くにさくロゴ
1970/03/16 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第8号
姉妹サイト
 
1970/03/16 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第8号

#1
第065回国会 内閣委員会 第8号
昭和四十六年三月十六日(火曜日)
   午前十時五十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     黒柳  明君     浅井  亨君
     藤原 房雄君     峯山 昭範君
     野坂 参三君     岩間 正男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田口長治郎君
    理 事
                塚田十一郎君
                安田 隆明君
                上田  哲君
    委 員
                植木 光教君
                源田  実君
                佐藤  隆君
                長屋  茂君
                山本茂一郎君
                矢山 有作君
                浅井  亨君
                岩間 正男君
   国務大臣
       外 務 大 臣  愛知 揆一君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       総理府総務副長
       官        湊  徹郎君
       総理府統計局長  関戸 嘉明君
       科学審議官    石倉 秀次君
       外務政務次官   竹内 黎一君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
       外務省条約局長  井川 克一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○総理府設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田口長治郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○矢山有作君 総務長官が途中で座をはずされるそうですから、総務長官にお聞きしたいことだけを抜き出してお尋ねをしておきます。
 従来、海洋科学技術審議会というのが置かれまして、海洋科学技術の問題に関する基本的な調査をいろいろとやってこられたようでありますが、この中で私はちょっと一つ気にかかることがありますのでお伺いしたいんですが、海洋科学技術審議会の委員数は二十人以内であって、そのメンバーは、会長速水頌一郎とおっしゃるんですか、東海大学の教授をやっておる方以下の方々がおいでになりますが、その中に防衛庁の事務次官が参加をしておられるようであります。それからまた、海洋科学技術開発推進連絡会議が設置されておりますが、この構成メンバーは関係各省庁の官房長ということになっておりますが、関係各省庁というのは、総理府、科学技術庁、防衛庁、文部、農林、運輸、通産、建設、郵政、厚生、外務の各省と、こういうことになっておるんですが、ここにも防衛庁の官房長が参加をしておるようであります。私は、日本の海洋開発というのは平和利用という立場に徹して行なわれていくものであろうと思っておるんです。そこになぜこの審議会のメンバーなり、あるいは開発推進連絡会議に防衛庁の事務次官なり官房長が入らなければならないのか。そのことは海洋開発について軍事的な利用の底意があるんじゃないかという疑念を抱かせるものがあるんですが、この点どうでありますか。
#4
○国務大臣(山中貞則君) これは率直に裏話を申し上げますと、ほんとうは科学技術庁のほうの単独法で提案をすべき性格のものであったのでありますが、同じ総理府の機関の科学技術庁でございますので、総理府設置法の中に海洋開発審議会という今回のその改正案について相乗りをさしてほしいということで、私のところでたばねて法案を提出をしたということでございますので、内容関係については科学技術庁より説明をさしていただきたいと思います。
#5
○政府委員(石倉秀次君) ただいまの御質問でございますが、御承知かと思いますが、海洋科学技術審議会ができましたのは昭和三十六年でございます。その当時わが国の国内におきまして、海洋開発の重要性が各方面に認識されましたにもかかわらず、海洋科学技術につきましての蓄積が防衛庁に主としてございましたので、それを拝借して、そうして民生的な海洋開発を進めるというために、防衛庁の事務次官に海洋科学技術審議会の委員をお願いした次第でございます。
 なお海洋科学技術の推進につきまして、御指摘のように関係省庁の官房長をもって海洋科学技術開発推進連絡会議を開催いたしておりますが、それは各省庁の海洋開発の科学技術につきましての実行計画をつくるために開催しているものでございます。ここに実行計画ございます。この中では防衛庁に関係のございますような海洋に関する調査、そのほかのものは含まれておりません。最初に申しましたように、防衛庁が海洋科学技術につきまして何らかの蓄積があれば、それを平和的な海洋開発のほうに利用するという趣旨から御参加を願っているのみでございます。
#6
○矢山有作君 あなたの答弁にも、海洋開発に対して技術の蓄積は主として防衛庁にあったと、こうおっしゃったわけでありますが、このことは宇宙開発にいたしましても、あるいは海洋開発にいたしましても、軍事的な利用という立場から開発が進められてきておるという世界各国の事実を、はしなくもあなたの答弁によって暴露したものだろうと思う。であるとするならば、あくまでも平和利用という立場から私は、技術蓄積があったかどうかという論は別といたしましても、防衛庁の事務次官なり官房長がこうしたところに正式メンバーとして加わることは多分に問題であると思う。こういうことをやっておるから、諸外国から日本の軍国主義云々の議論が出てくるんではありませんか。やはり最近のやり方を見ておると、軍事的な立場を重視するということの中で海洋開発も考えておられるんじゃありませんかな、これは。
#7
○政府委員(石倉秀次君) 先ほど申しましたように、海洋開発の初期の段階におきましては、アメリカはじめ各国とも、御案内のように一九五〇年代の後半に軍事的なところからスタートしたわけでございます。その後は各国ともやはり海洋に包蔵されております各種の資源の開発、あるいは海洋の空間の利用というような、むしろ産業的、民生的な利用になっておりますので、最近の海洋開発につきましては御承知かと思いますが、各国ともほとんど軍事色は払拭されておるわけでございます。それからわが国におきましても、その後の海洋科学技術に関します開発は、関係省庁の努力によりまして非常に大きくなりました。今回御提案申し上げております海洋開発審議会に改組する段階におきましては、防衛庁事務次官、そのほかの関係省庁の次官は委員とせず、むしろ広く各方面の意見を海洋開発に反映するような形で運営してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#8
○矢山有作君 あなたはやっぱりそれは海洋開発は平和利用の形で開発やるんだとおっしゃるわけですが、これを軍事的に利用されないよう担保する方法はないわけですからね。特に最近のように第四次防衛力整備計画によって、第三次防衛に比べて倍以上の画期的な軍事力増強がはかられる。しかもそれをもとにして第五次防につなげていこうという軍事的な構想がある中で、きわめて海洋開発というものに対して軍事利用の面からの危険性というものがやはり一般には強く印象づけられておると思うんです。したがって、そういう点については今後政府当局で十分腹に占めておいてやっていただきたいと思います。ただ、先ほど海洋開発審議会には防衛庁関係者は加えぬとおっしゃいましたが、これは防衛庁関係者はどんな形においても海洋開発審議会の委員に、あるいはそれに関連する委員には加えませんね。
#9
○政府委員(石倉秀次君) 先ほど申しましたのは、防衛庁の事務次官を海洋開発審議会に入れるという考え方はいまのところございません。ただ、事務的な段階では多少防衛庁の関係者といえども海洋科学技術につきまして多少の御協力を得ることがあろうかと存じます。
#10
○矢山有作君 総務長官にお伺いいたしますが、尖閣列島周辺の石油資源開発というのがいまクローズアップされまして、外交上も非常に問題になっておるわけであります。外交的な問題については別にまた外務大臣にもお伺いしたいと思いますが、この石油資源の開発をめぐって、本土政府のほうでは石油資源開発会社ですか、これを中心にしてというより、むしろこの一手で開発を推進していこうという考え方があるやに聞いております。ところが沖繩のほうでは沖繩の琉球政府が中心になって、そして沖繩石油資源開発会社、これは仮称だそうですが、そういったものをつくってやっていこうという動きがあるようであります。この点で尖閣列島周辺の石油資源の開発についてもかなりの食い違いが起こっているんじゃないかと思いますが、この点はどうなんですか。
#11
○国務大臣(山中貞則君) まあ外務大臣の関係もありますが、第一点で尖閣列島の領土問題については、日本の固有の領土として、しかも現在のアメリカの施政権下の布告をされた範囲内に入っている地域として、どの国とも論争するつもりはないし、相手にして議論をしない、こういうことを明確にしておるわけであります。さらにエカフェの調査から始まりまして、日本の本年度まで継続してまいりました予算を計上されました調査、その実績によっても、おおむね石油埋蔵の可能性が非常に高い。確率が一〇〇に近いというような報告等が出ておりますので、これを事業化するという場合において、現在の立場の沖繩における琉球政府というものが、権益という立場からそういう構想を持って具体的に打診しておられることも承知いたしております。ただ、一方この種のものは、やはり国際通念上も鉱業権設定あるいは鉱区権設定、採掘権設定、その他の先願優先というたてまえがございます。その意味から申しますと、沖繩県の県民であって、自分の力で鉱区権の設定申請をしておるわけであります。その意味では石油開発公団のほうもダミーでございますか、現地の人を代理として、その人の名によって申請をしておる、その他一人ということで、これらの権利の問題というものを、琉球政府の今回の構想では、それらの人々を参加させることによってその現在の、正確にはたしか採掘権になると思うのですけれども、その権利を消滅させる。そのかわりその権利について個人の最優先先願を持つ大見謝君に二五%、それから公団の身がわりの申請者に二五%、五〇%を沖繩県が出資するということに一応の構想を持っておられるようでございます。しかしながら、これからは開発に要する費用というものは膨大な費用になりまして、そうすればはたしてそのような構成で、しかもそれは鉱業権という先願権を消滅させるために、一応の持ち分としてそれを出資させることによって、新しく発足する会社というものが開発する力があるかどうか、これはやはり別会社というものが開発をせざるを得ない形になろうかと思うわけであります。私どものほうは、そう深くこれをせんさくいたしたり指導いたしたりはしておりませんが、国際通念上やはり――ということは本土の鉱業権というものがかぶっていないところがありますから、通念上のということばを使わざるを得ませんが、先願者の権益というものは、やはり復帰前において葬り去られるものであってもいいかどうか、これは純粋に法的問題があるのではないかと思っております。ごく最近のところは、琉球政府通産局においても、本土の通産省の支援を受けながら、現在出願されておる鉱区権についての受け付けと申しますか、申請を受理する作業を開始したようでありますので、これをどういうふうに進展しますか、いまのところ見通しが立たない状態でございます。
#12
○矢山有作君 やっぱりこういうふうに沖繩側の開発構想が出てくるというのは、やはり沖繩の立場にしてみるならば、せっかく石油資源開発をやっても、本土の資本のサイドでやられたのでは沖繩の開発につながらぬじゃないかというような危惧の念というものが一つはあるだろうと思います。したがって、これはやはり石油資源開発の問題だけでなしに、沖繩全体の開発をどうやっていくかという問題とも関連をしてくると思いますけれども、その辺で石油資源開発につきましても、あなたが総務長官として沖繩サイドでものを考えた場合に、どうあるべきだとお考えになりますか。その点の御見解を……。
#13
○国務大臣(山中貞則君) この問題が中央においても議論され始めました最初、通産省の姿勢は、現在の本土法の及ばない沖繩において先願者が何人あっても、それは復帰の時点において認めないのだ、権利として認めないのだという姿勢をとっておりました。しかしながら、最近の情勢等、その他から反映をして、現在では通産省も、沖繩において鉱業権設定の申請をしたそのものについての権利を認めようという姿勢に変わってまいりました。そこで、琉球政府の通産局がそういう申請の受理作業を開始したという現象になってあらわれたものだと思います。
 しかしながら、これはいずれも申請者は名義人としては一応三者あるようでありますが、いずれも三名とも沖繩の方であります。一つは石油資源開発公団の身がわりという意味の現地の人でありましょうから、その意味では確かに沖繩県民であっても、それは本土の国策会社であるということは言えると思いますけれども、私としては、やはり沖繩県の経済発展の構想の上に、尖閣列島の石油資源もし開発可能なりせばという前提に立ってものを考えていかなければなりませんので、個人の権益、利権というものの擁護ではなくして、やはり沖繩県民の相当な苦心をし、申請をした書類でありますから、それを尊重して、正当な法律のもとにそれを生かしていくということにすべきであろうと考えております。
#14
○矢山有作君 その他海洋開発の問題につきましては、また外務大臣がお見えになってからお伺いしたいと思いますが、もう一つお伺いしたいのは、四十三年の十月二十一日に「海洋開発のための科学技術に関する開発計画について」という答申が出ておりますね。この答申を受けて、各省の官房長クラスで構成しておる海洋科学技術開発推進連絡会議が設けられておって、海洋開発のための科学技術に関する開発計画についての第一次実行計画を決定したということになっておりますが、現在までのこの計画の実施状況なり今後の実行計画がどうなっておるか、お伺いしたいと思います。
#15
○政府委員(石倉秀次君) ただいまお尋ねの海洋開発のための科学技術に関する開発計画、第一次実行計画は、昭和四十四年に作成いたしまして、その後、毎年の予算要求に見合いまして、それぞれ見直しをするということにいたしております。したがいまして、最も新しい実行計画は、昨年の十月に四十五年度版としてつくったものでございます。四十五年度の予算からこの実行計画を予算要求の中に生かすという形にいたした次第でございます。そして、四十三年度の海洋開発関係の予算総額は三十一億五千万円ほどでございましたが、四十五年度には総額四十六億四千万にふえ、四十六年度の予算要求といたしましては、ただいま六十六億六千七百万円ほどの要求になっております。予算の面から申しますというと、四十五年度から四十六年度の段階では約四四%の伸びになっております。
 この実行計画は、大きく分けますというと五つの大きなプロジェクトがございます。その一つは、日本周辺大陸だな海底の総合的基礎調査でございます。この調査に基づきまして、わが国周辺約二十万平方キロございます周辺大陸だなの主として地形、地質及び鉱物の賦存等についての調査を行なうことになっており、大体昭和五十年までにこの調査を完了する予定でございます。
 それから第二のプロジェクトは、海洋環境の調査研究及び海洋情報の管理ということになっておりますが、これは主として北太平洋の西半分、ちょうど日本の南西部分に当たりますが、この部分の海況につきまして調査をすることになっております。主体は自動観測用ブイの展開等を中心といたします海洋環境調査になっております。
 それから第三は、資源培養型漁業開発のための研究ということになっておりまして、主として沿岸で各種の水産増養殖を行なうための増殖地の造成並びにその造成いたしました養殖地におきます有用魚類の養殖を中心としたプロジェクトでございます。
 それから第四は、大深度遠隔掘さく装置でございますが、これは大体深度二百ないし二百五十メートルの海底で自動的に掘さくができる装置の開発でございますが、昭和五十年度までにこの開発のシステムを開発する、実際に物ができますのはさらに後半になる予定でございます。
 それから第五のプロジェクトとして、海洋開発に必要な先行的・共通的技術の研究開発というのがございます。これは各種の海洋構造物の材質あるいは設計というようなハードウエアの面、それから第二には海底潜水技術の確立というような点を中心にいたしております。このために昭和四十六年度の予算では、認可法人といたしまして海洋科学技術センターを設立することを予定いたしております。
 そのほか幾つか、たとえば海水の淡水化あるいは未利用たん白資源の有効利用というような付随的なプロジェクトがございますが、第一次実行計画は、いずれも昭和四十五年度を起点といたしまして、おおむね五年ないし七年で完了することを予定といたしております。
#16
○矢山有作君 海洋問題について、もう一つ総務長官のおいでになる間にお尋ねしておきたいのですが、先般の臨時国会で海洋汚染防止法がつくられましたが、海洋汚染の問題というのは、いまわが国だけでなしに、世界的な問題になっておるわけでありますけれども、この先般つくられました海洋汚染防止法だけでは不十分な点がいろいろあるということは、担当大臣として十分御承知のところだと思うのでありますが、この海洋汚染防止をさらに前進させるために、具体的にいま考えておられる構想がありますれば、この際表明を願いたいと思います。
#17
○国務大臣(山中貞則君) 海洋汚染防止法は、条約に基づいて国内法の優先整備ということを重点にはかりましたので、大きな漏れとしては、内水面、湖底、湖等の底に関するそういう汚濁、たとえば琵琶湖等において廃棄物等の処理については今度は及ぶわけでありますが、モーターボート等の流す油等については規制が及ばないという盲点を持っております。ここらの点はあとで補完すべき、あるいは海洋汚染防止法そのものの改正にはつながらないかもしれませんが、やはり水面汚染という問題は今後検討しなければならぬ問題が一つあると思っております。
 それから、ただいま議論になっております日本近海も、いよいよ大陸だなに関するそういう海底油田の開発が現実の段階になってまいりますと、この問題に関連する海洋開発に伴う、あるいはまたその後開発された油田の事故等に伴う問題等について、いま少しく国際的な問題としても議論を重ねていかなければなりませんが、まあ近く行なわれる日米公害関係閣僚協議会等においても問題として提起するつもりでおりますけれども、これらの問題をさらに海洋汚染防止法の補完的な問題として検討していかなければならぬと思っております。
#18
○委員長(田口長治郎君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたしまして、午後は零時より開会いたします。
 暫時休憩します。
   午前十一時二十分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時二十一分開会
#19
○委員長(田口長治郎君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は御発言を願います。
#20
○矢山有作君 海洋科学技術審議会が海洋開発審議会に改組される問題に関連をいたしまして、海洋開発の問題で二、三お伺いをしたいと思います。
 海洋の利用、資源の活用等のために海洋の開発を総合的に促進する必要ができたということで、海洋開発審議会を発足させよう、こういうことでありますが、海洋開発の前提として、領海なり、大陸だな、深海海底など、海洋に対する国際法制について、わが国の態度というものを、海洋開発の前進に役立つ方向ではっきりさせておく必要があるのではないかと思いますが、このことに関連をして外務省でお考えがあれば承りたいと思います。
#21
○国務大臣(愛知揆一君) 海洋開発の必要性ということについては、いまさら申し上げるまでもないことであると思いますが、いろいろまた御質疑があればお答えすることにいたしたいと思います。それに関連して、領海とか大陸だな、あるいは海底資源等についてどういう意見を持っているかという御趣旨のお尋ねと思いますので、概略申し上げたいと思います。
 まず、領海の問題につきましては、御案内のように、政府としては長らくの間領海三海里という説をとっておったわけでございます。その根拠とするところは、国際間の合意というものがあって、かつこれを相互に順守するということが領海については一番必要なことである。従来の経緯から申しますと、三海里というのが国際間の大多数の合意であったということが主たる根拠でございます。ところが、これも申し上げるまでもないところでありますけれども、世界の大勢がずいぶん変わってまいりまして、特に南米等の諸国においては領海を百海里とか、あるいはそれ以上を一方的に宣言する、こういう状況がここ数年の間に相当出てまいりました。同時に、これではいかぬことは当然でございますが、相当な何と言いましょうか、良識のある国というと不適当かもしれませんけれども、海洋国家の相当なところの間から、ひとつ領海については国連等を中心にして新しい合意をつくろうという機運が一面において出てまいりましたから、政府といたしましては、その機運の中に入りまして、たとえば十二海里に領海をしようとか、そしてその中の六海里をいわば専管水域にして、六海里を従来からの考え方のほんとうの領海にするというようなことが、国連の国際法学会などでは相当有力になってきているし、また、かつては委員会でこれが採択されたという経緯もございますから、そういうことで国際間の合意がまとまるならば、これが適当な意見である。したがって、ここ一両年の間にでもこういうふうな国際間のきちっとした合意が積み上げられてまとまるようであれば、日本はこれに参加することにやぶさかでない、こういう態度を現に表明いたしておる次第でございます。
 それから大陸だなのほうも、これはまたなかなかむずかしいわけでございまして、大陸だな条約というものもできてはおりますが、参加国もきわめて少ない。日本はこれに参加しておりません。というのは、大陸だなの資源というものは、これは一体いかなるものであるかということの定義も国際間の合意ができていない。たとえばカニだとか、あるいは魚だとかいうものまでこの大陸だな資源の中に入れて主張する国もございますが、これは、海洋国家であり水産国である日本としては、そういう意見には賛成することが国益上もできないわけでございます。そういうようなこともございますので、大陸だな条約には入っておりません。そうして、必要な場合において二国間あるいは関係三国とか四国の問で、海中に生息している漁獲量などの合意をつくりまして、これをお互いに守り合う、そして水産資源の確保ということにも国際的な協力をする、こういうたてまえできておるわけでございます。
 それからもう一つ重要な点は、条約は成立しておりませんけれども、国際的な通念といたしまして、浅海海底資源と申しましょうか、そういうものの開発であるとか、あるいは開発を前提にする調査というようなことについて、一つの国だけが一方的に権利、権原を主張し得るものではない、これが一つの国際的な通念として確立している、こういう考え方に立ちまして、たとえば海底石油資源等の問題につきましては、関係国との間で十分相談し合って、そうしてその資源の調査なり開発をすべきものである、こういう姿勢を政府としてはとって今日に至っているわけでございます。また、今後におきましてもそういう立場で進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#22
○矢山有作君 領海の問題なり、あるいは大陸だなの問題等につきましては、従来の日本政府の考え方というのは、いまも触れておられましたが、漁業関係を重視するという点から領海三海里という立場をとり、また大陸だな条約についてもまだこれに加入していないというようなことだろうと思いますが、しかしながら、最近のように海洋の開発なり、あるいは資源の利用ということが非常に大きく問題になってき、また、そういうことをやり得るだけの技術ができてきますというと、やはり従来の考え方だけで領海の問題なり大陸だなの問題を処理するということは、やはり一応限界があるんじゃないかと思うわけです。そういう点で早急にどうこうということも言いかねると思いますけれども、領海の問題、大陸だなの問題等につきましては、やはり海洋資源の開発利用の観点に立って十分利害得失を考えた上で確固たる方針を出す必要があるんではないかと思います。と言いますのは、御承知のように、アメリカ政府のほうから昨年九月ごろだったと思いますが、国連国際海底地域条約草案というものがわが国に提示されておると聞いております。この条約成立のために日本政府の協力も求めてきておるということでありますが、これにやはり対処していくためにも、私は日本政府としての領海なり大陸だななり、あるいは深海海底の問題等については確固たる方針がほしいと思うわけですが、まずこの国連国際海底地域条約草案というものの重要な点といいますか、その内容、これをひとつお示しいただいて、それに対する方針というものが固まっておりますれば、それをお示し願いたいと思います。
#23
○国務大臣(愛知揆一君) 領海につきましては、ただいま申し上げましたようなことでございまして、従来は一見すると、日本の態度というものはかたくな過ぎるというふうに受け取られている向きもあったかと思いますが、それにはそれなりの日本としての理由もあったのでございまして、これは、日本は非常な世界に冠たる水産国でありますだけに、こっちも向こうさんにずいぶん進出しなきゃならない。同時にこっちはこっちで他国からの進出を防がなければならないというようなこと。それから同時に常に領海説――領海についてはいろいろの説がありますが、日本としては一番関係の深い国々との間には、先ほど申しましたように二国間の条約あるいは三国間の条約というようなことで、一番必要なところだけは確保してきたつもりなんでございますが、しかし、それではいままでお話しのようにちょっと防ぎ切れないというか、いつまでもそういう態度ではいかぬというので、世界のいろいろの状況にかんがみて、先ほど申しましたような態度で前向きに領海問題は検討する。ただこれが、たとえば従来の経過といいましても、領海を何海里にするということには合意するけれども、沿岸国のまた一方的の権利を留保するというような国も相当あるわけです。それが行き過ぎますと、領海をきめたって意味がなくなるわけでございますから、相当大多数の国々の間に根強く話し合いを進めて、日本として考えれば、日本と関係の深いような国々とはせめて日本の望むような合意に達し、かつこれをお互いに順守し合うということの保証をはっきりさせなければならない。こういう態度で今後十分の努力をしていきたいと思っております。
 それから大陸だなについては、これは案が、いま米側から国際機関の委員会に試案と申しますか、提案されていることも事実なんでありますが、その内容等は御説明いたさせますが、まだその程度の段階でございまして、大陸だなについて終局的にいかなる態度を打ち出すべきかということについては、まだ日本政府としては態度をきめておりません。ただ、先ほど申しましたように、大陸だなの扱い方としては、一体そこでお互いに規制し合う資源とは何ぞやということのまず定義からして論議しなければならないという事柄であろうと思いまするので、ずいぶんこれにはこれからもいろいろと時間もかかりましょうし、なかなか、条約としてまとめ上げて、大多数の国々の合意を得るということには、はなはだ私率直にいいますと困難さがあるように見受けられます。
#24
○政府委員(井川克一君) ただいま外務大臣御答弁のとおりでございますが、先ほどの最後の御質問のいわゆる深海海底開発に関するアメリカ案と申しますのは、国連の海底平和利用委員会にたしか昨年の八月に提案されました。御承知のとおり、昨年の十二月十七日に国連総会において決議ができました。ただいま第一回の会議をジュネーブで、準備委員会を三月一ぱいしておるわけでございまするけれども、それで取り上げまする問題は、領海の問題、大陸だなの問題、公海漁業の問題海底開発の問題及び科学的調査の問題、非常に広範なものでございまするけれども、この三月に第一回の会議を開き、第二回の会議を七月から八月にかけて開き、一九七三年にこれらの諸問題を解決する条約、もろもろの条約案を七三年につくろうという、相当長い時間をかけて目下準備に当たっているわけでございます。したがいまして、大臣御答弁のとおり、わがほうとしても、この準備段階でもろもろの意見も申しますし、準備段階の発展に従ってわがほうの態度もきめていきたいと思うわけでございまするが、アメリカが出しました案は、これはソ連が強く反対しているわけでございまするけれども、まず大陸だな――最も根本的なものは、大陸だなよりももっと深い深海海底の利用の問題でございまして、現在御承知のとおり大陸だな条約では、大陸だなというのは二百メートルの深さまで及ぶ開発可能な地域までというふうになっておりまするけれども、これを三つに分けまして、二百メートルまでを完全に沿岸国の管轄権の及ぶ大陸だな、これは従来どおりであります。それから残余の大陸だなは一種の国際的な信託区域というふうなものの考え方をとろう。それからもっと深いところはどうするかといいますと、いわゆる深海海底でございまするけれども、この点につきましては、これは何人の権原も及ばない国際的な一種の財産である。国際機関を設けて管理に当たらしめる。したがいまして、能力のある国は一番深い深海海底の開発をすることができるわけでございます。その場合に、まだそういうところまで詳しくいっておらないわけでございまするが、一定のお金とかいうようなものをこの国際機関に供出する。この国際機関は、集まりましたお金を特に後進国の開発のほうに向けるという考えでございます。これは今後十分詰めていかなければならない問題だと思いまするが、ソ連はこの深海海底のいわゆる国際化と申しますか、国際機関――特に国際機関であるというレジーム自身に対して相当強い反発を示しております。
#25
○矢山有作君 大体内容はいま御説明いただきましたが、いずれにいたしましても、こういう案がアメリカから示されまして、今後これは論議の対象になると思うわけです。そうしますと、当然将来わが国としても、いまの国土面積の七〇%以上の大陸だなを持っておるわけですから、これをどう開発していくのかという問題が、さらに、先ほどおっしゃった国際信託統治になるところ、あるいは深海海底の開発、これに対してもいろいろお金も要るようなしかけになっておるようですから、そういう点で、今後の具体的な方針というものをやはり早急にきめていく必要があるのじゃないかと思いますので、いまきまっておらぬということでありますから、そうしたものについて基本的な方針を早急に決定をするように努力をしていただき、また、それについてもお示しを願いたいと思います。
 それからもう一つの問題は、御存じのように尖閣列島の周辺の石油資源の開発の問題、これで中華民国との間にいろいろと問題が起こっております。それからまた、韓国との間にも同じような問題が起こっているわけであります。で、中華民国との間には、尖閣列島の領有権の問題をも含めて問題になっておるわけで、これらの問題について外務省としてはいろいろいままで中華民国政府なりあるいは韓国政府と折衝を続けられてきておるように聞いておりますけれども、その経過なり現状はどういうふうになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
#26
○国務大臣(愛知揆一君) まず前段でお尋ねになりました点は、政府としても非常にこれは重大な問題だと思っております。それで、私の考え方といたしましては、この資源の問題が日本の国益からいいましても非常に重要な問題でございますから、日本としてどういうふうなところをどういうふうに開発利用ができるかというようなことをまず徹底して現在までもいろいろ調査や研究がされておりますけれども、早急に取りまとめる必要がある。それと並行いたしまして、これはいろいろ外交上の問題になるわけです。それからひいて条約のあり方がかくあるべきであるということに非常に密接に関連しておりますので、総体的に取り上げていくべき問題であろう、これは取り急いで大いに勉強してまいりたいと思っております。
 それから尖閣列島は、二つの問題がございまして、一つは領土主権の問題でございますが、これはもう問題ない。どんな角度から見ましても日本の主権の存するところであり、また、沖繩返還によって当然これは返ってくるところでございますから、これについて他国がとかく言っている向きもありますけれども、こういうことは問題にしない、また、交渉の対象などにすべき問題ではない、こういう態度で今後ともまいるべきことであると思います。ところが、これと関連的に、別な問題ですけれども、やはり浅海海底の開発問題というものについて、たとえば国民政府が何か一方的に権利を設定するというような動きもございますので、これに対しては厳重な抗議を申し入れております。そして、その結末はまだついておりません。
 それからもう一つ、東シナ海と申しましょうか、九州のすぐ先のところの海底についても、韓国等から一方的に開発調査というようなことが進められるというような情報を最初にキャッチいたしました。そのとき即時政府といたしましては、韓国政府に抗議を申し入れ、また、これもその後いろいろの経過がございますが、まだはっきりした結末を得るには至っておらないわけでございます。
 それからもう一つ、ついでにと申しましてはなんですが、中華人民共和国といいますか、正確に言えば新華社電その他でも、日本と韓国と台湾との間で三国が政府間で海底の開発に着手しつつあるというふうに伝えられておりますけれども、これは何かの間違いではないかと思います。何か民間の会合か何かでそういう話が出たことはあるようでございますけれども、これは政府としては全然関与せざるところでございますので、この際念のために申し上げておきたいと思います。
#27
○矢山有作君 この大陸だなの開発の問題で、日本政府が韓国政府あるいは中華民国政府に交渉しておる、その交渉の際のこちらの主張の要点はどういうことになっておりますか。
#28
○政府委員(須之部量三君) まず韓国のほうでございますが、韓国のほうとのその話し合いは、基本的にはこれは中華民国も同様でございますが、一方的に韓国のほうで大陸だなに先方の権利を設定するのは認められない、したがって話し合いで決定したいということでございます。それで当方の考え方としましては、韓国とのほうの間にはある程度どこを基線として考えたらいいかというような点、これはちょうど九州の沖のほうでございますので、その辺のこちらの考え方もある程度具体的に示しております。この点につきましては、昨年の十一月に当方の担当の専門家が参りまして話をいたしました。その後こちらの考え方を文書で示しまして、現在は先方から先方の考え方を具体的に言ってくるのを待っておるという現状でございます。
 それから台湾とのほうの関係でございますが、これは主としていままでの議論は、第一は尖閣諸島をめぐってのあれでございますが、同時に大陸だなのほうにつきましては、これは国民政府側も一応関係法令を公布してはおりますけれども、まだ具体的に問題が実は動いておるわけではございません。したがいまして、私どもとして現在までとっております態度は、一方的に権利を設定するのは認められないという原則と、それから双方で何とか友好裏に話し合いできめたいということと、この点は国民政府側も了承しておるわけでありますけれども、そしてその話し合いがつくまでは一方的に既得権利を設定するというようなことは見合わしてほしいということ、つまり具体的な議論のもう一つ前の段階で話しておるというのが実は現状でございます。
#29
○矢山有作君 大陸だなの境界は、大陸だな条約にもありますように、大陸だなをはさんでおる国の間では両者で協議をしてきめることになっておりますが、協議がどうしてもうまくいかぬ場合には中間線できめるようなことにもなっておるようでありますけれども、それをたとえば尖閣列島の場合に適用した場合に、日本政府としてはどういう見込みを持っておられるのですか。
#30
○政府委員(須之部量三君) 先ほど申し上げましたとおり、実は尖閣諸島のほうに関連しましては、むしろ尖閣の領有権の問題がいままでの主たる議論になっておりまして、実はそこまでまだ詰めてどういうふうに線を引くべきかということは、こちらのほうとしてはきめておりません。非常に広い地域でございますし、いろいろむずかしい点もございます。したがいまして、先ほど言いましたように、一方的に権利を設定するのはやめてくれ、したがってそれまでは既得権というような既成事実をつくるのはやめてほしいという線で話し合っているのが現状でございます。それに比べますと、たとえば九州のほう、これのほうはある程度はっきりしているものでございますから、これのほうはある程度具体的に話し合っているというのが現状でございます。
#31
○矢山有作君 その場合に、具体的に中間線できめるべきだというような主張も出してはおられませんか。
#32
○政府委員(須之部量三君) 韓国のほうとの話し合いについて見ますと、向こうのほうの考え方は、いわゆる自然の延長と申しますか、大陸からずっと延びてきているのは自分のほうだという考え方を基礎にしておるようであります。さらにそれについてのいろいろな根拠が必要でありますが、先ほど申し上げましたとおり、韓国側から書いたもので詳細に聞きたいということで、まだそれはもらっていない現状でございますけれども、当方としましては、やはり考え方としてはどこを基線にするかという問題も非常にございますが、それをこちらの考える基線の根拠と、それからやはり話し合いの一つの前提としては、中間線ということで話し合いを進めるべきだと思いますし、大体その考え方をとっております。
#33
○矢山有作君 まあ中間線の主張もなかなか、いろいろ国際司法裁判所の判例なんか、あるいはその他学説上もそうだろうと思いますけれども、むずかしい点もあるようですけれども、その問題についてはもうこれ以上お伺いしないことにしておきます。
 三月十二日の読売新聞を見たのですが、政府は、台湾海峡における日台共同の石油開発は当分見合わせるというような発表をなさったようでありますが、この台湾海峡の日台共同の石油開発というものがいつごろ持ち上がって、どういう経過をたどってきて、そして今日これがどういうことで中止になったのか、お伺いしたい。
#34
○国務大臣(愛知揆一君) 実は私どももその新聞の記事を読んだわけなんですけれども、日台共同で台湾沖の石油資源を開発する云々という趣旨でございますね。事実そういうことがないんです。少なくとも政府間の話に出てきておりませんので、それで中止どころではなくて、そういう話がなかったわけでございますから、その時点においてそういう話はないと聞き合わせに対して申しましたわけでありまして、事実それだけのことでございます。
#35
○矢山有作君 そうすると、台湾海峡の石油の共同開発という問題は、読売の記事等によりますと、昨年春来日した国府首脳と佐藤首相との間に話し合いが行なわれたというようなことで、いろいろ経過が書かれておるわけです。それは何もことしの三月十二日の読売の記事だけでなしに、これの前にも台湾海峡の石油の共同開発という問題は、いずれの新聞であったか私記憶しておりませんが、たしかかなり大きく報道されておったように思います。そうすると、このいまの御答弁では、台湾海峡の石油の共同開発というものは一切なかった問題であるということでありますか。そうすると、これは新聞としてはこれだけの大きな問題を二度にわたって報道しているわけですが、この新聞報道は全面的に違っておったということになるのですが、その辺はどうでしょうか。
#36
○国務大臣(愛知揆一君) これは実はここに新聞記事を持っておりますが、これについて参議院の予算委員会で御質問がありました。それで、そのときに私は、いま申しましたようなことでありますが、通産大臣もこの事実はないと。それからそのときに、これは私からお答えしたのではありませんが、この新聞にも出ておりますように、「昨年秋には小宮山通産政務次官をはじめ」云々と、それで現地に参って、そこで相談があったように出ておりますけれども、これは通産省に確かめましたところ、これもその事実がないということでございます。
 それから前段の「昨年春来日した国府首脳」というのはだれをさしておるかわかりませんけれども、これは台湾に限らず、このごろはいろいろの人が佐藤総理に面会を求めてきておりますから、その中の一人かと思いますが、総理としても、こういう具体的な問題について自分は何らコミットしたことも何もないということでございますので、これは記録その他にも全然ございませんわけでございます。
#37
○矢山有作君 それでは、明確な否定でありますから、私のほうもそういうふうに了解をしておきます。
 それから次にお伺いしたいのは、先ほどの御答弁の中にもありましたが、尖閣列島周辺の大陸だなの開発等につきまして、中国から、三国政府間で開発しているように伝えられておるということできびしい非難があったが、政府としては関知しておらない、これは民間のことだろうと、こういうお話であります。しかし私は、この中国周辺の浅海海域の石油資源の共同開発の動きというものは、きわめて反共的、反動的な日華協力委員会なり日韓協力委員会というものがその背景にあるわけであります。そしてしかも、この両委員会には岸元総理なり、さらに自民党の有力国会議員も参加しておられます。そして日本の財界の大どころも参加しておるわけでありますから、いわばこれは政財界一体となっての事柄ではないのかという感じがいたすわけでありまして、必ずしもそれは政府の関知しないところで、民間のことだといって済ますわけにはまいらぬだろうと思うのですが、その点いかがですか。
#38
○国務大臣(愛知揆一君) これはどうも政府としては、先ほど来申しておりますように、ことに三国間において何か相談しているというようなことがあげられているわけですけれども、これは全然事実ございませんので、ことに尖閣の周辺海域の問題については、先ほど来アジア局長も申しておりますように、これは台湾政府のほうでも、まだ確たる具体的な希望というようなものも示しておらないくらいでございますから、そしてまた、東シナ海あるいは九州周辺については、すでに日本としては韓国に申し入れをしておる。一方的にそういうことをやるべきではないということをやっておりますような状況でございますので、政府間で開発について具体的な相談をするというような状況でないことは、ただいま申し上げました背景から申しましても御理解いただけるかと思います。
#39
○矢山有作君 それでは押してお伺いいたしますが、こういうふうに日韓、日華協力委員会が背景になって、中国周辺の浅海海域の日韓台による共同開発というようなことが協議をされ、計画をされ、さらにそれが推進をされようとしていることに対して、日本政府としてはどういうふうにお考えになりますか。
#40
○国務大臣(愛知揆一君) 実はこれはやはり予算委員会でも問題にされておるところでございますけれども、たとえばベトナムの海辺、その浅海資源というようなこと、とにかく日本としては、先般のOPEC問題ではございませんけれども、エネルギー資源には至大な関心を持たざるを得ない、そういう角度から世界的に、特に日本周辺においてのこうした新しい資源に対して、その関係の方々が非常に関心を深くしていることは事実であるし、これまた私は否定できないことだと思います。しかし、予算委員会でベトナムの問題についても私お答えいたしましたように、いま現実に戦火のただ中にあるすぐそこの周辺であるというようなことは、かりに条約的あるいは法律的に問題のないことであっても、やはり日本政府といたしましては、もし政府にかかわりのあるような観点で処理を求められるような場合には、きわめて慎重な配慮が必要であると思っておるわけでございますから、そういう点から考えまして、なかなか具体的に話が出てこないように思いますのですが、この東シナ海あるいは尖閣列島の問題については、しかし、いま申しましたような姿勢といいますか、気持ちにおきまして十分慎重に配慮をいたしたいと思います。
#41
○矢山有作君 私は、たとえ政府が直接関係しておらない問題であっても、少なくとも大陸だなの開発という問題は、国家主権にかかわってくる問題なんです。したがって、民間のそういう団体がかってに、国家間の折衝によって問題が解決しない段階で、幾ら資源の開発に急を要するからといって、かってに動くということは、外交上いろいろ問題があると思うんです。でありますから、むしろこういう中国との、あるいは朝鮮民主主義人民共和国との外交関係の複雑微妙な段階では、そういうようなきわめて反共色の濃い団体がこういう動きをするということを、政府としてはやはりむしろとめるべきではないかと思うんですけれども、積極的にとめるべきだと思うんです。その点はどうですか。
#42
○国務大臣(愛知揆一君) 政府としては、少なくともいままでのところそういう情報も十分には持っておらなかったわけでございますから、今後十分慎重な配慮を加えてまいりたいと思います。
#43
○矢山有作君 先ほど南ベトナム沖の石油開発の問題についてもお話がありましたし、それからすでに衆議院の予算委員会においても取り上げられておる問題でありますけれども、私は、この問題についてもやはり政府としてはこれに参加すべきでない。まして石油開発公団ですか、これが中心になって民間八社を結集して、そうしてアメリカのガルフという石油会社ですか、これと組んで入札に応じようなどというのは、私は何としても、あのベトナムに限らず、インドシナ半島の現在の情勢から見て、これはやはり国際緊張を激化させるだけの話であって、むしろこういうことをやることが、南ベトナムに対するいわゆる経済的な支援といいますか、それ以外の何ものでもないし、へたをすると日本が経済的に参戦をしていくといりようなことにもなりかねないので、これはぜひやめるべきだと私は考えておるわけです。最近、政府の海外経済援助の状態を見ておりましても、どうも韓国あるいは台湾等に援助の重点がかかっていき、さらに東南アジアの南ベトナムや、あるいはカンボジアあるいはラオス等の反共政権のほうに経済援助の重点がかかっていく傾向がありますけれども、それだけに私はベトナム沖の石油開発の問題についても非常に心配をしておるわけでありますけれども、こういった問題については、政府はきわめて慎重というよりか、そういうことの動きをすべきでないし、むしろ民間でそういう動きがあるとすれば、それを押えるべきではないかと思います。特にベトナム民族解放戦線のほうなり、あるいはベトナム民主共和国のほうから、どんな約束がなされようと、この大陸だなの開発についてなされたものは全く無効だというような声明も出ているときであります。したがいまして、きわめて慎重な扱いをしていただきたいということをこの際強く申し上げておきたいと思います。
 なお、本会議に出られるそうでありますから、そのことについて簡単に御答弁をいただいて、きょうのところはこれで打ち切っておきます。
#44
○国務大臣(愛知揆一君) いろいろの角度から御注意をいただきまして、私といたしましても、十分矢山委員の御意見を伺って大いに益するところがございました。今後とも十分配慮してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#45
○委員長(田口長治郎君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト