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1970/03/23 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 議院運営委員会国会法改正等に関する小委員会 第1号
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1970/03/23 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 議院運営委員会国会法改正等に関する小委員会 第1号

#1
第065回国会 議院運営委員会国会法改正等に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和四十五年十二月二十六日(土曜
日)委員会において、設置することに決した。
十二月二十六日
 本小委員は委員長の指名で、次の通り選任され
 た。
      渡海元三郎君    田澤 吉郎君
      亀岡 高夫君    海部 俊樹君
      三原 朝雄君    佐藤 孝行君
      勝澤 芳雄君    安宅 常彦君
      広沢 直樹君    麻生 良方君
十二月二十六日
 田澤吉郎君が委員長の指名で、小委員長に選任
 された。
―――――――――――――――――――――
昭和四十六年三月二十三日(火曜日)
   午後二時五十五分開議
 出席小委員
   小委員長 田澤 吉郎君
      渡海元三郎君    海部 俊樹君
      勝澤 芳雄君    広沢 直樹君
      塚本 三郎君
 出席政府委員
        自治省行政局選
        挙部長     中村 啓一君
小委員外の出席者
        議院運営委員  山口 鶴男君
        議院運営委員  松本 善明君
        議     員 安里積千代君
        議     員 上原 康助君
        議     員 國場 幸昌君
        議     員 瀬長亀次郎君
        議     員 西銘 順治君
        事 務 総 長 知野 虎雄君
        衆議院法制局長 三浦 義男君
    ―――――――――――――
一月二十一日
 小委員安宅常彦君同日委員辞任につき、その補
 欠として中嶋英夫君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
二月十日
 小委員麻生良方君同日委員辞任につき、その補
 欠として塚本三郎君が委員長の指名で小委員に
 選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 「沖縄の国政参加(参議院全国区)に関する要
 請書」に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田澤小委員長 これより国会法改正等に関する小委員会を開会いたします。
 去る三月二日、西銘順治君外六名の沖縄選出議員から、沖縄の国政参加(参議院全国区)に関する要請書が提出されましたので、法案を起草いたしました当小委員会といたしまして、起草当時検討いたしました経緯並びに問題点について、沖縄選出の議員の方々に説明をするため、本日お集まり願ったのでございます。
 御承知のとおり、参議院全国区の問題は、法案起草にあたり種々検討されたのでありますが、小委員長報告にもありますとおり、適用される法令の異なる本土と沖縄の両地域にまたがり、これを一つの選挙区として、一本の選挙を行なうことが、法理論的にも、また選挙の執行という点等からも、きわめて困難であることが判明いたした次第であります。
 この際、衆議院法制局長及び自治省選挙部長より説明を願うことといたします。三浦衆議院法制局長。
#3
○三浦法制局長 私、衆議院法制局長の三浦でございます。
 御指名がございましたので、お手元に差し上げてあると思いますが、「昭和四十六年三月十日衆議院法制局」「沖縄住民を参議院全国選出議員の選挙に参加させることについての問題点」と書きまして八項目あげてございますが、これを読み上げることにいたしまして、また御質問等がございましたら、あとで答えさせていただきます。
 内容につきましては、
  本件については、さきに沖縄住民の国政参加特別措置法案の起草に関する報告並びに提案趣旨の説明の際、「適用される法令の異なる本土と沖縄の両地域にまたがり、これを一つの選挙区として、一本の選挙を行なうことが、法理論的にも、また選挙の執行という点からもきわめて困難であることがわかりました。」と、田澤議員から述べられているように、種々解決困難な問題がある。
  右のことは、沖縄だけで完結する選挙と異なって、公職選挙法の適用されない施政権下にある沖縄の地域と公職選挙法の適用される本土の地域とを通じて、一体の選挙として、これを執行しようとすることに起因するものである。、
 一 選挙権
  (1) 選挙権の欠格事由は、全国選出議員の選挙については、その選挙の一体性にかんがみ、沖縄と本土の双方において、同一でなければならない。
    全国選出議員の選挙について、たとえば、沖縄法令で禁錮以上の刑に処せられた者、選挙犯罪により公民権を停止された者等を、本土における欠格者とする場合には、一方において、本土における参議院地方選出議員の選挙の欠格事由と異なることとなり、他方において、本土の全国選出議員の選挙における現行の欠格事由を拡大せ
  ざるを得ないこととなる。
 (2) 沖縄の裁判によって、たとえば、禁錮以上の刑に処せられたり、選挙犯罪により公民権を停止されたりした者等を、本土における公職選挙法上の欠格者とすることは、沖縄法令による刑事裁判その他の処分の効果をそのまま承継することを意味するが、そのような承継の問題については、復帰の際の一連の立法措置において慎重に検討されるべき事柄である。二 被選挙権
  全国選出議員の選挙における被選挙権についても、前記の選挙権の場合と同様、問題がある。三 選挙事務の管理
  全国選出議員の選挙における選挙事務の執行については、中央選挙管理会が統一的に管理することとなっているが、法理上、その管理権が沖縄に及ばないので、選挙管理の一体性が保持できない。四 選挙運動
 (1) 全国選出議員の選挙における選挙運動については、たとえば、選挙事務所、自動車、選挙用葉書、ポスター、政見放送等につき、沖縄と本土とを一体として統一的に規制する必要があるが、これには種々技術上困難な問題がある。
 (2) 選挙運動の公正な取締りを期するためためには、その取締りの一体的な指揮監督関係が認められなければならないが、警察権の執行上、沖縄と本土とはその存立の根拠を異にするので、選挙の公正を確保するのに支障を生ずるおそれがある。
 (3) 選挙運動の違反が生じた場合における罰則等の適用については、沖縄においては沖縄法令で、本土においては本土法令で、それぞれ規定すべきこととなるが、その結果、本土と沖縄との間に二重処罰の可能性を生ずる。
 五 得票数
  全国選出議員の選挙は、沖縄と本土の全地域を通じて当落が決定されるもので、その得票数は、沖縄と本土の得票数を合算すべきものである。その場合において、得票の有効、無効の判定をはじめ得票数の計算の公正を確保するためには、沖縄におけるこれらの事務の執行を本土と統一的に処理する必要があるが、これらの法的措置を講ずるについては、沖縄が施政権下にある関係上、困難を生ずる。
 六 選挙無効の訴訟
  全国選出議員の選挙における選挙無効の訴訟については、選挙無効の原因が沖縄で発生した場合においても、その選挙の一体性にかんがみ、中央選挙管理会を被告とし、東京高等裁判所に管轄させる必要がある。しかるにこのことは、施政権下にある沖縄の事件を本土の裁判所に管轄せしめることとなり、復帰前においては、法理上、困難な問題である。
 七 当選無効の訴訟
 (1) 全国選出議員の選挙における当選無効の
  訴訟についても、前記の選挙無効の訴訟の
  場合と同様、問題がある。
 (2) なお、連座制による当選無効の訴訟については、沖縄で発生した選挙犯罪の刑事裁判は沖縄の裁判所に委せることとしても、これによる当選無効の訴訟は、選挙の一体性にかんがみ、東京高等裁判所に管轄させる必要がある。しかるにこのことは、沖縄で行なわれた刑事裁判の効果を前提として、当選無効の訴訟に関する裁判が本土において行なわれる結果となり、日本国憲法下の裁判権と施政権下の裁判権との複雑な関係を生じ、復帰前にこの問題を解決することは、極めて困難である。
 八 選挙犯罪
   全国選出議員の選挙において、沖縄における選挙犯罪と本土における選挙犯罪とは、それぞれの裁判所の管轄に属せしむべきであるが、本土と沖縄とを通ずる一連の行為が本土法令と沖縄法令との双方において違反行為に該当するような事態が生じた場合には、裁判の管轄権の競合を生ずることとなり、同一の違反行為に対し、本土と沖縄の双方において二重処罰の可能性が生ずる。
 このほか、渡航問題等があると思いまするが、その問題につきましては、この前の沖縄住民の国政参加特別措置法案の際に、政府から向こうのほうに申し入れがありまして、ある程度渡航の自由が確保されたようでございますので、その点につきましては、特にここにあげておかなかったわけでございます。
 大体以上でございます。
#4
○田澤小委員長 次に、中村自治省選挙部長。
#5
○中村(啓)政府委員 自治省選挙部長の中村でございます。
 ただいま三浦局長さんから、理論的な法律の考え方についてお話があったところでございますけれども、私ども選挙管理の実務をやっております立場から、この問題について問題点だと考えられます点をあげてみたいと存じます。
 お手元にお配りをしておりますが、かりに沖縄の方に全国区の選挙に参加をしていただくということにする場合、どうしたらいいのだろうかということで検討してみましたが、私どもの考え方といたしましては、いまの公職選挙法は、当然に琉球政府の管轄地域には及んではおりませんけれども、しかし、全国区の候補者に沖縄の方がおなりになるということは、いまの本土政府の公職選挙法によって当然にできるというふうに考えております。と申しますのは、被選挙権につきましては、住所要件ということがございませんので、いまの選挙法のままで、公職選挙法の手続によって全国区の候補者におなりになることは可能であろうとは存じております。
 そこで、かりに選挙をなさる、投票をしていただくということにするといたしますれば、公職選挙法を琉球政府の管轄下に持っていくわけにはまいりませんので、琉球政府で立法をしていただいて、何らかの措置をしなければいけないことになるわけですが、おそらく、やるとしますれば、沖縄におきましても本土と同じような形で投票を行なって、沖縄におきます得票を本土におきます得票に加算をして当選者にする、これしかやりようがないかと思います。
 そういう意味で、いずれにしても、本土の選挙と沖縄の選挙はきちっと区分がされ、仕分けがされるシステムが考えられない限りは、やりようがないのではないかと存じます。
 そういう点につきましての問題点を読み上げます。お配りしております紙の2の(1)というところからでございます。
 (1) 選挙運動、政治活動に関する数量的規制(選挙事務所の数、はがき・ポスターの枚数等)については、本土と沖縄を通算しての制限にするか、または本土分の何分の一かを沖縄で別ワクを設けて制限するか。
 もし通じた規制とする場合には、自動車表示板・ポスター証紙等は一切本土中央選管の交付したものを使用させる必要があろうが、いかにして実効性を確保するか
 もし別ワクで規制する場合には、沖縄を重点地区とする候補者は別ワクの範囲内でしか運動ができず、相対的に不利な扱いにならないか。
 (2) 選挙運動費用の制限については、支出手続等の面において、本土と沖縄とを通じて適用することは、きわめて困難と思われるが、別ワクで規制することによってはたして選挙の公平が確保できるか。
 (3) これは、ある程度ただいまの法制局長のお話で解決ができる問題かもしれませんが、渡航制限・外貨持ち出し制限のもとで、本土と沖縄とを通じた自由な選挙運動、政治活動が保障できるか。
 (4) 政見放送等について統一的な実施ができるか。
 (5) 投票の効力判定について、本土中央選管の指揮監督のもとに統一的な扱いができるか。
 (6) 警察権の異なる本土と沖縄とで統一的な取り締まりができるか
 特に、本土と沖縄相互にまたがる違反行為について一体的な取り締まりができるか。
 (7) 本土と沖縄とを通じる一連の選挙犯罪については、本土と沖縄との二重処罰の可能性をどうするか。
 また、選挙犯罪に対する時効が本土と沖縄とで異なるが、これをどう考えるか。
 (8) その他、沖縄住民の公民権停止の範囲と本土住民の公民権停止の範囲との差異等についてどう考えるか等の問題も予想される。
 (9) 以上のような各種の問題点を解消して本土と沖縄とを通じた一の全国区選挙を実施するためには、前述のように法域を全く異にする本土と沖縄の双方において、選挙法規のみならず、刑事法、外国為替法、入国管理法、郵便法、放送法等の多数の法令について、円滑な相互の関連づけと統一的取り扱いのためのきわめて複雑多岐にわたる膨大な特例措置を同時に設ける必要があるが、これらの特例措置を漏れなく設けることは技術的にきわめて困難ではないかという感じがします。
 (10) しかし、最も困難なのは裁判の問題で、沖縄における選挙執行上の違法性についての訴訟を本土中央選管を被告として東京高裁の専属管轄とすることは法域を異にする限りきわめて困難でありましょうが、裁判管轄を本土と沖縄とで別にする場合には、統一的な判決は保障できないという問題点がございます。元来選挙訴訟は、単に違法性を争うのではなく、それが選挙の結果に異動を生じるかどうかあわせ判断しなければならないのでありますので、分割裁判のもとでは、それを期待することはたいへん問題ではないか。
 大体、以上のようなことであります。
#6
○田澤小委員長 以上で説明は終わりました。
 これより懇談に入ります。
    ―――――――――――――
  〔午後三時十分懇談に入る〕
  〔午後三時三十二分懇談を終わる〕
    ―――――――――――――
#7
○田澤小委員長 これにて懇談を閉じます。
 それでは、ただいままで法制局長並びに選挙部長から説明いたさせました種々の困難な点は、先般起草にあたって小委員会が検討した経緯でありますので、その点御了承願いたいと存じますが、なお、沖縄選出の皆さま方においてもよく御検討されまして、可能な方法が見出されるならば、引き続き御懇談をいたしたいと思います。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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