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1970/02/19 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第四分科会 第1号
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1970/02/19 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第四分科会 第1号

#1
第065回国会 予算委員会第四分科会 第1号
本分科会は昭和四十六年二月十三日(土曜日)委員
会において、設置することに決した。
二月十八日
 本分科員は委員長の指名で、次の通り選任され
 た。
      足立 篤郎君    小平 久雄君
      笹山茂太郎君    松浦周太郎君
      森田重次郎君    渡辺 栄一君
      阪上安太郎君    原   茂君
      相沢 武彦君    竹本 孫一君
二月十八日
 森田重次郎君が委員長の指名で、主査に選任さ
 れた。
―――――――――――――――――――――
昭和四十六年二月十九日(金曜日)
    午前十時五分開議
 出席分科員
   主査 森田重次郎君
      足立 篤郎君    小平 久雄君
      笹山茂太郎君    松浦周太郎君
      渡辺 栄一君    後藤 俊男君
      島本 虎三君    長谷部七郎君
      原   茂君    藤田 高敏君
      相沢 武彦君    大橋 敏雄君
   兼務 大原  亨君 兼務 田中 武夫君
   兼務 細谷 治嘉君 兼務 古寺  宏君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 野原 正勝君
 出席政府委員
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        労働大臣官房長 道正 邦彦君
        労働大臣官房会
        計課長     増田 一郎君
        労働省労政局長 石黒 拓爾君
        労働省労働基準
        局長      岡部 實夫君
        労働省労働基準
        局賃金部長   藤繩 正勝君
        労働省婦人少年
        局長      高橋 展子君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
        労働省職業安定
        局審議官    中原  晁君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 遠藤 政夫君
        労働省職業訓練
        局長      渡邊 健二君
        消防庁次長   皆川 迪夫君
 分科員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      相原 三郎君
        農林省農地局建
        設部調査官   井上 政行君
        労働省労働基準
        局監督課長   吉本  実君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 北川 俊夫君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月十九日
 辞任         補欠選任
  阪上安太郎君     島本 虎三君
  原   茂君     長谷部七郎君
  相沢 武彦君     沖本 泰幸君
  竹本 孫一君     栗山 礼行君
同日
 辞任         補欠選任
  島本 虎三君     阪上安太郎君
  長谷部七郎君     藤田 高敏君
  沖本 泰幸君     大橋 敏雄君
  栗山 礼行君     竹本 孫一君
同日
 辞任         補欠選任
  藤田 高敏君     後藤 俊男君
  大橋 敏雄君     相沢 武彦君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤 俊男君     石川 次夫君
同日
 辞任         補欠選任
  石川 次夫君     米田 東吾君
同日
 辞任         補欠選任
  米田 東吾君     原   茂君
同日
 第二分科員田中武夫君、第三分科員大原亨君、
 古寺宏君及び第五分科員細谷治嘉君が本分科兼
 務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十六年度一般会計予算中労働省所管
 昭和四十六年度特別会計予算中労働省所管
     ――――◇―――――
#2
○森田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査をつとめることになりましたので、どうかよろしくお願い申し上げます。
 本分科会は、昭和四十六年度一般会計予算中、農林省、通商産業省及び労働省所管並びに昭和四十六年度特別会計予算中、農林省、通商産業省及び労働省所管について審査を行なうことになっております。
 審査の順序は、お手元に配付いたしました日程により進めたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、労働省所管を議題といたします。政府から説明を求めます。野原労働大臣。
#3
○野原国務大臣 昭和四十六年度一般会計及び特別会計の予算中、労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。
 労働省所管の一般会計の歳出予算額は一千二百八十七億一千二十一万二千円で、これを前年度予算額一千百八十一億一千五百二十五万三千円に比較いたしますと、百五億九千四百九十五万九千円の増加となっております。
 労働者災害補償保険特別会計予算は、歳入歳出予算額ともに二千九百二十一億九千三十二万六千円で、これを前年度予算額二千三百四十三億五千五十一万八千円に比較いたしますと、五百七十八億三千九百八十万八千円の増加となっております。
 失業保険特別会計予算は、歳入歳出予算額ともに三千二百五十五億七十四万九千円で、これを前年度予算額二千七百三十五億七千三百二十八万五千円に比較いたしますと、五百十九億二千七百四十六万四千円の増加となっております。
 最後に、石炭対策特別会計中、当省所管分として、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として九十五億三千八百六十九万七千円を計上しておりますが、この額は前年度予算額八十五億五千二百八十七万四千円に比較いたしますと、九億八千五百八十二万三千円の増加となっております。
 次に、そのおもな内容につきまして、概略を御説明申し上げます。
 その一は、豊かな勤労者生活の実現をはかるために必要な経費であります。
 現在労働者の生活は、経済の目ざましい発展によって消費面では著しく向上してきましたが、貯蓄、住宅等の資産の面での立ちおくれが目立っております。このため、今後は、経済の成長に見合いつつ、資産の充実をはかり、安定した勤労者生活を送れるように、預貯金、持ち家の取得等の勤労者の自主的な努力による財産づくりを、国及び事業主が奨励援助するための勤労者財産形成促進制度を新たに発足させることとし、関係法案を今国会に提出をいたしました。
 この法案の骨子は、勤労者の財産形成に関する施策の基本となるべき方針を定めることとするほか、勤労者が財産形成のために行なう一定の貯蓄について税制上の特別措置を講じ、また、勤労者の持ち家建設の推進をはかるため、雇用促進事業団が、事業主等に対し、勤労者分譲住宅の建設資金を貸し付けることとするものであります。
 また、現在、労働災害による被害者は年間百七十万人に及び、このうち六千人にものぼるとうとい人命が失われております。これらの災害の防止のため、科学的な労働災害防止対策の一そうの徹底をはかるとともに、職業病に関する総合的な研究を行ない、さらには、広く労働者の健康づくりを進めるため産業医学総合研究機関を設置することといたしております。
 また、産業公害による社会環境の悪化が、国民生活を脅かしていることにかんがみ、事業場における有害物質の排出規制等労働安全衛生行政の一環として公害防止のための対策を強化していく考えであります。
 次に、勤労青少年の福祉対策につきましては、第六十三特別国会において制定されました勤労青少年福祉法に基づき、総合的計画的に諸施策を進めてまいる所存であります。
 このため、勤労青少年ホーム、勤労青少年体育施設等の福祉施設を拡充するとともに、勤労青少年のグループ活動の積極的奨励、特別協助員の増員等勤労青少年育成指導事業の推進につとめてまいる所存であります。
 また、婦人労働対策といたしまして、婦人の職業能力の有効発揮についての啓蒙活動の実施、パートタイム雇用制度の整備、職業講習の実施、働く婦人の家の増設等の施策を積極的に進めてまいります。これらに必要な経費として、四十七億一千六百五万九千円を計上いたしております。
 その二は、労働力不足下における雇用対策の展開に必要な経費であります。
 今後の雇用政策の方向については、四十五年十二月の総理大臣に対する雇用審議会の答申「労働力需給の長期的展望およびこれに対応する雇用政策について」の意図するところを十分くみ入れて四十六年度に雇用対策基本計画を改定し、それに基づいて今後の労働力需給の動向に即応した雇用政策の刷新をはかっていく方針であります。特に、その際には、国民経済及び国民生活の指向するところに対応し、労働生産性が高く、その成果が勤労者生活に還元されるような雇用構造の実現をはかることとし、このため、職業紹介機能や雇用サービス活動等を強化して労働力流動性の向上、中高年齢者、家庭婦人、心身障害者等の就業の円滑化を進めてまいるとともに、あわせて、総合農政の進展に対応する農村の雇用機会の増大や炭鉱離職者、駐留軍関係離職者に対する就職援護措置を充実してまいります。
 現行の失業対策事業については、最近における雇用失業情勢の著しい改善にもかかわらず、なお十九万人余の者がこの事業に固定化している等、制度本来の趣旨と著しく相違する状況が見られ、このような状況に対して種々の批判も聞かれるようになってまいりました。そのため失業対策事業を含めた失業対策制度の刷新改善をはかることとし、昨年十二月「今後の失業対策制度に関する基本構想」を雇用審議会に諮問しておりましたが、この二月十三日答申をいただきましたので、これに沿って中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法案をまとめ、今国会に提出いたした次第であります。
 この法案の骨子は、中高年齢者の就職がなお困難な現状にかんがみ、中高年齢者の通常雇用への就職の促進をはかるため、中高年齢者の雇用を奨励し、中高年齢失業者等の就職を促進するための特別の対策を講ずることとし、その結果、今後新たに発生する中高年齢失業者等については、失業対策事業に依存することなくこれらの施策によって対処し、現在の失業対策事業就労者については、特に手厚い援護策を講じて、その自立化を促進し、これによってもなお自立し得ない者については、従来の経緯等にかんがみ、当分の間失業対策事業を継続実施して、これに就労させることとするものであります。
 これらに必要な経費として、一千三百九十一億三千三百二十七万四千円を計上しております。
 その三は、職業訓練の体系的展開と技能向上施策の積極的推進に必要な経費であります。
 労働者一人一人の能力を高めるため、職業訓練の充実につとめてまいります。四十六年度は、新規学校卒業者に対する養成訓練の拡大をはかるため、公共職業訓練、事業主等の行なう職業訓練の充実につとめるほか、とくに在職労働者に対して向上訓練、再訓練を行なう成人職業訓練の制度を新たに設け、いわゆる生涯訓練の体制の確立につとめてまいります。
 また、技能検定につきましても、二百職種実施を目標に、技能検定職種の拡大をはかるとともに、卓越した技能者の表彰、青年技能労働者の国際交流を推進して、社会一般の技能尊重の気運を一段と盛り上げたいと考えております。
 これらに必要な経費として、百八十一億四千八百八十五万二千円を計上いたしております。
 その四は、発展する経済社会に対応した労働条件の改善促進に必要な経費であります。
 近年、労働条件は、全般的には向上してまいりましたが、いまなお、中小下請企業等には、恵まれない労働条件で多くの人々が働いております。このため、最低労働条件の確保という視点に立って監督指導を進めていくとともに、昨年成立した家内労働法の周知と順守の指導につとめてまいります。
 また、最低賃金制度については、昨年九月中央最低賃金審議会から「今後における最低賃金制度のあり方について」答申をいただきましたので、今後は、この答申の趣旨を十分に尊重して効果的な最低賃金行政を進めてまいります。
 これらに必要な経費として、十三億八千三百一万二千円を計上いたしております。
 その五は、経済社会の動向に即応した労使関係の形成に必要な経費であります。
 現在、労使関係の動向は、ひとり労使間の問題にとどまらず、政治、経済、社会の各般に大きな影響を及ぼすようになっております。
 このような情勢にかんがみ、長期的展望のもとに時代の動きに即応した望ましい労使関係を形成し、労使の社会的責任の自覚により労使間の諸問題を合理的に解決する機運の醸成をはかるため、産業労働懇話会を開催する等の諸施策を講じてまいりたいと思います。
 また、中小企業につきましては、労務管理の改善に必要な助成を強化することといたしております。
 これらに必要な経費として、四億八十七万八千円を計上いたしております。
 最後に、労働外交の積極的展開に必要な経費であります。
 アジアを中心とする対外協力の強化という政府の基本方針にのっとり、アジア諸国に対する技術協力につとめてまいりますが、特に、昭和四十六年度においては、アジア諸国からの技能研修生の受け入れを中心として、このために必要な諸般の措置を講ずるとともに、ILOアジア労働力計画の策定実施、ILO、OECD等国際労働機関の諸活動への参画等を積極化することとし、これらに必要な経費として、三億九千五百七万五千円を計上いたしております。
 以上のほか労働統計処理体制の整備、労働保険の徴収一元化、その他一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。
 以上、昭和四十六年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。
 何とぞ本予算の成立につきまして、格段の御協力をお願い申し上げます。
#4
○森田主査 これにて説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○森田主査 これより質疑に入ります。
 この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は原則として本務員は一時間、兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力を賜わりたいと存じます。なお政府当局におかれましても、答弁はでき得る限り簡単明瞭にお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷部七郎君。
#6
○長谷部分科員 私はこの際、労働大臣に対しまして若干の御質問をいたしたい、かように考えます。
 先般の予算委員会における総括質問におきましても、私はいま最も大きな問題の一つである出かせぎ対策についてお尋ねをしたわけでありますが、残念ながら時間の関係で十分意を尽くすことができませんでしたので、ひとつこの機会に二、三点承りたい、こう思うわけでございます。
 御案内のとおり、最近東北、北陸あるいは山陰地帯における農村は連続的な米価の据え置きやあるいは物価の高騰等によりまして、農業所得だけではどうしても生活が立たない。農外収入を求めまして、出かせぎというものが非常に激増しておるわけでございます。大臣の御出身の岩手県も年年増加の一途をたどっておることは御承知のとおりであります。われわれは、半年以上も家族と別れての出かせぎでございますから、これは申し上げるまでもなく人間生活の最低の条件さえうちこわすものでございます、できればこういう不自然な形の出かせぎというものは、農政のサイドから考えまして解消しなければならないものである、かように考えておるところでございますけれども、なかなか現実は出かせぎ解消の特効薬はない、したがって、残念ながら増加の傾向を許さざるを得ない、こういうところでございます。ところで、昨年の十一月から始まっておる今年度の出かせぎの特徴でございますけれども、一つは、例年になく労働災害が非常に多いということでございます。幸いにして大きな惨事はいまのところ発生しておりませんけれども、いわゆる一人、二人という規模の小さな事故は、その数においては非常に増加をしておるわけであります。私ども、秋田県庁の調査によりますると、昨年の十一月からことしの一月三十一日までの間に約死亡事故は十八名というぐあいになっております。これは例年の年間に匹敵する人数でございます。これらの死亡原因について私どもいろいろ調査をいたしましたが、共通して言えることは、一つは、今年度新しく出かせぎをされた方々、いわゆる出かせぎ労働に対する経験の未熟な方々が非常に事故にあっておるということが一つ言えます。それからいま一つは、これはほとんどそうでございますけれども、要するに労働安全衛生規則、これを守っておらない、いわゆる安全対策に手を抜いておる、こういうのが共通して見られる点であろうと思うのであります。
 この労働安全衛生の監督については、これはあとで触れるといたしまして、もう一つの特徴的なあらわれは、これは経済のかげりの問題と関係があるわけでありましょうが、たとえば自動車産業あるいは繊維産業あるいは家電関係の職場に参りますと、安定所の紹介の条件と実際に就労した時点における労働条件の大きな食い違いが出ておるということでございます。
 一例を申し上げますと、埼玉県の川越市にありまする日清紡績という会社がございます。ここに私どもの地方から約六十人ばかりの就労がなされたのであります。四月十五日までの雇用契約、こういうことで就労したわけでありますが、昨年の十二月二十四日の時点におきまして、もうおまえたちは要らないから、あとは正月過ぎは来なくてもよろしいという、いわゆるていのよい首切りが行なわれておるのでございます。それから自動車産業の工場の現場へ行ってみますると、安定所における雇用条件は三交代制の勤務体制であった、こういうことで実は就労した。ところが実際来て一、二カ月もたたぬうちに、三交代はおろか一交代でも満足に勤務することができない、こういう事態になっておるわけです。こういう形で、契約期間の途上においていわゆる首を切られるあるいは著しく労働条件が違うということで、その苦情を訴えてくるケースがことしは非常に多いわけでございます。
 私はこういう観点から考えてみますと、職業安定所における雇用のあっせん、これに疑問を持たざるを得ない。経済がこういう時期に入っておるだけに、職場の事情というものをもっと詳しく調査をして、責任をもって就労をあっせんをする、こういう体制をつくっていただかないことには安心して出かせぎもできない、こういうことに相なるのではないか。安定所を通しなさい、通しなさいということを盛んに行政指導しておりまするけれども、ことしはこういう問題が特に顕著にあらわれておる、こういう点を大臣はどのようにとらえておられるか、また出かせぎ者が安心して働ける条件をつくり出すために、どういう配慮をこれからしょうとしておるのか、この点をまず承っておきたい、こう思うわけです。
#7
○野原国務大臣 出かせぎの方々がくにを出てから帰るまでの間は、できるだけ労働省の機関によってお世話を申し上げるという方針でございますけれども、ただいまお伺いしますと、労働条件等が当初の雇用条件と実態とが違ってきた、どうもまことに遺憾に考えます。しかもそういった方々の中には、多数の方々が災害のために死亡された事故があるというようなことで、心を痛めておりますが、そういうことがないように、実は労働行政はあくまでも責任をもってお世話すべき機関であると思います。したがってわれわれは、御指摘のような点を考えますと、非常に反省を要するものがあるのではないかと考えまして、今後はその関係を十分に改善いたして努力をする考えでございます。
#8
○長谷部分科員 どうも抽象的で、わかったようでわからぬわけでございますけれども、ことしの出かせぎの特徴として、労働省は一体どういうぐあいにつかんでおられるのか、この点をまず私は明らかにすべきだと思うのです。
#9
○住政府委員 先生御指摘の、安定所でお示しを申し上げました雇用条件と採用時の雇用条件、それが変更されていく、こういう事態、実は私どもも実情は地方から報告を受けておるわけでございますが、非常に残念なことでございまして、一つは安定所が求人を受理して、これを出かせぎ先の安定所に流した場合の段階、その後の状況との差、こういうようなことも、これは本年の特色として出てきておると思っております。私ども、そういう場合に、安定所の紹介によって、しかもその後においてそういう状態になったわけでございますから、その善後措置につきましては、求人主とできるだけ相談をいたしまして、善処策を講じておるのでございますが、そういう具体的なケースについては、そのケースごとによって善処策を講じていくと同時に、そういう事例が身近に起こっておるわけでございますので、求人の受理に際して、その契約期間の状態をはっきりさらに確認させる、こういう指導を徹底させております。と同時に、今後そういうような事態を起こした需要主に対しては、今後の求人を受け付けないとか、そういう体制もとって、そういう事態の起こらないように十分気をつけてまいりたいと考えております。
#10
○長谷部分科員 問題が起きた場合は、そのケースによって対処していく、こういう御見解でございますけれども、少なくとも六十人近いグループが四月十五日までの契約期間で就労した、そうして正月を境にして、あとは来なくてもよろしいというようなことは、私はあまりにも経営者の一方的な措置であろう、こういうように思うのであります。しかも法の定むるところによりまして、こういう場合は解雇の予告手当なり、その他当然支給しておらなければならないはずであります。いかに出かせぎ労働者がものを言わないからといって、こういうことで企業経営者が契約違反をかってにやる、それを押しつけるという態度は、私はまことに遺憾なことだと思います。もっと、やはりこれらの問題等については、それぞれの機関において、政府は厳重に監督すべきではないか、こういうぐあいに思うのであります。と同時に、こういうケースがたまたまありますると、いかに安定所が、安定所を通して就労しなさいということを呼びかけましても、非常に不信感が出てくるということでございます。ですから、私は、少なくとも東京なら東京都内の安定所が求人を受け付ける場合は、人員的にも窮屈だということは承知しておりまするけれども、いま少しその企業なら企業の実態というものを十分調査の上、やはり出かせぎ県の安定所に対して責任を持って連絡をする、こういう体制が必要なのではないか、こういうぐあいに考えるわけであります。そういう事態を起こした企業には、あとは求人を受け付けない、こういう制裁を加えましても、実際に迷惑を受けた出かせぎ農民の問題は解決できないわけでありますから、ひとつ事前にこういうものを防止するための対策を一段と強化をしていただくように私は特に要望をいたしたい、こういうことでございます。
#11
○住政府委員 まことにごもっともなことでございます。特に私ども、出かせぎ労働者が安定所を通じて就労するほうが、通じないで就労するよりはいいのだ、だから安定所を通じて就労しなさい、こういうことで、できるだけそういう採用経路が明確な方法で就労されるように行政を進めてまいっておるわけでございますが、そういうような方針にもかかわらず、紹介した場合に、紹介の条件と就労の条件と違うということは、私はまことに申しわけないことだと思っております。特に先生先ほど御指摘ございましたように、経済の鎮静化とか、それが特に繊維とか自動車等に起こった、こういうことについても、私ども十分求人の受け付けにあたっては配慮をすべきものでございまして、そういう点、手抜かりがあったことは非常に申しわけないことでございます。いずれにいたしましても、求人の受理の際における求人条件の確認、そういう正確な求人条件を把握する、こういう体制を、需要地における安定所のやり方その他について従来の点も反省を加えまして、と同時に、送出県における出かせぎ者に対するそういった求人の内容の説明についても十分気を配る、こういうような点につきまして、いままでの方針について十分検討を加えまして、万遺憾のないようにしたいと考えます。
#12
○長谷部分科員 ひとつこの就労あっせんの業務につきましては、一段と責任を強化するように善処方を特に私は申し上げたい、こう思っておるわけであります。
 次に、労働災害の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。御承知のとおり、労働災害が発生をいたしまして、その補償の問題でございますけれども、昨年も実は労災保険法の改正が一部なされまして、漸次充実の方向に向かっていることは、これはまあけっこうなことでございますけれども、それにいたしましても、今日の労働者災害補償保険法というものは、現在の経済情勢から考えまするならば、まだまだ低きの感を免れないわけでございます。そこで、私は今日の自賠法を例に引き出すまでもありませんけれども、いずれの補償問題でもよく使われておりまするホフマン方式、こういうものから比較いたしますると、現在の補償法は非常に低過ぎる。したがいまして、今日事故が発生をいたしました場合に、その労災補償では不十分でございますから、いわゆる企業側に対する訴訟、損害賠償請求訴訟、こういったものが最近どんどんふえてきておると私は見ておるわけであります。したがいまして、たとえば大阪の尻無川における遺族の皆さんは、先般約十人で一億四千五百万円の損害請求を大阪地裁に提起をしておる。このほかたくさんの訴訟がいま行なわれておるわけであります。私は、その原因するところは、やはり労災保険が非常に低い水準にあるということが大きな原因になっておると思います。この問題に対するまず労働大臣の基本的な考え方についてひとつお尋ねをしておきたい、こう思うわけであります。
#13
○野原国務大臣 労働災害の補償につきましては、昨年御審議をいただきまして改正したわけでございます。したがって、どうやら国際的な水準に達したと考えておるわけでございます。ただ問題は、自賠法等による保険といかにもどうもアンバランスという御議論がございまして、私も実は、何とか、国の労災保険制度というものは、それが十分に遺族に対して、あるいは災害を受けた方々に対してそれを償っていけるだけのものであってほしいと考えておる一人でございますが、どうも昨年改正したばかりでございますので、いま直ちにそれをまた改正という段階にもなかなか困難であるということでございますので、この問題につきましては、将来の問題として検討させていただき、できるだけ早く案をつくっていきたいというふうに考えております。どうも必ずしも十分でないことは承知しております。
#14
○長谷部分科員 労働大臣の、いわゆる決してこれで満足しておるものではない、将来前向きに検討するというお気持ちにつきましては了解をいたしますけれども、とにかくきわめてまだまだ低い水準にありまする関係で、勢いその不足分は経営者に対する補償金要求という形になって出てきておるわけであります。ところが、今日の企業の実態を見ますと、これは法的な何らの規制もございませんから、もうわしは知らぬ、こういう態度に出られればそれまでなわけでございます。したがいまして、私は、この際、労働省の行政指導によって、こういった労働災害等が発生した場合には、お互い企業者が共済組織のようなものをつくりまして、その足らざる分を労働者に補ってやる、業者が連帯をして補ってやる、こういうような形の方向に持っていくべきではなかろうか、こういうぐあいにも考えておりますが、すでにこの種の共済制度については、各自治体においてはやっておるところもあるわけであります。少なくとも私は、個々の自治体にこれをばらばらに自然発生的にやらせるのではなくして、労働省が統一的な指導方針を持って業界にその指導を強めていく、こういう態度が必要なのではないか、かように考えるわけでありますが、これに対する大臣の見解をひとつ承っておきたい。
#15
○岡部(實)政府委員 共済保険の問題と関連しての御質問でございますので、私からちょっと……。
 現在の労災保険のたてまえが、災害により死亡した方が稼得能力を喪失した、それによって、そのなくなった方に扶養されている方は被扶養能力を失った。そこで、保険といたしましては、その保険事故に対しまして、扶養されていた方が失ったその被扶養能力を一生見ていくということで、年金制度でこれをカバーしていく、これが本質的なことで、四十年に従来の一時金から年金制度を基本とする労災保険法に改正をいたした。それと同時に、正式に扶養しておられないと認められる人については、それとは別に、一時金の制度を千日分ということで決定した。そこで、先ほど大臣のことばにもございましたように、昨年の改正でその給付額といいますか、率を引き上げまして、ほぼ国際水準に一応見合っております。ただ、先生御指摘のように、これでも十分でない、経済社会の情勢の発展に応じましていろいろ生活の問題等も向上してまいりますし、そういうことで今後この基本的な制度を拡充してまいることについては、私どもも努力をしてまいりたい。各企業が行ないます自主的なものにつきましては――これは政府がただいま申しましたような制度を設けておりまして、労災保険の適用になっておらない方は基準法の規定に基づきます補償がございますので、まず制度を国としては拡充してまいるということにしていきたいと思っておりまして、自主的な制度につきましては、労使関係その他の場においていろいろ拡充をされていくことが望ましい姿ではないかと、こう思っております。
#16
○長谷部分科員 時間もございませんので先に進ませていただきますが、もう一ついま労働者が泣かされておる問題に賃金不払いがございます。これは四十五年の労働省の調査でございますが、九月三十日時点で、賃金不払いの訴えを受けていまだ未解決の件数は千九百七十九件、前年に比べますると約百件近い増加になっておるわけであります。しかもこの中で大部分がいわゆる建設業でございます。この不払い解消の問題等については、いままで毎回の国会において取り上げられてまいったところであるわけですが、そのたびごとに政府の関係者は、下請が不払いを起こした場合は、その元請である業者が一切の責任を持つ、こういう形の立法措置を約束されておったところでございます。今日までだいぶ長い間検討されてきた問題でもございまするので、この際ひとつ労働大臣のこれに対する明快な御見解と御決意のほどを承っておきたい、こう思うわけであります。
#17
○野原国務大臣 出かせぎの方々に対する賃金不払いという問題が起きておりますことはまことに遺憾に思いますが、それに対しましては、下請あるいは孫請等の業者がそういう事態を引き起こしているという事実はございます。これはやはり元請の方々にも当然責任をしょってもらわなければならぬ問題でございます。したがって、そういう問題につきましては、御指摘の点はまことにごもっともでございますので、われわれは昨年来、業者団体による賃金支払いに関する保障制度をつくりたいということで、せっかくいま話し合いを進めております。何とかひとつできるならばしっかりした賃金支払の保障のできるような団体にして、こういう問題を処理、解決していただきたいというふうに考えております。
#18
○長谷部分科員 それからこの問題は、あらわれたものは九月末現在で千九再七十九件でございますけれども、これは労働基準監督署に訴えられたものだけでございます。このほかに泣き寝入りになっておるものが相当数ある、いわばこれは氷山の一角にすぎない、こうわれわれは見ておるわけであります。したがいまして、今度出かせぎ者の自主的な組織でありまする全国出稼組合連合会という組織ができまして、こういう不払いに泣いておられる方々の世話役あるいは労働災害の絶滅あるいは集団就労、こういう仕事をやっていくことになっているわけでありますが、今後労働大臣は、これらの自主的組織である全国出稼組合連合会との定期的な話し合いというものをこの際お認めいただけるかどうか、ひとつ伺っておきたい、こう思うわけであります。
#19
○野原国務大臣 出かせぎの団体等と話し合いをすることは、これはけっこうなことだと思います。できるだけその機会を持って十分に出かせぎの事情、そういった問題についてこれからお世話申し上げたいと考えております。
#20
○長谷部分科員 以上で終わります。
#21
○森田主査 次に、藤田高敏君。
#22
○藤田(高)分科員 私は、定年制延長の問題と、いま質問のありました労災保険の問題について質問いたしたいと思います。
 前質問者がいま労災問題に触れましたので、関連上後者のほうから質問をいたしたいと思いますが、昨年労働者災害補償保険法の一部改正が国会に提案をされまして、その際私は本会議を通して大臣に幾つかの観点から質問をしたわけでありますが、その中で、特に通勤時における労働災害の問題について質問をいたしました。その結果、大臣の答弁では、第四十八通常国会における附帯決議及び社会保障制度審議会の答申、さらには四十四年の八月、労災保険審議会の建議の趣旨について、通勤途上災害調査会を設けて検討をしていきたい、その検討を待ってこの結論を出したいという答弁がなされておるわけですが、その後、この調査会における審議の経過はどういうことになっているか、その結論はいつごろ出される見通しなのか。また、前後いたしますけれども、この四十四年の労働者災害補償保険審議会の建議によりますと、専門家を加えてこの調査会を構成するということになっておりますが、どういう専門家を加えて、どういう構成でこの問題が今日具体的に検討をされてきたか、その経過を明らかにしてもらいたいと思います。
#23
○岡部(實)政府委員 御質問の通勤途上災害の問題に関しまする調査会でございますが、過去約一年にわたりまして毎月一回の割りで調査会をお開きいただいております。その間、現地におきまする調査も数カ所いたしまして、各企業で現実にどういう取り扱いをしているか等の実態をも調べてまいっております。
 そこで、今日までの調査の段階におきまして、実はいろいろ基本的な問題が議論に出てまいりまして、いまの調査会の段階ではまだ結論を得るような段階に至っていない。そこで私どもは一年間調査研究いただいたわけでございますので、その経緯を、中間的な報告という形でもけっこうだから出していただきたいということで、間もなく中間的な報告が出る予定になっております。
 なお、委員は全部で十六名でございまして、その構成は中央労働基準審議会の委員の中から労、使、公益含めまして六名、それから労働者災害補償保険審議会の側から、これも労、使、公益各二名ずつで六名、それからさらに一般的な学識経験者として、弁護士の方、それから学校の教師、それから損害保険、自動車保険等の関係の専門家、こういうことで構成をいたしております。
#24
○藤田(高)分科員 中間報告が近く出されるという予定のようでありますが、その大綱的な内容について説明を求めたいと思います。
 なお、私の見解でありますが、この通勤途上における災害を業務上災害として取り扱うべきだということについての附帯決議は、昭和四十年の衆参本会議において決議されている問題でありますから、所管省において文字どおり前向きの姿勢で検討をされる、こういうことであれば、もう私はこの種の問題につきましても、ILOの百二十一号を待つまでもなく、あるいはヨーロッパ諸国のこれらの問題に対する取り扱いを待つまでもなく、さらにはまたわが国においても、個別企業の中にも部分的にはこの問題をこなしておるところもありますし、人事院規則におきましても、一定の条件はついておりますけれども、通勤途上の災害を業務上災害として取り扱うような、そういう趣旨の規定もあるわけですから、もう具体的な結論が、中間結論という形でなくて、まとまった形の結論が出てもしかるべきではないか、こういうように思いますし、ぜひそうあるべきだと思うのです。そういう点で、中間答申というものは、かなり最終的な結論に近い形の中間結論であるのか、それとも単なる審議経過としての中間報告的なものであるのか、そういう性格を含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#25
○岡部(實)政府委員 御指摘の点につきましては、実は先ほどちょっと申し上げましたように、調査会の調査を回数を重ねますに従いまして、また現状を見るに従いまして、どうも基本的にいろいろ考えねばならぬ問題があるというような議論が出てまいりまして、そこで実は中間答申というか、中間的な報告をお願いするのも非常に長くかかっております。ただ、なかなか結論が出ないということでは困りますので、いままでの各回でどういう審議が、調査が行なわれたか、こういうことをまず、とにかくもし結論が出ないならそれをはっきりしていただきたい、こういう趣旨でございますので、残念でございますが、まだこの中間報告の中では問題の結論に到達するような内容にはなっておらない。審議のいままでの経過をむしろ報告するということが中心になってまいるわけでございます。
#26
○藤田(高)分科員 この問題を分科会の中で煮詰めるだけの時間の持ち合わせのないことを残念に思いますが、私は率直に申し上げて、いま御質問のありましたようなニュアンスから受け取るものは、なるほど当局としては精力的にやっておるのかわかりませんけれども、もっとこの種の問題について本腰を入れてやるのであれば、私はいま少し具体的なまとまったものが国会に対しても報告がなされてしかるべきではないかと思うわけです。少なくともこの種の問題については、ひとつ一定の目標を定めて、いつごろまでに、いわば社会保障制度審議会の答申ではありませんけれども、この種の問題についてはあとでも触れたいと思いますが、私はそういう目標をきめて、そうして検討しないと、単に学者なり専門家間で検討し、研究をするという程度のものではいかぬのじゃないかと思うのです。そういう点で、ひとつ大臣に、ぜひこの所信をお聞かせいただきたいと思うのですが、いつごろまでに目標をきめて結論を出すかどうか、そこをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
#27
○野原国務大臣 通勤途上の災害に関しましては、できるだけ前向きに検討しようということでやっておりますが、ただいまの御趣旨は審議会へも調査会のほうへも十分お伝えいたしまして、できるだけ早く結論が出てまいるようにお願いをしたいと考えております。
#28
○藤田分科員 次の質問に移ります。
 私はいまのような大臣の答弁では了承できないんです。いわゆる大臣自身の諮問機関でしょう、調査会は。ですから大臣自身が、いつごろまでにひとつ結論を出すようにやってくれぬか、こういう姿勢でないと、調査会まかせのそういう姿勢は、私は所管大臣としてのこの問題に対する態度としては非常に残念だと思います。少なくとも私は、あなた御自身が、いつごろまでにひとつ結論を出すように、こういう目標をきめてこの問題に取り組んでもらいたい。これはひとつ時間の関係がありますから、あとの答弁に関連をしてお答えをいただきたいと思います。
 次に、私は定年制及びその延長の問題についてお尋ねをいたしますが、現行のわが国定年制は、私から多くを申し上げるまでもないと思いますが、平均寿命が四十四歳の時代につくられた定年制度だ、こういうふうにいわれています。ですから業種別に見ましても、あるいはこの規模別に見ましても、ほとんど五十五歳というのが圧倒的に多いわけですね。ところがその平均寿命がもう七十歳以上にもなってきた今日、この定年制というものは非常に私は現状にそぐわないことになっている。しかし一方では、この種の問題はそれぞれの企業の中における労使間の労働協約にまつべきではないか、労使間の問題にゆだねるべきではないかという、そういう姿勢というものが全体的にあるように思います。しかし、これまた労働大臣の私的な諮問機関だと思いますが、産業労働懇話会でございますか、あの懇話会においても、昨年たしか秋であったと思いますけれども、この種の問題が取り上げられておりますが、いまこの五十五歳から若干それぞれの企業において延長問題が取り扱われておりますけれども、この五十五歳から六十歳ぐらいまでの間というものが、子供の教育費とかあるいは娘を嫁にやるとか、あるいはその他社会的に見て一番生活費のかさむときではないか。一方ではこの平均寿命が延びたように、六十歳あるいは六十五歳ぐらいまでは肉体的にも精神的にも十分働く能力がある。これはヨーロッパの例を引くまでもありませんが、私も少しく資料を集めておりますけれども、ヨーロッパ諸国は六十歳以上、六十五歳というのが圧倒的にこれまた多いわけですね。そういう点から見て、私はひとりこれは労使間の問題にゆだねるのではなくて、やはり国の基本的な労働行政といいますか、労働政策として、それぞれの企業に一方では行政指導を強めて、少なくとも今日の社会情勢の中で定年制を敷くとすれば、最低六十歳以上に持っていくべきである。その根拠は、いま私が指摘したような観点と、いま一つは、これはどこの国の定年制、社会保障の問題を見ても、わが国でいう厚生年金及び国民年金の受給年齢と定年とはうまくクロスしておるわけですね。日本の場合だけが圧倒的に五十五歳が多くて、厚生年金が六十歳だ。この間、いわゆる五年間の労働関係というものが断絶するような形になっておる。実際は五十五歳で定年になっても、あとそれぞれ賃金が二割、三割ダウンする形の中で、それぞれの職場に再雇用されておる、こういう実態から見て、労働省、というよりも労働省が中心になって国が、労働基本政策として定年延長の問題を少なくとも最低六十歳、そうして厚生年金とうまくクロスをする、一方では厚生年金を中心とする社会保障制度のレベルアップをはかっていく、こういう施策が当然国の方針としてとらるべきではないかということが一点。時間の関係がありますから私の質問点を要約して申し上げますが、アメリカにおいては公正雇用法ですか、というものがありまして、それがだんだんと発展をして、最近では年齢による差別待遇禁止の立法が、アメリカ等においてはかれこれ二十州において制定を見つつあるようであります。これは単に定年制の解雇の問題だけではなくして、採用から労働条件に至るまでその内容というものを規制しておるようでありますが、私はできることであれば――できることであればというよりも、ぜひそういう方向に国の立法措置を講じてでも、この社会的な問題である定年制問題について確たる国の方針というものを提起していくべきではないか、こう思うわけでありますが、この問題については、非常に基本的な問題でありますので、私は労働大臣にひとつ具体的な見解をお聞かせいただきたいと思います。
#29
○野原国務大臣 定年制の問題につきましては、藤田委員と全く同感と申してもよろしいほどであります。すでに人間の寿命が著しく延びた状態、五十五歳定年というふうなことはおよそナンセンスであろう。昨年の秋の産業労働懇話会におきましても、その話が出ました際は、実は労使とも全面的にこれは賛成だ、中立委員の方々もみな賛成という形で、やはりこれはもうわが国の労働事情等から見ましても、当然これはできるだけ早く定年制の延長を考えるべきだという御意見が圧倒的多数でありました。その際の意見は、ただしいままでのような年功序列型の賃金体系というものはどうもなかなかむずかしいんじゃないかという話も出まして、これはやはりかりに定年は延ばしたとしても、いままでのような年功序列では、何かちょうど五十五歳から上が非常に賃金が上昇するカーブになるそうでございます。急速にカーブが延びる。ところが逆に実際の労働能力とかそういうものはいささか低下をする時期になりますので、その辺の矛盾をどうするかというふうな問題こういう問題については、労使間で話し合いをし、新しい方式を考える以外になかろうというふうな御意見もございまして、いずれにしましても、これはもう定年制を延長することについては何人も反対がないという空気でございました。そこで労働省としましては、この問題に対するいろいろな調査会等にお願いしまして、とにかく国民経済的な立場から、とくとこの問題を御検討いただいて、できるだけ早く結論を出したいというふうにきめておりますが、基本的な考え方としましては、藤田委員の御意見のとおり、私どももできるだけ早くそういった方々の定年を延ばしてあげたいというふうに考えております。
#30
○藤田(高)分科員 基本的に一致した点については私も非常にうれしく思いますが、さてこの問題をそういう方向で意見一致を見るということになれば、具体的な労働政策の中にどう打ち出していくべきか。これは今日、労働者財産形成法案が今国会にも出るようでありますし、あるいは賃金に対する所得政策の問題も世間で非常にやかましくいわれておりますが、私は、そういった施策が部分的に打ち出されるよりも、こういった労働者の普遍的な基本的な問題について、労働省なり政府の具体的な施策というものが国会の舞台にものせられてくる、このことのほうが先行すべきではないかと思うのです。それでいま私が一つの考え方として申し上げたわけですが、労働行政の面で強く出してくると同時に、できればアメリカの公正雇用法の中身なりあるいは年齢による差別待遇禁止の法律、こういった性格の立法措置を通じて、いま大臣の言われたようなことを実際の効果のあがる施策として押し出していく必要があるのではないか。ひとつそのあたりについての見解を承りたい。
 それと、決してこれはことばじりをとらえてどうこう言うわけではありませんが、この労働者の定年延長の問題は、今日労働力が不足をしておる、そういう産業政策的な立場からだけ焦点を合わしていくのではなくて、むしろ労働者自身の生活権を保障する、そういう労働者の基本的な権利を保障するという憲法の立場からいいましても、そういう立場から定年制の延長の問題に政府としても取り組んでいくべきではないか、私はこういうふうに考えるわけであります。
 その点についてのお考えを聞かしていただくと同時に、いま一つは、やや具体的になりますが、先ほど私が質問をしました労災の調査会の問題もそうでありますけれども、今回のこの問題についても、いま労働大臣の私的な諮問機関としての産業労働懇話会で検討しておる。私は、行政管理庁の考え方ではありませんけれども、むやみやたらに審議会をたくさんつくったりすることについては反対であります。これはできるだけ効果的に一元化、集約化していくことが望ましいのですけれども、労働省自身の中に、労働政策を基本的にきめて、それを建議し、あるいは答申をしていく、そういういわば社会的、政治的に権威を持った審議会というものがないように思うのですね。これはできれば、社会保障制度審議会ではありませんけれども、少なくとも社会保険審議会に匹敵するぐらいなそういう審議会をつくって、この種の定年制延長の問題等については政府のまとまった見解というものを立案していくべきではなかろうか。その一つの方法として、産業労働懇話会というようなものを格上げをする、そういうお考えはないかどうか、このあたりについてもひとつ見解を承りたいと思います。
#31
○野原国務大臣 産業労働懇話会というものは、各界のトップレベルによっての、わが国の産業労働問題に対する最高のレベルでやっておるわけでございますから、そこでは常に重大な問題が話題になって、そこからおのずからいろいろな関係機関のほうに流れていく仕組みでございます。
 この定年制の問題につきましては、中央雇用対策協議会というものがございまして、その中に中高年齢者雇用対策小委員会というものを昨年の十二月に設けまして、そこにお願いしておるわけでございます。まあまあ各方面の御意見をまとめるという関係でまだ多少時間はかかると思いますけれども、非常に重大な問題もたくさん含まれておりますので、それらも小委員会によって熱心に御検討願っておるわけでございます。立法によって定年制を延長するというふうなことをいま考えてはおりませんけれども、こうした労使間の話し合いによって定年制の問題がどういう形になってまいりますか、とにかく老齢の方でも健康である限りはできるだけ働く喜びを持ちたい、社会参加を積極的にやっていこう、また家庭生活の面からいきましても当然それが必要な段階であろうと存じますから、できるだけ結論を急いでいただきたいと思いますけれども、しばらくの間はひとつ御研究をお願いして、できるだけりっぱな案をつくっていただくということを期待しておるわけでございます。
#32
○藤田(高)分科員 産業労働懇話会はそれぞれのトップレベルの方々によって構成をされておる。したがってその構成メンバーから見て、その懇話会自体の内容は一応権威あるものであるかもしれないと思うのです。しかしややもすると、社会保険審議会とか社会保障制度審議会といったものに比較をいたしますと、失礼な言い分かもしれませんが、一方ではサロン会議的なものに流れる傾向もあるのじゃないか。また国会で私どもがこのように問題を提起をしていくと、これまた失礼な言い分かもわかりませんけれども、大臣あるいは政府側の委員としては、そういうものがあるからという隠れみのにこの種のものを使うきらいもなしとしないと思う。したがって基本的にこの種の労働者の基本権にも匹敵するような問題を論議する場としては、もう少し権威を持たした機関を設置してもよろしいのではないか。
 それと、大臣の御答弁では、立法措置によってまでどうこうするということは今日の段階では考えてないというような御発言でありますが、昭和四十一年でございましたか、雇用対策法が設置されておりますね。こういう雇用対策法の趣旨を発展させていく形の中で、私が先ほどから引例をしましたアメリカのような年齢による差別待遇を禁止する、そして社会保障、厚生年金との関係が、完全に受給年齢と定年との関係においても調整がとれていく、その前提としてはもちろん厚生年金それ自体の大幅なレベルアップをはかることが大事だと思いますけれども、私はそういう方向でぜひやってもらいたい。そのことはできないはずはないと思うのです。これはきょう言ってきょうというわけにはまいりませんけれども、先ほど指摘いたしました雇用対策法等々の関係において、そういう立法上の措置を講じる方向で取り組んでほしいと思うわけであります。これはひとつ事務当局の見解を含めて大臣の見解を承りたい。
 最後に、時間がありませんから一つだけ申し上げておきますが、今国会においても、厚生年金法の改正が提案されることになっております。しかし、この問題も、私は決して役所間のセクショナリズムで問題をどうこう言うわけではありませんが、所管省としてはこれは厚生省だ。厚生省だということで、労働省が逃げを打っておるわけではないでしょうけれども、実体論としては、厚生年金なんかは労働省の主管であっていいのではないかとさえ私自身は思っています。そこで、当然先ほど質問をした定年制の延長の問題ともこの厚生年金の問題がからんでくるわけでありますが、労働省として、所管大臣として、この厚生年金の問題は、諸外国に比べて非常に低いと私は思うのですよ。その点では、思い切ってこの厚生年金自身のレベルアップをはかっていく。そのためには、積極的に労働省が、所管省はかりに厚生省になっておっても、定年制延長の問題等々との関連において、強くこの厚生年金の条件改善について最善の努力を払うべきだと考えておるわけですが、それに対する大臣の所信をお尋ねいたしたいと思います。
#33
○野原国務大臣 ただいま御指摘ございました厚生年金等の問題、いわば社会保障制度というものが、老後においては厳としてこれが安定を与える。したがって、働けるうちはできるだけ働くという制度、同時に、やがて社会保障によって生活の安定、老後を安心できるという制度が、バランスがとれることが一番望ましいわけでございます。その意味では、御指摘のとおりでございます。私どもも、社会保障の拡充強化という問題につきましては、これは決して人ごとでございませんので、これからも十分に意見を述べる、あるいは内閣においてその制度の拡充強化に努力をいたしたいと考えます。同時にまた、わが国の経済の成長は、ますます労働力不足時代に入ったのでありますから、そういった意味におきましても、定年だからもうこれで、あとは一応退却するんだというふうなことが行なわれては、これはますます問題でございますので、定年制延長の問題については一日も早くはっきりと方針が出せるようにいたしたい。それについては、労使ともみなその必要を認めておるのでありますから、そのいろいろな研究会、調査会等におきましてできるだけ早く結論が得られるように努力いたしてまいりたいと考えております。
#34
○藤田(高)分科員 立法措置との関係はどうですか。
#35
○石黒政府委員 事務当局の見解も含めてというお話でございましたので、申し上げます。
 定年制の問題につきましては、大臣からたびたび申し上げておりますように、これをほかの問題のように、それをやるかどうか、やるとすればどういう問題があるかを検討する段階は通り越しております。定年制は延長すべきだという方針はすでに労働省としてはっきり出しております。ただ、延長するにつきましては、これは非常にいろいろな複雑な問題がございまして、企業の実態に関連する問題でございますので、むずかしい問題がある。そういうむずかしい問題について、どのようにこれを解決しつつ前進させるかということを中央雇対協等に御検討をお願いしております。私ども、これは雇対協だけにお願いをして、隠れみのにしてしまうというつもりはございませんで、われわれ自身鋭意研究し、一日でも、少しでもそれが前進するように努力をいたしておるつもりでございます。
 産労懇につきましては、これは諮問機関という性格ではございませんで、サロン的というお話がございましたが、まさにそういったようなもので、その話題自体も、産労懇自身の委員さんがそのつどおきめになるということでございますので、定年制の問題は、一応あれで済んで、これ以後は産労懇で検討していただくようにというお願いをしているわけではございません。
 立法の問題につきましては、大臣から申し上げたとおりでございますが、アメリカなどが、ああいう法律をどうやってどのように施行されているのかということが、私ども実は若干ふしぎに思っている点もございますので、在外アタッシェ等を通じましてその実情を勉強したいと思います。
#36
○森田主査 次に古寺宏君。
#37
○古寺分科員 最初に農林省にお伺いをいたします。
 最近、農村においては減反、休耕、生産調整に伴って、非常に出かせぎ労働者がふえております。これに対して、農林省としてはどういう対策をお持ちになっておられるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
#38
○井上説明員 出かせぎ対策につきましては、かねてから労働省と緊密な連絡をとりまして各種の具体的な措置を講じてまいってきておるわけでありますけれども、農林省といたしましては、出かせぎ対策の基本といたしまして、農業経営近代化のための諸施策、これを通じて農業所得の増大をはかるとともに、地元の雇用機会の増大をはかることが肝要と考えております。そこで、このため、従来からの施策に加えまして、新たに農村地域への工業導入を積極的かつ計画的に促進をいたすということで、このたびの国会に、近く農村地域工業導入促進法案を提出すべく、現在検討中でございます。
 また、当面の施策といたしましては、従来から行なってきております農業委員会組織を通じましての農業就業近代化対策事業、この事業によりまして出かせぎの実態の把握でございますとか就業相談活動、さらに留守宅との情報交換、そういう仕事を拡充強化いたしますとともに、生活改良普及員によります生活教室の開催等を通じまして留守宅の生活指導を行なってまいってきておるところでございます。
#39
○古寺分科員 いまお話がございました農業委員会を通しての近代化対策事業というのは、実態はどうなっておりますか。
#40
○井上説明員 四十五年度で申し上げますと、全国で五百九十の重点委員会、農業委員会に重点委員会というのを選定いたしまして、そこに就業相談員を配置し、その就業相談員が、出かせぎ希望農家との就業相談活動を通じて、適切な就業ができますように指導いたしておるわけでございます。
#41
○古寺分科員 実際問題として、調査をしてみますと、一つの都市に十四、五万の予算でございますね。まだその実態調査を始めたという段階であって、ほとんどそういう事業というものは行なわれておりません。これでは出かせぎ対策ができているとは言えないと思うのですが、どうでしょうか。
#42
○井上説明員 予算の増額その他については、今後とも十分努力をいたしてまいりたいと存じます。
#43
○古寺分科員 そこで、労働大臣にお伺いしたいのですが、最近は、この季節労働者は六十万から二百万まで、いろいろ推定されていわれております。そういうような出かせぎ対策に対して、労働省はどういう対策を実際におやりになっているのか、その内容について承りたいと思います。
#44
○野原国務大臣 出かせぎ労働者につきましては、まず就労前の健康診断、健康状態等を把握する必要がありますので、健康管理に特に力を入れております。同時に、関係事業場に対しましては、労働省の機関である職業安定所がお世話をされて、くにを出てから帰るまではでき得る限りその機関によって把握をする。同時に、出かせぎの方々に対しましては出かせぎ手帳というのを発行しておりますが、それによって就業条件その他も明確に記帳するようなことにしております。同時にまた一方においては、出かせぎの方々に対して職業訓練、簡易な職業訓練等もできるだけ行ないまして、その方々が有利な条件で就労できるようにいたしたい。それから地域によって、昨年は約百カ所に農村の人材銀行を設けまして、いろいろな出かせぎあるいは他に離転職をする方々の相談にあずかろうということでやっているわけです。同時にまた農村の離農の方々に対する相談員制度を設けまして、そこに相談員を配置いたしまして、鋭意その方々の相談にあずかるということをやっております。また同時に、出かせぎした方々が中央において事故を発生した、あるいは賃金の不払いがあったというふうな問題につきましては逐一これを取り上げまして、でき得る限りそういう問題を解決をするということに協力をする。同時にまた、出かせぎの方々が出かせぎ期間を終わって帰った場合においては、失業保険金の受給等につきましてもできるだけの協力をすることとしておりまして、そういった問題につきましてはあらゆる機会を通じて、労働行政の中で出かせぎの方々のために対策を講じておる考えでございます。
#45
○古寺分科員 去る一月の十二日に、東京都の練馬区の豊玉南三の三十二の大同興産株式会社で火災が発生いたしました。宮城県出身の方が四名、青森県出身の方が一名、合計五名の方が焼死をなさっておられます。この内容について、ただいま労働大臣からお話がございましたが、この出かせぎ者の方々はどういう経路をたどってここに就職をし、またその罹災後どういうような処置がとられているか、その点についてお伺いしたいと思います。
#46
○野原国務大臣 詳しくは基準局長から御報告いたさせますが、この災害にかかった方々に対しましては労災法を適用して所要の労災保険の給付を行なう考えのもとに、ただいま調査を進めております。
#47
○岡部(實)政府委員 いま御質問の氏家さんという御家族の方、それから吹越さんという方でございますか、就職をされました経路につきましては必ずしも十分把握しておりませんが、要するに安定機関を正式に通ってはきておらないように聞いております。そこで、いま大臣からお話ございましたように、氏家さんの御本人の御家族の方、吹越さん、その遺族補償その他給付につきましてはまだ正式に請求書が提出されておりません。目下その提出方について指導をいたしておるところでございます。
#48
○古寺分科員 そこで、この火災が起こりました寄宿舎については届け出がなされていないようでございますが、こういうような寄宿舎に対する指導監督というものが非常におくれているわけでございます。現在東京都には相当のこういう事業所があると思うのですが、こういう寄宿舎に対する対策がどういうふうになっているのか承りたいと思います。
#49
○岡部(實)政府委員 寄宿舎につきましては寄宿舎規程がございまして、その寄宿舎を設置する場合の施設の中身等についてのいろいろな基準を設定しております。事業場監督にあたりまして、寄宿舎がございますものについてはこの寄宿舎についても監督を指示して、その規則が守られているかどうかを監督をすることにいたしております。
#50
○古寺分科員 この寄宿舎は、届け出は十四日前ですか、十四日前に届け出をいたしまして、その寄宿舎ができ上がったあとでどういうふうにこれをチェックするわけですか。
#51
○岡部(實)政府委員 実は寄宿舎自体が設置されましたときに、すぐそこで監督を実施するということには相なっておりませんので、一般監督のときに寄宿舎についても監督をする。ただし、届け出のときに十分それが規程に該当していないような場合、要するに違反のような寄宿舎の届け出がありました場合には、それは改善、是正の措置をとる、こういうことに運用をいたしております。
#52
○古寺分科員 昭和四十四年の九月八日から九月十三日までに、東京労働基準局で寄宿舎の百七十四件の監督指導をしておりますけれども、そのうちの違反が八五・一%であるということは、これは間違いないですね。
#53
○岡部(實)政府委員 いま手元にその数字そのものはございませんが、寄宿舎の監督の実施の結果のその違反率は相当高いということでございますので、ほぼその程度のことはあったのではないかと思います。
#54
○古寺分科員 そうしますと、この池袋の監督署の例で見ますと、対象事業場が三万二千九十七ございます。これに対して監督官が十三人しかいない。こういう寄宿舎を総点検するためには相当の人員と日数が要るわけです。今後こういう寄宿舎に対しては労働省としてはどういうふうに総点検を実施し、その指導監督をやっていくお考えでございますか。
#55
○岡部(實)政府委員 御指摘のように、特に大都市におきましては、適用事業場、要するに監督をしなければならない事業場と監督に当たる監督官の数から見まして、監督を実施することが事実上非常にむずかしい。そこで私どもは、これは寄宿舎ばかりの問題でなくて、一般的に監督官の数等からいって監督能力が非常に不足していることがございますので、できるだけ事業主の団体等に自主的にまずこういう基準の徹底と、それに基づく適正な寄宿舎の基準をつくって設置するようにということを勧奨をいたしまして、それであとそれをフォローしてまいる。なお、その届け出のときには十分それを今後チェックするような体制をとっていったらどうか、こう考えております。
#56
○古寺分科員 次に、出かせぎ労働者手帳というのがございます。この中には、雇い入れ契約書であるとか、あるいは賃金未払い確認書であるとか、健康証明書とか、いろいろなものがついておりますね。これは、出かせぎ労働者の何%に手帳は交付になっておりますか。
#57
○住政府委員 実は、この制度をつくりましてから、手帳として発行した数は三十八万くらいになっております。
 現在、出かせぎ労働者、その数について正確な把握はできていないのでございますが、失業保険の短期受給者の観点から見るならばあるいは六十万とか、農家就業動向調査等による数から申し上げますと二十七万とか、こういう数字があるわけでございますが、手帳のほうは、できるだけ出かせぎに出かける人、安定所を通じて就労される方方について発給しておりますので、積み上げました数字が、いま申し上げました約三十八万、こういうことで、それが何%に当たっておるかということについては、ちょっと推定しかねる事情にあるわけでございます。
#58
○古寺分科員 それでは、手帳は何のために交付するわけですか。
#59
○住政府委員 私ども、出かせぎ労働者に対する職業紹介面での各種の援護対策を講じていく場合に、先ほど先生がお示しになりましたような内容がはっきりされておることが必要である、こういうような観点で手帳制度をとっておるわけでございますが、要するに出かせぎの雇用契約を明確にしておくという意味で、採用条件の記載とか、あるいは健康状況の記載とか、さらには、出かせぎの方々が帰ってこられた場合に住居の確認あるいは扶養親族の認定というものが迅速に行なわれる、こういう観点で、出かせぎ労働者の援護措置を円滑にやっていく一つの手段といたしまして交付いたしておる次第でございます。
#60
○古寺分科員 これは就労経路の正常化の問題とも関係あるのですが、安定所を経由して出かせぎしている人が約二十万人いる、こういうふうにいわれております。そういたしますと、あとの三分の二の方は、この出かせぎ手帳がないままに就労しているわけですね。これを私どもは縁故就職というふうに聞いております。こういう縁故就職のために、賃金不払いであるとか、いろいろな災害が起きていろいろな問題をかかえ込んで、われわれも相談を受けるわけなんですが、こういう、いわゆる就労経路の正常化という問題、こういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#61
○住政府委員 ただいま先生御指摘のように、逐次、安定所を経由いたしまして就労される方々の割合が高まってきております。現在、県によっての相違がございますけれども、三〇%から四〇%、あるいはそれ以上の県もございますが、そういうところにいっておると思います。いまもお話しのように、安定所紹介でも問題がないわけではないのでございますが、先ほどの池袋の例のような場合には、いずれも安定所を経由されておりません。だから悪いというわけではございませんが、そういう場合の、いろいろな事後の処理の問題、たとえば監督署との連絡あるいはその他の機関との連絡等についても、そういう場合には必ずしも十分行なわれない。こういうようなことで、できるだけ安定所を経由して就労されるように呼びかけておるわけでございまして、そのために、先ほど大臣が申し上げましたような、たとえば農村人材銀行とか、あるいは相談員制度とか、あるいは安定所の巡回職業相談、こういうように体制を強化いたしまして、できるだけ出かせぎ労働者が安定所を通じて、正規のルートで就労されるような体制の強化をはかっておる次第でございます。
#62
○古寺分科員 時間があれですけれども、健康診断でございます。これも福島大学の調査によりますと、三〇%しか健康診断が行なわれていない。おそらく、手帳の交付と大体同じじゃないかと思うのです。ところが、出かせぎ労働者のうちの五一%が何かしらの疾患を持っておる、病気になっておる、こういうような調査が出ているわけでございますけれども、この健康診断が十分に行なわれていないために、出かせぎ労働者が死亡した場合に、業務上の場合はこれは当然補償されますが、業務外の場合には、補償も何もないので、家族も非常に困っているというような実情でございます。こういう点について、今後健康診断の実施ということについては、労働省はどういうふうに進めていくお考えですか。
#63
○岡部(實)政府委員 健康診断につきましては、基準法によりまして、雇い入れの際と、それからあと定期に、少なくとも年一回定期の健康診断を事業主が行なうということになっておりまして、出かせぎ者の場合におきましても当然その規定の適用を受けるわけでございます。ただ、御指摘がございましたように、出かせぎ者の場合には、受け入れ側のほうで十分この規則を順守してやっているというようにも思えません。そこで、特に、いま御指摘のように、病気になられたりあるいは傷害を受けられたというようなこと等で非常に困難な場面に当たることがございますので、私ども、いま、建設業の労働災害防止協会というのがありまして、そこいらに呼びかけまして、特に建設業関係に出かせぎの方が非常に多うございますので、建設業種につきましては、その雇い入れのときの健康診断をできるだけ規則どおり励行するということで協力を願う、こういうことでまいりたい。もちろんその監督等につきましてもできるだけ実施をしてまいりたいと思います。
#64
○古寺分科員 もう一つお伺いしたいですが、この出かせぎの留守家族の問題がございます。子供ばかり置いて、夫婦で出かせぎをした例だとか、いろいろ問題がございますが、そういう留守家族に対する対策というものは、全然なされていないにひとしいわけです。そういう点については、労働省はいままでどういうことをおやりになったか、お伺いしたいと思います。
#65
○高橋(展)政府委員 農村の出かせぎ者の留守家族につきましては、出かせぎ者の増加あるいは恒常化の傾向に伴いまして、その過程にいろいろの問題が起こってまいりましたことは、しばしば指摘されるところでございます。先生も御指摘のように、家庭が不安におちいりやすい、主婦が過労になる、あるいは子女が不安感を持つ、あるいは出かせぎに行った父親と子女との間の意思の疎通を欠くとか、いろいろな問題があるようでございます。これらに対しまして、もとより労働行政のみで処理できることではございませんが、労働省といたしましては、従来から特にこれらの留守家族に対しまして御相談に応ずる、また留守家庭と出かせぎ者の間の連絡を緊密に保つためのお手伝いをする、そのような趣旨で、特に婦人少年室協助員という制度を活用することにいたしております。これは民間の有識者の方々でありまして、婦人少年問題に非常に関心と熱意のおありの方に労働大臣が委嘱して行政の御援助をしていただく制度でございますが、こういう方々を特に農村地区に約一千名配置いたしまして、この方々によりまして留守家庭の御相談に乗り、また出かせぎ者との間の連絡の御援助等をやったりいたしております。さらにまたその方々を通じまして出かせぎ家庭の情報の把握、また関係機関と連絡等をとりまして、これらの家庭の不安を少しでも少なくするための御援助につとめているところでございます。
#66
○古寺分科員 その協助員というのは手当が千円だそうでございまして、もうほとんど定員にも満たない非常に少ない数でやっているわけでございます。そこで、私は大臣にお伺いしたいのですが、先ほどから、ごく一部分の問題ですが、手帳の問題やいろいろ事故の問題、健康診断の問題あるいは留守家族等の問題をお尋ねをしてまいりました。政府はいろいろことあるごとに、人間尊重の政治というものを強調していらっしゃる。しかも、最近は政府の農業政策によって出かせぎ労働者というものはウナギ登りに上昇しておる。それに対する対策というものがこういうような実態になっているわけです。大臣は最初いろいろなことをお述べになりましたけれども、こういうような実態をお知りになって、それでもいいんだ、これでも労働省はいいんだ、そういうふうにあなたは思っていらっしゃるのかどうか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
#67
○野原国務大臣 決して、現在やっておることで足りると考えているわけではございません。むしろ、出かせぎ問題等につきましても、まだまだきわめて不十分である。もっと親切丁寧に協力、援護すべき問題がたくさんあろうかと存じます。したがって、今後は出かせぎ問題もそうでございますし、また農村地域において工場建設等の問題につきましてもできるだけ促進をするという点で、農村地域の方々が農業のみに依存せずに、ほかの産業にも従事して大きな日本経済の発展に役立つようなことにいたしたい、地域の発展もはかりたいというふうに考えます。そのためには、労働省、労働行政全体もむしろこれから積極的にこの問題に取り組んで、農村の出かせぎの方々はもとより、国全体のための必要な施策については積極的にこれを講じてまいりたいというふうに考えております。
#68
○古寺分科員 時間ですからあれですが、労働大臣は岩手県の御出身でございますから、一番出かせぎの多い東北の実態というものはよく御存じになっているわけですね。ところが、いまお話しになったように、きわめて不十分じゃなくて、全くやっていないにひとしい。こういうような出かせぎ対策であってはならないのじゃないかと私は思うのです。そういう面では、農林省においても全く皆無にひとしい実情でございます。こういう問題は、政府においてももっと積極的に一これから工場を誘致して出かせぎをなくするんだとおっしゃいますけれども、これは何年先のお話かわかりません。現実のこういう出かせぎのいろんな事故を絶滅するためにも、今後この問題については積極的に取り組んで、出かせぎ労働者の対策というものを、国民が納得する線でひとつ確立をしていただきたい。そういうふうに要望いたしまして、時間ですので、きょうは終わります。
#69
○森田主査 次に、後藤俊男君。
#70
○後藤分科員 私は、同和対策を中心にお尋ねをいたしたいと思うのです。
 昭和四十四年の七月八日の閣議の了解で、同和対策事業特別措置法の制定に伴って、これを十カ年間の計画で完全に行なう、こういう方向がきまっておるわけなんです。その中で、これは大体四項目くらいの大きい項目できめられておるわけでございます。ところが昭和四十六年度の労働省の予算を見ますと、要求しておった額よりかは半分以下でございます、半分にも達しておらぬ。こういうような額でございますが、いま申し上げました四十四年の七月八日の閣議の決定に基づいて同和対策事業特別措置を十カ年間でやる、四十六年度は三年目に当たるのじゃないかと思いますが、予算の面なり、さらに労働省として、十カ年間にこれで完全に解放できるんだ、その法律に基づいて完全にやり通せるんだということにつきまして、四十六年度の予算も含めてひとつ御説明いただきたいと思います。
#71
○野原国務大臣 同和対策事業特別措置法に基づく労働省関係の計画でございますが、御指摘のとおり、この予算ではたして十カ年間に十分できるかと言われれば、どうも四十六年度の予算におきましては必ずしも十分ではないと言う以外にないであろう。ただ、いままでが非常に少なかったのでございますが、ことしの同和関係予算は七千百九十万八千円、昨年度の五千三百十万七千円に比べますと、約千八百万円ほどの増額になっております。これは、いろんな関係でこの程度にとどまったことはまことに遺憾でございましたが、しかし、この同和対策事業特別措置法に基づく計画としては、とりあえずこの辺から出発すればあとは年々ふやしていくということで、十分にこれをやり得るのではないかというふうに考えます。まあ不満足ではございましたが、一応この程度にとどまったわけでございます。これからはなお一そう努力をいたしまして、同和対策に力を注ぎたいと考えております。
#72
○後藤分科員 いま大臣が言われましたように、ことしについては不満足なんだけれども、毎年毎年増加をしていけば何とかなるだろう、こういう御趣旨の説明だと私は思うのですが、そうなりますと、ことしは約百二十億の要求に対して建設費を除いて総額で六十二億、こういうことになっておるわけなんです。その中で労働省としてはいま言われた数字が予算に盛られるわけでございますけれども、そうするとことしは総計六十二億、これが来年は八十億になる、その次の年には百億になる、その次の年には百五十億になるというようなことで、順次増加をしていけば、まあこの十カ年計画につきましては完全にやり通せるのではないか、そういうふうに考えていいのでございましょうか。
#73
○野原国務大臣 そういうことにもってまいりたい。むしろそのテンポを早めたいと考えております。
#74
○後藤分科員 そこで、ことしの予算の内容でございますけれども、大臣が言われましたように総額七千百九十万八千円でございますか、この中身として同和地区出身者の就職促進とか、あるいは協力員の経費、さらには就職資金の貸し付け、あるいは訓練関係、こういうことで予算が組まれておるわけでございますが、労働行政の立場で現在部落の実情というのは大体おつかみになっておると思うわけでございますけれども、やはり部落地域におきましては、特有の、大企業に行きましてもなかなか使ってくれない、あるいは官公庁に行っても、それとははっきり言いませんけれどもなかなか使ってくれない。そうなりますと、民間の小さい会社に働かざるを得ない。さらに、高校を卒業しましてもなかなかりっぱなところへは就職できない、こういうようないろいろむずかしい関係があるわけでございます。これらの関係に対しまして、労働省の労働行政として部落に対してことし考えておられる具体的な計画があると思うのです。それに基づく予算が組まれておると私は考えておるのでございますが、これらを、簡潔でけっこうでございますので、御説明いただきたいと思います。
#75
○住政府委員 いま先生のおっしゃいました学卒者の雇用の問題でございますが、やはり学卒者を雇い入れる事業主がそういう意識を持っておってはいかぬのでございまして、これはもう当然のことでございますが、そういうことのないように、安定所としての求人側の指導、これは一般的な指導として、一般安定所の運営経費の中に計上をいたしておるわけでございます。同和地区につきましては、たとえば私ども、学校をモデル校として指定いたしまして、学校と協力いたしまして職業指導なり職業相談を重点的にやっております。そのモデル校の数は明年度は、本年度の六百二十校から八百十校に拡充をいたしております。それから、就職予定者がやはり実地の工場等を見たほうがいい、こういうことが就職のために非常に参考になるということがございますので、そういう現場見学等が行なえるような経費を計上いたしております。
 それからさらに、そういう施策の拡充をはかりますために、安定所職員の増員等をも計上いたしておりますし、さらには職業安定協力員の活動経費を計上いたしておるわけでございます。
#76
○後藤分科員 いま言われました、まだまだほかにもあろうと思うのですが、職業指導なり就職あっせん、さらには職業訓練、技能訓練、これらのことも十分考えておられると思うのです。そうしますると、たとえば職業訓練所における訓練なりあるいは就職の支度金、こういうふうな関係の手当、これらのこともやはり入っておるのじゃないかと思うのですが、しかも四十六年度においてはさらにこれを増額しよう、こういうような考え方があるのかないのか、その辺のところの御説明をいただきたいと思います。
#77
○住政府委員 ただいま申し上げましたほかに、私、安定局の分について申し上げたのでございますが、訓練の経費につきましては訓練局長のほうから御説明申し上げますが、いま先生がおっしゃいましたように、たとえば就職促進手当とかあるいはその他の職業転換給付金、これにつきましては約一〇・三%程度、基本手当についてでございますが、その増額をはかっておるところでございます。
#78
○渡邊(健)政府委員 職業訓練につきましても、毎年同和地区の方々が訓練を受けやすいところに訓練所を一カ所程度増設いたしておりますが、四十六年度につきましても専修校一カ所を建設いたしたいと考えております。なお、訓練を受けられる方々の手当につきましては、訓練手当の増額がございます。なお養成訓練を受けられる方で特に生活が経済的に苦しい方々に対しましては、受講奨励金というようなものも出しております。受講奨励金のほうはことしは金額はふえませんでしたが、なお対象人員につきましては従来の倍程度に予算でふやしたわけでございます。
#79
○後藤分科員 ぜひひとついま申し上げましたような問題につきましても力を入れていただくように、これはお願いをいたしたいと思うわけでございます。
 そこで大臣にもう一ぺんお尋ねするわけですが、ことし組まれておる六十二億というのは大体十カ年計画で六百億くらいでやりたい。これは大蔵省の考え方です。ところがその六百億という基準は一体どこから出てきたのだ。これは昭和四十二年の実績に基づいて大体そういうような基準が出ておる。ところが昭和四十二年の実態調査というのがまことに形式的なものであって、山中長官でございますか、もう一ぺん実態調査をやり直すということも約束されておるようなわけでございます。大蔵省の考えておる六百億、これは非常に微々たる、小さいものでございます。大阪なりその他に参りますと、国が四十六年度として心配する予算以上のばく大なる予算を、理解のあるところにおいては組んでおるわけでございます。ただ私、大臣にお尋ねしたいのは、大蔵省として四十二年度の実績に基づいて約六百億くらいなところで、ひとつこの同和対策事業特別措置法十カ年間の計画完全実施、こういうような考え方に立っておるということを私は聞いたわけでございます。ところが、いま大臣言われました、ことしは非常に少ないが、来年もまたふやします、さらに再来年もふやします、こういうふうな説明を聞いたわけでございますけれども、この十カ年計画に伴って、閣議でも先ほど言いましたように四十四年には決定されておりますので、大ワクどのくらいな考え方でどういうふうにやっていくんだということは、関係各大臣も十分御了承のことと思うわけでございます。私がいま申し上げました大蔵省の考え方というのは、いやそうではない、こういうふうなことでこういうふうにやっていくんだ、十カ年計画をりっぱにやり通すんだというような、大臣の説明がそうであったように私は聞いたわけでございますけれども、それで間違いないでしょうか。
#80
○野原国務大臣 予算のことにつきましては必ずしも十分に承知しておりませんが、ただいま後藤さんの御指摘のとおり大蔵省が六百億程度ということを言っておるとすれば、それは何か根拠が一応あると思います。しかし私どもは現在の同和政策を進めていって、特別措置法の目的を達成するためには、おそらく六百億では足りないんではないか、相当これはふやすべきものであろうと考えております。したがって、同和問題等につきましては、積極的に予算の増額等の必要性を十分に徹底させていただきまして、できるだけの対策を講じていきたいと考えております。
#81
○後藤分科員 そういう考え方でやっていただければ――この四十六年度の七千百九十万円というのはまことに私は少ないと思うのです、労働省関係として。先ほども具体的説明がございましたけれども、少なくとも一億七千万円くらいのお金がないことには四十六年度の計画はできない、こういう要求額が出ておるわけなんです。その半分にもこれは達しておらぬわけなんですね。ですから、いまここでとやかく申し上げてもなかなかむずかしいと思いますけれども、四十六年度は三年目でございまして、余すところはもう七年でございます。いま大臣が言われました、大蔵省がそういう考え方をしておっても、なかなかそうは、それだけの金額、予算ではいくまい、これは増額する必要がある、こういうような心強い説明があったわけでございます。ぜひひとつこれからの問題として予算関係その他につきましても、長い間の同和対策事業特別措置法が一昨年の七月十日に日の目を見まして、さらにこれから十カ年間で具体的に消化をする、いわば待望の法律ができて、具体化する段階にこれはなってまいるわけでございますので、予算の面、さらにいま説明されましたその他の面につきましても、十分配慮していただいて、あの法律が画餅に帰することのないように、中身のある方向で力強くひとつ前進するように御尽力をお願いをいたしたいと考えておる次第でございます。
 終わります。
#82
○森田主査 この際、午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五十八分開議
#83
○渡辺(栄)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働省所管について質疑を続行いたします。島本虎三君。
#84
○島本分科員 労働大臣にお伺いしますが、一九七〇年は公害に明けて公害に暮れた、こういわれる年でして、労働省もその点は十分配意されて、四十五年の九月には基準監督関係の監督官を総動員して、いわゆるシアンやアルキル水銀や砒素並びに四アルキル鉛ですか、それからカドミウム、こういうような公害発生源、これに特に関連のある有害物質の取り扱い状況、こういうようなことを十分調査された。このことは私どもは好意を持ってこれを迎えました。ことに、こういうようなことは日常から十分調査し、また監督を厳重にしておかなければならないはずの場所なんです。労働省がこれを実施したこのことは、事のいかんにかかわらず、私ども、これはりっぱなことである、こういうふうに言わざるを得ません。大いに今後もがんばってやってもらいたいのであります。この有害物質の取り扱い事業所の有害物質の排出処理の状況並びに一般工場、事業所、こういうような方面の、いわば労働衛生の水準関係の調査、こういうようなものを全部洗ってきたと思いますが、排出状況やこれらの結果についての特徴点、こういうような点をひとつこの場所で報告してもらいたいと思います。いままで大いにやった結果を、私は続けてやってもらいたい。やり足りないところは大いにこれから大臣の前で、皆さんの抱負なりをはっきりさして、それによって行動してもらいたいから、あまり長くならぬように的確にやってもらいたい。
#85
○岡部(實)政府委員 先般実施いたしました総点検の結果によりますと、約一万三千七百事業場を対象といたしましてやりました結果、排出処理等につきましては、必ずしも十分な措置ができてない。特にメッキ工場それから石油化学の工場、自動車整備工場等におきます有害物質取り扱い事業場におきまして、必ずしも排出状況が十分でない。さらに規模別で申しますと、これも当然のことでございますが、中小規模の事業場におきまして、廃棄、排出、残滓処理等、いずれも十分な結果が得られてない。なお健康診断等の結果につきましても、特別の物質で特殊健康診断を義務づけているところは、比較的実施率も高うございますが、そのほかのものは必ずしも実施率がよくないというような結果が出てまいった次第でございます。
#86
○島本分科員 義務づけている場所は実施率が高い、行政指導の面にとどまっているところは弱い。弱い部分と強い部分の差、これはやはり労働行政の一つの弱点じゃないかと思う。なぜこの点弱くしてあるんですか。弱くしておいても差しつかえない、そういうような業種であり、そういうような個所なんですか。
#87
○岡部(實)政府委員 御承知のように、全体に健康診断等につきましては、一般的に労働基準法並びに安全衛生規則で定期診断を義務づけておりますが、そのほか特別の規則、たとえば鉛中毒予防規則あるいは四アルキル鉛あるいは有機溶剤等につきましては、特別の規則を設けまして、健康診断の中身等も明示しながら特殊な検診を実施しております。
 そのほかの物質につきましては、実はいままで必ずしも十分行き届いた手が打たれておりませんのが率直なところでございまして、いま御指摘のように、そういうことでは有害物による衛生の問題について十分な措置がとられているとは言いがたい点もございますので、この総点検の結果に基づきまして、目下有害物質につきまして技術委員会をつくって、その処理方針を検討いたしまして、その結果に基づきまして中央労働基準審議会に諮問して、今後の措置をできるだけ規則の中に盛り込んでいくということで目下検討をいたしております。
#88
○島本分科員 やはりじん肺であるとか有機溶剤並びに四アルキル鉛中毒予防のためには、法による義務づけがある、こういうようなところはいいけれども、皆さんのほうでいわゆる有害物質取り扱い事業所の健康診断、予防通達または行政指導にゆだねられている。この強制力のない部分が弱いのです。すなわち、あなたたちの監督の不行き届きだ、行政指導力の弱さだ、こういうことになるわけです。したがって、この辺に留意してやるのでなければ、労働災害の根絶は期しがたいし、これは公害につながる。今後は御承知のとおり、公害罪処罰法がある。これは公害そのものを排出することは直罰もありますから社会的犯罪です。それを扱うところは、労働者の自分の身にも直接降りかかってくるわけであります。そういうふうな意味で、これはもう行政指導、単なる予防通達、こんなようなものに終始しないで、規則を改めるなりして厳重にやったほうがよろしい、やるということですからこれはいいと思います。大臣、この点よく聞いておいてほしいと思います。
 それと同時に、なお野放し公害の実態である。こういうような状態もよくこれは散見されまして、いろいろ見ますと、いわばたれ流しの状態、こういうような状態は零細企業と中以下に多いようなんです。そうなりますと、結局千人以上のところの割合はいいわけです。一番悪いのは一人から二十九名まで、この比率が一番悪いのです。そうなると零細企業です。零細企業に対しての公害関係の排出、こういうようなものに対する融資、これは公害防止事業団、これには労働省は入っていないが公害防止事業団、こういうようなものがあるわけです。これをいろいろな意味で活用するために、本年は特にこの融資額は前年の二倍、これほど入っているわけです。この方面の指導を積極的にやっていかないとだめだと思います。この方面に対しても担保という問題があって根本的な解決になっておりません。しかし、この数字を見ると、やはり中小零細企業のたれ流しの状態や、また廃物の処理の状況、こういうようなのが悪いという結果が出ておるわけでありますので、融資の面とあわせて、基本的にこの問題の解決に取り組んでもらいたいと思います。大臣、居眠りをしている時間じゃありませんよ。こういうような問題に対しては大臣でなければだめですから、ひとつ御高見を拝聴させていただきたいと思います。
#89
○野原国務大臣 ただいま御指摘になりましたところは、労働省の中でも実は安全のための施設改善のための融資のワクはあろうと思います。これを大いに利用すると同時に、今後はやはり公害対策のための思い切った融資のワクの拡大をはかるとか、そういうことで、公害源を断ち切るための積極的な努力を払いたいと考えております。
#90
○島本分科員 それとあわせて、この有害物の取り扱い事業所総点検、その結果をデータによって見せてもらったわけです。しかし、それにやはり不備だと思われる点が多々あります。いま指摘されたとおりであります。それとあわせて不備な有害物質の検査体制、これを今後やはり打破していかなければならない。そのためには人員の問題と、もう一つは内部の一つの機構の改革の面、それから法、政令、こういうようなものの整備の点があるのではないか、こういうふうに思うのです。ことにカドミウムの中毒の問題、また公害と同様に職業病、こういうようなものもはっきり発見するというような体制、有害物質の検査体制というのですか、これは労働行政の上で不備であるということははっきり指摘されるわけです。安中の例もあることですし、中村さんという人も、二万PPMをこえるようなケースがあったという点とあわせて、今後やはり労働安全衛生関係の法令の整備、これも当然早く整備すべきである、こういうふうに思います。そして具体的にこういう問題に対処するずれない姿勢をとることが労働行政としてもいまの公害の問題と取り組む大きい一つのポイントであります。この点等についてもはっきり労働安全衛生規則の改正、これはいつまでにやるというめどであるのか、この点の見解をはっきり承っておきたいと思うのです。
#91
○岡部(實)政府委員 御指摘の安全衛生規則の改正の問題につきましては、先ほど申しましたように、有害物質ごとにどういうしかたでどういう基準で排出設備をしたらいいか、またそれに対する健康診断をどういう形でしたらいいか等の内容につきまして、専門家の検討を願い、去る二月十二日に中央労働基準審議会にその大綱について諮問をいたしまして、審議会は直ちに専門部会にこの問題の検討をゆだねることになりました。私どもといたしましてはできるだけ早く、四月一ぱいくらいをめどに審議会からの御意見をいただいて規則の改正をはかってまいるというつもりにいたしております。
#92
○島本分科員 それでわかりました。可及的すみやかに、それより早くできてもいいと思いますから、急いでこれは改正すべきだ、こういうように思います。
 それと同時に、現実の行政でもこれはILO八十一号条約の十六条、この規定にはほど遠いものがまだ日本にはあるようです。したがって、「ひんばん且つ完全に監督を実施しなければならない。」またする。こういうようなことに対しては、機構上の問題で現在何名でしたか、千九百名くらいでこれを実施した場合には、そればかりに向けたら労働省の場合にはほかのほうががらあきになっちゃうのです。それでもし全部の事業所をやるとしたら十年もかかるような体制ではありませんか。それで抜本的に排出源を規制したり、またそれによって生ずるところの公害、危害、労働災害、こういうようなものから労働者を守るということに対してはまだほど遠いものがあるのです。人員の問題、機構上の問題、これもまた大臣十分考えておいてほしい。またそうしなければ労働行政も片ちんばになる、この点強く指摘しておきたいと思います。この点大臣よろしゅうございますか。
#93
○野原国務大臣 わが国の安全対策についてはまだまだ遺憾な点がたくさんあると承知しております。したがって、今後はまず労働基準監督官などの増員も極力行ないまして公害対策と十分に取り組むと同時に、働く人たちの健康の保持、安全対策等に対処してまいりたいと考えております。
#94
○島本分科員 三点ばかりちょっと疑義がある点を指摘し、これは大臣に今後のために答弁をもらっておきたい。
 生産性向上の運動が提起されて、三十一年労働基準法関係で是正基準が出された。そして労働基準法の骨抜きの構想ではないかといわれておりましたが、これによって今後基準行政が直接束縛されるかまたは拘束されるようなおそれがないかどうか、この点についての高見を伺っておきたい。これが一つ。時間の関係で三つ言います。
 もう一つは、財界のほうから労働基準法改正の声がたびたびあげられるわけですけれども、そういうような場合に、たとえば労働基準法研究会、こういうようなものをつくったりして労働省はすぐ検討に着手されておる、こういうようなことであります。どうもこういう改悪する方面のかけ声に応ずるという態度はあまり賛成できない。これに対してどうなっているのか。
 もう一つ、第三番目には東京の商工会議所で労働基準法改正の意見にあわせて公害問題に深入りしないようにという要請があったということを聞いているわけです。こういうようなことから、今後労働行政をしっかりやるのでなければ、これまたとんでもないことになる、こう感じて三つをあげました。これについてそうでないという答弁であれば一番いいわけでありますけれども、ひとつ決意を込めて御答弁を伺います。
#95
○岡部(實)政府委員 初めに私から一、二事務的なことで御答弁いたしまして、あと総括的に大臣からお願いいたしたいと思います。
 御指摘のいろいろな点につきましては、各方面から労働基準法の問題あるいはこれに関連する問題についてはいろいろな御意見が実は出されておるわけであります。その中で、商工会議所等は具体的に印刷物にして出してきたりしてそれは私ども拝見しております。しかしながら私どもは、基準法の改正の問題は、何しろ基準法という法律が労働者の基本的労働条件を確保するという大きな使命を持つもので、しかも相当長い伝統を持ち、いろいろないきさつがあって今日にきておるのでございますので、これの取り扱いについてはあくまで慎重にすべきだ。ただし、基準法が制定されましてから今日まで二十年以上の年月がたっておりますし、その間に現実の生産の場におきますいろいろな技術革新あるいは雇用の形等も変わってまいっておることも事実でございます。そこで労働省に労働基準法研究会というものをつくりましたけれども、これは改正を直接の目的としての研究会という意味ではございません。現実に労働基準法並びにその関係の法令がどういうぐあいに現実の生産の場に適用されておるか、その実情をはっきりつかむということを目的とした研究会でございますので、もちろんいろいろな御意見は十分承りますけれども、具体的に出された意見に従って基準法を改正するというような意図をもってやっておることではございません。その点御了承いただきたいと思います。
#96
○野原国務大臣 労働基準法というものはあまり関係のない方々はたいへん誤解をしておる法律だと思います。私自身も実は必ずしも十分な理解をしていなかった。ところで、労働省に参りましてよく聞いてみ、あるいはいろいろなものを見ますと、勤労者の立場を十分に考えて、わが国の労働生産性を高めるためのさまざまな基準を示しておるので、一面においては働く人たちの立場というものを十分に守っていくという点でよくできておる法律であると考えまして、この労働基準法を改正する――改良することはいいと思いますが、これが改悪などになってはならないというふうに考えております。もちろん公害問題などは、労働基準法の立場からも、公害を未然に防止するという立場において労働基準法でいろいろな今後の対策を講じ得るものがあろうと思います。また生産性の問題につきましても、そのことによって基準法がそこなわれるようなことがあってはならないというふうに考えます。これはあくまでも労働省は労働基準法を守っていく、漸次必要に応じて改正も必要かもわかりませんが、そう簡単に改正など、動かしてはならぬと考えます。労働基準法の精神というものはまことにみごとにできたものであるというふうに考えております。私どもは基準法は労働法規の中で根幹をなすものであるというふうに考えておりますから、これを守っていくという考え方でございます。
#97
○島本分科員 労働基準法の適用事業所数は四十五年四月一日現在で二百七十万もある。それで全国にある監督官全部で、事務のみにとどまって外で行動しないという人を除いて、実際動ける人は千六百人未満である、こういうようなことからすると、人員の点でも完全にこれを指導し完全に基準行政を実施するためには、十年に一回ということはまことに心さびしい。ほかのほうへ一生懸命やると他のほうが全部手が抜かれる。これはまさに法をつくっても魂を入れない、画竜点睛を欠くうらみがありますので、この点はやはり大臣のほうで十分がんばって、ほかのほうの定員を減らされても、ここは減らしてはならない線じゃないですか。そういうような意味で、十分今後この点は守ってやっていただかなければならない、 こう思っているのです。これは答弁要りません。それだけの決意でしょう。
 それと同時に、これはひとつ時間の関係でお伺いしておきます。昭和四十六年の一月三十一日に北海道の美唄で火災が発生して、十人の美容師の女の人が部屋におったまま、宿舎におったまま焼死したという事件があったわけです。労災問題としてその後調査されたと聞いておりますが、一体、遺族補償はどういうふうになっているか、その経過についてひとつ報告願いたいと思います。
#98
○岡部(實)政府委員 地元の監督機関が直ちに調査をいたしまして、この九名の方でございますが、九名の方については、この事業が労災保険の強制適用事業になっておりますので、業務上の災実によるものとして請求があり次第、所定の手続によりまして補償を行なうということで、請求が四十六年二月十八日に提出されまして、所定の給付をこの二十五日くらいをめどにいたすということで取り運んでおるところでございます。
#99
○島本分科員 これはいろいろな、具体的な現状認識から、いわばこれが業務外であって労災適用範囲外になるとか、またその条件が欠くるものがあるとか、いろいろいわれて心配している向きもあります。しかし、もうすでに経営者を含めて十名全部死んでしまっている、こういうようなことになりますと、やはりそういうような問題に対しては今後が問題なんです。起きたものに対して最大限度これはあたたかく救済してやらぬとだめな問題である。それに対してきびしくこれを見るという態度は、基準行政の本質からこれはそれます。したがって、経営者の労災保険の加入の有無だとか、三つに分かれていた美容院それぞれの従業員は五名以下であるとか、また、焼けた場所が寄宿舎であるのか住宅であるのかわからないとか、死人に日なしでいろいろわからない点があるようでありますが、死んだ事実に立ってあたたかく報いて、遺族の悲しみを少しでも救済してやってほしい。こういうようなことは、これは私からの一つの要請になります。
 しかし、それとあわせて、平常からこういうような指導は一体だれがやるのか、こういうようなことなんです。死んだ人に対しての救済、これは完全にやるというから、よろしゅうございます。これがまた起こったならば、必ず抜け道がある。加入しているのかどうかあらためてやってみたらいい。またこれがはたして五名以上なのか以下なのかわからない状態にしておいて、住宅であっても、そこに寄宿しておったかどうかわからないという疑義が出てきたりすると――住んでいたならばこれは最大限度見てやるべきですが、そういう疑義がないように平常から指導してもらわなければならないのです。そこで、この指導は一体どこでやるのですか。基準監督署の行政を含む労働省ですか、それとも通産省ですか。
#100
○岡部(實)政府委員 労働関係の、いまの特に基準法、あるいは労災保険法等の適用関係につきましては、基準監督機関がこれを所管するものと考えております。したがいまして、ただいま寄宿舎の問題等につきましては、所定の手続で届け出等がなされるわけでございまして、そういう手続を通じて、法に照らして遺憾のないような措置をとっていく。一般的にはまあ監督官自体の、先ほど御指摘ございましたように、数に限りがございますし、あるいは仕事――適用事業が多いというようなことから、なかなか監督と指導とやる者の手が回りかねるという点がございますが、労災保険等につきましては、年度更新にあたっては、事業所あるいは事業所の団体、事業主の団体等の方に寄っていただきまして、その趣旨を十分説明するとともに、その加入の促進等の指導を加えておる、そういうような形でやっておるところでございます。
#101
○島本分科員 指導の充実と完ぺきを期してもらいたいと思います。これは大臣を通じてこの点十分配意してもらいます。
 と同時に、労災適用事業の範囲の拡大、これも今後十分法令改正とともに検討してもらいたいと思います。これはどうでしょうか。これはもう家事労働に携わっている者であるとか、新たに小舟による自営業者、自営漁業家であるとか、こういうようなもの、またパートタイマーであるとか、またはこういうような人たち、これらに対しても十分全面適用、こういうようなことをしてやるべきじゃないか。また農業ですか、これに対しては農業共済の適用の制約を取りはずすように今後もある程度考えてもいいのじゃないか、こういうように思うわけなんです。こういうような点をあわせて今後十分検討を尽くしてもらいたいと思います。この点、大臣、よろしゅうございますか。
#102
○岡部(實)政府委員 いま御指摘の個々の事業につきましては、すでに適用になっているものもございますが、小舟等の問題につきましては、船員の船員法等の適用関係もございますので、それらと調整をいたしまして、両方でその補償に遺憾ないようにしてまいりたい。
 規模は、御承知のように、この前の先般の法律によりまして五人未満まで強制適用を拡大してまいるということでございます。
 個々の事業につきましては、御指摘がございましたように、今後十分留意をして、できるだけ補償されるという方向で検討を進めてまいりたいと思います。
#103
○島本分科員 時間参りましたので、結論を急ぎますが、最後は通勤途上の災害についてなんですが、この通勤途上災害を業務災害と、こう見てくれという要請がずいぶん最近あります。ことにILO条約、これまた百二十一号、これはまだ批准していないと思いますけれども、これにはっきりこの指摘があるわけであります。昭和四十五年の交通事故一万六千名、負傷者九十四万、こういうような数字も出ておりますけれども、労働省もこの点では十分調査されているようです。その調査資料も、私、得たいと思いますけれども、私のほうで調べた結果によると、通勤途上の事故、これはやはり災害発生率の二〇%くらい、人員にしてこれは七万人ほどだ、こういうようなことを聞いておるのであります。それも帰りより行きのほうの事故がよけいだ、出勤途上のほうがよけいである、こういうようなケースのようであります。しかし、そういうような点からして、現在通勤途上の災害、これを労災保険のワク外、こういうような考えのようでありますけれども、現行の労働災害、労災保険の制度、これは企業の業務上のもの、こういうようなことになっておるようでありますが、企業の業務上の解釈がまた問題になると思います。それで企業側は、出勤途上であるならば業務の支配外、こういうふうに考えがちでありますけれども、最近はこの情勢もだいぶ変わってまいっておるようです。ことにILO条約の百二十一号には、通勤途上における災害も業務上の災害から排除してはならない、こういうのがあるようでありまして、この問題についてはアフリカのほうで逆にこれを批准しておる。日本はまだだ。こういうようなことは、何としてもこれはもうGNP、自由主義国二番目の日本としては、先進国として誇れない問題じゃないかと思います。交通事情も一そう深刻になってまいりますが、通勤途上を業務上としてこれは一日も早く取り扱うべきだ、こういうふうに思いますが、これに対する御答弁をいただきたいと思います。
#104
○岡部(實)政府委員 通勤途上の問題につきましては、かねてから衆参両方の委員会からも御決議をいただいております。
 私ども、専門家の集まった調査会で過去一年以上にわたりまして調査をしてまいりました。なかなか結論に到達していない状況でございますが、ただいま御指摘のように、条約との関連もございますし、また先進諸国におきましては、その国の実情に見合ったような形でいろいろな措置がそれぞれ講じられているようでございます。ただ法律的、法制的な問題等基本的な点がございますので、調査会におきまして間もなく中間的な審議の経過を盛った御報告は出てまいるところでございますが、さらに調査会にも引き続き具体的な問題について御検討願って、できるだけ早く意見をちょうだいいたしまして、その上で具体的な処理をしてまいりたいと思っております。
#105
○島本分科員 労働行政の、いわば現在の一つのポイントの一部だけをあげたつもりであります。一部だけあげてもこのように重大性があるのでありまして、総体的に公害の年といわれた去年、またことしにあたって、その排出の根本原因、これを直接いつでも労務上、業務上のこととして、その仕事に携わっているのは労働者であります。公害を、いわば全国民が受ける前に、労働災害として先に労働者が受ける立場にあります。これは業務上災害、労災適用、こういうような問題とあわせて今後いよいよこの問題は大きくなりますので、十分これに対処し、善処方を心から要望して、私の質問を終わります。
#106
○渡辺(栄)主査代理 細谷治嘉君。
#107
○細谷分科員 せんだって予算委員会で労働大臣に、職場環境の問題について御質問いたしましたけれども、時間が足りない関係で御答弁をいただけませんでした。そこできょうはやや技術的にわたりますけれども、職場の環境、特に有毒物質についてお尋ねをしたいと思います。
 新聞等によりますと、二月十三日に労働省は、昨年九月の実態調査等に基づいて職場の有害物質について労働安全衛生規則改正案を中央労働基準審議会に諮問をした、こういう記事が出ております。おそまきながらかなり前向き、具体的に前進しようとする意欲を私感じまして喜んでおるわけでありますが、そこで、そういうような前提で二、三質問したいと思います。
 昨年の四月三十日に「尿路発癌性物質の製造取扱い業務における尿路障害予防対策について」というものを発表いたしました。そこでそれに関連してお尋ねしたいのでありますけれども、いわゆる膀胱ガンでいま問題になっておるものはどういうものですか。
#108
○岡部(實)政府委員 ただいま御指摘の通達で、尿路発ガン性物質の製造取り扱いについて通達をいたしております。その中で触れておりますベンジジン、べータナフチルアミンによる尿路障害、特に膀胱ガンの発生の予防についてということで指示をいたしております。これらの物質を製造しあるいはそれを取り扱っているところというふうに書いてあります。
#109
○細谷分科員 最近、膀胱ガンにしぼりますと、この二月十六日に、あなたのほうの有害物質の中で発ガン性物質というので、オーラミン、ジアニシジン、ジクロールベンジジン、オルトトリジン、マゼンタ、ベンジジン等あげておるわけですけれども、世間で発ガン性の一番強いといわれておるのは申すまでもなくべータナフチルァミンですね。べータナフチルァミンというのは一体どのくらいの発ガン性を持っておるのか。わかりやすくちょっと説明していただきたいと思うのです。
#110
○岡部(實)政府委員 私も実はちょっと専門的なことでよくお答えしかねるのでございまするけれども、先ほど御指摘の通達によりまして指示いたしております。これは医官あるいは技術屋さん、専門家の検討を経て出されたものでございまして、ここにいろいろございますが、たとえばアルファナフチルアミン製造の際のべータナフチルアミンの含有率が一%未満のものとされたい、またベータナフチルアミンの含有率が一%以上のものは極力避けられたいというような指示をいたしておりますので、この辺が基準になるのではなかろうか、こう考えております。
#111
○細谷分科員 四十四年の一月に「産業医学」という雑誌に、慈恵医科大学の公衆衛生学教室の竹村さんが発表しておりますが、大体においてこのべータナフチルアミンを取り扱ったグループの膀胱ガンの発生率というのは、一般の環境よりも大体六十一倍あるというのですね。そういうふうに書いてあります。アルファナフチルアミンというのは十六倍だ、こういうふうにこの先生は論文に書いております。そうしますと、あなたが言いましたもう一つの去年指示しましたベンジジン、これは十九倍と書いてあるのですね。そうしますとベータナフチルアミンはきわめて強いのですけれども、アルファナフチルミンも十六倍。このグループは十六倍の膀胱ガンにかかる可能性がある。ベンジジンは十九倍というのですから、ベンジジンとあまり危険性は変わりない。にもかかわらず、あなたのほうの四月三十日に出したものはきわめて楽観的な書き方をいたしておるわけです。こういう書き方ではいかぬのじゃないかというのが私の趣旨でありますけれども、一体このアルファナフチルアミンというのはなぜあぶないのか。申すまでもなくアルファナフチルアミンをつくるとき――アルファナフチルアミンそのものはこれは発ガン性を持ってないわけですよ。不純物としてべータナフチルアミンが入ってくるからなんですよ。そこであなたのほうはこの不純物として入ってくるべータナフチルアミンが一%と、こういうようなことを境目にして取り扱いについて指示しておるわけですけれども、一体アルファナフチルアミンが工業用なりあるいは化学用として一%以下なんというのはできると思っているのですか、お答え願いたい。
#112
○北川説明員 いま先生御指摘のように、アルファナフチルアミンにつきましては製造過程でべータナフチルアミンが不純物としてまじる、そういうところに問題がございまして、それを何%に押しとどめるかという点でございますが、御指摘のようにわれわれが一%というのをめどにいたしましたのは、イギリスでこういう発ガン性物質につきましてはかなりの規制をいたしております。そのイギリスでは一応一%ということをめどにしておりますので、私たちは、それを一応の基準といたしました。ただ、先生の御指摘のように、では、いまの日本のアルファナフチルアミンの中身が、不純物として一%以下のべータナフチルアミンが含まれているという状態であるかどうかという御指摘でございますが、御指摘のように、四、五年前までは、三%ないし四%のべータナフチルアミンが含まれておったようでございますが、最近は、業界におきまして技術革新等が進みまして、私が聞いておりますのでは、住友化学の大分工場で生産をいたしますアルファナフチルアミンにつきましては、べータナフチルアミンの含有量が〇・五%というふうに伺っております。
 なお、それまではアルファナフチルアミンを大内新興というところでつくっておりましたけれども、これにつきましては、この指導通達の後は、住友化学の製造いたしました、すなわちべータナフチルアミン〇・五%以下のものを購入いたしまして使用しておるというふうに伺っております。
#113
○細谷分科員 それではお聞きいたしますけれども、あなたのほうに労働衛生研究所というのがありますね。そこに松下という人がおるでしょう。御存じですか。松下さんが四十四年の一月に「発がん物質の分析の進歩」こういう論文を書いております。お読みになりましたか。――お読みになってない。それでは、お読みになってないようでありますから、せっかくの労働省の機関である、しかもあなたの担当が読まぬということ自体、私おかしいと思うのだけれども、その論文によりますと、従来の方法では絶対に一%とか〇・五%なんてできないのですよ。住友化学はどういう方法でつくっていますか、はっきり言ってください。
#114
○北川説明員 私、不勉強で松下論文なるものを勉強しておりませんからあれでございますけれども、私が伺っております時期的な点から申し上げますと、住友化学の大分工場で、そういう新しい製作の方法が始められたのが昭和四十四年の末からだと聞いておりますので、おそらくその論文が作成されました時点ではそうであったと思いますが、現時点では、私は、先ほど申し上げましたように、アルファナフチルアミンの製造過程で不純物として発生するべータナフチルアミンは〇・五%程度であると認識しております。
#115
○細谷分科員 従来の製造方法では絶対できないのですよ。私もそれでめしを食ったのだから。アルファナフチルアミンをつくるにはどういうことをするかというと、ナフタリンを硝化するわけです、それを還元するわけです。ナフタリンはかどが幾つかあるわけですから、六角が二つソーセージのようにくっついているのですから、そのかどは八つあるわけですから、八つのどこにくっつくかというのが問題なんですよ。ですから、硝化する場合には九五、六%は希望のとおりアルファの位置につくわけですが、だからアルファナフチルアミンというのですが、そうはならぬですよ。技術がどう進歩しようと、これは化学の原理なんですから。ですから、あなたがどういう製造方法――このあなたのほうの松下さんの方法では、それは全く別の方法で、相当高価な、コストが高くつきますよ、そういう方法でやるのならば、べータが非常に少ないものができるけれども、とてもじゃないが、コストが非常に高くなる。でありますから、工業的にはできない。あなたのほう、うのみですよ。一体どういう方法でつくったのか。従来の方法でやるのなら――あなたのほうの松下さんの分析結果、これは四十四年一月ですから、おそらく四十三年くらいにやったのでしょうが、こう書いてある。ちゃんと分析結果がありますよ。私は論文を写してきているのですから。
 それによりますと、インダストリアル、工業用のものは四%から五%ある、それからラボラトリー、実験室用にアルファナフチルアミンとして使っているものすらも三%から三・五%あるのです。これにもちゃんと書いてあります。全く不純物を含まない、べータを含まないようなものができたならば、それは別の工程でやらなければならぬのだ。ですから、その工程を明らかにしてもらわなければ、この方法はそうならないのですよ。そんなことじゃだめですよ。そんなことだものですから、私がせんだって予算委員会でも言ったように、このあなたのほうの通達は何と書いてあるのですか。この通達を読みますとどういうことを書いてあるか。ベータナフチルアミンの含有率が一%以下のものが大部分であるが、これが一%をこえる場合には五、六、七の方法で作業しろと書いてある。化学の根拠を忘れて、そしてこんな通達を出したって空文じゃないですか。大体膀胱ガンというのは二十五年か三十年くらいしないと出ないのだ。ちょうどこれはイタイイタイ病と同じくらいな潜伏期間を持っているのですから、みんな病気を持って、やめたときにみなやられている。私の友人もやられているのです。こんなことではだめなんですよ、大臣。住友化学は〇・五というならば、どういう方法でやったのか。私はコストを聞くのじゃないですよ。プロセスだけはあなたが知っておらなければ私に対する答弁にならない。こんなことでは、ざるじゃないかと私は申し上げている。大臣、いかがですか。
 こうい通達を出して、しかも膀胱ガンなんというのは二十年か二十五しないとわからぬわけだ。会社をやめたあとでしかわからぬわけですから、みんな泣き寝入りですよ。そして医者も、企業側からの圧力が強いものですから、膀胱ガンだとわかっておっても、ほかの病気だという形で片づけられる可能性も十分あるわけですね。ですから、こういう問題についての監督官庁である労働省が、こんな形で指示してもらっては、危険千万と私は思うのです。労働大臣、住友化学がどういうプロセスで――それならばいいだろうという以外、このプロセスである限りはそうならないのですから、これを改めていただきたい。いかがです。
#116
○北川説明員 私も先生ほどこの道につきまして深く勉強をいたしておりませんので、この場ですぐに御説明はいたしかねますけれども、住友化学が最近〇・五%以内にベータナフチルアミンを抑制し得たという製法につきましては、後日資料を提出しまして御説明にあがりたいと思います。
 なお、先ほど私が申し上げましたように、この面の規制について非常に先進的といわれておりますイギリスでは、アルファナフチルアミンの工業化の一つのめどとしまして一%というものをつくっておりますので、これをまねましたのでございますけれども、それはイギリスにおいて工業化されておるという点から、われわれも、おそらく工業化され得るし、また最近住友のそういう工程でされ得たということを確認をいたしましたので、そういう通達を出したわけでございます。
#117
○細谷分科員 あなたのほうのこの基準は、やはり従来の方法に基づいてナフタリンを硝化して還元してアルファナフチルアミンをつくる、こういう方式でありますから、それはそうならないのですから、これでは安全なように見えて安全じゃないのであります。住友の方法がどういうものか知りません。松下さんも、ちゃんと別の方法がある。別の方法がありますけれども、あなたのほうの書いてあるこの方法ではそうならないので、四%か五%ぐらいのベータナフチルアミンが必ずこれは生じてくるわけですから、これはもう危険千万、ベンジンと同じくらいの危険性があるのです。ベータナフチルアミンそのものほどの危険性はありませんけれども、ベンジンと同じような危険性があるわけです。それが一%以下が大部分だなどということで指導してやっては、もぬけのからじゃないか。だからこれを改めなさい、こう言っている。大臣か局長、ひとつはっきりしてもらいたい。
#118
○岡部(實)政府委員 いま非常に専門的に御造詣の深い細谷先生からのお話でございました。また、いま安全衛生部長からも、私どもがこの通達を出しました際の検討した事例を御披露申し上げたわけでございます。この問題につきましては、有害物質の取り扱いの問題は非常に重要でございますので、私どもも労働衛生研究所の研究員等にももう一度よく照会いたしまして、その点、事実をはっきりさせたいと思います。その上で、もしこういうようなことが御指摘のようなことでございますならば、新しい事実に基づきまして安全な措置を講じていくのが当然と思いますので、よく検討をいたしたいと思います。
#119
○細谷分科員 ぜひそういうことにしていただかなければ、せっかくの指示が何にもなりませんから、労働者のからだを守ろうという労働省の意思が全くざるになっておるわけですから、ひとつ具体的に早急にやっていただきたい。
 これに関連して、いま洗剤用に螢光増白染料というものが非常にはやってきておりますね。その螢光増白染料をつくる重要な中間体に、発ガン性のきわめて強いベータナフチルアミンと同じような芳香族アミンが使われておるということを御存じですか。
#120
○北川説明員 新聞等の報道では知っておりますけれども、具体的にその問題につきまして調査等はまだいたしておりません。
#121
○細谷分科員 新聞等の報道でなく、私は、具体的にどういう物質があるかということを聞いておるのですから。新聞にどういうものが出たですか。
#122
○北川説明員 いまちょっと記憶がございません。
#123
○細谷分科員 記憶がないようでありますが、これも慈恵医大の竹村氏が言ったのですが、螢光増白染料の中間体としてアミノナフテンというのがあるのです。言ってみると、五アミノナフテンというのがあるのです。これは螢光増白染料の原料中間体でありますけれども、竹村さんがマウスで実験しましたら、四〇%くらい発ガソが起こっておるのです。たいへん危険ですよ。竹村さんは、特にこれから出てくる芳香族のアミンは、新しく開発されたものも含めて、全部検査しなければあぶなくてしょうがない、こういうことを強く指摘しております。私が申し上げている論文は「産業医学」の四十四年一月号の「膀胱がん発生機作」という論文であります。ひとつよくお読みいただきたいと思うのであります。こういうふうに、螢光増白染料の中間体にも、非常に発ガン性を持っておるおそれのある五アミノナフテンというのがあるわけです。これから技術革新すればいろいろな化合物が出てくるわけであります。特にアミノ化合物というのはあぶないわけですから、こういうものをつくる場合に十分な医学的な対策あるいは安全衛生上の対策を講じていただきたい。
 御承知のように、先ほどもイギリスの話が出ましたけれども、この論文にも書いてありますけれども、「たとえば英国においては、芳香族アミン、とくにベータナフチルアミン、四アミノジフェニル、四二トロジフェニルおよびこれらの塩類あるいはこれ等を一%以上含有するものにたいしては、その製造業務へ人を雇用することもできないし、またそれ等を使用することも禁止されており、暴露量が実際上ゼロに保たれるような非常にきびしい生産・使用条件下でなければ許可されていない。日本においては未だこのようなきびしい規制はなく、」こういうふうに、これもお医者さんの立場でいっております。
 私は、たいへん重要な問題だと思います。これは労働行政全般に関係する問題であります。大臣、これは私は非常に重要だと思う。この問題について、せっかく労働衛生研究所があるわけですから、そこと十分連絡をとって――論文を一々読む必要はないかもしれませんけれども、その成果はひとつ活用していただかなければならぬと思いますが、いかがですか。
#124
○野原国務大臣 労働安全の問題につきましては、御指摘のような点について十分に対策を進める必要があると存じます。
 そこで、ただいまお話しのような点は、労働省の内部におきましても必ずしも専門の方々がいないという点で、どうも説明が十分ではなかったようでありますが、これは非常に重大な、労働者の健康管理上必要な事項でございますので、これからは、その方面も専門の方々の御協力を得まして至急に取りまとめまして対策を講じたいというふうに考えております。
#125
○細谷分科員 そこで、先だってもちょっと申し上げたわけですけれども、二月十三日かの新聞で、労働省はかなり積極的に前向きに取り組もうとしておるわけですけれども、一九六九年に日本産業衛生協会というのが「許容濃度等の勧告」こういうものを出しておりますね。いまの基準法に基づく安全衛生規則はきわめて不十分であります。ほんの三種類程度について規制をしておるだけでありまして、鉛、四エチル鉛、有機溶剤、これだけですね。これでは私はいかぬと思います。したがって、私は、早急にこの勧告に基づいて――この勧告は、そのまま数値的に実施しては困る、これをやるについては前提がありますよと指摘しているのです。そういう前提条件を踏まえて、ソ連やアメリカでもやっておるわけでありますから、職場の許容濃度についての勧告の線に基づいて、早急に職場の有害物質を明記していく安全衛生規則を、私は、新聞で書かれている程度では不十分でありますから、この勧告等の趣旨を考えて完ぺきなものをつくるべきであると考えております。この点についてひとつ大臣と局長の見解を承っておきたい。
#126
○岡部(實)政府委員 御指摘の日本産業衛生協会の勧告によります許容濃度等につきましては、労働省といたしましても従来、労働衛生行政を進めていく上の参考となるような資料といたしまして一部活用はいたしてまいっておりますけれども、正式に規則に基づく基準というようなことで取り上げてまいってはおらなかったわけです。
 そこで、いま基準審議会に諮問をいたしておりますのは、一定の有害物質等の発散する作業場所についての局所排気装置の設置基準及び障害防止装置の基準をつくること、あるいは作業場の環境測定、諸施設点検、作業基準その他の防護施設の基準をつくるとか、あるいは一定の有害物質、廃液及び残滓物についての排出処理基準等に関し、ということで、この基準の中に具体的な数字も織り込んで、取り入れられるものにつきましてはそういう形で規則を改正してまいりたい、こういうことでございます。
#127
○細谷分科員 規則をつくりたいというのですが、これは三種類について、労働省のあれは労働基準法がある、それを受けて安全衛生規則がある、その安全衛生規則を受けて、鉛でございます、四塩化鉛でございます、有機溶剤でございますとやっておったら、大臣、これは切りがありません。ですからこれはもっと体系的に――労働基準法というのがあります。この段階ではやはり公害を防ぐ重要な源は職場なんでありますから、安全衛生基準法を――今日、労働基準法それ自体を改悪するという空気がありますが、基準法を一字一句いじるということについては抵抗感が労働者側にあるわけでありますけれども、やはり労働基準法と並列的に労働安全基準法という一つの法律をつくって、それに基づいて個々の有毒物質を規制していく。同時に、せっかくできた安全衛生局というのが一省庁一局削減でふいになったわけですが、今日この段階ではそういう体制を労働省がつくるべきではないか、こう思うのでありますけれども、最後に大臣の御所信のところを承っておきたいと思うのです。
#128
○野原国務大臣 御意見の点は十分検討いたしてみたいと思います。
#129
○細谷分科員 前向き、後向き……。
#130
○野原国務大臣 前向きに検討いたしたいと思います。
#131
○渡辺(栄)主査代理 田中武夫君。
#132
○田中(武)分科員 わずか三十分しかありませんので、御答弁も簡単に的確にいただきたいと思います。
 そこで、死者一万六千人、負傷者九十四万人をこえるといわれておるのが昨年の交通戦争の結果であります。このうち通勤途上者の災害がどのくらいあるか、労働省は調査したことがございますか。
#133
○岡部(實)政府委員 通勤途上災害の調査につきましては、実は年間通じての調査はございませんが、四十四年の七月から三カ月間の調査をいたしまして、一般の交通事故の中の通勤途上と思われるものは約二割というようなことが出ております。
#134
○田中(武)分科員 これはある一定期間だけですが、大体それは全般にもいえると思うのですね。そうすると、死者一万六千人以上、その二割というとたいへんな数になるのですね。ところがこの通勤途上、これは行き帰りを入れまして、これらの事故について使用者はどのように取り組んでおるか、そういうことの調査をせられたことがありますか。
#135
○岡部(實)政府委員 実はただいま通勤途上の問題につきまして、通勤途上災害の調査会というのを設けまして、調査会で、全国的ではございませんけれども、二、三の地区につきまして、数カ所の事業場で、どういう具体的な補償措置がとられておるかということは調査いたしております。
#136
○田中(武)分科員 大体その通勤途上の、交通事故等を含めての災害を業務上の災害と見ておるのは、企業のうちの一%程度じゃないかと思うのです。労働組合のしっかりしておるところは、労働協約でその方法を協定しておるとかいろいろの方法があろうと思いますが、このような交通事故のおびただしい中で、通勤途上の事故を業務上の災害として規定づける必要があるのではないかと思うのです。
 それについて、時間がないからこちらから申し上げますが、使用者側に言わせると、使用者の管理外にあるとか、いろいろ理屈もあろうと思います。しかし、私は明石市の郊外にあるある工場の出身なんですが、通勤のコース、あるいは朝は何時から何時の間の電車、帰りは残業等も含めまして何時から何時までの指定の列車、こういうようにいわゆる指定のコース、指定の交通機関等をきめまして、その場合は業務上として扱うというような方法をかつてやったことがあるわけなんです。もちろん途中で降りて一ぱいやるとか回り道をしたときはこれに当たりません。しかしうちから事業場へ、事業場から直ちにまっすぐうちへ帰る、それもいなかですから、一時間に三本とか、せいぜいその程度だから、何時から何時と列車を指定できますが、都心ではそうもいかないとしても、何時から何時までの間の国電とか何々線とかいうようなことの指定はできると思うのです。そういうような一つの制約というか条件のもとに、これを業務上の労働災害として検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#137
○岡部(實)政府委員 御指摘のように、現在労災保険その他では業務上の災害の場合に補償をするというだけでございまして、その中身の明確な定義をいたしておりません。そこで業務上、外の認定の問題になるわけでございますが、御指摘のように、たとえば使用者が通勤バスを出して通勤者輸送をやっている場合は、明確に使用者の管理下にある通勤ということで業務上の認定をいたしておるわけでございます。そのほかいま御指摘のような問題ついては、諸外国の例等を見ますと、いろいろな条件のもとにそういう制度を持っているところが現にございます。そこで私どももいま調査会で実はその辺の実情、それから取り上げるとすると、どういう条件のもとにどういう方法、体制でやったらいいかということもあわせていま調査をお願いしているところでございまして、御指摘のように、それらの点について当然調査会でも検討されるということになると思いますので、その検討を待ってみたいと思っております。
#138
○田中(武)分科員 いま諸外国とたまたま局長が申されましたので、ILO条約に移りたいと思うのですが、ILO条約百二十一号、これは言うまでもなく通勤途上の災害を業務上災害からはずしてはならないという条約ですね。この条約が批准せられていないわけなんです。もちろんいま言われたようないろいろの条件を定める必要もあるから、国内法が整備せられないというか、受け入れの態度がはっきりしていない、体制が組めていないところに直ちにILO条約の百二十一号を批准してもということであろうと思うのですが、このILO条約百二十一号の批准については大臣どう考えておりますか。
#139
○岡部(實)政府委員 百二十一号条約は、先生御指摘のように労働災害の定義を明確に規定して実施しろ、その場合に、通勤途上の災害を労働災害とみなす等の条件もその中に十分はっきりさせろ、こういうことでございます。しかし第二項等には「通勤途上の災害が業務災害補償制度以外の諸社会保障制度の対象となり、かつ、」云々ということも規定されまして、これはそのやり方についてはいろいろあるので、各国の事情にまかしてあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、条約の趣旨は、先生御指摘のように通勤途上の問題を、何らかこの労働災害との関連ではっきりさせろということには少なくともなると思います。そこでこの条約につきましては、私ども前提といたしまして、やはりいまの基準法並びに補償法の適用関係につきまして、業務上、通勤途上の問題をまずはっきりさせることが先であろうと思いますので、調査会にもできるだけ早く結論をお出しいただくように願いまして、その上で、この条約の条件に適合するようなことも含めながら検討してまいりたいと思います。
#140
○田中(武)分科員 これは条約の批准なんですからね。政治的背景というものがあると思うのですが、大臣、政治的な答弁を。
#141
○野原国務大臣 百二十一号につきましては、調査会その他の方針が決定して、直ちに実施できる段階になりますれば、できるだけこれはILO条約の批准を要請したい、かように考えております。
#142
○田中(武)分科員 GNP世界第二位、高度成長経済を誇っておる日本です。したがってこの通勤途上ということは大きな問題だと思うのです。いまかりに二割としても年間死者が三千二百人くらいになるのですか、それから負傷者は十四、五万になりますね。これだけの人が結局は通勤途上でけがをする。ところがこれが何ら考慮が払われていない。もちろん自動車賠償法などいろいろなことはあるにいたしましても、労働法体系の中において考えられていないということは、私は問題があるじゃないか、このように思うわけなんです。もちろん無条件ではなくていろいろと条件というか、使用者なら使用者の管理内だということになろうが、しかしいま言ったように指定のコース、指定の時間、指定の交通機関等々あると思うのです。現にそれに基づいて通勤費ですか、通勤手当を出しておるくらいですからね。私は考えねばならぬと思うのですよ。大臣、これは一体いつごろになれば結論出ますかね。GNP世界第二位だなんていって生産を誇っていたって、こんなことではしょうがないですよ。これは事務官に聞かずに、あなた、政治的な判断によって一年以内あるいは二年以内にやる、そのくらいの大大臣としての雅量を示さなければいかぬ。どうですか。
#143
○野原国務大臣 どうもそうおっしゃられても、ちょっと返事に困るのでありますが、わが国は非常な経済の高度成長をなし遂げたという時点で考えてみますと、これはやはり早晩通勤途上を災害として補償をなし得るという段階がそう遠くはないと思います。いつごろと言われてもちょっと見当がつきませんが、そういうような体制ができますれば、当然労働災害の中に入って救っていく必要があるというふうに考えております。
#144
○田中(武)分科員 私、ここに資料を持っています。時間の関係上それは一々あげませんけれども、他のいわゆる先進国に比べて、日本のILO条約批准の率はうんと悪いです。しかも先ほど来言っておるように高度成長を誇る、GNP世界第二位なんていっておってこの状態では、労働者に対する保護は欠けておると明確に言わざるを得ないと思います。しかし、この問題これ以上論議しても時間がむだだと思います。またの機会、あるいはまた締めくくり総括を実はやりますから、それまでに考えておいてもらわぬと、ああいう場所でこういう論議を持ち出したら、あなた困ると思うのですがね。それだけ預けておきます。
 次に、人手不足ということがどこでも問題になっております。そこで昨年ですか、埼玉県下や東京都下の職業安定所で、こういう人手不足をいいことにして、職安の諸君が一人五千円の紹介料を取ったとか、それが汚職になったとか、こういうような事件があったようです。この問題についての、簡単でよろしいですから真相、その後にとられたところの対策、どういうことかお伺いいたします。
#145
○岡部(實)政府委員 私の直接のあれではございませんが、事件が事件でございますので、私ども現地に本省から課長を派遣いたしまして、いろいろ実情を調べまして、一部の職員に、実は特別の企業に若い諸君をあっせんする、紹介することに関しまして、いま御指摘のようなことがあった事実は確認いたしましたわけでございます。
#146
○田中(武)分科員 私、労働省の予算分科会だから、一々局長を名ざししなくとも、関係局長は全部出ておられると思ったのですが、そうじゃないのですね。それでは主査にお願いしておきますが、ひとつこの問題についての詳細な報告及びその後にとった対策、文書で報告願いたいと思います。よろしいか。締めくくり総括以前に願います。
#147
○岡部(實)政府委員 直ちに主管の局長のほうに連絡いたしておきます。
#148
○田中(武)分科員 次に、公害パージといいますか、公害の問題と労働基準法ないしは労働組合法についてお伺いしたいと思う。
 公害で工場を閉鎖した第一号といわれる東洋エチルですか、これはもう御承知と思いますが、工場を閉鎖して、そして親会社のほうにその従業員を再就職というか、採用する、こういうときにあたって、第二組合員は全員採用になった。第一組合は、だれが見ても優秀な人が三分の一以上落とされておる。これは一口に言うならば公害パージだと思う。なぜかならば、第一組合がまず公害の告発をやった、そういうところからそういうことをやったのでなかろうか。現にこれは不当労働行為として提訴をなされておるようであります。そのことは労働委員会の結論をまつといたしましても、やはりこれは何と申しましても不当労働行為だと思うのです。しかもそれは第一組合のかつての役員をした、あるいは公害告発にあたって活動した、そういう理由で不採になっておるのです。しかも会社側は企業のきびしさ、こういうことをいっておるそうですが、これは明らかに労働委員会の審議の結果をまつまでもなく不当労働行為であると思います。さらに基準法第三条の均等待遇からいってもおかしいし、同時に形を変えた不当解雇だと思いますがいかがでしょう。
#149
○石黒政府委員 東洋エチルの事件につきましては、御承知のごとく従業員百三名が再採用と申しますか、親企業である東洋曹達並びにその関連企業への採用を希望いたしまして採用試験を受けましたが、合格者は八十七名、不合格者十六名、そのうちの十五名はいわゆる第一組合員、エチル化学労組でございます。これが不当労働行為になるかどうかという点でございますが、東洋エチルの従業員の使用者はもちろん東洋エチルの会社でございますので、親会社である東洋曹達が採用しなかったということ自体は不当労働行為にならない。東洋エチルのほうが再採用のあっせんをする場合に不利益な取り扱いをしたかどうか、この点が不当労働行為の争点に相なるかと存じます。その後の状況につきましては、第一次の受験におきましては不合格者が出たわけでございますが、さらにこの不合格者のうちの九名の者が会社に対して就職のあっせんを希望いたしまして、その結果相当多数の者が就職決定もしくは内定という状態で、東洋エチルの会社といたしましては、従来のいきさつは詳細な点は不明の点もございますけれども、現在におきましては、第一組合の者も含めまして再就職のあっせんに誠意を持って努力しておると私ども考えております。
#150
○田中(武)分科員 いまさら不当労働行為の解釈をあなたに聞こうと思いません。私は国会議員になる前に、二十二年から兵庫県の地方労働委員をやっておりました。労働法なら、失礼ながら、あなたといまから幾らでも論争してもよろしい。そういった表面だけの使用者対労働者という問題じゃありません。これは親会社ですよ。親会社は子会社に対しては自由に操作できるのですよ。形式的な労働協約がどうなっておるとか、そういう問題でなくて、もうはっきりした不当労働行為ですよ。いま私は不当労働行為とは何ぞや――労組法の十一条だったかな。ぼくのころは十一条だったが、いまは変わって七条。いまさらそれを論議はいたしません。しかしこれははっきりしたものですよ。労働大臣、どう思いますか。もちろん直接の雇用契約は子会社のほうにある。しかし親会社は子会社を思うように使うわけですよ。だから形式的な論議じゃなしに、もっと実質的な論議をやらなければだめではないかと私は思うのです。それとも、時間をいただくならば、不当労働行為とは何ぞやと論争しますよ。私だって、何十あるいは何百になるかもわかりませんが、不当労働行為の審決をやったことがあるのですから。どうですか。
#151
○石黒政府委員 私も先生が労働法についてたいへんお詳しいことはよく存じておりますので、ここで法律論争をいたそうという気で申し上げたのではございませんが、ただ親会社の場合、普通の直接の雇用関係とはいろいろ異なった問題があろうという趣旨を申し上げたわけであります。
#152
○田中(武)分科員 大臣、なるほどいま局長が言っているように、形式的には直接的な雇用関係はない。しかし親会社は子会社に対して自由に操作できるわけなんですよ。ですから、私は、現象的な形式的な問題をもって労働法を解釈するのは当たらない。実質的に見なくてはならないのです。そのことをここで強調いたしたいと思います。
 さらにもう一つは、公害がこれだけ問題になっておるときに、企業組合としての労働組合には、公害問題について企業内での告発ということには限度があろうと思います。しかしこの東洋エチルのはこのワクを越えてやろうとした、言うなれば公害のために、あるいはまわりの住民や市民のために立ち上がったのです。それがこういう結果になった。これは自動車の鉛分の問題なんかもありますけれども、これは企業内の労働組合の公害摘発に対する、あるいは告発に対する、あるいは公害闘争に対する、その芽を刈り取ろうとする行為である。言うなれば公害に対する労働者圧迫の第一号だと思う。それを形式的な論議でもって云々せられるのでは困ると思うのです。もっと法律の中身、法の目的というものを考えなさいよ。形式論じゃなくて、実態論を考えなければならぬ。何のためにこの不当労働行為の規定があるのか、そういったようなことを考えていかなければならないと思いますが、大臣いかがですか。
#153
○野原国務大臣 さっきまで聞いておりましたが、いかにもどうも不当労働行為ということで、公害問題にこと寄せて再就職をさせないというようなことがあったとすれば、まことに遺憾でございます。そういうことがあってはならぬと私は思います。したがって労働組合も当然公害に対しては大いに発言すべきものでありましょうし、発言してもよろしいと思います。そういう点で、いやしくもそのことのために首を切られたり、あるいは再就職が不当に不利を招くというふうな事実があるとすれば、これは注意しなければならぬ問題である。ただいまのお話を聞いて、何かまことに重大な問題を内蔵しておると考えます。今後そういう点は十分に検討いたしたいと存じます。
#154
○田中(武)分科員 これは前の補正総括でもちょっと触れましたし、それから午前の自治省のところでもちょっと触れたのですが、そのうちの労働省関係の問題についてここでお伺いいたしたいと思いますが、それは消防団員の問題であります。私の持っているのはちょっと古いのですが、四十二年の消防実態調査によりますと、消防団員は百二十五万五千人なんです。大体百三十万近い消防団員がおります。けさも自治省のところで論議をして――ここに消防庁次長も見えておりますが、消防署自体がいま人手不足です。ことに地方へ参りますと、防火の第一線の任務は、小さな市の消防署ではなくて、消防団員が受け持っておるというのが実態であります。
 そこで、この百三十万近いというか、あるいはそれを出ておるかもわかりませんが、消防団員のうち、労働基準法の適用を受けるところの事業場等に働いておる人はどのくらいあるか調べたことがあるか、あるいは推定はわかりませんか。
#155
○吉本説明員 先ほどのお話もありまして、消防庁ともお話をいたしましたが、先生のおっしゃったとおり四十三年四月が百二十三万の全体の総数でございますが、そのうち非常勤の数は、常勤の約一千名を除いたほとんどでございまして、そのうちの約六割が雇用労働者というふうに思います。
#156
○田中(武)分科員 そうしますと相当な人数になるわけですね。そこで先日も、これも時間がなくてちょっと芽を出した程度で終わったのですが、これは消防庁の次長さんにお伺いいたしますが、消防団の任務は言うまでもなく消防組織法によって定められておる。その身分はいわゆる普通の消防団、これも消防組織法によって、条文は十五条の何項とかにあるのです。まず消防組織法の十五条の二に消防団員についての規定がある。それから身分については十五条の六、任務は十五条の四というように定められておる。その身分は非常勤地方公務員ということにもなっております。したがいまして、消防活動その他公の、公式の消防団の任務、これはまさに消防組織法、法律によって定められたところの公の職務だと思うのですが、消防庁と労働省、それぞれの見解をお伺いいたします。
#157
○皆川政府委員 お答えいたします。
 いまお話のありましたように、消防組織法に定められました公務に準じております。私たちといたしましては、公の職務である、かように考えております。
#158
○岡部(實)政府委員 いまも消防庁のお話にございましたように、消防という仕事の中身は公共的な性格を持つ職務と考えております。
#159
○田中(武)分科員 これは実は同じ予算委員会の総括質問で、ここにおられる原委員が提起した問題なんです。それを受け継いで私はやっているのですが、そういたしますと、先ほど申しましたように相当な、百万以上というような人が労働基準法の適用を受ける人たちなんですね。しかも、その人たちが地方においては防火活動の第一線の主力部隊である。そこで労働基準法第七条の公の職務というのは一体この消防団の任務を含めるのかどうか、いわゆる消防団の任務は労働基準法七条でいうところの公の職務であるのかどうか。先日、私ちょっと一言だけ大臣に伺いました。そのときには、検討をいたしております、そういうことだったのですが、検討の結果を聞かしてもらいたい。
 なお、参考までに申し上げますと、労働省の労働基準局の編著になっておりますところの本の「労働法コンメンタール」三巻ですかには、いわゆる第七条の公の職務とは法令に基づくものとなっております。まさに消防団活動は労働基準法第七条の公の職務となり、したがって、使用者はその任務のためには時間を与えなければならないということになりますが、確認できますか。
#160
○岡部(實)政府委員 消防団員の非常勤の方は非常勤の地方公務員ということになっておりますが、そういう仕事は公共的な仕事と先ほど申しました。そこでお尋ねの、七条の「公の職務を執行するために」という場合の、この公の職務ということに該当するかどうか。従来私ども通達その他で出しておりますのはごく限られたものだけでございまして、いままでのところは行政解釈としては明確にいたしておりません。そこでこの前大臣が検討するとお答え申しましたのは、この七条の趣旨からいって、いままで実は通達ではっきりいたしましたのは、「予備自衛官が自衛隊法等に基づいて召集命令」ということをいっておりますので、そういうものとの関連もいろいろございますので検討をしたい、こう言われたのでございますので、いまここでにわかにちょっと申しかねますが、よく検討さしていただきたいと思います。
#161
○田中(武)分科員 労働基準法が施行になってから何年たちます。公布せられてから何年たちます。現に私がいま申し上げましたように、自分のことを申すのはおかしいのですが、消防団長もやったことがある。私は労働協約でこれをはっきりさしました。こんなことがいまごろになって論議になるというのは少しどうかしていると思う。これははっきりした七条による公の職務なんです。しかも先ほど来言っているように、消防庁はいま人が足りない。地方へ参りますと、第一線の防火の任務は消防団員がやっておる。この人たちの三分の二は労働基準法の適用を受ける人なんです。この人たちをのけてしまったら消防活動はできませんよ。そこで、この人たちはいままで有給休暇をとるとかなんとかでやっておる。あるいは一方、中小企業のほうはそう言ってやかましく言うと人が来てくれないので、時間を与えるというか、そういうようなことでやっておるというのが先日の原委員の質問であったわけです。こういうような問題を今日まで検討していなかったということは大きな抜かりであったと思います。ことに最近のようなあの大火が続いておる中で、これははっきりしないといけないと思うのです。はっきりしないといけないということでなくて、予備自衛官なんて例を出すのはどうかしておるのですよ。予備自衛官が動くときなんというのは一体いつあるのです。こう言っておるときも、現に消防団は山火事で行っておるかもわからないのですよ。しかも地方では満二十歳から四十歳とかいうようになっておりまして、自動的にその年齢に達すれば消防団員になる。それが、わしら会社が忙しいから、こういうことでつとめをしないと、出ぞめ式のときに水を浴びせられたり、村八分になるのですよ。これははっきりしてやってくださいよ。少なくとも全国百万以上の工場、事業場に働くところの消防団員のために、労働大臣、それから消防庁、これは自治大臣にも言ってはっきりしてください。その時期は、私が締めくくり総括をやります、そのときまでにはっきりしてください。そのことを約束できますか。
 なお、主査にお願いします。
 このことを主査報告にとどめていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#162
○渡辺(栄)主査代理 わかりました。
#163
○田中(武)分科員 大臣と消防庁、ちょっとだけ答えてもらって、終わります。
#164
○野原国務大臣 ただいまのお話はよくわかりましたので、今後ひとつ前向きに検討いたしたいと考えます。
#165
○田中(武)分科員 それでは、どうもありがとうございました。
#166
○渡辺(栄)主査代理 大橋敏雄君。
#167
○大橋(敏)分科員 本国会で非常に焦点となっております三K問題があります。すなわち米、国鉄、健康保険の問題でありますけれども、それとともに大きな話題を呼び、あるいは問題とされているのに、失対事業の打ち切りの問題があるわけであります。今回中高年齢者の雇用促進に関する特別措置法案というのが閣議決定されて、いまだ関係委員会には付託にはなっておりませんが、すでにその内容等がマスコミ等で報道されておりますし、その関係者はきわめて不安を覚えております。この法律の名前は中高年齢者の雇用促進に関する云々ということでございまして、名前から受ける内容は何も失対打ち切りではないという感じを受けないわけではありませんが、中身について、その関係者はまさに失対打ち切りである、このように感じているわけです。私も質問するからには、今日までとられてきたいわゆる中間報告、あるいは、審議会の答申、それから今度の法律案の中身、一応のことは勉強させてもらいました。しかし、そうした関係者は現地において、とにかく失対打ち切りである、このような感じで、その不安というものは一とおりではありません。そこで大臣にこういう点を明快にしてもらいたいために答弁を求めるわけでございますので、そこを踏まえて、はっきりとした答えを出していただきたいわけであります。しかしながら、まだこの法律が委員会には付託になっておりません。私は社会労働委員会の理事でもございますので、付託になった段階で、その問題点になるべきところをさらに徹底的に追及していく覚悟でありますけれども、きょうは、今日まで報道されているような中身についてお尋ねいたしますが、まず第一に、失対打ち切りだといわれていることについてはどうお答えになりますか。
#168
○住政府委員 先生御承知のように、わが国の労働力の状況を考えてみますと、非常に不足基調にございます。さらに今後の労働力の供給を考えてみますと、供給が減少の一途をたどる、と同時に、一方需要のほうは今後の経済成長、特に経済社会発展計画等に示されております一〇・六%の経済成長、こういうような経済成長を考えてみますとき、需要は増加する、そういうことで労働力不足はますます深刻化する、こういうことになると思うわけです。しかし一般的に労働力需給が好転しますものの中高年齢者の就職問題、これはなお容易であるとは思っておりません。
 そこで今後の対策の方向といたしまして、そういう就職のなお容易でない失業者に対しまして特別な措置を講じまして、たとえば手帳制度を創設いたしまして求職活動中の生活を援助するということで、手当を支給しながら求職活動をやっていく。われわれ安定行政をあずかる者といたしましてはそういう手当を支給しながらの職業指導とかあるいは職業訓練とかあるいは職場適応訓練とか、こういう措置を中高年に特に手厚い措置を講じてその再就職をはかっていくということが基本でございます。従来まだ労働力過剰時代におきましてはそういう措置を講じてもなお就職できない、そういう場合に失対事業、こういう制度になっておったのでございますが、今後の雇用情勢の推移を見定めた上でそういう対策をとっていこう。したがいまして、そういう意味でこれからの失業者については失対事業に就労させないで、とにかくそういう特別の措置で再就職の促進をはかっていこうということでございます。
 しかしながら現在失対事業に就労されておられる方、これは十九万人余の方がおられます。御承知のように、平均年齢が五十八歳ということで、非常に年齢としても高くなっておる状況でございます。私どもこういう方々に対しましても、民間の再就職あるいは自営業等の自立の促進、こういうことで今後も努力するつもりでございますが、しかしそういうことができない方も大部分ございます。そういう方々に対して失対事業を打ち切るということになりますと非常に問題でございますので、現在の失対事業を引き続き当分の間実施していく、こういう体制にしておるわけでございます。そういう意味で、失対事業の打ち切りということにはならないと考えておる次第でございます。
#169
○大橋(敏)分科員 いまの局長の答弁によりますと、まず二つに分かれているような感じを受けました。とにかくわが国の現在の労働市場の実態、失業、雇用関係等から見た場合、これから出てくる失業者は何も失対に入れなくとも、たとえば手当を支給しながら職業指導をやり、あるいは訓練をやりしていく限りにおいてほとんど就職できる、このように見越しているんだ、このように一つは受け取れました。もう一つは、現在の失対事業に働いている方々は、いろいろと問題点はあろうが、このまま継続していく、このように答えられたと思うわけであります。簡単にいいますと、失対打ち切りということではない、こう判断してよろしいですね。
#170
○住政府委員 先生のおっしゃる整理された方向で、私ども考えておりますので、新しい就労者の方々については、失対事業に依存することなく再就職をはかっていく。特に手厚い援護措置を講じながら、そういう方策を積極的に進めていく。しかし現在の就労者については、いままでの経緯もございますので、当分の間失対事業を引き続き存続させる、こういうことでございます。
#171
○大橋(敏)分科員 局長の答弁では、決して失対打ち切りにはならないんだ、このような印象を受けるわけでございますが、当然大臣は局長以上にこの問題を御承知のこととは思いますが、この際、その失対打ち切りではないんだという中身を知っておられるならば、そういう立場で今後施策をやっていかなければなりませんので、大臣から、決して失対打ち切りではないということを一言でもいいから答えておいてもらいたいですね。
#172
○野原国務大臣 局長から御答弁申し上げましたとおりでありまして、決してこれは失対の打ち切りではない。ただし現在の失対の中からも、手当を出し、就職のあっせん等をやるならば、現在の失対事業よりももっといい職場もあるのではなかろうか。そういうものに対しましては、できるだけ雇用の促進の努力を払いまして、その人たちは失対事業から普通の仕事に御就労願うというのがねらいでございます。そういう意味で、失対はある程度従事者は減るとは予想いたしますが、依然として現在の失対事業というものは継続されていくものと私は考えておるわけであります。
#173
○大橋(敏)分科員 それじゃ、いわゆる中高年齢者、特に高年齢者ですね、五十歳とか六十歳、こういうふうになっていらっしゃる方は、もうとにかく今度の法律が出れば直ちに首を切られるんではないか、こういう心配も大きいわけですが、こういうこともないわけですね。特に高年齢者に対して、現在働いている就労者に対して首を切るというようなことはしないわけですね。
#174
○住政府委員 そのようなことは考えておりません。
#175
○大橋(敏)分科員 それでは最初に戻りますけれども、現在の労働市場あるいは雇用実態等からかんがみて、今後の失業者はもう失対に入れる必要はない、このようにおっしゃるわけでございますけれども、私は非常にこの点が不安でならないのです。なぜならば、現在失業した人たちがはたしてどの程度就職しているか。現に統計等を見ますと、再就職の率が非常に悪い。こういうことから考えていって、はたして今度とられる雇用対策がそういうものを十分吸収し切れる内容になるのかどうか、こういう点について不安がありますので、具体的に答えてもらいたいと思います。
#176
○住政府委員 御指摘のとおり、私ども若年失業者の再就職の問題はさほど困難であるとは思っておりません。中高年齢層の再就職の問題、これは御指摘のようになお容易ではございません。そういうことでございますが、私ども、先ほども申し上げましたように、今後の失業情勢あるいは経済との関連におきます見通しを前提にいたしまして努力すれば、そういう方々の再就職も不可能ではない、こういうように考えておるわけでございます。と同時に、全般的に失業情勢が好転いたしたとしても、たとえば地域別にさらにそれに加えて年齢別の条件が重なりまして、就職状況の非常に悪いところもございます。これは一般的な雇用情勢が好転したとしても、なおかつ時間的なズレのもとにおいて、そういう地域が残ることは十分予想されるところでございます。そういう意味で私どもは、非常に失業情勢の悪いところにつきましては、四十六年度の予算措置におきまして特別の事業を実施することを予定いたしております。したがいまして、そういう事業に吸収するのは最後の手段ではございますが、そういう失業情勢の悪いところは特別の事業で失業対策をはかっていこう、こういうような考えでおるわけでございます。
#177
○大橋(敏)分科員 私が先ほど心配だといったのを資料で説明いたしますと、これは労働省が調べた資料ですよ。三十五歳以上の職業紹介状況としてあったのですが、四十四年度の月平均を見ますと求職者が二十七万三千八百三十一人です。求人数が二十九万七千九十九人です。就職数は二万九千二百二十六です。したがいまして、就職率は一〇・六%ですね。いま労働市場が非常に好転して人手不足であるというもののまだ一〇・六%程度しか就職できていないということになるとだいぶお話が違うように感ずるのですね。また人材銀行の業務実態をやはり労働省で発表なさっておりますけれども、四十四年度の求人数は一万一千六百六十六人です。それから求職登録数が一万四千百三十五です。就職数が四千八百二十四、求職倍率は一・二一です。そして就職率は三四・一%になっております。これは人材銀行のほうです。いわゆる能力、力を持った人々、いままで管理職だとかあるいは技術職を持った人を中心に登録せしめて、その中からあっせんをしたというのですね。あっせんは無料で行なわれているそうでございますけれども、それにしても非常に就職率はよくない。まだずいぶん余っているわけですね。就職させなければならぬ立場の人がずいぶんと余っているわけですよ。
 それから、もう一つ無料職業紹介所の就職状況が出ておりますけれども、これを年齢別に見ていっても非常に低いわけです。私、時間の関係でこれはもう省きますけれども、特に社会福祉法人が労働大臣の許可を受けて、おもに六十歳以上の高齢者を中心に高齢者コーナーというものを設けて就職を取り扱っておりますが、これなどは四十四年度を見ましても、わずかに申し込みの三五%しかできていないわけですね。こういうふうにいろいろと統計を見てまいりますと、人手不足だ人手不足だというものの失業者の始末は十分なされていない。私はここから今度の法律と失対事業との関係にも非常に不安を抱くわけです。この点についてもう少し具体的に、それはこうこうこうなんだよ、こうすればこうなっていくのだというように、納得いくような説明がほしいですね。
#178
○住政府委員 中高年齢を扱っております安定所の求人、求職の関係、先生御指摘のような数字になっております。そこで私どもこの求職者の実態を考えてみますと、これは単純に求人と求職を比較いたしまして、求人を分母とし求職を分子にした率でございますが、求職者の中にはかなりの現在職業についておられながらの転職希望者、これは現実に人材銀行等におきましてそういう方々もかなりの数にのぼっております。そういうような現在就業中の方で転職希望者も、安定所の窓口におきましては求職者として扱っております。したがいまして、求職倍率というのは単に求職者と求人との比率、こういうような面もかなりあるわけでございますが、先ほどから申し上げておりますように、いずれにいたしましても中高年齢者の再就職、こういうことは容易なことではない、私どもこういうように考えておるわけでございます。そこで今後そういう方々の再就職を進めていく。これはやはり人材銀行のようなあるいは高齢者コーナーなりそういう手厚い対策が必要だ。と同時に、やはり将来これは明瞭に若干労働力が不足しております。若年労働力に対する求人倍率というものはものすごく高いわけでございますが、従来の日本の雇用慣行といたしまして、どうしても求人が若年労働力に片寄る、こういう傾向を持っております。しかし中高年の方々は長い職業生活で鍛えられた経験もあり、技能もある。そうして事業主のほうでもそういう中高年齢者の方々をほんとうに使う、こういう体制になれば、まだまだ中高年齢者が若年労働者以上に労働能力を発揮する職場がいろいろございます。現に今度の法律におきましても、私ども中高年齢者に適する職種につきまして雇用率を設定いたしまして、そういう職種には中高年齢者を雇ったほうがかえって中高年齢者の方も能力が発揮できるというような観点から雇用率設定の方策も取り入れておるわけでございます。そういうことで民間の適する職場で能力を生かしていただく、こういう努力をいたしたいと考えておるわけでございます。そのためにはやはり特別な措置が必要なわけでございまして、求職手帳制度等を取り入れまして求職者の援護措置を手厚くすると同時に、雇い入れの体制、受け入れの体制、そういうものも十分整備していく、そういうことであるならば、私ども中高年齢者の雇用というものがうんと促進されるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#179
○大橋(敏)分科員 時間の関係であまり突っ込めませんけれども、大臣にお尋ねします。
 いま局長のお話を聞きますと、統計に出ているのは、いろいろと内容について一がいにそれだけが失職者ではないというようなあれがあったのですけれども、要するに、中高年齢者に対する失業そして雇用の問題は今後の重大問題である。労働省はそれに対して徹底的に対策を立てていく、このように局長は言うわけですね。私もそのとおりでなければならぬと思いますけれども、要は予算の問題もありましょうし、労働省の実際の行政指導、実際にやるかやらぬかということが問題になってくるわけです。そういう点についても、中高年齢者に対する雇用の問題に対する大臣の考えあるいは決意を一言述べていただきたいと思います。
#180
○野原国務大臣 中高年齢者の雇用の促進を思い切って重点的に行なってまいる、そしてその人たちに対しては手厚い保護を加えてまいる。手帳を交付したり、あるいはその間の手当なども十分に差し上げて、そして就職のお世話をするわけでございますが、これも相当思い切った対策を講じてまいるつもりでございます。したがって、これからは中高年齢者が雇用される条件は、それを使う人たちに対しましても、雇用の奨励制度のようなものを雇用者にも設けますし、それから本人にも手当を差し上げる、あるいは手帳を持たせるというふうなことで、両面から対策を講ずる。
 同時に、先ほどお話にございましたが、雇用率を設定して、ある種の職種につきましてはできるだけ中高年齢者に置きかえる、若い人でなく、できるだけ中高年齢の方にかわっていただくというふうなことも当然必要でございますし、そういう対策もとるわけでございますが、そういうことを国全体として、官庁はもとより、民間企業等にもそのことを極力行政指導いたしましてお願いするわけでございますが、そうなりますれば、必然的に中高年齢者の就職の機会というものは飛躍的に増大するであろうということを期待しております。そういう面からあえて中高年齢者の雇用促進の法案を提出するという段階でございます。
#181
○大橋(敏)分科員 時間がないので結論的に言いますが、いまおっしゃった今度の法案を見てみますと、附則の第二条に、要するに、現在の失対就労者は「当分の間、その効力を有するものとする。」当分の間は続けようということになっていますね。先ほど失対を打ち切らないと言ったけれども、「当分」ということがついているわけです。だから、この法律ができて、間もなく打ち切る場合もあると考えられるわけですね。あるいは同じくその条の中の最後のほうにボーナスの問題いままでの「夏期又は年末に臨時に支払われる賃金」は支払わない、こういうふうに法案の中で明文化されております。私はこの点をほんとうにただしたいと思ったわけでございますけれども、きょうは時間がないから、委員会に付託された段階で徹底的にこれを追及いたします。このままだったら、この法案は断じて私は許されません。覚悟をきめておいてもらいたいですね。第一、審議会の答申の中にも、そのことがそうあってはならないと書かれておりますよ。いいですね。つまり、何らかの姿でその既得権だけは守ってあげなさいとありますよ。「当分の間、」などという表現ではなくて、もっとここのところは、いま働いていらっしゃる就労者が安心して働けるような表現ないしは中身にしてもらいたいというわけです。よろしいですね。
 時間があとわずかしかありませんので……。実は再就職の問題でいろいろお話がありましたけれども、私の地元、北九州市ですが、日炭若松がいよいよ閉山になりそうであります。これはまたばく大な失業者が出るわけですが、これに対して労働省は何か手を打っておりますか。またその再就職の体制を立てておりますか。その点についてお伺いをいたします。
#182
○住政府委員 日炭若松の問題でございますが、これは実は私どもも、こういう事態があるのじゃなかろうかというようにも考えておったわけでございます。昨日、会社のほうから組合側に対しまして閉山の通告があったようでございます。その通告の内容でございますが、今月の二十七日に解雇の予定だ、それで三月末に閉山をする、こういうようなことと聞いております。
 そこで、日炭若松の現在の労働者の状況でございますが、職員が五百五十七名、鉱員が千五百七十七名、組夫二百九十五名、合わせまして二千四百二十九名、こういうように状況を把握いたしておるわけでございます。
 これからの再就職対策の考え方なり方策の問題でございますが、私ども、従来一部閉山の場合とか、最近全部閉山の事例も多いのでございますが、まずこういう方々の解雇後の御希望をどうしてすみやかに把握するか、これが離職者対策の大前提だと考えております。そこで、組合はまだこれをのんでおるわけではございませんので、実はどういうアクションを起こすか、また、いつ起こすか、こういうことについてはまだ未定でございますが、その場合に、組合側なりあるいは会社側の協力を求めまして、再就職の意向なりその他の意向をまず明確につかむことにいたしたいと思っております。
 そこで、明確になった段階で直ちにそういう組織をつくりまして、そうして意向を尊重しながら再就職対策、これは炭鉱離職者臨時措置法による援護対策をフルに活用するということになるわけでございますが、それと同時に、また他地域に就職される方につきましては、たとえば住宅問題だとかあるいは子弟の学校の転校の問題とか、そういうこと等もございますので、そういうものを全部含めた上で所要の対策をとってまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。
#183
○大橋(敏)分科員 最後に大臣に、先ほど言った附則に示されている当分の問題とそれからボーナスの問題ですが、これは最大の焦点ですよ。これについて私は委員会で徹底的に追及してまいりますので、十分答えられるように、つまり失対に就労している方々が、それならば了解いたしますと言われるような中身で答えられるように検討しておいてもらいたいです。私の強い要望です。
 同時にいま一つは、就職支度金が今度の予算では多少増額されておりますけれども、これも実態から見た場合、労働省としては大幅な値上げと言っておりますけれども、現実からいくと、まだまだこれは弱いと私は思います。この点も含めて検討しておいてもらいたい。この次の社会労働委員会に付託されたその段階においてこれを明らかに答弁を願いますので、いまから予告しておきますから、その点についてお答え願います。
#184
○野原国務大臣 附則の問題については「当分の間、」とありますが、これは現在の失対従事者の方々に対しましていつまでというふうなことははっきり言っておりませんが、相当長期のことを考えております。同時にまた、失対労務者の中からは、中高年者の雇用促進によりまして、他の職種にかわっていく者もあるということになりますと、平均年齢が現在でもすでに五十七歳でございますが、おそらく相当高くなると思います。そういう点、この次の段階において十分に御審議を願おうと考えております。私どもはこれに対しまして、必ずしも全部の方々が賛成だと喜んでいくということはむずかしいと思いますけれども、少なくともこのいまの方々が非常に困るような事態にはさせないということを考えておりますから、どうぞ委員会において十分な御審議をお願いしたいと思います。
#185
○大橋(敏)分科員 今度の中間報告を見たりあるいは審議会の中身を見ていった場合においては、私は大綱においてはうなずける点もないではありません。しかし、いまの問題はほんとうに重大問題です、いま私が指摘したところ、これは労働大臣も本気になって検討しないと問題ですよ。
 それから最後に一言言っておきますけれども、いまおっしゃった大臣のことばは、単なることばの上のことばではなくて、ほんとうに現在の就労者が納得いくような中身にしてもらいたいということであります。
 では以上で終わります。
#186
○渡辺(栄)主査代理 大原享君。
#187
○大原分科員 厚生省見えてないですか。――いわゆる身体障害者という範傭に属する人は何人ですか、それから身体障害者の中で働く意思と能力のあるそういう人は何人ですか、政府委員でいいですから……。
#188
○住政府委員 身体障害者の状況につきましては、ちょっと資料が古いものしかございませんが、厚生省のほうで身体障害者実態調査をやっております。これは四十年八月の数字でちょっと古いのでございますが、身体障害者の方々は百四万八千人、こういうことでございます。そのうち就業しておる者の数が四十一万二千、未就業の方が六十三万六千で、失業者の数が六千、こういうように数字が出ております。
#189
○大原分科員 失業が六千人というのですが、未就業の六十三万人、その中で働く意思と能力のある者、装具とか設備をつければ働くことができる人、そういうようなものは調査ありませんか。
#190
○住政府委員 実は労働省のほうでそういう調査はしておりませんが、そうしてまたほかのほうにもそういう調査は残念ながら見当たらないのでございますが、先ほど未就業者六十三万六千人と申し上げましたが、その中には六千人が失業者でございますが、その六十三万六千人の中にもなお就職の機会があれば働きたい、こういう方々もかなりおられるのではないだろうか、こういうように考えております。
#191
○大原分科員 就業者は百四万の中で四十一万人ですが、未就業者の六十三万人の生活実態というか、たとえば義務教育課程とか高等学校というような程度の場合には生活問題等は直接ないわけですが、労働力人口の範疇で考えるか、それは別にいたしまして、それはどういう生活実態にあるわけなんですか。そういう調査資料はありませんか。
#192
○住政府委員 ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、たいへん恐縮でございますが、お答えできかねる状況であります。
#193
○大原分科員 労働大臣、交通事故、不慮の事故死が、死亡原因の中で非常にふえておる。これは厚生省がよく知っておりますが、不慮の事故死というのが十番以内に入っておる。どんどん上がっておる。これは交通事故その他の一般労働災害を含めての事故なんです。それでありますから、身体障害者は、肢体不自由児や精薄やそういうものを考えてみましても非常にふえておると思うのです。百四万は、昭和四十年八月の資料ですから、ふえておると思う。それから精薄にいたしましても、あるいは正体不明の奇病にいたしましても、公害などの現象から化学物質による汚染、そういうものからふえておると思うのですね。これからどんどん、だれも予想しなかったことでそういう範疇に入る人が多いわけです。
 私は従来から思うのですが、労働省と厚生省は身体障害者に対して、たとえば労働省は身体障害者雇用促進法や職業訓練その他の法律があるでしょうが――私、雇用促進法を中心に議論しようと思いますが、その裏おもての関係、具体的な一人一人の障害者――国民の立場に立ってみますと、身体障害者福祉法の厚生省の関係もあるわけです。これらが総合的に政策を立てられなければならぬ。そのためには実態把握も一元的でなければならぬ。まあどうしても官庁の仕事というのはセクト的であり、マンネリズムに流れがちですが、そういう意味において、国会においていろいろ議論することが私どもは必要だと思うのですが、そういう面において実態把握を一元的にした上で、そうして働く意思と能力のある者には職を与えていく、国が援助を与えていく、あるいは官公庁、民間を問わず、事業家に対して社会的な責任を負うてもらう。そういうことはたとえば交通事故一つの社会責任をとってみてもそうです。これだけの高度成長をいたしまして過密化の中で起きておるわけですから、そういう社会的な責任があるわけです。ですから、実態調査を一元的にした上で、総合的な雇用と福祉の対策を立てることが必要だと思うのですね。
 そういうたとえば両省間における、身体障害者の具体的な要求や生活実態に基づくような、それらの問題を議論するような場所というのは、一体あるのですかないのですか。政府委員でいいです。
#194
○住政府委員 私ども身体障害者の雇用問題を取り扱う場合におきましても、厚生省あるいは文部省との連携がきわめて大事でございますので、事務レベルにおきましてそういう打ち合わせ会議等の機会を持っております。
 ただ、先生御指摘の、ほんとうに実態を調査する、こういうことにつきましては、先ほど資料として私から御説明申し上げました厚生省で行なっております実態調査が、かなり全数を把握するため、あるいは身体障害者の状況を知るための、これは毎年行なっている調査ではございませんが、基礎調査でございますので、私どもそういう数字をよりどころにして、いろんな事務打ち合わせなり対策を考えておるわけでございます。
#195
○大原分科員 日本はアメリカやヨーロッパに比べまして、統計上の失業者が少ないわけです。それは失業者のスタンダードが、意味づけというものが違うわけもありますが、しかし、その原因は、半失業者というか一つの特徴は、いままで日本は農村に出かせぎとか兼業とかいうような形でクッションがあった。だから完全失業の形をとらなかった。こういうことが一つあると思うのですね。これが、過密、過疎で農村が崩壊して、そして専業農家的なもので、農業一本で所得のかなりのものが確保できないものは農業を放棄するという傾向――もちろん兼業農家の傾向もありますが、そういうことで、高度成長がさらに進んでまいりますと、好況、不況による失業者のあらわれ方は、日本は違ってくると思う。統計上の数字も違ってくると思う。もう一つは、百四万人の身体障害者、これは古い統計ですが、あるわけですが、これはどんどんふえてまいりまして、半失業者的な状況にある人があると思うのですね。
 日本は超完全雇用だというようなことをときどき政府はいっておるから、高度成長は成功だということになっておるのですが、しかし、実際に分析してみますと、私は日本の雇用問題はたくさんの欠陥があると思うわけですね。そういう点で考えてみますと、身体障害者の中で働く意志と能力のある者を的確に調査をして、そしてこの雇用対策を確立するということは、私は絶対に必要なことではないかと思うわけです。そういうことについて考えたことはないのですか。
 いま六十三万人という未就業者についての発表があったのですが、私は四十一万人の就業者の質も問題だろうと思うわけです。それと一緒に、六十三万人という中で、労働力人口の対象になるような人で、だんだんと親とかそのものに依存できないような人々がたくさんある。古老がたくさんいるように、社会的に置きざりになって、そして生活保護で生きている者が何人、全く施設へ入っておる者が何人、それから曲がりなりにもやっておる者が何人、財産で食うておる者が何人、仕送りで食うておる者が何人と、いろいろあると思うのですね。そういう実態が把握できていないのじゃないか。それから六十三万人の内訳についてもはっきりしないのじゃないか。そうすると、身体障害者の雇用についての総合政策は立たないのじゃないか、立っていないのじゃないかということが、私は一つの問題だと思うのですが、いかがですか。
#196
○住政府委員 確かに確実な資料――実態を明確に把握した上でどう対処するか、その実態の把握については、実は先ほど来から申し上げておりますように、私ども厚生省の資料に基づいてやっておるわけでございまして、そういう意味で、先ほど申し上げました実態調査の資料が、全数把握の資料としては一番新しい資料ではないかというように考えておるのでございますが、その限りにおいては時期も古いしということで、いろいろ問題があろうかと考えております。
#197
○大原分科員 それで結局は、身体障害者の実態を的確に把握して、働く意思と能力、可能性のある者の力を引き出すような雇用対策は私はないと思うのです。いまの労働省にはないと思う。
 そこで、それはやはり政策との関係があると思うのですが、一つは、何といっても、たとえば福祉施設に収容するというものもあるでしょう。ひどいものになれば筋ジストロフィーみたいに、二十歳前後までに、頭ははっきりしておるのだけれども、筋肉、そういうものが萎縮して機能が後退をしていく、そして大体生命が終わる。こういうこととかペーチェットとか、いろいろ精神的、肉体的な身体障害者がたくさん出てきておるわけですが、そういう者が、普通の生活でもあまり楽でもないのに、家族におるということになればたいへんですから、それは施設への収容が必要でしょうし、あるいは施設において職業を与えることも必要でしょう。
 しかし、働く意思と能力のある者について国が援助を組織的に差し伸べる。それから事業所において、国立、民間の事業所において雇用についての社会的な責任を負う。こういうことについて私どもが考えた場合に、何といっても雇用問題が中心ではないか。どんな重度――両足がない、両手がない者であっても、あるいは両足がなくて片方の手しかないという者であっても、やはり生きておる命には変わりはないわけですから、そういう者が生きがいのある仕事をしたい、こういうのは人間の、身体障害者の本来の願いであり、あるいはそれを扶養しておる親たちの願いである。そういう面において身体障害者の雇用問題についてしっかりと国の政策を確立するならば、そうすればあとは年金でどういうふうに補うか、所得保障でどういうふうに補うか、施設でどういうふうに補うか、そういう病気になった際にはどうするかというふうなことが、総合的に考えた場合には、国の予算からいっても経済的にできるのではないか。やはり何といったって働いて生きていきたいというのが要求ですから、そういうことを中心とした政策が必要ではないかと思うわけですね。
 そういう点から考えてみると、現在の身体障害者の雇用促進法というのは、これは効力といたしましては、制定以来啓蒙的な役割りを果たしておるけれども、ほとんど裏づけのある政策になっていないのではないか。これは私はいままで議論したことからもそういうことが言えるわけですが、そういう面において優先雇用、身体障害者を各事業所において優先的に雇用する。エレベーターとか受付とかあるいは電子計算機でもそうですが、どの部面は身体障害者でこういうものはできるのだ、こういうものを職場別に科学的に選定をしていって、そして重度の障害者であっても、こういう職場については仕事ができるのだ、こういう設備があればできるのだ、こういうことを前提として事業主の雇用義務というものを法律的に課していって、そして一定率以上は身体障害者を優先的に雇用して、なければ一般の者を雇用するというふうな職場を留保して、身体障害者の働く意思と能力のある者は優先的に雇用する、そうして国が施設やいろいろな器具についての援助をする。こういうふうな政策を身体障害者の雇用問題で労働省が積極的に考えるべきではないか。私が議論をしたい中心点は、他の問題もありますけれども、そういうことなんです。
 そういうことについてもう少し視野を変えて、いままでの行きがかりを捨てた、克服した、そういう政策に転換すべきときではないのか、こう思うわけです。これはすぐ大臣といってもなんですが、それに対して労働省の取り組みができていないのではないか。政府委員、局長の答弁でよろしいですが、そう思いますか、いかがですか。
#198
○住政府委員 私どものまず身体障害者の雇用対策といたしまして、現在身体障害者の求職登録制度を実施いたしております。それは一つは、身体障害者の就職のために手厚い援助をするということと同時に、身体障害者が就職をされましても、さらに引き続いてアフターケアをしておる。そういう意味で、登録をいたしまして、身体障害者の就職当時の状況とか、あるいは就職後の職歴その他、こういうものを見ながら、一貫してめんどうを見ていく、こういう体制にいたしておるわけでございます。
 と同時に、身体障害者の雇用を促進するために、御承知のように、身体障害者雇用促進法で雇用率を設定いたしております。実はこの雇用率も、昭和四十三年十月に新しい雇用率を設定いたしまして、その努力を続けてきておるのでございますが、その後三年近くになるわけでございますが、その雇用率も大体達成できそうな状況になっております。
#199
○大原分科員 その雇用率の達成状況をちょっと言ってください。
#200
○住政府委員 官公庁の非現業的な機関では法定雇用率が一・七%、達成状況が一・七二%、それから現業的機関では法定雇用率が一・六%、達成状況が一・五九%、それから民間事業所でございますが、法定雇用率が一・三%、達成状況が一・二五%。これは昨年の十月現在の資料でございます。
 そこで、御指摘のように、現在の雇用率というのが、強制ではございません、努力目標になっておるわけでございますが、諸外国の立法例等におきましては、強制雇用の制度をとっている国もございます。あるいは御指摘のように、身体障害者のために職種を留保する、こういう制度もございます。そこで、実は、いま申し上げました法定雇用率を作成する段階におきまして、努力目標としての雇用率かあるいは強制雇用的な意味での雇用率か、こういう議論も出ました。しかしながら、日本の現状から見まして、強制的に雇用率を設けて、身体障害者の雇用を義務づけるということは、逆に、身体障害者の雇用を進める、あるいはその雇用を続けていく、こういうことから見ていかがであろうか、こういうような議論もございました。そういうような経過で、わが国の場合、依然として雇用率が努力目標、努力義務になっておるわけでございますが、私ども、身体障害者雇用審議会におきまして、こういう点についてさらに掘り下げた御検討をお願いしたいというふうに考えておるわけでございます。
#201
○大原分科員 それで、いまお話があった以外に、たとえば公団、公庫などは、法定雇用率は一・六%ですが、実際には丁四一%、こういうのがありますね。そこで問題は、たとえば公務員の試験を受けても、身体障害者であるからというので、採用しないのがあるわけですよ。それで社会問題になった。去年だってあるわけですよ。各官庁でたらい回しになって、最後に政治的に、どこかすみっこに就職したという。片目が見えなくても、片手がなくても、極端にいえば、足がなくても、公務員はつとまるわけですよ。局長にもなれるわけですよ。それだけの頭脳と能力があればなれるのです。ですから、こういうふうな、雇用促進的なもので努力目標だということになれば、その法定雇用率というものの達成目標が低い、これが問題なんだ。
 それから、事業主側で見ますと、できるだけ軽度の身体障害者を雇うということです。これは人情です。西ドイツなどが雇用率が高くて非常に進んでいるというのは、戦争犠牲者がたくさんおって、それを社会的に事業主側が受け入れるということを法制化したことが一つの端緒でしょう。しかし、いまの交通問題だって、交通戦争というのですから、社会的な事故なんですね。身体障害者は、たとえ先天的なものであっても、社会的な事故なんです。働いている親にとってみればそうなんです。
 ですから、身体障害者の具体的な生きる道を中心として、雇用問題を中心として総合政策を立てるということは、国の経済からいっても、実際に労働力を確保することからいっても、政治からいっても、これは大切なことだと思うのです。ですから、こういう受け身の消極的なことではなしに、積極的に事業主に対して社会的な義務を課する。官庁は、現業、非現業を問わず、模範的に率先してやる。そうして身体障害者が働ける職場を科学的に研究する。そうして、それに適応したような訓練や教育を文部省や労働省はやっていく。それから厚生省のリハビリテーションもそれを目標にやっていくということになれば、盲人はあんま、マッサージだけだというような限界は、科学的にやればないと思うのです。ですから、そういうことはできるわけですから、私は、そういう科学的な完全雇用の行政を――私も不勉強のままで何回もやっているわけですが、私は、このことを政府としてやるべきではないか、こういうことを思うわけです。
 いま、審議会においてこの問題を討論、検討したいということなんですが、私は、そういうことが決して企業の自由を束縛することじゃないと思う。施設や道具については国が援助を与えればいいわけです。生産的な仕事をやることができない場合には、たとえば東京都とか、もうちょいちょいやっているらしいが、そういう自治体や国がそういう事業場を設けて、身体障害者が生産的な仕事をやって、それについて足りない点をカバーしていくようにすれば、社会的に模範的な仕事ができるわけです。だから、そういうこともあり得るわけですから、身体障害者だけの作業場を国が設ける。民間だけに、そういう恩恵的な仕事だけに依存しない。
 こういうことで、科学的な研究をやって、職場を留保するとか、あるいは身体障害者を優先雇用するとか、あるいは職場の適応、職場の科学的な研究とか、そういうものを一つの身体障害者の政策の中心として、そうして、あとは福祉政策その他をくっつけていくような政策をやらないと、私は、予算も効率的な運用ができないのじゃないか、雇用問題が中心ではないか。全然とは言わぬけれども、労働省と厚生省の連絡がとれてないように、これがなっとらぬのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
#202
○野原国務大臣 身体障害者に対する政策についていろいろ御指摘がございましたが、全く同感でございます。私どもは、身体障害者雇用促進法はございますけれども、それにつきましては、今後、身体障害者をしてでき得る限りひとつ働く喜びを与えたいということを考えますと、これは単に生産という面だけでなしに、あの身体障害者の方々も、やればやれるのだということを感ずることは大きな生きる喜びでありまして、そこに非常に貴重な、はかり知れざるものが出てまいります。そういう面で、いままでもある程度やっておりましたが、非常に消極的であったということはいなめないと思います。
 身体障害者に対する対策、なかんずくリハビリテーションと一緒にした職業訓練が必要でございますと同時に、それはまた宿舎の問題と作業場の問題、検討すべきいろいろな問題がございますが、そういったことを考えますときに、一般においては雇用率の設定等もある程度行政的に強力なものにしてまいる必要がございますが、同時にまた国の施設として、これはできるならば東京、大阪、名古屋その他にはこういう身体障害者のための新しい一つの訓練機関とリハビリテーションを結びつけた機関が必要である。同時にそこに対して働く人たちの職場を設けたい。そういう問題についてひとつ前向きに取り組んでまいりたい。いまはすでにやむを得ませんけれども、いまから十分準備をして、明年度あたりにはぜひその仕事をやってみたいというふうに考えております。
#203
○大原分科員 労働大臣は次の内閣の改造のときにおられるかおられぬかは別にして、これは必ず引き継いでくださいよ。これはほんとうに来年は一歩前進しているという形をとってくださいよ。そういう議論をしていただきましても、毎年同じことをやるのだったら意味ないわけですから、そうしたら総理大臣も全部おるところでもう一ぺん議論しなければならぬということになります。
 それから私一つ質問したいのは、労働省関係の身体障害者の職業訓練のところと厚生省のアフターケアのところの職業訓練、社会復帰を目標にしているのですが、この手当やその他で差別があるのじゃないですか。手当やその他で差別ないですか。私どもはそういう不満を聞くのです。ここにいろいろ施設の内容があるのですが、それはある程度連絡をとって調整しているのですか。どっちからでもいいから、答弁してください。
#204
○加藤政府委員 身体障害者の私のほうでやっておりますのは、授産施設、労働省に匹敵いたしますのは授産施設のほうでございます。これはたとえば労働省のほうの技能習得手当とか、それから私のほうでやっております授産施設の更生訓練費というのを比べてみますと、必ずしも金額的に一致いたしておりません。私どものほうは比較的重度の身体障害者でございまして、しかも医学的なリハビリテーションというのも兼ねてやっておるわけでございます。若干労働省のほうでおやりになっておる身体障害者の就職促進のための施設とニュアンスが違うわけでございます。ことに私どものほうといたしましては、もう住み込みと申しますか、まるがかえで全体の措置費として措置をいたしておる関係上、個々のたとえば更生訓練費というものは、労働省と比べてみますと、非常に少額になっております。
 具体的に申し上げますと、更生訓練費は月千円ということで、その金額は、労働省と比べますと、非常に低いということでございますが、一人当たりの収容費全体を見ますと二万五、六千円、それでも十分とは申しませんけれども、そういう金額になっておるわけでございます。
 ただ、今後の問題といたしましては、更生訓練費というものにつきましてはやはり千円という金額は私ども決して十分であるというぐあいに考えておりませんので、こういう点についてはできるだけ労働省の技能習得手当というものとのバランスも考えまして、今後増額をはかってまいりたいというぐあいに考えております。
#205
○大原分科員 相原主計官、ちょっと大蔵省、これは予算審議だから。あなたのほうは予算を厚生省、労働省別々にしてできるだけぶった切るということだけでなしに、そういう積極的な議論になって、提案のことについては、そのほうが全体としたら経済的なんですよ、国民の立場に立って効率的なんです。だから、そういうことを十分配慮しながら、労働省と厚生省がなすところの雇用対策や福祉対策の総合対策について、うしろ向きの態度でなしに、総合的な、科学的な積極的な、大蔵省はそういう面において十分の協力をすることが主計官の誇りではないかと思うわけですが、いかがですか。
#206
○相原説明員 まことに同感でございまして、たまたま昨年の六月ですか心身障害者基本法というのができまして、これはたしか私の記憶では協議会がございまして、各省次官が委員になっているはずでございます。したがって、こういう協議会を通じまして、各省共通の問題を積極的に取り上げて、漸進的に解決をはかっていくということだと思いますから、私ども昨年とことし二回予算をやりまして、厚生省、労働省両省の予算を担当したわけでありますが、生先がいまおっしゃいますと同じような感じをかねがね持っておったわけです。ただ、ものによりましては、両方の体系と申しますか、労働省は労働省としての訓練なり何なりの体系がございますし、厚生省は厚生省としての組織系統のいろいろな体系がございます。その接点で常にそういうぎくしゃくした面が起こりがちでございまして、その辺は御指摘のとおりでございますが、さらに勉強してまいりたいと思っております。
#207
○大原分科員 終わります。
#208
○渡辺(栄)主査代理 本日は、この程度にとどめ、次回は、明二十日午前十時より開会し、労働省所管について質疑を続行いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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