くにさくロゴ
1970/05/13 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第23号
姉妹サイト
 
1970/05/13 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 社会労働委員会 第23号

#1
第065回国会 社会労働委員会 第23号
昭和四十六年五月十三日(木曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 倉成  正君
   理事 伊東 正義君 理事 小沢 辰男君
   理事 小山 省二君 理事 佐々木義武君
   理事 増岡 博之君 理事 田邊  誠君
   理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君
      有馬 元治君   小此木彦三郎君
      大石 武一君    梶山 静六君
      唐沢俊二郎君    小金 義照君
      斉藤滋与史君    田川 誠一君
      田中 正巳君    中島源太郎君
      松山千惠子君    箕輪  登君
      向山 一人君    粟山 ひで君
      山下 徳夫君    渡部 恒三君
      大原  亨君    川俣健二郎君
      後藤 俊男君    島本 虎三君
      山本 政弘君    古寺  宏君
      多田 時子君    古川 雅司君
      寒川 喜一君    西田 八郎君
      寺前  巖君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
 出席政府委員
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省児童家庭
        局長      坂元貞一郎君
 委員外の出席者
        科学技術庁研究
        調整局総合研究
        課長      小久保 肇君
        大蔵省主計局主
        計官      相原 三郎君
        文部省初等中等
        教育局特殊教育
        課長      寒川 英希君
        自治省財政局財
        政課長     森岡  敞君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十三日
 辞任         補欠選任
  八木  昇君     大原  亨君
  渡部 通子君     多田 時子君
同日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     八木  昇君
  多田 時子君     渡部 通子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 児童手当法案(内閣提出第五六号)
     ――――◇―――――
#2
○倉成委員長 これより会議を開きます。
 児童手当法案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。多田時子君。
#3
○多田委員 児童手当の問題につきましては、先日本会議におきましても総理大臣並びに厚生大臣等につぶさにお伺いをしたわけでありますけれども、その際厚生大臣は、児童手当の問題については出産と同じように小さく生んで大きく育てようというふうなお話であったわけでございますけれども、これは私ども女性の立場から、出産の場合には大いにけっこうなことでありますけれども、児童手当というような制度につきましては、ぜひとも全児童を対象にしていただきたかったわけでありますけれども、さらにこの内容が、初年度は五歳以下、そして次年度からは十歳以下、そして昭和四十九年にというふうに、三カ年に分けての段階的な実施になったわけでありますけれども、この五歳以下あるいは十歳以下というふうにきめられたその根拠について、まず第一にお尋ねをしたいと思います。
#4
○内田国務大臣 児童手当制度の実現を推進することにつきまして、私はたいへん失礼でございますが、女性の立場から多田先生が非常に御熱心に御激励をいただいておりますことに、実は深く感銘をいたしておるものでございます。私が厚生大臣に就任いたしましたのは、御承知のように昨年一月でございますが、しかし児童手当の制度創設に対する要望が取り上げられましたのは、それよりも数年あるいはもう十年も前からのことでございます。私は厚生大臣に就任すると同時に、皆さま方から、これの実現についての御激励や、また平たいことばで言えば、政府の公約履行について迫られましたときに、何とか私の在任中にぜひこの実現をはかりたいという強い決心をいたしまして、閣議のあと総理大臣にも直接お会いをいたしまして、ことしもまた児童手当が実現しないままに過ごすということは、これは政治的にも不信を招くものであって、適当ではない。厚生大臣としてぜひやりたい。どうしてもお金がなければ、法律だけつくっておいて、附則においてその実施は将来に譲るということでもやむを得ないから、とにかく政府の決意を紙の上にちゃんと制度として書いた法律だけはつくらしてくれということを、実は強く要望をいたしてまいりました。でありますから、場合によりましては、法律はできましても、附則で、この制度の実施は別に政令で定めるとか、あるいはよくありますように、法律制定後二年以内にこれを施行するというようなことであってもやむを得ないとさえ実は思いまして、総理にも迫ったわけでありますが、総理大臣の決断と大蔵大臣の理解によりまして、制度をつくる以上は、段階的にでもそれは予算もつけよう、こういうことになりまして、制度全体といたしましては、この法律案の本文の各条項できめまして、附則でただいまお尋ねがございましたような段階的実施として、初年度は五歳以下の子供を対象として進むということになりましたような次第であります。したがって、五歳以下の子供から始めることが制度の理想ではございませんわけでありまして、これまで実現し得なかったものを実現するための私どもの苦労のあらわれであると、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
 かくして私どもは、それを十歳に及ぼし、また義務教育学校終了前の子供に及ぼす、こういうことになるわけでございますし、また、お尋ねがあとからあるかもしれませんが、制度全体といたしましても、今後この児童手当制度に関する国民の意識あるいは社会福祉等に対する国民の考え方に応じまして、私はこの制度を大きく発展させる可能性というものにつきましても期待をいたしながら、先般本会議における多田さんのお尋ねに対して、小さく生んで大きく育てるという私の心がまえを表現した、かような次第でございます。
#5
○多田委員 御承知のように児童手当制度は、世界六十二カ国で実施されておりますし、また第一子以降という制度が実施されております国は五十カ国でありますし、また第二子からというのが九カ国で、第三子という、日本で今回行なわれようとしております児童手当制度と同様の制度を実施されておりますのが二カ国で、しかもその国は南アフリカ連邦あるいは北ベトナム、こういう国々と同等になるわけで、経済大国などといわれております日本の国としては、諸般の情勢もありましょうけれども、とにかく最低である、言ってみれば児童手当の名にも値しない、こんなふうにも考えられるわけでございます。
 いまるる御努力のほどをお話しがあったわけでございますけれども、もう一つ私どもは、児童手当といえば第三子以降というわけで、この五歳未満とか十満未満ということは考えていなかったわけでございます。この第三子という立場から考えまして、十八歳ということに上限が区切られたわけでありますけれども、第一子、第二子が十八歳未満でなくても、児童手当を支給するというふうには考えられないものかどうか、その点についてもう一つお尋ねしたいことと、もう一つは、上限十八歳、こうなりますと、もし一年たちまして昭和四十八年に、この十八歳のお子さんが十九歳になった場合には、第三子の五歳未満という立場はどういうふうになっていくものか、この辺についてちょっとお尋ねしたいと思います。
#6
○内田国務大臣 児童手当でございますから、考え方は幾通りもあるわけでございまして、ただいま御意見がございましたように、また、外国に見られる多くの例のように、第一子から児童手当の支給の対象にするということもあり得るわけでございます。子供さんが三人、四人ない場合、一人子だけの場合でも児童手当の対象になるということもあり得るわけでございますけれども、とにもかくにもわが国では、この制度がございませんでしたのを、今度初めて創設をいたすというわけでございますし、また、現実にも養育費等の状況を考えますときに、お子さん一人を育てられる家庭と、三人、四人を育てられる家庭との養育費に対する負担というものはもちろん違ってまいるわけでございますので、そこで第三子以降ということで、お子さんが三人、四人あれば、三番目、四番目、五人あれば五番目というようなことでこの制度を出発をいたしたわけであります。世界最低だというおことばがございましたけれども、これは制度の違いがございますけれども、ソ連などでは第四子からというようなことも御承知のとおりでございますので、あれが最低で一つこちらが上を行っているとも考えられまするし、またこれは、今後も意識の発展によりましては、三子以降ということで固定する必要もないものと私は考えたいと思います。私はここで何も二子以降にするというお約束を申し上げるわけではございませんけれども、児童手当であれ老人福祉であれ、私はすべて国民のこういう問題に対する意識の発展とともにこれを充実させ得るものであると考えます。
 上限を十八歳ということにいたしましたのは、この制度につきまして御研究を願いました児童手当審議会のほうの御研究によりますると、義務教育終了前の子供というものを対象にして、上限の場合、第一子につきましても義務教育学校終了ということを前提とする三人以上お子さんを持たれる場合、こういう御答申でございましたが、全く多田さんがお尋ねになられましたように、そういうことでありますると、上の子が学校を卒業してしまいますと、第三子でせっかく児童手当の対象になっておった子供が、その年から支給の対象からはずれるということになりますので、やはりその上に三年くらいのアローアンスを置かないと、せっかくの児童手当が途中でとまるということの考慮をいたしまして、これは私どもだけの判断で、三年を上に積み上げて、そうして児童手当支給の対象の子供さんたちを少しでも多く確保をする、実はこういう前向きの気持ちからこのようにいたした次第でございます。
  〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
#7
○多田委員 そういたしますと、四十七年度、最初の実施段階におきましては、これは問題なく五歳未満のお子さんに支給されるわけなのですが、一年たちました昭和四十八年の場合、上限十八歳下限五歳未満が、上限十九歳になってその下のお子さんが六歳になった、こういう場合にはどのように考えられましょうか。
#8
○坂元政府委員 上限のほうの十八歳を超過いたしますと、その十八歳を超過した児童というのはこの法律による計算の判定には入らないわけでございます。したがいまして、いまお尋ねのような場合は、上限が十九歳になったということでございますので、かりにこの法律による要件に三人以上の子供さんがいたという場合、その一番上の方が十九歳ということになりますと法律の要件に該当しない、こういうことに相なるわけでございます。
#9
○多田委員 それでは対象からはずれるということになるわけで、そういったことから考え合わせまして、ぜひとも第一子からというふうな実施段階が一日も早く来るように望むわけでございますけれども、これに対して厚生大臣の御決意をもう一度お伺いしたいと思います。
#10
○内田国務大臣 私が幸いにして今後三年間厚生大臣をつとめることがありますならば、多田さんの御意見をその時点においてあらためてお伺いをいたした上で、私はひとつそのことに努力をしてみたいと思いますが、三年間はとにかくこの制度が成熟をいたしません。段階的実施でございますから、その段階的実施の途中におきまして第一子から踏み切るということはアブハチとらずになってしまいますので、この三年間、義務教育学校終了前の子供たらが手当の対象になるのを待って、その時点における政治や、また国民の意識の状況に対応して、ただいまの多田さんのお話のような努力を私はいたしたいと思いますが、私はどうも三年間厚生大臣としてもちそうもないように思われますけれども、しかしまた三年後には、私があなたの席にすわりまして大いに政府を激励をしたいと思います。
#11
○多田委員 ぜひとも厚生大臣に御留任願って、第一子からの実施までがんばっていただきたいというふうに思うわけでございます。この三年間の段階的実施ということになりますわけで、すでに三百五十八の各地方自治体で実施されておりますこの児童手当を、国が段階的に実施するということで、国でもしこれが実施された場合における地方公共団体における実施はどういうことになっていくものか。当然国が実施ということになれば、各地方自治体でいっておりますように、当然これは国の分になるということになると思われます。そうした段階で、経過的に地方自治体における支給がとだえて、ついにはくれなくなってしまったというようなことも考えられるわけで、この点どのようにお考えになりましょうか。
#12
○内田国務大臣 私は、正直に申しまして、法律とか条例の仕組みもいろいろございましょうけれども、すべてこういう社会福祉の制度は、その対象になる住民が一番しあわせになるような便宜の措置を講じていくのが制度の本旨であると思います。これは児童手当ばかりでなしに、他の制度につきましても私は常々感ずる場合がございます。お役所流に解釈いたしますと、差し上げたらいいものも、法令上制限があって出せないのだというような非常に厳格な解釈などもしばしばあるようでありまして、私は政治家大臣といたしまして、私みずからが残念だと思うようなことがしばしばございます。その考えをいまお尋ねのことにも延長しますと、国がこの制度を実施いたしまして、地方公共団体がやっておられることは原則としてこの制度に吸収をいたしますけれども、しかしこの国の制度よりはみ出して、現に児童手当またはそれに類似の支給を受けている人々がありますならば、その分は国の制度がそこまで追いつくまでの間は、私は両方を生きるように計らうべきだと考えます。しかし、幸いいま何百かの地方公共団体が、児童手当またはこれに類似する制度を実施をいたしておりますけれども、支給の対象、支給金額等が、今度のこの制度よりも劣っておりますものが御承知のとおり大部分でございます。ただ年齢制限なんかで国のほうは三年間の段階措置をとりますから、たとえ劣っておる制度、月五百円であれ千円であれ、十歳の方が支給の対象になっておる、あるいは義務教育学校終了前の方が対象になっている場合には、三年までは国の制度が届きません、あるいは二年までは届きませんから、そういう方々については、やはり地方の制度が残ってしかるべきだと考えますので、自治大臣とも私の考え方をよく打ち合わせまして、私の常々の考えが達成されるようにしたらいかがかと思うものでございます。
#13
○多田委員 そういたしますと、いまのお話によりますと、段階的に国の実施内容が昭和四十九年の一応国としての実施の段階に到達しますまでは、地方団体で行なわれていた現在までの内容そのまま続行すると考えてよろしゅうございましょうか。
#14
○内田国務大臣 国のほうに吸収したほうが対象の方の利益になるものにつきましては、国の制度を実施していただきます。たとえば五歳以下の方については三千円出したほうがよろしい、ところがある地方公共団体では五百円、千円しか出しておりませんので、それは国の制度に乗り移っていただいて、支給対象を三子三千円にする、国もまたそれだけの財政負担を当然いたすわけでございます。また、ある地方公共団体では名前は児童手当といいますが、実際は分べん手当式のものもございますから、これは五歳以下でなくて零歳手当、乳児手当のようなものでございますから、それはむしろ五歳以下のものに吸収してしまって、五歳以下のものは三千円を出すということのほうがよろしかろうと思います。国の制度と地方の劣った制度を両方受け取るということにはなりませんけれども、よけいのほうをとる、生かす、こういうことでいかがかと思います。
#15
○多田委員 いま国民が期待しておりますこの児童手当制度にどうか失望を与えることのないようにぜひとも善処していただきたいと考えます。
 もう一つお伺いしたいのは、やがて沖繩国会が開かれようとしておりますけれども、この沖繩が復帰いたしました暁には、さっそくにもこの児童手当制度というものがそのまま復帰された沖繩にも通用するものかどうか、最後にお尋ねしておきたいと思います。
#16
○内田国務大臣 そのことは私どもの頭にかかる問題でございまして、原則といたしましては、同じ日本国民でございますので、また法域も一緒になりますので、当然沖繩県民もこの制度の対象になります。ただし、その実施の際の支給の手続等の問題がございますので、次の沖繩国会になりましょうか、各種の法令を沖繩に適用する際の若干の調整規定のようなものが入れられることにおそらくなろうと思いますが、その準備段階につきましては、現実にこれらには来年の一月から支給できないという問題にもなろうかと思います。その調整の際、調整規定の組み立て方の問題だと思いますけれども、沖繩の住民がひとしくこの制度を受けられるような、また、できるだけおくれをとらない形で受けられるような配慮をいたしたいと私は思います。
#17
○多田委員 次の委員もおりますので、次に譲りまして、第二子、第一子と、国民の大いなる期待にこたえる児童手当制度になりますように強く望みまして質問を終わりたいと思います。
#18
○増岡委員長代理 次に、古川雅司君。
#19
○古川(雅)委員 ただいま議題になっております児童手当法案につきましては、法案提出までの経緯を私のほうからくどくど申し上げるまでもありませんが、制度そのものといたしましては、昭和二十二年、社会保障制度調査会の厚生大臣への答申でこの制度について触れて以来、数々の段階を経て今回の提案に至ったわけでございますが、提案理由の説明の中にも述べられたとおり、わが国の社会保障制度の中で欠けているただ一つの制度である、そういった点、今回のこの法案の提出については、これまでその早期実現を主張してまいりました各方面の関係者から非常に注目を集めているところであります。特に私ども痛感いたしますのは、国会でこの児童手当制度の実施について、過去十四回にも及ぶ附帯決議が行なわれまして、池田、佐藤両首相の代にわたってその実現を公約してきたところであります。ようやくその段階にこぎつけたというところでありまして、これはいままで各委員から発言がありましたとおり、制度創設については一応評価できるという点は私も同感でございます。
 最初にお伺いをしたい点でございますが、まず提案理由の説明の中に、わが国の国情に即応した児童手当制度を実現いたすべく鋭意検討を重ねてきたというふうに述べていらっしゃるわけでございますのが、これまでいろいろ議論のありましたとおり、本法案の内容については、きわめて期待はずれ、不十分であるという批判が多いわけでございまして、特にこの提案理由の説明の中で、国情に即応したという点を強調なさったというのは、この法案の内容が国情に適合したものであると御判断をなさっているのか、その点まず局長からお伺いしてまいりたいと思います。
#20
○坂元政府委員 外国の制度自体も、その国の社会的、歴史的な諸条件等を背景としまして、千差万別になっているわけでございます。したがいまして、児童手当制度というものについて、一つの典型的な型というのが、諸外国の場合もほとんど見当たらないわけでございます。わが国の場合は、そういった諸外国の先例等を十分参考にしながらも、わが国特有のいろいろなものの考え方なり、認識なり、あるいは社会経済の情勢等があるわけでございますので、そういう観点からこの児童手当制度というものを立案をいたしたわけでございます。
 そこで、具体的にどのような点が国情に合うような、そういう立場から考えたのかというお尋ねでございますが、一つの例といたしましては、確かに先ほど来からお話がございますように、いわゆる支給対象児童というものを一子からやるか、二子からやるか、三子からやるか、こういう点もやはり諸外国では圧倒的に一子というものが多いわけでありますけれども、現在のわが国の国情に合うようなという意味におきまして、第三子というものを取り上げたわけであります。
 それから、費用の負担程度につきましても同じようなことがいえるわけでございます。つまり国、地方公共団体及び事業主という三者の費用負担者をきめておるわけでございます。これもわが国の国情を反映した一つの考え方であろうと思います。そういうようなところが大きな点でございまして、あとまた所得制限を実施いたしておりますが、所得制限の考え方というものも、やはり諸外国と違ったわが国独特の考え方に基づきまして、そういう所得制限制度というものを導入いたしておる、こういうような点がおもな考え方でございます。
#21
○古川(雅)委員 先ほど多田委員が指摘をしたところでありますが、制度の内容はきわめて貧弱であるという点を申し上げました。政府案では、くどいようでありますが、十八歳未満の児童が三人以上いる場合、義務教育終了前の第三子以降に月額三千円が支給される、しかも扶養親族五人の場合で、前年の収入二百万円以内という所得制限をつけた。さらに実施は昭和四十七年一月からでありますが、支給対象の児童は四十六、四十七年度は五歳未満、四十八年度は十歳未満、四十九年度から義務教育終了前と段階的に拡大をしていく。この制度の対象となる児童は、約二百七十五万人のうち実際にこの手当を支給されるのが二百五十万人で、制度の発足当初の四十六、四十七年度の支給対象児童に至っては、その三八%という実情であります。この点について過日の本会議で多田議員の質問に対し、厚生大臣が、小さく生んで大きく育てるという、その後名言として残ったわけでございますが、そういう答弁をなさってまいりました以後、そういう感覚でこの児童手当法案の提案について数々の反応が、また議論が行なわれているわけでございまして、国情に即応した法案の内容であるかどうかという点については、いま局長から一応の御説明をいただいたわけでございます。
 大臣に一つお伺いしておきたいのは、この児童手当法案の提案が、内容の貧弱さから見て、その貧弱さのゆえに制度の創設をなさったその苦しまぎれの提案ではなかったのかという批判が一部にございますが、そうではないということをはっきり御答弁をいただきたいと思いますし、また、わが国の国情に即応した児童手当制度の内容というものは、いまの局長の御答弁にあったそういった観点からの御説明より、むしろ私どもは、経済大国にふさわしい充実した内容で発足させるべきであった、提案をしていただくべきであったという考え方があるわけでございます。その点について大臣の御見解を伺いたいと思います。
#22
○内田国務大臣 だんだんお話がございましたように、児童手当制度の実現のことは、国会におきます多年の要望でもございますし、また、いわば政府の公約にもなっておりましたのが実現に至らなかった、まことに遺憾な状況にありましたことは、もう私も厚生大臣に就任をいたしまして感じたところでございまして、私は自分の在任中にその実現をどうしてもしたいということは、先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、その際に、私のほんとうの考え方は、いまよりも後退したものでございまして、制度としてはつくっておくが、しかし実施は両三年後にする、あるいは予算の定むるところによって実施するということでもいいから、とにかく法律をつくって出す、こういう最後の腹でございました。つまり、いままでは、ことばの上で、モラルで政府が公約をしておったものを、今度はちゃんと法律の形にして国の姿勢を示すということでも大きな前進であった、これだけはやろうと思いましたのは、総理の決断と大蔵大臣理解によりまして、予算もそうなればつけざるを得まいということで、段階的ではございますが、予算がつきましたのはそういう意味なんで、これはこちらの部内のことでございますけれども、後退ではなしに、前進として私は喜んでいるわけであります。しかし、これはそういう段階的な施行でございますので、初年度は五歳以下というような小さな範囲に限られておりますこと、ただいま御指摘のとおりでございますので、先般私の名言とおっしゃいましたが、これはよまい言のようなことばになるかもしれませんけれども、私は出発はそれにしていただいて、国民の児童手当に関する意識の今後の推移に対応しつつこれを大きく充実していこう、こういう考え方を述べたものでございまして、その考え方に変わりはございません。
 また、わが国の国情に適応する制度ということにつきましては、政府委員から申し上げたとおりでございまして、他に児童に対する施策等もございますし、税法上の施策などもございますが、そういうものをみなやめてしまって児童手当の中に吸収するということがいいのか、あるいは早い話が、税法上の扶養控除の制度というものはそのまま残しておきながら、また給与法上の家族手当というようなものは、これも給与制度としてそのまま残しておきながら、そういうわが国の制度の前提に立ちながら考えた場合には、私は今回の制度がわが国情に適する、こう考えまして、提案理由にもそのような説明をいたした、かような次第でございます。
#23
○古川(雅)委員 まあこの児童手当制度は、国の責任として今後行なっていくべきであるという主張を含めて先ほど多田委員からも御発言を申し上げたわけでありますが、将来この制度を充実していくということになりますと、当然国庫負担は大幅に増額をしていくわけでございます。その段階的な制度の拡充、また三年後の制度のあり方等につきまして、やはり一番問題になってくるのは財源の問題であると思います。ただ今回制度の発足にあたって、この児童手当制度を形だけ整えておけばいいというものでは決してないと思うのでございまして、今回この制度の創設にあたって、特に厚生大臣としては大蔵大臣との折衝で非常な御苦労をなさったということは聞いております。その点で今後非常に不安に思いますことは、大蔵大臣個人の見解かとも思いますが、大蔵大臣みずからは、この制度についてはまだかなり疑問を残している。国民の大多数の人が制度の発足を非常に望み、替成しているけれども、また半ばの人はこの制度に疑問を持ち、反対の意向もあるんだということを、先般大蔵委員会で述べておりました。これが大蔵大臣個人の見解であるのか、政府全体の意向であるのか、その点については疑問がありますけれども、そういった考え方が底流にあるということは、この制度の今後の充実発展に非常に不安を残すものになると思いますが、ここまで進めてこられた厚生大臣として、そうした財政当局との折衝、意向打診の過程で、そういった不安をどのように解決をし、今後の発展を確信でき得るお考えをお持ちになったか、その辺を御説明いただければ幸いだと思います。
#24
○内田国務大臣 大蔵大臣は、言うまでもなく財政大臣であり税制大臣であり金融大臣であると私は思いますが、老人対策であれ児童対策であれ、社会福祉を推進する大臣は厚生大臣でございますので、この児童手当等の将来の成長充実につきましては、まあいわば厚主蔵従といいますか、私が先に意見を述べて、大蔵大臣がそれがいいとか悪いとか、こういうことになることと私は考えます。
  〔増岡委員長代理退席、小山(省)委員長代理着席〕
そうでなければ、大蔵省の中に厚生局というものを置くような形になりますが、私は今日の厚生大臣というものは、今後次第に大蔵大臣よりも政治の分野において発言力が強くなってきているような時代であると考えますし、また、大蔵委員会よりもこの社会労働委員会のほうが、私は政治的影響力が非常に大きな委員会になる、また、現在もそうでございますが、そのように思いますので、大蔵大臣に引きずられることなく、社会福祉大臣としての私の理念充実のために十分やってまいれると私は思います。
#25
○古川(雅)委員 たいへん力強い御答弁でございました。
 その点で一つ確認をさせていただきたいのでございますけれども、これまでわが党のほうから提案をしてまいりました児童手当法案におきましては、いわゆる児童福祉施設という立場を柱にして御提案を申し上げてまいりました。今度の制度をつくることにつきましてこの点もいろいろ議論があったと思いますが、制度の目的の重点を、いわゆる所得保障に置いたのか、あるいは児童福祉に置いたのか、これがまだあいまいであるという批判がございます。この点、厚生省当局で検討をなさっていらっしゃった経過の中で、はっきりとどういう判断をおとりになったのか、局長のほうからお願いしたいと思います。
#26
○坂元政府委員 第一条の目的に明確に書いてあるとおりでございます。児童を養育している者に児童手当を支給しまして、家庭における生活の安定をはかるということが一つの目的、それから同時に児童の健全育成、資質向上というものをはかるわけでございます。いまおことばにございましたように、所得保障なのか児童福祉対策なのかということでございますが、私どもは、この第一条の目的は、所得保障という目的と、それから児童の福祉という目的と二つ持っているわけでございます。そのどちらが重点かというお尋ねでございますが、これは両方ともそれぞれ並行した重要性を持った目的を持っている、こういうふうに思うわけでございます。一方が従で一方が主だというようなそういう関係にはないように私どもは理解をしましてこの法案を制定いたしたわけでございます。
#27
○古川(雅)委員 その点につきましてはあとでまた詳細に伺っていくことになるわけでございますが、ここで、私ども考えますのに、今日わが国のいわゆる児童の置かれている環境について考えてみなければならないと思います。児童憲章をここで引用するまでもありませんけれども、児童は、人として尊ばれ、児童は、社会の一員として重んぜられる。児童は、よい環境の中で育てられなければならない。先ほどの大臣の御答弁の中にありました、児童手当の制度だけを充実して手当を支給さえしておけばほかの児童福祉政策はどうなってもいいというようなことはあり得ないとはっきり言っておられました。しかるに今日の児童の置かれている環境というのは、非常に私たち不安を感ずるものがあると思います。都会では共かせぎ両親に残されたかぎっ子という問題もございます。あるいはまた農村では、出かせぎの親に残された子供たちという状況もあると思います。激増する交通事故によって親をなくしたいわゆる交通遺児、この問題も非常に深刻になってきております。そのほか公害あるいは基地の周辺、そういった環境に恵まれないところに置かれた子供の問題、さらに公園、緑地、グラウンド、こうした遊び場、そういう児童のレクリエーションの場がないというような問題、あるいはまた、もっと広い意味になってまいりますが、低俗な出版物や風俗に影響を受けて非行化をしていく児童、こういう数々の児童を取り巻く環境についてはきわめて険悪なものがあると思います。こうした環境をいまるるあげてきたわけであります。この制度の検討にあたって、この児童手当制度の手当の支給について、当然御検討の中で、現金で支給をするかあるいは現物で支給をするかということが一つの議論の対象になったのではないかと思います。これはこまごまとこちらからあげるまでもございませんけれども、このことに対する考え方が、今後の制度の将来のあり方について一つの大きなキーポイントになっていくのじゃないかというような考えを持ちますので、お伺いをするわけでございます。三千円という手当の支給と同時に、現物の支給という形も当然お考えになったと思いますが、その辺に対する当局の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#28
○坂元政府委員 制度立案の過程におきまして、諸外国等でやっておりますいわゆる現物給付という制度がございますが、このような制度を検討いたしたことはございますが、わが国におきまする児童手当制度としましては、そういう諸外国等でやっております現物給付というものを、現時点において直ちに導入するということにつきましては、非常に消極的な意見でございました。したがいまして、やはり児童手当という現金給付による制度の創設が当面望まれるわけでございます。それ以外の、いわゆる現物給付的な考え方というものは――今後関連する諸制度、諸施策等を通じまして、児童の健全育成という立場からのいろいろな施策を発展していくのが、当面の問題ではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
#29
○古川(雅)委員 局長にお伺いいたしますが、いわゆるこうした児童の福祉に資する施設や、あるいは環境を整備するために国家として予算を組んでおりますが、この予算が日本の国の全体の一般会計の予算の中でどのくらいの比率を占めているか、その点まずお答えをいただきたいと思います。
  〔小山(省)委員長代理退席、増岡委員長代理着席〕
#30
○坂元政府委員 児童関係の諸施策というのは非常に各方面にわたっているわけでございます。したがいまして、単に厚生省だけでなくて文部省等にも相当ございますので、それらの関係の総予算というものはいま手元にございませんが、少なくとも厚生省が実施をいたしております児童福祉関係の対策というのは、保育対策あるいは心身障害対策あるいは母子保健対策あるいは母子福祉対策あるいは母子福祉対策あるいは今回の児童手当、それから国民年金、そういう各分野にわたっております。そういうようなものを総合計いたしますと、大体昭和四十六年度本年度の場合は千二百億ぐらいになる計算になっております。したがいまして、これが国家の総予算に何%占めるかはちょっと計算いたしておりませんが、大体千二百億円くらいの児童福祉関係の予算が計上されている、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#31
○古川(雅)委員 今回制度の発足によって、いわゆる児童手当というものが現金給付の形で支給されるわけでございますが、現物給付という形、これはまた一つの次元を異にした問題として、今後御検討いただかなくてはならないわけでございます。
 ここに一つの論文がありまして、その論文の中でミュルダアルという人の「民族と家族」という文章の中から「現金給付か現物給付か」という一節を引用しているところがあります。ここに、いわゆる児童の福祉のために、児童の環境の充実のために、その内容が非常によく整理されていると思いますので、簡単に読み上げてまいりますが、「すべての母親にたいして分娩料無料、産前産後の看護無料。すべての児童にたいして、歯科治療、精神衛生、薬剤を含めて、医療及び健康管理の無料供与。」ということを第一にあげまして、以下「大多数の家族の児童のため余分のスペースに要する費用を支弁するために、家族の規模に関連して家賃及び他の住居費に補助金。」を出す。三番目に「児童のために公共学校、大学、職業専門訓練をふくめて無料の教育、教科書、教材の無料供与。適切な場合では無料の輸送、農村児童のための寄宿ホーム、特定学生の専門研究継続のため奨学金。」、それから「無料の保育所教育。」次に「可能な場合、比較的高価で必要な外套を無料供与する」――外套というのはオーバーでございます。「衣料費を多少ともすくなくする。家族用低料金制、家族向休暇村等、児童、青少年のため無料夏期休暇キャンプ、午後クラブ、各般の母親に無料の休暇供与等により、家族リクリエーションの費用を軽減し、便宜を改善する。」そのほか「両親の雇用の安定を増進し、身体の抵抗力の減少期間その費用を補綴する。欠陥があり障害をもつ家族のすべての児童にたいして社会的責任をもつ。」というような項目をあげております。
 これはいまさら新しい議論ではありませんけれども、こうした現物給付という形の児童福祉、児童扶助に対しては、現状はわが国の場合非常に貧弱であるわけです。児童手当制度の実現、発足、そしてまた今後の充実と並行して、こういった施策を計画的に強力に推進しなければならない。これは厚生省当局としても大きな課題ではないかと思います。児童手当制度という今回の現金給付の形をおとりになったその考え方と並行して、当然こういう、いま申し上げましたような項目――そのほかあると思いますけれども、その点の充実についてはいろいろお考えになった、あるいは年度計画等を立てる必要をお感じになったのではないかというように考えるわけでございます。この点いかがでございましょう。
#32
○坂元政府委員 児童手当制度は、いまもお述べになったように、現金給付の形をとっておるわけでございます。言われますように、児童に対する現物給付というものにつきましては、現在も政府は全般的に各般の施策を講じてきているわけでございます。したがいまして、厚生省関係の予算につきましても、先ほど申しましたように千二百億円くらいの児童福祉関係の予算が計上されておるわけでありまして、施設、それから年金、あるいはまた医療あるいは教育、そういう問題各般にわたりまして現在の施策がまだまだ十分でないこともわれわれは認めるわけでありますけれども、従来からもこうした児童福祉関係の予算というのは逐年増額をされてきておるわけでございます。今後とも一つの計画性を持ちながらそういった各般の施策を総合的に推進していくような努力をいたすことは当然なことだ、かように思うわけでございます。
#33
○古川(雅)委員 大臣にお伺いいたしますが、私いま便宜上このミュルダアルという人の文章を引いて、児童福祉に資するいわゆる施策の幾つかを申し上げたわけでございます。当然これは全般的に充実をはかっていかなければならないし、いま局長から御答弁のありましたとおり、現在政府としても何がしかの施策は行なっておるわけでございます。ただその内容が貧弱であり不十分であるということだけでございまして、こういった点で児童手当の発足と同時に、こういう児童福祉に対する政策の中で、特に今後重点的にこの点に力を入れていきたい、充実をしていきたいというようにお感じになっておる点がありましたら、お伺いをいたしたい。
#34
○内田国務大臣 児童対策は児童になる前の乳児対策にもつながることでもございますし、その施策は必ずしも片寄ったものであってもならないと思いますが、古川さんのせっかくのお尋ねのことでございますので、私の脳中を徂来するものを一、二申し上げますと、何といっても保育所の増設、充実というものを相当やらなければならないとまず考えます。それから児童の疾病対策といいますか疾患対策、そういうものにつきましても、従来かなり形は整っておる面もございますが、さらに、これは人間的に、子供を持つ親たちの気持ちというようなことを考えるばかりでなしに、民族の将来をになうものはやはり若い子供たちでありますので、その児童の疾病対策というものももう一ぺん見直したい。そのことは、児童になる前の乳児対策、さらにはおかあさんのおなかに宿る時代の母子の保健対策ということにもつながりますので、心身障害児等の発生をおかあさんのおなかの中にあるうちから防止すること以外に有力な手段もないようなそういう乳児疾患、児童疾患もございますので、そういうことをさらに力を入れてまいりたいと考えておるものでございます。
#35
○古川(雅)委員 この児童手当制度の発足につきましては、先ほどから指摘いたしましたとおり、最高の考え方、理想的な姿から見れば不十分だということ、ただこの場合、各般の批判の中に、社会保障制度の中で欠けていたただ一つのものを今回この制度の発足によって補ったのだ、その点には異論はないけれども、制度間の調和というものを考えなければならないという、そういう議論が一つございまして、児童手当制度のメリットといいますか、それをネグレクトする一つの意見として、児童手当制度の発足も大事だけれども、いわゆる老人対策よりも優先させる理由はないというような批判がございました。これは児童手当制度を推進する立場にとっては非常に納得のいかない議論でございますが、この点について厚生省は、十年、二十年先を見通した場合、その時点で数少ない現在の児童が社会の中核になり、数多い老人の皆さんを助けていくんだ、生活をささえていくんだというふうに説明をしておられます。その点、老人問題も特に繰り返しその充実を主張してきたわけでございますけれども、そうした世間の議論に対して、今回のこの児童手当制度の発足が、決して老人対策をそのことによっておくらせたり、あるいは老人対策をないがしろにするものではないという御説明が、当局としては非常に弱いんじゃないかと思います。その点についてはっきりこの際御所信を伺っておきたいと思います。
#36
○内田国務大臣 児童手当を創設することに関連をいたしまして、であるから国の福祉政策というものが今後は児童福祉対策のみに片寄るのではないかというような一部の意見がありとすれば、それは全く当たらざるものでございまして、いま古川さんが言われますように、わが国の人口構造というものは、今後十年、二十年、三十年の間に急速に老齢人口の比重がふえていくということ、また家族制度の崩壊と申しますか、変遷というようなものを考えます際に、老齢者対策が重要でありますことは、私どもはしばしば述べてまいってきております。当委員会あるいは国会等におきましても私どもはそのことを常に述べてまいってきておるところでございます。でありますから、厚生省でも、御承知のようにこの老人福祉対策につきましてプロジェクトチームというようなものを編成をして、老人対策などが、たとえば年金は年金局である、あるいはまた老人ホームは社会局である、老人医療あるいは健康保険は保険局ないし医務局であるというふうな、それぞれ縦割りになっておる点がございますので、そこらを総合いたしまして老人対策というものを思い切って充実をしていきたいというのが、実は私の野心でもございますし、また、それに対応して、そういう増大する老齢人口というものを背負っていくととろの人口がすなわち今日の児童でございますので、重たいものを背負ってまいるその児童につきましても、十分にこれの資質の向上、健全育成ということを考えての施策の一端が、今回いままでなかった児童手当の施策――おそらく国会の皆さま方が、児童手当につきましてこれまでいろいろ御主張なさってまいられたのも同じ考え方からだろうと私は思います。
#37
○古川(雅)委員 今後この児童手当制度の充実拡充によって、他の社会保障制度が決してないがしろにされるものではないということをいまはっきり言明をいただいたわけでございまして、そういう点を確認した上で、この制度の今後の充実について所信をこれから伺っていくわけでございますが、何度も各委員から質問が出てまいりましたけれども、またあらためて確認をさしていただきたいと思います。
 局長にお伺いをいたしますが、聞くところによれば、児童手当審議会で制度の内容を検討する際、いわゆる最初から第三子と限定をして、第一子、第二子については審議の対象からはずされていたというふうに聞いているわけでございますが、その辺の事情を御存じでしたらお伺いをいたしたいと思います。
#38
○坂元政府委員 児童手当審議会におきます審議の経過でございますが、支給対象児童というものを一子からやるか、二子からやるか、三子からやるか、相当議論をしていただきました。ただ、大筋としましては、先ほど来お話がございましたように、わが国の国情というものを十分考えた場合に、早急なる制度の発足、こういう観点からいたしますならば、やはり三子というようなところから発足するのが一番適切であろうというのが大筋の意見でございました。したがいまして、支給対象児童につきましては、児童手当審議会としましては、やはり三子ということが絶えず大かたの委員の方の念頭にあって、そういう点から三子ということで支給対象児童が結論づけられた、こういうふうに私どもは受け取っておるわけでございます。
#39
○古川(雅)委員 第一子、第二子については討議からはずされていたということになりますと、今後の拡大、発展しようとするこの制度について、期待が非常に薄くなってくるわけでございます。いまの局長の御答弁のとおり、第一子、第二子についても十分討議を重ねたということになりますと、今後第一子、第二子への範囲の拡大ということも期待が残されている、今後の対策が十分考えられるということになると思いますが、その辺はいかがでございましょうか。
#40
○坂元政府委員 一子、二子までに拡大する点につきましては、これは先般来大臣からもお答え申し上げておりますように、現時点においては、少なくとも制度を早急に発足するということと、この制度を早く確立したいというような目的のために、段階実施というような形で提案を申し上げているわけでございまして、少なくともこの段階実施の期間が一応完了することが私ども当面の目標でございます。少なくともそういう期間中におきまして、第三子というこの現在の考え方を、より対象を拡大していくという点につきましては、現在の時点におきましては、少なくとも私どもは一子、二子の範囲拡大は将来の研究課題だ、こういうふうな認識のもとにおるわけでございます。
#41
○古川(雅)委員 政府案の制度の立て方でございますが、先日来いろいろ疑問として指摘をされているわけでございますけれども、いわゆる被用者と被用者以外を区分して立てたこの考え方。被用者のうちの公務員については特に特例をつくっている。被用者に対する児童手当の費用の七割を事業主に拠出させ、残りを国及び地方公共団体の負担としている。その事業主の拠出金の問題でございますが、平年度で現在の厚生年金の標準報酬を基礎とする。大体将来千分の二くらいに見込んでいるというふうに、この間御答弁がありましたけれども、どうもその辺の性格が明らかでないという批判がございます。その点御説明をいただきたいと思います。
#42
○坂元政府委員 この制度の財源を拠出するいわゆる財源の負担者という点につきましては、国及び地方公共団体のほかに事業主というものを考えているわけでございます。この事業主の拠出金というもの、なぜそういうような考え方をとったかという点は、昨日もお答え申し上げたわけでありますが、この法律の目的なり趣旨からいいまして、やはり将来の労働力というものの維持培養というような点を念頭に置いた場合に、一般の民間企業といえどもこの制度にはやはり相当関心を持たなければいけない、こういう立場から、事業主拠出金というのが一応入ってまいったわけでございます。
 この事業主拠出金の性格等がはっきりしないというお尋ねでございますが、私どもは、これはやはり新しい型の社会保障の拠出金である。つまり、従来はこういう拠出金というものはなかなか例がございません。したがいまして、完全な社会保険、既存の社会保険制度における保険料なりあるいは掛け金というものとも若干性格が、厳密な意味において違うわけであります。やはりこういう所得保障なり児童福祉施策の新しい任務を持った制度でございますので、その制度をささえるための一つの大きな拠出金でありますけれども、その性格というものは新しい社会保障の拠出金である、こういうふうに理解をしているわけでございます。
 それから、平年度化した場合のいわゆる拠出金の率というものが千分の二くらいという点でございますが、これは先般もお答えいたしたかと思いますが、大体私どもの現段階における試算によりますと、完全実施できる段階におきましては千分の一・二というような計算になっていることだけをお答えを申し上げておきたいと思います。
#43
○古川(雅)委員 この拠出金の性格でございますが、特に事業主の拠出金と賃金との関係について納得のできるような説明がまだ行なわれていないという批判もございます。被用者以外については全額が国、都道府県あるいは市町村。公務員についても国と地方公共団体あるいは公共企業体の負担になっているわけでございまして、この点でバランスがとれるのかどうか。考え方として非常に疑問が残りますし、これまでの説明が非常に不十分であると思うのでございますが、その二点についてお伺いしたいと思います。
#44
○坂元政府委員 費用負担につきましては、法律に書いてございますように、いまお述べになったとおりでございます。いわゆる被用者グループの財源は、事業主の拠出金が十分の七、残りを国と地方公共団体。それから被用者でないグループにつきましては、国が全体の六分の四、残りを地方公共団体、こういうふうになっているわけでございます。この間のバランスがとれないじゃないかというお尋ねでございますが、私どもはやはりこのような制度の費用分担の方法といたしましては、少なくとも現在の段階におきまして、こういうような費用分担というものも、決して合理性がない、こういうふうにも考えておらないわけでございます。被用者の問題につきましては、事業主拠出金というのが十分の七、つまり七割を持っておりますけれども、これは先ほど申し上げましたような背景に基づきまして事業主の拠出金というものはお願いをいたしているわけであります。
 それから、被用者でない者等につきましては、いわゆる全額公費という形になっているわけでありまして、この間の事情等につきましては、若干児童手当審議会等の中間答申と違っておりますけれども、少なくとも被用者でない者等につきましては、現段階におきましては、本人の拠出等がいろいろな意味においてなかなか登場しにくい、こういうこともありまして、国と地方公共団体とで分担し合っているわけでございます。こういった費用分担の割合なり考え方等は、私どもは決して合理性がないというふうには思っておりません。むしろ児童手当制度というのは新しい制度でございますので、こういう新しい費用分担の方式というものが出てまいっておりますから、それだけ一般の方にはなかなか納得しにくい面もあろうかと思いますけれども、制度立案の過程におきましては、そこらの観点を十分念頭に置きながらこういう費用分担方式をきめたわけであります。
#45
○古川(雅)委員 次にお伺いすることは確認事項でございますけれども、いわゆる生活保護世帯について、現在自治体では各種福祉手当については二千円を限度にして収入認定のワク外に置いております。児童手当についてはどうしていくのか、この際はっきりしていただきたいと思います。
 もう一つは、公務員やいわゆる民間にある扶養手当との関係。この点も、民間の動向を考えながら調整するというような抽象的なことではなくて、具体的にどうしていくかというお考えをお示しいただきたいと思います。
#46
○坂元政府委員 児童手当と生活保護との関係でございますが、これも先般来から大臣からお答えしているとおりでございまして、せっかくの新しい制度でございますので、この制度の趣旨がそういった生活保護の被保護世帯等にも十分生かされるようにやってまいりたい。つまり、結論から申し上げますと、いわゆる児童手当と生活保護との間には調整というものはしないという考え方でいま進んでいるわけでございます。
  〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、一般の民間の家族給なり、あるいは公務員等の扶養手当との調整の問題でありますが、これも先般来からお答えしているとおりでございます。現在の段階においては調整をすることはしないという考え方でおります。ただ、公務員の扶養手当につきましては、将来かりに調整をするということがある場合におきましても、それは児童手当自体の問題としてではなくて、公務員の給与体系の問題として取り上げていくべき性質のものだ、こういうような考え方を持っているわけでございます。
#47
○古川(雅)委員 最初にお伺いした保護世帯に対する収入認定のワクの問題でございますが、いまの御答弁では児童手当制度の趣旨をそこねないように十分検討したいし、調整をしないという考え方で進んでいるということでございましたが、この点大臣としては、ただ進めているということではなくて、一つのお約束をいただけるのかどうか。収入認定しないとはっきり御答弁いただけるのか。ただそういう考えでいま進めているということになりますと、検討しているという段階になってしまいますが、この点はっきりしていただけますでしょうか。
#48
○内田国務大臣 私が現在在任しておるわけでございますが、在任いたしております限り、それは収入認定はしない、そういうことで手続を進めたいと思います。これは全く同じことで、いまここに関係の告示ですか何かを出しておりませんから、そういう表現をいたしますが、あなたの御期待どおりにいたす考えでおります。
#49
○古川(雅)委員 大蔵省においでをいただいておりますが、いわゆる財政負担の問題でございますが、昭和四十九年にこの法案どおりこの児童手当を完全に実施した場合、事業主、都道府県、市町村の拠出金、これが四百七十億円というふうに概算されております。これに対して国庫の負担のほうは四百二十五億円になるということでありますが、この制度をざらに充実発展させるためには、相当国庫負担の増加が必要になってくると思います。大幅な増加が見込まれるわけでございますが、この制度の発足にあたって、財源の調達方式を拠出制にするかあるいは無拠出にするかという点で相当議論がありました。こういういわゆる混合方式を採用したという点については、大蔵省としての確固たるお考えがあったと思います。その点をまず最初にお伺いをしたいと思います。
 まとめてお伺いをいたしますが、もう一つは、今回この児童手当制度の発足にあたりまして、財源を厚生保険特別会計法の一部を改正いたしまして児童手当勘定として加えております。これは当初のこうした非常に内容の小さい、はっきり言って貧弱な内容の制度でございますので一応うなずけるわけであります。将来制度を拡充してまいりますと、いわゆる児童手当制度そのものの特別会計という中で処理をする必要があるのではないかという一つの考え方がございます。それでなくてもこの厚生保険特別会計の中で扱っていく点については、すでにこの特別会計がかなり繁雑をきわめているのではないかという議論もあるわけでございますが、そういった点を含めまして大蔵省としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#50
○相原説明員 まず最初の児童手当につきましての財源負担の問題でございますが、まず児童手当をどうするかという議論の過程において一番問題になりましたのは、私たちとしましては、たとえばイギリスとかあるいはドイツ、カナダというように、国庫でまるがかえになっておる制度がございますが、こういう国におきましては非常に硬直的になっておる。つまり全額国庫負担であるし、対象範囲が広いという場合には、どうしても金額の引き上げ等が思うようにいかない。そこで、相対的に見ますと、たとえば何年かたちますと不十分な姿になる、しかもそれは動かしにくい事情がございます。それに比べまして、ラテン系の国におきましては保険システムが中心でありますが、その辺が非常に弾力的にいっておる。したがいまして、児童手当の将来における健全な姿、あるいは社会の進展に応じました一つのあり方というものを考えました場合には、どうしても企業負担ということによらざるを得ないのではないか。したがいまして、将来におけるそういう企業、経済成長のあり方あるいは国民生活の水準、さらには他のいろんな制度とのバランス、こういうものを考えた場合には、やはり企業負担というものを主としまして、国庫負担なり地方負担がそれに加わっていくという形が最もベストであるというふうに考えております。
 それから第二点の御質問でございますが、特別会計の点ですが、まず基本的に、大蔵省としましては、特別会計そのものを、既存のものにつきましてもやはり整理統合すべきものはすべきである、それから、新設のものにつきましては、ほんとうに必要最小限のものに限定しまして検討するという態度を常に持っているわけでございます。ただし今回は、そういうような形式論だけでなくて、児童手当という制度そのものが、厚年とか健保とかいう社会保障制度ときわめて密接な関連にある社会保障の一環であるということ、それから拠出する企業主が大体同様な対象であるということ、徴収する機構も同じであるということから見まして、厚生保険特会でやるのが一番いいのじゃないか、それが事務の簡素化にもなるということで、現状の案に踏み切ったわけでございます。将来の問題としましては、やはり、たとえば現状でも厚生年金と健康保険とは全く異質のものでございますが、非常に膨大なものですが、やっておるわけです。ですから、少なくともこういう会計システムと申しますのは手段であって目的ではないわけでございますから、特別会計をつくらなければどうもならないというわけのものではないので、うまくいけばそれでよろしいというぐあいに考えております。
#51
○古川(雅)委員 地方公共団体の負担が今後増加をしてくるわけでございますが、先ほど数字をあげましたとおり、四十九年のこの法案における完全実施の段階で、国庫負担のほうが事業主、都道府県、市町村の拠出を下回る。この点で私どもは、この制度はあくまで国の責任のもとに行なわれるべきであるという見解に立ってこれまでいろいろ御要望を申し上げてきたわけでございますが、一つにはこうした各自治体、都道府県、市町村の負担がかなり過重になっていくのではないか。制度の充実をさらに進めていこうとすれば、ますますその負担が重くなってくるわけであります。そういった点、国の負担がそれに対して下回るというようなことは、国の責任においてこの制度を行なっていくという前提に立てば、非常に納得がいかないわけであります。今後の地方自治体の負担、この過重の負担にどうたえていくか、それにどう対処していくかという考え方、そしてまた、国庫負担の今後の増額についてどういう方向を持っていらっしゃるか、その両面から自治省と大蔵省にひとつお伺いをしておきたいと思います。
#52
○森岡説明員 児童手当の地方負担額は、昭和四十六年度は初年度でございますが、十五億円程度でございます。平年度化いたしますと約二百四十億円というかなりな額に達します。地方財政といたしましては、この手当てをしていきますには相当な苦心が要るというふうに私どもは考えております。現段階では国が三分の二、地方が三分の一の負担をする仕組みになっておりますが、地方負担分の財源措置につきましては地方交付税で措置をしてまいるということでございます。基準財政需要額に人口を測定単位として測定いたします社会福祉費というものがございます。その社会福祉費の中に年度の進行によりまして所要額を算入してまいる、こういうことにいたしておるわけであります。
 なお、国庫負担率の充実の問題等につきましては、制度発足の当初でもありますし、三分の二、三分の一ということに踏み切ったわけでございますけれども、将来の問題といたしまして、関係各省とも相談をしてまいりたい、かように考えております。
#53
○相原説明員 現状の国庫負担は、私どもとしては決して少ないと思っておりませんで、むしろ相当ふんばってやったつもりでおります。たとえばフランスの例で恐縮ですが、農民につきましては国庫負担はあるようですが、企業者については国庫負担は全然ないわけです。それに対してフランスの政府は何も責められていないという状況で、国庫負担の額の多寡で国が責められるというものでは毛頭ないと思います。したがいまして、現状の国庫負担で十分であるというぐあいに私どもは考えております。
#54
○古川(雅)委員 この児童手当の財源については、これまでゼロであったわけであります。ゼロに比べるとかなりふんばったということになると思いますが、しかし、この制度を今後充実させるためにはかなり国庫負担の大幅な増加が当然望まれるわけでございます。そういった点で見解を伺ったわけでございます。
 この制度の充実については、その財政的な面でもかなり今後困難が予想されるということをいまの御答弁で感じました。しかし児童福祉の現状、人口対策あるいは所得対策あるいは児童福祉というそういう根本の問題から考えますと、この制度の今後の格段の充実を考えるならば、財政的にも特段の御配慮をいただかなければならないと思います。
 自治省に一つだけ確認をさせていただきたいのでございますが、先ほど多田委員から質問の出た点でございます。これまで地方公共団体でこの児童手当制度を個々に行なってまいりました。乏しい財源の中でありますし、制度の内容そのものは非常に貧弱ではございましたけれども、十分住民の要望にこたえ、そしてまた、国が一日も早くこの児童手当制度を国の責任において実現をするために、推進をするために行なってきたものばかりであります。そういった従来地方自治体で行なってきた児童手当の対象範囲にこれまでなっていた者で今回国の制度の対象にならないという者がかなり出てくると思います。その点、自治省としては、各自治体に対してどのように指導していかれる御所存であるか、その辺の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#55
○森岡説明員 今回の児童手当の制度は、御指摘のような各地方団体でいわば自主的にばらばらにやっておりましたものを、統一的な国の制度として国の責任において措置をするというところにその趣旨なり意義があると思います。児童は平等であるという一つの考え方からいたしましても、これはやはり各地域を通じまして私どもは統一的な運用が望ましいのではないか、かように考えます。したがいまして、原則といたしましては、国の統一的な制度に切りかえるということで各地方団体が措置を進めてまいる、こういうことが望ましい、かように考えております。
#56
○古川(雅)委員 ただいまの自治省財政課長の御答弁につきまして児童家庭局長のほうはいかがでございますか。
#57
○坂元政府委員 昨日も御質問がありましてお答えしたとおりでございます。現在地方団体でやっております児童手当といわれるものあるいはそれに準ずるもの、非常にたくさんあるわけでございます。今回の国の制度としての児童手当制度が発足いたす場合には、それらの地方公共団体の従来実施しておりますいわゆる児童手当と称せられるものとの関連は、やはり私どもとしましては、今回の法律案の目的なり趣旨等と完全に重複しているものにつきましては、全部統一的運営という立場から、国の制度のほうにできるだけ移行していただくように自治省とも相談を申し上げていきたい、かように思っているわけでございます。
#58
○古川(雅)委員 私の質問は以上にいたしまして、次に古寺委員に譲ります。
#59
○倉成委員長 次に、古寺宏君。
#60
○古寺委員 最初に、児童手当法案の問題点についてお尋ねするのですが、児童憲章や児童権利宣言の精神を尊重するような児童に対する施策が現在まで行なわれてきたかどうかという点について、厚生省はどのようにお考えでしょうか。
#61
○坂元政府委員 児童憲章なり児童権利宣言というものは、児童に対して一つの権利を認めまして各般の総合的な施策をとることを内容といたしているわけでございます。したがいまして、先ほどもお答えいたしたわけでございますが、児童の福祉のためにはいろいろな施策というものが確かに必要であるわけでございます。保育所の問題にしましても、あるいは心身障害の問題にしましても、あるいはいわゆる母子保健の問題にしましても、あるいは母子福祉等の問題、その他いわゆる年金等の問題、あるいはまた教育、住宅その他各般の施策というものが必要になってまいるわけでございます。そういう観点からいたしますならば、戦後二十年間児童福祉対策というものはいろいろな面において新しい施策を考えながら、またその内容等も逐年充実をしてまいってきております。したがいまして、四十六年度の予算におきましても、先ほどもお答えいたしましたように、厚生省関係の分野に関しましても千二百億円くらいの児童福祉関係の予算が計上されているわけでございます。そのようなことを考えますと、いままでも相当施策面において、内容面において充実強化がはかられてきているわけでございますが、児童憲章なり児童権利宣言の立場からしますと、決して現状で十分だ、こういうふうには私どもも思っておりません。したがいまして、そういう高邁な児童福祉の理念をうたっております児童憲章等の精神に今後とも合致いたしますように、いろいろな諸分野の児童福祉対策というものを今後総合的に強力に推進していくというのがこれからの厚生省の任務であるわけでございます。そういう意味におきまして、現状において甘んずることなく、今後とも十分に積極的に努力をいたしたい、かように思うわけでございます。
#62
○古寺委員 社会保障制度審議会の意見によりますと、「この際さらに一歩を進めて心身障害児の関係にまで配慮を及ぼすことはできなかったか。」こういう意見が述べられておりますが、この点についてはどうでしょう。
#63
○坂元政府委員 法律のたてまえは十八歳未満の児童ということになっておりますので、いまお尋ねのように、外国等におきましては、いわゆる一定の廃疾等を持っている児童につきましては特別な扱いをいたしている国が多いわけであります。わが国におきまして今回の法律案をつくる際に、そういう特例を認めなかった理由としましては、現在わが国におきましては、一定の重度の障害を持っている児童につきましては、御案内のように特別児童扶養手当制度というのがございます。したがいまして、そういった制度がありますので、そういう制度と児童手当制度というものを調整するという問題は今後の課題ではございますが、少なくとも現段階におきましては特別児童扶養手当制度というものをむしろ内容を充実強化していくという方向に進むべきじゃなかろうか、そういうような考え方からしまして、外国等に見られるような一定の廃疾等の児童についての特例を考えなかった次第でございます。
#64
○古寺委員 今後の児童扶養手当の内容の充実強化に関する厚生省としての考え方、その点についてお伺いします。
#65
○坂元政府委員 児童扶養手当なりあるいは特別児童扶養手当制度につきましては、御案内のように、いわゆる福祉年金のほうからの関連がございまして、大体福祉年金制度という考え方と調整をしながら現在まで進んできております。したがいまして、そういう一定の考え方についてのワクがございますけれども、しかしながら児童扶養手当制度なりあるいは特別児童扶養手当制度にはまだまだ私どもとして考え直すべき問題点がございます。したがいまして、たとえば特別児童扶養手当等につきましては障害範囲というのがまだ非常に限定されておりますので、こういう障害範囲というものをもっともっと実情に合うように、また国民のニードに合うように、拡大を今後努力してみたい、かように思っておるわけでございます。
#66
○古寺委員 今後拡大すると考えられる障害については、どういうものがございますか。
#67
○坂元政府委員 特別児童扶養手当制度におきましては、現在いわゆる外部障害と申しますか、重度の精神薄弱なり重度の身体障害という、それだけを一応障害の対象にいたしておるわけでございますが、他の年金制度等に見られますような内部障害とかあるいは精神障害あるいはこれらの併合障害、こういうものが特別児童扶養手当制度の中に入っていないわけでございます。したがいまして、そういう内部障害なり精神障害、併合障害、こういうようなものを今後他の年金制度とのバランスにおきましても取り上げるべき問題だ、こういうふうに私どもは認識をいたしております。
#68
○古寺委員 それからやはりこの社会保障制度審議会の意見として、本制度は将来飛躍的に発展させなければ本来の目的を達成することができない、こういうふうに意見が述べられておりますが、飛躍的な発展としてどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
#69
○坂元政府委員 先般来からたびたびお答えしているとおりでございます。段階的な実施というものが四十九年度で終わるわけでございますので、そういう段階実施というものを考えながら、当面この制度の確立というものがわれわれのこれからの目標でございます。そういう制度を確立し、安定させた上におきまして将来の長期的な内容改善強化策を考えることになろうかと思いますが、その場合にはやはり外国等でいわれておりますように対象児童の範囲の問題、つまり三子という現在の案でございますが、将来この対象児童を拡大していくかどうか、これが一つの問題。それからもう一つは、三千円という支給の金額を今後どういうふうに増額をしていくべきか、こういうところが大きな今後の問題点だ。そのことが逆にいいますと内容改善等の根幹に触れる問題点につながる、こういうふうに考えているわけでございます。
#70
○古寺委員 飛躍的な発展でございますので、段階的ではなしに、もう一歩さらに進めてこの制度の拡充をはかるというようなことはお考えになっておらないのですか。
#71
○坂元政府委員 いま申し上げましたように、四十九年度までは段階的な考え方でございます。それ以降この制度というものの内容を飛躍的にどうするかという点につきましては、ただいまも申し上げましたように、つまり対象児童の範囲の問題、それから金額等の問題、こういう問題が大きな制度の根幹になっておりますので、そういうものをどうするかという場合には当然、財源負担の問題にも相当考え方を持ち込まなければなりませんし、それ以外の制度のつけ方、仕組み、そういうものとも関連をしてまいりますので、そういうものを総合的に検討した上で将来の内容改善等の構想が出てくるものだ、こういうようにわれわれは了解するわけでございます。
#72
○古寺委員 医療保障と年金あるいは児童手当というのは今後の社会保障制度の三本の柱になると思うのですが、この均衡はどういうふうにとっていくお考えでございますか。
#73
○坂元政府委員 私からお答え申し上げるよりもむしろ大臣のほうがいいかと思いますが、社会保障の中の大きな柱としまして、確かにいまお述べになりましたように医療保障なり年金保障あるいは今回の児童手当というものがあるわけでありますが、わが国の社会保障の分野におきましては、よく言われますように、これまで医療保障面のほうがやや先走ってきておるということがいわれます。逆に年金保障なりいわゆる所得保障面がやや医療保障面に比べますとおくれておる、こういうことが識者からいわれているわけでございます。私どもは、社会保障というものの制度全般の均衡ある発展を今後期するという立場からいたしますならば、やはりこの三者の関係は相当にバランスをとりながら今後施策の内容改善等も考えていく必要があるわけでございまして、そのためにはやはりそのときどきの財政事情なりあるいは社会情勢なりあるいは国民のニード、そういった諸般の行政を勘案しながら均衡ある発展ということをはかっていく必要があろうか、こういうように私は思っているわけであります。
#74
○古寺委員 四十五年度の厚生白書によりますと、わが国の乳児の死亡率は非常に減少いたしておりますけれども、幼児の死亡率というのが非常に上昇いたしております。これはどういう理由によるものでしょうか。
#75
○坂元政府委員 乳児なり幼児の死亡率というものは、やはりいろいろな施策というものが総合的にささえになりまして初めて死亡率の低下というものができるわけでございます。いまお尋ねの乳児の死亡率というものはほぼ先進国並みに低下してきておることは事実でありますが、これは一つにはやはりここ数年来、こういった乳児関係の育児面なりあるいは医療面なり、そういった面に対する国民の認識というものが高まってきたということが背景にあろうかと思いますが、具体的にはやはり先般来から実施いたしております乳児の精密検診なり一般検診、いわゆる健康診査、そういうものも相当普及をしてきたということが一つの大きな理由になっておるかというように私は思っておるわけでございます。それから逆に、幼児の死亡率というものが諸外国に比べますと非常に高いという御指摘でございますが、確かに私どもは統計数字の面からいいましてそういうふうに受け取らざるを得ないのでありまして、これはいま申しましたような乳児と比べまして、幼児というものに対する諸般の施策が若干徹底をしていない、こういうことに一つの原因があるのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
#76
○古寺委員 この厚生白書によりますと、乳児の場合には昭和二十五年には出生千人に対して六十人、四十三年には十五人に減少しておりますけれども、一歳から四歳児になりますというと、十万人に対し百二十七人が四十三年には死亡いたしております。これはスウェーデンの二倍、アメリカの一・五倍になるわけです。こういうような小児医療に対して厚生省はどういう対策をお考えでしょうか。
#77
○坂元政府委員 死亡率を低下させる一つの手段としましては、先ほど申しましたように、健康診断というものをもっともっと徹底させる必要があろうかと思います。したがいまして、従来からも三歳児検診というようなものをやってきておりますが、やはりこれがまだ十分徹底をしていない。一般の方に十分協力を得ていないということも事実のようでございますので、そういう健康診査制度というものを私どもはもっともっと徹底をするような方途を考えていく必要があろうかと思います。
 それから幼児の各種の疾病というのがございます。確かにこれは原因等がまだ不明なものも相当ございます。あるいは治療方法も不明なものもございます。そういうような小児の、特に幼児の疾病等につきまして、先天的なものあるいは後天的なものを問わず、今後私どもとしましてはできる限りバランスをとりながら、こういった幼児の医療制度というものにつきまして前向きにやってまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。現在までのところ育成医療なりあるいは養育医療なり、そういう制度をとっているわけでありますが、今回新たに小児ガンの問題につきましても公費による援助を今年度予算に計上している、こういうこともありまして、今後まだ残された問題等につきましてはやはり幼児医療、小児医療という観点からいろいろな施策を今後考えてまいりたい、かように思っているわけでございます。
#78
○古寺委員 そこで、最近非常に社会的に問題になっておりますところのネフローゼ、特に小児のネフローゼについて承ってまいりたいと思うのですが、このネフローゼに対して厚生省は現在どういうような対策をお考えでございましょうか。
#79
○松尾政府委員 私のほうからお答え申し上げたいと思いますが、一般にじん炎、特にネフローゼという全般的なことで申し上げれば、これもかなり古くからある疾病でございます。いろいろ内科的な治療その他の治療で改善し得る例もあるということは御承知のとおりでございます。ただ特に児童について申し上げれば、かなり長期にわたって療養しなければならない、こういうところに一つ児童としての特有性がいろいろ出てくるかと思います。その中で特に、医療の問題等もあると存じますけれども、学齢期におきましては特に教育というものがそれに伴わないで、休学をしなければならない、進級がおくれるというような問題が出てまいるわけでございます。したがいまして私どもは、できるだけこういう慢性の小児の疾患に対しまして療養しながら勉強ができる体制をつくるということが必要ではないか、こういうことで現在、国立療養所だけについて申し上げれば約四十八、若干その他に国立の病院もございますが、そういうところに特殊養護学校あるいは学級というものを併設しまして、そこにできるだけこういうような患者を収容するということで子供の学習もあわせて処してまいりたい。子供に限定して申し上げれば、いまのようなことを中心にやってまいりたいと思っておるわけであります。
#80
○古寺委員 現在、ネフローゼの患者は全国でどのくらいおりますか。もちろんじん不全を含むと思いますが、その中で小児ネフローゼの患者はどのくらいでしょうか。
#81
○松尾政府委員 大体患者数は医療機関にかかっている患者の数というものしかつかんでおらないわけでございますけれども、ただいまお話がございましたように、じん炎、ネフローゼ一括いたしまして、四十三年の段階で三万九千三百人というような状態でございまして、約四万弱というようなところでございます。なお、全体としての死亡は約一万人というような状況でございました。その中でどの程度子供が占めておるかというのは、まだ実はこまかく分解をしておりませんけれども、大体死亡率から見ましても、十五歳ないし二十四歳というようなところになりますと、かなりネフローゼによる死亡率というものの順位が高くなってまいるというようなことから考えまして、相当数いると考えられます。なお、文部省等の学校関係の統計では、こういうネフローゼのために学校を休んでおるというような子供が約七千というふうに報告されているわけでございます。
#82
○古寺委員 こういうじん臓疾患、じん不全に関する研究というのは、わが国ではどういうふうに行なわれておりますか。
#83
○松尾政府委員 これは先ほど申し上げましたように、基本的には古くからいろいろと検討されてきている問題でございます。しかしながら私どもが特に意を用いてきましたのは、かようなじん疾患の中で、特に尿毒症を起こすというような重篤な状態に対応いたしまして、いわゆる人工じん臓というものを適用することによりまして、相当健全な生活を維持することができる、こういうめどが立ってきておるわけでございます。したがって、その実用化されつつある人工じん臓というものをなるべく早く普及させるということに一つの重点を置いてまいったわけでございまして、そのために、人工じん臓そのものについてもいろいろな問題がございますので、私どもが所管いたしております新医療技術研究助成費というようなものによりまして、四十四年度から、たとえば四十四年度には五百万、四十五年度五百三十万、四十六年度九百万というような予算をこれにさきまして、主として人工じん臓の小型化の問題あるいはそれに伴う国産化の問題、あるいは価格の低廉化の問題、そういったような人工じん臓自体の改良、発展というものに対して助成をしてまいっております。そのほか、医療研究費助成金等によりましても同じような目的で若干これらの研究を促進をしてきたというような実情でございますが、御承知のとおり、かような問題は単に基本的な研究というだけではなくて、さらに体系的に整備をするというふうな段階にあろうかと存じまして、四十六年度に新たにじん不全対策の検討費というものを百九十万ほど計上いたしまして、これによりましていわば具体的な展開をはかる準備をはかりたい、かような段取りで進めてまいっております。
#84
○古寺委員 そこで人工じん臓の問題でございますが、人工じん臓が非常に少ないために貴重な生命を失っているじん不全の患者さんが非常に多い、そういうことを承っておりますが、わが国の場合には人工じん臓は現在何台くらいございますか。
#85
○松尾政府委員 正確な台数はまだ調査中でございますが、四十五年末に医療施設調査の中に加えまして、この人工じん臓を持っている病院がどれくらいあるのかという数字は把握いたしております。全国で二百六十六の医療機関が人工じん臓を持っている、こういうような結果が出ておるわけでございます。その辺から推察をいたしまして、大体全国で人工じん臓の数は、ただいま二百台から三百台というふうに推定をしている次第でございます。
#86
○古寺委員 一台の人工じん臓で、一週間に何人の血液の透析ができますか。
#87
○松尾政府委員 患者の症状によりましても、一がいに何人というふうに限定できない問題はございますが、通例は一週間に同じ人が一回は透析をしなければならない。場合によりますと一週間に二回という透析をしなければならぬわけでございます。
  〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
それに対する、一回に要する時間が大体七、八時間というようなことが必要でございますが、通例の病院の勤務体制というようなものを前提にして考えますれば、よくいって一台について一週間に六人程度、それから二回以上かかるような方がおられればそれより少なくなる、こういうふうに考えるのが常道だろうかと思います。もちろんそのほかに夜間透析というような場合を加えてもう少し能率をあげ得るものと思いますが、大体通例はその程度が常識と思っております。
#88
○古寺委員 現在わが国における人工じん臓による血液透析患者、実際に行なっている患者さんは何人ぐらいですか。
#89
○松尾政府委員 これも、今回のいろいろな調査の中で正確に把握したいと思っている問題でございますけれども、ただいま申し上げましたような一台の人工じん臓の稼動率というものから考えましても、せいぜい全国で行なっておるものは千名足らず、あるいは千名ちょっとというようなところで動いておるのではなかろうか。これも近くそういう的確な実態を調査したいと考えております。
#90
○古寺委員 この人工じん臓の専門のいわゆる技術者、透析看護婦、あるいは透析師というというようなものの養成についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#91
○松尾政府委員 今後いろいろ展開をいたします上では、御指摘のようにそれに携わる技術者をどういうふうに養成をするか、訓練をするかということが問題でございます。ただいまじん学会等でもいろいろ議論されましたところの大体の空気というものを拝聴いたしておりますと、それほど特別に特殊な資格等を持ってやらなければならないというほどの問題ではなさそうに私どもは感じております。大体基本的な素養を持っている人にそういう特殊な訓練をするということで大体はやれるんではないかということを、私どもは把握しておるわけでございます。
#92
○古寺委員 そういたしますと、そういういわゆる養成に関する研修とかそういうものは必要ないわけでございますね。
#93
○松尾政府委員 私はやはりある程度必要だと存じます。したがいまして、人工じん臓を中心とし、またじん移植というようなものをからみ合わせましたじん不全対策というものを展開するにあたりましては、当然医者の訓練をはじめといたしまして、関係者の一定の研修というようなものも積極的に持つべきであろうと考えております。
#94
○古寺委員 この人工じん臓の研究開発についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#95
○松尾政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、四十四年以来、私どもも数百万ずつ費用をこれに投入いたしながら研究開発をお願いいたしてまいっております。特に私どもは、より効率のいい装置の開発ということが一つございます。それからまた日本で国産化するという段階ではかなりおくれているんではないか、こういう問題もございます。できるだけ国産化をするという方向でその技術というものを開発していきたい。また同時に、装置自体がかなり高価な現状でございます。したがいまして、そういうような費用自体もひとつ軽減できるような装置ということが望ましい。また同時に、装置が非常に大きなスペースをとるというような問題もございますので、できるだけこれは小型に、小さい形にしていくというようなことがやはり必要ではなかろうか。また同時にこれにつきましては、一台の機械で一人をやるというような問題じゃなくて、いわば中央組織、中央方式とでも申しますか、同時に相当数の多人数の透析を行ない得るというような装置を完成するということによって、能率があげられるのではないか。大体そのような点を主題にいたしまして、先ほど申しましたような研究費の支出によって促進をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
#96
○古寺委員 科学技術庁にお尋ねいたします。
 この人工じん臓はいまもいろいろ御答弁がございましたように、ほとんどが輸入品でございます。しかも一台五百万円ぐらいするというふうな非常に高価なものでもございますので、いわゆるこの人工じん臓の国産化あるいは小型化ということが非常に緊急な課題になっているわけですが、こういう点について科学技術庁はどういうふうにお考えでしょう。
#97
○小久保説明員 科学技術庁といたしましても、先生御指摘のとおり、人工じん臓装置の開発の必要性は痛感しているものでございまして、厚生省のほうともよく御相談をさせていただきながら、試験研究費の見積もり方針の調整その他でいろいろその推進をはかっておるわけでございます。
 それから特に今年の三月でございますが、新技術開発事業団に開発委託をいたしまして、透析パック型による小型化、低廉化というようなものを目標にいたしまして、人工じん臓装置の実用化を委託しております。それからさらに私どもといたしましては透析法のほかにまた、ろ過吸着法というような方法もあるやに聞いておりますが、この新技術開発事業団の開発の成果を見ながら、さらに厚生省のほうとも御相談させていただきながら、さらに、ろ過吸着法による小型化、低廉化あるいは取り扱いやすさといったものの開発が必要であるということになりますれば、特別研究調整費といったようなものを使いまして、そういったものの開発を進めるということを考えたいと思っております。
#98
○古寺委員 厚生省にお尋ねしますが、人工じん臓はこれから、長い間の人工透析を必要とする人が非常にふえてくると思います。その場合に、大体わが国の場合は何台ぐらい必要だとお考えでしょうか。
#99
○松尾政府委員 的確なものは今回の予算をもとにいたしまして、全国的にいろいろ調べた上で適用者というものを正確に出したいと考えておりますが、従来からいろいろな形で推測いたしましたじん学会の推算というものを参考にいたしますと、大体三千五百ないし四千台というのが必要ではないか、こういわれておるような実情でございます。
#100
○古寺委員 科学技術庁は、厚生省のほうから大体三千五百から四千台必要である、こういうお話がございましたが、今後の見通しとしては何年ぐらいでこれが解消できるお考えですか。
#101
○小久保説明員 私どもデータがございませんので、その辺についてはっきりした見解を持ち合わせておりませんが、こういう体制については厚生省のほうといろいろ相談をしながら進めていきたいというふうに考えております。
#102
○古寺委員 厚生省ではこの人工じん臓の、現在十分の一ぐらいしかない少数の人工じん臓をどうやって目標まで達成する方針でございますか。
#103
○松尾政府委員 人工じん臓だけを対象として考えるだけでは不十分かと存じますけれども、いわゆるじん不全対策全体といたしましては、一方においてはじん移植というものの伸展、またこれの活用というものを一方でにらみながら、それと人工じん臓というものをひとつ継ぎ合わせた上で対処すべきものだと考えております。したがいまして私どもは、まだ実質的な調査はこれからでございますけれども、私どもの描いております一つの整備計画といったようなものは、おそらくどこかにじんセンターとでもいわれるような機関を設置する必要があるのではなかろうか。これは、こういう人工じん臓関係の機械そのもの、あるいはそれの利用といったものの技術的な問題について中心になるものが必要であろうかと思います。同時に、各種の情報というものをそこでいろいろ集めておくということが、今後必要じゃなかろうか。そのほかに当然各都道府県ブロックといったところに中心になるような機関をつくり、かつそれと関連をするような医療機関というものを設定いたしまして、そこにそれぞれその地域等の状況を勘案した人工じん臓あるいは移植能力というものを勘案して、その必要な台数をそれぞれ整備する、こういう形で取り組むべきではなかろうかというふうにいまのところ考えているわけでございます。したがいまして、いま直ちに何年でというところまでは、まだ到達はいたしておりませんけれども、新しくそういうような体系を打ち出すということによって、早急にこういう装置の開発整備ということも今後詰めるべきではなかろうか、ただいまの段階では、そういうような感覚を持って今後の調査等もやってまいりたいと思っておる次第でございます。
#104
○古寺委員 この人工じん臓による血液透折に要するに費用は、一体どのくらいでございますか。
#105
○松尾政府委員 症状によりまして多少違うようでございますけれども、大体一回三万円ないし多くて五万円程度ということでございます。したがいまして、先ほど申し上げておりますように、週一回やられる方もおりますし、あるいは週二回やらなければならないという方もおられるわけでございますが、これの数倍というようなことが一月の費用、これが大体の見当であろうと思います。
#106
○古寺委員 かりに一週間二回といたしまして、一回五万円の場合には月四十万円になるわけです。本人の場合は健康保険が適用になっておりますので、負担がかからないと思いますが、子供の場合、また家族の場合には、その負担が相当にかかるわけでございます。この人工じん臓に関する自己負担分について公費で負担するというようなお考えはお持ちでしょうか。
#107
○松尾政府委員 私どもは先ほど大まかに申し上げましたようなじん不全対策の特に設備、人員等の整備というようなことを中心に組み立ててまいりたいと思っておりますが、当然そういうことをやる過程におきまして、この費用負担という問題が出てくるだろう、これは十分予想しているところでございます。ただ、その公費負担という問題になれば、ただいま御指摘のように相当費用のかかるケースであることは事実でございますが、他のいろいろなケースの場合ということも関連をして考えなければならぬと思うわけでございます。この人工じん臓の場合には、公費負担をするということをにわかにいま私のほうから断定をする段階ではないと存じます。しかし費用が相当かかるという実態は事実でございまして、そこのところをどうやって推進していくか、これは一つの重要なじん不全対策の課題であるというふうに考えておる次第でございます。
#108
○古寺委員 児童家庭局長にお尋ねしたいのですが、小児ネフローゼの場合、この医療費について公費負担をするというようなお考えをお持ちでしょうか。
#109
○坂元政府委員 小児の医療制度としましては、現在までいろんな形でやっているものもございます。また、たとえばいま問題になっております小児ネフローゼ等を含めまして、小児の慢性疾患というものが、まだ若干未解決のまま残されております。したがいまして、このような小児慢性疾患全体の問題としまして、今後そういう医療費等の負担制度をどういうようなかっこうでやっていくか、これはやはりいま医務局長も申しましたように、全体の制度なり施策等の関連も考えながら考えなければならぬ点だろうと思います。したがいまして、小児ネフローゼだけを取り上げまして、現段階において公費負担制度というものを考えるという気持ちは、いまのところ厚生省としては持っておりませんが、やはり一つの大きな研究課題でございますので、今後全体のバランスなり仕組み等を十分検討しながら、こういった小児慢性疾患対策をやはり前向きにやっていく、こういうことの方向づけだけは私どもも考えていく必要があるんじゃなかろうか、こういうふうな気持ちを持っておるわけでございます。
#110
○古寺委員 この小児のネフローゼ患者の医療費について、月どのくらいかかるかということを厚生省では把握しておられますか。
#111
○坂元政府委員 慢性疾患のようでございますので、いろいろな症状なり本人の状態等におきまして、いろいろ所要経費、つまり医療費というのが千差万別のようでございますが、私どもがいろいろな方面から聞いている段階を総合いたしますと、大体小児ネフローゼの場合は、やはり一年に二十万円から三十万円かかるのではないかということを断片的に聞いているところでございます。
#112
○古寺委員 そういうふうに非常に多額の医療費というもの、あるいは衣服代から栄養代、諸雑費がかかるわけでございますが、心臓疾患あるいは小児ガンと同じように、非常に家庭の経済を圧迫しているわけでございます。そういう立場からいって、これはもっと早く取り上げていなければならない問題ではないか、こういうふうに思うのですが、この点について厚生省はどうして今日までこういうふうにおくれたのか、その点について御答弁願いたいと思います。
#113
○坂元政府委員 小児特有の疾病につきましては、先生専門家であられますので、よく御存じだと思いますが、いろいろな疾病がたくさんございます。したがいまして、そのような小児特有の疾病あるいは特に小児だけに多い疾病、こういうようなものの医療費対策というものは、私どもとしましては、やはり現在の医療保険制度というものを無視してはなかなか考え出しにくいわけでございます。したがって一般的な医療保険制度というものとどういうふうに調整していくか、つまり公費負担医療ということになりますと、医療保険制度との関連を無視して進めるということはなかなか容易でないわけでありますので、そういう公費負担医療全般の考え方というものの一つの考え方というものを、やはりきちんとさせるべきだというのが、われわれ従来からの懸案事項であったわけでございます。したがいまして、全般的にそのような公費負担医療制度というものが、先生おっしゃるように、いままでのところなかなか進んできていないわけでありますが、一部につきましては確かに実施している面もございまので、そういう既存の実施している制度と、それから残されたいろいろな施策なり疾病、そういうものとの関連を考えながら今後やっていく必要があろうと思うわけでありまして、今後公費負担医療ということになりますと、いま申しましたようなそういう事情があったことだけは私どもも――そういう事情があったために今日までその施策というものが前進しなかったということを御了解いただきたいわけでございます。
#114
○古寺委員 そういう点が、私が最初に申し上げたわが国の児童福祉の問題が非常におくれている根本的な原因じゃないか、こう思うわけです。今度児童手当制度が創設されますけれども、それと並行してやはり乳幼児、小児の医療対策というものが今後の大きな問題になってくると思うのですが、これは後ほどまた大臣にお伺いすることにいたします。
 文部省にお伺いしたいのですが、現在長欠児童の原因のトップがネフローゼということになっております。この二年間に三倍近く上昇しておる、こういうふうになっている。その内容を申し上げますと、じん臓疾患が七千人、心臓病、ぜんそくは約一万四千人ですが、結核患者の場合の四千人を大幅に上回っています。秋田県の例で申し上げますと、四百九十一人の長欠児童のうちで、ネフローゼ等のじん疾患による者が百六人、鹿児島県でも四百五十人中ネフローゼによって長欠をしている者が八十六人、愛媛県の場合は四百六十九人中百十四人、こういうふうに学童のネフローゼによる長欠児童が非常にふえております。こういう点について文部省はどういう対策を現在お考えになっているか、承りたいと思います。
#115
○寒川説明員 ネフローゼ等のいわゆる慢性疾患の児童、生徒の教育につきましては、先生御承知のとおり、病弱者のための養護学校、特殊学級、さらにはまた普通学級におきまして、子供の症状に応じまして留意した指導を行なうということになっております。そこで文部省といたしましては、特に長欠等の長期療養をしております子供に対しまして、療養所あるいは病院に併設をいたしまして、病弱者のための養護学校を設置する、あるいは特殊学級の設置を促進いたしております。このために毎年、病弱者のための学校を含めまして養護学校を十八校、それから病弱者のための特殊学級を含めまして千二百学級の特別の学級を設置するための施設設備費の補助を計上して、県あるいは市町村に対して補助を行なっております。もちろんこの教員定数の確保もいたしまして、国庫負担を行なっている次第でございます。その結果、現在ネフローゼを収容する養護学校は、病弱者のための養護学校を含めまして全国に四十校持っております。また病弱者のための学級は三百七十二学級が設置を見ている次第でございます。そこに就学しております子供の数は約六千人でございまして、御指摘のとおりまだまだ不十分でございますが、今後教育の機会を拡大してまいる努力を続けてまいりたいと考えております。なお、御指摘の長欠のネフローゼの子供に対する教育――長欠とは一年間に五十日以上欠席している子供でございますが、こういった子供たちが家庭で療養しているというふうな実態、あるいは病院等、さまざまでございまして、その子供の実情に合った教育のあり方というものが、今後の課題でございます。必要に応じまして訪問指導、家庭を訪問して教師が指導するというようなことも考えてまいりたい。そこで実は昨年度からそういったことを開拓的にやっていただく研究指定校を数校設けまして、家庭訪問指導のあり方の実験的な試みをやっていただいておるような状況でございます。そういった成果等を今後十分把握いたしまして、そういった方向につきまして取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#116
○古寺委員 いまお話がございました養護学校、それから特殊学級、こういうところで勉強していらっしゃるお子さんというのは六千人ですね。そうしますと、この中には小児ネフローゼの学童というのは何人くらい含まれますか。
#117
○寒川説明員 私ども把握いたしております数字でございますが、ネフローゼというふうに限定いたしますと、約五百人ばかりでございます。
#118
○古寺委員 それから、先生を派遣して家庭訪問によって勉強しているネフローゼの対象児童というのは何人ぐらいですか。
#119
○寒川説明員 現在まだ実験、開拓的な段階でございまして、二十人前後でございます。
#120
○古寺委員 そういたしますと、七千人近い小児のネフローゼで長欠の子供さんがいらっしゃいますね。そのうちで教育の機会を与えられている方はわずかに五百十人ぐらいしかいらっしゃらない。今後残されたお子さんについては、善処するといっても、早急にやらないことには、そういう子供さん方は勉強できないわけです。そういう点については、文部省より先に厚生省は一体どういうふうにお考えでしょう。大臣もいらっしゃいましたが、長期欠席の、いわゆる長期間療養しなければならない小児ネフローゼの子供さんが、七千人いらっしゃるわけです。ところがこれに対して、勉強の機会を与えられている学童というのはわずかに五百十人でございます。残されたお子さんに対して、厚生省としてはどういうふうにして教育の機会を与えていくというふうにお考えでございますか。
#121
○寒川説明員 ただいま御指摘の七千人のうち、わずか一割程度にすぎないというふうなことでございますが、この七千人の子供の症状と申しますか、その病状というものはさまざまであります。重いものは病院等に入院をいたしておりまして、長期療養をいたしております。軽いお子さんについては、家庭におきまして療養、あるいは学校に通っている、そういうふうな状況でございまして、このうちのほとんどの子供が普通学級に在籍をいたしまして、そこで教育を受けているわけでございます。ただし、お話がありましたとおり、長欠をしながら勉強に励んでいるというふうな状況でございまして、決してこの子供たちが教育の機会を与えられていないというふうにはまいらないのではないか。ただしそういったお子さんにつきまして、より手厚い教育のやり方を、きめこまかくさらに手を伸ばしていくというふうなことがあるわけでありまして、そのための開拓の努力をいたしているわけでございます。
#122
○古寺委員 養護学校がないから普通学級に一応編入になって通学しているわけですね。ところが、しょっちゅう病状が悪化するために長欠をしているわけです。そうしますと勉強する機会がないわけです。一応籍はあります。しかしながら勉強できないわけです。そういう人たちに対して、やはり家庭訪問教師をふやすとか、あるいは養護学校をふやしていかなければ、治療しながら勉強する、あるいは療養しながら勉強するという機会が与えられないわけなんです。そういう点について文部省としてはどういうふうにお考えになっているかということをお尋ねしているわけです。
#123
○寒川説明員 お話しの欠席しがちな、学校を休みがちな子供に対しましてどうするかというふうな御質問でございますが、そういう子供さんについて、重い場合にはやはり療養に専念するというふうなこともありましょうし、それから学校を休んで家庭で静養するというような子供もありましょうし、一週間に三日、四日というようなことで学校に通ってくるというような、さまざまな状況があろうと思います。したがいまして、その子供子供に応じまして留意した指導をやっていくということで、普通学級の担任の先生方の教育指導の留意のしかたというふうなことについての指導を一そうやってまいらなければいかぬ。いままでもそういうことについては養護教諭を中心にいろいろの配慮はいたしておりますが、普通学級の中にいらっしゃる比較的軽いお子さん、休みがちなお子さんに対します指導のしかたというものにつきまして、今後もさらに一そう適切な配慮なり留意というものを指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
#124
○古寺委員 いまたまたまネフローゼの問題で申し上げましたが、小児ぜんそくとかいろいろな慢性疾患がございます。こういう慢性の疾患の子供さんを健全に育成していくためには、どうしても教育と医療というものをマッチさせていかなければならないと思うわけであります。こういうふうに、勉強したいけれども勉強できないという非常にたくさんの子供さんがいらっしゃるのですが、厚生省としてはその点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#125
○松尾政府委員 ただいま御指摘のように、小児ネフローゼのみならず、ぜんそく等の患者がかなりふえてまいりました。長期にわたって療養する、特に入院を必要とするという場合におきましては、当然相当長い期間にわたって教育が断絶する。これはすでに児童福祉法の中で、現在でも結核児童の療育制度というものがあるわけであります。これもやはり一方において、からだのほうの障害が入院によってかりになおったといたしましても、子供自体が教育の機会に恵まれないために進級がおくれ、あるいは劣等感を持つというようなことであっては、いわば子供の健全な育て方としては欠けておる、こういう認識から、児童福祉法の中に結核児童療育制度というものができてまいったわけでございますが、いま実態といたしましては結核児童は急速に減りつつあるわけでございます。したがってそれにかわる新しい慢性疾患として、ただいま御指摘のような疾患が出てまいりました。先ほど申しましたように、従来結核の子供を対象にいたしまして大部分がスタートしましたけれども、国立療養所を取り上げましても、四十八カ所の国立療養所に養護学級あるいは養護学校がございます。昨年の十月現在で約二千四百近い子供が養護学校つきの療養所に入っておるわけでございます。したがいまして、結核が今後次第に減ってまいりますと同時に、そういう子供たちの入れかえという問題も考えなければなりませんし、また同時に今後の慢性疾患の状態というものに対応しながら、要入院というような子供、しかも長期慢性にわたる場合であればこれこそ療養所、慢性病院というようなところが教育関係と十分タイアップいたしまして、さらにそういう能力を拡大するということが必要ではなかろうかと感じております。
#126
○古寺委員 いま局長さんからお話がございましたが、非常に養護学校が少ないために、一般病棟に入って治療を受けている子供さんもたくさんいるわけです。そういう人は、非常に勉強の妨げにもなりますし、また療養の上からいっても非常にうまくいかないというケースがたくさん出ております。そういう面からいって、児童憲章あるいは児童福祉法の立場から、当然こういう慢性疾患の子供さんに対しては、結核と同じような教育の機会が与えられるような施設を、厚生省としても今後積極的に増設をしていかなければいけないと思うのですが、この点について大臣の所見を伺いたいと思います。
#127
○内田国務大臣 私はさっきどなたか委員の方の御質問、御意見を対しましても申し上げておきましたが、今後私どもが取り組むべき児童対策としては、児童手当の制度も緒につきますけれども、やはり保育所の問題であり、さらにまた心身障害あるいは特殊の疾病を有する児童に対する対策だということも述べておきました。それは医療の問題もございましょうし、御議論になっているとは思いますが、公費医療として取り上ぐべきかどうか、あるいは特別児童扶養手当というような制度もございまして、今日では主として外部疾患がその対象になっているはずでございますけれども、慢性の内部疾患などにつきましても私は考慮をめぐらすべき問題でもあると思いますが、その上にさらに、お話しのようにそういう内外の障害のある子供たちの教育という問題も、今日の文化国家、同時にまた児童福祉法や児童憲章、児童権利宣言なども取り入れておりますわが国といたしましては、その充足につきましても十分考えなければならない問題であると、私も政治家の一人として思うものでございます。現在でも養護学校の制度とか特殊学級というようなものをこれらの障害児あるいは疾病児の療育と申しますか、あるいはそういう施設などと結びつけてやってはきていること、ただいま関係の政府委員から答弁のあったとおりでございますが、御指摘のとおりそれが十全の状況であるはずもないと思います。私はこういう問題が国会で取り上げられるということ自身が、日本がそこまで文化国家、福祉国家として成長しつつあるという証左であるとも思いますので、御意見は十分参照いたしまして、今後の厚生省の施策の中にも取り入れ、また文部省にもいろいろお願いをいたしまして、足らざるところをともども充足をしていくような努力を続けたいと思います。
#128
○古寺委員 大臣は先ほどずっといらっしゃらなかったので、前後の関係がわからないと思うのですが、先ほど人工じん臓の問題をずっと取り上げてまいりました。人工じん臓はわが国では非常に台数が少なくてす二百台から三百台しかない。少なくとも三千五百台から四千台は必要であろう、こういう局長さんの御答弁もございました。しかしながら現在の人工じん臓はほとんど輸入品でございまして、まだ国産化ができていないような段階である。この小型化とかいろいろなことの開発を進めているようでございます。科学技術庁のほうにもお願いを申し上げましたが、今後この施設をつくる場合に、ガンセンターあるいは救急医療センターと同じように、施設に対する補助制度、補助金というものを国で考えてあげなければ、人工じん臓の全国的な配置と申しますか、ネットワークができないのではないか、こういうふうに考えるわけです。そこで厚生大臣にお願いしたいのは、全国の各都道府県の病院、公立の病院あるいは私立の病院等でじんセンターをつくる場合に、いまのガンセンターあるいは救急医療センター並みの補助をしていただきたい、こういうことをお願いしたいのですが、いかがですか。
#129
○内田国務大臣 たいへんけっこうなお話だと思います。しかしこれは私は専門家ではございませんが、厚生省におりますと、いろいろのことが耳にも入ってくるわけでございますし、またいまお話の人工じん臓というものを、たまたま私も病院に行って、世話になっている患者さんの状態とともに見たこともございまして、ああいう機械で血液の清浄化をやるわけですから、けっこうな機械ではありますけれども、ああいうことでいいのだろうか。しかも血液の交換といいますか清浄化も、一ぺんやれば一カ月もつというようなことではないそうでございまして、患者さんがほとんど毎週いらっしゃるということになりますと、いまのあの設備ですと、一人で一つの設備を独占をするような形になりますと、いまの二、三百台というようなものでは、とても多数のじん臓関係の患者の血液の清浄化ができないような状態と、私はしろうとながら見受けまして、いまもお話のございました小型化というようなことも課題のようにも承りますが、小型化であれ大型化であれ、あれももっと進んだ、たとえば一つの機械を大型化して、人の血液とまざってはいけませんでしょうけれども、何人かの患者が同時にかかれるようなことだってできないものであろうか。また小型化して家庭で使えるような――これはずいぶん高いものだそうでございますから、所得の多い方でなければ自分で設置することもできないとば思いますけれども、そういう家庭でやれる方法もあるのかもしれませんし、また見ておりますと、看護婦さんでございましょうが、パラメディカルの方がそれにつききりでございまして、看護婦さん、パラメディカルが不足の状態のもとにおきまして、機械が不足であると同じように、それにつききりの人間をとられるということも、いかにも前近代的のような感想を私は持ちました。でありますから、それらの開発や前進につきまして、何らか国が助成費を出したいし、またその他のいろいろな施策をめぐらすべきであるというような感じがいたしますことが一つと、また私のところへ――これは私も専門家でないから名前を取り違えているかもしれませんが、その方面の大家であると承っております、たしかこれは大島先生だったように思いますが、わざわざ大臣の私をおたずねになりまして、じん臓治療対策につきまして、一つの全国的なネットシステムの御提案もございました。ことに幸いなことに、じん臓は一つだけでなしに二つありますから、そのタイプの合うじん臓を交換をして移植するということも、心臓とは全く違った態様にあると思いますので、その際の登録などにつきましても、何らか組織的な機構をつくるべきであるというようなお話も承りまして、私は同感の意を持つものでございます。
 ガンにつきましては、今日国立のガンセンター、研究所以下、全国の各ブロックあるいは府県にそれぞれのセンターあるいはコーナーというようなものができつつあることは御承知のとおりでございますが、じん臓につきましても、これは病気が違いますから全く同じ構想ではないにいたしましても、そういう組織化の面につきましても、構想を進めるべき時期に来ているのではないかと思います。
 またネフローゼのうち、子供たちに属する部門につきましても、それは子供の病気はほかに、先般半分くらい施策を取り上げました小児ガンの問題もございましょう、あるいは自閉症もございましょう、あるいは、これは内部疾患か外部疾患かよくわかりませんが、筋ジストロというような問題もありますし、小児ぜんそくのお話がいまもあったと思いますが、それらを一ぺんずらっと厚生省は並べてみまして、それをどういうふうに治療の組織体系をつくるか、あるいは援護、医療等も含めまして、援護の組織体制をつくるかというようなことをやらねばならない時期にきているように私は思いますので、何もかも一ぺんにはできないにいたしましても、私は現職の大臣でありますから、大臣の思いはそこにあるということを一つ心にとめていただきまして、今後とも、ことに古手先生はお医者さんであられまして、そのほうのことはよく御存じの方でございますので、いろいろまた御指導や御勧告もいただきましてできるだけのことは――これはもちろん大蔵省の協力も得なければなりませんけれども、大蔵省にも新時代の社会福祉国家の大蔵省として協力を願うことも決してできないことではないと私は思いますので、十分の施策を進めてまいりたい、たいへん長くなりましたが、かような情熱を持っております。
#130
○古寺委員 関連してお尋ねしたいのですが、昭和四十五年から老人性白内障の手術を国が援助いたしております。これも六十五歳以上の老人性白内障の患者さんが九万八千人いらっしゃる。そのうちで厚生省は、四十五年、四十六年で三千人ずつの手術を大体予定しておるようでございます。しかしながらこの手術の際に、いままでの手術の方式では三週間くらい安静にしていなければならない。眼帯を当てましてじっと座禅みたいにして、安静期間が非常に長い。手術よりもむしろその安静の期間が苦しい。そのために手術を受けられない方がたくさんいらっしゃる、あるいは所得制度がございますが、そういう関係で、せっかくこういう制度があっても、制度の恩恵を受けられない人もいらっしゃいます。ところが最近この老人性白内障の手術につきましても、ある先生が新しく術式を開発いたしまして、その機械を使ってやれば短時間に手術ができる。しかも通院も可能である。こういう段階まできているわけでございます。ところがこれに対しても、研究に対する国の助成は全くないにひとしい。いまも大臣から人工じん臓のお話もございました。国がやはり積極的に力を入れて、その研究開発を支援してあげることによって、どれだけ日本のじん臓病疾患の患者さんあるいは老人性の白内障の患者さんが助かるかわからないわけです。そういう点についても、やはりもっと積極的に取り上げていただかなければいけないのですが、きょうは科学技術庁もおいでになっておりますが、厚生省のほうから積極的に科学技術庁のほうにお願いをしまして、こういうものに対するいわゆる調査研究費をどんどん出していただいて、これらの方々を救っていただきたい、こう思うわけなんですが、最初に老人性白内障の手術の機械の開発については、科学技術庁は御存じでございますか。
#131
○小久保説明員 不勉強で存じませんでございました。
#132
○古寺委員 まだ科学技術庁のほうではそういうことを御存じになっていないようでございますので、厚生省のほうから、この人工じん臓の機械の小型化あるいは国産化の開発の推進とともに、この老人性白内障の手術機器の開発という件につきましても科学技術庁と連携をとりまして、そして促進をしていただきたい、こう思うわけでございます。
 そこでさらに、老人性白内障の問題が出ましたので大臣にお願いしたいのは、どんなお年寄りでも何とかして手術を受けたい、こういうお年寄りに対しては、現在の制度を拡大しまして適用するようにしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
#133
○内田国務大臣 それも私はまことにけっこうであると思います。老人性白内障の手術に対する一部公費医療、一部と申しますのは所得の少ない方を対象とするという意味でございますけれども、その制度を始めましたのは昭和四十五年からで、ことしがようやく二年目に取りかかりつつあるということでございまして、それらのことにつきましての改善や対応策については、まだ十分の経過もたどっていないようにも思います。しかし、このごろの科学というものは日進月歩で、最近の一年間の科学技術、医療技術の進歩というものは、昔の十年にも百年にも相当するわけでありますから、いま私が申し述べましたことは言いわけにもならないと思いますので、専門家のあなたからそういう御提案もあることをみながここで聞いておるわけでありますので、その可能性が十分あることを頭に置きながら、それの前進拡大についてつとめてまいりたいと思います。
 ことに、そういう手術機器のことは、これこそ私は専門家じゃないから知りませんが、おそらく厚生省の医務局長その他担当の方面では知っておることと思いますので、それらに対して助成することによって前進が得られるような環境にありますならば、これはもう科学技術庁をまつまでもなく、厚生省独自としても予算の要求を大蔵省にいたすべきことであると思います。しかし、年度の途中で、科学技術庁の持っておる研究調整費というようなものが活用できるような状況でありますならば、これも聞くところによりますと、複数の省にまたがる研究費を科学技術庁が予備費的に握っているものであって、厚生省のみの研究の場合には、予備費的に科学技術庁が踏み切っていただけるかどうか、その辺はわかりませんが、しかし、スモン病などの場合も、これは当初科学技術庁の調整研究費から出していただいたこともあるようにも私は思いますので、科学技術庁の本年度における協力の問題もお打ち合わせをさせていただきたいと思います。
 なお、人工じん臓の研究費につきましては、金額は十分でないにいたしましても、ここ両三年でしょうか、数年でございましょうか、たしか年間数百万円ないし一千万円程度の研究助成費は予算に計上いたしておるわけでございますが、とてもそんなもので十分と思いませんから、これの増額等につきましても十分大蔵省と打ち合わせてまいりたいと思います。
#134
○古寺委員 そこで、先ほどもお願いしたのですが、人工じん臓を使いまして血液の透析をする場合には、一カ月に四十万円くらいかかるわけですね。これは健康保険の本人の場合はけっこうなんですが、家族の場合あるいは国民健康保険の本人の場合には非常に負担が重いわけです。現在わが国では、このじん臓疾患によって、人工じん臓を使えば助かるという人でなくなっている人が五千人以上あるのではないか、こういうふうにいわれております。人工じん臓をもっとふやしまして、そして費用ももっと安くしてあげることによって助かるべき人が、死んでいかなければならない。
  〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕
さらにまた、人工じん臓につきましては、交通災害あるいは手術時におけるショック、いろいろな場合にもこの人工じん臓というものは活用できる装置である、こういうふうにいわれております。そういう面から言いまして、ぜひこの人工じん臓に関する医療費につきましては公費によって負担をし、そしてこの装置というものを全国的にもっとふやしていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
#135
○内田国務大臣 公費医療のことにつきましては、私どももいろいろ頭に置いている課題がございます。病気の種類、いまお話の人工じん臓による血液の清浄療法のための費用も公費医療の対象としてお取り上げになりましたが、その他私が述べましたようないろいろな子供たちの内外の疾患の治療というようなものも、一部は施設入院させて実質的に公費でめんどうを見る制度もありますけれども、しかし大部分は公費医療からはずされているというようなものもありますこと、御承知のとおりでございますので、そういうものも想起しつつ難病、また経費が非常にかかる心臓疾患等につきましても、それらをあわせて考えていきたい。
 もう一つ大きなことは、やはり私の頭から離れませんことは、老人医療に対する公費医療の問題がございまして、これも私はあまり遷延を許さぬ問題であろうかとも思いますので、実は今度の健康保険法の改正案なども、公費医療の基礎をそろえる。たとえば国民健康保険では老人であろうと家族は七割給付でございますが、被用者保険におきましては、老人でも家族の給付は五割であります。それを七割まで保険給付でそろえておく、健康保険の七十歳以上の被保険者を七割給付にそろえておいて、残りの三割の自己負担分について公費医療を考えるというような、私の頭の中に徂徠するものもございまして、そういう問題もございますので、むずかしいものの医療費は何でも大蔵省に持ち込むという――しまいにはそうしたいと思いますが、これはやはり順序、段階もあろうと思いますので、この辺のことも頭に置きながら、本日の古寺先生のお話は、私は十分銘記してまいりたいと思います。
#136
○古寺委員 この老人医療の無償化という問題は、非常にけっこうなことでございます。と同時に、小児に対しても、老人に対するプロジェクトチームをつくりまして厚生省が検討いたしておりますように、小児についても、この児童手当を飛躍的に今後前進させると同時に、医療の面においてもこういうチームをつくって検討し、そうしてこの問題を解決していくべきだ、こういうふうに思うわけです。
 そこで、いまたまたま健康保険の問題が出ましたが、今日の保険財政を圧迫している問題に、公害病であるとか、あるいは、こういうような当然公費で負担していく、社会保障としてやっていくような部面が相当保険財政というものを圧迫しているのではないかとも思うわけです。そこで、今後において、児童手当とあわせまして、小児の医療の問題については大臣はどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
#137
○内田国務大臣 先ほど来、私もぼちぼちそういう問題に触れたお答えを申し上げているつもりでございますが、小児の外部疾患あるいは内部疾患等の問題が、公費医療の問題に触れながら、あるいは、場合によりましては、それを監護する家庭の特別児童扶養手当というような問題もございましょうし、そういう問題にも触れながら対策を立てるべき時期であるというような意味のことを、私は先ほどから申し上げておるつもりでございます。
 ここで私が直ちに、小児の医療はすべて健康保険制度からはずして公費でやるのだというようなことを申し上げるわけのものではございませんが、いままで私が述べましたところは、日本の将来をになっていくのは子供たちでございますし、また、その子供たちを養育したり監護しているのはその子供たちの親であり、その親の心情というものも、人間優先の政治のもとにおいては当然考えてまいるべきでありまするし、また、親を離れましても、子供はもう天下の子供である、したがって、子供の病気は天下でなおしていくべきだという思想だって、だんだん成熟もするだろうと思いますので、そういうことも頭に置きまして、私は、ここでいろいろのことを確約したり公約をいたすものではございませんけれども、この問題を重要課題として――厚生省の課題とするということははっきり申し上げておけると思います。
#138
○古寺委員 そこで、たびたびいままでも問題になっておりましたスモンとか、ベーチェットとか、あるいは筋ジストロフィー、白血病、血友病とかいろいろの、原因不明と申しますか、社会的な疾患がございます。こういうような難病に対して、難病基本法というものを制定してはどうかということが、たまたま論議をされておりましたが、これに対して大臣は、こういうものをつくってもよろしいというような御答弁をなすったように記憶しておるのですが、その後どういうふうに検討がなされておりますか、お尋ねしたいのです。
#139
○内田国務大臣 私はそういうものをつくってもよろしいと答弁はいたしておらないつもりでございまして、それは考えられる問題である、研究をしたいという意味の御答弁を申し上げたかとも思います。と申しますのは、結核でもライでも、これは対処する方法はございます。あるいはガンにいたしましても、対処する治療法は確立はされていない、あるいはまた病理、病原ははっきりしていないとしましても少なくとも診断法は確立をいたしておりますので、それぞれの病気につきまして一つの法体系、あるいは行政体系、治療体系もできておりますが、いま古寺先生がお尋ねになりましたような幾つかの難病といわれるものは、その診断さえもつかない。したがって治療法もはっきりしないというようなことでありまして、それぞれの向き、またそれぞれの態様によって研究班をつくっておるというような状況でございますので、難病基本法というものをつくった場合に、われわれが向かうべき柱のようなものが取り上げられるだろうかという、私に一抹の不安がございますので、これはもう少しその法律にこういう柱が立てられるというか目途を得られるまで、しばらく検討の課題にさしていただいたほうがいいではないか。これは私は決して逃げるわけではございませんが、そのように御理解をいただければ幸いだと思います。これは、私がここへ参りまして、私だけが一人で隔離をされて答弁をいたしておるわけではございませんので、関係の局長、政府委員の方々がみな私の答弁も聞いておられるわけでございますので、単に私の言いっぱなしということではなしに、私の気持ちは必ず厚生省の担当の諸君も同時に聞いておられて、自分たちの答えとして、私の答えの具体化のために勉強してくれることを私は期待をいたしながら、お答えにさせていただきます。
#140
○古寺委員 これは参議院で大臣が、結核予防法あるいは精神衛生法の例もあるので、難病の救済基本法というものをつくるということは決して無理ではない、こういうような答弁をなさっておられるわけです。それを皆さんお聞きになっておられたと思うのですが、厚生省ではその後これに対してはどういう検討なり、あるいはどういうような御意見なりが出ているものか承りたいと思います。
#141
○松尾政府委員 前にそういう基本法というような御提案があったことも十分承知いたしております。ただ、いま大臣のお答えのような、前提になりますいろいろな条件というのがあるわけでございまして、そういったふうなものをむしろオーソドックスに開発をするということが先決ではないか。われわれも内部でしばしばやっておりますけれども、そういう空気が現在のところ支配的だというふうに考えております。ただ、かりにそういうものを考える、検討するといたしましても、一口に難病あるいは奇病と申しましても、ただいま大臣もちょっと触れておられましたように、いろいろそのとり方によりましては範囲が非常に広がってきたり、間が画然としないという問題があるわけでございます。したがってそういう一つの難病ということでひっくくるということが、一体どこまで入るものか、こういうこともやはり十分詰めてみなければ、少なくとも法体系というような問題にはなじみにくいのではなかろうか、そういうふうにも考えておるわけでございます。しかしながらこういうような御提案の基本に流れておりますものは、やはり治療法の不明な、あるいは診断方法もつかない、こういうものについて――いろいろ費用の問題もあろうかと思いますけれども、何よりもその本質である診断、治療というものを早急に確立するということが一番願わしい問題である、したがって、そういうような方向に対していろいろな厚生省の体制ということも検討したらどうか、こういう段階でございます。
 なお、それに関連いたしまして、ただいまいろいろな疾病について、御指摘のございましたようなものも含めまして、所管が省内でも異なっております。決して一つの局、一つの課だけで担当するものではございません。しかし外から見ますと、そういった点にも、少しばらばらではないかというような御印象もあろうかということも検討いたしております。しかしこれもまた考え方でございまして、たとえば水に関係するような疾病ということであれば、水に関連しておる行政を担当しておるところのほうが、そういう問題についての研究あるいは研究者の集合というようなことを考える場合に非常に便利であるという見方もございます。したがって官房の参事官室等を使ってある程度仕分けをする、しかしそのあとはそれぞれの研究なり開発なりに最も能率的なところが担当したらいいだろうというようなことも、これに関連をいたしまして実は議論しておるような段階でございます。ただいまは具体的にはそのような議論を続けておるということでございます。
#142
○古寺委員 立法ももちろん急いでいただきたいと思いますが、診断あるいは治療の研究等につきましても、やはり研究費が少ないために非常におくれておるという問題がたくさんございます。そういう点につきましては、ひとつ厚生大臣は積極的に大蔵大臣にも折衝いたしまして、国民の健康と生命を守る、国民優先の立場から今後研究費を大幅に増額していくようにつとめていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。
#143
○内田国務大臣 全く同感でございます。厚生省を取り巻く関係の学識者等の御意見も同様でございます。これにつきましては努力を重ねてまいるつもりでございます。
#144
○古寺委員 先ほど大臣がいらっしゃらないときに、児童憲章やあるいは児童権利宣言の精神というものが、わが国のいままでの児童福祉の行政にあまり反映されておらなかった、こういうようなお話があったのです。今回児童手当制度が、非常に未熟児ではありますが、――小さくじゃなくて未熟な子供で生まれる、早産みたいなものですが、生まれるわけですが、今後はこの児童手当を大きく育てていきたい、こういう大臣のお話もございました。
 そこでわが国におきましては、厚生白書にもございますように、乳児の死亡率というものは確かに減少いたしております。しかしながら一歳児から四歳児までの死亡率というものは、アメリカ、スエーデンの二倍ないしは一・五倍というように非常に高率を示しているわけでございます。これは小児医療に対する厚生省の取り組み方が、いままで非常におくれておったのではないか、こういうことも考えられますし、また医療費の問題等で非常に悲惨な家庭もたくさん発生をしているような実情でございますので、小児ネフローゼあるいは小児ぜんそく等の公費負担の問題、あるいは小児医療全般の問題について、児童手当制度とあわせて今後強力に推進していただきたいと思いますが、その点についての大臣の御決意を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
#145
○内田国務大臣 古寺先生の御激励のことば、まことにありがとうございます。一ぺんにできる、できないということは別にいたしまして、そういう政策を進めてまいるのが私は厚生省の職責だと心得ておりますので、御期待の方向に向かって今後ともできる限りの努力を進めてまいる所存でございます。
#146
○倉成委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際休憩いたします。
   午後一時四十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時四十分開議
#147
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 児童手当法案を議題とし、質疑を続けます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。西田八郎君。
#148
○西田委員 質問者が相当多数立たれましたために、質問する内容がかなり重複してくることもあろうかと思いますし、それに答えられる側としても非常に御苦労でございますけれども、ひとつそれにこりずに御答弁をいただきたいと思います。
 まず最初に、厚生大臣にお伺いいたしたいわけでありますが、児童憲章が昭和二十六年に制定をされておるわけでありますが、その児童憲章にいわれておるいろいろな、子供の養育あるいは環境の整備、そういったような憲章にうたわれておる精神と、現在児童が置かれている立場、こういうものについて厚生大臣自身どうお考えになっておるのか、この点からお伺いをいたしたいと思います。と申しますことは、今日の児童は、公害等によりまして非常に身体の成育上にも被害をこうむっておりますし、また、都市の急膨張等によりまして遊び場も新聞紙一枚の広さしかないといわれておるわけであります。さらにまた、自然になじもうといたしましても、その自然も人為的に非常に大きく変革をされつつあるわけであります。そうした状況に、はたして児童憲章にいわれるような、児童をすこやかに育てるような社会的環境があるのかどうか、こうした点に私は大きな疑問を持つわけであります。その点について厚生大臣はいかがお考えになっておるのか、また、今日までの対策のおもなものでけっこうでありますから、二、三お聞かせをいただきたいと思います。
#149
○内田国務大臣 児童が人としてとうとばれ、また豊かな環境の中ではぐくまれていかなければならないというような考え方は、いま御引用の児童憲章あるいはまたわが国の児童福祉法、さらにまた、国連の児童権利宣言など、みな共通の観念に立っておるわけでございますので、私ども政府、国会をも含めまして、児童に対する福祉の施策についての理念というものは早くからあった、少なくとも戦後早くからあったと思うものでございます。しかし、正直のところわが国は、戦後のインフレーションあるいは経済や産業の復興というようなことに追われがちでありまして、せっかく児童憲章や児童福祉法がございましても、それの理念というものが必ずしも政治の上で、あるいは予算の上で今日十分実現したとは私は考えておりません。しかし、いまやわが国は、経済成長を達成し、また総理大臣のことばにもありますように、人間尊重の時代になってまいりまして、福祉国家を目標といたす時代でございますし、それからもう一つには、いろいろ考えてみますると、わが国の将来の人口は、御承知のように老齢者人口というものが非常に厚い層を占めてまいることはもう今日から間違いなく予見せられるところでございますが、これらの老齢層をささえてまいるのはすなわち今日の児童であるというようなことを考えますときに、いまの時代においては、一方におきましてはもちろん老齢福祉対策というものが重要性を加えてまいりますが、同時に、児童に対する施策というものが、憲章のとおりに文字どおりに充足されなければならないときであると私は認識をいたすものでございます。幸いに各方面の多年の要望でございました児童手当というものは、この法律によりまして発足をいたすことになるわけでありますので、私どもは、この機会に児童手当の目標としますところの児童の資質の向上、健全育成ということを、児童手当だけでなしに、他のもろもろの児童福祉施策の面におきましても、児童手当制度の目標とするところを達成すべき当然の時代がやってきたと私は考えるものでございます。
 これにはいろいろの施策もあるわけでございまして、今度の児童手当制度も、児童の資質向上、健全育成という児童福祉の施策と、また、これらの児童を養育する家庭の生活保障的な意味、家庭生活の安定という意味、両方含んでおるわけでございます。他の児童の対策におきましてもやはり同じことがいえると思います。すなわち、具体的には、今日の社会情勢に即しまして、保育所をさらに一そう整備拡充をいたしてまいったり、また、午前中からいろいろ御意見がございましたが、児童の心身両面にわたる障害の対策、あるいはまた、それにさかのぼる乳幼児の時代における乳幼児の保健対策、さらにはまた、母子保健対策というようなことにもつなげまして、今後わが国で生まれてくる子供たちが心身ともにすこやかで、また、親が子供の責任を持つことは当然でございますけれども、同時に、子供はまた社会の子供でもあるという一面にも着目をいたしまして、これらの子供を監護、養育する家庭の援護、助成という面につきましても、さらにいままでのいろいろの施策を充実してまいるべきである、かような考え方に、ちょうどこのよい機会にさらにもう一度認識を新たにして再出発をいたしたい、かように考えるものでございます。
#150
○西田委員 たとえば児童憲章の四の中には「すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を」云々ということがありますし、また第五項には「すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。」というふうなことばが入っておるわけであります。しかし、はたして今日個性と能力を生かすような教育制度になっておるのかどうかということになってくると、これは厚生大臣の所管ではないかもわかりませんが、そういう体制になっていないと私は思うのです。むしろ自分の思った方向に子供をしつけていく、無理に導いていくというような一面も見られるのではなかろうかというような点を考えますときに、これからの児童に対する行政といいますか、そういうものは、いま大臣もおっしゃったように、抜本的に一つの転機にきているように思うわけであります。
 そこで、この児童手当法案を提出されました立法の動機とその精神についてひとつお伺いをいたしたいと思います。
#151
○内田国務大臣 児童手当の課題は、先ほども触れましたように、この課題が持ち出されてから十年以上もたっておると思います。前の総理大臣の池田さんの時代にも、一方においては経済成長というものを目標にいたしつつも、その間における児童の環境ということも顧慮いたしまして、児童手当の創設をなくなられた池田さんも示唆されておりましたが、自来国会の内外において、また各政党とも児童手当の必要性を強く述べられてまいりました。また、いろいろの社会福祉施策の中で、形の上から申しましても、児童手当制度というものがわが国の社会福祉制度の中で欠けておるもののある意味では残された最後の一つでもございましたので、社会福祉施策としての姿を完成させるためにも、私ども政府もこれの実現を公約いたしてまいりましたことは御承知のとおりでございます。その考え方といたしますことは、先ほどもるる申し述べたとおりでございまして、児童その人の資質の向上、また健全な育成ということと、また一方におきましては、その児童を養育する家庭の生活の安定、生活保障的な意味もあり、児童そのものに対する社会福祉というものを主眼といたしつつこの制度を立案いたした、かようなわけでございます。
 ただ、これは新しい制度でございますために、何べんも申し上げておりますように、初めから完全な構想と姿を持って出発するということになりますと、なお若干の時日を要するという事態もないではございませんでしたので、私は厚生大臣といたしまして、微力ではございますけれども、とにもかくにも制度だけは私の在職中に出発させたい、こういう念願をもちましてこの法律をつくり、また、その附則におきまして、やや残念な点ではございますけれども、段階的な成長というものをはかる、こういうことにいたした次第でございます。
#152
○西田委員 大臣は少し意識過剰で、私のお尋ねしていないところまでずっと走ってしまわれるわけですけれども、そうしますと、また重ねて質問することになるので、ひとつ質問したことだけについて率直にお答えをいただきたいと思うのであります。
 そこで、いまのような精神から出てきたとするなら、一体子供を養育する責任というものがどこにあるか。親にあるのか、社会にあるのか、あるいは国にあるのか、これは非常にむずかしい問題だと私は思います。そうでないと、この児童手当の精神というものがきわめてあいまいになってくると思う。その辺のところをどうお考えになっておるのか、聞かせていただきたいと思います。
#153
○内田国務大臣 私は子供を養育する責任というものは親にあるべきものであると思います。しかし、その親が子供を養育するために、いろいろの制約もありますので、国はその制約の除去でありますとか、あるいは子供を養育する親の立場を援護する、こういう形で両々相まって、子供は親の子供であると同時に、社会の子供でもある、こういう両方の立場に立つべきものであると思います。
#154
○西田委員 ほぼ私もそう考えます。もちろん親だけに責任があるわけでもないし、社会だけにも責任はないであろう。しかし、いわゆる社会を構成するもの全体の責任でもあるというふうに考えるわけです。そうしますと、この児童手当をとにもかくにも発足させるということで、拙速主義に走ったということかもしらぬけれども、どうして全体の児童というものを対象にしなかったのか。現在平均の子供の数は一・八人程度だといわれております。そうしますと、三人目ということになると、平均値ではゼロということになります。平均でいけば支給する人がおらぬ。しかし、それは算術での計算から出てくるもので、三人以上もおって一・八になってくるのでありますけれども、少ない部分だけをとらえて、全児童を対象にしなかったということは非常に問題が大きいと私は思います。その辺がこの手当を支給する法の精神というものと、そしてまた、児童憲章等にうたわれておる、児童というものを国が預かる、これに対する姿勢というものとの関係から考えた場合に、私はきわめてあいまいになってくると思う。したがって、どうして全児童を対象としなかったのか、その辺についてひとつ明快にお答えをいただきたいと思います。
#155
○内田国務大臣 これはいろいろな考え方があり得るわけでありますが、先ほど私は、西田さんの御意見がそういうことにも走るかもしれないことをそんたくしてたくさん申し上げておりますが、つまり、子供そのものの資質の向上、健全育成という面、児童福祉という面から見ますと、一子も二子も三子も、子供として、人として同じく国はりっぱな子供に育てていってもらいたいと思います。その点につきましては、一子、二子、三子の区別はあるべきものではございませんが、しかし、それを養育する親の犠牲あるいは生活費ということを考えます場合には、一人の子供を養育しております場合と、三人、四人の子供を養育してまいります場合とでは、その家庭の生活費に対する影響はかなり違うと思います。したがって、三人以上のお子さんがあるような、子供養育のために生活が圧迫されるような、その面に着眼をいたしまして、第三子以降から出発する、こういうことにいたしたわけであります。これは国によりましてかなり違います。第一子から手当の対象にしている国もかなりございますが、第四子制度をとっておるような国もありますことは御承知のとおりでございます。
#156
○西田委員 まだ十分すっきりしないわけでありますけれども、はっきり答えてほしかったのは、おそらくこれは経済的理由ではなかったのですか。予算が非常に膨張するということから、とにかく現在支払える程度のものはこの程度だということから逆算をされてきたのではなかろうかと思うのですが、その点は私の思い過しですか。
#157
○内田国務大臣 それも、いろいろ考え方もあるわけでありまして、財政がかりにゆるやかになった場合に二子、一子まで及ぼすがいいか、あるいはいまの三子に対して三千円、この今日提案の法律の形が三年間で成熟しました場合におきまして、義務教育終了の子供までを範囲として、第三子以降三千円でございますけれども、そういう場合に、第三子として金額の充実というものをすべきかということにも関連をいたす問題でもございますが、私はやはり財政にゆとりがございました場合にも、他の事情において特別の変動がない限り、現大臣としての私としては、三子主義のもとにまず充実をはかっていくのがいいのではないかと思っております。
#158
○西田委員 私なんかも人生経験を通じまして感じますことは、三子ができますころは比較的余裕ができておるころなんですよ。人間のライフサイクルから考えてみた場合、平均結婚年齢を二十八歳と見て、第一子ができるのが三十歳前後である。それからバスコントロールの普及等もいたしておりまして、第二子が生まれるのは二年ないし三年おいております。さらに、三子を好む人はごくまれなんですが、その三子が生まれるのが、大体第一子が生まれてから六年ないし七年たってからではなかろうかと思うのです。そうしますと、そのころには大体の余裕もできてくるわけであります。三十四歳ないし三十五歳。平均賃金からながめてみても、大体全国勤労者統計の平均値に達する年代ではなかろうかと私は思う。世帯を持って初めてできる子供を育てるころが一番苦しいのではないか。私自身もその実感を味わってまいりました。昔は十五歳の子供が貧乏の峠だということばもあったわけであります。要するに高等小学校を卒業して、社会に出て収入を得るようになるのが数え年で十五歳であります。満で言えば十四歳であります。その年から第一子が働いてくれるから、多少収入が入ってくる。自分の口過ぎは自分でやってくれるからというので、そのころから峠の境、いわゆる貧乏の峠として、そこを境にしてだんだん豊かになっていく、生活も変わっていくといわれてきたわけであります。しかし、今日では生活のパターンが変わりました。したがって、すべてが高校へ入学するという現状でありますから、大体十八歳がその峠に該当するのではなかろうかと思うのです。そうしますと、児童手当を支給して、いま大臣がおっしゃったように、その児童の育成にも、またその人たちの生活の多少の足しにもしよう、こういう考え方から支給するとするならば、私は第一子に支給すべきが至当であると考えるのです。それをどうして第三子に持ってこられたのか、その辺のところはどう考えても私は納得できない。もう一度ひとつお答えをいただきたい。
#159
○内田国務大臣 西田さんのような考え方もございました。私も実はそうではないかと思った時代もございましたが、これは各方面の方々、児童手当審議会等を構成をいたしまして、そして経験豊かな、また学識のあられる方々の御意向を総合をいたしました結果が、とどのつまりはこの制度になった、こういうことで御理解をいただこうと思います。決してあなたのお考えを否定するものではございません。
#160
○西田委員 児童手当審議会の主たるメンバーはどういうメンバーなんですか。
#161
○坂元政府委員 児童手当審議会は十八名の委員で構成されておりまして、会長は有澤広巳さんでございます。そのメンバーは大体学識経験者ということに相なっておりまして、そういう観点から選んではおりますが、ただ実際的には各界のおも立ったといいますか、そういう面の専門的な知識を持っている方が委員になっておられます。
#162
○西田委員 そうすると、その中には実際に自分が現在子供を養育して生活にほんとうに苦しんでいるというような、いわゆるこの法律でいうならば被用者といいますか、そういう代表、あるいは子供を育てるのに非常に苦労をしている農業者の代表、そういう代表は入れられていないわけですな。
  〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
#163
○坂元政府委員 いまおっしゃいましたような、そういう形の委員の選び方にはなっておりません。したがいまして、たとえば女性の学識経験者の方も二名入っておられます。それから現に、いわゆる私ども同様にサラリーマンをやっておられる方も入っておられます。
#164
○西田委員 そういう中から出てきた案ですが、実際には実情に即しない法律ができようとしておるわけなんです。
 そこで私は、大臣に重ねて聞きますが、先ほど大臣も、私の主張である第一人目から支給すべきだということには初めは賛成だった。だんだんやっていくうちに、第三子からというのが妥当じゃないか、こういうふうにお答えになったわけでありますけれども、それは、結果的には実務を行なう上において、あるいは予算との関係等においてそうなったということですね。そうでないと、私はこれも法の精神と実際に行なおうとする行政との関係でどうしても調和がとれないのです。納得できないのです。ですからその辺を、私は決してそれをもってなじろうとは思わない。なじろうとは思わないけれども、そういう実情だったということを正直にお答え願いたいわけです。
#165
○坂元政府委員 児童手当審議会の審議の中におきましても、支給対象におきましても第何子からやるかは非常に議論のあったところでございます。そういうような議論の過程におきまして出てきた一つの考え方といいますのは、やはりこの法律の第一条にございますように、家庭の生活の安定ということと、児童の健全育成、資質向上ではございますが、特に前段のほうの家庭生活の安定ということは、これは児童を養育している者に児童の養育費の負担を軽減して、そうして家庭の生活の安定をはかる、こういうような論理構成になるわけであります。
 そこで児童養育費の負担というものを軽減する場合に、先ほど大臣も申されましたように、子供が一人いる場合と三人いる場合との児童の養育費というものが家庭全般にどの程度圧迫を加えているかというのは、私どもの各種の調査によって一応出ているわけでございます。特に私どものほうの研究所で、子供が一人おる場合あるいは三人いる場合の児童なりその母親の栄養摂取量、そういうようなものも調べてみますと、やはり一人よりも三人いる場合のほうが子供の栄養摂取量も低下しておりますし、母親自身にも非常にその摂取量なり何なりが圧迫を加えている、こういうような客観的な実態もあるわけでございます。そういう実態を踏まえまして、わが国の場合、児童手当を創設するとしましたら、その目的の第一条からいいまして、やはり第三子、三人以上子供をかかえている場合ということが当面の急務ではなかろうか、こういう観点から立案したわけでございまして、この制度の目的と三子という考え方とは私どもは決して矛盾はしない、こういうふうに考えているわけでございます。
#166
○西田委員 そうしますと、そこでいみじくもいま厚生省としての本音が出たように思うのですけれども、「家庭における生活の安定に寄与する」ことが第一の目的になっている。そうすると、先ほど児童を育てる義務はだれにあるかと私聞いた。そうしたら、それは家庭と国とにある、こう言う。言うなら国と子供を産んだ親とにある、親が構成している家庭にあるのだ、こういうことであったわけです。そうしますと、児童を育てる義務というものがすべて親に課せられてくるような、転嫁されてくるような、国の責任というものは一体どこにあるのかという点が非常にあいまいになってくるわけなんです。その点はどうなんですか。
#167
○坂元政府委員 児童を養育、扶養する責任というのは、これは先ほど来御質問がございまして大臣のお答えしたとおり、第一次的にはやはり民法上の扶養義務というものがいわゆる親にあるわけでありますので、これは争いの余地がないわけでございます。ただ、そういう親のいわゆる保護者としての扶養義務ということだけで児童の福祉というものが守れるか、これは確かにまた問題があるわけでございますので、児童憲章なりあるいは児童福祉法の条文の中にもございますように、保護者とともにやはり国家社会全体が児童の健全育成なり何なりの責任を持っている。児童を健全に育成する責任というものは国家社会全体が持っている。それと同時に、こういうこともはっきり法律の中にも明文があるわけでございます。したがいまして、その場合に親の責任だけでものごとを考えるのじゃなくして、つまり子供の養育費に親だけが責任を持つというのじゃなく、養育費の一部をいわゆる国家社会で分担していくというのがこの第一条の目的にもあるわけでございます。そういう意味で私申し上げたわけでございます。
#168
○西田委員 結果的にはこの条文は入れかわるということですよね。「次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資する」ため、そうして「家庭における生産の安定に寄与する」、こういうことに理解していいのですか。
#169
○坂元政府委員 そういうことではございませんので、やはりこの目的に書いてあるとおりだと私どもは思うわけでございます。つまり、養育費の負担を軽減することによりまして、それは直接的は家庭における生活の安定ということに寄与すると思いますが、同時にそのことは、また児童の健全育成、資質向上というものに大きくつながっていくわけでございますので、この目的の書き方は決して逆ではなくて、むしろこの原案のとおりのほうがより合理的だ、こういうふうに私どもは思うわけでございます。
#170
○西田委員 どうもその辺がやはりニュアンスの相違といいますか、根本的に立つ立場の違いかもわかりませんけれども、さっきの大臣と私の質疑応答の中で、大臣もはっきり言われたことは、次代の社会をになう児童を養育する、その養育の費用というものは社会全体と言いたいけれども、やはり産んだ親にも責任がある。そこで、親と社会との共同責任だというふうに私は聞いたわけですし、確認をしたわけであります。そうだとするなら、まずその家庭の生活の安定をはかるということが第一の目的となって、それから児童の資質向上につながるんだという考え方は、私は児童手当を親と国との責任においてなさなければならないとの考え方に立たなければおかしいんじゃないか。やはり児童を健全に育成する意味において、非常に苦しい家計を少しでも助けてやろう、こういうことから出てくるのが本来の目的ではなかろうかと私は思うのですが、その辺は違うのですか。私は何もこの条文の書きかえを言うておるのと違うのです。解釈のしかたはそういうものじゃないかと聞いておるのです。
#171
○坂元政府委員 繰り返しお答えいたしますが、諸外国の場合もこのような一つの制度というものが共通して見られるわけでございます。これは児童手当審議会でも、そういう諸外国の例を十分参考にしてこのような制度の目的をきめて中間答申をいただいたわけでございます。そういうようなことからいいましても、先ほど来申し上げておりますように、やはり養育費の負担というものを軽減することによって家庭の生活全体の安定をはかる、これがやはり直接的に出てくるかと思います。同時にそのことは、国家社会的に見ますると、次代をになう児童全体の健全育成、資質の向上にも大きくつながっていくわけでございますので、目的の考え方をこう両者並べた場合は、どちらが重である、どちらが軽である、いわゆる重要性におきまして程度はないわけでございまして、考え方としましては、やはりこの法案どおりの考え方のほうがより実際的であって、合理的じゃなかろうか、こういうことで私どもは提案を申し上げたわけでございます。
#172
○西田委員 それは、事務当局者としてはそうして原案を出しておられるわけですから、当然その原案に固執されるという姿勢はわかりますよ。しかし、あくまでもフィフティー・フィフティー、どちらも主でない、どちらも従でないと言っておられるなら、これはやはり児童の置かれている立場というものを、先ほどからるる申し上げている児童憲章なり児童福祉法なりあるいは大臣の答弁なりの中から考えれば、私は児童を健全に育成することが主である。そうしてそれをやってもらうために国全体でも多額の費用がかかる、また産んだ親にも責任がある、そこで親に一部を負担しようというのが児童手当だというふうに理解をしておるわけです。大臣どうですか。
#173
○内田国務大臣 私の説明と政府委員の説明と違うように見えますが、私はあなたのおっしゃるとおりでいいと思います。しかし、重ねて立体的に表現するわけにいきませんから、「とともに、」と、こう書きます。アズ・ウエル・アズと書く。前段に書いてあるそのほうに主点を置いてあるわけではないことは、文章をお読みいただきますと、まことにきわどい表現でございますが、「寄与するとともに、」こういうことを書いてある。それから後段のほうに「向上に資する」こういうわけでございまして、言いかえますと、前段の措置をとることがすなわち児童の健全育成、資質の向上になる、こういうことでございまして、私の思想はあなたのおっしゃるとおり、しかし文章は、私はこれでいいと思います。
#174
○西田委員 そこで、もとへ戻りますが、大体厚生省はお調べになっておると思うのですけれども、児童に要する費用ですね。大体保育料は月どれくらいかかるのか。公立の――私立の保育園ということになればべらぼうに高いところがありますからこれはわかりませんが、いわゆる公立等の保育料は幾らかかるか。小学校の児童一人に対して、一月どれくらいの費用を家庭が負担をしているか、中学校一人に対してどれくらい費用の負担をしているか、この点お調べになっておるだろうと思うので、わかっておったらひとつお聞かせいただきたい。
#175
○坂元政府委員 保育所の保育料でございますが、これはいろいろ段階的に金額をきめられておりますので、現在平均をいたしますと大体月五千円というのが実際の保育料の基準になっているわけであります。それから教育費でございますが、これは小学校、中学校いろいろございます。文部省のほうの調査資料によりますと、小学校の場合の直接の教育費といたしまして、昭和四十三年度におきましては九千百五十四円でございます。中学校では、同じく昭和四十三年度におきましては一万四千二百円、高等学校におきましては二万五千五百円、こういうようなかっこうに、これは文部省から出ている資料でございます。
#176
○西田委員 そこで、先ほど私が御質問申し上げて、第三子に支給するというほうがより家庭にいい、こうおっしゃるわけですが、先ほど私が言いましたことからいって、子供が三歳刻みでいったとしましょう。中学一年生のあとは四年生ですね、そのあとは一年生ということに計算をしていきますと、あるいはもう一つおくれて保育園ということになれば、三子が一番金がかかるのが安い。ですから、一番たくさん金がかかるのは、どんなにしたって第一子ということになってくるわけです。だから第一子を対象にするということが何といってもほんとうだ。特に一・八人というような平均の児童数だということになるとするならば、第三人目はきわめて少ないということになるわけです。だから第一人目に支給するのが妥当ではないかというふうに思うわけですが、いかがですか。
#177
○坂元政府委員 確かに、いろいろな調査の資料を見ますると、一子から二子、三子と養育費の額が逓減をしております。しかしながら、私どもが三子としてとらえました一つの根拠としては、先ほど申し上げましたように、一人の子供をかかえている家庭と、三人以上の、たとえば三人の子供をかかえている場合との養育費全体の比重と申しますか、家計費に占める比率が非常に高い、こういう事実に私どもは着目をして、三人ということを一つの根拠にいたしているわけでございます。一子から二子、三子となりまして、だんだんと養育費全体が逓減をしていることは仰せのとおりでございます。
#178
○西田委員 そうすると、逆に言うとこういうことになりはしませんか。まず児童の平均ですね、お互いに子供を産む出産率というものが減って、出生児の数が減ってきておる。平均が一・八人。さらにこれは減る傾向にある。いわゆる団地化というような形等から、あるいはレジャーというようなものの普及から、要するに子供をあまり多く産まない、少く産んでりっぱに育てようという思想も普及されてきているわけですね。そういう点からいくと、このままでいくと、人口は非常に減る。まあ若年労働者がだんだんと不足する一方であります。そういう点から、人口を増加させようという、三人目を産んだ人には奨励金的に児童手当をあげますよというような考え方というものも、かんぐったものの考え方だけれども、そういう考え方が出てくるような気がする。そこで、わりあいにこの点に対しては財界のほうが積極的であったようにも聞いておるわけでありますが、その点はどうなんです。
#179
○坂元政府委員 児童手当制度の目的なりねらいをどこに置くか。確かにこれは長年にわたりまして各方面からいろいろな意見がございました。したがいまして、いま端的に三人子供を産むように、いわゆる人口奨励策というような観点に結びつきやすいのではないか、こういうお尋ねのようでございますが、これは諸外国の例を見ましても、人口政策ということを表面の理由に出している国は私どもほとんど見当たらないわけでございます。そこでわが国の場合も、この児童手当制度というものをそういう人口政策という観点からそのことを表面に出してねらいを置くということは、やはりいろいろの意味で問題があるわけでございます。私どもとしましては、やはり人口政策というものと児童手当制度というものは直接は結びつかない、こういうふうな理解のもとに児童手当審議会でもそういう審議をなさっておりますし、今回の法律案でもこういうような形になっているわけでございます。
#180
○西田委員 そういう本意であることをしかとここで確認をしていただいて、そしてそんなことにとらわれずに、ほんとうに児童の健全な育成に寄与する、これが中心だというふうに理解をしていきたいと思うわけであります。
 ついでにお伺いするのですが、支給対象となる児童は全国で一体どれくらいになりますか。満十八歳までを児童と呼ぶといわれた場合の年齢別の児童数は至近の時期における調査等でどれくらいになっていますか。
 それからついでに、これは資料から御報告願うのですから、一子が何人、二子が何人、三子が何人というような区分ができておりましたら、それも聞かせていただきたい。
#181
○坂元政府委員 この法律案で考えておりますような、いわゆる支給要件に合致する、児童手当を現実にもらえる対象児童ということになりますと、完全実施の場合には大体二百四十八万人でございます。
 それから、お尋ねのように一子と二子というような区別は、私どもちょっと数字をとっておりませんが、出生人員の一子、二子というような数字でございましたら、第一子の場合は出生児童数のうち四五%ぐらいでございます。第二子でございましたら四〇%ぐらいでございます。第三子以降でございましたら一五%ぐらい、大体こういうような比率になっているようでございます。
#182
○西田委員 そうすると、やはり一番少ない人数ということになってまいりますね。一五%といえば全体の六分の一以下ということになるわけであります。そして、その一五%に該当する児童にオール三千円というものを支給した場合には一体どれくらいの費用がかかるか、ちょっと計算すればわかるのですけれども、もう計算されておるだろうと思いますから……。
#183
○坂元政府委員 先ほど申し上げましたように、この法律の要件に合致するような対象児童数というのは二百四十八万人でございますので、これに三千円ずつの給付をいたしますと八百九十三億円、これだけに給付総額が相なるわけでございます。
#184
○西田委員 ちょっとそこのところ、私頭が悪いのかわからぬのですが、全部で二百四十八万人と言われたでしょう。そのうち一子が四五%、二子が四〇%、そして第三子が一五%ということになれば、第三子だけがその支給対象になるわけであって、そういうことになると、二百四十八万の一五%ですから、これは計算しますと幾らになりますか。約四十万ほどにしかならぬのじゃないですか。
#185
○坂元政府委員 若干答弁が悪くて誤解を招きましたが、こういうふうに御説明したらおわかりいただけると思うのでございます。
 義務教育終了前の児童だけをとってみますと、年間の所要額は八千五百億円でございます。それが第二子以降の児童ということになりますと三千九百億円でございます。それから第三子以降ということになりますと、先ほど申しましたように八百九十三億円ということに相なるわけでございます。それから十八歳未満の全児童ということになりますと、所要総額は九千七百億円ぐらいになるわけでございます。十八歳未満の第二子以降ということになりますと四千億円ぐらい、こういうように相なるわけでございます。
#186
○西田委員 こういう金額その他を比べてみると、やはり一番費用の安いところへ持ってきた、こういうふうにしか理解できないのです。持って回った質問をするようですけれども、どう考えても私にはそうとしかとれない。その点は正直に認めてもらいたいと思うのですがね。
#187
○坂元政府委員 決して最初からそういうねらいで法案を立案いたしたわけではございませんが、わが国の現在のいろいろな諸事情を勘案しまして、私どもは現在提案申し上げておるような制度を通していただきたい、こういうことでございまして、おっしゃるように、安上がりなりあるいは費用がかからないからというねらいで法案をつくったわけではございませんので、御了解願いたいと思います。
#188
○西田委員 事務当局としてはそう答えざるを得ない。しかし、政府の姿勢はそこにあったというふうに私は理解いたします。
 そこで、金額のそうした総額の面もさることながら、一人三千円というところへ持ってきたのはどういう計算の根拠からか。これで見ますと 保育園で五千円、小学校で九千百五十四円、中学校で一万四千二百円というふうに費用がかかる。そうした費用もわかり切った上で三千円という金額を持ってこられたのは一体どういう根拠があったのか。その三千円をやれば、いわゆる国と家庭との責任の折半というような思想があるのかどうか。
#189
○坂元政府委員 三千円で切りました根拠には別段科学的なものはございません。諸外国等におきましても、養育費全般を保護者と国家、社会というような形で折半するという考え方は確立していないようでございますが、二分の一ないし三分の一程度をめどにしまして児童手当の支給額をきめていく、こういうことになっているようでございます。
 そこで、わが国の場合は、諸外国のそういった実例、あるいはわが国における他の類似の社会保障のいろいろな制度というようなもの、それからまた、先ほど申しましたように、私どものほうの調査の結果、四十二年当時の時点で三人以上の子供の家庭において一人当たり六千五百円ぐらいかかっているというようなこともございまして、そういうようなもろもろの事情を総合的に考えまして、児童手当審議会が現時点においては三千円が至当ではなかろうかというふうにきめて中間答申を出していただいたわけでございます。そういうことも考えながら、政府案としましては三千円、こういうふうに提案を申し上げたわけでございます。
#190
○西田委員 それじゃ、つかみできめたというふうに理解していいわけですね。科学的根拠もないということになれば、大体よそのぐあいも見て、まあ三千円というつかみ金だ、つかみで見たというような解釈をしていいわけですか。
#191
○坂元政府委員 つかみという用語自体にこだわるわけではございませんが、先ほど来御質問がございますように、児童の養育費を親と社会全体がそれぞれ分担するということが一つの基本線にあることは事実でございます。その場合、分担の割合をどの程度に置くのか、これは確かにむずかしい問題でございます。二分の一がいいのか、三分の一程度がいいのか、これは確かに科学的な明確な基準というのはなかなか立てにくいわけでございますが、そこらあたりをどの程度に置くかということにつきましては、学者や専門家の人たちもなかなか明確な結論を出し得なかったわけでございます。外国等も、大体二分の一から三分の一程度というようなところをめどにしているようでございますので、わが国の場合も大体そんなところをめどにして、そうして他制度とのバランスというものも考えて三千円をきめた、こういうことに相なっているわけでございます。
#192
○西田委員 そこで、実際に国庫で負担する金額はどうなるのか。四十六年度の予算は、四十七年一月一日から実施でありますから、これは計算の根拠にはならないと思います。だから、四十七年度中に、計算をしてみれば一体どのくらいになるのですか。
#193
○坂元政府委員 確かに、おっしゃるように、四十六年度は二カ月分の予算でございますので、一つの基準にはなりにくいわけでございまして、これが四十七年度になりますと、五歳未満という形において平年度化するわけでございます。
 そこで、四十七年度の時点におきましては、三百四十億円くらいの給付総額でございます。そのうち国庫の負担が百五十三億円くらいに相なるのではなかろうか、こういうふうに推定をしております。
#194
○西田委員 きのうもNHKのニュース、さらには新聞等でも報道されておりますように、全国で脱税をしている人、その脱税の金額が摘発されただけで七十五億円、こういうような金額もあるわけです。ですから、正当に税金をとればもっとこういうところにふやせるのではないか。大蔵省がいないので、厚生省にこんなことを言ってもしかたがないかもしらぬけれども……。
 そんなことから考えてみましても、児童の健全な育成ということから考えれば、百五十三億というような金は微々たるものだと思うのです。しかもそれを三子以降に限ってやる、こういうことでは、私はまさにこの法案は羊頭狗肉だといわざるを得ない。
 確かに、制度として発足することはいいだろう。いいことだというふうに思われても、実際にやんや言われるほど効果はないと思う。この児童手当法が施行されることによって、一体どれくらい児童の健全な育成、養育ということに寄与するのか、その効果のほどをどう考えておられるか、お伺いをいたしたい。
#195
○坂元政府委員 その点は非常にむずかしい問題でございまして、私どもは、これからこの制度が確立いたしまして、そうしていまお尋ねのように、児童の健全育成なり資質の向上なりあるいは家庭生活の安定、そういうようなこの制度のねらいというところがどのように具体的に現実面にあらわれてくるか、やはり若干制度が安定をいたさないとなかなかはかり得ない問題だと思います。抽象的にはいろいろ申し上げましても、具体的にどういうふうな効果が出てまいるか、これはもう少し先でないと、物量的にも把握できない問題だ、私どもはこういうふうに考えるわけでございます。
 過去のいろいろな制度におきましても、そのような制度のねらいなり効果というものがどういうような形になっているかは、それぞれの制度において調べたことも例としてございますので、いずれ私どもも、この制度がもう少し確立しまして安定をし始めるというような段階になりましたら、そういうような調査も何かいろいろ知恵をしぼって考えてみたい、こういうふうに思っているわけでございます。
#196
○西田委員 いまの答弁、少し言い過ぎではないかと思うのです。効果を考えずに法律をきめる、制度を制定するというようなことはあり得ないと私は思うのです。ある程度の効果というものも予測し、こうなるであろうということもある程度計算をした上に立たなければ、私は制度というものはつくれないと思うのです。何でもかんでも一回やってみるのだ、やってみて、あとから出た答えを――あなたの言うていることは結果論だから、ひとつその結果が出てからにしてくれというようなことでは、これは法案を審議する必要がないと思う。その点は少し口がすべったのではないかと思うのです。ある程度のものはやはり期待をされ、予測をされて、そうしてこういう法案を出してこられたのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。
#197
○坂元政府委員 第一条に書いてありますような目的でございますので、当然最終年度におきましては九百億円くらいの資金を投入いたすわけでございますので、それなりの児童の健全育成のためのプラスになる面は当然あり得ると思うのですが、ただ、具体的にどういう面でどういう効果があるのだ、こういうお尋ねのように私受け取ったものですから、先ほどのようなお答えをいたしたわけでございます。
#198
○西田委員 そこで、それなら具体的にこうなる、ああなる、あるいは数字をもってこうだということは言えないにしても、やはり大まかなものは持っておられるでしょう。それがあったらひとつ聞かしてください。
#199
○坂元政府委員 児童の健全育成といういわゆる児童福祉対策の目的を持っているわけでございますので、先ほど申しましたように、二百四、五十万の児童がとりあえず三年の間に最終的には対象になるわけでございます。そのような児童を持っている家庭というものも、月額三千円ではございますが、それなりに養育全体の圧迫が軽くなるということに伴いまして、その児童の福祉というものは私どもは物量的にはかることはできないとしましても、先ほど来先生が申されましたように、いろいろな面においてその家庭というものが健全な方向に向く。したがって、それだけ児童の福祉というものも、この児童手当制度を実施をする以前よりもプラスの方向で作用をするということは、当然私どもは考えているわけでございます。
#200
○西田委員 私はその程度の効果しかやはりお答えになれないだろうと思うし、私自身もそう思います。それはとにかく何百万とおる児童の第三子以下ということに限る、しかも三千円というきわめて低い金額を支給することによって、より大きな効果を期待することはできないというふうに思うわけであります。
 そこで私は、そういうことであるとするなら、もっともっと普遍的に、三子以下なんといわずに、子供を持っている者がだれしも悩んでいる問題に重点を置いて施策をやるべきではないのか。先ほど私は保育所のことについて伺いましたが、これは公立の保育所で五千円かかるといわれておるのであります。私立の場合ならもうとんでもない巨額な金を払わなければならぬし、幼稚園の入園に際して試験さえ行なわれているというような時代でございます。そのときもうすでに子供たちは相手との競争というものを意識するようになるわけでございます。そしてまた親たちは、わが子だけは何とかしたいという気持ちになるわけであります。これは幼稚園の入園の試験問題――まあそこまではいっておりませんが、大学の入学試験問題を盗んでそれを売りつけておったというようなふらちなやつもおる時代であります。そういう気持ちに親をさせてしまうことが、はたして児童の健全な育成になるのかどうかということを考えました場合には、私はもっと、小学校へ上がるまでのいわゆる義務教育以前の保育というものについて重点を置いた――厚生省の所管でありますから、そういう点に重点を置いた施策をとるべきではないかと思うのですが、厚生大臣どうですか。
#201
○内田国務大臣 先ほど来いろいろ申し上げましたが、児童の福祉対策というものはきわめて多面的要素があるわけでございまして、保育所の充実拡充のことも、実はけさほど来私は、今後の児童福祉の重点施策というようなことも述べております。また心身障害、場合によりましては内臓障害等につきましても、従来顧慮せられておらなかったような施策につきましても顧慮しなければならない時代が来ているのではないかとさえ私は思うものでございまして、そういうことにつきましても検討を進めてみたいというようなことを実は述べたわけでございます。
 したがって、それはそれとしてもちろんやりますが、この児童手当の構想は、多少スタイルは違いますけれども、これまでもう十年間以上にもわたりまして各政党の御要請もございました。また政府の公約でもございますので、それぞれ期待をされる価値判断は多少の相違はあるかもしれませんが、各政党ともこれは要望され、政府もやるやると言ってきましたものですから、せっかく西田さんのお話しのように、うっかりすると、そんな金があるならみんなこういうような保育所へぶち込めと、こういうふうに言われると……(西田委員「そうじゃない」と呼ぶ)そうではないとおっしゃるとおりでございますので、あれもこれもぜひやらしていただきたい、かように思っております。
#202
○西田委員 多少私の質問のしかたがまずかったからそういうふうに受け取られたかもわかりませんが、私は児童手当法をけしからぬと言っておるわけではないし、児童手当を支給してはいけないと言っているわけではないのです。しかし、それにも増して、これだけの児童手当法ができる以前の児童対策として、この保育という問題をもっと重点施策として取り上げるべきではなかったか。今日もう一番困っておられる問題なんです。ですから、若干余談みたいになりますけれども、先般行なわれました地方選挙で、団地へ行って、保育所を必ず建てますという約束をした市会議員候補者はもう非常に当選率が高かった。それはやはり私はもうほんとうに住民の気持ちに訴えた問題だと思う。
 ですから、こういう児童手当を支給されることによって効果はある。私も、ある程度の効果は認めようと思うわけです。しかし、その効果は、御答弁のように、たいして大きな効果は期待できない。しかし、今日、児童の養育、成長その他については、いろいろな社会環境からくるよからぬ条件があるわけです。せめて保育所だけでも十分に、親がそう負担なしでやれるような施策というものはやるべきではないのか、こういうふうに思うから申し上げた。だから私は、児童手当を廃止してそっちへ持っていけというようなことを言っているわけではない。しかし、これもそうであるけれども、もっと重要な児童の育成ということになるならば、保育という問題があるではないかということを申し上げているわけです。
#203
○内田国務大臣 まことに同感でございまして、私も西田さんと同じような考え方のもとにこの児童手当制度ができ上がったので、これで児童福祉制度は画竜点睛を得たと決して考えません。保育所の問題あるいは児童館、児童遊園等につきましても、要望したことをぜひ進めさしていただきたいと考えますので、よろしくひとつ御激励をいただきたいと思います。
#204
○西田委員 だから、その点はひとつ大いにやっていただきたい。激励いただきたいと言われるのですけれども、それを激励するにやぶさかでありません。激励どころではない、もっともっと強い要求を出したいくらいです。ですから、その点は大臣としては思い切りひとつ進めていただきたいと思います。
 さて、そこで児童手当と事業主の関係について多少聞きたいわけなんですけれども、法律でいう被用者というのは、もう人に雇われている者すべてをいうのかどうか、その範囲について若干御説明をしていただきたい。
#205
○坂元政府委員 この法律の十八条のところに被用者という用語の定義があるわけでございますが、社会通念的にいっております雇われている人を全部ここで被用者といっているわけじゃございません。したがいまして、ここに法律の十八条の一項に書いてございますように、簡単に申し上げますと、現在の厚生年金保険とか各種の年金保険がございますが、厚生年金保険なら厚生年金保険の保険料を負担し、保険料を納付する義務を負っている被保険者なり組合員がここでいう被用者でございます。逆から申しますと、保険料を納付する義務を負っていないいわゆる雇われている人、こういう人はこの法律でいう被用者には実は入れてないわけでございます。そういうようなことで、従来からいわれております被用者とは若干範囲がその点で違っている、こういうことに相なっておるわけでございます。
#206
○西田委員 そうしますと、法文の具体的な質問ということになってくるわけですが、この第二十条第一項各号に掲げられておる保険あるいは共済組合等の組合員でない者は被用者とならない。そうすると、臨時だとか日々雇い入れられる者、そういう人は被用者ではないということに理解ができるわけですね。
#207
○坂元政府委員 厚生年金保険等で被保険者としてなっておりまして保険料を納付する義務のある者が厚生年金の場合はこの法律でいう被用者になっておりますので、いまお尋ねのように、日々雇い入れられるとかいうようなそういうグループの人は、ここでいう被用者ではございませんので、これは被用者以外のものの扱いを法律上はいたしておるわけでございます。
#208
○西田委員 被用者の範囲はわかりました。
 そこで、事業主に費用を十分の七ですか、額を負担させた理由ですよ。先ほどからいろいろ聞いておりますと、国家もしくは親の責任だということになってくるのに、どうしてここに事業主というものが出てくるのか。私は事業主を決して擁護しようとは思わないのです。事業主にはそれだけの分、税金でどんどんと取ればいいのであって、その点は私は事業主を擁護しようという意味ではありませんが、しかし事業主にこういうものを負担させるということは、先ほどいう人口対策なり労働力対策というものとのかね合いが出てきやしないか。その辺のところを非常に危惧するわけでありますから、事業主に経費を負担させる、こういうことになった理由をお伺いしたいと思う。
#209
○内田国務大臣 これはいろいろ考え方の経緯もございました。また、正直に申し上げまして、事業主側では、西田さんがおっしゃるように、取るなら税金で取ってくれ、こういうような一部の御意見もございました。また現に、私の記憶に間違いがなければ、児童手当審議会の御意見には、被用者でない自営業者に属する児童手当については、やはり一部世帯負担というものも設けたらどうかという御意見も、文書として実はなされておるわけであります。ということは、被用者のグループにつきましても、自営業者のグループにつきましても、そこにやはり直接的な税金もしくはそれに類する拠出金を財源とすると、こういうことになるわけでありますが、そのことはとりもなおさず目的税ということになるわけでございまして、さてここに目的税の思想を持ってまいりますことは、これは自動車重量税等もあるようでございますけれども、別にそれとの関係はございませんが、この目的税の問題というのは、大蔵省方面でも抵抗が強いことはもう御承知のとおりでございますので、私どもは、自営業者グループにつきましては、特別の負担を関係世帯から取らないことにこの制度はいたしまして、そのかわりに、国とそれから府県並びに市町村等の地方公共団体に一部の御負担を願うことにいたしておりますこと、ごらんのとおりでございます。しかりしこうして、被用者グループにつきましては、その関係の目的税という形では全くございませんで、法人税の関係ということになりましょうか、そういう思想の変形といたしまして財源の一部を企業に負担をしていただくという形にいたしたわけでございます。これも全部なくなしてしまって、目的税的な新しい税金を取らないで一般のお互いの所得税等の中からやれるかといいますと、これなかなか抵抗がございまして、さらに、正直のところ、この制度の実施を先に延ばすようなことになりましてはまことに残念でございますので、児童手当審議会の諸先生方はいろいろな方面のグループを代表されておりまして、企業側を代表せられる方、また被用者のグループを代表せられる方、また婦人等家庭の世帯の考え方を代表せられる方々がおられまして、それらの方々が理論的に話し合ったばかりでなしに、それぞれの属するグループ、使用者団体、日経連、そういう方面にも働きかけていただきました結果がこういう形で実は落ちついた、正直のところがこういう次第でございます。
#210
○西田委員 いきさつはよくわかりました。しかし私は、こうしたものを事業主に負担させるということはおかしいと思います。保険なら保険でそれでよろしい、目的税なら目的税でそれははっきりすると思う。だけれども、何やらわけのわからぬような形で、それも受益者負担というのでもなければ、一部をにないますといういわゆる分担金というものでもない。こういう形で事業主に負担させるということはきわめてあいまいであると思うのです。
 それともう一つ関係が出てくることは、各企業におきましては、それぞれ家族手当というものがあるわけですよ。そして、家族手当が支給されておるわけです。大体一家族を対象とした支給ということで、最近は一子、二子、三子について幾ら幾らというようなランクを設けて支給するというケースは非常に少なくなってまいりましたけれども、しかし、それでも妻は幾ら、第一子幾ら、第二子幾ら、第三子幾らというようなきめ方をしてあるわけですね。それで事業主のほうは払っているじゃないか、またここでというような問題が起こってくるし、家族手当というものは、労使の合理的な話の中ででき上がってきたいわゆる労使決定事項であります。そういうものにどういう影響を及ぼすか、そこまで配慮なさったのかどうか。これは児童手当ができてまいりますと、企業内の労使間における焦点がここへ集まってくると思いますよ。そういう点を配慮なさった上できめられたのかどうか。
#211
○坂元政府委員 事業主拠出金というものは、先ほど大臣がお答えしたような趣旨で設けられたわけでございます。いまお述べになりましたようにに、民間企業でやっておりますいわゆる家族給、家族手当というものと、この児童手当なりあるいは事業主拠出金との関係でございますが、これやはりこの制度を立案する場合に、審議会等で非常にもめた一つの問題点でございます。大臣も触れられましたように、いわゆる労使の代表のような形の委員もおられましたので、非常に議論が沸騰した点でございます。外国等の制度を見ましても、外国と日本との場合は賃金体系等が非常に違っておるわけでありますが、日本の児童手当制度を創設する場合には、そういった家族給との調整をやはりしたほうがいいのじゃないかという意見もございました。しかしながら、私どもとしましては、いまお述べになりましたように、家族給というものは本来労使一体で、協約等に基づきましておのずからきめられる性質のものでございますので、国の公の制度としての児童手当制度と、民間のそういった家族給というものを真正面から調整をするというような考え方は、現在のところ特にそれは問題が多い、こういう考え方からしまして、若干御不満かもしれませんが、民間の家族給と本制度との間には、何ら直接の関係を持たしてないわけでございます。しかし、今後そういう形のものが、わが国の家族給を含めた賃金体系にどのようにはね返っていくかということについては、これも非常にいろいろな見方があるわけでございますけれども、少なくとも私どもは、法律案を制定いたしました現段階におきましては、民間の家族給制度とこの制度とを調整をするということは妥当でない、こういうような考え方に立って立案をいたしたわけでございます。
#212
○西田委員 そこで先ほどの問題が再燃するわけですけれども、だから生活の安定をはかるためのものではないということになるわけですね。生活の安定に寄与するということになってくると、その企業から支払われておる家族手当と同質のものになってくると思うのです。そういうものでは困る。やはり児童の健全な育成というものが中心になって児童手当というものは支給される。片一方賃金の――ここで賃金論をやるわけじゃないですけれども、やはり賃金のいろいろな算定の方法の中から家族給というものが生まれてきて、労使間の家族手当というものとは全く異質である、こういうことをやはり確認していかないと、この問題は、児童手当法は施行されたけれども、各企業の中においては労使間の争いが相当起こっている。しかもその家族手当というものは、今日各企業の賃金の中に占める割合というものは比較的高くなってきておるわけですね。ですからそういう心配をしてお尋ねしたのですが、これは全然次元が違うものだという御答弁で私は安心をいたしました。
 そこで、お伺いしたいことは、それならどうして所得制限をされたのか。所得の制限をつけて、そうして制限以上の所得のある人には支給しないという規定はどうして生まれてきたのか。
#213
○坂元政府委員 また外国の制度を申し上げますが、外国におきましては、確かに所得制限をしている国と、していない国がございます。わが国の場合に、この制度を創設する場合に、所得制限という考え方を入れるか入れないか、これも確かに一つの大きな問題点でございました。しかし、結論的には所得制限という考え方を導入いたしたわけでありますが、これは私どもとしましては、先ほども申しましたように、児童の養育費の負担を軽減していくということが一つの目的になっているわけでございますので、そういうような観点からいたしますと、この児童手当という現金給付によりまして、いわゆる高額の所得を得られる方は、そういう効用が比較的薄いのではなかろうか。したがいまして、そういうほんとうの高額所得者というものは、この際児童手当というものの現金給付を遠慮してもらったほうがいいのではなかろうかということもございます。それから、現在の一般の国民感情、そういうようなものも総合的に判断しまして所得制限という考え方を導入いたしたわけでございます。
#214
○西田委員 そうしますと、所得制限は金額にして幾らになっておりますか。
#215
○坂元政府委員 これは前年所得で取り上げますので、前年度所得にしまして扶養親族等が五人の場合に大体前年所得は二百万、こういうことになりますと、現在の私どもの調査では、大体一割くらいの方がこの所得制限にかかる、こういうような推定になっているわけでございます。
#216
○西田委員 私はそれでも不満で、所得制限を設けるべきでない。それが法のたてまえではないかというふうに思うわけでありますが、しかし、それは百歩譲って、そういうふうにして高額の所得に対して制限があるなら、今度は低額の所得者に対して優遇措置があってしかるべきじゃないかと思います。もちろん母子福祉年金等をもらっている人は別ですよ。だけれども、やはり一定の水準に達しない人、そういう人には第三子だけでなしに、第二子に支給するとかなんとかいう優遇措置があってしかるべきじゃないか。上だけは制限するけれども、下には優遇措置がないというのは片手落ちじゃないかと思いますが、その点はどうですか。論議されたのか、あるいはそういうことはあったけれども、とにかくこういうことになったのだというのか、将来そういう方向で伸ばそうとする意図があるかどうか聞かしていただきたい。
#217
○坂元政府委員 この児童手当の額を定額にし、しかも一律にしておるわけでございますが、これも外国等の例を見ますると、いろいろなタイプがございます。逓増方式なり、逓減方式なり、定額方式なりいろいろございますが、わが国の場合は、一応制度創設当時には定額方式ということで提案を申し上げたわけでありますが、そういう将来の研究課題という形におきましては、いま先生申されましたような問題点が残るということはおそらく考えられるんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
#218
○西田委員 法律案の附則を読んでみると、気の遠くなるような話で、五年も六年も先にならないと全体が制度として動き出さないわけでありますから、それまでにこれを言うのは無理かもしれませんけれども、少なくとも高額所得者に対して所得制限があるとするならば、低額所得者に対する優遇措置というのは、これは当然考えていただきたい。許せる範囲内で早期にその実現をはかってもらいたい。もちろん、その他に手当をもらっている人、あるいは国の補助を受けている人の重複支給を避けるものではありませんが、少なくともそういうふうなことを考えられることが私は常道ではないか。特にこの児童手当法の精神、先ほどからいろいろ議論をしておりますが、その精神に基づくならば当然のことだと思います。
 そこで、この金を事業主が負担する場合の分担金の納入というのは、事業主が責任をもって行なうということになっておるのですね。
#219
○坂元政府委員 さようでございます。
#220
○西田委員 そうしますと、この事業主の費用の拠出がおくれました場合どうなるかということが一点出てきますね。そして、その企業の倒産等によりまして全く納められなかったというような場合はどうなるのですか、そこに雇われている人の児童手当は。
#221
○坂元政府委員 事業主側の拠出の方法は、法律にはわかりにくく書いてございますが、厚生年金等の保険料と一緒に納めていただくわけでございます。そこで、この法律の拠出金を納めてもらう場合に、いろいろな事業主側の事情があるかと思いますが、私どもとしましては、そういう倒産とかなんとかいうような場合は、やはり厚生年金保険等の保険料の徴収方法と同じ徴収方法をとっていますので、厚生年金でやっているような仕組みでこの拠出金も考えているわけでございます。厚生年金でやるような仕組みの形でいく、こういうことで御了解願えると幸いだと思います。
#222
○西田委員 そうすると、念を押して聞くのですが、事業主が拠出金を事業主みずからの理由によって納入がおくれた場合、逆に政府側からいえば徴収できなかった場合は、そうすると受給資格者は支給が停止されるのかどうか。
#223
○坂元政府委員 拠出金の徴収にそういうふうな事情がございましても、この法律による受給要件を満たしている方には、給付のほうは当然支給されるわけでございます。
#224
○西田委員 したがって、その拠出されなかった分をどうするかは、その拠出する責任者、費用を負担する責任者と国との関係の問題であって、本人には全然影響のないことでありますから、それはそうだろうと思っております。
 そこで最後に私は、これをひとつ参考までに聞かしていただきたいと思うのですが、いわゆる所得の階層別、たとえば百万円あるいは百五十万円、二百万円、いろいろあると思うのですが、その所得の階層別、五十万の所得のある人の持っている児童数、七十万の所得のある人の有している児童数、そういうものは調査されておりますか。
#225
○坂元政府委員 そういうこまかいデータを現実に調査したことはございませんので、私どもとしては一定の推定をしているだけでございます。
#226
○西田委員 推定をされておって、その推定の数字でもそこにお持ちなんですか。
#227
○坂元政府委員 先生のお尋ねのような資料は実は手元にございません。
#228
○西田委員 そういうものなしにどうしてその何百万とか何十万という数字が出てきたのですか。そして、所得制限にかかるものは一〇%内外という、そんなものは当てずっぽうを言われているのですか。そうじゃないでしょう。私はそういうものはきちっとできていると思うのですがね。
#229
○坂元政府委員 二百万なり百八十万あるいは二百五十万、ここら付近のデータは実はあるわけでございます。参考までに申し上げますと、二百万の場合は、五歳未満の場合に、つまり明年四十七年から発足いたします第一回の場合でございますが、五歳未満の場合は所得制限が二百万ということになりますので、大体一一%くらいの方が所得制限にひっかかる、こういうことになりますので、二百五十万の場合は、これが大体五・八%くらいの率になる、こういうような数字は当然出ておるわけでございますので、後ほどお届けをいたしたいと思います。
#230
○西田委員 そこで、私は要求しておきたいのですが、いわゆる所得階層別に見た児童数との関係ですね。二百万、百五十万、百万、そして福祉年金をもらう、その福祉年金の支給額というのがありますね、それは政府で予算の中にきめておりますから、そのボーダーライン、いわゆるその所得層のぎりぎりの、その上の人と下の人、そういう児童数というものの関係を調べてもらいたいことと、もう一つは都市の規模別ですね。十万都市、二十万都市という都市別によって、あるいは町村、何万以下の町村、農村ということも出てくると思うのですが、いわゆる都市別、市町村別の児童数の平均ですね。なぜこういうことを言うかというと、昔からりちぎ者の子だくさんということばがあるわけです。どうしても農村地帯へいきますと子供の数がふえる。都市ほど減少するわけです。そうして都市には被用者が集中しておって、その被用者の分は事業主が負担をしてくれるわけです。ところが、市町村の分は国が負担しなければならぬものもふえてくるわけです。そして、その市町村の負担分もふえてくるわけですね。そうすると、財政が豊かなところではこの負担が非常に軽減されて、そうして財政の豊かでない農村、村落においては相当な負担になってくる、こういう問題が出てくるのではだかろうか。そういうことが地方財政に影響を及ぼすかもしれないので、実はその財政としての考え方から、そういうものの見方から、どういうふうにしてこれを立ててこられたかということがお聞きしたかったわけですけれども、それがいまお答え願えないならば、ひとつ資料として提出をしていただきたいと思います。
#231
○坂元政府委員 前半の所得階層別の資料というのは、後ほど資料として御提出ができると思いますが、後段のほうのは、実は現在調査中でございまして、今月一ぱいくらいで全国的にでき上がる予定でございますから、でき上がりましたら早急にお届けいたしたいと思います。
#232
○西田委員 以上いろいろ伺ってまいりましたが、大体予定されました時間が終わったわけでありますけれども、先ほど来いろいろ議論をいたしました中から、大体今度の法案が、とにかく審議会もおっしゃっておるように、ないよりましなんだ、だから制度としてまず実現をすることが肝心なんだということで了承をされましたように思うわけです。しかし私は、せっかくできる制度である限りは、これをもっと実のあるものにすべきだと思うし、同時に、こうした法律の制定を機会として、今日非常に悪い環境に置かれておる児童の健全な育成のために、ひとつ厚生大臣以下関係者の一段の努力をお願いをいたしまして質問を終わります。
#233
○小山(省)委員長代理 次に、島本虎三君。
#234
○島本委員 児童手当の問題についてもいろいろ議論が進んでいるようであります。もうすでに尽きているようであります。大臣も、私が質問台に立ったのでそろそろ安心しているようであります。しかし、まだまだ安心するのは早い。私自身も大臣に、ほんとに聞きたい点は皆さん全部聞いていることかもしれません。しかし私は、これだけはぜひとも大臣に対で話して、そして守ってもらわなければならぬ、またやってもらわなければならない問題だ、こう思って、きょうはぜひ大臣にお伺いするわけであります。
 もういろいろ出されました。出す努力、それから今後に及ぼす影響、これを考えますと、皆さんが期待しております、しかし、これで万全だとは大臣も思っていないだろうと思う。皆さんが十分意を尽くして話したそれを参考にして、大臣は今後の改善策をどう考えているのか、これでいいと思っているのか、これについて大臣の明快なる所信をひとつ先に表明しておいてもらって、それに基づいて次に質問を展開してまいります。
#235
○内田国務大臣 けさほど来同様のお尋ねがございました。理想の姿というものも、私どもに教えるものがないわけではございませんけれども、とにもかくにも何とかして本年度に発足させたいというのが私の念願でございまして、非常に恐縮でございますが、三年がかりでこれを成熟させる、こういう仕組みにいたしておりますので、私どもはその線を後退することなく、まずその三年成熟ということをやってまいりたいというのが第一でございます。
 それからまた、それとは全然別に、児童手当制度は、いろいろあります児童福祉に関する施策の一環でございまして、他の児童福祉施策との相関関係において今後も考えてまいらなければならないものであると思いますけれども、今度せっかく生まれることになりました児童手当につきまして、さらにこれの金額の増額でありますとかその他の充実事項につきましては、この制度に対する意識の高揚と相関連いたしつつ、私は大きく育ててまいりたい。これは私が本会議におきましても、小さく生んで大きく育てたいというような意味のことを申し述べましたが、その考え方でやってまいりたいと思います。
#236
○島本委員 ばく然としていて、大臣を信ずればそれでよろしいということでありますが、それ以外に、まず支給の範囲だとか所得制限の問題だとか金額の問題なんかに触れないで、ばく然とよくしていきたい、こういうことじゃ、ちょっと私どもは理解できないのです。やはり、こういうような点で、三つに区切ってもこれからやっていかなければならない年次計画も必要じゃなかろうか。当然そう思います。
 それと同時に、大臣自身がこれを思い立って立案された根拠、その背景というものがあるはずでございます。それに基づいて立案された。しかし、まず第一に、いろいろな審議会がございます。その審議会の意向に対して、大臣はどういうふうなお考えでございますか。その点も伺っておきたいと思います。
#237
○内田国務大臣 この児童手当の施策は、これも先ほど来申し述べておりますが、児童福祉施策の一環として私どもは観念をいたしております。具体的には、法律の目的にも述べてございますように、児童の資質の向上、健全育成というようなことを、他の制度と相まって所期することが第一のねらいでございますし、それからまた、一人の子供を養育される場合よりも、複数、多人数の子供を養育される場合には、そういう家庭が養育費の負担というような面におきましては圧迫を受けますので、私どもは、多子家庭につきまして所得保障と申しますか、児童養育費補完と申しますか、そういうことをも考えましてこの制度を打ち立てた次第でございます。
 なおまた……
#238
○島本委員 いや、それはわかっているんだよ。そうじゃなく、これを立案されるにあたって、総理府並びに大臣のそれぞれの諮問機関、そういうようなものから、いろいろとその諮問に応じたような答申案が出たはずだということです。そういうような各方面から出た答申案に沿って行なったかどうか。そういう答申案に対しては、大臣はどういうふうに考えてこれを立案されたか、こういうようなことを聞いているのです。ロンドン、パリのような答弁されては困るのです。
#239
○内田国務大臣 直接的には、もう御承知のように、各方面の学識経験者に御参集をいただきました児童手当審議会というものがこのためにわざわざ設けられておりますので、相当長期にわたってのこの審議会の検討並びに御報告、御答申の線に沿いまして今回のこの法律案を立案をいたしました。その上、なお社会保障制度審議会という、これは児童手当だけの審議会ではございませんが、広く社会保障についての御意見、御建議をいただける審議会がございますので、それの御意向をもいろいろくみ取りまして、たとえば児童手当審議会の御答申では、支給対象の児童の最高の年齢を義務教育学校終了前とされておりましたのを、私どもはさらにそれを余裕を持たせて引き上げまして、第一子十八歳以降の子供というぐあいに支給要件の緩和をいたしましたり、あるいはまた、児童手当審議会におきましては、自営業者に属する児童手当の財源については、それらの児童を持たれる世帯の一部につきましても拠出をされてしかるべきだという御答申もいただきましたけれども、それを私どもは、負担がないことに直すというような点など、児童手当審議会よりもより広い、より高い角度での御意見がございました社会保障制度審議会方面の御意向をも可能な限り参照いたしまして今度の立案をいたしたつもりでございます。
#240
○島本委員 確かにそれは参照されてあります。大臣も御存じのように、この二月の十日、大臣に対して答申をしております。これは総理府の社会保障制度審議会、総理大臣の諮問機関です。総理大臣の諮問機関のほうからわざわざ大臣に対していろいろ答申され、それに対してサゼスチョンを行なっておるわけです。それによると、「本制度は、将来飛躍的に発展させなければ本来の目的を達成できない。」、こうはっきりいっているのです。このままではまだまだ不足である、こういうようにはっきりいっているわけです。こういわれました以上、大臣としても将来に向けて本来の目的を達成できるまでの間のプランをはっきりつくるのが、責任ある大臣としての、当事者の責任でなければならないと思うのです。それに対して、プランがあるかというと、これはあるようでないようでさっぱりわからぬのだ。すでにもう皆さんの優秀な質問も終わったあとですし、こういうようなことについても完膚なきまでに議論されたのだ。大臣の胸の中には、所得制限の撤廃の問題であるとか、第何子からやるのであるとか、どういうように改正していくとか、金額の問題であるとか、こういうようなものはちゃんともうでき上がっているのじゃないかと思っているのです。しかし、それを聞こうと思っても、ない。答申にこたえるのだと言いながらも、答申にもこたえていない。これじゃ大臣、われわれとしてもどうも、もうそれでわかりましたと言うわけにはいかない。ちゃんと書いているのです。また、いいところは高く評価しているじゃありませんか。ことに「十八歳まで引き上げたことは、ささやかながら進歩にはちがいないが、この際さらに一歩を進めて心身障害児の関係にまで配慮を及ぼすことはできなかったか。行政的、技術的な面においても、拠出金の徴収その他検討のゆき届いていない点、今後の工夫努力に待つべきものが散見される。」はっきりこういっているわけなんです。こういうようなことからして、ただ聞かないで、やはりいいことはいい、進歩的だ、またこの制度は、現在のままではまだ本来の目的を達成できないから、将来飛躍的な発展をさせなければならないのだ、こうまでいって道を示しているじゃありませんか。そうなりました場合には、もうすでにいま言ったような点については、年次計画を立ててやるとか、順位はまず先にこれからやるとか、こういうようなことがあってしかるべきだと思って聞いてみたのであります。しかしどうも、この答申にそのままこたえているといいながらも、まだばく然としている、こういうような感じがしました。どうも大臣は、これ通ればあとは私の任期はないのだ、あとは知らないのだ、まさかそういうような考えではないだろうと思いますけれども、そういうような感じがないでもない。大臣はそういうようなつもりで言っておるのではないと思いますので、この際もう一度お伺いしておきたいと思います。
#241
○内田国務大臣 私は、これが通りさえすれば、あとは厚生大臣やめるから、あとは野となれ山となれどころではなしに、私が厚生大臣でなかったならば本来これは公約倒れに終わってしまっただろうぐらいのつもりで実はこれをやったわけであります。これはけさほども申しましたが、制度だけはぜひつくっておきたい、財政の都合があるならば、それの予算づけというものは、場合によっては法律をつくっておけば予算づけはあとになってもやむを得ないぐらいのつもりをもちまして、制度はつくるだけのそういう積極的な態度をもって臨んだわけでありますが、総理大臣の勇断と申しますか、大蔵大臣の理解もありまして、段階的ではありましたけれども、予算づけまでもされましたことは、これは島本先生をはじめ諸先生から激励を受けたそのときの厚生大臣として、微力ではありましたが、私はやらせていただいたと考えております。かつまた、先般も申し述べましたように、段階的でありますので、小さくは生まれましたけれども、大きく育てるという意欲をも示しておるわけであります。また、この社会保障制度審議会の御意見にもございますように、いままた島本さんもお読みになったように、これの制限年齢を十八歳まで引き上げたことは、ささやかながら進歩に違いないというような、ささやかなおほめのことばもいただいておるようなわけでありまして、心身障害児の関係につきましても、ここに文言がございますので、心身障害児の受けておられる特別児童扶養手当はこれに吸収することなしに、それはそれで二十歳までも支給するという、心身障害者に対する児童扶養手当というものを一方に置きながら、さらにそれとは別個の意味におきまして、今度この法案が通りましたならば、一般の児童手当も支給をする、こういう考え方をもちましてこの御批判にも答えておるつもりでございます。
 なお今後、この経済社会事情のもとにおいてさらに目的達成のために飛躍的に発展をさせてほしい、こういう社会保障制度審議会の御意向につきましては、私もそのつもりでおりまするし、現に、児童手当審議会の御答申にはございませんでしたが、支給額等につきましては、生活事情の変化その他経済の事情に応じてこれを弾力的に増額するというような御意向までも、これはもう私どもの総意として挿入をさせていただいたというような点もお認めをいただきまして、ぜひひとつ、今度の児童手当の制度というものは、多年の国会の要望をお互いの努力によりまして発足させたものだとして御理解をいただきまして、ともどもこの制度の成長につきまして御協力をいただきたいと存じます。
#242
○島本委員 協力するのにはやぶさかではございませんし、いままで払った努力、また予算づけに対する大臣のなみなみならないいろいろな努力に対しては、ささやかながらも敬意を表しておるのであります。しかしやはり、答申を尊重すると口では言いながらも、大臣が諮問したその答申にさえもあまり忠実ではなく、また今度は総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会、その方面から出された答申に対しても必ずしも忠実ではない。また、あろうとしてもできなかったのかもしれません。しかし、そういうようなことはまず今後改善すればいいことだと思います。
 それで、まず昭和二十四年十一月十四日に「社会保障制度確立のための覚え書」これが第一回、答申が出されております。それから昭和三十七年一月十八日同じ社会保障制度審議会の答申で「児童扶養手当法の一部を改正する法律の制定について」これが出されておるのであります。そしてその後昭和四十一年八月二十五日に同じく「総理はじめ関係大臣との懇談における要望」、これも出されているのであります。そして、昭和三十七年八月二十二日の答申の中ではっきり児童手当の要件として「支給対象とする子はこれらの者の扶養する子女で義務教育終了前のものとし、なるべく第一子からとすべきである。」こういうふうにはっきり答えているわけです。義務教育終了前のもの、第一子からと、その当時から社会保障制度審議会でも大臣に対してこういうふうに答申してあるわけであります。それが三子からとなっている。答申に対して忠実であると額面どおりにはいえない。今後の努力はその方面に向けられなければならないのじゃないか、こう思うわけなんであります。
 そうすると、いま言ったようにして、第一子からというのが第三子からになっている。西ドイツは第三子から始めて、途中で第二子のほうまで繰り上がっている、漸進的にまた給付額も上がってきている、こういうようなことになっております。それと同時に、いろいろと、現行どおりではベストでありませんから、ベターであってベストではなかったならば、ベストに対して猛進するよりしようがないと思います。やはりはっきり出ておりますので、今後私としても、せめて第一子から――西ドイツは三子から始めて二子になった、こういうような状態です。ですけれども、そういうような状態からしても、この際ですから、どうしても大臣にも将来のために決意してもらったほうがいいのじゃないか。今後は第一子から支給する方向に対して努力する。また同時に、いつやるということは言えない。言えというのも無理だ。それはわかります。ただ努力目標として、近い将来でもいいから、これは十分改善して、第一子からの方向に対して努力する。これくらいは当然この答申に対する一つの忠実なる方向だと思うのです。私はいまやれと言うのじゃない。努力するような気力もないのかと言っているわけです。当然あると思うから言うのであります。しかし私は、きょうは大臣と対話をしたいのであります。いつもことばが大きいから皆さんのほうの笑い顔一つ出なかった。きょうはもうそろそろ終わりに近づいてきたし、大臣も人相がきょうはいいようでありますから、特に大臣、今後第一子の方向に向かって努力するのかしないのか。また、この答申に対して、はっきり言われております第一子からとすべきであるということに対して、これを間違いだと思っているのかどうか。この方面の努力と、これに対する所感を聞かしておいていただきたいと思うわけであります。
#243
○内田国務大臣 たいへんな御熱意と御激励、傾聴させていただきました。社会保障制度審議会の答申にも、なるべく第一子からやるように努力をすべきだ、こういう「なるべく」という文字もございますが、これは私も同感でございます。たびたび申し述べますように、とにかくいつまでもこの制度を見送るということは、国民に対して各政党とも不信を与えるようなことにもなることをおそれまして、第三子というようなことで、社会保障制度審議会の「なるべく第一子」というおことばと少し距離がございますけれども、三子をもって出発させましたが、これはその対象にいたしましても、あるいはまた金額にいたしましても、たびたび申し述べますように、この児童手当というものに対する国民の政治意識の今後の高揚の線に沿いつつ、私どももこの充実を期してまいる所存でございます。いままで島本さんの私どもに対する御激励は、このことに限らず、いろいろの面においてだんだん実現されていくものもたいへん多いように思っておりますので、きょうの御激励も同じ線上にくる御激励だと私は非常に力強く感じておるものでございます。
#244
○島本委員 力強く感じても、肝心なことを言わないとさっぱりだめなんですよ。いろいろとデータはありまして、大臣はまだしも、その辺にいる官僚はみんな知っているのです。いま私はむちゃくちゃなことを言っているのじゃない。西ドイツは制度の開設当時は第三子以降を対象としたのですよ。だけれども、やはりやってみて、一九六一年以降今度は第二子にして児童手当を支給することになっているのです。いろいろ条件もあります。また、オーストリアでは制度創設当初第二子以降を支給対象としていたが、一九五八年以来第一子以降としている、こういうふうなところもあるのです。初めやってもそこに固定してしまったというのはまずなくて、第三子からやったけれども、だんだん第二子だ、第一子だという国が、もうすでに五十カ国もあるのですよ。いままだ第二子にとどまっているのは九カ国なんですよ。第三子なんというのはどことどこがあるのですか。局長、第三子にとどまっている国はどことどこですか。
#245
○坂元政府委員 第三子以降にとどまっておりますのは南アフリカ連邦と北ベトナムでございまして、第四子以降はソビエト連邦でございます。
#246
○島本委員 それは言わぬでもいい。日本は南ア連邦クラスですか。北ベトナムと同じような状態でいいのですか。GNP自由主義国第二位を誇る日本が、いま社会保障では、あの動乱の北ベトナム程度の――いまあるのは社会保険であって、社会保障として芽の出たのは児童手当、この児童手当の点では北ベトナム程度である。あの南ア連邦というのは人種差別で有名な国でしょう。あの国では黒人と白人の差がひどくて、全然黒人を人間並みに扱わない。差別王国である。そしていまや黒人の勢力がローデシアまで押し寄せてきている。いつの日か黒人の大群が白人王国に押し寄せてくるという恐怖が一刻も去らない。しかも南ア連邦は金、銀、銅、出ないものはない。最近では石油まで出た。したがって白人は地球上アメリカより裕福だといわれておる。このように所得が高いから、特に子供は全然かまわなくてもいいのです。黒人は別です。白人はなるほどアメリカ以上。白人はいいのです。アメリカは児童手当制度をやっていないのに、南ア連邦はやっており、それも第三子からやっております。まだまだましです。あそこには黒人もいますし、そのほかカラーズもいますから……。こういうようなことです。そうやってみたら、国情や制度が全然違っているし、日本の児童手当は北ベトナムだとか南ア連邦並みだ。こんなことでは恥ですよ。大臣、どうせソビエトは第四子じゃないか、こう言いたいんでしょうが、これは社会保障制度が全然違うんだ。日本なんか西欧先進国より十年もおくれている。十年もおくれていながら北ベトナム程度だ。一体どこまでおくれればいいのですか。だから大臣、ここでにっこりして言うのは、やはりぜひ第一子にする努力――もう世界五十カ国やっているのですから、GNP世界第二位を誇っているのですから、公害に対する対策でも、いまや世界第一位にならんとする努力をしているのですから、せめて第一子から支給する努力をするということくらいは言ってもいいと思う。これくらい言えないのですか。それは当然近い将来われわれとしてそれを指向するんだから努力しなければならない、その努力目標をさえも設定できないのですか。やはり言やよし、こう言われるようなことば一つくらいほしいですな。
#247
○内田国務大臣 児童手当制度はせっかくつくったものでございますので、これは充実拡張をさして大きく育てていきたいということが私の偽らざる気持ちでございます。しかし今度の提案が、まだ義務教育学校終了前の第三子といたしましても、現実には段階施行でございまして、五歳未満を支給対象とすることから始めて十歳未満、次いでこの法律の本文どおりに成熟さしていくというような状態でございますので、いまここで私が第一子からを対象とするようにいたしますとか、あるいは三千円を何千円に引き上げますとかいうようなことを申し上げましても、いかにもこの法律の現実から離れるような状態になりますので、厚生省というものは、これも私たびたび申しますように、社会福祉を前進、充実させるのが役目でございまして、ほかに仕事はないわけでございますから、厚生省というものが存在し、また厚生大臣があります限り、私は必ずやいろいろな形においてこの児童福祉制度の総合的な拡充、またその一環としての児童手当の拡充というものは間違いなく進むものであるというふうに、ぜひひとつ島本さんにもお考えをいただきたいと思います。
#248
○島本委員 たまに委員長、注意してやりませんか。こっちで言っていることに答えないで、ずっと大回りしてごまかそうと思っている。言っても悪いことじゃないんだ。努力しますと、努力も言えないのかとさっきから言っている。いますぐやれということじゃないですよ。五十カ国の国がそれぞれもうすでに第一子をやっているし、中には三子から始めた国がもう三子ではなくて二子になっているという西ドイツの例もあるし、二子から始めたけれども一子のほうになっている例もいろいろあるし、いまや五十カ国までそれになっているんだ。どの国を見てもこれ以下だという日本じゃないはずなんだから、せめて社会保障の目的に対しては、私はその方面に向かって努力したいんだということくらい言えないのかと言うのです。イエスかノーかです。努力するのかしないかです。委員長、ちょっとそれは注意して……。これはもう社会労働委員会の権威にもかかわる問題ですから、努力するということも言えないのですか。
#249
○内田国務大臣 島本さんの言われますことをも含めてそれ以上の、私はより広い範囲で、対象児童の順位のみならず、金額あるいは所得制限の問題、あるいはまた児童手当だけにこだわらず、先ほどから御論議がございましたが、これはあくまでも児童福祉対策の一環でございますので、他の放置できない児童福祉の施策もございますので、そういうことにまでも手を広げまして、島本さんのおっしゃるとおりのことを含めまして、より大きく私は児童福祉対策を飛躍させたい、こういうことを申し上げておりますので、この件はそれにて御了承いただきたいと思います。
#250
○島本委員 私の言ったのよりより大きくこれを包含してやるんだということですね。
#251
○内田国務大臣 はあ。
#252
○島本委員 じゃせめて、近い将来これはやはり第一子から支給するように努力するんだということは、ささやかだけれども、そのあなたの大きな目的の中に入っているわけですね。
#253
○内田国務大臣 もちろんそういうこともすべて入っておるわけでございます。
#254
○島本委員 じゃ確認いたします。これは近い将来に向かって第一子から支給するように努力するのである、こういうふうに理解しておきたいと思いますが、そのとおりであればそのとおりだと一言言ってください。
#255
○内田国務大臣 島本さんの御熱意と御意見を十分傾聴をいたしました。
#256
○島本委員 これはもう委員長も注意しなければ……。言ったことを必ずそらす。その論法はロンパリと言うんだ。ですから言ったことを、はいい、と言えばいいでしょう。はい、でいいんですよ。長く言おうとするから時間がかかる。それで、児童手当審議会の会長から四十五年九月十六日に答申が来ておりますね。その答申には、給付の点で「児童手当の支給にあたっては、所得制限は行なわない。」ということをはっきり言って、それは「厚生大臣内田常雄殿」あてにはっきり来ておりますね。これも答申違反じゃありませんか。これも将来に向かってやはり所得制限は付すべきではないけれども、いまのところではしようがないからやったのです。すぐ近い将来において所縁制限を撤廃するように努力いたします。これだけの努力は当然、これは児童手当審議会からのあなたあてのラブレターですから、これにこたえなければならないし、いろいろこたえたと言いながら、もっと大きいと言いながら抜けていますから、抜けている点の補充は近い将来十分いたします。それもささやかな目的の中に入ると思うのですが、これも大臣、この際ですからはっきり答弁してください。
#257
○内田国務大臣 児童手当審議会の中間答申、まさにそのとおりでございました。しかし児童手当審議会の御答申には、自営業者に属する児童手当の財源としては、これまたある程度の所得のある人からは課徴金を徴すのがよろしい、こういう御答申にもなっております。一方において拠出主義をとります関係もございまして所得制限を設けない、こういう考え方であったと存じますが、私どもはその場合に、自営業者の世帯につきましては一切当該世帯からの拠出をいたさないことにいたしましたので、この際は所得制限を設けることにいたしました。それに正直に申しまして、日本人の社会感情から申しますと、所得がかなり多い人々につきましては所得制限を設けるほうが適当であるという感情もございまして、それで今日似たような制度のもとにおいて所得制限がつけられております場合が多いことをも考えまして、ゆるやかな所得制限ではございますけれども、これを二百万円として設けた、こういうことでございますので、一応御理解をいただきたいと思います。しかしこれは決して固定的なものではございませんで、これは支給対象、金額等と同じでありまして、私がいつから二百万円をさらに拡張するとか、あるいは所得制限を撤廃するとか言うことは、私がどうも自分の言明を非常に重んずる性格がございますためにあえて申し上げないのでございますが、私は、充実させるということばの意味にはそれらの面をも含めて御解釈いただければ幸いと思います。
#258
○島本委員 その考え方と方法は、私のいまの立場とだいぶ似ているのです。というのは、私が最後だからここで締めくくらなければならない。それをあなたはゆるめよう、ゆるめようとしているから、そういうふうになるのです。立場をお互いに理解し合いましょうよ。ですから、悪いことを言っているのではなく、あなたをおとしいれようとして言っているのではなく、これを締めようとする、いわばこういうような立場にあるきょうの私の質問ですから、だからそこに並みいる官僚はまず黙っていてください、あなただけでいいんだということなんです。必要な場合は局長にも言ってもらいますが、局長は往々にして言わなくてもいいことを言いますから、やはりそういうような点もやや考えながら、これは大臣にお願い、お願いじゃありませんが、言わなければならないのです。私は、やはり現在の状態で児童手当ですから、扶養手当やその他の併給があるのですから、児童手当には児童手当の一つの意味があるのですから、その意味をはっきり生かさなければならない。いわばかぼそくても三千円、三子から、こういうふうになった場合には、それによって子供は曲がりなりにも自由自在に、平均した、差別のないような養育を受ける権利があるわけです。おそらく半分と見ても六千円、三分の一として九千円あっても人一人十分ではないはずです。せめて三千円であるならば、その三千円の範囲で、皆さんが同じレベルで、基準法みたいに一番下のレベルで――子供に差があってはならない。この差があってはならない最低の線が三千円、そうなるのです。次代をになう人材ですよ。児童憲章においても憲法においても、すでにちゃんと保障されているのですよ。これは、それだけ次代をになう人材を大事にしなければならないわけなんです。そのためにも、ささやかですけれども三千円――こんなもの、まだ不足なんですよ。それでもその三千円レベルにおいて、これ以下であってはならないのです、一人について。ところが、実際これをやっていきますと、所得制限の点その他の点で子供に自然とまた差がついてしまう。これじゃ本来の目的が生きない。したがって、私はやはり子供のために、もし三千円、これを受けて、子供にそれを与えないで酒にかえて飲んだ人があるならば、厳罰に付されなければならないし、そういうような人はまさに子供のために罪悪である、こういうような観念に立って、別にそういうようなことをやらせた人も罰せられなければならないはずのものなんです。三千円の限界は、これが最低です。それ以上は幾らやってもいいけれども、それ以下に下げては絶対ならないのです。これは絶対です。それが往々にして下がるようなことであってはならないから、併給が認められ、それによって今後一そうよくするような努力が大臣にあったはずです。それはささやかながら、私はその努力は高く評価している。したがって、今後残るのは所得制限の問題。この所得制限の問題でも、日進月歩というのですか、ずっと進んでいますから、物価まで進んでいますから、その中でそれにとどまっていることは当然できない問題であります。
 私もこういうふうに演説をやるわけじゃなかったのだけれども、そういうようなことからして、やはり所得制限は将来廃止のほうに向かって努力してもらいたいのです。それでいいということは、諮問機関である児童手当審議会でもいっていないのですから、やはり第一子から、それもまた所得制限をつけないほうがよろしい、これだけはっきりいっているのですから、その方面に向かっていくのが忠実な一つの行政機関としての態度である、こういうふうに私は思います。所得制限は、ほんとうにこれはないにこしたことはないのです。ベターからベストに向かっての努力、これはやはり大臣として、調査その他今後の前進に対して当然命令すべきです。では、いまのようなことに対しての考え方ですが、大臣どう考えます。
#259
○内田国務大臣 島本さんの御意向、よく了承をいたしました。私もそうした考え方に全く異存はございません。そのことも含めまして、児童手当の充実、改善に向かって努力をいたしたいと思っております。
#260
○島本委員 そばにいる局長、退屈そうにして、あなたの笑い顔はちょっと人を小ばかにしたような笑い顔をちょいちょいするなあ。もう少しまじめに笑いなさい。だめだ。その辺にいて横目を使ってちょっとやって、それが官僚の悪い癖だ。ほんとうに笑いたかったら、もっと口をあけて堂々と笑いなさい。そんな横目を使いながら、この次おれは事務次官までなんて、そんなよこしまな感情を起こすな。態度が悪い。その手は何だ。きちっとしてないとだめだ。
 所得制限の場合、局長、子供三人いて妻一人夫一人、こういうような場合で所得制限は何ぼか。
#261
○坂元政府委員 子供一人の場合の……(島本委員「三人と言っている」と呼ぶ)失礼しました。子供三人でございますので、妻がおりますと、つまり扶養親族が四人ということになります。そのときの所得制限のいわゆる基準額は、二百万に相当する基準額は百八十七万円でございます。いわゆる所得制限の限度額といわれるものにつきましては、百五十万円でございます。
#262
○島本委員 その百八十七万円の中にボーナスは加算されますか。その他の手当が加算されていますか、されていませんか。
#263
○坂元政府委員 全部の所得が加算されるわけでございます。
#264
○島本委員 じゃ、局長さん、ボーナスも入っている、その他の手当も入っている。そうすると、サラリーマン一人の立場から、手取り月給幾らになりますか。
#265
○坂元政府委員 この場合でございましたら、正確な計算はしておりませんが、大体通常の場合は、月のいわゆる月給としての手取りは十万くらいだろうと思います。
#266
○島本委員 その場合に、月給のほかに、ボーナスではなく、手当じゃなく、臨時の給与、居残りをしたり、また交通費だとか、それからその他のいろいろな費用、こういうようなものは入っていますか、入っていませんか。
#267
○坂元政府委員 お尋ねの交通費等は入らぬわけでございます。
#268
○島本委員 そういうような場合に、これだけで天真らんまんな三人の子供に対して教育を十分してやっていけますか。局長、あなたの自分の立場と自分の部下の立場を考えながら、自分の身につまされたような感想を聞かしてください。
#269
○坂元政府委員 生活の態度という問題でございますので、月給手取り十万程度の場合に子供三人というかっこうになるわけでありますので、生活の程度というものをどのように考えるかということでありますが、現在のわが国の実情からいいますと、子供三人をかかえている年齢階層が、私どもの推定によりますと、大体三十七、八歳くらいになるかと思います。したがいまして、そういうような年齢階層の生活程度というものを一般的にどう評価するかということになりますが、自分自身として個人的に考えた場合は、与えられた所得なり収入だけで、子供三人というものは、親としましてしかるべき養育を当然していく必要がある、こういうふうに考えているわけでございます。
#270
○島本委員 大臣、やはりそういうようになってまいりまして、ここで、さっき言ったように、一子からの努力はわかりました。それと同時に、所得制限を付さないほうがいいということには、当然いま言ったことと言わないことに関係なしに、なってくるわけであります。この点では、大臣も先ほどからそう思っているのだ、こう言いますから、いま念のために聞いてみただけですよ。将来に向かっては所得制限撤廃の努力はする、この方向だけはきちっとしておきたいと思うのです。これに対してもう一回感想を聞かしていただきたいと思います。
#271
○内田国務大臣 たびたび申しておりますように、児童手当制度が今回生まれるわけでありまして、私はこのままの姿でいいと思うわけではございませんで、いろいろな面におきまして、児童手当制度というものに対する国民をも含めての政治意識の成長に即応しつつ、あらゆる面の充実拡充というものをいたすべきだ、こういう考え方でございます。したがって、所得制限につきましても、所得制限の緩和というようなことにつきましては全く異存はございませんが、いまここでこれを撤廃するというようなこと、そういう具体的な施策として申し上げることには、もう少し時間をかして、意識の変遷を待っていただきたい。私が非常に憶病な人間で、また児童福祉手当の発展に消極的だということでは全くございません。あなたの御意向として速記にも残るわけでありますし、私はたいへん高く島本さんの御意見を評価いたしながら、努力をいたしたいと思っております。
#272
○島本委員 緩和に向かって努力する、それはわかりました。その努力にささやかながら敬意を表して、次に移らせてもらいます。
 これは金額の問題であります。三千円というのが出ました。この三千円、これは養育費を基準にしたのかどうか。この基礎になったもの、基準をちょっと知らしてもらいたいと思うのであります。これは事務当局。
#273
○坂元政府委員 児童手当懇談会という懇談会の審議では、四十二年の実態調査によります児童三人をかかえている家庭の一人当たりの平均が六千五百円、そういう調査によりまして、大体その半分程度をめどにするということで三千円ということになったわけでございますが、児童手当審議会におきましては、実は必ずしも児童手当懇談会と同様な考え方に立っていないわけでございます。諸外国等の制度、そういうようなものも調査に参りまして、そして諸外国でも、大体児童養育費のどのくらいを負担するかということにつきましても明確な基準というのはないわけでありまして、おおよそのめどというものを持っている程度でございます。したがいまして、児童手当審議会においては、そういった諸外国の例あるいはわが国における現在の他の社会保障制度、そういうものとの関連等を考えまして、三千円というのを中間答申として出していただいたわけでございます。私どももこの政府案を立案する段階におきましては、そのような児童手当審議会の答申を、実はそのままこの児童手当の三千円ということに置きかえて考えた、こういうことに相なっているわけでございます。
#274
○島本委員 やはり五年前の基準はいまじゃ相当変わっていますよ。物価は何%ずつ上がっていますか。そういうような点からしても、三千円というやつは、根拠にはなっておっても、現行ではないということに当然なるじゃないか。金額の点も、大臣、今度は考慮しなけりゃならないということになります。いまいろいろ言いましたが、他の社会保障制度に準拠して、それと合わせているようです。日本には社会保障制度というのは何かあるのですか。保険制度はあっても、保障制度はないと福田大蔵大臣は言った。あるいは生活保護法があるのじゃないか。これに準拠しているといっている。あれだけが社会保障制度でしょう。それのほうに右へならえした三千円なんでしょう。それだったら、いまいろいろあるのは年金、厚生年金、ああいうのがいろいろあるが、あれは保険であって保障じゃないのだ。したがって、これは中心にならないし、基準にはなりません。生活保護法が、社会保障として政府が責任をもって行なっていっているやつだ。では局長、これはそれに右へならえさせた三千円ですか。そういうようなことになると、あなたの根拠とする基準のとり方が少し下のような気がする。まして一人六千円かかっているなんて、うそじゃありませんか。どこから出したデータか知らないけれども、われわれの手元にあるのは、一万二千円かかる、しかし、それを平均してみてそうであっても、九千円くらいまではというデータなんです。ところが、それより三千円下げて六千円だ。またその二分の一の三千円だ。三千円つくるための根拠を自分でつくり出したようなものじゃないですか、こう思うのであります。しかし、それとても五年前の根拠であるならば、今後は、物価高の現在においては金額は是正しなければならない、こういうような状態になってきているのじゃないかと思います。この三千円に対して、大臣、いますぐこれを修正してやるというのじゃない、これもやはり将来の目標に対して、努力目標として大臣の決意を聞いておきたいのです。
#275
○内田国務大臣 私、正直に申しますと全く同感でございます。同感でございますので、同感の証拠に、第六条の第二項というのを、これは審議会の答申にはございませんでしたけれども、今後の日本の生活水準その他事情の変動に応じて金額を増加することあるべき旨を法律の中にも入れておりましたのも、その趣旨でございます。ただ、島本さんからお話がございましたが、私はさらにもう一つ大きい野心を持っておるわけでございまして、他の類似のたとえば老人福祉年金というようなものも、二千三百円に今度なるわけでございますが、そのまま置いておきたくないという私の希望と申しますか念願も持っておりますので、そういうものをも引き上げる努力をいたしつつ、この三千円につきましても第二項を活用して御意見に沿いたい、こういうように考えます。
#276
○島本委員 大臣、いままで言ったうちでいまの答弁が一番いい答弁です。そういうようにぴたっと言えば、時間があまりかからなくていい。
 大臣の手元には参考資料がいろいろたくさんいっていると思います。私の手元にある参考資料によって思う点を言ってみますと、英国でもこれは第二子、第三子と下のほうにいくに従って高くなっています。これはもう少し低いようですが、日本の円に直せば第二子が三千百十円、第三子以降は三千四百五十六円に該当する金額。それからフランスでは第二子が五千三百八十三円、第三子以降は八千五百六十四円に該当している。これはフランスは使用者からで、国が出していないですね。オーストリアに至っては、これは一、二、三、四、五子以降となっていますが、第一子は二千七百七十円、第二子が三千六百一円、第三子が五千四百七十一円、第四子が四千十七円、第五子以降が四千四百三十二円となって、だんだんぐっと高くなっていっている。西ドイツでは、先ほど言ったように三子から始めたのですが、いま第二子に上がっています。この第二子が二十五マルクですから、月二千四百五十九円、第三子が四千九百十八円、第四子は五千九百二円、第五子以降は六千八百八十五円であります。こういうようになっている。日本は西ドイツを越えたGNPでありますから、これあたり西ドイツを参考にしたら――こうまで金額が下にいくに従ってぐっと上がってきているのです。いま日本は第三子の点で三千円ですから、このいずれの国にもないほど低いわけです。ですから、こういうふうにしてみますと、やはり第三子を第二子、第一子にする努力をする。それと同時に、所得制限は撤廃する方向に努力する。あわせて多子、子供が多くなって下にいくに従って金額が高くなる。これが世界的傾向であります。この傾向の中に、やはり日本の社会保障制度の、これはりっぱだといまやほめられるような制度が児童手当制度ですから、この制度がいまや大臣によって生まれ出ようとしております。これに画竜点睛を欠いてはなりませんから、りっぱなものにするためにも、今後この方向に向って完全に努力してもらわなければならない、こういうように思うわけであります。私のいま言ったのは、その努力目標をここにはっきりさせて、そしてそれに向かってせっかく生まれたこの児童手当を今後は一そう大きく育てていって、少なくとも画竜点睛を欠くことのないようにしてこれはりっぱなものに仕上げたい、こう思うがためにいままでいろいろ言ってきたのであります。
 最後の大臣の答弁はなかなかよかった。私はあの一言でもう質問はやめてもいいと思いました。ですからこの辺でと思いましたが、やはりもう一回、あれよりいい答弁を大臣の決意として承っておきたいのであります。
#277
○内田国務大臣 上げたり下げたりしていただいて、まことにありがとうございます。
 いまのように子供が三子以降四子、五子と複数になる場合の支給の金額も、これから生まれようとする今回のこの法律におきましては、言うまでもなく三千円同額でございますが、外国の例、またいま島本さんのお説のようなことも、今後そういうことにも及んで考えなければ、この制度の充実は期せられないと思う面もございますので、先ほど来私は、この制度を第一子からの支給対象に引き上げよとか、あるいは所得制限を撤廃しろとかいうことにつきまして具体的に申し上げませんので、いまもおっしゃられましたそういうことをも含めまして、どれから先にやるか、どの程度にするかというようなことをも皆さん方と相談をしながら充実をさせていただきたいと思います。いまお説の点につきましても、御意向を十分判断をさせていただきまして、今後の施策の資料にさせていただきたいと思います。
#278
○島本委員 では、私はこれで質問を打ちどめにしたいと思いますが、心にかかることが一つあります。それはやはり四十六年二月十日の総理府社会保障制度審議会からの厚生大臣内田常雄殿あての答申であります。この中で、「義務教育終了前の制限を十八歳まで引き上げたことは、ささやかながら進歩にはちがいないが、この際さらに一歩を進めて心身障害児の関係にまで配慮を及ぼすことはできなかったか。」といったことばが、ちょっと私も心の中に残るものがあります。心身障害児といわれたこの点についての将来の改善策と決意、これを最終的に承っておきたい、こう思うのであります。
#279
○内田国務大臣 社会保障制度審議会のこのくだりは、おそらく心身障害児については義務教育学校終了前だけでなしに、もともとからだが悪いのであるから、もう少し大きくなるまで、たとえば十八歳か二十歳ぐらいまで児童手当の支給を引き上げる特例を設けることはできないか、こういう意味の示唆であると存じます。私はそう解釈いたすわけでありますから、私はそのことを否定するわけでは決してございませんが、ただいまわが国には児童手当制度よりさらに先に発足いたさせました特別児童扶養手当制度がございまして、これは二十歳まで支給の対象といたしておるわけでございます。しかし、こうして今度の児童手当制度が設けられました際に、特別児童扶養手当との関係を調整して、そしてどちらか一方金額の低いほうをなくなしてしまうべきかという意見なきにしもあらずでございますが、私は、これは両方生かしていこう。でありますから、心身障害児につきましては、二十歳までの支給の制度というものを一方にそのままにしておきながら、その人につきましてもその人が第三子以降に該当します場合におきましては、この法律の条件を満たす限り児童手当というものを併給する、こういうことをもちまして社会保障制度審議会の御示唆に一応こたえたい、かように思っている次第でございますので、御理解のほどをお願いします。
#280
○島本委員 では、これで終わります。
 最後に、せっかく芽が出ましたから、今後これを育てるため、各員一そう奮励努力して、今後いよいよもってりっぱな実をならせるように一そうの努力を払うように心から期待します。そして、皆さんの御健闘を望んでこれでやめたいと思います。
#281
○小山(省)委員長代理 次に、寺前巖君。
#282
○寺前委員 ずいぶん前から深められてきておりますから、私はもうあまりだらだらとした問題提起はやめたいと思います。ただ、基本的な立場だけは確認をしておきたいということで質問したいと思います。
 何といっても新しい法律です。その新しい法律が法律の目的に合致するところの内容となっているのかどうか、これもずいぶんたくさんの人から質問が出ました。私は端的に言って、多くの人たちが児童手当法ができたということを聞いた場合に、うちの子供はもらえるのか、すなおに多くの人たちはそう見るだろうと思う。特定の児童手当法案というのだったら話は別です。ここに提案されている法律では、十八歳までの人々を児童と言っております。とすると十八歳までのすべての人たちがその利益を享有するということにならなければ、児童手当法案と言えないのじゃないか。全国に三千万から十八歳までの人がおるといわれております。その中で、先ほどのお話を聞いておりますと、二百数十万人の人が最終的に対象になるのだとするならば、一割に満たない人たちだけしか対象にならない法律である。はたしてそれが児童手当法という名前に値するのかどうか。特殊児童手当法なり特定児童手当法なり名前を変えないことには合わないのではないか。私は多くの人たちに混乱をもたらすことになるのじゃないかと思う。どうでしょう、大臣。児童手当法という以上は、十八歳までのすべての人を対象として支給するということによって国民に対する責務を果たす。先ほどからのお話を聞いておったら、いや第一子からだとか第二子とか、将来はその方向に向かってというお話が検討という形で出されておるけれども、題を明確に児童手当法という以上は、閣議においても必ずそういうふうにやらすことを決議しますということで裏づけの保証を明確にしないことには、理解できないと思うのです。この点、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
#283
○内田国務大臣 寺前さんのおっしゃる気持ち、また中身も私はよくわかります。これは当委員会において席を同じくし、またしばしばあなたのお人柄にも接しておりますので、あなたが政府の案に対しまして単に苦情を述べられておる、いやがらせを言われておるということではなしに、あなたの御主張を述べられておる点はわかるわけでございます。
 児童手当につきましては、御承知のように特別の児童手当といいますか、特殊児童手当といいますか、そういうものがすでに先にできておりますことは、たとえば母子家庭のお子さんに対する児童扶養手当、あるいは心身障害のお子さま方を扶養せられる家庭に対しまして特別児童扶養手当というものがございまして、今回の分は対象は十八歳未満の子供全部ではございません。十八歳をかしらとして三人以上子供がある場合、義務教育学校終了前の第三子以降というような制約はございますが、両親そろった家庭のお子さま方をも対象といたしますものでございますので、特殊児童手当というようなことばは使っておらないわけでございます。先ほど来議論がございますように、家庭の子供は同時にまに社会の子供であるというような考え方も私は持つものでございますので、子供の数に制約なく、またその家庭の所得に制約なく、すべての子供を社会の子供として国からもその養育のための援護をするということも、これはそういう考え方は否定し得るわけのものでは決してございませんけれども、しかしこの法律の目的にもございますように、児童の健全育成、資質の向上というものをはかりますために、家庭の負担の重いところを、それを緩和する措置を講ずるということも目的にいたしておりますために、この制度の出発にあたりましては年齢制限、また対象制限というようなものも設けてございます。しかしこれは、児童福祉はこれだけが児童福祉の手段ではございませんので、いろいろありますので、その中の一環としての児童手当でございますので、この制度に関する皆さまの意識の高揚、政治の意識の高揚につれまして、いろいろの方法をもって私は今後さらにこれの拡大をはかりまして、そして寺前さんの言われるような、そういう事態が生ずべきこともあることを私は期待をいたしておるものでございます。
#284
○寺前委員 期待をしているということは、政府が期待しておるようじゃどうにもならぬと思うのですよ、政府はやはり国民に対する責務を負ってもらわなければなりませんから。政府としてはこういうふうなものにするんだということの裏づけを明確にしてもらう必要があると私は思うのです。
 そこで、大臣の趣旨説明のときに、「わが国の国情に即応した児童手当制度を実現」するんだと、こういうように言われたのです。「わが国の国情即応した児童手当」というのはどういうことなんですか、ちょっと聞きたいと思います。
#285
○内田国務大臣 各国それぞれの制度の立て方がございます。第一子からの主義をとっておる国もございますし、またソ連のように第四子以降を児童手当支給の対象といたしておる国もございますので、それらをも勘案をいたしながら、また今日わが国では、子供を扶養することは親の最も大切な義務である、また慣習であるというようなことも決して崩壊はいたしておりません。それがまた社会の良俗でありますことも、これはまた外国と違う面もございますので、そういうような点などをも考慮をいたしまして、今回の制度をもって出発をする。しかしたびたび申しますように、意識の変更に伴ってさらにこれは充実、拡充することを私どもは期待をしますが、期待をするということは無責任だと、こうおっしゃることに対しましては、政府がこの際やることはこの法律のとおりであるという限界を示しておりますから、そこまではこの瞬間において政府はやるわけでありますけれども、私は善意のある、また親切な厚生大臣といたしまして、ここでとめるものではない、こういう意味を表現したものでございます。
#286
○寺前委員 国情の問題についてはよくわからないのです。資本主義の社会制度と社会主義の社会制度の違いによってこういう手当制度を変えるという問題は、私はあると思うのです。社会的な制度の違いによるところのもの。しかし、わが国の国情に即応したというのは、そういうことばでもなさそうです。とすると、一体どういう条件がわが国には特殊な条件としてあるのだろうか。一般的に見ておって、何をおっしゃったのか、私はこれを聞いたときによくわからなかったのです。しかしわからなくたって、あとあと出てきた法律案がありますから、その法律案から見て、これは名前と中身は違うじゃないか、ほんの一部分の人しか対象にならないようなものでは、これは一体何が国情に即応したのか、ちっともつじつまが合わぬなということしか感じられない、どこから見ても。いまのお話を聞いておっても、確かに、この法律案の中に書かれているように、一つは家庭生活の安定に寄与するんだ、一つは個人の児童の成長に寄与するんだ、二つの立場を明確に書かれております。しかしそれでは金額の面から見て、あるいはほんの一部分の人間だけを対象にすることによって、日本の児童全体のその家庭の生活の安定に寄与したという法律であるのだろうか。さっきも言っているように、対象の人員というのは一割にも満たない、あるいは世帯数から見ても、ほんの一部分の世帯数にしかならない。そういうものではたして家庭生活に寄与するんだということばが言い切れるだろうか。あるいはまた対象の人員から見て、その子供たちの資質の向上のために寄与しているということになるだろうか。どこから見たってそんなことは、大上段に振りかぶったところの児童手当法という名前にはふさわしくない。名前と実体との間に非常に大きな違いがある。これはもう思想、信条を越えて私は言うのです。おそらく皆さんがそういうふうにお感じになると思う。そうしたら善良な大臣として、それでは私は済まぬと思うのです。とりあえずやったけれども、これでは題と実体とが伴わないから、閣議において、こういうふうな方向に次には必ず――当分の間はこれでやるか知らぬけれども、五年先にはとか、明確にそういう裏づけをして、この名前を明確に残しておくのだというぐらいなことを言わなければ、私は児童手当法という名前をかってに使っているという感じを受けてしようがない。みんながそう思うだろうと私は思うのですよ。大臣の再度の答弁を聞きたいと思います。
#287
○内田国務大臣 私はきわめて誠意をもちましてこの児童手当制度の創設と取り組んでまいりました。閣議においてという御勧告でございます。私は閣議どころではなしに、閣議のあとまで残りまして、総理大臣、官房長官、大蔵大臣に直談判をいたしまして、そしていままでやり得なかった、公約といわれながらやり得なかったものを、とにもかくにもここまで実現させていただきました。一ぺん制度ができますと、なかなかつぶせるものではないと私は思います。そして今日幸いなことに、政治の方向は社会福祉の向上というほうに向かっておると私は判断をいたしますし、またそうでなければならないものだと思いますので、この制度が後退するということはあり得ない、必ず前進、充実をさせ得るものだと考えますので、私はその努力を怠るつもりはございません。
 さらにもう一つは、児童の福祉対策というものは決してこの児童手当の措置だけではなしに、これもけさほどから申してまいりましたけれども、いろいろの措置をもあわせて総合的に講じていくものでございますし、またわが国がそういうことについてやってまいりました施策の組み合わせもございます。わが国の国情、あるいはまたわが国の親たちが子供を育てる責任感、また家庭の構成というようなものも他国とは違った面がございますので、そういうことをもしんしゃくをいたしまして、とにもかくにもこの制度で出発をさしていただいたということを、ぜひひとつ了解していただきたいと思います。
#288
○寺前委員 一たん制度ができてしまったらそれはつぶせるものではない、それはそうでしょう。しかし、一たんこれでもって児童手当法という名前がついてしまうと、若干の前進のことはあったとしても、基本的な制度の確立としては非常に大きな一つの出発点だということで、そこからの飛躍というのはたいへんな飛躍が起こると私は思うのです。だからそういう意味では、いま持っている児童手当制度というのは、真の意味の児童手当制度というのにはあまりにもほど遠過ぎるということを私は明確にしておかなければ、これで安住してしまうという可能性を持っているということを心配するものです。
 次にちょっと聞きたいのですが、現在すでに三百近くの自治体で自主的に児童手当制度を行なっているようであります。そこで政府というのは、国というのは、ほんとうにこういう全国的に影響を持っているところの児童をどうするかという問題、お年寄りをどうするかという問題、それこそ国、政府のほうが積極的に先手を打ってもっとすばらしい制度をつくっていくという、そういう立場が要るんじゃないだろうか。自治体が自主的にやむにやまれないようになっていろいろやり出してきている。それは、そこの一自治体の問題ではない共通した事態がいま発生している。そういう点から見るならば、政府がとっている処置というのは非常におくれているんだ、私はそういうふうに言えると思うのです。老人医療を無料にしようではないかという動きなんかを見ても、この四年の間に全国的な動きになってしまっている。なぜ政府のほうが積極的に先手を打ってそういうものをやろうとしないのだろうか。これはまた多くの人たちの疑問点でもあると思うのです。今度児童手当制度を曲がりなりにも提起した。私はここでもう一度、せっかく児童手当制度を出すんだったら、全国の自治体で提起しているところの制度をそこから学んで、積極的に先手を打っていくというやり方ができないものだろうかと感ずるものです。たとえばいま児童手当制度を出しておりますが、東京の条例の中に障害児の手当とか遺児の手当という制度がちゃんと含まれている。そういうものを政府として――地方自治体ですでにそういうものが必要だ、しかも障害児手当の場合には二十歳まで第一子からを対象にしてやるということがもう行なわれている、あるいは遺児手当の場合も第一子からやるという問題が現に出されている。せめてそういうふうなものが出ておったら、これはおくればせだったけれども、全国的にそれをやらそうじゃないかということで政府が手を打っていくということがやれなかったものだろうか。直ちにそういう点を反省してすぐに検討してさらに発展させるというふうに大臣がやられるのかやられないのか、私はちょっと意見を聞きたいと思うのです。
#289
○内田国務大臣 私が考えておるようなことを寺前さんが言われた点もございます。地方自治体が児童手当にいたしましてもあるいはまた老人医療についても、部分的にまたそれぞればらばらの形でやっておりますので、ああいうことは部分的にばらばらの形でやらせるのではなしに、厚生大臣としては――私は厚生大臣の職を汚しておりますが、これは全国一律に、地方でやっているよりより充実した姿でいまの二つの施策についてもぜひやりたいという野心を持っておりますので、私を十年ぐらい前から厚生大臣にしておいていただければやったかもしれませんけれども、昨年厚生大臣になったばかりでございます。いろいろ準備もいたしておりますが、これはぜひやりたいと思っております。
 ただ、ただいまのおことばの中で心身障害児に対する、しかも二十歳までの手当というようなものは、国のほうが地方よりも先でございまして、特別児童扶養手当というものがすなわち心身障害者に対する児童手当でございますし、また母子家庭等におけるお子さまに対しましては児童扶養手当というものも国が一本、全国を通じた姿で出しておるわけであります。地方においてその上に積み上げをするということは、地方自治体は地方住民の幸福をはかるのがその職責でございますし、また国からも、十分か不十分かということは別といたしまして、ある種の税源をも出しておりますし、地方交付税のごときものも出しておりますので、そういう財源の活用できる範囲においては、地方は国のものとは別の施策をやっていることもそれはそれで私はけっこうであると思います。
 一言言わせていただきますと、老人医療などにつきまし七は、たとえば国民健康保険につきましては国は総医療費の四割五分を補助いたしておりまして、厚生省の予算一兆三千億の中で四千五百億円ぐらいは国民健康保険に対する助成でございます。健康保険などにつきましても、きわめて多額ではないにいたしましても、何百億かの助成をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。国民健康保険については、わかりやすく言うと、県のほうはほとんどその実体的の負担をいたしておりませんので、したがって、国民健康保険の自己負担三割分のうち、ある程度の高齢者につきまして県等が率先して老人医療というものをやられておることはきわめていい姿であって、それはそれでよろしいのであって、国がさぼっておる、国が一銭も金を出しておらぬというわけではありません。にもかかわらず私は、国が幾ら金を出してもこの件についてはいいではないかということで、三割の自己負担分につきまして公費医療等の方法をぜひ構想いたしまして、また皆さま方の御賛成をも得たい、このようにも考えておることも御了解をいただきたいと思います。
#290
○寺前委員 私はここで保険の話をやろうとは思いませんけれども、国が気ばってやっているんだ、こういうお話でしたけれども、たとえば法律に基づいても国保の事務費は全額国が持つことになっておるけれども、事実は渡されていない、そういう問題があるということを大臣は御存じでしょう。知らぬとは言わせないですよ。そういうふうに考えてきたときに、私はいまここで保険制度の問題が議題じゃないですからやりませんけれども、そういう問題についてでも自治体が国保の問題をめぐって非常に心配している。その中からもお年寄りを放棄しておくわけにいかぬ、せめてお医者さんぐらいただで見てもらえるようにということをやらなければならない実態が発生しているんだ、あるいは交通遺児の問題でも何とかしなければならないという実態が発生しているんだ、そこで手を打っている。それぞれの地方においてそういう手を打っていくということは、非常に大事なことだ。だけれども、そのことに政府が甘えているようじゃだめだ。政府のほうが全国的な普遍的な問題について出している、出した上に地方それぞれがまたプラスしていくというものでなければだめだというふうに考えてみたときには、やはり政府のほうがおくれているんではないか。それは大臣も言われたように、私を十年前にしておいてくれたらこんなことにならぬのだ、こう言われたけれども、それは大臣の所属せられるところの党の問題であり、大臣が所属されるところの政府の問題であると私は思うのです。そういうのは何も国会の側の責務でも何でもない。だから、そういう施策をもってどんどんやられなかった、おくれておったということの証拠以外の何ものでもない。これはここでは直接の法案ではございませんから避けますけれども、そういうふうに言えると思うのです。いずれにしても私は、ここでせっかく社会保障制度の一つが出されてきた以上は、ほんとうにおくれているんだという立場から政府はものを見て積極策に打って出る必要が今日きわめて重要だということを指摘したいというふうに思うわけです。
 それから、もう時間もありませんから深く突っ込んでやりませんけれども、国際的に労働者が社会保障をかちとっていこうという提起をしている。これは一九六一年に第五回世界労働組合大会で社会保障憲章というのを出しているわけです。国際的に提起している問題というのは、「社会保障の目的は、労働能力の制限、あるいはその一時的または恒久的喪失のあらゆるばあいに、労働者の完全な保護を保障し、不慮の社会的災厄にたいして労働者を保護し、予防措置を講ずることである。」ということを前提にして、そして資本主義の社会制度であるならばその事業体がその国家の社会保障の責務を持たなければならないのだということが国際的な、労働者が社会保障制度を確立しようという問題提起なんですよ。したがって子供の問題といい、あるいはお年寄りの問題といい、あるいは出産の問題といい、そういう総合的な家族保障を、個々の会社の賃金問題とは別に、そういう社会制度のもとにおいては資本家がまさにある意味では社会保障税的な負担をもって仕事をしていかなければならないという問題提起が国際的にやられてきているわけです。そしてその方向に向かって進んできているわけです。そういう意味からいうならば、たとえばこういう児童手当の財源の問題でも、おそらく第何子とかいう問題においても、財源問題を抜きにしてこの問題を検討されなかっただろうと思う。財源問題があればこそいろいろ論議も出てきたんだと思いますけれども、財源問題についていうならば、児童手当の支給対象というのを勤労者、労働者の家庭ということを明確に位置づけて、そうしてまたそれに対するところの財源については、大きな企業については全額を資本側が持つ、それから中小の場合については国家的な保障を援助する、一定部分を国家が持つ、そしてあと、そうでない自家営業その他の問題がありますから、そういう問題はここに示されている方向の負担区分をするという方向でもしも追求していくということになるならば、私は財源的に見てももっともっと広範な手段を打って出ることができると思うのです。だから、私はそういうふうに支給対象の制限という問題については、たとえば社長とかそういうものの家庭がそれの対象にならないで、労働者、勤労者、そういうところの家庭ということを明確にし、したがってそれに対する財源を資本家負担によるのだということを明確にしてやっていくならば、事態はもっと違った事態になるだろう。あるいはまた、今日出されているところの財源問題を見ても、一人当たりの住民負担という状況から見ると、百円にも満たない金額ですね、調べてみると。だから、大企業の場合に資本家負担によるところの財源ということになったところで、百円ちょっとこえるところの金額を負担するならば、相当広範な分野にわたって仕事をしていくことができる。だから財源問題の考え方においても、いま国際的に検討されている方向の立場に立ってやられていくならば、私はもっと大きな改善ができるというふうに思うわけです。
 時間がありませんから、私は意見を述べて、この問題に対する質問は終わりたいと思います。
#291
○小山(省)委員長代理 次回は明十四日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト