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1970/02/24 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 本会議 第6号
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1970/02/24 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 本会議 第6号

#1
第065回国会 本会議 第6号
昭和四十六年二月二十四日(水曜日)
   午前十時八分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  昭和四十六年二月二十四日
   午前十時開議
 第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正
  する法律案(趣旨説明)
 第二 郵便法の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 第二 証券取引法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第四 外国証券業者に関する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第五 国有財産法第十三条第二項の規定に基づ
  き、国会の議決を求めるの件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 中山太郎君から、海外旅行のため来たる二十六日から十三日間、請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) 日程第一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。中曽根国務大臣。
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 第一は、自衛官の定数を、海上自衛隊六百六十三人、航空自衛隊六百四十三人、統合幕僚会議五人、計千三百十一人増員するための改正であります。海上自衛官の増員は、艦船の増加、対潜航空機の増強及び後方支援部隊の充実等のため必要となる人員であり、航空自衛官の増員は、主としてナイキ部隊の編成のため必要となる人員であり、統合幕僚会議の増員は、情報機能強化のため必要となる人員であります。
 第二は、防衛庁の附属機関として、自衛隊離職者就職審査会を設けることであり、これは学識経験者を含めた五人の委員をもって構成するものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 第一は、自衛隊の予備勢力の確保のため、陸上自衛隊の予備自衛官三千人、海上自衛隊の予備自衛官三百人、計三千三百人を増員して、予備自衛官の員数を三万九千六百人とするための改正であります。
 第二は、現在、離職した隊員が営利企業の役員等へ就職しようとする場合には防衛庁長官の承認を要することになっておりますが、この承認を、前述の自衛隊離職者就職審査会の議決に基づいてすることとしようとするものであります。これは、隊員の営利企業への就職の際の承認について、一般職の例に準じ、部外者を含む特別の機関の審査にかからせることによって、その公正さを担保しようとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
#8
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。上田哲君。
   〔上田哲君登壇、拍手〕
#9
○上田哲君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました防衛二法案につき、あわせて安全保障論の現状認識に触れながら、総理はじめ関係閣僚に質問いたします。
 まず、明らかにしていただきたいのは、総理の専守防衛国家像であります。すでに、五兆八千億円に達する第四次防衛力整備計画構想は、ほとんどその大ワクに変更のない形で、来月は防衛庁案、数カ月後には政府案として決定されることが、これまでの委員会審議の中で明らかになりました。昭和三十三年、四千億円台の規模で発足した一次防は、二倍二倍に膨張し、しかも、三次防最終年度の四十六年度政府予算案では、その達成率九七%を誇りつつ、さらに、四十七年度以降は、新たに十年を一区切りとする計画構想へと歩み出そうとしております。内外から大きい注目を受けるのはきわめて当然のことであります。われわれもまた、このとき、国の骨格にかかわるこの大計画のおもむくところについて、詳しく説明を受けるべき権利を有します。もはや、国を守る気慨という精神論や他の費目とのバランスをいう財政技術論をもって防衛費や防衛戦力を語るべき段階は過ぎました。防衛力増強の限界値の論議ではなく、との大計画を包蔵しながら進む国家像というべきものの姿が問われています。防衛白書の発表にあたって、防衛庁長官は、非核中級国家という表現を明らかにされました。防衛庁の英訳を直訳すると、これは第二流軍事国家となるようでありますが、その中級国家、総理はこの姿をどのように具体的にとらえておられましょうか。ごく具体的に言って、たとえば中級とは、米ソは別としても、核保有国であるイギリス、フランスのレベルをさすものか。英仏まではいかずとも、核を持たない西ドイツまでは中級の中に含むのかどうか。防衛庁資料によっても、四次防終了時には、わが国の戦力は、世界十二、三位から一挙に第七位となるわけでありますが、総理は、これを適当と考えられますか。また、非核中級国家という表現を今後とも政府用語してとお使いになるのでありましょうか。国民は、さしあたり、そうした点を率直に知りたく思っております。
 また、中曽根長官は、さきの委員会で、個人的な見解と前置きされて、十年後の防衛力の姿を、陸上十八万、海上三十二万トン、航空機千機と示唆されました。総理は、これを政府見解としてお認めになるでありましょうか。
 また、福田大蔵大臣は、さきの委員会で「いまアメリカの兵隊が日本の安全の第一線に立っている、こういうような状態は非常に異常な状態である、早くこれをなくすことが必要である、そういう計画を実現する力は、財政的にはいささかも心配ない、着々と対処し得る」と述べておられます。また別な機会に、「かりに国民総生産が数年後に倍になる。財政規模も倍になる。そういたしますと、五千億円の軍事費というものは、一兆円になり得るのであります。さらにそののち五年間、そういう調子で経済が続きますれば、二兆円軍事費ということになるわけです。」と述べられ、「金のほうはそう心配ない。」と結んでおられます。しかし、四次防は国民一人当たり年間一万一千六百円の負担となり、財政上は来年度から毎年一八%以上の防衛費の増額が必要となります。これは最近五年間の一般会計の伸び率一六・八%を上回っております。単年度二兆円をさえ言われる大蔵大臣は、五兆八千億円をベースとする今後の防衛財政規模の可能性をどのように展望して心配ないとされるのか。また、一般会計の伸び率を上回る防衛費は、当然社会資本や社会保障など民生部門を圧迫するものと懸念されますが、それが今後の財政や日本経済の上にどのような影響を及ぼすと分析されるか、伺いたいと思います。
 第二に、いわゆる軍国主義の考え方について伺います。
 総理は、さきの委員会で、「核兵器がすべての問題を解決するような時期になってくると、核を持つ、持たないということは一つの大きな問題だろうと思います。また同時に徴兵制がしかれておるかおらないかという、これは一つの大きな具体的な事例だろうと思います。私は、この二つの事例から、このことをもって、いわゆる軍国主義化した日本と言われるものでない、国民自身も大手を振って」云々と言われております。私は、いまわしい軍国主義への道を歩まないためには、為政者は有効で抽象的でない歯どめの指標を立て、広く論議を成熟させるべきだと思います。そこで総理は、今後とも核を持たない、徴兵制をしかないということを非軍国主義の重要な指標とされるかどうかを伺いたいと思います。あるいはこの機会に、軍国主義とは何かについてじっくり御見解を承りたいと思います。また、軍事に先立つ外交優先はかねてから政府のうたわれるところでありますが、軍事緊張にかわって外交緩和の努力が特に必要とされるのは隣国中国との関係であります。あらゆる機会をとらえて中国との健全な関係を目ざして努力することは正しいことでありますが、本年初め、わが松永駐仏公使の感触として伝えられるところでは、フランス駐在の中国大使級外交官は、日本政府と政治的な話し合いをする意思のない態度を見せたといわれております。この点の事実関係及びこれに類する日中間の大使級の接触がどのようになされているか、外務大臣から伺いたいと存じます。中国側の姿勢について言えば、このところ、わが国の軍国主義化について激しい非難が浴びせられています。しかし、このようなときにこそわれわれは、わが国政府が粘り強く外交優位の姿勢を貫くことを求めます。現に昨日、自由民主党の藤山愛一郎氏と周恩来氏との間で、両国間の交流促進についての合意がなされたと伝えられています。この機会にこそ、中国関係打開のために中国との外交努力尊重について佐藤総理の見解を表明すべき好機であると思います。それは少なくとも日中関係の今後をアジアの平和のかぎとして憂えるわが国民にこたえることであります。藤山・周会談の評価をあわせて総理の数歩を進めた御見解をぜひ承りたいと存じます。
 第三に伺いたいのは、沖繩基地と整備計画との関係についてであります。核抜きといわれながら、七二年以降沖繩には核兵器が残される可能性をわれわれは強く懸念として持っております。七二年返還時に日本全土に配備される七つのミサイル部隊のうち、沖繩ではその一隊がアメリカ軍のミサイル部隊を引き継ぐ計画で、目下その施設、弾体等の買い取り交渉が進んでおります。
 防衛庁長官に伺います。沖繩の米軍ミサイルに核弾頭が含まれていることは、政府答弁の中にも常識的にこれを読み取り得るところでありますが、米軍の核弾頭が全部核抜きとして引き渡される保証がありません。また核つき弾頭は米軍が日本側に引き渡さず持ち帰るとしても、そのこともまた確かめるすべもありません。かつてメースBの撤去の際は、その模様を報道関係に公開いたしました。今回、そのような措置を米軍側に要請することはありませんか。また、かりにナイキが核抜きに改造して売り渡されるとしても、その時期は、アメリカ側の要請では七二年返還の一年あと、日本側の準備見通しでは、さらにそれより一年あとになります。そうなれば、沖繩はこの間一年ないし二年、必然的に核つきになります。これまでの答弁で中曽根長官は、七二年返還のときは核抜き返還ということなので、たとえ米軍基地の中にあって彼らが操作する兵器の中にあっても、核は抜かれると強調されておりますが、それはいかなる協定、約束に基づくものでありましょうか、そこをぜひ明確にしていただきたいと思います。
 このほか、現在の沖繩には、F105搭載用の核爆弾や、海軍用核爆雷等の貯蔵庫があると言われております。これらが七二年返還時にほんとうになくなるのか、あるいはそのようなものは本来存在しなかったのか、いずれにせよ、われわれはそれを確実な保証の上で信じたいのであります。信用せよという説明ではなくして、この例から具体的な裏づけをもって御説明をいただきたいと思います。
 最後に、本法案の内容に直接触れ、自衛隊の定員問題に関連して認識を問いたいと思います。今回の増員は海上自衛隊で六百六十三人、航空自衛隊で六百四十三人となっていますが、四十五年十二月末現在の欠員数を見ると、海上で二千百八十七人、航空で千九百六十三人となっており、実に今回増員数の三倍をこえる欠員をかかえております。元来、定員ワクの増を求める場合は、まず欠員を埋めてから新たな要求となるのが当然であり、それからすれば、この形はまさに三倍もさかさまであります。特に一般行政機関の職員が総定員法によって定員増を抑制された上、計画削減措置により欠員まで削られているのに比べると、これははなはだしくバランスを失していると言わざるを得ませんが、いかがでしょうか。
 また、陸上自衛隊の充足率の低さですが、特に四十四年度の六千人増員以来、充足率は四十三年度の九一・七%から四十五年度末で八六・六%へと落ちています。しかも、十八歳から二十四歳の年齢層は、四次防最終年度の五十一年には三百万人台に落ち込む予想であり、さらに自衛隊の中核である曹クラスの大量定年退職は四十九年から四年間で一万三千人と数えられます。このような見通しの中で、なお定員増をはかる政府は、有事に備えてワクだけを確保しておこうという有事定員構想をとられていると伺いますが、そのような立場からすれば、必要なのは定員ワクのみであり、充足率は初めから問題にしていないのかどうか。あるいは、もしそうではないとすると、このような低い充足率を高めるために何らかの強制力を用いることを考慮されているのかどうか、その点を伺いたいと思います。
 充足率の低下に関連して予備自衛官の増員が問題になりましょう。今回の計画では、予備自衛官総数を三万九千六百人としょうとしています。しかし、定員の充足率を補う意味を持つ予備自衛官制度自身に、訓練招集、防衛招集についてかなりきびしい罰則をつけなければならない実情から見て、いまや自衛官、予備自衛官の別なく、隊員の確保にはかなりの無理が生じていることは、すでに何人も認めざるを得ないところと思います。このことは、打ち続く防衛費、防衛力の大増強に対して、国民の理解がこれに十分追いついていない、つまり国民のコンセンサスとともに自衛隊の増強が進められてきたとは言えないということを裏書きしています。この際、最後に総理に伺いたい一点はそこであります。
 防衛白書発行の冒頭に、防衛庁長官は、わが国防衛構想のよるべき三つの柱の一つとして国民協力をあげておられます。しかし、防衛方針についての政府のあり方は、国民合意の中から方針をつくり出すのではなく、政府の一方的方針に沿って合意を取りつけようとするのみと受け取れます。国民は説明不足ではなく、説明不在と感じています。新防衛力整備計画とともに防衛庁の壁はにわかに高くなり、この倍加する防衛費負担を前にしながら、国民は、いや国会さえもその内容を心いくまでつまびらかにするすべを持ちません。総理に伺いますが、総理は今日の防衛力増強の姿について、国民のコンセンサスを十分に得ているとお考えでしょうか。私は決してこれを十分と考えませんが、かりに総理がこの点に不安を持たれないとしても、この際、防衛費、軍事力の新たな大増強期を前にして、あえてわれわれの懸念をいれ、一歩、半歩を譲る全国民的規模の安全保障論議の成熟を求める姿勢を期待することは不可能でありましょうか。われわれの側も一定の基準のもと、防衛戦略に関する客観的なデータの開示を得て、わが国の安全保障のあり方を自由に討議する場を国会の中に設けることに応じる用意があることは、すでに一度ならず表明しております。総理は、ここで増強計画の一部凍結などの方法をとり、広く国民の議論を巻き起こす御決意はありませんか。七二年という大きな山場を前にして、静かに国論に聞くことは、今日の政治の最も正しい姿勢であると信じます。この点について総理の識見を問うて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(佐藤榮作君) 上田君にお答えいたしますが、上田君の言われる非核中級国家という概念がどのようなものか、私にはよくわかりませんが、おそらくわが国のように、先進工業国の一員ではあるが、核兵器は保有せず、軍事大国を志向していない国が、これに当てはまるのではないかと思います。さような意味でお答えをいたしますが、巨大な核戦力と経済力、この二つを持っている米ソ両国は、超大国と言っても異存のないところだと思いますが、それならば、核戦力、経済力ともに超一流とは言えない英仏はどうか、これは中流国家と言えるかというと、その歴史、伝統、文化などの面から見て、必ずしも中級国家と断定するわけにもいかないようにも思います。いずれにしても、このような問題は、それぞれの国民の気持ちの持ちようの問題であって、われわれ日本国民は、いまや大きな経済力を持ち、今後もますます経済的に発展しつつあるという事実からして、その国際的責任を自覚し、相応の役割りを果たし、世界の平和維持に貢献すべきであると考えるものであります。また、わが国の国防費は、昭和四十五年度において世界十二位であると推定されておりますが、その順位が適当であるか、不適当かどうかはともかく、国防の基本方針にのっとって、緊張緩和のための平和外交の推進とあわせて、国民生活を圧迫せず、かつ、他国に脅威を与えない範囲で防衛力を整備する方針に変わりはありません。中曽根君が述べた十年後の防衛力構想は、あくまで中曽根構想であって、政府部内で正式に討議され決定されたものでもまだありません。私がこれを認めるとか認めないとか、かように申し上げることは、いまの段階では適当でないと考えます。
 次に、軍国主義というのは、一般に軍事が国民生活の中で最高の地位を占め、政治、外交、経済、教育、文化を支配するような行動のしかたを言うものと私は考えております。日本国民は、悲惨な戦争の体験によって、軍国主義化の道を二度と歩まないと固く決意しているものと信じます。御指摘のように、私はさきに核を持たない、徴兵制をとらないことが、その具体的な例であると申し上げましたが、この考えに変わりはもちろんありません。
 また、外交優先の立場から対中国外交姿勢を明らかにせよとの御意見でありますが、この点は、今国会の冒頭からしばしばお答えしているとおりであります。すなわち、両国間の関係を長期的に安定したものとするための基本は、何といっても両民族の相互理解であると思います。それぞれ独自の政治体制下にあっても、相互の立場を尊重し、内政不干渉の原則を貫きつつ努力すれば、必ずや打開の道が開かれるものと信じ、今後とも機会あるごとに政府間交渉などの呼びかけを行なう考えであります。
 最後に、近時わが国の防衛問題について、国民的関心の高まりが見られることは歓迎すべきことでありますが、わが国の将来の進路について重大な影響のある防衛問題については、さらに広く国民全体の意向を尊重しつつ、内外に不当な誤解や危惧の生じないよう十分配慮してまいりたいと存じます。
 本法案については、今国会において十分御審議の上、成立することを私は期待するものであります。
 以上、お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(蒲田赳夫君) 上田さんにお答え申し上げます。
 わが国の防衛費は、四十六年度でも、予算で七%、GNPにすると〇・八%、諸外国に比べて非常な低位です。一方、経済はますます発展する。そうすると、予算も膨大化します。だから、この程度の比率をもちましても防衛費は非常に大きなものになる。したがって、財政上から見れば防衛費については心配はない、こういうことを申し上げたわけであります。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(愛知揆一君) 政府といたしましては、かねがね在外公館のわがほうの外交官に対しまして、中華人民共和国政府の外交官と、しかるべき機会をとらえて、社交はじめ一般的な接触を行なってよいという訓令を発しておることは御承知のとおりと思います。日中相互の外交官の自然な形での接触というものは、パリだけではなくて、他の場所におきましても、おりに触れて行なわれております。
 お尋ねのございましたパリにおける松永公使の件につきましても、新聞で報道されたわけでございますが、これもそれらの中の一例にすぎないわけでございます。しかし、これらはいわゆる自然な接触とも申すべきものでございまして、それ以上に出ているものはただいまのところございません。中国側といたしましては、このパリの例でも見られますように、日中問題について政府間の対話を持つということについては、ただいまのところきわめて消極的な態度をとっている、これが実情のように見受けられる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中曽根康弘君) 核抜きの件は、一昨年十一月の佐藤・ニクソン共同声明で核抜き本土並み、一九七二年返還が合意されたところでありまして、この両国の正式の合意というものは、もちろん実行さるべきものであります。なおまた、沖繩返還直後、ナイキの基地等には順次自衛隊から要員を入れ、また、直後には連絡員を入れます。こういういろんな方法によって核がないということは確認する考えでおります。
 次に、定員の問題でございますが、自衛官は一定数の実力を常に保持しておくという必要から、一般職の総定員法の定員のワク外にありまして、防衛庁設置法で定員はきめてあります。これは防衛からくる特殊性のために、必要やむを得ない措置であると思います。現在、充足度は、空と海において九六%前後です。陸上自衛隊が八九%程度であります。したがいまして、平均いたしまして九〇%程度の充足率でございまして、十分とは言えませんが、この程度の充足率ならば、訓練や管理について支障はございません。もちろん、募集について強制措置をとる考えはございません。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(重宗雄三君) 峯山昭範君。
   〔峯山昭範君登壇、拍手〕
#15
○峯山昭範君 私はただいま議題となりました防衛二法案に対し、公明党を代表いたしまして総理並びに関係大臣に対し、若干の質問を行ないます。
 本法律案の内容は、第三次防衛力整備計画に基づき、自衛官を増員すること等をその内容としております。昭和四十二年に始まった第三次防衛力整備計画は、九七・五%の高率の達成率をもって四十六年度で終了するとのことであります。
 現在、政府においては、国民がその充実を待望しておる住宅あるいは道路、下水道、港湾等々、数多くの整備が年次計画のもとに実施されておりますが、そのいずれもがみな途中で立ち消えになったり、あるいは変更になったりして、最終年度まで計画どおりに実施されたという話は、不幸にして聞かないのであります。しかるに、その中にあって、ひとり防衛力整備計画のみが、ふしぎにも第一次防以来、第二次防、さらに第三次防と、みごとに計画どおり達成されているのであります。他のもろもろの行政計画が途中で立ち消えになる中で、何ゆえ防衛計画だけが一〇〇%達成されるのであろうかと、かえっていぶかる気持ちにかられているのが実情であります。
 本日は、国民の一人冷々が常に抱いている防衛問題についての疑念を率直に総理に投げかけ、総理の明快なる御所見を承りたいと思うのであります。
 さらに指摘しておきたいことは、過日提案されました予算によれば、来年度の防衛費の伸びは一七・八%と、自衛隊発足以来最大の伸び率を示し、六千七百九億円の巨額に達しております。いわんや昨年秋発表された第四次防衛力整備計画によれば、昭和四十七年度から向こう五カ年間に五兆八千億円というけたはずれの巨費が投ぜられるとのことであります。国民はこのようなニュースを聞くとき、率直に言って、日本の防衛力はどこまで伸びるのであろうか、どこまでいけばストップし、下降線をたどることになるのであろうか、一応の目安なり目標があるのであろうか等の疑問を持つのであります。西ドイツやイギリス等は、すでに水平あるいは下降線をたどっているにもかかわらず、平和憲法を持つ日本だというのに、何ゆえにこれほどの増強をしなければならないのかという疑念を持つのは当然であります。いままでも防衛力の限界とか、歯どめについては、しばしば国会で論議されてきております。しかし、私の知る限りでは、これに対する政府の明確な答弁はなされていないのであります。一国の総理として、防衛力に対するビジョンなり目標を明示するのが当然の義務であり、国民の不安と国際的批判にこたえる目下の緊急課題と言わなければなりません。しかるに、本国会の施政方針演説でも、総理は一九七〇年代における日本の未来像の一端を示されたにもかかわらず、事、防衛に限っては、その未来像について何ら触れられなかったのは何ゆえでありましょうか。重要な問題でありますので、総理の明快かつ詳細な御答弁を願いたいのであります。
 次に、自衛隊員の確保の問題であります。長官は、就任以来、自衛隊と国民との結びつきという点に着意され、自衛隊を診断する会を設けたり、長官自身、直接に隊員たちに呼びかけるなど、自衛隊のイメージ・アップにつとめてきたことは、私たちも承知しております。しかし、いかんせん、自衛隊の充足率は上昇するどころか、悪化の一途をたどっているのであります。昨年十一月現在の自衛官の欠員を見ても、陸上自衛隊二万二千八百二十五名、海上千八百九十七名、航空千五百五十五名という実情にあるのであります。すなわち、二万六千二百七十七名という大量の欠員の補充は非常に困難であることは申すまでもないところであります。こうした現況にもかかわらず、なおかつ、この上、定員増をはかろうとしているのは、一体その意図は何でありましょうか。私は政府が人の集まらないという現実を無視し、さらに定員をふやそうとしていることは、ますます国民の不信を高まらせると考えるのでありますが、総理の所信を伺いたいのであります。
 次に、昨年十月発表された防衛白書についてであります。日本の防衛と題するこの文書は、昨年の十月二十日、閣議の了承を得て発表されております。しかし、この文書の発表は、法律の定めに基づき、政府の義務として作成されたものではないのであります。たとえば、防災白書についていえば、災害対策基本法に、「政府は、毎年、防災に関する計画及び防災に関してとった措置の概況を国会に報告しなければならない。」と規定され、その規定に基づいて防災白書が提出されることになっているのであります。その他観光、交通安全、中小企業などの各白書も同様であります。しかし、外交青書、経済白書、今度の防衛白書については、法律上何の定めもなく、いわば政府が自主的につくって発表しているだけなのであります。外交、経済、防衛問題は、政治の進路、国民の運命をきめる重要な事柄であるにもかかわらず、これらの報告が何ら義務づけられていないことについて、総理の見解をお伺いしたいのであります。毎年数千億円、数年後には一兆円をこえる血税を費やす防衛行政について、当然、年次報告の提出を義務づけるべきであると考えますが、あわせて御答弁願いたいのであります。
 次に、沖繩の米軍基地についてであります。政府は、沖繩返還の際は、核抜き本土並み返還を従来から主張してまいりましたが、はたしてそれがほんとうかどうか、国民の最も心配しているところであります。たとえば、沖繩米軍基地の面積をとって見ても、沖繩の総面積の中における米軍基地の面積は、その密度において本土の二百倍以上になるのであります。まさに基地の中に沖繩があるといっても過言でありません。しかし、この現状に対し、佐藤内閣は何ら具体的構想を示そうとしてはおりません。そればかりか、沖繩返還後もほとんどの基地を引き続き使用させることをきめているのであります。これでは本土並みどころか、ますます基地が強化されていくばかりであります。総理は、一体沖繩の米軍基地の返還について、積極的に推進する御決意がおありかどうか、お伺いしたいのであります。また、政府は米軍の基地使用を返還の日から確保するため、米軍の引き続き使用を認める特別時限立法を提出するやに聞いております。この立法は、政治、思想的立場から、米軍への土地提供を拒む地主に対するものであるとさえ言われているのであります。沖繩返還にあたっては、小笠原返還協定の際とられた暫定措置法第十二条の例に見られるがごとき特別立法は避けるべきであると考えるが、総理の明確なる答弁をお願いしたいのであります。
 次に、第四次防における自主防衛体制と、防衛産業との関係についてであります。昭和四十二年十一月の佐藤・ジョンソン会談以後、政府は自主防衛の強化を強調しておりますが、この路線を支援する財界からの発言も、以後目立ってふえてきております。すなわち、昭和四十四年四月の桜田日経連代表理事の防衛力増強の発言、同じく五月の経団連総会の自主防衛力強化の決議、日本兵器工業会の「東南アジアへの武器輸出、防衛費をGNPの四%まで引き上げる」等の発言があり、政府・自民党も、船田安保調査会長が、「百万人の郷土防衛隊、兵器の国産化、東南アジアへの輸出、防衛費をGNPの二%まで引き上げる」等の私案を打ち上げ、財界の要望にこたえているのであります。さらに、中曽根長官は、「兵器の自主開発がなければ真の自主防衛は行なえない」と、たびたび発言し、防衛産業の計画的整備育成の必要性を強調しております。このような装備の国産化の促進は、将来、供給力の過剰を招き、日本の防衛産業をアジアの兵器廠にしようとする危険性が含まれていると考えるが、この点について総理の所見を伺いたいのであります。
 わが国の防衛産業は、武器輸出禁止三原則に縛られ、もっぱら国家財政による防衛費に依存し、発展してきましたが、一たび成長路線に乗れば、米国の産軍結合のごとく、歯どめのきかない怪物となることは、明らかであります。この点について、第六十三国会の予算委員会において、中曽根長官は、「わが国の防衛産業力は、鉱工業生産全体の〇・五%以下で皮革産業以下である」などと発言しているが、今後の経済成長と防衛費の伸びを、自主防衛の名で結びつけるならば、自衛隊の通常兵器だけでは使い切れず、行きつくところ、武器輸出、核装備とエスカレートすることは、当然予想されるところでありますが、この点についても総理の所見を伺いたい。
 さらに武器輸出については、平和憲法のたてまえから言っても、軍縮の促進という意味からも、武器輸出三原則を一歩進めて、全兵器の輸出禁止を断行すべきだと考えるが、総理の所見を伺いたいのであります。
 最後に、安全保障の基本は、いたずらに防衛力を増強することではなく、各国との等距離平和外交を推進するとともに、国民生活の安定向上を着実に実現してゆくことにあることを申し添え、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(佐藤榮作君) 峯山君にお答えいたします。
 わが国は、先進諸国に比べてその近代化が急速であったために、社会資本の整備が立ちおくれていることは御指摘のとおりであります。政府は、このおくれを取り戻すべく、近年、住宅、道路、下水道などの整備を重点施策として鋭意つとめております。また、その間にあって、国家の安全を確保するため基本的な自衛力を整備することは、独立国家として当然であります。国民福祉のための諸施策と国の安全確保のための努力は、決して二者択一のものではなく、ともに相まって行なわれるべきものであると御理解いただきたいと思います。
 次に、わが国の防衛費は国民総生産の〇・八%程度でありまして、国民負担という面から見ましても過大なものでは決してありません。各年度の防衛予算の策定にあたっては、国民生活と直接関連する他の諸施策との均衡に留意すべきであり、憲法の許容する範囲内にとどまるので、おのずからその限度があるものと考えます。
 わが国の防衛の未来像を示せとのお尋ねでありましたが、国防の基本方針に明らかなとおり、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行なわれるときは、これを排除し、もって民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守る体制を整えることにあります。
 次に、定員とその充足率並びに白書の取り扱いについてのお尋ねがありましたが、これは防衛庁長官からお答えすることにいたしますから、お聞き取りをいただきたいと思います。
 次に、返還後の沖繩基地は、地位協定に基づいて米軍に提供されることになりますが、政府としては、不急不要の基地は極力整理、縮小する方針であります。
 また、沖繩の民生及び経済発展のため、その移転、返還が望ましい基地についても米側と鋭意検討を進めております。また、政府としては、米軍に提供する施設、区域内に民有地がある場合には、地主との円満な話し合いによって使用権を獲得したいと考えております。しかし、政府としては、使用権を獲得するための特別立法についても一応考慮はしておりますが、この点は、目下関係省庁間で検討中であります。
 自衛隊の装備については、自主防衛の見地から、今後積極的に開発を進め、国産化を推進することが必要であると考えております。この際、適当な競争原理の導入、特定企業への集中排除、適正価格による調達により、わが国情に適した装備の開発を行なおうとするものであります。平和を国是とするわが国がアジアの兵器廠になるようなことは絶対にありません。また、防衛費の伸びが武器の輸出や核武装につながるのではないかとの御懸念をお持ちのようでありますが、しばしば申し述べているとおり、非核三原則のもと、他国に脅威を与えないというのがわが国防衛の根幹でありますから、この点は重ねて御認識いただきたいと思います。武器輸出については、いわゆる三原則においてきびしく規制しておりますので、これによって所期の目的は達成しているものと考えております。
 最後に、峯山君から、防衛力増強より平和外交と国民生活の安定向上をはかれとの御意見がありました。この点、私の考え方も峯山君と特に変わってはおりません。防衛の基本は、何といっても国民の国を守る気概であります。豊かな愛する国土を建設してこそ、初めて国民の国を守る気概も生まれるのであります。また、平和外交の展開は、わが国の発展に必須であります。そして、冒頭に申し上げたとおり、必要最小限の防衛力を維持することこそ、新しい日本の行き方であり、わが国が国際社会で重きをなすゆえんであると、かように信じております。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(中曽根康弘君) 定員の充足につきましては、先ほど申し上げましたが、次の五カ年間の新防衛力整備計画におきましては、五カ年間に約八千五百人増員する予定を立てております。この程度の増員は可能であると思います。
 白書につきましては、白書は広報文書でございまして、必要に応じて出すべきものであると思います。必ずしも毎年出す必要はないと思っております。(拍手)
#18
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#19
○議長(重宗雄三君) 日程第二、郵便法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。井出郵政大臣。
   〔国務大臣井出一太郎君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(井出一太郎君) 郵便法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 この法律案は、郵便事業の運営に要する財源を確保するため郵便料金を改定するとともに、新しい役務を弾力的に提供する道を開く等、利用者に対するサービスの改善及び事業の能率化をはかるために所要の規定の改正を行なおうとするものであります。
 まず、郵便料金の改定について申し上げます。
 郵便料金は、昭和四十一年に改定されて今日に至っておりますが、最近における諸経費、特に人件費の著しい上昇のために、事業財政は昭和四十五年度において相当の不足を生じている状況でありまして、このまま推移いたしますときは、昭和四十六年度以降において収支の不均衡がますます大きくなることが予測されております。また、増加する郵便物を円滑に送達し、郵便業務の正常な運営を確保するためには、大都市を重点に、必要な要員を確保し、局舎・施設を拡充し、事業の近代化、機械化をさらに推進することが急務であります。
 これらの問題を解決し、郵便に負託された社会的な責務を達成するため、かねて郵政審議会にその方策を諮問しておりましたところ、旧臘、答申を得ましたので、その趣旨を体し、業務の正常な運営を確保し、郵便事業の収支の均衡を維持するため、郵便料金を改定するほか、その他所要の改正を行なうことといたした次第であります。
 郵便料金の改定のおもな内容といたしましては、第一種郵便物のうち、定形郵便物は二十五グラムまで二十円、定形外郵便物は五十グラムまで四十円とし、通常はがきは十円といたしております。
 第二に、郵便料金関係の規定の整備について申し上げます。まず、事業の運営に必要な費用は、郵便料金による収入によりまかなわなければならない旨の条文を設けております。次に、第一種、第二種郵便物は、国民生活に密着したものでありますから、その料金は法律で定めることとしておりますが、その他の郵便物である第三種及び第四種郵便物並びに小包郵便物は、その内容となるものが他の手段でも運送、集配をすることができる性格のものでありますので、その料金は、法律で基準を定め、そのワク内で決定を省令に委任し、事業運営に弾力性を与えることといたしております。また、特殊取り扱いの料金もその決定を省令に委任することといたしております。
 第三に、新しいサービスを弾力的に提供することができるよう、省令の定めるところにより第一種郵便物のうち一定の条件を具備するものについては料金を軽減する道を開き、また、特殊取り扱いについても省令で新しい取り扱いを行なえるように改めることといたしております。なお、これらの省令に委任される料金は、郵政審議会に諮問した上、決定いたすこととしております。
 このほか、転送する速達の取り扱いを改善し、また、料金還付の範囲を広げるなど、サービスの向上をはかることとしております。
 この法律案の施行期日は、本年七月一日を予定しておりますが、第一種及び第二種郵便物につきましては、これらが国民生活に最も密着したものであることにかんがみまして、その料金の改定の時期は明年二月一日といたしております。
 以上、今般の法律改正のおもな内容について申し上げましたが、今後、さらに事業の近代化を推し進め、安定した郵便の送達を確保し、もって国民各位の期待にこたえる所存でございます。
 以上をもってこの法律案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
#21
○副議長(安井謙君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。永岡光治君。
   〔永岡光治君登壇、拍手〕
#22
○永岡光治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました郵便法の一部を改正する法律案に対し、郵便料金の値上げ反対の立場から、佐藤総理並びに関係大臣に対し質問いたすものであります。
 まず、佐藤総理にお伺いいたしたいのでありますが、目下、公害問題と並んで国民の最大関心事である物価問題について、総理はどのような認識をお持ちなのかということであります。先日の総理府統計局よりの発表によりますれば、昨年一年間の全国消費者物価上昇率は七・七%に達し、いまや物価問題は、かの朝鮮動乱によるインフレ時代以来、二十年ぶりの最悪状態に立ち至ったことを示しておるのであります。
 このような情勢の中で、総理は、昨年十二月一日消費者団体の代表とお会いになられ、その席上、国民の生活に密着したはがきや封書の値上げは押えたいと、このように約束されました。われわれ国民は、佐藤総理も四選によっていよいよ物価問題に真剣に取り組まれる御決意をお示しになられたものと理解し、心から期待したのでありますが、そのお約束の舌の根もかわかないうち郵便料金の大幅値上げを決定され、ここに値上げ法案の提出を見たのであります。一国の最高責任者である総理大臣の発言が全く信じられないというこの姿は、有言不実行という従来の佐藤内閣の政治姿勢がいまだに改められていないことを端的に暴露したものと言わざるを得ないのであります。国民大衆は政治に対するやりきれない失望感を持ってこの法案の成り行きを見守っているのでありますが、まず、国民の期待を裏切って郵便料金値上げの方針に踏み切ったことについての総理としての弁明と、現下の物価問題にどう取り組もうとしているのか、真意のほどをお聞かせ願いたいのであります。
 次に、郵政大臣にお尋ねいたします。
 郵政事業が財政面で非常に苦しい経営下にあることは世界共通の悩みといたしまして私も承知いたしております。しかし、赤字が出るからといって安易に料金値上げにたよることは厳に慎しまなければならないのでありまして、郵便料金値上げの前にできる限り経営面での努力をなすべきだと思うのであります。そこで郵政大臣にお尋ねいたしますが、経営面でどれだけ努力をしたのか。努力次第では、たとえ値上げするにいたしましても、その幅はもっともっと小さくて済むのではないかという点についてであります。経営面で努力の足りないと思われる第一の点は、労務の正常化についてであります。
 私は、今日の不正常な労使関係が続く限り、幾ら郵便料金を値上げいたしましても、サービス面では何ら改善されることなく、国民にとっては、料金は上がったけれども郵便の遅配や欠配は一向になくならないというばかを見る結果になると思うのであります。労使関係の正常化により郵便労働者の勤労意欲が盛り上がるとすれば、経費の節約にもなるし、郵便の送達も確保されるのであります。そのいい例は、昨年の年末闘争であります。郵政当局は組合側の超勤拒否闘争に対し三百万人――三百万人にも及ぶ臨時雇いを投入して業務の正常運行を確保すると豪語していましたけれども、二千数百万通という空前の滞溜郵便物をかかえ、収拾のつかない大混乱を出現いたしたのであります。しかし、一たび闘争の妥結を見まするや、職員の勤労意欲が盛り上がるに従って、さしもの滞溜郵便物も数日を出でずして解消し、懸念されました年賀郵便の送達も、一部を除き、ほぼ正常な運行が確保された事実であります。当初から労使関係の正常化が確保されておりましたならば、ばく大な、何百万人にも及ぶ臨時の賃金も相当程度節約できたでありましょうし、郵便の送達ももっともっと正常な運行が確保できたことだろうと残念に思うのであります。これは一例でありまするけれども、このようなことは日常の業務運行にしばしば見受けられることでありまして、労使関係の正常化に努力すれば、経費の節約も業務の正常な運行も可能になるし、したがって、料金の値上げも小さくて済むということになるのであります。
 さらにこの際、国民の立場から郵政当局の独善と労務政策の無能について若干言及しておきたいのであります。それは、郵便を利用する国民の立場から言えば、労使紛争がどうあろうと、そんなことは言いわけにならないのでありまして、国民は、確実に郵便を配達してくれればいいのであります。その責任はあげて郵政当局にあると考えているのであります。言うまでもなく郵便事業は政府の独占事業であるからであります。しかるに、郵政当局はみずからの無能をたなに上げ、労働組合員が働かないとか、ストライキをやるからとか言って、労働組合が一〇〇%悪くて郵政当局は一〇〇%正しいというようなものの言い方をし、郵便の遅配や欠配の責任を労働組合側に転嫁しております。そして紛争が妥結しますると、みずからの業務の運行の責任はちっともとろうといたしませず、あげて労働組合を悪もの扱いにして、たとえば今次年末闘争の例に見るごとく、首切りを含む八千数百名の多数を処分して平気でいるのであります。一体、労働者側は一〇〇%悪くて使用者側は一〇〇%正しいというようなことがあるでありましょうか。紛争にはよって来たる原因があるはずであります。今次郵政の年末闘争の場合でも、聞けば、昨年四月の紛争の妥結の際団体交渉で取りきめられた労使関係の正常化の約束を、郵政当局側が忠実に実行しなかったことに原因があると言われています。みずからの約束違反が原因で紛争を起こさせておきながら、郵政当局は一〇〇%正しいとして涼しい顔をし、組合側は一〇〇%悪いとして厳罰に処し、郵便の遅配や欠配解消の責任や業務の正常運行の経営者としての責任については何らの責任もとらないという、まことに、まかふしぎな独善がまかり通っているのを国民はふしぎに思っているのであります。郵便の遅配や欠配に対する経営者の責任は一体だれがとるのでありましょうか。国民の不満はその持って行き場がないのであります。いや、みずからの責任をとらないのみか、承るところによりますると、組合を弾圧したり、憲法違反のおそれさえある組合切りくずしに狂奔して、従来平穏であった職場に波乱を巻き起こし、労使の紛争を激化させ、さらに、みずからの業務知識の未熟さと相まって業務の運行を乱すような管理者が、労働組合弾圧に功績があったということでどんどん栄転していくというこの事例を聞くに及んでは、まさに郵政事業の末期的症状もはなはだしいと言わねばならないのであります。労働組合弾圧対策あって事業のサービス対策なしという国民不在の郵政行政では、幾ら郵便料金を値上げいたしましても無意味であり、ばかを見るのは国民だけと申し上げましても決して過言ではないと思うのであります。郵政事業は人件費が総経費の八〇%にも達する企業であり、人なくして事業なしという典型的な事業であるだけに、正常な労使関係の確立こそまさに経営の基本なりと信ずるのであります。労働者に対して組合の切りくずしや、所属組合によるところの人事差別や、GPU的な存在に堕してしまった労務連絡官制度や、陰険な監視労働は、郵便労働者の反発と抵抗意識の誘発には役立っても、明るい職場づくりと勤労意欲の高揚には決して役立ちません。労使関係抜本的改善に対し、郵政大臣の誠意ある御答弁をいただきたいのであります。
 次に第二点として、小規模な郵便局の運営を近代化、合理化することによって、かなりの経費節減が可能ではないかということであります。われわれの多年にわたる一貫した撤廃要求にもかかわらず、戦前の非近代的な郵便局制度の残滓がいまだに尾を引く特定郵便局は、現在その数一万六千有余に及んでおるのでありまして、さらにこれは年々増加している状況であります。一人か二人の職員を管理するために、管理職である郵便局長をあまねく配置しなければならないというこの制度は、経営的に見ても全くむだな制度でありますことは論を待たないところであります。無集配一局開局しますと、年間約二百万円の赤字を出すのであります。今日、年間三百局をつくっておりまするから、約六億というものがもう目に見えて赤字として計上されていくことになるのであります。このことについて、すでに行政管理庁におきましても、去る三十二年の勧告においては、分局、出張所等の制度を活用してこの不合理を是正すべきことを強く指摘しているのであります。しかるに、郵政当局は、この制度の改革には全く熱意を示さないのでありますが、一人の局長が二つや三つの局を兼務することも可能でありましょうし、あるいは十局程度を一つにまとめての集団管理方式も十分可能であると思われるのでありまして、近代社会に即応した最も合理的な制度を考究し具体化することこそ、国民から郵政事業を負託された経営者としての最大の責務であると思うのであります。郵便料金値上げの前にむだをなくす方策の一つとして、小局運営の近代化、合理化について郵政大臣はどのようなお考えをお持ちになっているか、お聞かせを願いたいのであります。
 次に郵便事業の経営形態のあり方についてお尋ねいたします。最近、世界各国とも国営である郵政事業の行き詰まりを打開するために経営形態についての再検討がなされておりまして、イギリスにおいてはすでに公社制度に移行しております。アメリカにおきましても、先般、郵便事業公社法が成立をし、近く公社が発足する予定でありますし、また西ドイツ、オランダ等におきましても公社化への動きを示している模様でございます。ひるがえってわが国における郵政事業経営の現状を見まするに、いまだに旧態依然たる官僚的事業運営から脱却しておりませんし、特に経営の最高責任者たる郵政大臣を含む首脳者が、席があたたまるひまもなく更迭するお役所的人事制度となっております。たとえば郵政、電電が分離されましてすでに二十二年になりますけれども、この間、郵政大臣の数は二十四人になっております。一人平均一年未満であります。しかも、郵政事業は郵便貯金、保険のほかに電信電話事業の管理監督、電波放送の管理監督までやっております。これで一体真に国民の期待にこたえる仕事ができるでありましょうか。さらにまた会計面から見ましても、行政活動の統制を目的とする官庁予算会計制度と相なっております。これは現業官庁にはきわめて不向きであります。
 このように、事業の経営には適合しない諸制度のもとにありましては、事業経営に対する明確な責任体制の確立も、また、長期的展望に立った継続性のある一貫した経営政策の策定、実施も、とうてい期待することはできないのでありまして、私は、つとに郵政事業の経営形態を抜本的に再検討するとともに、いますぐにでも企業としての総合的長期的展望に立つ経営調査的な部局の新設の必要を痛感いたしておるものであります。
 なおまた、すでに郵政審議会からも経営形態の改善についての答申がなされているにもかかわらず、政府は、今日なおこの問題について積極的な姿勢をお示しになっていないのでありますが、この際、国民の負託にこたえる郵政事業の経営形態のあり方について総理並びに郵政大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思うのであります。
 さて、次にお尋ねいたしたいことは、この料金の値上げによって、どのような郵便サービスの改善がなされるのか、その明確なプランをお示し願いたいのであります。遅配、欠配をはじめとする実質的サービス低下により、郵便事業に対する国民の不信感が増大いたしております今日、単なる赤字解消が目的であるというような理由で安易な料金値上げが許されるはずはないのでありまして、料金値上げに対する反対給付として、国民の信頼を回復するための具体的な施策が約束されなければならぬことは当然であろうと思うのであります。その一つといたしまして、現在、郵便に対する国民の不信感の最大の原因は、郵便の送達速度が不安定なことにあるのでありまして、したがって、一定の時刻までに差し出された郵便物は所定の日時までには確実に配達されるという標準送達速度を確立し、国民に約束することが目下最大の急務であると考えるものでありますが、いわゆる郵便タイム・テーブルというようなものを確立される用意があるのかないのか、他の改善策とあわせまして郵政大臣から明確な御答弁をお願いいたします。
 最後にお伺いいたしたいことは、新聞、雑誌、学術刊行物等のいわゆる第三種、第四種郵便物の料金設定についてであります。現在、新聞、雑誌、学術刊行物等、国民の経済、教育の面や、文化生活の面において影響の大きいこれらの郵便物は、その重要性を認めまして、封書やはがきとともに、基本料金として、一種の封書、第二種のはがきとともに第三種、第四種として法定料金になっておるのでありまするが、この改正法案によりますれば、これを法定料金からはずしまして、省令料金に移譲しておるのでありまするが、このような本来の思想というものをどのような理由で変えられたのか、お尋ねをいたしたいのであります。
 また、省令移譲につきましては、基準を設け、また郵政審議会に諮問するというパターンを条文上は一応整えておりますが、その基準たるや、封書の料金より低いものでなければならないという全く無意味な基準でありまして、歯どめとしては、とうてい機能を果たすことができないと思うのであります。
 また、郵政審議会への諮問につきましても、これをチェック機関として諮問することになっておりますけれども、現在の郵政審議会の実情におきましては、はたしてこのような従来の国会の議決にかわる責務を果たし、利用者たる国民の利益擁護を期待することが可能でありましょうか。大きな疑問を抱くものであります。これは要するに、法律上は民主的な行政執行体制を擬制し、公共料金を法律から行政府の恣意にゆだねるものと断ぜざるを得ないのであります。もしこれが杞憂であるとするならば、少なくとも郵政審議会の強化についての構想をお持ちのことと思いますので、これらの点について、総理並びに郵政大臣から明確なる御所見を承りたいのであります。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(佐藤榮作君) 永岡君にお答えをいたします。
 まず、今回の郵便料金の改定は、昨年末の消費者五団体の代表に対する約束に違反するとのお尋ねでありましたが、決してそのようなことはありません。私は、郵便料金のうち第三種などは上げてもよいが、はがきや封書はなるべく上げたくない。しかし、郵政事業が行き詰まりつつあるのは確かなので、いつまでもというわけにはいかないだろう。今年の問題としてはなるべく上げないようにしたい。かように申したのであります。その後、郵政審議会も郵政事業の現状と将来から見て、はがきと封書についても本年七月一日から値上げすることもやむを得ないとの答申を出されたのでありますが、政府はあえてこれを来年の二月まで据え置くこととしたのであります。以上、むしろ物価問題に対する熱意のあらわれと御了解いただきたいと思います。物価の安定、これは当面の経済政策にとって基礎的な課題として重視してまいる決意であります。
 次に、郵政事業の経営形態についてでありますが、郵政審議会の答申された公社化の問題は、何ぶんにも制度の基本に触れる大きな問題であるだけに、なお時日をかけて慎重に検討したいと考えます。ただ、この答申の一つの眼目であった高い能率の発揮とサービスの向上という要請については、現行経営形態のもとにおいても十分追及さるべき課題でありますので、当面の措置として、答申に指摘された問題点の実質的改善をはかることとし、その一環として今回郵便法の一部を改正する法律案を提案したのであります。よろしく御審議のほどお願いをいたします。
 三種、四種料金決定の省令事項切りかえにつきましては郵政大臣からお答えいたしますからお聞き取りを願います。
 最後に、郵政審議会についてでありますが、私は郵政省の所掌する重要事項について、十分の御審議をいただき、諮問に対しても率直な御答申をいただいており、その業績を高く評価しております。今後とも十分の活動が確保できるよう十分配意してまいる考えでございます。
 私からのお答えは以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣井出一太郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(井出一太郎君) 永岡さんにお答え申し上げます。
 郵政事業の経営の努力と、こういう面に配慮が足らぬのではないかというところから御所論を展開されましたが、永岡さんも御承知のとおり、たとえば機械化でございますとか、あるいは都市における作業環境の改善とか、いろいろ努力も払ってきておるわけでございますが、先ほど提案説明にも申し上げましたように、何としても人手が八割程度基本になっておる仕事でございまして、たいへんその間苦心を払っておることは御承知のとおりであります。そこで問題は、人手に依存する以上はどうしても労使関係の安定がなければ、この仕事の遂行というものはむずかしい、これは私も全く同感でございます。したがいまして、鋭意、その間における努力を払ったわけでございますが、昨年は四月の紛争があり、十二月の紛争がございまして、たいへん一般の国民各位にも御迷惑をかけたのでありますが、私はやはりその中から教訓をくみ取らなければならない、これだけの犠牲をむだにしてはならない、こういうつもりで今日までやってまいっておるつもりであります。労使関係は、もう申し上げるまでもなく、これは相対的なものでございまして、一〇〇%相手方が悪いんだ、管理者が一〇〇%いいんだと、こういうことは私はないと思うのでありまして、それがお互いに歩み寄って、そうして話し合いをつけていく以外にはない、この考え方のもとに昨年四月、労使双方の間で確認事項というものができましたことは御承知のとおりであります。これが十分な浸透、徹底ができないうちに、また問題が持ち上がったということはたいへん残念でありますが、しかし、その中にも私は歩み寄りはだんだんとできているのではなかろうか、こういうふうに見ているわけでございまして、この正月の年賀状等が非常に心配されましたのにかかわらず、一たび話し合いがつけば、これが軌道に乗った、これは御指摘のとおりでございまして、したがいまして、これは私は前向きに進んでいる、このように心得ているのでございまして、先ほど御指摘の、それには本務者である郵政職員がほんとうにがんばったからだ、アルバイトを雇うというふうなことはむだだ、こういうようなことをおっしゃる。あの際は緊急事態でございまして、アルバイトも私はある程度必要としたと思うのでございます。これが両々相まって、ともかくあの緊急事態をこぎ抜け得たのではないか、こう考えているのでございまして、労務関係は私は郵政を遂行してまいりまするための一番基本的な問題だ、このように考えまして、御趣旨をくんでこの対策をやってまいるつもりであります。
 それから、その次に御質問のありましたのは小局運営といいますか、特定局に対する永岡さんの御所論を承りました。これはあなたの御持論であると私は承知をしているのでありますが、ともかくもこの特定局は郵政事業のなかにおける一つの歴史といいますか、沿革と申しますか、こういうものがあるわけでございまして、そういう点をわれわれは第一義的には、地域の住民に対するサービスという問題からいいますと、この制度というものが非常に密着した制度である、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、特定局の運営上、統轄局にこれを集中するとか、あるいは十局ぐらいを合わせて一本にするとか、こういう管理の方式を御提案になったわけでございますが、われわれとしては、はたして永岡さんのような行き方だけでいいのかどうか、ちょっとこの点はあなたとまだ完全な一致を見ておらないのであります。
 それから第二点として、公社化の問題にその次はお触れになったわけであります。これは先般、郵政審議会の答申をいただきまして、そしてわれわれもいま、これに対する十分な検討を続けておるわけでございます。郵政の仕事というものがもっと弾力化しなければならない。そのためには公社化というものも確かに検討に値する一つの方向である、こういう認識は私ども持っております。ただ、この郵便百年の歴史、ことしはちょうど百年目でございますが、これを大きく変革をするということでありまするので、やはりその間十分慎重に検討を加えなければなるまいかと、こう思うのでございます。たとえばイギリスのごとき、あるいはアメリカのごとき、公社に踏み切った。しかしながら、なおかつアメリカの昨年における、イギリスの本年におけるあの大規模なストライキ等を見るときに、まあ私どもも、もう少しこれは慎重に検討する値打ちがあるのではないか、こう考えておるのでございまして、あの御答申をいただいて、その中でとりあえずやれることは何か。もっと弾力的、機動的にやり得るものをとりあえずやろうではないか、それが一つの地ならしになるのではないか、こういうことで、今回の法律改正には、そういった部分を盛り込んでおる、このことをひとつ御承知おきを願いたいのでございます。
 それから、郵便正常化ということのためのサービスを、一体何をするのか、特に標準送達制度とでも申しましょうか、こういうことを御指摘に相なったわけでございます。これは私どももできるだけ早くそれをやりたいと思うのであります。ただ御承知のように、郵便の仕事は季節的にたいへん繁閑の差がございます。あるいは一日の時間帯にも午前中はひまだけれども夕方は忙しいと、こういう差がございます上に、まあ都市の膨張に従いまして、都市近郊にまた一つの特殊事情も生まれつつある、こういうふうなことを検討しながら私は前向きにこの御提案にはお沿いをしてまいりたいと、こう思うのでございまして、現に郵便の部内ではある程度の基準というか、指針というか、この送達の標準というものは持っておるわけであります。これをもっと一般的に公表をして、そうして国民の皆さまに周知していただくというためには、もうしばらくの時間をちょうだいいたしたい、かように考えておるのでございます。
 それから、第三種、第四種郵便物等の料金を省令にした一体積極的な理由は何か、こういうお尋ねでございますが、これらの郵便物は新聞雑誌等の定期刊行物であるとか、農産種苗、学術刊行書のようなものでありますけれども、これは一種、二種の郵便物とは違いまして、一種、二種はこれはまさに国家独占でございます。しかし三種、四種、あるいは小包も大体同様でございますが、これは他に送達、運送の手段というものがございます。こういうふうな仕事でありますから、一種、二種とは少し違った弾力的な運営をいたしてもよいのではないか、こういう考え方に立っておる次第でございます。しかし、それも野放図に行政の立場で何でもかんでも値上げが簡単にできるというものではございません。その意味において、一条をあえて設けて、少なくとも同一の重量のものは三種、四種において第一種の料金を上回ってはならぬ、これよりも下に据え置く、こういう一本かんぬきを入れてあるということを御承知願いたいと同時に、あわせて郵政審議会にこれはきっちりと諮問申し上げて、その御意見を待って発動するということに考えておるわけでございます。
 あわせて、郵政審議会については、総理からもお答えございましたが、これは御承知のように、ただいまでもたいへん適切な御答申をちょうだいしております。しかし、こういう際にその内容をもっと充実強化せよという御注文だと思いますが、同様な方向においてひとつこの際審議会のあり方というものをもっとがっちりしたものにいたしたい、これには私も同感でございます。
 大体お答えをいたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○副議長(安井謙君) 塩出啓典君。
   〔塩出啓典君登壇、拍手〕
#26
○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました郵便法の一部を改正する法律案について、佐藤総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。
 御存じのとおり、わが国の郵便事業は明治四年に開始され、すでに百年の歴史を持ち、日本文化の向上、経済の発展のためにまことに重大な役割りを果たしてきたのであります。そして、経済、文化の発展に伴い最近における郵便物の増加は著しく、すでに年間百億通を突破しております。
 一方、郵便事業を取り巻く社会情勢も著しく変貌し、円滑な郵政事業を維持していくためには、解決せねばならぬ幾多の困難が横たわっております。すなわち、郵便物の引き受けから配達に至る全過程の大部分を人力に依存している郵便事業にとって、最近の労働力の逼迫、賃金の上昇が経営状態を悪化させる要因の一つであることも、認めるにやぶさかではありません。
 しかし、郵便貯金の定期の金利をはるかにこえるという異常な物価高騰の中で国民は深刻な苦しみを味わい、物価安定こそが、いまや国民の最大の願いであり、また、佐藤内閣のなさねばならぬ最重要課題であることを思うとき、今回の郵便料金値上げの法案は、あまりにも国民の気持ちを無視した安易な姿勢を示すものとして深い憤りを禁ぜざるを得ないのであります。政府は、昭和四十三年より郵便事業の機械化、省力化を目ざして、突如として郵便番号制度を導入し、昭和四十六年度予算も含め総額七十九億円、九十五台の郵便自動読み取り区分機を導入したのであります。しかも、この一方的な政府の方針に対し、国民は郵便番号の記入という協力を惜しまなかったにもかかわらず、郵便事業はますます国民の期待を裏切っております。昨年の年末闘争では、史上最高の郵便物滞貨を生じ、年賀郵便も満足に届かず、国民の不信の声は増大したのであります。そういう状況の中で佐藤内閣が郵便料金の値上げ案を発表したことは、まことに国民の気持ちを踏みにじり、三百議席にあぐらをかいた姿であると言わなければなりません。連日の新聞の投書欄で、国民はこの政府の姿勢を強く攻撃したことは、佐藤総理も当然御存じでありましょう。国民の意思を尊重するのが民主主義であるならば、すみやかに値上げ案を撤廃し、まず国民の納得するだけの企業努力を真剣に行なうことこそ先決であります。総理の御見解をお伺いしたい。
 また、国民の負担増のもとで行なわれた郵便番号制実施の効果について郵政当局は国民に説明すべき義務があると思うが、郵政大臣にお伺いしたいのであります。昭和三十九年十一月、郵政審議会が郵便事業近代化に関する答申を出しております。すでに六年以上も前から今日のような労働力の逼迫は十分に予想され、その対策としてこの答申が提出されたのでありますが、幾多の点において政府は企業努力を怠ってきているのであります。すなわち答申は、労働力の逼迫に備え、局外の作業においても女子労働者の採用を提案しておりますが、六年後の今日でさえ、郵便外務員においては、女子労働者は皆無に近い現況であります。自衛官、警官すら女性が登場し、希望者が殺到していると言われています。一部の局では高校卒の若い女性を外務員として臨時採用し、職場の空気を明るくし、その勤務ぶりは好評であると聞いておりますが、政府はもっとこれらの女子労働者の採用を積極的に推進すべきであると思いますが、郵政大臣の見解をお聞きしたい。
 また、同答申には、送達速度の公表による国民へのサービスや、配達業務を円滑に行なうための住居表示制度の改革が提案されておりますが、これらについても全く不十分であります。特に名古屋地区の住居表示は全体の一〇%しか整理されておらず、番地が八文字という長い数字であるため、配達業務の円滑化をとめているのであります。答申が出されてすでに六年も経過したことを思うとき、政府の態度はまさに怠慢と言わなければなりません。いつまでに整理を完了するのか、郵政大臣、自治大臣の見解を承っておきたい。
 また、先ほども質問のありました労使関係の正常化でありますが、いまや年中行事化とさえ言われる労使の紛争が国民に大きな迷惑を及ぼしていることは周知の事実であります。しかし、郵政当局は、今日まで常にその責任を労組に転嫁し、口先では管理者の側をも戒めるなどと、りっぱなことを言っても、心の底から何ら反省をしていないことは事実がはっきりと証明をしております。これでは幾ら値上げをしても、混乱の解決の道はあり得ません。郵政審議会の藤井委員長も「民間経営者の立場から見れば、郵政省の労務管理は落第である」と、はっきりと指摘しております。当局はいさぎよく非を改め、労使関係を正常化することこそ急務であります。これらの事態に対し、当局はどのように対処してきたのか、今後どう解決するつもりか、郵政大臣の見解をお伺いしたい。
 また、今回の郵便料金の値上げは、僻地に住む人々の新聞などの定期刊行物の利用をはばむ大きな要因となることであります。これらの郵便物料金は、公共的性格のもとに低料郵送になっておるのでありますが、本案は、郵便利用者のみに赤字の解決を転嫁したという点、まことに不当であると思うのであります。そのほか、特に身体障害者の恵まれない人々の心のささえを無残にも奪い取ることになることを総理は御承知でありましょうか。すなわち、外出も自由にならない全国の身障者同士が、お互いに励まし合っている身障者の会のパンフレット「心の灯」や、国立身障センターの「更友会誌」、脳性麻痺者の会の「青い芝の会」等々の会報が、発行日数が足りないため第三、第四種の扱いが受け付けられず、今回の値上げにより二十五円が四十円となるため発行回数を減らさなければならないという事態となっております。国全体の通数から見れば、幾らでもないこの種の郵便に対し特別な措置を講ずべきであります。人間性尊重ということばが佐藤内閣の飾りにすぎないのでないならば、もっときめこまかい配慮があってしかるべきであると思うが、総理の見解をお聞きしたいのであります。
 次に、本改正案において、封書とはがき以外のすべての料金を法律事項から省令事項へ移そうとする点であります。すなわち、事業の弾力的運用の名のもとに、郵政大臣が郵政審議会に諮問した上で省令できめようとすることであります。今回これが省令に移されれば、封書とはがき以外の郵便料金の決定は郵政大臣の自由裁量となり、赤字を理由にいつでも値上げができる体制となるのであります。これではますます国民から遊離した郵政事業となり、国会軽視もはなはだしいと思うのでありますが、郵政大臣の責任ある答弁を求めます。
 最後に、「事業は人なり」ということばがございますが、特に人手を主力とする郵政事業においてはそのとおりであると思います。一人一人の職員が希望と生きがいを持って働くことのできる環境をつくらずして郵政事業の前進はあり得ないことを強調したいのであります。政府がこの問題に真剣に取り組まず、ただ郵便料金値上げのみに真剣になっている姿は、まさに本末転倒であり、底の抜けたおけに水を入れるごときものであることを指摘し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(佐藤榮作君) まず、昭和三十九年の郵便事業経営の近代化に関する答申にもかかわらず、今日まで全く合理化のための努力がなされていないとのおしかりでありましたが、決してさようなことはございません。詳細につきましては郵政大臣からお答えいたしますが、その後、郵便番号制の全面的実施や自動読み取り区分機等の導入による作業機械化の推進、さらには送達速度の安定向上のための郵便物の航空機輸送の拡張や集中処理局の建設など、各般にわたる合理化、近代化、省力化の努力を行なってまいったところであります。にもかかわらず、今回郵便料金の改定を行なわざるを得なくなったのは、郵便事業は省力化を行ないましても、なお人力に依存する度合いが高く、必要労働力を確保し、生産性向上のための設備の改善充実を行なうために必要な財源を調達する必要があったからであります。なお、今後におきましても全力をあげて事業の近代化、合理化に企業努力を行なうべきことはもちろんのことであり、今回の改正はその努力を前提とした必要最小限度のものであることを御了承いただきたいと存じます。
 次に、身体障害者や僻地住民の郵便料金について特例が考えられないかとのお尋ねがありました。率直に申しまして、僻地住民に発送する郵便物を特別扱いすることは実際問題として不可能であります。身体障害者の場合、御質問のような事例については、できれば何とかしたいという気持ちはいたしますが、実際問題として、実務上困難な問題が多いと予想されます。なお、この問題につきましては慎重に検討してみたいと考えますが、当面、社会的に恵まれない方々一般に対する社会保障の充実強化の問題として留意してまいる所存であります。
 以上、お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣井出一太郎君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(井出一太郎君) 塩出さんにお答えいたします。
 先ほど永岡さんにお答えした部分は少し簡略にいたしますが、御了承を願いたいと思います。
 まず、郵便番号制でございますが、これを採用しましてちょうど三年目を迎えました。この間、国民の皆さんの非常な深い御理解のもとに、たいへんな御協力をいただいておりまして、現在では全郵便物の約八割くらいが番号を書いていただいておるのでございます。そこで、これが記入されますと、機械化の線に乗せる上にたいへん便利でございまして、現在、郵便番号自動読み取り区分機、これは全国の二十二の郵便局に三十五台配属をいたしまして、本年も継続して拡充をしていくわけでございます。この番号制度の効果は、ただいま郵便の省力化にたいへん御協力をいただいておるということを申し上げる次第であります。
 それから労使関係改善の問題については、先ほど永岡さんにお答えいたしましたが、これはもう労使双方がこの事業の公共性とその使命を自覚いたしまして、お互いに相手方の立場を尊重するということで努力をしてまいる必要があるわけであります。決して労働組合だけに酷なことをしいるというのではなく、郵政当事者も十分にえりを正して、みずからを省みると、こういうことで、今後さらに両者の接近をはかり、正常化に努力をしてまいりたい、こういうつもりでおるわけでございます。
 女子職員の採用を積極的にするようにと、こういう非常な前向きな御発言をちょうだいいたしましたが、これは私ども現に団地におけるママさん配達といいますか、これを実施をいたしまして、現在五百人ぐらいの方にお力添えをいただいております。これはたいへん評判がよろしゅうございまして、何か明るいものを与えておるという感じでございます。これは単にそういった臨時職員というだけでなく、もう少し職場の中に正規の職員として採用、登用する、こういうことも実は考えておりまして、漸次その緒についておるわけでございます。これはひとつ積極的に推進をしてまいる所存でございます。
 住居表示の問題については、ちょうど自治大臣もここにおいでになっておられますが、これは自治省と相携えまして積極的に推進をする所存でございまするし、また郵政省もこのためには何がしかの負担をいたしまして、そしてこの表示の普及に努力をいたしておるわけでございます。
 第三種、四種の問題についてお触れになりましたが、これは先ほどお答えをしたとおりでありますが、特に塩出さんからは僻地の問題、あるいは身体障害者の問題、こういった点にお触れになったわけでありますが、これは総理からお答えをいたしたとおりであります。そこで、総括的にお答えいたしますならば、企業努力に全力をあげて取り組め、こういう仰せでありますが、これはもうそのとおりでございまして、人力に依存する度合いが非常に大きい事業でありますものの、そのための労働力を確保し、生産性を向上するためには一体どうすればいいのか。たとえば施設の改善もその一つでございましょうし、特に都会地が雇用難でございますが、そういう人々に対する宿舎の整備だとかいうふうなことには、本年度も相当な予算を計上しておるわけでございます。それにしましても、どうも先立つものはお金だというようなことになりまして、たいへん窮屈な郵政財政から言いますと、今回程度の値上げはどうしてもごしんぼういただかなければならぬ、このことを御理解いただくことをお願い申し上げて御答弁といたします。(拍手)
   〔国務大臣秋田大助君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(秋田大助君) 住居表示の乱雑性がわが国の日常生活に不便である、また郵便配達上もいろいろ不都合があったことは事実でございます。そこで、これを整備改善しようという法律が昭和四十二年に出ておりまして、住居表示に関する法律でございます。これに基づきまして事業実施計画を立てました市区町村が、日本全体で三百八十八団体あります。この三百八十八団体が住居表示の整備改善をいたしますと大体不都合がなくなるという勘定でございますが、このうちで事業を完了したものが百二十九、まだ事業実施中のものが二百五十九ということになっております。そこで、この百二十九を完了したのでありますが、これは大体どういう実施率になるかと申しますと、面積で申しまして五三・九%の実施率だということになっております。約半分でございまして、半分まだ事業が完成されていないという勘定になります。そこで、これをなるべく早く、一日も早く、この住居表示の整備改善事業を完遂しなければなりませんので、われわれといたしましては関係方面とも連絡をいたしまして、まあ二、三年、昭和四十八、九年までにはぜひ完了いたしたい、こういう考え方のもとにせっかく指導をいたしておる次第でございます。(拍手)
#30
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#31
○副議長(安井謙君) 日程第三、証券取引法の一部を改正する法律案。
 日程第四、外国証券業者に関する法律案。
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 日程第五、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件。
 以上三件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長柴田栄君。
    ―――――――――――――
   〔柴田栄君登壇、拍手〕
#33
○柴田栄君 ただいま議題となりました三件について申し上げます。
 まず、証券取引法の一部を改正する法律案は、証券市場の国際化及び規模拡大の趨勢に即応して、投資者保護の徹底等に資するため、粉飾決算に対する損害賠償責任の所在の明確化等の企業内容開示制度の改善整備をはかるとともに、有価証券の公開買い付けの規制に関する制度の新設等を行なおうとするものであります。
    ―――――――――――――
 次に、外国証券業者に関する法律案は、証券業の資本自由化の進展に即応して、外国証券業者が、わが国において支店を設置し、証券業を営むことができる道を開くとともに、その営業活動に対し、営業保証金の供託等の規制を行なおうとするものであります。
    ―――――――――――――
 次に、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件は、高松宮殿邸建設の敷地として、現在、大蔵省所管の普通財産となっております土地を総理府、宮内庁所管の皇室用財産に所管がえするため、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めようとするものであります。
 委員会における三件の質疑の詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論なく、順次採決の結果、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、証券取引法の一部を改正する法律案に対し、中山委員より自民、社会、公明、民社四党共同の附帯決議案が提出され、全会一致をもつ本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 右、御報告いたします。(拍手)
#34
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、証券取引法の一部を改正する法律案及び外国証券業者に関する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#35
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#36
○副議長(安井謙君) 次に、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件を問題に供します。本件に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#37
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本件は可決せられました。
 本日はこれにて散会いたします。
  午前十一時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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