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1970/03/26 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 文教委員会 第12号
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1970/03/26 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 文教委員会 第12号

#1
第065回国会 文教委員会 第12号
昭和四十六年三月二十六日(金曜日)
    午前十時二十一分開議
 出席委員
   委員長 八木 徹雄君
   理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君
   理事 河野 洋平君 理事 櫻内 義雄君
   理事 谷川 和穗君 理事 山中 吾郎君
      稻葉  修君    小沢 一郎君
      塩崎  潤君    高見 三郎君
      床次 徳二君    野中 英二君
      堀田 政孝君    松永  光君
      川村 継義君    木島喜兵衞君
      有島 重武君    多田 時子君
      山原健二郎君    安里積千代君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 坂田 道太君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 安嶋  彌君
        文部省初等中等
        教育局長    宮地  茂君
        文部省大学学術
        局長      村山 松雄君
        文部省社会教育
        局長      今村 武俊君
        文部省管理局長 岩間英太郎君
        文化庁次長   安達 健二君
        自治大臣官房参
        事官     佐々木喜久治君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      原   徹君
        文部大臣官房総
        務課長     犬丸  直君
        厚生省医務局次
        長       松下 廉蔵君
        文教委員会調査
        室長      田中  彰君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  赤松  勇君     三木 喜夫君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 へき地教育振興法の一部を改正する法律案(鈴
 木力君外一名提出、参法第一八号)(予)
同月二十四日
 教頭職の法制化に関する請願(佐々木良作君紹
 介)(第二八三九号)
 各種学校新制度確立に関する請願(山田太郎君
 紹介)(第二八四〇号)
 同(愛知揆一君紹介)(第二九〇三号)
 同(粟山ひで君紹介)(第二九〇四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 文教行政の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○八木委員長 これより会議を開きます。
 文教行政の基本施策に関する件について調査を行ないます。
 この際、坂田文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。坂田文部大臣。
#3
○坂田国務大臣 医師養成に関する当面の考え方について申し上げたいと思います。
 医師養成につきましては、これまで当委員会をはじめいろいろの機会に述べてまいりましたが、現時点において私の考えていることをあらためて申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、わが国の医師養成については種々問題がありますが、当面、一つは、医師不足の解消のため医科大学または医学部の入学定員の増加をはかること、及び、二つ、国公私立大学の医学部学生にかかる経済的負担の格差の解消をはかることが喫緊の課題であると考えます。そこで以下、右の当面する二つの課題解決のための問題点及び解決方策について私の考えるところを率直に申し述べたいと思います。
 まず第一点についてでありますが、わが国の医師数は現在人口十万人につき百十三人という割合になっておりますが、最近厚生省では、おおむね人口十万人につき百五十人の医師を確保する必要のあることを表明され、このため医学部の入学定員の増加をはかることを要望されております。このような情勢を察知し、文部省としては、過去十年間に逐次入学定員の増加につとめ、都合千五百四十人、国立九百人、公立四十人、私立六百人を増員し、現在、国公私立を含め医学部の入学定員は四千三百八十人に達しているのでありますが、右の要請を実現するためには、昭和四十六年度における増員予定数二百六十人を加えましても、なお千五百人近い入学定員の増加をはかる必要があろうかと存じます。
 このような医学部入学定員の増加をはかるためにはいろいろの方法が考えられますが、まず第一に、国公私立を通じ教員組織及び施設等の充実をしている既設医学部について、入学定員を現行定員から百人程度まで引き上げることを検討いたしたいと思いますが、かりにこれが実現いたしますと、約五百人の増員をはかり得ることとなります。
 第二に、このような既設の医学部の拡充と並行して、さしあたり地域的配置状況等をも考慮しつつ、昭和四十七年度以降国立の医科大学または医学部を二ないし三増設することを検討するとともに、私立につきましても若干の拡充新設を期待できると考えております。ただ、医学部のような大規模かつ複雑な組織を持つものについては、その水準を確保するため、認可にあたっては慎重に対処することが肝要であると考えます。
 以上に申し述べましたことは、医師養成を数的な面から見たのでありますが、その実現を期するためには、少なくとも次のような問題点について早急に検討し、その解決をはかる必要があるかと存じます。
 一、現在、国立大学の教職員は、いわゆる総定員法によってその全体数が定められておりますが、医学部の新設についてはきわめて多数の教職員を必要とするので、総定員法のワク内で措置することはきわめて困難であると考えられます。よって、同法の取り扱いに何らかの特別措置を講ずることについて早急に検討を加え、結論を得たいと存じております。
 二、国立大学の新設を円滑に進めるためには、敷地の確保、代用病院の提供等について地元の積極的な協力を得ることが必要であり、このためには、地方財政法等の規定との関連において何らかの適切な措置を講ずる必要があると考えます。
 三、国公私立を通じ、医学部設置にあたっては、基準上最低六百床以上の規模の付属病院を持つことが不可欠の要因とされており、これが医学部設置に巨額の経費を必要とする大きな原因となっております。この際、欧米先進国においてすでに行なわれているように、いわゆる関連病院と有機的に提携することが可能な場合には、大学病院は必ずしも大きな規模であることを要しないとするようなシステムを考慮する必要があるのではないかと考えます。
 四、右のいわゆる関連病院制度が医学教育上からも適当であると判断される場合には、医学部設置を推進する方途の一つとして、国または地方公共団体等が現に設置する病院のうち適当なものについて所要の整備をはかるべく、それぞれ国または各設置者の積極的な協力を賜わりたいと存じております。
 五、なお、医学教育上必要な要件はいろいろありますが、不可欠の要素として、解剖用死体の確保も大きな問題の一つであると考えます。最近、社会生活の変化、経済生活の向上等により各大学とも解剖死体の確保には苦慮しておりますが、解剖実習は医学教育上の根幹をなすものでありますので、最低必要数が確保でき得るよう関係各方面の協力を願うとともに、あわせて現行必要数についても再検討を加えなければならないと考えております。
 六、公立医科大学については、これがわが国の地域医療上に占める地位にかんがみ、文部省として助成措置を拡大するとともに、その拡充のために強力な財政措置を講ずるよう関係各省にも依頼いたしたいと考えております。
 七、私立大学の医学部につきましては、本年度創設された私立大学等経常費補助において他学部に比べ格別手厚い措置を講じているほか、日本私学振興財団による融資においても、他の一般施設に対するものより格別有利な扱いをいたしております。今後ともこのような補助、融資を拡大していきたいと考えておりますが、他方、御承知のように、私立の医科大学入学については、多額の寄付金等を徴収する等、社会的にも大きな問題を投げかけております。私といたしましては、一方において、私立の医科大学については他の一般の大学に比べて格別の財政措置を講ずるとともに、他方、強制にわたるような入学寄付金等については、何らかの抑制策を講じたいと考えております。
 八、なお、このこととの関連において、医学部学生、特に私立の医学部学生については、通常の育英奨学資金以上の措置を講ずる必要があるのではないかと考え、さっそく関係当局に検討を指示しているところでございます。
 以上、当面する問題点及びその解決策について種々申し述べましたが、わが国の医学教育につきましては、医学部の拡充に関する問題のほか、きわめて根の深い複雑な問題が多数存在いたしておるのであります。
 すなわち、ここ数年来のいわゆる大学紛争の発端になった医学部及び付属病院は、それ自身今日もなお幾多の矛盾を内包しており、医学進学課程と専門課程との関係、教育内容及び教育方法のあり方等につきましても、思い切った改善を加えなければならないとされております。また、医学教育との関連において、医師国家試験のあり方が問われていることも事実でありますし、卒後研修の望ましいあり方についても、依然として多くの論議が行なわれ、必ずしも関係者の意見が一致しておるとは言いがたい状況にあります。
 また、医師不足の問題は、単に医師養成数の増加のみによって解決し得ることではないのであります。わが国の医療制度全体とも密接な関連を有する問題であり、このような観点から、今後とも厚生省その他関係各方面と緊密な連携をとってまいりたいと存じております。
 以上、医師養成の拡充に関し当面する問題について所信の一端を申し述べたのでありますが、これらはいずれも、当面、緊急かつ具体的な措置を必要とするものばかりであります。私といたしましては、広く審議会その他関係各方面の御意見をいただき、全力をあげてその解決に取り組む所存であります。
 委員各位の御協力と御支援が何よりも必要であることは、いまさら申すまでもないところであります。何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
#4
○八木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
#5
○塩崎委員 ただいま坂田大臣から、三つの方策さらにまた八つの問題点の検討という、非常にすばらしい構想が、医学部の設置、拡充について示されたわけでございます。確かに、阪大の不正入試問題くらい、私ども並びに社会に大きなショックを与えたものはないわけでございますが、大臣のおっしゃいますように、この災いを転じて福となすような医師養成教育を進めてまいりたい、この大臣の意欲をほんとうに評価するものでございます。昨年以来、この問題につきましては、当委員会におきましても多数の方々の御質問があり、私もその速記録を全部読んでまいりましたし、ことしももうすでに阪大入試事件以来質問も相当ございましたが、私はひとつ角度を変えまして、特にいま大臣が言われました構想について、さらにまた、特に財政的な観点から御質問申し上げまして、大臣の意欲をほんとうに実らしてみたいという気持ちで御質問申し上げたいのでございます。
 そこで、いま大臣が三つの方策並びに八つの問題点の検討と申されましたが、確かにこれで大きな方策は尽きておると思います。しかし、各省のいろいろの方策を見ておりますと、多分に何年計画というふうな構想が文章で示され、さらにまた、それが予算編成時に政府の中で検討されて、そしてまた財源措置が考えられる。その前には、五年計画あるいは三年計画というようなものは財源まで計算されて大蔵省その他各方面に相談されておりますが、いまおっしゃいました大臣の構想を実現するには、各年度、昭和五十年度ころまでにどれくらいな財政負担が件いますか。その所要財源をひとつ各年度ごとに言っていただけるかどうか、私は、いまはなかなかむずかしいかと思いまするけれども、あとで出していただけるかどうか、そして私どもも、坂田構想としてせっかくのお示しでございますので、これから大いに推進してまいりたい、こんなふうに考えております。
#6
○坂田国務大臣 私の医師養成に対する長期計画と申しますか、それに対しまして、一体財源がどれくらい必要であるかということをただいま実は検討いたしております。この点につきましても、ある程度早い機会に成案を得まして、皆さま方に発表し、また御検討を賜わりたいというふうに考えております。しかしながら、医師養成につきましてはかなりのお金が必要である。国立、公文、私立を問わず、一学生を一年間養成しますには、大体二百万程度は必要だということを聞いておるわけでございまして、現在、私が申し上げました六千人を年間養成するといたしますと、おのずからその費用というものは出てくると思います。それを国立であるいは公立でどれだけ見るか、あるいは私立ではどうするか、あるいは私立に対してどれくらいの助成を考えたらいいか、これは今後私たちで検討しなければならぬ問題だと思います。
#7
○塩崎委員 いま大臣も申されましたように、医師の養成には相当の金がかかる。いま二百万という数字を言われましたが、それは年々の経費であろうと思います。私は、各府県あるいは私立大学が心配されておりますのは、その年々の経費もさることながら、その設置費と申しますか、資本支出を含む大きな設備費、この金が必要かと思うのでございますが、これについても国公私立に分けて、そしてまた国がどの程度補助するか、これもひとつぜひとも資料を出していただきたいと思います。
 そこで、いろいろと国公立あるいは私立について助成の方法を述べられましたが、これはおのおの違いがあるかと思いますが、これはあとにいたしまして、国公私立に共通いたしますところの、そしてまた、医学部設置について一番むずかしい問題でありますところの付属病院の問題、これが医学部を設置する場合の財政上の最大問題になるかと思いますので、これについて御質問申し上げたいのでございます。大臣の言われました定員の問題も、多分に付属病院の問題にもからみますので、この点について大臣がどのように考えておられるか、私はぜひともひとつ御意見を承りたいと思います。
 そこで、まず最初に、いま大臣のおっしゃいましたように、私も大体、医学部の、医師養成の学校教育機関の費用は二百万円くらいだと思っておったのです。ところが、国公立と私立では相当な開きがあるような気がしてまいったのですが、このあたりをぜひとも大臣に承りたいのです。それはこういうことです。私立の付属病院は収支がとんとんである、しかし、国立の付属病院は全部が全部数年間赤字を続けておる、この赤字を何と考えるか、ひとつまず御意見を賜わりたいと思います。
#8
○村山(松)政府委員 御指摘のように、国立大学の病院は現在二十五ございます。四十五年度の予算額を大ざっぱに申し上げますと、歳出予算が約五百億円に対して歳入予算が約三百五十億、七割見当でございます。したがいまして、支出が収入を上回っております。その理由といたしましては、元来国立大学におきましては、病院は収入だけではまかなえないという考え方で予算が組まれております。と申しますのは、大学の付属病院は、一般の医療法にのっとった診療はもちろんやるわけでありますけれども、そのほかに研究教育の面がございます。この面は診療収入によってはカバーできないという考え方からいたしまして、元来、収入を上回る支出予算という考え方を大蔵当局との間で認められましてやってまいっておるわけであります。最近ややその赤字がふえておりますのは、大学紛争その他で診療が落ちておることが響いておるわけであります。それから一方私学は、これは病院収入をもってその教育費もまかなわざるを得ないというようなことからいたしまして、できるだけ病院の能率化をはかって、出ました収入を教育にも充てるということをやっております。あえて私学が、それでもその教育をやるからには、収入をもって支出がまかなえるはずはないじゃないかという御指摘であろうかと思いますけれども、その点に関しましては、ごく大ざっぱに申しますと、国立大学は、大体その診療面は保険診療でやっております。私学につきましては、一部特別の患者のための病床なども用意いたしまして、保険診療以外の収入などもはかっておるわけであります。そういう点から、私学は非常な努力によって、できるだけ収入をもって支出をまかなうという体制をとっておるわけでありまして、それも最近はだんだん限界に近づいておりまして、教育研究にウエートをかければかけるほど、赤字のほうがふえるという悩みを私学も持っておるのが実情でございます。
#9
○塩崎委員 ひとつ簡潔に御答弁をお願いすることにいたしまして、いまおっしゃったことは、付属病院というのは、教育的な効果をねらうために設置されておるということが強調されたわけでございます。もちろんいろいろな意味がございましょうが、これは元厚生大臣であられました坂田大臣のほうが私より御存じだと思うのですけれども、その赤字をかりにいまの医学部の学生で割ってみますと、文部省からいただいた資料では一人当たり百六十万円かかる。私は国公立のわずかな大学を出していただいたのでございますが、東大などは、医学生一人当たりの養成費用が二百五十万円かかっておる。その上に百六十万足しますと、大臣、これは四百十万円の負担になると思うのですが、この点はどうですか。私は、大蔵省のやかましい原主計官が、収入の伴う付属病院について、一般会計からあまりやかましくもなく、第二の食管会計といわれることもなく一般会計を注入されておるのは、これはやはりおそらく教育効果であろうと思うのでございます。そうなると、医学部の学生の養成費用は東大では四百十万、国公立では平均では百八十三万と出ておりますから、それに百六十万足しますと三百四十万、こんなふうに考えられるのですが、いかがですか。しかし、おそらく、いやそれは全部が全部教育目的ではないといわれるかもわかりませんが、大部分はそういうふうに考えていいかどうか、承りたい。
#10
○村山(松)政府委員 大学が古くなってきますと、組織にいたしましても最低基準よりはだんだんと充実してまいってきます。そこで、学部関係あるいは学部の付属研究施設といったようなものがだんだんにできてまいります。東大は、ほかの大学に比べますと、そういう教育研究面の拡張部分が最低基準をかなり越えておるわけであります。そういう部面については、これは収入と見合いというようなことが期待できませんので、結果的には収支の差額が大きくなっていくわけでありますけれども、そのような教育研究施設の設置でありますとか、それから最低基準を越えた整備といったようなものは、必ずしもその収入を見合いとせずに歳出予算において認められておりまして、結果的に、東京大学が教育研究面の差額が一番大きくなっておる。したがって、収支の差が開いておるという結果になっております。
#11
○塩崎委員 いま、その前の私の質問に対しまして局長は、私立は差額徴収、こういった形で収支がとんとんだというようなことを言われたわけでございますが、私立の付属病院も、これは教育目的なんでしょうね。
#12
○村山(松)政府委員 病院のあり方といたしましては、国公私立の別はなかろうかと思います。したがいまして、臨床教育の実習、研究の場でありますと同時に、また大学病院といえども、医療法の基準にのっとった一般診療も現在ではやらなければならない二面性を持っております。
#13
○塩崎委員 そこの二面性の限界はなかなかつかめないと思うのですけれども、主としてどちらなんですか。百六十万円の赤字があるといたしますれば、そのうちの大体百万円くらいは教育目的、六十万円は患者に対する国のサービス、こういうふうに考えられていいか、こんなような考え方ができるかできないか。私がこんなことを申し上げるのは、今後の私学の設置基準について、これからだんだんと申し上げるその前提でございます。そしてまた、これからの各県で要望しております医科大学、これの運営費その他に非常に影響がございますので、そんな点をひとつぜひとも承りたいのです。
#14
○村山(松)政府委員 大学付属病院の設置目的から申せば、国公私立を問わず、これは教育研究目的のためにつくるといってよかろうと思います。ただ病院は、ただいま申し上げましたように、教育研究に使いますにしましても、まずもって医療法の基準だけは十分備えていなければならぬ、患者の診療につきましてもそのような配慮を欠くことができないということでございますので、この事業の実態といたしましては、診療機関という面のほうがむしろ比重が大きいという状況でございます。
#15
○塩崎委員 これは、原主計官も来ておられますので、まず一つお聞きしたいのですが、病院のみならず大学が特別会計になっておる、これはどういう趣旨か、ひとつお答え願いたい。
#16
○原説明員 大学が特別会計になっておりますのは、国立大学につきましては、その一つはやはり財源確保という目的があろうかと存じます。したがって、それは収入面、病院がございますし、それから授業料その他財産の処分収入、その他そういうものの収入がまずあるということ、そしてかつその財源を確保するということでございますが、現在の国立学校特別会計の中で大体八割見当が一般会計からの繰り入れでございます。したがって、一般に何と申しますか、収支とんとんであるというような意味で特別会計があるわけでは必ずしもございませんわけです。しかし、もちろんそれはできるだけ収入をあげ得るものはあげる、そしてその中で財源をまかなうということのためにわざわざ特別会計が設けられておる、こういうふうに考えております。
#17
○塩崎委員 いまのお話でありますと、収入がある、その収入が特別にまた経理されるものは特別会計の要件を備えているというようなお話でありましたが、できる限り収支が合うようにというお話でございましたが、しかし、教育効果を考えると、必ずしも収支が合わなくてもいいんでしょうね。四十四年度には国立大学の付属病院の赤字は百三十六億であったが、四十六年度の赤字を見ると二百十一億。赤字というか収支の差額ですね、これは当然一般会計が負担してしかるべきものだというように考えられるのかもしれませんが、こんなことは教育目的だから当然税金でまかなうべきだ、国が医師養成のためにつぎ込むべきだ、こういうふうに考えておるのでしょうね。
#18
○原説明員 確かに大学病院は、そのあり方と申しますか、設置の理由はもっぱら教育目的であり、かつ、しかし診療もやっているということであろうかと存じます。したがって、診療をやります収入ですべてがまかなえないという面は確かにございます。まかなえない面は、やはりこれは一般会計からの収入でまかなっていいということになると思います。ただ、いまいろいろ赤字がふえておりますのは、これはやはり予定されたものよりも稼働率が低いというようなことから赤字がふえているわけでございまして、その面は、別に教育とか診療とかいうことでなくて、一般の能率が悪いという面で赤字がふえている面がございますから、そういうところは、やはりできるだけ能率をあげていただくということにならなければいけないのではないかと思います。しかし、本質的に教育目的を持っているということから、すべてが完全にとんとんでなければならないという理屈にはならないと思います。
#19
○塩崎委員 これは大臣じゃなくても局長でけっこうなんですけれども、そうすると、私立大学の付属病院は、昭和四十三年度でございますが、私の計算ではむしろ逆に二十億円ばかりの収入超過がある。非常な開きがあるような気がするわけでございますが、私大の付属病院には相当な無理をさしておるのじゃないか。差額徴収というのは好ましいか好ましくないか、もういろいろな評価がございましょうけれども、問題があろうかと思います。それから私立医大の付属病院が無理をしているのは、もう一つ無給医局員の問題、私はこれがあると思うのです、こんなようなことで、はたして国公私立の間のバランスがとれるかどうか。ひとつこれからの認可基準、あるいは医学部の拡張の問題、非常に関係がございますので、大臣お答えを願いたい。元厚生大臣をおやりになられましたので、特に差額徴収あるいは無給医局員の問題、それから付属病院のあり方、これは御見識があろうかと思いますので、ぜひとも御見解を承りたい。
#20
○坂田国務大臣 やはり大学病院というのは、普通の厚生省所管の病院とはおのずと違うというのは先ほど局長から申し上げましたとおりでございますが、しかし、私立の付属病院とそれから国立の付属病院とは、やはりそこは性格が同じでなければならないというふうに思うわけです。しかしながら、実態的にはいま差額徴収その他をやっておりまして、国立のほうは教育と研究ということのほうにむしろ重点が置かれ、そして、私立の付属病院におきましては一般の診療ということにウエートが向かっておるようにも見えるわけでございますが、しかし、あるべき姿としてはやはり教育研究ということを考えていかなければいけないので、それに対して財政的に十分でない場合にはやはり国としても助成を考えていく必要がある。つまり国立、私立を問わず、その性格が同じであるならば、そしてその性格が、財政措置によって財源が十分でないためにゆがめられておるとするならば、それを何らかの方法で満たしていくという努力が払われなければならないのではないか、そういうふうに思います。
 それから無給医局員の問題は、漸次必要な研修医等につきましてはこれを有給にし、そしてまた、場合によってはこれを将来は定員化していくというようなことが必要ではないかというふうに思いますし、また、何か慣行的には、お金は要らないけれども自分はひとつ研究をしたいのだ、だから医局員として認めてもらいたい、こういうことになる。そうしますと、当然の結果として、制度上はやはりその医局員に診療にも従事をさせますし、あるいは勤務を命ずる、こういうことにならざるを得ないと思うのでございます。その辺のところはどう考えていくかということも一つの問題点かと思いますが、やはり私は、その点をもう少しルールを確立する必要があるのではなかろうかというふうに考えております。お答えになるかどうかわかりませんけれども、一応そういうことでございます。
#21
○塩崎委員 非常に巧みに答えられましたので、なかなかその真意がつかめないのですけれども、とにかく私立医科大学の付属病院は、相当無理をしておるというような印象を大臣の御答弁からほのかに感じたのですが、おそらく大臣のことですから、国公立と私立との間の格差を少なくしよう、こういう意図があると判断していいのでしょうね。
#22
○坂田国務大臣 先ほど私が、医師養成につきまして抽象的ではございましたけれども申し上げました気持ちは、やはりこの格差是正を考えなければならない時期に来ているのだ、こういう意味を申し上げたわけでございます。
#23
○塩崎委員 これはあとでいろいろとまた申し上げることになると思いますが、国立大学の付属病院のみならず、厚生大臣であられた大臣御承知のとおり、国立病院も、それにまた県立病院と申しますか自治体病院も大体赤字なんです。ほとんど赤字と言ってもいい。それにもかかわらず、私大の付属病院だけが収支とんとんである。ということは、相当な無理をしているというふうに一般的に判断せざるを得ないと思うのですね。私どもも、いろいろと愛媛県の医学部の設置について、県立病院をどうするかというようなことが議論になっておりますが、この県立病院ですら赤字である。そうすると、私大の付属病院だけ相当な無理をさしていいかどうか。武見医師会長の先般の新聞の御発表を見ますと、あの有名な慶応病院ですら赤字になってきつつある状況を見ると、これは容易なことではない。私は、今度財源問題をひとつ詳細に出していただけることを非常に期待しておるわけでございます。このあたりの点を考えて出していただけるかどうか、ひとつぜひとも御意見を承りたいと思います。
#24
○坂田国務大臣 私はこの際、そこまで踏み込んで分析をして、そうしてどうあるべきかというお答えを出したいというふうに考えておるわけでございます。おそらく、私は、私立の大学の付属病院は相当な無理をしておるというふうに思います。
#25
○塩崎委員 そこで、少し角度を変えまして、定員の問題でございます。大臣が言われましたこれから検討する八つの障害と申しますか、問題点のトップにあげました定員の問題でございます。私は坂田構想らしいすばらしい構想だと思いますので、ぜひとも国立大学の教職員は定員法のワク外にしていただきたい。少なくとも付属病院の教職員は、これはどうしてもワク外にしていただきたいし、またその理由がある。つまり、いま原主計官が言われましたように、収入を伴う、収入がどんどんふえてまいりますれば、税金と違いますから、これはそれだけのサービスをしないとやっていけない。これが税金からまかなわれるところの官公庁の職員、これと同じベースで議論されること自体が私は無理がある、そういった意味で坂田構想を支持するものでございますが、とにかく少なくとも付属病院くらいは、思い切って今後は、この際はずすということができるかどうか。行管の問題もございましょうけれども、国務大臣の坂田大臣でございますし、厚生大臣もやられましたからいろいろな御経験がございますから、ぜひとも強力な力でやられるかどうか、この点を承りたいと思います。
#26
○坂田国務大臣 この問題は非常に大きい問題でございまして、私から言うならば、今後医師養成というもの、ただいま申し上げましたような程度の医師養成をやるにしましても、現在の総定員法のワク内では、率争に申し上げましてやることはできません。これはもうはずしてもらうか、別途その増員計画を認めていただくか、でなければやれない。
 それから、私は、この五月には大学の制度改革の答申を得ることになっておりますし、また新しい構想の大学等も考えていかなければなりません。そうした場合には、現在の定員法のワク内だけで操作しろと言われても、それは不可能と私は考えております。したがいまして、この際行管にもまた財政当局にもそれを説得するに十分な論拠を得まして、そうしてこの医師養成につきましても、また新しい構想の大学の拡充整備につきましても、これを貫いてまいりたい、かように考えておりますが、どうかひとつ本委員会の皆さま方も御協力をお願い申し上げたいと思っておりますし、また、いろいろの知恵があればおかしを願いたいというふうに思っております。私自身といたしましては、強力にこれをやりたいというふうに思います。それなくしては医師養成計画もだめだというふうに私は考えておるのであります。
#27
○塩崎委員 そこで、私どもも、せっかくの坂田大構想でございますし、これはぜひとも旗を振って進んでまいりたいと思うのです。
 そこで、医学部の教職員の定員のうち、いま定員法にあがっておりますものの中で、付属病院の教職員の数はとれくらいござい事か。――なければいずれまたそれを出していただきますが、大臣、付属病院は少なくとも国鉄の職員が定員法のワク外であるということとそんなに変わりがない。なぜこれができないのか。どこに難点があるのですか。それを一ぺん教えていただきたい。
#28
○村山(松)政府委員 大学付属病院の職員の概数でございますが、本院、分院合わせまして、ユニットといたしまして医学部の病院を含んだ数字になっておりますが、四十六病院ございまして、定員が二万六百十五人ということになっております。内訳といたしまして、行政職が約六千人、それから医療職が約一万人、教育職が三千人、その他というような配分になっております。約二万人でございます。行政機関職員の定員法は、これは各省いろいろな事情がありましてもこれを一律に規制する、行政需要に応じて増減がある場合にはふやすべきものはふやすが、そのかわりに、よく点検して不要なものがあればそれを落とすというようなことでワクがはめられたのではないかと推察するわけでございます。そういうことからいたしまして、いろいろと例外を主張するものもございますが、現在まで一般職の国家公務員の中で定員法からはずれておりますものは自衛隊だけでございまして、文部省におきましてもいろいろの主張やお願いはいたしますが、それに対する壁はきわめて厚いというのが実情でございます。
#29
○塩崎委員 壁が厚いということがわかりましたが、なぜ厚いのか、そこが私は知りたかったのです。大蔵省の原主計官も来ておられますが、全体として、おそらく収入のあるところは特別会計をつくる、そういった特別会計のところは、定員についてはそんなに大蔵省としてもやかましく言わないで済むのではないか。しかし、大学の授業料のように一万二千円というような、支出に対して収入が非常に少ない場合は問題でございましょうが、付属病院のようなところはあまり異議がないかと思うのですが、主計官、いかがですか。
#30
○原説明員 総定員法につきましては、ただいま大学局長からも申されましたように、やはり増員はする、これは必要なものを認めないという趣旨ではございませんで、必要なものは認めるのだが、必要でないものがあればそれはなるべく振りかえるという趣旨でございますから、もし大学につきましてそれが必要だということになれば、別にそれで押えるということにはならない理屈だと思います。
 それから、いまの病院の話ですが、私も率直に申しましてあまり考えたことがございませんので、答弁になるかどうかわかりませんが、収入があるところと申しますと、たしか林野なんかもありますか、あれも総定員法のワクの中に入っていたのではないか。ちょっと記憶があまり正確でございません。したがって、それは収入のあるなしということと関係があるのかどうか、必ずしも判然といたしません。いまの病院の問題につきましては、文部大臣が申されましたように、欧米あたりでも、関連病院ということで必ずしも病院がなくても医学部というものは設置し得るということもございますので、ことしの予算で医学部設置のための調査費をつけましたのは、国公私立を含めてその辺のところも十分研究していただきたい、そういう趣旨で予算をつけたわけでございます。
#31
○塩崎委員 いまの定員の問題は、それはもう医師養成の大問題でございますし、また、それが解決のほんとうの糸口のような気がいたします。厚生省は医師養成について非常な熱意を示されておりますが、いまの少なくとも付属病院の定員ぐらいは、私は、大臣の大構想のように、国立大学は全部はずしたらいいと思うのですよ。少なくとも厚生省から見て、この現業的な収入の伴う教職員の定員をはずすことがいいかどうか、はずせるかどうか、そのお見通しを一ぺん伺いたい。
#32
○松下説明員 いま御指摘のありましたような点、私どもといたしましても、実は定員法の問題直接の所管ではございませんので、正直に申しましてあまり詰めて検討したことはございませんが、いま先生御指摘のように、今後の医師養成の問題に関連いたしまして非常に重大な問題であると思いますので、文部省の御意見あるいは行管の御意見等を伺いまして、私どもといたしましても十分検討さしていただきたいと思っております。
#33
○塩崎委員 この問題ばかりやっておりましても時間がかかりますが、全体といたしましていまの定員の問題も財政的な問題も、もう文部省、大蔵省、厚生省いずれも大賛成というふうに受け取りまして、次の四十七年度の予算からはひとつ坂田大構想を進めていただくということで了解いたしまして、次の問題に移りたいと思います。
 第二は、いま大臣がお述べになりました医師養成の具体的な方策の問題について、国公立と私立大学に分けまして若干の御質問をいたしたいのでございます。
 昨年の木島委員の御質問に答えまして、たしか厚生省の方であったかと思いますが、いま大臣のおっしゃいましたように千五百人ふやさなければならぬ。しかし、それには四十六年、四十七年、四十八年は三百人ずつ、四十九年、五十年は二百人くらいずつふやして千五百人に達するであろう、こんなような見解が述べられたことを私は速記録で読んだわけでございます。大臣も列席されておられました。三百人ずつ三年で九百人、あとの二年間で四百人、千三百人にしかならないので数字的には私よくわからない。質問者でなかったのでその点は見過ごしたわけでありますが、少なくとも三百人は四十六年度にふえると私は思っておりましたら、いま大臣がおっしゃいましたように、定員増加は二百四十人というようなお話でございます。六十人くらい――私は、その三百人というのは問題だと思うのです。この年次計画を詳細に、千五百人の坂田構想の裏づけをあとで出していただくのですけれども、これはあとで取り返すのか、あるいはいま私学の医学部の設置認可が四つばかり出ておるそうでございますが、これによって補うつもりであるか、このあたり、一ペん年次計画の一環として、あるいは将来の見通しを込めてひとつお答え願いたい。
#34
○村山(松)政府委員 この医学部の定員の増加につきましては、大臣も御説明しましたように、第一に教員組織や施設の充実しておる既設の大学による増員を考えまして、それから、そのほか国立あるいは私学の新設にも若干の期待をするという三つの方法でやってまいったわけであります。それの過去の累計が千五百四十名でありまして、国立九百、私立六百、公立四十という内訳になっておりまして、過去の増員も国立にウエートをかけてまいっております。
 四十六年度につきましては、ただいま一応確定しました増員が二百六十人でありまして、そのうちで学校の新設が一校八十人でございます。あとは既設の学校の増員でございます。国立が二校で四十人、それから公立が一校で二十人……(塩崎委員「簡単に。二百四十人と三百人と言っておられたその差の六十人だけどうするかということです」と呼ぶ)それから私立の増員が百二十人、計二百六十人でございます。それから今日、あと四つの私立大学が認可申請されておりますが、なお審議会の結論が出ておりません。その四つの大学の入学定員の合計は三百八十人でございます。この三百八十人の中でなお若干の可能性が残されておるように思います。したがいまして、現時点で確定した四十六年度増員は二百六十でございますが、なお若干の増加の可能性がございます。それから、さらに将来の問題としては大臣の御説明申し上げたとおりでございます。
#35
○塩崎委員 いま私が申し上げましたように、三百人と言われておりますが、三百、三百、三百、二百、二百じゃ千三百人にしかならない。おそらく四十六年度からもう少しふえなければならぬ、三百人以上の数字が必要かと思うのです。
 それから、阪大入試のあの事件を考えますと、定員はできる限り早く多くしたほうが私は望ましいと思うのですが、ひとつ、四十人の差があるにいたしましても、これは後年度で取り返すか、あるいは三百人ではなくてもう少し多いのか、このあたりは、年次計画が具体的にはまだまだないのですか、あるのですか。
#36
○村山(松)政府委員 増員の年次計画は、現在まだございませんので、検討中でございます。
#37
○塩崎委員 いまの年次計画は、ぜひとも私どものおる国会の間に出していただいて、具体的に検討さしていただきたいと思うのです。
 阪大入試問題以来、文部省がいろいろと各方面で発言され、大臣も意欲を見せられておりますが、それはときどき誤解を招いておるようです。私は、これは財政的な負担をおそれるあまりとは思わぬのです。実力大臣の大臣ですから、そんな財政上の問題はたいしたことはない、やはり医師養成のほうが大事だと思われればこういうことにとらわれないと思うのです。それを、既設の大学、特に国立大学の定員増加でいくのだ、金のかかる医学部の新設はひとつ慎重にいくのだ、まして入学金に問題の多い私立大学の医学部の設置は少しおくらしていくのだ、あるいは消極的なんだというようにとっておるのですが、大臣の御真意はいかがですか。
#38
○坂田国務大臣 私は、できますならば、やはり国立、公立を中心として医師養成は考えていったほうがいいのじゃないかという基本的な考えを持っております。しかしながら、一方におきまして、私自身としましては、今日、私立の医科大学あるいは医学大学等の社会的な意義というものはきわめて高くなっておりますから、今日、私学が自分の基本的財産あるいは寄付金、しかも低廉な入学金あるいは納付金等でやらなければならないということがもしできないという場合には、やはり国がある程度の助成を、医師養成に関しては認めていいんじゃないかというような気持ちを私は持っておるわけでございます。したがいまして、そういう意欲のある申請があった場合、そして大学設置の基準というものを満たし、特に財政的にも基礎がしっかりしているということが認められれば、やはりこれを認めていくということでいきたいというふうに思っておるわけでございます。でございますから、とにかく二つか三つというものは、ぜひとも四十七年度以降国立の医学大学を設置したいというふうに考えております。いずれその年次計画は、国公私立合わせましておおよそのことは発表できると思います。
#39
○塩崎委員 昨年の秋田大学の設置の際にも各委員がいろいろと御質問されまして、どういう基準で医学部の新設をやっていくのだという御質問があったわけでございます。いろいろとむずかしい御表現を使われまして、大臣、日本列島全体を見回してというような名文句を使われましたが、なかなかその真意がつかめない。あるいは地元の要望というものが中心になるというふうにも読めたりいたしますし、地元との関連が大事だと言われたり、なかなかその真意がつかめないので実は私どもも心配しております。皆さん御承知のとおり、愛媛からは医学部の設置について強い要求が出ておることは周知の事実でございますが、新設の基準をもうほんとうにこの際つくられたらどうでしょう。たとえば秋田なら県立病院で八百ベッドあったが、愛媛の県立病院ではまだ四百ベッドくらいしかない、これはどうしたら認められるかという熱意に燃えてほんとうに善意で考えておりますが、こういったふうに今後二、三新設するというようなことを、こういうふうな基準に合致するところ、こういうところを求めてやるのだというようなことを思い切って坂田構想を出していただいたら、各府県、各地方も安心してその準備を進めると思うのですが、いかがですか。
#40
○坂田国務大臣 そういうような御要望も各地から起こっておるわけでございまして、その意味で、本年度の予算におきましては五百万円の調査費がついたわけでございます。いま先生のおっしゃるようなことを含めて、十分ひとつ地域的にも調査をいたしたいというふうに思います。また、私自身といたしましては、やはり日本列島全体を見回しまして、一体医師不足がどういう状況になっているのか。たとえば全国平均で申しますと、人口十万に対しまして百十三という基準が平均でございますけれども、それを上回っておる県もございます。あるいは、はるかに百を切って九十とか八十とかいうようなところもございます。それからもう一つは、五百ベッド以上の医療機関を全然持っていない、それから私立の医科大学もない、公立の医科大学もない、もちろん国立の医科大学もないというような県も相当ある。いろいろのことを総合いたしましてこれは考えなければいけないのじゃないかと思いますが、しかし、また同時にやはり地元の御協力なくしては、あるいは意欲なくしては、こちらのほうで考えましてもうまくはまいらぬと思いますので、その辺をどういうふうにこれから考えていくかということについても、十分検討したいというふうに思っております。
#41
○塩崎委員 いま大臣がおっしゃったことで大体のことはわかりますが、地元負担、地元の意欲の問題ですし、きょう自治省も来ておられますし、坂田構想の問題点の第二に地方財政が取り上げられておるので、これはぜひともひとつこの際、議論で明らかにしておきたいと思うのでございます。
 愛媛県のようなところでは、医師が少ないために、どうしてもつくりたいという意欲に満ち満ちておるわけでございます。しかし、秋田大学のあの議論のように、地元の負担が非常に大きいというようなことで心配もありますけれども、大きくてもやろうという善意がある。しかし、御指摘のように、地方財政法の十二条、再建整備法の二十四条の二項では、国は負担を強制してはならぬ、地方は国に寄付してはならぬというようなことがある。どうもこの問題は、人間の自然の摂理に反するような気がしていかぬ。善意とか好意とかいうものはむげに断わってはいけない、私はそんなような気がまず第一にいたしますし、第二には、日本はやはり国と府県とは協力関係にある。アメリカのような連邦国家ではない。独立ではないと思うのです。第三には、もう地方財政は、いま佐々木参事官がおられますが、その御努力で非常によくなってきた。逆に金を国に貸すような時代になってきた。第四に、私はいろいろ考えてみましたが、自治省自体で僻地の医科大学をつくられて、自分たちの金だけでやっていこうというような構想がある。こんなことを考えると、どうも私は地元負担があってはいけないということがよくわからない。受益というものは、比較的、付属病院なんかで明瞭で、その地域に限られている面がある。建設大臣などは、私どもが瀬戸内海の架橋を申し上げたときには、地元負担を出さぬとやってやらぬぞというくらい、地方財政法違反みたいな公言をされておる。大臣は非常に遠慮されておりますが、このようなことを根本的に掘り下げてやっていただいて、私は国と地方との協力関係を打ち立ててやっていきたいと思う。
 ことに、いろいろ問題があると思うのです、三重県なんかは、今度、大臣の御意思で国立移管の準備が進んでおりますが、何年間かでつくり上げた大学の施設を、国が一ぺんに金を払うようなことはできないと思うのです。これはひとつ地元の善意というものを評価して、何とか受け入れ体制を進めていくことが人倫の、人間の摂理に合ったことではない。しかし、国の変な強要的な寄付等の限界が問題でございましょうが、この点について佐々木参事官はどんなふうに考えられるのか、ひとつぜひとも御意見を承りたいと思います。
#42
○佐々木(喜)政府委員 ただいまお話がございました国と地方との負担区分の問題につきましては、私ども、従来から地方財政法の規定を通じまして国と地方との関係、また地方団体相互間の関係、あるいはまた地方団体と住民との関係におきまして、負担の区分といいますか財政の秩序というものを立て直さなければ、現在事務の配分を通じて財源配分が行なわれているそうした財政秩序がややともすれば乱れて、それがまた財政運営に非常に問題を生じてきておるというような観点から、そうした財政秩序の維持について、私どももあるいは地方団体も非常に努力をしてまいっておるわけであります。そういう点からいいまして、最近、財政秩序の維持という点につきましては相当好転をしてきております。税外負担も次第に減少し、また国と地方との関係におきましても、その負担区分の明確化あるいは超過負担の解消という点について、だんだん税制措置がとられてまいったのは御承知のとおりであります。
 そういう観点で、現在は、国の担当する分野について地方がそれに対して負担をするということにつきましては、御指摘のとおり、財政法によって非常に厳格な規定が設けられております。地方団体との関係において、国の施設によって特定の地方団体に非常な受益関係が出るということは、学校のみならずその他の施設についても確かにあるわけでございます。これは国の行政全般がそういう性格を持っておるというふうに考えるのでありますけれども、それがために、地方負担というものがあってもいいということには必ずしもつながらないというふうに考えております。たとえば道路につきまして、国道あるいは市町村道、それぞれ仕事を分担しておりますし、また、国道につきましては地方負担もあるということは御承知のとおりでございますけれども、それには当然その裏に財源の配分といろ点で、特に特定財源等につきましては、そういうことを前提にした財源配分が行なわれるわけであります。そういう意味で、国の教育施設については地方が負担をしてはならないという点につきましては、いろいろ御指摘のような観点の問題もあるかと存じますが、私ども現在のところ、国の施設は国が負担をしていくというたてまえは今後も維持していただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#43
○塩崎委員 かつて佐々木参事官にも地方財政をだいぶいろいろ教えていただいたのですが、財源は自治省が配分すればでき上がるものだと思う。私は、これはぜひとも配分してでもということで考えていただきたいと思うのです。もう時間がございませんが、ひとつ地方財政法を改正してでも何とかしないと、せっかくの地元の好意が無になる。先般来、歯切れのいい村山大学局長が、この問題だけ実に歯切れの悪い答弁をされておる。法律違反をこの法治国家ではつくっていかぬと思うのです。しかし、隠れたる法律違反が行なわれそうな気がするものですから、やはり人倫の自然の摂理に合った改正を佐々木参事官にもぜひ考えていただきたいし、自治大臣にもぜひともお願いして、この問題は終わらせていただきます。
 時間がなくなりまして、もうそろそろというお話がございましたので、私は私立大学の問題でございます。
 私立大学の問題は、阪大入試事件にあらわれましたように入学金の問題に尽きるかと思いますが、大臣は入学金の問題をどういうふうに考えられますか。どういう性格のものか。入学金以外の方法で私立大学がやっていける方法があるかどうか。まず最初に大臣の御意見を伺いたいと思います。
#44
○坂田国務大臣 私は、現在の私立医科大学は、何らかの財政援助をしなければまともな医学教育というものはできないというふうに思っております。したがいまして、社会正義の上からも、五百万円とか千万円というようなものを取らなければ医学教育ができないようなことではいけないというふうに思います。
#45
○塩崎委員 大臣、新聞にこんなような記事がございます。これは三月十七日の日本経済新聞でございますが、医師養成教育は一人当たり二百万円かかる。これが六年間であるから千二百万円。これに対して補助金が六作間で三百万円、年に一人当にり五十万円。これは大臣、教員の経常費の給与の補助が半分くらいいったときの最後の姿だと思いますが、三百万円の補助金。それから授業料が年に六十万から七十万ですから約四百万円。そうすると一人七百万円しかない。千二百万円と七百万円との差が五百万ある。これは最低、入学金なり寄付金として取らざるを得ない。こういうふうに出ておるわけでございます。
 私は、この二百万自体も問題がございますが、しかし、文部省がつくられております私立大学の支出及び収入に関する調査報告書を見ますと、百八十二万六千円と出ておる。だから、おそらく二百万円というのは間違ってはいないと思うのです。国立も、いただいた統計では、付属病院を除けば百八十三万七千円となっておる。いまの付属病院なんか入れたらこれはたいへんなことになるのですが、大臣、これはどういうふうに考えたらいいかですね。五百万円というのは、高いといわれれば確かに高いと私は思う。五百万円以上の所得者というのは幾らもいない。所得のうちで生活もしなければならない、税金も払わなければならないということで、五百万円払える人はわずかしかいない。しかし、高いということは高いということを示すだけの話であって、それ自体は何も批判の対象にならぬと思う。悪いというのは、大臣のおっしゃいましたように、高いから金のある人でないと医者になれないということが悪い。その次には、こんなことはないと思うのですけれども、入学試験の結果が金に左右されたらいかぬということだけであって、いま私学が付属病院で非常に無理をしておるからこんなような数字で済むと思うのです。しかし、これは大臣、ほかの財源があるとしますと、この三百万円のまだいってない補助金をどれだけせられるか、ひとつ大臣にぜひとも御意見を承りたい。たいへんな金額だろうと思うのです。
#46
○坂田国務大臣 それがいまから考えるところなんでございますが、これはかりにといたしましても、たとえば一人当たり二百万円を考えていくということにしまして、先ほどの千五百人を増員しますと結局全体として一年間に約六千人と思いますが、これも大ざっぱなかりの数字でございますけれども、その六千人のうち私学で養成するのが約三分の一ぐらいになりましょうか、二千人ぐらいになると思います。そうしますと、その二千人に一人二百万出すとすると四十億でございますね。かりにたとえば来年から私立の医学に対して、どういう形でやるかは知らぬけれども、二百万円で二千人の国の予算を組むとしますと四十億要る。その翌年は新たに四十億ですから、八十億出していく。その次は百二十億出していく。そういうふうに六年間やっていけば一応――そのかわり、あなたの大学では二百万は見てあげておるんだから、五百万とかあるいはそれ以上の寄付なんというのは許しませんぞということは、一応言えるのじゃなかろうか。それをこす場合もありましょうけれども、しかし、これはまた社会が許さないだろうし、あるいは私学振興財団を通じてそのお金が流れていくという場合には、やはり私学振興財団として配分いたしますお金をストップすれば、私学自身もたいへんなことになりますから、そういうような多額な寄付というものは取れなくなるのじゃなかろうかというようなことも考えておるわけです。しかし、こういうようなことがはたしてできるかどうか。ただお金の面から見ますと、医師養成という面からでございますと学生数というものが局限されておりますから、とほうもない額だというふうにはならないのじゃないか。またそれくらいのお金を出しても、社会正義にもとるような千万円あるいは玉百万円も寄付を出さなければ試験には合格できないのだ、こういうようなことは許されない、また許すべきではないというふうに私は思います。ただ、私学それ自身が、入学試験には結びつかない意味において一般的な寄付というものを求められるということはむしろ奨励さるべきことだし、また、それに対する免税措置等の配慮をわれわれがなすべきではないか。そういう意味で、日本私学振興財団に対しまして寄付をする場合については、指定寄付の免税措置を今年度からやったということもその一つのあらわれでございますが、いずれにいたしましても、これはどういうふうに考えていいか、いま苦慮をいたしておるところで、ひとつ先生方の知恵を拝借したいと思います。いまここでしいてのお尋ねでございましたから、一応私がちょっと思いつきみたいに考えたわけでございまして、これがどうということじゃございませんが、何とかこれはしなければいかぬと思っております。
#47
○八木委員長 塩崎君、時間が来ましたので、あと一問に願います。
#48
○塩崎委員 時間もなくなりましたが、いままでも私学の育成にいろいろ力を入れておられるようでございますが、私立の医学部は確かに金がかかる。このことは、もういまの御議論でも明瞭だと思います。そこで、結局入学金を学生から取るか、付属病院の収入を上げるか、あるいは他の第三者から寄付を受けるかしか私立大学の財源はない。そして国の補助、この四つをどうかみ合わせていかれるか。一般寄付と大臣言われますけれども、日本ではなかなか寄付の慣行が少ないのです。それを入れて具体的な地についた案を出していただかないと、私はほんとうの坂田構想にならないと思います。
 もう一つ、いま非常に医学部の認可が問題になっておるようであります。私はいろいろ不備があると思います。しかし、不備は当然なんですね。財政的基礎が十分なのかというと、財政的基礎があるわけがない。松下幸之助さんですら二億の手数料をもらって八億の税金を集めておるといわれるこの税金の高い日本では、設備費が百億、二百億とかかるのに、そんなに大きな金を持っている人はおらないと思います。私立大学にしましても、よけいな土地を持っておるかあるいは他の学部でもうけるか――他の学部でもうけることは、文部省は好まないと思う。これはひとつあたたかい気持ちで、むしろ国が医療金融公庫や日本私学振興財団から金を出してやるからおまえらやってみないかということで、思い切ってたくさん認可していったらどうでしょうか。医学教育に非常に熱心な方々でも、むしろ坂田構想で金を貸してやるからやってみないか、これくらいいかないと私はできないと思います。いまの認可の問題について、新聞紙にあらわれるところは非常に消極的で、あつものにこりてなますを吹いて、医師の養成をおくらすような気がいたしますので、この点はぜひ希望といたしましてお願いいたします。
 そこで、また時間がございませんが、いままでたとえば私立学校の医学部の育成についていろいろと注意を払われておりますけれども、たとえばこんなことをひとつ考えていただきたい。新設の認可を受けた、しかし、六年間の年次計画中は経常費の補助もしない、こんな約束でやられる。短期大学でも二年すれば三年目からは経常費の補助がもらえるのに、お前らこういうことを覚悟していけというようなことは、阪大の入試事件以前の発想法であって、私はその点は違うと思うのですが、大臣、この点も希望としてもう少し――育成される、育成されるといいながら、こんなようなことがある。それから、一番問題の付属病院の土地についても、医療金融公庫は土地については金は貸さない。これは市中から借りるのですが、そんな土地を持っておるか。大きな金を払っていかなければならぬのですが、こんなことも考えていただく。いままで恩恵的に、私立の医科大学はもうかるのだから自分でやれというようなことではなくて、大臣の構想でほんとうに金を貸してやるなら、医療金融公庫から土地代ぐらい出させることは、私はわけないと思う。利子でも大分五厘の利子なんです。中小企業の共同化事業では無利子なり二分七厘という利子がある。医師教育というものをそんなに収益的にもうけの多いものと見ておられるのかどうか、六分五厘を払わしていいのかどうか、このあたりはひとつ大臣の構想の中に入れていただきまして、もう一ぺん全体の構想の中で、私が申し上げたいままでの私立学校の育成、それから今後の見通しを、最後の結論として承りたいと思うのです。
#49
○坂田国務大臣 せっかく日本私学振興財団も設けたわけでございますが、これはやはり新たな意味において見直されるべきものでございまして、新しく拡張するときにお金を貸すというだけのものじゃないわけなので、ほんとうに私学の振興になる、あるいは質を高めていく、あるいは積極的にいろいろやられる場合に対してこれが一つの有力なささえになる、そういうふうにやはり考え直していかなければならぬというふうに思います。いま御指摘の医療金融公庫等の問題につきましても、いろいろいい御示唆を得ましたので、私ども、それを含めまして検討いたしたいと思っております。
#50
○塩崎委員 時間がだいぶ超過いたしまして恐縮でございました。これで終わらしていただきます。
#51
○八木委員長 山中吾郎君。
#52
○山中(吾)委員 先般の私の、入試問題を含んでの医学教育の質問で、今国会中に文部大臣が中間的な対策でも報告するという約束をされて、きょうはそれが報告され、いま塩崎委員からも財政的、専門的立場でいろいろ質問がありました。私もあとで若干疑問の点をお聞きしたいと思いますが、その前に、先般、三月十三、十四、十五日にわたりまして国会の正式の派遣として、外務委員を中心として、文教、農林も含んだ視察団に参加してまいりました。国会の責任の立場で視察をした関係がありますから、文教関係について当局の御意見をただしておきたいと思います。
 文教関係は、塩崎委員と二人で別途の視察コースを立てて、小学校、中学校、高等学校、琉球大学、これを視察してまいったのであります。その視察の結果、本土と琉球の教育施設、設備その他について格差がある、一体どういう格差が現実にあるかということを主眼として見てまいったのであります。余儀小学校、上山中学校、首里高等学校、この三校に参っての私たちの視察の結果得た問題について、沖繩返還にからんで何とか本土の水準に引き上げなければならないという問題を発見いたしました。その一つは、大体屋内体操場というのが、ほとんど沖繩の普通教育の学校にないということ、それが非常に顕著な差があると考えております。それから、各学校に特別教室というものがほとんどない。普通教室で、各学校がそれで教育は大体終わるのだというような状況にある。たとえば理科教室、音楽教室、いわゆる本土において考えられる特別教室というものが非常に欠けておる。さらに、図書室とかそういうものもほとんどない。それから、普通教室についても、全般であるかどうか、これは調べなければならぬのでありますが、本土の教室の二教室に相当する分を三つに分けて教育をしておるという状況を見て、これが沖繩における大体小中校の水準という感じがいたしましたので、これはぜひ本土並みに引き上げるという努力をしなければならないのじゃないか。この点について、いままでの文部当局において沖繩返還に関連しての対策で十分とお考えになっておるのかどうか、お聞きいたしたいと思います。
#53
○坂田国務大臣 大体、私も沖繩に参りましたが、山中先生ごらんになって、いま御報告にありましたのと同感でございます。非常におくれておる。そして特に特別教室がない、あるいは屋体とかプールとか、もちろん非常に――それから便所がなかなか整っていないというようなことでございました。小中学校のうちで、これは四十五年五月一日現在でございますが、本土は校舎は九五%でございますが、沖繩は六四%、特別教室は、本土は六六%でございますが、半分の三三%、屋体に至っては、六五%の本土に対して沖繩は一二%、高等学校につきましては、本土は八九%というのに対しまして沖繩は四七%、屋体は七八%に対して八%、こういうような状況でございます。したがいまして、このために四十年度から沖縄の公立学校施設の整備に対して援助を行なってきたわけでございますが、昭和四十六年度の計画におきましては、本土復帰を目前に控えまして、総額二十六億四千万円、面積は九万五千平方メートル、前年度に比べますと七一%の大幅増を行なったわけでございます。また補助率にいたしましても、本土は小学校は二分の一でございます。御案内のとおりでございますが、沖繩では四分の三、中学校では、本土は二分の一でございますが、これを四分の三、高等学校におきましては、本土は三分の一でございますが、これを十分の六、こういうような比率になっております。また、沖繩の公立学校の施設の整備につきましては、復帰後も特別の措置を講ずることが必要であるというふうに思われます。補助率についても、いま御指摘のように、高率の補助を行なうよう検討してまいりたい、かように考えております。
#54
○山中(吾)委員 丁重な御説明でわかりましたので、大いに期待いたしたいと思います。
 そこで、問題は、沖繩の財政状況を見ますと、補助率に対する特別の措置が、現実に格差を本土並みにするかどうかということのキーポイントになると思いますが、補助率はどういうようにお考えになっておりますか。
#55
○岩間政府委員 この点につきましては、ただいま大臣が申されましたように、小中学校につきましては四分の三の、現在高率の補助をやっております。高等学校につきましては、十分の六というふうな補助率でやっております。復帰後につきましても、いままでの例もございますので、この点につきましてはできるだけ配慮をするように努力してまいりたいというふうに考えております。
#56
○山中(吾)委員 おそらく沖繩の財力からいいますと、実質的に全額国が考えてやるというのでなければ、なかなか実現しそうにないと私は見てきたわけです。また危険校舎もあるようですが、その点で実質上四分の三、あるいは高等学校もやはり同じように考えなければならぬじゃないかと思うのですが、その足らぬ分は起債その他を特別に認めて、自己財源でないもので、してやらなければこれはできないだろう。これは絶対的な問題だと思ったのですが、そこでこの点は、大蔵省の主計官も十分理解されておるのか、お聞きしておきたいと思う。
#57
○原説明員 沖繩の援助の問題は、実は私直接所管ではございません。しかし、ただいま文部省のほうからお答えがありましたように、本土に比べて相当おくれていることから、非常に高率な補助をやっているわけでございます。復帰後私どもといたしましても、本土との格差の是正をはかるということ、これは非常に大事なことであると存じますが、これは文教施設のみならず、おそらく生活、行政水準全般についてそういうことが言えるのではないかと存じます。そういたしますと、まず第一の問題は、やはりいま先生の申されましたように、一般財源をどういう形で付与するか、それとのからみの問題があると存じます。一般財源とのからみも十分考えつつ、やはり本土との格差の是正をはかるように――それが高率の補助率になることが多いかと存じますが、いま幾らにするかということまではとても申し上げられませんけれども、まあ一般財源とのからみも考えて、本土との格差の是正をはかる方向で考えたいと思っております。
#58
○山中(吾)委員 主計官の大体の考えがわかったので、この点は、やはりいろいろ方法はあると思いますけれども、せめて教育施設整備だけは、本土並みにするということは絶対的な優先的に考えて、ひとつ御検討を願いたい。希望を含んで申し上げておきます。
 次に、大学のほうの問題、沖繩大学のほうに参りましたが、沖繩大学で顕著に感じたのは、現在あそこに保健学部があります。−その前に、国立移管、これは既定方針として決定しておりますか。
#59
○村山(松)政府委員 ただいまのお尋ねは琉球大学のことかと存じますが、これは国立にするということが政府の方針として出されております。
#60
○山中(吾)委員 それを前提として、保健学部ですか、あそこに非常に独特な一つの学部としてあって、その中身は、保健関係の専門職を養成する、あるいは衛生管理の関係のそういう者を養成するので、医者の養成はあそこにはないわけなんですね。しかし、参りますとなかなかりっぱな付属病院がもうすでに建設されつつある、ここに医学科というものがなければ、ほとんどこの保健学部の機能そのものは発揮できないし、また沖繩県全体の、いま問題になった医師の欠乏からいいますと、あそこには、やはり医学科というものをその中に置いてやるべきではないかということを痛感してまいったのであります。大体保健学部の思想というのは、西洋水準におけるいわゆる治療医学でなくて予防医学の思想で、病気になった者をなおすという日本的な消極的な医療思想でなくて、病人を少なくする予防医学の思想から、保健学部という一つの学部の創設が、アメリカの影響もあってできたと思うのであります。これを同時に、保健学部の思想のもとに医学科を置くことによって、いままで消極的な病人が発生したときにそれを治療する、それが医学のほとんどすべての目的だ、したがって金もうけと結びついた医学思想もあり、いろいろな矛盾が出ておるので、日本の国内においても、予防医学思想を基本にした医学教育というものを推進さす二とが非常に私は重要であると思った。琉球大学の保健学部の思想がそれなので、そこに医学科を置いて、医学部という思想じゃない、保健学部という思想の中に医学教育を含んで、予防医学学部というふうな新しいものがそこから生まれれば、すばらしい一つの日本の医学教育の先覚的なものが生まれるんではないかと考えて、非常に期待をしてまいりました。これは塩崎委員も同じだと思うのです。ぜひ保健学部の思想のもとに医学科の設置を実現さるべきだと思うので、文部大臣の御意図をお聞きしておきたいと思う。
#61
○村山(松)政府委員 私からちょっと経過の御説明を申し上げます。
 琉球大学に医学部を設置してもらいたいという強い希望がございまして、昭和四十二年に、総理府に琉球大学医学部設置問題懇談会という総理府総務長官の諮問的な組織ができまして、武見太郎氏を座長として検討されました結果、医学部の設置は早急には無理である、保健学部をつくることが緊急かつ有効な手段であるという答申を出しまして、その答申に基づきまして四十三年に保健学部ができ、さらに新那覇病院というものを、これを通常のわが国の医学部付属病院とは必ずしも同じでない構想、つまり地域の診療センターであると同時に大学付属病院とするという構想が立てられまして、新那覇病院の建設が進められ、その間にこれを琉球大学に付属させるということがきまりまして今日に至っておるわけであります。
 現状を見ますと、保健学部につきましても、立地条件などからいたしまして予定しました八講座の教員の充足はきわめて困難な状況のようでございます。武見委員会の要請を受けまして文部省も協力をして各大学等に呼びかけておりますけれども、なかなか充足できないというような状況でございます。まあ今後努力を継続いたしますが、医学部ないし医学科の設置問題というのは、将来の課題として十分頭に置いておるわけでありますけれども、なかなか早急に実現はむずかしい研究課題だと存じます。さらに、御提案のように保健学部の中に医学科を置くというようなことになりますと、従来の医学部の基準からいたしますと異例のことになります。そういうことから、その基準、あり方も含めての検討が必要になってまいります。十分検討さしていただきたいと思います。
#62
○山中(吾)委員 局長の答弁の中にもありましたように、向こうの学長にも聞いてみますと、そこに医学科がないために琉球のような僻地に医者がなかなか来ない。教授の招聘にも非常に困るということも、大学経営の立場から痛切に訴えておる。確かにそれが一つ大きい問題だと思う。同時に、沖繩で医師を養成しなければあそこに行く人がない。百万の人口があるのですから、やはり琉球の中で医者の養成をしてやるということは、いま問題になった医者の不足という点ばかりでなく、地域的な特殊性から早急につくってやる必要があるんではないか。局長は行政官ですから、現状にあるものから新しいものをつくるとこれは異例に属するという姿勢になるのだが、政治はそうではなくて、現在の欠陥を直していくのが政治なので、その意味において文部大臣からお聞きしておきたいと思う。
#63
○坂田国務大臣 この点は、沖繩が復帰をいたしました暁には国立の琉球大学ができるわけでございますが、同時に、やはり沖繩百万の人口があるのに医師養成機関がないというのは、これはおかしいことでございますし、ぜひつくらなければならぬと思います。その例には、いま局長が申しますようにいろいろの障害はありましょうけれども、それは克服しなければならぬことだと思います。
#64
○山中(吾)委員 力強い大臣の御答弁ですから、ぜひ実現するように御期待いたしたいと思います。
 なお一つごく簡明にお聞きしたいと思うのだが、南北文化研究所の設置を熱心に要望しておった。琉球を中心にして日本の海洋国家というか、洋上国家というか、日本の国際的地位とか歴史的、地理的条件のもとに、南方文化というものを中心として琉球大学の立地条件にふさわしい特別の研究所を設置したい、これも私は、一つの日本の学術の振興のために適切な構想であると思った。その後、高等弁務官との対談のときに私発言をしまして、軍事基地で不要になったものを有償でどうかこうだというふうな、そういう計算を含んだ考えばかりでなくて、せめて教育文化施設に進んで提供する、そして琉球の文化の向上に協力するようにしてもらいたい。文教の立場で私は発言し、要望しておいたのですが、ランパート弁務官は、私もかつて大学の学長をしたこともあり、孫も二人ありますので、教育というものは非常に大事である、特におせじを含んで私に話しておりましたが、私がやめても必ず後継者に申し送ります、こういうことも言っておりました。
 そこで、やはり文部当局も、返還のときに政治のいろいろな問題がありますけれども、あの軍事基地の不要な部面をとにかく優先的にそういう文化施設に提供せしめるような努力をされて、それとこういう文化研究所の設置を積極的にするように努力していただきたい。私は、現在の海洋というものはだんだん単なる交通路でなくなり、また食糧供給源だけでなくて鉱業資源としての海底資源の開発もあり、あるいは海洋エネルギーの活用、それからいわゆる人間のレジャーの大きい場所、海中、海底の家とか、そういうふうに順次新しい生活の場になりつつあるので、海洋観を変えなければならぬ。そのときに、太平洋というものが新しいわれわれの生活の別な機能を持って、大西洋世界から太平洋世界に移りつつあると私は考えている。その太平洋の中にある日本、洋上国家であり、しかも太平洋周辺には自由国家あり共産国家あり、人種は白から黒まである。新しい二十一世紀の地球上の文化というものは、太平洋を中心として新しい文明が生まれる。その中にアジアの大陸の側にある洋上国家の日本があるので、日本の進む道というものを、太平洋上における国際的地位を確認して、そして戦争の必要のない海洋というものに、実質上のわれわれの民族の進む場所と新しい生活の場を広げていくということが国是として重要なものになる、そういう考えの延長線に海洋開発というものは国策として確立すべきだ、その前提として私は、海洋科学の教育の振興策というふうなもの、そういう意味において先般も水産高等学校を海洋高等学校にできないか、その上に海洋学術という体系を持つべきではないかという私見も述べたのでありますが、そういう観点に立って、沖繩大学が一つの太平洋世界における洋上国家の新しい海洋学術の研究を中心とした文化施設という構想があれば、何十年、戦火のために苦労し、そうしてあらゆる犠牲を日本国民全体の代表として払ってきた沖繩県民に対して、そういう意味における文化施設を国力を注いでもつくってあげる、アメリカの軍事基地をこっちに返還するときに、優先的に考えるくらいの日本の文教行政の最高責任者の識見を、私はしっかり持ってやっていただきたいということを痛切に感じた。視察後の私の感想に、それが一番大きく残っておるのであります。ぜひその点についても文部大臣ひとつ御検討願って、文部大臣が交代するにしても後継者に十分お取り継ぎを願って、実現をするように切望いたしたいと思うので、御意見を承っておきたいと思います。
#65
○坂田国務大臣 沖繩の琉球大学におきまして、海洋研究開発、そういうものを含めた文化センターあるいは研究センターというものの構想があるようでございますし、また、そのことについて非常に貴重な識見のあるビジョンをお述べいただいたわけでございますが、それを十分参考にいたしまして私どもも検討してまいりたい。また、私がやめますときには、次の文部大臣に十分その趣旨を継承していただくようにお願いを申し上げたいと思います。
#66
○山中(吾)委員 御期待をいたしております。
 沖繩についての質疑はこれで終わりたいと思いますが、一問だけ医科大学の問題。これは阪大の入学試験から具体的に政治の俎上にのぼってきたのでありますが、考えてみますと、最近の大学問題は全部医学部関係から発生してきておる。東大紛争においても医学部から、そして日本全国の大学紛争に発展をする。そうして今度は阪大の入学試験というものからまた大きく世論を騒がしておるというので、どうもこの医学教育の問題は、単純に、単なる医科大学の増設で解決するにはあまりにも多岐な問題を含んでおるように私は思うのであります。ことに、また医学教育と厚生省の医療行政の接点にもあるということからしても、やはり根本的に検討すべき問題が私はあると思います。特に阪大の医学部関係から発生した問題を見たときに、教育委員会の委員長そのものが金で入学せしめることに何の抵抗力も持っていない、また子供を持つ医者というものが金さえ出せば子供を入学せしめられるという、いわゆる金力万能の思想の中に入っておる、刑務所の役人は金に対する抵抗力がほとんどなくなってしまっておる、あらゆる国民の階層が、金力万能思想というのか、そういう一つの価値観の問題を含んでこの問題が出ておる。したがって、取り締まりの問題とか医科大学増設の問題で解決できない価値観の問題を含んでおるとすれば、やはりここは人間形成として、教育政策の問題として深刻に考えて解決を願わなければならない。ただいま文部大臣の御報告は当面の問題として報告をされたのでありますが、私が先般の質疑で御希望申し上げたのは、これと同時に日本の医療、医学教育、同時に人間形成を目ざすところの教育政策として掘り下げて、医科大学の教育以前の先行する日本の国民教育全一般についての検討も含んで報告をされることを、私は実は期待しておったわけなんであります。きょうの報告にはそれは隠れておる。おそらくお考えになっておると思いますが、ぜひこの機会に、そこまで含んで、日本の国民教育のあり方の問題として御検討願うことを要望いたしたいと思うのです。なおつけ加えて大臣の御意見をお伺いしておきたいと思います。
#67
○坂田国務大臣 山中先生の御指摘の点は、私も同感に考えておるわけでございまして、やはり終戦後、物のない時代にまず物をつくるということが第一と考えられた、また、それはそれなりに今日の経済の成長というものを招いたことにはなったわけでございますが、しかし、その結果が物中心の世の中になった、あるいはお金万能の世の中というふうに思いがちになってきておる。これは改められなければならないのであって、やはり新たな価値観を確立することが必要です。そのために教育というものがあるのじゃなかろうかというふうに思います。その点がやはり基本にある。そのために私どもは、教育制度全般にわたりまして、幼稚園から大学までの制度改革とも取り組んでおるわけでございます。いずれその最終答申を得るわけでございます。それをどのようにこれから具体化していくかということについて、私どもは責任があると心得ておるところでございます。いずれまた、そういう問題についていろいろお話を申し上げる機会もあろうかと思います。一応ただいまのところはこのような私の気持ちを申し上げまして、御了承を願いたいと思います。
#68
○山中(吾)委員 いまの報告が問題の全部であると思われては困るので、特につけ加えてお聞きしておいたのですから、ひとつ七〇年代の教育改革の課題として、文部省においてはその問題を含んで根本的な検討をするということをひとつ今後忘れないようにしていただきたい。
 ただ一つ、次に私立医科大学の増設について、ある程度国が金を出しても出さなくても、どうも同じ弊害が続くのではないかという懸念が残ってしかたがない。戦前において一つの私立大学をつくるときは、財界で名をなし功を遂げた者が私財を無条件に出して、そしてもう最初から完全に施設ができるだけの財源があり、また利子で経営できるような基本財産をつくり、国はそれを財団法人として認めるという姿においてできたので、戦前の日本の私立大学というものはいまのような問題が起こらなかった。それでなくて現在の学校法人、これは社団法人ですか、これは基本財産その他ほとんど条件は要らないということでできておるものですから、基本的制度の中に少々の金を投じたところで、これは同じような弊害が残るような気がしてしかたがないのですね。この点、ひとつ日本の私立大学の基本的な制度をやはり御検討さるべき問題があるのではないか。ある程度金を出して解決できるとお思いになるのかどうなのか、その辺だけひとつ見通しを聞いておきたい。局長でもよろしゅうございます。
#69
○岩間政府委員 仰せのとおりであると私も思っております。やはりしっかりした財政的な基礎がなくて私立の医科大学をつくるということは、これから先のことを考えますと、いろいろ弊害が起こるもとになるのじゃないかということでございます。しかし、問題はもう一つございまして、これは既存の医科大学につきましても、以前は病院の収入等で教育をやるというふうなこともできたわけでございますけれども、いまの制度のもとにおきましてはそれが非常にむずかしくなっておる。また、人件費の上昇その他もございまして非常にむずかしくなってきておる。これをどうするかという問題もあわせてあるわけでございまして、こういう問題につきましては、先ほど来大臣が申し上げておりますように、真剣に取り組みましてその解決策を見出したいというふうに考えております。
#70
○山中(吾)委員 その答弁からは解決は見込みが立たないのです。だから、財界の大成功した者に文部大臣が先頭を切って、私立大学を設置する場合についてはむしろ旗を振って、何百億という浄財を提供させるような構想で私立大学の増設をやらないと、つくったあと五十億や百億つぎ込んだところで、学生の父兄の寄付というやつはなくならないのだと私は思うので、根本的に検討しなければならない、それが一つ。
 それから医療行政との関係で、先ほど塩崎委員も言ったように、医学生一人当たりに何百万という国費がつぎ込まれておる。また、医者をつくる父兄からいったら、学費の前に入学のときに二千万ぐらいは出すというのだから、一人当たりの医師養成費はそんなものでない。そういうことを考えたときに、大体人の命を預かる医業が、私企業でいいのかどうかという疑問に私は戻ってくるわけなんです。そこで、医療を公営にしろということを簡単にいいますと、今度は医師会のほうがけしからぬというので、政治家は遠慮して知らぬ顔をしているのが実態だろうと思う。しかし、ほんとうは、医療というのは公営医療でなければならぬということは、私は、政治家というものはそんな選挙ぐらい考えないで、一応この機会に原則としてそのくらいのものを掲げて、国民の税金を使う医学教育のあり方から、それからあれだけ免税その他も含んで特典も与えておる税制も含んで、医業というものの適当なる業態は何だというくらいの論議はやるべきではないか。もしそのことを極端にするということができなければ、私は、文部省はあるいは厚生省も公営医療制度、公立病院はどんどん建てて、それから私の医業と公営とを競争させて国民に選択をさす、どちらが親切でどちらがいい治療をしてくれるかという、国民に自由に選択さす機会を与えるべきである。そして、公営がいいということになって自然に社会的淘汰が行なわれるぐらいの政治政策はあってしかるべきじゃないか。私企業保護政策をいつまでも続けることによってこの弊害は永久に残る。だから私は、端的に理想主義的に全部私企業を禁止して公営にせいとは言わない。少なくとも公営と私営を五分五分に自由に競争さすような体制を国がとって、国民に選択をさすというぐらいの医療行政についての考え方が必要ではないか。厚生省、だれかおりますか。その辺についての厚生省の御意見、それから医科大学増設その他を考えておる文部省の御意見を聞きたいと思います。
#71
○松下説明員 ただいまの御質問は、日本の医療制度の非常に基本的な問題に関することでございまして、いろいろな問題を含んでおるのじゃないかと考える次第でございます。現在の医療の体系が、私企業ということばが適当かどうかはいろいろな考え方があると思いますけれども、一応いわゆる開業医制度、それから御指摘のような国公立あるいはそれに準ずるような公的医療機関、そういうものが併存して行なわれていることはいまお話のありましたとおりでございまして、その比率の問題等もございますけれども、国立、公立合わせまして全国で相当数の医療機関はすでに配置されております。いままでよくいわれております問題点といたしましては、むしろ病院と診療所というものの機能分化をすべきではないかというようなことが検討されておりまして、現在の医療は相当総合的な力をもって行なわなければならない面がございます。病院の医療はそういうような性格を持っておりまして、これにつきましては、いま申し上げましたような相当な公的資金が投入されておるわけでございます。反面、いわゆる開業医と申しますか私的な診療所は、住民の身近な存在といたしまして、ファーストエードというわけではございませんけれども、何か健康的な異常がありました場合に気やすく相談ができる存在として大きな意義を持っております。各医療機関の形態は、世界各国の例を見ましてもそれぞれの国の状態によりまして形態が違っておりますので、日本の風土にどういうような形態が合うかということは、これは諸般の要素を勘案いたしまして相当慎重に検討しなければならない点であろうと思います。
 ただ、ただいま先生の御指摘がございましたように、公的医療機関を整備すべきじゃないかという点につきましては、確かに特に医療機関の分布の不平均ということも問題になっておりまして、厚生省といたしましても、たとえば僻地の診療所を公的なものとして設置する、あるいはその親元病院を公的に整備するというような面におきましても相当力を入れてまいっておりますし、また、直轄の国立病院につきましても、年次的な整備計画をつくりまして国民の要望にこたえるというような面でも、一般会計からも資金を投入いたしまして相当な努力を続けてまいっております。要は、日本の形といたしましてはそういった公的医療機関、私的医療機関が、職能を分掌しながら最も国民の医療に必要な協調関係を保ち得るということが基本の思想であろうと思いますので、御指摘のような点を十分に参考とさせていただきまして今後検討させていただきたい、さように考えております。
#72
○山中(吾)委員 現在の政策自体は、公共医療よりも私企業保護に過ぎておると考えておるので私が言ったのですが、たとえば私企業について七二%まで必要経費と認めるというような税制その他における保護、これは私企業の奨励政策だと思うのです。その点を含んでやはりこれは総合的に、日本の医療のあり方を自由競争にしなければならぬのじゃないかと私は思うので、私大の増設に対する方針とか国立はどうするかということについての考え方の基本のパックにそういうことを考えて政策をお立て願いたい、こういうことで申し上げておるのであります。その辺は、大学局長は一つの政策を立てるときに一つの識見を持ってお立てになっているのですから、いかがですか。
#73
○村山(松)政府委員 現在の学校教育法上のたてまえからいきますと、国と地方公共団体と学校法人がいずれも大学を設立し得ることになっておりまして、その間にどれが主でどれが従というようなことはございません。また、設置をする場合に、文部省としては同じ基準にいたしまして、基準に合うものは認める。国立でありますとみずからその基準に当てはめて計画することになりますけれども、国立につきましても公私立と同様大学設置審議会に付議いたしまして、審議会で基準に適合するものと認めたものについて認可するというやり方をしておるわけであります。しかし、何か拡充計画を立てるというような場合には、おのずから公私立につきましては傾向を察知いたしまして大体の見通しを立てる。全体の所要数から、おのずから国で受け持つべき数量的なワクを想定するというようなことで計画を立ててやってまいったのが実情でございます。理工系の増募計画などはそういう考え方でやったわけであります。医学部につきましても基本的には同様かと考えますが、問題は、るる御指摘のように、医学部については付属病院の問題、経費が非常にかかるというふうな問題、それから経常費についてもなかなかやれないというような問題がありまして、私立よりは国公立でやったほうがよろしいのではないかという御意見もかなりあるように承知をいたしております。しかし、従来のやり方を根本的に変えて、国公立が原則で、私学はあまり認めないというような方針をにわかに立てることはいかがであろうかと考えております。国公立にできるだけ努力を傾注し、私学についても基準に合うものについてはこの設置を期待し、助成が必要と認められるところについては従来以上に特段の助成を考えて、要は国公私立合わせまして、水準の高い医学教育機関を必要な数だけつくっていくというぐらいに努力すべきものだと思っております。
 なお、従来以上に国公私立の区分でありますとか、あるいは地域的な配置という概念も大学設置計画に導入するかどうかということ自体、一つの緊急課題であると考えております。
#74
○山中(吾)委員 この点、お伺いしたいことはたくさんあるのですが、次の機会に譲ります。この国会中でまた機会があると思いますから……。
 最後に一つだけ性教育のことについてお聞きしておきたい。
 私は、性の問題というものを教育政策の非常に重要な問題としてまじめに考えているのです。花柳病の防止対策というような厚生行政だけでなくて、また禁欲主義というような精神主義でなくて、人間性の性というものは両刃のやいばであって、性というものを正しく発展さすことによって愛とか献身とか、いわゆる人間性の高いモラルというのはこの性の正しい発展の中の人間形成から生まれる。だから国民教育、道徳教育のキーポイントというのはここにあると思っておるのです。しかし、これが間違ったやり方になれば、残酷性とかあるいは人間形成のひずみというものが性の問題からほとんど出てくる。そういう意味において、やはり人間形成についての教育政策の中で、性の問題というのは人間形成の一番大きい問題として取り上げなければならない。現在いろいろな見方で性の問題が新聞の記事になり、あるいは非行少年の問題になり、時事問題としてだけ残っておるように思う。文部省において、いま申し上げたような見地に立って性と人間形成という立場で検討されておるのかどうか。いかがですか。
#75
○坂田国務大臣 山中さんのお考えは、私も大体同じような考え方を持っております。というのは性、これもまた生命の生、これとまさしく関連があるというふうに思っておるのです。ですから、生命というものを考えるときには生殖ということを考えなければならない。そこで、性教育というような端的な問題が出てまいります。が、これはやはり子供の心身の発展段階に応じた性教育がなされなければならない。したがいまして、たとえば小学校の下級の段階では植物がどういうふうにして発生をし、そしてどういうふうにして育っていくか、あるいは動物はどうなのか、あるいは高学年になればあるいは中学校になれば、男と女というものは身体的にどう違うのか、そういう形で心身の発展段階に応じて性教育というものはやられなければならない。
 私は、もう一つは、同じ性、そしてそれが生命現象の生、それからもう一つは宗教のハイリッヒといいますかセイントといいますか、聖人の聖、これまでもいくものだというふうに思うのです。そういうふうにとらえて初めて教育が非常に大事だ、性教育も大切である、そしてそれは生命を尊重するという問題に入っていくし、そしてそれは人間性やあるいは人間自身が及ばざる絶対者あるいは神と言ってもいい、仏と言ってもいい、あるいはそういう宗教を信じない人は絶対者と言ってもいい、そういうものに対する畏敬の心といいますか、そういうようなもの、つまり聖なるもの、そういうふうに考えていかなければならないのではないか。そのことがもう教育そのものなんだ、そういうふうに私は前提としては考えております。具体的にはどういうふうに展開すべきか、あるいはしたほうがいいか。いつか多田先生でございましたかの御質問に私お答えしたと思うのでございますが、BBC放送でメリーゴーラウンドという映画、テレビが公開されました。これはイギリスではかなり評判がよくて、もてはやされたようでございます。ただ、これが日本の社会でそのままどうかということは、やはり問題があると思います。これは賛否両方があったようでございますけれども、やはり問題がある。そういうぐあいにやはり国が違い、風俗習慣が違うと、同じ観点であってもとらえ方としてはいろいろ違わなければならぬ、違ってしかるべきである。しかし、基本は、私は、先ほど申しましたようなことではイギリスでも日本でも同じだというふうに思っております。日本の小中高の段階において、あるいは社会教育の段階において、どのようにとらえていくかということは十分慎重に検討すべき課題である。先生おっしゃるように、この問題はやはり重要な教育的課題であるというふうに私は認識をいたしております。
#76
○山中(吾)委員 文部省で検討しておるかどうかということをお聞きしたのですが、局長あたりはどうですか。
#77
○宮地政府委員 性教育の趣旨につきましては、いま大臣がお答えになられましたようなことですが、そういうような観点から、性というものは神聖でありますし、さらに健全な異性関係が保たれていく、そのためには男女の自覚と協力に待つ。さらに、そういう観点から学校教育、社会教育上、それぞれ子供たちにこの性教育について正しい知識とモラルを体得させる、こういうことで実は学習指導要領の改定にあたりましても、小学校はこの四月から、中学は次の年、高等学校はさらにその次の年といったようなことで、学習指導要領の改定が進行いたします。道徳におきましては、両性の道徳的な生活態度を養う。さらに知識の面におきましては、保健体育では身体の内分泌機能の発達、さらに男女差あるいはからだの発育、そういうようなことを中心とし、理科におきましては繁殖とか細胞さらに遺伝、こういったような点、特別活動におきましては、これは特にその他の科目のように具体的にあげておりませんが、子供の悩みとか相談とかいったようなことで、その他の面含めまして特別活動における生徒指導の適正といったようなことで、学習指導要領には、特に性教育としてまとめたり性教育ということばを使ってあまり強調いたしておりませんが、いま申しましたようなことで、学習指導要領の改定にあたりましては十分念頭に置いてやっております。一応私から学校教育を申し上げましたので、社会教育は社会教育局長から。
#78
○今村政府委員 社会教育の関係では、昭和二十二年に純潔教育の実施についてという社会教育局長の通達が出て以来、純潔教育分科審議会におきまして、性教育に関する考え方あるいは施策の進め方について議論されております。現在基本にいたしておりますのは、昭和三十年の社会教育審議会の建議、純潔教育普及徹底に関する建議でございますが、その考え方とするところは、大きくいいまして、性に関する従来の偏見を打破すること、ゆがめられた形で性の観念を位置づけるよりも、科学的合理的な基礎の上に積極的に正しい認識を与えること、その内容としては性の大切さ、生命が大切であることを理解させる、両性間の精神的な、肉体的な関係を正しくするための教導を行なう。先ほど言われましたとおり、恒久的な教育上の課題として取り上げなければならないという考え方のもとに、純潔教育の進め方の試案を発表いたしておりますが、これに基づきまして、純潔教育の資料の作成あるいは録音教材の作成配布、社会教育教材映画の選定推奨あるいは家庭教育学級、青年学級等の内容として、これらの内容を取り上げて研究してもらうといったような施策を進めておるところでございます。
#79
○山中(吾)委員 道徳として、純潔教育としてとかいう発想の中に、何かわれわれがほんとうの人間形成というものと性というものについての伝統的な誤りがあるのではないかという感じが私はするのですが、政治でも、経済でも、教育でも、すなおに人間は生物であるということをまず正しく認識して、それを原点として考えなければ、あらゆるあやまちをおかすと私は思っておるのです。そういうわれわれの生物、生命体として自然にそこから出るエネルギー、食欲というエネルギー、これは生命を維持する手段価値なので、新しく生命を創造するという性のエネルギーは、ここから高い人類のモラル、こういうものが生まれてくる。そういう意味に人間性の中における性というものをやはり考え直して、神秘感もとるし罪悪感もとるし、しかし、人間が一つの愛情と結合して初めて性というものが――自然にみずからそういうことを考えるような人間、そこからやはり高い人間性が開発されるのだというような意味のことを、根本的に国民教育の中で正しく位置づけて、考え直す段階に来ているのじゃないか。両局長のお話は伝統的なものの考え方で、深刻にお考えになっていないように思うので、ぜひこういう問題は、文部省の中でひとつ教育目標、教育人間像ということを、人間を原点として考え直すように検討願いたい。
 というのは、生命を維持する手段価値としての食欲という延長線上は、エゴイズム的な経済文化しか生まれない、しかし、生命を創造するという性のエネルギーの延長線にこそ、精神文化というものの花が咲くのだと私は思っている。だから、この生命体における性というふうなものをやはり考え直すべきだと思って、申し上げておるわけなんです。
 さらに、厚生省の人口問題審議会の報告を見ましても、最近日本の人口はこのままだんだん減っていくのだ、夫婦二人で一・九人くらいしか実は生まれていない、このまま人口を維持するには二・一人くらいなければ維持できないという統計があるそうだが、しかし、現在子供を持つ動機がなくなっておる。家族制度の中で家督を残すというふうな動機もなくなった。また、社会保障制度も進んできて、年をとってからめんどうを見てもらうという子供も要らなくなった。現在の住宅難その他で、子供を生んでも困るという一つの政治的欠陥からもその動機はない。そういう、子供を生むよりも、二人でレクリエーションをしておったほうがいいんだという一つの精神的欠陥もある。人間として生命を創造する中で喜びを感ずるという、一つの新しい価値観とか動機がなければ、これはいい子供を生み、育てるということに生きがいを感ずるとか何かのようなものが、もうほとんどなくなってしまうのじゃないか。そういうような人口問題も含んだりして考えるときに、やはり人間とは何だということを根本的に戻って考えていくということから、七〇年代の教育も考えるべきである、私はそういうふうに思う。北欧、スウェーデンあたりのものの考え方も大いに参考にすべきものがあると思うのです。
 いずれにしても、こういうことを国会でしゃべるのは私一人しかないと思うけれども、やはり教育政策の基本問題として、科学技術がここまで進歩し、人間と自然、人間と植物、人間と動物の関係がアンバランスになる。われわれがあらゆるものを生態学的に考えていかなければならぬ、根源的に考え直さなければならぬときに、教育政策の一つの課題として真剣に文部省は考えるべきだ。六・三制の検討もいい、医学教育のなにもいい、また入試問題の問題もいいが、しかし全部時事問題になってしまっている。そうじゃないように、ひとつ具体的に検討願いたい。文部大臣が一つの考え方を申されて、大体私と同じような共通点に立っておるので、具体政策として検討されるように切望いたしまして、お答えを聞いて、私の質問を終わります。
#80
○坂田国務大臣 基本的には、もう山中さんのお考えのとおりに私は考えておるわけであります。これをどう具体化するかということについては、十分検討させていただきたいと思います。
#81
○八木委員長 有島重武君。
#82
○有島委員 先ほど文部大臣から一連の医学教育の問題についての御報告を承りましたけれども、大阪市大の医学部の不正入学の事件が発端となって、こういった医学教育の全般にわたっての御報告となったと思いますけれども、もう時間もございませんけれども、私簡単に医学教育の問題、それから私学の振興の問題、試験制度の改革の問題、こういった三点くらいの視角からそのことを質問させていただきたいと思います。
 最初に、先ほど構想について特別の立法措置の検討を進められておるように聞きましたが、これはいつごろまでに立法措置をなさるのか。
#83
○坂田国務大臣 私が先ほど述べましたところには、まだ立法ということまでは触れておりません。でございますけれども、年次計画等につきましては、もうしばらく時間をおかし願いたいというふうに思っております。
#84
○有島委員 立法のお考えはおありになるわけでございますか。
#85
○坂田国務大臣 現在のところ、これの立法が必要であるかどうかというところはあるとは思いますけれども、ただいまのところは、まだそのようには考えていないわけでございます。ただ、いろいろな思い切った、たとえば私立医科大学に対しての助成をやる、そのかわり入学金等について歯どめをするというようなときに、立法が必要であるかどうかという問題もあるいは出てくるのじゃないかと思います。
#86
○有島委員 先ほどかなり詳細な質問がございましたから、私はもう重複を避けますけれども、医学部の定員につきまして戦後たびたび論議がされてきたわけでございます。そして、こうした医学部の定員がなかなかふえなかった要因は一体何と何であるか。その認識の点でございますが、先ほどもおもに経済問題としてとらえられた、財政の問題としてとらえられた、それが大きな二面であると思いますけれども、そのほかに人的な側面あるいは制度的な面、もう一つには国民生活の中における医療、医学の位置づけの問題、そうした問題が考えられると思いますけれども、大臣のあの構想の中ではちょっとあいまいであると私は思うのですけれども、どういった要件を問題として取り組んでいかなければならないのか、それをもう一度お願いします。
#87
○坂田国務大臣 昭和三十六年でございましたか、国民皆保険制度ができまして、それまでは、そうお医者さんをたくさん養成しなくても済むという考え方に厚生省の当局のほうも立っておられたのじゃなかろうかと思うのです。ところが、国民皆保険制度になりまして、予防医学その他もうちょっとしたかぜを引いてもすぐ病院に行く、あるいは診療を受けるという習慣がだんだん出てきて、それは一面においていいことだと思うのでありますが、そのためにいままでのようなお医者さんの数ではやはり足りないのだということが出てきて、最近になっては絶対数も不足しておるということが一つ。そういう国民皆保険制度というものが一つの原因だと思います。
 もう一つの、国民皆保険制度をとってきた、そうしてそれに対する医療行政といいますか、これはいろいろなものを含めるわけでございますが、そのことがどうもやはり根本にあって、昔のように僻地等に行かない。結局都市にお医者さんが集中してしまっておる。もう少しこれを僻地等に行かせるような医療行政というものがなくてはいけないのじゃないか。あるいは抜本的な医療のあり方。いま厚生省ではそういうようなことを検討されておるようでございますが、そういうものが相まって初めてその絶対数をふやします意味も出てくるので、ただこっちが絶対数をふやすということだけでは、国民全体の医療を確保するということには直ちにはつながらないというふうに考えます。
 その他いろいろ原因があろうかと思います。私はそういうふうに考えております。
#88
○有島委員 そういたしますと、きょう御報告いただいたものは、おもに医学教育の一側面である。それだけでは、ほんとうはどうにもならない問題をたくさん含んでおる。ひとつ以前の問題全部含めましたそうした構想を、近く御発表いただくようになるかどうか、そういった御用意がおありになるかどうか、その点はいかがでしょう。
#89
○坂田国務大臣 一応われわれといたしましては、その絶対数というものに対しての直接の責任省でございます厚生省から、昨年、今後千五百人くらいは確保してほしい、全体の数で申しますと六千人くらいにはしてほしい、そうすれば大体先進国並みの人口十万に対しまして百五十くらいの医者を確保できる、それくらいの絶対数がなければ、われわれ医療行政を幾らうまくやってもそれはどうにもならぬ、こういう気持ちがありましたので、私どもといたしましては、それに応じた絶対数の確保は、そのときになりましてからではやはりだめでございますから、今日から養成していかなければならぬということで、そういう医師の養成計画を検討しておるということでございます。
#90
○有島委員 医師という職業は、一種の独占企業のような形になっているのじゃないか、それだから非常にもうかるのじゃないか、それだから、また入学金ですか寄付金ですか、そうした問題も起こるのじゃないかというようなことがいわれておりますね。そういった問題を全部含めたお答えをさらに期待したいと思っております。
 それから、いま申し上げた不正入試、それから寄付金の歯どめのことでございますね。これをもっと詰めていただいて、立法措置をしなければならないのじゃないかというようなことでございました。これは最近私の聞いた例でございますけれども、私大でもって医学部に入って補欠になっておる状態である。それでお金を納めれば間違いなく入るんだということを内々計われた。七百万円、八百万円、一千万円とランクがございまして、あなたの場合は一千万円なんだ、申し込み書は鉛筆書きでやってもらいたい、受け取りは出さぬということを直に聞いているわけですね。この父兄なんかの場合だと、いま一千万円そろえるには家や土地を手放さなければならぬ。お医者さんの子弟ではないわけですね。ほかのお医者さんの子弟の方もそういうのをお出しになっているらしい。そういうような事実がひんぴんとあるわけです。こういう問題を税制なり法の規制でもってチェックしていくことができるのか。あるいはチェックをし過ぎると、また私立学校への過度の介入であるということになるのではないか。そこら辺のところはうんと慎重に詰めていっていただきたいのですけれども、そういったことについてどういうふうに考えていらっしゃるか。
#91
○坂田国務大臣 誤解のないように申し上げておきたいのでございますが、私は、いまのところはその歯どめに対して立法措置をするということではないのでございまして、ただお尋ねでございましたから、問題点としては立法の必要があるかどうかというようなことも検討はしましょう、ただいまは考えてない、こういうことを申し上げたのであります。そこはひとつはっきり御了承願いたいと思います。
 それからまた、御説のように私学の問題がございますので、でき得べくんばそういうような立法措置ではなくて、ある程度思い切った財源措置をするならば、当然の結果として、これを配分いたします日本私学振興財団が中に入って、五百万円とかあるいは千万円とかいうような寄付がなければ入学ができないということのないようなことをやっていただくことを期待し、また、それはある程度可能じゃないかというようなことも聞いておるわけです。しかし、それがはたしてどうなのかということは、十分検討してみなければならないと思っておる次第でございます。
 先般も日本私学振興財団の理事長の永沢さんとお話をしたことがございますが、いまやっておりまする私学助成程度では、寄付をやめてくださいというふうにして、これをストップさせるということは責任をもってはなかなかやれない。しかし、相当思い切った助成があるならば、それはやり得るであろうということは申されておりました。まあしかし、これは日本私学振興財団理事長のお話でございますし、当該医科大学の先生方あるいは経営者がその点は一体どういうふうに考えておられるか、この辺も私はもう少しお話を聞いてみたいというふうに思っているわけでございます。
#92
○有島委員 私学振興財団のお話が出ましたけれども、広く国民から公募するというようなお考えがございますか。
#93
○坂田国務大臣 日本私学振興財団に対しましては、指定寄付の制度をことし設けまして、免税措置がとられておるわけでございます。でございますから、将来は、私学全体の振興のために広く浄財を集めることは望ましいことだというふうに考えております。しかし、これは人情といたしまして、どうも一般の私学振興というようなことじゃ篤志家の方であってもなかなかむずかしい。そうではなくて、特定の大学の、たとえば講堂をつくるとかあるいは何々研究所をつくるとかいうようなことに対して相当のお金を寄付するということはあり得ると思うのです。しかしその場合、一応私学振興財団を通して当該大学にやるというようなこともできるのではなかろうか。従来はそういう道は開かれておりませんでしたが、今度はその道が開かれたわけでございます。したがいまして、これからはそういうようなこともかなり期待ができるというふうに思っております。昭和四十五年度の寄付金の募集計画が四億六百五十万円でございましたが、本年の二月までに約三億四千五百万円が収納されておるというわけでございます。しかし、まだ初年度でございますので、今後は募集についても積極的に取り組んでいただきたいと考えておりますし、かなりの浄財が集まるのではなかろうかというふうにも思っております。
#94
○有島委員 私立大学の借り入れ金の申し込みですけれども、昭和四十四年度では六百五十億である。これに対して実際の貸し付けが三百六億、その貸し付け率が四六%でございますか、こんなような状態である。それでいまのお話では、私学財団の四十五年度の寄付金の目標は四億六百万ということでございましたですね。こんなようなことでもって、ほんとうに二階から目薬みたいな状態で一体いいのか。それから、私学の中でもいま話題になっております医学の関係になりますと、一般の私学の問題とまたけたはずれなことになるんじゃないのか。私学振興財団はそれは一本でもってやっていくんでしょうけれども、その寄付を財団を通して特定の学校にまた寄付していくんだというようなことが起こりますと、またバランスが非常にくずれてくるんじゃないか。それで、たとえば医学振興財団というような構想が考えられなくてはならないんじゃないかという声もございますけれども、こうしたことについて大臣は何か考えていらっしゃるのかどうか。
#95
○坂田国務大臣 まだいまのところ考えておりません。
#96
○有島委員 次は試験の問題でございますけれども、例の印刷の秘密保持について刑務所側では、これ以上監視をして秘密を保つことはなかなかむずかしいというような発言をしているようでございますね。それで、この印刷について、従来大学側としてはどういうようなチェックをいつやっておったのか。たとえば校閲ですね。それはどの場所でどの段階でやっておられたのでしょうか。
#97
○村山(松)政府委員 大学の入学試験問題の印刷は、大学によって必ずしも一様でございませんが、大体のところを御説明申し上げますと、各大学とも入学試験の問題作成あるいは試験の管理につきましては、教官並びに事務組織からなるところの委員会をつくって、そこが一応の責任を持つ、最終責任は学長ということになりましょうけれども。入学試験のための委員会をつくって、そこで問題作成なり試験の管理をやるというのが通例でございます。そこで、夏ごろから問題を作成いたしまして、秋には問題ができます。そうしますと、入学試験委員会の責任者が大体複数、事務職員帯同で印刷所、つまり国立大学はまあ一部自校でやっているところを除きますと大蔵省の印刷局または刑務所でございますが、そこへ持っていきまして、中身の説明を印刷所の係員にして、問題を引き渡すわけであります。それから次には、このゲラ刷りができ上がりました段階で、同じようにその入学試験委員会の責任者がまあ通例複数、印刷所へ出向きまして、印刷所係員立ち会いのもとに校正をいたしまして、そこでまたそれ以後の作業を印刷所側に頼みます。最後に、大体年を越しまして一月には、問題を印刷所からやはり入試委員会の複数人の者が立ち会いのもとに引き取ります。
 それから先の問題も多少ございますけれども、一応印刷段階におけるチェックとしては、以上のようなことをやっておるわけであります。
#98
○有島委員 それで、今度の事件を通じてそうしたやり方を今後さらに厳重にするとか、何かそういったような処置をお考えになっていらっしゃいますか。
#99
○村山(松)政府委員 それぞれの大学で、さらになお慎重にすべき点はないかということは検討されておられると思います。たとえばこの秘密保持のために、試験問題の印刷に大学名を入れますとこれはもうどこの大学の入学試験問題かわかって、つい悪心を起こすということも引き起こしがちでありますので、大体符号で処理するのが例であります。符号で処理いたしましても、毎年同じような符号でありますといっとはなしにわかるわけでありますから、そこら辺をさらに複雑にくふうをするというようなこともやっておるようでございます。それからまた、そのチェックにしても、もっと回数をふやしたりもっと綿密にするということもあるようでありますけれども、やはり印刷というような大量のものを処理する作業の性質上、なかなかいままでと格段にきわ立った秘密保持の方策というものは具体的にはないようでありますけれども、なお各方面の協力や御指導も得て十分に、より注意すべき点があればそのような方策を講じていくということをそれぞれやっております。
#100
○有島委員 大臣に伺っておきたいのですけれども、その秘密保持の方向を強化するということもけっこうかもしれませんけれども、これはそれぞれ限度がある問題であると思うのです。それで私は、筆記試験重点主義というような問題が解決されなければ、こうした問題はいつまでたってもますます変なところにテクニックが発達していくということは避けられないんじゃないか。それで、はなはだ不毛なる努力が積み重ねられていくということですね。その筆記重点主義に改革するという方向は、まあことしもややその方向が見られるというように思いますけれども、これはほんとうにもつともっと徹底していかなければならないんじゃないかと思うわけであります。それで、その筆記主義重点にかわる、何か今度は重点のかけ方、その方向について大臣はお考えがあると思いますけれども、それを伺っておきたいと思います。
#101
○坂田国務大臣 御承知のように、昨年の七月以来抜本的な改善策につきまして検討を進めて、十二月には中間発表を行ない、各方面の意見を求めておる段階でございます。今後できるだけ具体的な結論をまとめようということで審議を進めておるわけでございます。御承知のように、多少今年度の入学試験につきましても、たとえば高等学校における内申書を見るというところも、かなりの大学がこれを採用しておりますし、東大におきましても、思索をするというか、ものを考えるというか、そういう意味で論述と申しますか、一種の作文みたいなものを課しています。ことしの入学者は浪人が少なくなって、そして現役組がかなりのパーセンテージを占めてきた、五〇%をこえたのではないかと思いますが、これはやはり改善の努力の一つの証左じゃないかと思います。しかし、これはやはりしばらく、何年間か続けてみませんと、ほんとうにそういう成果があがったのか、あるいはそれがいいのかどうなのかということが言えないと思います。
 それから入学試験というのは、この前の委員会におきましても局長から御答弁を申し上げましたように、その客観的ないわゆる筆記による入学試験というものが、高等学校とか中学校とかいう段階の教育をゆがめるという意味における問題があるということで、内申書を重視すべきであるということで内申書を重視してやった。ところが今度はまた内申書を重視すると、各高等学校、まあその前の時代は違いましょうけれども、前段階の学校において学校差を一体どう考えるかという問題が出てきた。それからまた、内申を重視するというが、これがまたそこに情実がからみまして、今度はそれからの問題も起きたというようなこともあって、そういうふうな問題が惹起されるならば、むしろ客観的な統一的な試験をやったほうが公正、公平に行なわれる、こういう考え方で、また現在行なわれておるような入学試験というものが定着した。ところが、それがまた定着いたしますと、新たにその教育そのものをゆがめるということで、別な方向ということになる。ずっと繰り返し繰り返しそういうものがなされておるように思います。もちろんそれは少しずつらせん型のようによくはなっていっていると思うのでございますけれども、そういうわけで、どっちが絶対によろしいというふうにはなかなか言いがたいのじゃないかというふうに思います。しかし、現在のやり方が必ずしもいいということではございませんので、昨年以来、入学試験制度のあり方等について真剣に検討をいたしておるところでございます。また、大学当局も従来に見られない意欲をもってこれにこたえようとしておるので、今度はかなりの成果が得られるのじゃなかろうかというふうに私どもは期待をいたしておるわけでございます。
#102
○有島委員 大臣のおっしゃったお話の裏には、一つこういうことがあるのじゃないかと思うのです。現在あんまりたくさんの人たちが押し寄せてきてしまうから、どうやってふるい落とすかという方向に重点が働いていってしまう。本来は各大学が、うちの大学はこういった人物がほしいのだ、それを拾い上げるための試験ということがほんとうは望ましいんだということが、前提としてあるのではないかと私は思うのですよ。ハーバード大学の試験制度、これは大臣御存じだと思うのですけれども、ハーバードの中でその気になれば飛び切りの秀才ばかり集めることもできる。しかし、そうしたところでそれにどういった意味があるか、学力本位で学生を選び出すと大学社会が同質化する、均質になっていく、そして社会に役立つ人物をほんとうに育てるのだということから逸脱するのじゃないかという反省がハーバード大学ではなされているらしいですね。まず第一番に、願書を出すときに小さな論文を書かせる。それから内申書もあるし、学力テストもするのだそうです。それから面接をする。これが大体二カ月間ぐらいかかってやるのだそうですね。そのあげくに、ある限度の方々をどういったクラス編制をしていくかということでまた六週間費やす、そういうふうにやっているという話でございます。日本の大学ですと、どうやって早くやって早く出すかということが非常に主要課題になっている。そういったことについて改革をお考えになるべきじゃないかと思うのですけれども、いかがでございますか。
#103
○坂田国務大臣 そうなんですよ。日本の制度では、三月に卒業してすぐ試験があって四月に授業が始まるということになっていますけれども、諸外国ではそうじゃなくて、あれは九月でございますかに入学するわけでございます。日本もかつては、私たちのおやじ時代はたしか九月だった。したがって、夏休みをはさみますと二カ月ぐらいの余裕がある。そういうような二カ月の余裕があれば、いまハーバード大学でやっておるようなことも、大学当局としてやれないことはないと私は思うのです。ところが、いまみたいに三月に卒業、試験して四月に入る。全く一週間かそこいらで、大量の入学試験をやらなければならないところに実は問題があるのじゃないかと思います。
 しからば、一体、日本の制度を昔のように九月入学ということに変えるかどうかということについては、これはやはり長所もあるし、また短所もあるということで、まだそこまで踏み切る段階にはいっておりません。能研テストは非常に評判は悪かったわけでございますが、しかし、能研テストのメリットというものは、一つの試験方法では十分人物を見、能力を判定することはむずかしい、いろいろなものを総合すれば能力判定は精度が高いということだけは、能研テストではっきりしていることでございまして、今後やるとするならば、試験も若干やって、内申書も考慮する、あるいは作文等論述も考える、場合によっては面接等もやる、そういうものを総合的にやりますれば入学試験の弊害も是正されるし、同時に、大学が希望する人たちを選ぶことができるのではなかろうかというふうに思っております。
 とにかくいままでは、いろいろな案がありましても、試験をやります大学当局それ自身が、高等学校の話を聞いてみたりあるいは文部省の意見を聞いてみたりというようなことでなくて、いまおっしゃるように、ふるい落としというようなことばかりに頭を向けまして、何かむずかしい、ひねくった問題等がかなり出ておった。そのために受験生が非常に困った、あるいはゆがめられたということがありますが、今後は、そういうふうな点は漸次改善されていくというふうに思っております。また、そうしなければならないというふうに思っているわけでございます。
#104
○有島委員 いまのお話の中で、九月卒業ならばそういったゆっくりしたことができる、四月ではできないんだとおっしゃったように思うのですけれども、それはちょっとお間違いじゃないかという気がするのです。必ずしも入学を九月にしなければそういうことができないということではないのじゃないか、四月だってその気になればできるのじゃないだろうかと私は思うのですよ。現実に採用する企業の側が、長い間かかって、あるいはかなり前から就職試験をやるわけですね。学生側はそれを一つの目当てにして、あと何か充実した勉強をしていかなければならないというような方向にすることも可能だと思うのです。
  〔委員長退席、久保田委員長代理着席〕
それはいいことか悪いことか、企業の場合には弊害があるといわれておりますが、むしろ入学試験なんかの場合には、高校生は、最終学年のときからそういった試験が始まっていくといったようなことも考えられるのじゃないだろうかと思うのです。三日か四日でもってがたがたっとやるのじゃなくて、いきなり二カ月とはいかないかもしれないけれども、一カ月ぐらい十分かけてあげることは可能なのじゃないだろうか。大阪の不正事件はほんとうに氷山の一角であって、いろいろなものが報道されましたけれども、潜在的には、そういったチャンスがあれば自分もそういうふうにやったであろうという人がたくさんいるわけです。こういった問題をただ小手先だけで受けとめて、あとは、大学側がまだその気にならないからなどと言ってはおれないと思うのです。
 それからもう一面、大学側におのおの個性ある教育方針が可能であるような余地を、国立大学であっても今後大幅に許していくということがむしろ大切なのじゃないだろうか。どうしても文部省というお役所があって、そこに一つの基準があって、それに合致していかなければならない。画一的な、統一的なもののほうによっていく。その方法はいろいろ変えようとも、また姿を変えて、何かつてをたどって先取りしていくというようなことが絶えないのじゃないかと私は思うのです。この際、入学試験について各大学でやっといろいろくふうしだした。その一つの要件として少し幅を持たせるという点、これはぜひともやっていただきたいと思うのですけれども、その点いかがでございましょうか。
#105
○坂田国務大臣 あるいは私の答弁が間違っておれば局長から訂正してもらいたいのですが、文部省では、そういうこまかいことまでこうしろああしろとは言ってないと思うのです。だから、むしろ大学それ自身がそういうようなことで試験をおやりになれば、それは通用するということだろうと思うのです。
#106
○村山(松)政府委員 現在の大学の入学試験のやり方は、何度か御説明申し上げたかと思いますけれども、別に法令の根拠は十分でございませんで、通達行政でやっております。通達行政と申しましても文部省の一存で出しておるのではなくて、その中身をなすものにつきましては、大学と高等学校とそれから学識経験者を交えまして、文部省も加わりまして十分討議した結果の合意文書のようなものでございまして、それを便宜文部省大学局長の名前で各大学に通達をして、おおむねこれを標準にやっていただきたい、こういうことでございまして、弾力性のないものでは決してございません。
 ただ一言蛇足を加えますと、弾力性を希望するのは大学側に多うございまして、高等学校側からは、実はあまり弾力性を持たせないでほしいという御要望のほうが強いわけです。弾力性があって大学がいろいろなことをやりますと、たいへん遺憾なことでありますけれども、高等学校側はいろいろな準備をしなければならぬ。それはたいへんだから、入学試験のやり方は、なるべく文部省がその間に入って統一してもらいたいという希望がございます。大学側の希望と高等学校側の希望とは従来しばしば食い違いますのを、時間をかけまして学識経験者を交えて調整した結果、合意に達した公約数的なものを基礎にしてやっておるわけでございます。したがって、何かやろうとしましても、従来のやり方を全く変えない限りは、その三者の合意がなければ文部省でかってにやったところで守られないということで、文部省としてはいろいろな御議論、それから情勢の推移等をそれぞれに御説明をして、できるだけ合理的な合意が成立するように指導してまいっておるのが実情でございます。
 そこで、最近の傾向といたしましては、現在の入学者選抜制度は学力検査偏重で弊害がある。しかし、弊害があるからといって、現在のやり方を全く変えて、何か単純で、全く有効で弊害のないようなやり方というのは、これはむしろ考えられない。とすれば、入学者選抜に有効と思われるいろいろな資料を総合判定するのがよろしいのじゃないか。したがって、そこでこの到達度を調べるところの統一試験の問題、それから高等学校での成果を証明するところの調査書、俗に内申書と申しておりますけれども、その問題、それから能力、適性をためすための論述的な試験あるいは面接、それから高等学校の推薦、いろいろな方法を総合いたしまして、大学ではまたそのどれに重点を置いてどう組み合わせるかということについて、弾力性を持たせたやり方をするのがよろしいのじゃないか。そういうことをやるにしましても、しからば適正な学力検査はどうあるべきか、それから内申書は、そういう客観性を持たせて活用し得るようにするためにはどう改善を加えたらいいか。いまのままの内申書をそのまま重視すれば、弊害が想定されるということも指摘されておるわけです。ですから、総合選抜への方向を目ざしながら、早急に必要な資料を、どのようなものをどう改善しながら用いていくかということに、いま議論が集中しておるわけであります。そういう議論の傾向が大体まとまってまいりましたので、この秋には結論が出るものと考えておりますし、また一部みんなが異存のないものにつきましては、そういう結論を待たないでも各大学で一部実施に移しております。御指摘の、たとえば最近は調査書の重視もふえておりますし、それから推薦による入学も逐年ふえております。それから学力検査問題の中身も、徐々でありますけれども改善されまして、御指摘の論述試験なども採用される学校がふえてまいっております。こういう傾向を、私どもとしては慎重に伸ばしていきたいと考えております。
 それからなお、アメリカにおける選抜方式のことの御指摘がございましたが、私どもも承っております。ただ、わが国にこれをかりに当てはめるといたしますと、おそらくこういう問題が起こってこようかと思います。アメリカにおいては面接等をする場合に、しばしば卒業生有志なども委嘱して面接者として、その人の面接結果なども選抜資料にするようであります。そういう多角的な選抜方法というのは、客観的公平性と申しますか、あるいは逆にいえば情実性の入り込むすきが多いといいますか、そういう懸念がたちまち想定されまして、わが国の実情とにらみ合わせますとなかなか採用しにくいのじゃないかというのが、遺憾ながらわが国の入学者選抜に関心を持つ方々の御意見でございます。蛇足までに申し添えます。
#107
○有島委員 いま局長からるるお話がございましたけれども、大学側はむしろ弾力的な扱いを望んでおる、それを高校側がむしろそれじゃ繁雑になるからというような、そういった意見があった、それでその中をとって、いまちょうどいいところでもってやっておるのだというお話でございましたけれども、大学側が弾力性を持たせたいという発言の根拠と、それから高校側が繁雑で困るというその根拠ですね、それがほんとうに将来の日本をになっていく人材をどのようにつくり出すのかという、そういったベースでもって考えていかなければならないのじゃないかと思うのですね。その辺のことをまたよくお考えいただきたい。私のいま伺った印象では、そういったいまのお話の限りでは、高校からの申し出というのはかなり便宜的な面が多いと思うのですね。それこそ子供本位ではない行き方ということがあると思うのですね。そういったことをやはり見のがしてはおられないと思いますけれども見のがされて、大体こういった意見が多いから、だからこうだ、そういったおきめのやり方は文部行政としてはちょっと足りないんじゃないだろうか、こういうふうに思います。時間でございますので、これでとどめます。
 終わります。
#108
○久保田委員長代理 安里積千代君。
#109
○安里委員 私は、沖繩の施政権返還を来年に控えて、沖繩返還に関連いたしまして沖繩の教育問題について若干所見をお伺いいたしたいと思いますが、院から派遣されました山中委員がこの問題につきましても触れられまして、また御当局からたいへん前向きの御答弁をいただきましたので感謝申し上げます。
 ところで、沖繩の復帰問題はもちろん政治問題でありまするけれども、私は、沖繩が今日復帰を迎えまして、その裏には教育並びに教育に携わるところの教育者の方々、並びに本土政府の文教当局の大きな役割りを認めざるを得ないのであります。教育の面ははなやかではございませんけれども、私は最も大きな問題である、こう考えております。沖繩の復帰問題でありましても、前にも申し上げましたとおり、日本国民としての教育であるということを強く打ち出しまして、いろいろアメリカからの制約は受けましたけれども、日本国民としての教育ということをずっと通してまいりましたし、また本土政府といたしましても、同じような線に沿いまして教職員の研修あるいは教科書の無償配付あるいはまたいろいろな指導、そういった点、すべて日本国民としての方向に向かって、これは私は日本復帰への大きな役割りをそこに果たしたものだと、こう考えます。スポーツ関係でありましても、もう十幾年前に日本に復帰をしたわけであります。
  〔久保田委員長代理退席、委員長着席〕
そういう立場からいたしまして、私は、この復帰の段階にあたりましても教育の問題、復帰後におきまする沖繩の教育は非常に重要な問題であると、こう考えます。そういう立場からいたしまして申し上げたいと思うのでありまするが、何と申しましてもそのような双方の努力にもかかわらず、いろいろな地理的条件あるいは政治的制約、あるいは財政上の問題、そういった点からいたしまして、多くの格差が生じておるということもまたいなめない事実でございます。また、制度の上におきましても、若干の差異ができておるということもいなめない事実でございます。
 そこで、復帰要綱にもいろいろと示されておるわけでございまするけれども、ここでまず総体的にお伺いいたしたいことは、沖繩の施政権返還に対して、この過渡期におきまして、返還するにあたりましていろいろの経過措置というものが当然生まれてくるわけであります。具体的な二、三につきましてはあとで私、お聞きしたいと思うのでございまするけれども、いままでのアメリカの統治下における、異なった統治のもとにおける教育、それからいろいろの格差の生じた教育、そういったことから復帰する段階におきましていろいろの経過措置、そういったものがどうしても必要であり、免れないことであると思うわけでありますけれども、その段階におきまする政府の経過的なと申しますか基本的な方針、どのように切りかえていくかというところの基本的な方針を、簡単にお答えを願いたいと思うわけであります。具体的な二、三の点につきましてはあとでお聞きいたしたいと思いますが、基本方針であります。
#110
○犬丸説明員 沖繩復帰対策の基本方針といたしましては、まず第一に、円滑に沖繩の体制から本土の体制に移行するというために、各種の法令の運用につきましてこれが混乱なく本土の体制に移行するように経過措置をする、それが第一点でございます。それから第二点は、全般的に各種の行政、特に教育などにつきましては本土と沖繩との間に格差がございます。その格差を是正するために、当分の間、特別の措置によって、いわゆる振興法的な構想のもとに、そういう法律をつくりましてその格差是正につとめていく。この二つの点が基本的な方針でございます。
#111
○安里委員 大臣が御退席なさるそうでございますので、実はいろいろの質問をしたあとで私は基本的な問題についてお聞きしたかったわけでございますが、時間がないようでございますので、ただ一つだけ私、お聞きしておきたいと思います。
 いま、いろいろ復帰対策要綱というものがつくられております。その中を見ますと、重点的には、やはり軍事基地をどうするかということと沖繩の経済をどうするかという問題がいろいろ中心でございます。案外教育の面が、もちろん経過措置もいろいろありますけれども、私はおろそかにされているんじゃないか、こう思うところがあります。
 ところで、沖繩の教育にいろいろな差ができましたのも、これは要するに、アメリカの軍事基地に直接間接に原因するものが多うございます。いろいろな騒音の問題、本土にもありますけれども、これが学力にも非常に影響いたしまするし、学校の敷地でも軍用地に取られている問題がございまするし、また現に、御存じでございましょう、小学校の上にジェット機が落ちて幼稚園の生徒たちもけがを受けた、あるいは幼い児童たちが暴行を受けた、学校帰りの女学生が暴行を受けた、あるいはまた法規を守って、交通道徳を守って通行しておる者がアメリカ軍によってひき殺されて、無罪になった、こういったいろいろなことは、直接間接沖繩の教育には非常に影響をしておる問題であると私は思います。したがいまして、教育環境の整備というものは復帰後におきまする沖繩に非常に大事な問題である。そういたしまするならば、いまの沖繩の現状の膨大なる軍事基地、かつアメリカ自身がいっておりますように、軍事優先だというたてまえでいろいろ制約を受けておるのであります。そういう中において、私は、教育の環境を整備するためには、復帰要綱の中にあるいは対米折衝の中において教育の面から強く、政治とは異状な立場において要求さるべきものがありはせぬか、こういうことを考えるわけであります。これを単なる外務省の対米折衝にまかせるのでなくして、教育の面からこの復帰の交渉に対しまする、返還交渉に対しまする基本的な文教当局の考えというものを要求せられるところのものがありはせぬか。
 もう一つには、先ほど山中委員から御質問がございました問題であります。私は、この問題を中心に、ほんとうはなお具体的に大臣の構想を聞きたかったわけでございます。沖繩の置かれておりまするところの地位というものから考えまするならば、確かに東南アジアに対しまする関係、台湾を失った今日におきまする沖繩の亜熱帯の地域、これがアジアに対しまするいわゆる後進国といわれる国々の教育、文化あるいは産業開発、そういった点におきましても非常な貢献をするのは沖繩だと私は思います。先ほどお話がありましたが、熱帯学の問題でありましても、あるいはまた東南アジアに対しまする農業指導、日本自体の中におきまする経験でもっては、地域の違う、気候の違う、風土の違うところの指導はできぬと思います。また、彼らとの間の人事交流、教育というような面でも、こういう点で私は、平和に貢献する上において、沖繩はすばらしい地位をこれから占めなければならぬじゃないか。
 話は別でございまするけれども、これも御承知でございましょう。平和を祈念して平和観音像というのが山田真山画伯の手によって数年来できておりまするけれども、またほんとうに平和の象徴として沖繩に平和公園をつくる、あるいはこれも山田真山先生のお話でございまするけれども、沖繩を中心にして地図の上で円を描きますと、今度の太平洋戦争ですべて日本の作戦地になったところが全部、その沖繩を中心にした円の中に入るといわれております。
 こういう点から、いまは軍事上重要で、安全保障上重要だということが何となく表面に出過ぎておりますが、もっと平和的な教育の拠点として、また東南アジアあるいは世界の日本の接点といたしまして、教育の面から、これは広大なる長い構想を持って積極的に沖繩の教育に取り組まれる、沖繩の教育すなわち日本の教育に取り組まれるというような高邁なるところの見識を文教当局者は持たれるべきじゃないか、このために沖繩が利用されるということでありますならば非常にけっこうだ、こう思うわけであります。そのことに対しまする大臣のお考えをお聞きいたしまして、大臣はもうお帰りになってけっこうでございます。
#112
○坂田国務大臣 沖繩の皆さん方が、アメリカの施政権下にありまして、あらゆる苦汁をなめながら日本の教育を守ってきていただきましたことにつきましては、心から敬意を表する次第でございます。そういうわけでございまして、沖繩が本土に復帰をするという段階におきまして、いろいろ経済的なあるいはその他の問題もございましょうけれども、何と申しましても精神的な沖繩と本土との一体的な関係というものは非常に大事なことでございまして、目に見えないけれども非常に高い比重を持った課題が教育の一体化であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。したがいまして、あるいは教育がないがしろにされておる、復帰に対してどうも軍事優先で、教育ということは前面に立ってないんじゃないかというような御批判もあるかとも思いまするけれども、私どもといたしましては、そうではなくて、やはり教育というものは非常に大事なものであるとして、一番にこれを優先的に考えておるわけでございます。そのために、先ほども山中さんの御質問に対しましても、教育環境の整備に誠意をもって復帰までにでき得ることは最大限に努力をしようということを申し上げておるわけでございます。
 第二番目のお尋ねでございますが、これまた熱帯学であるとかあるいは海洋学という新しい学問の分野、しかも将来、当然のことながら東南アジアに対しましてわれわれが活発に交流、交換し、あるいは貢献をなさなければならない役目を持っているわけでございますが、その場合に、日本列島全体を考えた場合に沖繩が一番、熱帯というような気候、風土から考えましても非常にふさわしいところであるということは、お説のとおりだと私は考えるわけでございまして、沖繩にふさわしいところのたとえば熱帯学研究所あるいは海洋学のセンター、そういうようなものも考えられてしかるべきものであるというふうに考えます。われわれの本土のほうではなかなかできにくいことが、沖繩という気候、風土のもとに、きわめてユニークなものが必ず私はあると思います。そのことでもって今後、日本が東南アジアに貢献するということの道も開けてくるのじゃないか。
 いろいろむずかしい、あるいはマイナス面も経済等につきましてはあるかもしれませんが、しかし、われわれの教育、文化、技術というような面につきまして、あるいは研究という面につきましては、はるかなる、大いなる希望とビジョンを持って対処しなければならない、そのように思っております。それにつきましても皆さん方の御意見等を十分承りまして、私たちのでき得ることを最大限にいたさなければならないと覚悟をきめているような次第でございます。今後とも御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、御答弁にかえたいと思います。
#113
○安里委員 ひとつ大臣のそのような高邁なるビジョンのもとに、沖繩のみならず日本の教育のために精進されることを祈ります。
 それでは二、三、復帰に関係しまするいろいろな問題に関連して具体的な問題についてお聞きをしたいと思いますが、先ほども、沖繩におきまするいろいろな施設などが非常に格差があるというお話でございます。また、大臣からも数字的なパーセンテージのお話がありましたが、少なくとも平均をいたしまして、本土並み類似県の六〇%程度しか保有していないというような現状だと思います。したがいまして、これが本土並みに整備されるということでありますならば、一億五千万ドルも必要だといわれております。円にいたしまして五百四十億も要るんじゃないか、こういうふうにいわれております。この施設の是正ということは、もちろん一朝一夕にはむずかしいわけでございますけれども、当局といたされましては、年次計画であろうと、たとえどのような膨大なるところの経費がかかろうとも、沖繩が切り離されたために、いろいろな制約を受けましたためにおくれましたこういった施設に対しましては、膨大な予算がかかろうともこれを逐次完成していかれるというような御方針があられますかどうか、まずそれを伺いたい。
#114
○岩間政府委員 ただいま御指摘になりましたように、特に学校の施設の面におきましては本土と非常に差があるわけでございますけれども、この問題は早急に解決しなければならないということで、できますれば年次計画をもちましてその充足をはかりたいというふうに考えているわけでございまして、とりあえず復帰を前にいたしまして、先ほど大臣が申し上げましたように、昭和四十六年度におきましては二十六億四千万円、従来に比べまして七〇%以上も多額の経費を一応予算として組んでおるような次第でございます。
#115
○安里委員 いま二十六億のお話も出ましたけれども、この割りでいきますならば、十年以上もかかるというようなことになるかと思います。今後におきますところのその点も配慮願って、すみやかな格差是正ができるようにお願いをいたしたいと思います。
 次に、いまの国費沖繩学生制度も、これは沖繩が切り離されたために起こった制度でございますが、この問題に対しましても、もちろん復帰要綱の中におきまして、一定期間、その趣旨に準じて存続する相当の措置をとることが示されてございます。
 そこでお伺いをいたしますのは、「一定期間」ということばが示されておりまするけれども、どのような期間を予定されておるのであるか、また、現在ある国費沖繩学生制度のその趣旨に準じて処するということでございますが、具体的にその趣旨に準じてということがどういうことであるか、明らかにしていただきたいと思います。
#116
○村山(松)政府委員 国費沖繩学生の趣旨は、もう御存じのとおり、本土の大学に文部省で一定の数を特別に入学のあっせんをするということと、必要な奨学金を差し上げるという二点でございます。したがって、この趣旨に準じた措置というのは、その入学あっせんとそれから学資の援助、二つを含むわけでありますが、学資の援助につきましては、従来は給費でありましたが、給費で存続できるかどうか。本土の奨学制度ですと、すべて貸費制になっております。そういうことで、貸費の問題も含めまして、あるいはその実施期間の問題も含めまして検討をいたしたい、こういうことであります。
 それから、期間の問題につきましては、沖繩の関係の方の御要望も承りました。五年程度という御要望があったわけでございます。そこで、当方といたしましては、復帰をいたしますと本土並みということでありますと、国費沖繩学生のような特別措置はなかなか存続しにくいわけでありますけれども、そういうことであれば、また従来の状況にかんがみまして若干の期間存続に努力いたしましょう、こういうことになっておるわけでありまして、その期間についてはなお関係者の間で協議の上詰めたいと存じております。
#117
○安里委員 もちろん、国費の観念というものは、復帰によりましてなくならなければいかぬと思いますが、いまの奨学金の制度という、実質においては変わりないところの何らかの指導、援助がなされるということであると考えますが、その奨学制度にもやり方がいろいろあると思うのであります。沖繩側の育英会その他の要求といたしまして、毎年奨学資金をというよりは、ある一定の年数のまとまったところの奨学資金を一つの復帰の記念的な仕事といたしまして、これをまとめた基金として、そうして沖繩側からもこれに基金を加えることによって、この基金から生ずるところの果実と申しますか、これによりまして奨学の趣旨を子弟の上に便宜をはかりたい、こういう構想も沖繩側においては提起されております。この奨学資金制度というものを、一度に基金として置いて、これを利用するというような方向につきまして御考慮、お考えになったことがありましょうか、また、こういう制度はどうしても制度上できないものであるかどうか、お伺いしたいと思います。
#118
○村山(松)政府委員 現在あります琉球育英会の復帰後の存続の問題にも関連をいたしまして、そのような御要望のあることは承っております。御承知のように、復帰時点までの沖繩の問題の処理は、政府の沖繩・北方対策庁においてこれが窓口となり、各省の意見を聞いて処理することになっておりまして、そういう問題の処理については、北方対策庁のほうにおいても種々お考えがあるようでございます。文部省も必要な協力もし、あるいは意見も述べまして、そのような御要望が実現できないものかどうかということも含めまして検討をいたしております。
#119
○安里委員 復帰要綱にありますところの私大の問題につきます暫定的な措置というものにつきましては、文教当局から出された案が認められたものでしょうか。私大の関係であります。
#120
○村山(松)政府委員 復帰時点までの沖繩の問題は、先ほど申し上げましたように、沖繩・北方対策庁が窓口となり、関係各省の意見を聴しつつ協力して案を立てておるわけでありまして、現在沖繩にあります二つの私立大学の問題につきましても、内容的な面について状況の調査なりあるいはそれに基づく判断というようなものは、文部省からも沖繩・北方対策庁に申し上げております。率直に申し上げまして、現在の沖繩の私学は、本土の私学に比べまして、きわめて大ざっぱに申しまして、現状が基準に対して半分に満たないような状況でございます。私学の存立というのは、やはり当事者努力に基礎を置きまして、足らないところを国なり公共団体が援助するということでございますので、沖繩の私学が、復帰後若干の援助を加えるとしても存続するためには、従来のいきさつにこだわらず力を合わせることが必要ではなかろうかという考えは文部省も持っておりますし、沖繩・北方対策庁のほうも同様にお考えのようでございます。
#121
○安里委員 沖繩の私学が本土の大学の水準に達しないものであるということは、確かにおっしゃるとおりであります。したがいまして、復帰の段階におきまして直ちに本土の水準に合わないというものをそのまま認めろということも、これは無理なことかとも思います。しかし、ここで一応考えなければなりませんことは、琉球大学につきましては、国立に移管するということによりまして問題の解決を政府の責任においてきわめて簡単に――といえば簡単でありますが、スムーズにいくだろうと思います。しかし、沖繩の教育の実際を考えますならば、この私大の果たしました、私立の学校の果たしました役割りというものは、非常に大きい役割りを果たしてきたと私は思います。
 限られた地域でございますので、教職員、教授陣の陣容、これはよそから得る場合におきましても制約がありますし、あるいはまた本土におきましても、私大振興のためにも政府といたしましても十分に力を入れられたはずであります。もちろん琉球政府といたしましても、私大の振興のためには財政援助も考慮いたしておりますけれども、これは力が及ばないわけであります。そこで水準に達しないということ自体は、やはり沖繩の置かれたところの立場というものがしからしめたものだと私は思います。したがいまして、復帰の段階におきまして、これは本土の基準に合わないから、しいて基準に合わすようにということでありますならば、そこに非常に無理が生ずるのではないか。いま復帰要綱に示されておりますのは、二つの大学が合併を前提にしてやる、もしそれまでにそういう合併もされない、あるいはまた基準に達しないものに対しては、現在の在学生の卒業だけを認めようといったような趣旨になっておるかと思います。これは一般の企業の合同とも違います。また、そう簡単にできる問題ではなくて、学校当局ばかりでなく、これは学生に非常に影響する、父兄にも非常に影響する大きな問題であります。沖繩に私立大学がなければ本土に行けばいいのではないか、こう言われればそれまででありますけれども、これはたいへんな経費の問題もございますし、いろいろな差が出てくると思います。したがいまして、沖繩におきます大学が、基準に達するようなものはとうてい一年の間にできるものではないと私は思います。そうしますと、見込みからいたしますならば、合併するにいたしましてもしないにいたしましても、達しないとなりますと大学はなくなるし、来年からもう新しい入学者は募集できない、琉大は千人しか採用しない、となりますと高等学校を卒業する人々のたいへんな問題になると私は思います。したがいまして、この基準に達しますためには、おまえらやったらいいのではないかというのではなくて、達するためには非常な財政的なあらゆるものの援助、指導というものが私は必要だと思うのです。そういった基盤というものが考慮されないものか。ただ来年の復帰時点までに合併が終わって、そして基準に達するならば、こういうことでなくて、もっと教育の大事、ことにたくさんの受験生ということを考えました場合に、考えなければならぬじゃないか。もしこれに合致しないというと、各種学校にしかならないのではないかと思います。
 私大の問題は、本土でも非常にいろいろな問題があるようでございますけれども、沖繩のこれまでの教育の成果から見ましても大事な問題だと思いますけれども、もう一度、私学の復帰後におきます処置について、文教当局におきましてもっと積極的な助言と申しますか援助と申しますか、そういったことが考慮されて、復帰要綱に示されておるものに対して再検討と申しますか、もっと前向きに適当な指導がされる余地はないものか、お考えをいただきたいと思います。
#122
○岩間政府委員 ただいま大学局長からお答え申し上げましたように、かなり基準としては下回っておりまして、特に一番大事な教員組織につきましては、三分の一程度しかないというふうな現状でございます。ただいま先生御指摘になりましたように、一時的に混乱することがあるかもしれませんけれども、やはり教育というのは長い目で見なければならない。特に学生の立場というものを考えてやらなければいけません。沖繩で教育を受ければ本土の三分の一ぐらいの教育しか受けられない、あるいはそこを卒業した者の学力というものが本土に比べてはるかに劣るというようなことでは、これは将来教育を受けます何千人、何万人という学生の方にもたいへん気の毒なことだと思います。そういう点を考えまして、特に教育につきましては、一時的な混乱はございましてもこの際思い切った措置をとりまして、将来に備えるということが必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#123
○安里委員 そのように単純にお考えになるかもしれませんけれども、すぐもう来年の入学から非常に変わってきて、じゃ本土の学校に行って勉強すればいいではないか、これではあまりにしゃくし定木――しゃくし定木と言っては語弊があるかもしれませんけれども、不可能な問題じゃありませんが、父兄の負担その他いろいろな状況を考えますと、むしろ学生たちの学ぶ道を閉ざすような結果になりはせぬか、こう思います。この点については、もう時間もございませんけれども、もう一度文部当局におきましても十分御配慮を願って、多くの学生たち、それでまた教育の面に混乱を来たさないような御配慮を願いたいと思います。
 もう一つだけ、ちょっと簡単に触れておきたいと思います。沖繩のいまの文化財の問題、この前も私は触れておった問題ではありますけれども、沖繩の文化財は今度の戦争においてだいぶ破壊をされたのでございますけれども、本土の昔の鎖国時代にも沖繩を窓口といたしまして文化の交流があって、それだけに祖先の残された文化財というものは、本土の奈良や京都は別問題といたしまして、ほかの府県にない国宝級の文化財もあったと考えております。こういったものの復元ということは、教育の面からも大事でございますし、また文化の面からも非常に大事な問題でございます。この保存、復元ということはもちろん当局においてもお考えになって配慮されておられるようでございますけれども、沖繩の場合においてこのものの積極的な構想が打ち立てられぬものか。なお言いますならば、祖先の文化財の復元というばかりではなくして、先ほどちょっと大臣にも申し上げておったのでありますけれども、沖繩におきまして数年前から一生懸命やっております平和観音像の建立、こういったものが平和公園の一もちろん文教当局の直接の管轄じゃありませんが、そういった平和的な施設、あわせて文化財の復元、こういったものにつきまして文教当局といたしまして基本的なお考えがあられるかどうか。現在いろいろな文化財の保存、復元というようなことがいわれておりますけれども、これに対します基本的なお考えをお聞きいたしまして、また将来に対しますお考えなどもあわせて聞かせていただきたいと思います。
#124
○安達政府委員 戦前、沖繩の文化財で国宝に指定されていたものが十五件ほどあるわけでございまして、これらの多くのものが戦災で損壊または滅失しておるという残念な事態になっているわけでございますが、戦後沖繩におきまして文化財保護法等が制定されまして、それによって文化財の保存、修理について御努力をいただき、本土政府といたしましてもいろいろな専門家の派遣とか、あるいは四十五年度からは事業費の補助等によりましてそれらの事業の振興、促進をはかっておるところでございます。
 お尋ねにございますところの文化財の復旧という、すでに破壊されてしまったものをさらにもう一度復元するということでございますが、その場合の点といたしまして、やはり文化財の観点から考えますと、十分な記録があって復元できるだけの史料が整っておるということが第一要件でございます。それからまた、建物という場合に考えますと、やはり基本的にはむしろ残っているものを修復するというような考え方でございます。ただ、いま私どものほうで復元を考えられますのは、史跡というような地域にあって、しかもそれが史跡の重要な要素であるというような場合におきましては復元を考えるというのが、現在本土においてとっております考え方でございます。そういう考え方に立ちますと、たとえば首里城にございました正殿というようなものは、これは沖繩最大の指定建造物でございまして、戦前国宝の指定を受けておりまして、昭和六年にこの解体修理を行ないました関係で模型が現に現地の博物館にございますし、またいろいろな史料等も文化庁にもございますので、こういう史料をもとにいたしまして復元につきまして積極的な前向きな姿勢でいきたいということで、明年度の予算にその調査費といたしまして百万円ほどが計上されておるという考え方でございますので、われわれといたしまして復元の問題につきましては、先ほど申し上げました二点を基本的な考え方といたしまして、できるものはそういう観点においての復元等も前向きに考えていきたい、こういう方針でございます。
#125
○八木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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