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1970/02/20 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第四分科会 第2号
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1970/02/20 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 予算委員会第四分科会 第2号

#1
第065回国会 予算委員会第四分科会 第2号
昭和四十六年二月二十日(土曜日)
    午前十時開議
 出席分科員
   主査 森田重次郎君
      笹山茂太郎君    松浦周太郎君
      渡辺 栄一君    武部  文君
      原   茂君    相沢 武彦君
   兼務 松本 善明君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 野原 正勝君
 出席政府委員
        労務大臣官房長 道正 邦彦君
        労働大臣官房会
        計課長     増田 一郎君
        労働省労政局長 石黒 拓爾君
        労働省労働基準
        局長      岡部 實夫君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
 分科員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      相原 三郎君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十日
 辞任         補欠選任
  原   茂君     武部  文君
  相沢 武彦君     岡本 富夫君
  竹本 孫一君     曽祢  益君
同日
 辞任         補欠選任
  武部  文君     原   茂君
  岡本 富夫君     相沢 武彦君
  曽祢  益君     竹本 孫一君
同日
 第二分科員松本善明君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十六年度一般会計予算中労働省所管
 昭和四十六年度特別会計予算中労働省所管
     ――――◇―――――
#2
○森田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、労働省所管を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。武部文君。
#3
○武部分科員 私は、労働省の監督下にある雇用促進事業団の運営、特に住宅建設用地の取得について労働省の見解をお伺いいたしたいと思います。
 なお、冒頭お断わりを申し上げておきますが、非常に短い時間でございまして、詳細なやりとりができませんので、資料の要求を最後にいたしますから、資料の提出をいただきまして、またの機会、決算委員会ないしは社会労働委員会においてこの問題をさらに労働省なり、あるいは参考人として雇用促進事業団の責任者の方においでをいただき、さらに詳細質疑を取りかわすことを申し上げておきたいと思います。
 昨年、雇用促進事業団の本部の一課長が、中小企業従業員寮の建設資金融資の際、収賄行為があったとして神奈川県警に逮捕され、起訴されました。また一方では、本部の某係長が警視庁に呼ばれて、業者からの収賄をしたことを認め、事業団のもみ消しでこの問題は一応表面化しておらない、こういう話を聞いておりますが、労働省はこの事情を知っておられますか。
#4
○住政府委員 昨年の十月、事業団の雇用促進融資の担当の当時の課長が、融資に関連いたしまして業者から金品を収受いたしまして起訴された、こういう事実は承知いたしております。
#5
○武部分科員 そういう事実があったということをお認めになっているわけでありますが、後段の件についてはお答えがございません。私が問題にいたすことは、事業団内部の綱紀に問題があるようであります。私は独自に事業団の業務のあらゆる点を調査をしておりますが、いろいろな点で首をかしげる点が非常に多いのであります。先ほど申し上げますように、きょうは非常に時間がないので、事業団の施設の中の雇用促進住宅団地の用地買収、この問題についてお聞きをいたしたいのであります。したがって、雇用促進住宅は住宅公団のように全国各地にできておりますが、現在全国で何カ所、何戸建っておりますか。
#6
○住政府委員 現在まで全国各地にできております戸数は四十五年の十一月末で、設置予定戸数を含め七万三千三百六十二一尺棟数にいたしまして千七百六十二棟、こういうことでございます。
#7
○武部分科員 その中に、番地は省略いたしますが、横須賀公郷町の公郷宿舎、相模原市の下九沢宿舎、横浜市の善部宿舎、昭島市の郷地宿舎、こういうものが入っておりますか。
#8
○住政府委員 私どもの調査では、そういうのは入っておると思っております。
#9
○武部分科員 それならば、まず横須賀市の公郷の宿舎から聞きますが、この宿舎の用地面積、買収価格の総額、坪の単価、買収の月日、売り主、これはわかりますか。
#10
○住政府委員 横須賀の公郷宿舎につきましては、買収年月日は昭和四十年の九月二十二日、それから買収面積は三千五百五十七坪、それから買収価格が坪当たり一万八千円、それで契約の相手方が関東物産株式会社、こういうように承知いたしております。
#11
○武部分科員 四十年の九月二十二日にこれは買っておるということになっておりますか。間違ありませんか。
#12
○住政府委員 私どもそういうように承知いたしておるのでございますが、事実かどうか確認はいたしてないのでございます。
#13
○武部分科員 まずこの購入年月日に私の調査と相違があります。面積も若干相違があります。坪の単価はほぼ合っております。売り主は関東物産、間違いありませんか。
#14
○住政府委員 そのように聞いております。
#15
○武部分科員 ここに登記謄本が三通あります。いずれもこの用地の買収にかかわるところの謄本であります。これによりますと公郷の土地は面積が三千二百七十七坪、若干あなたのいまの答弁と違うようであります。用地の大部分をこの三千二百七十七坪が占めておると私どもは承知をいたしております。これを事業団は関東物産という会社から四十一年三月二十八日に買っておるのであります。そうして三十日に登記をしておる。あなたのお話と違います。関東物産がこの土地を入手したのは、その事業団の買うわずか八カ月前であります。四十年七月八日であります。そこでもとの持ち主の橋本政刀という人からいろいろ聞いてみますと、約七千坪を坪当たり約六千円、総額四千二百万円で売ったというのであります。事業団だけではないかもしれません。しかも宅地になるように八割方造成してやったのでだいぶ損をした、こういうことを言っておるようであります。つまり事業団は八カ月そこらで坪六千円の土地を、いまあなたの答弁にございましたように、坪一万八千二百円、実に三倍以上の値段で買ったことになっております。そうしてこの土地は現在でも地目は雑種地であります。当時の評価は坪六千円が最高であります。こういう買い方を監督官庁としての労働省としてはどういうふうに思いますか。変だと思いませんか。
#16
○住政府委員 私ども一々の個々の住宅予定地の買収についてなかなかチェックできがたい事情にあるのでございますが、実は特に大都市周辺地域におきましては、最近土地の入手が困難になっておりまして、しかもそういうところにこそ雇用促進住宅が必要だという必要度が高いにかかわらず入手が困難になっている、こういう状況にもあるわけでございまして、土地の選定、買収は非常に困難を伴っておる、こういうような事情は一般的に承知しておるのでございますが、個々のこういうケースにつきまして、私が先ほど申し上げましたようなところと、先生の御指摘になられました点とは相当開きがある、いろいろ事情もあるように承ったのでございますが、実はそういうところまで必ずしも詳細に承知いたしてないような状況でございます。
#17
○武部分科員 わずか八カ月で三倍になって事業団がこれを買っておるということは、私はたいへん問題だと思います。
 さらに、時間の関係で急ぎますが、この別の謄本を見ますと、地番はもう申し上げません。所有権の登記、そういうところを全部調べてみたわけでありますが、坪数にしてはまことにささいなことであります。合計二百六十一・二五平米であります。しかし、問題は、このわずかな数字が、ここだけあるということではないのであります。なぜ私がこれを指摘するかというと、これは先行売買であります。この別の謄本を見ますと、この関東物産というのが四十一年三月十四日に取得をし事業団は四十一年三月三十日、先ほど申し上げたとおり、取得となっておりますが、登記確認のところを見ますと、事業団は、四十年九月二十二日に関東物産から買っておる。関東物産が、それより半年あとの四十一年三月十四日に前の所有者から買ったことになっておるのであります。つまり、事業団がこの土地を関東物産から買ったときに、その時点で関東物産はその土地を持っていなかった。つまり、物件がないにかかわらず事業団は関東物産と売買契約をしておるのであります。これはまことに奇怪なことであります。一つではありません。二つこの中にございます。しかも、私がいま言うように、これは登記のミスであろうかと思って調べてみたら、同じようなことが二カ所ある。この二つの、もう一件はちょっと内容が違いますが、一つは、いま私が申し上げたとおり。いま一つは、これも先行売買でありますが、実は二年もおくれておるのであります。売っておりながら、その土地を建設省から交換財産として取得したのは、売ってしまった二年あとに取得をしておるというのがここに書いてある。これはまことに奇怪であります。きわめてわずかな坪数でありますけれども、私がこれを指摘したのは、実はもっと大きいのが地方にあるのです。きょうはそれを申し上げません。もっと大きい先行売買が行なわれておるという事実を私はつかんでおる。こういうばかげたことが一体どうして起こるのか、少なくとも政府関係機関がこういう先行売買をやっていいかどうか、私はたいへん疑問に思います。あなたはどうお考えでしょうか。
#18
○住政府委員 どういう事情でそういうことが行なわれたか、よく実情を調査してみないと判断はできかねると思いますが、もし御指摘のようなことであれば、非常に問題の事態であると考えております。
#19
○武部分科員 どうもきょうの問答は、一方通行でありまして、あなたのほうは、直接の監督官庁だけれども、現実に事業団でないわけですから、あまりよく承知しておられないようであります。そこで、非常に時間がございませんので、それでは要点だけ全部申し上げます。そうして、ちょっと知りたいところだけ答弁いただきたいと思います。そのほうが時間的によろしいと思います。
 いま私が申し上げたような、八カ月間に三倍になるというような、中間でばく大なさやかせぎを許したり、あるいはでたらめな売買契約ができたということは、少なくとも事業団の幹部とこの関東物産という会社がなれ合いだ、私はこういうふうに指摘をいたしたい。その理由は、まず第一に関東物産というのは、事業団に職業訓練用の工作機械を納入しておる出入り業者であります。その社長の安田岩雄さんという人は、当時の事業団の副理事長、前の労働省の職安局長であります江下孝という人、及び、私が指摘をしたいのは、事業団の陰の実力者といわれる某国会議員と特に親しい。どういう点が親しいか、この三人は何回も至るところで懇談をしておるのであります。そういう事実をつかんでおります。関東物産というのは不動産業者ではないのであります。それかなぜ横須賀あたりの土地に何千万も投資する必要があるのか、私はたいへん疑問に思います。当時、事業団内部でこの件が問題にされて、いろいろと論議があったという形跡があります。その証人も私は何人も承知をいたしております。はっきり言うならば、関東物産を身がわり会社として、事業団の幹部や政治家が担当職員を巻き込んで、事業団の資金と計画を、私腹を肥やすために利用した疑いが強いのであります。これはまことにゆゆしい問題でありまして、事実がはっきりすれば、これは告発すべき問題と私は思っておるのでございます労働省は徹底的にすみやかに調査をしてもらいたい。これが一点です。
 次に、先ほどあげました宿舎、善部宿舎、下九沢宿舎、郷地宿舎、この用地の面積、買収価格総額、坪単価、買収月日、売り主、これをちょっとお聞かせいただきたい。
#20
○住政府委員 まず神奈川県横浜市旭区善部町の宿舎でございますが、買収年月日は四十年一月二十七日、買収面積は四千九百四十八坪、買収単価は坪当たり一万九千円、それから相模原の下九沢宿舎について申し上げますと、買収年月日が三十九年七月七日、買収面積が五千十二坪、買収単価が坪当たり一万五千円、それから昭島の郷地宿舎でございますが、買収年月日は四十年十月二十六日、買収面積は六千三十二・四二坪、買収単価は二万八千三百円、こういうように承知いたしております。
#21
○武部分科員 会社はどこですか、売り主……。
#22
○住政府委員 売り主は、郷地、下九沢、善部宿舎、それぞれ日本ライク株式会社となっております。
#23
○武部分科員 私はここでふしぎなことを申し上げるわけであります。いまあなたが、買収の月日を四十年一月二十七日とおっしゃったが、これは一月十七日の間違いじゃないか思うのですが、どうですか。
#24
○住政府委員 どこでございますか。
#25
○武部分科員 善部です。
#26
○住政府委員 善部は、私ども調べましたところでは、四十年一月二十七日になっております。
#27
○武部分科員 私と十日違うようでありますが、この土地会社が所有者から買ったのは四十年一月十三日であります。この日本ライクが一月十三日に買って一月十七日に事業団に転売をいたしております。
 それから下九沢は、三十九年七月七日に取得をいたしました。これはあなたのおっしゃったとおり。そうして同じ日に事業団に転売をいたしております。坪当たりの単価が、この会社が土地の所有者、地主から買った値段は一万三千五百円の単価であります。あなたはいま一万九千円とおっしゃった。わずか四日間で坪約五千五百円の差が出ております。
 それから下九沢は、いま一万五千円の坪単価で事業団は買ったとおっしゃっておるが、この所有者は、買ったその日に事業団に転売をいたしております。一万二千円で買っておるのであります。それを同日付で一万五千円で事業団に売っておる。こんなばかげたことが実際あっていいでしょうか。私はこれはたいへんふしぎに思うのです。こういうばかげたこと、これは一つ、二つの例を言っているのですが、まだまだたくさんあるんですよ。ここはきょうはこれだけにしておきましょう。この三カ所の用地の登記謄本もここにございます。いま私が申し上げた用地の登記謄本の一部がここにあるのですが、これを見ますと、事業団への売り主はいずれも日本ライクという会社でありますあなたのおっしゃったとおり。日本ライクという会社が前の持ち主から買って事業団に転売する期間がきわめて短い。これはいま言ったとおり、もう極端なのはその日であります。その日にたとえば西武鉄道から日本ライクが買って、そうして日本ライクからその日に事業団にいっておる。いま言ったとおりですね。もうこれ以上のことは一言いません。まだまだ二つ三つあります。そういうことは一体どういう経緯でなるだろうか、こう考えると、このようなあざやかな転売というのは事業団幹部とのなれ合いか、あるいはその指示がなければこういうことはできないと思うのですよ。私はそういう疑問を持つのです。したがって、日本ライクという会社は何なんだろうかということを調べてみますと、これはたいへん小さな、資本金百万円の会社であります。事業団が発足いたしました三十六年七月一日、その直後の三十六年十月九日にこの会社ができておる。このたった百万円の資本金を持った小さな会社が、たとえ一時的にせよ、何千万円という金を投資できる会社だとあなたはお考えになるでしょうか。これは常識からいってもそうではない、そういうふうに思われます。また、その会社の内容は、当時の取締役員七名おりますが、その人たちに当たって調べてみましたら、そんな会社じゃないのです。同時にこの会社の社長、代表取締役というのは一柳雅和という人であります。これは無登録の不動産ブローカーであります。たいへん本人には失礼でありますが、当時は生活にたいへん困っておられて、そういうような資金的余裕はなかったということを当時の関係者が口をそろえて言っておる。現在この会社は名前だけは残っておりますが、当の一柳という人は鎌倉に住民登録を残したまま三年前から行くえ不明であります。当時のいろいろな役員の人や近親者の話では、この一柳という人は、当時事業団の副理事長であった江下さん、これと旧知の間柄、友人であった。したがって、事業団出入りの会社をつくって工作機械の納入をしていたようであります。したがいまして、どう考えてみても日本ライクという会社は最初からトンネル会社、そういうものを頭から想定をしてできたものであるというふうに考えなければならぬのであります。この会社が工作機械の納入や用地の転売で、先ほど申し上げたような、その日に買った土地をその日に売って、坪で五千円ももうけておる、そういうような転売で得た利益というものが一体だれのふところに入っておるだろうか、私はたいへん疑問を持つのであります。
 労働大臣いらっしゃいますが、いま私が申し上げたようなことをお聞きになっておられて疑問をお持ちにならぬでしょうか、ちょっとお尋ねいたします。
#28
○野原国務大臣 先ほど来伺っておりますが、まことにふしぎなことに考えております。あり得べからざることが現実にあったとすれば、何かおかしなことである、私どもの常識をもってすればとうてい想像できないわけでございますが、それが労働省関係機関である事業団の用地取得という問題にからむ以上は、これは十分調査をして、この問題についての解明をしてみたいというふうに考えます。
#29
○武部分科員 私は時間の関係で以上四件についてのみお尋ねをいたしたわけでありますが、実はほかに数十件も首をかしげるような事実がございます。場合によりましては、設立以来の事業団の経理の特別監査を必要とするのではないだろうか、このようにも考えます。監督省として大臣または会計検査院の責任は私はたいへん大事だと思います。私も独自に調査をこれからも進めますが、最後に次の資料を要求いたしますので、ぜひ御提出をいただきたいと思います。たいへんだくさんありますが、ぜひ御協力いただきたいと思います。
 雇用促進事業団のすべての施設用地の取得状況一覧表、これは施設名、所在地番、地積、取得原因、取得月日、取得価格、取得時の地目、取得契約相手方住所、氏名。
 二番目、各施設用地に関する登記謄本全部。
 三番目、各施設建物の大要、建築請負人住所、氏名、工期、請負金額、請負人決定の経緯等の明細。
 四番、各施設建物登記謄本。
 五番、本日質問しました四つの宿舎用地にかかる売買契約書及び付属資料一切の写し。
 六番目、事業団発足以来の職業訓練用機材、これは工作機械等の購入明細、月日、品名、数量、金額、購入先住所、氏名、購入先決定方法、これをお願いします。
 七番目、雇用促進住宅の利用状況、入居基準、入居手続、家賃算定方法、管理人の身分、給与、員数、業務。
 八、財団法人雇用振興会、中高年令者福祉協会の概要、これは沿革、役員、従業員数、主たる業務、それから事業団との関係、これは委託契約関係にあるときは当該契約書の写しを出していただきたい。最近二期の業務報告書の写し。
 九番、関東物産、関東地産、日本ライクの三十六年度以降法人所得申告額。
 十番、事業団に対する会計検査院の検査状況。
 十一番、雇用促進のため行なった融資のうち、不良債権となったものの一覧明細、これは貸し付け先住所、氏名、業種、貸し付け月日、貸し付け額、未回収債権高、債権保全措置、回収見通し。
 たいへん資料が多いわけでありますが、以上十一点について、これは詳細にわたりますので、あるいは時間がかかるかもしれませんが、われわれのほうでさえ謄本で取っているのですから、取れないわけはないのであります。
 以上申し上げましたような、たいへん多くの疑問を持っておりますので、したがって、この疑問を解明するために――なければまことにけっこうなことでありますから、その疑問が解明できるようにぜひ資料の提出をお願いをいたしたい、こう思います。
 最後に、主査に、ぜひこの問題は主査報告の中に触れていただきたい、この点だけを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
#30
○森田主査 松本善明君。
#31
○松本(善)分科員 労働大臣にお伺いしたいのでありますが、私は職場の労働者と接する機会が非常に多いわけでありますが、その中で、いろいろ労働者の権利が侵害をされ、裁判や労働委員会に持ち出しましても、非常に長くかかったり、いろいろその点についての中身を話されたことがございます。一体労働省は労働者の権利をほんとうに守ってくれるのかどうかということを素朴に聞かれることもございます。そういうことで、きょうは労働大臣のお考えも含めまして、労働省が労働者の権利の擁護のためにどういう態度でおられるかということについて伺いたいというふうに思っておるわけであります。
 労働省設置法によれば、言うまでもなく、労働条件の向上、労働者の保護ということが労働省の職務の中に入っておりますけれども、労働法に基づく権利その他労働者の市民的な権利の保護について、労働大臣はどういうふうな姿勢で臨もうと思っておられるか、まず最初に伺っておきたいと思います。
#32
○野原国務大臣 労働省は常に労働者の立場を尊重する、守る、そういう使命があるわけであります。そこで労働基準法であるとか労働組合法で定められております労働者の権利につきましては当然これは守っていくということ、それで労働者の権利の確保に当たる機関といたしましては、労働基準監督機関あるいは労働委員会等がございますが、これらの機関によって権利の確保がはかられるようになっておりますが、労働省としましては、このほかに一般的な教育指導等も行なっておりまして、常に労働者の権利は十分に尊重し、これを守るというのが労働省のたてまえでございます。
#33
○松本(善)分科員 地方労働委員会に不当労働行為の場合に申し立てをするわけでありますが、この地方労働委員会に対する訴えが簡単にどういう労働者もできるようになることが非常に望ましいと思います。私どもはその訴えや主張を文書にするということになると、弁護士に頼んだりなにかしなければならない。それで、その点を口頭でやれるようにするとか、それから仕事を休まないと出頭できないということになると、なかなか実際問題として権利の保護にならないというような問題がありますので、あるいは口頭でやれるようにする、あるいは仕事を休まなくても出頭できるような時間に審理を開かれるようにする、そういうふうに改善をされたいと思っているわけでありますが、この点についての労働大臣の御意向を伺いたいと思います。
#34
○石黒政府委員 労働委員会に対する労働者の申し立てでございますが、これはもちろん文書でやるのが原則でございますが、労働委員会規則によりまして口頭でもできるということになっており、口頭で申し立てをしたのを事務局員が録取いたしまして、それに記名捺印をしてもらうということだけでできます。ただ、電話になりますと、ちょっと本人の確認とか、本人の意向の確認とかいう点で難点がございますので、電話の申し立ては認めておりませんが、口頭の申し立ては認めるように規則になっております。
#35
○松本(善)分科員 私の言うのは、実際にはなかなかそういうふうにいっていないのです。そういう方向にいくための実際上の改善をするかということと、それから仕事を休まなくてもいいような時間に審理が開かれるように、そういうような方向で行政指導の改善をされるか、こういうことでございます。
#36
○石黒政府委員 御承知のごとく労働委員会は、これは労働省の一般的な指揮監督のワク外に立っておる独立機関でございまして、私のほうでその業務の運営についてかれこれ指導をするということはたいへんむずかしゅうございます。
 ただ、いろいろ意見交換の機会はございますのでできるだけ申し立て労働者の便宜をはからうようにしてもらいたいという希望があるのだというようなことは、しかるべく当方でお伝えすることはできるかと思います。
#37
○松本(善)分科員 それから労働委員会に申し立てをしたり、証拠を出したり、発言をしたりした場合に、これに差別を加えるということは禁止をされております。これは不当労働行為になるということについては言うまでもありませんけれどもこの労働委員会へ出すだけでなく、裁判所に地位保全の仮処分を出す、労働者の権利を守るための裁判をやるという場合に、それを妨害をする、支援を妨害する、それからその裁判をするのに圧迫を加えるというようなことが職場で行なわれる。これはこういうことをお聞きするのは、お聞きするのさえたいへん残念な事態でございますけれども、当然のことでありますが、こういう労働者が裁判を起こし、それを支援をするというようなことは自由であるというふうに労働大臣はお考えになっておりますかどうか。
#38
○野原国務大臣 御指摘の点は当然の権利であると考えておりますので、そういうことに対して制限を加えたりなにかということは考えておりません。
#39
○松本(善)分科員 日立製作所の武蔵工場というのがあります。これは小平市にあるわけなんですが、ここで四十年から四十二年にかけまして四人の労働者が解雇されまして、不当な解雇であるということで地位保全の仮処分を申請いたしました一名を除いて、三名が地方裁判所で勝訴をして、高裁にさらに係属をしておりますが、そのうちの一名はまた高裁でも勝ったという、こういう状態になっております。この裁判内容そのものについては、これをここで聞こうというつもりはございませんけれども、この裁判を支援をするということで労働者がいろいろな活動をしたわけです。それに対していろいろな妨害が行なわれておりますたとえば工場前の道路でビラを配布したら、守衛が門前のくずかごにビラを捨てさせて、その配布をしている労働者に会社の消防隊と称するものがポンプで水をかける。あるいは、そういうことがされるものだから、工場から一キロ離れた国分寺の駅でこれを配布をしていますと、乱闘用の服装をした警備員がビラを配布している者の両側についたり、ビラを受け取った者に対して、ビラを強奪するというようなことをやっているというようなこともやられているわけであります。ここにその写真がございますが、労働大臣、ごらんいただきたいと思いますが、こういうようなぐあいで、ビラを配るのも、そういう乱闘服装の者が見ておってとるというようなことがやられている。これは聞くまでもないことでありますが、そういうことがなされるべきではないと思いますが、労働大臣の御意見を伺いたいと思います。
#40
○石黒政府委員 ビラ配り、その活動につきまして会社側その他の者がそれを妨害する、あるいはいやがらせをするという問題につきましては、事案の性格によりまして扱い方が非常に違うと思います。労働組合が組合の意思として、意思に基づいて行なう行為を妨害いたしましたような場合には、場合によって不当労働行為になるということがございます。それから行ないました行為が労働基準法なり、あるいは就業規則に違反であるというようなことになりますと、労働基準監督機関のほうの権限の問題である。それ以外の純粋に市民的な行為ということになりますと、現行法律上、労働法上どうこうという問題にはならない。あるいはしかし軽犯罪法その他の問題があるということになりますと、それはそちらのほうの司法機関の問題でありまして、いろいろケースによって異なると思うのでございますが、私どもといたしましては、一般的に労働者の人権が守られることにつきましては、非常に大きな関心を持っておるわけでございまして、それについてわれわれがどういうアクションをとり得るかということにつきましては、その実態によりましてそれぞれ異なる点があるかと存じます。
#41
○松本(善)分科員 こういうことですね。労働組合としてやれば不当労働行為になる。労働組合でなくても、労働組合としては取り上げなくても、その労働者が不当なことは反対だということでビラをまく、それを取り上げるとか、そういうようなことが、会社側にそういう権限があるわけではないと思うのです。その点だけはっきりさしておいていただければ、その点についての御意見を伺いたいと思います。
#42
○石黒政府委員 一般的に申しまして、組合活動であるといなとにかかわらず、労働者個人が所有しておりますビラにつきまして、著しく虚偽のなんとかかんとかというようなことでなくて、一般的な問題として、ビラを持っているのをかってに取り上げる権限は他人にはないと思います。
#43
○松本(善)分科員 内容によっては取り上げることができますか、実力で……。
#44
○石黒政府委員 これは松本先生のほうが御専門のことでございまして、私ども市民法につきましてはあまり詳しくございません。ただ、たとえば虚偽の内容の文書を配布しようとしているのに対して、その虚偽の宣伝の対象となったものがそれを制止するということは、一応の範囲では許されるものかと思います。
#45
○松本(善)分科員 多少ひっかかるのですけれども、虚偽かどうかということを、それでは一々調べることができるということになりますか。ビラを配っている労働者に対して……。
#46
○石黒政府委員 その辺が非常にむずかしいわけでございまして、明らかに虚偽であるということがわかっている場合に、制止してもいけないということはないと思うのでございます。それじゃ、配っているビラを一々だれかが検閲して虚偽かどうかを判定するということが許されるかというとこれまたむずかしい問題があるかと存ずるわけです。いずれにいたしましても、そういう場合に自力救済の範囲というものはかなり限定されているものと考えております。
#47
○松本(善)分科員 そうすると、ビラの配布自身は、名誉棄損罪とかそういうような犯罪行為に当たる場合の自力救済の問題以外では、そういうものを取り上げる権限はもちろん会社側にはないということを言われたわけですか。
#48
○石黒政府委員 一応そういうことでございますが、同時に、そのビラの内容が自分の主観的判断によって非常に事実と違うじゃないかというときに、そんなビラを配ってもらっちゃ困るという権利もまた相手方にあるという点もあると思います
#49
○松本(善)分科員 それは口頭で普通に、これはどうかと言う程度で、実力で取り上げるとか、そういうようなことをやったのでは、これは大騒ぎになると思います。そういうことをいいと労働省が言うことになると、これまたたいへんなことになりますが、そういうことを言っているのですか
#50
○石黒政府委員 先ほど来申し上げておりますように、市民法上の法律関係につきましては、私ども専門的でございませんので、非常に正確なことは申し上げかねますが、先ほど申し上げましたように、自力救済の許される範囲というものは、非常に限定されているものであろうかと思います。
#51
○松本(善)分科員 私は、市民的な部分についても労働者の権利があるわけですが、そういう問題についても、労働省としての行政指導が行なわれるあるいは労働省の考えが確固として示されるということが、労働者の権利の保護のために、非常に重要なことであろうというふうに思うわけであります。もし会社側の立場を一いまでは労働省は労働者の権利をほんとうに守るところなのかということについて労働者に聞いた場合に、労働省によって守ってもらったということを言う人は非常に少ないのです。そこがきょう、私は、労働行政はそれでいいのかという点で労働大臣にお聞きしょうと思っている点であります。ビラをまくということについてすら、いまのお話ではまるでそのことについては実力で取り上げてもいいかのごとき発言がされる、そういうようなことでは私は非常にぐあいが悪いんじゃないか、こういう観点で労働大臣にお聞きをしておるわけでございます。
 労働大臣にさらにもう一つお聞きしたいと思うのでありますが、裁判を傍聴に行った労働者が、翌日この会社の勤労課に呼び出されまして、こういうことを言われておる。会社は君が職場での共産党の指導者であることを知っている。この日立というところは共産党がいう独占資本なんだ、君たちの敵だ。したがって、君たちの行為は企業のスパイ行為に当たる。共産党が裏切り分子を除名すると同様に、会社は君のような共産主義者を断固として排除する予定であるから、そのつもりでおれ。こういうふうに勤労課から脅迫をされたわけであります。私は、かって法務委員会で、田中伊三次さんが法務大臣のときに、この種の問題を取り上げてお聞きしました。田中さんはこういうふうに答えられました。「思想、良心、言論、集会、結社、出版その他の憲法で規定しております自由というものは、憲法の真精神にのっとって、政治をいたします者は特に最善を尽くして国民の人権を守っていかなければならない、」ということを言われております。
 それからこれは赤旗の配布について伺ったのですが、「言論、出版、全く自由の国であり、そういう憲法下でございますから、「アカハタ」を配ったから、何々新聞を配ったから、それによって身上に影響するような処置を受けるということはあるべきことではない、こう考えます。」ということも答えられた。
 それから共産党員ということで解雇された事件について聞いたことについては、「あらゆる思想をもつことの自由、それは当然なことです。かつて自分が抱いたことのある思想、現に抱いておる思想、将来考えようとしておる思想、そういう思想を他人に知られないように、自分みずからの心中に深く蔵してこれを伏せておくということの自由も思想の自由には含まれておるわけでありますいかなる思想を信ずるかは自由であって、その思想を人に言わなければならない義務はない。言わざる自由があるのだ、これは信教の自由というものにも通ずる内容のものでございます。そういう点から申しますと、かりに就職の際に共産党に加入をしておった、あるいは無政府主義者であったそういう論文を書いたことがあるというようなことをすべて伏せたといたしましても、その会社が採用する目的は労働の価値を認めて採用をしたのでありますから、その人物の労働価値の認定を左右するような重要な要素にならない限りは、それによって首を切るとか、左遷をするとかなんとかいうようなことはすべて許すべきものでない。かりにそれを許すならば、そのこと自体が憲法違反となるわけであります。そういうことは許すべきものでない、こう考えるので、ひとつそういう内容にしっかり立ちまして、この人権擁護というものをやっていきたい、こう考えております。」ということを法務委員会で答えられたわけです。このこと自身が行政の姿勢を示されるということで、私は赤旗の配布の問題と共産党員の解雇ということでお聞きしたわけであります。
 こういうようなことをあらためてもう一回お聞きすることは、日本の憲法のもとで非常に残念なことであると私は思うのですけれども、現にいま申しましたように、いや共産党員なんだ、おまえのようなのは断固排除するんだということを言われて、脅迫されているという事件が職場で起こっているわけです。これは小さいことのようでありますけれども、そういうようなことは私どもはどうしてもなくしていかなければならない。そういうことが背景にあって、いま私が申しましたようなビラの配布を妨害するとかあるいは裁判の傍聴に行っただけで妨害するということが起こっておると思います。その点で労働大臣の基本的な姿勢として、共産党員であるとかあるいは共産主義者であるということによって差別をするあるいは解雇をする、赤旗の配布をしていたら差別をする、そういうことが許されるかどうかということについて、労働大臣の基本的な考え方を、念のためでございますが、伺っておきたいというふうに思います。
#52
○野原国務大臣 共産党員であるとか共産主義を信じておるということだけで解雇されるようなことがあってはならないし、またそのためにいろいろな制約を受けるということもあり得ないと存じます。そういうことはすべて自由であろうと思います。ただ、それが仕事と結びついて会社の好ましくないような活動を実際に行なう、それがまた企業にとって非常な問題を起こす原因になるというふうなことについては、会社側がときにそういう問題で注意することがあろうと思いますが、少なくも共産党員であるから、あるいはまたその思想を持っておるからといって、不当な弾圧を受けるようなことがあってはならないというふうに考えます。
#53
○松本(善)分科員 まあ当然のことでございますが、念のためにもう一度お聞きしておきます。
 赤旗の配布をしたということで差別を受けるというようなこともあってはならないと思いますがいかがでございましょうか。
#54
○石黒政府委員 赤旗その他の文書の配布を職場内で時間中に行なうということにつきましては、もちろん就業規律上の問題でございます。しかし、それ以外の自由なる時間に自由なる場所において配布するということは、これは市民的自由に属するもので、干渉されるべき筋合いではないと思います。
#55
○松本(善)分科員 いま私が申しました日立武蔵の例では、この労働者は始末書の提出を強要されておるわけです。その理由はどういうことかと言いますと、会社が解雇をした人の裁判の傍聴に行ったことを理由にしていますから、会社の秩序違反をした解雇者に味方をして、裁判を傍聴するということは、会社の秩序を乱すことになる、こういう理由で始末書の提出を強要された。これは会社側とすれば、解雇について一つの主張を持っておると思います。労働者側とすれば、これは不当であるということで裁判をやっておる。その裁判をやっておることについて傍聴に行っただけで、これは会社の秩序を乱すものだ、こういう形で始末書の提出が強要される。こうなりますと、労働者は自分の権利が侵害をされたということで訴えることもできない。それは確かに自分たち全体の問題だといって裁判の傍聴に行く、裁判所ではどういうふうに審理するのだろうかということで傍聴に行くことさえ許されない。こういう事態になりますと、これは裁判を受ける権利の問題にも関係をするようなきわめて重大な問題だろうと思うのです。こういうことが許されるとお考えになっているかどうか。これもまあ念のためでございますが、お聞きしておきたいというふうに思います。
#56
○岡部(實)政府委員 ただいまお話しの裁判の傍聴に行ったことというのは、それはたとえば就業時間内に行くとかいう場合には、所定の手続等があると思いますので、そういう手続を踏んで正式に出かけていくというようなことについては、直接労働法上いろんな問題は出てまいりませんと思っております。
#57
○松本(善)分科員 もちろん職場の就業規則違反とかなんとかいうことで別個に始末書とかなんとかいうことであるなら、これはまた別の問題だろうと思う。それはそうではなくて、その解雇者に味方をして裁判を傍聴したんだ。それは会社の秩序を乱すんだ、これが理由なんですよ。そういうことが許されるかということなんです。
#58
○岡部(實)政府委員 いま申しました労働法のたてまえから申しますと、労働法上問題がなければそれを単なる理由として特別な差別取り扱いをするということはあり得ないことだ、許されないことだと思っております。
#59
○松本(善)分科員 まあ、そうでしょうね。労働省の皆さん、えらいたいへん慎重なお答えをされますけれども、これは普通であれば考えられないような、想像できないような――ここで持ち出すまでもないようなあたりまえのことがやられてないわけなんです。だから、まさかそんなことがあろうかというふうな疑問をお持ちになる方さえあると思います。ところが、実際には職場の中で、表に出ないことでそういうことがあるんですね。私は日立武蔵のことを聞くということを前から申し上げておいたけれども、おそらくそういうことは労働省が調査をされても出てこなかったろうと思います。そういう事態が表に出ないところで、労働者の権利の侵害というものがたくさんあるんだということを労働大臣も知っていただき、あるいは労働省の皆さんも知っていただいて、そして事を処していただかないと困るということを、私はきょう申し上げているつもりであります。
 もう一つ申し上げますが、この中で地裁で裁判に勝って、そして高裁でも勝ったという人がいます。田中秀幸という人が一月のごく最近、裁判でずっと勝ったわけです。一月二十二日です。この裁判で勝ちまして、勝ちましたから当然に未払い賃金を受け取るということになりました。この未払い賃金を全部会社に受け取りに行ったわけです受け取りに行ったら、そのときについて行った人を会社の警備員が袋だたきにする、そういう事件がごく最近に起こっております。そういうようなことになりますと、裁判所で命令をしたことを実行させるというために行く、そうしたら今度は警備員がそういうことをやるということになりますと、これは労働者にとってはいわゆる合法的な権利の救済が、会社の中での私兵のような警備員によって実力で妨害されているということになるわけです。これは事態を厳重に調査をしていただきたいと私は思いますが、一般的にそういうことはこれもまた念のためでありますが、とうてい許さるべきでないと思いますけれども、その点についての労働大臣の御意見を伺いたいと思います。
#60
○野原国務大臣 お話を聞いてみまして、まことにどうもたいへんなことだと思っております。そういうことは許さるべきものでないというふうに考えます。
#61
○松本(善)分科員 私がきょう質問しました日立武蔵の問題につきましては、ビラの配布の問題それから始末書の提出の問題、それからいま申しました袋だたきにしたという事件、特に最後の事件はきわめて、場合によっては刑事事件になるというものでもあろうと思います。こういうふうなことについて労働省として厳重に調査をして、労働者の保護ということあるいは労働条件の向上というようなことがその職務となっておるところなのでありますから、これは私は何らかの――そういうことは許さないんだ、労働行政上も許さないんだ。もちろん裁判にしたりそれから告訴をしたりそういう道もあります。ありますが、それはそれでほっとけ、やったらいいじゃないかということでは、私は労働省の仕事としては済まぬのじゃないかと思うのです。そういう問題について、一体どういうふうに処していかれるかということについての労働大臣の決意と今後の御処置を伺っておきたいというふうに思うわけでございます。
#62
○石黒政府委員 袋だたきにしたというような事案は、これはもう理由のいかんを問わず、まことに間違ったことであると存じまして、私どもさらに調査いたしたいと思います。
 ただ、職場の中のやりとりにつきまして、どちらが正しい、どちらが悪いというようなことがしばしば問題があるわけでございますけれども、すべてのささいなやりとりにつきまして、ことごとく労働行政機関が目を光らせて、そして一々おまえのほうがいい、おまえのほうが悪いということをやりますと、これはまた逆に一種の警察国家になるというおそれもございまして、明白に違法の行為につきましては、私どもそれぞれ法に照らしまして警告をするなり処分をするなりということをいたしますが、こういう民主的法治国家のもとにおきまして行政機関が介入できるということもおのずから限度があるということを御承知おきいただきたいと思います。
#63
○松本(善)分科員 いまのようなことが判明をいたしました場合には、どういうような処置がなされましょうか。
#64
○石黒政府委員 袋だたき事件というのは、これは暴力行為でございますので、警察あるいは検察の問題になろうかと思います。それが組合法違反あるいは基準法違反という疑いが出ました場合には、それぞれの労働法に照らしまして、適当な措置がなされることになると思います。
#65
○松本(善)分科員 私は労働大臣に政治家として伺いたいのでありますが、いまのお答えでありますと、それはしかるべく告訴をするものは告訴をして警察にまかせろ、それから労働法違反であれば、これは労働委員会なり裁判所に持っていけということになるのです、突き詰めていけば。そうすると、労働省は何にもしなくてもいいということになりかねないのです、いまのお話では。そこが労働行政の上では非常に問題がある。
 だから、私は労働省に率直に申しますけれども、労働省は労働者の権利を守るということをやるのかやらぬのかといったら、さてどうだろうかということを言う人がたくさんいますよ。労働省、そんなことをやるわけがない。それがむしろすなおな労働者の感覚になっております。一体これでいいのか。確かに法律的にだけいえば、いまのお話のようなことになります。しかし、私はそうではないと思う。やはりこういうことはやってはいかぬことだ、こんなことは国会でも問題になった、こういうことはないようにしてもらいたいということを企業の責任者たちに言うとか、あるいは行政指導をするとかいうようなことがなければ、これは行政ではないんじゃないか。いつでも裁判所や労働委員会だけにやるということでは、私は労働省としての役目はそれだけでは果たされないのではないかというふうに思うわけです。ここでの発言そのものも私は大事だと思います。ここで、労働省は何にも関与いたしません、それは裁判所のことでございます、警察のことでございますとうことだけだったら、一体使用者はどういう態度になるだろうか、そういうこともお考えいただかなければならぬと思うのです。
 そういうことも含めまして、労働大臣の今後の労働行政についての御決意のほどを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#66
○野原国務大臣 労働者の権利を守るというか、そういう立場においては、これはそういうことは労働基準法や労働組合法等ではっきりしているのでありますが、それが必ずしも守られていないという事実を聞きまして驚いたわけでございますが、労働省はそういう面につきましては、もっと啓蒙をし、もっと指導を行なう必要があるというふうに考えます。そういうような事態が今後起きないことが望ましいわけでございますから、このことにつきましては、あらゆる機会にはっきりと労働省は働く者の立場に立っていろいろ考えていくのだということを周知させたい、そういうつもりでやってまいりたいと思います。
#67
○松本(善)分科員 きょうの事件については、調査をするということもお話しになりましたので、その点はあとから調査の結果をお知らせいただきたいというふうに思います。
 これで質問を終わります。
#68
○森田主査 これにて昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中労働省所管に関する質疑は一応終了いたしました。
 次回は、来たる二十二日、月曜日、午前十時より開会し、農林省所管について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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