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1970/03/12 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 交通安全対策特別委員会 第6号
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1970/03/12 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 交通安全対策特別委員会 第6号

#1
第065回国会 交通安全対策特別委員会 第6号
昭和四十六年三月十二日(金曜日)
    午前十時十一分開議
 出席委員
   委員長 伊藤卯四郎君
   理事 加藤 六月君 理事 木部 佳昭君
   理事 小峯 柳多君 理事 丹羽 久章君
   理事 後藤 俊男君 理事 坂井 弘一君
   理事 河村  勝君
      唐沢俊二郎君    左藤  恵君
      野中 英二君    山下 徳夫君
      久保 三郎君    横路 孝弘君
      宮井 泰良君    東中 光雄君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      須藤 博忠君
 委員外の出席者
        警察庁交通局交
        通企画課長   寺尾  繁君
        運輸省自動車局
        整備部車両課長 飯塚 良政君
        参  考  人
        (医師)    尾崎 一郎君
        参  考  人
        (静岡県立浜松
        工業高等学校教
        諭)      杉江 好直君
        参  考  人
        (交通評論家) 冨永 誠美君
        参  考  人
        (東京交通安全
        母の会連合会会
        長)      吉川 政枝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 交通安全対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○伊藤委員長 これより会議を開きます。
 交通安全対策に関する件について調査を進めます。
 本日は、交通安全対策に関する問題について、参考人として医師の尾崎一郎君、静岡県立浜松工業高等学校教諭の杉江好直君、交通評論家の冨永誠美君、東京交通安全母の会連合会会長吉川政枝君に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 各参考人には御多用のところを御出席をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。最近における交通事故の現状は年々深刻化し、まことに憂慮にたえないところであります。本委員会といたしましても、交通事故防止対策について調査をいたしておりますが、本日は、事故防止対策に御活躍の皆さん方に、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 御意見の開陳は、尾崎参考人、杉江参考人、冨永参考人、吉川参考人の順で、お一人十五分程度お願いいたします。その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは尾崎参考人から御意見を伺うことにいたします。
#3
○尾崎参考人 大阪市で耳鼻科を開業しております尾崎と申します。
 最近、幼い幼児、歩行者それから年齢の高い方が自動車の不法運転によって痛ましい犠牲になられる事故が多発しております。これに非常に心を痛めまして、何とか解決方法はないかと、種々資料なども集めて考えておりましたので、所信の一端を述べさしていただきます。お手元にこういうプリントを配らさしていただいておると思いますが、この順序で発言さしていただきます。
 まず、車優先、歩行者軽視という傾向が従来ございましたが、この際何をおいても、どんな犠牲を払っても、歩行者の生命を守るために道路施設を改善し、そして自動車の構造を歩行者をいためないような安全なものに改造し、また信号設備も、歩行者に都合のよいようなコントロールをするというふうに実行していただきたいと思います。
 請願事項は十二項目ございます。
 第一番目が大型自動車ですね。ダンプカー、タンクローリー、冷凍車、それからバス、トレーラー、これらの大型自動車による事故が率としては非常に高く、しかもその結果がほとんど即死という悲惨な結果を招いております。これは、小型自動車による事故とは根本的に違うものでありまして、このプリントの八枚目をごらんいただきますと、「うば車の幼児即死」という新聞の写しがございます。このページに収録してございます切り抜きは、大型自動車が左折していった際に、うば車に乗った幼児を踏みつぶして即死させたとか、あるいは自転車に乗った小学生を二人とも即死させるというふうに、全部即死事故でございます。こういう事故は小型車では発生いたしません。
 なぜ大型車に限ってこういう痛ましい事故が発生するかと考えてみましたところが、このプリントの第六枚目にこういう図面がございます。大型自動車の横断面でございますが、これを見ていただきましたらわかるとおり、大型自動車は運転者席が非常に高い。地上から二・五メートル内外のところにございます。こういう高いところにありますと、一見視野が非常によいように見えますが、医学の眼科の本をひもといていただきますとわかりますが、人間の目の視野というものは、左右はわりあいに広く見えますが、下方に対しては四十度までしか見えないのです。そのために、こういうやぐらの上みたいな高いところに上がっておりますと、直前にある幼児は全部死角に入ってしまって見えません。自動車のフロントグラスをいかに下まで広げたところが、運転者の位置が高い限り、足元の幼児が全然目に入らないということが御理解願えたかと思います。
 その次にB図というのがございます。こういう図でございますが、今度は左右の視野を見ました。そうしますと運転手のハンドルのある右側については、下方四十度でこれも幼児の姿が目に入らないです。ことに左側、反対側の窓を通しての視野は、まず針の穴からのぞくほど狭い視野しかございません。そのためにおとなの姿でさえも見えないということがこれで御理解願えたと思います。
 これを改善するにはいかにしたらよいか。それは運転者の目の位置が地上一・五メートル以内にくるように運転者席を下げましたらば、A2図並びにB2図でおわかりのとおり、一挙に視野欠損は解消いたしまして、小型車と同様に、非常に安全な視野を得られるということがわかりました。
 そこで現在、道路運送車両の保安基準という法律がございますが、その第二十一条に、自動車の運転者席は、運転に必要な視野を有する構造でなければならないと規定してございますが、これははなはだばく然としておりますので、そこに、運転者席は、運転者の目の位置が、地上一・五メートルをこえない構造でなければならないという条文を追加していただきたいとお願いする次第でございます。
 では、おまえはそういうこと言うが実際可能なのかといいますと、これはもう技術的に何らむずかしい点はございません。
 委員長、これは大型自動車がいかに視野が悪いかという写真でございます。
  〔尾崎参考人、委員長に写真を示す〕ところが現在の各社の製造する大型車は、ほとんど運転者席がかなり前へ出ておりまして、前車輪よりも一メートル以上も前へ前進しております。これがその図でございます。
  〔尾崎参考人、委員長に図を示す〕
ですから、ここまで前進いたしましたら、あとはこれをそのまま下へ下げるということは何らむずかしいことないので、実際、そういう車がすでに製造されております。このプリントの九枚目をごらんくださいませ。ここに非常に背の低い大型トラックの写真が出ておりますが、これは三菱のふそうでつくった車両でございます。やろうと思えばすでにこういうものもできておりますし、それからその次のページ、第十枚目にもトラッククレーンの写真が数葉出ておりますが、左端の写真は英国製の低床式トラックでございます。それから右側の写真は日本の三菱のつくりました低床式トラッククレーン、それからその下は日産のつくりましたやはり低床式トラッククレーンでございます。すでにこういうものができております。これによって、幼児踏みつぶしというような悲惨な事故が一挙に解決されると私は信じておりますし、それから運転台が高いと、どうしても乱暴な運転をしがちでございます。皆さん町中で小型車に乗って走っておられますと、もうセンターラインを越えて、びゅうっとダンプが無謀な運転をしてきて、思わず肝を冷やされた御経験をたぶんどなたもお持ちと思いますが、あれは自分の運転台が高いために、当たっても、相手が即死しても自分は無傷というので、ああいう乱暴な運転をします。いまお手元に配りました日刊自動車新聞の日曜版でございますが、ここに「カメどけ、人どけ、ダンプが通る」という見出しで出ております。これは、ダンプカーの陸送に雑誌記者が同乗して、東京から広島まで行ったときの記事でございますが、彼らの心境を忠実にあらわしてございます。彼らは、前方におそい車がありますと、ぐっと車間距離を詰めまして無言の威圧をし、それをのかせて前へ行く、それからその次に、横断歩道で渡りおくれた人がおったら、その人間を目がけて突っ込んでいけ、そうしたら、びっくりしてばっと立ちのくから、その間を突き抜けていけというのを彼らはモットーにしております。これはどこからくるかというと、いまのように運転台が高いところからくるので、運転台を低くいたしますと、先ほどの幼児でさえも見えるような安全な視野が得られると同時に、この乱暴な運転がぴたりとやむと私は確信しておりますので、この法案の成立に御協力を賜わりたいと思っております。私が本日お願いしたかったのもこのことだけでございますが、なお時間がございますので、日ごろ感じておりますことをちょっと、あと十一分ほど簡単に述べさしていただきます。
 それからその次は、上から三枚目の紙でございます。請願事項第二番目でございます。交差点における横断歩道、現在は交差点の一番近いところに横断歩道を引いてございますが、これが非常にあぶない。ここを渡っているときに、左折してきた車あるいは右折してきた車にはねられて、死傷する事故が多発しております。全歩行者事故の半分程度は、横断歩道でやられている事故でございます。せっかく信号がついて、歩行者用は青がついておりましても、一つも安全を保証するものではございませんので、歩行者を保護する意味におきまして、現在の位置よりもなお二十メートルほど、交差点の外側へ横断歩道を移していただけないかということでございます。
 それからその次は、請願事項第三番目、左折可の標識を全廃していただきたい。これは、皆さんお気づきと思いますが、前方が赤信号でありましても、この左折可の標識のある交差点では、自動車は左折車に限り前進して左折していける。これが信号に従って渡っている歩行者を非常にいためます。
 それから、請願事項第四番、道路交通法第十四条第三項を削除していただきたい。これは、親の幼児に対する監護義務を規定してございますが、一般の親に対する注意義務を道路交通法に入れておきますと、非常に不合理がございます。というのは、道路交通法を勉強しますのは、全国で二千五百万の免許所有者のみでございまして、残りの七千五百万人は、この道路交通法にかかる条項のあることは知っておりません。しかるに、一たん幼児が自動車にひかれますと、自動車の運転者が、子供をそんなところへほっておいた親のほうが悪いじゃないかと、逆に食ってかかる手段にしばしば利用されておりまして、ついに昨年十二月には、悪質な加害者に脅迫されて、被害者のおとうさんが自殺しておられます。このプリントの最後から二枚目の紙をごらんくださいませ。「賠償苦にして父自殺」という記事が朝日にも毎日にも出ておりました。これは、いまいう道路交通法第十四条第三項の監護義務をたてにとって、悪質な加害者が自分の落ち度をたなに上げて、こういう被害者の親を脅迫した、このためにおとうさんが自殺されたという痛ましい事故でございますので、こういうあってもなくてもよいような、むしろあるために、気の毒な被害者に不利になるような法律は、廃止していただきたいということでございます。
 それから請願事項の第五は、学校周辺の交通規制は終日制にしていただきたい。昨年九月の第二学期の初めから、全国の小学校正門前の道路は、時間を限って通行どめにし、周辺の道路は大型自動車の通行を禁止する等の措置がとられましたが、これが午前一時間、午後は二時間という短時間でございますので、実際は一つも効果があがっておりません。このプリントの最後のページをごらんいただきますとわかりますが、「歩行者天国」と書きまして「警察は成功というけれど」実際は、歩行者保護の効果は全くあがっておらないという記事でございます。法律というものは、つくっただけではなかなか効果があがりにくいもので、つくるからには効果のあがるようにしていただきたい。そのためには、いまの時間規制じゃなしに、学校周辺というものは聖域なんだ、侵すべからざる地域であるという考えのもとに、時間規制じゃなしに、これは終日制に、終日学校の正門前は車は通っちゃいかぬのだというふうに規定していただきたい。
 それから第六番目は、学童、園児には全部黄帽を着用させ、雨がさは透明なもの、または黄色なものを持たせるということをきめていただきたい。といいますのは、この写真にございますが、黄帽をかぶった学童は非常に目立ちやすうございます。また、黄色い雨がさを持っているのは、ほんとうに遠くからもよく見えます。それに反して、紺色の学帽をかぶった学童はほとんど見えません。これは、黄帽買うのも紺帽買うのも値段は同じでございますから、ぜひ黄帽をかぶるように御指導くださいませ。
 それから第七番目は、通園、通学道路は最優先に歩道を設置し、信号のない交差点には信号を完備していただきたい。
 それから第八番目は、ガードレールというものは、この図にもございますが、従来しばしば道路の端に多くございました。そのために、自動車が通りますと、この間を歩いている人は非常に危険な目にあっております。昨年の夏も、万博を見物するというて横浜の女子学生が二十数名東海道を徒歩で西へ向かっておりましたところが、静岡辺で、暴走してきたトラックにこの二十数名が全部ひかれてしまいました。むしろこのガードレールがなかったほうが、やわらかい田んぼにはね飛ばされただけで軽傷で済んだのに、これがあるために重傷を負ってしまいました。それで、ガードレールというものは、この図にございますように、路肩から二、三メートル内側につくっていただきたい。そうしますと、ここを人が歩きますので、そういう居眠り車がありましても、人命には損傷なく、ほんとうにガードレールとしての役目を果たせる、かように思っておりますので、今後つくられる道路は、おそらくかようになると思いますが、現在路肩にあるものは早急にこの内側へ移動するようにしていただきたい。
 それから、もう時間がございません、第九番目でございますが、バス、路面電車の通行区分帯というものを今度の道交法できめられると思いますが、ペイントマークだけではほかの車が幾らでも入り込んできて、その効果がございませんので、こういうブロックを積み重ねまして、ここはそういう公共交通機関以外は入ってはいかぬのだというふうに確保していただきたい。そうしますと、こういう公共交通機関の運行が非常にスムーズになるので、従来自家用で通勤していた人、あるいは集金に回っておった人もこういう公共交通機関を利用する結果、自家用車がむだに走らなくて車が減って、空気汚染とか交通公害が減って、社会の安全に寄与するのではないか。そのためには、ただ車を減らせ車を減らせと言うのではなしに、それにかわる足を先に確保してやることが必要じゃないかということでございます。
 それから、ガレージ法は全国に適用してもらいたい。
 それから、交差点における三段階信号、スクランブル方式でございますが、これは大阪でやっていただきましたが、非常に効果がございます。委員長、ここに学童が両方とも非常に安全に渡っております。
 それから第十二番目、橋がございます。この橋の上でひかれるという事故が非常に多いです。プリントの最後のページをごらんになってください。子供の作文で、「死ぬのはイヤや」と言っております。何と悲痛な声でございましょうか。この写真は、橋の欄干に沿うて子供が四、五名こわごわ渡っている横を自動車が走っております。これではいつ何どきひかれるかわかりません。事実この橋の上ではひかれて死んでおります。ところが当局はから手形ばかりで、少しも安全対策をとってくれていないということを訴えておりますので、この図にございますように、現在の橋の外側に、ちょっと一メートルほどでもよろしいから、簡易の歩道を突き出していただくということをお願いしたいと思います。
 発言を終わります。
#4
○伊藤委員長 次に、杉江参考人にお願いいたします。
#5
○杉江参考人 私は、浜松工業高等学校の教諭でございまして、電気のほうの教育を担当しております。本日発言できます光栄を感謝いたします。
 本日は、四項目にわたりまして御説明申し上げます。一つは交通安全教育の理念でございます。二番目は高等学校の学習指導要領と関係法令との関連性。三番目は交通熱心者のリストアップ。四番目は安全運転指導センターの設立の指向でございます。
 まず最初の一番目の、交通安全教育の理念について御説明申し上げます。交通安全教育の基本となるものは、人命尊重の精神を基盤としております。お手元にリコピーがございますが、三角形のダイヤグラムでございます。このダイヤグラムの人命尊重の精神を基盤といたしまして、片や正しい知識、これは科学性のある、あるいは理論的な具体的なものを考えております。片や正しい行動にこれを移行いたします。これは技能とかあるいは技術でございます。こういうふうにいたしまして、この二つを直結いたしまして、しかもこれを習慣化させる。そこから交通モラルというものを引きずり出して、交通社会人というものを考える、育成する、こういう思想でございます。このダイヤグラムは、一応歩く人あるいは運転する人にも適用するように考えてございます。
 たまたま私は十一年ほど前に交通に関心を持ちまして、五年ほど前からむきになりまして、現在の浜松工業高等学校で、この教育理念に基づいて教育いたしました。その教育の結果、もう一つのリコピーを見ていただきますと、これは「交通事故と違反の合計グラフ」と書いてございますが、四十年度におきましては、死亡者二名を含めまして六十五件の事故発生を見ました。このダイヤグラムの思想に基づきまして教育いたしましたら、一応四十一年には下がりました。死亡一名はございましたが、その後だんだん幾ぶんなりとも下がっておる次第でございます。
 その下のグラフは、在籍数あるいは二輪車通学者あるいは四輪車通学者のグラフでございます。全日制のほうはオートバイ通学というものを許可しておりません。禁止体制にありますが、定時制のほうは許可体制にあります。
 過去に、私はいろいろ回り道あるいはその他のミスをやってしまったわけであります。その一つは、道路交通法を中心にした教育法、あるいは交通モラルというものを中心にした教育法というものは、ちょっと失敗したように考えております。その理由といたしましては、現在の若者は非常に理由づけを好むわけであります。そして簡潔性を好む。そして抽象論を非常にいやがる。しかもドライである。こういうような思想的な若者の心理、こういうものに対して、食べないものを教育しても意味がない。むしろこういうふうな科学性のものだったら、いまの若者は非常に食いつきがいい。この食いつきのいい科学性の教育から、ひとつ交通モラルというものを引き出してやろう、こういう一つの考えでございます。こういう理論を中心にしたことによりまして、将来考えます海上交通の問題あるいは航空交通の問題、こういうときにも、この安全教育の思想はすぐ簡単にスライドできるのではないかと思っております。そういうようなわけで、昨年ですか、日本自動車工業会におきまして、私の研究が少し認められまして、助成もいただき、そして現在安全運転分析研究会というものを十五名の人間で編成しておりますが、おかげさまで活発に動けるようになったわけでございます。この事実が山形県でキャッチされまして、私がちょっと講師として参ったのでありますが、向こうでは県の警察本部、教育委員会あるいは高等学校長会が完全に握手をされまして、前向きの姿勢でこういうような考えで進んでおられると聞いております。現在グラフの突き上げは少し首が下がったというようなお話も伺っております。
 二番目には、高等学校の学習指導要領と関係法令の関連性でございますが、御存じのごとく、去年の十月十五日、文部省が官報によりまして、来たる四十八年度の新しい一年生から、保健体育の時間に交通事故の防止対策を教えなさいよという内容でございます。たぶん教科書もできると思いますが、この指導要領と何か別の法令との間に、連結器、太いパイプが必要じゃないかと考えるわけであります。現在、高等学校の進学率は八〇%から八五%ございますが、この通過率の多い高等学校に効果的な教育を行なうためには、この学習指導要領の交通事故防止対策というものを裏方面から何かバックボーンしていただきまして、なお効果的な教育というものを考えてみたいというわけでございます。保健体育の時間は、一応三年間を通じて七十時間ございます。その七十時間の前半は生理衛生、後半は産業安全、この産業安全の中に交通問題が何時間入るかは私ちょっとまだわかりませんが、極力多く入れていただき、そして何か認定とかそういうような履修証明が社会的に非常に生きるとか、そういうような門戸を開いていただきたいと思います。
 高等学校の姿勢は非常に熱心でございます。実は現在六千一百校に対しまして、高等学校の交通安全のアンケートを出しております。進行中でございますが、そのうち一千通ほどの抜き取り試験をやりましたところが、交通安全教育は高等学校でやるべきだというのが六〇%、あるいはオートバイの運転というものは、許可せざるを得ないだろうというのが五二・六%、その他時間不足で困っておる、あるいは講師不足で困っておる、あるいは資料不足で困っておるというのが三〇から三六%ございます。こういうふうに高等学校の教師は非常に熱意を持っておりますが、資料が不足、窓口がないというところに、一つの困惑状態があるように思われます。
 三番目は、交通熱心者のリストアップでございます。日本には交通の方面に熱心な方が多々おられると思いますが、この方々を何かのときには県なりあるいはその他におきましてリストアップしていただいて、そしてその研究というものをなお一そう深めて、ここが結局交通安全教育の窓口になればと、こういうふうに思うわけであります。当然そこには交通関係のライブラリーも考えなくちゃいかぬ、あるいは教育するための表現法というものも考えなくちゃならない。映画、スライド、あるいは模型の開発というようなものも研究すべきだと思っております。現在日本では、交通安全教育はペーパー時代でありまして、やがてこれが視聴覚時代に移行するのではないかと思います。視聴覚時代から次には、はだ教育という時代も当然予想しなければならないと考える次第であります。この講師団が結局人間教育の窓口、そしてそこでお互いに研さんし合って、そして好ましいある一つのテーマがだんだん出てくるのではないかと思っております。一応試案といたしましては、各県にそれぞれ数名の講師団編成というものが好ましいように思います。
 四番目は、安全運転の指導センターの設立指向でございますが、これはやはり実技方面の窓口でございます。実は、私のほうの安全運転分析研究会のところから、浜松市長を通じまして、航空自衛隊の国有地を借用さしていただきました。この前、数名の者でつるはしを持って現地に行きまして、ある程度ちょっとやってみたのですが、何ぶん非常に土のかたいところで手が負えない。少し不整地をならしまして、ある簡単な設備をして、ここで実技教育の開発をやってみたい、こういうふうに考えております。
 現在、青少年は教育されない無知でオートバイを乗り回す、あるいは四輪を乗り回し、そして事故を発生しているように私は思います。これに豊富な知識とそして行動を教え、その教えたものによりまして、彼らが正しい方向の運転、あるいは最終的には交通モラルというものを持てば、この交通事故というものは非常に減少するのではないかと思います。
 先ほどの、私の一つのささやかな学校のデータでございますが、一応交通事故、違反は半減いたします。この国有地に少し設備するために、ある研究費というものも御心配いただければと私は考えております。
 取りまとめて申し上げますと、人間教育というものは設備も大切と思います。それから、法的な規制というものも大切でありますが、使う人間というものは、非常に他方面にもまさる効果的な一つの手段ではないかと思います。それから、先ほども申し上げましたように、いずれ海上交通あるいは航空交通、その他のいろいろな産業安全という方面におきましても、人間教育というものは非常に効果的なものではないか、しかも人間というものは、一たん覚えて、そしてからだの中にたたき込んでしまえば、十年も二十年も、あるいは三十年もそれを持ちこたえるという一つの特徴がございます。私の学校におきまして、ヘルメットの着用を一応強制いたしました。当時、生徒は三百名ほどでありました。この三百名の中で事故を起こした者が四十八名ほどおりましたが、そのアンケートの中で、もしヘルメットをかぶっておらなかったら、ぼくは死んでおったかもわからないというのが八名おったわけであります。たったヘルメットをかぶらせたこの一事によって、八名の命を救っていると私は自分で自信を持っております。安全という一つの人間教育がいかに重要なものであるか。しかもその安全教育は、三百六十五日を必要といたします。常に三百六十五日の教育、監視というものを、ここに諸先生方に御説明いたしまして、御了解いただきたいと思います。
 終わります。
#6
○伊藤委員長 次に冨永参考人。
#7
○冨永参考人 交通安全対策につきましては、いろいろな施策があると思いますが、即効的なもの、それから長期的なものとあるわけでございます。今回は、そのおもな点、私の感じました点を申し上げてみたいと思います。
 交通と申しましても、結局は、道路の上で人が車を使うわけでございますので、問題は、人と車の問題、道路の問題、それに、私は、その交通を管理するシステムの問題がそのほかにあると思います。この四つの問題について考えなければならないと思うわけでございます。車につきましては、たとえば安全基準の問題とか、非常にいまやかましくなっております。それから道路の問題も、いまかなり安全の面がおくれておりますけれども、努力をされておりますが、最後は、やはり人の面であろうと思うのでございます。
 もう一回戻りますが、車につきましてただ二つだけ申し上げてみたいと思います。
 一つは、これは即効薬でございますが、ちょうど飛行機のように、自動車に乗る場合におきましては安全ベルト、これを締めてもらうということでございます。これによって事故はかなり減ります。これは事実がそのことを証拠立てておるわけでございます。昨年、アメリカでおととしよりも約千百名の事故死亡者が減った。その理由にいろいろございますが、たとえば、道路標識のサイズを拡大するとか、あるいは安全自動車の問題がありますが、やはり安全ベルトを締めるということの効果をうたっておるわけでございますし、それから、いま言ったような、ベルトを締める率が高いのはスウェーデンでございますが、これは現在高速道路では約七〇%という率が出ております。日本の場合におきましては、今度の予定されております道路交通法の改正案の中には、高速道路の区間は、安全ベルトを締めるようにというふうなことになっておりますが、高速道路ばかりじゃなしに、市内におきましても締めていただく。と申しますのは、時速三十キロでも、たとえば正面衝突、あるいは障害物にぶつかった場合には、致命的な事故になっております。それが安全ベルトを締めておったために、傷を全然負わないという事例が、最近少しずつでもふえておるわけでございます。行く行くは、もし安全ベルトをしておれば、保険が――これはスウェーデンの場合ですが、していない場合よりも、補償が高くなる。死亡あるいは負傷の場合にですね。あるいはアメリカの場合は、逆に、ベルトをしていないで事故にあった場合には、補償がそれだけ引かれるというふうな、保険との組み合わせも考えておるような状況でございます。したがって、これは大いにキャンペーンをしていただいて、ベルトを締めることによって事故は三〇ないし四〇%は減るということでございます。現在、昭和四十四年の新車からは、自動車には前のシートに備えつけなければならないのですが、車に備えつけてあるだけでは、これはただアクセサリーにすぎません。問題は、それを締めるか締めないかということでございます。
 それから二番目には、車をとめる場合におきましては、簡単な三角の赤――これはイギリスのハイウエーコードでございますが、その中に写真がありまして、こういうふうに――遠くからおわかりになりますか。必ず車から離したところに、これは夜光る三角の物を置いていただく。これをやっていただくということでございます。たとえば九月七日、万博の終わりごろの深夜、東名高速道路でマイクロバスがガソリン切れしまして路肩にとまっておるところに、一台の乗用車が突入しまして、一家全滅、五名の即死が起こっております。合計六名の死亡者と、十六名ですか、重軽傷者を出しておりますが、こういうふうな悲惨事というのは、路肩にとまっている車の前に置くということがずっと習慣づけられておれば、あるいは防ぎ得たかもわかりません。あるいはまた、夜間暗い国道で大きなトラックがとまっておる。それにぶつかりますと大きな事故が起こることは、これは当然でございます。したがって、こういったものを、たとえば高速道路のサービスエリアでも売っている、これは外国の場合でございます。やはりこれをできるだけ普及していくということが必要だろうと思います。
 次は、道路の問題で、道路でいま非常に感じますのは、道路の夜間照明でございます。夜間の事故が、全国的な日本の統計は残念ながらとれておりません。たとえば、府県によりましてはとれておりますが、東京の場合におきましては、死亡者は昼が五四・七%、夜間の死亡者が四五・三%という数字になっております。アメリカの場合は夜のほうが多くなっております。これは道路を夜間照明することによって、事故が少なくとも五〇%は減らされるということになっております。全国を回ってみますると、県によりましては、市が国道の照明をつけられているような非常に進んでいるところもあれば、あるいは県庁所在地でありながら、その市内のどまん中が非常に夜間まっ暗なところもございます。非常にまちまちでございます。これはどうしても照明をつけていただきたい。特に、市内は夜間照明を道路につけていただきたい。特に絶対必要だと思いますのは、障害物には必ず照明をつけていただくということでございます。かりに道路には照明がありましても、さらに加えて障害物、たとえばロータリーとかあるいは中央分離帯が始まるところとか、あるいはグリーンベルトの始まるところとか、要するに道路上における障害物です。これは夜間の照明がないと、ぶつかった自動車が悪いということだけでは、これは済まないのじゃなかろうかということを感じます。
 最後は、人の問題でございます。これはいろいろ、特に教育はやはり必要であろうと思います。そのうちで一、二を申し上げますと、たとえば、バスの運転者は最小限スキッドの訓練というもの、これをやってもらいたいということでございます。スキッド訓練といいますと、道路を水びたしにしまして、そこへ車を持っていきますとスキッドします。横すべりします。その横すべりした場合の訓練というものをやるということでございます。
 具体的な例を申し上げます。イギリスのロンドンで、例の二階建てのバスが走っております。これのバスの訓練センターを見ますると、いま申し上げましたスキッド訓練をやっておるわけでございます。舗装した道路上に水道管から水を水びたしにしまして、そこでスキッドする、必ず横ぶれします。その場合に対する処置というものをやっておるわけです。しかも、これをいつやるかといいますと、運転免許をとる直前にやっておるわけでございます。やはり多くの人命を預かるバスの運転者は、雨が降り、道路がぬれた場合にはスキッドします。その場合の訓練をしておりませんと、逆にハンドルを切ってみたり、大きな事故になっておるわけでございますが、このロンドンのバスの訓練センターは、実は三十年前からやっておるわけでございます。したがって、現在走っておる運転者は、全部このスキッド訓練を経ておるということを確言いたしておるわけでございまして、ロンドンのバスの事故が非常に、特に二階建てのバスの事故はほとんど聞いたことがないというのは、それなりのバスの運転者の訓練のきびしさといいますか、そこに歴史の違いをはっきり感ずるわけでございます。
 それで、そのほか民間にも、たとえばイギリス、オランダはそういう施設がございますが、残念ながら日本では、いまのところスキッド訓練は二カ所くらいしか設備がございません。少なくとも、これから観光バスや何かどんどんふえるわけでございますから、道路がぬれていた場合に、スキッドする場合の訓練をさしていないと、大きな事故になると思うわけで、この訓練をやらす必要があると思うわけでございます。
 それからもう一つは、自動車学校の問題です。これは、やはりざらに教育の改善をやるべきでございましょうが、同時にいま必要なのは、実際に指導する指導員の訓練、それの中央における訓練のセンターをつくっていただきたいということでございます。
 最後にシステムの問題でございます。これも人には関連すると思いますが、現在、県や市にはようやく安全対策室とかいう機構ができつつございます。これに比べまして、私ははっきり申し上げたいのは、教育委員会がそれだけ進んでいないのじゃないかということを申し上げたいわけでございます。教育委員会に安全の問題に専従する職員を置いていただきたいということでございます。現在、現状を見ておりますと、保健体育をやっておられる人が兼ねて安全をやっておられるということでは、保健体育のほうが忙しくて、安全がほとんど見れないというのが現状であろうと思います。この問題は、アメリカはいま日本でいう運輸省ができる前は、アメリカ大統領に直属した交通安全委員会がございますが、そこで勧告事項を出しておる中に、州においては、各学校を指導調整するところに安全を専門に従事する職員を置けということを勧告いたしておりますし、現にアメリカはいろいろな機構を置いておるわけでございます。そういう意味から、教育委員会に安全を担当する専従職員を置いていただきたいということでございます。現在交通安全教育を見ておりますと、先ほど杉江先生のお話もございましたが、高等学校、それから大学が、一般的に申し上げまして、これが非常に力が入っていないと感ずるわけでございます。と申しますのは、高等学校は、たとえばバイク通学を禁止しておる。バイク禁止の学校が多いのですが、禁止しておる手前から、指導はできないというたてまえになっておるわけでございますが、これはやはり若いときから、正しい運転というものをどうしてもやらなければならない。何かアメリカを例に出して恐縮でございますが、アメリカは自動車がげたのようなところでございますから、日本と国情は違いますが、アメリカはハイスクールで交通安全の特に運転教育が始まりまして、約三十年の歴史を持っております。現在は州が義務を課しておる、あるいはほとんどの高等学校は運転教育をやっておるわけでございます。全学生が一年三十時間は全部講義を聞かなければならない。それから希望者だけが実際の運転教育をやるというふうな形になっておりますが、これが行なわれていない。それから、各大学に交通安全教育の講座がございます。日本には大学に一つもございません。なぜ向こうはあるかと言えば、高等学校で教える先生を養成するために、各大学にそういう講座を設けて、その講座を通った人が教員免許を得て、その人たちが高等学校で基本的な安全教育をやっておるわけでございます。自動車学校では、残念ながら、いよいよ免許をとろうとするときには、いかに早く免許をとるかということに、金がかかりますから、どうしてもそういう気持ちになっていくわけでございますので、これはやはり学校時代に、――鉄は熱いうちに打たなければならないと同様に、若いときに正しい教育というものをやらなければならないということを感ずるわけでございます。そういう意味から、私は、交通安全の教育に関して立法をしていただきたいということをお願いいたしたいと思います。大学は何をする、高等学校は何をするということをやはりやっていただきたい。現にフランスがドゴール時代に、一九五一年ですか、交通安全の教育に関して法律をつくっております。師範学校では何をやれというふうなことをこまかく規定いたしておるわけでございまして、日本の現状を考えますと、大学やら高等学校がそういうふうな現状では、やはり法律をつくる必要があるのじゃなかろうかと思うわけでございます。
 それから、たとえば大学で申し上げますと、交通問題のいわゆる技術関係、トラフィックエンジニアリングと申しますか、交通工学の講座があるのは日本ではわずか東京大学、京都大学、それから日本大学、三大学のみです。ほかには交通問題を専門にやる講座がございません。これが日本の現状です。なぜないかといいますと、それは卒業者が行くところがない。採るところがないということです。大きな府県あるいは大きな都市が道路をつくる。エンジニアの方を採用する気持ちはあっても、交通を管理する技師、エンジニアですね、技師を採用するという着意がまだ出てきていない。だから大学でそういう講座がないということになると思うわけでございます。これもアメリカが、十万以上の都市にはことごとくトラフィックエンジニアがおられるという状況から見ますると、やはりシステムのおくれというものを感ずるわけでございます。
 最後に一つ。これは都市計画あるいは都市の開発問題に関連すると思いますが、ニュータウンやらあるいは都市のどまん中は、自動車の分離ということを考えていただきたいということでございます。
 具体的な例を申し上げます。これが遠くからおわかりになりますか。ブラジルの新しい首府のブラジリアを飛行機で上空からとってみました。ブラジルといいますと、国民所得が日本の五分の一で非常におくれている国でございます。しかし、そこで一つの住宅街をつくる場合におきまして、ここが自動車が走っておる道でございます。ここは住宅がございますけれども、自動車は自由にこの自動車の走る道から自分の家には入れません。遠回りしてぐっと入ってこなければならないというふうになっておる。あるいはロンドン郊外は、自分の家にまで自分の自動車を持ってこれない。これがそうでございますが、最近の傾向は、自分の家からみな少し離したところに車庫をまとめてつくって、車はそこに置いて、歩いて自分の家に帰るというかっこうになっております。ということは、自分の家のまわりは、子供が自動車の脅威なしに自由に遊べるというふうな仕組みに、現在スウェーデンでもイギリスでもアメリカでも、最近の傾向はほとんどそうなっているわけでございます。で、ニュータウンはどんどんできつつございますが、自動車との分離という問題を、やはりニュータウンをつくる場合において考えていただきたいということを特にお願いしたいと思う次第でございます。
 日本でもその徴候は一つ出ております。たとえば北海道札幌の北広島団地は将来やはり、先ほど申し上げましたように、各自が自分の家に車庫を持つのじゃないというかっこうにもっていきたいということを言っておられますし、そういった方向では来ておりますけれども、これはもっと、そういう民間が開発されるニュータウンにおきましても、人と自動車の分離、要するに子供が自動車の脅威なしに遊べるというふうに団地をつくっていただきたいということを特にお願いいたしたいと思います。
#8
○伊藤委員長 次に吉川参考人。
#9
○吉川参考人 交通安全母の会の吉川でございます。
 私どもの会は、母の会として東京に三十三万会員がございます。初め二十四年に母の会連合会として、青少年健全育成で発足したのです。その中でいろいろな行事をしてまいりましたが、二十七年より子供の交通ということを、こんなになるとはそのときは知らないのですけれども、これは健全育成にもいいからやろうということで、二十七年からやってまいりまして、だんだんいろいろな教育をして、学校の中に、オリンピックの前によく民謡なんかはやると、いろいろなことがはやってくるから、それよりか子供に何か交通の踊りを教えようなんて三十二年ごろから交通の踊りをやってみたり、「よい子の行く道帰る道」という、子供に、ずっと学校の朝礼体系にさせていただいて、いろいろ健全育成の中でそれを入れてしまったのです。
 それからずっといろいろやって、国立競技場あたりで体育祭には必ず交通のものを入れさせていただく。それで三千人くらいで交通のもので、警視庁からも入っていただき、白バイも入っていただき、いろいろなことをして交通の標語を知らしめるように、あの七万の観衆に見ていただこう、そういうことでやってまいりました。「赤・青・黄」ということもやったり、それこそ手をあげて歩こうというと、小さい子供さんが手をあげて歩いてもこれはわからないから、黄色いハンカチを方々にお願して六十万枚ばかりつくって、三年間で一生懸命子供に出しました。
 そのうち、今度は車があぶないからステッカー、こういうのをつくって、子供にあぶなくないようにステッカーを五万枚も一挙に張り、また「酒を飲んだら運転しない」なんて、そういうものをつくって、たくさん方々の車にステッカー張ってもらったり、あらゆる仕事をしてきました。子供の交通事故防止のために黄色いかさ、黄色いかっぱ、いろいろとほんとうにこまかく大ぜいの中でやってまいりました。交通信号機も、区によると、豊島区あたりだと全部おかあさんが方々へお願いして買って、私どもも買って方々へ寄付しました。学校へ寄付して、そうして学校で教えていただいた。
 このごろでは学校のほうは、私どもの観点では非常によくできていると思います。学校に行っている間の事故は御承知のように少なくて、放課後の家庭の事故が一番多いと思うのです。通学のときのこととか、またお帰りになってからずっと、いろいろとおかあさんの不注意から多いと思うのです。先ほどから伺っている御意見の中に、結局はこれは家庭の中へ持ち込んで、家庭で一生懸命におかあさんが一家の家長としてやらなければいけないんだという結論ができて、過去五年間ぐらいはもう全国に呼びかけました。私のほうも、これは一緒ではいけない、分かれなければいけないんだというので、中原総監、臼井総務長官のときに、「交通安全母の会」というものを六年前に独立さしていただいて、その中で、今度は全国に呼びかけて、皆さんにもどんどんつくっていただきました。いろいろな会の中で、この五項目ぐらいで交通のことをやっていては、交通地獄だ、交通戦争だ、これは無理だというのが全国のおかあさんたち全部の御意見です。結局これは一軒一軒の方が全部入ってほんとうに交通ということをもっと、運転手が悪い、だれが悪いとばかり言っていられない、みんなで家庭ぐるみでやらなければいけないという案ができて、このごろでは、全日本交通安全協会とか、また東京の今里会長さん、みんな指揮していただき、運輸大臣にもずいぶん大ぜいで押しかけて、結局先年の十一月の二十一日にやるということがやっときまって、十五人の委員ができましたが、そのままです。いまちょっといろいろ時期が悪いから、済んだら七月ごろにそれをやろう。そこまでいくのにみんな自費です。だれもこの交通のことに対して、まだ国からも一銭もいただいてない。私、東京で非常にいい映画をつくって皆さんに喜ばれたのです。「シマウマのおじさん」、民間が協力するという総天色五十分ものですから相当かかる。それをやっているうちに、また今度遺児がふえてきたから、これは遺児になっちゃたいへんだというので総天然色の映画をつくる。これは一千三百万もかかる。お金が集まらなくて、私、自分の地所を売って出して、NHKの「時の人」にこの間二十分出ました。再放送まで入りましたけれども、ほんとうに皆さん、自分のマネーをもって、自分の身を投じていまやっているのです。
 私、こまかいことはここに書いてあるので、あとでゆっくりごらんいただきたいと思うのですけれども、ここまでやるのにはアメリカも五十州回っていますし、メキシコも行ってみたし、この間香港へ行ってみて、香港の変わりに、ちょっと近いところでうっかりしていたなと思いますことは、車が交通事故にあうと監獄に入っちゃうのです。人間だけでないということも見てまいりましたし、台湾のおろそかなのも、これは四十人から連れて見てきました。沖繩も、沖繩が開けるというのにどんなものかと思って、百三人連れて一機で行ってまいりましたし、あらゆるところを歩いてみました。私、女子体育のほうもいろいろ顧問しておるものですから、世界会議なんかよく出ますのでやってみ、またいろいろな観点から考えた。
 最後に、今日の私の最高のお願いで、これはぜひお聞き取りいただきたいと思うことは、交通総合会館を建てて、末端の各県、各日本国民全部が皆さんで勉強のできる場所、たとえばいろいろの専門家があっても、こんなりっぱな方があっても、私どものところまではどうこうということがなかなかなくて、ついこの間も二千五百人集めて朝っぱらから明治座を借り込んで、総務長官、副長官にも来ていただいて、ことしの指針を教えていただきましたけれども、それこそ交通のことに対する――いま交通地獄、交通戦争とばかり言っていられないというので、みんながほんとうに真剣にやっているのですけれども場がないということ。私は、母の会の小さい会館は自分たちでつくって持っておりますけれども、それは全国はできないし、もっと、車はずっと歩くものですから、全国のものでひとつ大きなものをつくっていただきたい。婦人会館ということは、私はあまり好まないのです。婦人だけではなくて、全国の総合会館、そういうものは全部そこに入っていただいて、サンパウロにあるように、一つのところにそのもの全部入るというようにして、みんなのお知恵を授けていただかなければ、まだ婦人はそれだけの力は私は持っていないと思うのですよ。私は会社の社長もしていたし、いろいろするから、どこへでも行って何でもやりますけれども、なかなか女がそこまでやろうということは、家庭があって、子供を育てるのが精一ぱいのおかあさんもいますから、そういう人も何らかの面で連れてきて、みんなに交通のことはよく守ることを指導したら一番いいと思います。
 どっちにしても長い間、二十七年から今日まで、交通で自費を使って苦労してまいりましたから、資料はここに何のことでも、新聞も一ぱいありますから、とてもここでいま十五分間に申し上げることも不可能です。デトロイトあたりに行ってずいぶんいろいろやってみたり、あらゆることをして、今度はヨーロッパへ、向こうの婦人会から私の名前で御招待があって四十人ばかり連れてまいりますけれども、五月の十九日立とうと思っております。だから、それをよく調べてきたいと思っております。ずっと四カ国全部回ってこようと思っております。
 そういうことですから、どうか何とか私の切なる、皆さん全国のおかあさんを代表してのお願いとして、何かどこかに場のあるものをしていただく。全部のお金をいただくとまでは――地所の心配をしていただければ、おかあさんはまめですから、一人百円募金でもやると思いますし、私もその覚悟もしておりますので、どうかそういう地所をさがしていただきたいということをいつも考えております。高度成長のこの日本の機械文明の中で、これが一番おくれたことではないか。何もかもこのおかあさんがおくれているために御迷惑をかけていると思いますので、どうかこのところ、私資料をたくさん持っていますからよくごらんいただいて、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 よろしくどうぞお願いいたします。
#10
○伊藤委員長 以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。
     ――――――――――
#11
○伊藤委員長 これより質疑に入ります。通告がありますので、順次これを許します。
 委員各位にお知らせをいたしておきますが、総理府の須藤交通安全対策室長、警察庁の寺尾交通企画課長、運輸省の飯塚車両課長、三人が本席に出席をいたしておりますから、お含みの上で……。
 最初に加藤六月君。
#12
○加藤(六)委員 本日は参考人の四名の方、たいへんお忙しい中を御出席いただきまして、しかもそれぞれの分野におかれまして、たいへん熱心に交通安全問題に取り組んでいただき、その貴重な経験あるいは研究、追及というものをわれわれの前に、あまり時間がなくて恐縮ですけれども、お示しをいただいて、たいへん感銘をいたしました。国会議員であるわれわれが、まだまだ勉強が足らないということにつきまして、ある面では深く反省させられることもありました。まず、この席をかりまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。その反面、本日承りましたいろいろの問題につきまして、今後、私たちも一生懸命ひとつ具体化していきたいと思っておる次第でございます。
 四名の方に、それぞれ十分に時間をかけてお聞きいたしたいと思うのでございますが、私も与えられた時間があまりございませんので、簡単にお聞かせ願いたいと思います。
 尾崎さんのこの資料をいただきまして、またこれは非常に考える面があったのですが、この中で、第二十一条の保安基準修正というのについては、私たちも具体的に一つ一つを実はチェックしてやってきておったわけです。そしてまた、土砂等を運搬する大型貨物自動車の規制法、いわゆるダンプ規制法をやりますときにも、席が高過ぎる、高過ぎることでいろいろ問題が起こる等、ここに4と書いてあるところの(i)(ii)(iii)(iv)(v)のような問題等も実は議論いたしました。立法する段階におきまして議論したのです。いろいろ問題等もあったのですが、この低床の大型貨物自動車をつくるようにする場合、技術的にはできる、それがコストにはどういうふうに影響するだろうかということをお調べ願っただろうかということが一点と、それから、ぜひ廃止しろとおっしゃいました(4)の道交法十四条の三項、これがあるために幼児が非常にやられて、しかもそれを苦にしておとうさんが自殺までした。十四条の三項という問題につきましても、私たち一時検討したことがございます。ただこの場合に、幼児、児童が遊んだりあるいは歩行さす場合の保護者の義務という問題があって、子供がこういうようになったのは保護者が悪いのだということで、逆におとうさんがやられた、こういうことなんですが、これは私たち実は交通安全基本法をつくるときに、人の問題、結局運転手も家庭に帰れば父であり、あるいは兄である、家庭人だということ等から、まあ自動車は走る凶器と、いろいろ議論があったのですが、この自動車対人の関係で、やはり人間個人個人もそういう自覚を持たなければいけない、幼児や児童に対してはやっぱり父兄といいますか、保護者がそれだけの義務を持たにやいかぬのじゃないだろうかということ等もやったのですが、この(4)の場合、三項を削除してしまったときにまた起こる逆の弊害という問題について、尾崎先生検討されておったと言われるけれども、ごく簡単でいいですから、二点についてまず承りたいと思います。
#13
○尾崎参考人 第一の低床式大型自動車の製作費の点についてはいかがかということでございますが、これはむしろ現在よりもかさが低くなりますから、製作費は下がるものと確信いたしております。この点につきましては、従来三菱自動車の川崎製作所の山岸正勝氏、ボディ設計課の主任技師でございますが、その方と数度電話または手紙でやりとりいたしましたが、メーカーとしてもなるべく運転席を低くしたいというつもりで設計をしておる、そのために三菱の製作するふそうの大型トラックについては、他社のものよりも十五センチぐらいは低いはずだという回答をいただいております。そういうお気持ちがあることは確かでありますが、しかし現在何の規定もないのであんなに高くなっておると思います。
 それから第二の、十四条三項でございます。これはよくごらんいただくとわかりますが、最後のところなど、交通ひんぱんな場所とか踏切とか、そういうところにおいては、親またはそれにかわる監護者が付き添わないでひとりで歩行させてはならない。一体、この条文が、今日これほど共働きが盛んであり、しかも家庭婦人といえども、ハウスメイドその他を雇うことができない社会情勢下において、炊事、洗たくなどをしているときに、幼児が一人で出るのを防ぎ得ますでしょうか。実際問題として皆さん方、そこら住宅街をお歩きになりましたら、六歳以下の幼児が一人あるいは数人子供たちだけで遊んでおります。その横を大型トラックがびゅんびゅん通っております。これが現実なんですね。しかもひかれるのですね。こういう瞬間でも、きょう一日でも三千人からの人が発生しておるのです。その中に幼児は千人以上も入っておると思うのですが、その場合に、いつもこれが加害者に利用され、被害者を苦しめる結果になっております。事実昨年も新潟の裁判所におきまして、幼児がダンプカーにはねられたのに、その裁判官は、幼児を一人で遊ばした親が悪いといってダンプカーのほうの罪を大幅に軽減しております。かようなことは道路交通法第七十条の、運転者はいかなる道路においても周囲の環境に応じて安全な速度と方法をもって運転しなくてはならないという、この安全義務を忘れさせる条項でありまして、まさに有害無益なものと思うので、即刻排除していただくことをお願いいたします。
#14
○加藤(六)委員 わかりました。
 それからその次は、一つの問題をあまり深く入れないで恐縮なんですが、杉江先生、先ほど非常にいいお話をお教えいただいたのですが、これは冨永先生にも関係してくるわけでございますけれども、保健体育をやる、その保健体育の時間に交通安全の教育をやらそうと私たちはかねがね主張してきて、ようやく学習指導要領の中に入れさすというところまできたわけでございますが、現場の杉江先生にお伺いしますけれども、保健体育の先生で、これはいろいろ問題があると思いますが、運転免許証を取り、あるいは無事故の先生、何年以上無事故とかいうような、こういう交通法規その他いろいろな交通安全教育をする場合の高等学校の先生の条件といいますか、資格といいますか、基準というようなものについて、検討されたことがございますでしょうか。
#15
○杉江参考人 教育する教師は、保健関係の者でありまして、保健の先生の中には女の先生もおられます。あるいは体育をやっておられて、その後保健の教科を教育する、こういう方もおられまして、ある方は免許証を持っておられる方もございます。ある方は持っておられない、そういう問題でございます。
 それから、そこのところで事故を起こしているか起こしていないか……。
#16
○加藤(六)委員 先生がお考えになって、今後交通安全の先生として高等学校で教える場合に、教える先生の資格はどういうのが一番望ましいだろうかということです。
#17
○杉江参考人 わかりました。
 それは、やはりある一つの制度をつくりまして、そして認定講習というふうな形をもって、そこである時間当然試験もしてもいいと思います。そういうようなもの、あるいはテレビを通じて教育する方法もいろいろあると思います。そんなところでよろしゅうございますか。――教育の方法によるのだと思いますが……。
#18
○加藤(六)委員 学校、特に高等学校、大学における交通安全教育あるいは交通工学という問題については、今後私たちも当委員会で本格的にこの国会中取り組みたい、こう思っておりますので、またいろいろ御指導あるいは資料等、よろしく御鞭撻を賜わりたい、こう思います。
 それから冨永先生、先ほど安全ベルトあるいは車をとめた場合、あるいは道路の夜間照明、人の問題、いろいろお教えいただきましたのですが、この安全ベルトということは、実は先ほどの保安基準の中で入れさすようにわれわれ運輸省当局に対してしたわけでございますけれども、現実にはほとんど使われていない。かえって狭い車の中でじゃまもののようにされておる。この安全ベルトを完全に義務づける場合はどうでしょうか。先ほどは保険との組み合わせということもおっしゃいましたが、警察官がいろいろな問題で車をチェックするときに、この安全ベルトをつけておるかつけておらぬかで、もう少し道交法関係で縛るようにしたほうがよろしいと思われますか、それとも保安基準だけでやって十分効果があるとお考えでしょうか。
#19
○冨永参考人 これは非常にむずかしいところだろうと思います。保安基準では、車の装備まではよいと思いますが、問題は、それを実際各人がつけるかつけぬかということになりますから、ちょっと保安基準の問題ではなかろうと思います。やはり運転する場合でございますから、入るとすれば道交法のほうだろうと思います。それで、これははっきり言えば、法的にはいままで全然糸口もなかったわけであります。キャンペーンでどう持っていくかということになっていくと思います。法の裏づけがあれば、もっと強くキャンペーンが推せますから。この行き方としては、私はまず自動車学校で習うときに、実際道路に出て路上運転をやりますね。もうそのときからやらすべきだと思います。そうしますと、一たんベルトをつけるという習慣がつきますと、私も経験がございますが、今度はそれがない車に乗りますと、この辺が非常にさびしい思いをいたします。ですから、一回それをつける習慣をつけますと、必ずそれをつけるということになりますから、まずやれますことは、自動学校の路上運転をする場合は必ずつけるという指導をやっていただくということから始まるだろうと思います。それから、今度はキャンペーンをやっていく。そうなってきますと、今度はたとえば高速道路を通ります場合に、それを通過する車がどれだけつけておるかつけていないかチェックができますから、どのくらいつけておるかというパーセントが出ますが、現在のところではパーセントをとろうにも全然つけておる人のほうがはっきり言って少ないものですから、キャンペーンがいけば、それは可能じゃないかと思います。現にアメリカでも実際何%つけておる、つけていないという数字が出ておりますし、それからイギリスからも詳しい資料がきております。今度はそういうパーセントでいけると思います。
#20
○加藤(六)委員 いろいろ承りたいことはたくさんあるのですが、いまのスキッド訓練の問題、あるいはたとえば車をとめた場合に必ず光る三角形のものを置け、これをやはり保安基準の中に入れて携行義務をさすとか、赤旗を携行させておりますね、これと同じようにさすとか、いろいろ今後またひとつ考えていきたいと思うので、この問題についてもあとからまたいろいろ御指導賜わりたいと思います。
 吉川さん、もう時間がないので、一言お伺いしますが、先ほど最後に、地所の提供ということをおっしゃいましたが、今日政府あるいは国会に対して、ほんとうに交通安全母の会として希望されるものは、それは単に地所ということでしょうか、それとももう少し幅広い、簡単にこれとこれとこれをぜひさせたいということがございましたら、ひとつこの席でおっしゃっていただきたい、こう思うわけです。
#21
○吉川参考人 一番まだおくれておるのは、おかあさんがおくれておるためにこういうふうになると思うので、つくっていただければとてもけっこうですけれども、どうしてもそこまで政府にお願いが不可能でしたら、お互いにお金を集めても、全国もう――岐阜だけちょっとまだはっきりしませんけれども、全部入っておりますから、全国のおかあさんを育てていただき、そして地元がよくできていなければ、政府のお考えもまとまらないと思うのです。これはいま日本の一番大事なことだと思います。それからしなければ、ちゃんとしたことができないという、これはおかあさんの全役員の考えでございます。よろしくどうぞ。
#22
○加藤(六)委員 終わります。
#23
○伊藤委員長 小峯柳多君。
#24
○小峯委員 私は一問だけ、いまの加藤君の質問に関連してお伺いしたいのでありますが、先ほど冨永さんの御発言の中に、大学の講座のお話がございました。交通工学だったと聞いたのですが、その交通工学の中に、交通安全という角度が重く取り入れられているようにお考えになりますか。実は私は先年夏でございますが、欧米を飛脚視察をいたしました。ニューヨークの交通局長と、アメリカの大学に交通安全に関する一つの学問の講座みたいなものがあるか、また交通安全学というふうなものが成り立つかということをかなり話し合ったのでございますが、あまり要領を得ずに帰ってきております。そこで、いま大学に三つあるとおっしゃいましたが、交通工学といいますか、その中に安全の問題がどの程度取り入れられているだろうか、また交通管理学とか交通安全学というようなものが成り立たないだろうか。これは、もう一人高等学校の先生もお見えでございますので、その辺のことを伺わしていただきたいと思います。
#25
○冨永参考人 私、説明が十分じゃなかったと思います。一つは交通工学といいますか、これは御承知のとおり、トラフィックエンジニアリングのほうで、日本では三つの大学しかないというふうに申し上げましたが、外国の大学では、アメリカの場合はむしろどちらかといいますとインスティチュート、研究所ですか、という形のほうが多いと思います。それからこれはと思いましたのは、イギリスのバーミンガムという大学、これは交通部というのがございまして、これはすばらしいと思います。と申しますのは、交通部の中に機械工学、土木の先生それから人間生理の権威者、それから外科のお医者さんまでがずらっと、いわゆる交通部が総合大学になっているわけですね。縦割りじゃないわけです。それでいまお話しございました事故対策というものをやっておるわけです。そういう状況でございまして、交通工学になりましても、結局は道路をつくるにしましても信号をどうする、標識をどうする、やはりほとんど安全が中心じゃないかと思います。それからいかに車を流すか、これが中心になっているわけでございます。
 それから安全の講座と申しましたのは、安全の教育の講座でございます。これはアメリカはほとんどの大学みなございます。これはただ交通ばかりじゃございませんで、やはり安全工学が非常に発達しておりますから、ガスの問題とかいろいろな、そういったすべてを含めての安全工学の講座がございまして、その中で交通だけしぼりますと、たしか運転教育だけで最小限十五時間その講座でやらなければならぬことになっております。安全教育の講座、これはアメリカ各大学みなございます。そこで卒業された方は、高等学校での教員免許を得られるという形になっておるのでございます。
#26
○小峯委員 高等学校の先生、杉江先生何かお考えありますか。私は、何か交通安全工学みたいなものができてもいいんじゃないかという感じを持っておるものですから……。
#27
○杉江参考人 私も同感でございます。指導者の指導者づくり、これがまず先決問題だと思います。われわれも、ややもいたしますと、すぐ高校の若い生徒、それに交通安全教育をやろうと努力するわけでございますが、私はこれは間違っておると思います。まず指導者の指導者をつくらなければならぬ。それがためには、いまのような交通工学あるいは人間工学、こういうようなものから生理学あるいは心理学あるいは道路、気象、その他のいろいろな工学といったような学問の講座ができるんじゃないか、こういうふうに信じております。
#28
○小峯委員 ありがとうございました。
#29
○伊藤委員長 後藤俊男君。
#30
○後藤委員 最初、冨永さんにお尋ねしたいのですが、先ほど人と車と道路とシステム、この四つに分けて非常にわかりやすく御説明をいただいたわけでございますが、その中でも、イギリスの二階建てのバスの話が出まして、スキッド訓練でございますか、日本では案外やっておらぬというような話があり、さらにイギリスにおけるそういうバス関係の事故というのは非常に少ない。少ないのもそういう訓練をやっておるという理由もあるのではないか、こういう説明であったと思うのです。
 そこで、頭に浮かんでまいりますのは、諸外国における運転手さん、いわゆる職業ドライバー、これは技術者としてかなり高く評価されておる、非常に尊重されておる。労働条件等も非常にいい。賃金もかなりいいところへいっておる。いわば世間から非常に大事にされておる。そういうふうなことが、この無事故であるということにかなり影響をしておるのではないか。日本の国内における、今日の経済成長の中における各企業の競争そのものが合理化になって、毎日毎日バスなりタクシーを運転しておる人は、非常に激しい労働で追い回されておる、そのことが事故にも影響しておるのではないだろうかというふうにも考えるわけです。
 さらにもう一つは、先ほどの二階建てのバスの話を聞きまして、定員以上は乗せない。こういうことを私も聞いておるわけです。日本ではそうではなしに、バスが来ますと、とにかく乗れるだけ乗れというようなことで、通勤時、いわゆるラッシュのときには、一ぱいで輸送しておるわけですが、イギリス等に行きますと定員より、こまかいことを言いますと、一名以上は余計乗せないというようなことも非常に厳格に順守されておるというような話も聞いたわけでございますが、いま申し上げましたような、交通関係で働いておる労働者と申しましょうか、日本と外国におけるその違いというのを、長く交通局長もやっておられた経験の多い人でございますので、感じられることがあればひとつお聞かせいただきたい。
 さらに、いま申し上げました満員バスというのは、外国ではあまり見ることができないような気がするわけですが、(「あるよ、たくさん」と呼ぶ者あり)ないこともないとは思いますけれども、その点は一体どういうふうにお考えになるだろうか。
 それからもう一つは、吉川さんにちょっとお尋ねするわけですが、先ほど加藤君のほうから一番最後でございますが質問がありました。またあなたの説明も冒頭でございましたか、交通総合会館というようなものをぜひひとつ設置をしてもらいたい、そのためには政府にもお金がなかろうが、われわれも一生懸命にやりたいと思う、私自身がそういう決意をしておる、ぜひこれはと、こういう話があったと思うわけですけれども、その交通総合会館の中身と申しましょうか、大体こういうふうなものを会館の内容として建設していただくと、全国的にお母さんの非常に参考になることが多いんだというようなことを、もしお考えがあれば簡単でけっこうでございますのでお聞かせいただきたいと思います。
#31
○冨永参考人 御質問のドライバー、運転者の社会的地位、それと賃金、これは国の物価とかいろいろな問題を比べてみなければ、一がいにちょっと言いにくいと思いますけれども、したがって、国によってかなり差があると思いますが、私が申し上げたのはよいほうを申し上げて、イギリスが非常に職業運転手が誇りを持っておるという点は、これは先生御承知のとおりでございますが、その裏づけはいろいろあると思いますが、その中で、やはり訓練のきびしさも一つの原因ではなかろうかということを申したわけでございます。私もタクシーの運転手やらの収入面もいろいろお聞きはしてきておるわけでございますけれども、ほかの国の事情は、物価その他税金の問題がございますので、一がいに日本と比べてどうだということをちょっと比較いたしかねる点、申しわけないと思います。
 それから二番目には、バスの定員の問題、これはイギリスだけ独特でございますが、御承知のとおりに、路線バスはいま大体座席一ぱい、あと座席以外に立てるのがラッシュ時間にたしか五人ぐらい、それ以上は車掌が全部断わりますから。そういうことでやっておることは事実でございます。しかし、これも、いろいろ声を聞いてみますると、向こうもラッシュで非常に交通難でございますので、もう少しバスに乗せればいいじゃないかというふうな声も非常にいま高くなっておる。しかし、まだ定員確保でやっておるというのが現状で、これはイギリスだけでございます。ほかの国は必ずしもそうでないというふうであります。
#32
○吉川参考人 先ほど申し上げたのは、やはり全国の人が集まってよく勉強して、地域へ持ち帰ってそれができるよう、識者も入れたいし、そういうことはもう五年も全国の代表の人と集まって、大会も日比谷公会堂で、総務長官にも出ていただいて、いろいろやっておりますので、皆さんそれはもうしびれを切らして、費用を使っていままで苦労してきた。ですから、これが、会館があるならば、そうしたらどんなにできるだろうということで、いずれはその向きにいかなければならないんだということは、みんながいまそこまできたことすらうれしいと私は思うのです。
 それで、これは交通総合会館で、なぜ総合会館と申すかというと、婦人会館だけでは、それだけの知識の人がいないから、一々雇ってこなければいけない。それでなくて、総合会館で、交通のものが全部入れるような館にできるようにしておけば、婦人は育てられるし、育てられたらまじめですから家庭の中から盛り上がる、こういうことを皆さんで考えて識者を入れて――よく、そこら辺にも方々にありますけれども、ただ婦人会館だけでは、ごちゃごちゃ言っておしまいになる、けんかになったりするから。これは、私、過去ずっとやって見ているのです。そういうことでないように、ほんとうに男の人に一足下がって教わるという秩序の問題から私考えて、みなさんはそれを同意してくださったのです。そうしたならば、この交通のものだけでなくて全般のものが、婦人が向上しそこなっておりますものがよくなるんじゃないか。子供がよく勉強できると、うちの子供はえらい、子供にはかなわないといって引っ込んでしまう、そんなものじゃないですよね。やはり親は親らしく、子は子らしく。そういうことの万能にたけて、この交通総合会館は国のお役に立つのじゃないか。
 現在、交通をやってきた皆さん、ほんとうに岡山あたり、新潟でも、山梨でも――山梨なんか一軒ごとに一人ずつつくるそうです。この間、私、二度も、学校へ行ったり、同じようなおかあさん寄ってやったのですけれども、なかなかしっかりして、知事の奥さんを会長へ、いや、だめだ。会長はちゃんと選挙で出ちゃった。皆さん頼んだけれども、頼んだからといって、そういう天下りでなくやろうということになって、この間もできた。選挙中でもできたのですから。
 皆さん、交通のことになると、あすを待てないというときですから、ほんとうに懸命にやる覚悟がみんなできておりますので、よろしくお願いいたします。
#33
○後藤委員 終わります。ありがとうございました。
#34
○伊藤委員長 横路孝弘君。
#35
○横路委員 冨永参考人に一点だけお伺いしたいのですけれども、現行の免許の取得制度ですね、指定自動車教習所、そのほかとあるわけなんですけれども、指定自動車教習所のいまのあり方について、特に何か問題とすべき点があるかどうか。
 それからもう一つは、路上教習の充実拡大、さらに義務化という問題があると思うのですけれども、この点についてどのようにお考えなのか。その一点ちょっとお伺いしたい。
#36
○冨永参考人 日本の自動車教習所は、私はいろいろ特色があると思います。と申しますのは、日本のモータリゼーションがおくれて発達したために、自動車教習所の構造なり規格なり、こういったものは、ほかの国に比べて、私はむしろ整備されておると思います。たとえていいますと、コースを持っておるような自動車教習所は、ほかの国ではほとんどないというような状況で、個人の集まりというふうなかっこうで大体できておりますし、むしろ、それをどう登録するかということが一生懸命なのでございますけれども、それに比べますと、設備なりそういった面は、かなり日本は進んでおると私は思います。問題はその内容だろうと思います。その教え方といいますか、これはまだまだ、特に安全という見地から見ますると、やらなければならぬことが相当あるのではなかろうかと思いますし、それから指導員の質の問題というふうなことがあると思います。ですから、施設とかそういった形は、ほかの国から比べて決して遜色がないどころか、むしろ日本のは、コースを持っておるのはよいというふうに、うらやましがられておることも聞いております。ですから、この内容をいかにして充実するかということに力を入れるべきではなかろうかというふうに思います。
 それから、路上教習といいますか、これはやはり運転する以上は箱庭だけではならないわけで、実際の道路に出ますと、ほかの車がどう出た場合にどう出るということをわきまえなければだめですから、そういう意味で、道路で実際に運転を教えながらやるという必要は私はあると思います。外国のことを申し上げて恐縮ですが、御存じのとおりに、ほかの国はコースを持っておらぬ関係で、初めから道路で実際やっておるわけです。ですから、ほんとうの道路感覚といいますか運転感覚、ほかの車がこう出た場合にどう出るのだということは、実際道路に出てやってみなければ、箱庭式のコースだけではこれは本物にはならないと思います。
 私は、特に必要なのは、今後、高速道路を運転する場合、これが実際の道路の場合と相当違いますから、これをもっと力を入れるべきだろうと思いますし、それから夜間運転、これは昼間と夜と全然様相が変わってきますから、これをやはりやらなければならないのではなかろうかというふうに思うわけでございます。
#37
○横路委員 いま、路上教習をまだ強化していくべきだという御意見だろうと思うのですが、そこで、警察庁の方お見えになっておられますので、一つだけお尋ねしたいと思うのです。
 道路交通法の改正を国会のたびにやっておりますけれども、今回の改正について、非常に重点的に皆さん方のほうで宣伝されてこられたのが、路上教習を義務化していく、路上教習制度というものをさらに一そう充実するというのが、今回の道路交通法改正の重点になっていたわけです。それが、新聞の報道によりますと、その辺が指定自動車教習所のほうの何か圧力でもって、今回はそれを見送ることになったというように報道されておるわけでありますけれども、どうしてやめになったのか、その間の経緯というようなものをお話しいただきたいということと、それから、いま参考人のほうから、高速道路についても、免許の取得の過程でやはり教習させるべきじゃないかというお話が出たわけでありますけれども、その点について、どのようにお考えになっておるのか、この二つの点についてお答えをいただきたいと思います。
#38
○寺尾説明員 路上教習は、新聞で御存じのように、警察庁として重点の一つにしておりましたけれども、最後のときになりましてやめたわけでございます。
 これは、一つには、最初の警察庁原案の中には、最初の要綱にはなくて、中途から入ったわけでございますが、私ども、安全運転センターをつくるといったようなことで、運転者の養成というものは、一つの柱として十分やっていきたいという気持ちを持っておりました。ところが、その面の教育と関連しまして、路上教習もぜひやりたいということで臨んだのでございますけれども、いま申し上げたように、路上教習の面につきましては、ややおくれて出発しましたために、皆さん方に十分納得してもらう時間が足りなかった。と申しますのは、路上教習につきましても、一番初めは個人タクシーといいますか、法人ではありませんが、指定の自動車学校が試験を免除しておる、それと同じように、試験免除ということを一番初めの案ではかったわけでございます。そういうことで、個人タクシーじゃないかということが非常に脅威を与えまして、猛反対がございまして、今度の道交法の審議の期間は非常に短うございますので、非常に問題のある規定を盛り込むことによって、道交法全体が流れるということを非常に心配しまして、御存じのようなことになったわけでございます。
 それから高速道路につきましては、運転者の養成の八五%くらいは指定自動車学校の卒業生で占めております。したがってその八五%の人の、特に東京であるとか、高速道路の沿線の府県につきましては、希望者にというよりも、すすめまして極力高速道路に出て運転を指導しておるということが現状でございます。
#39
○伊藤委員長 宮井君。
#40
○宮井委員 それでは、私からはたいへん初歩的な質問でまことに申しわけありませんが、最初に尾崎先生には、先ほどの自動車の運転席を低くするということ、まことにこれは私も共感いたしました。その際に、トラックの事故で、子供さんの事故は大型トラックがバックをしているときに起きる事故が多いということでございますけれども、その点は、下げた場合に関連はどのようになってくるかということ。
 それから、杉江先生には、二輪車は学校登校におけることには禁止しておるということでございますが、放課後など、また家庭において二輪車等使用すると思いますが、そういった面でどのように訓練されておるか。
 それから冨永先生には、ちょっとお話からは観点がはずれますけれども、最近富士急行など踏切事故がたいへん大きな問題になっておりますが、ただいままでは踏切の安全施設の不備でありますとか、あるいは運転者の運転の誤りというものが論議されてきましたけれども、もう一点、この道路というものが勾配急勾配等、そういった道路の関係で、踏切事故が起きているというふうに思われますけれども、そういった点の御意見。
 それから吉川先生には、四歳以下の事故がたいへん多いわけでありますけれども、英国などはタフティクラブというものがあって、家庭において横断するときは、左と右を指さしてそして横断するという、こういったところをどういうふうにしておかあさん方が教育されておるか。これだけをお聞きしまして終わります。
#41
○尾崎参考人 第一の低床式に改造した場合、バック運転のときの危険はどうして防止するかということでございます。では、現在の高い運転台においてはいかがかといいますと、ここにありますとおり、運転台がいかに高くても後方は全く見えないのでございます。初めからうしろの窓はつぶしてしまっておる。それから御存じのとおり、コンクリートミキサーとか、タンクローリーとか、それから冷凍運搬車、これは初めから荷物のあるなしにかかわらず、うしろは全く見えません。私もこの間ちょっとある事情で、うしろ一ぱいと横に荷物を載せて乗用車を運転しましたが、こわくて運転できないですね。実際よく大型の運転者は、あんなに前もうしろも見えないのに平気で運転するなと思って感心いたしましたが、感心はしておられません。事実そのために、路上の幼児が見えないために踏みつぶして即死させておるのです。これは初めから見えない。低くしましたら乗用車と同じで、簡単に路上におりられますので、サイドブレーキを引いておいて、うしろへ回って後方の安全を確認してバックするということができるので、むしろ低床式にしたほうが後退時の安全は増大すると確信しております。
#42
○杉江参考人 オートバイの禁止という問題でございますが、学校学校によって現在はばらばらでございます。山形県では許可体制に入っているが、ある場所では禁止体制に入っている。禁止体制に入っているところの現状は、学校自身が禁止体制の思想でありますから、当然オートバイ教育はやらなくてもいいという考え方になりがちでございます。ですから彼らは知識も与えられず、訓練もされず、土曜、日曜日にはばんばん飛び回っておるのが現状でございます。ここで何らかの教育体制をやりますなり、知識を与えますと、その事故、違反というものも急激に減るのじゃないか、むしろ許可して、教育体制に持っていったほうがどうもよさそうであるというのが私の見解であります。
#43
○冨永参考人 踏切問題につきましては私もお説のとおりだと思います。鉄道側の踏切の施設の改善、それから自動車側の運転手の問題が盛んに論ぜられておりますが、道路管理者のほうも、踏切対策というものに取っ組んでいただきたいと思いますのは、いま御指摘のありますように構造の問題が一つあると思います。たとえていいますと、道路の一等頂上が踏切の場合とかそれから逆に一等すりばちの底みたいなところが踏切では、これは御存じのとおりに、坂道の途中の発進というのは非常にむずかしいわけです。いやがるわけです。いわんやトラックになりますと荷物を積んでおりますから、なかなか一時停止しないというのもそんなところからきているのじゃなかろうかと思いますので、結論から申し上げますれば、踏切の前後せいぜい自動車二車身ぐらいは平らにしていただきたいということが一点でございます。
 それからもう一つは、踏切ありという道路標識ですね。これの予告標識が実は日本にないのです。これはやはり考えていただきたいと思います。御存じのとおりに、これはイギリスの例ですが、ドイツ、スウェーデンその他は、前方に踏切ありという場合に、最小限三つ予告標識を立てます。その標識の支柱、棒のところに斜線で三本、それから二本、一本、国によって違いますが、三本になったら六百メートルときまっているわけですね。二本になれば四百、一本になれば二百と、あるいは四百、二百、百というところもございますが、一つの標識を見そこなっても、もう一つ先へ行けば、そこにまた踏切ありの標識に必ず気がつきますから、こういう踏切ありの道路標識、踏切から前だけでいいですから、特に踏切ありということをあらかじめ予告する標識の制度を、ぜひ私は入れていただきたいと思います。
#44
○吉川参考人 タフティクラブということもよく伺っておりますけれども、今度は向こうへ行ってよくそのことで調べてきたいと思いますけれども、まだ日本の現状では、非常に交通に対する関心が薄いので、おかあさんが至らないために事故が多いのが非常に多いのですね。いろいろ事故を調べてみると、おかあさんが物を買っていらっしゃいといって、ちゃんと子供を見守らないということです。だからおかあさんの不注意がいまのところ一番子供の事故に多いように私どもの研究ではあるのです。ですから先ほど申し上げたように、もう少しおかあさんが総合して勉強して、今度四十人ばかり連れてまいりますけれども、それも勉強に行こうということで、向こうからも御招待が来たし、おりがいいから無理して行こう、そういうことになっております。行ってきてまた報告いたします。
#45
○宮井委員 終わります。
#46
○伊藤委員長 河村勝君。
#47
○河村委員 尾崎さんに一点と冨永さんに二点伺いますので、簡単でけっこうでございますが、尾崎さん、先ほど運転台を低くしてもコストは安くなるはずだというお話でありました。それで安くなるはずであるのにかかわらず、大体の車が高いところに運転台をつくっているのは、運転車の好みが支配するものであるかどうか、その点の御見解。
 それから冨永さん、外国で安全ベルトをつけた場合に保険を増額したり、あるいはつけない場合に減額したりする例があるというお話でありましたが、それは法律によるものか、保険約款によるものか、それが一つと、いま一つは運転者だけじゃなしに同乗者も含むか。
 それからもう一つの問題は、スキッドの訓練をやれというお話で、わが国の場合、スキッドの事故というのはどのくらいあるのか、二カ所ばかりやっておるというお話でしたが、どこでありますか、それだけお聞きします。
#48
○尾崎参考人 ただいまの、現在の大型車はなぜああいうふうに高くなっているかという問題でございますが、大体自動車は、昔はダンプカーでも運転台の前にエンジンがございまして、いわゆるボンネットタイプでございました。あの場合は車台が高いですから、したがって運転台も高い。ところが最近積載容量をふやすために、同じホイールベースでございましても運転台を前へ持ってくる。そうすると、それだけ荷台が広くなるというので、だんだんそういう傾向になってまいりました。それを前に持ってまいりますと、勢い前車輪の上にきますので高くなってきたわけですね。現在日本には五つの大型トラックのメーカーがございますが、やはりちょっとでも自分のところのものを売り込みたいというので、運転者に好まれるようなタイプを出すわけですね。そうすると、やはり一寸でも上に高いほうが、運転者としては優越感も味わえるというので、そういうのが好まれるので高くなってきた。先ほど申しました三菱自動車の主任技師の話によりますと、自分のところだけがそういう低いのをつくりたくても、やはり他社とのシェア争いがあるので、そういうことはできない。しかし低くすることは好ましいことである。というのは、低くなればそれだけ重心も下がりますし、運転手の疲労も少なくなる。それから乗り降りも楽になるので、いいことはわかっておるのだ。それから積み荷も、長い電信柱なんかを積みます場合に、現在ですと運転台が高いですから、こういうふうに斜めに長尺も積みますけれども、運転台が低くなりますと水平に近く積めますので、重心も低くなり、運転も安全になるというので、メリットがたくさんございます。いまのは何も法的規制がないから、もっぱら運転者の好みに迎合してああいうふうに高くなっておるものと考えます。
#49
○冨永参考人 第一点の安全ベルトの問題でございますが、安全ベルトをしていた場合と、してなかった場合に、保険で補償の追加が出たり、補償が低くなったりというのは、これは全部の保険会社じゃございません。スェーデンの一保険会社、アメリカの一保険会社があるということでございまして、したがって、またこれは法律ではございません。あくまでも保険会社の扱いでございます。それから、その場合に同乗者も当然入ります。
 それからなお、安全ベルトを法律化するかどうかというのは、どこの国でも相当問題になっておりまして、うちの国民はどうもなかなか教育だけではだめだから、法律化しようというのがフランスの行き方でございますが、最近オーストラリアのメルボルンがあります州では、遂に義務化しまして、罰則まで二十ドルばかりついておる例が出ております。
 それからスキッドの事故でございますが、こまかい統計はちょっと持ち合わせがございません。あとで調べますが、これは新聞でよくごらんになりましても、雨が降ったあとは、大きなバスがハンドルを切ったとたんにスキッドして、横ぶれするという事故が必ず目につかれるくらいに私は多いと思います。
 それから二カ所と申しますのは、一つは鈴鹿サーキットが一カ所、もう一カ所はいま東京の効外に日本安全運転専門学校というものがございまして、これは場所は現在は読売ランドの中にございますが、そこでスキッドを専門に、高度の訓練をやっておる。施設は二つございます。
#50
○伊藤委員長 東中光雄君。
#51
○東中委員 時間が過ぎておりますので、尾崎さんに一点だけお聞きしたいと思います。
 先ほど言われました、交差点における横断歩道を外へ二十メートルぐらいずらすという問題ですが、たまたま大阪でも天六なんかはそうなっておるのですが、そういうところでは実際に事故が少ない、そういうことが立証されておるかどうか。そういう点ひとつお調べでございましたら明らかにしていただきたい。
 もう一点は、先ほど道交法の十四条三項の幼児の監護義務の問題、あの規定は削除しろというお話がございました。御承知のように子供、未成年者に対する親の監護義務は民法上きまっておるわけですので、当然の一般的な監護義務はあるわけであります。それをさらに、この道交法という特別法でつくっておることが非常に有害になっておる、こういうふうに言われているのだと思うのですが、そういうふうに聞き取ってよろしいかどうか。
 以上であります。
#52
○尾崎参考人 第一の、横断歩道を、現在の位置よりも少し遠避けたら、事故が減るかという点でございます。大阪でも天六の交差点、あるいは南森町からやや西へ向かいました交差点などでは実際に実例がございます。私自身も横断してみましたが、横断歩道が青である間は、当然これに直行する道路は赤でございますから、車は完全に停止しております。その三十秒なら三十秒の間は安全に渡れますので、事故が起こりようがございません。統計をとらなくても完全に安全でございます。
 それから第二の十四条三項は、道路交通法というのは、一般に運転免許を取得する者は勉強して知っておりまして、運転免許を持っておらない日本国民の大多数はこういうことを知りません。ところがいざ実際に自分の子供がひかれてみると、ひいたほうはこの条項を知っておる。ひかれた子供の親は知らないために、おまえがそんなところへ子供をほったらかすのが悪いんじゃないかといって、突っ込まれたらおろおろしてしまいまして、すみません、すみません、私のほうが悪かったといって引っ込んでおるのが実情でございます。しかも、これが裁判にまで影響を及ぼしているといたしましたら、弱い立場の被害者並びにその家族を保護するためにも、こういう悪用されるおそれのある条項は、もう即刻撤廃するのが一番よいかと思います。
#53
○伊藤委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 各参考人には御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。ただいまの貴重な御意見の本委員会の調査に資するところがきわめて多かったことを、委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。御退席を自由にしていただいてけっこうでございます。ありがとうございました。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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