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1970/01/27 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 本会議 第4号
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1970/01/27 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 本会議 第4号

#1
第065回国会 本会議 第4号
昭和四十六年一月二十七日(水曜日)
   午前十時五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和四十六年一月二十七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 第二 参議院予備金支出の件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 以下 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、常任委員長の辞任につき、おはかりいたします。
    内閣委員長     西村 尚治君
    地方行政委員長   山内 一郎君
    外務委員長     長谷川 仁君
    大蔵委員長     栗原 祐幸君
    文教委員長     楠  正俊君
    農林水産委員長   園田 清充君
    商工委員長     村上 春藏君
    運輸委員長     温水 三郎君
    予算委員長     堀本 宜実君
    議院運営委員長   徳永 正利君
から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、
 常任委員長の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
#8
○佐藤隆君 常任委員長の選挙は、その手続を省略し、いずれも議長において指名することの動議を提出いたします。
#9
○瀬谷英行君 私は、ただいまの佐藤君の動議に賛成いたします。
#10
○議長(重宗雄三君) 佐藤君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、内閣委員長に田口長治郎君を指名いたします。
   〔拍手〕
 地方行政委員長に若林正武君を指名いたします。
   〔拍手〕
 外務委員長に松平勇雄君を指名いたします。
   〔拍手〕
 大蔵委員長に柴田栄君を指名いたします。
   〔拍手〕
 文教委員長に高橋文五郎君を指名いたします。
   〔拍手〕
 農林水産委員長に河口陽一君を指名いたします。
   〔拍手〕
 商工委員長に川上為治君を指名いたします。
   〔拍手〕
 運輸委員長に鬼丸勝之君を指名いたします。
   〔拍手〕
 予算委員長に古池信三君を指名いたします。
   〔拍手〕
 議院運営委員長に鍋島直紹君を指名いたします。
   〔拍手〕
     ―――――・―――――
#12
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)。
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。森中守義君。
   〔森中守義君登壇、拍手〕
#13
○森中守義君 私は、日本社会党を代表いたしまして、さきに行なわれた政府演説並びに当面の諸問題について、政府に質問をいたします。
 まず、日中問題について総理にお伺いいたしますが、その第一は、政府の対中国策と国民世論の関係であります。総理は、正当な国名を呼ぶことによって、いかにも対中国策に新味ありとの印象づけをされますが、その実は、国連の新事態に対処する代表権問題を含め、台湾温存策を画されていると見るのでありまして、はなはだ遺憾であります。そのことは、アルバニア案の表決結果と、それに続く各国の中国承認の動きなど、世界の潮流とはあまりにかけ離れたものであります。また、それは国内世論にも背を向けるものであります。日中議連が国会の過半数を越える参加者を得て結成された事実をどのように総理はお考えになりますか。世間では、国民の約八〇%から八五%の者が政府の対中国策に批判を持っているとしています。しかるに、政府が国民のわずか一五%そこそこの少数の意思をもって一〇〇%外交施策を壟断すること自体、民主主義の原則に反します。総理の民主主義に徹すると言われることが本心からであるならば、国民世論を一〇〇%外交施策に反映させるのが当然であり、そこから日中問題打開への再出発とさるべきと思いますが、見解を求めます。
 第二点は、日中間の重要な問題点についてでありますが、戦争終結の問題であります。総理の、戦争は終結しているとの見解は、率直に言って動揺があります。ひとりよがりの見解にすぎないからであります。相手が終わっていないというのに、こちらだけが終わったと言っても、法的効力が発生するはずのものではありません。問題が問題でありますから、もう一回私は伺います。日中間の戦争状態は終結しているのですか、いないのですか。終結していると言われるならば、具体的に終結しているという事実を裏づける証拠をもって御答弁を願います。
 次は、総理の意思が那辺にあるかということでありますが、総理は中国との大使級会談を提唱しているが、相手が乗ってこない、それは先方の責任だと言わんばかりの言い方をされます。また、先般の記者会見では、中国との接触の暁には、国交正常化問題についても議題に供したいとも言われました。また、北京、台北双方が一つの中国を主張して譲らず、現実に二つの政府があるので困難であるとも言われるなど、一連の中国問題に対する発言が続けられていますが、一体、日中関係を打開しようとする意思決定の上に立ってのことであるのか、単に言ってみるだけのものなのかわかりません。どう見ても日中関係打開の意思決定の上に立ってのこととは思えません。意思決定のない発言はどんなにりっぱなことを言っても無意味であります。しかし、何としましても総理の意思決定なくして日中の前進はありませんが、それについては特に考慮されねばならない幾つかの点があるはずであります。一つには、大陸から追われてきた三百万、しかもその一割にも満たない支配者が、米国の第七艦隊に守られて一千万の台湾住民をがんじがらめに支配している事実に留意するならば、中国と台湾を単に二つの政権として同列に論ずべき存在ではないものであること。また、中国内戦の延長に米国が介在したものでありまして、いかにわが国が手を下そうとしても、どうにもならない米中関係という現実でしかないということ。いま一つは、中国との関係がわが国の前途にとって、また国際環境からいって、好むと好まざるとにかかわらず何とかしなければならぬものであること。以上の三点が、総理の意思決定の要素として十分認識されねばならないということであります。
 そこで、わが国が当面、米中関係の打開までしょい込むのではなく、日中関係においてわが国ができることをやるというこの意思さえはっきりされるならば、決してむずかしいことではありません。よって、大使級会談や接触の暁には正常化についても協議したいということは、はたして日中関係打開の意思決定の上になさったものかどうか。ここであらためて総理にお答えを願いたいと思います。
 同時に、総理から、その意思がほんとうにあれば、いままでのように大使級会談、政府間接触を繰り返すのではなく、もっと具体的なものとして、近く訪中予定の藤山さん、あるいは岡崎さんのいずれかに――御当人の意思は別でありますが――特命全権大使の資格を与え、来たるべき覚書交渉において吉田書簡の廃棄、中国食肉の輸入、円元直接決済、航空機乗り入れ等の諸懸案を一挙に解決させ、国交正常化への第一歩として、覚書協定を政府間協定へ発展させるのがより現実的方法だとは思われませんか。もし総理におかれて、そのくらいのこともできないと言われるのであれば、広く各界で認知されている覚書協定の役割り、すなわち日中間における唯一の政治的パイプと言うことはナンセンスにすぎないのではありませんか、総理の見解を求めます。
 第三は、台湾との深まりが日中国交正常化にとって二律背反であるということについてであります。現状のままで推移すれば決して明るい見通しは生まれてまいりません。何となれば、政府が一面で日中政府間接触を唱え、一方では佐藤・ニクソン共同声明に従って米国のアジアに対するオーバーコミット収束への肩がわりになって、ますます米中関係の片方に介入し、台湾との政治、経済両面にわたる癒着を深めている現実から生まれる障害であります。総理は、台湾との関係の深まりが中国との国交正常化とは全く二律背反であることに大いなる矛盾を感じられるべきでございますが、見解をお示しください。総理が真剣に日中関係を打開しようとの意思を固められるのであれば、まず台湾との関係において、利権につながる一部政治家に引きずられてずるずると深みに入ることをやめ、まず現状でストップすべきであります。特に現在騒がれている台湾の総合製鉄所建設などを含む第二次円借款などは、直ちにこれを拒否すべきであります。一部政治家と企業の飽くなき利潤追求のための尖閣諸島等の大陸だな資源開発計画は、領有権、所有権をめぐる紛争の禍根を残すものでありまして、直ちに中止さすべきであります。また、これらを推進する日華協力委員会のごときには、いやしくも現職閣僚の出席を許すべきではありません。以上の諸点について総理のお考えを承りたいと思います。
 この質問の終わりにあたりまして、重ねて私は申し上げます。日中関係打開は、総理が平和外交に徹するならば徹するほど、また国際世論の潮流からも、国民世論の支持から見ても、早晩越えねばならない関門であります。一日でも早ければ早いほど国益に利すると信じます。そのためには総理の決断がまず第一であり、その決断さえあれば、難解に見える台湾問題も、北京との外交交渉の一つのテーマにすぎないことを強調したいのであります。
 次に、交通関係問題についてお伺いします。
 第一は、交通政策の現況についてでありますが、今日の交通事情の実態は、事故の増大、公害の頻発、需給の逼迫を来たすなど、政府の今日までの交通政策は貧困そのものでありますが、総理は、その深刻な現状にことさらに目をそむけ、施政方針の中で日本列島の未来像を描き、新全国総合開発計画を中心として、新幹線自動車道の建設計画、新幹線の建設、青函トンネル、本州四国連絡橋建設、大都市交通対策などを述べられ、あたかも交通問題の将来は明るいものであると強調されましたが、総理の現状認識に対し国民はあ然たるものを覚えたはずであります。率直に申して政策不在、需要追随のばらばら政策でありまして、その結果、国鉄は数千億の赤字で破産状態、企業は流通量の膨張でお手あげ、港湾、空港は過密で危険が一ぱい、都市交通は飽和状態、自動車は事故と公害の野放しの競争、そして絶え間のない各種運賃料金値上げとそれに伴う物価上昇の追い打ちなど、国民がしいられる犠牲はもうがまんならないものがあります。ここまで追い込んだ政府の怠慢は許されません。この恨み多き現状の打開には、総合交通政策を確立し、それを具体化することが必要であると思いますが、昨年十二月二十五日、運輸政策審議会の中間報告は、具体的に政策立案に至るものであるかどうかを含め、運輸大臣の答弁を求めます。
 第二は、自動車新税についてでありますが、その目的と財政効果が理解できません。もし総合交通政策に関係ありとすれば財源の先取りでありまして、私はこれを非難します。ものには手順があります。まず、総合交通政策の策定が先決であります。これほど重大化した交通問題に何らの指標も与えず、いきなり新税の取り立てとは、ずうずうしいというものであります。また新税が現実的段階になった場合、各省の財源争奪によりまして、本来あるべき総合交通政策がゆがめられる危険性大いにありと思うのであります。これらの観点から、総合交通政策が確立され、国民の理解と協力が得られるまで、新税は留保すべきと思いますが、大蔵、運輸両大臣の答弁を求めます。
 第三は、現下の交通事情に対応する行政体制に欠陥なきやということであります。すなわち、自動車部門を一例にとりますと、運輸はじめ五省庁にそれぞれ権限が分離され、それらの間の計画管理は有機的総合性がきわめて薄く、いわば政策機能に重大な欠陥があります。集約計画、一元管理等、これらは急速に改善の必要がありますが、総理の答弁を求めます。
 また本年一月二十日、企画庁に設置された総合交通政策調査室の機能と目的は一体何であるかもお答え願いたいと思います。
 第四は、自動車事故と公害防止についてであります。最近における道路交通量は著しく増加し、事故の増加と排気ガスによる公害は人間の生存条件に重大な影響を与えています。これに対処するには、もはや自動車を減らす以外に有効な手段はないとの見方があります。しかるに、自動車の生産体制は交通資本投資をはるかに越えて成長を続けています。このような状態では、交通は経済成長の隘路になるばかりか、事故、公害による国民の犠牲を増大する一方であります。この間の調整をどのようにされるのか、総理並びに運輸大臣の所見を伺います。
 第五は、国鉄についてでありますが、今回の国鉄による幹線系線区と地方交通線の二分割方式の問題は、企業性と公共性の調和をはかりながら運営すると規定した日鉄法の基本条項に触れるものでありますが、分離を許容する法的根拠をお示し願います。また、赤字線等の地方移管は自治体財政の現状から実現可能なものであるかどうか、自信のほどを承知したいのであります。
 また、産業構造、社会構造の変化に対応する輸送構造のあるべき方向を打ち出し、その分野における国鉄の位置づけが明らかにされない限り、二分割方式や料金運賃の改定等の小細工では抜本的解決は不可能と思います。国鉄の将来について総理と運輸大臣の見解を求めます。
 さらに、再建十カ年計画が三年にして見通しすら立たない状態でありますが、今回の予算編成に当たり、国鉄の概算要求段階では、償却前赤字八百六十四億で、この処理が再建計画に重大な影響があったにもかかわらず、何ら抜本策を講じないまま、会計操作により表面をつくろい、またまた国鉄再建計画は大きな混迷を加えるに至りましたが、再建計画は予定どおり進めるのかどうか、総理と運輸大臣からお答え願います。
 次に、総合的老後福祉対策についてお伺いします。
 わが国の現在の六十五歳以上の人口はおおむね七百万人でありますが、この数は昭和七十年には現在の二倍以上の一千五百万人を突破すると言われております。昨年十一月二十五日、老人問題に関する総合的諸施策について中央社会福祉審議会から答申が出され、一応、昭和五十年を目途に当面必要な対策を取りまとめると聞いております。政府はこの答申に基づき、今後いかように具体的な総合的老後対策を計画的に実施されようとするか、総理及び厚生大臣よりお答えください。
 また、老齢者医療対策についてでありますが、わが国の六十五歳以上の死亡者中、三人に一人は脳卒中で、死因の第一順位である。米国、西独に比べ二倍以上の高率を示しております。これは昨年の厚生白書が、その発生と対応のしかたに数多くの後進的問題を残しているとしていることでも明らかであり、老齢者はすべて国のとうとい功労者でありますが、経済的にはもちろん、健康と命の問題に苦しんでいます。総理は、「人間の尊重、福祉なくして成長なし」と言われますが、その一つのバロメーターとして老人対策を評価いたしますとき、経済成長の陰に老人の生活と医療が取り残されているのをはなはだ遺憾に思います。学界は、脳卒中発生後の早期治療及びリハビリテーションによる機能訓練によって回復を早め、後遺症による障害を著しく取り除くことができるとしていますが、それは医療政策への直言であります。この際、老齢者の脳卒中治療及びリハビリテーション医療を国立の療養機関として設置すること、また、東京都、京都府など、すでに七十歳以上の高齢者を対象に公費負担が実施されていますが、国においても老人に対する医療保険を十割給付とし、政府の財政負担とすること。現在、医療保険制度の抜本改正の一環として、関係審議会において老人の医療について特別の対策が審議されていますが、老人医療問題の深刻さにかんがみ、医療の抜本改正と切り離して、早急に対策を立てることなど、具体的、積極的政策医療の展開により、後進的老齢者優遇の実を期待したいのでありますが、厚生大臣の答弁を求めます。
 また、医療社会の緊急かつ重要な問題として、看護婦の充足及び勤務条件の大幅改善について伺います。
 去る四十年、看護婦の夜勤制限に関する判定として、人事院が政府にその改善を勧告し、本院社会労働委員会は、一昨年六月、政府に対し、勧告の急速かつ完全実施を行なうべしと決議をし、政府は誠意ある措置を約したのでありますが、その後、いささかの改善を見ていないのは、国会と人事院の軽視でありまして、ゆゆしい問題であります。今日ほど医療の荒廃を阻止する必要に迫られているときはありません。そのためには看護婦確保の強化推進と、看護婦の資質向上の基本となる看護婦の処遇改善の問題がすみやかに解決されなければならないのでありますが、この際、看護行政に対する新たな所信と、基本問題である看護婦の処遇改善の問題について、政府のとるべき具体的施策を、厚生大臣並びに大蔵大臣より、それぞれ御答弁を願います。
 最後に、農業問題についてお伺いします。
 その一は、総合農政とは何か、また、総合農政によって農業の局面打開ができるかという問題であります。わが国の農業は、国際競争、経済成長の中のひずみ、米過剰問題など、きびしくかつ最も劣悪な環境の中に置かれ、農家は現状と未来に希望を失っています。米価二年連続の据え置きなどによって、生産農業所得は、四十三年以降、年年の伸びが二、三%程度に落ち込んでしまい、農工間の所得格差拡大に反映しています。その背景には、農家兼業の深まり、自立農家の停滞という実態があることを見のがせません。このような農業の現状を脱却するための総合農政だと思いますが、事実は、米の減産と農外収入依存型、すなわちオール兼業化型農政への直進と言うべきであります。そのことは、政府の社会経済政策として、農村を低賃金労働、兼業労働力の利用という経済のワク組みの中に置きかえるものでありまして、いやしくも農業生産性の成長、農家所得の安定的向上をはかるとはどうしても考えられません。直言をすれば、総合農政とは、農家のためのものではなく、他産業のためのものでしかないということであります。総理と農林大臣は、そのことを率直にお認めになるかどうか、お答えを願います。
 その二は、米の生産調整についてであります。私は、この問題を取り上げる際、生産者の感情、政府の従来の増産政策、外麦の四百万トン輸入の事実、これら食糧政策の影響を見のがすわけにはまいりません。まず、生産調整の内容として、米の減産数量二百三十万トン、奨励金反当平均三万三千円で総額千六百九十六億円、稲作転換対策費四百十五億円としていますが、この具体的内容並びに政府決定の減産量と農協要求の百七十一万トン減産量の大きな相違は何を理由とするものであるか、その算定根拠を具体的に農林大臣よりお示し願います。
 また、休耕転換奨励金の補助単価並びに期間及び今後の計画、転換作物の定着対策をあわせてお尋ねいたします。そうして、農業団体の反対の姿勢の中で所期の目標を達成する自信があるかどうか、農林大臣の責任ある所信を伺います。
 その三は、食管制度をめぐる問題であります。政府は、しばしば食管の根幹は堅持することを約束し、昨年は食管を守る唯一の策であるとして生産者に生産調整への協力を求め、生産者は一三九%の成果をあげたのでありますが、今回の米の取り扱いは、行政によって法律制度を形骸化したものであり、黙視するわけにはまいりません。重要な問題は、無制限買い入れの否定ともいうべき、政府買い入れ数量を予約限度数量の範囲内としたこと、これをこえる数量は農協等に保管、売却させるということにしたことでありますが、これは第二自主流通米の誕生とも見るべきであり、結果として間接統制への一石であり、はなはだ食管法の趣旨を誤ったものと言わなければなりません。一体、政府買い入れ量はどのくらいにされる予定でありますか、また、買い入れ制限を強行する根拠はどこにあるのでありましょうか、これを明らかにしていただきたい。
 その四は、政府が米の消費者価格について物価統制令の適用廃止を確認したことでありますが、これによって小売り価格の自由化による値上がりや変動の懸念が予測されます。それだけに消費者に大きなショックを与え、社会問題となっております。これは、末端価格の自由化による食管制度全体の空洞化、また政策の後退であり、消費者は、配給米価格の存在が家計安定の基礎であるとしているのであります。今回の措置は、はなはだ妥当性を欠くものであることはもちろん、物価政策の方針にも反するものであります。そこで、物価統制令適用廃止の時期、その方針並びに消費者米価の値上がり防止策、これら具体的な対策はどういうものであるか、農林大臣よりお伺いしたいと思います。私は、この際、この方針の撤回を強く要求いたしますが、あわせて農林大臣のお答えを求めます。
 さらに、過剰米対策として四十六年度二百万トン処理が決定されたようでありますが、今後の処理対策及び予算措置を含めてお答え願いたいと思います。
 次に、酪農問題についてお伺いいたしますが、今日の酪農は、貿易の自由化、生乳価格の二年据え置き、配合飼料の値上がり、農薬汚染、消費と生産の伸び悩み、このような経営の不安におののいています。政府は、きびしいこの事態にかんがみ、酪農家の期待と食生活の高度化にどのようにこたえようとされるのでありましょうか。また、現在行なわれている乳価交渉にどう対処されるか。牛乳の流通改善と消費増進をどうされるか。飼料価格の安定、自給の確保をどうされるかについてもお答えを願います。
 さらに、現在作成中の酪農近代化基本方針を中心とした将来あるべき酪農政策をこの際具体的にお示し願いたいと思います。
 また、蚕糸関係についてでありますが、近年、政府の奨励にもかかわらず、養蚕農家は減少し、生産は停滞しております。これは三十三年の糸価暴落以来の政府の指導の誤りや、現在でも暴騰暴落に有効な対策が立て得ない政府に対する農家の不信の表明でもございましょう。よって、政府は糸価安定等の制度を再検討する考えはございませんか、お答えを願います。
 また、漁業問題についてでありますが、わが国の沿岸漁業は、水質汚濁や埋め立てにより、ノリなどの養殖業はもとより、一本釣りのような漁船漁業までが漁場を奪われています。特に埋め立てば漁民の反対を力で押し切って、優良な漁場をつぶし、米過剰の原因をつくる水田や、公害源となる工場用地を造成し、沿岸のスプロール化を進めております。よって、政府は沿岸漁業の資源の確保、経営安定のために埋め立て規制、公害防止、漁場造成、ノリなど養殖業の漁場行使制度の再検討など、すみやかなる措置をとる必要があると思いますが、農林大臣のお答えを求めます。
 私は、以上の質問を通じ、戦前の農政ならともかく、期待されたはずの基本法農政十年の歩みの中からは、ついに農家は生かさず殺さずという政策からの解放が行なわれず、極度な過疎化の中にみずからの行く末を案じ、額に苦悩のしわが深く刻まれていく現状を見て、定見なき農政、無責任政治に対する義憤を覚えます。しかし、ここにおいて農家の信頼し得ない現在までの政治領域から勇気を持って踏み出し、責任農政の確立と遂行を目的として、新たな政治主体への支持転換をはかるべきときがきていることを主張し、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(佐藤榮作君) 森中君にお答えをいたします。
 中国問題につきまして幾つかの御意見が述べられましたが、遺憾ながら多くの点につきまして、私は森中君と意見を異にするものであります。重ねて申し上げます。中国との関係は、わが国にとって、他のいかなる国にも増して重要であるだけに、長期的展望に立って対処しなければなりません。政府は、国際信義を重んじ、国益を守り、極東の緊張緩和に資するという観点から、相互理解をはかりつつ慎重に取り組んでまいる考えであります。(「おとといから同じ文句ばかり言っているじゃないか」と呼ぶ者あり)そのとおりです。
 次に、わが国は、一九五二年に、戦争当事者である中華民国政府との間に日華平和条約を結びました。政府としては、これによって国と国との間の戦争状態は終結したものと考えます。しかし、北京政府がこの条約を有効なものとは認めず、中国大陸とわが国とは法的には戦争状態にある旨主張している次第は、政府も承知しているところでありますが、同時に、一方、貿易額も年々増加いたしまして、昨年は御承知のとおり往復八億三千万ドル、かようにものぼっておる次第であります。この点もつけ加えて御了承願っておきます。
 次に、大使級会談や政府間接触について、政府としてどのような意思決定をしたのかとお尋ねがありました。実は質問の趣旨がちょっとわかりかねたのでありますが、内閣を主宰する私が、政治のあり方について一つの方向を打ち出す場合、特に政府全体としての意思決定を必要とするものでないことは御承知のとおりであります。なお、つけ加えて申せば、施政方針演説をはじめとする政府演説は、閣議決定の上、国会を通じて内外に明らかにするものであります。
 また、森中君から、藤山君か岡崎君を特命全権大使に任命せよというきわめてユニークな提案がありましたが、わが国と北京政府との間にはいまだそこまでの意思疎通はないのが実情であります。今後わが党からも、藤山君のみならず、多くの人が北京を自由に訪問し、かつ、先方の要人もいろいろな機会に日本を訪問するという情勢が生じてくれば、次第に相互の信頼関係が深くなっていくでありましょう。やはり日中関係は相互の信頼関係の積み上げが先決であると私は考えます。
 次に、台湾問題についていろいろのお話がありましたからお答えをいたします。台湾との関係を清算せよというのが森中君のお考えのように聞き取れたのでありますが、およそ国際関係におきまして、一方的に信義を破ることが長期的な国益にかのうやり方とは私は思いません。中華民国と友好関係にあるわが国として、求められれば、その経済建設に可能な限り協力するのは、他の友好国の場合と同様であります。国府への新規借款については、各種のプロジェクトを個々に検討し、できる限り協力していく考えであります。
 次に、尖閣列島の大陸だな開発は、紛争の種になり、危険だから中止したほうがいいとの御意見は、いささかふに落ちないところであります。尖閣列島がわが国の領土であることは議論の余地のない事実でありますから、その領有について、いかなる国とも交渉する考えはありません。なお、日華協力委員会は、日本と台湾の友好協力関係を増進するための民間団体であって、閣僚は正式会員として参加しておりません。
 次に、森中君からは、交通問題についての基本政策がないとのおしかりがありました。先般の演説で、私は、幹線道路、新幹線鉄道等についての構想を御披露いたしましたが、これは森中君の言われるような自画自賛ではなく、情報化の恩恵を全国に及ぼし、より健康で豊かな生活環境をつくるため、全国的なネットワークを形成するという考え方に基づくものであって、交通問題に対する基本的な考え方の一端を示すものであります。ただ、交通問題には、このほかに、大衆交通機関の経営悪化、大都市交通問題、安全対策等、早急に解決を要する問題があることは、森中君の御指摘のとおりであります。私もその実情については十分認識しており、統一的観点から新たな総合交通対策の樹立を指示したところであります。
 次に、交通行政体制について、現在幾つかの省庁の所管にまたがってはおりますが、関係各省庁が協力してその対策を進めてきたところであります。私は、当面、交通行政体制の問題以前に、まず総合交通対策について成案を得ることに全力をあげてまいりたいと考えます。
 次に、自動車の生産制限についての所見を求められました。御趣旨はよくわかりますが、私の率直な感じとしては、生産規制には種々のマイナスの事態が考えられますので、むしろ交通規制と安全対策、あるいは公害対策を強化することによって対処することが適当ではないかと考えます。その他の、国鉄の位置づけや再建計画等については運輸大臣からお答えをいたします。
 また、厚生大臣からもお答えがありますが、老後対策につきましては、政府としても、来たるべき高齢化社会に備えて重点的に進めてまいる考えであり、お尋ねのあった中央社会福祉審議会の答申をはじめ、各方面からの御意見は十分尊重してまいるつもりであります。
 その他の点については各大臣からお答えすることにいたします。(拍手)
   〔国務大臣橋本登美三郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(橋本登美三郎君) 森中議員の御質問に対しお答えを申し上げます。
 総理から主要な点については答弁がありましたが、私から次の点を答弁いたしたいと存じます。
 御承知のように、政府が先年策定いたしました新全総におきましては、昭和六十年度において旅客三倍、貨物四倍となるものと推定されております。この旅客、貨物の増大に対しまして、総合交通体系の中で、陸海空の交通機関はどんな割合でとらえるかということを目下検討中でありますが、運輸省といたしましては、新幹線網の策定、空港整備新五カ年計画、新港湾五カ年計画を四十六年度から発足いたしまして、今後、総合交通体系を具体的に進めてまいることにいたしておる次第であります。したがって、四十六年度予算におきまして、国鉄の複線、電化、青函トンネルに対しまして約四十億円、新幹線の建設につきまして三十億円、AB線の建設につきまして百三十億円を一般会計から支出することにいたしておる次第であります。この新幹線、複線化の建設費の一部を一般会計から支出することにいたしましたのは、昭和四十六年度が初めてでありまして、これは画期的なものであり、将来建設に対する基本的な線を打ち出したものと御了承願いたいと思います。なお、自動車重量税の徴収は、一般財源の不足を補う最小限度のものとして創設をされたものであります。
 なお、二分割方式についての御質問でありますが、総合交通体系の問題につきましては、運輸政策審議会等におきまして今後早急に検討を進めてまいりますが、国鉄の財政再建につきましては、その件と相まって総合交通体系の中において鉄道の特性を発揮し得る分野に重点を置いて、合理的に、かつ効率的な輸送を行ないたいと考えておりまして、そうでない分野につきましても、地方における経済及び住民生活上、公共的な役割りを持つ輸送の確保、道路への転換等適切な措置を講ずることといたしまして、国鉄自身の増収努力をはじめとする収入増加策、要員縮減等によるところの経費節減案の推進及び運賃制度の合理化等を十分に検討いたしまして、今後、国鉄の財政再建に基本的に資する考えでおる次第であります。
 なお、交通体系の問題につきましては、総理からお話がありましたように、運輸省におきましても、運輸政策審議会の中におきまして、せんだって、十二月二十五日に中間的な報告がありましたが、なお、具体的な報告は、本年の七月を目途として具体的な答申を期待をいたしておるのであります。この方針に従いまして、積極的に運輸省といたしましては総合交通体系を進めてまいりたい、かように存ずる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(福田赳夫君) 森中さんから、自動車新税を創設する前に総合交通政策が立てられていなければならぬじゃないか、こういうお話です。私もさように考えます。考え方の趣旨は私も全く同感なんですが、何しろ総合政策といいますると、これは鉄道ばかりじゃない。あるいは航空あり、あるいは自動車あり、あるいは海運あり、非常に広範にわたりますので、実はその作業が間に合わないんです。しかし、それを待っておるいとまがないという事情がありますのは、昭和四十五年度から道路五カ年計画が発足いたしました。これは十兆三千五百億円という巨額のものでありますが、その財源対策におきまして、五年間を通じてのことでございまするけれども、三千数百億円の不足が生ずるのであります。その不足が生ずるじゃないか、その財源手当てはどうするんだというお尋ねがありまして、それに対しまして、私はこれは四十六年度予算編成の際に明らかにすると、こういふうに申し上げておるわけであります。もしその私のお答えを実行しないと、また皆さんからおしかりを受ける。そういう事情もありまして、何とかこの財源補てん対策をとらなければならぬと、さように考えたわけです。そうしますと、やはり交通といえば道路が中心になる。道路を使用する方々、これに負担を求めるということが適切ではあるまいかと、かように考えまして、必要最小限の措置として、今回の自動車重量税を創設するということにいたしたわけです。つまり、これは乗用車でいうと年五千円です。また、トラックにつきましては年一万円の負担、これはこの程度ならば、今日の道路その他の交通事情から見まして、まあ道路に対しまして、相当サービスを受けているという自動車の保有者に対しましてお願いをする、自動車の使用者の負担を求める、これはまあまあ御納得を得られるのじゃないか、かように考えた次第でございまして、ひとつ御協力をお願いしたいと思います。
 それから看護婦の問題につきまして、非常に御強調がありました。私もこの問題は重要視をいたしておるわけでありまして、現に昭和四十六年度、御審議を願う予算におきまして、四十五年度におきましては三十六億円の看護婦対策費でありますが、これを一挙に五割近い増加、五十四億円を支出する。そして、これは何に使うかというと、まあ看護婦の養成、また処遇の改善、こういうことでございます。この問題は、詳細は厚生大臣からお答えがあろうかと思いますので申し上げませんが、大いに努力をしているということをひとつお含みおき願いたいのであります。(拍手)
   〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(内田常雄君) 老後の対策についてでございますが、御承知のように、今日現在におきましては、わが国人口の中に占める老齢者の割合は先進諸国に比べて比較的低うございますけれども、最近における平均寿命の伸長等のこともございまして、これから二十年、三十年の後には、わが国の老齢人口が占める割合というものは先進諸国に追いつくような、急速な老齢化の事態が生じてまいりますので、したがいまして、お尋ねの老後の対策というものは、私は、いまの内閣に課せられた大きな課題と受けとめておるものでございまして、これに対しましては、できるだけの福祉施設の充実をはかってまいるつもりでございます。現に昨年の八月にも、佐藤総理大臣みずから御出席をいただきまして、老後を豊かにする国民会議というような計画をはじめといたしまして、各方面からこの問題に対するなまの御意見も承りましたが、また、お尋ねのように、中央社会福祉審議会にも、この対策を諮問をいたしましたところが、非常に広範な御答申もいただいております。これらのことは一口に申しますと、結局、老齢者に対する所得保障の問題、また、年寄りは病気がちになりますので、その医療の問題、さらには生きがいの問題、核家族化というような問題に対応する住宅の問題というような、いろいろな課題がございますので、私どもも、これらを手広くかつ計画的に、これからの十年、二十年、三十年後における老齢化社会に間に合うような施策を進めてまいるべく、それぞれの計画をいたしております。たとえば、年金などにいたしましても、厚生年金あるいは福祉年金等につきまして、今度の予算の中にかなりの改善の措置を計画をいたしております。単に金額を引き上げるばかりでなしに、問題でございました扶養者の所得制限を大いに緩和いたしますとか、あるいは拠出制を伴っておりません福祉年金につきましては、従来も七十歳以上でなければ金額が出されなかったものを、一部の障害のある老人につきましては、これを拠出制年金と同じように六十五歳まで引き下げてまいるというようなことも、この四十六年度の計画としてやる予定でございますし、また、老人のホームなどにつきましても、かなりの立ちおくれがあると私は認識をいたしますので、これらの老人福祉施設などの立ちおくれの回復、ことに、また、設備等が老朽いたしておりますものを、新しく近代的につくりかえるというようなことのために、大蔵省からかなりの予算をいただきましたので、各種の社会福祉施設の整備計画の中でも、老人の福祉施設につきましては特に重点を置いて、四十六年度を起点とする充足五カ年計画のようなものをつくってまいる所存でございます。
 さらに、また、寝た切り老人などに対しましては、電話のサービスとか、あるいはまた、いままでありまするホームヘルパーのほかに介護人というような制度を新しく設けてまいりますとか、さらにまた、元気な老人方のためには社会奉仕活動というようなものを助長いたしますために助成金を出しますとか、老人クラブの数をふやすとか、あるいは老人福祉センターの増設なども計画をいたしております。
 医療の問題でございますが、脳卒中の問題について特にお尋ねがございました。わが国の今日の死亡率では、脳卒中による死亡が第一位を占めております。しかし、これは医療によってはなおるものでございますので、仰せのとおり、リハビリテーションが非常に大切なことになりますので、四十六年度の予算におきまして、初めて、これは一部の低所得者についてではございますけれども、このリハビリテーションについての公費によるめんどう見というようなことも取りかかることにいたしております。これはまあわずかなものでございますが、今後、これは現在もやっておりますが、国立療養所によりまする脳卒中リハビリの治療というようなものも大いにこれは拡大をいたしてまいります。しかし、専門の脳卒中のリハビリの機関を国立でつくるかどうかといこうとにつきましては、なお慎重に検討をさしていただきたいと思っております。
 それからまた、老人医療全体につきまして、十割の給付をせよというような御意見であったと思いますが、このことにつきましては、私どもも、これは二年前からそういう考え方を取り入れまして、医療保険の抜本改正案の中に参考案として入れまして、御研究を関係の審議会に願っております。しかし、それがいいか、この審議会におきましても、今回、意見書も出てまいりまして、老人の医療につきましては公費医療も取り入れるべしと、こういうような意見もございますので、この問題は、医療保険での問題、また、公費医療の問題、両方兼ねながらにらんでおりますけれども、できるだけ老人の医療対策は進めてまいります。その一環といたしまして、今回、国会に提案して御審議をいただきたいと思います健康保険法の抜本改正につながる改正におきましても、いままで勤労者の家族の保険の給付割合は五割でございますが、それをとりあえず七割に引き上げるとか、あるいはまた、定年過ぎておやめになる勤労者につきましては、こういう年とった退職者については、これは十割の保険給付を見るというようなことを計画いたしておりますことは御承知のとおりでございます。
 最後に、看護婦の問題で、これは大蔵大臣からも御答弁がございましたが、要は、要員の確保と処遇の改善でございます。要員の確保につきましては、養成所の充実、その運営の助成等もやりますが、さらにまた、潜在看護婦の活用というようなこともいたします。処遇の改善につきましては、これも御承知のとおりと思いますが、本年におきましても一般公務員の平均の給与の引き上げ勧告率が一二・六七でございますが、国家公務員である国立病院等の看護婦さんにつきましては、一四%の給与改善の勧告を受けまして、それを実施をいたすことにいたしておりますし、また、夜間看護手当などは、本年に加えて、明年もさらに引き上げるというようなことをやりまして、数の確保とそれから処遇の改善、また、質の向上というものにできるだけ重点を置いてやってまいるつもりで進めております。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げます。
 総合農政についてお話がございましたが、農業が現在直面いたしております困難な問題に対処いたしますためには、米の過剰や、物価問題に対しましては、農業生産全体を、需要や地域の特性に応じた生産の方向に誘導するようにいたしますとともに、このような生産性の低さや、また、いまございます貿易自由化等の問題に対しましては、われわれは農業構造の改善を促進いたしまして、農業の体質をしっかりさせ、そして総合農政を積極的に推進してまいろうといたしておるわけであります。
 お話のございました兼業農家でございますが、この国会にも法律案を提案いたそうといたしておりますが、特にそういう転職を希望されるような方に対しては、安定的な就業ができるように、農村地域への工業の導入をはかってまいるようにいたしてまいりたいと思っております。
 それから、生産調整で政府の計画と農業団体の計画が違うのはどういうわけだというお話でございましたが、米の生産調整の目標数量をわれわれは二百三十万トン、こういたしましたのは、単年度に新たな過剰米の発生を防ぐという観念から計算をいたしたわけでございます。すなわち、米の需要量は、最近年々消費量が減ってまいっておることは御存じのとおりであります。約二十万トンずつ減少しておりますが、四十六年度で千百六十五万トンと私どもは見込んでおるわけでありますが、生産量は四十四年度を基準として千三百九十五万トンと見込みました。四十四年度の生産量を見込み、差し引き過剰になります二百三十万トンを生産調整することによって単年度の需給均衡が得られると、こういう計算でございますが、団体側の主張いたしました百七十二万トンというのは、単年度需給の均衡という点では政府の考え方と同一でございますけれども、その需要量を昭和四十四年度の実績をもって計算されたわけであります。いま申し上げましたように、年々減っております減少というものを計算いたしますというと、その数字では余剰米が当然出てくる計算でございますので、問題があるのではないかと思っております。私たちは、政府の申しております二百三十万トンが需給均衡には適当であると考えて、それを促進いたそうとするわけでございます。
 もう一つ、生産調整の奨励金千六百九十六億、それから転作費の四百億余りのことについてお話しがございましたが、この生産調整は二百三十万トンといたしまして、これを達成いたしますために、転作の推進を基本といたしますとともに、あわせて休耕を認めることにいたしました。休耕三万円、寄託三万五千円、永年転作等四万五千円まで認めるようにいたしますというと、結局これで十アール当たり平均、お話しのございました三万円ないし四万円になるわけでございまして、この奨励金が千六百九十六億になるわけでございます。予算案に計上いたしておるとおりであります。それから、稲作から今後需要の増大が見込まれますほかの作物への転作を総合的かつ計画的に推進いたしますために、土地基盤の整備、農業近代化施設の導入、技術の普及等が必要でございますので、これらの費目のために約四百億を計上いたしておる次第でございます。
 それから、農業団体の反対姿勢で、目標数量の達成ができるかというお話でございますが、生産調整の実施を円滑に行ないますために、私どもは農業団体とは毎日のようにいろいろな打ち合わせをやっております。その他、自治団体等とも緊密な連絡をとりまして、政府の方針に御協力を願うように最善の努力をいたし、私どもといたしましては、その目的は達成されるものであると考えております。
 それから、食管のことについて買い入れ制限のお話しがございましたが、食管法は、国民食糧の確保及び国民経済の安定をはかるため、主要食糧の需給及び価格の調整並びに配給の統制を行なうということを目的といたしておりますことは御存じのとおりであります。政府買い入れは、その目的を達成するために政府が買い入れて管理する必要のある数量を買い入れればよいわけでありまして、この必要な数量の買い入れを確保いたしますために、食管法第三条の規定に基づいて生産者に売り渡し義務を課しておりまして、それの一定量の米を政府が買い入れることといたしておるわけでございますので、このたびの措置は、私どもといたしましては、食管法のワク内で実施可能なものであるというふうに考えておる次第でございます。
 それから物統令の適用を廃止するということにつきましてお話がございましたが、消費者米価につきまして物価統制令の適用をやめますのは、今日の需給事情が御存じのような状態でありますので、これに即応して、画一的価格規制を改めまして、消費者の好みに応ずるものをなるべくそのまま消費者の手に渡るようにすることをまずわれわれは考えてまいりたいと思いますし、生産者もやはり自分のつくったおいしい米がそのままに消費者に渡らないことを、いま地方の農家では嘆いておられる面がたくさんございますので、やはり同じ商品でございますので、需要家が満足されるようなものを手に到着するようなことをまず考えるべきである、消費者の選択に応じたものを供給する手段はどうしたらいいかということを先行して考えたわけでございます。したがって、物統令の適用を廃止いたしますためには、やはり小売り店の、つまり買参人の数をふやすとか、いろいろな大型精米所を逐次造成いたしてまいるとかというふうなことによりまして、価格のことについて、「消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシ」と、あの法律にも書いてありますように、そういう趣旨が貫徹されるようなもろもろの措置を講じまして廃止に踏み切ってまいりたい。いつごろやるかというお話でございましたが、いま申し上げましたような政府の諸般の措置をこれから行ないまして、本年産米の出回る秋ごろにはそのような措置を講じてまいりたいと、こう思っておるわけであります。
 それから過剰米が出てくるこの処理についてのお話がございました。過剰米はすでに現在でも七百数十万トンかかえておるわけでございますので、これを計画的に処分いたすために、本年度予算案でも、その処分の方法について御審議を願うことにいたしておりますが、これはぜひ計画的に処分をいたしてまいるように努力をさらに続けてまいりたいと思っております。
 それから転作作物の中で、われわれが非常に有利なものであると考えております養蚕についてお話がございましたが、養蚕は今後のわが国農業における重要な成長作目でございます。農林省におきましても、総合農政の一環として、需要に即応しながら養蚕農家が安んじて繭の生産の増強をはかり得るように今後とも諸施策を拡充強化いたしてまいるとともに、現在行なわれております繭糸価格安定制度は、過去における本制度の運用の経験に照らしまして、しばしば改正を行なってきておるわけでありますが、さらにこの改善強化をはかってまいるつもりであります。繭糸価格の安定をはかるために適切なものと思われるこの繭糸価格安定の制度を、この上とも適正に運用をいたしまして、とにかく輸入量が年々ふえてきておる生糸に対する問題でございますので、これは転換先作物として大いに力を入れてまいりたいと思っております。
 最後にお尋ねのございました沿岸の漁業のことでございますが、私ども、お説のことについてたいへん同感を覚える点が多いのでありますが、沿岸における優良漁場の造成開発と水産資源の維持増大につきましては、ただいま提出いたしてあります水産庁の予算をごらんくだされば、非常に至れり尽くせりとは申しませんけれども、かなりいいところまでいっておることはお認めいただけると思うのでありまして、この漁港の整備及び沿岸漁業の構造改善、栽培漁業の推進等の措置を講じておるわけであります。
 それから、前国会で成立いたしました公害関係の法律の適正な運用と相まって、近海におけるそういう漁業に対する公害に対しては、適切な法的措置をとるべく、ただいま準備中でございます。
 以上お答えいたしました。(拍手)
#19
○議長(重宗雄三君) 田代富士男君。――ちょっとお待ちください。
 倉石農林大臣。
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#20
○国務大臣(倉石忠雄君) どうも失礼いたしました。酪農についてのお答えが漏れておりました。
 酪農につきましても、森中さん御存じのように、稲作転換の選択的拡大のためには最も私ども力を入れておる一つでございますが、わが国における酪農の発展は、御存じのように戦後に始まったものでありますが、国民の食生活の中に必ずしも定着し切っているとは言えない段階でございます。牛乳の需要は、グラフを見ておりましても上がったり下がったり、きわめて不安定の状況でありますが、今後、酪農をわが国農業の最も重要な一部門として確立いたしますためには、牛乳、乳製品の需要の安定的増大を基調といたしまして、生産、流通、消費の各面にわたる酪農振興策を講ずる必要があると存じます。このために、四十五年度中に、新しい観点に立って、国及び県の酪農近代化基本方針をあらためて樹立することといたしまして、この線に沿うて酪農経営の近代化を促進しますとともに、牛乳流通の合理化や牛乳学校給食供給事業の計画的拡大をはかり、さらにまた、自給飼料基盤の整備、家畜導入、畜産団地造成事業等の生産、構造対策を鋭意進めているところでございまして、この点も四十六年度予算にできるだけ計上いたして御審議を願うことにいたしておる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(重宗雄三君) 田代富士男君。
   〔田代富士男君登壇、拍手〕
   〔議長退席、副議長着席〕
#22
○田代富士男君 私は、公明党を代表して、問題を主として内政にしぼって、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 総理は、先日の所信表明において、「一九七〇年代のわが国は、現在、その長い歴史の中でも、最も力の充実した時期、いわば壮年期にあるということができる」と述べ、わが世の春を謳歌し、さらに、日本列島の未来像についても述べております。総理の演説を聞く限り、日本列島の未来像は、まさにバラ色と言えましょう。確かに、全国民のエネルギーを新しい日本の建設に集中するためには、一国の総理として、国民にその未来像を示すことも必要でありましょう。しかし、現実は、バラ色とはほど遠く、緊急に解決せねばならない諸問題が山積しているのであります。一九七〇年代は、生きがいを求める時代であるといわれております。しかし、私は生きがいを求める前に、まず生きることを保障するため、政治がなさねばならぬことがあまりにも多いと思うのであります。
 現在、朝夕のラッシュアワーにおける通勤電車の混乱は想像を絶するものであることを、総理は実感をもって御存じでしょうか。東京、大阪等の各駅には、あふれた通勤者を電車の中に押し込む、押し屋という、世界でも日本だけにしかない新職業が誕生し、日本経済をささえる勤労者は、通勤に大半のエネルギーを失っております。通勤電車の混乱は東京、大阪のみならず、地方の各都市にも及んでおります。最も急を要する通勤電車のこのような殺人的混雑は、いつ解決できるのでしょうか。見通しは立っていないのであります。
 また、人間の生活に、空気同様欠かせない水や電力の供給についても、その前途が深く憂慮されております。高度成長政策に伴う工業生産の発展は、水、電気の需要の増大をもたらしておりますが、政府の試算によれば、昭和六十年には、日本国じゅうのあらゆる河川を限度まで開発しても、関東、関西、山陽等の各地では水不足がくると予測しております。しかも、現実には、ダム建設も政府の不手ぎわのため各地で住民の反対にあい、計画は遅々として進んでおりません。そして河川の水も、産業廃棄物中の重金属によって汚染されております。はたして国民は、これなくしては一日とても生きていけない水を、いずこに求めていけばよろしいのでしょうか。
 電力についても同様であります。新しい発電所の建設は、公害発生源として各地で反対され、現在、電力の供給予備率、わずか二ないし三%で、ここ一、二年のうちに電力使用制限を予想されるなど、電力事情もまさに薄氷を踏む思いであります。その他、石油をはじめとする資源不足の問題、住宅難、辺地の医者の不足、出かせぎ問題、過密過疎問題等に対する政府の施策の貧困は、表現することばも見当たらないほどであります。
 総理は、胸を張って、わが国の壮年期や日本列島のバラ色の未来像を説き、また、与党自民党の議席の多いことを声を大にして誇ってみても、言えば言うほど、国民にはうつろに響くのみであります。佐藤総理、あなたは、一億国民のとうとい生命と生活を預かる国政の最高責任者として、その現実を冷静に見詰め、全国民に心から訴え、抜本的対策を立てるべきと思うが、その決意を伺いたいのであります。
 以下、私は具体的な諸問題について質問をしたいと思います。
 さて、総理は、すでに七年前、政権の座についたそのときから、物価安定をかたく国民に約束をしたはずであります。にもかかわらず、物価、特に消費者物価の年々の上昇は目をおおうばかりであり、明らかに重大な公約違反と言わねばなりません。総理、あなたが総理に就任する直前の昭和三十九年九月に比べてサンマは実に五・一倍、アジは三倍の値上がりとなり、その他イワシ、カレイ等の大衆魚も二倍をこえる値上がりを見せております。また、キュウリ、タマネギ、キャベツ等の野菜の値上がりもすさまじく、最近の東京、大阪では、二百円以上もする大根が店頭に出回る始末であります。その他、土地、住宅あるいはサービス料金の値上がりももちろんであります。
 この間、政府は、常に国民生活よりも経済の成長を優先する立場から、消費者よりも企業の利益を重視し、いままで提言されてきた数多くの物価対策がたなざらしのままに終始してきたのであります。しかも、さきの政府演説においても、いたずらに同じ対策を羅列しているにすぎないばかりか、四十六年度の消費者物価を五・五%以内の上昇率で押えると言明しているのであります。四十五年十二月には、一年前に比べて七・二%も上昇した実績がありますし、また、学識経験者や民間の経済金融等の機関の予測を見ましても、国民感情をごまかすため故意に低くしていると言うほかはないのであります。はたして五・五%の政府の見通しが達成できるかどうか、何かほかにきめ手となる対策を考えているのかどうか、お伺いしたい。
 また、政府は、その経済運営の基本である新経済社会発展計画で、四十五年度から五十年度までの年平均上昇率を四・四%とし、五十年度には三・八%程度にするとしておりますが、四十五年度を七・二%、四十六年度を五・五%として考えた場合、はたして五十年度には三・八%になるのかどうか、政府の決意と見通しをお伺いしたいのであります。
 当面緊急を要する生鮮食料品、特に野菜価格安定のための施策はどうでしょうか。昨年春、農林省は、米の生産調整に伴う野菜への転作によって秋には暴落さえ予測したのであります。ところが、現実は全く逆であり、野菜の高騰は、台所を預かる主婦としてやりくりに頭を悩ますばかりであります。倉石農林大臣は、去る十四日、生鮮食料品価格安定対策本部を設け、農林省の全力をあげて価格安定に取り組むとして、るるその対策を述べておりますが、問題はその効果であります。はたして実効があがるかどうか、総理の所信を承りたい。
 市場制度など流通機構の不備のため、最近の野菜の値段は、市場に入荷する量とは無関係に、需給原則に合わない動きを見せております。たとえば、入荷量が昨年並みであるのに値段が五倍になったり、五割ぐらいふえているのに値段が二倍になっているなど、大衆にとっては全く納得できない不合理な価格が形成され、一部産地商人による思惑買い横行による価格操作の疑いも出ているのであります。この実態をどう把握し、どのように処理されるのか、お伺いしたいのであります。
 そのことに関連して、物価安定政策会議が昨年十月、野菜の価格安定対策について提言をしておりますが、総理はこの提言も過去のいろいろな提言と同様にたなざらしのままにしてしまうおつもりなのかどうか。いずれにしましても、総理が新年の記者会見において、「消費者物価については、昨年以上に努力し、思い切った大勇断が必要だ」と述べたことが真意であるならば、この野菜価格安定に、まず実行をもって国民の前に示していただきたいと思うのであります。毎日食ぜんにのぼるものだけに、不買運動もできずに、高い野菜に泣き寝入りしている国民に対して納得のできる答弁をいただきたいのであります。
 さらに問題なのは、最近の物価高騰に関連して、政府が所得政策の導入について考え始めたということであります。総理は、昨年十二月の経団連の会合や新聞紙上における新春対談において、「物価上昇のおもな原因は賃金である」とし、所得政策導入を示唆しておりますが、その意図が春闘対策であることは明らかであります。私は賃金抑制のために所得政策を導入することには絶対承服できないのであります。なぜならば、わが国の物価上昇の原因は、政府の生産第一主義の経済運営、すなわち、大企業擁護の財政金融政策によるものであり、中小企業や農水産業の低生産性部門に重点的な対策を怠ったためであります。それを賃金の上昇に転嫁することは誤りであります。そのことは、大川委員会の報告や、過去十五年の賃金上昇は生産性上昇を下回っているという日本生産性本部の発表によっても明らかではありませんか。その上、さきの経済白書の一時間当たりの製造業労務者賃金の国際比較によれば、わが国の賃金水準が西ドイツやイギリスの約三分の二、アメリカの四分の一であり、現在の経済成長をささえた勤労の報酬としては、まことに低い水準に置かれているのであります。したがって、まず政府のなすべきことは、所得政策導入という名目で賃金を抑制する以前に、物価上昇の要因に対してその解消策を着実に実行することであります。国民大衆は、この物価高の暮らしの中で、賃金の上昇に一るの望みを託しておるのであります。その願いを踏みにじり、かつ物価上昇の責任を転嫁する政府の姿勢に、国民は決して納得できないと思うのでありますが、総理の所見を伺いたいのであります。
 また、政府が真に国民生活を物価高から守るという決意であるならば、当分の間、公共料金を据え置くべきであります。ことばだけは極力抑制すると約束しておりながら、実際には、これを安易に値上げしてきたことは明白な事実であります。たとえば昨年の私鉄運賃であります。国民の値上げ反対の世論に、さすがの総理も一時は値上げの再考を求めました。ところが、大手十四社の強引な政治交渉によって、株主配当金を一律に一分減配するという条件で値上げを認めることになったのであります。しかも、増資払い込み中のある会社は、一分減配の見返りとして、一分の無償交付を行なったといわれております。その上、多額の政治献金を支出しておる事実は、一体何を物語っておるでしょうか。これではまるでいなか芝居ではありませんか。もし企業側で値上げ要求するほど経理が逼迫しておるのであれば、多額の政治献金はできないはずであります。逆説すれば、政府・自民党は、政治献金を出す企業に何らかの理由をつけて値上げを認めたとしか思えないが、どうか。さらには、政府はことしから郵便、電報料金の値上げを行なおうとしております。まさに政府主導型の物価上昇というほかはありません。しかも、一方では、国民に対して消費態度が悪いとか、大幅な賃金を得ているからだなどと言って、物価上昇の責任を国民に転嫁していることは言語道断であります。私は、物価が安定するまでの当分の間は、郵便、電報料金を含め、公共料金を据え置くべきであると考えますが、総理の見解を伺いたいのであります。
 なお、その間において、郵便事業の根本的改革に政府は全力をあげて取り組み、事業収支が赤字であるから値上げ以外にないという安易な事業運営にメスを入れるとともに、公共性、国民の福祉増進の立場に立って、納得のいく姿にすべきであると思うのであります。その上、政府は、バスやトラックの運賃を運輸審議会にはからずに決定できるように、また郵便料金の改定を法律でなく省令でできるようにしようとしております。わが党は、これまで各種の審議会ですら値上げの隠れみのになる可能性が強いので、第三者的な裁定機関で料金を検討、決定すべきであると主張してまいりましたが、その際、政府は審議会で十分対処するとの答弁であったのであります。国会や審議会の検討を避けて、国民の目の届かないところで料金を決定しようとする政府の姿勢は断じて許せません。総理の見解をお伺いしたい。
 このことに関連して、タクシー料金についてお伺いいたします。現在、大阪府下の衛星都市のタクシー料金は大阪市内とほぼ同一料金となっておりますが、府下衛星都市の業者から基本料金の値上げ申請が出されていたのであります。ところが、去る一月二十二日、運輸省は、大阪府民の反対の声を押し切り、ついに一五・一六%値上げ認可に踏み切ったのであります。これに対して、一昨日、大阪府下三十市の市長会も、多くの大阪府民の反対の声を受けて値上げ認可撤回を決議したのであります。これでも値上げしなければならないでしょうか。また、東京、大阪を中心とした大都市においては、無線タクシーの二割割り増し料金制度の新設を運輸省に申請しているのであります。この申請については、大阪の婦人団体が大阪陸運局に押しかけて強力に反対しているのであります。もし、これが認可に至るならば、実質的なタクシー料金値上げとなり、他の物価の値上げを誘うものであります。業者の圧力に屈して認可寸前と言われております。これが全国的に波及するおそれがあるので、小さな問題であるかもしれないが、総理の見解を伺いたいのであります。
 また、現在の異常な物価高を解決するためには、公正かつ自由な競争政策が必要であります。総理は、かつて、生産性が上昇している企業については、その価格の引き下げを期待すると述べております。その期待にこたえて引き下げられた製品がはたしてあったでしょうか。いま大きな問題になっている管理価格の問題は、値段の下がるべきものが下がらないというところに本質があると考えます。なぜ下がるべきものが下がらないのか。総理は、現行独禁法の厳正な運用によって対処していくと表明しておりますが、昨年、ビールの一斉値上げが堂々と行なわれたときにも、対処し切れなかったことがはっきりしているではありませんか。したがって、独禁法の改正、強化に踏み切り、公正な競争による消費者保護をすべきと思うがどうか。
 一方、政府の価格形成に対する介入が競争促進を妨げ、かえって物価上昇をもたらしているのではないかということが、物価安定政策会議からも提言されております。その典型的なものとして、政府のとっているカルテル容認政策や過剰行政指導があります。すなわち、独禁法適用除外カルテルが昨年末で実に八百四十六件もの多くを数えるに至っていることであり、それに加えて、政府の行政指導という名目で独禁法違反である価格協定を行なわせております。たとえば昨年、清酒の値上げの際には、国税庁の指導のもとに一定時期に一定の幅で値上げが行なわれたのであります。この点について、まず政府みずからの姿勢を改めるべきであると考えますが、いかがでありましょうか。
 最近の著しい物価高騰と並んで、国民の重税、不平等感はきわめて高く、大幅減税を求める声は日増しに強くなってきております。しかるに、来年度の税制改正案をながめるとき、まさに増税ムードの中のミニ減税であります。高福祉高負担の美名のもとに、所得減税も著しく小幅にとどめようとしているのであります。所得税の減税額は、昭和四十五年度が二千四百六十一億円であったのに対し、新年度は千六百六十五億円であり、前年度に比べて七百九十六億円減という大幅な後退であります。しかも、来年度の租税の自然増収額は一兆六千億円以上が見込まれると言われており、大幅減税が十分可能であるにもかかわらず、自然増収の一割程度の超ミニ減税にとどめたのは全く不可解であり、はなはだ理解に苦しむものでありますが、総理の所見をまずお伺いしたいのであります。
 また、政府は今回の所得減税によって、わが国の所得課税最低限は欧米先進国並み、あるいはそれ以上の水準に達し、国際関係比較の上からも決して遜色はないとの判断をしておりますが、このような国際比較からの減税論は全くナンセンスであります。額は確かに欧米並みになりましたが、わが国の物価上昇率は先進国中第一位であり、また、個人の所得水準、社会事情、給与体系、税体系の異なるこれら諸外国と、所得税の課税最低限だけを比較することがいかに無理なことか、指摘するまでもないのであります。むしろ国民生活の実情から考えてみても、この際わが党の主張する所得課税最低限、独身世帯四十八万五千円、親子五人世帯百五十万円まで引き上げるべきであると提唱するものでありますが、総理及び大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 またさらに、税の不公平を税制面で代表しているのは各種の課税優遇政策であります。すなわち、輸出振興や資本蓄積促進などの名目で実施されている各種の特別措置によって、四十五年度の減税額は国税及び地方税へのはね返りを合わせて五千億円を上回る額に達しているのであります。明年度の所得減税額千六百億円と比べて実に三倍に達する減税額であり、大企業への超サービスぶりがうかがえるのであります。特にこの中で見のがせないのは、交際費課税の特例であります。企業の交際費はいまや公害予算の十倍もつぎ込まれており、飲み食い接待等は、明年度はその額が一兆円をこえようとしております。そして、その原因は放漫な交際費の支出を認める税制と、政府の企業に対する過保護政策にあることは明白な事実であります。にもかかわらず、政府与党が交際費課税の強化にどうしても踏み切れないのは、政治献金等に直接影響を及ぼすからであるともいわれております。政府は、このような国民の疑惑をはらすためにも、税負担公平の原則の税法のたてまえからも、勇断をもって、大企業優遇の租税特別措置の改廃、なかんずく交際費の非課税限度を現行の半額まで引き下げる意思があるかどうか、お伺いしたいのであります。
 さらに、自動車新税についてでありますが、政府は、道路財源として自動車重量税の名のもとに、車検を受ける自動車を対象として、その保有者に、重量に応じて課税することとしております。そして、初年度四百億円、平年度千六百億円の税収を見込んでおりますが、四百億円の支出内容も明らかでなく、むしろ取りやすいところから取るという印象を与えるものであります。税理論からしてもまことに不可解なものであり、むしろ四十七年度から設置を予定されている自動車重量税を財源とする総合交通特別会計を含めた総合体系の確立が先決であると考えられますが、この点について大蔵大臣の御所見を伺いたい。
 また、大蔵大臣は、間接税の洗い直しを行なうと、たびたび国会で約束しておりますが、現在の間接税、特に物品税の体系は国民生活とは大きくかけ離れているのであります。一例をあげれば、日常生活必需品であるみそ、しょうゆには税がありませんが、同じ日常必需品の砂糖には一キログラム十六円の砂糖消費税がかかっており、実に卸し価格の約一五%になっております。この一五%という比率は、乗用車や電気冷蔵庫の物品税と同じであります。ダイヤモンドでさえ二〇%であることを考えると、こういう税のあり方は早急に是正さるべきでありますが、いつまでに一体洗い直しをするのかどうか、お伺いしたい。政府は、砂糖消費税については嗜好品であるからという答弁を繰り返しておりますが、生活の中では嗜好品でないことは明白であり、さらに、砂糖には一キロ当たり四十一円以上の関税がかかっているのでありますから、少なくとも十六円の消費税は廃止すべきであると思うが、どうか、所見を伺いたい。
 総理は、施政方針演説の中で、「社会の健全な発展と国民の福祉を確保するためには、社会保障体制の整備をはからなければならない」として、それぞれの項目をあげ、改革をすると述べておりますが、内容的にはきわめて具体性に欠け、ただことばの羅列に終わった感を受けたのは、私一人にとどまるものではないと思うのであります、社会福祉施設の貧困、恵まれない老人、母子家庭あるいは心身障害者などに対する救済措置の不備、医療体制の混乱など、いずれを見ても社会福祉の立ちおくれは、総理のことばとは逆に、生きがいを失なわしめる方向をたどっているのであります。国民大衆に希望を与えられる明確なビジョン、及び具体的内容と実施計画を国民の前に示すべきであると思うが、特に老人、児童、婦人、身体障害等に分けて、その目標と計画を示していただきたい。
 また、憲法第二十五条に定められた理念に基づいて、社会保障に関する施策の原則、国及び地方公共団体の責務、施策の基本となる事項を定め、社会保障制度を総合的に整備するために、社会保障基本法の制定を急ぐべきではないかと痛感するものでありますが、所信のほどを伺いたい。
 今国会の焦点といわれている健康保険料の改正についても、同様の問題があることを指摘しておきたいのであります。四十五年度末における健保関係の赤字は、政管健保が千九百五億円、日雇健保が千百九十二億円、しかも四十六年度にはさらに七百億が上積みされる予定であります。これに対して政府の行なった措置は、再診料の新設など、患者の一部負担増、あるいは家族の医療給付割合を五割から七割に引き上げるとか、標準報酬月額の最高限度を引き上げるなど、被保険者、患者の負担を大きくふやし、医療給付側の負担には何ら手がつけられていないのであります。これらの施策は、率直に申し上げて一時しのぎの赤字対策以外の何ものでもありません。特に再診料百円の新設、入院中の食費引き上げなどは、政管健保の加入者が所得の低い中小企業に多いことを考えるならば、かなり家計負担の拡大となり、受診抑制を招くことにもなると思うのでありますが、総理はこのたびの各種の引き上げについてどのように考えられているのか、率直な答弁をお聞かせ願いたいのであります。
 また、国民が最も不満に思うことは、なぜ健保対策が常に収入面からのみ考えられ、支出面の不合理を是正して医療費のむだづかいを解消する対策を真剣に取り上げないのかということであります。昨年一月の九・七四%の医療費値上げで、総医療費は三〇%も急増しており、この調子でいけば、ことし医療費が上がれば一そう赤字対策を考えなければならないのであります。医療費の急増とそれに基づく健保財政の赤字は、技術を尊重しない診療報酬体系の合理化、現物給付、でき高払い方法の再検討、乱検査、乱投薬の厳重な監査など、医療制度の抜本改正を抜きにしては永久に解決できないのであります。一歩一歩不合理を是正していかなければ、国民は負担の増大を絶対認めることができないのであります。したがって、圧力団体の抵抗を口実とする赤字対策だけでは、とうてい国民の納得は得られないと思うものであります。総理は、この辺で真剣に抜本改正への決意を固めるべきであると思いますが、決意のほどを伺いたいのであります。
 総理は、五年前の五十一国会の施政方針演説において、「住宅は、国民のいこいの場、家族の親睦の場であり、青少年の人間形成の場として、健全な社会の基礎をなすものであり、住生活の安定なくして国民生活の安定はない」、このように述べ、昭和四十五年度末までに一世帯一住宅を実現すると、国民の前に決意のほどを明らかにしましたが、五年後の今日、その現状はどうでありましょうか。東京、大阪等の大都市圏の住宅難世帯はほとんど減少しておらず、いまなお全国で三百六十万世帯にのぼる住宅難世帯が存在しており、その大部分は民間木造賃貸アパート住いとなっております。その契約内容は、六畳一間で家賃が一万円をこえ、さらに入居の際には、おおむね、ただとられてしまう礼金が家賃の一カ月から二カ月分、権利金、敷金が同じくそれぞれ一カ月から二カ月分、不動産業者の紹介料が一カ月分となっております。特に大阪においては東京の場合と異なり、保証金という名目で、入居時の一時金を半年から一年分支払わなければならない慣習となっております。すなわち、六畳一間で一万円程度の家賃のところに新たに入居するのに必要な一時金の総額は、少なくとも東京では五万円から八万円、大阪では七万円から十三万円くらいであります。そして、二年ごとに一カ月から三カ月分の契約更新料を取られ、一方的に一〇%以上も家賃が値上げされるのであります。その上、子供が生まれたら出ていかなければならないという契約をしいられ、さらに、プライバシーの侵害に気を配らなければならないような劣悪な木造賃貸アパートに耐え忍んでいるありさまであります。その詳細な実態については、先日わが公明党が発表した「民間木造賃貸アパートの実態調査」が如実に物語っております。しかも、今後ますます核家族化が進行するであろうことが予想されるのであります。すなわち、これからの五年間には、戦後二十二年から二十四年にかけてのベビーブームのときに誕生した若者が一斉に結婚適齢期を迎えるのであります。すでに四十五年度には三十一秒に一組の割合で新しい家庭が生まれ、実に百万組を突破しておりますが、バラ色の未来を期待している若者にとっては、その夢とは反対に、大半が、さきに述べた木造賃貸アパート住まいとなっているのであります。このような状況を考え合わせるとき、現下の住宅問題は心底から国民の生きがいを奪っていると言っても過言ではありません。住宅よこせ都民大会に象徴されるごとく、政府の施策に対する怨嗟の声が日増しに高まっている現況を、総理は、はたして御存じでありましょうか。改善されていない住宅事情について、住宅宅地審議会は、最近の答申の中で、「四十一年度に策定した住宅建設五カ年計画が過小であったことによる」と、その原因を指摘し、大都市の勤労者に対する公的住宅の画期的拡充を強く要請しております。当然、政府はこれを受けて、公的住宅の割合をふやすべきであり、公営住宅への入居基準も大幅に緩和すべきではないでしょうか。また、当面の措置として、弱い立場に立たされている借家居住者を保護し、合理的な市場を形成するために、昨年の六十三国会においてわが党が提唱し、総理が検討を約束された家賃の公示制度を早急に実施するとともに、貸し家、貸し間の契約内容を規制し、適正化をはかるための立法措置を講ずべきであると考えるものでありますが、総理の所信を伺いたいのであります。
 いずれにせよ、国民は、一世帯一住宅が実現するその日が一日も早からんことを願っております。総理は、今度こそ、五年後の昭和五十年までには必ず一世帯一住宅を保証すると国民に確約すべきであると思いますが、具体策を通して決意のほどをお伺いしたいのであります。
 最後に、万国博会場のあと地利用についてでありますが、欧米諸国では、「初めにあと地あり」ということばがあるくらいに、会場のあと地利用を重視して、万国博誘致の時点ですでに利用計画をきめているのであります。ところが、わが国においては、あと地をめぐって、やれ公務員宿舎にしたいとか、古米の倉庫だとか、砂糖に群がるアリのように、政府各省庁のぶんどり合戦が入り乱れるという醜態を招き、やっと昨年の末になって万国博跡地利用懇談会の答申がまとまるといった超スローモーぶりであります。答申では、非常識な切り売りプランを退け、国民の要望にこたえて、会場あと地全域を緑に包まれた文化公園とし、一括利用を強く打ち出しております。
 申すまでもなく、公園や緑地は、都市のアクセサリーではなく、むしろ都市の健康を保つ栄養剤であり、文化の成長をはかるバロメーターでもあり、未来への遺産となるものであります。さらに、それは、公害の防波堤であり、汚染された空気を清浄にするフィルターでもあります。このような観点からも、政府は当然答申を尊重すべきであり、実質的な切り売りとなることは絶対に排除すべきであると思いますが、その決意のほどをお伺いしたいのであります。また、この緑に包まれた文化公園にどのような文化的施設を誘致するのか、あわせてお伺いしたいのであります。
 なお、今後の運営については、万国博の運営収支の黒字百六十四億円を基金とした記念財団をあてる方向が答申で示唆されているのでありますが、政府をはじめ地元の大阪府及び大阪市などの協力体制がなければ、緑に包まれた文化公園は絵にかいたもちとなることは明らかであります。そこで、進歩と調和の遺産を生かすための協力並びに実行体制について総理の所見をお伺いしたいのであります。
 以上、人間らしい、生きがいある人生を送りたいという国民の切なる願望をくみ取り、総理並びに関係閣僚の誠意ある答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(佐藤榮作君) 田代君は質問演説の冒頭で、いわゆる現代社会の諸問題を幾つか列挙されました。確かにわが国における人間疎外の要因は枚挙にいとまがないほどでありまして、抜本的な対策を必要とするものばかりであります。私は、政治の責任者として常にこの現実を直視しておりますが、「福祉なくして成長なし」と申しましたのもこのような認識からであります。しかし、具体的な対策については時間のかかるものもあり、あるいはかゆいところに手が届かないもどかしさを感ずるものもあります。それだけに、私は、政治の力を究極的に国民の福祉達成に結集しなければならないと信じております。各位の一そうの御協力をお願いいたすものであります。
 次に、物価についてでありますが、四十六年度の上昇率を五・五%に押えることは決して容易なものとは思っておりません。物価上昇の要因を詳細に分析し、それぞれに対応する対策は適時適確に講じていくことが何よりも大切で、何をきめ手とするという性格のものではないと考えております。田代君は、さきの施政方針演説であげた対策は、従来と同じものを羅列したにすぎないと言われますが、対策の重点には何ら変わりないのであります。また、昨日、社会党の秋山君にお答えしたように、私はいま直ちに所得政策を導入するような考えは持っておりません。賃金問題が物価問題に占める重要性にかんがみ、当面する春闘には深い関心を持って見守ってまいりたいと、かように考えております。四十三年以来、生産性の上昇を賃金の上昇が上回っていることもよく御理解いただきたいと思います。また、新経済社会発展計画においては、昭和五十年度の上昇率を三・八%と見ておりますが、この実現もきわめて容易ならざるものがあります。適正な経済成長を維持しつつ輸入政策の積極的活用をはかるなど、継続的な努力が必要であり、極力目標数値に近づけるべく全力をあげてまいります。
 次に、生鮮食料品対策についてでありますが、直接国民生活に直結する問題でもあり、十分適切な対策を進めてまいります。もちろん、生鮮食料品価格安定対策本部、これを設置したからといって、それだけで実効があがるとは考えておりません。この本部の総合的な指揮のもとに、昨年秋の物価安定政策会議の野菜価格安定に対する提言も着実に実行する考えであります。特に、流通機構の改革のための卸売り市場制度に関する提言の趣旨は、現在継続審議中の卸売市場法の内容と一致したものであり、法案の早期成立をはかり、卸売り市場の計画的整備とその取引の改善合理化につとめてまいります。これは同時に、御指摘の一部産地商人による思惑買いによる価格操作の対策としても十分効果があるものと考えます。
 また、公共料金については、これを全面的に据え置けとの御意見でありましたが、来年度においては、主要な公共料金は据え置き、必要やむを得ざるもののみ若干の値上げを認めたものであり、政府主導型の非難は全く当たらないものと考えます。また、公営企業一般について野放図な経営のまま放置しているものではなく、経営の合理化には十分配慮しております。なお、田代君は、物価値上げの責任を国民に転嫁しているとの御意見でありましたが、決してそのようなことはありません。サービス料金のように消費者にとっての物価が、すなわち所得である場合が少なくないし、また、たびたび申し上げるように、消費の態度にも改善すべき余地は多分にあるのであります。このようなことを十分御認識いただきたいと考えます。
 また、私鉄運賃と政治献金についてお話がありました。政治献金とはきなくさいものと頭からきめてかかるようなことはやめていただきたいと思います。政策に共鳴する政党に対して、成規の法手続のもとにその活動経費を献ずることは、何らうしろ指をさされる性格のものではないはずであります。いろいろ大臣も御指定でありましたが、ついでに私からお答えをしておきます。
 次に、バス、トラックの運賃改定及び郵便料金改定の手続について御意見がありましたが、いずれも所管省において、ただいまその是非について検討中のものであります。タクシー料金の問題について具体的にいろいろの御意見が述べられておりますが、これは運輸大臣からお答えをいたします。
 次に、独禁法の改正、強化については、現在管理価格の実態把握につとめておるところであり、その調査結果を待って検討したいと考えますが、当面は独禁法の厳正な適用によって公正な競争の維持及び消費者保護につとめてまいりたいと存じます。また、カルテルについては、自由な競争を妨げ、物価上昇等の弊害を生ずることのないよう十分に留意することが必要であり、政府としても許認可制の再検討、カルテル規制の強化等の検討を進めておるところであります。
 次に、税の問題について。まず来年度減税の規模が過小であるとの御意見でありました。昨年度が大型減税であったので特に目立つかと思いますが、ここ数年の減税状況と比べて特に遜色があるわけではありません。国民負担の問題は、行政水準の向上とのかね合いにおいて御理解いただきたいものと思います。所得税の課税限度の引き上げであるとか、あるいは租税特別措置の改廃等については大蔵大臣からお答えをいたします。
 次に、社会保障に関連して幾つかの御質問がありました。社会福祉は国民福祉の向上をはかるためのものとして、四十六年度予算でも重点政策としてその充実をはかったものであります。社会保障給付費の伸びは先進諸国中最高の伸び率を示しており、近年着実に充実していることは田代君もよもや否定されるとは思いません。今後とも、福祉なくして成長なしの中身を形づくるものとして、社会福祉の充実につとめてまいる決意をまず申し上げておきます。
 さて、田代君は、まず老人、児童、身障者等、それぞれに今後の目標、計画を示せとの御希望でありましたが、いまこの機会に詳しく申し上げるわけにもまいりません。関係審議会からそれぞれ答申をいただいておりますので、その答申を尊重しつつ、きめこまかい施策を進めてまいることのみを申し述べておきます。(「総理の決意を聞いているんだ」と呼ぶ者あり)決意は、ただいま申し上げたとおりであります。
 次に、社会保障基本法の制定は現在のところ考えておりません。社会保障制度の体系的整備と内容の充実については十分配慮してまいります。
 健保の改正について幾つかのお尋ねがありましたが、これは厚生大臣からお答えをいたします。
 次に、住宅問題についてでありますが、第一期住宅建設五カ年計画が、全体として計画どおりに進捗したにかかわらず、人口の都市集中や急速な核家族化のため、なお大きな課題として残っております。このため政府は、昭和四十六年度を初年度とする第二期住宅建設五カ年計画を策定し、強力に住宅対策を推進することといたしました。この計画は総戸数九百五十万戸、このうち公的住宅の割合は、住宅宅地審議会の答申に沿って、総戸数の四〇%、三百八十万戸とする考えであります。また、公営住宅の入居基準につきましても、実情に即した改善を行なう予定であります。その他具体的なお尋ねが幾つかございましたが、これなどは建設大臣からお答えをいたします。お聞き取り願います。
 最後に、万博あと地の問題でありますが、田代君御懸念のように、これが切り売りされることは決していたしません。日本万国博覧会を記念する公園として、一括的な利用の確保をはかるため、国と大阪府とが相協力して、折半保有することとしておりますが、跡地利用懇談会の答申のとおり、緑に包まれた広い意味での文化公園として、統一的な計画のもとに、一括して利用する方針であり、その利用にあたっては、世紀の日本万国博覧会の開催を記念するにふさわしい、後世に悔いを残さぬものとしたいと念願しております。万国博が、国と地元との緊密な協力のもとに成功をおさめた経緯からしても、今後とも関係者の十分な意思疎通の上に、有終の美を飾る決意でありますから、御安心いただきたいと思います。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(佐藤一郎君) 田代さんにお答えいたします。
 物価政策について総理から一通り御答弁いただきましたが、それの私の補足を申し上げます。四十六年度の五・五%の実現、あるいはまた昭和五十年に三・八%というのは、一体実現できるかと、こういうお話でございます。五・五%の点も確かに困難はございますが、特にいろいろと、もちろん各種の物価対策が御存じのように考えられておりますが、特にさしあたっては生鮮食料品を中心とする季節商品対策、これにやはり何といっても重点を置かなければいけないと思います。これが二〇%も上がっておるという実情でありますので、他の努力を打ち消してしまう。そういう意味においても、今年は特にこれに重点を置かなければいけない。まあそういうことで、生鮮食料品の供給体制の確立等、農林大臣とも十分協調して、このほうの実現をはかってまいりたい。
 また、公共料金は、御存じのようにそういう意味もありまして、一年据え置きという原則を立てたようなわけでございます。ちょうど景気も鎮静化しておりまして、卸売り物価も、御存じのように前年比でほとんど横ばいというような状況になりつつある状況でございますから、われわれとしても、できるだけ五・五%の実現につとめてまいりたい、こう思っております。三・八%の問題は、まあいわゆる長期的な物価対策ということで、安定成長路線を実現し、その上に構造対策あるいは特に輸入の自由化対策、こうしたものに力を入れて、何とかその方向に持っていきたい、こういう考えを持っているわけであります。
 それから、所得政策につきまして、所得政策よりもまずほかの物価を押えることが先じゃないかと、こういうお話でございました。われわれも、もちろんそういうことを中心にして今後も考えてまいるつもりでございます。ただ、ちょうど景気が鎮静化してまいりますと、生産性がどうしても落ちてまいります。そういう意味におきまして、従来のような高い上昇率がさらに加速化してまいりますと、今後欧米的な意味でのコストプッシュというような様相がだんだん濃くなってまいります。そういたしますと、どうしても物価と賃金の問題を度外視するわけにはまいらなくなる状態が出てくると思います。そういう意味におきまして、われわれもこの面について非常に注目をいたしております。それからまた、もちろんほかの政策ですべて片づけば所得政策は必要ないわけであります。ただ問題は、所得政策自体をとるにしても、ある程度の物価が高過ぎるときには、これはとれないですから、われわれもそのお気持ちはよくわかっておるつもりであります。まあ政府としましては、目下、委員会で検討をしておる問題でございますし、今後の物価動向を十分見まして慎重に対処するつもりでございます。
 それから、公共料金の据え置きにつきましては、できるだけ政府としても努力したいと思います。今回郵便料金の一部につきましては、残念ながら多少の例外がございましたが、とにかく一年据え置くと、こういうことでやってまいりたい、こう思っております。
 それから、高い生産性の実現されている企業の価格の引き下げの問題でございます。これはもちろん、この生産性の高いものの成果をできるだけ消費者にも配分する、これはわれわれも全く同感でございますし、そうしたことを今後も期待したいと思います。まずそれには実態の把握が十分でないといけないのでありますが、意外にこの実態把握について多くの困難がございます。私どもも、こうした問題についていろいろ議論のあることはわかっておりますけれども、今後も独禁法の運営を中心にしまして、この実態把握につとめてまいりたいと思っております。で、ただいま特に工業製品につきましては、通産省等が製品別に価格や流通等についての協議会、こういうものを設けようとしております。そうしてその実態、動向の把握とともに、物品によっては行政指導をやってまいる、こういうようなことも考えておるところでございます。
 それから、カルテルを容認したり、過剰行政介入をやめたらどうかと、こういうお話でございまして、現在、中小企業団体法あるいは環境衛生法、酒団法、これらに基づくカルテル等が八百くらいあるという御指摘でありました。これにつきましても、現在、通産省等では、このカルテルについて、すでに相当目的があったものが全然なくなってきたり、あるいはまた生産性の非常に低い限界企業を温存するおそれがある、こういうようなものにつきまして再検討いたしておりまして、逐次、これを廃止するという方向で検討をいたしておるところでございます。われわれも、そうした方向でもって今後この問題を扱ってまいりたい。また、いわゆる行政介入の問題等につきましても同様でございまして、これは、われわれとしても一つ一つ着実に、この点の解決をはかってまいりたい。こう思っております。
 酒のカルテルについてお話がございましたが、これにつきましてもカルテルを五年というのを、その実施期間を短縮する、場合によって増石割当制度をもっと弾力化すると、こういうことまで一応考えたい、こういうふうに考えているような実情でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(福田赳夫君) ミニ減税という御批判でありますが、これに対しましては、私はいろいろ申し上げたいことがあるんです。ありますが、総理から大かたの答弁がありましたので省略さしていただきます。
 次に、課税最低限を、まあ大幅に引き上ぐべきであるという御所論であります。これは私もそう思います。思いますが、しかし、これは一挙にやるわけにはいかない。まあ着実にやっていかなけりゃならぬと、かように存じまして、昭和四十六年度の税制改正におきましても御審議をお願いするわけになっております。この案によりますと、御承知のように、日本では四人家庭では九十八万円の課税最低限に相なるわけであります。これはアメリカの百三十万円、これに比べますると低いです。しかし、イギリスの七十七万円、ドイツの七十八万円に比べるとはるかに高い。まずまず、まあがまんどころじゃありませんかと、かように考えておる次第でございます。
 次に、租税特別措置について改廃を検討せよと、こういうお話でございますが、そのように考えておりまして、昭和四十六年度税制におきましては、特に輸出減税措置につきまして手直しを行なうことにいたしております。なお、御指摘のありました交際費につきましては、損金算入割合を六〇%から七〇%に引き上げるという措置をとっておるのであります。なお、非課税限度を半分にしたらどうだというお話でございます。これは、いま非課税限度は、各企業、中小も大企業もあわせまして四百万円となっておる。それを半分にせいというようなお話かとも思いますが、もししかりとせば、これは中小企業に非常に大きな影響があるわけであります。これは中小企業対策としての限度であります。さようなことで、特に慎重に考えなければならぬ問題だと、かように考えております。
 なお、自動車新税は総合交通政策が立った上でなけりゃならぬじゃないかという所論につきましては、先ほどお答えを申し上げたとおりであります。
 次に、間接税の洗い直しをいつするんだと、こういうようなお話でありますが、私はいまの日大の税制体系、これが直接税に偏重しておる、それが租税負担感ということになってあらわれてきておると、こういうふうに思いますので、今後とも所得税の減税につきましては、年々努力をいたしていきたい、こういうふうに考えておるのであります。しかし、そのよって生ずるところの財源欠陥をどうするかということになりますと、これは間接税に求めるほかはないのです。どこの国でも大体においてそういう体制をとっております。アメリカは別でありますが、その他の国々は、やはり直接税、間接税のバランスというものを十分とっておるわけでありますが、どうもわが国の状態は直接税偏重がだんだん強くなる、そういうことを考えまするときに際しまして、いまヨーロッパ諸国において付加価値税というものを広範に取り入れておるわけであります。それを日本でも取り入れたらどうかという強い議論が出てきておるのであります。さあこれをやるとすると、やはり三、四年間の準備期間を要するような状態であります。まあしかし、それがわが日本において取り入れることが可能であるかどうか、こういうことを中心にいたしまして間接税全体の見直しをいたしたい。しかし、そういう根本的な改正を待つまでもなく、物品税につきましては、まあ物品が多種多様化しておる、それがさらにどんどんと進んでおる、また高級化という趨勢も進んでおる、そういう社会現象がありますので、それに対応して見直しをしたい、こういうふうに考えておるのでありまするが、一つを動かすと他に非常に大きな影響があるのです。そういうような関係で四十六年度税制改正に間に合わなかった、私もちょっと残念に思っておるのでありますが、今後とも物品税の見直しにつきましては努力を重ねていきたい、かように考えております。いまこの問題につきましては税制調査会にも意見を聞いております。税制調査会におきましては、まあ夏ごろまでに今後の消費税体系をどうするかということについての意見を述べてくださると、こういうことになっておることをつけ加えて申し添えます。
 砂糖消費税を廃止したらどうかというお話でございまするが、この消費税は、わが国の甘味資源開発対策としては非常に大きな働きをいたしておるのです。これを廃止するということ、それはちょっとそういう方面に大きな影響があります。同時に、砂糖というものが七割以上は菓子、飲料、そういうものに使われておるのです。さあ、その砂糖消費税を下げましたといった場合に、はたして菓子の値段が、飲料の値段が下がってくるかというようなことを考えますと、物価対策としてはその大きな働きをしないんじゃないか、そんな感じもするのでありまして、ただいま砂糖消費税を全廃する考えは持っておりません。しかし、なお今後の検討問題にさしていただきたい、かように存じております。(拍手)
   〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(内田常雄君) 社会保障制度に対する政府の姿勢、ビジョンなどにつきましては、総理大臣からお答えを申し上げたとおりでございますが、お尋ねがございました老人、児童あるいは婦人、身体障害者等に対するそれぞれの施策、老人の福祉施策につきましては、先ほど私から御答弁を申し上げましたように、年金などを含む所得の保障、あるいは疾病の医療問題、さらにはまた老人の社会活動や生きがいなどの物心両面にわたる施策を、明年度においてはかなり思い切って取り入れておるところでございます。
 児童につきましては、たいへん各方面から御要望のございました児童手当を、明年度中に実施に踏み切ることにいたしておりますほか、児童の健全育成という面から、保育所なども思い切って増設、充実をいたす所存でございます。
 また、婦人に対する福祉の対策につきましては、乳幼児、妊産婦等に対する施策をも含めましたところの母子保健対策というようなものを充実をいたしたり、また、母子、寡婦などの世帯に対する生活の福祉等につきまして、充実の措置を講じております。
 身体障害者の問題につきましては、これは育成医療の問題やら、あるいはまた社会復帰の問題やらを含めまして、これも私どもは手広くいろいろな施策を明年度は充実はいたしておりますが、ことに本年の四月からは、かねて数年がかりで計画をいたしてまいりました高崎における国立の身体障害者の施設に、いよいよそういう障害者を収容するようなことも始まりますので、それを一つの例にしながら、さらにその方面の施策を推進をいたしてまいりたいと考えております。
 保育所ばかりでなしに、社会福祉施設が全体として立ちおくれておったと私は考えるものでございますので、四十六年度におきましては、大蔵大臣とも十分相談をいたしました結果、この方面に相当の政府の補助金予算を増額することができましたので、保育所に限らず、先ほども申しました老人ホーム等をも含めまして諸般の施策を充実をしてまいる所存でございます。
 御提唱がございました社会保障基本法の問題につきましては、総理大臣からお答えを申し上げたとおりでございます。
 私に残されましたもう一つの大きな問題で、今国会に提案を私どもが考えておりますところの健康保険法の改正の問題でございますが、これは従来、昭和四十一年、四十二年、さらに四十四年と、このところ数回、引き続きまして、特例的な財政措置というようなことを主たる内容とした改正を企図いたしまして、いろいろ国会の内部におきましてもごめんどうをかけてまいりました。その際、政府の言明もございまして、昭和四十六年度から抜本改正に踏み込んだ施策を国会にもお示しすると、こういうことに実はいたしておりまして、昭和四十四年から社会保障制度審議会、あるいは社会保険審議会などに政府の抜本改正案という参考の意見をつけまして諮問をいたしてまいりましたが、この二年近くの間に両審議会とも、抜本改正の本体につきましての最終的な結論が出ていない。こういうことでございます。しかし、中間的にはいろいろの御意見もお示しいただいておりますので、今回の提案いたします健康保険法の改正におきましては、そういう抜本改正につながるという考え方からの内容を私どもは盛り込んでおりまして、ただ一時しのぎの赤字対策ということの特例的な、いままでのものとは違うものとして御相談を申し上げる所存でございます。
 簡単に申し上げますと、第一には、先ほどもお話にございましたように、相当巨額の赤字が積もってまいりますので、それをこの際思い切ってたな上げして、その利息をも含んで、保険以外で、政府の責任で処理してもらうということ、また政府の、これらの勤労者保険に対する補助金というようなものも、従来のような定額、たとえば二百二十五億円というような定額補助ではなしに、医療費に対する定率補助の制度を思い切って導入をすることにいたしております。
 また、制度の改正の内容につきまして、これは先ほども申し上げましたが、老人医療の問題に一歩を踏み込みまして――と申しますのは、抜本改正案におきましては、御承知のように、老人医療保険というものを別に一本でつくろうという構想を示されておるのでありますが、これに対しまして最終的な御答申がございませんので、それに近づく方途といたしまして、勤労者が長年勤続して、企業、つとめ先をやめた場合には、当分の間は従来の保険に入っておると同じような、十割の継続給付を受けられるというような制度を設けるとか、あるいはまた、家族の方は従来五割給付でございますけれども、それをお年寄りの方には七割給付に引き上げる、これを引き上げるということは、負担を引き上げるというのではなしに、保険でめんどうを見る範囲を広くすると、こういう趣旨で、そういうことを取り入れましたこの改正案を出しております。
 御意見にありましたような、患者の一部負担でありますとか、あるいは標準報酬の実情に即する合理的な改正などもございまして、御批判はあるところだと存じますが、私どもは決してこの保険制度を悪くするということではなしに、抜本改正とからんで、思い切った政府の措置で内容もよくするということで計画をいたしておりますので、これはまたあらためて委員会等で十分御相談を申し上げ、御賛成を得たいと思うわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣根本龍太郎君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。
 総理から住宅政策の今後のやり方について決意のほどが示されましたのでありまするが、その内容について若干補足御答弁を申し上げます。
 昭和四十六年から始まる新しい住宅政策は、私のほうで要求したとおり大蔵省が認めていただきまして、九百五十万戸、そのうち、御質問がありました住宅審議会の答申の線に沿うてというのでございまするが、答申されたとおりこれは配分いたしております。すなわち公的住宅については四〇%の三百八十万戸でございます。民間のほうが多いじゃないかという御指摘もありまするが、本来、一般の持ち家が一般国民の手によってできるということが望ましいことでございます。ところが、これが宅地が高い、あるいは税制上、あるいは資金上なかなかできないために、公的住宅に殺到してくる、そのために勤労者並びに低所得者が非常に困るということにこの住宅問題のむずかしさがあるのであります。
 そこで今回は土地政策を進めるとともに、税制上あるいは金融上、さらには労働省で進められておる勤労者財産形成施策、あるいは郵便貯金における住宅資金の優遇、それから開銀等の資金を住宅政策に活用すると、こういうことによりまして相当進展する予定でございます。
 それから、総理が前にお約束になりました一世帯一住宅、これはほんとうに進められるかということでございまするが、これは進める予定で、五十年にこれは目的を達成するつもりで、その一つとして現在の新しい五カ年計画ができておるのでございます。内容といたしましては、小世帯については九畳程度は必ず確保する。それから一般家庭におきましても、これは家族構成によって違いまするが、十三畳程度は確保するということでございます。
 それから御提案になりました家賃の公示制度を法的に措置してはどうかということでございます。これは地価の公示制度と同様な発想で、発想としては私も共鳴いたすのであります。
 それからまた、貸し家、貸し間の契約内容を法的に規制してはどうかということでございまするが、この発想も共鳴するところがありまするが、住宅は御承知のように、その建てた時期、立地条件、あるいは材料等、いろいろの条件がございますので、いろいろ検討してみたけれども、いま直ちにこれを立法するには必ずしも適当ではないということで、いまちゅうちょしております。今後引き続き検討いたしてまいりたいと思う次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣橋本登美三郎君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(橋本登美三郎君) 総理に御質問でありますが、運輸大臣直接の問題でもありますので、私からお答え申し上げます。
 バス、トラックの運賃改定を運輸審議会からはずすことは好ましくないじゃないかという御質問であります。この問題は目下検討中でありまして、最終決定には至っておりません。ただ、検討すべき理由といたしましては、第一には、行政簡素化のために必要があろうということ、第二には、地方的な、いわゆる地方の地域のバス、トラックというものの運賃につきましては、かなり実情が相違をいたしております。場所によっては非常に自然的条件その他の条件が違いますので、ある意味においては、合理的な料金をきめるのには、そうした中央での審議会よりは、地方の陸運局のもとにおいて何らかの諮問機関でこれを考えていくと、このほうが合理的ではなかろうかということで、目下検討中でありますので、最終的な段階においてまた御報告する機会があろうと存じます。もちろん、したがって、長距離、あるいは数県にわたるようなバス、トラックの料金につきましては、従来どおり、もちろんこれは審議会の取り扱うべきものとして考えていこうと考えております。
 なお、第二の問題は、大阪の郊外タクシーの値上げの問題ですが、実は御承知のように、大阪市内のタクシー運賃は昨年の当初に改定をいたしました。その後、大阪の郊外につきまして、種々なる事情と言いましょうか、情勢の変化等によって、何としてもタクシー事業の経営が困難である、こういうようなことがありまして、値上げの申請があったわけでありまして、まあ慎重審議の結果、やむを得ない。これは御承知のとおりに、ある地域で、これも私、視察に行った結果でありましたが、坂道料金制度というのが昔あったそうであります。ところが、これが廃止になったために、そこにはなかなかタクシーが行かなくなった。そこで、ハイヤーを頼んで行かなければならぬというので、かえって国民生活の上には部分的には悪影響を与えたというような例もありますので、やはり適正な料金というものはやむを得ないということで、これは許可をいたしたのであります。
 なお、無線のタクシー料金の問題ですが、実は、この無線タクシーが始まります際に、大体一台について、いわゆるこの新しい資本投下に四十万前後の金がかかります。こういうことからして、この無線タタクシーの場合には新しい料金制度をつくるべきだという考え方で無線タクシーが出発をいたしたのでありましたが、当時はまだ経験が薄いものでありますからして、したがって、当時これを設定するに至らなかった。一昨年あたりからこの問題が具体的になってまいりまして、そうして、何としても一個当たり四十万程度の新しい資金の投下が必要である、のみならず、オペレーター等に相当数を要しますので、ぜひともこの料金制度を新たにつくってもらいたい、こういう申請が強くあったわけであります。したがって、これはタクシーの基本料金の改定ではございません。いわゆる料金値上げとは別個の問題だと私は考えております。しかしながら、これらはもちろん国民生活に影響があるのでありますからして、慎重に取り扱ってはおりまするが、現在、東京、大阪から申請が出ておるような次第であります。もちろん全体的な物価問題等を考慮いたしまして、慎重に対処をいたしてまいりたいとは存じておりまするが、事情を申し上げますれば、以上のような理由で申請が出ておる、こういう点を御了承願いたいと思います。(拍手)
#29
○副議長(安井謙君) これにて午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十二分開議
#30
○議長(重宗雄三君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。向井長年君。
   〔向井長年君登壇、拍手〕
#31
○向井長年君 私は、民社党を代表いたしまして、総理はじめ各閣僚の施政方針演説に対して質問をいたしたいと存じます。
 本論に入る前に、総理に私はただしたいことがございます。あなたは、昭和三十九年秋以来、足かけ八年間、総理大臣を歴任するという、憲政史上の新記録をつくられたのですが、去る二十二日のあなたの施政方針演説を、私は静かに聞きまして痛感したことは、あなたが列挙した国政上の課題、すなわち、中国問題、日米関係、物価、公害、住宅、道路並びに米、国鉄、健保のいわゆる三K問題、そして公害処理等々、すべて六年間余りの長い間たなざらしにしてきた案件であり、すなわち、打開すべき責任を回避して、毎年懸案のまま繰り越しを重ねてきた問題の蓄積と言わなければなりません。総理、責任を痛感いたしておりますか。ひるがえって、私どもも、国民に対して、革新野党が政権交代する力のない非力さをいまさらのごとく自覚し、反省をいたしております。特に総理はこの問題に対して、国民にどう解明しようとするのか、お答えをいただきたいのであります。
 私は、あなたにお伺いしたいことは、あなたの憲政史上の最長記録といわれる総理歴任は、国民の希求する諸問題に対し、勇断をもって強力な指導性を持つことではないでしょうか。国政は各国務大臣の担当政務の寄り集めではありません。国政はすべて総理一人の大きな責任なのです。私は国政停滞についてあなたの過失はあまりにも大き過ぎると断ぜざるを得ません。総理は国民に対して何と申し開きをいたしますか、この点についてお伺いをいたします。
 さて、本論に入りますが、第一に総理にお伺いしたい点は政治の基本であります。激動する国際社会に対して佐藤内閣の世界政策は何かということであります。自民党のグローバル・ポリシーは何かということであります。アメリカは米ソ対立から平和共存に方針を転換いたしました。いまやベトナム戦争終結のために苦慮をいたしておるのであります。EEC諸国はそれぞれの国境を越えてEECとしての地域共同化に生き抜こうとしております。このようなそれぞれの国、それぞれの民族が、長い年月をかけて個性的に生きていく道を探求しているではありませんか。わが国は何をしてきたか、また今後七〇年代に何をしようとするのか全くわかりません。佐藤政治にあるものは戦後外交、すなわち対米追随外交と日中関係における政経分離の継続があるばかりではなかったかと思います。内政においても、戦後復興の延長線になった大企業本位の生産力増強あるのみです。私は七〇年代のわが国政治の基本路線は、戦後外交の清算と人間尊重の基本原則に立つ内政全体の再編成だと思います。この意味で、七〇年代は経済成長だけに明け暮れるのではなく、内外国政の大転換という改革の時期だと確信をいたします。総理の所信を承りたいと存じます。
 次に、私はこの観点に立って、わが国の対外姿勢並びに内政関係についてお伺いをいたします。本年度外交問題の重要課題は日米、日中問題と思いますが、主として日米関係につきお伺いいたします。
 第一に、日米繊維交渉の行き詰まりをいかに打開していこうとするのか、具体的にお伺いいたします。二十一日付の各新聞は、米国側は繊維交渉についてはしばらく静観だと報道いたしております。一月十一日の牛場大使と大統領補佐官のフラニガン氏との非公式会談でも、お互いに新規提案がない限り正式会談はしないことを話し合っております。いまや日米双方とも新規提案の余地はなく、したがって、正式会談が開かれる見込みはつかないと私は判断をいたします。当然、政府は新規提案するようなことは一切あり得ないと思いますが、この点をまず明らかにしていただきたいのであります。
 第二に伺いたい点は、ニクソン政府は、大統領の諮問機関である国際貿易及び投資政策委員会に長期的な貿易政策の展望の諮問をいたしております。この報告が早くても五月中に提出されるとのことですが、したがって、七一年通商法案をはじめとして、繊維、はきもの、トランジスターラジオ、金属洋食器具等、わが国からの輸出品の規制についてのアメリカの貿易政策は、対日輸入制限というなまの形で提案されるよりも、ドル通貨の安定、開発途上国援助についての協力等の問題とセットをされて提案されてくるのではないかと思います。ドル通貨の安定についての協力とは、端的に言って、円の切り上げの要請です。繊維の輸入規制だけではなく、このようなより大きい外圧が、今後の日米交渉やIMF等の国際交渉の場で提案されてくるのではないかと考えられます。したがって、対米追従でない対等の立場に立った新しい日米関係づくりの前提は、わが国が自主的な世界政策を持つことにあると私は思いますが、総理の総括的所見並びに通産大臣の今後の見通し等をお伺いいたしたいと存じます。
 次に日中問題について、時間の関係上私は三点だけお伺いいたしますが、昨年度までの施政方針で、佐藤総理はこの演壇で政経分離を表明されていたが、長年の政経分離から、政府間接触を行なう用意があるという若干の変化が見られるが、国連並びに世界の趨勢は、いまさら言うまでもなく、近く中共を国連、国際社会に迎え入れようとする動きが活発化する今日、わが国は、ここで中国側の理解を期待するだけではなく、わが国政府がみずから積極的にもろもろの行動を起こすべき時期ではないかと思います。総理の所信をお伺いいたしたいと存じます。
 アジアの平和と、国益、国民の世論の上に立って、昨年十二月、あなたの率いる自民党の衆参議員をはじめとして、各党各会派の超党派で、しかも三百七十九名という大量の議員が賛同をして、日中国交回復促進議員連盟が発足いたしまして、その後その目的のために行動を開始いたしているのであります。この議連に対して、佐藤総理は歓迎されると思うが、いかに評価されますか、率直にお答えをいただきたいのであります。なお、近く議連の藤山会長が、性格は別といたしまして、訪中の予定と聞きますが、総理の所信表明の中にもありますように、中国との接触をはかっていきたい、人事交流も行ないたいという立場から、総理あるいは自民党総裁として、藤山氏を通じて、中国との理解を深めるために、総理の意のあるところを託すべき絶好の機会と私は思いますが、総理はいかに考えますか、お聞きいたしたいのであります。
 なお、もし日中議連が、今後、中共政治家をわが国に招請することがあった場合に、これにこたえて中共政治家が訪日を希望するとき、政府は快く迎え入れる用意がありますか、この点について総理から率直にお答えをいただきたいと思います。
 次に、当面する沖繩問題についてお伺いいたしますが、総理は明年に施政権返還を実現すると言われたが、また、外務大臣の新聞報道によれば、早まるであろうということが報道されておるのであります。これについて、どんな条件づきの返還なのか、国民は心から心配をいたしておるのであります。この問題は、私は本日は深く触れませんが、沖繩返還について総理に明確にしていただきたい最大の問題は、米軍基地が自衛隊に引き継がれるにせよ、これがあくまで憲法及び自衛隊法に基づく専守防衛に改定された基地に抜本改変せぬ限り、沖繩は依然として実質的に米軍基地としての性格と機能から脱却できません。国際的にも、またわが国民の意向もここに最大の関心が払われていると思います。この点に関し、総理の基本的なお考えを伺いたいのであります。
 また、総理は、コザ事件及びこれに類する一連の米軍兵士の起こす乱暴とこれらの取り扱いをどう見ておられるか。軍政というよりも占領行政の横暴がただいま大手を振って横行しているのが沖繩の現状なのであります。施政権返還になればこれらの不祥事件がなくなるというような甘いことでは許されません。なお、当面する問題として、毒ガス、核兵器、B52の撤去についてどんなスケジュールなのか、まだ住民に明らかにされておりません。政府はこの点につきいかなる対米交渉をしているのか、お伺いいたします。
 もう一点は、今後の沖繩経済建設について、単に本土レベルという一言ではなく、また政府の沖繩復帰対策要綱、「各般にわたる総合開発計画を策定する」というような抽象的な方針ではなく、具体的な沖繩総合開発計画と、これを実施するための立法措置、沖繩住民の意思を尊重しつつすみやかに策定をすべきと考えるが、この点について、日時等も含めて具体的に御答弁をお願いいたしたいと存じます。
 次に、内政問題についてお伺いいたしますが、重要な公害問題もございますが、時間の関係上、私は物価に限定してお伺いをいたします。
 総理、大蔵あるいは経企庁長官の三人ともそろって安定成長論を述べられ、物価抑制の必要性を強調されました。四十六年度という時限を考慮しない一般論としてはまことにごもっともな主張でございます。国民はそれを総理の口から毎年繰り返し聞かされているだけで、実効はさっぱりあがっておりません。そこで、私は物価政策につききわめて具体的な各論としてお伺いをいたします。
 総理は、主要な公共料金は据え置くという表現をされたが、国鉄その他の公共料金を毎年値上げされたら国民はたまったものではございません。要は、特定の公共料金値上げをいかなる方策で極力抑制するかにあります。私はこの意味で総理から二点お伺いいたしたいのであります。
 郵便の遅配が、天下公然と横行している現在において、コスト計算に立つ値上げは独占事業の横暴そのものではないでしょうか。国政の最高責任者としてこの二点をどう釈明されるか。
 もう一点は、国鉄は赤字路線の分離経営など国政としての最高判断に立つ時期にきておると思います。国鉄運営の長い経験を持つ総理として、本年はあなたの責任において国鉄再建の実施に着手すべきではありませんか、お伺いをいたします。
 次に、通産大臣と経企庁長官にお伺いいたしますが、わが国の消費者物価の上昇は、昭和四十年の不況を境として卸売り物価の上昇を伴うようになりました。その原因は、言うまでもなく、八幡、富士が合併して新日鉄をつくったように、重要産業がごく少数の大企業によって占められて、価格は実質的にこれらの少数企業によって左右されるに至ったからであります。その最もわかりやすい証拠は、最近のカラーテレビの値下げです。大手メーカーの方針一つでたちまち一五%から二〇%の値下げが可能となったことは、消費者、いわゆる国民はいままでだまされていたというよりほかはありません。そのカラーテレビと同じように、ビール、写真フィルム、板ガラスなど、何ゆえに値上げしているのか国民は理解に苦しんでいるところであります。しかも輸出する場合、国内価格は割り高で、輸出価格は割り安という二重価格が横行していることは、天下周知というよりも世界的な常識にすらなっております。政府は、このようないわゆる管理価格を形成している大メーカー商品の価格について、次々にカラーテレビと同様徹底的な行政指導を行ない、価格引き下げを断行すべきだが、通産大臣の所信をお伺いいたしたいのであります。また、経企庁長官は、せっかく物価安定につき詳細に方針を述べながら、管理価格については一言も触れておりません。ここで方針を明らかにされたいのであります。私は管理価格そのものを自由にしておくべきではなく、認可制にすべきではないかと思うが、この点についてお伺いいたしたいと存じます。また、賃金コストの上昇が商品価格に転換するという形で物価情勢がさらに深刻化するおそれが強いから、労使とも節度ある行動をとるように提言されましたが、この二つの点についてお伺いいたしますが、人件費のコスト上昇が商品価格にはね返る最大の商品群は、低生産性部門、すなわち中小企業と農業なのです。特に中小サービス業のように、輸入による価格引き下げができない分野も広く存在することを考慮するならば、政府は低生産部門のてこ入れにつき、大企業との間に格差があるから資源の適正配分をせよというような一般論ではなく、また、各個別産業の問題ではなく、総合的な産業高度化の見地から、国の出資や助成をはかるよう経済企画庁は提言すべきではありませんか。お尋ねいたします。
 もう一点、人件費コスト上昇が商品価格にはね返るのを防止するため労使の協力が必要なことは言うまでもありません。換言すれば、従業員側の協力なしに健全な価格形成はできないし、今後の企業運営もあり得ないのであります。そこで、労使協議については企業内の任意の取りきめではなく、西ドイツの共同決定法の前例にあるように、従業員の経営参加の方向を目ざしての労使協議制の確立を指導すべきではありませんか。私は現行の労働組合法にまず労使協議制の事項を追加し、近い将来に商法を改正して、従業員代表が会社役員に就任する特例を制定すべきだと思いますが、政府の見解をお伺いいたしたいのであります。
 次に、生鮮食料品価格について一点だけ農林大臣にお伺いいたします。野菜及び魚介類を消費地に一日も早く送り込んで、これをガラス張りの公開で貯蔵し、大量販売するシステムが必要だと思います。少なくとも東京、大阪等の指定都市には全額国庫投資のストックヤードを建設し、これを公営で管理する等、国の施策による簡素な流通体制の確立をはかるべきではないでしょうか。政府が考えている中間経費の軽減、流通機構の簡素化の構想の中で、末端の配給機構である小規模経営の、いわゆる八百屋さんをいかに位置づけ、小売り段階の構造近代化をどのようにされようとしているのか、少しも明らかではありません。この点もあわせて方針を承りたいと存じます。
 最後に、大蔵大臣に予算編成についてお伺いをいたします。明年度予算案は九兆四千百四十三億に達する大型予算になったが、本年度予算に比べての予算規模の伸び、すなわち一八・四%、金額にして一兆四千六百四十六億円だが、このうち当然増経費は約一兆円であります。新規政策向けの新財源は四千六百四十六億円なのであります。つまり予算の伸びのうち約三割程度しか新規経費に向けられない。これは明らかに大蔵省が最も警戒をいたしております財政硬直化現象ではございませんか。これは予算編成上の技術的な問題ではなく、三K問題の解決、公共事業における大企業の受益者負担の増額等、財政政策上の基本的な問題であると私は思います。大蔵大臣の見解を伺いたいのであります。
 もう一点、明年度の税制改正として、先ほども質問ございましたが、自動車重量税であります。いわゆる自動車新税であります。これが今回提案されておりますが、これは自民党田中幹事長構想が、昨年秋になってにわかに政府案として採用をせられ、これを追って税制調査会が答申に加えたものであって、無理に提案までの手続の正当化をはかったもので、私は納得しがたいのであります。私は道路財源の大幅増額の必要は大いに認めますが、この財源負担を道路の直接利用者である自動車所有者のみに限定するのではなく、課税の公平を期するなら、自動車利用者全体に及ぼすべきではないでしょうか。それは自動車の利用度の大小は、個人の所得、法人の収益の大小と比例する見解に立って、所得税、法人税の高額所得の適正課税による増収をまず推進すべきではないでしょうか。大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。
 以上で私の質問を終わりますが、佐藤総理大臣に銘記していただきたいことは、あなたの施政方針を国民はどう受けとめておるかということであります。先ほども申しましたように、毎年毎年同じことを言われておるが、ほとんど実施されないという失望を持っております。一方では、本年度は選挙の年であり、したがって、選挙向け演説と批判している国民も数少なくはありません。私はそうは思いたくありません。本年度こそは内外の重要課題を、総理はこの際一大転換をはかり、真の勇断をもって実行されるよう強く切望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(佐藤榮作君) 向井君にお答えいたします。
 私は政局担当の責任者として、今日まで瞬時といえどもその責任を回避したことはありません。国の安全を維持し、国民生活の向上をはかるため、内外の諸問題に真正面から取り組んでおります。毀誉褒=はもとより問うところではありませんが、わが党内閣の責任政治のもとにおいて、国運の進展もなく、社会の進歩もはかられなかったという趣旨の御発言につきましては承服いたしかねます。しかしながら、私の政治姿勢に対する御批判は、謙虚にこの際承っておきます。
 次に、われわれ日本人がいま大きな時代の転換期に立っているという認識につきましては、私も同感であります。しかしながら、だからといって、外交、内政すべての点にわたって方向転換をせなければならないということではありません。基本的な国の進路をしっかりと見きわめ、時代の進歩に柔軟に対処していくということでなければならないと思います。充実した国力のもと、いまこそ国家百年の基礎を確立しなければならないというのが私の信念であります。
 次に、基本的な日米関係のあり方についてお答えいたします。
 戦後わが国の経済は、恵まれた国際環境の中にあって急速な拡大発展を遂げることができたのでありますが、すでに世界の先進諸国は、わが国を重要な競争相手とみなすに至っております。このため国際的な風当たりはかなりきつくなっており、このことは、それぞれの分野で産業に従事しておられる国民各位が身をもって感じておられるところであります。繊維交渉に見られるように、米国もまた例外ではありません。わが国としては、資本の自由化をはじめ、開放経済体制下における諸条件の整備を急ぎ、世界経済の拡大に積極的な努力を払う必要があるのであります。このような国際化時代にあって、わが国が自主的な世界政策を持つことは当然であります。私は、平和国家としての基本的立場を貫きつつ、複雑な国際社会の諸問題に柔軟かつ賢明に対処してまいりたいと念願しております。日米繊維交渉は、向井君御指摘のように、いままでのところ、両国の主張にはなおかなりの隔たりがありまして、昨年末以来、正式な会談は行なわれておりませんが、政府としては、わが国業界の納得が得られるような合理的解決策を見出すべく、今後とも努力する所存であります。
 また、いわゆる通商法案のこれからの国会への上程、またドル通貨の問題、それに関連して円の切り上げ等々、いろいろ御心配の点があるようでございますが、ただいま、この機会に云々するのはまだ早いように思っておりますので、これは預からしていただきます。
 次に、中国問題は、過去二十年余にわたって国際政治上の最も困難な問題の一つであり、いまだに公正妥当な解決策の見出されていない問題であることは御承知のとおりであります。中国と歴史的にも地理的にも特殊な関係にあるわが国としては、長期的な見地に立って、相互の友好親善関係をはからなければなりません。わが国としては、あらゆる機会を通じ、相互理解に役立つ各種交流を促進する方針でありますが、北京政府の側においても、これに呼応する努力を期待している次第であります。
 国連における中国問題にいかに対処するかは、繰り返し述べてきたように、国際情勢の推移を見きわめながら、友好諸国ともよく話し合って、十分に検討する考えであります。
 次に、外交問題について、国民的合意が得られることは、きわめて望ましいことであります。しかし、そういう意味で日中国交回復議員連盟ができたことは、その方向として、私は望ましいことであろうと思いますが、しかし、この問題に触れることは、この機会は差し控えて、多くを申しません。御理解をいただきたいと思います。
 また、わが党の藤山愛一郎君の中国訪問の機会に、何か託す考えはないかとのお話でありますが、ただいまそのようなことは考えておりません。
 次に、中国の要人が日本側の招待に応じて訪日を希望する場合、どうするかとのお尋ねがありましたが、すでに再三お答えしたとおり、政府としては、わが国の国益を著しくそこなうおそれがあると認められる場合を除き、先方要人の本邦入国に特別の制約を設ける考えはございません。
 沖繩におけるコザ事件など、一連の事件の発生は、明年の返還を目前にしてまことに遺憾であります。この際、重要なことは、これらの事件の起こった背景を虚心に考え、類似の事件が再び起こらないようにしなければならないということだと思います。今後とも関係者間の連絡を密にし、沖繩における法秩序が保たれるよう留意してまいりたいと考えます。
 また、残余の毒ガスの取り扱いの問題は、すでにお答えしたとおりでありますが、その他の問題につきましては、日米共同声明に基づいて、返還時までに措置が行なわれることになっております。
 沖繩の総合開発につきましては、昨年末の臨時国会でも申し述べたとおり、長期的な基本計画のもとにこれを推進したいと考えておりますが、まだ具体的に申し上げる段階には至っておりません。
 次に、郵便料金の改定についてでありますが、郵政事業は、その支出の約八〇%が人件費であるために、相当の合理化努力を前提としても、その財政状態は年々悪化してまいります。このため、若干の料金値上げは不可避であり、昨年末の郵政審議会の答申におきましても、ほぼ全面的な料金改定を必要と認められたのであります。この答申に対して、政府としては、公共料金抑制の大方針のもとに、国民生活と密接な関連を持つ封書とはがきの料金は、最低一年間据え置くこととし、三種及び四種の料金についてもできる限り小幅にとどめるよう配慮したものであります。郵便遅配の事態はまことに遺憾であり、郵便事業の正常化と秩序の確保については十分留意してまいりますが、今回の改定案は、郵政事業の現状をそのまま前提として組み立てられたものではなく、あくまでその合理化を前提とした必要最小限度のものであることを御理解いただきたいと思います。
 次に、国鉄再建の問題についてでありますが、最近の輸送構造の変化に伴う収入の伸び悩み、他方、人件費の増加や、新規設備投資に伴う資本費の大幅増加によって、国鉄財政が年々悪化の一途をたどっていることは、御承知のとおりであります。このまま推移すれば、償却前欠損というかつてない危機に遭遇することが予想されるに至っております。国鉄財政再建の方向としては、国鉄みずからが、あらゆる手段を講じて増収につとめ、一方においては、近代化、合理化による人件費の節減によって、つとめて支出の削減をはかるなど、一連の合理化施策を強力に進めていく必要があるものと考えます。また、赤字路線についても果断に取り組むべき時期に到達していることは、向井君の御指摘のとおりと考えます。国鉄の全路線のうち、約五割の路線が輸送量の約一割しか分担せず、赤字の九割以上を出していることから見ても、また、国鉄の将来にわたる輸送分担から見ても、その経営内にとどめておく路線と、そうでない路線とを区分し、それぞれ適当な措置をとっていくことが、国鉄の本質改善のために基本的に必要なことであろうと考えます。このような抜本対策は、総合交通対策の一環として引き続き十分検討を進めることとし、四十七年度予算においては国鉄再建策に本格的に着手いたしたいと考えております。なお、今回新たに日本国有鉄道合理化促進特別交付金を計上いたしましたが、これは、国鉄がその営業線を廃止または譲渡し、あるいは駅の統廃合を行なう等の合理化施策を円滑に実施するため役立てようとするものであります。
 その他の点につきましては、それぞれ所管大臣からお答えをいたします。
 質問を通じての御批判は、謙虚に承っておきます。ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年、米国におきまして、保護主義的な立法が議論されておりました。最終の段階でわれわれが感じましたことは、弱くなったと言われながらも、やはり自由貿易主義者がかなり強い団結をして結束を示したということと、わが国ばかりでなく、世界各国がかなり敏感にこれに反応をしたということであったと思うのでありまして、これらは私どもを勇気づける現象であったと思います。しかし、米国の中でそのように自由貿易主義を主張する人々、いわばわれわれと志を同じくする人々でありますが、その人々がまず例外なく私どもに、自分たちの運動を支援するためだと思って、繊維問題だけは日米両国で手を握ってくれということを申します。これは一見矛盾のようなことばでありますけれども、彼らの立場から見れば、真剣な声のように私どもはそれを受け取っておるわけでございます。先ほど総理が言われましたように、これからわが国の経済は世界のどこへでも出てまいらなければなりませんし、それなりの摩擦が生じやすいのでございますから、そういうことも考えながら、この日米繊維問題というのは何とか、先ほど総理の言われましたような形での互恵互譲による妥協の方法はないものかというふうに、現在も私ども考えておるわけでございます。
 それから、その次のお尋ねは、たぶんウイリアムズ委員会の勧告と今度の新しいニクソン政権の通商法案の提案がどうなるかということであると承りましたが、時期及びウイリアムズ委員会の勧告を取り入れた法案にするのかどうかという点について、今日現在で確たる情報がございません。おそらくニクソン政権としてはその点が未決定になっておるのではないかと思います。
 それから、これからわが国の自主的な世界経済政策とも言うべきものがなければならないのではないかと言われます点は、まさにそのとおりだと思いますが、やはりそういう場といたしましては、ガットでありますとか、OECDでありますとか、あるいは世界銀行、IMFというようなところもそういう場であろうかと思いますが、結局、それらの場で今後の関税の引き下げでありますとか、あるいは関税以外の貿易障壁でありますとか、輸入制限でありますとか、そういうものを自由な方向に向けて行こう。OECDにつきましては、資本関係あるいは特恵関係等もあるわけでございます。援助もさようでございます。それらの場で、わが国が実はもう少し主導的な立場をとらなければならない段階にきておると考えるのでありますけれども、それにしては、いかにもただいままでのわが国の自由化に対する姿勢の整備がおくれておったというふうに感じておりまして、昨年以来、そういう努力をスケジュールに従って進めていこうということで、この点は予定どおり今日まで進んでまいりました。そこで、今年の九月ごろになりますと、まず資本の自由化の問題、あるいは物の輸入制限を減らします問題、それから特恵の問題、援助をなるべくひもつきでなくしていくといったような、御存じのいろんな問題がございますが、まず九月ごろにはほぼわが国としてはそういう体制が整う、こういうところにあるかと思いますので、そういたしますと、国際場裏でもう少し自信を持って主導的な発言ができるようになる、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それから、これは違う問題で、価格の問題についてのお尋ねがございました。いわゆる管理価格の問題でございますが、物価問題につきましては、通産省は最も熱心でなければならない役所でございますから、昨年の夏以来、けさほど経済企画庁長官が御披露されましたが、ただいま御指摘の問題になりそうな品物を三十ばかり選びまして、主要品目の価格動向を常に把握できるような体制を役所としてとったわけでございます。三十の中には、ただいま言われましたカラーテレビもございますし、鉄鋼関係もございますし、ガラスも入っております。そこで、どうも価格が硬直をしておるというようなときには、商品別の価格懇談会というもので、生産者と流通業者と私どもと消費者と入りまして検討するというような仕組みで、今日までやってきておるわけでございます。そこで、これはもう向井議員はよく御承知のことでございますけれども、世の中で、コストを公開せよ、あるいは政府はコストをもっと追及すべきではないかという御主張がよくございます。で、そういう主張の中に、暗黙に、価格というものはコストプラス適正利潤ならばいいのだという考え方があるのではないだろうかというふうにときどき思うわけでございますが、私どもがこうありたいと思います経済は、そういうことではなくて、非常に自由で公正な競争があって、あぐらをかいておれば適正利潤なんというものは飛んでしまう。国内経済では、場合によってはコストもひょっとして割り込まなければならないといった程度に、自由な競争があり、新規参入がある。そうして価格が形成されていくということが、やはり理想の姿ではないか。また、そうでありますからこそ、新しい技術を開発することによって、しばらく大きな利潤が得られる。それが刺激になって経済が進んでいく、そういう姿にしていくことが、政府の第一義的な役割りではないかというふうに考えるわけでございます。したがって、私どもの管理価格監視の体制というものも、具体的なコスト云々、これも必要ないとは決して申しませんが、そうではなくて、新規参入があり、自由な公正な競争があるように、それを阻害するものを排除する。こういう政策で進んでいくべきではないかと考えておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(佐藤一郎君) CPIのみならず、いわゆるWPI、卸売り物価の上昇がしばしば見られるような段階であるから、管理価格という問題が非常に重要になってきておる、これをどう考えるか。また、これについて、一般的ないわゆる行政介入を行なって、行政の許認可制度をしくべきではないかと、こういう御意見でございます。私は、御存じのように、今日の事態を見ますと、卸売り物価はいま非常に低迷いたしております。大体昨年レベルまで落ちついてまいりました。それに反して、消費者物価が非常に上がっております。そういうことで、結局、これは一方においてなぜこういう乖離が起こったかと申しますと、卸売り物価につきましては、大体、大企業製品を中心といたしまして、需要供給によって決定されている要素がきわめて今日までわが国においては強いと、こういうことであろうと思います。それに反して、消費者物価のほうがコスト・プッシュの要素が高まりつつある、こういう点に大きな違いがあろうと思います。そういう意味におきまして、御指摘の管理価格でありますが、まだ一般的にこの管理価格の弊害がわが国の物価上昇としてあらわれたというふうには私は断定しておりません。もちろん、局部的にはその疑いを持たれるものもございます。その意味におきましては、通産大臣が先ほど指摘されましたように、十分実態の把握もいたし、必要に応じて行政指導の体制を整えていかなければならない、そういう問題が一方にあると思うのでございます。
 また、それについて、一般的な許認可制度をとるという問題ですが、これは御存じのように、今日の自由主義の体制のもとにおいて、創意とくふうによって価格形成を行なう、この基本的な線はやはり守るべきであると思うのであります。御存じのように、物価安定会議の提言においても、むしろ行政介入はいたずらなものは排すべきであるという方向の提言もございます。ここいらはなかなか実を申しますと、判断の分かれるところでございますけれども、この一般的許認可制度をとるということが、かえって経済の効率化と物価を抑制することについて逆行するおそれがあるのではないか、こういうふうにも考えまして、私たちは一般的な許認可制度を大企業製品すべてについてとるという考えはまだ持っておらない次第でございます。
 なお、御指摘の低い生産性の部門について、いわゆる構造政策の見地から、さらに投資を集中すべきである、この御指摘については私も非常に賛成いたすところでございます。もちろん、これは抽象論ではいけませんのでして、今度の予算におきましても、いわゆる物価対策予算と称せられるものの過半は、この方面における投資費用でございます。そういう意味におきまして、今後もこの方向をさらに推進してまいりたい。もちろん抽象論ではなく、それぞれのポイントに応じて、たとえば農業でありますれば生産基盤を充実してまいる、あるいは中小企業でありますれば資金調達力を充実してまいる、あるいは流通部面でありますれば古い制度、慣行を是正してまいる、それぞれ問題がございますから、そうした問題に応じて、われわれは今後腰を据えた対策を進めてまいらなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(倉石忠雄君) お話しのございました生鮮食料品の安定的な価格構成と効率的な流通を確保いたすことは大事なことでございますが、現在継続審議をお願いいたしております政府の卸売市場法案、これは、そういう点についてずいぶんいろいろ考えを盛り込んでおります。この早期成立をはかりまして、取引の改善、合理化をさらに推進いたすとともに、政府は、こういうことに対する補助率の引き上げ等、助成措置の拡充によりまして卸売り市場の計画的施設整備をはかってまいりたいと思います。
 なお、お話のありました貯蔵性のありまする生鮮食料品につきましては、産地及び消費地におけるストック機能の充実と、その適正な管理によりまして、周年的に物資が交流できますように援助をしてまいりたいと考えております。
 それからもう一つは、小売り段階のお話がございましたが、近年、この生鮮食料品の消費につきましては、冷凍食品の普及などによりまする消費動向の変化に対応いたしまして、大型スーパーなどによる販売も一部には見られますけれども、わが国のこの消費者の方々の購買行動というものを追跡して見ますというと、奥さんたちは毎日買い、あるいは百五十メーターないし五百メーター以内のもよりのお店でお買いになるというのが八三%、これは昨年の暮れに行ないました都内の統計の一つでありますが、そういうところで小売り店がなお生鮮食料品の末端流通機構の中核的役割りをなしておることは否定することができないのでありまして、したがって、このような生鮮食料品の小売り店のほとんどが、また御存じのように零細でございます。こういうことに対して、最近は労賃の上昇、それから流通コストの増高等を通じまして、消費者価格に大きな影響を与えておるのでありますから、政府は、生鮮食料品等小売業近代化資金、これは四十三年から開始いたしておると思いますが、融資ワクの拡大、総合食料品小売センターの設置の助成等、それから小売り段階の近代化、合理化のため各般の施策を強化してまいるために、四十六年度予算にも相当な経費を計上いたしてある次第でありまして、このようにいたしまして、一番の中核になっております末端の消費者に接触いたしております小売りの合理化をはかってまいるようにいたしたい、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 向井さんが財政の現状を心配されまして、どうも硬直化だ、体質改善の要があるというお話でございますが、私も実はその点を非常に心配しておるのです。しかし、これはもう根が非常に深いのでありまして、一挙にこれを解決するわけにまいりません。私も数年来努力をしてきておる。一番問題は公債の減額でございますが、まあ一時、公債は依存度が一七%もあったんです。それが今度の予算で四・五%まで下がってきちゃった。公債のことはそう心配するような事態はなくなってきた。
 それから体質の問題として三Kの問題、これも非常に私は頭を痛めておる問題であります。しかし、国鉄の問題につきましては、率直に申し上げまして、これはつなぎの措置しかできなかった。また健康保険の問題につきましても、これは中道というか、中途の措置というか、最終措置ができないので、まあ一歩前進というようなところかと思います。全精力をあげたのは米の問題でございます。米の問題につきましては、これはとにかく数年来の大問題である、わが国が当面する財政上の、また食糧政策上の最大の問題だと思いますが、この問題につきましては、とにかくこの問題の解決の方向に向かって大きな前進をしたと、こういうふうに思っておりますので、その点はひとつ御評価を願いたい、かように存じます。
 次に、自動車新税の問題についてのお尋ねでございますが、この新税は何かやみくもの間につくられたのじゃないかというような印象のお話でございましたが、それはそうじゃないのです。先ほどもお答え申し上げましたように、これは四十五年度の道路五カ年計画からこの考え方が発足いたしておるわけであります。あの計画では三千数百億円の財源不足がある、何か埋めなければならぬというので、私ども一年間考えに考えた結果の結論が、この自動車新税でありまして、まあ、何かフットボールのような形で、あっちへ行きこっちへ行きして、その結果こういうものに落ちついたので、さようなものではない。まあとにかく乗用車でいえば一台一年間に五千円、トラックでいえば一台一年間に一万円、そのくらいな負担は、あれだけ道路を利用される自動車のほう、道路の使用者、その方々に御負担を願っても、これは御納得がいけるのじゃあるまいかと、こういう考えで考えての結論でございます。なお、自動車新税なんかつくらぬで、直接税、つまり法人税、所得税にその財源を求めたらどうだろうか、こういうお話でありましたが、これは私は反対です。いまわが日本におきましては、どうしても所得税や法人税、これらの直接税の負担が重過ぎる。これをなくすことが私は税制の正しい方向じゃあるまいか、そういうふうに考えておるのでありまして、そのためには、まあいろいろの消費税、間接税、そういうものを考えなきゃならぬと思いますが、ここでこの際、自動車新税をやめて、どうも高額負担に、つまり直接税にその財源を求めるという考え方は、ちょっとこれは時代に逆行しておるのじゃあるまいか、そんな感じがいたします。まことにどうも申しわけないことを申し上げるわけでございますが、お許しのほどをお願い申し上げまして、お答えといたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○議長(重宗雄三君) 沢田政治君。
   〔沢田政治君登壇、拍手〕
   〔議長退席、副議長着席〕
#38
○沢田政治君 私は、日本社会党を代表し、政府の施政方針に対し、おもに内政問題に焦点をしぼって若干の質問をいたします。
 佐藤総理は、七年前、池田内閣を引き継いだとき、人間尊重、経済の安定成長を掲げてスタートをされました。ところが、この七年間、事態はまるでさか立ちになっております。大企業の優位の高度成長の陰で、物価は高騰し、公害で人間の生命がむしばまれ、農業はまさに崩壊の危機に立たされておるのであります。長期政権にあぐらをかいた政府与党への批判は政治不信にまで高まっております。多数であれば何でもできるという佐藤内閣の政治のもとで、国民は政治そのものを見放そうとしていることはきわめて重大であります。総理、私は端的にお伺いしたい。あなたはいつまで政権の座に居すわられるお考えであるかということであります。いつおやめになるか、国民の関心事であります。巷間伝えられるところでは、沖繩返還協定後、これを花道として退陣するとも伝えられております。ポスト佐藤をめぐる群雄割拠の戦国時代に入ったとも言われておるのであります。口では民主主義を唱え、政治資金規正法案を改正する、あるいは物価安定を言いながら、まるで逆のことをやっておるではありませんか。これ以上、有言不実行な政治をすることは国民に対する背信行為であります。総理として残された期間、あなたも政治家なら何に政治生命をかけるのか、あなたの好きな蛮勇をふるうとすれば何をやるのか、今日まで数々の公約の中から、ただの一つでもいいからここで明確にしていただきたいと思うのであります。
 さらに、政治姿勢の問題と関連して、西郷参議院議員が不渡り手形乱発に関連し、不祥事件があったと伝えられております。この事件は、法務大臣当時に端を発したものと伝えられておりますが、西郷君を法務大臣に任命した総理の政治的道義的責任はきわめて重大と思いますが、御心境はいかがですか。
 次に、私は昭和四十六年度予算の編成に際して問題となった米の生産調整、国鉄と健保の赤字問題、いわゆる三K問題に関連して質問いたします。
 今日、五百三十五万戸の農家がひとしく不安の念をもって見詰めているのは、総合農政と米の生産調整であります。私は、この二点についてお尋ねをいたします。
 まず、総合農政についてでありますが、佐藤総理は施政方針演説の中で、「生産性の高い近代的な農業を育成するとともに、需要の動向と地域の特性に応じた農業生産を進めていく」と述べております。しかし、その内容はきわめてあいまいなものと言わなければなりません。そこで、総理にお尋ねいたしますが、総合農政において、その目的の基本としなければならないのは、農業基本法の第一条に明記されているごとく、農家の所得と他の産業従事者の所得均衡を保つようにすることであります。しかし、現在の総合農政では、農業と他産業の格差は広がる一方であります。それは、東北の出かせぎに見ることができます。出かせぎはまさに自民党農政からはみ出した農民のさまよえる姿であります。日本の農業は、総理も御承知のように、食管制度をただ一つのささえとし、政府の米の増産奨励によって今日まで維持されてきたのであります。農家はひたすら米の増産にいそしみ、その生活をささえてきたのであります。ところが、政府は米が過剰であるとして、日本農業の柱ともいうべき食糧管理制度を、米の買い入れ制限、物価統制令の適用の廃止などによって、生産流通両面からなしくずしに突きくずそうとしておるのであります。私は、もちろん米中心の農業から需要動向と地域の特性に応じた農業生産に切りかえていくことを否定するものではありません。しかし、今日、米以外の農作物をつくって他の産業と均衡した農家所得が得られるでありましょうか。農民が農業に自信を失い、将来に希望を持てないのはこうしたことがあるからであります。私は、米以外の農作物についても、せめて米並みの価格補償制度や、国の管理制度、土地基盤の整備、生産対策などの政策を行なうべきだと考えますが、総理の見解をお伺いしたいのであります。かりにそうした政策をとらないとするなら、どのようにして農業と他産業の所得を均衡させていくのか、その具体策を明らかにお示し願いたいのであります。
 第二は、米の生産調整の問題であります。総理は、今後五カ年間、米の生産調整を進める、その効果があがるように食管制度の運営の改善をはかることを明らかにしておりますが、特に総理にお尋ねしますが、五年後は米の生産調整をやらないのかどうか、また、食管制度は五年後にどうするのか、この方針だけは明確に示していただきたいと思うのであります。ことに、昭和四十五年度産米の百万トンの生産調整に対し、稲作農家は、食管制度を維持するためには生産調整に協力せざるを得ないという理由で、一部においては、半ば強制的に地方自治体の指導で減反に応じ、目標を上回る一三九%の実績をあげたのであります。こうしたことからするならば、食管制度をどうするか、その方針が明確でない限り、農民は生産調整に協力できないことはきわめて当然であると思うのであります。
 次に、農林大臣にお伺いいたします。昭和四十六年度予算編成段階で、政府並びに与党首脳間で行なわれたと伝えられる十一項目の申し合わせに関連してであります。今年の生産調整の数量二百三十万トンは、単年度で需給均衡をはかるとなっておりますが、生産調整を五年間行なおうとすることは、単年度需給均衡の観点からのみ行なうのか、現在ある古米処理を含んでいるのかどうかということであります。また、一月十八日の農協の米穀対策本部の会合では、昨年、生産調整に協力した農業団体は、買い入れ制限は食管制度の根幹を侵すものとして、今年の生産調整には協力しないという態度をとっているのでありますが、これまた私は当然と思うのであります。政府は、昨年の二・三倍にものぼる生産調整を行なう自信があるかどうか、こうした背景を考えて、明確な自信のほどを示していただきたいと思うのであります。
 また政府は、五百八十万トンの予約限度を定め、政府買い入れ量はその限度内とすることとしていますが、この限度を越えた産米はいかがいたしますか。聞くところによると、予約限度を越えた米は、農業団体などが保管売却するとしているようでありますが、それでもなお売れ残った米と、生産調整が失敗したときに生じてくる米の処理をいかにいたすか、具体的に明らかにいたすべきであります。農家が個人から個人に売却することが法律上できない現実をいかにいたすのか、昨日の森議員に対する答弁ではきわめて不明なのであります。
 さらに、過剰米対策でありますが、私は今日、米の過剰を招いた原因の一つは、政府が米の需要拡大をしなかったことと同時に、小麦等の無制限な輸入政策にあると考えます。統計によれば、小麦の輸入量は、昭和四十四年で四百三十三万トン、十年前の、三十五年当時の二百六十六万トンに比べ約二倍にふえているのであります。米の過剰問題の対応策として小麦の輸入制限を行なうべきだと考えるが、いかがですか。また当面、古米処理につきましては、去る特別国会で、外国政府等に対する米穀の売渡しに関する暫定措置法が制定され、延べ払いによる米の輸出が可能になりましたので、輸出の拡大を進める一方、無償援助についてさらに道を開くべきであると考えます。東パキスタンの災害に対し、政府は合計一万トンの米を援助したようでありますが、日ごろ常に経済大国を謳歌している政府としては、余剰米の全量ぐらいは援助に充てるような気概を持つべきだと思います。
 以上の諸点につきまして、農林大臣の御意見をお伺いいたします。
 次は、出かせぎ対策についてであります。総理並びに関係大臣に対してお伺いをいたします。
 経済の高度成長のもとに、農村からの出かせぎが激増の傾向にあります。二年間にわたる生産者米価の据え置きや、米の生産調整がそれに一そう拍車をかけております。百万あるいは百五十万ともいわれる出かせぎ農民の問題は、人道問題でもありますが、このまま放置しておくことは許されません。人間尊重を常に主張する総理としては、家族を含めて数百万人をこえると思われる国民が、半年以上も夫婦親子を離別させる政策とこの現実を、人間尊重がされていると思うのか、御見解をお伺いいたしたいのであります。
 出かせぎ対策の基本は、東北のような単作地帯でも、年間を通じて農業で生活ができるようにする農政の確立でありますが、しかし、農村という守備範囲だけで解決するには限度がありましょう。そこで、地元で雇用機会を得ることができるような施策を講ずることが必要であります。しかし、農業県における地元企業は弱体で、賃金、労働条件が低いため、結局、京阪神へ出かせぎに出るということになっています。そこで、賃金、労働条件の地域格差の是正と、地元における雇用機会の増大のための施策を講じなければなりませんが、これに対してどのような施策を持っておるか、お伺いいたしたいのであります。
 また、当面する出かせぎ対策として、出かせぎ農民がふなれなために、災害事故の極端な頻発、賃金の不払い、出かせぎ先での蒸発、家庭の崩壊、出かせぎ未亡人の現出、情操欠陥児童の多発など、深刻な問題が発生しています。このような事態に対し、私は出かせぎ者を雇用したときの届け出義務、職安を通してのみ雇用する義務づけ、賃金不払い防止のための賃金保障、また、災害事故防止のための技術指導の義務づけ、動物的飯場の解消、そして有給休暇と帰郷旅費を二カ月ごとに一週間与える等を要項とした出かせぎ者保護の特別立法を制定すべきであると思うが、農林大臣、労働大臣はいかがお考えでありますか。
 第二の三K問題をめぐる問題点は、国鉄再建を大骨とする総合交通政策についてであります。総合交通政策については、すでに政府も繰り返し重要性を強調しておりますが、私はこれが七〇年代における最大級の政策課題であると思うのであります。政府はすでに新全国総合開発計画では、新たな全国ネットワークの形成、新経済社会発展計画におきまして、総額二十五兆円にも達する交通関係の社会資本を充実させる公共投資を見込んできたのであります。しかるに、いまなお政府は、核心をなす総合交通政策を一向明らかにしておりません。検討するということは言っております。かなめである基本政策を抜いたまま、ばらばらに交通行政を推し進めようとしているようであります。このことは森君に対する答弁でも明らかであります。これは単に政府の政策的な怠慢というだけではなく、国民経済的に見ましても、はなはだ不合理なもので、非常に不経済なものと断ぜざるを得ないのであります。
 今国会で政府与党が新たに実現を期している自動車新税にいたしましても、総合交通体系をつくるために必要であるということは言いながらも、肝心の総合交通政策がないのでは、先ほど来取りかわされておるように、全く説得力を持っておらないのであります。私は国民生活の向上をはかり、全国土の均衡ある環境改善をはかるためにも、何よりも総合交通政策を重視すべきであると強調するものであります。現行の姿勢を抜本的に改め、総合的交通政策を樹立し、国民の足であり、国民経済の動脈とも言うべき公共的な運輸交通の体系を積極的にはかるべきであります。
 政府の総合交通政策に関する具体的な表現が国鉄政策であると考えますので、私は若干の具体的な数字をあげつつ政府の国鉄政策に対して質問いたします。政府は四十六年度の一般会計から二百九十二億円の国鉄再建補助金を支出しようとしておるのでありますが、国鉄対策と比べ、まことに貧弱であります。世界各国の総合交通政策並びに国鉄対策などに比してまことに消極的と言わざるを得ません。ちなみに、昭和四十二年、イギリスでは国鉄に対する支出は千五百二十六億円、ドイツでは千四百三十七億円、フランスでは二千四百二十六億円となっておりますが、その年のわが国の政府支出は皆無であり、四十六年度で二百九十二億円が計上されたにすぎないのであります。特に私は、さきの国会で政府与党が強行成立させた国鉄財政再建計画が事実上破綻していることを指摘し、運輸大臣の考えを明瞭にしていただきたいと思います。
 政府や、特に国鉄は、繰り返して赤字ローカル線の撤廃を言うのでありますが、私はむしろ全体的には、路線を撤去するのではなく、路線を改良し補強するとともに、それをてことして地域の開発を促進すべきではないかと思うであります。現内閣の閣僚の一人は、私と一緒の地域集会に出席された際、国鉄は赤字線廃止の方向をとっているが、もっと国の総合開発という視点に立って、積極的に地方線を活用強化すべきであり、わが党の存在する限り赤字線廃止などはいたしませんという意味を含んだ言明をされたことを記憶しております。これが政府の統一見解と思うのですが、いかがですか。
 この際、私は、運輸大臣に、抜本的な総合交通政策を国民の立場に立って早急に樹立し、せめてヨーロッパ並みの国鉄再建策を確立して、新全総や新計画でもうたってきた全国土の均衡ある開発を積極的にはかるべきではないか。できるならば本年度から実施すべきではないかと思うのでありますが、この点を明らかにしていただきたいと思います。
 第三は、健康保険問題に関連してお伺いいたします。
 今日の医療保険の行き詰まりの原因につきましては、健康保険臨時特例法が成立した第五十五国会及び同特例法が廃止されるというより、本法にその大部分が繰り入れられ、長期固定化された第六十一国会の論争を通じて、医療制度に問題があることが明らかにされております。その医療制度を抜本的に改正することなく、また保険料率の引き上げを含む健康保険法の改正を行なおうとすることはきわめて問題であります。あらためて言うまでもなく、わが国の医療行政は、生活環境の汚染と破壊が人体をむしばむ一方、わが国の医療供給面には予防医療に重きを置いた健康管理のシステムが欠除しており、しかも薬剤の乱用にあらわれているように、営利主義医療がその基本的な性格となっております。政府はこれに対して何ら手をつけることなく、財政収支を合わせることのみに専念してきたところに今日の医療をめぐる混迷があります。医療制度の抜本的な解決なくして、医療保険の行き詰まりを打開することは不可能であります。いま国民総医療費は昭和四十五年度で二兆五千億円であります。この総医療費が国民所得の上昇を上回って年三%の率で上昇しており、その中で薬剤費、注射代が四二%を占めておるのであります。外国の例を申し上げますと、フランスでは一七%から一九%となっており、総医療費に占める薬剤費と注射代は、これが常識だと言われておるのであります。わが国の健康保険が年々赤字を累積してきたのは、この薬剤費と注射代が原因であります。それを保険料の値上げと患者負担の増大によって、場当たりの取りつくろいをしてきたことに大きな問題があるわけであります。断じて繰り返してはならないと思うのであります。この際、政府は、医療保険制度の抜本的改正について責任ある政策を示すべきであると考えますが、厚生大臣のお考えをお伺いいたしたいのであります。
 現在の医療保険制度のどこに最大の問題があるかといえば、いま申し上げたごとく、薬をたくさん使えば医師の収入がふえるという売薬医療が横行しているからであります。患者は売るほどの薬を医師からもらって、飲み残すことが常識となっており、患者不在、国民不在の医療が行なわれています。医療機関は、薬をたくさん使えば使うほど、保険の認めた薬価基準価格と実際に購入する価格との差をかせぎ、また、ビタミン剤を大量に使用すれば、それに相当する現品給付や、あるいはリベートが公然と行なわれています。薬剤によっては半分以上もうかる仕組みになっております。こうしたことをなくさなければ、薬の乱用による保険財政の破綻を立て直すことはできないのであります。
 私は、こうした事態を解消し、医療制度を抜本的に立て直すための措置といたしまして、医薬分業の条件を整備して、医師は、欧米のように、診断、手術、薬の処方までとし、調剤は、僻地を除いては薬剤師が行なえるようにする、薬価基準と実際の価格の開きによるさやかせぎをなくするために、保険薬として採用する薬剤と注射は、競争入札や品質検査などによって、公共性のある機関で一括購入し、同一単位で供給できる制度を設けるべきであると思うのであります。また、技術尊重の原則で診療報酬を行なうような改革を進めること、老人病やガン、公害病などの原因不明の病気に対しては公費負担医療を確立すること、疾病の予防や健康管理と手術や治療を行なう医療機関の機能分化を進めること、看護婦や医療従事者の養成を進めることなどを総合的に推進すべきであると思うわけであります。国民の健康を脅かす社会的矛盾がますます生活の中に入り込んでおり、もはや個人の力だけでは健康を維持することが困難であることを考えるとき、いま国民にひとしく、よい医療を無料で実施できるような医療制度の抜本的改正に取り組むべきであると考えますが、厚生大臣の明快なる御答弁をお願いいたします。
 最後に、公害問題についてお伺いいたします。
 総理は、所信表明の中でも、特に物価問題と並んで、公害対策を特段と強調しております。しかし、政府が公害対策に本気で取り組んでいるかどうかは、公害に苦しんでいる被害者の皆さんに聞いてみればすぐわかることでありましょう。総理、そうではありませんか。第六十臨時国会において、公害の被害に苦しむ人たちが「怨念」の二字を掲げて、企業及び政府の不誠実をなじった、総理は、この事実をよもやお忘れにならないと思うのであります。しかるに、臨時国会で公約した、公害被害者の最大関心事である公害企業の無過失賠償責任制度の立法化は見送られております。政府の公害対策は、住民の生活を守り、環境保全に積極的に取り組むという予防対策ではなく、企業のしりぬぐいにすぎない。それすら十分とは言えないではありませんか。
 私は、総理並びに関係大臣に、次の二点にしぼって、お尋ねをいたします。これについて明確な御答弁をお願いいたします。
 第一に、総理は、この際、公害に苦しむ被害者の救済のために、事業者の無過失賠償責任制度を今国会で立法化するとともに、公害被害者救済特別措置法を思い切って改正し、公害患者の認定範囲の拡大をはかり、特に医療費の増大と被害者の生活保障を行なうべきであります。特に医療手当の大幅な引き上げ、生活保障は、せめて原爆被害者特別手当法に規定されている特別手当並みに行なうべきであります。私は、水俣病患者やイタイイタイ病患者、四日市、川崎のぜんそく患者の悲惨な姿を見るとき、総理が本気で公害対策に取り組んでおるというならば、せめて、これだけでも実行を明示してほしいと思うのであります。総理の決意を伺いたいのであります。
 第二は、農薬公害の問題であります。わが国では、単位面積当たり、世界的に一番多く農薬がばらまかれているため、牛乳ばかりでなく、母乳からBHC、キュウリ、ジャガイモなどからはドリン系農薬が検出されておるのであります。農薬公害が相次いで表面化しております。農薬が残留している農畜産物を長期にわたって食べ、人体に蓄積するとガンになったり、奇型児が生まれるといわれております。農薬取り締まり法を改正し、環境庁を設置したところで、農薬公害の実態把握が出きていないのみならず、毒性の検査体制も不十分であります。安全使用基準がきまっても、農家への指導が徹底していないという現状は、政府の無責任を暴露する以外の何ものでもないと言わなければなりません。そこで、農薬規制をどのような立場から具体的に行なうのか。また、使用許可されている農薬を使用しながら、農薬が残留し、農畜産物が売れない場合、その補償責任は一体だれがとるのか、政府がおとりになるのか、その責任全体を明らかにいたしてほしいと思うのであります。
 さらに、国有林の農薬散布でありますが、公害規制を口にする政府みずからが公害をまき散らすのは、政府の公害対策が欺瞞であることを示す以外の何ものでもありません。生息の北限といわれる青森の日本ザルが、国有林の農薬散布で死滅のうき目にあっておる現状は、自然環境保全を忘れた政府の姿であります。政府は、このような国有林の農薬散布は即時やめるべきであると思うのでありますが、この際、明らかにしてほしいと思うのであります。
 以上、私は当面する課題を中心にお尋ねいたしましたが、総理並びに関係閣僚の明快な御答弁をお願いして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。
 沢田君は、私の政治実績についてはあまりお認めにならないようでありますが、あるいは見解の相違ということでもありましょう。とにかく、私は、誠心誠意おのれを尽くすというのが唯一の私の取り柄でありまして、今後とも、その職にある限り誠を尽くして、国民各位の御期待にこたえたいと念願している次第であります。御支持と御理解を切にお願いいたします。
 西郷事件についてお尋ねがございましたが、私はまだその詳細を承知しておりませんので、ただいま、その批評は差し控えさせていただきます。
 次に、食管制度についてでありますが、米の需給事情の変化により、各般の面にわたって問題が生じていることは事実でありますので、事態の変化に即応して、その管理の適正を期し得るよう、その制度運営の改善につきまして検討する必要があると考えております。今般の米の政府買い入れに関する措置も、需給の実態に即応して生産調整の実効を確保するとともに、政府買い入れの適正を期するために行なう措置であります。米の管理制度は、農家経済、国民消費生活など、国民経済の各分野にきわめて大きな関係を持っており、国民食糧を確保し、国民経済の安定をはかることはきわめて重要なことなので、このために必要な管理を行ない、米の需給及び価格の安定をはかっていくという考えに今日も変わりはありません。なお、米の生産調整は五年間実施することとしておりますが、需給が均衡した場合に、需給が著しく逼迫しているときのような厳格な規制を行なう制度が、そのまま適合するかどうかは慎重に検討すべき問題であると、かように考えております。
 次に、わが国の農業は、他産業に比べて経営の規模が小さいことや、自然を相手とする生産であることなどから、他産業に比べて生産性が低くならざるを得ない現状であります。農業基本法においては、農産物需要の変化に対応した選択的な生産の拡大、農家就業人口の減少の傾向を契機として、農業構造改善による農業の近代化を通じてその格差を是正することを目標としたものであります。生産性の高い近代的な魅力ある農業と農村社会を築き、この格差の縮小につとめてまいらねばなりませんが、当面の焦眉の急は米の生産調整であります。米の需給を回復し、適地適産のもとに農業生産の選択的拡大につとめてまいります。その他の点については農林大臣から補足説明をいたします。
 次に、出かせぎ労働者の問題につきましては、沢田君の御指摘をまつまでもなく、私も心を痛めている問題の一つであります。出かせぎなどしないで済めばそれにこしたことはありませんが、その基本的対策として、地方において安定的な雇用機会をふやすことにつとめてまいりたいと考えます。そのため政府として、総合農政の展開による魅力ある農村の建設、農村地域への工業の計画的な導入による農工一体化の実現、国土の総合開発による広域生活圏の形成等、多角的に諸施策を進めてまいる考えであります。基本的な考えを申し述べて、その他はそれぞれの大臣に譲りたいと思います。
 次に、総合交通政策並びに赤字線廃止の問題についてお尋ねがありましたが、これは橋本運輸大臣からお答えをいたします。
 最後に、公害の問題についていろいろお尋ねがありました。これも私からお答えすればいいですが、最もその道のたんのう者である山中総務長官から答えることにいたします。
 無過失責任、これを即時立法化しろ、あるいは医療手当を引き上げろ、また、農薬公害、その観に立って国有林の農薬散布、これを差し控えろとか、種々具体的なお尋ねがございましたが、これらにつきましては山中君から答えさせますので、お聞き取り願います。
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げます。
 基本法でいう他産業との所得均衡云々のお話がございました。農業基本法に申します所得均衡につきましては、これを基本目標としてその実現に努力してまいっておるのでありますが、政府といたしましては、当面する米の過剰問題を克服いたしまして、新しく強力な農政を展開して、農業で自立しようとする農家については、生産性の高い近代的な農業経営を確立することにいたし、農業所得の増大をはかり、それ以外の農家につきましては、兼業機会の増大と兼業所得の安定向上によって農家の農外所得を増大させ、他産業従事者との均衡のとれた所得水準と生活水準を確保するねらいであります。大体総理大臣が申し上げました。
 その次は、二百三十万トンの生産調整数量は、単年度需給の視点から出たものか、こういうお話でありますが、もちろん二百三十万トンの生産調整目標数量は、四十六年度において新たな過剰米の発生を防止することを旨として定めたものでありまして、生産調整を五カ年間継続実施することや、古米処理を考えてきめたものではございません。単年度需給均衡というたてまえでございます。
 農協の不協力云々のお話がございました。先ほどもお答えいたしました次第でありますが、生産調整の実施を円滑に行ない、これを達成するためには、農業団体をはじめ、関係者の御協力が必要であります。このため必要な予算措置を講ずることはもちろんでありますが、具体的な実施方法等につきましては、ただいまも農林省は鋭意各農業団体と緊密な連絡のもとに仕事を進めておる最中でございます。
 天候その他の事情で発生しました予約限度数量のお話がございましたが、これは政府といたしましては、所期の生産調整が達成され、予約限度数量を越える米の生産や出荷がないことを期待いたしておるわけでございまして、きのうも私がここで数字を申し上げましたけれども、あの数字のとおりにやれば、一俵も余るはずはないのでございまして、四十五年度においては一四〇%も実績をあげていただいたような次第でございますので、そういうことは実は考えておらないわけでございますけれども、まあ、どういうことがあるかわかりません。そういう仮定のことについては、想像して申し上げることはいかがかと思いますけれども、そんなような米がもし発生いたしますれば、それは需要を越える過剰な米でございますし、農協が保管、販売するのでありますから、まず農協の自主的判断によって対処すべきものであると考えておりますが、私どもは、万一予測しがたいような事態の発生した場合には、やはり生産調整を阻害しないという範囲で、一ぺん農業団体等の意見も聞いて対処していかなければなるまいと考えておる次第でございますが、まずそういうことはなくて済むんではないかと、こういうふうに考えております。
 それからただいま、十年間で外麦の輸入が倍になったと仰せられましたが、最近はたいへん外麦の輸入がふえてきておりますので、米の需要を広げるために主食用の小麦の輸入を押えるべきではないかという御意見が一部にございますけれども、すでに小麦は御承知のように国民の食生活の中に深く根をおろしておりますし、このような消費者の好みを無視して、権力的に、物量的にこの小麦の輸入削減という直接的手段をとることは、いかがなものかと考えておるわけでありますが、もちろん私どもとしては、なるべく大ぜいの方に米を消費していただくために、消費拡大の普及宣伝活動を強化いたしますとともに、学校給食等にも働きかけ、お願いをいたしておりますので、需給操作上、最小限に輸入をするように努力はしてまいるつもりであります。
 それからもう一つは、経済大国になったのであるから、困っている国に余剰米を出してやれという御意見でございまして、これにつきましては、私ども、御存じのように、前々からのケネディ・ラウンドで食糧援助――これは開発途上国に対する援助で――緊急食糧援助として日本米を無償で供与いたしてまいりました。その米の輸出の円滑化をはかりますため、昨年の国会で制定されました外国政府等に対する米穀の売渡しに関する暫定措置法に基づきまして、長期延べ払いの輸出ができるようになっておりますが、とにかく諸外国では、やはりそれぞれの輸出先のお得意と申しますか、そういうものがありますので、外交的にもいろいろな問題がございますけれども、できるだけ私どもは輸出に努力をいたしたいと思っております。昭和四十四年度に輸出を始めましてから現在まで、たしか約百五十万トンほどの米が外に出ていると思っております。
 それから出かせぎのお話がございました。御指摘のように、出かせぎ者の労働条件の改善の問題につきましては、労働省におきましてもかねてから種々の対策が講ぜられておるわけでありますが、この対策の充実につきましては、私のほうからさらに労働省とも十分協議をいたしたいと思っております。
 それから、地元の雇用を拡大する政策をとるべきではないか、この点につきましては、総理大臣も申し上げましたとおり、私どもは地元にあります労働力をなるべく地元で消化して経済的効率をあげたいというので、この国会にもそれに関する法律案を提案して御審議を願いたいと思っておるわけでありますが、御指摘のように、私どもは農村にあります労働力を効率的に農村において活用し、しかも、その地域が経済的に均てんするようにいたしたいという考えでおります。
 それから、農薬のことについてお話がございました。さきの国会で農薬につきましての法律改正をしていただきました。残留農薬により汚染された農産物が、食品衛生法により定められた食品の規格に適合しないことによる出荷停止等のため、農産物の販売農家がこうむった損害につきましては、その損害の程度等を十分に考慮いたしまして、必要に応じて金融その他の措置を講ずるなど、その救済に万全を期したいと考えております。なお、残留農薬対策といたしましては、農薬の使用によって農産物の販売に支障を生ずることのないように、改正農薬取締法に基づき、農薬の登録に際しての検査を厳重に行ない、使用規制の制度の活用と安全使用の指導の徹底をはかってまいりたいと考えております。
 それから、先ほど青森県のサルのお話がございました。国有林における除草剤散布につきましては、実はこの鳥獣保護区特別保護地区、それから天然記念物のサル生息地等は使用区域から除外いたしております。また、山菜につきましても、地元の方々と十分話し合って調整をはかっておるところでありますが、その被害の防止につきまして、私どもも、これは大事なことであると思いますので、慎重に考慮を払いながら実施いたしてまいったのでありますが、今後とも御指摘の点につきまして、薬品の使用等については、自然保護の重要性を十分考慮いたしまして、被害の防止に万全の措置をとってまいりたいと、このように考えております。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣野原正勝君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(野原正勝君) 出かせぎのことで御質問があったのでございますが、総理大臣からお答え申し上げました補足を申し上げます。
 出かせぎ労働者のことにつきましては、すでに労働基準法や職業安定法におきまして、出かせぎ労働者を雇用する事業所、あるいはまた採用の経路、労働条件であるとか、作業環境の適正化等を指導、監督しておりますが、特に建設業等では、賃金の不払い等があると困りますので、その点も業界の自主的な措置によりまして、賃金の支払い保障制度の普及指導等をやっております。
 なお、出かせぎ労働者に対しましては、安定所、市町村等を通じまして就労するよう呼びかけているわけでありますが、安全教育等を目的とした出かせぎ前の講習会の開催であるとか、あるいは帰省に際しまして給付金制度というものがございまして、帰郷の援助等をやっております。今後におきましては、関係法令の適切な運用と各種援護措置の充実につとめまして、出かせぎ労働者対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 なお、農村の出かせぎというよりも、むしろ今後積極的に農村における労働力を活用するという点で、先ほど総理大臣並びに農林大臣からお話があったのでございますが、農村の工業化、むしろそのほうを急ぎたい、積極的に農村に雇用機会を増大していきたい。こういう政策を通じまして、今後の出かせぎの問題を根本的に解決していきたいというふうに考えているわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣橋本登美三郎君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(橋本登美三郎君) 沢田さんの御質問に対してお答え申し上げます。
 総合交通体系につきましては、総理からも、また、私も先ほど申し上げましたが、大体総合交通体系の基本になるものはその素材でありますからして、四十六年度の予算におきましては、御承知のとおりに、港湾計画におきましては新たに四十六年度からこれを策定いたしまして、従来一兆五百億円の五カ年計画でありましたものを、今度は二兆一千億円に思い切って計画を改定したわけであります。同様にまた、空港整備計画にいたしましても、四十六年度から従来の約倍に近い計画を策定をした。こういうことは、要するに、従来ばらばらに、成長程度が違っておったものをできるだけ歩調を合わせるという、いわゆる各種総合機関の歩調を合わせるという素材を、四十六年度からこれを始めたということは、総合交通体系をいよいよ具体的にこれから考えていかなければならぬ時世に入ったことを証明しておるものとして御了承を願いたいわけであります。
 なお、国鉄の再建の問題でありますが、四十四年の九月にこれが再建計画を決定いたしましたが、おっしゃるとおりに、残念ながら十分なる効果をあげ得なかった。これにはいろいろの事情があります。これからの問題ではありまするが、一つには、あの当時策定いたしました当時よりも、人件費が四十四年、四十五年と大幅に増大をしたということ。もう一つは、旅客及び貨物の収入が当時考えましたようには伸びなかった。もちろん万博等があって多少のいい影響がもっとあるべきものと考えておったところが、なかなかそうはあらわれなかった。それだけに飛行機等に、あるいは船等に貨物輸送もとられたと、こういうことであります。こういう問題からして、あの十カ年、五カ年計画はこの際いわゆる手直しをする必要があるということで、目下検討を進めておりまするが、先ほど大蔵大臣からお話がありましたように、四十六年度の予算はまだ暫定的である、本格的なものに立っておらないと申し上げたとおり、国の援助にいたしましてもまだ十分ではありません。しかし、従来六分五厘であった利子を五分五厘に引き下げ、あるいはある程度の一般会計からの出資があったということは、いよいよ今後の本格的な再建計画にいく一つの方針であるということも御了承願いたいと思います。
 三番目には、地方線の処理の問題ですが、この問題につきましては、地方の生活に大きな影響のある問題であり、ただ単に赤字黒字の問題だけでこれを解決するわけにはいかない。慎重に対処し、かつまた地方との関係をも考慮してまいりたい。西ドイツのレーバー交通大臣が思い切った処置を数年前にやったことがありますが、大体西ドイツの二割の鉄道を切ったことがある。こういう処置を各国においても考えておりますので――しかし、私はいま地方線を切るとは申しておりませんが、いわゆるこれらの問題等を十分に考慮に入れながら、しかし、せっかく道路を進めてまいったのでありますからして、道路に転換し得るものは――無理に同じものを動かす必要もありますまいが、しかしながら、地方の開発のためにはなおかつ地方線の必要もありますので、これらの財政的措置をどうするかという問題をこれから検討してまいりたい。かように考えておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(内田常雄君) 健康保険の医療費が最近増高をいたしておりますことはおっしゃるとおりでございますが、これには医療水準が上昇をいたしたり、また国民一般の医療需要というものが非常に普遍化してきたということも、私はいい方面の大きな事情だと思いますけれども、他面、薬剤費や注射費が医療費の中で占める割合が非常に大きくなってきていることもその原因でありますことを、私はやはり見のがし得ないと思います。そこで、実は昨年の暮れからことしの正月にわたりまして、関係の審議会等でもいろいろの検討が行なわれました結果、いままで長年の慣習とされておりました薬剤についてのお説の現品の添付を思い切ってやめると、こういうことになりまして、当局といたしましても、その趣旨でこれの励行監視を通達をいたすことになりました。これは非常に旋風を巻き起こしておることは沢田さんも御承知のところと存じます。現品添付ばかりでなしに、リベートあるいは現金添付というようなことが行なわれては何にもなりませんので、関連して、そういうことも十分私はこの機会に是正の措置をとってまいりまして、保険の給付というものが薬につられて過大な給付が行なわれるというような、そういう陋習がもしあったならば、それはこの際、断固直す方向に持ってまいりたいと思います。
 その他、御指摘がございましたような医薬分業の問題でありますとか、あるいは、しかるべき機関で保険で使用する薬を一括適正価格で購入するというようなことも従来問題になってきておりますが、医薬分業につきましては、それができるような薬局側の受け入れ体制を成熟せしめますために、四十五年度もそのための予算を組みましたが、四十六年度におきましては、そのための予算をかなり増額をいたしまして、可能な範囲から混乱を起こさない状態のもとに医薬分業を漸次成熟させていく考え方でございます。一括購入のことは、これはなかなか、そういう議論があるわけでございますが、現状におきましては非常にむずかしいといわれております。
 その他診療報酬などにつきましては、私は健康保険制度の抜本改正のもう一方の足としまして、診療報酬体系の抜本的組みかえというようなことも当然検討をいたすべきことであると思うわけでありますが、このことにつきましては、中央社会保険医療協議会の公益委員等を中心とし、また私どもも、ともどもそれの検討項目をただいま出し合っておりますので、診療報酬のあり方については、技術尊重の面、その他いろいろの面から、この際、私はこれにつきましても抜本的の検討を進める所存であります。公費医療の分野を拡大するとか、あるいはまたいろいろの医療機関につきまして、その専門分野の組み合わせ等を適当にするというようなことも、これもしばしば唱えられているところでございまして、そのほうにも私どもは前向きで取り組んでまいりたいと思います。
 要するに、医療保険の抜本改正というのは、保険制度だけの抜本改正でなしに、他のほうに、医療制度全体につきましても検討、改正を加えていくという二本の足で立っていきたいということは、私どもが常々、またこの際特に考えておるところでございますので、こういう方向に向かって進む考え方でございます。ただし、この保険制度そのものは、すでに御承知のように、勤労者保険をとりましても、政管健保あるいは組合管掌健保、あるいは共済組合管掌健保、日雇労働者健保等、幾つもの種類の健康保険制度がございまして、この間、給付や保険料その他のあり方が公平を欠いておりますので、これらを一本化するということが健保抜本改正の一つのねらいとなって、ただいま諮問中でありますことも御承知のとおりでございます。また、老人のための健康保険制度というものを独立さしてつくったらどうかということも、これも抜本改正の一つの試案として関係の審議会で検討中でございますが、審議会におきましては、これらにつきましては、ここ一年半余りの検討を重ねてまいっておりますけれども、最終的な結論に立ち至っておりません。しかしながら、健康保険の現状というものは放置できませんので、けさほど来申し上げますように、赤字を全部たな上げして、政府の責任で処理するとか、あるいは政府からの補助金を定率にするとかいうような、そういう被保険者や患者の利益になることをも含めましたり、あるいはまた家族や本人につきまして給付を改善するというようなことも含めまして、抜本改正に取り入れられたいろいろの事項もにらみながら改正案を出しておりますことも申し上げたとおりでございますので、これらにつきましては、ぜひ当院におきましても、前向きの御処理をお願いをいたすものでございます。
 次に、公害関係の問題でございますが、農薬のことにつきましては、現に私どものほうで、食品中に残留する農薬の基準量の設定をいたしておるところでございますが、農林大臣からお話がありましたとおりでございます。私どものほうの検討で、専門家の数が少ない等の問題がございまして、従来、若干おくれておった面もございますけれども、かなりの食品につきまして検討を進めており、今後なお一定の計画のもとに残留農薬の基準の検討を進め、農林省のほうに通報をいたしております。そういう計画を進めておるわけであります。
 また、公害関係の中で健康被害に関する特別措置法の改正は、私どものほうで所管をいたしておりますので、あるいは山中国務大臣からお話があるかもしれませんが、これにつきましては、今回できるだけの医療手当につきまして、支給の条件並びに支給の金額を改善をいたす計画にいたしております。以上のことをも御了承いただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣山中貞則君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(山中貞則君) 無過失賠償責任制度の立法の問題については、前国会、本国会において、総理あるいは法務大臣等からいろいろと述べられたところでありますが、問題を大別いたしますと、近代法の原則である過失責任を否定する特例としての民法の特例措置というものを公害だけに限って立法するということは、非常にむずかしいという見解でございます。しかしながら、今日の典型的な公害裁判と言われる四大裁判等の現状を見まするときに、やはりこの問題は、技術的に民法の特別立法が困難であるからといって、そのまま放置できない実態でございます。したがって、問題を整理して申し上げますと、担当大臣としての私の立場において、この現実に目をおおうことなく、有害、有毒なる物質、あるいは亜毒性物質等まで広げますか、それらの物質にかかるものについての生命や健康の被害については、無過失賠償責任もしくは挙証責任の転換等をはかる道はないか、あるいはまた現在の原子力法や鉱業法等のように、個別の規制法の中において無過失賠償を課せられ、もしくは立証責任転換を求められても当然であると思われる規制法はないか、それらの問題等について各省の専門家も交えた見解も聴取しながら、いまその作業を進めておるところでございまして、この問題につきましては、原則論もさることながら、現実に一歩でも政治が前進しなければならないその時期にまいっておると承知いたしておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#45
○副議長(安井謙君) 野坂参三君。
   〔野坂参三君登壇、拍手〕
#46
○野坂参三君 私は日本共産党を代表して、二つの問題について佐藤総理の所信をただしたいと思います。
 まず第一に、外交政策の基本についてであります。総理は、政府のとっている外交政策こそ、国際主義の真髄であると言われております。では、真の国際主義とは何ぞや。すなわち、国の社会制度や政治体制は、その国の人民がみずからきめるという民族自決の原則を尊重して、これを侵さず、すべての国と互恵平等の友好親善の関係を貫くということであります。この点については、昨年、私がこの席で指摘し、総理もこれに賛成を表されました。ところが、実際はどうでしょうか。総理は、これに反するようなことばかりやっております。いま、アメリカは、戦火をインドシナ半島全域に拡大するとともに、カンボジアでは、米国の空軍、海軍、砲兵を援護として、地上の直接戦闘行動の責任を近隣のアジア諸国にになわせております。これは、悪名高い、アジア人をアジア人と戦わせるというニクソン・ドクトリンの正体を露骨に示したものです。これこそ、まさに、他国の民族自決権を侵し、国際主義にまっ向から敵対するものと言わなければなりません。ところが、佐藤内閣は、成立以来、今日まで、一貫してアメリカのベトナムの人民に対する侵略と干渉の路線を支持し、これに積極的に加担してきましたが、今日、インドシナに対するアメリカの侵略が一そう明白かつ狂暴になっているとき、政府はなおもアメリカの政策を支持し続けております。それが、一体、総理のいわゆる国際主義なるものか、お答えを願いたいと思います。
 次に指摘しなければならないのは、ニクソン・佐藤会談での約束に基づくインドシナのかいらい政権に対する一億五千万ドル、すなわち五百四十億円ものいわゆる援助計画です。これについて、政府は、人道主義的援助などと言われておりますが、その中身は、車両、交通、通信施設など、軍事的性格の濃厚なものが多分に含まれておるではありませんか。これは、ニクソン戦略を経済的にささえるとともに、日本がアジアの反共軍事同盟の主役として乗り出す決意を示したものにほかなりません。現に、アメリカのグリーン国務次官補も、日本の援助がニクソン・ドクトリンの諸原則にぴったり合致すると称賛しております。もし、佐藤総理が、真に国際主義に忠実であろうとするならば、この際、インドシナ侵略への加担、協力や、あるいは反共かいらい政権に対する援助は一切取りやめるべきだと思いますが、これについて総理はいかなるお考えをお持ちでしょうか。
 さらに、日中関係でも、真の国際主義を貫く立場に立てば、中国人民がみずから選んだ政府を中国人民の代表として日本が認める以外に方法はありません。ところが、佐藤内閣は、八億人民がつくり上げた中華人民共和国政府を中国の代表として認めないで、蒋介石亡命かいらい政権と日台条約を結んで、戦争処理も、日中両国の国交問題も、すでに解決したのだという虚構にかじりついております。かつての日本帝国主義の侵略で塗炭の苦しみをなめた中国人民と、これを正当に代表する人民共和国政府との正常な国交関係を回復することは、日本政府の道義的責任から見ても当然のことであります。同時に、また、日本とアジアの平和にとっても、第一義的に重要な問題でもあります。
 戦時中、私は中国にあって、日本帝国主義のあの残虐な侵略戦争に身をもって反対し、平和のために活動してきました。当時、そのころ、総理はじめ、福田大蔵大臣及び愛知外務大臣は、日本の官僚として中国に行き、一体何をなさっておりましたか。もしあなた方が侵略の一端をになったことを真に反省し、また、現在わが国の政治に責任を持つ者として日中問題を真剣に考えようとされるならば、中国政府に対して、非妥協性を改めてよき隣人になれなどという不遜な態度は絶対にとれないはずであります。
 また、歴代の自民党政府は、中国との国交回復を考えないばかりか、国連の中で日本帝国主義に侵略された当の中国の国連代表権の回復を妨害するために、その先頭に立っておるではないですか。これは道理にも、正義にも反する最も恥ずべき行為であると言わなければなりません。国連での中国代表権をめぐる世界の大勢が決定的にいまや変わろうとしているとき、政府は慎重、慎重と繰り返しております。ところが、その裏では、今度は国連での台湾政権の地位をいかに守るかということにきゅうきゅうとしております。これは否定することのできない事実です。佐藤内閣がこうしてとっているこのような態度は、国際主義とは縁もゆかりもないものだと断定して差しつかえありません。
 現在わが国にとって真の国際主義の道とは、日米軍事同盟と手を切り、どんな軍事同盟にも加わらない中立政策をとることであります。これこそが日本民族の安全を最も確実に保障し、日本経済の自主的、平和的発展を可能にする道であるとともに、アジアの平和に貢献する道でもあります。国民の多数が望んでいるこの中立平和の道を、なぜあなたはとろうとしないのか。また中立政策をとる上で一体どんな障害があるのか、お答え願いたいと思います。
 さて、第二に内政問題、とりわけ経済政策の根本についてであります。今日、経済は繁栄したが、国民の暮らしと命は脅かされているというのが世論の大勢であります。自民党でさえ、運動方針の中で、急激な変化が人間と自然を襲い、底知れぬ危機感が広がりつつあると述べております。では、この国民生活の深刻な危機の原因は一体どこにあるだろうか。それはすなわち日本経済の根幹が日本とアメリカの大企業に握られていること、また政府がこれらの大企業の経済成長優先の政治を行なっていたことであります。ところが、総理の施政方針演説は、この点を何ら反省することなく、旧態依然として大企業本位の経済成長政策、国土開発政策を強調しておられます。総理は、一昨年発表された新全国総合開発計画を事新しく日本列島の未来像と銘打って持ち出しておられるが、一体これが国民の福利を増進する計画であると本気で考えておられるのか、お聞きしたいと思います。この計画が大企業本位のものであることは、全国十二の地区に、従来に数倍する規模の巨大な工業基地を建設し、工業生産を数倍にするなどを主眼としたものであることを見れば明白であります。この結果が過密と過疎、公害や交通災害など、国民の命と暮しを一そう危うくするものであることは、佐藤内閣六年間の経済政策が事実をもってりっぱに証明しております。今日わが国民が切実に求めるものは、このような経済政策を根本的に転換させることであります。
 そこで総理にお尋ねしますが、このような大企業本位の開発ではなく、国民の暮らしと命を守ることを根本とした方向に経済政策を転換し、その方向に国の未来像を描くべきだと思いますが、この意思はおありですか、どうでしょうか。特に、公害、交通災害、物価などの問題の解決は、いまや緊急を要する問題であります。これらの問題をおもな内容とする、国民の命と暮らしを守る緊急計画を立て、その実現を当面の内政の最重点とすべきであると思いますが、その意思が総理におありでしょうかどうか。
 また、公害については、前国会で幾つかの法律が成立しました。これは国民の運動の力であります。ところが政府の関係予算は、東京都の公害予算よりもまだ少ない状態です。はずかしいことではないでしょうか。また法律も抜け穴だらけです。だから予算を大幅にふやすとともに、環境保全についての国民の権利を尊重し、公害発生源である大企業をきびしく規制することを主眼として、法的措置もさらに徹底させなければなりません。
 さらに交通災害の悲惨さも、あらためて指摘する必要もありますまい。これを防ぐためには何よりも政府の大企業本位、自動車優先の交通政策を改め、自動車に対する交通規制を強めることが第一であります。また、地下鉄、バスなど、公営の大量輸送機関を増強し、その優先通行をはかること、国の予算を大幅に組み、地方公営企業への援助も大幅にふやすことが緊要であります。
 さらにまた、災害対策、特に東京の江東デルタ地帯など、大都市の危険地帯の地震、大火などからの防災は、人口の過密状態その他から一刻の猶予も許すことはできません。そのために、緊急防災対策特別措置法の制定など、法的、財政的措置を行なうことを強く私たちは要求いたします。これは緊急政策の一端にすぎませんが、総理は、これらを実行するつもりがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
 さらに、最後に、以上に関連して、政府の政治姿勢についてお尋ねしたいと思います。
 国民の命と暮らしを守る経済政策を実行するためには、大企業に必要な規制を加える以外にないことは、今国会での物価問題や、さきの臨時国会での公害問題の論議を通じても明らかにされたところであります。これは、政党が大企業、財界から政治献金を受けているという関係を断ち切らない限り実行は断じてできません。ところが、届け出された四十五年度上半期の自民党の政治資金五十三億五千万円のうち、九五%以上が大企業からの献金であります。カラーテレビの二重価格問題などで世間の指弾を受けている松下電器や東芝、日立などが、いずれも筆頭の三千万円以上献金しております。四日市ぜんそくの元凶三菱油化、三菱化成、ヘドロの大昭和、新潟水俣病の昭和電工など、軒並みに数百万円の献金を行なって皆さん方受けておられます。こうしたくされ縁を断ち切らない限り、政府の公害対策や物価対策が絵にかいたもちに終わることはきわめて明らかであります。問題は態度で示すことです。そこで、私は、総理がここで自民党総裁としても、こうした大企業のけがれた政治献金とは、今後きっぱり手を切ると断言できるかどうか、国民にかわって明確な答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(佐藤榮作君) 野坂君にお答えをいたします。
 いま、さら野坂君に説明するのも面はゆい感がいたすのでありますが、国際主義とは何ぞやと、ことにことばをあらためてお尋ねでありますから、あえて説明をいたします。御承知のことと思いますが、国際社会において、諸外国との間に調和的な友好関係の増進につとめ、国際協力を通じて平和の維持と繁栄の達成をはかることこそ、わが国の基本理念に沿うものであります。その政権のいかんを問わず、あらゆる国と仲よくするという、これがいままでのわれわれの堅持しておる態度であります。かかるわが外交の基本方針が、すなわち私の言う国際主義であります。これでおわかりいただけたかと思います。
 米国政府がとっておりますことは、ベトナム戦争の終結のために、交渉による解決への努力を払うとともに、在越米軍の撤兵計画を進めて、ベトナム人がみずからの問題をみずから解決し得る環境をつくることを、その基本政策としております。わが国としては、かかる米国の基本政策はベトナム問題の解決に資するものであると考えており、かかるわが国の立場は、自由を守り、平和に徹し、民族自決の原則を尊重する国際主義に沿うものであると、かように考えるのであります。
 わが国のインドシナ援助に関しては、同地域の住民の民生の安定と向上の援助を目的としており、この目的に沿って、情勢が許す限り、できるだけの援助を行なう方針をとっております。現在におきましても、この従来の考え方に何ら変更はないのであります。ところで、せっかく御指摘がありました一億五千万ドルの援助、これは私も実は初めてこの席で伺ったのであります。どういうところから日本が一億五千万ドルのインドシナ援助を決したか、特に御説明はございませんでしたが、政府の関知しないところのものであります。この点をはっきり申し上げておきます。
 わが国は中華民国政府を中国の正統政府であると認め、これとの外交関係を維持しております。日中関係改善のためには、時間をかけ、忍耐強く各種の努力を積み上げていく必要があり、性急で一方的な解決を期待すべきではないと考えるものであります。わが国の外交の基本原則は自由を守り平和に徹することであり、政治信条や社会制度を異にする国をも含め、あらゆる国々と友好関係を結ぶことにあります。中国大陸との関係もこの例外でないことは言うまでもありません。
 日米安保体制は、中共を敵視するものではありません。一昨年の日米共同声明におきましても、中共がその対外関係において、より協調的かつ建設的な態度をとるよう期待する旨明らかにしております。政府として、このような日米関係が中国大陸との関係改善に障害になっているとは考えておりません。政府としては、あくまでも相互の立場尊重と内政不干渉の原則のもとに日中関係を改善していきたいと考えており、先方が応ずるならば、そのための努力を相互に積み上げていくことが可能であると考えております。お尋ねの第一段はただいま答えたとおりであります。
 次に、第二の問題について、大企業本位の経済政策から国民の暮らしと命を守る経済路線に転換せよ、また、国民の命と暮らしを守るために大企業を規制せよとの御意見でありましたが、私は、むしろ相変わらず大企業本位説を振りかざしておられる野坂君の発想を切りかえていただきたいと考えるのであります。新全国総合開発計画の政策課題も、人間尊重の視点から望ましい環境を創造すること、さらには物質的な豊かさにもまして社会的、生活的な豊かさを求めるものであり、これは野坂君の世界からすでに百年は進んでいるのではないかと私は思うのであります。
 次に、政府は、人命尊重の見地から、交通安全対策に万全を期しておりますが、悲惨な交通事故が依然としてなお増加しつつあることはまことに遺憾であります。お尋ねの点につきましては、昨年、交通安全対策を総合的、計画的に進めるため、交通安全対策基本法を御審議願い、その施行によって交通安全対策に関する法的措置を整備したところでありますが、その後の事態の進展に対処し、今国会においては道路交通法外二件の交通安全法律の改正案を提出する予定であり、その整備改善には十分に配慮しております。また、財源措置については、四十六年度予算では、前年度に対して二三%と大幅な拡充を行なっておりますが、四十六年度から発足する交通安全施設整備事業五カ年計画に対しても、十分な財源措置を講じてまいる考えであります。
 また、大都市の防災対策については、災害対策基本法等に基づき、法的措置に遺漏なきを期するとともに、都市不燃化の推進、都市施設の整備、交通、通信の確保、的確な避難対策体制の整備などを進めておるところでありますが、今後ともさらに現行の法制並びに財政措置を活用してその推進をはかってまいります。
 次に、私の政治姿勢に対して御批判がございました。そうして特に政治資金についてお触れになりました。私は他の機会にも申し上げましたように、特殊な、特定の大企業と特別な関係を持つということは、これはいろいろ批判も受けやすいことであろうと思いますけれども、法の定めたところによりまして、そうして、順法的な、法の扱われ方による後援、協力、これは私は当然あってしかるべきだろうと思います。さような意味におきまして、野坂君の御注意は十分気をつけてまいる考えでございます。
 以上でお答えにいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#48
○副議長(安井謙君) 喜屋武眞榮君。
   〔喜屋武眞榮君登壇、拍手〕
#49
○喜屋武眞榮君 第二院クラブの喜屋武眞榮であります。私は、沖繩百万県民を代表して、佐藤総理はじめ政府の所信を問うものでございます。たった十分間の持ち時間で、沖繩が目下直面している幾つかの問題にしぼって質問をいたします。総理の明快にして、しかも、誠意ある御答弁を求めます。よろしくお願いします。
 沖繩問題は、今国会における緊急、重要な課題でなければなりません。それは七二年返還を前にして、政府はことしの前半にも返還協定に調印しようとしているからであります。ところが、どういう姿勢でこれに取り組み、どのような中身になろうとしているかについて、総理の施政方針演説でも全く触れられておらず、そのことに不満を持つものであります。
 百万沖繩県民にとって、七二年復帰は、まさに希望と歓喜にわくべきはずでありますが、希望と歓喜どころか、復帰への時間と距離が近づくにつれて、いよいよ生活の不安から人権の侵害へ、そして、いま生命の危険にさらされつつある現状であります。これまで佐藤総理は、沖繩返還は「核抜き本土並み」と国民の前に答えられて、そして「平和で豊かな沖繩をつくる」と言明されました。だが、現実の沖繩は本土並みどころの話ではなく、基地はますます強化され、毒ガス事件、かの糸満事件、国頭村米軍実弾演習場撤去問題、さらに、目に余る悪質外人犯罪の激増など、まさにひかれ損、殺され損、なぐられ損といった全く治外法権そのものが現状であり、アメリカの支配からくる矛盾として露呈しております。
 そこで、総理にお伺いします。このような危機迫る沖繩の騒然たる世相は一体何に基因しているとお考えですか。そして、その根本的対策はどのようにお考えか、国民の前に明らかにしてもらいたい。
 次に、沖繩の軍事基地について、米海兵隊チャップマン大将は、去る十二月三十日の記者会見で、復帰後も、米軍は沖繩で自由に作戦行動がとれる。沖繩の海兵隊基地は恒久基地として継続使用すると言明いたしており、このことは県民にとってまさに一大ショックでありますが、このことは日米首脳間で何か密約がなされたものと解せられますが、この点をぜひ明らかにしてもらいたい。
 また、総理の所信表明演説では、国民総生産世界第二位をうたい上げ、人間尊重、福祉優先の政治が強調されながらも、物価、公害など、国民的切実な要求にこたえようとする前向きの姿勢も内容も感ぜられないばかりでなく、沖繩問題、とりわけ返還協定交渉の内容は国民の前に全く明らかにされておりません。沖繩は、日本政府の一方的な平和条約の締結によって、アメリカの軍事的植民地支配という世界にも類例を見ない統治を強いられ、軍事優先政策のもとに、屈辱と耐えがたい犠牲の上に、佐藤総理が強調されるわが国の高度経済成長はあるものと理解せざるを得ません。われわれ沖繩県民はこのような政府の一体化政策のもとに返還され、処分されるとするならば、そのこと自体、県民に対する政治的弾圧であると断ぜざるを得ません。沖繩が復帰するということは、すなわち完全復帰であり、それは核も基地もない、B52も毒ガスもない平和な豊かな沖繩を取り戻し、憲法の本旨である諸権利と自治回復をするということであり、その中から平和で豊かな真の沖繩が生まれるものと信じます。また、沖繩県民が復帰に向けて心から要求していることは、政治、経済、教育、文化、諸般にわたっての押しつけの一体化ではなく、真に沖繩県民の意思が尊重され、二十五年にわたる日本政府の行政権放棄による断絶の中から格差をなくしていくことが、真に沖繩県民があたたかく迎えられることであり、格差を残したまま、無条件に、本土並みの名のもとに第三の琉球処分されていくことを最も警戒し、最もおそれるものであります。ところで、日米による沖繩返還協定はきわめて順調に進められていると繰り返し述べておられますが、どのように順調に運んでいるのか、その内容のすべてと、返還の時期について、国民の前に納得のいくように明らかにしてもらいたい。
 次に、沖繩の毒ガス撤去に関しては、いまや国際法上もその使用が禁止されている致死性毒ガス兵器を沖繩に配備していることは人道上も許されることではありません。まさに全人類に対する挑戦であります。このようなアメリカの国際的背信行為について総理はどう考えておられるか、所見を承りたい。
 また、毒ガス使用禁止国際条約であるジュネーブ議定書を批准し、これを順守するということは、国連加盟国の神聖な義務であり、したがって、沖繩からこの毒ガスを日本政府の責任において早急に、完全にかつ安全に撤去させる意思と、その具体的計画と日程を詳細に示していただきたい。
 また、撤去に際し万一の事故が発生した場合の責任の所在と、その対策を明確にしていただきたい。
 次に、国頭村米軍実弾演習場撤去につきましては、地元村長を先頭に着弾地点にすわり込み、阻止を決意しており、その阻止理由からいたしましても、断じて日本政府として阻止せねばならないと思うが、総理の御見解を明らかにしてもらいたい。
 次に、去る十二月二十日未明に起こったコザ事件は、戦後二十五年、沖繩県民の間にくすぶっていた米軍の非人道的な行為に対する不信と不満と怒りが期せずして爆発した事件であり、起こるべくして起こったということが世論一般の評価でありますが、総理はどのように受けとめておられるか、率直な御見解を承りたい。
 次に、軍関係労働者対策については、沖繩返還に伴う日本経済圏への移行の過程で、沖繩の経済、労働市場の著しく変動することが予想される中で、大量解雇が、基地の縮小撤廃につながらない、全く一方的な合理化の名のもとになされていることは断じて許せないが、その離職者対策等について、具体的対策として本土駐留軍雇用者と同等の雇用形態並びに待遇改善をはかることは当然であり、その用意がおありかどうか、承りたい。
 次に、教育委員の任命制への移行問題につきましては、すでに閣議決定がなされているが、それについては、琉球政府及び沖繩の教育関係の二十五団体が公選制を一致して存続すべきだと強く要求いたしておるにかかわらず、政府が主権者である沖繩県民の意思を無視するような決定をしたことは全く承服できません。よって、すみやかに撤回し、教育格差是正を優先させるべきであると解するが、総理の御見解を承りたい。
 次に、返還に伴う対米請求権については、一九五二年締結された平和条約第十九条(a)項の日本国の請求権放棄が沖繩県民に及ぶとは考えられません。かりに日米間で奄美、小笠原の場合と同様に、沖繩県民の米国に対する財産及び人身損害を含む対米請求権の放棄を否定するならば、米国にかわって日本政府が県民の請求権に責任を持たなければならないと思いますが、総理の御見解を承りたい。
 次に、裁判権につきましては、基本的人権の保障並びに自治権拡大及び公平な裁判を受けるたてまえからも、裁判権と捜査権を施政権返還前に民側に移管されるよう強く要求するものでありますが、そのことは、わが国裁判史上かつてない糸満町主婦轢殺事件の結果が示すように、犯人はアメリカ軍人であるがゆえに軍事法廷で無罪が確定しておることについて、あくまで有罪を主張する県民は納得のいかないままに激高しております。そこで、総理の率直な御所見を承りたい。
 以上質問いたしましたが、戦後二十五年の吹きだまりの中で、山積みする問題はあまりにも多く、とうていその意を尽くせませんが、最後に私は訴えます。願わくば、沖繩の直面している毒ガス撤去をはじめ、国頭村米軍実弾演習場撤去、糸満町主婦轢殺事件の犯人に対する無罪判決に対し、本国会の名において意思表示の決議をしてもらうことが、沖繩百万県民の苦悩にこたえる当然の責務であることをここに強調いたし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(佐藤榮作君) 祖国復帰を明年に控え、沖繩の人たちの複雑な心情は私にはよく理解できるのであります。あせり、不安、いら立ち、もどかしさなど、いろいろな感情が交錯して落ちつかない一日を送っておられることと思います。二十年余にわたって押えに押えてきた気持ちが爆発しそうになることもあるかと思いますが、皆さん、いましばらくのごしんぼうをお願いしたいと思います。政府もいま一生懸命に復帰準備を進めている最中でありますから、一億四百六十五万の全国民がほんとうに一体になる日まで、冷静に復帰への準備をいただくよう切望してやみません。
 次に、米国の海兵隊総司令官の発言についての論評はいたしません。しかし、いずれにせよ、返還後の沖繩に対し、安保条約及び関連の諸取りきめが本土と何ら変更なく適用されることとなるのでありまして、この点に関し、日米両国間に見解の相違は存在しないことをこの機会にはっきり申し上げておきます。
 沖繩返還協定につきましては、すでに述べたとおり、日米両国間の外交経路を通じ、その内容につき鋭意交渉中であります。交渉の過程でありますから、その内容を具体的に申し述べることは差し控えたいと思います。しかしながら、核抜き本土並み、一九七二年中という基本的大綱のワクの中で確定されることは言うまでもありません。また、沖繩返還の時期については、一九七二年中のできるだけ早い時期を基本目標として、米側と鋭意交渉を重ねております。
 なお、政府としては、返還日の決定にあたっては、協定署名及び日米双方における国内手続完了の見通しのほか、復帰のための種々の準備措置の面を勘案しつつ、適当な時期を米側と協議の上決定したいと考えております。
 政府としては、毒ガスの早期撤去につき、米側と話し合いを行なってきたことは御承知のとおりであり、今後とも沖繩住民の意向を十分にくみつつ、残余の毒ガスが一日も早く安全に撤去されるよう、今後とも米側との連絡を一そう緊密にしてまいる所存であります。
 事故が起こった場合に、補償問題等については、毒ガス移送の当事者であり、かつ施政権者たる米国政府がすべての責任を負うべきものでありますが、政府としては、今後の毒ガス移送に際しても、十分安全措置がとられ、万一にも事故が起こるようなことはない、絶対にないと考えている次第であります。
 国頭村の実弾演習場阻止等についてお答えをいたします。政府としては、沖繩における米軍基地をめぐる諸問題に深甚なる関心を寄せており、沖繩住民の納得を得て円満に解決されることを期待しております。特に、実弾演習において事故の起こらないことを心から願っている次第であります。
 また、何度も申したとおり、明年の祖国復帰を前にして、コザ事件の発生はきわめて遺憾に思うものであります。政府としては、今後とも住民の気持ちを率直に受けとめ、再びこのようなことが起こらないよう、関係方面と緊密な連絡をとって万全を期したいと考えております。
 軍関係労務者の雇用形態については、復帰後は、当然、本土と同様、地位協定に基づく間接雇用制度に移行することとなります。また、軍関係労務者の離職対策については、公共職業安定所における職業訓練、基地内及び公共職業訓練施設における職業訓練の実施、さらには就職促進手当等の支給による救済措置を講ずる方針であります。
 また、教育委員の任命制への移行に反対すると言われますが、教育こそ最も基本的な課題であり、本土との一体化をはかるべきものと信じます。教育委員会制度についても、本土の法令を適用するよう措置することとしたものであります。御了承願います。
 次に、政府としては、沖繩住民の対米請求を、施政権返還に際し、どのように取り扱うことが最も適当であるのか、現地の実態、法的側面等をも勘案しつつ慎重に検討中で、まだ結論を得ておりません。いずれにしても、政府としては、沖繩住民が戦後長期間にわたり種々の苦難を経験してこられた事実を十分念頭に置きつつ、公正妥当な解決につとめる所存であります。
 沖繩の裁判制度そのものについては、施政権者たる米国政府が決定すべきものであります。しかし、米側が今般、軍事裁判にオブザーバーの出席を認める旨決定したことは、一つの前進であると考えます。
 捜査権の問題については、今後とも運用面での適正化、徹底化をはかってまいりたいと考えます。政府としては、今後とも、米施政下という特殊事情のもとにおいて、米兵による犯罪の発生を防止し、沖繩住民の不安を取り除き縛るよう、最善の努力を尽くす所存であります。
 以上、お答えいたします。(拍手)
#51
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#52
○副議長(安井謙君) 日程第二、参議院予備金支出の件を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員会理事佐藤隆君。
    ―――――――――――――
   〔佐藤隆君登壇、拍手〕
#53
○佐藤隆君 ただいま議題となりました参議院予備金支出の件について御報告申し上げます。
 今回御報告いたします本院予備金は、昭和四十四年十二月二十七日から昭和四十五年十二月二十五日までの間に支出されたものでありまして、その内訳は、昭和四十五年九月十七日、議員在職中に死亡されました吉江勝保君の御遺族に対して支給いたしました弔慰金三百九十八万七千六百円であります。
 この支出につきましては、あらかじめ議院運営委員会の承認を経ておりますが、ここに、国会予備金に関する法律第三条の規定により、本院の承諾をお願いする次第であります。(拍手)
#54
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本件を問題に供します。本件は委員長報告のとおり承諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、本件は承諾することに決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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