いたいと思います。また、不幸にして事件が発生いたしました場合には、まず人命の安全が先だと思われますが、人命安全につきましてどのような対策を考えておられますか、お示しを願いたいと思います。
#91
○説明員(丸谷定弘君) いわゆる「よど」号事件が発生いたしました後、警察庁では、空港を管轄しております都道府県警察に警戒措置の強化を指示いたしまして、関係都道府県警察では、民間航空機の離着陸する空港、これは全国で五十九ございますが、そこに警察官を毎日約三百五十人配置いたしまして警戒、警備に当たっているほか、それぞれの空港ごとに、警察、航空局、航空会社などから成ります空港保安委員会を設置いたしまして、関係機関、担当部門と緊密な連絡のもとに警戒を実施中でございます。もし、不幸にいたしましてハイジャック事件が発生いたしました際は、人質となっている乗客及び乗務員の人命の安全を第一といたしまして、空港当局、航空会社、機長など、関係機関との連絡を密にしまして、機内の情況の把握につとめ、関係者の判断も尊重しつつ、航空機の着陸、犯人の説得など、ケース・バイ・ケースによって人質の安全な救出策を講じ、あわせて犯人検挙に当たる方針でございます。このためそれぞれの空港に、先ほど申し上げました空港保安委員会が設置されておりますので、この委員会を中心といたしまして、想定されるいろいろな事案について対策を研究いたしておりますし、また訓練なども実施しまして、不時に備えております。
#92
○西村関一君 いまの私の質問に対して運輸省としてはどういうふうに措置をしておられますか。
#93
○説明員(范光遠君) ただいま警察庁のほうから答えられました事項につきましては、かねて関係省庁間で協議の上進めておることでございますので、全く同様に感じております。
#94
○西村関一君 昨年の「よど」号事件を契機といたしまして、わが国では航空機の強取等の処罰に関する法律が制定されました。ハイジャック犯人の国籍、犯行の場所、航空機の登録国のいかんを問わず、厳罰をもって臨むことができるという法制が確立されたわけでございます。また、この法律制定によって、今回のハイジャック防止条約を実施するために必要な法制はすでに整っていることであろうと考えられますが、そこでこの法律を起草いたしました法務省当局といたしましては、ハイジャック防止条約を作成する国際会議に出席をせられました際に、わが国の立場から種々意見を述べられたと思われますが、どのような見解を述べられましたか、お伺いをいたします。
#95
○説明員(吉田淳一君) 御指摘がございましたように、ハイジャックを厳重に処罰する法律につきましては、過般国会で御審議をいただきまして、わが国ですでに制定されておるところでございます。わが国のハイジャック防止に関する法律は、その内容がまず世界主義をとっている、そして、これらのハイジャックの犯罪につきまして、かなり厳罰主義をとっておる、そういう点が特徴でございます。で、今回の条約につきましては、そのような観点から各国においても、すでに法律委員会で起草されたときに、条約で、ほぼわが国で制定されました法律と同趣旨の方向の条約が制定されておりましたので、さらに、たとえばハイジャックの手段等につきまして、条約では、草案として法律委員会で議論されておりましたときには、やや広い面とやや狭い面とがいろいろ犯行の手段等にもございまして、そういう点につきまして外務省当局とも種々協議いたしまして、私ども法務省の係官も出席いたしましたが、そういう犯行の手段等につきましても、わが国の立場から外務省と協力して種々積極的な発言をしたと思っております。
#96
○西村関一君 本条約の質疑は本日はこの程度にいたして、次回まで保留したいと思います。
#97
○梶原茂嘉君 ちょっと関連。
 最近新聞、雑誌等で、「よど」号で北鮮に行った人ですね、これがもうすでに朝鮮を出てどこへ行ったとかあっちへ行ったとかということがしきりにうわさされておりますのですけれども、警察方面なり外務省方面なり、何か情報が入っておるでしょうか。それだけ伺いたいと思います。
#98
○説明員(丸谷定弘君) 昨年三月三十一日北鮮へ逃亡いたしました「よど」号事件関係の犯人九名につきましては、その後の動静は遺憾ながらつまびらかでございません。巷間種々の情報があるようでございますが、警察といたしましては、その真偽のほどについては確かめることが困難であるのが実情でございます。いずれにいたしましても、警察庁といたしましては、これら犯人らが日本に再入国することを予想して、空・海港、海岸線等の警戒を厳重にしておるところでございます。
#99
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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