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1970/03/18 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第12号
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1970/03/18 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第12号

#1
第065回国会 社会労働委員会 第12号
昭和四十六年三月十八日(木曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 倉成  正君
   理事 伊東 正義君 理事 佐々木義武君
   理事 増岡 博之君 理事 粟山 ひで君
   理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君
   理事 田畑 金光君
      有馬 元治君   小此木彦三郎君
      梶山 静六君    唐沢俊二郎君
      小金 義照君    斉藤滋与史君
      田川 誠一君    田中 正巳君
      中島源太郎君    松山千惠子君
      箕輪  登君    向山 一人君
      山下 徳夫君    渡部 恒三君
      大原  亨君    川俣健二郎君
      小林  進君    後藤 俊男君
      八木  昇君    山本 政弘君
      古寺  宏君    渡部 通子君
      西田 八郎君    寺前  巖君
      松本 善明君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
 出席政府委員
        文部省大学学術
        局長      村山 松雄君
        厚生政務次官  橋本龍太郎君
        厚生省公衆衛生
        局長      滝沢  正君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省薬務局長 武藤g一郎君
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        厚生省児童家庭
        局長      坂元貞一郎君
        厚生省保険局長 戸澤 政方君
        厚生省年金局長 北川 力夫君
        社会保険庁年金
        保険部長    八木 哲夫君
 委員外の出席者
        厚生省薬務局薬
        事課長     山高 章夫君
        農林省農政局普
        及部調査官   井上 政行君
        参  考  人
        (年金福祉事業
        団理事)    實本 博次君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十八日
 辞任         補欠選任
  八木  昇君     大原  亨君
  寺前  巖君     松本 善明君
同日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     八木  昇君
  松本 善明君     寺前  巖君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第三一号)
 理学療法士及び作業療法士法の一部を改正する
 法律案起草の件
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○倉成委員長 これより会議を開きます。
 厚生関係の一基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。川俣健二郎君。
#3
○川俣委員 重要な法案審議の前に一般施策で質問の時間をいただきましてありがとうございました。
 私は、東北秋田の選出であるだけに、地元に非常に関心の深いものだけを二つ三つ取り上げまして、当局の姿勢を伺っておきたいと思います。
 まず例のBHC、DDT、これがはたして人畜に害になるかどうかという長い論争があったわけですけれども、それが厚生省当局としては、いま現在どのように害毒かどらかということを受けとめておられるか、それを伺っておきたいと思います。
#4
○橋本政府委員 川俣先生せっかくのお尋ねでございますけれども、実は不意の御質問で、政府委員が各委員会等に散らばっておりまして、関係の政府委員が全員来ておりませんので、私の存じておる範囲内でお答えを申し上げたいと思います。
 いま先生御指摘になりました有機塩素系の一連の農薬というものは長期の残留性もある。言いかえれば、非常に分解しにくい農薬であるということで、従来から人体にもその慢性毒性が心配をされ、御承知のとおり公害国会において御審議を願いました農薬取締法等関係の諸法の成立を見ました今日で、有機塩素系農薬というものの使用を禁止に踏み切ったわけであります。現在、これはあくまでも推計でありますが、有機塩素系農薬のまだ使用されずに残っておるものが約一万トンあるいは一万トンを多少上回る程度国内に残っておるように私どもは承知をいたしておりますが、これの現在一番問題になっておりますのが、処理を今後どのような形で廃棄処理をしていくか、これが実は現在農林当局と厚生当局との間で一つの問題点であります。
 有機塩素系農薬というものの慢性毒性というものあるいは人体影響そのものについては、私どもは問題のものであることはよく承知をいたしておりますし、その点は農林当局も御承知の上で農薬取締法を施行せられることになったわけであります。
 現在農林省のほうから各都道府県関係機関を通じて通達を出されましたのは、私どもの知っておる範囲では、地下埋没方式等を含む処理方式を通達をされたようであります。その通達を出されました後に、厚生省環境衛生局のほらにその写しが回覧をされてまいりました。ただ、農薬として散布をしただけでも問題のあるものを、地下に大量に埋没することがはたしてその処理の方式としてベストなものであるかどうか、私どもには少々懸念がございます。逆に、今日もしそういう方式をとられた場合に、われわれとしてどのような点を注意し行政指導を行なっていかなければならないか、そうした点についての論議をいたしておるさなかであります。
 たいへん申しわけありませんが、いま政府委員がそろっておりませんので、私の存じておる範囲内でお答えを申し上げます。
#5
○川俣委員 局長は……。
#6
○倉成委員長 川俣君に申し上げますが、薬務局長があとで来ると思いますので、BHCの種類にもいろいろあって専門的な問題があろうかと思いますので、薬務局長が来てからその質問をお願いしたいと思います。
#7
○川俣委員 同じようにいま非常に医学的に専門的に論争されておる中に例のスモン病がある。そこで、これもやはり私のところの秋田の住民の中に入っておる患者が非常に多いのです。いまのところは当局は、原因はどういうようなところにあるとお考えになっていらっしゃいますか。
#8
○滝沢政府委員 原因につきましては、ただいま最終的な結論は出ておりませんが、スモン研究協議会の四十五年度の研究発表が三月一日、二日にわたって行なわれ、その概要を会長から記者クラブ等に公表いたしました内容によりますと、キノホルムがスモンの有力な原因であるということにつきましては、かなり、八割近くキノホルムに対する原因説に傾いておりますが、実は九月からキノホルムの使用を中止したのでございますが、岡山地区等全国の患者の動静は六月ごろから下がり出しておりまして、疫学的にこの問題を取り扱っておる班からは、必ずしもスモンとの関係を一〇〇%あるものとは見ない、キノホルムを使用しない患者からもスモンが発生しておるということ等を並べまして、一応キノホルム説はかなり有力な原因とはなっておりますけれども、まだ最終的な結論はなっておりません。先生御指摘の秋田県におけるスモンの研究の中に、秋田衛生科学研究所の児玉栄一郎氏の農薬との関係についての論文が手元にございますが、これによりましても、結論といたしましては、農薬との関連というものをいま断定することはきわめて資料としては不十分である。しかもスモンは、御存じのように家庭の主婦、必ずしも農業と関係のない家庭の主婦等に比較的多く出ておりまして、男性との比率は女性が二倍であるというようなこと、その他関連事項を整理してみますと、疫学的にも農薬との関係につきましては、まず一般の意見としては関連をつけることは非常に困難だという見解が有力でございます。
#9
○川俣委員 これも同じように決定的な原因説というのはまだつかめていないと思うのだけれども、一応、さしあたり去年の九月、秋口に販売を中止したということだけれども、その場合に、こういう種類のものがこれからじゃかじゃか出てくると思うんですが、販売中止させるという法的権限はどういうところからやらせるのか。
 それからもう一つは、販売だけを中止して、さっきのBHCの問題もそうなんですが、末端に売られて庭先に積んであるものも農薬の場合はかなりあるわけです。ところがこのキノホルム、いわゆる胃腸薬なんかそうですが、ああいったものの製造その他まで一切中止するという権限まで厚生省が持っておるのかどうか。どういうような法的権限で中止させるのか。そういったところをお聞かせ願いたい。
#10
○山高説明員 キノホルムの販売を中止させた点につきましての法的権限についてのお尋ねでございますが、キノホルムにつきましては、これはスモンの原因である疑いが濃厚であるということで販売中止という指導をいたしたわけでございます。販売が中止されておりますので、自然その製造のほうもとまっておるという現状でございます。
#11
○川俣委員 もう少し教えてもらいたいのですが、販売中止の行政指導ということにとどまるのか、絶対的に中止できる権限を持っているのか、その辺のところを……。
#12
○山高説明員 ただいまのところは販売中止の行政指導ということでいたしております。しかしながら、医薬品の毒性が明らかに問題があるということが確定した場合には、条理上当然製造の中止を命ずることができると思っております。
#13
○川俣委員 薬事課長、これからあなたはそういう面で社会的にかなり忙しくなると思います。そういう場合に、あなたの感じでは、常にこういうものがある程度医学的に専門的に決定的なものにされ、学説が出た場合は、おのずから自然とその権限を発効できるのだという権利をあなたがお持ちになったほうがいいと思います。どうですか、その辺あなた個人的な見解でけっこうです。
#14
○山高説明員 個人的見解ということでございますが、それは別にいたしまして、法律上明らかに問題がある場合には製造の中止ができるという、しかも法理上当然そうであるというふうに理解して仕事を進めてまいりたいと思っております。
#15
○川俣委員 そういう考え方であれば、今後私らも厚生省の権限なり能力なりを考えていく必要があると思います。
 それからもう一つは、BHCはまだおそろいになっていないとすれば、例のいわゆる胆礬ですが、硫酸銅がかなりこれから出てくると思います。鉱山には必ず胆礬があります。自然硫酸銅が出てきます。それが土壌にしみ込んだり井戸に入ったりします。こういった面からこれから厚生省は対処するというか理論武装していかなければだめだと思います。そういうことを私が考えておりましたら、急遽きょうの新聞ですか、鳥取県の硫酸銅と赤ちゃんの問題が出ております。これは現地のほうから報告が来ていると思いますけれども、厚生省ではどのように真相と原因を受けとめておるか、お聞かせ願いたい。
#16
○武藤政府委員 私もけさ新聞を見まして、さっそく鳥取県のほうにいま連絡をさせておりますが、現在のところまでの状況で御説明申し上げます。
 新聞記事にありますように、三月の十三日にこの赤ちゃんはなくなっているようでございます。この家庭は三十メートル近くに材木屋さんがございまして、この材木屋さんでは電柱の防腐用に硫酸銅の吹きつけ等をいたしておるようでございます。三十メートルでございますので、この家庭は常時井戸水によって日常生活を送っているようでございまして、これを経路として、母乳を通って赤ちゃんにこれが入ったのではないかという疑いがあるわけでございます。
 この間の事情につきまして調べましたところ、中村さんのお宅では三月二十日に井戸水の検査を保健所に依頼しているようでございます。ところが中村さんのお宅の井戸水は二・二六PPM、水道法ではたしか一PPMの規制だと思いますが、これをオーバーしているということで、保健所のほうでは使用の中止を勧告していたやさきだったようでございます。したがいまして、井戸水の銅の量とこの火葬にした赤ちゃんの状態からそれらしいような徴候が出たということで問題が起きたわけでございますが、こういう点につきましては、この赤ちゃんがなくなりましたところは鳥取の日赤病院でございまして、死亡原因その他その当時の状況を、いま鳥取県のほうで病院と連携を持ちまして詳しく調査をいたしている状況でございます。
 この硫酸銅につきましては、毒物及び劇物取締法で一応硫酸銅の固体につきましては対象になっておりますが、いわゆる水溶液等につきましては、慢性的な問題につきましては現在対象にはなっておりません。しかしながら、水質汚濁の観点から、こういう問題は今後厳重にやる必要はあろうかと考えております。
 ただ、総理府で例の水質汚濁防止法が立案されまして、さきの公害国会で成立しております。川の流域につきましての問題はこの法律で取り締まれますけれども、いわゆる地下水を通じてのいなかの家庭の井戸水というような問題につきましては、私もつまびらかには存じませんけれども、あるいは法律上のいろいろ問題点が出てくるのではなかろうかということでございますので、やはり広域的な慢性的な公害問題ということは今後とも相当注意していろいろな点を考えていかなくちゃいけないのじゃないか、かように考えているわけでございます。
#17
○川俣委員 そうなんだ。いろいろな点に注意し、厳重にと、こういうことなんだ。
 そこで、臨時国会の法律というのは、あなた方その法律でこれから行政指導をやっていくわけだし、取り締まっていくわけなんだけれども、やはりいま考えてみると、あれは不備だと思います。だけれども、一応国会を通ってしまったのだから、あれを最大限にあなた方は利用し活用しなければならぬと思います。硫酸銅というは鉱山に自然とできるわけです。あなたも鉱山に入っていくと、つららのように青くなって下がっているのが硫酸銅、胆礬と称するやつです。それが自然に入ってくるわけです。井戸水にも入ってきます。そこであなたは厳重にいろいろな点で取り締まっていく、こう言うのだが、この間でき上がった法律を最大限に利用してどのように取り締まれるのかということを聞きたい。硫酸銅というのは、この電柱と同じように、防腐剤にはどうしても使うものらしい。自然に生産していくし、それを企業化している会社もあるわけだから、それを中止するというわけにはいかないと思います。キノホルムの場合は、さっき局長が、薬剤会社につくるなということは、決定的になればそれは権限がある、こう言うのだが、硫酸銅の場合にはそうはいかぬのだ。いまのところは通産省にもそういう法律がない。そういう場合には、あなたが行政指導をやっていく場合に、いまの法律で最大限に利用してこれをどのようにやっていくか。これは井戸水を利用しておる地方が非常に多いだけに、あなたに見解を伺いたいのです。
#18
○武藤政府委員 鉱山等での排出物につきましては、やはり鉱山保安法等でいろいろきびしい規制をやっていく必要があると考えます。ただ厚生省が所管しております水道法では銅その他の重金属の規制を行なっておりますが、個々の家庭が使う地下水等にまではこれは及びません。したがいまして、保健所等は従来から、そういう地域につきましては水質検査の依頼がありました場合、あるいはいろいろ問題がありそうな場合には、積極的に水質検査等を慫慂しているようでございますが、とりあえずはそういう点を厳重に指導していく必要があるのじゃなかろうか、かように私は考えます。
#19
○川俣委員 現在はそういうことだと思います。ひとつ徹底的に水道法なりを利用、活用してやっていただくことを要望しておきたいと思います。
 そこで、政務次官にお尋ねしますが、結局こうなると、いまの通産省の管轄、それから厚生省の管轄、そうしてさっきの農林省の管轄等と考えられるが、今度は環境庁というのができ上がるとすれば、こういうような仕事は一切環境庁にいくのかどうか、そういったところを、もしあれができ上っておるとすればお示し願いたいと思います。
#20
○橋本政府委員 これはこれからでき上がる官庁のむしろ中身の問題でありますし、現に環境庁設置法が本院の内閣委員会でこれから審議をされようとしておる段階でありまして、細部にわたっては私どもまだ判然としない点がございます。御承知のとおりに、公害にかかる関係の水質行政というものは一切が環境庁に移管をせられ、しかし同時に、飲用水を確保すべく仕事をしてまいりました私どもの上水道行政、また終末処理にかかる建設省の下水道行政というものは、それぞれの省に残されております。そして環境庁のほうでのお仕事と当然からんでくる部分がございます。上水道行政そのものは、従来どおり私どもの責任で処理をしてまいることになると思います。
 なお、いま薬務局長から申し上げました状況報告の中に一、二抜けております点がございますので、追加をいたしますと、実はこの若桜町と申しますか、この現地には昭和三十四年から簡易水道が敷かれております。この問題になりました中村さんのお宅のあたりも当然簡易水道があるわけでありますが、中村さんの御家庭――私どもいま県を通して聞きました範囲でありますので細部はわかりませんが、何か昨年越してこられ、そしてつい最近から簡易水道に切りかえられたということでありまして、この点が私どもとしては非常に残念な点であります。それと同時に、これは本来通産当局からお答えをすべき点でありましょうけれども、新聞記事等から私ども判断をいたしまして、実はこの会社の硫酸銅の回収槽がいわゆる底抜け地下浸透方式をとっておるという点、この辺にも実は一つの問題点があろうかと思います。これが事実この工場の廃液処理にかかる原因から子供さんをなくしたといま推定されておるわけであります。こうした犠牲が出たこと自体非常に残念なことであります。むしろこれは私どもの省ばかりではなく、関係省庁とも連絡をし合いながら、将来こうした問題を起こさないように対策を立てていくことが肝心であろうとただいま考えておる次第であります。
#21
○川俣委員 いまの段階ではそういうことでしようがないと思います。
 それで、薬務局長見えておりますから、さっきのBHCの問題で政務次官からお答えがあったんだけれども、一体いま製造中止したとしても、まだ販売前で倉庫に積んであるもの、それから農協その他に散らばってあるもの、末端にあるもの、どのくらいの量になっておるとお考えですか。
#22
○武藤政府委員 私どもも新聞の情報ではなはだ申しわけございませんけれども、一万トンというふうに聞いております。
#23
○川俣委員 新聞の情報の一万トンしかつかんでないのか、薬務局長たるものが。
#24
○武藤政府委員 これは農林省のほうでいろいろ把握しておりますので、私どもでは実は十分把握しておりません。
#25
○川俣委員 そういうような態度で厚生省はいいのかな。農林省の管轄だとこう言うんだけれども、さっき政務次官が、これはたいへんだというので、BHCをいわゆる埋没方式でいいかどうか非常に論争していると言うんだ。農林省と対立しているわけだ。そういうような段階で、どのくらいのトン数があるのかもわからないし、そっちは農林省の問題だからというような考え方でいいのかな。
#26
○武藤政府委員 各省間の連絡を今後とも密にしていきたいと考えます。
#27
○川俣委員 塩素酸系だということでいま問題になっているのだけれども、クサトール、例のこの前に論争があった、林野庁がこれきりだということでヘリコプターでまいた除草剤ですね。あのクサトールもBHCと同じような考え方でもう中止の方向へ行こうとするのか、行政指導の態度をお聞かせください。
#28
○山高説明員 ただいまのクサトールでございますが、塩素酸ナトリウムの製剤でございます。農薬でございます。毒劇法の上では劇物になっております。農薬の使用につきましては、もっぱら農林省が使用なりなんなりを指導するようなことになっております。毒劇法では、市中に流通するこれらの製品を保管、貯蔵、取り扱い、譲渡、そういうものについて保健衛生上危害のないように扱う、そういう面から規制するたてまえになっております。いまお話しのクサトールを使用させるかさせないかという点は、農林省の所管になるわけでございます。
#29
○川俣委員 ところが農林省では、薬そのものに対する権威ぞろいは厚生省にいるんだ、厚生省にむしろおんぶしているんだ、お願いしているんだ、依頼しているんだ、こういう態度であると思います。まあ環境庁ができた場合は、さっき政務次官が言うように、どのようにそういう人方が、世帯が集まるのかわからないにしても、問題は、いま東北――どこでもそうだろうけれども、雪どけを利用して肥料を散布しようとしております。昔は堆肥であったわけですが、そこへこういうBHCとか金肥的なものが入ってきたわけです。堆肥が一ころ落ち込んだわけです。ところが、このごろまた堆肥をそりで運ぶ世の中になりました。そして、BHCというものはやっぱりだめなんだということになりました。かあちゃんのおっぱいにもBHCが出てくる、子供に悪いということで大騒ぎになった。そしてきょう業務局長が、一体何トンくらいBHCが倉庫その他に積まれてあるのかわからないとすれば、それからBHCを権限で完全に製造中止にできるのかどうか、どのようになっておるのか、その辺の資料を、あとでけっこうですからお示し願いたいと思います。
 終わります。
     ――――◇―――――
#30
○倉成委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案審査のため、本日年金福祉事業団理事實本博次君に参考人として御出席願い、意見を聴取いたしたいと存じ、ますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○倉成委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#32
○倉成委員長 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。松山千惠子君。
#33
○松山委員 私はこのたび提案されました国民年金の一部改正につきまして、その中にいろいろな問題点が含まれていると思いますけれども、これに関連して老人の福祉のための対策について二、三の質問を申し上げて、その基本的な政府の見解をお聞きしたいと思うのでございます。
 現在わが国はかつて見ない経済の成長発展を遂げまして、個人個人の生活もその中で非常に豊かになってきていると思うのでございます。もちろん、その間公害問題とか物価の問題等いろいろとその急激な高度成長に伴うひずみの生じている面も指摘されるわけでございますけれども、生活水準が著しく向上し、繁栄を続けていることは何人も否定することのできない事実であろうと思うのです。
 このような今日の繁栄をもたらしたものは何であったかと考えてみますと、これはほんとうに敗戦の廃墟の中から立ち上がって繁栄の基礎を築き上げた原動力は、実に私どもの親であり現在のお年寄りにほかならないわけであります。しかも明治、大正、昭和と日本の国が一番激しくしかも大きく移り変わる時代を苦労して生き抜いてきたこの先人たちの努力のあとが今日の繁栄に結びついていると思うのでございます。私は、このような繁栄の基礎を築かれたお年寄りのために、現在十分に国なり社会なりが報いているであろうかと考えるのでありますけれども、残念ながらそのように報いているとはっきり考えることはできない現状でございます。戦中、戦後を通じていわゆるその混乱期を苦労して生き抜いてきて、子供もようやく成長してやれやれと思うのもっかの間で、今度は老後の生活を心配しなければならない。これまでの生活に精一ぱいでそれほどのたくわえも持っていない、こういう現状に加えて、その社会的背景となっているのは、いわゆる技術革新を中心とする産業の合理化、近代化による就業構造の変化によって老人の働く場はいよいよ狭められ、それに伴う収入確保の困難さ、しかもそれにまた加えて、好むと好まざるとにかかわらず核家族の傾向は年々強まり、私的扶養意識はますます薄れていきつつあると感じられております。
 こうしたこのごろの社会の風潮は、老人の日常生活に非常な影響を及ぼして、その生活をまことに不安定なものにしております。一方、わが国の老齢人口は、医薬の進歩あるいは栄養の改善等によりまして、戦後数年たってから今日まで非常な増加を示してまいりました。昭和三十年には、総人口に対して六十歳以上の人口が占める比率は八・一%であったものが、昭和四十五年には一〇・七%となり、昭和七十年には一八・七%、さらに昭和九十年、現在十五、六歳の少年が六十歳に達するころには二六・六%となって、実に四人に一人が老人であると推計されるわけでございます。このうち六十五歳以上の老齢人口は四十四年には七%、これが六十年には九・九%、さらに九十年には二〇%、すなわち五人に一人は六十五歳以上の老人になってしまうわけであります。しかもこれらの老人が、働きたくても職場に受け入れられず、子供の扶養も十分には得られない。長年国家に、社会に、家庭に貢献をしてきた人たちが、子供には顧られず、国からも社会からも安定した老後の保障も得られない、こんな不安な毎日を老境に達してから送らなければならないとしたら、こんなみじめなことはないと思うのでございます。
 老齢人口の増加と社会情勢、経済情勢の変化を考え、現在の老人の置かれた立場を含め、将来に向かってだれしも僻けることのできない老後の問題をいかに保障し、いかなる対策をもって対処すべきか、これは実に大きな問題となっております。すでに一九七〇年代は「内政の年」だといわれているわけです。公害の問題も、物価の対策も、また私どもの生活環境を取り巻くもろもろの問題も、内政充実のためのたいへん大切な施策と思うわけでございますけれども、人間尊重の立場からいっても、この老人問題を一日もおろそかにはできないと私は思うのでございます。そしてまた、いみじくも佐藤総理は「福祉なくして繁栄なし」ということを早々と打ち出されているわけでございます。今回政府は子供の多い家庭に児童手当を支給されることになりました。私ども長年の懸案であったものを実施に踏み切られたわけで、これは厚生大臣あるいは厚生省の大英断を高く評価するものでございますが、私は、今後のわが国の将来をになう子供の問題と並んで、あるいはそれ以上に今日の繁栄を築かれたお年寄りに十分報いるために、または今後ますます増加の一途をたどるであろう多くの老人たちの老後保障制度の充実ということを、社会福祉実現の中心的課題として考えていかなければならないと思うのでございます。自民党としても、これまで国民皆年金の達成をはじめとして老人対策には特に力を入れてきたわけでございますが、以上のような状況を踏まえて、新たに老人対策小委員会を設けまして、総合的な老人対策を積極的に推し進めていくことになっております。
 このように老人問題がようやく政治の重要課題として登場してきているのでございますが、老人問題の主管大臣は厚生大臣であり、その仕事をなさる役所は厚生省に違いないのでありまして、私はこの際、きょうは大臣お見えになっておられませんので、政務次官からお答えをいただきたいのでございますが、第一に、今後老人対策と取り組む厚生省の御決意はどうであるか。新聞紙上で伺うところによりますと、内田厚生大臣は非常に老人対策への積極的な心がまえをお示しになっておられます。この場で私は大臣から直接その御決意をお聞きしたかったわけでございますけれども、政務次官から、厚生省として今後内政の最重要課題の一つとして老人問題を積極的に取り上げてその対策を展開されていくおつもりであるか、どういうお考えであるかをお聞きしたいと思うのでございます。
 第二に、老人対策は、単に年金問題にとどまらず、健康の問題、住宅対策、老後の生きがいのための施策等、いろいろと広範多岐にわたるものであり、総合的に施策を進めていく必要があると思うのでございますが、これも厚生省あるいは政務次官の御所信をお伺いしたいと思います。
 第三に、こうした諸般の情勢から考えてみて、四十六年度は具体的にどのような老人対策を取り上げようとされているのか。
 いま申し上げました第一、第二、第三、この三点にわたっての御見解を詳しく承らせていただきたいと思うのでございます。
#34
○橋本政府委員 参議院の予算委員会に大臣出席しておりますために、たいへん恐縮でありますが、私からかわりましてお答えを申し上げます。
 今国会再開勢頭の社会労働委員会におきまして、厚生大臣が、所信表明をさせていただきました際に、現在の社会情勢の変転に伴い、従来以上に老人対策というものを重視し、従来以上に力を入れていかなければならなくなったということをたしか申し上げたと私は記憶をいたしております。いま、松山先生の御質問の冒頭にありましたように、近年わが国の経済また社会情勢というものが、たいへん大きな発展を遂げてまいりましたその反面に、お年寄りを取り巻く環境というものが非常にきびしくなりました。その原因は、あるいは昔の家族制度のもとでありましたら、大きな家族の一員としてのしあわせな生活を送っておったであろうお年寄りというものが、いわゆる核家族化の波に押し流されて、お年寄りだけの生活をしいられる、あるいは扶養意識の変化に伴って、みずからの力でみずからの生活をつくり上げていかなければいけなくなりつつある。いろいろな問題点があろうと思います。
 それと同時に、いま御指摘の中にありましたような、老人の方々の全人口の中に占める割合が高まってまいった。そして、このままでまいりました場合に、近い将来、世界有数の老齢化社会をわが国が迎えなければならないという客観的な情勢と、こうしたものがその裏づけになっておると思います。
 こうした観点から、厚生省としては、従来以上に老人対策というものを省の最重点施策の一つとして取り上げて、総合的な、また計画的な推進をはかってまいろうと今日つとめておるわけであります。確かに、ひとり年金問題にとどまらず、老人対策ということばの中には多くの問題点が含まれております。それこそ、住宅問題もありましょう、また健康問題もありましょう、それと同時に、中高年齢層の方々の就職の問題もありましょう、社会保障いわゆる所得保障関係の問題あるいは健康や医療費の問題、住宅、老人ホームあるいは定年制、種々の問題点がその中には含まれております。そして、老人対策というものは、実は物だけで、たとえばお金だけをあるいは建物だけをつくっていけばそれで足れりとする施策でないことは、先生よく御承知のとおりでありまして、物心ともに伴ってまいらない限りは、完全な老人対策というものは生まれてまいりません。かつて西欧においても、老人対策というものがわが国より進んでいるといわれる国々において、高齢者の自殺の増加というようなことが非常に議論をされました。結局、金、物、それだけでは満たされない何かがお年寄りの中にはあったわけであります。私どもが、今日老人対策というものを考える上において、こうした点を見のがすわけにはまいらない、これが基本的な問題点であります。
 昨年九月に「豊かな老後のための国民会議」というものを開催し、これは若い人、子供さんあるいは現在壮年期にある方、一切の国民を含めて、老後問題に対する国民的な目標の設定の努力がなされてまいりましたほかに、十一月には、厚生大臣の諮問機関であります中央社会福祉審議会から「老人問題に関する総合的諸施策について」という御答申をちょうだいをいたしたところであります。これらの趣旨を尊重して、行政の中に取り上げていくことが私どもの今日の課題であります。
 そのため先般、ここにおります社会局長を中心といたしまして、厚生省の全省的な努力のもとに、老齢者対策のプロジェクトチームというものを発足させました。いま自由民主党においても、老人対策の小委員会を設けたというお話がございました。厚生省としても、全省的な立場で老人問題には取り組んでまいろうとしております。現在、健康管理及び医療施設、医療給付体系及び費用、所得保障、居宅のサービス及び福祉施設、それと同時に生きがい、この五部会を設けて、目下その推進をはかっておるさなかであります。
 具体的に昭和四十六年度において厚生省はどのような老人対策を講ずるかというお話でありましたが、少しこまかくというお話でありますので、多少細部にわたってお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、老齢福祉年金につきましては、年金額の引き上げ、扶養義務者の所得による支給制限及び戦争公務による扶助料等との供給の大幅な緩和を行なってまいりますと同時に、からだに障害のあるお年寄りについて老齢福祉年金の支給開始時期を早めるなどの措置を改善措置として講じてまいります。
 同時に、老齢者の医療の確保のために、健康保険制度の改正案において退職者継続医療給付制度というものを創設していくと同時に、七十歳以上の被扶養者の医療給付率を五割から七割に引き上げてまいりたい、こうしたことを取り上げております。
 次に、ねたきり老人対策としては、従来から白内障の手術を行なってまいりましたが、新たに脳卒中後遺症者の在宅における機能回復訓練を実施してまいる。いまお年寄りの半身不随等の大きな原因となっております脳卒中後のリハビリテーションというものを重視してまいりたいと考えておりますし、そのほかに特別養護老人ホーム等、大幅に整備をいたしてまいりたいと考えております。
 また、新たにひとり暮らしの老人対策というものを取り上げまして、相談電話というようなものを設置していく、及び疾病時の介護人派遣に関する助成をいたしてまいろうとしております。
 同時に、われわれは、働きたい、社会の役に立ちたいというお年寄りの声にこたえていきますために、新たに老人社会奉仕団というものの活動を助成してまいりたいというようなことを考えてまいりました。
#35
○松山委員 いま政務次官のお話の中に、老人の福祉の問題を考えてみた場合に、物質面の充実だけではだめである、精神的な面の充実こそ必要だという意味のおことばがあったわけでございますが、これはほんとうに私もそうだと思います。
 いまおっしゃいましたように、ほんとうに福祉施設の充実を――りっぱな施設の中で暮らしている欧米先進国の老人たちの中にも案外自殺者が多いということから考えてみましても、やはり老人にはほんとうの心の面での満ち足りた環境というものが一番必要なんだと思うわけでありますが、これにつきましては、やはり根本的には教育の問題とか、青少年には学校教育を通して、あるいはまた一般社会の人たちには社会教育を通して、そうした敬老の精神、ほんとうに老人を敬い、大切にし、また、ただ単にそういう大切にするとかいうことでなく、いまお話の中にもありましたような、老人にほんとうの意味での生きがいを与えるというようなことを、これは政府だけでなく、社会の人全体が、老いも若きも、金持ちも貧乏人も、一度は老境に達する運命にあるわけですから、社会全部がそうしたことに深い関心を持って、気持ちの上で老人にそういう面で対処していかなければならないのだということを痛切に考えさせられるわけでございます。
 ところで、今回の国民年金法の改正によりまして、たいへんいままでにない支給金額の引き上げが行なわれるわけでありますけれども、国民年金法は三十四年に施行され、三十六年に国民皆保険となり、国民皆年金、国民皆保険、この二つの制度が社会保障の大きな二本の柱として今日までいろいろ改善もされ、そしてまた、せっかく打ち立てられた社会保障の大きな二本の柱を私ども今後とも育てて完全なものにしていかなければならないと思うわけでございます。
 この中で最も問題となり、最も期待され、また最も要望の多いのが福祉年金であろうと思うわけであります。いままで、過去六年間にわたって毎回改善が行なわれてきておりますけれども、今回はこれまでにないような三百円という引き上げが行なわれたわけで、厚生省としても非常にお骨折りだったと思うのでありますが、ただ、政府としてもこれで十分とはお考えになっておられないのでしょうと私は思います。対象者が高齢の老人、重度の障害者あるいはまた母子家庭といった国の援助を特に必要とする人たちでありますから、今後もさらに一そう改善して、給付額を引き上げるように努力をしていただきたいと思うのでございます。
 国民生活の向上を老齢者の年金にも反映させていくことが基本的には必要であると思いますが、特に福祉年金の引き上げに関して私が心配になりますのは、最近の物価の値上がりでございます。年金がせっかくアップされましても、物価の上昇でこれが帳消しになってしまっては何にもならないと思います。そして、今回の三百円の引き上げは厚生省が非常に努力してかちとった額ではありますけれども、ただいまの経済情勢、物価の値上がり、貨幣価値の低下している中でどれほどの潤いをこの老人たちに与えられたか。いろいろ考えてみますと、私は何かこれすら疑問に思えてくるのでございます。福祉年金の引き上げ幅と消費者物価の上昇とはどんな関係になっているのか。また、今後も引き続き改善をはかっていかれるお考えであろうと思いますけれども、その点を確認しておきたいと思うのですが、物価の上昇と福祉年金の引き上げ幅の問題、それからさらに今後改善されていかれるお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#36
○橋本政府委員 福祉年金の額につきましては、従来から消費水準の伸びあるいは物価の上昇等を勘案しながら極力その引き上げに努力をしてまいりました。そして、少なくとも物価の上昇を上回る改善だけは行ない続けてまいったわけでございます。今回の改正では、少なくとも従来の引き上げ額を大幅に上回る引き上げを行なったわけでありますけれども、従来を大幅に上回るといいながら、月額三百円という金額であります。確かに物価の上昇分だけは福祉年金の引き上げ額のほうが上回っておるということを申し上げられますけれども、現在の消費水準の伸びあるいは賃金の伸び等を考えてまいりますと、これは決して十分なものだとは申せません。今後とも私どもとして福祉年金の全額引き上げをはかってまいります際に、経済扇情の変化そのものを勘案しながら努力をしてまいりたいと考えております。
#37
○松山委員 次に、福祉年金について要望というか苦情が一番多いのは、所得制限の緩和の問題でございます。特に扶養者の所得による制限はできる限り緩和すべきではないかと私は思うのでございます。
 私の知っている一例を申し上げますと、すぐ近くに七十三歳になるおばあさんがいますが、この人は一昨年までは老齢福祉年金をもらっていた。ある日全く何の前ぶれもなく、理由も明示されないで突如として支給停止の通知が来たわけであります。非常に驚いて年金課や何かへ問い合わせましたところ、むすこの給料がちょっと上がっただけでもってこれが打ち切られてしまった。いままで――当時は月額千七百円か千八百円だったと思いますけれども、それがその老人にとっては唯一の収入であって、非常に楽しみにしていたわけでありますが、むすこの給料がちょっと上がっただけでもってこれが打ち切られてしまった。そして自来、いままで毎回出ておりました老人クラブの会合へも顔を出さなくなり、また年に一回か二回の旅行を老人クラブでするときには喜々として参加をしていた老人が、それにも全然出てこなくなった。むすこにそのための費用を出してくれということも言いにくい、そんなようなことで何かすべてが非常に消極的になって、外へも出ないし、家の中にこもって暮らすほんとに暗い老人になってしまったということでございます。
 こういうような例はほんとうにたくさんあると思うのですけれども、私はやはりむすこやなんかの扶養者の所得制限は、相当高額の場合を除いて原則としては行なうべきではないと思うのでございます。むすこと親と同居して扶養されているという形であっても、実質的にはただ寝起きをして食べさせてもらっているということだけであって、お小づかいも十分にはもらえないし、言いにくいという老人がかなりいるのではないかと思うわけで、本人の所得はともかくといたしましても、むすこやなんかの扶養者の所得制限は、これは原則として行なうべきではないと私は思うのでございます
 核家族化の傾向は、厚生省の調査によっても、老人の夫婦だけで構成される高齢者世帯が十年前の昭和三十五年には全国で五十万世帯、それが四十四年には約百十万と、この十年間に二倍以上に増加しております。そして、同じ厚生省の高齢者調査では、四十三年の調査で老後の生計維持の状況について、六十五歳以上の老人の場合、自分の収入で暮らせると答えた人が三九%、六一%が自分の収入では暮らせないと訴えているわけであります。そして、先ほど申し上げましたように、子供と同居して表向きは扶養されている老人たちも、なかなかお小づかいも自由にもらえない、肩身の狭い思いをして、ほんとに孤独な精神状態に置かれているのが現状であります。
 核家族化の進行や扶養意識の低下それ自体については、いろいろと議論があると思いますけれども、とにかく私は、本人の場合はともかくとして、扶養者の所得による制限はできる限りゆるめていく、あるいはまた原則的にはこれは撤廃したほうがいいのではないか、そんなふうに考えているわけであります。今回の改善は、この制限をある程度大幅にゆるめるということを聞いておりますけれども、今回の扶養者の所得による制限の緩和でどれくらいの人がその恩恵を受け、年金を受けられることになるのでしょうか。それをひとつお伺いしたいし、それから今回の改正によってもなお制限されて対象にならない老人たちについては、今後さらに積極的に改善をされていかれるかどうか、それも伺わせていただきたいと思います。
#38
○北川政府委員 ただいま松山先生からの御指摘のとおり、扶養義務者の所得制限につきましては、やはりおっしゃったとおりのところが大きなポイントとして私どもも問題視しているわけでございます。今回の改正におきましては、従来は、前年から受給しておりました者が、扶養義務者の所得の向上により支給停止になるということがないように、引き続いて支給できるような線で考えておったわけでございますけれども、明年度におきましては、従来のそういう意味合いにおける引き上げ率というものをさらに大幅にアップをいたしまして、従来の引き上げ率の大体二倍以上に相当する三三%の引き上げを行ないまして、御承知のように百八十万円というふうにいたしたような次第でございます。
 これによってどのような改善効果が生まれるかというお尋ねでございますが、この結果、現在支給されている者でかりにこの改正がないものといたしますと支給停止となります者が約八万八千人と見込まれておりますし、また現在支給を停止されております者のうちで新たに支給される者が十一万五千人ということでございます。したがいまして、両方合わせまして二十万三千人が今度の改正によって新しくあるいは引き続いて今回の所得制限の緩和の効果として出てまいるわけでございます。なお、今度の改善によりましてもなお支給停止となる者が大体二十万近くあるものと私どもは推定をいたしております。
#39
○松山委員 先ほど政務次官のお話の中にもございましたように、今度の改正でからだの不自由なお年寄りには老齢福祉年金を一般のお年寄りよりも早く支給する、六十五歳で支給するということでありますが、このようなねたきりやそれに近いお気の毒な年寄りにこうした特別の配慮がなされたということは、私はほんとうにけっこうなことだと思います。せっかくこのようなあたたかい政策を実施したのでございますから、対象となる人には一人の漏れもなく支給してあげられるように御考慮をお願いしたいと思います。
 今回のからだの不自由な老人に対する対象年齢の引き下げによって、いわゆるねたきり老人のどれくらいの人たちが老齢福祉年金を受けることとなるのでしょうか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#40
○北川政府委員 今回の老齢福祉年金の早期支給の対象となります身体の不自由な老人の方々はおおよそ三万人でございまして、すでに障害福祉年金を受けております方々が約三万八千人ございますので、両方合わせますと六万八千人ということになります。ねたきり老人の数は六十五歳から七十歳までの年齢層では全体の二・六%ないし二・八八%程度で、約八万人と推定をされております。ただ、このうちにはすでに他の制度から障害年金なりあるいは老齢福祉年金なりを受けている方がございますので、今度の所得制限の緩和によってなお福祉年金を受けられないという方々を除外いたしますと、今回の改正によっていわゆるねたきり老人の方々のほとんどの方々に年金が支給されるような結果になるのではなかろうか、このように考えております。
#41
○松山委員 ねたきり老人の問題が出たので、この機会にちょっとお聞きしたいのでございますけれども、いわゆるホームヘルパー、この家庭奉仕員が一人住まいの老人家庭やあるいはねたきり老人の身の回りの世話をしたり、老人のよき相談相手となって、さびしい老人にせめてもの心のともしびとなっていることは、私はほんとうにありがたいことだと思っているのでございますけれども、この家庭奉仕員が今回何か二百人増員されて六千百人になると聞いております。この六千百人の家庭奉仕員がフルに活動してその対象者を十分にお世話できるだけの充足率を持っているのかどうか、それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#42
○加藤政府委員 ホームヘルパーの問題でございますが、老人の家庭に対しまして現在おります家庭奉仕員が、先生御指摘のとおり六千三百人でございます。四十五年度は六千百人でございまして、二百人増加したわけでございます。
 それでこの数でいいかどうかということでございますが、私どもといたしましては、老人対策といたしましては、一つは、できるだけねたきり老人につきましては特別養護老人ホームを増設いたしましてその中に収容するというのを第一に考えたいと思います。現在特別養護老人ホームは百十カ所ばかりございますが、これはできるだけたくさんつくっていくということを今後やってまいりたいと思いますが、同時にまた、そこに収容し切れない方々もあるわけでございます。あるいはまた、家庭におることを望まれるねたきり老人がおられますので、そういうねたきり老人が全体で四十二万といわれておりますが、そのうちでこういう老人家庭奉仕員を差し向ける必要性のある老人は大体十四、五万という数字が出ております。そういう意味からいきましても、この六千三百人ということは数としては非常に不十分でございますので、少なくともこれの倍以上の老人家庭奉仕員というものを将来できるだけ早く養成していくということが必要だろうと思います。
#43
○松山委員 ついでにお聞きしたいのですけれども、そのホームヘルパーの給与とか手当、報酬、そういうものはいまどれくらいになっているのでしょうか。県と国ですか、どういう割りでどういうふうになっているのか、ちょっとお聞きしたい。
#44
○加藤政府委員 老人家庭奉仕員の給与は四十六年度で月額二万三千九百円でございます。それで四十五年度が二万一千二百円ということで二千七百円ばかりアップしたわけでございますが、しかし現在だれか一人人を頼むと少なくとも一日二千円はすぐ取られるということを考えますと、これは非常に低い待遇でございます。私どもといたしましては今後これを相当大幅に引き上げていく、特に老人対策に占めます老人家庭奉仕員のウエートというのは私どもは非常に大事だと思います。それでヨーロッパ、イギリスその他におきましては、この老人家庭奉仕員対策に相当重点を置いておりますので、この充足、それから処遇の改善ということにつきましては今後も努力いたしたいと思います。
 この負担割合につきましては、国と都道府県、大体半々の、折半の負担ということになっております。
#45
○松山委員 いま局長のお話で、ねたきり老人はなるべく特別養護老人ホームですか、特養に収容したいというお話でございまして、ほんとうにそういうふうに全部施設にはいれるというふうになればこれは理想的だと思いますけれども、いまのところ全部の社会福祉施設が老人の人口に対して一%とか聞いております。そういう状態で、とてもこれは近い将来においては望めないことではないかという気すらするわけでございますが、やはり居宅老人、家の中にいて動けないでいる老人が非常に多いわけでして、いまおっしゃいましたようにこのホームヘルパーの充足ということはほんとうに考えていただきたいし、それには適当な給与を支給して、そうしてほんとうに優秀で心のやさしい家庭奉仕員によって老人の身辺が守られていく、そういう形をぜひ私はお願いしたいと思うのでございます。
 いまのホームヘルパーの給与の問題ですけれども、常勤と非常勤とございますね。非常勤の場合はどういうふうになるのでしょうか。
#46
○加藤政府委員 ホームヘルパーの実態でございますけれども、これは要するに地方公共団体の職員である場合と、それから都道府県市町村の社会福祉協議会というのがございますが、その社協の職員の場合と、両方あるわけでございます。しかもそれが常勤職員である場合と非常勤職員である場合ということで、実態はいろいろ違っております。さっき申し上げましたのは、一応予算で計上いたしておりますときに組んでおりますその予算単価でございますけれども、これは実態によっていろいろ違っておるわけでございまして、たとえば大府県、東京都などのように都の正規の職員としているところは非常に給与が高いという実態もございまして、また非常勤のところは非常に安いということで、これは千差万別と申しますか、非常に格差が大きいという点があるわけでございます。安いところは二万円ぐらいのところもあるわけです。そういうことで、私どもこういう非常勤職員をできるだけ常勤化していくという方向に指導していく必要があろうと思います。
#47
○松山委員 いまの家庭奉仕員の給与の問題と、それからもう一つ、老人クラブというのがいま老人には非常に喜ばれて、そこへ行って同じ年代の人たちとの交流の中で、ほんとうに心の触れ合いを感じ、心の慰めを得ていると私は思うのでございます。この老人クラブとか、あるいはまたいまの家庭奉仕員とかの国の負担額、この基本額をもっと上げてもいいのではないかと思うのですけれども、そういうお考えはないでしょうか。
#48
○加藤政府委員 老人クラブは現在大体七万ぐらい全国にあるわけでございます。私どもといたしましても、老人の生きがいを高めていく上におきましても、できるだけこういう老人クラブを今後とも助長していきたいというぐあいに考えております。それで予算で申しますれば、老人クラブの助成費は四十五年度は三億九千万でございましたけれども、それを四億二千万に増額しているという措置も講じておるわけでございます。三千万程度の増額でございますが、今後とも老人クラブの数をふやすということと助成費の増額ということには努力してまいりたいと思います。
#49
○松山委員 先ほどから老人対策の全般にわたって厚生省の御決意も承ったわけでありますけれども、老人問題という面から見てみますと、六十五歳以上の老人約七百万のうら、厚生年金や共済年金といった拠出年金を受ける人が五十万で約七%であるのに対して、老齢福祉年金を受けている人が二百八十万、約四〇%にのぼっております。現実に三百万人近くのお年寄りが受給しているこの福祉年金を改善充実することが老人対策の目下の大きな柱になると私は思うのでございます。ことしから支給の始まる十年年金ですか、これが六十五歳から月に五千円ずつ支給されるということでありますから、さらにそれよりも高齢の七十歳以上の人に支給される老齢福祉年金についてはもっと大幅に引き上げてもいいのではないか、ぜひそういうふうに持っていっていただきたいと思うのでございます。それからまた、福祉年金には所得制限とか支給の範囲なりでいろいろろな制約があるのでございますけれども、これも今後廃止したり緩和したりしていっていただきたいと思うのでございます。
 老人問題がだんだん深刻になり、対策の必要が叫ばれている今日、年金受給者の多数を占める福祉年金の大幅な改善充実をはかることこそ目下の急務であると思います。福祉年金の財源は全額国庫負担でありますから、財政上の制約があることもよく承知してはおりますけれども、私はこれをいろいろの面から考えてみまして、たとえばある程度年次計画的にでも改善をはかることができるのではないか、そういうような見地からひとつ御検討を願ったらどうか、そんなふうにも考えているわけでございます。
 そこでこの際、年金額の問題あるいは所得制限の問題等、福祉年金の改善の方向についてもっと掘り下げた検討を加えて、すみやかにその充実をはかっていくお考えがおありでしょうか、ひとつ厚生省のお考えをお述べいただきたいと思います。
#50
○橋本政府委員 先生よく御承知のとおりに、福祉年金は拠出年金が受けられない方を対象にして全額国庫負担で支給されていく年金でありますけれども、現実に三百万人に近い多数の老齢者に支給されておる福祉年金というものが老人対策に占めておる役割りというものは非常に大きいことでありますし、従来からそうした点を考えながら改善につとめてまいりました。すでに制度発足後十年も経過し、いよいよこれから拠出制の老齢年金の支給が開始される時期を迎えた現在でありますし、あらためて福祉年金の中に内蔵されております諸問題を検討し、基本的な性格、また社会保障制度全体の中での位置づけ等について掘り下げて検討をしていく時期が参っておると私どもも考えております。
 そこで、国民年金審議会に昨年の十一月に小委員会を設けていただきまして、福祉年金の改善の方向について御審議をお願いをいたしました。現在その審議会の御審議の最中でもございますし、その御意見をも十分に承りまして、私ども今後の福祉年金の改善の指針としてまいりたい、そのように考えております。
#51
○松山委員 ただいま国民年金の改正と同時に国会に提出されております厚生年金の改正案では、最近の経済事情、特に物価の状況から、応急的に年金額を引き上げることとされておりますけれども、国民年金のうちの拠出年金についてはどんなふうにお考えでいらっしゃるか、それも承りたいと思います。
#52
○橋本政府委員 拠出年金の現在の年金額は、ちょうど昨年の七月に引き上げを行なった際、いわゆる夫婦二万円年金というものがようやく実現をしたばかりであります。実は四十六年度において厚生年金保険の改正をいたします際に、私どもでき得れば国民年金のほうもということを考えましたけれども、実際上の仕事の能力からいきまして、両制度一ぺんに上げるということも実はできませんでした。今後におきまして、拠出年金を含めて実質額の維持が十分できるように、社会保障の実効を保ち得るように、こうしたことを考えながら、国民年金の中における拠出年金の改善というものも検討してまいりたい、かように今日考えております。
#53
○松山委員 次に、今回老齢福祉年金、それからまた老齢福祉年金とともに支給金額の引き上げが行なわれることになりました母子年金あるいは準母子年金、また児童扶養手当などがあるわけでございます。経済の成長発展に伴いまして各個人個人の家庭も、物質的には経済的に潤ってきていることは事実であるとは思いますけれども、しかしこの母子家庭というのはなかなか生活力が弱くて、経済の成長からどうしても取り残されがちであると思うのですが、一時期よりはこの母子家庭もかなり国の恩恵を受けて生活水準も向上してきているとは思いますけれども、何にしても、かよわい母親と子供の家庭で、社会一般の経済の成長発展からは取り残されていくと思うのであります。児童扶養手当を受けているような母子家庭のいまの生活の実態、それからまた、母子家庭に対する現在の施策、こういうものについてちょっと伺わせていただきたいと思います。
#54
○坂元政府委員 母子家庭といわれるものにつきましては、ちょうど四十二年当時実態調査をしたものがございますが、当時の実態調査によりますと、大体全国に五十二万世帯ぐらいおるようでございます。
 母子世帯になった原因別に見ますと、そのうち七割程度がいわゆる死別母子世帯というふうにいわれておる世帯でございます。残りの大体三割近くが、離婚その他による生別の母子世帯、こういうような実態になっております。特に、収入別に見ますと、年収大体三十六万円以下というような世帯が全体の母子世帯の半数程度ございまして、生活保護の該当世帯になっているというような世帯が一割程度、つまり五万世帯ぐらいある、こういうような実態調査になっているわけでございます。
 そこで、そういうような実態を踏まえまして、いまお述べになりましたように、母子世帯というのが社会的、経済的に非常にハンディを持っていることは当然なことでございまして、私どもとしまして従来から、そのような母子世帯の持っておりますハンディをできる限り克服するように各種の施策というものを講じてきているわけでございます。児童福祉法なりあるいは母子福祉法なり、あるいはいま御提案申し上げております児童手当法なりあるいは国民年金法等各般の法律、制度等によりまして所得保障の体系をとっているというようなこと、あるいはまた、経済的な自立を助長するような施策というようなことで、御存じのように母子福祉貸付金制度というようなものも考えておりますし、また日常の生活相談等に親身になって当たってもらえるようないわゆる母子相談員等の制度等も、法律の根拠を持って実施をいたしておるわけでございます。
 それから、各種の母子福祉の施策としまして考えておりますのは、つまり、母子寮なりあるいは母子福祉センター、母子休養ホームというような施設を順次増設しながら、母子家庭の援助というものをやっているわけでございます。
 それから、御存じのように、就労対策、職業対策、あるいは住宅対策、あるいは税制面の優遇、こういうような各般の施策を総合的にやりながら、この母子家庭というものの経済的な援助、同時にまた、自立を促進するような方策というようなものをやっているわけでございまして、現在の施策というのが必ずしもまだ十分でないということは、仰せのとおりでございます。今後そのような観点から総合的に施策を講じながら、母子家庭というものの生活全体のレベルアップをはかっていくように努力いたしたい、かように思っておるわけでございます。
#55
○松山委員 母子家庭というのは、生別、死別を問わず、とにかく母と子が寄り合って、ほんとうにささやかな家庭を守っていくわけでありますので、今後とも、担当の厚生省におかれましては、格段のあたたかい御配慮をお願い申し上げたいと思います。
 次に、特別児童扶養手当、現在重度身体障害児、精神薄弱児それから重症心身障害児、こういう子供たちを対象にされているわけでありますけれども、ほとんどこれに準ずるような精神病とか結核とか心臓病とか、長期にわたっての、しかもはたして完全になおるかなおらないかわからないような非常に重症のそういう内臓疾患の子供をかかえて、非常に苦労しておる親たちが大ぜいいるわけであります。この特別児童扶養手当の対象の範囲をもうひとつ拡大していただいて、いま申し上げる精神病あるいは結核、心臓病、そういう内部障害にもその対象の範囲を拡大して及ぼしていくようなお考えはございませんでしょうか。
#56
○橋本政府委員 特別児童扶養手当は、先生よく御存じのとおり昭和三十九年から、重度精神薄弱児の父母等に手当を支給する制度として発足をさせ、後に重度身体障害児をも支給の対象に加えたわけであります。現在御指摘のとおりに精神薄弱児以外の重度精神障害児あるいは心臓疾患等の重度内部障害児、これは支給の対象とされておりません。明年度の改善につきまして、手当額の引き上げなどを中心として実は私ども取り組みましたために、障害範囲の拡大を見送らざるを得なかったわけであります。しかし昨年の特別国会におきまして、本院において各党の御協力のもとに議員立法として成立したいわゆる身障者基本法の中にも、長期にわたる固定的な臓器機能障害あるいは精神障害等いわゆる心身障害という一つの定義の中に当てはめて対象とされておることでもありますし、私どもとしても何とかして範囲の拡大をいたしたいと実は今日までもとつめてまいりました。ただ先ほど申し上げましたような理由で、遺憾ながら明年度、範囲の拡大までできなかったわけであります。今後において重度の精神障害児あるいは心臓疾患等をはじめとする長期固定された臓器機能障害あるいは重度の結核等の児童に対しても、特別児童扶養手当の支給範囲を広めてまいりたいと今日考えておる次第であります。
#57
○松山委員 ただいまの政務次官の話を伺って、私はこの点については実は非常に明るい希望を持つことができます。いままで、聞くところによりますと、過去四回にわたって当委員会でも附帯決議がこのことについてなされていると聞いておりますので、どうかひとつ同じように重症の子供を持って苦労しておる親たち、こういう親たちの心情を思っていただいて、この範囲を拡大して対象の中に入れていただきたいことを切にお願いを申し上げる次第でございます。
 ちょうど与えられた一時間が経過いたしましたので、これで質問を終わらせていただきますけれども、先ほどから、老人対策としてのもう一般的な問題についていろいろと御意見を伺わせていただいたので、ぜひただいまお話しくださいましたような方向に向かって老人対策を進めていっていただきたいことを切にお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#58
○倉成委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時八分開議
#59
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣内田常雄君。
#60
○内田国務大臣 清掃施設整備緊急措置法の改正の計画につきまして、この際、釈明の機会を得させていただきたいと存じます。
 一般廃棄物に関する処理施設の整備につきましては、御承知のように昭和四十二年度から第二次五カ年計画を策定をいたしましてその促進をはかってまいったところでございますが、廃棄物の排出量の増大に対処いたしますためにはなお不十分でありますので、昭和四十六年度を初年度とする第三次五カ年計画を策定をいたし、清掃施設整備緊急措置法の改正案を、でき得べくんば本国会に提出いたすよう作業を進めてまいったところでございます。
 しかしながら、廃棄物のうち産業廃棄物の処理に関しましては、現在各都道府県においては実態調査を実施している段階でありまして、施設整備についての公共投資の額を現時点で定めることが困難な状態であることが判明いたしましたので、今回この改正法案提出を見送ることになりましたが、このことにつきましては、厚生省当局から当委員会の理事会等で右の意図をあらかじめ申し述べた等の次第もございますが、このことはその申し述べたことに反することになりまして、さきの国会における附帯決議の御趣旨にかんがみますとき、私は心から遺憾の意を表する次第でございます。
 なお、今後早急に産業廃棄物を含めた総合的な計画を策定をいたします所存でございますので、そのように御了承をいただきたく存じます。
 計画案の内容並びに昭和四十六年度の対策につきましては、いずれあらためて担当局長より説明をさせることといたします。右よろしく御了承いただきたい。
     ――――◇―――――
#61
○倉成委員長 国民年金法等の一部を改正する法律案について質疑を続けます。田邊誠君。
#62
○田邊委員 いまの大臣の発言については、あらためてまた機会を見て委員会における態度を表明していきたいと思います。しかし私は、その後におけるいろいろな質問にも関連をしまするが、大臣が国会においていろいろな発言をされ、あるいはいろいろな約束をされていることに対しては、やはり一つ一つ丁寧にそれの処理をされて実施に移されることを私は強く望みたいと思うのです。特にこの厚生行政は、非常にきめこまかい、国民の日常活動につながる分野でありまするから、何か大ざっぱに事をかまえたり、あるいはまた、大向こうをうならせるような約束をすればそれで事足りるということではございませんので、そういう点からやはり約束は約束として忠実に守られ、それが一つ一つ丁寧に実行される、私はこういう習慣を、ぜひ内田厚生大臣の時代に築いてもらいたいということを心からお願いしたいと思うのです。よろしゅうございますね。
#63
○内田国務大臣 そのとおりにつとめてまいりたいと思います。
#64
○田邊委員 国民年金法の審議なり、それに関連をする老人対策あるいは障害者あるいはまた母子家庭、いろいろな生活やあるいは社会条件の非常に悪い人たちというものが世の中にはまだ数多くおるわけです。これを引き上げるのが社会保障の前提であるわけですが、特に先ほどの松山質問にもありましたけれども、老人問題については、政府も意を強めてこれが対策を講じよう、こういう考え方に立っておるようでありますし、最近、老人対策のためのプロジェクトチームをつくって総合的な企画立案をするということも聞いておるわけであります。しかし私は、最近この老人対策なり老人問題というのが言い古されてきましたけれども、昭和三十八年に老人福祉法ができる際にも、私は当時の大臣と三日ばかり質疑応答をやったのでありまするが、老人に対するところの対策は、一体どういう起点でやるかということに対しては、あまり明確でないのであります。どこから出発すべきであるか、生活に困り、核家族化になる現在の中で、これに対して政府があたたかい手だてを講じなければならぬ、こういうだけでありますけれども、その理念というものは、一体どこからきているのか。内田さんはその点に対しては、ずいぶん昨年来いろんな面でそのお考え方を述べていらっしゃるわけですから、端的に言いまして、老人対策の起点となるべき理念は一体何であるか、大臣からお答えいただきたいと思います。
#65
○内田国務大臣 今日、老人対策が重要になってまいりましに遠因といいますか、動機といいますか、そういうことについてはもう御承知のとおりでございまして、わが国の人口が急激に構造変化をいたすことがはっきり見通し得るようになっておりますこととか、あるいは老人に対する家族扶養、家族福祉というような、そういう意識が、現実の問題としては近来薄れてきつつある。これは核家族化が示すような状態があらわれてきております。さような点から考えまして、老人対策というものが国の施策として、あるいはまた社会施策として非常に重要になってきているものと私どもは考えるものでございますが、その中の重点といいますか、いま御意見にございました出発点といいますか、あるいは中心課題というようなもの、これは一つは、老人対策というものは非常に総合的にして広範な課題をかかえているものと思います。年をとりまして稼働能力が衰えてまいるわけでありますので、その稼動能力の欠損を補てんするための所得対策、具体的には年金などの問題、あるいはまた健康の問題というものが、若い時代と非常に違った様相を帯びてまいりますと同時に、また長年の人生の経験を生かして、そして国民とともに社会的な貢献をしていきたいという生きがいの問題も、私は老人対策の大きな課題であると考えます。
 さらに地域社会の問題でございますとか、住宅の問題でございますとか、そういう点から総合的な施策を進める必要があると私は考えております。
 しかし、これも簡単なことではございませんで、老人の年齢を六十五歳あるいは七十歳といたしましても、国民の総人口の中でそのシェアがふえつつありますので、財政的にも非常に大きな重みをかけなければ、これらの総合的施策もできないということにもなりますので、総合的見地からこれらの問題を解きほぐしていこう、そして実行できるものを実行していこうというようなことで、先ほどお話がございましたプロジェクトチームを厚生省にもつくりましたので、できるものなら、ことしの七、八月くらいまでにはめどをつけまして、昭和四十七年度の予算要求の中にも盛り込もう、こういうことを考えているわけでございます。
#66
○田邊委員 私の質問は、少しいまの大臣の答えよりも以前のことを実はお話ししたがったのでありますけれども、ちょっと言い方があるいは不十分であったかと思いますが、私のほうから言いますならば、私は老人対策というのは、まずその出発点は防貧対策であったろうと思うのです。いわゆる非常に生活に困ってきているところの老人を一体どう救うかということが、老人対策の戦前、戦中、戦後を通ずるところのいわば一つの起点だったと思います。
 しかしその後におけるところの考え方は、逐次変わってきているのではないかと思います。いわゆる社会的に生活をして貢献してきたところの老人、あるいは社会条件が非常に悪くて、いわば十分な生活を全うできなくて老後を迎えた老人、こういった老人に対して社会が一体どういうような責任においてこれに対するところの対策を講ずるか、これがやはり私は、老人対策のいわゆる二十世紀から二十一世紀にかけての考え方の根底でなければならない、こういうふうに思うのです。
 ただ単に困ったやつを助けてやるぞというような、そういう考え方ではないだろうと思うのです。加えて老人人口が非常にふえつつある現状の中で、この老人に対して新しい観点でもってひとつ生きてもらおうじゃないか、いま、生活の面でも、あるいは職業の面でも生きがいのある人生を送ってもらおうじゃないか、こういうことが、いま私が申し上げたものにプラスをされて、いわゆる老人対策というものが今日私は論じられなければならないだろうというふうに思っておるわけでありまして、そういった点で従前の何か政府が援助の手を、救済の手を差し伸べてやるというような、そういう消極的な、あるいはいわば前世紀的な考え方から脱却をして、より積極的な、より意義のある、意味のある老人対策を講ずるという観点がなければ、私はこの問題のほんとうの解明をするということにはならぬ、こういうふうに実は思っておるわけでありまして、この点は大臣も非常に意欲的にいろいろな施策を並べられたわけでありまするから、その前提となる考え方というのは、私のいま申し上げたような形と違いがないんじゃないかと私は実は受け取りたいのでありまするけれども、いかがでございましょうか。
#67
○内田国務大臣 仰せのとおりでございまして、私どもも全く同じ考え方から老人対策を取り上げてまいろうといたしております。
#68
○田邊委員 そういう考え方に立っていきまするならば、現代的な要素であるところの老人人口の増加やあるいは核家族化、ねたきり老人が非常にふえている、一人でもって暮らしておる老人もふえている、あるいはまたいろいろな老人病といわれる疾病にかかっている者がふえている。いろいろな要素というものがある。しかも過疎化が進んで、そういった点で置き忘れられているところの老人、そういういろいろな現代的な要素が加わっている限りにおいて、これが総合的な対策はきわめて緊急の課題であると同時に、私はかなり広範ないわば観点でもってこれをとらえなければならないというように思っておるわけでありまして、さきに私が質問いたしまして大臣からお答えいただきました、これをひとつ形づくるために国民会議を興そうじゃないかというようなお話もありまして、第一回のそういった老人の全国的な会議が開かれた、いろいろな意見が出されたということもお聞きをしておるわけでございます。
 そこで、私はやはりいま申し上げたような観点でこの七〇年代、いま言ったいろいろな要素がさらに進んでいく、老人問題についてはさらにいわばいろいろな要素を加えていかなければならないという観点を見まするならば、あなたのほうでもっていま用意をされておるところの総合的な対策というものについて、これは七〇年代にふさわしい一つのビジョンが打ち立てられなければならないというように思っておるわけでございまするから、したがって、ぜひひとついまお話のありました国民会議なり、あるいはまた現に省が具体的に取り組むそういった一つのプロジェクトチームなりというものを一つの基礎といたしまして、七〇年代にふさわしい一つの老人対策のビジョンをあなたが打ち立てる、こういうふうに私はぜひお願いをしたいと実は思っておるわけでありまするけれども、一つ一つ、大臣がいろいろと国会を通じ発言をされたことをひとつ総合的にまとめて、その骨格を固められて、いま言ったような少なくとも五年、十年の、七〇年代に当てはまるようなそういう長期計画を立ててもらいたいという気持らで私は一ぱいでありまするけれども、その点はどうでございましょうか。
#69
○内田国務大臣 非常に御激励をいただいているわけでございまして、その点私も非常にありがたくも思いますし、今日の老人対策というのは国民的課題でございまして、私は、ひとり厚生省だけの施策であるべきものではない、政府も国会も一体となり、また一般の国民の方々あるいは地域社会、全体社会、青年や婦人、そういうような方々にも一緒にこの問題に取り組んでいただきたいというような考え方に立つものでございまして、おっしゃることは一々ごもっともで、私は非常に心強く感ずるものでございます。
#70
○田邊委員 それじゃその構想についてのいろいろな考え方については、一度また大臣に私はいろいろとお伺いをしていきたいと思っておるのであります。
 国民年金法の審議の前に、いま老人問題が出ましたが、私はその一環として、老人福祉法の中身について再検討すべき時期にきているのじゃないかということを実は前々から考えておるわけであります。老人クラブなり健康診断なり、あるいはまた施設の区分なりいろいろといたしましたけれども、これもいわば時代的に見た場合には、もう少し再検討を要する時代にきたのではないかと私は思っておるのであります。したがってこの老人福祉法を中心としたものに対してこの際ひとつ総ざらいしてみて、これが対策を講ずるような、そういう御用意はございませんでしょうか。
#71
○内田国務大臣 そういうことも含めまして、ひとつ役所総がかりで老人対策の勉強、検討、立案をさせたい、こういうことでこのプロジェクトも発足をさせたわけでございます。御承知のように、厚生省の中で申しますと、老人対策というものは一応は社会局の所管のようでございますが、しかし福祉年金にいたしましても、これは別に年金局が拠出制の年金とともに所管をいたしておりますとか、あるいはまた医務局とか公衆衛生局とかそういう方面にまたがる分野もございますし、また問題になっております健康保険制度の抜本改正などの構想におきましても、私どもが今度の健康保険法の改正にその一端をあらわしましたように、老人医療に対しましてはもとより公費医療の問題もございますけれども、保険の給付というようなものも、一般の家族よりもより厚くすべきである。今日では会社づとめの方々の家族であるお年寄りに対しては、保険は五割給付でありますのを七割給付に上げるとか、さらに将来これの引き上げについてどうするとか、あるいはまた国民健康保険でカバーをせられている老齢者の人たちをどうするとかいうようなことにつきましては、保険局などの関連もございますので、それらの関係の部局の代表の諸君を、いわば老人対策本部的な考え方で集めて、いま田邉さんからお話のありましたような総合的政策をやってまいろう、こういう野心を持っておるわけであります。これはひとり私どもの野心ばかりではなしに、それが私は今日の時代の要請であり、社会の要求でもあり、また私どもの反省でもある、かように考えております。
#72
○田邊委員 私の質問に対してあなたは少し的をしぼってお答えいただかなくちゃいかぬのだけれども、きょうはそれが主題ではないから言いませんけれども、法律的に見た場合に、その一番もとになる老人福祉法が、私は内容的に見た場合にきわめて中途はんぱになっていると思うのですよ。いま私が申し上げた健康診断の問題にしてもそう。それから老人クラブの性格についても、私はもっとこれは広い視野に立った考え方に立つべきだと思うのです。あの当時の考え方と違ってきたと思う。それから施設のいわば特別老人ホームなり、あるいはいわゆる養護ホームなり、あるいは軽費なり有料なり、こういうように四つに分けましたけれども、それ自身も実際をいうとこれから変わってくる。これだけで一体いいのか、こういう意見が実は出てきているわけですから、そういったものを含めて、ひとつ法律的にも洗い直さなければいかぬということを私は実は言いたかったのでありますけれども、大体それを含めてあなたのほうで検討されるということですから、きょうは突き詰めてお話をいたしません。
 そこで大臣が先ほどお答えになりましたとおり、老人対策というよりも、いわば社会保障の中の二つの大きな柱は、御案内のとおり所得保障と医療保障でありますけれども、医療保障の問題はきょうは触れません。あなたは触れたがるけれども触れませんからね。触れませんで、主として所得保障の問題が問題になるわけですが、その中で所得保障のいわば一つの具体的なものとしては年金保障という形になっておるわけですけれども、この年金保障というものの持つ性格と役割りというものは一体何でしょうか。
 特にここの中に国民年金や厚生年金等が含まれておるわけですけれども、一体どういうふうなものとしてこれをとらえているのか。いまあなたは端的に所得保障が必要だ、その中で年金があるというようなことを簡単に言われましたけれども、一体そんなぐあいにあなたのほうで言われるほど内容的に充足しているかといえば、私は決してそうでないと思うのでありまして、ほんとうに一体年金というものをこの所得保障の中のいわば最も大きな土台石とし、柱としてあなたは考えていらっしゃるのか、こういうふうに私は認識できないのでありますけれども、その点はどうですか。
#73
○内田国務大臣 年金、ことに老齢年金は、私は先ほどもちょっと触れましたけれども、年をとりますと稼働力つまりかせいで、働いて所得を得る力にどうしても欠損を生ずるわけでございますので、私は年金というものはそういう稼働力の欠損を補てんするための社会福祉の一つの手段であると考えるわけでございます。つまりそれはほかの面からいいますと所得保障、所得補てん、そういう意味であると考えます。金額は多ければ多いほどといいますか、そのときの国民の生活水準あるいは一般の国民の所得の水準、そういうものとも勘案しながら、多ければ多いほどいい、かようには思いますけれども、何しろわが国で年金制度を始めましてから、ことに国民年金などにつきましては日も浅くて、ことしからようやく拠出制の老齢年金がその第一歩を踏み出すというようなまだ時代でございまして、完成しているとも考えませんし、成熟いたしておるとも考えませんので、年金の問題につきましてはそういう成熟なりまた今後完成の課題ということも頭に置きながら進めるべきであると思います。
#74
○田邊委員 私は西欧に比べて、日本は実は二つの欠陥があると思うのです。一つは、それはたとえば六十歳以上になった場合に、老人に向いているところの職業の選択をできる。君は一体年金で暮らすのか、健康だからもっと働けるのだ、働いて暮らしたいのかといって、おれはまだ働きたいと言えば、老人に向いたところのいわば職業の選択をさせて、それで働ける。こういう条件がある程度整っているわけです。ところが日本にはいまそれがまだなかなかない。いうなれば老後は勢い、職業はない、生きがいを与えるようなそういうものがなかなか見つからぬ、こういう状態だから、いわば年金に寄りかかるなり、その他の貯蓄なりあるいは子供なり、そういうものに寄りかかって暮らさざるを得ない、こういういわばファクターが非常に多いわけです。私はそれがやはり西欧と社会条件が違う一つの要素だと思うのです。しかもそういう条件の中で、年金額はいわば所得を保障するような状態にない、生活を補うような状態でない。こういう条件でありまするから、いわば二つ悪い条件が重なっておると思うのであります。ところが大臣はいま、一つの欠損を補うというか、補てんをするということが必要だということを言っておられた。あなたのほうから額が多ければ多いほどいいという話があったのですが、年金は、普通の労働者がもらっている賃金よりも多いなんという、そんなことはとうていないわけでありまするから、私は一つの限度があると思うのです。あとでもってひとつ限度もお伺いしたいし、どの程度が基準なのか、標準なのかという点についてもお伺いしたいのでありますけれども、私は年金には年金の一つの幅はあると思うのです。しかし現在はそれにも値をしない状態じゃないかと思うのです。ですから大臣はいみじくも一つの補てん方式を言われて当面を糊塗しようと考えておられるわけでありますけれども、私はいま言った日本の条件からいえば、何といってもこの所得保障の大きな柱である年金については、老後の生活についてよりどころになるものである、そうでなければならぬと思うのであります。生活を全部充足できる状態なんということはとうていいま言えないわけでありまするけれども、少なくとも生活のよりどころになる、そういうところまで足場を築かなければ、年金制度は充足した、こういうふうには言えないと私は思うのでありまするけれども、私のいま言った考え方に対してあなたは用意されますか。
#75
○内田国務大臣 お説のとおりであると思います。私は先ほどから申しておりますように、老人対策にいたしましても、そのうちの一つである年金対策にいたしましても、これは決して厚生省だけの政策ではなしに、国会をも含めて国民的課題であるということをお互いに認識するようになってまいりましたので、私の表現――口べたでございますので、表現がうまくまいりませんが、私が申します表現もまた田邊さんのおっしゃる表現も、とどのつまり同じ認識に立ちながらいろいろの面から表現をしているということでございまして、御意見まことにごもっともであると私は思います。
#76
○田邊委員 言っていることは相当違うと思うのだけれども、私が言いますと、何かそのとおりだということをあなたおっしゃるが、現状の条件から見た場合には、あなたはそういうふうに私の意見に同意をされても、実際にはそうなっていないということはきわめて遺憾であります。
 そこで大臣からもいろいろお答えがありましたとおり、三十四年の発足以来、国民年金はいよいよ拠出制年金がこの五月から支給が始まる、こういう十年の経過をけみしたわけでありまするから、いよいよそういう支給開始になる状態というものを考えたときに、この国民年金制度自身について、再検討と言いませんけれども、さらに一歩突っ込んだ検討をしてしかるべきときに来たのじゃないか、私はこういうように思っておるわけであります。したがって、いわば二階から目薬といいますけれども、三十六階から目薬を落とすような、そういういわば霧のごとき年金から、ほんとうに口に入って、それに対するところの味わいのできるような、そういう年金に、性格的に見ても深めるべきですね。制度として深めるべきときに来たのじゃないか、私はこういうように思っておるわけでありまして、これはあなたも私と考え方が変わらないだろうと思うわけであります。そうですね。
#77
○内田国務大臣 同じような考え方で進みたいと思います。
#78
○田邊委員 表現は違いますけれども、生活の補てんをするなり穴埋めをするなり、私は生活のよりどころとしなければいかぬ、こういう意味で言っているのですが、その限度といいましょうか、その程度といいましょうか、生活を補てんをするあるいはよく言えば保障する、少なくともよりどころになる状態というものをつくり上げるということですけれども、これは一体どの程度のことをわれわれとしては考えていけばそういう状態になるのか、私は理想として見た場合に、たとえば現在の国民生活水準あるいは国民所得、勤労者の支出の水準あるいは勤労者の給与、賃金、こういったものの中でもって一体どのくらいの割合が年金として支給されるべきかというようなことも、きょうは実は突き詰めて言いません。言いませんけれども、少なくとも大臣と私の間でかわされた前提的な質疑応答の中で、この拠出制年金を含めて、一体どういうところに程度を置いたらまずまずというふうに考えられるのか、お考え方があったならばひとつお示しいただきたいと思います。
#79
○内田国務大臣 どの程度がいいか、それは結局また具体的に何万円くらいということにもつながることになりますが、これは私、一がいに申し上げにくいと思います。先ほど抽象的に、その時代の国民の生活水準とかあるいはその所得水準というようなことも考えながら老後の稼働能力の欠損の補てん、こういう意味においてというようなことを申しましたので、今日のたとえば生産年齢人口に属する働き手の人々の月々の所得が五万円とか六万円とかいうようなそういう収入、あるいは家計支出というようなことも頭に置きながらきめるよりしかたがない。それにまたいまの福祉年金のように、拠出制の国民年金が発足するまでの間のつなぎとして全額国費負担でやっております福祉年金は別といたしまして、わが国の年金というものが社会保険の制度をとっておりまして、御存じのように掛け金制度、拠出制でございます。これは厚生年金にいたしましても国民年金にしても同じでございますので、これはおのずから掛け金、保険料との相関関係もございますので、その辺の負担というようなことも考えながらきめてまいる。もちろんこれは社会保険ではございますけれども、国もそれにお手伝いを現実にもいたしておるわけでありますが、国の財政、国の補てん限度というようなことも考慮しながらきめるほかはなかろうと思います。
#80
○田邊委員 そういういわば抽象的な論争ではこの種の具体的な問題というのは解決しないのでありまして、私は何も額をそのものずばり適当なことを言えというのではございませんです。しかし、やはり生活をまかなうに足るもの、あるいは生活の一つのよりどころになるもの、あるいはその生活の面でいろいろと欠く条件というものをある程度補うというあなたの答弁。そのいずれもがそれぞれの程度があると思うのですけれども、それにはそれの一つの基準となるべきものが設定をされなければ、やみくもに一万円年金と称したり、あるいは無拠出の年金を今度三百円上げることについても、ただ単に何かイージーゴーイングに、毎年やっているから適当に上げておこう、ことしは百円よけいにしたから万々歳だという話ではないと思うのです。一つの理想があり、将来に対するところの一つの見通しがあり、展望があり、意欲的にそれにたどりつこうという努力があって初めて、この三百円という引き上げの実が生きてくると思うのですね。そうでしょう、大臣。そうでなくて、ただ単に額が百円がよかったから、三百円がよかったからという問題じゃないわけであります。当然これに対して一つの、あなた方の設定をすべき将来の基準なり将来の目標なり、たとえば国民の所得割合からいって一体年金額というのはどうあるべきか、六〇%なり八〇%なり、そこにまでたどりつくことがわれわれの理想だという理想像が当然あると思うのです。それに必死になって向かうという意欲があって初めてあなた方の努力が、たとえそれが何百円であれ、りっぱなものであるというふうに国民は受け取るだろうと思うのです。そうでなければ、私はただ単に抽象的な論争で、大臣のことばだけで納得するわけにはいかない、こういうふうに思って私は質問をいたしておるわけです。
 そういうふうに受け取って、あなた方の意欲的な将来の一つの目標、これを国民の前に明らかにしておく必要がある、こういう観点で私は質問をいたしております。一体富士山の頂上はどこなんですか。
#81
○内田国務大臣 先ほど私が御答弁申し上げましたような考え方、抽象的だといわれましたが、それが私としては精一ぱいの考え方でございます。それともう一つ、いままである年金の額、たとえば拠出制につきましてはいわゆる二万円年金でありますとか、あるいは福祉年金というものが無拠出でありまして、拠出制年金が成熟するといいますか、プリベールするまでの間のつなぎでございますので、現実に、従来千円から出発をいたしまして本年の二千円までたどりついておりますので、そういう現実の金額というようなものもやはり基礎に置きながら進めていくという以外に、私お答えもできないわけでございます。
#82
○田邊委員 またひとつ機会を改めましてそれに対するところの論議を深めてまいりたいと思うのですが、しかし、いまつなぎということを言いましたけれども、無拠出の福祉年金ですね、これもいわば歴史的な経過があるわけであります。十年前にすでに拠出制年金に入れなかった人がいるわけですね。自分はそれに対する希望を持っておったにしても、これは老齢でもって拠出制年金の加入対象外であった、こういう人があるわけですね。したがっていま拠出制年金がこの五月に支給が開始されようというときに至りますると、現実にその拠出制年金を受ける人、たとえば十年年金というものを受ける人と、そういった対象外のためにこの制度の恩恵に浴することができなかった人と現実的に一つの差が具体的にできてきている、こういう矛盾もあるわけですから、私がさっき言ったように再検討の時期にきているのじゃないか、こういうことも一つの要素に人っているということはおわかりのとおりですね。ですから国民の側の責任というばかりにこれは言うことはできないわけでありまして、したがってそのことによって格差が是認をされて、現状でもって足りるというような、そういう発言には当然なってこない、私はこういうふうに思っておるわけですね。それはどうでしょう。
#83
○内田国務大臣 国民年金を始めます際は、これは掛け金制度で始めますので、何年かかけてそうしてその後の条件の完成によって年金が受けられる、こういう仕組みであることはもちろんでありますが、そのときに、老齢年金で申しますと、すでに一定年齢以上になっておった方はその条件が満足されない、非常にお気の毒だということで十年年金というような中二階のような制度をこしら、えましたことは御承知のとおりでございます。しかしその後もそれにも入るチャンスを失われた方々から国会を通じて御要望等もございまして、一昨年の改正であったと存じますが、さらに年限を縮めて五年年金というようなものをつくりました経緯は、御承知のとおりでございます。そういうような努力を政府並びに国会もいたしてまいりましたが、しかしそれにも当てはまらないような、すでに年とっておる方が現実におられるわけでございます。その方々がいまの福祉年金の対象者になっておられるわけでございます。掛け金をされていないというようなこともございまして、ことしから発足する五千円の拠出制の経過年金よりも少ない金額、今度改正をいただきましても月二千三百円というようなことでございますので少ないわけでございますが、無拠出制であるというようなことやら、経過的な性格のものであるというようなことやら、いろいろこれまでも検討されました結果、拠出制年金よりも少ない金額であることも私から申すまでもない。しかし、これは本人の責任で加入をせられなかったわけではありませんので、私はでき得る限りやはり金額も多くいたしたり、また金額ばかりじゃなしに、その他支給を受け得る条件なりあるいはまた年齢などの格差につきましても親切な是正をいたしたいというようなことで、今回の改正案の中にも、もちろん十分ではございませんけれども、金額のほかにも幾つかの改善のポイントを織り込んであるわけでございますので、その辺も御了承いただければありがたいと思います。
#84
○田邊委員 そこで、時間がないのであれですが、今度の福祉年金二千円が二千三百円という、三百円上げたのは非常に画期的なような話がさっきもあったのですが、どうもちょっと質問をするのが実は恥ずかしいのですけれども、これは年金局長でもけっこうですから、さっきの、生活の一つの補てんだということを言うのですが、生活保護の四級地男子、四十五年が八千九百七十五円だそうですが、これとのかね合い、それから拠出制年金が当初の二千円からまあまあ一応、その年数によりまするけれども、約八千円になってきているという状態と見合い、それから性格は違いまするが、やはりこれから審議をいたしまする児童手当の、第三子以降五歳未満三千円という一つの金額が出てまいりました現実を踏まえてみますると、これは私はあまりにも少な過ぎる額ではないかと思うのであります。毎年毎年上げてきた。さっき実は質問に対する橋本政務次官の答弁を聞いていますと、物価の上昇よりは上げてきたような話をしているので、こういう考え方でもって答弁をされては私ははなはだ迷惑ですよ。そんな考え方でもって福祉年金の引き上げがされてきたのだとすれば、これはまさにとんでもない間違いだと思います。われわれは内容をいかに充実させるかという観点で言うわけです。それに物価というものが実は追いついてくるから、どう引き離すかということが問題なのでありますけれども、物価の上昇率よりは幾らかでも上回った年金額の引き上げがあったなんて、そんな答弁をされたのでは、これは政府の誠意も熱意も私は疑いたくなるのであります。そういう観点でなくてこれは考えなくてはいけないと私は思っておるわけであります。生活保護のほうは四十年に比べて約二倍以上になっておる。それに比べて福祉年金の額は七六%引き上げぐらいだというお話も、あなたのほうから承っておるわけでありまするけれども、私がいま言ったような、いわば周囲の条件というものが変わってきている。福祉年金に対する考え自身も変えていかなければならない、こういう現状の中でもって、この二千三百円という額がほんとうに、あなたの腹の底から考えて、まあ適当である、あるいは適当でないかもしれないけれども現状ではやむを得ざるものであるという、そういう認識でもって出されたのか、大いに不満であって、大いにわわれとしては足らざるものと思うけれども、いわば力足らずしてまあここでもってとどまっているという認識なのか、この点に対してひとつはっきりお答えいただきたい。
#85
○内田国務大臣 正直に申しまして私は非常に不満なんでございます、この二千三百円という上げ方については。しかし実は、これはまあ正直に申し上げますと、十年の拠出制の年金が五千円でことし発足いたしますから、何が何でも二千五百円取りたいつもりでおりました。しかしあとから、もうすでに御承知と存じますけれども、この所得制限の大幅緩和でありますとか、あるいは年齢の引き下げでありますとか、そういうことにつきましてもさきの国会以来御要望もございまして、金額一本やりで進むことばかりでいけなかったというようなことで、ややこの福祉年金についての重点を四点くらいに分散をせざるを得なかった、こういうことを私は告白せざるを得ません。でございますので、これは決して二千三百円でとまるというつもりではございませんので、大いに失地回復――物価を追っかけるなんということではなしに、田邊さんのお説のとおり私は引き続いてやりたいと思います。そのように御理解をいただきたいと思います。
#86
○田邊委員 私は、拠出制と無拠出との問題については論議はあります。論議はありまするけれども、やはり拠出制自身についても、これは厚生年金とのかね合いの問題、いろいろございまするから、論議をしていかなければなりませんけれども、少なくとも現状の中で福祉年金というものが、現在の物価の状態から見ても、われわれは一万円ぐらいは必要だろうと思いまするけれども、少なくとも当面五千円ぐらいの額というのがなければ、きわめて中途はんぱな額だろうと私は思うのです。実は私の関係しておる老人ホームにおいても、七十歳以上については福祉年金をもらっておられるのですね、これがもう少し額がふえておれば、四、五千円ぐらいであるとすれば、そういった面でかなり――たとえば衣類の着がえなり、あるいはまた日用品の購入なり、あるいは自分の嗜好品なり、食費の面についてもたまには自分でもって嗜好品に合ったものを食べるなり、こういったことができるわけですけれども、この額というのは、いわば非常に中途はんぱなんですね。ですから、ややもするとむだ使いをするような、そういう状態というものが来るのですね。しかし一面、年金をもらえるんだからあえて軽度の作業をする必要はないというので――年金が支給されなかった時代に老人ホームでは、いわばくつ下ほぐしとか造花とか、そういうものをやっておったのです。これが一面、老人の楽しみであったのですね。ところが年金が支給されているので、ほとんどいまはどこの老人ホームでもそういうものについては、自発的な面で一部やっているのは除いて、やらないですよ。そのことがいわば老人に対して、健康を保持する上からいって、あるいは張りを持たせ長生きをさせるという面からいって、どちらかというとマイナス作用が多いのです。ですから年金額というのが、いまの貨幣価値からいって、大体四、五千円ぐらいの程度になれば、これでもってあなたのおっしゃる一つの補てんになる。二千円前後というのはちょうど中途はんぱですね。そういう点で、私の乏しい経験でありますけれども、私の住んでおる生活環境なり私の父がやっておる老人ホーム、実はそういう中でもって長く暮らしてきた者として、いまの年金額というのはそういった中途はんぱな額であると、私自身は実ははだで感じておるわけであります。したがって、これは決して理論的な話じゃありませんけれども、一面一つの真実につながることじゃないかと私は思うのであります。そういったいわば実感からいいましても、この額についてはさらに――財政当局は、去年は二百円上げたからことしは幾らでいいじゃないかというようなそういう最初の起点が間違っている。最初の起点が足らないのです。それにただ上積みするということを毎年繰り返しておるのです。そういうイージーゴーイングな考え方では、これは将来を危ぶむものである、こういうように私は考えるので、この際ひとつ、さっきの大前提に立ったところの所得保障なりあるいは年金保障なり、そういったものとにらみ合わせて、あなたの将来に向けるところのこれに対する飛躍的な一つの検討をしてもらわなければならぬ、こういうように思って質問を申し上げておるわけであります。いかがでありますか。
#87
○内田国務大臣 まことに私は同感の御所論を述べていただきまして、財政的の制約のために毎年二百円か三百円しか上がらないというのも一つの実情でございますが、私はそれをもってこの福祉年金のあり方というものはやむを得ないとするものでは決してございません。今後におきましても引き続き福祉年金のあり方というものにつきましては、いままでの基礎の上に何がしかを積み上げるということではなしに、おっしゃったような発想でこれを是正してまいることに努力をいたします。
#88
○倉成委員長 この際暫時休憩いたします。本会議散会後再開いたします。
   午後一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時二十七分開議
#89
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 国民年金法等の一部を改正する法律案について質疑を続けます。田邉誠君。
#90
○田邊委員 お約束の時間でございますから、いろいろと深めたい点がありますけれども、またいずれかの機会に譲りたいと思います。
 そこで、今回の改正の中で、所得制限についての限度額を引き上げておりますけれども、扶養家族五人というのは、本人を含めて六人でありまして、六人家族で百八十万円というのは、何としてもこれはきわめて微弱なものだろうと思うのです。さっき大臣は、年金額の引き上げは、この所得制限と見合って、矢折れ刀尽きて倒れたような話をいたしておりましたけれども、それすらも五人家族に直して百六十七万円程度で、したがって、三人働いておるとするならば一人が四万円ぐらいの程度しか当たらぬ状態でこの年金の支給を停止するということは、私はこれは現状に合わないと思うわけでありまして、これを四人家族といういまの所得税その他の面から割り出すところの現在の標準的な状態に直した場合には、一体限度額は幾らぐらいになりますか。
 それから、所得制限をわれわれは撤廃する方向にいくべきだと思っておりますけれども、一体これを全廃するためにはどのくらいの経費がかかるのか、一応念のためにお伺いしておきたいと思います。
#91
○北川政府委員 四人家族にいたしますと限度額は百六十七万円でございます。
 それからいまお尋ねの中で、扶養義務者の所得制限を撤廃いたしますと八十八億円の増額になります。
#92
○田邊委員 いわば百億足らずの金しかかからぬわけでありますから、せっかくこの種の制度があって、しかもさっき論議になりましたような年金額でありまするから、この福祉年金については当然将来にわたって所得制限は撤廃する、こういう方向にいくべきことは言わずもがなだと思うのですけれども、大臣一言御答弁ください。
#93
○内田国務大臣 私もそういう目標に向かいたいと存じますが、無拠出であるということは、すなわち国民の税金が財源であるというようなことで、国民感情を顧慮する点もあるという点でひっかかる点がございますが、これは実質的には所得制限を撤廃したと同じようなところまで私どもは進んでまいりたいと思います。
#94
○田邊委員 これはたとえば一万円なり一万五千円なりくれたといえば話は別なんですから、さっきのようなあなたの御不満を表明されている年金額ですから、ぜひそういう方向を早く見出してもらうようにひとつ私は御努力をいただきたいと思います。
 それから支給の開始年齢についてでありまするけれども、これは私は、昨年大臣が私の老人問題でしたでしょうかに対する質問に答えて、ひとつ支給年齢は引き下げようというおことばがあって、私は欣喜雀躍したのであります。これは、年金額の引き上げもさることながら、いわばこの七十歳福祉年金の開始、あるいは六十五歳の国民年金、あるいは厚生年金六十歳、共済の五十五歳というような、実はいろんな形が現在あるわけですけれども、われわれは、これはある程度線をそろえるところまでいかなくちゃいかぬというふうに思っておったわけでありまして、福祉年金は、その内容的にもあるいは成り立ちからいっても違う。性格は全部違うといいませんけれども、そういったものが違うという考え方はありましても、私は、なおかつ、やはり現状の七十歳というのはおそきに失しているということで、今度はいわば二級障害以上のねたきり老人に対して六十五歳というのは、私も実は大臣がいろいろやったことに対して、非常に率直ですから私はほめたいと思っているのです。非常にほめたいと思っているのですけれども、これではどうもほめるというわけになかなかいかないのであります。いいことをやったことですからこれはいいと思いますけれども、しかし竿頭一歩を進めたということにはなかなかならぬのでありまして、ぜひひとつこの際、大臣の昨年来の、これは私は大臣の心からの答弁だったと思うのですが、そういうあなたの気持ちの中にあるものを政治の場に吐き出して、これを実現をするという形で、すべての老人に対して直ちに六十五歳に開始ができるようなそういう考え方をひとつ貫いてもらいたい。これはあなたが言ったことなんですから、貫いてもらいたいということを私は切にお願いをするのです。これはお願いですよ。お願いするのですが、それと同時に、私はやっぱり最終的には六十歳に支給開始年齢はならなくちゃいかぬ、こういうふうに思いまするから、ひとつそこまでの展望を持ちながら当面六十五歳という、こういう形を示すべきではないかというふうに思いますが、この点はいかがですか。
 それとあわせて、ひとつ障害者に対するところの障害福祉年金についても、二級障害者には当然支給すべきである、私は実はこういうふうに考えておりますけれども、この点に対してもあなたの前向きのお答えをいただきたいと思います。
#95
○内田国務大臣 昨年私は当委員会で、年齢引き下げのために努力をいたすべき旨を答弁をいたしまして、その実現のために実は非常に苦労もいたしました結果が、まあ今回一部上陸というようなことに相なったわけでございますが、今後も引き続いてその方向で努力はいたしてみる所存でございます。しかし、金額の引き上げの問題、また所得制限の大幅緩和ないし撤廃の問題等々の御要請もございますので、やはりそれらとのかみ合わせの関係もございまして、私どももそれらの中で努力をいたしてみる所存でございます。
 なおまた、老齢年金というものを全般的に六十歳に引き下げるということにつきましては、これは正直に申しますと、そこまで私どもは考えておりません。これは国民年金審議会あるいは社会保障制度審議会等の御意見によりましても、また年金につきましての先発諸国の例を見ましても、おおむね六十五歳以上というようなことでございます。わが国におきましては、厚生年金は年齢条件は六十歳でございますが、現実に新しい裁定をいたします方々の平均をとってみますと、やはり六十三歳ないし六十四歳くらいのところに来ておりますし、また国民年金の契約者、加入者の方々の職業の状況等の現実を見ましても、一般的には六十五歳くらいまでは働いてそして所得になられるというような状況もございますので、この点につきましては、これは田邊さんの御意向はよくわかりますけれども、私はなかなかお約束ができない問題でございます。今後いろいろこの点につきましては研究をさしていただきたいと思っております。
 障害の一級、二級――二級の者も障害福祉年金の対象にするということにつきましては、これも先ほどの六十五歳の全面引き下げその他の問題とあわせまして、前向きの研究を進めてまいりたいと思います。
#96
○田邊委員 実は年齢の問題は、大体役所では最初からいわば所得制限の問題なり年金額の問題のほうが先行して、年齢問題は実はあと回しだという考え方なんですよ。昨年も実は大臣に、そういう答弁というのはいわば役所の間隙を縫ったような答弁でありますから、そういった点から見ていろいろと物議をかもしたんだろうと思うのですけれども、そうあなたは気にしなくてもいいのです。それはあなたの率直な考え方でもってそのときのことは対処すべきなのであって、これはもう去年よりもあなたはうしろ向きな答弁をしてはいけませんから、その点はよくまた心を新たにして、あなたが発言したことに対しては国民は非常に待ち望んでおることでもあるわけですから、そういった点に対してぜひひとつお考え方を新たにしてもらいたいというふうに思っております。
 もう一つスライド制の問題は、これはもうおわかりですな。当然これはやらなくちゃいけないことです。ですから、一体どのくらい物価が上がったら、たとえば何%以上物価が上がったらスライドをするかというようなことについては定説があるわけですけれども、たとえば二年間に五%以上上がった場合はスライドするなり、そういったことについての考え方というものを当然考える。それから再計算期――五十年が次でしょうけれども、そういったことにあまりこだわっていくと、現在の急激な物価の上昇という佐藤内閣の責任によるところの、いわば物価を抑制できない政治責任もあるわけですから、そういった点から見て、年金額の引き上げについての計算を、これは当然物価上昇と見合いながらやらなくちゃいかぬ。こういうことについてはもう言わずもがなですから、当然あなたのほうでもその点に立って考え方をまとめられてきているもの、こういうふうに思っているわけですけれども、念のために、これは将来の何か夢物語のような考え方でもって思われてはいけないのでありまして、すでに英国等でも苦心をしながら年金のスライド制の問題について取り入れるというようなことでやっておるのですね。このことについて私は、やっぱり貴重な体験として踏まえていかなければいかぬというように思っておりますので、この点に対してひとつ大臣からはっきりとしたそれに対する確約を一応得ておきたいと思います。
#97
○内田国務大臣 スライドの問題は大蔵大臣が一番いやがるところでございますが、しかし私は、二つの点からこれに対応してまいるつもりでございます。お話にもありました財政再計算期というのは、原則として五年ごとにというようなことになっておりますが、私は、今日では五年を待たず、その事態に応じて五年の期間は短縮して財政再計算をやること、並びにその中間におきましても、物価やあるいは国民の生活水準等を勘案して、そして随時にそれにマッチするような年金額の改定をやる、こういうことをやりたいと考えるものでございます。
#98
○倉成委員長 大原亨君。
#99
○大原委員 いままで議論がありましたことで、大きな問題は別の機会に譲りまして、こまかな問題で所得制限の問題ですが、所得制限は扶養義務者の所得が百八十万円ということになっているわけですが、その運営の問題です。たとえば、きょうだいがいますね。長男が親を養う場合もある、あるいは次男、三男が養っておる場合もある。しかしその場合に、私はそういう場面に直面するわけですが、多くの場合きょうだいや縁のある人々が七十歳以上のお年寄りに対しての生活費はみんなが出し合ってやっている。世帯は同一のような世帯のかっこうをとっているけれども、そういうお互いに金を出し合って、家の都合で、最近は住宅難その他があるから、あなたのところで親を養ってもらいたい、こういうことがあるわけですね。そういう形をとっている同一世帯で、扶養義務者との関係で百八十万円――百八十万円では絶対額が低いわけですから、百八十万円に抵触するような場合であっても、そういう年寄りがそういう経済的な背景で生活をしているというふうな場合には、当然独立した生計とみなして、百八十万円の所得の制限でなしに、本人自体の制限の適用をするというふうな運営のしかたが私は当然であると思うが、それについてどういう考えであるか伺いたい。
#100
○八木政府委員 扶養義務者の所得の実態につきましては、できるだけ実態に応じまして有利に運用いたしたいという気持ちでやっておりまして、現実問題としまして、別居しておるというような場合につきましては、相当仕送りがあるというふうには認定しておらないというような実情もございますし、さらに、ただいまお話が出ましたように、同一世帯の中で扶養義務者があるという場合に、その扶養義務者の生計関係にどの程度寄与しているかというような実態を把握いたしまして、かなり生活費をめんどう見ているということでございますと、やはりいまの法律のたてまえでございますと、扶養義務者の所得があると認定せざるを得ないと思いますけれども、ケース・バイ・ケースに従いまして、先生の御指摘の趣旨等も勘案いたしまして、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#101
○大原委員 関連質問ですから簡単にいたしますが、つまり第三男なら第三男、長男なら長男、これは平等の権利ですから、その人がたまたま家に部屋がある、家が広い、他のきょうだいは家が狭い、そういうようなことで、あなたのところでひとつ親を養ってくれ、これは好ましいことではないだろうけれども、しかしながらそういう形態になっておる場合に、みんなが出し合っている。たとえば年間百八十万円といったって、一カ月の定収入というのは十万円を下る場合が多いのだから、きょうだい、子供やその他の都合だったならば、福祉年金の恩恵にあずかるということが唯一の望みだ、希望だ、こういう場合があり得るから、きょうだいが出し合ってその人が一部屋なら一部屋で、食事は自分でやることもあればあるいは一緒にやることもあるだろうが、しかしみんながお互いに見ておる、そういうふうな見合っているというふうな現実の場合には、そのお年寄りは自分で家計をやっているんだという解釈のもとに、扶養義務者の形だけの、形式上の所得制限ではなしに、独立したものとして、本人が所得がない場合には福祉年金がもらえる、こういうふうな運営のしかたをすることは、最近の過密過疎や、核家族化の現状の中では、私は当然だと思うのです。そうして福祉年金をできるだけ有利に運営していく、所得制限の実情に合わない点は、そういう法に即して運用していく、こういう点についてはケース・バイ・ケースで十分実情を配慮してもらいたい、こういうことを希望として申し上げておきまして、大臣から一言だけ御返答いただきたいと思います。
#102
○内田国務大臣 老齢福祉年金というのは、先ほども申してまいったんですが、とにかく老後の稼働能力の欠陥を補うという社会福祉政策ですから、この制度が生きて運営できるように私どもはしたいと思います。しゃくし定木にやることをもって決して私はよしといたしませんので、なるべくその対象になる老齢者がこの制度の適用を受けられるように、扶養義務者の所得制限の計算などはいたすようにいたしたいと思います。なおまた、おことばにはございませんでしたけれども、従来の百三十五万円というものを百八十万に上げたそういう精神も、福祉年金を受けられる老齢者の範囲を広げたい、こういう趣旨にほかなりません。従来どおりの計算をいたしましても、その所得制限で押えられておった福祉年金支給の制約が、今回幅を広げましたことによりましてかなり緩和されることになりますが、さらにいまの御質問にこたえて、受給者がこの制度の恩恵を受けられるようなふうに処理すべきものであると私は思いますので、そのように指導いたしたいと思います。
#103
○倉成委員長 次に、古寺宏君。
#104
○古寺委員 最近の農村地帯におきましては、高齢者であっても出かせぎ等による厚生年金加入者は非常に多く、これがために厚生年金と国民年金等による通算年金を受ける場合におきましても、国民年金の被保険者の期間の長短を問わず優遇措置を考えるべきではないか、こういうふうに思うわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
#105
○北川政府委員 ただいまお尋ねのように、出かせぎの場合には、一定の事業所に就労いたしますと、国民年金からはずれまして厚生年金の適用を受けるわけでございます。もっとも厚生年金の場合におきましても、きわめて短期の就労の場合でございますとか、あるいは季節的な事業所労務というふうな場合には適用除外のことがございますが、出かせぎの実態によりましては厚生年金あるいは国民年金に出たり入ったりまた出たりというふうなケースがあることは十分あり得ると思います。で、現在の段階におきましては、そういう場合は、やはりただいま仰せになりましたような通算関係の適用がございますので、特に現在のところそういったものを出かせぎというところに重点を置いて、そこにポイントを合わして特段の優遇措置というふうなことを講じることはやっておりませんけれども、今後の出かせぎの実態というものをよく見きわめました上で、そういった問題は今後の問題として検討させていただきたい、かように考えております。
#106
○古寺委員 現行法では年金の間に非常に差がありまして、非常に不合理になっております。一例を申し上げますならば、拠出制の国民年金が始められてから十年になっていよいよ十年年金の支給を目前に迎えたわけでございますけれども、九年十一カ月の間この保険料を納付いたしましても、やむを得ず出かせぎに行った場合には、一カ月間厚生年金に移行するわけでございます。この場合には国民年金の六万円の支給を受けられない、こういうような非常に矛盾した不合理な実態になっておりますが、こういう場合にはどういうような措置をお考えになっておりますか。
#107
○北川政府委員 ただいま仰せのとおり、やはり十年年金というものは十年の資格期間で出るわけでございまして、いまのように一カ月を欠けましても、厚生年金の適用関係が生じますると、国民年金の関係では資格喪失ということになるわけでございます。これも先ほど申し上げたことに関連いたしますが、通算関係の有利でない点ということがございましても、現在の両制度の仕組みから申しますと、そういったものについて特別の措置、たとえば先生、どういうお考えかわかりませんが、そういった場合には、厚生年金をはずして国民年金に引き続いて加入できる道があり得るのではなかろうかというような御趣旨かとも存じますけれども、そういう場合には、現在の仕組みでは、結局は九年九カ月は国民年金から、あとの分は厚生年金からということで、おっしゃったような意味での特別な優遇、特例的な措置は見てないわけでございます。
#108
○古寺委員 一カ月の差で、十年間掛け金をかけた方は六万円、九年十一カ月の人は三万八千八十円の年金しか受けられない。一カ月の差でこれだけの差があるわけです。しかもその理由は何かと申しますと、出かせぎの大半というのは政府の農業政策の失敗です。どうしてもやむにやまれず出かせぎに行かなければならない。そういう方々が、九年十一カ月の間国民年金の掛け金をかけて、片一方の人はあと一カ月で六万円の年金を受ける。片一方の人は三万八千八十円の年金しか受けられない、こういう非常に不合理があるわけでございます。しかも、参考までに申し上げますならば、八年間国民年金に加入して他の年金に移行した場合には三万二百七十円です。七年の場合には二万六千八百八十円でございます。こういうような不合理、格差というものを改善しなければ、今日出かせぎ労働者は百二十万から二百万人といわれております。こういう方々に対して、全然そういう措置を厚生省は考えてあげていない、改善を考えていない、そういうふうに受け取れるわけでございますが、この点についてはいかがですか。
#109
○北川政府委員 出かせぎの問題は、ただいま年金の問題についてお話がございましたが、おそらくは年金以外の分についても問題があろうかと思います。それで、出かせぎ問題についての最近の急激な事情変化と申しますか、こういう問題が出かせぎというサイドで処理されなければならない、そういう要請も確かに社会的な全体的な要請だと思います。そういう意味合いで、ただいま申し上げましたような、また先生からいまお話がありましたような実態関係がございますので、今後は出かせぎという観点に立ってどういうふうにこれを処理するか、十分に検討してまいりたいと思います。
#110
○古寺委員 戦時中は戦争にかり出されて、あるいは満州とか外地に行って働いて帰ってこられて、そして終戦後は食糧増産のために開拓に入ったり、あるいは先祖伝来の田畑を一生懸命耕して食糧増産のために死にもの狂いになって働いてこられた方々が、今日農政の失敗から、この年金を楽しみにしておったのが、出かせぎに行ったためにそのような仕打ちを受けなければならない。私は非常に矛盾していると思うわけです。こういう点について検討するとおっしゃっていますが、厚生大臣はいかがでございましょうか。
#111
○内田国務大臣 私は実はその十年の経過的の年金についての、途中他の年金に移った場合の御指摘になられましたような計算の違いについては十分承知をしておりません。承知をしておりませんが、せっかくそういう経過的な年金の制度があるわけでございますから、特に厚生省という役所は、なるべく国民に社会福祉を広く与えるというのが私どもの立場だと考えますので、でき得る限りいろいろな場合における不利益がなくなるようにつとめていくような措置をとりたいと思います。よく検討をさせました上で、やむを得ないものはやむを得ませんけれども、できる限りのものは通算等の措置その他の点を考えまして、対象者に恩恵の違いがないようなことを検討すべきであると私は思います。
#112
○古寺委員 これはまた後ほど触れますが、やむを得ないものはやむを得ないというのでは困るのでありまして、これは実態に即してそういう格差のないように、ぜひ是正をしていただきたい。こういうふうに大臣にもお願いしておきます。
 次に、この国民年金の印紙の手数料でございますが、昭和三十六年から昭和四十五年の六月までは三%であった手数料が二・八%に引き下げられまして、保険料を徴収する民間地区の組織は経費を手数料でまかなっているわけでございます。その経費が非常に足りないために、そのしわ寄せが市町村の財政にまで及んでいる実情でございますが、現行の手数料率の大幅な引き上げを考えなければいけないのじゃないか。物価も上がっている、賃金も上がっている、そういうときに逆行するようなこういう手数料の引き下げを行なうということは、年金制度を後退させるものではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、どういうわけでこういう引き下げを行なったのか、その理由を承りたいと思います。
#113
○八木政府委員 印紙売りさばき手数料の関係でございますけれども、総額で見てまいりますと、ここ三年の数字で申し上げますと、四十四年が十九億円であったわけでございます。それが四十五年は二十八億円、それから来年度の予算では約三十三億円ということで、総額においてはふえております。
 それで、確かに先生御指摘になりましたように、印紙売りさばきの手数料につきましては、従来は三%であったわけでございますけれども、これは保険料額に対しましての率ということでございまして、一昨年の四十四年の夫婦二万円年金の改正によりまして保険料が引き上げになったということで、保険料が上がることに伴いまして、従来の三%でございますとそれだけ自動的に上がるということでございますけれども、その意味も考慮いたしまして、絶対額におきましては、四十五年の場合でございますと前年度比一・四五倍ということで引き上げになっておりますし、明年度におきましては、大体保険料の引き上げというのも本年から恒常化いたしたわけでございますので、保険料の引き上げに伴いまして――確かに納付組織等に非常に御協力いただいておるわけでございますが、保険料が引き上げになったということに伴いまして、若干率は下がりましたけれども、絶対額の面におきましては増加したというような次第でございます。
#114
○古寺委員 いままで一生懸命やってこられた方に、保険料が少し上がったからといって手数料の率を下げるというのはおかしいことだと思うのです。
 そこで申し上げたいのですが、納税組合というのがございます。納税組合の場合は納税貯蓄組合法というのがございますけれども、国民年金の場合にはそういうものがないわけです。ですから、これについては国民年金の納付組合の立法化をはかれ、こういう強い要望がたびたび出されているようでございますが、その点についてはどうでしょうか。
#115
○八木政府委員 国民年金の実際の業務の運営につきましては、いままでの実績等から見ましても、かなり民間の納付組織等の御協力を仰いでやっている次第でございまして、ただ現在ございます納付組織というのは非常に各県の特殊性というものを考えてできておりまして、形態におきまして、あるいは規模におきまして、非常に多種多様なものになっている次第でございます。したがいまして、御指摘のございましたような法制的な問題というのも、当然将来の問題として検討しなければならない問題であるというふうに考えられますけれども、まず現在ございます多種多様な納付組織というものが、何らかの意味で全国的にバランスのとれたものというような方向に基盤を整備していくということも必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#116
○古寺委員 国民年金の基金をつくったときには全国一本にしておいて、こういう納付の組織づくりについては多様性等からどうにもならぬ、こういうことでは非常にまずいのじゃないかと思うのです。それは言いわけでございましょうが、今後立法化に向かって積極的に努力していただきたい、こういうふうに要望申し上げます。
 次に、事務の交付金についてお伺いしたいのですが、国民年金の事務の執行に要する経費は、本来国が当然全額を負担するたてまえになっております。ところが、現実には市町村の一般財源からの超過負担によって補っている、こういう実情でございます。したがいまして、事務費交付を大幅に増額をして、国民年金事務の執行に関する費用というものは、これは当然全額国庫負担でまかなうべきであると思いますが、どうしてそういう措置をとらないのか、お伺いしたいと思います。
#117
○八木政府委員 国民年金の第一線の業務につきましては、国の事業でございますけれども、市町村にお願いするというような形で従来も進んでおりまして、従来予算的ないろいろな制約もございまして、御指摘のような市町村におきます事務費の超過負担というような問題がありまして、各市町村からも非常に要望のあった点でございます。保険庁といたしましてもできるだけの努力を傾けまして、昭和四十三年から三年計画ということで超過負担の解消をはかるというような努力を進めたわけでございますが、これらの実績等から、昭和四十三年で被保険者一人当たりの事務費というものが二百七十四円でございましたが、昭和四十四年には三百十二円、それから昭和四十五年には三百六十円というふうに、被保険者の一人当たりの事務費の増額をはかってきたわけでございます。さらに市町村におきます人件費の増でございますとかあるいは事務費の増というような問題にも対処いたしまして、明年度予算につきましては一人頭四百十円ということで、昭和四十六年度におきましては総額九十七億という予算額をお願いしている次第でございますけれども、今後ともこの事務費の確保ということには努力してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#118
○古寺委員 先ほどの印紙の手数料の場合も同じでございますが、この事務というのは国民健康保険の事務と大体同じような事務をやっているわけです。ところが、国民健康保険の事務費は、いままでの四百三十五円が今度四百九十円になる。ところが国民年金のほうは、いままでの三百六十円が今度やっと四百十円になるわけです。当然そこに超過負担というものが生じてくるわけです。どうして国民健康保険と国民年金の場合とそういうふうに差をつけなければいけないのか、同じような事務費にしないのか、その点についてお伺いします。
#119
○八木政府委員 先ほど印紙売りさばき手数料の増額につきまして御説明申し上げましたが、国民年金の場合には、市町村の事務のほかに民間の協力機関ということでかなり納付組織というものの御協力をいただいているわけでございますので、実際の事務費という面で考えますと、市町村の事務費と印紙売りさばき手数料の両方を合算したのが実際にかかる費用であるといろふうに考えられるわけでございまして、その意味では国保の事務費と立て方が若干違うというような面もあるわけでございます。そういう面で申しますと、印紙売りさばき手数料につきまして明年度三十三億でございますが、これを被保険者一人当たりに直しますと大体百三十九円ということになりますので、四百十円にこの百三十九円を加えたものが国民年金の実際の事務に必要な経費ということになる次第でございます。
#120
○古寺委員 あなたは実態に合わないお話をしているのですよ。市町村は実際にはそういう超過負担の問題で非常に困っていらっしゃる。そのことをあなたは一生懸命否定しようとしているのですけれども、それは実態に合わないお話です。だんだんこれから出てきますから……。
 次に、国民年金の特別融資の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、この特別融資制度というのは直接被保険者の福祉の向上に寄与することがきわめて大きい。市町村の財政は非常に苦しく、その資金の需要が年々増大しているにもかかわらず、依然として二五%のワクが広げられておりません。特にその融資の決定にあたりましては、そのワクを少なくとも三分の一に拡大するとともに、保険料拠出者の意向が直接反映するような取り扱いをすべきであると思う、こういうふうに附帯決議としても出されているようでございますが、この点につきまして大臣のお考えを承りたいと思います。
#121
○内田国務大臣 国民年金にいたしましても、また厚生年金にいたしましても、現状におきましては掛け金のほうが累積をいたしてまいっておりますので、それらの資金はできる限り制度の目的である国民福祉のために還元融資をするという考え方は私どもも強く持っておるわけでございます。現状におきましては、申すまでもなくこれらは郵便貯金その他の資金とともに資金運用部資金に一時繰り入れられまして、そこから還元融資が行なわれるわけでありますが、その還元融資のワクを四分の一ということで押えられておりますことは、私は必ずしも賛成はいたさないわけでありますから、二五%よりも三分の一ぐらいに還元融資の幅を広げまして、そしてこの年金制度の目的に合うような趣旨にこの金を使いたいということに私は賛成でございます。しかし、資金運用部に集められました金は、これは特別の対象等に向けられますものは別といたしまして、実質的には国民の福祉のために、住宅にいたしましても、あるいは道路にいたしましても、使われておるわけでございまして、私どもが年金事業によりまして著しい余裕を生じておる積み立て金を資金運用部に預託いたしましても、それが全く見当はずれの方面に費やされておるわけではございませんけれども、私どもといたしましては、少しでも私どもが納得し得るワクを広げるほうが厚生省としてもいいし、また契約者の皆さま方もそのほうがわかりやすくて、望んでおられると考えますので、御意見に賛成でございます。
#122
○古寺委員 この年金積み立て金の管理運用につきましては、昭和三十六年の積み立て金の運用方針というのがございますが、これ以降全然改善を見ていないようでございます。これはどういう理由によるものか、大臣にもう一回お尋ねします。
#123
○内田国務大臣 資金運用部に入ってくるお金というのは、いまも述べましたように、そのほとんど全部が広い意味では国民の福祉に還元融資をされておるものであるから、したがって、資金の総数によってワクをつくって還元融資というものをはかってみても同じではないかという、資金運用審議会でございますか、そういうところに代表せられております審議会の委員の方々の御意向もありまして、いまの四分の一を三分の一に広げるというような方面に進んでいない、実質的には同じではないか、こういうことであると了解をいたしております。ただし、厚生年金等につきまして、掛け金額等を引き上げたり、年金額等を引ぎ上げました場合に、それだけその年には余分の積み立て金も出るわけでございますので、四分の一ワクの還元融資のほかに、別に一定の金額を付加して還元融資をするというようなことはその後も行なわれ、今日も行なわれておるわけでございますが、私どもといたしましては、これをもって満足するものではございませんので、この件につきましてはさらに大蔵省とも折衝を重ねたいと考えております。
#124
○古寺委員 次は、事業団の事業の問題点についてお尋ねをいたしたいと思いますが、最初に、貸し付け資金が大企業優先で、地方の中小企業にとっては非常にきびしい、こういうふうにいわれております。大企業はそれだけ保険料の原資が出されているからでございましょうけれども、地方の中小企業の振興あるいは地方都市における労働者の雇用安定対策の上からも、中小企業を優先して扱うべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、いかがでございましょう。
#125
○實本参考人 昭和四十五年度の年金福祉事業団におきます企業規模別の貸し付け実績を御参考に申し上げてみますと、四十五年度におきまして、件数にいたしますと三千二件の貸し付け決定をいたしております。そのうち大企業に対しまして千百四十九件、中小企業等に対しまして千八百五十三件ということで、件数にいたしましては六二%を中小企業に貸しておるということになっております。
 それから、これを金額の面で見てまいりますと、総額八百二十億の事業ワクの中で、大企業に対しまして貸し付けましたものが四百三億、それから中小企業等について貸し付けを決定いたしましたものが四百十七億ということで、金額で見ますと、大企業が四九%というふうな実情になっておるわけでございます。
 ただここで、大企業、中小企業というふうに分けておりますその基準を一応御参考に申し上げてみたいと思いますが、大企業と中小企業の基準は、昭和三十八年に定められました中小企業基本法という法律がございまして、その中小企業基本法の中で、資本金にいたしまして五千万円、従業員の数にいたしまして三百人、これは一般の生産事業でございますが、それ以外に、それとは別に、商業、サービス業でございますが、商業につきましては資本金が一千万円、従業員の数が五十人、こういうものが大企業と中小企業を区別する基準でございます。
 現実にいまの企業の実態を見てみますと、その当時きめました基準でいまやっておりますので、これは年金福祉事業団だけではありませんで、およそ中小企業、大企業に分けてものごとを運びます政府機関その他におきましては、みなこの基準を使っているわけでございますが、その基準が、現在の段階におきまして、一体大企業という概念と申しますか、イメージに合うかどうか。イメージよりも、実体的にそういうふうなものが大企業といえるかどうかというふうな問題がございまして、こういうものをある程度現時点におきます企業の実勢力に引き伸ばして考えていきますと、大部分はやはり中小企業といえるものに年金の還元融資が行なわれているのじゃないかというふうな考え方もできないことはないというふうに考えておるわけでございます。
 四十四年度、四十三年度におきましても、大体いま申し上げましたような業務実績で推移してまいっておる状態でございます。
#126
○古寺委員 私のほうで三十六年から四十四年までの実績を調べた結果によりますと、件数におきましても、金額におきましても、圧倒的に大企業のほうが多いわけでございます。
 次に、同じく三十六年から四十四年までの都道府県別の貸し付けの状況でございますけれども、東京、愛知、大阪、この大都市が全体の、件数において三六%、金額において四〇%を占めております。私どもがおりますところの東北六県は、六県全部合わせまして、件数にしてわずかに全体の〇・四%、金額にしてわずかに〇・三%、こういうような実績になっておりますが、これでは地方の実情を無視した貸し付けではないか、私はこういうふうに思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#127
○實本参考人 御指摘のとおり、まさしくそういうふうな貸し付けになっておるわけでありますが、これは本来的に年金福祉事業団の融資の性質が、先ほど申し上げましたような事業の従事者に対します福祉施設の設置に必要な資金の貸し付けをしようということでございますので、貸し付けを受ける相手の方が事業所、主として会社、工場等の事業所でございまして、そういう関係でその事業所が結果的にはやはり人口の過密なところに多い。申請して出てまいります借り受け主がみんなそういうところから出てまいる、こういうようなことになっておるものでございますので、同じ年金の還元融資でも、先ほども年金局長からお話がありました特別地方債のような地方公共団体に対しての還元融資的なものとは違いまして、そういう事業主がおりますところの、つまり被保険者がそこに集中しておりますところからの借り受け人にしか貸せない、こういうことになっておりますので、結果的にはそういうふうになってしまう。
  〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
 もう一つは、いま先生のお手元に差し上げてごらんいただいておると思います、先ほど先生のお上げになりました数字も、読み方によりましては、本社があるところの県から出てまいっている件数が出ておるわけですが、貸し付けました結果できます施設そのもの、被保険者が現実に利用する施設は、その出てきました県でなくて、それ以外の県にあるというふうなことが実情でございます。これは端的にいいますと、たとえば厚生施設、住宅施設をつくりたいといって新日鉄が申請書を出してきますと、それは新日鉄の本社のある東京の貸し付け件数になってしまうわけでございます。現実には新日鉄は東京にばかり被保険者の利用する施設を建てるのではありませんで、厚生寮を青森につくったりあるいは大分につくったりというふうなことでございますので、そういうふうな意味のバランスといいますか、配置というものの別の見方をいたしますと、被保険者の必要に応じたものに出てまいっておるのじゃないか、こういうふうにも見られると思っております。
#128
○古寺委員 次に、事業団の直接貸し付けというのと代理貸し付けというのがございます。事業団が直接貸し付けをしているものが、申し込みに対しまして大体七〇%から六〇%というふうになっておりますけれども、地方銀行の窓口を通して申し込みをした場合には、五〇%、四〇%というふうに非常に低い状況でございます。これはどういうような原因によるものか。
 それから、地方から出てきた場合には、意識して規制をしているのではないか、こういうふうにいわれておるのでございます。また、事業団に対して直接申し込みをしているものはなぜこういうふうに優先して取り扱いをするのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#129
○實本参考人 いまお話しの直接申し込みと、取り扱い機関、代理機関を通じての申し込みをした両方の件の取り扱い方に差別があるのではないかというお尋ねでございますが、現在便宜上、五十億以上の資本金のある会社からの貸し付け申し込みは事業団が直接扱うことになっております。その件が先生のいまおっしゃいました直接申し込み、それ以下のものは全部銀行の窓口を通じて申し込みが行なわれる、そういうことになっておるわけでございますが、それはすべて同じ条件で処理いたしております。決して直接だから有利な条件というふうなことで取り扱いはいたしておりません。ただ、五十億以上の会社というのは非常に数が少のうございますので、比較的競争率が少ない。それ以下のものは競争率が多い、こういうことになるわけでございますが、受け付け順に審査をするとか、あるいはあくまで被保険者の福祉施設であるという条件その他につきまして別に異なった取り扱いをいたしておるということはございませんが、なお、そういう面での取り扱いの条件の公平を欠くことのないように、もしそういう点でのおそれがあるとすれば厳に戒めていきたいというふうに考えておるところでございます。
#130
○古寺委員 次に、業種別の申し込みと貸し付けの状況を見ますと、申し込みに対しまして、非常に高い業種と、それからまた一方、非常にきびしい業種がございます。これは一体どういう理由によるのか、私ども納得できないのでございますが、申し込み書の不備によるのか、返還能力がないのか、あるいはまた、貸し付けの決定にあたって差別をするのか、そういう点について事情を承りたいと思います。
#131
○實本参考人 業種別にと申しますと、住宅とか厚生施設とかいうことじゃなくて、借り受け者のほうの業種によるということでございますか。――これはもうすべて被保険者のための福祉施設を設置するという借り受け人につきましては、そういう差別はいたしていないつもりでございまして、すべて所定の申し込みはみな同じでございますし、申し込み書その他の取り扱い機関、あるいは受け付けたものを受け付け順に審査していくという面では、全く何らそこには差別をいたしておりません。
 ただ、先ほど申し上げましたように、取扱い銀行の窓口が全国で約一万ばかりございますので、その取り扱い銀行の一万の窓口に、いろいろ貸し付け方針その他の指導徹底の行き届いているところといないところの違いから、あるいはその申請された手続書の不備とかなんとかがありまして、それを整備していただくために、往復行ったり来たりするというようなことは間々ありますので、私たちもなるべくそういう一万の窓口に対します指導徹底をはかりまして、そういうふうなむだなやりとりのないように指導を徹底してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#132
○古寺委員 仄聞するところによりますと、顔のきく人がお願いをすれば非常にスムーズにいく、ところが顔を知らない地方の事業主がお願いしますとなかなか貸し付けてくれない、そのためにあきらめているという声が非常に強いわけでございますので、そういう声が出ないようにお願いしたいと思うわけです。
 次に、事業所の規模別の状況についてお尋ねしたいのでありますが、これでも大企業優先が目立っているようでございまして、千人以上従業員がいる会社に対しましては六一%から五〇%の高率の融資が行なわれております。ところが、五十人未満という企業については、五〇%から三九%というふうに非常に格差がございます。これは、先ほどから申し上げていますように、大企業優先の方針で融資を行なっていらっしゃるのか、せっかくこういうような制度があっても、運用面で曲げられますと地方の中小企業は非常に資金で悩んでいるわけでございますが、そういう実情を無視しているのじゃないか、そういうふうに考えられるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
#133
○實本参考人 先ほど、業種別の申し込みのときにも申し上げましたように、そういう意味での大企業、中小企業での差別は、実質上取り扱い上の差別はいたしていないわけでございます。ただ、おっしゃいますように、規模の小さいために、単価が効率的にロスがあったり、あるいは特殊工事費が抜けたりというふうなこともあって、そういう結果が出ているものもあるかもしれませんが、なるべく、そういう規模が小さいから来方が少ないとか大きいからよけい貸すというようなことはあってはならないことでございますので、そういうことがないように厳に戒めてまいりたいというふうに考えております。
#134
○古寺委員 今度は資本金別に貸し付け状況を見ますと、先ほどお話がございました資本金五十億以上の会社に対しましては、件数で七〇%、金額で六〇%に達しております。百万未満の事業所では五〇%足らずしか融資がされておりません。こういうふうに非常に、五十億以上というような大企業が主体になっているのじゃないかというふうに考えるわけでございますが、この点についてはいかがでございますか。
#135
○實本参考人 直接貸しにつきましてのかねてのお尋ねでございますが、四十四年度につきましては、申し込みが、金額で七百十一億、それから決定で四百三十五億というふうになっておりまして、申し込みに対します決定率が六一%、こういうことになっております。四十五年度につきましては、お話しのように若干その率がふえておりまして、金額で二百四十五億の申し込みに対しまして百四十七億ということで、決定率が六〇%。若干決定率が下がってはおりますが、そういう大きな直接貸しの会社の従業員のための施設の設置要求というものは非常に多いものでございますから、こういうような結果になってまいりますが、規模が大きいから、小さいからというための差別というものをあらかじめ設けておいて、そのワクでやろうというふうなことは、絶対に避けてまいりたいと考えております。
#136
○古寺委員 そういうことはぜひやっていただきたいと思うのですが、いままでの実績を見ますと、これは大企業優先のそしりは免れないと思うわけでございます。
 次に、貸し付けまでの期間でございますけれども、御承知のように積寒地の東北、北海道におきましては、夏のうちに工事をやらなければ非常に経費がかさむわけでございます。ところが、貸し付け決定から貸し付け金の交付までには早くて七カ月、おそいときには一年ぐらいかかっている。こういうことは事務処理の怠慢ではないか、こういうふうに思うわけでございます。そのために、東北、北海道等におきましては非常に迷惑をこうむっているわけでございますが、何とか期間を短くできないかどうか、その点について承りたいと思います。
#137
○實本参考人 御指摘のように、年金事業団の資金を借りて、早く決定して建てたいという方々につきまして、その間の期間を一月でも半月でも短くしなければならないということは、実際事業をやっておりまして痛感いたしておるところでございます。いま短いので大体四カ月、長いので大体六カ月、七カ月というふうな先生の御指摘のとおりでございますが、日にちのかかります一番大きな理由といたしましては、最初決定申し込みのときにできました設計の変更が、決定いたしました後借り受け人のほうから出てまいるケースが多くなっております。たとえば、最初考えたところが、建て出そうとすると、日が当たらないからどけてくれというような公害問題が出てきたり、それから最近の特殊の事情でございますが、金融引き締めにかかりまして、中小企業のあるものなんかは、大体自己資金を別のほうへ回さなければならぬというようなことになって少しずれるというふうな特殊な条件も加わってまいりまして、若干また少し長引いてまいっておるわけでございますが、そういう特殊の事情を除きましては、なるべく早く、最長四カ月くらいで決定して差し上げたい。特に先生御指摘のように、北海道あたりはもう工期が半年しかございませんので、なるべくそういうところにつきましては、有効に資金が使われますように、短縮してまいりたいと考えておるところでございます。
#138
○古寺委員 次に、貸し付け金の回収についてお尋ねしたいと思いますが、納期内、納期後の回収状況はどのようになっているか、お尋ねしたいと思います。
#139
○實本参考人 いま、ちょっとその的確な、具体的な数字は持ち合わせないのでございますが、納期内にきちっと納入されるものが大体九七%くらいまでありまして、納期外に、つまり延滞料をもらわなければならないようなかっこうで出てくるというものは三%ないし四%というふうな数にとどまっております。
#140
○古寺委員 倒産などをいたしまして、実質的に回収できないものもある、こういうふうにお聞きをいたしておりますけれども、そのようなことがあるのかどうか。それから、回収不能の場合には責任はどこが持つことになるのか、その点についてお尋ねします。
#141
○實本参考人 倒産の場合もございますが、これは、会社更生法その他によりまして非常に的確に処理することがならわしになっております。それから、倒産以外ですと、たとえば貸し付けました施設が本来の目的どおりに用をなさなかったので事業廃止する、会社そのものはありますが事業廃止する、こういうのがございます。たとえば給食施設なんかはよくそういうことがございまして、そういうもの、要するに倒産あるいはその事業の廃止をするというものにつきましての資金の回収の問題でございますが、これは先生御承知のように、最初に、貸し付ける条件といたしましては、公団が第一担保を融対物件その他についてとりますので、大部分がその担保によりまして――人的担保もとっておりますので、それによりまして、一部代理機関に返還させるような契約もできておりますので、大部分は、九九%までは、債権の確保ということにつきましては措置がされておりますし、また現にそういうふうなことで措置してまいっております。そういうものが出てまいりますと――どうしても取り切れないものが出てまいります場合は、これはまた一般の国の会計法その他によりまして処理してまいりたい、こう考えております。
#142
○古寺委員 仄聞するところでは、回収不能のものが相当あるということを聞いておりますが、回収不能のものについての資料を後ほど御提出をお願いしたいと思うのですが、委員長よろしくお計らいを願いたいと思います。
#143
○伊東委員長代理 では、参考人に申し上げます。資料をひとつ提出してください。
#144
○古寺委員 いろいろとお尋ねを申し上げましたが、現在までの事業の運用の内容をお聞きいたしますと、被保険者のための福祉の運用ということがもっと拡充されなければならないのではないか、そういうふうに私も強く感じている次第でございますので、今後国民年金の加入者の方々あるいは厚生年金の加入者の方々に還元されるような、そういう融資をぜひお願いしたいということを御要望申し上げたいと思います。と同時に、いままでの実情を見ましても、非常に大都市あるいは大企業に還元融資が片寄っているわけでございまして、限られたワクの中では、地方都市あるいは地方の国民というものは、この恩恵に浴することができないわけでございますので、今後このワクの拡大については、厚生大臣からも積極的にひとつ働きかけて、先ほどお話がございましたような三〇%以上のワクの獲得ができるように、今後取り計らっていただきたいと思うわけでございます。
#145
○内田国務大臣 還元融資で一番わかりやすいものは、いま古寺さんから御論議がございました年金福祉事業団を通ずる還元融資でございますが、それよりももっと大口なものが特別地方債でございます。したがいまして、青森県を含む東北地方にも、ぜひひとつ特別地方債の引き受けがどれだけいっているかということをあわせて検討をしていただきまして、年金の積み立て金の還元が東北地方に決して酷ではない、こういうことを見ていただきたいと存じます。それはそれといたしまして、両方通じまして、二五%還元よりも、お説のように三分の一還元がよろしゅうございますので、私どもは年金福祉事業団への資金をふやしたり、あるいは特別地方債の引き受け額をふやしたり、さらにまた、これは厚生省所管でなくても、たとえば農林漁業金融公庫もございましょうし、中小企業金融公庫もございましょうし、あるいはまた、住宅金融公庫などもございますので、そういう機関を通じまして、これは国民年金の積み立て金の還元融資である、それによって得た住宅だとか、それによって振興された中小企業の設備であるとかいうような、ちゃんと折目、筋をつけましてやるようなことも考えてまいりたい、かように私は思います。
#146
○古寺委員 次に、特別児童扶養手当の対象の問題でございますが、現在後天性の心臓病疾患の方々はこの中に入っていないわけでございますが、先日の予算の分科会におきまして、うちのほうの大橋委員が大蔵大臣に質問をした際に、大蔵大臣は承知をしていなかった、厚生省のほうからは要求をした、こういうお話があったのですが、大蔵大臣は、今後この問題について要望にこたえるようにしたい、こういうお話があったのでございますが、厚生大臣はいかがでございましょうか。
#147
○内田国務大臣 私は、実は厚生大臣になりまして一年ちょっと過ぎましたが、正直に申しまして、この一年間で決して何でもわかったということではございません。いまの小児の心臓疾患の手術につきましても、先天性の心臓疾患児の手術は育成医療の対象になっているが、後天性の心臓疾患については育成医療の対象になっておらないというようなことを知りましたのはお恥ずかしい話ですが、不勉強の至りでございます。実はことしになってから、この国会が始まる前後にそういう御論議がございまして初めて知ったような次第でございます。しかしこれは、私が知る知らないにかかわらず、厚生省の当局は、もちろん前から問題にしておったと思いますが、育成医療というものは、金をかけて国でめんどうを見ればなおる可能性が非常に大きいというものを対象にしておったというようなことも、私はその際の話で耳に入れましたが、後天性の心臓疾患が手術によってなおるものであるならば、私は先天性の疾患と区別すべきものではないと思います。小児ガンなどに対する治療費を、研究費という名前ではございましたが、世論にこたえてとにかく大蔵省を説き伏せた事実もございますので、後天性の心臓疾患手術を育成医療の対象にすることにつきましても、私はそれを知りました以上は、ひとつぜひ取り組んでまいりたい、かように思います。
#148
○古寺委員 次に、老齢福祉年金の所得制限の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、所得制限の撤廃につきましては、かねてから国民の強い要望があったわけでありますが、特に戦争公務以外の公的年金受給者に対する制限の撤廃をしていただきたい、こういう強い要望があるようでございますが、この点について厚生省はどういうふうにお考えでしょうか。
#149
○北川政府委員 公的年金と福祉年金との併給の問題につきましては、やはりこの福祉年金というものが、先生も御承知のとおり、全額国庫負担でまかなわれているというふうなこともございまして、基本的な考え方といたしましては、やはり根っこになっております公的年金そのものの充実をはかっていくというような方向で考えていくべきではなかろうかというのが私どもの現在の考え方でございます。いま例に出されました戦争公務の場合の今回の併給の緩和でございますけれども、これはやはり戦争公務といったふうな特殊の条件に着目をいたしまして行なった措置でございまして、他の関係の公的年金との併給につきましては、いま申し上げましたような、やはり本来の年金の充実というようなことをたてまえにして、福祉年金というものは補完的なかっこうで上積みしていく、こういうのが現在の私どもの考えでございます。
#150
○古寺委員 そうしますと、いままでですと、すでに年間に二万四千円の恩給をいただいている人は受給の対象にならなかったわけですが、今度は額が上がりましたので幾分上がると思いますが、そういう二万四千円の人が全然年金の支給を受けられないとすれば、これはたいへんだと思うのでございますが、そういう点についてはどうお考えなんでしょうか。
#151
○北川政府委員 ただいまの先生のお話は、私はいまちょっと申し上げたのでございますけれども、恩給とかその他の公的年金の充実によって、その底上げによって出てまいりましたいわば波及的な結果でございますので、そういう意味合いでは、公的年金が充実したという意味ではむしろ本来の方向として結果的には好ましいことではなかったというような気がするのでございます。
#152
○古寺委員 私がお尋ねしているのは、年金支給限度額を上回る人は年金は受けられないわけですね。そういういわゆる戦争公務以外の一般恩給者の非常に低い恩給をいただいている人、そういう方々については、当然年金の支給を考えるべきじゃないか、こういうふうに申し上げておるわけです。
#153
○北川政府委員 私が申し上げましたのは、特に戦争公務ということの持っている特殊性に着目してというふうに申し上げましたが、先生のいまのお話は、そうでない、戦争公務によらない面につきましてもやはり同様な問題があるのじゃないか、こういう御指摘だろうと思います。それは私がいま申し上げたとおり、戦争公務だけはやはり事柄の性質上、従来からも一部併給、それから今回予算をお認めいただきますと、準士官までは全額併給ということになりますので、この分は解決するわけでございますが、それ以外は、最初申し上げましたような方向で、本来の年金の充実ということを考えていくことのほうが筋ではなかろうか。どうも先生がおっしゃったところまでいまのところは十分に手が回らないという実情でございます。なお、全体のバランスとか均衡といった問題もございますので、今後の問題として検討させていただきたいと思っております。
#154
○古寺委員 次に、国民年金と厚生年金の二重加入の問題についてお伺いをしたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、最近農漁村からの出かせぎ所帯が非常にふえておりまして、出かせぎ労働者というのは、地元にあっては国民年金に加入する、ところが出かせぎ者の事業所におきましては強制的に厚生年金に加入をするわけでございます。その場合の二重加入の実態について、厚生省はどのように把握をしていらっしゃるのか。
#155
○北川政府委員 厚生年金に加入をいたします場合は、御承知のとおり事業所に就労いたしまして、当該事業所が強制適用でございますれば当然に加入をすることになるというわけであります。その場合には、当然に国民年金の被保険者たる資格を失うということになるわけでございまして、ただ、手続上厚生年金に加入する手続は事業主が行ないますし、それから国民年金に加入をするなりあるいは国民年金から脱退と申しますか、資格を喪失するなりというような場合は、被保険者本人の手続ということになりますので、そういう意味合いで、先ほどから御議論がございますように、出かせぎの非常に多くなりました現在、現実の問題としては二重加入というふうな問題もあるように伺っておりまするし、また私どもは、そういったことがないように、できるだけ御本人が所要の手続を経て国民年金の資格を喪失したり、また厚色年金の資格を取得したり、さらにまたお国へ帰りました場合には国民年金に再加入するというようなことが適切に行なわれるように、末端の機関を通じてその趣旨を徹底をし、指導しておるような現状でございます。
#156
○古寺委員 ところが、実際問題として、出かせぎ者の七割から八割の人が二重加入をしている、こういうふうに出かせぎ者の調査によりますと判明をいたしております。そうしますと、片一方では国民年金の保険料を納める、片一方では厚生年金に加入をする、こういうふうに二重加入という形になっているわけでございますが、これを防止するあるいは解消する方法というものを厚生省は具体的にお考えになっておりますか。
#157
○八木政府委員 先生御指摘のように、厚生年金から国民年金にいく、あるいは国民年金から厚生年金にいく、特に出かせが者の場合には常時こういう問題が生ずると思いますけれども、厚生年金の場合には事業主の届け出ということで、これははっきりいたします。それから、国民年金の場合には、たてまえといたしまして本人から資格の取得なり喪失という届けが出るわけでございます。できるだけ資格関係の事務をスムーズに行なえるように、これは市町村あるいは納付組織というものを活用しましてこの趣旨を徹底するという以外に、いまのところしうがないというふうに考えております。できるだけ二重に保険料を払うということがないようにしてまいりたいというふうに考えております。
#158
○古寺委員 私は、むしろ二重加入を、厚生省はなるべくそのままにそっとしておこうという考えじゃないかと思うのです。そういう点で、先ほど申し上げましたように、印紙手数料を引き下げてみたり、あるいは事務費の交付金を減らしてみたり、非常に仕事が繁雑であるにもかかわらず、そういうふうに人件費や物価が上がっているのに、片一方では手数料を引き下げてみたり、事務費の交付金を引き下げる、こういうことでは二重加入というものは解消できないと思う。しかも、事務的に非常に繁雑でございます。出かせぎに行った人が、事業所に行って、さらにまた役場に帰って、そうしてそういう手続をとるということは不可能に近いわけです。こういう面からいって、やはり二重加入を防止するなり、あるいは年金に対する認識を高めるためには、年金手帳というようなものをつくって、そうしてその手帳があれば国民年金に入っていることも、あるいは今度は厚生年金に移行したということもはっきりするような、そういう制度を考えたほうがいいのではないか、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
#159
○八木政府委員 先生御指摘の手帳の問題でございますが、確かに国民皆年金でございますし、できますれば一本の手帳というのが望ましいわけでございます。現在の国民年金につきましては国民年金手帳というのを交付しておるわけでございます。ただ、厚生年金につきましては、被保険者証という形で処理しておりまして、社会保障審議会等でも、厚生年金についても手帳を交付すべきではないかというような御意見等も承っております。予算要求等もいたしてはおりますけれども、まだ実現を見ておらないというような状況でございます。
#160
○古寺委員 全国で二重加入のために一年間に返還をする件数はどのくらいあって、金額はどのくらいになっておりますか。
#161
○八木政府委員 必ずしも二重加入かどうか、その辺の内訳はわかりませんけれども、被保険者資格を喪失したというために、従来納めておりました国民年金の保険料を返還するというような保険料の還付金の発生額について見ますと、昭和四十四年度で三十三万二千件でございます。それから金額にいたしまして六億八千八百万円という数字でございます。
#162
○古寺委員 三十三万二千件でございますね。
#163
○八木政府委員 さようでございます。
#164
○古寺委員 この中に入っている方は出かせぎ者のほんの一部分の方だと思うのです。ですから、まだまだこの何倍も二重加入をしている人がいると思います。したがいまして金額も、何倍もの金額が支払われている、そういうことも考えられるわけでございます。こういうことでは犠牲になるのは結局出かせぎ者でございますので、こういう問題が起こらないように防止策を考えるべきではないかと思うのですが、厚生大臣はいかがでございましょう。
#165
○内田国務大臣 私もいままで気づかないことでございましたが、これはできることかできないことかわかりませんけれども、厚生年金法の規定の中に適用除外という条文がございまして、臨時に事業所で働く場合とか、また四カ月をこえない期間において事業所で働く場合には、厚生年金の加入を強制しないという規定があるはずでございます。したがって、出かせぎ者でもその適用を受けられる限りにおきましては、厚生年金に二重に加入するということはなくて済ませるはずでございますが、それよりも若干長い期間事業所に行って働くとか、あるいはいまの条文が真正面から適用されないような場合に、二重加入の問題が起きるのではないかと思いますので、古寺先生がおっしゃるような実情があるとしますならば、その適用除外のところをもう少し事務当局に検討させまして、そしてそれに対処することができるのではないかという気が実は私はいたします。出かせぎがいいか悪いかという問題、出かせぎのような地方の農家の方々にとりましては家庭的にも身体的にも非常に負担の多いそういう状況を残しておくことがいいことではありませんが、事実としてそういう状況がある限りにおきましては、二重加入を防ぐためにいま申すような検討をするのがいいのではないかと思いますので、その線につきましても検討をしてみたいと思います。いかがでございましょうか。
#166
○古寺委員 ところが実際問題としては、出かせぎ者が事業所で働く場合、厚生年金に加入しますと、実際還付するのはどっちを還付するかと申しますと、国民年金のほうの掛け金を還付しているわけなんです。これでは逆なんですね。結局、適用除外の適用をしませんで、国民年金のほうから掛け金を返還する形に現在はなっているわけです。これでは非常に矛盾しているのではないかと思うのですが、いかがですか。
#167
○内田国務大臣 いま私が申し上げましたのは、厚生年金法の第十二条に適用除外という条文がございまして、それの第五号には「季節的業務に使用される者。但し、継続して四箇月をこえて使用されるべき場合は、この限りでない。」つまり四カ月以内で季節的業務に使用される状態で厚生年金の制度を行なっておる事業所に働きに出た場合には、厚生年金の掛け金を納める必要はない、こういうことだと私は思いますし、それからさらに第六号に「臨時的事業の事業所に使用される者。但し、継続して六箇月をこえて使用されるべき場合は、この限りでない。」こう書いてございますので、農家の方の出かせぎのような場合には、そのまま国民年金に加入して、そして保険料を払っておいていただいて、厚生年金のほうは第十二条で適用除外、すなわち厚生年金の掛け金をしないでいい、こういう場合がこれでカバーされるのではないかと私は思います。これは私は法律の専門家でもなく、実際のことはよく知りませんけれども、この辺でカバーできなければ、この辺について検討することによって古寺さんが憂えられるようなことが解消されはしないかというふうに思いますので、この辺の研究をさしてみたいと思います。
#168
○古寺委員 それは大臣は実態をよくおわかりないので、専門家のほうで検討をしてもらいたいと思います。
 次に、農業者年金の問題についてお尋ねしたいと思いますが、今年の一月から農業者年金の制度が発足をいたしました。この制度につきましては、農林省は農業経営の近代化ということを目的といたしましてこういう制度ができたのですが、東北地方をはじめ各地においては、米の減反、休耕に伴いまして出かせぎ者が非常に多くなっている。ところが農業者年金制度というのは、御承知のように国民年金に加入していなければならないわけです。したがいまして、出かせぎに行って厚生年金に加入した場合には、農業者年金制度に加入ができない、こういう問題が現在起きているわけでございます。国民年金と厚生年金の間には通算年金通則法によって通算老齢年金というものがもらえるのでありますが、農業者年金の場合にはこういう制度がございません。農業者年金制度にも今後この制度を適用する考えがないかどうか、承りたいと思います。
#169
○北川政府委員 ただいま仰せのとおり、農業者年金は一般の国民年金に上乗せいたしました年金でございます。そういう意味合いで、ただいま先生仰せのとおり、国民年金と厚生年金との間にはすでに通算の措置がございますけれども、この農業者年金制度はいわば農業構造の変革の推進と農業者の老後の生活の安定という二つのねらいを持ったものでありまして、一般の公的年金制度とは違った性格のものでございますので、いわば一般の公的年金制度並みの通算措置というようなものを考えるのはいかがなものであろうか。現在の段階では農民年金というのはまだ発足したばかりでございますし、将来そういった問題をどう扱うかという問題は別途ございますが、現段階では一般公的年金並みの通算措置は私ども考えておりません。
#170
○古寺委員 農林省にお伺いしたいのですが、農業者年金制度の加入者は大体どのくらいを見ておりますか。
#171
○井上説明員 当初加入を予定しておりましたのは二百万人程度でございますが、今年度内に加入手続が完了いたします見込みのところは、おおむね六万人程度をいま予想いたしております。
#172
○古寺委員 そうしますと、二百万人というのはいつの目標でございますか。
#173
○井上説明員 四十六年度の半ばには、百八十万人ないし二百万人程度の加入手続が終わることを期待いたしております。
#174
○古寺委員 そこで私はお尋ねしたいのですが、「農業者年金業務質疑応答集」というのがございます。これを見ますと、定期的に出かせぎをする場合には、非常に厚生年金に入る期間が長いものですから、そういう人についてはこういうふうに書いてあります。「したがって年金の支給に結びつくような保険料納付済期間を満たすことができないことが確実と見込まれる者については、その者が加入の手続をひかえることがあっても当面やむをえないことと考えられる。」こういうのであります。そうしますと、農業の近代化のために優秀な経営者を残すというのがこの制度の目的ですね。ところがそういう人が減反、休耕で出かせぎにいきます。そういう人は農業者年金には入らなくてよろしい、入れない、むしろ入らないようにつとめなさい、こういうふうに農林省はおっしゃっているように思うのですが、どうですか。
#175
○井上説明員 ただいまの御質問は、現在の実態といたしまして農家が出かせぎ先で厚生年金に加入をいたしますと、国民年金の被保者資格を失う。国民年金の被保険者資格を失いますと、当然に農業者年金の被保険者資格を失うということを前提にいたしまして、農業者年金基金が出しました取り扱いについての要領でございます。したがいまして、ただいま厚生大臣から御発言がございましたような方向でかりに問題が解決されるといたしますならば、この問題も当然解決されるものと考えております。
#176
○古寺委員 なぜそういうふうなことを法制定の過程において考慮しなかったのですか。
#177
○井上説明員 ただいまの問題は国民年金と厚生年金との間の二重加入の問題でございます。それがはね返って農業者年金の被保険者資格の得喪につながる問題でございましたので、農林省としてはそのようなこと以上のことはできなかったわけでございます。
#178
○古寺委員 それで、その経過措置といたしまして、四十六年の一月一日現在でもって五十歳をこえる者は、五年間保険料を納めればよいということになっていますね。こういう方々が毎年半年ぐらいずつ出かせぎにいかなければならぬ。こういう場合には国民年金から脱退して、今度は厚生年金に移行する。帰ってきて厚生年金からまた国民年金に入る。そうしますというと、五年間たちましても農業者年金というものが受けられないわけです。こういう場合に出かせぎにいくということは、当然これはわかっているわけでございますから、そういう面について農林省あるいは厚生省は十分こういう方々の立場というものを考えて、そういう通算制なりなんなりを当初から措置すべきではなかったか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
#179
○北川政府委員 ただいまのお話は先ほど大臣から申し上げましたが、農業者年金という問題もございましょうけれども、むしろ厚生年金と国民年金とのベーシックなかね合いの問題だと思いますので、先ほどお話がありました厚生年金保険法の規定その他現行規定、法令等の運用を十分に考えまして、さらにまた必要があれば行政措置を行なうなりして、どういう方向で解決するかを十分検討したいと思います。
#180
○古寺委員 そうしますと出かせぎの方が、国民年金から出かせぎにいきます、それで厚生年金に入る、その場合も農業者年金というものがそのまま継続して加入でき得るような制度にするという、そういうお話でございますか。
#181
○北川政府委員 先ほど大臣が申し上げました厚生年金保険法サイドの適用除外の規定の運用等によってものを処理いたします場合には、そういった方々は厚生年金の被保険者にはならないわけでありますから、そういう限りにおいて問題はその面で解決すると思います。
#182
○古寺委員 それはどこでチェックしますか。その事業所へいって厚生年金金に加入しなくてもよろしいという、そういう措置をどこでチェックしますか。
#183
○北川政府委員 この問題は厚生年金の被保険者資格を取得しておるかどうかという問題でございますので、被保険者資格の取得は厚生年金の場合には事業主の届け出によるわけでございます。事業主が、自分の事業所に就労いたしました者が、被保険者としての資格を持ち得るかどうかということを、厚生年金保険法の関連規定に照らして判断いたしました上で処理する問題でございまして、なお判断をいたします場合に、どういう運用をいたしますかということは、従前からスタンダードな基準はございますけれども、ただいま仰せになりましたような出かせぎ者の観点というふうなものは、非常に一般化してきて、規定の運用その他について何らかの手を加えなければならぬというような実態が一般化してまいりますれば、その段階において適用関係の事務について、一つの方針なり、方向なり、そういったふうなものを当該事業所に対して伝える、こういうかっこうになろうかと思います。
#184
○古寺委員 こういう新しい制度ができたのはいいのですが、国民年金と厚生年金の二重加入の上に、さらに今度は農業者年金の三重加入という、そういうような問題も起きてきているわけでございます。そういう点で農家の方々は非常に迷っておられる。こういうことではいけないのでありまして、当然きちっとした納得のいくそういう制度をつくらなければいけないのじゃないか、こう思うわけです。いま健康保険の抜本改正の問題もいろいろいわれておりますが、この年金制度もあまりにも複雑で、非常に格差あるいはアンバランスというものがあって、お互いの制度間の調整もよくついておりません。こういう面からいって、日本の年金制度というものはこれはやはり抜本的に考えなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、大臣はどうでしょう。
#185
○内田国務大臣 これはもう長い間の課題でございます。年金制度が八種類ぐらいあるようであります。厚生年金、国民年金を柱といたしながら、昔の恩給があり、また各種の職域ごとの共済組合の長期給付等がございますが、それらはそれぞれ沿革があったり、また給付目的が違うわけでございますので、これを直ちに一本にするということになかなかなれないことが問題でございますが、しかし共通点はなるべく共通的に処理するようにしたいということで、従来検討の結果、先ほど来問題になっておりますところの通算制度の問題あるいはまた最低額保障の問題というようなところまではコンクリートな課題となってきておるわけでありますが、その他につきましては――これは実は厚生省、私どもがやっておるわけではございませんで、総理府におきまして関係各方面のこれらの年金諸官庁、諸制度を集めてやっておりますが、私ども大株主でございますので、この総理府の連絡官会議というものを今後もさらに続けていただきまして、そしてできるだけ制度の一本化、簡素化、共通化というようなことに前進させてまいりたい、こういうつもりでおります。
#186
○古寺委員 時間になりましたので終わります。
#187
○伊東委員長代理 田畑金光君。
#188
○田畑委員 大臣にひとつお答えをいただきますが、厚生年金保険法については一部改正が出て、定額分を中心に一〇%の引き上げ措置が講じられておるわけです。ところが国民年金法一部改正については福祉年金の面だけを今回改正しておるということが実態でございます。ところでこれは四十四年の第六十一国会では厚生年金の二万円引き上げにならって国民年金も引き上げ措置を講じたわけですが、そのときはいわゆる財政再計算の時期ではないけれども、厚生年金に準じて引き上げ措置を講ずる、またいまの物価の値上がり、国民生活の状況、こういうことを考えて国民年金についても引き上げ措置を講じた、こういうようなことだったわけです。ところで今回は、厚生年金については財政再計算の時期ではないけれども一〇%引き上げ措置を講じておるが、国民年金については手を染めていない。どういうことでこうなったのか。その点をひとつまずお答えを願いたいと思います。
#189
○内田国務大臣 これは、私ども同じような考え方で国民年金についても進みたいと考えております。厚生年金のほうは、昭和四十四年に大幅改正を実施いたしましたが、国民年金のほうのいわゆる二万円年金の改正は一年ずれまして昨年の七月からということでございまして、その間一年の差がございますので、したがって今回の中間的の改正ではございますが、一年先に厚生年金の中間的是正を行なったわけでございますが、私どもの考えでは、明年一年おくれで、前からおくれておりますので、それでちょうど歩調が合うわけでございますので、国民年金の中間的な改正というものもやるべきであると私は考えております。なお、そればかりではございません。財政再計算期の時期というものは少なくても五年に一回ということでございますので、その少なくてもということを年金受給者の利益に考えまして、五年を待たずしても、国民の生活水準あるいはまた一般の給与水準等を勘案しながら、そちらの大幅な改正というものも期間を詰めてやりたい、かように私は考えております。
#190
○田畑委員 いまの大臣の御答弁は、来年は必ず国民年金の給額の引き上げ措置を講ずる、このように理解してよろしいわけですか。特に私が念を押したいのは、おそらく大臣、またお話がだんだん出ると思いますが、いま大臣が約束されても、これがまた大臣がかわってくると、また来年はおかしいことになって、結局国民年金についてはそのままに据え置かれた、こういうことではせっかくの大臣の前向きの答弁が生きてこぬということになってきますが、来年は必ず国民年金の引き上げ措置を講ずる、財政再計算期にはなっていないが、こういうことに承ってよろしゅうございますか。
#191
○内田国務大臣 それは申すまでもなくことしの八月の概算要求から入るわけでございますが、必ずということは申し得ませんけれども、いま田畑さんの御質問、まことに私筋の通った御意見だと思いますので、一年ずれて来年は拠出制の国民年金の金額検討というものをやるべきであるというたてまえで進みたいと思いますし、そのような努力をいたす所存でございます。
#192
○田畑委員 私が申し上げたいのは、来年を待たずしてなぜことし引き上げ措置を講じなかったかという点に重点を置いておるのです。大臣のお答えのように実施時期を一年ずらすならば、ことし改正してまた一年時期をずらしたって、施行上一向差しつかえないわけです。大臣御承知のように、四十四年の厚生年金保険法改正それから国民年金保険法の改正、厚生年金については御承知のように妻は加算の対象で、被保険者本人について二万円年金、こういう形になっておるわけです。ところが国民年金については、いわゆる二万円年金といっておるけれども、夫婦二人合わせて一万六千円、さらに所得比例部分を入れて二万五百円。しかし所得比例部分の四千五百円は任意加入であるわけです。したがって、厚生年金と国民年金を比べた場合には、一昨年の四十四年の改正の時点においてすでに大きな開きがあるわけなんです。しかし、一歩前進であるということで私たちはこれを歓迎したわけでありますが、今回厚生年金は一〇%引き上げということになれば、その格差はいよいよ開いてくるわけですね。大臣御承知のように、恩給について見ますならば、本年の十月から八・四%の引き上げ措置が講じられておる。また昨年の積み残しということで、恩給については本年の一月から九月までは二・二五%の引き上げ措置が講じられておる。このように見てみますと、本年の十月からは恩給については一〇・六五%の引き上げ措置が講じられておるわけですね。恩給の引き上げ措置は、その他の共済組合の全部の引き上げ措置になっておるわけなんです。私は、厚生年金が今回一〇%引き上げ措置を講じられたというのは、恩給、共済組合の引き上げから見ますならばこれは当然のことだと思う。ところが、一番問題として取り残されておるのは国民年金だ。しかも国民年金についても、いわゆる特例年金については本年の五月から、制度発足以来ちょうど十年目、拠出の給付がようやく始まる、こういうときでしょう。こういうときであるだけに、国民年金の拠出制はことしから始まるならば、ことしこそ上げてみるべきじゃございませんか。その他の年金との均衡ということから見ましても、これは当然この国会で、この五月から適用を受ける人方についての引き上げ措置を講ずるというのが、年金の均衡から見ても、国民の受益者の均衡という立場から見ましても、これは当然の措置じゃないかと私は思う。なぜそれを忘れたのかということです。検討しなかったのか、したのか。あるいは、政府部内で意見が一致しないためにこれはやらなかったのか。あるいは国庫負担ということが出るので、大蔵省の反対でできなかったのか。このあたりはどうなんですか。
#193
○内田国務大臣 ごもっともなお尋ねで、私も当初はそのように思いました。ところが調べてみますると、厚生年金と国民年金との先般の大幅改正は初めから一年のずれがあって、国民年金の改定のほうが一年、正確にいうと八カ月だそうでございますが、八カ月ずれて改定が行なわれた。したがって今回厚生年金の改正が行なわれたといたしますと、国民年金のほうの同じような意味の改正は、やはり八カ月ずれて、それで同じような平仄になる、こういうことだそうでございます。いずれにいたしましても、この厚生年金の改正は抜本的な改正でもございません。中間的な御承知のような改正でございますし、また八カ月おくれといいますか、明年から私どもがやりたいと思っております国民年金の改正も抜本的な、財政再計算期を繰り上げてやるというものでもございませんけれども、少なくとも今度の厚生年金にならったような金額の改定というものをやるのが両者平仄が合う、こういうことになるわけでございます。それでおくれているわけでございまして、今度ことさらにいろいろむずかしい事情があって拠出制の国民年金の金額是正をおくらした、こういうわけではございません。それはそれといたしまして、くどいようでございますが、厚生年金についても、また国民年金につきましても、財政再計算期における相当大幅な根本的な考え直しというものは五年を待たないで――五年待つということになりますと、昭和四十九年か五十年になるはずでございますが、私はそれよりももっと繰り上げて大改正ということもやるように検討をしてほしいということを厚生省の担当者に申し渡している、こういうことも申し添えておきます。
#194
○田畑委員 これはひとつ法律の条文の解釈ということでお尋ねいたしますが、国民年金法の第四条を見ますると、第一項には、「国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」改定の措置を講じなければならないという、これは義務規定なんです。いまの国民年金をめぐる事情を見ますならば、先ほど来るる申し上げたように、当然第一項に基づいて改定措置を講じなければならない。私は、政府あるいは厚生省は当然それくらいの措置をとるべきであった、こう思うのです。この第一項の解釈です。
 それから第二項の解釈、いわゆる五年ごとの財政再計算期というものがうたわれておりますが、第二項を見ますと、「少なくとも五年ごとに、この基準に従って再計算され、その結果に基いて所要の調整が加えられるべきものとする。」これは単に訓示規定なんですよ。五年ごとに財政の再計算をやることにするということだけにすぎない。一体、一項と二項を比較検討したとき、どの条項に基づいてやるべきかという問題、これは、皆さん、厚生省としてはどういう考え方でやってきたのですか。またやるのですか。
  〔伊東委員長代理退席、増岡委員長代理着席〕
この一、二項の関係に照らして方針をはっきりしてもらいたい、こう思うのです。
#195
○内田国務大臣 私どもはその一項と二項とを組み合わせて、わかりやすく申しますと両手つかいで年金の改善をやろうと実はいたしております。二項の財政再計算期における改定にはかなり大幅の、それも年金の給付額ばかりではなしに掛け金と申しますか保険料などの関連をそれぞれ考慮しながらかなり大幅な改正をやることにしたいと考えますし、その間に第一項の生活水準その他経済事情の変動に応じての部分的小改正というものをはさみながらやってまいる、こういうことでこの問題を攻め上げてまいりたい、このように思います。恩給法などにつきましては財政再計算期的な考えがございませんので、毎年ちびちびと改正をやられるたてまえと私は心得ておりますけれども、年金につきましては幸い両方の規定がございますので、これを織りまぜてやる、こういうわけでございます。
#196
○田畑委員 局長にお尋ねするが、この第四条一項と二項との関係はどういう関係になるのか。これは別個なのか、その条項のたてまえは別個のものという立場に立って政府は政策の運用をやるものか、あるいは同じものなのか。さらにいま大臣のお答えにありますが、本格的な財政再計算期というものはいつを予定しておるのか、それまでの間に物価の値上がりその他諸般の事情の変更に基づく年金の手直しについては第一項でやるというお話でございますが、私は第一項に基づいてやるなら当然ことしやるべきであったと思うのです。厚生年金についてやっているのだから国民年金についてなぜやらないのか、年金局長としてどうしてこんな取り扱いをしたのか、その辺の事情をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
#197
○北川政府委員 第四条の規定は、法律的には第一項と第二項とは全然別な規定でございます。第二項は保険料の額につきまして、ただいま大臣から申しましたように、全体的に将来にわたって財政の均衡が保持できるように、「少なくとも五年ごとに」いろいろな基準に従って再計算をする。それから再計算の結果に基づいて所要の調整をするという、これはいわば厚生年金なりあるいは国民年金なり、年金に必ず伴わなければならない保険料あるいは給付等の再計算の規定でございます。
 それから第一項の規定は、ここに書いてあるとおりでありまして、そのときどきの社会経済状態の変動に対応するためにすみやかに改善措置を講ずるという、いわば一種の政策スライド制と申しますか、そういった性格の規定でございます。従来のやり方は、先生も御承知のとおり五年目ごとに――法律は「少なくとも五年ごとに」と書いてございますけれども、五年を区切って再計算を行ないまして、その際にあわせて制度そのものの改正をやってまいったわけでございます。
 大臣が申し上げましたのは二つございまして、第二項の再計算というものは、現在のような社会経済状態の変動の激しい時代におきましては、少なくとも五年目ごとというようなこと、また慣例的に五年を区切ってやってまいりましたことが、はたして五年でいいかどうか、これを四年にするなりあるいは三年半にするなり、そういったふうに繰り上げてインターバルを短くする必要があるのではないかということが一つと、それから従来の例によりますと、その際に、第一項の規定というふうなものに基づきまして、制度全体の根本的な見直しをやってまいったわけでございますから、そういう意味合いで第二項と第一項とは、法律的には関係はございませんけれども、従来の慣例からいっても、また再計算の結果が出てまいりますという結果から申しましても、この機会に制度全体を見直す、こういうことが一つでございます。
 それからもう一つは、この第二項の規定に基づく財政再計算がない場合におきましても、第一項の規定があるわけでございますから、社会経済状態の著しい変動というものがあって、改定の措置を講ずる必要がある場合には、第一項の規定によって暫定的なりあるいは応急的なりの手直しをする、こういうことでございます。その第一項の規定があるにかかわらず、今回四十六年度において国民年金に関する限り、拠出制国民年金について改定の措置が講ぜられなかったじゃないか、こういうお話でございますけれども、これは先ほどの大臣からのお答えにもございましたように、実際に前回改正をされました国民年金法は昨年の七月から動いておりまして、そういった意味合いで、まあ厚生年金の場合とはほぼ一年近いズレがあるものでございますから、そういうことで当面四十六年度においてこの規定を援用して暫定的な手直しをするというふうな、そこまでの必要はないのではなかろうか。もし四十六年度の年度途中の進行のぐあいによりましていろいろな条件がこれに合致してくるというふうなことでございますれば、これはこういう規定もあることでございますから、四十七年度においてどういう措置をとるかについて十分検討しなければならない、こういうことを申し上げているわけでございます。またそういったいきさつで、現在四十六年度につきましては国民年金の改正は行なわなかったような次第でございます。
  〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
#198
○田畑委員 あなたの前段の答弁は四条の一項、二項の関係なり解釈なり立法の趣旨を述べていたが、その限りにおいては私も了解するけれども、それを現実の情勢に適応した処理のしかたとして、あなたの後段の説明というものは私は納得できない。いやしくも一項と二項との相互関係をあなたが述べたように、二項は五年ごとの財政再計算期に大幅に見るということ自体はわかるけれども、しかし今日五年間ほうっておいたらどうなるかということ。そうでしょう。毎年給与は上がっていく。国家公務員はじめ民間の給与も上がっていく。そしてまた、恩給関係が上がっていく。共済組合の年金その他も上がっていく。これにどう追いつくかということ、これとどう均衡をとるかということこそ、厚生年金並びに国民年金運用の一番大事な問題だと私は思うのですね。これは昭和四十三年三月二十五日の恩給審議会の答申の中でも「五パーセント以上消費者物価が上昇した場合にはそれに応じて恩給年額を改定すべき」こと、また「これを制度化するなど所要の措置を講ずること」この趣旨に基づいて恩給あるいは共済は毎年動いていっておるのでしょう。私は、そういうことを見るならば、厚生年金についても、ましてや国民年金は一番おくれているのだから、国民年金についてできるだけ歩調をそろえていくように努力するということは、この制度の番人であるあなた方の当然心がけなければならぬ問題だと思うのですが、どうですか。
#199
○北川政府委員 私がお答え申し上げまして少し不十分な点がございましたので、補足をいたします。
 それは私が申し上げましたことを言いかえますと、国年に関する限りは四十五年の七月から改正が動いておる。したがってことしはその翌年である。それからもう一点は五年、そうなりますと結局次期再計算期は昭和五十年でございますけれども、私が申し上げましたのは、五十年まで待つということはとてもできない。これは大臣も申し上げましたが、五十年を待つことなく国民年金につきましても相当大幅な改正をすべきであろうと思っておるということが一つと、それからことしは四十五年の改正の翌年でございますけれども、なおこの四十六年度中のいろいろな経済社会条件の変動というものも相当に著しいものがあるように見込まれますし、そういったことを十分に見きわめた上で、四十七年度について国民年金についてどのような手直しをするかということは、今後十分事態の推移とともに検討したい、こういう二つのことを申し上げたつもりでございます。
#200
○田畑委員 ひとつ大臣、大臣の先ほどのお答えのとおり、国民年金についてはことし、私が申し上げたようにこの制度だけを積み残したということはまことに遺憾であって、四十七年度は再計算という年には当たっていないけれども、四条第一項の著しい経済情勢の変化ということ、そして国民生活の構造の変化ということを念頭に置かれて私はぜひこれを善処してもらいたい、こう思いますので、もう一度大臣のお答えを願います。
#201
○内田国務大臣 私どもの気持ちは全く田畑さんと同じでございます。でございますので、財政再計算期というのを五年を待たずしてもっと詰めて、四年なり三年半なり三年なりに詰めて、そして制度の本来の趣旨というものを再検討して、いわば大幅な改正をする。しかもその中間においては、第一項の規定を適用いたしまして中間的な是正もする、こういうたてまえをとってまいりたいと考えておりますので、明年は国民年金についても何らかの改善の方途に踏み出したいということで私どもは準備をいたそうと考えております。
 これに反しまして、福祉年金のほうは財政再計算期というものがございませんので、物価とか生活水準とかいうものも考えたり、またいままである金額が必ずしも十分ではないというようなことも考えながら、毎年やっておる、こういうことでその点が拠出制と違いますが、毎年やらないほうの拠出制のほうはなおざりにするということでは全くないことをこの際申し上げておきます。
#202
○田畑委員 これは局長の答弁でけっこうでございますが、一昨年の国民年金法改正のときに高齢者の任意加入の継続、これを取り入れられたわけでありますね。さらにまた高齢者の任意加入の再開、さらにもう一つは当時、昭和三十六年から拠出制年金が始まって今日に至っておるわけでありますが、御承知のように、この制度が始まった当時は、相当国民年金に反対運動が全国的にあって、そしてまたこの強制加入にかかわらず、加入ボイコット運動が影響していると申しましょうか、そのためにこの制度に入っていない、あるいはそれは別のことばでいうと滞納しておる、こういう人方が相当にまだ残っておると考えております。
 そこで、私が申し上げたいことは、高齢者の任意加入の継続に基づいて、一昨年の法律改正以降国民年金に入った人方は、数は幾らなのか。さらにまた、高齢者の任意加入の再開で入った人は幾らなのか。さらに保険料の滞納者で、その後国民年金に保険料を納入して入ってきた人は幾らなのか。この数字、おわかりであったならば、ひとつお答えいただきたいと思うのです。
#203
○北川政府委員 先生おっしゃいました五年年金の加入者は七十四万人で、十年年金を途中でやめた人で復帰をいたしました人が二万人、それから最後におっしゃいました保険料を納入して入ってきた者、それが約二万人、以上でございます。
#204
○田畑委員 いまの答弁によりますと、四十四年のこの法律審議のとき、いわゆる高齢者の任意加入に相当する人が、たしか対象の人数が二百万と答えていたと思いますが、さらに継続加入の対象者が一万、そうして保険料の滞納者が約五十一万、こういうような当時の伊部局長からの答弁でございましたが、著しくいまのお答えの数字と違っているのだが、継続加入のごときは約一万の予定がいま二万というお答え、それはそれだけ実在したからけっこうでございますが、高齢者の任意加入の対象が二百万に対してなお七十四万、保険料の滞納者が五十一万の予定が正規に加入したのがまだ二万、そうしますと、これからまだ行政当局が努力をされて、この制度に加入させるべき人方が相当残っておると見受けますが、どうなんですか。
#205
○北川政府委員 四十四年当時の推計で申し上げますと、ただいま先生のおっしゃいましたいわゆる高齢任意加入の対象者の総人口が約四百万人でございまして、その中で公的年金の対象者が二百七十四万人、その内訳は国民年金以外の年金で百万人、それから国民年金の十年年金で百万人、それからいま申し上げました五年年金で七十四万人ということで、当時残った方々は百二十六万人ということでございます。ただ、ただいま申し上げましたように、中途で十年年金をやめて復帰した方が二万人ございまするし、また保険料を納めて復帰した方が二万人あるということでございますので、若干この百二十六万という数字は変わってまいりますが、当時の推計ではそのような推計が行なわれております。
#206
○田畑委員 いまの数字については、ひとつ後ほどそれぞれの項目に基づいて資料としてこの委員会に提出してもらいたい。
 そこで、こういう問題が起きるわけですが、この拠出制の始まった昭和三十六年当時すでに五十歳をこえていた人々の中には、結局どの年金にも入らなかった、したがって、年金の受給権を持たない、こういう人方が相当に私は出てくるんじゃないか、こう思うのです。一体どれくらい出てくるかということが一つ。こういう人方は、そういたしますと、満七十歳の老齢福祉年金がもらえる年になるまでは何らの年金の恩典と申しますか、この制度の給付にあずからぬという人が出てくるわけでありますが、こういう人方について、これはこのままにしておくのかどうか、これが一つ。それからことしの五月ですか、いわゆる十年年金の給付が始まりますね。この人方は該当者は幾らなのか。この人方は、申すまでもなく、十年年金で月額五千円の年金が支給される。夫婦で一万円ということになろうかと思いますが、そういうことをいたしますと、私が先ほど申し上げたように、全然この年金制度から、またその他の年金制度から取り残されておる人方が相当出てくるが、こういう人方については何らかの措置を考えているのかどうか、あるいはこういう人方については法律のあることを知らぬで、制度のあることを知らぬで加入しなかった人もあろうし、あるいは知って加入しなかった人もおるとは思いますが、こういうような人方については何らかの措置もやらぬのかどうか。
#207
○北川政府委員 ただいまのお話の中で、制度ができました三十六年当時の状態といたしまして、もともと制度に加入できない方々、そういう方々があるわけであります。これはもう御承知のとおりで、これが当時で大体二百五十万人くらいというふうに見込んでおります。
 それから先ほども申し上げました高齢任意加入というような道が開かれておりましたのでございますけれども、またその間において二回にわたって高齢任意加入の促進措置というふうなものをとったわけでございますが、その結果においてもなおかつ加入から漏れた方々が百二十万くらいございまして、大体三百七十万余りの方々が適用からはずれておる、このような数字になろうかと思います。
 それから、ことしから支給が開始されます十年年金の受給権者は、老齢と退職と合わせまして約十九万人と見込んでおります。
#208
○田畑委員 そこで、私がお尋ねしているもう一つの点は、前段のあなたの答えにある、結局この制度についていけなかった人と申しましょうか、あるいはまた加入しなかった人方、この人方が三百七十万、こういうことになりますが、一方においては十年年金の人方がことしから約十九万人が給付を受ける、年金を受ける、こういうことになってまいりますが、この前段の人方についてはもう何らの措置もやらぬ方針なのか、これについてはどういうことをお考えになっているのか、その点を私はお尋ねしているのです。
#209
○北川政府委員 国民年金も年金制度でございまするから、年金制度をつくりましたときに、やはりいま申し上げましたようなかっこうで制度の仕組みをとったわけでございます。そういう意味合いでこういう方々について、先先のお話しのように、制度施行当時においては確かに制度を拒否するような動きもございましたし、いろいろ経緯はございましたけれども、現在の段階まできてみますと、いよいよ十年年金というものの支給も始まるということで、国民年金というものが現実的に非常に迫力を持ってきたことは事実でございまして、そういったことが反射的に、こういう制度からはずれている方々について非常な空白感を持つようなことになると思います。ただ明年度におきまして、今度の法律改正でもお願いを申し上げておりますように、特にねたきり老人というふうなものを中心にいたしまして、障害の度合いの高い方々につきましては年齢引き下げというふうなものをやっておりまするから、そういった面でブランクの中の方々の一部分の救済というものは、私どもも手をつけたつもりでございます。それ以外の方々につきましては、いま申し上げましたような非常に大きな、非常に激しい老齢化現象と年金の持つ迫力、こういう社会の中でこういう方々をどう扱っていくかは今後の一つの課題ではございますが、現段階においてはそれについて具体的な策というものはまだ十分に申し上げる段階には至っておりません。
#210
○田畑委員 非常に斬新な、そして前向きな、あるいはまた問題に積極的に取り組んでこられておる厚生大臣、この問題についてはいかようにお考えでしょうか。
#211
○内田国務大臣 だんだんと政府委員から御答弁申し上げましたとおりでありまして、七十歳以上の方々は当然福祉年金の対象になるわけでございますが、六十五歳までの方で任意加入をなさらなかった、その空白が出てまいりますことは御指摘のとおりでございます。そこで、前の国会で当委員会でも御意見がございました、その空白を埋める措置の一環といたしまして、福祉年金につきまして、ごく限られた方ではございますが、からだの悪い老人につきましては福祉年金を六十五歳まで引き下げるということで、そこの連絡は一部つけたわけでございますが、なお六十五歳で福祉年金を受け得ない方々が残りますことについては、正直に申しまして私どももこれをいかにすべきか、福祉年金全体を六十五歳に引き下げ得るかどうかというような問題等も頭に置きながらいろいろと考えてまいりたいと思っておりますが、ことしはその中間、一部連絡というようなことでございました。
#212
○田畑委員 福祉年金についてことし三百円引き上げられた。これはいままでの引き上げ額から見ますると百円とか二百円、ことしは初めて三百円、その限りにおいては、これは勇断であるといえば勇断だと思いますけれども、しかし、また反面から見た場合いろいろ、この程度でいいのかなという疑問を持つわけです。
 そこで、この拠出制年金が始まったのが三十六年ですね。それから、この無拠出の福祉年金が始まったのが三十四年ですね。三十四年当時の老齢福祉年金というのは幾らであったのか、さらにその当時法律に基づく拠出年金の給付額については十年年金、それから二十年保険で納めた正規の人方、これが満六十五歳に達したとき、その支給額は幾らであったのか、この関係がどのように今日まで法律改正その他で移っておるのか、それをひとつ説明願いたいと思うのです。
#213
○北川政府委員 三十四年当時の老齢福祉年金の額は千円でございます。それから同じ時期における二十五年納付の拠出制国民年金は二千円でございます。それから現在、四十六年度の老齢福祉年金は二千三百円で、拠出制の国民年金は八千円です。
#214
○田畑委員 さらにこれはあなたのほうでないかもしれないが、生活扶助ですね、昭和三十四年当時、特に低い四級地の老人一人当たり生活保護費は幾らでしたか。
#215
○北川政府委員 二千百六十円でございまして、これは六十五歳で男子単身世帯でございます。先生おっしゃったように四級地でございます。
#216
○田畑委員 いま現在は。
#217
○北川政府委員 現在は四十五年で八千九百七十五円です。
#218
○田畑委員 そこで私これは大臣にまたお尋ねするわけですが、いま局長から答えがありましたように、昭和三十四年当時、すなわち国民年金法が成立をした当時、また無拠出の年金支給の始まった昭和三十四年当時、老齢福祉年金を一例にとりますと千円からだんだん増額をされて、昭和四十六年度、ことし二千三百円になったわけです。ところで拠出制年金はどう変わっておるかと申しますと、三十四年当時の二千円が八千円、さらに四級地の生活扶助が成人男子六十五歳ということでございましたが、三十四年当時二千百六十円が八千九百七十五円、十年年金もことしから支給が開始されるとすれば五千円、こういうことになるわけでございますが、私この数字を見ておりますと、冒頭に三百円上げたのは勇断であるとおほめを申し上げたけれども、しかし十何年間で老齢福祉年金はようやく千円から二千三百円にきたのかなという、数字を見ますといかにもまだ老齢福祉年金はお粗末だなという感じを禁じ得ないのです。またいま申し上げたように、ことしから拠出年金をもらう人方が五千円、それはもっとも自分たちが保険料を納めてその給付を受けるのでございますから、そこに差が出てくるのはやむを得ぬということは理屈としてわかりますけれども、満七十歳以上の人方について二千三百円ということは、老人福祉の問題に特にあたたかい気持ちで取り組んでいらっしゃる厚生大臣のなさっておることにしては、いささかこれはお粗末過ぎるような感じもするのでございますが、大臣、三百円の値上げ措置をなされた根拠は何か、またこの福祉年金について、今後これをどういう方向に持っていこうという構想なのか。先ほど申し上げたように来年はぜひ国民年金自体も、したがって拠出年金自体についても当然かさ上げしてもらわなければならぬと思いますが、それとの関連でこの低い福祉年金の現状について、これをどういう方向に持っていかれようとするのか、ここらあたりで大臣の構想をひとつ承っておきたい、こう思うのです。
#219
○内田国務大臣 たいへんおだてられたような気もいたしますが、根拠は何かということになりますと、根拠はいままで二千円であった、おととしは千八百円であったというのが根拠でございまして、それに幾ら積み増しをするかというようなことで、従来は最近でも毎年百円なり、あるいはせいぜい二百円の増額でございましたのを今回三百円に上げた、こういうことで、それは物価とか生活水準とかいうことから御説明申し上げれば済むことかもしれませんが、しかしそんなものではなしに、まあ十年の経過、拠出年金が五千円でありますから、少なくとも二千五百円くらいは私は出したいと考えてがんばったところでございます。しかし、お尋ねがございませんでしたけれども、所得制限を相当大幅に緩和をいたしまして、いままで福祉年金を受けられなかった方々にもかなりその受給者の範囲が広がりますし、先ほども触れましたからだの悪い老人につきましては、七十歳の受給資格を六十五歳まで引き下げるとか、あるいはまた一部ではございますけれども、公務扶助料を受けられる御遺族の方、軍人遺族の方々につきましては、准尉以下の階級の方々については福祉年金を全額併給を認めるというような、幾本かの攻撃目標を立てまして大蔵省と渡り合いましたが、私の力が二百円ほど足りませんで、二千五百円の目標でありましたものが二千三百円で、三百円引き上げで終わったということはまことに残念でなりませんので、来年はまたさらに老人対策に大きく踏み出すつもりで、これらの改善につきましても努力をいたす所存でございます。
#220
○田畑委員 老齢福祉年金その他の福祉年金については、今日までの足取りから見ましても、遅々として、前進した内容でないと申し上げても私は差しつかえなかろうかと思います。しかし、大臣自身として精一ぱい努力なされてもなかなかそういかぬということもよくわかりますが、来年の国民年金を見直すとき、福祉年金についてはさらに大幅にひとつ前向きで検討されることを強く要望しておきたいと思います。
 最後に私はお尋ねするわけでございますが、今度のこの改正法で、老齢福祉年金の支給開始年齢を障害者についてのみ六十五歳に引き下げられた理由は何でしょうか。昨年たしかこの委員会で田邊委員の質問に対して大臣がお答えになったのは、四十六年にはぜがひでも福祉年金については七十歳の年齢を六十五歳まで引き下げたい、引き下げる、こういうような答弁があって、全国の新聞にぱっと出て、明るいニュースだといって報道されたことを私は記憶しております。だから私は老齢福祉年金については、金額を先ほど申し上げましたが、支給開始年齢を六十五歳に引き下げる目標でことしも努力されたと思うのですが、これも先ほどのような事情でだめになったのか、あるいは最初から六十五歳に引き下げることは無理だったので障害者についてのみ六十五歳になったのか、その辺の努力はどの程度大臣はなさったのか、それが一つ。
 それからもう一つ。私は、障害年金については、障害者についてはこれを二級まで広げて、いま申し上げたように、老齢福祉年金はやはり六十五歳をめどに早急にひとつ、老人福祉の年金面からいう福祉の向上のために、私はぜひ御努力をいただきたい、こう思うのですが、これの見通し、今日までの努力の経過等についてひとつ大臣からお答えを願いたいと思うのです。
#221
○内田国務大臣 昨年当委員会におきまして、老齢福祉年金の受給資格を七十歳から六十五歳に引き下げる努力をするということを私はお約束をいたしたわけであります。その気持らは今日でも変わりありません。と申しますのは、ことしからとにかく、拠出制ではありますけれども、お金を出された方ではありますけれども、六十五歳の老人が年金をもらうことになります。同じ老人でありながら、一方の老人は年金が受けられない、他方の拠出した方は六十五歳で堂々と五千円年金が受けられるということになりますと、老人同士の間でまことにおもしろからぬことになると私は考えるものでございますので、昨年の段階におきまして、実は事務当局から、そんなことを大臣言ってだいじょうぶかとそでを引かれたかもしれませんが、六十五歳に資格を緩和する努力をすることをお約束いたしました。その線に沿いまして百万奮戦をいたしましたところが、今回はとにもかくにもその一部の徒歩連絡がついた、こういうふうに御理解をいただきたいと存じます。したがいまして、私はこれをもって万事終われりと考えるものではございませんので、今後も引き続きまして受給資格を六十五歳に引き下げる努力を、そして同じ種類の、六十六歳、六十七歳の老人の方々が、額はかりに拠出された方と無拠出の方と違いましても、その年金が受けられるようなそういう世界をつくりたいという私は理念を持つものでございます。
 またお尋ねがございました障害年金につきまして、拠出制の方々は一級のみならず、二級まで障害年金を受けられるわけでございますが、拠出のない福祉年金の方々におきましては一級どまり、こういうことになっておるわけであります。それが今回二級の方につきましては六十五歳の方までカバーをされることになりました。障害年金という形ではございませんけれども、老齢年金という形で少し金額が安いわけでありますが、カバーされることになりました。これもやはり同じ障害の程度の方の受ける年金があまり金額が違うということについても老人間の感情もあろうと思いますので、田畑さんのただいまの御要請につきましては私どもも十分その検討を進めたい、かように考えておるわけでございます。その他この年金にはいろいろの問題がございますけれども、老齢対策というものは私どもだけで進め得るものではございませんので、国民全体の意識また国会の御意見などすべての国民の考え方を私どもの政策の上にも、また大蔵省の財政編成の上にも反映させるような他の面におきましても努力を続けてまいりたいと考えております。
#222
○田畑委員 質問を終わります。
#223
○倉成委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。
#224
○倉成委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#225
○倉成委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
#226
○倉成委員長 この際、本案について、増岡博之君、田邊誠君、大橋敏雄君、田畑金光君及び松本善明君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。増岡博之君。
#227
○増岡委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
   国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は、国民年金制度の重要性にかんがみ、次の事項をすみやかに実現するよう努力すべきである。
 一 各福祉年金の年金額を大幅に引き上げるとともに、さらに所得による支給制限を緩和すること。
 一 老齢福祉年金の支給開始年齢をすべての老人について早急に引き下げるとともに、障害福祉年金の支給対象となる障害の範囲を拡大すること。
 一 拠出制年金について、年金額、給付要件、受給対象及び保険料につき社会保障の精神に従って改善すること。
   特に、物価上昇に対応するためスライド制の確立をはかること。
 一 拠出制年金の積立金の運用については、被保険者の意向が十分反映されるようにし、被保険者の福祉のため運用する部分を大幅に拡充すること。
 一 特別児童扶養手当については、公的年金と併給するとともに、支給事由となる障害の範囲を拡大すること。
 以上であります。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#228
○倉成委員長 本動議について採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#229
○倉成委員長 起立総員。よって、本案については増岡博之君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。
 この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。厚生大臣内田常雄君。
#230
○内田国務大臣 ただいま御決議のありました附帯事項につきましては、御趣旨を尊重いたしまして一そう努力をいたしたいと存ずる次第でございます。(拍手)
#231
○倉成委員長 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#232
○倉成委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#233
○倉成委員長 次に、理学療法士及び作業療法士法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 伊東正義君より発言を求められておりますので、これを許します。伊東正義君。
#234
○伊東委員 本件につきましては、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党委員の協議に基づく試案がございます。各委員のお手元に配付してありますが、四党を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。
 昭和四十年に理学療法士及び作業療法士法が制定され、理学療法及び作業療法による医学的リハビリテーションを行なう理学療法士及び作業療法士の資格制度が発足いたしましたが、その際、経過的特例として、同法施行の際、現に、病院、診療所等において、医師の指示のもとに理学療法又は作業療法を行なっていた者については、一定の要件のもとに、昭和四十六年三月三十一日まで国家試験の受験資格を認めることとされました。
 この経過的特例により、理学療法士または作業療法士の免許を取得した者は、理学療法士が九百五十二人、作業療法士が二百十五人おり、現に医療に貢献しているわけでありますが、理学療法士及び作業療法士の充足状況を見ますと、まだ十分とは言えない現状でございます。
 この試案におきましては、このような現状にかんがみ、受験資格の特例が認められる期間を三年間延長し、昭和四十九年三月三十一日までこの特例を認めようとするものであります。
 この際、私は四党を代表いたしまして、動議を提出いたしたいと思います。
 お手元に配付してあります試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案と決定されんことを望みます。委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#235
○倉成委員長 ただいまの伊東正義君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君提出の動議に関し、発言の申し出がありますので、これを許します。田邉誠君。――速記をとめて。
  〔速記中止〕
#236
○倉成委員長 速記を始めて。
#237
○田邊委員 ただいま提案をいたしております理学療法士及び作業療法士法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、この際政府の明快な見解をただしておきたいと思います。
 近年、公害、交通戦争等の多発化によりまして、原因不明の疾病を含めて、国民の病気に対する関心が非常に高まっておるのであります。もちろん、これと相まって身体障害者や精神病、成人病あるいは老人病対策も、当然医学の進展とともに進んでおることは御存じのとおりであります。したがって、そういう観点に立ちますならば、リハビリテーションというものは非常に重要性を帯びてきたことは言うをまたないと思うのであります。
 こういう現代の要請にこたえて、政府はこのリハビリテーションの問題に対して一体いままでどのような努力を払ってきたのか、今後一体どういうふうに対処していくような考え方があるのか、その基本的な考え方に対して大臣からお答えをいただきたいと思います。
#238
○内田国務大臣 お答えを申し上げます。
 心身に障害のある方々に真に福祉を展開するためには、医療は単に疾病の治療に終わるべきものではなしに、その障害の程度を最小限に食いとめるとともに、残された心身の能力を最大限に伸ばす役割りをも果たさなければならないと私どもは考えます。さらに必要な場合には職業訓練などの社会的リハビリテーションまでを一貫して行なうことによって、心身に障害のある方々に対する福祉措置は完成されるものである、かように考えるものでございます。
 このリハビリテーション技術が長足の進歩をとげ、障害者に対して早期の回復訓練等を行なうことが急務とされている現在におきまして、物的施設の整備充実と、専門医、専門技術者の人的要員の確保との両面におきまして、今後さらに強力に必要な施策を推進していかなければならないことを私どもは痛感をいたします。
 第一に、医学的リハビリテーションについては、理学療法士、作業療法士がその根幹をなすものであり、専門指導医の養成、理学療法士、作業療法士の養成、専門的医療施設の整備拡充、医療保険の診療報酬や公費負担制度の改善など、多角的に着実な努力を重ねてまいらなければならないと思います。
 次に、社会的リハビリテーションについては、特に身体障害者のリハビリテーションの中心となる身体障害者更生援護施設の整備を行なう等、身体障害者のニードに応じ、社会復帰に必要なリハビリテーション施策を推進してまいる所存でおります。
#239
○田邊委員 いま大臣からリハビリテーションの特に必要性が強調されましたけれども、その強調をされることは私は当然なことだと思いますが、しかし、これをほんとうに発展させるための基礎的な条件というものが整備されて、政府のこれに対する具体的な計画、プログラムが実現されていかなければ、私は、ほんとうの意味における障害者福祉にはつながらない、こう思っておるわけです。その一つの前提的な要件として、このリハビリテーション関係の指導的な立場に立つ者、専門医あるいは専門技術者の養成がまず必要だろうと私は思うのです。この人たちの絶対数が足らないということは、御案内のとおりであります。早急にこの養成施設を整備拡充することが必要である、政府はこれに取り組む必要がある、こういうふうに思っておるわけですが、そういった立場で私は、ひとつ、二つの問題について提案をしたいと思うのです。
 一つは、理学療法士、作業療法士の指導者となり得る医師を確保するために、大学の医学部にリハビリテーションの講座を置くことについて、一体文部省はどういうふうにお考えですか。二つ目には、国立大学の医学部に理学療法士、作業療法士の養成課程を置くことについて、一体どういうふうに考えておられるか。
 養成校については、厚生省についていえば、いままで厚生省が養成校をつくったのはわずかに一校、こういう状態でありまして、まことに貧弱であります。この際、われわれは、これを拡充する立場に立って、政府の具体的な対策というものに対して国民の前に明らかにする必要がある、こういうふうに考えて御質問をいたします。
#240
○村山(松)政府委員 現在、大学の医学部の基準から申しますと、リハビリテーション関係の教育研究、つまり具体的に講座は必置のものではございません。しかし、必置のもの以外でも、大学が医学教育に関連いたしまして学問体系上成り立つと認めて講座を置くということであれば、特段の問題はなかろうかと思います。ただ、目下のところ、大学においてそのような講座を設けようという具体的な動きは必ずしもございませんようでございます。なお研究課題かと存じます。
 それから第二点の、リハビリテーションに従事する者の養成コースのようなものを大学に設けるかどうかということでございますが、この点につきましても大学においては、すでに看護婦でありますとか衛生検査技師でありますとか、そういう専門職の養成のためのコースというものは設けております。したがいまして大学がその必要性を認め、教育課程が成り立つと考えまして設置する場合には、文部省としてはその線に沿って御相談に乗りたい、かように考えております。
#241
○田邊委員 時代の進展に伴って、あなたのほうは、いつも一歩も二歩もおくれているわけですから、先を読みながら、そういった講座なり養成課程を置くような、そういうやはり前向きの検討をしてもらわなければいけない。特に私は要請しておきたいと思います。
 現在、この理学療法士、作業療法士は絶対数が足りません。さて今回の改正案というものは、当然今回限りのものであることは言うまでもないわけでありまするけれども、しかし、それはそれとして、やはり需要に対して絶対数が足らない、この解決をはからなければならないことも、またわれわれとしてはうかがい知れるところであります。
 この二つの職種について、現在どのくらい必要かというあなた方側の、あるいは見通しはないかもしれませんけれども、東京の衛生局でもって調べたところで、東京では理学療法士は六百二十人くらい必要じゃないか、作業療法士は七百六十二人くらい必要じゃないかといわれておるのでありますが、全国的に直した場合に、約十倍くらい必要な数をわれわれは考えられるわけでありますが、現在資格のある者は、昨年の四月現在でもって、理学療法士が千百十二名、作業療法士が三百八名、こういうような足らない数字であります。
 現在の養成校は、理学療法士について八校百四十名、作業療法士について三校六十名という、これまた昨年の四月現在における定数でございまして、こんな状態では、この需要に応ずることはできない、私どもはこういうように思っておるわけでありまするから、質量ともに充実をはかるために、どうしても、やはりいま申し上げたように、それぞれ国立大学の医学部に養成課程を置くということが必要であると同時に、国公立と民間を問わず、養成所を増設すること、定員増をはかること、これを計画的に進めなければならないと考えるわけであります。先ほど言ったように、厚生省はわずか一校しかつくってない、こういう状態でありますから、この計画についてどうか。また、需要を充足するような目標年度を置いて私はやらなければならぬと思いますけれども、これについては一体どうか。さらに、現在働いている人たちに対しても、理学療法士、作業療法士の養成課程に組み入れる必要がある。そのために夜間コースを設けるというようなことも当然考えていいのではないかというように思っておりまするけれども、これに対するお答えをひとついただきたい。
#242
○松尾政府委員 この職種が非常に不足をいたしておりますことは、ただいま御指摘のとおりでございます。したがいまして、計画的にこういう目標に到達いたしますためには、やはり必要量というものをあらかじめ推定をいたしまして、それに従って計画を立てる必要があろうかと存じます。たまたま昭和四十一年に、医学的リハビリテーションの必要性というようなものについて、かなりこまかい調査をいたしました。したがって、そういうものをもとにいたしまして、外来なり入院患者でどの程度リハビリが必要であるかということがほぼつかまれてまいりましたが、私どもは、そういうことと現在の患者というものを組み合わせた上で、一つの必要数というものを正式に割り出してまいりたい、こうやっております。それに従いまして計画を立てたいわけでございますが、とりあえず私どもは、少なくとも五十年までの間、養成施設の増加をはかるという計画を確立をしたい。このため、理学療法士、作業療法士の審議会にもすでに申し入れてございまして、四月早々からそういう問題についてもう一度取り組もうではないかということを答えていただいておるわけでございます。
 そういうようなことで進めたいと思いますが、その際やはり国公立関係が優先いたしましてこういうものを担当するということは当然でございますけれども、また民間ベースにおいても融資その他の点でこれは手当てをいたすべきものだと考えております。そういうことで十分な計画を早急に立てたいと思います。ただ、従来、いわゆる教官たるべき人が非常に不足しているということが、この養成を伸ばす上において非常に困難な問題でございました。しかし、卒業生も、すでにこの制度ができて以来五年もたちましたので、だんだんにふえてまいっております。そういうことにおいて、さらにこういう計画も従来よりもスピードが増せるのではないかというふうに考えております。
 なお、そういう課程におきまして、働いている方々がさらに新しく資格を得るための夜間コースというものは、ほかのメディカルの場合には認めている例があるわけでございますので、御要望に応じまして積極的にそういうコースをつくってまいりたいというようなことも検討したいと考えております。
#243
○田邊委員 この養成は、現在のところ、各種学校制度によって三年以上という規定になっておりまするけれども、将来やはり医療担当者全体のレベルアップということを考えまするならば、当然学校教育法に基づく四年制の大学で行なわれるべきが当然である、こういうように考えておりまするが、これはひとつ将来の展望として、他のいろいろな医療担当者の向上と相まちながら、そういう展望の上に立ってものを処していかなければならないというように思っておりまするけれども、厚生省、文部省、それぞれひとつ決意をお伺いしたいと思う。
#244
○松尾政府委員 現在の三年課程を四年課程にすべきということについては、かなり強い御要望もございます。また、今後発達するこういうような業務の内容というものの高度性から考えて、将来の展望といたしましては、やはりこれは必要である、そういう方向に向かっておるわけでございます。ただ、ほかの制度の問題もございますけれども、いま一つは先ほど来御指摘のような需給関係が非常に逼迫をしているという事情もございますので、一方においてはかなりの量を確保するということを念頭におきながら、そういう問題については基本的な将来のビジョンとして私ども取り入れてまいりたいと思っておるわけでございます。
#245
○村山(松)政府委員 いろいろと関連いたしまして、医療関係のもろもろな専門職につきまして、学校教育法の大学あるいは短期大学で養成するということは、将来の方向としてはそうあることが望ましいと考えます。現に看護婦の養成につきましては、これまた必ずしも急速ではございませんけれども、大学あるいは短期大学という形のものができてまいっております。このリハビリテーションにつきましても、これはその必要性と、その教育、研究を行なうことが学問体系として、大学なり短期大学になじむものかどうかというふうな問題と両方あろうかと思います。その両者を並行しつつ、将来の方向としては、学校教育法による大学あるいは短期大学によることも望ましいという方向で、関係者の意向を徴しつつ検討してまいりたいと思います。
#246
○田邊委員 いま養成問題を言いましたけれども、それと並んで、やはりこの両方を実施する医療施設が整備拡充されることが必要であることは言うまでもございません。この推進には、やはり国が率先して当たらなければならないと考えられるわけでありますが、今後少なくとも国立及び公的医療について、リハビリテーションの供給施設を必置する、こういうことが私は必要になってくるのじゃないかと思いまするけれども、そういう考え方があるのかないのか。同時に、リハビリテーション関係施設を充実させる、その人員や設備について一つの基準を設ける、こういうこともこれまた私は肝要ではないかと思いまするけれども、いかがです。
#247
○松尾政府委員 リハビリ関係は、国や公的機関が率先すべき問題であるということについては、現在でも私どももそういう角度で進めてまいっておるつもりでございます。たとえば国立病院もすでに温泉病院を十五持つようになりました。それから療養所の中でも、二十七の療養所の中で脳卒中等の治療をやる努力をいたしておるわけでございますけれども、基本的にはやはりこういう国公立が率先をいたしまして、民間でやりにくいものを引き受けるというのが当然の姿であると存じておるのでありまして、今後そういう人的養成というものも考えながら拡大をしてまいるべきだと考えております。
 なお、これにつきましては、一定の基準という問題でございますが、医療法等で現実にきまっている基準というものをこれに適用するということは、いまの段階ではにわかにはできにくいかと思いますけれども、しかしながらやはり指導上の一つの基準といったようなものによって、実態的にあまりでこぼこがない、しかるべく学問的に見ても、治療の体系、効果から見ても納得のいくような一つのスタンダードをつくる、これによってやはり指導していくことが非常に必要ではなかろうかと考えておるわけでございます。
#248
○田邊委員 現在の診療報酬体係の中の点数表では、作業療法については特に点数を評価していないのでありますが、やはり時代の要請に従って、この作業療法の点数を設けるということが必要ではないかと思うのです。それと同時に、他のリハビリテーション点数についても大幅に引き上げを考えるということも私は肝要ではないかと思います。
 さらに、もう一つの問題は、この診療報酬の評価という問題が、労災保険の場合と健康保険の場合と、実質的に大きな差があるということについて、われわれとしては、やはりこれらは統一して考えるべきである、こういうふうに思っているわけでございます。労災保険も作業療法についてはかなり評価されておりますけれども、理学療法は非常に低いということもあります。しかしいま申し上げたように、健康保険の中における作業療法はほとんど認められていない。こういう現状について、われわれはやはり改善をすべき必要があるというふうに思っているわけですから、この診療報酬体系については、つとにその是正が必要であるという世論もあることを十分踏まえておられると思いますから、その中でもってこの問題に対しても当然対処されるものとわれわれは考えておりますが、いかがですか。
#249
○戸澤政府委員 作業療法の点数につきましては、お話しのとおり特に点数化はされておりませんが、作業療法を認めていないわけではありませんけれども、作業療法の中には農耕作業その他、いろいろ複雑なものでございますので、なかなかこの点数化ということが困難な状況でございますが、今後診療報酬の体系の適正化の審議の中でもってこの問題の検討も進めていきたいというふうに考えております。
 それからリハビリテーションの点数につきましても、四十二年の改正の際に、御承知のとおりリハビリテーションの点数を従来整形外科機能訓練一本でありましたのを、器械器具による機能訓練とか水中機能訓練、それから温熱療法、そういった三つのものに分けまして、かなりの改善はしたわけでありますが、今後この改定につきましても、同様に、診療報酬適正化問題とあわせて検討していきたいと思っております。
 それから労災との関係でございますが、リハビリテーションの診療報酬評価については、労災と健保では原則的には同じ原則によっているわけでありますが、労災のほうでは、お話しのとおり、一部の病院につきましては、特に認めた基準に合致している場合にのみ、特別の評価を行なっております。この問題につきましても、今後リハビリテーション全体の点数改定とあわせて十分検討してまいりたいと思っております。
#250
○田邊委員 最後にお伺いしたい点は、このリハビリテーションに従事する専門技術者の身分、待遇についてでありますが、いままでの質疑応答で明らかなとおり、その重要性がだんだん社会的にも認められてき、さらに専門的にこの知識向上をはからなければならない、こういうふうになってまいっておりますけれど、それに見合って、この身分、処遇について、当然今後検討していく必要がある、こういうふうに思っておるわけでありますが、その使命に目ざめ、責任をもって業務が遂行できるような、そういうふうにその処遇について検討して改善をはかっていく必要があると思うのであります。したがって、この療法に携わっている技術者、それからそれを指導するところの人たちを含めて、これに対するところの、われわれは、ぜひひとつ、今後の改善をお願いしたいと思いますけれども、ひとつ大臣から、政府のこれに対するところの対処のしかたについてお伺いしておきたいと思います。
#251
○内田国務大臣 私も、お説のとおりであると思います。リハビリテーションに従事する専門技術者の身分あるいはその処遇について、専門的知識、技能に相応なものが与えられなければならないと私どもは考えます。その処遇をよくすることが、またこれらのメディカルの専門家の数を確保する道にも通ずる大切な問題であると思うものでございます。そのためには、公務員である理学療法士、作業療法士の処遇が、一般の理学療法士また作業療法士の処遇に与える影響が大きいと考えられますので、まず私ども、国立病院、国立療養所等に勤務をせられるこれらのOT、PTの方々の処遇について関係方面とも協議をしながら、改善をはかる努力をいたし、それをまたてことして、各方面で働かれるこれらの専門家の地位や処遇が改善されることを期待をいたしたいと思います。
#252
○田邊委員 終わります。
#253
○倉成委員長 他に御発言はありませんか。――なければ、本動議について採決いたします。
 伊東正義外三名提出の動議のごとく、お手元に配付した草案を成案とし、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#254
○倉成委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#255
○倉成委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 次回は明十九日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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