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1970/03/25 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 法務委員会 第6号
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1970/03/25 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 法務委員会 第6号

#1
第065回国会 法務委員会 第6号
昭和四十六年三月二十五日(木曜日)
   午前十時二十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     小林武治君      渡辺一太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         阿部 憲一君
    理 事
                後藤 義隆君
                鈴木 省吾君
                亀田 得治君
                中尾 辰義君
    委 員
                上田  稔君
                江藤  智君
                木島 義夫君
               久次米健太郎君
                渡辺一太郎君
                松澤 兼人君
                山高しげり君
   国務大臣
       法 務 大 臣  植木庚子郎君
   政府委員
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  貞家 克巳君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局事務総長   吉田  豊君
       最高裁判所事務
       総局民事局長   瀬戸 正二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○民事訴訟費用等に関する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○刑事訴訟費用等に関する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
○民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用
 等に関する法律施行法案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(阿部憲一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○亀田得治君 若干、執行官に関する現況について関連してお聞きしたいと思いますが、現在、執行官が年間扱っておる事件、どれくらいに達しておるのか。特に東京、大阪などと地方と非常なアンバランスがあると思いますが、その辺の状況を概略わかるように御説明願いたいと思います。
#4
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) お答えいたします。
 昭和四十四年度の統計によりますと、全国で執行官の取り扱った事件の合計は九十五万九千九百八十二件ございまして、その内訳は、民事訴訟法上の執行行為、家屋の明け渡し、建物の収去等でございますが、これが十六万四千四十三件、仮差し押えが八千八百九十五件、仮処分事件が一万三千二十九件、競売法による競売、いわゆる任意競売と呼ばれているものでありますが、これが二万九千二十六件、破産法上の執行、財産の封印あるいは評価の立ち会い等でございますが、これが三百六十九件、告知催告が三千六百十六件、拒絶証書の作成が二百七十四件、執行行為の事後のことでございますが、執行記録その他の書類の閲覧、謄抄本の交付、これが五万四千九百二十一件、その他が二万六千百六十三件、そのほかに送達行為がございますが、これが民事につきまして四十一万三千百二十四件、刑事につきまして二十四万六千五百二十二件となっております。以上合計が九十五万九千九百八十二件ということに相なるわけでございます。東京、大阪等の大都市における数が多いのはこれは言うまでもございません。
#5
○亀田得治君 何%になっているのですか、東京、大阪合計で。概略でいい。
#6
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 東京の事例を申し上げますと、昭和四十四年度の新受件数が強制執行につきまして有体動産が一万一千六百八十三件、不動産に関するものが一万九千三十五件、競売法による競売、有体動産につきまして八十二件、不動産につきまして千五百七件、仮差し押え、仮処分等の保全処分が三千九百七十二件、その他が九千三百九十八件、送達が、刑事につきまして十五万一千八百五十三件、民事につきまして十万五千八百六十三件、東京は非常に多くなっているわけでございます。比較のために、たとえば水戸地裁の件数を申し上げますと、強制執行が有体動産について七百十三件……。
#7
○亀田得治君 ちょっと待ってください。それ一々言われると時間かかるのですが、大よそのパーセンテージでいいですが、さっきおっしゃったのを合計するとどういう程度になるのですか、東京の場合。
#8
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 一例を送達にとりますと、刑事の送達でいいますと、東京の事件が全国の半分、民事で申し上げますと三分の一程度に相なるかと存じます。
#9
○亀田得治君 大阪はどういう程度ですか。
#10
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 大阪の件数を申し上げますと、強制執行は、有体動産について八千八百八件、不動産につきまして七百十四件、競売法による競売が有体動産につきまして三十件、不動産につきまして四百九十六件、保全処分が二千八十八件、その他が三千五百九十四件、送達は民事につきまして三万二千五百五十七件と、こうなっております。そこで競売法による競売は、不動産の件数が大阪は四百九十六件、有体動産が三十件でございますから、合計五百二十六件になるかと思います。全国の件数は、競売法による競売は二万九千二十六件でございますので、そのパーセンテージは数%ごく大阪は少ないように思われます。
#11
○亀田得治君 この執行官の数はいま何名ですか。
#12
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 本年一月一日現在で全国総員三百五十七名でございます。
#13
○亀田得治君 そのうち東京は何名ですか。
#14
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 東京高裁管内八十九名でございまして、東京地裁管内二十六名でございます。
#15
○亀田得治君 大阪は何名ですか、大阪地裁管内。
#16
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 大阪地裁は十四名でございます。
#17
○亀田得治君 やはりそうしますと、扱う件数に対して一番バランスがとれていないのが東京だろうと思うのですが、一人当たりの扱う件数ということになりますと、非常な違いがあると思うのです。一番、一人当たり件数にして忙しいところは東京だと思いますが、それは一体どんな程度の数になるのか、件数。それから一番件数の少ない執行官はどこなのか。その二つだけすぐわかりますか。
#18
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 一番多い東京で、有体動産の例を申し上げますと、一人当たり年間五、六百件、一番少ないところで、たとえば松江地裁の西郷支部、これは年間数十件になるかと思います。
#19
○亀田得治君 それらを資料別にもらえますか、あとでいいですから。さっきからお尋ねしている資料も別に出してください。
#20
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) はい、提出いたします。
#21
○亀田得治君 したがって、執行官の収入といいますか、非常な上下の違いがあると思うのです。一番多いのは幾ら収入があるのですか。これはわりあいはっきりした収入でしょうね。手数料ということになるわけですけれども、税務署の届けでもいいし、最高は幾らになりますか。
#22
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 昭和四十四年度の実績で申し上げますと、最高額は盛岡本庁でございまして、七百三十一万一千円、最低額は松江の西郷支部の執行官でございまして、五万円ということになっております。
#23
○亀田得治君 盛岡ですか、最高。
#24
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 昭和四十四年度は盛岡でございます。
#25
○亀田得治君 それは四十四年度は何か特殊な大きな事件でもあって特別なことなんですか、普通は東京の執行官と違いますか。
#26
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 執行官の収入の一番大きいものは、やはり不動産の競売でございまして、昭和四十四年度におきましては盛岡において大きな山林の競売があったということを聞いております。その関係で盛岡が最高額になっていると存じます。
#27
○亀田得治君 四十四年以外はどうでしょうか、四十三年はどうでしょう、一番高いところ。
#28
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 四十三年度の最高額は和歌山地裁新宮支部でありまして八百四十万円、これも同年大きな山林の競売があった関係でございます。
#29
○亀田得治君 八百四十万とか七百三十一万と、これに対して少ないところは五万、こういうことで、同じ執行官でありながら非常な開きがあるわけですね。同じく裁判の執行なりそういうことに携わっておる人について、開きが大き過ぎるわけですね。少ないところについてはもちろん国が補助金を出しておるというかっこうになっておりますが、しかし補助金を出しておるにしても、その開き自体は非常に大きいわけでしょう。この五万円の人に対しては国は幾ら補助金を出したんですか。これは四十四年だけおっしゃってください。
#30
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 四十四年当時の基準額は手元にちょっと資料がございませんが、四十五年五月一日以降は最低基準が四十五万円でございますので、五万円の人は四十万円の国庫補助を受け取ったということに相なると存じます。
#31
○亀田得治君 それにしても十倍の開きがあるわけです。
 で、これは大臣にお尋ねするわけですがね。同じ執行官で、ある場所では非常に収入が少ない。したがって国からも補助金を受けておる。補助金がその人の収入のもう大部分ですね、少ないところでは。ところが一方では全然そういうものに頼らないで、しかもその十倍の収入を得ても身分は同じように執行官だと。この辺に何か非常に矛盾を感ずるわけですね。どこの公務員にしたって、仕事の少ないところと多いところで収入面が非常に違う、そんなことは考えられぬわけであって、ほとんどこれは公の仕事をやっているわけですね。もちろん個人の申し立て等が基礎になるわけでありますが、しかし、そういうことを言えば、裁判官だって原告の訴えなどを民事の場合には基礎にしてやっているわけでして、どうもこの辺の状態というものが割り切れないと思うんですね。
 だから、ざっくばらんに言えば、全部これを公務員にして、ほかの公務員のように一律に支給をしていく。忙しいからふえる。ひまだから一ひまだといってもその地方にはやはり必要なわけなんですから、そういうことでなければちょっと筋が通らぬように思うんですが、で、この問題は以前からも執行吏制度のあり方ということで問題にはなっておることなんですが、こういうことについてどういうふうにお考えでしょうかね、大臣として。これは従来の執行吏、執行官の歴史というもの、慣習というふうなものがあるわけですけれども、どうもそんなものにあまりとらわれているのはおかしいんじゃないかというふうな感じがするわけです。どうでしょうか。
#32
○国務大臣(植木庚子郎君) 詳細は他の政府委員からお答え申し上げますが、やはりこれは多年の沿革で、いま仰せになるような欠点と申しますか、御指摘のような見地から見ればいかがかと思える点があることは私も感じます。しかしながら、多年の慣行であり、しかも、これに対して報いるのには最小限度の処遇が必要だというので、いわゆる国庫補助を出して、そうしてやっておるのでありますから、従来の考え方でいけば、おそらく私の知っておる範囲と申しますか、従来の理論の上では最低はこの程度でいいんだと、これでもってやって、生活もどうかこうかやっていけるのだというたてまえで最低保障をしておるのだと思います。それ以上のものはそれだけ非常に勤務の状況等も多いから、これに対して事務量というものも重要な参考資料として手数料そのものもきめてございますから、それでやっていけるはずだと、こういうふうな考え方だと思います。両方ともそれぞれの一応の理論というのはあると思うのでありますが、やはりはたしてこれで昔からやっている慣例的なやり方でいいのかどうかということについては、やはり時代とともに検討を加えて、そうして誤りなきを期するのが筋であろうと、かように考える次第でございます。
#33
○政府委員(貞家克巳君) ただいま御指摘の問題は、まさに執行官法制定当時におきまして非常に慎重な検討をいたした根本問題でございます。御承知のとおり、執行官法の制定に至ります間には、完全俸給制ということを志向いたしまして鋭意努力を重ねたわけでございます。しかしながら、最終的な判断の時点におきましては、現在の状況下におきまして完全左俸給制の執行官の制度を円滑に実現し、運営するについてはあまりにも障害が多過ぎるのではないかという結論に達したわけでございまして、その問題点はなお解消しているとは言えないかと存じます。つまり、執行官制度になりましてかなり変わってまいりましたけれども、職務内容自体につきましてはやはり昔の執行吏時代のものを踏襲いたしてございまして、その事務の内容を見ますと、一般の司法事務あるいは行政事務とは非常に異なる特殊性、困難性を持っております。
 したがって、完全な俸給制のもとにおきましては相当多数の職員を必要とするということは必然覚悟しなければならないのでございます。が、そういった強制執行等の事務を行なう職員としてふさわしい素養、能力を持つ職員、しかも決して愉快とは言えないような職務に挺身する意欲を持っている者を十分な数だけ確保して、しかもそれを常時必要数を補給するということが非常に困難ではなかろうか。また、これについての人事の停滞と無気力を防止する。そうして、勤労意欲と事務能率の向上、あるいは持続を確保するということは現在の情勢を見まして非常に困難ではなかろうかという考え方をせざるを得なかったわけでございます。そして、こういった特殊な困難性を包蔵しております以上、こういった点を無視いたしまして強引に制度を発足いたしましても早晩手詰まりがくるということが憂慮されたわけでございまして、そういった動きがとれなくなるというような事態はどうしても避けなければならない。確かに執行官制度になりまして幾多の前近代性と申しますか、非合理な点は除去されましたけれども、最後に手数料制というものだけが残ったわけでございます。しかしながら、これが先生御指摘のように決して理想的な制度であるとは申せませんし、非常に変態的な制度であるということはいなめない事実でございます。
 そこで、さらにこの執行官の給与制度というものを前進すべく私どもも常時検討はいたしているのでございますが、いま言ったような事情はさして変わっているとは思われない。一方この執行官法と申しますのは、過去七十年にわたっていわば放置された執行吏制度に大きなメスを入れたわけでございます。したがって、いろんな面で受け入れ態勢を徐々に整えるというようなことになったわけでございまして、たとえば執行官になりましてからは、予納金の保管とかあるいは差し押え金銭その他職務の執行として受け取った金銭につきましては、裁判所が保管するというようなことは非常に大きな改革でございますが、そういった改革も当分の間は最高裁判所の定める庁ではそれによらない、従来のやり方でもよろしいというような暫定措置がついているわけでございます。
 それから、従来はそれぞれ役場を持っておりまして、それを一つの本拠としておりましたけれども、これは完全に執務の本拠を裁判所に置くというような点は大きな改革でございます。そういった面につきまして裁判所当局も非常な努力をされまして、ほぼ執務の現実の場所が裁判所庁内に入るということは完全に実施されているようでございます。
 ただ、会計事務を完全に裁判所で取り扱うというような点につきましては、徐々に毎年裁判所職員の増員措置を講じまして次第に各庁に及ぼして、いま現在三十七庁がそういった事務を行なっているように聞いております。そういった次第でございまして、まさにそういった準備的な段階をいま脱却しようという状況にあるのでございます。こういった気の長い話ではございますけれども、準備段階を脱却いたしまして、そして完全な姿の執行官制度、現在の執行官法が求めております完全な執行官制度というものの出現を待ちまして、そうなりますと、執行官の手数料収入、経費の実態というようなものがよりはっきりと裁判所においても把握されるわけでございます。そういった段階を経まして漸進的にこの問題は検討しないと、不十分な材料のままで勇断をふるうということは、非常に将来の問題として危険ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
 それで、完全な俸給制をとるということは、非常に割り切った考え方でございますけれども、世界の例を見ましても、なかなかそういった例は少のうございます。こういった特殊性に応じまして、いろいろな考え方があるかと思います。手数料の性格というようなものをもっとはっきりとさせる、あるいはこれは全くの私見でございますけれども、たとえば外国では固定俸給制とそれから手数料の歩合というようなことで、しかも一定額以上であれば、国庫にその収入は入るというような制度もございます。そういったいろいろなニュアンスがございます。したがって手数料制のままでございましても、さらにいろいろこまかいところで検討して、現実的な、よりよいしかも現実的な制度を考えるというようなことも不可能ではないわけでございまして、そういったステップを踏みまして、執行官の給与制度におきましては、理想的な姿にだんだん近づけていきたいというような考え方を持っているわけでございまして、非常に気の長い話でございますけれども、なおしばらく検討の期間を与えていただきたいと考えている次第でございます。
#34
○亀田得治君 右から左に結論を出せる問題ではないわけですが、やはり改善の方向というものを絶えず研究して、きちっとめどのつくものは、やはり実現してほしいと思いますね。ともかく相当な優秀な裁判官よりも収入が多いという執行官がおるわけですからね。だからこういうことなどが、私はやっぱり矛盾があると思う。それから執行官というものが、三百何十名いて、全体としてそういう制度が確立しているわけですからね。非常に収入も多い、というのはそれはたまたまそこにおるからそういう事件にぶつかるわけなんであって、何もそういう事件の起こらないところの執行官の能力が低いとか、そんな問題じゃないわけだ。だからそうすれば当然その辺にいろいろなくふうの余地があると思うのですね。国が一たんその半分をとって、そうして少ないところに回してやるとか、四十五万を一つの最低保障費といいますけれども、その絶対額身身が、私はやっぱりこういう時節柄低いと思うのです。と同時に一方で十倍の収入を得ているものがおる、そういうことはおもしろくないわけです。同じ執行官としてもだからこの辺をいろいろ検討になっておるようですが、機会あるごとにやはり漸進的な立場で取り組んでほしいと思います。これはまあ要望しておきます。
 それから執行官の代理人ですね、これは何人ぐらいいまおりますか、執行官が三百五十七名に対して。
#35
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 本年一月一日現在で、執行官職務代行者といわれる者が百三十八名ございます。
#36
○亀田得治君 この人の給与というものは、これはどういうふうになっていますか。
#37
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 執行官から手当を支給されるわけでございます。
#38
○亀田得治君 その点は何か基準でもきめておるのですか、もう執行官の自由な考えできめていい、どうなんでありますか。
#39
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 代行者は手数料の三割を取得するという大体の基準がございます。
#40
○亀田得治君 この代行者というのは、ほとんど執行官と同じ事務所におるのでしょうか、別な人もおる……。
#41
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 執行官の事務所に詰めておりまして、この中に二種類ありまして、強制執行を取り扱う代行者と、送達のみを取り扱う代行者、この二通りがございます。
#42
○亀田得治君 この代行者の権限というか、これはその執行官から委任されて、そうして委任されれば執行官と同じ権限でもって行動できる、そういうふうに扱われておるわけですか。それとも執行官の指示によって動くんだと、全権を委任されて動くことはできないのか、その辺はどうなっておるのですか。
#43
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 執行官職務代行者は裁判所の許可を得るということになっておりまして、代行者になった以上は執行官と同じ権限で執行行為に当たるわけでございます。
#44
○亀田得治君 同じ権限を持って行動できるようなものであれば執行官にしたほうがいいんじゃないですか。その点どうなんですか。
#45
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 執行官法制定の際に執行吏代理というような制度は好ましくないということになりまして、執行行為は、すべて国家公務員である執行官が行なうというたて雇えをとったわけでございますけれども、当時おりました執行吏代理の職を奪うということもいかがかと存ぜられましたので、臨時に執行官職務代行者という制度を認めておりまして、これは、従来、執行吏代理であったものを裁判所の許可を受けて認めるということにしたわけでございます。したがって、その後は、代行者というのはふえておりません。当時の代理がそのまま代行になっておるわけであります。この中から執行官に任命される資格を有するものはこれを裁判所は執行官に任命いたしまして、執行官法施行前日における代行者は二百四十名ございましたが、現在は百三十八名となっておりまして、約百名の人があるいは執行官になり、あるいは老齢のため退職したということになっております。これはやがて自然消滅する制度でございます。
#46
○亀田得治君 百三十八名の方は試験などをしても執行官としては採用されないと、そういうことですか、はっきり言えば。
#47
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) そのとおりでございます。また、この中から任命されるものもあるいは出てくるかと存じます。
#48
○亀田得治君 しかし権限は執行官と同じだというのですから、どうも、その辺割り切れないわね。しかし、従来やっていたんだから資格を奪ってしまうのも気の毒だということなんでしょうが、それだけの権限を与えておくのであれば、できるだけ執行官にしてやるべきだと思うのですね、同じことをするのですから。されるほうも――執行官の代行者というふうなことでは執行ざれるほうも納得がしにくい点があると思うのですね。だから、試験というのは一つの型がありますからね、型があるから、それに通るにはいろいろやり方もあるのでしょうが、しかし試験には通らぬけれども執行官としてはだいじょうぶの人だということだろうと思うのですわ、この残っておる百三十八名は、人柄として、人物として。この点が非常に大事な点ですわね、執行官として。申し立てによってやるのですから、どうしても強いものに使われるというかっこうが出がちですから、だから人物が非常に大事だ。その点がだいじょうぶなんだという人であれば、私は正規の執行官にしてやって、そうして気持ちよく仕事ができるということであるべきじゃないかと思うのですがね。どうでございますか、自然にこれがやめていくまで待つのだというのでは、少しなんですね、優柔不断のような気がします。人柄が大事ですから、執行官は。どうですか。そうして私が言う、いやそれは人柄もどうもぐあいが悪いというのなら、そういう人にそういう大事な権限を、執行官と同じ権限を預けておくことがおかしいのですから。それは五年なり六年なり一定の期限を経過的に設けるということは必要かもしれませんけれども。
#49
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 執行官法におきましては、執行官の地位を非常に高めておりまして、国家公務員性を非常に強く打ち出しておるわけでございます。で、新しい法律によります任命資格は四等級以上の者という非常に高い地位を執行官に与えておりますので、かつての執行官代理をすべて執行官にするということもまたいかがかと存ぜられるわけでございまして、執行官職務臨時代行者はあくまでも経過的な措置としてやがては消滅すべきものと、こう考えている次第でございます。
#50
○亀田得治君 消滅のさせ方の問題ですわね。それから最近の傾向はどうなんでしょうか、執行官になる人が少なくて困っておる、そういう事情があるのか。さほどそういうことはないと、毎年申し込みは相当あるというふうな状況ですか、どちらです。
#51
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 執行官法施行前日におきます執行官の数が三百三十七名でございまして、現在が三百五十七名でございます。したがって、まあ大体これで充足しているという状況でございます。なお詳しく申し上げますと、四十二年度におきましては五十六名の者が新たに任命され、四十三年度におきましては三十七名、四十四年度におきましては十九名、四十五年度におきましては二十三名の者がそれぞれ任命されております。
#52
○亀田得治君 いまおっしゃった任命のその年度について、申し込みですね、なりたいという。試験の申し込みですか、その人数はどのくらいあったのですか。
#53
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 裁判所が見まして適当だと思う人をいわばすすめまして執行官に任命している状況でございまして、申し込みはそう多くはないと聞いております。
#54
○亀田得治君 そうすると、裁判所につとめておられる方とかそういったような方が多いのですか。
#55
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 裁判所書記官、事務官、家裁の調査官、検察事務官、法務事務官あるいは地方公務員、こういうものが執行官の給源でございます。
#56
○亀田得治君 まあなんですね。いまのお話ですと、一応人は確保しておるが、相当努力をして確保をしておるというところのようですね。大体現在の人数で間に合っているというお話ですが、この法律に基づく裁判所の書記官に仕事を代行させるということですね、これはどの程度あるんですか。執行官が現在の数で足りておればほとんど私はそれは必要ないと思うんですが、その点どうです。
#57
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 本年一月一日現在で執行官事務取り扱い書記官の発令を受けている者が二十四名ございます。これはたとえば木曾福島、大町、伊那、佐渡、厳原こういうようなへんぴなところでございます。
#58
○亀田得治君 執行官のおらぬところですね。
#59
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) そのとおりでございます。
#60
○亀田得治君 執行官のおるところで忙しくて書記官に代行させる、こんなことはほとんどない……。
#61
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 一応受け付け事務を扱うために代行を置いておるところはございますが、執行行為そのものを代行書記官が行なっているところはございません。
#62
○亀田得治君 それじゃ執行官の問題についてはこの程度にいたしておきます。
 最初にも申し上げたように、執行官制度、これはいろいろ問題点の多い部門ですが、ぜひひとつ少しでもよくなるように――まあ一番問題は俸給、収入の体系の問題だと思います。検討を再度要求しておきます。当然恩給などもそれに関連してくるわけですから、そういう意味でひとつ今後とも続けてやはり取り組んでほしいと思います。
 事務総長にちょっと簡単にお聞きしますが、例の十三期の裁判官の再任問題ですね。この前最高裁側の意見として、青法協の会員であることを理由に再任を拒否する、こういうことはしないという態度だ、これは衆議院でも言われたし、この委員会でも私念のために聞いたところ言われたわけですが、しかしどうも最近の模様を見ておると、その答弁と若干違うのではないかという心配が出てまいりましたので、きょうは法務委員会がありますので、その点だけをひとつお聞きしたいと思って急遽来てもらったわけなんです。
 再任問題について十七日に正式に最高裁の裁判官会議をおやりになり、昨日もまた相当長時間やられたようですが、結局青法協問題について意見が分かれて結論が出ないということのようですが、いままでの国会における答弁から見ておると、この段階になってそんなに意見が分かれて結論が出ない、持ち越しというふうなことになること自身がおかしいと思うんですよ。だからその辺どう理解したらいいのか。われわれとしてはいままでの国会答弁によっていろいろ問題はあるとしても、再任問題にそのことが影響してくる問題ではないというふうに考えていたわけですが、二回も最高裁の会議をやって、なおかつ結論が出ないということは、私ははなはだ残念だと思っているんです。どういうふうになっているんですか、実際のところ。新聞によってはどうも意見が半々だというふうな感じのする報道もありますし、関係者は非常に心配しておると思うんです。ほんとうのところをひとつここで明らかにしてほしいと思います。
#63
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) いまお尋ねのいわゆる十三期の裁判官の再任問題のことでございますが、いわゆる十三期の裁判官と申しますのは、判事補で十年を経過した人が今度判事に新任される場合でございます。それをいわゆる再任と申しておりますが、厳格にいいますと、いわゆる新任するか再任かの問題はあるだろうと存じますが、ともかく従来申し上げておりますように、裁判官の新任の場合でも再任の場合でも、これは最高裁判所の裁判官会議で各個人個人につきましてあらゆる点から慎重に審議されまして、いわゆる判事または判事補の候補者として適当かどうかをきめていかれるわけでございます。それで今度の十三期の裁判官につきましても、いま仰せになりましたように、十七日から裁判官会議でそれぞれの個人について検討を加えられているわけでございまして、まだ結論は出ておりません。
#64
○亀田得治君 結論が出ておらぬことについて、その中身をお聞きしているわけなんです。結局それは青法協のことが問題になっているんじゃないですか。われわれいままで国会の答弁を聞いている限りでは、そういうことによって紛糾するとは考えておらない。そこを端的におっしゃってください。
#65
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) これも何度も申し上げておりますように、青法協の会員であるという事由だけで新任あるいは再任の場合に候補者名簿に登載しないということはございませんです。
#66
○亀田得治君 それじゃ時間が長引いたり意見が二つに分かれたというのは具体的にはどういうことなんですか。
#67
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) 裁判官会議の内容をここで申し上げるわけにはまいりませんですけれども、意見が二つに分かれているとか、どういう問題が出たとかということについては、ここで申し上げるわけにはまいりません。
#68
○亀田得治君 その一人一人のことについて具体的なことをお尋ねしているわけじゃないんでして、こういう種類の問題だとか、その程度のことは当然これはおっしゃっていただかなければならぬと思うのですが、どういうことが問題になって紛糾しているのか。紛糾でしょう。いままでそういうことはないじゃないですか。
#69
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) いままででも必ずしも一回でこの問題に対する会議が終了したというわけでもございません。別に意見が紛糾しているということを申し上げることもないと思います。
#70
○亀田得治君 きまらぬということは紛糾していることでしょう。紛糾していなかったらきまることです。だから、それは明らかに、もっと突っ込んで考えれば、ある人が青法協の会員である、しかし青法協会員であるということだけでは再任拒否はしない。このことは言明してきたし、したがって青法協の会員である裁判官について何かもっとほかに問題点がなかろうか、そういうことを究明しているのじゃないですか。あらさがしですね、言うてみれば。どういうことなんですか。
#71
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) 裁判官会議で問題にされておりますのは、今度の十三期の裁判官七十名ございますので、必ずしも青法協会員だけが問題になっているわけじゃございません。これはあらゆる点から検討を加えられているわけでございます。
#72
○亀田得治君 しかし実際に残っておるのは青法協会員なんでしょう。
#73
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) その点についてはやはり会議の内容でございますので、ちょっとここで申し上げるわけにまいりません。
#74
○亀田得治君 これはいつごろまでに――次の裁判官会議はいつですか。きのうは延びたようですが。
#75
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) 定例の裁判官会議ですと、毎週水曜日ということになっております。
#76
○亀田得治君 毎週水曜日ですか。そうしたら予定は。
#77
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) まあ定例の裁判官会議は毎週水曜日でございますから、通常は来週の水曜日に開かれるわけでございます。
#78
○亀田得治君 たいへん重要な議題を扱っている場合には、散会のときに、次はいつやるというのをきめるのが普通ですね。そうしてこれは期限もあることですからね、この問題は。だから――次の会議は通常になる、定例日になるのですか。あるいはその前にでもやる予定なんですか。どっちなんです。
#79
○最高裁判所長官代理者(吉田豊君) 裁判官会議で特別の御決定のない限りは、次の定例裁判官会議ということになっております。
#80
○亀田得治君 じゃあ、まあ来週の水曜日というふうに理解していいようなお答えでありますが、いずれにしても、もっとスマートにやってほしいと思いますね。腹の中で青法協会員おもしろくないと考えている裁判官もたくさんおるのだろうと思います。だけれども、そういうことはもう問題外なんですから、最高裁判所がそういうことをもし司法行政の運営の中で出してきた場合には、最高裁の自殺行為になると思いますね。この前もお聞きしたのですが、私はこれはもう重大な憲法問題なんだ。その憲法問題について同じような判断を最高裁自身がしなければならぬ事案があるわけです。思想、信条等を理由にして採用を取り消すとか、首にするとか、そういったふうな問題が起きてきているわけですね。いままで裁判所はそれを救ってきたわけです。裁判所自身が今度はその衝に立たされるわけですから、いやこれは再任だから、新たな任命だからというふうなことを言ったって、実質的にはそれは追い出すことになるのですよ。だから世間一般は、そんなへ理屈のようなことはよく理解するものじゃないですよ。だから、これはよほど慎重にやってもらわないといかぬです。最高裁判所自身が、場合によっては行政訴訟の対象にされる、変な処置をした場合に。そうして最高裁が被告になって、まずその下級裁判所がそれを裁いていく、こういうかっこうが出てくるわけですね。もしこじれた場合には、決着がつくまで相当な年月がかかるでしょう。しかしそういう問題について、最高裁判所に上告まで来た場合に、最高裁判所がその事件を扱う権限があるかどうかということまで、これまた新たな問題として起きてくるわけですね。だから、私はきわめて重大な問題だと思うのです。決して感情に走ったり、自分の思想と違うからそれを排除するとか、そういうことではなしに、大所高所から――思想が違うから排除するとかいうことは世間一般にあることですよ、行政面、社会面ではあるでしょう。そこを裁判所が守るのでしょう。最後の憲法のとりでだというのはそのためにいわれているのですから。人のことはさばくけれども、自分のことになるとよう筋を通さぬ。これでは私は大問題になると思うのです。これはおそらくそういうことも最高裁内部で議論をされていると思いますが、ぜひ間違わないようにやってほしい。これは間違った場合には、私自身としてもほかの案件に比べて非常に重大な問題だと思いますしね。心をきめて最高裁と争わなければならぬというふうにも思っているくらいです、実際上。これは憲法を守るためにそういうことですから……。事務総長を通じてひとつ最高裁の皆さんに重ねてこれは要望しておきます。
#81
○委員長(阿部憲一君) ほかに御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#82
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#83
○委員長(阿部憲一君) 次に、民事訴訟費用等に関する法律案、刑事訴訟費用等に関する法律案、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法案、
 以上三案を一括して議題とし、これより質疑に入ります。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#84
○亀田得治君 今回の三法案は、従来この訴訟費用の関係は非常にわかりにくいということになっておったのをまとめられました。そういう意味では非常にわかりもいいし、また問題点等も相当整理されておりますので、われわれとしてもこの三法案に、もちろん賛成の立場にあります。したがって若干お聞きする程度にとどめたいと思いますが、今度の改正によって従来に比べてどの程度国民の負担がふえるのかという点ですね。訴訟は、何といいましても本来ならば、これはただでやるべきだということも考えられるわけですね。もめごとについて国が第三者としてきちんとした判断を下してくれる。若干でもお金を出さなければ判断してもらえないというのでは金のない人はそれだけ行動が制限されるわけですね。だから、そういう意味でただであるほうが一番いいと思うのですが、しかしそれにしても若干のものは負担する。一般の国民とは違ってめんどうを国にかけるのですね。若干のものを負担をするということも理由があると思うのです。できるだけ安いほうがいいわけです。一つ一つの対照をしますと、どの部分で幾ら高くなるといったようなことが出てくるわけですが、総体として考えた場合に、どの程度の違いが出てくるのか、この点を大まかにひとつお答え願いたい。
#85
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) 昭和四十六年度の事件を過去の統計から推計いたしまして、旧法によって手数料収入を計算した場合に、十三億三千万円と推計されます。改正法によって推計した場合には十五億八千万円となります。新法によりまして却下、取り下げの場合には半額を返すという制度が新設されておりまして、それに五千万円を差し引くという結果になりますので、新法によります増収は約二億円、一五%の増収でありますということが言えるかと存じます。
#86
○亀田得治君 従来印紙などを張っておったもので、今度張らなくてもいいといったようなものが若干ありますね。
 それから従来印紙など張っていたもので、今度は張らなくてもいいといったようなものが若干ありますね。それから従来はただであったものについて今度は費用がかかる、そういうものがあるのですか。あるとすれば何か。この二つを具体的に御説明願います。
#87
○政府委員(貞家克巳君) 現行法におきましては、すべての申し立てにつきまして必ず印紙を貼用すべきことが要求されていたわけでございますが、今回の改正案におきましては、中間的付随的な申し立てにつきましては、むしろ半数以上を整理した。つまり手数料を取らないということにいたしたわけでございます。その主要なものを申し上げますと、一番数の上で大きくなりますのは、期日の指定あるいは変更の申し立てと証拠の申し出ででございます。その他非常にいろいろの種類のものがございまして、たとえば弁論の続行申請あるいは公示送達、強制執行におきます賃貸借の取り調べというように中間的な申し立てでございまして、当然にその基本手続の一部をなしている処分を求めるというふうに理解されるものがございます。それから、いわば相手方の行為を否認する趣旨の申し立てといたしまして、支払い命令に対する異議でございますとか、配当異議というようなものも手数料を徴しないということになるわけであります。また、訴訟上の救助の申し立てでございますとか、強制執行処分の停止、取り消しというようなものにつきましては手数料を徴収しないほうがバランスの上から見て望ましいのではないかというふうに考えられるわけでございます。さらに除斥でございますとか、先ほど申しました期日指定の申し立てというようなもの、これはあるいは裁判所が職権でもすることが望ましいと考えられるものでございますとか、あるいは手続の適正円滑化の利益が非常に大きいということから手数料を徴しないほうがよろしいのではないか。さらに、現在のたてまえでございますですと、答弁書というようなもの、つまり純粋な意味で、厳格な意味におきましては申し立てと考える必要のないというものまで印紙を貼用さしているわけでございますが、これらはすべて印紙の貼用を要しない、手数料を要求しないことになるわけでございまして、この法律案の別表に書いてございますもの以外は手数料を徴しないということになるわけでございまして、そういった中間的、付随的な申し立てにつきましてはむしろ大部分と言ってもよろしいかと思いますが、それは手数料を徴しないということにいたします。なお、従来手数料を取っておりませんで今回の法律案で新たに手数料を取るというようなものは一つもございません。
#88
○亀田得治君 中間的な申し立てであるということで手数料を取ることを省いた、これは非常ないい改正だと思いますが、その金額はおよそどの程度になるんですか。
#89
○最高裁判所長官代理者(瀬戸正二君) その点のみにつきましての推計は困難でございますが、相当額にのぼるかと存ぜられます。
#90
○亀田得治君 今回の改正で、非財産権上の訴額が三十五万ですが、従来は五万で、この上げ方はちょっと大きいように思うんですが、どうなんですか。
#91
○政府委員(貞家克巳君) 非財産権上の請求につきましては、裁判所法、民事訴訟法の規定によりまして地方裁判所が取り扱うことになるわけでございます。こういった事件、代表的なものといたしましては婚姻、親子その他の身分関係の訴訟、あるいは会社の設立無効、取り消しといったような会社関係の訴訟でございます。こういった事件はその内容を見てみますと一般に複雑、困難でございますし、また、訴訟の結果によって当事者が得たり失ったりする利益も相当大きいのだというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、こういった事件は当然地方裁判所が裁判すべきものだというたてまえをとっているわけでございます。
 そこで、そういった裁判所の手数もかかりますし、当事者の利害が大きいようなこういった事件の手数料は、それ相応の額であるということがバランスを保つゆえんであると思うのでございますが、こういった事件につきまして個々にその価額を定めることはできませんので、それを一律化いたしまして地方裁判所の取り扱う財産権上の請求の訴えの最も低いところ、つまり今度の案によりますと、三千三百五十円ということになるわけでございますが、それと一致することになるように取り扱いをしたわけでございます。三十万円をこえるということになるわけで、三十万円をこえて三十五万円までの間はこの金額になるわけでございますが、こういった事件の実態を考えますと、財産権上の請求でその価額が三十万ないし三十五万というような事件に比べますと、一般的に申しまして非常に複雑、困難であるということが言えるかと思うのでございます。したがいまして、これは、一応、地方裁判所の扱う財産権上の請求の一番低いところに合わしたと、それが三十五万円になったということでございます。
#92
○亀田得治君 非財産権上の訴えというものの中身は、これは御存じのとおり千差万別ですわね、実質は。無理にそれを評価してみれば何百万という値打ちをつけてもいいような案件もたくさんあるわけですよ、実際。ところが、その逆の場合もあるわけなんですね。だから、それが一律に三十五万というのでは何かもの足らない感じがするわけだな、制度として。それは申し立てる人が得をしておるような案件はそれでいいですがね。そうじゃなしに、三十五万であっても困るというような感じのするケースもあるわけですよ。だから、そういう場合には、何か特に裁判所のほうで決定をするとか――安くするとか、扱いはそれは地方裁判所でいいです。そういうふうに訴訟法をつくっていけばいいんですから、何かそういうことはできぬものですか。一度に七倍になっておるわけです。これが一番大きいのでしょう、今度の改正の中での値上げの幅としては。したがって、何かそういう困る人の立場というものについて配慮ができないものか。
#93
○政府委員(貞家克巳君) 御指摘のとおり、非財産権上の訴訟という点をとらえますと、これは、いわば値上げについてはかなり大きいわけでございます。その他にも破産の申し立てとか、会社更生の申し立てというようなのは非常に大幅に上がっておりますけれども、それを除きますと、確かにこれは大きいほうの部類に属するわけでございます。
 ただ、御指摘のとおり確かに個々のケースによりましてもっと安くてもいいのではないかというものは、実は、ほかの種々の手数料の中にもこれはどうしてもあるわけでございまして、手数料というものを簡明にいたしますためには、どうしてもそういった個々の事案を眺めてみますと高過ぎる、あるいは安過ぎるというものが出てきますことはどうもやむを得ないのではないかと思うわけでございまして、実は、そういった事案におきましては、これは訴訟上の救助というような方法、これが民事訴訟法上の制度としてはございます。そういったものが当然利用されるべきであると思いますし、また現にかなり多数の救助事件が最近は出ているようでございます。
 なお、個々のケースによって確かに安くてもいいというのはございましょうけれども、――大きく眺めますと、当事者の経済状態から見ますと、高過ぎやしないかということが言えるかと思いますが、内容を考えてみますと、人事関係の訴訟と申しますのは、これはいわば家事の審判調停でまかない切れない事件でございまして、訴訟になりますのは、かなりまあやっかいと申しますか、こじれている事件が多いわけでございます。また会社関係の訴訟は、これは実質的な関係当事者が非常に多数で、膨大かつ複雑であるということは容易に御理解いただけると思うのでございますが、そういった内容、それによる裁判所の手数という点におきましては、これは例外はあるかと存じますが、一般にやはりそれだけの面から考えますと手数料はある程度、少なくとも地方裁判所の訴額の低下に見合う分ということはやむを得ないのではないかと考えたわけでございます。
 また、外国の例も調べてみまして、何か方法はないかということも考えてみたわけでございますが、たとえばドイツの制度でございますと、千五百マルクまで区裁判所、それ以上が地方裁判所ということになっておりますにもかかわらず、非財産権上の請求につきましてはその限界線ではなくて三千マルク相当の手数料をとるといったような立法例もあるわけでございまして、どうも各国の制度もそういった悩みは持ちながら一応一律にこの程度の線でやっておるというふうに見受けられるわけでございます。
#94
○亀田得治君 一般の財産権上の訴えですね、これについてはどの程度の値上がりになっていますか。たとえば具体的に百万円、あるいは五百万、一千万といったように三つぐらいの事例でおっしゃってもらえば非常にわかりやすい。
#95
○政府委員(貞家克巳君) 訴訟の手数料について申しますと、訴額百万円で現行法でございますと六千三百円でございます。それが改正案によりますと七千九百円で、千六百円増しでございます。二百万でございますと、現行が一万一千三百円に対しまして改正案が一万二千九百円。訴額五百万でございますと、現行が二万六千三百円の改正案が二万七千九百円。訴額が一千万でございますと、現行が五万一千三百円であるのに対しまして改正案は五万二千九百円でございまして、最も隔たるところで二千円程度でございます。これはもう幾ら訴額が多くなりましても比率そのものを変えておりませんので、そういった結果になるわけでございます。
#96
○亀田得治君 これに比べると非財産権上の訴えの扱いが非常に目立つものだからお伺いをしたわけです。
 それからもう一つお聞きしますが、これは前々から論争になっておるところですが、訴訟費用の中に弁護士の報酬を、まあ今回も組み入れておらないわけですが、これは相当法案作成の過程において論議もされたと思います。組み入れるべきだという意見も、また組み入れるにしてもどの程度に組み入れるのかいろいろ議論があると思いますが、その辺の論議の経過をひとつお聞きをしておきたいと思います。
#97
○政府委員(貞家克巳君) 御承知のとおりこの問題につきましてはかねてからぜひとも弁護士報酬というものを訴訟費用の範囲内に入れるべきである、これが国民の救済を十分ならしめるゆえんであるという声が非常に高いわけでございます。現に臨時司法制度調査会の意見におきましても、弁護士報酬の訴訟費用化及び訴訟制度の拡充について検討することというような意見が出されているわけでございます。また、これにつきましては諸外国の立法例もあるわけでございます。そこで、こういった問題をどう取り扱うか、せっかく訴訟費用制度を新たにする以上、弁護士費用の訴訟費用化ということもひとつ考えるべきだということでいろいろ議論もしたわけでございます。
 しかしながら、これも先生御承知だと思いますが、この訴訟費用化の意見に対しましてはかなり強い反対意見もあるわけでございます。その理由といたしますところはいろいろございますけれども、敗訴者に対しまして弁護士報酬まで負担させるということはあまりにも酷であって道義に反する結果になりはしないか。ことに敗訴者がおおむね経済的弱者だということを考えますと、これにそれほど大きな負担をかけるということはやっぱり考えものではないかというようなこと、あるいは、これは弁護士といたしまして、これは理論的には必ずしも報酬の公平化ということには結びつかないと思いますけれども、こういった何らかの査定をするというようなことによりまして弁護士報酬自体が低い水準になってしまうのではないかというような意見もあったわけでございます。
 そこで、これは裁判所、最高裁あるいは本省事務当局においてもいろいろ検討をいたしました。弁護士会の内部におきましても、この問題に着実に一部の方は取り組んで検討を進められたわけでございますけれども、どうも遺憾ながら今度の段階では大方の一致する意見というものが実は出なかったわけでございます。この問題は弁護士会においても今後引き続き検討を続けられるものと思いますし、私どももこの問題非常に重要な問題である、まあ諸外国の立法例なども着実にある程度は調べておりますけれども、これもいろいろあるようでございます。
 たとえば一例申しますと、ドイツは、かなり報酬の高低と申しますか、報酬がきまってしまっております。イギリスはそういったことはございませんで査定をするということになっているわけでございますが、フランスとかアメリカではほとんど訴訟費用化はされておらない。そこでアメリカのある学者は非常にこれは、イギリスに比べてアメリカの制度は劣っておるという意見がある半面、イギリスでは敗訴者の負担が非常に大きな額にのぼる。ですから、したがってアメリカの制度は決してどうもイギリスに比べて劣っていないのではないか。むしろイギリスのほうに問題があるのではないかというような意見も外国の制度をめぐりましてあるようでございます。そういったいろんな問題がございますので、ちょっとこれは、一応理論的に積極説が筋が通っているというようなことから踏み切って制度を固めてしまうということはなお慎重を欠くのではないか、今後十分研究したい、かように思っている次第でございます。
#98
○亀田得治君 その全額を対象にしようとするとこれは私は非常に不公平な結果になることもずいぶん多いと思います。しかし、現行法の中に全然それを取り上げないというのでもよくないわけです。やっぱり限度があるわけですね。常識的なそういう線を具体的に出してくれば意見がまとまるんじゃないか。取り上げる、取り上げない、白か黒かという議論よりこれは両方やっぱり長短がありますね。そのある程度の限度をどこに置くかというふうな点についても相当突っ込んだ議論がされたわけですが、それでもなかなかきまらぬ、それで見送るということなんでしょうか、もう最初の取り上げるか、取り上げないかという一般論でもうパーになったのか、その点どうなんでしょうか。
#99
○政府委員(貞家克巳君) 実はどういう割合のものを訴訟費用にするかというような点につきましてもいろいろ研究はいたしたわけでございます。これは直接の関係はございませんけれども、最近、交通事故におきまする不法行為による損害賠償請求におきまして、弁護士報酬の一部を損害として認めるというようなものもございますし、そういった参考資料はある程度はございます。それと必ずしもパラレルにまいらないかもしれませんけれども、そういった検討の手がかりというものもあるわけでございまして、これは私どもある程度そういった角度からも検討をいたしたわけでございますが、先生御指摘のとおりそもそも入れるという方向自体に対して非常な疑念を持つという御意見の方もあるようでございます。その一定の割合、査定をどうするかというようなところに大多数の方々の意見が一致して検討を始めるということになりますと、この問題はある程度の曙光が見出せるといいますか、希望がつなげるのではないかというように、かように考えておるわけでございます。
#100
○亀田得治君 これは取り上げるとしたら非常に低い線から始めてみたらいいんです。弁護士報酬額の全額とかそんなことではなしに、非常に低い線から。そうして若干実行してみて、いやもう少し高いところに線を引いてもいいということになれば、また高くするというかっこうならあまり意見がまとまりにくいということにはならないのではないかと思っておるんですが、まあひとつ参考にこれは聞いておいてください、今後の問題として。
    ―――――――――――――
#101
○委員長(阿部憲一君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、小林武治君が委員を辞任され、その補欠として渡辺一太郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#102
○委員長(阿部憲一君) ほかに御発言もなければ三案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。
 それでは旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。
 旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の諸君の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#105
○委員長(阿部憲一君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に民事訴訟費用等に関する法律案、刑事訴訟費用等に関する法律案、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法案、以上三案を一括して議題とし、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。民事訴訟費用等に関する法律案、刑事訴訟費用等に関する法律案、民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟費用等に関する法律施行法案、以上三案を問題に供します。
 三案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#107
○委員長(阿部憲一君) 全会一致と認めます。よって三案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、四案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○委員長(阿部憲一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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