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1970/03/17 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号
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1970/03/17 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号

#1
第065回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第6号
昭和四十六年三月十七日(水曜日)
    午後一時四十七分開議
 出席委員
   委員長 吉田 重延君
   理事 大西 正男君 理事 鍛冶 良作君
   理事 久野 忠治君 理事 堀  昌雄君
   理事 二見 伸明君 理事 門司  亮君
      田中伊三次君    西宮  弘君
      山本 幸一君    伏木 和雄君
      岡沢 完治君    林  百郎君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 秋田 大助君
 出席政府委員
        警察庁刑事局長 高松 敬治君
        法務省刑事局長 辻 辰三郎君
        大蔵省理財局次
        長       小口 芳彦君
        自治省行政局選
        挙部長     中村 啓一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○吉田委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。堀昌雄君。
#3
○堀委員 最初に自治大臣にお伺いをいたしますが、いよいよきょうから統一地方選挙が始まりました。東京都知事選挙を皮切りに、全国における知事選挙が本日から告示をされておるわけであります。私どもは、当委員会としていろいろと政治活動の問題その他についても法案の整備その他をやってまいりまして、できるだけ公正な選挙が行なわれることを期待しておるわけでありますけれども、本日少し問題を提起させていただきますが、必ずしも私どもの願いに沿っているようには見受けられないのはまことに遺憾であります。
 まず最初に自治大臣にお伺いをいたしたいのは、これから約一カ月間にわたる統一地方選挙が行なわれるにあたりまして、自治大臣としては、一体どういう心がまえでこの統一地方選挙という問題が推移していくことを期待をしておられるのか、それらについてひとつ最初に自治大臣としての所見を伺いたいと思います。
#4
○秋田国務大臣 申すまでもなく、明るく正しい選挙が行なわれることを期待をいたしておりますし、またそういう選挙が行なわれるよう、私も明正選挙推進本部長にも任じておりますので、ことさら強く、もちろん自治大臣の職責にある者として、二重の意味で強く希望をいたしております。いじけない明るい選挙、そして同時に正しい選挙、そしてこの明るく正しい選挙が行なわれることにつきましては、与野党いずれの候補者の場合も全く同じく希望するところでございます。
#5
○堀委員 ちょっと抽象的に過ぎますが、明るい、正しいということについて私どもは異論はございません。ただしかし、明るいと正しいというのはだいぶ角度が違うのでありまして、最初に、正しいのほうから少し伺っておきたいのでありますけれども、一体その正しい選挙というのは具体的にはどういうことをさしておるのでございましょうか。
#6
○秋田国務大臣 具体的に申せとのお話でございますが、一言にして言えば、やはり法規に即し、かつ常識に従いまして、適正にして適当な、公正だと思われるものである、こう一応申し上げておきます。
#7
○堀委員 おっしゃるように、法規に即し、常識に従い、公正な選挙が行なわれるということが当然望ましいのでありますけれども、残念ながら私どもたびたび衆議院選挙、参議院選挙、地方選挙を経験する中で、いつも選挙の終わりましたあとで当委員会でこれらの選挙違反の報告を警察庁から受けるというようなことが累次ずっと続いておるわけであります。
 そこで、私はこの際、特に自治大臣及び警察庁にも要望をしたいのでありますけれども、非常に小さな問題まで拾い上げれば、なかなかこれは切りのない問題でありましょうし、同時に、あまりに小さい問題を取り上げることが前段の明るいという問題に対して影響を与えかねないのも事実でありますけれども、しかし、私ども、事前運動等を含めて目に余るものが実はかなり横行しておるし、特に非常に遺憾に思いますのは、そのいろいろな行為に対して、その行為者があらかじめ自分の名前なり団体なりそういうものを秘匿をした形で行なっておるという事前運動、これはわれわれの考えとしては一番卑劣なやり方だと思うのでありまして、もし法に照らして間違ったことならばやめるべきであるし、それを法に照らして間違っておるとみずから知っておるがゆえに、名前も出さなければ何もしないで、事前運動のような形で問題を処理するということは、まことにわれわれ非常に遺憾だと、こう思うのであります。
 そこで、ちょっと警察庁に伺いたいのでありますが、実は昨日の朝、私は衆議院の九段の宿舎におるわけでありますけれども、毎日新聞の折り込みで、(久野委員「出そうか」と呼ぶ)ちょっと出してごらんなさい、せっかく久野さん持っていらっしゃるんだから。これが「都民を守る切り札」こういうあれでありますけれども、「四兆円ビジョンぜひ実現」と、こうまん中に書いてありまして、そして裏っ側のほうには「東京大地震あなたはどこへ逃げる」「こうして都民を守ろう」「都市再開発でよい住環境を」ですか、最後のところに都議会自由民主党被災視察団として、「ロスの二の舞い繰り返すなとかたい誓い」と、こう書いてあるわけですね。
 これは全然発行者がわからない。何も書いてない。発行者もなければ、氏名もなければ何もない。単なるこういう文書が毎日新聞の折り込みで実は配られた。これは当然毎日新聞がこれを受け取って折り込みをしたわけでありますし、それに対する支払い等も行なわれたわけでありますから、これを折り込みをさせた人間というのがあるはずです。偶然これが毎日新聞の新聞の中に入って出てくるわけじゃないですから、こういう経緯はあるわけですが、これについて何にもものが書かれていないということは、私たいへん残念なことだと思っているのですがね。これは明らかに「四兆円ビジョンぜひ実現」ということは、もうすでにある候補者のこれまでの主張でもあり、政策でもありますから、このものだけですでにある一定のものが類推されるような条件はここにあって、私は、それを政治活動として、だれかの人なり機関が名前を書いて出しておるというならまだしも、われわれは、政治活動についてはできるだけ自由にしたいという考え方に立っていますから、要するに法規に触れるか触れないかの問題は別としても、私どもの立場とすれば、ある程度考慮――法規の問題は別としても、考慮をしてもいいという気持ちになるのですが、明らかにこれを責任を回避した形で新聞の折り込みにあるというようなことは、まことに私は選挙法というたてまえから見て当を得ない処置である、こう考えておるわけでありますが、警察庁はこれについてはどういう見解でありますか。
#8
○高松政府委員 いまお尋ねの折り込みにつきましては、私のほうも調べてみました。折り込みの依頼を受けましたのは新宿折込広告社という社でございます。折り込みの依頼者は都議会自民党本部ということだそうでございます。発行者の名前その他書いてないのでございますけれども、ただ、そのビラの内容は、いま堀先生ちょっとおっしゃいましたが、これが選挙運動の文書になるかどうかというと、やや疑問でございます。政治活動の分野としては見られるものであろうというふうに私どもは判断しております。
#9
○堀委員 実は政治活動のビラ、機関紙の問題については、この間すでに私ども法規を改めて、一回自由にしておりましたものをまた制限をすることにいたしました。ですから、そういうもしそれが都議会自民党がおやりになっておるものであるならば、当然自由民主党の新聞があるわけでありますから、自由民主党新聞でこのことをおやりになるについてはきわめて合法的な政治活動でありまして、何ら抵触することがないにもかかわらず、やはり自由民主党の都議会がお出しになったのなら、自由民主党都議会の責任のある方のあれがあってしかるべきではないかと私は思うのですが、ただ、こういう告示が始まる二日前に、明らかに一つの政治活動ではありますが、現在はそういうものは機関紙活動として認められておる以外は、もちろん選挙中だけ制限しているから、選挙前ならいいのだという発想もあるかもしれませんが、これが告示の二日前に行なわれておるというようなことは、まさに違反ぎりぎりの取り扱いをねらったものであろうし、もしそれが政治活動なら、もっと明らかに私はそういう政治活動の本体をこれらの文書に掲示するのが相当ではないのか、こう思うのであります。その点、自治大臣はどういうふうにお考えになりますか。警察の見解の前に自治大臣としての御判断を先に……。われわれがここでいろいろ議論しておりますことは、やはりいまお話がありましたように、公正にやってもらいたいということで、要するにそれが公党である自由民主党の都議会議員団がおやりになっておるのなら、都議会議員団の何と呼びますか、あるいは自由民主党東京都本部というのでしょうか、いろいろ機関があろうと思うのですね。そういう機関のあれを明示しておやりになって差しつかえのないものなら、そうしてもらいたいし、それを明示してはまずいものであるならやめてもらいたいし、このいずれか一つであるのが私は正しい、公正なあれになるのじゃないかと思いますが、自治大臣のひとつ御見解を承りたいと思います。
#10
○秋田国務大臣 いま突然のことでございまして、十分考えてみたいと思いますが、一体これはどういう文書になるものか、そこいらの基礎を十分はっきりきめた上で動き出したいと思っております。
#11
○堀委員 どういう文書になるか、こうおっしゃっているのですが、事実、文書はあるわけですね。ひとつなんなら、自治大臣、これをごらんくださださいませ。書いてある中身の話は、前段で申し上げましたように、あまりそれには私はこだわっていないわけです。ただ、責任者がいま警察の調査によれば都議会自民党であると、こういうことでございますから、自民党都議団ですか、ちょっともう一ぺん正確に警察庁のほうで言ってください。
#12
○高松政府委員 都議会自民党本部というふうに報告を受けております。
#13
○堀委員 都議会自民党本部だということだそうですから、そういうものがあるのかないのか、私もよくつまびらかにしませんが、やはり私はそれをお出しになってかまわぬのじゃないかと思うのですよ、もしそれが公正だという御自信があれば。もし名前を出さないようなものならやはり出してもらいたくないと思います。私は内容の、中身の問題よりも、そこに非常に疑点を感じてこの問題を取り上げておるのでありますから、ちょっと大臣よくごらんをいただいて、これについての大臣の見解を承りたいと思います。
#14
○秋田国務大臣 まだいま卒然と見ただけでございますけれども、内容はまじめなものではなかろうかと思います。また都議会自由民主党という文字も入っております。が、標語の形にもなっておるような、ここいらがあいまいでございますが、これはまあお名前をお出しくださったら非常にはっきりしてよかったのじゃなかろうか、出されても何ということはないのじゃなかろうか、こういうような感じがいま卒然としております。
#15
○堀委員 卒然か何かわかりませんけれども、ともかくそういうものを受け取った国民の感情としては、何かフェアでない文書だと理解をするのが私は当然だろうと思うのですね、いまのこの問題につきましては。ですからやはりこれは大臣、いま私が申し上げておるように、フェアなものなら名前をちゃんと出して、責任の所在を明らかにしてやるのが正しいのであって、それを名前を出さないような形でやるならやめるべきだという私の所論に対して、大臣の御見解はいかがですか。
#16
○秋田国務大臣 それは先生の御見解として確かに是認できると思います。
#17
○堀委員 どうも表現が回りくどくてよくわからないのですが、いまのお答えはどういうことなんでしょうか。私の見解として是認できるということは……。
#18
○秋田国務大臣 でもっともなことだろうと思っております。
#19
○堀委員 自治大臣もそうおっしゃっておりますから、そこで、これはまあ済んだことでありますが、これからは、実はビラの制限がきょうから始まるわけです。ですから、今度はこういう形のものが出れば、これは違反文書であることは間違いないと思いますが、選挙部長に答えてもらいましょう。違反文書ですね、きょうからは。
#20
○中村(啓)政府委員 選挙運動期間に入りますと、ビラにつきましては種類の限定がありますので、しかるべき法規に従ってお届けがあってお配りにならなければいけないということになりますし、それにつきましては政党名なり、発行者につきましても、責任者につきましても、明記することが法律で義務づけられることになります。
#21
○堀委員 大臣、いまのようなことでございます。どうかひとつ警察庁におかれましても本日以後は、いま選挙部長も申しましたような法規に今回改まっておるわけでありますので、この点はひとつ十分きちんとした取り締まりをお願いをしたいし、あわせてまあこういうことはちょっと言いたくないのですけれども、今回の出ておられる候補者の中には警察庁出身の方もおられるので、都民の中では取り締まりの問題についてやや不安を抱く向きなきにしもあらずという声を耳にしますので、どうかひとつこの点については、そういうことにこだわらず、厳正に、さっきの自治大臣のお話のように法規に従った処置をとってもらいたい、こう思いますが、警察庁、いかがでございましょうか。
#22
○高松政府委員 選挙期間中に入りましてビラの取り締まりについては、ああいう形で法律が改正されました。この点はきっちりやれるようになっております。私どももあの法律に従いましてきっちり取り締まりをやってまいります。
 それから、警察関係者の云々というお話でございますが、これはもう大臣以下繰り返して申し上げておりますとおり、私どもは厳正にやります。むしろそれだけによけい気をつかって厳正にやりますというふうに考えております。
#23
○吉田委員長 関連質問を許します。久野忠治君。
#24
○久野委員 私は、たまたまただいまお見せいただきましたビラですね、私自身のところで数種類これを集めてみました。ただいま堀昌雄君が指摘されましたこの折り込みのビラにつきましては、この候補者の名前も、候補者と目せられる人の名前は一つも書いてありません。それからとにかく都市再開発、東京に大地震が起きたら都民をどうして守るかということが書いてあるだけでございまして、それ以外のことは何ら触れていないの下あります。これは当然政策に類するパンフレットに類するビラだと私は思うのでございます。
 ところが、もう一種類ごらんに入れますが、これは「明るい革新都政」というビラでございますが、これのことは堀さんは御指摘にならぬのでございますが、これには明らかに候補者の写真がでかでかと載っておるのでございます。「暖かいみのべさんの都政」と書いて、子供さんと電話をかけておるところ、自転車で公園を一緒に回っておるところ、おばあちゃんの肩をたたいておるところ、これが、昨日東京都内に一斉にまかれたのでございます。私はある場所でこれをもらったのでございますが、これは昨日まかれたものだけで四、五種類私は手に入れました。これは明らかに確認団体の機関紙であります。明るい革新都政という確認団体、これは機関紙であります。こういうようか確認団体の機関紙であるならば、候補者の名前を明記し、その写真をでかでかと載せても、これは事前運動になるのかならないのか。しかも告示直前にこれはまかれたものでございますが、こういうことは一体事前運動の取り締まりの範疇の中に入るのかどうか、警察庁の見解を聞きたい。
#25
○高松政府委員 確認団体という問題は、これは告示後の問題でございます。したがいまして、それ以前の問題につきましては、これは政治活動であるか事前運動であるかという問題に帰着するわけでございます。先ほど来いろいろお話がございましたが、政治活動と事前運動ということの限界は実は明確なようでたいへん不明確でございます。いつの選挙のときも判断が非常にむずかしいところでございます。それからもう一つは、これが新聞紙かどうか、報道評論に当たるのかどうか、こういう問題がございます。その辺のところをひとつ検討をよくいたしませんと、ちょっといまこれがどうであるかというふうに即座には申し上げかねるところでございます。
#26
○堀委員 それで、いまほかの問題が出ましたけれども、私は本筋に戻させてもらいます。
 いまお話のあるように、たまたま私どもいま東京に住んでおりますから、東京の問題だけが非常に目につくわけでありますけれども、これはやはり全国的に本日から知事選挙が始まっておるわけでありますから、全国至るところでいろいろなかっこうでの問題が今後派生をするだろうと思います。特に今回の選挙で私が感じますことは、前回実は文書活動を一回自由化したわけですね。回自由化したあとにもう一ぺん規制をしておりますから、この点については、実は私はやはり文書活動を規制することは適正でないと思っておるために、この問題は各地でいろいろな問題を起こすおそれが十分にあるというふうに考えておるわけであります。
 そこで、いま自由民主党の方からもお話がありましたが、私ども選挙違反をやることをもって選挙運動がやられることは望ましくないと思います。そういうことはきびしく処置をしていただきたいけれども、ただ問題は、そういう文書その他のほうに目が行き過ぎて、実質的犯罪が十分行なわれる余地があるにもかかわらず、その実質的な犯罪、選挙違反のほうがややもすれば軽視をされるようなことになるとするならば、これまた選挙の取り締まり上に問題が残ってくるのではないか、こういう感じがするわけであります。ですから、おそらくこれから文書の違反の問題というものがこの選挙では全国を通じてかなり起こるであろう、その起こるのは一つは一回文書を自由化したということからくる問題が残っておるだろうという感じがしますし、そのことにのみまた取り締まりがいって、肝心な実質犯というものが見のがされるようなことがあっては、これはまた選挙の公正の問題から見てきわめて重要な問題だ、こう考えますので、その点については自治省においても、警察庁、法務省においても、やはり肝心なのは実質的な買収、供応その他の悪質な選挙違反を取り締まることが主であって、もちろん文書違反もいけませんから取り締まってもらわなければいけませんけれども、要するに主客転倒しないような形で取り締まりを考えていただきたいということを特に望んでおきたいと思うのですが、これについての自治省、警察庁、法務省の見解をひとつ承っておきたいと思います。
#27
○秋田国務大臣 もちろん形式犯といい実質犯といい、法によって厳正公平に取り締まられることを希望し、また自治省では自治省の範囲でその措置をとるつもりでございます。
#28
○高松政府委員 統一地方選挙だけについて数字を申し上げますと、三月十六日現在で五千七百四十三件警告、これは前回に比べて約二・八倍ぐらい伸びておる、約三倍近い警告でございます。それから悪質犯に対する事前の検挙、これは件数にいたしまして今回は七十五件、前回に比べて三倍でございます。それから検挙人員は百九十三名、前回に比べまして六倍事前検挙をやっておる、こういう状態でございまして、私どももそういうような悪質犯をもちろんのがさないということに力を入れてやってまいります。ただ、文書違反にも非常に悪質なものが従来からいうとあるわけでございます。だからそういう悪質な文書違反というものに対してもできるだけ徹底した取り締まりをやってまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
#29
○辻政府委員 選挙の取り締まりに関しましては、検察庁におきましても従来から厳正公平にこれを実施してまいっております。今回の地方選挙におきましても全く同様の厳正公平の態度で取り締まりに当たりたいと思っております。現にすでにこの二月に全国検察庁の首席検事会同を開催いたしておりますが、その際にも法務大臣及び最高検察庁から、厳正公平な選挙の取り締まりを実施するよう訓示、指示をいたしておるところでございます。
#30
○堀委員 私はこれで終わります。
#31
○吉田委員長 林百郎君。
#32
○林(百)委員 これは秋田自治大臣に主としてお聞きしたい点ですが、さきの六十四国会で、わが党をはじめ社会党や公明党の反対にもかかわらず、また世論の多くの批判があったのを押し切って実は公選法の一部が改正されたことは御承知だと思うのです。そして政策ビラ、シンボルマーク、政党や政治団体の政治活動が大きく規制されましたのですが、この理由の一つは、金のかからない政党本位の選挙を実現させるためだということであったのです。ところが、そういうことで本来の政策の対決点を明らかにするための政策ビラだとか一政党、政治団体の政治活動が大きく規制されたにもかかわらず、依然としてばく大な金が選挙に使われているという実例を私たちは把握したのでこの点を自治大臣に質問したいのでありますが、わが党は、民主主義のもとで正しい選挙は政策と政策の争いであり、それを規制することは民主主義の根幹を侵すきわめて反動的なものであるということを指摘して、この改正に反対しました。同時に、真に金のかからない選挙を実現させるためには、何よりも買収、供応、汚職、不正選挙の原因となり、また民主主義のもとで政策による正しい選挙をゆがめる財界からの政治献金を断ち切ること、そのために政治資金規正法こそ至急改正して、その改正案を国会へ提出すべきであるということも主張しました。この財界からの政治献金を断たない限り、金のかからない選挙だとか公明選挙は不可能だ、こういうように思うわけであります。本日すでに都道府県知事選が告示されて戦われているわけでありますが、その中でまずお聞きしたいのは、東京都知事選がまだ始まったばかりであるにもかかわらず、その準備段階ですでにばく大な金が使われているということ、私のほうでは秦野派を調査したところによりますと、事実ですから申し上げますけれども、たとえば山一証券、野村証券、大和証券、日興証券など証券業界でつくられている東京証券正会員協会は、秦野陣営への献金を呼びかけて、資本金一億円について十万円の献金ということで八千万円を集めるということが伝えられております。また経済評論家藤田貞男氏によれば、これは「問題小説」に出ておるのでありますが、秦野氏の選挙には五十億円要るということで語っております。また産経の情報によりますと百億ともいわれておるわけであります。こうしたばく大な政治献金が云々されており、そしてそれがふんだんに使われている。
 その一、二の例を申しますと、これは先ほどへ自民党の委員の方にも見せてお話ししたところでありますが、去る三月十三日武道館で行なわれた秦野氏を励ます集会で約三万六千人の参加者が集まったそうでありますけれども、その中でこういうパンフレット、これはすべて美濃部氏を攻撃し、これは明らかに秦野氏の写真入りです。こういうものが八種類のものが入って、これは約六百円と評価しているのですけれども、そうすると、先ほど自民党の委員に聞きましたら三万六千人の人が入ったわけでありますから、三万六千人にこれだけのものが入った約六百円程度のパンフレットを配布すれば、それだけですでに二千百万円以上の金がかかるわけでありますけれども、こういう事実一つ見ても、財界からのばく大な政治献金をとめなくて、これにささえられて、ふんだんに金を使った選挙がやられるということは、これは政府がさきに提案しました公職選挙法改正の金のかからない選挙、政党本位の選挙とは全く相反する道を、しかも自民党が公認をしていると称せられる秦野派によって行なわれているということについては、一体自治大臣、どうお考えになるのでしょう。
 参考までに申しますと、三月初旬現在秦野陣営が配っている宣伝袋、縦二十七・五センチ、横二十一・五センチ、シンボルマーク入り、には、いま言ったようなパンフレット、リーフレットが八点詰め込まれている。これは「おやじ半生記」とか、おやじというのは秦野氏のことですが、「都政への提案」だとか、「東京緊急開発行動五カ年計画」、「三多摩開発のビジョン」、 以上がパンフレット。さらに「秦野ビジョンは東京のこころ」、後援会申し込み書兼用四つ折りが入っておる。それから「四兆円ビジョンはこうして必ず実現します」これが八つ折り、以上が多色刷りリーフレットでできております。これに新聞「東京のこころ」と「だれでもできる選挙運動」の合計八点。これらは印刷所の見積もりによると、印刷費だけで二百三十円、定価になりますと約六百円ですね。一日で二千一百万円くらいまかれている。この宣伝袋が三百万個出たとすると、約六億九千万になるわけでありますが、清瀬市の団地では同じものが三回まかれていたといいますから、そうなると、二十億円という巨額な宣伝費にもなりますけれども、そういうことが行なわれている。要するに、政治献金が法人から行なわれる道がそのまま野放しになっていて、そうしてこういうようなものが、一日に八部ものパンフレット、リーフレットが、数万人の人に配られるというようなことがどんどん許されるということは、この前公職選挙法を改正したときの、金がかからない選挙などということが、事実上行なわれていないことになるのじゃないでしょうか。自治大臣、このことについてどうお考えになりますか。
#33
○秋田国務大臣 それらの文書活動が選挙との関係いかんという点が、いろいろ判断をする基礎になろうかと思います。(林(百)委員「一つの袋にこれだけ入っている。これが三万六千も配られている」と呼ぶ)これらについては、やはり政策そのものの徹底を期するための一つの手段だということで、種類がたくさんあるという点の御指摘もございましたが、本質的には一つ、政策的な紹介という点がはたして選挙運動になるのだろうかというこの関係だろうと思います。いろいろ見る方により御意見はありましょうが、この内容はおそらく選挙に直接かかっておるものではなかろう、したがって、事前運動ではない、したがって、選挙費用には入らない、こういうものであろうと思うのでございます。
 それから、法人から献金を受けることの可否につきましては、すでに従来御議論がございまして、個人からの献金がそれ自体としては望ましいということでございますけれども、ただいまの現状におきましては、この点も認められておるわけでございまして、ただ法人なるがゆえにこれはいけないというわけにはまいらないと存じます。
#34
○林(百)委員 しかし、この八種類のパンフレット、リーフレットが選挙に関する事前運動であるかどうかについては考慮の余地がある、政策を知らせるものではないかと言いますが、この「ひろば」、これはもう明らかに秦野氏の写真入りでちゃんとこういうように出ておるわけですね。それから「秦野章後援会入る」というものが入っている。それから「おやじ半生記」「秦野章」これも秦野章のもの。だから、私は、そういう金がかかるという点ですね。金がかかるということで、このビラの配布を告示後は三回にするということで制限をした。地方選挙は二回ですけれども、制限をしても、事実上はそういうことで幾らでも金が使える。問題は、金がかからない選挙にするためには、政治資金規正法を改正して、財界やそのほかからの何千万というような献金あるいは何億という献金をとめるということが、金がかからない選挙を行なう第一歩であり、しかも、最も重要な第一歩じゃないか、こういう点をあなたにお聞きしているわけなんですよ。そうでなければ、こういう形で幾らでもやれるわけでしょう。そうして証券業界からも、資本金一億円について十万円、一億円の会社は十万円の献金というようなもので、もう公然として献金をしているわけですから、集めているわけです。だから、それがいまになってお気づきになるでしょう。要するに、金がかからない選挙というのは、ビラの配布を制限するんじゃなくて、財界からそういう金をどんどん献金するような道を閉ざすことが第一歩じゃないか、この点を私質問しているのですよ。そうお思いになりませんか、この事例から見てですよ。
#35
○秋田国務大臣 政治資金規正法改正の問題になりますと、やはり金から締めるということはどうだろう。過去三回やってみて、どうしてもみんなが合意が得られなかった。やはり金がなるべくかからないような慣行なり、そういう体制なり、そういう習慣なり、あるいはそういう法規なり、そういうものの整備という点をひとつ考えてみる必要がありはしないか。そこで、いま金がかかるようなことになっていはしないかという問題がございます。その点は、これが選挙費用であるかどうかということの問題を別にして、問題があろうかと存じます。それは検討に値する問題ではあろうとは存じます。
#36
○林(百)委員 だれが考えても、私が先ほどお見せしたような、こういう秦野氏の写真入りの「ひろば」という雑誌、あるいは「全貌」というような反共雑誌ですね、「共産党の演出に踊る」とか「美濃部語録とは」、「女性の味方の蔭の女性とは」といって、美濃部氏を攻撃するもの、それから「おやじ半生記」といって秦野章氏の半生記が書いてあるもの、それから「四兆円ビジョンはこうして必ず実現する」というような、こういうものが選挙に関係ないなんて言えないじゃないですか。しかも問題は、それが一日に二千万円も配られるというようなことが公然と行なわれる。その金は、財界から政治資金が献金できるようになっているからこそそういうことがやられるんじゃないか。ここをとめることが根幹であって、一枚の政策のビラを配布することぐらいを、そういう本来政党や政治活動の自由として保障されなければならないものをとめることは道を誤っているのではないか。ほんとうに金のかからない選挙というのは、財界からの献金何億何千万という、そこをとめなければ、こういうことが幾らでも行なわれるのじゃないか。いま私のお見せしました一日に八種類配ったパンフレットが選挙に関係があるとは言えないなんてあなたが言われても、それは詭弁で、大臣が言うべきことではないと思います。その点についてもう一度大臣のお考えを聞きたいと思います。
#37
○秋田国務大臣 やはり金のかからないような政治活動なり選挙運動の体制というものをつくらなければ、そこができていなければ、法人から金を出してはいかぬとおっしゃっても、必要の前に何らかの金の調達ということはやはり事実上は押え切れないのではなかろうかという問題が依然として私は残ってくるのではなかろうかと考えております。したがって、やはり政治資金規正法の改正につきまして、私はその必要は認めますけれども、方法を従来と変えた発想をもって調査研究する必要があるのじゃなかろうか、こう申し上げておるわけでございます。なお、金のかからない選挙なり政治活動につきましては、ひとつお互いに十分検討していく余地はある、こう申し上げておる次第でございます。
#38
○林(百)委員 この問題はここで幾ら論争していても尽きません。あなたのほうは、金の必要の場合は調達する必要がある、だから調達するためには財界からの献金の道も置いてもいいではないかという意味のことをおっしゃっていますが、何も法人が政治活動するわけじゃない。政治活動は自由人、自然人がやるわけなんですから、献金はそういう政治的な信条に基づいて自然人がやればいいのであって、何も財界、法人が何千万、何億という金を選挙の資金として献金する道を開いておく必要は絶対にないというように思うわけですね。
 その次に、これは大臣と部長にお聞きしたいのですが、選挙の重要な部分を広告代理業にまかせるという傾向があらわれてきていることに対して、一般のマスコミも重大な警告を発しているわけです。たとえば一月十日の朝日新聞を見ますと、「しかし選挙運動が広告業者によって「演出」されるということは、選挙そのものが広告業者の収益の対象になってきたことであって、これは日本の民主主義にとって、危険な新しい要素が生れたことを告げているように思える。」「政治家たちは有権者を個性のない大衆と考えて、あくまでも操作しうるマスとしか見ていないとしか思われない。これでは民主主義の政治は育たず、危険な「衆愚政治」が開幕して行くことになるだろう。」ことに私の調べた範囲では、秦野派がこれを非常に利用しているようでございます。たとえば、これに関して政治広報センターの宮川隆義社長は「マスコミ化した国民を有力者中心の網にかけようとしてもダメ。地域、職制、団体の網を強制的にしぼれば、他人指向型、現状脱出希求型の大衆は反発するばかりです。必要なのは深層心理をつかみ、マスメディアで説得すること。選挙とは、つまり大衆誘導、大衆操作なんですから」こういうようなことを言って、こういう大手の電通あるいは電通の子会社の電通リサーチなどを使って事前運動を秦野派がやっておるというようなことも私のほうでつかんでおるわけでありますが、朝日新聞の社説にもありますように、「政治家たちは有権者を個性のない大衆と考えて、あくまでも操作しうるマスとしか見ていないとしか思われない。これでは民主主義の政治は育たず、危険な「衆愚政治」が開幕して行くことになるだろう。」こう指摘しておるわけでありますけれども、広告代理業者あるいはその大手の手に選挙の重大な宣伝部門をまかせる、選挙をあたかも一種の商品化するような傾向、これに対しては大臣、部長、どういうようにお考えになりますか。一般のマスコミもこういうように警言までしているのですが、またこういう傾向が出ているのですが、どういうようにお考えになりますか。
#39
○秋田国務大臣 フィーリング時代と申しますか、そういう時代の世相とまた関係がそのことはあるように私には見えます。単なる感じ、最近はやりのかっこいい形というような感じだけで選挙が争われていくという傾向は、決して好ましいものではないと私は考えます。あくまでも理性に即し、健全な常識によって、政策本位また人物本位に検討されまして投票をされるべきものであります。ただ、自分の政策なり自分というものを大衆にわかってもらう方法として、各人がいろいろの方法を法規に照らして違反しない範囲において、また先ほどから私の申し上げております健全なる常識の範囲においていかなる方法をとられるかは、その方の自由でございましょう。しこうしてそれが俗悪低劣な方法によるなら、それは最初のうちは大衆もそれに動かされるということはございましょうけれども、やがて大衆はこれを批判されるのであろう、こう思っております。
#40
○中村(啓)政府委員 大臣からすべてお答えがあったところでありますが、林先生の仰せのように、選挙の様相がだいぶ変わってきておるということは私ども痛切に感じております。いわゆる演出選挙とかあるいは商品化された選挙とかいわれる傾向があることは私も事実かと思っております。そこで、私ども選挙を明るく正しくやっていただくために集まって相談をしております者の立場としては、やはり選挙の本来の姿から見て、そういうムードにのみ支配された形の選挙は好ましいとは思っておりません。関係者の集まりでは、ぜひ選挙民の一人一人が高い政治意識を持つようにお互いに相つとめていくようにしたいというふうに相談をしておるところでございます。
#41
○林(百)委員 これは新しい選挙運動の一つのパターンとして出てき、しかもそれを利用して戸別訪問をして売り込みをしておるという事前運動の事実もありますので、なお重要な問題として質問をしたわけであります。これはひとつ十分取り締まりのほうも、たとえば広告取り次ぎ業界のトップ電通の子会社の電通リサーチというような会社が、世論調査というような形でずっと入っていって、そして実はあす投票日としたら秦野氏ですかどうですか、というようなきわどい質問までしておるというような、こういう形まで出てきておりますので、これはもう明らかに刑事問題にもなる、事前運動になるということから、一つは大衆を愚弄する形の選挙を広告取り次ぎ業界の大手が請け負ってやるという問題と同時に、事前運動の様相をも持ってきたので、私いま質問したわけでありますが、こういう点については十分今後実情をよく調査し、把握し、また警察当局も、刑事局長のほうも、そういう新しい形での事前運動、広告業者が広告を請け負ったという形、それが世論調査という形で入っていって、そしてあす投票するとすればあなたは秦野さんに投票しますかどうかという、きわどい質問をしてずっと歩いているというような形を私のほうではつかんでおりますので、今後そういう点を厳重に実情を調査もし、それから選挙違反になるような事態であれば、戸別訪問というような事態があるならば、これは取り締まるように十分心を配っていただきたい、こういうように思いますが、どうでしょうか。
#42
○高松政府委員 いまの世論調査の問題は、私どもまだ存じておりませんが、実情を一回調べてみたいと思います。
#43
○林(百)委員 広告業者が請け負ったという名のもとに、広告業者の関係者がずっと戸別訪問をしているということなのです。
 それからその次に、これは部長と刑事局長にお尋ねしたいのですけれども 実はこういうものが昨年の十二月三十一日に無差別に東京都民のところへ投げ込まれたわけですね。これは「さて、すでにご存じの通り前警視総監の秦野章氏が公害、物価、交通、住宅、地震、災害問題等に悩む東京都民に張りと希望を与え、美しく明るく住みよい東京を建設しようと東京緊急開発行動五ケ年計画を立案いたしました」云々、そして「秦野章後援会本部」、こう書いてあるのですね。しかもこのところには「甚だ勝手に存じますが、ご都合の悪い方は折り返しご回報下さるよう」と、要するに「後援会の世話人という立場でご協力を賜わりたく、甚だ失礼ではございますが、書面をもってお願い申し上げる次第であります」、こう書いて、折り返し都合の悪い方は返事をくれ。だから返事が来なければもうその人は後援会の世話人になったということになる。こういうものが配られておるわけです。「昭和四十五年十二月」、これをちょっと見てください。続いて返事がなかったということで、返事を出さなかった人には次にはこれが今度はずっと配られるわけですね。原文兵衛、あなたの先輩かもしれませんけれども、こういう人も。これは明らかに事前運動になりませんか。そういうのを無差別に各戸へ配った。しかも共産党の幹部会の副委員長の袴田さんの家にまで入った。だから私たちの手に入ったわけですけれども、これは事前運動じゃないのですか、どうです。
#44
○高松政府委員 こういう形のものは、従来から選挙運動の形としてあったこともございました。この点につきましては、私どもの警視庁も一応調べておりましたが、無差別には配布されていない、後援会その他の一つの系統で配布されておる。
#45
○林(百)委員 では共産党の幹部会の副委員長が秦野の後援会ですか。こんなことは通りっこないじゃないか。
#46
○高松政府委員 そんなことはあるいは多少あるかもしれませんが、実際調べまして、そう無差別には配布されていないというのが事実のようでございます。
#47
○林(百)委員 警視庁の二課でも、無差別の配布だとしたら違反になる、現物を見て調査をする、こう言っているくらいなのですよ。無差別でないというのはどうしてわかるのですか。それじゃ何で共産党員のところまでそういうものが来るのですか。それが無差別でないと言えますか。われわれのところに来たからわれわれはここで提出できるのですよ。
#48
○高松政府委員 後援会その他のいろいろな系統を通じて配られていることは事実でございますけれども、しかしそれがたいへん無差別にどこへでも全戸配布というような形で配られているものではないということは事実でございます。その点は警視庁としても一応の調べはやっております。
#49
○林(百)委員 あなた、自分の先輩たちだから弁護しているのじゃないですか。どうも公正でないと思うのですね。無差別でなかったというのはどうして言えるのですか。どういう調査からそう言えるのですか。共産党員のところまでずっと来ているのに、どうして無差別でないのですか。後援会のルートだとどうして言えるのです。しかもだれでも知っている袴田さんのところまでそれが来ているというのでしょう。それが無差別でないなんてどうして言えますか。しかも、返事がなければ承知したものとする。そうしておいて、返事が来ないからといってすぐ次のパンフレットがまた行く、これは無差別な事前運動のやり方じゃないですか。
#50
○高松政府委員 しかしこういうものが来ていない人も非常にたくさんあるはずでございます。私どもが無差別に配布と申しますのは、軒並みにずっといろいろなものを配布していくというふうな場合に無差別配布というような形になるわけですけれども、これはかなり選択をして配布をされている。たまたま何かで全然関係のない人のところに行ったというのはあるかもしれませんが、そういうふうに配布されているというふうに聞いております。
#51
○林(百)委員 それでは、この問題はこれ一問にしますが、何部配布されたというのですか。要するに無差別でなかったという根拠は何もあなたから示されなかったじゃないですか。配布されたのは調査した結果こうだったとか、あるいは何軒調べたらそのうちの何%だったとか、何も調査していないで無差別でなかった無差別でなかったと言ったところで納得できないじゃないですか。
#52
○高松政府委員 数はちょっと明確でありませんが、たとえば世話人総会の出席は大体四千人あったというふうに聞いております。
#53
○林(百)委員 だからこれは四千部だけだったということにはならないわけでしょう。だからあなたの言うことはちっとも筋が通っていない、論理が通っていないということですよ。ただ弁護しているだけということです。抽象的に。この質問はこれで打ち切ります。
 その次に大蔵省にお尋ねしますが、東京都の港区北青山二の二十二にアマチュア・レスリング協会が昭和二十五年国から借りた青山レスリング会館というのがあるのは御存じですか。
#54
○小口政府委員 ただいまの物件は、昭和二十四年十月二十九日から日本アマチュア・レスリング協会に対しまして大蔵省のほうから貸し付けております。
#55
○林(百)委員 その貸し付け契約の中に、国有財産有償貸付契約書を交付、一般的に国有財産を貸し付ける場合にはこれを交付する。これは統一した様式がある。これはお互いにこの契約書を取りかわしてありますか。
#56
○小口政府委員 そのような方式で契約しております。
#57
○林(百)委員 その契約書には、国の承諾を得ないで「貸付物件を第三者に転貸し又は賃借権を譲渡してはならない」もしこれに違反した場合は、違約金をとるか、契約を解除することができる、これは法律的な契約なら当然ですが、こういう条項が入っておることも確かですか。
#58
○小口政府委員 おっしゃるような条項が入っております。
#59
○林(百)委員 ところが、今日この建物が秦野派の選挙事務所として使われている。それは、アマチュア・レスリング協会の手塚英夫事務局長は「貸していることは事実。八田さんの秘書の椎野さんに聞いてくれ」こう言っていますけれども、これは調査されましたか。
#60
○小口政府委員 当面、契約をやっております担当財務局で貸し付け物件の現状の調査に参りまして、三月九日に、契約の目的と違った目的に供されているということを調査いたしまして、見出したわけでございます。
#61
○林(百)委員 貸与物件が貸与の目的と異った目的に使われているというのは、具体的に言うとどういうように使われていたのですか、三月九日に。
#62
○小口政府委員 貸与いたしましたのは、レスリング協会に貸与したわけでございますけれども、その建物の中にいろんな梱包品とか、あるいは紙袋とか、そういうようなものがあったわけでございます。
#63
○林(百)委員 その梱包品とか印刷物というのは、これは八田氏の秘書の椎野正義氏の言ですけれども、「印刷物をあずかってくれと秦野後援会からいってきて管理人の鈴木卓氏が了承した。そのうち無断で学生がおしかけてきて居すわって困っている。うちも被害者だ。十七日に追い出す」「うちは中立で、秦野、美濃部のどちらでもない。中立だ」こう言っている。その印刷物、梱包というのは、秦野氏に関する印刷物、要するに選挙に関する印刷物あるいは梱包ではないんですか。
#64
○小口政府委員 選挙に関連するようなものであるというふうなことを、調査に行きました担当官が見ております。
#65
○林(百)委員 そうすると、そういう事実まで確かめて、貸与物件を貸与の目的にはずれた目的に使用しているとすれば、これは当然違約金を取るなり契約を解除することができるわけですけれども、大蔵省理財局としては、その後、そういう事実がわかって後、どういう措置をされているわけですか。
#66
○小口政府委員 この状態がわかりましたのは、調査に参りました三月九日でございます。三月九日に直ちに現状が契約の目的には沿っていないということで、現状を使用目的に合致するように改めるような申し入れを行ないました。その後十日、十一日にもそのような申し入れをやりまして、十二日には文書をもちましてそういう申し入れをやっております。
#67
○林(百)委員 その後、実情はどうなんですか。お確かめになったのですか、どうですか。それで、その文書というのは、どういう趣旨の文書ですか。解約なりあるいは違約金を取るということですか。
#68
○小口政府委員 文書につきましては、三月九日にこちらで調べましたところ、最近の使用状況が契約で定めております使用目的に違反していると認められますので、直ちに使用目的に適合されるように措置されたいという申し入れでございます。
 それから現状でございますけれども、先ほど調査に参りまして、撤去中ということでございます。
#69
○林(百)委員 撤去中というのは、何をどういうように撤去するのですか。
#70
○小口政府委員 現場にございました梱包品等を搬出しているということでございます。
#71
○林(百)委員 それでは、もしこれがそういう警告にもかかわらず、秦野派の選挙関係の事務所に使用されているというような事実が、もし依然として継続されているとすれば、大蔵省としては契約を解約するなり、そういう次の措置をとるお考えですか。
#72
○小口政府委員 先ほどお読みになりましたところに引用されております契約書でございますけれども、転貸をするというふうな、契約の目的に違反があった場合には、これを、これから違約金を取るとか、あるいは解除することができるということになっておりまして、私どもといたしましては、至急いろいろ実情を調査いたしまして、措置を検討するつもりでおります。
#73
○林(百)委員 時間ですから、もう一つだけ。高松さん、あなたにお聞きしますが、この秦野派のポスターですね。「前進のハタノか停滞のミノベか」「GO」「STOP」こういう秦野派のポスターがほうぼうに貼布されている、こういう事実は御承知ですか。
  〔林(百)委員、高松政府委員に書類を示す〕
#74
○高松政府委員 二月三日ごろに青山辺であったというふうに聞いております。その後、三鷹方面でも若干そういうものがあった。これは「日本の新しい世代の会・東京都連」という集会、その集会告示のポスターにそういうようなものの掲示があったということで、警視庁は直ちにこれを警告して取りやめさせております。
#75
○林(百)委員 どういう意味で警告を発し、これが撤去を命ぜられたわけですか。それはどういう根拠ですか。
#76
○高松政府委員 これは具体的には秦野か美濃部かというふうな名前が書いてあるポスターでございます。そういう意味で、公選法百二十九条に違反する疑いがあるということで、撤去するように警告したわけであります。
#77
○林(百)委員 その排除命令が出たにもかかわらず、依然としてこれが張られていたとすれば、どういう措置をとりますか。
#78
○高松政府委員 これは大体その警告に従ってすぐに撤去したというふうに聞いております。
#79
○林(百)委員 それでは、もしそれが撤去されなくて、依然として残っていたとすれば、どういう措置をおとりになるつもりですか。私のほうでそういう厳然たる写真をとってきてあなたにお見せした場合は、あなたはどういう措置をとられますか。
#80
○高松政府委員 警告に従わないで撤去しないものがあったならば、それはその事情を取り調べて、しかるべき措置をしたいと思います。
#81
○林(百)委員 しかるべき措置というのは、百二十九条の事前運動違反の容疑として措置をとる、こういうことですね。
#82
○高松政府委員 その撤去しなかったことについての事情を調べてみまして、それが悪質なものであれば、百二十九条違反という形で事件を措置する、こういうことになるわけでございます。
#83
○林(百)委員 それでは時間がきたそうですから、これで質問を終わりますが、大臣、こういういろいろな問題があるわけなんです。それで最後にお聞きしますが、大臣としては、これから行なわれる歴史的な一斉地方選挙をどのような心がまえで最高責任者としてお進めになるか、その所信をお聞きしたいのが一つと、それからもう一つは、警察庁でもいいですが、先ほども悪質のものは検挙したというように言われて、件数は聞きましたけれども、悪質で検挙したというのはどういう内容のものが何件ですか。数字を先にあなたからお聞きして、そして大臣の所信をお聞きして、私の質問を終わります。
#84
○高松政府委員 先ほど全国の数字を申し上げたわけですが、事前検挙が百九十三名、これは全部買収でございます。
#85
○林(百)委員 大臣の所信を聞く前にちょっと質問を補足しますが、そういう買収で百九十三名、これは前回と比べてはどうなんですか。
#86
○高松政府委員 前回と比べまして、前回が三十六名でございますから、大体五倍強になります。
#87
○林(百)委員 そういう事態で、すでに買収で前回の五倍まで検挙者も出しているということ、これは一斉地方選挙の最高責任者である秋田自治大臣が、他人のこととして責任を糊塗するわけにいかないと思うわけですけれども、選挙の最高責任者としての秋田自治大臣は、こういう事態を直視して、どういう態度で今後臨まれるか、その所信をお聞きして私の質問を終わります。
#88
○秋田国務大臣 悪質の検挙者が数字的にとにかく多くなったということはまことに遺憾であります。われわれの明正選挙に対する十全の努力にかかわらず、そういう数字上の結果の出たことにつきましては、今後さらに反省をいたしまして、これが撲滅に努力をしなければならないと考えておりますが、統一選挙が始まりました際、先ほど堀先生にも申し上げましたとおり、明朗そして公正な選挙が行なわれますよう、従来もそうでございましたが、今後も関係の管理委員会その他警察、検察当局とも連絡を申し上げまして、りっぱな選挙が行なわれますよう、最善を尽くしたいと考えております。
#89
○吉田委員長 門司亮君。
#90
○門司委員 私は端的に聞いておきます。これはいまのことなんだけれども、こういうことがいいか悪いか、選挙部長にお聞きしたいのですが、いまあそこを通っていたら、都知事選のポスターが張ってあった。その中で、はっきり名前を言ってもいいが、赤尾敏君のポスターが張ってある。そのスローガンだか政策なんだかわからないが、こういうことを書いておる。美濃部は社共のひもつき赤ザルであるとか、それから秦野は自民党、財閥のひもつき白ザルである。こう書いてある。こういうような、一体スローガンなのか政策なのか、こういうものをもし許しておいたら、えらいことになると思うのです、何を書いてもいいとはいっても。まあ選管はいまチェックする手はないと私は思うのです。ところが、政策を書くのだと、どんなひどい政策でもいいと思うのですけれども、こういう形で相手方の候補者を中傷する言い方は、いい例に私はならぬと思うのです。こういうものを一体選挙の係のほうはどう考えますか。
#91
○中村(啓)政府委員 お話しのように、選挙の際の政見という点については、検閲的な機能は厳に避けようというのを基本的なたてまえとしておるところでございます。と申しまして、お話しのように、本来選挙運動をおやりになるというのは、御自分の政策の支持を訴えておやりになるはずでございますので、他人の誹謗、中傷にわたる、あるいは自分の当選ということとかかわりないことをおやりになるということは、本来の姿ではないと存じております。極端な場合につきましては、あるいは選挙の自由妨害とかいうことの構成要件に場合によっては当たる場合があるかとも存じますけれども、なお実態を調査いたしまして、しかるべく関係機関とも相談をして対処したいと思います。
#92
○門司委員 それから、これはいろいろきょうの皆さんのお話の中にあったと思うが、選挙違反についての問題であります。これは、自治大臣に聞くことは少しどうかと思う。ほんとうなら総理大臣に聞きたいと思うのですけれども、選挙に対する政府の姿勢です。私が聞かんといたしますのは、選挙違反についての政府のものの考え方というものが、私は間違っていはしないかと思う。私がなぜそう言うかといいますと、日本には戦後五回の恩赦がありますね。昭和二十一年に新憲法が発布されましたとき、このときにたしか恩赦があったと思います。それから、さらに二十七年四月二十八日の例の講和条約の発効のとき、それから三十一年十二月十九日の国際連合加盟のとき、その次が三十四年四月十日の皇太子の御成婚による恩赦、その次が四十三年十一月一日でありまして、明治百年の恩赦、五つの恩赦がある。この恩赦の内容を調べてみますと、一体どういうことになっているかというと、その前に、恩赦の権限というのは憲法七十三条の七号に示してありますとおり、いわゆる内閣の所管事項というか、憲法で内閣事項に規定をいたしております。そこで、内閣の裁量によって、大赦、特赦あるいは復権というようなものができるわけであります。この内容を調べてみますと、講和恩赦のときにはそれまでにあるいろいろな、たとえば軍事裁判によって例の犯罪者となっている人、あるいは治安維持法やその他のいろいろな問題で犯罪関係者となった人たちに対する恩赦が行なわれているのであります。これはまあそれほど私は目立ったものはないと思います。しかし、そのあとの三回の恩赦の内容を、私、きょう数字を暗記いたしておりませんが、法務省の調べをこの間もらったことがあるのでありますが、法務省の調べを見てみますと、ごく具体的に言いますと、選挙違反と目されるものが大体八〇%ぐらいである、こういうことなんですね。そうして大体そのうちの八〇%ぐらいは供応あるいは買収である、こういうふうなデータがあるのです。私は、きょうここにデータを持ってきておりませんから、こまかい数字は申し上げませんが、数字的にはそういうものが出ている。そうなりますと、私は今度の統一選挙で最も憂えておりますのは、来年かりに沖繩が返ってくる、これは世紀の偉業だというように佐藤さんはちょいちょい言っておりますから、そうなるだろう。そうすると、ここで恩赦がありはしないかというようなことがまず考えられるとすると、ことしの統一選挙並びに参議院選挙等については、この前の実績から見て、違反が非常にふえはしないかと私は危惧の念を抱かざるを得ないのであります。こういうことでは選挙の公正は期しがたい。したがって政府の姿勢がいままでのような姿勢で臨まれるのかどうかということは、選挙を粛正する上において非常に大きな課題だと私は考えております。自治大臣にこういうことを聞くことは少し酷かと思います。実は総理大臣に聞きたいのですけれども、総理大臣はなかなか出てこないものですから、政府を代表される一人として所感だけでも伺えれば非常にけっこうだと思います。
#93
○秋田国務大臣 門司先生もおっしゃっておられましたが、この問題は総理ないしは法務大臣に尋ねていただきたいと思います。しかし私の所感をということでございます。私といたしましては、法律家でございませんが、恩赦という制度はそれなりの大きな深い意味を持った制度であろう、しかしこれをもちろん政府といえども軽々しく選挙違反に適用しておるというわけでは過去なかったと私は思います。今後においてもそうだろうと思います。
 そこで、沖繩の本土復帰に際してどう考えるかという点になりますれば、先般参議院の予算委員会において総理がお答えになっておられましたが、いま考えておらない、いわんや選挙恩赦のごときは考えておらないというお話でございますので、私もそうだろうというふうに考えております。しこうして、原則として、選挙の悪質犯につきましては本質的に十分考慮しなければならないと考えております。
#94
○門司委員 もう一つ選挙関係で特に聞いておきたいと思いますことは、これは警察関係に十分ひとつ聞いておいていただきたいと思いますが、選挙違反と一般刑法との関係であります。同じような犯罪にしても、刑法の量刑と選挙犯罪の量刑とは非常に違います。一例を申し上げてまいりますと、詐欺罪というのが選挙のほうにもある。この選挙のほうの詐欺罪というのは、いままでの判決その他を見てみますと、大体五千円ぐらいの罰金で済んでおるのですね。ところが刑法の詐欺罪というのは最高が十年の懲役と書いてありますね。同じ詐欺罪というものが日本にあって、一つは選挙の詐欺罪だから罪が軽い、一つは刑法の詐欺罪だから罪が重い、こういう差別がある。選挙法の犯罪と刑法の犯罪と比較してごらんなさい。ことごとくそうなっておる。同じような犯罪です。私はこの取り扱いはどうかと思うのです。だからそういう問題に対して、これはある意味においては一致させる必要がある。きょうはあまり時間がありませんから、くどくは申し上げませんが、そうすることがやはり選挙を粛正する一つの方法ではないかということであります。選挙だからやってもよろしいんだということかもしれないが、考え方によっては、選挙の詐欺罪のほうが大きいのですね。これは人間の良心を盗むのだから、これぐらい大きなどろぼうは私はないと思うのです。普通の詐欺罪は、だまされるやっとだますやつがあるのだから、だまされるほうも少し抜けておったというような、いろいろな問題が対等的にあるかもしれない。片方は国民の最大の権利である良心を盗もうとする。事実盗んだのである。いわゆる詐欺をして、だまして権限行使をしたのである。これも検察庁に聞けばいいことかもしれませんが警察はこういう点を一体どう考えますか。
#95
○高松政府委員 たいへん根本的な御質問でございます。いままで選挙法のいろいろの改正が検討されてまいりましたが、御承知のように、その場面に改正されているものは、いわゆる形式犯といわれるものについての改正が非常に多うございまして、いわゆる実質犯についての改正は従来からあまりなされていなかったわけでございます。詐偽投票その他の問題だと思いますが、そういう問題と刑法の詐欺の問題の間に多少のアンバランスのようなものもございます。事の性質からそうなるのでしょうけれども、いわゆる選挙妨害というようなものは普通の刑法のものより加重されているというものもあるわけでございます。その辺のバランスのとり方というものはいろいろあるのだろうと思いますけれども、選挙法は何といっても国の基本をつちかってまいる法律でございますから、一般の行政犯的な感じ方よりも自然犯に近い形、少なくとも実質犯は自然犯に近い形で事件を処理し、量刑その他を考慮すべきものではないかと私どもは考えております。
#96
○門司委員 これは非常に重要なことでありまして、私は詐欺罪だけを言いましたけれども、たとえば買収、供応というようなものも明らかに収賄罪と見て差しつかえないと私は思う。それからいまの選挙妨害等の問題にしても、これは他人のものをこわすのですから器物毀棄罪に持っていって差しつかえない。個別訪問にしても、これは住居の不法侵入という形法上の処置はとってあるはずなんです。大体書いてあることは似ている。ただ上に選挙という字がくっついているだけなんです。これを一体どういうふうに直すことがよろしいかということであって、ここできょういろいろと選挙の問題について議論をいたしておりますけれども、基本的にこういう問題が解決されない。選挙犯というのは何か国事犯のような形であって、やったやつは、昔のさむらいの向こう傷のようなことで、少し回を重ねるほうが地元で幅がきくのだというようなばかばかしいことがこういうところから起こっていはしないか。ことにさっき申し上げましたように、恩赦なんというのは――選挙違反の実質刑というのはごくわずかで、八〇%ないし九〇%は罰金刑です。だから悪質犯といっても実刑は非常に少ないのです。買収、供応というのはほとんど罰金で済んでいる。その恩赦の対象になっているものに選挙違反犯罪が一番多いということになると、私は選挙法自身について非常に大きな疑いを持つのです。さっきのお話のように、選挙法というのは明らかな憲法付属の大典です。自治法と同じなんです。自治法も憲法の九十二条に基づいて法律ができておるのである。選挙法も同じことなんです。憲法付属の大典であって、言いかえれば憲法改正をなし得る手段としてはこれ以外にはないのです。憲法を改正しようとするならば、選挙によって衆参の三分の二の賛成を得て初めて国民投票に付することができると書いてありますからね。この憲法の条章から見てまいりますと、選挙というものがそういうおろそかなものではないということが考えられる。また私どもそういうことを主張いたしましても、犯罪自身をそういう形で政府は取り扱っているのですからね。だから実際佐藤内閣の姿勢というものは疑わしいのですよ。
 こういう基本的な問題をきょう長く議論するひまもありませんし、大臣忙しいそうですからやめますけれども、自治省に最後に聞いておきたいと思いますことは、たとえばドイツの選挙法を見てみれば、これは全部刑法にゆだねられているのですね。選挙法の中には罰則は一つもないのです。しかし、いわゆる選挙というものが一つの独特の国民の行為であることに間違いはないのでございます。一般の犯罪とこれはある意味においては区別してもよろしいかと私は思います。しかし、問題としては、そういうやはり概念といいますか、犯罪に対する概念というものを、もう少しきびしくする必要がありはしないか。英国の選挙が非常に乱れて、そうしてどうにもならぬときに、腐敗防止法という法律をこしらえた。ちょうど日本の元禄時代だと思いますが、いまから二百年余り前のことです。あのときの、ものの本で読んでみますると、やはりそういう事態があった。これに対してはかなりの厳罰をもって臨むという一つの法があって、そうして選挙権の停止を十年にするとか、あるいは一番きついのは、あそこは一人一区制であって、その選挙区では立候補はしてはならないという規定もあって、その選挙区から追い出してしまう、こういう規定もあそこにあったようですが、こういうものをやはり政府としてはもう少し考える必要がありはしないかということです。そうしなければ、これはいつまでたっても選挙というものがよくならない。いろいろ議論をしていく、そうして選挙違反というものが、ほとんどいまやっている選挙で、厳密にいえばむちゃくちゃなことをやっているということをみんなは言うだけのことでありまして、もうこれ以上私は聞きませんけれども、あとでまた機会があれば一々こまかい例をあげて聞いてもよろしいと思いますが、きょうはだいぶ忙しそうですから、大臣もぼつぼつ参議院に出られるそうですから、これ以上聞きませんけれども、そういう思い切った選挙法の改正というものが考えられないのかということです。私は、いまにして行なわなければ、読んでみると、ちょうどイギリスの一番選挙の悪かった当時と似たような実態になっているわけですね。これについてひとつ最後に御答弁が願えれば御答弁していただきたいと思います。
#97
○中村(啓)政府委員 選挙罰則のあり方につきましては、門司先生の仰せの点は、まことに私どもとしても従来問題であるというふうに存じてきておるところでございますし、また関係方面でもその指摘をされる向きがかなり多いと存じます。できれば選挙罰則も主要なものについては刑法に移そうという試みもあったようでございますが、その後におきまする法務省法制審議会の進展は、必ずしも順調とは言い切れませんが、門司先生の御提案の問題は大事な問題でもございますし、おそらく今度の選挙制度審議会におきましても、そういう論議もまたかなり展開をされていくことになるであろうというふうに存じておるところでございます。
#98
○門司委員 私は、いまの一番最後の答弁があまり気に入らないのですよ。選挙制度審議会でというんなら、選挙制度審議会のやったことみんなやったらどうです。一体これは、選挙法改正を変なふうに曲げていく一つの隠れみのなんですね。私は、政府の態度は、委員会、調査会、審議会なんというのは、みんな政府の都合のいい隠れみのだと思うのですよ。答弁したものの都合のいいところだけ政府はとるけれども、都合の悪いところは一切とらない。だから私は、そういうものもやはり一つの国の機関ですから、そこで検討するということも必要でしょうし、それから刑法に対する審議会で検討することも必要でしょうし、しかし当面の責任はやはり自治省にあるんですから、自治省がそういうものについてはひとつ腹をきめてもらって、こうすべきだというような案がなければならないはずだと思うのです。だから、審議会が幾らやったって、大事な政治資金規正法なんというやつはやりはしないでしょう。そのとおりやってもらえればいいんですが、やりはしない。だから私はそういう答弁ではあまり満足をしないんですよ、実際は。もう少し積極的にあるべきだということ。
 それからもう一つ、選挙で大事なことは、さっき申し上げましたように、憲法付属の大典といわれる選挙法に対して、国民への啓蒙運動というのがこの法律の中にはどこにも出ていないということですね。わずかに選挙管理委員会の規定があるだけであります。これとても行政機関であって、何らの調査権も持っていなければ捜査権も持っていなければ何にも持っていない機関であって、ただ選挙の事務管理をやっておるという程度にしかすぎない。私は、いまのうちにほんとうに選挙というものに対して公正を期して選挙が行なわれるような態度にしないと、えらいことになりはしないかと思うのですね。選挙というものは基盤がきちっとしておれば、たとえばアメリカの選挙がお祭り騒ぎをわあわあやる、イギリスのように自由に戸別訪問しても何をしてもよろしいということを見ても、基盤がきちっとしているなら悪質犯は出ないんですから。基盤が脆弱なところにおかしな法律をつくれば、どうにもならないでどろ沼の中に入るにきまっておる。私は、選挙法の審議にあたっては政府自身、自治省自身がそういうものに対する考え方をひとつ明らかにしていただくことがいいのではないかと思うのです。選挙制度審議会といったって、任期が二年になっておるでしょう。来年、再来年にならなければ答申がないということになると、これはどうにもならないのです。だから、その辺どうなんです、もう少し積極的に出られませんか。
#99
○中村(啓)政府委員 決して審議会を隠れみのにしようというような気持ちは持っておりません。門司先生の仰せの問題意識は、事務当局としても常に持ちまして、その方向で研究し、あるいはなすべきことはしていきたいという気持ちで一ぱいでございます。
#100
○門司委員 ちょうど、時間ですから……。
#101
○吉田委員長 鍛冶良作君。
#102
○鍛冶委員 先ほどから問題になりましたから、ついでにここで文書に関する問題をはっきりしておきたいと思うのです。
 第一、選挙に関する文書を発行でき得る新聞その他雑誌等は、大体でよろしゅうございますが、どういうものができると見ておいでになりますか、部長からひとつお話し願いたい。
#103
○中村(啓)政府委員 新聞紙あるいは雑誌の定義につきましては、しばしば問題になるところでございますが、たとえば放送法があって放送に関する規制があるというふうなぐあいに新聞法なり雑誌法というものがございません。したがって新聞なり雑誌というものが、いかなる要件を整えた場合にこれを新聞といい雑誌と認定し得るかという厳密なスタンダードが法制的に確立されておるというわけではございません。したがって、社会通念に従って判断せざるを得ないと存じます。ただ新聞紙といい雑誌といい、公職選挙法の上では格別に取り扱いを丁重にいたしておりますのは、新聞なり雑誌の役割りというのは、いわゆる社会の公器だということであって、そういう意味での高い社会活動をやるべきものだという前提で公職選挙法等は新聞紙、雑誌等を考えておるところでございます。いずれにしましても、新聞紙、雑誌の認定は、個々具体的に認定をしなければいけないかと存じますが、私どもとして重要なことは、やはりそれが果たしておる役割りというものが、いわゆる社会の公器という意味合いで非常に次元の高いものだということを前提に置いて考えていきたいというふうに思っておるのでございます。
#104
○鍛冶委員 そればかりではありません。選挙を目がけていろいろなものをこしらえて、売らんかなでやっておるものがありますからね。それを制限しておるはずですから、その点をひとつ。いつごろから発行してやっておるものでなかったらできないということは、この間制限したはずです。その点を明瞭にしてもらいたい。
#105
○中村(啓)政府委員 鍛冶先生の仰せのように、公職選挙法ができましたときには、格別の規制がございませんでしたけれども、その後の選挙の実態等から、国会各党の御相談によって、選挙運動期間中におきまして選挙に関して報道なり評論ができる新聞紙、雑誌については一定の要件をつくろうということで百四十八条の第三項が設けられた経緯があります。
#106
○鍛冶委員 したがって何カ月以前からやれるとか、どのようにしておるとか、いまわかっておるのだけここで明瞭にしてもらいたいと思う。
#107
○中村(啓)政府委員 ただいま申し上げましたのは、いわゆる一般の新聞紙、雑誌についてでございまして、さらに政府団体がお出しになります政党のいわゆる機関紙、機関新聞紙、機関雑誌等につきましては、また別異な取り扱いがされておるわけでございまして、これにつきましては先般の旧臘臨時国会においてさらに一部の手直しがありましたが、選挙運動期間中に限りましては、いわゆる確認団体という資格を持った政治団体でないと報道、評論の自由を選挙に関して持たない、かつその機関新聞紙を頒布するにつきましては、選挙まぎわに急造につくられましたような機関紙は、社会活動の実態として実績を持っていないということから制限をする、政談演説会場でしか配れないというふうな改定が行なわれたところでございます。
#108
○鍛冶委員 何カ月以前から発行したものであって、どういう場合でなかったら頒布できないか、それをここで聞かしてもらいたいと思います。
#109
○中村(啓)政府委員 先般の改正によりまして、機関新聞紙等につきましては、引き続き発行されている期間が六カ月に満たないものにつきましては、選挙運動期間中は、たとえ確認団体になりましても、政談演説会の会場以外において頒布することは禁止をするということに改正されたわけであります。
#110
○鍛冶委員 その次は、そういうものでありましても、選挙運動と見られるものは選挙期間にあらざるいわゆる事前運動はできないものと私は心得ておるが、この点は間違いありませんでしょうな。
#111
○中村(啓)政府委員 事前運動は百二十九条によって厳禁をされておるところでございます。ただ新聞紙なり雑誌につきましては、選挙に関する報道、評論の自由はあるということになっておりますので、もっぱら問題はそれぞれの具体的な事態に即して判断をしなければいけませんが、単なる一枚の紙であって、それに候補者の顔が出たり候補者の名前が出ておるということでございますれば、明らかに事前運動に違反した文書図画ということになりまするし、単なるビラ、紙のたぐいではなくて新聞の実体を持っており、新聞の選挙に関する報道、評論であるということの要件にはまれば、それは直ちには事前運動違反の文書図画とは言い切れないということであろうかと思います。
#112
○鍛冶委員 ある一定の社会的事実を論評し、もしくはそれに対する意見を述べるのならば、これはなにだけれども、いま候補に立とうとしておる者、また立つために先ほどからやかましく言われておる事前運動でないかといわれるようなことをやっておる者、また講演会などと称していろいろやっておる者の名前を書いて、そして大きく書けば、これはもう事前運動であることは論を待たぬものと私は心得まするが、これはあなた方でもそのように解釈しておろうと思うが、これは警察のほうではいかがです。私は問題なかろうと思うけれども、念のために……。
#113
○高松政府委員 いま選挙部長から申し上げましたように、選挙期間中においては、これは比較的ぴしぴしと新聞の問題につきましてはやれる。ところが期間前の問題につきましては、百四十八条は「選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」こういう規定でございます。
 解釈といたしましては、報道、評論の自由ということの中にたとえば一定の政党を支持するというふうなことがあっても当然いいわけであるというのが、この百四十八条が当時できましたとき以来の一つの解釈と申しますか、そういういきさつで考えております。したがいまして、そういういわゆる新聞、雑誌に当たるものが報道、評論を掲載するについて、それが報道、評論の範囲になるのか、いま先生がおっしゃるような事前運動ということになるのか、この辺が非常にむずかしいところでございます。
#114
○鍛冶委員 いま中村さん言われたように、一定の社会的事実を問題にして、それを論評して、何かそれに関係したことでもあるというならまだなにだけれども、いま候補者となろうとしていることは天下周知の事実の者を、名前を書いて、その者が偉い者であるとか、その者にやらせなければいかぬとかというのは、これは問題ないと思うのですが、その点を私は言うておるのですよ。それは問題ないと思うが、それでも問題ありますか。
#115
○高松政府委員 まあ報道及び表現の自由ということの範囲がどこまでかという問題に帰着するわけですが、しかし報道、評論の自由というものは当然、たとえば特定の党派を自分の新聞は支持をするあるいは特定の候補者を支持するというふうなことになっても、それは報道、評論の自由の中に入るというのが従来からの考え方でございます。
#116
○鍛冶委員 それは、あなた方やはり選挙を取り締まるならば、その点は厳重にやられぬと、そのものによっていろいろなことをやられたんじゃ、何をやってもしょうがありませんよ。何をこさえてみても、こう解釈すればこうなります。こう解釈すればああなりますといってやっておったんじゃ、一つも取り締まりにもならぬし、問題にもならぬ。先ほど堀君がわざわざこれをもって問題にされたから、片一方ではこういうものが出ておるのだから、これはどうだといわざるを得ないのだ。
 私はいまここまで抽象的に論じまして、今度は具体的に申し上げますが、ここに「明るい革新都政一というものが出ておるが、これはいつから出ておるもので、選挙の報道の自由を持っておる新聞紙に当たるものかどうか。これを第一番に調べてもらいたいと思うのです。これが第一番であります。
 その次は、三月七日の日付で郡民の利益を守るみのべ革新都政を支持します」――「みのべ」とは現在の市長であることは間違いありません。(「市長でないぞ、知事だぞ、正確にやってくれ」と呼ぶ者あり)都政というから都長か。いずれにいたしましても、現在都長候補に立っておる美濃部の運動のために出ておるということは、これはだれに見せたって、文字のわかる者ならば問題ないと思うのです。こういうものは事前運動になると私は確信いたしますが、あなた方はこれをどう心得ますか、これが第二でございます。これちょっと見てください。――その裏を見ると、ここに「美濃部」とこう大きく書いてあるから問題になる。
#117
○高松政府委員 新聞の発行はいつから行なわれているかという点については調べてみますが、いまこの新聞を見ますと、四十二年に三種の認可をとっているということで、かなり前からある新聞には間違いないだろうと思います。継続しているかどうかはよくわかりませんけれども、この点はさらに調べてみます。御指摘の点も私どもはいろいろ問題にし、議論をし 検討するところでございますが、そういう種類のものが実はいま地方選挙を前に控えましてたくさんいろいろございます。それらについてできるだけ、頒布の方法についておかしいとか、いろいろな点で警告を重ねているのが、先ほど申しましたような警告件数が非常に多くなった一つの原因でもあろうかと思います。さらに調べてみますが、一応私どもとしてはそういう感じを持っております。
#118
○鍛冶委員 こういうことを厳重にやらなければいかぬというのがここで出たのですから……。これならまだ私、万一火災があったらということでその事実を書いてあるので……。これでは美濃部の写真を載せて、そうして美濃部はいい政治をやっておる、そうして美濃部を守る者はこれだけの者がおる、美濃部を、革新政治をやらなければならぬ。政治運動であることは一目瞭然たるものですよ。われわれに言わせれば、もうこんなものは論ずるまでもないことです。そうして三月七日に出しておれば選挙運動期間前であること、これも間違いがない。ただ残る問題は、報道の自由を持っておるか持っておらぬかという問題であります。幾ら報道の自由を持っておろうが、選挙の車前であることは問題ないし、そうして選挙に関することを堂々と書いておることは、もう……(「選挙に関してないよ、政治運動だ」と呼ぶ者あり)そういうことがわかっておれば、こういうことをやれと言われる者のほうから出ておるものがあるのに対して、よそのことを言うなら、これは一番先に言わなければならぬものだと思うのでありますわれわれは、こういうことはひとつ厳重にやってもらいたいと思うから申すのです。そうして、いま申し上げました、せっかくこの間法律を直したばかりですから、これは厳重にやらなければならぬ。われわれはここにおって法律を直しながら、こんなものをやっても黙って見ておるということならば、法律を直した効果はなくなります。これだけ申し上げますから、ひとつ厳重にやられることのお手並みを拝見して、いずれまた質問し直しすることにいたしましょう。
#119
○吉田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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