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1970/03/26 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 農林水産委員会 第15号
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1970/03/26 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 農林水産委員会 第15号

#1
第065回国会 農林水産委員会 第15号
昭和四十六年三月二十六日(金曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 草野一郎平君
   理事 安倍晋太郎君 理事 仮谷 忠男君
  理事 丹羽 兵助君 理事 三ツ林弥太郎君
      江藤 隆美君    鹿野 彦吉君
      熊谷 義雄君    小山 長規君
      齋藤 邦吉君    澁谷 直藏君
      瀬戸山三男君    中尾 栄一君
      別川悠紀夫君    森下 元晴君
      角屋堅次郎君    田中 恒利君
      中澤 茂一君    芳賀  貢君
      美濃 政市君    瀬野栄次郎君
      鶴岡  洋君    合沢  栄君
      小宮 武喜君    津川 武一君
 出席政府委員
        農林政務次官  渡辺美智雄君
        農林大臣官房長 太田 康二君
        農林省畜産局長 増田  久君
        林野庁長官   松本 守雄君
        水産庁長官   大和田啓気君
 委員外の出席者
        農林省農林経済
        局統計調査部長 中沢 三郎君
        農林水産技術会
        議事務局連絡調
        整課課長補佐  草場緋紗夫君
        森林野庁指導部
        造林保護課長  塩島 厚一君
        農林水産委員会
        調査室長   松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十六日
 辞任         補欠選任
  松沢 俊昭君     中澤 茂一君
同日
 辞任         補欠選任
  中澤 茂一君     松沢 俊昭君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案起
 草の件
 漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律
 案起草の件
 農林水産業の振興に関する件(乳価問題及び農
 薬問題等)
     ――――◇―――――
#2
○草野委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、法律案起草の件について議事を進めます。
 まず、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、本日、その協議がととのい、その草案がまとまりましたので、その内容につきまして、便宜委員長から御説明者し上げます。
#3
○草野委員長 御承知のとおり、農林漁業金融公庫が、農林漁業金融公庫法附則第二十三項の規定に基づいて行なう乳業者に対する牛乳の処理または乳製品の製造に必要な施設の造成等に必要な資金の融通に関する臨時措置は本年までとなっておりますが、酪農の健全な発達に資するため、これをさらに五年間延長実施しようとするものであります。また現行の融資対象となる施設の範囲は、施設の造成等の場所が、集約酪農地域または市町村酪農近代化計画が作成された市町村の区域内にある場合のほか、その区域外の場合にあっても、その施設が当該施設の所在する都道府県酪農近代化計画に即しており、かつ、当該施設において処理または加工される生乳の相当部分が当該都道府県の区域内の集約酪農地域または市町村酪農近代化計画が作成された市町村の区域において生産される生乳である見込みが確実であるときとされておりますが、生乳の流通が乳業の発展に伴って県間移動等広域化している実情でありますので、当該都道府県の地区内で生産された生乳であることの制限を削除しようとするものであります。
 以上がその内容でありますが、その詳細につきましては、案文により御承知願いたいと存じます。
 本起草案について別に御発言もないようでありますので、直ちに採決に入ります。
 おはかりいたします。
 お手元に配付いたしております農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#4
○草野委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。
    ―――――――――――――
#5
○草野委員長 次に、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、本日その協議がととのい、その草案がまとまりましたので、その内容につきまして便宜委員長から御説明申し上げます。
#6
○草野委員長 本案は、昭和四十二年に制定された漁業協同組合合併助成法の実施の状況と、この制度の仕組み等にかんがみ、今後引き続いて漁業協同組合の合併を促進し、適正な事業経営を行なうことができる漁業協同組合を育成して、漁業に関する協同組織の健全な発展に資するため、従前の例による特例措置を講じようとするものであります。
 その内容につきましては、まず第一に、漁業協同組合合併助成法の規定に準じて、昭和五十一年三月三十一日までに都道府県知事に合併及び事業経営計画を提出して、その適否の認定を求めることができることとすること。
 第二に、計画が適当である旨の認定を受けた漁業協同組合については、従前の例により、法人税、登録免許税及び事業税の特例あるいは漁業権行使規則の変更または廃止についての特例措置を講ずるものとすること。
 以上がその内容でありますが、その詳細につきましては、お手元に配付いたしました案文により御承知願いたいと存じます。
 本起草案について別に御発言もないようでありますので、この際、本案について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣に対し、意見を述べる機会を与えます。渡辺農林政務次官。
#7
○渡辺政府委員 院議を尊重いたしまして、御異議がございません。
    ―――――――――――――
#8
○草野委員長 本起草案について、別に御発言もないようでありますので、直ちに採決に入ります
 おはかりいたします。
 お手元に配付いたしております漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#9
○草野委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○草野委員長 なお、ただいま決定いたしました両案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○草野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#12
○草野委員長 引き続き、農林水産業の振興に関する件について質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
#13
○美濃委員 畜産問題につきまして若干の質問をいたしたいと思います。
 まず第一点といたしまして、昭和四十六年の加工原料乳の告示価格を近日中に控えまして、畜産審議会も持たれることになると思うのですが、現時点における四十五年産の加工原料乳の推移と四十六年の推定につきまして、生乳生産量あるいはその生乳生産量の各用途向けの推定、これをお伺いいたしたいと思います。
#14
○渡辺政府委員 最近の牛乳、乳製品の需給の状況についてお答えをいたします。
 四十三年、四十四年にかけまして、対前年比約一二%増と、きわめて高い伸びを示しました。生乳の生産は四十五年に入りましてその伸びが縮小したような状態であります。生乳生産の縮小はおおむね市乳地帯において顕著でございまして、一部前年の水準を下回るような地域も出ておりますが、一方北海道、九州等の地域においては、なおかなり高い伸びを示しております。四十六年度の事情はおおむねこの傾向をたどるというように見込まれておりますが、消費に比べて全体として供給の伸びがやや小さいというようなところから、単年度でやや供給不足が出るのではなかろうかと考えられますが、しかし一方、現在畜産振興事業団の手持ち在庫品も、昭和四十三年、四十四年両年にわたる国産生乳品の買い上げ保証量が生乳換算量で約二百二十五万トンあります。したがいまして、全体とすれば量が不足をするというようには考えておりません。
#15
○美濃委員 私のお尋ねしたのはそういう話でなくて、価格を決定するにあたってどういう試算が行なわれておるかという内容でありまして、畜産局長から具体的に説明していただきたいと思います。
#16
○増田(久)政府委員 基本的な需給の方向につきましては、ただいま政務次官からお答え申し上げましたとおりでございます。
 四十五年につきまして、二月、三月がまだわかっておりませんので、若干の推定が入るわけでございますけれども、供給量としては約四百八十万トンということに相なるのではなかろうかという推定をしております。それで、飲用向けはそのうち二百六十五万トン、それから乳製品向けが百九十八万トン、それから自家用消費が十八万五千トン、こういうことになるのではなかろうか、こういう推定をいたしております。
 なお、来年度につきましては、いま具体的に計数の整理をいたしておるわけでございますが、基調といたしましてはおおむねことしの方向をたどるのではなかろうか。全体としては、供給はことしが大体五%でございましたので、基調としてはこの五%よりやや上回る程度の供給になるのではないかということで、目下需給推算をいたしている段階でございます。
#17
○美濃委員 もう畜産審議会も、おそらく近日に迫っておると思うのですが、そこで飲用向け、それから加工向け、多少数字が変わってもいいですが、最終結論が出てないから若干の狂いは了承いたしますが、大体推定を聞かしてもらいたいと思います。どういう展望を持っておるか、どういう消費の推移であろうという話でいいですから…。
#18
○増田(久)政府委員 需給の推算につきまして、卒直にいいまして非常にむずかしい問題が多々ございます。はっきりわかっておりますのは、たとえば学校給食が来年六十万トンであるというようなことは、需要の見通しとして申し上げられるわけでございますけれども、その他一般向けが、ことしのようにBHC問題だとかペニシリン問題、そういった問題が来年にどういう尾を引くであろうかというような問題あるいは現在御存じのとおり、乳製品の市況の強さというものが現実にあるわけでございますが、そういうものが来年の供給なり需要にどういうことになるだろうかということで、これはいま最終的な数字はもう少しお待ち願いたいと思いますけれども、大体飲用で去年よりも六%ちょっとこえた二百八十万トン前後ではないか、それから乳製品向けが二百十五万トン前後、全体として需要は五百十万トンから、若干上に行くかなという感じで、いま数字をはじいているということでございます。
#19
○美濃委員 ここで飲用向けの見方ですが、一般の飲用向け、これは二%ぐらいでなかろうかという見方もあるわけです。それから学校給食用は、これは制度的に伸ばす政策をとっておりますから、一般向けと学校給食合わせて四・九ないし五%という見方があるんですが、いま局長はそこらで五%ないし六%というように、一%の相違がありますが、これは需給の推移ですから確実には経過してみなければわからぬということになります。そこらの見方について、もうちょっと煮詰めて大体五%か、一般用はどのくらい見ておるか。こっちから申し上げますが、学校給食は前年対比一一八・五%くらい伸びるだろう、一般用は二%くらいしか伸びないのではなかろうかという見方もあるわけですが、ここらの見方はどうですか。
#20
○増田(久)政府委員 卒直に申し上げまして、そこの見方はむずかしいわけでございます。現実にことしの学校給食向けを除きます一般の伸びが、わずか〇・六%にすぎなかったということで、来年がそこをどう見込むかということは、われわれも非常に苦慮しておるところでございます。ところが全体で〇・六でございますけれども、これを地帯別にしさいに検討してまいりますと、たとえば北海道等で見ますと、飲用向けは一〇%以上確実に伸びているわけでございます。それに対しまして、西――たとえは四国が一番いい例ではなかろうかと思いますけれども、BHC問題が出ますと、とたんに消費が対前年比を下回ってしまう。そうして、それがおさまると、次の月はまたぐっと高まるというように非常に変動が激しい。それが西のほうに非常に顕著に出てきておるわけでございます。それで、幸いこの問題は、率直にいってこれで山を越したといいますか、これから問題はないという確信を私は持っておりますので、そういう問題を越えれば消費者の信用というものは回復してくる、したがって、私は去年みたいな〇・六%だというようなことは全然あり得ない。それで、また一月――まあ二月の数字は出ておりませんが七二月、三月に飲用の伸びが若干伸びているという私のほうの報告も受けてきているわけでありますので、そういう傾向を見てまいりますれば、私は、二%ないし三%近いものの一般の伸びを期待して、そうおかしな数字ではない、そう確信をしておるわけであります。
#21
○美濃委員 次に、告示価格を決定する要素につきましてお尋ねをいたします。
 これは同じく告示される豚肉価格、乳価、両面にわたるわけでありますが、いろいろこまかく計算しておりますけれども、計算のとりよう、とり方によって、必ずしも生産農家の生活の実態に合わない――まあ総体的な価格もさることながら、部分的に家族の労賃にしてもあるいはその他の経費計算の中で若干合わないものが出てくるわけですが、そういう計算の方式は別といたしまして、まず第一点、お尋ねをしたいことは、昭和四十五年でいいと思いますが、昭和四十五年の標準世帯の所得、これはどのくらいになっておるか。標準世帯です。五人規模とかなんとかいうのじゃなくて、もう農家というのは標準世帯ですから、単独の農家の自立経営というものを見ますと、たとえば五人規模家族労賃とかそういうことをいいますけれども、これは独身の若年労働も入っておりますけれども、農家を経営単位に見た場合、完全に二月を形成して世帯主として経営しておるわけです。ですから、日本における四十五年の標準世帯の所得、これは何ぼであるか、これをまずお尋ねしたいと思います。農家を除いたものです。
#22
○増田(久)政府委員 農家を除きましたと申しますか、一般の勤労者と申しますか、その方の世帯の状況を見てまいりますと、家計調査で町村の勤労者世帯がどういう状態になっているかということを見てまいりますと、四十四年度でございますが、これは収入が百三万円ということで、家族世帯員数が三・九九人ということでございます。したがって、一人当たりに割りますと、一人当たりのつとめ先収入ということになると二十五万九千円、こういう数字が一応得られるわけでございます。
#23
○美濃委員 これは同じ日本国で生計をするわけですから、農家の統計調査表によりますと、農家一戸当たりの平均家族は多いわけですが、これを農家の世帯所得に当てはめると、勤労世帯百三万円、一人当たり二十五万九千円というのは――物価の問題で二、三日前にNHKで放送しておりました。「スタジオ102」でありましたか、何か朝の時間にやっておりましたが、なかなか苦しい生活ですね。二十五万であれば、一人当たりの一カ月の食費が九千ぐらいしかとれませんから。一人当たり九千円でこの物価高の中で一カ月の食費をまかなわなければならぬわけです。なかなかたいへんな苦労です。具体的に一日に割ってみても、この所得ではなかなか苦しい生活状態だと思います。これを農家に当てはめた場合、何ぼの所得が必要であるか。同様の所得が必要だと思うのです。社会、地域や何か違いますから、若干の相違はあっても、それをどういうふうに考えておるか。
  〔委員長退席、三ツ林委員長代理着席〕
#24
○増田(久)政府委員 農業と勤労者の方とを直に比較するということには、私、率直に申し上げていろいろの問題点があると思います。しかし、先ほど言いました二十五万九千円というものが、もしそれがイコールであるということで――農家の世帯はたしか五・〇九人であったと思いますので、それでやると、農家は同じ生活水準をやるためには百三十二万円というような数字が計算の上で出てくることになるわけでございます。しかし、いろいろ農家と他産業との違いというものがございますので、それを直ちに比較することについては若干の問題がある、私はかように考えております。
#25
○美濃委員 その農業と他産業との差というのは、たとえば生活しておる社会環境の差から、どの程度差があるかということは推定できるでしょう。たとえば勤労者の大宗は都会ですから、都会でなくても町ですから、そういう社会環境における生活と、農業が多少経費の面とかあるいは自給的な要素、そういうもので、年にして標準世帯で八万円ぐらい生活が安くあがるか、十万円ぐらい安くあがるか、そのくらいのものでしょう。農村だから都会の所得の半分で生活できるのだ、そういうことじゃないでしょう。三〇%も四〇%も安くて均衡生活ができるということじゃないと私は思うのですよ。若干の差はあるだろう、これは認められるが、その差というものはそんなに大きいものじゃないと思うのです。
 そこで、次にお尋ねいたしますが、そうすると、この百三万円の所得をあげる労働時間、これは昨年私はEECを歩いてきましたが、EECでは農産物価格、農業政策を立てるのに非常に厳格に年間労働時間というものは――年間労働時間も政策上他産業均衡ということが非常にやかましいわけですが、日本ではこの労働時間というのは、年間何ぼ働くのが標準労働時間か。この労働時間の均衡もやかましいわけです。これはやはり考えていきませんと、農業者だから一年に五千時間働くのもあたりまえだというのじゃ、農業の後継者は労働の過重で農村にとどまりませんから。そこで、百三万の勤労標準世帯の勤労者が働く年間労働時間は何ぼであるか、これを最初にお尋ねしたいと思います。
#26
○増田(久)政府委員 手元に数字を持っておりませんけれども、私の記憶で申し上げれば、時間外勤務まで入れまして、たしか二千八百時間ぐらいのものではなかったかというふうに記憶をいたしております。
#27
○美濃委員 そうすると百三万というのは、大体標準世帯で、税法でいえば勤労者控除ですね、ことしは引き上げて十万ないし十三万、やはり賃金労働でもその所得を得るための必要経費がかかるという解釈に立っておりますから、それを引いた百三万だと思うのです。そうすると、労賃としては一年これに十万ないし十三万加算することが、私は標準世帯の所得だと考えるのです。百三万は生計所得、こう見ておるのですが、そうすると二千七百時間、いまの局長の答弁どおりでいいと思うのですが、二千七百時間でこれを割ると、一時間何ぼになるか。
#28
○増田(久)政府委員 四百五十円か五百円見当ではないかと思います。
#29
○美濃委員 そうしますと、やはり一戸を持って生活をするには、その手段が都市勤労であれ農業であれ、一時間当たり四百五十円ないし五百円の労賃になり、年間考えてみてまさか三千六百五十時間働くということになれば、毎日十時間労働、もう日曜、祭日なしということになるのですから、二千七百ないし二千八百という、この賃金構成の中に超過勤務労働も入れたこの時間であるだろうという局長の考え方については、私もそうだろうと思います。それはそれでいいと思うのだが、しかし、一時間四百五十円ないし五百円なければ、世帯生計は維持できないのだ。農業であれ勤労者であれ、超過勤務労働を入れて一年間に働く労働時間というのは、おおよそ二千七百時間程度。それから超過勤務を除けば二千四百時間ですか、そこらを労働時間の目標にしなければならぬ、こう思うのです。
 そこで豚価なり乳価なりの計算を見ると、家族労働時間というのは、去年の場合だと酪農の管理労働が一時間当たり二百五十六円だ。特に、飼料作物を生産する労働は一・九一時間で二百九十八円だ。こういう一時間当たりの単価労働で農民が働いて、生活ができるかできぬかという問題が出てくるわけですね、この計算はいろいろ問題点もあろうかと思いますけれども、畜産経営の農家というものは世帯を形成してやっておるわけですから、たとえば単純労働で、高校卒業した娘さんが父親と同居してつとめておるとか、そういう評価労働じゃないわけです。世帯を形成して家族も生活をかけて働いておるわけですから、その労働賃金が一時間当たり二百五十六円だとか、あるいは特にこの飼料作物の生産労働は約二時間で二百九十八円だ。これはどういうわけでこういう計算になるのか。ここらをもっときちっと整理して、畜産経営で牛乳はやはり生計を維持しなければならぬわけですから、そこらはどうお考えになっておるか、こういうことでいいのかどうか。
#30
○増田(久)政府委員 先生御存じのとおり、日本の現在の酪農の全国平均規模頭数はまだ五・九頭というような形で、経営形態としては複合経営が非常に大きいわけでございます。したがって、先生の御議論をずっと拝聴し考えてまいりますと、やはり酪農専業としてどれだけの収入を得るか、こういう問題として考える必要があるのではなかろうか。そういたしますと、われわれの計算では先ほど言いました所得を得るためにはおおむね十三頭程度の経産牛を持っておれば、大体いまのそういう所得水準というものは得られるのではなかろうか、こういう感じを持っておるわけでございます。特に、率直に申し上げまして北海道におきましては平均は十二・何頭という頭数の段階にきている。これは経産牛だけではございませんからそこに問題がございますけれども、北海道の非常に多くの方々はその水準は越えてきている段階にあるのだというふうに考えておるわけでございます。
 と同時に、先生のおっしゃいますように、労働評価の問題といたしましてそれをどう考えるかという問題でございますが、飼育管理の労働というものの考え方でございますけれども、先ほど全体の労働時間を考えろという御示唆がございましたが、酪農はなかなか休日のとりにくい、日曜日でもしぼらざるを得ないというような事実があるわけでございまして、そこで労働時間が基本的に長くならざるを得ないという経営形態であるわけでございます。けれども、それだけに飼養管理の部門、特に搾乳だとかそういうような管理につきましては非常に拘束性があって、しかもこれには特殊の技能が必要である。そういうことで、そういう方のそういった労働につきましては代替性がない、拘束性があるという事実に着目いたしまして、当該付近の製造労賃で評価がえをしていくということは、これは私は一つの考え方として妥当なものではないか、かように考えているわけでございます。ただ、その他の作業につきましては、これは一種の耕種と同じ問題でございます。そういうことで、これについては十分に代替性もあるし、拘束性のあるものでもないということで、それを製造労賃で評価することには若干問題があるのではないか。もしそれをやるとするならば、全体のわれわれの算定の基礎というものを想定をいたしまして、そういう全部を大規模に専業でやるということを前提とするということになれば、また私はそこに一つの別の考え方があり得るのだというふうに考えておるわけでございますが、われわれのいまやっております計算の方法というのは、そういう専業も複合経営の方も、一、二頭の零細の方も、全部込みにした形で計算をしているという事実を考えますれば、そこのところを労働評価がえをすることにはまだ若干問題がある、かように考えておるわけでございます。
#31
○美濃委員 いま局長からいろいろ話が出ましたが、昨年度の価格を計算した基礎になる頭数は五・五頭ですね。したがって、この頭数の生産性で直ちに一時間当たり四百五十円の労賃を適用ということを言っておるわけじゃないのです。いま局長から、十三頭というお話が出ましたが、統計の調査によりますと、十頭から十四頭規模で管理労働が一頭当たり二百三十五・三時間、それから百キロ当たりで計算しております粗飼料の生産労働これを標準乳量に換算いたしまして、一頭当たり約八十時間とすると、両方で一頭当たり三百十時間かかるわけですね。そうすると、十三頭というと、年間労働時間が四千時間ということになります。標準農家を調査した統計によれば、四千時間という労働時間になりますね。
 そこで、私は一言申し上げておきますが、農家の標準世帯の家族は、お話にありましたように、都市勤労世帯よりも多いわけです。農村は親たちを扶養し、同居しておる構成員がおりますから、都市勤労世帯よりもぐっと比率が高い。家族構成が多いわけですね。したがって、都会の百三万、いま局長の話しておられた農村の百三十二万、この約三十万の所得は、これはやはり健康であれば親たちも手伝うわけで、二千七百時間にそういう労働もあるんだから、三十万の所得を得るための労働時間は、そういう家族構成の中では多くていい、こう考えるわけですね。それなくして、二千七百時間で百三十二万ということは、これはやはり無理ですから、家族構成が多いから、その必要とする所得を得るための労働時間は、家族構成から見て多い労働時間で専業体系を確立していかなければならぬ、こう思うわけです。そういうことで計算してみたら、この労働評価というものがことしの乳価を決定するにあたって、前年度の家族労賃評価――この体系をことしすく改めろと言うのじゃないのです いますぐ農家単位所得方式に労働時間評価を改めるということになると、ことしの作業の間に合わぬと思いますから、来年まではそういうことで農業団体の意見も聞き、統計資料もまとまっておるわけですから、やはりいま言ったような労働時間、専業体系できちっとあらわした労働評価に変えたほうがいいと思うのです。生計し得るように世帯単位の労働との均衡をとっていく。農業基本法でも所得均衡ということはいっておるのに、それをやらぬわけですから、法律は死物化しておるわけです。農業基本法はいい面と悪い面がありますが、基本法をつくっても悪い面だけ活用して、いい面は全然やらぬわけです。したがって、そういう点は明年度までに検討する必要があろう。当面ことしの作業についても前年度評価を据え置きにして、たとえば社会全般の労賃の値上がりは一四%であり、統計の調べによれは、飼育頭数は一頭ふえて六・五頭である。一頭分の生産性の向上を差し引けば一四%の労賃は評価がえするけれども、一%か二%実質労賃が上がれば生産性の向上でやれるんだ、こういう考え方をするとするならば、私は非常に抵抗を感じるわけです。労賃については、さっきも申し上げたし、局長もそういうことを計算されておると思うのでありますが、そういう農家の専業体系で、他の企業の世帯としての所得を見て、それで修正計算をしてみて、これを基本にすぐ変えるということは、私はことしの場合は無理だと思います、こういう計算原理に立っておりますから。その考え方から見ても、粗飼料生産労働とか、こういう労働に対して、これだけ物価も上がっておるわけですから、それの根っこになる基本の計算をしたときに、私ども率直に言うと、計算のしかたに多少誤差があるのじゃないか。そこを多少修正してことしの価格をきめる必要がある、こう私は思うわけです。いま、六・五頭の体系で、四百五十円を採用せよと言うのじゃないのです。四百五十円を採用するときは、いま局長が言ったように、製造業と自然産業の農業との生産性の比較と言ってみたって、これも形態が違うわけですから、完全に比較できるものじゃないけれども、ことしの価格決定にあたって、そこらを検討する要がある、そう思うわけですが、どうですか。
#32
○増田(久)政府委員 先生からいろいろの御示唆をいただいたわけでございますが、私のほうは、労賃の評価につきましては、労働省の統計あるいは農林省の統計、それぞれその値上がり分というものは当然計算の基礎に入れて計算をしているわけでございまして、去年どおりそれを使うということではございません。実際の賃金の動向というものを今後の価格に反映せしめるということでわれわれとしては計算いたすわけでございます。
 なお、先生から御示唆がございましたのは、算定の方法について検討せよというお話でございました。その場合に、しからば一体どういう専業経営をそこに想定するのか、どういう家族構成を考えるのか、どういう労働従事者を考えるのか、その他土地条件というものはどう考えるのか、そこら辺のいわば標準設計と申しますか、標準経営設計というものをどう設定するかということがやはり一つの大きな問題点になると思うわけでございます。しかし、私は、将来の方向としては、いまのような平均でやるということよりもはるかにそういうものに合理性を持つというふうに個人的には考えておるわけでございまして、そこにわれわれが酪農近代化指標というものをぶち上げていった一つの意味があったわけでございます。そういう意味で、その問題ともからみ合いまして、今後の一つの重大な検討課題にさせていただきたい、かように考えているわけでございます。
#33
○美濃委員 将来検討してもらえるということでありますから、ひとつ検討してもらいたいと思います。それから本年度にあたっても、単に前年度踏襲ということでなくて、その他の状況を勘案して検討するということでありますから、もうこれ以上答弁は要りませんが、前年度から若干伸びておる生産性の伸びを、非常に体系の悪い労働評価から完全に政策収奪するということは、酪農生産者一これは養豚経営もそうですが、畜産経営農家に残酷な措置だと私は考えますので、どうかひとつ、決定までの間にそこを十分検討してもらいたいと思います。
 次に、流通飼料の見方、これをお聞かせ願いたいと思います。特に価格です。
#34
○増田(久)政府委員 われわれが流通飼料の評価をいたします場合には、直近三カ月ということで十一月、十二月、一月の価格をつかまえまして評価をするわけでございます。御存じのとおり、去年の十月に配合飼料が二千五百円、平均で上昇したわけでございますが、その価格は来年度の保証価格の算定には十分繰り入れられて計算されるということになるわけでございます。
#35
○美濃委員 具体的に、流通飼料の価格の推定、予想ですね、どういうふうに上がるのか。前年度から見ると、四十四年の乳価や豚肉を決定した飼料より四十五年度中には上がったわけですから、これはどういうふうに見て、どの程度値上がりとして推定しなければならぬかというきちっとした考え方をお聞かせ願いたいと思うわけです。
#36
○増田(久)政府委員 いま具体的な計算は最後の詰めに入っているわけでございますので、具体的な数字についてはお許し願いたいと思います。計算としましては、御存じのとおり、生産費の中で大体飼料費が全国平均で三七・五%を占めておるという数字があるわけでございます。これは全国平均で申し上げておきます。そのうち配合飼料費の割合がたしか四八%程度である。それに去年の値上がりが五%でしたか、そのパーセントがちょっとはっきりいたしませんけれども、そういうことで、そういうものは十分織り込んで計算いたしておるわけでございます。
 それからきのう発表されました全国数字におきましても、飼料の値上げといたしまして、ここに生産費として書いておりますとおり、上がった理由の飼料費としては、飼料費で四十二円ですか、一番上がりましたのは飼料費で昨年より一〇二・九%上がっておるという統計の数字が出ておるわけでございます。その数字は当然それと同じではございませんけれども、そういうことは十分そういう形で反映されるものと考えておるわけでございます。
#37
○美濃委員 次に、農機具関係ですね。これはいずれも上がっています。前年度据え置きという体系じゃありません。この体系はどういうふうに見ておりますか。前年度対比どのくらいに見ておるか。
#38
○増田(久)政府委員 機械費につきましては、統計からいただく数字をそのままいただきまして、それに来年の傾向を若干推定をいたしてやるわけでございまして、これは原則として統計の数字に従っていくという方面で考えているわけでございます。
#39
○美濃委員 第三点は、日本の酪農はやはり非常に最近酪農といってもいいわけですから、酪農の生産が非常に伸びてきたといってもここ短い年限でありまして、おしなべて高額負債を持っておる。その内容が、とても――これは統計で抽出農家の場合、たとえば畜舎の償却あるいは資本利子等についても、畜舎あたりの評価は現在価格で見ておりますから、特に酪農近代化政策で大型新築をしたものの場合、しかもそれがある程度の高額負債になり、その利子条件というものは御存じのような八〇%制度資金を活用したとしても、とてもこの資本利子の範囲で支払い得る条件ではない。しからばその条件に資本利子を修正するということになれば、これはやはり物価上の問題、消費者に与える乳価上の問題も出てくるし、また一面には、昔から完成された酪農家には、もういわゆる多頭化規模を達成して、標準調査農家の中にもそう高額負債でないものもおる。これが現実の酪農家の姿だと思うのです。そこで、この関係は早急に制度資金を改正する必要がある。
 それで資本利子で計画された、いわゆる畜産経営として先ほど論議をしましたその頭数は、十三頭が適当か何かは今後しさいに検討するとして、一応の考え方として十三頭という畜産局長の表現は私はそれなりに傾聴に値する考え方だと思って聞いておるわけです。否定するものでもないし、それは今後煮詰めるとして。そういう規模のものをつくるということになると、どうしても飼料を生産する土地なり畜舎なりあるいは個体導入ということになれば数百万の投下資本がなければ、一、二頭あるいは五頭農家が働き出して自己資本でつくるという体系にならぬわけですね。そうすると、そこに理論的に、この酪農投資というものは抜本的に、片や消費者に与える価格ということもあるわけですから、ここは政策的にそういう意欲をもって多頭化する農家が少なくともこの保証乳価の中の資本利子、地代の合算でその所要の八〇%の借り入れ資金というものが償還できるように金融制度を合わさなければいかぬと思うのですね。これを上げるというよりも、金融制度を合わさなければ、大きな矛盾ではないか。これは去年大蔵委員会でも――きょう企画室長に来てくださいといったのですが、企画室長が約束したのですね。これは矛盾だということをいって、大蔵省の主計局の局長ではなかったけれども、検討すると約束しているわけですね。大蔵省側も約束したわけです。農林省側もあのとき大蔵委員会で企画室長が約束したわけですね。それはどうなっているのですか。ことしの政策には出てこないが、ことしは間に合わなかったけれども、来年度必ずやるのかどうか、これをお聞きしておきたいと思います。
 企画室長、来ておりますか。要請しておいたのだけれども、来ていらっしゃらなければ、局長、お願いいたします。
#40
○増田(久)政府委員 いま企画室長は大蔵委員会のほうに行っておりますので、実は参っておらないわけでございます。
 先生のおっしゃるような問題が確かにあるわけでございますが、率直に私の立場のほうから申し上げますと、一つの生産費というコストの問題と、それから償却するという問題は――償却といいまますか金を返す制度、それは一つの金融制度の問題の中で考えらるべき問題ではないか。そこのところはやはり、それを生産費の中で一緒に見ていくということには、私は率直にいって問題を感ずるわけであります。しかし現実の農家が借金をどんどんしていっている実態というものは事実あるわけでございますから、それはわれわれがいま統計調査部にお願いをいたしまして、その借金の実態、それから自己資金の割合、そういったものの補完調査を実はお願いをしているわけでございまして、われわれの今度の算定にはその補完調査により実態をつかまえて強化をするというふうに、いま検討しているわけでございます。
#41
○美濃委員 この関係は、その調査に基づいて――まあ保証価格は平均価でいいと思うのですね。平均価で行なわれると、借り入れ金の少ない人はそれでいいわけですね。あるいは借り入れ金ゼロという人はそれでやれますけれども、やはりこの畜産経営は、申し上げるまでもなく設備投資を多く必要とするわけですから、意欲を持って拡大した農家の借り入れ金は、平均価よりずっと多いわけですから、その農家は、非常に経営収支が合わないし、あるいは投資効率が悪いと、拡大したことによって経営を悪化するという問題すらいま出ておるわけですね。ですから、それは調査は調査でけっこうですから、去年は大蔵委員会でもそういうふうに農林、大蔵約束しているわけなんで、これはひとつ、主管は畜産局ですから、早急に、もうことしは予算上にも全然出ていないわけですから、来年には間に合わす、こういう意欲を持ってやる意思をここで表明してもらいたいと思います。
#42
○増田(久)政府委員 確かに借金の問題と申しますか、融資制度の問題については、私はなお改善すべき余地があると思っております。そういう点について改善することについては、最大の努力をいたしたいと思います。
#43
○美濃委員 次に公害問題について、若干これからの対策について考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
 最近特に農薬混入の問題それから抗生物質、いわゆる乳房炎に対するペニシリンの問題ですね。これが非常にやかましいわけですが、このことを厳格にしていくと、結局一面では、飼料費が全国的に私は上がると思います。飼料費の増加ですね。また、農薬混入の問題については、やはり体内に蓄積、残留をしますから、これはどうしても、公害対策からいけば厳格にやらにゃならぬと思うわけです。それをやれば、やはり稲わらの問題にしても、一部飼料に適応するものがあれば、いろいろのものを自家飼料化して食べさせておるわけですが、使用しておるわけです。そういうものが使えないものがだいぶん出てまいります。そうすると、全国的に見ると、自給飼料費の増加が出てくる、こう考えるわけです。それから、一部抗生物質から、その注射を打って七十数時間以内は乳はだめだということになると、これは三日分投げんければならぬわけですから、これらの関係を公害対策として全部、これは去年から非常にやかましくなってきたわけですが、たとえば四十五年の価格体系の上から見れば、それは農家の自己負担でやりなさいというのか、四十六年度乳価の面では、この関係を計算してこれがキロ当たりどのくらいになるのか、大きな、何円ということにはならぬと思いますけれども、こういうものを乳価体系の上でどう見ていくか、これは乳価体系の必要経費の計算、やかましくなってきた公害に伴う経費の増加というものをどういうふうに計算して見ておるか、これは統計でもちょっと出ていないようなんであります。どういうふうにこれを見ておるか。
#44
○増田(久)政府委員 御指摘のとおり最近公害問題が出まして、そういう問題がいろいろ出てくるわけでございますが、これは生産費の上の処理の問題として申し上げますれば、薬代がかかれば、当然獣医師費及び薬品費という形の中へ算入をされてまいります。それから施設をすれば、それは建物費の中に計算としては入ってくる。それから厩肥をどこかに引き取ってもらったということになれば、それは賃料の料金のほうに算入をされるというようなことで、それからまた、三日分の乳量が捨てられたということになれば、それは最後の計算をするときの乳量のほうで調整される、こういうことで一応生産費をつくる上の約束の上ではそういうものは計算をされるということに計算上はなっているということでございます。
 なお私の感じを、個人の感じを申し上げてあれでございますが、こういうものはやはりなおもう少しわれわれも実態を精査してみる必要があるのではないかというふうに考えておりますし、特に来年は乳房炎の問題がペニシリンの問題と出てまいります。そういうことで、BHC問題は、率直にいってこれは山を越して消費者に安心してもらえるという段階に来たというふうに確信を持っておりますが、この乳房炎の問題というものは、来年にかけて大きな問題になって出てくる可能性がある。私はこれは農業団体の方とも協力して、自衛防衛の組織の中でこういうものの対策を強化しなければならない、そういうことでいま検討いたしている段階でございます。
#45
○美濃委員 もう一つ、いまお話のあった考え方の中で、確かにこういう関連から設備したものについてはいろいろ出てくると思いますけれども、それはそれでいいと思いますけれども、飼料関係が、飼料とか稲わらとかこれをいままで手近かで安く使えたものが、廃棄することによってこの関係がかなり移動してくると思うのです。そういう点をひとつ十分把握して、状態を把握して、価格対策の上に、あるいはその他の対策の上に十分その適正を期してもらいたい、こう思うわけです。
 それから同じく公害といっても、もう一つ抗生物質の関係については、ちょっと農薬とは質的に条件が変わるのではないか。これは体内残留もしませんし、ペニシリンですから毒素にはならぬが、ただ抗生物質体質になるということで禁止事項に入っておりますけれども、これはやはり条件も違うし、公害ですから、ここで時間の関係もあって長くどうこう申し上げられませんが、この関係はやはりいま話のあったように、指導体制を強化して、とても時間のかかる乳量検査を一々しておれませんから、これは家畜衛生試験場なり何なりでそういうものを排除するということについてはこれは当然だと思います。またペニシリンを打った乳牛、これは全国的にいえば、共済組合が全国的にも家畜診療に当たっておる地域が多いわけですから、そういうところで農業団体と関連の中でもペニシリンを打った牛というものは他の方法でも把握できるのですから、また生産者指導を徹底して、あの長期に時間のかかる検査を一々するということでは、とてもこれは受け入れコストの問題、短時間で死亡率を見るようなものじゃないのですから、ですから混入をしないという指導と把握を徹底して――あまり検査をやかましく言うと、もうこの関係はそのために起こる受け入れの経費の増大というのは非常に膨大なものになりますから、それほどやかましく言わぬでも、体内に蓄積する毒素ではないわけですからね。そこを十分勘案して指導体制でこの絶滅を期するということで、あまり乳質検査にこの関係を持ってこないで指導体系で絶無を期せると思いますし、そのほうへ力を入れて、この関係の乳質検査というものを極力圧縮しないと、現地はどうにもならぬです。これはもう十分局長もおわかりだと思いますから、その点をひとつ徹底してもらいたいと思います。
 あと飼料条件について、ちょっと戻りますが、いま飼料生産国ではトン五十ドルを――石油と同じです。トン五十ドルをかなり意識して主張する体系に出てくる。えさ用ですね、これは主としてトウキビ類です。トウキビ類は一トン五十ドル、向こうの産地価格ですね、五十ドルを主張する体系が高まっておりますから、それに運賃、商社手数料を含めるとどうしても七十ドル近いものになってくるだろう。五十ドルといっても、一俵六十キロで日本円で換算すると六百何十円、七百円ぐらいですからね。それは発展途上国の非常に工業の低い国がそういうものを多くつくって、先ほどの話じゃないけれども、これはとても話にならない生活の状態ですから、まあ一がいに言うなら発展途上国搾取貿易価格とも言えるわけです。そういう価格がいつまでも長期的に持続して継続されると思ったら大間違いです。石油問題がしかりでしょう。ああいう問題は今後国際市場に多く出てくるということでありますから、飼料の自給体制の確立は、私は畜産経営安定の要件だと思います。たとえば飼料自給化といっても、これは必ずしも広い面積でなければできないという要件ではございません。創意とくふうによってやれる条件である。そして現在の購入飼料を大幅にダウンすることは可能である。この政策の確立。あわせて、日本の農事試験場にはえさ用作物の試験というのはないのですね。販売用の穀物だけの試験研究であります。専門的な、酪農地域の農事試験場に、たとえば北海道と九州と、えさの自給体系を試験場でやるとしても、これは作目がちょっと変わってまいりますから、そういう畜産の多い地帯にえさ用作物の試験科を設置するように、畜産局はやはり最善の努力をすべきである。その体系をこれから逐次高めていかなければならない、こう思います。
 そこで、いまの局長の購入飼料に対する四十六年の展望がちょっと甘いようでありますから、この点もいまここで絶対甘いときめつけるようなことは言いませんが、私の考えではちょっと甘いように考えますから、もう少しこの関係はしさいに、価格決定までに十分検討してもらいたい。
 以上で、私の時間が終わりましたので、本日の質問を終わります。
#46
○三ツ林委員長代理 芳賀貢君。
#47
○芳賀委員 畜産局長に尋ねますが、本日の委員会に農林省として何らの資料を提出できないというのはどういうわけですか。これは経過があって、昭和三十六年に畜産物価格安定法をわれわれ制定して、それ以来、一方においては農林大臣の諮問機関として価格審議会を設置し、一方においては、政府が決定する事前の当委員会において必ず審議をするという、そういう慣例になっておるわけです。去年まではどうやら必要資料の提出がありましたが、ことしは全然資料を出さぬ。しかも明日、畜産審議会の酪農部会を控えておるわけですからして、畜産局として、あすの酪農部会を前にして本日何らの資料が整っていないということは、これはまことに異常なことであり、われわれとして奇異に感ぜざるを得ないわけです。そのことは何らかの意図があって農林委員会にはもう一切資料を出さぬ。官房長や畜産局長が顔出しだけして引き下がるというようなことかもしれぬが、これはけしからぬと思うのですよ。笑いごとじゃないですから、この点はむしろ官房長から、農林省としてのかかる態度の根拠というものを明らかにしてもらいたい。
#48
○太田(康)政府委員 先ほど美濃先生との質疑応答の中で畜産局長が申しましたとおり、おそらく畜産局として現在せっかく数字を計算中でございまして、なお関係方面との調整も要するということで、まだおそらくそういうものができ上がっていない結果お出ししてないのだろうというふうに私考えております。もちろん御審議をいただくわけでございますから、間に合えばこういうものを全部お出しいたしまして十分御議論をいただけばよろしいわけでありますが、今回の場合には、そういうことでまだ最終的な調整が終わってないということでございますので数字が出ていないということでございますが、今後はできる限りそういうことのないようにつとめてまいらなければならぬということで、毎度そういうことで考えておるわけでございますけれども、実際問題としてなかなか、最後までいろいろもめるような関係もございましてこういった事態になっておるということでおわび申し上げなければならぬというふうに考えております。
#49
○芳賀委員 算定資料の中には、たとえば政令や省令に根拠を置いて一定の約束のもとに整える資料というものがあるわけですね。これは調整を要しない資料というものも当然あるわけなんです。そういうものもいままで整わないということになれば、確信のある算定作業というものはできないと思うのですよ。そうじゃないですか。
#50
○増田(久)政府委員 ただいま官房長から申し上げたとおりでございますが、われわれのほうといたしまして最終的に委員会にお見せします数字というものは、ここで動かないという数字でなければならない、それがまだ中途段階で変わり得るという数字で御審議願うことはいかぬことだと私は思っております。現在の段階で統計の全国数字がきのう発表されたわけですが、そういう数字も最近いただきまして、それに基づく調整作業も、現在、率直に申し上げまして職員がほとんど徹夜の状態でいま作業している段階で最後の調整に入っているわけで、しかも各省との調整もこれから最終的にやらなければならないという状態でございまして、まことに恐縮でございますけれども、いまの段階ではお出しする数字がないというのが実態でございます。
#51
○芳賀委員 これは官房長にお尋ねいたしますが、従来もそういう、いま畜産局長の言ったような正確な資料の積み上げによって価格を出しているわけじゃないですね。これは言うまでもなくわかっておることだから。ただ、それはあらかじめ価格を設定してそれに合致する算定作業を毎年繰り返しておるわけです。去年の場合にも畜産審議会に対しては前年同様据え置きという資料を出して、あとでキロ当たり二十一銭、若干にもならぬですけれども、とにかく二十一銭の値上げということできめたわけだから、ことしもおそらく一定の価格を想定して、その数字ができるような作業に苦慮しておるんじゃないですか。そうであれば話はわかるのです。先に値段をきめて、それに合わせるということならば、これは米価の問題にしても畜産の問題にしても相当頭を使わなければならぬわけですから、そのために何らの資料出せぬというなら、一応の農林省なりの理由はあると思うのですが、その点はどうなんですか。
#52
○増田(久)政府委員 先ほど美濃先生の際にも申し上げましたけれども、われわれとしては客観的な数字に基づいて算定をいたすけわけでございます。しかしながら、きめますのは来年度の価格をきめるわけでございまして、そこにある推定と申しますか見方の相違というものがどうしても各省間に出てまいります。需給の数字一つとってみましても、もっと多い、あるいは少ないとかいうような各省の見方がありますし、それからもっと率直に言わしていただければ、各省の立場において、やはり物価は極力抑制すべきだという観点で考えてくる省もあるわけでございます。そういうことで、そういうところにおいて各省の調整をどうしてもとらなければならない。政府として一本の諮問案を出すわけでございますから、そこの調整にいま手間どっているというのが現実の姿でございます。
#53
○芳賀委員 政治的にきめるのであれば、ここで何もまじめな議論する必要はないですからね。そうでしょう。だから、その作業の内容によって質問をする必要がある場合と、もう最初から据え置きとか一円値上げするとすれば、何もここで議論をしてみたところで、むだなことになるわけですから、その点は官房長どうですか。お互いむだを省くことにしましょう。
#54
○太田(康)政府委員 政府といたしましては、先ほど畜産局長も申し上げましたように、政府部内の統一の方針を確定するということで、現在その努力を続けておるわけでございまして、御承知のとおり、畜産振興審議会の酪農部会にかけますのは、安定飼料価格とか基準統一価格とか限度数量とか保証価格をきめる場合に留意すべき事項ということをお願いをいたしておるわけでございまして、その際、政府といたしましての一応の試算という形で、参考資料として計算の結果をお示しいたしておるわけでございます。もちろん政府としては、これを政府部内の見解といたしまして、これによって決定いたしてまいりたいということでございますが、なお審議会等の意見もお聞きいたしまして、これらの答申を得た上で決定するということを従来いたしておるわけでございまして、今回もおそらくそういう運びで決定することになろうかと思います。
#55
○芳賀委員 それでは、畜産局は何らの資料がないわけですから、統計調査部は二十五日に昭和四十五年の牛乳の生産費調査を公表したわけですが、統計調査部の牛乳生産費調査というものは畜産局と関係あるわけですね。関係あればこれから質問したいと思うのですが、どうですか。何も関係なければ、これも必要ないということになる。
#56
○増田(久)政府委員 昨日統計から全国数字が発表されたわけでございますが、われわれは、その全国の統計の中の一道六県にかかわる部分を統計調査部から原数字をいただきまして、その作業をしておるということでございます。
#57
○芳賀委員 それでは本件は統計調査部長に聞いたほうがわかるのですね。どうですか。
#58
○増田(久)政府委員 内容が統計的な問題でございましたから、統計部長で答弁していただきたいと思っております。
#59
○芳賀委員 それじゃ、せっかくの畜産局長の依頼ですから、中沢さん前に出てください。
 四十五年の牛乳生産費の内容については手元にありますが、これについて、今回の四十六年度の保証乳価決定に関係のある部分について、概要の説明をしてもらいたい。
#60
○中沢説明員 お答え申し上げますが、先ほど畜産局長からお答え申し上げましたように、私のほうといたしましてはや昨日、四十五年度の全国の牛乳の生産費を公表してございます。これは加工原料乳の場合と違いまして、つまり一道六県の数字ではございませんで、全国の生産費の平均でございます。したがいまして、このうち加工原料乳に関係ありますところの一道六県の生産費につきましては、それ自体私のほうでは直接計算しておらないのでございますが、先ほど畜産局長が御答弁申し上げましたように、その原数字を差し上げまして、畜産局のほうで集計をお願いしているわけでございます。したがいまして私のほうといたしましては、一道六県にかかわる生産費というものの作業をいたしていないわけでございます。
#61
○芳賀委員 それでは四十五年の生産費の基礎になった、たとえば一戸当たりの平均頭数、それから一頭当たりの生乳の平均生産量、それから一頭当たりの飼養管理に要する労働時間、特にこの中の自家労働時間、次に百キログラム当りの所要労働時間、それから統計調査部のほうは家族労働費については農業日雇い労賃を従来用いておるわけですから、その労賃の実態と、加工乳の保証価格をきめる場合には主要な生乳の生産地帯の他産業の労働賃金を採用するということになっておるので、これを置きかえた場合にはどういうことになるか、そういう点について一通り説明を願います。なお、単年度だけですと、畜産局の乳価の算定内容と比較対照のできがたい点があるので、手数でしょうが、昭和四十三年、四十四年、今回の四十五年と、いま言ったような費目について数字をあげていただきたいわけであります。
#62
○中沢説明員 恐縮でございますが、質問事項がたいへん多うございましたので、あるいは申し落としがあるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
 まず、私のほうがいたしました平均生産費を出す場合の一戸当たり頭数は全国で五一五頭でございます。
 それから平均の搾乳量でございますが、四千七百十一キログラムでございまして、乳脂率三・二%で換算いたしますと、五千二十六キログラムでございます。
 それから労働時間でございますが、平均で申し上げますと、合計で二百九十四時間でございまして、家族に関する労働時間を男女別に分けますと、男子が二百一時間、女子が八十七時間。それから雇用労働時間を男女で分けますと、男子で六時間、女子で〇・三時間、こういうふうになっております。申し落としましたが、これは一頭当たりでございます。
 それからなお、自給労働力の換算の問題につきまして御質疑がございましたが、先生御指摘のとおりに、購入飼料、飼育管理労働につきましては、一道六県の近郊の都市の労賃で換算しているというふうにお聞きしております。御案内のように、自給飼料でありますところの生産費費目で申しております採草費につきましては、従来のとおり農村の臨時雇い賃金で評価しておるわけでございますが、この評価単価は、男子で申しますと、本年度使いました数字といたしましては千四百一円、こういうふうになっております。
#63
○芳賀委員 百キロ当たりの労働時間はどうなっていますか。
#64
○中沢説明員 百キログラム当たりの労働時間は五・七三時間になっております。
#65
○増田(久)政府委員 先ほど評価がえをしたときどうなるかというお質問もございましたけれども、まだ評価がえの計算は現在やっておる最中でございますが、これは毎勤の統計で一道六県のものを見てまいりますと、製造業の労賃は昨年は二百五十六円二銭でございましたが、二百九十二円二十六銭という形の統計が得られますので、御報告だけ申し上げます。
#66
○芳賀委員 次に統計調査部長に申しますが、四十三、四十四年はあとで比較表で出してもらえばいいと思いますが、ただ三カ年間における前年度対比の生産費の上昇傾向というのはこれははっきりわかると思うので、百キログラム当たり各年の前年度に対する生産費の上昇指数はどうなっておるか、これはおわかりでしょう。
#67
○中沢説明員 わかっておりますので、そう時間もかからなく取りまとめをすればまとめられると思います。
#68
○芳賀委員 そこで、四十五年については、生乳百キログラム当たりの生産費は前年対比四・一%増、金額にして四千五十六円ですから、前年度よりも百五十八円生産費が上昇したことになるわけですし、搾乳牛換算一頭当たりの生産費は二十万三千九百十円で、昨年よりも四千七百四十五円上昇で、指数が二・四%、これについて説明があればお願いいたします。
#69
○中沢説明員 恐縮でございますが、いまのは、先ほど御要求になりました四十三、四、五年の上昇率の数字の説明でございますか。
#70
○芳賀委員 いま言ったのは、四十五年の生産費調査がありますが、この中で百キログラム当たりと搾乳牛一頭当たりの生産費が出ておりますね。前年対比上昇指数も出ておるわけだが、これのおもなる内容について、説明すべき点があればやってもらいたいと言ったんです。
#71
○中沢説明員 失礼申し上げました。
 四十五年と四十四年との比較でございますが、ただいまお話のございましたような率で上がっております。これを全額で申し上げますと、まず百キログラム当たりの生産費が四千五十六円になっておりまして、前年対比で申し上げますと四・一%高くなっております。この内訳は、つまり高くなりました要因といたしましては、飼料費が二・九%、それから自給飼料がほぼ四%、労働費が一・七%ほど高くなっております。これを一頭当たりで申し上げますと、生産費が二十万三千九百十円になっておりまして、前年対比二・四%高くなっておりますが、ただいま申し上げましたように、一頭当たり生産費が二・四%アップであり、百キログラム当たり生産費が四・一%の増ということになっておりますのは、一頭当たりの搾乳量が減少しておる関係でございます。
 なお、生産費の主要部分を占めます費目をあげてみますと、飼料費と労働費と乳牛の償却費でございまして、それに自給飼料を加えますと、四費目でほぼ費用合計の八八%になるわけでございます。これらの費用がただいま申し上げましたように値上がっている関係で、前年よりも高くなっているということでございます。ただ労働費につきましては、主要労働時間が前年度に比べましてほぼ一〇%ほど減少しておりますが、労働単価の上昇がこれを上回っておりますので、労働費全体といたしましては若干高くなっておる、こういう状況でございます。
#72
○芳賀委員 いまの統計部長の説明を基礎にして畜産局長にお尋ねしますが、この中で飼育労働費の家族労働の算出は、去年は五・一四時間ということになっておったわけですが、これはことしはどういうことになりますか。
#73
○増田(久)政府委員 一道六県分につきましては、いま、先ほど申しましたとおり精査をしておる段階でございますが、大体傾向としてはこれよりもやや大きく出る。合理化の傾向の大きい地帯でございますので、これよりやや大きく出てくるのではないか。そういうことで、おおむね四・五時間か六時間くらいのところになるのではないかといういま推定をいたしておりますが、まだ確定的な数字は申し上げられない段階でございます。
#74
○芳賀委員 去年の五・一四時間に対して四・五時間くらいになるということですか。
#75
○増田(久)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、いま算定の最後の詰めに入っておる段階でございますので、正確な数字はまだ申し上げられませんが、おおむねその程度まで、一〇%以上の数値が得られるのではないかということを申し上げたわけでございます。
#76
○芳賀委員 次に これに対する時間当たりの労働賃金ということになれば、これは昨年は二百五十六円二銭ということになっておるわけですし、いま局長からも、本年度の労賃の評価がえの話がありましたが、昨年の二百五十六円二銭に対して、ことしは大体どういうことになるのですか。
#77
○太田(康)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、一道六県の製造業の評価は、毎勤統計から計算いたしますと、いま二百九十二円二十六銭になるのではないだろうかと思っております。
#78
○芳賀委員 その次に、同じ労働費の関係ですが、飼料作物費の中の労働費これは毎年問題のあるところでして、昨年までは、自給飼料の生産に要する自家労働の評価については、この分だけが農業の臨時労賃ということにしてあるわけですが、これはことしはどうするつもりなんですか。
#79
○太田(康)政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、現段階では、従来の方式をそのまま踏襲する考えでございます。
#80
○芳賀委員 この点については昨年も、こういうような同一労働が作業を異にした場合において、その労働の評価が変わるというのは、これは理論的にいっても問題があるのじゃないかと思う、どうしてもこういう方式をとらなければならぬとすれば、むしろ乳牛の飼育に要する年間あるいは百キロ当たりの飼料費を全体的にまとめて評価して用いたほうが妥当ではないか、こういう議論もしておるわけなんです。これは十分検討するということに太田さんの時代からなっておるのだが、全然やっていないわけだね。いままでどおりやればいいということですか。
#81
○増田(久)政府委員 部内でその点についていろいろ検討もいたしましたし、各種農業団体からもこれにつきましていろいろのお話があったことは事実でございますが、酪農の経営の現段階及び現在の算定の方式を前提といたします限りにおきましては、この方式を現在変えるのは適当ではないであろうという結論に達しているわけでございます。
#82
○芳賀委員 しかし、一年間に乳牛一頭当たりに要する飼料というのはわかるでしょう。これは統計でもわかりますね。可消化栄養分にしても、一定の飼料単位に統一した計算をしても、年間の乳牛の正常な飼育に要するえさの必要量というのは、これは明確に出てくるわけだからして、それを基礎にして評価をするということはできないことではないのですよ。いま言われた農業団体についても、そういうことは必要ないとか、やってもらっては困るということではないと思うのですね。ただ畜産局としての目的は、この自給飼料の部分について、これをできるだけ低い評価をして、保証乳価を下げるという目的以外に何もないのじゃないですか。こうしなければならないという理由は他に何もないわけですから。この点はやはり前向きに毎年毎年積み上げて検討して、改善すべきものはするということにしなければいけないと思うのですが、いかがですか。増田局長の時代も、前任者と同じような考え方で逃げ終えるという気でおるかどうか。
#83
○増田(久)政府委員 私の考え方でございますが、そういう飼養管理以外の労働につきまして評価がえをするというようなことをやります場合の前提といたしまして、やはり酪農経営が専業化する、それで相当の機械装備をして、余人をもってかえがたいような経営形態に、全部とは申しませんけれども、多くのものがなるという実態がありました場合においては、私はそういう評価をするのは妥当だと思います。しかし、現実の段階では、先ほど申しましたとおり五頭、六頭というような複合経営の形で、そういう作業については代替性もあるし、拘束性もないということを考えれば、いまの段階でそういうことをすることは必ずしも妥当ではないというふうに考えているわけでございます。
#84
○芳賀委員 えさ代の中では、購入飼料のほうが割合が多いわけですからね。購入飼料と自給飼料を合算したものが一年間の必要飼料ということになるわけでしょう。ほんとうはすなおな考えでいけば、購入も自給も一本にまとめて、それを飼料費として算定するというのが正しい扱いになると思うわけなんですよ。そういうことでやれば、国内において一千万トン以上の濃厚飼料を輸入しなければならないという異常な状態を克服するためには、やはり国内における自給飼料の生産ということを相当政策的にも誘導しなければならぬわけでしょう。だから、この飼料費の計算にしても、自給飼料について購入飼料と同じような評価に立ってやるということになれば、その中で自給飼料の生産に畜産家が努力すれば、そこに経済有利性というものが当然出てくるわけですね。それはやはり政策的には自給飼料の生産に対する一つの奨励あるいは助長策にもなるわけでしょう。その辺に頭を使わなければ、毎年毎年一千万トンになった、一千百万トンのえさを輸入いたしますというようなことは、これは世界一であっても何も自慢にならぬじゃないですか。そういう高度な判断から見ても、いまのような飼料費の計算を、購入と自給を区分して、しかも自給についてはその生産費の中の自家労賃についても別の評価をやるというようなことは、当を得ないと思うわけです。これは畜産審議会はごまかせても、神聖な国会の委員会で毎年毎年同じようなものを持ち出して、これよりほかしようがありませんというような顔をされちゃ、われわれとしてもあなた方を信用できないということになるわけですが、まだこれに何らの資料が整ってなくて、あしたの部会にかける価格上の詰めもできてない。その点はちょうど幸いですからして、これからでもやってできないことではないでしょう。局長がかわるたびに何か一つくらいいいことをやっておかぬと、せっかくあなたも畜産局長になったわけだから、この点は少し積極的に取り組んでもらいたいと思うのですよ。
#85
○増田(久)政府委員 購入飼料につきましても、飼料費につきましても、これは直近の三カ月の価格で評価してやるという形は、依然としてとっているわけでございます。ただ、私は率直に申し上げまして、自給飼料の増産ということには当然われわれとして力を入れなければならない問題であることは言うまでもないわけでありますが、それをこういう価格の中で誘導すべきなのか、あるいは他の助成策で誘導すべきことなのか。その点については、やはり現段階では補助政策と申しますか、助成の体系の中で、その方向をとるのが妥当ではないか、そういうことで従来も努力してまいりましたけれども、今後そういう方向には一段と力を入れたい、私はかように考えております。
#86
○芳賀委員 とにかく一物一価というのが経済の法則ですから、同一の牛に与えるえさが、これは購入だから自給だからといって価値に差をつけるというのはおかしいでしょう。やはりそういう原則とか法則を踏まえて、きちっとやるのが行政府の仕事だと思うわけですね。
 そこで、この飼料作物に関する自家労働時間というのは、ことしは大体どういうことになりますか。
#87
○中沢説明員 自給飼料に関する労働時間の問題でございますが、一頭当たり八十一・四時間、百キログラム当たり一・六時間でございます。
#88
○芳賀委員 局長、これは一・六時間ですよ。これは飼育労働費と同じ評価にしてもたいしたことはないじゃないですか。これで一体どのくらい違うのですか。日雇い労賃を用いた場合と、それから他産業労賃の場合の賃金上の差というのは何円になりますか。
#89
○増田(久)政府委員 私、たびたび答えまして、同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、そういう量の問題としてではなく、私はやはり飼育労働に要する費用については、また評価がえをする経営の実態になっていない、そういうことで、評価がえをすることは多寡のいかんではなしに適当ではない、かように考えているわけでございます。
#90
○芳賀委員 統計調査部の日雇い労賃は千四百一円ということになっております。これを時間に直すことは容易でしょう、これはわかっておるわけだから。ただし、これは四十五年ですから、これは四十六年の一定の上昇傾向をとらえて、これを当然評価がえをしなければならぬが、それとあなたのさっき説明した時間当たり二百九十二円二十六銭、これは数字の上で比較できるのじゃないですか。百キロ一・六時間というものを基礎にした場合には、どういう差が出るかということを言っているわけです。
#91
○増田(久)政府委員 いまおわび申し上げなければいけませんが、いまちょっと手元の資料に見当たらないのでございますけれども、その賃金につきましては最近の十一、十二、一、この三カ月の賃金をとりまして、それをもって評価がえをするわけでございます。
#92
○芳賀委員 だから、統計調査部の千四百一円というものも変わるわけでしょう、自給飼料の労働費に当てはめる場合。それはできるのじゃないですか。
#93
○増田(久)政府委員 いま申し上げましたとおり当然それはその原数字をそのまま使うのではなくて、直近三カ月の価格をもって来年度の価格の算定基礎にするということにいたしているわけでございますから、それは変わるわけでございます。
#94
○芳賀委員 いや、変わるからどうなっているのかということを聞いているのですよ。あなたがわからなければ、うしろに担当者が控えているじゃないですか。とにかく、あしたの部会を前にして、毎勤統計における賃金がわからぬというのはふざけた話じゃないですか。
#95
○増田(久)政府委員 一時間当たり百九十二円でございます。
#96
○芳賀委員 そうなれば、一時間当たりの差というものはわかるでしょう。ちょうど百円差が出るのじゃないですか、他産業並みと日雇い労賃では。そうなれば、これは百キロ当たり幾ら違うのです。
#97
○増田(久)政府委員 おおむね百キロ一・六時間ということでやりますれば、百円かける一・六時間ということになりますから、百六十円ということになるわけです。
#98
○芳賀委員 百キロ百六十円でしょう。キロ当たりにすれば一円六十銭でしょう。違いますか。
#99
○増田(久)政府委員 そのとおりでございます。
#100
○芳賀委員 この問題だけでもキロ一円六十銭違うわけですからね。そういうことになるから、農林省としてはこれは毎年毎年がんばるでしょう。これを直せば、他は据え置きにしても、ことしはキロ当たり一円六十銭価格を上げなければならぬということになるわけですから。気のきいたことを並べてみても、他に理由はないのですよ。結局、できるだけ保証乳価を下げるために、この分について毎年毎年同じような手法でやっておるわけじゃないですか。これは大きいですよ。去年のように、キロ当たり二十一銭上げたということなんかよりも、この分だけことし是正しても、キロ当たり一円六十銭違うわけですからね。これは、この際厳重に指摘しておきますから、あと決定までには当然政府部内においても検討されると思うので、この点は十分留意しておいてもらいたいと思います。
 その次にお尋ねしたいのは、副産物価格の算出の問題ですが、この中の厩肥の労働費というものはどういう賃金評価をしているわけですか。
#101
○増田(久)政府委員 飼育管理につきましては、御存じのとおり全部製造業の評価がえをいたしておるわけでございます。そういう意味で、厩肥の分につきましても、それから一般の飼養管理の中における搬入、搬出費、それにつきましても、両方ともこれは製造業の価値で評価をいたしておるわけでございます。
#102
○芳賀委員 副産物収入は、これは引くほうの数字でしょう。これは労働費を高くすればするほど、この保証価格は安くなるということになっているわけですね。どうですか。
#103
○増田(久)政府委員 まさにそういたしますればそういうことでございますが、同じ労働でございますので同じ評価をした、こういうことでございます。
#104
○芳賀委員 同じ労働なら、自給飼料も同じにしたらいいじゃないですか。
#105
○増田(久)政府委員 先ほど申しましたとおり、飼養管理の労働と作物をつくる労働については質的な差違があるので、それは同一にはできないということを申し上げたわけでございます。
#106
○芳賀委員 厩肥を牛舎から出すなんというのは、これは特別の技術とか高度の労働が必要なんですかね。
#107
○増田(久)政府委員 飼育管理労働ということで、統計でとらえます場合において、厩肥の搬入、搬出というものが全部加えられているわけでございまして、もしそうなるならば、両方を落とすということにするか、両方を同時に上げるというのがやはり計算として妥当である、私はかように考えております。
#108
○芳賀委員 それは妥当とか妥当でないとかいうことじゃなくて、副産物収入がふえれば、結局、生産費における保証価格は下がるわけですからね。
 次に、毎年問題になっておるところの送乳経費の関係について、ことしはどういうようなお考えを持っておるわけですか。
#109
○増田(久)政府委員 これは、先生もう全部御承知だと思いますが、私のほうで悉皆調査をいたしております。その結果をそのままわれわれの計算に使うということでやっておるわけでございます。
#110
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、限度数量との関係ですが、昭和四十六年度の牛乳の需給表というのはもうできておると思うのですが、酪農近代化計画にも関係があるわけで、それがあれば配付してもらいたいと思うのです。
#111
○増田(久)政府委員 全体的な需給につきましては先ほど申し上げたわけでございますが、率直に申しまして、その中における来年の飲用の伸びとか加工の伸びとかについて、まだ実は政府部内において意見の統一を見ていないのが実態でございます。ただ、ちなみに申し上げますれば、われわれ予算では、来年の限度数量は百五十五万トンであろうということで、予算の基礎にはいたしておるわけでございます。
#112
○芳賀委員 私は限度数量を聞いているのではないのですよ。限度数量は、結局出るべくして出るわけだから、やはり四十六年度の牛乳の需給計画、農林省が需給表といっているものですが、そういうものは毎年できるだけ早期に、的確に策定して公表すべきものだと思うのですよ。
#113
○増田(久)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、この需給表というものも畜産振興審議会で同時に論議されるわけでございますが、これも先ほど申し上げましたとおり、飲用の伸びの見方につきまして、来年は二百八十万トン前後いくんではないか。それは学校給食が六十万トン、これは政策需要としてあるわけでございまして、一般が二ないし三%程度伸びるのではないかという想定をわれわれはいたしておるわけでございます。それで、自家用が大体ことしの横並びくらいということになれば、その残った分が乳製品に回ってくる、こういうことで、来年の乳製品の供給量としては、二百万トンちょっとのところか二百十万トンがらみのところになるのではないかということで、生産も、先生御存じのようにことしが五%程度であったわけでございますけれども、基調としては来年も大体五%がらみのところではないかという需給の考え方を持って、いま各省と折衝をいたしておるわけでございます。
#114
○芳賀委員 昨年は当委員会において、もちろん審議会に提出する前ですが、これは太田畜産局長の時代ですが、需給表はちゃんと正確なものを出して説明が行なわれたんですよ、説明は松浦課長かもしれませんが。去年のきょうできたものが、ことしのきょうできないというのはどういうわけですか。
#115
○増田(久)政府委員 私の記憶では松浦課長だったと思いますけれども、いま程度のお話を申し上げて資料は出さなかったように記憶をいたしております。先ほど申し上げましたとおり、飲用の伸びの見方につきまして、いま企画長と大蔵省との間に、実は意見の一致を見ていないのであります。それに率直に申し上げれば限度数量の問題とのかかわり合いの問題になるわけでございます。それから生産の伸びの見方も、各省いろいろ違った見方をそれぞれ持っておる。そういうことで、限度数量の最終的な決定をめぐりましていま最後の詰めに入っておるというのが実態でございます。だけれども、大体の傾向はそう大きく――〇・一、〇・二というような話はあると思いますが、いま申し上げたような形での需給の推移になるのではないかという考え方を農林省は持っておるわけでございます。
#116
○芳賀委員 それでは、明日にならなければ需給表は固まらぬというわけですね。
#117
○増田(久)政府委員 政府の案としての需給表は、今晩と申しますか、あしたにならなければきまらないということになるわけでございます。
#118
○芳賀委員 それは何も畜産審議会の意見を聞く必要はないものじゃないですか、需給表というのは。それは詳しく言えば、農林省としては食料農産物、関係の食品まで入れた全体のものを需給表と言っているのですよ。私はその中の牛乳だけについて言っているわけですけれどもね。農林省が持っておる需給表というのは、一々何々審議会にかけなければ決定にならぬというようなものじゃないでしょう。
#119
○増田(久)政府委員 御承知のとおり、畜産振興審議会では、保証乳価なり安定基準価格なりのほかに限度数量を御審議願うということに相なっておるわけでございまして、その限度数量のもとになる需給表というものは当然そこで審議の対象になるわけでございます。
#120
○芳賀委員 冗談じゃないよ。需給表というものは加工乳の限度数量を出すためにあるんじゃないですよ。たまたま、限度数量をきめる場合には、需給表から出るところの加工向けの牛乳がおおよその対象になるということはわかるが、限度数量を出すために、加工乳の不足払い法ができてからようやく、需給表というものをつくるようになったんじゃないでしょう、これは何も畜産審議会と関係ないですよ。私は限度数量を幾らにするということは聞いてないのですからね。ただ、需給表というものは限度数量と関係はあるが、四十六年度の牛乳の需給表というのは一体どうなっておるのかということを聞いておるわけです。
#121
○増田(久)政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、私のほうといたしましては当然需給表というものをつくるわけでございます。しかし、一応農林省としての数字はここでできるわけでございますが、同時に、審議会に出す場合には政府としての決定のものにならなければならない、そういう意味でいま各省と調整中である。先ほど申し上げましたのは、私のほうはこう考えておりますという、農林省の需給の見方を申し上げたわけでございます。
#122
○芳賀委員 それでは農林省の案はあるわけですね。それを早く言ってくれればいいんだよ。
#123
○増田(久)政府委員 それは先ほども申し上げましたが、飲用乳については、ことしは二百六十四万七千トンで、来年は二百八十万トンがらみになるのではなかろうかということを申し上げたわけでございます。しかも自家用はおおむね横並び、したがってその残りが乳製品に回る。ですから生産は、ことしは大体四・五%弱だと思いますが、来年はこれも五%台、五%の一か二のところまであるいはいくかもしれない、こういう感じでいま数字をつくっているわけでございます。
#124
○芳賀委員 それでは、あとでいま局長の言われた数字を整理して出してもらいたいと思います。
 次にお尋ねしたいのは、これは生産費と重要な関係があるわけですが、ことしの基礎となる一頭当たりの搾乳量というものはどの程度に掌握するつもりですか。それは先ほど中沢部長からお話のあったとおり、四十五年の生産費の結果によると、一頭当たりの搾乳量、生産乳量というものは前年度よりも減少しているということは明らかになっておるわけですね。こういう傾向というものは保証乳価をきめる場合においても正直に取り入れる必要があると思うのですよ。乳価を下げたいために架空な一頭当たりの生産乳量をふやすということになれば、これは価格が下がるわけですからね。こういう点は大事な点ですから、正確な基礎の上に立って、ことしの場合にはどういうような数量を使うとか、この点を明らかにしていただきたい。
#125
○増田(久)政府委員 搾乳量の来年の見通しを立てます場合に、私たちは過去の趨勢というものを統計的に処理いたしまして、ちょうど米の平均反収の考え方に近いと思いますが、そういうことで、決してこれは任意にわれわれきめているわけではございません。そういうことで、そういうことしの減った数字というものは、その算定の基礎の中に十分繰り入れられて来年の搾乳量がきめられる、こういう計算の方法をやっておるわけでございます。
#126
○芳賀委員 いままでは毎年一頭当たりの乳量をどんどん上げてきたでしょう。これは生産性との関係もあるわけですが、価格算定ということになれば、たとえば一頭当たりの労働時間が短縮したとか、一頭当たりの牛乳の生産量がふえたというようなことは、これは当然マイナス要素になるわけですから、そうした生産性の向上というものは正しく生産者に還元される、確保されるということであればいいのだが、いままではそういう分は全部政府が取り上げてしまっておるわけですからね。そうなると、先ほどの自給飼料の中の労働費と同じように、この一頭当たりの数量をふやせば乳価が下がるということになるわけだから、そういうことは今後慎んでもらいたいわけですよ。特に中沢部長が一頭当たりの生産量というものは四十五年の調査においては四十四年度よりも減少しておるというのをここで明らかに説明しておるわけですから、そういう事実というのは当然ことしの乳価算定の場合においても重要な基礎資量として用いなければならぬと思うのですよ。この点はどう考えておるのか。これは何も大蔵省やなにかと相談しなくてもいいのじゃないですか。
#127
○増田(久)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、これは決して鉛筆をなめてふやすとか減らすということは私どもは全然いたしておりません。過去の統計をとりまして、それで多いときもありますし、減るときもあります。そういうものもある年数をとって、ちょうど先ほど申し上げましたとおり、米の平均反収という場合の考え方、あれと同じだと考えていただくのが適当だと思いますけれども、そういう統計的な処理をいたしまして来年の推定をいたしておる、こういうことでございますので、決して鉛筆をなめて高くしてとるとか、そういう考え方は全然考えておりません。
#128
○芳賀委員 なめなくて出ればなおいいですけれども。四十五年の場合に用いた数字をちょっと説明してもらいたい。
#129
○増田(久)政府委員 この数字につきましては至急調べまして資料を提出いたします。
#130
○芳賀委員 これは増田さんを信用しますからね。この点も間違いのないようにやってもらいたいと思うわけです。
 次にお尋ねしたいのは、いままでの質疑の中においてもおおよそ明らかになっておるわけですから、いやでもおうでも四十六年の保証乳価というのは上がるですね。
#131
○増田(久)政府委員 ただいま政府で一生懸命計算をしておる段階でございますので、まだその内容を申し上げる段階ではございません。
#132
○芳賀委員 いや、別に正確に早く数えてくれと言うんじゃないですよ。審議の中においても当然四十六年の保証乳価というものは、あらゆる点から検討しても値上げ要素が非常に多いではないかということを言っておるのですよ。きまったら人より先に教えてくださいなんということを言っているのじゃないですよ。まじめに算定すれば、これは上がるじゃないかということを言っておるわけですからね、そこを間違えないように。
#133
○増田(久)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、確かにえさの値上げ、あるいは人件費の高騰というようなものもあります。同時に、先生も若干御指摘がございましたように、そこに生産性向上というマイナス要因もあるわけでございます。そういうことをいま総合的に最後の詰めに入っている段階でございますので、最後の数字がどうなりますか、どういうことになるかということは、いま一がいに言えない段階でございますので、御了承願いたいと思います。
#134
○芳賀委員 いや、マイナス要因は一つしかないでしょう。労働時間の短縮しかないでしょう。生産量は去年より減っているということになっているのだから、これはもうマイナス、要素にならぬですね。むしろ単年度制でいけばプラス要素になるということに当然なるわけだから。
 それからもう一つお伺いしたいのは、これは官房長でいいですが、去年からのいわゆる米の減反政策、あるいはまた地域分担指標に基づく七カ年計画を見ても、これは大幅な水田からの畑作あるいは酪農畜産への転換というものを政府としては進めることになっておるわけですから、結局いま論議しておる酪農にしても、豚を中心にした畜産にしても、これは転換のほうから見れば受け入れ側ということに当然なると思うのですね。いままでたとえば水田経営の場合、反当四百五十キロとすれば、六万円くらいの粗収入が十アール当たり上がっておるわけですから、これを大豆とか家畜の飼料に転換するといっても、大豆は毎年農林省がきめるわけですが、これは昨年は六十キロ五百二十円ぐらいでしょう。だから二俵とれても一万円というものですね。家畜の飼料にしても、これはたとえば農林省が方針をきめて販売用に向けるとしても、先ほどのような生産費によって非常に安い飼料作物の価格というものしか出てこないわけだから、そうなれば大豆に転換しても、あるいは飼料作物に転換しても収益は五分の一以下に下がるということにこれは当然なるわけですね。そういうことは十分考慮に入れての政策を進めておると思うのですが、やはり転換する場合に、農家に対して直接大きな経済上の打撃、所得上の打撃を与えないという配慮というものは必要だと思うのですよ。そういう点から見ると、ことしの保証乳価の決定にしてもあるいはまた豚肉の価格決定にしても、そうした政策転換に伴う配慮というものはあってしかるべきだと思うのですよ。これは畜産局長の手元でそういう政策次元の配慮を価格に織り込めということはできないにしても、少なくとも農林大臣とかその番頭役である官房長ぐらいは、言われなくても考えていなければならぬと思うのですが、その点はどうですか。
#135
○太田(康)政府委員 米の過剰に伴いまして、転換を基本にいたしまして生産調整を実施していることは先生の御指摘のとおりでございまして、御承知のとおり、今後は五カ年間に限りまして生産調整を計画的に実施をする。その際、転作を基本に、この機会を通じまして、できれば農業生産の再編成をいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、そのために、特に集団転作というものに重点を置きまして、奨励補助金等も四万円交付するというようなことにいたしておるわけでございます。
 そこで問題になりますのは、生産調整の実施期間中にはそういった生産奨励補助金等がございますからよろしいわけですが、これがなくなりました段階におきまして、はたして転作が継続されるかどうかという問題にあろうかと思います。転作作物といたしましては、当然需要が見込まれますところの飼料作物とか果樹、桑等の永年作物、さらにいま御指摘の大豆も一つ考えておるわけでございますが、私たち最も腐心をいたしておりますのは大豆の問題でございまして、大豆の場合には、御指摘のとおり非常に反収も低いということ、現在の不足払い制度があるわけでございますけれども、なかなか、米等に掛較いたしますと確かに粗収益も少のうございますし、その結果、一日当たり家族労働報酬というものも少ないわけでございますが、われわれは五十年までにはこういった各転作作物につきまして、できる限り集団転作に持ってまいりまして、生産性の高い経営によりこれらが行なわれるということによりまして、米に近い水準の家族労働報酬が得られるような指導をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
 そこで、いま御指摘の牛乳乳製品あるいは豚肉等、これらいずれも将来需要の増大が見込まれるものでございまして、「地域指標の試案」におきましても、それから昭和四十三年に公表いたしました「豊産物の需要と生産の長期見通し」におきましても、かなり今後は伸びが期待されるものであることはもう間違いないわけでございまして、今回の価格決定等にあたりましても、そういったことを十分念頭に置きまして、農林省といたしましては、従来やってまいりました経緯等も十分踏まえまして適正な価格を一応試算の形で算出をいたしまして、これをひとつ参考に供しまして、畜産振興審議会の御議論をいただきたい、かように考えておる次第でございます。
#136
○芳賀委員 最後に、豚肉の基準価格並びに上位価格についても、保証乳価と同時に決定するわけですが、統計調査部の発表によりますと、肥育豚の生体百キロ当たりについては、生産費が二万六千二十六円、昨年に比べて千九百二十一円の上昇で、指数は八%の上昇ということになっておるわけです。それから肥育豚の一頭当たりの生産費は、二万四千二百三十円で、昨年よりも二千三百八十九円生産費が高まっておる。この上昇指数は一〇・九%、この点は、牛乳の生産費よりも相当大幅な生産費の上昇ということになっておるわけですが。この生産費における前年度よりも約一〇%の上昇というものを基礎にした場合、今月末にきめる豚肉の価格についてはどういうような作業で進んでおるわけですか。これは大体問題の所在は、保証乳価とそう変わりがないわけですからして、結論的に述べてもらいたいと思うのです。
#137
○増田(久)政府委員 先生御存じのとおり、牛乳の場合の価格算定方式とそれから豚肉の価格算定方式は、実は基本的に違っているわけでございますけれども、そういうことを抜きにいたしまして、この生産費の中で一番大きい問題を占めますのは、えさ代とそれから元畜費、飼育管理労働費ということで、大体それで九割五分を占めているわけでございます。したがって来年のものを見る場合に、元畜費が一体どういう傾向をとるのかということがやはり私は一番の問題点ではないだろうか、そういうことでえさ代の値上げというのは、現実にある問題でございますし、その元畜費の動向をどう見るかということにおいて、算定において一番むずかしい問題があるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#138
○芳賀委員 ただ、指摘したい点は、去年から新しい指数を加えたわけでしょう。畜産物価格安定法ができた当時の審議会では、これはあなたも知っていると思うけれども、馬場啓之助さんが審議会会長で、畜産局が頼んで、彼独得の豚肉の算定方式をつくって、当時は肉不足のときで、促進係数というものを使うということで数年やったことがありますが、昨年から、今度は調整係数というものを使って作意的に豚肉の価格が上がらないというふうなそういう手法を加えることになったので、それでやると、統計調査部が熱心な調査をしても、結局それは価格に反映できないということにもなると思うのです。この点を生産者あるいは関係団体は一番おそれているのです。これを極度に用いるということになれば、結局価格を据え置くということにもなるのではないか。一方においては、ことしの夏から、豚肉についても輸入自由化をやる。関税定率法の一部改正の中で若干の配慮はしたが、これもやはり畜産物価格安定法の趣旨から見て、決してささえにはならぬと思うのです。特に、上位安定基準価格というものは実現するような機会がないというおそれも当然出てくるわけですから、自由化と関税定率法によるところの価格性という点から見ると、そうなればやはり安定基準価格そのものを的確にきめるということを責任をもってやってもらわなければたいへんな事態になると思うのです。その点が気になったわけですから、局長に、どういうふうな方針で作業をやっておるかということをいま尋ねたわけです。
#139
○増田(久)政府委員 目下これにつきましても計算中でございますけれども、算定方式といたしましては、昨年どおりの方式を踏襲するつもりでおります。したがって需給調整係数というものを当然働かせることになるわけでございますけれども実際の動きとして、まだ最終的な数字は出てませんが、去年のようにマイナスに働かせるような事態にはならないではないかというようにわれわれいま考えている次第でございます。
#140
○芳賀委員 この機会だから申しますが、最近の農林省の構造政策というか価格政策というか、これはまあ大体EECの構造政策をまねておるといっても差しつかえないと思うのですよ。しかもいいところはまねしないで、悪いところばかりまねしてきたというのが今日の実態です。だから必然的に価格政策というものを極端に軽視するというきらいがいまの農林省にはあるわけなんですよ。ところが数日前、EECの農産物、畜産物の価格決定についての六カ国の農相会議がベルギーのブリュセルで行なわれたわけですが、ここえ十万人の六カ国の農民代表が押しかけて、相当混乱が起き、あるいは死傷者も出たということがテレビでも新聞でも報道されておるわけでしょう。これは三年据え置きをやったわけだからして、じゃことしからどうするかというたいへんなときであるので、そういう事態が起きたと思うわけなんですよ。その結果、この価格問題については、牛乳は六%値上げをする、畜肉についてはことし六%、来年四%、二カ年間で一〇%の値上げをする、麦類については三%と、それぞれ、EEC当局が考えておらなかったような事態が出現したわけです。
 これはまあ局長も関心を持っておるし、また農林省の皆さんも私と同じぐらいに関心を持ってこれは見たと思うのですね。農林大臣がおらぬところで言うのはどうかと思いますが、こういう点はやはり今後農政を進める上において十分留意してもらいたいと思うのですよ。毎年毎年物価が異常な高騰を示しておる、他産業の労賃、いわゆる所得も急激に上昇しておる、そういう中で米をはじめ農畜産物の価格を毎年毎年据え置き、据え置きということになれば、これは実質的には農家所得の大幅減退ということになるわけですからね。そういう格差のある経済事情の中で、しかも米の減反政策が強行されておるということになれば、健全な農業経営というのはできなくなるのですよ。できなくするというところに政策目標があるとすればこれは別ですよ。こういう点はやはり今回の保証乳価あるいは豚肉価格決定等についても、農林省として確固とした将来展望の上に立って行なうべきものは行なうという姿勢で、幾多の困難はあると思いますけれども、努力してもらいたいと思うわけです。
 これは皆さんを鞭撻するような意味ですけれども、以上で質問を終わります。(拍手)
#141
○三ツ林委員長代理 瀬野栄次郎君。
#142
○瀬野委員 除草剤問題、野鼠対策、ガンの保護問題、飼料関係税制の改正等の問題について、農林省関係当局に質問いたします。
 畜産物価格等に関する問題は午前中から審議が続けられまして、論議がされたわけでございますが、生産農家の強い要求を十分取り入れ、こたえられるように特に強く要望いたしておきます。
 私は本日時間の制約等もございますので、これまた緊急を要する問題であると判断し、あえて質問をいたすものであります。
 最初に、二四五Tなど除草剤の問題につい質問間をするわけでありますが、まず、農林水産技術会議がございますけれども、これは農林省の六階に位置しておりますが、現在主としていかなる研究をやっておるか、おもな点についてまず最初にお伺いをいたします。
#143
○松本(守)政府委員 農林水産技術会議は農林省の試験研究の機関でございまして、試験研究部門を受け持っておりますその総合調整をやっておるということでございます。その中で林業試験場はどういう関係にあるかということでございますが、林業試験場は林野庁の付属機関になっております。農林水産技術会議には属しておりません。ただ試験研究の横の連絡調整を受けるという形になっておりまして、そういう意味で林野庁、技術会議、林業試験場という関係にございます。
 そこで、いま林業部門に関しまして農林水産技術会議の調整を受けながら特別研究をやっておるというもののおもなものを申し上げてみますと、まず行政対策関連の特別研究でございますが、火災に安全な木質材料の開発に関する研究、それから山の傾斜地の研究がございます。それからマツクイムシに関する研究がございます。それから大気汚染に関する研究がございます。それから、いまは行政関連の特別研究でございますが、新技術開発の特別研究では、まず育種に関する研究、それから再造林連作障害に関する研究、それからこれは約培養技術の研究というようなものがございます。
 以上でございます。
#144
○瀬野委員 昭和四十四年から昭和四十七年度の研究の中で、農林水産技術会議が除草剤の森林生態系に及ぼす影響の調査と方法に関する研究を行なっている。当然林野庁長官は御存じのことでございます。その目的は方法論と除草剤の影響性を調べることにあるようでありますが、その研究の委託を、下目黒の林業試験場では、造林科が土壌微生物を研究し、鳥獣科では二四五T、AMS、もう一つは塩素酸系の農薬の研究をいたしております。また淡水研究所では魚に対する影響を、宇都宮大学では土壌関係の研究をやっておるのでありますが、この中で鳥獣科の研究している二四五丁除草剤について、私はこれに焦点をしぼってお尋ねしたい、かように思います。
 ここでの研究はウズラを使って二四五T除草剤を飲ませた場合の鳥の受精率がどう変わるかを研究しておるわけであります。その実績研究の方法として一例を申しますと、最初の十日間、各除草剤について、LD50、これは半数致死量ということをあらわすわけでございますが、LD50を二十分の一、毎日一カプセルずつ飲ませまして、その後二十五日間休み、さらにそのあと十日間飲ませる。そうしますと、毎日産卵した卵のふ化率を調べてみれば、いわゆるふ化したものが受精率と、こういうような結果になるわけでございます。これを調べてみますと、受精率が落ちれば除草剤の影響があったということになるわけでございます。その試験結果、私が承知しておるところによりますと、塩素酸系の農薬はほとんど影響が見られなかった。二番目にAMSはやや影響が出てきた。三番目に、二四五Tは、実験動物が全部死んでしまって、受精率の研究にはならなかった。いわゆるお話にならない、こういう結果が出ていると承っております。そこで、林野庁業務課のほうでは、四十六年、ことしの一月末には部内資料としてまとめて、二月の末には林業試験場の中で討議されている。この二四五Tの研究結果がいまだ公表されていないのであります。二四五Tの除草剤については、私は昨年来しばしば当委員会でも質問してまいったのでありますが、自然保護の国民的要請の強い今日、国民の重大関心事でもあり、また農林大臣は、二四五Tの研究について、冬の間はシーズンオフであるから早めに決着をつけたい。こういうふうに国会でも答弁をされております。そしていよいよ六月から二四五Tを使用する時期に入るわけでございます。すなわち散布計画を立てて行なうということになろうと思います。林野庁としてはその準備をされておると思いますけれども、その試験結果を公表すべきであると私は思うのです。したがって、その結果はどうなっているか、長官から公表願いたい。これがまず最初の質問でございます。
#145
○松本(守)政府委員 お答えいたします。
 二四五Tにつきまして、林業試験場でウズラの受精率に与える影響を研究いたしております。その研究は、昭和四十四年度から七年度までの四年計画の試験でございます。林業試験場と淡水区水産研究所、宇都宮大学等の共同研究でございます。そのうち、ウズラに対する研究を林業試験場でやっております。いま先生がおっしゃいましたようにこの二月にその研究の中間的なまとめのものをいたしておりますが、これはまだ技術会議でも関係者同士の内容についての討議が済んでおりません。その討議を済ませまして、例年でありますと大体九月ごろに前年度の研究についての公表をいたしておりますが、いまのところ、この二四五Tのウズラにつきましては、その実験が中間であるということと、技術会議の中で関係者の間にまだ討論が済んでおらないということで、公表をしておらない実情でございます。
#146
○瀬野委員 長官はまだ討議をしておらないとおっしゃいますが、事実討議は二月に済んでおるはずです。この討議についても、私いろいろとお聞きしておりますが、林野庁側として、これを特に発表を待たせているような感じがしておるわけです。すなわち、この研究は、もう四十四年から四十七年一貫して研究をしておるわけで、国民の血税を使って研究してきたものを、いよいよ業務課でもまとめているわけでございますのに、国民の前に公表できない。これはどういうわけですか。その点をさらにひとつお聞きしたいのです。
#147
○松本(守)政府委員 お答えいたします。
 林業試験場内の討議は済んでおりますが、技術会議をして、この問題について受けましたときに、一度討議はしたことはあるそうでございますが、まだその後の全部の討議が済んでおらないと聞いております。なお技術会議のほうから来ておりますので、かわってお答えをさせていただきたいと思います。
#148
○草場説明員 従来とも年度経過の概要につきましては、農林水産試験年報等で年度ごとには取りまとめて発表しております。一応の、この課題につきましての四十五年度の研究結課の中間検討は終わりましたけれども、特別研究全体として取りまとめての公表はあとになる予定でございます。いわゆる年度ごとの経過の概要につきましては、農林水産技術会議の試験研究年報等でまとめて公表しているわけでございまして、四十五年度分についてはまだ公表しておりません。
#149
○瀬野委員 討議をされてもう済んでいるというふうに聞いておるし、業務課でもまとめているというふうに私は承っております。これは林野庁業務課ですが、これを発表すると重大な影響があるというような懸念があるのかもしれませんが、こういったものを発表しない。すでに六月からは二四五Tを使う時期に入ってくる重大な問題である。技術会議は中間報告でもできませんか。
#150
○松本(守)政府委員 これは林野庁が要請いたしまして、林業試験場に試験をさせておるわけであります。当然調整という面で技術会議に関連をいたします。それから研究費が特別研究費ということで技術会議のほうの金をもらって研究しておるということでございまして、その研究のいままでの経過、中間結果でございますが、そのあらましを申し上げますと、これは除草剤が森林内の野生鳥獣に与える影響を調査するため、四十五年九月二十九日からウズラを使いまして実験をいたしました。その結果これは四十八匹のうち四十五匹死んでしまったということで、産卵率とか受精率を調べるに至らない、そういう結果が出てしまったのでございますが、そこで投与した量が問題でございます。その投与した量が、ウズラは一日、自分の体重の三分の一から四分の一の食料を食べるそうでありますが、そのウズラにどれくらいの二四五Tを投与したかということでありますが、二四五Tの半数致死量、これはその実験の結果七百十二という数字が出ております。これは七百十二ミリグラム・パー・キログラム、体重キログラム当たり七百十二ミリグラムを与えると半数が死ぬという実験の結果が出ておるのですが、この産卵率、受精率への影響を調べるための実験で与えた投与量が、LD50の二十分の一を十日間連続投与して、その後二十五日間休憩をいたします。二十五日間たって再び十日間連続投与した。言いかえれば、これでもか、これでもかという投与のしかたであったようであります。なおこれは、さらに投与量の与え方を変えまして今後幾つかの実験を続けていかなければならない。この実験ではあまりにも多く投与し過ぎたということで、森林内に二四五Tを散布した場合に、小鳥、ウズラとかいうものにこの実験が投与しただけの量が体内に入るか入らないかということが問題でございますが、いまのところ、まだ森林内でのそういう調査も完全な調査をいたしておりません。一応常識的には、森林内でまくところの二四五Tの量からいきますと、ウズラの体内に入るであろうと予想される量は、この実験で使いました量のきわめて少ない量しか考えられない。なお今後実験を続けていかなければならぬ。そういうことでその実験内容をいま御報告をいたしました。
#151
○瀬野委員 林野庁長官からいま中間報告がございましたが、投与量が問題だ。いわゆるLD50の基準が問題だ。量が多かったから、先ほど話があったように四十八羽中四十五羽死んだ、こういうようなお話でございますが、試験の基準として、LD50をやるということは大体一つの基準になっておりまして、それは量を減らせばまた変わってくるのは当然ですけれども、現時点において、四十四年から三年間を試験をしてきた、いまになってさらにまた量を変えてだんだんに研究する。それはいままでしてきておることです。そういうことが結果として出ておるのにかかわらず、公表されていない。ご存じのように、二四五Tをまいて、虫が食べて、食べた虫を鳥が食べる、そしてその野鳥を狩猟によって人間がとり、これを食べますと人体にたまる。そういったことから、人間の人体に保健衛生上大きく害をもたらす。これはことしの予算委員会でも、いわゆるカドミの問題等で公害の問題でいろいろ論議されたところであります。マグロの問題その他ありましたが、あれと同じような理屈で、これはゆゆしき問題である、こういったことを考えますと、ほっておくわけにいかない、私はこういうふうに思うわけです。そこで私は、こういった結果が中間的に出ている、しかも新年度予算も実施段階に来ているし、計画ももう立てなければならない。これだけ国民の要請によって騒がれてきた問題である。こういうたことから、最近このことを知りまして私も驚いておるわけです。もちろん林野庁としては省力的な経営、いろいろな点で、林業経営上これを使用しているということで、大臣からも長官からも、去年からるる答弁があったことでございますけれども、こういう結果が一応出ている。そうすると、今後続けてみても大体の様子はわかるわけです。私が聞いている範囲でも、二四五Tを使った場合はほとんど死んでしまう、こういうことがいわれております。実に危険であるということの証拠であると思うのです。昨日二十五日の当委員会でも、各党共同提案で決議した三番目の中に、「自然破壊、山地災害を誘発する過度の伐採、大面積皆伐、林地崩壊と荒廃をもたらす施業方法などを規制するとともに、安全性が確認できない薬剤の散布を禁止すること。」このように四党でもって決議をしたわけであります。この決議から見ましても、ゆゆしき問題であると私は思うのです。では、この調査結果はいつごろ林野庁から正式には公表される予定か、ひとつあらためてお伺いしたい。
#152
○松本(守)政府委員 いつごろ公表するかということでございますが、例年でありますと九月ごろになるようであります。しかもこれは試験の中間段階にございますので、いずれ九月ごろには報告をして、それを公表するということになろうかと思います。
 なお、念のため申し上げますが、二四五Tは昨年の秋からこの春、現時点までにかけて、国有林ではまだ散布をいたしておりません。
#153
○瀬野委員 例年だと九月ごろになるとおっしゃいますが、昨年の秋からこの春までは散布してないとおっしゃいます。この二四五Tが危険であるということは長官もよく知っておられると思いますが、いま中間報告がありましたようなことで、去年の秋からことしの春主ではまだ使ってないということは、いまからは使うかもしれないということなのか、この結果が公表されなければ、また公表された結果によって考えるということなのか、公表されなくても二四五Tを使う考えであるのか、その点を明らかにしてください。
#154
○渡辺政府委員 これはいま長官が言ったのは、研究の事実問題を申し上げたわけであります。しかし安全性が確認できない薬剤というものは使用すべきではない、こういうように思います。したがいまして、二四五Tにつきましては、その催奇性などについて疑問があるということも事実でありますから、林野庁としては去年の款から使用を差し控えておる。したがってこの調査結果が現在明らかでない以上、しかもそういう疑問がある以上、これはいま四月から六月にかけて使用時期でありますが、その使用は中止をさせる。そういう方針でございます。
#155
○瀬野委員 渡辺政務次官から明快な答弁がありましたので、一応了としますが、たいへんにこれは危険なものであるという証拠が出ております。ぜひそのように取り計らっていただくと同時に、この農林水産技術会議のいわゆる調査結果もできるだけすみやかな機会にひとつ中間報告でなくて公表していただきたい、かように思っております。この二四五Tの除草剤による除草は、これは確かに有害なことははっきりしておりますが、今後自然保護、野鳥、昆虫の保護等の上からも禁止すべきである、そして他に方法を考えるべきである、私はかように思っております。一応明快な答弁が出ましたので、時間の関係上この問題はこれで打ち切りまして、次の問題に入ります。
 次は野鼠の問題です。これもなかなかたいへんな問題で、いままでなかなか質問する機会もなかったのできょうやるわけでございますが、全国的に野鼠が繁殖しまして、ことしは六十年周期といってササの実がなりました、野鼠というのはササの実を食べますと、ササの実に油がありまして、これがものすごい精力剤になって、ものすごく繁殖するわけでございます。北海道がほとんどでありまして、熊本、大分をはじめ、静岡とか四国等にもかなり発生しております、そういったことで、被害状況及び被害面積について、まず最初に長官からお答えをいただきたい。
#156
○松本(守)政府委員 野鼠の被害状況、面積で申し上げますと、昭和四十四年度の実績でございますが、北海道で国有林三千ヘクタール、民有林七千、本州で国有林一千、民有林二万三千でございます。
#157
○瀬野委員 それで次に被害樹種だとか被害を受けている森林の樹齢ですね、どういったのに多いか、掌握しておられる点をお伺いしたいと思います。
#158
○松本(守)政府委員 被害樹種でございますが、ヒノキが四四%、その被害を受けた地域の被害の程度でございます。カラマツが二五%、アカマツが一七%、その他杉、トドマツ等が一四%でございます。
#159
○瀬野委員 これはわれわれが過去に調査した結果から見ましても、一齢級が一番多くて、二齢級がそれに次ぐということで、いわゆる幼齢樹の被害が多いわけですね。そこで、いわゆる北海道と本州では野鼠の種類も違うのですが、この野鼠の種類並びに野鼠に対する防除対策はどのようにしておられるか、これらについて、概略御説明をいただきたい。
#160
○松本(守)政府委員 申し上げます。
 野鼠の種類でございますが、北海道はエゾヤチネズミ、本州、九州はハタネズミ、それから本州、四国、九州はスミスネズミでございます。
 それから防除対策でございますが、殺鼠剤は燐化亜鉛が大半を占めております。その他硫酸タリウム、モノフルオールさく酸塩を使用しております。また、天敵では鳥類とか獣類、は虫類がございます。
#161
○瀬野委員 一応それだけ承りまして、この問題で私一つ提起したい問題があるわけです。
 北海道、本州においてイタチを使っての駆除、こういうものがありますが、これについては一応省略するとして、イタチが天敵として野鼠退治に効力を発揮している反面、また家きんにもいろいろな影響があることは御存じのとおりです。そこで、東京都の三宅島は、伊豆七島の中でも珍しい鳥類資源の豊富な島でございますが、ここには、わが国のみならず、世界でも貴重な鳥が生息して、この三宅島はバードアイランドという異名を持つところでございます。ところが最近、この島の野鳥にたいへんな危機が訪れたということで地元ではたいへん騒いでおります。いわゆる野ネズミの繁殖によって農作物を荒す、年額約二億円の被害を出しておるということで問題になっております。農作物に対する野鼠の害というものは二億円にものぼっておりますが、そのほかに、貴重な鳥類資源や畜産物に対する野鼠の被害、あるいは動物公害により三宅島から自然が失われるということで、たいへんに現地では憂慮されて、現在どうすればいいかということでこの対策が問題になっております。野鼠対策としては、東京都がこの三宅島に近くたくさんのイタチを放獣するというようなことがいわれております。イタチを放獣しますと、これはいろいろ弊害が起きてくるということで、地元では賛成、反対がいろいろ起きておりますが、私も、自然保護また鳥獣保護という面からも、これに対しても林野庁としていろいろと対策を立てていただきたい、こういう意味で申し上げるわけです。
 この三宅島には、アカコッコという鳥、イイジマムシクイ、ウチヤマシマセンニュウ、オーストンヤマガラ、タネコマドリ、ミヤマコゲラなど、伊豆七島特産の鳥類で、ここにしかいないという鳥がたくさんおるわけです。日本の他の地方ではなかなか見られないカラスバトとかカンムリウミスズメ等の貴重な繁殖地でもあります。そこで、単にネズミ駆除のためのイタチ放獣をすればいいというのじゃなくて、一時的に、イタチがネズミを食べるけれども、鳥類の卵やあるいはひなを食べるということで、その結果、鳥の繁殖も阻害され、鳥類保護上たいへんな危険が起こるということで問題にたっております。このことについて、ひとつ林野庁長官、今後の野鼠対策並びに三宅島等のこういった問題について、御見解を承りたいと思うわけです。
#162
○松本(守)政府委員 野ネズミの大きな発生、これは周期的にございますが、一般論といたしましては、その生息環境が変化をする。キツネとかテンがネズミの天敵でございますから、そのキツネとかテンなどの生息と反比例をいたすことになります。したがって、イタチが家きんに影響を与えます場合は、食料とたるネズミが少なくなったときに鶏とかそういうものにいたずらをするということになっておるようでございます。それで、三宅島の農業関係者からは、そういった家きんがいたずらをされるということで、内地からイタチを持ってきて放してくれという要望がございます。一方、自然保護のほうからはとんでもないという反対の要望もございます。林野庁としては、いま両方の要望を受けましていろいろ検討しておりますが、現時点ではイタチを持っていって放獣をいたしておりません。
#163
○瀬野委員 そこで、農林大臣に対してイタチの捕獲許可とかこういったものが申請されておるように聞いておりますが、これについてどういうふうな見解をお持ちでございますか。
#164
○塩島説明員 猟期中は、狩猟行為としてイタチはとれるわけでございます。特にそういう申請は出ておりません。
#165
○瀬野委員 そこで、この点について、実は東京都の家畜衛生保健所等によってネズミの生殖障害の研究がなされておるわけです。イタチによってはいろいろ問題が起きるので、薬によって駆除するということが最近発見されまして、実質研究をした結果が出ております。この薬はヘキセストロールジカプリレートという、略してヘキセともいいますが、現に食用ゴマ油一リットルにこれを薄めて使いましてトウモロコシの実を入れて、それを散花しますと、ネズミがそれを食べますと生殖器が萎縮して繁殖しないという画期的な薬なんです。これを使いましてもいわゆる野鳥とか鶏、こういったものには害はないという実験結果も出ております。いろいろこまごまありますけれども時間の関係で申しませんが、こういったものを使う。そして現に東京都でも、ある製薬会社からこれを大量に寄付してもらって、現地にばらまく用意が民間団体でいま考えられておりますが、これによってやれば野鼠退治ができるということになるわけでございます。こういったことについては長官のほうは承知しておられるか、こういったものを今後採用していく考えがあるか、お伺いしたいと思います。
#166
○松本(守)政府委員 林野庁としてそういう妙薬があるのまでは聞いておりません。さっそく検討いたしたいと思います。
#167
○瀬野委員 それでは、日本鳥類保護連盟またはわれわれ国会議員でつくっております同議員連盟、さらに自然保護協会、日本野鳥の会等でも、自然保護、野鳥保護の上からも検討すべきであるという要請があっております。当局としてもひとつこのヘキセという薬を検討していただいて、長官からも今後検討するということでございましたので、ぜひひとつ研究されて、これを使って日本の北海道から九州に至るまで野鼠退治に力を尽くしていただきたい、かように思うわけです。
 それでは、最後に一つお尋ねをしておきます。
 現在日本におけるマガン及びヒシクイという鳥がおりますが、これは猟鳥になっておりますけれども、これを猟鳥からはずしていわゆる天然記念物にしていただきたいという強い要請が出ております。詳しいデータは省略いたしますが、実は昨日、二十五日に文化財保護審議会が開かれまして、この天然記念物部会でもって、林野庁からも参加されておるわけですが、これらガンを天然記念物にするという答申が出るように承っております。林野庁側としては、もうしばらくこの発表を待ってくれというようなことで、何かお話があったやにもけさほど聞きましたが、ぜひこれを天然記念物に指定し、猟鳥からはずす。すなわち、天然記念物にして猟鳥ということはおかしいということでありますので、ぜひはずしていただきたい、こういうふうに思います。現在、日本のガンの数はまことに少なくなっております。林野庁の調査では、民間が調べているよりも倍近い数字が出ておりますけれども、現に少なくなっても最近は高速道路あるいはいろんな自動車騒音等によって、ガンが生息地を変えたりして脅かされております。こういうことから、ひとつ昨日の審議会の結果と、それからどういうお考えであるかということを承っておきたい、かように思います。
#168
○松本(守)政府委員 林野庁としましても関係方面のそういう要望――林野庁自体といたしましてもこういったものを保護するという必要性を感じておりまして、年度内の鳥獣審議会にはかって、それを狩猟鳥獣から除外をする方向で、いま準備中でございます。
#169
○瀬野委員 以上で質問を終わりますが、ぜひそのように検討していただきますようにお願いして、私の質問を終わります。
#170
○三ツ林委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることといたしますが、来たる四月十三日を予定いたしております。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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