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1970/04/23 第65回国会 参議院 参議院会議録情報 第065回国会 本会議 第10号
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1970/04/23 第65回国会 参議院

参議院会議録情報 第065回国会 本会議 第10号

#1
第065回国会 本会議 第10号
昭和四十六年四月二十三日(金曜日)
   午前十時八分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第十号
  昭和四十六年四月二十三日
   午前十時開議
 第一 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別
  措置法案(趣旨説明)
 第二 公衆電気通信法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 第三 日本原子力船開発事業団法の一部を改正
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 原子力損害の賠償に関する法律及び原子
  力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改
  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
  改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第六 建設省設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、北海道開発審議会委員の選挙
 以下 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、欠員中の北海道開発審議会委員一名の選挙を行ないます。
#5
○瀬谷英行君 北海道開発審議会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#6
○佐藤隆君 私は、ただいまの瀬谷君の動議に賛成をいたします。
#7
○議長(重宗雄三君) 瀬谷君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、北海道開発審議会委員に川村清一君を指名いたします。
     ―――――・―――――
#9
○議長(重宗雄三君) 日程第一、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案(趣旨説明)。
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。野原労働大臣。
   〔国務大臣野原正勝君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(野原正勝君) 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 わが国の雇用失業情勢は、昭和三十年代後半以後引き続く経済の高度成長に伴い著しく改善され、近年においては労働力不足基調へと変わってまいりました。今後とも、経済はなお相当の成長を続けていくものと予測されますので、多少の景気の変動があるとしましても、全体として労働力不足は一そう深刻化するものと思われます。しかしながら、その中でも年齢別、地域別に見ますとかなりの不均衡が見られ、中高年齢者や雇用機会の乏しい地域の失業者につきましては、年々改善されてきてはおりますが、なお就職が必ずしも容易でないという状況が見受けられます。
 このような状況の変化に対処するため、失業対策制度のあり方について根本的に検討することが必要であると考えられましたので、昨年九月、学識経験者を失業対策問題調査研究委員に委嘱し、客観的、専門的立場からの調査研究を依頼いたしました。同年十二月、その結果が報告されましたので、それを参考としつつ、今後の失業対策制度に関する基本構想をまとめ、同月二十三日、雇用審議会に諮問いたしました。
 この基本構想におきましては、先に述べましたような雇用失業情勢の見通しを前提とし、中高年齢者が多年にわたる職業生活で得た知識と経験を生かすことが、中高年齢者自身にとっても、また、国民経済の観点から見ても肝要なことであるとの考えに立って、今後は、中高年齢者の雇用促進に重点を置き、これらの者が従来のように失業対策事業に依存することなく、その能力を民間雇用において有効に発揮することができるようにするための特別の対策を講ずることとしております。
 一方、現在失業対策事業に就労している者につきましては、従来の経緯等にかんがみ、当分間、失業対策事業を継続実施して、これに就労せることとしております。
 雇用審議会におきましては、この基本構想について慎重な審議が行なわれ、去る二月十三日答申をいただきましたので、政府といたしましては、その御意見を尊重しつつ成案を固め、ここに中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案として提案した次第であります。
 次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、この法律は、中高年齢者等の就職がなお困難な雇用失業情勢にかんがみ、これらの者がその能力に適合した職業につくことを促進するための特別の措置を講ずることにより、その職業の安定をはかることを目的とするものであります。
 第二に、中高年齢者の雇用を促進するため、その適職、労働能力の開発方法等の研究、求人者等に対する指導及び援助、職業紹介施設の整備等の措置を講ずるとともに、中高年齢者に適する職種について雇用率を設定し、これが達成されるよう、事業主に対しまして、雇い入れの要請、給付金及び融資についての特別の配慮を行なう等、中高年齢者の雇用を奨励するための必要な諸施策を講ずることといたしております。
 第三に、就職の困難な中高年齢者等の就職を促進するため、求職手帳を発給し、その有効期間中就職活動を容易にし、生活の安定をはかるため、所要の手当を支給しつつ、就職指導、職業訓練、職場適応訓練等を実施することにより就職の促進をはかり、このような対策を講じた後においても就職が困難な者につきましては、必要に応じ手帳の有効期間を延長することといたしております。
 第四に、中高年齢者等につきましては、一般的には以上の諸施策によって十分対処し得ると考えられまするが、産炭地域等雇用の機会の乏しい地域の中高年齢者等につきましては、手帳の通常の有効期間が終わってもなお就職が困難な者も考えられますので、有効期間についての特別の配慮を加えるほか、これらの者の雇用を促進するため、職業紹介、職業訓練等の実施、雇用機会の増大をはかるための措置等に関する計画を作成し、計画に基づき必要な措置を講ずるとともに、必要に応じ公共事業へ吸収させることにして、万全を期している次第であります。
 なお、雇用機会の増大をはかるための措置として、当該地域の発展により雇用の機会が増大するまでの間、臨時に雇用の機会を与えることを目的として、予算措置により、特定地域開発就労事業を実施することにしております。
 また、この法律案の附則におきまして、緊急失業対策法は、この法律の施行の際、現に失業対策事業に使用されている失業者についてのみ、当分の間、その効力を有するものとして、この場合においては、夏季または年末の臨時の賃金は支払わないものとするとともに、関係法律について所要の整備をいたしております。
 以上が中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案の趣旨でございます。(拍手)
#11
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小柳勇君。
   〔小柳勇君登壇、拍手〕
#12
○小柳勇君 私は日本社会党を代表して、ただいま提案されました中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案につきまして、総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 現在の緊急失業対策法は、昭和二十四年、戦後多数の失業者の発生に対処して、失業対策事業及び公共事業にできるだけ多数の失業者を吸収し、その生活の安定をはかること、あわせて経済の復興に寄与することを目的として制定された法律であります。今日まで二十余年の間、この法律による失業対策事業を振り返ってみますと、就労した者の数は昭和二十六年で約十五万人、昭和三十五年では二十五万人にふえておるのであります。昭和三十八年には法律の改正を行なって、失対事業就労の規制を加えてから年々減少を続けてまいりましたが、それでも現在なお十六万人の失業者が就労いたしております。
 次に、労働省編集の「失対事業二十年史」によりまして失対事業の成果を見ますと、土地、道路、水道、河川、砂防施設、港湾施設、保健衛生等々の整備事業など、あらゆる分野にわたって相当の成果をあげております。たとえば、道路では合計六千五百キロメートル新設いたしました。これは東京からシンガポールまでの距離であります。同じく道路の補修では約九十三万キロメートルで、これは地球から月までの距離の約二倍半に当たり、アポロが月を往復した距離よりも長いのであります。舗装した道路の面積は九千九百万平方メートルで、猪苗代湖の広さであります。除雪いたしました雪の量は霞が関ビルの容積の百五十ぱい分の量であります。能率のよくない失対事業と言われておりますが、実に驚くべき仕事の量をいたしているのであります。このように二十余年にわたる失対事業の功績は、失業者の救済のみにとどまらず、事業の成果の上でも著しいものがあったのであります。
 次に、今日の労働力の需要供給の状況について見てみますと、近年の雇用失業情勢は大幅に改善され、いまや労働力不足の時代に入ったと言われております。ただいま、労働大臣もそのように申しております。しかしながら、労働力需給の実情をこまかに調べてみますと、労働力が不足しておりますのは若年技能労働力でありまして、現実にはいまなお多くの失業者が存在し、しかも、その大半は中高年齢者であります。その求職は依然として困難な実情にあります。総理府の労働力調査によりましても、完全失業者は六十万人と言っておるのであります。政府は四十六年度予算におきましても、緊急失業対策事業就労人員をなお十二万人計上いたしておることは皆さん御存じのとおりであります。一方、今日の産業界の実情を見ますと、昨年来景気の後退している産業界の不況回復はいまだ予測はつかないような事態であります。したがって、将来、不況産業の人員整理あるいは倒産による失業者の発生なども考えておかなければならないと思うのであります。
 そこで、まず総理大臣にお尋ねをいたします。今回提案されました中高年齢者等に対する特別措置法案は、表看板は中高年齢者などの就職促進に関する法律でありますが、その中身は、現在の失業対策事業法を廃止しようという失対打ち切り法にすぎないと言えます。なぜこのような法律が必要であるのか。この法律に盛られている内容を見ますと、中高年齢者の職業のあっせん、雇用率の設定、雇用奨励金制度など、特別措置のおもなる点は現行の雇用対策法、公共職業安定法などの中ですでに定められているところであります。政府もその施策を推進して今日に至っているところであります。本法律案により新たに設けられた点は、言うならば求職手帳の発給措置だけであります。中高年齢者の雇用促進並びにその救済対策に関しては、本法律案の制定を待つまでもなく、現行の雇用対策法、公共職業安定法、緊急失業対策法等による措置の推進で十分可能であると思うのであります。
 再び繰り返して申しますが、本法律案は、中高年齢者の雇用の促進と称して、現在失業対策事業に従事している失業者に対してのみ、当分の間その効力を認めて、それ以外は現行の失業対策事業から失業者を締め出すものであります。なぜこのような措置が現在必要であるのか、総理大臣の真意をただしたいのであります。
 次に、総理及び労働大臣、企画庁長官にお尋ねいたします。
 今日までの高度成長の主導的役割りをになってきた電気、自動車、石油化学など花形産業は、昨年来の景気後退が予想外に長引き、なお現在においても先行きの見通しがむずかしいと伝えられております。このため、超大型設備を備えた直後に需要鈍化に見舞われた企業にあっては、人員の合理化、省力問題について深刻な悩みとなっております。企業にあっては、当面の不況対策として労務の合理化を推進する場合、臨時工、パート・タイマーの整理、残業時間の規制を行なう反面、中途採用の中止、週休二日制の実施、遊休部門の配置転換等の対策が考慮されております。将来の景気動向のいかんでは、新規就職者の自宅待機、希望退職者の募集、ひいては首切りという、人員削減の直接措置に頼らざるを得ないような深刻な事態が起こるのではないかと心配されるのであります。今後、新たに産業界の不況による失業者の発生は全く予想されないのか、現行の緊急失業対策法がなお必要とされる事態は全く考えられないのか、総理大臣及び関係両大臣の御見解を尋ねます。
 次に、総理及び厚生大臣にお尋ねをいたします。
 本法律案は、労働省令で定める範囲の年齢、すなわち四十五歳以上六十五歳未満のものに適用するといわれておりますが、六十五歳以上の老齢者の生活安定対策はどうしようとされるのか。わが国の国民年金はやっと十年前に制定され、三十年前に制定された厚生年金制度と並んで国民皆年金制度が確立したと政府は申しておりますが、両年金ともいまだその給付内容ははなはだ貧弱であり、かつ自動調整制度の採用がないので、年々の物価上昇のもとでは、とうてい老後の生活を支える金額のものではありません。このことは政府も十分承知しておられるところであります。今回の新制度の発足にあたっては、まず年金制度の充実が先決問題であります。社会保障制度の十分でない由状において、六十五歳以上の高齢者の生活安定対策を欠いたまま新制度に切りかえることは、新法の保護の対象とならない高齢失業者を見殺しにする結果となるのであります。雇用審議会におきましても、高齢者については社会保障制度による給付の充実をはかることを答申しております。この際、総理大臣及び厚生大臣に六十五歳以上の高齢者の福祉対策についてお尋ねをいたしますとともに、厚生年金、国民年金制度等につきまして、給付内容の大幅改善など、抜本的改正を必要とする時期にきていると考えるのでありますが、しかもそれは緊急を要すると思うのでありますが、どうでございましょうか、お尋ねいたします。
 次に、労働大臣に質問いたします。まず第一は、定年制の延長に関してであります。定年年齢も、最近の労働力不足対策等から、一部の企業においては六十歳定年制を実施しているところもありますが、五十五歳を定年と定めている企業が大部分であります。定年年齢の延長をはかることはもとより、それとあわせて公的年金受給年齢とのギャップが生じないように受給年齢を調整する必要があると思うのでありますが、どうでございますか。
 さらに、六十五歳以上の高齢者は求人は一般に少ないのであります。高齢者の就職促進のためには雇用率の引き上げのみにとどまらず、広く労働力活用のため、年齢に応じた作業への労働者の適正な配置を考えるとともに、雇用審議会も答申しておるように、新たな職場の創設と、就職あっせん業務をさらに積極的に行なうべきであると思いますが、労働大臣の御意見をお尋ねいたします。
 最後に、重ねて労働大臣に、本法律案の中に含まれておる雇用審議会の答申無視の姿勢についてお尋ねいたします。
 その第一点は、審議会は、「現在失業対策事業に就労している者で自立しえない者については、この事業に就労することによって維持されてきた程度の生活内容が、社会保障対策や高年齢者の仕事に関する対策によって充足されるようになるまでの間、引続き就労できるようにすること。」と答申しております。また、中央職業安定審議会も同趣旨の建議を行なっております。しかし、本法律案では、附則において「当分の間」だけと区切って、いつでも廃止できるようにしております。これは審議会の答申の趣旨に反するものであります。
 次に第二点は、従来支給されておりました夏期及び冬期手当制度の廃止であります。審議会におきましては、「臨時の賃金については、就労者の生活に激変を与えない範囲において、支給条件等の改善について検討を加えること。」と答申しております。また、中央職業安定審議会も同趣旨の建議を行なっております。ところが提出された法案には、附則におきまして、これを廃止すると書いておるのであります。審議会の答申の趣旨に従う道は、廃止することではなく、運営に改善を加えることで足りるのであります。夏期及び冬期の特別手当は長年の慣行であり、しかも去る昭和三十八年の改正により法律上の根拠を与えられたものであります。
 以上、審議会の答申をなぜ無視されるのか。労働大臣の説明を求めるとともに、この二つの問題を答申どおりに法案を修正すべきであると考えるがどうか。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(佐藤榮作君) 小柳君にお答えいたします。
 現在の失対事業はそれなりに功績のありましたことをただいま評価なさいましたが、私もさように考えますけれども、当初の目的でありました再就職までの暫定的な失業救済のねらいから遠くかけ離れ、現実に即さないものとなったうらみのあることは御承知のとおりであります。私は、失業に対する対策より、むしろ適切な雇用の維持確保にこそ施策の重点が置かれるべき時期に到達したものと考えており、そのような意味で、本日提案したこの法案は、時代の変化に即応した改善合理化をはかったものであります。
 また、小柳君は、老齢者の就業対策につきましてもお尋ねでありました。具体的には労働大臣からお答えすることといたしますが、私は、むしろ今後中高年齢者がその経験と能力とを生かして活躍すべき分野は広いし、かつ、その社会的要請も一そう強まるものと考えております。私は、その機会を積極的に拡大し、民開雇用においてその能力を有効に発揮できるようにすることが何よりも望ましいことと考えますが、今回の法案はその意味で大きく寄与するものと考えております。この法案は、小柳君が懸念されるように、新たに失業する者を失対事業から締め出すことを目的としたようなものではなく、より積極的に適切な雇用の確保をねらいとした建設的な意義をよくおくみ取りいただきたいものと思います。
 次に、今後の失業の見通しについてでありますが、長期的に見ても、短期的に見ても、全体として失業が大きな深刻な問題となることはないものと考えております。最近においても依然として求人は求職者を上回って、失業率もきわめて低水準であり、労働力需給逼迫の基調は依然として変わっておりません。景気停滞に対しても、財政金融政策の機動的な運営により漸次回復に向かうものと考えますが、あわせて雇用対策の一そうの充実により離職者の早期再就職に万全を期してまいりますので、従来のように失業対策事業に依存しなければならないような事態は避けられるものと考えております。
 最後に、社会保障制度の充実についてでありますが、四十六年度予算におきましても、年金制度の改善、老人福祉対策の充実には十分留意したところであります。今後とも社会保障制度の拡充につとめてまいりますが、特に将来の国民的課題となると考えられる老齢者対策は重点的に取り上げてまいる所存であります。
 以上私からお答えをいたしますが、その他の点につきましては、それぞれの所管大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣野原正勝君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(野原正勝君) お答えいたします。
 総理からの答弁もございましたが、今後新たに発生する中高年齢失業者につきましては、その能力に適合した通常の民間雇用につくことを容易にするため、この法律案に基づきまして各種の援護措置を講ずることにより、十分対処し得ると考えられますので、失業対策事業に就労させる必要はないものと考えておるのであります。
 また、昨年秋以来の景気停滞に伴う労働市場においては、求職者が増加し求人が減少するなど雇用の面にも若干の変化があらわれておりますが、しかし、これらの動きはおおむねゆるやかでございまして、求人数は依然として求職者を上回っております。このような情勢からすれば、現在のところ、景気停滞の雇用面への影響は比較的軽微であると判断されまして、一部の業種や地域で離職者が発生しても、高い水準の労働需要をささえとして比較的円滑に再就職ができるものと考えられるのであります。今後におきましては、これまでの二度にわたる公定歩合の引き下げ、あるいは公共事業の繰り上げ実施等によりまして、経済も徐々に立ち直ることになりますので、雇用事情が特に悪化することはないものと考えられます。長期的に見れば、今後は経済の安定的成長と労働力供給の伸び悩みが予測されますので、全体としては労働力不足は一そう進行するものと思われます。したがって、一時的な景気の変動等によりまして、かりに失業者が発生するようなことがありましたとしましても、比較的就職が困難な中高年齢者につきまして、この法案による請施策を講じ、民間雇用の場においてその職業と生活の安定をはかることができ、従来のように失業対策事業に依存しなければならぬというふうな事態は全く生じないものと考えております。
 高齢者の雇用促進につきましては、公共職業安定所に高年齢者コーナーを設け、あるいは人材銀行を活用いたしまして、きめこまかい職業指導、職業紹介を行なうとともに、社会福祉法人による高齢者を対象とした無料職業紹介の道を進めております。
 また、高齢者の適職を選定し、事業主に対する高齢者の採用を勧進するため、職業研究所の機能も活用して、高齢者の適職について調査研究を進めることとしております。高齢者が長い職業生活においてつちかってきた経験と能力が職場で十分に生かされるようにつとめてまいりたいと思います。今後とも高齢者の雇用の促進については、その適職について調査研究を進め、高齢者に適した職場の開拓に一そう努力するとともに、職業あっせん体制の充実に十分意を用いてまいる考えでございます。
 定年制のことでございますが、最近、定年年齢の延長の傾向が出てまいりました。しかし、まだ五十五歳が大半でございます。寿命の延長が著しい昨今、若年労働力を中心として労働力が不足をしております現状から見まして、さらには人口構成の急激な高齢化が予想されますことから、高年齢労働者がその能力を有効に発揮することができるよう、定年の延長が望ましいものと考えております。この法案におきましては、中高年齢者の適職の研究を行ない、それらの適職についての中高年齢者の雇用率を設定し、中高年齢者が雇用されることを促進するための措置を講ずることによりまして、民間企業の理解と協力によりまして、中高年齢者に適した職業への労働者の再就職、再配置が進むことを期待しておるわけでございます。
 以上述べましたごとく、老齢者の就職対策を充実強化することとしているので、この際、老齢者就職事業を実施する必要は特にないものと考えております。
 この法案の附則において、緊急失対法は現在の就労者についてのみ当分の間効力を有することにしているのでありますが、雇用審議会の答申の趣旨を十分に尊重いたしまして、社会保障制度や高齢者の仕事に関する対策が充実をされるまで、引き続いて就労できるように配慮しておるわけでございます。
 臨時の賃金につきましては、いろいろ問題がございますので、臨時の賃金という制度は廃止することにしておりますが、従来からの経緯もありますし、就労者の生活に激変を与えないという点を考えまして、雇用審議会の答申の趣旨を十分に尊重いたしまして、十分な配慮をした上、適切な方策によって支給ができるように考えておるわけでございます。したがって、そういうような必要な財源を確保しておりますので、その点は答申の御趣旨を十分に尊重しておるものと考えております。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤一郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(佐藤一郎君) お答ええいたします。
 失業の見通し等との関連において、近き将来における景気の動向についての御質問でございました。御存じのように、政府は昨秋以来、金融緩和措置を講じてまいっておりますし、それからまた公共事業費の繰り上げ施行と、こういうようなこともはかっております。それらに応じまして銀行の貸し出し等も非常に積極的になってきております。そしてまた、この近い、四月−六月におけるところのいわゆる第一四半期における財政の大幅の払いと、こういうようなこともございまして、このところ急速に金融が緩慢化し、また金融機関の貸し出し態度も一そう積極化してまいる、こういうふうに判断をいたしております。比較的に景気の停滞の最も深いとされておりました二月におきましても、有効求人倍率はなお一・二をこえておるのでございまして、局部的には労働需給も相当緩和したところもございますけれども、全体といたしましてはまだまだ高い水準を維持しておるわけでございます。今後の景気判断といたしましては、おそらく四月から六月のころにかけまして在庫の調整がほぼ一巡する。例外のものもごくわずかございますが、ほぼ四−六月ごろで一巡する。したがって、景気の落ち込みはこれ以上はないと、こういうふうに判断をいたしております。しこうして、民間の設備投資の意欲は、まだ大幅な供給設備の増加等もございまして、目下のところ、停滞ぎみでございますが、下期以降、徐々に上昇をしてまいるであろうというふうに考えております。いずれにいたしましても、ほぼ在庫調整並びに緩和措置によりまして一〇%前後の安定成長のラインに落ちついてまいるものと判断をいたしております。もとより、政府は財政金融政策を今後も機動的に運営をするつもりでございますから、御心配のような点については決してそういう憂いがないと、こういうふうに考えておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(内田常雄君) 一般的に老人に対する福祉施策が非常に大きな国民的課題となってまいってきておりますことは、私もこの席からたびたび申し上げたとおりでございまして、ことにそのうちの中核をなしますものは、私はやはり所得保障でありますところの年金の充実であるということは、小柳先生と同じ考え方を持つものでございます。今回の国会に対しましても、国民年金のうちの福祉年金の若干の引き上げでありますとか、あるいはまた財政再計算期を待たずして行なう厚生年金の引き上げというような議案も提案をいたしておりますのも、私どものこの考えの一端を示すものでございますが、しかし、私はそれをもってもちろん十分なものとは考えませんので、最近における国民の生活水準、物価、その他経済の動向をも勘案をいたしまして、自動的なスライド制ということではなしに、私は政策的に、それよりもむしろ老齢者に対する社会福祉についての国民意識の向上というものをより大きく取り入れまして、これらの年金制度の充実につきましては、今後とも格段の努力を重ねてまいる覚悟でおる次第でございます。
 また一面、わが国の年金制度は、制度ができましてから御承知のとおり日が浅いために、非常に年金でカバーされる部分が少ないというような印象を与えておりますけれども、これは制度の成熟とともに自動的に年金のカバーする分野が非常に大きくなりますことも、小柳先生御承知のとおりでございます。しかし、私はそれをもって満足するものではございませんので、それはそれといたしまして、十分この老人に対する所得保障の施策の充実をも進めてまいりたいと考えます。
 その他、国民の寿命が延びまして、年をとりましても皆さま方が非常に元気で、従来の経験、経歴を生かして働きたいという意欲を持つ方々が多いわけでありますから、私どもの老齢者対策といたしましては、そういう面に、年をとった方々に生きがいを感じて働くような仕組みをつくってまいりたい。単に老人クラブをつくって、それに若干の助成をすれば済むとは私は考えずして、むしろ、こういうお年寄りのうち機能のあられる方たちには、社会奉仕活動というようなものに一歩を踏み出していただくというような、そういう施策も四十六年度から踏み出してまいりましたことは御承知のとおりでございます。
 また、六十五歳以上の方々に対する職業紹介事業というようなものも、これは労働省とは別個の立場で厚生省としていたしておりまして、この成績が非常によろしゅうございます。一般の職業紹介所の窓口における就職成立率の二倍ぐらいの成績をあげておるようでございますので、こういう施設毛四十六年度にはさらに増設をすることにいたしておりますが、この方面に力を入れてまいる所存でございます。
 そのほか、からだに支障のあられる方々についての養護老人ホームの充実とかというようなことにつきましても、また、老人の医療対策の充実につきましても、私は格段の構想を持って今後進めてまいりたい、かような所存でおる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(重宗雄三君) 宮崎正義君。
   〔宮崎正義君登壇、拍手〕
#18
○宮崎正義君 私は、公明党を代表して、ただいま提案になりました中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案に関し、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたしたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今日、わが国における六十歳以上の人口は千百万人を数え、総人口の二%を占めております。この規模は、自由世界にあってアメリカに次ぐ老齢人口を有するものであり、しかも、今後さらに短期間に老齢化が進むことが予測され、近い将来、世界一の老齢人口比率の国になると見込まれているのであります。しかし一方、中高年齢者を取り巻く環境はきわめてきびしく、とりわけ政府の雇用対策と福祉政策の貧困さは、これら中高年齢者にとって不安感を一そう増大させる結果となっております。年々労働力不足が深刻化する中で、労働力人口の高齢化が著しく進んでいる状況を考えますと、雇用対策の対象を中高年齢者に焦点をしぼり、施策を講ずる必要があると思うのであります。顕著な事例として、中高年齢者を対象とした各種の職業紹介の実態が示すように、就職率はきわめて低いという実情に置かれていることであります。また、社会福祉制度の面から見た場合でも、年金にせよ、医療にせよ、住宅にせよ、何一つとして生活を保障し得るものは見当たらないのであります。総理は、このような中高年齢者に対するはだ寒い雇用対策と社会福祉制度をどのように認識をし、評価をし、今後いかなる決意をもって取り組まれるか、御所見を承りたいと思うものであります。
 失業対策事業に従事する労働者にとって、働く職場の確保と賃金は、生活を維持する上で最も重要な問題であります。先ほど御答弁がありましたが、重要なことでありますから、雇用審議会の答申についての考え方をお伺いしたいと思います。「失対就労により維持されてきた程度の生活内容が社会保障対策によって充足されるようになるまでの間、引き続き就労できるようにすること」とあり、臨時手当についても、「これまでの経過、社会的慣行等に留意する必要があり、就労者の生活に激変を与えない範囲において、支給条件の改善について検討を加えること」と答申されているにもかかわらず、本法案では、いずれも廃止するとなっているのでありますが、いかなる理由によるものか、明らかに示していただきたいものであります。失対労務者にとって死活にかかわる重要な案件を、このように安易な考えで処理しようとする政府の姿勢では、国民の納得を得ることはとうてい不可能なことであります。約十九万人をこえるという失対労務者の中でも、その四四%が六十歳以上で占められております。しかも、高齢化は年々進んでおり、その多くは家庭的にも経済的にも恵まれない人たちで占められているのであります。このようなお年寄りや恵まれない人たちにかかわる問題については、なお一そうのあたたかい思いやりと慎重な態度がなければならないと考えるものであります。
 次に、失対事業の性格についてであります。これまでの経過の中で、今日の失対事業が多分に社会福祉的役割りを持つに至ったとしても、本来は労働力政策の一環として取り扱われるべきであることは、衆目の一致するところでありましょう。しかし、労働力政策として徹するからには、社会福祉制度の充実が前提になくてはならないと思うのであります。労働力政策と社会保障政策とが相まってこそ、国民の豊かで実りある生活が実現すると考えるのでありますが、労働力政策と社会保障政策との関連性をどう判断し、対処されるつもりなのか、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、緊急失対法についてお尋ねいたします。言うまでもなく、失業対策事業は、緊急失対法によって制度化されており、本来ならば、真正面から同法の存否を検討すべきが筋であるにもかかわらず、政府はこの点については全く触れることなく、ただいま提案の本法案をもってなしくずしに廃止を企図するやり方は、はなはだ不明朗と言わざるを得ません。緊急失対法には、その目的として、「多数の失業者の発生に対処し、失業対策事業及び公共事業にできるだけ多数の失業者を吸収し、その生活の安定を図るとともに、経済の興隆に寄与する」とあります。しかし一部には、多数の失業者の発生は労働力不足の深刻化する今日ではあり得ないとして、失対制度の存在を疑問視する考えがあるやに聞いておりますが、それを理由に廃止を唱えるとするならば、全くの見当はずれと言うべきであると思うのであります。今日に至るまで二十年以上の長期間にわたってこの制度が続いてきた事実は、現在においてもなお失対制度によって恩恵を受けている人が、かなりの数にのぼっているということの証左にほかならないものであります。さらに、失業者の急増というような不慮の事態に立ち至った場合の備えとして、同法の存続はそれなりに評価すべきであると考えるものであります。一体、政府は失業対策をどのように評価しているのか、見解を明確にされたいのであります。
 次に、高齢失業者等就労事業についてであります。緊急失対法には、高齢失業者等就労事業に関する規定がありますが、この規定が施行されて以来、今日までの行政面における実績としてどのようなものがあるか、また、今後はどのような方針で臨むのかをお伺いいたしたいのであります。
 次に、中高年齢者の雇用対策についてであります。先ほどの趣旨説明にもありましたように、労働力不足が深刻化している今日とはいえ、中高年齢者の雇用事情は、満足を得るにはほど遠い状況にあると申さなければなりません。五十五歳以上の求職者を取り扱っている高齢者コーナーにおける昭和四十五年度上半期の就職状況は全くお寒い限りで、求職申し込み件数に占める就職件数の割合が三二%、高齢者職業相談所にしても二六・五%という低率であります。一方、人材銀行においても、開所以降の業務取り扱い状況を見ますと、その就職率は四十歳から五十歳で三四%、五十一歳から六十歳では二八%、六十一歳以上はわずか一七・七%の低きに甘んじているのであります。さらに、昭和四十四年十月に出された職業安定業務統計によっても、五十一歳から五十五歳を対象とした求人倍率は〇・五八倍、五十六歳以上は〇・一七倍と、これまた低い状態なのであります。こうした実態を見るときに、はたして本法案で示されている内容のもので満足すべき結果が得られるのでありましょうか。あえて、緊急失対法の効力に期限をつけてまで本法案を提案するからには、それなりの自信がおありかと存じますが、その自信の裏づけとなる対策と方法をお示し願いたいと思うものであります。
 次に、雇用率の設定についてであります。雇用率の設定につきましては、雇用対策法、職業安定法に同様の規定がありますが、中高年齢者の雇用については、さきに述べたとおり、きわめて悲観的な実績しかないのであります。また、身体障害者につきましても、より明確な規定があるにもかかわらず、その雇用率は遅々として進歩が見られないのであります。その原因には、法そのものが努力規定になっていることがあげられますが、いずれにいたしましても、現在までの実績に関する限りは、雇用率を設定したからといって、雇用の促進が保証されるような労働市場環境は、遺憾ながら生まれないとの判断に立たざるを得ないのであります。法定雇用率の設定による効果と実施方法はいかなるものか、お答えをいただきたいものであります。
 次に、厚生大臣にお尋ねいたします。豊かで、生きがいのある老後の実現を目ざすには社会保障制度の充実こそが急務であります。しかしながら、わが国における社会保障の後進性につきましては、各界より指摘を受けてからすでにかなりの時を経過しておるわけであります。さらに、先進国との社会保障の水準の格差はますます拡大の方向にあるといえるのであります。年金額の改善、医療対策の充実、住宅、福祉施設の充実等、難問題は山積するばかりで、解決の歩みは遅々として進展を見ることができないのであります。そこで、わが党が提出いたしました社会保障基本法案の中にも盛り込んであります社会保障計画の樹立を検討する用意がおありかどうか、お伺いをいたしたいのであります。
 最後に、高齢労働者に対する厚生省の考え方と今後の方針について、先ほども一部お触れになっておりましたけれども、前向きの御答弁をいただきたいものであります。
 以上をもちまして、私の質問を終わりといたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(佐藤榮作君) 宮崎君にお答えをいたします。
 まず、中高年齢者の就職のあっせんにつきましては、人材銀行等の専門機関によるあっせん活動の強化、あるいは職業訓練の実施等の措置により、その雇用の促進に相当の成果をあげてきたところであります。しかしながら、中高年齢者の就職がなお必ずしも容易でない状況にありますので、今回、中高年齢者雇用促進法を提案し、中高年齢者の就職を積極的に促進するための施策を総合的かつ効果的に講ずることとしたものであり、本法案の施行により格段の成果をあげ得るものと期待しております。
 また、わが国の社会保障制度は年ごとに充実したものとなってきておりますが、今後とも施策の中心的課題として、その改善に力を注いでまいる決意であります。特に人口の老齢化が急速に進展すると予想される今日、老人福祉の問題はますます重要になるものと考えます。私は、国民の一人一人が物心両面にわたってしあわせな生活を送れることを念願しており、中高年齢者対策につきましても、このような見地から最善を尽くしてまいる考えであります。
 なお、失業対策が労働力政策と社会保障政策の二つの側面を持っているとの御指摘でありましたが、現在の失業対策は、就労者の高齢化が著しいため、事実上、社会保障的機能を果たしていることは否定できません。今回の法案はこのような現実に着目して、現に失業事業に就労している者については、高齢者であっても、社会保障制度が充実されるようになるまでの間はこの事業に就労できるようにし、その生活の安定をはかることとしたものであります。そのような意味においても、今回の改正案はきわめて現実的であり、かつ合理的な制度の改善であると私は考えるものであります。
 最後に、政府は審議会の答申に対してどうも忠実でないのではないかというような御意見のように聞き取ったのでありますが、審議会の答申は、その実施におきまして十分基本的には尊重しております。今回の失対就労者の臨時賃金問題にいたしましても、就労者の生活に激変を与えないよう適切なる方策を講ずる考えであり、雇用審議会の答申の趣旨は十分尊重してまいります。政府原案は現実に即したきわめて妥当な案であると、かように考えますので、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣野原正勝君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(野原正勝君) お答えいたします。
 中高年齢者の就職は現在も必ずしも容易でない状況でありますが、今後、経済の安定的成長と労働力供給の伸び悩みが予想されますので、労働力の不足の基調は一そう進行するものと思われます。したがって、この法案に基づきまして中高年齢者の雇用率を設定し、その達成のための雇用奨励措置を講ずるとともに、就職が特に困難な中高年齢者については求職手帳制度を設けまして、手当を支給して、その生活の安定をはかりながら職業指導、職業訓練などの就職促進措置を行なうなど、諸般の施策を総合的に実施することによって、中高年齢者の雇用につきましては万全を期してまいりたいと考えております。
 この法案は、雇用審議会の答申の趣旨を十分に尊重したものでありまして、そのうちの法律上規定すべき事項を盛り込んで作成したものであります。すなわち、この法案の附則において、緊急失業対策法は、現在の就労者についてのみ当分の間効力を有することにしておりますが、雇用審議会の答申の趣旨を十分尊重いたしまして、社会保障対策や高年齢者の仕事に関する対策が充実されるまで、引き続いて就労できるように配慮するなど考えております。
 臨時の賃金につきましては種々問題があるので、臨時の賃金という制度は廃止することにするのでありますが、従来からの経緯もございまして、就労者の生活に影響を与えるところも少なくないわけでありますから、雇用審議会の答申の趣旨を尊重いたしまして、その生活に激変を与えないということを十分に配慮した上で、適切な方策を講ずる考えであります。そのために必要な財源を確保しているところでございます。
 失対事業就労者は年々高齢化しているので、高齢者の安全と健康をはかるため、公共施設内の清掃等の軽易な事業種目を開発拡大して実施してきているところでありまして、現在の失対事業の多くが高齢者に向いた事業となっているので、特に高齢失業者等の就労事業は実施していないわけでございます。今後とも就労者の高齢化は一そう進行すると思われますので、その実態に応じ、適切な事業の運営をはかってまいりたいと考えております。
 雇用率の問題でございますが、中高年齢者の雇用率につきましては、職業安定法の規定に基づきまして、官公庁においては、三十四種目について雇用率を設けておりますが、四十五年の四月現在では、その達成率は九〇%になっております。非常に高い実績になっております。これは民間には実は及んでいなかったのでありますが、民間企業につきましても、この法案に基づきまして雇用率を設けまして、雇用率が設定された場合には、中高年齢者を積極的に雇い入れるように、事業主に対しまして周知徹底をお願いしまして、雇い入れの要請につとめ、さらに、この法律案に基づきまして、求人受理に関する特例を活用し、事業主に対する給付金など、特別な配慮を加えるということによりまして、中庸年齢者の雇用を一そう拡充いたしたい。非常な効果があるのではないかと期待しております。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣内田常雄君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(内田常雄君) 宮崎さんのほうから、先般、議員立法として御提案がございました社会保障基本法案につきましては、本院の社会労働委員会で御趣旨の説明を私も拝聴をいたしまして、その御努力に敬意を表しておるものでございます。また、社会保障の充実に関する私どもに対する御鞭撻とも承っておるものでございまして、今日のこの時勢におきまして、私は厚生大臣として社会保障の充実に大いに努力をいたす覚悟でおります。
 政府のほうにおきましては、御承知のとおり、昨年の新経済社会発展計画におきまして、社会保障の充実につきまして総合的な計画が織り込まれておるわけでございまして、この中には厚生年金、国民年金などの改善につきましても示されております。すなわち、これらの年金につきましての財政再計算期というものがございますが、単にそれだけにとらわれないで、さらに年金の充実、拡充をはかることを私どもは計画をいたしておる次第でございます。またそればかりでなしに、生活保護などの施策につきましても、今日は、この生活保護の対象となります世帯が、老人世帯、あるいは身体障害者世帯などが多いことに注目をいたしまして、この生保の基準につきましても、これに応ずるようなことを私どもは考えておるものでございます。
 その他の老齢者福祉に関する事項につきましては、先ほどから小柳先生に申し上げたとおりでございます。
 なおまた、お尋ねがございました厚生省が実施をいたしております高齢者の職業紹介事業についてでございますが、これは、従来までは全国二十カ所の主要な都市でございましたけれども、昭和四十六年度にはこれを十カ所ふやしまして、三十カ所にいたす計画で進めております。この六十五歳以上の方々に対する職業紹介の成績は、先ほども述べましたように非常に良好でございます。と申しますのは、お年を召されても元気な方は、それだけの生活経験を積んでおられますので、それを活用をする、そういう場合が非常に多いことに私どもは着目をいたしまして、この施策を進めてまいるつもりでございます。ここにちょうど昭和四十四年度の実績がございますけれども、六十五歳以上の方のこの施設に対する就職申し込み者一万三千九百余人のうち、就職が成立いたしました者が五千五十九人でございまして、就職率は三六%というようなことで、好成績を示しております。
 私どもは、労働省の施策と協力し、またそれと相まちまして、この老齢者に対する生きがい、また社会活動の分野の拡大にもつとめてまいる所存でございます。(拍手)
#22
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#23
○副議長(安井謙君) 日程第二、公衆電気通信法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。井出郵政大臣。
   〔国務大臣井出一太郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(井出一太郎君) 公衆電気通信法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 近時、電話等の普及に伴い電報の果たす役割りが変化し、電報事業の収支は著しく悪化してきております。また、最近における生活圏、経済圏の拡大と情報化社会の進展に対処して、通話の制度を改正する必要性が生じており、加入電話に対する需要も年々増加の一途をたどっております。一方、社会経済活動の高度化に伴い、電気通信回線に電子計算機等を接続して行なうデータ通信に対する社会的要請が著しく増大してきております。
 以上のような情勢にかんがみまして、公衆電気通信法の一部を改正して、電報事業の健全化、通話料金体系の調整合理化、電話の拡充等をはかり、サービスの改善につとめるとともに、公衆電気通信の秩序を勘案しつつデータ通信の発展、育成を助長し、わが国の情報化社会の健全な発展に寄与しようとするものであります。
 この法律案のおもな内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に電報につきましては、普通電報の基本料を二十五字まで百五十円、累加料を五字までごとに二十円に改めるとともに、市内電報、市外電報の区別を廃止する等、電報に関する制度を改正することとしております。
 第二に、電話につきましては、自動の市内通話に時分制を採用し、一定の区域内はすべて三分ごとに七円とするとともに、近距離通話の料金を引き下げる等、通話料金の体系を整備し、また、加入電話は全国にわたって設置場所の変更ができるようにする等改正することとしております。
 第三に、電話の設備料は単独電話を一加入ごとに五万円にする等、これを改正することとしております。
 第四に、データ通信につきましては、民間企業等が電子計算機等を設置して電気通信回線を利用する制度としまして、新たにデータ通信回線使用契約の制度を設け、その種類は、特定通信回線使用契約及び公衆通信回線使用契約の二種とすることとしております。これによりまして、民間企業等は一定の条件のもとに、オンラインによる電子計算機の共同利用、計算サービス業、情報検索業等を行なうことができることとなります。
 また、日本電信電話公社または国際電信電話株式会社が行なうデータ通信サービスについても、これを法定することとしております。
 この法律案の施行期日は、設備料関係の規定は昭和四十六年六月一日、データ通信関係の規定は、公衆通信回線に関するものを除き昭和四十六年九月一日、電報関係の規定は昭和四十七年三月一日、その他の規定は昭和四十七年九月一日から昭和四十七年十二月三十一日までの範囲内において政令で定める日としております。
 以上をもちまして、この法律案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
#25
○副議長(安井謙君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。久保等君。
   〔久保等君登壇、拍手〕
#26
○久保等君 私は、日本社会党を代表いたし幸して、ただいま郵政大臣から趣旨説明のありました公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対しまして、佐藤総理並びに関係大臣に対しまして若干の質疑を行ないたいと存じます。
 今回の法律改正案は、ただいまの趣旨説明にありましたように、電報料金の値上げ、電報利用制度の改正、電話料金体系における広域時分制の採用、電話設備料の値上げ、データ通信制度の新設など、まことに多岐にわたって重要な内容を持つものであります。
 これより逐次問題点を指摘して、佐藤総理をはじめ関係大臣の御所見をお聞きいたしたいと存じます。
 そこで、まず、データ通信のための通信網の開放についてお尋ねいたします。今世紀における人類の誇るべき英知の所産であるコンピューターと通信回線との接続は、情報化社会への扉を大きく開くものでありまして、政治、経済、社会に与える影響はきわめて大きく、その及ぶところ、はかり知れないものがあります。したがいまして、情報化を今後進めるにあたりましては、まず、その基本原則たる平和利用と国民生活の向上、民主的な管理運営及び基本的人権とプライバシーの保護の三原則を明確にした基本法を制定し、この原則のもとに情報化に関する基本的政策を定めるべきであるとするのが、われわれのかねてからの主張であります。このことについては、すでに衆参両院においても情報処理振興事業協会等に関する法律案可決の際、全会一致をもって附帯決議がなされているところであります。
 しかるに、このような基本法の制定もないまま、今回、財界の圧力に屈して、通信網の開放を先行させるということは、まことに無原則な措置であって、秩序ある情報化への進展を著しく混乱させるものであると断ぜざるを得ないのであります。また、もしこの状態を放置するならば、わが国情報化の進展は、ますます大資本の意のままに進められ、国民生活や労働環境との矛盾を激化するばかりでなく、情報の独占的管理の強化、マスコミ操作による生活意識の類型化、マスプロによる労働からの人間疎外、さらにファシズム型の政治、社会への移行など、まことに種々危険な傾向を促進することになりかねないのであります。政府は、わが国情報化社会の健全な発展をはかるため、いかなる政策を実施されようとしているのか、この際、佐藤総理の所信を国民の前に明らかにしていただきたいと存じます。
 第二に、電電公社の行なうデータ通信業務の法定化についてお伺いいたします。改正法律案は、電電公社の行なうデータ通信サービスの提供を本来の業務として法的に裏づけようといたしております。公衆電気通信業務を担当する公共企業体たる公社の第一義的責務は、現在なお申し込んでもつかない三百万になんなんとする電話の積滞をすみやかに一掃することにあることは、多言を要しないところであります。昭和四十六年度を初年度とする電信電話拡充七カ年計画におきましても、この計画の終了時にようやく全国的規模において積滞を解消するという見通しでありまして、そのテンポははなはだ緩慢であり、われわれの納得し得ないところであります。しかるに、公社は、現在サービスを提供している六システムのデータ通信に加え、電信電話拡充七カ年計画において膨大なる投資を行なって、二百を上回るシステムを計画しております。一体、公社はいかなるシステムを考えているのか、あわせて郵政大臣からお答え願いたいと存じます。
 第三に、基本的人権とプライバシーの保護についてお尋ねいたします。基本的人権とプライバシーの保護は、情報化を進めるにあたっての重要なる基本原則の一つであることは先ほど申し述べました。今後、情報化の進展によって国民の個人情報、あるいは企業、組織の情報が大量に蓄積をされるようになると思われますが、もしこれが悪用されますれば、基本的人権とプライバシーの侵害という重大な問題を惹起するおそれがあります。最近報道された某出版社のコンピューター用磁気テープ複写事件の示唆するところは、まことに大なるものがあります。現在、情報については法律上保護の対象とされていないのでありますが、このことは、データ通信のための通信網開放以前に解決しておくべき重要問題であると思うのでありますが、この点に関する法務大臣の御所見をお聞きいたしたいと存じます。
 第四は、情報産業に対する外資の自由化対策についてであります。コンピューターの資本自由化は、第四次資本自由化における最大の問題点となっております。また、情報処理サービス業も、現在でこそ自由化されておりませんが、近い将来必ず問題となることは明らかであります。資本的にも技術的にも、わが国に対し格段の優位に立つ米国情報産業資本は、わが国を絶好な市場として虎視たんたんとしてねらっております。米国資本にじゅうりんされた西ヨーロッパ諸国の二の舞いを演ずることは断じて許されてはなりません。情報産業に対し、いかなる外資対策をお持ちであるか、通産大臣にお伺いいたします。
 第五は、国際間のデータ通信についてお尋ねいたします。国際間の通信は、電話にしても、加入電信にいたしましても、各国が独自の交換網を所有して、その交換網と交換網をつなぐのが国際通信サービスでありますが、新しいデータ通信にもこの方式が貫かれるべきであると考えます。これは、その交換機能を情報処理機能に置きかえてみれば明らかなことでありますが、各国が中央処理システムを所有し、その中央処理システム相互間をデータ伝送回線で結合するシステム構成となるべきであると思うのであります。しかしながら、国際間のデータ通信は、ごく一部の先進国で開始されたばかりでありまして、いまだ国際的にこのことの重要性が十分認識されているとは申せません。また、御承知のように、国際間のデータ通信による情報処理につきましては、いまだ基本的な取りきめが存在していないのであります。そのため、特定国の巨大独占資本による市場支配が先行するおそれがきわめて濃厚となっております。この問題は国際間の問題でありますので、国際電気通信連合において原則的な取りきめがなされるのが最も望ましい姿であると思います。そのためには、平等と対等の原則に立った国際間の合意を成立させるようわが国が積極的に働きかけるべきであると考えるものでありますが、この点についても総理の御見解をお尋ねいたします。
 第六は、電話料金体系について広域時分制を導入する問題であります。御承知のように、現行の通話制度は、通話が加入区域内に終始するかいなかによって市内通話と市外通話に区別され、市内通話であれば時間に制限なく七円で通話できるのに対し、市外通話は距離と時間とによって課金されることになっております。提案によりますと、全国五百六十二の単位料金区域を最低通話料金区とし、通話料を三分七円にしようとするもので、まさに画期的な改変と言うべきであります。この方法は、従来の市内、市外の料金格差を縮めて負担の均衡をはかる意味においては一歩前進であることを認めるものでありますが、この単位料金区域の設定は、国民の立場から見ると必ずしも合理的であるとは言えないのでありまして、われわれはかねてからいわゆるグループ料金制を提唱してまいったのであります。また、従来、時間に制限なく認められていた市内通話を一挙に三分単位とすることについては国民大衆は、大企業に奉仕するデータ通信のための通信回線の開放によって、国民一般が経済的な負担増となり、あるいは電話による通話が制限されることになるのだという疑問を感じているのであります。広域時分制の採用は、はたして国民の要望にこたえ得るものであるのか、また、通話料を三分単位とする根拠は一体何か、さらには、この単位料金区域を再検討する用意がはたしてあるのかどうか、郵政大臣の御見解をお聞きいたしたいと存じます。
 第七は、電報事業の近代化とこれに関連する問題についてであります。電電公社におきましては、改正法律案による市内電報、市外電報の区別廃止等のほか、慶弔電報制度の廃止や夜間配達の時間帯の改正などを企図しているようであります。これらの制度改正は電報利用の実態等から見てやむを得ざる措置なりとして提案していると思われますが、しかし、国民にとって著しいサービス・ダウンであることは明らかであります。特に大衆化され、利用数が逐年上昇している慶弔電報制度の廃止は全く理解に苦しむものであります。
 次に、料金値上げとこれら一連の制度改正に伴って電報通数は大幅に減少し、したがって電報関係要員に相当数の削減を生ずることが予想されます。これらのいわゆる電報事業の合理化対策がもし従業員の犠牲において実施されるとすれば、断じてこれを許すことはできません。いかなる要員対策を考えておられるのか、電報事業の将来あるべき姿とあわせて郵政大臣の御答弁をお願いいたします。
 最後に、電報及び電話の料金の値上げについてお尋ねいたします。今回の法律改正により電報料金や電話設備料が大幅な値上げとなるほか、広域時分制の採用により市内電話は三分七円となり、実質的に利用者の負担増となることは明らかであります。政府はさきに郵便事業の赤字を理由に郵便料金の大幅値上げ案を提出いたしております。このような通信料金の値上げが直ちに物価にはね返ることは火を見るより明らかであります。電電公社は、四十四年度決算において二百六十八億円の利益をあげているのであります。しかも、国民が相次ぐ物価の上昇に苦しんでいるときに、電話料金の実質的値上げや設備料の引き上げ、あるいは電報料金の大幅改定を何ゆえ強行しようとするのか。これは生活の安定を求める国民の強い願望に背を向けた、まさに国民不在の法律改正であると言わざるを得ません。ここにあらためて物価政策に関する基本的な姿勢について総理の御答弁を求めるものであります。
 なお、通産大臣が不在の趣でありますので、通産大臣に対する私の質問は総理のほうからお答え願いたいと存じます。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(佐藤榮作君) 久保君にお答えいたします。
 久保君からは、まず、情報基本法の制定についてお尋ねがありました。いわゆる三原則につきましては、実際の行政の運営にあたって十分に配慮しているところでありますが、基本法の制定につきましては、新しい分野であるだけに種々むずかしい問題もあり、今後とも各方面の御意見を聞きながら十分検討してまいる所存であります。
 次に、通産大臣にお尋ねでありましたが、ただいま通産大臣出ておりませんから、私からお答えいたします。
 情報産業の資本の自由化の問題についてでありますが、わが国の情報産業が、資金的にも、また技術的にも十分な国際競争力を持っていないことは御指摘のとおりであります。政府としても、各般の施策を進めてその育成強化に鋭意努力しているところであります。情報産業の資本自由化についても、情報産業の重要性とその弱体な競争力に留意して十分慎重に検討してまいります。したがいまして、ただいま直ちに資本の自由化というような問題はございませんが、この進め方等については最もおそい分野になるのじゃないかと、かように思います。
 情報化の促進は新時代の発展のためきわめて必要であり、このため、昨年、情報処理振興事業協会を設立し、ソフトウエア開発のための融資制度を創設するなど、多角的総合的な政策を実施しているところであります。
 また、今回の改正法案も、オンライン情報処理の需要の増大に対処して、データ通信に関する制度を定めるものであり、今後とも健全な情報化社会の発展のための政策を幅広く実施してまいる所存であります。
 次に、国際間のデータ通信網のあり方につきまして、中央交換局のような施設を設けることは必要であると私は考えております。また、国際協定の必要性については、わが国としても応分の寄与を果たしてまいりたい、かように考えております。
 最後に、物価問題についてのお尋ねでありますが、これは、基本的な問題はすでにたびたび説明したところでありますが、今回の改正によりまして料金改定にも触れておりますので、そういう意味からまたお尋ねであろうかと思います。御承知のように、物価をできるだけ安定的な水準に保つという、これが基本的なわれわれの姿勢でありますし、物価と取り組む政府の姿勢でありますし、ことに公共料金が物価を主導する、そういうことがあってはいかぬと、かように思いますので、公共料金の抑制につきましては、諸物価のうちでも特にわれわれが意を用いているところであります。しかして今回の改正は、これは久保君もよく御承知のように、また後ほど郵政大臣からも御説明になるだろうと思いますが、電電公社の経営内容からいたしまして、いろいろ料金については基本的な問題があるわけであります。ことに電報そのものについては、実際の面から申しまして、いままでのような料金では何もやっていけない、これは御承知のとおりでありますので、今回大幅な改正をこれに加えようということであります。もちろん、その失業等の問題についても対策をあわせて考えていかなければならない、これは御指摘のとおりであります。それらの点については郵政大臣の説明をお聞きいただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣井出一太郎君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(井出一太郎君) 総理がお答えになりましたそのほかの問題、私を御指名になりました点が大体四点あろうかと思います。逐次お答えをいたしまして、残余のプライバシーその他の問題は法務大臣をわずらわすことにいたします。
 第一点は、電電公社が、加入電話を一方においては積滞しておりながら新しいデータ通信に手を出すのはどうか、こういう御趣旨であったと思います。加入電話の充足につきましては、電電公社は電信電話拡充七カ年計画、これによりまして昭和五十二年度末には加入電話の積滞をことごとく解消しよう、こういう計画を持ち、郵政省としましてもぜひともこれを実現したい、こういう気持ちで望んでおりますことは久保さんすでに御承知のところであります。
 一方、データ通信につきましては社会経済の高度化、国民生活の向上に伴いまして、これに対する社会的需要が増大してきておる点にかんがみまして、電電公社は電報、電話以外のこういった新しいタイプの通信需要に対しましても、多年にわたり蓄積をしてきた経験あるいは技術力、要員等を活用いたしまして、これに応じていくことが国益と国民の要望にも沿い、国産技術の振興にも役立つものと考えておりますので、加入電話の積滞解消をはかるとともに、データ通信に対する需要にも応じてまいる、こういう考え方に立っておるわけでございまして、決して財界の圧力とか、そういうものではなく、まさにこれは時代の要請に従っていると、こういうふうに御理解を願いたいのであります。
 第二点は、広域時分制に関連してのお尋ねでございますが、区域内通話を三分単位といたしましたのは、公衆電話においてすでに市内通話の三分打ち切り制を実施しておりますし、また市外通話、あるいは国際通話におきましては三分を基本時数としているような関係がございまして、言うならば、通話制度では沿革的に三分制をとっておることによったわけであります。
 次に、グループ料金制を実施したらどうか、こういう御提案がございましたが、わが国の実情にかんがみまして、今回、区域内通話、隣接区域内通話の制度を採用することにいたしたのでありまして、これは見方によりましては一種のグループ料金制ということにも相なるかと、かように思っておるわけであります。
 次に、第三点としまして、電報に関する今回の改正がサービス・ダウンではないか、こういう御指摘であります。御承知のように、電報事業は昭和四十四年度で収支率が七二〇%、言うならば、百円の電報料をいただいて、実際は七百二十円かかっていると、こういう実情で、たいへんな大幅赤字が出ているわけであります。この赤字の原因は、電報事業にはどうしても人手が必要であり、人件費が毎年大幅に上昇していくのに対しまして、昭和二十八年以来、料金が据え置きのままで今日まできておるのでございます。電報の制度が従来はモールス通信といったものでやっておったのでございますが、最近のように電報の伝送方式が近代化され、電話やテレックス等の他の通信手段が発達した状況のもとにおきましては、これらに対応した電報の制度に改めていく必要があるのでございまして、今回、市内電報等の廃止をしようとするのも、これに基づいておるわけであります。
 また、要員問題にお触れになりましたが、電報制度の近代化に伴い、若干の要員減少もこれは考えられます。しかし、他方、電話、データ通信等の拡充がございまして、この面から増員を必要とする分野もあるわけでございますから、公社内部で要員の適正な再配置を行なわれるものと、かように存じておりまして、政府としても今後この点については御趣旨に従って十分適切な指導をしてまいりたいと、このように考えるわけであります。
 それから次に、電報料金、電話設備料にお触れになりましたが、電報料金についてはその事業の実情から見まして、最小限度の利用者負担はやむを得ないものと、こういうふうには思うのでありますが、公共料金抑制の方針は、さっき総理も言われましたとおりでございまして、その意味において最低一年間は値上げを行なわないことにしまして、昭和四十七年の二月末までは現行料金のままに据え置くと、こういう方針でございます。
 また電話設備料につきましては、これが受益者負担金的性格が強い点にかんがみまして、一般の公共料金と若干異なっており、特に電話の設置の需要にこたえまして積滞を解消しますためには、ある程度受益者にも負担をしていただく、こういう意味で値上げもまたやむを得ないものと、こう考えるわけであります。
 また、電話通話料につきましては、通話料単位料金七円はこれを据え置くということにいたしまして、そして時分制採用の結果、市内通話料において生ずる増収、確かに増収は生じます。これを全部あげて市外通話料等の引き下げに充当する。こういうことで、全体としましては値上げにはならないような配慮をいたしたわけでございます。かような意味において、政府としましては、公共料金抑制の方針に十分沿って措置をしたと、かような次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣植木庚子郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(植木庚子郎君) お答え申し上げます。
 データ通信の発達に伴いまして、データを盗み出したり、あるいはこれを悪用することによって個人のプライバシーの問題に侵害を与える、あるいは企業の秘密に対して保護をしなければならぬという問題等々がございますので、御指摘のとおり、ことに個人のプライバシーの問題、すなわち基本的人権の保護につきましては、われわれ法務当局といたしましては、ときあたかも、近年、相当長期間にわたっての研究でございますが、刑法の全面改正というのを法制審議会で検討中でございます。したがって、そのうちの一環として、審議会の中に刑事法特別部会という部会を設けまして、そこでこれらの問題をあわせて研究をいたしておるのでございます。われわれ法務の事務当局としましては、十分この審議会の審議、検討の成り行き、スピード等々をよく注視いたしまして、このデータ通信の発達、あるいはこれの悪用をする者に対しての防御、保護というような問題について立ちおくれするようなことがないように十分気をつけてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
#30
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#31
○副議長(安井謙君) 日程第三、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案。
 日程第四、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案。
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長鈴木一弘君。
   〔鈴木一弘君登壇、拍手〕
#33
○鈴木一弘君 ただいま議題となりました二法案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 まず、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案は、船価の大幅上昇等の事情により、建造着手の遅延から、同法の廃止期限内においては原子力第一船「むつ」の開発を完了することが困難となったため、同法の廃止期限を昭和五十一年三月三十一日まで四年間延長しようとするものであります。次に、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案は、最近における原子力開発の進展にかんがみ、原子力損害賠償制度を整備しようとするものでありまして、そのおもなる内容は、国の補償契約制度と国の援助に関する規定の適用を十年延長し、昭和五十六年十二月末までに運転を開始する原子炉等に適用するとともに、損害賠償措置額を五十億円から六十億円に引き上げること及び内外の原子力船の円滑な相互寄港をはかるため、原子力船にかかる原子力損害の賠償に関する規定を新たに設けること等であります。
 委員会におきましては、二法案を一括して議題とし、原子力船「むつ」の建造遅延の理由及び完成後の運航計画並びに原子力事業者の従業員の災害補償等について熱心なる質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 質疑を終わり、討論なく、順次採決の結果、二法案とも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、二法案について、それぞれ附帯決議が付されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#34
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#35
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#36
○副議長(安井謙君) 日程第五、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長林虎雄君。
   〔林虎雄君登壇、拍手〕
#37
○林虎雄君 議題となりました本法律案は、戦傷病者及び戦没者の遺族等に対する援護を充実するため、傷害年金、遺族年金について給付額を引き上げるほか、支給対象を拡大することをおもな内容とするものであります。
 社会労働委員会においては、三月二十六日に本案の付託を受け、四月二十日、質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決しました。
 なお、山下春江委員から提出された附帯決議案を委員会の決議とすることに決しました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#38
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これをより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#39
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#40
○副議長(安井謙君) 日程第六、建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長田口長治郎君。
   〔田口長治郎君登壇、拍手〕
#41
○田口長治郎君 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法案の内容は、下水道行政の増大に対処するため、建設省都市局に下水道部を設置しようとするものであります。
 委員会におきましては、下水道普及の現状と今後の整備計画、下水による水質公害対策、下水道受益者負担金制度の再検討等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して安田委員より、本法案の施行期日を公布の日に修正の上、賛成する旨の発言がありました。
 次いで採決の結果、修正案並びに修正部分を除く原案は、いずれも全会一致をもって可決され、本法案は修正議決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#42
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
 本案全部を問題に供します。委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#43
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって委員会修正どおり議決せられました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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