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1970/05/19 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 地方行政委員会 第19号
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1970/05/19 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 地方行政委員会 第19号

#1
第065回国会 地方行政委員会 第19号
昭和四十六年五月十九日(水曜日)
   午後一時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     加瀬  完君     千葉千代世君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         若林 正武君
    理 事
                熊谷太三郎君
                増田  盛君
                藤原 房雄君
    委 員
                中村喜四郎君
                鍋島 直紹君
                初村滝一郎君
                山崎 竜男君
                吉武 恵市君
                竹田 四郎君
                千葉千代世君
                和田 静夫君
                市川 房枝君
   政府委員
       自治省行政局長  宮澤  弘君
   事務局長
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
   参考人
       全国市長会評議
       員        森  昌也君
       全国町村議会議
       長会理事     黒田 義夫君
       全日本自治体労
       働組合副中央執
       行委員長     丸山 康雄君
       早稲田大学教授  時岡  弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(若林正武君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、加瀬完君が委員を辞任され、その補欠として千葉千代世君が選任されました。
#3
○委員長(若林正武君) 地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本法律案につきまして参考人の方々から御意見を伺います。
 参考人の方々には、本日お忙しいところを御出席いただき、まことにありがとうございます。これより参考人の方々の御意見を伺うのでありますが、初めにお一人十五分程度でお述べをいただき、続いて委員の質問にお答えを願うことにいたしておりますので了承願います。
 それでは、まず森参考人にお願いをいたします。
#4
○参考人(森昌也君) ただいま御指名のありました島田市長の森でございます。本日は、ただいま委員会で御審議中の地方自治法の一部を改正する法律案に関しまして、全国市長会を代表して参考人としての意見を述べさせていただきます機会をお与えくださいましたことを感謝申し上げますとともに、委員の諸先生方におかれましては、常日ごろ地方自治の振興のために格段の御尽力をいただいておりますることをまずもって厚くお礼を申し上げます。
 この法案につきましては、お手元に全国市長会の要望を配付させていただいておりますが、全国市長会といたしましては、本法案の早期成立を強く要望をいたしておる次第でございます。私もたまたまこの法案に考えられておりまする広域市町村圏の広域行政機構の管理者をいたしておりますので、その立場からも、現行の一部事務組合の実態にかんがみまして、この法案の趣旨には全面的に賛成をいたしておる次第でございます。以下その理由を順を追うて申し上げたいと存じます。
 すでにもう先生方御承知のとおり、地方の住民の生活は、最近の交通事情の発達、あるいは産業の発展の状況、その他住民の生活の拡大というふうな点からいたしまして、住民の日常生活圏というものは日に日に拡大いたしつつあるのでございます。これに対応いたしまして、行政需要の内容もまことに多様化してまいってきております。したがいまして、国民は必ずいずれかの市町村民であると存じますけれども、そういう立場から、住民はいずれも広域にわたるところの効率的な行政を要求をいたしておるのでございます。
 御承知のように、こうした事態に対処いたしまする行政の側からのやり方といたしましては、第一に合併がございます。日常の住民の生活圏が市町村の区域をすでに越えて拡大をいたしておりますので、これに対しては、第一の方法としては合併がございます。しかし、なかなかこの合併というのは、いろいろ伝統的な生活の習慣もございますし、そう簡単に合併が実現するとは考えられないのでございます。で、きわめて簡易な方法としては協議会方式がございます。しかし、この協議会方式というのは、これは今度は逆に各市町村のそれぞれの利益を主張し合うという点から、あまり効果をあげておらないようでございます。
 その合併と協議会方式との中間に、私どもが考えております、あるいは実行しておりまするところの広域行政機構として、先般、国から打ち出されました、これは非常に私はすぐれた考え方であると存じますけれども、広域市町村圏という考え方があるわけでございます。それで、この広域市町村圏を打ち出してまいりまする、実際にこれをやっていくためには、当面、現行の形では一部事務組合、自治法に規定されておりまするところの一部事務組合の方式によるということにされておるのでございますが、私が実際に広域市町村圏を運営をいたすことになっておるわけでありますが、昨年一カ年かかりまして、私のところは一市六町の市町村圏をつくっておりますが、一年かかりまして、計画を共同で立案をいたしております。で、四十六年度からいよいよ実際に仕事に入るわけでございますが、その過程におきまして痛感をいたしましたのは、現行の一部事務組合によってこの広域市町村圏を確立をしようという場合には、幾つかの問題点があるわけでございまして、その問題点を解決をしてほんとうに実情に即した形にしていくという意味におきまして、この法案に盛られておりまするところの連合の形というものはきわめて私は妥当な考え方であると存じておる次第であります。その点、なぜ妥当と考えるかという点を、以下一、二申し上げさせていただきたいと存じます。
 第一の点は、現在の一部事務組合のやり方から申しますると、たとえば私のところを例にとりますると、市長が一名、町長が六名ございます。この人たちはいずれも理事者でございます。ところが現在の一部事務組合の方式からいたしますると、私は中核都市の市長として管理者になっておりますが、あとの町長さんたちはいずれも一部事務組合の議会の議員となるほかないのであります。この点は、執行機関と議決機関をはっきり分けるという考え方からいたしますると問題があるわけでございまして、その点、私はかなり県の地方課とも折衝をいたしまして、私のところの独自の行き方として、事業委員会というものを広域市町村圏の規約の中につくりまして、六名の町長はいずれも事業委員会に所属をいたしまして、理事者側に立って、私と常に委員会を開きつつ、その委員会の結論を私が管理者として広域市町村圏組合の議会に提案をするという方法をとっております。これは、しかし、現行の法律のきわめて不十分な点を実際的に補っておるやり方でございまして、この点は、この法案の中に理事会という制度が設けられておるという点は、まことに筋の通った、実情に合ったやり方であると存じます。もちろんこの理事会のやり方につきましては、この法案をしさいに検討いたしますと、なお一、二の問題点があることを私感じておりますけれども、それはまた後ほど申し上げます。
 第二にこの法案のすぐれておる点を申し上げますと、一部事務組合に対する考え方でございます。私のところは一市六町、人口約十五万、面積約九百平方キロの圏域でございますが、その中に、従前からこの地域に属するところの市あるいは町が、圏域外の町あるいは圏域内で相互につくっておりまする事務組合の数は十七ございます。そうしてそれは、たとえば屎尿処理、水防組合、あるいは精薄者に対する施設、あるいは上水道、道路、中学校、養老院、隔離病舎、あるいはその他の衛生施設、消防、国民年金と、こういう各般にわたる仕事につきましてそれぞれ一部事務組合を設けておるわけでございます。その数が十七ございます。それから、広域市町村圏をつくることによりまして新たな仕事をやってまいるわけでございますが、この広域市町村圏事業に関して私どもが構想いたしておりまするところの一部事務組合は九つございます、新しいものが。その九つの中で、この圏域全体を対象とするものが四つございまして、圏域の中で一部の町同士あるいは市と町というふろに考えられておりまするものが五つございます。そういたしますと、一部のものだけが従前から十七、さらに五つが加わりまして二十二の一部事務組合が一つの広域市町村圏の圏域の中に存在をすると、こういうことになるわけでございます。これは行政的にもあるいは経費の面から申しましても非常に不合理なことでございまして、この点は、この法案におきましては、これをいろいろ一部事務組合の議会の議決につきましても特例を設ける等のいろいろな措置がございまして、一つに統一をしていくことができるとこういう措置がとられておるのでございます。この点は、まさに地方における住民の生活の実態あるいは地方の行政機構の運営の実態に即応したすぐれた考え方であるというふうに私は存じます。それで、昭和四十四年度に設定をされまして、昨年度からすでに整備事業を実施をしておる圏域は全国に五十五ございます。広域市町村圏でございます。それから四十五年、私どもとともにやろうとしておるのが七十三でございますか、本年度設定予定の来年度から事業に入るものが新たに九十五と言われておるわけでございますが、この四十四年度だけとりましても、五十五の圏域の中にありまするところの一部事務組合の数というのは三百六十でございますか、非常に多くの事務組合が存在をして、お互いにたいへん煩瑣な仕事をその運営上やらされておる、こういう事態になっておりますので、この法案によりましてこれらが統一されていくことができるということは非常に大きな利益をもたらすものであろうと、このように考える次第でございます。
 以上、私はこの法案の特に連合の問題につきましては賛成をいたす理由を申し上げたのでございますが、ただ、この法案が決定をされたといたしまして、実現をしていく場合に起こる問題点を多少申し上げまして、なお御審議をいただきたいと思うのでございますが、それは、この連合という考え方が、たとえば第八次の昭和三十七年の地方制度調査会の答申にございますような「構成団体からの独立性の強い特別地方公共団体」として何らかの機構を考えよという考え方がございますが、これは私は反対でございます。やはり市町村の自主性というものは、どこまでも住民と密着をしたところの地方公共団体として尊重されるべきであると考えますので、この第十三次の地方制度調査会の答申には、むしろこれよりもすっかり内容を変えまして、市町村の自主性を尊重するという形におきまして連合が考えられておるようでございますので、その点は私はたいへんけっこうだと思っておる次第でございます。したがって、この連合が構成団体から全く独立したような運営に入っていくことにつきましては、私どもはやはりよほど気をつけなければいかぬというふうに考える次第でございます。
 それから、連合の理事者と議会の関係でございますが、この法案の中には、理事者側のものが議員を兼ねることができるというふうな規定がいたしてございます。これは御承知のように、すでに地方制度調査会等のほうからも御意見が出ておりまするように、運営について三つのタイプがございます。それは、一つは、理事者側と議会とがはっきり対立をしておるというタイプ。もう一つは、両方が一つとなりまして、たとえばアメリカにおけるコミッションの形のような委員会の形になっていくという考え方。あるいはもう一つは、理事者あるいは議会の権限を比較的多目に事務局長に委任をしていこうという、たとえばアメリカにおけるカウンセル・マネージャー・システムのようなそういう考え方。この三つのものが混然として取り入れられておるような感じを受けるわけでございますが、この点は地方制度調査会等の御意見にありまするように、その三つのタイプの選択の自由を認めるというふうなことにしていただきますか、あるいはその三つの中のどのタイプにするかということをはっきり明確に定めるか、そのいずれかにいたしませんと、私は混乱が起きるような気がいたします。しかしこれは運営上の問題でございまして、連合そのものの本質をそこなうものではないと私は考えておる次第でございます。そういう問題。
 それからさらに、これをかりに実施していきます場合に起こってくる問題といたしましては、一部事務組合を統一をしていく場合に、現在、先ほど申し上げましたようなたくさんの一部事務組合が持っておるところの財産の処分、同時にまた、現在のやり方で申しますると、これを統一した場合には起債の早期繰り上げ償還等が要求されるという問題が事務的に出てくるようでございますので、この点は国のほうにおかれまして、ひとつそういうふうな混乱が起きないように十分のお手当てをなさっていただくことが必要であるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なお、この連合によりまして市町村の自主性が著しく阻害されるのではなかろうかというふうな考え方も私ども議論をいたしたわけでございますが、この点は、私は、冒頭申し上げましたように、あまりこの自主性を強調いたしますると、広域の行政については協議会方式において見られましたように何ら全体としての能率も上がらず、大した実効はない、こういう結果になるわけでございまして、またあまりこれを自主性を阻害するような形になりますと、一種のスーパーガバメントのような、あるいは極端にいけば合併そのものになってしまうような、市町村の自主性そのものの否定と、こういう結果になる危険もございます。しかし、この法案に盛られておりまするところの、各構成団体の議会から議員が出まして、そしてこの一部事務組合の議会を構成をするというふうな形になっておりまするので、かりにその一部事務組合の議決をもって各構成団体の市議会あるいは町議会等の議決にかえるという規定がありましても、これはそれぞれの議会から議員が参加をしておるという形、あるいはまた、この理事会において各構成団体の首長が参加をしておるという形、あるいはまた、財政的な財源として分担金の議決を市町村のそれぞれの構成団体の議会が議決をしなければならぬ、こういうふうな点におきまして、この形でありまするならば市町村の自主性が著しく阻害をされるという憂いは私はないのではなかろうか。要はやはり運営の問題となると存じます。
 以上の点で、実施上一、二気をつけなければならない点はあるといたしましても、全体としては、この法案がねらっておられるところの点はきわめて地方の住民の要求に即応したものであり、地方の行政の実態に起こっておるところの諸問題を解決する上にきわめて有益な法案であると私は考えますので、以上、簡単でございますが、御指名によりまして卑見を述べさせていただいた次第でございます。よろしくお願いいたします。
#5
○委員長(若林正武君) ありがとうございました。
 次に、黒田参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(黒田義夫君) ただいま御指名を受けました私が岡山県の久米町議会議長の黒田と申します。常日ごろ先生方には地方自治発展のために強い御指導と御援助をいただきまして、この席をかりまして厚くお礼を申し上げたい、このように思う次第でございます。
 本日は、地方自治法の一部改正に伴う町村議会の立場からの意見を述べさしていただくわけでございますが、私は結論から申しますと、ただいま御審議になっておりますこの法案に盛られた内容、骨子等は、現況の状態から申しまして賛成を申し上げる一人でございます。
 御承知のとおり、市町村を取り巻く環境の変化と申しますか、最近の著しい変遷は、全国的な都市化の方向に向きつつあるという現況でございますし、したがって地域住民の日常生活におきましても、それがすべての面におきまして広域化の様相を呈しておるという実情でございます。これに対処をいたしまして、それぞれ市町村の行政をあずかる者といたしましては、何らかの形で住民の生活水準の向上に即応するような行政がしかれなければなりません。この意味におきましても、眠れる社会資本をどのように活用し、あるいはそうした多くの地域の住民の利益、しあわせ、これを最大公約数あるいは共通点に置いて、高め守っていくかということが現在の一番大きい行政の問題になりつつあると思うのでございます。これをいろいろ必要な条件から検討いたしますと、たとえば市町村の区域を越えた共通の住民の願いであります衛生設備あるいは病院、学校その他いろいろな公共設備が旧来の町村の規模の中におきましては完全なものが実現できないという悩みを持ちつつ日をたっておったのが、旧来の特に山間僻地に住む町村民の姿であったと思います。ところが、昭和四十四年に広域市町村圏というものの施策が講じられまして、各種の財政援助等が国から市町村におりてまいったわけでございますが、まことに私は時宜を得た方途であったと、このように考えております。
 私自身岡山県の町村議会議長会の会長も兼ねておりまして、特に私のおります地域が中国山地でございまして、七万五千の津山市を中心といたしました周辺十四カ町村が加わりまして、いわゆる百二十八の全国の区域の中に入ったのでございます。私どもの地域におきましては、そうした岡山県におきましても一番北部に位をいたしまして、特に過疎現象の激しい地域でございます。したがって、そうした過疎地域に住む住民といえども、今日の生活の要求は、屎尿処理にいたしましても、あるいはじんかい処理にいたしましても、あるいは若干参っております企業進出等による公害の将来に対する問題にいたしましても、学校の問題につきましても、いまなお多くの一部事務組合であるとか協議会その他の方式であるとかというものでやられておるわけでございますが、最近非常にそうした一部事務組合等の事務が煩瑣になりまして、何とかひとつ画一的な総合的なものをつくっていかなければならぬのではないかということは、これは国が法律を改正するまでもなく、これまでやってまいりました経験の上から申しましても問題になってきておったわけでございます。なお、広域市町村圏の行政機構といたしまして、一部事務組合であるとかあるいは協議会であるとかいうものを計画してそれぞれやっておりましても、さっき申し上げましたように数多くの組織を必要とするという方向になってまいりますと、何らかの形でひとつ、連合という名前で呼ぶのがいいのか悪いのかわかりませんけれども、そういういわゆる専門的な技術を持ちあるいは経験を持つ人々にある意味では委託するような形で、ある意味では町村の自主性を喪失しないという形の中から、問題の処理を急ぐのが目下の急務ではなかろうかと、このように思う次第でございます。
 試みに、私の出身地である地域の状態を申し上げますと、一市十四町村によって行なわれております津山圏と申しますが、この中には組合方式で処理をやっておりますものが十四ございます。それから協議会方式が二つございます。そういう中で、いまなおあらためて情報センターというものを、これは町村のいろいろな問題を計数的に打ち出すいわゆる情報センターでございますが、こういうものが協議会方式でやられております。さらに屎尿処理等がそういう形をとっております。学校関係はほとんどが協議会方式でございます。さらにじんかい処理等の問題は、この一市十四町村を三つの区域に分けまして、それぞれいまやりつつありまするが、いずれにいたしましても、一つ一つ全部、組合方式とか協議会方式というかっこうをとってまいりますと、かえって多くの人件費を食い、さらにほんとうの意味での専門的な処理ができない、こういう悲しみがあるわけでございます。ただ、私は議会の議員という立場から、旧来、こういうことをやっておれば町村における議会政治という多くの発言の機会というものが失なわれるのじゃないかというおそれを持っておったわけでございまするが、しかしながらこのきわめてスピード化せられた時代の流れに対しましては、こうする以外には方法がないのではないかということで、試みに一昨日じんかい処理に関する一件が久米町議会の第三回臨時議会に上程になったわけでございますが、それぞれ政党に属する議員さんもおられますけれども、万場一致でもってこれを可決するというところまできておるのでございます。このことは、じんかい処理あるいは屎尿処理等につきまして、都市の生活も農山村の生活も同じ条件になりつつある。したがってこのことのいわゆる解決が一日も早くやられなければならぬのだという形の中で、そういう方向に向いておるのではなかろうかと、このように考えておるわけでございます。
 なお、むずかしいことは私にはわかりませんけれども、私も二十四年間町村議会に籍を置いております。なお、かつて二期、村長という立地で執行機関にもおりましたが、そういう意味で、非常に時代の流れがスピードを増しまして、農山村における生活様式も都市の様式も同じである。そうなれば、貧しい村であろうと、富める町であろうと、過疎の市であろうと、過密の市であろうと、町村であろうと、同じような問題を何らかの形において共通面あるいは最大公約数で解決しなければならぬというのが現実における町村の議会の政治でなければならぬ、このようにはだで感じるわけでございます。したがって、旧来のようないわゆる組合方式であるとか協議会方式とかいうふうなものが、連合という名において、総合的に、さらにより効率的にとり行なわれるなれば、地方町村の行政の上に非常に明るいものを来たすのではないかと、このように考えます。したがって、このたびの法の改正は私は現実の問題として当然賛成すべきものだと、このように考えます。ただ、いろいろな、発言の機会であるとか、少数精鋭のかっこうになるとかいう一部声もございましたけれども、さっき申し上げるような、今日の私どもの住んでおる地域では、もはやそういう問題ではない。町村の境を越えて地域住民の要求を満たしていくという方向こそがほんとうの政治の、衆に対する利益の擁護というかっこうではないかという方向に変わりつつありますことを強調しておきます。
 以上いろいろ申し上げましたが、その意味において、本案について賛成の意を表します。
#7
○委員長(若林正武君) ありがとうございました。
 次に、丸山参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(丸山康雄君) 丸山でございます。
 私は、地方自治体に働く労働者の結集体であります全日本自治団体労働組合を代表し、ただいま当委員会で審議されております地方自治法の一部を改正する法律案に反対する立場で意見を申し述べたいと思います。
 このことは、今日地方自治体問題が七〇年代の最も重要な課題といわれ、この中で人間回復、住民福祉の増大と住民参加による自治体づくりが強調されているときに、地方制度に基本的な変革をもたらす自治体連合方式を採用する立法措置には、日本国憲法に基づく民主的地方自治の確立の方向にマイナスの影響を与える多くの問題点を含んでおり、さらに、地方自治を住民の手に取り戻すために日夜、微力ではありますが努力をしている公務員労働者の権利と結社の自由に大きな障害を与えることになるからにほかなりません。
 次に、この法律案に反対する主要な柱について申し上げたいと思います。
 その第一は、この改正案にあります連合方式が提案されるに至る経過と背景についてであります。昭和四十四年五月に閣議決定をみました新全国総合開発計画は、広域生活圏を地域開発の基準単位とすることを明らかにし、これに基づいて広域市町村圏振興整備措置要綱による広域市町村圏づくりが自治省の施策として登場してまいりました。昭和四十四年度に五十五、四十五年度に七十三圏域の設定を終わり、四十六年度は九十五圏域が予定され、最終計画といわれる三百四十カ所程度の完了は目睫に迫るという、非常に早いテンポで行政指導先行による自治体の改革が行なわれているのであります。
 そらして、今回の連合法案はこの施策を積極的に推進するための法律的根拠を与えるものであると考えられるのであります。本年二月ごろ、自治省が省議で一度は決定したと言われておりますいわゆる「公社・連合法案」、これが急ぎ手直しをされ、今回の改正案を提案することになった経緯から考えてみても、このことを推測することができますし、さらに、すでに進められております広域市町村圏の施策にも多くの問題を含んでおることを指摘しなければなりません。
 たとえば、圏域設定における市町村の自主性について見た場合、圏域設定は、当然のことでありますが、関係市町村の自主的協議と判断によるものと考えられますが、自治省の指導は、それを都道府県知事の権限であるとし、さらに、あらかじめ自治大臣との協議によることと規定しております。地方自治と民主主義を尊重する立場より、依然、権力的な、上からの圏域設定をとっているとしか考えられないのであります。また、広域市町村圏の前提になる日常社会生活圏の確認についても、自治省の指導は、いたずらに過去の経緯にとらわれることなく、できる限り客観的な資料に基づき、かつ科学的な手法を用いて区域を設定することを強調しております。このことは、具体的な地域の実情に応じてその態様が異なるので、それぞれの地域の自主的判断によることとすべきであるという地方制度調査会の答申内容をもある意味では阻害する結果となっているのであります。このことは、自治体関係者の多くがこの圏域指定に疑点を持ちながらも、わずかばかりの財政措置にひかれ、背に腹はかえられないといった心情から参加しているという実体から、このこともうかがい知ることができるのであります。さらに、事業実施にあたって地方債の優先的許可、地方交付税の特別措置をてことして、一そう中央集権的政治支配が強化されることになり、中央指導型による自治が進められ、ますます地方自治を住民の側から遠ざける結果となることは間違いのないところであります。このように、地方自治の民主的確立にとって多くの問題点を持っております広域市町村圏づくりに積極的に法律的根拠を与える連合方式の採用には、どうしても賛成できないのであります。
 第二は、改正法案の内容についてであります。この改正案は、従来の一部事務組合の複合にすぎないと説明されておりますが、その性格は本質的に全く違うものであると考えられます。この連合方式は、広域にわたる総合計画の作成、その実施のための連絡調整、さらに総合的かつ計画的な事務の共同処理を目ざしております。いままでは特定の事務についてのみ許可されていた事務組合方式が、規約に定めておきさえすれば、市町村事務全体にわたって可能となるわけであります。このことは、市町村行政に対する議会を通じての住民統制を不可能にしていくものであり、地方自治の重大な侵害を意味するものであります。まして住民の直接統制としてのリコール権の行使が不可能とされている以上、戦前の官治制度への逆戻りという危機をはらむものと考えられます。また、財政制度についても、これまでは特定事務にかかってきた負担金が、包括的なものとして強制賦課されることになります。自治法第二百八十四条の四項で、知事が公益上必要と認める場合、市町村に加入を強制し得るということになっている以上、自治制度上まさに本質的な改正と言わなければなりません。
 この本質的自治体の変革の意味するところは、一度規約が制定されたあとは、すべて少数の代表で構成する連合議会の議決によって行政の執行が行なわれ、管理者のかわりに置かれる理事会の理事は、連合議会の議員が兼ねられるわけですから、一そう少数者に権限の集中が行なわれることになるのであります。
 また、事務局長に理事会の執行権限を包括的に委任することを常例とするという規定は、官僚の天下りとも関連づけて考えないわけにはまいりません。また、最近の傾向として増大しております病院、老人ホーム、保育所などの社会福祉施設、上下水道一清掃、終末処理など、都市の環境整備事業が連合の共同事業として取り上げられることになると思われますが、これらの事業は日常住民の生活と直結しているだけに、この中でとられる企業主義的運営の強化や受益者負担が財政上の要請となり、この結果、住民参加、発言権は制限される反面、料金の増高をしいられ、そこに働く労働者は、首切りとか、あるいは賃下げに追いやられる傾向が一そう増大することが予想され、大きな問題となることは間違いありません。
 第三は、これら連合で働く労働者の権利、労働条件及び結社の自由について申し上げたいと思います。連合の労働者は、各関係市町村から転出するか、あるいは直接採用のものによって構成されることとなると考えられますが、この場合、賃金、労働条件の決定方法が大きな問題であります。すでに町村合併の際でも問題がありましたが、連合の場合には、本来の自治体があるだかに一そう複雑になってきます。また現行地公法により、異なる自治体の職員と混合して職員団体を結成した場合、その団体は登録はされず、在籍専従も置けず、法人格も与えられません。在来の市町村の事業が一部切り離されて連合をつくった場合、その労働者は、所属職員団体をそのままとすれば、本来の団体の登録が取り消され、別に新しく連合に職員団体を結成すれば、従来の長い間の努力による賃金、労働条件や労働慣行は一挙に失われる危険を生ずることになります。本来、結社の自由、団結権は、その労働団体の自由な意思で範囲、運用がきめられ、行政上差別があってはならないと考えますが、自治体の範囲の変更により、この団結の自由が阻害をされること、このことについて何の保証も講じられていない本法律案にはどうあっても同意するわけにはまいりません。また、共済組合の帰属問題について考えてまいりましても、現に地方公務員の中には、地方公務員共済組合法、いわゆる短期の該当者と、健康保険組合、それぞれに分かれて加入しておりますが、連合の場合の取り扱いが不明確であり、関係労働者にとっても非常に不安となる問題であります。
 以上申し述べましたように、連合方式を採用する本法案は、地方自治の民主的確立の方向に背を向け、一そう中央集権的傾向を強化するものであると考えられます。都道府県合併、道州制への方向を目ざす地方自治制度の改悪に連なるものであり、七〇年代における住民参加の自治体づくりをめざす多くの国民の期待に反するものと考えられます。私たちは行政の広域化にすべて反対するものではありませんが、本来、広域行政は住民の意思を出発点とし、地域自治体の自主的、民主的話し合いの中から促進をはかるべきであると考えます。住民の直接請求やリコール制度は、いずれの場合もこれを保障することが前提でなければならず、さらに直接住民代表による審議機関を付設するなど、住民参加の方式を採用すべきことは当然のことと考えます。私たち自治労は、結成以来、「地方自治を住民の手に」を合いことばに、地方自治体の民主化に努力を続けてまいりましたし、今後も続ける覚悟でありますので、自治体労働者の声を十分おくみ取りくださいますように切望いたしまして、意見の発表を終わりたいと思います。
#9
○委員長(若林正武君) ありがとうございました。
 次に、時岡参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(時岡弘君) 時岡でございます。
 私は、憲法及び行政法を専攻する関係上、今回、地方自治法の一部を改正する法律案に対する意見として、結論的から申しますと、明らかに憲法に違反するということが言えると断言します。
 今回の改正法案の骨子は市町村の連合に集約されているわけですから、以下、この点について検討してみたいと思います。
 まず第一に、市町村の連合を論ずる場合には、それはあくまでもその性格は一部事務組合の変形であり、また特殊な形態であるということの基本的な姿勢を見失ってはいけないということであります。これについては、まず地方自治法の憲法上の基本原則をたてまえとして考察をしなければならないということは言うまでもない。御承知のように憲法第九十二条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」と、こう述べているわけです。国会で法律でもってすれば、地方自治の運営、組織をいかようにでも制定するというわけにはいかない。その法律はあくまで地方自治の本旨に沿った法律でなくてはいけない。その意味において、第九十二条は国会に対して立法の制約を課しているということをまずここで第一に考えてみよう。
 地方自治の本旨とは、言うまでもなくそれは住民自治及び団体自治の両要素の結合から成立している。この両要素の必然性というのは、当然団体自治というのは住民自治の前提条件として成立している。しかも民主主義の不可欠な要件であることはいまさら申し述べる必要はない。憲法第九十三条は、地方自治の本旨の具体的な規定として、議会の議員及び長を住民の直接公選にあたらしめ、かつ、九十四条は、団体自治の表現として、地方公共団体の財産の管理、事務の処理、条例の制定権等を例示的に規定して、民主主義の基本的な姿勢を示している。しかしながら、憲法が団体自治といい、住民自治といっても、それだけでは地方自治は円滑に運営されない。そこで地方自治法はこれを補完的に規定している。たとえば住民と地方公共団体の機関はどのようになさなくてはいけないかを規定している。たとえば国会のそれと同じように、住民は議会の傍聴、請願、陳情をして地方の自治をみずからなさしめようという規定を設けている。あるいは条例の制定、改廃、監査の請求、議会解散の請求、議員、長の解職請求、役員の解職請求、住民の監査の請求あるいは住民訴訟等、いわゆる直接参政制度をさらに設けて、地方自治の本旨を実現すべく規定している。したがって、今回提出された市町村連合の内容がこれら地方自治の要件に合致するかどうかということを検討しなくてはいけない。御承知のように、しかしながら、一部事務組合は特別地方公共団体であって普通地方公共団体でないわけであるから、これらの要件を十二分に具備しなくてはいけないのだというようなこともまたあり得ないであろう。
 これについてはあとで述べるとして、次に、住民自治としては、議会及び長の並列的な地方公共団体の組織を設け、これら二つの機関が並立的な役割りを演じて、住民の意思を反映せしめることにある。たとえばこの点について見ると、市町村連合の役割りというものは、地方自治法百三十八条の三に規定されているように、知事ないし市町村長の所轄のもとに、明確な範囲のもとの所掌に属するかどうかという問題、あるいはこれらの機関が地方公共団体の系統的な構成、組織になっているかどうか。しかも、地方公共団体として一体としての機能を発揮するかどうかという点もあわせて考察しなければならない。
 以上が、普通地方公共団体としての地方自治の本旨を具現すべき憲法及び地方自治法の規定であるわけです。
 しかしながら、一部事務組合ないし今回の市町村連合というのは、特別地方公共団体であるわけであるから、いま述べたような普通地方公共団体のすべての要件を具備しなくてはいけないのだというようなことは言えない。しかしながら、この一部事務組合ないし市町村連合というものは特殊的な、例外的な地方公共団体である。こういうことは、第三編に規定されているところの特別地方公共団体の法的性格を述べれば十二分に理解できる。しかしながら、沿革的に見てみると、たとえば明治二十二年の四月に市制・町村制が施行された。町村の全部組合あるいは役場事務組合、一部事務組合がこのときに法制化されているわけですけれども、その趣旨はどういう点にあるかといえば、弱小市町村の能力では事務処理が不可能であるという点にかんがみて、さきの明治二十一年の町村合併と表裏をなすものとしてこれが制定されている。端的に言えば、この現行の事務組合というものは、町村合併を前提するという意味において制定をされている。同じように、昭和二十八年の町村合併促進法によるところの町村合併の行なわれる前に、現在の地方自治法の二百五十二条以下の協議方式が採用されている。これも要するに、町村合併促進法の施行に先立って、町村合併を容易ならしめるためにこういう協議方式というものを地方自治法に盛り上げたことにほかならない。憶測によるわけではないけれども、今回の市町村連合についても、町村合併の促進という意味において制定されるような趣旨もうかがわれないわけではない。しかしながらこれは憶測の問題であって、ここで法的に論ずる点ではあり得ない。たとえば、この現在の地方自治法が昭和二十一年に制定せられたときには、この協議会方式というものが制定されていた。しかしながらマッカーサーによって、各地方公共団体に協議会というものが設定されたならば、地方に有力な民主主義を阻害する団体が生ずる、それを阻止するという意味において、翌二十二年にこの協議会方式は削除をされた。しかしながら、講和条約発効とともに、昭和二十七年、現在の二百五十二条の二以下の地方公共団体の協議会方式がまたあらためて新設されて現在に至っている。
 ここで注意をしなくてはいけない点は、特別地方公共団体というものはあくまでも普通地方公共団体の変形であり、例外規定であるということ。要するに、特別地方公共団体というものは、地方自治の精神に沿って解釈運営されるという点については、普通地方公共団体のそれと異なるところはないということである。
 次に、本題に入って、この市町村連合の内容というものは、いままで述べたような団体自治または住民自治を侵害しているかどうかという点を考慮して評価しなくてはいけない。以下これらの点について述べてみると、まず第一に、住民自治ないし団体自治の侵害としては、たとえば法案の第二百八十五条、「広域にわたる総合的な計画を共同して作成し、これらの事務の管理及び執行」を云々すると法案に盛り込まれている。同じように、二百八十六条一項後段が追加されているわけですけれども、この規定は、連合の規約で特別の定めをしているときは、連合の議会で議決したときは関係地方公共団体の協議にか、えることができる、こう述べている。これは包括的、しかも白紙委任的な授権行為というもので、法律上とうてい理解に苦しむという表現あるいは内容と言わなくてはいけない。先ほど述べたように、こういう包括的な白紙委任的な授権行為というものが住民の意思を無視して実際法律上規定されるかどうか。前に述べたように、国会は地方自治の本旨に反する法律を制定してはいけないというところの九十二条の基本的な姿勢を忘却しているのではなかろうか。住民の意思あるいは住民のリコール等の直接参政制度というものはここには適用されていない。たとえば市町村連合というものが大幅になされた場合、これは具体的になるかどうかは別として、理論的に考えてみた場合、市町村の事務はすべてゼロになるというようなことも考えられる。これはあくまで理論的な問題である。そうすれば団体自治というものは全く有名無実になってしまう。こういうような白紙委任的な授権行為というものは、まさに憲法以前の問題であると言わなくてはいけない。
 次に、住民は連合の議会の議員、理事を、いま述べたように直接選挙をすることはできない。いわゆる住民は市町村長、議会の議員を選び、それら選ばれた議員、長が再びこれらの連合の議員とか理事を選ぶというような方式になるであろう。そうするならば、憲法九十三条で述べている住民の直接公選というものは実は間接制になってしまうおそれがある。要するに住民の意思が直接参政制度をうたっている憲法九十三条に違反するというにほかならない。
 次の第三点は、連合の議会の議員あるいは理事は、結局はその当該市町村の多数党の議員及び長の連合の議員によって占めれる。すなわち当該市町村の少数党の議会の議員というものは、おそらくはその当該市町村の末端的な単なる議事の機関であり執行の機関であるにすぎない。こういうことは先ほど述べた地方自治の本旨に全く逸脱する違憲の行為と言わなくてはいけない。住民自治、団体自治、ともにこのように連合の機関に包括的しかも白紙委任されるというようなことは、何といっても憲法九十二条の地方自治の本旨を逸脱するということは明白である。
 次に、一部事務組合あるいは連合の地位というものについて考えてみると、特別地方公共団体としてのその地位は、その事務の一部に限定されるというところに普通地方公共団体と異った性格がある。法案二百八十五条の「広域にわたる総合的な計画」は、現在学界でもあるいは通説においても、「広域」という問題については、全くだれも定義はしていない。こういうようなばく然とした、しかも抽象的な概念でもって市町村連合を形成せしめるということは、一体どういう意図をもくろんでいるかということは理解に苦しむと言わなくてはならない。「広域にわたる総合的な計画」というものは、いまだれか述べたと同じように、実はばく然、抽象的なものであり、かつ無限の事務に発展するおそれがある。「総合的な計画」は、また、連合の規約でどのようにでも変更されるという内容が織り込まれている。そうするならば、前に述べたように、連合の議会あるいは理事会と本来の第一次的基礎的な市町村との関係というものは一体どのようになるであろうか。場合によっては、いま述べたように、普通地方公共団体であるところの市町村の事務の大半をこの連合に移譲せしめれば、普通地方公共団体であるところの市町村の機能は全くゼロに等しい。これは法案の内容から見ればわかるように、一部事務組合を設定しようと、連合に加入しようと、実に多種多様の変形によってこれが組織される。であるから、一部事務組合はその名の示すごとくその地方公共団体の事務の一部を組合に移管するというところにその本来の趣旨がうかがえる。一部の事務を数十回にわたっていろいろの組合あるいは連合に移譲せしめるならば、いま述べたように地方本来の基礎的な一次的な市町村の事務というものは理論的にいってもゼロになるということになる。平たく言えば牛の角をためて牛を殺すのたぐいであり、あるいはひさしを貸しておもやを取られるというような現象になると言わざるを得ない。要するに、地方自治法に規定するところの一部事務組合、あるいは現在法案に出されているところの連合というものはあくまでも特別地方公共団体であって、それは普通地方公共団体の変形であり、例外的な現象である。その例外的な現象を原則的な規定にすりかえるということは本末転倒もはなはだしいと言わなくてはいけない。
 前にも指摘したように、一部事務組合、連合というものは、住民の直接参与するところではあり得ない。あるいは連合自体についても、脱退の自由は一体どのように実際面に運営されるのであろうか。あるいはどのように一体制約されるであろうか。それは運営面から見れば、各地方公共団体の環境に応じて多種多様に分裂するであろう。あるいは長の指揮命令権は系統的に及ぶということはもはや保証はされない。先ほどほかの参考人の方も述べられたように、連合の役員というものは、特に事務局長の場合についてはその権限の委譲というような法文化は実に問題があると言わなくてはいけない。またその地位についても、天下り的な官僚を容易に導入せしめる場を提供するのではなかろうかという危惧が生ずる。
 次に、総合的な、広域的な行政を目的とする連合においては、当然に莫大な財政を必要とすることは言をまたない。しかるに、この財政を媒介としたところの権力行政の道をまた開くのではなかろうかという疑問が明白に生ずる。現化市町村は五割自治というふうに言われている。その五割の自治が、またこういう機関委任事務の増大とともにこういう連合に事務を委託するならば、市町村の自治というものは一体どのように評価されるであろうかという疑念が生ずる。
 次に、連合はその性格から見れば府県と市町村の中間的な機能を果たし、国民からすれば三重の行政を住民に与えることになる。このことは地方自治の本旨からすれば、住民の事務に関する複雑化あるいはふくそう化は、ひいては住民の地方の政治への関心を薄めることになる。たとえば明治二十二年の四月から大正十二年までにわが国では都制がしかれていた。要するに府県制と郡制と市町村制という三重の行政をその期間行なってきたわけである。今回の市町村連合はまさに都制以上の悪法というような感を抱かしめる。
 次に、さきの道州制あるいは府県合併案が論議されて、しかもそれが国民から大いに非難され、学界においても違憲論が大勢を占めたことは周知のとおりである。今回の地方連合も、府県合併の骨子とその趣旨は大同小異である。住民の意思を無視した市町村合併の前提条件を満たすというような感を抱かしめるものである。府県合併というものは、法律的には言うに及ばず、現職の府県の知事すらもこの府県合併に対しては合意をしていないにもかかわらず、それが市町村の合併とは言わなくても、市町村連合に対してはこれに対してどのような一体評価がなされているであろうか。都道府県も市町村も、ともに憲法上の普通地方公共団体として、そこには上下の差別もなく、指揮命令は自治に対しては全くあり得ない。したがって、この府県合併法案の廃案を機にして、時を経ずして今回の市町村連合法案を出されたという意味については理解に苦しむものがあると言わなくてはいけない。
 次に、前に述べたように、市町村の連合がなされた場合には、強力な権限を発動させるところの中心的な市の役割りと、それに付随するところの弱小町村との関係は、一体どのように運営されるであろうか。議員の定数から、あるいは組織の関係から見れば、当然、議員数、あるいは財政能力の点から考慮すれば、弱小の町村というものは、自分たちの市町村を犠牲にして、中心的な市に犠牲的な役割りを果たす結果になり得るとも考えられる。まあこれはすべてがそうだろうとは考えられないが、市町村の環境において複雑な現象を生ずることは言うに及ばない。
 次に、地方自治法が規定しているように、市町村というものは普通地方公共団体として基礎的な第一次的な地方公共団体である。ここでは市町村優先の規定が地方自治法第二条以下に規定されている。都道府県は、広域的な連絡調整で市町村に適しないところの事務を行なうたてまえである。これが市町村と都道府県の、地方自治法が差異を認めた役割りである。市町村連合が都道府県の機能を行なうような現在の法案の趣旨からするならば、将来都道府県は有名無実となり、また都道府県廃止の突破口をつくることはこれは容易なことである。ひいては道州制への移行を容易ならめるところの前提条件ではなかろうかと考えざるを得ない。現行法では、いま述べたように、市町村はあくまでも基礎的な第一次地方公共団体として存立し、都道府県は、広域的な連絡調整で市町村に適しないところの事務をつかさどる。したがって、地方自治法二百四十五条は、その調整をはかるために、自治大臣及び知事が市町村に対して助言をし、勧告をし、情報の提供をする権限が与えられている。それと表裏をなすごとく、市町村長は自治大臣及び知事に対して助言、勧告、情報の提供を求めるところの措置が規定されている。このように、現行の地方自治法では、広域的な事務についてはすでに地方自治法がその事務は都道府県に与えられるということが明記されているわけである。いまさら地方連合をつくる理由は、普通地方公共団体の趣旨からすれば毛頭あり得ないわけであると言わなくてはいけない。
 周知のように、地方自治は民主主義の小学校であり、あるいはその訓練の場とも言われている。いま市町村連合がなされることによって、本来の市町村の事務が連合に移管されるとするならば、地方公共団体の住民はその訓練の場、あるいは小学校の場というものを連合に奪われるというたてまえになる。これは民主主義を崩壊するゆゆしい原因であり、問題であると指摘しなくてはいけない。要するに、広域化はされたが自治は消滅したというのでは、憲法の崩壊を目前に見ていると言わなくてはいけない。自治の精神を否定したところの能率の問題、合理化の問題、広域化の問題というものは、まさに本末転倒の問題である。自治の精神に立脚した能率であり、自治の精神に立脚したところの合理化であり広域化であるということでなくてはいけない。これについては現行地方自治法は、協議会方式、委員の共同設置、事務の委託、一部事務組合等、あるいは発展すれば町村合併というような規定を設けていて、何らこれらの市町村連合に矛属するような規定はあり得ない。むしろそういうことを予知して、いま述べたような法律がすでに地方自治法に具体的に明記されていることを忘れてはならない。
 結論として、市町村連合は、地方自治の本旨、すなわち住民自治、団体自治の精神に反し、ひいては憲法九十二条以降の趣旨に違反すると断言せざるを得ない。このような意味において、今回の市町村連合については、まさに憲法違反であり、住民の福祉を無視したところの、広域化と総合的能率化という点にのみとらわれた法案といわなくてはいけない。
 以上であります。
#11
○委員長(若林正武君) ありがとうございました。
 参考人の方々の御意見の陳述はこれにて一応終了いたしました。
 これより、参考人に対する質疑を行ないます。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#12
○和田静夫君 一、二点だけちょっとお伺いをいたしますが、この広域市町村圏なりあるいは今度の連合制度なりの考え方の基礎というのは、これは、多くいわれていますように、広域生活圏といいますか、広域的で自己完結的な一つのコミュニティー、そういうものの形成というところにどうも問題意識があるわけですね。その場合に前提とされるのは、そのコミュニティーの中における各市町村の機能分担、そういう意識が前提となっていると思うのです。これがなかったならば、私は、コミュニティーは成立をしない、そう考えているのですが、先ほど来、森参考人、黒田参考人の御意見を承りながら、市長会なり町村議長会なりは、このことについてどういうふうにお考えになっているのだろうか。ほんとうに、そうしたコミュニティーが形成をされる、そのどの部分かの機能を直接的に分担をするという積極的なお考えがあって賛成をされているのだろうかということが、たいへん気にかかるのであります。
 私もまた、全国の多くを回る機会を持っていますし、特に北陸や東北や北海道という過疎地帯を年間かけて多く回ってきて、多くの市町村長の方々とお会いをしてまいりました。そして、すでに、広域市町村圏に入るにあたって、幾つかの市町村というのは、いろいろやりたいことをお持ちになっている。そこで、黒田参考人がいみじくもお触れになりましたように、少しでも金がよけいにほしい。これが私は真実だと思うのです。そういう形でもって圏域の指定をお受けになっている。あれがまあ、黒田さんが先ほど述べられたことが、私はほんとうのところだろうと思うのです。ですから、圏域の指定というものもかなり恣意的になってきている。自治省が喜ぶような計画はつくられますが、しかしそんなものはあまり問題でないのであって、問題は、たとえわずかでも金がくる、金がとれる、そういうこと。これは、全国広域市町村圏協会長も冗談まじりにそう述べられているようでありますが、その辺のところが私は実情じゃないかというふうに実は思うのです。したがって、私が前提的に申し上げたところというのはあまりお考えにならない、こういうふうに考えるのですが、私の実情認識が間違っていましょうか。お二人からぜひ。
#13
○参考人(森昌也君) お尋ねをいただきました点でございますが、私どもが実際に広域市町村圏を設定をしておる経過、実情から申しますると、まさにお尋ねの反対でございます。何か、先ほどからいろいろ御意見が出ておる中に、上のほうから押しつけられた一つの広域市町村圏ではないかというふうなにおいがうかがわれるわけでございますが、私どもはむしろ、私の市が、私のところは大井川という川に沿っておりますが、大井川流域の各町、過疎地域もございますし、いま発展しつつある町もある、これらの町長さんを私は集めまして、どうだ、ひとつ、ここまでくると、住民の生活圏が広がっておるので、ひとつ広域的な発展をはかろうじゃないかということを呼びかけまして、全面的賛成を得て、下から持ち上げていったのが実情でございます。これはお調べくださればわかりますが。
 それで、御指摘のございましたコミュニティーの問題でございますが、私も、その点につきましては先生と全く意見を、コミュニティーを目ざすべきであるという点につきましては私は全く同じ考え方を持っております。したがって、私のところの広域市町村圏は、まさにこのコミュニティーを形成するために私どもが提案をしておるものでございます。
 たとえて申しますると、私のところにはたくさんの工場がございます。その工場に働いておる人たちは、周囲の六つの町から通勤をしておるわけでございます。その働く人たちの生活を豊かにするための文化会館、あるいは体育館、あるいは勤労青少年ホーム、あるいは巡回図書館、こういつたものは、一部はすでに島田市がそれを予想してつくっておりまするけれども、この広域市町村圏事業として打ち出していこうということで、働きながら健康な自然の中で生活をするというその形をいまにして私どもが確保しなければ、若年労働力の大都市集中というものは避けられないわけですので、これをひとつ、喜んで働き喜んで生活することのできるコミュニティーをつくろうじゃないかというのが、私どもの広域市町村圏のねらいでございます。現実に、たとえば行政面からいたしましても、広域市町村圏事業の中にはコンピューターを導入したいと考えております。これは、一つの広域市町村圏ならば、また導入する意味がございます。財政の問題というよりも、むしろコンピューターを小さな町が置きました場合に、コンピューターはほとんど遊んでしまいます。しかし広域市町村圏の中核都市にこれを持ってまいりますれば、一市六町のいろいろな計算事務、あるいは情勢分析、あるいは情報センターとしての役割りをこれに果たさしめることができる。また要員も養成することができる。こういうことで、これまさにコミュニティーの形成になっていくわけでございます。教育施設もそのとおりでございます。文化、体育、教育、すべての問題、あるいは行政の効率化、こういうふうな問題につきまして、私は、広域市町村圏というものは非常に大きな働きをするものではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
 なお、私のところは、大井川の水をもととして、住民の生活も農業も工業も発展をいたしておりますので、この大井川の水域の開発ということについて、従来から私どもはいろいろな団体を、自治体をもって構成する団体をつくってきておりまして、こういうものも、広域市町村圏の中の総合的な開発としてわれわれが主体性をもってやっていくべきではなかろうかというふうに考えまして、六町の長、議会ともに大賛成でございます。
 そういう形で、私どもがむしろこれの設定を要求をして、自治省、知事の指導のもとにこれができ上がった、こういう経過をとっておりまするので、こういったものはコミュニティーを目ざすべきであるという御趣旨には私は全く同感でございますが、その経過においては、まさにそれを目ざしつつやってきておるというのがこれが実情でございまして、あるいは御指摘のように、全国たくさんある中には、ただ金がほしいということでこういうふうなものをつくったところもあるかもしれませんが、少なくとも私のところではそういうことは全くございません。
#14
○参考人(黒田義夫君) 私の発言中、このことが金、つまり財政の裏づけに大きく期待しておるのだというふうに御理解願っておるようでございますけれども、ことば足らずでございまして、実は、それでは私どもがいま生活圏をやっております市町村十四カ町村の中に財政に行き詰まった町がどれだけあるかとこう申しますと、自主的にそれぞれやれる町も村もあるわけでございます。ただ、財政上の裏づけもさることながら、一つの部分共同体というそういう形の中からの、たとえば具体的に申しますと、火葬場を一カ所つくるにいたしましても、その町においてつくろうとしますと、地理的条件、こういうものが非常に問題になるわけです。焼却場を一カ所つくるにいたしましても、地域住民のためにつくることでありながら住民の反対を食うというような地理的な制約というものがあるわけです。ところが、これが広域になりますと、やっぱり居住のそういう人口の状態とかあるいは交通の問題とか、いろいろな環境が、地理的環境が適したものが探しやすく、またやりやすいと、こういういろいろな立地条件を含めたやっぱり設備の設定などがやりいいということもございますし、さっき森参考人のほうからお話がございましたように、現在のスピード化の中では、法律上の、法理論の上からどういうかっこうになるか私はわかりませんけれども、ならされた行政の中から申しますと、非常に就職、進学、たとえば学校の所在とか企業の状態、こういうものがもうすでに町村の境を通り越して住民のほうが先へいっておるという事実です。たとえば議会がどうの、執行者がどうの、リコールがどうの、住民がどうのと、こういう理論的には御意見がございましょうけれども、実際、いま地域住民が要求してかかってまいります具体的な行政施策につきましては、屎尿処理なら屎尿処理一つ取り上げてまいりましても、たとえばいま既存しておる津山市なら津山市、あるいは落合町なら落合町のやっておる行き方で、あれをもう少し広げて、うちらもああいう方向で組みでやるべきじゃないかという要請がむしろ住民の側からたくさん出ておるという事実。したがって、ふがいない言い方ではございますけれども、議会あたりでは毎回開くたびごとにそういう陳情が住民からどんどん出る。これをどのように受けとめて処理していくかと申しますと、さっき申し上げました地理的条件とか、あるいはまあそういう若干の財政の裏づけとか、そういうものがこういう形になって出てくるわけであります。したがって、ただ財政の裏づけだけでどうこうということではございません。議会は議会の立場からの住民にかわった意思決定をやる機関でございますから、大所高所から検討して、どのようにすることがまず第一に住民の利益を保障するかというかっこうで取り組んでいるわけでございます。以上。
#15
○和田静夫君 議長会の方にちょっとお尋ねしますがね。いままでは特定事業ごとにできてきましたね。今度は、この連合法案がもし通るとすれば、すべての事業について、こういう形になる。そういうことがとにかく可能になるわけです。そうすると、たいへん議会側として問題があるとして考えなければならない問題であろうかと思われるものに、議会を通じての住民コントロール、これがたいへん希薄化をしていくことは間違いないですね。この辺は議長会としてはどのようにお考えになっておられるのですか。
#16
○参考人(黒田義夫君) 議長会は、これは県の議長会という立場から申しますと、非常に一つ県内でも、南部と北部では過疎、過密というかっこうで、およそうらはらの状態が起きております。同じ北部でありましても、ずっと山間地に位するところと農業を中心とするところ、つまり山を中心とするところと農業を中心とするところによって、それぞれ住民の要求、住民の考え方というものが変わっていますと思いますが、しかし議会という共通のやっぱり考え方から申しますと、少数精鋭といいますか、そういうかっこうに持っていくと、議会全般の発言が与えられぬのじゃないかと、こういうような理論的には言い方があるわけでございますけれども、結局最終的には、予算の審議その他が町村の議会の決議を経なければ、それが連合体であろうとあるいは協議体であろうと、これは私はできぬのじゃないかと思うのですけれども、いわゆる国、まあそこのところが私もようわからぬのですけれども、たとえば特別自治体だと、こういう総称でやる場合に、しかしその出発はあくまで町村の議会の代表というものが参画するはずであります。したがって、一たん参加したらそれは死ぬまで措置するのかというと、そういうことはないのでありまして、議会内におけるいろいろな代表を送る上での出発、基礎は町村議会にあるはずでございますから、これは私は確かにいつもかつも議会と緊密な連携のもとにということではありますまいけれども、専門的な立場からのそうした機関での討議等は、新しく次の議会ではいろいろ、まあ私どものこれは中央議会というものはそういうかっこうのものでございまして、どのようなかっこうで代表で出ておりましても、そこで論議せられた経過についてはそれぞれ報告を受けております。したがって、その報告に対して最後的にはどういう方法でも、私は議会という名において決せられると思います。そういうかっこうで、別に自治体を売ってしまうのだという考え方じゃないはずですし、議会自体も、いつの場合でも、特別委員会その他の委員会は御承知のように一応の賛意でできておりますけれども、全員じゃありませんけれども、そうした経過の報告というものがあって、その上に立って論議していっているはずでございますし、なお、町村が負担金、これはまあその運営面でございますけれども、そういうものの決せられた場合においては、それぞれ事務的なやっぱり報告を行なっておりますから、私はそのことが深い意味での強い制約を受けて、議会の議決権の侵害というかっこうにはならぬというふうに信じております。
 以上です。
#17
○和田静夫君 最後に、丸山参考人に伺いますが、連合の職員の身分、労働条件、これはたいへん考えてみると不安定なことになると思います。具体的にどういうことをいま予想されますか。
#18
○参考人(丸山康雄君) ただいま御質問の点につきましては、先ほど申し上げましたように、実は私どもの考え方といたしましては、現在の地方公務員法が先般改正される際に、それまで、たとえば都市において、一般市長部局とそれから小規模の公営水道が一緒に職員団体をつくっておりましたが、法律の改正で、この二つが一緒に職員団体をつくる場合にはその職員団体が登録の要件を持たないということで、言うならば別々に職員団体をつくらなければ登録ができない、こういう形で、結社の自由の立場からいいますと、登録されない職員団体でも、理屈の上では交渉の権限はあるということには言われておりますが、事実上現在の法律のたてまえとしては、組織を分断するか、むりやり一緒にいますと、それが登録の要件に適合しないということで否認をされる、こういうようなことによって、これは起こり得る事態は、自治体によって画一的ではありませんが、極端なことを申し上げますと、労働条件とか、それから結社の自由といいますか、労働組合をつくる、職員団体をつくる場合も、たとえば極端な例を申し上げますと、百人で一般行政部門と水道の労働者が同じ職員団体をつくっておりました。これは、そのうち水道関係が十名おった――もっと少ないところもありますが――この場合、九十名と十名を分けなければ登録ができない。一緒にしておくと登録ができない。で、言うとおりに分けてしまいますと、いまお考えのような、この十名の職員団体で、事実上団体の仕事をやっていく関係労働者の身分、労働条件を守るということは、事実上非常にむずかしいという実態にあるわけです。これが、この地公法の改正のときに出た問題でありますが、それがそのままいま修正をされないで、あるわけです。一部事務組合でもそういうことがあったんですが、今度制定されようとしている連合の場合には、もっとそれが規模が大きくなりまして、全国的にこういう傾向がたくさん出てまいると、いずれにしても、いまの場合部分的少数でありますが、全国の自治体、私ども自治労だけでいま八十万、組合の数が約二千二百ありますけれども、これがさらにふえますと、もっと複雑な、いま部分的な労働者にだけ関係がありますが、今度は相当多くの労働者にこういう問題が広がって、関係を持ってくる、こういうことが一つの問題だと思いますし、それからもう一つ申し上げたいのは、いわゆる地方公務員の医療制度の問題について、先ほども申し上げましたように、たとえば六大都市なんかは地方職員共済組合法の適用を受ける団体と健康保険組合と二つ、二本立てになっておるわけです。これが新たに連合というものがそれらとの関係でできた場合に一体どうなるかということは規定上明確でない。ですから、いままでは一部事務組合の場合非常に便宜的なやり方がやられたようでありますが、連合という大きな形になりますと、その辺はぜひ明確にしていただけませんと、個々の職員、労働者にとってもたいへんですし、それから団体としての職員団体、それから労働組合という立場からも、運動上たいへんな支障が出てくる、こういう実態であります。
#19
○委員長(若林正武君) これにて参考人に対する質疑を終了いたします。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多忙中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本案審査のため貴重な御意見をお伺いすることができましたことを厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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