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1970/05/12 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号
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1970/05/12 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号

#1
第065回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第8号
昭和四十六年五月十二日(水曜日)
    午後一時六分開議
 出席委員
   委員長 吉田 重延君
   理事 大西 正男君 理事 鍛冶 良作君
   理事 久野 忠治君 理事 堀  昌雄君
   理事 二見 伸明君 理事 門司  亮君
      赤澤 正道君    白浜 仁吉君
      田中伊三次君    松浦周太郎君
      阿部 昭吾君    西宮  弘君
      岡沢 完治君    林  百郎君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 秋田 大助君
 出席政府委員
        警察庁刑事局長 高松 敬治君
        自治政務次官  大石 八治君
        自治省行政局選
        挙部長     中村 啓一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法改正に関する件
     ――――◇―――――
#2
○吉田委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#3
○堀委員 過ぐる地方選挙は日本の選挙史上で非常に残念な事態が幾つか起こっておりますけれども、特に第六次選挙制度審議会の答申でも私たちが触れておりました選挙の管理の公正の問題という点について、どうも今回の選挙では、その点が非常に不明確である選挙管理が行なわれたような感じがいたしてなりません。
 第一点は、青森県の鯵ヶ沢町における二人町長問題という問題が一つあります。大臣の時間が非常に制約されておりますが、この鯵ヶ沢町の選挙管理委員会の処置がはたしてこのままで正当なのかどうか、自治大臣はこれをどういうふうに判断をしておられるのか、最初にお答えをいただきたいと思います。
#4
○中村(啓)政府委員 結論的に、選挙管理委員会が更正決定の措置をやりましたことは、法律上無権限のことであるというふうに存じております。
#5
○堀委員 そうしますと、この取り扱いはどういうふうに法律的になるのでしょうか。
#6
○中村(啓)政府委員 鯵ヶ沢の件につきましては、五月二十六日に正式に選挙会の決定に基づきまして中村という人が当選をしたということで、当選証書が交付されております。次の日になりまして異議の申し立てがあって、それを基礎にして選挙管理委員会がその異議の裁定をやったという経過になっておるわけであります。その過程においても若干の問題はございますが、それは省略をいたしまして、選管は一応成規の手続に基づきまして、さきに行なわれた選挙結果に対する異議の決定をやったものと現時点で考えざるを得ないであろうと思っております。しかし選管のやり得ることは異議の決定でございまして、その異議の決定の内容は、さきの中村という人の当選の無効を決定いたしておるわけでございますが、その選管の当選の無効という決定の効力が確定をいたしますのは、選管の異議の決定に対して争いがないという事態、いわゆる提訴期間が過ぎ、その間において県選管に対する審査の申し立て等の争いがないという場合に、初めて選管の前の決定は取り消さるべきものであるという効力が確定することになるわけでございますので、その時点以降において更正決定をなし得る能力が出るわけでございます。にもかかわりませず、本件につきましては、争訟の提起期間のまだ経過していない段階で、異議の決定を前提に、直ちにあらためて異議の決定に基づいて当選証書を付与したという事態でございます。しかし法律的には、あとで出しました当選証書は全く無権限なるものでございまして、私ども法律的には二人町長なんかという事態では全然ないというふうに存じておる次第でございます。
#7
○堀委員 そうすると、法律的には、いま町長になっておる人は町長ではなくて、要するに町長ではないほうが町長である、法律的には。そういうことですか。
#8
○中村(啓)政府委員 私の言い方があるいはまずくて恐縮をいたしますが、町の選管が更正決定をなし得る権限のある段階ではまだございません。したがって、先に決定をした中村町長の当選の効力は何らまだ否定されておらない段階でございます。またそれを否定し得る能力のない段階でございますので、選管が更正決定をいたしましても、それは異議に対する決定というのにとどまりまして、それ以上のものではございません。
#9
○堀委員 それでは、そういう町選管の法律的行為に対する瑕疵がある場合には、これはどういう処置を求めることになるのですか。
#10
○中村(啓)政府委員 この件につきまして、特に鯵ケ沢という町のいろんな特殊な政治風土というものが関連をしておる問題が多々あるようでございますけれども、それはそれといたしまして、この問題につきましては、一応町の選管が異議の申し立てに対して決定をした決定の内容は、先に当選人と決定をされた中村という方に対する当選の無効の決定でございますが、それはそれとして有効になされたものという前提に立ちまして、今度は中村派から町の選管の決定に対する不服の申し立てを県の選挙管理委員会に出した、現時点では県の選挙管理委員会が町の決定を審査をするという段階でございます。
#11
○堀委員 いずれにいたしましても、今度の問題の中には、一方的に選挙管理事務の際に改変が行なわれておるのではないのかという疑いが新聞で報道されておるわけであります。このことは同時に島根県における知事選挙においても選挙管理中に手を加えたおそれがあるという問題も提起されておるわけですね。これは実は、民主主義の土台をなす選挙制度の管理にあたって、その管理中に何らかの操作が行なわれるなどということはきわめて重大な問題だと思うのですが、自治大臣はこれらの事件が起きておることに対してどういうふうな考えをお持ちであり、これにどう対処してこのようなことの再発を防ぐようにお考えになっておるか、承りたいと思います。
#12
○秋田国務大臣 選挙の執行管理の公正につきまして疑惑を生ぜしめる事態、それがほんとうに事実であるかどうかは別といたしまして、こういう点につきいろいろ疑惑があるということはまことに遺憾でございます。鯵ケ沢の問題にいたしましても、特殊の政治風土である云々ということは別といたしまして、いやしくも選挙管理上に法律手続上の不備を選挙管理当局がおかすというようなことは、これまた遺憾であると同時に、あってはならぬことでございます。こういう点についての指導と申しますか啓蒙と申しますか、また一般の社会通念の向上ということもやはりその基本的条件として必要なことでございましょうが、こういう点につきましてはひとつ一そう注意をいたしまして、これらの選挙管理上の点につきましての措置あるいは指導という点に一そうひとつ戒心をして、再びこういうことのないように、いろいろの方途につき考えてみたいと思っております。
#13
○堀委員 これは選挙制度審議会も答申をし、当委員会でもしばしば述べられておることですが、政府が選挙管理委員会及びその職員――町や村には専従の職員がないところがかなりあるというように聞いておるわけでありますけれども、この重要な選挙管理の業務に携わるものを独立した業務として設け、同時にこれが行政委員会であるということが十分に町民なりあるいは村民なりすべてによくわかるように周知徹底あるいは啓蒙が行なわれるための費用等、やはり選挙管理というものに対する政府のかまえの甘さが私は今日ここに問題提起しているんじゃないかと思うのです。そのことは単に人員の問題だけでなく、財政的にもある程度の裏づけをしない限り、私はこういう問題が根本的になかなか改められないんじゃないのか、こう考えるわけですが、このいまの問題を契機として今後の選挙管理委員会のあるべき姿といいますか、要するに今度の選挙管理に関係しておる者がいずれかの派の者に関係しておるなどということでは、これは公正な選挙管理が行なわれるはずがないと思うのです。それは村や町の特殊性というものがあるかもしれません。あるかもしれませんけれども、やはり少なくとも選挙の管理に当たる者ぐらいは中立的な者がそこにあるような日常の努力というものを、私は行政の面でももう少し進めていかなければ、町をあげて職員から何から全部がどちらかの派に分かれて係争するというようなことになれば、私は選挙の公正を守るなどということはたいへんむずかしいことになるのではないかと思うのでありますが、大臣、いかがでありますか。
#14
○秋田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、人員の点について、またこれが裏づけをなす財政の点につきましても、この際考慮すべきものが多多あろうと思います。また従来そういう観点におきまして、選挙庁というようなものの改変を主張もしておったのですが、こういう実際の経験に徴しまして、さらに検討を加えて善処をいたしてみたいと思います。
#15
○堀委員 どうかひとつ早急に、自治省としてこの選挙管理の公正に関しての必要な条件、これらを整備をして、当委員会に一ぺん提出をしてもらいたいと思います。来年度予算をそれに基づいて要求をするというような具体的な問題をひとつ当委員会に自治省として出してもらいたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#16
○秋田国務大臣 配慮いたしたいと考えます。
#17
○堀委員 もう一つ、これはいまのあれでありますが、あとで警察庁のほうに少し詳しく伺うつもりでありますけれども、今度の選挙の中には、私どもが常識で考えられなかったような各種の問題が発生をしております。五千円札を封書で送り込むなどというような、われわれとして考えたこともない方法、手段がとられておるわけでありますけれども、その中に非常に大きな問題がどこにあるかというと、やはり政治道義という問題が全体として少し乱れてきているのじゃないか。その政治道義の乱れのもとは、私はやはり政治資金の規制にあるのじゃないか。ですから、そういう政治資金の使い方、要するに金は幾らでも使えるのだという前提があるから五千円問題なんというものが起きてくる、こう思うのですが、こういう地方選挙の状態、特にこの間の警察庁からの御報告によりましても、買収その他の案件が非常にふえておるわけでありますが、この傾向を是正するのは、私は何としても政治資金の問題を除外してはあり得ない、こう思うのですが自治大臣は今度のこれらの実質犯、買収その他に関する常識を越えた実質犯の増加という問題と私がいま申し上げておる政治資金のあり方について関係がないと思っておられるのかどうか。関係がありとすればどういう対策を講ずべきであるかをお伺いいたしたいと思います。
#18
○秋田国務大臣 広い意味におきまして関係なしとは言い切れないと思いますけれども、直接には、ああいう常識を絶したような選挙違反行為があるといたしますれば、それはまた別途に十分考慮さるべき問題を含んでおる。すなわち政治教育の徹底あるいは政治意識の向上を期すること等も考うべきであります。しかし、それだからといって政治資金規正法の改正の問題はネグレクトしていいとは考えておりません。しばしば申し上げておるとおり、これにつきましては、いろいろの前提条件等の整備を急速にいたしまして、あわせて選挙執行の公正、また政治活動の公正をはかるべきであると考えます。
#19
○堀委員 それでは、十五分だそうですから終わります。
#20
○吉田委員長 二見伸明君。
#21
○二見委員 堀委員の質問とダブらないようにして一、二点お尋ねしたいと思います。
 いま鯵ヶ沢の問題が出ました。また別に山梨県の田富町では、県会議員の選挙に際して元町長をかついだ全町議十五人が買収でもって逮捕されたというニュース報道がございました。これを通して一、二点お尋ねしたいのですけれども、これも一面から言えば、選挙に携わる人の政治意識の問題、政治道義の問題であると同時に、逮捕されたことは別としまして、この町では町会議員は一期ないし二期で交代という慣例があり、名誉職の色が濃い、こういう事実であります。町会議員が一期つとめてやめるやめないというのは本人の自由意思でありますから、それはかまいませんけれども、それが一つの慣習としてたらい回し的なやり方がもし行なわれているとしたならば、それは自治省としてはどういうふうな解釈を持っているのか。その点はいかがでしょうか。
#22
○中村(啓)政府委員 二見先生のお話のように、今回の選挙で目立った一つの問題として、選挙が都市型のところと農村型のところで非常に違った様相を呈したという点があげられるかと思います。農村型につきましては、いまお話の出ましたように、都市と違って、むしろ政治全体の見方が非常に固定的であるという点が露呈をした幾つかの事象が確かにございました。御指摘になりました山梨県の問題につきましては、町議のたらい回しという問題も私どもも耳にいたしております。おそらくは町の円満のためという意味合いで、特に選挙戦をはなやかに展開をしてまで議席を争うほどの実情でもないということから事柄が行なわれておるというふうな県からの報告でございますが、いずれにしましても、農村は農村の問題点が当然あるところでありますので、町の円満も大事でございますが、正しい有権者意識、政治意識で一票を行使するという方向にさらになってまいりますように私どもとしては努力をいたしていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。
#23
○二見委員 三月の初めだと思いましたけれども、神奈川県の足柄郡かどこかで予備投票みたいなことが行なわれて問題になったことがございますね。この山梨県の例も結局は同じような内容のものじゃないかと私は思うわけです。神奈川県の予備投票の問題については自治省では特別の指導をされたわけですか。それとも、それはそういう報告を聞いただけで黙っていたわけですか。
#24
○中村(啓)政府委員 お話のように、候補者の選定についてあらかじめ関係者が集まって話し合いをするというような事態が間々ございます。御指摘のように神奈川にも、それを予備投票という名前でやった例もあったようでございます。私どもは、一律に地域でいろいろなお話し合いをなさるということ自体が悪いとはなかなか言いかねる面がございますけれども、しかし単に従来のありきたりなりあるいは情実なりというような次元で、候補者の選定をいわば地域協定なりあるいは地域、部落の話し合いという形で固定的に行なわれることは好ましくないので、やはり一人一人の有権者が自分の頭で考えて投票をなさるという方向であるべきだというふうに一般的に指導をいたしておるところでございます。
#25
○二見委員 山梨県の例にしても、たとえばたらい回し的なことは自治省としては県から報告も受けている。ではどうしたらたらい回しをやめることができるかというと、いまの方法としては、選挙民、地元の人々に、たらい回しはいけないのだという政治意識の高揚を待つ以外にはないという判断なのでしょうか。それに対しては、自治省としては積極的な啓蒙活動というのを今後とも展開していくのかどうか。それはいけないんだとわかっていたって、地元の人たちはそうも感じていないのだろうし、政治意識を高揚するといっても、こちらで言っているだけでは高揚はしないだろうし、そういう点については今後どういうふうな指導をするのか、啓蒙運動というのをやっていくのか。その点はいかがです。
#26
○中村(啓)政府委員 確かにお話しの点につきましては私どもも、日本全体としては、有権者意識あるいは有権者の権利意識が盛り上がった一面が今度の選挙で非常に大きく出たと存じてはおりますが、また一部におきましては、従来以上に固定的な傾向が露呈したという面のあったことも事実だと思っております。
 それで、選挙が終わりましてから、関係者特に選挙啓発について一生懸命やっていただいております民間の方々なんかにもお集まりをいただいて、特にそういう農村的に、いわば政治意識という点について問題のあるような向きについての、これからの関係者のとるべき方法というような点については、るる打ち合わせをいたしておるところでございます。やはり関係者が一致して申しますのは、そういう点についてそれぞれの地域地域にいろいろな問題があるところでございますので、小さい地域単位に問題点を論議をしていくという、いわゆる関係者の間では政治学習と申しておりますが、そういうことは従来ともそのための方法としてとってきたところでありますけれども、そういう地域地域の比較的スモールスケールの政治学習というものをぜひやるべきであるという考え方になって、これからさらに四年後を目ざし、あるいはその間いろいろな選挙がありますが、特に問題でありますような地域を重点的に、経費の投入等についてもできるだけお手伝いをすることによって、そういうスモールスケールの政治学習というようなことについて特に配慮をしていきたいというふうに存じておるところでございます。
#27
○二見委員 先ほど選挙管理事務の問題点が堀委員のほうから指摘がありましたけれども、たとえば開票立会人をきめる場合ですね。私はこういうことはあまりないと思っていたのだけれども、普通ですと選管がきめますが、それは公開で行なわれるのが普通です。選挙法では公開とも非公開とも書いてございませんけれども、これは常識的にいって公開でやるのが当然であろうと思うし、全国的にも公開でやられているのが非常に多いケースだろうと思います。ところが農村の地帯へ行くと、開票立会人というのは、まるっきり非公開で、選管だけでもって開票立会人の選定が行なわれているという事実もあります。しかもそういう町に行って聞いてみれば、いまの選管の委員長は町長派だから、あるいは選管の役員は町長派が多い、何々県会議員派が多い、だから今度の選挙の結果は町長派のほうが数が多いだろうとか、あるいは、いや、県会議員派のほうが今度は選管に携わっている人の数が多いから、何々県議派のほうが町会議員選挙の当選者が多いだろうとか、現実に町の人たちからうわさになるわけです。そのとおりかどうかわかりませんよ、それは。あるいは公正に立会人の選定は行なわれているかもしれない。しかし、そういううわさはその町へ行ってみればもうどこへ行っても言われることなんです。こういうことについては自治省としては今後どういうふうにしていきますか。選挙法を改正するとか、あるいはその点は、そういうやり方はちゃんと公開の席上でやったって問題ないんだから、公開の席上でやるべきだという行政指導なり何なりでそういうものを是正していくのか、その点はいかがでしょうか。
#28
○中村(啓)政府委員 今度の選挙で没常識的な選挙管理に対する行為が先ほど御指摘のようにありましたことは、何ともほんとうに残念に思いまするし、申しわけないと思っております。これは何としても払拭しなければいけないというふうに存じます。
 開票立会人の選任につきましても、候補者の御推薦をいただいてやっておるわけでありますが、十人をこえた場合にはくじできめる。その際には、あらかじめくじ引きの場所等はお知らせをするということになっておるわけでございます。したがって、大ぜいがお集まりになっておやりになるわけでございまして、特にしたがって、そのほかくじの立会人というようなものをさらに必要とするという仕組みにはいたしておりませんが、そこでそのくじが非公開的な印象を与えておるということであるとすれば、非常にまずいと思います。私どもはそういう点の誤解のないような指導はぜひやりたいと思っておるところであります。
#29
○二見委員 それからもう一点。これは全国で数が非常に少なくなったはずですが、たとえば町会議員の選挙ですね。普通だったら、一つの町全体が一選挙区で町会議員が二十名とか二十何名とか選ばれるのが普通ですね。ところが町によっては、町村合併した町なんかでは、昔の部落単位でもって選挙をやるというところもありますですね。これはたしか町の条例か何かできめていく問題だろうと思います。これは決して私は望ましい形ではないんじゃないだろうか。町会議員の選挙ならば、一つの町全体を一選挙区として選ぶのが当然だろうと思います。こういう点が、全国でもまずそれほどの数ではないけれども残っているはずなんです。そういう点を自治省としては今後どういうふうに指導されていくのか。その点だけを伺って、終わりたいと思います。
#30
○中村(啓)政府委員 お話のように、市町村会議員は市町村の全域から選ぶというのをたてまえにいたしておりますが、主として町村合併等の因縁がからみまして、なお旧村単位を選挙区にしておるという向きもございますので、その点はできるだけ市町村全域という形に持っていきたいと思っております。ただ、市の中でたいへんに人口が集中した巨大都市ができてきておりまして、それについての合理的な選び方はないかという問題が別の面でございます。それはそれとして検討することにしまして、一般的にお話のありました二見先生の御提案については、私どもは同様に感じておりますので、やはりたてまえとしては全市町村を単位に市会議員、町会議員、村会議員が選ばれるという方向で指導いたしたいと存じております。
#31
○吉田委員長 門司亮君。
#32
○門司委員 ぼくは率直に聞いておきますが、どうでしょう大臣、いままでの御質問の中にもありましたがどうしても今度の選挙を通じて私どもが考えられるのは、いま選挙制度審議会でいろいろ議論をいたしておりまするものと別に、事務的な問題で選挙法の改正を必要とするようなものがあるようなことになってやしないか、こう思うのですが、この点について大臣から率直にひとつ意見を聞かしておいていただきたいと思います。
#33
○秋田国務大臣 多少幾らかそういう必要があるのではなかろうかという感じを持っております。具体的な内容につきましては事務当局から申し上げたいと思います。
#34
○中村(啓)政府委員 門司先生の御指摘になりました点については、私ども選挙管理という面から考えさせられております点が二、三ございます。
 一つは、たとえば東京都知事選挙をめぐりましての、あの十三人分用意をいたしました公営掲示板の張られ方一つを例にとりましても、いまのあの公営掲示板のシステムでは、たいへんにむだが多いし、また効果の面あるいは選挙民に対するインフォメーションの役割りという点から見ましても非常に問題があると思っております。そういう意味で、もう少し有効に適切に選挙民のためにお役に立つような選挙公営のあり方という点は私どもぜひ考えなければいけない。特に最近の都市、特にマンモス化いたしました都市におきまする選挙につきまして、選挙民がほんとうに正しい政治、選挙の情報をどう得るかという面について、いまの制度について事務的にある程度の検討を加えたいというふうに特に痛切に感じておるところでございます。
#35
○門司委員 大体その程度といいますか、問題は私はそういう小手先のことでなくて、もう少しいまの争いの起こっているような問題にメスを入れる必要があはしないかということであります。いま島根県で御承知のように知事さんの選挙で、山野君とだれかがだいぶ争っているようでありますが、島根県は今度だけじゃありませんで、十年前ぐらいになりますか、二回ぐらい前の、あそこの市長選挙か何かであったと思うのですが、このときなどは、選挙の開票に立ち会う職員がみんな鉛筆とゴム消しを持っておったということで、一体それで公正な開票が行なわれたかどうかということで訴訟をされたことがございました。私はこれは記憶に残っておるし、それからそういう関係の書類は全部送っていただきまして、委員会でもこの話はしたのでありますが、やはり今度の場合も、かなりずさんなと言っていいほどの問題が開票の再点検をしてみると出てきておる。それから東京の都会議員のこの前の選挙のときに、やはりこれと同じような問題が出てきて、御承知のように、当然当選してしておった人が一年何カ月たった後に初めて票数が間違っておった、いわゆる五百票か千票かの違いがあったというようなことで、次点の人が繰り上がって当選になっておるという事例があるのであります。こういうことがやはり先ほどの問題等についてもからんできているのではないか。いわゆる選挙の点検に対するずさんなあり方というようなものについて、もう少し何とか公正にやれるような方法はないかということであります。これは町が二つに割れているからどうのこうのというのとは別に、至るところでこういうことをやっているのですね。だから僅少な差で当落がきまったところには、必ずと言っていいほど当選無効の訴訟が起こるかあるいは異議の申し立てがあるかということになっておる。ほとんど選挙にこういうものはつきもののようになっておる。したがって開票は、点検がもう少し公正に行なわれるということが選挙の公正を期する一つの問題だと私は考えるけれども、改正の余地はございませんか。これは何かお考えないですか。
#36
○中村(啓)政府委員 先ほど門司先生のお話しの問題点の一つをちょっと取り落としましてたいへん恐縮でありましたが、もう一点、私ども今回の選挙で痛感をしましたのは、選挙運動と政治活動というものの実態について、あらためて見直す余地が出てきておるのではないかという点を感じております。
 と申しますのは、選挙運動期間中、選挙運動の主体になるのは候補者であって、候補者が中心になって選挙運動を展開するということになっておるわけでございますが、むしろ実質的には、影武者であるべきいわゆる後援団体と申しますか政治団体が政治活動という名で展開をなさる活動のウエートが非常に高まってまいっております。そういう面で、いままでの公職選挙法でとっておりますような選挙運動と政治活動というシステムでよろしいかどうかという点については、やはりあらためて問題が提起されておるような気がいたしておるところであります。
 次に、ただいま門司先生からお話しのございましたいわゆる選挙管理の面についての反省でございますが、確かにいままでは、できるだけたくさんの人に投票してもらい、かつその結果は極力早くわかるようにするということに力を入れ過ぎたきらいがございます。そういう意味で、ただ早く早くということで、点検についていままでのやり方が万全であったかどうかという点については、問題の余地があろうと思います。私どもは、今回の事件を契機に、あらためて点検のしかたについても、とにかくいま一歩を進めるように研究をいたしたいというふうに存じておるところであります。
#37
○門司委員 もう一つだけ聞いておきますが、いまのお話だと、選挙運動と政治活動なんというようなことは一つの理屈であって、理論であって、私はこれよりもむしろもう一つの運動としては、選挙管理委員会の任務の中に、当然選挙民に対する啓蒙ということは書かれておるけれども、これがちっともなされていないのじゃないかということである。選挙管理委員会というのがほとんど形骸化したというとおこられるかもしれませんが、いわゆる事務管理に終わってやしないかということであります。事務手続の管理だけしかしてないのじゃないかということです。私は、選挙管理委員会ががっちりして、選挙管理委員会としての十分の職責を果たしておるとするなら、そういう票の点検等に対しても十分行なわれるはずなんです。ところがそういうものが行なわれていない結果、さっき言ったような、はなはだしい例は、全部の人が消しゴムと鉛筆を持って入っておったということになると、何をやったんだかわからないということになって、選挙がきわめて不明朗に行なわれる。私はこの際、選挙管理委員会にもう少し権威を持たせる関係から、あるいは穏当な選挙運動というものを一体どう管理していくかという本来の姿に立ち返った権威あるものにしていきたい。それの具体的なこととしては、選挙民の啓蒙をどうするかということである。一方は政治資金の規制の問題をさっき堀君から話しましたが、そうすることによって、選挙を行なう者の自粛と選挙を行なう者の活動の範囲というものを一応制限する。これはお金を制限してしまえばある程度野方図にはやれないことになるのでありますから、一応ワクをはめてしまうということも、選挙を行なう者のほうの一つの考え方。ところが投票をするほうの側について、やはり選挙に対する意識というものが、これを並行して改善されていかなければならない。選挙だから当然ごちそうになるのがあたりまえだとか、どこからか買収されるのがあたりまえだというような旧来のものの考え方の上に立った考え方ではなくて、そしてよくいわれておりますように、かりそめにも選挙違反のような疑いのある行為をする人には最初から投票しないんだというところまで住民の意識というものが、自分たちの権利だという意識というものが高揚されることが必要じゃないかということである。選挙というのは国民に与えられた最大の権利です。その最大の権利行使にあたって、詐偽投票が行なわれるとか、あるいは買収に応ずるとか、供応に応ずるとかいうことは自分の良心を売ることであって、この良心を売ることを平然として行なうような思想が続いておるというところに選挙の今日のような間違いが出てきているのである。したがって、選挙管理委員会の仕事がもしできないというならほかの方法で、選挙というものはこういうものであると、平たく言えば選挙法の内容をもう少しはっきり国民に知らせるということである。自分の一番大事な権利である選挙法について、一票を行使する選挙法について国民のどれだけの人が一体知っているかということになると、ほとんど私は知っていないと言ったほうがいいくらいじゃないかと思います。だから平然として違反行為が行なわれる。こういう二つの面がどうしてもこの際必要だ、こう考えるが、そういう点の改正をする御意思はございませんか。一つは、政治資金規正法の改正をして、選挙を行なう者のほうの立場というものを明確にしていく、明朗にしていく。一つは、投票する国民の側において、間違いのある選挙運動というようなものは受け付けないというような運動ができてくれば、これは両方そういうことにしないと、一方だけをどんなに制限してもなかなかうまくいかないのではないかという気が私はする。現行の選挙法でも、選挙法がそのまま守られていればこれは問題ないのです。ざっと使ってよろしい金はきまっておるし、このワクの中でみんなが選挙をやっていれば別に問題は起こらぬ。ところがそのワクを越えて、あんなものはあるんだかないんだかわからない。選挙管理委員会に届けられたものを承認する以外に道はございませんというようなことです。大体あの規定というものは全く空文化しておる。ところが、選挙法の中で一番きつい規定はあの規定である。規定された選挙費用を一円でもオーバーすれば、直ちに候補者は失格だという、この一番きつい規定が一番空文化したというより死文化してしまって、何にもならなくなってきている。この辺は自治省としてあなた方何も気がつきませんか。ただ資金法だけやってみたところで、直ちに効果があるものと私は考えない。やはり受け入れるほうにそれだけの自覚を促す方法がどうしても必要だと考えられるのだが、そういう点はどうお考えになりますか。
#38
○中村(啓)政府委員 門司先生からいろいろ御注意いただきましたが、第一にお話のあった選挙管理の公正さに対して今回疑念を抱かしめる事象があったという点の御指摘は、お三人の先生並んで御指摘のあったところでもありますし、恐縮に思っておりますが、鯵ケ沢のごときは、全く法律の上では明瞭に二人の町長などということはあり得ないことでありますし、没常識的なことでございまして、論外な事態だと思っておるところでございます。私どもは、投票の管理、特に投票の点検の公正さという点について、職員が意図的に何らか不公正をはかったという事態は少なくともあろうはずがないと思うておるわけでありますが、今回の事態で結果的に点検ミスが指摘をされるようになったのはほんとうに恐縮に思っております。しかし私どもは、特殊な論外なるものは別にして、意図的な不公正があったとは信じておりませんけれども、しかし点検の公正さのためにさらにもう一段考え直すという点は十分やらなければならぬと存じておる次第でございます。
 それから、次に御指摘のあったところでありますが、私どもも、選挙管理委員会という立場で、いわゆる選挙人の政治意識の向上という点にお役に立つことはぜひやらなければいけないというふうに存じます。その点で門司先生から一つの例として、いまの法定費用の順守ということが実態としてどうなっているか、あるいは選挙管理に当たっておる当局としてどう考えておるかというような面も御指摘がありましたけれども、この点につきましては、私どもの問題意識はあるいは先生と少しずれるかもしれませんが、個人候補者の法定費用、これはそれなりに選挙運動期間だけの問題でありますので、ある程度守られておるといえば守られておる面があります。しかし選挙運動は短い選挙運動期間中に限りませんし、またいわゆる選挙の主体が、候補者だけではなしに、そのバックの政治団体の活動として行なわれており、それにつきましては相当な経費が出ておる。これは今回の選挙にあたっても、候補者の届け出と候補者を推薦した確認団体の収支をした届け出が出そろえば数字が出てくると思いますが、おそらく法定費用をかなり上回ったものが――かなりどころか何倍、何十倍近いものが政治団体の経費として収支されておるというような問題もございますので、そういう点で私どもとしては確かに問題のあるところであろうというふうに思っております。そういう意味で政治活動と選挙運動というものについてのシステムについて検討の余地はあるのであろうというふうに考えておるわけでございます。
 なお、それはそれといたしまして、選挙管理委員会としては、選挙法のルールを守っていただくということについてほんとうに浸透するために、もっともっとこれからも留意をいたしてまいりたいと思います。
#39
○吉田委員長 林百郎君。
#40
○林(百)委員 自治大臣にお聞きしますが、今度の一斉地方選挙を総括して、自民党の選挙調査会は去る四月二十日、多くの無所属知事が生まれたが、衆参両院選挙は政党中心に行なわれるべきで、このために政党法の制定を急ぐ必要があるという結論を出したということが新聞に出ているわけですね。この考え方を自民党としては第七次選挙制度審議会に反映さしていくことをきめたと伝えられているわけでありますけれども、この事実はどうですか。
#41
○秋田国務大臣 そのことは新聞紙上で私読みました。したがって、その内容につきましては、事実そうなのかどうかということにつきましても関係方面に聞いてみたわけでございますが、そういうふうにはっきりしたものでもないのじゃないかというような話を聞いておるのでございます。私といたしましては、地方選挙の政党化につきましてはいろいろ議論があろうと思います。しかし政党法というものが一体どういう内容であるかは問題でございますけれども、そのことと直接、だから政党法を制定しなければならぬという強い必然性があるものではなくて、私は、やはり金のかからない政党本位と申しますか、党本位の選挙が行なわれるためには、政党というものの定義等がある程度の分野において行なわれるということ、規定されるということが論議の対象にはなるだろう、しかし今回の、無所属候補者が多い、したがって政党法を制定しなければならぬという必然性と必要度とは、これは個人的見解でありますが、そうないのではないか、むしろ、そうじゃなくて、従来からの立場におきまして、政党というものが選挙法の改善においてどういうふうに考えられるべきであるか、こういうふうな問題のとらえ方を依然いたしておるわけでございまして、党において積極的にそういうあれをしたというふうにはまだ聞いておらないのでございます。
#42
○林(百)委員 自治省としては、金のかからない政党本位の選挙というたてまえに立って、今回の統一地方選挙の結果を検討して、そして政党本位の選挙というような立場から、政党法という名前をつけるつけないは別として、それに対して第七次選挙制度審議会に、何らかの形で、政党本位の選挙を行なうにはどうしたらいいかというような諮問はなさっているのですか。あるいはなさるおつもりですか。あとで選挙部長に聞きますけれども、大臣のお考えはどうですか。全然そういうものは諮問なさらないお考えなんですか。率直に言ってください。
#43
○秋田国務大臣 金のかからない政党本位の選挙をやるにはどういう方法がいいだろうか、ひとつ広く具体的に御検討を願いたいという趣旨を申しております。それには必ず政党法という色彩のものが予定されなければならぬというようなことは、必然的な必要性のあるものとは考えておりません。そこらはいろいろ御自由に審議会の御検討の結果に待ちたい、こういうつもりでございます。
#44
○林(百)委員 それでは選挙部長にお尋ねしますが、選挙制度審議会の中では政党法の論議をされておるわけですか。それとからんで小選挙区制の問題も論議されているわけなんですか。それはいまどういうことになっておりますか。
#45
○中村(啓)政府委員 現在、選挙制度審議会は二つの小委員会に分かれまして論議を進めておる段階でございますが、両委員会とも共通をいたしまして、いまの選挙が候補者本位に片寄り過ぎておりますために、いろんな面で問題があるので、できたら選挙の軌道を政党本位の方向に持っていくようにしたいというのが考え方の基調のようでございます。そういう意味合いで、政党という組織、政党というものの活動が、選挙の面でももっと表舞台に出られますにどう考えたらいいかというような点でいま論議をされておるところでございまして、それが政党法という形にまで持っていかなければいけないという点にまでは必ずしも至っておりません。しかし、政党が選挙なりの面でもっと大きなウエートを占めるべきではないか、そういう方向で検討したいというのが大方の一致した方向のように見受けられます。
 また区制の問題につきましては、そういう意味で政党本位の選挙が促進をされるような方向の区制として、いまの中選挙区単記という制度がふさわしいかどうかというところに議論が集中をされておる段階でありますが、いままで開かれました数回の論議の過程では、いまの中選挙区単記ということでは、個人本位という基調がなかなか変わらないのじゃないか、そういう意味合いで、できれば改善するのが好ましいのではないかという議論にまでいっておりますが、その方向が小選挙区制がいいとか比例代表制がいいということにまでは至っておりません。現在の審議の大かたの動きは申し上げたような点でございます。
#46
○林(百)委員 大臣も御承知のとおりに、今度統一勢力、たとえば共産党、社会党、労働組合、こういう勢力が統一して、美濃部さんなり大阪の黒田さんなり川崎の市長など、全国で大きな躍進を遂げたわけですね。これが、いま選挙部長の言う、政党をもっとはっきり打ち出した選挙でなければならないということの裏面になっていることなんですか。そうだとすれば、革新統一勢力による選挙というものに対する一つの、きついことばで言えば挑戦にもなるわけなんです。いま選挙部長の言われた、もっと政党というものを中心としてはっきり打ち出した選挙を考えなければならないということは、もう少し具体的に言うとどういうことになるのでしょうか。大臣のお考えはどうでしょう。
#47
○秋田国務大臣 私、多忙なために選挙制度審議会の論議を拝聴もいたしておりませんし、また一一トレースもいたしておりませんので、どういう意味において政党というものが論ぜられておる段階であるか、実情を私は知悉いたしておりません。また先生がいま問題にされましたいわゆる統一確認団体による候補者の出現あるいはそういう確認団体の出現というもの、あるいはそれの是認というものを、いわゆる政党という観念でこれを否定しているような意味合いにおいて論ぜられておるか、あるいはそうでないのか、そういう点も実情は存じませんが、おそらく後者のような否定を意味しているようなことを特に考えて、いろいろ金のかからない公正な選挙を考える場合の団体の資格に考えておるというようなことはないのではなかろうかと私は思っております。
#48
○林(百)委員 四月二十四日の朝日新聞ではまっ正面から「政党法の制定に反対する」という社説が出ているわけです。広範な世論もまた政党法の制定に反対を唱えているのですけれども、自民党の選挙調査会が政党法の制定を急いで進めているということは、これは自民党の党略的な立場に立ってやっているようにわれわれは思うわけでございますけれども、自民党の選挙調査会が政党法の制定を急ぐべきだという結論を出したということ、これと関係あるなしにかかわらず、自治省としては、第七次選挙制度審議会とは別に、政党法というようなものはどういうようにあるべきかというような、この制定の基準ですね。どうも大臣の言うことも選挙部長の言うこともよくわからないのですが、選挙を政党というものを打ち出した選挙にするということを考えているということは、具体的にはどういうことなのか。それから選挙区制についてもそれに関連して考えなければならないが、必ずしもそれが小選挙区制とは結びつかないということはどういうことなのか。政党法と名づけるかどうかは別として、やはり何らか政党本位の選挙あるいはそういうもののための選挙区制というようなものを考える必要を感じ取っておられるのかどうか。この点大臣、もう少し率直に言えないのですか。もしかりに、それじゃ政党法の制定というようなことについては選挙制度審議会にはもうそういう諮問はしないならしないと大臣はここでおっしゃれるのかどうか。あるいは第七次選挙制度審議会で政党法を制定しろというような答申があったとしても、大臣としては政党法をきめるという腹はないというお考えなのか、もう少し具体的に政党本位の選挙ということについてどういうようにお考えになっているのか、御説明願いたい。
#49
○秋田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、私の知る範囲におきましては、自民党が政党法をつくるということを党議として決定をしたというようなことはないと思います。いろいろそういうことについて少数の方の間に議論があった事実はあるようでございますが、党議としてきめたということは事実ないと私は確信をいたしております。自治省といたしまして、この際政党法、これがその内容において何ものを意味するかは別といたしまして、そういうものをつくろうという精神は、一応そういう気持ちを持った考え方はございません。ただ、金のかからない公正な選挙というものを非常に必要だと考えております。そこで、要するに、個人本位から何らかの団体本位の選挙ということになりますれば、やはりそういう選挙の主体となり得るグループについて、何らかの資格要件的なデフィニション、定義が少なくとも必要になりはしないかというようなことが理論的にも予想されます。また、そういうことをあまりことさらにはっきりしないであるいは一連の法の改正が可能かもしれません。しかし、そこいらに至りましては、つくってはいけないのだ、いやつくらなければいかぬというような気持ちは、はっきりしたものを持っているわけではなくて、金のかからないグループ本位の選挙をするためには何らかの規定が必要だ、そういう選挙運動の主体になり得る何らかの資格要件をある程度記述しておくことが必要になるならば、そういう点においても御考慮を願うのにやぶさかではない、こういう気持ちでございまして、何が何でも政党法と名づけるようなものを前提にしなければ、われわれの企図する、またお願いをいたしました選挙法の改正はできないのじゃなかろうかというような考え方は持っておりません。
#50
○林(百)委員 選挙部長、いま大臣の言われたことをもう少し具体的に――政党本位で金のかからない選挙をするための何らかの定義、規制が必要ではなかろうかということを言われているわけです。それを自治省として選挙制度審議会に諮問されたかどうかもはっきりしませんけれども、それをもう少し具体的に、どういうことを考えているのか説明を受けて、大臣に対する質疑の時間は私これでもうありませんが、部長ちょっと答えてみてください。
#51
○中村(啓)政府委員 林先生からお話がございましたが、先ほども御言及になりましたように、今度の統一選挙では、特に首長選挙につきまして、いわゆる社共共闘というような選挙戦術がありまして、そのところはほとんど例外なく大激戦になったというような点は非常に目立った特徴的なことであったわけでございましょうか。選挙制度審議会の関係者といたしましても、このことはやはり選挙全体が、地方選挙にまで政党化の波が大きく押し寄せてきておるのじゃないか、したがって選挙全体が、地方選挙についてもそうでありますように、大きく政党化の方向にいくのではないかというふうに感じとっておるように見受けます。しかし、特に今回の統一選挙の結果から、自治省として審議会に格別諮問をするとかいう考えは、事務当局としては持っておりません。広く選挙全体について、もっと政党本位の方向をたどるべきだという考え方の中で、いまの統一選挙をそれなりに評価をして考えていくことになろうかと思います。そこで、具体的に、なぜそういうふうにいまの選挙についてもっと政党化の方向をとるべきかということになりますと、たとえば、先ほど門司先生のお話のときにもちょっと申し上げましたけれども、これからの選挙につきましては、やはり選挙民、有権者に対しまして、テレビなり新聞広告なりその他いろいろなインフォーメーションの手段が活用されるべきでありますけれども、それが個人候補者ということになりますと、いろいろな面で制約がございまして、これ以上テレビなり何なりの活用ということは困難でございます。また、ほんとうに政治というものを考えていく場合には、おそらく政党が責任を持って政治を行なわれる以上は、政党がそういうテレビなり新聞広告なりを活用されて政策を訴えられるという方向にもっと転換をしていっていいのではないか。そういう意味で、たとえば現行の個人候補者本位の選挙公営制度その他選挙運動全般のあり方について、政党が表面に出あるいは政党が主体になる方向になって考えていっていいのではないかというのが発想の基礎のようでございます。しかもその際に、大臣もちょっとお話がありましたが、現在も、政党といえば政治資金規正法に基づいて届けられたものということで、一万七千有余に及んだわけでございます。一万七千のものを同じに扱って選挙運動の主体にし、テレビ等の利用を願うというわけにはまいりかねることでございますので、それはほんとうに現実の政治で役割りを果たされる政党について、しかるべき有権者に対するインフォーメーションの手段等を確保していただく。そういう点についていまの選挙法のシステムは若干時代おくれであって、極端にいえば明治二十三年にできて以来八十年間の、個人候補者が政治をやるのだというシステムが強過ぎるのではないかという点に問題意識があるものと私どもとしては考えておるわけでございます。
#52
○林(百)委員 けっこうです。
#53
○吉田委員長 堀昌雄君。
#54
○堀委員 引き続き質問を続行いたします。
 茨城県の波崎町長選挙とそれから栃木県議選の黒磯で現金が封入をされた封筒が選挙民に配られたという問題が起きておりまして、警察庁の方で調査をしておるでしょうから、ちょっとこれについての事実関係を一報いただきたいと思います。
#55
○高松政府委員 最初の茨城県波崎町でございます。二十五日に町長選がございまして、投票日の前日の二十四日に波崎町の有権者のお宅に現金五千円入りで、そして「町長は泉豊作をお願いします」という文書が封入された速達便が配達された、こういう事件が起こりました。選挙の結果は、そこに記載されてありました泉候補が落選、もう一人の村田候補が当選、こういうことになったのであります。初めはこれは反対派の謀略であるといい、あるいはこれは泉候補側がやったんだといい、いろいろ警察でも捜査をいたしました。何しろこれのあとの栃木の黒磯市で封筒で二千円各戸に投げ込んだという事件、いわば買収のダイレクトメール方式みたいなものであって、今度初めてこういう形で、いままで小さいものはないわけではございませんでしたが、かなり大規模にやられたということで、われわれも非常にこれは捜査をいたしたわけでございます。それで結局は、捜査の結果、これは千葉県の銚子郵便局、それから波崎郵便局で大体七百通ばかりのものが波崎については出されておる、五千円ずつにしますと約三百五十万ばかりの金が出ているというふうなことがわかりました。そのうちにだんだん選挙民のほうからも届け出その他がありまして、約四百七十人ぐらい自分のところへ来たという届け出がございました。残り二百三十ばかりが現在まだ不明でございますけれども、そういう速達があった。捜査の結果、それは泉豊作の選挙参謀である伊藤専四十九歳、それから渡辺晃四十三歳その他二名の者がいずれも共謀でこれをやったということがわかりました。現在、これらの者を逮捕いたしまして取り調べをやっておるところでございます。大体いままでの取り調べの中身では、大体三百五十万ぐらいがそういうふうな速達便で使われておる、郵送されておるというふうなことに相なっております。
 それからもう一つの、栃木県のこれは県会議員の選挙でございます。四月十一日執行の県会議員の選挙の直前の四月九日に、黒磯市内の住宅団地の中の有権者千数百人と見られておりますが、そこの郵便受けの中に「渡辺候補にお願いします」というガリ版刷りの文書と現金二千円の入った封筒が、これは郵便ではなしに各戸別に投げ込まれておるということでございます。この事件につきましてもいろいろ捜査をいたしましたが、結局、渡辺候補、これは当選でございますが、この候補の側の運動員味戸一郎ほか三名を逮捕いたしました。これは、ほかに買収事件がございまして、その買収事件の取り調べとともにこの件についても取り調べを進めてまいりましたところが、大体これら三人のやったことであるということがわかりました。この場合が波崎の場合と非常に違いましたのは、大体千五百通ぐらいを投げ込んだ、そう言われましたが、そのうち届け出がありましたのが約百八十、二百足らず、あと千三百というものはまだただいままで出ておりません。波崎の場合と違って、現在非常にたくさんのものが不明な状態である、こういうような状況でございます。いずれにいたしましても、先ほど御指摘がありましたように、いわば非常に大規模にこういうことが行なわれましたのは今度の地方選挙の中で特に目立った事案でございました。私どもこれに対して重点を置いてとことんまで追及して捜査をやるということで、茨城、栃木両県が現在捜査を続けておるところでございます。
#56
○堀委員 いずれも金額が非常に大きいわけであります。五千円で七百通といえば三百五十万、二千円で千五百通といえば三百万円ですね。これだけの巨額の資金が戸別に郵便受けに放り込まれる、あるいは郵送されるということは全く重大なことでありまして、特に片方は落選候補でありますから、まだそれなりにその効果はなかったとみなしてもいいわけでありますが、片方の黒磯のほうは当選候補者でありまして、おそらくこの千五百通がどの程度に影響があったか、それはわかりませんけれども、これが選挙の公正を阻害したことは非常に明らかだと思うのです。黒磯でのこの栃木県議選で当選した渡辺さんというのは、次点者との間に何票ぐらい差があるでしょうか。
#57
○中村(啓)政府委員 この選挙区の当選者は九千二百七十七票、落選しました問題の人は九千四十二票、差は二百三十五票でございます。
#58
○堀委員 そうなりますと、千五百通の問題というのは確かに当選に非常にかかわりを持ってくる性格のものである。これはもちろん選挙法に基づく買収その他の処置で訴追されることだと思いますけれども、しかし事実としては、おそらくこの人はその裁判が確定するまでは議員としての権限が行使できるという現状になっておるのではないかと思うのです。これは私は非常に重大な問題だと思うのです。これまでもいろいろ買収事犯はあると思いますが、だんだんとスケールが大きくなってきた。要するに三百万円というような大金を千五百人に配る。特にいまの警察庁の御答弁でも、わからないのが千三百もあるということは非常に問題があると思うのです。届け出ている人は、どう投票したかは別として、まだそれだけ選挙の公正に対する良心があるわけですが、届け出ていない者というのは選挙の公正を守る意志がないというふうに判断せざるを得ないのではないか。選挙の公正を守る意志のない者が千三百人いて、それが当選にかかわりがあるということになれば、この案件は非常に重大な問題になると思うのです。
 そこで、私どもは特にこれは自治省として考えてもらいたい、政務次官にお願いしたいのですが、こういう形で選挙の公正が害されたときには、たとえ形式的に当選していても、当選が少なくとも保留をされるというか、これらの案件の処置が済んで、この買収事件によって当選したわけではないという何らかの挙証がされるまでは、議員としての権限を行使することを当分の間差しとめるような法制上の何かの取り扱いを、この問題の発生に関連して対策を講じておく必要があるのではないか。それでなければ、結局これはやり得だということになってきたらたいへんなことになってくると思うのです。だから、これは結果としていずれもやった者がわかっているわけですから、捜査のあり方いかんによっては、何らかの名簿をもとにして放り込んだとか、放り込んだ人間も出てくるでありましょうから、範囲というものが、千五百全部は確定しないにしても、かなり出てくるのではないかと思うのであります。何にしてもそういうことがはっきり出なかったりすると、やり得だということになって、次々とこれが広がるおそれがなきにしもあらずだ、こう考えるわけです。
    〔委員長退席、大西委員長代理着席〕
ですからまず、捜査のことはあとで伺うとして、自治省としてはそういう対策、いま私が申し上げておるように、形式的に当選しておっても、公正を害するような行為に基づいて当選をした者については、その当選が有効であるということが明らかになるまで議員としての権限行使は認めないというような考え方、これは選挙制度審議会でも議論されておることでありますので、一般論的に言えば、買収による選挙事犯を行なって、それに基づいて当選をしておる議員の権利の行使を停止するといいますか、そういう問題について、私は、政府としてもすみやかに検討を進めてもらう必要があると思うのですが、政務次官、いかがですか。
#59
○大石政府委員 私、お話を伺いまして、当選を留保することがいいのか、また別の考え方があるのか、その点まだ結論をここで御返事申し上げるところまでの準備ができていないわけであります。ただ、お話を聞いておりまして私の感じたことは、いまは結局、人に向かって人が買収するという行為が逆になかなか通じないという、昔よりいわゆる買収事犯というものは、一般的に選挙民の意識が高くなると同時に、そういう形はなかなかとりにくい。そこで逆に、その依頼者という個々の人間が不明確な、郵送したりポストに投げ込んだりするようなことに変形したのではないか。そうすると、御指摘のとおり、こういうことは多くなるかもしらぬ。Aという人間がBという者に向かって買収行為をするような、そういう行為はだんだんできない。だから逆に、Aであるかだれかわからないという、郵送なりあるいは郵便受けに投げ込むような形の金銭を贈るという行為はあるいは御指摘のようにふえるかもしれぬという感じが実は私もしたわけであります。そのことの結果の当落という問題についてどういうふうに措置するか、ひとつ問題点があるなという感じを私もしたところであります。ただ、保留するということがいいのかどうかという点については、まだはっきりしたお返事が申し上げられないところであります。
#60
○堀委員 当選そのものは、形式的に当選していますから、私は、当選保留じゃないんですよ。権限の行使です。たとえばわれわれ国会議員がかりにそういうことで当選したとすれば、それは登院できない、要するに国会議員としては当選はしているのだけれども。そのことは一応しかたがないですからね。ただ不公正な手段によって当選したのではないということが明らかになるまでは議員としての権限を行使させないように何らかの方法ですね、少なくともその程度のことをやらないと、これはあとで非常に問題が生じてくるおそれがあると思うのです。実は買収事犯というのは、こういうやり方なら、金さえあれば相当広範にやれるわけですよ。これは今度千五百とか八百ということですが、もしこのやり方で一万やろうと思ったら、金のある人にとってはやれないことではないですね。金のない者はやれませんよ。私が前段に大臣に政治資金の規制の問題とあわせて処理していかなければならないのじゃないかと申し上げておるわけはそこにあるわけであって、金が自由に使えることになれば何でもできるのだということになってきたら、選挙の公正なんという問題はどこかに吹っ飛ぶわけですから、この点は自治省としてもひとつすみやかに検討を進めてもらいたいと思うのです。これは審議会でも議論されておるところでもありますので、結果がどうなるかは別としても、検討を進めるに足る問題がここに提起をされておると思いますが、その点どうでしょうか。
#61
○中村(啓)政府委員 堀先生のお話しのように、大規模な腐敗行為なり不正行為があった場合におきましての当選の効力の問題なり、あるいは議員としての資格の剥奪なり停止の問題というのは、制度論としてかねて論議のあるところでございます。この点については、大都会では考えられないような自殺行為的なことが、現にいなかで今度実証されまして、私どももほんとうに残念に存じておりますが、こういう事態でもありますので、そういう従来の新しい提案というものについて、さらにこれは関係の各省庁とかなり突っ込んで打ち合わせをする必要があろうと思いますが、十分研究をさしていただきたいと思います。
#62
○鍛冶委員 関連してちょっと。選挙費用はきまっておるのでしょう。費用はもう超過しておることはきまっているから、その意味において違反していることは明瞭だと思う。明瞭なる違反であるということにおいて何か方法があるじゃありませんか。町長選挙において三百何十万の金が要するということはあろう道理はないのだから、何かそういうようなことを考えられませんか。
#63
○中村(啓)政府委員 鍛冶先生のお話のように、いまの案件について法定費用の違反という問題も当然ございますし、それが候補者あるいは当選人がその意図を持ってやったということが立証される限りは、それは当然追及されるところかと存じます。また、法定費用に限らず、買収行為自体について関与をしておったということが挙証される限りは、本人が追及されることもまた当然でございますが、堀先生の御提案は、それからの判決の確定までにもあまりに時間がかかり過ぎるので、その間において一定の腐敗行為が立証されるような場合において、議員としての権限の暫定的な停止といいますか、そういう点について検討すべきではないかというふうに承ったところでございまして、その点も含めて検討したいと思いますが、基本的には、鍛冶先生の仰せのとおりに、そういう現行法の上でも当然に本人に及び得る場合もあるわけであります。(鍛冶委員「無効であることはもう明瞭だ。」と呼ぶ。)
#64
○堀委員 いま鍛冶委員がおっしゃっておることは、十分やるほうがまた配慮をしているだろうと思うのですよ。要するに、送った者と候補者との関係がきちっと結びつければ、もうこれは何でもないんですがね。これをやる以上、選挙法というのを残念ながら相当研究をしてやっていますので、私が言っているのは、ちょっと簡単にうまく捜査が進めばいいですが、なかなか簡単にいかないかもしれない。しかし、その不公正な手段によって当選したことだけは間違いないわけですね。いまのように二百三十五票しか差がないときに、千五百もこんなことをやっているというときに、そこはしかし確実に刑事的に処理できるか、それがすみやかに行なわれるかというと、必ずしもそういかない場合があるので、私はそういう問題を提起をしているわけです。
 そこで、もう一つは警察庁のほうにお伺いをいたしますが、確かにこういうことが行なわれて届け出ないというのは、現行法から見て受け取ったとみなせるわけですね。実際は受け取ったとみなせるわけだから、これはもう選挙法違反として買収の事犯になると思うのですが、いまの場合に、郵送は非常にはっきりしていると私思うのですが、ポストに投げ込んだというやつは、これはどこまでそれを確実につなげるかという問題ですね。ポストには入ったかもしれぬが受け取っていないという問題、これの場合今度は被買収者側にそういう問題が起こってくるおそれがあるのじゃないだろうか。たとえば、ほうり込んだ側が、こことこういうところに入れましたと自供した、しかしそれを呼んでみると、いや、それは受け取りませんでしたと、こうなったときに、非常にここは問題が残ってくるんじゃないか、こう思うのですが、ここらの問題について、警察はどういう見解を持っていますか。
#65
○高松政府委員 いまのところがまさに問題の点でございまして、警察としては、この事件が判明しましてから、ひとつそういうことのあった人は全部届けてほしいというPRをこの地区――団地でございますが、この地区についてずいぶんやってまいりました。それからアルバイトを使って投げ込んだ、こういうのですけれども、アルバイトを使った者が投げ込んだからといって、その人はもらったに違いないというわけにもいかないところがある。極端な場合にはネコババしておる場合もあり得るかもしれぬ。その辺が非常にむずかしいところでございます。この金の出所は一体何であるか、どこから出た金であるか、この辺の追及も一つの問題でございます。
 それから、金をもらった人がそれじゃ必ずその候補者に投票したかというと、ダイレクトメールとドライな人間の感情というものと、これはまたぴったりいくとは限らない。あれやこれやで捜査としては非常にむずかしいところにいま差しかかっておるわけでございますけれども、できるだけ真相を明らかにするように努力をしてまいりたいと思います。
#66
○堀委員 実はこれは受け取らされた側、言うならば受け取る意思は初めからないわけですから、そこは送り込んできた、受け取らされた側にもたいへん気の毒な問題だと思うのです。しかし、こういう場合に非常に矛盾しておる点が一つある。警察のほうへ届けてもらいたい、届けられたものについては処分を問いませんというなら、これは非常にはっきりしましょうね。それなら届け出る。しかし届けたら処分になるというなら、そこらのところはまた非常に矛盾をする。ここらの見解の問題ですね。これは私は、こういう今後起こるであろう捜査の一つの問題点になるであろうと思うのです。何日までに届けてくださいといって、届けた者はこれはもう何とかそういう訴追の上で配慮します、しかしそれまでに届けなくて取った人は、これは問題だというふうな、どこかにけじめを置いて何か処理をしていく方法ですね。何かそういう問題がないと、別に自分のほうはもらう気でいたわけではなく、いわばもらわれされたかっこうで、それはおそらく受け取った人も非常にうれしいことだと思っていないでしょう、フェアだと思ってないでしょうけれども、一応入れちゃう、問題が起きた、さあどうするかという点では、かなり受け取った側の人に問題があるだろうと思うのですね。その人たちもたいへん気の毒だと思うのです。さっさと問題になる前に届ける方は一番フェアなんです。これが一番フェアです。問題はありませんけれども、問題が出てから届けるというところから問題がいろいろ複雑なことが起こると思うのですが、こういう取り扱いについて警察はどういう角度で取り扱う意思なのか。
#67
○高松政府委員 私先ほど届け出をするようにPRをしておるということばで申し上げました。御承知のように、私どものほうで届ければ不問にしますとか処罰はしませんとか言うことは、それは公訴機関である検察庁の問題もいろいろからんでまいります。私どものほうでそういうことを大っぴらにいいでしょうと言うわけにはいかないのがつらいところでございまして、私どもといたしましては、ひとつできるだけそういうPRをして、情状を軽く見る。それで、そういう方については警察の意見としては軽い情状でできるだけ持っていきたいという気持ちが裏にあってPRしておる、こういうことを申し上げたわけでございます。
#68
○堀委員 非常にむずかしい問題ですが、私が非常に心配するのは、ちょっとこれはこのままで進まないような気がしてしかたがないのです。これはよほど徹底的に捜査もされ、そうして取り扱いを厳にし、そうしてこれに対する対策を、ひとつ自治省も、私がちょっと提案したように検討を進めていただいて、このようなことが今後の選挙に起きないように十分検討を進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
#69
○鍛冶委員 ついでにちょっと関連して。
 いま言ったように、何々候補者にというて金が来ておるのでしょう。そうすれば、いよいよ選挙違反で調べてみるということになれば、いままででいけば、その候補者の選挙費用に算入されることは当然でございますよ。そういうことになると、算入されれば選挙費用超過で当選が無効になること、これも明瞭です。そういう明瞭なものをやることがけしからぬということで、そういうけしからぬ者にやらせていかぬという理論が立つと私は思う。何かそれくらいのことをやらなくちゃ、世間がそんなくだらない者にやらしておいて許すものじゃないと思うのですよ。それくらいのことをやれば、国民は横手を打って喜ぶだろうと思うのです。これは無効になることはわかっているのだ。そんなわかっておるようなことをやらせることはけしからぬのだ。こういうやり方をやっていいと思うから、そういう意味でひとつ研究してもらいたいということを申し上げておきます。
#70
○高松政府委員 鍛冶先生の御質問でございますけれども、その辺が、候補者なり出納責任者なり意思を通じてやっておるかということの立証が波崎の場合にちょっと出ておるのですけれども、波崎の当選した町長に対して、伊藤というこれをばらまいた主犯に当たる者は親の代からの政敵である、だから自分は相手方の候補を当選させたくないと思ったのが動機だという、それが現在までの状態でございます。そうなってまいりますと、これがもしほんとうだといたしますと、ちょっとその候補者との結びつきが、意思を通じてということになってまいらないというところにやはり一つの問題点があろうかと思うのです。
#71
○大西委員長代理 二見君。
#72
○二見委員 堀委員から、当選した議員がたとえば買収等の容疑になった場合は権限を停止すべきではないかという発言がございましたけれども、同じような事件が埼玉県の新座の市長選であるわけです。これは逮捕されたという新聞報道ですが、経過はどういうふうになっておりますか。
#73
○高松政府委員 いま資料をさがしております。――ちょっといま手本に資料がございません。
#74
○二見委員 それでは新聞報道で確認いたしますけれども、「新座市長に初当選した保守系無所属の神谷東太郎市長と、同市議会の正副議長ら議員四人の計五人を公選法違反容疑で逮捕、神谷市長の自宅など五カ所を家宅捜索した。」これは内容は「神谷市長は四月十日夜、自宅に高橋議長ら保守系の四市議を呼び、市長選の選挙運動を依頼し「これからも金がかかるだろう」と運動資金として、それぞれ現金五万円ずつを渡した疑い。四人はこれに応じ、高橋議長を総括責任者に、石川副議長を副総括責任者にして神谷派の選挙運動を進め、有権者に酒食をもてなしたり、ビールのギフト券を贈るなどしており、取締総本部では数百万円の買収資金が流れていたものとみている。また同本部は、神谷派の市議約十人も高橋議長らの接待を受けたものとみて追及しており、市議の逮捕者はさらにふれる見込み。」これが五月一日のニュースなんですが、五月一日段階ではそのとおりでいいのか、さらにこれはその後それが進展して逮捕者がふえているのかどうですかね。
    〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
#75
○高松政府委員 いまの事件につきましては、それからかなり日にちもたっておりますので、内容は若干ふえておると思いますが、いま手元に資料がございませんので、明確な答弁ができないので、申しわけございません。
#76
○二見委員 当選した議員の場合ですと、権限の行使を暫定的に停止することはグッドアイデアだと思うんですが、当選した市長の場合、権限停止するとその市は困るわけです。市の行政の執行としては困る。しかし市民の感情とすれば、買収でもって当選した者を市長として置いておくわけにはいかぬというのが市民の一般的な感情だろうと思う。
 ところで、こうした事件、たとえば新座の市長選の問題ですね、裁判で争った場合に、短くて大体どのくらいで当選無効が決定されるのかどうか。一番短い場合と、いままでで一番長い場合、その点はどうでしょうか。これからやらなければわからぬことですから、これはわからぬといえばそれまでですけれども、いままでの過去の例からいって、短くてどの程度で当選の無効が確定するのかあるいはいままでの例で一番長くかかった場合だと大体何年くらいかかっているのか。任期満了まで確定しない場合があり得るわけですか。このケースも任期満了まで確定しないこともあり得るわけですね。
#77
○中村(啓)政府委員 本件のように選挙法違反事件を起こしまして裁判になるという事案につきましては、百日裁判ということが選挙法のたてまえとして規定されておるところでございますけれども、法廷のいろいろなテクニックも加わりまして、一般に百日で終わっていない事例のほうが、従来の例で見ますとたしか八割をこえておったように存じます。長い事案ということになりますと、一任期をこえるような期間にわたって係争されるという問題もございまして、法律が予定しておりますようないわゆる早期決着という点については、現実は、たいへん恐縮でございますが、ついていっておりません。そのために選挙制度審議会等でも、いろいろな議論がございまして、特に選挙裁判について格別なる配慮をすべきではないかという提案はされてはおることでございますけれども、これの実現という点につきましては、なおいろいろな隘路がございまして、実施までには至りかねておる実情でございます。
#78
○二見委員 四年間の任期を過ぎても決着がつかない場合ですね、本人が長期政権をねらって三期も五期も七期もやりたい意思があるならともかくとして、そこまで長期やる必要はないという考えになった場合には、こういったことはいわばやり得ですね。法廷のテクニックを行使するならば、たとえ自分が買収しようと何しようと、当選してしまえば四年間は絶対安泰であるということになりますね。そういう不心得な候補者が出ても、これは現状ではどうしようもないわけですね。
#79
○中村(啓)政府委員 現在の裁判システムから言いまして、非常に手続の慎重性が前提になっておりますので、残念ながら仰せのような事例も間々あるところでございます。
#80
○二見委員 百日裁判というたてまえですけれども、このたてまえを貫くためには、何と何と何をどういうようにして解決していけば百日裁判というのは実現できるのですか。選挙部長は隘路があるというお話でしたけれども、その隘路をずっとあげてもらって、この点はこういうふうにしていけば百日裁判はできるのだ、その隘路を指摘して、この点はこういうふうにすればいいのだということを一つ一つお示しいただきたいと思うのです。
#81
○中村(啓)政府委員 いま二見先生のお話しの点は、従来選挙制度審議会で何回も議論をいたしまして、できれば裁判所の中で一般の民事事件、行政事件、刑事事件のほかに、選挙事件を専掌するような組織ができないか、いわば選挙部的なものを設けられないかということでの議論もございまして、法務省当局なりあるいは最高裁事務当局も加わって何回か議論をされましたが、現在までなおまだ結論を見出しかねておる実情でございます。
#82
○二見委員 青森県の鯵ヶ沢の二人の町長の問題で、こまかい点で見解を伺いたいのですけれども、五月二日に五百九十三票を同一筆跡と判断して無効としたことについて、同一筆跡と判断する場合、鯵ヶ沢の場合には筆跡鑑定はやってないはずですけれども、こういう場合には筆跡鑑定をした上で同一筆跡と認めるのが正しいのか、あるいはそれを調査に当たった人たちが同一筆跡と認めればそれで済む問題なのか、その点はどうでしょうか。
#83
○中村(啓)政府委員 鯵ヶ沢の事案は、初めにも申しましたが、かなり常識をはずれた次元で事が処理されておるというところが多いわけであります。本来、二見先生の仰せのように、同一筆跡であるかないかというような点につきましては、選挙管理委員会が判断をいたしますのも、いわば選挙に関する最も専門的な知識があるという意味合いで、裁判所の前身としての機能をさしておるところでございますので、ほんとうに真実を探求をするという立場に立って徹底的に事実を究明をしてやるべきであろうと思います。
 現実に鯵ヶ沢の選挙管理委員会がやりました実情は、ともすれば委員長の独断的な判断というものが多かったようでございます。しかし、形の上でその判断が成立をした、選挙管理委員会で容認をされたということでございますので、私どもとしては、選挙管理委員会がほんとうにいわば裁判所の前身という意味合いで、準司法機関としてとことんまで事実を調べてやったものとは言いかねる面が残念ながらあるというふうに存じております。
#84
○二見委員 たとえばこういう場合、同一筆跡と判断する場合、自治省のほうの前提は、選管は中立であり、厳正公正な立場だ、しかも選挙については専門家であるという立場からそういう判断をされているわけですね。ところが、実際にはそうでないケースがここに起こっているわけですね。同一筆跡と判断する場合は、今後も起こり得る問題としてお尋ねするわけですけれども、筆跡鑑定というのはいわば町の段階では必要ではなくて、異議申し立てがあって県の段階では筆跡鑑定はしたほうがいいけれども、町の段階ではそこまでは必要がないという解釈になるのか、できれば筆跡鑑定はやったほうがいいということになるのか、その点はどうなんでしょうか。
#85
○中村(啓)政府委員 町の選挙管理委員会は、直接選挙を管理した立場ではありますが、異議申し立ての審査という立場は、管理をした立場とはまた違った次元に立ちまして、いわば自分でやった行為ではありますけれども、別の立場で審査をいたすわけであります。やはりその場合には、自分がやったということにとらわれないで、ほんとうの真実を見出すようにしてもらわなければいけない。したがって、明々白々として同一筆跡というようなことが認定できるなら格別、それが困難である以上は、たとえば専門的な知識を持っている人を参考人としておいでをいただいて、そのお知恵を借りるというようなことも、審査のやり方としては当然考えるべきであったというふうに存じますので、私どもは、鯵ヶ沢の審査のやり方については、問題の余地はたいへんあったというふうに存じております。
#86
○二見委員 鯵ヶ沢の場合は、中村町長のほうが正当なのか、あるいは自分が当選者だと言っておる、逆転当選だと騒がれた鈴木候補のほうが正しいのか、これは私全然わかりませんし、どちらにも肩を持つわけじゃありませんけれども、このきめ方については、いずれにしても問題があったのじゃないかと思います。また、須藤という選管の委員長が、その後、五月二日の晩ですか、当選証書を鈴木氏に渡したということですが、この行為はどういうようなことになるわけですか。この行為はできないわけですね。できない行為を須藤という委員長がしたということは、どういうことになるのでしょうか。
#87
○中村(啓)政府委員 どうもそういう点もまことに非常識な事態なわけでございまして、当選証書を委員長は夜中の、午後十一時ごろにみずから作成をして鈴木氏に渡しておるというのが事実でございます。しかも、それについては正式な判がないわけでありますので、その判の押され方についても、いつの時点でどういう形で押されたかについても問題の余地があるようであります。しかしいずれにしても、そういう当選証書を現時点で出し得る権限は町の選挙管理委員会として持っておらないところでございます。したがって、出され方にいろいろな問題もございますし、出されたもの自体が法律上の権限に基づいて作成されたものとは言えませんので、これは私どもとしては単なる紙といわざるを得ないというふうに思います。
#88
○二見委員 これに対しては、たしか公文書偽造か何かで告発がありまして、地元でもって捜査しているのですが、その捜査の段階はどうでしょうか。必要な範囲内で……。
#89
○高松政府委員 告発は両派からございまして、一つは投票増減罪、投票を増減したというのが両派からそれぞれ出ております。それから、いまの問題のそれにつきましては、公文書偽造、公印盗用という告発が出て、いま警察としてはこれを受理してやっております。問題は、その投票増減の前提になるためには同一筆跡であるかどうか、それについて作為があったかどうか、それについていろいろ問題があったわけですが、現在まだ捜査はあまり進んでおりません。県の選管でその異議申し立てに対する審査でございますか裁決がまたいずれ出ましょうし、それらと相まって逐次調べていくということになってまいろうかと思います。
#90
○二見委員 こういったいわば常識外のことが行なわれておるわけです。これは表立った問題としてこういう問題がありますけれども、これほど表面立たない問題でやはり非常識な選挙運動というものは、小さな都市の選挙になると、これは必ず毎回といっていいくらい目に立つわけですね。
 たとえば、この間の市議選あるいは町村議選についても、選挙になると、たとえば十日間あるいは一週間仕事を休んで選挙事務所回りをするのがいるのですね。要するに選挙事務所を全部回って、一日三軒か五軒ずつ回って、お酒を飲んで、夜になるとべろべろになってうちへ帰ってくる。現実に一週間やるのがいるのです。こういうことは警察のほうでもいろいろと現実を見てはいらっしゃると思うのですが、どういう判断に立っていますか。
#91
○高松政府委員 先ほど選挙部長も御説明を申し上げておりましたけれども、私ども、この選挙違反につきまして、まだ全部捜査が終わっておりませんので、明確なあれは申し上げられないのですが、感じからいきまして、確かにイメージ選挙といわれ、あるいは政党と政党とのぶつかり合いといわれるような激しい都市型の選挙が一方において行なわれ、片方では、もう旧態依然とした、おそらく明治時代から続いているんじゃないかと思われるような選挙のやり方というものがずっと続いてきておる、それらが今度の地方選挙の場合にだんだん顕著になってまいったというふうな感じがいたします。私、この前の四年前の地方選挙のときには静岡におりましたので、そこでもいろいろな選挙の経験をいたしましたが、今度全国の選挙をこちらで見る立場になってまいりますと、そういう感じを非常に強くするわけでございます。まあ事務所をいろいろ回っている、あるいは村の入口に立番が立つ、相手方の監視が行なわれるというふうなこともずいぶんあり、警察としても、それぞれ警告をしたりいろいろな措置をとってまいりましたけれども、そういう形のものが依然として多く残っていることは事実であろうというふうに思います。
#92
○二見委員 全部の選挙事務所を回って、お酒を一ぱいずつ飲んでくるという。飲んでくるほうも問題だけれども、飲ませるほうにも私は問題があると思うし、そういうことをやるのが選挙だという一つの地方の風習ということにも私は問題があると思うのです。
 選挙法の百三十九条では「何人も、選挙運動に関し、いかなる名義をもってするを問わず、飲食物を提供することができない。」とある。しかし、これがこのとおり実際には行なわれていないんじゃないか。またそれに対して警察が警告を発しているんだろうか。三十人の候補者がいれば三十人の選挙事務所は全部酒盛りをやっております。見えるところではやっていなくても、裏へ行けばやっておるし、町の中に行けば選挙の期間になると酔っぱらいがふえてくるし、それは現実ですからね。それについては、それを全部引っぱったら、おそらく選挙はできなくなっちゃうと思うのです。それは警察のほうとしては、引っぱるとかなんとかいう以前の問題として、そういうことをやるべきではないというきびしい警告をしてもいいんじゃないか。候補者あるいは候補者を取り巻いている運動員の方々に、その点はやるべきではないということをきびしく言っていかなければ、こういう問題は私は絶対に根絶できないだろうと思います。そういう点について今後の警察当局としての考え方を伺いたいし、また自治省としての御見解も伺いたい。
#93
○高松政府委員 飲食物提供禁止の違反その他一般的に選挙法違反の防止につきましては、各現地で、それぞれの県あるいは市町村の選挙管理委員会から、立候補の届け出があったときその他にいろいろ詳しい話をして、そういうことについて十分周知徹底ははかっているはずでございます。ただ、現実にはお話のようなことがあり、その中で、そういうものについて検挙した事例もないとは申せないかと思います。われわれも、気がつけば、それはいけないということで、検挙しあるいは警告をするという措置をとるわけですけれども、私どものほうも、選挙事務所のまわりをそういつもうろうろ回っているわけにもいきませんし、また、そういうことが一つの問題になる余地も残るわけでございます。その辺のかね合いが警察としては非常にむずかしいところで、要はやはりそういうふうな違反防止のための防犯的措置といいますか、そういうことの趣旨の周知徹底をもっとはかるということが必要であろうか、かように思うわけでございます。
#94
○中村(啓)政府委員 二見先生のお話のように、選挙法のルールを守ってもらう、これはたいへん消極的な選挙啓発でございますが、残念ながら現状ではそれはせざるを得ないと思っております。飲み食いはするな、ルールは絶対に守ろうということは、これからの選挙でも十分に徹底をするようにしていきたいと思いますし、特に選挙運動に関与なさる方につきましては、警察当局と同じ場所で説明会をやっておるところでもありますので、格別そういう面について配慮していきたいと存じております。
#95
○二見委員 終わります。
#96
○吉田委員長 林百郎君。
#97
○林(百)委員 警察庁へお尋ねします。
 先ほどから問題になっておりますように、今度の全国一斉地方選挙は、青森県の鯵ヶ沢町の二人町長問題や埼玉県の新座市あるいは富士見町における大がかりな買収問題等があります。
 今度の全国の一斉統一選挙の選挙違反での特徴的なものは何でしょうか。どういうものが一番多かったのですか。
#98
○高松政府委員 警察の選挙違反の検挙という点から見ての問題になってまいりますと、正直に申しましてそれは、一つは警察の力というもの、つまり選営違反を探知し摘発していく力というものとの関連、そういうものが現在どれだけあるかということの問題にもなりまして、そういう意味で必ずしも違反にあらわれているものが全部の実態をそのまま反映しているとは言えないと思いますけれども、一応いままで検挙いたしましたものについて若干御説明申し上げたいと思います。
 五月五日現在で、四月十一日の選挙、四月二十五日の選挙、両方合わせまして、件数にして一万一千五百三十九件、人員にいたしまして一万八千百七十三名というのが検挙数でございます。
 四年前の選挙と比べてみますと、選挙の同じ期間を比べてみますと、件数で約二一%、人員で約一一%減少いたしております。これは、もちろん、十一日の選挙から数えてもまだ一月になりませんし、二十五日の選挙から十一日目くらいにしかならないわけですから、これから数はどんどん変わってまいると思います。そういう中途の段階の数字で、必ずしも正確に、これからどうなっていくかということはちょっとわかりかねますけれども、検挙いたしましたものの中で、罪種別に見ますと、やはり買収が、件数で一万二百二十五件、人員で一万六千九十八人、大体全体の検挙したものの八八%が買収であるということでございます。大体、従来も八五%前後が買収罪であったと思います。それから、そのほかのものといたしましては、自由妨害が二百三十八件三百三人、戸別訪問が二百五十八件八百九十人、文書違反が三百二十八件五百七十五人、その他二百十七件三百七人ということで、自由妨害の人員が十五名ばかり増加いたしておりますが、その他は、この前の選挙に比べますと減少いたしておるということでございます。それから、その他の二百十七件三百七人の中に詐偽投票ということで検挙されたものが百件百三十八名であります。これは前回の投票に比べますと、六名ばかり減少しておるという状態でございます。
 それから特徴点と申しますと、先ほど申しましたようないろいろな形の選挙の形態が混在をしておる。いろいろな新しい選挙運動のやり方というのが片方に出てまいるかと思えば、片方では全く違ったもの、昔からの形のものが依然として行なわれておる。先ほども申しましたような波崎町であるとか、あるいは栃木の黒磯のように、そのものずばりを本人にぶっつけるというふうなたいへんドライといえばドライな、そういうやり方がかなり大規模に行なわれてきているというふうなことも今度の選挙の大きな特徴であろうと思います。まだこれから取り締まりを続けていくうちにどういう形のものが出てくるか知りませんが、私どもいままで見ておりまして、そういう点に一つの特徴点を感じております。
 それからもう一つの特徴点は、警告の件数がわりあい多かったということでございます。今度は私どもも事前にできるだけ警告をするということをずいぶんやりましたが、これに対して、比較的従来から比べますと、警告がよく徹底すると申しますか、あるいは候補者側でその警告に対して自粛するというふうな傾向がかなり強く見られました。これは今後の選挙取り締まりを進めてまいるにつきましても、違反の検挙ということよりも、まずその警告で制止する、違法な状態をなくするというふうなこと、もっとこの面を強く押し出してまいるべきではないかというふうに考えておるところでございます。
#99
○林(百)委員 選挙部長にお尋ねしますが、いまお聞きのように、圧倒的に多数の違反事件が買収なんですね。この前の六十四国会で、あなたも主役になって、金のかからない政党本位の選挙ということで、ビラの規制、そのほか政党活動の一定の制限をしたわけなんですけれども、しかし、これでは決して金のかからない選挙を実現する保障にならなかったということが実証されていると思うのですね。こういう大がかりな、八〇%以上も買収であるということを見れば、この点について何らか反省しておりませんか。むしろ京都のように、ああいうビラを十分出し、政策と政策が対決して、そしてはっきりさせることのほうが、買収とかそういういわゆる金のかかる選挙を粛正する道になるということを京都の住民も言っているわけなんですけれども、そういう点について反省なされませんですか。
#100
○中村(啓)政府委員 昨年末に、林先生のお話のように、政治活動について特にビラの頒布でありますとか、あるいはシンボル・マークの使用等について制限を設けられることになったわけでございますが、しかし私どもは、先生の仰せのように、基本的に政治活動はできるだけ自由におやりになることが望ましいたてまえだというふうには存じております。その辺の考え方は現在も何ら変わっておりません。ただ、あの問題がああいう形で提起され、結論になりましたのは、政治活動といっても、あまり極端にビラの洪水になっては金がかかり過ぎるのではないかというのが発想の基礎にあったように存じております。それはそれなりに今度の統一選挙で効果があったように存じます。いわゆる政治活動があまりめちゃくちゃに過熱しないで適切に行なわれたというふうに存じております。しかし、可能であるなら、政治活動は、政党というりっぱな団体がおやりになる事柄でありますので、あまりこまかいことを法律で規制をするということは、理想的な姿としては好ましくないと存じますけれども、もしかりに過熱防止ということが、現在の政治の実情で必要であるとするならば、それなりにあの改正は意味があったというふうに存じます。したがって、あの改正自体の認識について、根本的な方向について賛成というよりは、現象的な対症療法として一応認めているというのが私ども事務当局の考え方でございます。
 ただ、林先生のお話のように、そういうことでせっかく政治活動について秩序立てた中で展開しよう、そういう意味で無用な支出を合理的にしようという努力がなされているかたわらで、先ほど来問題になりましたように、特に農村部を中心に現金買収、投票買収というふうな金の使われ方のありましたことは、全然違った次元であるとは存じますが、結果としては、私ども選挙に関係しております者としてほんとうに残念なことに思っております。
#101
○林(百)委員 政党の本来の活動は、政策と政策を争う、そしてそのためにビラも自由に発行させる、それが本来の選挙だということを透徹させれば、いま言ったように、封筒の中に五千円入れて投げ込むようなことは、そういうばかげたことはなくなるのではないか。だから、むしろ本来の政治活動、政党活動というものは、政策の争いなんだ、そのためにはビラが多少多く発行されましても、そのことのために選挙の基本をそこなうような、いま言ったような違反の八割以上が買収だというような事態は防げるのではないか、私はこう考えまして、やはりそういう政策の争い、政策を競うということの自由は十分保障さるべきじゃないか、それこそが今度の一斉地方選挙の違反事件の中における圧倒的多数の買収とか、そういう忌むべき事件を防ぐことができるのではないか、私はそう考えます。この点は、法案を改正したばかりの部長を前に置いておいて、それでは反省してまたもとに戻すといわせようといたしましても無理だと思いますが、私はそう思います。
 警察にお尋ねしますが、実は東京都知事選で警視庁のパトカーを秦野派が利用したという事件がございまして、これは告発もしているわけなんですけれども、これはその後捜査の結果どうなったのですか。告発のあった事実はお認めになるし、それが受理された事実も認められるわけですね。その後の捜査がどうなっているかも聞きたいと思います。
#102
○高松政府委員 告発は最高検察庁検事総長あてにされました。最高検察庁から東京地検に回りまして、現在告発の内容については東京地検で捜査中でございます。告発状の中身はもちろん私のほうでも一応調査いたしましたが、私のほうで調べました結果では、中身はだいぶ違っておる。あれは三月三十一日当時、三多摩地区における佐藤総理の警護車相互間の通信の内容であり、秦野候補には警護車はついていないというのが実際でございます。したがって、警視三九二は秦野候補の車に随行して行動している車であるというふうに断定され、あるいは警視一〇〇というのは警視庁の特殊の無線局である、あるいは指揮車であるというふうに断定されているわけですけれども、警視一〇〇は佐藤総理の行き先のいわば先行車でございます。向こうでその状況をいろいろ連絡する。それから警視三九二というのは佐藤総理のあとからついていっている警護車であるということでございます。
 それから、告発状には書いてございませんが、「赤旗」に、管長ただいま演説中、管長とは薬師寺の高田好胤管長であるというふうな記載がございましたけれども、これは間違いでございまして、高田管長はそのときには東京には参っておりません。官長というのは警護員のいわば略号でございまして、総理官邸の長という意味の官長というので、総理のことを官長といってお互いに連絡しておる、こういうことでございます。
 事件の中身の捜査につきましては、東京地検でいろいろお調べになっているようでございます。私も詳細は存じませんけれども、そういう目であそこの通話の内容を見ていただけば、それは警視庁の車が選挙運動をやっておったというものとは明らかに違う、あるいは選挙のための通信をしておったというものとは明らかに違うということは御理解いただけるかと思います。
#103
○林(百)委員 この内容は全部テープにとってありますから、私のほうとあなたのほうとの見解は根本的に違います。私のほうでとっているテープに関する限りは、
 ――警視九八です。どうぞ。
 ――十三時四十五分に秦野氏到着。なお、聴
 衆の間をあいさつして回っている状況。なお、「朝風」(注、自民党政策宣伝車)到着。なお、白井さん一行到着ずみ。聴衆に関しては三五〇。どうぞ。
 ――……
 ――警視一〇〇から警視三九二どうぞ。
 ――警視三九二です。どうぞ。
 ――秦野候補より直接連絡あり。そちらの出
 発時間はやめてくれとのこと。どうぞ。要するに、秦野候補の陣営のことを警視庁のパトカーが相互に連絡し合っているわけですね。
 ――警視一〇〇です。どうぞ。
 ――そちらに「朝風」すでに到着していると
 思いますが、その運転手さんに伝えてください。こちらの森さん(自民党選挙対策本部にいる森英二氏と思われる)。その場所に到着しても、その付近において待機しておいてください。連絡事項があるそうです。したがって、「あかつき」(都民連合の政策カー)到着後もそのままつぎの地点にむかわず、その付近において待っておるように連絡してください。……党本部の森さんが連絡事項があるそう。どうぞ。
 ――なお、「朝風」到着ずみ。連絡します。警
 視一〇〇了解。これはどう見ても佐藤総理の護衛との間の連絡じゃないわけなんですね。「秦野候補より直接連絡あり。そちらの出発時間はやめてくれとのこと。どうぞ。」というようなことを警視庁のパトカーとパトカーでやった。これは私のほうでテープにとってあるわけなんです。
 それから「――警視一〇〇です。どうぞ。――そちらに「朝風」すでに到着していると思いますが、その運転手さんに伝えてください。こちらの森さんその場所に到着しても、その付近において待機しておいてください。連絡事項があるそうです。」森さんというのは自民党選対本部の森さんです。第一、佐藤総理自体が最高の公務員としての立場でありながら秦野氏の応援をすること自体にも私たちは政治的な責任がある、こう思いますけれども、しかし警視庁が陰になりひなたになり秦野氏に対して便宜を提供していたということは否定できないのじゃないですか。いまの私のはテープをそのまま訳しているわけなんですけれども、これは全部秦野選挙陣営本部との連絡を警視庁のパトカー同士がし合っているわけなんです。
#104
○高松政府委員 先ほど申し上げましたように三月三十一日と四月四日でしたか、両方の場合のパトカーの交信をいま問題にされておるわけであります。三月三十一日の場合には、佐藤総理と秦野候補が三多摩で落ち合う予定になっておった。ところが、秦野候補の車が交通渋滞のために予定よりはるかにおくれました。ちょうど「よど号」一周年の時期でございますし、一時所在がわからなくなったということで行くえをさがしておったということもあるのですが、総理の車は先に現地に行きまして、秦野候補が来ないものですから、一人で二、三カ所演説をやって場をつないだ。けれどもどうしても持ち切れなくなって、福田代議士の私邸に入って連絡を待った。そのうちに秦野候補の車が現地に到着をして、そこで佐藤総理の行く場所に先行している警護車と福田邸にうしろからくっついてきた警護車の間で通信をやっておるわけです。だから秦野候補に福田邸のほうへ来いというのに対して、佐藤総理のほうの出発時間をむしろ早めてくれという連絡が行ったり、現地はこれくらいな状況だというふうな連絡がいろいろ行っているわけで、そういう事情で、私先ほど申し上げましたように、警護の先行車とあとの直接警護に当たっている車の、総理の行く先、総理の行動、それから時間のおくれに対する変更、それらをいろいろからませての連絡である、そういうふうにお読み願えれば、警視庁の車が秦野候補の選挙運動のためにこういう無線を使っておったのではないということがよくおわかりいただけるだろう、かように思うわけであります。こまかい点はいろいろございますけれども、長くなりますから……。
#105
○林(百)委員 それはあなた自身はわかっているように思っているのですが、人が聞けばそれは、第一、佐藤総理が秦野さんのところへ応援に行ったときのその事情を秦野さんのほうから警視庁のパトカーを使いながら言っているわけなんですから、区別がつかないのですよ。そのときの佐藤総理というのは、総理大臣の佐藤氏じゃない、秦野候補の応援者としての佐藤氏なんですから、これは秦野陣営の一員ですよ。それを警視庁のパトカーを使って連絡し合うということは公私を混同したものになるのじゃないか。もし秦野候補を応援に行って、佐藤さんの行動と秦野氏の行動との連絡をし合うなら、秦野氏のほうのそういう連絡網を使ってくればいいじゃないですか。それを公私混同していると私は言うわけです。
#106
○高松政府委員 自民党総裁としての応援演説だろうと思いますけれども、同時に、自民党総裁である総理について、これを警護するのは当然でございます。美濃部候補についても警護車はついておったわけでございます。秦野候補についてはつけておりませんでした。
#107
○林(百)委員 それならば、何も自民党の選挙対策本部にいる森さんにも連絡をしてくれということまで警視庁のパトカーを使って言う必要はないと思うのです。この点はもう私とあなたと見解が違うので、少なくとも厳正な立場に立つべき警察官がこういうことをするということは慎まなければならないと思うのです。私はそう思います。この点は、またいずれ判断すべきところが判断するでしょうし、それぞれが証拠を出し合うでしょうから、私とあなたがここで論争していてもどうにもしかたがありません。しかし、この連絡全体を見ますと、佐藤総理の佐の字も出てこないわけです。秦野さんのほうがこう、秦野さんのほうがこうと、みな出てきているわけなんです。だから私は言っているわけです。その点はそれでもう一応私の質問を打ち切ります。
 そこで、政党法の問題が先ほど出たのですけれども、もうちょっとこれを掘り下げておきたいと思うのです。そう時間はとりません。
 いま世界各国のうちで、政党法またはそれに類似した法的な措置を施行している国が幾つありますか、どういう国だかわかりますか。
#108
○中村(啓)政府委員 かなり時間をかけて論議をした上、政党法をつくったという一つの典型的なのは西ドイツでございますが、そのほかアルゼンチン、韓国、フィンランド等がまとまった政党法を持っておる国の例でございます。
#109
○林(百)委員 西ドイツ、韓国では共産党はどうなっていますか。
#110
○中村(啓)政府委員 政党法自体におきまして特別に政党そのものを直ちにたとえば共産党について言及をするということは、たしか西ドイツ政党法はやっておらなかったように存じます。ただ、西ドイツにつきましては、基本法の中で政党の点について規定がございます。西ドイツの基本法によりますと、「政党は国民の政治的意思の形成に協力するものとし、その設立は自由である」云々というような規定がありますほか、同じく基本法の条文の中で、「政党でその目的または党員の行動に徴し、自由で民主的な基本的秩序を侵害し、または廃止し、もしくはドイツ連邦共和国の存立を危うくするようなものは違憲とする」云々という規定がございまして、この条項に基づいて、政党についてこの条項に適合しないものと認定をするという事態はあるようでございます。
#111
○林(百)委員 ですから具体的に共産党はどうなっていますかというのです、西ドイツも韓国も。政党法と直接関係あろうとなかろうと、どうなっているかと聞いているのです。
#112
○中村(啓)政府委員 基本法に基づきまして、連邦憲法裁判所はいわゆる共産党は合法政党ではない、基本法に触れるという形になっておるはずでございます。
#113
○林(百)委員 韓国はどうです。
#114
○中村(啓)政府委員 韓国につきましてもおおむね同様かと存じております。
#115
○林(百)委員 そういう国々では、徴兵制についてはどうなっていますか。
#116
○中村(啓)政府委員 西ドイツ、韓国は、ともに徴兵制をとっております。
#117
○林(百)委員 政党法の制定、それから基本法、それから共産党の非合法化、それから徴兵制、こういうのは私は一連の関連があると思うのですよ。そういう意味で私たちの党は政党法について重大な関心を持っているわけですね。たとえば西ドイツで見ますと、一九五六年に憲法の改正が強行されて、その年に、改正された憲法二十一条の規定に基づいて、あなたの言うように共産党が自由で民主的な基本的な秩序を侵すという判断のもとで非合法に置かれた。それで解散させられた。続いて四百にのぼる各種団体が解散させられておるわけですね。さらに共産党の解散の翌年には西ドイツの軍の志願兵制度であったのが徴兵制に変わっておるわけですね。こうして民主的な権利が、形の上では政党法の上でことばとしてそういうものは残っておっても、実質的には憲法の基本法による共産党の非合法化、それから政党法の成立、続いて四百に及ぶ各種団体の解散、志願兵制度の徴兵制への変更、こういうことが行なわれて、軍国主義が強度に横溢してきている。これは韓国についても同じことだと思うのです。この轍を日本が踏んではならない。私はこういうことを深く考えて政党法の問題について質問しているわけです。韓国は言うまでもなく非常に完全な軍事独裁だと私は考えております。
 政党法を持つ国がわずかであるばかりでなく、それらの国は、ことにいま申しました西ドイツ、韓国がこのような軍事独裁または民主主義に反する軍国主義的な政体を持っているかどうかということが政党法と密接な関係がある。政府の意図する政党法は、これらの国と並んで、さらに小選挙区もそれに加わって、憲法の改正、改憲、自民党も言っていますけれども、改憲と軍国主義の復活に結びついてくるような憂慮を私たちは非常に濃厚に持っているわけですね。したがって、このような国際的な歴史的な経過からいって、政党法というものは制定すべきでない、こういうように私たちは考えているわけなんです。これは大臣に聞くべきことだとも思いますけれども、大臣おいでになっておらないので、次官と選挙部長に見解を聞いておきたいと思います。
 政党法が政党法だけということでなくて、いろいろの関連と結びついて軍国主義を復活させ、徴兵制を復活さして、軍事独裁に向かう露払いの役割りを果たしているということは、国際的にも幾多の事例がありますし、歴史的にもそういう経過がありますので、これについて自民党の選挙調査会では政党法の制定を第七次選挙制度審議会にかけるというようなことをきめたとも新聞に報じています。これは大臣はそのことはないと言っています。そういうことについてわれわれは濃厚な憂慮を持たざるを得ませんので聞いておきます。
#118
○大石政府委員 自治省の立場で申し上げていいと思うのですけれども、自治省としては、いま政党法そのものをずばりきめていただこうなんという考え方はないと思います。
 それから第七次選挙制度審議会が発足して一、二回、私は政府当局がいる必要があるということで出たわけですが、そのときの考え方の感じ取りを私申し上げますと、政党を主体とする選挙というのは、主として国会議員の問題を取り上げているように感じました。もう一つは、もしそういう政党というものをおもにしてその活動をはっきりさせるということを選挙法の中に入れるときに、政党というものの意味の条件を、あるいは選挙法の中ではこの程度のことがいわゆる政党というものという何かも入れなければ政党という定義ができないから、そういう意味で選挙法上必要な政党の最低限というものが要るとすればあるのではないだろうかというような話が出ているように思いまして、この際ひとつ政党法というものを表からつくってみて、そうしてそのあとでというふうに、そのときの論議は自由論議でございましたけれども、しておったように思います。したがって、私のほうは、先ほど大臣からお話を申し上げたとおり、政党法をつくってくれというような考え方でおらないわけであります。
#119
○林(百)委員 ちょっと部長の答弁の前に補足しておきますが、部長、いま大石次官の答弁がございましたが、選挙制度審議会の情勢、これは第七次選挙制度審議会は発足したばかりですから、その趨勢についていまあれこれ言うことも非常にむずかしいと思いますが、そうすると、選挙制度審議会から政党法を制定すべきだという答申の出る可能性はありそうなのかないのか。かりにそういう答申が出たとすれば、政党法を制定することになるのか。この辺のところはどういうようにお考えになるのか。
#120
○中村(啓)政府委員 私どもが、いま審議会で政党の論議をしております際に、少なくとも政党に対して何らかお手伝いをするのにどうしたらいいだろうか、というのが発想の基礎になっておるものものと思っております。少なくとも政党論議というものが政党の抑圧的な方向でされるというようなことはあり得べからざるものと事務当局としては確信をしております。したがって、ドイツであるとか韓国というような、そういう政党法が中身の前提になるものとは全く考えられないように存じとっておるところでございます。
 そこで、結局考え方は、もっともっとりっぱな政党が十分にお働きになるために、何らか法制的にお手伝いをする余地がないか、という発想で論議をされておるわけでありますので、そういう点で、あるいは幾つかの前進的な答申が出るかと思います。それは必ずしも政党法というスタイルであるべきだというわけでもないと思います。問題は、こういう点で政党がお働きになるについてお手伝いしようというような具体的な内容が問題であって、形式がどうこうということではないというふうに私ども存じておるところでございます。
#121
○林(百)委員 それではこれで私の質問を終わりますが、中村部長、なかなかことばが巧みで、しかも丁重に答弁されるので、ついそれにごまかされると言ってはあなたの人格を傷つけることになりますのでなんですが、政党の活動にお手伝いをするような内容を持ったものをきめたい、政党法ということばは使いませんけれども、そういうことばを使っておられるわけです。
 そこで、大石さんに最後にお尋ねしますが、これは大臣がおりませんのでやむを得ませんが、選挙制度審議会の答申では、政治資金規正法の改正や参議院の定数是正をやれと言っているにもかかわらず、こっちはちっとも進まないわけですね。こっちこそ早く完成するほうへ手伝いをすればいいのに、政党の活動にお手伝いするなんて、何も自治省にお手伝いしてくれなんて頼みもしないほうのことは進めて、それで実質的に政党法的なものをきめるということになれば、非常に党利党略的な立場で、都合の悪いものはお手伝いしない、都合のいいほうのものは手伝って、どんどんきめていくということになりますので、この点についてはどういうようにお考えになっているのか。むしろ選挙制度審議会で答申しているものこそ早く政府自身も手伝って完成すべきじゃなかろうか。それで新しい問題について、そのお手伝いとかなんとか言いながら政党法の制定をたくらむということは、党利党略の立場に立つことになると思いますが、この点はどうお考えになりますか。これを政府を代表して大石次官の答弁をお聞きして、私の質問を終わります。
#122
○大石政府委員 政治資金規正法が国会に何回か出されて、しかも結実しないという経過は、実は選挙制度審議会の方々も決していい気持ちで見ているわけではないと思いますが、そういう事実の認識もあり、ある意味でいわゆる個人選挙という形から何らか政党本位の選挙というものに移っていくのでなければ、実質的なほんとうの意味の政治資金規制という問題もなかなかむずかしいという認識も委員の方の中にもあるのではないか。そういう意味で新しい選挙というものが、個人間のプレーでなくて、政党間で行なわれるという形にしていただく方法というものをいま御検討をしていただいていると思うわけであります。したがって、決して両輪というふうではありませんけれども、このことが二つ全く別個のものであるというふうには御認識ではなくて、やはりそういうふうにやっていかなければ、完璧な政治資金規制という問題はなかなかできにくいというお考えも同時にあろうかと思います。われわれそういう意味で、ひとつ従来の長い間の問題でありますから、このことの実現を早くするように努力を役所としてもしていきたいと思います。
#123
○林(百)委員 政党本位の選挙、政党本位の選挙とさっきから言われるのですけれども、それは何も自治省がそういうことを認定する権限があるわけではないと思う。政党本位の選挙をやっているかどうかは、各政党がそれぞれ努力もし、国民が批判すればいいのであって、次官も言われ、それから中村さんも言われている政党本位の選挙というのは、それは選挙区制に関係してくるのですか、ずばり言ってください。あなた方の言う政党本位の選挙というものは、小選挙制への布石をいまからそういうことばでにおわしているのではないかというように私たちは考えられるわけですけれども、政党本位の選挙というものは選挙区制に関係してくるのかこないのか、そのものずばり大石さんと中村さんにお尋ねしておきたいと思います。
#124
○大石政府委員 政党本位の金のかからない選挙ということばで私は総理から第七次審議会におはかりをしているように記憶しております。そのことばは、私がいまつくったのではなくて、そういうことばで総理からもお願いをしてあると思います。そしてそれはいま中村部長からお話しのとおり、いわゆる政党をもっとクローズアップした選挙という形にぜひさせる、私の記憶では特に国会関係の選挙について話題を集中しているように感じますけれども、そういうような形でお願いをしていると思うのです。そのことの結果、いまの中選挙区がそのままいいのかどうか、あるいはもう少し小さい区域の選挙区になるか。林先生の言うのは、いわゆる単純一人区が小選挙区ということばだろうと思うのでありますが、そこらの問題については、審議会の御意見、御審議によって進めていただきたいという立場であるというように解釈をしております。
#125
○中村(啓)政府委員 次官が仰せになったところで尽きるわけでございますが、論議をしておりますのは、個人が主体になって選挙が行なわれておるのが現状のようでございますが、これを政党が中心になって政策で争っていかれるという形の姿に持っていこうというのが、いわゆる政党本位の選挙への移行ということばで論議をしている考え方のように存じております。その意味で、現在の選挙の仕組みについて問題があるのではないかということで審議が進められておるという段階でございまして、選挙区の仕組みもその一つの問題点ということで検討の対象になっております。しかし、次官のお話のございましたように、小選挙区制でなければならないという形での論議には、現時点では全然なってはおりません。
#126
○吉田委員長 門司亮君。
#127
○門司委員 警察当局に聞きます。きょうは一つだけ聞いてあと聞きませんけれども、選挙の規制あるいは選挙法がいろいろ議論されております中で、私どもが一番問題として考えなければならぬものは、今度の地方の統一選挙でも非常にたくさんの違反が行なわれております。ところが、この選挙違反に対して、日本の選挙法ほど罰則の多い法律はない。選挙違反と一般犯罪とは違うのだという観念を植えつけておる。これが選挙違反の絶えない最大の原因だと私は思う。たとえば詐偽投票をやかましく言っているが、詐偽投票の詐偽ということばは、選挙法にも詐偽と書いてある。刑法にも詐欺と書いてある。刑の量刑はどうかというと、選挙法における詐偽は最高が禁錮二年でしょう。大体私はそうなっておると思う。刑法の最高は十年です。同じ詐欺ですよ。しかも本質論からいえば、刑法にいう詐欺というのは、相手方があってだまされておる、だまし取ったということでしょう。したがって私は、相手も多少のぬかりがあって、やはり罪がないわけではないと考える。犯罪を構成する一つの分子であることに間違いはない、しかし、選挙の詐偽というのは他人の良心を盗むのである。これほど道徳的に悪い犯罪がありますか。その犯罪が軽いのだ。ここに私は非常に大きな問題が伏在しているのではないか。こういう問題を一体どうお考えになるか。これはすべてそうですよ。たとえば戸別訪問にしても禁止している。戸別訪問に対する犯罪は一体どのくらいか。ところが、刑法にいういわゆる不法侵入に対する犯罪の刑量と一体どれだけ違うか。選挙における買収は、明らかに公務員の一つの大きな問題に対する買収事件であることに間違いないと解釈してもよろしいかと私は考えております。選挙というのは公の事業であり、公の仕事でありまするから。だから頭に公職という文字をくっつけておるのであります。ところが、これがいまの収賄罪その他との、あるいはこの収賄あっせん罪というような刑量との間にどれだけの大きな開きがあるか。いわゆる選挙法に規定いたしておりまする犯罪に対しては、非常に微温的というより、むしろ単なる形式的の刑罰でしか臨んでおらない。そうして刑法のほうにはかなり厳重な、きびしい問題を出してきておる。たとえば履歴書が違っておるとかあるいは虚偽の表示がしてあるとかいうようなものについても、公認された選挙である以上は、明らかにこれは公文書であることに間違いはない。ところが、公文書偽造行使の犯罪の形量と選挙法のそうした犯罪の刑量とは非常に違う。こういうところに、選挙というのは別ものだという観念を国民に植えつけておる。ことに政府の最も悪い行き方というのは、これは政府自身でありまするが、選挙法の恩赦、特赦は四回行なわれています。一番最初のものは終戦後の、当時の政治犯罪その他を免じたのでありますから、私はこれは別に問題はないと思う。しかし恩赦、特赦というのは憲法で定めた内閣の国事であることに間違いはございません。これは憲法事項である。したがって、内閣がこれを行なうことはとやこう言う必要はないと私は考える。ところが、行なっております行為を見てごらんなさい。選挙法が、いま申し上げましたように非常に軽量に置かれておりますので、選挙法によって罰せられた人が体刑に処せられたということはほとんどないはずです。ほとんど全部といっていいほど罰金刑である。したがって、これは恩赦、特赦の対象になる。だから、四回行なわれておるこの恩赦、特赦の中で、八〇%ないし九〇%は選挙違反であります。だから、選挙違反というものはやったって、次に恩赦があればおれたちはそれでなくなるのだ。――来年おそらく沖繩が返ってくれば恩赦があるだろうと私は考える。そうすると、ことしの統一地方選挙でどんなにやっておいたって、罰金だけ納めておけばそれでいいんだ、来年の七月になれば大体みんな犯罪は消えてしまうのではないかという心理が今度の選挙に私は動いていやしないかと考えられる。しかもその選挙犯罪の恩赦、特赦になった八〇%ないし九〇%の中で、もう一つこれを分析してみると、中にやはり八〇%以上というものが買収犯であることは間違いない。この悪質犯の取り扱いがそういう形態になっておる。私は、政府はもう少し選挙に対して姿勢を正すべきだと考えておる。全く選挙違反に対しては特別の犯罪のようなことを考えておって、そしてそれは国民の意識の中に植えつけられている。このことが選挙違反のなくならない最大の一つの原因だと考える。これは改正する必要があると考えておる。ドイツの選挙法を見てみましても、イギリスの選挙法を見てみましても、選挙法自体に罰則はないでしょう。ことごとくこれは一般犯罪と同じように刑法で取り締まっている。したがって、捜査の面においても選挙と全然別な形で捜査をいたしておりまするから、選挙中であろうと手入れができるはずです、刑法で処置する限りは。日本の場合には、これを選挙法というワクの中に入れておるから、犯罪の疑わしいものがあるとしても、警察がうっかり選挙中に選挙事務所に手を入れてごらんなさい、選挙を弾圧したとか、いろいろな問題が起こることはわかっておる。それを遠慮しているから、結局選挙が終わってから手入れをするということになっている。選挙違反が今度の選挙で非常にふえたという裏には、そういうものがあるということを政府は知っていなければならないはずである選挙違反は特別犯ではないのである。私は選挙法は憲法付属の大典だと考えておる。憲法を改正するにも、その基本は選挙でしょう。選挙で三分の二以上の国会議員を得て、ここで発議されて国民投票にゆだねるということになっておる。であるとするならば、悪い政府が出て、選挙に対して徹底的に干渉して、衆参両院で三分の二の議席をとって、憲法を改正しようとすれば合法的にやれるのである。そのもとはやはり選挙であります。したがって、日本における法律の最大の権威のあるものは選挙法でなければならない。ところが、その最大の権威でなければならない選挙法に対する政府のものの考え方、取り扱いというものが間違っておるというところに、日本の政治の暗い影がつきまとっておるということは私は言えると思う。これははっきり言ってもいいと思う。
 こういう観点から見て、警察当局として、選挙犯罪というのはとても警察で勘定し切れないほどあろうと思うのですよ。たまたまあげられた者が運が悪いということになっておって、何かしら富くじに当たったかはずれたかというような感じを国民が持っておる。ここに日本の選挙の腐敗、堕落の最大の原因があると言っても差しつかえない。これに対して警察当局として、取り締まり当局として、いま私が考えておるように、選挙法から罰則を除いて、これを刑法にゆだねる。同じ行為であります。同じ行為であって刑量が違うというような行き方は、私は正しい選挙を指向するゆえんのものではないと考える。したがって、これに対する警察側の態度をひとつ率直に聞かしておいていただきたい。きょうはここに大臣おいでになっておりませんので、政府の意向は聞きません。ひとつ警察側の意見というものをあなた方の立場から率直に言っていただきたい。
#128
○高松政府委員 御承知のように、いまの刑法の前の刑法、旧刑法の中に「公選ノ投票ヲ偽造スル罪」という規定がございました。その中にわいろ投票と称して現在でいえば買収に当たるもの、それから投票の偽造その他を規定しておったわけでございます。現在の刑法はそれを省いてしまった。そこでいまおっしゃったような刑のアンバランスが確かにある。しかしいまおっしゃったもののほかに、たとえば選挙の自由妨害というものの暴行脅迫というようなものは、これは公職選挙法のほうがむしろ重くなっている、そういう特殊なものもございます。いろいろそれはあるわけですが、これを少なくとも私どものいう実質犯、単なる形式犯ではない選挙犯罪の中の実質犯については形法典の中に盛るべきではないかという議論が現在法制審議会でも先般来議論になっておりまして、その際にドイツの刑法なども例に引かれまして、実質犯の基本的な類型については刑法に規定すべきではないかという主張がかなりございました。ところが、これに対する反対もございました。現在の公職選挙法の罰則というのは非常に多い。たとえば買収の形態一つをとりましても、二百二十一条から二百二十四条の二くらいまで長くこうなってしまう。あとのものもずっと入れていくと、刑法の大部分がこれになってしまうというような形になる。そうすると、基本的なものは刑法に置いて、加重類型のようなものは公職選挙法に入れていくというような形というものにしてしまった場合に、かえって非常に不便ではないか、かえってまたおかしくなる。単純買収は刑法にあって、それから多衆人による買収というもっと重いものは公職選挙法の中にあって、重いものがこっちへ入ってくる、そういうふうな議論もいろいろございまして、結局、現在のところでは入れないということで刑事法部会では否決になったというのが、ことしの春でしたか昨年の暮れでしたかの状況でございます。
 それで、この問題につきまして、選挙法はいままで、二十五年の公職選挙法制定以来もずいぶん変わりましたけれども、罰則の部面についての改正は案外に少ない。新しい形のものが、おとり罪もそうですけれども、いろいろぼつぼつ入っておりますけれども、明治以来あるものについての改正というものはほとんどなされていない。それから刑についても、それの変更なり何なりというものはなされていない。ここのところがやはり一つの問題点であろうか。もうかなり長い期間をたって、これでいいのであろうかという感じは、私も非常にいたした次第でございます。
 門司先生御指摘の点は、その点で、やはり何とかもう少し整理するものは整理し、ほんとうに選挙違反の取り締まりというものが徹底して行なわれるように何とかできないか。確かに雷に当たったような感じで、おれは運が悪かったというような感じが世間に強いことも事実でございますが、そういうことでは法のほんとうの権威というものも失なわれますし、ほんとうの選挙の公正さというものも失なわれてくる。そういう点で私どもはむしろ何とかこれを実効的なものに持っていきたい、かように思うのですが、現実は、御承知のように、だんだんむしろふえていくという形になってきているんじゃないか。その点ではよほどこの問題についてはよく検討する必要があろう、かように思います。
 それから事前検挙の問題を申されましたが、事前検挙は、私は刑法典に規定されておると公職選挙法に規定されておると同じことであると思います。御承知のように、事前検挙をやった場合にそれが選挙干渉であるというふうなことは、事前検挙によって選挙干渉が行なわれたということは戦前にもいろいろあったように私ども聞いております。私どもの感じからも、もしほんとうに干渉をやろう思ったら――そんなこと考えるはずがありませんけれども、それは事前検挙を非常に強行すればできぬことはないというような形になると思います。そういう意味で、私どもは事前検挙につきましては非常に慎重にやっておりますけれども、しかし現在でも、証拠明白で罪質の悪質なものは事前検挙をやる、候補者といえども事前検挙をやるという方針にだんだん強めてきております。今度の地方選挙でも事前検挙はかなりございました。そういう点で、これはどちらに規定するかというよりも、むしろ取り締まりの基本方針なり基本的態度という問題に由来するところが非常に多いであろうというふうに思うのでございます。
 時効の問題につきましては、政府がおきめになることで、私どものあれではございませんけれども、どうも何か、こういう事件についてたびたび時効が行なわれることについては問題だなあという感じをいつも持っておる次第でございます。
#129
○門司委員 これ以上聞きませんが、私はいまのような答弁で満足をするわけに実はまいらぬのでありますし、そういう答弁が出てくるということになると、さらに聞きたいのは、それならどうして一体選挙違反というものがなくならないのか、減らないのか。そうしてだんだんこれが悪質化して大きくなってきているのですね。大体そういう原因が一体どこにあるかということをここで聞けばいいのでありますけれども、そういうことを聞くと長くなるから、きょうは私は聞きませんけれども、ほんとうに真剣に警察としての立場から、選挙違反も犯罪ですから、犯罪をいかになくするかということ。ことに選挙については、先ほど申し上げておりますように、憲法の改正に通ずるきわめて重要な法律が選挙法であります。ほかの法律がどんなものがあったからといって、憲法の改正に通ずるものはないわけであります。憲法改正に通ずるというものは選挙法以外にないのであります。したがって、この選挙法の改正がいまのような形で行なわれて、ほんとうの痛いところ、いわゆる恥部ということばもありますけれども、そういうところに触れないで、そうして外回りだけをしておるという今日の選挙法の改正等については、やはり基本的にものを考え直す必要がある。そうすれば、やはりその辺からものを考え直していくということ。きょうは恩赦、特赦の問題を大石政務次官に聞いても、なかなかこれはむずかしい問題であると思いますので、これは内閣の決定事項であって、憲法がそう書いておるのでありますから、総理大臣でもおいでになったら総理大臣の気持ちを聞かなければならぬことだと思いますけれども、しかし、実際に刑事局長に考えていただきたいのはそういうことなんですよ。選挙法は全部といっていいほど、体刑になった者は今日までないですね。そうしてこれが八割ないし九割までが恩赦の対象になるのですから、選挙違反やったって国事犯だからたいしたことはないのだという感じを持たせることは当然だと思うのです。数字が必要だというなら、法務省からもらった数字がありますので、詳しい数字を申し上げてもよろしいのでありますけれども、この辺はやはり政府に考えてもらわなければならぬと思うのですよ。こんなことを言うとこれまたおしかりを受けようかと思いますけれども、選挙違反を逆に奨励したような形になっている。やったからといってこの次の恩赦でみんなパーになるのだからということで、意識してやられるということになるとたいへんなことになるので、その辺にお手伝いされてはかなわないので、きょうはこの程度で質問を終わりますが、十分ひとつ次官のほうも気をつけていただきたいと思います。
#130
○吉田委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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