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1970/02/24 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第6号
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1970/02/24 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第6号

#1
第065回国会 社会労働委員会 第6号
昭和四十六年二月二十四日(水曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 倉成  正君
   理事 伊東 正義君 理事 増岡 博之君
   理事 粟山 ひで君 理事 田邊  誠君
   理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君
      有馬 元治君   小此木彦三郎君
      大石 武一君    梶山 静六君
      唐沢俊二郎君    小金 義照君
      中島源太郎君    早川  崇君
      松山千惠子君    箕輪  登君
      向山 一人君    山下 徳夫君
      川俣健二郎君    小林  進君
      後藤 俊男君    島本 虎三君
      八木  昇君    古寺  宏君
      古川 雅司君    渡部 通子君
      寺前  巖君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 野原 正勝君
 出席政府委員
        厚生政務次官  橋本龍太郎君
        厚生大臣官房長 高木  玄君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        厚生省環境衛生
        局公害部長   曾根田郁夫君
        農林大臣官房技
        術審議官    加賀山國雄君
        通商産業省公害
        保安局長    莊   清君
        労働大臣官房長 道正 邦彦君
        労働省労働基準
        局長      岡部 實夫君
 委員外の出席者
        農林省畜産局参
        事官      斎藤 吉郎君
        通商産業省公
        害保安局鉱山
        課長     伊勢谷三樹郎君
        通商産業省鉱山
        石炭局鉱業課長 佐藤淳一郎君
        通商産業省公益
        事業局施設課長 井上  力君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 北川 俊夫君
        参  考  人
        (安中公害対策
        被害者協議会会
        長)      大塚  忠君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十四日
 辞任         補欠選任
  古川 雅司君     鈴切 康雄君
同日
 辞任         補欠選任
  鈴切 康雄君     古川 雅司君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 派遣委員からの報告聴取
 労働関係の基本施策に関する件(群馬県安中市
 における労働基準行政に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○倉成委員長 これより会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件、特に群馬県安中市における労働基準行政に関する問題について調査を進めます。
 本問題については、その実情調査のため、先般委員を派遣いたしましたので、この際、派遣委員より報告を聴取することにいたします。伊東正義君。
#3
○伊東委員 去る二月九日、群馬県安中市における労働基準行政の実情を調査いたしましたので、その概況等を御報告申し上げます。
 派遣委員は、増岡博之君、川俣健二郎君、大橋敏雄君、田畑金光君、寺前巖君及び伊東正義の六名でありますが、このほか地元選出の田邊誠君、中島源太郎君及び山口鶴男君の御協力を得た次第でございます。
 まず、群馬県庁において、群馬県知事以下関係部課長及び群馬労働基準局長より概況について説明を聴取したのでございますが、次いで東邦亜鉛一株式会社安中製錬所の現地を調査し、さらに安中市役所において、安中市長の要望及び安中公害対策被害者協議会会長の陳情を聴取いたしました次第でございます。
 なお、安中市、東邦亜鉛労働組合及び安中公害対策被害者協議会の陳情書は、お手元に配付してございますとおりでございます。
 調査の概要は、次のとおりでございます。
 東邦亜鉛株式会社の安中製錬所における労働衛生についてでございます。
 東邦亜鉛株式会社は、昭和十二年二月日本亜鉛製錬株式会社として創立され、昭和十六年九月社名を現在の名称に変更して今日に至っておるのであります。本社は東京都中央区日本橋に所在し、資本金五十億円、製錬所は安中ほか三カ所、鉱業所二カ所、営業所二カ所を持ち、電気亜鉛、陽極亜鉛、亜鉛合金、亜鉛特殊合金、亜鉛末、亜鉛華、硫酸、カドミウム、インジウム、白金、パラジウム電気金等をおもな製品としております。
 同社の安中製錬所は、群馬県安中市中宿に所在し、労働者数は九百九十三名であり、ほかに二百二十四名の下請労働者がおります。そのうち、カドミウム関係業務に従事する労働者は、下請労働者十一名を含み、総計四十一名であります。群馬労働基準局は昭和四十三年四月衛生管理特別指導事業場に指定し、職場の環境改善、特殊健康診断の励行、安全衛生管理体制の確立等を重点とする監督指導を実施しております。また、カドミウム関係については、溶融炉、鋳造機の排気の改善、鋳造機の集じんの改善、カドミウム受槽、浸出槽、中和槽等の局所排出装置、空気清浄処理装置の設置、健康診断の促進等について指示をしております。
 特殊健康診断の結果は、昭和四十四年において受診者二百十九名、うち歯牙黄色環はなし、尿中蛋白(+)十七名、尿中糖(+−)十名、尿中カドミウム量三十ガンマ未満二百十三名、五十ガンマ未満六名で、最高は四十九ガンマでありました。昭和四十五年においては受診者三十七名、うち尿中蛋白(+)五名、尿中カドミウム量三十ガンマ未満三十二名、五十ガンマ未満五名で、最高は四十七ガンマでありました。
 なお、労働省労働基準局は、有害物質取り扱い業務従事労働者に対する特殊健康診断について、昭和四十五年八月七日、基発第五七二号によりまして、健康診断項目、健康管理区分等を改正し、その実施を指導しております。
 次に、安中市におけるカドミウム環境汚染についてでございますが、富山県神通川流域におけるイタイイタイ病発生事例に対処して、碓氷川、柳瀬川流域の安中製錬所周辺地域の環境汚染調査が実施されました結果、同地域は昭和四十四年三月、要観察地域に指定されております。
 同地域の住民の健康診断の結果は、昭和四十三年度において受診者千三百四十一名、うち要観察者九名、昭和四十四年度において受診者千二百五十五名、うち要観察者三十四名となっており、これらの要観察者についての鑑別診断研究班の見解は、イタイイタイ病またはカドミウム中毒症と判定されるものはないが、引き続き経過観察を必要とするものがあるとされておるのであります。
 なお、昭和四十四年五月の環境大気調査の結果は、硫黄酸化物及びカドミウムを含む浮遊粉じんによる局地汚染が認められました。また、同地域の産米については農業試験場の分析の結果、カドミウム含有量の高い地区が確認され、四十四年産米、四十五年産米について、それぞれ農家保有米の凍結、政府保有米穀の配給等の措置がとられております。
 次に中村登子さんの遺体からのカドミウム検出に伴う措置についてでありますが、中村登子さんは、昭和三十四年十月安中製錬所に就職され、昭和三十五年四月から昭和三十七年八月まで二カ年余の間、カドミウム箔製造作業に従事しております。なお昭和四十三年三月八日から同年五月一日まで病気欠勤し、十二指腸潰瘍という診断名で治療を受け、さらに昭和四十四年一月六日からは不安神経症兼十二指腸潰瘍という診断名で治療を受け、この間病気欠勤し、同年八月二十五日死亡退職されました。死因は頭蓋複雑骨折で、自殺と判断されております。
 岡山大学の小林純教授の分析によりますと、中村登子さんの遺体の腎臓中から高濃度のカドミウムが検出されたと伝えられております。
 これに伴い、中村登子さんと同一業務に従事していた労働者五名について特殊健康診断が実施され、その結果については、さらに県衛生研究所によるクロスチェックが行なわれております。また労働者全員についても特殊健康診断を実施することとし、その実施方法については、野見山群馬大学助教授の指導のもとにその具体化を進めておるのでございます。
 なお、労働省労働基準局は、本年二月三日、カドミウム取り扱い事業場における特殊健康診断の実施促進と作業環境の整備改善等について通達を出し、行政指導を強化することにしております。またカドミウムを含む有害物質による危害防止のための労働安全衛生規則の整備を急いでおります。
 次に関係者の要望事項でございますが、県、市等の関係者が共通して要望されている事項は、遺体内からの高濃度カドミウム検出という事態に伴う不安を解消するための事実の早急な究明と安中製錬所従業員及び地域住民等に対する厳密な健康検査の実施、国によるカドミウム中毒症に関する診断方式の確立、その他公害対策全般の強化推進等であり、右のほかに汚染農用地に対する対策についての要望も強くなされておるのでございます。
 調査の概要は以上のとおりでありますが、すでにカドミウム関係業務から離職している者の中からカドミウム中毒と疑われる者が発生していると伝えられることは、関係機関に強い衝撃を与えただけでなく、カドミウム関係業務を持つ事業場の労働者はもちろん、周辺地域の住民にとってもぬぐいがたい不安感を与えております。このため、遺体内からの高濃度カドミウムの検出という事態の究明を急ぎ、カドミウム汚染対策の万全を期することが、今日当面する急務であります。
 言うまでもなく、富山県神通川流域に発生したイタイイタイ病とカドミウムの慢性中毒による健康障害との関連について、なお医学的に明らかでない点があるという現状においては、軽度の腎臓障害という段階で、その早期鑑別診断を行ない、カドミウムによる環境汚染の防止とその障害の予防を進める現行の方式は、暫定対策としは、一応評価し得るものであります。
 しかしながら、今回の遺体中からの高濃度カドミウムの検出という事態は、そのこと自体の早急な解明を必要とするほか、環境汚染とカドミウムの体内蓄積との関係、病変に対する診断方法等について、この際、基本的な再検討を加え、最も信頼し得る新しいカドミウム汚染対策を確立することが必要であります。
 一般に、微量重金属による健康障害に関する学問的解明には、容易ならざる困難が伴っております。同時に、そのことを理由として、行政上の取り組みは事態の進行に立ちおくれ、不徹底なものとならざるを得ない状況にあります。今回の事態について見ても、そのことは例外でないと痛感いたしております。
 さらに、これらの対策が、人の健康と生活環境、労働環境に密接しきわめて重大な影響を持つものであり、行政上の責任を科学と学問の責任にのみ転嫁すべき事柄ではないことを考慮するならば、新しいカドミウム汚染対策の確立に際しては、学問的に若干の未知の領域を含む場合にも、早急に行政上の判断を下す必要性のあることを強調したいと思うのでございます。
 最後に、今回の調査にあたり終始協力を惜しまなかった関係各機関及び関係者各位に対し心から謝意を表するとともに、カドミウムをはじめとする有害物質による危害の防止のため、労働衛生施策の強力な推進とカドミウム環境汚染対策の強化について、今後の一そうの努力を期待してやまない次第でございます。
 以上で報告を終わります。(拍手)
#4
○倉成委員長 この際申し上げます。
 本日は、参考人として安中公害対策被害者協議会会長大塚忠君に御出席をいただいております。大塚参考人には御多忙中御出席いただき、まことにありがとうございます。何とぞ本問題について忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、議事の都合上、最初御意見を十五分程度でお述べ願い、そのあと委員の質問にもお答え願いたいと存じます。
 それでは大塚参考人、お願いいたします。
#5
○大塚参考人 大塚でございます。
 まず、過去三十年間にわたって東邦亜鉛安中製錬所から出たところの公害によって苦しめられてまいりました安中の私どもの訴えを、この国会の場においてお聞きくださるという機会をご高配くだされましたことにつきまして、深甚な謝意を申し上げたいと思います。
 さて、東邦亜鉛は昭和十二年に日本亜鉛製錬株式会社として安中に誘致され、創立されました。当時におきましてはきわめて小さな製錬所で、資本金もわずか二百万、亜鉛の生産量も月産にして二百トンくらい、これがだんだん増資拡張されまして、特に終戦後におきまして一大躍進を遂げて、今日におきましては資本金五十億、そして亜鉛生産月産一万一千七百トンの生産能力を持つところの工場となってまいりました。このように工場が拡張され今日に参りました歴史というものは、一方また公害の発展の歴史でもあるのでございます。
 東邦亜鉛におきましてはいままでも生産第一主義でまいりまして、被害というようなことにつきましては、はなはだ失礼ではございますが、一顧だにしなかったといっても過言ではなかろうぐらい公害を出し続けてまいったわけでございます。
 さらに、東邦亜鉛におきましては、昭和四十二年大きな青写真をつくりまして、五十年度までには亜鉛月産四万トン、そしてこれに必要な電力を現在の六万ボルトに加えて、二十七万五千ボルト、この大電力を導入して、世界第一の亜鉛製錬会社になるのだという青写真のもとに、着々進めてまいりました。特に四十三年には必要な電力の変電所並びに送電施設が完備しまして、これももう少しで架線ができる段階になったところを、われわれ住民はこの状況を察知いたしまして、今日までの公害がかくも大きいこの段階において、さらにそのような大電力が引かれ、そして三倍、四倍の生産拡充がされたならば、公害も現在の三倍、四倍に拡大するであろう、こういうようなところから私どもはこの送電線の架設に反対をいたしまして、現在送電線は中止となっている次第でございます。
 次は被害の状況でございますが、東邦亜鉛の被害というものは特に焙焼それから焼結それから鉱石を焼くところ、それから硫酸工場、こういうようなところから亜硫酸ガスあるいはカドミ、鉛、亜鉛その他の重金属の粉じん、こういうものが多量に発散しております。特に廃液、廃水、こういうものによってこれが東邦亜鉛の周辺に広くばらまかれております。これらの廃液、これも特にあのような斜面にある関係で、夏の時に夕立どきあるいはまた工場内の正常の排水、こういうものの中に多量のものが出、これが安中を中心とするところの水田の排水路に流入し、さらには柳瀬川から碓氷川を通り、下流十数キロの高崎地方にまでも被害が及んでいる次第でございます。
 さらにまた、廃液による被害といたしましては、東邦亜鉛の南方、それから西方、北方、この地区がすでに、私がお願いをいたしまして、岡山大の小林先生並びに教育大あるいは東大の農学部の先生方に御依頼をいたしまして調査したところ、東邦亜鉛を中心とする半径四キロ以内におきましては、カドミの汚染度におきましてはすでに被汚染地の数倍汚染をしておる、こういう状況でございます。さらに、あの地は恒風の関係で西のほうと東のほうにおきましては風のために六キロないし八キロ地点まで相当高濃度の汚染をしております。このような被害の状況でございます。
 さらに、この被害につきましては、特に戦前におきましては、東邦亜鉛が十二年あそこに操業を開始し、操業の火入れをした翌日においてはすでに山の草木が枯れた、こういうふうなことも記録に残っております。さらに戦後におきましては、終戦後二十三年から東邦亜鉛の自山鉱である対州の鉱石を持ってきてこれを焼くようになってから特に被害が顕著となりまして、昭和二十八年あたりを契機に非常に汚染がひどくなったわけでございます。
 まず、その汚染につきましての、先ほどの物質による土壌汚染の状況を申し上げますれば、大体東邦亜鉛を中心とする三百メートル以内におきましては、カドミの含有値が二〇ないし三〇PPMぐらいのものが含まれております。さらに八百メートルないし、ところによっては一キロの地点におきましては、やはりこの辺が二けたでございます、一〇PPM程度の汚染をしております。それを離れる外周におきましては、それがだんだん下がりまして九、八、六というぐあいにカドミの含有値は下がっております。そのようにして、特に半径一キロ以内の土壌等におきましては、夏の間等におきましては、鉛あるいは亜鉛の酸化物によりまして、土壌の表面がまっかになっておる、こういうような状況になっております。これらにつきましては、このような土壌の汚染のために、すでにそこにつくった農作物等はカドミが入りまして食べられない。特に米のごときも、米の中にカドミが一PPM以上ある、こういうふうなところがすでに昨年十二月二十五日で四十数ヘクタールに及んでおります。これが汚染田として現在指定されておるわけでございます。さらに、米の含有値が〇・四から一PPM以下のいわゆる準汚染田地区といたしまして、三百六十ヘクタール余このたび指定されておるわけでございます。このように土壌がきわめて汚染され、全く使いものにならないような土壌になっておる。こういう点から、私どもといたしましては、このような毒物を出すところの東邦亜鉛、これに対しまして発生源対策を強化させ、そして指導監督に十全を期していただきたい、こういうふうな御希望を申し上げる次第でございます。
 さらに土壌の汚染等につきましては、特に重金属におきましては自然の浄化ということができないわけであります。土中に入ったものはどんな微量なものでも蓄積され、そのままに置いたならば永久になくならない、これが重金属汚染の特徴でございます。したがいまして、たとえ東邦亜鉛におきまして公害施設がよくなったとしても、これが多少でも出る限りにおきましてはこれが年々蓄積されていきます。したがいまして現在のような煙突からのいわゆる排出基準あるいは廃液の基準、こういうようなものは、そのような元凶物質の性質上、環境基準というものに改めねばならないのではなかろうか、こういうぐあいに考えております。
 さらにまた土壌の汚染の状況を見ますると、現在におきましてはカドミということが表に出ましてたいへん問題化されておりますが、実際におきましてはカドミと、カドミの毒性を二倍、三倍にするところの亜鉛並びに鉛、これが東邦亜鉛におきましては非常に多いのであります。こういう点もひとつよく考えまして、これらの物質がカドミに加わりますと、その相乗作用によって毒性が倍加する。それらも特に農産物あるいは人体に大きな影響を来たすのではなかろうかというので、こういう点もひとつ特に土壌の汚染防止、この法律等におけるところの特定有害物質の追加ということも御配慮願いたいと思います。
 さらに先ほど申し上げましたとおり、汚染地区は非常に広いのでございます。一PPM以上の米という地域に限らず、さらに農地汚染地区の拡大をひとつ配慮をお願いいたしたい、こう考えております。特にこの土壌というものは、御存じのとおり、過去における東邦亜鉛の公害というものをほんとうに正直に証明してくれるものは土壌でございます。したがいまして土壌のそれらの含有値というものをよく調べ、一PPM以上の米あるいはそれらが生産される可能性があり、あるいは潜在力を持っておるというふうな土壌をよく調べまして、そういうところはすみやかにひとつ汚染地区として積極的に改善をはかっていただきたい、こう思っております。
 それからこれに伴うところの一番大きな仕事でございますが、この汚染された、毒物の入っておる土地をどうするかということ、いわば汚染農用地の改善策でございます。これについてすみやかなる対策と御措置をお願いいたしたい、こう考えております。
 さらに農産物の状況もいまほど申し上げましたが、元来、従来の東邦亜鉛の被害というものは、農産物の減収のみをもって被害としてまいりました。これはやはり重金属の過剰によって作物が育たない、あるいはまた減収を来たす。さらには取れた作物にも多量のカドミウムが含まれておる、こういったのが実態でございます。これらのすべてを、これは被害とみなさなければなりません。したがいまして、畑につくった作物にも多量のものが含まれております。でありますから水田の米だけに限らず、汚染畑というものもひとつ指定をし、これを改善するよう御配慮願いたいと思います。また畑につくった小麦あるいは野菜類、こういったようなものも安全基準というものをぜひ御設定願いまして、私たちのからだにカドミが入ることを少なくするように御配意をひとつお願いいたしたいと思います。
 さらに養蚕でございますが、養蚕は、先ほど申しました、東邦亜鉛が昭和十二年に操業し、翌昭和十三年の春ごろにはすでに被害が出て周辺の農家の蚕が全部死んでしまった、こういう事例があるわけでございます。自来重金属等のガスによりまして非常な被害をこうむり、今日においてはもうすでに養蚕をやめた農家もたくさんあります。また、ごく離れた、一キロぐらい離れた地区におきましては、わずかながら遠方から無被害桑を持ってきて、農家がくふうにくふうをして無被害地の六、七割ぐらいの蚕作でございますが、かろうじて蚕を飼い、そして営農を進めておるというような状況でございます。
 さらに家畜に対する被害でございますが、これも二、三日前新聞に出ましたが、すでに牛の腹の中にも相当のものが含まれておる。したがって群馬県におきましては牛の腸は自今食べてはいけない、廃棄しろというふうな指令も出ております。このように牛の中にも多量のカドミウムが含まれておる。さらにまた当地におきまして、一老人がなくなりましたが、その老人の解剖の結果から見ますると、その中にも多量のものが含まれておる、こういった人間あるいは牛のからだにも多量のカドミがすでに蓄積されておるという事実がもうすでに証明されております。さらにただいまありましたところの中村登子さんの例等考えまして、私たちは、カドミが私たちのからだに相当あるのではなかろうかという不安にかられて日々生活しておるわけでございます。さらに山の状態でありますが、これも全然配慮なく来ておりますが、これもすでに山の木が枯れ、草木が枯れたところが約四十ヘクタールはございます。これらについてもひとつ御配慮願いたいということでございます。
 さらに人体被害でございますが、これにつきましては、指曲がり病とかあるいは気管支、あるいは呼吸器関係、こういった病気のものが非常に多い。さらに神経痛症状、こういったものがあります。といったことは、大気が汚染された中で私たちは生活しております。さらにまた汚染されたものを食べております。その畑につくられたものを食べておる。こういった関係からぜひひとつ、ただいまありましたとおりな厳密な住民の健康診断並びにこういった指曲がり病その他の奇病の患者に対しては何か国から、ひとつ無料でこれを施療してやるというふうな御配慮をお願いしたいと思います。
 さらにまた当地におきましては、他とは違った汚染の様相でございまして、特に汚染地におきましては米の中のカドミの安全値は、一PPM以上のものは食べてはいけないがそれ以下ならよろしいというふうなことは、まことに現地におる私たちとしては遺憾でございまして、少なくとも私たちのからだには過去三十年間にわたってカドミが入っておるのでございます。この上に多少微量なりとも入ったならば、やがては限界に達しイタイイタイ病になるんではなかろうかと懸念しております。したがって米の安全値等も被害地におきましては特別に〇・四PPMというようなところをひとつあらためて制定をお願いいたしたい、こう考えております。もう時間がございませんが、要は私たちとしましては、すでに死んでしまった広範な広域な土壌、これにつきましてはかって足尾におきましてはついに農民がこの土地を追い出されたというような悲惨な事例もあるわけでございます。私たちといたしましては、ぜひひとつ安中において足尾の二の舞をわれわれが踏むようなことのないよう特段の御配慮をお願いいたしたいと思います。
 なおかつ公害地の農業の確立、私たちとしましてすでに毒物の入っておるものはつくりたくない。さらにまたこういったものを大勢の人に農民として食べてもらいたくない。これが私たち農民の気持ちでございます。したがいましてあの安中におきましては、土地を使っての農民の食用作物の栽培ということはもう不能でございます。したがいまして何かそれにかわるところの所得のある農民の生きる道を、何とか皆さま方のお力によりまして一日も早く私たちにお授け願いたいことをお願いをいたします。
 以上、まことにまとまりませんでしたが、お願いやらお礼やらを申し上げた次第でございます。(拍手)
#6
○倉成委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。増岡博之君。
#7
○増岡委員 去る二月九日の日に、私ども労働基準行政の実態調査の目的で安中に参ったわけでございます。もちろん中村登子さんのあの事件によるショック、その結果であるわけでございますけれども、その後労働省といたしましては適当な措置をとっておられると思いますし、また衛生調査団の派遣もしておられるようでございますので、その概要をごく手短かに御説明を願いたいと思います。
#8
○岡部(實)政府委員 労働省といたしましては、あの問題が起きまして直ちに本省から職員派遣あるいは現地の基準局の職員の派遣をいたしまして、監督官も相当数動員をいたしまして善後措置を講じてまいりました。そのおもなることは二月二日には労働省の係官の派遣、二月三日には監督署から参りまして、さらに二月十五日には基準局が監督課長、安全課長等の監督官十二名を動員いたしまして、安中製錬所を抜き打ちで立ち入り検査をいたしまして、各施設等の配置状況等も検査をいたしました。さらに二月十八日、十九日、二十日と三日にわたりまして、労働環境、従業員等の健康状態等を調査するために労働衛生調査団、これはお医者さんからなる調査団でございますが、派遣いたしまして調査をいたしました。
#9
○増岡委員 カドミウムがいろいろ世間で論議をされ始めてからだいぶ時日もたつわけでございます。したがいまして、それに対する特別な健康診断の手段というものも考えられていなければならないのでございますけれども、先ほど調査団の報告の中にございましたように、なかなか科学的に究明できない面が数あるわけでございます。ただいまの調査団の健康状態の調査の結果、わかりましたら簡単に御説明願いたいと思います。
#10
○岡部(實)政府委員 調査団は先ほどお話申しましたように十八、十九、二十日と行っておりまして、目下その資料を集めておりますので、まだ結果の報告には接しておりません。
#11
○増岡委員 私ども現地で工場に参ったわけでございますけれども、その前に新聞で小林教授の談話が報道せられておりまして、おそらく急速に多量な粉じんを吸入したもので、その結果であろうということであったわけでございます。現地に行ってみて実際に作業を復元した状態を見ると、そこまでのことはないようでありますけれども、しかしそれも科学的な調査の結果でなければ、われわれが云々するわけにはまいらないと思います。そこで、もしかりに粉じん吸入の結果ああいう状態になったものと考えられるならば、あるいは労災関係でほかにもそういう状態、粉じんの状態あるいは蒸気の状態で吸入をしてその結果死亡されたという例があるように聞いておるわけでございますが、その症状並びに経過を手短かに御説明を願いたい。
#12
○岡部(實)政府委員 従来労働省で把握しております点につきまして御報告申し上げますと、カドミ中毒で労働省がいままで把握しましたのはすべて急性中毒の事例でございまして、昭和三十九年と四十五年に各一件ずついわゆる急性中毒症が発生をいたしまして、三十九年の場合は、ある工場におきましてテレフタール酸製造工程、その工程中の反応塔内でボルトのガス切断中にカドミウムのヒュームの状態になりましたのを吸引いたしまして急性中毒にかかり、六人が入院をしたという事例でございます。四十五年には同じような事故によりまして従業員三名が急性のカドミ中毒症状になり、そのうち一名は死亡したという事例を把握しております。
#13
○増岡委員 その一名が死亡したというのは、何カ月ぐらいの療養期間の結果でありますか。
#14
○岡部(實)政府委員 急性中毒になりまして二、三日でなくなったように聞いております。
#15
○増岡委員 ただいまのお話だけで即断することはもちろんできないわけでございますけれども、急性の場合であると、そのように短時日の間になくなってしまうという例が多いのではないかと思うわけでございます。
 今度の場合が慢性であるかどうか、これも私ども判断するわけにまいりませんけれども、かりに慢性であるとするならば、おそらく同じ職場で同じ仕事をしておった同僚の諸君にもそれに似た症状、もちろん個人差がありますから全く同一とは考えられませんけれども、そういうことがあるのではないかというふうに考えられるわけでございます。ところが私どもが参りましたときには、一応健康診断をした、尿や何かの中にはそれほど病気といえるほどのものがなかったという報告がありました。しかしそれは会社の嘱託医がやったのであって、やはりこういう問題は第三者の立場にある方に公平に判断していただかなければならぬということで、その健康診断のやり直しをしていただいておりますけれども、その結果についてお知らせ願いたいと思います。
#16
○北川説明員 いま御指摘のように、この事件が起きまして直ちに、中村さんと同じ職場で働いておられました、しかも現在安中製錬所に在籍中の五名の方につきまして、会社で一応尿中カドミの検査をいたしましたけれども、それだけではやはり客観性がございませんので、御指摘のように、群馬県の衛生研究所で同じ人たちにつきましてクロスチェックを行ないました。その結果は、概略を言いますと、最高が一三・五ガンマ・パー・リッターのカドミが発見されました。最低の方は二・五ガンマ・パー・リッターでございます。五人の方平均をいたしますと七・二五ガンマ・パー・リッターということで、これによりますと一般の方々の尿中のカドミ量とほとんど変わらない、異常が認められない、こういう結果が出ております。
#17
○増岡委員 大体会社の嘱託医の検査の結果と同じような数字であろうと思うわけでございますけれども、しかしながら、それをもってして全く中毒の可能性がないという断定もなかなかむずかしいかと思うわけでございます。
 そこで、もしかりに中村登子さんがカドミウム中毒である――なくなったのは警察では自殺と言っておるわけでございますけれども、カドミウム中毒になって、ノイローゼが高じて、その結果自殺したというような因果関係がはっきりするかしないか、調査は非常に困難であろうと思うわけでございます。しかしそれは労働省とされてはその究明をしていただくと同時に、今後職場で働く人に安心して働いていただくためにも、いろいろな調査も同時にやっていただかなければならないと思うわけでございます。その点局長の見解はいかがでございますか。
#18
○岡部(實)政府委員 仰せのようにカドミの中毒は、いままで私ども実は慢性の中毒の事例を的確に把握しておりませんので、これを機会に、先ほども申し上げましたが、その道の専門のお医者さんの調査団に現地の調査をお願いしておりまして、その結果に基づきまして今後このカドミ中毒、特に慢性の中毒症をどういうふうに発見していくか、またその予防のための健康診断を具体的にどういう健診項目をつくってやるか等、科学的な検討をお願いして、今後予防あるいは早期発見等の措置に万全の措置をとる前提といたしまして、そういう科学的な方法をはっきり立ててまいりたい、こういうふうに考えております。
#19
○増岡委員 ぜひともそういうぐあいにお願いしたいと思うのですけれども、何しろ先ほどから申し上げておるような非常にむずかしい問題でありますから、また新しい分野でありますので、おそらく試行錯誤と申しますか、何回も挫折することがあろうと思うわけでございます。私どもがやかましく言っておるときにはわりあい一生懸命やっていただけるけれども、そうでなくなるとだんだんに挫折感を覚えてくる、そういうことのないように、ぜひとも御指導を願いたいというふうに思うわけでございます。
 そういうふうな因果関係がはっきりしないにもかかわらず、報道によりますと、小林教授は中村登子さんのカドミ中毒の原因はカドミウムの粉じんを吸い込み、それが肺から吸収せられて腎臓に蓄積されたものと考えられる、汚染米や汚染野菜が原因ではないというふうに報道せられておるわけでございます。したがって、そういうふうに報道せられる一方では、先ほどのような因果関係がはっきりしないということでございますから、本日来られました労組の陳情書にも、労組自体で独自に調査をやった、それによってもなお原因がはっきりしないとある。また、会社側ももちろん善意を持ってやっておられることと思うわけでございます。その結果陳情書にもございますように、従業員の方々が非常にいろいろな矛盾を感じておられると思うのです。いろいろな場合を想定して深刻に悩んでおられる。これが陳情書の中に、われわれの生活の重大な転機を含んでいることを自覚し、またあとのほうで、安心して働ける職場を求めておるという微妙な表現になっておるわけでございます。そういう意味からしましても、先ほど申し上げたようなたゆまざる、挫折せざる努力をお願いをいたしたいというふうに思うわけでございます。
 そこでこの間参りましたおりに、前から、小林教授から分析のデータをもらう、あるいは臓器の残りがあればそれをいただいて自分のほうで分析をするという意思表示を厚生省はしておられたわけでございます。その結果につきまして御説明を願いたいと思います。
#20
○曾根田政府委員 先般小林教授のほうから返事がまいりまして、臓器等はすべて分析に使ってしまって残部はないという回答がございました。
#21
○増岡委員 データはどうですか。
#22
○曾根田政府委員 データも、したがって厚生省のほうにお送りするようなものはないという返事でございました。
#23
○増岡委員 いまお話を承りますと、ちょっと妙な印象を受けるのでございます。このような科学的な究明でございますから、普通の科学者の良心からいたしましたならば、そういうデータを公の場所に出せるものでないとか、あるいはまた逆に、分析をする前に臓器の一部を何らかの方法で保存しておくとか、そういうことが常識ではないかと思われるのです。そのことを厚生省に聞きましても、これはそれぞれ個人個人のお考えについて統制するわけにはまいらないと思いますので、そのことだけ申し上げておきますけれども、もう一つ、私どもが参りましたときに、安中市でなくなった小川シナさん、先ほど参考人からもちょっと触れられたように思いますけれども、この方の解剖を群馬医大でなさるということでありましたけれども、その結果がおわかりになれば、お知らせ願いたいと思います。
#24
○曾根田政府委員 その結果につきましては、群馬大学のほうで解剖をすでに済ませたようでございまして、データを整理中でございますので、近近その結果を私どものほうに報告があるものと期待しております。
#25
○増岡委員 そういたしますと、目下のところ厚生省といたしましては、中村登子さん自体の問題、あるいはその近辺に住んでおられた小川シナさんの問題、このお二人に対しましてのカドミウム、これがどのように作用しておったか。そして症状がどのようであったか。あるいはまたその結果、どういう因果関係のもとに発病したか、そしてなくなったかということは、科学的にはまだはっきりしていないということでございますか。
#26
○曾根田政府委員 大体において先生のおっしゃるように、完全なデータがございませんので、科学的な究明ということには若干問題がございますけれども、私どものほうは別途いろいろ調べましたところ、外国等の文献で、じん臓中のカドミウムの濃度も相当高いような報告例もございまして、ただその場合に、その方の死因等が明らかでございませんので、その点を目下アメリカのほうに照会しておりますが、そういったデータがある程度そろいますと、不完全ではございますけれども、専門の先生方に御検討いただく素材にはなろうかというふうに考えております。
#27
○増岡委員 ただいまの外国の例も、データをおとりになることはまことにけっこうなことであるわけでございますけれども、しかし、やはり厚生省は厚生省として、こういう事件があったからには、今後何らかの対応策を考えておられることだろうと思います。その点についてお聞かせ願いたいと思います。
#28
○曾根田政府委員 この点につきましては、先ほど申し上げましたようなデータ、それから先生先ほどお尋ねの群馬大学の解剖の結果等のデータも近々出てまいりますので、私どもとしましては、来月早々鑑別診断班の会議を開く予定にしておりまして、その際にデータの評価、今後の対策等を十分御審議願いたいというふうに考えております。
#29
○増岡委員 これは予測みたいなことではっきりお答えになれないかもしれませんけれども、鑑別診断班がいろいろな結論を出す、あるいは中村さんあるいは小川さんの問題についてははっきりするのかもしれませんけれども、しかしながら、カドミウムそのものがどのような経路をもって体内に侵入した場合にはどのような症状あるいはどのような内臓に障害を及ぼすというような体系的なものは、まだむずかしいのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。したがって、先ほど労働省にも申しましたように、やはり研究しては失敗しという経過を繰り返さなければならないと思うわけでございまして、重ねて言うようでございますけれども、どうか長続きのする努力を行なっていただきたい。したがって、今後いろいろな機会にその経過の御報告もお聞きしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次は、会社の施設の問題でございます。増設工事をいたしました分が、昨年認可の取り消しをされておるわけでございます。このような工場の増設につきましては、おそらく労働法規上にもその届け出の義務があるはずだと思うわけでございますけれども、その点はどのように行なわれておりましたか、お聞かせ願いたいと思います。
#30
○岡部(實)政府委員 基準法の五十四条の規定で、一定の危険、有害な事業におきまする建築物その他の設置等の場合には、その計画を工事着手十四日前までに所轄の労働基準監督署長に届け出ることになっておりまして、この安中の施設につきましては、高崎労働基準監督署に対しまして、事業場設置届け出が四十二年十二月二十八日付で出されておりまして、四十三年一月五日付で受理をいたしております。
#31
○増岡委員 したがって、その後労働省としては、安全面からの監督その他をやっておられると思いますけれども、もともとその前の、通産省が昨年認可を取り消しをされた、これはほかの委員会で、認可申請の時期が事実上の着工とずれておるという理由のもとであったように説明をされておるわけでございますけれども、その増設をした際、その当時実際に排出いたしますいろいろなものの中の汚染的なものが、当時もうその基準があったと思いますけれども、その基準に適合しておったかどうか、また、それから現在その規制が強化されておりますけれども、当時の汚染排出量が今日の基準に適格するかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
#32
○伊勢谷説明員 お答え申し上げます。
 認可を取り消しました時点は四十五年の二月でございますが、四十五年の二月以前にも、水及び鉱煙の検査というものを私どもの保安監督部がやっております。その当時、実はこの地域は大気汚染あるいは水質法の特定地域ではございませんので、いわゆる法律的な意味の排出基準というものはないわけでありますが、私ども保安監督部といたしましては、局長通達によりまして当時基準をつくっていたわけでございます。で、少なくとも取り消しをやります以前の状態におきましては、そのような当時の基準に照らし合わせまして、その基準を越えていたということは水にも煙にも一つもないわけでございます。なお、取り消しましたあと、ちょうどそのころ環境基準が閣議決定でその後にきまるというようなことがございまして、私どもの方では、鉱山保安法の省令を改正いたしまして、あらためまして前の通達の基準よりはきつい基準を法律的に定めまして、それに基づきまして、さらに検査を四十五年の六月ごろ行なっておるわけでございますが、そのきつい基準に合わせましても、煙及び水につきまして排出基準を上回っているという事実は全くなかったわけでございます。
#33
○増岡委員 ただいまの御答弁でございますけれども、増設分の認可取り消しの際に、公害防止の改善計画というものを提出しろというふうに指示せられておるわけでございます。そういたしますと、その改善計画は当然現在の規制基準よりもよほどシビアなものであるのかどうか、あるいはまた、その改善計画そのものを会社側が実際に策定しておるかどうか、そうしてどれくらいの金額をかけて、その実際の効果の可能性等、あわせて簡単に御説明願いたいと思います。
#34
○伊勢谷説明員 先生いまおっしゃいましたように、四十五年の二月十八日に認可を取り消しました際に、東京の保安監督部長が同工場に対しまして設備の改善の指示をいたしております。その内容は、およそ技術的に可能な限り最善の努力をせよという指示をいたしております。その意味合いは、当時すでにそれまでの長い操業によりましてこの地域に汚染が起きておるという事実がございましたので、少なくとも基準に合格するというような問題ではなく、少しでも排出を少なくするようにあらゆる努力をしてほしいという要望であったわけでございます。これに対しまして会社側は約六億円の工事計画を出してまいりまして、これを認可してまいりました。内容は、まず焼結炉に関しましては廃ガス処理装置の改善をはかる、これで亜硫酸ガスをさらに落とすということ、それから乾燥炉におきましては廃ガスの拡散を強化するということをやらしております。それから硫酸工場の改善をはかるということをやらしております。これが全部合わせまして一億一千六百万円の費用をかけております。
 このような工事に続きまして、さらに第二期工事といたしまして、焼結炉の廃ガス処理装置の増強、そしてミストコットレルの増設工事を行ない、さらに乾燥炉の廃ガス処理装置の増強というのをやりまして、この第二期工事の総費用が四億七千二百万円、両者合わせまして約六億円の資金を投入させまして、約一年間の工事期間をもちまして現在ようやくこのような改善工事が完成を見たというのが現状でございます。
#35
○増岡委員 だんだんに規制を強化されることはまことにけっこうなことでございますけれども、もともとこの工場はカドミでなくして亜鉛の工場であるわけでございます。私専門家でありませんけれども、カドミウムがああいうふうに純粋に近い状態で抽出されるようになったのは戦後の問題であろうと思うわけでございまして、したがって、その以前はおそらく煙の中にも廃液の中にも亜鉛と一緒にカドミウムが、現在生産されておりますと同じパーセンテージでそのまま流れていっておったと思うわけでございます。そのことが先ほど参考人から三十年来の汚染と言われた理由であろうと思うわけでございます。したがって、そのカドミウムの製造を始める前とあとの状態では、相当にカドミウムの汚染度というものは違うのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 なおその上ただいまの話のような規制を強化せられる、そういう防止策を講じてもなおかつ、さらに現在の非常に汚染度の強い土地の改良工事を行なう等の方策を講じても、今後土壌が汚染されるであろうかどうであろうかということ、これは農林省にも後ほどお尋ねしたいのですけれども、通産省のこれは感触でけっこうですけれども、お答え願いたいと思っております。
#36
○伊勢谷説明員 カドミウムの汚染は、一番問題となりますのは蓄積をするということが非常に問題になるわけでございます。したがいまして、工場のランニング操業といたしまして、それが非常にきびしい基準を設けられまして、その基準に適合するということでございましても、問題はその排出をゼロにするということは、これは技術的に不可能なことであるわけであります。したがいまして、ゼロでない以上は蓄積が進行するではないかということは、これは程度問題ではございますが、どうしても出てくるというところが問題ではないかと思うわけです。しかしこれはできるだけ排出を少なくすることによって、その程度を技術的な可能な限り小さくするということは、私どもとしましてもどうしてもやっていかなければならない、またそれが私どもの監督の姿勢である、こういうふうに考えておるわけであります。
 そこで問題は、土地が非常に汚染されておるということがあるわけでございますから、汚染した土地を一日も早く改良することが一方においてまた非常に大事なことではないかというふうに考えられるわけであります。
#37
○増岡委員 全く科学的に考えてゼロ%の排出ということは不可能に近いことであろうと思います。したがって、いま土壌の中をゼロ%にいたしましても、何年か後にはその汚染が来るということは常識として考えられるわけでございますけれども、そこでその汚染があった場合を想定しての結果であろうと思います。厚生省は米の中のカドミウム一PPMという定めをなさっておるわけでございますけれども、これはほかの野菜その他の中に含まれるカドミウム、あるいはそれを食べますその人がすでに体内に蓄積を持っておるかもしれないという、そのような状況判断を行なわれて一PPM以下ということになさったのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#38
○浦田政府委員 カドミウムに汚染されました、あるいはカドミウムを含有いたしております米の安全基準の考え方でございますが、これは米以外に野菜その他の食物をとるわけでございますし、また水からもカドミウムが摂取されるという可能性もあるわけでございまして、それらの点を十分に計算に入れまして定めたものでございます。
#39
○増岡委員 まず十分に念には念を入れて考えていただきたいと思うわけでございますけれども、安中の問題は、中村さんの場合は労働災害オンリーであるという結論も出しかねるといたしますと、当然付近の環境汚染の問題も考えてみなくてはならないわけでございます。先ほど大塚さんから、あるいは市からも、労働組合からもいろいろの陳情が出ておると思うわけでありますけれども、その大筋を分けてみますと、まず第一に汚染物の排出の規制、次は汚染環境、すでに汚染された環境の復元、次が人間に対する、人体に対する公害の科学的解明と健康の回復、もう一つが補償というように分けて考えてもよろしいと思いますけれども、時間がありませんので、大塚さん、はいとかいいえとか、ごく簡単な返事でお答え願いたい。そのように考えてよろしゅうございますか。よろしいですね。
#40
○大塚参考人 はい。
#41
○増岡委員 そういたしますと、汚染の排出規制というものは従来も行なわれておりますし、今後も先ほどから答弁にありましたように規制をされ、また関係者各自が努力をしなければならない問題でありますし、また補償の問題は、これは私どもがとやかく言うよりも当事者の間で円満に片をつけていただくことが大事ではないかと思うわけでございます。私どもがここで一番目をつけなくてはならないのが環境汚染、中でも汚染された土壌の改良の問題であろうと思うわけでございます。
 土壌汚染防止法がことしの六月から施行されるはずでございますけれども、それに伴いまして対策を立てなければならない。まず地域の指定とか健康診断の実施とかいろいろな段階があると思いますけれども、私どもが仄聞しております予算措置という観点から考えますと、そういうことに非常に敏速に対応することが困難であるように思われるわけでございます。農林省としてはそんなことはない、一生懸命やるんだとおっしゃるかもしれませんけれども、それではこの安中の土地改良がいますぐできるのかどうか、あるいはいつごろになるのか、そういうふうなこともあわせて農林省の感触をお伺いしたいと思います。
#42
○加賀山政府委員 お答えいたします。
 先ほどからいろいろお話がございますように、あの地区はカドミウムをはじめ亜鉛その他で土壌が相当汚染されておるわけでございますから、できるだけ早くその土壌汚染を復元いたすということをいたしたいと考えております。それでいまお話のございましたように、先臨時国会で土壌汚染防止法が成立をいたしまして、それと実際の復元につきまして現在政省令の検討を始めておるわけでございますけれども、私たちはやはりあの法律に基づきまして対策を打つというふうに考えております。
 それで、それに対する予算措置等について不十分ではないかというお話でございますが、私たちといたしましては、四十六年度予算に特別土地改良事業というものが実施できるような予算を計上いたしておりまして、あの法律に基づきまして、そのような予算に基づいて対策を打ってまいりたい、かように考えておるわけであります。
#43
○増岡委員 これは農林省とは話が違うのですけれども、建設省あたりがよく国道をつくる場合に、土地の先行取得を県にさせておる場合が多いわけでございまして、これと似たような話で筋道が違うわけでございますけれども、もしかりに、国、地方公共団体あるいは事業者、この三つが費用の分担をするわけであろうと思いますけれども、そのいずれかが予算措置が非常に困難であるという場合に、残りの二つのうちのいずれか、あるいは両方かが一時的に資金を融通することができるというような具体的な事例があった場合に、それをまあ端的に言えばさっき国の予算が少ないといったのですから国が借金をしてでもそういう事業を早くやるということを考えないと、先ほどから言われておりますように、土壌には蓄積されるんだと言っておるわけでございますから、一日も早くどけないとますますひどくなってしまうということでございます。この点について農林省はどうお考えでございましょうか。
#44
○加賀山政府委員 ただいまのお話でございますが、そういうことができればわれわれも非常にいいと考えておりますけれども、現在のところそういうことをいたしますのはなかなかむずかしいのではないかというような判断をいたしております。しかしこの問題は研究をする価値がある問題かとも思いますので、研究をさせていただきたいと思います。
#45
○増岡委員 私どもこう言っておるからには多少の応援もしなければならぬような義理にもなるかと思いますけれども、ぜひともそういう方法を真剣に考えていただいて、問題は大蔵省であろうと思いますけれども、その交渉に当たっていただきたいというふうに思うわけでございます。
 それでもう一つの、四つのうちの汚染環境はそれでございますけれども、人体に対する問題、これは厚生省だろうと思いますけれども、時間もございませんので全般的なことははずしまして、端的に申しますと、安中に指曲がり病というのがあるということでございます。これは全国的にあるのかあるいはカドミウム汚染地域にのみあるのかというような調査をせられておると思いますけれども、その調査の結果がわかりましたらお知らせ願いたいと思いますし、途中経過であっても説明ができればお話し願いたいのであります。
#46
○曾根田政府委員 指曲がり病につきましては、当初安中地区でそういうことが言われたわけでございますけれども、その後福島県の磐梯地方等においても指曲がり病の発生が指摘されまして、先般福島の磐梯地区につきましては鑑別診断の会議で、十一名でございましたか、そのデータが参って、診断の結果、これは他の病名、関節リューマチとかそういうことで、指曲がりではないという一応の判定を得ております。
 安中地区につきましては目下群馬大学で検診をいたしておりまして、その結果が来月早々私どものほうにまいることになっておりますけれども、安中地区につきましてはそのデータによって検討いたし、その結果わかれば直ちに発表いたしたいと思います。
#47
○増岡委員 この問題もやはり人命に関する問題でございますので、可及的すみやかにお願いをいたしたいと思いますし、また真相究明の困難さもあると思いますので、粘り強い努力をお願いいたしたいというふうに申し上げてみたいと思います。
 労働大臣にお尋ねいたしますけれども、以上のような地域ぐるみの公害対策が行なわれましても、それが完全になったといたしましても、あるいは職場におけるカドミウムその他の毒物の被害があるかもしれない。そういうことを防止するために法令の整備が必要であるといわれており、その準備もなされておるように聞いておるわけでございますが、その現状をお聞かせ願いたいと思います。
#48
○野原国務大臣 安中問題等から考えまして、公害問題はきわめて重大な問題であり、至急に対策を講じたいと存じまして、労働安全衛生規則の改正等も行なう必要があるのではないかということでただいま調査を進めまして、審議会等におはかりしておりますが、近く結論が出るような情勢でございます。結論が出次第できるだけ早く諸政令等の改正をおはかりしたいというふうに考えます。いずれにしましてもただいままであまり重大と考えていなかった問題がきわめて重大な問題になってまいりまして、これからは公害対策に真剣に取り組んでいくということで、全国の基準監督行政等は真剣にこの問題と取り組んでいく、その決意でおるわけでございます。
#49
○増岡委員 先ほどから申しておりますように、環境汚染の地域ぐるみの防止対策というものも非常に長期的にわたると思いますし、困難であると思います。また職場における法令を整備いたしましても、その実効というものもきょうあしたというわけにはまいらない問題であろうと思うわけでございます。
 そこで通産省に最後にお尋ねいたしたいと思いますのは、そのような折衝過程が続いておって工場の増設部分が閉鎖されたままであるわけでございますけれども、あらゆる弊害が除去せられてそれが再開されることがほんとうに望ましいと私どもは思っておるわけでございます。しかしながら新聞記事その他によりますと、会社自体も今期から無配になるかもしれないというような状態であって、今後これが二年も三年もこのままの状態が続くということになれば、会社の倒産ということも考えられるのではないかというようなことも心配いたしておるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
#50
○伊勢谷説明員 非常にお答えしにくい問題なんでございますが、東邦亜鉛は四十五年の上期までは一割二分の配当を継続しておりました。それが四十五年の九月期の決算では、たしか配当を五分に落としたということを聞いております。それから先生いま御紹介ありましたように、先ごろの新聞によりますと、この四十六年三月期の決算ではおそらく配当がゼロになるのではないかという予想が出ておるようでございます。
 一つはやはり、不法の増設ではございましたけれども約七十億の投資というのが行なわれまして、それが一銭の利益も生まない、そういう一種の不良債権が圧迫材料になっておるということが一つと、それからさらには、御承知のように非鉄金属市況が急速に悪化しておりまして、特に銅の価格が非常に下落しております。東邦亜鉛では全売り上げの約二〇%が銅によっておりますので、その辺の影響もあると思うわけでございます。しかし一方におきましては、いろいろな意味の準備金というものを従来積んでおりますので、その準備金の取りくずしということがどの辺まで可能であるかということが、倒産になるかあるいはならないかというようなこと、それからいま申し上げました非鉄金属市況の持ち直しというようなことがございますれば、といういろいろな条件がございますので、今後の推移がどのようになるかは私はなかなかむずかしい問題ではないかというふうに思っております。
#51
○増岡委員 おそらく、従来から経営内容のいい会社でございますから、先ほど私はことばが行き過ぎまして倒産と言いましたけれども、経営不振というふうに置きかえて考えていただきたいと思うわけでございますけれども、それも乗り切っていただけることと思うわけでございますが、そういうこともいろいろ考えて労働組合がわれわれの生活の重大な転機になるかもしれないということを言っておられるのだろうと、私は私なりに考えておるわけでございます。したがいまして、関係各省いろいろの事情がありましょうし、また地元のいろいろな問題もあるわけでございますけれども、どうか各省緊密に連絡をしていただいて、いまの農地の問題も土壌改良の問題もそうでございますけれども、そのようなことがあるいは行政の面あるいは政治の面でブレーキになって解決がおくれたということのないように、関係者各位にお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#52
○倉成委員長 中島源太郎君。
 中島君に申し上げますが、時間が限られておりますので、要領よく、要点のみを御質問願います。
#53
○中島(源)委員 大塚参考人にはどうも御苦労さまです。時間がございませんので、現状の御報告があったわけでございますが、現状から原因を見きわめましてその結果の対策までいくのが当然でございますが、時間の関係で特に企業姿勢について伺いたいと思うわけです。
 お断わりしておきますが、企業責任を追及するという考えは毛頭ございませんで、公害対策というものにつきましては、企業並びに国それから地方公共団体、これが三者三様に責任を担当していくということが根本にあろうかと思いますが、安中の場合は現在土壌汚染というものが確実にあるわけでございまして、この土壌汚染に関します原因というものにつきましては、安中に関しましては東邦亜鉛さん、これが原因であると考えられると思います。念のために通産省に伺いますが、東邦亜鉛さんがその原因であると考えてよろしゅうございますね。
#54
○伊勢谷説明員 この付近にはカドミ発生の該当工場がございませんので、少なくとも土壌におきますカドミの蓄積というのは東邦亜鉛の安中工場が発生原因であるというふうに推定しております。
#55
○中島(源)委員 その東邦亜鉛さんでございますが、この間二月九日に参りまして拝見したのですが、業界でも一、二位を争う企業でございます。特に亜鉛においては二二%、カドミウムにおいては三一%という相当なシェア、業界一、二位のシェアを持っておられるわけでございますが、
  〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
現在の月産生産トン数が一万一千六百トン、その生産の能力というものは一万七千トン持っておられる。その間の五千四百トンはいま操業中止でございまして、これは先ほどもお話があったわけでございます。この手続その他の問題と同時に、新聞紙上によりますと、これが公害防除設備の不備を理由に操業停止しておるということでございますが、この点通産省さんの御見解を――時間がございませんから、一言でけっこうでございます。
#56
○伊勢谷説明員 お答え申し上げます。
 この取り消しをいたしましたのは、設備の不備ということではございませんで、法律的に、届け出をいたしましてそれから後に着工するということに違反しておったということ、それから完成しました場合には検査を受けまして、合格をしたら使ってよろしいということになっておりますが、それに違反しておる、そういうことでこれを取り消したということでございます。
#57
○中島(源)委員 そこで一つ伺いたいのでございますが、その新しい設備が操業しておりましたのは、四十一二年の四月ごろから四十四年の七月ごろまで操業しておって、その後停止をしておる。しかし売り上げその他企業内容から見まして、売り上げはさほど落ちておりません。これはもちろんでございますが、利益率におきましても大体一八%程度を維持しておった会社でございますが、この公害問題が沸騰してまいりましたちょうど四十五年の九月期に、突然一割二分配当を七分減配という大幅な減配をなさっておりますし、さらにこれは予測でございますが、新聞紙上の予測によりますと、四十六年三月期決算では、予測でございますが、あるいはゼロ配当になるやもしらぬということでございます。これは一説には、もちろん企業内容の低下もありましょうし、この公害問題に対します責任ということもあるように見られるわけでございます。その責任というものがこういう形で出てくるというのは、私はどうも納得のいかない点がある。はっきり申して一つの企業が公害責任という形の中でとり得る形ではありますけれども、へたをすればこれは公害対策攻勢に対します自粛という名のカモフラージュではないのか、こういう、憶測であれ、そういう憶測の余地を残すということについてはやはり明らかにしなければいかぬと思うわけでございますので、この点、四十五年九月期から突然落ちた。念のために申し上げますと、売り上げ金は四十三年から四十六年までずっと引き続き約百五十億から二百億台を維持しておるわけでございまして、それが利益率からいきましても四十五年九月、四十六年三月で急激に落ちてまいったということにつきましては、先ほどちょっとお話がありましたが、鉛、カドミウムの市況の悪化、そのほかに端的に申してはっきりした原因がございましょうかどうでしょうか伺いたい。
#58
○伊勢谷説明員 私どもが有価証券報告書で調べてみましたところでは、増設が始まりました四十二年の九月期の決算に出ておりますが、それによりますると当時の借り入れ金の残高は百五十一億というふうに出ております。これが増設工事が終わりました四十四年の下期現在の借り入れ金の残高が二百五十八億ということでございまして、その間に借り入れの残が八十七億もふえておるということでございまして、これが四十五年の上期におきます営業利益の大幅な減となって出ておるということが、上期から急激に利益が減っておるということにストレートにつながっておるわけであります。さらに先ほど申し上げましたように、四十四年の下期中におきます銅の価格は五十八万円でございましたが、四十五年の上期の状態では五十三万円で、約五万円の落差がございまして、こういうことが売り上げ高の減少、すなわち利益の減少というかっこうにつながっておるということでございます。
 なお、この下期の予想で、さらに赤字になるのかもしれないという予想が成り立ちます理由は、銅の価格がさらに下落をいたしまして五十三万円が三十七万円の大台まで目下低下しております。これによります減少が非常に痛手になっておるようでございます。それから先ほど申し上げました合理化工事の約六億の投資のほとんど大部分が、四十五年度の下期に支払い期が来ておりますので、そのことがまた一つには負担となっておるということも十分予想できるところでございます。
#59
○中島(源)委員 最初の七十億円の設備投資が響いておるということはわかりますが、響いておるにしては四十四年以降さほどにそれがあらわれていない。あるとすればいまおっしゃったあとのほうの六億でございますが、この六億は先ほど申されましたが、ひとつ端的に伺いますが、その六億円の設備改善というのは一万一千六百トンのこの設備に対しますものであるか、あるいは残り五千四百トンの操業停止中の設備に対しましてのこの六億という設備改善がなされたものであるか、念のために伺っておきます。
#60
○伊勢谷説明員 先ほど御説明申し上げましたように、設備取り消しをいたしました時点で排出基準を上回っておることはなかったわけでございまして、しかし地域汚染がはなはだしいので技術的にできる限り公害の防除施設を増強すべきであるという指示をいたしておりますが、それは認可はいたしておりませんが、一万七千トンの設備が現存しておりますので、この一万七千トンの設備がもしも稼働することがありましても、それで十分に防除効果が出ますような、そういう防除工事を行なわしめたということでございます。
#61
○中島(源)委員 それで大体わかりましたけれども、私の見る範囲では、たとえ四十六年度の三月期が相当悪い段階にありましても、この会社は資本金五十億円、自己資本が七十九億でございまして、非常に大胆な言い方をすれば、内部留保というものを吐き出してまいりますと、まだ相当な余裕があるということもできると思うわけでございます。ただこの会社が、今後のことを考えて打つ手であったとするならば、念のために申しますが、この東邦亜鉛さんから操業認可の再申請が出されました場合に、通産省さんはそれを取り上げられますか、どうですか、伺います。
#62
○伊勢谷説明員 東邦亜鉛から一万七千トン増設の再申請が出ました場合に、通産省といたしましては、二つの条件が満たされることが必要であるというふうに考えております。第一は、一万七千トンで動かしまして、今日完成いたしました防除設備をもってして、排出基準に比べまして一体どの程度まで下回ることが可能であるのか、その辺を見きわめるということがまず第一だと思います。第二には、地域の住民の方々には汚染された土壌によってたいへん御迷惑をかけておるわけでございますから、この汚染されました土壌につきまして県当局あるいは市当局が土壌汚染防止法によりまして地域指定をされ、かつ土壌改良の計画を組まれて、それが地域住民の方々にも御了解が得られ、かつその中に、それに要します費用につきまして会社側も応分の負担をするということを積極的に表明されたような段階において初めて、認可の問題あるいは操業の問題というのが考えられると思います。
#63
○中島(源)委員 時間がございませんが、いま伺ったところによりますと、東邦亜鉛さん、この業績悪化にもかかわらず、私はまだ何らかの余裕があると見ることもできると思うのでございますが、今後せっかくの設備投資、これを生かすということについては、いま通産省さんのほうから、二つの要因が満たされればということでございますが、土壌汚染というものは非常にはっきりしておりますし、これはおそらく昭和十二年創業以来の蓄積されたカドミウム禍というものが、長い年月の蓄積がここにたまっておる。これは一つには農林省さんからこの問題についてもう一度伺いたいのでございますが、いま通産省さんのほうからそういうことばがあったわけでございますが、土壌改良の問題、それからそれに対する対策、それから地元の方々の御了解も含みましたものができるということがすべて前提になっておりますが、先ほども質問にございましたが、農林省さんとしてはこの方法、たとえば土壌汚染防止法ですか、この施行はこれからでございますが、見通しとして安中地区土壌改良に早急なる手を打つといたしまして、どのくらいのアローアンスを持ったらそれが可能であるとお考えかどうか、感覚でもけっこうでございます。
#64
○加賀山政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、先ほど増岡先生にもお答え申しましたけれども、われわれといたしましては、土壌汚染防止法に基づいてやるということを前提にいたしておりますので、その施行を急がなければならないということでございますが、それは、現在政令を詰めている段階でございます。六月ごろになるのではないかという想定をいたしておりますけれども、それまでにどういうことができるかということに対しましては、私たちといたしましては、やはり四十六年度予算も組んでございますから、その汚染防止法に基づいてやると、そう申し上げる以外にはないわけでございます。
#65
○中島(源)委員 私は特にその企業姿勢の問題と土壌改良の問題との関連を伺いたいために時間をいただいたわけでございますが、先ほどからの質問応答の中で、それぞれが努力はしておりましても、現在の安中地区におられる方々の指曲がり病ですとかあるいはじん臓障害その他の症例、これを全国的なものとの比較において、また内部検討におきまして、厚生省さんのデータの解明というものが、始めた時点がおそいからということもありますが、二月の現在では明確なデータを手元にお持ちでございませんし、まだ私どもがそれを聞かしていただく段階でないようでございますが、これは非常に長い期間、それからでき得れば、過去にそういうデータがあれば比較検討ができるわけでございますけれども、この点もこれからということでございますので、ひとつできるだけ早く出していただくというのと同時に、先ほどもございましたように、息の長い調査、分析をしていただきたい、そうして厚生省さん、労働省さんそれから通産省の方々が一致いたしまして、地元の方に対する、要するに不安感の原因を早く除去していただきたい。
 これはやはり、一つの現象と同時に心情的なものもございます。事実、全国的な比較はともかくといたしまして、指のお悪い方、それから内臓障害の方がおられるわけでございまして、非常に風景のよろしいところでございますが、その中で、そこに生きるということにつきまして何らかの不安がありましたら、これは全国民的な責任であると私は感ずるところでございまして、今後安中に生まれ育ってくる、次代を背負う青少年の方々のためにも、私どもの責任において解明の一日も早からんことを祈りますし、もちろん、その対策に、私も含めまして努力をしてまいりますが、皆さま方の一段の努力を要望いたしまして、時間でございますので、質問を終わります。どうもありがとうございました。
#66
○増岡主査代理 次に川俣健二郎君。
#67
○川俣委員 最初に、地元の被害者協議会を代表して会長さんがお出ましくださいまして、御苦労さまです。なお、この間調査団派遣の際に、丁寧な御説明ありがとうございました。
 私は質問に入る前に、先ほどの自民党の中島委員と討論する意図は一切ありませんが、ただ、この間調査団の正式委員の一人といたしまして、ちょうど国会も開会中でありましたし、当日は本会議のある日でもありましたし、例の小林大臣が辞任する本会議の場でもあったし、そういうような忙しいさなかに国会の了承を得て社会労働委員長の確認のもとに、私たち各党代表で調査団が派遣されたわけでございます。これはいまになって、やはり安中という精錬所がなかりせば、過去三十年蓄積されたものに対する犠牲者がこのように出なかったであろうということで、担当官庁の労働省、厚生省はもちろんのこと頭を悩ませながら、今後通産省もどのようにこれを行政指導していこうかという、こういう委員会だろうと思うのでございます。ただ、そういう委員会において、企業責任を追及する意図は一切ないのだというような考え方を出されますと、そのお考えは少し勘違いをなさっておるのではなかろうかということを、まず冒頭申し上げておきたいと思うのでございます。
 そこで、私に与えられた時間内に質問する順序を前もって申し上げておきますと、まず担当の労働、厚生両大臣に、先ほど地元の代表の意見を伺い、そして今日に至って一体どのように感じておられるのか、特に私たちが地元に行った際に、地元の知事とそれから会社の社長さんが異口同音に、今回の問題は非常にショッキングでありまして、こういうことはないと思っておった、こういうことでした。そういう考え方に対して両大臣はどのようにお考えになるのかをまずただしていきたいと思います。
 それからさらに波及しまして、土壌汚染の結果、農産物の汚染ということになり、そしていま問題になっておる汚染米、カドミウム米ということになっております。ここで、農林省をわずらわしましたが、この一安中のみでなくて、秋田は立又鉱山、そして日三市鉱山あるいは山梨の宝鉱山等々、休眠鉱山を含めてカドミ製錬所のあるところの周辺をどのように農林省が土壌汚染の形で把握しておるのか、こういった面を中心に質問していきたいと思います。
 それから最後に、通産大臣が予算委員会からあるいはお見えになると思いますが、見えなかったら代理の方でけっこうでございますが、問題は先ほどの企業責任を追及するかたわらも、やはり増設工事、何十億というものをかけたものに対して行政指導をどのようにすべきであるか、こういうような問題は亜鉛製錬をやっている以上は宿命であるのか、あるいは技術が低劣であるのか、あるいは設備に欠陥があるのか、そして最後には、あの工場をやめてもらうか移転してもらわなければならない問題なのか等々あわせて、この委員会で与えられた私の時間内に順序を追って質問をしていきたい、こういう考え方でございます。
 最初に、労働大臣に所見を伺いたいと思います。
#68
○野原国務大臣 安中製錬所の問題、中村登子さんの問題、非常なショッキングな事件でございまして、これはたいへんなことになった、この問題は徹底的に究明して対策を講じなければいけないということを感じまして、即刻実は労働省の機関は実情の調査に当たり、あるいはまた災害防止のための対策を講ずるというふうな必要があると思いまして、厳重に命令をいたしまして、現地に直ちに調査団を派遣したり、いろいろな対策を講じております。
 と同時に、安中問題を契機としまして、労働安全衛生という問題についても徹底的に検討する必要があるというふうに考えまして、かねがね総点検等でいろいろやってはおりましたけれども、あらためての調査も行なう、同時にまた健康診断等も単なる普通の意味の健康診断ではもう十分ではないと存じまして、特別な健康診断も実施しようという方針を決定いたしまして、それぞれやっておるわけでございますが、まだ必ずしも全部済んでおりませんし、結論も十分ではございませんが、とにかくこの安中問題を契機としまして、これを貴重な経験、教訓として、今後の労働行政は誤りのない安全行政を行なう必要がある。工場の問題につきましても、労働省のできる限りの努力を傾注いたしましてこの対策に取り組もうという方針でございます。
#69
○川俣委員 それでは続いて厚生政務次官から……。
#70
○橋本政府委員 大体においていま労働大臣が言われた感想に尽きるわけでありますけれども、私どもも当初、じん臓中より二万二千PPMという非常に高度のカドミウムが発見されたという数字を聞いたときには、非常なショックを受けたということは事実でございます。そして先ほど来他の委員の方々の御質問に対して申し上げておりましたとおり、厚生省として直ちにデータの収集等に手を尽くしてまいったわけでありますが、岡山大学小林教授からの御回答においても、残存試料等はない、新聞に公開した以上のデータはないというような御回答でございます。現在群馬大学においてデータをおまとめいただいておる他のお二方のデータともつき合わして、今後の対策を考えていこうとしておるさなかでございます。
#71
○川俣委員 厚生省のほうに先に……。
 この間、小林教授の分析値というものが国会の場で発表されましたが、これを確認するということは、例の現在のカドミウム中毒等鑑別診断研究班の結果が出なければ確認できないのかどうか。
#72
○橋本政府委員 ちょっと御質問の趣旨を取り違えたかもしれませんが、私どもは小林教授の定性分析及び定量分析における専門家としての出された数値でありますので、その数値そのものについて云々をしておるわけではございません。むしろ私ども自体としても、研究のデータは少しでも多くいただきたいわけであります。そういう意味での努力を払ってきたということでございます。
#73
○川俣委員 それじゃ、この間の小林教授が出した分析値というのを確認しておるわけですね。
#74
○橋本政府委員 確認と申し上げますか、小林教授にお手紙を差し上げて、その他のデータ等もおありでしたら御送付を願いたいと申し上げましたところ、残存の試料はないし、数値は全部新聞に発表したもののとおりであるというお手紙をいただいたということでございます。
#75
○川俣委員 それでは、いろいろ厚生省に担当官もいることなんだろうけれども、確認ということがはかられないのなら、あれを認めるということですか。容認するということですね。
#76
○曾根田政府委員 御承知のように、小林教授は分析方面の専門家でいらっしゃいますので、その先生が自分の分析したデータはこのとおりの数字である――新聞に出たとおりでありますけれども、それはそのまま私どもは認めてよろしいというふうに考えております。
#77
○川俣委員 それでは一体、人体に普通平均値はどのように入っておるものなのか、調べたデータがあるかどうか。
#78
○曾根田政府委員 先ほどちょっとお答えいたしましたが、一九六一年にアメリカのダートマス医大シュレーダー教授の報告がございます。これは十八例でございますが、平均が六〇三〇PPM、最高が一九五〇〇PPM、最低が二二五〇PPM。それからまた一九六五年でございますが、これは小林教授の新聞に出たデータの最初にちょっと出ておったティプトンというテネシー大学の教授でございますが、この報告によりますと、日本人二十七例を含む東洋人六十六例についてのデータがございます。なおこのデータにつきましては、実は国立公衆衛生院の先生方も協力したデータだそうでございますが、六十六例の平均が五一〇〇PPM、最高二〇〇〇〇PPM、最低八二〇PPM、そういうデータがございます。先ほど申し上げましたように、ただこの解剖例の死因が明らかでございませんので、どういう病気でなくなった方かについて目下アメリカに照会中でございます。
#79
○川俣委員 厚生省のいわゆる日本公衆衛生協会診断研究班ですか、十一名、このお名前がわかりましたら……。
#80
○曾根田政府委員 班長が金沢大学医学部教授の高瀬武平さん、以下順序不同でございますが、金沢大学の竹内教授、富山県の萩野病院長の萩野さん、それから富山県立中央病院外科医長の村田さん、これはいわば富山のイタイイタイ病の代表者ということでございます。それから群馬大学医学部教授の志田さん、それから大分県立病院長の徳岡さん、それから国立公衆衛生院疫学部長の重松さん、慶応大学医学部教授の土屋さん、それから三洋電機健康管理部長の、これはお医者さんでございますが、原田さん、それから榛名生活協同組合の高崎中央病院長の高柳さん、以上十一名でございます。
#81
○川俣委員 調査団に出された厚生省の資料でその後措置した事項を追って伺いますが、小林教授の分析のデータの資料は送付していただくように依頼した、これはきているのだが、臓器は残りはないのでもらえなかった、これでよろしいわけですか。
#82
○橋本政府委員 正確を期すために、小林教授より公害部公害課長山本宣正あて送付されました手紙そのものを申し上げます。
  「群馬県安中市中村登子氏遺体臓器中カドミウム等重金属のデータについて
  公害問題もますます重要性を加え、御多忙のことと、大慶至極に存じます。
  二月六日付をもって御照会をいただきました分析データは別紙の通りですから御回答申し上げます。
  試料は全部灰化して分析に使用致しました関係で、残部がございません。悪しかず御了承下さいませ。
  では御回答までに。
  岡山大学農業生物研究所小林純」
そうして添付されております資料は、回覧をさせていただいてもよろしゅうございますけれども、大体新聞に掲載されました形式のものがそのままに付記されております。そして新聞等で発表されましたもの以外に、新しいデータというものはその中にはつけ加えられておりません。
#83
○川俣委員 それから解剖所見を久保田所長から入れるということでしたが、これについては内容を……。
#84
○曾根田政府委員 解剖を実際に執刀いたしました久保田さんからの解剖所見が先日参りましたが、かなり具体的に書いてございまして、全体としましては、中村さんの遺体が埋葬されておった場所が比較的乾燥地帯であった関係で、たとえば棺などは比較的保管状態がよかったということから、思ったよりは遺体の状態も腐食といいますか、そういう度合いが少なかったようでございます。
 具体的におもな点を申し上げますと、眼球は腐敗融解して認められず、眼窩は陥没して空洞化していた。頭蓋は左側において複雑骨折の状態が触知された。これはおそらく自殺なさったときの傷ではないかと思います。まず胸部から恥骨縫合部に至る約四十センチの切開を加えて、胸骨の上部約十三センチを切除した。その後に左の第二、第三肋骨を肋軟骨の境界部からそれぞれ二十センチにわたって切除した。胸腹部の内臓は一般にやや萎縮していたが、おおむね正常に位置していた。ただし、左側のほうは一般に汚濁しておって、左のじんは認めにくかったということでございます。小林教授の分析でも、じん臓は右のじん臓というふうにはっきり書いてございますのは、おそらくこういうことの理由からだろうと思います。肺は約一センチくらいに萎縮して、後胸壁に付着しておったのを剥離して、左の肺を約十センチ平方位にわたって切除した。それから肝臓、これも一センチくらいに萎縮して誉ますが、その右葉中央において約十センチ平方に切除したということでございます。それからじん臓、これは右でございますが、右じん臓はやや萎縮し、表面は青色を帯びた黄褐色で、ほぼ原形をとどめていた。この右のじん臓を約七センチ×四センチ×二・五センチというふうに切除いたしております。
 大体以上のような状況で、かなり具体的な報告が参っております。
#85
○川俣委員 それから参考までに伺いますが、メタルの重量、生重量というのですか、これは、だんだんに水分がくなるとメタルの価値が上がるのですか。PPMが上がるのですか、下がるのですか。
#86
○曾根田政府委員 先ほど申し上げました諸外国のデータも、それから小林教授のデータも、それぞれ新聞等にもはっきり書いてございますように、これは全部焼いて灰にしたものの中のカドミウムの比重でございますから、当然灰になった比重に従ってそのPPMの値は、灰が非常に軽くなっておりますから、相対的にPPMの数字としてはそういう万単位のオーダーという数字も出てくるということでございます。
  〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
#87
○川俣委員 そうすると、上がるということですね。
#88
○曾根田政府委員 そういうことです。
#89
○川俣委員 それから、先ほど増岡委員の質問にもありましたが、きょうの委員会に期待しておりましたけれども、小川シナさんの解剖結果がまだわからない。しかし、私のちょっと耳にはさんだところによると、現地ではわかっているやに伺ったのですけれども、もしあれでしたら、大塚会長さん、実際の数字はわからないにしても、そういう話になっておるかどうか。
#90
○大塚参考人 確認ではございませんが、某新聞記者から、先ほど申し上げましたとおり、相当のものが含まれているというようなことをちょっと耳にいたしました。
#91
○川俣委員 いずれにしても、この解剖の結果とそれから厚生省のカドミウム中毒班、鑑別診断研究班の結果が来月早々ということであれば、もう一度こういう委員会が開かれなければならないと思うのですけれども、問題は、指曲がり病にしろカドミウムにしろ、はたしてこれが原因であるかということは、ここにはっきり当局のほうから出していただかない限りにおいては論争にならないと思うのですけれども、政務次官、どんなものでしょう。
#92
○橋本政府委員 川俣先生の御指摘は確かにそのとおり、もっともなことではございますけれども、私どもは率直に申し上げましてしろうとであります。専門家の学者の方々が鑑定をされたもの、そしてその鑑定をされた結果に基づいて出された所見というものを私どもとしては信用いたす以外に道はございません。先生、急げという御指摘は、確かにお気持ちもそのとおりであろうと思いますけれども、これはいかにしても専門の学者の方々が分析をされ、所見をまとめられますまでの間というものは、私どもとしていかんともしがたいものがございます。その点はお許しをいただきたい思います。
#93
○川俣委員 それじゃそういうことで、私は再びこういう委員会がなければ厚生省の問題は論争にならないと思うので、再度また別の機会にこの問題を取り上げる機会をいただくように働きかけます。
 それから労働省に伺いますが、労働省のとった措置というのを私ら調査団に渡されました。これを、順を追って二月一日から三日と指示するように書いておりますが、これがそのとおりやられたのか、そして結果はどうだったのか。
#94
○岡部(實)政府委員 先ほども申しましたが、三日、それから十五日、十八、十九、二十日の専門の医師団によりまする調査団の派遣等、これは現地でやっております。それで、健康診断につきましては、中村さんと同じ職場におった方につきましては、先ほど安全部長から御報告申しましたように、診断をいたしまして結果が出ております。それからあと、私どもの指示している措置の中で、全従業員に対しまして、下請の関係の方も入れまして約千二百人になりますが、この人たちの全員に対しまして、群馬大学の先生を中心にした健康診断をやっておりまして、目下のところ約三百名まで検診を終わっておると聞いております。あとは、引き続き全員についてやる予定にしております。
#95
○川俣委員 それから、いまの答弁にもありましたが、だれしも考えることですが、中村さんと同じ職場におった人方はどうだったのか、こういう結果がデータに出ております。私らに出されております。これはこのとおり間違いないのかどうか、もう一ぺん確認するということと、それからもう一つ、これと関連して、あれと同じ職場を私ら見せてもらいました。そして説明をいただきました。そして、現在やっていないだろうが、実験をしてもらいました。そうしたら、何でもないかという質問から入って、何でもない、あなたは前からこれに従事しておったか、従事していましたけれども全然平気だ。そこである委員が、これはちょっと旋盤の回転数が違うんじゃないか、ある回転数までに高めると燃焼して気化するのだ、その際にどんどん口に入るのだというような雰囲気
 になった。これに対してお尋ねしたいと思います。
#96
○岡部(實)政府委員 健康診断の結果でございますが、当初事業主というか、会社側でやりました健康診断を、さらに県の衛生研究所で診断をその人たちに同じようにしてもらいました。その結果もほぼ発表されております数字と一致しております。
 それからなお、あとの問題は安全部長からお答えいたします。
#97
○北川説明員 いま先生の御指摘のは、中村さんがカドミ箔を製作しております場合の旋盤の回転数が、調査団が参りましたときたしか七百回転ぐらいで、それが千七百回転ぐらいに回っておったのではないかという御趣旨の質問ではないかと思います。私も調査団にお供をいたしまして現場を見ましたけれども、あのとき中村さんと同じ仕事に従事していた方が再びあの作業をしておられまして、その質問に対しては、当時も七百回転でございましたというお答えがあったと私は記憶しております。なお念のためにあの旋盤につきましてこちらで調べましたところ、最高千四百回転近くまで回るようでございます。その場合の温度等を一応基準局を通しまして資料を取り寄せましたところ、カドミの融点より高くなるというようなことはないというふうに報告を受けております。
#98
○川俣委員 会長さんにちょっとお尋ねしたいと思うのですが、私らのデータでは、同じ職場で働いた人たちはABCDEというような符号でしかわからない。ただ問題は、実際現地において、同じ職場で働いた人たちがいまおられるでしょうから、その人たちの症状というか、しろうと的でけっこうでございますから、ほかの人たちと何ら変わりないのかどうか、ちょっとお願いしたいと思います。
#99
○大塚参考人 私のすぐそばに一名、女の方がおります。その方は二、三日前に見てきたのでございますが、ある病院に入院するように会社からすすめられておるというようなことをお聞きしました。したかしないかは存じておりません。なおその人の健康状態でございますが、まああまりじょうぶではない、こういうふうに見受けておりますが……。
#100
○川俣委員 安全衛生部長、一つお願いがあるんだけれども、そういうような意見もあるし、やはりああいう地域社会ですから、特に一枚のペーパーでABCDEと、何ら問題じゃないというように出ておりますけれども、再度これを早急にさらに精密検査をお願いしておきます。
 それから労働省のほうで法令の整備をいま急いでおるんだと、こういうことをいわれております。「カドミウムを含めた有害物による危害を防止するため、専門家による労働環境技術基準委員会により有害物の技術基準の確立を検討していたが、その答申を得たので」、こうなっている。大体その内容。「それに基づき労働衛生関係の法令の整備を急ぎ」出したい、こうなっております。その内容と今後の見通しをお知らせください。
#101
○岡部(實)政府委員 ただいま先生の御指摘のは、去る二月十二日に中央労働基準審議会に安全衛生規則の改正の一つの案として諮問をいたしました。その中身は四点ほどございまして、第一が、カドミ、アルキル水銀等特定の有害物の粉じん、ガス、蒸気等の発散を抑制する措置を義務づけること。これは粉じん、ガス、蒸気等の発散の抑制措置でございます。第二は、有害物を含む排気についての除じん処理、除ガス処理を義務づけるとともに、アルキル水銀、ベンジジン等を含む排液の処理あるいはアルキル水銀を含む残滓物の処理を義務づけること、第三点は化学装置等につきまして、特定の有害物の大量漏洩による急性中毒等を防止するための措置を講ずるよう義務づける、第四が、カドミ、ベンジジン等の特定の有害物質にかかる業務に従事する労働者についての健康診断の実施、保護具の着用等の義務づけを強化すること、この四点を中身といたしまして、審議会に諮問をいたしたところでございます。
#102
○川俣委員 これは政令的なものであるか、国会の審議に付するのか、そういったことをひとつ。それから、いつごろの施行になるのか。
#103
○岡部(實)政府委員 いま私ども考えておりますのは、基準法に基づきます労働安全衛生規則の改正でございまして、省令の改正になります。目標といたしましては、審議会のほうで専門部会に直ちにかけるということで御審議願いますので、私どもは四月一ぱいには何とか答申をいただいて現実の改正ができるように、その目途で作業を進めたいと思っております。
#104
○川俣委員 農林省のほうに移りますが、土壌汚染防止法の問題とからんで、この間現地で知事と市長さんから陳情があった。要望がありました。これに対してどのように考えておるか。知事のほうは、三つ要望のうちで一つこの土壌問題とからんでいましたが、土壌改良の対象を、現在の一PPM以上となっているものを未満も含めてほしい、こういうような要望があった。これに対してどのように考えておられるか。それから安中市長はじめ陳情の内容のこの土壌問題では、土地改良事業に畑の改良を含め、年次継続事業とすることでなくて、昭和四十七年度単年度事業として完全実施してほしい、こういうような要望があった。これに対してどのように考えておるか。
 それから法律の中で、特定有害物質の中に鉛、銅等を追加する意図があるのかどうか。こういったところをひとつお聞かせ願いたいのです。
#105
○加賀山政府委員 お答えをいたします。
 第一点の問題でございますが、法律によりますと、玄米中のカドミウム濃度が一PPM以上ということになっておりまして、同時にそれが出るおそれがあるという、そういうことばを使っておりますから、われわれがその政省令を考えます段階で、そのおそれの範囲をどの程度に考えるかという問題になってくると思います。しかし〇・四から一までの間というのは、厚生省のほうの見解を見ましても、人体に対して影響があるというふうに考える、そういう御見解でもございませんので、われわれは〇・四まで下げてというふうには考えられないわけでございますが、やはり近い将来一に達するであろうというようなところは、若干は範囲を広げてやらざるを得ないであろうというふうに考えております。
 それから第二番目でございますが、現在、米だけを対象にいたしております。と申しますのは、厚生省のほうの食品衛生法上の取り扱いは、米ということで現在定められておりますので、その他の作物につきましての、何と申しますか、食品衛生上の基準というのがはっきりまだ御論議いただけないわけでございます。そうなりますと、米ということになりますと、やはり水田ということが主体になりますので、さしあたりわれわれは水田を対象にやってまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、何か四十七年度単年度でというお話でございましたけれども、その客土なり水源転換なり、いろいろやるわけでございますが、その事業によりまして、単年度でなかなかできない、やはり二年度にわたってやらないと工事が完了しないというような事業でもございましょうと思いますので、その辺あたりを勘案いたしまして考えてまいるつもりでございます。
 第三点でございますが、特定有害物質でございますが、これは法律に書かれておりますのは、特定有害物というのは「その物質が農用地の土壌に含まれることに起因して人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、又は農作物等の生育が阻害されるおそれがある物質(放射性物質を除く。)であって、政令で定める」ということになっております。それで、さしあたりわれわれは、カドミウム米というのが問題になっておりますので、カドミウムをさっそく取り上げたいと思っておりますけれども、いま御指摘の銅、亜鉛、鉛――銅、亜鉛等につきましては作物障害が出るわけでございまして、銅につきましても現在試験研究を進めておりまして、それについていろいろ試験が出てまいりますれば、できるだけ早いうちにきめたい、そういうふうに考えております。
#106
○川俣委員 それじゃ、亜鉛、鉛等が政令に入るんだと考えていてよろしいですか。
#107
○加賀山政府委員 法の施行の段階においてそれが入ると申し上げるわけにはまいりません。というのは、農作物と銅、亜鉛との関係がまだ明らかになっていないという時点でございますので、早急にその関係を明らかにいたしまして入れてまいるということでございますので、将来は入るというふうに御判断いただいてけっこうでございます。
#108
○川俣委員 土壌汚染というのは、私も鉱山に従事しておりましたから、目で見るとすぐわかるわけですが、きわめて平易なことばで受け答えを会長さんにお願いしたいのですが、大体ひどい土壌はどういう色をしておるか。なるほどというようにおかされておるものがあるのか。それからもう一つは、あの際に話も出ておりましたが、あそこは非常に習慣上めん類を食べる。そうすると、小麦だということになると、小麦の育成状態、それから野菜の状態等、なるほどこれは普通のあれとは違うということを、しろうとの目でわかるような状態になっておるものなのか。
#109
○大塚参考人 ただいま御質問がありましたことにつきまして、ちょうど私が何かかような参考になるかと思いまして現地から持ってまいりましたこれをひとつ見ていただきたいと思うのです。
 先ほど申し上げましたとおり、会社から大体一キロ五百ぐらいの範囲まではこのように土壌の表面がみなまっかになっております。皆さんが会社に行ってみますると、会社のコンクリート以外の土のところは、この間皆さんも行きましたですが、全部土壌の上が、鉛、亜鉛等の赤くなったものでございます。これは会社では何か青い土のようなものを全部土の表面にはまいてあります。これがわからないようにしてあります。それから、そのように私たちのところにおきましては、土壌の表面が夏になりますと土のものが上のほうに浮いて上がりましてまっかになります。そういうところにつくった作物を私たちは食う気にはなれないのでございます。これが実情でございます。どうかひとつ夏にでもおいでになってくださいませ。それからいま私のすぐ裏の麦を持ってまいったんでございますが、公害地の麦というのは大体カドミその他重金属が表層土の十五センチぐらいのところにたくさんございます。したがって、公害地特有のものですが、重金属の過剰によりまして根が全部やられておりまして、根が伸びないのでございます。これはひとつごらんになってください。私が切ったんでも何でもございません。これが公害地の植物の特徴でございます。根の先がみんな重金属でおかされている。これではとても成長しないのでございます。これが特徴でございます。これをごらんください。これは大麦でございますね。これは小麦でございます。これはイタリアンという牧草でございます。それから、これは昨年、私のうちの隣にまきました大根でございます。これは昨年の秋大根で、よくできればもうたくあんになって人の腹の中に入っていましょうが、これが全然ほきないのでございます。これが昨年の八月の末にまいた大根でございます。肥料等も相当やりました。ところが、重金属の過剰によってだめでございます。根を見ますと、根がみなまるくなってだめになっております。さらに、あまりに重金属が多いものですから、葉緑細胞の中に鉄が入れない。そんなようなところから葉緑細胞が形成できない。したがって、いわゆる黄化現象、葉っぱが黄色くなっております。したがって、光合成もできない、でん粉もつくれない、成長しない、このようなことになっております。
#110
○川俣委員 私は技術の専門屋じゃありませんけれども、しろうと的に見て、野菜ははっきりはわかりませんが、土壌は確かにひどくなっているように感じられます。
 それからもう一つ環境の問題で、これも農林省でしょうが、朝日新聞の資料をお借りして恐縮ですが、昨年の夏に安中製錬所近くで牛が歩けなくなった。これはカドミじゃないか、こういうことで県が農林省の家畜衛生試験場に畜殺した乳牛の検査を依頼した。そうしたらじん臓のPPMを申し上げますと、牛一頭Aのほうは六・〇五、Bのほうは六・二五PPM、ところが同じ試験場で、私が人体の平均値をさっき伺ったように、東京でわれわれが食べておる十頭平均をとってみますと〇・四六七PPMだ。そうすると大体十倍から二十倍あるんじゃないか。ところが同対象地区に乳牛のほうは四百二十頭、肉牛のほうは百頭近くいる。そこで一時出荷が停止された。こういう報道の資料をお借りするようですが、これが農林省として確認されておるかどうか、それからその後どうなったのか、そしてその補償はどういうように解決したのか、伺いたいと思います。
#111
○斎藤説明員 ただいま先生の御指摘になりました安中地区におきますところの乳牛あるいは肉牛に関しますところのカドミウム関係の経緯でございます。先生ただいま申されましたように、昨年七月安中市の野殿地区、ここで一飼養農家に飼育されておりましたところのホルスタイン九頭のうち一頭がびっこを引いた。これがカドミウムによる骨軟症ではないかという疑いが一応持たれたわけでございます。群馬県がこれを高崎にございますところの西部家畜保健衛生所と前橋の病性鑑定所の職員を総動員しまして七月十四日に西野殿地区の四戸三十頭の全乳牛を一斉に検診をいたしました。それからさらに細密の検査を実施したわけでございます。その結果、問題の乳牛のびっこは、これはひづめの異常ということで、カドミウムとは直接関係のないものであるということが判明いたし、かつ該当地区の乳牛につきましては臨床的にはカドミウムによる害は認められなかったということが保健所で確認されております。
 さらに、牛乳の中のカドミウムにつきまして、七月十六日約百二十頭の搾乳をいたしました。群馬県の衛生研究所におきまして実施をいたしました結果、ここでは最高が〇・〇〇一五PPM、最低で〇・〇〇〇一PPMという数字でございまして、直接的には牛乳のカドミウムの危険というものはないわけでございますけれども、WHOの飲み水の安全基準が〇・〇一PPMということでございますので、これに比較いたしますとはるかに下回っているということで、牛乳については特に問題はないのではないか、こういうことになっております。
 さらに肉につきましても、同一地域の廃用牛二頭、先ほど先生御指摘の点でございます、これを材料といたしまして四十五年の七月と九月、この二回にわたりまして群馬県が農林省の、私のほうの家畜衛生試験場に検査依頼をしてまいりまして、その結果が、ただいま先生御指摘の数値が一応検出されたということでございます。ただ、肝臓、じん臓におきましては、ただいま御指摘の数値でございましたけれども、なま肉の中には、同時にやりました結果では〇・〇二PPMということでございました。
 それから、私どもが摂取をいたす肉の量等から考えますと、これで、肉をとることが非常に危険であるというぐあいには考えられないということでございますけれども、さらに群馬県におきましては、従来から、万全を期するために廃用牛につきましては内臓の分は全部廃棄をするということを実施しておられるわけでございます。この点心配はないのではないかという報告を県のほうからいただいております。
#112
○川俣委員 それでは確認します。カドミの分析値は一応認める、ただしそれは原因がはっきりしない、したがって出荷停止も解かれた、したがって賠償問題は起きないで現在に至っている、こういうことでいいですか。
#113
○斎藤説明員 私どものほうの現在の立場といたしましては、県のそうした動きにつきまして県と密接な関係を持ちましてずっと推移を見守るということでございまして、一義的に私どもが、中央官庁の農林省が直ちに出ていきまして、その点のしさいなこまかい点につきましてやっておるということではないわけでございまして、県のほうからの報告によりますとそういうふうに進んでおるということでございます。
#114
○川俣委員 それでは先に進みます。
 農林省、土壌汚染の問題で、カドミというのは亜鉛製錬所に必ず起きるわけだから、亜鉛製錬所が日本に何カ所あって、そういうところへ、土壌汚染ということで気を配りながら調査の方向に行っているかどうか。
 それから、たとえば先ほど話したように、秋田の立又鉱山とか日三市鉱山とか、そういったものを要観察地域とは別に、カドミがあの製錬所から出ているんだということをつかんで注意しておるかどうかを聞きたい。
#115
○加賀山政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、農林省といたしましても、最近カドミウム問題がたいへん問題になってきておりますので、特に鉱山あるいは製錬所の周辺におきまして農用地が汚染され、それによって汚染された農作物ができるということは心配でございましたので、通産省のほうに御相談をいたしまして、全国でカドミウムが出そうだという鉱山あるいは製錬所につきましてはリストアップをいただきまして、全体でたしか四十三鉱山、製錬所だと思いますが、それにつきまして四十五年度に二十三カ所、四十六年度に二十カ所ということで調査を開始いたしましたが、緊急調査をということで、四十六年度を繰り上げまして四十五年度に全鉱山、製錬所の調査を現在いたしております。
 その結果を現在取りまとめ中でございますので、いずれ取りまとめが終了いたしますと明らかになることと思いますけれども、先ほど川俣先生から御指摘の秋田県の日三市あるいは立又、それから山梨県の宝等でございますが、これはどうしたことかわかりませんけれども、日三市につきましては通産省のほうの連絡によりますと、これはカドミウムを出していないと申しますかリストにあがっておりませんでしたので、調査をいたしてないわけでございますが、県の報告によりますと、そう大きな問題にはならないのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。それから立又鉱山のほうは現在調査中でございます。でございますから、その結果がわかり次第明らかになると思います。それから宝鉱山というのは、御承知と思いますが、四十五年の十月に閉山になっておるわけでございますけれども、これも四十六年度調査を繰り上げて四十五年度、現在やっておるわけでございまして、この結果等が出ますれば、それによって明らかになるのではないかと思います。その結果によりまして、われわれも対策をどのように考えるかということについても検討いたしたいと思います。
#116
○川俣委員 時間がありませんから、要望だけしておきます。
 休廃止鉱山というのは日本に無数にある。その結果、蓄積されたものが雨に流され、風に飛ばされて害になっている。こういうのがたいへん多いと思うのです。ただ安中製錬所の場合は、非常に新しいので、しかも違法操業もやったことから、一ぺんに飛ばして急に来たというようなこともあると思うのです。そこで、特に農林省に要望しておきたいのは、通産省の公害関係で一応予算をとって、これを徹底的に――もちろんまだ予算は不十分です。これをタイアップして休廃止鉱山のまわりの土壌調査というものに特に気を配ってほしいということをこの機会に要望しておきます。
 それから、通産省の、操業のほうにちょっと入りますが、時間があれですから私が申し上げて確認だけしておきます。
 現在の安中の送電線は、受電認可は十一万五千キロ、これでよろしいか。実際出力が九万三千キロ、これは二万三千トンの鉱石を食います。これでいいかどうか。ところが、違法操業かどうか知りませんが、十二万三千キロワットアワー出したことがある。これは臨時出力である。この臨時出力は何ら申請、許可がなくてできたのかどうか。これは過去にあったはずだ。大体臨時出力当時に違法の一万四千六百トンくらい出たのじゃないかと私は想像する。これは正しいかどうか。そして四十四年の四月に、それはいかぬということでまたもとの受電認可の十一万五千キロワットに戻った。これでいいかどうか。それから、変電所の工事認可申請は確かにしております。しておって鉄柱は立っておる。それで一万七千トンフル操業をするためには二十七万五千ボルトを必要とする。ただし、これは鉄柱は立って変電所もできておるが、地元の反対で送電線だけ引かれていないのか。これでいいのかどうか。こういったところをお聞かせ願いたいと思います。それから電力関係では送電線さえ引けばフル操業できるのかどうか、伺います。
#117
○佐藤説明員 公益事業局からも来ておりますので、私のあとに補足して説明していただくことにしますが、前段に若干生産関係の事実もございますので、私からその点御説明申し上げておきたいと思います。
 施設の関係から申し上げますと、先生がいま御指摘になった事実と合っておりまして、四十二年の九月一日から四十三年の四月一日までは受電認可が九万三千キロワットでございまして、この当時は大体九千七百トンくらいの月産の亜鉛の地金の生産をやっておったわけでございます。四十三年の四月一日から四十四年の七月の間にわたって、いわゆる問題になりました違法操業が続いておりまして、それが前段では大体一万二千トン、最高で一万四千トンちょっと出したということ等でございまして、この間が非常に問題になりまして、保安法上の措置を受けておるということでございます。それで、四十三年四月一日から四十三年十月十日までの間が十一万五千五百キロワットでございまして、この間に約一万二千七百トンの平均月産の生産を行なっております。
 それから、いま先生御指摘になりました臨時の受電認可の問題でございますが、四十三年の十月十一日から四十四年の四月一日にかけまして十二万三千キロの臨時の増加電力の申請を認可されておりまして、この間やはり高い生産、一万四千トンの生産をやっております。四十四年四月一日以降現在時点まで、十一万五千五百キロワットの認可の横すべりでございますし、それから生産そのものも、例の保安法上の措置が講ぜられて以降は大体一万六百トンぐらいの生産の状況でございまして、最近は市況の問題も手伝いまして、生産はやや低目に推移しているということでございます。
 それから受電認可と操業度の問題でございますけれども、受電認可の中において最高電力を押えられているわけでございますけれども、現在の十一万五千五百キロワットは、工場内の一般電力、それからいわゆるモーター等の施設の電力等々の総合でございますので、必ずしも亜鉛そのものの生産とぴたっと一致するわけには――たとえばここは深夜電力の使い方等々によっては、ピークを十一万五千五百に押えても、ある程度の弾力性はございますけれども、まあ一般的に言いますれば、現状の十一万五千五百キロワットを現在の古い六万ボルトの送電線ではおのずから容量に限度がございます。これは公益事業局からお話があるかと思いますが、若干の余裕はあるそうでございます。若干の余裕はありますので、したがって、その意味ではさらに工場の施設あるいは増産が可能にはなりますけれども、これは一方、保安のほうできびしく規制されておりますので、その辺の問題が解決しなければ増産は当然認められないという因果関係になっておるわけでございます。
#118
○井上説明員 設備のほうからお答えいたします。
 現在時点では六万ボルト送電線から受電いたします変電所だけが使用されておりまして、この設備の容量あるいはこの送電線の容量からいきまして、最高限度約十二万三千キロ程度の受電しかできません。
 それから、もう一つの御質問でございます二十七万五千ボルトの送電線でございますが、先生がおっしゃいましたとおり、二十七万五千ボルトの送電線につきましては、地元の用地の問題がございまして、ただいま一部工事をしたまま架線もしない状態になっております。変電所のほうにつきましては、認可を受けて工事は一応できたと聞いておりますが、送電線ができないために使用に至りませんので、検査の申請もまだ出ておりませんし、現在使用状態にはございません。先生のおっしゃるとおりでございます。
#119
○川俣委員 もう一点ですが、やはり操業に対する通産当局の行政指導にからむ問題を確認しながら質問していきます。
 さっき地元の会長さんから、戦後対州の石を持ってくるようになってから害がひどくなってきた。これは原料鉱石二万三千トン食っていると思いますけれども、その比率がどのようになっておるのか。それからカドミの元鉱の品位がどうなっているのか。そしてでき上がるカドミ地金が何トンなのか。地元が騒いでいるのは、いまの希釈方式を改めて排出物を絶対量とるというような考え方に改めなければ、水に行くか煙に行くのだ、こういうことです。いまコンセントレートを確認する時間がありませんから、この辺がどうなっているのか。
 それから三つ目ですが、今度は経営の行政指導です。これはちょっと会社に入ることなんで、お答え願えなければ……。損益分岐点はどの程度なのか。何トンぐらいが損益分岐点になっているのか。それから、フル操業にした場合は人員が増加されるのか、あのままでいいのかどうか。さらに現在とまっておる増設工事はどのぐらいの投資をしたのか。それから、このように投資した新しい設備のほうが害がないんだというように考えておられるのか。いま休んでおるほうがいまやっている設備よりも新しくて害がないんだということを考えているのかどうか。
 それからさらに、最後ですけれども、やはり申し上げなければならないと思います。問題は、はっきり言って、公害を追及するのが目的じゃありません。こういうものが全然ない状態でいかにして操業を指導するのかというのがわれわれ国会の立場だと思う。ただ、いまのところは操業を中止してまでも、あるいは企業責任を追及してまでも、この問題を解決しなければならない、こういう考え方でいま委員会が開かれておると思います。
 そこで、これからの安中の製錬所という問題は、千名おります。そうしますと家族を入れて三千名か四千名いると思います。それにまつわるいろいろの関連事業で、三万人の人口のうち一万近くいると思います。その場合に、国会の場であの製錬所というものをどこかへ移転しろというぐあいに考えた場合に、ちょうど東邦亜鉛にはプロパーで小名浜製錬所があると思います。この場合は焙焼炉を使っておるのですけれども、あちらのほうははたして公害問題があるのかないのか、同じ会社の操業技術であろうが、そういった問題、いよいよもっての場合は移転をしなければならないというような行政指導をする気がまえがあるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。きょうは通産大臣お見えになっておりませんけれども、どうか……。
#120
○倉成委員長 川俣君に申し上げますが、ただいまの御質問の前半の分は非常に技術的な問題と思いますので、資料をもって提出してもらうように取り計らいたいと思います。よろしゅうございますか。
#121
○川俣委員 はい。ありがとうございます。
#122
○倉成委員長 後半の分について簡潔にお答えいただきたいと思います。佐藤鉱業課長。
#123
○佐藤説明員 いま委員長のおっしゃったように詳しい点は資料で御提出申し上げますが、ざっと概略申し上げますと、安中鉱業所におきますところの原料の構成化は、四十四年の実績で申し上げますと、国内鉱が十二%でございます。その他が海外鉱でございます。海外鉱は、南米、カナダその他の世界各国から集まってきております。国内鉱の中では対州のウエートが約九割、南越が残りの一〇%というのが現状でございます。これも亜鉛鉱でもちろん持ってくるわけでございますけれども、亜鉛鉱の中におきますところのカドミの含有量といいますのは、いま申し上げましたように海外のいろいろな鉱種をかき集めて持ってきておりますので、それの幅が非常にございます。幅がございますので、われわれのほうの指導といたしましては、できるだけカドミの少ない亜鉛鉱を輸入するように極力すすめてまいっております。そういうことで逐次下げてはおりますけれども、銅の鉱石と違いまして亜鉛の鉱石は世界的に相当不足いたしております。そういうことで、そういう指導はいたしておりますけれども、なかなかそういう結果になりにくい面が一つあるわけでございます。
 損益分岐点の問題でございますけれども、先生十分に御承知のように、非鉄金属の場合の企業採算といいますのは、価格の要因がむしろ生産よりもウエートを持ってくる……。
#124
○川俣委員 それは資料でよろしい。問題は最後の工場移転です。
#125
○倉成委員長 最後の点だけ要領よく答えてください。
#126
○佐藤説明員 最後の問題でございますけれども、大体この安中製錬所は、四十四年度につきましては国内生産の二五%、四十五年度では大体二割というように生産比率が若干下がっておりますけれども、そういうウエートを持っておりまして、確かに亜鉛というのは国民生活上非常に大事な部門でございますので、ある意味では安定供給する責任も一方では課されておるわけでございます。したがいまして、われわれのほうとしましては、最大限に最新の製錬設備の技術を導入して、できれば絶対カドミとは結びつかないような何か方途はないかということで、世界各国の最新鋭の設備の状況を各企業体にいま研究さしておるわけでございますけれども、何といいましても、むしろ世界各国の状況を見ますと、カドミの問題では日本ほど進んでおるところはございませんので、残念ながらそういう方法が見つかっておりませんけれども、われわれのほうとしては、できるだけそういうことで最新鋭の設備をつけるということで、地元に御迷惑のかからぬことをまず第一に考えまして、それでどうにもならないということにならないように、できるだけ考えていきたいということに、現在われわれはそう覚悟して、協力してまいりたいと思っておるわけでございます。
#127
○川俣委員 どうもありがとうございました。
#128
○倉成委員長 田邊誠君。
#129
○田邊委員 各委員から質問がありましたし、時間もありませんから、私は前置きと私の意見は省きまして、きわめて簡単に一つ一つ質問しますから、明快に答えてもらいたい、このように思います。
 最初に、社会労働委員会が現地を二月の九日に視察をいたしましたが、基準局長、私たちが視察をする前の晩に、東邦亜鉛の安中製錬所は、一番悪臭ガスが出るところの焙焼炉をとめておるという事実をあなたは知っていますか。
#130
○岡部(實)政府委員 私、聞き及んでおりませんでした。
#131
○田邊委員 調べてください。私たちの視察の前の晩に焙焼炉をとめておったのでは、われわれが行ったときに、悪臭もあるいはガスも出ないのがこれは当然なんです。そういうような工作をしておってわれわれの視察を迎えているというような、こういう悪質なやり方に対して、私は断じて許すことができない。早急に調べてもらいたい。
 第二番目は、労働基準局は、その後抜き打ち検査をしていますけれども、一体これの所見はどうなっているのですか。
#132
○北川説明員 先ほど申し上げましたように、二月の十五日に監督官十二名をもちまして一斉の監督をいたしました。その結果、いろいろの指示をいたしておりますけれども、指示の要点としましては、まず第一点は、粉じんが飛散する職場の粉じんの密閉措置をさらに徹底する。それから現在健康診断、特殊健康診断を行なっておりますけれども、この対象といたしまして、試験研究職場の従業員がはずれておりますので、これを含めるように。それからもう一つは、有害物質取り扱い従業員の労働時間管理につきまして把握が不十分である。この点を明確にするという三点を指示をいたしました。
 なお、その際に、中村さんが作業をしておられましたカドミ箔製作の現場の環境の測定を実はいたしてまいっております。これにつきましては、そこの空気をとりまして、群馬大学に現在分析を依頼をいたしております。
#133
○田邊委員 これは、抜き打ち検査をしたことは会社にとってはかなり衝撃だったようです。衝撃だったということは、すなわち、ふだんのいわば工場の施設なり労務管理なりが十分でないという証拠でありまして、いま三点、部長からのお答えのようにかなり改善を要するところがある。しかし、実際には抜き打ち検査を一回やったくらいでは何もわからぬのです。あの工場に働く諸君から話を聞きますと、労働基準局の監督官が一日来たくらいではわからぬのだ。できればくぎづけになって、半月なり一月あすこに居すわって、常時の状態というものをよく見なければ、実際は全体的な把握をすることはできない、こういうふうにいわれておるわけでありますから、この抜き打ち検査なりあるいは常時の指導は、この際ひとつ東邦亜鉛については、こういう問題が起こっておるのですから、集中的にやるという御用意はございますか。
#134
○岡部(實)政府委員 私どもも、先ほどの部長の答弁にございましたように、抜き打ち検査をやってみました結果、やはり問題点をその結果洗った上で、必要により随時抜き打ち検査と申しますか、あるいは深夜点検と申しますか、そういったものも織りまぜて監督をすることが、実態を把握することに、より適切であろうというような報告も受けておりますので、そういう方法については、まず現状が十分正しく把握されるような方法を織り込んで、監督については今後その方針をとってまいりたいと思っております。
#135
○田邊委員 第三番目は、先ほどの質問の中に、中村登子さんがカドミ箔の旋盤を取り扱っておった状態というものが実は厳密には復元されていないのでありまして、大体この旋盤の回転数七百ともいっておるのでありますけれども、最高千四百くらいだろう。私どもが聞いておるところでは、実際には千八百まで回転した事実がある、こういうように聞いておるのです。この千八百まで回転を上げて、しかもいわゆる状態というものは一体どうなるのか、この際に一体カドミの粉じんが気化するという状態はこないのか、これが人体に吸収された場合に一体どういう影響があるかということをあなたのほうで現実に実験をしてください。早急に実験してください。どうですか。
#136
○北川説明員 当時会社が使っておりました旋盤について調査をいたしたものがございますが、それによりますと、主軸の速度の変えられる数はおのおの八段づつであります。それによりますと、最低毎分五十五回転から千三百九十八回転、こういうのが一種でございます。それからもう一種は、毎分三十五回転から八百六十回転というのがもう一種の旋盤でございます。したがいまして、千七百回転というのはこの旋盤ではちょっと出し得ないのではないかと思います。
 なお、先生のおっしゃいました点につきまして、実は先般基準局が千三百九十八回転でのカドミのヒュームの飛びぐあいをインピンジャーを使って現在分析しておるのは先ほど申し上げましたとおりでございます。
#137
○田邊委員 その結果をひとつ知らせていただきたいと思います。
 それから、中村登子さんのなくなられた事情については、実は今後いろいろと検討を要することが多いのですが、遺族並びに関係者からその後事情を聞かれましたか。
#138
○岡部(實)政府委員 調査団のあと十二日の日に、地元の基準局の担当官が御両親その他にお会いして事情を聞いております。
#139
○田邊委員 その結果もひとつ知らせていただきたいと思います。
 さらに、この中村登子さんの労災の適用の問題は、私は、現地で指導するように強く言ってきたのでありますが、期限がすでに今年の八月で一部切れるところがあるわけでありますから、そういった点から、その後この労災の適用になるのかならないのかということについては、いろいろ検討を要するでしょう。しかし、いずれにいたしましても、いわば申請の時効の期限切れでもってこれが適用にならなかったということであれば、これはたいへん気の毒なことでありますから、これは労災法四十二条による時効にならないうちに、ともかくも申請をされるということは当然の措置だと思うのですけれども、そういう措置をされますね。されていますか。
#140
○岡部(實)政府委員 先ほど申しましたように、先般局の者が参りましたときに、遺族の方に、労災補償の請求の問題につきましても、もしそういう御意思があるならば申請をしていただきたい、こういうこともあわせて指導と申しますか、御相談をいたしております。
#141
○田邊委員 これは必ず期限切れにならないようにやっておいていただきたい。適用をする適用をしないは、その後の十分な調査の上に立ってやっていただくということで、遺族の方々や関係者の方々にこれ以上の悲しみを与えない措置をしていただきたいと思う。
 それから、東邦亜鉛の環境整備というものは非常に不十分だと私は思うのです。この労務管理なり就業規則というものが、他のこの種の工場に比べてほんとうに万全なものであるかどうか、その点に対してお調べになりましたか。
#142
○岡部(實)政府委員 東邦亜鉛につきましては、かねてから安全衛生の特別指導管理の対象の事業場にいたしておりまして、実は監督も過去において何回かやってまいっております。ただ、環境基準その他につきましては、先ほどの抜き打ち検査といいますか、抜き打ち監督のときの状況から、まだ必ずしも十分でないということもありましたので、その点の改善の指示をいたしておりますし、そういう点については、今後監督指導を通じて必要な是正はさせてまいる、こういうことにいたしております。
#143
○田邊委員 従業員の健康診断が何といっても非常に注目をされているのですが、この健康診断はひとつ徹底してやってもらいたいと思います。そして、その中で、直接東邦亜鉛に働かなくても、その下請企業として、関連企業として、その工場の中で、あるいはその周辺で働いておる諸君についても、やはり同様の健康診断をやってもらいたい、こういうふうに思っていますが、それはよろしゅうございますね。
#144
○岡部(實)政府委員 直接の安中の従業員約九百名――千名ちょっと切れますが、下請関係の方合わせて約千二百と思っております。この千二百名の方につきましては、群馬大学を中心にいたしまして目下健康診断をやっておりまして、現在までのところ約三百名が終わっております。引き続き残りの方もやってまいる、こういうことにしております。
#145
○田邊委員 特にカドミ箔の旋盤を取り扱っておったところの従業員については特殊健康診断をやるべきだと思うのです。たとえば中村さんの場合は、二年五カ月間旋盤を取り扱っておったのでありますけれども、過去において少なくとも二月なり三月以上旋盤を取り扱っておったところの従業員があれば、これは当然特殊健康診断をすべきである、こういうふうに思っておるわけであります。しかも一回の健康診断だけではいかぬと思うのです。その後におけるところの状況の変化が必ず起こってくる。これを追跡しなければならぬというように思いまするから、それもあわせてやってもらわなければいかぬと思いますが、どうですか。
#146
○岡部(實)政府委員 安中の事業場につきましては特に問題がございますので、いま先生御指摘のようなことで慎重に進めてまいりたいと思います。
 一般のカドミ事業場につきましては、目下具体的に検診のしかた、項目その他について検討いたしておりますので、その検診項目その他現状に適するものを十分技術的に解明をして、それを規則等に織り込んで実施をしてまいりたいと思います。
#147
○田邊委員 ぼくが指摘したぐあいにやるかどうか、カドミ箔をやっておった者について特殊健康診断を。
#148
○岡部(實)政府委員 特にカドミの現場に従事しておる者については特殊健康診断を行ないます。
#149
○田邊委員 それから、安全衛生の面で、あるいはこの種の健康診断の面で、いわば専門的な知識と専門的な技術官が必要だと思うのです。私は、そういった面で、先ほど安全衛生規則の改正の問題が出ましたけれども、大臣、あわせてたとえばこの種の労働衛生専門官の人員がいま幾らかということをあとでひとつ知らせてもらえればいいのですが、この増員や配置について考えなければいかぬ。いままでのような出先の労働基準局のスタッフという、そういう固定概念では、この種のこれから先の労働行政はできないというように思いまするから、これに対してひとつ大臣は増員を考える、配置がえを考える、そういったことについて考慮していただきたいと思いまするけれども、どうですか。
#150
○野原国務大臣 公害問題が刻下の急務であるということで、労働基準安全行政については陣容を拡大強化する必要がございます。かつて安全衛生局が設けられた。一局削減ということで間もなくやめたわけでございますが、どうもあらためてその問題も検討する必要があろう。いずれにせよ、現在の陣容のみではとても十分ではございませんので、安全のための行政はひとつ十分に検討しまして、専門官も置きたいというふうに考えます。これから努力いたします。
#151
○田邊委員 次に、厚生省。
 その前に大塚さん、たいへん御苦労さんですが、実はいろいろな悩みや被害を受けていらっしゃるわけですけれども、いわばこういう問題を取り扱う際には、具体的な事象があらわれないと、なかなか役所というのは取り上げないのでありまして、まさにけしからぬのでありますけれども、われわれは、これから現象が出なくてもその前に原因を探究していかなければならぬ、こう思っているのですが、とりあえず現象面であらわれているのは一つは指曲がり病ですね。普通の神経痛なり、いわば農業をやっている方々がこの種の病気になるのは、私ども聞いているのは、第二関節が痛くなったり曲がったりする、こういうのでありまするが、安中の場合には第一関節が親指の方向に曲がる、こういう話でございまするけれども、何か具体的な資料をお持ちでもってお見せいただけますれば、ちょっと見せていただきたいと思います。
#152
○大塚参考人 ただいま田邊先生からお話がありましたが、ただ指曲がり病という奇病だけではございません。実は私のうちは東邦亜鉛の煙突から四百メートルの地点にあります。私のうちのほう、会社から見ましたらうしろ側になりますが、表に出てみますと、庭にはガスのにおいが毎日しております。なお、夏になって窓をあけておきますと、風に乗って亜硫酸ガスのにおいがぷーんと入ってまいります。したがいまして、私実はのどが痛んでおるのでございますが、私のようにのどが痛んでおる者は、私ども東邦亜鉛のぜんそくじゃなかろうか、こういうふうに言っておりますが、かような人もたくさんおります。さらにまた、神経痛あるいは関節炎のような痛みを感ずる者もたくさんおります。
 さらにまた、いまここでもちょっと局長さんにもお話しをしたのでございますが、十九日だと思いましたが、白石下子さんというおばあさんでございますが、なくなりまして、群大のほうに解剖、分析を頼みました。その方も、これは第一次の住民検診の結果、九名のうちの要観察者の一名でございまして、群大の病院にも入っておりました。結果は心配はないのだというようなことで出てまいりましたか、その方が三年前から一もう八十歳になりますが、力仕事というものは何もしておりません。この方が三年前から、指が指曲がり特有の、第一関節の指が両手が曲がってまいりまして非常に心配しておりました。
 さらにまた、いまのあれでございますが、私持ってまいりましたが、これが指曲がりの第一関節が親指の方向に曲がるレントゲン写真でございます。これが実物でございます。
 それから、これは実は私が近所の指曲がり患者を全部調査をしまして図に書いたものでございますが、北野殿村という、会社の南方一キロメートル範囲におけるところの患者の分布図でございます。さように多数の患者がこの汚染地に集中発生をしておるということ、私どもはわかりませんですが、何かこれはカドミあるいはほかの重金属と関係があるのではなかろうか、こういうことを心配しておるわけでございます。
#153
○田邊委員 したがって厚生省、これは原因の探求はなかなかむずかしいでしょうけれども、現象的に見てやはり非汚染地区と汚染をされている安中との間における差というものだけは、私はある程度出てくるんじゃないかと思う。そのことは、はたしてどういう原因で出てきたかということについての探求は今後に待つとしても、そのある程度の大まかな区分けはできると思うのですが、いま言ったぜんそくはもちろん、それからいまの指曲がりの問題等は、やはり特異な現象としてあなた方は注目しなければならぬ事実ではないかと私は思うのですが、そうですね。
#154
○曾根田政府委員 おっしゃいますように指曲がり病につきましては、やはり対照地区といいますか、非汚染地帯とあわせまして傾向を見るということが必要でございますので、現在群馬医大にお願いしております調査も約八百名でございますけれども、そういう対照地区も全部含めましてやっております。いずれにしましても、近々その結果は出てまいりますけれども、それでさらになお十分なデータが得られなければ、あるいはその非汚染地区のとり方等に問題がありますならば、将来にわたって引き続き調査を進めていきたいと考えております。
#155
○田邊委員 現地の人たちに対する健康診断は、ただ単に私はこの地域に限ってやらるべきものではなくて、いわば一PPM以上の措置区域はもちろんですけれども、要観察地域ばかりでなくて、もっと範囲を広げてやらなければならぬ時代が来ると私は思うのです。もうすでに現象が起きたり重症になってからやったのではどうにもおそいわけですから、せめて健康診断ぐらいは、あなた方が及ぶ範囲についてはかなり広範囲にやってもらわなければならぬ、こういうふうに思いますけれども、これは人員等の関係もありましょうが、ひとつ県を督励し、国もてこ入れをして、そこに対してたとえば保健所等の職員の配置がえについても、県が県下からほかから動員をしてもやるべきである、私はこういうふうに考えているわけですから、そういういわば健康診断の広範囲にわたるところの実施、こういったことを指導してもらいたいと思うのですが、よろしゅうございますな。
#156
○曾根田政府委員 御指摘の点につきましては、そのような方向で努力したいと思います。
#157
○田邊委員 健康診断の方法ですけれども、私はいままでのような形だけではやはり不十分じゃないかと思うのですよ。たとえばいま一番直接的に言われ指摘されるのは、尿中に一体カドミウムがあるのか、あるいはまた、その前段としてのたん白が出るのか、糖があるのか、血中もそうですけれども、こういう形だけですけれども、私はこの中村登子さんの場合においても、尿の所見については四十三年三月八日、同年三月二十九日に実施したところが、糖、たん白いずれも陰性であった、実はこういう唯一の報告がここにあるわけですね。ですからこれだけにたよっておったのでは、私はほんとうの意味におけるところの原因を探求することはできない、こういうように思うのですよ。したがって、これはいまの日本の医学の水準からいって、どういうことができるのか私はよく存じませんけれども、しかし厚生省もひとつ医学者を動員をし、協力をしてもらって、いままでのようなただ単なる健康診断、特殊健康診断もしかりですけれども、そういう方法だけでなくて、もっとひとつこの原因の探求のできるような方策について早急な検討をしてもらわなければならぬ、私はこういうように思いますけれども、その点は政務次官どうですか。
#158
○橋本政府委員 確かに御指摘のような点が一番問題点だろうと思います。ただそれこそイタイイタイ病というものを発見された最初の発見者である萩野博士にも入っていただきまして、現在鑑別班を編成をし、その範囲内でわかるだけの努力をしていただいておりますけれども、なお未発達の部分があることは事実であります。そういう点がなお正確なものになり得るように私どもとしてもできるだけの努力はいたしたいと思います。
#159
○田邊委員 次、農林省。汚染米の基準は白米、玄米それぞれ一・〇、〇・九PPMということになりますけれども、これは私は将来の問題として見た場合に、これだけでもっていいというふうにならぬと私は思うのですよ。ですから、この点に対してはあなた方のほうは、これは厚生省との関係もありましょうけれども、ぜひひとつ検討していただきまして、これの基準について、〇・四なり〇・三なりいろいろと考えられる点がありますけれども、いわゆる短期間だけに限ってみた場合には、あるいは一・〇だけでも足りるかもしれないけれども、しかしそれを大塚さんのようにもう何十年もそこでもって食をしているこういう人たちから見た場合に、その体内におけるところの蓄積の度合いというものを考えたときには、私はこの基準ではきわめて甘いのではないかというように思うわけですけれども、再検討する御用意ございますか。
#160
○加賀山政府委員 われわれがその〇・九、一PPMを基準にいたしておりますのは、食品衛生法上厚生省の御意見に従っておるわけでございまして、われわれとして食品衛生法上のことをどうというわけにはまいらないわけでございますので、将来いろいろの研究その他進みまして、ただいま先生のおっしゃったようなことであれば、私どもとしてもそれに従う所存でございます。
#161
○田邊委員 そんな弱腰じゃだめですよ。あなたのほうは実際に取り扱う主体官庁なんだから、これは厚生省に対してもあなたのほうの意見も申し述べながら、そしてこの基準についてお互いに検討し合うという形でなければ前進しませんよ。そういうふうにやってください。
 それから汚染田ばかりでなくて、畑の問題について基準をつくらなければならぬ。現実にいま牛のいわば内臓についての高いカドミウムが検出をされたという事件もありますし、肉類についてはだいじょうぶだと言っておるけれども、しかしこれも長い間食をしている場合に一体どうなるかということについての不安があるわけですから、そういった点も含めて、それから汚染田買い上げばかりでなくて、畑についてのいろいろ対策も講じなければならぬ、こういうふうになってきていると思うのですが、どうでしょう。
#162
○加賀山政府委員 先ほど増岡先生でございましたかに厚生省の環境衛生局長のほうからお答えがございましたが、一PPMの基準というのは米だけではなくて、野菜あるいは水その他も含めて、安全と申しますか、全体を含めましてのきめてある数字であるということになっております。そうでございますから、われわれといたしましては、現在畑につくられました作物につきましての食品衛生法上の基準というものを持っていないわけでございまして、たいへん役人的なお答えを申して失礼でございますけれども、そういうものが出ますれば私たちもそれに従いまして、畑に対しましても対策を強めるというふうに考えているわけでございます。
#163
○田邊委員 ひとつ買い上げの問題なり土地改良の問題なりいろいろな土地の活用の問題について、通り一ぺんの考え方だけでなくて、こういういわば生活の根拠を失うような地区に対しては、国としてもあたたかい手当てを講じなければならぬ。もちろん、これは基本的には企業の責任でありますけれども、それに対してもやはり強い指導をすべきである、こういうふうに思っておりますので、そういう総合的な観点に立った対策、そうして農民の生活の今後について十分な相談をして、生活のできる道を開いてやる。こういうことに対してひとつ農林省のあたたかい指導と協力を求めたいと思うのです。これはよろしゅうございますね。
#164
○加賀山政府委員 カドミウム問題というのは、農林省だけでは解決できない問題でございますので、各省とさらに密接な連絡をとりまして、ただいまおっしゃったような方向で検討いたします。
#165
○田邊委員 最後に、通産省、いろいろとお話がありましたが、私はさっきの鉱山課長でしょうかのお答えは、きわめて不十分であると思います。いまの工場増設の違法操業、これは認可を取り消したわけでありますけれども、これの再申請が出た場合においては、二つばかりの条件を付して、これが満たされればあるいは再申請を認めようというようなことを言いましたけれども、私はもうそういう条件よりも、現在のところあなたのほうは再認可は――再申請なんか出っこないと思います。道義的にも出っこないと思うが、たとえそういうことがあっても、私はこれらの問題が解決をするまでは、これは認可をすべきでない、これはただ単に理屈だけの問題ではない、こう思いますけれども、そういう早急にこの再申請が出た場合に、早急の機会に認可をするというようなことはございませんな。
#166
○莊政府委員 再認可の問題でございますが、私ども通産省といたしましては、従来から考えておる基本的な方針でございますが、第一に、これだけの大きな問題を生じた製錬所でございます。したがいまして、認可を取り消したものの再認可にあたっては、完全な公害防除施設、これは現在相当な投資をいたしましてやっておるわけではございますが、これが完全にでき上がる、そして工場がフル操業の状態でも、それだけの設備があれば今後はもう公害は完全に予防できるということがはっきりすることが、これはもう当然のことでございますが、第一の条件でございます。
 それと、先生御指摘のございましたとおり、過去の蓄積による公害、一PPM以上の米の出るところだけでも最近の調査で四十ヘクタールあるというふうな、だんだん非常に大きな範囲になってもおります。したがいまして、これにつきまして前国会で農地汚染防止法が御可決いただいておるわけでございますが、これに基づいて前向きに過去の汚染というものをどういうふうに処理していくかという方針というものがはっきり打ち出される、こういう二つの条件がありまして、したがって今後はあの地区では二度と問題はなくなってくるということがやはりめどとしてはっきりする、それが私どもは認可にあたっての条件だろうと思います。こういう基本的な考えで今後も臨んでいきたいと考えております。
#167
○田邊委員 終わります。
#168
○倉成委員長 この際、午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後二時一分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時四十五分開議
#169
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。大橋敏雄君。
#170
○大橋(敏)委員 安中のカドミウム公害がこれほどまでに問題化してきたそもそもをいえば、岡山大の小林教授による中村登子さんの臓器のいわゆる分析がなされまして、その結果が非常に高い濃度であったことからであります。安中カドミの公害はほんとうに深刻そのものでございますけれども、御承知のとおりに、これまでイタイイタイ病というのは大体骨をおかしていく、そういうもののみを認定してきたわけでございますが、今度の中村登子さんに見る例からいきますと、新しいイタイイタイ病の姿が出てきているわけであります。われわれも新聞に発表された分析資料等からこれを重視して、いろいろとその対策に乗り出しているわけでございますが、実はきょう最初に質問に立たれた増岡委員の質問に対して、曽根田公害部長が答えたその答弁が非常に不可解で理解できないものがあるわけです。私はそれをまずただしてみたいと思うのです。
 岡山大の小林教授に、解剖されたその臓器の分析結果の残りの臓器があればそれを提供してほしい、それに対してはもう灰になってすでになくなったということで答弁がなされた。それは私は理解できないことはないのですが、そのあと、データはどうかという質問に対して、データも厚生省に提出するものはないということであったという答弁がなされておりましたが、これはいまから二週間前、十三日の土曜日に小林教授から速達で厚生省あてに資料は送られているはずです。しかも、それが届きましたという返事も来ております。にもかかわらず、小林教授がデータの提出を拒否したかのような印象を与える答弁をするとはけしからぬと思う。小林教授に対する疑惑といいますか、あるいは侮辱といいますか、そういうものを感ぜざるを得ません。今回の問題は、先ほども言いましたように、小林教授の分析結果からこれだけの問題になっているのです。どうですか、あんな答弁をされたんじゃ立つ瀬がないんです。どう考えます。
#171
○曾根田政府委員 ただいま御指摘の、午前中の増岡先生の御質問に対する私の答弁の中で、小林教授から返事はいただきました、データにつきましては別段のものを得ておりませんと、確かに私答弁いたしたと思いますけれども、私はすでに新聞等で報ぜられている以外の別段の資料、データという程度でたしか答弁したのでございますけれども、これをもっと正確に言いますと、実は新聞に報ぜられていないなま資料のデータも、先ほど政務次官が読み上げましたこの返事の中にデータとして入っております。したがいまして、私の答弁は正確を欠くというよりむしろ誤りでございましたので、この機会におわびかたがた訂正さしていただきたいと思います。
#172
○大橋(敏)委員 こういう重大な委員会のときに、軽率に発言されては困ります。ましてや、しろうとであればあるほど、今度の分析結果による二万二千四百PPMなんということはほんとうだろうかと思っているわけです。ましてや小林教授が、そのデータを厚生省に提供するのを拒否したというような印象を与える答弁をされるということは非常に迷惑ですよ。注意してほしいですね。ほんとうは責任問題ですよ。そこまであなたが発言に対するおわびをして訂正なさいましたので、これはこのままで私は過ごしますけれども、ほんとうに注意をしてほしいと思います。
 それでは参考人の大塚さんにお尋ねしますが、あなたのお書きになったものを拝見いたしましたところ、通産省は、企業すなわち東邦亜鉛安中製錬所とはなれ合いである、ということを強く主張なさっております。過去においてどのようなそういう事実があったか、あるいはうわさがあったか、お話をしていただきたいと思います。さらに、安中製錬所の近くの野殿地区、そこには非常に結核患者も多く出ているということもいわれているようでございますが、そういう二つの点についてまずお答え願いたいと思います。
#173
○大塚参考人 申し上げます。
 通産省の件でございますが、これにつきましては、一昨々年、私ども事前に、昭和四十三年だったと思いましょうか、私、実は毎朝高崎のほうに通っておったのでございまして、何だかどうも東邦亜鉛にいろいろな機材がたくさん入る。また、会社につとめている方々を私はたくさん知っております。そしてまたいろいろと私に情報も提供してくれます。さらにまた、建築請負業者、こういったような方面も、幾らか私手づるがあって知っております。私常々思っておりまして、公害がこんなに大きくちゃたまらんがなあ、また会社が大きくなって公害を出すのか、こういうふうなことを日々考えておりました。したがって、工場がだんだん資材を運び込み、工場をつくるということが私にはずっと以前からたいへん気になっておりました。そこで、いろいろと話を総合するに、また、名前は言えませんですが、会社につとめている方々で、会社はもうどんどんつくっているのだ、そうしてまた認可も何も、そんなことは問題じゃないのだ、こういったことは、現に昨年の有罪判決になったところの児玉副所長あたりも公々然と言っておりました。認可の前に、あるいは検査前に操業する、稼働するぐらいのことは、これはもう実業界のあたりまえのことだ、日常茶飯事だ、こんなようなことを彼も言っておりましたが、いろいろ聞いてみますと、どうもおかしい。それから、私ども特に公害という点から考えまして、いろいろとまた法律の専門家等ともお話をいたしまして、またお願いをいたしまして、どうもおかしい、通産省でまたあんな大きな会社のあれを認可をしたような形跡もあるというようなこともお聞きしまして、またまたよく尋ね、それからここには荘局長さんもおりますが、実は前の橋本局長さん、一昨々年あたりは、私は始終、月に二回ぐらいの割りで通産省のほうに出かけていろいろとお願いをいたしました。そういったところで、だんだん交渉しているうちに、鉱山保安法の八条、九条に該当して、手続上にこれは誤りがあるのだ、こういうようなことを聞きまして、前に会社の職員から私は、会社ではどんどんつくっているんだ、つくっちまってから、あとで通産省のほうへは適当に――適当ということばを私使って失礼でございますが、本人がいわく、さような意味合いのようなことを言っているわけでございまして、そこでたまたま通産省の橋本局長さんとお話しの途中、私どもが行政不服審査法に基づいて、私たちの公害も考えずに一万七千五百トン、こういった施設を認可されたという行政措置に対してはきわめて不服である、何とかこれは取り消してほしいというので、時の大平通産大臣のもとに、行政不服審査法の審査請求書を提出したわけでございます。これは一昨々年の六月二十八日でございます。そうしているうちに、通産省のほうにおきましても、どうもあやしいというので、失礼でございますが、なくなりました鶴田哲也部長さん、この方にも、私はなくなる前にお会いしました。そうしていろいろと現地で聞いておるお話、またこちらへ来て聞いているお話、何だかどうもそんな点に符合する点がある。さらに検査にも、時の鉱山保安監督部長さんの鶴田さん、そのほか係官等も何回も行っておられ、そうして現地において、すでに四十三年の十二月でございますか、十一月の段階におきまして、一万七千五百トンの施設がほとんど完成しておる。そうして、実は四十三年の十月におきましては、認可が、現在一万一千六百トンでございましょうか、だのに、もう一部操業もしておる。こういうふうなこともあったし、そうしてまた、十二月二十五日だったでしょうか。認可申請を通産省に出した。ところが一カ月後の、翌年の四十四年の一月二十五日付でございますか、一月後にそれが認可になった。こういうことなのでございまして、いろいろの建築、あるいはまた普通鉱山保安法等を見ますと、先ほどもこちらの局長さんからお話がありましたが、建築する場合、施設を変更する場合においては、事前に認可を取ってしかる後に建設をする、これはあたりまえのことであると思います。また、われわれ一般人が、届けも出さずにそういうふうなことをやってしまったら、これはとんでもない罪悪になって罰せられます。ところが、企業においては、そのようなことが日常茶飯事のごとく行なわれておる。そしてまた、でき上がった際においては、今度は検査を受けて、そして工場の内外に公害の心配はないか、保安上の心配はないかという検査を受けて、それに合格して、しかる後に稼働をする、こういうことになっておるのであるが、そういうこともなし、まだ認可申請をしないうちにすでにもう工場は動かしておる、こういった事実等が、工場で働いている方々が事前に私に知らしてくれたこと。それから通産省へ行きまして、いろいろと御連絡、交渉をしておる過程での話等がぴったり合いまして、これは一体――実は通産省のお方たちがたくさんここにおられて、まことに私申し述べにくいのですけれども、事実でありますから私申し上げます。そのような状況で、一体何ということをしているのか。実は私たち百姓でございますから、鉱山行政あるいは通産行政なんという、企業と通産省との行政のごときは全く雲の上のことのごとく思っておりまして、知らなかったのでございます。ところが、さようなことは検査に行ってみればわかるはずでございます、あれだけの大きな建物でございますから。七億以上もかけた建物でございますから、どの人が行ったって、建物ができておるということぐらい目に入らないはずがないと私は思うのであります。それがそのような状況で、いつの間にか、届けを出してわずか一カ月の間に、七億の施設がばっと生まれてしまった。こういうふうなことが一体あってよいものだろうか。また私、一市民といたしまして、普通私たちがそういうふうなことをやりましたら、法にかかって罰せられます。ところが、法人格を持っておる会社のようなものであったならばさようなことをしてもいいのか、いろいろ疑問点がありました。そんなことで、これははっきり申し上げますれば、事実を知っておりながら、追認とでも申しましょうか、あとから追っかけて認可をしてやった。それをまた先般来四日市の石原産業のことも報道されておりますが、石原産業とちょうど同じような状況が東邦亜鉛においては行なわれておったというようなぐあいに、審査請求等で実際にいろいろと苦労をした私といたしましては、事前にいろいいろと調査をした結果、そのようなことがわかりましてはなはだ遺憾である。特に公害について私たちがこれだけ苦労しておるのに、一顧だにせず、そのような企業ペースでの通産行政、鉱山行政をやられることはまことにどうも遺憾にたえない、こういうふうなことを常々思っております。
 なぜならば、ほんとうに皆さまにおわかり願いたいのは、私も先ほど委員長さんにも食事の際にお話ししましたが、私も家内も現に三年前から尿たん白が出ております。私も家内も指が曲がっております。女房が、去年の十月でございましょうか、お勝手でほうちょうを使っておって、ほうちょうがぽこっと落ちてしまった。おかしいと言って、それから手がしびれる、指かしびれる、それでよく見たところが、両手の中指の第一関節が赤くはれているわけでございます。それから二月ほどしまして気がついてみると、だいぶ曲がってきておる、こういうふうなことが事実あり、東邦亜鉛の公害に関しては、ほんとうにくやしいといいましょうか、情けないといいましょうか、全く筆舌に尽くしがたいような日々を送っているわけでございます。そこにたまたま、ただいまのような通産省と――通産省といっても東京鉱山保安監督部でございますが、東邦亜鉛との間柄はほんとうにどうもナアナアツーツーというのでしょうか、ことばは悪いですが、あるいはなれ合いというのでございましょうか、こういった事実を現に私は見せつけられまして遺憾に思っております。
 第二番目の指曲がり病のほかに奇病はないかということでございますが、特に気管関係の病気の方が非常に多うございます。ということは、先ほども私ちょっと触れたのでございますが、安中の汚染の実態というのは富山県の婦中と全く違います。富山県の婦中におきましては、三十里も山奥の岐阜県の神岡鉱山から亜鉛が流れてきておる。その水を飲み、その水をかん水をしてつくった米を食べたというだけで、大気はきわめてきれいでございます。ところが、安中におきましては、まずガスが出ます。鉱石を焼きましたら亜硫酸ガスができます、これが出てくる。そのガスが空気中に入っておる。この亜硫酸ガスを私たちが吸い込めば、気管の中で水分と化合して薄い希硫酸を飲み込んだことと化学的に原理的にいえば同じことであります。そういうふうなことにもなります。それからたくさんのカドミ、鉛、亜鉛、そのほかの粉じん、微粒子が一ぱいございます。こういうものも吸い込んでおります。さらにまた、着地したそれらの粉じんがほこりの中に多量に入っております。こういったものをわれわれは日夜、寝ても吸っておるわけでございます。したがって、そういうふうないわゆる経気摂取と申しましょうか、カドミほかの重金属を多量に吸っておる。さらにまた、鉱石の中にはそのほかのいろいろなものを含んでおり、またそのほかに、肺の患者がそういった関係ですから非常に多うございます。私ども北野殿村あたりに行きましたら、ほとんど一戸おきくらいに肺患者でなくなった方がおります。数え上げれば、私のところの近くだけでも四十戸ほどありますが、その中で十二、三名くらいの者が肺患者でなくなっており、また現在においても療養所あたりに行っている方も三名くらいおります。なぜ一体会社に近いこの地区に肺をわずらい、そういった病気の人が多いのであろうか。たとえば、先ほど来問題になっておる小川しなさんでございますか、あの方もやはり嫁に来まして肺をわずらい、そしてしばらく入院しておった方でございます。そういうふうな、肺をわずらった方が非常に多い。結局これは、何といいましょうか、何か鉱石が肺に入って肺をおかす、こういうふうな心配があるのではなかろうかというようなところで、私たち学者でないからわかりませんが、非常にそれが心配で、経気摂取をしたのが原因ではなかろうかというような人がたくさんございます。
#174
○大橋(敏)委員 通産省の方、来ていますか。いまの参考人のお話を聞かれて、なれ合いの実態がわかったと思いますが、それをどう受けとめられましたか。
#175
○莊政府委員 去る予算委員会におきましても、この認可の経緯なりその後の通産省の措置につきましていろいろ詳しい御質疑がございまして、宮澤通産大臣から、当時の経緯等につきまして委細御説明いたしたわけでございますけれども、私、いま大塚参考人が、直接当時の模様を回顧しておっしゃったのを聞いておりまして、いろいろこまかい点については何かあるかもしれませんけれども、全体といたしまして四十二年の八月ごろから実際に着工されておったということが、その後われわれの調査でも実は判明しております。したがって、貨車で荷物が入ってきたというふうなことも近所の住民の方は確かにごらんになっておる。間違いなかろうというふうな気で私は拝聴しておりました。検査もしておったけれども、どうもなれ合いじゃないか、こういう御指摘もございましたけれども、これは事件になりまして、担当官等も、検察当局の調べもいろいろあったようでございますけれども、裁判の結果、そういうことの被疑の事実は出なかったと私聞いておりますけれども、大臣も予算委員会で申し上げましたとおり、幾ら建坪が三万坪、敷地が十万坪あるところでも、カドミ米の問題が県会で問題になったあとです。認可申請までの間に立ち入り検査を非常に厳重にしたわけでございます。月に二、三回もやったのに、ぼんやりしておったというしかないと断ぜざるを得ないことを非常に遺憾に思っております。今後は大いに姿勢を正して、法律上与えられた職責を十分に果たすようにやりたいという決意を述べられたわけでございますけれども、いま大塚さんのお話を伺っておりまして、私は、大筋において、あらためてその感を深くした次第でございます。
#176
○大橋(敏)委員 ぼんやりしておったくらいのことではほんとうに済まされる問題ではありません。なれ合いこそこうした問題を増長させていく最大の原因でございます。ほんとうに粛正してもらいたいですね。
 次に移りますけれども、労働省の方に聞きます。項目別に言いますから、それについて答えていってください。
 まず、現在安中製錬所において使用停止、操業ストップになっている増設施設について、労働省に届け出がなされているかどうかということが一つ。届け出したとすれば、その届け出について、高崎の労働基準監督署はどのような審査をし、どのような確認をしたか、これが二つ。それから届け出は、工事着工の十四日前に届け出することになっておりますけれども、届け出の月日はいつになっているか、お答え願いたいと思います。
#177
○岡部(實)政府委員 届け出につきましては、昭和四十二年十二月二十八日付で、高崎の労働基準監督署に対しまして届け出が出されまして、四十三年の一月五日に受理をいたしました。
 なお、この設置の届け出は、ただいまお話にございましたように、基準法によりまして、安全と衛生のための措置をあるいは計画をなされているかどうかということを確認して、その施設の届け出を受け付けるということでございますので、法に基づきまして、そういう安全、衛生、防止措置がとられているかどうかを施設について現地を見て届け出を受理したということであろうと思います。
#178
○大橋(敏)委員 先ほど言いましたように、届け出は工事着工の十四日前ということになっているのですね。これはもう基準法できまっていますね。しかし、実際問題は着工後ではないですか、届け出は。公害問題で毎日、新聞やテレビ等で報道しているこの時点において、このような処理のしかたということ自体が、労働省自身これは怠慢だと私は思うのです。こういうルーズな監督行政こそが、中村登子さんのようなかわいそうな犠牲者を出す。私は、これは労働省にも怠慢のそしりは免れぬと思うのですよ。大臣、これはほんとうに責任問題だと思うのですよ。
 さて、高崎の労働基準監督署が安中製錬所の立ち入り検査をしたときに、この施設についてどのような指導監督をしているか、また、その内容を明らかにしていただきたい。監督官の復命書の写しの提出を求めたいと思います。写しはきょうでなくてもけっこうですけれどもね。
#179
○岡部(實)政府委員 この安中につきましては、ただいまの施設設置と、もう一つクレーンの設置認可を行なっておりまして、この二つにつきまして、先ほど御指摘ございましたが、工事着工十四日前ということになっておりましたけれども、際は着工後二カ月たったところでございまして、私ども十分その点を監督できなかったわけでございますが、その後クレーンのほうにつきましては、一応法律によりまして四十三年の四月十七日付で申請を受け付けまして、四月二十二日に認可をいたしまして、その際はそういう安全措置について十分確認をしたということでございます。
#180
○大橋(敏)委員 時間の関係がありますので、これ以上その問題は追及しませんが、先ほど言いましたように、監督官の復命書の写しを資料として必ず提出してもらいたい。いいですね。
#181
○岡部(實)政府委員 承知いたしました。
#182
○大橋(敏)委員 それでは、今度は厚生省、それから参考人にお尋ねすることになりますが、実はきのうの参議院の社労委員会において、わが党の小平議員が質問したときに、厚生大臣がこのようなことを言っているのですね。指曲がり病など、医師の診断でも病名がはっきりせず、しかもカドミウムが原因と思われる場合は、カドミ中毒の職業病と推定して、患者を救う必要がある、このように答えております。これは非常に前向きな、心あたたまる答弁だと私は受け取っているわけでありますが、なかなかその基準というのはむずかしかろうと思う。したがいまして厚生大臣は、推定してそれを認めましょうと、こういう言い方をしております。
 そこで、まず参考人にお尋ねしますが、指曲がり病などは、もう大体カドミウム病であろうとほとんどがそういうふうに考えられておりますが、それにならって、腰痛とかいろいろありましょうけれども、これだけはぜひとも認めてほしい、その推定の部類の中に入れてほしいというようなものがありますか。
#183
○大塚参考人 指曲がり病につきましては、先ほど来お話ししましたとおり、患者の分布図等を見まして、なぜ一体あのようにごく被害地に患者が集中発生しておるか。これだけでも非常に異様でございます。また、先ほど話すとおりに、曲がった指を見ながら暮らしておる私たちの気持ちにひとつなっていただきたいと思います。さようになされたことにつきまして、私たち非常にうれしゅう思っております。
 またさらに、そのほかにとなりますれば、気管をわずらっている方やぜんそくと申しますか、のどを痛めている方がたくさんおりますが、こういった方に対しましても、ひとつ何とか御配慮願えればと思っております。
 もしよかったならば、場所を調査した、その患者のいろいろの分布の図を、実は私、玄関のあそこへかばんを入れてきたので、その中に図が入っておるのでございますが……。
#184
○大橋(敏)委員 じゃ、あとでそれを取ってきてもらいたいですね。見せていただきたいと思います。
 厚生省にお尋ねします。きのうの大臣の答弁と、それにいま参考人からの強い要望をお聞きになったと思いますが、これは非常に注目された発言であります。これに対して、厚生省としてどのように進められていこうとなさっているか、ひとつお答え願いたいと思います。
#185
○橋本政府委員 大臣はたしかその前に一言、本来なら労働省からお答えをすべきものと思うが、ということを前置きをつけておったと私は思いますけれども、確かに現在、いわゆる指曲がり病といわれる病気の原因というものが、私ども専門家にお願いをいたしてはおりますけれども、確実なこれだという原因というものは、学問的には明らかにはされておりません。しかし、午前中の本委員会の御質疑の中で曽根田公害部長からお答えをいたしましたように、ほかに発生原因と思われるものがなく、そして地理的にも発生している場所そのものが片寄っておるような、ほかにどうしても原因として指摘できるものがない場合、私どもも、やはり大臣のお答え申し上げましたとおり、職業病というような考え方を取り入れていくべきであろうと思います。ただ、そのためにも一日も早く研究班の結論そのものを出していただかなければならぬ。微量重金属調査会の御審議を、これは学者の専門的な御審議でございますから、私どもが日限を切っていつまでにと申し上げる性格のものではございません。できるだけ早くちょうだいをいたしたいとお願いをしておるわけであります。
#186
○大橋(敏)委員 研究のその結論を待つ以外にはいまのところ確たる答弁ができないということでありますが、それはそうであろうと思いますが、いずれその研究の内容は発表されるわけであります。その時点において、いま言ったような推定された上での患者、これも十分救済されていくことをこの場であらためて再質問しておきます。
 それから、いま労働省の話が出たのですが、たしか労働大臣もカドミウムを扱う労働者の労働衛生上の基準を四月ごろまでにはきめたい、そうおっしゃったあとに、労働災害基本法に照らし労災補償を適用したい、このように答弁をなさったのですね。労災補償を適用したい、そこまではりっぱな答弁でございますけれども、確かに労災補償を適用するその健康被害の適用基準といいますか、これがまだないわけですね。これはいつごろ――四月にきまるのですか。
#187
○岡部(實)政府委員 基準につきましては、実は先般安中の工場に行っていただきました――お医者さんを中心とする調査団をつくりまして、現地に十八、十九、二十日と行っていただきまして、いろいろな環境の問題、それから健康の問題等のデータをいま集めていただいております。その調査団が集めました資料に基づきまして、いろいろな基準をつくって検討してもらうということになっておりますので、その過程において、私ども現実にもし労災補償の適用ということになりますと業務上外であるという認定をいたさなければなりませんので、その場合の認定基準等についてもどうするのがいいか、これも御検討をその調査団でまずお願いしたい、こう思っております。
 調査団といたしましては目下調査のデータを集めておるところでございますので、できるだけ早くその結果を御報告願おうということで、三月中くらいに、もし全体の結果がまとまらないとするならば、中間的にでもそれまでにわかった結果を御報告願いたいというようなことでお願いをしておるところでございます。
#188
○大橋(敏)委員 たしか二月十八日に安中労働衛生調査団というのが調査に乗り出していると思いますが、その調査状況はどうであったか、また、いっその報告がなされるのか、お答え願いたいと思います。
#189
○岡部(實)政府委員 ただいまもちょっと触れましたけれども、安中につきましては二月十八日から二十日までの三日間にわたりまして現地の調査をしていただきまして、問題となります点が大ざっぱにいいまして二つ。一つは作業環境の問題でございまして、これはいろいろなデータをとってこられております。それからもう一つは健康診断の問題でございまして、直接カドミ関係の作業者十数名につきまして、現地に行った際に健康診断をされております。なお、残りの五十名等につきましても後日するということにして必要なデータを、尿をとったり、いろいろデータを集めて帰ってこられました。まだ今日まで結果を得ておりませんが、先ほど申しましたように、三月一ぱいには何らかの報告をいただきたいということで調査団にお願いしておるところでございます。
#190
○大橋(敏)委員 三月一ぱいにはその報告が出る方向にあるというわけですね。
 それからもう一つ聞きますが、群馬労働基準局の指示で全従業員九百五十人と下請百五十人ほどの作業員に対してカドミの体内蓄積の度合いを調べる健康診断が実施されることがきまった、群馬大の辻教授にその診察の依頼をしたということを聞いておりますけれども、その後の経過はどうなっているか、またその結果についてはどうか。
#191
○岡部(實)政府委員 群馬大でいまおっしゃったような下請関係を合わせまして全体で千二百名ぐらいになると思いますが、その健康診断をやるということで、今日までに二百九十三名一応終わりまして、引き続き残りの人にも検診をやるということになっております。
 なお、結果につきましては安全衛生部長から……。
#192
○北川説明員 いま局長から答弁ございましたように、十八日、十九日で約三百名程度の方の検診を終えましたけれども、今後は週に二日ずつ群馬大学から三名の先生がおいでになりまして、予定としましては三月の上旬に一応第一次検診を終える、その後の第二次検診につきましては、その中からチェックをいたしました対象の労働者の方を選びましてやる予定でございますが、さらに精密を要する方につきましては詳細な検査をやるということで、従来の特殊健診に比べてさらに一そう深い検査をやりたい、こう考えております。
#193
○大橋(敏)委員 三月上旬に第一次検診の結果が出る。その後の最終的結果はいつごろになるのですか。
#194
○北川説明員 第一次検診でどのくらいチェックされるか、その辺の数がわかりませんと、第二次、第三次の予定はわかりませんので、いまのところ未定でございます。
#195
○大橋(敏)委員 要するに、いま一生懸命そうした検査をやっている最中だ、結論が出ていないということですね。
 そこで、参考人にまたお尋ねしますけれども、二月十三日のたしか朝日新聞だったと思うのですが、東邦亜鉛の労働組合の安中支部がその十三日に組合員五百人を集めて支部大会を開いた。そして、そのときに話された内容が、自殺をした元従業員の中村登子さんの遺体から多量のカドミウムが検出された問題について中間報告、結果を発表するということですけれども、内容の要旨を見ますと、中村さんの死因がカドミウム蓄積によるものだとするいわゆる小林教授の見解を否定するような内容になっているわけです。私はこの記事を見て非常に不可解な、納得いかないような気持ちになったのですが、被害者の代表である大塚さんはその大会があったことを御承知だったでしょうか。しかもその内容について大体つかんでおったでしょうか。その上で被害者代表である大塚さんはその組合の大会をどう見られたか。いまそれぞれ関係者から話がありましたように、まだ検討の最中なんですね。しかも、結論が出ていない今日において、組合大会で、何でもないのだ、問題なかったのだと言わんばかりの発言をしたということについては、私は非常に納得いかぬわけですけれども、被害者代表の大塚さんの立場からこれをどう感じられますか。
#196
○大塚参考人 小林先生のことにつきましては、実は私もう小林先生とはお知り合いになって数年になります。昨年も、小林先生は前後二回にわたりまして延べ八日間ほど私のうちに来てお泊まりになっていただきまして、私と一緒に土壌あるいは農産物のサンプリングを二人でして歩きました。そういった間柄であり、また私自身が、小林先生にはおよそ七百点くらい土壌、農産物等の分析を御依頼しております。たいへんお金のかかる分析でございますが、私のほうは金がないのでございますから、お願いをいたしますと喜んでやっていただいております。また先生の御研究のごりっぱな点等からしまして、先生を誹謗するような、あるいはまた、分析はどのようにしてするのだろうかということもわからない、失礼だが、東邦亜鉛の労働組合の方々が誹謗するということ自体、まことにどうも小林先生に対して失礼千万である、私はそう思っております。特に私が小林先生を知っておるだけにそう思っております。
 それから、労働組合の行事につきまして私知っておりました。労働組合があのようなことを言うことは何か私には、事情をよく知っておりますから、会社の代弁をしているように受け取れていたし方ございません。ああいうことを言うこと自体がおかしなことになって、自分の立場を悪くするのではなかろうか、こういうぐあいに私は思えてしかたありません。
 それにつきまして私はあの労働組合の方々に申しております。労働組合の方々は会社につとめて自分のエネルギー、労働力を売って、それによって賃金を得るのであるから、会社の従業員、社員である以前に自分の命と自分の肉体というものは自分のものなのである、会社のものじゃないという一つの考え方に立って、ほんとうに公害をなくさなくちゃいけない、そして自分の生活環境をよくすることは、結局は会社に対してプラスになるのであるから、ひとつ悪いところは、あくまでも自分の命と自分の肉体は会社のものじゃない、自分のものなんであるから、あくまでもこれを守るという観点から、その立場で自主的にすべてのことを考え、行なわなければいけないのじゃないかというようなことを幹部の方に私よく言っております。さらに私があのときに、東邦亜鉛のあなた方組合の方々は、どうもあまり会社的な、会社の代弁をしておるので、おかしいじゃないかと言ったところが、実は組合の書記長と幹部三名で私のところにやってきました。どうしてそういうことを言うのだ、実はそんな気持ちで私たち言っているんじゃないということをわざわざ三名がうちに来まして私に抗議を言ってまいりましたが、私はそこでまたいまのようなことを言って帰しましたが、あれは何だかどうもためにするようなぐあいに私には考えられていたし方ございません。
 以上でございます。
#197
○大橋(敏)委員 労働組合というのは労働者の生活あるいは健康等を守っていこうというのがその目、標であります。私はこの新聞で見た範囲のことでございますので、印象的にものを言って悪かったかもしれませんが、新聞で見る限りでは、いまあなたがおっしゃったような感じを受けるわけでございます。これはやはり労働省の発表のしかたに問題があると思うのですよ。たとえば中村登子さんと一緒に働いた五名の人の検査をした。そうしたときに尿中カドミウムはなかった、尿中たん白はなかった、だからだいじょうぶだ、安全だ、私はこれはけっこうなことだと思うのですよ。だけれども、厚生省の最終結論が出ているわけではないし、いまあらゆる検査をやっているまつ最中ですね。それを、これだけで断然安全である――中村登子さんの問題は消えるのではないというようなことをつけ加えねばならぬのに、一緒に働いた五名は何にもなかったのだというような発表のしかたをしたので、おそらく組合側は、はだで感じ、身で感じたその上から、労働省の発表に合わせてついついいまのようなことをお話しなさって、むしろ労働者の不安を取り除こうという気持ちからの発言であろうと私は思うのです。しかし、これは問題だと思うのです。尿中たん白が出なかったからだいじょうぶだ、カドミウムがなかったからだいじょうぶだ――それはいままでの検査の方法でいけば、あるいはいままでの考えからいけばそれでよかったかもしれませんけれども、中村登子さんに限っては、あの人の場合には、診察の結果は尿中たん白が出ていないことになっていますね。そういうことによって、出なかったからこれは安全である、そういう汚染はないんだということにはならぬわけですね。これはさらにこれから追及されていく問題です。私はこういう労働省の発表の姿勢に問題があるような気がします。今後いろいろと発表なさるときがあるでしょうけれども、そういう問題も十分考慮した上で慎重な発表をしていただきたい。どうですか。
#198
○岡部(實)政府委員 検診の結果につきましては、その結果のデータを中心に発表したわけでございまして、カドミの問題を今後どう検診その他で取り上げていくか等については、まだ実は十分確定された方法がございません。おっしゃるとおりでございます。いま調査団でその点もあわせて検討していただく段階でございますので、いまの御趣旨の点をよく体しまして、今後の取り扱いについてはさらに一段と慎重にしてまいりたいと思います。
#199
○大橋(敏)委員 実は、はっきり名前も申し上げますけれども、元工員の松本リトさんという方がいますが、この方は三日に一回は痛みどめの注射を打たなければ過ごせないというほどの症状を訴えております。もう一人橋本八重さんという方は毎日痛みどめの注射を打っておりまして、健康保険が二月で切れることになっております。こういう方は直ちに特別に検査をしてもらいたいと思います。よろしいですね。
 それから中村登子さんは十二指腸かいようだというふうな診断を受けておりますけれども、あの方の痛み方、苦しみ方というものは十二指腸かいようの症状とは非常に違った実態があったわけですね。あなた方も御承知と思いますけれども、十二指腸かいようの痛みというのは大体鈍痛といわれておりますね。じわじわと痛むのです。ところが、中村登子さんはもう自分の臓器を投げ出してしまいたいくらいの苦しみを感じたという日記等があります。ああいうところを見ても、私はこれも終局尋ねれば労働省の監督不十分からくるのじゃないかと思うのです。というのは、その前に総点検がなされておるんですね。そのときにしっかりした点検をやっていればおそらくは発見されたであろう、あるいはカドミが出たであろうということでありますけれども、労働省の総点検のときのあり方というのは非常に体制が不備であった。これは去る五日の衆議院の決算委員会でわが党の鳥居議員が質問しておりますが、はっきりと、そのときの総点検は全国に千九百人いる基準監督官が一万三千事業所の点検に当たった、だからカドミウムの測定能力はきわめて低くて、産業医学のレベルがおくれております、専門家といえるのは小林教授等十指に満たないような状態でありました、こういうことで当時の体制の不備を認めているわけです。こういうことで、今度の事件をもとにして労働省はほんとうにこうした監督行政に対して力を注いでいかなければならない。特に、こうした公害等に関係する監督行政というものについて、今後大臣はどのような考えでしょうとなさっているのか、お答え願いたいと思います。
#200
○野原国務大臣 御指摘のごとく、労働省の基準監督の仕事は必ずしも十分でなかった、むしろ非常におくれておると思っております。したがってこれを契機に、公害対策、特に工場の災害等につきましては、衛生安全の問題に特に今後は力を入れまして、一刻も早く前向きで取り組みたい、こう存じます。
#201
○大橋(敏)委員 とにかく、いままでやってきたようなやり方では、ほんとうのカドミの被害というものはつかめないという結論を私は言いたいわけです。実は岡山大の小林教授が最近ネズミによる汚染米と普通米の実験をなさったそうです。従来厚生省がきめている食用安全基準は科学的な根拠はない、いまの基準はゆる過ぎる、これもやはり企業優先ではないかというようにいわれておりますが、カドミの含有量〇・六PPMの玄米をネズミに食べさせたところが、汚染されていない米を食べたネズミより三倍から十倍のカドミウムがじん臓あるいは肝臓に蓄積されたとの結果が発表されているわけであります。厚生省はこういう実験をなさった上で――いままで一ppM以下は安全だと言っておられるようでございますが、そういう科学的な立場に立っての発言なのか。そしてまた、一PPM以下ならば安全だとおっしゃっていますけれども、もし将来このことから大きな問題が起こった場合にどう対処なさろうとしているのか、あるいはその責任をどうとられるのか、そういう点をお尋ねしたいと思います。
#202
○浦田政府委員 御指摘のカドミウムに汚染されました米の安全基準というものを、玄米につきましては一・〇PPM未満ということで、食品衛生調査会並びに微量重金属の影響部会の専門家の先生方の御検討を得ましてきめたのでございますが、その根拠としてあげられましたものは、いままでの労働衛生上の試験、それから動物実験の結果、さらに国際的にきめられております食物の安全というものに関する考え方、つまりどれぐらいの安全率を見たらよろしいかという点の検討があったわけでございます。また同時に、摂取される米以外の食物あるいは水からのカドミウムの摂取量というものも、これは厚生省のほうで調査したいろいろのデータがございますが、それらをいずれも最大の値ということを仮定いたしましてきめたものでございます。小林教授の実験は、私いさいを承知いたしておりませんけれども、その場合に、じん臓に蓄積いたしました量、それがそのときにじん臓その他の臓器に与えましたいわゆる病理的な変化というものとどのような結びつきになっておりますか、その辺のところの検討もあるいは必要かと思います。いずれにいたしましても、これらにつきましていま厚生省がきめております安全基準につきましては、いわばその道の権威の方々の一致したお考えでもございましたので、一PPM未満の米を長年にわたって摂取いたしましても、健康上の障害は起こさないものというふうに思います。
#203
○大橋(敏)委員 小林教授はネズミを使っての実験でございます。そして、その分析データが明らかになっていますので、そういう点をもう少し連絡を取り合って研究を深めてもらいたい。そうして、もしいままでの基準がまずいということになれば、いち早くこれを訂正し、事前に被害を防ぐという姿勢になっていただきたいことを強く要望しておきます。
 それから、農林省の方に聞きますが、農林省の家畜衛生試験場が群馬県の依頼で、昨年の九月、安中野殿地区の廃用乳牛二頭の調査をいたしまして、その結果を発表しておりますが、これは血液、肉の部分のカドミウム濃度は平常だった。つまり血液とか肉は何でもなかったけれども、肝臓が一・四三から一・〇一PPM、じん臓には六・二五から六・〇五PPMが出た。そしてこれは、東京食肉センターで集めた他地域の牛十頭の平均値に比べて十三倍から二十一倍もの高濃度であったという結果が発表されております。私が言いたいことは、血とか肉には何にもなかったけれども、内臓のじん臓とか肝臓には相当の濃度のカドミウムが出てきたということですね。これは私が言ったとおりでしょう。まずそれを確認いたします。
#204
○加賀山政府委員 ただいま御質問の点につきましては、群馬県下で依頼調査がございまして、農林省の家畜衛生試験場で検査をいたしました結果でございまして、間違いございません。
#205
○大橋(敏)委員 また安中の野菜もだめだという話が先ほどありましたね。こういうふうなことを見ていった場合、いわゆる農土がおかされてしまっているわけですが、今後は安中では米をつくらせるのですか、つくらせないのですか、まずそれを聞きましょう。
#206
○加賀山政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、安全なところには米はつくらせるということを考えております。しかし、明らかに一MPPをこえるものが生産されているところについては、米をつくるわけにはまいらないだろうと思います。
#207
○倉成委員長 大橋君、結論をお急ぎください。
#208
○大橋(敏)委員 もしそのつくられないような地域の農土を持った家庭に対して、何か補償はなさるのですか。
#209
○加賀山政府委員 補償の問題は、われわれといたしましては原因者が明らかでございますので、原因者のほうで補償をしてもらいたい、そういうふうに考えております。
#210
○大橋(敏)委員 その折衝等は農林省が買って出ますか。
#211
○加賀山政府委員 これにつきましては県とも相談いたしますし、同時に通商産業省のほうとも御連絡いたしまして、通産省のほうでも非常に前向きに各企業にそのような御折衝をなすっているようでございまして、われわれも非常に感謝をいたしておるわけでございます。
#212
○大橋(敏)委員 これはやはり大きな問題に発展していくだろうと思いますので、慎重に考えておいていただきたいと思います。
 それじゃ、時間がきたそうでございますが、安中の白石下子さんというのですか、最近なくなられましたですね。遺言で遺体解剖頼むということになっておるそうでございますが、この方の解剖が十九日群馬医大で行なわれているそうでございますけれども、この結果は大体いつごろ出されるように聞いておられますか、これは厚生省ですかね。
#213
○曾根田政府委員 完全なデータが全部そろいますのは約一月ぐらいかかります。
#214
○大橋(敏)委員 私の時間がもう切れておるようでございますので、まだいろいろとあったのですが、以上でやめることにいたしますけれども、今度の中村登子さんの死を無にしないように、ほんとうに各省連絡を取り合いながら、その人の死が生かされるよう、そして公害対策がりっぱに行なわれるように要望して、私の質問を終わります。
#215
○倉成委員長 次に、田畑金光君。
#216
○田畑委員 私は、朝以来もうあらゆる角度から質問がなされましたので、聞きたい点はほとんど尽きたようでありますが、しかし、また同時にこの問題については、非常にしろうとで理解のできない点もありますので若干重複もあるわけでありますが、労働省並びに厚生省からひとつお答えをいただきたい、こう思うのです。
 まず初めに、職業病としてのカドミウムの中毒について、カドミウム中毒患者が発生するおそれのある事業所というものは一体全国でどれぐらいあるのか。また、ここで働いておる従業員の数はどれぐらいあるのか。さらにまた、カドミウムの中毒患者として認定されておる人方がどれぐらいにのぼっておるのか。これを承りたいと思います。
#217
○岡部(實)政府委員 カドミウムの製錬を行なっている事業場は、私どもの把握しておりますのは全国で九社十五工場です。そのほか、カドミウムの製錬ではございませんが、その関連しておるところが、この前の一斉総点検等で掌握したところが二百数十の事業場で、直接これに関連している労働者の数は、必ずしもはっきり把握しておりませんが、二千人ないし二千八百人ぐらいというふうに推定をいたしております。
  〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
#218
○田畑委員 労働省は先般、いわゆる公害企業と目されておる事業所等について総点検をやっておるということを聞いておるわけでありますが、いまのお話によりますと、カドミの関連する工場やあるいは製錬所については十五、その他についてははっきりつかんでいないようでございますけれども、カドミのメッキ工場であるとか、あるいはカドミを使った合金、合成樹脂工場等々、労働省としてはこれを把握しておると私たちは考えてまいったわけであります。この点について、今日までの調査というのはどの程度進んでおるのか、あるいは終わっていないのか、これからまた調査を必要とするのかどうか、これについてもう一度承りたいと思います。
#219
○岡部(實)政府委員 総点検いたしましたときにカドミウムを取り扱っている事業場は全国で二百三十七、これは点検をした事業場でございます。
 ただ、私がちょっと正確な数字を申し上げませんでしたのは、実は総点検で、できるだけ各監督署管内で総数を点検するように指示いたしましたが、限られた数で限られた期間でやりましたので、中に、特に小さい企業等におきましては、総点検の対象漏れも若干あるのではないかということを懸念いたしまして、正確な数字を申し上げませんでした。ただ、総点検のときは二百三十七が対象になっております。
#220
○田畑委員 カドミの中毒症が出てくるメカニズムと申しましょうか、病理学的に見た場合、カドミの中毒症状というのはこういうところから出てくるのだという点について、われわれしろうとでありますので、この際そういう面について厚生省のほうから説明を願いたい、こう思うのです。
#221
○曾根田政府委員 カドミウムの中毒には主として職場におけるカドミウムの粉じん、粉末等の吸引によります急性中毒症と、それから長期の蓄積等によります慢性中毒症がございまして、私どものほうはイタイイタイ病の問題を契機といたしまして、イタイイタイ病に至らない以前においてカドミウムの中毒症をとらえて予防したいということで、もっぱら慢性中毒症のほうを担当いたしておるのでございます。
  一般的にカドミウム中毒の発生機序といいますかそういう点を申し上げますと、カドミウムが食物、水あるいは大気等から体内に吸収され、それが肝臓に蓄積し、次いでじん臓に蓄積する。その蓄積が一定以上になりますと尿細管に非常に障害を与える。そして、それがさらに一定以上になりますと、今度は具体的に骨の変化、骨軟化症といった症状に至るというのがいままで明らかにされた症例でございます。
#222
○田畑委員 いままでわが国で、いま部長の答弁のような経緯をたどって中毒症患者が現実に発生しておるわけでありますが、お話しの急性中毒症であるとか慢性中毒症であるとかいうのはどれぐらい把握されているのか、明らかにしていただきたい。
#223
○曾根田政府委員 急性のほうは、学会でいろいろデータが報告されておりますけれども、後ほど労働省のほうからお話があると思います。私ども一の担当をしております点から申しますと、まず中毒症からさらに骨の変化を来たすいわゆる具体的なイタイイタイ病として現実に認定されております方々は、現在、富山の神通川地域において九十六名ございます。
 それから、これは具体的なイタイイタイ病という公害病の認定を受けた者でございますが、この事件が契機となりまして、イタイイタイ病に至らない以前でカドミウム中毒を押えるということで、要観察地域という制度を設けまして、一定の地域汚染があった場合に広範な環境調査あるいは健康調査等を行ないまして慢性中毒の発生を押える。そういう網の目にかかっておりますのはもちろんたいへんな数にのぼるのでございますけれども、現在要観察地域が七つございますが、それぞれの地域で所要の一次検診、二次検診等を経ていわゆる精密検診といいますか、多少なりとも中央の鑑別診断班においてさらに専門的な診断を仰ぎたいということで、現在までに相当の症例が寄せられております。しかし、はなはだ幸いなことでございますけれども、いままでのところ、現実に中央の鑑別診断班において、これは明らかに慢性中毒症であるという具体的認定を受けたものはございません。ただし慢性中毒症とは認定できないけれども、経過的に引き続き観察を行なうというものは若干ございます。しかしこれは、具体的な疾病という意味ではございません。
#224
○田畑委員 いまの部長の答弁によれば、イタイイタイ病患者として認定された者でございますか、カドミウム中毒患者として認定された者が富山県の神通川流域の九十六名、こういう御答弁でございましたが、いま問題となっておりまする安中市ですね、この地域においていわゆるカドミウムの中毒患者ないしイタイイタイ病患者というものが発生してないのかどうか。さらに、要観察地域としての安中市周辺におけるいまお話しの第二次検診者について鑑別診断の結果はどうなっておるのか、この点をもう一度頭を整理するためにお聞かせいただきたいと思う。
#225
○曾根田政府委員 富山県の九十六名は具体的なイタイイタイ病という公害病の認定を受けた患者でございます。
 それから、安中地区の検診のお尋ねでございますが、安中地区につきましては、前々から地域汚染が指摘されておりましたために、この神通川地域における公害病認定を機といたしまして、四十三年度から健康調査を行なっております。四十三年度は九百九十五名の方が検診を受けられました。さらに一次検診、二次検診と進みまして最初の古いといいますか、九名の方が中央の専門家の方々による鑑別診断を必要とするということで、地元から所要のデータを添えて中央の鑑別診断班に上がってまいりました。これにつきまして、それぞれ個々の一例一例ごとに詳細な検討が重ねられましたけれども、この九名の方はそれまでに得られたデータからはカドミウムの中毒を支持する所見に乏しいというのがそのときの鑑別診断班の結論でございました。それから、四十四年度は六百八名の方々が検診を受けられたのでございますが、その六百八名のうち三十一名が中央の鑑別診断班のほうに参りました。この年は、そのほかに前年の鑑別診断の残りの十四名の方がございましたから、合計四十五名が鑑別診断班の診断に付されたのでございますけれども、結論は、同じようにカドミウム中毒という認定を得るまでには至らない。しかし、先ほどお話ししましたように、それは経過的な観察といいますか、引き続き観察は必要とするということで、具体的な疾病の認定には至らないけれども、やはり諸般のいろいろなデータから見て経過観察の必要があるという結論に至ったわけでございます。本年度も同じように六百二十二名につきまして検診を行なっておりまして、近々その結果鑑別診断を要するという症例が私どものほうに寄せられることになっておりまけれども、その際に、本年度は先ほど来お話のございました、具体的な指曲がり病ということで検診を別途八百名程度やっておりまして、その分も合わせて私どものほうに上がってまいることになります。ですから、結論的には、私どもいままでのところは、要するに具体的にこれは病気であるとはっきりいえない、しかしこれはやはり今後どういうことがあるかもしらぬというので、要観察地域として引き続き検診の網の目、そういうものは設けていきたいという考えでございます。
#226
○田畑委員 幸いに第一次、第二次の検診の結果からは数名の人、あるいは第二次の場合は三十一名の人方が鑑別診断を受けたけれども、カドミウムの中毒患者とは認定されなかった。こういうことはまことに喜ばしいことだと思います。引き続き、本年に入って六百二十二名でございましたか、健康診査をやり、その結果をもってまたさらに鑑別を要する者については厳正な検診を行なうということは当然のことだと思いますが、ひとつそれは御努力を願いたいと考えるわけです。
 ただ、これは特に、私はしろうとで、イタイイタイ病と慢性カドミウムの中毒の関係ですね、これは一体直接つながるものかどうかということは、医学上いろいろ見解があるやに聞いておるわけです。たまたま私がここに持ってきておる資料は「日鉱三日市製錬所のカドミウム公害等について」ということで、あなた方の前任者である橋本道夫公害課長が講演なさったその資料を私は見たわけです。それによれば、こういうことが書いてあるわけです。
 医学的にはまだわからないところもありますが、カドミウムがなければイタイイタイ病はおこらなかったという事は確信しております。しかしカドミウムがあったら全てイタイイタイ病になるかというと私共はそうは考えておりません。神通川の場合はいろんな悪条件が重なっておりました。あそこに三十年以上住んで、三十年間以上そこのお米を食べ、野菜を食べ、そして三十年間以上そこの水を飲んでいた方で、しかも、平均六回もお産をして授乳し、更に食糧事情が悪く、栄養も悪いという人の中から出ております、ですからカドミウムが入ったらすべてイタイイタイ病になるということではありません。そういう不利な条件が重なって長い年次にわたってなったわけです。」
 その他いろいろ述べておいででございますが、要すればこの橋本道夫さんという人はお医者さんだったと聞いておりますが、間違いないかどうか。これは医者の専門的な良心に基づいて講演をなされた講演の中の一つだ、こう考えますが、私はこの見解が正しいとか、あるいは別の見解が正しいとか、そういうつもりではない。とにかくカドミウム中毒症とイタイイタイ病との関係については、今日医学的な見地から見ても両説があるやに聞くわけでありますが、厚生省としてはこういう問題についてどういう説の上に立っておられるのか。
#227
○曾根田政府委員 富山県のイタイイタイ病に関する厚生省の見解というものが四十三年の五月に出されておるわけでございますが、これはもちろんその前に各方面の学者の方々の検討の結果を受けて行政的にいろいろの対策を含めて厚生省の態度を打ち出したものでございますので、その中のイタイイタイ病の「本体と発生原因について」というところにまとめてあります文章をお読みするのがその御回答になるかと思いますので、読ませていただきますと、「イタイイタイ病の本体は、カドミウムの慢性中毒によりまず腎臓障害を生じ、次いで骨軟化症を来たし、これに妊娠、授乳、内分泌の変調、老化および栄養としてのカルシウム等の不足などが誘因となってイタイイタイ病という疾患を形成したものである。」と書いてあります。
#228
○田畑委員 なかなかむずかしくて、こういうような問題であなたをさらに追及するといったって、あなたはそれを読むだけだろうから、問題の発展はないと思うので、私は次に移りたいと思います。
 これは労働省関係で、カドミウムの中毒症防止のための労働安全衛生行政から見たいわゆる恕限度であるとか環境基準というものがあるわけでありますが、この恕限度であるとか環境基準というものは、労働省としてはどのように指定しておいでになるわけですか。
#229
○岡部(實)政府委員 カドミの問題につきましては、実は、正確な数値を示していろいろな規制を現在のところはまだやっておりません。ただ外国等でとられておりますいろいろ専門家の間の指標等を一応の参考資料として衛生管理の基準として示しておりますが、これはあくまで参考資料でございまして、法規制の対象となる数値ではございません。
 そこで、先般来カドミその他の有害物質に起因しまする職業病の問題、あるいは労働者の衛生管理の問題等が非常に重要な問題として提起されてまいりましたので、専門家によりまする会議を設けまして、そこで一応の基準を検討していただきまして、これをはっきりしたものから規則の中に織り込んでいくということで、法規制についても考えていきたいということで、目下安全衛生規則をどう改正したらいいかということを検討いたしますその中でいまの問題も取り上げてまいりたい、こう考えております。
#230
○田畑委員 そうしますと、いまのところは恕限度なり環境基準というものはないわけですね。
#231
○岡部(實)政府委員 ただいままで労働省でやっておりますのは、安全衛生規則百七十三条に基づきまして、いろいろな有害ガスとかあるいは排液とか、そういったものについての安全措置を講じなければならない、こういうことを規定しておりまして、そのうちでさらに特定物質につきましては、鉛とか四アルキル鉛とかあるいは有機溶剤等につきましては、特別の規則を設けましてそこでさらに詳細を規定しております。それ以外の物質につきましては、特別にそれ以上詳細な規定を実は欠いておりますので、その辺の不備を今後補ってまいるということでございます。
#232
○田畑委員 しかし、これだけ問題がやかましくなっているとき、こういう大事な問題についての基準もないということは、まことに行政がおくれておりますね。これは驚いたことだが、せっかくいま中央労働基準審議会等にはかって検討を進めておるようだ。その答申を待って、先ほど来のお話を承りますると三月いっぱいあたりには新たなものをつくりたい、こういうことでありまするが、これは急がねばいけませんね。まことに行政の立ちおくれですね。
 それから、問題のこの東邦亜鉛安中製錬所の職場の衛生環境について、いろいろお答えがございましたが、この職場の労働災害の面あるいは職業病等の発生状況というものは、同種事業場の他のそれに比べた場合には、著しく悪いのか、おくれておるのか、あるいは同じような水準まできているのかどうか。このあたり労働省はしかと資料に基づいてお答えできると思いますが、ひとつお知らせいただきたいと思う。
#233
○北川説明員 労働災害の安中における発生の状況でございますが、百万労働時間当たり労働災害で負傷、疾病の生じた数を度数率というものでわれわれ示しておりますけれども、安中の場合に、四十三年は件数で十二件、度数率で四・九一、四十四年は件数で八件、度数率が三・一七、四十五年は件数が三件、度数率一・二〇でございまして、一般の非鉄金属関係の製錬業の度数率がおおむね五・五前後でございますので、全国平均よりも低い率で、全安成績はいいというふうに考えられます。
#234
○田畑委員 安全性の面ではむしろ同種の企業よりもいいというのが労働省の調査の結果でありまするが、先ほど私は職業病発生の面等から見てどうかということもあわせて聞いておるわけでありまするが、この点もお答えをいただきたいと思うのです。
#235
○北川説明員 業務上の疾病の発生及びその補償の関係でございますけれども、いままでじん肺、鉛中毒、電離放射線、カドミ関係では、この三年間にわたりまして業務上疾病の該当はないというふうに把握をいたしております。それ以外の疾病では、歯牙酸蝕、これは酸によって歯がおかされるものでございますけれども、四十三年に九件、四十四年に十六件、四十五年に九件、その他の私傷病としまして、腰痛、それから挫創というようなものがございますが、これはおのおの四十二年が十八件、四十四年が八件、それから四十五年が二件というふうになっております。
#236
○田畑委員 そうしますと、職業病の面でも、安中の工場においてはそれほど心配するようなものではない、このように見てよろしいわけですな。
#237
○北川説明員 私たちが労災保険の請求あるいは業務上疾病の報告等を受けました限りでは、一般の産業に比べて特に悪いということはないと思います。むしろ安全の面では一般よりはややいい成績であるという感じを受けております。
#238
○田畑委員 二月十五日に群馬労働基準局が安中製錬所の抜き打ち検査を行なったわけでありますが、その結果について、先ほど来何か質問があったようにも耳にはさみましたが、どうなっておるのか、その検査の結果について労働省としてはどういう評価を下しておるのか、この際明らかにしていただきたいと思うのです。
#239
○岡部(實)政府委員 お話しの二月十五日の検査、これは群馬労働基準局の関係課長並びに高崎の労働基準監督署長以下全員、監督官十二名、さらに技官二名を加えた十四名で調査に参りまして、主として労働衛生を中心とした作業環境がどう改善されつつあるかという改善状況、健康診断の実施状況、それから有害業務に就労する労働時間規制の問題等を重点として監督をいたしました。その結果、製錬所の作業環境その他労働衛生管理については従来よりもよほど改善をされたあとが見受けられましたけれども、なお改善を要する点もございましたので、その監督の結果は、まず第一が、粉じんが飛散する職場での粉じんの密閉措置をさらに講ずること、それから試験研究職場における従業員に対して、従来特殊健診をやっておりません。これを実施すること。それから有害物質取り扱いの従業員の労働時間管理が必ずしも適正に行なわれていなかったという、この三点につきまして指示をいたした次第でございます。
#240
○田畑委員 検査の結果、粉じんの密閉であるとか、研究所におる従業員の特殊健診の実施であるとか、あるいは作業時間の適正化の問題等々指摘されたわけでありまするが、こういう問題は、会社もその気になればすぐ実行できる問題であると思いますので、こういう指摘された内容というものは、安全衛生の面から見て、本質的な会社の安全衛生管理上の重要な落ち度であるとみなすべきものかどうか、こういう点についてどう評価なさっておりますか。
#241
○岡部(實)政府委員 設備改善等について、先ほど私どもの行政が立ちおくれているという御叱正がございましたが、実はカドミにつきましては、昨年作業環境の改善その他について通達で一応の改善の指示はしておるわけでございます。それに基づきまして、この作業環境についてもいまの粉じんその他の防護措置はとるようにという指示はいたしておるわけです。ただ、この監督の結果は、さっきも申し上げましたように、特別に法違反ということまではいっておりませんが、さらに改善を要する点があるので、これを指示したということでございます。
 なお、職場における空気その他の汚染度等につきましては、当時監督に参りましたときに必要なデータをとってまいっておりまして、それは目下最終的に検査をしておりますので、その結果また必要な指示はしてまいるということに考えております。
#242
○田畑委員 これも先ほど来取り上げられていたことでございますが、二月九日にこの委員会の代表が安中工場を視察しまして、中村登子さんが従事していたカドミの切削作業現場を見たわけです。その節、会社としても当時の作業状況を復元して私たちに見せてくれたわけでありますが、これは労働省も厚生省も、当然政府としてこの作業現場を調査されておるわけであります。あのような状況下において、あの職場において、一体カドミの粉じんの発生量はどの程度あるのかという問題ですね。これは当然政府としても調査しておると見ておりまするが、調査の結果をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
#243
○北川説明員 先ほど局長が申しましたように、二月十五日に監督署監督官十二名が一斉の監督を行ないました際に、中村登子さんの生前従事されました作業の復元を会社側にさせまして、その測定をいたしております。その場合に、測定の数値につきましては、先ほど田邊先生にお答えいたしましたように、まだ全般については群馬大学に調査を依頼中でございまして、その分析結果が出ておりません。ただ一部――一部だけでこの作業の全般を判断するわけにいきませんけれども、いま群馬大学から一部だけ返事が来ております点を申し上げますと、六尺旋盤で六百二十回転、これにつきましては、大体M方メートル当たりカドミの飛散量が四・七ないし六・二マイクログラムということが来ております。これは、先ほどもお断わりしましたように、それ以外にいろいろの測定をやっておりますので、この数値だけであの職場を判断するわけにまいりませんけれども、この数値だけについて言いますならば、先ほどお話がございましたように、会社側あるいは労組側の数字と若干の食い違いはございますけれども、私たちが日本産業衛生協会とかあるいはアメリカの衛生専門官の回答で示しておる数字から比べれば非常に低い数値、それほどカドミが飛散をしておらない、こういう結果になってきております。ただ、全般の数字がまだ出ておりませんので、全般についての判断はいたしかねます。
#244
○田畑委員 これも先ほど田邊委員からも強く要望されたことだと思いますが、全般の調査の結果が明らかになれば、具体的な資料をひとつすみやかにわれわれに知らしていただきたい、こう思います。
 とにかく群馬大学が公正な立場において一部ではあるが調査した結果はいま指摘されたような状況であるわけで、その限りにおいてはこれは明るいことだ、こう考えるわけです。
 それからもう一つ、最近における従業員の精密健康審査の結果はどうかということでございますが、これも先ほど来何度か質疑応答があったと思いますけれども、特にもう一度、私は頭を整理するために、中村さんと同じような作業場に従事していた者が五名あったと群馬労働基準局の資料によれば書いてあります。さらにまた、すでに四名か会社をやめていると聞きましたが、この五名並びに会社をやめた四名に対する追跡調査の結果はどうなっておるのか、簡単でいいから御答弁を願いたいと思うのです。
#245
○北川説明員 中村さんと御一緒に仕事をされた方につきましては、非常に重点を置いてやっております。これは先ほど御答弁申し上げましたように、会社の検査のみならず県の衛生研究所で尿中のカドミ量の測定をいたしましたところ、一リットル当たり七・二五ガンマということで、普通の方に比べて特に高いという数値ではなかったわけでございます。
 ただ、御指摘のように、これだけで十分であるかどうかはわれわれも反省をいたしておりますので、これらの方につきましては、この前も労働衛生調査団の先生が行かれまして一々御面接になり、さらにもう少し突っ込んだ調査をしたいと思いますので、その結果を待ちまして、また後日御報告をさせていただきたいと思います。なお、御在籍でない方が二名いらっしゃいますが、この方につきましても今度の健康診断の対象に必ず加えることにいたしております。
#246
○田畑委員 労働衛生調査団が専門家という立場で権威ある調査の結果をやがて結論として出すでありましょうが、これはいつごろ結論が出る予定ですか。
#247
○岡部(實)政府委員 私どもといたしましてはできるだけ早くお願いしておりますが、少なくとも三月一ぱいには、全部の結論がもし出なければ中間的にでも結論をというか、中間的な御報告でもいただくということで、一応三月一ぱいをめどに御報告願うように調査団のほうにお願いをしております。
#248
○田畑委員 それで、これは厚生省ということになるかわかりませんが、先ほどの答弁によれば、この中村登子さんの職場では、旋盤の六百二十回転、この中で一立方メートルにカドミが四・七ないし六・二マイクログラムあったというのが調査の結果でありまするが、これは調査の一部の結果であるにいたしましても、やがて全般の調査の結果はそのときに待つにいたしましても、そこで私この際一つ、専門的なことになるかもしれませんが、お尋ねしたいのは、小林教授の説では、職場での粉じん吸入による脱灰症状、これは何か新型のイタイイタイ病であると推定されておるようでありますが、いまのような一立方メートルの中で四・七ないし六・二マイクログラムのような粉じんの飛散する状況の中で、このような濃度の中で発病する危険性があるのかないのか。これは先ほどの答弁を聞いておりましても、あまり権威のある答えではなかったようではございますが、あなた方厚生省あたりがいろいろな資料を調査し、あるいは外国の文献、外国の事例等にかんがみて、このような作業環境においてイタイイタイ病が発生するのかどうか。この問題については、これは個別の問題というような意味でなくして一般論でもけっこうでございまするが、そういう意味においてひとつ皆さん方の調査の結果をお聞かせいただきたい。
#249
○曾根田政府委員 私ども直接のあれではございませんけれども、文献等でアメリカあるいはイギリスの労働衛生の基準を見ますと、これはカドミウム・ヒュームの状態での基準でございますが、一立方メートル当たり〇・一ミリグラムというのがアメリカやイギリスで労働衛生上の基準になっておりますので、マイクログラムに換算いたしますと百マイクログラム、それはいま申しましたデータはございます。イギリスとアメリカの労働衛生上の基準としては一立方メートル当たり百マイクログラムという基準がきめられております。(田畑委員「それが危険なあれだ」と呼ぶ)労働衛生上のとにかく安全基準でございます。
#250
○田畑委員 わかりました。
 次に移りますが、私は二月九日群馬県知事の神田さんとお会いしたときに、神田知事からも強く次のようなことがわれわれに言われたわけです。県としては小林教授という人を知らない、資料の提出をされていない、政府において小林教授を呼ぶなり資料の提出を求めるなり、厚生省の研究班で資料提出さして事実の有無を明らかにしてもらいたい、調査の方法や分析の結果は公開の場所で確認できるようにしてもらいたい、Cd中毒について診断方法が確立されていない、大気汚染と体内蓄積との関係、汚染と病気の関係を明らかにしてもらいたい、これが実は神田知事からわれわれが調査に参りましたときに言われた要望事項です。このことはやはり私たちしろうとから言うと、知事がああいう心配をされておる、ああいう不安を持っておるのももっともだなという感じがするわけですね。
 そこで実は、当日私たちが参るにあたって厚生省からいただいた資料にこういうことが書いてある。「厚生省の措置事項」、「1、小林純教授から分析データ等の資料を送付していただくよう依頼した。また、臓器の残りがあれば、研究資料として厚生省に提供をお願いした。」さらに読みますると、「2、剖検所見の詳細を、久保田所長より入手することとする。3、生前の病状について更に詳細に調査することとする。4、作業場の環境条件、従業員の健康状態につき、労働省とも連絡をとって資料を入手することとする。5、四十六年二月四日付朝日新聞朝刊等で報道された、安中地区に長年居住し、二月一日死亡した小川シナさん(七十九歳)の解剖所見を実施した群馬大学医学部から入手することとする。6、最終的には厚生省のカドミウム中毒等鑑別診断研究班で総合的検討してもらうことも考えている。7、必要に応じ、目下進めている安中、高崎の要観察地域の住民検診の未受診者につき、強力な検診活動をすすめるものとする。」
  〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
七つのことを厚生省はこの問題に関連してやることをわれわれに約束しておりますが、第一の、小林純教授から分析データ等の資料を送付していただいて、厚生省の研究班等において十分これについても厚生省の立場において分析などをやったのかどうか。また、その努力が今日までどうなされておるのか。こういうことについて厚生省はその後何をやったのか。これをこの際はっきりしてもらいたい、こう思うのです。
#251
○曾根田政府委員 小林教授からは、臓器の残り等につきましては、先ほど午前中申し上げましたように、使用済みということでございますけれども、分析データ等につきましては一応いただくことができました。また、久保田所長からも一応具体的な所見の提供を受けることができました。さらに、このなくなられた中村さんの、佐藤医院というところで生前の一応の病状についてのカルテ等も入手できましたので、それに先ほど申し上げましたように諸外国等の臓器のカドミウム濃度のデータ等の死因等がわかりますと、まあ必ずしも十分ではございませんけれども、一応最小限度のデータも集まろうかと思います。これによりまして、三月に入りまして鑑別診断研究班を早急に開きまして、これに対するデータの評価あるいは今後の対策等について打ち合わせを願いたいというふうに考えております。
#252
○田畑委員 部長の答弁、ちょっと声が小さくて聞き取れなかったのだが、私が読み上げた、あのあなた方の約束した七つの項目について、三月中にはそれぞれのデータに基づいて結論が出されて、この委員会においてわれわれに報告できるというのか。午前中の答弁によれば、聞き間違いかどうか知りませんが、小林純教授から、あなた方は資料を求めたけれども、資料はない、このような返事があったようなことも答えていたが、そうじゃないのですか。どっちがほんとうなんですか。
#253
○曾根田政府委員 その点につきましては、先ほど大橋委員の御質問に対しまして、午前中の私の答弁が不十分であった点を申し上げますと、新聞等に報道されました分析値のデータは一応いただいております。私が申し上げましたのは、それ以外のデータについていただくことがなかったという意味で、その点は先ほど訂正させていただいたわけでございますけれども、分析値のデータは一応いただいております。
 三月に開かれます鑑別診断研究班の会議でどういう結論になるかは、私ども簡単に予断はできませんけれども、少なくとも先般現地に参りました際に現地から非常に強い要望もございました。なるべく早く、とにかく現地の不安がないような対策なりあるいは考え方なりを示してもらいたいという要望には、最小限度こたえるように努力いたしたいと考えております。
#254
○田畑委員 私が言っておるのは、小林教授の出された分析値を皆さんが見て検討するというのじゃなくして、第一にあなた方がここに書いてあることは、「小林純教授から分析データ等の資料を送付していただくよう依頼した。」というのは、分析値そのものじゃなくして、その分析値が出るまでのもろもろのデータを小林教授からもらって、そしてやはり第三者の権威ある機関等において、あるいはその道の大家等において検討してもらうというのが、あなた方がわれわれに約束した第一項の事項だ、こう思うのだが、そうじゃございませんか。私が申し上げたいのは、多くの時間を要しませんが、やはりこの種問題については、小林教授の権威ある分析の結果をわれわれ尊重することは当然のことだと思います。しかし、同時にまた、この種問題については、さらに第三者のそれぞれの機関なり権威者の分析の結果を尊重するということが、公正な判断をする上において大事なことだ、こう考えておるので、あえて私はそのことを求めておるわけなんです。この点について、政務次官のほうからお答えいただければありがたいと思います。
#255
○橋本政府委員 先般、調査班の各先生方、現地においでをいただきました時点で、当初からこういうことを処置してまいりたいと申し上げました点につきましては、いま先生が御指摘になりましたとおりであります。その後、小林教授に対しまして、公害課長より二月六日付の文書をもちまして、こういう点をお知らせ願いたいというお願いをいたしました。それに対して、二月十三日、小林教授よりお返事をいただきましたが、試料は全部灰化して分析に使用してしまった、クロスチェック等のために使用する残部は全然ない、臓器の残りはないという御回答をいただいたわけです。
 なお、それに付して、新聞等にも大半が発表されておりましたような形で、小林教授からのお返事をちょうだいをいたしました。ただその中で、公害課長のほうから、その他の問題点として、この灰としてしまわれた試料はもう残っておりませんでしょうか、あるいは、じん臓は右、肺臓はその左の部分を分析試料とされたと御回答にありましたが、左のじん臓、右の肺臓は残っておらなかったのかどうか、また、残っておったとした場合には、再埋葬をされたのかどうか等々幾つかの問題点について、再度問い合わせのお手紙を差し上げております。それに対してのお返事は、今日なおちょうだいをいたしておりません。
 また、久保田所長より解剖所見の詳細をちょうだいするという点を二番目に掲げております点につきましては、久保田所長より御回答をちょうだいいたしました。ただ、これについては、病理検索が行なわれておりませんで、臓器を摘出する際の肉眼の所見のみがしるされております。それから、生前の病状につきましては、いま部長から申し上げましたとおりでありますし、小川しなさん、また白石さんの群馬大学において現在調査資料作成中でありますものは、早ければ今月内にもちょうだいができるようにも伺っております。三月の研究班のお集まりの際に、これらの資料を全部お渡ししまして、専門家の学者としての御見解を承ろう、いまそういう手順で運んでおります。
#256
○田畑委員 私は、この種問題については、国民が非常な重大な関心を持ち、またある面においては非常な不安を感じておる問題でありまするから、やはりできるだけ、小林教授の分析値をわれわれは権威あるものとして受け入れると同時に、尊重すると同時に、さらにこの種問題については、別の権威ある人方の公正なる分析結果も参考にしながら、その上に立って問題の結論を見出していくということが、私は、科学は真実を追求するものでありまするから、科学者はやはりあくまでも真実の上に立って進んでいくということでなければ、問題の公正な処理はできぬのじゃなかろうか、こういう気持ちを持っておるので、私はあらためて、厚生省が七つの点を約束しておるが、今後ともひとつこの七つの点の実行について御努力を願いたい、このことを強く要望として申し上げておきます。
 時間がまいりましたので、残念でございますが、これはひとつ労働省に希望として申し上げたいのでございますが、公害防止の一番いい方法は、発生源で公害防止措置を講ずることだと思います。職場の安全衛生面について徹底を期する、有害な物質の排気、排液を処理するということが、地域の大気汚染なり水質汚濁を防止することだとこう思うのです。
 先ほど質問の中にお答えとして出ておりますが、労働省が近く労働安全衛生規則改正案を中央労働基準審議会に諮問し、労働者の保護、公害防止の観点から、有害物質の規制強化に乗り出したということは評価いたします。しかしながら、昭和二十二年以来この安全衛生規則が今日までそのままになっていたということは、この激しく変わっていく情勢の中で、この一番大事な安全衛生規則の問題が二十何年間もそのままであったということはこれは驚きますね。しかし、驚いていてもしようがございませんが、ひとつ今後、この結論が出ましたならば、有害有毒物質を明記し、抑制措置、排出処理措置、大量漏洩防止措置を講ずるというようなことでございますが、問題は、せっかく規則を改正いたしましても、日常その規則のとおりに職場の安全衛生管理が行なわれておるかどうかということを厳重に指導監督するところに、私は一番大きな問題があろうと考えておるわけです。その面において、けさほど来第一線の監督官の増強の問題等が言われておりましたが、この問題については、ひとつ十分留意されて、問題が起きてからあわてて世間をごまかすということじゃなくして、ひとつ日常から職場の安全衛生面の管理、労働者の生命、地域住民の福祉がほんとうに守られるように御努力を願いたい。このことを私は労働大臣から強く約束していただきたいと思うし、労働大臣の約束の前に、私はもう一つだけ基準局長にお尋ねいたしますが、これはやはり中村登子さんですね、労災保険の適用をするように配慮すべきだと思うのです。何かお話によれば、二月十二日かに御家族の方に来ていただいて、いろいろ話もお聞きになったようでありまするが、御家族の方にも、労災保険の申請をするように、これは親切にお話しをなさることがいいんじゃなかろうかと、こう私は見ておりますが、そのようなことも、二月十二日の家族の方とお会いになったときにお話しなさっておるのかどうか、これが一点。また、なぜ労災保険の申請をなさらぬのかということを、私はむしろふかしぎに思うわけでありますが、どうか、そういう点においては当然これは労災保険ということになりましょうから、そういうことでお話しなさったらどうですかという問題。
 それから、ついでに通産省にお尋ねいたしますが、特に通産大臣は、企業内部に監視体制をつくることを法制化したい、こういうようなことを先般来お話しになっておりますが、私はやはり公害管理者というようなものを法律的にも制度としてつくることが大事じゃなかろうか。まあ荘局長は、鉱山保安については直接の責任者であるし、鉱山保安法の鉱山保安管理者、こういう思想というものは、特に今日の化学産業等々においては当然必要になってきやせぬかとこう思うが、通産大臣のいわゆる監視体制を法制化する問題についてどの程度作業が進んでおるのか、この点もあわせお答え願いたいと思います。両者のお答えのあと、労働大臣の、私が先ほど申し上げました希望意見に対しての所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#257
○岡部(實)政府委員 二月十二日に監督署の者が御家族にお会いしたときには、労災保険で請求をされる道がありますということは申し上げました。ただ、労災補償保険の業務上の認定ができるかできないか、この問題については、申請が出た上で慎重に検討しなければならぬと思います。
#258
○田畑委員 出すというお話ですか。
#259
○岡部(實)政府委員 出すことは出していただいて、当然請求権はございます。
#260
○莊政府委員 工場、事業場ごとに公害管理者の設置を新しく法律で義務づけまして、公害防止の仕事の義務づけを行なうということで、今国会に提案を目ざしていま法案の作成に入っておるところでございます。
#261
○野原国務大臣 先刻来御指摘の点でございますが、労働省は特にこの問題、今後の公害対策の問題といい、あるいは保健衛生の問題、全力を尽くして御期待に沿いたいというのが今後の方針でございます。
#262
○田畑委員 終わります。
#263
○倉成委員長 寺前巖君。
#264
○寺前委員 私は、被災住民の皆さん、あるいは労働省の皆さん方が、全国の公害をなくそうという人々の努力の中で、今日安中問題が大きく追及されてきておる、これに対していま明確にしなければならないことは、現状は一体どうなっているのか、過去はどうなったか、今後はどういう補償をするのか、いままで被害を受けてきた人々あるいは財産に対してどういうような処置がされているか、これをどう改善しなければならないか、こういう問題について追及することが今日きわめて重大な問題だと思います。しかし、私に与えられた時間は二十分でありますので、残念ながらいま直面しておられる住民の皆さん、職場の皆さん方が、安心しておれる状態にあるのかどうか、この点にしぼって質問をしたいと思います。
 先ほど参考人としておいでいただきました大塚さんのお話を聞いておりましたら、朝方においがしてくるという現状のお話をしておられました。依然として不安な状況にあるというような印象を私は受けました。これについて通産省の方にお聞きをしたいと思います。
 過般、日本科学者会議が、会社側の四十三年十一月に出された資料によって研究をしてみると、その当時あの亜鉛華の生産工程における工場から出てくるところのカドミウムの排出状況というのはどういう状況にあるか、その数字を私は見せていただきました。それによりますと、毎月一四・六トンというカドミウムが排出される状況になっておる。これは計算上のあれです。これはどういうことになるかというと、まさにたんぽが約百五十町歩にわたって土壌一〇PPMという汚染状態になるという数字を示すことになる。私はたいへんな数字だと思います。この状況下においての生産の資料を、四十四年の厚生省の資料によって調べてみました。そうすると、四十四年の厚生省の資料によると、一番高い浮遊粉じんのカドミウムを出しておる状況、その数字は、工場の煙突の南南西百メートルのところで〇・四八マイクログラムパー立米という数字になっております。これは一九六九年五月二十三日から三十日の間の八時間の平均値として出されております。その後通産省のほうに資料が出され、そしてお金をかけて改善をされた、こういうふうにいわれております。
 ところが、現地の住民の人は、今度出されたところの改善の数値によってどのように変わってきたかというその資料を通産省のほうに求めたところ、これは企業の機密の問題になるから企業のほうからもらってくれということでいただけなかった。企業のほうへ行ったら、企業のほうからもいただけない。そうすると、現状改善されたと言うけれども、一体どうなっているのかわからない。ただわかることは、相変わらず煙が出てきて、においの状態が悪い。どうも普通ではないということが依然として続いているようだ。さあ、こういう状況の中で、通産省として責任をもって納得できる、現状は心配要りませんという答弁がしていただけるのかどうか、私はその点について根拠を明らかにして聞かしていただきたいと思います。
#265
○莊政府委員 御指摘のございましたように、現在安中製錬所の改善工事を実施させているところでございます。それで、第一期の工事というのが昨四十五年の六月に一応終了いたしまして、その時点で粉じんの中のカドミウムの濃度――環境濃度でございますが、これを通産省で調査をいたしました。その結果は、基準の〇・八八ないし二・九三マイクログラムに対しまして、成績は良好でございまして、〇・〇三三ないし〇・四四マイクログラムという結果が一応得られております。それで、その後科学者協会のほうの御調査でこれよりも高い数値が得られているというふうなお話がございましたが、〇・四八と御指摘になったと思いますが、いずれも基準の中には入っているかと存じます。同じく第一期工事がほぼ完成した時期でございますので、この違いにつきましては、私はちょっと専門的にこの場で正確な御説明はいたしかねますけれども、気象条件でございますとか、あるいは観測点の置き方等によりまして、ある程度の環境濃度の測定差というのが出るやにも聞いておりますが、そういう事情があるのではないかと存じます。
 なお、一四・六トンのカドミウムが出ているような不安感が地元にあるというお話もございましたが、これは粉じんの総量のことではないかというふうに私伺ったのでございますが、現在安中製錬所の月産カドミウム量が大体五十トン程度でございますので、環境濃度の測定の結果から見ましても、排出量というのは、こういう大きな数字には現状においてはなっていないのではないか、こういうふうに思ったわけでございます。
 なお、第一期工事が終わったところで検査をしたということを申し上げたわけでございますが、大体今月一ぱいで第二期工事が終了いたします。その際にもう一度と県当局と私どもと共同で精密なカドミウム関係の調査を十分に行ないたいと考えております。
#266
○寺前委員 厚生省はどうでしょう。
#267
○曾根田政府委員 現地から得ております最近のデータによりましても、四十五年十月までのデータが参っておりますけれども、一応カドミウム濃度といたしまして、私ども要観察地域における行政指導の数値といたしております〇・八八ないし二・九三マイクログラム、その数値に比べますと、数値としてはだいぶよくなっておるというデータでございます。
#268
○寺前委員 大塚さんどうでしょう。いまの通産省と厚生省の見解をそのまま受け入れられるでしょうか。
#269
○大塚参考人 どうも東邦亜鉛というのは私にはどうしても信用ならぬのでございます。私も機械は使いませんが、ペーパーで調べてみたり、それから毎日私家にほとんどいないから、定時に家内等を使って見たところの煙突の煙の状況、風の強さ、煙の流れる方向、煙の量、こういったようなものをみな図をかいて毎日私は日記的に記録をしております。そして、何か検査があったときとか、あるいは視察者があるとか、検査官が来るとかという場合においては、先ほども九日の日に焼結炉が突然故障を起こした、こういうふうなことで、どうも正式に検査に来るというふうなことになりますと、何かコントロールしてしまうのではなかろうか。現にあそこに働いている工員の方に聞きますと、やっていると言っております。したがいまして、ここで私お願い−−お願いといってはあれでございますが、たとえば通産省あるいは厚生省等においてお調べになる際には、調査した日の生産量、亜鉛、鉛、カドミとか、それらをひとつチェックしてもらいたい。
 なお、この間もある人に聞きましたならば、月産一万一千六百トンの亜鉛を生産するためには、鉱石の含有量からして約二万四千七百トンの鉱石を必要とする、その中には約百トンほどのカドミが含まれている計算になる。そして、いま局長さんから申されたとおりになりますと、五十トンをつくっているというと、一体あとの五十トンはどこにいったのだろう、こういうことになるわけでございます。したがいまして、その日の生産量をチェックする。そうすれば投入の原料の状況がわかるのでございますから、きょうはそういう状況でガスあるいは粉じんの量がそれでこうだ、その日の生産量、かまに入れる量が多くなれば、当然これはガスあるいは粉じんの量が増加してくると思います。それをひとつしてもらわなかったならば、私はどうしても東邦さんのそういう数字が納得いかないのでございます。その点をひとつお願いいたしたいと思います。
#270
○寺前委員 農林省の方おられますか。あそこで県の蚕業試験場が桑の実験をやっていると思います。その桑の実験の結果から見てどういうことが言えるか、御存じだったら御説明をいただきたいと思います。
#271
○加賀山政府委員 桑の実験につきましては、県のほうから十分な報告をいただいておりませんが、私の聞いております範囲では、かなり桑の葉っぱが影響を受けて、それを食べた蚕が飼育の途中でかなり影響を受ける、そういう程度の報告を受けております。
#272
○寺前委員 私がこの間現地で見た状況によりますと、四つの形態を見ました。一つは四十センチほどの客土をやってビニールおおいをしてしまう、要するに土を全部かえてしまってビニールおおいをしてしまう、そうすると桑は育っている。これは私は一つの形だと思う。もう一つは、客土をした、しかしかぶせてない、土はかえてしまったけれどもかぶせなかった、・その後上から降ってくる、そういう状況の桑は育ちが悪い状態にある。もう一つの状態は、天地がえをやってかぶせなかった、これは完全に枯れている。土はいままでどおりでビニールもかぶせてない、要するにいままでどおりに置いてあるところ、ここも全く枯れている。これが私の見た実情です。これからいくと、生産の工程を改善したと言うけれども、依然としてカドミウムが被害を与えているというふうに私は見たのですが、大塚さん、どうでしょう。
#273
○大塚参考人 現にいまおっしゃったとおりでございます。ちょうど私ここへ持ってきておりますが、これは去年の春、山に植えた木でございます。これが全然つかないで枯れておるのであります。これは私の付近のカドミが大体一〇PPM以上ある地区でございますが、カドミの過剰によりまして根毛も出ない。したがって活着しないのでございます。このようにしてみな枯れてしまう。いま寺前さんがおっしゃいましたとおり、やはり私も現地におりましていまの四つのポット試験はちゃんと承知しておるのであります。あれは非常にカドミが多いために結局植えても、先ほど申したとおり、浅い場合においては根が出ない、つかない、こういうことになっております。
#274
○寺前委員 実は私は最近日本科学者会議の方々から資料の提供を受けました。先ほど通産省の方にも、それから大臣にも、厚生政務次官にもお渡しをいたしましたけれども、それは今月の二十日から二十一日にかけての現地の調査です。現地でハイボリュームサンプラーという機械を使って、非常に精密なフィルターを使って、そうして予備的な調査をやってみた。その調査をやってみたら、十九時五十分から一時五十分の間の調査、それから二時から八時までの調査、これは夜半です。そうして朝方の九時三十三分から十五時三十三分の三回に分けて調査をやりました。二回は場所は同じところですが、一回は違います。測定点が一点ですから、そういう点では確率度というのは低いです、風向とか、いろいろ状況が生まれますから。そういう悪い調査状況であるけれども、それにもかかわらず夜間の調査の結果が非常に高い数値が出てきたわけです。それはカドミウムの粉じん量が〇・八二マイクログラムパー立米、これは六時間平均値です。現地の人が朝方非常に悪いという問題を提起しておられることと、ここで出てきた数値の高さという問題が関連をしてきます。先ほど厚生省から毎月定期に調べておるところの資料を見ましたら、それでは八時間平均値ですけれども、全部〇・〇何ぼ何ぼという低い数字です。これに対して朝方の資料が出たら〇・八何ぼという数字が出てきておる。厚生省が、カドミウムによる環境汚染暫定対策要領というのを四十四年九月十六日に出しておられます。これによると〇・一マイクログラムパー立米というのは、大気中のカドミウム濃度はこれが直接に安全とか危険とかいうような影響の判断と直結するものではない。しかし〇・一マイクログラムパー立米以下が通常の環境の大気なんだということを言っておるわけです。すなわち、これが一定の基準だというのです。先ほどから出ておる〇・八八何とかから何ぼというこの数字は、瞬間的な問題であって、環境全体の場合は〇・一前後でなければ話にならないということをここに示しておると思うのです。それから見ると、朝方の六時間〇・八云々という数字が出てきておるこの事実は、私は現にあそこの地元の人が非常に危険な状態をいまだに続けている。桑の状態から見ても明らかにそういう数字だと思う。ですから、いまの生産様式をこのまま続けておっていいのかどうか、私は重大な問題だと思います。厚生省の調査にしても、先ほどの通産省の答弁にしても、朝方のその時刻はこういう現状にあるということの報告が一回もない。現地の人は朝方の問題を明確に提起しておられる。しかも、煙突と煙の出ている状況のこの長さを見たら、煙突の一・五倍ほど朝方になると煙がばあっと出ていますよ。生産はこの段階に新しい段階に来ていることはきわめて明らかでありませんか。私は、ほんとうに今日現地の人人の期待にこたえる仕事をするというのならば、労働省の皆さん方が、いまになって再度おとうさんやおかあさんの意見を聞いたり、現場の人たちの意見を聞いたり、そうして一から始まっての調査を始められたと思うのです。率直に自己批判をやって始められたのが、今日の――三つのこの間出されたところの勧告というのは、その立場に立たれたと思うのです。考えてみたら、あんなことは早く調査をやればわかっている話ですよ。いまになってわあわあ言わんならぬ性格じゃないですよ。私はちゃんと聞いておるのです。そんなあなた、臨時工、組夫に対して調査をやらなかったという事実なんかは、とうの昔に監督官は知っておるはずですよ。それをいまになって言わなければならない。初めて、一からやり直したのでしょう。厚生省にしたって、通産省にしたって、一からやり直さない限りこの問題は解決しない。
 そこで、私は通産省に聞きたいと思うのです。まず新しい、たとえばさっき出ているところの亜鉛華の生産工程の施設の改善の申請を出した。あの内容がどういうものであるかということを、会社と打ち合わせをして――国民が疑惑に思っているんだから、前の資料によるならばあれだけのものが飛び出したんだ。もしも安心だというのならば、その資料を公開する必要がありますよ。これが一つ。
 それから、装置については、自動式の測定装置をつけて――通産省が来たらその日は生産を押えてしまうとか、そんなことにならなくてもいいように、昼調査やったら出ないけれども、夜になったら出てくるというようなことにならないように、自動測定装置をつけたらどうか。東京都で大気汚染について現に行なわれておることが、東京都でやれることが、政府がやれないというはずはないと思う。これははっきりやったらいいと私は思う。私は、通産省がほんとうに――今日まで労働者の中における被害も出ているし、また地域におけるところの大きな被害も与えてきている、この責任を感ずるならば、私は即刻そのような措置をとるべきだと思うのです。通産省の見解を聞きたいと思います。
#275
○莊政府委員 安中関係の大気及び水の通産省の検査結果のデータにつきましては、実は私が公害保安局長を拝命いたしました昨年の七月以降も地元の代表の方々とお目にかかったこともございますけれども、その際にもその席で御要求ございまして、データは皆さんの前で御披露をいたした記憶が実はございます。それで、測定についてどうも二十四時間もっと正確にやるべきじゃないか、明け方になったら数字が上がっておる、基準の範囲内であるにしても〇・八という比較的高い数字が出ておるから、これは検査のやり方を根本から考え直すべきじゃないかという御指摘がございましたが、伺いまして私も全く同感でございます。従来、昼間やっております。これからは昼間だけではなくて、一日のうちの主要な時間にずっとわかるようにやはりくふうして、当然考慮してやるべきことだと思いますので、この点はさっそく改めさせていただきたいと思います。
 それから、自動測定機の問題でございますが、公害関係いろいろこれからは自動測定を必要とすると思いますが、現在のところ大気関係で技術が開発され、製品化されておりますのは、亜硫酸ガス関係は相当精度の高いものが開発され利用されておることは御案内のとおりでございますが、粉じん中から重金属を抜きましてそれを集めるという関係は、現在も相当複雑な装置を使って、熟練者がついてやっておるというふうな状況でございまして、当然こういうものも今後の技術開発の課題として強く要請されておる問題だというふうに存じますけれども、現状においては、直ちにこういうものをつけることははなはだ困難である、こういう残念な状況でございます。通産省としては、こういう機器の開発の面につきましても当然責任があるわけでございますので、こういう点について一段と努力するようにぜひやりたい、こういうふうに考えております。
#276
○寺前委員 それじゃ私はもう一つ通産省に聞きたいと思います。
 明らかに高い数値が、予備調査ではあるけれども出た、こういう現実の不安な状態のままで続けておくわけにはいかないでしょう。そうすると操業問題に直ちに検討を入れなければならないと私は思うのです。したがって、その不安を除去するためにも、現地の被災住民の代表、それから被災住民が選ぶところの科学者、そういう人たちを含めて、資料を提出して、そうして公開のもとにおいて安全だということが確認できることを、今日緊急にとらなかったならば、安中の市民は安心して生活が送れないという実態にある。これに対してどういうふうに思いますか。
#277
○莊政府委員 先ほどの明け方の数字、〇・八二マイクログラムあったというのは、確かに比較的高うございますけれども、国でいまカドミウムの暫定基準としてきめております環境濃度というのが〇・八八ないし二・九三ということは、先ほども御指摘がございましたが、この基準に照らして考える限りにおきましては、もちろん基準には十分合格しておるかと存じます。ただし、今後この安中製錬所、現在認可を取り消しておる設備がある、能力のものが眠っておるわけでありまして、地元のほうでも、これが一体どんな条件のもとでいつ動き出すのか、再認可されるのかということがたいへんな問題だということを、私も大塚さん御自身からも伺ったことがございますが、当然いま第二期の工事もさせておるわけでございますが、この工事ができ上がりましたならば、私ども通産省としては、県当局と共同で、先ほど明け方云々という御指摘もございましたが、そういう点も十分配慮いたしまして、自信のある検査を十分やらしていただく、その上でものごとを判断する、かように考えております。従来からも検査結果につきましては、御要望のございました際にはその数字は実は申し上げておるわけでございます。
#278
○寺前委員 私の聞いた質問に答えてください。住民の方は、出してもらわなければならない資料をもらわなかったら計算もできないじゃないか。調査のやり方についても、自分らが信用できるところの科学者を一緒に含めて立ち入り調査をさしてもらわぬことには信用できないということを言っておられる。とすると、これを組み入れることをやらなかったならば――現にたまたまやってみたらこういう数字が出てきておる。こんなものは軽いのだというわけにいかぬでしょう。これが六時間平均値として朝方ずっと行なわれていることは重大だということを大塚さんも言っておられるのじゃないか。そうしたら、これに対してあなたは責任をもって――今日まで通産局が指導が悪かったためにたくさんの被害者を出してきておるのだから、今後はそうさせないためにも、当然そういうふうに必要な資料を出さして、立ち入りの検査もやれるように会社と一緒になってちゃんとさせましょうという約束をしなければ、現に不安な生活を送らしておるということになるじゃありませんか。その点に対してどういうふうに責任をとりますか。明確にその点を答えてほしいと思います。
#279
○莊政府委員 安中製錬所の問題につきましては、監督上の大きな不手ぎわもございまして、過般、うちの大臣も予算委員会で、当時の監督検査というのは非常に不十分であったという点を率直に反省し、おわびを申し上げておるような次第でございますけれども、今後われわれ検査一つにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、念には念を入れて十分な検査をぜひ行なうつもりでございます。今後の検査につきましても、地元、県といまお話しいたしておりますが、共同の形で厳正な検査を実施いたす所存でございます。その結果は必要に応じまして地元の方にも公表をする。県、通産局とも公表していくという考えで現在考えておりまするので、われわれ過去において足りなかった点は、重々反省いたしましてつとめるわけでございますので、国と県の検査の結果をひとつお待ちいただきたい、かように考えます。
#280
○寺前委員 それじゃ、その公表の内容の一つになるわけだけれども、被災住民のほうから要求している資料について、早く公表することによってこの問題について安心してもらえるようにしなかったら、安心してあそこの町で生活できないと思いますけれども、私はこのまま操業さしておくことは不安でしようがない。これは私は一にかかって通産省の責任だといわなければならぬと思います。
 終わります。
#281
○倉成委員長 この際、本委員会の審議の経過にかんがみ、委員長から政府に対し、本件に関する要望をいたしておきます。
 東邦亜鉛株式会社安中製錬所元従業員の遺体から高濃度のカドミウムが検出されたと伝えられていることは、関係労働者はもちろん、周辺地域の住民に対しても、強い衝撃とぬぐいがたい不安感を与えているところであります。
 このため、遺体中からの高濃度カドミウムの検出という事態の究明を急ぎ、さらにカドミウム汚染対策に関する関係行政機関の従来の取り組み方について、この機会に強く反省し、今後の対策に万全を期することが急務であると考えます。したがって、次の諸点につき強く要望いたします。
 一、労働省においては、カドミウム取り扱い事業場において、作業環境の整備改善を急ぎ、カドミウムの吸入または経口摂取による健康障害の生ずることのないよう万全の措置を講じ、また、カドミウムに関する特殊健康診断の実施を励行するよう監督と行政指導をさらに強化すること。
 二、厚生省においては、カドミウム中毒要観察地域の全住民に対する健康検査を励行させること、またこの際、立ちおくれているカドミウム環境汚染対策に抜本的な再検討を加え、人の健康と生活環境についての万全の施策を早急に確立すること。
 なお、環境衛生の確保の見地から、農林省とも密接な連携をとり、前国会において制定された農用地の土壌の汚染防止等に関する法律の施行にあたり、真に実効性のある措置を講ずること。
 以上であります。
 大塚参考人には、御多用中御出席いただき、まことにありがとうございました。
 次回は明二十五日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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