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1970/05/20 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 地方行政委員会 第20号
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1970/05/20 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 地方行政委員会 第20号

#1
第065回国会 地方行政委員会 第20号
昭和四十六年五月二十日(木曜日)
   午前十一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         若林 正武君
    理 事
                熊谷太三郎君
                増田  盛君
                藤原 房雄君
    委 員
                初村滝一郎君
                安田 隆明君
                山崎 竜男君
                吉武 恵市君
                竹田 四郎君
                和田 静夫君
                市川 房枝君
   国務大臣
       自 治 大 臣  秋田 大助君
   政府委員
       内閣法制局第三
       部長       荒井  勇君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    曽根田郁夫君
       通商産業省公害
       保安局長     莊   清君
       自治政務次官   大石 八治君
       自治省行政局長  宮澤  弘君
       自治省行政局公
       務員部長     山本  明君
       自治省財政局長  長野 士郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
   説明員
       自治省行政局行
       政課長      遠藤 文夫君
       自治省行政局振
       興課長      本江 滋二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(若林正武君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
 御質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○竹田四郎君 今度の地方自治法の一部改正の中に、地方公共団体のやる仕事の中に公害の防止ということが加わるわけでありますが、そこで厚生省の方にお聞きしたいんですが、特定工場の公害によって、公害防止あるいは住民の健康の維持のためにいろいろ国、県、市町村、こういうところで費用をかなり出していると思いますが、どのくらい出しているもんですか。全体的にはなかなかつかめないかもしれませんが、大体どういうところを主にしてどんな費用が出ているか、もしおわかりでしたらお示しいただきたい。
#4
○政府委員(曽根田郁夫君) 公害に起因します住民の健康の問題につきましていろいろと地方公共団体が費用を支出するわけでございますけれども、まあおもなものといたしましては、まず人体に対する影響等のために行なわれる住民検診、それからまた、その結果その疾病が公害病として認定されますと、健康被害の特別措置法がございまして、これによって一定の給付が行なわれるわけでございますけれども、それについてのいわば地元負担、そういったものがおもなものでございます。
#5
○竹田四郎君 特別にどこかの市をあげて、あるいは市町村をあげて、そういうことで一体どのくらい、どういう費用がどうなっているかということがもしおわかりでしたら、特定的なところを、特定工場についてあげていただく。たとえば富山のイタイイタイ病なんかも一つでありましょうし、あるいは安中のカドミウムの問題あるいは足尾の問題、いろいろたくさんあちらこちらである一定の工場が長い間公害を出して、それによって地域住民が被害を受け、同時にその措置を地方公共団体がやっているという例が私あるだろうと思いますので、そういうものを厚生省のほうではある程度おつかみになっているんではなかろうかと思うのですが……。
#6
○政府委員(曽根田郁夫君) 先ほど申し上げました健康被害の特別措置におきます地元負担として、これは四十五年度の見込みでございますけれども、富山県の場合、この給付費の県負担分は約二百五十万の見込みでございます。それからまた、先ほど申し上げました住民検診等の費用がございますけれども、これにつきましては――これは富山はもうすでに公害病に指定されておりますので、現在、御承知のように全国都市的には七つの要観察地域について組織的な検診が行なわれているわけでございますが、これにつきましては、四十五年度の健康調査に要した経費七カ所分、総計といたしまして約一千万程度でございます。そのほかに、たとえば安中の場合、指曲がりの特別検診等をいたしておりますけれども、この分に限って申し上げますと、約二十万程度でございます。
#7
○竹田四郎君 たとえば水源が、水域がよごれてしまう、そういうようなことで、まあいままでは伏流水を使っておのおの井戸を掘っていた。ところが、もうそういうことで、飲み水にならない。だから違った水源から水を持ってこなくちゃならない。そういう結果、簡易水道なんかもつくらざるを得ない。あるいは、いままでは特別に下水道をつくらなくても何とかやっていたけれども、今度はどうしても下水道を早くつくらにゃいかぬというような問題ですね。こういうようなものは、やはりその公害によってそういう余分な経費というものが出てくるという心配のあるところはないですか。
#8
○政府委員(曽根田郁夫君) 昨年、カドミウムあるいは水銀について、全国の主要発生源につきまして実態調査、いわゆる総点検を行なったのでございますけれども、その結果、幾つかの地区につきましては、たとえば井戸水等の水の摂取をやめて、その結果簡易水道等の工事を早く、特別の――これは当然私どものほうでも国庫補助の措置をいたしますけれども、そういった計画を繰り上げるとか、そういった事例は、幾つかではございますけれども見られたところでございます。
#9
○竹田四郎君 そうしますと、特に複合公害の問題については、原因者がなかなかとらまえにくいということがあって、公害を出している企業の負担というようなものもなかなかきめられないと思うのです。先ほど申されました富山とかあるいは安中という場合には、比較的その公害を出す企業というものが特定されてくると思うのです。そういう場合に、公共下水道をつくる、あるいは簡易水道をつくるというときには、そういう費用というものは現在までどうなっておりますか。やはり公費でやっているということになるのか、あるいはその特定工場が上下水道というものをおのおの整備をするという形でやっておりますか。その辺はどちらでございますか。
#10
○政府委員(曽根田郁夫君) いままでの例で私ども承知しておりますのは、やはり地方公共団体の事業として、場合によれば特別の国庫補助率を設けまして整備しておるというのが大体いままでの例でございます。
#11
○竹田四郎君 富山のイタイイタイ病に関連して、厚生省のほうが四十三年の五月八日にイタイイタイ病に対する厚生省の見解というのをお出しになって、それが三井金属鉱業の排水によるカドミウムだということがはっきりしたわけなんです。それに伴いまして通産省のほうで同日やはり通牒を出しておりまして、「イタイイタイ病の本態と発生原因については、本日厚生省の見解が示され、カドミウムの慢性中毒が主因をなしていることが明らかにされた。原因物質としてのカドミウムの由来の状況については、十分には解明されていない問題も残されており、三井金属鉱業(株)神岡鉱業所の責任の範囲については最終的には裁判所の判断に待つほかないと思われる。しかしながら、当省としては本病の実態にかんがみ、被害者の救済のためあらゆる行政上の措置を適用することが必要であると考える。」通産省ではこういうふうに述べていらっしゃるんですが、この中でその被害者とは一体だれをいうのか、この点をひとつ明らかにしてほしい。
#12
○政府委員(莊清君) 四十三年五月八日のいわゆる公式見解でございますが、この時点での公式見解中に述べられております被害者と申しますのは、当時イタイイタイ病の患者から現に訴訟が起こされております。裁判が非常に長引きそうだということで非常に大きな問題になってまいった時点でもあったわけでありますが、この時点での通産省の公式見解としては、いわゆるカドミウムによって健康を害し、あるいは死亡されたいわゆる健康被害者というものを考えまして、本病の実態にかんがみまして、裁判もなるほどあるけれども、被害者対策の迅速な実施をはかる必要が非常に大きいという見地から、行政上別個の万全の措置を講じたい、こういう見解を出したわけでございます。したがいまして、いわゆる健康被害者をここで被害者と簡単に述べておるというのが当時のこれを策定しましたときの実態でございます。
#13
○竹田四郎君 そこで、その被害者というのは、その当時は健康障害の被害者を称して被害者、こういうふうに解釈をしておられたんですが、その解釈はいまもお変わりございませんか。
#14
○政府委員(莊清君) 四十三年五月八日時点でのこの通産省の公式見解というものでは、この被害者としては健康被害者のことを考えてまいったということは、私も当時の関係者からよく話を確かめてみたんですが、明白なようでございます。したがいまして、この公式見解としての被害者というものは、現時点におきましてもやはり当時の見解と特に変更はない、こう考えております。
#15
○竹田四郎君 そうしますと、この文章の中の被害者はいまもそういうように解釈しているでしょうけれども、一般的にこうした特定工場の排出物によってそうした事態がかなり広範に起きているという場合の被害者は、いまもやはり健康の被害者だけ被害者であるというふうにお考えになっているわけですか。
#16
○政府委員(莊清君) 非常にむずかしい問題だと存じますが、被害者と申します場合に、民法とかあるいは鉱業法の規定とかで、損害賠償についての規定がございますが、そういう法令の上での被害を受けたものというふうな厳密な意味と、それからいわゆる被害を受けたものと、二様の意味があろうかと思いますけれども、先生御指摘の点は、むしろ広い意味でのいわゆる実質的な意味での被害者というのをどうとらえるか、こういう御指摘かと拝聴したわけでございますが、これはなかなか一言で明確な回答を、私、この場で直ちに申し上げる用意はございませんけれども、やはり事の実態に応じまして、慎重に検討すべき問題ではないか。直ちに、被害者というのは自然人に限るという明文が法律上何かどこかにあるというわけでもないということは、実は昨日通産大臣から御答弁申し上げた点かと思います。かように考えます。
#17
○竹田四郎君 自治大臣にお伺いしますけれども、このイタイイタイ病関係で、富山県の婦中町が三井金属鉱業に対しまして、損害賠償として一億五千万円ですか、こういうことで三井金属鉱業に対しまして損害賠償を請求しておられるということは御存じでありますか。
#18
○国務大臣(秋田大助君) そういう風聞は聞いております。
#19
○竹田四郎君 婦中町の資料によりますと、カドミウム汚染によるところの婦中町の損害というのは八千三百六十三万円、国、県を合わせまして一億五千万円の被害があるというわけでありますけれども、この中で一番大きい金を支出しているのは、いままで神通川の伏流水によるところの井戸を利用していたけれども、その水が汚染されたということで、別の水源から簡易水道をつくらざるを得ない、まあこういうことで一億円くらいの水道事業費というのを出しているわけです。婦中町の財政規模がどのくらいであるか、私もつまびらかにしておりませんし、財政力指数がどのくらいであるかということもあまりつまびらかにしておりませんが、まあ八千三百万円、これは単年度でございませんけれども、これだけの被害というものは、私はかなり町としては大きな財政負担だろうと思うのです。結局、その公害のほうが急がれるというのは、その他の公共施設なりあるいは社会福祉施設なり学校なりというようなものは必然的にこれは延ばさざるを得ない。それは第二次的な住民への被害というふうに私はなってくるだろうと思う。こういうような特定工場が自分の企業利益のために公害を放置しておいた。しかしいまもってそういうものに対する責任というものを明らかにしていない。したがいまして婦中町では、最近に至りましてさらに催告書を三井金属鉱業に出しておるわけです。こういうような点は、やはりその損害というのは、こうした小さな財政力のあまりない市町村が、これは全部かぶらなくちゃならない問題なんです。これは自治大臣どう考えますか。
#20
○政府委員(長野士郎君) これは簡易水道の問題ということでございますが、簡易水道だけの問題ではございませんで、一般的な、いろいろ、たとえば企業の起こしました公害の結果、それが市町村なり府県なりの財政負担をしいるというようなことが起こってまいりました場合に、一体それは本来市町村が負担すべきものかどうかという問題だろうと思うわけでございます。この点につきましては、国でいろいろそういう負担が不当にかぶらないようにという措置はいろいろ講ぜられているわけでございますけれども、現実問題として、そういう発生したところについての負担が大きくかぶってくるということは、現実にも避けられないわけでございます。そういうことがありますから、私どもはこれはなかなかむずかしい議論だと思います。というのは、ほんとうにそのような原因というものがはっきりしているかどうかという問題もあるわけでございますし、現在、被害者と称される方々は目下訴訟係属中だというふうに聞いております。そこで、いろいろ問題がありますが、しかし、かりにそういうことで公害の直接の被害を行政上の措置、いろいろな措置がありますが、いまおっしゃいましたような簡易水道とかいろいろな問題で町が非常な多額の負担をしたというような場合に、それを一体全く救済できないのかということになると、私どもはやはりそこの点については、当然に住民の税金で負担をしてもらわなければならないものとは必ずしも思われない。しかしそれは、いろいろ施設の状況なりあるいは施設の持ちます意味なりいろいろな点がありますから、一がいには申せませんが、一般論としては、やはりそういう意味で不当に負担をしいられるということになる原因がはっきりしております場合には、やはりそれは町としても救済されるということはあり得るだろうと思います。しかしそういうことにつきましては、現に町自身が損害賠償の請求をしておるというわけではございませんようでございますし、具体の問題にはいろいろ法律にも関係する事情があると思いますから、なお究明をしてみなければならないものが多いわけですけれども、一般的には、私どもはやはりそういうものを町民の税金のみで不当に負担するといういわれはなかろうかと思っております。
#21
○竹田四郎君 大臣にお聞きしたいんですが、いまこういうふうに具体的に出しておるわけです、婦中町は三井金属鉱業に。こういうのは大臣どう思いますか。いまの財政局長のもあまりはっきりしませんけれどもね、それは全部三井金属が負担をすべきかどうか。たとえば簡易水道の場合が一つの例ですが、簡易水道の場合に全部を負担しなければならないかどうかということは、それは若干問題があろうと思います。しかし、少なくとも自分の排出した水でかなり広範囲に影響を与えているわけですから、しかも相手は非常に小さな町だという場合には、私は当然、自治省としても企業に対してそうした小さな町の財政上の問題からも賠償の責めに応ずべきだというふうに、自治省として私考えて当然だろうと思いますけれども、具体的にここに催告書もありますけれども、こういう催告書については、そうした趣旨のことが述べられているわけです。そういう点について自治大臣どうお考えになりますか。やはりそれは非常にむずかしい問題だから簡単にはいかないというふうにお考えなのか、あるいは、具体的に全部を賠償するかどうかは別として、相当部分というものは当然公害を発生している企業が負うべきだ、そして市町村の非常に苦しい財政というものを緩和させていくべきだと、こういうふうにお考えですか。どちらですか。
#22
○国務大臣(秋田大助君) その事案について、原因結果についてはいろいろ議論があろうと存じます。個々の被害者との間に係争事件等もありますが、町との問題につきまして、この催告書にあらわれておるような内容の催告を婦中町が出されたことにつきましては、私は無理からぬことと存じます。意味のあることであろうと存じます。しこうして、これに対する賠償云々につきましては、ただいま申し上げました原因と結果の因果関係に関する責任論がやはり明確になる必要があろうと思います。したがって、最終的な求償の問題の解決は裁判等の結果によることと存じますけれども、とにかくこの事案において、婦中町が三井金属にこういう催告書を出しておるということは無理からぬことだと考えております。
#23
○竹田四郎君 自治大臣、その辺はあんまりぼやかして言うのは私非常に残念だと思うんですね。きのうの通産大臣のお話では、そういうことについては会社側が全く責任を負わなくてよろしいというふうに理解をしていないと、通産大臣はそう言っているんですよね。自治大臣が無理からぬことだと思う程度では――ぼくは市町村の側についている自治大臣としてのもう少し積極的な意見を吐いてもらわなければ困ると思うんです。ただ無理からぬことであって、今度は公害の防止ということを地方自治法の中に入れていながら、そういう点について自治省としての見解がはっきりしないということは、これは私はまことに残念だと思います。そのお考えは変わりませんか。
#24
○国務大臣(秋田大助君) ただいま先生から、こういう問題を出したことについてどう思うかというごく広範なお尋ねでございましたので、積極性がないという意味ではなくて、当然意味のあることであるということを軽く包括的にお答えしたのでありますが、その中には十分なる合理性というものがあるのではなかろうかということを十分考えつつ申し上げております。しかし、その最終的な結論についてはやはり裁判等の結論によらざるを得ないだろう、こういうことを感じて申し上げたのでありまして、十分なる理解と同情の念をもって私は先ほど申し上げたわけでございます。
#25
○竹田四郎君 何か自治大臣のお話ですと、まだイタイイタイ病と神通川の水質汚濁については原因がはっきりしていないんだというふうに感じられておると思うんですが、これは厚生省のほうに聞くんですが、厚生省のこの見解というのは、原因がよくわからないという意味ですか。大体その原因というのはつかめたと、私はこういうふうに理解しておりますが、どうなんですか。
#26
○政府委員(曽根田郁夫君) 四十三年の厚生省見解というのは、あくまで行政上緊急に公害住民に対する健康の保護のために講じなければならない対策との関連において、行政上の見解として、発生原因並びにその原因者をうたったものでございまして、この厚生省見解にもございますように、イタイイタイ病の本体はカドミウムの慢性中毒に由来するものであり、そうしてその発生源としては、他に、この地域の上流にある神岡鉱業以外に特定の発生源が見当たらないので、自然界に由来する以外の発生源としては、当該事業場を発生源と見ざるを得ないということで、そういう意味で明らかにしておるわけでございます。
#27
○竹田四郎君 いま厚生省のほうのお考えをお聞きになったとおりだと思う。そういう状態であっても、せいぜいこういう婦中町のやったことを支持する程度のものであって、そういう公害発生工場に対して、自治省として、それに必要な施設をつくった場合に応分の賠償責任に応ずべきだというふうなことすら言えないというのは、私は非常に残念だと思うんです。そこまでは言えないですか。
#28
○国務大臣(秋田大助君) 私は、非常に先生の意に満たないかもしれませんが、大いなる理解と同情とをもって十分考えておるということを申し上げたわけでございます。しかしながら、有権的な措置をとるためには、最終的にはやはり裁判等の結論によることが必要ではなかろうかと思っております。しかしながら、その内容、事案につきましては、十分理解と同情とをもって、そういう趣旨でこの事件を見ておるわけでございます。
#29
○竹田四郎君 新潟の阿賀野川の水銀中毒事件についても、これは長期裁判だろうと思う。私はこの裁判だって長期的な裁判だと思います。その間になすべきことというのはうんとあるわけです、町民の健康を守るために。それは裁判の結果を見なければ何とも言えないということは、私は、自治省の立場としてはいけないと思うんです。通産大臣だって、率直に言って、会社側が全く責任を負わなくてもいいという、そういうことでよろしいというわけじゃないんだと、もっと積極的に話し合って解決をしなさいと、こう言っているんです。どっちかといえば企業の立場にある大臣すらそう言っている。それを市町村の立場にある大臣がそういうことを言っているようでは、私はこの婦中町なんというのは全く気の毒で、第二次、第三次の被害者である住民というものの福祉というものを全く無視した立場にならざるを得ないと思う。私はその答弁では、大臣の答弁ではちょっと納得できかねる。
#30
○国務大臣(秋田大助君) 決して私は後向きな後退的な考えを持っておるわけではございません。その具体的、過渡的な措置におきましては、起債なり交付税なり特交なり、いろいろ機に即して、十分理解ある、公害に対する積極的な観念に発したいろいろの措置をとることは当然である。それについては私は後退的な考えは一つも持っておりません。
#31
○竹田四郎君 どうも私は、自治大臣のそういう考え方というのは、いま無過失賠償責任制度をもうつくろうとしているそういう時期に、それは交付税なり起債なりその他で補ってやるからいいんだと、こういう考え方では、企業は自分から公害をなくそうなんというそういう立場にはならぬと思うんですよ。そういう立場で市町村に公害の防止なんかを訴えたところで、こんなものを入れたところで何にもならないですよ。なるべく、公害をたれ流しにしているものがあれば、それは市町村でめんどうを見てくれるであろう、こういう方向にいかざるを得ないじゃないですか。
#32
○国務大臣(秋田大助君) 私は、企業が責任がないんだということを申しておるわけではございません。つなぎの措置は十分考えておる。そしてそれには理解と同情を持って臨んでいく。安易にそれじゃ全部市町村が引き受ける、自治省がめんどうを見るということは、企業に対する影響というものはどういうことでございましょうか。そういう点も考えた措置を考えつつあるのでありまして、企業が一つも責任がないんだというようなことは私は考えておるわけではないのでありまして、どうぞ私のこの意をひとつ御了解を願いたいと思います。
#33
○竹田四郎君 非常に、何か大臣はほかへ呼ばれているそうですからここであまり時間をとるわけにはいかないわけですが、私はやはり自治省も、ここに存在するところの特定工場がそこの市町村の財政というものに影響を与える限りにおいては、私は企業としても、それは法的な責任関係の有無ということは、これはまたいろいろあるでしょう。しかし、それは行政的な立場、あるいはその地域における地方の政治のあり方として、私は当然そういうものは企業に対して、やはりそういうおおむね責任が明らかになっている限りは、企業としてもその責任はとるべきであります。金は幾ら出すかということはいろいろまたこれは問題ありますよ。その金について、一時ほかで立てかえなんかすることはありますよ。ありますけれども、具体的にその責任をとるようにしなければ、私は今度の自治法の改正というものは意味ないと思うんですが、これは御答弁要りません。お急ぎのようですから自治大臣、行っていただいていいですけれども、私はそれでも、いまの大臣のお答えでも私は少なくとも市町村側に立つ御答弁として受け取るわけにはいかない。もう少しこの問題については前向きな姿勢を示してもらわなければ、地域の住民というものは私は全くそうした公害防止という形にはいかない。これはひとつ考えてみてください。
 で、通産省の方にお聞きいたしますけれども、きのうの大臣答弁がございましたけれども、その大臣答弁のように、通産省でも積極的にそういう町に対して責任を負え、地方財政上においても責任を負えと、そういうことを積極的に干渉していくというお立場はございますか。
#34
○政府委員(莊清君) 具体的にお話がございましたイタイイタイ病の婦中町のほうからは、町長さんも見えまして、私もお目にかかりました。ただ本件は、先ほど来お話ございますように、地方財政の非常に重要な問題でもございますし、またほとんどの費用が簡易水道の関係ということになっており、厚生省のほうも非常に関係が深いわけでございますので、私ども通産省としては、公害防止の見地から鉱山会社を監督指導するという立場に当然あるわけでございますけれども、この種のやっぱり行政、企業の負担というふうな問題がございますから、自治省とか厚生省と十分御意見を聞きながら、政府としてやはり歩調をそろえまして、その見解に基づいて、私ども必要に応じて、また企業に対しても必要な手段を講じてまいりたい。将来の方向としてはさように措置いたしたいと思っております。
#35
○竹田四郎君 きのうの通産大臣の御答弁をそばでお聞きになっておられまして、通産大臣の考え方というものについては御理解をいただいておると思いますが、この中でも、もう一回ここで通産大臣の答弁を読ましていただきますと、「そういう場合、会社と当該公共団体でありますが、話し合いによってそういうふうな結論が出る場合もございましょうし、話し合いがつかずに訴訟になって判決を待って決せられるという場合もございましょうし、態様はいろいろであると思います。原則として、そういうことについて会社側が全く責任を負わなくてよろしいというような理屈は私は別段ないと存じます。」こういうふうに御答弁になっております。それから第二回目の御答弁では、「企業が本来そういう賠償を払わなくともよろしいというようなことを定めた法規なり、あるいはそういう一般に受け入れられた観念というものはない、」こういうふうにおっしゃっておる。そういたしますと、私は当然通産省としても婦中町の町長と神岡鉱業とひとつ話し合ってみろというくらいのことは、私は通産省の立場として言えると思うのですが、どうでしょうか。
#36
○政府委員(莊清君) 婦中の町長さんからこういう要求書を会社に持っていってかけ合いを始めたいということで、通産省も承知しておってほしい、なおできれば、会社のほうに婦中の町長が行くから、会ってひとつ話をよく聞くように通産省から声をかけてくれないかというお申し出があったわけでございます。さっそくさように計らいまして、その足で町長さんが会社に行かれ、責任者と会っていろいろ説明された、こういうことを町のほうからも会社のほうからも、私どもあとで伺っております。そういうことで、きのうの大臣の御答弁にもありましたように、事実上当事者間で話し合いというのはすでに始まっておるわけでございます。それで、通産省として公式に当事者の間に入りまして、もう一歩進んで一種の行政指導といいますか、あっせんというふうなことまでは現在の段階では実は考えておりません。もう少し当事者間で話し合っていただくということが、最初の説明が行なわれたという程度でございますから、今後当事者間の折衝がぜひとも必要だと存じますが、今後さらに厚生省なり自治省のほうで、公共企業実施官庁あるいは財政問題の主管官庁のほうでいろいろ御検討が進むと思います。そういう御見解が示されまして、そうして町のほう、企業のほう両方に通産省が間に入ってひとつあっせんをするというようなことになってまいりました場合には、先ほど申し上げましたように、またその段階で、私どもとしては必要に応じて措置を考えてまいる、これが基本姿勢でございます。
#37
○竹田四郎君 政務次官、通産省のいまのようなお答えなんですが、先ほどの自治大臣のお答えよりも私は企業に対しての考え方というものはむしろ前向きのような気がする。結果的にどうなるか、これはわかりません。しかし自治省のほうが、こういうことを催告書を出して損害の賠償を要求したことはよく納得できる、わかるという程度でいいですか。いまの御答弁の中でも、厚生省なり通産省なり、そちらの態度というものが今後自治省の動く立場において非常に重要なささえになってくる、住民の立場から考えれば非常に重要なささえになってくる、こういうことを示唆しておるように私は受け取りました。それが先ほどの自治大臣の御答弁のような形であったならば――裁判の結果を待つとか、そういうふうな非常に他人行儀な、傍観者的な態度では公害なんというものはなくならないですよ。もし先ほどの自治大臣の答弁以外に前向きのお考えがあったら述べてください。
#38
○政府委員(大石八治君) 先ほどの自治大臣のお答えは、私はいまの通産省の御見解と矛盾するといいますか、ものではないというふうに感じております。大臣のお話しになったのは、そういう話がなかなかうまくつかない場合に、それではそのままおけないという場合には、ひとつ起債なりその他のことも見てやってよろしいということを言われているんだろうと思います。したがいまして、決して通産大臣のお答えと全く違う考え方を私は述べられたというふうには思っておりません。
#39
○竹田四郎君 財政局長ね、あなた聞いていてどうですか。最初のあなたの答弁とこれは変わるものがありますか。私はもう少し地方団体側について、そこの財政を指導監督する立場のあなたとしては、こういうことで一つの町が特定工場のために公害を受けて財政支出を多くやっている。それに対して交付税や何かで少し見てやる――全部見れるわけじゃない、少ししか見れないはずですが、そういうことでこうした問題は解決していくと思いますか。あなたこの件よく知っているんですか、知らないんですか、どっちですか。答えてください。
#40
○政府委員(長野士郎君) この問題につきまして具体的な詳細なことは私は存じておりません。ただ一般的には、公害について企業に責任がある場合、そういう結果においてその公害の防除という点で地方団体が負担をしいられている――しいられざるを得ないというか、持たざるを得ない場合に、全然企業に責任がないかということになれば、私は責任があるということを先ほど申し上げたのでございます。それで、現在の問題はいろいろ込み入ったような話に先ほどからもちょっとなっているようですが、私が聞いておりますところでは、一般の被害者の――被害者と申しますのは個人のほうでございます。被害者の損害賠償の請求の訴訟が、第一審の判決というのが、聞いたところでは六月の末ごろには行なわれるそうでございます。そういうことでございますので、町といたしましても現在三井金属との話し合いに入っておるそうですが、ただ、町としてもその判決の結果というものが話し合いに非常に影響するだろうということを考えておるようでございまして、やはりその判決の結果も見ながら話し合いを進めていきたいというようなことで、現在その点につきましてのあっせん方についての協力というんですか、そういうことについても官房の企画室のほうに申し出があったそうでございますけれども、そのときにも、町長、町の当局者が見えましての話ということを伺いましたけれども、そういう状況でありますので、その判決後の話し合いというものの状況いかんによって、ひとつ関係各省とも御相談の上でいろいろ御援助を願いたいというようなことがあったというふうに聞いております。私どももそういう状況を、今後の推移を待っていくということについての町の考え方というものを了承をいたしておるわけでございます。これはいままでの経過でございますが、さて、こういう問題について御指摘の簡易水道について申しますと、私どもの調べておりますところでは、総事業費が一億かかっております。一億ちょっとこえております。これに対しまして国は三千百万円ほどしか補助金がありません。それでも、国の簡易水道の助成としては通常の補助率よりも高い補助率をしておるということで、国では大奮発をしたつもりでおるようでございますが、まあその程度でございます。普通ならば四分の一の補助を、この場合には三分の一にしておる、こういうことを聞いております。それ以外のものにつきましては、県で千八百万円、市町村で大体五千万円近くの負担をいたしております。これにつきましてどういう措置をしておるかと申しますと、現在のところはそういうことでございます。で、地方負担に対しましての起債の充当を考え、あるいは交付税措置によりまして、簡易水道の建設ということについては少なくとも支障のないように配慮をいたしておる、こういう状況でございます。しかしながらそれでよろしいかということになれば、やはり町の負担というものはほかにもいろいろ行政のあれがございますから、その点について十分見ていくというかっこうになかなかならぬという御指摘でございます。私もその点については心配をいたしております。そういう意味で、いろいろこれからの考え方をとらなければなりませんけれども、公害関係のみならず婦中町全体にはいろんなそういう意味での財政需要があるわけでございまして、私どもは四十四年度、四十五年度、いずれも見てきたつもりでおりますが、最終的にそういう企業との関係におけるところのまあ損害といいますか、そういうものの回復というものは、私はやはり責任の関係というものが民事訴訟等の判決の結果はっきりいたしました場合に、当然に村として回復さるべきものは回復をしてもらうという筋は当然だろうと思っております。
#41
○竹田四郎君 婦中町の場合は、具体的にそういう被害者からの訴えがあったからそういうことになるわけです。訴えのない場合にはそれはどうにもしようがないことになりませんか。訴えがあったから何とかその結果によって強く当たれるというわけでしょう。訴えのない場合はどうなんですか。
#42
○政府委員(長野士郎君) こういう問題について、特定の企業についてのまあ責任と申しますか、これは単なる個人の被害の問題だけじゃなしに、行政上の負担、特にこういう公共施設のよけいな負担であるかどうかというような問題はありましょうが、そういう負担をしいられたというような場合に、それが公害防止上必要であるということであれば、企業にそれについての賠償と申しますか、とにかくそれを償うだけの責任があるということが明確になってくるわけでございますから、そういう問題の明確になってくることが私どもは望ましいことである、そうしてそういう企業との間の負担の公平をはかるための措置としては、これは自治省としても、訴えがあるなしという意味じゃなくして、状況がわかり次第、そういうための救済について御協力をするというのがこれは当然の姿勢だろうと考えております。
#43
○竹田四郎君 どうもその辺が私は積極性がないと思うんですね。いままでの自治法であるならば、確かに騒音防止という非常に限られた範囲の公害についていっていたわけですね。今度は公害の防止という形で、地方の範囲が非常に公害の防止という形で大きくなってきているわけですね、環境の整備保全ということで。そういうような自治省の立場で、一体ここに掲げられておるこういうことが一体できておるのかどうか。おそらく自治省がそんなやわらかい立場で言っているのじゃ、私は法文をこう直したって全くこれはただ飾り文句にすぎない、こう思うんですよ。財政措置だって、いまおっしゃったように十分な財政措置をできるわけじゃないわけだから。それに、当然そうした公害を起こした企業の責任というものを公共団体としても私はもっと明確にしていく態度というものが必要であろうと思うんですよ。いままでは――最近は幾らか減りましたけれども、企業誘致条例などをつくっていたり、きのうの悪臭防止法についても、厚生大臣のお話の中には、市町村長というのはとかくその地域のいろんな勢力関係によって動かされる可能性があるというようなことばも出ておりました。私は自治省がそういう態度じゃ困ると思うんですよね。むしろ積極的にそうした企業はその責任を負うべきだ、それが先に出てくる。ただ、責任を負うといっても、直ちにその責任が、具体的にどう負えるかこう負えるかということはいろいろ問題があるだろう。その間は財政的には国のほうが幾らか見てやりましょうというなら、話はわかる。どうもその辺がさかさまだと思うのですが、どうですかね、局長。
#44
○政府委員(長野士郎君) どうもお話の意味が私にはよくわかりません。私ども決してさかさまにものを考えているとも実は思っておらぬのでございます。先生がおっしゃっていることと、私どもがお答え申し上げていることが、それほど懸隔があると私思えないのでございまして、その点ではひとつ私どももあまり違わないことを実は考えておるつもりでございますが、まあ、この公害の問題につきましては、特定の企業が与えた影響いかんというようなことはかなり複雑なものがあろうかと思いまして、そういう点でかなり時間もかかる。この間のつなぎをどうするかという問題もある、というようなことは避けられないことだと思います。現実問題といたしまして、婦中町につきましても四十四年、四十五年に相当特別交付税も回しておりますが、それがいいかどうかということもまあ一つの問題があろうかと思います。一体、そんなことをすべきじゃなくて、企業が取り上げたらいいじゃないかという御議論だろうと思いますけれども、これはやはりそういうことに時間をかけている間に行政運営ができなくても困る。そこのところに一つ現実問題との間をどう調整をしていくかということが起こるわけでございます。公害の防止ということが地方団体の任務となるということには、これはまあ地域住民の健康を保持したりあるいは環境の保全のための任務を負っている地方団体として当然の姿勢である。これは私もそのとおりだと思いますけれども、これは、言ってみればたての両面の問題があるわけでございます。公害防止というものが地方団体自体の責任であるということの中には、いろんな要素も入るわけでございますが、その場合でも、しかし、それは公害を直接与えた企業の責任まで地方団体がかわってかぶるものじゃない。私はこれは明確だろうと思います。したがいまして、その点におきましては、私どもそのような考え方でこれから地方団体に対しての連結なり指導なりをしてまいりたい、こういうつもりでおるわけで、またそういうつもりでいままで申し上げておるつもりでございます。
#45
○竹田四郎君 局長が私の言うほうにだいぶ近寄ってきてくれたので、それはうれしいと思います。ただ、先ほどからの自治大臣の話を聞いていて、とにかく積極的にもう少し企業として責任を負えと、そういう態度が私はないところに問題点があると思うのですよ。もちろんあれですよ。先ほど私だって申し上げていますように、つなぎとしていろんなことをやるということについては、私反対してるわけじゃないです。これはやらざるを得ないでしょう、実際問題としてね。しかし、企業がまずこれだけの公害を起こしておいて、裁判の結果が出るまでは私は知りません、こういう態度が許されるかどうか。そして市町村には迷惑かけているわけです。検診もさせる。簡易水道もつくらせる。簡易水道をつくるにいたしましても、これは町の負担以外に住民の負担も当然あるでしょう。そうなってまいりますと、裁判の結果を待ってからと言う前に、具体的な金額は、それは私は裁判の結果を待ってから具体的な金額というのはいろいろきまるべきであろうと思います。しかし道義的には、それほどの損害を起こしておいて、そしてそれをつなぎだといって、これだって全体的には国民が出した金です。そう考えますと、第一に自治省とすれば、通産省じゃないはずなんです、自治省は。だから、企業が起こした損害というものは、いまもおっしゃいましたように市町村が全部負うべきでないということは当然なんで、それをなぜもっと先に出していかないのか、答弁のあとのほうになってそれを出してくる。それじゃ私は困る。もう少し自治省の態度というものを私は明確にしなければ、法案を改正しても意味がないだろう、こういうふうに思うのです。これは政務次官どうですか。私の意見間違っていますか。
#46
○政府委員(大石八治君) 私、実は間違って理解しているところがあるとすればお許しを願いたいのですが、企業責任が、企業の責任が明白であるという場合は、竹田先生のおっしゃるとおりだろうと思いますし、そのとおりだ。ただ、いまの場合、ここが私の理解が間違っておるのかもしれませんが、この婦中町の場合、相手の企業が自分の責任ではないんだということを言い張って、それが裁判の中の一部になっているのではないかと思うのです。そこが私、そうでなければいいわけですけれども、ですから、その責任がない、あるということがこの事件の何といいますか根っこに一つある。そのために、何といいますか、少し持って回わったような表現が出てきているんではないかというふうに思います。これは財政局長からお話のありましたとおり、そういうことのできたものの結果というものが、企業者の行為から出てくるものがはっきりしているということであれば、あるいは金の問題、どの程度かということはいろいろ出てこようと思いますが、これは企業の分担すべきものがあるということは明白であろう。これはもっとさせなければならないと思います。この事件の場合に、何といいますか、はっきり会社の行為から出ているものがその原因の大部分である、いやそうではないんだというふうに、いわゆる裁判ざたになっている根っこの問題がある。そのために、何といいますか多少論争になっているようなところがあるのではないかと思うのです。
#47
○竹田四郎君 そうすると、どうも私は政府機関としておかしいと思うのですね。あなた、四十三年五月八日の厚生省の見解というのを知っていますか。先ほど述べたわけですね。そうすると自治省というのは、厚生省よりも裁判所の結論を待たなければ動けない。企業に対して、企業にものを言うときは動けない、こういうことですか。
#48
○政府委員(大石八治君) そうではないわけであります。いまの当然出すべきであるというふうな問題の中に、協力させるかどうかということは私はあると思うのです。ただ、竹田先生ははっきりしていると、企業の責任がはっきりしていると、こうこの場合のことで言うのですが、それが争いになっているんではないだろうかということを私ちょっとお聞きしているわけです。そこが私が、そうじゃないんだということであればまた別ですが、そこが裁判の根のところにあって、会社側は自分の責任ではない、それがいわゆる裁判として争われている根っこの問題であるという実は解釈をしているわけでございます。
#49
○竹田四郎君 さっき厚生省の人が答弁されたでしょう。神岡鉱業所よりほかにはカドミウムの原因になるようなものを排出しているものはないんだ、厚生省はそう言っているわけです。あとの問題は、カドミウムがイタイイタイ病の原因であるかどうかというところに問題点があるわけでしょう。そういうおそれがあるからこそ、婦中町は簡易水道はじめいろいろな施設をしているわけです。そこの原因、そういうカドミウムがイタイイタイ病の原因であるかないか、その点まではっきりしなければものが言えないんですか、自治省は。
#50
○政府委員(大石八治君) ちょっと私と議論が合わないところがあって申しわけないんですが、その理由がどっちなんだ、原因がどっちなんだという判定を自治省がきめるというふうな御返事を求められるような感じがいたしますが……。
#51
○竹田四郎君 そんなこと聞いてないですよ。そんなことは厚生省の見解に出ているのだ。さっきはっきり言ったでしょう。厚生省の見解はかいつまんでいえばそういうことだと言ったでしょう。
#52
○政府委員(大石八治君) それだから……。もう一度実は御指摘を受けたいわけですが。
#53
○竹田四郎君 裁判になっている問題は、カドミウムがイタイイタイ病の原因であるかどうか、そこの問題でしよう。しかし厚生省の見解というのは、その病気になるような物質は神岡鉱業所から流している以外には流しているところはないと言っているのです。それから婦中町も、カドミウムがイタイイタイ病の原因であるから簡易水道をつくったわけじゃないでしょう。それがはっきりしたからつくったわけじゃないでしょう。神岡鉱山の排水によって神通川の水質が汚濁されている。だから、そこの伏流水を使って住民がその水を使うことになればそうした健康が阻害をされるという心配があるからこそ、簡易水道をつくらざるを得なかったわけでしょう。それでなければ、水が汚染されでなければいままでの井戸を使ったほうがもっとよかったかもしれません、地域の人にしてみれば。あるいは、その井戸をつくるためにはいろいろなお金を使っていることでしょう。また簡易水道をつくるということになればまた金が要るわけです。だから、裁判で争われている点とは違うのですよ、問題は。財政支出を多くせざるを得なかったという理由は違うのです。それが厚生省の見解なわけです。その厚生省の見解も信用しないで、裁判の結果を見なければわからないということは、私どもどうしても理解できない。
#54
○政府委員(大石八治君) 裁判の結果を見なければわからないという返事を申し上げたつもりは全く、私はいまの自分の御返事では、そういうことではないというふうに思っているわけです。ただ、そのいまの婦中町で流れている水というものをそのまま使用したんでは病気になる危険があるということで、住民の考え方からもいわゆる簡易水道をつくるということになったと思うんです。したがって、その水を飲む者は企業の従業員、企業の中でも飲む者もあるだろうと思うんです。したがって、私は企業も、何といいますか、企業もこの婦中町がやる簡易水道の経費についていわゆる協力をしていくということは考えてよかろうというふうに思うわけであります。ただ、何といいますか、おことばどおりの法律上の責任とかなんとかいう問題でいま言われると、裁判をしているではないかということになりますから、それを当然その水は企業も飲むでしょうから、またその中の従業員が町民として飲むわけでありますから、私は企業も協力をして、いわゆる分担をするということはおかしなことではないと、こう思います。
#55
○竹田四郎君 だから、ようやく私に近づいてきてくれたわけです。ですから、私は少なくとも自治省として、それは法律的な正しいところからいけば、なるほどイタイイタイ病そのものの原因についての問題点についてはまだそれは裁判を見なければわからない、こういう形でおそらく町村の財政支出というのはふえていくんですよ。そこの辺は自治省が考えるべきじゃないですか。どうもその辺が、私は自治省としての態度として納得がさっきからできなかった。いまの政務次官の答弁でありますれば、七割くらいは私わかるような気がするのです。その辺は、やはり特定な工場が出しているということまでわかっているわけですから、ですからその辺は自治省としてもう少しはっきりした態度というのを示すべきである、このように思うのです。財政局長、ほかでこういう形になっているところはどのくらいありますか。調べてないでしょう。
#56
○政府委員(長野士郎君) 私は財政を担当しているわけですが、そういう点での今日まで私のほうで考えていかなければならないという直接のものは、ここと安中など数カ所についてはいろいろ話を聞いておりますが、具体的に何カ所というようなことは聞いておりません。
#57
○竹田四郎君 これはぜひ、いま特にこういうところは僻地に近いようなところ、そういうところにこういう問題が私は比較的多く出ていると思うのです。それから、工業地帯の場合にはもう少し複雑ですから、必ずしも私はすぐそういう形で自治省が言えるか言えないか、これは少し問題があると思うが、少なくとも特定の工場からの排出物によってその地域の財政需要というものが著しくふえているという場合には、その原因が明確になるのを待ってということじゃなくて、とにかくその排出物によって、何かをしなくちゃ住民の健康が維持できない、住民の環境保全にならないということであって、仕事をした場合というのは、私は当然それは企業として、賠償責任という法律的な問題は別としても、企業として当然負担をすべきである、こういう見解は示されていいのじゃないかと思うのですけれども、そういうのを一度調査してみてください、自治省として。私はそういうのはほかにもあり得ると思う。どうですか、財政局長、調査してみる気がありますか、それとも言ってこなければ調査してみないというのですか。どちらですか。
#58
○政府委員(長野士郎君) 公害を担当しておりますのは私のところじゃございません。官房でございますから、官房に申しつけておきます。
 それから、おことばではございますが、企業に責任がある、ないということは、いろいろの研究なりそういうものをしなければなかなかはっきりしない面があるのだろうと思います。そういうことでございますので、抽象的一般的に責任があるということで、そのために必要な事業をするからおまえのところで全部金を出せということで、はいはいと言って出すところはまずない。相当な証拠なり資料なりを整えて話をするというかっこうになっていくためには、やはり相当な時間もかかると思いますし、それから、事業の性質によりましては企業がすべてを出すのが当然というものばかりでもない。いろいろあると思います。そこで、その額を確定するとか範囲をきめるとかいうのは、これはやはりいろいろな条件を踏まえながらやっていかなければならないという問題でございますから、お話にございますように、何かのことで企業に責任が相当あるということだったら――全部おまえが出せ、すぐやれ、すぐ話をつけろ、これはなかなか、お気持ちはよくわかります。お気持ちはよくわかりますが、現実問題としてその点はちょっとむずかしい問題であろうかと、これはひとつお含みを願わなければならない場合が多いのじゃなかろうかと思いますが、一応しかしそういうことで調査をすることは私もたいへん必要なことだと思うし、かつ、そういうものが常に自治省としても整備されておるべきだという御指摘の御趣旨でもあろうかと思いますので、それは担当しておるところへ十分申しつけまして、やってもらうようにいたしたいと思います。
#59
○竹田四郎君 局長、私は全部すぐ払えということをさっきから言っているわけじゃないのですよ。そういうことは一言も言っているはずはないですよ。少なくとも自治省としては、そういうことによってその町の財政事情というものが苦しくなった場合には、応分の、と言っていますよ。簡易水道だって、私は婦中町の場合全部出せと言っちゃいないですよ。応分の、と言っている。そういうことを私は言っているわけですよ。しかし態度として、自治省の態度としては、私はもう少し明確な態度をやはり出していただかなければ、地方財政の担当者としての局長として、その点はもう少し強い態度を持つべきである。公害のことについては官房だ。財政のことについてはあなたですよ。何かそういう点で私はあなたの答弁というのは非常に責任のがれをしているような感じを受けます。それじゃ困る。
#60
○政府委員(長野士郎君) 企業の公害の発生源に責任がある場合がはっきりしたときに、地方団体の財政負担、事業実施、それに関連する財政負担についての企業側からの負担というものを推進していくべきであるという御趣旨は、私どもも初めからその点ではあまり違ったことを考えているわけではないわけであります。今後ともそういうことでは、私どもも筋の通らない負担を地方財政のサイドでしなければならぬと決して思っておりません。むしろそのことはほかの団体の共通な財源にも影響を与えることでございます。また、国民全体の租税の負担がそんな公害企業のためばかりに使われるということは、これはあってはならないことだと思います。むしろそういう意味では、私どもはその点をはっきりさせてもらいたいという気持ちのほうが強いわけでございますから、そういう趣旨が当然行政の中でも反映するように努力をしてまいりたいと思っております。
#61
○竹田四郎君 初めからそういう態度を示してもらえればこんなに時間はかからなかったわけです。初めから何か法律解釈をそちらのほうで持ち込んできて、私に法律解釈をさせるようなそういう答弁をしているから、これで一時間終わってしまったわけです。私は十分が十五分でこの問題を明確にしたいと思っておったのですが、非常に時間を費やしたという点は残念でございます。いま最後に言ったようなひとつ立場というものを堅持をしていただきたい。先にそれを出してもらえばこんなに議論しなくて済んだわけです。ですから、この問題はこれで終わります。
#62
○委員長(若林正武君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#63
○委員長(若林正武君) 速記を起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十九分開会
#64
○委員長(若林正武君) 地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
 御質疑のある方は順次御発言願います。
#65
○和田静夫君 昨日、一部事務組合に関する地方自治法の適用準用関係の資料を全部おつくり願っていただいたわけですが、たいへんびっくりしているんです、正直な話。おそらく長野士郎著を廃刊にされる意気込みだということをこの中で推察をするのです。したがって非常に大きな問題があるんじゃないかと思いますが、以下具体的に少し聞いてみたいと思うんですが、まず冒頭に、この自治省がお示しになりました資料で一部事務組合の問題をめぐっていろいろ検討いたしてみましたが、直接請求の規定の準用の是非をめぐっても、行政局長から先日最終的にだいぶ講義を受けたのですが、長野前行政局長と宮澤現行政局長との間に明確に考え方の違いが若干出てきている。いまここにいただいた、そして統一的にお示しになられた適用準用関係というのは、自治省としての正式見解として受けとめておいてよいかどうかということをまずお聞きをしたい。
#66
○政府委員(宮澤弘君) この一部事務組合の適用準用関係につきましては、かねてから非常にいろいろ議論のあるところでございます。率直に申し上げますが、非常に議論のあるところでございまして、昔からの解釈や運用、それから現時点におけるいろいろの問題点、非常に問題がございます。と申しますのは、やはり一部事務組合というのが旧来の制度というものを基本にしているということも一つの原因であると思うのでございます。そこで、過日和田委員から準用関係についての考え方を明らかにせよというお話がございまして、作成をして資料を御提示を申し上げたわけでございます。で、私どもといたしましては、現時点におきましてはこれが私どものほうの考え方であるということを申し上げてよかろうと思います。
#67
○和田静夫君 これはたいへん重要な関係、おいおい述べていこうと思うんですが、わずか一晩じゃとても考え切りませんでしたけれども、単なる自治省一省の考え方ではなくて、政府としての考え方であるというふうに理解をしてよいかどうか、まず最初に答弁いただきたいのですけれども。
#68
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど来申し上げておりますように、いろいろ議論のあるところでございます。それから条文なり項数なりとしても非常に膨大でございます。そういう点から申しまして、あるいはなお推敲不十分の点があるかと存じますけれども、自治省としての現在の考え方と、こういうふうにお受け取りいただきたいと思うのでございます。ただし、ただいま和田委員、政府としての考え方であるかという御質問がございました。そういうことでございますれば、やはり政府の法律的な解釈なり適用の問題といたしましては、内閣の法制局と十分相談をして検討をしなければならないわけでございますが、その時間的余裕がございませんでしたので、そういう意味合いにおきましては、政府としての正式見解ということは適当ではなかろうと思います。
#69
○和田静夫君 いまの御答弁を伺っておって、次官恐縮ですが、いまの行政局長の政府の部分についての答弁、それでよろしいでしょうか。
#70
○政府委員(大石八治君) 自治省としての見解というものは、先ほど申し上げたとおりであろうと思います。それを政府の見解としてという、特にお求めになれば、あるいはさらに法制局等との御相談をした上でされることが適当ということで、申し上げたのではないかと思います。
#71
○和田静夫君 それじゃまず、それを前提にしなながら入りますが、地方公共団体の区分に関しては、直接憲法九十二条それから九十三条との関係で、憲法上の地方公共団体と自治法上のそれとの区分がしばしば論議をされてきたところでありますが、特別地方公共団体が憲法上の地方公共団体ではないということは、最高裁の判例などによって確定してきたところであります。その立場に立ちますと、憲法上の地方公共団体と自治法上のそれというのはイコールではありません。自治法上の地方公共団体が、憲法上の地方公共団体ではない特別地方公共団体をも含む、より包括的なものである。したがって、第一条、それから第一条の二、それから第二条の一項が特別地方公共団体たる一部事務組合に適用されるということは当然です。
 そこで私の言いたいのは、まず包括的な地方公共団体があって、それが普通地方公共団体、それから特別地方公共団体という形で二本立てになっている。しかも、一方は、憲法規定の具体化としての意味を持っている、それから他方は、単なる自治政策の必要から出てきたものとして存在をしているという法律構造になっているということは、やはりそれぞれの運営についても別々にきちっと規定をしていくべきことを示しているのではないだろうか。何もかもこの準用で処理をしていく、そういうことには非常に無理があると私は少なくとも思いますし、そういうことはすべきではないのじゃないだろうか、そう考えますが、いかがですか。
#72
○政府委員(宮澤弘君) 前段にお述べになりました憲法上の地方公共団体と自治法上の地方公共団体、これにつきましては、お述べになりましたところの概略については私も異論を持つわけではございません。そこで、自治法できめております特別地方公共団体の運営について、準用でなくて格別の規定を設けるべきではないか、こういう御質問であろうと思うのでございます。それは立法政策の問題といたしましては、私はそういう御見識は一つの御見識だと思うのでございます。あるいはもっと端的に申しますならば、新しく法律をつくるという場合には、そういう議論というものも当然私はあり得るであろうと思います。しかし、御承知のように、自治法におきます地方公共団体、そのうちでの特別地方公共団体、さらにその中でのただいま御審議を願っております地方公共団体の組合というものにつきましては、その実体において、普通地方公共団体でございます府県なり市町村の仕事の一部を分担をするものでございます。その運営につきましては、いわば構成地方公共団体の運営というものに、何と申しますか同様な運営をすることが原則として期待をされているということから申しまして、法律技術上、市町村の組合につきましては市町村に関する規定、府県が入っております組合におきましては府県の規定を準用するという法律構造がかねてからとられてきて今日に至っているわけでございます。したがいまして、そのこと自身、私はそういうたてかたが非常に不適当であるとは思わないのでございます。
#73
○和田静夫君 私はこれはたいへん不適当だと思う。後ほど具体的な問題に触れますが、少なくとも私には理解ができません。で、これはここではとにかくいまの御答弁も理解ができない、そういうことを述べておきます。
 そこで、私は地方自治法自体も実は私がいま言ったことを予定していると思うんですよ。たとえば第二条の一項で「地方公共団体は、法人とする。」と包括的に規定をしながら、二百八十五条といったような規定がありますね。また長野さんですけれども、長野さんはこの二百八十五条を解説をして、「第二条に地方公共団体は法人とすると規定してあるので、地方公共団体の組合は、本条の規定をまつまでもなく、当然法人として考えられているわけである。したがって、本条はいわば念のための規定であるにすぎない。」、こう解説しておられます。で、私はこうした念のためと言われるような規定さえあるということは、やはり普通地方公共団体とは明確に区別をして、しかも特別区一部事務組合、あるいは地方開発事業団など別別に扱っていこうという志向のあらわれでしょう、この法律自体。したがって、どうも私は、まあ非常に長い間尊敬をしてきた宮澤さんですがね、この自治法の昨日来のやりとりを通じては、どうもそれだけで理解ができないという節々がたくさん出てきて困っているんです。いまのところなんか、まず第一にそうです。
#74
○政府委員(宮澤弘君) ただいまの第二条の「地方公共団体は、法人とする。」という現行法の規定、それから現行法の二百八十五条のやはり法人についての規定、両方あるわけでございます。で、ただいまお読みになりました解説書には念のための規定であると書いてありますが、法律的には私はまさにそのとおりであると思うのであります。それでは、なぜこういう二百八十五条の規定が入っていたかということでございますけれども、御承知のように、組合というのは戦前からずうっとありました制度でございまして、府県制なり市制、町村制というものの中に規定をされていたわけでございます。それが戦後、新しい地方自治法に移ってきたわけでございます。御承知のように、戦前は府県制なり市制、町村制でございましたから、地方公共団体、こういう表現はなかったわけでございます。ただいまその第二条にございますような「地方公共団体は、法人とする。」というような、府県、市町村、それから一部事務組合等の特別地方公共団体を含めました、普通、特別、両地方公共団体を含めました地方公共団体、こういう表現はなかったわけでございます。ところが、地方自治法になりまして、そういう両方包括をした地方公共団体という概念を用いているわけでございます。そこで、「地方公共団体は、法人とする。」というふうに規定をいたしました以上、おそらく、実は当時といたしましても二百八十五条自身というものはもうそれ自身重複する規定でございます。法律的には意味がなかった、こういうふうに私は考えていいのではないかと思うのでございます。
#75
○和田静夫君 まあ、いまのことと関連すると思うのですが、ちょっとこの前の解釈をめぐって、先験的のやりとりで行政局長一ぺん著者の意見を聞いてと約束されたのですが、いかがでしたか。
#76
○政府委員(宮澤弘君) 御指示がございましたので、著者の意見をただしました。著者も、私が申し上げましたような意見を言っておりました。つまり、何か先験的に地方公共団体の一部事務組合が処理する事務がまずあるのではなくて、関係地一方公共団体が相談をして共同処理をきめましたものが、まさにそこで仕事が特定されて、一部事務組合の仕事になる。私自身はそういうお答えをいたしたわけでございまして、私はそういうお答えをしたけれども、あなたの書いた真意はどうであるかということを聞いたわけでございます。あの人もそう簡単に人の言うことをうんうんと言う人ではございませんけれども、その点につきましてはお前の言うとおりである、こういうことでございました。
#77
○和田静夫君 その辺の論議をしていると長くなりますが、おそらく私よりももっと学のある竹田先生から、遠藤さんなどの論文を引用してあしたぐらいゆっくり一ぺんやってもらおうと思いますから、きょう打ち合わせをしてみます。遠藤さんも自分の書かれたところを一ぺん読み返しておいてくださいね。
 いまのことと関連するのでないかと思われますのでお聞きをいたします。特別地方公共団体について総括的に規定したのではないかと私が思うそれは、三十一年に削除された二百六十四条から二百八十条までの規定の内容、削除されるにあたってのいきさつをお述べ願いたいと思うのです。
#78
○政府委員(宮澤弘君) 御質問は特別市に関する規定でございますか。
#79
○和田静夫君 ええ。三十一、二年に二百六十四条から二百八十条までの規定が削除されましたね。
#80
○政府委員(宮澤弘君) これは私の記憶に間違いなければ、特別市に関する規定ではなかったかと思うのでございますが、この点につきましては、地方自治法制定以来、いわゆる大都市問題をめぐりましていろいろ議論があったわけでございます。特別市という制度を設けまして、特別市というのは、いわば府県と市町村の機能をあわせ有するというような団体ということで制度化をされていたのでありますけれども、これを実際に適用するにあたりまして、和田委員も御承知であったかと思われますが、いわゆる府県的な考え方、それから大都市的な考え方との間に摩擦がございました。それにつきまして、単に地方公共団体の側においてのみならず、国会等におきましてもいろいろ御議論があったわけでありますけれども、結局、この規定が削除されまして、大都市制度に対比する制度といたしましては、いわゆる指定市の制度というものができたわけでございます。
#81
○和田静夫君 二百九十二条、これは二十七年と三十一年に改正されているわけですが、その内容ですね。それから三十一年の二百九十二条の改正と同時に行なわれました二百六十四条から二百八十条までの規定の削除との関連について、御説明をいただきたい。
#82
○政府委員(宮澤弘君) 初めに御指摘になりました点は、ちょっといま調べないとわかりませんので、調べまして御報告申し上げます。
 それから二番目の点は、恐縮でございますがもう一度おっしゃっていただきたいと思います。
#83
○和田静夫君 その三十一年のときの――これはほんとうは私は正直に言うとわからないんです、時間がなかったこともあって。その三十一年の二百九十二条の改正と、同時に行なわれた二百六十四条から二百八十条までの規定が削除された、そそれとの関連ですね。
#84
○政府委員(宮澤弘君) 少し時間をかしていただきたいと思います。調べて御報告申し上げたいと思います。
#85
○説明員(遠藤文夫君) 三十一年の二百九十二条の改正は、前にはここには「都道府県及び特別市の加入するものにあっては」という規定がありましたが、特別市の制度が廃止されましたので、それを整理したというだけでございます。
 それからもう一つの、二十七年の二百九十二条の改正、これは地方団体に対する事務の委任の方法を「法律またはこれに基く政令」によらなければならないことと改めましたこととの関連において、前には「法律または政令」となっておりましたのを、「法律またはこれに基く政令」という形に直したということでございます。要するに「政令」を「法律に基く政令」というように改正したということでございます。
#86
○和田静夫君 そうすると、さっき前段に言われた二百六十四条〜二百八十条の削除との関連というのは……。
#87
○説明員(遠藤文夫君) 結局、三十一年の改正は特別市のほうが本体でございますので、それに基づく形式的な整理ということでございます。
#88
○和田静夫君 第一編の総則に関連しては大体それくらいなんですが、第二条の第二項、それから三項の準用関係が自治省から御提出くださった資料から漏れているんですが、これを示していただきたい。
#89
○説明員(遠藤文夫君) 実はこの資料につきまして御了承いただきたいと思いますのは、実は時間の関係もございまして、自治省のほうも個々の細部のこまかい条文まで一々検討する余裕がなかったので、条文全部につきまして網羅的になっていない点があるという点は御了承いただきたいと思うわけであります。
 で、この二条の二項と三項は、これは普通地方団体の規定でございまして、普通地方団体の行なう事務の範囲を書いてあるわけでございます。これにつきまして準用されると読むのかされないとなりますかどうか、こまかい表現の問題は別といたしまして、特別地方団体であるところのいわゆる地方公共団体の組合の事務は規約で特定されてくるということでございます。しかしながら、その特定される事務の範囲というものにつきましては、関係都道府県の市町村が持っておる二項、三項の範囲内でもって、規約で特定されてくるという意味におきましては、本項も全く関係がないわけではないように思われます。要するに、仕事の中身は組合の規約ではっきり書かれる。しかしながら組合の規約で書けば何でもやれるかといえば、それはやはり関係市町村の仕事の範囲内で結局特定されてくるという形に事務がなっている、かようにお考えいただければと思います。
#90
○和田静夫君 ちょっと、なかなか理解できないんですけれども、いま言われた前段は、御了解願いますというのは、それはちょっとぼくは了解できません。その辺もあったから、行政局長に前の委員会で約束をしてもらって、きのうの五時までに整理してもらったわけです。ほんとうのところ、考えてもわからないんです。何もいやがらせを言うつもりも何にもないんで、しかも、さっき自治省の、言ってみれば行政局長の見解でございまして、明確にされた。政府との関係は残されていますけれどもね。したがってその抜けた部分、適用準用関係でもって整理をなお時間がなくてされなかった部分について、そうするときょう委員会が終わってからでもやってもらって、あした、どうせ委員会があるようですから、そこにいただけますか、いまの前段の部分。
#91
○政府委員(宮澤弘君) ただいま行政課長が申し上げましたことばが多少不十分であったかと思いますが、整理はいたしておるつもりでございます。ただ、いま行政課長が御説明を申し上げました一部事務組合というのは、御承知のように何をするかということは規約で特定をされるわけでございます。しかし、何をするかといったその仕事の中身といたしましては、府県なり市町村が処理する事務の範囲内のものを規約で特定をしていくわけでございます。そういうことになりますと、準用関係といたしましては、この二条の二項なり三項なりというものは、普通地方公共団体のもとの規定でございますから、これは準用なり適用されないというふうに考えるのが至当であろうということで、こういう整理をいたしたわけであります。
#92
○和田静夫君 この第二編の第二章、この資料には、「第十条第一項の規定は準用されない。その他の規定は後章の該当規定の定めるところによる。」こうありますね。この「その他の規定は後章の該当規定の定めるところによる。」というのは、どういうことですか。
#93
○説明員(遠藤文夫君) たとえば十一条の選挙権とか、条例の制定改廃の請求権、解散請求権というような規定は、ここにありますように、法律の定めるところにより、こう書いてあるわけでございます。したがいまして、住民がこの法律の定めるところにより、選挙に参与する権利を有する、こうなっております。具体的には、この法律の定めを受けまして、第四章第十七条で「議員及び長は、別に法律の定めるところにより、選挙人が投票によりこれを選挙する。」こうなっております。その次十八条に選挙権という規定がございます。それにつきましての点は、十一条は索引といいますか、もう一度受けているという形になります。したがいまして、十一条というもののところにつきましては、うしろのほうの選挙のところで、ここにありますように、規約事項とされているので準用されない、こういう形をとる、こういうことにしたわけでございます。重複いたしますので、そのように記載したわけでございます。
#94
○和田静夫君 第三章全部が準用されるということですが、これはまたたいへんな問題だろうと思うのです。十四条の五項には、「普通地方公共団体は、法令に特別の定があるものを除く外、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料又は没収の刑を科する旨の規定を設けることができる。」こうあるわけです。そうすると、これが準用されるとなりますと、一部事務組合の議会というのは、こうした住民に対する罰則規定まで含めた条例まで制定できるということですか。
#95
○説明員(遠藤文夫君) 実はこのような罰則を規定いたします条例というのは、ここにありますように、いわゆる行政事務条例と称するものでございますので、通常は何といいますか、住民の権利を制限し義務を課するような形におきますところの条例というのは、関係地方公共団体が本来の権限として持っておる問題は、そのような行政権能の行使に関する事務を一部事務組合の仕事に、何といいますか、そのような行政事務を処理するところの一部事務組合をつくるかつくらぬかということになりますと、それは、最近そういうものを一部事務組合でやっている例というのは一般の公共事務に比較して多くはないと思いますが、法律上は、やはり地方団体の事務でありますれば、住民の権利義務を拘束するような、たとえば何といいますか、行政事務条例というものを共同処理するということが禁じられておるわけではない。自治法上は可能なんです。したがいまして、そのような事務を共同する一部事務組合をつくりました場合には、やはり関係団体の事務がそちらの組合の事務になるわけでございますから、同じ形におきまして十四条の五項の規定が準用されるといいますか、条例にそのような罰則を設けることができる、かような形になっておるわけでございます。
#96
○和田静夫君 これは局長、いまの答弁、それでいいですか。
#97
○政府委員(宮澤弘君) 私は、ただいま行政課長がお答えいたしました大筋は、私もそのとおりだと思います。一部事務組合というのは、地方公共団体の事務の一部を共同処理する仕組みでございますから、その事務の中身が住民の権利を制限し義務を課するようなものを共同処理いたしますような場合には、この規定というものが準用と申しますか適用がある、こう考えてしかるべきであろうと思うのであります。ただ、そういう住民の権利を制限し義務を課するような事務を共同処理することが適当であるかないか、あるいはそういうことが広く一般的に行なわれておるかどうかと申しますと、先ほども申しましたように、まず通常の一部事務組合、あるいは私どもがいままで見聞をいたしておりますものは、事業を共同いたしまして、あるいは施設等を共同して設置、管理いたします、そういうものが通例でございますけれども、私は法律論としては、そういう考え方というものがあってしかるべきだと思います。
#98
○和田静夫君 私はこれはいま全然了解できません。これは質問を留保せざるを得ないと思うのだが、住民が直接選挙をしない、そんな議会が条例を制定して、そうしてそれを守らないということで住民を罰することができるということになりますと、これは非常に問題ですよ。国民に対する罰則にかかわることまで準用で読むなどというそんなことは、法律技術上の常識として、通用するはずがないと思うのですね。法律技術上のものとしては納得できない。納得できないほうがあたりまえじゃないかと思うのですが、これはちょっと大臣あたりに聞いていただいて、ここのくだりははっきり政府としてどうだということをやはり答えてもらわないと、罰則も準用できるなどというような、法律技術上それがまかり通るなんということは私、初耳なんですね。
#99
○政府委員(宮澤弘君) 確かに御意見というようなものもあろうかと思うのでございますけれども、地方自治法におきましては、たとえば同じ特別地方公共団体、特別区などにつきましても、市に関する規定が準用されるというようなところから、いま御議論のような結果が出てくるわけでございまして、あるいは先ほど私冒頭に申しましたように、立法政策としてはいろいろ御議論があるかもしれないのでございますが、現行法の解釈なり何なりとしては、私はそういうふうに考えておるのでございます。
#100
○委員長(若林正武君) ちょっと速記をとめて。
   〔午後二時十分速記中止〕
  〔午後二時四十五分速記開始〕
#101
○委員長(若林正武君) 速記を起こして。
#102
○和田静夫君 もう説明は終わっているわけですから、多くのことを申し上げる必要はないと思いますが、いま問題になっているのは、地方自治法の第三章全部が実は準用される。私は実はこれはたいへんな問題であるんじゃないかと思って、住民の直接選挙を経ない議会が条例を制定をして、それを守らない場合があった場合に住民を罰するということができるという、準用することになるという自治省の見解ですね。これは、国民に対する罰則にかかわるような問題までが、法律技術上いわゆる準用ができるなどというようなことになりますと、たいへんなことになると思うわけです。もっと突っ込んで考えてみると、一部事務組合、今度出ているところの連合なりというものが、ある意味じゃそんなことをねらっているんじゃないかという邪推が生まれてもしかるべきじゃないだろうかと思うんです。内閣法制局としてはどういうふうにお考えになるか。
#103
○政府委員(荒井勇君) 今回の地方自治法の一部を改正する法律案は、実はこの二百九十二条の規定は改正はいたしておりませんで、その点は従来からの制定された姿で解釈され、運用されるところである、今回の改正には直接関係はないというふうに思いますが、この条項を基礎にしてどういうものが準用されるか、その場合に重要な事項として罰則が含まれるのかどうかということで、非常に大事な点をお尋ねくださったと思いますが、その点につきまして、この二百九十二条の規定は「地方公共団体の組合については」と言っておりまして、それは全部事務組合、あるいは役場事務組合、一部事務組合というものを引っくるめて規定をしているわけでございます。その全部事務組合については、実質的には一つの市あるいは町村として統合されたもので、それに対する住民というものも実質的にあるというふうに考えられて、その場合に条例を制定する、その条例に罰則を設けるということが認められないというふうには解されないわけでございます。この地方自治法の規定は、その制定されたのが昭和二十二年ということで、新憲法施行後間もないころで、当時の立法技術が、今日最近のようななるべく精緻に書こうという観点からしますと、やや、非常に大局的に、大まかに書かれているということは否定はできませんけれども、おおよそ、そのたとえば市に関する規定とか、あるいは町村に関する規定というものを広く準用するんだと書いておりますから、その市に関する規定とかあるいは町村に関する規定というものの中に観念的に含まれるものがあえて排除されているというふうに、文理解釈の問題として考えますと、そのように排除されているというふうには解されないと思いますし、また全部事務組合等の場合のごとき、そのような解釈をすると、お尋ねの御趣旨の点から言いましてもおかしいことになるのではないかと考えられるわけでございます。それから、そうすると一部事務組合の場合に、その直接の住民があるのか、公選された議員というものによって議会あるいはそれに相当する機関が構成されるのかということでございますが、その点、その罰則に関する定めをする機関は公選されたものでなければならないかという点にも若干問題があろうかと思います。まあ、たとえば漁業法に基づきますところの農林省令というものにおいて罰則を設けるとか、政令で罰則を設けることは、これは憲法自身も書いておりますし、国家行政組織法の十二条第四項というようなものは、その委任に基づいて省令で罰則を設けることもできると言っているわけでございまして、行政官庁である内閣であるとかあるいは農林大臣であるとかいうようなものが制定するところの命令、それは委任に基づいて罰則に関する定めを設けることもできるということになっているわけでございまして、それはなぜそういうことが認められるかといえば、根本的には、それは住民なり国民というもののそのコントロールが及び得るという基礎的な確信のもとに、そういう仕組みができているのだと思うわけでございます。この一部事務組合の場合を考えましても、それは複合的な地方公共団体であるというふうに考えられておるわけでございまして、その下には基礎的な地方公共団体というものがある。で、その基礎的な地方公共団体というものを通じて、住民がコントロールする道が全くないわけでもないし、いやならば脱退するという道ももちろんあるということで、行政官庁である内閣以下の機関についても、その罰則を含む命令、立法形式を制定するということができる、許されるというように、それが何らかのコントロールというものを国民なり住民が及ぼし得るという地位にある、そして法律の委任があるという場合において、そういう機関が罰則を含む規定を設けるということは、他の事例等から考えましても、またこの二百九十二条の文理の解釈からいたしましても、まあ自治省が先ほどお尋ねのような御答弁を申し上げたということでございますけれども、そういうことで、基本的に誤っているというふうには考えないわけでございます。
 ただ実際問題として、この一部事務組合が強力な罰則を伴うような行政条例をつくらなければいかぬようなケースがはたしてあるのであろうか。営造物規則的な、営造物管理に関する、公の施設の管理に関する条例というようなものを定めました場合に、地方自治法の二百四十四条の二の第四項の規定に基づいて「一万円以下の過料を科する規定を設けることができる」というようなのは、市町村が単独で設置した公の施設の場合には過料を科することができるけれども、一部事務組合で公の施設を設置したという場合には過料は全然科することができないのだといえば、実態的な合理性という点からいってもおかしいように思いますし、それはおよそ市に関する規定を準用するとか、あるいは町村に関する規定を準用する、あるいは地方自治法の体系でいえば、特別区については市に関する規定を適用するというのは、非常に大局的に、大きくつかんだ表現であるという点から、罰則を含んでいないというふうな解釈にはならないというふうに私ども考える次第でございます。
#104
○和田静夫君 なかなかむずかしいのでよくわかりませんがね、正直な話。もう一ぺん端的に伺いますが、十四条の五項ですね、いま都合のいい十章のほうを引用されましたが、十四条の五項「普通地方公共団体は、法令に特別の定があるものを除く外、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、十万円以下の罰金、拘留、科料又は没収の刑を科する旨の規定を設けることができる。」普通地方公共団体はできる、これが準用できると、こう解釈されるわけです。そんなことになりますか。住民が直接選出をする議会でない、その議会がつくる条例の中で。
#105
○政府委員(荒井勇君) この地方公共団体の一部事務組合という中には、全部事務組合もあるということを申し上げましたが、その場合に、この十四条五項の規定の適用がないとは言えないだろう。それとあわせて規定されているということもございます。
 それから一部事務組合の場合に、それじゃ住民による直接の公選制がとれないかといいますと、それは公職選挙法の二百六十七条の規定がございまして――それは一部事務組合の議会をどのようにして構成するかということは規約事項でございます。ですから、いろいろな定めをすることもできますけれども、その規約の定めの一つの態様として、公選制をとることもできて、その場合には、公職選挙法の二百六十七条の規定によりまして、その公職選挙法の中の市に関する規定であるとか、あるいは町村に関する規定というものを適用するということにもなっておりますし、そういう重要な行政事務条例等で、この十四条の五項に書いておりますような罰則をフルに適用しなければならぬような条例を制定しなければならぬというようなその場合に、その住民の直接公選制の上に立つ議会というものをつくって組織をするという道もございますし、地方自治法の精神に照らして運用される道はあるのじゃないかというふうに一応考えます。
#106
○和田静夫君 そこまでずばりとなってしまえば、私のほうも実際いいわけです。そうすると、この法律案は、自治省、やはり考え直して、出し直さざるを得ないということになりますね。やはりどうも、議会は公選制の道をとる。しかもいまはっきり言われたとおり、地方自治法の精神に基づくところの運用を十分に考えていく、こうなるわけです。ところが、公選制が用意されてないから問題にしているわけです、形成をされる議会。これ、一ぺんやはり大臣お見えにならぬとあれで、ひとつ政府見解をまとめてもらう必要ありますね。たいへん私の疑問は素朴な疑問です。したがって、ここで何も法理論的ないわゆる論争をやろうとは思いませんから、いま法制局の方が言われましたように、やはり疑義として存在はしますよ。政府見解少しまとめてください。
#107
○政府委員(荒井勇君) その点につきまして、最初お答え申し上げました中で述べたわけでございますけれども、罰則を含む法規範を制定する、定立することができる機関は、必ず公選制のものでなければならないかという命題につきましては、それは必ずしもそうではないだろうということを、最初に大前提として申し上げたわけでございます。それは憲法のもとでも認められておりますし、実定法の実例もいろいろあるわけでございまして、それは基礎的には住民なり国民が、間接的であってもコントロールができるという仕組みのもとにある機関であるならば、そういう機関について、罰則を含む規範を定立するという権能を認めても、基本的には近代法の趣旨に反するものではないということでございまして、一部事務組合というものも、基礎的地方公共団体という民主的な公選された長なり議会なりからなっている、そういうものを持っているところの団体、これを基礎としてその上に形成される。で、個々の構成地方公共団体というものが何らかの形においてコントロールをすることができるという基本的な関係にはあるという点から言いますと、その罰則を含む条例をその一部事務組合が定めるということは、基本的に矛盾するとかいうようなことではないということを最初に申し上げたわけでございます。で、まあ一番極端な場合を想定しますればこういう道なりこういう行き方もあるということを二番目の答弁で補足的に申し上げたわけでございまして、必ず公選制の議会というものからできたようなそういう機関でなければ、罰則を含む法規範を定立することはできないということではございません。
#108
○和田静夫君 しかし、いまあなたが補足的に申されたことというのは、地方自治法の精神に照らして非常に基本的なことですよね。公選制への道というものが不可能でないのならば、公選制への道というものをやっぱりつくる。そのことのほうがより深く求められるべきでしょう。この辺は法解釈じゃなくって、大臣がどう考えて法運用上に内閣としてどう対処をされるかという問題ですから、その辺の見解はやっぱり政府の側としてまとめてもらう以外にないと思うんです。したがって、この質問というのはその限りにおいては留保せざるを得ません。委員長、取り扱い……。
#109
○委員長(若林正武君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#110
○委員長(若林正武君) 速記を起こして。
#111
○和田静夫君 いまの内閣法制局の見解は見解として承っておきます。私はきょうあしたにかけてひとつ参議院の法制局と一ぺんゆっくりこの辺は勉強させてもらいますわ。
 次に、十六条ですね、十六条は「普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があったときは、その日から三日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない号普通地方公共団体の長は、前項の規定により条例の送付を受けた場合において、再議その他の措置を講ずる必要がないと認めるときは、その日から二十日以内にこれを公布しなければならないい。」こうなっているわけです。しかるに今度の改正案によりますと、連合の議会の議員は管理者または理事と兼ねることができるわけです。すると、いまの十六条の関連で、自治省これどうなりますか。少しおかしくはありませんか。
#112
○政府委員(宮澤弘君) 十六条との関係ではさしてそう問題が生ずるとは私は思わないわけでございます。連合の議会の議員が執行機関のほうと兼ねることができるという規定を設けました趣旨は、過日もちょっと申し上げたかと思うんでございますけれども、その前提は、執行機関と議決機関というものはやはり両者明確に区分されたものとして置かれる。しかし置かれる場合におきましても、議決機関の構成員のある者は執行機関のほうと兼ねることができる、こういう規定でございます。この十六条の規定が準用されるということと、ただいまの問題とは矛盾をするというふうには私は考えません。
#113
○和田静夫君 そうでしょうかね。これは全く私は――子供っぽい議論ですかね。同一人物が同一人物に議決を送付するわけでしょう。そして、その同一人物がその議決について再議その他の措置を講ずる必要があるかどうか、そう考えるわけでしょう。そして、ないと認めるんでしょう。同一人物が同一人物に送付して、同一の人物が是非を考えて、そしてないと認める。そして、認めたならその日から二十日以内にこれを公布する、こういうことをかりにも予定することができるという無意味さですね、そのこっけいさというのは、これは子供でも納得しないんじゃないですか。私の考え方違いますかな、これ。
#114
○政府委員(宮澤弘君) ただいま御質問の中に同一人物ということをおっしゃったわけでございますけれども、議決機関、一つの機関としての意思決定があるということが十六条の第一項でございます。それに対しまして第二項のほうは、それを受けた執行機関のほうとしてのこれに対する措置と申しますか対応策でございます。同じ自然人である同じ人間が第一項、第二項を全く彼自身の判断でやるということでございますればお話のようなことになるかとも思われるんでございますけれども、一項自身は議決機関としての意思決定でございます。二項のほうはそれを受けての執行機関としての措置でございます。私はそれ自身この規定と先ほどの兼職の規定というものは矛盾するというふうには考えられないのでございます。それからさらに過日も――あるいはそこまで御議論がいかなかったかとも思いますけれども、今回の二百八十七条の二の第四項で、「連合の議会の議員は、管理者又は理事と兼ねることができる。ただし、政令で定める場合にあっては、この限りでない。」こういう規定を設けております。ただし書きを設けております、これは。議決機関の人間のたとえば半数以上の人たちが執行権限のほうの仕事も行なうというようなことになりますと、私は先ほど、今回の法律におきましても議決機関と執行機関とは機関としては別のものとして法律構成をしているということを申し上げたわけでありますが、もしいま私が申しましたようなことになりますと、実質それが乱される危険がございますので、政令におきましては、そういうことのないように措置をするという意味でこの規定を設けておりますことをあわせて申し上げておきます。
#115
○和田静夫君 まあ同一人物なんていう言い方をしてしまったから、これは答弁にあったような切り返し方が可能になると思うんですが、ともあれ同じような構成員の中から出ていった者、自分が議決に参加をしてそうしてそこできまったものを送付をされてきた、そしてそれを受けた、そこに参加をしておった者が違った機能を持ってまたそれを判断をすると、こういうことですよね。そういうことじゃないですか。
#116
○政府委員(宮澤弘君) 議決機関には議決機関の使命があるわけでございます。執行機関には執行機関の使命があるわけでございます。したがいまして、従前のように両者機関も別でありますならば、構成員も全く別という考え方が当然あるわけでございますけれども、過日も申し上げましたように地方制度調査会等の答申等もございまして、答申の中には、これも過日申し上げましたが、議決機関と執行機関との権限をあわせ有するような委員会型というようなものも考えたらどうかという答申もございましたけれども、私どもは、現況から申しますと、そこまでいくのは適当ではなかろうではないかということから、現地の実情に応じましては、議決機関のある人数の構成員というものが執行権限のほうにも関与する、そのことのほうが運営が適切にいくということであれば、そういう道もまあ講じ得られるということで制度を設けたわけでございまして、多少例としては適当ではないかもしれないのでありますけれども、いわゆる議院内閣制、わが国の中央政府は国会議員の方々というものが主力になって内閣の構成をされているわけでございますけれども、いわば一種の議院内閣制的な考え方、議院内閣制それ自身ではございませんけれども、というものを導入をしたと、こういう考え方でございます。
#117
○竹田四郎君 関連。いまの点、その議院内閣制という形へ持ってきているわけですけれども、しかし一部事務組合でやる仕事というのは、具体的にいえば清掃だとか屎尿だとか、あるいは火葬場だとか、そういうようなものがかなり多いわけですね。あるいは、場合によれば文化・体育施設、こういうものをやる場合に、一体それをどこでつくるとか、どんな規模でどうつくっていくのかということが、私はかなり問題になると思うのですね。で、実際いろいろな資料をいただいた中でも、たとえば焼却場などというようなものは、これは自分の村じゃなくてどっかへ持ってけ、こういうことは実際問題としてかなり起きているわけですね。いまでさえも屎尿処理場とかごみ焼き場というのは、大体行政の境界のすれすれのところぐらいで、なるべく自分のところには影響しないというような、そういうところへつくることが多いわけです。逆に文化的な施設はなるべく自分のところへ引っぱってくる、こういうような問題が実際には事務組合の中にいままであるわけです。それはきのうの参考人、私全部の御意見は聞かなかったけれども、非常にセクトといいますか、エゴが強くて困るという御発言もあったように記憶しておりますけれども、そういう問題というのが、こういう点では特に起きることが予想されると私は思うのです。そうしますと、確かに理論的には執行機関と議決機関とあって、同じ人間でもそれは人格は違うということはわかります。わかるけれども、実際の行政の内容からいくと、私はこういうものはしばしば混同される。また混同されるようになってくるわけですね。直接選挙でいっているわけじゃありませんから。やっぱりおのおのの地域の代表的な要素というのをなくそうとしたって、これは選挙というものがある限りはなかなかそれを払拭するということは、おそらく不可能だと考えますね。そうしますと、理屈の上ではわかる、実際の上では和田委員の言ったような同じ人間という素朴な考え方にとらわれるという危険性が私非常にあると思うのですね。そこに一部事務組合の一つの欠陥といいますか、うまくいかない面というものが他方では出てくるんではないだろうかというふうに思うのですが、どうですか、この点。
#118
○政府委員(宮澤弘君) いろいろ施設をつくりますにあたりまして、施設をつくることはいいけれども、それをどこにつくるかというようなことで非常に議論がある、これはおっしゃるとおりだと思うのでございます。それと、ただいま御議論の中心になっております議決機関と執行機関の構成員を兼ねるという問題でございますけれども、そういう場合に、両者はっきり分かれていたほうが問題の解決が合理的にいくという場合もございましょうし、場合によりましては、議決機関の何人かの人々が執行権限のほうに入っていることのほうが話がスムーズにいくという場合がないことはないと思うのであります。これは時と場合と申しますか、実態に応じて判断をしなければならないと思うのでございます。私どもも、こういう規定を設けましたからと申しまして、こういう規定を大いに奨励していくと申しますか、これはぜひ、いいんだからぜひこういうことを考えろというところまでこの規定を推進をしていくというつもりはないわけでございますから、いままでいろいろ各地の実態から申しまして、こういうことがあってもいいんじゃないか、場合によってこういう制度をとることができる道を開いておいてもらったほうがいいのではないかという議論もございますし、答申等もございますので、こういう道もとり得るというふうに定めたわけでございます。
#119
○竹田四郎君 局長の言っていることはわかるのです。わかるけれども、実際の運営はそんな簡単にいくものじゃないだろうと思うのです。だからその辺は、和田委員が言ったようにむしろはっきり分けたほうがいいんじゃないか、実態から見て。そういうほうが、ほんとうに地域の福祉を進めていくという形ならそのほうが執行しやすい。理論だけの問題じゃないと思う。どういうふうにやったならばよりうまくいくかということがいま一番大きな問題になっているわけです。それを、そういうふうな村のもめごとができるような形というものは私は避けるべきだと思うのです。
#120
○政府委員(宮澤弘君) おっしゃいますように、どうやれば一番うまくいくかということが一番中心でございます。その場合に、執行機関と議決機関がはっきり分かれている場合と、多少その間に橋がかかっている場合とでは、竹田委員はかえってもめごとになるのではないかとおっしゃるわけでございますが、私は橋がかかっているからうまくまとまるという可能性だって期待していいのではないかと、おことばを返すようでございますが、そういう気持ちもございまして、いわばこういう規定もとり得るという制度にいたしているわけでございます。
#121
○竹田四郎君 満足しませんが、このくらいにいたします。
#122
○和田静夫君 その辺ちょっと、いまのところ、言われることがなかなか理解できないんですけれども、私も検討します。これは質問留保しておきます。
 第四章ですね、これもわからない。これも全く素朴なんですが、「組合の議会の議員の選挙および管理者の選任は規約事項とされているので準用されない」とあります。こう言い切ってしまうこと、ができるんですかね。
#123
○説明員(遠藤文夫君) これは組合の、ここにありますように現在の二百八十七条で、議会の議員の選挙の方法と執行機関の選任の方法は、これは規約で書くということになっておりますので、要するに規約で書き得るとただ言い切っていいかと、こうおっしゃいましたのでございますが、先ほど選任の方法につきまして、選挙につきまして、直接公選による場合とよらない場合がございます。直接公選によらない場合は、ちょっと選挙に関する規定は準用の余地がないだろう。直接公選による場合は、これは準用といいますか、特別の規定としまして、先ほど荒井部長が申しましたように、公職選挙法の二百六十七条で、この法律の規定を適用するとはっきり書いてございます。そちらの規定でもって、こちらのほうが公選の場合動いてまいります。さように考えております。
#124
○和田静夫君 この連合の規約で直接選挙というのは規定し得ますね。そうだから、規定し得るわけですから、直接選挙を規定した場合に、十八条なり十九条が準用されないということになると、これはたいへんなことじゃないですか。つまり、規約の書きようによっては――これは私の理解が違っているかな――規約の書きようによっては、二十歳以下の者が選挙権を持ってみたり、二十五歳以下の者が地方議会の議員やら知事やら市町村長になれるというようなことになりませんか。そう感ずるのですが。
#125
○説明員(遠藤文夫君) 選挙権の問題につきましては、御質問がありましたが、公職選挙法の九条の二項で同じ条文がございます。むしろそちらのほうの規定として考えたほうがよろしいのではないかと思います。
#126
○和田静夫君 ちょっと、また私の考え違いかもしれませんが、いま、十八条は九条で読みかえると、こう言われましたが、十九条は何条で読みかえるのですか。
#127
○説明員(遠藤文夫君) 自治法のこの十八条、十九条という規定は、ここにありますように、「別に法律の定めるところにより、」と、これは十九条も同じく「別に法律の定めるところにより、」となっておりまして、これは公職選挙法を引いている条文で、十八条に相当するのが九条の二項でございまして、十九条に相当するのが十条でございます。公職選挙法の十条。
#128
○和田静夫君 いや、それだから私は聞いているんですよ。十九条は「普通地方公共団体の議会の議員の被選挙権を有する。」それから公職選挙法の十条は、「市町村の議会の議員」でしょう。
#129
○説明員(遠藤文夫君) これは規定の書き方、読み方、表現の問題もあるかと思いますが、たとえばここの「市町村」というのを、加入市町村の組合につきましてはというふうに読みかえていく。というのは、たとえば全部事務組合というのがございます。その場合にはそのままずばりでもって、市町村というのを全部事務組合の議会の議員はというふうに読みますので、そういう形でなってくるのかと思います。読みかえができる。
#130
○和田静夫君 全部事務組合は一応いいです。これちょっと無理じゃないですかね。何も課長の答弁だから権威があるとかないとかもちろん言いませんが、局長どうですか。少し無理じゃないですかね。
#131
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど来申し上げておりますように、一番地方自治法から公職選挙法に移ってまいりますのは二百六十七条「地方公共団体の組合の選挙については、法律に特別の定があるものを除く外」云々、この法律ということでございますので、そういうことになりますれば、ただいま行政課長が申し上げたようなことに私はなろうと思います。
#132
○和田静夫君 これやっぱりちょっと私は無理だと思うがな。少なくともこういうことが法律的に可能になるという余地を残す、言ってみれば法律技術というのは、まあ問題があるような気がするのですが、これはやっぱり冒頭述べたように、かなり本質的に異なる二つの地方公共団体を、一方の運営を他方のそれに準用していく、あるいは準用していかないという形で処理をされるからこういう疑点が出てくるんじゃないかと思うのです。そういう問題をはらんだまま、連合という形での一部事務組合というものが一般化をされるということ、たいへん危険だと思いますね。まあここで私が間違っているのかわかりませんから、これは参議院の法制局と少し相談をしてみますけれども、いまの課長の答弁もあまり確信がありそうでもなかったんですもんね。最後のほうちょっと検討してくれませんか。
 それから、この第五章の直接請求については、いままでは「組合の議員及び管理者が直接公選とされている場合を除き、制度の性質、手続規定との関連で適用がないと解されていた。」こういう御説明になっておりますが、この法案を通すにあたって、自治省が解釈を変えて準用をされるというようにするということなんでしょうが、この法律の解釈が裁判所で、あるいは政府全体として受け入れられるだけの普遍性を持つかどうか、それが私は問題だと思うんです、これは。そこで、まずお聞きしたいんですが、ここに「制度の性質、手続規定との関連で適用がないと解されていた。」こうあるのですね、その制度の性質というのはどんな性質ですか。
#133
○政府委員(宮澤弘君) この直接請求につきましては、過日私は御質問に触れて多少申しましたので、あるいは関係課長から補足説明を申し上げることになろうかと思いますが、まず私から申し上げておきたいと思います。ここにございますように、直接請求の規定はまず準用をされるという前提に立っておりますが、組合の議員及び管理者が直接公選とされている場合を除いて、制度の性質、手続規定等の関連で適用がないと解されていたということでございますが、過日申し上げましたことと多少重複をするかと思うのでございますけれども、直接請求の自治法の規定は、第七十四条以下ごらんをいただきましてもおわかりのように、「普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者」、「議員及び長の選挙権を有する者」が各種の直接請求の権利を有するということが基本になっているわけでございます。そこで、一部事務組合につきましては、組合の議決機関なり執行機関選任の方法につきましては規約で定められることになっております。そのこと自身がいいか悪いかということは先ほどのいろいろ御議論の過程でもいろいろな見解があったわけでございますけれども、そういうことになっておりますので、議決機関、執行機関を構成いたしますものが公選をされるということを前提にしているわけではないのでございます。ただ、規約で規定をいたしますならば、先ほども法制局の第三部長が申し上げましたように、議員と管理者を公選にすることも可能なわけでございます。そこで、従来におきましては、直接請求の規定自身がやはり選挙というものを前提にいたしました規定でございます。議員と管理者が直接公選をされている場合には準用をされ、そのまま適用をされていく、こういうふうに考えられていたわけでございます。
 この制度の性質上と申しますのは、いま申しましたように、直接請求の規定自身が、議員なり長の選挙権を有する者が議員なり長を選挙するということを前提にして書かれた規定であるということから、そういうふうに考えられていたと思うのでございます。ただ私は、過日も申し上げましたように、そういう選挙を前提にした直接請求というのは、選挙を前提にした制度であり、規定でございますけれども、これを少し分析して考えてみますと、自分たちが選んだ人をリコールをするという直接請求と、それから選んだ人に仕事をまかせていっている場合の途中におきまして、仕事の処理についての住民の直接参加というものとの二種類がございますので、そこらは私は分けて考えてしかるべきではないか、それがまた地方自治法の解釈なり体系なりの上において、しかも地方自治という考え方を入れていく場合にはそういうふうに分けて考えていくことが当然至当ではなかろうか、こういうふうに考えております。
#134
○和田静夫君 私、まあこういうふうに考えたんですがね。この普通地方公共団体の場合は、住民の権利と不可分な対応の関係を持って考えられる。そうした住民の権利の代表的なものの一つとしてこの直接請求の権利というものがある。したがって、それは全く普通地方公共団体にふさわしいものとして規定をされている。ところが、その行政の便宜上生まれてきたのですから、この一部事務組合というのは。そういうこの一部事務組合には、この住民の定義をしたところの十条が適用されないことからもはっきりしていますように、住民というものがそれに対応していない。つまり一部事務組合というのはこの住民の権利などというものとは別の次元においてとらえられた地方公共団体である。したがって、この制度の性質上、この住民の最も基本的な権利としての直接請求の条項も準用されないという、そういうほうが自然なような気がするんですね。たとえばこの七十六条の議会の解散の請求権にしたところで、住民の直接選挙による議会であって初めて意味があるのであって、一部事務組合のこの議会のように間接選挙では、住民が解散させたところで、また同じ議会が成立する要素を持っているわけです。したがってこの意味はないんじゃないか。あるいは八十七条の役員の失職請求についても同じことが言えるわけですが、そこで、この法律案を通されんがためにいろいろ解釈を変えてみられたところで、非常に私は無理があるように思うのですが、何か私の考え方はたいへん幼稚な限りですかね。
#135
○政府委員(宮澤弘君) 決して幼稚の限りだというふうには思っておりません。おっしゃいますように、先ほど議会の解散というのは住民が直接公選をしてなければ意味がないではないかとおっしゃいましたけれども、私もその点については同様だと思うのでございます。したがって、従来の直接請求についての解釈、組合の議会の議員さんと管理者というものが公選されている場合には適用があるという考え方をいたしておりましたのも、自分たちの直接選んだ人、その選んだ人で構成されております議会というものを選んだ人間が呼び返すと申しますか、リコールするというところに意味がある。また制度的にもそういう構成になっているわけでございまして、したがって、自分たちが選ぶ権利のない者につきましていわゆるリコールというものが適用になるというふうには私ども考えていないのでございます。
 冒頭の、一部事務組合に一体住民があるのかないのか、こういうことにつきまして、率直に申しましてかねてからいろいろ議論があります。ただ、普通地方公共団体、府県や市町村のような意味における住民、つまり府県や市町村のように一定の地域のもとにおける住民で構成をされているというようなものではなく、従来の伝統的な解釈によりますと、一部事務組合を構成するものは関係地方公共団体である、こういうふうに考えられていたわけでございます。しかし関係地方公共団体を通じて――やはりその背後に関係地方団体の住民というものがある。
 私は先ほど直接請求というものの中身も実は二つに分けて考えるのが至当である.私自身はかねてからそういうふうに考えていたということを申し上げましたのも、和田委員は、自分たちが選んだ者でない者についてリコールというものはおよそあり得ないのではないかとおっしゃいましたけれども、私もそう思います。直接請求の中で二つの類型がある。いわゆるリコールというものは、直接公選というものを前提にしない限りはちよっと動かない制度だと私は思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、たとえば、構成市町村である仕事をしておりましたものが一部事務組合に仕事が移っていくといった場合に、構成市町村が仕事をしております場合におきましては、監査の請求なり条例の改廃請求というものができるにもかかわらず、一部事務組合ができました場合にはできないと考えますならば、それは私は合理的ではないと思う。それは少しも直接公選というものを理論的に前提にしなくても考えられることでございます。そういう趣旨から申しまして、私は、直接請求というものについてのあとのほうの、つまり監査請求や条例の制定改廃請求というものにつきましては、一部事務組合をつくりましたときにも関係住民がその権利を行使するのが至当ではないかという考えを持っております。この際手続的な規定の整備をすることによりまして、そういうことを可能にしようというふうに思っているわけでございます。
#136
○和田静夫君 これはどうですかね。いま触れられましたけれども、二百五十二条の十ですね、「普通地方公共団体が共同設置する委員会の委員若しくは委員又は附属機関の委員その他の構成員で、法律の定めるところにより選挙権を有する者の請求に基き普通地方公共団体の議会の議決によりこれを解職することができるものの解職については、関係普通地方公共団体における選挙権を有する者が、政令の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の長に対し、解職の請求を行い、二の普通地方公共団体の共同設置する場合においてはすべての関係普通地方公共団体の議会において解職に同意する旨の議決があったとき、又は三以上の普通地方公共団体の共同設置する場合においてはその半数を超える関係普通地方公共団体の議会において解職に同意する旨の議決があったときは、当該解職は、成立するものとする。」こう規定があるわけです。そうすると、これは普通地方公共団体が共同設置する委員会の委員などを住民が解職する場合の手続規定であるわけですね。そうすると、こういう規定があるということ、こういう規定がちゃんと設けられているということは、その反対の解釈としては、一部事務組合の場合もこうした手続規定が必要だ、こうした手続規定がない以上は直接請求はできないのだと解されるのじゃないですか。
#137
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど私が申し上げたことに関連をした御質問でございますが、私は事務監査の請求と条例の制定改廃の請求というのは、市町村自身として兼ねてできるというふうに考えるのが至当であるし、この際そういうことができるように考えるべきであるということを申し上げたわけでございます。そこで、おそらくそれの手続的な問題との関連で御質問があったと思うのでございますが、それじゃこれまでそういう手続的な規定というものを整備をすればできたのかどうかということがおそらく御疑問の一つに私はなってくるだろうと思います。現在におきましては、先ほど来御議論がございますように二百九十二条の規定によって、市町村の加入いたします一部事務組合にあっては市町村に関する規定が準用をされるわけでございます。この準用だけで一体手続的な規定として完全に動き得るものであろうかどうかということになりますと、そこに一つ問題があったわけでございます。御承知のように、たとえば事務監査の請求をいたしますといった場合に、一定の署名を集めることが前提でございますけれども、この署名は五十分の一という数でございますが、通常の地方公共団体の事務監査の請求でございますと、五十分の一の数というのはその団体の選挙管理委員会が告示をするわけでございます。一部事務組合の場合におきましては一体それをだれがするのかというようなことになりますと、それならばそれは関係地方団体、構成団体の選挙管理委員会が告示をして合計数にしたらいいじゃないか、あるいは、構成地方団体の選挙管理委員会が署名の審査をするわけでございますが、その審査も構成地方団体の選挙管理委員会が審査をしたらいいじゃないか、こういうことになる。おそらく手続的にはそういうものをきめなければならないと思うわけでございますけれども、それは準用規定ではちょっと読みずらいと申しますか、範囲を出ている。つまり準用と申しますのは、一部事務組合の運営にあたって市町村の規定を借りてくる。私がいまここで講釈的に申し上げるまでもなく借りてくるという規定でございます。ところが、いま申しましたように、その場合に構成市町村の機関にある義務を課する、ある仕事をやらせるということは準用の範囲を出ていると思います。そこで、今回の準用というものを基本にいたしながら、二百九十三条の二の法律で一つの根拠をつくりまして、そういう事務監査の請求なり条例の制定改廃の請求につきまして、その手続的規定を整備することの意味も含めまして、こういう規定を設けているわけでございます。
#138
○和田静夫君 それはいまも触れられましたように、かりに一部事務組合の直接請求を認められるとする、しかしその具体的な手続というのは、その第五章全般をながめて明らかなように、選挙管理委員会の存在を前提としています。ところがその選挙管理委員会というのは各市町村レベルにあるものなんです。その事務組合のレベルにないわけです。直接請求ができると言ったって、それならば一体具体的にどうすればいいのですか。この選管を通じての手続規定まで含んだ直接請求の章が準用されるというのは、その限りではたいへんおかしくありませんか。
#139
○政府委員(宮澤弘君) あるいは私の御説明が不十分であったかと思いますが、一部事務組合の管理者なり議員なりを規約で直接公選にしておりますと、これは直接公選でございますから選挙管理委員会が組合にあるわけでございます。直接公選でございますから機関として選挙管理委員会を組合に置いているわけでございます。そういたしますと、この本法の規定というのが比較的楽に準用される。ところが、今回私が先ほど来申し上げておりますような考え方と申しますのは、いま和田委員がおっしゃいましたように、一部事務組合には選挙管理委員会が必ず置かれるということを前提にしておりません。しかし、一定の署名数の告示でございますとか、署名の審査という事務手続がなければ動きがたいわけでございますから、それは先ほど来申し上げておりますように、二百九十二条の在来の準用規定だけでは読み切れませんので、二百九十三条の二という根拠をつくりまして、関係地方公共団体の選挙管理委員会がその場合に所要の手続がとれるようなことも考えていきたいということでございます。
#140
○和田静夫君 そうすれば、端的に言えば、ここでいうと二百九十三条の二というところの政令でですか。
#141
○政府委員(宮澤弘君) さようでございます。
#142
○和田静夫君 そこで、いわゆる法律の適用上いま言われたように無理がある部分ですね、その法律の適用上たいへん無理がある部分というのを政令で埋めるというわけですか。こういう態度というのはやはり許されるのですか。
#143
○政府委員(宮澤弘君) 法律の適用上無理があるから政令で埋めると申しますよりは、実は御配付申し上げた資料にも書いてございますように、私どもは準用はされると考えているわけでございます。その準用された場合、手続として動きがたい面があるわけでございます。現在、地方自治法の本法自身も手続的な規定を地方自治法の施行令にいろいろ書いてございます。そういうこともございます。私どもは、いまの準用規定というものが基本になりながら、二百九十三条の二で根拠を持ちました政令の規定で手続規定を書くことによって、そういうことが可能になるだろうというふうに考えているわけでございます。
#144
○和田静夫君 これはたいへんくどいようですが、二百九十二条では、いま局長言われたような形でちょっと無理がある。したがって二百九十三の二で政令――二百九十二条で無理があるということ、したがってその限りでは適用上無理があるということでしょう。その適用上無理があるということを二百九十三条の二を起こすことによって埋めるということでしょう、ことばの表現は別として。
#145
○政府委員(宮澤弘君) ことばの表現は別にいたしまして、リコール直接請求に関する規定はまず全体として準用があるということが前提でございますけれども、しかしそれを動かすにあたりまして、いまの準用規定の規定だけを動かすことによっては手続的規定が整備をされないという面がございます。そういうことでございます。
#146
○和田静夫君 そうですね。それの一番の部分というのはやはり選挙管理委員会、具体的には選挙管理委員会は市町村、したがってその辺のやつを政令でもって埋めるというわけでしょう。そういうことは許されることですか、政令で埋めるということは。
#147
○政府委員(宮澤弘君) 手続的規定でございますから、私は許されないことはないと思うのでございます。前提といたしまして、るる申し上げておりますように、そういうことが制度の趣旨なり本旨からいって全くできないものを手続規定だけを整理することによって可能にするということでありますれば、私はそれは議論があると思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、直接公選を前提にしておりますものにつきましては、私は制度の構成や趣旨から動かない面があると思いますけれども、そうでないものにつきましては、私は制度の趣旨上そういうものが動いてしかるべきものだ、したがってそれを手続的な規定を補完することによって名実ともに動き得ることになるだろう、こういう考え方でございます。
#148
○和田静夫君 制度の趣旨上――。私は自治の原則上一体そういうことが可能かということをひとつ疑問に思うのだけれども、もう一つは、それでは具体的にはどういう政令をおつくりになりますか。
#149
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど御説明を申し上げたところとそう大きな違いはないのでございますけれども、まず五十分の一というものをどこで押えるかということでございますけれども、これは組合を組織いたします地方団体の議員なり長なりの選挙権を有する者の総数の五十分の一、こういうふうに考えるべきであろうと思います。それから、それを告示をする必要があるわけでございますけれども、それは各構成市町村の五十分の一の合計数というふうに考えるべきだと思います。それから、いろいろ請求代表者証明書の交付から始まりまして署名の審査というような一連の手続があるわけでございますが、それは組合を構成いたします市町村の選挙管理委員会で行なう、こういう規定というものを設けることによって、手続的には整備をされることになろうと思います。
#150
○和田静夫君 七十五条が準用されるですね。先ほど何べんも説明を受けましたのでちょっと重複いたしますけれども、一部事務組合にとって監査委員というのは義務設置だという行政実例があるそうですが、法律的には義務設置というのは間違いじゃないですか。つまりこの二百八十七条の一項六号から明らかなように、組合の執行機関をどうきめるかということは規約事項ですね。したがって、その執行機関としての監査委員を置くかどうかということは、これは規約できめられるはずのものであって、置かなければ置かなくてもよいと考えることが可能じゃないですか。監査委員を置かない事務組合が可能である。私の言うことが可能であるとすれば、可能である以上、七十五条が準用されるということはおかしくないですか。これはいかがですか。
#151
○説明員(遠藤文夫君) これは解釈上義務設置といいますか、私ども地方団体の一部事務組合というものについては、行政実例があるという御指摘でございましたんですが、規約で監査委員を置かなければならないというように考えておるわけでございます。これは確かに御指摘のように、形式的に文理的に言いますと、若干御指摘のような御意見もあろうかと思いますが、実は監査委員というものは、たしかこれは監査委員制度、全市町村に義務設置いたしましたのが昭和三十何年ですか、財務会計制度の改正のときでございます。その前には、監査委員がない場合にはどのような形で仕事をするかということにつきましての規定もございましたんですが、それ以来、要するに地方団体の決算の場合とか、そういう規定でもって、必ず地方団体の規定上監査委員がなければ、何というのですか、実際の仕事が動かないというケースが出てくる、そのような点から、その制度の改正を機会に、たしかその後だと思いますが、監査委員というものは、組合をつくる限りは必ず監査委員を置かなければならないという解釈のもとに地方団体を指導するといいますか、しておるわけでございます。この点はあるいはまあ何といいますか、非常に文理、形式上そのような形をというよりも、むしろ制度の趣旨上、組合をつくる限りにおいては監査委員を置かなければならないと解釈しておると、かように御理解いただくべきだと思います。
#152
○和田静夫君 だから、私はいまちょっと全く思いつきみたいに思いついたことを――やっぱり共通の理解なんですね。法律的には義務規定じゃないことでしょう。
#153
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど御指摘の組合の規約というのは、組合の執行機関の組織、選任の方法は規約で定めることになっております。なっておりますけれども、およそこれは特別地方公共団体で、地方公共団体の事務の一部をいたすわけでございますから、事務執行が円滑適正に行なわれなければならないことは、これは条理と申しますか、法律の各条文以前の問題として私は当然だと思うわけでございます。そこで、先ほど行政課長が申し上げましたように、現在におきましては監査委員の事務、財政運営等につきましての監査機能というものは、地方行政を運営いたします場合の欠くべからざる機能になっております。したがいまして、形式的には、なるほど組合の規約で書くことになるわけでございますけれども、組合の規約で監査委員を必置にしなければならないというふうに私どもは考えているわけでございます。
#154
○和田静夫君 私はどう考えてもこの第五章の準用というのは非常に無理があるような気がします。私はまあ無理があると思いますが、指摘をしておきます。
 第六章の議会ですが、二ページの一番末の「第二節以下の議会の権限、運営等の規定は原則として準用される。」、これを原則というふうにお書きになったのは、何か特別な意味がございますか。
#155
○説明員(遠藤文夫君) これは地方議会の議員の運営の規定の中に、たとえば百二十七条というように、公選制を前提とする資格決定のような規定がございますので、その範囲では動かない。たとえば公職選挙法を準用する前提のもとにおける規定がございます。たとえば百二十八条のように、公職選挙法の規定でもって、議員は公職選挙法の規定による裁決が確定するまではその職を失わないという百二十八条の規定がございます。このような規定は公選でない場合には動くまいという、こういうごく例外的な条文でございますので、一々あげることを省略いたします。
#156
○和田静夫君 原則としてまあそうであったら、いま現にある一部事務組合の大部分というものはこの二節以下が準用されてきっちり運営されているはずでしょう。はずですよね。そうすると、いま現にある組合ね、九十六条の第五号、これを適用されていますか。
#157
○政府委員(宮澤弘君) この議会に関する規定が準用されるということになれば、いまあるすべての組合がこのとおり適正に運用が行なわれているかという御質問でございますが、私は一般論をいたしますと、中にはやはり必ずしも法令の規定どおりに行なわれない場合が率直に申しましてあると思います。私どもはやはりそういう二とはあってはならないということで指導はいたしておりますけれども、すべてがすべて非常に法令の規定どおり動いているかと申しますと、なかなかそういかないものもあるということは率直に申し上げざるを得ないと思います。ただ、御指摘の九十六条の一項五号でございますか、この辺は基本規定でございますので、私は、条例で定める契約を締結をするということで条例を定めているのがこれは普通である、こういうふうに考えております。
#158
○和田静夫君 しかし行政局長、そういうふうに言われますが、たとえば九十八条はどうですか。それから九十九条、百条、それから百九条常任委員会などというものが、一つの事務しかやっていない現行一部事務組合に適用されるわけはないんじゃないですか。
#159
○政府委員(宮澤弘君) 先ほども申しましたように、一部事務組合約三千に近いものがございますから、私はすべてがすべて法令どおり適正に運用されているというふうには言えないということも申し上げたわけでございますけれども、ただいま御指摘の九十七条とか九十八条あるいは百条――百条というのはそういう必要があったときの権限でございますけれども、この辺は私は適用され、運用されているというふうに申し上げて間違いなかろうと思うのでございます。
 それから百九条の常任委員会の規定でございますけれども、これは常任委員会を置くことができるという規定でございます。でございますから、必ずしも常任委員会を置かなくてもよろしい。しかし、それじゃ常任委員会を一部事務組合では置いてないかと申しますと、かなり大きい組合にありましては、たとえば条例なり予算なりというような委員会と、当該事務の執行について個別的なものというものを置くことは予想されるところであろうと思うのでございます。
#160
○和田静夫君 百三十八条の第六項はどうですか。こんなことを一々守っている組合など、まあどこにもないような気がするんですがね。
#161
○政府委員(宮澤弘君) 先ほど申しますように、私はすべてがすべてうまくやっているという自信はございませんけれども、地方公共団体の組合に職員がおりますれば、定数を条例で定めるというのは当然のことでございます。もしそういうことを定めていないものがありますれば、私どもといたしましてはさらに指導をしていかなければならないと思います。
#162
○和田静夫君 もっとこまかく聞きますが、それじゃ九十六条十三号、ここでいわれている「公共的団体等」とは、たとえばどんなようなものですか。
#163
○政府委員(宮澤弘君) 冒頭に申し上げましたように、一つの条文の中でも項がたいへん数多くございますし、号も数多くございますので、一々こまかいところまで形式的に整理ができていないという点はまことに申しわけないと思うのでございますけれども、この「公共的団体等の活動の綜合調整に関すること。」というのは、元来、執行機関の執行権限、百五十七条から出ているわけでございまして、百五十七条におきましては、「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の綜合調整を図るため、これを指揮監督することができる。」こういう規定でございますけれども、これは一部事務組合の性質上、私どもはこの規定は準用されないというふうに考えておりまして、御説明資料の中、執行機関のくだりの中で、適用がないというふうに書いてございますので、それとの関連におきまして御理解をいただきたいと思うのでございます。
#164
○和田静夫君 この一部事務組合の議会の実態から考えて、百三十六条の準用というものがされる余地がありますか。
#165
○政府委員(宮澤弘君) まず、通常の場合はあまり準用されることがないと思うのでございますけれども、一部事務組合の組合の議会の議員を、たとえば構成団体の市町村の議会で選挙をいたしておりますような間接選挙の場合というような場合には、こういう規定が動く場合があり得ることと存じます。
#166
○和田静夫君 ちょっとすみません、最後のほう、何ですか。
#167
○政府委員(宮澤弘君) 一部事務組合の議会の構成員の選任の方法は規約でいろいろまちまちでございますけれども、組合の議会の議員を構成市町村の議会で選挙をいたしておりますような場合、間接選挙でございますが、そういう場合におきましては、この百三十六条の規定というものが動く余地というものはあると思うのでございます。
#168
○和田静夫君 百三十八条の第二項、これは一部事務組合の場合は規約事項ですね、これは準用の余地はないと思いますがね。
#169
○政府委員(宮澤弘君) 百三十八条の第二項、議会事務局の規定でございますけれども、これは準用の余地がないのではないか、こういう御質問でございます。おそらくその御質問の御趣旨は、規約の規定事項、組合の議会の組織及び議員の選挙の方法というものが、規約で書くではないか、こういう御質問であろうと思うのでありますけれども、私どもは、組合の議会の組織というものの中に事務局まで入りますかどうか、むしろこれは消極に解すべきではなかろうかというようなことから、この規定は準用をされるものではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#170
○和田静夫君 かなり長時間かけて、いただいた見解に基づいた私の考え方を述べたり、疑義をただしたりしたのですが、お聞きの多くの委員の方もおわかりのとおり、かなり重要な法解釈で、統一的な見解をもう少し整理しなきゃならない部分というものがこの法律ではあります。私もどうせあした大臣に政治的な見解を承りますけれども、しかし、参議院の法制局と、きょう、あしたにかけて相談をさせてもらって、もう少しこれを整理してみたいと思うのであります。
 そこで、この連合制度が広域市町村圏に限って運用され、適用されるというようなものではないでしょうが、大部分はそういうことになるのでしょう。現在の広域市町村圏の計画を見ますと、大体十年の計画期間で、三年ごとのローリング方式をとっていらっしゃいますね、この法律に基づいて連合をつくったが、その時点では計画ができていないという場合もあると思うのです。そういうことありませんか。
#171
○説明員(本江滋二君) お答えいたします。
 計画をつくって、その計画に基づきまして調整をし、あるいは共同処理事務を執行していくということは予定いたしているわけでございます。したがいまして、一番最初に連合を設置します場合に、これから計画をつくる作業にまず入るというものが当然あり得ると思います。
#172
○和田静夫君 当然あり得る。
 また、こういうことも考えられますね。各市町村が連合にまかせる事務の内容というのは違っていいわけでしょう。つくった施設の住民の利用度も市町村ごとに違うということも考えられますね。そうすると、この連合を助成するとでも言いましょうか、そういう市町村の経費の負担の計算というのは非常にむずかしいと思うんです。これはどのように考えていらっしゃるんですか。
#173
○説明員(本江滋二君) お答えいたします。経費の負担の方法は、それぞれが協議してきめることになると思いますけれども、通常、いままでの一部事務組合できめておりましたきめ方というものが、何と申しますか、それが複数的にやっていくということになりますから、対応いたしました事務はその市町村が共同で処理しようとしておる事務ごとに割り振っていくのが普通の形としてくふうされるんじゃないかと思います。通常、私らが見ております従来の一部事務組合でございますと、たとえば屎尿処理を行ないました場合におきましては、全体の三分の一は均等割りで割るとか、残りは利用人口割りにするとかいうふうな、町村の規模の大きさによっても違うと思いますけれども、施設の場合におきましてはそのようなやり方が普通であるような、一番常識的なやり方であるように、いままでの一部事務組合では理解されておるようでございます。そういたしますと、そういうようなたとえば屎尿処理なりじんかい処理その他のものをやるというような場合におきましては、その事務をそれぞれ処理しておる、あるいはその事務を処理しない市町村も加入しておりますれば、それに対応する部分ははずれていくというような形で、経費の割り振りというものが行なわれることになるだろうと思います。
#174
○和田静夫君 具体的には、どういうふうに指導されるんですか。そういうことになると思われる――思われることはわかりましたけれども。
#175
○説明員(本江滋二君) 現在のところ、特別に指導いたすことは考えておりませんけれども、いままでの一部事務組合のやり方での経費の割り振りというものにつきましては、関係のところはすでに習熟しておりますし、長い経験を持っておりますから、そういうものが市町村の間に経験的にございますので、そういうものを組み合わせることによって円満な経費の割り当てが行なわれるんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
#176
○和田静夫君 連合の職員の問題をちょっとお聞きをしたいんですが、きのうも参考人からかなりその辺についての御意見が一部ありましたが、関係地方公共団体から派遣をされた人と、連合が独自に採用する人とがいるわけですね。これらの人の雇用関係というものはどういうことになりますかね。その派遣組は派遣元の自治体の首長と雇用関係になるわけでしょう。それから独自の採用組は連合の管理者と雇用関係を結ぶということになるわけでしょうがね。
#177
○政府委員(山本明君) 連合が固有に雇用します職員、それから派遣されている職員と二通りあることは先生のおっしゃるとおりでございます。その場合に、派遣されていった職員は、構成している地方公共団体、まあ市町村職員の身分と、連合の職員としての身分、両方がある、こういうふうにわれわれは考えております。
#178
○和田静夫君 そうすると、その場合の職員団体ですがね。この派遣組というのは、もといた自治体の職員団体に加入したままであるとすれば、独自の採用の部分はその部分だけで組合をつくらざるを得ないわけでしょう。この者は組合員の意味をなさない。政府がそれがねらいだといえばそれまでですけれども、組合員の意味をなさない。同時に、同じ職場に別々の組合に入っている職員がいるというのは、これは公務員部長御存じのとおり、たいへん好ましくない状態ですよね。その辺はどうですか。
#179
○政府委員(山本明君) われわれといたしましては、それは連合のほうの固有の職員と派遣された職員で一緒になって身分を持っておりますから、職員団体を形成していくことができるではないか、このように考えております。したがって、派遣された者は理論的には構成団体の市町村の職員団体、それから連合のほうの職員団体、両方に入れる、こういう考え方でございます。
#180
○和田静夫君 実際問題としてそういうことになりますか。
#181
○政府委員(山本明君) 実際問題としては、おそらく連合のほうの職員団体として活動してくるのではないだろうか。と言いますのは、おそらく給与の支給、あるいは勤務条件等は連合のほうで支給されてくるだろう、派遣されてきますから。退職金等は構成しておる市町村の負担になりますが、派遣されていったところの連合が、いわゆる一部事務組合が給与の負担をする。派遣されたほうが負担をするということになりますと、当然給与の問題は連合――一部事務組合の管理者と給与の問題については話し合いをするであろう。としますれば、当然、一部事務組合の中で職員団体が構成される。実際はそうなるのじゃないか。両方に入って両方で組合費を入れて、実際に戻るほうは退職金とか何かだけでございますから、そういう問題は、もとの団体よりもむしろ一部事務組合のほうで一緒になってやっていくだろう。現にわれわれが過去いろいろな調査をしておりましても、やはり一部事務組合のほうで職員団体を構成しておる。過去の実態から見ましてそういうことでございますので、そのようなかっこうになるのじゃないか、このように考えております。
#182
○和田静夫君 そうすると、確認をしておきますが、自治省がほんとうの産業別の労働組合を育成するために、下のほうは混合になっておってもいいのだ、労働組合は別にあって、ちゃんと職場に配置しておればいいじゃないかというふうに、労働組合の原則について説教をされて、そういう方針でけっこうでしょう、自治省はすべて団体交渉を受けていきますし、対角線交渉も全部受けていきます、それを自治省は保障いたしますということになればあまり心配いたしませんが、現実はそういうことにならぬ、そんなことは避けなさいということを言われるのが関の山ですから。そういうことを考えてみますと、連合の職員というものは連合の職員だけで職員団体をつくるという可能性のほうが強くはありませんか。
#183
○政府委員(山本明君) 私もそういうふうに思います。要するに、一部事務組合を中心にする職員組合ができてくる、こういうかっこうになると思います。
#184
○和田静夫君 そこで、そうなると、その職員団体、そういうものは登録団体になりますか。
#185
○政府委員(山本明君) 一部事務組合として職員団体を構成しますれば、一部事務組合に公平委員会が設置されますので、そこに登録をするというかっこうになるのじゃないかと思います。
#186
○和田静夫君 そうですかね。現在に生きる者が未来をつくるというあなたの論法からいって、新しいことを構想されていろいろあれをされるのはいいのですけれども、これはかなり重要ですから、ここであれするとそのまま生きてくるので。私はこういう疑問を持つのですが、たとえば、自治体を越えた職員団体、それから職員団体と公営企業の労働組合との混合組合というのか、これは登録資格を認めておりませんね。そういう非登録団体に休職専従者を認めない現行地公法がある。そのままでは、連合に移行する事務の職員というものは、いまも言ったとおり別途組合をつくるより方法がないわけです。そうすると、事実上弱小部分に分断をされることになります。ここがいわゆる結社の自由の基本原則との関係で問題になるところだと思うのです。ここで公務員制度の問題全体に触れていくのが適当かどうかわかりませんが、その辺どうですか。阻害することになりませんか。
#187
○政府委員(山本明君) 私は、たとえば過去の一部事務組合等におきましては、実態を見てみますと、専任の職員を置かない組合とか、あるいはもう一部の事務でございますので兼任の、兼務職員のみでやっているという組合もございます。しかし、名港管理組合のように、一部事務組合をつくって、かなり職員の給与あるいは勤務条件につきまして、職員を代表してやっておるものもあるわけです。ところが、今回の出ております連合の話を承ってみますと、従来四つ、五つあったものが、しかもそれがわずかの、職員が少なかったというものが一緒になりまして、その連合としての職員の勤務条件、給与をよくしていこうということになりますれば、従来よりは、たとえばAの一部分、Bの一部分、Cの一部分、Dの一部分が寄ることによって、私はそこに、従来のように小さな少数の人数でつくられておる職員団体よりは、かなり全体として、連合として勤務条件、給与をよくするという方向に向くのじゃないだろうか。現在の実態的な一部事務組合というのは、職員に関しましては、いま言いましたように、専任の職員を置くことをあまりしないで、職員は置かないとか、兼務でやっておるというのが、いま申しました連合になりますれば、私は、先生のおっしゃいましたようにならないのじゃないだろうか。また私たちは、それを分断するという気は全然持っておりませんで、むしろそういうことが、同じ仕事を通じて、同じ仕事をする職員がそこに寄り合って職員団体をつくっていくという方向にいくのではないだろうか、こういう感じを私は持っております。
#188
○和田静夫君 それじゃあもう一つ、共済組合の帰属はどういうことになりますか。
#189
○政府委員(山本明君) 共済組合につきましては、現在、共済組合法の三条の第三項にございます、一部事務組合云々等の職員は、「政令で定めるところにより、当該一部事務組合等を組織する地方公共団体の職員を組合員とする組合のうちいずれか一の組合員となるものとする。」ですから、都市共済と市町村共済がある。それに入っておった者が一緒になるという場合には、政令で定めるところによってどれか一つに入る。ところが、政令の三項に持ってまいりまして、そういう二つのものに入っております場合におきましては、協議によりまして、組合員が一部事務組合を組織する地方公共団体の長と協議をして定めた組合に入ることができるという規定がございます。そこで話し合いによりまして、都市共済に入るか、市町村共済に入るか、ここできめられるということになっております。
 私も実態を実は調べてみましたのでございますが、あまり数はございませんが、たとえば愛知県の場合には八つ、そういう都市共済と市町村共済が一緒になって一部事務組合をつくっている。おそらく名古屋が中心になりまして周辺でやっているのだろうと思いますけれども、これは全部、都市共済、都市職員の共済組合に入っている。協議によりまして、おそらくこれは健保の適用等がございまして、市町村共済よりも都市共済に入ったほうが本人の負担が減ってくるということで、大体の傾向としては都市共済のほうに入っている。これが実態でございます。われわれとしましては、こういう規定がございますから、協議によりまして市町村共済に入るか、あるいは都市共済に入るか、それはそこの職員の方々と長との話し合いによって、協議によってきめてもらえばいいのではないか、このように考えております。
#190
○和田静夫君 ばらばらになることはありませんか。必ず一本でいけますか、どちらかに。
#191
○政府委員(山本明君) 法律によりますと、いずれか一つの組合に入る。それは協議によって、二つあるやつはどちらかにきめなさい、こういうことがございますから、ばらばらになるということは私は考えられないと思います。
#192
○和田静夫君 いままで都市共済に入っておった人が、言ってみれば、派遣をされていく、そこの市町村共済に入るというような形のことは、当然起こり得るということですね。
#193
○政府委員(山本明君) そういう場合に、いずれか一つの組合員となるものとするということになっておりますから、その場合には協議によってきめられる。数が多いからどっちだ、少ないからどっちだ、もと入っておったからどっちだということじゃなしに、協議によってきめなさいということが現行の政令できめられておりますから、そこで、お話しになってそれぞれの共済に入ればいい。実態は、先ほどいいましたように、ほとんどが一部事務組合というのは都市共済に入っている。こういうことでございますから、私たちは、連合というのは一部事務組合であるということから読みますれば、これ自体の法律を直さなかったのは、一部事務組合である。――これは連合とか何とかいうことになるから連合ということばが入ってまいりますので、一部事務組合であるということになりますれば、当然この規定によって、ばらばらじゃなしに一つの共済に入る、こういうことで措置をしたわけでございます。
#194
○和田静夫君 この辺は専門家の山本さんが帰ってきて質問したいと言っていますから、少し残しておきます。
 事務局長にはどういう人を予定されていますか。
#195
○政府委員(宮澤弘君) どういう人と申しまして、一般的に申しますれば適任者と申し上げる以外にないわけでございますけれども、事務局長制度をとり得るようにいたしました趣旨が、通常の仕事、規約で定めました大きな仕事以外の通常の仕事を、責任を持ってまかせられるというようなことを予定をいたしまして、事務局長制度を設けております。やはりそれにふさわしい人があれば事務局長制度をとることもできる、こういうことだろうと思います。
#196
○和田静夫君 端的に言って、自治省からのいわゆる天下りを予定をされていませんか。
#197
○政府委員(宮澤弘君) 端的に申しまして、私は人事当局者ではございませんけれども、予定はいたしておりません。
#198
○和田静夫君 局長の話をいま信用しておいて、決算委員会などで問題にならないように、ひとつ議事録に残っていますから、希望しておきたいと思うんですが、六団体の事務局長は、いまのおことばではありますが、現在全部自治省からの御存じのとおり天下りであります。それから部長クラスも三十何人そうだということになっております。このことからも私の心配が単なる杞憂とは思えないんですが、これは局長御存じでしょうけれども、前官房長でもあったわけですから、いかがですか。
#199
○政府委員(宮澤弘君) 天下りとは何ぞやということにもなると思うのでございますけれども、なるほど現在地方関係六団体幹部職員は、自治省なり昔の内務省の経験者がおりますけれども、この辺はやはり関係団体のほうから適任者を推薦をしてほしいということが前提になって、そういう人事が行なわれているものというふうに私は考えております。
#200
○和田静夫君 ここはあした官房長に来てもらって詰めますけれども、担当でないと言われる方にあまりあれしてもあれでしょうが、割愛願いというのがあるんだそうですね。そのあなた方のメンバーの中から一人割愛してください、この割愛願いというものが人事のいわゆる押しつけではないと、こう主張をされているんですが、これはどうですか。行政局長の担当でなければやめざるを得ませんけれども、そういう根拠というのは一体何でしょう。この間私は、自治省はゼロ掛ける十五は十五かという質問をしたんですが……。
#201
○政府委員(宮澤弘君) 割愛願いというようないまやり方をしておりますかどうか存じませんけれども、どういう表現を使いましょうとも、押しつける場合には、これは天下り押しつけ的なものでございますし、先のほうの要望に応じてだれかが参りますものは、押しつけ天下りではない。割愛願いという表現を使うか使わないかということとは私はあまり関係ないと思います。
#202
○和田静夫君 いや、そういうことが様式化をするというのは一体どういうことだろうかということを実は考えるんですよ。首をひねられるような様式もございますが、これはやはりあした官房長来てもらってやったほうがいいが――そうしましょう、これ。ともあれ、きょうの段階では、いま申しましたように、かなりの疑義の部分が法律の解釈の段階でありますから、参議院の法制局と十分相談をしながら、あした大臣がお見えになるときに、政治的な見解を含めて最終的なことを二、三お伺いする。先ほど留保した部分を留保して、一応きょうの質問を終えようと思うんです。明日、いまお答えになりました天下りの問題について、局長はないと、こう言われたんですから信用しておきますけれども、官房長にもそのことを聞きます。
#203
○委員長(若林正武君) 速記をとめて。
  〔午後四時四十四分速記中止〕
  〔午後五時五分速記開始〕
#204
○委員長(若林正武君) 速記を起こして。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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