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1970/04/14 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 産業公害対策特別委員会 第10号
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1970/04/14 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 産業公害対策特別委員会 第10号

#1
第065回国会 産業公害対策特別委員会 第10号
昭和四十六年四月十四日(水曜日)
    午後一時十二分開議
 出席委員
   委員長 小林 信一君
   理事 始関 伊平君 理事 古川 丈吉君
   理事 山本 幸雄君 理事 渡辺 栄一君
   理事 島本 虎三君 理事 寒川 喜一君
      久保田円次君    葉梨 信行君
      浜田 幸一君    林  義郎君
      松本 十郎君    古寺  宏君
      西田 八郎君    米原  昶君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議官      城戸 謙次君
        経済企画庁審議
        官       西川  喬君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        厚生省環境衛生
        局公害部長   曾根田郁夫君
        農林省畜産局長 増田  久君
        林野庁長官   松本 守雄君
        通商産業省公害
        保安局長    莊   清君
        通商産業省公害
        保安局公害部長 森口 八郎君
 委員外の出席者
        文部省管理局教
        育施設部技術参
        事官      大串不二雄君
        厚生省児童家庭
        局母子衛生課長 浅野 一雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 悪臭防止法案(内閣提出第九〇号)
     ――――◇―――――
#2
○小林委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の悪臭防止法案を議題として審査を進めます。
 質疑の申し出がありますのでこれを許します。島本虎三君。
#3
○島本委員 きのうに引き続いて、大臣に悪臭防止法案の内容全般について伺いたいと思うのです。
 個々の内容についてはきのうある程度承りました。総体的にこの法案を通じてどういうように解釈していいのか、実際上わからなくなってしまった。この法案全体は、規制が強いようでまた全然弱い。弱いのかと思えば、そうでもなさそうに思うのですが、この法案の立法の立場からして規制力は強いのか、わりあいに弱い法律なのか、大臣、どういうような立場でこれをおつくりになったのですか。
#4
○内田国務大臣 昨日も申し述べましたように、悪臭というのは典型公害の一つになっておりまするが、これの規制が実際的には――私は正直でございますからそのとおり申し上げますが、実際的に非常にむずかしいということで、悪臭規制法ないし悪臭防止法というものの制定がずっとできないで今日まで至ったわけでございます。しかし、地方的には騒音と並んで悪臭に対する苦情が非常に多いことは、島本さんも御承知のとおりでございますので、やはり私どもは公害対策を立案する限りはいつまでも放置し得ない課題であると考えまして、先国会以来引き続いて検討を重ねました結果、今回のこの法律案を出すことになった次第でございます。したがって、正直に申しますと、これが強い規制になるのか、あるいは十分な効果を発揮することができないかは運用次第であって、しかも、その運用の主軸になりますのが、都道府県知事あるいは都道府県知事から委任を受けた関係地域の市町村長ということになりますので、その地方のこの問題に対する意識のいかんにもかかわるところが非常に多いわけでございますので、これの実施の実績を見た上でないと、この法律がこれで十分であるかどうかにつきましても、正直、確信は持てません。実施の実態を見ました上で、私どもはさらにこれを見直して、それで手を加えたりあるいは所要の改正をお願いをいたしたりということに必ずなるのではないかと私は思うものでございます。
#5
○島本委員 自民党員内田常雄ということでいろいろやって、その内容は不完全なものだけれどもどうだと座談の中で言うのはわかる。ただ、厚生大臣という、省庁の立場で今度内閣を代表して大臣がこれを出している。不完全だけれども、ないよりもあるほうがいいのじゃないかという考えでただお出しになるというのは不謹慎じゃないか。これははっきりした見通し、はっきりした自分自身の立法の立場を明らかにするのでないと、出したほうがないよりいいんだからという立場というものは、国会をないがしろにするというか、少し軽視するようなあなたの姿勢ということになるじゃありませんか。やっぱりその点で、私どもはきのうからやっていても同じような立場、なぜ完全なものにして出せないのか。それも去年の十二月の、いわば暮れの公害国会においてさえもこれはもうできておった。それを再度手直ししている。手直しをして出して、なおかつその内容というようなものも、どうなるのかこれからの推移を見なければわからないのだ。こういうような不完全な姿勢でもって出してくるというのは、国会に対し少し不謹慎じゃないかと思うのです。したがって、これは規制力の強い法律なのか弱い法律なのか、一体どういうような立場でこれを見ればいいのか。これもあなたまかせ、地方自治体の長、すなわち知事か市町村長のこれに対する意気込みによってこれが違うのだということになると、全然無責任きいまる。こういうようなもので立法といえるのか。法案を提出する態度としては――厚生大臣、あなたを尊敬しているのだけれども、その態度は私はいただけない。完全なものにして出すというのが、内閣を代表する提案者の立場じゃないですか。不完全だけれどもないよりいいだろうというようなことは、少し国会を侮辱しているということになる。
 同時にそういうような態度ならば、今後これは修正してもそれに応じますという態度だ、こういうようなことになってしまう。初めから修正されてもいいような不完全なものを出しているのも困ったものだ、こういわざるを得ないのであって、この点少し残念なんです。きのうから言っているとおり、これは進展しない、一日たってもいまだ解決しない、こういうことです。
 大臣はいい。事務当局、これはどういう立場でこういう立法をしたのか。強い規制力のある法律なのか、きのう言ったようにしり抜けのいわゆるあなたまかせの弱い法律なのか、どっちの部類の法律なのか。
#6
○内田国務大臣 これは大臣として、私がさらに一言弁明なければならずと考えますので発言をさしていただきますが、たいへんごもっともな、かつまた御親切なお尋ねであると思いますが、同時にまた、たいへん意地の悪いお尋ねでもあると思います。私は決して不完全なものだとして出しているわけじゃございませんので、そこは今日の段階においてはこの程度が最善、最高なものである。今日の段階においては、この程度よりも以上のものは、これは技術上の面におきましても、対策の面におきましても、ないのだ。しかし将来これを実施の上でいろいろな不備の面があらわれてくるであろうことも予想されますので、そういう場合にはそれに応じて新しい対応策を加えたり、あるいは必要な修正を加えることにやぶさかではない、こういう意味でございますので、まあいいかげんなものだけれども出したということではございません。私どもとしては、これは最善と信じて出しておりますが、今日皆さまもよく御承知のとおり、悪臭に関する測定なり防止技術なりというものの技術水準というものが実は非常におくれておりますことも、これもまた隠れもない事実でございますので、したがいまして、そういう技術が十分に開発されるまで法律を出すことを待つわけにはいかない、この悪臭に対する住民の意識が向上してまいっておりますので、さような技術の完成を待つことなしに、今日においてはできる限りの対応策を講じつつ、またできる限りの対策をも取り入れた法律としてこれを出している次第でございますので、その点はひとつ私の平素のことば使いなどをも御理解をいただいている島本さんとして、よろしく御理解いただきたいと思います。
#7
○島本委員 それで、大臣として言うのはわかりましたよ。わかりましたけれども、この三条の規制地域の規定から、第四条の規制基準から、きのういろいろ審議してみてわかっているわけです。ある場合には強いように受け取れる、ある場合にはほんとうにしり抜け、腰抜けの弱い法律に思われるわけです。だから、立法の立場、立法の精神として、どっちの姿勢でこれを立法化したのだということを聞いているのだけれども、よくわからぬ。したがって、これは日本国じゅうの事業所、工場に適用しているというような立場をとると、これはやはり規制基準からはずれるとこれはすべてひっかかる、こういうようなことになっているとすると、案外これは強い規制力を持つようにも考えられる。
 それと同時に、大気汚染防止法の場合なんか、粉じんの場合なんか、発生源の施設が届け出制ですから、届け出の段階から規制がなっている。まず第一段階はオーケーだということになってやっているから、あとはわりと野放図にいけないようですけれども、やってもやれないようなことはない。
 今回の場合はただ届け出制がない。したがって、弱いという立場が出ている。しかしながら、全部の事業所がこれにひっかかるというような一つの網も背後にあるのじゃないか。一体これは強い規制なのか、弱い規制なのか。全くもってそういうような場合にはわからなくなる。したがって、運用のいかんによって強くもなり、弱くもなる、こういうような意味じゃないかと思います。それだったら、天網恢恢疎にして漏らさず、こういうようなことで、はっきりした立法の基準なり精神なりというものは、どっちのほうに置かれてそれを立法化したかでなければだめだ。どうもばく然としているけれども、今後の推移によるというような法律の態度はありませんよ。したがって、いま言ったような点で強くもあり弱くもあると思われるような法律なのです。それはいま説明したとおり。したがって、これはやはりひっかかるけれども、初めから指導の段階がないということは、そういうようなことからこれは欠陥があるということにもなるわけです。これはあいまいもことしてつかめない。立法の立場からこれを指導したのは大臣じゃないと思うけれども、総理府ですか、それとも厚生省か。立法の立場はどっちのほうが指導したのか。総理府ですか、厚生省ですか。大臣はいい。
#8
○曾根田政府委員 悪臭防止法は、他の公害と違いまして、大臣からもお話ございましたように、測定技術あるいは防止の技術等、やや開発の立ちおくれがございましたために立法化もおくれておりました。昨年の臨時国会を契機に、典型公害として急いで規制をつくるべきであるということで私どもも作業を始めたわけでございますが、強いか、弱いかということにつきましては、とにかく従来放置されておった悪臭方面について、初めて規制措置が行なわれるということで御了解いただきたいと思うわけでございます。
 先ほど大臣からも申し上げましたように、私どもとしては、現在の研究開発段階においてはこの案が最善のものであり、またその点はこの法案作成にあたりまして専門のいろいろの方面の学者の意見も伺ったのでありますけれども、先生方の御意見も、この段階ではこの方法がやはり最善のものであろうということでございました。
#9
○島本委員 きのうの段階で了解された規制対象悪臭物質、これはやはり硫黄化合物、窒素化合物、炭化水素、脂肪族化合物、これに類するそれぞれの物質があって、まあ十三あるというのはわかりました。これはもうはっきりこの際十三物質を悪臭として今後は規制する体制にあるわけです。その場合には、実際は十三のものどれか一つと結びついたりまたは個々に発する、こういうようなことにも相なろうかと思う。ほかの物質と混合して発生した場合、これは単純なにおいではなくなる。たとえばこれが全部が化合して出た場合にはどんなにおいになるかわからぬ。一つ二つ化合する場合もあるし、五つ六つ複数で化合する場合も、においとして合成される場合もあるでしょう。そういうような場合、これは、合成をする場合なんかの基準は、はっきり、こういうような場合には一つのもの、単純なものならする、こういうような複合的なもの、複数で発生するようなもの、こういうようなものに対しては、やはり、測定が不備だというのはわかった、だいぶ進んだのもわかっているけれども、これは完全にいくのだろうかどうか。その指定地域内に指定された場合には、こういうようなものは十三もあるのだけれども、そのうちの幾つかがあって指定されないという場合もあるし、全部があって指定される場合もあるし、一つくらいで指定される場合も当然あるわけで、この場合の認識が、私ども考え方として今後はっきりしておいたほうがいい、こう思うので、重ねて聞いておきたいのですが、これはどういうことなんですか。
#10
○曾根田政府委員 悪臭物質として考えておりますのは、ただいま御指摘のございましたように十三種類でございます。これにつきましては、数ある悪臭物質の中でも、もちろん最も代表的なものであり、またそれだけに測定の方法、そういったことについてももうすでに一応の確立がなされておるものでございます。ただ悪臭の場合、先生御指摘のように、一番問題なのは、単一物質での悪臭というのはむしろまれでございまして、実際には幾つかの悪臭物質の混合と申しますか、そういったガス状の状態、混在した状態での悪臭発生が通例でございますので、この十三種類以外の物質がはたしてどうなのかという点が一番問題でございます。私ども、そういう点も実は昨年専門の方々のお集まりの際にもいろいろ伺ったのでございまして、十三種類のものが大部分カットできたとしても、残った悪臭物質、未規制の悪臭物質が、どういった姿で存在するか、あるいはまたその悪臭物質の除去なりそういう防除の過程において、それがたとえば必ずしも十分でないような場合に、他の悪臭物質に変わってとんでもない悪臭を発するようなことがあるのかどうか。実はいろいろ御意見がございましたけれども、結論としましては、いまあげたような代表的な物質をカットすれば、当然それに伴って事実上他の物質もカットされることも期待されますし、大体のめどとしては、そのような手法でいいのではないか。もちろんこれから実際に基準の作成等の作業の過程において、あるいはまたこの法律が施行されますと、実際にいろいろなデータを積み重ねました結果、当然悪臭物質の追加指定ということは考えておるところでございますので、少なくともこの法律の制定を機といたしまして、悪臭防止についての体制は、十分の体制が整えられるのではないかというふうに考えております。今後、まだ多少の時間がございますので、もちろん法施行前におきましても研究開発の進みました分野については逐次取り上げていくことは申すまでもないところであります。
#11
○島本委員 地方公共団体の地域住民からの苦情、陳情、こういうようなものを受理した数が、きのういろいろ計数ではっきりしたのですが、昭和四十三年度が二万八千九百七十件、四十四年度は四万八百五十四件、前年度に比べて一万一千八百八十四件の増加。この増加の内訳のほうは、第一位が騒音振動で五千六百七十六件の増加、第二位は悪臭で二千三百六十一件の増加、こういうふうなことになっているわけです。したがって、悪臭に関する苦情と陳情の増加、これは多いわけです。したがって、悪臭が地域住民の身近な公害だということをこれは如実に示しているわけです。そうなってしまうと、悪臭に対する規制そのものが住民に密着している。そういうような部分が一番多いことになります。そういうような悪臭で悩む場合、これはだから市町村長が権限を持てば一番いいというのがきのうの私の主張でしたけれども、どうしてもこれは都道府県知事と市町村長と相談するんだというような大臣の意向です。そうなりますと、今度は、学校の周辺にこういうふうな悪臭を出す工場、こういうふうなものができる場合の規制、こういうふうなものは前もってできるのかできないのか。そういうようなものも野放しで許可するのかどうか。この環境整備という点から見ればこれは大事な問題なんですけれども、これに対して十分配慮してありますかどうか。
#12
○曾根田政府委員 この悪臭防止法自体で、悪臭発生源についてのいわば立地規制と申しますか、そういったことは、この法案自体としては考えておりませんで、必要な場合にはそれぞれの悪臭発生源に関連する法律の整備にまつという考えでございまして、具体的に申し上げますと、たとえば悪臭発生源の一つであります清掃関係の施設、あるいは屠畜場あるいはへい獣処理場等、こういったことにつきましては、これは私どものほうでその法律を所管いたしておりまするけれども、そういったものについて、ある種のものにつきましては、たとえば人口稠密の地帯に、原則として一定の構造、設備等の要件に該当しないものは知事が認可を与えないというような規定も現にございます。学校につきましては、これは文部省からお答えがあると思いますけれども、そういったことで、それぞれ必要な立地規制等の問題は、一応それぞれの発生源の所管する法律といいますか、そういったものにまつという考え方を私どもはとっております。
#13
○島本委員 これは学校関係は、ことに環境の保全というものは十分考えて建物なんかも建てさせないといけないし、往々にしてこれが問題になっているものは、モーテルの問題をはじめ、一つ建てるのでも重大な影響があるということで問題になって、法の改正さえ行なわれている。いま悪臭防止法ができた。悪臭防止法ができても、悪臭の基準以上の排出をする工場をつくろうとしても、一般的にこれは不許可にはできないような情勢にいまなっておる。この法律の最も悪い点である。したがって、そういうようなことになると、学校の付近に悪臭を放つような工場が建つとしても、通産省や建設省ではやはりこれは認可せざるを得ないわけです。できてしまって、あとから規制や勧告ができる、こういうふうなことになると、これじゃやはり前から建っている学校、ことに環境保全を十分整えなければならない学校の立場というものは、絶対この悪臭防止法とは別々なものになってしまうおそれがある。これは一貫したものでないとだめだ、こういうふうに思うのですが、学校当局のほうは、こういうふうな心配に対して全然ないんですか。それともこの悪臭に対して全然考えなくてもいいんですか、文部省。
#14
○大串説明員 学校に、教育に影響を及ぼします公害に関しましては、公害の関係は非常に広域な問題でございますので、地域社会の問題として考えなければならない問題が多うございますけれども、学校限りでそれに対する対策を講ぜられる場合は少のうございまして、地域社会全体としての対策を講じなければ、その影響を防止できないという場合が多うございますので、発生源を規制するということが、学校の教育に影響を及ぼします公害の対策としましては、最も根本的な問題だと思っているわけでございます。悪臭の問題につきましては、多くの場合が、大気汚染の場合と複合して発生する場合が多うございますので、大気汚染に関する公害の防止対策と対策が相通ずる場合が多うございます。これはいま申し上げましたように、根本的には発生源を規制するということが大切でございますけれども、それにはかなり時日を要するという場合には、学校独自で防止対策を講じなければならないという場合も、緊急に必要が起こってくる場合がございますので、これにつきましては、公害防止工事の補助を講じておりますので、これによりまして防止工事を行なうことができるように措置が講ぜられておるわけでございます。
#15
○島本委員 だから、別の人を呼んでいる。これじゃ答弁にならぬ。悪臭に対してどういうような防止法を講じてやっておりますか。
#16
○大串説明員 悪臭に対しましては、学校への影響を防止するためには、防止工事のために、入り口の窓を二重に、大気の出入り口の窓を二重にするとか、あるいは教室の空気を清浄に、あるいは悪臭を除くために、空気清浄装置を設備するとか、そういうふうな措置を講じているわけでございます。
#17
○曾根田政府委員 先ほどのお答えではちょっと意を尽くさない点がございましたので、補足的に申し上げますが、先生の御質問に直接のお答えにならないかと思いますが、私ども、この規制地域を指定するにあたりまして、この法律の第四条にもございますように、たとえばある市町村の大部分を規制地域に指定したといたしましても、さらに必要がある場合には、その指定地域内の地域の区分によりましては、別な基準を設けるということも考えております。第四条にございますように、必要に応じ当該地域を区分して基準を定めなければならない、したがいまして、当然学校あるいは病院等の周辺地域につきましては、他の地域よりも規制基準を強くするとか、そういったことは十分考えていかなければならないというふうに考えております。
#18
○島本委員 これは公害全般に通ずることなんですが、これは、病院やこういうような公共の施設というようなものに対しても、学校に対しても、その環境の保全ということを十分考えてやるということにはなっているのです。が、実際の行政を見るとそうなっていない。どうも上部から監督する立場にある人も、公害に対しては、文部省なんか、一番これはいままでだらしなかった。教科書に対して、あんなおもしろい、産業との調和なんて、こういうような意味を持った教科書なんか出して、それが国会で指摘されて、あわてて直さざるを得ない。教育の府がああいうふうなことじゃほんとに困るのです。この環境保全についての積極的な開発ということが、まだやはり文部省に欠けている面がある。これはやはり臼杵市の場合なんか、学校の前面にセメントのかすを持ってきて投げて埋め立てする、こういうようなものを平気でやらしておいて、学校の環境が悪くなるどころか、道路までふさいで、そして前面の海を埋め立てるのを認めてやったり、教育の環境だとか、こういうものを二の次にして、産業のほうばかりを考えているのに黙っている。こんな文部省の指導態度なんてないんです。最近こういう傾向がよけいになってきている。これは参事官に言ったってどうにもならないけれども、それにしても学校周辺の規制、こういうものをもっと考えておかなければいけないのではないかと思うのです。これに対してはこの法律の中では、公害発生源対策は必要であってもないし、点検しても事前においての指導はできない、できたあとの勧告や命令はできる、こういうふうなことになっているわけですから、そういうふうになった場合には、十分悪臭の場合は事前に考えておかないと、できてしまってからの問題を解決するなんというのは少しとろ過ぎる。この点では私はなかなか不満なんですけれども、これは、学校周辺についての規制、こういうようなものに対してはやはり通産省あたりも十分これを考えて工場の立地の指導なんかもなさっておるのですか。法律まかせですか。条例であとはきめるからそれまかせですか。通産省の立場も一応はっきりしておいていただきたい。
#19
○莊政府委員 通産省関係では、昨日申し上げましたように、クラフトパルプとか、石油精製、石油化学等、どちらかといいますと、やや規模の大きい工場の関係で主として従来悪臭がいろいろ出ております。こういうものは埋め立て地その他のいわゆる工業地帯にある場合が多うございますけれども、その他の中小企業等で市街地にあるというふうなものがにおいを出しておるということも同様ございます。従来は先生御指摘のとおり、一般的に工場の立地というのはたいした規制もなくて行なわれておったという状況でございますけれども、おそまきながら首都圏とか近畿圏の一部におきましては、新規の工場立地というのは原則的に禁止、知事の許可がない限り許可されないということになっておりますし、さらに都市計画法が先般改正されまして、用途地域の指定ということが従来よりも十分行なわれる体制にようやくなったわけでございます。お尋ねのような公害の防止と工場の立地ということは、全般的な都市づくりと申しますか、土地の利用のしかたという見地から、総合的に計画的に進めるということがやはり根本の施策として重要であろうと思います。そういうものがあった上で基準もつくり、さらに個々の企業に対しても十分な監督指導を行なうことがぜひ望まれるわけでございまして、通産省としても今後悪臭に限りませんで、すべての公害につきまして、やはりそういう立場から地方庁なり、建設省なり、自治省なり、そういうところと御協力して、そういう方向で企業そのものを指導するということがぜひ必要だろうと思っております。
 なお、今後の問題以外に市街地等では、中小企業等でありまして防止技術もなかなかないし、設備もまだ開発されていないというふうな、非常に悪臭を防止しにくい業種などもございます。たとえば農林省関係の業種でございますけれども、魚腸骨処理場などというものが現にあちこちにある。こういうものにつきましては、前向きの施策というものは都市計画等もからむと思いますけれども、団地化を進める。現在公害防止事業団のほうで、私どもも関係いたしまして、全国数カ所ですでに始めておりますけれども、こういう団地化をやり、そこで悪臭防止を最初から念頭に置いた施設をやっていく、こういうことも非常に大切じゃないか。中小企業はばらばらにいって設備もできないという状況ではいけない。やはり締めるほうと、それから前向きに適地をさがして、そこにしかるべきものをつくらせる、この両方同時に努力をしなければいかぬだろう。通産省としては基本的にそういうことで進みたいと考えております。
#20
○島本委員 やはりことに環境を保全しておかなければならないような学校周辺に対しての配慮は条例まかせだ。そういうものはなるべく規制するようにしたいという程度では実際私は心細いのです。ですから、こういうような周辺についての規制も的確にしなければならないし、学校周辺の場合には、環境の保全については特に意を用いなければならないし、悪臭を発生するような工場などは周辺に置かないんだという配慮は十分しておかなければならないと思ってのいまの質問なんです。文部省のほうでは、できてしまったそれ以後の場合に、二重窓にしてにおいが入らないようにする対策のようであります。それだったら、空気を吸わないで生きていられませんから、こういうようなのは対策としてなっておらない。しかし、こういうようなときは、これを指導する立場、厚生省なり、通産省なり、あるいは建設省なりが、こういうような立場で、各省がこれを厳密に行なわなければならないはずなんですけれども、この辺の相互の関連性などもないようです。この点は私はどうも遺憾なんです。
 大臣、したがって学校周辺の環境保全と、周辺についての規制をきちっとしなければならないし、悪臭発生工場は学校周辺につくってはならないと思います。本法を適用する場合に、制定された以後の適用段階において、この点きちっとして実施すべきじゃないか。私はそう思いますが、大臣はどう思いますか。
#21
○内田国務大臣 私も考え方としては同感に思います。そういう配慮のもとに第三条におきましては、単に住居の集合地域ばかりではなしにその他の地域を規制地域として指定する。これは学校ばかりではありません。私どものほうの所管する病院などの周辺も、やはり悪臭排除の規制地域にすべきであろうと私は考えますので、単にいわゆる連檐地域、繁華街というようなところばかりではなしに、学校、病院、その他それに準ずる施設のある地域を規制地域にするという意味で第三条もできておりますし、また先ほど政府委員から答弁がございましたように、第四条において、必要に応じては地域を区分して規制基準を設けるというのもそういう趣旨にほかなりません。
 ただ、御指摘のように、しからばそういう地域については初めから工場を許可主義、届け出主義にしてもいいのではないか、こういう問題もあり得るわけであります。これは冒頭に御意見がございましたように、この法律の現段階においては全部が許可主義、届け出主義までも踏み込んでおらない。条例にまかせられておる。こういうことでこの法律の組み立てができております。でありますから、私どもは、この法律の制定以後におきましては――とにかくこの法律で出発をいたすことが現状においては一番いいと諸般の事情から思いますが、この法律を最大限に活用してまいるという意味で、条例の制定等につきましては、そのことに限らず必要なる指導等をいたしてまいるべき点があると考えます。
#22
○島本委員 学校の場合は十分配慮しないといけないと思いますから、これはあえて強く要望しておきたいと思います。そのほか病院はじめ公共施設はもちろんであります。そのほか悪臭発生源にいわゆる都市計画上の十分の配慮をする、これはきのうまでの段階でいろいろ説明いただいておりますので、この点ではある程度了解できます。養豚業のほかに養鶏なんかの悪臭というような点は全然配慮しなくてもいいものかどうか。それと同時に、都市化現象が進む中に、郊外にあってもいつの間にか都会のまっただ中になってしまう。こういうような場合だって現にあり得るし、現在の悪臭公害のいろいろな苦情はそういうような一つの経過を踏んで、昔はたいしたところじゃない、郊外だったけれども、いまは町のまん中になってしまった、こうした都市化現象の中に起こされる一つの悲劇なんです。したがって、そういうようなものは進んで今度は都市計画によって配慮していくという点はわかりますが、畜産団地のようなものをちゃんとつくることによって、防除施設もあわせて助成や低利融資をつけて指導するならば、指導段階でこういうものに対するある程度の悪臭の防除は可能じゃないか、こういうようにさえ考えられるのですが、いつでもそれが手おくれになって、悪臭が出てからの苦情、陳情がいつでもよけいあるのです。この点はむしろ法律よりも行政のまずさが結局いままでの悪臭公害の最たるものじゃなかったかとさえ思われるのです。せっかく法律もできる段階ですから、それとあわせて行政指導の面ももっと適確になお強化すべきではないかというふうに思うわけなんです。国のほうでもそういう特別な配慮を払ってやる必要がある。いまのような畜産団地に対しては特に考えてやって、そして町のまん中に悪臭を発すると思われるようなものを置かないように指導すべきである。条例をもってこれをやるにしても、その裏づけになるのは融資であり、同時に助成である。こういうようなことになった場合は、国も一歩先んじてこういう点の指導性を発揮しなければならないのではないか、こう思うわけなんです。こういう見地からして、農林省は、大々的に町のまん中に、都市化現象の中から発生しているこういう悪臭の大もとの防除施設を十分につくらせるような状態にして、その方面に畜産団地をつくって、そっちのほうに移してやる、こういう指導は当然考えられてしかるべきだ。もうやっているのではないかと思いますが、これに対してどう考えているのか。
 それから養鶏の場合なんかは特に悪臭の対象にならないのかどうか。
 それと厚生省、ごみを投げるというような点は、いままで重大な困難な一つの問題点だったわけです。夢の島の埋め立てに使ったりしてやっておりますが、そこから出る悪臭やなんかはやはり問題になるのじゃないかと思います。これは産業廃棄物、それから一般廃棄物、こういう中で産業廃棄物の場合には排出者、工場なりが費用を負担して都道府県にやらせる、こういうことになるでしょう。一般廃棄物をそのまま持っていって埋め立てさせる場合の非衛生的な、また悪臭の根源というものに対しては十分配慮しているのではないかと思いますが、農林省、厚生省のこれに対する対策をお聞かせいただきたい。
#23
○増田(久)政府委員 先生御指摘の団地造成の問題でございますが、先生御指摘のとおりでございまして、従来はほんとうは、たとえば残飯養鶏とか養豚ということばがございますように、都市近郊に畜産が発達をしたわけでございます。それが急速な都市化の中で、悪臭問題あるいは汚水問題、いろいろな問題を起こしておることは御指摘のとおりでございます。そういう意味で、私のほうでは処理施設をするということもありますけれども、そういう地帯におきましてはそこからどいてもらって、郊外の問題の発生しない地域に移すということが根本的解決であろう、こういうことで四十五年度から公共事業をもちまして畜産団地造成事業というのを始めているわけでございます。四十五年度は二十五カ所、本年度は四十カ所をやる計画にいたしておりますが、そのほかに団地造成のための個人的なものと申しますか、公共事業でやりますものはどうしても集団的にやる事業を対象にするわけでございますけれども、それ以外に個人で移転する場合があるわけでございます。こういうものには畜産経営移転資金というものを農林公庫に十八億円の融資ワクを設けまして、積極的に稠密地域から脱却して新しい天地で畜産をやるという指導を進めているところでございます。
 それから養鶏のほうのにおいの問題につきましても御指摘のとおりでございまして、特に鶏ふんの処理の問題とからみましていろいろと問題が出てきておるわけでございます。この点につきましては、幸いにいたしまして鶏ふんの処理の技術開発というものが非常に進んでまいりまして、特に鶏ふんを焼いた場合のにおいの問題につきましては、ソイル・フィルター・システムと申しますか、土に煙をしみ込ませてにおいをとる方法、あるいはバーナーでもう一度焼却するというような方法が開発されてまいりまして、現在逐次そういう施設についての融資措置等をやっておりますので、この問題につきましても養鶏の大規模化と並行いたしまして急速に解決されてくるものと期待をしているわけでございます。
#24
○浦田政府委員 ごみの処理につきまして、夢の島のごとき例に見られるように悪臭の問題が確かに起こるわけでございます。厚生省といたしましては、ごみの処理はできれば焼却によって衛生的に処分することを原則とするということで従来指導してまいったところでございますが、前国会で成立いたしました廃棄物及び清掃に関する法律の中では、さらにその点につきまして、たとえば特別清掃地域の撤廃ということでもって、全国的にごみを捨てるということにつきまして規制を強めますとともに、また実際問題といたしまして、夢の島のように埋め立て処分にしなくてはならないといったようなこともございますので、これは適地選定ということにもからみまして、広域的に適地を求めるといったような考え方も導入いたしまして、またもちろん覆土を行なう、あるいは消毒を行なうといったことについて、衛生的に問題がないように、かつまた悪臭の発生源としても問題ないように、これらの計画策定あるいは焼却施設整備などにつきまして、補助金あるいは起債、技術的な援助ということでもって進めてまいりたいし、またいままでもちろん進めてきているところでございます。
#25
○島本委員 農林省のほうにこの際はっきり伺っておきますが、現に出されている悪臭防止法が施行されるようになったとしても、都道府県知事の改善命令に関する権限は、施行後さらに二年間行使できないことが附則第一条のただし書きではっきりしているわけです。したがって、この法律は公布されても三年間は単に行政指導だけであって、実質的な悪臭の規制はできないのだということになっている。その最たる原因は、農林省関係のいわば養豚その他の事業とマッチする、またそれをさせるための一つの猶予期間が三年間なんだ、こういうように私ども思っておったわけなんです。その点では厚生省はだらしない。なぜこれをもっと早くやらないのかというような点なんです。それにしてみてもきのうからのいろいろの答弁でこの点の了解はできましたが、これは三年間で完全に、いわゆる計画の実施によって、今後行政指導だけじゃなくて、実質的な悪臭の規制の対象になる養豚その他に対する規制も、都市計画上または団地移転というようなこともからんで完全なものにして、この法の適用を受けるのだ、こういうようなことまでやれますか。それに対しての技術的な計画、こういうようなものがあったらこの際はっきりさせておいてもらいたい。
#26
○増田(久)政府委員 厚生大臣からの御答弁にもございましたけれども、悪臭を防ぐ技術的な点につきましては、私はまだ十分開発されてないように聞いておるわけでございます。そういう点で、畜産サイドから申し上げますと、たとえばえさの中に添加剤として防臭剤をまぜて、できるだけにおわないふんを出さしめるというようなことも実は現在実験をいたしております。そういうことで、われわれとしてもこの三年間に悪臭についていろいろの防止技術の開発という点を積極的に進めてまいるつもりでございますけれども、それと並行いたしまして、団地をつくって移転せしめ、あるいはできるだけ施設を完全なものにして、隣近所に御迷惑をかけないということを法律のいかんにかかわらずわれわれとしては積極的に進めてまいる所存でございます。
#27
○島本委員 各省で公害に関してのなわ張り争いやセクト性を持ってはならない、こういうことは総理からもきっぱり言われているし、それはちゃんと調整するようにして今後は運営するのだということも言われているわけです。ただいろいろ見ると、農林省の内部で、悪臭をはじめ公害に対しての態度は各所ばらばらなんです。どっちのほうの課に属するのか知らぬけれども、でん粉製造をするような、こういうようなほうの指導は、でん粉の廃液を流すのはやむを得ない。一たん貯蔵しておいて、その上澄みだけ流すからいいじゃないか。そうかと思うと、畑の中に全部散布しておくと、川へ流れないからいいという。そうすると今度大量につくる場合には、川に流す場合、十一月以降になったら水がよけいに出る。だから大量に流しても差しつかえない。とにかく流す。流すことだけをもって、公害防除なんか考えないで業者を指導してきている。そして水産業との間にぶつかっている、こういうようなことです。第一次産業同士がぶつかるということは、私どもとしてはこれは行政指導の欠陥だと思っておる。もっともっとこの方面に対しての技術指導、でん粉の廃液というようなものも、ただ、もろに流すようなことをせぬで、もっともっとあるいは一つの資源として、材料として開発させるようなことの検討は、機関を持っているんだからできないはずはないじゃないか、こういうように思うのですが、依然としてサケ・マスの遡流するような川にそのまま流す。そしてPPMは一年間の平均をとってそのときぱっと行なうものだから、平均化すれば少なくなる。しかし、流されるものはサケの遡流もできない。こういうのはいつも平均を出す。一年間の平均値を出してくる、こういうようなことです。実際上、指導は農林省がまずいんだ。そして畜産公害の場合は、今度三年間で完全にやる、これはそのまま承って、それはいいと思います。厚生省のほうでもその気がまえでいる。ですが三年なんか長過ぎる。なぜ一年間くらいの猶予期間でやらないか、こういうように思うのです。三年なんてちょっと長いんだから。それにしてみても、なおかつ農林省の指導下にあって三年間で公害防除がほんとうにできるのかどうかというような点、疑念ないわけじゃありません。しかしながら、これはやるというのですから、これを完全に議事録にとどめてチェックしていく、こういうようなつもりでおります。他の課なり他の局との関係で、農林省自体いまのところは横の連絡をとりながら、あるいは水産庁、あるいはまた農林省関係、あるいは米でも農薬でも、同時にこれまた同じでん粉かすでも、こういうようなものをつくるそれぞれの課がみんな指導がまらまちですから、連絡し合って、公害防除に関しての一つの機関に農林省がまとめるべきじゃないかと思っているのですが、こういうような機関はいまあるのですか、ないのですか。農林省の場合、直接どこで公害の場合の指導をなすっておられるのですか。
#28
○増田(久)政府委員 畜産局長として答弁するのが適当かどうかは別といたしまして、現在官房に公害対策室という特別の機関を設けまして、そこで農林省内の公害関係は一本の窓口にしぼって、そこの指導と申しますか、指示に基づいて各局が動いておる、こういう現状でございます。そういう意味で、過去におきまして、確かに公害問題に対して各局の足並みが必ずしもそろわなかった点は率直に認めざるを得ませんけれども、現段階におきましては、対策室の設置を契機といたしまして、農林省として曾根田政府委員向きに取り組んでおるということははっきり申し上げられると思うわけでございます。
#29
○島本委員 農林省関係では、現在官房の中にある公害対策室を中心にして公害に関するような件については完ぺきなる指導を行なっている、いままであったかもしれぬけれども、これからはない、私はそういうようにいまのことばを受けとめておきます。それでいいですか。
#30
○増田(久)政府委員 対策室を設けまして、いままでのばらばらのものを調整して、農林省として統一した考えのもとに公害対策を進めているという点で、従来のような矛盾あるいはばらばら行政というものは、この際完全に調整されるということははっきり申し上げられるわけでございます。ただし、やること全体がわれわれとしても完全なものができるということをここで申し上げているわけではないので、その間に当然試行錯誤、あるいはいろいろな問題が現実の問題としては起こり得るということはいわざるを得ないと思います。
#31
○島本委員 いままでは公害対策じゃないのだ。公害対策に対する対策なんだ。ですから、ほんとうに公害をなくするのではなくて、公害をいかに自分らのほうでごまかそうかとする対策室だった、こういうことではだめなんで、対策室ができた以上、ほんとうに公害防除のための対策室でなければだめだ、私がはっきり皆さんに対して質問を通じて要請しているのはこの意味です。いままでのは何か公害をなくするためじゃなく、他の省でやっている公害対策に対する自分のほうの対策室なんだ、こういうようなことであって、依然として公害を排出しながら対策室だけあって、業態本位にこれを実施している、公害はさっぱりなくならない、こういう指導だった。あなたにこれ以上いっても部署が違うからなんでしょうが、農林省としても十分考えて、いま言ったように、これは三年間待ったって、あなた方農林省のためにこういうような法律のしり抜けができるような始末なんですから、この点はきちっとして今後の行政指導の面で完ぺきを期しておいてもらいたい、こういうふうに思います。この点はよろしゅうございますね。
#32
○増田(久)政府委員 最大限の努力をいたします。
#33
○島本委員 やったことがみな最大限であるということを言われなくてもそうなるので、そういうことばだけでなくて、実際にやってもらいたい。
 それから中小企業がいろいろな点で、悪臭の場合には一番よけいになる。その中小企業は、大企業の下請をしているような企業がある。また企業自身が自家営業としてこれをやっているような企業がある。たいがい中小零細企業に属するようなのが悪臭発生の企業としては結果として多いわけです。もちろん大企業があることはあります。そういうような大企業の場合は自曾根田政府委員でやれますが、中小企業の場合の配慮、何回も言うようですが、完全かどうか、この点はきょうは念を押しておきたいと思うのです。この点は通産も厚生もおりますから聞いておきますが、中小企業に対する悪臭防除の配慮、これは十分行ない得ますか。
#34
○曾根田政府委員 第八条に第五項を設けまして、特別の配慮を払う旨の規定を置いておるわけでございますけれども、特に悪臭が他の公害に比べまして中小企業零細企業に多いということを考えますと、この規定の持つ意味は非常に重要なものであろうかと存じますので、この趣旨に沿いまして遺漏のないように十分に指導してまいりたいと思います。
#35
○島本委員 大体通産省もそういうようなことばだろうと思います。それならば具体的に公害防止事業団、これを利用して公共の施設または公害防除施設、具体的にこれをやる場合に、中小企業の場合にはどういうような方式で必要な金がおりるようになりますか、公害防止事業団の場合を例にとると。この点は通産省の公害部長いかがですか。
#36
○莊政府委員 公害防止事業団は、公害防止施設全般に対しての金融機関になっております。特に中小企業関係については、重点運用するという方針でやっております。悪臭の問題が新しく出てまいりまして、今後相当な資金需要が、御指摘のように中小企業について悪臭だけでも出てくるだろうと思っております。今年度は特に財政投融資計画でも、公害防止事業団の融資規模が画期的に拡充されたわけでございますけれども、個別の企業が防止施設を設置する場合の申請はもちろんのこと、先ほど来中小企業等で団地化による移転ということが今後曾根田政府委員向きに必要だということを申し上げておりましたが、そういう団地化するための土地の手当て、建物、それからその中での公害防止のための施設、すべて共同施設になりますが、こういうものを公害防止事業団が融資することもできますが、みずから事業団がそういう団地を造成いたしまして、これを入居する中小企業に長期低利の形で譲渡をしていく、こういう道が現在すでにございます。公害防止事業団は、実はいままで通産、厚生両省でおあずかりしておりましたが、将来環境庁の監督下に一本化されるという方針がすでにきまっておりますが、通産省も、多くの業種、中小企業等をかかえておりますので、資金需要量等も今後曾根田政府委員向きに――悪臭などについても調査しまして、予算要求の面でもこれを十分事曾根田政府委員に反映させていく。必要な金がないからせっかくの設備ができないというようなことがないように、環境庁ができましたあとも、産業官庁としての立場で、中小企業のためには特に努力をしたい、こういう考えております。
#37
○島本委員 その、特に努力する、これはわかりました。防止施設の裏づけや助成措置、これらを十分講ずる、これはわかりました。ただ、具体的に、では何カ月ぐらいで個別企業の防止施設に対しての融資が可能なのか、その場合の担保、保証はどういうようになっているのか、これに対して答弁願いたい。こういうような場合にはたいがい第一担保を主張するものだから中小企業なんか借りられない、こういうことになった場合には、いたずらにワクをやっても、これは大企業のほうにしか行かない。こういうような運営をされていたのでは、幾ら中小企業に防止施設の裏づけや助成措置をとると言っても、実際は中小企業、零細企業には行かないような仕組みになっておる。これでは困る。したがって、これは担保や保証に対してはどうなっているか。第二担保、第三担保でもいいのか、担保なしでもこれはやってくれるのか、こういうような点は、やはり公害防除の中小企業対策としては大事な問題だ。
#38
○森口政府委員 公害防止事業団の融資は、先生御存じのとおり、現在すべて代理貸し付けになっております。公害防止事業団が直接貸し付ける制度ではございませんので、事業団から融資を受けようといたします中小企業者は、市中銀行に申し込みをしまして、市中銀行を通じて貸し付けを受けるというようなシステムになっておるわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃいました、期間が一体どのくらいあれば貸し付けができるのか、非常に長くかかれば意味がないじゃないかというような点につきましては、中小企業者がまず申し込みますのは市中の金融機関でございますので、金融機関の審査の長短によりまして、期間が非常に長くなったり短くなったりするわけでございます。もちろん事業団といたしましてもこの点については意を払いまして、できるだけ審査期間を短くするようにというようにかねがね指導はいたしておるところでございますが、結果と
 いたしましてはその辺に若干問題があるようでございます。
 それから、第二に先生から御質問いただきました担保の点でございますが、事業団法によりますと、やはり原則として担保を徴求するというようなことになっておるわけでございます。したがって、原則的には担保は当然徴求いたさなければいけないわけでございますけれども、中小企業者等の、非常に担保が提供しがたい、しかも、公害防止上どうしても必要な場合であるというような特殊な場合には、担保を徴求しなくてもよろしいというような規定がございまして、相手方の事情によりまして、必要な場合にはその規定を発動してやっておるというのが現状でございます。したがいまして、御質問がございました、第一担保でなければいけないのだろうかどうだろうかというような点は、必ずしも第一担保でなければいけないという点はないのではないかというように思うわけでございます。ただ、事業団の融資は、市中銀行のほうにも責任割合がございますので、その辺は市中銀行のほうの理解がございませんと、事業団法自体がそうなっておりましても、間々うまいこといかない場合があるということはまた事実でございます。
 以上でございます。
#39
○島本委員 いまのお話でよくわかりましたが、それにしてみてもこれは貸し付けを受けるまでに長くなる、それから担保は、現物担保というか、つくったものを担保にするから直接担保はまずなくてもよろしい、しかし、それでも、市中銀行を経由する関係でそれは無担保ではない、こういうようなことはわかりました。その場合には、では、担保と保証の不足な零細企業の公害防除施設というような場合には、やはり通産省が直接その指導をしてやって、そういうような場合にはこうしなさいというような一つの行政指導があってしかるべきだと思う。いままで、こういうような方面ではわりあいに大きい企業しか利用されていない。零細企業のほうはない。こういうのは、そのやり方がわからないか、また手続が複雑であるか、あるいは担保、保証の点等において困難性があってこれは利用されない。もう公害防止事業団があっても、これは大企業のための融資機関にすぎないことになってしまうということになれば、これはもう画竜点睛を欠くことになる。したがって、いま言ったように担保の問題、保証の点、それから手続の問題、こういうような点は、特に零細企業がこれをやる場合にはスムーズにいけるような方法を、やはり通産省としては公害防除の立場をとる、公害部では積極的にこれを指導しなければならないはずのものである、これはもう公害防止事業団に振り回されてはだめなんだ、こういうような立場を私はとります。同時に、これは厚生省も共管ですから、この点ではそういうような立場をもっともっと指導的な見地から十分とらなければならないと思っているのですが、実際の利用でこれは意外に隘路だった、こういうようなことであります。今後十分これに気をつけてやってもらわなければならないと思いますが、大臣、これは代表して、この公害防止事業団が零細企業にやる場合に、これは融資の点を早くやるために、これは市中銀行を経由するそうでありますけれども、担保、保証の面を含めて、今度はもう十分所期の目的を達するように、今後公害防止事業団を指導して成果をあげなければならない、こういうふうに私どもいままで主張してきています。いまの答弁はみんな、そのとおりやってますと言うのですけれども、やっていますというのは、わりあいに大企業のほうが多いのであって零細企業のほうには少ない。この点は十分零細企業のほうにも行き渡るように、担保それから保証、こういうようなものを考えて指導すべきである、これを強く大臣に主張しておきたいと思います。幸いにして厚生大臣は金融のほうのオーソリティーですから、この点については的確な御答弁を伺っておきます。
#40
○内田国務大臣 お説のとおりでありますので、私が一応の答弁といたしますと、お説ごもっともでございますからそのように指導いたします、こういうことを申し上げればそれで済むわけでありますが、現実に私も大臣でありますと同時に衆議院議員、政治家でもありまして、島本さんがお話になりましたようなもどかしさを従来も常に感じてまいってきた面がございます。それはやはり独立採算制というような形で事業団の運営あるいは公庫等の運営がなされている結果からさようなところに結果すると思いますが、しかし、公害防止の必要性、社会的な事情というものは、普通の営利、採算に基づく事業金融とは全くその趣旨が違うのでありますことを考えるときに、他の公団、公庫、金融機関とは、私は公害防止事業団というものの運営のあり方についても違った要素が入るのが当然であると考えますので、そういう観点から、私は、一片のおざなりのことばだけではなしに、考え方のもとからひとつ変えていただくように指導をしてまいりたい、かように考えます。
#41
○島本委員 それじゃこれで終わりますけれども、第十二条の(水路等における悪臭の防止)、これは「下水溝、河川、池沼、港湾その他の汚水が流人する水路又は場所を管理する者は、」こうやって、「適切に管理しなければならない。」こういうのが一項目、十二条にうたってあります。これは下水溝や河川や池沼や港湾その他の汚水が流入する水路または場所、こういうようなものに対しては個々の法律があるのだけれども、これは適切に管理しなくてもいいというようなことがその法律のたてまえになっていて、あえて十二条を入れたのですか。これは特に水のことですから、西川審議官、この問題に対して、これをよく読んではっきりやってください。これは訓示規定のようだけれども、だれがこれを管理するのだ。「その水路又は場所を適切に管理しなければならない。」となっている。ほかの個別立法が管理しなくてもいいということになっているのか、たとえば河川法なんか。どうもこの点においては何のためにこれをやったのか。やるならもう少し具体的に、こうしたらどうするということで入れてもいいんだけれども、同じ訓示規定だ。これを入れなければならなかった理由。
#42
○西川政府委員 当然、河川、港湾その他につきましては公物管理者がおるわけでございます。公物管理者といたしましては、それぞれの公物管理法の河川法あるいは港湾法等におきまして適切な管理を行なっているわけでございますが、この場合特にあげましたのは、悪臭という問題に関連いたしまして、一般的な管理より、さらに訓示規定といたしまして強めるためにこれを入れたものというふうに私どもは理解いたしております。それと同時に、「適切に管理しなければならない。」というようなことから、実際の公共事業等におきますしゅんせつというようなものが、ただ単に河川を管理する、港湾を管理する、河川の機能、港湾の機能を維持するための管理以外に、こういう悪臭の発生源といたしましての汚泥のしゅんせつ等も、この条項からは管理者として考えなければならないものであろう、こういうようなことが、従来の公物管理法、それぞれの法律よりもさらに悪臭という問題を取り上げて一歩前進しているのではないだろうか、このように私どもは考えます。
#43
○島本委員 前進しているならもう少し書きようがあるじゃありませんか。管理者は水路またはその場所から悪臭を発生させないように、水路または場所を適切に管理しなければならないのでしょう。ところがそうじゃない。「周辺地域における住民の生活環境がそこなわれることのないよう」、これは一つだけよけいなんです。こういうようなものは悪臭が発生しないように根本的な発生源対策をきちっとやればいい。それを、悪臭は発生してもよろしい、しかし、住民の生活環境がそこなわれることのないように、そこなわれない限りにおいては幾ら流してもいい、こういう関係なんです。これだけでは、訓示規定にしても少ししり抜け規定じゃないか。これは産業または経済との調和の変形じゃないか。水のほうは環境庁のほうへいくから手を抜いてもいいなんて考えているわけじゃないだろうと思うが、この点なんかはもう少しきびしくやって、管理しなければならないという義務をやるんだったら、これは管理する水路または場所から悪臭を発生さしてはならないのだ、こういうようなことにしたらいいのじゃないか、こう思うのですが、ここまで踏み切らないほうがいいのか、踏み切ったほうがいいのか、ひとつ御高見を拝聴しておきたい。
#44
○西川政府委員 悪臭の発生源対策でございますが、発生源に対しましては、現在の水質保全法、新しい水質汚濁防止法、あるいはこの悪臭防止法その他の法律が働くわけでございます。ところがこのような河川あるいは港湾等の公共用水域におきます発生といいますのは、あえて悪臭の発生源になります物質を規制しただけではございませんで、その水路そのもの、河川そのものが、間接的にいろいろな汚泥が堆積しました結果、そのものが悪臭を発生する、悪臭の発生源になるというようなケースがあるわけでございます。この十二条におきます「水路又は場所から悪臭が発生し」というのは、企業その他の発生源からではございませんで、そのものが悪臭の発生源になるというようなことが考えられるわけでございます。それに対する対策を公物管理者は考えなければならないというふうに解釈されるべきであろうと考えております。それで、国といたしましても、現在公共用水域の環境基準できめておりますところでは、一番最低の条件といたしまして、たとえば河川で申しますと、環境保全上の場合といたしましてE類型、BOD一〇PPMというものをきめてございますが、それは河川そのものが悪臭を発生する限界ということで考えております。これよりも悪くなりますと、川そのものが悪臭を発生する発生源になる、悪臭源になるということから、できるだけ早い機会に、少なくとも一〇PPMから少ないようにいたしたいということを考えておるわけであります。そのような観点で、河川のしゅんせつというものも対策として行なわれるであろう、環境上の環境基準といたしまして政府はそのようなものを目標にする、それ以外の、川へ流すほうの発生源対策といたしましては、悪臭防止法あるいは水質汚濁防止法、これらのものによって対処いたしたい、このように考えておるわけであります。
#45
○島本委員 前回やったのは水質汚濁防止法、それでこの点はちゃんと規制されている。それからはずれている河川法、それから港湾法、これは単独立法によってきちっとしてある。河川法の中では流量とあわせて清潔までうたわれておる。清潔の中にはうんとにおいを発しても清潔だなんという川はないのだ。河川法の中にも清潔という原理も入っている以上、これは悪臭もちゃんと管理者はやらなければならない。しかし、これに重ねて、また再び管理者は悪臭も出さないようにしなければならない。屋上屋を架するほどこれをりっぱに取り締まりたいというなら、それはそれでいい。ただその気持らはわかるけれども、そうであるならば、「生活環境がそこなわれることのないよう」という一つの字句の前に、「悪臭を発生することのないように」でとめておいたほうが一番効果があるのではないかということなんです。あなたのほうが、環境がそこなわれることのないように、そこなわれない限りにおいてはいかに悪臭を発してもよろしいのだ、こういう考え方をとるような気がして、それを聞いているのです。これはもうただ端的に言うが、これで私はやめますけれども、これはどうなんですか。周辺地域における住民の生活環境がそこなわれないくらいの悪臭は、幾ら発してもいいという考え方が十二条にあるのですか。
#46
○曾根田政府委員 悪臭の発生につきまして、私どもは生活環境をそこなう悪臭の発色を押えるという考え方でございます。もちろん悪臭の積極的発生を容認するつもりはございませんけれども、法律の規制対象としては、生活環境をそこなわれるおそれのある規制を行なうという考えでございまして、それに至らない悪臭の発生まですべて禁止するということは考えておらないわけでございます。
#47
○島本委員 それなら受忍限度はどの辺まで認めているのですか。
#48
○曾根田政府委員 結局、当該地域住民がその悪臭を、生活環境をそこなうような不快なものとして受け取るかどうかということです。
#49
○島本委員 隅田川の隅田どぶみたいなにおいはだれがかいでも悪いのだ。あの辺の人はあきらめてしまっている。あれは受忍限度を越えている。しかしこれならば、「生活環境がそこなわれることのないよう」というのは、いまの隅田川はそのまま認めることか。あれに対してあなたはどう思う。
#50
○曾根田政府委員 隅田川の悪臭につきましては、過去における水質汚濁関係の規制が必ずしも十分でなかったような堆積によって、結果としてあのような状態が発生しておるということでございまして、もちろんそのような状態が一刻も早く除去されることが望ましいわけでございますけれども、むしろ隅田川の場合は、悪臭以前の排水規制そのものの問題としてとらえるべきではないか。もちろんいまの現状が、少なくとも悪臭防止法案の立場においても問題であるという事実は否定できないところでございますけれども、とらえ方としては悪臭以前の水の処理の問題の結果ああいう状態が発生しているのではないかと思います。
#51
○西川政府委員 先ほど申し上げましたように、川の環境基準といたしましては、BOD一〇PPME類型が最低の基準と考えておりますが、われわれといたしましては、これがいわゆる生活環境がそこなわれることのない悪臭の限界であろう、このように考えております。それで、現在隅田川につきましては一〇PPMをこえております。一五ないし二〇PPMということになりまして、このような限界にまで、いわゆる受忍限度まで参っておりません。そのために、水質のほうの環境基準といたしましては、生活環境にかかわります項目でございますので、直ちにではございませんで、その達成期間というものを設けております。その達成期間の間におきまして、諸般の排水の規制、それから下水道等の環境施設の整備、それから河川の新設、これらを行ないまして、できるだけ早い機会にこの限度とされる一〇PPMまで持っていきたい、このように考えているようなわけでございます。現状におきましては受忍限度をこえている、こういうふうにいわざるを得ないかと存じます。
#52
○島本委員 時間ですからやめますけれども、その一つ取り上げても、この中にある水の点をやっても、現行の法以前の問題だと言っているけれども、いまはもう法律の問題です。昨年の暮れの公害国会以後は、もう法の制定がなされていますから、六月になってしまえば政令も省令もできますから、行政指導も的確にしなければならないことになります。そうなった場合には下水溝、河川、池沼、港湾、全部これに入ってしまう。ですから、これは法以前の問題だなんて厚生省はうそぶいていたならば、大臣、これは被害者の立場に立ってなんという、こういうようなことになりません。ひとつこの点ではもう少しがんばってもらわないとだめだ。ほかの省がぐずぐずしていたならば、厚生大臣がなぐり込みをかけても、公害に関しては的確にやらせるのだ。受忍限度をこえているのに、まだこえていないような考えを持っている厚生省では、他の省の指導にもならぬじゃないですか。私はふんまんやる方ない気持ちできょうは質問を終わります。
#53
○小林委員長 古手宏君。
#54
○古寺委員 最初に、この悪臭防止法案の規制対象になる悪臭物質が、大気汚染防止法や水質汚濁防止法等の規制と競合する場合には、どういうような規制をやっていくわけでございますか。
#55
○曾根田政府委員 悪臭物質そのものは、やはり大気汚染の規制対象物質に含まれることもございまして、そういう意味で一見二重行政といいますか、二重に規制対象となることは考えられるわけでございますけれども、ただ公害の態様といたしまして、一方は人の健康に直接かかわるような規制を考えておりまして、悪臭の場合は、これは別に健康に影響はないというのではございませんけれども、直接的な影響の度合いにおいてやや趣を異にいたしております。それからまた悪臭そのものの特殊の性格からいいますと、大気汚染とは異なった手法における規制をいたしておりますので、その点に着目すれば、特段二重行政といいますか、そういったことにはならないのではないか、こういうふうに考えております。
#56
○古寺委員 そこで、製紙工場がございます。この場合には、水質のほうと両方で規制を受けるような形になるのではないかと思いますが、製紙工場の場合にはどういうような取り扱いをなさるお考えですか。
#57
○曾根田政府委員 製紙工場で特に悪臭に関連の深いのは、クラフトパルプの関係の工場でございますけれども、このクラフトパルプにおける悪臭の発生源といいますか、発生工程といたしまして
 一番問題になりますのが、御承知のように蒸解かまの蒸気の放出と申しますか、それが指摘されておるわけでございます。もちろん大気その他にも関係あるわけでございますけれども、また、もちろん水その他の問題にも関係ございますが、悪臭として特別問題になりますのは、おのずから排水あるいは一般の排煙等とは異なった作業工程における問題がございますので、その点につきましては、たとえば連続蒸解方式であれば特段の問題はないのでございますけれども、この点につきましては、いろいろまた通産省その他とも御相談いたしまして、十分な指導を行なってまいりたいと考えております。
#58
○古寺委員 そういたしますと、大気汚染防止法で規制できるものは、悪臭防止法の対象物質から除外するというようなお考えでございましょうか。
#59
○曾根田政府委員 そのような考えは持っておりません。結果として同じものが大気汚染防止法あるいは悪臭防止法の二つの法律によって規制されることはあろうけれども、規制の手法その他ねらいとするところが異なっておりますので、それぞれの法律目的に沿った規制が行なわれるものと考えております。
 もっとも、場合によりまして、基準違反等によりまして、同一事件が大気汚染防止法の基準違反にも該当するというような場合があろうかと思いますけれども、そうした場合に、具体的な処分といいますか、そういう規制の強いほうが結果として適用されるというようなこともあろうかと思います。ただ、実際問題としまして、この悪臭の場合は、濃度といいますと、非常に濃度の低い段階で実は悪臭が問題になります。大気汚染の有害物質等とは異なりまして、非常に低濃度の段階で規制の対象になりますので、実際問題として、観念的には競合いたしましても、現実問題としてそう競合するというようなことは比較的少ないのではないかというふうに考えております。
#60
○古寺委員 今回のこの法案の提案理由の説明の中で、悪臭に関する研究や防止技術の開発等も一応の水準に達した、こういうふうに説明をしていらっしゃるわけですが、一応の水準というのはどのくらいの水準なんでしょう。
#61
○曾根田政府委員 たとえば悪臭の物質の測定方法等について申し上げますと、すべての物質とは申しませんが、主要な物質について測定方法が開発され、測定機器も現実に開発普及されておるというようなことでございます。また、悪臭の防止技術等につきましても、少なくとも理論的には相当部分の発生源あるいは工程等における防止技術が開発されている。ただ、それが資金的に引き合うのかどうかというような問題等もございまして、現実に個々の企業に期待できる防止機器なり防止技術の開発がすべてに及んでいないという意味でございます。
#62
○古寺委員 そういたしますと、今度のこの悪臭防止法案によって悪臭は防止できる体制が一応整った、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#63
○曾根田政府委員 おもな悪臭につきましては、ほぼこれを防止できる体制ができる、防止のめどがつくということでございます。
#64
○古寺委員 そこで、清掃車の問題でございますが、これは事業所の敷地から外の道路なんかへ排出される悪臭でございますが、これに対する規制はどうなりますか。
#65
○曾根田政府委員 清掃車等の自動車等につきましては、この法律は工場、事業場ということで固定発生源を対象にいたしておりますので、自動車等の移動発生源は直接的にはこの法律の対象にはなりません。しかしながら、たとえば清掃車等につきましては、廃棄物処理法、現行の清掃法におきましても、運搬等の所要の基準によってある程度の規制は行なっておりますし、また清掃法が全面改正になりまして、目下その政省令等準備いたしておりますけれども、その際におきましても、これらの点について十分配慮いたしてまいりたいというふうに考えております。
#66
○古寺委員 清掃車の防臭技術のほうはどうでございますか。
#67
○浦田政府委員 清掃車の防臭につきましては、従来とて関心を払っておったわけでございます。たとえば、まず常に清潔に保つ、掃除をよくするといったことが根本になるわけでございますが、さらにあと、たとえば気密にする問題というようなことで、いろいろと技術的には研究が重ねられている面もございますけれども、率直に申し上げまして、現在のいわゆるトラックの上にそのまま積み込むといったような方式につきましては、これは遺憾ながら、悪臭防止の点からいきましても、衛生上の面から申しましても、問題がなしとはいたしませんので、やはり密閉式のものによって悪臭の発生そのものを防いでいくという切りかえが必要かと思います。
#68
○古寺委員 そうしますと、先ほど公害部長がおっしゃいました水質汚濁防止法とか大気汚染防止法、この関連はわかるのですが、そういう清掃法等の二重の規制の場合はどうなるわけですか。
#69
○曾根田政府委員 清掃関係あるいはその他へい獣処理、いろいろございますけれども、そういったものは二重の規制というよりは、現在でも悪臭の観点から何がしかの規制を行なっておる。しかし、悪臭防止法の施行を期といたしまして、さらに現行の悪臭部門における規制について見直しを行なって、この悪臭防止法の定める規制基準等に合致するような再検討を行なうということになろうかと思います。
#70
○古寺委員 また清掃車の話で申し訳ないのですが、清掃車あるいは屎尿処理場とか、終末処理場とか、非常に悪臭が住民の生活を悩ましている問題が全国的にございます。今回この悪臭防止法を実際に適用していった場合に、他のいろいろなそういう悪臭の問題が解消できる、こういうふうに大臣はお考えになっていらっしゃるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#71
○浦田政府委員 技術的な問題でございますので、大臣にかわってお答えいたします。
 屎尿処理施設あるいはごみの焼却施設等の悪臭防止対策いかんということでございますが、確かに悪臭がその付近の住民を悩ましているとかいった現状もございます。しかしながら、屎尿処理施設を例にとって申し上げますと、すでにこれにつきましてはメーカーのほうでいろいろと防臭の技術というものを開発しておりまして、たとえばバキュームカーから施設に移しかえるといったときには、特別の建物でエアカーテンで外気との遮断を行なう、あるいは密閉されるようなドアを用いるといったようなことで、一番問題になっております移しかえの際の悪臭は、かなり防げるといったような施設もございます。ただ、現にそういったものを採用しておる市町村もございます。しかしながら、一般的に、まだ全般このような防止施設を持っておるといったようなところまでは至っておりません。今後は、積極的に悪臭防止法との関連も出てまいりますので、新しい政省令の中でこれらの点も考慮して、技術的な点も検討していきたい。またごみ焼却施設につきましては、いろいろと同様な問題がございますが、現在のところ屎尿処理施設におけるほど完全な防臭対策が行なわれていないのでございますが、それらにつきましても今後の問題として、至急実現方につとめてまいりたいと考えております。
#72
○内田国務大臣 私は、こう考えております。
 いまの清掃及び廃棄物処理法というような法律があり、あるいはへい獣処理法という法律がありますが、これは法律の目的とする原則が悪臭退治、悪臭公害の除去ということでは必ずしもございませんで、もっぱら人間生活の残留物の処分あるいは再利用というようなところにあったわけでございます。
 ところが、今度悪臭防止法というようなものができてまいりますと、この法律の精神というものは、当然従来の残留物質処分法に基づく処理基準あるいは運搬基準等にも悪臭防止法の精神というものを、これは厚生省におきましても、あるいは環境庁ができましても取り入れまして、そして従来の法律も、この精神にのっとって運用ができるようなぐあいに基準もつくっていく。またこの悪臭防止法の施行主体になりますところの都道府県、市町村というようなものも、たまたま廃棄物の処理でございますとか、それらに関係のある公共団体でございますので、この精神にのっとった施設の改善あるいは新設というようなものをいたす、こういうことにまずなってまいるものと思います。
 これは他の面から申しますと、お尋ねに対するお答えといたしましては、この法律をつくりますと直ちに悪臭の征伐、排除ができるかといいますと、私は、今日の技術開発段階においてはおそらくそうはまいらないと思います。がしかし、ある程度のカバーはできると思いますが、そういうことと同時に、悪臭発生を規制をしたり、あるいはすでに出ている悪臭を処理するということについての啓蒙的な意義、あるいはその行政目標というものが、この法律によって社会生活の高密度化とともに与えられるという、そういう意味が多分にある、このように考えまして、この法律の意義を評価しまた御理解も願ったり、さような結果から、これは必ずしもさきにも御意見ありましたように、将来から考えてみますると非常な不備を持つものかもしれませんが、現段階においてはこれが現実に適応し、法律施策としては万全とまでは申しませんけれども、一応やり得る、またやらなければならない段階の法律案であると考えまして提案をしておる、私はこういうつもりでおります。
#73
○古寺委員 そこで、悪臭の測定が科学的に行なわれるということが非常に大事な問題になってくると思うのですが、この点につきまして、現在各都道府県でこういう測定機器をもって住民の訴えがあった場合に、直ちに測定ができるという体制はできているのでございましょうか。
#74
○曾根田政府委員 最近各都道府県で、悪臭も含めた種々の公害問題に対処するために、非常に機器の整備が普及いたしてまいりまして、特に私ども昨年、いわゆる公害総点検ということで、重点的に機器の整備を行ないました結果、都道府県段階におきましては、大体、少なくとも悪臭関係で申し上げますと、ガスクロマトグラフィー、こういった機器は一応整備されております。未整備のところにつきましては、もちろん今年度予算でも十分ではございませんけれども、ある程度の補助金もございますので、整備の促進をはかってまいりたいと思いますけれども、都道府県段階においては、一応整備を見ておるというふうに申し上げられると思います。
#75
○古寺委員 そこで、住民から苦情が出ます。それを測定しなければいけないわけなんですが、各都道府県に、衛研に一台くらいの機器でもって、他のものもいろいろやらなければいけない、そういう場合に、いろいろな紛争が起きてくるおそれがあると思うのです。住民のほうはこれは悪臭だと言う、だけれども、事業主のほうはそうじゃないと言う、しかし、測定のほうは間に合わないとか、この現在の規制される十三物質以外のものもたくさんあると思います。そういう場合には、こういうものに対する取り扱い、こういう場合の取り扱いについてどういう対策をお考えでしょうか。
#76
○曾根田政府委員 都道府県段階でないと測定できないということでは、おっしゃるような問題もあろうかと思いますけれども、測定自体は都道府県の衛生研究所等に依頼するといたしましても、その臭気がスサンプルの採取そのものは、市町村段階で行なえるように――サンプルの採取等の機器は二、三十万程度のもので、これも相当普及されてまいりましたので、こういった点につきましては、おっしゃるようなことのないように、市町村段階で直ちにサンプルを採取して、それを都道府県のほうに持っていくというような体制だけは最小限度とってまいりたいというふうに考えております。
#77
○古寺委員 現在でもたいへんなんですね。いろいろな公害の問題が発生いたしまして、農薬の問題から何からたいへんな状態ですけれども、そこで、一つ関連してお聞きしたいのですが、厚生省では、母乳中の残留農薬について、この一月から三月まで調査をなさったはずでございます。その結果がまだ公表されておりませんが、いままでの調査の内容についてどうなっているかお尋ねしたいと思います。
#78
○浅野説明員 お答えいたします。
 一月から三月一ぱい調査いたしまして、現在まだ各県からデータを送ってきておりませんので、集計ができ上がっておりません。三月一ぱいでございますので、今週から来週にかけてもう一度督促いたしまして、二十四都道府県を集める予定でございます。
#79
○古寺委員 その各都道府県というのはどこどこでございますか。
#80
○浅野説明員 二十四都道府県全部でございますか。――北のほうからまいりますと、北海道、宮城県、新潟県、東京都、愛知県、大阪府、岡山県、高知県、長崎県、鹿児島県、順序不同でございますが、香川県――二十四全部あがっておりませんので、後ほどお届けいたします。
#81
○古寺委員 その都道府県では、対象人員は何名でございますか。
#82
○浅野説明員 一県について農婦が十名と非農婦が十名、計二十名でございます。
#83
○古寺委員 そうしますと、二十四都道府県ですから、四百八十人ですね。その予算はどのくらいでございますか。
#84
○浅野説明員 これは問題が急に出てまいりましたのでなかなか予算がございませんで、厚生省といたしましては、百五十万円の医療研究助成金を出しまして、残りの経費につきましては、各都道府県に負担していただいております。
#85
○古寺委員 全国で四百八十名の母乳の調査が、現在三カ月たってもまだ結果が出ていないわけですね。大体一人の検査をするのに何日くらいかかりますか。
#86
○浅野説明員 大体一人につきまして、母乳の検査とそれから母親の血液の肝機能検査もやっておりますので、母乳の残留農薬の検査だけでは約一週間でございます。
#87
○古寺委員 金額はどのくらいでしょうか、一人当たりの。
#88
○浅野説明員 そのあたりちょっと明確ではございませんが、聞くところによりますと、数万円かかるように聞いております。
#89
○古寺委員 そういたしますと、BHC一つだけでも数万円かかる。しかも、全国二十四都道府県の一都道府県当たり二十人の母乳を検査をするのに三カ月かかってもまだ出てこない。これにこの悪臭のいろいろな物質の分析、測定を依頼するということになりますと、各都道府県の衛研というのは何にもできないと思うのですね。そういう問題について厚生省はどういうふうに来年度はおやりになるお考えですか。
#90
○浦田政府委員 確かに御指摘のように非常にいろいろな問題をかかえておりまして、測定機器、また陣容も必ずしも十分でないことでございますが、厚生省部内で、これからいろいろなこのような技術的な問題に対応するためにどうするかということで、いま関係各局でもって来年度の予算要求を控えまして協議中でございます。その考えによりますと、やはりどうしても地方の衛生研究所並びに保健所の試験室、これを充実しなくてはならないということで、この方向でいま具体的な計画を検討中でございます。そして、その中の考えといたしましては、まず測定機器の整備でございますが、それと同時に、測定技術者の技術の向上というその両面、並びに人員の拡充といった点をあわせて考えていく予定でございます。
#91
○古寺委員 そこで、農薬の問題になったのですが、二十四都道府県を選定したこの理由は何で
 しょうか。
#92
○浅野説明員 特に二十四都道府県を選定した基準というのはございませんで、一番基本になりますのは、牛乳の残留農薬の検査をした県というのにその検査能力があるだろうというふうな判断が基礎になっております。
 それからもう一つは、大体全国をブロック別に分けまして、全国的なデータをとりたいというふうな意味から、ブロック別に適当な県を選んだということでございます。それで、さらにその各県に検査能力、検査していただけるかどうかというふうな問い合わせをいたしまして、その結果二十四都道府県にきめたわけでございます。
#93
○古寺委員 これは私の推察ですけれども、全国の都道府県で調査をするだけの体制ができていないのじゃないかとまず考えるのです。
 それからもう一つ、母乳の農薬による汚染というものは、牛乳を飲んでいないおかあさんもたくさんいらっしゃいます。そういう場合に、いろいろな食品から当然体内にそういう農薬が蓄積されている場合もあるわけですが、そういう面に対して今回の調査は除外されておるわけですね。考えに置いていないわけです。今後そういう点についてはどういうふうに調査をお進めになる予定でございますか。
#94
○浅野説明員 実は今回の調査におきましても、あまりはっきりしない調査でございますが、一応汚染経路調査ということで、その母親がどういうふうな食品を特にとっているかというふうな調査はやっております。したがいまして、全調査表が集まってきた段階におきまして、四百八十例ではものが言えないということはございますが、突き合わせをやりまして、摂食品の内容についても検討したいと考えておるわけでございます。
#95
○古寺委員 その調査の結果は、大体いつごろ発表なさる予定ですか。
#96
○浅野説明員 いまの各県の調査表の集まりぐあいでございますが、おそくとも四月一ぱいにはまとめたいと考えております。
#97
○古寺委員 そこで、今度は大臣にお伺いしたいのですが、今回四百八十名のおかあさん方の母乳の調査をいたします。この結果がBHCならBHCの物質についての状態はわかるのですが、今後全国のおかあさん方が、私の母乳も調べていただきたい、自分の子供に対して農薬によって汚染された母乳は飲ませるわけにはいかないので、何とか調査をしてもらえぬか、試験してもらえぬか、こういうふうな問題が発生しないとも限らない。
 ところが各種の農薬についてこの調査を、試験をやるといたしますというと、まずお金が相当かかります。十万円近くかかるというお話も承っております。そうしますと、個人ではこれを負担するのは容易でないという人もたくさんいらっしゃる、またこれを試験するほうの衛研の体制も十分整っていない、こういう場合に、この日本のおかあさん方、子供さんを守る立場で厚生省としてはどういう対策をお考えになっていらっしゃいますか、それを承りたいと思います。
#98
○内田国務大臣 私も的確なお答えはできませんが、今回四百八十名余の半分は農家の主婦、また半分は非農家の主婦、こういうことで抽出調査をいたすわけでございますが、その調査の結果、あるいはその調査の態様というようなものが一応できますと、これは私はよくわかりませんけれども、同じような調査の方法、同じような調査の態様というものは、各県の衛研でなくとも、全国八百三十幾つかございます保健所におきましても、一つの方式のもとに、あるいはそういう調査の求めに応ずることができるかもしれません。これは、たとえば御承知のように、飲み水などについての分析検査等は、もっぱら保健所が需要に応じておるというようなことから私は連想するわけでありますが、そういうことができやしないか。
 そうした場合には、これは実はそういう国民の衛生管理に関する諸経費は全部厚生省が持つという立場ではございませんで、県なり市町村なりというものも県民、住民を預り、また税金も取っておられるし、国からも二兆円余りの地方交付税も参るわけでありますから、やはりそれぞれそういう国民の健康管理のための費用を支弁することが、私は今日の時勢においてはともどもやっていただかなければならないことだと思います。しかし、御承知のように保健所につきましては、保健所にかかる人件費、俸給、給与等、それから物件費等につきましては、国が、これは毎年年によって政令できめるわけでございますけれども、最近三四%であったと記憶いたしますが、それだけは国が経費を支弁いたしておるわけでございます。したがいまして、保健所につきましては県と国なり、あるいはまた特定の市なりとの間の経費分担体制もできておりますので、かりに全国のおかあさん方からお尋ねのような需要が起こった場合には、比較的その線を充実していくこともできようかと思います。しかし、衛生研究所というものはおそらく各県には一つしかない。あるいは支所を持たれておるようなところ、あるいはまた公害センターのようなところを持っておられますところが、COとか、COとかいうことの関係以外に、農薬等につきましても分析測定等に手を染めておられるところもあるかもしれませんが、これらは保健所に比べますとはるかに単位の数も少のうございますししますので、いまのような需要が起こりますと、とうていまかない切れない問題であろうと私は思うのであります。
 いずれにいたしましても、国の行政もそうでございますし、地方の行政においても私はそのように思いますけれども、そういう試験研究というようなことについての機構あるいは予算、経費というものが従来は必ずしも多くない、というよりも私はむしろ少な過ぎると思います。厚生省などにおきましても、御承知のように一兆何千億かの予算を持ちますけれども、それらの予算の中における研究費というようなものは、自分自身がやる研究費だけをとってみましても非常に貧弱過ぎると私は思います。いわんや委託研究、委託調査費として外に分けて差し上げるような分に至りましてはさらに不足いたしておりますので、私は、今後の非常に進んだ国民生活、国民意識のもとにおきましては、国も地方も通じましてそういう方面の機構、経費をできるだけ充実をいたしまして、国民の皆さま方に健康上の問題について安心したデータを得ていただきたい、こういう心がまえで進んでまいりたいと思います。
#99
○古寺委員 その点はよくわかりましたが、最近人体の解剖の所見等によりましても、非常に農薬による汚染というものが発表されております。また東京都で北区等でやった母乳の分析の結果からも、はっきり基準をオーバーする、WHOの勧告をオーバーするような、そういう農薬が含まれているということも発表になっております。したがいまして、今回のこの一月から三月までの調査によってそういうようなデータが出てきた場合に、全国のおかあさん方が母乳のいわゆる測定をやってもらいたい、分析をしてもらいたい、こういうような希望が出た場合に、厚生大臣としてはそういうおかあさん方の願いをどういうふうに受けとめてあげられるか、そのことについてお尋ねをしているわけでございます。
#100
○内田国務大臣 そのことにつきましてお答えをいたしたつもりでございますが、現実の問題としては、これは、井戸の水についての分析調査の依頼に応じているような状態のもとにおいては、私は直ちになかなか需要に応ずる体制は整っておるまいと思います。ただし、これは一つの調査分析のタイプができまして、それが全国八百数十の保健所等でそのタイプに従って容易にやれるようなことになれば格別でございますが、各県の衛生研究所に持ち込まれましても、あるいは国の衛生試験所あるいは予防衛生研究所等に持ち込まれましてもおそらくそれはできない。ですからお尋ねの、かりにそういうことが起こった場合に対処すべきこともわれわれはもちろん研究する必要がございましょうが、母乳なりあるいは食料品の中に、農薬であれ、あるいはまた抗生物質であれ、そういうものが入ってはならないような基準をでき得る限り多く急いでつくって、それに基づいて農薬の安全使用基準というようなものを、農林省にも一生懸命でつくっていただいて、農家の方々を指導していただく。また、畜産などの場合に、むやみに抗生物質等を供与して、一夜づけの畜産物の成長をはかるというようなことをしないような、まあ、してもいいのかもしれませんが、それは一つの安全使用基準というようなものを抗生物質についてもつくっていただいて、畜産指導をしていただくということのほうが先決問題ではないか。また、そのことは、御承知のように、ある程度厚生省も農林省も協力をいたしまして、何十種かの食料品につきまして、また十何種かの農薬等につきまして、残留許容基準というものをすでにつくっておりますが、また現在におきましても、つくり残りの農薬、また対象漏れの食料品等につきまして、一つの年次計画のもとに残留許容基準の設定を急いでおるわけでございます。しかし、これが急性毒性の問題ですと、直ちに試験管を送って、あるいは動物実験をいたしましても、結果は出ますが、おおむねそれらは、慢性毒性にかかる問題でありますために、幾ら勉強をいたしましても、結論を出すのに最低二年ぐらいはその許容基準の設定に時間を要する。慢性的経過を見るために時間を要するということのために、はかばかしくない点がありますことも、これは古寺先生御専門に近い問題でございますので、御承知でいらっしゃることと存じます。
#101
○古寺委員 そこで、今度悪臭防止法案が通りまして、各地域で測定するにいたしましても、これは非常に貧弱な体制でございますので、相当思い切った強化をしませんと、せっかく法律ができても、もうほとんど測定ができない、こういうようなことも考えられるわけです。まして、いま申し上げました母乳につきましては、非常に特殊な技術を要する問題でございまして、これは普通の保健所等ではなかなか簡単にできないわけです。こういうふうに今度は、悪臭物質も現在は十三でございますが、これが百種類になり、二百種類になり、四百種類になった場合に、現在の体制をもってしては、これは不可能に近いわけです。そういう面からいっても、私は今度のこの法律というものが、はたして悪臭防止の実効をほんとうにあげることができるかどうかということについては疑問を持っているわけなんです。
 そこで、また農薬の話になりますが、いま大臣は、今後許容基準量というものを定めて、そういう農薬の汚染を防止していきたい、こういうお話でございました。しかしながら、わが国では四十八年までに四十八農作物、二十九農薬ですか、これについての基準を定めることになっております。しかしアメリカでは、もう現在対象食品としては、果実については四十一、野菜については八十四、穀類については二十、牧草については三十八、堅果については十八、乳肉類については十八、それから対象農薬についても百四十種類がきめられているそうでございます。百五十種類とも聞いている。そういうふうに先進国あるいはWHOやFAO等においても、基準がもうすでにできているものがあります。ですから、こういう現在BHCの母乳の問題で、非常に国民が不安を持っているわけでございますので、わが国の基準を定める間、こういう外国の基準なり、あるいはWHOやFAOの現在できている基準というものを、暫定的にわが国の食品にもこれを当てはめまして、暫定基準としてこれを利用するといいますか、活用いたしまして、そして国民の健康を守ったほうがいいんではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがでございますか。
#102
○内田国務大臣 これは、むしろ専門家に答えてもらったほうがいいと思いますが、なるほどお説のとおりであると思います。
 ところが、そういうことで私が担当の厚生省の医官と議論をいたしますと、アメリカの基準は、必ずしも適正な、信用できる基準ではない、あるいはちょっとゆるふんであったり、またわが国の食糧や農薬等のコンビネーションの状況にマッチしている基準でもないので、あれをそのまま臨時に借用するということに適しないものが多い。また臨時に借用してきたあとで、こちらが慢性毒性の測定検査をやった結果、結論が出たものに置きかえようとします際に、政府がああ言ったり、こう言ったり、無定見だという問題も、現実の問題としては必ず起こる問題でもございますし、誤解を生ずるというようなことも考えますときに、腰だめというか、ゆるふんというか、あるいは事情がかなり違うアメリカの古い基準をそのまま臨時借用ということも厚生省としてとり得ないという面もあるのだということで、大臣、あなたはしろうとだからそういうことを言うがと、こういうことで、しかられたというようなこともございますので、その辺はひとつ政府委員から説明をさせます。
#103
○浦田政府委員 先生御指摘のように、確かにアメリカあるいは欧米先進国では、わが国の基準量の設定に比べましてはるかに多くの品種、それから農薬についての基準があることは御指摘のとおりでございます。わが国におきましても、国連、ことにWHOやあるいはFAOの毒性評価等の資料というものは、できるだけこちらといたしましても尊重し、またこちらのほうからも専門委員も出ておりますので、最近の資料の入手にもつとめておりまして、いままでやってきたところでございます。アメリカのそれらの基準につきましても、わが国に適用できる限りにおきましては、十分に参考にさせてきているのでございますけれども、ただ、いま大臣が言われましたように、全部そのままほかのものにつきましても借用するというわけには必ずしもいかないものもありますし、また先生が御指摘のように、たとえばくだものでございますと、堅果類でございますが、堅果類なども、向こうでは三十何種類というふうに基準がきめられておりますけれども、こちらのほうといたしましては、皮をむいて食べるといったようなことで、そういった実情なども考えました場合に、必ずしも全面的に適用しなくてもいいのではないか、むしろ草間的に根拠のはっきりしていないような数字もあるようでございます。したがいまして、四十八年と申しますと、時日は長うございますけれども、私どもとしては、日本人の食生活で考えられるものは、四十八の農産物でもってほぼカバーできるのではないかというように考えております。
#104
○古寺委員 よその国が百五十種類ですか、あるいは何百種類の食品を、みな一応基準をきめて、国民の健康や生命を守っているときに、日本の国だけは四十八農作物だけでけっこうなのだという考え方は、これはぜひ改めていただきたい、こういうふうに私は思います。
#105
○浦田政府委員 ちょっとことばが足りませんで失礼いたしました。四十八年までには、とりあえず一番主要と思われるものについての四十八作物についての基準を設定する予定でございますが、引き続きできるだけ対象作物も、農薬も広げまして、今後ともその作業は続行する予定でおります。
#106
○古寺委員 いままでの日本の厚生行政の姿勢が非常に国民本位でなかった、生命尊重の立場でなかったという証拠に、この四十八農作物につきましても、これは予定どおりできないと私は思います。現在の国立衛生試験所の内容等からいきまして、これはとうてい不可能に近いですから、こういう点についてもやはりもっと積極的に体制を強化して、品目もふやして、国民の納得のいくような基準を設定していただかなければならないのじゃないか、こう思います。
 そこで、先ほどの大臣からのお話についてもう一回お尋ねするのですが、今度悪臭防止法で悪臭物質の基準というものを設定するお考えですか。
#107
○曾根田政府委員 当然規制基準をつくる予定でございます。
#108
○古寺委員 そこで、今度牛乳のBHCの安定基準を設定する予定になっております。その場合に、WHOが勧告をしている線までずっと下げますと、現在の生乳はほとんど落第をするわけです。飲まれない状態なんです。そうなりますと、日本の酪農農家というものは非常に経営上支障を来たすわけなんですが、そういう場合に、大臣は、農林省は農林省のほうなんだ、あくまでも基準はきびしくしなければならない、こういう行き方で行くか、あるいは暫定的な基準を一応設けておいて、将来これをきびしい規制にまで持っていくか、そういう点についての大臣のお考えを承りたいと思います。
#109
○内田国務大臣 これは私はあまりそういうほうの学があるわけではございませんが、WHOですか、FAOですか、その辺の基準は、BHCでも、ガンマBHCについての基準はあるが、いま問題になっておる牛乳中のBHCはベータBHCであって、WHO等で指定された基準はない、こういうふうに私は聞いております。したがって、これにつきましてはむしろ日本が独創的なものをつくって、WHOのほうへこれで行くべきだというような、こちらが初めて手をつけた研究を向こうに教えてやる、こういうことになるようにという説明を、正直のところ従来私は受けておりました。しかして、ガンマBHCに関する限りは、WHOの基準を甘くする必要は全くないわけでありまして、その基準をわが方に移し取って農林省も困らなければ、酪農家も困らなければ、国民も困らない。ベータのほうにつきましては、いろいろな議論があるわけでございましょうが、幸い農林省がBHCというものは、従来使用の分野を限っては生かしておいたようですが、たしか林野について暫定的には置くけれども、とどのつまりは六カ月後には日本の農薬のリストからなくなっちゃう、こういうことで思い切って踏み切っていただきましたし、また酪農家自身もそうしてほしい、そうしないと、酪農製品について需要家の信用をなくする、こういうことでございますので、厚生省があまりきついものをつくれば酪農家が困るというようなことや、農林省が困るという問題がなくなりましたので、私どもはほんとうに政治的、科学的良心に従った基準を、これは将来は必要なくなってしまうわけでありましょうが、従来の研究調査を完成させて、そういう良心的なものをつくればよろしい、こう私は考えております。またそうするつもりです。
#110
○古寺委員 これは当然全面禁止すべきだと思うのですが、農林省はなかなかやめないわけです。六カ月とか林野とか、こうおっしゃってますけれども、林野とか、あるいは林間放牧地帯、牧草地帯ですね。そういうところにBHCをまきますと、当然それが牛乳の中に移行するわけです。そういう農林省の農薬に対する考え方に対して、厚生省がもっときびしい態度で、国民の健康を守るという態度で、やはり基準は早く設定しませんと、農林省のほうはなかなかやらないのではないか、こういうふうに思うわけです。
 そこで、農林省は、そういう国民の健康に対しては非常に無関心というわけでもないのでしょうが、今度除草剤の二・四・五Tが中止になったようでございます。青森県の下北郡で二・四・五Tを相当大量に散布してきた、これが中止になったのですが、その中止の理由は一体何でございましょう。
#111
○松本(守)政府委員 お答えいたします。
 二・四・五Tの中止の理由ということでございますが、実験結果によりますと、催奇性に問題があるということが判明をいたしましたので、中止に踏み切ったということであります。
#112
○古寺委員 ところが、林野庁長官は、社会労働委員会におきまして、ほとんど心配がないんだ、こういうような御答弁をされております。また、現地の住民に対しても説得をしております。砂糖の害と同じような害であって、ほとんど人体には影響がない、私も心配なのでこの問題につきましてはたびたびお聞きをいたしました。しかしながら、これはもう絶対に間違いがない、心配はないということで今日まで来たわけなんですが、今回そういう催奇性の問題が出て中止になりました。今後その催奇性の問題が実際に人体に起こった場合には、林野庁としては一体どういう責任をおとりになりますか。
#113
○松本(守)政府委員 実験結果では、これはアメリカの例、それから日本の例でございますが、一定濃度以上の多量のものをハツカネズミに投与いたしますと催奇性の子供が生まれる。しかし、一定濃度以下、少量の場合にはそういう結果が出てまいりません。森林に散布をいたします場合に、その濃度と頻度、回数でございますね、これが問題でございます。そういうことで、一定濃度といいますのは、実験では百ミリグラム・パー・キログラム、これは、ハッカネズミ一キログラム当たりに百ミリグラムの二・四・五Tを七日連続投与する、言いかえれば七百ミリグラムになるわけです。その場合には奇形児が生まれる、その十分の一の場合には出ないということでございます。森林に散布をした場合に、検出をされるその地域の濃度、これは七百ミリグラム、催奇性が出たという濃度に比べますと、五千万分の一、それから催奇性が出なかったという濃度に比べても五百万分の一というきわめて少ない濃度でございます。したがって、心配はないと思うけれども、そういう実験例があるので中止をしたということで、安全をとったということでございます。
#114
○古寺委員 イスラエルのワッサーマン等の実験なんかによりましても、農薬を使って二代、三代にわたって実験した場合に、発ガン性の問題とか催奇性の問題が非常に問題になっております。ところが林野庁長官は、社会労働委員会において、いろいろな林業試験場や大学とか、そういうところに委託をして実験したところが、支障がないのでこれを使用しているんだ、こういう御答弁がございました。
 ところがお聞きしますと、林業試験場でウズラか何か実験をしたところが、ほとんど死亡してしまった、こういうような実験の結果も出ているようでございます。そういうような危険なものを、安全である、そういうことを言って住民をだましてまでもなぜこの薬を使用しなければならないのか。やはり一番大事なのは、私は国民の健康であり、生命の問題だと思います。
 さらにはまた、この二・四・五Tを使用したことによって相当に自然環境も破壊されている、こういうことも聞いておりますが、今後北限のサル等にいろいろな奇形のサルの子が生まれるとか、あるいは人体に影響があるというような場合に、林野庁長官としてはその責任をお考えになっておられますか。
#115
○松本(守)政府委員 下北のサルの話が出ました。これは去年の夏散布をいたしまして、そのときまでにはウズラの実験はまだ行なわれておりませんでした。ウズラの実験が行なわれたのは十一月でございます。二・四・五Tの散布のシーズンを過ぎてあとでございますが、野鳥類のそういう実験例が出たということは、その実験の方法に幾つか問題はあるようでございます。ウズラの体重キログラム当たり三十六ミリグラムのものを連続十日間投与をいたしまして、間を置いてさらに十日間これでもか、これでもかというぐあいにやった結果、死亡したものが出たということでありまして、これはむしろ催奇性の実験というよりも、LD50の実験に関連をした実験のようであります。そういう異常な死亡が出ましたが、森林に散布をする場合には、その何百万分の一、何千万分の一というものしか検出をされておらない。しかも、森林に散布する場合には、造林木一代、四十年か五十年かかりますが、その一代について一回か二回の散布しかいたしません。毎年毎年続けざまに散布をするということではございませんので、まず、人畜に対して安全であるということで実施をしてきたのでございますが、催奇性その他の問題もありますので、この際もう少し調査をしてみる必要がある。外国でも森林にはまだ散布を禁止された国は少のうございますが、日本ではこれに先がけて二・四・五Tの散布を中止をするということに踏み切った次第でございます。
#116
○古寺委員 外国の、日本の何十倍もあるような、人の住んでないところはあまり心配ないと思うのですが、日本の場合は非常にその危険性が強いわけです。しかも、二・四・五Tの中のジオキシンは、サリドマイドの百倍の催奇性があるというふうにいわれておるわけですね。そういうことを知っていながら、しかもこういうウズラの実験なんかは、何も薬を散布してしまったあとで実験しなくても、幾らでも林業試験場で実験できたんじゃないか、私はこう思うのです。そういうようないろいろないままでの経過を見ますと、この二・四・五Tを散布するためにいろいろ国民を、あるいは住民を、はっきり言うならだまして散布してきた、こういうふうにしか受け取れないわけです。ですからそういうようないろいろな問題が発生した場合には、その住民に対する補償問題について、林野庁長官はどういうふうにお考えになっているか、そのことをもう一ぺんお聞きしたいわけです。
#117
○松本(守)政府委員 これは登録をされております農薬を、基準に従って実施をしたわけであります。そこでその結果、被害が出た、問題が出たという場合に、その補償をどうするかという問題でございますが、調査をいたしまして、そういう責任があるということが判明すれば、これは何らかの処置をとらなければいけないと思いますが、むしろこれは林野庁から御答弁申し上げるよりも、農薬行政のほうの関係になろうかと思うのでございます。
#118
○古寺委員 それでは、これは農薬行政の責任である、こういうことになりますので、厚生省としてはこの問題についてどういうふうにお考えでしょうか。
#119
○浦田政府委員 これは農薬取締法でもって人間並びにけだもの、家畜類に対する影響についていろいろと基準を設けるわけでございますが、その登録の際にこちらのほうに協議がございます。そこで、私どもの立場から、人畜に被害のないように健康上の障害を及ぼさないということを確認して、その旨の意見を付して、農林省のほうでその点を尊重願うようにやっておるところでございます。
#120
○古寺委員 林野庁に申し上げると厚生省の責任であるというでしょうし、厚生省のほうはその使用いかんによってはいろいろ問題になるんじゃないか、こういうようなお話でございます。
 時間でございますのでこれで終わりますが、いずれにいたしましても、やはり国民の健康を守り、生活環境を守っていく、こういう立場で公害行政というものは進めていただかなければならないと思います。そういう面におきましては、今度のこの悪臭防止法の有害物質の基準の問題、あるいは測定の問題等についても十二分にそういうことをお考えの上でやっていただきませんと、将来またいろいろな問題が発生してくるのではないか、このように思いますので、その点を特に要望いたしまして質問を終わります。
#121
○小林委員長 米原昶君。
#122
○米原委員 先ほどからの質問、答弁を聞いておりまして、はたしてこの法律の成立によって、規制効果があがるかどうかということが若干心配になってきた。答弁が非常にあいまいな点があるのです。環衛公害新聞という、これは各委員のところにいっているのではないかと思いますが、「大丈夫か悪臭法案 心配される規制効果」というので、大きな見出しで解説記事が出ているのです。その中に解説のところにちょっと重要なことが書いてあります。「悪臭防止法案の検討を行なっていた厚生省の研究委員会はもともと全体規制を考えていた。」つまりこの法案のような物質を指定して規制するのではなくて、全体を規制する方式を考えた。「しかし、悪臭発生源は厚生省所管にもへい獣処理場や清掃施設等があるものの、大部分は通産、農林所管の工場・事業場が多い。そこにもってきて同法案は昨年くれの臨時国会直前に山中総理府総務長官の発言で、急に立法化が具体化したもので、結局厚生省は委員会の研究とは別に独自の検討に入り“各省と調整するにはこれ以外にない”と事後承諾を委員会にとりつけた。つまり悪臭物質はさまざまであり、人体への影響がまだあきらかになっていないものまで含めて規制するのは通産や農林の反発が予想され、臨時国会にまにあわせるには影響が解明されているものだけにした方が早いとふんだのである。」それがそのまま今国会に引き継がれたもので、一部の学者や行政官の間では、はたしてこの悪臭に対する苦情がどの程度までこの法案によって減るかどうか危ぶんでいるという記事が出ております。先ほどから、ことに島本委員の質問に対して非常に何か自信のない答弁があったので、こういうことがあったのかどうかということをひとつまず大臣に聞きたい。
#123
○内田国務大臣 私は、全くそれは知りません。御承知のように、厚生省非常に窓口の広い役所でございますので、私が何もかもでき上がるまでの経緯を知っているというわけではございません。担当者をも信頼をいたしておりますし、でき上がってこれでいいかということでございますので、現段階においてはこれで出発していって、将来またその状況に応じて、これは私ども謙虚な気持らで修正をする必要を政府みずからも認めざるを得ない事態のもとにおいてはさらにこれを補完することもあり得るがこれでいきましょう、こういうことでございまして、私はいまおっしゃられた経緯については、そういうことはおそらくないのではないかと申し上げざるを得ない立場でございます。
#124
○米原委員 大臣が、そういうふうにやってみてあとで訂正してもいいというような話をされるので、どうもこの報道が真実じゃないかという気がするのです。
 それはそれとしまして、悪臭を発生する物質は約四十万種類といわれておりますね。そのおもなものだけでも二百種類あるということが、たとえば厚生省の悪臭公害に関する研究会の中間報告の別表にあげられております。ところで、その中でまた十三物質の基準を定めるということにこの法案じゃなっております。
 ところが実際には基準を定めるのにどれくらいかかるか。十三物質の基準を定めるのでも一年間必要だといわれております。さらに先ほども御説明のあった、いろいろな物質の相乗、組み合わせを考えると何年かかるかわからないということになります。悪臭の特質は、悪臭成分を九九%除去しないと効果がないという答弁が昨日もありました。
 また東京都の公害研究所の石黒さん、この方は厚生省のその研究会のメンバーでもあるようですが、この方も九九・九九%の除去が必要だ、こういうふうに書いておられます。
 さらに、悪臭は本質的には人間の臭覚にかかわる公害でありますから、悪臭防止は最終的には悪臭を総体としてとらえた臭気濃度を規制基準として、訓練した専門家による官能試験によって測定する方法を採用したほうが正しいのではないかというふうに私も考えるのです。
 すでに、宮城県においてそういうやり方が実施されております。宮城県では、東北大学の沢谷さんが、この方も厚生省の研究会のメンバーだそうです、この方の指導によってこの方法の一つである食塩水平衡法を公害防止条例に採用しておられます。
 そこで考えるわけですが、この法案も、宮城県の条例であるような方法を柱として、そうして物質ごとの規制をそれにつけ加えて補強するという方法にしたほうが、私は規制の効果があがるんじゃないかというふうに思うわけなんです。それで厚生省の出しておられる「東京地域に係る公害防止計画策定の基本方針(案)」を見ましても、悪臭防止の目標値としてはこういうふうに表現されております。「大部分の地域住民が日常生活において感知しない程度」、感じない程度、つまり住民の感覚が結局総体的な判定の基準になるという書き方が厚生省の案にも出ているのです。東京都のほうもこの厚生省の方針を受けて、昭和四十八年度、一部は五十三年度だそうですが、を達成年次として空気希釈法による排出口空気官能試験で、臭気濃度五〇〇以下を目標としているということを聞いております。つまり、この厚生省の案を見ますと、東京都についてのこの案ですが、総体的に環境基準をとらえるというやり方でこの方針ができている。ところがこの法案では、排出基準は限られた個別物質でとらえていくというこの考え方には、厚生省の東京都についての案との間に明らかに矛盾がある、そういうふうに感ずるのですが、この点について、これは一番この法案で重要な点だと思うので、ここを説明してもらいたいと思うのです。
#125
○曾根田政府委員 いま御指摘のありました悪臭防止の基本的方法として、悪臭ガスを全体としてとらえる、それは人の臭覚にたよるいわゆるモニター方式でやるか、あるいはそうではなくて、その悪臭ガスを構成する主要な悪臭物質ごとに機器測定の方式をとるかというのが、実は基本的な問題でございます。
 それで、すでに都道府県段階で行なっております唯一の例である宮城県におきましては、ただいま御指摘のように、食塩水平衡法によって臭覚モニター方式によって規制を行なっておるわけでございます。これについて私どもも部内でいろいろ議論もいたしましたし、この法律制定の際に、先生御指摘の研究会とはまた別個な、もっと幅広い関係方面の専門家の方々に集まっていただいて、率直な議論を実はお願いいたしました。その際、モニター方式あるいは機器測定方式、いろいろ利害得失の議論がございました。しかし、結論としまして、この法律による規制措置と結びついた規制方法としては、やはり最も客観的な機器測定による規制がよろしいのではないか。ただ、その場合に問題になりますのは、特定物質ごとの濃度をあらわすわけでございますから、その特定物質と、その特定物質が含まれる特定発生源からの代表的な臭気ガスとの関係がどうかという問題が、依然として問題としては残るわけでございます。先生方の御意見でも、大部分は、おもな物質を消していけばガス全体としての悪臭も当然減るであろうということではございますけれども、しかし、何ぶん未知の分野でもございますので、一〇〇%だいじょうぶだとはいえない状態でございます。
 そこで私ども、この法律施行までに一年の猶予期間がございますけれども、実は一年の猶予期間といってもたいへん準備からいたしましても短い期間でございます、個々の物質ごとに規制値をつくるわけでございますから……。ただその際に一番問題になりますのは、いま言った特定物質とそれが含まれる臭気ガスとの関係、こういったことを幅広く資料調査いたしまして、最終的には特定物質ごとの規制値をつくりますけれども、その際に全体の臭気ガスとの関係が明らかになれば、そういったものを勘案した規制値をつくるという考えでございます。
 なお、申すまでもなく、規制値そのものは機器測定による濃度であらわしますけれども、その基礎になります、どういう状態のものが日本人の平均として規制の対象となる不快感の強さであるかという、その臭気の強さにつきましては、申すまでもなくこれは機械でははかれませんので、全国幅広いモニターを委嘱いたしまして、その人たちの臭覚によってにおいの強さを定めて、その強さの際における濃度を機械ではかる、そういうことでございます。
#126
○米原委員 どうもこれは一番の問題点なので、ほんとうを言えば厚生省の委員会に属しておられるような専門の学者の方にこの委員会に来てもらって、その問題点について解明してもらったほうがいいように私は思うのですがね。この問題はあとで提案します。
 もう一つ。そこで、宮城県の条例の関係もありますから、第十九条の(条例との関係)の項ですがね、地方公共団体の条例でもやはりこの法律と同様に個別的物質規制方式しか――何か「悪臭の原因となる物質の排出に関し条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない。」ということなので、この規制方式は条例でも同じような方式でなければならぬように書いてありますが、ここの第十九条をそういうふうに解釈しますと、この法律が施行されたあとでは、総体規制方式を採用して違反者に改善命令を発動できるとして、命令違反に罰則を適用している宮城県の条例ですね、この宮城県の条例は、この法律が通りますと、違法になるのかどうか。この点は非常に重要な点で、私はこの点は相当の余地を残しておかないと、大問題が起こってくるのじゃないか。また、法律できめているのと別のことを条例でやったというので、東京都でも去年ずいぶん問題が起こりましたが、そういうふうになってはいけないと思うので、この点を聞きたい。
#127
○曾根田政府委員 十九条の法律解釈といたしましては、この法律施行以降は、この法律で、たとえば政令で十三種類の悪臭物質を指定いたしますと、この指定された物質につきましては、この法律による規制以外の規制方法等を都道府県の条例で定めること自体は法律に抵触するということでございます。
#128
○米原委員 その物質について、それ以外のものをやったら抵触する、しかし、総体的な規制方式を採用している、このことも違法になるのですか。
#129
○曾根田政府委員 一応総体規制法といいますか、臭覚モニター方式等を十三物質について条例で定め、しかも、それが具体的に、御指摘のような行政措置の処分と結びつくというような条例であれば、それはやはり法律に抵触するという解釈でございます。
#130
○米原委員 それは重要ですね。地方自治の精神からしてもそれは根本問題に触れてくるのじゃないですか。公害行政の性格からして、それは不当なやり方じゃないかと思うのです。騒音規制法では、たとえば第二十七条ですね、「地方公共団体が、」「この法律とは別の見地から、条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない。」というふうに騒音規制法ではなっていますね。そうすると、この騒音規制法でやっているような方式にすべきじゃないか。この十九条の書き方では、非常にこれは地方自治を破壊することになりますよ、法律をつくることによって。宮城県の場合が、そのために――非常な不十分なもので成果をあげていないというなら問題はまた別の見地からありますが、この法律をきめたために、逆にいままで宮城県で条例でやっていることができなくなるというようなことになると、地方自治を破壊するものじゃないか。いま言いました騒音規制法の第二十七条のような書き方にこれはこの条項を修正すへきじゃないか、こう思うのです。
#131
○曾根田政府委員 先生御指摘のような御意見も十分うなずけるところではございますけれども、騒音の場合には、はっきり別の見地からということで、そういう異なった手法による規制を予想しておるわけでございますが、これは御承知のように、騒音規制法自体は音の強さを規制対象といたしますけれども、ものによりましては音の質の見地からも規制が必要じゃないかということで、こういう規定が設けられたようでございますが、悪臭につきましては、初めての立法でもございますし、また宮城県の食塩水平衡法によりますと、これは悪臭物質、悪臭ガスとしてとらえますけれども、特定のガス、アンモニア等の特定のガスは除いておりますし、それからまた私どもの考えておりまする十三種類の中の幾つかのものは、食塩水に溶けないというような問題もございます。したがいまして、全国的に、少なくとも行政指導ではなくて、具体的な規制措置を伴う公害立法でございますので、全国的な立場で考えますと、やはり人の臭覚にたよる、そういう意味ではどうしてもかなり訓練をいたしたモニターによるといたしましても、どうしてもそのときどきで多少の主観が入り込む余地があるモニター方式よりは、最も客観的な機器測定方式のほうが妥当であるという判断をいたすわけでございます。もちろん、そのことはその他のいま言いました空気希釈法なり、食塩水平衡法による実際の測定、あるいはまたその面の開発というものをいささかも妨げるものではございませんで、実際問題としてまだ悪臭についてもいろいろ検討する必要がありますから、そういった点の事実上の何といいますか、規制等は、それはそれで大いにけっこうなこととは思いますけれども、少なくとも規制の対象としては、法律上の規制を伴う方法としては今回御審議願っておるこういう方式が適当であるというふうに考えたわけでございます。
#132
○米原委員 そうしますと、東京都も大体宮城県方式でやろうということをきめて準備しているようですし、いろいろ地方自治体との間に問題が起こってくるのじゃないでしょうか。この点はもう一度よく考えてもらいたい。
 もう一つ、時間がありませんから、簡単に申しますが、都道府県知事による許可制の問題ですね。この法案では、先ほどもちょっと問題になりましたが、悪臭を発生するおそれのある事業場の設置等については、都道府県知事の許可制はおろか、届け出制すら規定されておりません。公害が発生して、住民からの被害の訴えがあって初めて地方公共団体が動くという事後処理行政になりかねないと思います。公害を未然に防止する意味で、当該事業場の設置については知事の許可制とする必要があると思うのですが、騒音規制法の場合はやはり第六条で(特定施設の設置の届出)を規定しておりますが、許可制、少なくとも届け出制にはすべきではないか、そういうふうに思います。
 たとえば騒音規制法ではなく、悪臭公害の原因事業場のうちの畜産、魚腸骨関係の事業法であると、畜場法、へい獣処理場等に関する法律では、それぞれ第三条で施設の設置について都道府県知事の許可を要すると規定してあります。そうしますと、この悪臭防止法だけが許可制でないというのも矛盾しているじゃないか。当然これは許可制にすべきではないか、こういうふうに思いますが、どうですか。
#133
○曾根田政府委員 許可制なり届け出制等の事前の手続について別段の規定を置きませんでしたが、いままでの公害立法で、こういったこと、こういう事前の届け出制等を設けておりますのは、一つには公害発生源というものを事前に承知しておくというのが一つ。それからもう一つは、これは事前届け出に伴う事前指導といいますか、公害防止の施設について事前に点検等を行なって、いろいろな事前指導を行なうという趣旨からだろうと思います。
 ところが、悪臭の場合は、これは感覚的な公害でございますので、比較的容易に、別段の届け出がなくても、そういう施設ができれば、それが悪臭の公害発生源であるということが容易に認識、確認できる。それから、事前指導につきましては、すべての業態を通じて完全な意味での防止面での技術指導は、必ずしもすべての市町村段階を通じて期待できないということから、一応は除いたわけであります。しかしながら、これは当然十九条の解釈上、条例でその点の手続規定を設けることは十分可能でもございますし、また現実に、悪臭発生源の相当部分のものは、他の法律で許可制なりあるいは届け出制を採用いたしております。そういったことで、条例の運用あるいは他の法令の運用によって十分事前の指導はできるものというふうに私ども考えております。
#134
○米原委員 時間がありませんから、ただこう言っておきます。
 許可制を採用しないということになると、パルプ、石油精製等の主として大企業からなる化学工業系統の規制を甘くするという結果になる。私はこういうことがたいへんな問題を将来引き起こすのじゃないか、こういう見解を持つものですから、この点はもう一ぺんやはり考えていただきたい。
#135
○内田国務大臣 先般来、これは米原さん以外の他の委員の方からもその点に触れられましたが、許可制か届け出制かということにこの法律は直接書いてございませんけれども、十九条の条例で届け出制をとることは差しつかえない。これはこの次までにもう一ぺん考えてお答えしてもいいのですが、私はそれは条例でできると思います。
 ただ、許可制となりますと、多くの事業が他の法律または法律の委任に基づく条例等によって許可制になっている場合は、それはそれでいきますけれども、この法律の十九条の規定によって現始的に新しく許可制を設けることができるかどうかということになりますと、それは問題があるのじゃないか。なぜかというと、許可というのは禁止の解除でありますから、人の営業を禁止したりそれを解除するのに、直接法律の委任または法律の根拠なくしてやることは、そこに法制上あるいは憲法上の問題もあるが、届け出制はいいんじゃないがと私は思う。
 その他のものについても、いま政府委員からお話がありましたように、おおむねの事業が他の法令に基づきまして、法律上の根拠があって許可制をしいているものが、現実にはこの悪臭発生事業等については大部分である。そういうことから考えると、その点はそちらでカバーできるので、漏れているものは届け出制ということで、この条例でいっていいんじゃないかというふうに私は考えます。
 最初の点につきましては、私は特にきょうは申し上げません。
#136
○米原委員 時間がありませんからこれで終わります。
#137
○小林委員長 次回は、来たる二十六日午前十時理事会、十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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