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1970/01/26 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 本会議 第3号
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1970/01/26 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 本会議 第3号

#1
第065回国会 本会議 第3号
昭和四十六年一月二十六日(火曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  昭和四十六年一月二十六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 以下 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、常任委員長の辞任につき、おはかりいたします。
    社会労働委員長    佐野芳雄君
    逓信委員長      近藤信一君
から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
#8
○瀬谷英行君 常任委員長の選挙は、その手続を省略し、いずれも議長において指名することの動議を提出いたします。
#9
○佐藤隆君 私は、ただいまの瀬谷君の動議に賛成をいたします。
#10
○議長(重宗雄三君) 瀬谷君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、社会労働委員長に林虎雄君を指名いたします。
   〔拍手〕
 逓信委員長に横川正市君を指名いたします。
   〔拍手〕
     ―――――・―――――
#12
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 去る二十二日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。秋山長造君。
   〔秋山長造君登壇、拍手〕
#13
○秋山長造君 私は、日本社会党を代表して、当面する内政、外交の緊急課題につき、佐藤総理大臣及び関係各大臣の所信をただしたいと存じます。
 自民党総裁として前例のない四選をなし遂げ、総理大臣として憲政史上かつてない長期政権の座にあって、いま佐藤総理は何を思い、何をやろうとしておられるのでありましょうか。佐藤政権発足当初、総理は、前任の池田政治を物質万能の経済成長至上主義と批判して安定成長への転換を公約し、人間尊重、社会開発を声を大にして強調されたのであります。六年余にわたる佐藤政治は、はたしてこの公約に沿うものであったかどうか。公害、物価、交通事故、農業、過密過疎、教育、沖繩、繊維、中国と指折り数えるとき、総理の描かれる日本列島の未来像には、遺憾ながらまだまだ多くの暗い影があることを認めざるを得ないのであります。
 いま、日々長期政権の記録を更新しつつある佐藤内閣は、いわゆる激動の七〇年代の山積する諸問題に直面しております。公害、物価、中国、どれ一つとして、いままでの惰性や行きがかりにとらわれて解決のつく問題ではありません。それには思い切った発想の転換と姿勢の切りかえが必要であり、そこにこそ佐藤総理の決意が問われているのであります。しかも、総裁五選はあり得ず、自民党内ではすでに総理の引退の時期の問題が半ば公然とささやかれ、内外の関心がもっぱらポスト佐藤に集中している現実を思うとき、総理にとって残された時間は決して多くはありません。「政治に小休止なし」とは、総理自身のおことばですが、いまこそ佐藤総理が翻然決意を新たにして、内政、外交の大転換を行ない、歴史の上に名誉ある一ページを残さるべき最後のチャンスと考えますが、総理の率直な御心境をお伺いしたい。
 佐藤総理は、かつて政治資金規正法の改正について、「大骨はおろか小骨一本も抜かない」と大みえを切られたのであります。しかし、その後の経過は、これを口と腹の違う有言不実行の代名詞にしてしまいました。私は、一国の総理大臣の発言がかくも簡単に裏切られ、踏みにじられ、茶化された例を知りません。今日、わが国の政治を毒している最大の要因が金と政治のくされ縁にあることは、何人も否定できない事実であります。昨年暮れ、自治省の発表した昭和四十五年上半期の政治資金収支報告書は、政治資金の規正強化が焦眉の急務であることをあらためて痛感させるものであり、この数年来、たびたびその機会があったにもかかわらず、言を左右にして、これを怠ってきた佐藤総理の責任を問わざるを得ないのであります。届け出によりますと、去年上半期の政党政治団体の収入合計は百七十三億五百万円、前年同期の実に二倍以上の増加ぶりであり、総選挙のあった一昨年下半期の百七十三億百万円をもこえる驚くべき巨額であります。その大半が企業から自民党関係への大口献金で占められていることは言うまでもありません。しかも、この数字が政治資金のすべてをあらわしたものとは言えず、別に隠れた巨額の献金があると見るのが、まず政界の常識でしょう。このような表裏合わせての膨大な資金が現実の政治をささえているのであり、政治はこれによって大きく影響されざるを得ません。これこそきわめて単純明白な論理であります。
 報告書を見ると、鉄鋼、電力、自動車関係の超大口献金は論外として、四日市ぜんそくの石油会社も、田子の浦ヘドロ公害の製紙会社も、水銀、鉛、カドミウム公害の重化学工場も、粉じん公害のセメント会社も、名だたる公害関係企業がずらり顔を連ねているのであります。同時に、目立って献金額のふえたのが、カラーテレビの二重価格問題で非難の矢面に立っている家庭電器メーカーと運賃値上げの私鉄大手であります。
 こうした事実と、公害や物価に取り組む政府の姿勢の手ぬるさ、もどかしさとの間に、何らかの因果関係が憶測されるのは、むしろ、当然ではないでしょうか。さすがに最近財界筋でさえ反省の声をあげているではありませんか。問題は簡単明瞭であります。大口献金の一口当たり最高額をずばり法的に制限することであります。選挙制度審議会が出した結論もこれであったし、これこそ最も簡明で実行しやすく、効果も期待できる方法であります。政府と自民党が真剣にやる気になれば、いますぐにもやれることであります。政治資金祖正法の改正、強化を繰り返し言明し、公約しながら、総理は、何ゆえ今日まで実行されないのでしょうか。私は、この際、佐藤総理大臣が、その責任に深く思いをいたされ、即刻勇断をもって、法改正に乗り出されることを心から要望してやみません。そのことが必ずや憂うべき政治不信の空気をぬぐい去り、あらためて議会政治と選挙に対する国民の信頼を回復し、その熱意と関心を呼び起こす大きなきっかけになると信じます。端的にお尋ねしますが、総理は、本国会に政治資金規正法改正案を提出して、成立させる御意思はありませんか。
 次は物価対策であります。物価の安定こそ、佐藤内閣発足以来、一貫して掲げてこられた最大のスローガンであります。しかるに、物価は昭和四十年度の七・六%から始まって、年々容赦なく高騰を続け、この六年間に実に四七%も上昇したのであります。この間、公共料金の値上げも相次ぎ、消費者米価は四回、国鉄運賃は三回、また医療費も三回値上げをされ、あたかも政府が率先して値上げムードをあおってこられたのであります。地価のごときは、この十年間に実に八倍以上にもはね上がったではありませんか。端的に伺いますが、大体この六年間に政府の努力で物価を下げられた例が一つでもあるでしょうか。あれば、一々具体例をあげて答弁していただきたいと思います。
 最近のカラーテレビ値下げは、政府のなまぬるさにあいそをつかして自主的に立ち上がった消費者運動の成果であって、政府はただあとからこれに便乗しただけの話ではありませんか。通産省や公正取引委員会がいまごろになって家電メーカーの二重価格がどうのこうのとぶつぶつ言っているのは、全く醜態ではありませんか、こっけいではありませんか。なぜいままで手をこまぬいて傍観していたのですか。最近のこの目に余る独占管理価格の横行をもっときびしく規制したらどうですか。一体こういう事実に対して佐藤総理はどうお考えになっておられるのか、率直な御感想を伺いたいのであります。
 本年度の物価上昇は、政府の当初見込みの四・八%を大幅に上回って、すでに七・三%になりました。にもかかわらず、来年度の上昇率をあえて五・五%と見込んでおりますが、はたしてその線に押えるだけの確信があるのですか。実は、政府自身もその自信はないが、諸般の政治的配慮から銀行預金の金利に合わせただけの話ではありませんか。もし五・五%の根拠が別にあるなら、この際はっきり示していただきたい。
 また、新年度予算を見ても、肝心の地価対策は全く放置されております。昨年行なわれた土地税制の改正も結局は大地主擁護に終わり、合法的脱税の奨励法にすら堕してしまったことはいなめない事実であります。政府はこの際、勇断をもって土地税制を改革し、法人所有地の譲渡所得分離課税、あるいはその含み資産の再評価課税、さらには土地増価税による開発利益の吸い上げ、公共用地取得制度の強化、不動産取引業法の整備による悪徳ブローカーの締め出し等々、思い切った手を打つべきではありませんか。しからざれば、来年度予算総額の実に一七%、一兆六千六百億円にものぼる公共事業費もその大半を地価に食われてしまって、それがまた物価を押し上げる結果になるであろうことは火を見るよりも明らかであります。六年前、佐藤総理がこの席で、この私に約束された総合的地価対策なるものはその後どうなったのでしょうか、この際明らかにしていただきたい。
 昨年末、予算編成の最終段階で、突如として消費米価の物価統制令適用廃止がきまったことは、政府の消費者に対する重大な挑戦であり、物価問題に対する政府の姿勢を疑わしめるものであります。政府は、一面では、うまい米は高く、まずい米は安くという自由経済原則を導入するのだと言いながら、他面では、値上がりを押えるため歯どめ措置を講ずるなどと、前後矛盾したことをおっしゃっているのであります。あらためて歯どめをするぐらいなら、何もわざわざ初めから統制令をはずす必要はないではありませんか。かつて、自主流通米が出たとたんに、それより安かったやみ米が一挙に値上がりした経験に照らしても、物統令撤廃が直ちに消費者米価の値上がりにつながることは明らかであります。それが食管制度を切りくずすだけではなく、郵便、電報電話、健康保険等、公共料金値上げと相まって政府の物価政策を破綻させるのは必至であります。政府は、率直にこれをお取りやめになったらどうでしょうか。また、問題の食管制度を一体これからどうなさるのか、この際はっきり答えていただきたい。
 いま野菜の暴騰が話題を呼んでおります。大根一本二百五十円、白菜一個二百円というようなばか値は一体どこからくるのでしょうか。農民が暴利をむさぼっているわけでもなければ、八百屋がぼろもうけをしているためでもありません。要するに、生産者から消費者までの中間手数がかかり過ぎるからであり、加えて生鮮食料品がブローカーの投機のえじきにされているからではありませんか。従来、すべてを天候のせいにして、肝心の流通対策や市場改革を逃げてきた農林行政の盲点を一挙にさらけ出した形ですが、政府に有効な緊急対策があるのですか。大根一本の値にも目の色を変えねばならぬのが庶民の生活であります。佐藤総理大臣、この際、大根一本、ただの五十円だけでもよろしいから安くしてください。それが政治というものではないでしょうか。
 近ごろ、わが国でもスタグフレーションということばが使われておりますが、それと関連して、物価高の責任をもっぱら賃上げのせいにするいわゆる所得政策論がにわかに活発化してまいりました。財界はもちろん、政府筋でも、現に今回の施政方針演説の中で、総理も蔵相も経企庁長官も、口をそろえて、所得政策をほのめかす発言をされました。しかし、また一方では、野原労働大臣は、先日の同盟全国大会において、所得政策をまっこうから否定される発言をされた由であります。この際、あらためて佐藤総理から所得政策に対する政府の統一見解をはっきり承りたいと思います。
 また、四十六年度経済見通しの参考資料で、雇用者所得の伸びを一七・一%とされておりますが、政府は、これを春闘を押えるためのいわゆるガイドポストに使おうとしておられるのではありませんか。経企庁長官、明確にしていただきたいと思います。
 わが国の場合、労働者の賃金が法人企業の売り上げ高の原価構成の中で四十四年度八・七%にすぎないこと、さらには労働分配率が三十年の三六・三%から逆に四十三年の三一・九%にまで下がっており、欧米諸国の五〇%台に比べて著しく低いこと、また、わが国の場合、物価高の原因が、賃金よりもむしろ産業の二重構造や通貨の出し過ぎや独占管理価格の横行、地価の暴騰、流通機構の複雑さ等にあることなどを考慮するならば、すでに財界の調査機関である日本経済調査協議会の大川委員会も明確に指摘したとおり、いまわが国で所得政策を採用することの不当性は明らかであると思いますが、政府のお考えはいかがでしょうか、重要な問題でありますので、重ねて政府の見解をお尋ねいたします。
 次に、お伺いしたいのは、教育問題であります。昨年、中央教育審議会から高等教育改革、初等中等教育改革に関する中間答申が相次いで発表され、さらにOECDの教育勧告や文部省の教育白書がこれに加わったのをきっかけに、教育論議がにわかに活発化してまいりましたことは御承知のとおりであります。特に、初等中等教育改革の中間答申がいわゆる先導的試行としてではあるが、現在の六・三制に対する改革案として、四四六、四三三及び四四四の三試案を示唆したことから、六三制の是非、その区切り方をめぐって、いまや教育論議はまさに百家争鳴の観を呈しているのであります。もちろん、教育は国民のものでありますから、すべての国民がこれに関心を持ち、それぞれの立場で自由濶達に発言する中から、おのずからにして教育のあり方についての国民的合意が形成されることが一番望ましいと思います。
 ただ、この際、忘れてならぬことは、教育は国家百年の大計というとおり、実に息の長い事業であり、三十年、五十年、じみちな努力を一筋に傾けて初めて効果のあらわれる性格のものであって、決してそのときどきの政治的潮流に左右されてはならないということであります。私は、現在の六三制、必ずしも完ぺきとは思いません。いな、まだまだ内容の不十分な点が多々ありますが、過密過疎対策や、六三制の前段階としての公私立幼稚園や保育所の整備充実など、まさに急務中の急務であろうと思いますが、文部大臣、いかがでしょうか。
 しかし、六三制の功罪についての徹底した論議もなく、政府が今日まで六三制を育てるための真剣な努力をどれだけ尽くしてきたかの謙虚な反省もなしに、あたかも役所の機構いじりのような態度で軽々に六三制そのものを変更されることには大きな抵抗を感ぜざるを得ません。むしろ、問題の焦点は、六三制の制度そのものにあるのではなく、それが発足当初に目ざした自由、民主、平和、人間尊重、個性の開発、機会均等などの理想に何らかの変改を加えようとする今日の権力状況にあるのではないでしょうか。
 教育問題についての第二点は、文部省対日教組の関係であります。文部省と日教組が相変わらず冷戦状態を続け、文部大臣と日教組委員長とが会うことすらできない今日の状態、文部省が日教組対策にかまけて、広く文教行政全般に行き届いた配慮をするいとますらないような現状、日教組対策に熱を入れ、腕をふるわなければ昇進も出世もできないというような文部省内のムード、一体、これが好ましい状態だとはまさかおっしゃらぬだろうと思うのであります。現に、OECDの教育勧告でも、日本の教育界にコミュニケーションがはなはだしく欠けていること、文部省と教員団体との間に権力と反発の緊張関係があって、相互の協力を阻害していることを鋭く指摘し、教育当局はこの問題の改善に真剣に取り組もうと考えているのか、今後どんな努力をするつもりかと問いかけているのであります。大体、文部省や教育委員会と教員組合とが、いつもにらみ合っておって、日本の教育がうまくいくはずがありません。全国の教育関係者や、子を持つ親たちはもちろん、国民の多くがひとしくこの現状を憂え、その改善を心からこいねがっているのであります。政府は、この願いにこたえるべきであります。ぜひ、これにこたえていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。たとえ、立場が異なり、主張が違っても、直接会って話し合うところにコミュニケーションが成り立ち、相互理解と協力の手がかりがつかめるのではないでしょうか。政府は、年来の懸案である教職員の超勤手当問題に、この際、何が何でも決着をつけようとあせっておられますが、これこそ文部省と日教組が根気強く話し合い、解決すべき好題目ではありませんか。それを何ゆえ一方的に事を進め、権力的に押しつけようとされるのでありますか。この際、坂田文部大臣は、一切の行きがかりを捨て、勇断をもって日教組との関係改善に乗り出されるおつもりはありませんか。何よりもその第一歩として、日教組委員長と直接会って話し合うおつもりはありませんか。そうした努力の積み重ねが必ずやわが国教育の前進に大きく役立つことを確信するがゆえに、あえて坂田文部大臣の御決意と御行動とを促してやまない次第であります。文部大臣、この点に明確に答えていただきたい。なお、この際、佐藤総理の御意見をもあわせて承っておきたいと存じます。
 最後に、外交問題についてお尋ねいたします。
 その第一は、中国問題であります。昨秋来、カナダ、イタリア、エチオピア、チリが相次いで北京政府を承認し、国連でも、中国招請アルバニア決議案が初めて過半数の賛成を獲得しました。中国の国連加盟こそ、重要事項指定方式でかろうじて阻止されたけれども、賛否の票差は予想外に接近し、中国の国際社会への復帰はもはや時間の問題となってまいりました。中国をめぐる情勢の変化はかくのごとく急ピッチであり、中国と一衣帯水の日本が漫然と従来のあいまいな政策を続けることはとうてい許されません。いまや、わが国にとって中国問題こそ当面最大の課題であることは、何人も否定できないと思います。
 しかるに、佐藤総理は、新年初頭の記者会見では、日中大使級会談で国交正常化を話し合ってもよい、輸銀使用もケース・バイ・ケースで考えると述べられたかと思うと、そのわずか四日後の伊勢談話では、中国問題は日中両国だけでは解決できない、韓国、台湾、米国、ソ連等の考え方がきまらないと片づかない、輸銀使用はまだ四囲の状況が熟していないと、あと戻りをされ、今回の施政方針演説では、また一歩進んで、中華人民共和国との間に政府間の各種接触を行なう用意があると言い、きのうの衆議院答弁では、中国問題は友好諸国とも協議しつつ、あくまで慎重に対処すると、再び後退をされ、行きつ戻りつ、総理の真意が一体那辺にあるのか、全くつかみかねるありさまであります。
 総理は、口を開けば、国府に対する国際信義を言われます。暴に報いるに徳をもってした終戦当時の蒋介石総統の好意を云々せられます。私も、あながちそれを否定するものではありません。しかし、日本が現実に戦争をしかけて、ばく大な損害を与えた相手は、=総統個人でもなければ、台湾人民でもありません。それこそ、ほかならぬ大陸七億の中国人民であります。彼らへの償いこそ重大ではありませんか。なるほど、占領下の日本は、アメリカの強要によって台湾の国民政府と平和条約を結び、これを中国のただ一つの合法的政府と認めてまいりました。しかし、その平和条約が結ばれた昭和二十七年当時は、すでに大陸中国が北京政府のもとに統一されてから三年もたっており、ソ連、イギリスをはじめ、世界の三十カ国がこれを承認しておったのであります。だからこそ、日華条約第一条では戦争終結をうたいながらも、付属交換公文で、条約の適用範囲を台湾と膨湖島に限定せざるを得なかったのではありませんか。それは、とりもなおさず、大陸中国との戦争状態の未解決なことを言外に認めたものであり、いずれは中国との全面的国交調整をはからねばならぬ時期の来ることを予想してのことではなかったのでしょうか。当時、吉田首相からダレス氏にあてた、いわゆる吉田書簡を見ましても、この間の消息がにじみ出ているのであります。にもかかわらず、あたかも、台湾政府が全中国を代表する唯一の合法的政府であり、日華条約によって中国に対する戦後処理は一切片づいたかのごとき形式論理に固執されるところに、非常な無理があると思うのであります。だからこそ、われわれはフィクションだと言うのであります。虚構だと言うのであります。いつまでもフィクションにこだわっていては、現実の解決はつかないと言いたいのであります。大陸中国との間にいまなお法的戦争状態が継続しているというこの事実を率直に認めてかかること、北京政府こそ中国を代表する唯一の合法的政府であるとする基本的認識に立つことこそ、一切の問題解決の出発点でなければならぬと思いますが、政府の御見解を明確にしていただきたい。
 私は、戦後、占領下の時代から、あらゆる困難をおかして日中友好と貿易の促進に努力されてきた多くの先輩諸公に深い敬意を払うものでありますが、いまや、貿易の促進すら正常な国交なしには限界のあることが明白になってまいりました。政経分離というような不正常な関係のまま日中の友好を発展させることは、もはやはなはだしく困難であります。一日も早く日中間のこの法的戦争状態に終止符を打ち、平和共存と内政不干渉の原則のもとに、国交を回復するため、政府、いな、佐藤総理の万難を排する御決断を願ってやまないものでありますが、いかがでありますか。
 台北と北京がいずれも一つの中国を主張しておることが問題を複雑かつ困難にしておることはよくわかります。しかし、肝心なのは、問題解決にアプローチする日本政府の基本的態度、日本政府の根本姿勢にあるのではないでしょうか。近く北京で始まる日中覚書貿易交渉に対して、政府はいかなる態度で臨まれるのか。そのため北京へ行く岡崎嘉平太氏や同行される藤山愛一郎氏に対して、いかなるサポートを与えられるのでしょうか。この際、輸銀使用、ココム、チンコム撤廃等について積極的な意思表示をなさるおつもりはありませんか。総理は、施政方針演説の中で、現在の不自然な状態を解消するため、政府間の各種接触を行なう用意ありとおっしゃったのでありますが、それは具体的には何を意味するのか、明確にしていただきたい。自民党長老の一人である藤山氏が中国を訪問されるこの機会を活用して、国交回復交渉への手がかりぐらいつかむべきではありませんか。また、いますぐにも、比較的政治色の薄い気象協定や郵便通信協定、航空協定等の交渉に乗り出すおつもりはありませんか。いずれにせよ、今後、重要事項指定決議の提案国に加わるようなことだけは絶対に避けるべきと思いますが、政府の方針を明らかにしていただきたい。
 こうした事実が一つ一つはっきり前向きに示されるのでなければ、幾ら名称だけ正式に中華人民共和国と呼びかえてみましても、何の具体的前進にもならぬではありませんか。佐藤総理大臣の積極的な御答弁を期待してやみません。
 次に、沖繩問題について伺います。昨年来、日米間で返還交渉が進められ、年頭、佐藤総理も、返還協定の作成を急ぐようあらためて指示されたとのことが報道されました。しかし、肝心の交渉の内容については、施政方針演説の中でもただ一言、順調に進んでいる旨を述べられただけで、基地労務者、軍用地、対米請求権、米軍資産の取り扱い等々、沖繩県民にとってもまた日本国民全体にとってもいわば死活的な重要問題が、いずれも一切明らかにされないまま、大きな不安と疑惑を与えながら暗黙の間に行なわれておるのであります。このまま進みますならば、やがて春ごろの調印でまず既成事実がつくられた上で、これを沖繩県民に天下り的に押しつける形になるのは火を見るよりも明らかであります。もし、そうでないとおっしゃるなら、現在返還交渉がどの程度進んでいるのか、どういうことが問題になっているのか、今後の協定作成のスケジュールはどうなっているのか、いよいよ現実に沖繩が返還されるのは来年のいつごろになるのか、大筋だけでもこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
 次は、問題の毒ガスであります。去る一月十三日マスタード・ガス百五十トンが繩沖島外に運び去られたことは御承知のとおりであります。しかし、それは全貯蔵量一万三千トンのわずか一%にすぎません。残りの九九%は一体どうなるのでしょうか。残った毒ガスは揮発性の高い、きわめて危険な致死性神経ガスの由でありますが、それはいつ撤去されるのか。米側はジョンストン島の受け入れ施設が整い次第と言うが、それはいつになるのか。沖繩県民はそれまでさらに死の恐怖と隣合わせの不安な日々をしいられるのか。
 一昨年七月、米軍基地の毒ガス事故が米紙にすっぱ抜かれて大騒ぎとなり、国防総省はついに声明を発して、七〇年春までには完全撤去することを約束したが実行されず、ニクソン大統領の生物化学兵器全面廃棄声明も軍部の抵抗でうやむやになり、昨年九月、中曾根防衛庁長官訪米の際、レアード国防長官は、七一年春までには完全撤去することを約束し、中曾根長官は得々としてその旨帰国報告をされたわけですが、それもお流れとなった今日、われわれ日本国民は一体たれのことばを信用したらいいのでしょうか。政府は本気で対米交渉をやってこられたのかどうか。今後どうなさるおつもりか。完全撤去は、いよいよのところ、一体いつになるのか、はっきりしていただきたい。
 そもそもアメリカは何のためにかくも大量の毒ガスを沖繩に持ち込んだのでしょうか。大体、この毒ガスそのものが国際法違反ではありませんか。一八九九年の毒ガス禁止に関するハーグ宣言や、一九二五年のジュネーブ議定書の精神にまっこうから挑戦するものではありませんか。政府はなぜこの点をもっと問題にされないのでしょうか。
 そこで、念のため確かめておきますが、この種の毒ガスが日本本土に持ち込まれているという事実はありませんか。もし持ち込まれるとすれば、当然、安保条約の事前協議の対象になると思いますが、いかがでしょうか。その場合、政府はこれを拒否するのかどうか、国民の前に明らかにしておいていただきたい。
 なお、この際、あわせて伺いますが、沖繩に貯蔵されていたメースBその他の核兵器はいまどうなっているのですか。いつ撤去されるのですか。おそくとも来年の沖繩返還までには必ず完全撤去される保証はあるのかどうか、この点を明らかにしていただきたい。
 以上をもって私の代表質問を終わりますが、佐藤総理大臣以下、国民によくわかるように、簡明にして懇切具体的な御答弁をお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(佐藤榮作君) 私が政権を担当した直後に、人間尊重の政治と社会開発の重要性をアピールをしたことは、秋山君の御記憶のとおりであります。私は、この政治理念の実現にこれまで全力をあげてきたと自負しております。しかしながら、その目的が、必ずしも十分に達成することができなかったことにつきましては率直に認めるにやぶさかではありません。ただし、日本経済の発展は、従来の古典的な経済学の概念を越えるほどのスピードが早く、かつ量的にも拡大したため、社会の変化も急激であったことは、諸君御承知のとおりであります。施政演説で述べたとおり、このような過程を経て、いまこそ経済社会の均衡ある成長を実現できる時代になったと信ずるものであります。私は初心に返って、人間尊重の政治と社会開発をより一そう推進する決意であります。格段の御協力をこの機会にお願いするものであります。
 具体的の問題として、政治資金規正法の改正についてお尋ねがありましたが、この改正につきましては、政治あるいは選挙を浄化したいと願う国民の期待にこたえる上から、ぜひとも実現したいといまなお考えております。他方、金のかからない政党本位の選挙のあり方についても、関連して研究すべき課題であると考えます。いずれも、問題が問題だけに、多くの皆さま方の賛同を得て、実現を可能とすることが第一であります。実現可能な、りっぱな成案を得るため、なお慎重に検討してまいりたいと思います。
 次に、内政問題について、秋山君から、物価問題について焦点をしぼってお尋ねがありました。率直に言って、物価問題は、政府として最も頭の痛い問題であります。物価問題は、日本経済の構造的な特色に深く根をおろした問題であると同時に、国民各位の消費態度に負うところも大きいという、経済学以前の問題をはらんだ問題であります。また、世界各国の経済情勢にも強い関連を持つ問題でもあります。それだけに、物価安定のためには、根気よく強力な施策を集中していくことが必要であり、この際、あらためて物価問題に全力をあげてまいる決意を冒頭に申し上げると同時に、国民各位の御協力をまずお願いしておきたいと思います。四十六年度の消費者物価の見通し五・五%は、これまでの消費者物価の趨勢や今後の経済動向等を勘案し、政府の政策努力を織り込んで決定したものであります。この五・五%に押えることは、最近の消費者物価の根強い上昇基調から判断して、決して容易なものとは考えませんが、さきに施政方針演説において明らかにした具体的方策を駆使して、最善を尽くしてまいる決意であります。
 次に、地価対策についてお尋ねがありましたが、地価対策は、企画庁長官の経済演説におきましても具体的に触れている問題でもありますし、内閣全体としての姿勢として、地価対策を決して軽視するものではないことを御理解いただきたいと思います。その詳細については、後ほど企画庁長官からお答えをいたします。
 次に、消費者米価について物価統制令の適用を廃止することといたしましたが、これは米の需給が大幅に緩和したにもかかわらず、品質に応じた価格の形成が妨げられ、消費者の品質に対する要望が必ずしも十分に満たされていない現状を改め、消費者がみずから品質に応じた選択を行ない得ることをねらいとしたものであります。また、これにより、米の品質の改善、良質米の供給の増大に役立つものと考えます。
 なお、物価統制令の適用を廃止しても、消費者米価全体の水準が現在より上昇することを防止するため、米穀販売業者の新規加入規制の緩和等、流通面の合理化を進めることにより、米穀需要の実情が販売面に十分反映されて消費者に迷惑のかからないよう、十分配意してまいるつもりであります。
 次に、生鮮食料品の高値は家庭の台所に直接響く問題でもあり、国民各位にとっては物価問題の焦点でもあろうかと考えます。最近の野菜価格の高騰には、天候などの短期的要因とともに、労働力不足や都市化の進展による都市近郊産地の後退などの構造的変化の影響もあり、その価格の安定には容易ならざるものがありますが、生産基盤の一そうの増強につとめるなど、高度化する利用に供給がおくれを来たすことのないよう施策を強化してまいる所存であります。
 なお、先般、農林省に生鮮食料品価格安定対策本部を設置し、価格安定のための総合対策を樹立し、その強力な推進につとめることといたしました。
 次に所得政策でありますが、私はいま直ちにこれを実現することを考えているものではありません。最近の世界的なインフレ傾向の中にあって、OECD等において所得政策が再評価されつつある反面、所得政策が世界のいずれの国においてもいまだ成功を見ていないことも事実であります。私は所得政策のあり方や必要性、あるいは効果についてなお十分検討すべき段階にあるものと考えております。
 ただこの際、一言申し上げておきたいことは、賃金の加速度的上昇が今後も続くとすれば、物価問題の解決は容易に望み得ないことであります。この意味で、私はさきの施政方針演説においても述べたように、労使双方に対して節度ある運営を強く望む次第であります。
 次に、教育問題についてお答えをいたします。詳細は後ほど文部大臣からも補足すると思います。
 戦後、現行の学制が発足してから二十年余りを経ましたが、今日の社会経済の急速な発展や、科学技術の目ざましい進歩に対応し、かつ、将来の豊かな社会の建設を目ざすために、学校教育全般のあり方について改善を加え、わが国の物心両面にわたる繁栄の基礎を固めることの必要性は各方面からつとに指摘されているところであります。政府は長期的な見通しに立ち、国民すべての可能性を最大限に発揮させるのに最も適切な教育の体制が準備されるよう、その内容及び制度の全般にわたって検討する必要があると考えております。
 こうした中で特に重要な課題は、社会に開かれた大学の実現、よき教育者の養成確保などであると思いますが、その全般的な検討について中教審が五月ごろ答申されることでありますので、政府としては、これを待って、国民の要請する方向に教育の改革を積極的に推進する所存であります。
 次に、文部大臣と日教組の会見の問題に触れられましたが、私はこの種の問題は、相互にわだかまりや不信感を取り除くということが基礎的に必要なことだと思います。そういう意味合いにおきまして、相互の努力に期待しておる次第であります。
 次に、中国問題についてお答えをいたします。昨日、衆議院で各党の質問に繰り返しお答えしたところでありますが、わが国は一九五二年、日華平和条約を締結し、自来、台北の中華民国政府を中国の正統政府として認めております。政府は、これによって国と国との間の戦争状態は終わったものと考えている次第でありますが、いずれにしても、政府は、一つの中国という考え方に立つものでありますが、台北と北京、二つの政府で存在するということは動かしがたい事実であると思います。また、政府は、中国大陸との関係を改善したいと念願しておりますが、遺憾ながら、北京政府の側には、いまだにわが国に対する不信や猜疑心が存在していることを認めざるを得ません。このため、北京政府が応ずるならば、大使級会談など、政府間の各種接触を行なうことを公式に表明しているものであります。これによって相互に相手方の立場を、基本的な考え方を理解し合うことによって誤解を解いていきたいと考えております。日中間の人的交流など、接触の機会が多くたることは、相互理解のため有意義であると考えます。また、秋山君御指摘のように、できるものから日中関係を積み上げていくという考え方には私も同感であります。政府としても、郵便、気象、電信、電波、農業、畜産、衛生等に関する業務当局者間の取りきめや、航空機の臨時便の相互乗り入れ等の措置につきましても、北京政府が応ずるならば前向きに検討する用意があります。
 また、輸銀の使用は、いままでもケース・バイ・ケースで輸銀の使用ということを考えております。また、近く出かける岡崎嘉平太君並びに藤山君等によりまして覚書貿易が成立することを期待し、望んでおる、この機会にはっきりいたしておきます。
 次に、秋山君は、秋の国連総会に臨むわが国の態度について、すでに結論をお持ちのようでありますが、政府といたしましては、今後の国際情勢の動きを見きわめつつ、わが国の国益をはかり、長期的な極東の緊張緩和に資するという観点に立ち、また、わが国と友好関係にある諸国とも協議しながら、特に慎重に取り組む所存であります。しかして、このような見地に立って、この重要な問題の公正かつ妥当な解決をはかるべく目下諸般の検討を進めている次第であります。
 沖繩返還協定交渉は、ただいままで順調に進んでおり、政府としては、明一九七二年内にできるだけ早い時期に沖繩返還を実現するとの基本方針にのっとり、本年春から夏にかけて協定署名の上、本年内に国会の承認手続を完了したいと考えております。また、国会審議を通じて、県民の意向を十分に反映させる方針であります。
 毒ガスの問題につきまして、コザ事件が起きたことはまことに遺憾でありますが、しかし、十二分に沖繩県民の感じもくみ取らなければならないことだと思っております。これについて、本土にかような致死性の化学兵器があるかと、こういうお尋ねでありますが、化学兵器は存在しておりません。かつ、米側もそれをわが国に持ち込まないことを明らかにしているので、政府としては、この問題に関しては何ら懸念を有しておりませんから、はっきり申し上げておきますので、秋山君も誤解のないようにお願いいたします。
 なお、私の答弁で足らない点は、それぞれ各大臣からお答えするだろうと思います。お聞き取りを願います。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(佐藤一郎君) 秋山さんから物価問題を中心にして各般にわたる御質問がございました。まあ今日の物価問題は、その原因を究明いたしますと、いろいろと複雑な原因が寄っております。決してこれ一つと、こういうことによる物価高ではないと思われます。その意味におきまして、私どもまずその究明が第一であろうと思っております。その中で、やはり今日の物価高がこういうふうになってきましたのには、高い高度成長が相当長期にわたって打ち続いてまいった、こういう点が基本にあると思います。
 昭和四十年の不況を脱却しまして以後の四十一年以来の超高度とも言うべき好景気、そのちょうど循環的な意味での好景気の波というものが、加速度がつきまして、非常な、御存じのような好況過熱の状態になりました。このことが非常に各般にわたる需要というものを喚起し、そうしてそれがもとに、今度は従来表にあらわれなかった構造的な欠陥というようなものが現実化してまいったと、こういうようなことが一緒になって出てきておると思います。ちょうど、おりから海外のインフレの影響もばかにならない、いわゆるこれにからんで加速化してきたというふうに思われるのであります。そういうようなことで、私たちは、まずこの超好景気とも称すべき超高度成長の線というものをやはり鎮静化していかなきゃならぬ。二二%というような実質の高い成長と物価を両立させるということにはどうしても基本的に無理がある。こういうような考え方に基づきまして、まあ御存じのように引き締めをいたしました。まあ目下景気の鎮静化が実現しつつあります。こうした景気の鎮静化と、そうしてこれを機会に、せめて成長を二二%から一〇%内外というぐらいのところまで安定的な路線にこれを落としてまいる。そうした上に立って、先ほど総理からも御説明のございました、たとえば構造対策、こういうことにも取り組まなければならないと思います。
 最近の物価高をよく見ますると、何と言いましても、やはり中小企業、あるいはサービス業、あるいは季節商品の高騰にあらわれておりますような農業関係の物産、そうしたものの価格の上昇というものは非常に激しく出ております。これらは、やはりわが国特有の非常に大きな二重構造、成長産業との間に非常な格差がある。それが成長産業におけるところの好景気というものの反映によって、その格差が非常に拡大されておる。こういうような意味において、そうした方面にどうしても物価高が集中しておりますから、こうした構造問題をやはり何としても取り上げなければならない。最近の野菜問題一つ取り上げましても、もちろんいわゆる気象条件の問題もありますけれども、しかし、そうした気象条件によって触発されまして、やはり従来その方面に対する投資が怠られておった、そうした基本的な問題がここに出ております。私たちは、野菜問題一つとってみましても、まず絶対的な供給の不足状況を何としてもこれは解消しなければなりません。そういう意味におきまして、おそまきではありますけれども、供給体制の確立、需要供給の数字をしっかりとつかんだ上での供給体制の確立という基本的な点をどうしても中心にしてこれをやらなければ、ちょっとした気象の変化に応じてすぐ上がってまいる。こういうことにもなるわけでありますから、そうした基本的な点を取り上げてまいりたいと、こういうふうに考えておるのでございます。
 もちろん、そういう供給体制が十分確立する間にありまして、その間輸入の促進をはかる。今日御存じのように自由化をできるだけ促進いたしておりますが、自由化の行なわれない分につきましても、できるだけ、外貨の十分になった今日でありますから、輸入によってそうしたものを補ってまいる。そうした輸入の促進、あるいは自由化の促進、そうしたことによりましていわゆる需要供給というものの幅をある程度狭めてまいる、それによって初めて流通の近代化も意味が出てくるわけでございます。どうも最近の情勢を見ますると、思惑がだいぶ入っておりますが、これは需要と供給があまりにも差が激し過ぎる点にあると思われます。そうした基本的な点を直しながら、この流通の問題にも取り組んでまいる必要があろうと、こう思っておるのでございます。もちろん、その間にあって、競争条件というものをできるだけ整備しなければならない、こうしたことも相当時間のかかる問題であります。これは率直に言いまして抵抗の多い問題でございますが、これらを時間をかけてその方面の改善を進めてまいらなければならない。もちろん、その間にありまして、政府の公共料金というものをできるだけ穏当なラインに置いておきませんと全体に影響するわけでありますから、公共料金抑制の原則というものを維持しながら、そうした諸改革をやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 最近におきましては、どちらかといいますと、日本は先ほど申し上げましたように、需要が中心で価格が上がっておりましたが、コストプッシュの傾向があらわれようといたしております。どうしてもこの大企業の賃金が上がりますと、中小企業のほうでは生産性が上がりにくいものですから、どうしても価格に転嫁する傾向が出てくる。こういう意味におきまして、われわれもそうした意味の循環というものを非常に注目をいたしております。これはまだ全面的ではございませんが、これが全面化するようになると非常に重要な問題になってきます。そういう意味におきまして、私たちはその方面にも注目を払っていかなければならない、こう考えているようなわけでございます。
 本年の五・五%というものは、率直に言いまして一つの政策目標にもなっておりますが、なかなかこれを実現するのには困難でございます。そういう点は十分考えながらも、ただいまのような方法によって、特に季節商品が四十五年はべらぼうに上がっております。その季節商品の値上がりというもの、約二〇%近い値上がりというもの、これは一種の異常な状態でありますから、これをできるだけ安定化していきたい、こういうようなことから五・五%という目標を立てたようなわけでございます。
 それから、この経済見通しの中に、雇用者所得の上昇率を一七・一%に見ておる、こういう問題があります。これは別に、御質問のように、ガイドポストという意味で設定しておるのではございません。他の全体の経済見通しとの関連においてこういう数字が出てきた結果でありまして、これをガイドポストとして所得政策に用いる、そういうところまで現在考えておるわけでないことを御了解願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣坂田道太君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(坂田道太君) 秋山議員にお答えを申し上げたいと思います。
 よき教育制度が国家百年の大計をきめるということは、私も同感に考えるわけでございまして、それゆえにこそ、この教育制度を改革するにあたりましては、国民の大方の合意を取りつけつつやらなければならない。したがいまして、御指摘のように、権力的にどうだこうだということではいけないというふうに私も考えておるわけでございます。
 それから先導的試行のお話がございますが、これも、六三制の基本を維持しながら発展させていきたいという考えでございます。また、将来の社会的要請にもこたえていかなければならぬということであるわけでございまして、むしろ、その六三制のいろいろの欠陥というものが、あるいは教職員の質の問題、いい先生を確保できておるかどうかというような問題、あるいは指導上の問題、あるいは教育内容の問題等々にあることも、御指摘のとおりだと私は考えておるわけでございまして、たとえば幼稚園をこれから普及をしていくということにつきましても、その前提となるところの条件、あるいは市町村に対する財政措置、あるいは国の措置、それからまた教員養成の問題、あるいはまた国公私立との関係、あるいは保育所との関係をも留意しながら、この先導的試行をやらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 二番目の問題でございますが、これは総理からもお話がございましたが、教育の振興をはかりまして適切な施策を進めるにあたりましては、現場の教職員の意見を十分に聞いて施策の上に反映させていく必要があると私は考えております。このため、私といたしましては、これまで多くの学校を訪問して、現場の教職員から直接意見を聞いたり、あるいは生徒児童とも話をするなど、積極的に努力をしてまいったところでございます。また、教職員団体との話し合いにつきましては、相互に忌憚のない意見を交換し得るような機が熟することが必要であると思っております。それがいままでできなかったことにつきましては、総理もおっしゃいましたように、お互い双方に事情があったわけでございまして、その機が熟したかどうかの判断につきましては、いまちょっと時間をかしていただきたいと思います。しかし、私としましては、教職員をはじめ、広く教育関係者の率直な意見を聞くことにやぶさかではなく、今後ともわが国教育の振興のために一そう努力を傾けていきたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(愛知揆一君) 沖繩の問題でございますが、ただいま、アメリカとの間の折衝につきましては、先ほども御質疑にございましたが、対米請求の問題、米国資産の処理の問題、それから米国系外資系の企業の処理の問題というようなことが、ただいま話し合われております重要問題でございます。そのほかに、返還になりますれば、一切の条約、これに関連する取りきめ、たとえば地位協定は本土並みにずばりと適用されることになりますから、その準備というようなことについてもあわせて目下鋭意アメリカ側と話し合い、協議を進めております。したがいまして、これらにつきましては、おそくも夏ごろまでには結論を得られるという見込みでございます。
 それから毒ガスの問題でございますが、昨年の十二月五日にレアード国防長官からの発表がありました以後、御承知のごとく、日本政府といたしましても、鋭意アメリカ側に対して折衝をいたしておるわけでございます。安全ですみやかに全部撤去をするというこの原則については、もちろん何ら問題がなく、アメリカ側も了承しておるわけでございますが、現在私の受けておりまする印象といたしましては、当初十二月五日に伝えられたような状況よりは米側の理解が一段と進みまして、たとえばジョンストン島における毒ガスの収容に必要な構築物その他の作業は、相当進捗の度合いを見せておるように思われますので、当初想像されましたより相当すみやかに処理ができ得る環境がつくられつつあると、かように理解をいたしておりますが、なお一そうの努力をいたしまして、沖繩の方々はもちろん、全国民の安心をお願いするようにいたしたいと思っております。
 本土につきましては、これも累次明らかにされておりますように、この種の毒ガスは存在しておりません。また、日本といたしましては、一九二五年のジュネーブ協定、毒ガス使用禁止についての条約、協定議定書にも最近正式に参加しております関係もございますから、今後において本土にこの種の毒ガスが入るなどということは全然考えられもしないことでございます。したがって、事前協議というお話もございましたが、いまさらその必要はないと、かように存じております。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(重宗雄三君) 森八三一君。
   〔森八三一君登壇、拍手〕
   〔議長退席、副議長着席〕
#19
○森八三一君 私は、この二十二日に行なわれました総理の施政方針演説並びに関係各大臣の演説に対しまして、参議院自由民主党を代表して若干の質問をいたします。
 まず、最初に、総理として総裁として、議会運営についてどうお考えになるか、所信を伺いたいと思います。このことは、もういまさら始まった問題ではありません。十分論議のされているところであります。まあいわば陳腐の問題のようではありまするが、ほんとうに国会が国民に信をつなぎ、国会の権威を高めてまいりまするためには、基本的な問題であり、重要な問題でありますので、あえて繰り返して私は所信を尋ねたいと思うのであります。
 わが自由民主党が政局を担当しましてから、秋山さんもおっしゃいましたが、二十余年、一党がこうして長く政権を担当しているということは、世界の政治史に見ましてもきわめてまれなことでありまして、まさに未曾有の存在と言ってもよろしいと思います。このことは、常に、私ども自由民主党が、政治の要諦は、国民各層各階の御意見、特にいわゆる声なき声を正確に把握して、これを政治を通し、政策を通して実現してまいりました。このことが自由民主党はたよりになる政党だということで国民多数の信頼を博したという結果に基づくものと思います。いろいろ御意見はありまするけれども、とにかく歴史的な長期政権を担当しておるということは、国民の信頼なくしてはなし得ることではございません。総理も、昭和三十九年秋、国政を担当せられてから早くも六年の歳月が流れました。これまた、わが国の政治史の上では空前のことと思います。外交、内政の両面にわたって適時適切な施策を実行し、国運の伸展に、民生の安定に懸命の努力を払われた成果であると申し上げても過言ではないと思います。われわれは、政局を担当する責任政党として、政治家として、さらに心を引き締め、おごることなく、国民の信頼にこたえてまいらなければならぬと存じます。
 いまや、わが国の国民総生産は自由世界第二位、八十四兆円に達する見込みであり、外貨準備高四十四億ドルを保持するすばらしい力を蓄積するように相なりました。しかしながら、その間、高密度社会が形成せられ、物価、公害など数多くの問題が発生してまいりました。他面、経済大国として、世界平和の確保、世界経済の伸展など、国際的な努力と積極的に協力をする責めを果たさなければならぬ地位を得たのであります。これらに対応する国策の確立のため、国権の最高機関としての国会の責務はきわめて重大であると存じます。
 私は、七〇年代幕あけのこの通常国会が、民主主義の原則に立って運営されるよき慣行をつくるのには絶好の機会であり、この機を逸してはならぬと思うのであります。多数を擁する者は常に寛容であり、少数者も反対のための反対、いたずらな議事引き延ばし、審議拒否、党利党略に終始することなく、審議を尽くして最終的には民主主義の多数決原理によって事を決する慣行の樹立であります。
 議会の会期は両院とも同様であります。ところが、従来、議案の付託が衆議院に集中をいたしまして、会期末になって一挙に参議院に回付せられる、そのために、参議院の十分に審議を尽くすための時間が不足をいたします。その結果として国会が混乱をしたということも一再ではないと思います。議案の提出につきましては、十分に審議に支障ない配慮が行なわれなければならぬと存じまするのに、会期の終わりになって議案が提出されるというようなことも、混乱の因をつくっておると申し上げても過言ではないと思うのであります。そこで、会期末幾日前までに議案を提出しなければならぬというようにいたしまするとか、あるいは一院に偏して付託をするということを排除するというような配慮が行なわれませんと、どういたしましても、国会が十分に審議を尽くして最終的に多数決原理で事を運ぶというわけにはまいりかねる問題も起きるわけでありますので、こういう点については、総理、総裁としても十分ひとつ御配慮をいただきたい。このことを、国会正常化のために所信のほどを伺いたいと思います。
 次に、外交関係についてお伺いをいたします。
 七〇年代におけるわが国外交の重要課題の一つは、何と申しましても中国問題であります。中国の文化大革命が終わりましたあと、中国をめぐる世界の情勢は大きく変化を示してまいりました。すなわち、北京政府を国連に参加せしむべきであるという国際的な動きであります。総理は、施政方針演説の中で、「国益にも深くかかわると同時に、長期的な極東の平和と緊張緩和に関連する重要な問題であるだけに、特に慎重に取り組まなければならぬ」と、中国問題に対する姿勢をお示しになりました。指導者として、将来における日本の国益の見地から、慎重に国際的な情勢を把握し、その打開策を見出すことは、重責に立つ総理として、私、当然のことであろうと存じます。さらにまた、「政府間の各種接触を行なう用意があり、同時に中華人民共和国政府の側からも、これに呼応する努力が行なわれることを期待している」と述べられております。ただ、用意があるというだけでは解決の前進にはなりません。そこで、党の要人などを派遣いたしまして率直に意見の交換をなさしめ、誤解を解くなどの努力を払って、中国側からのこれに対する呼応を求め、日中関係の改善に資せられてはどうかと思うのでありますが、これについての所信を伺いたいと思います。
 外交関係第二の質問は、北方領土の問題でございます。戦後、保守的な立場をとるもの、革新的な立場をとるもの、そういうような区別なく、国民全体の悲願は、われわれが先祖から受け継いでまいりました、まごうかたなき日本の領土は、一刻も早く日本に返還さるべきであるということであります。歴代内閣はもちろん、わが自由民主党もこの一点を見つめて、これが実現のためにこん身の努力を傾けてまいりました。幸いにしてその焦点とも言うべき沖繩の祖国復帰につきましては、国民的な協力を背景として、総理の御努力によりましてその実現を見るに至りましたことは、まことに慶祝のことであります。さらに、世界の歴史にもその例を見ません戦争によって失った領土を血を見ずして相互理解と平和のうちに解決を見ましたことは、特筆すべき感激であると思います。総理は、日米間における了解を報告せられました際に、今後は北方領土問題に積極的な努力を約束せられました。ところが、最近の外交問題では、日中関係の正常化とか、あるいは貿易関係の問題とかが論ぜられ、領土問題が何とはなしになおざりになっておるような感じを受けますることは、まことに残念であります。もちろん、日中問題といい、日米間の繊維問題といい、開発途上国援助の問題といい、わが国にとりまして重要な課題であることは申すまでもありませんが、領土問題はそれにもまして国民総意の願望であり、すみやかに解決されなければならぬ最大課題であると存じます。相手方のあることでございまするから、きわめてむずかしい困難な問題であることは申すまでもございませんが、むずかしい、困難だからといって放置を許される問題ではないと思います。本件に対しまして、いかなる折衝をなされておりまするのか、また、今後いかなる対策をもってこれに臨もうとされておるのか、その所信とその御決意をお伺いいたしたいのであります。
 この際、一言付言して希望いたしたいことは、沖繩の返還につきましては即時無条件全面返還を主張し、要求されておる革新政党の一部に、この北方領土問題、事、北方領土問題になりますると、何とはなしに通り一ぺんの態度で終始せられておるように思われますることは、まことに遺憾千万であります。私は、私のこの見方が誤っておることを念じます。全国民総意をもって政府を鞭撻する運動の展開を希望するものであります。政党政派をこえて全力を結集すべきであると思います。
 さらに、小さなことのようではありまするが、竹島をめぐる領有権の問題、尖閣列島帰属の問題など、私ども日本国民といたしましては、問題となりますることすらふしぎに思われるこれらの当然の問題が論議の対象となり、国民の間に不安を与えておりますことは残念でなりません。これらの問題につきましても、すみやかに解決をいたさなければならぬ当面の重要案件であると思います。北方領土問題とあわせてこれらの解決の措置について、総理の御所見をお伺いいたします。
 第三にお尋ねいたしたいことは公害問題であります。公害の克服が七〇年代における内政の重要命題であることは、いまさら申し上げるまでもありません。公害先進国の汚名はすみやかに返上いたしたいものであります。今回、環境庁を新設して、ばらばらでございました公害行政を一元化されますこと、予算の面でも一般会計で九百三十億円、前年対比四〇%の増を示し、一般会計全体の伸び率一八・四%の二倍以上であり、財政投融資においても、一千七百二億円と前年対比四九%の伸びを示しております。公害絶滅への意欲的な態度を示すものでありまして、高く評価いたすものであります。ただ、しかし、この際お伺いいたしたいのは、独立した機関として、別途に国立公害研究所の創設を企図されているようでありますが、すでに党からも申し入れてあります。このことにつきまして、ただ形式を整えるということでありまして、そのためにかえって実をあげるのに支障を生ずるようなことにもなりかねないと考えるのであります。研究所の設置については慎重を期すべきであると思いますが、いかがでございましょう。
 次にお尋ねいたしたいのは物価の問題であります。わが党の施策と政府のたゆまざる努力によって、わが国の経済は飛躍的な発展を遂げました。国民所得も年とともに増加し、いまや、まさに西欧並みの所得水準に達し得ましたことは、欣快のことであります。しかしながら、近時所得の増大を帳消しにして足が出るというような物価上昇の傾向にありますことは、直ちに解決しなければなりませぬ内政面における重要課題であります。このことについては、総理の演説にも触れられておりますし、常に心を痛めておられるところであります。
 思いまするのに、物価が上がるから賃金を引き上げなければ生活が破壊せられるということで賃金が上がる。そうしますと、また物価が上がるということで、賃金の上昇と物価の上昇が悪循環をしておるというところに問題が所在をし、さらにまたわが国経済をささえる中小企業や、農業など策一次産業の生産性がきわめて低いことに問題が所在しておる、構造の問題があろうと思うのであります。このために、何といたしましても賃金と物価の悪循環を断ち切ること、低生産性部門の生産性を高めることが当面必須の要件であると思います。私どもは自由経済主義に立ってあらゆる施策を推進しております。このことがわが国経済の正常な発展と、国民の創意くふうや努力を求めることになり、このことは将来にわたっても堅持されるべき基本的な方針であると存じます。したがって、自由を拘束するがごとき制限や統制は、われわれのとらないところでありますが、国民経済の正常な発展と国民生活の安定向上のためには、ある程度の制約もまたやむを得ないことと存じます。そこで低生産性部門の生産性を引き上げてまいりまするためには、企業の合同調整などに思い切った施策をとるべきであると存じます。たとえば最近問題になっておりまする生鮮野菜にいたしましても、これが生産につきましては、積極的な団地の造成を推進する、そうして計画的生産と計画的出荷を実現いたしますと同時に、流通面におきましても、小売業者の乱立が流通経費の増大をもたらしているとか、あるいは市場に一たん入荷したものを逆送する、またそこから分荷をしてよそへ送るというような交錯輸送の問題など、消費者価格に大きく影響している実態でありますので、その流通組織の整備簡素化のための計画を樹立し、積極的に推し進めることが肝要であると思います。もちろん、自然条件が大きく作用する農業生産の実情に照らして、生産者が安心して生産を推進し得る諸条件を整えること、流通面の整備、簡素化にいたしましても、その関係者に対し、思い切った補償の措置をとることが必要であろうと存じます。これまでもいろいろな対策は講ぜられてまいったのでありまするが、その対策が微温的であり、不十分であったことをいなむわけにはまいりません。この際、抜本的な対策を必要と思いますが、御所信のほどをお伺いいたします。
 工業関係についてみましても、技術の革新や経営の合理化等によりまして、生産性が向上いたしておりますが、これの生産性向上のメリットが、ほとんど全部といっていいほど賃金に吸収せられてしまっておる。物価の安定に貢献している度合いは僅少といっても過言ではないかと思います。生産性向上によるメリットが消費者物価に反映するような措置をとりますること、これは非常にむずかしい問題、困難なことではございまするが、勇気をもって対応しなければならぬと存じます次第であります。
 さらにまた、ともいたしますると、企業の合理化をはばむような運動が展開されますることは、まことに遺憾千万と申さなければなりません。企業の合理化については、関係者の理解を深めて、強力な展開をさるべきであると思います。
 以上、二、三の例をあげて申し上げたのでありまするが、物価問題解決という当面の至上命令とも言うべき本件に対する総理の御所信をお伺いをいたします。
 第五にお尋ねをいたしたいことは、総合農政についてでありますが、時間の関係で、この際は、米の生産調整についてのみお尋ねをいたします。
 戦後わずか二十五年、日本経済が飛躍的に成長発展いたしましたことは、悪条件の中で農業生産の改善合理化に懸命の努力をされた農民諸君の努力と政府の施策よろしきを得たことにあろうと思います。農政の推進が、国民食糧の自給と労働力の供給に寄与し、貢献いたしました結果であると申し上げてもよろしいかと思います。特に米につきましては、最近の数年間は年産千四百万トンを確保し、完全に自給を達成することができる状態に発展をいたしました。しかしながら、国民所得の増加に伴う食生活の内容が高度化、多様化するに至りまして、主食としての米の需要は年々減退の一途をたどっております。農林省の長期需要見通しによりますると、昭和四十三年当時の推算では、年間千二百五十万トンと想定いたしておったのでありまするが、昭和五十年には千百万トンになるであろうという見通しであります。生産については千四百万トンが平年作と安定してまいりました関係から、三百万トン程度過剰が生ずる状況となったのであります。現に政府の手持ちとなっている古米、古古米を合わせまして、八百万トンになんなんとするということは、国民経済の立場から見ましても、このままほうりっぱなしにしておくわけにはまいらぬと思います。このため、昭和四十五年度におきましては、百五十万トンの生産調整目標を定め、実施をされました。農民諸君の御協力と農業団体及び地方行政機関の理解ある推進によりまして、おおむね所期の目的を達成し得ましたことは、関係者に対し深く感謝を申し上げ、敬意を表する次第であります。しかしながら、将来の展望に立ちまするとき、昭和四十六年度におきましては、二百三十万トン程度の調整をしなければ、単年度需給均衡をはかるわけにはまいらないという状態となりました。一口に二百三十万トンと申しますが、これは米生産者にとりましては、実に容易ならぬ困難な問題であります。といって、不必要なものを生産して、国民経済に多大の損失を与えるような不経済なことをそのまま見過ごしておくわけにはまいりません。私どもは、党内に総合農政調査会を設置し、その小委員会において、半歳の長きにわたりまして研究、討議の結果、成案を得まして、これを政府に進言し、その実現を提言してまいりました。私どもが、この対策を樹立いたしまする際には、生産農民諸君の経済的な立場も十分配慮しながら、不安を与えないような内容のものであるとともに、消費者諸君にも御理解をいただき、御協力を願えるものでなければならぬと考え、その線に沿って取りまとめたものであります。結果的には生産者諸君との間に多少の見解の相違はございますが、四十六年度の対策として、実施を見ることになったのであります。これに対し、生産、消費両者の間にいろいろの論議が展開されておりますが、政府とされましては、その理解と協力を得て、実効があがりまするよう最善の努力を払われますことを期待いたしますとともに、関係各位におきましても格別の理解ある御協力を希望してやみません。
 そこでお伺いいたしたいことは、食糧管理法の規定に基づいて、生産期待数量を割り当て、そうして現行の予約制度によりまして買い入れを行なうという点についてであります。数字的には、生産調整が完全に実施せられますと、生産者の自家保有米四百万トンを除きますれば、全量買い入れということになると思います。ところが、米の生産ということは、御案内のとおり、自然条件に支配をされることがきわめて大きく、時に凶作がありましたり、時に豊作になるということであります。凶作で予約数量が確保できない、そういう場合、前途金を交付してございましても当然予約数量の減額補正が行なわれるものと理解いたしまするし、また、そうでなければ生産者の不安を除くわけにはまいりません。これに反して、自然条件に恵まれて豊作となったとき、政府の方針によりますると、予約数量外のものは農協等指定集荷業者の措置にゆだねるということに相なっております。農協等生産者団体といたしましては、当然全面的な努力が払われるでありましょうし、その努力を期待するものではありますが、しかし、いかに努力をいたしましても、その処理ができませんために残存米が生じた場合にはどうするかという問題であります。生産調整に協力を拒んだ結果生産せられた数量、これは別でありますが、前段申し上げましたような自然条件に恵まれた結果に由来するものにつきましては、何らかの措置が講ぜられなければならぬということもまた当然かと存ずるのでありますが、いかに対処をせられますか、お伺いをいたします。
 さらに、政府の対策中には物価統制令を廃止するという一項があります。すでに自主流通米の実現によりまして、一部、物統令は適用除外となっておりまするし、巷間伝えられるところによりますれば、格上げ混米等によりまして消費者段階における米価は混乱を生じておるといわれております。といって、物統令によって基準が法的に定められておりますことは、消費者に対し大きなささえをなしておることも認めないわけにはまいりません。そこで、これを単純に廃止することには問題があろうと思います。現に消費者団体等から反対の意見が提起されていることも御承知のとおりであります。物統令を廃止する結果が消費者に不測の損害を与えないという補完措置を講じ、消費者の不安を解消することが重要であります。政府としては、当然その問題に対しましては、物価問題の重要性にも関連することでございますので、消費者米価の不当な上昇を排除するという心がまえであろうと思いますが、これが具体的な対策はどうなさるのかをお伺いをいたしたいと思うのであります。
 次に、現行食糧管理法は戦時中に制定せられ、今日に及んでいるのでありまするが、今日のごとく生産過剰が恒常化してまいりますると、事態に即応する新しい制度に移行したらどうだというような意見が各方面から提起をされております。もちろん、わが国経済の発展に功績を果たしてまいりました生産者の立場を十分尊重し、完全に自給確保をはかり得る内容のものでなければならぬことは申すまでもございません。問題はきわめて重大であります。生産者及び消費者の理解はもちろん、国家財政の見地からも考えなければならぬきわめて大切な問題であります。思いつきでとやかくすべきことではございません。この際、各界各層の衆知を集めて合理的なものを検討されるべき時期であると思いますが、いかがでございましょう。需給の実態に即応せしめるため、部分的な手直しをいたしますることは、いたずらに生産者に不安と動揺を与えるのみならず、消費者からも不信を買う結果になることをおそれるのであります。戦中戦後を通じて長い間定着実施されました本法の改変は容易ならぬことであります。時間をかけて慎重に冬関係者の理解を得られまするよう対処すべきであると存じますが、御所見をお伺いいたしたいのであります。
 最後に、老人対策であります。総理は演説の中で、生産年齢人口が最も充実した壮年期に相なったと述べられております。昨年十一月の国勢調査では総人口一億四百六十五万人と発表され、年齢別人口は目下集計中のようであります。昭和四十四年の推計人口によりますれば、六十歳以上の人口は一千七十二万人、率にいたしますると一〇・四%となっております。ところが、わが国の死亡率、出生率は世界最低であります。寿命は男子六九・一八歳、女子七四・六七歳と世界的にも高く、この趨勢でまいりますると、昭和七十五年には六十歳以上の方が一八・九一%となり、八十年には五人に一人の老人が存在するということになるわけであります。将来、老人対策は深刻な問題となりましょう。いまから対策を樹立してまいらなければならぬと存じます。総理の御所見をお伺いいたします。
 なお、教育問題、国鉄、健保問題、防衛問題などにつきまして、お伺いいたしたいのでありますが、時間の関係上、以上で私の質問を終わりたいと存じます。
 何とぞ具体的にお答えをいただきまするようお願いをいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(佐藤榮作君) 森君から、国会運営のあり方についての御意見を交えての御提案がありましたが、基本的に私も全く同感であります。私は国民の政治に対する信頼を高めるために、国会運営が民主主義の原則に基づいて有機的かつ能率的に行なわれることが何よりも必要ではないかと考えるものであります。現代のわが国社会は、国際的に見ても高度な情報化社会であります。それだけに価値判断の基準も多様化している面もありますが、国民の民主主義に対する理解と認識は、もはや生活の奥深く定着しているという事実を忘れてはならないと思います。したがって、尽くすべき論議を尽くした上で、多数決によってものごとをきめるという民主主義の基本ルールを忠実に守ることが、国民の期待にこたえるゆえんであり、そのような慣行が確立されることを念願してやみません。
 次に、森君から、国会審議に支障を来たさないよう、法案を早期に提出せよとの御指摘でありました。この点はいつも政府部内を督励しているところでありますが、たまたま御迷惑をかけることがあって、申しわけなく思っている次第であります。今後は御期待に沿うよう、一そう努力してまいります。
 また、議案の先議が一院に偏しないよう配慮せよとの御指摘は、きわめて妥当な点でありますから、今後とも衆参両院の御協力を得たいと考えるものであります。
 次に、中国問題に対する政府の基本的態度については、十分御理解を得たものと考えております。そこで、相互の理解をはかるため、わが党の要人を北京に派遣せよとの森君の御提案であります。昨日もわが党の鈴木総務会長にお答えしたとおり、それが実現し、自由な話し合いを行なうことは、きわめて有意義であると考えるものであります。日中両民族が長期的な友好親善関係を樹立するためには、何よりも相互に理解し合わなければならないと信ずるものでありますが、ただいままでのところ、北京政府のわが国に対する態度はかたくなであります。政府としては、今後ともあらゆる機会を通じ北京政府に呼びかけ、交流の増大をはかってまいる考えであります。
 また、森君は北方領土問題解決について、なみなみならぬ熱意を示されました。深く敬意を表する次第であります。私は、固有の領土こそ民族生存の基盤であると確信し、その回復は、政治に課せられた最大の使命であると心得ております。幸い、沖繩は日米間の友好と親善関係に基づいて、明年中に祖国復帰を実現いたしますが、北方領土についても、国民各位の意見を体し、ねばり強く交渉を続けていく決意であります。今後とも、よろしく御支援をお願いいたします。
 私は、また竹島についても、これがわが国の固有の領土であることを強く主張してまいります。竹島の帰属は、歴史的にも地理的にも議論の余地のないところでありますが、わが国は、国際間の問題は、すべて話し合いによって解決するという基本方針を堅持しているのでありますから、今後とも外交経路を通じ、問題の公正妥当な解決をはかってまいりたいと考えております。
 なお、尖閣列島がわが国の領土であることは、全く議論の余地のない事実で、現在、平和条約第三条に基づき、米国の施政のもとに置かれている地域であります。政府としては、尖閣列島の帰属問題に関しては、当面いかなる国の政府とも交渉することは考えておりません。
 公害問題についてのお尋ねがありましたが、これは山中総務長官からお答えをいたします。
 次に、物価問題についてでありますが、森君からは、まず物価の上昇が所得の増大を帳消しにして足が出る状態であるとの御指摘でありました。率直に申して、それはいささかオーバーな表現ではないかと思います。やや観点は異なりますが、総括的に国全体の経済の動きから見て、これを実質経済成長率と物価上昇率の関係においていえば、四十五年度の実績見込みでは、実質成長率が一〇・八%に対し、物価、これはGNPのデフレーターを用いたものでありますが、物価は五・九%であります。ちなみに米国におきましては、経済成長が〇・二五%低下するのに対し、物価は五・二五%上昇、英国では一・七五%の経済成長に対して六%の物価上昇、西ドイツでは四・五%の経済成長に対して七%の物価上昇と、いずれも経済成長と物価上昇とを比較いたしますと、物価上昇がはるかに上回っている状況にあり、この限りにおきましては、わが国の経済は、全体として、なお順調な運営が行なわれていると言い得るものと考えます。このように申したからといって、私は最近の物価上昇の傾向を弁護しようとするものでは毛頭ありません。私は、以上の中から、日本経済の持つ力強さ、根強さを見出すと同時に、これを今後とも持続してまいりたい、そのためにも物価問題については強力な対策を進めてまいらねばならない、かように思うのであります。
 森君は、物価対策として、低生産性部門の体質強化、流通面の整備、合理化の重要度をあげられました。その方法論については、なお検討すべき問題がありますが、基本的方向としては全く同感であります。また、賃金と物価の相互循環も、最近のように景気鎮静化の傾向の中では、きわめて憂慮されるところであります。賃金も、利潤も、配当も、それぞれが国民経済的視点に立った均衡のとれた姿であることが何よりも望まれるのであります。国民各位の御協力を、あらためて期待する次第であります。
 次に、米の生産調整に関連してのお尋ねがありました。政府としては、関係各位の御協力のもとに、米の生産調整の円滑な推進を期しているところであり、生産調整の目標数量に見合った生産が行なわれることを期待しているものであります。天候その他の事情により米の生産が減少する場合に、売り渡し義務量を実情に応じて減免することは、現下の需給状態から当然のことと考えます。一方、予約限度数量は、米の需要を基礎とし、生産調整の目標数量を考慮して定めるものでありますので、実際の生産量に応じてその限度数量を増加することは考えておりません。もちろん、この生産数量、生産減に協力をしても、なおかつオーバーした場合、天候その他で、できが上回った、協力はしたが天候その他不測の事情で上回った、こういうような場合には、扱い方としても、これは区別して取り扱うべきであろうと思います。これらの点については農林大臣からさらに補足説明をいたすつもりであります。
 次に、物価統制令に関するお尋ねでありますが、現在のように米の需給が大幅に緩和している事態のもとにおいては、物統令の適用を廃止しても、米の消費者価格全体の水準が現在より大きく上昇することはないと考えております。しかしながら、さきに秋山君にもお答えしたように、流通面の合理化をはかって、その措置が消費者に不安を与えることのないよう十分配慮してまいります。
 また、食糧管理制度が戦後の日本経済の再建にあたって果たした役割りと、この間の農民諸君の御苦労に対しては、森君と同様の立場において、心から敬意を表するものであります。私はそれだけに食管制度に対しては一種の愛着を覚えるものであり、その改善の方向を検討するためには、慎重の上にも慎重に対処してまいりたいと考えます。森君御提案のように、各界各層の衆知を集めて、生産者からも消費者からも賛同の得られる食糧管理の制度の運用、運営の改善をはかってまいる決意であります。
 最後に、森君は、今後わが国の重要問題となる人口構成の老齢化の問題に触れられましたが、これはきわめて卓見であると思うのであります。わが国の総人口は、昭和六十年には一億二千万人に達するものと推定されますが、その間、若年人口の増加率に比べ、老齢人口の増加率のほうが顕著となることが予想されます。まさしく御指摘のとおりであります。したがって、われわれは、この問題に懸命に対処してまいらなければなりませんが、その場合、これまでのような、社会保障、社会福祉の立場からのみ単に老人問題を扱うという考え方ではなく、高齢者がそれぞれ豊かな経験を生かし、国家、社会にその所を得て、生きがいのある生活を送ることができるようにしなければなりません。これがこの問題のポイントであると確信いたします。
 以上をもちまして、森君に対するお答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(山中貞則君) 昨年の臨時国会で公害関係法案の御審議を願っている間にも申し上げたのでありますが、法律ができたから公害対策が終わったのではなくて、公害対策は、法律が整備されたときから始まるんだということを申し上げておきました。そのために、予算の編成の過程において、木部長たる総理大臣の最終的な決断を得て、環境庁を設立し、これまで国民から言われておりましたばらばら行政をまず排除して、統括した機関とするということをきめたわけでありますが、同時に、それに併設をして、国際的な問題等も念頭に置きながら、国民の健康と生命に影響のある問題について、詳しい研究分析等が各省ばらばらに行なわれることなく、統合された形で行なわれるような意味における国立公害研究所を併設し、さらに、地方職員の研修のための地方職員研修施設もつくることにいたしたわけでございます。しかしながら、自民党の正式な機関である政調審議会の名において、政調会長より私のほうに、再考すべきである、国立公害研究所は必要ないという意見がまいっております。したがって、私ども政府としては、そのような方針で進んでおりますし、さしあたり、厚生省が中心になって今日まで調査費をつけてやってまいりました国立公害衛生研究所を中核としたものを、筑波山ろくに建設することを考えておるわけでありますが、とりあえずは、七月一日からデータバンクとして出発をさせる予定でございます。その間において十分時間のあることであります。すなわち、少なくともそのような建設が四十八年度予算を待たなければできないという事実もございまするし、十分の期間がございまするから、相談は申し上げますが、政府与党としての立場においての連絡は必要でありますけれども、曲げて御理解を願いたいことは、私たちは、国民のために何をしなければならないかということであり、そのために何が必要かということを十分議論し合う必要があると思いますし、国際的にも、つくるならばいいかげんなものをつくってはならないと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(佐藤一郎君) 完全雇用と高い成長、こういうことと物価の両立をさせると、どうしてもそこに無理がまいります。で、この無理を克服して、ある程度の成長を遂げようということになりますと、これはすでに諸外国が経験しておるんでありますが、この利潤、賃金等と所得の上昇が、全体の国民経済の中でバランスがとれるような条件を実現する、こういうことにならなければならなくなります。まあそういう意味におきまして、今日いろいろと所得政策が問題になっておりますが、またこれについては、なお、われわれとしても、十分理論的に究明しなければならない問題が残っておりますし、また、諸外国の経験、必ずしも成功しておるわけではありません。そういう意味において、私どもは、この問題については慎重に検討をしておりますが、しかし、いずれにしましても、今日労使双方が、その企業ベースにおいて賃金決定をしますときに、国民経済的なバランス、こういう角度で決定されることがきわめて望ましいわけであります。そうして、さらにその結果が消費者に還元される。これがわれわれの期待したいところでございます。景気が鎮静化してまいりますと、どうしても生産性が落ちてまいりますだけに、今後賃金あるいは利潤の加速化というようなことについては十分われわれとしても注視をしていかなければならない、こう考えておるわけであります。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(倉石忠雄君) 生鮮野菜のお話がございました。これの価格安定をはかりますためには、需要に見合った安定的な供給を行なうことが基本でございますし、そのためには、生産性の高い団地を造成して計画生産、計画出荷が行なわれるようにつとめると、こういうことが必要であることは御指摘のとおりでございます。したがって、政府はそういうことのために、昭和四十六年度予算におきましても、御存じのように、野菜の生産、出荷面、それから野菜指定産地の数をふやす等、そういう制度に基づく集団産地の育成、施設園芸生産の増強、それから野菜の作柄安定のためのかんがい施設などを十分に予算を計上いたしておる次第であります。同時にまた流通面では、ただいま継続審議中であります卸売市場法案の早期成立をはかりまして、卸売市場の計画的整備と取引の改善、合理化等を推進するようにいたしておるわけであります。需要に見合った供給が行なわれますよう、ただいま鋭意そういう方向で努力をいたしておる次第でございます。
 それから、米の生産調整のことで私からお答え申し上げるようにという総理のお話がございました。予約限度数量、これをこのたびは指示いたすわけでありますが、森さん、御存じのように、大体平年作で千四百万トンないし千三百九十五万トン、そのうち、政府が国民食糧として必要なるもの、それから自主流通米を百八十万トン、それから自家保有米の四百五万トン、それに二百三十万トンの生産調整が行なわれまするならば、米は余ることはないわけでございます。そういうことは生産者も私ども、みな話し合いでよくわかっていることでありますが、世の中にはどんな不測の事態が起こらないとも限りません。そういう場合に、予約限度数量を越えて、かりに米ができたというときには一体どうするかというお尋ねのようでございますが、そういうことを予測しておらないわけでありますが、しかし、そういうことがあった場合には、やはり生産調整を阻害しないような範囲で、そういうことにつきましては検討をいたしていかなければならないと、こういうふうに政府は考えておる次第でございます。(拍手)
#24
○副議長(安井謙君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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