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1970/05/19 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第19号
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1970/05/19 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第19号

#1
第065回国会 内閣委員会 第19号
昭和四十六年五月十九日(水曜日)
   午後二時四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田口長治郎君
    理 事
                塚田十一郎君
                安田 隆明君
                足鹿  覺君
                上田  哲君
    委 員
                源田  実君
                佐藤  隆君
                長屋  茂君
                山本茂一郎君
                渡辺一太郎君
                森  勝治君
                矢山 有作君
                峯山 昭範君
                岩間 正男君
   国務大臣
       文部大臣臨時代
       理        秋田 大助君
   政府委員
       行政管理庁行政
       管理局長     河合 三良君
       防衛施設庁施設
       部長       薄田  浩君
       沖繩・北方対策
       庁長官      岡部 秀一君
       文部政務次官   西岡 武夫君
       文部大臣官房長  安嶋  彌君
       文部大臣官房会
       計課長      須田 八郎君
       文部省初等中等
       教育局長     宮地  茂君
       文部省社会教育
       局長       今村 武俊君
       厚生省児童家庭
       局長       坂元貞一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
   説明員
       大蔵省理財局国
       有財産第二課長  柴田 耕一君
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       寒川 英希君
       厚生省児童家庭
       局母子衛生課長  浅野 一雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田口長治郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○上田哲君 今回の文部省設置法の改正で、特殊教育総合研究所が設立されるということでありますが、特殊教育総合研究所というものを設置しようという考え方、これはもう提案趣旨の説明の中でもよく承りましたけれども、私どもこれについてたいへん前向きに評価をいたしております。ただ、何をやるのかということは、論議の初めにひとつ詳しく血の通った説明をいただきたいと思います。
#4
○政府委員(宮地茂君) 率直に申し上げまして、特殊教育は非常に重要でございますし、坂田大臣就任以来、文部省の最も重大な施策のさらにその一番筆頭である、大学問題と特殊教育のために、自分は生命をささげるといったような御覚悟で、いろいろ今日まで各委員会にもそういう御趣旨のことを言っておられます。と同時に、特殊教育は、非常に率直に申しまして、他の一般教育、わが国では明治以後、非常に世界的に見ても教育は相当の先進国と思いますが、しかし、特殊教育につきましては、遺憾ながら一般教育の普及の陰にありまして、戦後まで十分な特殊教育の振興ということは考えられておりませんでした、率直に申し上げまして。したがって、特殊教育といえば、せいぜい盲学校、ろう学校といったようなものが従来からあったにすぎません。戦後、養護学校、特に養護学校でも肢体不自由、病虚弱、精薄、こういったようなことで、ごく最近になりましてこういう学校の振興に力を入れておるわけでございます。
 ところで、教育の機会均等という見地から、特殊教育の子供たちに対してもっともっと機会均等をはかるための施策を進めていかなければならない。ところが盲学校、ろう学校もそうでございますけれども、とりわけ養護学校、さらに最近情緒障害児、一例をとれば自閉症の子供につきましても、どのような教育をし、どのような内容、方法の教育をしたらよいのかというとすら、これは世界的にも十分でない面もあるようでございますが、わが国では一例を申し上げましてもそういうことでございます。したがいまして、幾ら特殊教育の振興に力を入れたいと申しましても、まず基本的なものが解明されておらなければ十分な振興策も打ち立てられないということで、私ども養護学校等、今後の年次計画も持って推進いたしておりますが、特にこの教育内容、方法をよりよき特殊教育、こういったような点につきましては、単に教育関係の人々だけではなくて、教育心理学、そのほかに医学、さらに教育工学、いろいろな学問、あらゆる分野の学問、研究の成果をもとにやっていきたい。そのためにはどうしても大学等に、もう部分的にそういう研究をしておられるところはございますが、総合的にこの問題を研究していく必要がある。さらに、とかく大学は学問のための研究、研究のための研究ということになりがちですが、観念的な研究もさることながら、実際にハンディキャップを背負った子供たちの教育をどうしていくかということですから、実用的な実際的な教育、その基礎になる研究でなければいけません。
 まあ、こういったようなことから、坂田大臣就任以後、この問題をそういったような意味で全国の大学の関係者、研究所の関係者、こういう人々の力を結集して、特殊教育総合研究所をつくって、早急に教育内容、方法、いろいろなものを検討して、さらに各県で特殊教育の学校がございますが、二重苦、三重苦の子供に対して、各県でどうこうといってもなかなかむずかしいのでございます。したがいまして、各県ではどうにもできないような重症の子供については、特にこの研究所で実際に研究、教育もしていきたい。いろいろな欲ばった面もございますが、そういったような考えでこの特殊教育研究所をつくっていきたいというふうに考えた次第でございます。
#5
○上田哲君 おしまいのほうの部分をもっと具体的に聞きたいわけです。初めの部分をいえば、これは抽象的な議論が一ぱいできるわけで、いまの御答弁の中に、機会均等をはかるべきだと言われたのだけれども、はたしてそうだろうか。機会均等がはかれますか。私は原理の問題として、たとえば数量的な、たとえば算術的な機会均等論というものでいいのかどうかということが一つあると思いますよ。つまり、機会均等という同原則の中で問題を考えるのか、別コースでの教育論、カリキュラムということになるのか、その辺は原理の問題であると思います。
 この辺の議論をしていると、たぶんそれ自身を総合研究所でやることになるのでしょうがね。私はそういうことが出たから、一般的な機会均等を保障するものであるというような言い方で、一体、少なくともこの特殊教育総合研究所の発足の精神がいいのかどうかということだけは、やはり一つ伺っておきたいと思います。
 それから、時間の節約も含めて申し上げるならば、いままでの、数年前からの設立準備というような期間があって、国会などでもいろいろその議論があったわけです。その辺の意向をくんで、どういうふうに中に織り込まれることになったのか。
 それから一番最後の部分で、実践的な面を重視するのだと言われた。あくまでも現場とのつながりで実践的な面を重視するのだというのであれば、ちょと私の聞き取りによっては、たとえば具体的に、実験児童というとおかしいけれども、そうした収容をするこを前提としておやりになるように受け取れるので、そうであれば、その辺の計画は将来展望としてどうなのか。一応その三つお伺いしたいと思います。
#6
○政府委員(宮地茂君) 教育の機会均等という点でございますが、まあこれはあくまでも目標でございますが、教育の機会均等といいましても、各市町村に盲の子供、ろうの子供、養護学校に入るべき子供、いろいろございますが、その子供たちのために各市町村にといった機会均等は、とても量的にはむずかしゅうございます。ただ、理念的な一つの目標といたしまして、こういうハンディキャップを背負っているがために、憲法で保障された義務教育も受ける機会が与えられないといったようなことではいけないので、そういった意味におきまして、教育の機会均等という見地から、ハンディキャップを背負った子供たちは、それはそれで例外でほっておけばいいんだということじゃなくて、これは全く一般人と同じなんだ、教育を受けることについては。ただ教育の内容なり方法ということは、これは障害児につきましては、一般の普通児と同じようなことを画一的にやったのでは効果がないでしょうから、いろいろ検討いたしますが、私の説明まずければ訂正いたしますが、研究所をつくったのが機会均等ということじゃなくて、特殊教育を推進する目標としては、理念としては、機会均等という考え方から特殊教育というものを充実さしていかなければいけない。そのためにはどのような特殊教育をやっていくか。効果ある特殊教育をやるためには、もっともっと教育内容、方法を検討する必要がある。そのためには研究所をつくるということで、研究所をつくることが教育の機会均等、すぐにそのためというほどストレートの関係ではございません。
 それから二番目の、この特殊教育研究所ができるまでの経緯でございますが、まずいろんな方々の御要望等もございますし、文部省自身の反省もございました。それで、専門家の方々にお伺いいたしましたところ、まず骨格のようなものの御建議でございますが、こういうふうにやったらいいだろうというふうな御意見、御建議のようなものをいただきました。そこで、文部省といたしましては、それを予算化するために、協力者会議というものを持ちましてやりました。したがって、いままでにいろいろな方々の協力を得ておりますが、特に今回の研究所の組織、規模、内容等につきましては、専門の方々のいわゆる協力者会議という、その会議の報告を中心にいたしております。
 それから三番目の、実験的と申しますのは、研究所でございますと、とかく学問の自由といったような研究に流れがちですが、そうじゃなくて、直接に、障害児がいる、その障害児の教育をどうしていくか、実際に教育に役立つ、そういう研究を主としてやっていただきたいということでございます。それで、各地に学校がございますが、研究所が付属学校を持って、各県にあると同じような、ちょうど教育養成大学に付属教育を持っている、あれと同じようなものを持つのだという意味ではございませんで、各県でやるのにはなかなかむずかしい重複障害児、重障害児、こういった子供、各県ではできないような子供、これを三十名か五十名くらいはそこでしてやる必要があるのではなかろうか、そういった考えでございます。
#7
○上田哲君 第一点のところでは、御説明の部分はわかりました。それで、教育の機会均等というのは理念である。これは言うまでもないことですね。そこで、その理念を実現するについては、対象となるこの子供たちは、普通のコースではだめなんだということが、そこで次に出てくる原則ですね。だから、そこでいうのは、単なる機会均等の原則論を拡大しようというのではなくて、言ってみれば特殊を徹底する、そういうことになるのだろうと思いますね。私はそういうことならば、それでけっこうだと思うのですよ。ぜひひとつ、一般的な原則の中に無理やりにはめ込もうという方向ではなくして、特殊のコースというものを徹底していくということだろうというふうに理解をいたします。
 そうなると一つの問題になるのでお伺いしておきたいのは、学校教育法の七十一条「幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施し」、この「準ずる」というところですね。準ずるということばは、足りないけれども、何とかそこまで間に合うようにしてみようという意味ですね、日本語としては。そうすると、この考え方の根底にあるのが、やはり一般原則に、なるべく足りないものを近づけようということであって、特殊の徹底で同じレベルまで行ければ行きたいものだということとはカテゴリーが違っているのだと思う。その辺のところをまず解明していただきたい。
#8
○政府委員(宮地茂君) 一般の用語といたしまして、準ずるという場合に、ここまでの水準があって、準ずるといえば、それより若干低いところでその水準に近づくというのが、準ずるという語感でございますが、しかし、私ども、ちょっと適切な日本語があれば、そこを直してもいいのですが、気持ちとしては、水準にほぼ近づけていくという意味じゃなくて、気持ちとしては、一般の子供と同じような教育もありますが、特に目の見えない子供であれば、漢字そのものを教えてもいけないので、これを点字で覚えさせる以外にないとか、そういうことがございますけれども、そういう意味で、全く同じではないが、一般児が読み書きを目をあけて見ると同じように、点字等を利用して一般の子供たちと同じことができるような、そういうことで、むしろ準ずるというよりも、同等ということですが、ただ、教育内容、方法というものが相当違いますので、全く小・中学校と同じ学習指導要領、同じカリキュラムでは、画一的に全く同じものではできない。そういう意味においての準ずるということで、あるレベルより多少低いという準ずるという意味では決してございませんので、ことばが、そういう意味ではあるいけ適切でなければ、今後適切なことばに直すことは、これはやぶさかではございません。
#9
○上田哲君 適切でないことはお認めになっておられるから、私は追及をしません。しかし、それはだめですよ。準ずるというのは、これはどうしたって決勝の次の準決勝というのは、これは四人で争うときに準決勝というのであって、決勝戦とは違うのですよ。日本では同位のことを意味するというのは、これは詭弁ですよ。準ずるというのはあくまでもそういう意味なんで、日本古来、そういうふうに使われたことはないのです。準ずるとはイコールであるというのは、字引きのどこを見たって、六法全書のどこをびっくり返したって、そういう使われ方は全くない。私は準ずるという意味を正確に、正当にとらえて、この法律の考え方は、これではいけないのだと言いたい。普通児と障害児の教育はカテゴリーが違うんですよ。そこに機会均等なんていうことばが出てくるのも、これは障害児をできるだけ一般原則の中に入れて、力の足りないのはおくれてもしようがないけれども、できれば間に合わせてやろうという考え方だ。それでは、これは幾らやってもだめですよ。普通児と同じことをやらせろというのは意味がないので、準ずるという幅をたくさんとるしかないことになってしまう。医師たちのいう植物人間というケースがあります。精神科、神経科に行ってみれば一ぱいいます。全然思考能力がない、心臓が動いておりますから人間です。それなら、これは今日の医学においては生き続けさせなければならない。なぜならば、人間だからです。人間の尊厳ということからすれば、ぴんぴん働いて大臣をやっているあなた方と、その人たちと比べても、人間の尊厳においては変わりないという哲学があるからです。一律教育、機会均等は、真に人間の尊厳を平等に尊重していない。そういうことを押し広げていった場合に、おくれているということを前提とするのじゃなくて、そのハンディをどう埋め合わせてやるかということになるわけでしょう。だから人間であるから、ここに特殊総合教育研究所をつくるということで、私は賛成しているわけです。ところが、あくまでもこれとこれとの関係は準ずるのだということであったら、かわいそうなやつはできるだけ情けをかけてやろうということしか出てこない。これではいけないのです。せっかく私は前向きに評価するのだから、いまの御答弁の中に、準ずるという、適当なことばがあればかえたいということ、それはけっこうだから理解をします。理解はしますが、これは平等な意味なんだという意味にしてしまえば、この子供たちがかわいそうだ。特にそういうことであるなら、議論を起こそうとは思わないけれども、法律に合わせて、欠陥を補うために必要な知識。技能、技術を目的とする、足が短かいものを何とか歩けるようにしてやろうという技能、技術を授ける。手の動かないものは何とか、手を授けてやる、機能の欠陥を補てんしてやるということ。人間としてこれは一本である。人間としての活動性、情緒性がなければ、これはきのうの参考人の御意見にありましたけれども、寝ていても味わえるような夏の色、太陽のにおい、そういうものをゆくりなく味わえるようにしてやらなければいけないのだということに、この特殊教育総合研究所の理念がなければいけないので、これはひとつ次官にその辺は明快に、政治理念として、準ずるなんというのはそういうものじゃないのだ。しかるべき用語ということがありましたが、できればそういうことばにかえよう、そういう人間として平等に扱うということが、この特殊教育研究所を設立する意義であるということをきちっと御答弁していただいてから、次の質問に入ります。
#10
○政府委員(西岡武夫君) ただいま先生からお話を承っておりまして、まことに特殊教育の持っておる基本的な核心に触れるお話でありますので、私ども同感でございます。したがいまして、今後の特殊教育の振興のために、ただいま先生の御指摘になりました点を十分踏まえて、いまの準ずるという用語の問題についても、これは御指摘のように問題があることは、初中局長からも御答弁申し上げたとおりです。適当なことばがあればこれを改めるということも含めて、今後取り組んでいきたい、かように思います。
#11
○上田哲君 よくわかりました。ぜひこのことを、かえたらそうなるということにはならぬけれども、ただいまの御答弁前向きにとりまして、できればこの子供たち、その家族のためにも準ずるという一おまえたちは出発点から終結点まで人並みにはいかないのだというふうに押えつけていくのじゃなしに、ことばは悪いが、欠陥のある人も人間として平等のところに持っていくのだというところに、ことばをかえると、これは光明が生まれてくると思うのです。これはせっかく御努力を願いたいと思います。私も前向きに受け取って理解をいたします。
 そこはひとつ埋めたので、もう少し具体論に戻って伺いますが、抽象論じゃなくて、問題は、さっきも御答弁になったのは実践論ということでありましたから、実践論ということになると、趣旨説明では承っておりますが、もうちょっとたいへん興味があることなので、この研究所はどういう部門が置かれて、どういう研究を進めるのか、研究部門と研究の内容、この概要をひとつ抜き出してでもいいから御説明いただきたい。
#12
○政府委員(宮地茂君) これは私どもがいろいろ考えておりますのは、今年度まだ四十二名の定員しかついておりませんので、御承知のように今後三カ年計画で充実してまいりたいということで、三カ年後のことを頭に描いております部門ということで御説明申し上げたいと思いますが、視覚聴覚のそれぞれの障害教育の視覚障害教育研究、聴覚障害教育研究、それと並びまして精薄の教育研究、肢体不自由の教育研究、病弱虚弱の教育研究、言語障害、情緒障害、重複障害教育研究、こういったようなものをできれば一つの研究部というものにしたい。それぞれの部の中に室を設けたいと思いますが、非常にたくさんございますので、二、三を申し上げますと、たとえば肢体不自由教育の部では脳性麻痺教育研究室、運動障害教育研究室、言語障害教育研究室、機能障害教育研究室。情緒障害は内因性情緒障害教育研究、外因性情緒障害教育研究といったような、それぞれの部に二つないし三つの室を設けてやりたい。内容は部なり室の字の示す内容でございます。それを単なる理論ではなくて、実際に盲学校、ろう学校、養護学校で行なう子供の教育ということを念頭に置いての研究ということでございます。
#13
○上田哲君 四十五年三月に出された特殊総合教育研究所設置準備協力者会議ですか、この報告書によりますと、この研究所が最終的に必要とする職員数は二百十五名ということになっておりますが、それで間違いないかどうか、そのことをどう考えるのか。それで四十二名ですね、そのギャップは一体どういうことになるのか。
#14
○政府委員(宮地茂君) いまおっしゃいました、私どもがお願いいたしました専門家の先生方の報告として私どものほうへいただきましたのが、完成年度二百十五人の定員で、これは事務職員も含めましてそういう数字でやるべきであるという御報告をちょうだいいたしました。ただ、私どももその数字にぜひ近づけたいといいますか、それこそ準ずるのじゃなくて、そのとおりに、あるいは気持ちとしてはそれを上回ってもという気持ちがありますが、何分にも大蔵省が、わが国の予算制度では三年後まで約束した数字というのは査定なしないことになっております。三カ年計画でございますれば、初年度の分だけということで、全体の話し合いがまだ大蔵省とついておりません。それと初年度で十月から発足でございます。で、建物の進捗状況も、研究部門だけが今年十月に開設ができるのに間に合うわけです。で、研究のほかに研修とか、さらに実験学校、その他相談に来られる方々の相談室、いろんな機能を果たしたいと思っておりますが、建物の関係、発足の十月、諸般のことから、初年度は四十二名ということに大蔵省の査定がございました。私ども、でございますので、あと二カ年の間に二百十五名を目標に、せひ先ほど申しましたような研究部と室が置けるように努力したいというふうに考えております。
#15
○上田哲君 どういうもんですかね、そういう答弁は私は一番いやなんですよ。あなたと大蔵省がどういう相談をされたか、したがって、おれのほうは一生懸命やったが、しかしながら、財政当局は、財政の査定の仕組みはこうなってるんで仕方がないんだという話はいいんですよ。それはまことに模範的官僚答弁にすぎないんでね。私が聞いているのは、もっと親身で聞いてるんですよ。親身で心配して聞いてるんですよ。私が聞いているのは、十分ではないだろうけれども、この報告書による二百十五名というものは、あなた方が考えておる、これはまあ必要にして十分とはいわないだろうけれども、どうしても必要な数字だと、まあミニマムかもしれないかどうかということを、もう少しなまなましく聞いている。もし二百十五名がなけりゃいかぬというのなら、四十二名で、ゼロよりは四十二倍の進歩ではあるかもしれないけれども、ろくなことはできないじゃないかという意見があってもいい。前向きに一番はじめから申し上げているんだから、私は大いに大きくしたいと思うし、役に立ってもらいたいと思っている。そいつを、日本の財政の仕組みはこうなんだ、三年も前のことはわからないんだから、これぐらいのところで仕方がないんだじゃない。だれが被害を受ける、困るじゃないですか。日本の財政や査定の仕組みからすれば、これぐらいでがまんのしどころだよというようなら、だから文部省としてもこれ以上はできなくてもしょうがないと思っていると言ったほうがすなおですよ。それじゃ子供たちがかわいそうじゃないかということまで、応援しようじゃないですか。たいした金じゃないじゃないですか、そんなもん、まことにこれは変な感じですよ。そこのところをもうちょっとなまなましく、いまのお話のようなことなら趣旨説明で済むんです。そこをぼくらも何とかこれを手を合わせてやりたいと思うから伺っているのであって、具体的に言いましょうか。
 具体的に言えば、研究部門が発足をしたわけだ。その研究部門が六研究部に分かれるわけですね。そして一ないし三つの研究室が置かれるわけですね。そして各研究部はほぼ四名、各研究室は各一人でしょう。どんな研究するんですか、一体。局長は、その一人ずつやるテーマを全部御存じですか。研究室のメインテーマを御存じですか。そうしたら、それが何人でどんなことができますか。やらないことじゃないですか、一年間は。それじゃ意味がないじゃないかというのを、私のほうから言うんじゃなくて、どうもこれじゃぐあいが悪いんじゃないかということは言えないだろうか。そうすりゃ次年度、三年次にわたってもっと努力しようじゃないかという共通の努力も生まれようじゃないか。私は、おたくのまじめな課長さんがうしろにいますよね。課長さんが何べんか来るわけですよ。それで、これひとつお願いしたいという言い方をする。お願いしたいのはこっちからぐらいです、この問題は。だから、私はもっと大上段に振りかぶった問題よりも、ひとつこういう問題を、ぜひ一生懸命やってもらいたい。役所でやる仕事とすりゃいい仕事です、これは。だからおれのほうからも一生懸命追及するけれども、つまり、たとえば定員でいえばこれぐらいじゃ何もできぬじゃないか、ないところから始まるんだから、たいへん意欲的だけれども、これじゃできないと言えば、いや、これで何とかということで、何とかというのはわかりますよ。しかし、そこは突き破られたら、与党が困って野党が万歳という話とは違うのだから、できないことのほうをしっかり言えと、それはわれわれも協力しようじゃないかと、そういうのです、そうなんです。だからみな同じですよ。そういうところ、もうちょっと、これじゃ困るんだ。もっとやりたいけれどもという話をしてください。そういう話をいましょうと思って議論をしているのだということを受け取っていただいて、メリットというよりは、デメリットとはいえないでしょうけれども、やりにくい部分、ここをこうしたいのだという悩みを率直に聞かしてもらったほうが、せっかく発足をしたこの意欲のある、意味のある研究所の仕事に対して、私は有意義な議論になると思うのですよ。また、くどくなったような感じもしますけれども、そういう意味でもう一ぺんお答え願います。
#16
○政府委員(宮地茂君) まことに御協力賜わりましてありがたく思っておりますし、恐縮に存じております。率直に申しまして、私どもが要求した数字より下回っております。正直に申し上げますと、六十一名要求いたしましたが、初年度四十二名でした。これでまあ私ども努力が足りませんことを非常に恥じてはおります。しかし、ただ私の気持ちとして、若干、初年度だからやむを得ないが、これでやってみようという気持ちは、別に大蔵省を責めるとか、私の力の足りなさを反省しておりますが、大蔵省けしからぬとだけ言えないのは、やはりこれは研究者の方は、まあ理想としまして、目標としまして、りっぱな方をお願いしたいと思っておるわけです。ところで、それでは具体的にその名前を張りつけてみろ、本人の了承とってあるかということになりますと、内々やってもおりますけれども、いまそれじゃ六十一名張りつけてみろといわれましても、何大学の何教授というのは、何名かは張りつけられますが、ちょっとそういう点ではこれむずかしい面があるわけです。それと、何ぶんにも十月から発足するんだといったようなことで、私ども三年間を縛られてしまうのなら別として、初年度発足だから、とにかく発足してみてからのことだという意味では毛頭ございませんが、そういうことで、率直に申しまして努力は足りませんけれども、多少私のほうにも、絶対六十一人いなければもう研究できませんという立証もできないというところでございます。(「なまなましくなってきた」と呼ぶ者あり)まことに率直に申し上げればそういうことです。
#17
○上田哲君 まだ率直じゃないけれどもね。それくらいの話をしたらいいんですよ。それは前半の議論はまだこれまた不満なんですが、いま大学の教授にふさわしい研究者がいない。三年たったっていますか。そんなこと言ったら、そもそもアッパ一リミットの意味がなくなってくるわけだ。もうそれはそんな話はやめて、なまなましくなったという声もあったが、ほんとうにそういう話をしたいのです。じゃあ、もう少しほかの側面でいきましょうか。
 研究者がなかなか見つからぬとおっしゃるなら、研究者は三年たてばもう少し養成もされるというふうに考えてもいい。しかし、その研究部門はそういうことですが、そのほかに教育相談、実験教育など、五部門がありますね。この五つの部門がなんですぐ発足しないんですか。これは四十七年度以降しか発足しないんでしょう、どうなんです。こんなものは一日も早く発足するのがいいんですよ。これは専門家、そんなに要りますか、大学教授でなければいけませんか。そういうことはない。そうすると、これは一日も早く、半日も早くそういう人を集めて、その業務を開始してもらいたいと思うのですが、これはどうでしょう。
#18
○政府委員(宮地茂君) いまの先生のおっしゃいますのはごもっともでございますが、一応私どもの計画を聞いていただきたいのですが、建物、二の建物のプライオリティが、教育相談室を初年度に建てるべきであったということになりますと、また話は違いますが、私どもといたしましては、研究部門というものをまず発足させたい。それから研修をする部門を発足させたい。それから完成年度で実験学校的なものをつけてみたい、こういうこれは大体協力者会議の方々の御意見でもございました。そういうことで年次計画をたてました関係上、いま先生が御指摘のところは、実は、この十月までには建築のほうがまだできませんで、第二期工事になっておるわけでございます。そういう関係でございます。
#19
○上田哲君 教育相談業務だけはやれませんか。
#20
○政府委員(宮地茂君) この十月に発足しまして、さっそく全国から、研究所ができたから、もう一刻も猶予できないから子供の相談に行こうと思われる方が来られれば、研究者で相談に応じられるものは私のほうは拒む必要はないと思いますが、やはり相談機能をはっきりやりますためには、相談もし、できればその機能検査もしたり、さらに医学的な診断もしたりといったようなことで、ただ口で相談されて口で答えてあげるということでない、実質的な検診をしての相談というふうに、多少、相談というのをもっと幅広く考えております。したがって、相談に来られて、できる限りの御返事をするという相談は拒みはいたしません。しかし、自信をもって、どうぞ相談にいらっしゃい、十分御指導してあげましょうと言うのには、ちょっと良心的にまだ建物もそろいませんし、研究者もそろいません。と申しますのは、遠隔地から御相談に来られますと、その父兄の宿泊等も、子供と一緒に相談に来られた親御さんが、やっぱり数日は泊まって、いろいろな検査を受けたりしていただくために、そういう寄宿舎もつくる用意もしておるわけですが、そういうものも間に合いませんので、御相談には応じますけれども、こっちからどうぞいらっしゃいと言うのは次の年度にいたしたいと思っております。
#21
○上田哲君 そんなら伺いましょう。
 教育相談業務の最終像はどういうもんですか。施設、内容。
#22
○政府委員(宮地茂君) 教育相談施設といたしまして、いろんな検査室と、それから判定室、さらに面接をするような相談室、こういう建物を考えております。それから、その相談に当たりますものとして、心理検査担当職員等八名、それから看護のようなことに従事する者二名、大体十名の者が専任でこの相談室のいわば広い意味での相談員というような計画を考えております。
#23
○上田哲君 建物の広さは。
#24
○政府委員(宮地茂君) 建物は、先ほど申しました三つのものを中心として千五百平米。それから、子供は、母子二十組が親子で泊まれる部屋を考えております。
#25
○上田哲君 検査施設。
#26
○政府委員(宮地茂君) 検査施設、まことに恐縮ですが、多少専門的になりますので、説明員の課長から答弁させてよろしゅうございましょうか。
#27
○上田哲君 はい。
#28
○説明員(寒川英希君) いま最初に御質問のございました相談関係は千五百平方、局長からお答え申し上げたとおりでございます。
#29
○上田哲君 施設、設備。
#30
○説明員(寒川英希君) 設備でございますか。
#31
○上田哲君 検査設備だ、施設、設備、どんな機械を入れるのだ、そういうことです。
#32
○説明員(寒川英希君) 設備といたしましては、総額にいたしまして約一千万を予定いたしております。その中身はいろいろございますが、聴覚関係で申しますと、幼児の聴力測定設備、それから耳鼻科検査器、総合補聴器、特性検査装置、音響測定装置、それから運動機能検査具等でございます。それから視覚障害関係におきましては、電子触図複写装置、それから視能訓練用具、平衡機能測定器、それから運動適性検査装置、視覚検査器具等でございます。それから精神薄弱関係では脳波測定装置、職業適性検査器具一式、心理治療用具一式等でございます。
 いまちょっと失礼申し上げました。一千万ではございませんで一億でございます。約一億でございます。
#33
○上田哲君 特別なものはないじゃないですか、つまり。そうでしょう。さっきの御答弁でも、まあ私は専門家ぶるつもりはありませんが、多少の知識はありますから、おっしゃる意味の原則部分は理解できるつもりです。それでいいますと、相談の内容というのは、検査をすることと話に乗ることだと、そうですね、こういうことになるはずですよ。そこで問題は、話に乗るのは十人のうち三人ぐらいいればいいわけですね。あとはいろいろ検査をするということになるのでしょう、たぶん。八と二ということであれば。そこで、検査のほうも総額一億じゃないですか。ここに出ておる、たとえば脳波測定器だとか、聴力測定器だとか、いろんなものは、これはどこにでもあるのですよ。ここでなければならぬというようなものはないですよ。私はここで基本的な疑問を提出するのだけれども、この研究所の教育相談業務というのは、一体ほかではできないことを高いレベルでやるというスペシャルな、しかもセンターの業務であるのかどうか、私はセンター業務ということをねらうということは正しいと思うのだ。スペシャルなものではありようがないじゃないですか、こんなものは。普通の病院でできることばっかりだ。そういうことになってみると、ここの相談業務というのは、初めてここへ来て、耳のぐあいがどうだった、目のぐあいがどうだったといって検査し直すような人は、こんなへんぴなところに行きますか。大体こういう子供たちの問題についての認識がちょっとでもあれば、こういうところへわざわざ遠い道のりを、中央総合研究所みたいなものができたからといって、どうもうちの子供が耳が遠そうに見える、うちの子供は頭がおかしそうに見える、からだの機能が不全のように見えるから、ほかのお医者にかかる前にまずそこへ行ってみょうなんという人は百に一人もいませんよ、これは。そういうところではそんなことは――ここに一億円の金、これだって全部機具じゃないけれども、たいへんなスペシャルなものができるというわけではないのである以上、これは当然教育相談業務というのは、二つに分けた部分の半分の一いろいろあちらこちらで悩んでこられたであろうけれども、その上に立って、ほかではいない専門家が、いろいろなほかのデータの経験値の上に立ってあなた方に一つの指針を与えましょうということにウエートがかかるんだろうと思う。違うでしょうか。もしそうであるとするならば、これは別に一たとえば極論をするならば、こうした施設が設備が整わなくても、書いて持ってくれば済むことですよ、こういう不自由児をかかえている親が。子供を連れてくるほどの親であれば、子供は自分じゃこられない子供ばっかりなんだから、子供を連れてくるほどの親であれば、たくさんのデータをすでに持っていますよ、通常は。そのデータの上で話はそこから始められるのですよ。その相談業務をやろうとする熱意があるかどうかということだけだと私は思うから、できることならば十月開始する業務の中に教育相談業務を入れたらどうかと言っている。しかも、その一億円の金が具体的に動いていかないうちは、来年度にならなければできないんだということもありましょう。ありましょうけれども、いまここで具体的にだから少し意地悪く聞いてみたけれども、私程度の知識を持っている人ならスペシャルなものではないんですよ。二十家族を泊めるような施設をつくる、たいへんけっこうだ。ぜひそれをやっていただきたい。たとえば世田谷の国立小児病院、八百人が蝟集していますよ。泊まるところがない。だから帰っちゃう。これは私はいずれ厚生省のときにじっくりやるつもりだけれども――厚生省来ていますか、また帰っちゃった……。これはじっくりやりますけれども、そういうことであれば、その施設をつくってくれる、特にへんぴなところだから、そういうものをつくっていただくことはけっこうだと思う。しかし、こういうところまでわざわざやってくる親の心理というのはもっと大事ですよ。たまたまここに来れば宿泊施設が付属しているから、来るか来ないかじゃないですよ。ほんとうに親身になって――どこへ行っても確信が持てる結論が出ないのですよ、こういう種類のものは。これが問題なんですよ。だから私はこういうセンターのようなものができることに賛成をするんであって、とにかくここへお伺いをすれば安心だと、東大の医学部なんというのは半分そういう意味を持っている。できてもできなくても、ここが行きどまりなんだから、ここで死ぬならしかたがないというある種の問題があるわけでしょう。そういう症状なんですよ。どんながんばったってこの子供たちの不幸というのは救えない、絶対値があるわけだから。そういうことからいうと、この間の参考人がおっしゃったでしょう。象牙の塔じゃ困るんだ、現場に直結する実践論が必要なんだと言われたし、きょうの御答弁でもそのことが入っていたから、それは認める。そうであれば研究は大事だ、研究は大事だけれども、相談に乗ってやるというような仕事は――十月からとは言いませんよ。それでもとにかく、この設備ができなければ、この機械が入らなければということでは私は納得いかない。来たるものは拒まぬけれどもという程度では、やはり熱意と愛情がやや不足しているということは申したい。だから何とか、これだけの建物が、何にもないなら別だけれども、これだけの建物ができるのだから、そうしたら来年度になればこれだけのものができますよ、けっこうでしょう。しかし、いまはここでもって一人でも二人でもいれば、まず八人と二人と、職員八人、看護人二人といううちの中で、お話に乗りましょうという相談業務は二人か三人のはずなんですよ、そうでしょう、分担は。それだったらそのうちの一人でできないことはない。私は、政治のアローアンスだと思う。私の言っていることは多少無理があるかもしれないが、たとえばそういう方向を何とかひとつこういういいことをするときには一緒に考えてみることができないか。これはひとつ次官、どうですか。
#34
○政府委員(西岡武夫君) お答えいたします。
 ただいま先生の御指摘の点は、まことにごもっともな御指摘でございますが、ただこの種の問題は計画の途中、計画が全体計画として完成するまでの経過の中で、どのように実態に即して処理をしていくかという問題でございまして、ことしの十月にこれが発足をいたしました時点で、ただいま先生の御指摘の点を十分心にとめて具体的に対処をしていきたい、かように考えております。
 それから、なお、先ほど担当課長から御説明申し上げました、相談業務についてのいろいろな、先生御指摘の最新、ほかには見られないいろいろな検査のための器具とか、そういった問題につきましては、これはあらゆる教育研究部門において、もちろん特殊教育については、少なくともわが国の中心的な、ただいま先生のお話がございましたように、いま考えられる最新の施設を整えるというのを私どもも目標にしているわけでございまして、当面、各研究部門には約五億前後の予算を組んでいろいろな施設を、装置をつくる、設置するという計画でございますので、これは申すまでもなく、相談業務についても各研究部門のいろいろな施設、器具等を動員して相談に応ずるということになろうかと思いますので、先生の御趣旨は十分果たせられるのではないだろうか、かように考えております。
#35
○上田哲君 了解をしましょう。
 縮めてひとつお約束をいただきたいと思うのですが、いろいろむずかしい事情はあるでしょう、あるでしょうが、全国のこういう子供たちなり、その家族の気持ちからすれば、こういう研究所が国の力によってできたということは、これはきっとすばらしい論文が出るだろうという期待を持つよりも、私のところで苦しんでいる苦しみが、その分だけ何か助けてもらえるのだということでなければならぬのですから、それは研究とか学問とかというものが即物的に、即自的に役立たなければならぬというように私は考えはしませんけれども、しかし、こういう種類のものは、そういう社会的要請の中でこそ確立されるべきものだから、もう一番あたたかい形で、この研究部門が発足をするときに、何らかの形でひとつ相談業務というものは付属してスタートすると、こういうことを実態的にぜひひとつ御考慮をいただきたい。そのアウターリミット、どういうものであるかということについては注文つけませんけれども、ひまがあったらぜひ私たちも見せていただきに行きたいと思うけれども、そういう中で具体的に足を運ぶかどうかわからぬけれども、全国のもう救いようもなく苦しんでいる家族の期待にそむく、裏切ることのないような御努力を具体的にひとつお願いをいたしておきます。一言承っておきましょう、一言でけっこうです。
#36
○政府委員(宮地茂君) 先ほど政務次官も答えられましたが、上田先生の御趣旨、できる限り努力いたしたいと思います。
#37
○上田哲君 けっこうです。
 教育白書で、わが国の義務教育の就学率が九九・九%だとなっているわけですが、これは心身障害児を含めているのかどうか。含めていないとすれば、心身障害児の就学率がどうなっているのか、その辺の実情をできれば障害別に大まかに御説明いただきたいと思います。
#38
○説明員(寒川英希君) 義務教育全体の就学率といたしましては九九・八%というふうになっております。そのうち就学猶予・免除というふうな手続を経て学校教育を受けていないという子供たちが約二万人でございます。そういった子供を除きますと、先ほど申し上げたような就学率になっておる次第でございます。
 さらに、その特殊教育における現状について申し上げますと、全体で特殊教育の対象となるべき子供の推定数は約五十二万六千人でございます。そのうち……。
#39
○上田哲君 八千人じゃないですね、六千人ですね。
#40
○説明員(寒川英希君) はい、六千人。そのうち特殊教育の学校ないし特殊学級に在学しておる子供の数は十六万二千人でございます。したがって、その就学率は三〇%余りでございますが、ただ、この約七〇%の子供は就学していないということではございませんで、普通教育の場に就学しておりまして、ここで必ずしも適切な教育を受けていないという問題はございますが、就学しているということでございます。
#41
○上田哲君 免除の問題はまたひとつあとで伺いますけれども、その中の例をとって自閉症で伺いましょう。障害別にといういまお話をお願いしたんだけれども、自閉症に限りましょうか。自閉症児というのは、大体全国にどれぐらいおって、これに対して自閉症児のための特殊学級は全国にどれぐらいあって、また就学者は何人ぐらいになっているのか。また自閉症児で普通学校の特殊学級に就学している者はどれぐらいになるのかということを説明してください。
#42
○説明員(寒川英希君) 自閉症の疑いのあるものとして、私どもの調査によりますと、全国に三千二百名ばかりでございます。この約三千二百人の子供のうち、情緒障害の特殊学級で教育を受けている者は約五百名ということでございまして、自閉症を含めた情緒障害児の子供が約五百名でございます。このための情緒障害学級が全国に五十一学級ございます。実態といたしましてはそういう状況でございます。なお、情緒障害児全体といたしましては約六万一千人ばかりでございます。この中には学校ぎらいでありますとか、神経症あるいは緘黙、精神病、脳の器質的障害というふうなものが含まれているわけでございます。
#43
○上田哲君 五十一学級で五百名、正確には四百八十七名なんという数字が出ていますね。そういう数字のことですね。で、これ私いろいろな項目でお尋ねしたのだが、大体いまの御答弁というのが把握されている限度なんだろうと思うのです。自閉症ということ自身がまあむずかしいのと、それから自閉症を把握しているということがたいへんむずかしいのと二つある。東京都内には自閉症児のための特殊学級があるのは杉並区の堀之内小学校だけだそうですね。このあたりがたいへん象徴的にこういうむずかしい症状に対する対策のむずかしさを物語っている。私がさっき相談業務と言ったんですが、おそらくこういうのが来るわけですね。これどこへ行っても、相談に行っても、どう措置すればいいかというあたりでもうだめになっちゃうのです。たくさんの例がありますよ、きりがないからあげますまいが。全然違った診断で、そのための教育のコースが間違っていたんで、何とか集団生活には溶け込めるようになったけれども、知的反能を全く示さなくなってしまうとか、いろいろなことがあるわけですね。そういう点でどうしても、悩み悩んだあたりがこの辺に来るので、その辺の相談業務ということも考えてやってくれということも一つ言いたかったわけですけれども、具体論になるときりがないからこの問題はこの辺とするとして、こういう場合の相談から一歩進めた判別ですね。この判別が非常に、まあスタートラインとして問題になってくる。で、判別委員会を各都道府県に設置するようにということが行政指導としてされているわけですけれども、これは一体どれぐらいの実態になり、どの程度の成果、結果をあげておりますか。
#44
○説明員(寒川英希君) 判別委員会の設置状況でございますが、全国に五百二十六の、都道府県あるいは市町村に設置されております。内訳を申し上げますと、県段階で置いておりますのが十六県でございます。その他が市町村でございます。
 で、この判別委員会におきましては、教育関係者あるいは医学、心理学等の専門家によりまして精密検査等をいたしました。そういったデータあるいは教師のこの学校におけるいろいろの教育的な学習成績資料、運動能力調査といったふうな資料を持ち寄りまして、そこで合議で特殊教育を受けるべきかいなかというふうなことの判断をいたしております。
#45
○上田哲君 お伺いいたしますがね。この判別委員会というのは、誤りなく実効を果たしていると、効果をあげているというお考えでありますか。
#46
○説明員(寒川英希君) 判別ないし教育的な診断は、きわめてまあ専門的な技術的な判断が必要でございまして、いろいろ困難な問題を含んでいると思います。文部省におきましても判別技術者の資質の向上というふうなことで、毎年中央、地方におきまして判別技術の講習会を実施してまいっているところでございます。なお、各都道府県の研究所あるいは研修センターというふうな中で、教育相談部門というものがだんだん設けられつつございまして、そこにはかなり専門スタッフが配置されておりまして、そういった検査設備等完備した状況がだんだんと整備されつつございます。
#47
○上田哲君 うまくいっているということですか。
#48
○説明員(寒川英希君) なかなかその専門家を得にくいという面で、特に市町村段階になりますと、そういった適任者の、判別に当たる専門家の確保という面で非常な困難を持っております。
#49
○上田哲君 それが問題なんですね。非常に問題があるわけですよ。悪意でやっている人はいないんだけれども、能力の問題で、非常に症状の判別と適応性への指導を誤るということが憂えられているわけですね。あわせて承っておきましょう。就学猶予・免除ですね、この辺はどういうところでどういうふうに行なわれ、そしてこれはたいへん適切に行なわれているという自信がありますか。
#50
○政府委員(宮地茂君) 上田先生、まことに恐縮ですが、ちょっとおっしゃいました趣旨が、就学猶予・免除は適切に……
#51
○上田哲君 その判別基準がいろいろ、その判定がどういうふうに行なわれているか。またそれから、基準がいろいろ変わってきておりますその経過の中で、いまどういう時点にあり、そのことをどの程度に評価されているか。
#52
○政府委員(宮地茂君) これは先ほど課長から申しましたが、就学猶予・免除、これは普通でありますと、こういうものはだんだんと少なくなってくるのがまあ一般の傾向だと思うんです。ところが、免除者のほうは四十年から四十四年まで大体九千四百から七百ぐらいで、だんだん少なくなってくるというふうな数字になっておりません。それから、猶予のほうは、四十年度が一万二千で、四十四年度が一万一千というふうに、この四、五年の間に千人ぐらい猶予が少なくなってくるということで、多少少なくなっておるんですが、全体的な傾向はこういうことですが、ただ遺憾ながら、就学猶予・免除というものが非常に科学的に、たとえばこの子供は特殊学級へ行くべきだ、この子供は盲学校へ行くべきだというような判別じゃなくて、医者の診断書で非常に重いですということで親が猶予・免除を申請すれば、その教育委員会がそれをまあ一応信頼して、そうかというのが、これが一般的にまだ常識だと思います。したがいまして、これはいまの御質問を、科学的に調査をするというような調査はいたしておりませんので、感じでお答えして恐縮でございますが、そういった意味におきましては、必ずしもこの子供はどうしてもこういう医学的な検査の結果、猶予であり免除である、そこまで科学的には一般的になっていないと思います。
#53
○上田哲君 率直なお答えでけっこうだと思います。そこらはやっぱり出発点のことですね。非常にむずかしいけれども、もうちょっと手入れをしていかなければならないと思いますね。それをお認めになっていらっしゃると思うから、これはせっかくの御努力をお願いしたいと思いますが、そうなると障害の判定なり、あるいは就学の猶予・免除、ちょっと意味は違うかもしれないが、いずれにしても判定の基準なり判定の手続なり、あるいはそれのかかるべき権威なり、これは非常にむずかしい問題であり、かなりまた流動性を持った能力がこちら側になければならないと思うんですね。どちらかというと、固定的に、断面を切り捨てるという判定になってしまっているきらいがある。これは先ほど申し上げて確認したように、一般論に特殊論を近づけるということじゃなくして、特殊は特殊としての適性をつくるということでありますけれども、何分の一かはまた間違って拾い上げられることもあるわけだし、そうでない部分については、それを十分徹底させるためにも、さらにこれはこっちをこっちの基準からすぱすぱと切り捨てていくということじゃなくて、こっちの基準をとらえていくという判定なり判定能力なりが必要になってくる。そうすると、今日までの行政指導としての努力を認めないわけではないし、いかに努力をしても、さっきのお話のように、現場の者が足りないということも具体論としてもある。そういうことはあるけれども、基本の考え方として、単なる判別委員会というようなものではなくて、これを適性就学保証委員会とか適性開発委員会とか、そういう方向のものに変更をしていくと、こういう考え方はいかがでしょう。
#54
○政府委員(宮地茂君) おっしゃいますように、かりにこの判別をしてみましても、これはこういう機関なら教育を受け得ると判別しましても、その子供が入り得る機関が十分でなければ、せっかく判別してもあまり意味がないといったような意味から、判別も適正に行なわれ、またそれを受け入れる教育施設もうまくできているとか、総合的にやっていきませんと実らないと思います。したがいまして、趣旨といたしましては、判別委員会だけでもう事足れりとするものではないと思います。ですから、たとえばある時期で判別委員会でどうとおっしゃっても、ベッド・サイド・ティーチング等でもやって見れば、これはテレビとか、その他いろいろ科学的にも進歩しますれば、ある時点では判別でこれは無理だと言っても、病院ではけっこうできるかもしれませんし、そういった意味で先生のおっしゃいました御趣旨には異存はございません。ただ、これを直ちに今日そう切りかえていくということはしばらく検討さしていただきたいと思います。
#55
○上田哲君 これは直ちにどうしろというような短兵急な話じゃなくて、もともと基本の考え方ですから、その方向がよかろうというふうにお考えいただけるのであれば、いろいろな要素もくみながら、ぜひやはり考え方の基本として、何か切り落とし除外というような判定委員会じゃなくて、吸い上げ、あるいは適性教育、そこへ行くのでしょうから、そういうものとしての適応性をよりよく発見していくという方向へひとつ考え方を持っていっていただく、またそれをいつか具体化していただくということに御努力をいただけるものだというふうに理解いたします。それはぜひお願いいたします。
 そこでそういういろいろなことがありますけれども、たとえば皆さま方も困るだろうし、私どももとほうにくれるのが幾つもありますね。一体これが政治の責任かと言っても、すぐその前に医学はどうしているんだとか、人間の寿命はどうなんだというような部分がありますよ。しかし、そこへ向かってどうするかという努力をだれかがしなければならぬとすると、やっぱりこっちから向かっていくんでしょうが、問題を提起しながら切ない気持ちになるけれども、たとえば進行性筋ジストロフィーなんという例がありますね。これは現場の先生から伺った例だけれども、先生が、皆さん一生懸命勉強してりっぱなおとなになりましょうと言うと、ぼくたちはおとなになる前に死んでしまいますから、りっぱなおとなになることができません、どうしたらいいんですかと、こういうような話が現実にあるそうですね。答えようもないだろうし、そこの教育をどうするのだと詰めてみても、これはよりよい教育の前に医学の問題でしょうから、むずかしさはあると思います。
 あるいはようやくいま入学年齢に到達した胎児性水俣病の子供たちの悲しい訴え、こういう子供たちに一体どういう適応性の開発と教育論を立てるかという問題は、これはやっぱりゆるがせにできない問題だということを御指摘する以外にありません。国鉄の合理化で切符販売機がふえておるんで、これで悲しんでいる人と喜んでいる人があるというんですね。ぼくらから見ると、何か笑えないユーモアというんですかね、ということになってしまうのだが、その世界からすると、これがたいへんな話題なんだそうですよ。たとえば切符販売機が出てきたので非常に不便になったのが目の不自由な方、これはわからないですからね。それから喜んでいる人は吃音の人だ。窓口に行って行く先がなかなか出てこないんだが、自動販売機であればいいと。この世界ではこうしたことでもたいへんな悲喜劇が出てくるんだ。だから切符販売機についてもそういう配慮をしろということがいま一般論として言えるかどうかはわからぬけれども、やっぱりこの部分から見た行政とかコースとか、こういう配慮というのは一つ一つ拾い上げていただくということは、ぜひともこれは必要だろうと思うんですよ。これはどう考えますかね。
#56
○政府委員(西岡武夫君) お答えいたします。
 ただいま先生の御指摘のございましたことは、確かに現実の問題として、政治の責任と申しますか、やはりこれは文部省という立場を離れまして、私も政治家の一人として、そういうきめこまかい配慮というものがやはり政治には必要であるということを、私ども、たいへん先生の御指摘を受けてそういうことに具体的に気づいて、それを是正するという行動をいままで起こしていないということを恥じているわけでございますが、やはりそういうことも私ども考えていかなければならない大きな具体的な問題であろうと、かように考えます。
#57
○上田哲君 委員長に伺うけれども、厚生省はどこへ行ったんですか。けしからぬですな。きのうも質問しているのに厚生省はそそくさと帰ってしまうし、それを指摘をしておったにもかかわらず本日はまたおらぬ。審議はできないじゃないですか。さっき厚生省の政府委員が来て大臣をと言うから、大臣はいい、だから責任者をしっかり出しておいてくれとあれだけ言っていたのにこういうことになるというのは、はなはだけしからぬ。いるんですか……。それじゃあけっこうです。厚生省当局に申し上げておきます。きのうもそういうことです。きょうもはなはだ意に満たないわけで、一人入っておるならそれでいいけれども、これは関連していることですから、やっぱり会期末でもしっかりひとつ、いろいろ社労のほうにもおありになるだろうと思うからわからぬでもないし、大臣を要求してるんじゃないですから、ぜひ部内に連絡をとって、審議の促進のために、あなた方のサイドの努力のはずだから御努力をぜひお願いしたい。まあ文句ばかり言ってもしょうがないから、促進するために一言でとどめておきます。いまの問題について、あなたは違うか――違うなあ。しょうがないなあ、じゃあいい。
 いま政治家として次官から恥ずるというようなことばまで含めて御答弁があったから、政府の御見解として了といたしましょう。これはおまえが悪いんだというようなことで詰め寄るということにもなれない気持ちがしますよ。しかし、だれかが何とかしなきゃならぬじゃないかということでは、これはやっぱりバッジをつけさせてもらったり、税金で食っているという立場は、方法はないけれども、前に出るという種類のことだと私は思うんです。たいへん若く切れ味のいい次官ですね。私も自動販売機の隣に目の不自由な方はこうしてくださいと書くのがいいかどうか、問題はあると思いますよ。しかし、どっかでだれかがやらなければ、こういう部分の悲劇は拡大されていくしかない。等閑視されていくしかないということであれば、ぜひこれは、ここらは厚生省にいくのか文部省にいくのかという管轄になれば、いろいろ不愉快なたらい回しになるかもしれませんけれども、ところが、たまたまここにぶち当たってしまうということの中で、やろうとすればできる範囲のことがおありであるから、何とかそこに光が当たるということを、胎児性水俣病の子供に向かっても、筋ジストロフィーの子供に向かっても、何とか一つの具体的な行動を起こしていただきたいということを私も思うから、光にはならぬと思うけれども、ぜひお願いをしておきたい。
 そこで、そういうことを申し上げるのも、その根底にどうもやっぱり一番初めの問題に返るんだけれども、準ずるとか、あるいは知識技能を与えるとかということで、かわいそうだから足りない部分を何とか埋め合わしてやろう、助けてやろうというところまでであって、人間の尊厳を平等な価値観でとらえて、そこには違った、しかも社会的な、何と言いましょうと奉仕をもっと全能を注ぎ込みながら、共通な人間像を確立しようということにならない観念が私も含めてありはしないか。それは自動販売機をつくるときにそのことをいつも念頭に置いてなきゃならぬということを私はあげつらおうと言っているのじゃありません。しかし、さぐっていけば、突き詰めていけば、そういうところに基本的な差別の教育理論というようなものがあるという反省を持たなければいかぬのじゃないかと思うのですよ。つまり、たとえばこの学級なり特殊な扱いの中に入ってくるものの中に、どちらかというと問題児意識がある。最近の非行少年とか問題児というのは、どちらかというと、教育専門家の見方では、このテスト地獄の中で追いまくられて出てくる問題児のほうが多いという指摘もあるけれども、ところが、こういうからだの欠陥とかいう人たちが、どちらかというとそういう中に十ぱ一からげにぶち込まれているというような受け取り方も少なくない。そこらに何かたいへん教育論の基本に、何かことばは適当でないかもしれないが、そうした不自由児に対する差別観というものがあるのではないか。その部分をやはり根底のところからつくり直していかないと、特殊教育コースというものが、全く対等な立場で努力すべきだということに浮かび上がってこないだろうし、そういうものの余波としてさまざまな悲喜劇が、常人にはわからないところで悲しくも繰り広げられるということになるんじゃないかと、その辺をぜひひとつこれらの問題とからんで、新しい学習指導要領などでもどうもひとつもう一本盛り込まれてしかるべき筋がそこにあるのじゃなかろうかというところまで私は考えるので、その辺広げて、この辺はまとめて御見解をいただきたいと思うんです。
#58
○政府委員(宮地茂君) 先生のおっしゃいますことを心から私も御同感申し上げながら、と言ってはあるいは失礼かもしれませんが、一々ごもっともと思って拝聴いたしておりましたが、特殊教育全般につきまして、沿革的にもまあ教育というものは一般の人が教育をするんで、いわゆる今日特殊教育といわれているものは、まあそうもしておれぬからやっていくかといった式の気持ちはなかったかもしれませんが、まあそういう感じを与えやすいというのは、率直に言ってそうだと思います。そういったような意味から、これは私きのう参考人の御意見を拝聴しませんでしたが、あと来まして、特殊教育という、特殊という日本語の語感が、やはりこの特殊というと何となく一般でない。ノーマルに対してアブノーマル式な、まあそれとも違いますけれども、何か準ずるといった式の共通する感じもしまして、まあ外国ではスペシャルエデュケーションと言うそうですが、スペシャルというのは特殊というよりも特別という意味で、特別を過保護をする必要もないかもしれませんが、先生がおっしゃいます一般の人と同じと、方法は多少違いましても、水準は同じという意味で、私どももまあ特殊教育という特殊という語感がはたしてどうか。さればと言って、特別といってもちょっとこれまたぴったりしないしということで、まあそういったいろいろな意味におきまして、先生がおっしゃいます気持ちは十分わかります。それで今後とも行政を進める上におきまして、御趣旨のような点についてきめこまかい配慮のもとにやっていく、それが特殊教育の振興にもつながるのじゃないか、そういう心がけで今後努力していきたいと思います。
#59
○上田哲君 まあ厚生省がしっかりしてくれれば、厚生自書の問題と関連して、厚生白書の中にある考え方をここで一ぺん聞きたかったんですけれども、これは保留をしておきましょう。
 そういう考え方は同感だと言われることばにこだわるわけではないが、きめこまかく大切にしてやる、かわいがってやる、親切にしてやるということじゃなくて、原理としてやっぱりそこに立たなきゃいけないのだということが私は大事だと思う、そう思って聞いております。そういたしますと、いろいろ具体論が出てくる。たとえば、きのうの参考人の中に、大学までやってもらいたいということなんですよ。具体的には障害者が高校や大学に入るときには、やっぱり泣かされているのであって、大学で障害者の差別をしないで入れる大学を調べてみると、そういうことを特に打ち出しているというか、そのことが人口に膾炙しているのは早稲田、同志社、教育大ぐらいだ。ほかにどれくらいの大学が自信をもって言えますか。また、そのことについて文部省はどういう指導をしていますか。たとえば、そういうことがないと、抽象論になると思うのです。
#60
○政府委員(宮地茂君) いまの早稲田を一例にあげられましたが、私どもの調査では、現在早稲田大学をはじめとしまして、東大、東京教育大、青山学院、立命等、三十二の大学におきまして全盲の学生を受け入れておるようでございます。入学試験におきましても、点字採用といったようなことをする学校が相当ふえてまいりました。もちろん、これは全盲の子供だけで、それでは肢体不自由とか病虚弱、いろいろいきますと、ただこれだけ例をあげましても十分でございませんが、そういうことで、私どもこういった障害児のための特別な高等教育機関、大学というのは、なかなか言うべくしてむずかしいと思います。したがいまして、まず多少の障害は別としても、大学教育は受け得るという者は、できる限り現在の大学が受け入れてくれる道を講ずることが、まず第一歩じゃないかというふうな考えで、毎年入学試験等のときに、大学等に対しましても、文部省としましては、大学は知的なことだけでもないかもしれませんが、そういうことが中心でございますので、そういう点で障害児を区別しないようにということは、再三大学には要請しておるところでございます。
#61
○上田哲君 全盲の人云々について三十二もあるということは私はこれまで知りませんでした。ぜひ、これはさっきのお話であれば、具体的にこれは指導していただいて、この辺にやはり差別が具体化してこないように御協力をいただきたいと思います。
 それから教育費の負担軽減ですね、これは一般的な問題なんですけれども、地財法で小・中学校、高等学校の住民負担禁止条項があるのに、盲、ろう、養護学校にはこの禁止条項がない、これはどういうわけか、またこれについてはどういうふうにすればいいのか。
#62
○政府委員(宮地茂君) 先生のおっしゃいますのは、地財法の二十七条の三で「都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」、二十七条の四は「市町村は、法令の規定に基づき当該市町村の負担に属するものとされている経費で政令で定めるものについて、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」、こういうふうにあって、さらに施行令の十六条の三に「法第二十七条の四に規定する経費で政令で定めるものは、次の各号に掲げるものとする。」とあって、市町村立の小・中学校の建物の維持及び修繕に要する経費で、盲ろうが書いてないのはどういう意味かという御質問だと御了解いたしまして、直接地財法の所管省は文部省でございませんので、もし間違いがございますれば、自治省なりの御答弁をまたあと確かめますが、私どもの感じますのには一般に、これも率直に申しまして、とかく都道府県立の高等学校を設置したり維持したりするときに市町村に寄付させる、あるいは市町村立学校の設置維持に対してPTA等に寄付させるということが、まあ従来から非常に行なわれておるというようなことから、現実の問題に着目して、こういう禁止規定がつくられたのであろう。ところで特殊教育の学校は盲学校、ろう学校が県にせいぜい一校か二校くらい、現在養護学校はだいぶできましたけれども、そういうものが一般的でないという点から条文に書かれていないのであろう。しかし、趣旨におきましては、市町村立の中学校は寄付してはいけないので、それが養護学校や盲ろうならいいんだという趣旨ではなかろうと思います。したがいまして、条文の規定がはずされておりますのは、推測しますと、いま申し述べたようなことと思いますが、しかし、さればといって、その規定に書かれていないから別扱いでよいのだという姿勢で私ども進もうとは毛頭考えておりません。したがいまして、要は国立の学校には国が責任をもって都道府県に責任を転嫁したり、都道府県立の学校は都道府県が責任持つべきであって、他に転嫁してはいけないという趣旨と思います。御質問にお答えになりますかどうですか、そういうつもりで従来からも指導いたしておりますが、今後も努力したいと思います。
#63
○上田哲君 そういうことが具体的にあって、そうして実際の被害――被害というとおかしいけれども、負担がないという行政指導にはなっているわけですか。
#64
○政府委員(宮地茂君) これは小・中学校、高等学校、高等専門学校等におきましては、この禁止規定を置かなければならないような条項がございます。
#65
○上田哲君 現実にね。
#66
○政府委員(宮地茂君) 現実に。ただ、盲ろう学校等、数が非常に少のうございますので、この点については、盲学校をつくるためにある市町村が誘致するとかといった、ほかの高等学校や高等専門学校の設置のときに、地元が、設置者はだれであろうと、地元が代がわりしますといったようなことも、これは行なわれていないのが現実でございます。したがいまして、いま十分資料を持ちませんので断言できませんが、一般の高等学校等に行なわれます、市町村の小・中学校で行なわれますようなことは、特殊学校にはないと言ってもよいのに近い現状ではなかろうかと思います。でございますから、今後それが乱に流れるようなことになれば、もちろんこれは法律でも規制する必要がございましょうが、法律の規制を待つまでもなく、この地財法の趣旨は当然尊重して努力したいというふうに考えております。
#67
○上田哲君 たとえば、そういう人たちが集まってぜひ学校をつくってもらおうじゃないかということになったときに問題は起きないかということが一つありますね。それはもう絶対だいじょうぶだということになるんなら、もちろん法的保障がほしいじゃないかというところまでくるだろう。それからもう一つは、ここに落ちているということが、やっぱり一つ差別という感覚がどこかにあることを裏書きするんじゃないかという刺激にはなる。なっておる、現に。なっておりますよ。もしそうでないというなら、入れたらどうだと。より多く――まあこれは言い方は語弊が起きるだろうけれども、むしろ、一般のほうは少しは持ったっていいけれども、こっちは持たしちゃいけないんだという度合いは大きいわけだから、むしろそういうことは、それこそ、準ずるというようなことじゃなくて、大いに努力をするということをお考えになったらどうだろうかというふうに思いますが。
#68
○政府委員(西岡武夫君) ただいま初中局長からお答え申し上げましたように、実態として弊害がないということでこれには入っていないということであろうと思いますが、また観点を変えますと、ただいま先生御指摘のように、この条文の中から落ちているというところに、差別といいますか、そういう感じが出ているという弊害、こういったことは、やはり私ども検討し、再考をしてみる必要があるのではないか、かように考えます。
#69
○上田哲君 検討してください、何でもないことですからね。それが不当な差別感を助長しているのだったら、たいへんいわれのないことでしょうし、ほんとうに何か差別感がそこにあるのだったら問題でしょうから、これはぜひ先ほどの問題と含めてお願いしたい。
 それから障害児教育に従事する先生方、職員の皆さんの労働条件、待遇問題ですね。現在調整額八%ということになってるんですけれども、僻地手当とか、あるいはその他いろいろな一般的な手当に比べても、あまり優遇処置とは言えない。特に寮母さん、これはもうたいへんな労苦があるわけでしょうが、これはもうほんとうに何か犠牲的にというか、むしろ仕事に打ち込むというようなことを心棒にして進められているような業務実態があるように伺っています。自分の子供の授乳をすることもできないで、寮母としての仕事に追われているというような実例も聞いているわけなんですけれども、せめて深夜勤だけは免除してくれないかなんという――女性であればあたりまえのことになるわけですけれども、そういう声があがっているほどのことがあります。また、もう一つは、東京には八十人ぐらいいるようですが、そのほか大阪、愛知などで配置されている介助職員ですね、これもたいへん臨時の補助的な、間に合わせ的な待遇なり体制の中で、しかも代替しがたい仕事を引き受けているということがあります。こういう職員の待遇改善をいま少しく抜本的に検討することがないか。それからこういう介助職員というようなものの定員化ですね、そういうものの定員化というようなものを現実的に具体的に検討することはできないかという点はいかがですか。
#70
○政府委員(宮地茂君) おっしゃいますように、寮母さんの職務というのは、学校の教諭に劣らず非常に重要だし、また、御苦労の多い仕事だと思っております。そういうことで、この寮母さんの処遇改善ということは、勤務条件をよくするということと待遇、いわゆる給料等をよくしてあげるという、その二点であろうかと思います。
 それで一つは、先ほど先生があげられました労基法の関係でございますが、私ども労基法の関係で、たとえば宿直等は――これは看護婦さん等にも通じての問題ですが、一週一回ということで、それを目標にいたしまして、四十四年から五年計画で定数法の改善をいたしまして、寮母は従来子供六人に対して一人という計算を、五人に対して一人というふうにしました。それと、子供が少なくても七名の寮母はいなければいけない。したがって、一週間七日、これは日曜日も子供は寄宿舎におりますから、そこで最低七名ということで定数法の改正をいたしました。調査では、現在まだそうは言っても五名とか四名とかしかいないようなところもございますが、四十八年度までには最低のところで七名の寮母さんは確保するという法律にいたしておりますので、四十八年度末にはそういう姿になろうかと思います。ともかく、労基法の規定に違反するような実態では困るということで、それを努力目標にすることと同時に、いま申しました五人の子供に対して一人の寮母さんがめんどう見るといった積算でやっております。さらに四十九年度から私ども第四次の五ヵ年計画ですが、もっとその点は考えなくちゃいかぬ面もございます。
 それから処遇の改善、いわゆる給料関係ですが、実は寮母さんにも調整額八%いっているわけで、まあ八%いっておるからもうそれでいいんだとは申しませんが、まあ寮母さんというのは一般の教諭なのか、そうでない職員なのか、見方によっていろいろあるのですけれども、一般の先生方と同じように八%の調整額、これは八%の調整額は実質的にははね返りますから十数%になりますし、そういう処置も講じましたが、次は、その適用される号俸が何等級に格づけていくか。現在助教諭の格づけになってるんですが、寮母が免許状所有者でない、資格要件とも関連いたします。いろいろ検討問題がございますが、ともかく、寮母さんは定数と給与と、両面から処遇を改善して、適切な寮母としての仕事を果たしてもらいたいという気持ちで、今後とも努力したいと思います。
 それから介添え職員ですが、実はこの点一部の県市町村では、そういう職員を置いておるんですが、遺憾ながら現在国の基準といたしましては、介添え職員を定数として積算いたしておりません。で、これは学校給食の場合の給食婦等につきましても積算してないわけです。で、私どもとしましては、学校を運営する以上、給食を奨励する以上、給食をやれば給食婦は当然定数で積算すべきなんですが、まだこれは市町村単独の負担ということで、国がめんどう見る段階になっておりません。そういうこと。さらに一般の学校の先生でも、養護教諭は必置という趣旨なんですが、まだ各学校に一人の養護職員も置かれてない。事務職員も全校に一人ということを目標にしておりますが、まだ置かれてないということで、おっしゃいます趣旨は十分わかるんですけれども、学校全体としての職員充実という面では、まだまだ、いま申しましたように、当然置かなきゃならないものが予算的に措置されてない段階でございますので、いろんな点も、そういう点もあわせ、総合的に検討して、いまの問題の解決に今後努力したいと思っております。
#71
○上田哲君 労働基準法に少なくとも違反しないようにということでございましたね、第一点は。寮母さんの深夜勤はどうなっているんですか。これは特例の条項になるんですか。その辺のところちょっと私、知識が足りないから、明確に伺っておきたい。
#72
○政府委員(宮地茂君) これは寮母さんといえども、女子労働者はいわゆる深夜勤は禁じられておりますが、ただこれは解釈でございますが、いわゆる日宿直、これは継続的業務ということで別扱いになっておりますので、寮母さんの夜の勤務は宿直ということで処置しておるわけでございます。ですから断続的業務ということで処置する。労基法の深夜勤務というカテゴリーではなく、まあそういうことで、これは寮母に限りません。そういうことでいま公務員としては処理されておるわけです。
#73
○上田哲君 宿直と深夜勤は違いますわな。業務内容が明らかに違うので、これは具体的に見ればすぐわかることで、深夜勤はできないわけですね。実際には深夜勤になるんですね。それをいますぐやるわけにいかぬでしょうけれども、やっぱりおっしゃった趣旨にきちっと沿うようにやっていただかないと、やっぱりこれは無理がくると思いますよ。原則は深夜勤はないわけですね。それを確認をしておきます。
 それから介助職員、介助けると名前が――介添えですか、介助でしょう。ことばの問題にひっかかるようですけれども、テクニカル・タームに習熟しておられないあたりにやはり認識の不足があると思う。参考人も言われましたように、昨日、やっぱり定員の不足の問題は、人の不足の問題はしょせん待遇の問題になるんだ。これは一般論でもありますし、特殊論でもあります、これは。そこで、八%あるからいいとは言えないかと言われたから、そこは御趣旨もよくわかっていただいていると思いますけれども、やっぱりこういう部分に抜本的な、文字どおりそういう努力をしていただきたい。一般からはみ出した特殊コースなんだという認識なり御努力なりをさらにお願いします。
 もう一つは、障害児教育の振興のために、教材、教具ということが大事になるわけだけれども、実際には数が少ないとか、販路が十分に保証されないということのために、ほとんどメーカーで製作される、開発されるということにならぬわけですね。実際には独自の教材を全くこれは売っておりませんから、独自の教材というものでなくて、一般の子供の教材を使って、これこそ準じてやっているわけですよ。全部そこに準じちゃってるところにこの問題の価値観がないと思うんです。参考人の御意見の中にも、せめて自分でつくった、考案した教材に対しては補償ぐらいしてくれてもいいじゃないかという最低限のお話がありました。普通の企業でも、そこの職員が何か特別の発明をすれば、発明の権利はその社に帰属するとしても、それなりの報酬はありますよ。そういうことからいって、学校の先生、こういう特殊教育の先生方が開発されるしかない独自な教材、これに対してどのような手当てをしてやるか、あたりまえのことだと思うんですがね。そういうことによって、そういうところにしか求められない新しい開発努力というものも促進をされるだろう。具体的には、報償金と言うとおかしいけれども、補助でしょうな、そういう問題、具体的にこれはどうでしょう。次官、決意をされませんか。幾らでもない、あなたのポケットマネーでもできますよ。
#74
○政府委員(西岡武夫君) お答えいたします。
 ただいま先生の御指摘の件につきましては、現在、科学研究費の配分にあたって、この種の分野について研究課題を数件採択をしておるわけでございますが、数も非常に少ないわけでございまして――失礼いたしました。具体的に件数を申し上げますと、大学関係が四十五年度で十二件、小・中・高八件、計二十件採択をしているわけでございます。金額、また採択件数につきましても、今後もっと大幅にこれを拡大をしていきたいと考えているわけでございます。
#75
○上田哲君 それではだめなんだ、それでは。私はこっちの人に聞くんですよ。あなたに名ざしでお伺いしたのは、いろんなことがあるだろうけれども、これはやっぱり十二件あがってきたから……。それじゃ現場の業者が泣く。もっと小さなところで、文部次官にまでほめてもらえるようなりっぱな発明じゃないけれども、ここをこうくふうしたらいいだろうという、属人的なんですよ、これは全く属人的な考案が、それはまさに夜なべ仕事で先生方の手で行なわれていて、メーカーには渡らないんですよ。パテントにもならないんですよ。こういうものに対して、のこぎりの目立てまでとは言わないけれども、やっぱりつくったら出してやるような、前にもう少し、ちょっとやって、やれないことはないだろうか、そうしないと報われなさ過ぎる。よほど変わった熱意のある人でないとやれない仕事なんですから、いまや。その部分をさらに予算を大幅にしましょうということじゃなくて、どういう方法かはおまかせしますけれども、具体的にあたたかな手を差し伸べて、補助をしてやるというのがほんとじゃないかと言うんですよ、私は。
#76
○政府委員(西岡武夫君) 先生の御質問の意味を若干取り違えまして失礼いたしました。先生の御趣旨、たいへんごもっともだと思いますので、今後の検討課題といたしまして、単なる検討課題ではなくて、具体的にやるという方向で検討さしていただきたいと思います。
#77
○上田哲君 けっこうです。ぜひひとつ、その手によって現場の先生方が、ほう、こんなことも見てくれたじゃないかというようなことを、ぜひ具体的にやっていただきたい。
 この項のまとめをひとつしておきますが、今日は基本的な原理の問題の検討からメスを入れて、かなり合意されてきた部分がある。私は非常にお互いに目ざましく進歩した部分だと思うんです。わかりやすいところで、前向きの検討ということじゃなく、具体的なことをきちっともう一ぺんお約束をしておきたい。
 たとえば特殊ということばはいかぬ、特殊ということばは変えようじゃないかというところまでいった。この合意は私は大事にしたい。特殊教育ということばをぜひひとつ可及的近時点でいいことばをつくっていただいて、この差別感覚から抜けるような努力を具体的にお願いをしたい。
 それから教育法にいうところの「準ずる」ということば、一般人に準じて特殊児童もできればそこまで近づけるよう教育しようという「準ずる」ということばは、もともと一般人並みにはいかないということが前提となっている。こういう差別のことばでなく、平等の価値観に立つことばを使いたいということまでいったのだけれども、これも近時点でぜひひとつしかるべきことばにするか、削除していただきたい。
 判別委員会ということばもはなはだ不穏当だ。これは白色レグホンの鑑定かなんかやっている感じがします。これは人間対象のことばではない。これはやっぱり適用開発委員会という形に変えていく一これは私の私案だけれども、そういうことば、これは再び設置法としてここで通るんでしょうけれども、もろ手をあげて私は歓迎をして、こういう差別感覚が特殊教育に残っている残滓をぜひひとつ払拭をしていただきたいということをまとめて御確認いただきたい。
#78
○政府委員(西岡武夫君) お答えいたします。
 特殊教育ということばの問題でございますが、これは先ほど初中局長からお答え申し上げましたように、何かもっといいことばはないか、これは先生方のお知恵も拝借しながら、適切なことばがあればこれは早急に改めていきたいと考えております。また、初めに先生から御指摘のございました「準ずる」ということばでございますが、これも一つの用語でございますが、やはり特殊教育についてはこの種の用語の使い方にも細心の注意を払っていく、それが特殊教育を発展させるための中身にも大きく影響をしているということは、ただいまるる先生から個々の問題について御指摘があった点に私はあらわれていると思いますので、この点につきましても具体的にどのようなことばが考えられるか、いまここでちょっと申し上げかねるわけでございますけれども、早急に何らかのいい用語を見つけ出していきたいと考えております。
 また、判別委員会の件につきましても、先ほど初中局長からお答え申し上げましたように、先生は適用開発委員会ということを一つの案としてお出しいただいておりますけれども、こういったことも、私もこれはやはり名前が中身をきめていくという面も確かにあるわけでございますので、具体的な問題として取り組んでいきたいと考えております。
#79
○上田哲君 非常に具体的に、前向きの御答弁がありまして了解いたします。何しろ学校教育法の条項を変えるということを含むわけですから、非常に重大なことですから、せっかく御検討いただいた上でさらにそれを越える見識をひとつ可及的すみやかに御提示をいただくということで鶴首して待っております。
 もう一つの問題は、そうした特殊教育の上に立って、その可能性のかなたといいましょうか、きのう参考人の皆さん方も指摘された、それじゃそこから上をどうするのかという問題もあります。単純なコロニーにしてはいけないということもあるわけですが、せっかくこういうものができるわけです。この特殊教育総合研究所というようなものを中心にし、問題は結婚前の、きのう足鹿委員からも御指摘があったように、すでに胎児として存在する以前に起きているさまざまな障害なり障害要素なりというものを、その時点から刪除していくというあたりでの遺伝因子の問題にまでさかのぼるような予防医学上の問題、こういう問題も含める。そして結果論として、しかたがなくなったものとしての障害児、これは特殊なコースとしてやはり同じような人間まで高める、そういうものをやはり総合的にこういう研究所を中心につくっていく。子供の城と呼ばれる構想もあるわけですから、そういう構想に向かってそういう研究所というものが総合的な研究を進め、青写真をつくっていくべきだと私は思う。そういう構想についてそのようなお考えにお立ちになるかどうか、これはひとつ厚生省お見えですから、両方から承っておきます。
#80
○政府委員(西岡武夫君) お答えいたします。
 全く私どもも今度御審議をお願いいたしております特殊教育総合研究所のあるべき姿として、ただいま先生お話の方向を大きな理想に描きながら努力をしていきたいと考えております。
#81
○説明員(浅野一雄君) 私は母子衛生課長でございまして、施設をつくる等の所管を直接やっておりませんので、お答えになるかどうかわかりませんが、私の、母親と子供の健康、福祉の問題を直接担当しております課長といたしまして、先生のおことば、私も同感でございます。その方向で、いま先生が子供の城ということをおっしゃいましたが、そういうふうな線でわれわれも検討しておりますし、帰りまして所管局課とも十分に相談いたしたいと思っております。
#82
○上田哲君 非常にけっこうです。子供の城ということばも使われてプログラムを展開される。しかし、これは一つの理想でもありましょう。現実的な理想でもありましょう。ぜひ文部、厚生両省の力強い協力がこういうものの上に実現していただくように、私も非常に深い関心で注目をし御協力いたしますから、お願いいたしたい。
 ちょっと問題を変えまして伺いますが、文部省当局は社会教育法の改正についてどの程度の検討を進められておりますか。
#83
○政府委員(今村武俊君) 文部省として正式に社会教育法の改正を進めておるわけではございません。去る四月三十日に社会教育審議会から、「急激な社会構造の変化に対処する社会教育のあり方について」という答申があったわけでございますが、その答申の前書きの部分に、この答申を具体化するにあたって社会教育法の改正を含めて検討すべきであるということばもございます。そういう趣旨もございましたので、私ども事務当局も、まだ実は私自身もよく見ていないわけでございますけれども、私の局の審議官を中心に、局内の若手事務官が集まって研究会をしておる。それに呼応して都道府県の社会教育課長の間で研究会をやっておる、こういう段階でございます。
#84
○上田哲君 全国社会教育委員連絡協議会と全国教育長協議会第二部会、ここに向かって社会教育法の改正について意見を求めるために、社会教育法の改正上の指摘事項という内容が文字として具体的になって示されています。これは現に去年の十月のことですが、これについてはどういうふうにお考えですか。
#85
○政府委員(今村武俊君) いま先生のほうから、示されておるというおことばがございましたが、示したという事実はないと思います。と申しますのは、私どもで社会教育法の改正問題について事務的な検討を進めておることは、先ほど申し上げたとおりでございますが、その検討の問題点を整理して勉強会は開いております。それで社会教育課長会議のほうでも、そういう趣旨を、何といいますか、そういう私どもの事務的な研究体制に呼応してともに研究を進めていただいておるわけでございます。そういうところで資料の交換はあったと思いますが、文部省が文部省としてそれを提示して研究をお願しておるという形まで進んでおるわけではございません。
#86
○上田哲君 「現行の社会教育法は戦後の新しい社会教育行政の方向づけに大きな役割を果たして来たが制定後すでに二十年を経過した今日、実態的にいろいろな問題が指摘されている。とくに、社会教育審議会は、先に中間発表した「急激な社会構造の変化に対する社会教育のあり方について」の中で、今後の社会教育についての多くの課題を指摘するとともに、これらの課題の解決を容易にするため、必要に応じ社会教育法の改正の検討をすべきことを提案している。」、こういう点についてはどのようにお考えですか。
#87
○政府委員(今村武俊君) その文章が、だれが書いた文章か、はっきりわかりませんけれども、御趣旨は私はそのとおりだと思っております。
#88
○上田哲君 ということは、社会教育法の現時点において基本的な改正をすべき段階に到達しているというふうに情勢を理解されているわけですね。
#89
○政府委員(今村武俊君) そう簡単に断言されますと、少し違うのでございまして、今回の社会教育審議会の答申の中にも、戦後社会教育は憲法、教育基本法の理念に基づいて民主主義の実質化を目ざして行なわれきた、今後もこの方針はさらに社会教育の実践において具現化していかなければならない、こういう考え方でございます。したがいまして、社会教育法のものの考え方、あるいは基本的な仕組み、そういうものを抜本的に、あるいは基本的に変えていく必要はないように思うわけでございます。ただ、その後二十年の時代の変化がございますと、やはり装いと実体が変わってきたり、あるいは用語、表現等に適切でない部分を来たしたり、その他いろいろ検討するところがあるように思われますので、そういうものを事務的に、丹念に検討する必要はあろうというふうに考えております。
#90
○上田哲君 次官ですね。いまの社会教育局長のお話ですね、抜本的に変える必要はないと思うが、時代の潮流に合わせて変えていかなければならぬ部分もあるだろうということのようです。社会教育法の、分量だけでは言えませんでしょうが、指摘されている限りでは大量な改正が予定されているということになると、これは非常に重要な問題であります。どのようにお考えですか。
#91
○政府委員(西岡武夫君) お答えいたします。
 この社会教育法を改正するという問題につきましては、現時点における文部省としての考え方は、ただいま今村局長から御答弁申し上げましたとおりでございます。ただ、これはあらゆる、特に最近の時代の趨勢の中における法律の置かれている立場と申しますか、ややもいたしますと、社会の情勢のほうが法律よりも相当先に進んでいってしまって、あとから法律が追っかけているという実態がいろいろな面に見られているのではないかと思います。したがいまして、そういう観点から見ますれば、いままでの社会教育ということは、いわば生涯教育の中における社会教育の役割りという形ではこれは把握をされていなかったということまで考えますと、社会教育のあり方というものは、学校教育、家庭教育との関係の中で、今後どのようにあるべきであるかというところまでさかのぼって再検討していかなければならない大きな基本的な問題を含んでいるという認識は持っているわけでございます。
#92
○上田哲君 基本的、根本的には変える必要はないという御意見がいままであったのですけれども、いまの次官の説明の中に、基本的に、根本的にという御発言がありました。やっぱり私はこの社会教育法の改正の試みというのはそのあたりまで入っていると思いますよ。まあ、それはどの部分が基本で、どの部分が基本でないかということは、基準の問題になりましょうから、具体的にひとつたたき台ということなんでしょうが、おつくりになっている法改正上の指摘事項についておもな問題をひとつ御見解をただしていきたいと思います。
 最初の総則、「社会教育の定義について」というところで「社会教育の定義を改める必要はないか」という問い方になるわけですが、ここで幾つかの問題がありますけれども、現行の中にはない「青少年及び成人の心身の育成を主たる目的として」というふうな、いわば「心身の育成」なんということばはないですよ。これはかなり基本的な改正を志向していると考えなければならぬと思いますが、これはどういう意味でしょうか。
#93
○政府委員(今村武俊君) 文部省としてそういう案をつくって――具体的に私の立場でその案をつくるといたしまして、私が見ていて、自分で納得していて案ができているものならば、それにお答えしてもよろしいのでございますけれども、局内の一部の者で、まあいわばある勉強会といいますか、学習会を開いている。そこで一試案をつくっているというものに、一々それをどうじゃと言われて答弁を申し上げていると、何か文部省として正にやっているものについて御返事しているような形になりますので、それについては、政府委員の立場では御返事をしないほうがよろしいのじゃないかと考えます。
#94
○上田哲君 それはゆゆしい発言ですよ。あなたのところにいる、これをお書きになった方々は、あなたの管轄の下に入らないのですか。あなたのところでは、八百屋のカボチャを売っているのですか、あなたのところでは床屋をやっているのですか。社会教育をやっているのじゃないですか。社会教育で税金を食い、社会教育で仕事をしている人が、その本業に基づいて法改正の試案を出していることについて、かってにやっていることだから、私は知らぬから答えることができぬ、答えないほうがいいということは、どういうことなんですか。そういうでたらめなことでは、私はこれは逐条審議しますよ。少なくともあなたは、私の輩下がどういうことをやっているか、それは自由だ、家へ帰って書斎でどういうことをやるか自由だ、そういうことには行政上の指導責任は負えませんということは言える。しかし、その見解について、私の入手した資料によって、あなたはどう思うかということに対しては、国政調査権の正当な範囲において、いままで全然現行にはなかった――現行では社会教育の定義は「主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動をいう。」と書いてある。これまでなんだ。今度は「心身の育成を主たる目的とする」と書いてある。こういうふうになっている。となれば、一般的に、こういう考え方についてはどうかということは答えられなければおかしいじゃないですか。これはどうですか。
#95
○政府委員(西岡武夫君) お答えいたします。
 ただいま社会教育局長がお答えを申し上げました意味は、文部省として社会教育法を改正するという基本方針を打ち出したことがないということが、一応前提になっているわけでございます。したがいまして、ただいま先生御指摘の個々の考え方について、もちろん社会教育局長の責任のもとにおいて、部内におきましていろいろな検討がなされているということについては、社会教育局長は全責任を負うわけでございますが、いまの時点で、社会教育法を改正するという前提をきちっと打ち出していない限りにおいては、社会教育局長がこの場におきまして、個々の問題について具体的な考え方を明らかにしていくということは、これは若干問題があるのではないか。と申しますのは、私自身も政務次官の立場でございますが、社会教育局の中で、その先生お手元にございますそういった資料を、私自身が見ていないわけでございますし、また、省内におきましても、社会教育法の改正をやるという基本方針というものも立てていないわけでございます。そういうことをぜひ先生御理解をいただきまして、ただいまの社会教育局長の答弁を了としていただきたいと思うわけでございます。
#96
○上田哲君 それは間違っている。そういうことならば、たとえば憲法改正を、佐藤総理は、私は総理大臣としては憲法改正をしないが、自民党としては憲法改正の、改革か改正か知りませんが、改定についてのいろいろな意見を持つことは自由であるという使い分けをなさる。しからば、それはそれでいいとしても、憲法を変えるについて、あなたの見解はどうかということに対して答えないことはできますか。それを答えないなんていうことは、それでは一体、われわれの国政調査権はいずこにあるかという基本原理をやらなければならぬことになる。それは原理的に間違っていますよ。私は、下僚のいかなる者がどんなことをやっているかということは、あなたの責任をもって行政上の立場から、行政上の責任、指導の範囲で答えなければならぬということを詰めているのではない。それは一人の書斎人として、市民としてどういう研究をする、どういうたたき台をつくろうと、それは自由です。しかし、少なくともそれはあなたの管轄の中のテーマなんですから、だれがやったということをいま聞きません。しかし、それについてのあなたの見解は述べられぬということになれば、そういう形でまず既成事実をつくり、やがて法改正をしようとねらっているだろうと思われてもしかたがないことになる。私は思いたくありませんよ、ばかばかしい。だが、そういうことにされたって反論ができないではないか。社会教育法という、こういう性質の法について議論をするならば、当然に、あなた自身の下僚がおやりになっている、公務以外の仕事であるにせよ、あなた自身が最高責任者としての見解をここで堂々と吐露されるのが本来じゃありませんか。国会審議というものじゃありませんか。私は原理としてまずそこのところをはっきりしていただきたいと思う。そうでなければ詰め方は幾らでもあります。
#97
○政府委員(今村武俊君) 私の局内で勉強会を開いていることは、先ほど申し上げたとおりであります。勉強会ではいろんな案が出るわけでありますから、それについて一々まだ私が目を通して点検をしてない、それで文部省の態度はどうだという御質問であるならば、遠慮申し上げたほうがいいというふうに申し上げたわけでありますが、「心身の育成」を目標として……。
#98
○上田哲君 それがわかればいいですよ、そういうことでわかりました。
 次官にもう一ぺん確認をする。原理の問題として、前提の問題として確認しますが、文部省は社会教育法の改定を、具体的に法改正も指摘事項ということで――文部省とは言いません、一部のグループでもけっこうです。具体的に昨年の十月おつくりになって、全国社会教育連絡協議会と全国教育長会議第二部会に出すための資料として提議されていることがあるのか、ないのか、これが一つ。それからそういうものが成熟していくプロセスとしては、来国会にこれが提案されるということであるのかないのか、そうではないのかということを見ている見方がありますから、そのことをひとつ承って、そうであればその上に立って、また、そうでないならばそうでない立場で議論を進めたいと思います。
#99
○政府委員(西岡武夫君) お答えいたします。
 ただいま先生のお話のように、文部省の立場としてお手元の資料を公に提出したということは、ただいま社会教育局長の……。
#100
○上田哲君 それはわかっている。この二つの法改正の指摘事項と書いてあるから、これを提議しているということは……。
#101
○政府委員(西岡武夫君) それは、社会教育局長が先ほどお答え申し上げましたように、資料を公刊と申しますか、文部省として提示したという形でなくて、そういう資料が出ているということは事実のようでございますが、そのようにお受け取りをいただきたいと思います。そこで、社会教育法の改正を次の通常国会で提案する準備がないのかという、こういう御質問でございますが、これにつきましては、文部省といたしましては、現時点ではそのようなことは考えていないわけでございます。
#102
○上田哲君 その前提で話をしましょう。私はだから、私が入手している、オーソライズされていない社会教育法改正の指摘事項というものをとらえて、ひとつそれとは別に文部省の社会教育の責任者から一般的な見解をひとつ承ることにします、いいですね。
 そうすると、時間がないからまとめて幾つか聞きますから、まとめてきちっとお答えいただくが、総則のその定義について、いままでになかった「心身の育成」というのが入ってくる。もう一つ出してくると非常に具体的になってくるんですが、この法律で社会教育関係団体ということばの定義を、現行では「公の支配に属しない団体で」と、こうなっているのを、この改正の指摘点では、この部分を削除しているんですよ。どうもたいへんおかしな方向ではないかと思われますが、そういうような考え方はどうですか。
#103
○政府委員(今村武俊君) 社会教育が教育であって、そして教育は教育基本法第一条の目的にも示されておりますように、「人格の完成をめざし、」云々という表現がございますが、その「人格の完成をめざし、」ということばをもっと平易なことばで、健康な心身の育成を目標としていくという趣旨のことばで書いたのだろうと思います。教育である以上は人間をつくるということでございますから、人間をつくるということは、人間の心身の発達を助長する、そういう意味で書いたのだろうと思いますが、法文の最終的な形としては、用語が短ければ、そうしてしかも抽象的であればいろんな意味合いにとられますので、用語としては精選されておらないという感じがいたします。特にこの「育成」というのが非常に他律的な印象を強く与えるとすれば、社会教育のものの考え方の基本に矛盾するところもございますので、育成という用語に不適切なものを感じます。
 それから「公の支配に属しない団体」ということばが、社会教育関係団体の定義の中から取られておるということでございますが、これは詳しく存じませんけれども、憲法の八十九条などとの関連で、法律の中に取り入れる際に意味のさだかでない公の支配、意味のさだかでないというと――言い直します。何ですか、憲法のレベルにおけるやや抽象度の高い表現を、それよりも下位の法である法律の中で、なまの形で使わないで、もう少し具体的な形で表現をしようとする意図のもとにたまたまはずれておるんだというふうに思います。
#104
○上田哲君 そこが全然違うんですよ。「公の支配に属しない」ということは、非常に重要なことなんです。これを取るということはどんな団体が出てくるかわらぬということが――ということは歯どめが必要だと思うんですね。
 次の問題でございますけれども、「国及び地方公共団体の任務について」と、これはたいへんふしぎな感じがするのは、「国及び地方公共団体の任務」、これを「社会教育行政の目標並びに文部大臣並びに都道府県及び市町村の教育委員会の事務分担などを、より明確にする必要はないか、」、「関連行政との協力や行政の広域化を容易にするため制度的工夫の必要はないか、」というようなことになって、これは実に具体的に、こういう考え方がもしあるとすれば問題だと思うんだけれども、新設されている項目がぐっとふえましてね。「社会教育に関する事業の実施を奨励することに努めなければならない、」、「精神生活」――そして項目が五つありましてね、「教養を高め、趣味を豊かにし、個性に富んだ精神生活の充実を図る」、二番目に「家庭教育及び生活技術その他家庭生活に関し理解を深め、それらに関する処理能力を高め、明るい家庭生活の創造を図る」、三番目に「社会生活における人間関係及び社会生活の仕組みについての理解を深め、自他の敬愛と協力の精神の涵養を図る」、「職業に関する知識及び技術を習得し、職務の遂行に必要な能力の開発を図る」、「体育及びレクリエーションに親しむ心身の健全な発達を図ること。」。
 まあことばは注意深くなっていますけれども、何かたいへん復古調の、そしてたいへん企業的なにおいが強まり、そして教育権の矮小化というような感じが指摘せざるを得ない表現が出てきている。しかもこれを総括して、いままで「国及び地方公共団体の任務」というふうになっているのを「国及び地方公共団体の責務」と、その「責務」、これはたいへん古い、すでにもう死語とならなければならなかったはずの、デモクラシーの名にはたいへんニュアンスとしてそぐわない表現が出てきているわけですね。こういうことはどうでしょう。
#105
○政府委員(今村武俊君) 現在の社会教育法の第三条に「国及び地方公共団体の任務」として一連のことが書いてございます。その国と地方公共団体、特に国、都道府県、市町村の仕事の区分、分担ということが明瞭でないので、従来の社会教育においては、国も都道府県も市町村も同じことをやっていればいいんだという、まあこれは通念ではございませんけれども、何となくそういう気分があって、行政が未分化であるという指摘があったわけでございます。それで、今回社会教育審議会の答申におきまして、行政の責任、区分を明瞭にする必要がある。国と都道府県、市町村の役割り、区分を明瞭にして、行政の効率をあげる必要があるという指摘がございます。そういう趣旨を勘案して行政の区分ということを考えておるわけでございます。その点は私もそう思います。
 ただ、その「責務」と「任務」といったような用語の表現については、私も詳しく存じませんし、ただ従来のものを変えるから「任務」じゃなしに「責務」くらいにしたのだろうという程度に思います。
 それから、社会教育の内容について言われました点、表現がまだ精粗まちまちで、法律用語として使うには熟してないようなことばが、いまおっしゃいましたことばの中には相当にあるように思います。ただ、その内容は今後社会教育の内容として、現在の社会情勢の変化に応じて、概括的に言えばおおむね次のようなことであろうとして、社会教育審議会の答申の中でいろいろ文章が長く、用語を使ってたくさん書いてあるものを数語にまとめようとして苦心をしておるので、生硬なといいますか、なまがたい漢語を使っていろいろ理解をされ、あるいは誤解もされるような表現にまとまっておるのではないだろうかといったような感想を持ちます。
#106
○上田哲君 とうとうたる復古調の波がこの条項を洗っているような感じがしてならぬわけですね。
 その社会教育主事というのは、町の代表的教養人といいますかね、まあ町の文化運動の一つのかなめみたいな、そういう活動をしてくださる人として、非常にまあ自由な人格体ですね。ここでまた「社会教育主事の職務又は資格を上級と下級の二段階に分けることはどうか」と、こういう見解が入ってくるとなると、私は非常に問題だと。上級と下級に分けることをどこで問題にしているかというと、たとえば「十年以上社会教育主事の職又は文部大臣の指定する社会教育に関係ある職において良好な成績で勤務した者」と。これはいけませんね。「良好な成績で勤務」するというのは、まことに妙な感じが私たちはいたしてくるわけでありまして、社会教育の主事なんというものは「良好な成績」なんてなくてもいいから、一生懸命人の世話を見たり、いいおじさんだと言ってくれるような文化人、教養人でなければならないのですが、ところが、いい判定を受けるとかなんとか、「良好な成績」で精励恪勤するみたいなことが出てくると、非常におかしくなるわけです。しかも、「社会教育主事と学校教員との交流を円滑に」しよう、そういう規定をつくろうとか、「社会教育行政の専門職員と学校教育との交流を円滑にする規定」をつくろう、こういうふうになってくると、社会教育のフリーな土壌が醸成−醸成ということばがほかにあるわけですが、非常に制約されてくると思うのです。こういう考えがもしあるとすると、非常に逆行することになるし、危険な道だと思うのですが、いかがですか。
#107
○政府委員(今村武俊君) 現在、社会教育主事の平均の任期が大体三、四年だそうでございます。長く社会教育主事を続ける人が少ないという実態だそうでございます。したがって、社会教育に長く従事する人の間から、われわれ長くつとめている者に何か厚遇の道はないだろうかといったような意見をしばしば聞かされておりますので、そういう案がつくられたものと思います。
 私も実はそういう案を部下のほうで審議しておりますときに、この部分は少し肩を張り過ぎているのじゃないだろうか、現在必要なことは、この社会教育主事のそういう職制の問題よりも、教科教育主事の社会教育の名残りが残っていて、社会教育主事になると、国民、住民に対して何か教えてやるとか、布教するとか、そういう感覚がまだ残っておるが、そういうことではなしに、社会教育の計画の立案とか、あるいは組織だとか、あるいはプロモートだとか――推進するとか、そういう社会教育主事の機能の転換のほうが目下の急務なんであって、その機能転換は社会教育の望ましい世話役としての機能をうたうほうがより重要ではないだろうかと、内部では意見を言ったようなことでございます。
#108
○上田哲君 社会教育団体について登録制を採用しようというのですね。登録制なんということになると、デモクラシーの方針、原理から全く遠ざかっていくと思うのですね、登録制については。しかも、「それぞれ登録の申請をすることができる。」ということになって、一項から六項まである。「高度の公益性を有する事業を行なうものであること。」、「社会的信用が高いこと。」、「団体の活動が持続的及び実効性を有するものであること。」、こうなると、大政翼賛会みたいなものとなってしまうという連想を持ちますよ。これはどう考えたって逆行だと思う。いかがですか。
#109
○政府委員(今村武俊君) その辺も私の部下のほうで、まあいわば苦心の作であるところでございます。私自身は登録制ということば自身が、世間の人の持っていることばの感覚によって相当な反論を巻き起こすであろう。しかし、まあ私の部下たちがそれを考えた趣旨は了としているわけでございます。という意味は、社会教育関係団体、特にこの社会教育関係団体ということばを使っておりますので、どの範囲が社会教育関係団体であるかは、これはひょうひょうとしてわからないわけです。そしてそれらの団体の方々が、私どもに対する注文は、社会教育関係団体だから何か財政上困るところを財政上の援助をしてほしいとか、あるいは減免措置、免税をしてほしいとか、こういう要望があるわけですが、そういう問題を提起しますと、いつでも起こる問題は、それは社会教育関係団体だからけっこうなことだけれども、そのボーダーラインがはっきりしないではないか。だから趣旨はけっこうだが、現実的には相まかりならぬということを繰り返し繰り返しやっておりますので、減税の目的を遂げるために何かの方法はないだろうかという趣旨で、事務的に苦心をしているところでございまして、決して統制をしようとか、大政翼賛会を再現しようとか、そういう意味を持っているわけでは毛頭ないのでございます。
#110
○上田哲君 どうしても、しかしそういう疑いといいますか、懸念が醸成されてくるということについてまあ問題にするわけですが、社会教育振興財団構想というのがあるのですね。これは「国および民間が拠出した資金、寄付金に基づき、社会教育団体に対する助成、通信教育実施団体等への融資を行なう社会教育振興財団を設ける必要」がある。民間となれば、こういうものは大企業にきまっているわけですよ。融資なんということばも出てきてみると、助成とか、これはもう企業で行なう社員教育にも税金で助成するというようなケースも当然出てくることになるだろう。たいへん、いよいよ衣の下から何か出たような懸念があるわけですよ。こういうものはどうでしょうかね。
#111
○政府委員(今村武俊君) それはいま申し上げました登録制と代替的な関係で考えている案でございます。社会教育関係団体がいろいろなその事業の実施について国の援助がほしい、あるいは減免措置がほしいということでございますが、社会教育関係団体のボーダーラインをはっきり書くことができないとすれば、そういう特殊な財団を設けて、その財団に対する寄付金については減免にするということで、ボーダーラインを明瞭にしておいて、そしてその財団において関係団体から代表者が出て、そして個々の社会教育団体についてはチェックをすることもなし、統制することもなし、その実態に応じて財政的な援助をすることができるのではないかということで、それも事務的には非常に苦心をいたしました一つの作品でございますが、それについて多くの関係の方々の御意見を聞きたいということで、いまみんなが検討しているわけでございます。
#112
○上田哲君 青年の家ですね、「社会教育の方法について」というところで、青年学級振興法を廃止しよう、あるいは実力検定の文部省の技能審査の認定の根拠規定を設けようということとからみながら、各種青年学級の数を減らして、かわりに青年の家とか青年の船などをふやそう。これはどうもたいへん何かむき出しの政策意図みたいなものがにじみ出てきているような感じがしているわけです。こういう構想がいいとお考えですか。
#113
○政府委員(今村武俊君) その辺まで私の部下が検討していたのかどうかということになりますと、私自身もちょっと記憶がはっきりいたしません。何かそういうことをすぐ法律に書けるわけのものでもないような気もいたしますけれども、何かそれは法案の一部の内容となっておるような事業でございましょうか。
#114
○上田哲君 読みましょうか。「青年の家の事業」、まあ条項は第〇条となっていますが、「青年の家は第何条第一項第四号に掲げる目的を達成するため、おおむね次に掲げる事業を行なう。1、青年の団体宿泊訓練としての研修会、講習会等を主催すること。2、青年の団体宿泊訓練のために便宜を供与し及び指導と助言を与えること。3、青年の団体宿泊訓練に関し、資料を収集し、保管し及び利用に供すること。4、青年の団体宿泊訓練に関し、調査研究を行なうこと。5、前各号に関連する事業を行なうこと。」、あと指導職員の条項もありますし、それから一ぱいありますね。もう条項としてつくりかけられておりますね。
#115
○政府委員(今村武俊君) 青年の家について条項を設けましたのは、現在の法律によりますと、青年の家は社会教育のための機関とするという、その機関の中に入っていないわけです。図書館と博物館だけが社会教育のための機関とするという用語がありますので、特に公立の青年の家は、税務署の関係から、何か遊興飲食税を徴収したりなんかして、はなはだ旅館と同じものではないだろうかということで、税務署との間にトラブルを起こしたりして、青年の家ということが社会教育の上でどういう機能を果たすのだということを明瞭に書いてほしい、社会教育のための機関であるということを明らかにしてほしいという公立の青年の家の関係団体の元来の御要望もございます。そういう意味でそのことをうたおうとして苦心をして事務的な文章を書いてみたんだというふうに思います。
#116
○上田哲君 ゆゆしいところは「放送利用教育について」、放送利用教育については何らかの規定を設ける必要があるだろうということを言っているわけです。わがハイマートヘとんでもないですよ。こんな規定をつくられたら、言論の自由とからだをはって戦わなければならない。こんなところに社会教育が乗り込んできたらデモクラシーの基本にかかわると思う。こんなことは書かしていいのですか。
#117
○政府委員(今村武俊君) 放送法もございますし、放送そのものについてということでなしに、先ほどから先生の御質問を同っていて感じるのでございますが、いろいろ背景が大きいのに、それを非常に短いことばで表現しておりますので、何というのでしょう、思わない誤解を招いているような気もいたします。おそらく部内の雰囲気から察しますと、放送教育というのは今後いよいよ社会教育の中でも取り入れられていくべきものである。その放送教育の奨励について何か書きたいといったような雰囲気だけでございます。放送法そのものとか、放送事業についてその法案の中でチェックをするなどという気持ちは毛頭ない次第でございます。
#118
○上田哲君 時間がないので、私はもっと具体例をあげて逐条やるわけにもいかないのです。ただ重要なポイントになってきているのは公民館ですよ。これはさっきの主事の問題もありまして、公民館問題というのは非常にこれは社会教育の大事なネットですしね、この問題にこういう形で手をつける、これはもう御存じでしょう。大きな大公民館システムですね、そして現在ある小公民館というのですか、これはいわば町の集会所的なものにしていく、たくさんここにありますですね。こういうみんな地域の公民館を中心に婦人学級とか、お花からお茶の会から、あるいは政治を考えようくらいまで、さまざまな形で研究会がありますよ。こういう文章出ております。こういうものを根こそぎ、非常にこれはことばは簡単だから間違いが起きると言われたけれども、私もことばを簡単に言っちゃえば、たいへん官僚統制をしていくというシステムに結果論としてはいってしまう懸念があるのでございます。
 ここに私公民館を調べたら福岡方式という――福岡が一番多いんですね、各校区ごとに六十三あるのですよ。非常に進んだシステムですね。これは局長も進んだシステムだとお考えでございますね。この六十三の校区ごとにあるその中の一つの資料を取り寄せて見た。これは南当仁公民館の柏崎という方が主宰をしている木曜会、それに鳥飼婦人学級の岩崎正子さんから報告がきていますが、これによると、
 第一に、区ごとに大型公民館をつくり、第二に、現在の公民館を地元に返し、自治公民館にする意向であるということです。この発想は、社会教育に対する欲求が多様化していること、福岡市のように数多くの公民館があるのは日本でも例外的なものでありましょうから、これがいろいろ問題を起こしているということからのようです。私たち一の問題については異論はありません。欲求の多様化を満たすためには中央公民館的な大型がつくられることに賛成です。しかし、二の問題は、私たちにとってたいへん困ることであります。自治公民館にするという、けっこうそうなことばに含まれる内容は、一に市の職員を引き揚げる。第二に同時に経費は地域に持たせる。三に、住民の中から館長、主事をつくらせ、管理、運営はこれが行なう。四に、指導は市が行なう。こういうことになってしまって、私たちの主婦の気持ちから言えば、はっきり言えることは、戦時中における町内集会所に返っていくのではないかと思われます。現在、利用者である私たちが、わが家のごとく公民館で学びたいことを学べるということは、もとよりみんなの学習意欲が強かったとはいえ、小人数で公費と公民館を使うことに対する圧迫を陰になりひなたになって、主事さんをはじめささえてくれたお力があったからこそです。自治公民館が地域ボスをつくり、強力な困体だけのものになっていけば、小グループの学習の場は奪われてしまうものとしか考えられません。同時にこれが行政の伝達機関化することは目に見えていると言えないでしょうか。第一現在の公民館主事さんたちの立場はどうなるのでしょう。少数の主事さんたちは大型公民館に地位を得られて残るでしょうが、あとの人たちはどうなるのでしょう。私たちはふだん着で利用できる地域公民館を、そしてそこに行けば親身に相談できる主事さんを望んでいるわけです。そのためには大型公民館よりも現在の公民館の充実を望みます。
 こういうあれがあります。結論として、社会教育とは、市民の相互教育であるにもかかわらず、ここに述べられていることは管理主義ではないか、たいへん文脈からいって討議を尽くされた結論と思われるような表現もあるわけです。こういう実態ですね。これをどういうふうにお考えになりますか。
#119
○政府委員(今村武俊君) 公民館につきましては、何かいまお読みいただいたのでは、私の気持ちから言えば、私どもの考えていることとは別のものを対象にしてお話があっているような気がします。公民館が全国で約一万三千ございます。一万三千の公民館のうちで、公民館の基準として文部省告示で示しております最低の基準、百坪以上の面積を持ち、一人以上の公民館の職員がいる、そういう公民館が千六百七十八しかございません。つまり一万三千のうちの約一割強が公民館らしい公民館である。それで、なるべく最低百坪以上、一人の職員以上の公民館になっていただきたいということで、公民館の充実を考えながら、事務的な案文をつくってみたはずでございます。全国の公民館の連盟におきまして研究会がつくられておりまして、公民館を充実したものとしていくために、人のいない公民館は今後公民館と言わないことにしようじゃないかということで、公民館の専称規定という案文をつくって、私どものほうに御意見の提示がございました。それで、事務の私の部下のほうで、そういう趣旨をくんで案文をつくってみたわけでございますが、おそらくそれは人々の心情、気持ちをさかなでするようなものを含んでいるのではないか。だから、やっぱり、人のいない公民館も公民館と言うことは従前同様にしておいて、そうして財政上の援助、その他で、その内部から充実をはかっていくほうが政策としては上々なんじゃないだろうかという意見を私は言っておるところでございまして、公民館連盟自体の中でも専称規定に対して非常な反論があることは存じております。したがって、それと同じような意味の、何というか、関係者からの、特に無人の公民館を使っている人々からの反論が起こることは、これはもう社会の心理上当然のことで、そういう反応が出ているのではないかという感じを持ちます。
#120
○上田哲君 社会の心理上、ということではないですね。目の前にある小さな宝ものが、手の中にある人から見ればたいしたものではない、小さな小さな、たとえば少女の宝ものが取り上げられることに対する心情的な反発ということでは、ちょっと、私は次元が違うと思うのです。理屈を唱えるならば、権利としての社会教育といいますか、上から与えられる社会教育ではなくて、権利としての社会教育というようなもの一ことばはちょっと若干、論理的には矛盾しますが一そういう発想があるかないかということだと思うのですよ。そういう発想からすれば、今回のこの大センター構想みたいなものは、やっぱり、げたばきの主婦の努力、活動の可能性というものを減らしてしまうことは間違いないわけだし、そうして、少なくとも電車に乗って行かなければ、バスに乗って行かなければ行けないということになれば、地域性というものの埋没ということはありますよ。その集中的な管理体制の強化ということによって、何といいますか、高度化された近代的な利用の態様、こういうパターンの中に行政主義的な変遷ということよりは、行政それ自体が内容が変遷していくようなそういう可能性というものが、やっぱり芽を出すようになりはしないか。ここに私は問題があると思うのですよ。そういう点では、やっぱり、私は、画一的な大公民館システムというものは、十分に再検討する余地があると思う。これが一点。
 それから、福岡方式というようなものをどう評価なさるのかということを一点聞いておきたい。
#121
○政府委員(今村武俊君) 第一点の、何か、画一的な公民館主義という表現でございますが、社会教育審議会の答申に繰り返し繰り返し述べられている思想は、今後の社会教育は住民の自発的な学習意欲を援助し、奨励し、促進していくのが社会教育行政であるという基本理念は繰り返されているところでございまして、何か、画一的な大公民館制度をとって、行政が、何か、上から強制し、注入するといったような考え方はとうていとり得ないところだと思います。
 それから、福岡方式と言われますけれども、福岡においてなくなられました守田道隆氏が非常に公民館の整備運動に努力をされまして、公民館が充実しておるということ、充実しておるけれども、またいろいろな形があって、公民館のあり方について種々のバラエティーを持っておるということ、そのバラエティーを持っておるということは、必ずしも福岡独自のものではなしに、そういう形は、大同小異、各県にもある。ただ、それが福岡においては特に充実しておる。そうして、パターンが明瞭であるということでございますので、まあ福岡方式という名で私どもは理解はいたしておりません。
#122
○上田哲君 結局その統廃合というのは、いわゆる自治体合理化の一環であって、施設の統廃合、とりわけそのことによる人件費削減の第一のねらいとしているという批判は当たりませんか。
#123
○政府委員(今村武俊君) 現状から申しますと、そういうことではなしに、もう人のいない公民館ばっかりという感じが全国の感じでございまして、人件費統合のためにということは、私どもの念頭にはないところでございます。実は今年度公民館の予算がだいぶふえまして、それによりまして公民館を新設する場合は、その場合新しく人を最低一人以上は置いてほしいということを折衝いたしまして、公民館の主事をふやすべく最大の努力をしておるところでございまして、人件費の統合にという感覚は正直に申しまして私の感覚の中には全くございません。
#124
○上田哲君 時間が切れますから、最後にまとめて次官の御見解も承っておきますが、この大型公民館化ということは、いまの御答弁の中に、決して人件費削減などではないんだと、いうところの自治体の合理化ではないんだということがありましたけれども、そういう行政レベルの話だけではなくて、たとえば公民館問題について打ち出されている考え方は、なるほど住民の教養及び生活技術の向上、健康増進というのがあがっていますけれども、並びに住民の連帯意識の涵養による地域社会の形成に寄与する、そのこと自体は、ことばとして問題はないはずなんですが、今日、しかし住民の連帯意識の涵養による地域社会の形成ということが、市民の権利としての社会教育という形の情勢から起こるならばいいんだけれども、いわばそのことばを提供しているだけにとどまればいいんだけれども、登録団体だとか、うしろに財団を含むとか、主事を上級、下級に分けて、実績のあるものについてはどうだこうだという形に持ってくると、まぎれもなく、これは上からの社会教育、主体の問題が非常に大きく浮かび上がってくるという懸念を持つのが当然だろうと思います。そういう形からいいますと、この社会教育法、言ってみれば、日本の民主主義社会といいましょうか、デモクラシーというものを、やはり一番養分のところでささえなければならない、そういうものが、でき得べくんばあまり行政のにおいがなく、でき得べくんば規制の条項というのはなるべく少なく機能していかなければならないはずのものが、少し情勢の変化に対応するという言い方の中で、そうでない方向に動いているんではないかという懸念をやはり表明しなければならないと思います。局長の、これはさっき約束をしたから、一般的な見解の討議だと私は受け取って討議を進めたし、あなたもかなり積極的な見解の御表明があったことを了といたしますが、しかし、まあその中でことばじりをとらえるのではないけれども、私の下僚がそういうことをつくってしまったのではないか、また、聞いてみれば、あなたも大部分御存じであります。そういう形が、何か、もっともっと明るい太陽のもとで語られなければならない、げたばきの主婦の皆さん方の生活感情や生活組織、努力みたいなもの、そういうものと密着しながら進められていかなければならないにもかかわらず、ほかにだれがやっても同じじゃないかということではあっても、やっぱりその衝にあり、その責務をになっている人のところでつくられるたたき台というもの、具体的にそれが全国社会教育委員会委員連絡協議会や、全国教育長協議会に出されるという法改正上の指摘事項ということになれば、これはやっぱり一定の意味づけを持ってこざるを得ない。そういう点からして、これは私は、冒頭に次官から、ただいま法改正の意図はないというふうな御見解を伺いました。いまのところないという表現だったのか、そのときになればわからぬぞということがあるのならば、その辺ももう一ぺんきちっとお伺いをしたいけれども、こういうような、いわば、ある意味では非公式だという形をとりながら、結果的にはこれが振り返ってみれば重要なステップになって、突如として、目を驚かせるような重要法案の改正が出てくるというようなことになることは、非常に心配があると思います。その辺の経過も含め、今後の展望も含め、それから、いまいろいろ見解の表明があったことも含めて、文部省を代表されてひとつこうしたさまざまな懸念に対して明確な御見解をいただきたいと思います。
#125
○政府委員(西岡武夫君) お答えいたします。
 ただいまるる先生の御質問に対しまして社会教育局長よりお答えを申し上げましたように、基本的な考え方については担当の局長であります今村局長の考え方と、先生の社会教育に対する御認識、御見解とは大きな基本的な違いはないのではないかと私拝聴していたわけでございます。
 そこで、具体的な今後の社会教育法についての文部省としての取り組みでございますが、ただいま先生が御懸念になっておられますように何か意図的にこれを既成事実を重ねていく中で、あるとき突然というような形でこの社会教育法の改正というような大問題を扱うというような考え方は、文部省としては毛頭ございません。これは明確に答えを申し上げておきたいと思います。
#126
○上田哲君 たまたま最後のところで大臣がお見えになりましたから、いままでるる討議してまいりました問題について、もう一ぺんだめ押しの御見解を承りたいと思うんですが、第一点は、今回改正の中心になっておる特殊教育の研究所、この特殊教育の研究を基本的な理念の立場から、単に一般教育に準ずる形ではなくて、特殊教育を充実させるという価値観の中で大きく進めるということについて大体御答弁をいただいたのでありますが、そのことを敷衍していただくことと、それから、いま大きな問題になっておりますことは、社会教育法の改正試案というべきものが当局の中でいろいろ練られ、これは非公式だということにはなっておりますけれども、出ております。これについて改正の意図はいまないというようなことでありましたので、了といたしますが、大臣としての御見解を最後に承って終わりといたします。
#127
○国務大臣(秋田大助君) 特殊教育の研究所のことにつきましては、いわゆる特殊教育の特殊性、その必要性ということを基本的に考えまして、万事配慮していくという、従来、またここで文部省関係者の答えましたことを明言いたします。
 なお、社会教育法の改正のことがいろいろ論議せられたようでございますが、このことは、省としてオーソライズした形においてまだそこまで至らないけれども、これをするという意図はまだ正式にないわけでございまして、したがって、次の国会の機会にこれを提案するというような考えは一切ございません。
#128
○上田哲君 終わります。
#129
○峯山昭範君 今回の文部省設置法の問題につきましては、すでにきょうまで相当審議をやってまいりましたのですが、私は初めに二、三質問をしたいのでありますが、きょうはひとつこの設置法そのものに入る前に、きのう並びに先般の委員会におきまして東大の農学部の非常勤職員の問題から端を発しまして、非常勤職員の処遇の問題並びに定員化等の問題が相当問題になりました。この問題につきましては、本来ならば、きょうここで結論を出すまで私たちは論争をやりたいのでありますが、残念ながら、きょうは設置法そのものをどうしても審議をしなければならない段階になりましたので、この問題については理事会等であらためて論争をやるという結論でありますので、私はこの問題は保留しますが、一言だけ大臣にも、きょうは文部大臣の代理でございますが、これはどうしても知っておいてもらいたいのでありますが、定員外職員の問題は、わが内閣委員会としても担当の委員会でありますし、この問題については、かねがねこの定員外職員の問題について検討をしてまいりました。しかし、今回新たに東大の問題をはじめ、具体的にこの問題が出てまいりました。私は一言だけ、次回の委員会等でこの問題を審議するにあたりまして、そのときはどうしてもこれは当局であります文部省当局並びに大臣にも御出席をお願いしてやらなければならないのでありますが、その前提として、それぞれの国立学校、国立大学等、特にこの定員外職員、これは定員外職員にはいろいろあります。そのすべてを含めて私は定員外職員と申しておきたいと思うのですが、そのすべてについて詳細な調査をやっておいてもらいたい。いままでみたいな簡単な調査ではなくて、詳細に調査をして、そうしてその人たちに対して今後どういうぐあいに対処すべきであるかということも、文部省当局が、学校から要望があってから要するに調査をやったり、やろうというのではなくて、こういうふうにもう東大にあるということはわかったわけですから、そのほかの全国の学校にもあることは明らかであります。そういうようなことで、文部省当局は積極的に自主的な調査をされて、そうして次回のこの内閣委員会における定員外職員の審議に資料として提出していただきたい。このことを初めにお伺いし、確認をしたいと思うのですが。
#130
○政府委員(安嶋彌君) ただいま定員外職員についての調査の御要求でございますが、私ども、もちろんできる限りの調査はいたす考えでございますが、どの程度、どういう内容の調査をしたらいいかということにつきまして、別の機会でもよろしゅうございますが、峯山先生からお話を承りたいというふうに考えます。
#131
○峯山昭範君 いずれにしても、調査して資料として、それは内容については、それは専門的にあと詰める問題あるにしましても、資料として提出するということを確認しておきたいと思います。よろしいですね。
#132
○政府委員(安嶋彌君) よろしゅうございます。
#133
○峯山昭範君 それではさっそくこの問題に入りたいと思うのでありますが、実はまず初めにお断わりしたいのでありますが、この委員会におきまして、今回のこの特殊教育総合研究所でございますか、実は私たち昨日もこの特殊教育、いわゆる心身障害者の教育に携わっている現場の職員の皆さん、また大学の専門の皆さん等の御意見をお伺いしながら、また、きょうの文部省当局の答弁等によりまして、特殊ということばがあまり適当ではない。教育基本法、学校教育法ですか、そういうふうな中にも出てくる問題でありますが、これは先ほどの答弁によりまして、特殊ということばを考え直せという話が出てまいりました。しかしながら、私もこれから質問を進める中に、特殊ということばを使わなければかわりのことばがないのであります。これは特殊ということばを使わないと、もう文部省の資料、並びにそこら辺の資料は全部特殊ということばを使っているわけです。きょうは私は非常に残念でありますが、特殊ということばを使いながらこの論争を進めてまいりたいと思います。このことを初めにお断わりして質問に入りたいと思います。
 初めに文部大臣にお伺いしたいのでありますが、大臣は文部省を担当されるようになりまして、まだ日にちも浅うございますので、こういうことを私が言ってしかられるかもしりませんが、今回の、私も実はこの文部省設置法を審議するにあたりまして、特殊教育の問題が非常に重要である、そういうような認識に立ちまして、実は養護学校とか、または療護学園というようなところをずうっと視察をしてまいりました。そして現場の先生や、また父兄の皆さん、生徒の声をずいぶん聞いてまいりました。非常に私たちはそういうような声を聞きながら、ほんとうに特殊教育というものが、これはほんとうに重要なものであるという認識を新たにしたような次第であります。
 そこで、大臣にお伺いしたいのでありますが、大臣はこういうふうな機関に行かれて、直接話を聞かれたことがあるかどうか、そこら辺の見解について初めにお伺いしておきたいと思います。
#134
○国務大臣(秋田大助君) その施設、直接参ってみずから見聞をいたしたことは遺憾ながらございません。しかし、この問題につきましては、十数年前、衆議院の文教委員長として関係した際に、国政調査で地方に出まして、この問題につき、たしか鳥取県でございましたか、この点についてのいろいろ陳情を受けたことがございます。しこうして、ただいま御指摘のとおり、心身に障害を持つ児童、生徒がその障害を克服して、能力、特性等を生かして、社会において自立していけるようにするためのいろいろ教育に関することは、教育自体の問題として、普通児の教育とともに相並んでいろいろ、またそれ以上に特殊の配慮を尽くすべき重要な問題と心得ます。
#135
○峯山昭範君 まあ確かに私たちも実はこの法案を審議するにあたりまして、こういうふうな療護院とか、あるいは養護学校へ参りまして、担当者の皆さんが、もう必死になって、こういうふうな教育に取り組んでいる姿を見まして、私たちも確かにこの、何といいますか、視察の時間を延ばさなければならないというぐらい切実に私たちは感じました。
 そこで、大臣にお伺いしたいのでありますが、この特殊教育の振興といいますか、この心身障害者の教育にあたりましては、まず第一に、私は何といっても特殊教育の理念を、これは明確にしなければならないと思うんです。それで、実は昨日も私は申し上げたのでありますが、まず、憲法の第二十六条ですね、二十六条のいわゆる「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」、機会均等もその中に入りますが、この法律に基づき、あるいは教育基本法第三条にもこの規定があります。さらには児童福祉法もやっぱり関連があるわけでありますが、こういうふうな基本的な姿勢に立って、私たちはこの肢体不自由な皆さんの教育というものを抜本的に私たちは考えていかなくちゃいけない。それもどういうぐあいに認識をすべきであるかということは、これは私たち非常に重要な問題であると思うんです。からだの元気な人たちは、義務教育で皆さん教育を受けて、それぞれりっぱに社会に育っていくわけでありますが、自分のからだが少し悪い、あるいは目が悪い、耳が悪い、そういうふうなちょっとした欠陥があるために満足に教育も受けることができない、受ける意思はあっても、その設備がないためにできない。そういうようなことは、非常に私は遺憾なことだと思うんです。
 そこで、文部大臣にこの特殊教育に関する根本的な理念といいますか、基本的態度ですね、これについて御見解をお伺いしておきたいと思います。
#136
○国務大臣(秋田大助君) ただいまも申し上げましたとおり、御本人に対する観念といたしましては、これは一般普通人に対すると同じく、これは特別の人だから少しまあ特殊な事情だから、ここまでは国は手が回らない、これはやむを得ないじゃないかというような考え方ではなく、普通児とともにりっぱに教育をしていかなければならぬ、こういう基本観念に立つものかと存じます。しかして、そういうふうな観念でこれらの方々を教育するということが、御本人のためではない、健全な社会をつくっていくというためにも必要なんであります。こういう観念に立ってこれらの人人に対する教育につきましては、すなわち一般児と同じく教育するという趣旨のもとに、条件が違いますから、それだけ施設等は十分配慮がされなければ、一般と同じ条件にならないわけであります。そういう点のきめ細かな配慮が必要なのではなかろうかと存ずる次第でございます。
#137
○峯山昭範君 そうしますと、いま大臣は普通の人と同じように教育を受けるだけの施設なり、また考え方でなくちゃいけない、特別な扱いではなくという話もありましたが、いずれにしましても、そういうふうな大臣の基本的な考えであるならば、私は、肢体不自由な皆さん方の、そういうふうな心身に障害のある児童の皆さん方がたくさんいる。調査のあとで私は内容等についてはお伺いしたいのですが、たくさんいるけれども、現実には思うようにみな教育を受けることができない実情にあります。たとえば、先日から新聞等にも相当報道されております。からだが悪くて、だれもめんどう見る人がなくて、座敷牢の中にはうり込まれて、ほんとうに人間並みに扱われてない。そういうふうな姿もずいぶん私も聞いているし、出てまいりました。そういう点よく考えてみますと、これは児童福祉法の「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」、きのうも参考人の皆さんの中に、両親、いわゆる保護者の責任というものもありますけれども、やはり児童福祉法第二条の精神からいきましても、その半分は国にも責任があるということになるわけであります。そういう点からいきますと、私はまだまだこの設備そのものにしましても、また、待遇にしましても、実際にそういうふうな養護学校に入りたいのに入れないという実情にあるのじゃないか、こういうぐあいに思うのですが、こういう点も含めて、再度大臣の所信をお伺いしておきたいと思います。
#138
○国務大臣(秋田大助君) 私、代理になりましてから御承知のとおり日なお浅くて、遺憾ながら実情等について悉知いたさない点につきましては、あしからず御了承願いたいと思うのでありますが、おそらく、いろいろと財政上の理由等によりまして、ただいま申し述べました基本観念によるところの具体的実現につきまして、施設と、また設備と、いろいろ欠けるところのものが多いのではなかろうかと存ずるのでございます。これらにつきましては、基本的に改善努力をいたしてまいりたいと考えております。実情等につきましては、必要あれば事務当局から説明を御聴取願いたいと存じます。
#139
○峯山昭範君 まあ、大臣のおっしゃるとおり、大臣に実情をいまお伺いしても、確かに無理な点もあると思いますので、それでは大臣も一緒に実情を聞いてもらいたいと思うのでありますが、事務当局に私は初めにそれじゃお伺いしますが、わが国における特殊教育の現状についてこれはお伺いしたいのでありますが、この特殊教育の学校の種別ごとに、そこで教育を受けなければならない、受ける必要のある児童、あるいは生徒の数は、一体どのくらいあるものか。それからそのうち、特殊教育諸施設といいますか、諸学校ですね。そういうところに実際に就学している児童は、必要のある児童数と比較して、どういうふうな状態にあるのか。さらにこれは各都道府県においても就学を猶予あるいは免除されている方々もたくさんいると聞いておりますが、その実情はどういうぐあいにあるのか。その概略について、現在の日本の特殊教育の現況を概略でけっこうでございますから、お伺いしたいと思います。
#140
○政府委員(宮地茂君) お答え申し上げます。
 御承知のように、特殊教育の対象になります子供たちの障害の種類なり程度が非常にバラエティーに富んでおりますので、それらを包括して要約で申し上げさせていただきたいと思います。
 視覚障害、これは盲学校の対象に従来からなるわけでございますが、矯正視力〇・一未満の子供、これは盲学校に入るべき子供はほぼ一〇〇%盲学校に入っておる。ただ私どもとしまして、〇・一から〇・三未満、このぐらいの視覚障害者につきましては、盲学校でなく、特殊学級なり、あるいは普通学級、この辺がまだ十分な調査もできておりませんが、そういうものもおりますが、少なくとも〇・一の盲学校に入るべき子供は盲学校へほぼ一〇〇%入っておる。
 同じように聴覚障害にしましても、程度が、たとえば、いわゆる全ろうに近い子供、七一デシベル以上の子供ですか、これがろう学校にほぼ一〇〇%入っております。ただ若干障害が全ろうでない子供たち、これはまあ特殊学級等へ入っているわけです。
 次に、精薄につきましても、IQの関係で中度、いわゆる四九、IQ四九以下の子供、これらは養護学校に入れて教育さすべきものと思いますが、遺憾ながら、盲ろうに比べまして、精薄につきましては十分な施設がまだ行きわたっておりません。
 したがいまして、私どもが養護学校に入るべきものと考えます精薄の在学率は二六%程度でございます。同様に、肢体不自由につきましても、程度の差がいろいろございますが、養護学校相当と思われるものの在学率は六〇%でございます。病虚弱につきましても、養護学校に入るべきものであると思われますものの在学率は二〇%でございます。その他は精薄、肢体不自由、病虚弱、いずれも特殊学級ないし普通学級に通っておる状況でございます。
 大体そういうことで、きわめて大づかみに申しますれば、盲ろうは一応別といたしまして、精薄、肢体不自由、病虚弱、これにつきましては、それぞれの特殊学校を今後充実して、その対象になる子供たちをそれに通わさなければ、いわゆる教育の機会均等という見地からは手落ちがあるという実情でございます。
 なお、学校数は、盲学校が国公私を合わせまして七十五、ろう学校が国公私合わせまして百八、精薄養護学校が百一、肢体不自由が九十八、病虚弱が四十という数字になっております。
 それから最後に、就学猶予・免除者の数ということでございましたが、就学免除者は四十四年度で、六歳から十四歳、小学校、中学校の該当年齢の子供で、四十四年度の調査で九千七百六十一名、同じ年齢で就学猶予者が一万一千百八十名、大体概数はそういうことでございます。
#141
○峯山昭範君 いま大臣もお聞きのとおりであります。これは私たち考えまして、確かにこの精薄の関係ですね、これはいま入学率は二六%という話がございました。それから肢体不自由が六〇%、それから病弱は二〇%ということであります。これはなぜこういうような実情であるのか、これは非常に私は重要な問題であろうと思うのです。これはいろいろ事情はあろうと思いますが、何といっても私はこの施設が不十分である。施設があるにしても非常に不便である。いろいろ事情はあると思うのですね。そういう点からいきましても、私はこれは教育の機会均等とか、まあ教育基本法なり憲法で定められておりますけれども、こういうような方々は、ちょっとしたその事情によって、いわゆる教育を受けるところが少ない。そのためにそれができないというのでは、これは私はほんとうにそういう方々かわいそうだと思うんですね。そういうような意味からいいましても、ほんとうに教育を受けることができる、受けられる状況にある人たちは、少なくとも一刻も早く、先般から教科書の無償配付とか、いろいろな問題が出てまいりましたけれども、私たちは、こういうようなこの人たちも一刻も早く教育を受ける機会といいますか、受けるところが自由に選択ができ、そうしてほんとうに一刻も早く、こういう方々を持った両親の立場になって考えてみますと、非常に私は身を切られるような思いであろうと思うのです。そういうような意味からも、ぜひともこういうような、端的にいいますと、すべてのこの心身障害を有する者に対する、すなわち教育の機会の保障を、一体文部省としてはいつごろまでにこれを実現しようとお考えになっていらっしゃるのか。いわゆる特殊教育振興の将来の考え方、将来に対するビジョンといいますか、そういうようなことをどういうようにお考えか。概略でけっこうですからお伺いしたいと思います。
#142
○政府委員(宮地茂君) 先ほど申しましたように精薄、肢体不自由、病虚弱の子供、重度のそういう子供を対象にしての養護学校、私どもはぜひこれを設置したい。それはいろいろ特殊教育振興の諸施策がございますが、その中の一つの大きな問題だと思っております。したがいまして、現状は精薄の養護学校を持っていない県が二十九、病虚弱の養護学校を持っていない県が二十八ございます。肢体不自由の養護学校を持っておられる県は、全県でございますけれども、それにしても、全県にあります養護学校ではございますが、しかし一県一校ということでは、やはり寄宿舎に入って通えば別ですが、なかなかむずかしいといったようなことで、各県にありますものの、肢体不自由でも六〇%しか在学していない。あとの四〇%という子供は、各県に一つでは不十分だということでございます。しかし、精薄、病虚弱は、いま申しましたように、一校も持っていない県がございますので、まず未設置県を解消するということで、いわゆる養護学校の設置義務を一刻も早く課したいということで、年次計画をもちまして推進いたしております。将来のことでございますので、はっきりここでお約束できませんが、私ども事務当局としてのめどといたしましては、四十八年度までにともかく未設置県を解消する。したがいまして四十九年以降はということを目標に推進いたしております。ただ一県に一校つくったから、設置義務は果たしたいということでもいかがであろうかといったようなことがございまして、いろいろそういう点も目下検討しておるところでございます。
#143
○峯山昭範君 いま局長からかなり明確に答弁ございました。確かに私は一県一校では足りない点もあると思います。それは徐々に充実していかなければならないと思うのでありますが、特に今度はそれをもう一歩進めまして、要するに精薄並びに肢体不自由、病弱、この三つが非常に養護学校が少なくて現在おくれているわけでありますけれども、これは私はあの学校教育法二十二条一項あるいは三十九条一項に、保護者の子供を就学させる義務というのがございますが、要するにこういうふうな方々を、先ほどお話ございました猶予処置ですね、就学を猶予または免除という、そういうような処置をしている方々が、先ほど概略全国で二万人ほどございましたのですが、そういうふうな処置にしてしまうと、やっぱりこれは何というか、私も現実に学校へ行きまして聞きましたんですが、ほんとうはもう親が必死になって一生懸命やっているところはいいのですが、そうでないところは、もうそれをいいことに、ほんとうにかわいそうな扱いをされるということもあるわけであります。それでは私はほんとうに申しわけないと思いますし、また、国としても、児童福祉法の精神からいいましても、それではいけないと思っております。そこで、先ほどから言っておりますように、学校教育法の二十二条あるいは都道府県の特殊教育諸学校の設置義務の中に、学校教育法の七十四条でありますが、こういうふうな中にいわゆる養護学校の義務制といいますか、そういうようなものが、まだ、戦後二十数年たちましたけれども、現実としまして、いまだきちっときめられてないように私は思うのですが、これはできたら義務制というものをもうちょっときびしくちゃんとして、そういうような方々を国としましても、また地方公共団体としましても、あたたかい手をうんと差し伸べて、そうして親も進んでそういうような学校に入れたい、そういうふうになるような施策というものが私は必要であると思うのです。あるいは、ただ単に義務制をとったところで、親のほうもたいへんな点はあると思いますが、そういう点についてもやはり一考を要すべき問題じゃないか、こういうぐあいに思うのですが、この点についてはいかがでしょう。
#144
○政府委員(宮地茂君) 御意見の御趣旨に私ども全く同感でございます。あげられました学校教育法の本則の規定に一日も早く到達するように鋭意目下努力しつつございますが、早急に本則に帰るように、本則が実現できるように努力いたしたいと思っております。
#145
○峯山昭範君 先ほど、各県に養護学校等、少なくとも最低限一校はできるというお話でございましたですが、これはやっぱり私は各都道府県によってもいろいろ事情もあると思うのですが、学校の施設を新設あるいは増設するにあたって、現在施設の補助率ですかは何か二分の一ですかね、いまは。これは二分の一ではちょっとたいへんなところがあると思うのです、現実の面から。これはできたら私は三分の二くらいに引き上げたらどうかという考え方も持っておりますのですが、これは実際問題、非常に予算の面がありますからたいへんではあろうと思うのですが、こういう点についてはどういうぐあいにお考えでしょうか。
#146
○政府委員(宮地茂君) まあ私どもも気持ちといたしましては、この特殊教育の設置を推進するためにも、財政上の問題が一つのネックになっておるということを痛切に感じております。そういう意味から申し上げれば、もちろん二分の一よりも三分の二の国庫補助ということが望ましいというお考えに対しましては異論はございません。ただ、そういうことで引き下がればよいのですけれども、ただ、現状はそこまでいっておりませんが、義務教育の小・中学校でも二分の一とか三分の一といったようなこと、さらに国全体の財政上の問題ということで、先生の御意見のような形になっておりませんが、気持ちといたしましては異存はございません。
#147
○峯山昭範君 私はいろいろと、何といいますか、文部省当局がこういうことを大蔵省へ言いますと、やっぱりいろいろなことを言われるとは思うのですけれども、これは義務教育の設備は、いま少なくとも学校にしろ教育のいわゆる先生にしろ、これは不足している点もあるとは思うのですが、これはほとんど完備しているわけですよね。いわゆる肢体不自由というだけで、あるいは精薄というだけで、あるいは病弱というだけで、いわゆる養護学校なり、そういうような学校がないわけですね。それは私は非常にそういう点は一刻も早くそういう人たちが、何といいますか、そういうふうなちゃんとした教育が受けられるようにしてあげるべきであると思うのです。できるだけこういう点についても、今後さらにそれぞれ予算折衝等があると思うのですが、そういう機会に積極的にこういう点を取り上げて、文部省当局も折衝をしていただきたい、こういうぐあいに思います。
 それからもう一点は、心身障害児の就学のための援助奨励の、何といいますか、処置は、文部省の法律の中にも、これは施行令ですか、きめられて、ある程度援助が行なわれているようですが、しかしながら、私は現状だけではまだまだ不十分だ、こういうふうな考えを持っております。先日もいろいろ聞きましたし、昨日もいろいろ事情を聞きましたが、相当な経費であります。子供を学校に連れていくため父兄がついていくためのお金ももちろんありますし、それだけではなくて、もう相当の出費がかかるわけですね。そういうふうな面から考えてみまして、就学率が非常に低いということは、そういうふうなお金の面も相当私はあると思うのです。そういうような面は、これはもう今後なお一そう充実して、そして父兄の皆さん方が安心して教育をさせられるようなふうにしなければいけない、そう思います。特に父兄の、何といいますか、父兄負担の軽減というのですかね。こういうような問題をこれは緊急に処置をして、そして今後こういうふうな父兄の皆さん方が安心してこういうような問題に取り組んでいける、こういうような対策も私は講じていかなければいけないのじゃないか、こういうぐあいに考えておりますのですが、この点についてはいかがでしょう。
#148
○政府委員(宮地茂君) 盲ろう養護学校への就学につきましては、一般の小・中学校の就学に比べましていろいろ不便もございますし、さらに多額の経費を必要といたします。そういうようなことから、私ども先生の御意見のように、父兄の経済的負担の軽減をはかって、できる限り就学を奨励したい、こういうようなことで、就学奨励法が、就学援助に関する法律が二十九年にできましたが、それ以後、漸次就学援助の措置を講じておるところでございますが、まあ文部省といたしましては、一般の学校等につきましても、これは厚生省関係の生活保護家庭の子供に対する援助、これを要保護児童と私ども呼んでおりますが、それに上積みをしまして、要保護児童よりは若干家庭の経済、収入はよいけれども、要保護に準ずるような家庭の子供を準要保護児童生徒というふうに呼んでおります。要保護、準要保護につきましては、一般の小・中学校等につきましても就学援助をいたしておりますが、さらに、特殊教育につきましては、一般の要保護、準要保護にないものも援助費として相当組んでおります。たとえば交通費等で、付添人とかの経費は、要保護、準要保護にはないんですが、さらに寄宿舎から帰省をするときの本人とか付添人への援助費、それから寄宿舎居住に伴いましての寝具購入、日用品購入、食費、修学旅行、郊外活動、学用品購入、通学用品費、もちろん金額は必ずしも十分ではございませんが、一般の子供にはない措置も講じております。さらに、従来特殊教育学校につきましては、いま申しましたような措置が講じられておりましたが、特殊学級に就学します子供は要保護、準用保護の対象であって、特殊学級児としてのそれにプラスしたものはございませんでしたが、四十六年度から養護学校と特殊教育学校と同じ扱いを特殊学級の子供にもするようにいたしております。なお今後とも就学援助については力をいたしたいと考えております。
#149
○峯山昭範君 確かに就学を容易にするための施策としてはいろんな施策があると思うんです。現実にいま話がありましたバスの運行とか寄宿舎の問題等あると思うんですが、これはやっぱり非常に私は話を聞いておりまして感じましたことは、その学校が非常にへんぴなところにあって、最近の交通事情が非常に悪くなった。そのために肢体不自由な皆さんが朝二時間近くもバスにゆられて学校へやってくる。からだの調子は悪いわけでありますから、二時間もゆられて学校にやってくると、とてもじゃないけれども、授業をしようとか、そういうふうなことはもうとてもじゃないが不可能である、そういうふうな話まで出てきましたのですが、これは実際現実の面として、こういうふうなスクールバスあるいは寄宿舎の問題等は、現在どの程度これは進んでおりますでしょうか。また、これからの計画等についてはどういうぐあいにお考えなんでしょうか。
#150
○政府委員(宮地茂君) 私どもこの特殊教育学校につきましては、これは県庁所在地に学校があるのが大体の傾向でございますが、小・中・高等学校のように、全県下におりますこういう障害児にくまなく学校を設けるということはできません。そこで、できる限り寄宿舎に入っていただくということを奨励いたしております。したがいまして、二時間も三時間もゆられてそういう学校に通うということよりも、寄宿舎に入ってもらって、寄宿舎の居住に伴う経費を援助するという方向でいっております。僻地等で遠距離通学費の補助は一般学校でいたしておりますが、こういう特殊学校の対象になる子供を、幼稚園の子供をよくスクールバスでいろいろ集めて幼稚園に行っている式にやりますと、きわめて広範囲になりますので、とてもそれはむずかしいのじゃないかということで、スクールバスといったようなことは当面考えませんで、もっぱら寄宿舎居住、さらにまあ若干の通学費というものは考えてはおりますが、いまの先生の御指摘のように、非常に遠くの者の通学援助という点に焦点を当てての措置は遺憾ながら今日やっておりません。
#151
○峯山昭範君 いや、私は現実にこれは話を聞いてきたわけでありまするけれども、ふだんなら三十分で来るというんだな、ふだんならね。ところが、朝やはりどうしてもラッシュアワーにかかったりして、非常にバスの運行が悪くて来れなくなってきているところが現実にあるらしいんですよね。そういう点があったのでいろいろお伺いしているわけでありますけれども、さっき寄宿舎に入れる方針という、寄宿舎がこれたいへんですよ。実際問題、バスよりなおかつ寄宿舎というのは、私は非常にこれはたいへんじゃないかと思っております。
 それじゃ寄宿舎の問題についてお伺いしたいんですが、実際問題、寄宿舎をつくりますと、そこに勤務するまかないの皆さんや看護婦の皆さんは、これはもうほんとうに二十四時間勤務ということになると思うんですね。先ほどから勤務の状態とか、また、いろいろ話がありましたけれども、これは職員の定員とか、また勤務条件の適正化、これは非常に重要な問題だと思うんです。こういうふうな問題については、これはそれじゃどういうぐあいにお考えなんでしょうか。
#152
○政府委員(宮地茂君) これは先ほどの上田先生の御質問にもお答えいたしましたが、まず寄宿舎で、いまの先生の御指摘の点は寮母の問題だと思います。寮母につきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、四十四年に標準法を改正いたしまして、生徒六人に対しまして寮母一人という計算で寮母を設置する。しかし労基法の関係もございまして、労基法では一週間に宿直は一回を基準とする。一週間に二回も宿直させては労基法の趣旨にも沿いませんので、生徒数が少なくても最低一つの寄宿舎に七人は寮母が要る。したがって、一週間は七日でございますので、日曜を含めまして七人の寮母が最低一週一回でできるようにということを目標にしまして、いまそこまで寮母の設置はいたしております。
 それから寄宿舎居住につきましては、子供への援助は寝具、食費等の援助をいたしております。
#153
○峯山昭範君 いまのこの二点もう一回お伺いしておきたいんですが、一つは看護婦の問題につきましても、確かに六人に一人という割り当てといいますか、その規約はきまっておりまして、これは事情によって非常にたいへんなところと、何というか、心身障害児といいますか、精薄にしましても、その児童の様子によってはとてもじゃないけれども、六人のめんどうを見れない場合もあるわけですね。そういうふうな場合は、これは実情に即応して対処していらっしゃるのかどうか。そこら辺のところはどうなっているかという点がまず第一点です。
 それから第二点としまして、私は、バスの問題でありますが、確かに学校がやはり少ないために通学が遠距離になる。寄宿舎に泊まればいいけれども、しかし寄宿舎というわけにもいかない、こういうことが現実にあるわけです。そうしますと、私はこのスクールバス等も見せてもらいましたけれども、バスを運行する形態として、いわゆる学校がそのバスを直接運行している場合と、それから地方公共団体が経営するバス会社と契約して、そして運行する場合と、それからまた、民間のバス会社と契約して運行する場合と、三通りぐらいあるわけですね。しかし、そのバス会社からの契約のいろんな実情等も聞きましたけれども、最近の交通事情の悪化等から、いわゆる定時運行というのが非常に困難になってきている。いわゆる朝始まる時間にきちっと到着しない。そのために非常にいろんな問題が出てきている。学校自体にも問題が出てきているし、バス会社自体にもいわゆる赤字運行というようなことでお断わりしたいと、そういうようなことで一ぱいいろんな問題が出てくるわけですね。ですから、結局は、これを解決するのは、こういうふうなスクールバスの運行についての十分ないわゆる補助金を出して、そして補助金を出すということと、それからもう一つ、何といいますか、学校自体でバスがきちっと運行できると、そういうふうな抜本的な対策が必要じゃないか、こういうぐあいにも思うわけでありますが、この二点についてお伺いしておきたいと思います。
#154
○政府委員(宮地茂君) 私ども、学校自身がスクールバスを持つということは、近所のバス会社を利用するよりもいろいろな面でベターであろうということで、これは交付税上の積算でございますが、一人の運転手ということは交付税上、特殊教育学校には積算はいたしております。なお、通学する場合の形態はいろいろございますけれども、各人各様ということもいけませんので、これは幼稚部、小学部、中学部というふうにいろいろ段階がございますが、たとえば交通費ですと、通学してくる幼稚部の子供には一万二千三百八十一円、小学、中学部一万八千四百十七円という補助積算をいたしております。もちろん、これで十分ではございませんし、先ほどちょっと消極的に申しましたが、スクールバスはしないということではございませんで、スクールバスですと、県内にたくさん学校があるわけでございませんで、盲学校、ろう学校等、一校か二校でございます。したがって近回りの子供だけでございますので、それよりも、通える子供は通学で、通えない子供は寄宿舎でということを本体にすべきだということで申し上げたんですが、現にスクールバス等も助成をいたしてはおります。
 それから、前段のほうの御質問で、ちょっと私先ほど数字を間違えましたが、寮母、従来六人に一人でございましたのを五人に一人に改めたわけでございますが、さらに肢体不自由児、脳性麻痺のような子供、これにつきましては、子供四人に対して寮母一人という積算をいたしております。これはあくまでも国の積算でございまして、県にその積算の数字で定数を配分いたしますので、具体的な何々学校に対して何人というのは、県で実情を勘案して、実情に沿うように運用されておるわけでございます。
#155
○峯山昭範君 それでは、時間の関係もありますので、次へ行きたいと思うのでありますが、特殊教育、私ども実はこの法案を審議するにあたりまして、まあ初めて特殊教育の重要性というのが私ども自身にもわかってきたような次第なんでございますが、いろいろ調べれば調べるほど感じましたことは、特殊教育の意義や効果といいますか、こういう特殊教育に関して何が一番いわゆる障害になっているか、そういうぐあいによく考えてみますと、障害になっていることの一つに、親や社会の無理解というのがあると思うんですね。私は、そのために、結局、たとえばそういうふうな子供が生まれてきた親は、もうほんとうに社会に顔向けができないなんていう雰囲気というのが現実にあるわけですね。したがって、きのうの参考人の話の中にも、何といいますか、野菜の倉庫の中に自分のそういうような子供を長年隠しておく、そういうような話も出てまいりました。そうしますと、私は、結局は、社会における認識を全般に高める以外にない。また、親のこの無理解を何とかして取り除く以外にない。これに対しては、社会的にこの特殊教育に関する認識そのものを向上させる以外にないと思うんです。これに対して文部省当局としては、どういうぐあいに考えていらっしゃるか。当然、私は大きな問題でありますので、できたら大臣の考えをお伺いしたいと思うのであります。
#156
○政府委員(宮地茂君) 私から事務的にやっておりますことを申し上げまして、あと大臣の御所見を述べさせていただきたいと思います。
 御指摘のように、確かに従来からのわが国のこれはまあ理由のない、理屈としては理由がないんですが、やはり親の心情として、そういった子供を持つということに対してのコンプレックスといったようなことから、親が、父兄が隠す。さらに社会も、私どもがよく聞くんですが、精薄の養護学校へ入ったら、あれは精薄の養護学校の卒業生だということで、できるだけ普通学級へ入りたいというようなこともよく聞きます。しかし、子供たちのためになりませんので、御指摘のとおり、親の理解、社会の理解、これが一番重要な問題と思います。
 で、具体的に私どもがやっておりますのは、四十二年度からでございますが、やはり、こういうことは町ぐるみでそういうことに皆さんの理解を得るのがよいことであろうと思いまして、テストケースといたしまして、四十二年度から特殊教育推進地区というのを、これはわずかでございますけれども、文部省で指定いたしまして、そういう問題に取っ組んでもらっております。さらに、社会教育の関係になりますが、おかあさん方の婦人学級、社会学級といったようなことで社会教育を推進されております。そういう場でこういう問題を十分取り扱ってもらう。さらに、これはそのこととは多少ほかの問題がございますが、大学等に特殊教育についての科目を設ける。特に教員養成大学に科目を持つだけでなくて、全部の大学にそういう特殊教育のコースを設けていって、そういう先生方の今後の御活躍で、親なり社会の啓蒙もはかってもらいたいといったような具体的な措置を講じておりますが、必ずしも十分ではございません。
#157
○国務大臣(秋田大助君) 確かにこの問題を解決をしていくためには、国の財政上の援助等がありますが、それが出てくるためにも、社会及び親御さん、その他一般のこの問題に対する啓蒙を行ない、理解を高め、意識の向上を期する必要があります。文部省といたしましては、ただいま局長からいろいろ方途について苦心、経営をいたしておるところを御説明申し上げましたが、私といたしましては、何といたしましても、広くこれを、また、すみやかに徹底する一助といたしまして、ラジオ、テレビ等を利用することもまた有効にして必要な方策ではないかと存じております。過般も私、何チャンネルでございましたか、おかあさんが苦労して娘さんを育て上げ、いろいろりっぱな手芸品等をつくっておられるという画面を見まして、自分もさらに反省をいたし、この問題に対する理解を深めた次第でありますが、こういう方途につきましても、これらの方面と十分連絡をとるという方策も講じてみたいと思っております。
#158
○峯山昭範君 私は、この特殊教育の問題につきまして、確かに私は社会的にもこの認識を新たに、私たち国民全部がもう新たにして、この問題に取り組まなければならない。そのことをしみじみと思うのでありますが、最近ある新聞に重症心身障害児の遺稿集というのが現在連載されております。これは大臣もぜひ一ぺん読んでもらいたいと思っているのでございますが、これは私も連載されているのをずっと読みましてしみじみと感ずることは、どんなにからだの調子が悪い、どんなに重症の心身障害児でありましても、ほんとうに一生懸命に勉強したり、あるいはその意欲がやはりあるのですね。それでその適切な手さえ加えれば、やはりそういう方々でもちゃんともう何でもできるように私はなるのだということをしみじみと思いました。そういうふうな意味におきましても、これは私たちこういうふうな行政の立場にいる皆さん方をはじめ、そういう立場にいらっしゃる皆さん方が、まずまっ先に認識を新たにしていただかなければならないということを私はしみじみと思う次第です。そこで、先ほどからお話がございました特殊教育に携わっていらっしゃる先生でありますが、あるいは寮母の皆さん等も含めて私は話をしたいと思うのですが、先ほど同僚議員の質問の中にこの問題がちょっと出てまいりました。私はそれを一歩進めて質問をしたいのでありますが、現実の問題として、こういうふうな学校へ来る希望者が非常に少ない。各大学におきましては、こういうような関係の教員をどんどん養成は一生懸命やっておるわけでありますけれども、しかしながら、希望者は現実の問題として少ないということがございました。そこで文部省当局として、こういうふうな特にこの特殊教育の効果をあげるために、何と言ってもその専門の教育を受けた、またそういうことに熟練したいわゆるその先生がどうしても必要である、私はそう思うのです。そのためには、これは十分な処遇というのが必要になってくると思うのです。この点についてはどういうぐあいにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
#159
○政府委員(宮地茂君) やはり特殊教育はなかなかむずかしい分野でございます。それだけにりっぱな先生に来てやってもらう必要がございます。したがいまして、そのためには、教員養成制度そのものもそうでございますが、同時に待遇、給与面の改善ということが非常に重要なことと思います。先生の御意見と同感でございます。
 そこで今日やっておりますのは、一般の先生方と同じ給与表を適用いたしておりますが、それに八%の調整額の支給をいたしております。これは八%というのは大体二号俸ぐらいでございます。で、これは本俸と全く同じ扱いがなされますので、一般の学校の先生方よりも二号俸高い俸給が支給されていると、まあ常識的にそう言えると思います。それから特殊学校ですと、一般の先生士の給与表は、それがいい悪いは別といたしまして、小・中学校、高等学校というふうに段階が俸給表にございますが、特殊教育学校では、幼稚並の先生も高等学校の先生の俸給表を適用いたしております。まあそういうことで、一般の先生よりも相当の処遇はまあ考えておりますが、必ずしも十分ではもちろんございません。
#160
○峯山昭範君 そこで私は、現実にこれは聞いてきたのでありますが、確かに八%の調整手当、確かに二号俸アップになる。私はそれだけではもう十分じゃないわけですね。それだけじゃ十分でないという意味は、要するに特殊学校へつとめている間は確かに八%はアップする。ところが、その特殊学校をやめると八%は取られるわけです。ですから要するに、特殊学校へつとめたから、要するにプラスになるという点は全然ないわけですね。ですから、ある若い教員が特殊学校へつとめる。その場合、たとえば、できたらそういう方々は特殊学校で五年なら五年つとめた場合に、そのつとめたことに対する、これは何らかのプラスになることがなきゃいけない。そこを考えないといけないと思うのですよ。たとえば八%というのがこれは無理なら、そのまま私はついていくのは、これは不合理な点があると思います、私は。あると思いますが、たとえば一号俸なら一号俸でもいいから、特殊学校で五年なら五年、年限はいろいろあると思うのですが、五年とか十年とか、いろいろあると思いますが、五年なら五年つとめたら一号俸、その人はその学校をやめてもその号俸がついて回る。そのぐらいに優遇してあげれば、私は特殊学校へいく人たちがどんどん出てくると思うのですよ。現実の――これからいろいろももっと突込んで話をしますが、非常にたいへんな実情にあるわけです。そういう点では、あらゆる優遇措置というものを私は考えたほうがいいんじゃないか。こういうぐあいに思うのですが、この点いかがでしょう。
#161
○政府委員(宮地茂君) 特殊教育学校の先生は、一般の学校の先生としての免許状にプラスしまして、特殊学校の先生の免許状、二つの免許状を持っておられるというのが、まあ原則になっておるわけなんです。そういうことで、特殊教育の免許状を持たれる先生は、一般の学校の先生をできるのだけれども、なおかつ、これは二十単位なんですけれども、取って、特殊教育の免許状まで取っておられるという先生が、大部分の方が特殊教育に一生をささげたいというお気持ちの先生方が多うございます。しかし、さればといって、もう特殊教育はいろいろやったが、その経験に立って一般の学校にかわりたいという人を、袋小路に押し込めるようなことはしたくございませんけれども、原則はそういうことでございます。したがいまして、いま先生のおっしゃる交流を避ける気持ちはございませんけれども、実情はそういうことでございます。
 しかし、それでも交流ということが、ぜひその先生のためにも必要であるということでございますれば、これは従来からもそういうことが一応理屈としてはいわれているわけですが、たとえば僻地学校に勤務しますと、三年くらいの間に特別昇給というのをする原則になっているわけです。三年間ぐらい僻地教育手当をもらわれますが、それが平地にかわられると僻地手当がなくなるわけです。しかし、三年ぐらいおられる間に一回は特別昇給をして差し上げるということでございますので、そういう方法も一つであろうかと思います。先生のおっしゃいます趣旨も、大体実質的にはそれでも解決できるのじゃないかと思いますが、十分検討させていただきたいと思います。
#162
○峯山昭範君 局長いまおっしゃったように、特別昇給でもいいです。何らかの方法で、特殊教育に携わった人たちというのは、たとえほかの学校にかわったにしても、要するに何らかの優遇措置が、たとえば――たとえばの話ですが、小学校の、あるいはまた高等学校の教頭になり校長になるためには、特殊学校の先生を何年間かやっておくべきである。これは特殊学校は少ないわけですから、もうそうすると、なり手がわんすか来ると思うのです。まあそういうことは不可能かもしれませんが、私は、それくらい考えてもしかるべきじゃないか、そう考えているのです。というのは、局長は、特殊学校にいく人は特殊教育関係の免状と普通の免状と両方持っている。しかし、現実はそうじゃないですよ。現実はそうじゃない人が多い。要するに一生特殊教育にささげる、確かにそういう人も私は現実に――現在そういう特殊教育に携わっている人たちというのは、非常に情熱を燃やしています。私たちが一時間の視察で行っても、とても一時間じゃ帰してくれません。もう泣くような思いをして、特殊教育に関するいろんな問題を訴えてきます。そういう点からいきますと、ただ単に私は免状だけの問題じゃない。現実に免状はなくても一生懸命やっている。そういうふうに私は思うのです。そこで、そういうふうな特別昇給なり何なり、何らかの具体的な処遇というものをやってほしいという感じが私はしました。そういうような意味で、いまで、いま局長さん、そういうようなことを考えてもいいというお話がございましたので、この問題についてはそれ以上私は言いません。ぜひともそういう方向で考えてもらいたいと思います。
 そこで、先ほども出てまいりました介助員の問題であります。これは私も、現実に介助員がどういうぐあいにして働いているかということを見てまいりました。非常にこれはたいへんですね。もう特殊教育をするためには、心身障害児の、たとえば精薄にしましても、または病弱にしましても、肢体不自由児にしましても、介助員がいないと、とてもじゃないけれども、指導はできない。何だかんだ言うても、現実に先生が講義していると、あっちでおしっこ、こっちで便所でしょう。そうすると先生が一々そこへ行ってやっておると、みんな授業がストップです。やっぱりどうしても必要ですね。あれ見ていると、しみじみと私は思いました。
 そういうような意味では、介助員という制度というのは、これは何らかの方法でこれから考えていかないといけないのじゃないか。こういうぐあいに思うのですが、こういうふうな制度といいますか、こういうふうな方々の身分の問題もあると思うのです。こういうような点についてはどういうふうにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
#163
○政府委員(宮地茂君) 幾つかの学校で、特に特殊教育学校では、いまおっしゃいました介助員というのを置いておられるところもございますし、また、現実に私も、この父兄の方々から、自分たちが親身になって介助員をするからというようなお話も承っております。ただ、介助員もこれはやはり相当な教育的な仕事でございますので、父兄の方々の御熱意は了とするのですけれども、さらばといって、その方々を介助員として任命することが制度上どうかといったような問題もありますし、さらに、学校ではいろいろ――私どもの努力が足りないところでございますが、事務職員を学校に置かなければ先生方がオーバーワークになる、従たる仕事の事務に追い回される。あるいは養護教諭がいないとか、いろいろな問題が、今日、学校の職制、定数を考えます場合に、懸案がずいぶんあるわけでございます。したがいまして、介助員だけを採りますことは――先生のおっしゃいますことを異論を申し述べる気持ちは毛頭ないのですが、やはり将来の職制、定数の全体の問題として十分検討に値する問題とは心得ております。そういう意味で、今後、将来の問題として検討さしていただきたいと思っております。
#164
○峯山昭範君 それはぜひ、検討ということはこれなかなか実現しないということにもなるのですけれどもね。実は、介助員の問題について、たとえば具体的に言いますけれどもね、東京の王子、これは公立の、東京都立の王子養護学校、または北養護学校というのがあるわけです。そういうところには、現実に介助員の皆さんもいるわけです。東京都の場合ですね。ところが、国立の養護学校になると、これは介助員がいない。同じ養護学校でも、国立のほうが非常にそういう点では劣っておるわけですよ、現実の問題としてね。たとえば、東京都立の養護学校の場合は、学習介助、身辺介助、移動介助、添乗介助、そうゆうような種類がそれぞれありまして、たとえば高校卒の女性の方がこういうような介助員として当たっていらっしゃる。こういう方々は昼間はそういう介助をやって、夜は夜間の大学へ通っていらっしゃる。そういうふうなことを現実にやっていらっしゃるわけです。ですから、私は国立の大学の付属病院または付属、こういうような小学校におきましても、こういうふうな介助員の問題については、これは定数の問題もいろいろあるとは思いますが、現実にそういうふうにやって非常にうまくいっているところもあるわけでありますし、こういう点についてももっと積極的に私は国の立場で考えるべきである。こういうふうに考えていくべきだと思うんですが、これはこの点どうでしょうか。
#165
○政府委員(宮地茂君) これは先生方も十分御承知のところでございますが、私ども国立学校の教職員の定員一人ふやすのにもたいへんな努力が要ります。定数法のワクもございます。そういったようなことで、一番問題になっているのは、いま大学の定員をどうするかという問題で、内閣委員の先生十分御存じと思いますが、そういった制約もございまして、これを直ちに定員としてということもさることながら、賃金職員あるいは非常勤職員にいたしますと、またこれを常勤職員といった問題も起こりますので、これはいろいろ問題がございますが、現実に国立の教育大学の付属の桐が丘養護学校では、賃金職員として数名の介助員に当たる者を採用いたしておりますが、そういった点で、検討と申しますと、時間がかかるということでもございますので、そういったことで当面国立については充実していきたいという意欲は持っております。そういう意味で前向きに検討し、関係方面とも折衝いたしたいと考えております。
#166
○峯山昭範君 局長の意図はよくわからぬでもないですが、内閣委員の皆さんは、定員を一人ふやすのにたいへんだということをよくわかっていらっしゃるはずだということですが、確かにこれは定員をふやすのはたいへんだと思います。思いますが、これは国立大学の問題とは別に、違う面で非常に重要だと思います。なぜかなれば、これは義務教育ですよ。これは憲法で保障された教育です。また、教育基本法で保障された国がやらなければいけない教育ですね。ですから、そういうふうな面から私は考えなければならないと、こう思っているわけです。実はもう一歩突っ込んでこの問題について話をしたいと思うんですが、もうすでに考えていらっしゃると思うんですが、これはいままで介助員がいないために、学校の先生が大きな子供をかかえて、トイレに連れていったり、またいろいろな世話をするために、腰痛症というのですか、腰が痛い病気ですね。最近職業病として大きく問題になりつつありますが、そういう人たちがものすごくたくさんいるわけです。こういうふうな人たちを、これは実情をもうすでに掌握していると思いますが、現実にそういう方々の話を十分聞きますと、ほんとうにたいへんなんです。もうほんとうにあの大きな子供をかかえて、それはもうほんとうに歩く姿を見ていると非常に涙が出るほどたいへんだというのがわかります。そういう点からいきましても、私は介助員というものを増員するということがどうしても必要だということを目の前に見せられてしみじみ思いました。
 そういう意味からもひとつお伺いしたいのでありますが、こういうような腰痛症を起こしている教員がどのくらいいるか、こういう点についてはどういうふうに掌握していらっしゃるか、その対策等についてもあわせてお伺いしたいと思います。
#167
○政府委員(宮地茂君) まことに恐縮でございますが、いまおっしゃいました点、文部省として調査資料を持ち合わしておりません。
#168
○峯山昭範君 ですから、私はね、これはこの間すでにテレビでも放送になっておりました。見たかどうか知りませんが、私はまあたまたま運よく見たんですがね。これは非常に私は職業病として厚生省関係の、これは整肢療護園関係も含めて、これは国立の養護学校、桐が丘の養護学校でもありました。ですから、こういうような問題は、これは女性だけと違うのです。男性の中にもあるのですね。で、こういうような問題について非常に現場でも要望がありました。したがいまして、こういうような問題についても早急に調査をして、そして今後この問題についても対処していただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
#169
○政府委員(宮地茂君) 何らかの形で調査いたしたいと思います。
#170
○峯山昭範君 ただ、単に何らかの方法で調査するというだけじゃなくって、調査し、その上で対処していただきたいと思うのですよ。どうですか。
#171
○政府委員(宮地茂君) 調査いたしまして、また、いま桐が丘の例をおとりになられましたので、関係者並びに校長等とも十分実情について私どもも掌握して、御趣旨のような点は十分検討いたしたいと思います。
#172
○峯山昭範君 次にもう一点お伺いしたいのでありますが、私は実は東京都立の養護学校へ参りましたときに、そこの校長が、私たちが行く前にもう相当資料をつくって私たちに提出をいたしました。それで問題点をそれこそもうずうっと、こう述べました。その述べた問題の中の六番目に、いわゆる訪問教師の問題、訪問教育の問題が出てまいりました。これは確かに学校に通学困難な人たち――子供に対する教育、これはやっぱり私はたとえ一人であっても、その子供が教育を受けたいと希望している、しかしながら通学することはできない。非常に私は、たった一人のためにというかもしれませんけれども、私はその親の立場に立てば、また、その子供の基本的人権ということから考えてみれば、やはり私はこういう方々に対しても、こういうふうな訪問教師、いわゆる訪問教育ということは、非常に私は大事なことであろうと思います。現実にこういうふうな方々は、自主的に学校の先生がそういうふうな家庭をたずねて、そうしてみんなプライベートなお金を払って教育をしている人がずいぶんいるわけですね、現実の問題として。こういうふうな問題について、私は早急にこういうふうな訪問教育という問題の制度化、あるいはこういうふうな問題についてのまあ創設といいますか、充実といいますか、そういうことを早急に考えるべきであると思うのですが、この点についてはどうお考えでしょうか。
#173
○政府委員(宮地茂君) 御指摘の、家庭を訪問して指導しておる教師、まあこういうものを置いておる都道府県、二十二の都道府県にあるようでございます。したがいまして、私ども定数法上そういうものを積算いたしておりませんが、現在二十二の都道府県で実施されておりますので、そういう実施状況あるいは成果、こういったようなものを十分調べまして、前向きに検討してまいりたいと思います。
#174
○峯山昭範君 この問題も非常に重要な問題であると思いますし、私はぜひとも、定員の問題もあると思いますけれども、私たちは、もしこういうふうな問題で定員の問題等が出てさましたら、私たちは行政管理庁に一緒に行って、何ぼでも側面的な応援はしたい、ほんとうに思います。何とかこういうふうな先生もふやして、そしてそういうふうな恵まれない人たちに対して、たとえ一人であっても、何とか教育をできるように、また、そういう人たちが希望すれば、そういうような教育もどんどんできるようにしてあげたい、そういうふうな思いで一ぱいであります。
 次に、まあ時間がありませんので、たんたんと次へいきますが、特殊教育の要望の中でこういうような問題がありました。先ほど来専門的には、各大学でもそういうふうな特殊教育に関するいわゆる専門の先生がいらっしゃるという話がありました。そうでありますが、しかし現実の問題としては、この言語障害とか、または水治訓練とか、そういうような専門の先生が非常に少ない。設備があってもその設備を生かすことができない。専門の先生が全然少な過ぎるというのですね。専門の先生がおれば、もうこの子供は完全によくなるのに、その専門の先生がいないために何ともならないという実情にあるわけですね、現在。たとえば昨日同僚の議員から、これは中国におけるあの実例の話がありましたけれども、そういうふうな専門の先生の数が少ないわけですね。日本において、そういう点においてどういうぐあいに、文部省として、いわゆる社会復帰をさせるためにも、そういうふうなそれぞれの専門の先生が私は必要であると思うのですが、これに対してはどういうふうに進めていらっしゃるのか。また、対策なりそういうふうなものについてはどう考えていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。
#175
○政府委員(宮地茂君) いまの先生の御質問、ちょっとはっきりつかめなかったのですが、大学におきます先生でございましょうか。特殊教育学校における専門の先生、たとえば技能訓練の先生とか、そういう意味ですか。
#176
○峯山昭範君 そういう意味です。
#177
○政府委員(宮地茂君) 確かに特殊教育の学校で、従来、これは上田先生の御指摘もございましたが、特殊教育の学校では一般の学校に準じた教育を行なうのだということで、種々御意見も述べられましたように、特殊教育につきましては、確かにわが国では十分な進歩はいたしておりません。その一つとして、技能訓練ということが非常に大事だということで、技能訓練をつかさどる先生を、ぜひ特殊教育の学校に置きたいということを言い出しましたのは、ごく最近の実例でございます。そういったような意味で、技能訓練担当教員といったようなものを今後相当養成していかなければいけない。技能訓練を十分施すことによりまして、障害児の社会復帰に非常に役立つという認識のもとに、今後技能訓練教員の養成を充実していきたいというふうに考えておりますが、まあこれから養成していきますのでは数年間かかります。そういうことで、技能訓練の教員の養成とあわせて、技能訓練教員としての仕事がすぐにでもできる先生を、まず現職教育をすることによって、速成でございますが、間に合わせていくという二つの方法でやりたいというふうに考えております。それで、これは文部省が主催いたしまして、全国幾つかの地域で十日前後の現職研修を一年前からやっておりますが、それを充実しますのと同時に、特殊教育総合研究所ではもう少し二カ月ないし三カ月ぐらいで、こういう先生が何か研修として養成できないかということで、いま検討も進めております。今後も一そう努力したいと思っております。
#178
○峯山昭範君 いま話ございましたけれども、確かにこの教員養成の現状から見ましても、この特殊教育諸学校の先生として必ずしも十分な教育を受けていない先生というのは確かにいるわけですね。そういうふうな意味では、文部省当局としては、いまやっていらっしゃる研修なり、それをもっと充実して、できるだけ多くの方々が、たとえば養護学校の先生にならなかったとしても、あるいは特殊学級の先生にならなかったにしても、これはそういうふうな研修を進めることによって、あるいは少しでもこれは全体のレベルアップにもなりますし、そういう点はできるだけ充実していただきたいと思っております。
 それから、これとちょっと違う問題でありますが、昨日来の論争の中で、この特殊教育、いわゆる心身障害児、特に精薄、肢体不自由、それから病弱等の教育のいわゆる教育効果を上げるためには、これは幼児教育というのがどうしても必要である。これはもうほんとうにきのう、おとといからの論争から見ても、私は必然的にそうなってくると思うんです。
 そこで、確かにこの教育は、これは六歳になってから小学校、中学校と、いわゆる義務教育になってからの教育では、これはおそいわけですね、現実の問題として。そうしますと、これはまあ現状いろいろ事情はあろうと思いますが、いわゆる義務教育、普通教育に先立って、これは幼児教育をどうしてもしなければいけないと思うんです。そういうふうな意味では、いわゆる幼稚園、その前から入るわけでありますが、そういうふうな方々の教育を、あるいは義務教育、あるいは義務教育というのは無理にしましても、準義務教育といいますか、そういうふうな位置づけというのも私はこれは大事じゃないかと、文部省当局として、こういうふうな問題についても、当然そのたとえば精薄の子供さんを教育するにあたって、確かに六歳からじゃなくて、三歳なり、四歳のとき、すでにもうわかっている。そこら辺のところから、何らかの手を打っていくということも私は必要じゃないか、こういうぐあいに思っておりますのですが、この点についてはどういうぐあいにお考えでしょうか。
#179
○政府委員(宮地茂君) 子供のいろいろな障害を早期に発見して、これは教育だけでなくて、いろいろな面で対策を講じなければいけませんが、そういったような観点から、早期発見につきましては、御承知のように母子保健法ですか、三歳児検診が保健所で行なわれておるのでございまして、聞くところによりますと、これは厚生省の所管ですが、検診者が六〇%のようでございます。したがいまして、全員がこの検診を受けて、早期に障害の発見をし、いろいろ適切な対策を講じる必要がありましょうし、まあそういうことで、今後ともこの面につきましては、厚生省にも私どもお願いし、御協力も願いたいと思っておりますが、そういうことで、こういう障害児に対して早期に教育をしていく、それが非常に大事だということが最近非常に社会的にも強く要望されております。
 そこで、文部省といたしましては、先ほど上田先生の御質疑でいろいろ御意見もございましたが、まあ今後検討するとしても、いまやっております判別委員会、さらに都道府県に教育センターがございますが、そういうセンターにもこういう子供の判別相談に応ずる施設もございますし、また、今度この総合研究所ができれば、もっと充実してできますが、そういったようなことを充実して実施して、幼稚部を今後ぜひ特殊教育学校には設けていきたいということで、現在年次計画をもちまして特殊教育学校への幼稚部設置促進計画というものを一応文部省を持ちまして、今後努力していきたい、こういうふうに考えております。来年度の予算におきましても、幼稚部は相当数の特殊教育学校に付設する計画でございます。
#180
○峯山昭範君 それでは、私は約束の時間もきたようでありますので、できるだけまとめてこれから質問したいと思います。
 昨日も少し問題になったことでありますが、こういうふうな児童の皆さんを、生きがいといいますか、義務教育を終える涙の卒業式というのがあるわけでありますが、それ以外の問題について、これは高等部というものは非常に少ないわけでありますが、こういうふうな高等部の設置というふうなこと、あるいは子供の職業教育といいますか、職能教育といいますか、これも必要であると思うのですが、これはやはり文部省当局としても何らかの方法で考えていくべきであると思うのですが、まずこの点をひとつ。
 それからもう一点は、これは、特殊学級の問題でありますが、特殊学級の問題は、確かに年々増設されておりますけれども、まだまだ現状では無理だろう、まだ不十分だろう、こういうぐあいに思っております。そこで、いろんな問題がありますけれども、これは子供たちの偏見や差別感を排除するためにも、いろんな、たとえば障害児の社会における適応性を得るためにも、たとえば一部共同授業をやったり、あるいは特殊学級の運用にあたって、これはもうほんとうに特別の研究をしなければならない、また、あらゆるくふう努力をしなければならないと思うのですが、この二点についてお伺いしておきたいと思います。
#181
○政府委員(宮地茂君) 障害者が社会に復帰するためには、特殊教育学校の小学部、中学部だけでなくて、高等部に進学し、そこで社会復帰に必要な職業教育等十分に行なっていく。しかも、従来こういう障害者は、いわゆる、はり、あんまといったような、非常に限定された職業でございましたが、そういうことにならないように、いろいろ、たとえば理容科、ピアノ調律科、工芸科、美容科、歯科技工科といった、その他いろいろございますが、ただ、はりとかあんまとかいったような限定した職業だけでなくて、広くその才能を生かして社会復帰できるようなそういう科目、学科を持った高等部の設置ということで私どもも考えておりますし、今後こういう高等部の設置は充実したいと思っております。
 特殊学級につきましては、これも一応の計画といたしましては、一定の人口を持ちました市等に、今後、これは特殊教育の子供の発生率が一応ございますので、これは小・中学校のように全市町村にということは、これはとうてい無理でございますので、ある程度の人口を持ちました市以上にぜひ設置していきたいという計画で、四十六年も千二百学級の特殊学級を設置することにしております。さらに情緒障害児については四十学級を設置するといったようなことで、相当前向きに施策を進めておるところでございますが、今後とも努力いたしたいと思います。
#182
○峯山昭範君 非常にこの特殊教育の問題は問題が多過ぎて、とてもじゃないけれども、なかなか簡単に終わりそうにないのでありますけれども、このほか私は重複障害児の教育の問題とか、そのほか就学児童に関する組織の充実の問題とか、こういうような問題についてもほんとうはいろいろと質問したかったのでありますが、これは同僚議員がこのあと質問いたしますので、譲っておきたいと思います。それから、総合研究所の内容等についても種々問題がございますが、この問題についても後ほどにしたいと思います。
 そこで最後に、これは私たちも種々勉強し検討してまいりまして、しみじみと思いますことは、この心身障害者対策の問題も非常に重要であります。そこで、この諸法律を整備統合しまして、これは心身障害者対策基本法というようなものもこれは早急に制定すべきじゃないか、こういうことも考えております。この点についてもどういうぐあいにお考えか、お伺いしておきたいと思います。
#183
○政府委員(宮地茂君) 心身障害者基本法といったようなもの、私も趣旨はけっこうと思いますが、ちょっと文部省としましては、教育面でありますので、私どもちょっと多少所管外でございますので、まことに失礼ですが、文部省としては御趣旨には反対ではございませんが、しかるべき所管の省の責任ある御答弁をお求めいただきたいと存じます。
#184
○峯山昭範君 厚生省来ていますね。厚生省ですね、もう時間がありませんので一問だけで終わっておきたいと思いますが、先日厚生省所轄の整肢療護園へ行ってまいりました。現実に整肢療護園へ参りまして、私たちもあの施設に働いている皆さんの意見も十分聞いてまいりましたけれども、非常にたいへんな仕事をやっておりました。そういうような面から考えて、ああいうふうな整肢療護園で働いている皆さん方の処遇の改善というのは、これはもう非常にたいへんなことだと思うのです。そういうような意味でも、ああいう肢体不自由の児童を預って働いている皆さんの姿というのは、私は見ておりましても、もう涙の出るほどたいへんな仕事をやっております。ただ単に机上で云々するような問題では私はないと思うくらい、ああいうふうな皆さん方の献身的なその動きに打たれました。そういうような意味で、ぜひともこういう整肢療護園とか、こういうところで働いている皆さん方の、たとえば看護婦の増員とか処遇の改善とか、こういうことについてどういうふうにお考えなのかという点が第一点。
 もう一つは、先ほど言いましたこの心身障害者に対する基本的な考え方をはっきりさせるためにも、また、義務教育をちゃんと受けるようにするためにも、こういうふうな心身障害者対策基本法のようなものを、私は本来ならば、きょうは厚生大臣に――いずれにしてもそういうふうな考え方を持っておりましたのですが、これは議員立法であるそうでありますが、いずれにしましても、こういうふうな抜本的な考え方をやってもらいたい、そういうふうな考えでありますが、その見解をお伺いしておきたいと思います。
#185
○政府委員(坂元貞一郎君) 心身障害関係の施設というのは、非常にたくさん数が多いわけでございます。そこでたくさんの職員の方に非常に御苦労願って勤務していただいているわけです。そこで、これらの職員の方の処遇を改善していくということがやはり最も大事なことでございます。この点は御指摘のとおりでございます。そこで、従来から厚生省としても、ここで働いていただいている職責の処遇改善ということについては最も気を配ってきたところでありますが、まだまだ十分なところまでいっておりません。したがいまして、四十六年度、今年度におきましても、定数の増とか、あるいはそういうものを中心としました労働条件の緩和のための処遇改善というのを予算的にも計上いたしているわけでありますが、まだまだ十分なところまでまいっておりませんので、今後ともこのような施設の職員の処遇というものにつきましては、私どもも最大限の努力をしていきたい、こういうふうに思っております。これは厚生省としても最も重要な施策の一つでございますので、そういう観点からいいましても、これらの職員の方々の労働環境の緩和と申しますか、適正化と申しますか、そういうものにつきましては、いま申しましたように重点施策の一つとして今後ともがんばっていきたいと思っております。
 それから、心身障害者対策の各種の法律というのが実はあるわけでございますが、それぞれの法律を総合したような基本立法というもので、昨年の国会で心身障害者対策基本法というものが制定されておりますが、この点、法律の施行にあたりましては、関係各省がたくさんあるわけでありますが、その総合的な運用ということにつきましては、総理府が中心となりまして、審議会等も設けまして、運用が円滑にいくようにということで現在相談中でございます。
#186
○峯山昭範君 大蔵省と防衛庁来ていますか。
#187
○政府委員(薄田浩君) 施設庁来ております。
#188
○峯山昭範君 両方にお伺いしますが、これで私の質問は終わりでありますけれども、米軍の王子のキャンプの問題でありますけれども、これは米軍から返還されるということにもうきまっているのではないかと思っておりますのですが、そのあとの利用計画について、防衛施設庁と、それから大蔵省にお伺いしたいのですが、これはキャンプ王子の両端に王子養護学校というのと北養護学校と両方がある一わけです。これは両方の養護学校を今後充実していく意味におきましても、これはいまも私ども見まして、食い込んであるわけです。ですから王子養護学校はもと確かにキャンプ王子そのものだったのです。王子養護学校のそういうような意味からいいましても、ぜひとも返還される場合は、これは文部省当局からもそういうような要望も出ると思うのですが、ぜひとも現地におきましても、それこそ懇切丁寧に要望がありました。これは養護学校を今後運営していく上においても、キャンプの全体とは言わない、全体でなくてもいいから、少しでもいいから、養護学校の運動場なり、またはあるいは用地として使わしてほしい。こういうふうな要望がありましたのですが、きょうは担当の方々に長時間待っていただきましたけれども、いままでいろいろと特殊教育の問題を聞いていただいておりまして、さらにまた、それぞれのキャンプ王子の担当者として、ぜひとも今後の問題として、きょうここで即答はできないと思いますが、こういうような問題も加味して、今後何に利用するか、直接聞いておりませんけれども、この問題についてはぜひとも考えてもらいたい。こういうぐあいに思うのですが、それぞれ担当の方に答弁をお伺いしたいのです。
#189
○政府委員(薄田浩君) 基地を提供しております施設庁の立場で、現状と、それから先生の御質問の今後の対策をお答えいたしたいと思います。
 キャンプ王子は、御承知のように返還をするという大前提、これはいわゆる必須条件ということで交渉しております。ただ、最初に、従来は米側はあそこは現在病院として使われております。一昨年の暮れに閉鎖しておりますが、一応病院機能ということを米軍は言ってきております。それを他の適当な施設に移転することを条件にして数年にわたって交渉しておりましたが、その後、病院機能が停止いたしまして、その他、御承知の昨年末のいろいろのいわゆる米軍再編成計画等がございまして、そういう諸条件に対応いたすという考えから、われわれといたしましては、米側の条件の緩和、まして一番大事な早期返還ということについて鋭意努力しておりまして、先生の御質問の返還という大前提はくずれるおそれはないというように思っております。
 それから、あと地の利用でございますが、これは国有財産でございますので、本来大蔵省のほうからお答えがあろうかと思いますが、われわれ承知しておりますのは、いわゆる東京都のほうから、先生がおっしゃいましたような施設に使いたいということで強い御要望を受けております。施設庁の立場といたしましては、長年基地を提供いたしておりまして、地元の方々の御要望あるいは御迷惑等も十分承知しておりますので、国有財産の場合は大蔵省でございますが、いわゆる関係当局へのごあっせんなり、われわれとしてのまた意見は、先生のおっしゃいましたような趣旨で現在もやっておりますし、将来もやっていきたい、こういうふうに思っております。
#190
○説明員(柴田耕一君) あと地の関係につきまして御説明申し上げます。返還の見通しはいま立っていないわけでございますが、本地の返還の見通しがつきました段階におきましては、私どもといたしましては、国有財産一般の処理方針にのっとりましで、できるだけ本地を公共、公用的な利用方針で臨みたいと思っております。先生も御承知のように、国有財産の審議会というのがございまして、そこに付議するという手続も必要になろうかと存じます。
 本地につきましては、先生御指摘のように、本地の北側に王子養護学校というものがございまして、南側に北区の養護学校がございます。で、都庁あるいは区、区議会あるいは都議会あるいは東京都知事から、昨年の初め、二月ごろ以来、再三あと地の利用につきまして、公園の施設あるいは心身障害者施設、公園緑地等にいたしたいとの転用申請がございます。かたがた、日本住宅公団からも住宅用地としての申請を受けておる次第でございます。いずれにいたしましても、私どもは、都会地の枢要の場所でもございますし、先ほども申し上げましたように、こういった公共、公用的な方向で審議会に付議してまいりたい、かように存じております。
#191
○峯山昭範君 これで質問終わりますが、いずれにしましても、この三日間にわたりまして特殊教育の問題を審議してまいりまして、私も特殊教育の重要さというものをしみじみと感じました。
 最後に大臣にお伺いしておきたいのでありますが、第五十九国会閉会後の衆議院文教委員会において、特殊教育振興に関する附帯決議というのが行なわれているわけです。私はこの附帯決議を見てみますと、第一項目から第六項目まで、今回の審議にあたって出てきた問題等はすべて指摘されているわけですね。にもかかわらず、こういうような問題を再度指摘しなければならないということ自体が私は問題であろうと思います。そういうような意味におきましても、こういうような問題をたびたび審議するということは、それまでなかなか実施されていないということにもなるわけであります。そういうような意味におきましても、どうかこれを機会にこの特殊教育の問題についても万全の施策を講じていただきたいということを希望いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。−大臣。
#192
○国務大臣(秋田大助君) ただいま御指摘の附帯決議の趣旨実現に関しましては、「総合的に研究することを目的とする国立の中央機関を設置すること。」、これは今回の提案の法律案をもちましてこれに応じたことになると思いますが、その他二、三、四、五、六項目、いずれもただいまの先生御質疑の中での問題点でございます。これらにつきましては、ただいまお答えを申し上げたような趣旨によりまして、さらに検討、そして善処をいたしてまいりたいと考えております。
#193
○岩間正男君 当委員会の熱心な討議が続いて、審議が続いているわけでありますが、このいわば障害児教育は、教育の谷間、この谷間に一条の光がさすことができる、こういうことになれば非常に幸いだと思うんです。こういう観点から私も質問をしたいと思うわけです。大体障害児教育の実態を見れば、これは教育の実態がわかるんじゃないかと、教育全般の。そういう意味を持っていると思うんですね。だから、谷間の問題を明確にして、これに対する熱意がどうか、そうしてこれに対する施策がどうか、この点が教育全般の熱意をはかるバロメーターになると、私はこういうふうに考えます。あとでも地方の実態なんかでもいろいろ例をあげることができる、こういうふうに思うわけであります。そういう点から、この法案でいま問題になっております国立特殊教育総合研究所の設置に関連して、障害児教育の現状、それからその問題点の二、三について質問したいと思います。
 まず、本年二月十六日の参議院文教委員会の議事録を読んでみますと、本年度における文教行政の重点施策について文部大臣の所信が述べられています。その中にこう書いてあるのです。「心身に障害を持つ子供たちのすべてが、適切な教育を受ける機会に恵まれ、その障害を克服して有為な日本国民として成長していくようにするため、特殊教育学校と同様に特殊学級への就学奨励措置を講ずるなど特殊教育の普及と充実に力を注ぐ考えでありますが、特に来年度は特殊教育に関し主として実際的な研究を総合的に行ない、教職員の研修等をも行なう国立特殊教育総合研究所を横須賀市に建設し、十月から開所いたしたい所存であります。」、こう述べて、いま現在、本内閣委員会において審議している文部省設置法の一部改正案となったものと考えられるわけであります。
 そこで、国立特殊教育総合研究所の設置目的は、障害を受けている子供たちの教育を受ける権利の保障をより充実するための一環として配慮したものと考えられますので、まず最初に文部大臣の障害児教育に対する基本的な考え方について承りたいと思います。
#194
○国務大臣(秋田大助君) 障害児はやはり、障害児ではございますが、日本の子供でございまして、このお子さん方が普通児と同じようにりっぱな教育を受ける権利も持っておる。また、国はそういうお子さんをりっぱに教育する義務と申しますか、責務を有するものである。これは特殊なお立場にあるから、これに対する処遇を、特殊にするという意味は、一般の教育を受ける権利を充足するための手段としての特殊な状態、さればといって、特殊なるがゆえに、その特殊的ないろいろ厚遇を薄くするようなことがいささかもあっては相ならぬものである、こういうふうに考えております。
#195
○岩間正男君 ただいま大臣の御答弁があったわけでありますが、しかし実態はそうなっているかどうか、この問題が非常に重要な問題だと思いますので、これについては具体的にお聞きをします。
 ことに私が聞きたいのは予算の状況ですね、予算の裏づけがなければどんなにきれいなことばで飾っても実際は内容がない。空疎なものなんです。単なるアクセサリーにすぎないのでありますから、そこのところが非常に重要だと思う。
 その前に、先ほどから問題になっております「特殊」教育というのは、これは不適当じゃないか。昨日も三参考人がこまごま述べられた問題であります。この問題につきまして、私たちは、文部省の現在行なわれてきた教育の内容ですね、実態ですね、そういうものに関連して非常にこれは重大な問題だ。きょうの論議の一つのこれは焦点になる。少なくとも基本的な態度の問題になる。こういうことを昨日もこれはわれわれ発言したわけであります。きょうは文部大臣の発言に対しまして、この「特殊」ということばについては非常にこれは正しくない。やはり実態に合わぬ。そういう点から、これは、このことばの用語については再検討する、こういうような答弁があったわけですね。そこで、この問題について、これは大臣は昨日おいでにならないわけですね。この点で特にもう一ぺん念を押しておきたいと思うのです。
 「特殊」教育ということばの意味といいますか、概念といいますか、これは普通教育に対置する「特殊」な教育なのか。それとも普通教育の対象がたまたま障害児であることによって、その教育方法が「特殊」だというのか。この二つは区別して考える必要があるのではないかと思う。大臣は、これは前者と考えられるか、後者と考えられるか。憲法二十五条の生存権の規定の問題、あるいは同二十六条の教育を受ける権利の規定によれば、障害を受けていることの有無によって教育上差別されることはあり得ない。これが当然のたてまえだというふうに思います。
 また、教育基本法第一条に照らしても、障害児なるがゆえに、その教育の目的や目標は一般児と何ら異なることなく、ただ障害を受けていることは事実だから、これに対して十分な心身発達上の考慮を払って普通の教育を行なってほしいというのがその趣旨だと、これは思うのです。つまり障害児に対する教育、すなわち障害児教育という発想で「特殊」教育を理解するのが妥当ではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点あらためて大臣の見解を、ここで基本的態度として明確にしてほしいと思います。
#196
○国務大臣(秋田大助君) 先ほどの先生の御質問に対しまして、私がお答えをした中で申し上げかと思います特殊ということば、特殊教育ということば、まことに微妙なニュアンスを持っておりまして、確かに適当なことばではないが、他にどうもさればといって的確な表現がない、こういうことであろうと存じます。しこうして、心身障害児等の方々、お子さんに対する教育につきましては、どういう内容で、どういう意味を持った教育をすべきであるかという点につきましては、先生のおっしゃるとおり、全く私は同感でございます。
#197
○岩間正男君 したがって、差別とか、そういう形、あるいは恩恵的なそういうものでないということ、当然これは憲法によって保障された当然の権利である。そういう点は、これは確認されるわけでありますか。
#198
○国務大臣(秋田大助君) 私も先生と同様に考えております。
#199
○岩間正男君 そうしますと、その考え方をどう実現しておるかというところが、先ほど申しましたように大きな問題になってくる。そこで、まず第一に予算の面からこれはお聞きしたいんですね。先ほども峯山君からお話がありましたが、「特殊」というのは――これは速記にもお願いしたいですが、カッコをつけてほしい。「特殊教育」ということばでやらなければぐあいが悪いというなら、「特殊」にカッコをつけてもらいたいですね。われわれの発言の中にそうしてもらえばいいわけだ。これはイコール障害児教育。しかし妥当な、もっといいことばがあるかもしれませんが、一応カッコをつけてもらいたい。これは特に要望しておきたい。
 この「特殊」教育に対しては、これはたとえば最近四十五年度でいいのですが、どれくらいの予算が組まれておりますか。四十五年度の予算でいいでしょう、それはいかがです。
#200
○政府委員(宮地茂君) 四十六年度予算が可決されておりますので、四十六年度予算でお答えいたします。
 四十六年度予算、文部省の例の大学関係の特別会計を除きまして、一般会計予算総額が九千八百四十八億でございます。それに対しまして、特殊教育関係予算総額約百四十二億でございます。その内訳は国庫負担金関係百三億、文教施設整備関係十六億、その他二十一億、そういうことになっております。
#201
○岩間正男君 これはパーセンテージにするとどのくらいになりますか、パーセンテージ、つまり一般会計に対してですね、「特殊」教育の予算というのはどのようになっていますか。
#202
○政府委員(宮地茂君) 九千八百四十八億に対しましての百四十二億でございますので、割りまして二%弱でございます。
#203
○岩間正男君 ちょっと違うんでありますが、一・五%ぐらいじゃないですか。大体私のほうの試算しているところでは一・五%ですね。これはどうでしょうか。諸外国の例ですね、ことに社会主義国なんかの例、こういうものとやっぱり対比してみる必要があると思うんですね。そのような資料をお持ちでしょうか。
#204
○政府委員(宮地茂君) 諸外国の予算の比較というのは持ち合わしておりませんが、内容としてのたとえば特殊教育学校の学級編成あるいは一学級当たりの児童生徒数、教員一人当たりの児童生徒数、こういった実態を見ますと、いま社会主義諸国とおっしゃいましたが、社会主義、ソ連等の資料がよくわからないんですが、アメリカ、イギリス、西独等と比較してみますと、いま申しました内容では、日本は決して遜色はないというふうに考えております。
#205
○岩間正男君 これらの資料を実は出してもらいたい。もっとも、これは教育予算だけじゃ見られないかもしれません。全般的にこれは社会保障費の中での障害児関係、心身障害者の関係は、これは見なくちゃわからぬだろうと思いますけれども、これについてこれは検討してほしいのです。ここに四十四年度の「特殊教育資料」というのがあります。これはいわば白書みたいなものです。そうでしょう。これには予算がないのです。予算入っておりますか、何ページ。予算の推移わかりますか、何ページです。
#206
○政府委員(宮地茂君) 四九ページです。
#207
○岩間正男君 これは予算書の中からとったものですか、何ページ。
#208
○政府委員(宮地茂君) 四八、九ページでございます。
#209
○岩間正男君 それではこの資料を、ここ五、六年でいいですが、この推移を、これはどうなっているか。それからいまの諸外国との比較の、ことに社会主義諸国との比較の例、こういうものをやはり白書の中に明らかにしてほしいと思います。これはどうですか。
#210
○政府委員(宮地茂君) 先生のお持ちの資料と私の持っておる資料、同じと思いますが、それの四八ページから九ページに、四十年、四十一年、四十二年、四十三、四十四とございますが、さらに他の委員の御要求で、三十七年度から四十六年度までの十年間の予算比較表を資料提出の要求がございまして、お出ししてあるはずでございます。
#211
○岩間正男君 そうしますと、この予算の額、それから諸外国との比較、そういうもの、それから最近の増減の問題、さらにそれが実態としてどうなっておるかという点が非常にこれは重要な課題になってくるわけですね。
 それで私はこれと関連しまして、二、三法制上の問題もお聞きしたいと思うんですね。
 第一の問題は、このわが国の教育の普及率ですね。これとの関係ですが、教育の機会均等は世界でもパーセンテージは非常に高くなってきておる。就学率は、先ほどからしばしば述べておられるように九九・八尾、こういうふうに言われております。また、大臣の所信表明でも、「障害を持つ子供たちのすべてが、適切な教育を受ける機会に恵まれ、」とあって、「障害を持つ子供たちのすべてが、」と強調されていますので、世界に冠たる日本の義務教育該当の障害児童、生徒の就学率について最近の調査資料によるパーセンテージをまず最初にお聞かせを願いたい。
#212
○政府委員(宮地茂君) 先生、恐縮ですが、ちょっと意味がよくわからなかったのですが……。
#213
○岩間正男君 この義務教育該当の障害児童、生徒の就学率、これはどうなっていますか。
#214
○政府委員(宮地茂君) 九九・八%でございます。で、このコンマ以下の数字は、就学免除者が正式に免除として届けられております者が約一万人弱、九千七百人ということになっております。猶予者は一万一千人余りでございます。
#215
○岩間正男君 いや、私の聞いているのは、障害児の児童生徒の就学率です。
#216
○政府委員(宮地茂君) 障害児につきましては、これは障害の種類、聴覚、視覚、精薄、いろいろございますので……。
#217
○岩間正男君 それを種類別にやってください。
#218
○政府委員(宮地茂君) 種類別に申し上げます。これは私ども昭和四十二年に障害児童生徒の実態調査をいたしまして、それによりまして、これは推定が入りますが、四十二年に調査いたしましたもので、障害者の出現率というものを設定いたしました。それから推定をした数字でございます。それで説明さしていただきますが、視覚障害関係が、これは、先ほど他の委員の御質問にすでにお答えいたしましたが、〇・一未満の矯正視力の子供、これは一〇〇%盲学校に就学いたしております。それから聴覚では七一デシベル以上、全ろうに近い子供、これもほぼ一〇〇%の在学率でございます。精薄関係ではIQ一九以下、この子供が推定一万六千百二十二人おりますが、大体教育の可能度といったようなことからIQ一九以下の子供、いろいろ学問的にも問題がございますが、厚生省の精薄収容施設――社会教育としての施設に入っておる子供、あるいは入るべき子供、これはほとんど就学いたしておりませんが、IQ二〇以上四九以下の中度、重度の精薄の子供、これは教育の対象になるという前提で二万七千八百人の推定になりますが、その就学率は二七%でございます。肢体不自由者でこれはボーダーラインがどうも精薄、視聴覚のように数字的に出てきませんが、肢体不自由者で養護学校に入るのが相当と推定される子供が約二万人ございます。それの就学率六〇%、病虚弱関係は、病虚弱の養護学校に入るのを相当と考えられる子供の就学率は二一%。大体障害別にそういうことになりますが、いま申しました数字で精薄に例をとりますと、二七%ばかりの者が就学しておる。そうすると残りの七四%は全然未就学かと申しますと、そうでございませんで、特殊学級とか普通学級とか、そういうところへいっておるということでございます。肢体不自由、病虚弱につきましてもそういうことでございますが、先ほどの教育の機会均等という見地から、障害を受けた子供が当然適切な施設として入るべき学校に入っておるかという数字で申しますと、先ほどの数字になるということでございます。
#219
○岩間正男君 これはまあ、先ほど上田委員にもお答えになったそうですから、重複はこれからなるべく避けたいと思うわけですけれども、いまのお話にもありましたように推定、そういうことで大体これを見ますと三〇%になっていますね。そうすると、一方では九九・八%就学率を誇っているわけです。これは世界有数だということで誇っている。しかし、これに対しまして、これは、障害者の場合はその三分一にも満たない、こういうことになるわけですね。だから大臣、私はこの大臣の答弁というやつの重さですね、この論議をするわけだけれども、実際この重さが問題になると思うんです。なるほど、とにかく質問をしたときには、これに対しましてはもう鋭意努力をします、非常に重大な課題でありまして、教育の機会均等から当然これはもう最善の努力をいたさなければなりません、そういうことをみな言うわけですね。
  〔委員長退席、理事塚田十一郎君着席〕
私は、実際はこの実態を聞いて驚いているわけです。そうして、いまさらながら速記録をずっと少し過去にさかのぼって調べてみる。そうすると、過去にそうそうたる大臣たちが、これは荒木文部大臣、中村文部大臣、灘尾文部大臣、剱木文部大臣、坂田文部大臣、歴代の文部大臣の所信として、「特殊」教育の振興に尽くしたいとみなだれも述べておりますね。それほど重点施策として御努力をされているのであれば、少なくとも一〇〇%とまではいかないまでも、もっと私はこれは進歩しているだろうと考えていた。ところが、実際、この実数をいま説明されましたが、これからまたこれは資料なんかで検討して、実はこれは誤りではないかということを――これは驚くんですね。非常に驚きを深くする。こういうことから関連しまして、盲学校、ろう学校、養護学校、さらに「特殊」学級の実数について、これも先ほど一応あったと思いますが、簡単でいいですから、この数をここでお示しを願いたい。
#220
○政府委員(宮地茂君) 大臣への御質問でございますが、私の説明をちょっと補足さしていただいて、大臣の……。
 いま先生がおっしゃいましたように、確かに考え方では三〇%の就学という数字は出てくるわけで、これは先ほど来申しておりますように、IQ幾つのものは普通学級とか特殊学級でなくて養護学校に入るべきであるといった前提を置きまして、今日養護学校が充足されていないので、その養護学校には入っていない。しかしながら、特殊学級とか普通学級には入っているという子供が残りの七〇%のほとんどでございます。そういうことで、完全に就学していないのは免除者の約一万人ということでございますので、十分おわかりと思いますが、ちょっと私の説明もまずうございましたので、その点も補足さしていただきまして、大臣の御答弁をさしていただきます。
#221
○国務大臣(秋田大助君) まあ養護学校が設置が十分でない、したがって、行くべき適切な学校に入れないでいるというようないま説明であったわけでございます。就学率につきいろいろ注釈が入るわけでございます。しかし、先生御指摘のとおり、一般児童の九九・八と比較いたしましてこれは著しく低率である、これは数字が明白に示している。そこにやはり過去の国の施策の不十分さが数字であらわれておると思います。この点につきまして、われわれはぜひこれらのおくれを取り戻すべく真剣に努力を重ねてまいりたい、こう考えます。
#222
○岩間正男君 ちょっと先の説明わからなかったのですがね、宮地さんの説明はどういうことですか。
#223
○政府委員(宮地茂君) いまの就学をしておる就学率は九九・八%であると申しました。それでは〇・〇二は何人かと言えば、それは就学免除者の約一万人、猶予者の一万人、足した二万人であります。ところで、先ほど来私がハンディキャップ・チルドレンの在学率と申しましたのは、盲学校、ろう学校、養護学校に入るべき子供はこうだと、しかしながら、養護学校ができていないので、その子供は多くは普通学級なり、一歩進んでまあ特殊学級に行っておるという数字で、先生が三〇%だなとおっしゃいましたのは、そういう意味では三〇%になるということを御説明したわけでございます。
#224
○岩間正男君 そうすると、これは現在の状態だというふうに考えているのですが、三〇%で、あとは普通の中に入っているというわけですか。そしてどうなっているのですか、それが。それが教育上充足されているということなのですか、どうなんですか。それは問題じゃないですか。
#225
○政府委員(宮地茂君) たとえば、弱視の子供あるいは難聴の子供、これはたとえばコンマ幾つの子供は、一般的に弱視なら弱視といいましても、弱視で普通の学級に入って一列目、二列目に並ばせてもらって、普通学級で教育をしている。しかし、それは本来は盲学校とか、あるいは難聴児であれば、一列に並んで補聴器を持ったりしながら無理しながら普通学級で教育を受けるよりも、難聴児の養護学校に入るべきだ。そういう前提で申し上げますと、先ほど申しましたように在学率は低い。そうしますと、その他の子供は、全然教育していないのじゃなくて、普通学級で無理をしながら一列、二列に並んで教育を受けているということで申し上げました。したがいまして、教育の機会均等ということは、ともかく学校へさえ入っておれば教育の機会均等を果たしておるというのではなくて、本人に適切な教育施設に入らなければ、教育の機会均等と言えないという、非常に厳密に考えて申し上げた数字でございます。ですから、極端に申しますと、ほとんどのハンディキャップを持った子供は、一〇〇%近くともかく教育施設に入っておると言えば言えないこともないということを厳密に申し上げた次第でございます。
#226
○岩間正男君 実に重大な問題ですよ、その点は。そうなれば全く条件の適当でない、施設の不十分な、そういうところにみなこれは押し込められているということじゃないですか。その結果非常に犠牲が起こっているのですよ。そのほうがむしろ問題は重大だ。三〇%だけ収容する、そういう施設しかない。これは財政がそのためには非常に不足なんだ。それでそれは完全にやっていない。そういう形の中からいまのような犠牲というものがこれはものすごく起こっているのですよ。そのことを実際はあなたのいまの答弁というのは物語っている。ただ、形だけ就学したからどうだこうだというような問題ではこれはないわけです。適切な、そうして全く条件に合う、そうしてそれによって自分の心身をほんとうに発達させていくことができる、実質的にも成長していくことができる、そういう条件をつくっておるかどうかということが、教育の施設として重大なんでしょう。ところが、その施設がないのだから、こっちのほうに入っていって、そうして実際はこれで非常にもういわば下積みになるとか一あるいは現状から見てどうですか。現状は小学校の五十人とか、そういう中でどういうことになるか、これはわれわれも長い間の教育の経験の中で、この問題を問題にしてきた問題です。だから施設の収容に不十分だということを何よりも物語っている。その就学率は三〇%、こういうことになっているわけですね。そこで、それならその施設はどうなんだ、そうしますと、これも先ほど話があったようですが、盲学校はどうなんだ、ろう学校は何校、それから養護学校がどれだけあります、それから「特殊」学級というのがどれだけあるか、これは一応、先ほども話があったと思いますが、いまのこの審査の過程からいいますというと、一応簡単でいいですから数字出してください。
#227
○政府委員(宮地茂君) 盲学校、これ、国公私立別に申し上げましょうか、トータルで申し上げましょうか。
#228
○岩間正男君 トータルでいいでしょう。
#229
○政府委員(宮地茂君) 盲学校は国公私立、以下国公私立のトータルで申し上げますが、盲学校七十五校、ろう学校百八校、精薄の養護学校が百一校、肢体不自由の養護学校が九十八校、病虚弱の養護学校が四十校でございます。
 それから特殊学級は全国で――この特殊学級もいろいろの種類の障害別の特殊学級のトータルが、現在一万五千四百八十一学級でございます。
#230
○岩間正男君 盲学校、ろう学校の問題はまたあとに回すことにして、養護学校の実態についてさらにお聞きしますが、全国各都道府県の中で、都道府県立養護学校未設置の県が、先ほどこれはありましたな、二十八校ですか、二十八県ですか、こういうことになっているのですが、どうですかその点は。
#231
○政府委員(宮地茂君) 精薄の養護学校の未設置−県が二十九県でございます。肢体不自由の養護学校は全県にございます。病虚弱の養護学校の未設置県は二十八県でございます。
#232
○岩間正男君 これは未設置県、ちょっと言ってください、名前をあげてください。
#233
○説明員(寒川英希君) 北から申し上げますと、精薄養護学校の未設置県でございます。岩手県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、石川県、福井県、山梨県、岐阜県、静岡県、三重県、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、徳島県、愛媛県、福岡県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、以上が精薄の未設置県でございます。
 次に、病弱の未設置県でございます。岩手県、宮城県、山形県、福島県、栃木県、富山県、石川県、山梨県、長野県、岐阜県、三重県、滋賀県、京都府、それから奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、以上でございます。
#234
○岩間正男君 虚弱の場合は二十九県ですね、それから精薄、病弱虚弱ですか、この場合は三十県です。肢体不自由養護学校以外は、相当の未設置県があるということが、これで明白になった。半分以上ですね。学校教育法第七十四条によると、「都道府県は、その区域内にある学齢児童及び学齢生徒のうち、盲者、聾者又は精神薄弱者、肢体不自由若しくは病弱者で、その心身の故障が、第七十一条の二の政令で定める程度のものを就学させるに必要な盲学校、聾学校又は養護学校を設置しなければならない。」とあり、第七十一条の二の政令委任事項については、学校教育法施行令第二十二条の二によって示されているにもかかわらず、この法律に違反をして未設置県があるという事実は、これはどういうことなんですか。
#235
○政府委員(宮地茂君) 原則は、いまお読みいただきました七十四条で都道府県に設置義務が課されておりますが、この原則どおりにまいりませんので、学校教育法附則の九十三条で、盲、ろう、養護学校等につきまして、設置義務に関する部分の施行期日は政令で定めることにいたしておりまして、目下七十四条の本則どおりには動いていない。したがいまして、法律違反ではございませんが、経過的な措置として充実につとめておるという実情でございます。
#236
○岩間正男君 この法律は、制定されてから何年になるのです。
#237
○政府委員(宮地茂君) 学校教育法の制定が二十二年でございますから、二十四年経過いたしております。
#238
○岩間正男君 法律違反でないというけれども、人権違反ですよね。こういう重大な問題が実際は行なわれていない。これを二十四年、もう四分の一世紀だ。これがこのまま放置されていいのですか。
 それなら自治大臣でもあるから、秋田文部大臣にもお聞きしたい。どうなんです。こういう実態で、そうして一方では、非常に重大でございますから、これに対しましては万全の努力をいたします、これを歴代の文部大臣はみな言ってきた。この実態は何だかというと、いまのごときものじゃないか。実際の施設は三分の一足らず、そうしていまだ未設置県が、いま言ったように半数以上を占めている。それがそのまま見のがされたというこの原因は、一体何ですか。こういうことでいいのですか、この点。
#239
○国務大臣(秋田大助君) 何と申しましても、やはり国の財政力が根本的な一つの原因をなしている。しかしながら、やはり国の意思もまた十分でなかったという点については、反省が当然さるべきであります。そこで最近、この点に意を用いまして、四十四年度から毎年十八校程度増設をして、四十九年をもって、いやしくも養護学校が足らないところはないというようにいたしたいと考えて、いまその施策を進めている最中でございます。
#240
○岩間正男君 いままでの質問でまあ一部分が明らかになったわけでありますが、これがわが国の障害児教育の実態じゃないですか。非常に重大だ重大だと言っていながら、その内容を詳細に見きわめてまいりますというと、こういうことです。そうして国民総生産は、これは自由主義国で世界第二位であるということになっているわけです。しかし、障害児教育の保障はきわめて貧弱であるというこの実態が、少なくともいままでのこれは審議の中でも明らかにされた。これは非常に私は世界に対して誇ることはできないと思う。恥ずかしいと思う。
 そこで、私は国際的な一体動向はどうなっているかということを、これは大臣にお聞きしたいと思うのであります。まあ数年前でありますが、エルサレムで国際精神薄弱者援護団体連合による会議が開かれておると思いますね。これは御存じでしょう。
#241
○国務大臣(秋田大助君) 私まことに浅学、また最近大臣になった……。
#242
○岩間正男君 大臣でなくてけっこうです。どなたか……。
#243
○政府委員(宮地茂君) まことに申しわけございませんが、承知いたしておりません。
#244
○岩間正男君 そうすると、わが国の障害児教育の現状というのは落ち込みなんですね、国際的に見ても。一方は国民総生産が世界第二位だ。そうして実際のいわば谷間、この谷間は依然として深く残されているんだという実態がこういう中から出てくる。このエルサレムの会議で、これは精神薄弱者人権宣言というのを出しているはずです。これも御存じないわけでしょうね、この会議が開かれたということを御存じないんですから。
 私はまあその点ではこの決議についてぜひ調べてほしいですね。第一条ではこう言っています。「精神薄弱者は、それぞれの国の同一年齢の他の国民と、等しい基本的権利を有する。」、これが第一、この点はどうですか。大臣どう思われますか。
#245
○国務大臣(秋田大助君) その点は、先ほどから先生の御質問に私が答えておったところで、同じ精神でお答をしていると御了解が願えると思うのです。
#246
○岩間正男君 ところが、ことばの上ではそうだが、そうなっていないということですね。三分の一もこれが満たされていないという実態が明らかになった。
 第二条は、「精神薄弱者は、それぞれの状態に応じた、医学的保護と、身体的治療、また教育、養成、訓練を受け、障害の重さの程度にかかわらず、自己の能力と適性を、最大限に発揮できるような、リハビリテーションサービスと、助言を、受ける権利を有する。財政的負担がかかることを理由として、精神薄弱者に対する援護を怠ってはならない。」、これが第三回国際連合総会で採択された人権に関する世界宣言です。そうして第十四回国際連合総会で採択された児童の権利宣言の精神に沿ったものであることは言うまでもないと思うのです。
 そうしますと、この第二条のあとのほうですね、「財政的負担がかかることを理由として、精神薄弱者に対する援護を怠ってはならない。」、この点はまだ未設置県が半数以上もある。二十四年間も放置されたその理由は何でございますと、私がお聞きしますというと、これは財政の理由でございますという自治大臣の御答弁でもあった。そうしますと、これはどうでしょう。この第二条の宣言に照らしてみて、どういうことになりましょうか。日本のいまの状況じゃ、教育の実態というものはどういうことになるでしょうか。
#247
○国務大臣(秋田大助君) 過去はいざ知らず、現在におきましては、その精神でもって施策を進めておると、私は確信をいたしております。それでございまするから、一ぺんにはまいりませんけれども、十数校ずつ養護学校を設置していくという施策を進めて、いやしくも、一県一校、養護学校の施設なきものはないという、まず第一段階をここ数年の間に実現したい。こう言うておるのでございますから、その点はどうぞ御了解を願いたいと存じます。
#248
○岩間正男君 これは、われわれは見守りたいと思うのですがね。とにかく、国会論議では、歴代の大臣が、この問題は重要でございますと言わない大臣は一人もいなかった。しかし、頭を下げてその上を法案が通るだけという形では、この問題は解決しないのですよ。これは、国内でも非常にこの問題は大きな課題になり、社会問題になりつつある。そうしてまた、具体的には、これは、教育問題として、文部省がその衝に当たって少なくともこれを推進しなければならない。世界的にも、この問題は、世界の趨勢として、ほんとうに人権を守るという立場から、あくまでもこの問題を推進しなければならぬと、こういうことをはっきりこれは物語っていると思いますが、こう確認してよろしゅうございますか。
#249
○国務大臣(秋田大助君) 政府といえども、もちろん、ただいま先生が御指摘になられましたその宣言の精神に沿って施策を進めてまいっておりますし、また、今後もますますその施策を反復いたしたいと考えておるところでございます。
#250
○岩間正男君 学校教育法の九十三条、これを見ますというと、「この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。」、こうありますね。「ただし、第二十二条第一項及び第三十九条第一項に規定する盲学校、聾学校及び養護学校における就学義務並びに第七十四条に規定するこれらの学校の設置義務に関する部分の施行期日は、政令で、これを定める。」、こうありますね。そうですね。
#251
○政府委員(宮地茂君) お読みになられたとおりでございます。
#252
○岩間正男君 それで、同条を受けて、昭和二十三年政令第七十九号をもって、盲学校及びろう学校の小学部の就学義務及び設置義務を課しており、また、昭和二十八年政令第三百三十九号によって、盲学校及びろう学校の中学部の就学義務及び設置義務を課しております。これも、そうですね。
#253
○政府委員(宮地茂君) お読みになられたとおりでございます。
#254
○岩間正男君 それでは、養護学校についてお聞きしたいのですが、養護学校についての就学義務並びに設置義務についての政令が見当たりませんのですが、養護学校に関する政令の施行年月日と政令番号をお教えいただきたいと思います。
#255
○政府委員(宮地茂君) 七十四条を受けまして九十三条には、その部分の施行期日は、政令で定めるということで、施行する場合に施行日を政令で定めると、施行いたしませんので定めてない。したがって、七十四条は原則的には宣言されておるけれども、実施日が政令で定められておりますので、設置義務というものは課されていないという解釈になろうかと思います。
#256
○岩間正男君 これは、養護学校の政令をちゃんときめることになっているのでしょう。そうでしょうが。そうでしょう。先ほど読んだので、読むまでもないことだが、「盲学校、聾学校及び養護学校における就学義務並びに第七十四条に規定するこれらの学校の設置義務に関する部分の施行期日は、政令で、これを定める。」、こういうことですから当然これは政令が出ていなくちゃならないはず。ところが何ぼさがしても政令がない。どういうことですか。
#257
○政府委員(宮地茂君) 施行しないので政令に書いてないわけでございます。
#258
○岩間正男君 これは政令が出てないんですね、番号も何も。そうでしょう。いいんですか、これ。
#259
○政府委員(宮地茂君) 政令で定めるのは施行日でございますので、施行しないので政令では定めてないわけでございます。
#260
○岩間正男君 月日の問題ではないですよ。この政令をちゃんとこれは法律できめた。法律で本文になっている。それをあんた二十四年間も放置するということはどういうことなんです。だから、いまの養護学校の問題で、未設置が全国の県の半分以上もあるというのはこのためじゃないですか。これは政令の怠慢じゃないですか、行政の怠慢じゃないですか。いいんですか。
#261
○政府委員(宮地茂君) 先ほどからたびたび大臣も申し上げておりますし、私も説明さしていただきましたが、私どもまことに遺憾なこととは思いますけれども、七十四条にきめました本則としての設置する義務がまだ動くに至っていない。したがいまして、先ほど大臣もおっしゃいましたが、過去のことは別といたしまして、文部省といたしましては年次計画を立てて、四十四年以来、四十八年度中を目途にいま毎年十八校ずつ設置して、できる限り四十九年度からは政令ではっきり定められるようにという目標で進んでおる次第でございます。
#262
○岩間正男君 二十四年間この法律をかたわにしておったんだということは認めますか。
#263
○政府委員(宮地茂君) おことばどおりの意味でかたわにしておったということでもございませんが、本則がございまして、それに対して附則ということは、これは国会の議を経ましてやむを得ないという事情で法律が施行になっておるわけでございます。したがいまして、法律的にはかたわにしたとかいうことにはならないと思いますが、法律論は別といたしまして、趣旨としましては、先生がおっしゃいますように、二十数年たってもまだ本則どおりになってないという点につきましては、まことに私どもも申しわけない、一刻も早く本則に帰りたいという気持ちでおります。
#264
○岩間正男君 そんなこと言うけれどもね、そんなもの法理論でごまかしてだめですよ。国会の意思、立法府の意思というものはそういうものじゃないでしょうが。二十四年間これを放置すると、どこに書いてあります。これを完全に実施するたてまえでこれだけ深夜までかかって論議しているんじゃないですか。これが実際は行政府によって二十四年間放置されたというこの事実は認められなければならぬです。これは政治の怠慢だということは、これはだれが何と言おうがはっきりしておると思いますが、文部大臣どうですか。
#265
○国務大臣(秋田大助君) 事実実現をしておらなかったのでございますから、その点は十分これを反省をいたしております。心そこになかったわけではございません。それを期しまして努力をしてまいったのでございまして、ここ数年にしてその状態を解消すべく努力をしておるということを御了承を願いたいと思います。
#266
○岩間正男君 まあいま改心しているんだから、いままでの責任は何とかまけてくれと、こういうような言い分でありますけれども、そういうことにはいかぬわけであります。立法府の意思というものが行政府によってこのように曲げられておるという実態というものは、これははっきり責任があります。政治責任をこれはやっぱり明確にすべきです。明確にするということは、今後この問題を本気になってやるかどうかということにこれはつながる。国会の論議のときだけは、もうもっともでございますと、頭を下げれば問題は通過すると、そう思ったら間違いですよ。そういうわけにはこれはいかぬわけです。いままで見てごらんなさい、大体この立法段階で政令に委任された事項についてはおおむね一年以内に政令で施行するのが、これは立法常識ですよ、そうでしょう。そして国会の論議の中では、この政令の内容についても実はこれは説明を受けて、そういう形でこれはやっているのが立法の常識でしょう。ところが、学校教育法は昭和二十二年三月三十一日に成立した。同年四月一日から施行されておりますから、昭和二十三年三月三十一日までには少なくとも養護学校の就学義務、設置義務について政令を出すのが当然これは法律の常識であります。四分の一世紀これは出されていなかった。政府が障害を受けている子供たちの教育を受ける権利の侵害を結局は平然と行なってきた、こういうことにならざるを得ない。そういう形で、責めたくはないんですけれども、事実はそうでしょう。事実がそういうことをはっきりこれは示しておると思うのであります。ほかにもしもそういうことになりますというと、政令委任事項がほかの法律であなたたち見当たりますか。この二十四年間も放置された、足かけ二十五年も放置されたという例が見当たりますか、どうです。法制局来ていないかな、法制局にも聞きたいが――われわれ寡聞にしてこういう例は知りませんよ。これを文部省があえてしている、身障児たるがゆえに。私たちはこの実態をやはり明確にしなければならぬと思うのですよ。だから、ここで論議して当たりさわりのいいところだけとったのじゃ、これは問題の解決にならないし、とにかく時間をかけて非常に熱心にこれは討議されました。いまだかってないんじゃないかと思います。この身障児教育の問題を同僚議員が十分時間をかけて真剣にやった。きのうも三人の参考人にお出で願いまして、私たちの審議に役立つ、そのような証言をされました。これは国民の意思なんだ、いや憲法の意思なんだ。具体的に憲法をほんとうに国民生活の中に生かすかどうか、こういうことの実態がこれで問われているんですね。私はそういう点から、これは先ほどから、とにかくだいぶ耳ざわりのいいことは述べられましたが、ここでほんとうにこういう問題について、これは真剣に考える必要があると思います。いかがでしょうか。
#267
○国務大臣(秋田大助君) 先ほどから私の申し上げている養護学校設置に関する政府の施策の中に、先生と同じ精神をもってこの問題の解決に当たっているという点を御了承願いたいと存ずるのでございます。
#268
○岩間正男君 これはいつになったら政令化されますか、施行期日を、はっきりいつやりますか、現在できないというのですか、すぐやったらどうですか、いままでサボったんだから。
  〔理事塚田十一郎君退席、委員長着席〕
#269
○国務大臣(秋田大助君) 四十九年度を目標に、先ほど来申し上げているとおり設置義務が満足できるようにいたしたい、これに対処した政令をなるべく早く出したいと考えております。
#270
○岩間正男君 少なくとも未設置県をなくするためにどれだけの財政が必要なんですか。
#271
○政府委員(宮地茂君) 詳細は別といたしまして、建物関係で一校分が私どもの積算で二分の一補助で一億を考えておりますので、地方負担で約一校の建物二億としまして、未設置県が、先ほど申しましたように、二十八県と二十九県と五十七県ございます。したがいまして、国、地方合わせまして、建物が二億の五十七、百十四億ですか、ございますれば、少なくとも未設置県に一校はできるという計算になります。ただ私ども、先ほど大臣も申されましたが、四十四年から十八校ずつやっておりますのは、一県一つということではなくて、実は肢体不自由児は各県にもう一校はございます。一県一校だからといって、それで設置義務を果たしたということでは実情に合わないということで、肢体不自由児も毎年二校ずっといった計算でおります。ですから最低一県に一校あれば、設置義務を果たすということでございますと、二億掛けるの五十七、百十数億の建物代である。それに設備費が、これは各学校によって違いますが、一校大体二千万、肢体不自由が一番設備がかかるようですが、二千万、国、地方合わせまして二千万ですから、五十七で十一億程度になろうかと思います。
#272
○岩間正男君 わが国の国民総所得は幾らですか、国家財政は幾らでしたか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
#273
○政府委員(須田八郎君) お答え申し上げます。
 四十六年度の国民所得は六兆六千九百五十億でございます。
#274
○岩間正男君 国民総生産ですよ。何だ、そんなこと言っていたらたいへんなことになっちゃう。常識問題でしょうが。
#275
○政府委員(須田八郎君) ただいま申し上げましたのは国民所得を申し上げたわけでございます。
#276
○岩間正男君 全くそれは驚いたな、文部省というのは、問題にならぬよ。読み方を間違えていないか。
#277
○政府委員(安嶋彌君) 私の記憶に間違いがなければ、GNPは約二十兆円だったと思います。
#278
○岩間正男君 これも驚くね。
 国家総予算は、四十六年度。ちょっとこれは念のためにお聞きしないと。
#279
○政府委員(安嶋彌君) 約九兆四千億だと思います。
#280
○岩間正男君 国民生産が二十兆で、国家予算がその半分ですか。ちょっとね、だから文部省というのは――これはわかった、文部省の正体。正体見たり枯れ尾花。これではあなた、もうやれないじゃないですか。こういうかっこうでは、どこで一体大蔵省とやり合うのです。官房長さんだから、ちょっとそこのところはすぐお調べを願いたい。これはまあそういうことはあり得るわけですから、深くとがめるわけじゃありませんが、ただ、そういう形でこの予算の問題をやられたんじゃ困るわけです。
#281
○政府委員(安嶋彌君) どうも間違いを申し上げて恐縮でございます。
 ただいま手元に参りました資料によりますと、これはGNPではございませんで、国民所得でございますが、これが六十六兆、国民所得でございます。
#282
○岩間正男君 まあそうだろうと思うのですね。それで、もう五十四年までにはこれは百兆をこえるわけですからね。そうして世界第二位、その何分の一なんだ、いまの養護学校を建てるというのは。その辺でやっぱり問題を明確にしないと、われわれは関連でやっているわけにはいかないのだ。やはり具体的にあなたたちの努力をするという、そういう問題は裏づけがなくちゃならぬのです。私はまあ長い間、これは教育問題にタッチしてまいりましたが、そういうような中で、何よりも欠けているのはここだ。そこで、あなたたち障害児なんですよ、予算的には。足がないのだ。具体的にこういう財政の問題でどこでやり合うのです、一体。何だかさっき第二課長かなんか来ているけれども、ここのところのワク内のところだけでこちゃこちゃとやっているから予算がとれない。私は終戦後のこの教育の破壊の中で教育を守るために戦ってきたが、戦前の教育、こういうものは何か。全くこれは観念論だ、そうして国家主義を押しつける。そうして実際は一学級の児童数が七十人くらいのところもあった。大量生産の教育をやってきた。それで実際は科学的な知識だとか、それから社会的な当然の精神とか、そういうようなものは没却されてきた。そこにもあの戦争の根源があったのですからね。だから変えなければならない。教育の問題というのは、大きくこの予算の面で、実際は具体的な民主教育を守るなら、民主教育のはっきり裏づけとしての予算の、これはささえがなければならないわけです。予算だけですべてを解決するなんということは私は言っておりません。しかし、文部行政の最大の欠点というのはそこなんです。そこにあった、そうでしょう、修身科というのは非常にぐあいがいいのです。そうでしょう。一つの学級に百人入れたっていいんです。金はかからない、一人の先生が、木口小平は死んでも口からラッパを離しませんでした。さあ皆さん天皇の御ためには何とかかんとか、これで教育が成り立ったのです。これが帝国主義軍隊をつくった日本の教育なんです。こういうものを根本からかえるためには、どうしてもこれに対して予算の裏づけがなくちゃならないのであります。だから、われわれは終戦後の教育の戦いの中で、一学級の児童数をまず問題にしたのですね。そうして教員がほんとうに力を合わして教員組合をつくって、一番最初に戦いとったのは何か。それは東京における一学級の児童数の問題だ。千三百人の首切り問題があった。その首切りは具体的に一学級が六十人とか五十五人とか、そういう形、そこにははっきり戦争中の根源がある、はっきり。これをやめなきゃならぬ。真に民主的な教育をやるためにはどうしても一学級の児童数を少なくしなきゃならぬ。そうしてもっと一人一人のほんとうの能力を生かす。そうしてそれらの能力を育てる。民主的に育て、自主的に育てて、そういう方向の教育をとらなければ何ともならぬ。それが私たちの主張だった。私はまあそういう教育の一方では、一学級で、もう何といいますか、ものすごい大量生産の教育、そういうものをいなかで経験してきた、昭和恐慌期に。同時に、これは成城学園に参いりましたが、成城学園で私はまあ三十人くらいの教育というものを経験してきた。その二つをこう対照して考えるときに、終戦後の教育の戦いの方向が明確になってきた。その一還だ。その一還の中でこの障害児の問題ははっきりあるのですよ。日本の民主教育をどうするかという教育の体系の中にはっきり組まれているのです。そこのところが明確にならなければなりません。ところが教育予算は年々総体的に削られておる。本年度の防衛費との対比をあげるまでもないと思う。ことしは一千億から防衛費はふえています。そういう中で、一体三千万以上のこれは小中学校、こういう生徒たちを扱う一体教育予算はどうなっておるか、そういう中でこういう障害児教育というのは、全く谷間に落とされておるというのが日本の現実であります。そういうことがどうもいま二、三の問題をお聞きする間に、私ははしなくも出てきたというような感じがするのですよね。だから国家財政そのものにもう少しやはり目を向けてくださいよ。そうでなければ、文部省の主張する論点がはっきりしない。これはまあ局長さんにこのことを申し上げても無理な面があるかもしれません。しかし、局長とか官房長という方々は、これは少なくとも大臣を補佐しなければならないのでありますからね。そうすれば、そういう点ではっきり皆さんの意見というものが集中されて、それで大臣を突き上げたらいいんだ、もう少し大蔵省とここで論戦させたらいい。国家財政の中にはっきり教育財政を打ち込むこの努力が必要なんだ、それで具体的にはいまこの教育の谷間、最もひどいところに落ち込んでいるこの障害児の予算の問題というかっこうでこれは出てきておる。それがないために、法律が足かけ二十五年間も無視されていいのですか。私はこういう実態がはっきりこの障害児の教育の中に出ていると思うのです。どうお考えになりますか。きょうはほんとうは、坂田大臣、出てくればいいんだ、私のいた成城学園に彼は高校生でいた、東大の加藤一郎君もそうだ。だから、あれは私の教え子だ。坂田がいればよかった、坂田はいない。残念ながらいなかった。それで秋田さんにお聞きしているわけですが、どうなんです。この障害児の問題というのは切り離して「特殊」だなどということで論じられる問題でない。教育の体系、民主教育をどうするか、この終戦後の重大な課題、憲法を教育の中でどう生かすかというこの問題とはっきり密着した問題です。大事な問題です。この点どうなんですか。大臣の御所見を伺いたい。
#283
○国務大臣(秋田大助君) 本件は最初に申し上げましたとおり、かかる心身障害児あるいは精薄児等、これらの人々の受くべき教育は普通児と何ら変わりない一般的な基本的人権に立つものであるという意味におきまして、私は先生と同じ考えを持っております。
#284
○岩間正男君 まあそういうことばをほんとうに、やはり教育予算を拡充して民主教育を確立する、そして具体的にはいまの障害児の教育、ここ見ればわかるんですから、この谷間を見れば日本の教育全体がわかるんですから、この一還として私はこの問題を見ている。だから、小中学校は九九・八%の就学率があるから世界に冠たるものだなんて言ってるけれども、これは同じような条件であります。大なり小なり同じ条件である。そしてそれが最も集約的にきているのが、特殊部落扱いにされるのが、いまのあなたたちのいう「特殊」教育という名前の障害児教育じゃないですか。それがどういうふうに、一体この子供たち、国民に犠牲を与えているかという点を、ことに何よりも該当の障害児に犠牲を与えているかということをあなたたち御存じですか。ここにこの歌集があります。床臥の歌という歌集がある。この歌集の中にこういうのがあります。
 これはまあ非常に障害者で、いまおかあさんが絶えずつき添っておる。そのうち彼は歌の道に入りましてね、それで短歌で非常に生きがいを感じている。名前は伏せておきましょう。こういう歌がある。「四十四歳の我が学ぶは通信制学校なれば今日も勢えり」、「文字書けぬわれのためとかたわらにて眼鏡かける母がノートをとりてくれぬ」、「歳とりて学ぶは無理か一年経ち数学課程は遂に不認定となる」、これはNHKの通信教育に行ったときの歌のようであります。歳をとってから、そうして、これは小学校、中学校、そういうものが充足されておれば、当然教育を受ける、四十四歳ですから、そういうことになります。その人が受けることができない。そうしてそれから途中で自分でやっぱり文字を習うことをやり、そういう点から自分を教育したいということで短歌の道に入た。しかし、数学のごときはもう歳をとってしまったので、これはついに不認定になるといって嘆いている。こういう嘆きをさしているのは、実は文部行政の中にあるぞということを感ずる必要があると思いますが、どうでしょう。こういう問題を考えれば、これは全くの一例です。もっともっとひどい例は枚挙にいとまがないし、そうして最近新聞なんかで御承知のように、これは紹介されていることですから、国民のいま胸を打っている問題です。こういう問題を解決するには、これは政治がなければならぬ。先ほどからたくさんそういう問題が出されましたね、たくさん出されましたよ、聞いていても。たとえば介添人の問題を先ほど同僚議員が出された。こういうものに対して予算がない、こういう形でもってこれは私的な解決の方向に持っていかなきゃならない。それから、一切はこれは父兄の犠牲の方向にこれは持っていかなきゃならぬ。これは国がすべき当然の責任でしょう。そういうものが全くこれは顧みられないところにいまの姿があると思うのです。こういう短歌を私は大臣にこれはぜひ聞いてもらいたいと思うのですが、こういういわば一つの非常に不十分な政策によりまして、こういうところに落とされて嘆きを繰り返しているこれらの方々に対してどうお考えになりますか、ちょっと感想をお聞きしておきたいと思います。
#285
○国務大臣(秋田大助君) われわれとしては責任を感じます。それらの人の嘆きを一日も早く解消するようつとめる義務があると感じております。
#286
○岩間正男君 まあこの人の場合は理解のあるおかあさんで、しかも、すばらしいおかあさんにささえられて通信教育を受けたので、まだしものことなんですが、同じような障害があって教育を受ける権利を奪われ、心から勉強したいと叫んでいる、こういう声が大臣にも聞こえませんか。声なき声、聞こえませんか、どうですか。
#287
○国務大臣(秋田大助君) 御返事を申し上げるまでもなく十分聞こえております。
#288
○岩間正男君 そこで、先ほどまあ四十八年度までにこの未設置県はなくすと、こういう約束をされたわけでありますけれども、これは坂田文部大臣も昭和四十四年の四月二日、衆議院文教委員会において同じような約束をされておるわけですからね。大臣がみな約束しているんですが、これをほんとうに義務制にして、そうしてはっきり設置をきめる、あくまでこれは貫くと、こういうことをあらためてここで公約されますか、どうですか。
#289
○国務大臣(秋田大助君) 先ほどからも申し上げましたとおり、四十四年から十八校あての設置予算をとりまして着々実施に移しているところでございます。当然その約束を申し上げ、かつ実行をいまやっておるところでございます。
#290
○岩間正男君 まあ就学義務の問題がむずかしければ、その問題を若干、年限保留事項にしてでも設置義務を課せられない理由はないと思う。それをはばむ条件は何もないと思います。土地の問題も、食べ物の問題も、教職員の問題も、いままで二十五年にわたって放置した行政の責任を痛感するならば解決できないことはないと思うので、積極的な努力を重ねて、何べんこれは重ねてもいいのであります。何回もだまされたんだから、私がこんなことを繰り返し、同僚議員からも繰り返されておるのは、何回もいままでそういうような実績があるのですから、ここだけの場にしないで、こういうことを確認してよろしゅうございますか。もう一度、くどいようですけれども御返答願います。
#291
○国務大臣(秋田大助君) 先ほどから申し上げておるとおり、われわれの計画を着々実行に移しておるところであります。
#292
○岩間正男君 次にお聞きしたいことは就学猶予・免除の問題です。養護学校の設置がきわめて不十分だという現在の条件の中では、この問題はいままであまり追及されることはなかったと思いますが、まず最初に就学猶予・免除を受けておる子供の実数はどうなっておりますか、これをお者かせを願いたいと思います。
#293
○政府委員(宮地茂君) 四十四年度の就学免除者は九千七百六十一名でございます。就学猶予者は一万一千百八十名でございます。合わせまして二万九百四十一名が免除ないし猶予者でございます。
#294
○岩間正男君 これは全学齢児童生徒十万人についての割で出してある資料だと思いますが、文部省のこの四十二年の資料によりますと、小学校の場合一九五〇年は十万人に対して男子が三十九人、女子が三十五人、それから一九六〇年は男子が六十人女子が四十八人、一九六六年になりますと男子が六十七人、五〇年の三十九人に比べて男子ではもう二倍、女子のほうは三十五人に対しまして五十七人、こういうふうにふえているわけですね。中学校のほうを見ますというと、同じように男子が三十七、女子が三十六人、これは一九五〇年、六〇年が男子が四十人で女子が三十九人、それから六六年になりますというと男子が六十九人で女子が五十五人、ほとんど同じようなかっこうでふえているじゃないですか。就学免除者というのはこれはふえている。これは何を物語るのか。先ほどからの御説明によると、ふえるというのはおかしいわけだ。どうしてふえているのか。
#295
○政府委員(宮地茂君) 先生のいまおあげになられました資料は、ちょっとどれであげられましたかわかりませんが、四十年度から申し上げますと、四十年度の免除者は九千六百八十五人でございます。四十一年が九千三百九十二、四十二年が九千四百二十七、四十三年が九千四百十へ四十四年が九千七百六十一、これは先ほど他の委員の御質問にもお答えいたしたところでございますが、大体九千四百から七百ぐらいのところでございます。
 猶予者のほうは若干減っております。四十年度が一万二千六百九十八、四十一年が一万二千六百三十八、四十二年が一万一千六百七十六、四十四年が一万一千百八十、こういう数字になっております。
#296
○岩間正男君 これはあなたたちの発行された中教審中間報告、「わが国の教育のあゆみと今後の課題」、この中に出てくるんですよ。ですから、十万人に対する対比はこれはいまあげたようにふえておるんですな。これはたとえば県別にほんとは示してもらいたいんだが、これどうですか。香川とか愛媛あたり、これは学力テストによりますというと、一番成績のいいところだな、こういうところで免除者がふえているという実態があるじゃないですか。これは時間の関係から、各県のやつを資料で出してもらいたいと思うのですが、成績を上げようと思うと、やっぱり学級の中から免除者を出せばいいわけですな。そうすると全体のトータル上がります、学力テストをやれば。学力テストと関係ありますよ。学力テストが非常に盛んな、そうして文部省からほめられているような学校で猶予者が多く出ている。こういう実態を指摘することができる。そうするというと、どういうことになりますか、身障者というのはどういうことになる。結局は差別につながるところの学力テスト、そうして全国をとにかくずっと文部省がやりました。そういうものに対して、いまのような障害児というのは、これは切り捨てられることになる。統計面ではなるほどいい成績になるようでありますけれども、実際は、この被害というものは、その身障者に及んでいく、こういう結果が出てきている。ちょうどまあよく昔やられたように、きのうも話が出ましたけれども、物置きに身障者を隔離しておくとか、いなかではまだこういうことが行なわれておりますね。うちの家門の恥だと隠しておく、姉さんが嫁にもいけない、こういう封建的なそういうものまでつながってやられると同じようなやり方です。学力テストの盛んな成績のいいところでこういう障害児が多くなっている。こういう実態が出てきたらたいへんだと思うわけであります。こういうことはいかがでしょう。ですから原則が非常に私は大切だと申し上げたのはここなんですね、どうなんです。障害児教育というものの根本の一体態度はどうなんだ。姿勢はどうなんだ。ところが現在の教育はまさに最近の教育改革、中教審の答申なんか見たって、差別、選別の方向を非常に強化してきているでしょう。その背景には高度の経済成長政策があり、大資本があることは明らかでしょう。こういうものとの癒着が非常に深まっている。そういう中でやはり障害児教育の問題はますます日陰のほうに追いやられる可能性が出ておる。ちょっと表面だけはやるように見せるけれども、これはアクセサリーにすぎない。これはイチヂクの葉なんだ、恥部を隠すイチヂクの葉です。そうじゃないですか。そうあってはならないと思うのです。この点についてこれはどう思いますか。大臣。
#297
○国務大臣(秋田大助君) アクセサリーでかっこうよく見せるためにやる方法である、そういうふうなものであってはなりませんし、また、そんな考えでやろうとはわれわれは思っておりません。
#298
○岩間正男君 とにかく学力テストなんかで非常に成績はいいのだが、しかし、実際は養護施設はない。結局そういうことで免除、こういう形をとる。これでは話にならぬ。
 大臣にお聞きしますが、どうですか。いま日本の自治体を見て、こういう問題で熱心なところはどういうところがありますか。これは調べてみたらいかがです。東京と京都を調べてください。東京と京都では、障害児教育というものはどういうふうになっているか、これは大臣につかんでもらいたい。これはいかがです。
#299
○国務大臣(秋田大助君) やはりはっきりしたことは存じませんけれども、東京、大阪、兵庫、愛知という富裕県が比較的熱心であるという数字は出ておると思います。
#300
○岩間正男君 これは釈迦に説法だと思いますが、実は京都の蜷川府政がこの問題と長年継続的に取り組んできていることは、これは世の中の認めているところだと思います。その一例をあげてみますと、「憲法第二六条、教育基本法第三条が示す、すべての国民が有する「ひとしく教育を受ける権利」を保障するためには、教育の機会を平等に保障するという条件的課題を改善することが大切である。それとともに重要なことは、単に「人なみに教育の機会を」という形態的解決だけでなく、いかなる障害をもとうと、すべての児童・生徒に対して発達の権利を保障するための適切な場と内容を用意されねばならない」、また、「この「発達を保障する原則」は、とくに障害児の教育において基本とすべきである。障害児を社会的効用論的に評価したり、あるいは一面的、固定的、限定的にとらえる見方を変革することが何よりも重要である。単に就学の機会を保障したからといって、それで発達を保障したことにはならないのである。その点、本府(京都府)の向日が丘、与謝の海両養護学校の実践は「すべての子どもに適切な教育」をの理念を具体的に確かめつつあるものとして評価さるべきであろう、ここでは従来、教育の対象にならないと一方的に思われていた重度・重複の障害児に対し、必要な教育内容と条件を用意して、子どもの発達の可能性を追求するという非常に困難なとりくみが進められている」、こういう精神でやられているわけです。
 私たちも京都に参りました。一番先に何かというと、これは障害児のところに行った、実際にこれをやっている方のところに、私は京都を訪問してさっそく行ったわけです。これで見ると教育がわかります。これを見れば、谷間を見れば一番教育の実態はわかる。京都の場合、けさもニュースでやっておりましたね。
 埼玉県と比較してみましょうか。「一九七〇年度における特殊学級一人あたりの公費補助額を東京都と自民党の影響力のつよい埼玉県で比べると、東京都が職員図書費五五〇〇万円。生徒の卒業記念品代小学校八〇〇円、中学校一〇〇〇円、高校一五〇〇円、生徒の校外指導費幼稚園二三五〇円、小学校二五〇〇円、中学校二九〇〇円、高校三五〇〇円。生徒の夏のキャンプ費三一〇〇円。生徒の海の家の費用二五〇〇円。これらの費目にたいして埼玉県では公費補助はすべてゼロである。」、これも事実です。憲法を教育の中に生かす、国民生活の中に生かす、これが単なる空言になっているのかどうかということは実態を見ればこれは明らかです。
 けさほども、今度は障害者の医療の問題について東京都がまた新たに補助を出すことがきめられておる。そうして所得税あるいは住民税、こういうものを納めることのできない人の場合はこれはもう全額を保障していく、住民税は幾ら、こういうような段階があるようでありますが、とにかくそういうところにこれは力を用いている。どっちが一体民主的な、どっちが一体これは憲法の精神にかなうか、どっちが一体障害児のためにしあわせなのか、どっちが一体これらの重荷をほんとうに負っているこの父兄のために役立つのか、これは私はくどくど申し上げる必要はないところであります。自治大臣はこういう実態についてもお調べになる必要がある、把握をされる必要がある。そうでなければ、ほんとうにやはりこの問題について対処するということにはならないと思いますが、いかがでしょうか。
#301
○国務大臣(秋田大助君) そういう実態を把握しておる必要があると存じます。
#302
○岩間正男君 把握されておるんですか、努力をされておるというのですか。
#303
○国務大臣(秋田大助君) 今後つとめてまいりたいと考えております。
#304
○岩間正男君 これはぜひつとめていただきたいと思うのですね。文部大臣は長くおいでにならないでしょうけれども、あなたは自治大臣でおられるのですから、今後、ほんとうに地方行政、財政との関連におきましてこの問題はやはり明らかにしていただきたい。こういうところに、はっきりこれは、やはり民主政治の姿が出てくるのです。そういう中で、問題はむろん十分とは言えません。しかし、解決しようというそういう方向にこれはずっと向いておることは間違いのない事実だと思う。私は、まあとにかく一方で日本の高度経済成長が言われ、そうして、しかもそれがいま公害の中で非常にこれは国民の環境を破壊しておる、国民の健康を破壊しておる。そういうような中で、しかも必要な労働力をつくり上げる。これが日本の教育に、現在のこれは文部省に課せられた相当な任務でしょう、そうだとあなたたちはおっしゃらない、しかし、そういう中で、ほんとうに役立たないのは切り捨てる、そういうことを言っているのもありますね。ばかは死ななきゃなおらないというような、こういうような観点に立って、実際は公然と発言している政治家だってあるのです。死ななきゃなおらない。こういう者は社会のじゃまだ、日陰者だ、こういう形ではこの問題は絶対に解決しないですから、つまりそういう点では意識の変革が必要なんです。もう根本的にこれは社会の意識の変革、それから国民の意識の変革が必要だ。何より先に、文部省自身がこの意識の変革をしなければならぬと私は思う、どうですか、宮地初中局長あたり先に立ってやらなければならぬでしょう。先ほど見ておりますと、一一あなたはうしろに聞かなければ何一つ答えられなかった、あの姿を私は見ていて、実は胸が寒々とした。少なくともこの問題は重要施策の一環だと大臣は言っている。そうしたら、さっき言われるくらいのことは、これは常識なんですよ。ところが一々聞かなければならぬ。うしろのほうでは大混乱をやってひっくり返したり、そうしなければ答えることができないのです。その姿は何よりもそれを物語っている。口先だけで何といってもだめです。政治は口先ではないのです。その局にいられる局長のこれに対する見解をお聞きしておきましょうかな。
#305
○政府委員(宮地茂君) 私ども行政を進めてまいります場合、いま先生のおっしゃいましたような点でいろいろ努力の足りない点も率直に反省しなければならない点もございます。しかし一面には、努力をいたしてそのなお実りがないことを痛感しつつ、また先生の御意見等も参考にして今後とも積極的に教育行政を推進していきたい。とりわけ特殊教育につきましては、先ほど来申し上げておりますように、教育の機会均等という趣旨から文部省としても努力していきたいという考え方を持っておりますが、今後一そう努力してまいりたいと思います。
#306
○岩間正男君 マンネリで、通り一ぺんで、どうもどこから言っているかわからない。腹の底から言っているような感じがしない。したがって、人を感動させないのです。あなたたち長い間、行政面でそういうことになれてきたかもしれぬけれども、生きた人間ですからね。だから、ほんとうに聞くとわかるのです。私たちも相当人に触れてきておりますからね。ことばの調子にうまくつづりを合わせて言っただけではだめです。何よりもこれについてもう少しやはり真剣に取り組まれる必要がある。どうでしょうか。就学猶予・免除の規定ですね。これは学校教育法第二十三条を根拠をしておりますが、現行法では、「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由」の三項目を条件にしているようです。調べてみますと、この条項が法律体系にのぼってくるのが明治十九年の四月十日、勅令第十四号による小学校令の一部改正、この中で「疾病、家計困窮、その他止むを得ざる事故」によって、就学義務の猶予を規定し、明治二十三年、三十三年、それから昭和十六年の改正を受けて、この昭和二十二年の学校教育法制定へと、こうつながっているわけですね。この年度を見ますと、戦前は日本の帝国主義的政策遂行の前夜にいつも改正されているというのが特色なんです。これははっきりそういう形が出てきております。一貫して国家権力が国民に課した義務教育を猶予する、または免除するという形で国民教育権の立場をとっていない。しかも、現行憲法は主権在民であり、第二十六条に示しているように、教育を受ける権利は国民のものですから、猶予するとか免除するとかいって上からの行政権を施行する、こういうものはむしろ私は違憲の疑いすら濃厚である。免除するとか何とか、そんな一体高ぶったことが言えるのか。そういうものはない。権利なんですよ。免除するというのは、これは全く命令する、上からの権力的な支配のことばだと思うのですが、どうです。
#307
○政府委員(宮地茂君) この猶予・免除につきましては、義務教育は子供としては教育を受ける権利がありましょうし、また親としては受けさせなければならない義務があるという関係でございます。したがいまして、猶予・免除という規定をはずしてしまいますと、権利なんだからかってではないかというようなことで、学校に理由もなく入ってこないというようなことがあってはいけないということで、権利であり義務であるものを完全に実施したいということから、やむを得ない場合は猶予・免除、それでなければかってに学校へ行かないというようなことはすべきでないという意味で書かれているので、上から高飛車に、権利を持っておるのを猶予・免除というのはピントをはずしておるという趣旨で書かれたものではないと私どもは考えております。
#308
○岩間正男君 まあ先ほど、これは坂田文部大臣の重点施策の中にもありましたように、障害を持つ子供のすべてが適切な教育を受ける機会に恵まれる、こうするためには、むしろ就学猶予というのはこれは一応ともかくとしても、免除条項というのはこれは廃止すべきで、もしも条文をこのまま温存するんなら、この適用については十二分に慎重に扱って、いやしくも権利侵害の事実をつくらないようにすべきだと考えます。ところが実際、先ほど香川や愛媛の例で述べたような、そういうことがはっきり行なわれておる。これは単に香川やあれだけじゃありません。実態は免除という名前の切り捨てなんです。こういうことをさせないための保証は何かありますか、この点お聞きしたいと思います。
#309
○政府委員(宮地茂君) これは願いによって猶予なり免除するわけで、理由もなく猶予・免除がなされるわけではございません。したがいまして、正当な理由によって猶予して免除しなければならないというものがなされるわけですから、それで十分保証があると存じております。
#310
○岩間正男君 香川や愛媛だって正当な理由でやっているのですよ、形はどうやってもつくれる。心の置き場所、姿勢がどうかという点なんです。そういう点について私は言っているのです。だから、これはかばい立ててとにかくそこのところを何するというような――先ほどもこれは上田さんから話がありましたけれども、もっとやはりその辺は何というか、よろいをぬいでやりなさいよ、もう少し率直に。まあ児童福祉施設を利用する障害児については、就学猶予の手続をとらせ、また重症心身障害児施設を利用する場合には、就学免除の手続をとらせている、その事実を知っていますか、これはどうです。これはそういう実態がありますよ。これは現実の問題ですが、どうです。こういうことの実態、知っていますか。
#311
○政府委員(宮地茂君) 私もあまり専門的なことはわかりませんが、たとえば精薄の場合、IQが非常に低い、まあ教育の可能性というものは、どのようにIQが低くても教育の可能性はあるという考え方もございますが、あまりにも重度のIQの低いもの、これは教育施設よりも社会教育施設に入れるほうがよいといったような、これは学説としてもいろいろあるようでございますが、そういったようなことから免除者の中には非常にIQの低いものがあるというふうに考えております。ちなみに猶予・免除等で、たとえば免除等の中身では精薄関係が一番多うございます。先ほど申しました九千七百六十一名の内訳としまして、精薄関係が五千七百六、肢体不自由二千五百六十六、その他ございますが、そういったようなことで、社会施設に入れる、あるいは社会教育施設に入れなくても、教育の施設に入れるべきである、議論の分かれるところでしょうが、従来あまりにも重度の、IQの低い最重度の精薄者には免除をして、社会施設に入れるといったようなことが一般的なことでございます。
#312
○岩間正男君 そういうことが行なわれている事実は認められているようですが、この措置というのは法律の第何条を適用してやるということになりますか、そういう法律はありますか。
#313
○政府委員(宮地茂君) これは先ほど先生がおあげになられました学校教育法の二十三条で、「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため」云々という規定で、その判定は当該市町村の教育委員会にまかせておるというのが現在の法律のたてまえだと存じます。
#314
○岩間正男君 それはまあ何でしょうけれども、児童福祉施設を利用するとか、あるいは重症心身障害児施設を利用する、そういう場合にそのようなことをやっておるわけですけれども、これはかまわないんですか。
#315
○政府委員(宮地茂君) 私どもとしましては教育機会均等の立場から、岩間先生御指摘のように、二十三条の猶予とか、免除という規定は理想としてはないほうがよいと思っております。しかしながら、やむを得ない事情で猶予者なり免除者が決定されるということもやむを得ない事情だと思っております。したがいまして、免除になるということはやむを得ないことだ、免除になりました子供が、そうは言っても精薄の施設としての社会施設に入っていくということは、これはまあ直接教育とは関係ございませんけれども、適当なことだというふうに考えております。
#316
○岩間正男君 とにかく乱用は困るということですね。人権侵害になるような乱用は困るということです。それならそれをさせないだけの保証がはっきりあるか。それはないんでしょう。それが現状なんです。私はそういう意味から教育の可能性ということばを子供の育成発達の立場から論じないで、この子供に何を教えれば何ができるかを、もっぱら教える側、あるいは国民に期待する側から押しつけた論理で教育を考えると、障害児は可能性を限定して見られるのは、当然、障害者の可能性というのは最初からもう限定してこれを見る、こういうことが起こってくるわけですね。ここが非常に問題です。そうではなく、現行憲法、教育基本法の立場や大臣の所信で述べられたような立場に立つなら、子供自身のしあわせを要求する内容の一つとして教育の問題を考えて、そこでは無限の発達の可能性を切り開く教育が要求されるのは当然だとするならば、いままで教育可能な子供と困難もしくは可能な子供として、それらの子供を保護する立場の児童福祉施設や、主として医療保障を先行しなければならないようないわゆる重度、重症の子供といえども、教育を受ける権利を放棄していないのは当然でありますから、当然、社会保障、医療保障とあわせて発達保障としての教育を保障しなければならないことは当然のことだと思う。ところがそうなっていないでしょう。もちろん障害を受けておるのでありますから、小学校一年生からの教育課程をなまのままで教えよということではありません。その子供の障害の事実に立って、発達保障の手段は、教員がその施設の職員や医師、看護婦と十分連絡を取り合って行なわねばならないと思うのであります。したがって、児童福祉施設や医療機関を利用する障害児に対しても、形どおりの就学猶予や免除をするのではなく教育を行なうべきである、この点に対する大臣の所信をただしておきたいと思います。
#317
○国務大臣(秋田大助君) やはり心身あるいは精薄児童、障害の方々は無限の可能性を秘めておられるわけであります。この点を十分考え、いたずらに独断あるいは何らかの意図を持って、りっぱな教育を受ける権利が事実上無視される。そういう機会が閉ざされるというようなことがあってはならない。もちろんこの点については個々の面において常識が働くものと感じてはおりますけれども、言いかえてみますれば、人間個人の基本的人権の尊厳に徹した処置が、教育界一般に行なわれるように配慮をしていかなければならない、こう考えております。
#318
○岩間正男君 これと関連して、最近、訪問教師制度をとっている県もあるわけですが、ここでも就学猶予・免除の手続をとらされた子供でないと訪問しないという、そういうやり方をしているところがあります。そうじゃなくて、障害児教育を保障していく橋渡しとして、すなわち教育権保障の一環として運営するのは当然だと、こう考えるべきでありますが、この点いかがでしょうか。
#319
○政府委員(宮地茂君) いわゆる家庭訪問教師といったような形でやっておられるのは、二十二ばかりの都道府県でやっておられるようでございます。ただ、制度上、国としてそれを、たとえば教職員の定数法とか、その他いろいろな諸規程で制度として国としてはまだそういうものを規定いたしておりませんが、それぞれの市町村、県等でおやりになられ、十分な実があがれば、私どももそういうことも一つの方法であろうということで、先ほど他の委員の御質問にも、十分調査して前向きに検討したいということをお答え申し上げましたが、あわせまして猶予・免除者についてそういう制度をするか、あるいは猶予・免除なり、在籍しておるけれども長欠といったような形のものにもやって悪いことはない。むしろいい面もあるのではないかと思いますので、いま直ちに御質問に端的にお答えできませんが、猶予・免除者なり、在籍しておる子供なり含めまして、この問題につきまして前向きに検討したいと考えております。
#320
○岩間正男君 養護だって悪いどころかいいわけでしょう。ところが人が足りないからやむを得ずやっているんだと思いますが、そういう点でほんとうにこの制度というものはもっと充足してやっていく、こういう考えはありますか、重ねて。
#321
○国務大臣(秋田大助君) 前向きに検討してまいりたいと思います。すなわち一人の方であろうとも、その基本的な人権を尊重し、かつ教育を受けるにおいて平等でなければならないという精神の徹底を期する上からでございます。
#322
○岩間正男君 いろいろお聞きしたいことがあるのですが、これは沖繩の風疹の問題について――これはあとで聞きます。その前に、われわれ党としてこの問題について見解を持っているわけです。これについてどうお考えになるか、大臣のお考えをお聞きしたい。私たちも障害者施策というものがあるのですが、基本的には、差別的な教育をやめ、すべての障害児が正当に教育を受けられるようにする。この原則は承認されますか。
#323
○国務大臣(秋田大助君) 当然のことであろうと存じます。
#324
○岩間正男君 それじゃ具体的政策について述べましょう。すべての障害児が義務教育を確実に受けられるように、現在の障害別の学校制度を改善し、必要に応じて寄宿舎に入れるようにします。また普通学校の障害児学級も十分ふやし、行き届いた教育を受けられるようにします。それから精神薄弱児、肢体不自由児、虚弱児の教育の権利を保障するために養護学校を直ちに義務設置制にします。それからすべての障害児がその障害の程度にかかわらず、補聴器などの使用や早期からの治療、訓練、集団教育などで能力の発達が保障されるようにします。これをまず第一に私たち考えているわけですが、この点いかがでしょう。
#325
○国務大臣(秋田大助君) ただいまお述べになりました内容全部をいま直ちに実行に移し、実現をするということは至難な面があろうかと存じますが、そういう点を努力目標といたしまして、先ほど来から申し上げている精神によりまして、これらの方々の教育に意を用いてまいりたい、その充実を期してまいりたい、こう考えております。
#326
○岩間正男君 第二に具体的措置として、幼稚部、これは障害児の幼稚園を増設し、三歳児から入所させて保育できるようにし、八時間以上の保育もできるようにします。また高校、大学入試などの差別をやめさせ、高校、大学への進学の道を保証します。これは先ほど大学の進学の道についてはお話がありましたが、この幼稚園のほうはこれはどうでございますか。
#327
○国務大臣(秋田大助君) その点につきましても、先ほど来質疑の中においてあらわれました政府の意図を十分おくみ取りくだされ、先生がお述べになりました内容の実現を期して、われわれが漸進的に進んでおるということを御了解願いたいと思います。
#328
○岩間正男君 第三に、これは障害児の通学の便宜をはかるために、近くの駅など必要な場所に通学バスを配置し、また介助職員、これは先ほど問題になりましたが、これをふやし、そのための父兄負担はなくします。こう考えますが、これはどうでしょう。
#329
○国務大臣(秋田大助君) その具体的な問題になりますと、そのところは父兄の負担一般を軽減することは当然考えていかなければならない。具体的なバスの問題等につきましては、ひとつ検討させていただきたいと思います。
#330
○岩間正男君 父兄負担に対する調査は、文部省ございますか、現在具体的に障害児について。
#331
○政府委員(宮地茂君) 父兄負担の調査は文部省でいたしております。
#332
○岩間正男君 これは実態をもう少しつかむとだいぶこれは開きがあるんじゃないかと思いますが、まあ資料をいただいてから検討します。
 第四に、在宅障害児のために家庭訪問教育制度をつくります。これは先ほど出したわけですが、これをもっと制度化してやるお考えがありますか、どうですか。
#333
○国務大臣(秋田大助君) 前向きに検討してまいりたいと考えております。
#334
○岩間正男君 第五に、教育内容と教育技術を高めるため、都道府県ごとに障害児教育センターをつくる必要があると思うのですが、こういうことを私たちは主張しておるわけですが、いかがでしょうか。
#335
○国務大臣(秋田大助君) これも検討させていただきます。
#336
○岩間正男君 こういうものと結んで初めてこの研究所というものはほんとうに生きてくるんじゃないですか。有機的な結合を持つ全国的なそういう機構体制ができるんじゃないですか。いま、とにかくつくってみようというので久里浜につくられているわけなんですがね。しかし、やはりもっと体制をやっぱり考える必要がある。これはわれわれの政策ですから、ここで時間の関係から論議をすることは避けますが、私の質問の中にも幾つかこういう問題を含めて論議をしてきたつもりであります。
 これと関連して風疹の問題をお聞きしたいのです、沖繩の。その前に、これは基本的な問題でどなたかに――やっぱり大臣にお聞きしたい。沖繩の返還が間近になり、御承知のように教育の公選制をとっているわけですね。ところが、これは本土並みだということで任命制になる。本土は非常に私はぐあい悪いと思う。こんなものはうまくないと思う、任命制は。任命制にしようということについては、最初は経過措置をとるんだというようなことを申しておりました。ところが、これは相当強硬な意思があったと見えて、坂田文部大臣がわざわざ沖繩まで出かけていって、そしてこれは本土並みだということで、公選制じゃなくて任命制だと、こういうことになったようであります。これは実情に合うのかどうか。私はこの点で沖繩に何回も参りました。昨年の六月に私は八重山まで参りました。宮古にも参りました。八重山でこういう実態を聞いたのであります。これは関係者の脳裏に刻み込んでいただきたいと思います。とにかくこれは本土で二、三年前まで高校の先生をやっておった先生が八重山に行って、いま高校の教員をやっておる。この人が懇談のときにつくづく漏らした。本土の教育は暗いと言うんだ、沖繩より。この原因は何か。これは教育に対する自主性の破壊だ。任命制です。こういう実態がはっきりした。私はそれから宮古にも参りました。宮古に参りましたら、やはり教育関係者がこう言ったですね。ここで、強引にまた本土並みというごまかしで任命制にされようとしている。これは全く沖繩の民主的教育を奪うものだ。長年の異民族支配の時代よりも本土に復帰したら教育が悪くなる。こういう事態を考えることができるかと言って、つくづくと声を大にしてこの教育関係者は私に訴えた。この点をどうお考えになりますか。いま復帰を前にして、この教育問題は非常に重大な問題を持っていると私は思う。これはただ一律本土並みでいいんですか。むしろ本土こそ変えたらどうですか。公選制に戻すべきだ、教育の自主性ということを考えたならば。とにかく任命制になってからのこの十数年というものは、日本の教育はどんなにひんまがってきたか。これは池田・ロバートソン会談以来の日本の実態を見ればはっきりしている。どうお考えになりますか。これもまた沖繩にこのようなしわを寄せますか。
#337
○国務大臣(秋田大助君) われわれを取り巻く教育が暗いか明るいか、われわれは明るいと思っておりますけれども、先生のいろいろ御所見は拝聴いたしておりますが、これ以上議論をいたそうとは思いません。しこうして、沖繩が本土と同じく同じ施政権のもとに返ってくるわけでございまするから、教育行政につきましても本土とともに歩むということにおいて私は差しつかえがないと思う。先生は、これが暗いのだから、本土並みになることは沖繩にしわを寄せ、これを暗くすることになるとお考えになっておられるようでありますが、私はそういうふうに考えておらないわけであります。
#338
○岩間正男君 まあ、実態をあげて議論をし始めれば一晩中やらなければならないのですが、もうこれでやめますが、ただ異民族支配時代より悪くなる、こういうふうに思っておるし、事実そういうふうになると、私はそう思うのですよ。沖繩ではとにかく安保条約について論議することができるのです。子供たちは討論会を開いたこともあるんです。安保条約の発効した六月二十三日に小学校から中学校、高校までこれをやれるのです、これが保障されている。とにかく沖繩は米軍の支配の中と言いながらこれがやれる。日本本土ではどうか。たちどころに首でしょう。こういう事態になっているじゃないですか。小学校で子供に安保の討議をさせてごらんなさい。日本本土の教育の実態はわかるでしょう。異民族支配の時代よりも教育が暗くなって悪くなるということが考えられるだろうか。これぐらい私の胸に刺さったことはない。しかし、これについてはお聞きをしても同じような御答弁でしょうから、これはあなたたちの胸にちゃんと入れておいてくださいよ、いいですか。初中局長どうです。特にあなたにお聞きしておきたい、いかがですか、いまの問題。
#339
○政府委員(宮地茂君) 教育委員の公選任免、この問題につきましては、本土でも終戦直後は公選でございました。いろいろな経験を経て任命制にしたほうが民主的でもあるし、教育の政治的中立を守ることにもなるし、さらに教育行政と一般行政の密接な調和を保つこともできる、経験に基づいて公選から任命に変わったわけでございますが、しかし、この任命につきましては考え方の相違で、やはり選挙がいいんだと言われる方もおられるのも事実であります。しかし、私どもは経験に基づいて、少しでもよい行政を行なうためには任命制がよいということで三十一年度に変えたわけでございます。その扱いにつきましては、先ほど大臣がお答えになられました。
 次に、いまの安保の問題について、沖繩では自由だが日本では不自由だという点、私どもそういった政治的な問題に限りませず、やはり教育というものは子供の心身の発育に応じて行なうのが教育である。大学生に教えるようなことを小学校に教えても、これは決して教育になりませんし、まあ、いろいろな観点から、心身の発育に応じて教育をする。で、政治教育は大いに尊重する必要があると思います。しかしながら、具体的ななまの問題をどのように子供に教えるのが、はたしていうところの政治教養をつけさせるための政治教育になるか。これにつきましてはいろいろな経験にもかんがみましてやっておるわけでございます。一がいに安保問題を学校で云々したら、すぐ何とかなるといったような権力主義的な行政はいたしておりません。
#340
○岩間正男君 あなたはそう言われるが、反駁する材料はたくさんありますよ。あなたもとにかく行ってごらんなさい。基地の中の沖繩――沖繩に基地があるんじゃないですよ。基地と基地の間に沖繩がある。そういう中で朝晩の爆音を聞いている。目の前で見ているんです。生きているんだ。これが教育の材料にならぬですか。そういう中での子供に対して平和を教えておったって――それはやっぱりわれわれの当面する現在の状況を認識させるというのは当然の教育でしょう。再び戦争を起こさないために、敗戦のわれわれのあの時代の悔いがあるでしょう。だから、そういうような、いまあなたの言われた、あなたのいまの答弁が全く何よりもあなたたちがここ十数年やってきた教育の実態を語っていますよ。しかし、ここで議論する時間の余裕はありません。次に進みましょう。
 お聞きしたいのですが、沖繩における障害児の教育について二、三質問したいと思います。
 まず第一に、沖繩における障害児童、障害児教育の現状はどうなっていますか、これをお聞きします。
#341
○政府委員(宮地茂君) 沖繩では盲学校が一校、ろう学校が一校、養護学校が四校、小中学校の特殊学級が百八十二学級設置されております。本土と同じように、これらの学校におきまして特殊教育が実施されております。詳細が必要でございますれば、もう少し詳細申し上げますが、概要はそのようになっております。
#342
○岩間正男君 「特殊」学級はどうですか。小・中で学級数と人数を言ってください。
#343
○政府委員(宮地茂君) 特殊学級は小中学校で百八十二学級でございます。
#344
○岩間正男君 人数は。小学校百四十六学級、中学校六十学級じゃないですか。小学校千八百五十九人、中学校五百六十一人、違いますか。
#345
○政府委員(宮地茂君) 説明員でよろしゅうございますか。
#346
○説明員(寒川英希君) いま局長が申し上げた学級数でございまして、児童生徒数につきましては、資料持ち合わせませんので、後ほど。
#347
○岩間正男君 これはあとで資料を出してください。
 風疹学級というのは七一年度から新設されたはずですね。これは何学級ありますか。
#348
○政府委員(宮地茂君) 風疹の特殊学級は四十六学級でございます。
#349
○岩間正男君 これも私たちの聞いているところは四十九学級、それからろう学校の幼稚部が四学級ふえている、こういうふうに聞いているわけですが、これもよく調べて出してください。
 それで、総理舟から見えていますね、どなたですか、対策庁長官ですか――それじゃ、対策庁長官にお聞きします。
 一応障害別なども整っているようで、本土のおくれた県よりは整備されていると言えるようでありますが、特に風疹障害児について総理府にお尋ねしたいと思います。琉球政府厚生局の資料によりますと、一九六四年後半から六五年前半にかけて、沖繩全域で風疹が流行し、六九年一月、日本政府の派遣した検診班の検診の結果、受検児童数五百五十五名中、三百六十名が風疹障害児と言われ、先天性心疾患五十二例、先天性白内障二十八例、風疹による聴覚障害児三百三十九例、特に心臓、聴覚、視覚の三重障害児が二十一例もあると述べています。以上の調査結果は総理府にも報告されていると考えられるので、その後、風疹対策の特別措置として、教育医療の面にどのような援助措置をしたか、お伺いしたいと思います。
#350
○政府委員(岡部秀一君) ただいまのような状況でございましたので、さらにその後精密な検診班を派遣をいたしましたのであります。その結果、心臓疾患児童で、早急に手術をしなくてはならないという者が五名、それから少し時期を待って手術すべき者、それが十九名、それからなお経過を観察してから処置をきめようというものが七名、こういう状況でございました。そこで、そのうちの早急に手術を要する者五名、これを九大付属病院に収容いたしまして手術を行ないましたが、全員経過良好でございまして、退院をいたしまして沖繩に帰りました後の経過も、全員発生することもなく、経過良好であるという報告が参っております。教育対策といたしまして、財政援助によりまして、昭和四十五年度では琉球政府の設置した風疹障害児の学級に対します設備、備品費、これを九百二十七万円計上をいたしております。さらに本年度は、来春これらの児童のうちで学齢に達する障害児がございますので、教室建設費一億二千万円を計上をいたしております次第でございます。
#351
○岩間正男君 これは私たちお聞きしているのと数が必ずしも一致していないのですが、これはまああとでこの点は明らかにするとして、時間の関係から、その数の問題についてはこれは譲りたいと思います。手術を受けた者の数がまだ少ないようですが、治療費、渡航費、付き添い者の旅費、滞在費などについては金額国庫が負担してやるべきだと考えますが、いままでこれらの経費はどのようになっていますか、それから今後どうするつもりか、総理府としてこれについてお答え願いたい。
#352
○政府委員(岡部秀一君) 治療処置をいたしました五名分につきましては、財政援助費で十分の八を援助いたしております。それから四十六年度の予算には二十名分を計上いたしております。従来、琉球政府におきましては、昨年が、風疹児だけではございませんけれども、そのほかも含めまして二十名の財政援助をいたしまして、それにプラス琉球政府がなお二十名の予算を計上をいたしておる次第でございます。本年度はこちらから二十名の財政援助をいたしておりますので、琉球政府におきまして財政状況を勘案しながら、その数をさらにプラスをしていくということになるんじゃないかと思っております。復帰した後におきましても、これらの風疹児に対しましては従来の援助を続けていきたいと思っております。
#353
○岩間正男君 結局、政府の出した金は幾らなんです。そこのところ明確でないな。
#354
○政府委員(岡部秀一君) 金額はそれぞれ違いますが、十分の八を補助するということになっております。
#355
○岩間正男君 総額は。
#356
○政府委員(岡部秀一君) 六百三十七万円でございます。
#357
○岩間正男君 こんなことで間に合いますか。私の聞いたところでは白内障の二人については日本ユネスコ善意銀行が負担をした。それから心臓疾患二名のうち一名は治療費は琉球政府一般会計から、他は寄付金から支出、患者渡航費は一般会計、付き添い費は一名分一般会計、他は寄付金から支出した。その後これは何ですか、政府がこれらの肩がわりでもやったんですか、どうなんです。
#358
○政府委員(岡部秀一君) 補聴器の配布の問題でございますが、補聴器の配布、その装着、三百二十七個配布をいたしておりますが、これは寄付金によっておりまして無料で配布をしておる、そういう予算でございます。予算が、なおこのほかに、予算以外にあるわけでございます。
#359
○岩間正男君 これは琉球政府の負担も相当なんですが、どのくらいなんですか。
#360
○政府委員(岡部秀一君) 琉政では約百六十万ほど出しておるわけでございます。
#361
○岩間正男君 非常にこれは何ですね、琉球政府の、最近の予算を組むにも非常に困難な事情がある、そういう中でこういうのを負担しているのですから、こういうものは全額政府がみるべきじゃないですか。こういうものは組まれていますか。
#362
○政府委員(岡部秀一君) まあ全額補助できればいいと思いますけれども、なお一般財源としてこういうふうなものにも充てるように、別のほうから一般財源を付与いたしておるという点もございますので、そういう点で、なお二割の負担というふうなことを考えていくということもまた一方法だと思っております。
#363
○岩間正男君 これは文教、厚生面でどうするかということを具体策をお聞きしたいのですが、風疹による聴覚障害児は数の上で最も多いように聞いておりますけれども、これは何か対策を考えておられますか。文部省いかがですか。
#364
○政府委員(宮地茂君) 風疹児につきましては、先ほど沖繩・北方対策庁長官もお答えになられましたが、対策庁のほうで音頭をとられまして、実質的には私ども文部省におきましてもいろいろお手伝いをさせていただきました。大体四百人の子供がこの風疹児のようでございます。それらにつきましては聴覚障害を起こしておる者が多うございます。そういう面から聴覚障害児に対する指導教員の援助等で、現在まで短期、長期の指導者講習あるいは指導員の派遣、こういったようなこともいたしております。さらに沖繩では、連合教育区ごとに巡回教師が配置されておるようでありますが、それらにつきましては、沖繩が本土返還後もそういった対策は継続してまいりたいと思っております。なお、こういう子供についての設備関係では、四十五年度でございますが、集団補聴器、卓上補聴訓練器、四十八学級分も援助をいたしております。
 なお、先ほど特殊学級数に対しまして、生徒数の資料を持ち合わせておりませんでしたが、百八十二学級で千八百四名でございましたので、つけ足させていただきます。
#365
○岩間正男君 もう要点だけまとめてください。厚生省どうですか、これに対して。
#366
○政府委員(坂元貞一郎君) 先ほど沖繩・北方対策庁長官からお話ございましたように、先天性の心臓疾患なり白内障等につきましては、現在本土において行なわれております児童福祉法、そういうふうな児童福祉法のたてまえによりまして育成医療、あるいは補装具の交付、そういうようなものを今後とも琉球政府を通じまして向こうの法律体系に準じましてやってまいりたいと、かように考えております。
#367
○岩間正男君 やってまいりたいと言って、いままでやったのをお聞きしたのですが、やっていますか。
#368
○政府委員(坂元貞一郎君) これは先ほど総理府のほうからお話がございましたように、育成医療の支給ということで二十名分というのが四十六年度予算に総理府を通じまして交付されておる、こういうことになっております。
#369
○岩間正男君 それじゃ文部省にお尋ねしますが、本土から派遣した指導員の人選ですね、これはどのようにして行なわれたのか。沖繩の現地の父母たちの意見を聞いたのですが、きわめて評判がよくないんですね。授業時間中ちょっとよそ見をしたから一時間も教室のうしろのほうに立たされた子供がいたり、補聴器をいやがる子供にばんそうこうで張りつけろと指導したと、こう言われております。普通の子供でも、わんぱく盛りの子供で、しかも耳が聞こえない子供を視覚だけで束縛してことばを教えようとするのは無理な話ですね。よそ見をするのは当然の子供の姿であろうし、また補聴器はなれないものには苦痛ばかりで、いやがるのは当然であって、これにばんそうこうで張りつけろとは、人間が補聴器を使用する原則ではなくて、補聴器に人間をくくりつけるような結果になるのではないか。また派遣指導員間に何の連絡もないばかりか、それぞれ個性が強くて、前任者の指導どおりやっていると、後任者がまるで違ったことを指導する。それではというので、その方法を学んでいると、三カ月たつとまたかわるというのではどうしてよいかわからないと言っているんです。先島の離島から夫婦別居して子供のためにつき添ってきている母親もあり、中には通学付き添いのために失業して、いま借金に苦しんでいる母子家庭もあるわけです。これらの父母はことばの教育だけでは要らない、人間としての教育をしてほしい、こう言っていますけれども、今後どのように父兄たちの願いにこたえられるおつもりか、これをお聞きしたいと思います。
#370
○政府委員(宮地茂君) 本土から派遣しました指導員に対して非常に評判がよくないということをあげられたようでございますが、私どもといたしましてはそのようには聞いておりません。なお、派遣いたしました教師は、大体、風疹児は聴覚障害を起こしておりますので、本土の主として、ろう学校のいわゆる経験豊かな先生を派遣いたしました。なお、そういう聴覚障害の教育よりも人間教育をといった御要望ということですが、これは聴覚障害ということで、その道の専門の先生を行かしましたので、社会科を教えるとか、歴史を教えるという意味で派遣したわけではございません。
#371
○岩間正男君 その実態をこれは調査をされる必要がある。せっかく派遣されて、それが効果をあげない。やはり向こうの実情というものを知らなくちゃならないし、そういう上に立ってよほどとけ込んだことをやらないと、せっかく派遣したものが、仏つくって魂入れずというような結果になりかねない。だから、いまの御答弁ですが、私はこれは文部省に、評判が悪うございますと報告する人もないわけですから、やはりもう少しその辺は気を入れてやってもらいたい、こういうふうに思うわけです。
 次に、ろう学校は新たに学級増を行ない、また聴覚障害児福祉センターに運動場を割愛したため運動場がとられてしまった。現地では付近の地主と折衝して約三千坪の用地を確保したが、購入費が足りないといって困っている。七千二百万ばかりの金ですが、特に風疹児対策という特異な条件に対し、特別に援助金の中で考慮するとか、これは援助してもいいのじゃないかというふうに思うのですが、この点いかがでしょうか、お伺いいたします。――これはどこですか、風疹児教育ですから文部省でしような。ろう学校の新設ですから、どうでしょうか、この問題まだ出てきておりませんか。
#372
○政府委員(宮地茂君) 私どもは聞いておりません。
#373
○岩間正男君 さっそく調査してこれに対する対策をお考えになれましょうか、どうでしょう。
#374
○政府委員(岡部秀一君) 文部省とよく連絡をいたしまして調査をいたしてみたいと思っております。
#375
○岩間正男君 それは文部省いいですね、異議ありますか。
#376
○政府委員(宮地茂君) 具体的に承っておりませんので、何という場所かも聞いておりませんが、まあ対策庁で音頭をとられるべきと思いますが、文部省は退くわけではございませんけれども、一応対策庁のほうとよく御相談いたしたいと思います。
#377
○政府委員(岡部秀一君) 失礼いたしました。ちょっと御質問の点を感違いいたしておりましたのですが、聴覚障害児につきましては、南方同胞援護会の事業といたしまして、沖繩聴覚障害児福祉センターというのを設けましたが、そのお話だと思います。それは本年の一月に落成いたしております。これに医師、聴能訓練士を派遣いたしまして、いろいろの事業の助成をはかったということになっております。なお、今後これらの者に対しまして琉球政府と連絡をとって指導をしてまいりたいと思っております。
#378
○岩間正男君 とにかくその用地を、校庭が取られたので用地を確保したのだが、金が足りない。七千二百万ばかり足りないのだが、こういうことでは、沖繩の財政では非常に苦しいから、これについてやはり考えてほしい、こういうことなんです。
 まあ風疹そのものは風疹ビールスが原因で流行することもありますが、一九六四年の沖繩における風疹の大流行は全く特異なもので、いままでと事情が非常に違っている特異な性格を持っているのですね。その前年にアメリカ北部州で大流行し、直後に沖繩に輸入されているのは、アメリカ占領者の不当支配が公衆衛生の不備と関連し、全くの基地災害と考えられるものであります。特に母体は全治しても、その体内で息づいている無抵抗の胎児に一生ぬぐうことのできない先天障害が加えられることは、全くこれは許すことのできない犯罪行為と言うべきであります。沖繩の本土復帰の陰で泣いているこれらの子供たちの無言の怒りに、われわれはほんとうに真剣にえりを正して考えるべきだと思います。こういう例が非常にあるわけです。これは米国の災禍が入り込んできたのですよね。しかもこれを現地で背負わされるということになったのではこれは話にならぬ。だから、形が全く似ている。これは米国で大流行したあとに持ち込まれてきた。こういう実情はお調べになっておわかりだと思うのです。いかがですか、対策庁長官、どうですか。
#379
○政府委員(岡部秀一君) まあそういう点は、私、専門でないから存じておりませんけれども、そういう点いろいろ含めまして、検診団を派遣をし、さらに精密検診班まで派遣をいたしておるという状況でございます。
#380
○岩間正男君 その結果をほんとうにこれは明らかにして、そうしてこれに対して、全くこれは沖繩県民のあずかり知らないところでこんな災害が行なわれているのでありますから、このような戦時災害みたいなこういうものについては全面的に国が補償する。まあ米軍が補償すべきで、ほんとうはこういうものなんかもこれは請求権の対象になるべき問題なんだけれども、こういう問題が明らかにされないままにこれは返還をされた。これはどうしても政府がこれに対してはっきり補償に任ずべきだというふうに思うのですが、この辺はどうですか。
#381
○政府委員(岡部秀一君) まあいろいろと原因を詳しく調べないと、それがどこの責任に帰すべきかということはわかりませんけれども、実際調査の結果において、本土政府で責任を持つべきものである、国で責任を持つべきものであるという結果が出ますれば、当然、国といたしまして措置をいたしたいと思います。
#382
○岩間正男君 まあとにかくこの措置をどういうふうにとるか、とった結果については報告してもらいたいと思います。
 それで、風疹の問題はひとまずこれで終わりますが、最後に私は、もっとお聞きしたかったのですが、定員外の問題、これはここの中心課題にならないで全部集中してあとでやるということになっておりますから、まあ簡単に、ほんとうにその点簡単にこれはお聞きしたいと思います。まあ二年前の総定員法のときに佐藤総理が当委員会に呼び出されたわけだ。そうして、全国的にこれは数万の定員外という問題が、これは北海道の開発とか、文部省とか、そういうところで問題が指摘されて、非常に大きな論議になったわけでしょう。佐藤総理はこの問題について調査して善処しますという答弁をしているわけです。この問題はもうすでに三年ほど前から閣議でも問題になってるんだ、だから当然いままで調べたと思ったが、実際はまだ調べていないのかというようなことばまで残して、それで調べると、こういうことだった。ところが、まあきのうも論議されたのでありますけれども、この調べた結果はどうかというと、全く何もないんだというかっこうで、この問題が実際ははぐらかされていると思うんですね。しかし、実態はどうかということが最大の私は問題だと思うんです。実態はどうなんだ。それで、それがいま文部行政の中ではっきりこれは出てきている、大学における定員外の問題というのははっきり出てきている。いずれ当委員会にこの実態は報告される、こういうことになっている。で、私は総定員法というのは、まあわれわれは賛成することはできなかった。あんなしゃくし定木でばっちり切る、それで定員を押える。しかし、実際はその結果たいへんなこれは国民生活に対するいろいろな不利益なことを与えました。たとえば看護婦さんの非常に数が問題になってる、国立大学における看護婦の問題、あるいはまた気象庁の人員をとにかく百人以上切った。あるいはまた航空管制、そういうところで非常にこれはやっぱり不十分なことが起こった。そして一番数からいいましても多いのはこれは文部行政、こういうところにきていると思うんですね。これはどうなんです、一体。文部省でもこの実態がなまのまま報告されていないんじゃないか。とにかくぱっとやる、整理の刀が動いて、その方針のもとにとにかく翼々としてると、こういうかっこうなんだと思うんですね。どうもさっきの予算の話もちょっと質問やったんですけれども、どうもそういう問題、上から来たのは金科玉条、その中でのワク内の措置しかやらないのが大体いまの官庁のやり方で、そのためにたいへんないろいろな被害が起こっている。農学部の問題が出されました。ここで論議されました、時間かけて。そのほかにどうですか、こういうところで実態、そういう問題どれだけつかんでおられるか、それは局長の認識の程度が非常に問題です。まあ荒木長官がきょう見えていないから、荒木さんにほんとはこれはぶつかりたかったんですね。これ、どうつかんでるんだ、知らないふりしてほっかぶりをしておったんじゃ困ると思うんですね。総定員法といえども、実際は必要な、ことに国民生活に必要な、あるいは一国の学術や教育、そういうものを進める、文化の発展、そういうものに必要な、そういう長期的な目から見て必要なもの、そういうようなものについてはどうしてもこれは要るところには要るんだ。そこのところをほんとうに実態に即応した、そういう態勢をとるんだという原則を私は確立しなきゃならぬと思う。あれはもうとにかくうまくいったなんて言っていますけれども、それはうまくいっていませんよ。いっているというのは、あなたたちのやったほうの立場からそう言っているにすぎない。はっきりしています。だから今日いろいろな問題がたくさん出てきている。だから、この原則についてこれはお聞きしたい。私たちは総定員法に反対はしたが、あのときこれに関係した者として非常に責任を感じている。どうなんですか。
#383
○政府委員(河合三良君) 定員外職員の問題につきましていろいろと御意見をいただいておりますが、この職員の現状につきましては、一昨年から昨年にかけまして実態調査を各省庁にお願いいたしまして、その結果につきましては先日も御報告申し上げましたが、各一般行政機関、国立学校につきましては、四十四年度、四十三年度に十一カ月をこえる任用期間のありました臨時職員が約四千二百名ほどおりました。そのおのおのの者につきましては、勤務状態につきまして、年間に仕事の変わる者、あるいは勤務の官署の変わる者、あるいは一年または数年の間に業務の変動が当面予想される者というものに該当するということから、この中で増員によって定員化を行なう必要のある者はいないという結論に達しております。また、総定員法の運用につきましては、これは従来からも申し上げておりますが、必要なところには必要な増員を配置する、また行政需要の消長に応じてその人員の割り振りを行ない直すということが可能になりますように、総定員法の御制定をいただいたわけでございますが、その趣旨は厳としてこれを守っていかねばならないというふうに思っておりますので、行政需要の要請に応じまして、定員の移しかえも当然考え、必要なところには、これは必要な人員を配置するという考え方で対処していくといっておりますし、また、いく所存でございます。
#384
○岩間正男君 それじゃ、その必要なところに配置したのを、去年からことし、この数を知らしてください。それで調べてみるほかはない。あなたたちは、ほんとうにことばでだけ言っているのじゃ困るんです。文部省でもいろいろ言い分はあるでしょう。学校を新設した。これは必要なところに必要なということになるだろうと思う。そうじゃないのですね、実際。研究面の中でくずれていっているところがある。そうして全く定員外で何して、ほんとうに人権無視の問題が、ずいぶんここで時間をかけて論議がされた問題が出ている。それだけじゃない。日本のいろいろな大切な科学の研究というものが継続的になされないという面が、だいぶそういう問題が出てきているのです。しかし、ここで詳細をやる時間、許しません。私は農学部の問題が出ましたが、ここに東大宇宙航空研究所の実態、これは私たちは何回もお聞きをしたのですが、この実態はあなた御存じないでしょうね。これは文部省にいまお聞きしても、ちょっと気の毒だ、事前に通告してなかったから。これは私のほうから申し上げますよ、時間の関係もありますから。定員ですが、ここの宇宙航空研究所ですね、これが定員内の職員が二百三十五人、そうして定員外が百二十九人、計三百六十四人であります。これは四十五年の十月一日現在の調べであります。定員外がこのうち五〇%を占めている。それで、その構成を見ますと、これは定員内の教務技官が七人、それから定員外教務補佐員が五人、技官が百十八人に対して技術補佐員が五十四人、事務官が八十四人に対して事務補佐員が五十一人、技能員が六人に対して技能補佐員が七人、用務員が二十人に対して臨時用務員が十二人、そうして定員が二百三十五人に対して百二十九人が定員外、先ほど申しました五〇%のこれは定員外、こういうことになるわけですね。定員外職員は、ただでさえ劣悪な公務員の労働条件、研究条件よりさらに悪い条件に置かれている。例をあげましょう。たとえば病気休暇、生理休暇、特別休暇、産休は適用がないのです。退職金、これは何年勤務しても、一年ごとに雇用が打ち切られるので勤務年数の積算がなく、しかも一年ごとに出される退職金も、定員が一年勤務して整理退職となった場合の四分の一、自己都合の場合はそのさらに半分、〇・三カ月分しかこれは出されない。第三には、共済組合に加入できない。扶養手当もない。こうした悪い条件のもとで、定員内職員と変わらない仕事に携わって、日本の日の当たる、いまの何とか産業というのに当たる研究になるのでしょう。そうでしょう。ところが、そういうもののそこに働いている人の五〇%はこのような形で充足している。それで、日本の一体そういう宇宙科学技術の発展などということが望めますか。これはどうなんです。これはまあいますぐに資料はございませんでしょうが、この問題、やはりあらためて調査してみる必要がある。これは一つの研究部門で、たくさんこういうところはあるわけです。私は特にこの例として、しかもいま日の目を見ているようなミサイル、そういうところの技術、こういうものによってささえられている。これで日本の科学技術が進みますか、どうですか、どう考えるのですか。
#385
○政府委員(安嶋彌君) ただいま御指摘のございました東大の宇宙航空研究所の実態につきましては、私ども手元に資料がございませんが、御指摘のとおりかなりの非常勤職員がおるものといたしますならば、これはやはり臨時的季節的な業務に従事するものとして東京大学当局が任用したはずでございます。しかし、一方、現在の定員で宇宙航空研究所の業務が十分に遂行し得るかどうかということにつきましては、これはあるいは問題があろうかと思いますが、実情を東京大学当局から聴取いたしまして、必要な人員につきましては今後の課題として検討してまいりたいというふうに考えます。
#386
○岩間正男君 さらに勤務年数が四年以上の人がここで五人いますよ。それからロケット打ち上げ実験業務における定員外職員の実態はどうなっているかというと、第一に、M―4Sクラスの大型ロケットの場合、これは百二十名の職員が東京へら鹿児島県の内之浦へ出張して、そのうち約三十名が定員外職員で、定員内職員と同じようにロケット打ち上げ業務の重要な役割りを果たしている。第二に、K―9M、カッパですね。カッパクラスの中型、小型ロケットの場合は約五十名の職員が東京から出張して、そのうち約十五名が定員外職員。第三に、鹿児島内之浦にある宇宙空間観測所の職員は二十二名全職員が打ち上げ業務及び建物設備などの保守の重要な役割りを果しているが、これは十三名がこのうちの定員外職員である。そのようにロケット打ち上げ業務にも定員外職員が多い。実際の現場第一線ですよ。この役割りも重要であり、これは欠くに欠かせない存在というべきだ。こういう人が定員外によってまかなわれているという、こういう事態というのはこれは考えられますか。しかも危険を伴うロケットの打ち上げ業務に従事しながら、万一けがや病気をして入院したら、遠い出張先で心細い思いをするだけでなく、入院中の日当、宿泊費は返納させられる。日給はその間支給されない、こういうことですよ。御存じですか。脚光を浴びているロケット打ち上げ業務はこうした状態に置かれている。これが日本の総定員法下における科学行政じゃないですか。国民のためにこれは役立つよりよい正しい科学研究の成果をあげる上で重大な問題になっていると思う。定員外職員は事務上、研究上の必要性から見ても人数から見ても宇宙航空研究所を支える重要な構成員、この人、これなしとしてごらんなさい、たいへんなことです。研究所の存在を事実上握っているといっても過言ではない。こうした重要な構成員である定員外職員の身分を安定させ、待遇を改善することは、研究業務に励むためにも、ひいては日本の宇宙開発などの科学研究の正しい発展のために必要な問題だというふうに思うのです。私は多くはあと申しませんが、こういう問題がこれは相当多いわけです。ことに国立大学の研究所なんかはこういう実態が非常に出てきている。これはたくさんの例をあげることができる。時間の関係からこれはやりませんが、こういう実態をとにかく管理庁としてもこれは調べる必要がある。一昨年、総定員法でああいうことやったのですから、これに対する私の反証をこれは出しているわけです。これに対する態度を最後にお聞きします。どうですか。
#387
○政府委員(河合三良君) ただいまのような御指摘がございましたので、一昨年来調査をいたしまして、かくのごとき結果になりました次第でございます。ただいま御指摘のロケット打ち上げの職員につきましても、業務の内容の重要性とはまた別途の見地から、この要員が短期的なものであるか、あるいはまた長期的なものであるか、そういう観点から見ました場合に、これは業務の内容のいかんにかかわらず、臨時的な採用でやっていただくのが適当な仕事もあるわけでございまして、そういうものにはこれは臨時職員をもって充てるということが適当かというふうに存じております。
#388
○岩間正男君 たくさん例をあげたけれども、四年ぐらい実際は同じ仕事をやっているわけですから、同一労働、同一賃金から考えたって、これはこういう原則は許されないわけです、実際は。こんなことがいつもあるのです。それで、あなたたちは、言わせるというと、いまのような言い方をされるわけです。おきまり文句なんです。耳にたこができるほど聞いているわけです。しかし、実態は解決されない。こういう四年も勤続した人、病気をやるというと、そういう費用まで出させられる。そんな安定のないところに科学技術も何もないのじゃないか。内之浦のロケットが失敗ばかりしているのは、そういう実態からくるのじゃないですか。その責任を管理庁負えますか。
#389
○政府委員(河合三良君) ただいまの御指摘のような点につきまして、処遇改善につきましては、これは定員化あるいは増員という問題とは別途に、関係省庁において検討をしていただいているところでございます。
#390
○岩間正男君 そんな、なま血が通っているのですよ。いまのようなやり方をされちゃたまりませんよ。とにかく、あまり大のこぎりでもって統一してばっとやってしまって、あとのことは野となれ山となれ、そして調子だけ合わせて、調査の様式というものをあなたたちの目的に合うようにつくり上げて、そうして資料ができ上がった。それが当委員会に出されたって、われわれはつんぼさじきにおるわけではないのですから、こういう実態はもう各党でも、野党間でも問題になっているところですから、これは意思統一してやります。私はそういう意味で、この問題はあとに残してやりたいと思います。荒木長官もきょうは本会議に出ておったようだから、病気がなおって出てきたようだから、これはやる必要がある。
 そういうことを最後につけ加えて、私の質問を終わります。ちょうど二分前ですから。
#391
○足鹿覺君 一言、これは大臣に対する御質問ではございませんが、先日来、当委員会においては熱心に審議を続けてまいりました。私も、坂田文部大臣が御病気でありますので、臨時代理の秋田自治大臣にお尋ねしましても御迷惑の点が多かろう、かように考えまして、十数項目にわたる大臣の御所信のほどを承る問題は本日は全部割愛をいたし、時間も過ぎておりますので省略をいたしますが、要約するところ、このあとで行なわれます理事会ないしは理事懇談会において附帯決議等の点について御提議を申し上げたい、かように思っておりますが、第一点は、身体障害児が母の体内からすでに発生の素因を持っておる。その他身体障害児の発生を未然に防止するその対策、第二点は、現在の養護教育は、昨日の参考人の供述によってもきわめて不十分不徹底である。これの拡充、強化をはかっていく、第三点は、養護教育を終えた者が専門教育、大学と進学の道を開き、一本立ちで社会に適当な職業を得て生計が維持できるようにするための対策が欠けておる。これを整備していく、第四点は、多様化し、そして行政需要拡大に対応する文部省の、なかんずく大学行政の面において一日雇用というがごとき非人道的な非常勤の人々の定員化を、条項を削除して一人前の公務員として、その権利、身分、待遇等を保証していく、こういった問題について十分ただしたかった。あえてこれ以上申し上げませんが、この点についてはとくと、臨時代理とは申しながら、たいへん御苦労さんですが、御同感であろうと存じますので、十分御善処をいただきたい、そのことだけはしかと申し上げまして、別に御答弁はけっこうであります。十分御了承をいただきたい、かように存じます。そういう意味におきまして、私やりますと二時間近くかかりますので、まだ今後の日程等も協議しなければなりません。また、本日、本法案を採決するという日程もございます。私は私自身の質問を割愛することによって審議の進行をはかりたい、かような考えでございますので、了とされまして、ただいま申し上げた点についてはとくと御善処をいただきたい、かように思います。
 以上でございます。
#392
○委員長(田口長治郎君) 他に御質疑はありませんか。――−別に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。
 暫時休憩いたします。
   午後十時五分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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