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1970/05/18 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 地方行政委員会 第18号
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1970/05/18 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 地方行政委員会 第18号

#1
第065回国会 地方行政委員会 第18号
昭和四十六年五月十八日(火曜日)
   午後一時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     長屋  茂君     中村喜四郎君
     渡辺一太郎君     嶋崎  均君
     矢野  登君     西田 信一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         若林 正武君
    理 事
                熊谷太三郎君
                増田  盛君
                藤原 房雄君
    委 員
                鍋島 直紹君
                初村瀧一郎君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                吉武 恵市君
                竹田 四郎君
                和田 静夫君
   国務大臣
       自 治 大 臣  秋田 大助君
   政府委員
       自治政務次官   大石 八治君
       自治省行政局長  宮澤  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(若林正武君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、矢野登君、渡辺一太郎君、及び長屋茂君が委員を辞任され、その補欠として西田信一君、嶋崎均君、及び中村喜四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(若林正武君) 地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○和田静夫君 まず冒頭にお聞きしたいのでありますが、前国会を終わるときに、実は区長公選問題の請願が本委員会で留保された。そのときに、自治省の説明によれば、宮澤行政局長は時期尚早という問い合わせに対するお答えであった、こういうふうにお聞きしたのであります。それで、おそらく時期というのは統一地方選挙が終わればその時期がくる、そう判断をして引き下がりました。今日一斉地方選挙が終わりまして、東京都二十三区の状態は、御存じのとおり区長公選を求めるほうの議員数が全体としては過半数以上になったわけですね。したがって、自治法を改正をされるということであれば区長公選を許容する、そういう提案があってしかるべきだと思うのでありますが、大臣いかがお考えでしょうか。
#5
○政府委員(宮澤弘君) 大臣御答弁申し上げます前に、私が前国会でございますか、申し上げましたことを御引用になったようであります。私、はっきり記憶をいたしておりませんが、たぶん請願、陳情の御審査のときに、それについて政府の意見はどうか、こういう御質問がどなたかからあったというふうに記憶をいたしております。そこで、政府として意見を申し上げるとすれば、ということで意見を申し上げたかと思うのでございますが、その際に、私、時期尚早ということばを使いましたかどうかはっきり記憶をいたしておりませんけれども、申し上げました趣旨は、和田委員も御案内のように、地方制度調査会で大都市制度に関して調査審議をいたしておりました。それにつきまして当面の答申があったわけでございますが、その審議の過程でも、特別区のあり方、それに関連をいたしまして、区長の選任方法につきましてもいろいろ議論がございました。その結果といたしましては、特別区の区長の選任をどうするかということは特別区制のいわば基本に触れる問題でございます。今回の大都市制度の答申は、東京都政というものについての基本を変更をしないという前提のもとに答申が組み立てられているという関係もあって、この問題は都道府県の制度、都の制度を含む都道府県制の制度全般についていずれさらに検討をする機会まで、なお引き続いて検討をしていこうと、こういう答申が出ております。私ども政府といたしましても、そういう答申をいただいておりますので、そういう意味合いで、現段階においては区長公選というようなことにつきまして、政府としてはそういう考えを持っているということを申し上げたわけでございます。
#6
○国務大臣(秋田大助君) 大体、宮澤局長からただいま御答弁を申し上げましたような趣旨で私どもは考えておりまして、前国会末期において、宮澤局長の答弁において統一地方選挙でも済んだら区長の問題を直ちに処置をするというような意味における答弁があったとは、私記憶いたしておらないのでございます。ただいま申し上げましたとおりでございまして、大都市問題全般をさらに検討する、区制の問題、これと都とのいろいろ事務分掌、あるいは特別区のいろいろ編成等につき慎重に考慮する過程において、特別区の区長の公選制についても検討をさらに重ねる。こういう意味にわれわれは方針を大体定めております。統一地方選が済んだら直ちに処置をする、こういうふうにはなっておらないのでございます。この点ひとつ御了承を願いたいと存じます。
#7
○和田静夫君 一斉地方選挙が終わったような時期という判断は私の判断ですから、そういう御答弁があったと言ったわけではないのですが、問題は、選挙結果というのが出まして、そして区長公選を求めた、そういうことを公約をしたグループというものが、御存じのとおり過半数を占める区というのが十三区に及んだわけです。こういう状態になってきますと、それをやっぱり受けて検討を、たいへん多くの請願行動も今日まであったところですから、そういう検討を真剣にやられることが私は至当ではないか、そういう考え方を持つわけで、これは希望いたしたいのでありますが、一斉地方選挙の結果に基づくところの対応というものをやっていただきたい、こういうふうに考えますが、いかがですか。
#8
○国務大臣(秋田大助君) ただいまも申し上げましたとおり、特別区の問題を全般的に慎重に検討するとともに、区長の選挙のやり方についてもあわせて真剣に検討をしていかなければならないと考えております。
#9
○和田静夫君 今度の法律案の提案の理由を見てみますと、「最近における社会経済情勢の変化に伴う住民の生活圏の広域化に対応して、市町村が共同して総合的かつ計画的な行政を推進することが要請されております。このような見地から、市町村の組合に関する制度につきまして実情に即した弾力的な運営をはかる」、こういうふうにあるわけでありますが、ここで言われている実情に即するということでありますが、具体的にどのような実情が存在をしており、そうして本法案はそれにどのような形で即しているのか、御説明いただきたい。
#10
○政府委員(宮澤弘君) 今回御提案を申し上げております、法律上連合というふうに略称いたしておりますけれども、法律をごらんになりましてもおわかりいただけますように、法律上の基本的性格は一部事務組合であるわけでございます。そこで、ここに大臣の提案理由の説明の中に、市町村の組合に関する制度について、実情に即した弾力的な運営をはかるという、この実情に即するというのはどういう点であるか、こういう御質問でございます。これにつきまして、最も基本にございますのは、現在公域にわたって市町村がいろいろ共同をして仕事をする事例が次第次第にふえてきておりますことは、和田委員も御承知のとおりでございます。そういう事務の共同処理につきましては、地方自治法にいろいろな仕組みが定められているわけでございます。まず、通常の事務事業をたとえば施設を共同して持ちまして、事務事業を共同して行なうといいました場合に、昔から最も広く用いられておりますのは一部事務組合の制度でございます。現在わが国には約三千に近い、二千七百くらいであったかと思いますが、一部事務組合がございまして、これも主として市町村のレベルにおきまして、市町村が共同して事務を処理いたしているわけでございます。そこで、この事務の処理、ことに一部事務組合の事務処理につきましては、これは従来からそういうふうに解釈をし、運営がされてきたわけでございますけれども、関係市町村がみな同じ種類の事務を持ち寄って共同処理をするという場合に、一部事務組合を組織して事務処理ができる、こういうことになっていたわけでございます。したがいまして、たとえばABCという三つの市町村で、水道なら水道の事務を共同処理する、これは一部事務組合で処理できるわけでございます。同時に、ABCDという四ヵ町村で今度は下水の事務を処理するといいました場合には、ABCDの下水の一部事務組合が処理するわけでございます。それではABCD四ヵ町村が一緒になって上下水道の事務処理が共同で一つの組織でできないかということになりますと、先ほど来申し上げておりますように、従来の一部事務組合は、おのおのの市町村が共通的な仕事を持ち寄って処理する仕組み、こういうふうに考え、運用されてきたわけでございます。いま申し上げましたような設例におきましては、それを共同して一つの組織、一つの計画のもとに処理をするということができなかったわけでございます。
 で、そういう前提に立ちまして、御承知のように、たとえば一昨年から、政府、府県、市町村共同いたしまして、広域市町村圏というような施策を推進をいたしているわけでございます。広域市町村圏におきましては、圏域全般にかかる総合的な計画というものを策定いたしまして、その計画に基づきまして、あるいは共同して、あるいは各市町村が個別に仕事をやっていくという施策が推進をされているわけでございます。そこで、広域市町村圏の事例を見てまいりますと、広域市町村圏で仕事をしてまいります場合に、先ほど来申し上げておりますように、従来の一部事務組合がそういう性格のものでございまして、一つの広域市町村圏の中に、多いものでございますと二十も一部事務組合がある。その中には当然一部事務組合として残っているものもございますけれども、実は数種の一部事務組合というものを一緒にして関係市町村が共同して仕事をしたほうがより合理的に仕事ができる、地元からも望まれている場合も少くないのでありますけれども、先ほど来申し上げておりますように、従前の一部事務組合の制度はそれを不可能にいたしておるわけでございます。そういうことから申しまして、今回御提案を申し上げております、連合というふうに略称いたしております一部事務組合は、連合において共同処理しようとする事務がすべての市町村を通じて同一の種類のものでなくとも差しつかえない、こういうような規定を設けることによりまして、総合的な計画のもとに共同して処理することが適当なものは、なるべく計画に基づいて一貫して共同処理ができますような仕組みを考えているわけでございます。実情に即して弾力的な運営をはかるということのいわば最も基本的なものは、私はその辺にあろうと思うのでございます。
#11
○和田静夫君 明日参考人からいろいろと意見を述べてもらう機会があるようでありますが、衆議院で、たとえば市長会の代表やあるいは議会の代表の方々、言ってみれば賛成の側に立って意見を開陳された方々も、そこでは必ずしも、どう言ったらいいですか、非常に早い状態で実現が求められるという、そういう形には決して意見を述べられませんでしたね。慎重にやってもらいたい、それからこういう心配がある、ああいう心配があるなどという形のことがたくさんありました。そしていまの御説明をお聞きをしまして、広域市町村圏の行政がずっと進められてきた。そうすると、自治省が設定をし指導をしてきたそれらの圏域全体が実情的にこの法律を求めている、こういうふうにお考えになったわけですか。あるいはその中の多数――実情ですから、どの地域どの地域、固有名詞をあげて、この地域ではいませっかちに求められているのだ、この法律が。こういうふうにお考えになったのですか。どっちですか。
#12
○政府委員(宮澤弘君) 和田委員も御承知のように、広域市町村圏各地区でいろいろ共同処理の仕事を進めているわけでございますけれども、その共同化のぐあいと申しますか、あるいは地域の連帯性と申しますか、一体性と申しますか、そういうものは地域によってまちまちでございます。したがいまして、こういう制度をつくりました際に、この制度が直ちに活用されることを期待していいようなところ、あるいはなおしばらく時間的に時間をかけてこの制度の活用というものを考えていかなければならないところ、いろいろあろうと思うのでございます。私どもは、全般といたしましては、たとえば市長会の中の広域市町村圏の推進協議会という方面からこういう立法の要請があったわけでございます。あるいは市長会のみならず町村会そのほかの地方団体の関係の団体からも、広域的な行政機構の整備ということにつきましてそれの制度化についての要望があったわけでございます。したがいまして、一般的にはこういう制度をつくりますことによって仕事がよりやりやすくなり、住民に対するサービスもより厚くなっていくということを私たちは期待いたしたいわけでございます。先ほども申し上げておりますように、これは地域によってまちまちでございます。一体性なり何なりの尺度に応じまして、今回、もしこの法案御審議をいただいて成立をいたしますならば、地域の実態に応じていろいろ活用してもらうというふうに私どもは考えているわけでございまして、たとえばすべての広域市町村圏につきまして、先ほどもちょっと触れたわけでございますけれども、すべての組合をすべてこういう連合に統一してしまう、それが適当であるというようなことはいささかも考えていないわけでございます。
#13
○和田静夫君 私もかなり広域行政についての町村の実情というものを聞いて歩いていますから、その辺の実情、言ってみれば私がとらえた実情については後ほどさらに具体的に質問いたしますが、なべて最初は、法律案に基づいて、法律解釈上の問題を中心にしながらお尋ねをしていきますが、この広域行政に対処する自治行政機構のあり方については、すでに昭和三十八年の第九次の地方制度調査会が行政事務の再配分に関するあの答申の中で、「特別地方公共団体たる地方公共団体の連合の制度を設けることが適当であると考える。」、こう書きながら、そういう立場に立って地方公共団体の連合要綱をまとめ、示しておったのでありますし、また四十三年には「最近における社会経済情勢の変化に伴う地方行政の変ぼうに対処する行財政上の方策に関する中間答申」、あれで「地方公共団体の共同処理方式による広域行政体制の推進」、その措置を講ずべきである、こうしたわけですね。そしてさらに今回の法案の提出の直接のきっかけとなった「広域市町村圏および地方公共団体の連合に関する答申」、これを四十四年の十月に行なっている。そういう経緯があるわけですね。そこでこれらの一連の経緯をずっと見ながら、今回政府の出されている連合制度と答申との関係についてまず伺うのですが、この法律案が提起をしている連合制度は、いまも言われましたとおりに、現在あるところの一部事務組合規定のうち、市町村の組合について、特別の内容を持ったものをこの連合と称することにしているということは、改正案の二百八十五条の条文で明らかでありますが、この点はいままでの答申とちょっと趣を異にしているのではないかということを実は考えるのです。たとえば連合という考え方が最初に出された三十八年の答申では、「社会、経済、文化の発展に伴い、都道府県又は市町村の区域をこえて広域的に処理することを必要とする事務は、ますます多くなってきたが、これらの事務を効率的に処理するためには、協議会、一部事務組合、地方開発事業団等各種の共同処理方式の活用をはかるべきである。しかし、これら現行の共同処理方式のみでは現下の広域行政の要請には必ずしも十分に対処しうるものとは認められないので、当調査会は、新たな地方公共団体の共同処理方式の一つとして、特別地方公共団体たる地方公共団体の連合の制度を設けることが適当であると考える。」、こうなっているわけです。つまりここで言われている連合というのは、現存の事務組合や地方開発事業団などと並んで、それらとは別個の特別地方公共団体なのですよ。この点は四十四年の十月十五日付の「広域市町村圏および地方公共団体の連合に関する答申」でも前提されているわけですね。私は少なくともそう思う。ところが出てきた法律案を見ますと、一部事務組合としての連合制度ということになっている。局長もそういうようにとくと言われたのですね。その点の経緯や考え方というものをもう少し詳しく御説明を願いたいのであります。
#14
○政府委員(宮澤弘君) ただいま十三次の地方制度調査会の答申を中心に御引用があったわけでございますが、これまでのいろいろの地方公共団体相互間の事務の共同処理の方式、これも大いに活用されているものからそれほどでもないものまでいろいろあるわけでございますが、そういうものでは最近の新しい事態にはなかなか対応しがたいというところから、新しい共同処理方式というものを考えるべきであるということが答申の中心になっているわけでございます。そこで、その際に、ただいま和田委員もお読みになりましたけれども、新しい共同処理の制度ということで、この新しいという意味は一体どういうところにあるのか、今回地方制度調査会の答申を受けて立案をしたというようなことで提案をしているものはやはり一部事務組合ではないか、新しい共同処理方式というもの、答申の新しいという表現と今回との関連いかん、おそらくそういう御質問が核心であろうと思うのであります。そこで、先ほど来申し上げておりますように、これまでの共同処理方式ではなかなか円滑に動きがたい面がある。そこで新しいものを考えるべきであるということをたとえば第十三次の地方制度調査会は言っているのでございまして、その答申の中身等を見てみますと、たとえば連合というふうな表現をいたしておりますが、連合は関係市町村が共同して設置する特別地方団体というふうに考えるべきだけれども、それについては次のような弾力的な制度をとるべきであるというようなことから、たとえば(1)といたしまして「地域の一体性の程度に応じて協議会的性格のものから役場事務組合的性格のものまで各種の類型」というような表現をいたしているわけでございます。要するにこれまでの共同処理方式というものよりはもう少し弾力的な、実態に即して地方団体が選択できるような弾力的なものを考えたらいいのではないかという提案をいたしているわけであります。ただいま「役場事務組合的性格のものまで各種の類型」というふうに書いてあるということを申し上げたのでありますが、これを法律上一部事務組合という性格づけをしてはならないということではこれはいささかもないと思うのであります。性格のいかんということよりも、実態としてこれまでの共同処理方式よりはもつと弾力的なものを考えるべきだというのが私は答申の趣旨であろうと思うのでございます。
#15
○和田静夫君 自治法上弾力的にいけるもの、いけないもの、幾つかあると思うのですが、それはいまの御答弁の中での疑問点としてあとに残しますが、この連合の制度というのは市町村についてだけ認められているようですが、実は行政の広域化は数市町村の区域だけにとどまるものではない。現にいまあげた四十四年の十三次の答申というのは、連合制度を、「都道府県をこえる広域行政について都道府県にも適用できるものとすることが適当である。」こういっています。そうしてこの法律案を国会に提出するにあたっての自治省の原案には、たしか府県の連合についても規定をされていたはずです。そうすると、なぜそれが市町村段階だけに限られるようになったのか。もちろん私は連合制度を積極的に推進せよなどと言っているのではありません。それははっきりしておりますが、広域行政体制を考える上で避けることができないこれは問題でしょう。その辺のいきさつを伺いたいわけです。
#16
○政府委員(宮澤弘君) 確かに十三次の地方制度調査会の答申におきましても、書き方は市町村を中心に書いてございますが、最後に、この連合という制度は「都道府県をこえる広域行政について都道府県にも適用できるものとすることが適当である。」と書いてございます。それから、私どももその趣旨にのっとりまして当初検討いたしました原案というものには、都道府県についての連合という考え方を入れておりましたことも事実でございます。そこで、一体どういう理由で、今回御提案を申し上げております法律案の中には、都道府県レベルの連合というものはないのか、こういうことでございます。端的に申しまして、この点につきましては私は二つ理由を申し上げてしかるべきであろうと思うのでございます。一つは、法律案を一応素案をつくりまして各省と折衝いたしますわけでございますが、その際に、御承知のように、今回の連合というのは関係区域につきましての総合的な計画というものをつくりますことが一つの前提になっているわけでございます。これにつきましては、私どもはやはりそういう総合的な計画というものは、都道府県の連合につきましては都道府県が当然主体性を持ってつくるべきであるという考え方をいたしていたわけでございますが、関係各省にいたしますと、数都道府県にわたります国の計画というものと、一体この自治体が主体性を持ってつくる計画との間にどういう関係があるか、あるいはその間にどういうふうな調整が行なわれるべきであるかということにつきましてたいへん議論があったわけでございます。そういうことで、なかなか議論が尽きません。国会に御提案をいたします時期も迫ってまいりましたので、今回は府県に関するものは法律案の中に入れておりませんというのが理由でございます。それに関連をいたしまして、総合的な計画の上に広域的に仕事をする必要性というのは、市町村と同様、府県においてもございますけれども、市町村のように全部の区域を通じて総合的な計画をつくるというような必要性と申しますか、熟度というものは都道府県には、市町村ほど、まだそれほどまでにいってない面があろうということも、私どもが関係各省との調整がなかなかつかない、今回は府県につきまして連合の制度というものを考えないというふうに決断をいたしました際の一つの理由にも相なっているわけでございます。いずれにいたしましても、今回御提案を申し上げておりますのは、市町村におきます広域的な共同的な事務処理についての制度であるわけでございます。
#17
○和田静夫君 議論が結着がつかなかった。したがって提案をされなかった。そうすると、これは自治省のほうは当然引き続いて議論をしながら再度提案をされていく、こういう態度ですか。
#18
○政府委員(宮澤弘君) 今回御審議を願いましてこういう制度が制度化するといたしますれば、こういう制度を府県について適用することの可否につきましては、なお研究を続けていきたいと思っております。
#19
○和田静夫君 そこの研究をこれを前提として続けられると、当然そうなるでしょうが、続けられるとなると、わがほうはなかなかきびしい意見を持っておりますから、簡単にここでこれをのみ込むということになかなかならぬわけですね。そこでどうですかね、これは衆議院を通ってきているのですけれども、府県の問題についてもう少し議論をされて、総体的に結論を出してから法律案を出し直される、こういう態度のほうが首尾一貫するんじゃないですかね。部分的にこの部分だけをいまいじくるなどというようなことでないほうが、いろいろお書きになっているのを読んでみると、頭の中であることと現実法律案をいじくられることとが全く一致する、そういうふうに考えますが、そういうふうにやられる御用意はありませんか。
#20
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど申し上げておりますように、市町村レベルにおきましては、従来の共同処理方式というものからさらに進んだものを考えてほしいという要望もあるわけでございます。それをどう適用していくかということは先ほど来申し上げているとおりでございますが、現実にそういう必要性についての要望があるわけでございますし、私どもはまず市町村段階からと、こういう考え方のもとに、こういう制度を取り入れるというところがあれば大いに取り入れることを期待するというふうなことで始めていってしかるべきであろうと、こういうふうに考えております。
#21
○和田静夫君 府県の問題で議論が尽きなかったということとの関係で、首尾一貫をしていないとはお思いになっているわけですね。
#22
○政府委員(宮澤弘君) 首尾一貫をしていないとは思っておりません。地方制度調査会の答申もございましたし、当初は府県も入れることを考えていたことは先ほども申し上げたとおりでございますけれども、関係各省との話し合いというものがなかなか熟さないということで、今回は提案を見合わせてこれだけを御審議願っているわけでございますけれども、両方そろわなければ理論的に通らない、首尾一貫をしないというものではないと思うのでございます。先ほど来私も申し上げましたように、地域全般の総合的な計画、あるいはそれに基づく共同処理というようなものの熟度というような関係から申しまして、府県と市町村との間にまだ多少の差があるという認識も持っているわけでございます。
#23
○和田静夫君 議論が尽きなかったその主要な点というのはどういうところですか。
#24
○政府委員(宮澤弘君) 先ほどもちょっと御披露を申し上げたわけでございますが、私どもは、府県のレベルにおきまして連合をつくるといった場合に、先ほど来申し上げておりますように、連合というものは一応地域の総合的な計画というものを前提にいたすわけでございます。その場合に、地域の総合的な計画というものは、府県の連合でございますれば当然に関係府県が主体的に作成をするというふうに私どもは理解をし、進めていくつもりであったし、現にそういうつもりであります。しかし、御承知のように、たとえば関東の圏域で申しますならば、首都圏計画というものがございます。これは国の計画でございます。計画の策定過程で地方公共団体なり地方公共団体の機関も参画をいたしますけれども、これが国の計画でございます。そういたしますと、そういう県の区域を越えるような広域的な計画というものにつきまして連合によって策定される自治団体の自主的、主体的な計画、それから、現在ございますような各種の法律に基づきますいわば国の計画というものとが、どういうところでどう調整をされるかというようなことが、いわば議論の中心であったわけでございます。
#25
○和田静夫君 これは主として建設省との関係の意見調整ができなかったわけですか。そういうことですか。
#26
○政府委員(宮澤弘君) おっしゃいますように、建設省あたりもその一つではございましたけれども、運輸省でございますとか、通産省でございますとか、そういう関係省からも、それにつきましてのいろいろな意見が出ていたわけでございます。
#27
○和田静夫君 昭和四十三年のこの地方制度調査会の中間答申では、「社会経済情勢の変化に伴う地方行政の変貌に対処する行財政上の方策を確立するためには、」事務や税源の再配分を行なう、それから「府県制度、市町村制度の基本的なあり方を抜本的に検討することが不可避であると思われる。」、こう述べております。ただ、このときの地方制度調査会は、時間的な余裕がなかったために次期の調査会で引き続いて検討する、そういうことになったわけですね。で、政府は、今回の改正について、市町村の事務組合の変形をあえて連合と呼称をしているだけで、実はたいした改正ではないというような姿勢を示されているようでありますが、実はそう簡単なものではないと、思考すれば思考するほど思うのです。すなわち広域行政の体制の問題を考えるにあたっては、その答申で言っているように、やはり事務の再配分の問題やら、あるいは税源の移譲なんかを、財源の移譲なんかをどうするのだという問題にこれは必然的に突き当たらざるを得ません。広域行政、事務再配分から、財源の移譲というような、一体的なもので、これは切り離すことができないものだと実は思うのですが、政府はこれをどういうふうにお考えになっているわけですか。
#28
○政府委員(宮澤弘君) 私どもも地方自治を充実強化していくというたてまえからいたしますならば、かねてから事務の再配分なり、あるいは税財源の配分、充実ということがきわめて必要なことであるということを強調をし、微力ながら努力をしてまいったわけでございまして、その必要性は現在においてもいささかも変わっていないと思うのでございます。常にこの問題につきましては私ども頭に置きながら、一歩ずつでも努力をしていかなければならぬ問題だと思うのでございます。ただそのことを、今回御提案を申し上げております広域的な事務処理のための一つの仕組みについての制度の改革ということは常に一体的に考えなければならない、あるいは論理的に筋道が通らないというものでは私はなかろうと思うのでございます。事務の再配分、税財源の配分、充実強化というようなことにつきましては、今後も私ども努力をしなければならない点が十分あろうと思うのでございますが、今回御提案を申し上げておりますのは、現在におきます市町村の処理すべき事務の処理のしかたにつきまして、なおより円滑な仕組みを考えていく必要があるということで御提案を申し上げておるわけでございまして、事務の再配分なり、税財源の再配分というものと、今回御提案を申し上げております事務処理の仕組みというものを常に一体的に考えて、それを同時に行なうというようなことでなければ筋道が通らないというようなものというふうには私ども考えていないわけでございます。
#29
○和田静夫君 それじゃすでにこの答申のあった事務の再配分や財源の移譲の問題などには、具体的にはどう対処されるおつもりでいらっしゃるんですか。
#30
○政府委員(宮澤弘君) これは私どもの自治省といたしまして大いに努力をしなければならない点でございますけれども、和田委員も御承知のように自治省だけではできない、関係各省いろいろな利害関係、直接間接の関係のある点でございます。したがいましてそのときどきに応じまして、先ほども申しましたけれども、一歩ずつでも実現に移していかなければならない、こういう問題だろうと思うのでございます。たとえば昨年来のいろいろ公害関係の立法という場合におきましても、私どもは地方制度調査会の答申の考え方、あるいは私どもの従来の主張から申しまして、公害の規制に関する権限を地方団体に移せというようなことを主張いたしまして、これにつきましてはかなりの成果があったというふうに考えておるわけでございます。財源の問題にいたしましても、そのときに応じまして国から府県、あるいは府県から市町村と申しますか、特に市町村の財源充実ということが強調をされております。昨年でございますか、法人税の税率をいじりました際には、その法人税割りにつきまして市町村の財源を充実をするというような方向で措置をいたしたわけでございます。そういうように事務の再配分なり、税財源の充実ということはなかなか一度に全部行なうということはむずかしいのでございます。一歩ずつでもそのときの事情に応じてやっていくということではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#31
○和田静夫君 十三次の答申では、「行政事務再配分を実施するにあたっての地方公共団体の受入れ体制の整備を図る必要があることにかんがみ、当調査会は、さきに答申した地方公共団体の連合に関する制度を含むより総合的かつ弾力的な次のような地方公共団体の連合に関する制度を創立することが適当であると考える。」、こういう文言がありますが、この法律案による連合制度というのは、行政事務再配分を実施するにあたっての地方公共団体の受け入れ体制の整備をはかるものなのかどうかですね。
#32
○政府委員(宮澤弘君) 確かに十三次の答申の中には、地方公共団体の事務再配分を実施するにあたっての地方公共団体の受け入れ体制の整備をはかる必要があることにかんがみ、こういう趣旨の表現が入っているわけでございます。そこで、今回御提案を申し上げておりますものが行政事務再配分を実施するにあたっての地方公共団体の受け入れ体制の整備をはかるということを目的にしているかと、こういう御質問でございますけれども、この点につきましては、私どもはこの連合の制度自身が直ちに行政事務の再配分を実施するにあたっての地方公共団体の受け入れ体制であるというふうには考えないわけでございます。先ほども申し上げておりますけれども、現在の各個の市町村が処理しなければならない事務につきまして、おのおのの市町村が独立で行ないますよりも、関係市町村が共同して、総合的な計画のもとに処理をしたほうが、より円滑に、またサービスもよりよくなるという仕事があるわけでございまして、そういうものがたとえば広域市町村圏というようなものを中心にだんだん促進をされているわけでございます。そういう現在の市町村がやります事務の処理というものをより適切、円滑にいたしますための措置だということに重点を置いて私どもは考えているわけでございます。
#33
○和田静夫君 まあ徐々に、なしくずし的にでも――さっきの答弁ですが、一つずつ行なっていきたい、事務再配分にしてもあるいは財源の問題にしても、ということなんですがね。で、その、言ってみればこの十三次の答申の中でいまたとえば触れた部分などというものをやられる姿勢でもって臨まれるのが至当なわけでしょう。それとも、その関係においては今度の法律案の改正というのは結論的には考えていなかったんだというお答え、そういうことにはならないんじゃないでしょうか。
#34
○政府委員(宮澤弘君) いまの行政事務の再配分を実施するにあたっての地方公共団体の受け入れ体制の整備と本法案の関係でございます。地方制度調査会の答申の中には、先ほど和田委員もお読みになりましたように、そういう趣旨の表現が入っているわけでございますが、同時に、そういうものを受けまして、都道府県というものがいま都道府県がやっております仕事を市町村の連合に対して一定のものは移譲することができるように考えたらいいではないか、こういう規定がそれを受けたものとして入っております。で、おそらく地方制度調査会の考え方というのは、いわばそういう府県から市町村に事務移譲をして、そういたしますと現在の市町村ではなかなか受け切れないという考え方というものが一つの筋としてあったと思うのでございます。今回私どもが御提案をいたしております法律は、そういう府県から市町村への事務移譲というものをこの法律自身として規定をしているわけではございません。先ほども申し上げておりますように、これは現在の市町村が現在の仕事というものを処理し、こなしていくにあたりましての一つの仕組みでございます。したがいまして、その点におきましては地方制度調査会が考えておりましたものよりはまあ後退をしているという言い方がいいかどうかわかりませんけれども、地方制度調査会が考えておりましたものは含んでいないというふうに申し上げたほうが適当であろうかとも思われます。
#35
○和田静夫君 いまの御答弁との関係ですが、地方自治法の二百五十二条の十四によりますと、普通地方公共団体は他の普通地方公共団体に事務の一部を委託することができる、こうなっていますが、この法案では、この自治法の条文の反対解釈として、県は特別地方公共団体としての連合に事務の移譲はできない、こう考えるのがあたりまえなんじゃないですか。
#36
○政府委員(宮澤弘君) あるいは御質問の趣旨を十分了解をしていない御答弁になろうかと思うのでございますが、二百五十二条の十四というのは、ここにございますように特定の事務について、事務処理についての委託ができるという規定でございます。それから先ほど来いろいろお読みになりました事務の再配分あるいは地方制度調査会の答申、十三次の答申におきます「行政事務再配分を実施するにあたっての」云々というような表現でありますとか、あるいは都道府県が都道府県なりその機関の権限に属する事務を連合に移譲することができるようにするというような、こういう考え方なり表現と申しますのは、そもそも事務処理の権限自身、現在都道府県知事なりあるいはそのほかの機関の権限とされておりますものを、その法律の根っこから市町村なり市町村の機関の権限にすべきである、こういう考え方のものでございまして、根拠の法律から変えていって事務の再配分というものを実施をするという考え方のものが地方制度調査会の答申なり何なりの表現になってあらわれている、私はこういうふうに考えていいのではないかと思います。
#37
○和田静夫君 この同じ答申では、「連合は、関係市町村が共同して設置する特別地方公共団体とするが、地域の実情に応じて次のような各種の類型ができるような弾力的な制度とすべきである。」こういうふうにして、(1)、(2)、(3)とあげられているわけですね。これは、答申のこの部分というのは今度の法案で十分尊重されていると考えていいわけですか。
#38
○政府委員(宮澤弘君) 答申の趣旨がなるべく固定的な固いものでなく、地方団体がその地域の実情に応じて自主的にいろいろな形がとれるようにするのが望ましいというところがいわば答申の基本的な考え方だろうと私は思うのでございますが、そういうふうにある程度ものを固定的に、いままでの制度のように固定的に考えませんで、弾力的な余地を残しておくということにつきましては、そういう考え方を入れるようには私どもは努力をいたしたつもりでございます。しかし答申のいろいろ具体的なものにつきましては、必ずしもまだ私どもの判断といたしまして、そういうものを制度化するというようなことは適当ではないのではないかという判断で、落としたものもあるわけでございます。たとえば連合の組織といたしまして、議決機関と執行機関と一緒にしたような、議決権と執行権をあわせ有するような委員会というものもとれるようにしたらどうであろうか、こういう答申がございました。しかし、これらにつきましても、いろいろ内部で検討もいたしたわけでございますけれども、わが国の地方制度は、御承知のように、議決機関、執行機関分立型でこれまできておりますし、単に地方自治法のみならず、ほかの各種の地方行政に関係がございます法律制度も、やはり議決機関、執行機関というものが地方団体においては分立をしておるということを前提に構成をされておるというようなこともございまして、いまこういうような制度を取り入れるということは、なるほど地方団体の実態に即していろいろな制度がとれるというような意味合いにおきましては意義があるかもしれないのでありますけれども、まだ、そこまで踏み切ることは適当でないのではないかというようなことで、今回は、答申にはございますけれども、入れておりませんようなものも幾つかあるわけでございます。
#39
○和田静夫君 いま、(1)、(2)、(3)のうちの(2)、(3)、これは連合の目的意識あるいは広域行政の内容、そういうのにかかわることですから、言ってみれば、その置かれている地域的な実情あるいは行政主体としての判断、意思にかかわることですから、いろいろ類型が考えられることはわかりますが、(1)というのはよくわからない。協議会的性格のものから役場事務組合的性格のものまでの類型、これはどのようなことでしょうかね。この法案のいう連合制度に応じて、ちょっと説明していただきたいと思うのです。
#40
○政府委員(宮澤弘君) この表現自身私も完全に御説明できるかどうか、必ずしも自信がないわけでございますけれども、要するに先ほども申しましたように、幅広いいろいろな選択の余地を持たせておる弾力的な制度にすべきでおるというのが、気持ちの中心になっているのだろうと思います。そこで、地域の一体性の程度に応じて、協議会的性格のものから役場事務組合的な性格のものまでとございますのは、いろいろ仕事を処理するにあたりましても、一体性の程度に応じまして、共同して処理する仕事の量が非常に多いものもございますれば、少ないものもございます。それから仕事を処理するにあたりまして、協議会的性格のものというのは、いわば執行機関同士が相談をしてやるようなもの、それから役場事務組合的性格のものというのは、いわば合併直前に至るもの、こういうことだろうと思うのでありまして、そういういろいろな方式がとられるようなことを考えるべきであるというふうに私は解釈をすべきであろうと思うのでございます。そういたしますというと、もう和田委員も十分御承知のように、現在の共同処理方式におきましては、わりあいにゆるい共同処理体制と申しますか、ルーズな共同処理体制としての協議会というようなものもございますし、それから役場事務組合なり全部事務組合というような制度もあるわけであります。先ほど申しましたように、そこに欠けております重要なものは、現在の一部事務組合につきまして、もう少し実情に即した弾力的な制度が導入できるようにすることが、この趣旨を生かすのではなかろうか、こういうふうに私は解釈をいたしております。
#41
○和田静夫君 そもそも地方自治法の第三章「地方公共団体の組合」という考え方ですが、自治法体系全体の中できわめて異端的な性格を持っている。まず第一に、この組合というのは、憲法九十三条の適用を必ずしも受けなかったり、あるいは規約の設定なり変更あるいは脱退は許可制であったり、それから強制設立の制度があったり、住民自治という面から考えると、あるいは団体自治というような面から考えてみても、自治法の精神に基本的になじまないものを持っていると思うのですけれども、この地方公共団体の組合というものは、沿革等でもいいのですが、どうですか。
#42
○政府委員(宮澤弘君) 地方公共団体の組合、沿革でございますが、これも和田委員十分御承知のように、戦後新しくできた制度ではございません。戦前から地方公共団体、ことに市町村というものが共同して事務を処理する仕組みといたしまして活用をされてきているわけでございます。これと憲法との関係、先ほども和田委員御指摘になりましたように、憲法九十三条と申しますのは、普遍的、一般的な地方公共団体というものを想定をし、前提にした規定であるというふうに解釈をされております。私もそういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、基本的な地方公共団体として、現在地方自治法で都道府県と市町村というものが規定をされているわけであります。その場合に、都道府県なり市町村なりが相互に相談をして、お互いの間で約束事ができました際には共通の事務処理組織をつくるということは、地方自治法の精神になじまないというふうに考える必要はなかろうと私は思っております。
#43
○和田静夫君 戦前の官治的な制度においてはともあれ、戦後の民主的な地方自治制度の中で、たとえば一部事務組合が本来地方公共団体の特定の事務、そういう特定の事務についての共同の処理を目的とするものでありますから、その限りにおいてでしかないわけでしょう、その点はいかがでしょうか。
#44
○政府委員(宮澤弘君) 一部事務組合は、関係地方公共団体が相談をいたしまして、こういう仕事は共同処理をしていこうという場合において成立するわけでございます。したがいまして、関係地方公共団体の合意のもとに、たとえば甲の事務を共同処理していこう、あるいは甲と乙の事務を共同処理していこうというように、そこで関係地方自治団体の間において相談の上、事務が特定されていくわけであります。
#45
○和田静夫君 それから、一部事務組合は本来地方公共団体の特定の事務についての共同処理を目的とするものですね。
#46
○政府委員(宮澤弘君) 一部事務組合をつくります場合には、組合の規約を関係地方公共団体が相談をしてつくるわけでございます。組合の規約の中で、何を共同処理をしていくかというようなものが定まっているわけでございます。
#47
○和田静夫君 私が言ったそのことばというのは、権威ある長野士郎著「逐條地方自治法」そのままなんですが、そうすると、長野さんの解釈が違うわけですかな。
#48
○政府委員(宮澤弘君) 和田委員がおっしゃいましたことに対しまして、私、御答弁を申し上げたのでありますけれども、それと長野氏が書いておりますものとどう違っておりますのか。私は違っていないと思いますけれども、もし違っております点がございますならば、御指摘をいただきまして、それにつきまして私の考え方も申し上げたいと思います。
#49
○和田静夫君 この逐條解説の一二二六ページです。「一部事務組合は、本来地方公共団体の特定の」――「特定の」ですよ。協議してから特定するのじゃなくて――「特定の事務についての共同処理を目的とするものであり、さらに他の一部事務組合に加入することは到底予想されないところである。」
#50
○政府委員(宮澤弘君) その意味は、私はこういうふうに考えるべきだと思うのでございます。「特定の事務」というのが先験的にあるという意味ではなかろうと思うのでございます。地方公共団体が相談をいたしまして――事実もまたそうでございますけれども――たとえば参加市町村で消防の事務を共同処理しようではないか、常備消防の事務を共同して処理しようではないかというような話し合いがまとまりました場合には、そこで消防事務という事務が特定をされてくると思うのでございまして、何かあらかじめ先験的に特定事務があるというものではなかろうと思います。
#51
○和田静夫君 そうですかね。「一部事務組合は、本来地方公共団体の特定の事務」でしょう……。
#52
○政府委員(宮澤弘君) どうも、私は先ほど申し上げた御答弁を繰り返す以外になかろうと思うのでございまして、もう一つの考え方というのは、「地方公共団体の特定の事務」でございますから、地方公共団体の事務の全部を処理するということは、もちろん、これはあり得ないと思うのでございます。しかし、そこで「特定の」と言っておりますのは、そういう意味よりも、むしろ、私が先ほど申しましたように、いろいろな仕事を地方団体がやっておりますうちで、地方団体間で相談ができましたものを共同処理するようになりました場合に、まさにそれが「特定の事務」でございます。同時にそれが地方公共団体の事務の全部に及ぶものではない、一部事務組合でございますから、まさに特定をされていく、まあそういうふうに私は考えていいのではなかろうかと思います。
#53
○和田静夫君 これは一生懸命勉強してかつて試験を受けさせられたのだが、そんな幅広い解釈をだれも教えてくれなかったですけどね。そうですかね。ちょっとくどいようですが、何でも特定できるという解釈ですか。これは長野さんいないけれども。
#54
○政府委員(宮澤弘君) 地方団体のいろいろやっております事務のうちの一部でございますれば、それを共同処理するという約束ができれば、それが「特定の事務」であるというふうに考えまして私はおかしくないだろうと思います。
#55
○和田静夫君 たいへん恐縮ですが、いまこっちにお見えになっておったから答弁聞き漏らしたのだけれども……。
#56
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど申しましたことと趣旨は変わりがないのでありますが、地方公共団体がいろいろな仕事をやっておりますけれども、そのうちの事務の一部、それが、その地域の実情なり関係市町村の話し合いに応じまして何になるかは、まさに実態に応じた運営が行なわれるわけでございますけれども、それを処理しようという場合がまさに特定の事務を共同処理する、こういうことになるだろうと私は思います。
#57
○和田静夫君 これはまあ長野さんの解説によるまでもなく、一部事務組合の制度というのは営造物経営、そういう中から生まれてきたという歴史的な経緯をずっと考えてみると、特定というのは、まあ局長、私はある程度先験的だと思いますがね。
#58
○政府委員(宮澤弘君) おことばを返すようでございますが、私は先験的だとは思っておりません。地方団体、市町村で申しますれば、市町村相互で相談をいたしまして、市町村がもちろん処理をする権限がなければだめでございますけれども、市町村が処理する権限を持っておりますものについて、これを共同処理していこうということになりますれば、そこで共同処理する事務の範囲がはっきりしてまいりますし、まさにそれが市町村の事務の一部であり、それによって共同処理する事務が特定をされたことになると私は思います。
#59
○和田静夫君 あまり繰り返しておってもあれですから、一ぺんちょっと雑談させてもらえば、執筆者の見解も聞いておいてもらえませんか。
#60
○政府委員(宮澤弘君) おことばでございますので、執筆者の見解もただすことにいたします。ただ、私は、見解をただしましてもおそらく私の考えておりますことは間違いないと思いますけれども、しかし、おことばでございますので、見解をただしまして、次回にまた御答弁を申し上げます。
#61
○和田静夫君 連合というのは数市町村にまたがって地域のこの基幹的施設の整備だけではなくて、いろいろの一般行政事務を市町村から委託を受け、それを管理、施行できると、そういう仕組みにいまなっています。現在ある広域市町村圏計画を見てみましても、行政の合理化、あるいはコンピューターの導入を掲げているのが通例なんですね。そうすると、場合によっては、市町村に残される事務というのは非常にわずかで、しかもルーチンなるものに限られ、逆に連合の事務は非常に大きなウエートを占めていく、そういうことも法律上は予想されるわけですね。このことは、市町村を基礎的地方公共団体としている現行法のたてまえから考えてみますと、望ましいことではない、そう思うんです。連合はどこまでも望ましいことでないと思うんですが。
#62
○政府委員(宮澤弘君) 現在地方自治法におきまして、市町村が基礎的地方公共団体でございます。したがいまして、市町村が処理すべき事務は各種各様、非常にたくさんあるわけでございますが、その事務の中で、現実に一つの市町村の区域を越えて共同して処理するのにふさわしい仕事があるわけでございます。現に、各種の一部事務組合が数多くできておりますことはその一つの例証であろうと思うのでございます。そこで、そういう場合に、一部事務組合として連合のほうが基礎的な地方公共団体というふうになっていきはしないかというようなお気持ちの上での御質問では私なかろうかと思うんですけれども、私は少なくとも現在のわが国の地域の実態なり国土なり国民生活の現状というものを考えました場合に、やはり各個の市町村が処理するほうがより適切である、またそのほうが住民に対するサービスも向上できるというような仕事のほうが、まだはるかに多いと思うんでございます。同時に、先ほど来繰り返しておりますように、市町村の区域を越えて共同して処理するほうがより適当なものも出てきている。そういうものにつきまして、市町村が共同して処理する仕組みをこの際さらに制度として充実をしていきたいというのが今回の提案を申し上げております制度でございまして、一部事務組合としての連合の制度を法制化することによって、基礎的な地方団体である市町村と連合との地位というものが逆になるというようなことは私はないと思うのでございます。
#63
○和田静夫君 まだまだあっちこっちの市長さんなんかでも、飛び離れて非常におもしろい人がたくさんいますからね。なかなか一がいに、法律上予想されることが実際的には起こり得ないということが言えるだろうかというと、必ずしもそうではないということを危惧されます。で、連合というのはどこまでも特別地方公共団体であって、普通地方公共団体と主客転倒する、少なくともそのことをきびしく考えてみると、ある意味ではたいへん小児病的かもしれないが、考えられる、主客転倒、そういうのが一般化することが予想をされるという限りは、制度論的に考えてみて、これは許されないことだと思うんですがね、いかがですか。
#64
○政府委員(宮澤弘君) 制度をと申しますか、制度だけで抽象的にまいりますものでもございません。やはり実態に応じた制度というものであるべきだと私は思うのでございますが、そこで、連合というような広域的な事務処理のほうが、先ほど和田委員は主客転倒だというふうにおっしゃいましたけれども、優位に立つと申しますか、主客転倒する事態があり得ないか、こういうことにつきましては、私は少くともいまの現状におきましては、そういう事態はあり得ないと思うのでございます。私がここで現状と申しましたのは、それでは将来、あるいは遠い将来の場合におきましては、これは現在の市町村の性格なり姿なりというものが全く変わらないというふうには言い切れないと思うのでございます。と申しますのは、国土の地域の開発整備の状況、あるいは交通なり通信機関の状況というものも、おそらく五年後には五年後なりに、十年後には十年後なりに変わってくるだろうと思うのでございますし、それにつれまして住民の生活の実態も、あるいは住民の意識というものも変わってくる可能性というものもないとは言えないと思うのであります。そういうように、今後かなり先の、ことに交通、通信機関が発達をいたしまして、日本の国土というものが実態的にかなり狭くなってくる、いまよりもさらに狭くなってくる、状況が飛躍的に変わってくるというような事態をもし想定するといたしますならば、その際にもなお現在のような市町村というものがそのままあるかどうかということにつきましては、そうであるとまでは私は言い切れないと思うのでございますけれども、私の判断といたしましては、それはまだかなり、あるといたしましてもずっと先のことでありまして、やはり現在を前提にして判断をいたしますならば、現在の市町村の区域なり、あるいは市町村で処理するほうがより適切であるというような仕事のほうがはるかに多いというふうに私は考えるわけでございます。
#65
○和田静夫君 あるとしても、まあ、たいへん先のことである。そのことはやはり予想ができないということではない。そうすると、制度論的には、そのことが先のことであっても許容できる状態というものをいま許すということが一体許されるだろうか。
#66
○政府委員(宮澤弘君) 私はかなりの前提を置きまして、将来のことにつきまして多少申し上げただけでございまして、交通、通信機関の発達状況も変わり、国民の生活の中身なり意識というものも変わってくるといいました場合には、私は現在の市町村のみならず、国、地方を通ずる行政制度というものがそれにつれて変わってくる可能性がある、こういうことを申し上げているだけでございます。
#67
○和田静夫君 二百八十四条の解釈ですが、ちょっとお尋ねをしたいのですが、この一項に第三項を除くほかとありますが、ここで第三項を除いた理由というのは。
#68
○政府委員(宮澤弘君) 二百八十四条の冒頭に、「第三項の場合を除く外、」というふうに書いてございます。第三項は「役場事務を共同処理する」、こういう役場事務組合の規定でございます。そこで地方公共団体の組合は、御承知のように、第一項の一部事務組合、それから第二項の全部事務組合、それから第三項の役場事務組合、こういうふうにあるわけでございますが、この役場事務組合につきましては、戦前の制度的な考え方といたしまして、役場事務組合というのは一部事務組合の一種というふうに考えられないこともない、こういう考え方もあったわけでございます。そこで法律の表現といたしましては、「第三項の場合を除く外、」ということで、第一項はいわば純粋の一部事務組合、こういう表現をとっているわけでございます。
#69
○和田静夫君 第四項ですが、これ、いまさら驚いてもしょうがないんですが、こういうことにいまなっておるわけですね。たいへん驚きですけれども、「公益上必要がある場合においては、都道府県知事は、政令の定めるところにより、第一項の規定による市町村及び特別区の組合を設けることができる。」、言ってみれば都道府県知事の意思で一部事務組合あるいは一部事務組合としての連合をいつでもつくるということですね。したがって、この広域市町村圏について言えた申請主義というのは、連合については言えないことになります。これはまさに団体自治の原則に反します。今回の法改正にあたって、もしやられるものならば、あなた方の主張を裏づける最低の線というのは、この二百八十四条の第四項の削除だったんだと思うのです。いかがですか。
#70
○政府委員(宮澤弘君) 第四項の規定は、御承知のように戦前からあった規定でございます。で、戦後におきましては、この規定を実際上働かせた実例は私はないと思います。ただ制度といたしましては、地方公共団体の組合も、特別地方公共団体としての一つの組織でございますので、公益上必要がある場合には、いわば一種の強制設立でございますが、そういうことができるという制度になっているわけでございまして、私どもは通常の場合にこういう規定を今後動かすということはまず予想をしていないところでございます。
#71
○和田静夫君 だから、どうですか、これは法改正にあたって、もう削られることが必要じゃないですかね。いまさらこの辺に気がついたわれわれの側にも問題があるかもしれませんがね。
#72
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど来申し上げておりますように、戦後こういう規定を働かしたことはいままで実例はございませんけれども、しかし制度といたしましては、もし公益上必要がある場合にこういうことができるという規定を残しておいてもよかろうということで、格別削除をしていないわけでございます。
#73
○和田静夫君 どうもやっぱりこれは団体自治の原則に反していますよね、明らかに。反していることをお認めになるんなら、この辺はやっぱり削られる。この辺をサボっちゃいかぬと思うのですね。都合のいいところばかりやる、少しめんどうなところは残しておく。もう少しやっぱり自治の原則というものは大切にすべきではないですか。
#74
○政府委員(宮澤弘君) この規定は、まさにおっしゃいますように、自治の原則に対する一つの例外的な規定でございます。自治の原則と、公益上必要があるということでございますから、いわばそういう国家的な必要と申しますか、そういうものの調整的な規定として設けられているわけでございますけれども、戦後、先ほど申しましたようにそういう必要性というものをいままで感じていなかったことは事実でございますが、自治の原則に対するやはり国家的、公益的な必要との調整規定というものを残しておいても、場合によりまして、こういうことが発動されることは好ましくないのでありますけれども、規定として残しておくこと自身、私どもはこの際これを削除するということは考えなかったわけでございます。
#75
○和田静夫君 この辺、大臣、政治的に考えてみまして好ましくないんですよ。好ましくないと私も思うんですがね。いかがですか、大臣、一ぺん検討を指示されてごらんになるおつもりはありませんか。
#76
○国務大臣(秋田大助君) むずかしい問題を含んでおると思います。ただいま局長からの答弁、一応私も考えておりますが、しかし、これは個人的に十分検討に値する問題であるとは考えております。将来ひとつ相ともに検討いたしてみたいと思います。
#77
○和田静夫君 また長野士郎さんの書物ですが、この一二三一ページにははっきりと、「立法論として、このような強制設立の手続は再考に値すると思う。」と書かれているわけです。で、大臣いま検討を約束をされたわけですが、行政局長のさっきからの答弁を考えてみて、広域市町村圏について言えた申請主義というものが連合については言えないこととの関連で考えてみますと、どうも悪意的じゃないかという感じがしますね。
#78
○政府委員(宮澤弘君) まず、広域市町村圏についての申請主義、確かに申請主義でございます。それから今回の連合は、これも和田委員十分御承知のように、たとえば広域市町村圏の仕事でございますれば、そういう仕事を処理する仕組みを今度は制度化しようということでございます。で、連合自身は一部事務組合でございますので、関係地方団体が協議して規約を定めるというこ、とになっているわけでございます。そこでこの第四項との規定の関連でございます。私先ほど申し上げておりますように、この規定自身、特に広域市町村圏なりそれを中心にしました連合について私は発動されるということはまずあり得ない、こういうふうに申し上げてよかろうと思うのであります。で、この規定自身は、この都道府県知事の権限というのは、いわば私は国の事務を委任をされた国の機関としての権限であろうと思うのであります。その権限の発動につきましては、私どもといたしましても、もしこういうものをやる場合には十分相談がなければいけないわけでございますし、自治大臣といたしましても指揮監督権を持っているわけでございますので、まず、こういう規定が発動されるということは今後もほとんどあり得ないのではないかと思いますし、広域市町村圏につきましてこの規定が発動されるということがこれはもうあり得ないということは、ここではっきり申し上げてよかろうかと思います。
#79
○和田静夫君 まあ、いままではなかった。今後あり得ない。そこであり得ないと言い切れるかということが問題で、この法律ができてしまうと、必ずしも――。私は正常な人、正常な感覚の中では、あり得ないというふうに受け取っていていいと思うんです。何が正常であるかということがたいへん問題でしょうが、しかし、いろいろ奇癖を持った方は御存じのとおりあるわけですからね。なに、ここを一ぺん活用して、などというような発想が生まれる。それと連合という関係でたいへん危険性がありましょう。いかがです。
#80
○政府委員(宮澤弘君) この規定は、元来地方団体の自主的な判断で仕事を共同でやる場合に、関係市町村ではなくして都道府県知事の意思を優先をさせている規定でございます。したがいまして、きわめて発動されるにいたしましても例外的なものであろうと思います。私のいま記憶があるいは間違っているかもしれませんけれども、戦前に恩給組合でございましたか、につきまして、たしかこの規定によって強制設立されたところがどこかあったのではなかったかというふうに記憶をいたしておりますが、これはやはり恩給組合というような、一種の保険計算をいたしまして、関係地方団体全部が加入することによってその仕事の基礎が初めて確立をされるというものでございますので、この規定が発動されたことがあったのではなかったかというふうに記憶いたしておりますが、まさにそういうごく例外的な場合でございまして、通常の場合でございますれば、地方団体の自由意思に基づいて仕事が行なわれるということであろうと思います。また、先ほども私申し上げましたように、この場合の都道府県知事というのは国の機関としての都道府県知事であろうと思います。したがいまして、中央政府としてこれにつきましての指揮監督権を持っているわけでございますので、私どもは、先ほど来御議論になっております広域市町村圏というようなものに関しましてこの規定が発動されるというようなことにつきましては、もちろんそれを許容しないということは、ここではっきり申し上げることができると思います。
#81
○和田静夫君 チェックをする機能があるということを行政局長盛んに主張されるんでありますが、長野さんの一二三二ページによると、「都道府県知事は、議会に諮るのであるが、これは、単に議会の意思を問うだけで、これに拘束されるものではない。」、こうなっておるんですよ。
#82
○政府委員(宮澤弘君) それは制度といたしましては、関係地方団体の意思よりも公益上の必要というものを優先しております規定でございますから、したがいまして、関係地方団体の意思は聞きますけれども、しかし、知事は、公益上必要があれば設立できるという規定でございます。したがいまして、この規定に関する限りは、関係地方団体の意思よりも都道府県知事の意思のほうが優先をいたす、これはもうはっきりそう申し上げるべきだと思います。ただ、都道府県知事がそういう権限を発動することにつきましては、その場合の都道府県知事の権限というのは、国の機関としての事務処理でございます。私どもといたしましても、そういうことのないように十分注意をしていきたいということは先ほど申し上げたとおりでございます。
#83
○和田静夫君 まあこういう言い方がいいかどうかわかりませんが、言ってみれば知事と考え方の違う市長が非常に多く生まれてきていますね。で、その辺のところを公益上の必要という解釈でもってこれを悪用されるという危険性というのは私は十分にある。局長が考えられているように、まあ十分に指導されるでしょうけれども、そんな指導にはそっぽを向くという形が生まれる危険性が十分あるような気がします。これはさっきの大臣の御答弁にありましたが、まあもちろん個人的という前提をつけていらっしゃるんですが、事務当局のほうでも、この辺は自治のやはり原則を守るという観点に立って早急に手をつける必要があると思うんですね、ここの条文。行政局長はそう解釈にばかり拘泥をされずに、本来の宮澤さんにお返りになって、自治を尊重するという立場から、どうです、ここでその辺のところを早急に手をつけるという答弁になりませんか。
#84
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど大臣も答弁申し上げたわけでございますが、今後の検討問題ということにさしていただきたいと思います。
#85
○和田静夫君 二百八十五条に関連してお尋ねをいたしますが、連合制度はその事務として総合的な計画の作成、計画実施のための連絡調整、広域的総合的計画的な事務の共同処理、こういうことが書かれていますが、そこでお伺いしたいのは、この三つの事務をあわせて行なうものでないと、連合をつくることができないのかどうかですね。
#86
○政府委員(宮澤弘君) 連合は、ただいまお示しのように、広域にわたる総合的な計画を作成をいたしますことと、それからそれにつきましての連絡調整をはかりますことと、それから計画というものに基づきました事務を共同的に処理をするというのが連合の中身になっているわけでございます。したがいまして、そういうものが連合としての地位を与えられるわけでございますので、ただ、実際の事務の流れといたしましては、総合的な計画をつくりまして、それからその計画に基づきまして何を共同で処理をしていくか、計画をつくります段階でそのことがはっきりしておりますものもございますけれども、計画をつくりました上で、それに基づいて、それではこの事務を共同処理をしていくというようなこともあり得ると思うのでございます。したがいまして、時間的に見ますならば、計画をつくり、それから少し時間的な経過をおいて共同処理をしていくということがあろうと思うのでございます。そこで、ある一定の時点をとらえますならば、その連合は計画だけをつくっていく、事務の共同処理まではいっていないという時期があろうかと思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、計画に基づいて共同処理する事務があるということが連合の仕事の中身になるわけでございます。
#87
○和田静夫君 たとえば地方自治法の二百五十二条の二によりますと、事務の連絡調整、広域にわたる計画の共同作成のための協議会を設置することができることになっていますね。現にこの自治省の資料によりますと、広域行政機構として地方自治法上の協議会が四十五年の十一月一日現在で六十四あることになっております。そうしますと、この協議会あるいはその他の方法ですでに計画ができた、あとは実施だけだ、また計画は、協議会で連合とは違った構成員で検討をするが、実施は、協議会より簡素な組織の連合をつくってそこでやらせる、そういうような考え方が出てくることも可能ですね。その点いかがですか。
#88
○政府委員(宮澤弘君) これまでの特に広域市町村圏の実態を見ておりますと、ただいま和田委員おっしゃいましたように、現在ございます地方公共団体の事務の共同処理方式を利用をいたしまして、計画をつくったり、共同処理をいたしております。そういたしますと、計画をつくります際には、一部事務組合で計画をつくっておりますものもございますけれども、御指摘のように、地方自治法上の協議会あるいは事実上の協議会で相談して計画をつくっていくものもあるわけでございます。それからその計画に基づいて仕事をいたします場合には、一部事務組合で仕事をいたしているということでございます。そこで、今回この法律案が成立をいたしますならば、事務の共同処理につきましては、先ほども御説明を申し上げましたように、従前の一部事務組合、これがそのまま残るものもございますし、それから幾つかの組合を統合した機構、組織という意味合いにおきまして、連合が活用されることが期待をされるわけでございますが、やはりその前提といたしましては、総合的な計画というものが前提になるわけでございます。そこで、協議会でつくりました計画がいわばこの連合の計画に乗り移っていく、こういうふうに考えるべきであると思います。
#89
○和田静夫君 二百八十六条、関係地方公共団体の協議によって組合の規約を定めたり変更したりすることと、二百九十条との関係がなかなか理解しにくいのですが、これはすなおに解釈して、ここでいわれている協議というのは、規約案なりあるいは規約変更案なりを確定する過程である、そう理解しておいてよろしいですか。
#90
○政府委員(宮澤弘君) 組合につきましては、二百八十六条にございますように、地方団体の数を増減をいたしましたり、あるいは共同処理する事務を変更をいたします場合、そういう場合には規約の変更を伴うことが普通でございますけれども、そういう場合には、構成市町村、連合で申しますれば市町村がメンバーでございますから、構成市町村が相談をしてそういう規約というものを変えていくということでございます。その場合に、構成市町村が相談をするにあたりましては、二百九十条の規定によりまして、関係地方公共団体の議会の議決を経て構成市町村の意思決定をしていく、こういうことでございます。
#91
○和田静夫君 いや、私が聞きたいのは、いわゆる協議というのは規約案なりあるいは規約変更案なりを確定をする過程である、そう理解していいわけですね、これ。
#92
○政府委員(宮澤弘君) 規約の変更というのは、一部事務組合につきましては、都道府県が入っておりますものは自治大臣、市町村だけのものは都道府県知事の許可が必要でございますから、そこに至る、いま和田委員、過程とおっしゃいましたけれども、過程という表現を使わせていただければ、過程としてそういう手続が要るわけでございます。
#93
○和田静夫君 二百八十六条につけ加わった新しい条文ですが、どんなことをしても規約案を確定をする手続というものは省略することができないわけですから、何をもってしてもこの関係地方公共団体の協議にかえることはできない、そうでありますか。論理的にはそう考えていいわけですね。
#94
○政府委員(宮澤弘君) 一部事務組合の規約というのは関係地方公共団体相互の合意の上でできます約束ごとでございます。したがいまして、関係地方公共団体の意思によってつくり、あるいは変更をいたしますのが基本的な考え方でございます。ただ、二百八十六条の後段に書いてございますのは、ある特定の場合におきまして、関係地方公共団体があらかじめ授権をいたして、授権という表現がいいかどうかわかりませんけれども、関係地方公共団体がそういうことにしようというふうに意思をきめております場合には、通常の組合規約の変更、すなわち関係地方公共団体に持ち帰りまして、その議会の議決を経るという手続をなくして、連合の議会の議決で関係地方団体の協議にかえることができる、こういう趣旨の規定でございまして、これは規約で特別の定めをしているというときにのみ動くわけでございます。規約自身は関係地方公共団体が相談をいたします。その場合に関係地方公共団体の議会の議決を経るわけでございますから、そこで関係地方公共団体の議会が、特定の場合には授権をしてもよろしいという意思表示をいたします場合においてのみ、組合の議会の議決をもって関係地方公共団体の協議にかえられる、こういう趣旨のものでございます。
#95
○和田静夫君 いや、そこでさっき確認をしたのだが、そういうことを規約で定めている場合に限る、まあそう書いてあるのですよ。そのことは関係地方公共団体の協議にかえることができる筋合いのものではない。そのことを定めることはできない。これはどんなことをしても規約案を確定する手続というものは省略することはできない。そういう特例を、ここで、規約の変更についていわゆる協議にかえることができるというような条文というものは許容できるものではない。長野さんの解説によっても「現行法のもとにおいては純粋に観念的な区別にすぎず、実益はない。端的には協議の内容は、規約を確定せしめることにつきる」、こうはっきり書いてあります。そうでありませんか。
#96
○政府委員(宮澤弘君) これは関係地方公共団体の意思と全く関係なくそういうことが行なわれますならば、これは格別でございますけれども、ここにございますように、「あらかじめ、連合の規約で特別の定めをしている」場合でございます。しかもその連合の規約というのは、関係地方公共団体の議会の議決を経て定められるわけでございますから、私はこういう規定を設けることはできないというふうには思いません。
#97
○和田静夫君 それから、解釈はわかっているんです、解釈は。私の言うのは、こういうことはきめられる筋合いのものではないじゃないかと言うわけです。規約案を確定をするという手続というものは省略することができるようなものではない。したがって、この新条文というのはそういう抜け道を与えてはいけない。そうじゃないですか。論理的にはそうでしょう。
#98
○政府委員(宮澤弘君) おことばを返すようでございますが、私は論理的にそうだとは思わないのでございます。政策的にそういうことをするのがいいのか悪いのかという御判断でありますれば、それについては私はいろいろな御議論があろうことは想像できます。しかし、論理的に私はこういう規定を置くことが間違っているとは考えないわけでございます。
#99
○和田静夫君 この長野さんの解説の中にありますように、「端的には協議の内容は、規約を確定せしめることにつきる」、こう解説していますね。こう解説している。文章になっているんですけれどもね。みんなこれ読んで一生懸命勉強して試験受けているんですからね。この辺は幅を持たせることはできないと思うんだが、その規約というものを「議会の議決をもって関係地方公共団体の協議に代えることができる。」などというふうにすりかえてしまうということは、いかにそちらで首をひねられても許せることではないと私は思うんですがね、これは。たいへん危険じゃないですか、これは。
#100
○政府委員(宮澤弘君) 協議の内容は、規約を確定させることに尽きるという表現でございますが、私はその表現、間違っているとは思いません。で、先ほど来申し上げておりますように、この場合も連合の規約でそういう規定を設けるかどうかということでございまして、そういう規定を設けること自身の連合の規約も協議にかかるわけでございます。そこで、協議で関係地方団体がそういうことにしよう、議会の議決を経てそういうことにしようということになれば、そういうことも可能であるという規定でございます。きわめて危険ではないかとおっしゃいますが、それは、先ほど私は政策的にこういう規定を入れることがいいかどうかという判断はいろいろの御議論があろうというふうに申し上げたわけでございます。和田委員は危険だという御判断をなさっておられるんだろうと思いますけれども、私はそういう政策的な判断は別にいたしまして、論理的には、繰り返して申し上げますけれども、こういう規定を設けることができないというふうには考えないのでございます。
#101
○和田静夫君 ちょっとこれ考えてみると、こういうことになりませんか。今度は久世さんの「地方自治法」ですね、一三二ページ、「古くから存在する制度としての一部事務組合制度は、広域行政の主体を新しくつくり、これに議決機関としての組合議会を加えることによって、議会の存在を主張したが、その後あらわれた諸制度は、むしろ議会の介入を省くことによって広域行政の能率的処理をはかろうとする傾向にあるのである。協議会方式や機関の共同設置、事務委託方式等は、議会省略型であり、その後考えられた連合方式なども、おおむね執行機関による体制を強化することにより、議会の介入をできるだけ縮小しようとする傾向にある。」ですね。自治省の知恵袋といわれる人たちのどれを読んでみても、私が言う危険性というものはみんな頭の中にお持ちになっておる。おそらくいま答弁されておる方もそう考えていらっしゃるのだろうと思う。連合の議会の議決の過程で、関係地方公共団体の協議が行なわれざるを得ないわけですからね。そうすると、この条文を挿入したというのは、関係地方公共団体の協議を、連合の議会の議決ということばに置きかえたにすぎないでしょう。その意味するところは何かと考えると、これは邪推じゃなくて、関係地方公共団体の議会の議決を省略するということでしょう。そういう傾向にあると久世さんも書いておる。そうすると、そういう意図ははっきりしておるわけですね。この立法の趣旨というのは、関係地方公共団体の議決手続の省略、こういうところにある、こう理解しておいてよろしいでしょうか。
#102
○政府委員(宮澤弘君) 形式的に申し上げれば、関係地方公共団体の議決手続の省略でございます。ただ、私先ほどから何べんも繰り返して申し上げておるわけでございますが、それが法律上当然出てくる、あるいは関係地方団体の意思と関係なく出てきますならば、それはきわめて問題であり、きわめて危険な考えであると私は思うのでありますけれども、あらかじめ連合の規約で特別の定めをしておる場合にのみ、そういうことが動き得るわけでございます。連合の規約というものは関係地方公共団体の相談できまるわけでございますし、その規約は関係地方公共団体の議会の議決を経るわけでございますから、そういう意味合いで、私はこういう規定を入れますことは、これは危険であるということは考えておりません。関係地方公共団体、議会を含めました関係地方公共団体が、そういうことでいこうという場合においてのみこの規定を動かすことができるというふうに考えております。
#103
○和田静夫君 まあ局長、盛んに強調されますがね。しかし、たいへん権威のあるこういう地方自治法の解釈をずっと見ておると、どうも私が考えておるその危険性というのは存在をする。「協議会方式や機関の共同設置、事務委託方式等は、議会省略型であり、その後考えられた連合方式なども、おおむね執行機関による体制を強化することにより、議会の介入をできるだけ縮小しよう」、こういう傾向なんです。これに基づいているわけでしょう、こういう考え方に。こういう考え方がやっぱり大方のものになっていっているんじゃないだろうか、官僚の皆さんの頭の中では。したがって、しろうととしての私たちは、そこにチェックを与えておかないと、大臣、これたいへんなことになるのじゃないかと思うのです。私は地方自治法の自殺行為がここでいま行なわれようとしているのじゃないかとさえ考えるほどなんです。政治家としては真剣にそこのところを、民主主義と自治というものを真剣に考えてみると、簡単にこの法律のテクニックでこれを許容してしまうことにはどうもならないですね。大臣いかがでしょう。
#104
○国務大臣(秋田大助君) これまたなかなかむずかしい問題でございますが、いまおあげになりました各著書の所論の内容につきましては私は悉知をいたしておりませんし、またただいまお読みになったところだけで十分その真意を推測するに私苦しみますが、それとは別に、私個人としてこの二百八十六条の今回の改正点を解釈いたしますれば、先生の御所論のお気持ちはよくわかります。しかし私は、この問題は、先生は直接民主制の制度を厳格に適用しようというお考えに立っての御所論であろうと思います。そこで、宮澤局長が申し、またこの立案の意味するところが、あくまでもこういう組合制度の運用につきまして直接民主政治の意図のもとにその制度をそのまま厳格にしなければならぬかと申しますと、ここにやはり全然民主制を引き忘れておるというならば問題でございますが、ただいま宮澤局長から申し上げましたとおり、「あらかじめ、連合の規約で特別の定めをしているときは、」こういう規定がありまして、いわばまあ間接的に民主政治を適用をしているというのが――私そんなふうな、自己流な解釈かもしれませんが、ごくしろうとくさい議論かもしれません。やはり民主政治の精神はここに残しておる。そこに今回の、一部事務組合という本質を残しながら連合という略称のもとにとられましたこの制度の時勢に応じました措置がとられ、それはただいまこまかな狭義な直接民主政治から、少し間接的なものに移行はしておりますが、民主政治の限界だけは十分守られておる。そこにまた今回改正をする特色と意義があるんだ、こういうふうに私は解釈をいたし、ここにメリットもあるし、ここに民主政治を決して扼殺しているものではないという限界を十分守っておるんだ、こういうふうに解釈をいたしておる次第でございます。
#105
○和田静夫君 これは行政局長、もう一ぺんお尋ねしますがね、そもそも立法の趣旨が、各著述やその他にもあらわれていますように、また前段でお認めになったように、議会による介入の縮小にある以上、二百八十七条第一項の第五号、選挙方法、組合の議会の組織が省略的になることになりますね。このことは何といっても住民自治の原則に照らして問題ではないのだろうか。広域行政という名前に隠れてこういう方向というものに突っ走っていくということを、一体許しておいてよいのだろうかということを考えるのですがね。
#106
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど久世さんの論文など御引用になったわけでございますが、私は今回の改正、特にただいま御指摘、御議論のある点が、議会の介入の縮小であるというふうには考えないのでございまして、関係市町村の議会と全く無関係にこういう措置が行なわれますならば、それはおっしゃいますように議会の介入の縮小であるという所論が成り立つだろうと思うのでございます。しかし、繰り返して申し上げておりますように、こういうことができますのは、連合の規約で特別の定めをしている場合でございまして、連合の規約というのは関係地方公共団体の議会の議決を経て定められるわけでございますから、関係地方公共団体の議会がそういうことをするのが不適当であるというふうな判断をいたしますれば、そういう事態は起こらないわけでございますし、関係地方公共団体の議会がひとつそういうことでいこうという判断をいたしますならば、この規定が動いていくということでございまして、私は、これが議会の介入の縮小であるという御議論は、たいへん恐縮でありますけれども、なかなか私の気持ちの中に入ってこない、こういう感じがいたします。
#107
○和田静夫君 そういう行政指導されませんか。
#108
○政府委員(宮澤弘君) どういう行政指導でございますか。
#109
○和田静夫君 省略の方向、縮小の方向というか……。
#110
○政府委員(宮澤弘君) この規定は法律でもはっきり書いているわけでございますし、連合の規約でございますから、関係地方公共団体の議会の議決がなければそもそも連合の規約の改正として何ら効力を生じていかないわけでございますので、これは行政指導をする、しないより以前の問題だと私思います。
#111
○和田静夫君 いえいえ、私の言っているのは、その規約をつくる規約の原案の中に、ここの部分を予想して、強い指導をされる危険性はありませんかということです。
#112
○政府委員(宮澤弘君) 私は先ほど来、こういう規定を動かします場合も、関係地方公共団体の議会の議決に基づいてこういう規定が動くのだということを申し上げたわけでありますから、関係市町村がこの規定を援用しようという場合におきましても、そう危険がないと思いますけれども、しかし、特にこの規定を活用して関係地方団体が個々の判断をする機会を少なくするようにするような指導をするつもりは全くございません。各地方団体が自主的に判断をして、この規定を動かそうと思う場合には動かしたらいいということだけでございます。
#113
○和田静夫君 その辺の議事録はきちんとどこかへ大書して張っておかないといかぬくらいですね。私はどうもこれが発動されていって――こういう著作の傾向がなければ話は別ですがね。その、もう自治省の頭脳といわれる諸君の書いているのがほとんどそういう傾向にありますからね。ちょっとおかしい、行政局長としては、そう思う、少し書き変えたらどうだろうくらいのことは、一ぺん内部でもって指導してもらう、これは雑談ですがね、必要があるくらいに実は思いますよ。
 二百八十七条によりますと、連合においては管理者を置くか、それにかえて理事会を置くか、どちらでもできることになっています。どういう場合に管理者を置いて、どういう場合に理事会とすることが適当なのか、何か規定をされていますか、どうですか。
#114
○政府委員(宮澤弘君) 格別に法律上も、どういう場合に管理者が適当であり、どういう場合に理事会が適当であるかという規定は設けておりません。御承知のように従前の一部事務組合は独任制の執行機関でございます。管理者制度をとっていたわけでございます。先ほど来いろいろ御議論がございましたように、地方制度調査会の答申の議論も、なるべく弾力的な制度を地方団体の実情判断に基づいてとり得るようにという考え方をいたしているわけでございます。そういうような答申も受けまして、また実際問題といたしまして、たとえば広域市町村圏の実態の運営というようなものを見ておりますと、従前のように執行機関としては管理者制度だけであるという場合になりますと、たとえば広域市町村圏の例で申し上げますならば、中心になります市なり町なりの市長なり町長なりが管理者になるというような例が間々見受けられるわけでありますけれども、その場合に、関係の市町村長全部がやはり執行に参加をしたほうがいいというような事情も、地域によりましてはございます。したがいまして、そういう場合におきましては複数の執行機関、すなわち関係市町村長が理事会を構成をするというような制度というものを活用してもらってもいいと思うのでございます。別にどういう場合は管理者でなければならない、あるいはどういう場合は理事会をとるべきであるというようなことをあらかじめはっきり規定をいたしているわけではないのでございます。
#115
○和田静夫君 この連合の議会の議決の方法というものは、政令で定められるのですか。
#116
○政府委員(宮澤弘君) 連合、基本的には一部事務組合でございます。一部事務組合につきましては、市町村に関する規定が、法律に特別の定めがございません限り、準用されるわけでございます。したがいまして、組合の議会の運営につきましても、原則として通常の市町村の規定が準用されるわけでございます。
#117
○和田静夫君 二百八十七条の二の第二項ですね、これは、少数意見の保護規定ですか。
#118
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど私、申し上げましたこと、多少ことばが足りなかったかと思うのでありますが、法律に特別の定めがない限り準用されるということを申し上げました。ただいま御指摘の二百八十七条の二の第二項の規定は、特別の定めでございます。で、御指摘のようにそういう場合のことを主として考えまして、そういう規定を設けているわけでございます。
#119
○和田静夫君 そうしますと、この規定というのは、議会の決定というものは多数決による方法をそれは前提にしているわけですね。
#120
○政府委員(宮澤弘君) 議会は合議制の機関でございますから、多数決によるのが通例でございますけれども、この場合に、先ほどもお話がございましたように、少数保護的な内容を持ったものを規定することもできるというふうに考えているわけでございます。
#121
○和田静夫君 理事を何人にするか、あるいは議員を何人にするか、その選び方はどうするか、すべて規約できめることと思うのですが、これについて自治省としてはどういうようなことをお考えになっているのですか。全く自主性を尊重して、何らかの方針、基準を立てて行政指導をやることはないと、行なわないと、そういうふうにお考えになっているわけですか。
#122
○政府委員(宮澤弘君) 議会なり執行機関の組織なり選任の方法は、ただいまお示しのように、組合の規約で定められることになっています。
 で、従前一部事務組合につきまして、まあ組合規約の準則的なもの、これはもうかなり前でございますけれども、出したこともございますけれども、それには人数その他のことは規定をいたしておりません。したがいまして、議会のたとえば議員を何人くらいにするかというようなことにつきましては、原則として、私どもは各地域の実情に応じて構成市町村が相談をなさればいいものだ、こういうふうに考えております。ただ、最近、やはり一部事務組合の議会につきましては、いろいろ問題が出ているところもございます。やはり関係市町村というものの意思が十分反映できるような議員の数なり何なり、構成員なりを考えていく必要があるだろうというふうには私ども思っているわけでございます。
#123
○和田静夫君 連合の議員と、管理者または理事者との兼職を認めることの利点はどんなことですか。
#124
○政府委員(宮澤弘君) これにつきましても、先ほども触れたわけでございますが、地方制度調査会の答申も、なるべく弾力的な制度というものを考えていったらいいのではないかというようなことから、議決機関と執行機関、議決権と執行権をあわせ有するような委員会を置く型というようなものも考えていいのではないかというような答申もございます。しかし、それにつきましては、先ほども御答弁を申し上げたわけでございますけれども、やはりわが国の地方制度、あるいは地方制度に関係をいたしますいろいろな制度というものが、議決機関と執行機関が機関としては分立をいたしているということを前提にして構成をされておりますし、また、それにつきましてわれわれ国民も習熟をいたしているということでもございますので、いまそういう制度をにわかに採用するということは私どもは適当でないかと思うのでございます。ただ、土地の事情によりましては、執行機関と議決機関との間に、もちろん機関としては分立をしているわけでございますけれども、橋渡し的なものがあっていいのではないかというような議論もございます。地方制度調査会の答申もございますので、ある限度におきまして、連合におきます議決機関の構成員が執行機関の構成員の職を兼ねられる、こういう規定を設けまして、そういうことが適当であるならば、そういう方法もとり得るという道を開いたわけでございます。
#125
○和田静夫君 こういう改正案を入れられたわけですからね。現行の規定では兼職を禁じていると解釈するわけですね。それであれば、いわゆる禁止をしておったのには、それはそれなりに理由があったと思うのです。そこで、その禁止をしておった理由と、なぜこの連合だけは兼職が許されなければならないのか。対比的にちょっと説明していただけませんか。
#126
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど来申し上げておりますように、わが国の地方制度は、在来、執行機関と議決機関というものは権限的にも、またそれを構成するメンバー、身分的にもはっきり分けるという原則というか、考え方というものでいままできたわけでありますけれども、それに対しまして、もう少しやはり地域の実態に応じて、そうでない型も取り得るようなことをだんだん考えていったらいいではないかという議論、その代表的なものが地方制度調査会の答申であろうと思うのでありますけれども、そういうものも出ているわけであります。で、私どもは、議決機関と執行機関を一緒にするというようなことは、とてもいまのわが国のこれまでの制度の経緯なりなんなりから申しまして取り得ないだろうという判断をいたしたわけでありますけれども、そのうちのある人たちが兼職をするというようなことは、いわば一種の先駆的な試みとして、もしそういうことをとることが必要だという判断をするところがあれば、そういう制度もとり得るような道を開いておくということもいいのではないかという判断で、こういう規定を設けたわけでございます。
#127
○和田静夫君 そこのところはちょっとよくわかりませんから、次回にもう少し突っ込んだ、責任の所在などとの関係なんかも当然出てくるでしょうし、この法律で出てくる役職名は理事、管理者、議員、事務局長、こういうことしか出てきていませんが、その他の組織について、これは政令で定められるでしょうが、これは局長、どういうことを考えていらっしゃるわけですか。
#128
○政府委員(宮澤弘君) 一部事務組合の執行機関の基幹的な組織というものは、先ほども申しましたように、法律の二百八十七条によりまして、規約で定められるということになっているわけでございます。この法律自身では、新しいものといたしまして、理事あるいは事務局長という制度を定めております。それ以外のものにつきましては、組合の規約で、「組合の執行機関の組織及び選任の方法」というところで定められると思うわけでございます。その中身といたしましては、まず従前の一部事務組合におきますものと同様なものが定められるものと予想いたしております。
#129
○和田静夫君 それ、ちょっと具体的に言ってもらうと、どういうことになりますかね。従前の――。
#130
○政府委員(宮澤弘君) 従前の一部事務組合におきましては、組合の管理者というものは法律で定められているわけでございます。そのほかに執行機関といたしましては、助役なり収入役というようなものを定めますし、一般の吏員その他の職員の設置というものも執行系統の一つの組織として定められることになる、こういうふうに考えるわけでございます。
#131
○和田静夫君 事務局長の選任ですが、これは当然議会の同意を必要とするかどうかということを規約によってきめるのでしょうね、これは。
#132
○政府委員(宮澤弘君) 事務局長の選任につきましては、規約できめるわけでございます。
#133
○和田静夫君 そうすると、議会の同意できめるということになれば、特別職、いわゆる事務局長というのは自治省の考え方からいけば助役的なもの、こういうふうにお考えになっているわけですか。
#134
○政府委員(宮澤弘君) 法律上の性格というものは、助役と事務局長とは多少違う面があると思うのでございますけれども、全般的な通常の事務というものの掌理をしていくという意味合いにおきましては、いわば助役的なものというふうにお考えをいただいてもいいかと思うのでございます。
#135
○和田静夫君 事務局長の事務からはずされる重要事項、これはまあ規約できめることになっているわけですが、重要事項というのは一体何ですか。
#136
○政府委員(宮澤弘君) これは連合の運営の基本的なものにかかわるものが中心になるも思うのでございまして、たとえば計画をきめるというようなことに関するものでございますとか、あるいは事務執行に関しましても、条例案あるいは予算案というようなものの作成でございますとか、あるいは重要な財産の処分なり取得なり、あるいは契約の締結なりというようなものが規約できめられることになると思うのでございます。
#137
○和田静夫君 そうしますと、この基準となるものは政令で定められるわけですか。
#138
○政府委員(宮澤弘君) 政令で定めるつもりはございません。規約できめてもらうわけでございます。
#139
○和田静夫君 やっぱり規約で自発的にきめる、それでいいわけですね。
#140
○政府委員(宮澤弘君) そういうことでございます。ただ立法の趣旨が、そういう重要なものというようなものはやはり保留をしておくということでございますから、そういうことの判断は規約できめてもらうということでございます。
#141
○和田静夫君 自治法の二百九十二条についてお聞きをいたします。この二百九十二条は、「地方公共団体の組合については、法律又はこれに基く政令に特別の定があるものを除く外、都道府県の加入するものにあっては都道府県に関する規定、市及び特別区の加入するもので都道府県の加入しないものにあっては市に関する規定、その他のものにあっては町村に関する規定を準用する。」、こうなっているわけですが、そこで、この法律またはこれに基づく政令に特別の定めがない場合でも、たとえば第十条のように準用の余地が全くない条文もあるわけですね。そこでお尋ねをしたいのですが、地方自治法のどの条文とどの条文が準用の余地がないのか、自治省の有権解釈を示していただきたいと思います。
#142
○政府委員(宮澤弘君) 一般的に申しますならば、法令に特別の定めがあるものを除くほか、全般的に町村の加入するものは町村に関する規定が準用になるわけでございます。ただいまお話のように、趣旨上準用にならないものもございます。いまここで地方自治法三百数十条につきまして個別的に全部あげるわけにもまいりませんので、お許しがあれば次回までに申し上げたいと思います。
#143
○和田静夫君 それじゃあさっての質問のときまでにひとつお示しをください。
 さらに、この長野士郎さんの「逐條地方自治法」の一二五三ページなんですが、いまごろくしゃみばかりしているかもしれないね、長野さん。「一部事務組合には原則として直接請求に関する規定は準用されないと解する。」とあるわけです。まあ、いまこの次までとお約束になったのですから、余分なことを申し上げておく必要はないと思うのですが、自治省は準用の余地があっても準用されないと解する条項というのはどれか、どれかというのは次回までに出してもらうとして、そのそれぞれについて、行政局長の合理的な根拠というのをちょっとお示しを願いたいのであります、同時にそのときに。なぜ私はこういう質問をするかといいますと、この法律が動いていきますと、地方自治法の解釈にとってきわめて重要な問題が――先ほど来私疑問点について大臣からもお約束を願ったような、検討を加えなければならない問題も当然ありますが、そのほかにも幾つか出てくると私はいま予想しているわけです。これはあさってお示しになれば議論がかみ合うかかみ合わないかわかりますけれども、そういう意味で、散発的に解釈をすることが許されないと思います。どうもこれだけにはたよっておることができないような状態をさっきからも少し考えさせられるのでありまして、そういう意味で合理的な根拠というものを同時にお示しをいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
#144
○政府委員(宮澤弘君) 準用する場合にどれが準用されるかされないか、規定の趣旨から出るものも多うございますので、はたして御納得がいけることになるかわかりませんけれども、その点につきましては努力をいたしたいと思います。
 そこで、ただいま御質問がございましたので、直接請求に関する問題につきましてはいまここでとりあえず御答弁を申し上げたいと思います。直接請求につきましては、ただいまお話がございました長野さんの著書には、原則として準用されないと解釈をすると、こういうふうに出ているわけでございますが、それにつきまして、考え方を申し上げたいと思うのでございます。
 地方自治法におきましては、先ほど来お話がございますように、法令に特別の定めがなければ、二百九十二条によりまして、市町村の加入いたします一部事務組合につきましては市町村に関する規定が準用されるわけでございます。そういたしますと、まず非常に形式的な議論をいたしますならば、市町村に関する直接請求の規定というものは形の上ではまず準用されるということがまあ第一段になるわけでございますけれども、それが原則として準用されないというふうに解釈をされておりますのは、私はこういうことであろうかと思うのでございます。つまり、原則として準用されないということは、ある場合には準用をされるということを予定をし、予測をいたしているわけでございます。そのある場合と申しますのは、一部事務組合の管理者、それから一部事務組合の議会の議員につきまして、その選任の方法は規約で定められることになっておりますけれども、その規約で、管理者と議会の議員を直接公選にするということが可能なわけでございます。で、直接公選にしております場合におきましては、地方自治法の市町村に関する直接請求の規定が一部事務組合についても準用をされる、こういうことが、先ほど御指摘がございました、原則として準用されない、しかし例外的に準用される場合があるということの趣旨だと私は思うのでございます。そこで、規約によりまして直接公選にしているということは、直接公選でございますから、選挙権を有する者というものが前提になるわけでございます。地方自治法の直接請求の規定は、和田委員御承知のように、市町村の「議員及び長の選挙権を有する者」が直接請求権を持つということから出発をいたしているわけでございます。したがいまして、規約で直接公選にいたしております場合におきましては、まさにその規定がそっくりそのまま乗ってきて、準用される。しかしそれ以外の場合におきましては、直接選挙でないのに、「議員及び長の選挙権を有する者」というものから出発をいたします直接請求の規定が動きようがない、こういうふうに考えられていたと思うのでございます。
 ただ、私考えますのに、地方自治法の直接請求の規定は、大ざっぱに分けますと二つの種類に分かれると思うのであります。一つは、まさに住民が選挙権に基づいて選挙を通じて直接選んだ人たちにつきまして、それをリコールする、呼び返すという規定でございます。それからもう一つは、選挙権に基づきまして市町村の議員なり長なりを選挙いたしまして、その人たちに行政をまかせるわけでございますけれども、日常の行政運営について住民としていろいろ注文をしなければならない場合があるといった場合に、事務監査の請求と条例の制定改廃の請求ができるわけでございます。
 そういうふうに二種類に分けて考えますと、なるほど基本におきましては選挙権を有する者――選挙を前提にした規定ではございますけれども、前者の自分たちが選んだ人を呼び返すということにつきましては、まさに公選というか選挙を前提にしなければそういう規定が動く余地がない。しかし、事務監査の請求なり条例の制定改廃の請求ということにつきましては、自分たちが選んだ人たちを呼び返すわけではないのでございます。そういうことから申しますと、私は在来から、一部事務組合につきましても事務監査の請求なり条例の制定の改廃の請求というものはこれは動かしてもいいんではなかろうか、こういうふうに私、実は個人的には考えていたわけでございます。また、実際問題といたしましても、個々の市町村が処理をしておりました仕事が一部事務組合に移っていった場合に、個々の市町村が処理をしておりますならば事務監査の請求や条例の制定改廃の請求はできるわけでありますけれども、これが一部事務組合に移っていくということのゆえに事務監査の請求や条例の制定改廃の請求ができないということは、私は合理的ではないと思いますし、またそれ自身が、先ほど申しましたように住民が直接公選ということをした人たちを呼び返す制度ではございません。そういうことから申しまして、私はかねてから、一部事務組合というものにつきまして事務監査の請求や条例の制定改廃の請求について、直接公選をいたしております先ほどの例外的な場合は別にいたしまして、消極に解されていたということにつきましてはかねて疑問を持っていたわけでございます。そういうこともございますし、今回連合ということで、一部事務組合よりはやや、やはり仕事が量、質の面におきましても増加をしてまいります制度を考えるわけでございます。事務監査の請求と条例の制定改廃の請求につきましては、それができるようなことを考えるべきではないかというふうに私は思っているわけでございます。それが準用という規定だけで読み切れるかどうかということにつきましては、これは非常に法律技術的な面で問題がございますので、今回二百九十三条の二の規定を置きましたのも、準用の規定と二百九十三条の二の規定をあわせまして、ただいま申しました事務監査の請求と条例の制定改廃の請求につきましては、一部事務組合に対しまして住民が権利を行使できるような手続的な規定を定めていこうと、こういう気持ちを持っているからでございます。
#145
○和田静夫君 いまのやつ、あさって出されたのじゃ――私ちょっと検討する時間をいただきたいですからね、あしたじゅうにはできましょうね。あしたの四時ごろ、いまごろまでにはいただけますか。
#146
○政府委員(宮澤弘君) なるべく御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
#147
○委員長(若林正武君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#148
○委員長(若林正武君) 速記を起こして。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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