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1947/10/10 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第22号
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1947/10/10 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第22号

#1
第001回国会 厚生委員会 第22号
  付託事件
○教員の恩給増額に関する請願(第六
 号)
○食肉統制價額撤廃に関する陳情(第
 二号)
○聖霊生命眞理療法保護法規の制定及
 び名誉恢復に関する陳情(第四号)
 兒童の福祉増進に関する法令制度の
 陳情(第七号)
○恩給法の改正に関する陳情(第十二
 号)
○都市官公廳職員の生活安定に関する
 陳情(第三十八号)
○戰死、戰災遺家族並びに傷病者の更
 生に関する陳情(第五十号)
○恩給法の改正に関する陳情(第六十
 四号)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに関する陳情(第六十六号)
○國民健康保險金に対する國庫補助金
 の増額等に関する陳情(第九十八
 号)
○青少年禁酒法案(小杉イ子君発議)
○恩給増額に関する請願(第三十九
 号)
○兒童福祉法案(内閣送付)
○青少年禁酒法制度反対に関する請願
 (第五十八)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十一号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十三号)
○恩給法の改正に関する陳情(第百五
 十三号)
○國民健康保險組合の振作促進に関す
 る陳情(第百五十五号)
○國民健康保險制度の更生に関する請
 願(第八十二号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第八十七号)
○恩給増額に関する陳情(第百九十三
 号)
○最低生活の保証に関する陳情(第二
 百十八号)
○國際電氣通信株式会社等の社員で公
 務員となつた者の在職年の計算に関
 する恩給法の特例等に関する法律案
 (内閣送付)
○恩給増額に関する請願(第百十一
 号)
○戰死者遺族の更生対策に関する請願
 (第百十六号)
○生活協同組合法の制定に関する請願
 (第百四十三号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百四十六号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百五十一号)
○住宅営團経營の住宅を國営とするこ
 とに関する請願(第百六十九号)
○東京帝國大学演習林拂下げに関する
 請願(第百七十二号)
○教員恩給増額に関する請願(第百七
 十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第百七十九号)
○生活協同組合法の制定に関する陳情
 (第二百七十五号)
○教員恩給増額に関する陳情(第二百
 九十八号)
○傷痍者更生援護に関する請願(第百
 九十九号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第二百一号)
○拂下げミシンに関する請願(第二百
 十号)
○結婚問題に関する請願(第二百二十
 号)
○恩給増額に関する請願(第二百二十
 三号)
○社会保險制度の一元化に関する陳情
 (第三百三号)
○教員恩給増額に関する陳情(第三百
 十二号)
○結核医療施設を市営に復元すること
 に関する陳情(第三百二十一号)
○教員恩給増額に関する陳情(第三百
 四十六号)
○生活保護法による生活保護費を全額
 國庫負担とすることに関する陳情
 (第三百五十五号)
○恩給増額に関する請願(第二百二十
 九号)
○教員の恩給増額に関する請願(第二
 百四十二号)
○教員恩給増額に関する請願(第二百
 五十一号)
○恩給法の一部を改正する法律案(内
 閣送付)
○傷痍者保護に関する請願(第二百八
 十五号)
○結核医療施設を市営に復元すること
 に関する陳情(第三百五十九号)
○教員勤務地手当増額に関する陳情
 (第三百六十四号)
○炭鉱労務者福利厚生施設拡充に関す
 る陳情(第三百七十号)
○生活協同組合法案に関する陳情(第
 三百八十三号)
○結核医療施設を市営に復元すること
 に関する陳情(第三百九十四号)
○生活協同組合法制定反対に関する陳
 情(第三百九十五号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月十日(金曜日)
   午後一時三十四分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○兒童福祉法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) それではこれより開会いたします。兒童福祉法案についての審議を続行いたします。御発言を願います。
#3
○小川友三君 兒童福祉法案をよく調査して見ますると、成る程兒童を幸福に導ける原理だけは整うているということは言えるのであります。併し、敗戰後の物資不足の我が國におきまして、この兒童福祉法の根本精神であるところの兒童福祉の原理が、果して物のない時に、物の裏付けのない場合に、この原理が実地に行われるかというところに問題があるのであります。曾て本員が、牛乳の絶体に不足せる四十二万石につきまして、質問をいたしましたが、政府当局は農林省とよく調査をして答弁をするという御答弁になつておりまするが、どこまで行つても四十二万石足りない御答弁では、この兒童福祉法の原理を全うすることはできないのであります。その後、約一ケ月以上を経ておりますので、果して政府御当局は四十二万石の不足の牛乳に対しまして、いかなる実現でき得る対策をお立てになりましたかどうか。それについて先ずお伺いいたします。又十八才までの者を兒童と稱する以上は、この二、三千万人に達するところの兒童に対しまして、着物に使う繊維類を果してどのくらい政府が確保しておるかどうかという実態につきまして、お伺いいたす次第であります。それから戰災孤兒並びに普通の孤兒に対するところの救護事業を調査して見ますと、甚だ不徹底のところがありまして、辛うじてララの惠まれたるところの物資によりまして、漸くその一部を補うているというような状態に置かれているのであります。この兒童福祉法案なるものは兒童福祉保障の原理を明確にいたしております。福祉を保障する、かくのごとき明確な有難い言葉はないのでありますが、この保障に対しまして、物資、資材の裏付けのない保障は誠にペーパープランでありまして、羊なら紙を食することができますが、乳幼兒から十八才までの兒童が紙を食することはでき得ないのでありまして、断じて兒童に必要なるところの食糧、繊維製品、教育資材というようなものが要るのであります。政府は兒童福祉に対するところの救護事業に対しまして、社会事業も含まれているのでありますが、政府当局は言葉の上では極めて懇切丁寧その限りを盡しておりまするが、果して予算面になりますと、予算がないからその支出は不可能であると言つて、逃げの一手を打つているのが現在の状況なのであります。この立派なるところの兒童福祉の原理に立脚して立派な政治を行い得るかどうかということにつきまして、統計的な自信のある御説明を要求するものであります。
#4
○政府委員(米澤常道君) 小川委員の御質問にお答えいたします。乳兒の主食として最も大きな問題でありますミルクにつきまして、この不足をどうするかというお尋ねでありますが、これは実際最も大事な問題であるのでありまして、我々も非常に苦労しているのでありますが、小川委員のお示しになりました四十二万石という計算はちよつと私の方の数字と多少齟齬しているように思うのでありまするが、実は二十二年度の当初の需給状態におきましては、これは厚生省として見積りました牛乳の二十二年度の年間の総需要量、これと農林省におきまするいろいろの生産状況その他と見比べまして、最初は約三十五万石ぐらいの不足であつたのであります、その後勿論、これにつきましては、その後の生産もありますし、いろいろ農林省当局と折衝いたしておつたのでありますが、御承知のように先般の食糧緊急対策におきまして、相当の輸入ミルク或いは飼料の特配による増産、その他いろいろの緊急措置を農林当局において取ることになりまして、その結果只今年間の計算に直しまして、約八十一万三千石、こういうふうな本年度の生産の目安を付けたのであります。從いまして現在我我の最初の目安であります約九十八万石、これとの差が十五、六万石ということに相成るのであります。この数字につきましては、又我々といたしましては、勿論最高度の需要量を計算にいたしております農林当局といたしましては、これは生産のいろいろな事情がありますので、この開きは尚又相当歩み寄ることができると考えておりまして、これは年間計算でありますので、今後又できるだけ努力いたしたいと考えておるのであります。
 それから繊維製品につきまして、お話しがあつたのでありますが、これは実は十八才未満のこの法律の対象となつております兒童に、一般的に繊維製品の特配、或いはその他の計画は今のところはないのであります。やはりこれは特殊の貧困という要件でありますとか、浮浪兒でありますとか、こういつた特殊の兒童だけについての計算は一應持つておるのでありますが、これは後程詳細な數字にしてお目にかけたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
 それから法律全般といたしまして、福祉の保障という点において物の裏付がない今日、果して実施できるかというお尋ねでありますが、これは誠に御尤もな御質問と思います。併し今日の実際の事情からいたしまして、勿論やはり物資の不足といふことは、これはもう止むを得ない事実であるのでありまして、特にこの法律におきまして、例えば福祉の措置或いは保障と、こう申してありますのは、必ずしも物資の裏付ということではありませんで、例えばこの第二章に福祉の措置及び保障、こう規定いたしておりますゆえん、三十三條というような規定、これらの規定は、御承知の通り兒童の虐待を禁止するための大きなる規定であるのでありまして、こういうふうな間接的に兒童を保護する、こういう意味において兒童の福祉を保障する、こういうふうな考え方から、例えば福祉の措置或いは保障、こういうふうな字を使つておるのでありまして、すぐこの保障そのものによつて物資の裏付ということまでは考えていないのでありますが、全般的にいろいろな施設その他につきましては、勿論物資の裏付というものは最も大事だと考えます。これにつきましては法律におきましては、例えばこの兒童福祉委員会等におきまして、その委員会には関係行政廳の官吏が出席説明する、或いは資料の提出をしなくてはならんというふうな規定を第八條の委員会に関する規定に設けておりますので、こういう委員会等においても今後できるだけ所要の物資等につきましても十分御審議を願いたいというのが、こういうふうな規定をいたしておるゆえんでもあるのであります。全体といたしまして物資の裏付という問題は、法律の上には直接には上つて参つておりませんけれども、行政上の或いは今後の委員会の活動その他におきまして万全の措置を講じて行きたいものと思つております。
#5
○委員長(塚本重藏君) この際皆さまにお諮りいたします。委員外の議員でありまして、三島通陽君から兒童福祉法案審議に当つて発言を求められております。これを許可することに御異議ありませんか。
#6
○委員長(塚本重藏君) それでは許可いたします。三島通陽君。
#7
○委員外議員(三島通陽君) 皆様の御質問がお済みになつた後で結構でございます。お話を伺つた後に又伺うことがあるかも知れませんが、今暫く伺つておりたいと思います。
#8
○委員長(塚本重藏君) それから尚予防局の方から、政府委員ではありませんが、念のため説明員として予防局の予防課長の金井さんと、技官の柴山さんが見えておりますから、お知らせいたします。
#9
○小川友三君 先程政府委員から懇篤なる御説明を頂きまして感謝いたします。特に牛乳の不足に對しまして、本員と多少齟齬の数量を發表されましたが、実に莫大なる三十五万石が不足しておる事実を政府委員は述べられたのであります。本年度の額において、どうしても農林省当局と打合せしても、十五六万石は不足をしておるということが発表せられまして、誠に兒童に対して申譯ない次第であります。十五万石の牛乳は、十五万俵の麦を必要とする計算になるのでありまして、政府当局は、この不足せる乳を、何によつて出すか、乳牛を飼育して……何万頭、或は何千頭の乳牛を飼育したならば、これが間に合うかという実際の調査をなすつたかどうか。又何ケ月後に或は何年何ケ月後にこの不足を補うつもりかということを、又後程御発表願いたいのであります。
 この兒童福祉のために働く幾多の社会事業が、資本不足とか或は赤字続きに非常に喜んでおられるということは政府当局も先刻御承知のはずでありまするが、これに対しまして兒童福祉法が出て、この建前からしていかなる方法によつて應援し、兒童福祉を絶対保障し得る第一章総則の原則を確立し得るかということにつきましてお伺をいたすのであります。
#10
○政府委員(米澤常道君) この牛乳の問題につきまして、いろいろ数字的にも農林省当局とも話しておりますことを御了解願つたのでありますが、今後の増産の計画或いは輸入物資其の他の更に畜産行政の問題等につきましては、実は私から御答弁申上げかねますので、いずれ農林省の方とも連絡をいたしましてお答え申上げたいと思います。
#11
○山下義信君 一つ伺いたいと思いますが、第四十三條の最低基準のことでございますが、すでにこれは御質疑があつたかも分りませんので、重複いたしましたらお許しを願いたいと思います。この最低基準は何によつてお定めになるお考えでございましようか。政令におよりになりますか、或いは命令か何か、どういうものによつてこれはお定めになるお考えでございましようか。尚大体この最低基準の御構想の大要がお示し願えれば大変好都合と思います。
#12
○政府委員(米澤常道君) 最低基準は実はこの法律の建前といたしまして、厚生大臣が決めるという処置を取りましたので、省令によつて決めたいと考えております。勿論これは福祉委員会の御意見を聞きまして決するのでありますが、その大要等につきましては、今実際にいろいろな施設について、どういう基準がどうであろうかということをすでに研究をして、教護院等につきましては或る種の教護院について研究をして貰つておるところもあります。各いろいろな施設につきましてはこれは福祉委員会において十分專門の臨時の委員でもお願いして、その意見を聞いて行きたいと考えておるのでありますが、只今の構想といたしましては、運営につきましては、先ず人の問題であります。実際施設に当られます人のいろいろな、或いは保育所等については資格の問題も出て來ますし、人の資格或いは又人の数、更に又子供を扱うにつきましてはいろいろな運動或いは休養、こういつたものに対する大体の時間、或いは娯樂、それから経費につきましても或る程度の基準というものが必要ではないか、運営の方面におきましては、大体そういうようなことを中心にお考えを願いたいと思います。
 設備につきましては建築の問題があるのでありまして、いろいろな衞生設備でありますとか、或いは又非常災害等の場合における設備の問題でありまして、廣さの問題というのもあるのでありまするが、併しこの設備の運営について最低基準を決めるのでありますけれども、これは相当関係方面からも資料等を或る程度今頂いてもおります。併し相当今日の我が國の現状からいたしまして、この点につきましては十分実情と睨合せまして、委員会においてよく御審議を願いたい、こういうふうに考えております。
#13
○山下義信君 関聯いたしまして伺います。この最低基準というものの定め方というものは非常に私は重要なものであると思います。その次の第四十四條におきましても、最低基準に達しないときは、その改善を命じ、又は兒童福祉委員会の意見を聞き、その事業の停止を命ずることができる、というのでございまして、つまり言い換えますと、これは一定の基準を與えるようなものではございまするけれども、ただこれは形式的な一つの枠の標準を示すというだけでなくいたしまして、実際兒童の福祉施設の運用の虎の巻となるような、一つの指導要綱というものでなくてはならんというようなことを思うのでございます。言うまでもなく、社会事業というものは單に形式的のものではございませんので、時間とか寸法とかいうようなものだけの規定的のものでありましては意味をなしません。すでにそういつたような形のものでは、小さい施設でございましても内容の非常に深いものもあり、尊い仕事もありいたしまするので、形の上だけの基準を定めたということは誠に意味が薄いものになります。この最低基準を定めることは、厚生大臣が中央兒童福祉委員会の意見を聞いてお定めになる省令でお定めになるという只今のお答えでございましたが、これは余程御研究を願いまして、この基準によつてやりさえすればいいといつたような、一つの立派な基準のお作りを願いたい。それには古今御答弁のような関係有識者の諮問を御聽取になることは、極めて私結構であると思います。同時にこれは速かに一つ大体の原案はすでに御研究中と承わつておりますが、早くお定め願いまして、成るべく本法が実施いたしまするときには、すでにそういうものはこの基準に達せしめ、達せざるものはこの基準によつて改善が行われて、本法の適用を円滑に各施設が受けられるようにこの基準の御作成をお願いしたいと、こう考えるのでございます。
 尚これは意見になりまして恐縮でございますが、後の方に國費の補助その他が出ておるのでございますが、これらの補助の與え方なども、彈力のある與え方の御考究を是非共煩わしたいと考えます。この点につきましてお考えがありますかどうか、例えば生活保護法のあの保護のごときも、最近におきましては濫救の非難が方々にございまして、且つ又彈力性がないということが識者の間で申されております。この補助を弾力のある補助の與え方にして頂きたい。それらは皆最低基準というものが基いになり、又なるように一つお定めを願いたい、こう思うのでございまして、その辺に十分の御用意が願われましようかどうか、重ねて承わりたいと思います。
 今一つは職員の養成のことでございますが、各施設で職員養成ができるように本法で示されてあります。又それらのことにつきましては補助が頂けることに相成つておりますが、全く社会事業の職員の養成は急務中の急務と感ずるのでございますので、施設が幾らできましても、適当な從業員がございませんならば、到底不可能でございます。從いまして私は中央にその職員の養成の機関の相当なものができなくてはならん、こう考えます。只今社会事業協会に委託になつておりまする社会事業学校がただ一ケ所ございます。先般私も見に参りましたが、内容はともかくとして、まだまだ規模が小そうございますので、中央にしつかりした養成機関を強化なさいまするお考がありますかどうか、この際承わつて置きたいと思います。
#14
○政府委員(米澤常道君) 最低基準につきましては、只今山下委員のお話の通りもうこれは今後の施設の生命とも考えられますので、法律が施行されまして、委員会が專門的な各方面の権威を網羅されて、そこで十分檢討いたしまして、できるだけ御趣旨のあるところを尊重して行きたいと考えるのであります。この施設に對する補助の問題でありますが、これにつきましてもいろいろ補助の基準となる問題につきまして、或いは子供の委托につきましても、例えば食糧方面に関する費用でありますとか、或いは保健衞生、こういうふうな何か項目を合理的に分けることができるものは分けまして、その間の運用ができるだけ円滑に行くように考えたいと、今研究いたしておるところでございます。職員の養成につきましては、これは最も力を注がなくちやならんのでありますが、中央におきましては、例えばこの教議院の職員等につきましては、現に國立の武藏野学園におきまして現在三十名程度の養成を現にいたしております。その他には特別に中央においてはないのでありますが、お話にありました社会事業学校等におきましても、できるだけこの兒童関係の問題につきまして講義を十分いたしますとか、或いは実習その他につきましても、兒童関係の施設といふものは非常に多いのでありますから、この方面にできるだけ力を入れて行きたいと考えておるのであります。本年度におきましては、この中央におきましては只今申上げましたように、武蔵野の教議院において特にやつておるだけでありまして、地方におきましてはこれは差当りやはり相談所の職員でありますとか、或いは有給の兒童委員、そういう方面の指導を本年度においては是非共いたさなければならんと考えておるのでありまして、それらの費用につきましては相当の費用を計上いたしておるのでありますが、各施設の実際おやりになる職員の指導等につきましては來年度においてできるだけの講習なり、或いは各施設における事業としてやつて頂きたいと考えておるのであります。
#15
○安達良助君 第四條に兒童の対象年令は満十八歳というように謳つて、まあそれに対する兒童の福祉施設を強調しておるのでありますが、第三十三條には満十五歳を基準といたしまして、これらをその仕事に、或いはこういう方面に使つてはいかんというようなことを規定しておりまするが、その点について、若し明細にその内容をいかなることでこういうふうな年齢をここに規定してあるかということを御説明をお願いすることは、非常に今後の研究に対しまして幸甚だと思いますので、一應説明をお願いいたして置きます。
#16
○政府委員(米澤常道君) これは第三十三條におきまして、特に十五歳の年齢を持つて参りましたのは、労働基準法等における或いは年少労働者の特別の保護というようなものと並行的に考えて來たのでありますが、やはりこの三十三條といたしましては、今日の実際の社会の実情その他を考えまして、例えばかるわざ、曲馬をさせる行爲でありますとか、或いは酒席に侍する行爲というものにつきましては、一應満十五歳で線を引く。今日の社会の実情その他からこれを十八歳まで延すということにつきましては、現状から申しまして少しどうかという点がありますので、この特殊な三号、四号、五号というような行爲につきましては、一應満十五歳、十六歳というところで線を引いたのであります。
#17
○小川友三君 本委員会に大臣がお見えになりましたので、ちよつとお伺い申上げます。兒童福祉に関する実際につきまして、今回の関東大水害に当りまして、厚生省当局が取られましたところの手段は極めて迅速であり、特に專門家である医師、看護婦或いは保健婦等を極めて早く水害地に廻され、又幾多の医藥品を廻されまして、殆んど水害地に傳染病が出なかつたのであります。これは一に厚生大臣が立派な行政を取られたことによるものでありまして、我々水害地の議員としまして大感謝をいたす次第であります。かような方法を以て兒童福祉の絶対基本原則に基ずきまして、政府当局が極めて迅速に幾多の資材を以てこれに当るということに対しまして厚く御礼を申上げる次第であります。ただ例は非常に少いのでありまするが、何分水害地の範囲の廣大であつたために、妊産婦並びに兒童に対しましての救護米の中から腐敗した米が沢山配給をせられまして、それがために下痢を起した者が数千人に達しておるのであります。又水害のために交通が不便であつたのが原因をいたしまして、比較的凉しくはなかつたのでありまするが、腐敗されたところの食用のパンが配給せられまして、幾多の下痢患者を兒童の中から、或いは妊産婦の中から出したような次第であります。今後この兒童福祉法案の根本趣旨に基ずきまして、絶對に福祉のために厚生省御当局の、特に大臣の十二分なるところのお考えを願いたいと思いまして、御所感を拜聽したいのであります。
#18
○國務大臣(一松定吉君) 今回の関東水害に對しまして、厚生省の取りました措置に関して、只今非常に御賞讃のお言葉を頂戴いたしました点につきましては、誠に感謝に堪えません。実はこの問題に関しましては、私、大臣としての職責が迅速且つ果敢であつたということよりも厚生省の各部局課、それらの係員が特にこういう点に深き心を用いまして、迅速果敢にその措置を取つたことが今日の結果を見たのでありまして、この点に対しましては、私に対する只今の感謝のお言葉は全く当らないのでありまするが、併し厚生省に対しましてのこのお言葉につきましては、いずれ適当の機会に省員一同にあなたの御意見のあるところを傳えまして、尚一層國民の公僕として精励するように、私からよく申し聞けることにいたします。
 そういうように病氣等が別に出なかつたのに拘わらず、配給したところの米だとか、若しくはパンだとかいうようなものが腐敗をしておつたがために、多数の下痢患者が出たということは、実は私只今まで承知しなかつたのでありますが、今あなたのそういうお話によりまして、実は驚いておるのでございます。そういう点につきましてはどういうことでそういう結果を招來したのかということは、早速取調べまして、善後措置を講ずることは勿論でありますが、將來一層注意いたしまして、かくのごとき惡い結果のないことに向つて努力いたしたいと思います。
#19
○姫井伊介君 議事進行についてちよつと申上げたいと思います。これにつきましては修正案もあるようでありますが、こういう修正事項などにつきまして、衆議院の方との何かお打合せがありましたかどうか。尚この法案につきましては、数回質疑應答が重ねられました。無論まだ御質疑もあるであろうとは思いますが、こういうふうに一方修正案が出ておりますし、又相当質疑も進んでおりますから、或いは意見、修正案等もあるであろうと思いますが、それをお纒めになるように議事のお進めが願いたいと思います。
#20
○委員長(塚本重藏君) 速記を止めて。
#21
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。
#22
○國務大臣(一松定吉君) 只今の姫井委員の御質問に対しましては、適当の考慮を以て、適當の時期に適当な方法を講じたいと思います。
#23
○草葉隆圓君 二、三の点について御質問申上げます。前回御質問申上げました際に、兒童福祉委員会は現在では諮問機関になつておるが、成るべく普通の諮問機関ではなく、どちらかというと執行機関的な性格を帶びるように、これを一つ具体的に進めて行こうという厚生大臣の御答弁でありましたが、これは具体的にどういうふうに御進めになる御意思ですか、この條文だけでありますと、ただ具申権を與えられておるというような形になつて参りますので、この点を伺つて置きたいと思います。
 それから第十一條の「事務吏員又は技術吏員」と第十六條の「事務吏員又は技術吏員」というのは、同一の人を指して言うておるのか、又は全然別な意味であるかということを伺います。
 それから以前にも御質問申上げましたが、まだこの点がどうもはつきりいたしませんが、本法案で申しております児童相談所の内容は、いわゆる保健指導、鑑別その他の兒童の福祉をなすための相談機関であることは申上げるまでもない次第でありますが、その相当な分野を保健指導という点に置いておる。然るに一方先般議決して將に公布になろうといたしております保健所法におきましては、保健指導を中心にそういう立派な機関が設けられ、而も保健所は相当内容を充実したものにして行こうというときに、一方には保健所があり、一方においては今度新らしく兒童福祉法案による兒童相談所の中の、或る大きな部面を占めます保健指導というのが兒童相談所の中で取扱われて來る。いかにも十分なものができないといたしましたら、尚更國家の二重の行政の幣を來すということになつて、むしろ保健所に、この兒童相談所の保健指導というものは全面的に持たせる方が妥当でないか、かように考えまして、この前もちよつと御質問申上げましたが、どうもその点がはつきりいたしませんようでありますから、この機会にその点を伺つて置きます。
 もう一つは、第二十一條の母子手帳について、妊産婦の指導の場合におきましては、妊産婦が、保健所又は医師助産婦若しくは保健婦につき、保健指導を受けたときは、その都度母子手帳に保健指導上必要な事項を記入することになつておりまするが、乳兒又は幼兒の場合におきましては、保健所又は医師若しくは保健婦が指導をいたしたときだけ記入することになつておつて、助産婦が指導をいたしました場合には記入をしないことになつておりますが、むしろ新生兒等は助産婦の方が保健婦よりも中心ではないか、然るに助産婦が相当大きい……少くとも出生後一週間或いは数週間の指導の間においては、全然助産婦の指導は記入しないでもいいということになつておりますが、これは不十分ではないか、この点について伺いたいと存じます。
 それから、これもこの前御質問申上げましたが、少しはつきりいたしませんので、重ねて伺つて置きたいと存じまするのは、これはこの間の社会事業大会におきましても、相当論議せられておつたのでありますが、母子寮を兒童福祉法案の原案にありましたのを、今回の法案からは削除されておりますが、これについともつとはつきりと一つ御答弁を伺いたいと思います。
 それから全体といたしまして、從來の法律は、一通り法律を作つて、その法律よりもむしろ勅令或いは細則、施行規則或いは府縣の施行細則というようなもので縛り上げて、殆んどその法律というものは余り必要がなしに、後の方のもので法律以上の束縛を國民に與えておつたという事例であります。併しこれは恐らく今度の新憲法によりましては、それが改訂されて参るべきものだと存じますが、先程他の委員からの御質問にもありましたが、或いは命令或いは政令に委ねておる相当大きい部面が本法においても残つておるようであります。これは命令によつて、これは政令によつて決めるというようなふうに、相当大きい部面を本法でなしに命令又は政令に委ねられておりますが、若しそうでありまするならば、本法の審議に当つて同時に命令又は政令の内容を一通りお出しを願つておかないと、十分に審議ができんのではないか。いわゆる從來の幣に陥るのではないか、こういうふうに存じまするので、他の点もありまするが、先に山下議員からも御質問になりましたが、又他の條文にも沢山あるのでありますから、そういう意味においての命令、後に又政令とすうのも出ておりますけれども、この点を伺つて置きたい。
 それから第五十五條に公課というのがあります。租税その他の公課を課することができない。この公課の解釈について伺いたいと存じます。それは最近の社会事業施設が租税その他の或いは國税、縣税等は免税をされておりまするのに、最近いろいろな形において相当な公課に類するような、徴税と申しまするか、相当負担をしておるということを聞くのであります。それでここで述べらけらおりまする意味はどういうのか、最近そろそろと地方の社会事業施設が悲鳴を揚げておりますものを除去するという意味でありますが、そういう点についてお伺いいたしたいと思います。
#24
○政府委員(米澤常道君) 福祉委員会は、この法律の建前といたしましては、諮問機関になつておりますが、他の経済法律等にあります実際許可その他の行政事務をやる委員会ということにまでは、これは勿論できないと考えます。ただこの委員会を、普通のあり來りの從來のような委員会というふうなものには絶対にしたくないというのが、我々の強く考えておるところであるのでありまして、できるだけこの委員会に、中央におきましては政府としましてできるだけいろいろなものを諮問をして行きたい。或いは地方におきましても、できるだけこの委員会を活發に開いて、委員会の御意見も聞いて、いろいろな今後の兒童行政の施策等についても、できるだけいろいろ意見を聞いて行く。こういうことによつて委員会を、地方或いは中央における兒童の問題について権威ある機関にして行く。こういうふうに考えておるのであります。法律の條文といたしましては、只今御指摘のように、諮問機関という形にはなつておりますが、実際の運営において、我々としては、できるだけ多くのものをこの委員会に諮問して行きたい。こういうふうに考えておるのであります。
 次に、十一條と十六條の事務吏員又は技術吏員を以て充てると規定しておりますのは、これはそれぞれの兒童委員又は兒童相談所の所長又は所員の資格につきまして、一應事務吏員又は技術吏員を以て充てるというふうに書いたつもりでありますので、それぞれの所長又は所員、或いは又兒童委員におきましても、技術系統の例えばお医者さんとか、そういつた方面から出られる人、或いは事務経驗の深い事務系統から出られる人、事務吏員或いは技術吏員を以て充てる。こういうふうにそれぞれの資格について、地方自治法の用語例に從いまして規定いたしたのであります。
 それから兒童相談所の保健の指導の点についてでありますが、これは全く御説の通りでありまして、この兒童相談所といたしましても、勿論兒童の保健問題につきまして、相当相談に應ずるという場合もありますし、兒童相談所といたしましては、兒童の健康という問題を大きな問題として考えなければならんのであります。併しこれは、この法律にありますいろいろな保健指導というふうな他の問題につきましては、これはもうやはり厚生行政の末端の機構といたしまして、保健所を全面的に使つて行く予定であります。保健所の内部に母性或いは乳幼児に專念する職員を相当数配置されてもおりますし、又今後配置されることと信ずるのでありますが、保健所のそういう職員によつて、この福祉法のいろいろな母性、乳幼兒関係の保健その他の行政を実施して行くつもりであります。兒童相談所におきましては、できるだけ保健所と連絡を取りまして、実際の保健指導という問題につきましては、相談所が窓口と申しますか、保健所の方へ連絡をするというふうに考えておるのでありまして、やはり保健の問題につきましては、できるだけ保健所を中心にしてやつて行きたいと、こういうふうに考えております。
 二十一條の母子手張に関しての問題でありますが、これは助産婦は、一應妊娠婦につきまして規定いたしたのでありますが、乳兒、幼兒につきましては、一應省略いたした次第であります。
 次に、母子寮の問題でありますが、これはこの法案の審議当初等におきましては、勿論要綱等におきましても考えた問題であるのでありまして、兒童福祉法としてこれをどういうように取扱うか、いろいろ研究いたしたのでありますが、御承知のように母子保護法が生活保護法の実施と共に廃止になりました現在、母子保護法に相当するものが大体生活保護法の保護施設として指定に相成つておるような実情であります。特に母子寮の実体等を見ますと、母の生活の保護という点が少くとも現在におきましては非常に強く現われておりますので、これは生活保護法の保護施設というふうにして指導して行つた方がよくはないかという考で、いろいろ研究いたしましたが、本法よりこれを取上げることを見合せた次第であるのであります。それから命令、政令の問題でありますが、これも大分各條文に讓つておるのがあります。併しそれにつきましては殆んど極めてもう事務的なものに限定しておるようなつもりでやつておりますので、後の政令命令等において趣旨が更に廣くなるというふうなことは万あるまいと考えております。政令、命令につきましても目下いろいろと研究はいたしておりまするが、この法律を御覧になりましても、できるだけ、例えばこの法律の條文の中ですらすでに政令に讓つてもいいのじやないかというふうな條文もあると思われるのでありまして、できるだけ法律に載せたつもりでありますし、又命令に讓ることを規定いたしておりますけれでも、それはほんの事務的なものだけを讓るつもりにいたしておるのであります。
 次に、五十五條の公課のお話でありますが、これは公共團体その他の公法人の法律に基ずく負担金、こういうふうに解釈いたしておるのであります。以上。
#25
○草葉隆圓君 第一の兒童福祉委員会の諮問は勿論法文上は、これで結構だと存じますが、これからの実際の取扱いの中に先程申上げましたような、先般の厚生大臣の御答弁のように、例えば兒童福祉委員会に諮問をして、その諮問の結果を中心にしてでないとこの具体的な方法を立てられないとか、或いはそれに反対したような取扱をしないとかいうようなことにおいて、兒童福祉委員会の権限を認めるという行き方になつて來ないと、從來の諮問機関見たように堕しはしないか、そういう点を伺いたいと存じていたのであります。
 それから第十一條の兒童委員の問題と兒童相談所の問題を伺いたいと思います。今日は兒童委員はここにありますように、都道府縣に分れて、そうして都道府縣知事がその区域を定めてやる。從つて多分都道府縣に兒童福祉法を執行する。或いは課というようなものを御指定になる御予定かとも存じますが、兒童委員の指導等に当つては、むしろ或る意味においては兒童相談所等が実質上の指導をするというような行き方が、場合によつては妥当であるということは考えられる。こういう点を実は伺いたいという心持ちであつたのであります。從つてこの相談所にいろいろ職員を置く場合においても、そういう人達が兒童委員についての指導等をやり得るということが考えられる方が却つていいじやないか、恐らく普通の場合におきましては、府縣に或いは事務員、或いは技術員等を置いて、從來の型のようにやつて行つても行政的には割合に便宜がいいかも知りませんが、実質的に余り効果を上げ得ないような場合がありはしないか、勿論府縣にも事務を取扱うものも必要でありましようけれども、兒童委員の指導の場合には相談所を中心にした一つの考え方ということが一方考えられるのじやないか、これに対して何か御復案なり、そういうことをお考えになつてはどうかということを伺いたいと思つておつたのであります。
 それから乳兒の場合の母子手張の取扱は、新生兒のついてはむしろ助産婦の方がよいじやないか、生まれておきあといつて産婆さんが取上げてから当分の間は保健婦というものは殆んど関知しない。それを保健婦に書かして助産婦は知らないというのはおかしい。ここに助産婦という一字を入れて置かないと工合が惡いのじやないか。こういうのであります。
 公課は、最近いろいろな名目で社会事業施設が、最近聞きましたのは何でも電話で取られるとか、何とかかんとかいうて、相当新税に類するようなものが加わつて來ておるということを、先般地方に参りました際にも聞かされたようなわけでありまして、私も手許にこれこれの税金、或いはこれこれの公課、税金ではありませんが、公課というようなものを手許に持つておりませんから、はつきりとは申上げかねまするが、そういう傾向が相当あるというので、社会事業、殊に私設社会事業でも相当悲鳴を上げておつた実情であります。どうぞ今後こういう点につきましては御調査願いまして、そういうもののないような方法が取られるように御指導願うと結構だと思います。
#26
○國務大臣(一松定吉君) 草葉委員の御質問は一々実際に即した御経驗から出た最も有効な御指摘であると、私共は実は感謝いたしておるのでありますが、成る程この兒童委員というものは第十一條に規定してありまするように、兒童及び妊産婦の保護、保健その他福祉に関する事項について、相談に應じ、必要な注意を與える等これらの者の福祉増進に努める、という仕事をしなければならん者である。而して又兒童相談所がやはり同じような仕事をする。唯文句は「資質」とか「鑑別」とかいう文字を使つてあるけれども、やはり目的は相談に應じ、福祉増進を図ることを目的とするものである。又保健所がやはりそういうようなことをやつておる。何だかごたごたとしておるというように考えられまするが、その点につきましては私は全く同感であります。ただこういうように機関を分けまして、その分けた機関に應じてそれぞれの仕事を與えることのできるようにいたしたのでありまして、結局非常に網を各方面に分けて、どこからも水の漏れないようなふうに実はこれは規定したものでありまするから、その点につきましては疎漏よりもむしろ余り緻密に流れたというお叱りならばなんでありますが、目的は兒童福祉のためにという意味において、さような水の漏らないような規定を置いておるのでありますから、その点を一つ御了解をお願いいたしたいのであります。
 今一つ、二十一條の妊娠婦が、保健所又は医師、助産婦、保健婦について保健指導を受けたときに母子手帳に書くとか、乳兒又は乳幼兒の保護者が、保健所又は医師若しくは保健婦について指導を受けたときにやはりその手帳に書く。なに故に助産婦を除いてあるか、こういうようなことも、やはり私もあなたと同じように、まだ生まれ立ての、宮詣りも済まないような乳兒に対しましては、なぜ助産婦を除いて、助産婦以外の者の指導を受けなきやならんというような特別な理由は実はないのでありますが、ただもう生れ落ちたのだからして、産婆即ち助産婦はもうよかろう、助産婦に代るべき医者の指導を受ければよかろう、又助産婦に代るべき保健婦の指導を受ければよかろうという意味において規定したのでありまして、成る程そこまで細かに書いてあつたらば、これはもう議論はないのですけれども、併し書かなくても別に助産婦の指導を受けることはできないとか、指導を受けても母子手帳に書くことはできないというようなことではないのですから、この点は一つお許しを願いたいのであります。
 それから諮問委員であるということに対して、委員会が厚生大臣に答申をいたしたときには成るたけその意見を尊重して、実際に即してこれの実現のできるように努力するということは予て申上げた通りでありまして、私もこの諮問というのをただ形式的に諮問を受けさえすれば、あとは厚生大臣がしたいままにするという意味ではありません。どこまでもこの厚生大臣が國民の公僕として働くという立場からいたしましても、又それらの人々に諮問をしたという建前からいたしましても、それらの意見はどこまでも尊重するということにおいては、予て申上げた通り変りがありません。御了承を願います。
#27
○委員長(塚本重藏君) 草葉委員いいですか。
#28
○草葉隆圓君 殊に指導委員を相談所を中心にして指導を持つて來たらどうかという点は……。
#29
○政府委員(米澤常道君) 指導委員を相談所中心に働かせる。これは我々といたしましても、実際活動します場合は恐らく兒童相談所を中心に、兒童相談所へ始終出入りをいたしますし、もう相談所を中心に働くということは十分考えております。又そういうふうに指導して行くべきものと考えております。ただ相談所の職員ということになりますと、どうも少し実際仕事をやる上に何か規模が小さくなりはしないかというふうな懸念もありますので、都道府縣に配置する形を採つておりますが、実際の活動は只今草葉委員の御指示の通り、相談所を中心に段々動いて行く、又そういうふうになつて行くものと考えておるのであります。
#30
○中平常太郎君 大臣がお忙しいところを御臨席願つておりますから、その間に私は根本理念についてお伺いしたいのでありますが、この法案によりますと、どうも私は一つの民生委員というものに対して深い尊敬と考慮が拂われていないように思うのであります。これは書き方によるのであると思うのでありますが、例えば十一條の第四項に、兒童委員は、事務委員又は技術吏員を以て、これに充てる、こう一項を終つております。けれどもここには民生委員は入つておりません。第十二條に初めて、前條第四項に規定する場合を除くの外、民生委員会による民生委員は、兒童委員に充てられたものとする、こうありますので、大体は兒童委員というものは、前條第四項、即ち事務吏員と技術吏員が兒童委員と、こういうふうになつておるが、大体において兒童委員はそれが本当だ、兒童委員はそれであるということを前提ずけられて、それから刺身のつまというような恰好で、民生委員は兒童に充てられたものとするというふうに、後から附加えられてあるというふうにこの條項は取れるのであります。私はこの観念はやはり根本観念において、民生委員というものがそんなに軽く扱われておるのかどうか、その点であります。私は私の好むような修正をするならば、例えて見れば、兒童委員は民生委員令による民生委員及び事務吏員技術吏員を以てこれに充てる、こうやつて貰いたいのであります。そういうようなことになるのが全國に分布されておる十四万の民生委員が、兒童福祉法案につきましては第一番に末端的に当事者として当つて行かなければならん大事な役目を持つておるに拘わらず、机上プランでやるところの事務吏員の方が兒童委員にまつり上げられてしまつて、大事な手足となるべきところの十四万の民生委員の方がお客さんのような恰好になつておるのは、私は極めてこれは官僚的だと言いたいのであります。その点に対してこの間も御説明がありましたが、私はその御説明には満足しないのであります。これは結局私は修正をなさつて貰わねばならんことになると私は存ずるのでありますが、これに対して御答弁がありますれば御答弁を願いたい。
 それからもう一つは第三十四條、これは第二項に、市町村その他の者は、と書いてありますが、「その他の者」というのは、今いろいろの種類のものを指しておられるということは分つておりますが、ただこの五文字の「その他の者」で殆どなぐり書きのごとく葬り去つてしまわれるということは、日本全國にあるところの六千の社会施設を持つておるところの民間社会施設のものは、皆「その他の者」に入るのであるか、又この兒童福祉法案の目的とするさまざまの施設というものは、皆「その他の者」が主に民間でやつておるのであります。それで國及び都道府縣においてなされるところのものは別でありますけれども、市町村というものはなかなか福祉施設というものはようしない。やつてもよくできない。やつても大部分は「その他の者」がやるのでありまして、「その他の者」に対しての書き方が余りに官僚的に過ぎると思うのであります。ここも同じような意味におきまして「その他の者」というような、僅かな刺身のつまのごとくお置きにならずと第一條を別に起して、同じことであるけれども、第何條兒童福祉施設を設置せんとする者は行政廳の許可を得なければならない」、こういうような一條を起して然るべきだと思う。そうすれば大体全國に盛んにやつておるところの私設社会事業が皆その方に入るのでありまして、「その他の者という、たつた四文字五文字によつて片付けられるということは、いわゆる官僚主義の権化である。又その考え方が官僚主義と私は言いたいのであります。「その他の者」というところに尊敬を拂うべきである。國策を以てやれるところは当然法律を以てやれるのでありますから、あとは篤志家の血と涙を以て、実にあらゆる苦難を以て、犠性になつて、心身共に疲れ切つてまでも、さまざまな社会施設に人類愛の立場に立つて施設をなされんとする人々の心を引締める意味において、ただ「その他の者」という五文字で葬り去つてしまうことは、誠にかわいそうです。私は一條を別に起して、兒童福祉施設を設置せんとする者は、行政廳の認可を得なければならない、ということで一條起して、明らかに民間社会施設を尊重すべきであると思うのであります。私はそれは尊重すると書く必要はない。尊重すると書く必要はないが、「その他の者」のごとく、誠に刺身のつまが、あつてもなくてもよいか、或いはたまにあると思われる程度までに、いわゆる私は蔑視と言いたいが、無視せられておるように、この社会施設というものを一言に葬むり去つてしまうということは、いかにも私はその考え方が至らない点があるだろうと思うのであります。私はこの点の修正意見でありますが、大臣が折角おいででありますから、この二つの問題に関してお尋ねしたいと思うのであります。この問題に限らず、誠に厚生大臣としてよくやつて下さることは、我々感謝しておるのでありますが、先日行われた全國社会事業大会におきまして、三千人の來会者が集まつた場合にも、大臣もお越しになり、私も参つておりましたが、私は中央社会事業協会の理事、全日本民生委員連盟の理事をやつておりますので、当日も様々な役を持つておつたのでありますが、大臣もお越しになりまして、大変激励のお言葉を頂きまして、嬉しかつたのでありますが、この大会に來ておりましたメンバーは大部分が民生委員であります。そういうことを考えてやつて下さいましたならば、「その他の者」という文字だけで葬むり去つてしまわれることは、この法律を見る者が極めて不快な感じを持つて見るだろうと思いますから、この点をお直しになる御意思があるかどうか。私は修正意見を持つておりますけれども、どなたの御意見も纏まらないといけませんが、私の考えとしては修正しない意見を持つております。大臣の民生委員に対するお考えが、そんなに重く見ておられるかどうか、この兒童福祉法案に対して民生委員をどんなふうに御覧になつておられるか、おられるならば條文に現われるべきであると思う。僅かに三百七十三名にしかならないところの事務吏員を先に書いて、「兒童委員は、事務吏員又は技術吏員を以て、これに充てる。」と、こういうことを十一條に謳つて置いて、これだけ読んだならば、兒童委員はそれだけかと思われる。ところが第十二條に「前條第四項に規定する場合を除くの外」ということになつておつて、これはつまり刺身のつまであります。「民生委員令による民生委員は、兒童委員に充てられたものとする。」、付け足りであります。その氣持は、民生委員は極めて不快に感ずる文章であります。この二つに対して大臣の御答弁をお願い申上げます。
#31
○國務大臣(一松定吉君) 中平委員の御質問の、民生委員に対する答えということにつきましては、私は全くあなたと同じ意見を持つておるのでありますが、ただこの法文に書き現わした点について、いかにも軽視しておるかのごときお疑いを持たれておることは、これは実は御承知の通り、法文は成るたけ意味を簡明にして、余り冗長でなくて、而も人に分るというように立案をいたすときにやるのでありますることは、これは一つ御了承を願つて置きたいのでありますが、いずれこの三十四條のところでそのことを申上げますが、十一條のこの兒童委員というものを、事務吏員と技術吏員を先に書いて、そうしてこれがいかにも兒童委員の本職であつて、民生委員を刺身のつまのごとき書き方はよくないじやないかという御意見、成る程十一條に事務吏員と技術員吏を書いて、それより後の條文に民生委員を書いたということは、前と後とによつて、一方は優先し、一方は遅れて書かれたということのために、尊重する、卑下されたというようなお感じを持たれたというようなお感じを持たれたようでありますが、決してこれはそういう意味ではないのでありまして、実はこれは関係方面の御意見もありまするが、兒童委員というようなものでも、主として名誉職でなくて、自分の給與を受けて朝から晩までその職務に專念することのできる者がその仕事をしようと、但しそれだけでは、今中平委員の申されましたように、むしろ適任者は事務吏員とか、若しくは技術吏員とかいう者よりも、名誉職にある地方の名望家とか、或いはそういう慈善事業に携わつて一身を犠牲に供しておられるとかいう人の方が適任者である。だからしてそれらの人は朝から晩まで事務所に務めて、そういうことをやるということはできないにしても、仕事の実質から言えば、事務吏員や技術吏員よりもなかなか適任者であるこれらの人にも無論お手傳いは十分にして貰わなければならん。そうかといつて民生委員は名誉職でありまして、御承知の通り、俸給は與えておりません。でありますから、俸給を貰つておる人が朝から晩まで事務に從事する、こういう意味で兒童委員を先に書いたのでありまして、決して民生委員を次の條文に書いたから刺身のつまということにしたのではございません。このことは民生委員令を御覧になりますると分りますように、民生委員に対しましての厚生省の考えは非常に重く見ておるのでありまして、民生委員令の第一條にも規定しておりまするように、「社会の福祉を増進するために、仁愛の精神を以て、保護誘掖のことに從う」人でありまするから、いわゆる仁愛の精神を以て社会の保護誘掖に從事する人でありますからして、余程人格高潔にして私利私慾を図らない、一身を犠牲にして社会の福祉を増進するということをモットーとしてやる人でありますから、これは非常に立派な人格者である。この人ならばという人でなければ、これはお願いしないことになつております。勿論ここに註を入れますが、民生委員で非難されておる人があることは、これは承知しております。これらの人については勿論何らかの機会に替つて頂かなければなりませんが、民生委員そのものの性格、社会奉仕の精神というものは、今私が申上げた通りであります。そういうような方にやはりこの兒童委員として働いて頂かなければならんではないか。そこでいわゆる月給をやつておるところの事務吏員や技術吏員は、朝から晩まで勤めておつて貰うが、併しながら本当に実質のある、而も仁愛の精神を以てこの兒童の福祉のために働いてくれるという人については、やはり民生委員にお願いしなければならんというので、これを十二條に書いたわけでありまして決して、前に書き後に書いたから、刺身のつまであり、一方は鯛の刺身だということではないのでありますから、この点は一つ御了承を願いたいのであります。
 それからこの三十四條の第一項、「國及び都道府縣は、命令の定めるところにより、兒童福祉施設を設置しなければならない。」、こう書いてあつて、いかにも國及び都道府縣を第一項に書いてある。だからしてこれは大いに尊重しておるようであるが、二項に持つて行つて「市町村その他の者は、」というと、いかにも馬鹿にしておるじやないか、もう一條設けたらよいじやないかということも、丁度先刻の十一條、十二條に関して申上げたと同じようなことでありますが、ただここでもう一度修支を読み直して頂きますると、今あなたのおつしやるように、「兒童福祉施設を設置せんとする者は、」……「市町村及び」と、こう言いますが、「兒童福祉施設を設置せんとする者は、行政官廳の許可を得云々」と、こう書くということになりますと、「兒童福祉施設を設置せんとする者は」の、この「者は」という中には、市町村以外のものは皆含むということになる。そうすると、国及び都道府縣がやはり市町村の下に含まれて児童福祉施設を設置せんとする者の中に入るわけでありますから、その考え方はいけません、もう少し細かに書こうとするならば、「前項の兒童福祉施設を設置せんとする者以外の者及び市町村は、」と、こう書くことになるのでありますが、それではいかにも文章が重複して読みにくくなりまするから、極く簡明を期しますために「市町村その他の者は、」と書いた、そういう意味でありまして、決してこれは侮辱したとか、慈善事業のために精進する篤志家を「その他の者は」と僅か六字を以て現わしたということは、よくないということの意味ではないのであります。ただここで御注意賜わりたいことは、いわゆる行政廳の許可を得なければならんものは……第一項の國及び都道府縣のものは行政廳の許可は要りません。ただ命令の定めるところによればいいが、市町村及び市町村以外の、前項の國及び都道府縣以外のもの並びに市町村はその行政廳の許可を得て、この兒童福祉施設を設置する、こういうことになるのでありますから、やはりこの法文の書き方は成るたけ簡略に書くという意味において「その他の者は」という六字に纏めたのでありますから、その辺は一つ是非御了解を願いたいのであります。
#32
○委員長(塚本重藏君) この機会に先程皆様の御賛同を得ておりました三島通陽議員の発言を許します。
#33
○委員外議員(三島通陽君) 委員外議員でございますが、本日は皆様の貴重なお時間を特にお許し頂きましたことを委員長始め皆さんに感謝いたします。私はこの法案が出ましたことを非常に喜んでおるのでありますけれども、この法案につきまして、丁度厚生大臣がお見えになつておいでになりますので、私の質問の中の一番最後に申上げようと思いました根本的な、いわば、少しくお願いが加わるのでありますけれども、結論的なことを先に申上げまして、後から細かいことを申上げたいと思うのであります。今から大分前のことでありますが、私が丁度貴族院におりました時に、兒童虐待防止法案が提出されたことがあります。その時に兒童虐待防止などという名前を法律案に付けるようなそんな法律を出すことよりも、もつと積極的に子供の幸福というようなものを考えたらどうかという声が非常に多かつたのでありますけれども、当時とにかくこういうことも必要なんだから名前は少しおかしいけれども、やろうじやないかというような話になつたようでありまして、その後いろいろ子供の幸福に対する法律というものが陸続として出たのでありますが、今回の児童福祉法案は最も画期的な日本國の將來を担うべき子供というものの幸福、それからその立派な発育を助長するという積極的な法案になつて現われましたことは、私は深く厚生大臣始め当局の方に感謝するのであります。併しこの法律案をまだ私はざつと拜見したのでありますけれども、この法案は私は積極的であるとは思つておりますけれども、併しまだ実際方面にこれを施行せられて、果して兒童福祉法という大きな看板を揚げて行くだけのものであるかどうかということを少し心配するのであります。今我が國は非常に大きな嵐が吹いております。経済的な嵐、思想的な嵐、いろいろな嵐が吹いておると思うのでありまして、この中に今子供というものをさらさして置いて、そうして文化的な日本を新らしく建設するということを考えるときに私は非常に心配をするのであります。ですからどうぞこの法案を本当に完全に実行して頂きたいと思うのでありますけれども、その点につきまして大臣の御抱負を承わりたいと思うのであります。それにつきまして、これにも兒童の厚生施設等いろいろございますけれども、こういうものは予算を伴うことでありますし、文部省の社会教育などとも関聯することでありまして、さて実際に金を出そうとするとなかなかこれがむずかしくて、大きな施設というようなものは急にできない。併し嵐が余り強過ぎるという今日であります。そうしてこれは法律案と甚だ速くなつて申訳ありませんけれども、私のほんの一つの意見を、これはこういう際に申上げてどうかと思いますけれども申上げまして、大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。
 丁度私は文化委員をいたしておりまして、この前の文化委員会で國の祭日ということがいろいろ問題になつております。昔の日本の祭日をそのまま新らしい日本の祭日として行くか、新憲法の精神で変えたらどうかというような意見が、今討わされておるのでありますが、その時に國の年中行事というものも併せて問題になつておるのであります。その時に私は、何か日本に子供のための子供日というものを欲しいということを強く主張しておる一人であります。御承知のようにアメリカには父の日、母の日とかいうのがございまして、マザーズ・デーというのは、皆がお母さんのためにいろいろなことをやるという日であります。丁度ああいうものが日本にも欲しい、むしろ子供のために欲しい、日本の昔の五月の節句とか三月の節句とかいうものは、子供のために作られたお祭だと思うのでありますけれども、もつと現在の日本に合つた子供日というものを作つて、その日だけは皆子供のことを考えてやつて、例えば商賣でも、芝居でも、或いは電車でも、汽車でも、何かそういうものから上つて來る費用の何割かを子供のために捧げて、丁度兒童福祉法案に書いてありますようなところの施設を本当に立派にやつて頂きたい。例えば兒童遊園にしても、兒童館にしても、或いは兒童の図書館、これは社会教育の方面で文部省の方に行きますけれども、そういうものを本当にうんと金を子供のために各方面から集めてやつて頂くならば、そうしたならば兒童福祉法というものが本当に活きるのではなかろうかということを不図考えまして、そういうことに対しての大臣のお考えというものを伺いたいと思うのでございます。勿論この法案は、これ一つではないと思いますし、予算とは違いますから、大臣がここでやろうとお思いになつてもできないことでありまして、厚生委員の皆様方のお力や又は兒童委員或いは兒童福祉委員のお力や、文化委員の方々のお力、いろいろな方面の社会事業家の手というものを借りなければなりませんけれども、併しこの法律が出た機会に皆様がやろうというお氣持になつて頂けば、それは子供のためにやれるのじやなかろうかということを考えるのでございます。これは或いは討論の時に申上げるのがいいかと思いますけれども、丁度大臣がおいでになりますので、最後に申上げようと思いました質問を先に申上げまして、大臣のお心持を伺いたいと思うのであります。
#34
○國務大臣(一松定吉君) 只今三島委員がいろいろ有益にして且つ我々の参考になりますることの御意見を承わりました。そればかりではありません、兒童虐待防止法案の審議の時に御発表になりました我が國兒童のために非常に熱意を持つておられたそのことが、今日兒童福祉法として当院において審議をするに至つたことに対して厚生省に対して非常な感謝のお言葉を頂戴いたしました。実は私当局として誠に有難く感じておるのであります。こういうようないわゆるお褒めにあずかりましたような立派な法律でありましても、運用の如何によりましては十分に目的を達しないというようなことが往往にしてありまするからして、私はこの法案が國会を通過いたしましていよいよ実施される曉には、今あなたのお示しになりましたように、本当に兒童が心身共に健やかに生れて、そうして育成されるように努めるのみならず、これらの人々の生活はどこまでも保障し、そうして國民に愛護されるというような事実を見なければなりません。又この法案がいよいよ実施されまする時には、國は勿論、地方公共團体もすべて兒童の保護者として兒童を心身共に健やかに育成するような責任を以てこれを運営して頂かなければならない。こういうような考えでありまして全くあなたの仰せになると同じような考えを以て一つこの法案を十分に活用して見たい。それにつきましては、ただ兒童委員だとか或いは福祉委員だとか、いう人々にのみ委せられません。やはり國民全部の人がそういう考えを持つてこの法律を本当に遺憾なく発動して、その目的を達せるようにする、こういうような考えを持つております。これに対しましてはお示しのように、いわゆる予算というものが十分に伴いますからして、いずれこれを運用するに当りましては、でき得べき限りこの目的を達成するに必要欠くべからざる予算は、これはどうしても皆さんに御審議を仰ぎまして、それによつてこれを活用して、成る程兒童は健かに生れるようになつた、非常に立派に育つようになつた。これによつて我が國民は全く根本から生れ変つたように立派な素質を持つ國民に育成されることになつたというふうに、これを運営して見たいと思います。こういう点につきましては特に三島委員のごとき御熱心の方はこの兒童福祉法の第一條第二條に規定してありますところに從いまして、第一線に立つて指導的お立場から各委員と共に、これが目的を達成いたしまするように一層の御奮闘をお願いして止みません。
#35
○委員外議員(三島通陽君) 大臣から御祖意のある御答弁を頂きまして、第一回の國会において先ず子供のことをお考え願いまして、兒童福祉法案を御提出になりました大臣としてのその御熱意に対して我々は誠に感謝するものであります。どうも前申上げましたように道はそれ一つでないと思います。予算と共に何そういうことを考えて頂きたいということを重ねてその御熱意に甘えて子供達のためにお願いする次第であります。
 次に、又少し総論的のことでありますが、各所に子供の年齢を区切つております。例えば、幼兒、乳兒、少年とか、十八歳以下の少年とか、この年齢の区切り方であります。これは第一回の委員会で宮城委員が御質問遊ばされたのを速記録で今日拝見いたしまして、大いに私も敬意を表したのであります。どうもその御答弁は、これは何の法律によるということであるとか、或いは漠然と学校の面の区切りということであるのでありますが、私は日本の子供の発育の階段の分け方というようなものに、もつと心理学的に、又子供の発育というものを考え合せて肉体的にももつと研究して、これろいろいろ法律を作る時に考えなければならない問題じやないかということを、今痛切に考えさせられているのでありまして、それの詳しい説明を申上げておりますと、長くなりますから申上げませんけれども、どうもこの年齢の区切りだけは少し納得行かない点があるのであります。詳しくは御説明を承わらないでも宜しうございますが、何か当局におかれましても、子供のサイコロジイとか子供の発育の段階というものを、学説とか或いは一般的の我が國の特に子供の発育というものを御研究に相成りまして、そうしてこの年齢というものを條文にお定めになつたのでありますかということだけを伺いたいと思います。
#36
○委員長(塚本重藏君) ちよつとそれに関聯して、丁度三島さんから四條の兒童の三つの分け方についての御質問がありましたが、三島さんが文化委員会の委員であられることと思い合わせまして文化常任委員会の山本委員長と話合つたのでありますが、それは今と同じようなこういう分け方がどうかということと、もう一つはこういう名称の用い方はどうか、もう少し外に適当な名称がありわしないかというようなことを私話合つて來たのであります。例えばここにある乳兒を乳呑兒、第二の幼兒はおさな兒、第三の少年を子供と、こういうふうに分けることはどうであろうかというような話合いをしたことがあるのであります。第二の幼兒は、これをローマ字に綴つても歯を磨く楊枝であるやら何やら分らないというような疑問も起つて來る。少年というと男を聯想するのであつて、少年と書けば、自然に少女という言葉を使いたくなるというような氣が起つて來るのでありますが、こういう用語についても何かお考えになつておるか、合せてお伺いいたしたいと思います。
#37
○政府委員(米澤常道君) 只今の御質問でございますが、十八歳で線を引きましたことにつきましては、これは本案をいろいろ社会事業中央委員会その他において御審議を願いました時にも、医学方面の方々もお出でになつておりますし、ともかく労働基準法等におきましても、やはり我が國の実情から申しまして十八歳の線で、一應肉体的、精神的な方面から見ましても、十八歳以下の者を保護しよう、労働方面等においても是非保護したい、そういう意味で十八歳という一つの線があるわけであります。從前はその上に二十歳、或いはいろいろの線の引き方がありますが、少くとも現在におきましては、最も先ず保護を要する限界をどの線に引くかということになりますと、やはりこれは國民のいろいろな生理的な現状その他から考察しまして、十八歳という線が保護を要するか否かの一應の分岐点とする方が妥当ではないかということで十八歳に線を引いておるのであります。而してこの十八歳の兒童の中に、更に四條におきまして、乳兒、或いは幼兒、少年という名称を使い分けいたしましたのは、これは條文中にいろいろ乳兒、幼兒というふうな字句が出て参りますために、兒童の言葉一本で賄えない場合が沢山出て参りますために、更に小分けをいたしたのでありますが、この乳兒、幼兒ということにつきましては、これは我々といたしましては、先ず使い慣れた言葉と解釈いたしておるのであります。満一年に充たない乳呑兒を乳兒、学齢前の幼兒……乳兒、幼兒につきましては実は我々といたしましては、大体使い慣れた言葉と想つております。ただこの少年につきましては、先程委員長からもお話もありましたように、或いは女を含むかというような疑問がありましたり、又少年におきましては、現在の少年法等においても意味があるのでありまして、この少年という文字につきましては、実際今までの用語例から申しまして、非常に違うのでありまして、ちよつと慣れない……これは大体学童に相当する年齢であるのでありますけれども、今までの用語例と多少違つておるのであります。併し少年につきましても勿論女性を含むものと解釈いたしておるのでありますが、ここだけを兒童とすることも、この法の全体からして非常に困難であるのでありまして、少年という字を特に使つたのであります。ただ、然らば兒童福祉法という名前がどうかという御意見も亦出て來るのでありますが、これは以前にも申上げましたように、この本法の対象とするものが、いわゆる我々の考えております兒童という概念に相應する部分のものが一番多いのであるということと、その他に適当な言葉が見つからない。こういう両方の面からこういう題名を使つておるような次第であります。
#38
○委員外議員(三島通陽君) 今の政府委員の御答弁でございますが、私は十八歳にしたことはよいと思つております。これには我々多少の根拠を持つておるのでありまして、十八歳というのは少年期から青年期に変る年齢の一区画というように考えます。これは各國の学者が大体そう言つておることでありまして、古今東西の子供達にそう変りはないと思います。それ故に満十八歳に決められたということは大変結構だと思つておりますけれども、私の問わんとしたところはそこではなかつたのでありまして、もつといろいろ細かいところであつたのでありますが、今日はそういうことを余りくどくど申上げますと恐縮でございますから、そのくらいにして置きます。ただ少年期が小学校就学の初めからいうと、丁度満六歳ですが、満六歳から満十八歳が一つの線に置かれるということは、私は一つの不服があるので、これはやはり満十二のところでもう一遍切られた方がよいという考を持つておる。名前も少年ということは私も宮城さんと同じ考でありますけれども、併しこれは英語でボーイというのには随分大きい年齢まで入ると思うのでありますが、山本文化委員長のお述べになりましたことについての政府委員の御答弁は、どうもまだ納得できないのでありますが、これは山本委員長とも御相談をいたしまして、改めて他日伺うことをお許しを得たいと思うのであります。また年齢のことも伺いたいのでありますが、よそ樣の委員会に出て私一人でしやべることも恐縮なので、又他日にお願いをいたすことにいたしまして、もう一つは少し施設のことを伺いたいのでありますが、その中の一つをちよつと申上げて見たいのですが、この前貴族院最後の委員会の予算委員会で私政府に伺つた質問の時に、少し調べようと思いまして、丁度浮浪兒が非常に多いので、浮浪兒を調べて廻つた時に、どこの浮浪兒が一番多かつたかというと、停車場の浮浪兒がどこも一番多いのでありまして、停車場から汽車に乘つて無銭旅行をするという浮浪兒が非常に多い。それが段々常習的になつて行くという点が非常に考えさせられた。何故停車場に浮浪兒が一番多いかという問題でありますが、今日は何にも用意して参りませんが、そういうことを貴族院の最後の予算委員会の速記録を調べて見たのでありますが、そこまで見ないうちに時間がなくなつたので……とにかく停車場がずば抜けて多いのであります。これは子供を扱う時に考えなければならん問題で、これはそこが一番繁栄する所で、そこが偶然にそうなつたと言えるかも知れませんが、もつと大きな原因があるので、子供の心理、サイコロジイというものを考えると、ああいう停車場のような、汽車とか、電車、自動車という動くものに魅力がある、殊に停車場の空氣というものに魅力があるということを考えるのでございます。そういつた子供の魅力とかサイコロジーというものを考えますと、今度は逆に兒童の施設をやる時にも、そういう子供の心理とか、魅力とかいうことを十分に考えてそういつた施設をしませんと、折角いろいろおやりになつても大層ひからびた施設になつて、内容がどんなによくても、結局子供を生まれ変らして行く、健全に育てて行くには人間の魅力というか、施設の魅力というか、これが法律案の上に出ていないのは、御尤もでありますけれども、法律としてこの法律をお書きになりました時に、政府委員のお考えには何かそういつたものについての御研究がございましたかどうでありましようかということを一應伺いたいと思います。
#39
○政府委員(米澤常道君) 只今三島員のお話にありました中に、浮浪兒と停車場というようなお話があつたのであります。誠に適切な例であると考えるのであります。実際兒童の心理という問題につきましては、非常に我々も関心を持つておるのでありまして、兒童問題を扱う上におきまして、この問題を十分に掘り下げて、医学の方面と同樣に是非そういう方面の專門の方々に十分なことをやつて頂きたいと、こういうように考えております。兒童相談所の職員等におきましても、できるだけ心理の方面の非常に経驗のある方、或いは又兒童委員等におきましてもそういう方面の非常な專門家、御経驗のある方、こういう方々に是非お働きを願いたいということを考えておるのでありまして、このいろいろな施設その他の設置乃至はそれの運営について、兒童心理を十分に取上げて行くという御意見につきましては全然御同感であるのであります。法律の上では別に挙げてはありませんけれども、実際方面の働きその他において十分御意見のあるところをやつて行きたいと思つております。
#40
○委員外議員(三島通陽君) 余り一人でしやべつておりますのも恐縮でありますから、本日はこの程度にいたしまして、又他日お許しを得れば仕合せであります。
#41
○井上なつゑ君 先程から三島委員のお尋ねに対して厚生大臣の御懇切な御答弁を得まして、又私からお伺いを申上げる必要もないと思いますけれども、実はこの間社会事業大会にちよつと顏を出させて頂いた時に、やはり出ておられた方々が今度の兒童福祉法に対しての解釈を、まるで兒童教護法かなんかのように解釈をしておられた方があつて、私共非常に淋しく思いましたが、これは第一條にも書いてございますが、私は日本の全人口の三分の一か、何分の一かを含んでおります兒童全体の中の異例に属する不良兒だとか、虚弱兒だけにこれを使うのでなく、正常兒がすくすくと大きくなるようにこれを使つて頂くことを本当の念願といたしておる者でございますが、これにつきましても、何とかもう少し第十九條あたりに、子供の出生ということについてはつきりした区劃をつけて頂きたい。勿論戸籍法によつて届出は出されると思いますが、生まれたらすぐ何時間以内に届けをする。名も付けなくても結構でございますが、その届出に從つて仕事を始めるというような、そこにはつきりとした区劃でもつけて頂きますと、異例の子供でなしに、正常の子供が本当に正しく健康に育つて行く、又二千何百万か、即ち二千万以上の子供の上にも眼が注がれるのではないかと存じます。それからもう一つこれは失礼でございますが、先程第二十一條のことについて御質問がありまして、助産婦が赤ん坊に接しないということをおつしやつておられましたが、助産婦は満一年までは赤ん坊に接しられる筈だと解釈しております。これは法律の第五條に、「この法律で、妊産婦とは、妊娠中又は出産後一年以内の女子をいう。」と書いてございますが、出産後一年以内の女子を産婦と見て頂きますと、この産婦には子供は附きものではないかと存ずるのであります。この点をはつきりして頂きたいと思います。
#42
○國務大臣(一松定吉君) 子供の生まれることについて、一つ明確に認識を深めるというようなことが條文の中に望ましいという御意見でありますが、そういうようなことは出生、死亡とかいうようなことは、戸籍簿等においてこれを扱つておりますので、特に兒童福祉法にはその必要はないと実は考えたのであります。併しそういうような妊娠だとか、出産だとか、育兒とかいうことについての指導を受けるとか、或いはそれに対して干渉するとかいうようなことは、この規定の中にあることはあなたの御承知の通りでありまして、そういう点はやはりそういう意味において明確に規定してあるつもりでありますから、それを御了承願いたいのであります。それから二十一條の乳兒又は幼兒の保護者が、保健所又は医師若しくは保健婦について指導を受けた時は母子手帳に書け、然るに助産婦のことがどうも書いてないのは、という先刻の中平委員の御質問でありましたが、それにつきまして私が申上げましたようになると、それはやはり書いて置いた方がよかつたのでありましよう。併しながらその立案の時に、もう生まれたのだから後は保健所若しくは医師又は保健婦に指導を受けるということのみを考えて、今あなたの言われるような、五條の出産後一年間はやはり妊産婦ということであるならば、妊産婦が子供を生んだ後において、一年間は妊産婦である。從つてその生まれた子供についてやはり一年間は助産婦がこれを保護指導することがいいじやないかという御意見は、私は御尤もと思うのでありますが、ただ法文を書く時に、そこまで注意して書かなかつたということですからして、御了承願いたいのでありますが、然らば助産婦の指導保護は受けないか、又受けた時には母子手帳には書かないか、書くことはできないかというと、そうじやない。やはりこれは助産婦の指導を受けることもよろしいし、受けた時にはそれらのことを母子手帳に書くことを、少しも法律は禁じていないのでありますから、ただ法文にそれだけのことを書かなかつたから、今それを書いて修正したらいいじやないかということで、どうしても修正しなければならんということなら、これは一つお考え願いまして、決して政府といたしましては、反対はいたしません。
#43
○小杉イ子君 私は先程草葉委員の申されました兒童相談所に委してはどうか、それから助産婦という件につきまして、全然賛成でございます。それからこの二十二條の入院助産を受け得ない者は、助産施設に入所させるということが軽々しく書いてあるところを見ると、やはり私は男子ばかりの頭で書かれたものだと思うのでございます。この点は母子保護という意味合いから、今日社会事業で非常に擁護なさつておることで、大変ないいことと思います。併しここで助産婦に助産をさせるということになれば、先に申上げましたが、婦人科に要する一個の医療機械が不足でも、これはできないことでありますから、病院施設が要るのではないかということを申上げた。それには早速予算が要るではないかということを申上げたのであります。そこで又草葉委員の言われたように、保健婦よりも、今井上先生がおつしやつたように、助産婦が必要であるということを、重ねることになりまするが、これの要求がないということは、これも男のなさつたことである。先程のお答えにもありましたが、助産婦を附けてよろしいという意味がこれで取れますならば結構でありますが、出産の時に子供を手に受け取らない、ここが私の一番注意するところであります。その子供を手に受け取らないということになつて、時期を外すということになると、若し性病のある母親に産み落されたら、膿漏眼ということになつて盲目になりまして、誠に可哀そうなことになります。そうして産後というものは、「人の道」あたりでは、産というものは決して病氣でない。これは何も病氣でないから、直ぐ起きてもいいということでありますそうなけれども、それがために直ぐ年を取らなければならん。三十歳か四十歳の若さで腰が痛くなつたり、目が惡くなつたり、神経過敏に陥つたりする。これは大変な恐ろしいことであります。なぜかというと、妊娠すれば、この挙だけの子宮が丁度十ケ月になると、一升徳利の大きさに膨脹する、それが縮小するのに四十何日かかるから、どうしても二十一日ぐらいは大事だということになります。ここで以て保健婦よりも産婆の方がいいのでありますけれども、産婆に限ると予算が掛かるから保健婦でもいい。これは男子にはできないことだと思つております。この点におきまして、どうしても産婆を入れるということは申上げるまでもないけれども、これは決定して頂いてもいいと思つております。これを私は申上げたいのであります。
#44
○國務大臣(一松定吉君) 今あなたの御質問の通り、私もそれは考えておりますから、若し御修正下されば、お改めいたしましよう。それは政府はそこまで注意して立案の時にやればよかつたのでありますが、先刻申しましたように、多分もうお産をしてしまつたら、もう助産婦は要らんものと、あとは保健婦や又は保健所で指導すればいいというように、軽い考えでやつたので、特に助産婦を軽視して除外したとかいうような、そういう考えではございません。
#45
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて下さい。
#46
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時三十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長
           塚本 重藏君
   理事
           宮城タマヨ君
   委員
           内村 清治君
           中平常太郎君
           草葉 隆圓君
           中山 壽彦君
           安達 良助君
           木内キヤウ君
           小林 勝馬君
           井上なつゑ君
           小川 友三君
           小杉 イ子君
           波田野林一君
           服部 教一君
           姫井 伊介君
           山下 義信君
           米倉 龍也君
  委員外議員
           三島 通陽君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 一松 定吉君
  政府委員
   厚生事務官
   (兒童局長)  米澤 常道君
ソース: 国立国会図書館
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