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1947/11/08 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第23号
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1947/11/08 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第23号

#1
第001回国会 厚生委員会 第23号
  付託事件
○教員の恩給増額に關する請願(第六
 號)
○食肉統制價額撤廢に關する陳情(第
 二號)
○聖靈生命眞理療法保護法規の制定及
 び名譽恢復に關する陳情(第四號)
○兒童の福祉増進に關する法令制定の
 陳情(第七號)
○恩給法の改正に關する陳情(第十二
 號)
○都市官公廳職員の生活安定に關する
 陳情(第三十八號)
○戰死、戰災遺家族竝びに傷病者の更
 生に關する陳情(第五十號)
○恩給法の改正に關する陳情(第六十
 四號)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに關する陳情(第六十六號)
○國民健康保險金に對する國庫補助金
 の増額等に關する陳情(第九十八
 號)
○青少年禁酒法案(小杉イ子君發議)
○恩給増額に關する請願(第三十九
 號)
○兒童福祉法案(内閣送付)
○青少年禁酒法制定反對に關する請願
 (第五十八號)
○青少年禁酒法制定反對に關する請願
 (第七十一號)
○青少年禁酒法制定反對に關する請願
 (第七十三號)
○恩給法の改正に關する陳情(第百五
 十三號)
○國民健康保險組合の振作促進に關す
 る陳情(第百五十五號)
○國民健康保險制度の更生に關する請
 願(第八十二號)
○青少年禁酒法制定反對に關する請願
 (第八十七號)
○恩給増額に關する陳情(第百九十三
 號)
○最低生活の保證に關する陳情(第二
 百十八號)
○國際電氣通信株式會社等の社員で公
 務員となつた者の在職年の計算に關
 する恩給法の特例等に關する法律案
 (内閣送付)
○恩給増額に關する請願(第百十一
 號)
○戰死者遺族の更生對策に關する請願
 (第百十六號)
○生活協同組合法の制定に關する請願
 (第百四十三號)
○青少年禁酒法制定に關する請願(第
 百四十六號)
○青少年禁酒法制定に關する請願(第
 百五十一號)
○住宅營團經營の住宅を國營とするこ
 とに關する請願(第百六十九號)
○東京帝國大學演習林拂下げに關する
 請願(第百七十二號)
○教員恩給増額に關する請願(第百七
 十八號)
○青少年禁酒法制定反對に關する請願
 (第百七十九號)
○生活協同組合法の制定に關する陳情
 (第二百七十五號)
○教員恩給増額に關する陳情(第二百
 九十八號)
○傷痍者更生援護に關する請願(第百
 九十九號)
○青少年禁酒法制定反對に關する請願
 (第二百一號)
○拂下げミシンに關する請願(第二百
 十號)
○結婚問題に關する請願(第二百二十
 號)
○恩給増額に關する請願(第二百二十
 三號)
○社會保險制度の一元化に關する陳情
 (第三百三號)
○教員恩給増額に關する陳情(第三百
 十二號)
○結核醫療施設を市營に復元すること
 に關する陳情(第三百二十一號)
○生活保護法による生活保護費を全額
 國庫負擔とすることに關する陳情
 (第三百五十五號)
○教員恩給増額に關する陳情(第三百
 四十六號)
○恩給増額に關する請願(第二百二十
 九號)
○教員恩給増額に關する請願(第二百
 四十二號)
○教員恩給増額に關する請願(第二百
 五十一號)
○恩給法の一部を改正する法律案(内
 閣送付)
○傷い者保護に關する請願(第二百八
 十五號)
○結核醫療施設を市營に復元すること
 に關する陳情(第三百五十九號)
○教員勤務地手當増額等に關する陳情
 (第三百六十四號)
○炭鑛勞務者福利厚生施設擴充に關す
 る陳情(第三百七十號)
○生活協同組合法案に關する陳情(第
 三百八十三號)
○結核醫療施設を市營に復元すること
 に關する陳情(第三百九十四號)
○生活協同組合法制定反對に關する陳
 情(第三百九十五號)
○優生保護法案(衆議院送付)
○乳肉衞生行政を農林省に一元化する
 ことに關する請願(第二百九十九
 號)
○産兒制限に關する陳情(第四百三
 號)
○教員恩給増額に關する請願(第三百
 四十二號)
○産兒調節に關する請願(第三百五十
 號)
○職業補導特別施設の整備強化に關す
 る請願(第三百六十一號)
○生活保護法の普及と同法の一部改正
 に關する請願(第三百六十三號)
○教員恩給増額に關する請願(第三百
 八十二號)
○丸山トンネル爆發による被害者救助
 に關する陳情(第四百四十三號)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに關する陳情(第四百四十六號)
○國立療養所高山莊の完備竝びに運營
 に關する陳情(第四百六十六號)
○生活協同組合法制定反對に關する陳
 情(第四百七十四號)
○恩給増額に關する請願(第三百九十
 六號)
○教員恩給増額に關する請願(第三百
 九十七號)
○教員恩給増額に關する請願(第四百
 九號)
○恩給増額に關する請願(第四百十七
 號)
○教員恩給増額に關する請願(第四百
 十八號)
○生活協同組合法制定反對に關する陳
 情(第五百十二號)
○星塚敬愛園入園患者生活擁護に關す
 る陳情(第五百十八號)
○赤十字の標章及び名稱等の使用の制
 限に關する法律案(内閣送付)
○鍼灸醫法制定に關する請願(第四百
 三十三號)
○遊休公共建造物の即時開放等に關す
 る請願(第四百三十八號)
○國立遺傳學研究所設立に關する請願
 (第四百四十三號)
○恩給増額に關する請願(第四百四十
 七號)
○治療師の開業試驗等に關する陳情
 (第五百三十一號)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月八日(土曜日)
   午前十時四十四分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○兒童福祉法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) それではこれより開會いたします。兒童福祉法に關しまする審議を續行いたしますが、本日司法大臣が見えておりますので司法大臣に對しまする質疑を最初にお願いいたします。通告がありますので山下君。
#3
○山下義信君 兒童福祉法の審議に關聯いたしまして、少年の保護に關しまする行政機構の問題につきまして、司法省側の御見解を伺いたいと思つておりました、幸いに司法大臣の御出席を得ましたのでこの機會に伺いたいと存じます。これは私が司法委員を兼務いたしております關係上、司法委員會におきまして先般鈴木大臣の御意向を承つたのでございますが、併しその後本委員會におきましても、且又小委員會におきましても、極めてこのことに關しまして熱心に審議が続けられておりますので、この厚生委員會におきまして正式にお伺いもいたしたい、且又司法省側の改組、即ち承るところによりますと、法務廳の機構の大體を新聞紙上に傳えられてありますように、略略お考が纒つておりまするような今日の段階でもありますのでこの機會に伺いたいと存ずるのでございます。このことは同僚の草葉委員が非常に熱心に心配しておられるのでありますが、本日見えておりませんので、私からこの點を質疑させて頂きたいと存じます。詳細なことはもう皆お互いによく分つておることでありますからすべて省略をさせて頂きます。尚實は一部の委員の希望もございまして、都合によりましては文書でこのことを質問をいたそうかという話もあつたのでございますが、差控えましておりますような次第でございますので、大體次のような點を伺いたいと存じます。
 第一點といたしましては、十八歳未滿の年少のものでありまして、犯罪行爲又は不良行爲を爲し、又はそれを爲す虞れある者に對しましては、それらの者はいまだ心身の發達の過程にある者でございまして、且多くは不良の環境から發生するものでございまするから、犯罪性の顯著なものを除きましては、これに刑罰をもつて臨むということは適當ではあるまいと考えられます。むしろ成るべく早期に發見いたしまして、その惡の環境を除きまして、適當なる保護或いは職業補導などを施しまして、これを改過遷善させる、且又將來獨立自衞のできまするような保護指導をさせるということが必要である。こう考えるのでございます。これに關しまする大臣の御所見を伺いたいと存じます。第二點は少年法第二章に規定してありまする保護處分は、只今申上げました趣旨に基いて行われる措置でありまして、且又現行の少年教護法第八條及び第九條竝びに只今審議いたしておりまするこの兒童福祉法の第二十五條及び第二十六條等に規定してございまする保護の措置も、右に申し述べましたる趣旨から出ておるものであると考えられるのでございまするが、これら兩者の保護の對象竝びに保護の措置は兒童の年齢或いは性質の程度に若干の差はございましても本質的には異なるものではないと考えておるのでございまするが、これにつきまして政府の御所見を承りたいと存じます。
 最後に、第三點といたしましては、大體いろいろまあ、いわゆる理窟で以て區別をいたしますれば、それは観念の上からは區別もつきましよう。或いはいろいろと議論の相違もございましようが、概ね同一の對象に對して行われる同一の性質の事業が、厚生省、司法省と二つの當局によりまして、二元的に行われますることは、事務の能率の上から申しましても、國家經濟の點から考えましても、極めて不合理でございまして、むしろ統一いたしまして、一元的に實施されることが必要であると我々は考えるのでございます。この場合兒童を刑事政策の對象として、初めから暗く取扱うというような印象を受けますようなやり方でなくいたしまして、生活環境を改善し、保護厚生を目的といたしまする社會政策の對象として、明るい面から取扱いますることが極めて肝要なことではあるまいかと存じます。尚我々同僚の委員が、昨日も小委員會で申された言葉に、私は實に感激したのでございますが、厚生省と司法省と兩方でこの子供のお世話をなさるということになると親が二人あるようなものだ。一人の親がずつと生れ落ちてからそれが大人になるまで見て行くという考え方になつては貰われないか。その子供が途中ではそれは不良少年になる場合もあるだろう、或いは掏摸をしたり、惡いことをしてお上のお手数を掛ける場合もあるだろう。併しながら一人の親が、或るときには叱り、或るときにはそれを可愛がるというふうにずつと見て行くという、この國家が子供の、兒童に對しまするそれらの福祉政策、保護政策というものが一貫しているということが、實によいのではあるまいかというところのお説を私は拜聽いたしまして、本當に感銘したのでございますが、これらのお考え方を以ちまして、この際我が國の内外につきまして、非常に革新が行われておりまする場合、從來のいろいろな經緯、歴史、考え方というものを一擲いたしまして、この際兒童行政の一元化ということにつきまして、司法省側といたされましても、特に御盡力、御考慮が願われますまいかという點につきまして、御當局の御所見を承りたいと思うのでございます。
#4
○委員長(塚本重藏君) この際ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、司法大臣官房保護課長柳川眞文君、竝びに兒童局企畫課長の中川厚生事務官が、それぞれ説明員として御出席になつております。發言を許可するのに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○國務大臣(鈴木義男君) 只今山下委員から誠に有益な御質問がありまして、御質問の趣旨は了承いたしたのであります。いずれも十分に私どもとしても考えた問題でありまして、この際特に私どもの立場から見て、この問題を明らかにいたしておきたいと存ずるのであります。
 第一の御質問は、十八歳未滿の少年でいろいろな犯罪を犯す者があり、正に犯罪を犯さんとする者があり、單に不良少年と言われる者があるが、そのいずれに對しても、刑罰又は刑事政策を以て臨むということは、不適當ではないかと、こういう御質問でございまするが、これは餘り概括的にお答えすることはむずかしいと思うのでありまして、どうしてもやはり犯罪を現實に犯した少年、それから私どもの方で、この虞犯少年と、犯罪を犯す虞ありと申しておる少年も、八〇%ぐらいまでは皆現實に罪を犯しておるのであります。犯したが、刑罰に處したり、或いは裁判にまでつ持て來ることは宜しくないのというので、そこに持つて來ずに、特殊の保護處分をいたしておるわけでありまして、そういう少年と、それから單純な不良少年というものは、やはり取扱う上においては區別しなければならんと考えるのでありまして、刑罰を以てするかしないかということは、これはその中に又特殊な人についてだけ實際には行われることでありますが、やはり少數の者には、遺憾ながら刑罰もやはり必要であるということに經驗上なつておるのであります。無論できるだけ刑事政策を加味いたしました、保護處分とは言いながら、明朗な保護政策をとつて行くことは申すまでもないのであります。
 それから少年法第二章に規定するこの保護處分は結局本質的に相違ないのではないかと、いわゆる司法保護處分と相違ないのではないかというお尋ねでありますが、これは大分違つておると思うのでありまして、いわゆる司法保護處分の方では、犯罪性を矯正するために、特殊の施設を設けておるのでありまして、温かい親心、愛を以て保護するということにおいては、厚生保護處分も、司法保護處分も變りはないのでありますが、ただ司法保護處分の方では、あくまで父性愛を以て嚴格に規律する。訓練等を土臺といたしまして、犯罪に再び走ることのないようにすることに重點が置かれておるのであります。この厚生保護處分のように、そういう見地からでなく、親心を以て世話をするという建前だけではどうしても笞が足りない。笞を當てることができないというようなところから、特別の保護施設が必要になつて來ると考えるのであります。私共が本當の子供を育てる場合でも、無限の愛情を持つておりまするが、やはり嚴格な父性愛というものがあつて、時々笞を與えなければ、本當に良い子供にならないのでありますから、その意味においてやはり司法保護處分は必要である。こういうふうに考えるのであります。
 それから概ね同一の對象であるから、これを二つの役所で管轄するのはどうかと、いわゆる行政經濟の上からも考えなければならんではないかと、この點は十分考えたのでありますが、關係方面等ともよく折衝いたしまして、研究した結果、やはり最後に到達いたしました結論は、只今申上げまするような事情で、實際の經驗に照しますると、實はこの抽象的には、一括してやれるのではないかと、概ね同一の對象と、こう言われますけれども、もう少し具體的に實際の仕事に當つておりますところの人々の經驗談を承わりますると、どうしても普通の社會政策的の保護處分と、刑事政策的な見地からする保護處分というものは、二つの施設が必要である。そうして相互に流通ができ、移動ができるようにしておかなければ、効果を擧げることができないということに相成つたのであります。實際過去おいても普通の保護處分の方で世話をしておつてもとても手に餘して、どうか一つこれは司法保護處分の方でやつてくれといつてこちらへおつかわしになる方が餘計なんでありまして、無論そういう例はこちらから今度はこれはいわゆる刑事政策的な保護處分ということは適當でないから、あなたの方で世話してくれというふうに差上げる者もありますが、實際の經驗はそちらで持て餘されてこちらで一つもう少し嚴格に訓練を加える方法における施設に收容して世話をして貰いたいという場合が多いのであります。そういうわけでありますから、どうしても區別された施設か必要である。そうして最後の段階においては犯罪を犯すということが司法保護處分においては前提になつておるのでありますから、少しも犯罪に關係のない少年を連れて來るようなことはないのであります。これは飽くまで厚生省における保護處分にお任せするのでありますが犯罪性というものを持つておるということになると、どうしても刑罰、檢察、裁判と密接な關係を持つのでありまして、これを厚生省の所管におくということは實際の便宜からいつて非常に不便を感ずることになる。實は少年を特に取扱う檢事のような者を置く。アメリカの方では御承知のように婦人檢事のようなものがある。日本でもゆくゆくは女の檢事のようなものを澤山作りたいという希望を持つておりますが、婦人の檢事が非常に活躍しております。そういうふうなものが婦人と少年の犯罪に對して特に活動をする。それから拘置所のようなものも特に少年拘置所、婦人の拘置所を別に置く。それから無論これは一番惡い場合でありますが、もつと程度の低いものは一般の保護施設に收容いたしましてそうして十分に規律ある訓練を加える。同時に犯罪に走る傾向を是正するに適當なものを個別的にやる、その點が一番むづかしいのであります。一般の不良少年一緒にそれをやろうとすると差別待遇になる。一方の少年はそういうことをする必要はない。他方の少年にはどうしてもそういうことをせしむる必要がある、こういうことになるのでありますから、同じ役所においても施設としてはどうしても區別しなければならない。又これを扱う人も經驗技術すべての點において違つた人を使わなければならない、こういうことになるのでありまして、できるだけ有無相通ずるようにし、相互に援助いたすようにいたしまして、いわゆる從來のセクシヨナリズムの弊害はこれは除去したい。除去することをお誓い申すのでありますが、今俄かに内部を擧けて厚生省にお任せする。或いは司法省だけでやるということはどうしてもこれは少し理想に走り過ぎて實際に適切でないという結論に實は到達したのであります。これは關係方面の專門家の方々とも十分に協議いたしました結果そういうことになつたのであります。將來法務廳ができまする場合にこれをどう取扱うかということで關係方面とも熱心に協議いたしました結果、あちらでも何十年という經驗のある經驗家がこちらに參つておりまして、これは私親しく長い時間をかけまして、種々協議もし、御懇談を重ね、いろいろ參考文獻等を拜借をして勉強をいたしたのでありますが、やはり第一行刑と保護というものを區別して考えることが間違つておる。刑罰と保護とは一體をなすべきものだ。故にこれを統一した一つの行政部面と考えて新らしい制度においては罪を犯した者で起訴猶豫になつたもの、或いは執行猶豫になつたもの、そういうようなものを先ず適當に保護して行く。それから罪に服したものは、即ち行刑としてこれを適當に改過遷善せしむるために努力する。出て來たときにはそれを又再び犯罰に走らしめないように保護する。それから婦人は婦人の特殊の保護の方法を講ずる。少年には少年の保護の方法を講ずる。そういう行刑の施設も區別してやる。こういうことで行政全體は一本になつておるが、併しその中で分業的にそれぞれやつて行くと共に、相互の有機的關連を持たせる。これが一番理想である。こういうところから今度の新らしい機構におきましては、矯正總務局、少年、婦人も入つておりまするが少年、婦人矯正局、成人の矯正局という三つの局を設けまして、そうしてそれぞれ行刑と保護とを合一してやる。併しその方はいわゆる厚生省の社會政策的な保護でなくして、いわゆる司法保護、刑事政策的見地を多分に加味した保護の方法で行くのとこれは區別すべきであるということに結論が到達したわけであります。いわゆる行政經濟の點は十分一つそのために無駄な費用を使わないように努力いたすつもりであります。又相互に援助をして密接な共同作業でなければならん。役所が違うからお前の方のことは知つたことでないというような態度を取らずに、どこまでも緊密な連絡と協調の下にその仕事を進めて行く、こういう方針で行くわけであります。さよう御承知を願いたいと思います。
#6
○山下義信君 司法省の方の大臣の御見解は大變詳細に御説明に與かりましてよく了承いたしました。尚我々がこの指導行政の一元化ということに關しまして、いろいろ審議いたしまする上に大變參考になりましたことを厚く御禮を申上げます。私どもは餘り經驗がございませんので、大きなことは言えないのでございますが、僅か數年の間、殊に廣島市の原子爆彈によつて生じました孤兒約百名をついに預かるような經緯になり預かりまして、そこにいわゆる不良少年とか、いろいろ犯罪少年に近いようなものを預かりまして、僅かにやつて見ました經驗があるのでありますが、丁度フラガナン神父も半日程見えまして、何かと通譯を通じて話合いをいたしまして、十分御視察をして頂いたのでありますが、今日まではやはり逃げもいたしませず良い子になつておるのでございまして、それらの極く淺はかな經驗から參りましても、只今仰せになりましたこの刑事政策的な保護、社會政策的な保護というようなことの水際の微妙なことを實は私も體驗をいたしました一人でございます。實際問題としまして、司法省の方でも大變御心配に預かつておりますることは、我々も感謝するのでございますが、最近はいろいろ司法省側の少年保護の御施設の中から、さまざまな事件も發生しておりますようなふうでございまして、これは一段と又御配慮を願わなければならんのでございますが、いわゆる朱に交われば赤くなる。水は方圓の器、人は友の善惡で、不良少年、虞犯少年ばかり集めまして、良い子の友達がないことになりますと、どういうふうにしてそれを改過改善させるか、大人の指導官がおりまして、なにかそれをきつく叱るということも、それは躾でもございましようが、惡い子供に良い友だちを與えるということが必要なんでありまして、そういうことになりますと、どうしてもいろいろそういう方面の考え方も一つ大いに考慮して行かなければなるまいというような點も、ただ單に父性愛、母性愛というような愛情の緩嚴の區別でなくいたしまして、いたずらをいたしまするその子供を直して行くのに、良い友を與え、よい環境を與えて行くというような建前から、いろいろ努力しなければならん面が多いのではないかというようなことを痛感いたしまして、私ども兒童行政の上に一貫性、それは司法省側のなされる保護政策を全部止めるというのでありません。少年刑務所式のものを止めるというのではなく、少年審判所式のある處分を止めるというのではなく、温い氣持て緊密な連絡をしておいでると仰しやるが、その緊密なる連絡を一つの行政機構でおやりになると尚更緊密になりはしないかと思うのであります。この點私ども尚よく研究することにいたしまして、私の質問を終ることにいたします。
#7
○中平常太郎君 只今大臣の御説明がございまして、刑事行政と、そうして保護處分の問題につきましては、明らかな區別をお述べになりました。それは固より実際におきましてそうであろうと思うのでありますが、果してこの刑事行政の目的を達しておられるかどうかということに對して私は實際疑問を持つておるのでございます。私の乏しい經驗から考えまして、拘置所に入つておるところの犯罪少年の日常の動作を見て行きますというと、實に乾燥無味にして、そうして本當に刑罰に値するものを扱うのだという看守、その他の方々の冷酷な氣持がそのまま反映しておるのでありまして、大臣の誠に温いお氣持、それは末端には實際滲透していないと思うのであります。事は悉く末端において起ることが効果を奏するのでありまして、大臣のお氣持が果してこの看守にまで及ぶかどうかということは大變むつかしい問題でありますけれども、保護少年であるというようなお氣持は、これに對して愛を加えて、滿たされざる欲望に對して緩和の途を圖つてやるというような氣持がその末梢のところにないなれば、如何なる刑事政策をいたされましても殆んど効果はなく、むしろ惡感をそこに養い來るというようなことになつて來る虞れがあるのであります。私は或る拘置所に行つたところが、獨房に一人おつた少年がありましたが、可愛そうに本も一册もなかつた。誠に乾燥無味な四角の家の中であつた。それから尚集團で仕事をしておるところに行つて見ましたが、これ亦極めて荒い垣で外と區劃されておりまして、外の方で子供がやんやと遊んでおるのを見ておる。そうして拘置されておる子供は時々外を見ては默つて菜つ葉の蠶を取つておる。實に冷やかにして、世界の違つたところを見せられて、あれで果した改過遷善することができるであろうか。改過遷善というものはそうでない。改過遷善というものは少年の滿たされざるところの、辛いところを汲んでやつて愛の手が廻つて反省せしめるところにあるのでありまして、他と分離してこれに刑罰を加えても、決して直るものではないと私は信ずるのであります。私は愛媛縣で司法保護委員、司法保護常務委員をして、司法保護に關することにも永らく與つておりまして、いろいろの役目を仰せ付かつておりますが、愛媛縣においてもそういふ人々に對して、家庭愛に親しまそうという積りで、私共二つ作つておるのであります。その一つは、非常な努力をしてそういう人を預かることをやつておるのでありますが、それは主として仕事を與え、小遣を與えて本當に一般の郷黨の、農村の青少年と一緒に仕事をさすような方法を採つておるのであります。賃金も十分與えて農村の仕事をさすようにいたしております。又一つは、篤志家がありまして大變熱心にやつておりますが、その方は一つの方法を以て、犯罪少年は腦の一部にどこか故障があるという立場から、これを病院で診察いたしまして、そうして注射を以てずつと科學的に、系統的に、而も日時を費してやつておられたのでありますが、果して黴毒關係の惡疾が腦の一部を侵して、そうして變態的になつておつたということが大分分つて來まして、十五、六人の中で十人までは極めて優しい少年に變化して參つたのであります。そういうことを考えて見ますと、子供の惡くなるのは先天性のいわゆる病毒が腦の一部を侵しておつて非常識なことをやるということ、乃至はそういうふうな環境によつて極めて輕い意味において惡いことをする。惡いことがどんなに世の中に惡影響を及ぼすものであるかということを考えずして、簡單な氣持で惡いことをする。それには皆反省の折を與える必要があるのでありまして、刑罰よりも先ず反省であるべきであると思うのであります。刑罰というものは御承知の通りもうこれは大臣に申上げることは一つもない。固より改過遷善を目的としておるのでございますが、どうしても近代の刑事政策はまだまだ懲罰主義になつておるように思うのであります。殊に少年の犯罪は環境が支配しておるのでありますから、あらゆる面におきましてその環境を良くしてやるということが一番であつて、これをとつちめて拘置したからといつて、特に直るとは私は思わんのであります。できるなればこの少年保護に對する行政的な部面におきましては、大臣が誠に優しい心を持つておられる通りの、その氣持をやはり保護處分の方へ十分廣範圍なものをその方へ移して、そうして止むを得ざるもの、特別なるものだけを又何か適當な方法をお採りになる。併しながらお採りになるにしたところで、拘置的なものでなくして、何處までも博愛の積りで伸び伸びした廣い山野で仕事をさして、目的は悠々として天地自然と親しむ中に直すような方法の處分というようなふうに私は望んでおるのであります。いつか大臣がこの本月の初めに日本社會事業大會がありましたときに祝辭をお述べになりました。私はあのときにやはり行つておりまして、大臣の祝辭を拜聽いたしまして、言うてはおかしいけれども、厚生大臣が本當はもつと確つかりして貰いたいと思つておりましたが、鈴木司法大臣の御祝辭は實に愛に滿ちた、母の愛に滿ちたというように私は感激したのであります。ああいうお氣持の人が司法大臣となつて日本におられるということは非常に喜ばしい。他にも私はこれをお話して立派なものだなと言つて私は賞讚したのでありますが、どうか大臣におきましては少年保護につきましてはできるだけ緩やかな氣持で、環境をよくするという氣持でその政策を移せるものだけは法制部門に移せるという考えを持つて頂きたいのであります。希望を述べまして一言申した次第であります。
#8
○國務大臣(鈴木義男君) 質問と申すよりは中平さんの御意見は御希望のようでありますから喜んで承わつた置きます。從つて私の感想とでも申すべきものを一言添えて置きまするならば、私も歐米の各監獄、若干の保護施設等も見て參りました。結局監獄の理想は、監獄というものがあるのだが意識しない。監獄におるということを意識させないということにあるのだということがよく分つておる積りでありまして、行く行くはアメリカの監獄のように、私はシンシンの監獄だけを見たのでありますが、中に入つて行くと、ベース・ボール、テニス、音樂のバンドなどがありまして、特に私が日本から來た客であるというので音樂をやつてくれたのでありまして、實にこう愉快に伸び伸びと暮しておる光景に驚いたのであります。ここが監獄かと思つたのであります。併し監獄におるということを意識させないところに非常な意味があるのであります。ああいうふうにして行くことは非常に金がかかる容易ならんことでありますが、行く行く日本においても是非そこまで持つて行きたいという感想を持つて歸つて來たわけであります。又只今仰せられたような、我々の考えが末端まで届かないということはよく承知いたしております。我が國にはフラナガン神父が非常に少ない。もつともつと多くのフラナガン神父が現われてくれますならば、或いは監獄に加うるに少年の町を以てし、或いは少年の町に加うるに普通の家庭がそれぞれの少年少女を收容して、善良な子供と一諸に同じ愛を以て育てて下さるというような氣持にまで行くべきものじやないか、それでこそ本當の少年少女の改過遷善ということが行われる。然るに仰せられる通り特別扱いするということが惡いのでありまして、是非そうでなくしたいとは考えておりますが、併し國家施設として考えます場合には、若干の施設はこれは止むを得ない。その施設の中における働く人がどうかフラナガン神父であつて欲しい、こう思うのであります。その點については十分に一つ我々も今後努力いたしまして、そういう人を得るために特別の考慮を拂いたいと思う次第であります。
#9
○姫井伊介君 子供の取扱いについて親心を持つて行き、その親心をよく滲み透らせるということも問題じやない、當然のことなんである。又取扱方法竝びに處遇の仕方をどうするか、どうすればいいかということを今日この場合で私は考えることではないと思うのでありまして、要はさつき山下委員の言われましたように、この取扱の機關というものをどうするか、精神竝びに方法じやない。そこでその點から考えますると、山下委員の御意見の蛇足を加えるに等しいのでありますが、この親の子供、世の中の子供、國の子供といたしまして、立派に育て、惡い方に向わせない、惡い者を良くして行こうというその一つの組織機構でありますが、それをなぜ強制的の取扱と行刑的の取扱とにおいて二分しなければならないか、二元化しなければならないかということにあると思うのであります。そうしなければ二つの取扱ができないかというと、私はそうじやないと思います。だから施設も必要である不必要であるということではない。無論行刑的な施設、強制的な施設も必要でありますが、それを一つの世界の中に、一軒の中に疊み込んで行くということが、母親と父親とがその子を育てて行く一つの姿になつて行くのでありまして、母親の手に負えないときにはお父さんの手に任して、或いはときには手も加える、或いは縛りもするといつたようなことも必要なんでありますが、それを一軒の中に置いて子供の成人化するまで續けて行くということ、無論緊密な連絡も行われましようし、いい人も選ばれましようけれども、それよりも尚今のような方法にした方がもつといいのではないか。家を別にして育てるよりも一軒の家で育てて行くことがもつと効果的じやないか、もつとそれが自然じやないかという點から、私共はやはり兒童院といつたようなものを作られまして、その中におきまして兩面的の行き届いたる手當をなし、施設を運營して行くということが當然ではなかろうかと、かように考えるのであります。殊に子供の心理から考えましても、犯罪少年が本當に犯罪意識をはつきりさしてやつたというものは本當に少いと思うのであります。こういうことを考えまして、青年の對する方法とはそこに趣の違うこともこれは申すまでもないことであります。要するに一軒の家におきまして兩親揃つたその姿においてこの取扱方法をやつて行かれるように、そこに兒童院というものを設置されるならば、より多く効果があるのでなかろうかということを考えておるのであります。質問ではありませんが、感想の一端を申述べて置きます。
#10
○小杉イ子君 兒童福祉法案に對するその教養法とか又は刑罰方法につきましては申上げたいことは幾らでもございます。けれども今日ではもうすでにその理想案も言い盡されて、又今日も十分申されたと思います。そうしてただ田中先生の先程おつしやつた點を修正してこれを解決するときではないかと私は思うのでございますが、如何でございましようか。
#11
○委員長(塚本重藏君) 今姫井委員から希望として述べられた點は、先に山下委員の質問せられたことをもう一度補足せられたのでありますが、その點について司法大臣一つ……。
#12
○國務大臣(鈴木義男君) 姫井委員の仰せられたことは一々御尤もでありまして、原則として少しも異議はないのでありますが、ただ私どもは同じ國家のやることでありまして、別に厚生と司法も同じ中でないと考えておらない。むしろこの國家全體として考える時に、刑罰權というものを最後に行使しなければならん場合があるとすると、それだけはどうもやはり刑罰權を行使し得る役所でないとやれん、厚生大臣に刑罰權の行使まで與えるような法制に直すというならこれは別問題であります。それはまあ今の段階では少し行き過ぎであろう。私どもは決して餘計何か不良少年なんか取りたいというのではなくて、事實はできるだけ少いことを希望する。こちらの方は大部分は厚生の方に行くと信じますが、やはり最小限度においても、そういう刑罰權を行使しなければならん場合がありますから、それらを留保するために司法省なり將來できる法務廳なりが、管轄權を持つている必要があるとこう考えるわけであります。御趣旨においては御説の通りできるだけ國家行政としてやつて行きたい。大部分は厚生省に任せる、こういう積りであります。
#13
○委員長(塚本重藏君) 司法大臣に對する御質問はありませんか、司法大臣に對する質問は打切ります。今小杉委員から御發言がありましたように、すでに質疑は盡きたのじやないかと、結末に入るべきだという御意見が出ておりますが、質疑を打切つていいでしようか、尚何か補足質問がありますか。
#14
○山下義信君 私はやはり外の委員會、即ち、議員としての公用で誠に濟まんことでございますが、先般の當委員會に出席ができなかつて、後で承わりますと殆んど兒童福祉法案につきましてお調べが濟んだということでありまして、私一人の質疑が殘つておりますために御迷惑をかけますることは非常に恐縮なんでございますが、この衆議院の修正案につきまして發言させて頂きたいと思いますが如何がでございましようか。
#15
○委員長(塚本重藏君) よろしゆうございます。
#16
○山下義信君 先程衆議院の田中君と山崎君の御兩君の御挨拶があつたのでございますが、これは私どもも實にその職責を盡す上におきまして落度がございまして申譯なかつたのでございますが、參議院の修正意見がああいう事情になりましたことを、これは餘り申上げて行きますと、遂に委員長に御迷惑をかけることになるので、委員長の御人格を心服する意味におきまして實は申上げにくいのでありますが、併し參議院の權威というものだけは考えておかなければならん。こう考えるのであります。こういうことの意見は止めます。こちら側の方の修正意見として出されましたことも、私は昨晩遲くまで再三これを考えて見たのでございますが、相當重大な點があります。自分の修正意見のごときは、これは後廻しにしまして、この兒童委員が「必要な注意を與へる」ということを「必要な指導をなす」。ということに變えられた。この點なんというものは、やはり本質的な所があつてこの兒童委員が注意をするというような一つの行政權的なことをやるか、指導をするという深切な、民主的な行き方で行くかということの、兒童委員の建前というものが注意をなすというような行政的な匂いをするのと、指導をするという優さしいいわゆる人民に對する協力的な意味と、ただ一つの字の取り替でありまするけれども、私は本質的なものがあるというようなことからも實は考えるのであります。こういうような點がいろいろと審議され、殘されまして行きますることを遺憾に感ずるのでございますが、これは又他の方々の御意見もございましようから、後廻しにいたしまして、この衆議院の修正案には、厚生省の當局も御參加になつたということである。又衆議院の委員會で恐らくは御同意なさつたのであろうと思います。これは私伺います。厚生省の方の側にも伺います。兒童福祉司というものに改められた。そうしてこの修正の結果は、この兒童委員が活動の中心ではなくして、兒童福祉司というものが活動の中心になるということも、これも根本的に違うて來ました。これも或いは宜しゆうございましよう。併しいわゆるケース・ワークに當りますところの名稱が兒童福祉司でなくて、原案の通り兒童委員になつておりましても、兒童委員の中に有給と無給と二つある建前は、原案の方が優れておるとむしろ思う。決してその趣旨は原案にはないのではない。原案にあるのであります。兒童福祉司という名稱に變えないでも原案が分けておる有給の者の兒童委員、無給の者の兒童委員、兒童委員という一つの名前でこの趣意が終始一貫しておる。それを兒童福祉司と兒童委員と二つに分けたために、その修正のためにむしろ改惡になつておるのではないか、こういうことを考えるのであります。その點を私伺います。最初の修正の建前から行きますというと、児童福祉司というものが權限を持つておる、即ち兒童委員の權限であつた第十一條は兒童福祉司の權限に彼が置き替えられた。そうして兒童委員は單にこれを協力する、こう改められてある。それが原案の第二十六條におきまして前條の措置をしまする者は兒童福祉司でも宜いが、又は兒童委員でも宜いことに衆議院の方では修正しておる。どつちでもできる。兒童委員も前項の措置をすることができることになつておるのであります。やはり兒童委員は種々のそういう仕事ができるようになつておる。これを一つ伺う。児童福祉司というものと児童委員というものの仕事をする、これの建前をどうするのか。兒童福祉司のするようなことを、やはり同じように兒童委員は獨立してするのか。元來兒童福祉司がするべきものを兒童委員は協力するという、その協力ということは、ずつと流れて行くかどうするか、これを一つ伺います。それから關連することですが、つまり原案の二十八條で「當該吏員」という、あれを書き替えておいでになる。「兒童委員又は兒童の福祉に關する事務に從事する吏員」、とこう書き替えられてあるのでございますが、児童の福祉に關する事務に從事する吏員とは、兒童福祉司を指すのでございますか。或いは又兒童福祉を含めたその他の兒童福祉司の事務に從事する吏員は皆悉ぐ含むのでございますか。都道府縣におきましていわゆる社會課とか、厚生課とか、兒童係とかいうような事務を取扱います者は、皆悉くかようなるその兒童の場所に立ち入つたり、必要な調査をしたり、質問をしたり、身分證票を携えていたします仕事は、この兒童福祉に關する事務に從事する吏員に、悉くかような權限を廣汎にお與えになるのでございますか。これを一つ確かめておきたいと思います。
 それから私の、これは讀み違えかも知れませんが、讀み違えでございましたらば御指摘を願いたい。この兒童福祉司というものの、こういう建前に衆議院がいたしました結果、第三十條に参りまするというと、私には合點ができないのであります。第三十條の衆議院側の修正は「必要があると認めるとき」というのを削つてしまいまして、厚生大臣又は都道府縣知事は、その精神薄弱兒育の施設その他の收容しました兒童を滿二十歳までそのものを施設に止めさせることができる、こうやつておきまして、そうして但書を加えて、「但し、兒童相談所にその兒童の資質の再鑑別をさせ、児童相談所が、その必要を認めた場合に限る」。この但書を入れたのでございます。然るにこの兒童相談所というものは、都道府縣知事の指揮を受けまする兒童相談所であり、兒童相談所長でございます。この第三十條の權限は厚生大臣の權限でございます。例えばこれは恐らく國立のいろいろ施設を豫想させておるのだろうと思うのでございますが、國立の施設ならば厚生大臣が指揮をいたすのでございますから、それは滿二十歳まで延す、こういうときに、その延していいか惡いかということの決定權は都道府縣知事の指揮下にありまするところの兒童相談所長がそれを決める。それに決めて貰わなければ厚生大臣はすることができぬという條文でございます。私はこれは本末願倒も甚しいということを思うのでございます。この點はどういうふうになるのでございましようか、解釋の點が承りたいと存じます。
 尚第三十三條でございます。この衆議院の修正の方に、「第三十三條第一項の次に次の二項を加える。」ということでございまして、修正がされてございます。そこに四十一條、四十二條、四十三條ということの、即ちこれらの施設に入所させました目的に反して入所した兒童を酷使してはならないということが注意されてございます。それに四十一條は療育施設、四十二條は教護院、四十三條は最低基準を定めた條文でございますが、養護施設を定めました條文が入れてないのはどういうわけでございますか。
#17
○委員長(塚本重藏君) 入つております。四十一條には養護施設……。
#18
○山下義信君 四十一條は療育施設と違いますか。
#19
○委員長(塚本重藏君) 改まつて四十一條であります。そこにそう書いてあります。元の三十九條であります。
#20
○山下義信君 それではこの點は後で再調査をいたします。
 それから最後に、母子療を新たに加えられましたが、母子療の補助でございます。母子療の補助は先般來當局の方の御説明では、主としてその施設の補助をするのであつて、その入所させた母親などの生活費というようなものは、これは生活保護法の方から見るべきものであるというようなお答えであつたと記憶いたしております。然るに原案の四十八條の第一項第六號に母子寮を挿入されましたのでございますから、その母子寮に入所させました入所後に要する費用は、即ち第四十八條の場合で申しますけば、都道府縣の負擔、入所後に要する費用をすべて都道府縣がこれを出す、こういう建前になつておりますが、入所後に要する費用というのは、どういうものを範圍とするのでございましようか、伺いたいと思います。その次の市町村の負擔し場合におきましても同様でございますから、その点を伺います。取敢ず以上衆議院の修正案につきまして、厚生省の方から御説明願いたいと思います。
#21
○委員長(塚本重藏君) ちよつと速記を止めて下さい。
   午前十一時四十八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時九分速記開始
#22
○委員長(塚本重藏君) それでは速記を取つて……。
#23
○説明員(中川薫治君) 只今の御質問に對してお答えいたします。政府原案では有給のケースー・ワーカーと名譽職のケースー・ワーカーとを等しく兒童委員という名稱で呼んでおつたのでありますが、衆議院におかれましては、有給の制度と名譽職の制度との兩者の長所を發揮して、兩々相俟つて兒童の保護の目的達成を期したい、こういう念願から、そのまぎらわしさを避けるために名稱を異にされたので、この點につきましては、理由があると認めまして、政府でもその修正に同意なさつたのであります。これに關連しまして名譽職の制度である兒童委員が兒童福祉司の行う職務につき、これに協力する、こういう意味の内容は名譽職の長所を發揮して有給のケースー・ワーカーと名譽職のケースー・ワーカーと共に携えて子供の保護を達成する。こういう趣旨の條文と解されるのであります。これに關連しまして二十六條、二十七條、政府原案では二十五條、二十六條 修正案では二十六條、二十七條に關連いたしましては、それぞれ兒童相談所又は都道府縣知事が兒童福祉司に指導させる方が適當な場合にはそのように取り計らう。兒童委員に指導させる方が適當な場合にはそのように取り計らう。こういう趣旨で「又は」という文字が使われておるのであります。政府原案の二十八條、衆議院修正の二十九條につきましては、兒童委員又は兒童の福祉に關する事務に從事す、吏員の規定のうち「又は」以下の文字につきましては、兒童福祉司及びその他の兒童保護に專從する吏員と兩者を含めて指稱いたすのであります。政府原案の第三十條、修正案第三十一條の但書の意味でありますが、本文におきまして厚生大臣又は都道府縣知事が二十歳まで在所させることができるのであります。この法律では十八歳を建前といたしておりますので、例外措置を取る場合におきましては科學的措置を講ずる、こういう意味におきまして但書を加えてあるのであります。政府原案第三十三條二項、三項修正案第三十四條二項、三項につきましては、條文の繰下げに基きまして條文の番號の数字が整理されたのであります。それから母子寮の點でございます
が、母子寮の實態は御案内の通り寡婦家庭の世帶を収容いたしまして、それに住居を提供し、寡婦家庭のお世話を申す、こういうのが母子寮の實態でありますので、入所後に要する費用の中には獨立世帶の生活費は包含いたさないのであります。そういつた點について必要な向きは、生活保護法によつて處理されるのでありまして政府案の四十八條、四十九條修正案は五十條、五十一條にいう入所後の費用とは母子寮のお世話をする經常費的の支出のものを意味するのであります。
#24
○中平常太郎君 ちよつとお尋ねしますが、大體は了承したのでありますが、この全體の豫算をもう一度ちよつとお伺いしたいのですが、どの財産をもつてこの福祉法に……。
#25
○説明員(中川薫治君) お尋ねこの福祉法施行に必要な豫算につきましてお答え申上げます。この法律は本年におきまして一部施行いたし、明年四月一日から全面施行する、こういう建前に相成つておりますので、福祉法施行に要する大部分の豫算におきまして明年度豫算において考究せられるのでありまするのが、本年度分といたしましては、この法案施行の根幹となりますところの兒童福祉委員會中央及び地方を含めましてそれから兒童委員、兒童福祉司、こういつた要保護兒童を早期發見し兒童問題を推進する、こういつた機關の費用につきましては、政府が提案しておりますところの補正第六號の追加豫算で計上いたしておるのであります。その額は最初本法案を十月一日から施行する豫定でありましたので三千二百萬圓、その他に公共事業費から一千萬圓、合計四千二百萬圓見當でありましたのですか、施行が遅れた關係で公共事業費を除きましては三千二百萬餘り、その他に公共事業費として若干豫算が提出される豫定に相成つておるのであります。
#26
○井上なつゑ君 この外の、只今の修正のことじやございませんが、この法案が今年から一部實施されますことになりまして、大變皆世の中のお母さん方とか、又それらの保健指導に從事しております助産婦の方達も非常に大きな期待を持つておるのでありますが、差當りの問題として、小さいような問題で大きな問題でございますが、燃料の不足の折柄、この十二月から先のお産の取扱い方でございますが、家庭におきましてお産いたします方は大變多くあるのでございます。費用の關係などで産院でなく、家庭でお産いたします人が非常に困るのだそうでございます。實際十二月、一月、二月のお産は燃料が不足いたしておりますので、室温も非常に下つておりますし、お産いたします人も、生まれて參ります子供達もちよつとしたことから風邪をひいて肺炎を起して、助かる子供が死んでしまうというようなことがありますので、この問題は小さいような問題で大きな問題でありますから、御當局ではこの差と迫つた問題について何かお考え頂いておりますか伺つてみたいと思いますが、若し何でございましたら、せめて燃料の少い所だけでも是非何とかして頂きたいということをお願いして置きたいと思います。
#27
○説明員(中川薫治君) 只今井上委員から助産のこと、取分け本年の差の迫つた冬期の助産のこといついてお尋ねがあつたのでありますが、兒童福祉法におきましては、お産の問題につきましては日本では數におきましては、何といたしましても居宅助産が一番壓倒的に多いのであります。外國におきましては施設の助産制度が相當進んでおるように聞いておりますが、日本では居宅助産が壓倒的に多いのであります。その居宅助産も相當意味が多いのでありますけれども、科學的な施設助産という點について特に考える要があると認められまして、本法案におきましては、私設における助産の制度について開拓して參ろう、こういう趣旨で私設における助産の制度のみを取上げたのであります。從いまして居宅における助産につきましては、數において壓倒的に多いのでありますが、生活保護法において必要な向きは處置をして參る、こういう建前に相成つておるのであります。從いまして本年度の、本年冬季の助産の制度につきましては、生活保護法の適正な運用によりまして、遺憾のないようにやつて參りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
#28
○小杉イ子君 運営につきまして今日のような本會議のある時には、私共本會議に出席したいと思います。そうして質問が重なつたり、又は政府の説明が二度も三度も聞かなければならんような場合がありましては、誠にどちらにも氣が落著きませんので、どうかしてこれをよく運営して頂くようにして頂いて、本會議に行くならば落著いて行ける、委員會ならば落著いて行けるというふうに、重復しないということに一つ研究して頂きたいのであります。
#29
○委員長(塚本重藏君) 小杉さんのお話は十分心得て參つて、これまでもできるだけ本會議の時には避けるようにして來たのでありますが、會期が段々迫つて參りまするし、まだ次にこの委員會には今、豫定せられておる法案として、後にまだ今衆議院で審議をしておりますのが二つあります。追加提出せらるるものは、豫定せらるるものが十三案あるわけであります。その他陳情竝びに請願の件數も相當殘つておりますので、會期が迫つて參りました今日におきましては、多少重復しても開かなければならんことになつて來ることは、止むを得ないことと御了承願いたいのであります。
 尚皆さんに申上げておきたいと思いますが、大體小委員の方とそれから事務當局の方と打合せまして、大體原則としはしては、厚生常任委員會は火曜日の午前、木曜日の午前に開きます。今小杉さんの言われますように月曜日、水曜日、金曜日は本會議があるということを豫定いたしまして、本會議のない日の午前中ということにいたしておきます。それから月曜日の午後に醫療制度の小委員會、木曜日午後住宅の小委員會、金曜日午後社會事業に關する小委員會を開くことを、大體原則として立てておるのでありまするが、今言いまする各般の議案の取扱いにつきまして、今日ごとき土曜日には、例外的に開いておかなければ、すべての法案を審議し處理することは不可能だというわけで、特に議長のお許しを得て開いたわけであります。御了承願います。速記を中止して下さい。
   午後零時二十四分速記中止
   ―――――・―――――
   午後零時四十一分速記開始
#30
○委員長(塚本重藏君) 速記を始めて。次囘は來週火曜日の午前十時から開會いたします。本日はこれを以て散會いたします。
   午後零時四十二分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事      谷口弥三郎君
   委員
           中平常太郎君
           三木 治朗君
           木内キヤウ君
           小林 勝馬君
           藤森 眞治君
           井上なつゑ君
           小杉 イ子君
           波田野林一君
           服部 教一君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
           山下 義信君
           米倉 龍也君
  國務大臣
   司 法 大 臣 鈴木 義男君
  説明員
   厚生事務官
   (兒童局企畫課
   長)      中川 薫治君
ソース: 国立国会図書館
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