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1970/02/16 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第7号
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1970/02/16 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第7号

#1
第065回国会 大蔵委員会 第7号
昭和四十六年二月十六日(火曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君
   理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君
   理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君
   理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君
      奥田 敬和君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村武千代君
      佐伯 宗義君    坂元 親男君
      高橋清一郎君    登坂重次郎君
      中島源太郎君    中村 寅太君
      原田  憲君    松本 十郎君
      森  美秀君    吉田 重延君
      阿部 助哉君    佐藤 観樹君
      平林  剛君    堀  昌雄君
      小林 政子君
 出席政府委員
        内閣法制局第二
        部長      林  信一君
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵省理財局長 相澤 英之君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
 委員外の出席者
        農林省農地局管
        理部長     堀川 春彦君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 預金保険法案(内閣提出第一三号)
 貸付信託法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一四号)
 国有財産に関する件(国有農地の払下げ問題)
     ――――◇―――――
#2
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
#3
○平林委員 預金保険法につきまして、先般当委員会で参考人をお呼びいたしましていろいろ御意見を聞かしていただいたわけなんですが、その内容は大体承知いたしておりますけれども、あらためて、そのときも問題になりましたけれども、ほんとうの意味の預金者保護というのは、単に預金保険法をつくるだけじゃない、真の預金者保護というのは一体どういうことであるかという問題が議論になったわけでございます。この点につきまして、大局的立場から真の預金者保護、これは一体どういうものであるかというお考えをまず聞かしていただきたい。
#4
○近藤政府委員 お答え申し上げます。
 真の預金者保護ということは、ただいま御指摘がございましたように預金保険法をつくることだけではないわけでございまして、まず第一次的には、金融機関自身が健全経営の精神に徹しまして十分堅実な経営を営む。第二次的には、金融行政、検査等におきまして十分の配慮を払いまして、いやしくも預金者に対して預金が支払えなくなるというような状態、そういう状態を絶対に避けるという方向で行政指導が行なわれる、あるいは検査が行なわれるということが大事なことであろうかと存じます。さらに最後の手段といたしましては、ただいま御審議をいただいております預金保険、そういうものによって保険されるということも、これまたたいへんに有力な手段であろうかと存じます。それによりまして、少なくとも預金の安全性につきましていささかの不安もないという状態にすることが、第一の問題であろうかと存じます。
 それから、さらに預金の、いまのは安全性の問題でございますが、もう一つ収益性の問題、いわゆる預金金利等の問題でございます。これにつきましては、金融機関が健全経営に徹しつつも、片方において極力その利益を預金者に還元するということによりまして、広い意味での預金者保護をはかってまいるということも、これまた必要なことであろうというふうに考える次第でございます。
#5
○平林委員 大体私も、金融行政の立場から大蔵省当局において御指導なさる基本的な考え方は、いまお述べになったようなことだと思うのでありますが、そのほかにも、大体預金金利を上回るような物価の上昇がない経済にするということも大事なことでありますし、インフレによって貨幣価値の下落をしてしまうというようなことでありましては、真の意味の預金者保護にはならぬ、こういうこともつけ加えておかねばならぬと思うのであります。
 そこで、いまお述べになりました中で、金融行政の検査につきまして十分意を払うべきである、これも預金者の保護であるというお話がございましたので、当面する金融機関に対する銀行局検査の重点はどういうところに置かれるのか、そういう点をまずお話を聞かしていただきまして、具体的な問題について私は銀行局の検査行政について触れていきたいと思いますから、金融機関に対する銀行局検査の重点はいろいろあるでしょうけれども、当面はどういうところに置かれるかをまず大綱的にお聞かせをいただきたい。
#6
○近藤政府委員 昨年の不祥事件の続発というような事態にかんがみまして、私どもといたしましては検査の充実ということに全力を尽くしてまいらなければならないと考えておるわけでございますが、御高承のように、予算、定員ともに急激な増加をするということは非常に困難がございますので、当面、検査の重点といたしましては、まず大蔵省検査あるいは財務局検査という段階におきましては検査のやり方にくふうを加える、それによりましてできるだけ頻度を高めて検査を行なう。片方において精密検査をやると同時に、他方におきまして簡易検査を頻度を高めて行なうというようなやり方の変化によりまして、従来よりも弾力的、機動的な検査が行なえるという方法が一つ考えられるところでございます。
 それからもう一つは、何ぶん役所としての人員、予算等に限りがございますので、金融機関の内部検査体制の充実ということに一つの力点を置きまして、内部検査のやり方についての指導あるいは内部検査要員の充実、と申しますのは、具体的には金融機関内部の人事の問題などに関連いたしまして、検査要員に優秀な人材を集めるというような方向の人事交流をやってもらうというようなことを通じまして、金融機関の内部検査を刺激する。大蔵省検査の際にも、その内部検査の事跡を追跡いたしまして、内部検査の充実をはかってまいりたいという方向、そういう方向を当面の方向として考えておる次第でございます。
#7
○平林委員 なお銀行局検査の重点につきましては、今日の複雑な機構あるいはオンライン方式の採用などに伴いまして、当面考慮を払ってもらわなければならぬ問題点もございますけれども、私はきょうは少し問題をしぼりまして、具体的な事例でございますけれども、ただいまお話がありました金融機関に対する検査行政をからませながら当局に対してお尋ねをしてまいりたいと思うのであります。
 私がきょうここで取り上げる問題は、ある信用金庫の問題であります。この信用金庫の理事長は長い間、つまり二十年間、市長の仕事を兼職をいたしておりました。いまは市長職を離れましたけれども、市長時代の助役が専務になりまして、金庫の運営をいたしておるのであります。ただいま金融機関検査について、金融機関の内部検査の充実をはかる、こういうお話がございましたけれども、この金庫は、元の市長さんと、助役さんが専務になりまして、そしてこの金庫を運営しておる珍しい金融機関であります。しかもその理事長は、最近名誉市民の称号までもらうという名誉の立場を得た。その信用金庫の運営をめぐりまして、実はいろいろと取りざたがあるわけであります。
 その一つの事例といたしまして、最近取引関係の一中小企業から、一つは、一億数千万円にのぼる借り入れ金増大は金庫の操作によるものだ、二つには、他のこげつき債権をこの一中小企業に肩がわりを頼んで、その肩がわりをしてやったのにかかわらず返済義務を履行していないから、その立てかえを二千万円以上支払えと、信用金庫といたしましては、その信用性からも社会的責任かちもどうかと思われるような訴訟が実は出されておるわけなのであります。大蔵省としてはこの事実を御存じでございましょうか。
#8
○近藤政府委員 ただいまお述べになりましたとおりの事実があるということを承知いたしております。
#9
○平林委員 このある信用金庫とは小田原の信用金庫であります。理事長は鈴木十郎氏、最近では名誉市民の称号まで受けられた名誉の人が運営する信用金庫であります。私は、銀行局長がその事実があることを承知しておると言われましたように、この信用金庫の運営ぶりに対する批判とともに、この問題は社会的問題の一つであると考えておるわけなのでございます。
 訴訟の当事者は、自動車の販売修理を業とする資本金千五百万円の中小企業であります。この企業で実は昨年の十月の末に不渡り手形の発生がございました。地元の新聞では、このために倒産をしたと伝えられたわけであります。ところがいままでこの企業はいろいろの会社の支援のもとに営業は継続中であります。倒産をしていません。のみならず、いま信用金庫を相手にして訴訟を提起したことに対して拍手かっさいを送って、陰ながらこれを声援をしておるという姿があらわれておるわけなのであります。
 そこで私はこの問題につきまして調べてみたわけでありますけれども、私が抱いた疑問は、第一に、その取引先に対して相当の因果関係があったにかかわらず、わずかの不渡り手形の発生を機会にその企業を取りつぶしにかかっているのでないか、これが私の疑問なのであります。普通の金融機関でありましたならば、取引をしておるところの企業に対して、不渡り手形を出された、そういうときには、従来の取引が重ければ重いほど、どうだろうかこうだろうかといって心配をし、正しい意味のサービスあるいは経営指導というものに当たるというのが、私は金融機関に課せられた社会的な責任、公共的な義務というものであると思うのでありますが、ここではその不渡り手形の発生を機会に企業の取りつぶしにかかっているのではないか、こういう疑問がございます。いまなおこの企業に対しては、三億三千万円をこえる債権がある企業で、再建計画の話し合いなどをしないで、弁済整理の計画案の折衝中、いきなりその担保物件を競売に付した。金融機関としてはすこぶる乱暴なやり方であります。私はいままで幾つかの金融機関を見てまいりましたけれども、かような乱暴な措置をとられた金庫、特に信用金庫にお目にかかったことがありません。こんなことは普通あり得るのでしょうか、この点についてひとつお答えをいただきたい。
#10
○近藤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、金融機関の現在の社会的な強さと申しますか、社会的な地位、そのようなことから考えまして、一般取引先との関連におきまして、いわゆるあこぎなやり方、しぶりというものがあってはならない。そういうことがあれば、金融検査等を通じて十分に取り締まる必要があるということを、私昨年の四月に参議院の大蔵委員会でも申し上げた記憶があるわけでございますが、ただいまのケースにつきましても、目下訴訟になっておるということを承っておりますし、さらに十分調査をいたしてみたいと考えております。
#11
○平林委員 私はこの問題を検討いたしまして、もう一つ持った疑問がございます。それは、信用金庫側としてはある意味では債権の保全というような理由はあったかもしれません。しかしそれならば、昭和三十八年当時から今日までの取引の中で、いま千五百万の資本金の企業でございますね、それに三億円に近い貸し出しをすること、これは一体どうなのか。――いや、昭和四十年当時はわずか六百四十万円程度の資本金の会社に、昭和四十一年九月末で調べてみると、実に三億三千六百七十二万円もの融資をしている。六百四十万円程度の資本金の会社に三億三千六百七十二万円という融資をしておるのであります。私は、金融機関はその融資にあたって一定の限度があると考えておるわけなんでありますが、このことについてはどう理解すべきか。大蔵省といたしましては、その金庫運営についてどのような行政指導を行なわれてきたか、これも私はさかのぼって考えてたいへんな疑問を感じているわけであります。これについてはどうお考えですか。
#12
○近藤政府委員 その点についても御指摘のとおりの問題があろうかと存じます。ただいまその点をさらにさかのぼって調査をいたすこととしたいと思っております。
#13
○平林委員 もう一つ私は疑問を提起しておきます。
 ただいま申し上げましたように、わずか資本金六百四十万円の企業に対する信用金庫の融資残高を調べてみますと、こうなっています。昭和四十年で一億四千六百九十一万円、昭和四十一年で二億七千百六十七万円、昭和四十二年で三億三千六百七十二万円、昭和四十三年で三億五千三百四十一万円、この融資限度をはるかに越えていることももとより、歴年その金額がふえているのであります。しかも資本金わずか六百四十万円――最折は千五百万円に増資をいたしましたが、それにもかかわらず四十年から四十三年にかけてついに三億五千三百四十一万円までとにかくふえていった。
 私は、この間このように借り入れがふえたというのはどこに原因があるか、これは銀行局でひとつお調べをいただきたいと思うのでありますが、今回の問題点は、このように借り入れがふえたという中には、一つに他の企業のこげつき債権を特別の関係を持ったこの会社に振り向けて操作したのではないか。異常な融資の増加から見まして、この企業と信用金庫の間には何らかの重大なる結びつきがあると私は感じたのでございますけれども、同時に、このふえ方の異常さから見まして、他の企業のこげつき債権を特別の関係を持ったこの会社に振り向け操作をしたのではないかという疑問。
 第二に、その中小企業の経営者が経営能力がなかった。帳簿もあまり的確でない。そういうような経理能力がないことをよいことにして、手形なども一ぺんに白紙のやつを何十枚持ってこいとか何枚持ってこいとかいうようなやり方をやりまして、ほとんど金庫がその運営に当たっていたという事実が見受けられること。そこで私は、経理能力がないことを利用して何らかの操作があったのではないかという問題点があると思うのであります。特に、この経営者は、地元の有力な信用金庫に頼まれるとすっかり感激してしまうような人のよさも一面ありますから、結局これを利用して手形操作の借り入れ金の増をはかったのでないかという問題点。
 第三には、この会社は不動産銀行から昭和四十二年に八千万円借り受けをしております。私は、これだけ債務がある、しかも小さな機関に、さらに不動産銀行が八千万円の融資をしたということがはなはだ常識で考えられないのでございますけれども、実はこのことは、信用金庫側でかってにそれを折衝して、そして代理貸し返済などに充てていったのではないか。そうしてそれは、つまり純債、債務の返還に充てないで、当の取引先の意向も聞かずにかってな操作が行なわれていたのではないか。
 こういうような不可解な点が考えられるわけであります。このことが今日いま訴訟提起した理由になっておるようでございます。私は、この間の事情は大蔵省としても具体的に調査に乗り出すべきではないかと思うのでございますけれども、銀行局長はさかのぼってこの調査をしてみたいというお話でございます。それは了解をいたしますが、最近はいつこの金融機関を検査したか、その点をこの機会に明確にしておいていただきたい。
#14
○近藤政府委員 一番最近の検査は四十四年九月九日でございます。その前が四十三年八月でございます。この周期が比較的短いゆえんのものは、ただいままで御指摘のような問題点が多いということで、特に周期を短くして検査を行なったわけでございますが、先ほど来のお話のようにいろいろと問題があろうかと存ぜられますので、さらに十分調査をいたしたいと考えております。
#15
○平林委員 四十四年の九月九日以降検査がございませんが、その聞こうした問題があったのでございまして、それにもかかわらずこれらの点が明確になっていない検査行政、私はその点は、先ほどお話がありましたような金融機関の健全な運営という角度から見て、なお突っ込みが足りないのではないだろうかという疑問を実は感じておるわけでありまして、今後の検査にあたりましてはさようなことが疑われないような御努力をしていただきたいと思うのでありますが、なお調査すべき点を指摘しておきます。
 一つは、昭和四十二年当時、小田原信用金庫の本店営業部次長が三百万円の預金使い込み事件を起こしました。これは大蔵省に報告がありましたか。
#16
○近藤政府委員 ただいま手元に資料を持っておりませんが、たぶん報告はあったであろうということでございます。
#17
○平林委員 私の承知しているところ、報告がなかったのではないかという疑いがございますので、この点も御調査を願いたい。
 次には、いまの専務は、先ほど申し上げましたように理事長が市長時代の助役であります。その前の専務は昭和四十三年、どういう理由であるかわかりませんが、辞任をされております。人のうわさでは、この専務は悪いやつだというようなことを最高責任者が述べておるということも聞いております。この背景に何があるかといううわさもいろいろあるわけであります。この事情はどうなのか。これもたぶん御存じがないことかもしれません。ひとつ留意をしてその背景を調査する必要がございます。これは箱根開発の株式会社の問題に関連する事件が内蔵しておりますから、これについてやはりその背景を調べて、何かあったならばそれを将来どう正していくかということは、今後の行政指導の中に取り入れるべきであると考えております。
 第三、私は数年前に、信用金庫のような金融機関の運営責任者は、市長などの職務を兼任することは将来問題が起きるのではないかということを指摘したことがございます。当時大蔵省のお話では、私尋ねましたところが、常勤であるという届け出が出されているという話を聞いております。ところが市会のほうでは、これは非常勤であるということで、十分市長と理事長は兼務できるということを弁明をされております。大蔵省の届け出は常勤でありますから、当然常勤としての理事長手当を受けております。議会では、市長の手当と、そして常任の理事長の手当を受け取っているのは、二重受け取りではないかといってだいぶ議論になったことがございましたけれども、いや非常勤で届けてあるというようなことであります。これは実際にはどうも常勤として届けられているのではないか。この届け出はどういうふうになっていたか、これももしおわかりでしたらお答えをいただきますが、おわかりでなければ調べていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#18
○近藤政府委員 ただいま御指摘のとおり、たぶん常勤として届けられておったように思います。なお調べてみたいと思います。
#19
○平林委員 このような点に、いまの銀行局長、あるいは中小金融課長の時代ではございませんでしたけれども、私が数年前指摘したことに対して、どういう行政指導をなさったか。かつ、これは小田原だけじゃありません。まだ三、四、私の記憶ではこうした役職を兼任しておる信用金庫がございます。これに対してはどういう措置をとるか。他山の石として私はお考えをお聞かせいただきたい。
#20
○近藤政府委員 市長等の職務を金融機関の理事長が兼務いたしますことは、原則としてあまり好ましくないことというふうに考えております。したがいまして、二、三年前平林委員からたしか当委員会におきましてその趣旨の御指摘がございましてから、できるだけ兼務をなくしていくという方向で行政指導が行なわれたというふうに聞いております。ただいま問題になりました金庫につきまして兼務でなくなりましたことにつきましても、そのような行政指導の結果であったというふうに受け取っております。
#21
○平林委員 信用金庫法の第三十三条には、「金庫の常務に従事する役員及び支配人その他の職員は、他の金庫若しくは会社の常務に従事し、又は事業を営んではならない。」ということがございまして、ただし書きは「大蔵大臣の認可を受けたときは、この限りでない。」とございますけれども、この場合、私が注意した後においても、市長兼務信用金庫理事長が続いてまいりました。これは一体大蔵大臣が認可したものであるかどうか、こういう点も問題があったと思うのであります。私はその問題を追及する前に、すでに私がかつて指摘したとおり、今日こういう事態が発生するという遠因を考えてみたならば、やはり信用金庫法三十三条の規定は、これを守るような指導が適切に行なわれなければならぬということを感ずるのであります。
 そこでお尋ねしますけれども、これから検査が行なわれる。ここだけに限らず、すべての金庫においてもあるいは金融機関においてもかようなことがないような御指導が必要だと思うのでありますけれども、大蔵省の金融機関に関する検査で、もし帳簿だとか書類だとかの隠蔽が行なわれたり不実の申し立てがあったならば、銀行局としてはその金融機関に対してどういう措置をおとりになりますか。
#22
○近藤政府委員 情状が重い場合には役員の解任とか業務の停止とか、あるいはさらには免許の取り消しというようなところまでも含む措置をとることになろうかと考えております。
#23
○平林委員 この件も金庫法第九十条に、こうした違反行為をした者は「一年以下の懲役」または十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」ということがございますし、行政指導の面ではただいまお話しになったようなことがあり得ると思うのであります。いずれにいたしましても、きょうは問題として取り上げませんでしたけれども、協和信用金庫の浅草支店の八億円の背任事件のごときものは、富士銀行の十九億円事件に比較いたしますと、預金量の比較その他から見て、かなり深刻に考えなければならぬ問題がございます。このこともございますし、また最近相次いでこの種の問題が続いておるときでございますから、銀行局としての金融機関の検査にあたりましては、かりにも形式的な、あるいは向こうの言い分をそのままうのみにするような――最近は一種のなれ合い検査などということがいわれておる、それは公害の問題でございますけれども、銀行局はこのようなことのないようにひとつ御努力を願いたいということを申し上げたいのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
#24
○近藤政府委員 いろいろと具体的事情をあげて御指摘をいただいたわけでございますが、銀行検査にあたりましては、いやしくもなれ合いというようなことを言われることのないように、従来にも増して努力をいたしてまいりたいというつもりでございます。
#25
○平林委員 次の問題に移ります。
 今度は預金保険法につきまして、やや逐条的になるかもしれませんけれども、幾つかの問題点についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 まず、この法律の第三条に「預金保険機構は、法人とする。」と、こう書いてあります。具体的にこの名称は、どこかに事務所を設けるわけでございましょうけれども、その事務所に掲げるときも「預金保険機構」と、こういうふうに看板に書くのでしょうか。それから、事務所は大体どこいら辺を考えているのでしょうか。具体的なことでありますけれども、預金保険機構というものを私どもはっきり認識するために、平凡な質問かもしれませんけれども、具体的な、実際にできたときはどうなるのかという角度からちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
#26
○近藤政府委員 看板は「預金保険機構」という名前で出すことになろうと存じます。
 それから事務所につきましては、できるだけ簡素にするという趣旨から、でき得ればどこか既存の建物――既存の建物と申しますか、たとえば日本銀行であるとか、そういうようなところの一部を借用できれば一番いいかと存じてはおりますが、いまのところまだそれらの具体的な点につきましては全く話が詰まっておりません。もちろん法案を御審議いただいておる最中でもございますので、それらの点につきましては一切話は進んでおりません。
#27
○平林委員 第五条関係で、この預金保険機構の資本金は、「政府及び政府以外の者が出資する額の合計額」となっておるわけでございまして、今日までの御説明を聞いておりますと、政府が一億五千万円、日銀が一億五千万円、金融機関が一億五千万円、こうなっておるわけです。政府や日銀の出資は別にいたしまして、金融機関の出資の割合は何を基準にしておきめになりますか。
#28
○近藤政府委員 預金額を基準といたしまして業種別に配分するようにしたわけでございまして、現在のところ業界内の自主的な話し合いでは、都銀と長銀が合わせて五千六百万円、それから地銀が三千万円、信託銀行が千四百万円、相互銀行及び信用金庫がそれぞれ二千万円、信用組合が一千万円という予定でございます。なお、都銀、長銀の場合には各金融機関が個別に出資をいたします。それ以外の金融機関におきましては協会がまとめて出資をするということに相なっておるようでございます。
#29
○平林委員 この資本金は発足にあたっての割合だと思うのでありますけれども、将来資本金を増加するようなことがあり得るのか、それはどういうときが予想されるかということはいかがでしょう。
#30
○近藤政府委員 ずっと将来におきましてはあるいはそういうことがあり得るかということで法文の規定はなされておりますが、当面現実の問題といたしましては、増資の考えは全くございません。
#31
○平林委員 第二十条、第十六条に関係する問題でありますが、ここに委員が七人以内で、機構には理事長及び理事というようなことが掲げられておりますけれども、職員は置くのでしょうか、その規模はどのくらいでしょうか。
#32
○近藤政府委員 職員も置かざるを得ないと存じますが、ただ全体をできるだけ簡素な機構にするという趣旨から、ただいまのところ十名前後を考えております。
#33
○平林委員 この「委員は、報酬を受けない。」と規定されておりますけれども、職員の場合――「旅費その他職務の遂行に伴う実費を受ける」というふうに書いてあります。あるいは職員も、報酬は受けないけれども、旅費その他職務の遂行に伴う実費は受けることになろうと思いますが、これらはどのような経理でまかなうのか。
#34
○近藤政府委員 その経費につきましては四億五千万円の資本金の運用益によってまかなうつもりでおります。概算三千万円程度の運用益が出ようかと存じますので、それによりましてただいまの職員の経費、それから委員の出張旅費等をまかなうことになろうかと思います。
#35
○平林委員 先般の参考人の御意見の中で、ただいまの資本金のほかに国庫余裕金などを積み立てる必要がある、むしろこれを積み立てるべきであるというような御意見がございましたが、これについてはどう考えますか。
#36
○近藤政府委員 ただいまそういうことを特にやるということは全く考えておりません。
#37
○平林委員 第三十五条関係で「業務の委託」という問題がございます。「機構は、大蔵大臣の認可を受けて、日本銀行又は金融機関等に対し、その業務の一部を委託することができる。」とあります。どういうふうな業務を委託することを予定しておりますか。また委託に要する経費はどこから支払いますか。
#38
○近藤政府委員 実際に支払いを行ないます場合に、まず必要な事務は名寄せでございます。それから現実に支払いを行なうという事務がございます。その両方を委託するということを考えております。なおそのための経費は機構から支払うということに相なります。
#39
○平林委員 私は、特に支払い事務の委託等につきましては、皆さんが想像しているようなことで済むのか済まぬのか。これはそうした事故の発生に伴いまして、その規模あるいはその業務の複雑さ等によって異なると思うのでありますけれども、おそらく将来、委託に要する経費については、ただいまお話があった資本金の運用益の中でまかなうということが不可能になってくる事態があり得るのではないか、あるいはまたそれを想定すべきではないかということを考えますと、資本金等についての増額あるいは国庫余裕金の積み立て、預託というようなことは考えねばならないときがあるのではないか、あるいは考えたほうがよいのではないかという考えを持っております。いまのところは政府の御説明を逐条的にお聞きするにとどめます。
 次に、第五十条に関連いたしまして、保険料の問題であります。今度この預金保険機構が正式に発足してまいりますと、保険料の支払いがある。法律にはいろいろこまかく規定しておりますけれども、私はこの規定のこまかいことでなくて、もっとわかりやすく、たとえば富士銀行は幾らの保険料を支払うか、住友銀行は幾らの保険料になるか。これはあくまでもこの法律の規定に従って、現在の預金量に従って計算したならばどうなるかというようなことをお聞かせをいただきたい。なお参考のために、信用組合など一番小さい規模のところではどの程度の額になるでしょうか。上限と下限とのお話を聞かせていただければ、大体保険料の収入というものはどんなぐあいになるかということがわかろうかと思いまして、具体的にひとつお聞かせいただきたい。
#40
○近藤政府委員 保険料率が、金融制度調査会の答申では一万分の一ということでございますが、私どものきわめて大胆な試算ではじきますと、一万分の一までは要らないかもしれない。十万分の六程度でおそらくは済みそうであるという、これはきわめて大胆な試算でございますが、それではじきますと、富士銀行、一番大きな銀行の場合に年間の保険料が一億五千万円ぐらい、それから一番小さな信用組合で年間の保険料が千三百円ないし千四百円、これはただいまの預金の高で試算をいたした場合でございますが、大体そういうことになっております。
#41
○平林委員 保険料は現金納付のたてまえですか、あるいは国債、金融債で充てることがあり得るのですか。
#42
○近藤政府委員 これはすべて現金納付のたてまえでございます。
#43
○平林委員 保険事故について、これは四十九条の関係でございますけれども、「金融機関の預金等の払戻しの停止」や「金融機関の営業免許の取消し」、信用金庫関係でいえば「事業免許の取消し」、信用組合でいえば「解散の命令」、こういうとき並びに「破産の宣告又は解散の決議」があったときには事故とすると掲げられております。
 そこで、私はこういうことを想定をすることが適当かどうかわかりませんが、しかし考えておかねばならぬことは、保険金目当ての解散ということがないとは言えない。私はこういう事例をある程度知っているわけであります。そうすると、これをチェックするような場合どのようなことができるか、これをチェックするようなことができるか。またそういうようなことがかりにあったとするならばどうするかということについてのお考え方をお聞かせいただきたい。
#44
○近藤政府委員 これはまさに最初に御指摘いただきましたように、銀行検査、指導行政等を通じまして金融機関の経営の健全化をはかるということに最後は尽きると存じます。ただ、しいて申しますならば、もう御高承のとおり、この預金保険制度は一種の第三者のための保険でございます。したがって保険金は預金者に直接支払われます。そういうことからまいりまして、経営者が保険金目当ての解散をするという場合がもちろんないとは言えませんが、通常の保険の場合に比しまして、金を受け取るのが第三者であるという点からその危険性は比較的に少ない。ただお示しのように、どうせ最後は預金保険でケリがつくのだからかなり放漫な経営をやってもだいじょうぶだというような気持ちを起こすおそれがないかどうか。この点につきましては、従来のやり方でございますと金融機関自身を救う、したがって援助融資というようなことで金融機関自身を救う方法がとられたことが多いわけでございますが、そういう場合には経営者も救われてしまうということに対しまして、今回は預金者をそのものずばりで直接に救うという体制でございますので、従来よりはその弊害も若干は減るのではないか。しかし、いずれにいたしましても、こういうことにつきましては行政及び検査を通じての指導ということが最終的にはどうしても必要なことであるというふうに考えます。
#45
○平林委員 保険金の問題についてお尋ねをいたしますが、今回の法律は当面百万円ということになっております。将来この限度を引き上げることはどうか。一体そういうことは考えられるか、また考えねばならぬと思うがどうか、こういう点についてお答えをいただきたい。
#46
○近藤政府委員 将来の問題としてはそういうことを検討しなければならない時期がくるかもしれないということを考えております。
#47
○平林委員 一応今度百万円にしたのですけれども、これは西ドイツの例に近く、アメリカやカナダの例にははるかに遠いという状態でございます。変えるときは何を限度にして変えていくかというような考え方はきまっておらないのでしょうか。つまり、ある程度百万円というものの貨幣価値、そういうものを基準にして考えるということなのか、そういう点の何らかの構想というものは練られているのか、その点をひとつ、いかがでしょう。
#48
○近藤政府委員 必ずしも外国とスライドして動かす必要もございませんが、ただ一応の腰だめの数字といたしまして、たとえばただいま御指摘のアメリカの場合、これは七百二十万円が限度になっております。そこで現在におきましての残高としての日米の金融資産の比較ということをいたしますと、大体アメリカが日本の六・六倍程度であるかと存じますので、おおむね妥当なところではないか。それからまた、ただいまあげられました西独の場合は円に換算いたしまして九十八万円でございますから、各国の金融資産と日本の金融資産との比較、特に日本の一人当たり金融資産がこれから急増をいたしてまいるような場合には百万円の限度というものを考え直さなければならない。また現在百万円によってカバーされます人員が全体の九七%、金額で申しますと八三%ということでございますが、このカバレージが将来もっと下がってまいるというようなことになりますれば、その際にはまた百万円という限度について考え直さなければならない。いろいろな要素を勘案いたしまして、ずっと将来の問題といたしましては研究すべきであろうかというふうに考えております。
#49
○平林委員 次に保険金の支払いの場合を想定いたしまして若干お尋ねをします。
  一つは、もしかりに不幸にして事故が起きて、この保険機構が発動していろいろな支払いをしなければならぬということを想定いたしまして、この場合、無記名預金、架空名義の預金、これについてはどういう取り扱いをするつもりでございますか。
#50
○近藤政府委員 無記名預金、架空名義預金につきましては、真の預金者がだれであったかということを明確にいたしますことが技術的に困難でございます。したがって、もしこれを支払いの対象といたしますと、保険金に限度額を設けた趣旨が全く没却されて逃げ道ができてしまうということになります。したがいまして、無記名預金、架空名義預金は、政令によりまして保険金支払いの対象から除外いたしたいと考えております。
#51
○平林委員 もう一つの問題でございますが、導入預金はどういう取り扱いをしますか。これはなかなかむずかしい問題であります。かつて不動信用金庫の解散のときは一部の特利者、特別の利息を支払うと約定した者をすべて導入預金とみなして、それに対する支払いをしなかったという例がございます。これもすこぶる乱暴な措置でございまして、導入預金とは何ぞやという定義から始めなければなりませんけれども、このときはとにかく特利預金者まで、つまり善意の預金者までも導入預金者のリストに入れてしまって、そしてその支払いをしなかったという問題がございました。今回こういうような問題についての取り扱いはどうするつもりでございますか。
#52
○近藤政府委員 従来のように、預金保険制度が確立されておりません場合でございますと、ただいまのお話のようにかなり乱暴にといいますか、大胆に導入預金の範囲を定めてしまって、それと一切除外するというやり方にならざるを得なかったわけでございますが、今回預金保険制度が確立をされますならば、その場合にはむしろ導入預金であることが明白になったもの、それだけを除外するというやり方で――もちろん導入預金であるかどうかをできるだけ綿密に調べまして、疑わしい場合は除かない、導入預金であることが明白になった分だけを支払に対象から除くということにいたすことになろうかと存じます。
#53
○平林委員 なるかと存じますということであって、まあこれは検討の課題であろうと思う。私はある意味では、導入預金に関しては、導入預金といえども預金である。したがって、それらの行為は法律で制限を受けておるわけでありますから、導入預金の制限についての法律がございますから、それに必要な法的制裁を加えることになっている。しかし導入預金も預金であるというたてまえから検討しなければならぬ問題がある。しかも百万円と限度を限ったのでございますから、この点はなお今後そこに矛盾の起きないように検討すべきものであるという意見をつけ加えておきたいと思うのであります。
 次にこれに関連をいたしまして、今度は、こういうことが預金保険の考え方としてまとまってまいりますと、こんなことはないと思いますが、預金者は百万円に分散、分類して預金する傾向が生じるんでないかというようなことを考えるのですけれども、このことはいかがでしょうか。逆にいうと、金融機関も百万円に分類預金することを奨励するような傾向になりはしないかということも心配するのですけれども、この点はいかがでしょう。
#54
○近藤政府委員 そのような場合もまれにはあるかとは存じますが、通常の場合には、預金者は金融機関を信頼すればこそその金融機関に預金をいたすわけでございますので、まさかその預けた金融機関に破綻が生ずるということはあまり考えない。したがって、名義の分散を特にそのためにやるというようなことはほとんどないのではないかというふうに考えております。
#55
○平林委員 万一の場合、事故が発生をしてこの預金保険が発動する場合、私はただいま申し上げましたように、金融機関にはそういうことがあり得べきものでないという信用から預金をするのであり、だからこの間も参考人の意見の中には、これはもう金融機関の保険料は一種の税金ぐらいに考えていかなければいかぬというような議論もございましたけれども、私は理想をいえば、預金者の預金はすべて保障するというのが金融機関のたてまえでなければいかぬ。今日は保険料その他の関係から百万円と限定をいたしました。本来その預金はすべて保障されねばならぬ。ただ現状におきましては、保険機構の経理、保険料全般を考えてその限度を設けたにすぎない、こういうふうに理解をするわけなんでありますけれども、一面この点について、原則的なことになりますけれども銀行局長の御見解を承っておきたいと思うのであります。
#56
○近藤政府委員 ただいまの御質問の御趣旨は、百万円の限度を設けることによって、百万円までの責任だけで終わるようなつもりで経営をしてもらっては困るという御趣旨かと存じますが、その点はもちろんそのとおりでございまして、金融機関経営にあたりましては、このような百万円までの限度というようなことではなしに、全額を必ず保障するという態度で経営をしなければなりませんし、また業界の相互援助体制というものも現在以上に充実をいたしまして、百万円をこえる部分についての保障ということに従来どおり、あるいは従来以上に全力を注がなければならないというふうに考えております。
#57
○平林委員 そこで、各金融機関における相互援助の方式について、先般信用金庫連合会の参考人のお話によりますと、今後三年間に五百億円を目標としたブール資金を備える努力を続けておるというお話がございました。相互銀行だとか信用組合の側におきましてのこれらに対する構想といいますか実情というか、それはどういうふうになっておるか。ひとつ参考のためにお聞かせをいただきたい。
#58
○近藤政府委員 まず相互銀行におきましては二通りの方法を考えております。
 一つは全国相互保障協定でございまして、これは昭和三十年に成立いたしまして、各相互銀行が幹事銀行に有価証券を預託いたします。そして自分の預託額の原則として十倍まで融資を受けられる制度でございます。現在高は十六億円預託されておりますが、この十六億円を、四十九年三月までを目標といたしまして、二百五十億円まで引き上げるということで、ただいまその計画が進行中でございます。
 もう一つの方法は地区別の相互保障協定でございまして、これは昭和三十四年以来、関東地区ほか七地区で合計百六億円の積み立てを別途行なっております。
 それから信用金庫につきまして、先ほどの参考人が述べられました五百億円の積み立てを四十八年の九月末までに考えておりますほかに、なお振興資金といたしまして全信連が二十億円を限度として融資する制度が昭和三十一年からできております。
 それからもう一つは、預金の支払い準備、全信連に各金庫が預金をしまして、その十倍までの借り入れができるということで、現在預金総額が百三十億円でございます。これは三十七年に成立いたしております。
 それからもう一つ、振興基金という制度もございます。これは毎年度に全信連が剰余金の一部を基金として積み立てまして、この運用益によって低利の貸し付けを行ないますもので、積み立て額が二十三億円、三十五年に成立をいたしております。
 それから、お尋ねの信用組合でございますが、これは全国信用組合保障基金機構がございます。昭和四十年に発足をいたしました全国信用組合保障基金が解消いたしまして、基金二十億円を新基金が引き継ぎまして四十四年の十月に成立いたしたものでございます。支払い準備所要額の二〇%内で運営委員会の定める額、これを定期預金として預入いたしまして、融資の限度額は特に定めておりません。四十七年度末までに二百億円を積み立てるという予定になっております。
#59
○平林委員 ただいまのような趣旨で、それぞれ裏付けとなるべきものの準備体制をとられておることはけっこうな方向だと思うのでありますが、都市銀行、地方銀行はこういう構想がないんでありますけれども、これはいかがなものでしょうか。その理由はどういうところでしょうか。この間参考人に実は私聞きたかったんですけれども、ちょっと順番でなかったから聞きそこなったので、かわってひとつ銀行局長からお答え願いたい。
#60
○近藤政府委員 現在、都市銀行、地方銀行の場合は、みずから十分の流動性資産を保有することによりましてそれらの場合に備えるという体制で事に当たっておるわけでございます。なおそれに対しまして、預貸率の指導というような形で、行政当局といたしましてもできるだけ資産内容の改善につとめてまいりたいというふうに考えております。
#61
○平林委員 この間の意見の中にも、たとえば中小企業を対象とする金融機関におきましては、都市銀行あるいは地方銀行と比較いたしまして、どちらかというと過密過疎でいえば過疎の分野も担当しなければならぬ。こちらのほうが預金が集まるからといって、はいさようならといって去るわけにはいかない公共性を持っておるというような貴重な御意見が出されております。そのためには、過疎地域の産業を育成するために、特別に融資ワクを与えてその地域の産業を助成することまで考える必要があるという御意見までございました。私は、金融機関が一つの社会的責任に立った場合には、余力があればそういうような構想もあり得る、また望ましき方向であると考えてその意見を聞いておったわけなんでありますが、都市銀行、地方銀行においてもやはり、ただ利益をあげるということだけに専念をしないで、そうした配慮が将来において望ましいのではないかという感想を実は持った次第でございます。いずれにいたしましてもこれは私の感想でございまして、また御検討いただきたいものだと考えております。
 いろいろ申し上げたい、質問したいことがありますけれども、大体この辺で私の質問は一応終わっておきたいと思います。
#62
○毛利委員長 阿部助哉君。
#63
○阿部(助)委員 この預金保険法案についてお伺いしますが、これは第一条の目的並びに提案の理由のところにありますように、これは預金者の保護という点を最重点にして、それに徹するということで理解をしてよろしゅうございますか。
#64
○近藤政府委員 そのとおりに御理解いただいてけっこうでございます。
#65
○阿部(助)委員 この第一条に「預金者等」という、「等」という字がありますが、これはどういうのをさしておられるわけですか。
#66
○近藤政府委員 たとえば元本保全契約のある指定合同金銭信託、貸付信託等の受益証券の保有者、そういうものをさしておるわけでございます。
#67
○阿部(助)委員 いま預金者が一番不満に思っておる点、また保護しなければならないという点は、政府のほうではどういう問題だというふうにお考えなんですか。
#68
○近藤政府委員 これは歴史的には、御高承のように金融行政全体の柱がそうでございますが、預金者に元本の保障をする、言いかえれば支払い不能の事態を絶対に避けるということが金融行政全体の眼目でもあり、歴史的にもそれが一番大きなこととされてまいったわけでございます。最近の事態におきましては、その問題とあわせまして物価上昇と預金金利との関係、そういう面からの預金者の保護ということが新たな問題として浮かび上がってきておるわけでございます。
#69
○阿部(助)委員 私もいま当面一番預金者の不満は、預金金利をこえる物価の上昇、すなわち預金をしながらだんだん自分の資産が減っているという、このばかばかしいことに対して、国民は、預金者は一番大きな不満があるだろうと思うのであります。そういう点で政府のほうではそれとのバランスをどうとるか。大蔵大臣も預金金利をこえる物価の上昇は万難を排しても避けねばいかぬということをおっしゃるんだけれども、現実は御承知のような物価上昇だ。この問題を解決しないで預金者保護だなんという法案を出されても、どうもぴんと来ないわけです。これは次官、どういうふうに政府のほうでは考えるのですか。もっと本腰を入れて物価問題に対処しなければ、いまの時点で預金者の保護の法案でございますなんていうても、私もどうもぴんと来ないんでございますが、いかがですか。
#70
○中川政府委員 阿部委員の御指摘のとおり、預金者にとって物価上昇以下の金利であるということの不満は非常に強いかと存じます。しかしながら、預金者保護の立場から金利を動かすというものにはおのずから限度があるわけで、その預金金利を動かしますと他の金利にも当然影響してまいりますし、そこで、金利で操作できる範囲のものはできるだけいたしますけれども、本質的には物価の上がることについて、財政、金融その他農産物の流通機構等々、万般にわたって本腰を入れて物価の上がらないことに万全を期すべきだというふうに思っており、政府もその方針でやっておるわけですが、なかなか思うとおり物価が下がらないという悩みがありますが、さらに一そう万全の策を講じて対処すべきであろうというふうに存じておるわけでございます。
#71
○阿部(助)委員 ことばだけは努力をしておるとおっしゃるので、努力はしておるのでしょうけれども、努力をして物価安定ができないということは、これは無能だということなんでして、無能な内閣はやめてもらう以外に手がないんでして、無能だということをみずから認められるならば、この辺でやめていただくことが国民のために一番いいんです。だけれども、この際に、この時点で実際、預金者保護なんという法案を出されるのには、私はどうも理解ができないのです。
 もう一つきょうお伺いしますが、百万円以下の預金というもの、これはどれぐらい金額にしてあるんですか。
#72
○近藤政府委員 金額で申しますと全体の八三%でございます。
#73
○阿部(助)委員 全体の八三%というのは金額にしてどれくらいになりますか。
#74
○近藤政府委員 正確な数字がございませんで恐縮でございますが、大体二十四兆円ないし二十五兆円くらいと思います。
#75
○阿部(助)委員 大蔵省からいただいた資料を見ますと、個人の場合、百万円以下の預金者は九七・五%、二百万円以下の場合には九九・三%という、ほとんど大半が二百万円以下の預金者である。しかもそれが二十四、五兆円の預金をしておる。そうするとこの人たちは、毎年物価上昇、貨幣価値の低落ということで損をしている、こういうことに理解してよろしゅうございますか。
#76
○近藤政府委員 主として消費者物価との関係におきましてはお説のとおりであろうかと存じます。
#77
○阿部(助)委員 大衆の預金者がこれだけ損をしていったら、一体この損した分はどこへいくのですか。
#78
○近藤政府委員 直接的にどこにいくかということはなかなかむずかしい問題でございますが、やはりこれによって損をした部分が債務者のほうに反射的な利益として及ぶということは十分に考えられることでございます。
#79
○阿部(助)委員 私もそう思うのです。結局、大企業のほう、融資を受けて事業をしておられるほうへいくんじゃないか。おたくからいただいた資料によりますと、東京証券取引所の一部、二部に上場しておる会社の融資というものが大体三十兆円くらいだと思いましたが、そんなものでございましょうか。
#80
○近藤政府委員 大体そのくらいの数字でございます。
#81
○阿部(助)委員 そうしますと、いまの御答弁からまいりますと、大衆のほうは預金をして損をしている。大企業のほうはたいへんな融資を受けて、これがもうかっている。何かどろぼうにあっているようなものであって、大衆はたいへんなどろぼうに持っていかれておるわけですね。三億円事件の犯人をさがすなんということを政府は一生懸命やっておるようだけれども、これだけはっきりしておる犯人を何で何か処理をしようという気に政府はならぬのですか。これで預金者保護の法案でございますなんといって出されても、大衆は納得しないと私は思うのです。三億円事件の犯人をさがすなんというのは二の次でいいから、まずこの犯人を国民の前に明確にするということが政府の一番の、預金者保護の点からいってお仕事だと思うのですが、次官、どうですか。
#82
○中川政府委員 三億円の犯人以上の犯人のようなお説であります。金額からいくと、なるほど比較にならぬ大きな問題ではありますが、犯人扱いするのかどうかは――国民の皆さんに迷惑をかけておることだけは事実であろう。したがって、三億円の犯人は司法当局が一生懸命になっておりますが、大口のほうの問題点については内閣あげて全力をあげているところでありまして、まだ納得のいく十分の解決ができないことは遺憾でありますが、さらに御指摘もありましたので最善を尽くしたいと存じます。ただ、それができないから、預金者保護の今回御提案申し上げております法案が必要ないかといえば、これはこれとして進めておいて、さらにその上に物価上昇の抑制には全力をあげる。並行的に進めるべきものではないか、かように考えます。
#83
○阿部(助)委員 いま定期の預金は五・七五%でございますね。それで百万円までは税金がかかりませんが、それをこえた場合の税金の分を控除するとどのくらいになりますか。
#84
○近藤政府委員 五・七五%に税金がかかりましたあとは四・六%でございます。
#85
○阿部(助)委員 そうすると、今年度の物価上見が大体七・八%ということになると、これはたいへんなことなんですよ。これは私が申し上げるまでもなくたいへんなことであって、大衆預金者というものは、もう非常な大きな金額を持っていかれておるということなので、これは銀行局だけの問題でございませんで、政府自体に本腰を入れてもらわないと、ほんとうに国民大衆はだまされておるということになるのではないだろうかという感じがするわけであります。皆さんから「預金保険法案要綱」というこれをいただいて読むのですが、どうも私には理解ができない点が多いのです。「最近における預金の大衆化の進展」というのは、大衆、非常に広範に預金ができる、こういうことですか。
#86
○近藤政府委員 一つは、口数がこの五年間に五割ふえたというような、口数が非常にふえてまいったということをさしております。それからもう一つは、やはり公共料金の自動振りかえというようなことを通じまして大衆が預金口座を置き、かつそれを利用することの機会が従来に比べまして非常にふえてまいったということでございます。
#87
○阿部(助)委員 その次に、「金融機関相互間の業務の関連度の増大」ということはどういうことなのでございますか。
#88
○近藤政府委員 これは、たとえば相互銀行が普通銀行と提携をいたしまして相互の間で預金の受け払いをするというようなこととか、あるいは調査業務等につきまして、特に異種の金融機関の間で提携協調を行なっておる事例が最近著しくふえてまいったということをさすわけでございます。
#89
○阿部(助)委員 ある意味で、これは銀行相互間の電算機の利用であるとか、いろんなことで、いまおっしゃるような受け払いも関連をしてくるということであるが、同時に、これは系列化の傾向をその場合にだんだん強める、こういうこともあるのじゃないでしょうか。
#90
○近藤政府委員 その辺につきましては、いわゆるスケールメリットと称しますが、系列的な動き方をすることによって規模の利益が出るような場合には、これは大いに助長をする。そのかわりに、そういう系列的な動き方によりまして公共性をそこなうような動きになります場合にはこれを抑制するという方向が、基本的な方向として金融制度調査会でも打ち出されておるわけでございます。私どももそのようなつもりで臨んでまいりたいと考えております。
#91
○阿部(助)委員 あとのほうはつけ足しがありましたけれども、結局、これはだんだん系列化をしていくということだろうと思うのであります。
 それで、「経済の国際化に伴うわが国をめぐる経済環境の変化等の事態」、これはどういうことですか。これは日本の経済もだんだん国際競争をしなければいかぬ、海外進出をしなければいかぬ、こういうことを「環境の変化」、こう見ておるわけですか。
#92
○近藤政府委員 基本的にはただいま御指摘のとおりでございます。さらに、海外からの刺激によりまして産業構造が急激に変化をしてまいるというような事態、あるいは外国の金融機関が進出してくるというようなことによる影響、それらの点をも含めましてそこに述べておるわけでございます。
#93
○阿部(助)委員 そうしますと、この文章のその次の「この際、」云々「預金者保護に万全を期するとともに」なんという文章は宙に浮いてしもうた文章なんでして、「かんがみ、金融機関の経営」云々と続いてもいいのが、ここに無理に差し込んだような文章に私は感ずるのであって、どうも領金者保護という点に、私はいささか全体として疑惑というか疑問を持つわけであります。
 それならば次にお伺いしますが、都市銀行の方々までおっしゃっておるし、この「金融制度調査会資料」の第三巻「預金保険制度」にもあるのでありますが、各所に見えるのは、都市銀行等は自分自身で過保護である、こうおっしゃっておるところがたいへん多いわけです。そこで私も幾つか――そうだと思いますけれども、銀行局長から銀行の過保護であるという点をひとつ具体的に項目をあげてお知らせを願いたいと思います。
#94
○近藤政府委員 過保護の点がどこであるかということは、ある程度、程度の問題もございますが、まず従来から過保護の点といわれてまいりましたことは、まず第一は銀行店舗の規制、それから預金金利の規制、それから配当の規制、さらに経理につきまして外からにわかにうかがえないというような形式、つまり統一性、継続性のルールが定められていなかったということ、これらの点が特に過保護の点として指摘された点であろうかと存じます。
#95
○阿部(助)委員 いまおっしゃったのは、店舗の規制、金利の規制、配当の規制、経理の問題と、こうおっしゃったのですが、その程度ですか。
#96
○近藤政府委員 その中でも特に預金金利、これはいわゆる銀行の主要のといいますか、唯一の商品でございます金のいわば仕入れ値段でございます。この預金金利につきまして比較的低い水準でくぎづけにされてまいった一方において、それの運用につきましては、わりあいに幅があるということ、そこで利幅が確保されておった、この点が一番大きな点であろうと存じます。
#97
○阿部(助)委員 私も幾つか、やはり店舗の新設は許可制というか免許制というようなことでありますし、あと特別措置等で保護がされておるというようなことなんですが、この点はどうなんですかね、今後自由競争ということを、競争原理の導入ということをおっしゃるのですが、その場合に、こういうものは逐次是正をしていくという方向なんですか。このままでいくということなんですか。
#98
○近藤政府委員 この点につきましては、御承知のように、ここ数年来の金融制度調査会の論議を通じまして、このようないわゆる過保護行政から脱皮をしなければならない、そして適正な競争原理を導入して金融の効率化をはかる、金融機関の体質強化をはかるということが必要であるということでございまして、具体的な方法といたしまして、たとえば店舗規制の弾力化、あるいは預金金利の規制の弾力化、配当の規制の弾力化というようなことが相次いで行なわれてまいったわけでございます。そのようなことによりまして、従来のいわゆる過保護行政からの脱皮がはかられたわけでございます。
#99
○阿部(助)委員 都市銀行等の大銀行と、信用金庫等の中小企業を相手にしておるそれとの、制度上の違いというか、保護のしかたというか、有利、不利という観点からの違いというのはどういうところなんですか。
#100
○近藤政府委員 まあ、中小金融機関と大銀行とのいずれがより過保護であるか、有利であるかというような点につきましては、いろいろな見方があろうかと思うわけでございますが、概して申し上げますと、経営体質の弱い中小金融機関につきましては、具体的な行政指導の面におきましても、その経営が困難となることがないように、かなりきめのこまかい配慮をいたしております。具体例といたしましては、たとえば信用金庫、信用組合等の預貯金の利率につきましては、銀行の預貯金の利率よりも高い利率を適用するという特例を認めまして、預金が吸収しやすい体制をとっております。それからまた店舗行政等の際の基準の一つとなります営業用不動産比率につきましても、中小金融機関の場合には七〇%ということで、普通銀行の五〇%に対しましてかなり緩和された比率を認めております。それからまた統一経理基準の適用、これによってガラス張りの経理をやれという趣旨でございますが、これにつきましても、中小金融機関につきましては実施時期を銀行よりもおくらせるということのほか、経過期間につきましても、一、二年の例外規定を設けているといったようなことで、概して中小金融機関につきましては、ある程度保護を手厚くすると申しますか、きめのこまかい配慮をせざるを得ない情勢にあろうかと思います。
#101
○阿部(助)委員 ある意味でいうと、競争原理の導入という、こういうときに、大きなほうは何といったってこれは有利になる。しかも扱う商品というか、このものが貨幣という特殊なものでありまして、うちの貨幣は品がいいというわけにはこれはまいらぬのでありまして、そうすれば大きな方ほうがだんだん有利になる。証券界なんか見ましても、大きなのはどんどん大きくなって、二、一位を大きく水をあけていくということになるのは当然のことであります。ところがいま伺いましたところを見ると、過保護なのは中小の金融機関のほうであるというふうに、私の見方やいろいろな点と全く逆な方向で銀行局長はおっしゃるのだけれども、過保護だといっておるほうは、この本を見ましても都市銀行のほうの方々がむしろ過保護だと――たとえはここに載っておるのは、三井銀行の小山五郎さんが過保護だと、こうおっしゃっておるのであって、先日の参考人の方々の中でも、信用金庫のほうの方々は、むしろ不公平だ、そこに競争原理の導入ということになれば、結局は大銀行に吸収されていくという危惧の念をお持ちになっておったと私は話の中で感じたわけであります。ところがいまの局長さんのお話によりますと、何かこっちのほうへばかり過保護なんだ、こうおっしゃるのですが、そんなものでしょうか。こういう点もあるでしょうけれども、どうもそうではない面もあるのであって、片一方を少し伏せられておるのではないですか。
#102
○近藤政府委員 確かにおっしゃるとおりの面があるわけでございます。だからこそ中小金融機関についてきめこまかい配慮が必要になる。中小金融機関について過保護であると申し上げておるわけではございませんで、中小金融機関についてある程度の保護を加える必要があるという趣旨のことを申し上げたわけでございますが、その趣旨は、やはり金融機関というものの特殊性から申しまして、一般の企業の競争の場合とはやや違う面があるのではないか。そこが金融制度調査会においても後半の議論において特に強く強調されました公共性の議論がまさにそれをさすわけでございます。一般の企業の競争の場合と違いまして、金融機関の場合には中小金融機関が地域金融として、特に取引先に十分な目を注ぐというようなことが必要でございまして、それらがただいたずらに、先ほど御指摘のありましたような系列化とか、いろいろな方法によって統合をされてまいることによって、十分な社会的、公共的な機能を果たし得なくなるということになっては、これはたいへんなことでございますので、その点について十分公共性の観点から考えていかなければならない。先ほど申し上げました中小金融機関に対してきめのこまかい措置をとるということも、中小金融機関が過保護であるということではございませんで、中小金融機関に対してもそういう措置をとってまいりながら、全体としては金融機関の体質の強化、効率化ということをはかっていくことが必要である、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
#103
○阿部(助)委員 この法律のほんとうのねらいというものが、私はどうも敵は本能寺のような感じがするわけです。それは調査会の、何ですか、五ページを読んでみますとこうです。「預金保険制度は、このように、従来の金融機関に対する過保護的体制を改め、適正な競争原理を導入してゆく前提として、まず預金者保護の措置を講じておくための手段として検討が行なわれているわけであり、」ここからですよ。さらに「つまり、この制度は金融効率化を推進する基盤づくりとして、金融再編成への重要な役割をになうものとみられているわけである。」こういっているのですね。こうしますと、競争原理を導入していく。外国の金融機関もくる。効率をよくしていかなければならぬ。しかもまた日本の企業はだんだんマンモス化していく。昔のように系列銀行というか、たとえば三菱なら三菱銀行からだけ融資を受けるのではとても足らないということで、企業の大型化に伴って金融機関自身も大型化していかなければこれはなかなかうまくいかない。そこで金融再編成というものが考えられた。その再編成となれば、そこで中小のこれを合併あるいは吸収していかざるを得ないであろう。そういうことがあるから、そこで小さなのが締め上げられて倒産する、つぶれるかもわからぬ。このときにこの法律が生きてくるということであって、この法律は、預金者保護ということももちろんないわけではないでしょう。だけれども預金者保護のためにのみこれが出るよりも、むしろここで書いてあるように金融再編成、そのための歯どめとしてこの法律が出されたというふうに、この文章の解釈からいけばそういうことになるのじゃないですか。私のこの文章の解釈が間違いなんでしょうか。
#104
○近藤政府委員 金融制度調査会の論議の途中、ことに初めの部分におきまして御指摘のとおりの議論があったことは事実でございます。そうして、それに対しまして金融制度調査会の最後のころの大体のコンセンサスは、そういうことでは困る。言いかえれば、金融機関の急激な再編成を行なって、それで弱小金融機関がばたばたとつぶれる、それを救うための預金保険制度というような考え方はこれは一切困るのであって、そのようなことが絶対ないように行政面、検査面での指導を平生からやるということ、そしてそれとは別にいわば伝家の宝刀と申しますか、そういう形での預金保険制度をつくるということが、最終的な結論として出されたわけでございます。私どももそういう考え方に立っておりますわけでございまして、金融制度調査会の途中で、初期の段階に示されました、いまお述べになりましたような見解は私どものとるところではないのでございます。一方、国際化を控えての再編成問題というようなことは、金融制度調査会答申においても、特に都市銀行間の問題として、特に寡占の弊害がないような場合には、大いにスケールメリットの発揮のできるような再編成を行なうべきであるということが述べられておりますが、これは弱小金融機関、中小金融機関と大銀行との関係という形では述べられていないわけでございます。そういう次第で、ただいまの私どもの預金保険制度に対する考え方は、急速な再編成のための備えというような気持ちは毛頭ないのでございます。
#105
○阿部(助)委員 銀行局長、いろいろお話がありましたけれども、私が読んだこの文章で、私の解釈はピントはずれでしょうか、こういうお伺いなんです。
#106
○近藤政府委員 ただいまお読み上げになりました文章は答申の中の文章ではないと存じますが、論議の途中においてそういう議論がありましたことは、個人的にそういうことを特にお述べになった方があったり、あるいはそういうことを言った人々がいたということはそのとおりであったかと思います。
#107
○阿部(助)委員 これは個人の意見なんでしょうかね。どうもそういうふうには受け取れないのですが。「金融効率化と競争原理の導入」というのが一番に出て、二番目には「過保護の是正と預金保険の導入」というふうに出ておるわけです。あといろいろ問題がありますけれども、一番最初の、私はやはりここは一番大事なさわりだと思うのですが、そこにそう出ておる。そうすると、銀行局のお考えが変わったのかどうなのか。
 もう一つは、じゃ、この預金保険は、各都市銀行も地方銀行も、その他信用金庫も、ほんとうにこの時点で賛成をされたのかどうか、その点はどうです。
#108
○近藤政府委員 金融制度調査会における考え方の変化というものは確かにあったかと思いますが、銀行局側におきまして、特にいまお示しのような意味での変化があったというふうには考えてはおりません。
 それからもう一つ、各業界が賛成したかどうかという点におきましては、各業界とも賛成をいたしておると考えております。
#109
○阿部(助)委員 なるほど、この前参考人でおいでになった方は、結論としては、都市銀行の方も信用金庫の方も賛意を表されたことは事実であります。しかし皆さんのほうも――これは個人的なお話ですから私ここであまり取り上げませんけれども、どの都市銀行も地方銀行も、この法案には賛成じゃないが、大蔵省のほうが熱心なので、結局、まあ表面は賛成したということになったというように聞いておるのでありますが、どこもあまり賛成じゃないものが、ここへ、公の場へ来ると、賛成だとこうおっしゃる。どこも賛成じゃないものがこうやって法案になって出てくるなんということは、私には理解ができないのです。ほんとうに賛成をしておられるのですかな。そこをもう少し……。
#110
○近藤政府委員 それはいわば業界の利害を越えた公共的、中立的立場からの制度でございますので、業界の利益だけにとらわれる人々がかりにいるとすれば、あまり賛成はしない。しかしほんとうに業界の利益だけの立場を離れまして、大所高所に立たれた方々は御賛成になるという性質のものであろうかと存じます。先般ここで参考人として意見をお述べになりました方々は、いずれも業界の利益を超越した立場で、大所高所から御賛成になったものであります。したがって、ただいままたそういう人々を中心といたしまして、各業界とも大所高所の立場から公式には賛成をしておられるということであろうかと存じます。
#111
○阿部(助)委員 前にもこういう試みがあったけれども、一つは、全体の、都市銀行から信用金庫までひっくるめたという形ではなかった。それがかえって、一番倒産や何かの危険性のある相互銀行や信用金庫だけやれば、何か自分でこういうものをつくることによって世間の信用をなくするという思惑もあって反対をされる。大きいほうは大きいほうで、倒産する気づかいもないのに保険料を納めたり金を出すのはいやだということで反対があった、こう聞いておるのであります。私はその点はそうだろうと思うのであります。ところがこの時点で、一歩譲って皆さんがみんな賛成だとしても、大蔵省はなぜこの時点で大所高所からこれを推進をされたのか、なぜいまの時点でこれを出さざるを得なかったのかという点が私にはまだどうも理解ができないのです。そういう点で、先ほど来お伺いしておりますように、預金者保護という点でも、私はそう皆さんの言うとおり額面どおり受け取らない。同時に、いまの時点でなぜこれをこうやって出されるかという点が私にはちょっと理解ができないのですが、そこを説明していただきたい。
#112
○近藤政府委員 いまの時点で特にという線は、一つは先ほど来お触れになりました国際化の問題それからまた国内におきましての預金の大衆化、それから異種金融機関の間の業務の連携の度合いの緊密化、そういったような情勢を踏まえまして、かねがね必要と感じられておった預金保険制度について特にこの時点に推進をいたしたいということと、たまたま金融制度調査会におきましても、その最重点施策の一つとして、昨年七月の答申において預金保険制度の創設が必要という答申を出されたこと、それらの諸般の事情を勘案いたしまして、いまの時点においてぜひ御審議を願いたいというふうな運びに至ったわけでございます。
#113
○阿部(助)委員 「競争原理の導入」というのがここには非常に強くうたわれておるのですが、これも大蔵省のお考えと違うのですか。この文章をすなおに受け取っていいのですか。それとも、これもさっき読み上げたところと同じように、それは当初の審議会の御意見で、いまは大蔵省はそんなことは考えておらないのですか。それによって質問が違ってきますので、そこをもう一ぺん念を押してお伺いしたいと思います。
#114
○近藤政府委員 そこの「競争原理の導入」というところにもおそらく「適正な」という形容詞がつけてあると存じますが、その「適正な競争原理の導入」ということで当初からいわれたわけでございます。にもかかわらず、先ほど来御指摘のように、金融制度調査会のある時期の論議におきましては、「適正な」という形容詞が忘れられがちであって、「競争原理の導入」というほうに非常に力点が置かれた時期があったことは御指摘のとおりであろうと思います。現在におきましては、昨年七月の答申が出る前の六月あたりから特に公共性という観点が強く導入をされましたということは、「適正な競争原理」のうちの「適正な」ということばに非常なウエートが置かれたということでございます。
#115
○阿部(助)委員 「適当」が「適正」になっておるあたりはわかりますけれども、そうじゃなしに、全体としてぴしゃりでなくとも、おおむねここの文章の方向で皆さんはこの保険制度を考え、いまの銀行に対する行政指導をお考えになっておるのか。それとも――さっき私は念を押さずに言ったのだから、それは当初の意見ではそうだったけれども、われわれはそうでないんだみたいな話をされたのでは私の前提はみんなひっくり返ってくるので念を押しておるのですが、「競争原理の導入」というこの文章はおおむね皆さんも同感なんじゃないのですか。違うのですか。そこだけなんです。それでないと私の質問はちぐはぐになってしまうので……。
#116
○近藤政府委員 「適正な」ということを強調する限りにおきまして同感でございます。
#117
○阿部(助)委員 先ほど局長から小さいほうのめんどうを見ておるみたいなことをおっしゃるけれども、こういう証券であるとか銀行のように、商品が特殊な商品であるという場合には、えてしてこれは信用というものが一番大きな武器になってくると思うのです。その信用とは何だといえば、結局、ある意味でいえば大きいということだと思うのです。大きいからつぶれないということだと思うのです。そうすると、いまの競争原理の導入という場合に、私は、相互銀行、信用金庫なんというものと都市銀行というものは、これは幼稚園の生徒と大学生みたいな体力の差があると思うのです。これを競争原理の導入なんということで競争させれば、やはり小さなのはどんどんつぶれてくる。そこで、さっき読み上げたように「金融再編成への重要な役割」ということでこの預金保険制度が考えられてくるということに結局はなるのじゃないか。結局そういうことになりはせぬのですか。どう否定してみても、競争原理の導入、それが適当であるか適正であるかは文章のあやですが、競争原理の導入ということでこれを走らせれば、幼稚園のほうが大学の生徒に負けるのはあたりまえなので、結局大銀行への系列化、そういう問題がある。だからこそ、そのときの手当てとして預金保険制度が必要だというふうに理解するのが理論的なんじゃないでしょうか。いかがですか。
#118
○近藤政府委員 そのような意味での競争はさせないように、「適正な」と申しますのは、やはり公共性にのっとった競争でなければならない。具体的な事例を申し上げますれば、たとえばメーカーの間の競争という場合には、良質の品物が安価に出回るということであれば、特に寡占価格というような問題が生じない限りは、競争が極限まで行なわれて一般的には差しつかえないと存じますが、金融機関の場合につきましては、たとえば地域金融機関がその地域に、非常に多くの取引先の、ある意味で死命を制するような形で存在するというのが日本の現状でございます。一種の運命共同体と申しますか、そういうものの中心にあるような形で中小金融機関、地域金融機関というものが存在するのが現在の日本の実情であろうかと思います。そういう場合に、それらの金融機関が簡単に他の大規模のものに取ってかわられるということによって、はたしてその地域の金融がいままでのように順調に行なわれるかどうか、その辺に非常に大きな問題があるわけでございます。そこで、金融機関と金融機関との間の競争という場合には、一般のメーカーの競争の場合などとは非常に違う側面がある。その辺を十分考えた上での競争――かといって、全然競争原理が導入されませんと、いわゆる護送船団行政、過保護行政、温室行政というようなことにも相なりますので、その間の調和をはかりながらいわゆる適正な競争原理の導入をはかってまいるということは実行上たいへんむずかしいことではございますが、そのむずかしい道を歩んでいかなければならないのが金融行政であろうというふうに考えておるわけでございます。
#119
○阿部(助)委員 だから私の申し上げたいのは、競争原理の導入、けっこうであります。だから、それならば、現実に中小企業の体質は、日本の場合特に弱いわけです。そういう問題点に対して、これは銀行局だけの問題じゃありませんけれども、全体としてそれの体質改善にもっと努力をし、それのめんどうを見る、信用金庫や何かのめんどうをある程度見る中で競争原理の導入というものがとらるべきではないか。たとえば、信用金庫等においてはまだ資金力が弱いとすれば、ここに何がしかの金庫債を認めてやるとか、そういうものも考えてやりつつ競争原理の導入でなしに、ことばは「適当」が「適正」になって、変わってみたりしておりますが、ことばは適正だなんて言ったって適当だなんて言ったって、どれが適正でどれが適当で、どっちがいいのか悪いのか、われわれ国民はわからないのです。皆さんは適正というのと適当というのとだいぶウエートが違うのだ、こうおっしゃるのだが、それならば、適当というのはどういうところで欠陥があったから、今度適正にするとどういうところがよくなるのだという御説明をいただかないと、二字のことばをどうひねくり回してみたって、こんなものはわけがわからない。そうすると、もっと具体的な手を打って、その上でやりませんと、いままでだって、好況だといわれても中小企業は非常な倒産をしておるわけです。また、これの体質改善が必要だとなれば、そういう問題もからめつつやりませんと、ただ銀行、金融機関の効率化、競争原理の導入ということをおやりになればやはり倒産をしていくだろうという点で私はこの法案全体を見、倒産した場合の問題として、百万円以下の預金をある程度保護する――しないよりは保護したほうがいいのです。しかし、その大前提が少し狂っておるのではないだろうか、欠けておるのではないだろうかという点で、私は疑問を持つわけであります。
 そういう点で、この法案の一番のねらいは、局長が何と言われようと、私はやはりここにある文章どおり、金融再編成、その中で系列化の進展、そういう中でこの法案がこの時点で必要になったのではないか、こう考えざるを得ないのでありまして、私はそういう点で、もう少し中小のめんどうを見ておる信用金庫、相互銀行のほうにも手を差し伸べながら、日本の中小企業の体質の改善のほうにウエートを置きながら進めてもらわないと、結局吸収、合併という形に入ると思うのです。そういう点はいかがですか。
#120
○近藤政府委員 ただいまお述べになりました御見解に私どもは全く賛成でございます。先ほどお読み上げになりました部分は、はしがきの中で下から五行目か六行目のところで断わっておりますように、この解説はあくまでも執筆担当者の個人的な立場から解説したものであるということが断わられておりますが、その解説のお読み上げになりました部分は私どものとらないところでございます。
#121
○阿部(助)委員 時間だから終わります。
     ――――◇―――――
#122
○毛利委員長 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。
 すなわち、預金保険法案について、明十七日、日本銀行副総裁河野通一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#123
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本会議散会後、直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。
    午後零時四十分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三十七分開議
#124
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、先ほどの理事会の協議に基づきまして、国有財産に関する件について調査を進めます。
 まず、国有農地の払い下げ問題について政府から説明を求めます。農林省堀川管理部長。
#125
○堀川説明員 このたびの農地法施行令の改正等の概要とその経過につきまして、若干御説明申し上げます。
 農地改革によりまして国が強制買収した等の農地を国有のまま管理しておるわけでありますが、こういう国の管理しております国有農地等は、現在までのところ、公用なり公共の用等に供することが相当と認められる場合におきましては、農林大臣がいわゆる不要地の認定ということをいたしまして、その土地は、旧地主がおります場合には、その旧地主に売り払わなければならないという法律の八十条の規定に従いまして、売り払っております。その後、こういうことで進めてまいったわけでございますけれども、市街化が非常に進展してまいるというようなことで、社会、経済情勢の変化がございましたが、重ねまして、去る一月二十日に、最高裁判所の大法廷の全員一致の判決におきまして、現行の農地法施行令第十六条四号に不要地の認定をすべき場合として、先ほど申し上げました公用、公共用等に供する場合が書いてございますが、その認定の対象たり得る農地の範囲を規定するその基準は法律の委任の範囲を越えておる、よって無効であるという判決があったわけであります。
 政府といたしましては、最高裁判所のその判決を尊重いたしまして、今回農地法施行令の改正を行ないまして、同令の十六条に、不要地に認定をすることができる場合といたしまして、次の場合を追加をいたすことにいたしたわけであります。その一つは、市街化区域、市街地の区域または市街地化の傾向が著しい区域内にある土地等というのが一つ。第二番目は、災害により農地等として利用することが著しく困難または不適当となった土地等であります。三番目にはその他といたしまして、自作農の創設または土地の農業上の利用の増進の目的に供しないことが相当である土地等、こういう三つの種類のものが追加をされたわけでございます。
 このような政令改正に伴いまして、従来よりも強制買収をいたしました国有農地等を旧所有者に売り払う場合がふえてまいるということになるわけでございますが、現行の土地事情からいたしまして、これら国有農地等を積極的に公共用等に活用することがきわめて重要な課題である、こういう認識のもとに関係省庁の事務次官の申し合わせを行ないまして、その中で農林省は各省庁並びに都道府県の協力を得て、国有農地等の公用、公共用等への利用計画の有無を緊急に調査をする。またその調査の結果に基づきまして、農林省といたしましては、不要地の認定並びに旧所有者への売り払いの事務を進めるにあたりまして、利用計画が公共用にあるという場合には、可能な限りこれを公共用等に活用されるように関係者を指導してまいる。なおまた、旧所有者に売り払うことを要しない種類の国有農地もございますが、これらはもとよりつとめて公共用等に活用されるようにしてまいる。以上のような措置の具体的な実施を円滑に行なうために、各省庁の担当課によりまして連絡協議会を設ける。このような措置を関係省庁の事務次官申し合わせといたしまして、政令の改正とあわせて決定をいたしたところでございます。
 以上が経過の概要でございます。
#126
○毛利委員長 質疑を許します。松尾正吉君。
#127
○松尾(正)委員 いま経過を伺ったのですが、要するに一月二十日の判決並びに農地法に基づいて政令を改正し、これを売却することにした、こういうことでありますが、この発表以来、国民はことごとく、あまりにも常識をかけ離れた処置である、こういうことで憤激をしております。
 そこで逐次伺ってまいりたいのですが、国有財産の払い下げをするということについて、まず理財局長はこれをいつ知ったか、それを最初に伺っておきます。
#128
○相澤政府委員 日にちは正確に記憶いたしておりませんが、二月の初めだったと思います。
#129
○松尾(正)委員 それから、一つ政務次官に伺いたいのですが、いままで予算委員会、さらに担当委員会等でも重大な問題として連日新聞に報道されている。とにかく内容はこれから逐次詰めてまいりますけれども、あまりにも非常識な二円五十銭というかけ離れた価格、さらには公平という点から見てあまりにも公平を欠いた処置、さらに法的にきわめて疑問が多い、こういう問題について、国有財産を管理する所管省でも何らここで説明をされない、そして今日国民が憤激をするような中でこういう状態に扱われるようになった、こういう措置がはたして行政上妥当だと考えるかどうか、その点を中川政務次官からまず伺いたい。
#130
○中川政府委員 国有農地の所管官庁は農林省でございますので、大蔵省は直接これを所管はいたしておりません。おりませんが、国有財産を総括をしておるという立場は大蔵省は持っております。そういう観点から見まして、あたかも二円六十銭という値段は非常に非常識のように、一見、見えるわけでありますが、現行法律制度を忠実に履行するという立場、または先ほど管理部長から御説明がありましたように、最高裁の判決を受けました以上は、こういう措置を現在の法制下においてはとらざるを得ないということになろうかと存じます。
#131
○松尾(正)委員 きわめて答弁にならないような答弁を聞いたわけですが、これがはたして妥当な扱いというふうに政務次官が考えるとしたならば、これは重大な問題だろうと思います。あとでまた詰めますけれども、これほど重大な問題を、農林省としてはなぜいままでのきわめて短い期間に秘密裏に政令改正でぽっとやらなければならないか。詳しい事情は省きますが、その点についてはどうですか。
#132
○堀川説明員 先ほども申し上げましたとおり、最高裁で判決が出ましたのが一月の二十日でございます。その判決の内容に、現行の政令が法律の趣旨にたがっていて無効であるということが明確に判示されておるわけでございますから、法律を忠実に執行する政府の立場といたしましては、一刻も早くそのような無効な政令を改正をいたしまして、最高裁の判決との間に食い違いのないようにするということが必要であると判断をいたしました。しかし、本問題につきましてはかねて経緯のある問題でもございまするし、非常にむずかしい問題を含んでおりますので、できるだけ早く政令を改正することが適当であると思いましたが、関係各省ともいろいろと相談をいたしまして、検討を重ね、過日閣議決定を見るに至った、かような経過でございます。
#133
○松尾(正)委員 判決が出たからなるべく早くということですが、この件については、昭和四十一年の十月に閣議でやはり問題になった。そして次官会議をひっくり返した。その理由として、旧地主には買収対価がすでに支払われている、その後重ねて、総額で約一千五百億の農地報償金が支払われた、こういった問題等があるために、しかも地価の非常に急騰がある、これらを考慮して、いま出すべきではないということがこのときに論議されたのは御承知のとおりですね。したがって、そういうふうに地価が急騰する、それからいろいろな国民感情等の問題がある、これらを合わせて経過を見れば、当然、法の不備があるのだから、法律改正をやらなければならないということがそのとき論議されなかったのですか。
#134
○堀川説明員 四十一年当時、確かに先生の御指摘のように、この農地法施行令の一部改正の問題が問題になったことがございまして、そのおりに、先生のおっしゃったような次官会議に一たんかけましたが、閣議において保留になったという経過はございます。その場合に世論等々から非常に激しい御批判があったことは御承知のとおりでございますが、今回の場合には、先ほどのように政令の規定が法律に違反をしておりまして無効であるということのほかに、最高裁判所の判示の中には、強制買収をいたしました国有農地等は、これを自作農の創設の目的に供しないことを相当と認める、そういうような客観的な事実がある場合においては、国はこれを旧所有者に売り払わなければならない義務があり、旧所有者のほうには、その国有農地等を売り払ってくれということを国に対しまして請求する権利があるということが明確に判示をされておるわけでございます。
 なお、価格の問題につきましても、四十一年当時におきましていろいろと問題になりましたが、今日におきましても問題になっておりますけれども、価格の点につきましては、いまのような最高裁判所の判示のもとにおきましては、現に客観的に自作農創設の用に供することが相当でないという状態に達した国有農地につきましては、すでにこれを国が売り払う義務があり、その売り払いにつきましては農地法八十条二項に価格についての規定がございまして、その価格は「買収の対価に相当する額とする。」ということが明確にきめられておりますために、価格につきましても、いろいろと国民感情に合わないという御批判があることは十分承知はいたしておりますが、その価格によらざるを得ないことになる、こういうふうに判断をいたしまして、他に格別の名案もなかなか見当たらないということで、十分世論の批判ということも意識はいたしましたが、このような政令の改正をして、政令の改正後におきましては各関係省庁で申し合わせをいたしまして、積極的に、旧所有者に売り払われた国有農地を公共用地に活用する、こういう以外に道はないのではなかろうか、かように判断をいたしまして措置をとった次第でございます。
#135
○松尾(正)委員 どうも答弁していることが、聞いたことに答えてもらえないのですがね。昭和四十一年に問題になったので、その問題になったという点は法律に不備がある、この法律を改正するということについては何ら検討はなさらなかったのかということを伺っておるのです。
#136
○堀川説明員 四十一年から今回の判決がありますまでの間におきまして、法律問題を含め、もちろんその中には立法という問題を含め検討はいたしましたけれども、結論がなかなか得がたかったわけでございます。そういうところに一月二十日の最高裁のこの判決が出たわけでございます。これはかなり、私どもの想定をしておりましたものとは違った形で、きびしい判決というふうに考えておりますが、そのような状況のもとで、また新たに法律を直すことの可否等も私どもは内部におきまして検討いたしましたけれども、非常にむずかしいという結論に達しまして、法律改正という措置をとることはしないというふうに考えたわけでございます。
#137
○松尾(正)委員 いま、長い間検討したけれどもほかには方法がなかったということですが、それでは法制局の方、来ていますね。土地収用法に関するこうした扱いについてはどうなっておりますか。土地収用法の百六条第三項ですか……。
#138
○林政府委員 お答えいたします。
 お尋ねの御趣旨は、おそらく土地収用法百六条の買受権の制度の問題だと思います。この土地収用法自体は、実は憲法の二十九条三項を根拠にいたします、一種の基本法といえるようなものと考えてよろしいと思います。その土地収用法の百六条の買受権と申しますのは、起業者が土地を強制収用いたしました後に収用の目的に供する必要がなくなったとか、その他一定の事由が生じました場合に、もともとそれは収用が間違っておったとはいえませんけれども、もとの所有者にその権利を返すのが適当であるということでもとの所有者に買受権を認めた、こういう規定でございます。そういたしまして農地法との関係を申し上げますと、農地法の農地買収……(松尾(正)委員「いや、第三項だけでいいです」と呼ぶ)なお百六条の三項におきましては、買受権の公示の際にかりに目的物の価格が著しく上がっておるというような場合には、これは起業者と被買収者との関係でございますが、起業者側から訴えをもちまして増額を請求することができる、こういう制度になっております。
#139
○松尾(正)委員 いま農林省のほうでは、農地法八十条に基づく以外に方法がなかった、こういうのですけれども、土地収用法による買い戻しの処置によると、地価の著しい高騰があった場合には、これを裁判所に訴えて請求することができる、こういうものがあるわけです。
 それからこれに関連してもう一つ伺いたいのですが、森林法並びに鉱業法等におけるこれに関連する処置はどうなっておりますか。
#140
○林政府委員 森林法と鉱業法等におきまして、土地収用法を準用している部分がございます。
#141
○松尾(正)委員 準用しているのですね。そうしますと、結局原価でなければならないというきびしい判決が出た、それから農地法の八十条では非常にきびしい、もとの対価でなければならない、ほかに方法がないというのですけれども、ほかの法律は土地収用法を基準にして、森林法においても鉱業法においても扱うわけです。この点をひとつ十分頭に置いて、もう一点理財局長に伺いますが、国有財産法における払い下げはどういうふうになっておりますか。
#142
○相澤政府委員 いま該当条文をちょっと点検しておりますが、普通財産の払い下げは時価をもってするというたてまえになっております。
#143
○松尾(正)委員 結局、国有財産法に基づいても、それから森林法、鉱業法に基づいても、ことごとく時価に改める。ほかに処置がなかったというけれども、幾らでもこういうふうに改められるわけです。したがって、この処置がない、こういうことについてはあまりにも、国民が法を知らないということで、そこにつけ込んだ言い回しにすぎないのではないか、こういうことでどうしてもこの点については納得できないわけです。
 それから次にもう一点。この扱いは、二千二百ヘクタールをもうすでに払い下げてあるので、今回の分を別な処置でやることは不公平になる、こういうことが一つの条件になっておりますけれども、私はその考え方については大きな疑問があります。すなわち、二千二百ヘクタール、それから三百ヘクタール、こういう小さい部分の公平と全国民の場合を考えてみますと、いま土地がものすごく高騰しているのですよ。数万倍。こういう一生かかっても買えないような高騰している土地を求めている際に、この二円五十銭という価格で払い下げるこの不公平、国民全体に対するごく一部分の不公平と、この前例による不公平との公平感。これはどういうふうに解釈しますか。
#144
○堀川説明員 私どもといたしましては、今回の措置をとるにあたりまして、一般の多数の国民の方が宅地難に悩む、あるいは公共用地の取得難に悩んでおる状況がありまして、今回のような措置をとることが国民感情にどのような受け取られ方をするかということも、十分心配をいたしたわけでございます。したがって、そういう角度から見ますれば、確かに私どものとった措置について、何となくあと味の悪い感のいなめないものがあるかも存じません。しかし、私ども法律を執行する立場のものといたしまして、やはりどうしてもある時点を境にいたしまして、極端に売り払い価格が上がるというようなことがいかがであるかということが一つ。
 それから、もともとこの土地は、農地改革によりまして強制的に買収をした土地である。その買収のしかたも、土地収用等の場合とは相当質が違うと申しますか、土地収用の場合におきましては一件一件につきまして収用の目的を明らかに掲げ、厳密な事業の認定を行ない、厳格な手続で収用される。農地法の場合には、農地改革のために、一定の基準に該当いたしました農地等は、ある意味では画一的に、大量にしかも短期間にこれを収買をするというような特殊事情もございまして、その点に、同じ収用とは申しながらかなり性格の差もある。したがって、そのような農地改革のために特に強制買収をした土地は、これを自作農創設の本来目的に供しない場合におきましては、これをもとの状態に戻すのが適当である、かような趣旨で、現在の八十条の買収農地の売り払い制度ができておるものと、かように考えるわけでございます。最高裁の判示にも、このような制度が被収用者の権利を保障する措置であるというふうに言っておるくだりもあるわけでありまして、その辺も考えますると、一般の国民の方の宅地難あるいは公共用地難、そのことは十分わかるわけでありますが、国有地の不要となったものについての扱いについてはかように措置する以外にない、こういうふうに考えた次第でございます。
#145
○松尾(正)委員 時間がないので端的に伺いますが、いまのように国民のきわめて不公平な扱い、それからきわめて国民の納得しないような条件、こういうものの中であえて、前にやった、前例があるというふうに固執しているわけでございますけれども、しかし、いままで何問か、かわした中で、すでに法の解釈上にも大きな疑義がある。さらに不公平感がある。その上、行政上もっともっと慎重にはからなければならない性格のものをこういうふうに扱ったという重大なミスがあるわけです。こういった処置について、理財局長に伺いたいのですが、国有地を管理する責任を持っている理財局長として、このような重大な欠陥、矛盾、ミスがあるものを、せっかく持っている国有地を、このような形で処置することが、はたして妥当であるとお考えになるかどうか。お答えいただきたいと思います。
#146
○相澤政府委員 この農地法の施行令の改正につきましては、農林省から私どものほうに話がございましたときに、私どもとしましては、国有財産、特に普通財産の払い下げの一態様でございますので、そういう観点からこのような措置ができるかどうかということについて検討をいたしました。しかしながら、その売り払いの価格の点につきましても、第八十条の二項にはっきりした規定がございますし、また用途指定についても、この最高裁の判決の趣旨からいきましてこれはなかなか困難である。また農地報償といたしましてすでにもらったものは返すというようなことができないかということにつきましても検討いたしましたが、これは、農地報償の報償金は農地買収の対価ではないという趣旨並びに農地報償に関する法律が昭和四十年の三月三十一日までに土地の返還を受けた者についてはこれを除くということになっております。その後についてはこれをもらえるというような規定になっているというような点等々からいたしまして、どうも現行法を前提といたしまして考えた場合には、やはり最高裁の判決の趣旨に従うにはこのような政令改正もやむを得ないということになったわけでございます。
#147
○松尾(正)委員 政務次官、いまの問題についていかがですか。これだけの疑義があり問題があり、重大な案件です。これをやむを得ず政令で処置をした、しかも審議もろくにやらずにやったというこの処置については、もう当然疑義を持っていると思うのです。こうしたものはとにかく今後の問題もあるので撤回すべきだ、こういうふうに私は考えているのですけれども、政務次官としてはどうですか。
#148
○中川政府委員 この問題は、一見すると、二円六十銭で、一坪数万円、場合によっては数十万円の土地を返すわけですから、たいへんだなあという感じはいたしますが、そもそも農地買収をいたしました当時にさかのぼりますと、農地解放といいますか、自作農創設という特別の目的をもって買収したものです。ところがこれが使用目的に使われなかったということになれば、買収したこと自体が間違っておったのじゃないかということを振り返ってみると、もとの姿に返したということにも解釈できるのじゃないか。
 一方、均衡論からいいますと、もう一つは、買収を受けて、二円数十銭で小作人が買い受けた、その人については、その後二十万、三十万で――土地を持っていなかった人が法律によって土地を取得した、自作農創設をしたことによって数十万もうけている人もあるわけです。そういった人との均衡も考えると、まあまあやむを得ないかなあという気持ちもいたすわけです。
 ちょっと余談になりますが、たとえば国の財産を処分する場合には使用目的がはっきりしております。それ以外のものに使った場合にはその売り渡しは無効になる、あるいはまた、五年たってもこれがその目的に使われない場合には売り渡しを取り消す、国の土地を処分するときにはそういう処置があります。ところが、やはり旧地主といえどもやはり一国民ですから、一国民の所有権を目的以外のものにばっさばっさと使ってしまうということは、国民である所有者を法律の力でないがしろにするのじゃないかという、あたたかい気持ちも振り向けてやるべきじゃないかという感じはいたします。いたしますが、まあ少し返し方の検討が足りなかったとか、あるいはいろいろな批判があるかと思います。ありますので、今後時価で払い下げる方法について、あるいは用途指定について、あるいは税制について、検討する。これが十分万全であったとは考えませんで、今後も、こういった御指摘があることですから、検討は進めてみるべきものであろうと思いますが、ここで撤回をしてこうするということは、どうも言える状態には、目下の検討段階では、ない、こういうことになろうかと存じます。
#149
○松尾(正)委員 時間がありませんので、さらに機会を得てただしたいと思います。とにかくいままでの答弁を聞いてだれ一人これは納得はできないと思う。私も全然納得はできません。したがって、重大な問題であるから、どこまでもこれを撤回し、そうして法の不備な点を改正をする、そうして国民の納得のいくような処置を強く私は考えておりますし、これを要求する次第ですが、この推移を見守って、私どもとしても重大な決意をもつて取り組んでまいりますということを申し上げておきますので、十分ひとつ含んだ上で善処してもらいたい。
 以上でこの問題について終わります。
#150
○毛利委員長 関連質問を許します。丹羽久章君。
#151
○丹羽(久)委員 ほんとういうと、農林大臣と大蔵大臣の御出席をいただいて聞くつもりでおりましたが、にわかなことでありましたので、きょうは管理部長、局長に御出席いただいてお尋ねするんですが、まず管理部長にお尋ねいたしたいと思いますことは、最高裁の判決が出たというんですが、これは、私不勉強ですけれども、どういう裁判になっておったか、その経過もひとつ簡単に話してくれませんか。それからまずひもといて少し聞いてみたいと思います。あまりむずかしい話し方せずに、わかりやすく話してください。
#152
○堀川説明員 問題の最高裁に上告されました事件は、昭和二十二年の十二月に自創法の規定によりまして――自作農創設特別措置法という法律でございますが――強制買収をされました七十七アールの愛知県稲沢市所在の土地、農地があるわけでございます。その農地につきまして耕作者がおったわけでございます。小作人がおったわけでございまするけれども、その農地につき、昭和二十八年に都市計画の計画地区に編入をされたわけでございます。その後都市計画の仕事としては進められたわけですが、現場の農地は農地として依然として耕作をされたままにずっとなってきており、昭和三十六年に至り、その小作人に国がこれを自作農の創設の目的に供するものとして売り渡したわけでございます。ところが旧地主はこの措置を不満といたしまして、裁判所に出訴をいたしまして、一審、二審と経て最高裁判所に回ってきまして、一月二十日に判決が出た、かようなことでございます。判決の個別のケースについての判断は、もう一ぺん、原審に差し戻しでございまして、事実の認定調べをやり直すということになっております。
#153
○丹羽(久)委員 事実の認定はもう一ぺん差し戻してやってみよというような含みある判決だと考えなければなりませんが、それにどうしてそんなに急遽そのような政令改正をして売り渡す処置というものをしたんですか。先ほどから議論の争点になるのもそれなのです。一体農林省自体としてどうしてそういうような――こういうたいへんな問題のときには慎重を期して、少なくとも政令、その法律が間違っておるということで、国のとった処置がそれは適当でない、それは返しなさいという、日本の最高機関である最高裁判所の判決を妥当と思い、もうこれ以上の方法はないということで、政府自体がこれは間違っているということになれば、それはあらためてもう一ぺん国会においての法律の改正を国民の名においてやっていかなければならぬと思うが、その点どうでしょうか。
#154
○堀川説明員 改正前の政令は、旧地主、旧所有者に国有農地を売り払うことができる場合として、公用、公共用、国民生活の安定上緊急に必要があり、かつ確実にその用に供せられる土地というふうに、不要地の認定をいたしまして旧所有者に返すと、返すことができる場合を狭く縛っておるわけでございます。そのように縛っておるがために問題のような、たとえば都市地域に介在をするような農地につきましても、公用と公共用である具体的なそういう転用の計画が出まして、旧所有者がそれを買い受けて、それをそういった政令の定める目的に供する、こういうことにならないと旧所有者に売り払えないというようなことで、もし今回のような改正の措置が当時においてかりに、たとえの話でございますけれども、とられておったといたしますれば、おそらく問題の土地は旧所有者に売り払われておったのではないだろうか。耕作者に売り払われずに旧所有者に売り払われておったのではないだろうか、かように思うわけでございます。やや政令の規定が実態と合わぬ面があると同時に、狭く縛り過ぎているために、法律の関係で違法になる、無効であるということになったわけでございます。したがって、その旨を指摘をされました以上、これは一刻も早く政令の改正をすべきである、かようなことで踏み切ったわけでございます。
#155
○丹羽(久)委員 個別に基づいて事実調査をせよという含みのある判決であるとおっしゃったが、まだ判決文を十分に読んでおりませんのでわかりませんが、専門的の見解のもとにそれは早くきめなければならなかった理由というものははっきりしているんですか、どうでしょう。これだけ先ほどの話を聞くと、一月の二十日の判決であった。しかしそれが発表せられた最近までだれか押えておったということもここに問題が出てくると思うのですが、その点はどうでしょうか。
#156
○堀川説明員 私どもとしては判決以来鋭意慎重に検討してきたわけでございまして、特に他意あったわけではございませんが、判決等の関係で政令がおかしくなる、というのは、この文章を読んでみますと、「買収の目的である自作農の創設等の目的に供しないことを相当とする状況にあるといいうるものが生ずるであろうことは、当然に予測されるところであり、法八〇条は、もとよりこのような買収農地についても旧所有者への売払いを義務付けているものと解されなければならないのである。したがって、同条の認定をすることができる場合につき、令一六条が、自創法三条による買収農地については令二八条四号の場合にかぎることとし、それ以外の前記のような場合につき法八〇条の認定をすることができないとしたことは、法の委任の範囲を越えた無効のものというのほかはない。」となっているわけでございます。それから続きまして結論の部分でございますが、「これを要するに、旧所有者は、買収農地を自作農の創設等の目的に供しないことを相当とする事実が生じた場合には、法八〇条一項の農林大臣の認定の有無にかかわらず、直接、農林大臣に対し当該土地の売払いをすべきこと、すなわち買受けの申込みに応じその承諾をすべきことを求めることができ、農林大臣がこれに応じないときは、民事訴訟手続により農林大臣に対し右義務の履行を求めることができるものというべきである。」かようにいっておるわけでございます。
#157
○丹羽(久)委員 十六条も十七条も十八条も、法八十条も、あるいは百六条ですか、これはもうみな関連性を持っておると思いますが、こういう法律があるから最高裁はこの法律に基づいてその判定をしたものであろう。そうした判決をしたものであると私は考えるのですがね。あなたのほうはこういうような問題、こういうケース、その後これと同じような立場にありながら払い下げをした場合がありますか。要望に応じて、そしてこういうような問題、訴訟するようなケースのもとに、訴訟をせずして払い下げをしてくれ、主たる目的の農地として使っていない、使っていないから不当である、不当であるから払い下げしてもらいたいという、裁判にかけず、ただの申し出に対して、それを現地において認定して払い下げをしたような場合がありますか、どうですか。
#158
○堀川説明員 八十条で不要地の認定をいたしまして売り払いをしました農地は四千四百六十町歩余りございますが、その中に旧所有者に対しまして売り払いましたものが二千五百町歩くらいございます。
#159
○丹羽(久)委員 それで、そのときの価格は一体幾らでやったのですか。やっぱり二円六十銭価格というものでやったか。どうですか。
#160
○堀川説明員 旧所有者に対しますものについてはそのとおりでございます。
#161
○丹羽(久)委員 私が聞いた範囲ではそんな価格でないですよ。そんな価格で、二円六十銭なんかで、旧所有者に対しては所有価格で払い下げしたというようには聞いておりませんよ。全員が、いままでが、そういうようなことで裁判を起こさずして払い下げを受けた人たちは、相当高い価格で受けている。
#162
○堀川説明員 先ほど、四千四百町歩ばかりあります、そのうち旧所有者の分が二千五百町歩くらいございますというふうに申し上げましたが、その差額につきましては、これは旧所有者売り払いでございませんので、時価で売っておるわけでございます。
#163
○丹羽(久)委員 そういう問題はもっと時間的にこまかく話し合いましょう。
 そこで、八十条の中に、耕地整理にかかったものあるいは他にかかった費用を含む、そうして必要なくなったときには払い下げしなければならないという条文があるのですね。そのときには相当の価格ということが書いてあるけれども、この相当の価格とは、当時買い上げた価格を相当の価格というのか、幅を持った考え方の相当と考えるのかということになると、いまの国民感情の考え方は、相当とは適した価格であるというように解釈しているが、あなた方は二円六十銭という、最初に買い上げした価格が二円六十銭であるから、それに相当したという二円六十銭で売ることが適当だという考え方でこのようなことがきめられたとするなら、それは全くほんとうに国民の感情というものを踏みにじった、無視したものであるといわざるを得ないのだ。私は少なくとも自民党に所属する代議士であるから、政府のおやりになることには賛成するんです。しかし、こればっかりは実際われわれは賛成しかねるのです。先ほども住宅の問題等々いろいろ言われたけれども、そういうことをもっと乗り越えてこういう処置をとられるということに対しては、私は少なくとも主管である農林省の考え方はたいへんな間違った考え方だと思う。
 そこで、私は大蔵省の局長にお尋ねしたいと思うが、国民の血税によって買い求めた財産というものは、処分するときには十分あらゆる角度を検討して処分をせなければならぬということはお考えになっておるだろうと思いますが、この点どうですか。
#164
○相澤政府委員 先ほどもちょっと答弁申し上げましたが、財政法の第九条によりまして、「国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」というふうにその第一項で規定しております。したがいまして、国有財産の処分は当然この規定に基づきまして適正な対価を得て譲渡するということになるわけでございます。しかしながら、この農地法の第八十条の第二項の規定は、この規定に基づく財産の処分に関しましてはこの定めによるということを規定いたしておりますところの特例でございます。したがいまして、この「買収の対価に相当する額」というものがどういうものかということについてはこの法律の規定によるということになるわけでございまして、これは「耕地整理組合費、土地区劃整理組合費その他省令に定める費用を国が負担したときは、その額をその買収の対価に加算した額」というふうに、きわめて限定的に書いてございまして、買収以後における土地の価格の値上がりというようなものは、ここに書いてありますところの国が負担した費用というふうに解釈することはこれは条理上できませんので、やはりこれは買収した対価に当然国が負担したところの必要経費を加えた額で売り払わなければならないというふうに解釈をすべきであると思っております。
#165
○丹羽(久)委員 局長が、こういうような重大な問題に最高裁の判決が下って、農林省のほうで話し合って、あなたのほうに今後の国有財産扱いとしての相談があったというのは、相当日にちをおいてからの相談であったように、先ほどの話を聞いておりますと、結果からいうとそういう答えになるわけなんです。しかし、今後の取り扱いという問題は大きな影響もしてくるのですし、いま政務次官は、この訴訟した人たちの問題に限ってはこれより方法はないけれども、今後は一般常識も取り入れ、世間の声も取り入れ、そして考慮すべきものは考慮していかなければならぬということのような答弁であった。これはもう当然のことだと私は思うのです。しかし、こういう事態が新聞に報道せられ、テレビ、ラジオ等々で放送せられて、一体、国は裁判に負けた、負けたからこれはやむを得ませんというようには実際はとっていないのですよ。もっとそういうような問題の解決点というものには、少なくとも、政令を改正しなければならない、そして、みずから政府がいいと思ってきたことは裁判によって負けたのだということになったら、やっぱりそれに対してはわれわれにも十分審議をさせ、そしてそういうことを公表して、その結果においてやるべきだと思いますよ。実際こんなことを一体国民がどう考えます。いまどき一坪二円六十銭、いかなる理由があろうともそんな土地がありますか。それがあなた方がいいと思って、やむを得ませんからそういうことになりました、この二つの問題は別にして、あと政令でなぶっていけばこれはまた考えられるというような処置がとられるとするならば、もっと慎重を期すべきであると思うが、どうですか、部長、あなたは担当者としてどうお考えになっております。
#166
○堀川説明員 私どもも先生のおっしゃるような国民感情等も配慮しながら慎重な検討をやりました。先ほども理財局長からいろいろお話もございましたように、いろいろ問題点があるわけでございます。そういう問題について配慮しながら慎重に検討いたしましたが、何ぶんにも最高裁の判決が、先ほどはごく一部を読んだわけでございますけれども、今回のような国有農地の問題につきましては、旧所有者側に八十条による売り払いを受ける権利がある、自作農の創設の用に供することが相当でないという事実さえあれば権利があるということに相なりますると、最終的には、こちらが渋っておりましても訴訟で争われれば全部返さなければならないということになり、返す場合の価格は何かということであれば、それは八十条の売り払い制度に基づく権利ということが言えるわけでございましょうから、そういうことになりますと、価格についても八十条に明定したものがございまするので、それで返さざるを得ない、こういうことになるわけでございまして、私どもとしては、そのようなことは、従来の価格については旧価格で旧所有者には戻してきたわけでございますし、それとの連続性ということを考えますればやむを得ない措置ではなかったかというふうに考えているわけでございます。
#167
○丹羽(久)委員 あなたは、裁判の長い年月の間じっと見守ってきて、そして八十条よりやむを得なかったと言うが、八十条で負けたときにはどういう結果が出るかぐらいのことは、それを担当せられるとすればわかっておるでしょう。それは一円六十銭でこれを払い下げなければならぬということになるから、これは政令をやっぱり直しておかなければいかぬというようなことがどうして判断がつかなかったですか。それほどあなた方はうぬぼれておったのですか。絶対に勝つという自信を持っておったんですか、裁判の過程において。
#168
○堀川説明員 裁判の先行きの見込みにつきまして軽々に予測は立てられないと思うわけではございまするが、本事件につきましては一審及び二審とも国の側が勝ってきた経過があるわけでございまして、実は最高裁判所でこのような形で負けるということは全く私どもとして予想をしていなかったわけでございます。
#169
○丹羽(久)委員 この問題はもっと深く掘り下げていかなければならぬ問題でもありますし、今後の残された問題としても、処理方法等についてはやらなければならぬと思いますから、私は中川政務次官に申し上げておきたいと思います。
 あなたはもうすでにテレビ、ラジオ等で報道せられたときに、国民の考え方は、相当いろいろの批判をしておることは耳に入っておるだろうと思うのです。あなた自身の北海道のどんな山奥へ行っても二円六十銭というところはありますか。どうお考えになるのですか。失礼なことを申し上げるようですが……。今日の時代に一坪二円六十銭というような土地は、いかなる理由があろうとも私はまずないと考えていいと思うのです。しかしそれは正当な理由で、国家がどうしても無理に取り上げて、負けたものであって、これはやむを得ませんということなら、ただでやるべきだと私は思うのです。相当の対価ということの理由は、やはりそこに私どもはもっと含みのある考え方の法律だと思っておる。相当の対価というのはそのときに買い上げた対価だということのようでありますけれども、私はこの点について納得ができない。こんなことは納得できない、そんな法文の解釈のしかたをしていくならば。だから、そういう相当の対価というものの基本的考え方というものは役人的考えだと私は断じてもいいと思うのです。一審に勝った、二審に勝ったからといって、決定したものじゃありませんよ。最高裁がすべてを決定するという最高の権威じゃありませんか。そういうときに、一審に勝った、二審に勝ったから三審に負けるようなことはゆめにも考えていませんでしたというようなことは不届き千万な答弁だと私は言わなければならない。そうでしょう。一審、二審に勝ったからといって三審に勝てるという、最高裁の裁判で勝てるということはどこに裏づけられるでありましょう。すべては、一審であろうと二審であろうと、どういう判決が出ても、それが不服で上告した場合には最高裁の決定に従うということが、これがきめられた日本の法律ではありませんか。こういうときにあなたが、一審に勝ったから、二審も勝った、三審はもちろん勝てると思っていたのが負けたから大きな私どもの間違いでしたなんて、もってのほかだ、そんなことは。その間に十分に考えていくべきことだと私は思う。しかも、そういう結果が出たときには二円六十銭で渡さなければならぬといったら、国民感情がどうなってくるかぐらいのことは十分研究しておく必要があったと私は思う。
 これ以上のことは申し上げません。この次に、もっともっとあなた方と違った方々に御出席をしていただいてお尋ねすることにいたしましょう。
     ――――◇―――――
#170
○毛利委員長 引き続き、預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑を続行いたします。松尾君。
#171
○松尾(正)委員 預金保険法案についてお伺いしますが、この制度につきまして、金融機関の自主的な預金者保護体制、こういう問題で私はやはり若干問題があると思いますので、この点について二、三伺いたいと思うのです。
 まず第一は、わが国の金融機関を見ますと、もう従来指摘されておりますように、自己資本あるいは流動資産、支払い準備率等が諸外国に比べてきわめて低いところにある。これは参考人からもそろって指摘された点であります。銀行当局もいままでの答弁によりますと相当この点については努力されてきた、こういうことで、その努力は認めますけれども、しかし預金者保護という点から見ますと、これが何といってもかなめになると思うのです。
 そこで、今後この点をこういうふうに改善をしていくんだ、それで実績をあげていくんだ、これを改善するためにこういう指導をしていく、あるいは改めさせる、その今後の目標なり計画なりについてお答えをいただきたいと思います。
#172
○近藤政府委員 ただいま御指摘の点は、預金保険制度の創設ということになりますと、まさに一番大事な点でございまして、第一次的には金融機関自身がその努力によりまして支払い準備率を厚くする、あるいは流動性資産を厚くするということがどうしても必要になってまいるかと思います。御高承のとおり、現在都市銀行につきましては、流動性資産の比率を預金平残に対して三〇%以上ということで指導いたしております。それからまた中小金融機関につきましては、定期性預金の一〇%、要求払い預金の三〇%ということを目安にいたしまして指導をいたしております。それらの指導を通じまして、さらにはまた自己資本につきましても、自己資本率の一〇%を目安にして指導をするというようなことでやっておるわけでございますが、預金保険制度の創設ということになりますれば、それを機会にさらにその方面の指導をもっと強力に推進するという方向で、実際の行政、検査、両面から指導いたしてまいりたいというふうに考えております。
#173
○松尾(正)委員 いま具体的に流動資産比率あるいは自己資本等について目標を掲げてやっていくということでありますけれども、この目標をきめたのは今回でなく、もう以前からこういう目標を掲げてやってきているわけです。しかし実効があがらない。したがって、単にこういう目標を示すだけでなしに、いままで実効があがらなかったものをどういうふうにして実効をあげていくんだ、実績をあげていくんだ、ここのところが違うんだ――今度の預金保険制度を契機にしてさらに強力にと言うのですけれども、ただ、いままでどおり強力に強力にといくのか。ここはいままでとは違うんだという、そういう対応策、これがありましたら具体的に示してもらいたい。
#174
○近藤政府委員 たとえば中小金融機関につきまして支払い準備率の現状を申し上げますと、先ほど申し上げた比率に対しまして、相互銀行の場合でございますと一二四・四%、信用金庫の場合で申しますと一七七%、信用組合の場合で申し上げますと、一六三%というようなところで、大体その限度に達しておるかと存じます。むしろ都市銀行の場合に流動性の比率、流動資産の比率、これを三〇%の目標を設けてやってはおりますが、これが現状におきまして二三、四%というものでございますので、この指導、むしろ預貸率指導というような形におきまして強化してまいるというところに重点を置いてやってまいりたい、こういうふうに考えております。
#175
○松尾(正)委員 これは預金者保護――午前中の質疑の中にもありましたけれども、倒れてから預金者を守るのではなく、要するに倒れないようにしていくためには、何といっても力をつけていくことが重点であるわけです。そういうことで預金者保護の法がむしろ預金機関保護という形に受け取られがちであるし、確かにそういう疑義もあります。ですが、とにかくこういうふうに目標を掲げて実力をつけるために指導はしているけれども、どうも問題だ。さらにこれを進めて合理化し、効率化ということを進めていくと、むしろ統合その他が起きてきて、結局それがために倒産するものを防止するというふうな形にとられがちです。そういう意味でどうかひとつ、せっかく目標を掲げてあるのですから、しっかり取り組んで、その対応策を効果のあるように運んでもらいたいと思います。
 それからその次に一つ問題になりますのは、いわゆる拘束預金比率ですか、この拘束預金比率についてもずっと指導はされてきているわけです。ところが最近になって若干上向きになってきた、こういうことでありますけれども、都市並びに編方、相互、信用金庫、これ別に四十三年、四十四年の比率を示してください。
#176
○近藤政府委員 拘束預金に対する報告の集計は、毎年五月、十一月時点で行なわれておりますことは御高承のとおりでございますが、四十四年の十一月末と四十五年の五月末ということで比較をいたしますと、拘束預金比率は都市銀行の場合には四・三%が四十五年五月の数字でございます。それから四十四年十一月が四・八でございます。それから四十四年五月が五・四でございます。それから信託銀行でまいりますと、四十五年五月が〇・九、四十四年十一月も〇・九、その前の四十四年五月が一・〇でございます。地方銀行でまいりますと、四十五年五月が七・七、四十四年十一月が八・〇、四十四年五月が八・七ということになっております。
#177
○松尾(正)委員 この数字を一つ一つ分析していくには時間的に問題がありますが、きわめてよくない、こういうことが一目でわかるわけです。このように、当局が努力している結果なんですけれども、特に中小企業あるいは個人に対する都市銀行の資金吸収の方法について、これはもうあまりにも目に余るような状態が散見できるわけです。午前中も指摘がありました。とにかく金を集めるためにはどんな手段も選ばないというような批判まであるのですけれども、この点についても、単に目標を掲げるだけでなしに、何らかの規制をやらなければこれは改まっていかないのではないか、こういうふうに考えるのですが、どうでしょう。
#178
○近藤政府委員 この点は昨年の不祥事件のあとにおきまして、特に業界自体でも痛感をいたしまして、全銀協において十月に業務管理等の改善についての自粛申し合わせを行なったわけでございますが、その際に、個人などに対する資金吸収、預金吸収の方法の改善、特に店外活動の自粛等を中心といたしまして幾つかの申し合わせを行なって、その励行につとめております。私どもといたしましても、これがほんとうに厳正に実行されますように見守っておるところでございます。
#179
○松尾(正)委員 手段を尽くしてきたのですけれども、なかなか改められるのでなくて、だんだんきびしくあるいは多角的に手が広がっていく、こういう状態にあるわけですが、そうした状態の中で預金保険制度が創設されるわけです。とすると、今後はさらに保険料というものが経理面にかぶさってくる。その保険料負担を今度は何とかしなければならないということで、これを借り入れの拘束、たとえば貸し出し金利に転稼をするとか、あるいは巧妙な手段でしわ寄せをするというふうな危険が必ず起こってくるのではないか、こういうふうに考えられるのですが、この点についてはどうでしょうか。
#180
○近藤政府委員 保険料率につきましてただいま私どものほうで――これは運営委員会が自主的にきめられまして、大蔵大臣が認可をいたすというたてまえでございますので、率についていまから私が申し上げるのもいかがかと存じますが、きわめて大胆な試算をいたしますと、大体十万分の六程度で足りるのではないかというふうに考えております。その十万分の六程度で考えました場合に、たとえば償却前利益に対しまする比率、これは〇・四%ぐらい、それからまた経費に対しまする比率、これも〇・三%ぐらいといったようなことでございまして、毎年毎年の従来の経費の節減、コストダウンの趨勢から見まして、十分その範囲内で吸収し得る程度の料率でございますので、特に料率の負担が新たに加わったために、そのための収益競争といったようなものにはね返るといったほどの大きなものは現在予定しておらないわけでございます。
#181
○松尾(正)委員 銀行局長は、非常に低い率であるからそう影響はないであろう、こういう考えですが、しかしこの保険料がなくてもどんどん手が広がっていく、こういう形を見ますと――今度はこの制度によってさらに適正競争によって効率を向上するのだ、こういうことも考えられておりますね。したがって、自由化を打ち出したこの考え方はよくわかるのです。適正競争をやって効率化のために自由化していくという、この考え方はよくわかるのですが、いま言ったような規制がなされながら、申し合わせがなされながらだんだん広がっていく状態を考えたときに、これはやはり問題があると思います。さらに現在のように、事例は時間の関係で省きますけれども、他行間にみぞをつくってでも預金吸収については、あるいは重点地域についてはラッシュをしている、こういうような過当競争の状態があとを断たない段階では、やはり自由化がかえって経営の効率化や公共性というものに逆行していくんじゃないか、こういう相当強い意見もあるわけです。自由化をいま取り入れた。こういう時期に法を制定するために自由化を取り入れたというこの考え方はわかるのですけれども、はたしてこの自由化というものはずっと最終までやっていくのか、あるいはこういった過当競争、その他公共性が失われるというような点を考慮したならば、ある目標があるのか、こういった点はどうでしょうか。
#182
○近藤政府委員 この点は先ほど阿部委員の御質問にもお答え申し上げたところでございますが、やはり競争というものは、あくまでも「適正な」という形容詞を離れた単なる競争であっては困るということ、それから競争原理の導入の際に片や公共性の原理というもの、公共性の順守ということ、そのことも忘れられては困るということが非常に大切なことでございまして、競争原理の導入による自由化の政策というものも、おのずからそのような制約のもとに行なわれるべきものであるというふうに考えているわけでございます。
#183
○松尾(正)委員 これはもちろん適正な自由化ということで、野放しでなくこれを見て進めていきたい、こういうことですね。
 もう一点伺いたいのですが、経営の効率化をはかっていくために、すでに銀行では、北海道とかあるいは裏日本、九州、こういったいわゆる過疎地帯、あまり日の当たらない地域からは支店の引き揚げ等が行なわれて、重点地域に配転が始まっているわけです。さらに、効率化行政が進むに従って、この過密並びに過疎を何とか解決しようという国の都市対策あるいは国土開発等に逆行する姿が見えているのですけれども、こんな点については、自由化を促進する、そうして効率化を進める、このギャップはどういうふうにお考えですか。
#184
○近藤政府委員 過密過疎の点につきましては、ただいま御指摘のような傾向も方にあるわけでございますが、他方におきまして、たとえば都心部からは都市銀行がむしろ店舗を間引いていくというような傾向も最近出ておるわけでございます。そして、特に地域金融機関による地域金融の拡充という点は、私どもといたしましても非常に重視をしておる点でございます。過疎地帯から店を引き揚げるというような場合にも、十分な納得、合意の上で行なわれる場合にのみ許可をするというような方針で臨んでおるわけでございます。
#185
○松尾(正)委員 これは「適正な」ということばに中心を置いて十分見ていかれると思いますが、これらいろいろ、効率化という一つの問題をとらえても具体的な事例があげられるわけです。
 さらにもう一つ、この競争によって起こってくる現象として、力のあるものはますます大きくなる、それから小さいところはかえって経営の非効率化が温存されていくのではないか、こういう非常に国民の願う形とは変わった形がこの効率化という結果から生まれてくる、こういうふうに考えられるわけですが、この銀行間の格差が効率化、自由化の促進によって起きてこないということが言えるか、この点はどうでしょうか。
#186
○近藤政府委員 先ほど来申し上げておりますように、もし競争原理の上に「適正な」という形容詞がつかない場合には、おっしゃるような懸念もあるいはあろうかと存じますが、やはり公共性の原則を片方にしっかり堅持してまいりますればそのようなおそれがないという感じがいたしますし、また現実に、たとえば大銀行と中小金融機関との最近数年間のシェアを比較いたしてみますと、むしろ大銀行のシェアが少なくなりつつあるというような実情でございまして、ただいま仰せになりましたような点についての懸念は、今後のやり方いかんにもよりますが、あまりないのではないかというふうに考えております。
#187
○松尾(正)委員 適正というところに力を入れるからそういう心配はあまりないということですけれども、とにかく自由競争を進めて効率化をはかっていけば、これはもう力のあるものがどんどん大きくなる。その結果、寡占化というところまで進むということまで心配をされておるわけです。銀行の寡占化が進んでいくと、これに並行して起きてくる問題は、貸し出し先に対する系列化ということがどんどん大きくなり固まっていく、こういうふうに考えられるのですけれども、最近の系列融資の状況は、ごく最近のでけっこうですから、おわかりですか。
#188
○近藤政府委員 最近の都市銀行の系列、いわゆるそのグループに対する融資の全体の融資に対しましての比率でございますが、大体都市銀行で一〇%から一五%の間ぐらいに集中をいたしておるというふうに考えております。
#189
○松尾(正)委員 私の調べたのによりますと、これは全体を総合したものと思いますけれども、多いところでは六〇%、低いところでも四〇%、こういうことなんですが、この数字一つ見ても、半分以上はとにかく系列企業へ貸し出されてしまう、こういう状態である。この金融機関の系列化が進めばさらにこの貸し出し比率というものも大きく伸びていくのではないかと思います。したがって、この融資面に対して、これは系列企業に外する貸し出しということに対しては十分考えていかなければならないと思うのですが、この系列融資というものを、今後だんだん中小企業あるいはその他のほしいところへ貸し出せるような形にしていくのに、何らかの指導なりお考えがあるか、この点はどうでしょうか。
#190
○近藤政府委員 金融制度調査会の答申の中にも、大銀行の項におきまして、たとえば大銀行の合併によりましてスケールメリットの発揚ができるという場合にはそれはけっこうではあるけれども、ただ、二つ条件がつけられております。一つは、寡占の弊害を生ずるという場合には困るということと、もう一つは系列融資、その弊害が著しくなるという場合にはこれも困るということが特に述べられておるわけでございます。私どももそういうような気持ちで行政の面に当たってまいりたいと思っております。
#191
○松尾(正)委員 この問題については、都市集中が考えられるし、間引き等も考えられるとはいいますけれども、その間引きをした銀行の移転先というものはやはり重点地域に移る、こういうことを考え、系列化がだんだん促進されることによって、従来中小企業等は非常に借り入れに苦しんでおったわけでありますけれども、この中小企業の融資、さらには過疎地帯の人たちの融資というものが非常に手薄になり、困難を増していくのではないか、こういうことが考えられますので、もちろんこれは銀行自体、金融機関自体の自粛も当然でありますけれども、当局としてもこの点についてはしっかり力を入れた指導を進めてもらいたい、これを強く要望しておきたいと思います。
 それから、時間がありませんから、次に保険料率について一点だけ伺いますが、この保険料率については、当局としては最初、最高限度を考えておったように報道もされております。答申にもそういうことがありますけれども、この法案では現実に全面的に運営委員会にまかしたわけですが、これはやはり上限はきめるべきだ、こう思うのですけれども、この点一点どうでしょうか。
#192
○近藤政府委員 これは運営委員会の自主的な決定を大蔵大臣が認可するというたてまえをとっておりますので、実質上当然上限を定めたと同じような効果になろうかと思います。
#193
○松尾(正)委員 次に金利の問題について午前中も質疑が行なわれたのですが、四十四年度末の日本企業が使った総資金、これは六十一兆円をこえる。この間に銀行が集めたお金は四十五兆円、こういうふうに銀行の資金になる預金のほぼ半分、これは国民の定期預金等で、国民大衆によって集まったお金であるということは午前中もお話がありました。この資金源である国民を守っていくということは当然なことでありますけれども、現実には非常に恩典が少ない。この点について、むしろ恩典よりも被害を受けているんだということが午前中にもございましたけれども、その第一の、インフレによる預金の減価、これに対して午前中は、何とか物価対策を強力に行なって、インフレによる預金の減価がないように努力をしたい、こういうことでありましたけれども、現実に現在の経済の成長率を、大蔵大臣等も一応一〇%、さらに消費物価の伸びを五%程度に押えたい、こういうふうに何回も表現はされておりますけれども、現実に起きてきている問題としては、景気上昇は別として、消費物価の面で見る限り、非常に使用量の多い石油等の原油の値上げが行なわれているし、きょうも本会議等で述べられましたけれども、郵便料金、これに伴って自動車、タクシーの運賃、その他万般がメジロ押しに値上げの様相を呈している。こういう中で、確かに預金金利を簡単には動かせないということはわかるのですけれども、何回か繰り返して答弁されているように、少なくも国民が損をしないような形態を整えるために、はたして物価だけを押えてこれでかなうものかどうか。どういうふうに銀行局長は見通されているのでしょうか。
#194
○近藤政府委員 ただいま御指摘のありましたような物価の情勢でございますので、そういう情勢を踏まえまして預金金利の弾力化ということが、やはりどうしても必要な方向であろうかと思います。たまたま昨年以来、さらに一昨年以来と申し上げたほうが正確かと存じますが、一昨年以来預金金利の弾力化という方向で諸般の施策が進められてまいったわけでございまして、先般一年半定期預金というようなものの創設を見ましたのもその方向に沿ったものであろうかと考えております。
#195
○松尾(正)委員 金利についての状況は非常に困難でありますけれども、とにかく物価の状況は、いま全体の指標等を見る限りでは預金者が損をしないというような状態は実現できそうもない。したがって、もしかりに政府で考えている五%というものが上回るような六%段階に上回った場合には、それでもやはり金利については非常にむずかしいので、というお考えなのか。この物価を中心にして考えた場合の金利についてはどうでしょうか。
#196
○近藤政府委員 この点は先般政務次官からの御答弁もございましたように、やはりまず物価の抑制ということのほうが先でございまして、物価が不幸にして非常に上昇したという場合におきまして、預金金利――預金金利というものはやはりもろもろの金利の中心的な位置を占めるものでございますので、これをそっくりそのままスライドをするというようなことはたいへんむずかしいことであるというふうに考えるわけでございます。
#197
○松尾(正)委員 そうしますと、たとえば六%、一%の差はあっても、やはり物価を押えるほうに力を入れて、金利を動かすことはむずかしい、こういうことですね。午前中はその数字をあげて、大きな、三億円の犯人を押えるよりもむしろこの犯人をということまで出たのです。数字をあげませんけれども、そういう事態になっても物価を引き下げる方向で努力をして、金利については考えられない、こういうことなんですか。
#198
○近藤政府委員 先ほども申し上げましたように、金利のほうもできるだけ弾力的に動かすということは当然考えるべきであろうかと思います。
#199
○松尾(正)委員 それからこれは、最近銀行が資顧問業を活発に開始したということが新聞に報道されております。この中で、特に都銀の中でも日本勧業銀行が証券会社と組んで、別会社組織による投資顧問会社の設立を検討している。このままにすると、今後不良会社などの乱立を招いて、市民が食いものにされるおそれはないか、こういうことで、この投資顧問業の実態を報道しておるのですけれども、もちろんこれは証券のほうの関係にはなろうと思いますが、現実に銀行で投資顧問業を開設している、こういう状態のときに、銀行ではこれに対してどういう態度で臨まれるのしょうか。
#200
○近藤政府委員 まず、現在普通銀行が行なっております投資相談は、銀行が顧客に対するサービスの一環としまして無料で行なっているものがございます。これは無料でございますから、もちろん業としてやっておるわけではないわけでございます。業として行なう場合には、ただいまお触れになりましたように別会社でやらなければならないということになっております。それから信託銀行の場合におきましては、信託業法第五条にいう兼営業務の一環といたしまして、「財産ノ取得、管理、処分又ハ貸借」に関する代理事務を行なうことが認められておりまして、現在信託銀行の中には、この規定に基づいて業として投資相談活動を営んでおるものがあるわけでございます。従来までのところ、各銀行で行なっております投資相談の活動には、いまのところは無料のものばかりでございますが、今後別会社がどういう活動をいたしますか、まだ、その例はほとんどございませんので、何とも判断はできないわけでございますが、今後の動向を十分見守ってまいりたいと考えております。
#201
○松尾(正)委員 まだわが国でほその投資顧問業法という法律は制定されないために、もちろん銀行の行政指導となると思いますが、非常に活発に行なわれてきておるし、また今後も活発に開設が始まるであろう、こう考えると、やはり何らかの規制を考えておく必要があるのではないかと思うのですが、そのお考えはありますか。
#202
○近藤政府委員 これはむしろ私のほうではなしに証券局の所管の問題かと思いますが、私のほうといたしましては、銀行の投資顧問業が別会社で行なわれます限りは、これは別会社のことでございます。したがって一種の周辺業務として見守っていくということでございます。
#203
○松尾(正)委員 次に、二、三点、貸付信託法に移って伺いたいのですが、貸付信託法の今回の改正で、「資源の開発その他緊要な産業」という、これを「国民経済の健全な発展に必要な分野」、こういうふうに改正されたのですが、この改正されたことによって、融資対象は具体的にどんなふうに、どこまで拡大されるかどうか、この点についてお答えいただきたい。
#204
○近藤政府委員 貸付信託法の第一条が、従来は「資源の開発その他緊要な産業」ということでございましたが、今回「国民経済の健全な発展に必要な分野」ということになりましたために、端的に一番明らかに読めますのは、たとえば個人に対する住宅ローン、これは従来は産業ということでございましたので、個人に対する貸し出しが含まれなかったわけでありますが、今回は「分野」という表現になりましたので、個人に対する住宅ローンというものが入ってまいります。それから製造業、運輸業、卸、小売り、サービス業等、そういうたぐいのものにつきまして、従来よりははるかに積極的に融資が行なわれるということになるかと存じます。
#205
○松尾(正)委員 窓口が広がって個人にまで渡るというのですが、従来から信託銀行の中小企業向け融資というのは非常に低かったわけですね。この中小企業向け融資に対してはどの程度広がっていくでしょうか。どの程度ワクが広がっていくと考えておられるか。
#206
○近藤政府委員 中小企業につきまして何%くらいになるかという見通しは、ただいまのところは困難でございますが、ただ中小企業に対する融資が、今回の改正によりまして非常にふえるであろうということは、二つの点から予想されるわけでございます。一つは、先ほども申し上げましたように、従来の表現が「資源の開発その他緊要な産業」ということでございましたので、これはどうしても大企業を中心にということになるのでございますが、今回は「分野」という表現でありますので、中小企業に対する融資は、従来よりははるかにやりやすくなるということが一つと、それからもう一つは、支払い準備等のための証券保有の道が開かれることによりまして、安心して中小企業にも貸し得るという信託銀行側の主観的な態度というものが今回の改正によって出てくるのではないか。その二点から申しまして、現在以上に中小企業向けの信託銀行の融資がふえるのではないかというふうに予想されているわけであります。
#207
○松尾(正)委員 以上で終わりたいと思いますが、窓口が広がって個人の住宅ローン等にも及ぶ。さらに中小企業の融資も、「分野」という点で増加するであろうということではありますけれども、とにかくこの銀行関係の論議の中心になっている一つには、中小企業の融資というものがあげられると私は思う。この中小企業融資については、単に分野ということを広げたから広がるであろうでなく、十分預金者保護並びに産業保護、こういう観点に立って、この点の拡大に力を注いでもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
#208
○毛利委員長 本日の議事はこの程度とし、直ちに理事会を開会いたします。
 次回は、明十七日水曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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