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1947/11/13 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第25号
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1947/11/13 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 厚生委員会 第25号

#1
第001回国会 厚生委員会 第25号
  付託事件
○教員の恩給増額に関する請願(第六
 号)
○食肉統制價格撤廃に関する陳情(第
 二号)
○聖靈生命眞理療法保護法規の制定及
 び名誉恢復に関する陳情(第四号)
○兒童の福祉増進に関する法令制定の
 陳情(第七号)
○恩給法の改正に関する陳情(第十二
 号)
○都市官公廳職員の生活安定に関する
 陳情(第三十八号)
○戰死、戰災遺家族並びに傷病者の更
 生に関する陳情(第五十号)
○恩給法の改正に関する陳情(第六十
 四号)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに関する陳情(第六十六号)
○國民健康保險金に対する國庫補助金
 の増額等に関する陳情(第九十八
 号)
○青少年禁酒法案(小杉イ子君発議)
○恩給増額に関する請願(第三十九
 号)
○兒童福祉法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第五十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十一号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第七十三号)
○恩給法の改正に関する陳情(第百五
 十三号)
○國民健康保險組合の振作促進に関す
 る陳情(第百五十五号)
○國民健康保險制度の更生に関する請
 願(第八十二号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第八十七号)
○恩給増額に関する陳情(第百九十三
 号)
○最低生活の保証に関する陳情(第二
 百十八号)
○國際電氣通信株式会社等の社員で公
 務員となつた者の在職年の計算に関
 する恩給法の特例等に関する法律案
 (内閣送付)
○恩給増額に関する請願(第百十一
 号)
○戰死者遺族の更生対策に関する請願
 (第百十六号)
○生活協同組合法の制定に関する請願
 (第百四十三号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百四十六号)
○青少年禁酒法制定に関する請願(第
 百五十一号)
○住宅営團経営の住宅を國営とするこ
 とに関する請願(第百六十九号)
○東京帝國大学演習林拂下げに関する
 請願(第百七十二号)
○教員恩給増額に関する請願(第百七
 十八号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第百七十九号)
○生活協同組合法の制定に関する陳情
 (第二百七十五号)
○教員恩給増額に関する陳情(第二百
 九十八号)
○傷痍者更生援護に関する請願(第百
 九十九号)
○青少年禁酒法制定反対に関する請願
 (第二百一号)
○拂下げミシンに関する請願(第二百
 十号)
○結婚問題に関する請願(第二百二十
 号)
○恩給増額に関する請願(第二百二十
 三号)
○社会保險制度の一元化に関する陳情
 (第三百三号)
○教員恩給増額に関する陳情(第三百
 十二号)
○結核医療施設を市営に復元すること
 に関する陳情(第三百二十一号)
○教員恩給増額に関する陳情(第三百
 四十六号)
○生活保護法による生活保護費を全額
 國庫負担とすることに関する陳情
 (第三百五十五号)
○恩給増額に関する請願(第二百二十
 九号)
○教員恩給増額に関する請願(第二百
 四十二号)
○教員恩給増額に関する請願(第二百
 五十一号)
○恩給法の一部を改正する法律案(内
 閣送付)
○傷い者保護に関する請願(第二百八
 十五号)
○結核医療施設を市営に復元すること
 に関する陳情(第三百五十九号)
○教員勤務地手当増額等に関する陳情
 (第三百六十四号)
○炭鉱労務者福利厚生施設拡充に関す
 る陳情(第三百七十号)
○生活協同組合法案に関する陳情(第
 三百八十三号)
○結核医療施設を市営に復元すること
 に関する陳情(第三百九十四号)
○生活協同組合法制定反対に関する陳
 情(第三百九十五号)
○優生保護法案(衆議院送付)
○乳肉衞生行政を農林省に一元化する
 ことに関する請願(第二百九十九
 号)
○産兒制限に関する陳情(第四百三
 号)
○教員恩給増額に関する請願(第三百
 四十二号)
○産兒調節に関する請願(第三百五十
 号)
○職業補導特別施設の整備強化に関す
 る請願(第三百六十一号)
○生活保護法の普及と同法の一部改正
 に関する請願(第三百六十三号)
○教員恩給増額に関する請願(第三百
 八十二号)
○丸山トンネル爆発による被害者救助
 に関する陳情(第四百四十三号)
○國民健康保險組合制度を改革するこ
 とに関する陳情(第四百四十六号)
○國立療養所高山莊の完備並びに運営
 に関する陳情(第四百六十六号)
○生活協同組合法制定反対に関する陳
 情(第四百七十四号)
○恩給増額に関する請願(第三百九十
 六号)
○教員恩給増額に関する請願(第三百
 九十七号)
○教員恩給増額に関する請願(第四百
 九号)
○恩給増額に関する請願(第四百十七
 号)
○教員恩給増額に関する請願(第四百
 十八号)
○赤十字の標章及び名称等の使用の制
 限に関する法律案(内閣送付)
○生活協同組合法制定反対に関する陳
 情(第五百十二号)
○星塚敬愛園入園患者生活擁護に関す
 る陳情(第五百十八号)
○鍼灸医法制定に関する請願(第四百
 三十三号)
○遊休公共建造物の即時開放等に関す
 る請願(第四百三十八号)
○國立遺傳学研究所設立に関する請願
 (第四百四十三号)
○恩給増額に関する請願(第四百四十
 七号)
○治療師の開業試驗等に関する陳情
 (第五百三十一号)
○恩給増額に関する請願(第四百五十
 一号)
○盲人の鍼灸術を存続することに関す
 る請願(第四百七十号)
○住宅建設に関する陳情(第五百四十
 七号)
○生活協同組合法制定反対に関する陳
 情(第五百五十五号)
○同和事業達成五箇年計画実施に関す
 る陳情(第五百五十八号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月十三日(木曜日)
   午前十時四十七分開会
  ―――――――――――――
○兒童福祉法案
○小委員長報告
○結婚問題に関する請願(第二百二十
 号)
○結核医療施設を市営に復元すること
 に関する陳情(第三百二十一号)
○聖霊生命眞理療法保護法規の制定及
 び名誉恢復に関する陳情(第四号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(塚本重藏君) これより開会いたします。先ず最初に厚生常任委員会に付託になつておりまする請願並びに陳情の中、それぞれ適当なものを小委員会にその審査を付託したいと考えます。医療制度調査に関する小委員会に、請願文書表第二百九十九号乳肉衞生行政を農林省に一元化することに関する請願、請願文書表第四百三十三号鍼灸医法制定に関する請願、請願文書表第四百四十三号、國立遺傳学研究所設立に関する請願、請願文書表第四百七十号、盲人の鍼灸術を存続することに関する請願、陳情文書表、第三百五十九号、結核医療施設を市営に復元することに関する陳情、陳第三百九十四号、結核医療施設を市営に復元することに関する陳情、陳第四百四十六号、國民健康保險組合制度を改革することに関する陳情、陳第四百六十六号、國立療養所高山莊の完備並びに運営に関する陳情、陳第五百十八号、星塚敬愛園入院患者生活擁護に関する陳情、陳第五百三十一号、治療師の開業試驗等に関する陳情、以上医療制度調査に関する小委員会に付託いたします。御異議ありませんか。
#3
○委員長(塚本重藏君) 次に、請願文書表第二百八十五号、傷い者保護に関する請願、請願文書表第三百六十一号、職業補導特別施設の整備強化に関する請願、請願文書表第三百六十三号、生活保護法の普及と同法の一部改正に関する請願、陳情第四百四十三号、丸山トンネル爆発による被害者救助に関する陳情、以上を社会事業振興に関する小委員会に付託いたしたいと思います。御異議ありませんか。
#4
○委員長(塚本重藏君) 次に、請願第四百三十八号、遊休公共建造物の即時開放等に関する請願、陳情第五百四十七号、住宅建設に関する陳情、以上二件を住宅問題に関する小委員会に付託したいと思います。御異議ありませんか。
#5
○委員長(塚本重藏君) 以上いずれも審議をそれぞれ御付託いたします。
 それではこれより兒童福祉法案の討論に入りたいと思います。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。この機会に、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
#6
○國務大臣(一松定吉君) 外でもございませんが、この兒童の保護事業のことに関しまして、本委員会並びに小委員会におきまして、司法省の所管である兒童保護に関する仕事は、厚生省に移管すべきものではないかという熱心な御希望がおありになつたのであります。その際私からも大体の方針は申述べて置きましたが、今日は一つその態度を最も朗らかにして置きたいと思うのであります。それを皆樣の御討論に先立つて申上げて置くことが便宜だと思うのでありますが、このことに関しましては、厚生省と司法省の方と緊密な連絡を取りまして、適当の時期、成るたけ近き將來において、皆樣の御希望に副うように取計ろう、かような考えでありまして、殆んど、これが実現は十分達成しようと思いますから、そのことを御討論の前に御報告申上げて置きます。
#7
○山下義信君 私は緑風会を代表するという立場でもあり、又本委員会の一委員といたしまして、この兒童福祉法案の衆議院送付の修正案を含めまして、全部原案に賛成をいたします者でございます。賛成の意見を改めて申上げますことは、すべて省略をいたします。久しく本委員会におきまして熱心に討議をいたしました結果、我々の考えておりまする修正意見なるものも、衆議院側の修正意見の中に相当織込まれまして、我々の意見もその修正案の上に具現をいたしておりまするし、且つ又本法案の一日も早く成立をいたしまして、兒童福祉のために偉大なる貢献をいたしたいと考えますので、本案の原案並びに衆議院送付の修正案に対しまして、全面的に賛成いたす者でございます。殊に本法案の実施に伴いまして、予て、只今一松厚生大臣の御説明の中にありましたように、本委員会並びに小委員会におきまして、熱心に要望いたしておりましたところの兒童行政の一元化、強力拡充ということに関しましては、政府当局におかせられまして、我々委員の意のあるところを十分お酌み取り下さいまして、政府側におきましても、多大の御配慮と御努力に預かりまして、只今の大臣の御言明によりますれば、必らずや近く我々の希望に副いまするような御処置がお取り願えるということでございまして、これは実に兒童福祉に関しまする近來ないところの一大朗報であると存じまして、歓喜に堪えない次第でござります。そういう行政上の強い御計画が伴いましてこそ、本法案がいわゆる生きて参るのでございまして、私共委員といたしましては、この上もない喜びに堪えない次第でございまして、御当局の御厚情に対しまして非常に多といたし、感謝をいたす次第でございます。
 つきましは、別にこれは意見ではないのでございますが、この法案に賛成をいたしまする際に、当局に本法案の運営上お願いを申上げたいということが一つあるのでございます。これは本委員会の希望としてお聽き取り願つて差支えないと思うのでございます。この法案の可決に際しまして、附帶條件、或ひは希望決議というようなるところの意見も、同僚の間にだんだんと出たのでございますが、併しそういうことをいたさないで、この法案の成立の際に、行政運用上御当局にお願いをいたして置く方が適当ではないかという多数の諸君の御意見でございまして、只今申上げる次第でございます。
 それは本法案の第二節に規定してありまする兒童福祉委員会に関連いたしますることでございます。この兒童福祉委員会が本法案の中に占めまするその重要性につきましては、申すまでもございません。我々は、この委員会の運用効果に多大の期待を繋いでおる者でございまするが、その委員の構成に関しまして、官公吏が委員の中に加わつておることに法律が相成つております。もとより官公吏が委員に加わりますることの必要さも十分存じておる次第でござりまするが、中央におきましてはともかくもといたしまして、地方におきましての実情から申しまするというと、これら兒童福祉の施設に当りまする者、或いはそれらの関係者が、委員会に列席いたしました場合におきまして、地方廳あたりの吏員などと同席をいたしますると、勢い監督を受けまする立場上、民間側の者が十分なる意見を吐きかねるというような実情にもございまするので、且つ又地方廳の吏員でござりますれば、知事の諮問ということも、これは年中傍におりましてできるような訳合いでもございまするので、改めてこの兒童福祉法の中で、重要なる委員会の委員の席を余りに官公吏が多数占めますというようなことは、民主的な立場におきましても、いかがであろうかと存ぜられまするので、この福祉委員会の必要なる規定を命令でお定め相成りまする際に、中央におきましては委員が四十五名、地方におきましては委員が二十名と相成つております。これら委員の数の中におきまして、官公吏が占めまする委員の数は全体の四分の一を超えないように、命令の方で一つ御研究を願いたい。こういう希望でございます。即ち中央の委員の中におきましては凡そ十人以内ぐらい、地方におきましては五人以内くらいのお方が、官公吏の側から御出席相成りますることが適当ではあるまいか、かように考えております。且つ又委員長のごときも、成るべく民間人が委員長の任に当られまして、強力に盛り上る力を以ちまして、官の行政にも協力いたしまするような態勢が必要である。それらの希望を、命令御規定の際に是非お採入れを願いたい。從いましてこの法律の上で修正をいたしまするというようなことはすべて避けまして、当局の行政運用の面におきまして、さような趣旨に是非ともお採上げ願いたい。かような希望を有する者でございます。兒童委員の兒童行政一元化に関しまする当局の多大なる御配慮を謝し、前申上げまする兒童福祉委員会の構成に関しまする希望を申添えまして、私は原案、即ち衆議院送付の修正案に全面的に賛成いたします者でございます。
#8
○宮城タマヨ君 私も山下委員の今述べられましたように、本法案並びに衆議院の方から廻つて参りました修正を加えました全部に賛成をいたす者であります。それにつきまして一言附加えさして頂きたいと思うのでございますが、実際この兒童福祉法案は、地方なんかずつと歩いて見ますというと、世間的に非常にやかましく言われておりまする石炭の國管案なんかに比べまするというと、非常に地味ではございますけれども、廣く深く、そうして大きい問題として、非常に廣い範囲でこの問題に関心を持たれておつたということを感じるのでございます。その他やはり私共この厚生委員会におきまして、この福祉法を審議いたしました者の責任を思うのでございまして、そうしてその責任と申しまするのは、ただ法案を成立させただけの責任でございませんで、この法案が実際に運用される上にどういうふうになるかという今後の責任について、私共多大の責任を感ずるのでございます。それと同時に、この行政面の運用について、非常な大きい希望と期待とを持つものでございます。
 そこで私は始めから些か心配いたしておりました点について、もう一言最後に附加えさして頂きたいと思うのでございますが、先程大臣からとても有難いお話を伺いましたので、司法行政と厚生行政とが、つまり少年法と兒童福祉法との関係が、いよいよこれからよくなつて参りまして、子供達がどんなにか、殊に不良と言われます子供達がどんなにか助かるだろうということを、私は非常に喜んでおるものでございますが、この実際問題といたしまして、本法案の政府原案二十四條の但書のところにございます「少年審判所の保護処分をなすべき兒童については、この限りでない。」という但書がここにございますことで大体はつきりしておりますけれども、実際としたらこし兒童相談所に持つて参りました者、それからこの少年法による保護を受けますところの者ということを区別するということが、実際問題としては私はむづかしいだろう。そうして又兒童相談所の職員によく審判所との連絡がつくようになつて來るまでは、殊に兒童相談所だけが非常に廣幅に兒童を引受けることになりまして、言い換えて見ますと、純粋の犯罪少年を除けましたところの、いわゆる虞犯少年なり、不良少年なり、浮浪少年なりというものは、全部私は厚生行政の窓口に集まつて來る結果になると思うのでございます。そうして、そのことが又この兒童福祉法の狙つておりますところでもあると思うのでございます。それで結局から申しますというと、年齢も今までの教護法によります不良兒、それから不良の虞のある子供は十四歳以下でございましたけれども、今度は十八歳以下ということになりますというと、年齢においても非常に殖えて参ります。いわゆる本当の犯罪少年だけが少年法によるものとなり、そうしてその他の者ま皆厚生行政によるところの保護を受けるということになりまして、一面から考えましたならば、子供達に取つて仕合せのように考えられますけれども、実際取扱う面について、随分これは困難な点が多くないかということを心配するのでございます。それにつきまして教護院に入れなければならないという程度の、つまり社会から隔離して保護しなければならないという子供は、これはもう量から申しましても極く僅かなものでございまして、本当の不良兒の保護ということは観察保護で、親の所に返しましても、それからいろいろ就職しましても、よその家に預けましても、とにかくその程度の子供をよく保護するという所が私は不良兒に対して一番の狙い所で、これが一番数の点においても廣幅のものだろうと思つておるのでございます。それはつまり観察保護するという意味合の子供なのでございますけれども、それについて今までの民生委員なり、今度できますところの兒童委員に今まで長い間経驗を持つております少年嘱託保護司というものがすでに加えられております。今度も幾分加えられると思いますけれども、この点について特に私は考慮をお願いしたいと思つております。もう二十何年間の観察保護をいたしております嘱託保護司が、今日実に不良少年の保護ということについては、労が多くて効が少すということに惱んでおります。でございますから、新らしく殊に不良少年は愛で撫でて育てれば、これは大丈夫よくなりますよと言つたような甘い考えを持つて掛かりますと、時に失敗することがあると思いはすので、司法行政の末端で、今までやつておりました嘱託保護司というようなものを、今後も兒童委員に多量に加えるということを一つ御考慮を願いたいと思いますのです。それから実際地方なんか歩いて見ますというと、今まで專門にやつておりました嘱託保護司なんか、もう手を燒いてしまいまして、而も司法省の方の費用が、殊に子供を委託しております費用が実に少うございまして、委託費用が一人について一日三円、これは厚生省の方の保護になりますと十五円ぐらい、事務費が七円ぐらい付きまして、二十円以上のものが付くというようなことから、仕事もむつかしいし、費用は貰えないしというので、実際厚生省の仕事に代りたいということを希望しておる人が本当にあるのでございます。それから一方今度はお金のことは余り問題でないけれども、不良の子供を扱つておりまして手を燒いておりまして、実際これは愛ばかりで子供は保護することはできないので、これはやはり司法保護の方に委せて、愛と鞭との両方の厚生行政と司法行政のごときものを以て、司法省の関係の方にこの仕事を返上しなければならない。余りむずかしいということを、厚生行政の方の末端をやつておる人が言つておりますのでございます。
 或る意味から申しまして実にちぐはぐな末端の人達の苦しみなのでありますが、そういうことを思いますときに、先程山下委員からもお話がございました。総てを一元化するという兒童委員の設立ということは、私はもう切実にお願い申上げますものでございまして、どうしてもこれは一元化して貰つて、末端の本当の骨を折つて命懸けでやつていらつしやる方々に、仕事のし易いような一つ組織を持つて頂きたいということを特にお願い申上げまして、この法案に全面的の賛成を申す者でございます。
#9
○河崎ナツ君 兒童福祉法案につきましては、衆議院の訂正案全部加えまして、更に山下委員の委員会の組織につきましての御希望勿論結構です。全面賛成でございまして、もう何も申すことがないのでございますが、唯一言今宮城さんがおつしやいましたようなことは非常に大事なことでございまして、それは大臣の今仰しやつて下さいました兒童行政の一元化という、厚生省と司法省との問題におきまして、近き將來におきまして一元化するという方向へのお言葉を頂きましたことにおきまして、一應解決が付いたことでありますことは尚結構なんでございますが、丁度子供に対する司法行政と厚生行政との面におきまして、面主から末端の者が苦しんでおることにつきましてては、宮城さんのお言葉の通りでありまして、その意味の問題と同じような方向でもう一つ兒童行政におきましては、この福祉法には割合に遅れておりますけれども、学校前の子供の問題、特殊問題としてでなく一般の子供の保育所という今日の問題、將來の問題におきまして、今日現実におきましての保育所と幼稚園という問題におきまして、同じ保姆がやつておりまして、保姆の待遇におきましても、仕事の内容におきましても、又そういう保育所と幼稚園とに対しまする我々の物の考え方におきましても非常にちぐはぐで、子供はその意味において不仕合せでございますので、宮城さんの御心配のような仕事におきましても、少年審判所の保護処分をなすべき兒童という、そこまで行くまでの子供、おつしやいました保育所というもののあり方におきまして、將來の普及性におきまして、今までは街頭に放つて置かれる子供が保育所という組織を通しまして、一層教育的な一層保健衞生的な生活をしますときにおいて、その憂はもう大部分救われる。保育所というものの普及、重要性におきましてのみ一番多く救われるという意味におきまして、兒童福祉法の福祉の実踐は非常に保育所というものに皆懸かつて來る。この保育所の問題が厚生省と文部省とで……保育所という名前は文部省は扱つておりませんけれども、学校前の子供、就学前の子供というものにつきましての、文部省と厚生省との間におきましてのこの問題はやはり一元化されるということにおきまして、司法行政と厚生行政とを一元化される線に沿つて、その文部省と厚生省との一元化におきまして、全く兒童福祉法が文字通り保育所が増進せられるということになりますことを、これは近き將來の問題といたしまして、是非厚生大臣はお考え下さつて、それこそ厚生行政の中に纏められなければならんものだと私共は思つておる一人でありまして、この間の全國保育者の大会におきましても、一番その問題が中心になつておりまして、確か厚生大臣の所へも代理者が上つたのではないかと思つておりまして、この福祉法案に賛成いたすにつきましても、殊に大臣の只今の司法行政と厚生行政という問題に関して一元化するという方向へのお言葉を考えるにつきましても、一方九仭の功を一簣に欠かないように、最後の一簣において、文部省との交渉におきましての子供に関することを、どうか大臣におきまして、文字通り一元化なさつて頂きますようにと、希望を添えましてこの福祉法に全面的に賛成いたしたいと思う者でございます。
#10
○藤森眞治君 先程厚生大臣から司法行政と厚生行政の一元化の希望を承わりまして、これと同時にかねて私は質問を申上げて置きました点を希望いたしまして、この衆議院の修正案に賛成したいと存じます。と申しまするのは、
 河崎委員からもお話がありましたのと関連しておりますが、この第十九條におきましては、乳兒、幼兒まではこの法案によつて保健の指導をされるということになつておりますが、幼兒以後、いわゆる本法案に定められておりまする兒童については、乳児以後の保健指導というものが含まれておらないのであります。これは字の上で承わりましたが、学童においては学校衞生でやるんだ。そういうお話でありますが、幸いに司法行政と厚生行政がうまく將來一元化するならよいが、これも百尺竿頭一歩を進めて、そうしてここでこの法案に定められました兒童の範囲の保健行政を全部一元化して頂きたい。こういう希望を申上げまして本法案に賛成する者でごいます。
#11
○小川友三君 兒童福祉法案につきまして反対意見を申し上げます。この法案は乳幼兒を仕合せにするという立場から見たときに、片手落の法案で残念ながらあるのであります。憲法第二十五條は、「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と明記してあるのであります。政府の調査によりましても、乳幼兒の主食であるところの牛乳が三十五万石前後絶対に足りない。絶対に乳幼兒の主食が足りないのに、乳幼兒が憲法二十五條で守られていないということが明確である。その意味から私は修正意見を提出し、昨日もその筋に修正案を提出して、今日午後までには答弁が來るようなわけになつておるような状態であります。修正せんとするところの第七條を申上げます。「乳兒院」の下に「乳牛、牧場」を加える。日本の牛乳の状況は、來年も再來年も、この調子では断じて増加いたしません。何時までもこのままでは増加しない。牛、馬の公定價格はない。牛は食肉として闇から闇に暗殺され、撲殺されて行くというこの現状は、我々國会議員が最も明確に把握して、数百万人毎年生れる赤ちやんの生命線を擁護するために、眞劍に突撃路を開かなければならんのであります。第十九條に一項を加えるという修正意見も出してあります。「都道府縣知事はゐ乳兒の主食たる牛乳その他乳兒に必要な物資を入手することができない。妊産婦又は乳兒若しくは幼児の保護者があるときは、命令の定めるところにより、その物資を確保する措置をとらなければならない。」こうしたはつきりとした法律で決めて、断乎として赤ちやんを擁護しなければ、ならんと思いますからして、これを主張する者であります。第三十八條に「乳牛牧場は乳兒の主食たる牛乳の生産を増加し、その不足を補うことを目的とする施設とする。」という、この三ケ條に対しまして、断乎修正案を提出し、原案に対しまして、断乎として反対をする者であります。何も言えない、泣くだけしかできない赤ちやん、その赤ちやんを救うために、本議員は、本法案の乳幼兒に対する設備の不完全な点に対しまして、残念ながら子供を思うの熱情の余り反対せざるを得ないのであります。日本の牛乳の現状は減る一方で、何年経つても、何十年経つても牛乳の増加を図ることはでき得ないのでありまして、こういう意味からも本案に反対をする者であります。
#12
○委員長(塚本重藏君) 念のためにお尋ねして置きますが、小川委員はこの修正案が通らなければ原案に反対だという御趣旨ですね。前提は反対だが、これが入れば御賛成になるわけですね。
#13
○小川友三君 そうです。
#14
○委員長(塚本重藏君) 外に討論者はありませんか。以上の討論に対して当局の御所見の発表があります。
#15
○國務大臣(一松定吉君) 只今皆様の有益なる御意見を拜聽いたしまして、この際特に厚生大臣といたしまして、所見の一端を申し述べる必要があると思います。山下委員の兒童福祉委員会の委員の数でございまするが、この点に対しまして官公吏の数が若し余り多いということになつて來ると、委員会の運営の上において面白からん結果を招來してはいけないからという御意見御尤もでありまするので、命令等を制定いたしまするときに、成るたけ御希望に副いまして、官公吏の数は委員の四分の一以内に取計らう。さような考えを持つておりますから、その点を一つ御了承を賜わりたいのであります。
 その次に、山下委員の、委員長は官公吏でなくて民間人から選べという御意見でありまするが、成るたけそういう御希望に副うようにいたしますけれども、それは併しその委員会、委員会においてお互いにその人格、識見、その他の高い人についてお互の間に銓衡するということにする方が民主的であろうと思うのでありますが、成るたけ運用の点について考慮を拂うということで一つ御了承を願いたいのであります。
 宮城委員、河崎委員の少年保護に関する御希望の点につきましては、先に申上げた通りでございまするが、尚それ以外の点に関しまして藤森委員の御意見をも加味いたしまして、それらの他の御希望に対しましては、成るたけ御趣旨に副うように努力いたします。かように御了承を願いたいのであります。
 小川委員の乳幼兒に対する牛乳不足に関しての修正の御意見は、或る意味においては御尤もだと思いまするけれども、何もこの法文にそのことを明記いたさなくても、これ亦運用の点について御希望に副うように一つ努力いたしたいと思うのであります。これだけの意見を申上げます。
#16
○三木治朗君 ちよつと私只今の小川委員の反対意見に対しまして、そのお言葉の中に甚だ不穩当な言葉があつたように思うのであります。あのままで記録に止まることになりますると、我々厚生常任委員は、血も涙もない、殆んど何か羊頭を懸げて狗肉を賣つておる輩のごとき印象を他に與えると思うのであります。我々は決してそんな浅薄な考えでこの法案を審議して來た筈ではないのであります。皆心血を注いでこのために貴重な時間を非常に沢山に費しまして、而も法律は現実を無視してやりたいことは幾らもある。併し今日の日本の現状において、できる範囲の、できるだけのことを実現するように我々は努めて参つたのであります。私は小川委員の失言を取消し願いたいことを要求いたします。
#17
○小川友三君 私の先程の発言の中に、今三木先生の仰しやつたような発言に当を失したるところの、各委員さんに対して、当を失すたるようなことを言うたとしたならば、勿論快くこれを訂正する者であります。御了承願います。
#18
○山下義信君 只今簡單に小川君が釈明されましたが、さような簡單な釈明でこれは済まないことと思います。非常に不穩当な言葉があります。只今三木君の言われたように、実に委員がこういう法案を賛成するというようなことは、殆んど暴虐無道であるというのに類するような言辞があつたと思います。討論に際しまして、小川君が自分の意見を主張するために、非常に不穩当なる言辞が多数あります。これは速記録を十分委員長でお調べ願いまして、そういう不穩当な個所を悉く改めて、正確に取消されまするか、又各委員に対しまする不用意な言辞に対しましては、十分正確に陳謝されまするか、然るべき御処置がない限りにおきましては、都合によりましては、本委員会の意見としまして懲罰に付すべき價値があると私は考えます。でございまするからこの問題は愼重に且つ正確にお取扱いあらんことを希望いたします。
#19
○委員長(塚本重藏君) 皆さんにお諮りいたします。三木委員、山下委員の御発言至極御尤もだと思います。尚不穩当な個所は取消すことを小川委員も御了承になつておるようでございますから、その点委員長において十分速記録を調査いたしまして、不当な個所は全部削除することを御一任願えば結構と思います。御意見どうですか。
#20
○小林勝馬君 只今委員長のお話でございますが、削除というお話ですが、削除じやないと思うのです。
#21
○山下義信君 削除じや済まん。
#22
○小林勝馬君 削除じやちよつと了承いたしかねます。
#23
○河崎ナツ君 まあ極く純な方ですけれども、感情に任かせて仰つたから随分不当なことをおつしやつた。そのことにつきまして皆さんおつしやつておるようでございますが、ああいう不当なことがありますと、実際議員の恥になりますから、実際そういう問題につきまして余りでたらめでございますから、これは厚生省の平常のお調べでよく分つておる通りでございますので、今の不穩当な言葉の中の、内容のそういう問題はやはり議員として識見の上から御訂正願わないと、議院の厚生委員はあれくらいのでたらめのことを言つておるのかというようなことになりましても、私共は慚愧に堪えないと思うのでございます。
#24
○小川友三君 ちよつと釈明しますが、今の死亡率のパーセンテージであります。数百万の生れる子供の中から、アメリカの死亡率の数倍の死亡率であるということを申上げましたので、速記録で見て頂いても分りまするからして、その点御了承願います。それから山下委員さん並びに皆さんの御質問に対しまして、私の発言の中に熱意の余り失礼な個所があつたことは全部訂正し、陳謝をすることを明確に意思表示するものであります。赤ちやんのことを思う余り出たのでありまして、決して個人の攻撃とか自分のために申したのではないのでありますから、全部修正いたしますから、その点は御了承をお願いいたします。
#25
○小杉イ子君 小川委員の申訳は誠に貧弱であると思います。小川委員は牛乳不足のためにこれを否決するというようにおつしやいますが、牛乳のことについては幾度おつしやつたか、政府は幾度御説明なされたか、それが出る方法、出す方法、作る方法を構ずることが考えられなければならん、そのためにどれくらい議事進行が不進行であつたかということを思つて頂かなければならん、三遍も四遍も同じことを言う必要はないと思します。このことは一つ不足を申上げて置きます。
#26
○安達良助君 只今小川議員から非常に傍若無人の反対の論議がありましたが、我々厚生委員といたしまして、これに対する諸種の反駁的な修正或いは取消方を要求されましたが、私もその一人としてこれに攻撃を加えるものでありまするが、その結果、小川委員から、非常に反省を自覚されたような意味も伺われますので、この点はこの委員会において諒とせられまして、この問題を解決されんことを、甚だ僣越でありますが、一言附加えて御意見も申上げて置きます。
#27
○委員長(塚本重藏君) 小川氏の発言の内容につきましては、速記録もよく調べまするし、尚又皆さんにお諮りいたすことにいたしまして、本案の採決に入りたいと思います。御異議ございませんか。
#28
○委員長(塚本重藏君) 他に御発言がございませねば、これより採決に入りたいと思います。採決に入るに当りまして一つ御報告申上げて置きます。この委員会に対しまして兒童福祉法案の國会通過を切望しての歎願書が委員長宛に出ております。熊本市の五十三名の者から、こういう歎願書が出ておることを御報告申上げます。
 これより兒童福祉案について採決いたします。先ず討論中にありました小川君の修正案を議題に供します。小川君提出の修正案に賛成の方の御起立を願います。
#29
○委員長(塚本重藏君) 小川君一名であります。少数でございます。よつて小川君提出の修正案は否決されました。
 次に原案、即ち衆議院送付案を議題といたします。原案に賛成の方の御起立を願います。
#30
○委員長(塚本重藏君) 多数でございます。よつて兒童福祉法案は原案通り可決することに決定いたしました。尚本院規則第百四條により、本会議における委員長の口頭報告の内容については、予め多数意見者の承認を得なければならんことになつておりますが、これは委員長において本法案の内容及び本委員会における質疑應答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告いたすことにして御承認を願うことに御異議ございませんか。
#31
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には、多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
#32
○委員長(塚本重藏君) 署名漏れはございませんか……署名漏れないものと認めます。
 この機会に厚生大臣から、今社会で可なり問題になつております鍼、灸、按摩、柔道、整復師の資格及び取締に関する事柄に関して所見を開陳したいとの御希望があります。これより許します。
#33
○國務大臣(一松定吉君) この機会を拜借いたしまして、今委員長の申されましたように柔道、整復術、整復の問題につきまして、一應厚生委員の皆さんに御報告申上げて置くということが適当であろうと考えまするから、極く短時間に私の所見の一端を申上げて、御参考に供したいのであります。
 御承知のごとくこういう取締の規則は、本年の十二月末でこれが廃止せられることになりますので、そういたしますると、これらの取締の規則がなくなるということでありますために、法律を制定しなければなりません。目下この法案の調査、制定、提出の方法等につきまして、鋭意努力をいたしておりまするから、いずれ近き將來皆樣方の御審議を願わなければなりますまいけれども、その前に私の所見を申上げて置きますることは、先刻これらの問題に対しまする請願が、請願委員会に付託されてございまするから御参考になろうと思いまするので、御靜聽をお願いいたします。
 実はこれらの業者に対しまする既得権は、これは既得権を害することはできませんから、当然これは認める方針であります。ただ併しながら保健衞生の立場から、從來よりも一層その技術の点について、これを強化する必要があることを痛感をいたしまするから、保健衞生の立場から、これらの既得権者に対しましては、再教育を施しまして、そうしてその技術並びに識見というものを高めてやりたい、こういう考えを持つておりますから、既得権は認めるが、それを同時に再教育をして、これらの人々の技倆の向上を図る。かような処置を取りたいと思うのであります。從つてその再教育に若し應じない人に対しましては、これは止むを得ませんから、これらの人に対しましては、資格は自然消減する。こういうことをいたしますれば、これらの既得権を持つておりまする方々が、進んで再教育に應じまして一層その技術を高め、國民をして安心して手術を受けしめることができると思いますから、そういうような方針で進みたいと考えております。然らば將來これらの人に対しては、資格を與えるのか與えないのかということに関しましては、將來も試驗によつて資格を與える。但しその試驗は今までのありふれたような試驗ではなく、もう一層程度を高めた資格試驗をして資格を與える。これらの方方に対しましては、それらの資格を高め、而も学校を卒業した者に対しましても、國家試驗によつてそれらの技能を十分確めた上で資格を與える、こういうような方針を持つておりますから、さよう一つお含みの上この請願に対しまする御審議をお進め願いたいのであります。
 尚、ここに一言申上げて置きますが、これは私は実は知らなかつたのでありますが、厚生大臣が千五百万円の賄賂を要求したということが、「アカハタ」新聞に出ておるということを聞いて、実はびつくりしたのであります。そういう記事があるかどうか、一つ見たいものと思つておりましたところが、丁度二、三日前にその「アカハタ」が手に入りまして見ましたところが、鍼灸、按摩の人々が資格がなくなるということに驚いて、そうしてこれが運動のためにとか言つて、千五百万円とか金を集めて、曰く、厚生大臣が民主党に寄附せよということを言われたから、それで集めるのだということであるが、併しながらそういうことには應じられんと言つて、大阪の業者の方では否決の決議をしたということが書いてあるのであります。私はびつくりしたのであります。私が今申上げましたように、そういう考えを持つておりますから、業者がわざわざ私に面会に参りましても、運動の必要は少しもない。あなた方の既得権は害しない。併し再教育をして、あなた方の地位の向上をして、將來の人にはもう少し高等の学術を授けて、立派な人にするように努力するという私の意見を聽いて、皆喜んでそれぞれ帰途につくような状況でありますから、これだけのことを一應皆様に申上げて置きます。
#34
○姫井伊介君 今の厚生大臣のお話に、ちよつとお尋ねしたいことがあります。業者の中に盲人があるのですが、盲人の人の再教育は、実際問題としては相当困難な点もあるかと思いますが、それでも一般の人同様に嚴密なる教育を受けなければ許されないのかどうか。多少のそこに手加減といいますか、そういうことが考えられないものかどうか、又よし再教育を受けるにいたしましても、特別の経費などが要るといたしまして、あの人たちにそれだけの負担を持たせることはどうであろうか、又一方盲人の人が、特に智能的に発達した人が求めまする自活の職業の中の、この業は最も主なるもの、又最も高いものと考えられておつて、必死となつてそれがために勵みいそしみ、又新らしく技術を覚えんとする者があるのでありますが、これが一般なみに処遇されるといたしますると、そこに非常に大きな悩みがあつて、今もお話がありましたように、もうそうなれば俺たちは絶望だ、むしろ死んだ方がいいんじやないかといつたようなことにまで陷る者がないでもないと思うのであります。特別な処理、と言つてはどうかと思いまするが、從來とても余り弊害がない、むしろ技術におきましては、或いは一般の人々よりも感が高いだけ、優れた者もおつたわけでありますが、ただ目が見えないために、目から入れるところの教育、生理学とか解剖学とかいろいろなものがありますが、そういうようなものは、目明きの人と同様にはなかなか受けられないのじやないか。目から入らないので、或いは点字にいたしましても、十分にそういうものの説明もできないことがあるのでありますから、この点につきましては、あの不遇なる人々の生活を保障する、目は見えない、暗い世界に住んでおるけれども、心は明るく正しく生活して行かせるという、その見地からいたしまして、何とか考慮が拂われないものでありましようか、この点をお伺いいたします。
#35
○國務大臣(一松定吉君) 実は今あなたの御質問になりました盲人に対しまする鍼灸の問題でありますが、或る方が……外人ですが、復員軍人の盲目の人が鍼をやつておつた実情を見て、非常に危險がつて、これは大変だというようなことで、感想を発表したということを聞いておりますが、そういうことのために、盲人に対しての鍼灸術というようなものはいけないのだというようなことが世間に傳わつて、それから盲人が非常に驚いて、大挙して私に面会に來たというようなことを実は聞いておるのであります。私は今あなたのおおせになりましたように、盲人が目明きの人と比べて、知識受入れの程度が十分でないというような点に対しましては、必ずしも反対はいたしませんが、併し苟くも保健衞生の立場から人の健康、生命を受持つておりまする業者といたしましては、眼明きでないが故に特別に取扱うことは実に困る。私の承知しておるところによりますると、この盲人が特に鍼灸などをするという時に、眼明の人に比べて技術が劣るかというと、専門家の話によりますと、非常に触覚が特別に発達しておりまして、そうしていわゆる感、専門の言葉で言えば経穴といいますか、即ち病氣のある場所を発見することが普通の人よりも敏感である。こう眼をつぶつて、いわゆる経穴……患部をよく探り当て、探り当てた所に鍼を当てるということが非常に優秀だということを実は聞かされておりまして、成る程そういうことがある。それならば眼が見えんから患部を探すことについては困るかも知れないけれども、触覚ということについては、患部を探つて行つて、そうしてそこに鍼をするということであれば、そんなに危險じやない。問題は盲人が鍼を刺して、その鍼が体の中に折り込まれはしないかということを素人で憂慮しますが、そういうことはないということを実は聞かされまして非常に実は感激したのであります。それはそういう域に達することは結局教育のお蔭であります。そういう意味においていわゆる再教育をして、それらの技術を一層向上せしむるということによつて既得権を認めようという私の考えであるのであります。故にその既得権者が再教育によつて、その技術が向上するということによつて、それらの人は十分に自分の権利を認められるから、生活のためには困りますまい。ただ問題は將來新たに試驗を受けて、そういうような資格を受けるということについては、盲人は外に適当な仕事を見付け出せんからして、按摩とか鍼とかいうことをやる。按摩の点につきましては、これはまあ鍼とは違いまするから、ただ問題は鍼なんですが、そういう点に対しましては、やはり盲人であるが故に特別の処置ということは、ちよつと厚生省としては困りますが、どうしても生活がそれによらなければならん、併しながら技術がそこまで発達ができるけれども、特別に取扱はなければ資格が取れんというような人は、これは止むを得んから生活保護法の規定によつて保護を講ずるが、單に按摩だけをやつて生活を維持するということもありましようから、ちよつと手心ということは厚生大臣として答えられませんので、それらの点につきましては十分に再教育の方面で努力して、眼明き以上の技術を持つように進めて上げたい、こういう考えを持つておるのであります。さように御了承を願いたいと思います。
#36
○姫井伊介君 今まで盲人の技術に対して危險、弊害ということは余り聞いておりませんが、それはまあ別問題といたしまして、さつきのお尋ねは私の言葉が足りなかつたのでありますが、技術の方を主として頂けば、これは勿論結構でありますが、ただ学術の点なのであります。学科試驗におきまして盲人が一般の人と同樣にということに非常に難点があるので、その点を私は多少の手心と言つたので、そこに多少一種とか二種とかいつたものを付けられまして、こういう人は学術の点はこうだというふうに、そこにいわゆる手心を與えられて技術そのものにつきましては、むしろ一般の人よりも優れておる点もあるのでありますから、その点を申すわけではありません。学科の点につきまして何とか御考慮を願えないかということを申すのであります。
#37
○國務大臣(一松定吉君) それが、厚生大臣が盲人に対しては特別に考慮するというようなことはちよつと言えません。ただいわゆる盲人でありましても、点字教育の盛んになつておりまする今日でありますから、盲人であるけれども、今日のいろいろな時局を知るために、いわゆる点字新聞によつて十分に知識を受けることができることは、私が申上げなくても、姫井委員の御承知の通りでありますが、そういうことによりまして目明きの人に決して劣らないような教育を受ける、これは將來資格を與える問題でありますから既得権の問題ではない。將來資格を與えるような点については、そういうような方針で進むというようなことを考えておりますから、あなたの御心配も点字教育によつて他の目明きの人と同じように私は進み得るという確信を持つておる。点字教育ということは今日優れて参つておりますから、盲でありましても普通人くらいの知識を得ることは十分だと考えておりますから、特にそういう点については考慮を拂いますけれども、特別の取扱いで学科試驗をするということは、ちよつと私から申上げられません。これはこの辺でお許しを願います。
#38
○千田正君 どうも今の厚生大臣のお話は、非常に私は盲人の立場に同情して見ますというと、受取りかねる点があるのであります。それは厚生大臣は博学の方であるから御存じであると思いますが、盲人に対して鍼灸を許したのは徳川時代のいかに盲人を保護するかという政策の現われである。盲人以外に絶対に鍼灸を許さなかつたということは徳川時代の保護政策である。今日この文明になつて、而もこの民主主義の政治下で、特に盲人のために厚生大臣として考えられる点から言えば、そこに多少希望の点を取つて頂けないかということを、政治家という立場、又民主政治という意味から、特にその人達のために特段のお考えをいたして頂きたい。こういう点について特に申上げる次第であります。
#39
○國務大臣(一松定吉君) 盲人を保護しなければならんという保護政策という点においては、全くあなたと同感であります。いわゆる國家として國民を十分に保護しなければならん義務があることは言うまでもありません。盲人が他に適当な職のないということのために、徳川時代にこういう保護政策で按摩とか、鍼とかいうものをあの時分には特に盲人だけに與えられておつたことも承知しておりますが、今日では盲人だけというわけには行かんので、目明きの方もやつておる。聞くところによりますと、目明きの人々が、盲人が鍼をするのは危險だから盲人にはさせるなという運動をやつておるということでありますが、それはいけない。保護しなければならん。保護するについては保護するような方法を採る。試驗をすることに特別に手心をせよということはいかん。保護は十分にいたすつもりですが、そこは誤解のないように願いたい。手心をしなければ保護にならんということは困る。手心をしなくても保護の方法はあろうと思います。さよう一つ御了承願いたい。
#40
○委員長(塚本重藏君) この問題はこの程度で、ちよつと時間を拜借しまして、藤森委員から医療制度の調査に関する小委員会の報告を求めます。
#41
○藤森眞治君 本委員会におきまして医療制度を調査研究するという小委員会が設けられまして、その後数回に亘りまして、どういうふうな観点から医療制度というものを審議して行くべきものかということを数回に亘りまして打合会を開いて、漸くその一案を得ましたので、それを今日御報告申上げたいと存じます。
 医療制度審議要領というものを設けました。それの第一に、医療制度という大きな問題を取上げまして、その中の第一として医療國営問題、第二、國営医療(國営官営)というような医療の研究、第三は、民営医療(開業医)、第四、公営医療、これは都道府縣営、農業会営、或いは國民保險組合の経営、第五に公共営に準ずる医療、これには赤十字社、或いは披済会、宗教團体その他のもの、これをイ、ロ、ハ、ニと分けまして、イは国営医療と民営医療との関係、ロは公営、公共営医療の問題、ハは國営医療機関の性格、その一といたしまして、特殊疾病に対する場合、その二としまして一般疾病に対する場合、ニといたしまして民営医療機関の性格、これの中で開業医制度、その一として自由開業、二は制限開業、大きな第二としまして、社会保險を取上げます。その第一には、健康保險及び職員保險、第二が國民健康保險、第三が労働災害保險、第四が船員保險、その中にイ、ロ、ハを作りまして、社会保險の一元化、診療費問題、診療報酬に対する課税問題、それから今度は大きな第三といたしまして、生活保護法による救済、医療の救済であります。第四として医藥品及び衞生材料について、これを、い、ろ、は、に、ほ、へ、とと分けまして、いは医療薬品等の生産増強、ろは医療藥品等の輸入墾請、はは医療藥品等の配分、に、医療藥品等の價格問題、ほ、医療藥品國営問題、へ、生産増強等の視察調査、と、局方外藥品及び賣藥に関する問題、第五といたしまして、適正医療費の問題、第六、医療問題と医師会との関係、第七、國民医療法の改正問題、こういうふうに逐次分類いたしまして、これを審議要領として進めることに先般小委員会で決議いたしましたので、これを御報告申上げる次第でありまして、只今はこの医療制度ということについて、先ず檢討を加えつつありますることを御報告申上げます。
 それから引続きまして、この医療制度の委員会に付託されておりました陳情、請願の二、三を御報告申上げます。請願文書表第二百二十号、提出者大日本結婚協会常務理事板井武雄、紹介議員は赤松常子議員でありまして、結婚問題に関する請願、これにつきましては、結婚問題について適当な方法を講ずるということでありましたが、これについては大体いろいろな條項がありますが、中には若干容れ難い点もありますので條件を附けまして、これを内閣の方に渡すものというように小委員会は意見を纏めました。その條件についてはちよつと專門委員の方から朗読して頂きます。
   結婚問題に関する請願書
 請願者   東京都千代田区霞ケ関
       厚生省兒童局内
   財團法人日本結婚協会常務理事
       板井武雄
右の請願は、
 結婚問題は國及び社会の基礎をなす重要な問題であるにもかかわらず、日本では昔から個人の私事としてのみ取扱われて來たが、終戰以來の思想的混乱並びに國民道徳の頽廃等を思い合せると、これ以上結婚問題を看過することは許されないから、結婚助成法を制定して、結婚斡旋所、結婚手当の支給等の制度を設けられたいとの趣旨であつて、参議院は結婚助成法を除いては、願意の大体は妥当なものと思う。よつて内閣は鋭意これが実現に努力せられたい。
#42
○藤森眞治君 只今読上げましたような一部の條件を附けまして、内閣に送付すべきものという意見を小委員会で纒めましたわけでありますから、これを御報告申上げます。
 次は、陳情書第三百二十一号並びに陳情書第四号のことでありますが、陳情第三百二十一号と申しまするのは、結核医療施設を市営に復元することに関する陳情でありまして、これは京都市会議長官森吉次郎外四名から出ておりますが、これは御承知の医療團の解散に伴いまして、医療團の施設でありました元京都市の療養所を京都に返して呉れという陳情でありますが、これにつきましては、医師会並びに医療團の解散の法律案の可決されますと同時に、各五大都市の方々と厚生省の方との話合がありまして、そうして皆陳情、請願というものは一應撤回する。こういう申合せになつておりましたところが、これは撤回されずに残つておりましたので、これは内閣の方に送付する必要がないものと認めまして、これは採択いたさない。こういうように小委員会の意見が纒まりました。
 それから次は、陳情第四号でありまするが、これは聖霊生命眞理療法保護法規の制定及び名誉恢復に関する陳情、提出者武田市郎、こういうことで出ております。この趣旨を読んで見ますると、どうも我々に理解ができ難い、と申しますのは、わけが分りません。要旨がどこにあるか、読みましても掴まえることに困難でありますので、そういう意味でこれは採択しないということに小委員の意見は纒めました。これを御報告します次第であります。
#43
○委員長(塚本重藏君) お諮りいたします。小委員長報告によりまする請願第二百二十号結婚問題に関する請願は、條件を附して政府に送付うることに御異議ありませんか。
#44
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。それから陳情第四号聖霊生命眞理療法保護法規の制定及び名誉恢復に関する陳情、これは不採択とすることに御異議ありませんか。
#45
○委員長(塚本重藏君) ではこれは不採択とします。それから陳情第三百二十一号、結核医療施設を市営に復元することに関する陳情、この陳情の趣意はすでに完結しておるものと見て不採択とすることに御異議ございませんか。
#46
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないものと認めます。この機会に日程を追加したいと思いますが、陳情第七号の、兒童福祉増進に関する法令制定の陳情を議題とすることに御異議はありませんか。
#47
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。兒童福祉増進に関する法令制定の陳情は、本日兒童福祉法が可決いたされましたので、これも陳情の趣旨が徹底したものと見て不採択に決定したいと思いますが、御異議ございませんか。
#48
○委員長(塚本重藏君) 御異議ないと認めます。不採択といたします。本日はこれを以て散会いたします。
   午後零時十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     塚本 重藏君
   理事
           今泉 政喜君
           谷口弥三郎君
           宮城タマヨ君
   委員
           内村 清次君
           河崎 ナツ君
           三木 治朗君
           中山 壽彦君
           安達 良助君
           木内キヤウ君
           小林 勝馬君
           藤森 眞治君
           小川 友三君
           小杉 イ子君
           波田野林一君
           姫井 伊介君
           穗積眞六郎君
           山下 義信君
           米倉 龍也君
           千田  正君
  國務大臣
   厚 生 大 臣 一松 定吉君
ソース: 国立国会図書館
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