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1970/02/16 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第3号
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1970/02/16 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第3号

#1
第065回国会 社会労働委員会 第3号
昭和四十六年二月十六日(火曜日)
    午前十時二十分開議
 出席委員
   委員長 倉成  正君
   理事 伊東 正義君 理事 佐々木義武君
   理事 増岡 博之君 理事 粟山 ひで君
   理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君
   理事 田畑 金光君
      有馬 元治君   小此木彦三郎君
      大石 武一君    梶山 静六君
      藏内 修治君    小金 義照君
      斉藤滋与史君    中島源太郎君
      松山千惠子君    向山 一人君
      山下 徳夫君    渡部 恒三君
      川俣健二郎君    小林  進君
      島本 虎三君    松浦 利尚君
      八木  昇君    山本 政弘君
      古寺  宏君    古川 雅司君
      渡部 通子君    寒川 喜一君
      寺前  巖君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 野原 正勝君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        職員局長    島 四男雄君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        林野庁長官   松本 守雄君
        労働政務次官  大野  明君
        労働大臣官房長 道正 邦彦君
        労働省労政局長 石黒 拓爾君
        労働省労働基準
        局長      岡部 實夫君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
        労働省職業訓練
        局長      渡邊 健二君
 委員外の出席者
        林野庁職員部福
        利厚生課長   福島 郡平君
        林野庁林業試験
        場長      竹原 秀雄君
        水産庁漁政部水
        産課長     三善 正雄君
        労働省労働基準
        局監督課長   吉本  実君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 北川 俊夫君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十六日
 辞任         補欠選任
  矢野 絢也君     古川 雅司君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤 俊男君     松浦 利尚君
同日
 辞任         補欠選任
  松浦 利尚君     後藤 俊男君
    ―――――――――――――
二月五日
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第三一号)
同月十三日
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第四四号)
同月十日
 医療保険制度の改革に関する請願(鶴岡洋君紹
 介)(第四四五号)
 同(鹿野彦吉君紹介)(第五一七号)
 同(小林進君紹介)(第五一八号)
 優生保護法の一部改正に関する請願外七十四件
 (地崎宇三郎君紹介)(第四四六号)
 調理師の必置義務等に関する請願(井出一太郎
 君紹介)(第四四七号)
 はり、きゆう、マッサージの健康保険取扱手続
 き簡素化等に関する請願(正示啓次郎君紹介)
 (第四四八号)
 同(坊秀男君紹介)(第四四九号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第五一三号)
 同(鹿野彦吉君紹介)(第五一四号)
 同(藤山愛一郎君紹介)(第五七八号)
 同(古川丈吉君紹介)(第六二三号)
 同(向山一人君紹介)(第六二四号)
 建設国民健康保険組合に対する財政措置等に関
 する請願(広瀬秀吉君紹介)(第四五〇号)
 同外十四件(門司亮君紹介)(第四五一号)
 同(華山親義君紹介)(第六二五号)
 失業対策事業存続に関する請願(細谷治嘉君紹
 介)(第四五二号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第五一五号)
 同(三木喜夫君紹介)(第五一六号)
 労働災害以外によるせき髄損傷者の援護に関す
 る請願(山本弥之助君紹介)(第四五三号)
 同(篠田弘作君紹介)(第六一八号)
 同(高島修君紹介)(第六一九号)
 同(辻寛一君紹介)(第六二〇号)
 同(藤山愛一郎君紹介)(第六二一号)
 せき髄損傷者に対する労働者災害補償保険の給
 付改善に関する請願(山本弥之助君紹介)(第四
 五四号)
 同(鈴木一君紹介)(第四五五号)
 同(佐々木義武君紹介)(第六一三号)
 同(篠田弘作君紹介)(第六一四号)
 同(高鳥修君紹介)(第六一五号)
 同(辻寛一君紹介)(第六一六号)
 同(藤山愛一郎君紹介)(第六一七号)
 ベーチェット病患者救済等に関する請願(井岡
 大治君紹介)(第四五六号)
 同(大西正男君紹介)(第四五七号)
 同(中澤茂一君紹介)(第四五八号)
 同(濱野清吾君紹介)(第四五九号)
 同(毛利松平君紹介)(第四六〇号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第五〇九号)
 同(田中榮一君紹介)(第五一〇号)
 同(谷垣專一君紹介)(第五一一号)
 同(山本幸一君紹介)(第五一二号)
 同(菅太郎君紹介)(第五七六号)
 同(藤山愛一郎君紹介)(第五七七号)
 旧満州開拓団犠牲者遺族に対する特別弔慰金制
 度の確立に関する請願(向山一人君紹介)(第四
 六一号)
 旧満州建設勤労奉仕隊犠牲者遺族の援護措置に
 関する請願(向山一人君紹介)(第四六二号)
 国民年金等特別融資わくの拡大等に関する請願
 (向山一人君紹介)(第四六三号)
 国民健康保険保健婦に対する国庫補助基本額の
 引上げに関する請願(向山一人君紹介)(第四六
 四号)
 国民健康保険改善に関する請願(向山一人君紹
 介)(第四六五号)
 ソ連長期抑留者の援護に関する請願(谷垣專一
 君紹介)(第五一九号)
 終戦後外地死没満蒙開拓者遺族に対する処遇に
 関する請願(向山一人君紹介)(第五七九号)
 同(原茂君紹介)(第六二七号)
 結核対策の強化に関する請願(川俣健二郎君紹
 介)(第五八〇号)
 妊産婦並びに新生児の健康管理の充実に関する
 請願(松田竹千代君紹介)(第五八一号)
 清掃事業の地方自治体直営化による転廃業者の
 補償救済に関する請願(宮澤喜一君紹介)(第六
 二二号)
 看護婦不足対策に関する請願(華山親義君紹介)
 (第六二六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○倉成委員長 これより会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
#3
○田邊委員 労働大臣はさきの当委員会における所信表明で、当面する労働政策についての基本に触れて所信表明がございました。きょうは時間がございませんから、各般にわたる質問をすることはできませんけれども、その中で取り立てて問題になるであろう二つばかりの点についてお伺いをいたしたいと思います。
 第一番目は、大臣はつい最近ある労働組合の大会であいさつをされまして、現在いわれておる所得政策なるものについては、政府は直ちにこれを導入することはいたさないということを言明をされたようであります。何か役人が用意いたしました原稿を抜きにいたしまして所信を述べられたということで、私は非常にその点では注目をいたしたのでありますが、野原さんのいわば率直な気持ちと考え方が披瀝をされたのではないかと思うのであります。
 そこで、所得政策はとらないということは当然のことでありますし、また、現在の日本の事情から言いましてそうでなければならないと思うわけでありますが、一体いかなる観点で現在政府は所得政策を取り上げる気持ちはないというお考え方に立ったのか。そしてまた、大臣の言われるところの、とらないと言われる所得政策というものは一体どういうものであるのか、端的でけっこうでありますからお答え願いたいと思います。
#4
○野原国務大臣 最近の消費者物価の動向等につきましては憂慮すべきところがございます。物価安定のためのいわゆる所得政策を導入するかどうかということについては、その必要性、内容、効果等につきましてなおむずかしい問題が残っております。特に所得政策は、賃金のみならず、利潤、業主所得等も対象とすると同時に、その政策手段も説得によることになりますので、これについての国民的合意が必須の条件であると思いますが、現在各方面の意見はまだ一致しているとは言いがたいのであります。また、欧米諸国におきましても所得政策は必ずしも成功していない、なお試行錯誤の段階にございます。したがって、わが国は所得政策の導入は時期尚早であると考えます。その必要性、効果等につきまして長期的に検討すべきものであると考えております。もっとも企業レベルの価格や賃金の決定にあたりましては、国民経済的観点から節度のある態度が必要であると思うわけでありまして、そのような環境の醸成を進めてまいりたいと考えております。
#5
○田邊委員 いまお話の中に、欧米先進国といわれる各国でもって所得政策を導入した結果というものが必ずしも思わしい結果でないというお話がありましたが、それはそのとおりだろうと思うのです。わが国も戦後において経済の高度成長がありました。生産性は非常に向上したといわれておるのであります。ところが、賃金はそのあとを追いかけておるというのが現状ではないかと思うのでありますけれども、あるいは単年度で見て生産性を上回る賃金があったというようなことがたまたまいわれることもありましたけれども、私はやはり日本の場合、長期的に見て、最もとるべき考え方というのは――この経済が高度に伸びている中で労働者の分け前というのは一体どのくらいなのか。国民生活の向上という非願を私どもは持っておりますけれども、そういった点から労働分配率は一体どのくらいなのかというのが一つの起点にならなければならないと私は思っておりますけれども、そういった点では三四、五%から四〇%。英国における五四%前後、アメリカにおける五〇%前後という労働分配率から見た場合に、日本の場合はまだまだ低い、こういうことがいわれるだろうと思うのであります。私は、もちろん経済が高度に成長し、生産がたくさん伸びたときに、労働分配率が必ずしも平常の場合におけるところの状態よりも低いということについての意見もあることは承知しております。しかし、いずれにいたしましても、それが一つの考え方の基礎になるであろうということについては疑いない事実だろうと思います。このことを考えたときに、まだ所得政策云々というようなことを言うべき段階でないというのが、私は率直な意見だろうと思います。ただ大臣は、その上に立って国民的ないわばコンセンサスが必要だ、その一つの時期を将来に見ておるんだ、こういう御発言がありましたが、これは私はいわば将来のこととしていま直ちにこれによって左右さるべきものではないというように思っておるわけです。そういう私の意見も含めて大臣のお答えを受け取りたいと思うのでありますが、そういう考え方でよろしゅうございましょうか。
#6
○野原国務大臣 労働の分配率の問題確かに日本はまだまだ十分ではないと思います。このことにつきましては、いろいろ調査もございますが、ただ最近ちょっと出ておりますのは、ここ二、三年の間生産性を上回っておるというものが出てまいりました。そういう点から今後注目すべきことであると考えます。しかし、分配率の点につきましては、まだ必ずしも十分なところまでいっていない、そういう問題があるわけでございます。それはやはり日本の経済の体質上からくるいろいろな設備投資であるとか、金利であるとか、そういったものについて必ずしも企業の基盤がしっかりしていないという点で、経済成長があまりにも急速であったということからくる避けがたいことだったと考えるのであります。そういう面では、日本の企業というものがいろいろな方面に分配を必要とするという関係から、労働者に対する分配は必ずしも十分ではなかった。しかし、十分でなかった点もこれからは急速に労働者の分配のほうがふえてまいる可能性というか、傾向であると思います。むしろそのほうがある意味においては好ましいことであると考えておりますが、とにかく日本の経済というものは、今後も安定的な成長を遂げるというのに、やはり労使がお互いに理解を持って進めていくという点で、この際は生産性をいかにして高めるかということに相なると思います。その段階において所得政策というふうな形で進めていくことは、いろいろ御議論があろうと思いますけれども、いまそれを採用して一つの方向を決定するというふうなことは、その時期ではないと考えております。
#7
○田邊委員 所得政策に関連をして、つい最近日経連は、インフレを克服をしたり、国民経済のいわば責任を持つという立場から、賃金の上昇率を生産性上昇の範囲内にとどめよう、こういう意見が出ておることは大臣も承知していると思うのです。そういうために、生産性基準原理というものをこの春闘の中で取り入れよう、こういういわば意見があるやに聞いておるわけです。これまた、所得政策の早急な導入はしないという政府の立場と同様に、この生産性基準原理というものをいわば賃金の抑制の面で考えることは、私はまたこれは当を得ないことではないかというように思っておるわけです。
 時間がありませんので一問一答はいたしませんけれども、このことに対しては、つい最近経済企画庁の経済研究所長の一ツ橋大学の教授であるところの篠原三代平という人が、二月の十日に、生産性本部主催のトップマネージメントセミナーにおきましてこれを批判をいたしました。これは国全体の立場からいっても物価対策にならない、したがってこの生産性基準原理なるものを取り入れることについては反対であるということを講演をいたしたのであります。生産性本部における講演の中で、しかも政府の一つの機関である経済研究所長がそういう発言をしていることを私は非常に重要だと思いますけれども、これまたその大筋においては私は適切な発言ではなかったかと思うのであります。大臣も春闘を控えてこれらの動きがあることに対しては十分注目をしていただくと同時に、いまお話のありました所得政策の導入をしないという言明とあわせて、この生産性基準原理というものに対しても、あなたは拙速的なこれに対するところの対処はすべきでないというように思っておりますが、いかがですか。
#8
○野原国務大臣 御意見御同様でございまして、私もいま生産性基準原理というものにつきましては一応の研究は必要であろうと思いますが、これを直ちに採用するようなことは考える段階ではない。やはりどこまでも、賃金の問題等につきましては労使双方の合意によって自由に決定をするという原則がございます。ただ、大きく言うならば、やはり生産が大いに上がってその中で賃金が上昇していくという形が望ましいわけです。大きく言うならば、生産性が上がる、その利益は勤労者にも当然分かち与えられるが、同時にまた、言うならば一般の消費者にも、当然これは物価がある程度安定して値下げになるというふうなことになりますればなおいいわけです。その上に設備投資その他にもそれが還元されて物価引き下げがなし得るということが好ましいわけでして、いずれにいたしましても、労使がお互いにその立場を十分に理解し合う、その上に適正な話し合いによって合意し得るという形が好ましいわけでございましょう。そういった基準原理というふうな大きな一つのセオリーを公式に当てはめていくという形をとるということにつきましては、まだ非常に疑問がある。いまの段階はそういうふうなものは研究は自由でございましょうが、これを公的に取り上げるというふうな考えは全然ございません。
#9
○田邊委員 いま大臣のおことばで、われわれとしてはやはりこの春闘といわれる賃金引き上げの時期を、政府があくまでも労使の話し合いのもとで適正な賃金を得るように、こういう考え方に立っていることをお聞きをいたしまして、その点は明確になったと思うのであります。なお将来の問題については、われわれとしても十分検討いたしまして、これらの問題に対して政府の考え方をさらにただしてみたいというふうに思っておるわけであります。
 賃金と並んでもう一つ大きな問題は、何といいましても雇用の問題でございます。政府はつい最近この雇用問題についての若干の構想を明らかにいたしておるようであります。われわれは、この政府の考え方に対して、実はいろいろな意見を持っておるのでありまするけれども、特にその中でもつい最近の「今後の失業対策制度に関する基本構想」なるものを政府は明らかにいたしまして、これを雇用審議会に諮問をいたしておりまするが、その基本方針の最初にこのように書いております。「わが国の雇用失業情勢は、引き続く経済の成長に伴い、近年著しく改善され、緊急失業対策法の制定当初に比べてその様相は大きく変貌し、前回の法改正が行なわれた昭和三十八年当時に比べても労働市場の改善は著しく、今後、労働力需給のひっ迫は一層進行するものと考える。」と書いておるのであります。確かに現在労働力は不足をいたしておると私は思います。しかし、この労働力不足というのは、平面的に見て差しつかえないというものではないのでありまして、いわば内容的に見た場合に非常に多様なものを持っていると思うのであります。政府がさきに失業問題のあり方について調査研究を依頼いたしました失業対策問題調査研究会の七人の人たちの中間報告というものが出ておりまするけれども、この中間報告の中においても「雇用失業情勢の見通し」という項に書いてありまするとおり、「労働力不足が本格化しつつある。」しかしそこには、年齢的に見た場合に、地域的に見た場合に、職種的に見た場合に、労働力需給のアンバランスというのは非常に大きいものがありますということを実はうたっておるわけであります。特に年齢別に見た場合には、男子五十一歳以上、女子四十五歳以上について、求人よりも求職者が多くなっておる。特に五十六歳以上ではかなりの求職難の様相を呈している、こういうことをいっているのであります。地域別に見ましても、農山村地域においては求職者が求人を上回っている。あるいはまた職種別に見ても、事務的な職業については求職者が求人を上回っているという状態であります。したがって政府は、きわめて楽観的な見通しの上に立って、労働力は非常に不足しているから、これに対してわれわれはその認識の上に立って今後の対策を講ずればいいというような、そういう認識というのは大きな誤りではないかと思う。内容的にそういったいろいろなファクターがあることをわれわれは見たときに、このアンバランスをどう是正するかということもたいへん大きな課題ではないかというふうに思っておるわけであります。
 この際私が一番問題にするのは、この中の地域別、職種別の問題もありまするけれども、何といっても年齢的に見た場合に、中高年齢層のいわば就職困難の実情というものは、これはおおいがたい事実である、こういうように私は思っておるのでありまして、経済が高度に成長している日本の現在の情勢の中においてもそのことがいわれてきたということを、十分認識をしてもらわなければならないと思うわけでありまするけれども、一九六〇年代における日本の雇用情勢というものに対して、一体大臣はどのように見てこられたのか、この際、簡単でけっこうでありまするから、お答えをいただきたいと思います。
#10
○野原国務大臣 中高年齢層の雇用の問題等につきましては、われわれも決して楽観をしているわけじゃございませんで、非常に憂慮しております。一九六〇年代においては、わが国の雇用はむしろ労働力が多少余った時代もあったわけでありますが、七〇年代に入ってからは、まさしく労働力が不足の時代に入ったと考えております。そう言いながらもやはり中高年齢につきましては、就職の機会も乏しく、必ずしも十分な職場もないというような事実でございます。したがって、全体としては非常に足りないが、同時に、一般的に老齢化したということ、それに対する対策がまだ十分ではないという点で、今後は特に中高年齢の方々の就職の機会あるいはそのための対策を必要とする段階であろうかと存じます。
 その意味で今後の失対事業の改善を含めた中高年齢の雇用促進という法案を御審議をいただくことになるわけでございますが、まさしく今後のわが国の最も深刻な問題は、中高年齢の方々にいかにして職場についてもらうかということだと思います。これは社会制度とも非常に密接な関係がございまして、社会保障制度も必ずしもまだ十分ではないという段階、特にわが国における年齢が非常に延びたという点で、働く方々も、みずから健康である限りは社会参加をして、人の世話にならずに自分で何とかやっていこうとする勤労の意欲と申しますか、そういった気持ちも非常に強いわけでございまして、ただその人たちのいままでの社会経験なりそういうものを十分に生かすようなことを、国としてもやはり積極的にこれを見出して対策を講ずるという以外にはないわけでございます。今回の中高年齢者の雇用促進の政策は、そういったことに対する対策を強力に進めていくという点で一つの画期的な意義を持っておるものでございます。
 ただ問題は、現在非常に労働力が不足という時代において、一方においては失対事業という形のものが存在しておるのでありますが、いろいろな面でこれまで長期固定化しておるということに対する――いろいろな対策もまた批判の対象になっておりますが、そういった批判もあわせ考えながら、その人たちにいかにして安定した職場についていただけるかという点につきましても、今後ひとつ十分な対策を考えていきたいということでございます。
#11
○田邊委員 あなたが知っておることを全部言わなくていいので、私の質問に対して答えてくれればいいわけです。
 私は、雇用情勢が一体どうなるかということを聞いておるのです。雇用情勢はさらに労働力が不足するというのが端的なお答えだったのですけれども、そう簡単なものでないと私は思うのです。特に最近、いわゆる景気のかげりが見えているという現状、繊維交渉が行き詰まっておるという繊維業界の実はたいへんな苦境、貿易自由化をいよいよ四月に控えて、自動車産業は昨年来大きなネックに来ておるという状態、あるいは昨年のいわば二重価格や不当表示等によって主婦の不買運動を起こした弱電部門は、昨年一部には操短をせざるを得ないという、こういうストックがたくさんあるという状態、いわば日本の戦後の経済をささえてきた三つの大きな柱が、それぞれ実は大きな行き詰まりを来たしておるという現状ですから、そういう中で一体今後はたしてこの好調というものがそのまま続いていくのかどうかということについても、国民の側から見ればたいへん大きな不安があると思う。あるいはまた、いわゆる雇用の構造的な面からいっても、日本は相変わらず社外工、臨時工が多い。パートタイマーが多い。林業労働者のごときは、政府みずからそういったいわば恒久的な安定職業につかせないという状態をつくっている。あるいはまた、いわゆる人口の高齢化は大臣も言われたとおりでありますけれども、これは七〇年代にはさらに進むであろうという見通し、あるいは産炭地あるいは同和地域、こういったところ、金属鉱山のスクラップ化、そういういわば雇用の面における構造的ないろいろなゆがみというもの、これが顕著にあらわれてくるおそれがないか、決して楽観を許さないのじゃないかということを、私はあらためて大臣に認識してもらわなければいかぬと思うのですよ。そういういわば今後におけるところのいろいろなジグザグコースがある、内容的にいろいろ多様なものがある、困難な要素がさらにふえていくであろう、こういう中でもって、一体どういうふうな対処をするかという政府の心がまえがほしいわけでありまして、さらに労働力が不足するであろうというような甘い見通しでもって今後に対処してもらったんでは、たいへんな誤りがあるであろうというように思って、雇用情勢の七〇年代における見通しを実はお伺いをしたかったのでありますけれども、私の言うとおりで大体よろしゅうございますか。
#12
○野原国務大臣 大体田邊さんのおっしゃるとおりだと考えますが、われわれも決して楽観をしておるわけではないということは冒頭申し上げたとおりでありまして、これからは労働力の不足の段階は避けられないと思いますけれども、ただそれが非常に老齢化をすると同時に、一面においてはいろいろなジグザグコースも通り、地域によってはあるいは職場によっては非常な困ったような事態も起こり得る。そういうものも含めて今後は労働行政をしっかりとやっていく必要があると考えます。
#13
○田邊委員 最初からそういうふうにちゃんと言ってもらいたい。
 そこで、いま大臣が言われまして、何か政府はこれに対処するために、中高年齢層に対するところの雇用の促進をはかるための法律を用意しているようでありますが、この法律が出てまいりました時点で、われわれはもちろん内容的に十分確かめてやらなければならぬと思いますけれども、端的に言って、この中高年齢者等の雇用促進に関するところの法律を出したねらいは一体何ですか。そして、このいわば中心は中高年齢対策であることは疑いない事実ですけれども、一体具体的にどういうような対策をとろうとするのか。手帳の問題とかいろいろあるそうですけれども、そういうこまかいことはいいですから、その中心のものは何か、いままであなた方が十分やってこられなかったこれらの対策に対して、一体どういういままでと違ったいわばねらいがあるのか、このことをひとつ簡単に説明してください。
#14
○住政府委員 先ほど先生からの御指摘がございましたように、今後もやはり雇用失業問題は全般的には不足基調の中にございまして、年齢別の需給アンバランスあるいは地域別のアンバランス、そういうアンバランスを考えてみた場合に、今後の雇用対策の中心というものは中高年齢者の雇用をどう進めていくか、こういうことにあると考えますので、その雇用を促進するための施策を進める基本となる、こういう考え方でこの構想をつくり、また、それに基づく法案を準備いたしておるわけであります。
#15
○田邊委員 あまり具体的なことを言っていないけれども、一番心配になるのは、中高年齢層の雇用を促進すると言うけれども、いま言った日本の産業構造からいって、なかなかこれを受け入れがたい面がある、これが一つ。それから五十六歳なり六十歳なりになって、実際に働く者と、あるいは働けない形でもって生活をする者とに分かれてくる。その際に、働けない者に対してはあなたは、政府が責任をもっていわゆる所得保障をいたしましょう、年金制度は、それによって十分生活をまかなえる状態に置きましょう、なお働きたい場合には、あなたに即応した職業を与えてあげましょう、こういういわゆる選択権を本人に与えるというような状態になっておらないわけです。したがって私は、やはり中高年齢層の中の高齢者に対するところの社会保障のいわば一つの歯どめがまずなければ、これは絵にかいたもちになるだろう。これとあわせて、さらに働く者に対しては十分な職を与える、こういう二様の立場をとるべきではないかというように思っておるわけでありますけれども、これに対するところの対策、考え方というものがなければ、雇用促進といっても、当面を償うところの政策に終わるのじゃないかということを心配するわけです。この点いかがでしょう。
#16
○野原国務大臣 御指摘のとおり、社会保障制度の拡充強化を急がれるわけでございますが、遺憾ながらまだ必ずしも十分ではないと考えております。これも今後の政策目標として国の大きな責任であろうかと思いますが、そういった社会保障制度を拡充強化するという段階を待っておるばかりではなく、現在の高齢者に対する対策等をできるだけ講じまして、これが政策がなし得るような対策を講じていくということに主眼を置いておるわけでございます。
#17
○田邊委員 これは局長、少し補足説明をこういうときこそしなければいけない。いま言ったことでは、私の質問に対するきちんとした答えじゃない。私は、一つは歯どめが必要だということと、その歯どめの上に立って、いわば本人の自由選択権によるところの雇用促進という道が開かれてくるのか、こないのか、こういうことを聞いているのですからね。
#18
○住政府委員 いまも大臣からお答えを申し上げましたように、私ども労働力政策の面では、中高年齢者の再就職なり雇用の促進というのは非常にむずかしい問題があると思うわけでございます。特に年齢が高くなるに従いまして困難の度合いが増してくる。しかしながら、全般的な労働力の不足している状況下において、私ども努力をすれば再就職というものは必ずしも困難ではない、それにいろいろ中高年齢者に対する援護措置を強化する、あるいは事業主に対しては、そういう方々を雇い入れやすいような条件を整備していく、こういうことが前提になるわけでございますが、そういう努力をすることによって雇用を促進し安定させていく、これが必要であろうと思うわけでございます。
 同時に、いま大臣が申し上げましたように、やはりそれによって、たとえば再就職する場合の能力の問題だとか、そういうようなことで生活の問題が生ぜられる方もおられると思うのでございます。そういう場合には、私ども社会保障の面で各種の手当てが必要かと思うのでございますが、いろいろ両方ともこれは並行して十分充実をはかっていかなければならぬ問題でございまして、私どもそういう面は各省協力して対策を進めていこう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#19
○田邊委員 そこで、大臣は予算委員会に行かれるそうですから、最後に重要なことをお聞きしたいのは、これから先の中高年齢層の雇用促進は、われわれはもちろんしなければならないと思うのですが、戦後二十五年間、いわば職がなくて非常に困っておった人たちに対して、政府は失対事業を起こしてきた、こういう歴史的な経過があります。この失対事業に定着をしておるという現実の姿というものは、私は、戦後における日本の雇用政策というものが非常に不足をしておった、そういったいきさつからやむを得ざるものであったろうと思うのです。現に失対事業に携わっておる人たち、定着しておる人たち、そのいわば歴史的な経過、事実の上に立った場合に、失対就労者に対して、政府が考えておるところの今後の措置なりあるいは政策なり、あるいは今後出されるであろうところの法律なりの中で、一体どういう取り扱いをするのか。失対就労者に対していささかの不安も動揺も与えてはならないというように私は思っておるわけであります。内容的に改善すべき点はもちろんありましょうけれども、しかし私は、現実に既得権を単純に主張するものではありません。しかし、やはり定着をしながら生活の根拠を得てきたこの人たちに対して、一体どういう考え方によって対処をしようとするのか。まさか政府は、これらの失対に働くところの労働者を、今後だんだんと締め出して、失対事業をなしくずしになくする、こういうような考え方に立っておらないことを私は確信をいたしますけれども、万一そういったことがありとすれば、私は実はたいへんなことではないかと思っておるわけであります。たとえばこの賃金の問題や、あるいはその他臨時給与の問題等を含めていまいろいろと実は言われておるわけでありまして、政府のねらいが現在の失対の打ち切りではないということだけはこの際明確にしておかなければ、私は今後のいろいろな審議に重大な支障があるのじゃないかと思うのでありまして、大臣からひとつ端的なお答えをいただきたいと思います。
#20
○野原国務大臣 失対事業に従事しておる方々は、できるだけ中高年齢者雇用促進の対策によりまして現在の失対事業から他に出ていくことのほうが本人のためにもなる、喜んでもらえるような対策を講じていく方針ではございますが、さればといって、現在の失対に長年従事しておった方々をその道を完全に閉ざすということは考えておりません。そうして、ただいまもお話がございましたが、それらの方々ができるだけほかに転職をして、そのほうがしあわせであるということになりますれば、勢いだんだんと現在の失対従事者というものは減ってまいります。そのほうが好ましいわけでございます。待遇その他につきましてもできるだけの配慮を考えていきたい。ただ、今日までは非常な不合理もございまして、何かと指摘されておる問題もございますから、そういう問題につきましては、その際にこれを正していきたいと考えておりますが、決して現在の失対従事者に対して、これを非常に苦しめるような対策ではないというふうに考えて、これをできるだけひとつ政府として考えていこうということでございます。
#21
○田邊委員 それじゃ時間がありませんから……。やはり失対に働く人たちの現状というものは、必ずしも本人の好ましい意思でもってそういうところで働いておるのじゃないと思うのです。しかし現状やむを得ざる実情であるということについては、十分御認識のはずでありまして、他に雇用の機会を与えるとか、あるいは現在の失対事業の中における不合理をなくするというようなそういう口実のもとに、いま働いておる人たちに対して不安感を与えたり、動揺を与えたり、締め出しを事実上行政の面でするようなことが絶対ないように、大臣の考え方をしかと承っておきたいと思って質問したわけであります。そういう方向でひとつ今後に対処していただくことをお願いいたしまして、きょうは時間がありませんから、以上で終わります。
#22
○倉成委員長 山本政弘君。
#23
○山本(政)委員 実はこの事故が起こったのは十五年ほど前だと思うのですけれども、私は事実関係を調べておるうちに、これは一つは上司の命令によって実験をした。しかし、その実験の際に、すべての面において責任を負うべき上司が責任を免れようとしているのではないだろうか。もう一つは、それに関連して、被曝者の公務災害について取り扱いが非常に不当な−不当という言い方は語弊がありますけれども、非常に不親切だというような感じがしたので、しかもその被曝者は今日まで十五年間病気に苦しんでいるという事実があるわけで、実は質問をする気になったわけであります。
 そこでお伺いしたいのは、この事故が起こったのは昭和三十一年当時だと思うわけですけれども、エックス線の照射による事故があった。その事故についての経過を、簡単でいいですから説明をしていただきたいと思うわけです。
#24
○松本(守)政府委員 お答えいたします。
 的場節子といいますが、これが当時、林業試験場の補助労務者として林業試験場の土壌調査部に勤務をしておりましたが、昭和三十一年七月三十日から同年九月二十六日に至る間、二、三日おきに合計十八日間、取り扱い時間にいたしまして六十八時間、土壌及び風化岩石中の粘土、鉱物のエックス線分析作業の補助に従事をいたしました。本人は、同年でございますが、十月ごろから左手の甲に赤色の溢血斑があらわれました。同年の十一月ごろから下肢、大腿部にも同じような溢血斑が見られるようになりました。昭和三十一年十二月三日に労働科学研究所第一病理研究室で受診をさせました。血液と尿所見では特に異常を示さなかったのでありますが、その後、自覚症状などからして、要注意者として直ちにエックス線取り扱いを中止をいたしまして、医師の指示に従って職種がえを行ないまして、治療を受けつつ経過を観察をいたしました。その後、本人は月経不調とか出血斑が出るようになりまして、昭和三十二年八月、約一年後でございますが、再度労研で検査を受けさせた結果、昭和三十二年九月五日に大学病院に精密検査を受けさせて同月の六日に入院をいたしました。昭和三十二年十月七日労働科学研究所から診断書の提出がありまして、血小板減少症という病名でございます。この診断書の提出がございました三十二年の十一月五日に、林業試験場から林野庁に対しまして、公務災害につきまして上申協議がありまして、十一月二十五日付で林野庁長官から公務上の認定の指示をいたしまして、林業試験場において公務上と認定をいたしました。なお、本人は東邦大学病院において治療を受けて、国家公務員災害補償法により続けて補償をされております。一月の末には、その後幾つかの病気を併発をいたしましたが、一応退院をしております。
#25
○山本(政)委員 電離放射線障害防止規則というのがありますね。それの第二十三条に「被ばく線量の測定」というのがある。第二項に、労働者が最も多く放射線にさらされるおそれのある部位にはフィルムバッジ、ポケット線量計をつけなさいという規定がありますけれども、そのときにあなた方つけさせておりましたか。
#26
○松本(守)政府委員 林業試験場長に、かわりまして答弁をさせていただきます。
#27
○竹原説明員 その当時は、その規定の以前でございまして、バッジ、ポケット線量計等は着用しておりません。
#28
○山本(政)委員 この法律ができたのは事故の起こる前であります。しかし、いま申し上げたフィルムバッジ、それからポケット線量計というのは、この法律が制定される以前にもつけることが常識になっておりませんでしたか。そのことをひとつ、場長ですからね、そしてあなたは当時直接の上司ですからね。
#29
○竹原説明員 これは機械そのものにほとんどそういう障害が生ずるようなことはないという考えでおりましたので、その着用はさせておりませんでした。
#30
○山本(政)委員 電離放射線障害防止規則第一条「使用者は、労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするように努めなければならない。」として、そしてずっと以下そういう防止条項というものを書いておるわけなんですね。たとえ機械にそういうおそれがないとしても、放射線ですから、私は特にそういう注意がなさるべきだと思うのです、管理者としては。その点はどうお考えになっておりますか。これは長官からお答え願います。
#31
○松本(守)政府委員 そういうことが法律、規則制定以前にも常識的であるということであれば、当然そういう注意を払うのが好ましかったのではないか、このように考えるわけであります。
#32
○山本(政)委員 あなたは専門家じゃないですから、常識的であればということをお使いになっている。常識なんですよ、それは。
 それではもう一つお伺いいたしましょう。機械にそういうおそれがなかった、こう言われておる。そして長官は、労研に再三診察をさしておられるようであります。そこで労研と、それからあなたが東邦大学へお送りになった、こう言われるけれども、病院と労研の共同研究の中では、明らかにエックス線の装置に故障があったと書いているじゃありませんか。そして、ちゃんとここに図面がありますよ。いいですか。時間がかかりますから私は結論だけ申し上げましょう。「綜括」の中に「即ち、取扱いX線に対する正確な知識の欠如、」これは補助労務者を使ったということ自体に私は問題があると思うけれども……。それから「間に合せの架台の採用による操作の難渋等が直接の原因となった」つまり図のここにありますけれども、この図のここから放射線が漏洩していたという事実があるじゃありませんか。どこにエックス線の装置にそういうおそれがなかったとあなた方は言えるのですか。その当時あなた方もこの資料をごらんになったと思うのです。明らかに装置に問題があるといっている。この図面によれば、三というところ、そしてC、F、Dという個所に問題がある、こういっているのですよ。つまり、私に言わせれば、機械に対して、あなた方が善良なる管理者としての注意を怠っておったという事実が一つある。しかも補助労務者、これはアルバイトでしょう、結局は。そういう人に対して、正確な予備知識を何にも与えておらなかったという事実がここにあるじゃありませんか。そしてここに書いているのは、「メーカーの測った漏洩X線測定成績を過信し、厳重な管理を怠ったこと、特にフィルムバッジ、ポケットチェンバーを用いずに作業したことに更に大きな原因」があると書いてあるじゃありませんか。明らかにあなた方のミスじゃありませんか。それはどうなんですか。これは学術報告ですよ、断わっておきますけれども……。
#33
○松本(守)政府委員 いま先生お示しになりました研究報告を実は私まだ聞いておりません。ただ聞いておりますのは、労働科学研究所の所見によれば、当時の実験操作を再現してみた、その測定の結果では、エックス線装置ののぞき窓から二十五センチ離れた作業員の操作部署では二百ミリレントゲン程度の放射があったのではないかという報告は聞いております。
#34
○山本(政)委員 操作上でその人たちがなれない、そういう点があった。もう一つは、直接の上司の人、名前は私はあえて申し上げませんが、その人は実験室に入らないで、おれは放射線を浴びるのはいやだとちゃんと言っているんですよ。そして何も知らぬ女性、一人は娘さんであります。その人たちに入らしておるという事実がここにある。そして二百ミリとおっしゃったけれども、ふなれなために、当の女子被災者たちは、みずからの手で第一工程のブランクテストをすることがたびたびだった。これは一番むずかしいところだったとこれに書いている。「しかもその際、カメラ胴のふたをあけて、中をのぞきこんだりすることもあった「カメラ胴のふたをあければ、」あなたは二百ミリと言ったけれども、「それだけで約一〇〇〇ミリレントゲン・パー・アワー程度の被曝を受ける事になって」これは千ですよ。ここにちゃんと書いているじゃありませんか。そして、あなたがもしもお聞きになったのなら、それに二百ミリレントゲン・パー・アワーというものが加算されなければならぬ。そうすると千二百ミリレントゲン・パー・アワーというものをその人たちは実験をやるたびごとに受けておったということになるじゃありませんか。その点はどうなんです。
#35
○竹原説明員 いまの操作を、特に初期段階の操上をやらせて、直接の監督者がそこにいなかったというようなことは私はないと信じております。ただ、この操作の場所が、実はその所属の場所から離れたところでありますので、間接的な監督者でありました私として、これを常時監督することはできなかったわけでございますけれども、その後のいろいろな話を聞きまして、そういうことがあったとは私は信じておりません。
 なお、いまの被曝線量のことでございますけれども、これはその後において再現して操作をしたものがございますが、これによりますと、非常に極端な場合に、二日間ぐらいで三百ミリレントゲンという程度のものがあり得る可能性もある。ただし、その部分には普通は手などをやらないところでございまして、実際に受けたと推定される最大の量は、おそらくいま長官からお話ししましたように二百ミリレントゲン程度ではなかろうかというふうに推定しております。
#36
○山本(政)委員 あなたはそうおっしゃるけれども、ここにこう書いてあります。前段は略しますけれども、「上述の操作の第三工程に大きな欠陥のあることが知られたのである。第三工程、即ち資料装填後の調整をするに当って、実験者は屡々、その操作た難渋し、そのたびに第一工程のブランクテストからのやり直しを男子の研究員にたのんでいた。男子の研究員もはじめはその要求に応じていたが、あまり度々のことで遂には快く応じないようになったため、当の女子被災者たちは自らの手で第一工程のブランクテストをすることが再々であった。」と書いてあるじゃありませんか。あなたたちは再現をした、再現をしたことをお認めになるんだったら、このことだってお認めにはなるはずでしょう。これは公式の文書ですよ。これはたぶん学会に報告されている文書です。長官、答弁なさい。
#37
○松本(守)政府委員 その報告をまだ私見ておりませんが、林野庁としてもそういう報告が出たということは聞いておるようでありますが、詳細にわたってまだ検討はいたしておらないようであります。
#38
○山本(政)委員 再現された、再現されてあなた方はお認めになったから、こういう文書というものができ上がっているんじゃないんですか。あなたたちが御依頼になった労働科学研究所労働病理学第一研究室の石津さんという人と津田さんという人たちがこれを実験をなされておる。そして東邦医大の森田内科の加々美さんという人と白井さんという人がこれをなされておるのです。それにこういうふうに書いているでしょう。そして、あなた方はその実験の再現をお認めになっているわけでしょう。もう一度御答弁お願いいたします。
#39
○松本(守)政府委員 その学会に提出された報告は、まだ試験場にも林野庁にも出されておらなかったために承知しておらなかったということであります。
#40
○山本(政)委員 それならば、あなた方はそういう結果に対して何も検討しないで実験をやって、再現をして、その結果について何も聞いていないということになりますね。そうじゃないですか、もう一度御答弁いただきたいと思います。
#41
○竹原説明員 私どもの受けております報告は、操作過程における散乱線量を測定した成績によると、極端が場合は約三百ミリレントゲンもあるだろうというような報告を受けております。これによりまして、もちろんそれがいろんな障害につながるであろうということは当然考えておるわけでございます。
#42
○山本(政)委員 報告を受けて、私は、まああなた方が三百ミリと、そういうことで押し通そうとすれば、それはそれであなた方けっこうだと思う。良心の痛みを感じるか感じないかということはこれは別問題だと思います。
 この電離放射線障害防止規則、職員の放射線障害の防止という規則がここにある。その中で文章もほとんど同じですが、第五条に「使用者は、放射線業務従事者の受ける線量が三月間につき三レムをこえないようにしなければならない。」こうある。私は科学的な知識はあまりありませんが、三レムというのは三レントゲンというふうに理解したらいいのだろうと思うのです。三カ月間に三レムをこえちゃいかぬと、こう書いてある。この研究室の報告どおりに、千ミリレントゲン・パー・アワーというものが、これは一レムというふうに換算をし直してもいいと思うのです。それが六十八時間その業務に従事しているとするならば、パー・アワーですから、六十八レムになるんじゃありませんか。三カ月間で三レムはいい、それが許容限度だとされているのが、十七日か十八日間の実験の中で六十八レム被爆をしているという事実は、これは私はたいへんなことだと思うのです。私の計算に間違いがあれば、これを教えていただきたいと思います。
#43
○竹原説明員 六十八時間というのは大体その部屋におった時間と考えられるわけでございますが、いまの、もし千ミリというのがありましても、それはおそらくごく少数の時間でございまして、いきなり六十八レムということにはならないと思います。その点では総量というものを現実に測定されておりませんので、最悪の場合にはそういうことも考えられないわけではございませんが、実質的にはそういう瞬間というのはごく最大の一部の時間でございますので、もしあったとしても、それより実際の被爆量ははるかに少ないものになっておったのではないかと考えます。
#44
○山本(政)委員 いいですか、これはこう書いているんですよ。「カメラ胴のふたをあければ、それだけで約一〇〇〇ミリレントゲン・パー・アワー程度の被曝をうける」と書いてある。私は、これは学術の報告だから正確に解釈していいと思う。カメラの胴をあければ、それだけで千ミリレントゲン・パー・アワーの被曝を受ける、これを繰り返したわけでしょう。あなたの言うように、六十八時間というのは、中身からいえば十分かあるいは十五分だとおっしゃるなら、それでもけっこうです。私は一歩譲ってもけっこうだ。だけれども、実験は十七、八回繰り返されているわけでしょう。そうじゃありませんか。そうですね。――そうすると、一回で千ミリレントゲン・パー・アワー、つまり一レムということになると、十七、八回やったんだから十七、八倍すればいいわけだ。そうすると――六十八レムということは私はかりに譲歩して譲ってもいいです。にもかかわらず、十七か十八レムということになるじゃありませんか。これをそのまま読めばそうなるはずであります。
#45
○竹原説明員 それは一回で一時間というわけではございませんで、実際に、たとえあやまってカメラを見ますというようなことがありましても、それは比較的ごく短時間の問題であったろうというふうに考えております。もちろんそれが累積しまして――実際の操作の前後の時間を記録されておりませんので、実際の量はわかりませんが、まあ非常に最悪の状態を考えれば、全部開放しておったと考えて六十八レムということになるわけであります。実際にはそれほど長い間開放するというようなことは、それは当然ないことであります。
#46
○山本(政)委員 いいですか、あけただけで約千ミリレントゲン・パー・アワーですよ。つまり一時間に約千ミリを浴びるだけのものを浴びているということになるんですよ。あなたがそうおっしゃるんだったら、この項の一番最後のところの結論にこう書いておる。「事故発生の原因としては放射口の一部から」――これはカメラ胴をあけたことによるのでありません。要するに装置の欠陥から出てきているやつだ。「放射口の一部からの漏洩X線に気づかなかった」と書いてある。そうして「機械装置そのものに不備があって、」と書いてある。「操作に難渋し、この結果、予期せざる大量の被曝をうけた」こう書いてあるんですよ。「予期せざる大量の被曝」。あなたのおっしゃるような、要するに二百ミリか三百ミリ、それはここにちゃんと書いている。十条の中に、「医療用以外のエックス線装置で定格管電圧が二百キロボルト未満の装置」は「三百ミリレントゲン毎時」――「毎時」と書いてある。ですから、あなたはこれに固執しているのかもわからぬ、ぼくに言わしたら。しかし現実にはここに書いてある「予期せざる大量の被曝」ということは、つまり十条に書いてあるものをはるかにこえているということじゃありませんか。その辺どうなんですか。
#47
○竹原説明員 予期せざる被曝を受けたであろうということは、私どもも当初から認めておるところでございます。
#48
○山本(政)委員 予期せざる大量の被曝を受けたことに対して、機械の装置も悪かった、そして当然つくべき防具もつけさしておらぬ。ポケットチェンバーもつけさしておらぬ。人体に防護すべきものを何にもさしておらぬわけです。機械に不備があったことについても、あなた方は管理者としての注意を怠っておる。しかもアルバイトの人に正確な知識も与えずにそういうことをさして、実際あなた方はてんとして恥じないんですか。責任というものをあなた方はお感じにならないかということを言っているんですよ。しかも、十五年間苦しんできている。的場さんだけじゃありません。もう一人おるじゃありませんか。あえて私は名前をあげない。長官は一人というお話だったけれども、一人じゃないんですよ。現実にやっているのは。私は名前を申し上げてもよろしい。
#49
○竹原説明員 その点での管理者としての責任はもちろん感じておるわけでございまして、そのためにいまの御指摘の二名を公務災害として認定し、その後続いていろんな勤務上の条件等については私どもとしてできる最大の処置をとってきておったつもりでございます。
#50
○山本(政)委員 私は、三カ月間に三レムと言っておった。だけれども、第六条には一年間に一・五レムをこえないようにしなければならないという規定もあるんですよ。それを私はお忘れにならないでほしいと思う。
 医務局長にお伺いいたしますけれども、いま試験場長はできるだけのことをやってきた、こうおっしゃった。そこで関連してお伺いしますけれども、それだけの大量のエックス光線を被曝されている。それに対して、私は、それによってセカンダリーに別病を引き起こすような可能性があるかないか、その点についての局長の見解をひとつ聞かしてもらいたい。つまり、はっきりとないと言えるのか。
#51
○松尾政府委員 大量のレントゲンを被曝を受けました場合には、その直接の障害以外に、年数は何年ぐらいかということは断定できませんけれども、たとえば悪性腫瘍といったようなものを引き起こすという可能性は十分に従来から指摘されているところでございます。
#52
○山本(政)委員 私はそれで、この件について資料を探してみました。四十四年の十二月十八日に、こういうのがあるんですよ。アメリカ連邦放射線協議会のポール・トンプキンズ議長は、こういうことをいっている。現行の放射線許容基準を厳格にしなければ、一年間に最低一万六千人がガンにかかるおそれがある、そういう報告というものを、アメリカの科学者二人の警告として検討中だ、こう書いているわけです。それは放射線許容量を、アメリカでは〇・一七レントゲンと、こうしているようでありますけれども、それを〇・〇一七レントゲン以下にする。もう一ぺん繰り返しますと、放射線許容基準を現行の〇・一七レントゲンから〇・〇一七レントゲン以下にする、こういっているのですよ。出生してから三十歳になるまで、もし年間に〇・一七レントゲンの放射線をからだに照射すると、三十歳以上の人の中で一年に一万四千人のガン患者が発生する。三十歳以下の者については二千人がガンにかかる。私は許容基準について、科学者でありませんから知りません。だけれども、ここでは年間に一・五レム、そして第五条には、三カ月間に三レムと書いているけれども、これから見たってたいへんな影響が私はあると思うのですよ。その点は、医務局長がいまおっしゃったけれども、あなた方は一体どうお考えになっておるか。それはお医者さんでないから、私は常識的なお答えでけっこうだと思います。これはしかし、あとの質問に影響があるから、私はそれをお伺いしたいのです。
#53
○松本(守)政府委員 これは患者を入院検査をさせております病院の所見でございますが、それによりますと――そういうものによらなければ、林野庁として専門知識がございませんので、一応それによらしていただきますが、それによりますと、「本患者の乳腺腫瘍発生の原因に、三十一年の放射線被曝が関連する可能性を否定することはできないが、両者の間に関連があるとする証拠も見出すことはできない」という、どっちにもつかないような所見を書いております。
#54
○山本(政)委員 そこで、お伺いしたいのです。要するにどっちにもつかないような所見の場合に、あなた方はどうお考えになっておるかというのです。装置に不備があった。つけるべきものをつけさせなかった。フィルムバッジだってポケットチェンバーだってつけなかった。防具等もさせなかった。正確な知識もやってない。だからカメラ胴をあけた瞬間に、そういうものが出る。しかも目と――要するに検査をするときの体位というのは、ここから上がきちっと、この図から見たって判断できるのですよ。あなた方はそういう監督上の、私にいわせたら一切の不注意があったにもかかわらず、そういうふうな断定もできないけれども可能性もあるというような場合に、なぜもう少しばかり親切にしてやれなかったのか、こう思うのです。左の乳ぶさを全部とられてしまっているのですよ。女性です。全部、左の乳ぶさがなくなってしまっているのです。私はからだを見ました。男性と同じような胸なんです。しかし、あなた方は、差額ベッドについて一体配慮をされただろうか。患者の付き添いについて配慮をされただろうか。払った領収書の一部を私は計算してみた。それだけで十万何ぼになるのです。責任があるならば、どちらかという、そういうケースの場合には、あなた方はもっと親切にやるべきがほんとうじゃありませんか。その点、どうなんです。
#55
○竹原説明員 御指摘のとおり、患者に対する具体的な措置が十分でなかったという印象を与えたかもしれませんが、私どもとしては当然今回の、昨年発病をいたしました病気が三十一年以来の公務災害に結びつく可能性も多分にあるのじゃないかということは、当初から疑念を持ったわけでございます。ただ、私どもの手続上、いわゆる普通見られます公務災害の外傷等については比較的因果関係がはっきりしておりますけれども、この問題につきましては私どももさっそく医師の所見を求めたわけでございますが、当時はむしろ否定的な意見も一部にあったようでございます。そこで、あらためて書面ではっきりした因果関係を述べてもらいたいということを再三要求いたしましたけれども、はっきりした所見がなかなか求められませんで、やっと二月に入りましてから、いま長官からお話ししましたような所見が手に入ったわけであります。これをもとにしまして、こういう問題については私どものところでは単独で認定することができなくなっておりますので、上部部局と協議をして措置をきめたいというつもりでおるわけでございます。
#56
○山本(政)委員 ここに、彼女が日記風に書いたものの中からメモしてきたものがあります。これは私のメモであります。そこまであなたがおっしゃるんだったら、私は申し上げますよ。林業試験場から、血小板が減少したから公務災害を打ち切ってくれということをあなた方は申し出ているはずでありますよ。ところが、血小板減少症というのは再発の可能性がある、その結果、それは打ち切るわけにはいきませんということで返答されているはずであります。そして血小板減少というのはいまでもあるでしょう。それが第一点。
 第二点は、あなたたちがどんなに不親切であるかということを私実証しましょうか。昭和四十六年一月八日――これはこの日記からの抜粋であります。補償がほしかったら医者の証明をもらって人事院に提訴しろ、こう言っているじゃありませんか。そんな不親切なやり方がどこにありますか。長官、答弁。
#57
○松本(守)政府委員 そのような言い方で患者に対しまして申し渡しをしたということはあり得ないと存じます。いま試験場長に聞いてみたところでも、そういうことは言ってないと言っておるわけであります。
#58
○山本(政)委員 水かけ論になるから私はそれ以上言いませんが、「労働基準法施行規則第三十五条第四号に掲げる疾病の認定基準の改定について」ということで放射線に関するものがここにあります。そしてここには、ちょっと長いけれども読ましていただきますと、「慢性のもの」というのがあって、「電離放射線の慢性被ばくによって発生する疾病は、次のとおりである。被ばくの程度に関しては、現段階における被ばく線量測定の技術的制約にかんがみ、必ずしも被ばく線量測定の結果にこだわらず」――こだわらずと書いてある。「被ばくの可能性をも考慮することとする。」もっとも、その疾病が電離放射線以外の原因によることが明確である場合はこの限りではないと書いてあるのです。つまりこれはそういう被爆をしたときに、気の毒だから、そうして潜在性あるいは継続性といいますか、そういうおそれがあるから、大きくそういう可能性を考えて解釈をしているんだと私は思うのだけれども、その点についてひとつ労働省のほうから、そうであるかないか、御見解を聞かしていただきたいと思います。
#59
○岡部(實)政府委員 ただいま先生御指摘の通達は、規則三十五条四号に掲げる放射線の障害の認定の基準を示したものでございまして、御指摘のように、医学的あるいは技術的に現段階において慢性的な疾病についての把握がなかなか困難であるということから、ただ、疑わしいものは基準法あるいはこの補償の面でできるだけ保護する必要があるというたてまえからただいまのような通達を出して、これに基づいて個々のケースで認定を行なうように指示したものでございます。
#60
○山本(政)委員 どうですか、あなた方。こういうものが出ているのです。労災の認定について私は規定、規則というものをそう詳しくは知りませんが、しかしほんとうにそういう病気にかかっておるんだったら、あるいは断定はできないが可能性があるというんだったら、そこまで包推して考えるべきだというような考えが労災で出てきている。私は左の乳ぶさの手術ということは、これはあるいはという気がするところもあります。しかし第二回に、子宮筋腫でかなり大きな手術をやっている。しかも第三回は前ガン症状といわれておる。そういうことに対してあなた方は、入院なりあるいは付き添いなり一切の費用を考慮すべきはずだと私は思うのですよ。何で労災というものを狭く狭く解釈をするのか、私はその点が不可解なんです。しかも医者の証明書をつけて人事院に提訴せよと言う。あなた方はおっしゃらなかったと言うからそれはそれでもいいですが、しかし労災に対する第一義的な認定の責任というのは各省の人事課あるいは庶務課にあるはずでしょう。そして医師の証明というものは、副次的にそれを判断する一つのメルクマールというのですか基準というのですか、そういうものとしてあるんだと私は思うのです。それならば、なぜそれだけの措置をおとりにならなかったのですか。私は、農林省に人事課も庶務課もないとは思いませんよ。もし親切心があるんだったら、あなた方はそういう手続というものをおとりになるのがほんとうだと思うのです。なるほど労災はとっている。しかし限定的に解釈をしようとしているじゃありませんか。その点はどうなんです。
#61
○福島説明員 ただいまの御質問につきまして、事務担当のほうから若干制度についてお答えいたしたいと思います。
 御指摘のように職業病ということになりますと、公務員でございますので、国家公務員災害補償法並びに人事院規則に基づいて認定をすることになるわけでございますが、その中で職業病として認定されますものにつきましては、ただいま御指摘のように根拠が明らかでない、こういった場合に公務災害としての認定ができることになっておりますが、そういう職業病でない場合にはやはり、公務との因果関係が明らかであるものについてのみ公務災害として認定をすることになっております。本件の場合、最初の血小板減少症、これは職業病でございまして、当然公務災害として認定いたしたわけでございますけれども、その後発生いたしました乳腺腫瘍等につきましては、先ほど来長官その他から申し上げましたように、医師の診断も所見も不明確であるということでございまして、それをもって公務災害の認定をするわけにまいらないものでございますから、そういう手続を早急にいたしました。所定の手続と申しますか、林野庁に上申させ、さらには人事院にも協議をする、こういうような運びで処理をいたしたい、かように考えておった次第でございまして、そのような処置は早急にいたしたいと考えております。
#62
○山本(政)委員 科学技術庁の原子力賠償法ではあなたに近い解釈をとっておるかわからぬ。しかし、たとえば不妊と労働とは関係がない、そういう見解に対して労働省は、労働する側に影響がないからといって、そういう場合に補償をしないということはこれは気の毒である、こういうことで、労働省としてはそういう労災の補償に対しては、九級の一二号を適用しておるのですよ。あなた方も農林省じゃありませんか。そして労災の場合は基準監督署長がそういうことについて証明をすればいい。国家公務員の場合は最終的には人事院がするかもしれません。しかし、第一次的には各省庁で行なっていいのですよ。人事院に提訴する場合には副次的に医者の所見というものをつけて、あなた方は稟伺というのですか、お伺いを立てるわけでしょう。それならば、それだけの問題であなた方は自分の意見をなぜお書きにならないのです。十五年間ですよ。その間に三度の手術をして、二回は大手術であります。一回、二回は、本人の意向は別としても、第三回は大いに関連の可能性があるじゃありませんか。今後どうするおつもりです。
#63
○松本(守)政府委員 いままで申し上げましたように、医学上の意見その他からいたしまして、明確でない点もございますが、人事院の定める公務上の災害認定基準に、そのままにも当てはまらないという点もございますが、林野庁としては一日も早く試験場からその上申書を提出をさせまして、人事院と協議をして、前向きで、この気の毒な職員に対する手厚い、できる限りの手を尽したい、このように思います。
#64
○山本(政)委員 東邦大学で手術をされたときには、要するに労災を適用されているのじゃないですね。国家公務員共済組合法を適用しているのですよ。現実にはあなた方は何も配慮していないのです。そういうところに私は問題があると思うのですよ。場長を責めるわけではありません。しかしいろいろなことをお伺いしているうちに、これだけはやはり聞かなければならぬ。的場さんが、そしてもう一人の女性が被曝をされて、私は少なくとも当時の直属の上司である人は、本人のところに直接見舞いぐらいには行っていいと思うのです。しかし行っておらないはずです。そしてこの東邦大学の大手術のときになってお見舞いに行かれている。これはたびたび行かれたことを私は認めます。しかし、それまでの十数年間というのは御本人がお顔を出していないというところに、すべて一貫した考え方があると私は思うのです。その点は長官としてどうお考えになります、人間として。
#65
○松本(守)政府委員 直接の部下がそういう重大な病気になり、しかも何年も病床に苦しんでおるという場合には、できれば病床を見舞うとか、その様子を見ながら今後の手当てをどうしたらいいか、相談に乗ってやるという態度が必要であろうと思います。
#66
○山本(政)委員 私はぜひ今後ともそうしていただきたい。そしてそのことについては前向きであなた方が善処してもらえるかどうか、御答弁をいただきたいと思います。
#67
○松本(守)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、この問題は林野庁の意見を付しまして、一刻も早く人事院と協議して、公務災害認定になるように善処いたしたいと思うわけであります。その他できますことは前向きでひとつ検討させていただきます。
#68
○山本(政)委員 私、重ねて申し上げますが、この電離放射線障害防止規制をずっと逐条見てみたのです。率直に申し上げて、いままでのあなた方の本人に対する、機械に対する、それから周囲の防壁に対する、そういうことのどれにも該当していないのです。床だってほんとうだったら防護をするようなことになるはずだが、床は当時リノリウムだったはずです。一切適用されていない。それはしかし電離放射線障害防止規則というものがその当時なかったからということで、私はその責任をまぬがれることはできないと思いますよ。
 最後にお伺いいたしますけれども、いま林業試験場で、この報告によれば実験をやめたと書いてあります。そうすると、そういう実験というのは林業試験場はいまやめているわけですか。
#69
○竹原説明員 この件に出てまいりました粘土のエックス線回折並びにこれは木材の利用関係の研究に使うわけでございます。木材の組織、構造等を回折する場合に使うものでございます。このあとにさらに新しい設備もできまして、現在は続いてエックス線をやはり使っております。しかし、もちろん本人らはそれですぐやめさせております。そのほかの分野では使っております。
#70
○山本(政)委員 つまり、第二研究室では使っていないということですね。この問題が起きたのは第二研究室でしょう。
#71
○竹原説明員 地質研究室でございます。
#72
○山本(政)委員 地質研究室ですね。そしてこれは土壌及び風化岩石中の粘土鉱物のエックス線分析ですね。そうすると、ほかのところでは使っておるわけですね。
#73
○竹原説明員 使っております。
#74
○山本(政)委員 先般、私は農林省にそういうことでお伺いしたことがあります。そうしたら、そのことについては農林水産技術会議事務局がよくそのことを知っている、こう言うのです。この事件が少しずつ顕在化したときだったかと勘ぐりたくもなるわけですけれども、林業試験場におけるそういう試験研究について、実施しておらぬと書いてある。現在これに関連する研究は実施していないが、土壌中の重金属元素が――あなたもおっしゃるように、林木の生育並びに材質に及ぼす影響については、今後検討することとしている、なお現時点においては土壌汚染による被害は認められていない。報告はきちんとすべきですよ、それならば。やっておるならやっておる、やってないならやってないと、きちんと報告しなければだめですよ。
#75
○竹原説明員 それは、技術会議からの報告は、特にエックス線の場合には、これは方法論ということになってまいりますので、必ずしもテーマがエックス線を使ってというふうな表現にはなっておらないわけでございますので、そのために実際は使っておってもそういう形で表面のテーマには出てこないわけでございます。そのために技術会議のあげたテーマには入っておらないというふうになっておるかと思います。
#76
○山本(政)委員 どうも私はあんまりぴしっとこないわけなんですけれども、とにかくしかし、もう少しきちんとしてほしいと思うのです。もう少しきちんとしないから、こういうことになる。そしていま同じようなことをやっておられる。今後こういうことが再び起きないという保証はありませんよ。そのためにも、私は、あなた方の使っている人たちに対する考え方というものをきちんとしていただきたいと思うのです。その当時使っていたのは、アルバイトとして使っていたはずです。ちゃんとここに辞令がある。たくさん辞令がある。何にも知らぬアルバイトの人にそういうことを、しかも研究補助という名目でやらしておるのですよ。森林土壌に関する試験業務としてやらしておる。これは、私は監督官庁としてたいへん不見識きわまると思う。
 質問は私はこれで終わります。そして、労働大臣においで願いましたけれども、大体私の考えは話しましたのでこれでやめますけれども、ほんとうにあなた方は使っている人のことを真剣に考えなければだめですよ。私はほんとうは名前あげていいんですよ、しかしおれは放射線にかかるからいやだといって、ほんとうは――それは研究員であります。その人が入らないで、そして女の人たちに、知識のない人たちにそういうことをさせるということは、どだい考え方が間違っておる。科学者という名に値しないものだと私は思うのですよ。長官のお考えを最後にお聞かせ願って、私の質問を終わります。
#77
○松本(守)政府委員 この問題を今後の――こういったことを再び繰り返さない、こういう公務による災害を起こさないというための今後の自覚、また下部に対する十分な注意、指導、この点につきまして今後とも努力して、こういうことのないようにつとめたいと思います。
#78
○山本(政)委員 その補償についても十分前向きで考えていただけますね。一人じゃありませんよ。二人ですよ。それをもう一ぺんお願いいたします。
#79
○松本(守)政府委員 手続につきまして、できるだけの補償を前向きで検討さしていただきます。
#80
○山本(政)委員 質問を終わります。
#81
○倉成委員長 松浦利尚君。
#82
○松浦(利)委員 私に与えられました時間は三十分ですから、代議士会、本会議等の時間がありますので、要領よく質問をいたしますから、大臣、局長、要領よく御答弁をいただきたいと思うのです。
 まず、大臣にせっかくおいでいただいておりますから……。かつて本国会でもだいぶ問題になりました共和製糖事件というのを御存じだと思うのでありますが、あの事件を大臣は御存じであるかどうか、そのことをまずお聞きしたいと思います。
#83
○野原国務大臣 共和製糖事件というとかなり古い話で、私も実は聞いたことがあります。たしかあれは、社長は菅貞人君がやっておったと思います。
#84
○松浦(利)委員 大臣も御存じでありますから、その後の経過についてもある程度御存じだと思うのでありますが、御承知のとおりにあの共和製糖事件が起こったあと、共和製糖に農林中金が多額の融資をしておる。農林中金の債権を確保する意味で共和製糖から第一糖業という製糖会社をつくって今日まで製糖事業を行なっておる、こういうことについては大臣御存じでありますか。
#85
○野原国務大臣 聞いたことがございません。
#86
○松浦(利)委員 大臣聞いたことないそうでありますから、あらためて御説明申し上げなければなりませんが、現在三百万株のうち八十万株を依然として農林中金が所有をいたしております。ここの社長は、農林中金の理事が出向して社長ということで実は第一糖業が経営をされておるわけであります。しかも九月現在の決算書を見ますと、すでに整理会社、清算会社に入ったはずであります共和製糖に第一糖業が四億二千万の金を短期融資いたしておるわけであります。したがって、共和製糖とこの第一糖業というのは、あるいは農林中金と第一糖業というのは、依然として関連を持った会社として今日経営がされておるわけであります。ところが御承知のように、労政局長からすでに御報告があったと思いますが、昨年の四月三十日以来ロックアウトという状態が起こって今日に至っておるわけであります。
 ここで大臣に端的にお尋ねをいたしますが、今日の各種法律のもとで先制的ロックアウトというのは認められるのか、経営者が行なう先制的ロックアウトというのは認められるのかどうか。このことについてまず承っておきたいと思います。
#87
○石黒政府委員 ロックアウトにつきましては実定法上明らかな規定はございませんが、おおむねの学説、判例のいうところでは、ロックアウトというのは防衛的なものであるべきであるというふうにいわれております。
#88
○松浦(利)委員 いま局長から御説明がありましたように、防衛的ロックアウト、これが大かたの学説として認められるところだ、かように思うのです。ところが御承知のように――御承知かどうかわかりませんが、実は争議を組合が行なっておりまして、争議を一応打ち切って全員就労しようという段階、昨年の四月三十日に会社側は全員就労の意思を無視してロックアウト、こういう状態に出てきたわけであります。そこで組合は直ちにこのロックアウトは違法である。違法であるということよりも、本ロックアウト期間中の賃金は支払うべきであるという、賃金支払いの仮処分を地裁に出したわけであります。その結果、本ロックアウトに対する賃金は当然支払うべきであるという決定が下された。そのことについては労政局長は御報告が来ておるかどうか、その点についてお尋ねをいたします。
#89
○石黒政府委員 会社側が四月三十日にロックアウトを行ないまして、それに対して組合側が訴訟を提起いたしまして、宮崎地裁延岡支部から、ロックアウトは正当性の範囲を越えておるという決定があった。それに対して仮処分がございまして、それに対して福岡高裁宮崎支部に対して会社側がさらに上訴をしたというふうに報告を受けております。
#90
○松浦(利)委員 いま局長が御報告になったとおりであります。そこで組合側としては賃金の支払い請求をいたしましたが、会社側のほうが賃金の支払いに応じない。しかも会社側はこの仮処分に対して、いまお話にありました福岡高裁に対して異議申し立てをいたしました。また債権者であります東食も異議申し立てをしたわけでありますが、そのいずれも却下をされたわけであります。そのことは、まだ初審段階でありますけれども、あるいは高裁の段階ではありますけれども、実質的にはそういう形の決定がおりたということは、本ロックアウトは正当なロックアウトである、あるいは不当なロックアウトである、労働行政を担当される局長としてはどういうふうに判断をされるのか、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。
#91
○石黒政府委員 第一審におきましては正当性の範囲を越えるという裁判所の決定があったわけでございますが、最終的にどう考えるかという点につきましては、なお高裁に係属中でございますので、私どもが最終的な判断を申し上げるのは差し控えさせていただきたい。
 それから第一審においてはともかく仮処分の決定がなされたわけでありますから、それに従うということは必要なことであります。
    〔倉成委員長退席、増岡委員長代理着席〕
#92
○松浦(利)委員 いま、最終的な結論が出なければわからない、こういう御答弁でありますが、実際に仮処分の決定がおりた、仮ではありますけれどもそういう決定がおりて、しかも賃金の支払いが命ぜられた。そのことだけについてあなたはどう思われますか。
#93
○石黒政府委員 仮処分の決定につきまして直ちに執行停止の異議申し立てを高裁にしましたけれども、その異議の申し立てが高裁から却下されたということでございますので、これは仮処分には従わなければならないものと思っております。本訴の問題は別でございます。
#94
○松浦(利)委員 この問題について、私は最終的に本訴も仮処分と同じ決定になるというふうに確信をしておるし、またいままでの判例から見てもそうだ、かように思うのですが、そのことはさておくといたしましても、会社側自身がそういった仮処分の決定に対して、これは不当なロックアウトであるというふうに判断をしたのだと思うんです。急遽ロックアウトを解除したわけです。その場合、通常ロックアウトを解除したということは全員職場に復帰させる、就労させる、これがいままでの常識だったと思うのでありますが、労政局長どうでしょう。
#95
○石黒政府委員 仮処分が出ましたので、ロックアウトを解除いたしまして職場に復帰させるということは、これは当然必要なことでございます。そのための労使交渉が目下行なわれておると承知しております。
#96
○松浦(利)委員 その場合に、ロックアウトを解除して、全員自宅待機せよ、こういうケースがいままでにありましたか。
#97
○石黒政府委員 私正確には覚えておりませんけれども、仮処分あるいは解雇無効の判決等がありました場合に、従業員としての身分は継続いたし賃金は支払う、ただし具体的な職場を決定するのにはしばらく時間を要したという事例は、従来もあったように承知しております。
#98
○松浦(利)委員 職場に復帰させる場合に自宅待機させる、しかしまだ全然形のない職場に就労させるために自宅待機させるというようなケースが過去においてありましたか。
#99
○石黒政府委員 ちょっと御質問の意味がわかりませんのですが、従業員が従来働いていた職場あるいは復帰を希望する職場に直ちに入れることができないで、賃金は払ったけれども具体的な職場はしばらくきめられていなかったという事例は、従来もございました。
#100
○松浦(利)委員 もっと正確に申し上げますと、第一糖業という会社では精製糖部門という事業部門がある。そこのある部門について復帰させる話し合いをするから自宅待機せよ、これならまだわかる。全然形がないんですよ。何もないところに職場復帰せよといって自宅待機させる、こういうケースがあるか、こう聞いておる。何も形のないところに来い、こういうのです。
#101
○石黒政府委員 何も形のない職場に復帰というのはどういうのか、実は私まことに不勉強で、この具体的ケースについてどういうことをおさしになっておるのかよくわからないのでございますが……。
#102
○松浦(利)委員 この争議は非常に特徴があるので、私は後藤委員にかわって質問をするわけですけれども、いままではここで精糖の事業に携わっていたんです。白糖。そこに職場復帰させるのが普通ですね。A部門、B部門、C部門とたくさんの部門があるからそこに戻ってこいというのならこれはわかる。ところが、いままで第一糖業ではそういう仕事をする場所は全くなかった。現在もないわけです。そういう何もない職場に来いというのです。あなたが想像できないようなことが、現実として第一糖業の中で起こってきております。いままで自分でやっておった職場に復帰せよ、それがだめだからBに行けというのなら話し合いです。ところがそうじゃない。第一糖業という何もないところに来いというのです。そういうケースがあるか、こう聞いておるのです。そういう就業命令というものは実質的に有効かどうかということもあわせてお聞きしたいと思います。
#103
○石黒政府委員 組合側は精製糖製造工程に復帰いたしたいというのに対して、会社側は包装部門及び新設の含蜜糖製造工程に配置するということを言っておるというふうに承知しております。この含蜜糖製造工程というのが、私不勉強でございましたが、まだ現実に操業されておらないということでございまして、これがいつ操業になるかということと関連があるのでございまして、しばらく待てばそれはすぐ操業するからそこに就労しろということも、あながち不当とはいえない。しかしいつできるかわからないで、半年も一年も待たなければならぬというようなことでありましては、これはやはりたいへん問題があろうかと思います。
#104
○松浦(利)委員 現実問題として何もないわけです。それは現地へ行って見られたらわかる。何もないところに就労せよといっても、就労できるはずはありません。その就労命令に反対をしたら、いまはロックアウトを解除して自宅待機を命じたから十割、仮処分どおり払う。ところが、おまえ職場に来ないのだから賃金は就業規則に従って八割だ、二割は減額だ。何も形のないところに来いと言われて、いやだと言えば八割だ。こういうやり方について、労政局長としてはどう思われますか。現実問題としてあり得ないことがいまあるわけですけれども、どう思われますか。
#105
○石黒政府委員 先生たいへんに詳細に現地の事情を御承知のようでございまして、私ども実は県からの文書の報告によっておるだけでございますので、正確に存じませんが、全然架空の製造工程というようなものであれば、これはもちろん大いに問題があると思います。しかし、近々開く予定であるというのにつきまして、そこにも労働者に働いてもらいたいということであれば、これはある程度待って働くということはやむを得ないことではないかと思います。
#106
○松浦(利)委員 それではいまの問題、現実にないところに就労せよというんだから、そういうばかなことはできないといって反対をする。反対をすれば会社側は、こういうことでこうするからという提案をして、労使双方で話し合う。当然重要な問題だから、いま言う農林中金から出向しておる社長が出てきて、組合とそういう問題について話し合うということが、私は労使の正常化だと思うのです。ところが、一方的に会社のほうは出てこない。工場長と話し合え。そういう架空のものをつくるかどうかというのは、これは経営の最高首脳部しか判断できない問題だと思うのです。それでは労働者というものは一体どうすればいいのか。架空のところに戻れと言うから、話し合いをしようとすれば、社長は出てこずに話し合いはせぬ、こういう状態が現実問題としてあるのですね。こういうものに対して私は新しいケースとしてこういうふうに判断をするのです。
 今度の争議の特徴というのは砂糖業界の再編成という問題がからんでおることは事実だと思うのですね。ロックアウトをかける、ロックアウトをかけた間に一部の人を就労させる、逆に言うと、全面ロックアウトから指名ロックアウトに変えたわけですね。裁判で仮処分が決定をしたら全員自宅待機をさせる、自宅待機をさせておいて組合の切りくずしをやって就労させる。残った者については、何にもない架空のものを提案をして、おまえそれに就労しなければ賃金は八割だ。そういうばかなことはないから話し合いをしようと言ったら、最高首脳部の社長は出てこない。しかもそれに対して組合側が入ってこないようにガードマンを雇う。テレビではかっこうのいいガードマンが出てきますが、私はガードマンの問題についてはあとから大臣にお聞きをしたいのですけれども、こういう労使問題について、局長は、これは正常な使用者の感覚だ、正常な労使問題だ、こういうふうに判断されますか。
#107
○石黒政府委員 この争議は、申し上げるまでもなく昨年の四月からずっと続いておりまして、その間に労使双方にいろいろと行き過ぎの点があったと存じます。全体をながめますと、もう実にこじれにこじれたという感じを持っておりまして、それにつきましては、労使関係の当事者といたしまして、おっしゃるように正常なといいますか常識的な労使関係からかなり逸脱している点があるので、これを正常に戻すのは非常にむずかしいことであろうと考えております。社長云々の問題につきましては、昨年暮れにトップ会談が行なわれたと聞いておりますので、これは社長が出たと存じます。トップ会談の結果、原則がきまったら工場長におろすということもあり得ることでございます。しかし、それからまたずいぶん長くかかっておりますから、さらにやはり会社の最高責任者というのは、病気とかなんとかいうことがあれば、あるいは特別な理由があれば別でございますけれども、やはり一日も早くこの問題を話し合いによって解決するように努力してもらいたいものだというふうに考えます。
#108
○松浦(利)委員 いま労政局長は常識的な判断をされたのです。労働省というのは元来が労使争議そのものには不介入ということだと思うのですけれども、実際にこれからの中小企業の争議というものが、いままでわれわれが想像しておったのとは違う形に変わってきておるということを私はこの争議を契機として知るのです。そういう場合に、労働省の労政局あたりからこの学使双方に対してアドバイスをする、プッシュをしてみる、示唆をしてみる、こういうことについてどういうふうに判断されますか。
#109
○石黒政府委員 おっしゃいましたように、労働省といたしましては、具体的な労使紛争には不介入という立場でございますが、しかし中小企業の争議等につきましては、不介入で情報だけとっておるということでは間に合わない点も多々ございます。もちろんわれわれは、権力的介入の手段は何ら持っておらないわけでございますが、こういう場合につきましては、特に宮崎県の労政課を督励いたしまして、両方の相談相手になり、こういう場合はこういうのが常識的なんだという助言をするというような、いささかなまぬるい方法しかないわけでございますが、そういった陰ながらの解決への御援助ということは極力いたす方針でございます。
#110
○松浦(利)委員 もう一つ、これは具体的な問題ではなくて、これからの問題として御質問を申し上げておきたいのですが、全然形のない架空のものを将来ここにつくる、それでようございますといって組合員の人たちがここで就労をした。ところが、実際にこの部門は成長部門ではなかった。しかも全然できなかった。就労してみたけれども、そういう部門はできなかったし、できてみてそれに就労したけれども、これは成長部門ではないから切り捨ててしまう。そういう場合に人員整理という問題が当然起こってくる。そういうものに対して従業員が警戒心を持つ、そういうことが明らかにならない限り警戒心を持つ、これは従業員としてあたりまえのことだと思うのですが、その点どう思いますか。
#111
○石黒政府委員 これだけこじれてきた争議につきまして、しかも労使双方ともあまり労使関係の歴史も長くございません。その上にこれだけこじれますと、両方がたいへんに不信感を持っている。組合側が会社に対して不信感を持っておるのと同様に、会社もおそらく不信感を持っておるのじゃなかろうか。この不信感を解きほぐすということが最も大事なことでございます。不信感をそのままにして、形だけ無理やりに押えつけましても、なかなか根本的解決にならない。それにはやはり両方の話し合いということが何よりも必要であろうと考えますので、県の労政課にもその線でできるだけ援助をするように申してございます。
#112
○松浦(利)委員 いま私は第一糖業にしぼってお話をしたつもりではなかったのですけれども、いまのお話で一応の形はわかりました。しかし、実際問題として第一糖業の本社は東京なんですね。そうすると、社長と従業員とが、組合の代表とが話し合わない限り一こういう重大な経営の転換というか新しい部門に進出するというものについては、経営の最高首脳が私は出るべきだと思うのですね。ところが、それが一向出てこないために、むしろ話し合いが前に進まないという事実があるわけです。こういうものに対して、労政局長として、東京におる本社の社長、しかも農林中金から出向した社長ですから、そういうものについて労働省の労政局長、あなたが指導、助言をするということについてお考えになることはありませんか。
#113
○石黒政府委員 会社の最高責任者はもちろん社長でございますけれども、かりに社長が何らかの故障があるというような場合に、たとえば専務とか副社長とかいうものに、ともかく責任を持ち得る人に全権を委任して交渉に当たらせるということは、これまたあり得ることであると存じます。いずれにいたしましても、第一糖業につきましては、私ども詳しい報告をとりましたのはごく最近のことでございまして、東京の本社にも接触いたしましてさらに実情を調査いたしたい、かように存じます。
#114
○松浦(利)委員 大臣にお尋ねをいたしますが、春闘で賃上げ闘争で、資金がないからということで、あるAというランクの回答を会社がしておるわけですね。ところが、実際に争議が始まって、ロックアウトが始まったとたんに月に一千万円近く出してガードマンを介入させる、争議に入れる、そういうことについて大臣はどう思われますか。現実にいまある。これはガードマンというのは法人会社ですから、株式会社ですから、それはいろいろなことをやると思うのですけれども、実際に労使双方の問題にガードマンが入ってくる、司法権も持たないガードマンが会社に雇われて入ってくる、会社と契約して入ってくる、こういうことでますます労使の紛争を混乱させるというケースが出てきておるのですね。こういう問題について、ガードマンの介入、こういうものについて大臣としてはどのような所見を持っておられるか、お聞かせいただきたいと思うのです。
#115
○野原国務大臣 労使双方が話し合って理解をもって円満に解決するということが絶対必要でございます。第三者であるガードマンなどがそこへ入り込んできてとやかくやるということは、建物の管理とか何か特別な場合以外はガードマンの介入などがあってはならぬというふうに考えます。どうも事態がわかりませんけれども、とにかく労使がお互いに話し合って円満に話し合いがまとまる、それ以外にないと思います。ガードマンによっていろいろなことをやるということは、事態の解決には役立たないと考えます。
#116
○松浦(利)委員 私は、七〇年代に入ってきて、日本の大企業の労使というものはある意味で安定してきたと思うのです。労使双方が相当成長してきておりますから、確かにトラブルはあるけれども、ルールの上でのトラブルというものへ進んでおると思うのです。ところが反面、中小企業というものについては非常に前近代的な労使関係のものと、今度の第一糖業のように一歩そういうものから進んだ、ロックアウトをかけてみたり、自宅待機をかけてみたり、あるいは全然ないところに就労を命令してみたり、こういった何か形の変わった労務政策あるいは労使問題というのが出てきておるというふうに思うのです。そういう点について健全な労使関係というものを保っていく、そのためには労使双方がお互いに話し合いをしていくという原則、これがやはり中小企業に守られていかなければならぬと思うのです。そういう意味では、私は労働省のこれからの役割りというものは非常に重要なものを含んでおるのではないかと思います。特に今度の第一糖業というのは、共和製糖の後身であり、農林中金が三百万株のうちの八十万株を所有しておる。しかも出向しておる社長は全部農林中金の理事をしておった人たちだ。こういうことを前提に考えますと、私は、この第一糖業というものをひとつ参考にしていただいて、これからの労働行政のあり方、こういったものについてもっと積極的に指導なり助言あるいは行政というものを行なっていただきたい、このように思うのです。その点について労政局長どうでしょう。
#117
○石黒政府委員 御指摘はまことにごもっともであると存じております。私どもも、大企業のほうはおおむねルールがかなり安定してきておる。しかし、中小企業につきましては、まあふだんは労使紛争なんというのは全然よそごとと思っておりまして、いざ事が起こってから双方があわを食う。あわを食って非常にせっかちなことをやるために、ますますこじれるということがしばしばございます。私どもは、労使双方に対しましては教育、啓蒙ということしか手段がございませんが、こういった教育、啓蒙手段というものは、中小企業の集団を指定したり、あるいはいろいろな方法でやっております。その場合に、労働者の教育だけじゃなくて、使用者自身の教育ということも非常に必要であると思ってやっておりますが、中小企業の方はみんなお忙しいので、いざ事が起こるまではなかなか真剣にそういうことを反省なさり御勉強なさるというふうにならない場合が多うございます。今後とも、この点につきましては、この第一糖業の場合を教訓といたしまして大いに力を入れたいと思います。
#118
○松浦(利)委員 大臣並びに労政局長のほうから前向きの御答弁がありましたから、この際第一糖業問題について積極的に行政指導をして、労使が早く紛争解決できるように御尽力いただきたいと思うのです。と同時に、差しかえ委員の私がこういうことを委員長に申し上げるのはたいへん失礼ですけれども、この問題はそういった意味でこれからの中小企業の争議に非常に重大な内容を持った争議だと私は思うので、できましたら本委員会の理事会等におきまして、労使双方の代表を本委員会に参考人として呼んでいただいて、いろいろと本問題について掘り下げた議論をしていただく、あるいは検討を加えていただくということをぜひお願いして私の質問を終わらせていただきたいと思います。たいへん貴重な時間ありがとうございました。
#119
○増岡委員長代理 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後再開いたします。
    午後零時三十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時四十五分開議
#120
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について質疑を続けます。古川雅司君。
#121
○古川(雅)委員 先日大臣から所信表明を伺ったわけであります。これはもちろん大臣個人としての御見解ではなく、国務大臣、労働大臣としての御所見であると拝聴いたしました。若干大臣の所信表明に関連をしてお伺いをしながら、私の質問を続けてまいりたいと思います。
 非常に格調の高い御所信と拝見したわけでございますが、特に四十六年度の重点的な諸施策の中で、まず第一番目に、いわゆる勤労者の財産形成の促進制度を新たに発足させるということをうたっていらっしゃいます。この点につきましては後ほど法案として御提案がございますので、詳細な議論はそのときに譲りたいと思いますが、この予算的な裏づけを見ますと、初年度はわずかに六億五百万円、そのうち六億円が雇用促進事業団に対する出資ということでございました。労働者の生活の向上、そしてまた、勤労者生活の内容の充実を目ざす制度として発足するわけでございますが、実際問題として勤労者がこの制度の恩恵を受けていくのはどれくらい先になっていくのか。この制度の発足を四十六年度の重点施策の一つと掲げていらっしゃるからには、相当の重大な決意がおありだと思いますが、初年度においては直接勤労者に対する恩恵というのは反映されない。先行きの見通し、決意について、冒頭にお伺いいたしたいと思います。
#122
○野原国務大臣 勤労者財産形成促進法という法案を用意いたしましていずれ御審議をいただくわけでございますが、豊かな勤労者生活の実現という問題は、今後最も力を入れていくべき政策であると考えます。そのためには勤労者の方々にできるだけ長期の貯蓄をお願いしよう、しかもそれは国の政策に対する援助をできるだけ濃厚にいたしまして、各企業の協力を得まして、まあ言うならば天引きの貯金もできる、各金融機関等につきましてもそういう形で長期の貯蓄を行なうことになるわけでございますが、それに対しましては利子に対する免税措置を講じたい。従来からの免税措置のほかに勤労者財産形成促進法による分は、百万円まで利子につきましては一切これを免除するということにするのみならず、実はこの資金を活用する場合につきましては、できるだけ利子補給の道も別個に講じたいということで、それには相当の資金を必要とするわけでございますが、初年度でございますから、実は四十六年に発足をすると申しましても、四十七年の一月から実施を予定いたしておりますので、本年は必ずしもそうたくさんの財源を必要としないわけでございます。したがいまして、国庫資金は一億円、事業団出資が五億円、合計六億円の資金をもってその運用益の金利の部分があたかも将来の利子補給の財源となるわけでございまして、これは将来は必ず大きくなることを期待しておりますし、おそらく二、三年の後には数千億というよりむしろ一兆にもなろうかという膨大な資金に育つと思いますけれども、そうなりますればおのずから利子補給額も相当大きな額に達しますけれども、まずそれまでの呼び水のようなものでございまして、この政策に対しては、そういう一つの財源でもって国が全面的に責任をもって財源の措置も講ずるんだということを一応示すという形で、言うならばことしのところは必ずしも大きな財源を必要としなかったわけでございますが、政府がこれまでに一生懸命に勤労者の財産形成の政策を強力に行なうんだということを如実に示していることがむしろ効果があろうと考えまして、あえて予算にはわずかながら計上したということでございます。しかし、この制度による勤労者の財産形成の政策は、将来大きな財源となって勤労者の方々に住宅を持たせ、あるいは株式を持たせ、あるいは日本経済全体の大きな繁栄に貢献できる威力を発揮できるんではないかというふうに期待をいたしております。
#123
○古川(雅)委員 内容の議論については後日に譲ることにいたしましても、当面いわゆる四十六年度に直接勤労者に対して恩恵をもたらすというものではないということはわかりました。
 二番目に、いわゆる労働災害の防止対策でございますが、この推進費が四十六年度はわずかにこれもまた一億六千百万の増で十一億八千五百万円という予算になっております。大臣が所信表明の中でお述べになっております「産業公害による社会環境の悪化が国民生活をおびやかしていることにかんがみ、昨年秋には関係事業場の一斉点検を行なったところである」云々というふうに述べていらっしゃいます。いわゆる有害物質を排出するそうした事業所に対する総点検を行なった。その実態を国民の前に公表された。この点は非常に高く評価をされておりまして、これだけ産業公害による環境汚染が問題になって臨時国会で議論が重ねられた直後でございますが、労働省としてのこの産業公害の防止、さらにまた、聞くところによると、昨年行なわれたその有害物質を排出する事業所に対する総点検等も、一歩後退をすることが余儀なくされたというような予算の配分しかなされなかったわけであります。総体的に、労働災害の防止、その事業を推進していく、そしてまた公害を発生する事業所に対する総点検、労働者の健康づくりをしていくための労働省としての熱意、そういった点が予算の財源的な裏づけの上で非常に薄弱ではなかったかというふうに感ずるのでございますが、この第二点についてはいかがでございましょうか。
#124
○野原国務大臣 労働災害の防止に関しましては最も力を入れておるところでございまして、御承知のとおり最近におけるわが国の労働災害は、遺憾ながら六千人からの死亡者を生んでおります。また三十八万人からの労働災害の負傷者を生じておるということから徴しましても、この災害を未然に防止をする、あるいは半減せしむるということは、刻下の急務でございます。そのためにはあらゆる面から労働災害防止のための対策を講じておりますが、同時にまた最近は、御承知のとおりいろんな公害問題あるいは特に職業病等の関係からいたしまして、産業医学という働く人たちの健康を守るための対策もまた重要でございまして、これは長年の要望でございましたが、四十六年度予算で初めて労働災害のための産業医学研究所が予算的に一応通りまして、ことしはそれに対する敷地の確保をする、明年からはいよいよ建設が行なわれるという段階でございます。
 そういった段階でございまして、特に公害対策に対しましては、その工場に立ち入りまして、工場の指導監督を行なうといったような職務上の権限を持っておるのは実は労働省だけでございますので、労働省の基準監督官ができるだけ工場の内部に立ち入りまして、災害防止のための公害を根本から押えるというか、公害防止対策としては最も力のあるところでございますから、そういった面からも当然労働省の基準監督官の職務というものは重大になってまいるわけでございます。昨年の夏行ないました全国一斉の点検によりまして、一万三千数百カ所の点検をやりました結果、遺憾なものは約三千ございました。その工場に対しましては改善の命令を行なう、勧告を行なうということでやっておりますが、そういった面におきましてもかなり大ぜいの基準監督官の増員が望まれておったわけでございますが、予算の関係等もございまして、ある程度増員にはなりましたものの、われわれが当時考えましたような大幅増員を実現し得なかったという点はまことに遺憾でございますが、しかしこういった問題につきましては、今後国の政治のあり方として、公害問題とまつ正面から取り組んでいくという姿勢を示し熱意を傾けてこの問題と対決するという点で、労働省の方針は全省あげて公害対策に取り組んでいこうという考え方でおるわけでございます。
 そういった面から、これからもまず労働者の健康保持あるいは災害の防止といったような点に最も力を入れ、また公害対策にも取り組んでいくという体制で、十分ではございませんが、現在の機構なり人員なりを十分に活用し動員いたしまして積極的な対策を講じていく所存でございます。
#125
○古川(雅)委員 当局の意欲を私は決して認めないというのではありません。ことに第一線でがんばっていらっしゃる労働者の皆さんの御苦労は私もよく知っているつもりであります。ただ、いまだかつてないほど、今日労働災害については大きな問題として取り上げられ、なおかつ職業病の予防や治療、そしてまた、いわゆる産業公害の防止ということが今日ほど重大視され叫ばれているときはないわけです。いまの御答弁の大臣のその意欲、その熱意に対しては、これはすべてを予算の裏づけ、お金の多寡で推しはかるべきではないかもしれませんが、わずかに一億数千万の増額しか認められなかった、こうした現状で、労働者の健康づくりのために、また労働者のとうとい人命を守っていくために、今年度よりもさらに一歩前進した施策が期待できるかどうかということを私は伺いたかったわけでございます。意欲は十分認めます。しかし現実が、この数字の上ではっきり示されているところから考えると、労働災害の防止対策の推進については、来年度もまた大きな難関があるのではないかと私はかように考えている次第であります。
 三番目にお伺いしたいのは、四十六年度に雇用対策の基本計画を改定するということを掲げていらっしゃいます。なおかつこれに関連をいたしますが、いわゆる現行の失業対策事業について大幅な検討を加えるということをすでに打ち出していらっしゃいます。失業対策事業についてはこれまた法の改正案という形で後日審議をされる予定でありますので、議論はそのときに譲りますが、あえて大臣が所信表明の中でこの項目を掲げていらっしゃいますので、一言お伺いをいたしたいと思います。
 いわゆる失対事業を直ちに打ち切るものではないという説明を懸命にしていらっしゃいますので、一応その表現はお受けするといたしまして、その内容については数々の問題があるわけでございます。その内容から考えれば、やはり失対事業を打ち切っていく、一刻も早くなくしていくという方向を示唆しているとしか受け取れない、そういう議論が非常に多いわけであります。
 こまかい点は後日お伺いするといたしまして、ことに制度の内容の大きな変化を予想されている中で不安に考えられているのは、まず一つはいわゆる臨時の賃金でございますが、雇用審議会の答申としては、これをなくしていくというふうに示しております。これは一つの大きな問題であると思います。臨時の賃金の現益の制度についていろんな批判はあります。批判はありますけれども、これまでの既得権をそのままゼロにしてしまうということには、これは相当反論があるのではないかと思います。この審議会の答申をどう受けとめていらっしゃるか。全くゼロとしてしまうのか、あるいはその臨時の賃金の内容に多少格差を加えるというような弾力的な考えを残すのか、その点ひとつお伺いしたいと思います。
 それから第二番目には、いわゆる失対事業をやめて他の仕事へ転業していく方々に対する支度金の問題でございますが、この点も予算案によりますと、一応貸し付け金は十五万円というふうに予定していると聞いております。この点についても地方公共団体からさらにプラスアルファが考えられて、まあ二十万ないし二十五万になっている、大体そういう実情だと聞いておりますが、わずかそればかりで事業を始めていく、商売を始めていくということは今日の世相では考えられない。この貸し付け金についても弾力的な考えをもって今後対処していただけるかどうか。
 さらに、この雇用対策基本計画に関連をいたしますが、失対事業を離れて新たに職を求めていく方々に対する、特に中高年齢層の方々の雇用対策は現在ではまだプランの段階です。構想の段階です。これが失対事業に対する考え方の裏づけとして、絶対に不安を与えない、これまで以上の生活を保障するというだけの自信を持って、これは野原さん、今期の労働大臣としてだけではなく、これから先の将来にわたる政府の責任として、この点きちんと保証ができるかどうか、この三点にわたって、失業対策事業についてのお考えをこれから打ち出していらっしゃるのか、重点的な政策として取り組んでいかれる決意であるのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
#126
○野原国務大臣 失業対策事業等につきましては、いずれ中高年齢者就職促進法という形でこの議会に提案をいたしますので、その際において御審議をいただきたいと存じますが、ただいまのお話に関連いたしましてごく簡単に申し上げますと、われわれは、今日まで失対事業に従事しておる方々が果たしておる役割りというものは非常に高く評価しております。しかし、そういう失対の方々の御努力に対しては評価はしておりますけれども、現在におきましては、いろいろの状況が変わってまいりまして、一面においては多数の労働力不足という時代に入りました環境を考えてみますと、いままでのような形での失対事業というものは何かと批判の対象となるということも事実でございます。
 そこで私どもは、この際その失対に従事しておる方々が他に職業を求めていく場合においては、これを就職に対して援護をする、同時に職業の訓練等も行ないまして、親切に、そういう人たちが他に移りやすくしてあげることもまた必要でございます。そのためには、御指摘のような転職奨励金のようなものも思い切って三倍程度にふやすことに考えておりますし、あるいはそういった方々のための訓練というものに対して、いろいろな配慮を加えておるわけでございます。
 同時に、ただいま御指摘のように、失対労働者を全面的に打ち切る心配があるというふうなことでございましたが、実は打ち切りは考えていないわけでございます。その人たちも、一部他のほうに回っていく人もありましょうけれども、どうしてもこの仕事をやっていきたい、やる以外にないといったような方々に対しましては、従来と同じようにやはり失対の従事者としてこれを継続してやっていくという考えでございます。同時にまた、盆暮れに実はある程度別個な形での給与をしておったわけでございますが、そういう盆暮れのボーナスのような形のものはなかなか議論がございますので、そういう形ではどうもなかなか容易でないと考えておるわけでございますが、それにしても、急にこれを全部打ち切るごときことは容易でないわけでございますから、予算的には実は例年と同じようにそれを支給し得るだけの財政上の配慮をしておるわけでございます。ただ、それをどういう形で出したらいいかという問題につきましては、まだ今後十分当委員会等の御意見等も承りながら対策を講じてまいる考えでございますが、決して失対労働者の方々が非常に困る、収入の激変を招いたというふうな事態が生じないように、心こまかな配慮を加えてまいりたいと考えておりますが、そういった面で、時代に適応した一つの新しい制度のような形にこれを進めていくことが当面必要だろうと考えまして、今後中高年齢者就職促進法という形で法案を出す。その中でいままでの失対事業の労働者につきましては十分な対策を考えてまいりたいというふうに考えておりますので、詳しいことは法案の御審議をいただく際において、皆さま方の十分な御意見なり御批判をいただきたいと考えております。
#127
○古川(雅)委員 いま労働者の皆さんは、この失業対策事業に携わっている皆さんを含めて、今後の労働行政については、期待というよりもいろいろな不安を持ちながら行政を見つめているわけでございます。いまさら労働省の設置法を引き合いに出すまでもございませんけれども、労働省というのはあくまでも労働者の福祉、そして健康増進のためにいろいろとお骨折りをいただくところであると私はそのように理解しておるわけでございまして、昭和四十六年度に重点的に取り組んでいくその内容については、やはりより実りの多いものを、労働者のために、生活のためになるものを大きく期待しているわけでございまして、以上三点にわたって、一応表面的ではありますが、その内容をお伺いしたわけであります。
 四番目に、私は特に大臣の所信表明の中で今後に期待したいのでありますが、いわゆる発展のおくれた分野に働く人々の労働条件の改善をあげていらっしゃいます。特にこれは中小あるいは下請企業等には恵まれない労働条件で多くの人が働いておると認めていらっしゃいます。こうした方々のために、大臣が最低労働条件の確保という視点に立って監督指導を進めていくというふうに述べていらしゃいますけれども、とかく労働者、働く人々と、その人たちを雇用していく、使用していく側のいわゆる使用者と、利害が対立をし、これまで多くの問題を生んできたわけであります。ここにあえて大臣が、発展のおくれた分野で働く人々の労働条件の改善を重点施策として掲げられたからには、一つの大きな決意がおありであると思います。特にこの最低労働条件の確保という視点に立って監督指導を進めていくというふうにおっしゃっている点について、できれば具体的に、四十六年度はこのように考えているという点をお示しいただきたいと思います。
#128
○野原国務大臣 具体的なことは非常にむずかしいと思うのでございますが、ただ、非常に恵まれないような条件下に黙々として働いていらっしゃる多数の勤労者の方々があるわけでございます。こういった方々が大きな力となって今日の日本経済の大きな成長があったと思います。したがって、そういう恵まれない地域において、あるいは恵まれない、まだ十分に報われないような職場におる方々にありましても、大事な勤労者である限りにおいては、われわれはこれに対するできる限りの対策を講ずる必要が当然あるわけでございます。そういった面から、たとえば失対事業に従事してきた方々もそうでありましょうし、また、特に産炭地域の方々のごときも非常に不安の状態にあるようでございます。あるいはまた、山村地域の非常な過疎地帯の方々、あるいは同和地区のような地域にお住まいの方々等も、みなそれぞれ悩みを持っておると思います。そういった方々に対しましては、やはりその地域にふさわしいきめこまかな対策を講じていくことが必要であります。そういった面で画一的な対策というわけにまいらぬと思うのでありますが、そういったような条件の方々も、やはり国の経済の成長発展と相呼応して、できるだけ豊かな均衡のとれた対策を講じてやって、それでみんな喜んで国の全体の生産にいそしみ、わが国の経済の発展をになう強力なにない手として大きく伸びていただきたい。そういう点でわれわれは今後もあらゆる労働者の立場に立って対策を講じていく、これが労働省の使命ではなかろうかと考えております。
#129
○古川(雅)委員 現実問題として、恵まれない労働条件のもとで働いている人はたくさんいるわけです。そういう人たちの条件の改善のために、そういう視点から労働者が監督指導していくということについては、これは当然大きな期待を持たざるを得ないわけでございます。いまの御答弁からは、多少期待はずれで、何ら具体的なお示しをいただけなかったわけでありますが、その点についてさらにお伺いをしていきますと、最後に合理的労使関係の確立ということをあげていらっしゃいます。これもしごく当然のことでありますが、この中で大臣のおことばをかりれば、「もとより労使関係の基本は、労使がその諸問題を話し合いにより自主的、合理的に解決していくことにあります。」というふうに述べていらっしゃいます。
 ここで私はお伺いをしたいのでございますが、当然、労働関係、労働条件についての規定をいたしました労働基準法は現に生きていると思います。そうしたいわゆる労働者を守る立場の法に照らして、労働者が著しく粗悪な労働条件のもとで働かされているこうした現状に対して、その条件をより改善するために、また、そこで働く労働者の人たちの生活の向上のために、労使の関係の対立があった場合、やはり労働省としては、大臣としては、労使両者の話し合いにより自主的、合理的に解決していくことを期待なさるのか。あるいは、そうした法に照らして、これは明らかに労働条件としてふさわしくない、そういう判断のもとに労働者を守る立場でお働きいただけるのか。その点についてひとつ確認をさしていただきたいと思います。
#130
○野原国務大臣 これは、労働基準法等によりまして働く人たちの立場というものをできるだけ守るのが労働省の使命だろうかと存じます。さて、いろいろなケースがございますが、常に労使がお互いに話し合いによって円満に事を運ぶという解決をすることが一番望ましいわけでございますが、それが一たび紛争のことになりますと、なかなか熾烈な闘争もございます。そういった場合においては、やはりいろいろな第三者機関等もございまして、これを調整をするというか裁定を行なうような機関もございます。まあそこまでいきますと、労働省は常に勤労者の味方でという立場ではございますけれども、やはり直接両者の間に分け入って指導するということは困難であるわけであります。そういった面では、これを第三者機関におまかせして、その結論を得ることによって事態の円満な解決をはかるということにいたすべきものだと思いますが、大体において労働基準局あるいは監督署は、常に労働基準法が適法に守られているかいなかという点で、ある一面においては働く人たちの味方というか、立場になりかわって厳重な監督指導を行なうのが本来の任務でございますから、そういった意味では、おそらくそれぞれの地域におきましても、みな相当の努力をしておると私は確信をいたします。ただ、個々のケースがいろいろございますので、一がいにはなかなか言い切れないものもあろうと思いますが、考え方の基本としては、あくまでも勤労者の立場を守って、労働基準法が完全に実施される、労使がお互いにその分を守って、理解と協力によって円満に解決をするということが国の発展の基本であると私は考えております。
#131
○古川(雅)委員 一般的なお伺いでたいへん申しわけないのでございますが、こうした中小下請企業等の発展のおくれた分野で働いている人々、その人たちの労働条件には、往々にして非常に過酷なものがあるわけでございます。そういった点、いわゆるそこに働く人たちが生活の確保のためにあえてそれに耐え忍んできた、それが今日になって耐え切れなくなって問題が表面化したというような事態が見られます。この場合、そうした劣悪な条件で働かされている、働いているそういった人たちを監督し得なかった、そうした事実を認めて、雇用者に対してその事実に対して忠告あるいは勧告をし得なかったということを問題とするか、あるいはまた、労働条件を問題として、労使双方の利害が対立をした、対決関係になったというときに、労働省としては、これは先ほどお伺いしたことでありますが、やはりそうした力のない、これまでやっと耐えてきた労働者の味方に立って、基準監督署の出先の皆さんも、その人たちのために、法を守るために、働いていただけるものであるのか。これはあくまで原則論、一般論になりますが、後ほど大事になってまいりますので、特に大臣に伺っておきたいと思います。
 また、そうした労働省当局の努力に対して、使用者側がその労働省の勧告ないしは忠告あるいは判断に対して従わない場合、それ以上労働省は力を持ち得ないものかどうか、その点を大臣に最後にお伺いしておきたいと思います。予算委員会のほうに御出席の予定であると思いますので、あとは関係の局長、課長にお伺いしていきたいと思います。
#132
○野原国務大臣 労働省は常に働く人たちのよりよきパートナーである。したがって味方という立場もあると思います。しかし、労使がお互いに理解を持っていくところに生産があるわけでございますから、労使の立場を聞いてその円満な解決をはかるように指導するのが、これまたその使命でもあろうと思います。そういう意味で、個々の問題は別としまして、基本的には勤労者のための立場というものを常に忘れずに、各企業なり使用者側に対しても労働基準法をよく守って、働く人たちの立場というものを尊重するように指導するのが本来の役割りだろう、したがって、その間にありましてもいろいろな紛争等が起こる場合があろうと思います。その際には、どうも労働省あるいは基準監督署などは、勤労者の立場のみを主張できない場合もあろうと思います。それはやはり第三者の機関なりあるいは場合によれば法廷で争うような場合もあろうと思います。その場合においては、厳正な立場から、基準法に準拠して、いかにしてそれが適法に守られたかいなかという点を中心として事に対処すべきであろうと考えております。お答えになったかどうかわかりませんが、そういうような考え方で進んでおります。
#133
○古川(雅)委員 具体的な問題についてお伺いする前に、もう二、三前提としてお伺いをしておきたいわけでありますが、これは監督課長でもけっこうでございます。いわゆる労働基準法に抵触するような条件のもとで働いているそうした実態が明らかになった場合、労働省としては、そういう人たちの条件を改善するということはもちろんであります、改善に努力されることはもちろんでありましょうが、その人たちからその仕事をやめさせてしまうというような決定をおとりになるか、その点をお伺いしておきたいと思います。
 これは後ほど婦女子の深夜の就労について例をあげてお伺いしたいものでございますから、あらかじめお伺いしておきたいのでございます。この点もし労働基準法で問題になった場合、これまで長い間働いてきた皆さんから、その婦人の皆さんの職業を取り上げるというような措置をとって、法を正すという措置をおとりになることはあり得るかどうか、その点からお伺いしておきたいと思います。
#134
○吉本説明員 ただいまの御質問、私もよく理解しがたいのでございますが、事業場につきましていろいろ違反の事実があれば、これは事業場をしていろいろ指導をし、あるいは最悪の場合には司法処分に付する、こういうような立場でやっておりますが、その際に、労働者側においてその職場を失うことになるということにつきましては、いつもそのようなことはやっていかない方針でおると思うのでございますが、ちょっと御質問の内容を、よろしかったならばもう少しお知らせいただきたいと思います。
#135
○古川(雅)委員 これから労働基準法の内容についてお伺いしていくわけですけれども、いま現に働いている皆さんが、労働基準法では認められないそういう条件のもとで働いている、それがいわゆる御婦人の深夜の作業であるという場合に、これまで長い間生活のために、労働基準法がどうであろうと、働いてきたわけです。それをここで法に照らしてこれは許されるべきでないという判断がもし下された場合、その御婦人の皆さんからその職を奪うという判断をおとりになることがあり得るかどうか、そのようにお伺いしたわけです。
#136
○吉本説明員 法に違反をしている事実が発見されて、そのためにどうしてもその職場におれなくなるというような場合の問題だろうと思いますが、そういったケースは場合によりましてあり得ると思いますが、そういった際には、やはりそれの事後措置等も十分考えながら事業場に対して指導してまいらなければいかぬと思います。
#137
○古川(雅)委員 もしそうした基準法に照らしてふさわしくないという判断をなさり、その職場で働くことを禁じたような場合、事後の措置もお考えになるということでございますが、この点については、これまでの生活を確保するためのあるいはそれ以上の所得を保障する、収入を保障するというところまで責任をおとりになるわけでございますか。というのは、これまで、基準法に照らしてどうであろうと、ずっと認めてきた、あるいは見のがしてきたわけでありますから、その一端の責任は労働省にもおありであるというように考えますので、その点をお伺いするわけでございます。
#138
○吉本説明員 ただいまのように事業場におきましてそういった問題が起きた場合に、その事後措置の問題でございますが、やはり私ども労働省の機関としましては、関係の機関とも連絡をとって事後の措置も十分考えていかなければならぬというように考えております。
#139
○古川(雅)委員 では、具体的な事例につきましてこれからお伺いを進めてまいりますが、深夜の婦女子の就労につきましては先般藤田委員からいろいろ御指摘がございましたので、一般的な問題については質問を避けまして、一つの例をあげて、その点についてお伺いをしてまいります。
 私がここへ持ってまいりました例は、山口県の下関にあります魚市場で働いている御婦人の皆さんの問題です。いわゆる漁船から水揚げをされた魚をえり分ける、そういう仕事をしていらっしゃるわけですが、通称選別婦というふうに呼んでいるということでございます。その選別婦の皆さんの労働基準法の中の位置でありますが、一体どういう業務に属するのかということがあとでいろいろ問題になってくると思います。その点から最初にお伺をしたいわけでございますが、深夜就労とか御婦人ということをまず除いて考えた場合、基準法の第八条、適用事業の範囲という中ではどの号に属するか、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#140
○吉本説明員 ただいまの山口県の下関の漁港におきます問題につきましては、御質問にもあったかと思いますが、どういう形の内容であるかという問題につきましてはなかなかむずかしい問題もございますが、少なくとも選別婦として就労している場合、これが労働者であることは間違いないと思います。
#141
○古川(雅)委員 第八条の中ではどの号に該当しますか。
#142
○吉本説明員 ただいま申し上げましたように、下関におきます事例につきましてはいろいろ問題がございますので、八条の第何号に適合するかという点につきましては、一つには六号あるいは八号というような解釈もとれるところでございまして、現在その点につきましてはなお検討いたしてまいらぬと正確には把握できないというように考えます。
#143
○古川(雅)委員 これからお伺いしていく問題は決してきのうきょう起こった問題ではございませんで、かなり前から尾を引いている問題でございます。その中で、六ないし八というような一部御意見がございましたけれども、七号に該当するということはお考えになりませんか。
#144
○吉本説明員 失礼いたしました。七号の該当と六号と間違えました。
#145
○古川(雅)委員 四十一条に労働時間及び休憩の特例についての適用の除外の項がございます。ここに第八条の六号または七号の事業に従事する者が該当しているわけでございますが、このとおりでよろしゅうございますか。
#146
○吉本説明員 おっしゃるとおりでございます。
#147
○古川(雅)委員 女子年少者労働基準規則というのがございます。この中で、女子の深夜業の範囲を第六条に規定しております。まず、この魚市場における選別婦が水産業の従事者であるという考えが一つ。もろ一つは、魚を運んだりするいわゆる運搬業者という見方が一つ。いろいろ意見が分かれておるようでございます。きょう水産庁からおいでをいただいておりますので、この魚市場で働いていらっしゃる選別婦、いま深夜業を問題にいたしますので、あえて婦人の婦という字をつけておりますが、この選別業務はいわゆる水産業と考えてよろしいか、あるいはそうではないという御判断をなさるか。その点まずお伺いをしておきたい。
#148
○三善説明員 ただいまの選別婦は非常にむずかしい問題でございまして、私どもも労働省と相談していきたいと思いますけれども、われわれの考えとしましては水産業のほうに入るのではないかと実は考えております。
#149
○古川(雅)委員 監督課長にお伺いをいたしますが、いま水産庁のほうからは水産業に属するものという御答弁を一応いただきました。ここで、この選別婦の皆さんがほとんど御婦人であるということで、女子の深夜業の範囲が問題になってくると思います。この女子年少者労働基準規則に照らして、この選別婦の皆さんが深夜に働くこと、就労することは差しつかえないという御判断をなさいますか、それとも、これは思わしくないというふうに御判断をなさいますか。この規則の第六条の第五号には「かに又はいわしの罐詰の事業における第一次加工の業務」というのでちょっと似通ったのがありますけれども、この辺との関連からいかがでございましょうか。
#150
○吉本説明員 選別婦が水産業の事業であれば、特例によりまして深夜業は除外されるということに相なると思います。
#151
○古川(雅)委員 水産庁のほうにもう一度お伺いいたしますが、この選別婦がいわゆる水産業だということになりますと、実はいま私があげている例の問題で一番問題になりますのは、雇用主がはっきりしないということであります。まき網組合と、それからまた中央市場と下関魚市場というのと二つありますが、その魚市場側であるという議論が分かれまして非常に問題になっているわけでございます。水産業であるというお考えのもとから御判断になりますと、こうした選別婦の方々の雇用主はどちらであるとお考えになりますか。
#152
○三善説明員 非常に微妙なことでございまして、実は率直に申し上げまして、われわれといたしましては、船主が賃金を出しておるところから、これは船主が雇っているのではないかと思います。ただ船主が雇うということにいたしますと、アルバイトのようなものでございまして、失業保険だとかその他のいろいろの制度にのらないという点がございますので、便宜上市場側が雇うというような形態になるのではないかと推測しております。
#153
○古川(雅)委員 監督課長にお伺いいたしますが、この選別婦として働いている皆さんの雇用主がはっきりしないということなんでございますが、労働者として働きながら雇用主がはっきりしないことは、これは非常に嘆かわしいことでありまして、これから一つ一つお伺いしていきますが、いわゆる労働条件の改善あるいは現に働かされている過酷な労働条件について抗議を申し込んでいく、異議を申し立てていく、それは一体だれに向けていけばいいのか。雇用主がはっきりしないということは考えられない問題でありますけれども、これがはっきりできないという事実がある以上、どこが責任を負うべきものでしょうか。
#154
○吉本説明員 この問題につきましては、実は関係の機関に紛争解決の依頼をしているということでございますので、そういった点の判定なりあるいは水産庁はじめ関係機関ともよく連絡をいたしまして、十分内容を詰めてまいりたいというように考えております。
#155
○古川(雅)委員 いまの御答弁でございますが、まず現地の山口基準監督署につきましては、両魚市場が雇用主であるという判断をされたわけであります。ところが、それを両魚市場が認めない。その後何ら基準監督署としては組合側には見解も示さないし、どうこうしろということも示していない。判断を下しながら、先方がそれを認めないというだけでそのまま放置しておるという現状は、まず一つ納得がいきません。
 それから山口地方労働委員会につきましては、これはやはり選別婦の組合側があっせんをお願いして、調査をし両方の意見を聞いたけれども、これも何ら結論を得ないまま今日に至っている。法務局のほうも同じように事情は聴取しているけれども、その後何ら善処をされていない。その他労政事務局等についても同じような現状であります。こうしていわゆる使用者と労働者の組合の人たちとの対立が長引く間に、あとから御説明しますが、今日の現実のような段階になっているわけですけれども、一体この人たちがどこにこの労働条件の改善、そしてまた賃金の上昇等を申し入れていけばいいのか、その点まずはっきりしていただかないと非常に困るわけでございます。以下いろんな過酷な労働条件の内容についてお伺いしていきたいわけでございますけれども、それが労働基準法に定めるところから著しくはずれている、反している場合に、一体これはだれの責任になるのか。雇用主が両魚市場であると判断されるならば、当然その点の責任が追及されなければならないと思うのでございますが、労働基準監督署あるいは労働省の基準監督局としてはいかがでございましょうか。
#156
○吉本説明員 労働者の労働条件につきまして、直接使用者の問題がはっきりいたしません限り、いろいろものごとは進まないというお説もっともでございますが、先ほど申しましたように、昨年の九月以来、地労委等に出されて紛争中でございますので、出先機関としましても、その実態の推移を見ておったというのが偽らざる現状であろうと思います。
#157
○古川(雅)委員 これはそちらでも十分調査をなさっておると思いますが、その下関の鮮魚の選別婦の皆さんは、昭和二十七年ごろいわゆるアルバイト的に選別婦として従事し始めてから、今日までおよそ二十年間働いてきているわけでございます。この争議が始まりました当初には、約百八名の皆さんが組合をつくって、何とか労働条件を改善していこうというふうに努力しておりました。ということは、二十年間こうした非常に劣悪な条件のもとで働くことを余儀なくされてきた。
 これから一つ一つお伺いをしていきたいわけでございますが、まず、この御婦人の皆さんは、深夜の就業であると同時に、深夜も含めて平均して十六時間働かされる。しかも休憩時間も、食事時間を除いてはほとんど与えられないというような条件のもとに働かされてきた。この点は三十四条に違反すると思いますが、いかがでございましょう。
#158
○吉本説明員 まず就業時間の点でございますが、私どもの理解しておる範囲では、早番の場合が午前零時から六時まで、おそ番の場合に午前六時から午後四時まで、こういうふうに聞いております。
 なお、ただいまの休憩の規定の適用につきましては、従来、解釈的と申しますか実態との関連で七号に該当するという形において、この点につきましては言うなれば四十一条で除外されますので、そういった点の取り扱いはないものと思っております。
#159
○古川(雅)委員 これは毎日十六時間というわけじゃありませんけれども、非常にそういう場合が多かった。なおかつ深夜の就労ですから、行き帰りの通勤の時間を含めると、これは平均して十六時間拘束されてしまうわけであります。深夜これだけ働いて休憩時間が与えられない。この事実に対しては三十四条の違反というのは認められるんじゃないでしょうか。
#160
○吉本説明員 四十一条の規定によりまして除外されますので、そういったことはないというふうに考えております。
#161
○古川(雅)委員 そうすると、四十一条の規定によって、十何時間働かされても、それに見合った休憩時間を与えないことは何ら問題にならないというわけでございますか。
#162
○吉本説明員 法律といたしまして制度上はそうなっておるということでございまして、決してそれが好ましいことではないことは先生おっしゃるとおりでございます。
#163
○古川(雅)委員 好ましくないということは――これは休憩時間が与えられないということを私は言っておるわけでございまして、先ほどそちらの時間のデータをお示しになりましたが、十六時間働かされて、その間にろくに休憩も与えられない、食事の時間だけであるということについては、これはやはり違反と断定できませんか。
#164
○吉本説明員 制度上といたしましては、最低限を規定しますこの法律には抵触しないということでございます。
#165
○古川(雅)委員 好ましくないという御答弁がありましたけれども、こういう場合、こうした深夜に働く御婦人の皆さんの健康、そしてまた生活を守る、からだを守るために、これは違反にならないということだけで放置さるべき問題であるかどうか、その点御見解いかがですか。
#166
○吉本説明員 法律上はさような取り扱いになりますが、その実態につきまして、先生のおっしゃるとおり過酷な形にならないよう指導してまいらなければならぬと思います。
#167
○古川(雅)委員 こういう過酷な条件で、休憩時間も与えられないということに対して、いわゆる雇用主の責任はどうなりますか。法に触れない、違反しないということだけで何ら責任を問われないでしょうか。
#168
○吉本説明員 法律上の違反ということはない、こういうことに相なっております。
#169
○古川(雅)委員 道義的な責任は問われますか。
#170
○吉本説明員 おっしゃるとおりでございます。
#171
○古川(雅)委員 山口の労働基準監督署が選別婦の雇用主は両魚市場と判断をした、認定をしたという表現で報告が私のもとには来ておりますけれども、この点については、十分責任をもってこうした判断を下されたのであると思いますけれども、いかがでございますか。
#172
○吉本説明員 現地といたしましては、そういった事実を認めた上でこういった判断を行なったというふうに思います。
#173
○古川(雅)委員 この場合、両魚市場がこれを認めないということは、これは労働基準監督署としても著しく権威を傷つけられたということになると思いますが、この点どう今後対処されますか。
#174
○吉本説明員 この点につきましては、先ほど申しましたように紛争中でございますので、その解決を待ちまして、正式の事業主に対しましては、きちっとした体制を整えさせたいというふうに思います。
#175
○古川(雅)委員 紛争処理に持ち込まなければならないような非常に複雑な混乱を来たすような問題に対して、基準監督署がきわめて簡単に、簡単にというと語弊があるかもしれませんけれども、断定を下したというのはどういう意味なんでしょう。
#176
○吉本説明員 現地の監督署としましては、でき得る限りのいろいろな事実関係等に基づいて判断したものと思います。
#177
○古川(雅)委員 今日に至っても、監督署並びに労働省当局としては、そういう断定を過去に下されたいきさつ上、両魚市場がこの選別婦の方々の雇用主であるという見解に相違はございませんか。
#178
○吉本説明員 私どもとしましては、ほかの類似のところもございますし、いろいろそれらの関係の実態を踏まえた上で判断いたしたいと思っておる次第でございます。
#179
○古川(雅)委員 もう一度お伺いいたしますが、すでに出先ではそういう判断を下しているわけです。裁判の問題になっているのはその後でございます。両魚市場が雇用主であるということをみずからが認めないために、組合側はそれを不服として裁判に持ち込んでいるわけです。したがって、その係争の結果を見る云々ではなくて、判断をした時点から今日に至るまで、労働省としてはこの両魚市場が雇用主であるという見解に変化はないか、そのままのお考えを貫いていくかということを伺っているわけでございます。
#180
○吉本説明員 現地の監督署が判断いたしました時点におきましては先ほど来の見解でございますが、その後の実態等の事情の変化がございますし、そういった判断を踏まえた上で、また新しく見解を出すということもあり得るというふうに考えております。
#181
○古川(雅)委員 裁判所がどういう判断を下すか、これからそのときを待たなければならないわけですが、現地の選別婦の方々は最高裁に持ち込んでも戦いたい。そこまで非常に思い詰めておるわけです。そこまで思い詰めた、そこまで決心をさせたそのきっかけが、労働省の出先である労働基準監督署が、雇用主は両魚市場ですよと判断を下した、認定をした、そのことが大きなうしろだてになっているわけであります。それが今後裁判の成り行き、情勢の変化によって新しい判断が生まれるというようなことになりますと、一体この組合の人たちは何をたよりに、何をよりどころにして自分たちの労働条件の改善について戦っていけばいいのか、こういう問題になっていくと思いますが、あまりにも監督署の判断が軽率だったということになりませんか。
#182
○吉本説明員 監督署といたしましては、先ほど申しましたように、昨年の九月の時点で判断をいたしたわけでございまして、その後、下関漁港作業有限会社の設立等、事情の変化がございますので、そういった変化の上に立って新たな判断をなし得る、こういうことを申し上げているわけでございます。
#183
○古川(雅)委員 その後魚市場の業務、作業の内容については改善が加えられているということは私も伺っております。しかし、ここで問題にしなければならないのは、やはり過去の責任の問題もあると思うのであります。したがいまして、この両魚市場が雇用主であるというこの判断は、この問題解決の大きなきめ手になっていくわけです。あくまでも、新しい解釈が出るかもしれないというような、そういう煮え切らない態度では非常に困るわけでありまして、裁判の結果がどうなろうと、労働省としてはこの選別婦の雇用主は両魚市場である、過去に出先でそういう判断もし、現在も考え、今後もその考えを貫くということは言い切れませんか。
#184
○吉本説明員 それはただいまも御答弁しましたように、その後の事情の変化もございますし、前回の判定をそのまま確実に間違いないという事態ではないというふうに思っております。
#185
○古川(雅)委員 水産庁にお伺いいたします。
 この選別婦の皆さんの雇用主が、もし両魚市場ではないということになった場合、もう一つ考えられるのはまき網組合でございます。またそのまき網組合自体も拒否しているわけでありますが、一体この人たちの雇用主をどこに求めればいいのか、このことが問題になってくるわけであります。いまお聞きのとおり、労働省としての見解も、非常に断定しがたい、あいまいなところがあるわけでありますが、その点についていかがでありますか。
#186
○三善説明員 ただいまお話のとおり、これは非常にむずかしいことでございまして、われわれといたしましても、産地市場における選別というのは非常に重要なものでございまして、生産者にとりましては価値の増進、流通業者にとりましては流通の便宜のこともございまして、非常に大切なものでございますので、今後労働省当局ともよく打ち合わせて検討いたしたいと思っております。
#187
○古川(雅)委員 これは時間をかければ、いずれ雇用主ははっきりするわけでございますが、もう二、三お伺いしておきたいと思います。
 時間外の勤務あるいは深夜の割り増し賃金を支払わなかったことについては、責任は問われますか。
#188
○吉本説明員 そのような事実がございますれば、当然違反の事実は問われるものと思います。
#189
○古川(雅)委員 年次有給休暇が全く認められない、与えられないということについて、これも責任を問われますか。
#190
○吉本説明員 おっしゃるとおりでございまして、違反の事実があればそれも当然のことと思います。
#191
○古川(雅)委員 婦女子が深夜十六時間働いて、午前零時から午後の四時まで――午前じゃございません。午後の四時まで、食事時間以外に休憩時間が与えられないということについて責任を問われますか。
#192
○吉本説明員 休憩時間につきましては先ほど申しましたような法制度でございますので、制度上法違反だということには直ちにはならないと思います。
#193
○古川(雅)委員 先ほど婦女子については――この場合深夜就労は認められないという御判断の御答弁がありましたが、私いまあらためてお伺いしたのは、婦女子の場合です。こういう条件のもとで働かして責任は問われないかと伺っておるわけであります。選別婦の皆さんが深夜働くこと自体認められないという御答弁が前にあったわけでございます。なおかつその皆さんが働いていたわけです。しかもこういう過酷な条件のもとに働いていたわけです。これは雇用主として責任を問われませんか。先ほどは一般的な問題です。今度は婦女子です。
#194
○吉本説明員 四十一条につきましては、男女を問わずこれに該当すれば適用になるということでございます。
#195
○古川(雅)委員 健康診断を一度も実施しないということは、雇用主として責任を問われますか。
#196
○吉本説明員 雇いの際の健康診断につきましては、そのことが行なわれていなければ、当然違反に該当するわけでございます。
#197
○古川(雅)委員 いただきました時間が切迫をいたしましたので……。まだまだいろいろな事実があげられておりますけれども、そういう事実を証拠をもって明らかにした場合、そしてまた、現在係争中になっておりますが、この深夜に働く選別婦の皆さん方の雇用主がはっきりした場合、これは、こうした労働者の労働条件を守る基準法に照らして、当然その責任を問われるわけでございますね。
#198
○吉本説明員 雇用主の責任といたしましては当然おっしゃるとおりでございます。
#199
○古川(雅)委員 これは今後こうした魚市場の企業の形態そのものにいろんな改善が加えられて近代化されていけば、おのずから解決されるといえるかもしれませんけれども、しかし過去二十年間にわたって、こういう非常に目に余る条件のもとで幾多の婦人が働かされてきたわけであります。中には、いわゆる安全装置を施していないためにけがをして身体障害者になった方もいるというふうに聞いております。たまたま勇気を得て何とかこの過酷な労働条件を改善していこうと立ち上がったときに、出先の監督署の皆さんが、それは力を尽くしたでありましょうけれども、結果としては労働者の皆さんに何ら利するところがなかった。最初団結してがんばっていた組合の皆さんも、生活の確保のためにはどうしても耐えられない、一人二人、また一つ二つとグループから脱落していって、いまごく一部の人が失業保険によって何とか生活をつないでいる。それでも、自分たちが犠牲になってもかまわない、これまでこれほどひどいことが見過ごされてきたんだ、労働基準監督署としても何ら監督をしなかった、何ら指摘をしてくれなかった、そのことをいま広く訴えたいんだということでがんばっているわけであります。この問題については、今後また解決までには尾を引いていくかもしれません。また新たな問題点が出てくることも考えられますが、当局としても、この組合の皆さんの労働条件の改善のためにひとつ極力御努力をいただきたいと思います。
 時間が参りましたので、これで終わります。
#200
○倉成委員長 寒川喜一君。
#201
○寒川委員 労働行政の基本的な施策のうちで総論的なことを三、四点お伺いし、かつそれに関連をして、今次国会に提案をされております施策の内容について具体的にお伺いをしたい。なお、労働者の財産形成あるいは失対の改正全体については、別の機会に御質問申し上げたいと思います。
 そこで、まず最初に、労働大臣が予算委員会の関係で御不在で、副大臣である大野さんに御出席を願ったわけなんですが、ひとつ御見解を聞かしていただきたい。
 第一点は、御案内のように、労働省が出発した当時と今日では、いろいろな意味で労働省に対するウエートが変わってきつつあるのではないか。それがいい意味で発展をして変化しているのでございますならば、特段お尋ねをする必要もなかろうかと思います。そこで、今度の御提案の全体を見ましても、労働省が構想を練って、新しい視野の上に立って、七〇年代の労働行政はかくあるんだという一つのあり方のものが四十六年度の予算に出ておらないものを私は非常に残念に思っておる一人でございますが、現在の労働省に対して一体皆さんは何を求めておられるか、政務次官はどういう受けとめ方をされておるのか。やや具体的に申し上げましても、経営者、特に中小企業の経営者、労働者の皆さんあるいは学卒をかかえておる父兄の皆さん、そういった方々がやはり労働省に対していろいろな要請を有形無形にしておると思いますが、そういう面で労働省は一体何を求められておるかということについて、ひとつ積極的なお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
#202
○大野政府委員 ただいま先生御質問の、基本構想を示せということですが、実際は大臣から申し上げるのが本意ですが、予算委員会へ出ておるという関係で私が答えます。
 私よりも寒川先生のほうが労働行政も長く、経験も深いので、よく御承知かと思いますけれども、労働省の任務というものは、労働者の労働条件の向上、福祉の増進、雇用の安定をはかる、そしてまた、勤労者が豊かな生活を送り、勤労意欲に燃えるような点というものに十二分に考慮して、この実現をはかることを基本といたしておるのであります。今国会に提出させていただきますけれども、御承知のように勤労者の財産形成の法の創設、あるいはまた先般安中の問題等も出ましたが、また近代化の技術革新等によるところの新しい職業病等も出ておる今日でありますから、それらのものに対応した職業病の対策等も充実していきたい、そしてまた最近の社会、経済の伸展に即応した諸政策、これはいろいろございますけれども、これらを積極的に推進してまいることが国民の期待にこたえるものだと考えております。
 また労働行政の推進にあたりましては、労使関係者の御協力を得るということが必要でありまするが、特に今後におきましては、労使関係の動向というものが、単に労使間の問題のみならず、政治、経済、社会というものに及ぼす影響というものは大でありますから、これらを十二分に把握して、労使双方が国民経済の実態というものを考慮して、諸問題を話し合いにより、自主的に、合理的に解決されることを心から期待すると同時に、労働省といたしましても、それらの土壌をつくっていくというような行政に取り組んでいきたいということを考えておる次第であります。
#203
○寒川委員 お考え方の一端であろうと思いまするが、お述べいただいて、そういうことがほんとうに緒がつくかどうかというような問題で、私は与党ではございませんけれども、心配しておる一人なんです。また、たとえば先ほど御質問されました労働条件、監督行政というような問題のやりとりを承っておりましても、ほんとうにやはり自信を持ってやっておられるかどうかということについて、私は若干危惧を抱く一人でございます。したがって、たとえば農業の転換の問題にしましても、御承知のように転職をして職業を求めるというような形であるにかかわらず、農林省との共管というような形が強く出て、ほんとうに職のことはおれらにまかせておけという姿勢がやはりよく出ておらないのじゃないか。あるいは所得政策の問題にしましても、お考え方は今朝来からの大臣の御答弁でよくわかりましたけれども、労働経済に関する限りは経済企画庁よりはもっと見識を持っておるんだという基本的な姿勢がなければ、やはり私はこれからの時代の労働行政というものが、国民の各界、各層の要望にこたえて進んでいくということは困難でなかろうかと思います。したがって今日では、企業の例をとりましても、人事、労働の管理部門というのは企業の中ではやはり高い地位を持って、大きな役割りを果たしておる。政府部内における労働省が、これらの均衡等を考えまするときに、世の中の動きとむしろ逆行の傾向にありはしないか。したがって政務次官は、政府部内の中において労働省の地位についてどういう御認識を持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
#204
○大野政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、私も実は、労働行政というものは昨年の一月二十日に政務次官になってから特に関心を持ったというようなぐあいでありまして、まことに残念ながら、今日まで労働省の地位というものについては非常に低いんでないか、感覚的に低いんじゃないかというふうに思っております。しかし、これらの向上ということについては、幾多の難問もございますけれども、現在私は、大臣ももちろん私以上にこの労働行政というものについて真剣に取り組むべくやっておりまするが、何といっても非常に多端にわたる問題であり、また労使双方の問題等ということになりますと、より以上口をはさむということもむずかしいというような点もございますけれども、しかしそれらを勇気をもってやるように現在督励して、すべての点でやっていきたい。まあ今回の国会に失対法の問題等も御承知のように提出させていただきますけれども、これらの長年の懸案であったものを現在の社会環境「社会情勢からいって是正すべき時点に来ておるという点で、先生方の御理解をいただいてやっていくというような気持をもって、これからあらゆる労働行政に処していきたいと考えておる次第であります。
#205
○寒川委員 政務次官お忙しいようでございますから、またあとで大臣がお見えのようでございますので、ありがとうございました。
 そこで、労働行政の中でいろいろウエートがつけがたいような項目がございまするが、私は、次にお願いをしたい面から申し上げたいのは、労働力の不足ということが非常にいわれておりますけれども、必ずしもそうじゃないのじゃないかということも実はよく聞くわけでございまして、最近の大阪等における傾向を見ておりましても、パチンコ屋がだんだんふえてきて、しかもその中に日中一ぱい人が右往左往しておるというような現状、あるいはまた、昼の労働力というものは非常に不足をしておるけれども、夜の労働力というものはむしろだぶついておるというような傾向もあるし、かつまた労働賃金もむしろ昼より夜がいいのだというような、こういうような現象を見ておるわけでございます。したがってこれからのあり方として、最近のように不況ムードが出てまいりますと、わが国の経営は至ってまだ底が浅いというような面で影響をかぶっておりますことも事実でございます。そういたしますると、労働力の質と量という問題の兼ね合いになってまいります。特に訓練行政は、ことしは生涯訓練というような新しいことばを使っておりまするけれども、はたしてタイトルと内容がふさわしいものであるかどうか、私はいささか疑問に思っておるわけでございます。したがって生涯訓練の具体的な内容について、大体のことは承知しておりますが、大事なところだけひとつお聞かせいただきたいと思います。
#206
○渡邊(健)政府委員 職業訓練行政につきましては、従来からいろいろ産業界の実態等に合わせて進めてきておるわけでありますが、以前には産業界がやはり労働力不足、技能労働力の不足ということで、特に新しい若年労働力を大量に雇い入れておりました時代に、それらを技能労働力化するという点についての非常な需要がございましたので、第一にそういう新規の労働力を技能労働力化するという養成訓練、これを第一にいたしまして、その他産業の変動等によりまして出てまいります離職者、これに転職をするために必要な技能を付与するという意味の転職訓練、最近ではこれを能力再開発訓練と申しておりますが、こういうものを中心に進めてまいっておったわけでございます。しかしながら、いま先生から御指摘のように、三十年代後半ぐらいから労働力不足が非常に深刻化してまいりまして、新規の技能労働力を新しい学校卒業者のみに求めるというようなことが産業界として不可能になってまいりました。他方、技術革新が非常に進展をしてまいりまして、一度技能労働力となった者につきましても、その後の技術の変化によりまして、従来保持しておった技能だけでは不十分になった、こういうような問題が出てまいりまして、そういうことから、単に新規の労働力に新しく技能を付与するというだけではなしに、すでに技能労働力化しておる者につきましても、その技能を高めて、先生のおっしゃいました質の向上をはかる、あるいは、技術革新に伴って陳腐化いたしました技能に追加の技能を付与することによって、現在の時点に必要な技能を保持させる、こういう必要が出てまいったわけでございます。そこで、単に従来のごとく、新しく就職するときのための養成訓練や転職訓練だけではなしに、その後も職業人としての全期間を通じて必要なときに必要な訓練を与えまして技能の向上をはかるとともに、技能労働力としての価値を維持させる、こういう訓練をする必要が非常に増大いたしてまいりました。
 そこで、四十四年度は国会にお願いをいたしまして、職業訓練法の全面改正を実施いたしまして、そういう職業人としての全期間を通じて必要なときに必要な職業訓練を与えるという生涯訓練という考え方に基づきまして法律の改正をいたしたわけでございます。具体的には、そういう新法の考え方に基づきまして、単に養成訓練や転職訓練だけではなしに、その後も、必要なときに技能の向上をはかる向上訓練、あるいは陳腐化した技能に対して現在の時点に必要な技能を付与するための再訓練を与える、こういうことも今後強力に進めていかなければならない、かように考えておる次第でございまして、そういう意味で生涯訓練ということをここ一、二年非常に強く申しておるわけでございます。確かに、御承知のように、そういう意味で生涯訓練とは申しましても、ここ一、二年そういう面の訓練を充実をしなければならぬということになってまいりましたために、まだきわめて不十分ではございますけれども、ただいま申しましたような新しい向上訓練、再訓練等につきましても、四十六年度の予算におきましては初めて――非常に量的にはまだ十分ではございませんが、芽を出しました次第でございまして、今後そういうものもますます拡充、充実をいたしまして、文字どおりの、必要なときに必要な訓練を与えるという生涯訓練のたてまえを実現してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#207
○寒川委員 お考え方は理解できますが、ぼくはやはり、やり方、方法の問題が非常に重要でなかろうかと思います。今回お示しになっておられますのは、大都市の職業訓練所を夜間開放して、いわゆる訓練生として募集する、こういう体系は、結局従来のやり方を一歩も出ておらない。したがって、具体的なカリキュラムの編成等につきましても、ほんとうに再訓練の意義というものが生産性の向上なり本人の所得にはね返ってくるというような形、そういう面ではなかなかならないのではないか。日本の職業訓練自体は、戦前から、技能生養成という一つの歴史は持っておりますけれども、むしろ戦後のやり方は、外国のものをまねしてやるというような欠点をこの機会に打破して、日本本来のものを打ち立てていくというあり方が望ましいのではないか。御答弁は要りませんが、提案をしておきますが、たとえば個人で訓練生として応募するというのではなくして、事業協同組合等、産業の種類等によって一つの方向を、経営者は経営者なりに発見しようとして努力しておるわけでございまして、そういうものに対応ができるような訓練というものがぜひ望ましいのではないか、そういう気持ちを実際を当たってみまして持っておりますので、ひとつ真剣に考えておいていただきたい。
 なお、訓練を終了し、現場で働いて努力した諸君に対して、今回も、職種をふやして技能検定を拡大しようという施策をおとりのようでございます。しかしながら、免状をもらった者が、自宅の額に上がって飾りになっておるというようなきらいなしとしないと私は思います。そういう面で、残念ながらそういうものが職場の中で生きて動いておらないという実態について御存じかどうか、御所見を伺いたいと思います。
#208
○渡邊(健)政府委員 確かに先生御指摘のように、職業訓練を受け、あるいは技能検定に合格いたしましても、日本の賃金が基本的に従来から年功序列賃金でございますために、仕事や能力に応じた償金ということでないために、それが直ちに賃金その他の労働条件に反映されて、それにふさわしい待遇を労働者が受けるに至らない面があるということはおっしゃるとおりの点があると思います。また、私ども労働省といたしましては、数年前から年功序列体系だけに安住しておっては、現在の情勢では不十分である。仕事や能力に応じた賃金を採用するよう労使に呼びかけておるところでございます。しかし、まだ必ずしもそれが産業界に普及しているというに至りませんで、私ども調査いたしましたところでも、技能検定等に合格いたしました者に対して、何らかの労働条件上待遇の改善を制度的に実施しておるものは約三、四割程度でございます。六割ないし七割は、技能検定に合格しても、特に制度的にそれが賃金その他に反映されるという賃金制度をとっていないという状況になっておるのでございます。しかしながら、制度的にはそうでございますが、結果としての賃金を比べてみますと、やはり検定に合格いたしましたような者は、同じ職場で同じ年功序列の者から見て、結果的には、平均いたしますと賃金等もある程度上回っておるという実態も出ておりますので、逐次技能検定等に合格して能力の実証があった者に対しては、それが待遇に徐々にながら反映するような結果は出てきつつあるのではないか、かように感じておるところでございまして、今後一そう能力や技能に応じた賃金を労使がとるように、あらゆる機会を通じまして勧奨し、先生がおっしゃいましたような、努力をして訓練を受け、あるいは検定に受かった者は、それにふさわしい待遇が受け得るような状態を現出いたしたい、かように考えておるところでございます。
#209
○寒川委員 制度化をしておる――データのとり方の問題ですけれども、私どもが見る限りは、二割もないのじゃないかという感じがいたしております。したがって、こういうものは労働省が積極的に、国家検定でこういうことをやる以上は、裏づけになる制度化という問題を真剣に考えていただかないと、勧奨するとか指導するというような性質のものではないのではないか。したがって検定制度自体についても、そうであればまだまだ改善、検討の余地があると私は思いますので、そういう面で努力をしてもらいたいと思います。
 その次は、前の国会のときにも御質問をいたしましたが、共同職業訓練所に対する助成の問題ですが、指定職種のことについて検討をされたのか、されないのか、お聞きをしたいと思います。
#210
○渡邊(健)政府委員 昨年の秋にも先生からその点の御指摘がございまして、現在指定職種につきまして補助について差額を設けておりますのは、あのときにも御説明申し上げましたように、労働力不足が非常に深刻な職種であって、しかもその訓練には他の職種よりも経費がかかるような職種につきまして、その事業内職業訓練を容易ならしめるために補助額を多くいたしておるわけでございますが、その職種の選定につきましては、四十二年に実施いたしました調査に基づきまして二十九職種の選定をいたしておるわけでございます。先生からそのときも、その調査以来相当時間がたって産業界の事情も変わっておるから、もう一度検討するようにという御意見がございまして、検討いたしたい旨お答えしたわけでございます。そういう考え方に立ちましてもう一度四十二年の調査を実施いたすつもりでただいま準備をいたしておりますので、ごく近い機会にその調査を行なう予定にいたしております。その調査が出ましたならば、それに基づきまして改定する必要があるかどうかの検討をいたしたいと考えております。
#211
○寒川委員 私の申し上げたいことは、税金を使って助成をしていくというためには、やはり実態を十分調査をしてやっていくということでなければ、極端な場合には、金をもらうためだけに共同職業訓練というような形がもしありとすれば、まず職種以前の問題としても問題になるし、ただ従来の惰性で措置するということになりまするとゆゆしい問題ではなかろうかと思います。前に申し上げました以後、たとえば縫製業界などは、アメリカとの繊維交渉の不首尾のために著しい影響を受けて、倒産が続出しておるというようなこと等についても御案内かと思います。したがって、そうなってくるとますます人は集まらない。後進国からの追い上げというものは非常にきびしい状態にある。したがって最近では訓練所を閉鎖しようではないかというような雲行きも出ておるというのが、引例いたしましたような共同訓練所の実態ではなかろうかと私は思います。したがって、大臣のお留守に申し上げましたこともやはり労働省の姿勢にかかわるわけなんです。通常の高等学校に行く生徒諸君に対しては国からあるいは都道府県から経費をふんだんに出しておる。大企業の事業内職業訓練の場合であるならばそれなりにカバーできるだけの財源を持っております。しかしながら、中小企業が共同してやっていくというこういった訓練事業に対しては、もう少し画期的な助成の措置をとる。指定職種の一つすらなかなか改まらないということであれば、道遠いようでありますけれども、これはあげて労働省の労働行政に取り組む姿勢の問題と重大な関連があると私は思います。したがって、そういう面で前向きで検討をしてもらいたいということを要望申し上げておきます。
 次は若年労働者の問題で、この前も若干触れましたけれども、学卒の諸君が三年くらいたちますと半分くらいはどこへ行ったかわからない。先般も委員長さんと一緒に九州のほうで現地の事情を聞いておりますと、運よくたまたま郷里へ帰って再出発というような諸君はこれは非常にけっこうだと思いますが、やめた諸君がどういう状況になっておるのか、労働者自身は追跡調査等を行なって、若年労働省の動向というものを完全に把握しておられないのじゃないか。したがって、そのことが先ほども申し上げましたように、夜の世界では人が多いけれども、昼の世界では足らないというようなことがいわれ出しておることにも関連をするわけなんですけれども、こういった問題については、やはり労働省が本格的に肝いりをして、供出県の府県、安短所、受け入れ県の都道府県、安定所というものが一体になって、若い労働力を大切にし、若い労働者の将来を心配をしてやる、こういう面での施策がありませんと、最近のように青少年犯罪が激増する、それは警察の仕事だ、あるいは教育が悪いからだというような行き方では、この問題を日本の将来のためによき方向をもって解決することにはならないと思いますが、こういったこと等について、担当の局長なり労働大臣は、何か構想があればひとつ聞かしてもらいたいと思います。
#212
○住政府委員 全く御趣旨のとおりでございまして、私ども実は一昨年に学卒者の就職後の状況を調べてみて、離転職が非常に多い、こういうことを発見いたしまして、非常に憂慮すべき事態であると考えておるわけでございます。先生もおっしゃいましたように、とにかく職業人としての生涯のスタートがどうなっていくか、こういうようなこと、あるいはそういう安易な離転職が非行だとか転落に走る、これは非常にゆゆしい問題でございます。
 私どもまず考えておりますことは、一つは就職前の職業指導あるいは能力、適性に応じた職業紹介が正しく行なわれているかどうか、この問題について非常に強く反省をいたしておるわけでございます。そのために安定所と学校との連携体制を緊密にしていく。その緊密にしていきます一つの手段として、先生御承知の学卒者に対する適性検査を実施して、そういうデータを参考にしながら、このごろ求人が非常に多いわけでございますので、正しい選職ができるような職業指導、職業相談というものをまず十分やる、そういうような措置を一つとっておるわけでございます。
 それからもう一つは、今度は就職後の問題でございますが、私は何よりもいろいろな労働条件の問題あるいは当該事業所における受け入れ体制、作業環境、労働環境その他の問題だと思うのでございますが、人間関係を含めまして、そういうようなことについて事業主を援助するものはする、あるいは相談に乗れるものは乗る、こういう体制と同時に、安定所のアフターケアの問題になるわけでございますが、就職者の就職後のアフターケア、これは大体六カ月ぐらいは見ていきたいと思っておるのでございますが、そういう体制をとっていく。しかしながら、なお安定所だけでは親身な指導ができない。やはりその道のエキスパートの方々、年少就職者相談員制度、こういう制度をつくりまして、そういう相談員の方々が事業所におもむきまして、事業主に対する相談指導とかあるいは就職者等に対する相談指導、こういうようなことをやっておるわけでございまして、こういうやり方を今後一そう充実していきたいというように考えておるわけでございます。
 同時に、私ども、離職者の離職動機の調査、これは実はサンプル的ではございますがいたしておりますが、離職したあとの完全なフォロー、これはそれを手がけるには相当の準備を要しますので、必要であるとは考えておりますが、まだそこまで手が及んでいない状況でございます。
#213
○寒川委員 いま言われた指導員というのは、全国で有給の人は何人くらいおられるのですか。
#214
○住政府委員 四百五十名でございます。
#215
○寒川委員 そういう点がやはりほんとうにやる気がないとぼくは思うのです。今度の予算を見ましても、農村の離職者対策に七百人も指導員をふやして今度は置かれるのでしょう。ところが、年々歳々と続けて出てきておる若年労働者の就職指導とかそういう問題については、この倍くらいあったってぼくはあたりまえだと思う。したがって、そういう面でもう少しピッチを上げて馬力をかけてもらいたい、私はそんな感じがいたしております。
 とりわけ大臣に伺いたいのは、現在職業適性検査であるとか指導とかいっても、高等学校の段階まで、職業教育らしい職業教育は現在の教育体系の中ではないわけなんですよ。そういうことについて労働省として関係機関に対して積極的に今日までどういう措置をとられ、どういう要求をされてきたのか、お尋ねしたいと思います。
 普通高校を出て就職する、行ってみたら思っておったところと全然違う。これはその生徒諸君が職業に対して本格的な教育を受けておれはやはり判断ができますけれども、いわゆる先生あるいは安定所の職員の諸君のことばをたよりにして行くとか、あるいは父兄、親戚から話があって、まあ行ってみようかと、こういうようなことになった上、都会での違った生活にあこがれを持つ、こういうことが現実でなかろうかと私は思うのです。したがって、職業教育というものを現在の義務教育なり高等学校教育の中でどういう位置づけをするかということについて、見識を持ったお考え方で関係方面に対して強い要請をされておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#216
○野原国務大臣 寒川さんのお話まことにごもっともでございます。私どもかねがね非常に強くこれを考えておったわけでございますが、遺憾ながらそのことが、必ずしも具体的にはいままで労働省から強く関係方面に提起されたというか、発言をされた機会があまりないようでございます。しかし、何と申しましても現在の教育制度の中において職業教育というものが必ずしも十分な地位を与えられていないと申しますか、これは特に青少年の技能を訓練するというか、昨年の秋、東京でやりました技能オリンピックというものからして、わが国の技能の水準というのは国際的にもかなり評価されましたが、そういったことから考えましても、こうした若い技能者がしっかりとあって初めてわが国の経済がここまで来たと、しみじみ私は感じたわけでございます。やはりこれは学校教育というか、それはもう卒業の免状がものをいう、年功序列と学歴尊重といったような誤ったいままでの慣習というか、こういうものが非常に強くございまして、せっかく職業訓練を受けた者でも、実は高等学校卒業の免状がほしいというようなことを申しておるわけであります。根本からこれは改める時代ではないかと思います。そうした点で、教育に対する基本的な考え方も正したいと考えておりますが、同時に、これはやはり、言うならば技能者に対する社会的な地位の向上、それに対する評価というものが正しく行なわれて、そのような人たちが技能を持っておれば十分な待遇もあり、まあ生活も他に比較してきわめて安定しておる、誇り多き人生を送り得るというふうな形にするならば、あるいはそこにおのずから道が開けると思いますが、そういう面で、わが国においては戦後における学校教育全体を通じまして、いささかどうもこの際反省を要するのではなかろうかと考えます。労働省だけでこれを言いましてもどうもならぬ問題であります。おりあるごとにその必要なゆえんを説明をし、いかに技能を必要とするものが大事であるか、特に青少年においては、技能の訓練という問題を通じまして、この問題に一そう力を入れてみたいというふうに考えております。
#217
○寒川委員 よほどがんばってもらわないと、ぼくはことばのあやだけではなかなか解決しないと思いますよ。したがって、たとえば私が提案をしております若年労働者の離職者の追跡調査、そういったような問題をほんとうにひとつ考える。父兄の皆さんは、安定所がいいとこやといって連れていった、子供はどこへ行ったかわからぬ、もう持ちもさげもならぬようになっておって、また親が心配をする。事実私の家庭でも、十八歳のお手伝いさんですけれども、わずかの間に五カ所ほども仕事をかえて、最後家庭へ帰って、嫁入りのことを考えてひとつ家庭の見習いをしたいというようなこと。これは、女性はあるいはそれでいいかもしれませんけれども、男性の場合はなかなかやりかえがきかないと思います。そういう面でひとつ抜本的な努力を払ってもらいたいと思います。
 次は失対のことでございますが、法案が提案されてからお伺いをしたいと思いますが、ただ次の二点だけちょっと伺っておきたいと思います。
 午前中の田邊さんの御質問に、私の聞き間違いかどうか知りませんけれども、現在の失対で働いておる人はそのまま将来も引き続いて働いてもらうんだ、こういうような答弁であったと承っておりますが、それで間違いがないか、再度お答えをいただきたいと思います。
#218
○住政府委員 現在失対事業に就労をしておる方は御承知のように十九万人程度おられます。この方々に対しましては、やはり民間雇用に行き得る方もおられると私ども思っております。そういう方々が再就職あるいは自営業等で自立される、これは積極的に援助いたしまして、そういう体制がとり得るようにいたしてまいりたいと思っております。と同時に、そういうコースに乗られない方、こういう方々につきましては、現在の失対事業に引き続き就労させる、こういう考え方でございます。
#219
○寒川委員 そこでお伺いしたいのは、これからの人がやはり問題になってくる、こういうことであろうと思います。そこで、失対事業といっても、従来の沿革からいっていろいろ種類があるわけで、同和地域であるとか、あるいは産炭地域であるとか、過疎地域であるとかいうような特殊性を持っている地域の失対事業というものと、大都会における失対事業というものは、私はかなり違っておるのではないかと思います。したがって、そういう面では著しい不評判の点がありますことも率直にお認めになっておると思いますし、私も不評をよく聞いております。しかし、これの原因がどこにあったかというなれば、長期固定化をしておるからといいますが、長期固定化の原因というものは一体どこに原因があったのか、お聞かせいただきたいと思います。
#220
○住政府委員 先ほど申し上げましたように、現在の十九万人余の失対事業の就労者、かつては三十五万程度を数えたことがあるわけでございます。三十五年ごろでございます。その後一般の雇用――失業情勢が好転しまして民間の雇用機会も非常にふえてまいり、したがいまして、その間比較的年齢の若い層だとか、あるいは体力、能力が高い層、これは民間の再就職等によってかなりの部分がそういう雇用を見つけていかれた。その過程を繰り返しておりまして、相対的に年齢の高い層あるいは体力、能力の劣る方々、これは失対に依存せざるを得ないというようなことが一つ指摘できるんじゃないかと思います。と同時に、そういうように全体としての体力、能力の相対的な低下ということに関連いたしまして、やはり失対事業における作業内容とか作業の運営というものが、民間と比べてかなりの差も出てこざるを得ない、そういうようなことがまた一つの原因にな
 る。
 さらに、これはいろいろ見方のあるところかとも思いますが、いわゆる臨時の賃金とかあるいは地方公共団体で措置されます単独措置分、こういうような点も魅力の一つになっておるというような、その他いろいろの原因があると思うのでござ
 いますが、ごく大まかに申し上げまして、そういうようなことが一つ固定化の要因になっておるん
 じゃなかろうか、かように考えております。
#221
○寒川委員 私はまた別の機会に意見を申し上げ
たいと思いますので、それに関連してもう一つだ
け……。
 今度、十五万円の転職資金ですか、実質は返してもらわぬのだから退職金みたいなものをお出しになるという提案が予算的には措置されておると思っております。そこで、こういう人々は、従来、紆余曲折はございましたけれども、特別職公務員だという定義をしていろいろ措置されてまいりましたが、今後ともやはり特別職公務員という認識の上でいろいろのことを措置されるのか、その点もお聞きしたいと思います。
#222
○住政府委員 先生御承知のように、現在の失対事業は地方公共団体の直営方式によって行なっております。現在の公務員法の体系におきましては、特別職、一般職、特別職の中にも常勤、非常勤という区別、これは公共団体から賃金、報酬、給料、そういうものを受け取る者については、そういうたてまえになっておるわけでございます。これは先生御承知のとおりだと思いますが、これからの失対事業におきましても、従来どおり直営方式でやるということを考えておりますので、制度上の地位は従来どおりとお考えいただいてよろしいと思います。
#223
○寒川委員 それに関連する問題をまた別の機会で御質問申し上げたいと思います。
 そこで最後に、労働災害の防止対策ということで、自主点検方式というのですか、これを今度は採用されて、青色申告というような説明もされておりますが、一体どういうことをやろうとされておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#224
○北川説明員 自主点検方式につきましては、従来一部、災害防止につきまして、基準局の指導によりまして、事業所が、自分のところの安全衛生管理体制がどうであるか、あるいは物的施設の状況が規則、法令に違反していないかどうか、そういうチェックリストをつくらしておりました。これにつきましては、監督を一つの歯車といたしますと、御承知のように、監督だけで十分災害防止のための指導が尽くせませんので、その反面、それともう一面の車といたしまして、事業主のみずからの点検によって事業場内の安全衛生、災害防止の体制を確立する、そういう意味でかなりの成績を指導の面で行なってまいりましたけれども、これを一部の都道府県のみならず、その実績に踏まえまして、来年度からは全国的に普及させたい、こういうものでございます。
#225
○寒川委員 そこで、そういうことが全国的に普及してまいります場合に問題になりますのは、防災の設備基準といいますか、防除の設備基準といいますか、そういうことがやはり明確にされませんと、問題が片づいていかないと思います。先般臨時国会で、本来通産当局がやるべき性質のものであろうということで私は質問をいたしましたが、どうも煮え切らない。したがって公害の関連においては、職場で働いておる人の被害即周囲に与える影響、私は同次元で当然に律してしかるべきものだと思いますが、そういう設備基準ということについて全般的におきめになるお考え方かどうか、私はぜひそういう基準の設置というものをお願いをしたいと思っておりますが、いかがでしょう。
#226
○北川説明員 現在の安全衛生規則では、御承知のように災害の起き方が物の面からと人の面からと起きてまいります。したがいまして、比較的安全の面では物的施設についての基準をかなり明確に定めておりますが、先生がいま御指摘のように、最近の職場環境といいますか、規制有害物を扱う面につきましては、これはわれわれ率直に認めまして、安全衛生規則の実態がまだ職場の変化に即応しておらない、立ちおくれの面があったのではないかと私は思います。そういう意味で、この前労働基準審議会に、今後有害物を取り扱うにあたってどういう有害物について抑制目標を設けるかというようなことを諮問いたしましたけれども、これにつきましても、いままでの労働安全衛生規則の精神にのっとりまして、できるだけ物的な規制についても定めたいと思っております。
 これは具体的に申しますと、たとえば排出処理のときにどういう処理の方法をするか、除じんのときにはどういうフィルターを設けるか、これはものによって設けるものが違いますので、その辺のことは規則で可能な限り規定をいたしたい、こう考えております。
#227
○寒川委員 時間が参りましたのでこれでおきたいと思いますが、最後に大臣に要望しておきたいと思います。
 先ほど政務次官にも要望をいたしておきましたが、やはり労働省というものが設置当時の初心に返って、もう少し大きな視野で、しかも大臣自身がリーダーシップを持ってやってもらわないと、労働省を設置した本来の目的からだんだん後退をしていくのではないか。私が聞いておりますことが間違っておれば訂正をしていただきたいと思いまするけれども、たとえば戦争中のはなやかなりし時代、相当優秀な人材が入っておる。戦後労働省が発足した当時もまた、われこそ労働省に行って日本の労働行政に参画をしたい、こういうような形がだんだん薄れてきて、どうも労働省へは優秀な人が寄りつかぬのじゃないかといったようなことを耳にしております。むろん、個人的に特に一つの使命感を持ったようなお気持ちで入ってくる人は別でございまするけれども、こういう状態が続くようであれば、日本の労働行政の将来に私は大きな危惧を抱く一人でございます。したがって大臣は、これから労働行政の先頭に立ってどういう姿勢でやっていかれるのか、決意を承って終わりたいと思います。
#228
○野原国務大臣 私の見るところでは、労働省は非常に俊英が集まっている、意気盛んであると考えております。そこで、大いに何でもいいからものを言い、遠慮なくぶつかってこいということで、お互いに切磋琢磨しているという風潮が出てきておるように思います。
 そこで、今後日本の経済の発展は何としても労働力の問題でございます。それで、そういう労働資源というか、労働力をいかにして活用するかというような問題、また、労働問題が内政上の最も重大な問題となることは必至でございましょう。そういう点で、日本全体を考えてそれをリードしていくのは労働省でなければならぬというふうな意気込みで大いにやってまいりたいと言っておりますから、必ずや私どもの期待にこたえてしっかりやってくれることと信じます。
#229
○寒川委員 終わります。
#230
○倉成委員長 寺前巖君。
#231
○寺前委員 きょうは大臣の施政方針に基づいてお聞きしたいと思います。
 今度の労働省の問題でやはり大きいのは失業保障制度の問題というのが何といっても大きな問題だと思いますので、この点にしぼって質問します。私、まだ手元にきょう閣議で決定されたところの中高年齢者等雇用促進特別措置法案なるものを見ておりませんので、報道に基づいて聞いてみたいと思います。
 きょう閣議できめられた法案の附則に「こんどの新しい法律が施行されると、現在の緊急失業対策法の適用をうけるのは、いま失業対策事業で働いている労働者だけに限る。それも「当分の間」とする」というのが一つ。二番目「その場合、これまで日雇労働者に支払われてきた夏季と年末の臨時賃金は、これからは支払わないことにする、と定めている」というふうに、報道機関のこれを見ていると書いてあります。これは間違いなくそのとおり書かれているのですか。
#232
○住政府委員 現在の緊急失業対策法は、現在失対事業に就労している者についてのみ当分の間その効力を有するんだということ、それから夏季、年末に臨時に支払われる賃金は支払わない、こういうように規定をしております。
#233
○寺前委員 私は大臣に聞きたいのですよ。大臣は雇用審議会に諮問されましたね。答申が出たわけでしょう。その答申の中では、その点を特段に指摘しているんじゃないでしょうか。「「自立できない者には、社会保障や高年齢者のための仕事の対策が行われるまで、いまの程度の生活が保たれるよう失対事業を続ける」と注文をつけている。」その注文を、この文章では附則では受け入れたことになるのかどうか。
 それからもう一つは、その臨時手当の問題についても、答申では特別についている。これを受け入れたことになるのかならぬのか、この点について聞きたいと思います。
#234
○野原国務大臣 雇用審議会の答申につきましては、おおむね意見が大筋においては労働省の基本構想を了承されたと聞いております。ただ、こまかな点は、いろいろな表現上の注文がついておりますが、その辺の解釈等につきましては職安局長から説明をいたさせます。
#235
○住政府委員 まず第一点の「当分の間」の問題でございますが、いま先生がお読みになられたような内容の答申をいただいております。私ども、この「当分の間」というのは、この答申の趣旨と矛盾はしていない。答申にも、いまお読みいただきましたように、この事業に就労することによって維持されてきた程度の生活内容が、社会保障対策や高年齢者の仕事に関する対策によって充足されるようになるまでの間、私ども「当分の間」というのは、やはりこういうような答申の趣旨との関連におきまして出断すべきものである。答申も、いわばいついつまでも失対事業を継続しよう、こういうことではないのでございまして、こういうような状態になれば、なるまで引き続きやれ、こういうことでございます。「当分の間」というのは法令の用語でございますが、私ども、その内容はこの趣旨によって法案化した、こういうように考えております。
 それから第二の臨時の賃金の問題でございますが、これは実は私ども雇用審議会に御諮問申し上げました趣旨は、臨時の賃金は適切な方策を講じて支給しないようにする、こういうような内容で御諮問を申し上げておるわけでございます。そこで答申は、要するに臨時の賃金については、これまでの経過もある、社会的慣行もある、そういう点に留意をしなさい、しかし、現在の運営には問題があるので、就労者の生活に激変を与えない範囲において、支給条件等の改善について検討を加えること、こういう趣旨の答申になっております。したがいまして、私ども臨時の賃金につきましては、これは一般の屋外の日雇い労働者にはごくまれにしか見られない制度で、それから支給条件や、あるいはまたそれが作業の内容に必ずしも即応しないというようなことでいろいろ問題があるわけでございますから、そういう意味で制度としてはいかがか、こういう観点から支払わないようにいたすわけでございますが、しかし、答申に盛られておりますように、就労者の生活に激変を与えない、こういうことで、従来の経緯等もございますので、その点は十分考慮して、実際問題としてこの答申の趣旨に沿うような措置をいたしてまいりたい、こういうように考えております。
#236
○寺前委員 これは大臣、何ぼそう言われたって、臨時手当は出さぬと片方は言うのだ、答申のほうは、期末手当の社会的慣行等に留意する必要があると、ぽんと片方はそういうふうに言い切る、片方は出さぬと言い切る。言い切った以上は、すなおに答申を受け入れたとはならぬと私は解釈せざるを得ない。
 もう一つ、先の前段の問題でも、「自立できない者には、社会保障や高年齢者のための仕事の対策が行われるまで、」それを「当分」と理解していいですか。大臣、責任持ちますね。どうです。私は大臣に聞きたい。これは閣議できめたのだから。
#237
○住政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、私どもその判断はいろいろあると思いますが、「当分の間」の趣旨はそういうように考えて法文化したものでございます。
#238
○寺前委員 これ以上はまた先にしますけれども、解釈はいろいろあるというようなことをわざわざつけ加えなければならぬというようなことは、答申の中で一番問題になった点については公然と踏みにじったというようにすなおに解釈をしてもこれまた私は間違いないというふうな印象も同時に受けますよ。これはひとつはっきりしておいてもらいたいと思うのです。
 次に行きます。大臣は今度の施政方針の中で、「一方現在の失業対策事業就労者については、とくに手厚い援護策を講じて、その自立を強力に促進」するというふうにおっしゃいました。従来も自立の促進をやってきましたね。お金を特別に五万円のほかに積んで特別施策をやりましたね。それはうまくいったのですか、うまくいかなかったのですか、行くえはどうだったのですか。
#239
○住政府委員 実は就職支度金制度、これは貸し付け制度でございますが、一年間常用就職した際にその債務を免除する、こういう制度であります。こういう制度を従来とっておったのでありますが、一昨年その金額を従来よりもふやして支給したのでございますが、それによってかなりの方々が自立された。ところが、本年度は従来のベ−スの五万円に戻ったわけでございますが、本年度は流出いたしまして自立する者の数が少なくなった、こういう事実がございます。
#240
○寺前委員 それでは局長にちょっと聞きます。自立されたというのは、あと追跡の結果ですか。一年後なり二年後なり自立がうまくいっておるという判断をあなたは下しておられるのですか。その調査をされましたか。
#241
○住政府委員 いま申し上げましたように一年継続勤務、こういうことで債務を免除しておりますので、一年間につきましては効果をあげておる。ところが、その先の状況については必ずしも十分な調査をいたしておりません。
#242
○寺前委員 私の手元にいま一つの例があります。これは四十二年の九月から四十三年の三月にかけて特例措置をやった大分県の大分市内の例を私は例として出してみたいと思うのです。
 十万円をもらって失対事業を去った人々が二百三人おります。四十三年の九月に追跡調査をやってみました。ちょうど一年たったときに追跡調査をやった。そうすると、その二百三人のうちで約四五%の九十三人が民間企業ないし日雇いで仕事に行っているけれども、あとの大部分の諸君たちは、日雇いに行ってみたり、どこかの家にもたれかかったりして、まともに金をもらってやめた方々がうまくいってないという実態が出てきておるのです。しかもその九十三人のうちで五十六人までは土建関係の日雇いです。これを自立といえるでしょうか。しかも市役所、日通、富士紡など一応安定されたと見られる企業に入った人たちはわずかに四人です。しかもそのうち三人までは臨時です。結局市役所の清掃に入った人が正職員としてただ一人安定したという結果になっている。私は大分の特殊な例ではないと思います。私の地方の例を見ても、これと同じような経過を経ております。そうすると、あなたたちは自立を強力に手厚い援護策をやって促進すると言うけれども、実際はますます不安定な社会生活に追い込むということになるのではないか。考えてみたら十五万円に積んだところで、あなた十五万円で自立できると見ますか。率直に大臣に聞きたいです。十五万円で自立ができる、手厚い保護だといえると思いますか、私は簡単にそこを聞きたいと思うのです。
#243
○野原国務大臣 それは民間への再就職の支度金ともみなすべきものでありますから、当然十五万円だけでなく、それがほかに雇われていってまじめに働けば非常に効果はある、安定すると考えております。
#244
○寺前委員 それでは大臣に聞きますよ。あなたは簡単に民間に行けるように言われるけれども、失対の多くの人たちは老齢化してきておるという事実は御存じでしょう。老齢化している失対の皆さん方が簡単に民間に就職できておると思うのですか。失対に限りませんよ。一般雇用関係で大都市の場合でも、いいですか、おたくの資料を見ても、四人に一人しか五十五歳になってくると求め口がなくなってきているじゃありませんか。それをあなたは簡単に就職できると見ているのですか。そこを改善するために何か手厚い策があるのですか、聞かせてもらいましょう。
#245
○野原国務大臣 非常に老齢化をしておることは事実でございます。また非常に困難であることも想像されます。しかし、そういう方々であっても、やはりその職場を積極的に求めるならば、民間への就職はある程度可能であるというふうに考えております。
#246
○寺前委員 ある程度可能と言ったって、現に受け入れられないのでしょう、数字から見ても。四人に一人しか求職との関係がない。それが可能性があるというのはどこから出ますか。特別な施策がなかったら出てこないじゃないですか。あなたは気安う、気安う言うけれども、そんなものどこから出てくるのです。どうしたら出ると思います。はっきり言うてもらいましょう。いやいや、大臣に聞きたいよ、簡単に言うから。君が簡単に大臣に言わせておるのじゃないですか。
#247
○住政府委員 いま大臣が申されましたように、年齢の高い方の就職がむずかしいわけでございますが、私ども絶無であるとは思っておりません。
 さらに、現在の十九万人の就労者の中には、比較的若い年齢の層もおられます。現に失対事業ばかりでなくて、失対事業の就労も一部しながら、民間に就労をされておられる方もおられる。私どもそういうことに着目いたしまして、できるだけ民間の常用雇用に再就職をはかっていく。このために必要な援助策を講ずる。いま申し上げました就職支度金もその一つでございますし、さらにそういう就労者を民間で雇っていただく場合、民間の事業主に対して雇用奨励金を支給する等の措置等も講じておるわけでございます。そういう制度を活用しながら、民間の常用雇用に再就職の促進をはかる、こういう措置をとろうという考えでございます。
#248
○寺前委員 私はもうこの問題についてはまたの機会にしますけれども、簡単に就職できるがごとく大臣が答弁して、もしもこの法案を準備しておられるなら、私は事態は重大だと思います。
 それではその次に、いま言われた中高年齢の雇用の制度が現在もあります。去年私は当委員会において八女の例でもって局長と話をしたことがあります。あのときに、八女の例では、なかなかあの措置に長期にわたってのせてもらえないという事実がありました。それは八女の例だけでなくして、各地に起こっております。新しい制度による中高年齢の雇用促進のこの制度、本人は職業の選択の自由があると私は思う。自分の期待に反するようなところには、何ぼ仕事があるといったってむちゃくちゃな労働条件の悪いところには行かぬと思う。そういう条件の中で、選択する過程において、中高年齢の雇用促進措置に従来なかなかのれなんだけれども、今度の場合は、その点についてはのせようという考え方があるのですか、ないのですか。
#249
○住政府委員 現在の就職促進の措置の制度、これはかつて先生から御指摘があったような趣旨に必ずしも合致していない運用があったことも事実でございます。まあそういうケースもございましたけれども、今回の場合は、そういう過去の経験その他を生かしまして、きちっとした手帳制度にいたしました。そして、過去のような二ないし三カ月というようなばく然としたものではなくて、たとえば六カ月なら六カ月、あるいはさらに延長する場合は何カ月なら何カ月ということをきちっといたしまして、そういう意味で生活の援護をしながら就職活動ができ、雇用が促進されるような体制をとっていきたい、こういうように考えております。
#250
○寺前委員 そうすると、かなり本人の意思に沿うて受け入れるという要素を持つのですね。
#251
○住政府委員 私ども一定の基準によって失業者であることを認定するわけでございますが、失業者であって、就職の意思、能力がある、これは当然のことでございますが、そういう一定の基準に合致するものであれば当然制度の対象にしていきたいというように考えております。
#252
○寺前委員 まあ一定の基準、そこの解釈がまた問題があると思いますが、次に移りましょう。
 最後に、それじゃ、一定の期間その手帳制度を受け入れたあとはどうしますのか。中高年齢の諸君たちの就職条件というのは、さきも問題提起をしたように、非常に悪い条件にあるということはきわめて明らかなんです。一定の期間その手帳制度によるところのあれについておって、一定期間が終わった瞬間以後はどうなりますか。
#253
○住政府委員 いま申し上げましたように一定の期間――六カ月ということでございますが、地域の失業情勢なり、あるいは当該失業者の状況等を考慮いたしまして、私ども最長二年まで手帳の有効期間を延長し得るような制度をとってまいりたい、こういうように考えております。
 そこで、失業情勢その他によりまして非常に問題のある地域につきましては、私ども別途特定地域開発就労事業という事業を用意いたしております。失業対策事業にかわる事業として、そういう事業の活用によって失業者の対策を講じてまいる、こういうように考えております。
#254
○寺前委員 東京や神奈川のような大都市の場合においても四人に一人しか求人がないという年齢に達してきておる。五十五歳、その場合にそういうことをやはり起こすのですか。
#255
○住政府委員 私ども、東京とか愛知あるいは大阪等の大需要地におきましては、本人がそういう意欲をお持ちであれば、安定所あるいは事業主等の協力を得まして再就職させ得るというように考えております。
#256
○寺前委員 私は非常に重要な発言だと思うのです。本人の意欲によって判定を下そう。本人の意欲ということは、これは主体的には、おたくのほうで、意欲がないと言ってけってしまったらそれまでだというのが、従来からの中高年齢雇用促進上の一番の問題点じゃなかったですか。意欲がないからといって措置にのせられなかったでしょう。また同じことを言っているじゃないですか。私はきわめて無責任な、失業保障制度を打ち切ってしまうものと、はっきりいって言わざるを得ないと思いますよ。要するに、最長二年やって、あと仕事がなかったら本人が悪いのだという言い方じゃないですか。これ以上は、また今度にします。いま政府が出そうとされる問題については、もう一度再検討して撤回されたい。
 終わります。
#257
○倉成委員長 次回は明後十八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後六時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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