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1970/03/23 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第23号
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1970/03/23 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第23号

#1
第065回国会 大蔵委員会 第23号
昭和四十六年三月二十三日(火曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 宇野 宗佑君 理事 上村千一郎君
   理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君
   理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君
   理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君
      奥田 敬和君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村武千代君
      坂元 親男君    高橋清一郎君
      登坂重次郎君    中島源太郎君
      原田  憲君    坊  秀男君
      松本 十郎君    森  美秀君
      吉田 重延君    吉田  実君
      佐藤 観樹君    平林  剛君
      堀  昌雄君    貝沼 次郎君
      坂井 弘一君    小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局長    吉田 文剛君
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       大塚 俊二君
        大蔵省主計局次
        長       竹内 道雄君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第一課長   山内  宏君
        国税庁直税部長 江口 健司君
        国税庁直税部所
        得税課長    早田  肇君
        通商産業大臣官
        房審議官    礒西 敏夫君
        自治省税務局府
        県税課長    近藤 隆之君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
三月二十二日
 中国に対する関税差別の撤廃等に関する請願(
 佐藤観樹君紹介)(第二五八九号)
 同(高田富之君紹介)(第二五九〇号)
 同(中谷鉄也君紹介)(第二五九一号)
 同(中村重光君紹介)(第二五九二号)
 同(松平忠久君紹介)(第二五九三号)
 同外十二件(佐藤観樹君紹介)(第二六六三
 号)
 同(中谷鉄也君紹介)(第二六六四号)
 同(松平忠久君紹介)(第二六六五号)
 同外百五十一件(佐藤観樹君紹介)(第二七二
 二号)
 同(河野密君紹介)(第二七二三号)
 個人企業の税制改正に関する請願外二件(金子
 一平君紹介)(第二五九四号)
 同(原健三郎君紹介)(第二五九五号)
 同(田中六助君紹介)(第二五九六号)
 同(中村寅太君紹介)(第二五九七号)
 同(長谷川峻君紹介)(第二五九八号)
 同外一件(小澤太郎君紹介)(第二六六六号)
 同(永田亮一君紹介)(第二六六七号)
 同外一件(根本龍太郎君紹介)(第二七二四
 号)
 同(林義郎君紹介)(第二七二五号)
 同(村上信二郎君紹介)(第二七二六号)
 税関等に保管する引揚者の物資処理に関する請
 願外一件(田中六助君紹介)(第二六〇四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置
 法案(内閣提出第二九号)
 食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第五四号)
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 六号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第六一号)
     ――――◇―――――
#2
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、両案を議題といたします。
#3
○毛利委員長 まず、政府より順次提案理由の説明を聴取いたします。中川大蔵政務次官。
#4
○中川政府委員 ただいま議題となりました塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案外一法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における製塩技術の著しい進展にかんがみ、塩の製造方法を塩田方式のものからイオン交換膜の利用によるものに転換して塩業の近代化を促進するため、塩業整理交付金を交付して塩田等の整理を行なうとともに、塩の価格の国際水準へのさや寄せをはかる等の措置を講ずることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきましてその大要を申し上げます。
 まず、塩またはかん水の製造を廃止した者に対し塩業整理交付金を交付することとしております。すなわち、一定期間内に塩もしくはかん水の製造の全部または塩田におけるかん水の製造を廃止した者に対して、製塩施設の廃止による減価を埋めるための費用、廃止に伴って必要とされる退職金を支払うための費用及び廃止にかかる転廃業を助成するための費用として、一定の基準により算出した金額の塩業整理交付金を日本専売公社が交付することとしております。
 また、塩の製造者は、交付金の交付にかかる費用の一部を埋めるため、昭和四十七年度以降三年度にわたり一定の金額の納付金を公社に納付しなければならないこととしております。
 さらに、塩業整理交付金について租税特別措置法の定めるところにより、所得税または法人税を軽減することとしております。
 次に、塩の価格の国際水準へのさや寄せをはかるなど、塩業の近代化のための措置を講ずることとしております。
 その第一は、塩の収納価格にかかる合理化目標価格の設定であります。すなわち、塩の収納価格を昭和五十年度の始まる時期において輸入塩価格の水準とすることを目途として、昭和五十年度までの各年度の合理化目標価格を日本専売公社が定めることとしております。また、これらの各年度において収納価格を定めるときは、合理化目標価格を基準とし、その他の経済事情を参酌して決定することとしております。
 第二は、事業近代化計画書の提出であります。すなわち、昭和四十七年一月一日以降引き続いて塩を製造しようとする者は、事業近代化計画書を公社に提出しなければならないこととしております。また、その事業近代化計画書の内容が公社の定める一定の基準に適合していない等の場合には、公社は、その者について製造変更の許可をしてはならないこととしております。
 以上のほか、当分の問、塩の製造者は、日本専売公社の許可を受けて食卓塩等の特定の塩を直接塩元売人に販売することができることとするとともに、公社は、収納すべき塩の製造数量を割り当てることができることとする等の所要の措置を講ずることとしております。
 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 最近における米の生産量の著しい増大と需要の減退によって米の需給は大幅に乖離し、このため、食糧管理特別会計の国内米管理勘定は、配給の用に供する数量をはるかに超過する七百万トン近い大量の過剰在庫をかかえることとなっております。
 このため、一方では需要を上回る米穀の生産を回避するため米生産調整対策を強力に実施して需給の均衡の回復につとめるとともに、他方現に保有しております過剰在庫の米穀については、やむを得ずこれを一定の計画のもとに加工食品の原材料の用、飼料用その他食糧以外の用途に売り渡しまたは輸出を目的として売り渡す方法によって処理することといたした次第であります。
 この場合、過剰米の売り渡しに伴い国内米管理勘定に生じます損失は相当多額にのぼりますため、その発生の年度に全額これを一般会計から補てんすることは財政上困難でありますので、食糧管理特別会計法の一部を改正して、この損失の一部を国内米管理勘定において繰り越し整理するとともに、七年度内の期間において一般会計から同勘定へ計画的に繰り入れ金をしてこれを補てんすることができることとしようとするものであります。なお、この損失の整理は、昭和四十六年度以降の予算から適用することといたしております。
 以上が、塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案外一法律案の提案の理由及びその概要であります。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○毛利委員長 これにて両案の提案理由の説明は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ります。
     ――――◇―――――
#6
○毛利委員長 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。平林剛君。
#7
○平林委員 きょう私は再び、広告費の課税問題についてまず取り上げたいと思います。
 現代は情報時代である。これは私もよく理解をいたしております。またその中におきまして広告の果たす役割り、広告と国民生活の関係につきましては、一般的な評価を持っていることは事実であります。たとえば経済企画庁が全国統一アンケートをとりまして、広告は日常生活に役立っているかどうかというアンケートに対して、三三%は役立っていると答え、多少役立っていると答えた者が残った六七%でございますから、そういう意味では広告と国民生活は切っても切れない関係があると言えましょう。広告の中にも、商品の知識あるいは消費者に役立つ広告、新しい製品を知ることができる便利さ、流行や時代の流れを感じ取るという意味におきましては、広告の存在はもはや無視することはできないということは言うまでもございません。しかし、これを前提にしても、広告に対する批判はなお最近一段と高いものがあることもまた事実であります。たとえば日本の広告は少し過剰でないか、あるいは広告によって消費者は高い価格を押しつけられているのじゃないか、広告は必ずしも真実を伝えていない、広告は大衆の欲望を刺激し、すでにあるもののたゆまない廃物化を促し、つまりむだをつくり、浪費を生み出しているのではないかという批判もなきにしもあらずであります。そこで私はこの間も総理大臣に対しまして、国民を欲求のとりこにしておいて、物価の上がるのは消費者の態度に責任があるというのは、総理のことば自体にも矛盾があるのではないかという点から広告課税の問題について質疑をいたしたわけであります。
 こうした問題に対しまして、わが国の政府、行政官庁におきましてもいろいろな動きがあります。たとえば経済企画庁は昭和四十五年十一月、国民生活審議会を通じまして広告のあり方という答申をいたしております。通産省でも、広告活動の適正化を推進するため、ことしは場合によっては広告規制に乗り出すかまえがあるといわれています。厚生省でも大衆医薬品の自粛通達を発しまして、監視モニター制の構想などが打ち出されています。公正取引委員会においても必要な行政指導の考え方がございます。消費者団体の動きも活発化いたしております。ところがここに、この問題について全く無関心であるかあるいは積極的でない官庁がございます。すなわち大蔵省主税局。そこで私は大蔵省主税局に対しまして、この広告の問題についていかなるお考えをお持ちであるか、これから若干質問をいたしたい、こういうわけでございます。
 まずお尋ねをいたします。日本の広告費はどのくらいあると御理解なさっておられますか。
#8
○細見政府委員 四十五年で七千五百六十億、約七千六百億円くらいが広告宣伝費として企業から支出されておるようであります。
#9
○平林委員 お答えのとおり、大体合っております。業種別の広告費の調査をしたことがございますか。
#10
○細見政府委員 四十五年につきまして大体の業種別の調査をしたものがございます。これは電通の調査をそのまま引用したものでございますが、電通で調査をしたものがございます。
#11
○平林委員 参考のためにそれを御発表いただきます。
#12
○細見政府委員 全体が五千八百六十一億。これは四つの媒体、つまり新聞、ラジオ、雑誌、テレビといったような四つの媒体だけで調べたものでありますので、総額が五千八百六十一億、さっきの数字の内ワクになるわけでございますが、構成比はおよそ全体をあらわしておるだろうと思いますので、構成費で申し上げてみますと、薬品・医療関係が七・八%、化粧品が六・三%、出版が四・一%、食料・嗜好品が一四・九%、金融・保険が八・一%、機械器具一九・四%、衣料用繊維品二.〇%、雑品五・一%、百貨店二・八%、興行一・九%、交通・運輸一・八%、その他もろもろのものが二五八%、そういう構成になっておりまして、これはおそらく全体の構成をほぼ反映しておるものと思います。
#13
○平林委員 そのほかに、新聞広告における業種別の種類だとか、その他テレビによるところの業種別だとかいうものの調査がありますが、それは割愛をいたしておきたいと思います。
 次いでお尋ねいたしますが、これらの広告費は、私の判断では少数の企業の投下したものが多いのではないか。すなわち総広告費の中で大きな企業の占める割合、それから中小企業の占める割合、こういう角度で何かの御調査がございますか。
#14
○細見政府委員 不勉強のせいか、いまのところそういう資料を見つけたことはございません。
#15
○平林委員 これは大体有価証券報告書などを総括いたしますればたちどころに出てくるわけであります。私は総括的に申し上げますと、上位二十社で総広告費の二〇%を占め、上位百社で約五〇%を占めておる。つまり広告費は、総体的に申し上げますと少数の大企業が投下しておるものが多いという傾向が見受けられるわけでございまして、これらの点につきましてなお、私は、大蔵省におきましても必要な資料を御用意いただくようにお願いをいたしたいと思っておるわけであります。
 少し理屈めきますが、広告費とは何ぞや。
#16
○細見政府委員 製品の販売を促進するために、製品の性質でありますとか用途でありますとか、そういうものを広く一般大衆に知らしめるものということであろうかと思います。
#17
○平林委員 広告費と交際費との違いはどこにありますか。
#18
○細見政府委員 販売を促進するという意味におきましては交際費も広告費も同じでございますが、広告費は広く一般大衆を相手にするものであり、交際費は何らかの意味で企業と特定の関係が考えられるということになろうかと思います。
#19
○平林委員 ひとつ具体的にお尋ねをしてまいりたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、各会社別に広告費の支出状況を調べてみますと、これは有価証券報告書で大蔵省に作成をしていただいたものでありますけれども、たとえば医薬品を業種とする武田薬品はどのくらいの広告費を使っておられるでしょうか。
#20
○細見政府委員 有価証券報告書によりますと、四十五年三月期におきまして広告費が四十二億、四十五年九月期が四十七億というようなことになっております。
#21
○平林委員 これは総売り上げ高に対しまして何%の割合でございましょうか。
#22
○細見政府委員 四十五年三月期が五・二%、四十五年九月期が五・三%というような数字になります。
#23
○平林委員 このほかに武田薬品は販売促進費というものを使っておるはずでございますが、それについては御存じでしょうか。
#24
○細見政府委員 おそらくリベートのことをおっしゃっておるのだろうと思いますが、その数字は、いま手元に有価証券報告書を持ってきておりませんのでわかりませんので、もしそういう項目で表示されておれば、後刻調査してお答えをいたしたいと思います。
#25
○平林委員 販売促進費というようなものは――つまり広告費の定義ですけれども、先ほどお話にありましたように、製品の販売、性質、用途等を大衆に知らしめるという意味では、テレビあるいは新聞雑誌、ラジオ、その他の看板類などを通じてのやつで定義をされると思うのですけれども、たとえば宣伝費あるいは宣伝拡売促進費、こういうような名目のものも広告費と解釈されるのでしょうか。それともいまお話しになったように、リベートというふうに分類をすべき性質のものでしょうか。ここいら辺は、将来もしこの問題を検討する場合には税法上いかなる解釈を持つべきか、その御見解を承っておきたい。
#26
○細見政府委員 具体的なボーダーラインのケースというのは個々に判断するのはなかなかむずかしいと思いますが、特定の交際費、特定の人たちに対しまして、売り上げの金額に直接リンクせずにある程度販売促進のための努力を要請するというような形で出ておれば、おそらくそれは交際費になろうと思いますし、あらかじめきめられた率あるいは金額等によりまして、商品の取り扱い高に応じて一定の金額を返すというのは、これはリベートになろうと思います。その辺、非常に典型的な二つはわかりますが、間に入る、たとえば一定金額までは定額にしておいて、そこから上は率によるというようなものもまざってきましょうと思いますので、具体的には個々の判断が非常にむずかしいケースもあろうと思いますが、典型的なことを申し上げればいま申し上げたようなことになろうかと思います。
#27
○平林委員 武田薬品の場合、もし狭い意味で解釈をいたしますと、広告費は総売り上げ高に対して五.二%程度である。販売促進費というものが一つの広告宣伝という意味で――どう分類するかによって違ってまいりますけれども、もし販売促進費をこれに含めるといたしますと、私の計算では一〇%程度になってくるわけであります。ところが、薬品関係でこうした広告費を一番使っておりますのは大正製薬、次に藤沢薬品、田辺製薬、次いで武田という順序になっております。もちろんその年度によって、広告費の支出高は当然ウエートをかける時期によって違ってくると思いますけれども。私はいま武田薬品の名前をあげましたけれども、それ以外の製薬会社のほうがもっとたくさん使っておる。私の調査では総売り上げ高に対して一六%も広告費を使っておった薬品会社もあります。一二%使っている医薬品会社もあります。ですから武田薬品はむしろそういう意味では少ないくらいのもので、まないたに載せましたけれども、それらの製薬会社と比べたら必ずしもトップであるというわけではございません。しかし、それにしても非常に大きな金額が広告費に使われておるということは間違いございません。
 資生堂についてちょっとお尋ねいたします。資生堂の広告費は総売り上げ高に対しましてどのくらいの金額で、その割合は幾らであるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
#28
○細見政府委員 四十五年五月期が売り上げ高が四百八十三億ばかりありまして、広告費が三十二億足らず、したがって割合は六・七%。それから四十五年十一月期が、売り上げが若干伸びまして五百四十五億程度ありまして、広告費が約三十四億ということで、これまた六・二%、若干率は下がっておるというような数字を示しております。
#29
○平林委員 この場合も広告費の割合は六・七ないし六・八%でありますが、そのほかに売り出し費というのが、四十四年十一月期におきましては百三十六億三千二百万円支出いたしております。四十五年五月期におきましては百四十三億三千八百万円を使っております。そのほかに拡売費というのがあります。四十四年十一月期におきましては十四億七千四百万円、四十五年五月期では十三億二千二百万円。もし広告費の年間総計六十二億にこの売り出し費、拡売費を加えますと、そのウエートは総売り上げ高に対して約三九%を占める、こういう実態であります。
 私は、この広告費の問題を調べてまいりまして奇妙に感ずることは、広告費を非常に使うところは交際費が少ないのですね。たとえていいますと、武田薬品は広告費を年間八十九億円使いますけれども、交際費は年間六億円であります。資生堂は広告費だけで申しますと六十二億円ばかり左使いますけれども、交際費は大体二億三千万円程度であります。非常に広告費をたくさん使っておるところは交際費が少ないというような因果関係が実はあるわけなんであります。松下電器のごときは交際費一銭も使っておらぬ。広告費はかなり、年間百四十八億円くらい使っておりますが、交際費は一銭も使っておらぬ。こんなこと、あり得るでしょうか。国税庁いかがでしょうか。私は、広告費と交際費の関係を調査している段階で、広告費を非常に使っておる会社は交際費が少ない、松下電器は交際費が一銭も支出されていないということになる、こんなことあり得るだろうかという感じがいたしたのでございますけれども、この点は御検討なさったことがございますか。
#30
○山内説明員 いまの御質問の点は、当方で作成をして提出いたしました企業の欄には、確かに松下電器は交際費がブランクになっているのでございます。この点につきましてはさらに後ほど調べまして御報告いたしますけれども、ここに載っております数字はもっぱら有価証券報告書から抽出をいたしました数字でございますので、税務上の交際費がゼロであるということにはなっていないのではないかと思います。
#31
○平林委員 そこで、いろいろ広告費の問題についてお尋ねいたしてまいりましたけれども、この際公取委に対してちょっとお尋ねいたしたいと思います。
 最近、公正取引委員会におきましては、テレビのクイズ番組でいろいろな質問を出して、正解者に多額の賞金を出したりあるいはヨーロッパ旅行に招待するなど、非常に広告のやり方がエスカレートしておる、中には非常に射幸心をあおり過ぎるということで、これを規制する考えをまとめたと伝えられておるわけでございますが、これについてどういうお考えであるか、御説明をいただきたい。
#32
○吉田(文)政府委員 お尋ねの内容は、オープン懸賞の規制についてのことだと思いますので、オープン懸賞広告の規制についての考え方、内容、今後のスケジュール等についてお答えを申し上げます。
 商品を買うということを条件としないで経済上の利益を提供する行為、これがいわゆるオープン懸賞――景品表示法による景品、この景品というものは取引に付随して提供する景品、これが景品でございますが、オープン懸賞の場合は、商品の購入を条件としないで経済上の利益を提供する行為、そういう行為によりまして過大な経済上の利益を提供することは、一般消費者の射幸心を過度にあおる、消費者の適正な商品選択を混乱させ、ひいては公正な競争を阻害するおそれがあるというふうに考えられるわけでございます。オープン懸賞を規制する必要性につきましては、消費者保護基本法が成立する際の附帯決議にも明らかでございますので、これを尊重いたしまして、今回の規制措置をとるということにしたわけでございます。
 規制案の内容としましては、一般消費者が日常使用する商品を生産もしくは販売する事業者、または一般消費者が日常利用するサービス役務を提供する事業者が、くじ等の方法によって一般消費者の中から特定の者を選びまして、これに対して、正常な商慣習に照らして過大な金銭、物品その他の経済上の利益――これは景表法で規定します景品類を除きますが、過大な経済上の利益を提供する旨の広告、これを禁止しようとするものでございます。
 今後のスケジュールといたしましては、独占禁止法の第七十一条に基づきまして、今月中に関係事業者の意見を聴取いたします。さらに今月三十日に大阪で、それから四月十五日に東京におきまして公聴会を開催いたしまして、広く一般の意見を聴取いたします。これらの意見を十分考慮し尊重した上で、指定の告示をなるべく早く出していきたいというふうに考えております。
#33
○平林委員 ただいまはテレビクイズなどの規制に対しまして、景品表示法やあるいは独占禁止法の立場から一つの問題を提起し、公聴会に付そうという公取のかまえのお話がありましたが、公正取引委員会として、ただいま私が取り上げてまいりました広告の問題につきまして、少しお考え方をお聞かせいただきたいのであります。
 つまり私は、この広告の中に占める量そのものは大きな企業がかなり独占しているものである。そういう意味においては、どの企業も広告をして、できるだけ商品を売り出したいという気持ちはあるでしょうが、やはり一定の制限を受ける。したがって、公正な競争という意味では、かなりその立場から広告費というあり方は問題がありはしないかという感じを実は持っておるわけなんです。また先ほど私が指摘をいたしました幾つかの批判の中に、相対的貧乏感を与えあるいは広告によって国民の欲求心をかり立てるというような意味では、今後の国民はいろいろな商品を選択する場合でも広告により左右されることがございまして、正しい選択でできるのかどうかという点も問題がございます。ですから量だけに限らず、質でもかなり議論しなければならぬ点があると思うのですが、こういう問題につきまして公正取引委員会としての今後のお考え方がございましたならばひとつお示しをいただきたい。
#34
○吉田(文)政府委員 広告費の問題は独占禁止法上なかなかむずかしい問題でございまして、広告の質の点につきましては、すでに景品表示法という法律がありまして、一般消費者に誤認を与えるような不当な表示、広告をしてはいけないという規定で、これは三十七年にできまして、現在まで数多くの規制をしてまいっております。広告費の規制につきまして公正取引委員会が問題とするとすれば、広告費の額の多少ということではなくて、広告が市場における競争にどのような影響を与えているか、公正な競争をしているかどうかという点が問題となるわけでございます。そこで公正取引委員会としましては、管理価格調査あるいは再販売価格維持行為の弊害規制というような点につきまして、その調査の一環として広告費の調査も行なっておりまして、これらの調査結果を待って慎重に検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
#35
○平林委員 管理価格の一環として広告費の検討を始めるにあたって、全般の問題はかなりむずかしい議論があると思いますが、再販の製品についてはあるガイドラインを設けるというような考え方はございませんか。
#36
○吉田(文)政府委員 再販売価格維持契約と申しますのは、これは主としてメーカーが卸売り価格あるいは小売り価格を指示しまして、これを拘束して守らせるという制度で、独占禁止法の二十四条の二の規定によりまして公取が指定した商品についてだけ適法に行なわれることが認められているわけであります。一種の保護を与えているわけでございますが、これは独禁法の例外措置ということで特に認めているわけでございます。
 それで、再販制度のもとにおきまして過度の広告宣伝が持続的に行なわれる場合には、この費用が価格に転嫁される。おもに小売り価格でございますが、価格に転嫁されるとともに、いたずらにこのことが非価格競争を激化させまして、本来の望ましい市場メカニズムが阻害されるというおそれがあると考えられます。したがいまして、公正取引委員会としましては行き過ぎた広告宣伝につきましてはその適正化をはかるため、とりあえず業界の自粛を促すというような方向で、これは再販指定商品についてでございますが、現在検討を進めております。再販商品の広告宣伝の適正化につきましては以上のような基本的な考え方をもとにしまして、できるだけ早く、三月中にも結論を出すようにつとめているところでございます。
#37
○平林委員 そこで主税局に戻ってくるわけですが、私は実はこの広告費の適正量の判断というのは非常にむずかしい問題であると思っております。しかし一面、ただいまわずかな時間でありますが指摘いたしましたように、広告費を大量に使っておるところは交際費が少ないという因果関係、あるいは公正取引委員会がいま鋭意検討中の一つの方向、また再販の問題については業界の意見も聞くというお話でしたが、ガイドラインの方向に一つの検討の方向を向けておるというようなことなどから考えまして、ある一定の水準を越えたものに対してたとえば課税をするとか、あるいは一定の水準を越えたものについては交際費と同じように損金の算入を認めないというようなやり方をとりまして一むだな広告費、また国民の欲求を単に刺激するだけで何ら大衆には還元をせざるようなものということをいろいろ考えまして、損金の算入はある一定限度をもって認める、認めない、こういうような形のものが検討されてしかるべきだと思うのでございますけれども、大蔵省としてはどんなお考えをお持ちでしょうか。少し熱意のあるところを示してもらわないと、各官庁がそれぞれ規制あるいはそれについての検討をやっておるときに大蔵省だけのほほんとしている態度は私は許されないと思うのでございまして、ひとつ主税局長の御意見を承りたい。
#38
○細見政府委員 交際費と広告費とがそれぞれ行き過ぎたものについての世間の批判があることについては御指摘のとおりでありますが、その場合に、交際費のほうにつきましてはいわゆる社用といわれるような要素がわりあい目立っておる。ところが広告費のほうになりますと、確かに行き過ぎた広告あるいは誇大広告、あるいはひどいのは間違った広告まであるわけでございますが、そういうものがけしからぬといわれることはそれなりによくわかるのでありますが、その中にいわゆる個人的な社用、飲み食いといったような要素が入っておらない、そういうものを制限するということになりますと、御承知のように交際費の規制が始まったときも、売り上げの何%ということでやりましたときに、事業の種類ごとにその率を変えないと公正ではないじゃないかという議論があって、紆余曲折を経て現在の制限制度になっておることは御承知のとおりでありまして、そういう意味で、平林委員のたとえばことしならことしを基準にして、それを上回る支出について課税を考えるというような御意見、それはそれなりにごもっともな面もございますが、そういうことになりますと後発企業、いまお話の出ました薬につきましても、先発の薬屋よりもむしろ後発の薬屋のほうが売り上げに対しては広告費を使わなければいけない。名が売れておらない、あるいは新しい製品についての小売店とかあるいは販売店とかいった人たちに対するなじみが薄いというようなことで広告費が要る。その辺非常にむずかしい面がございます。もちろん世論が高まってきておることも承知いたしておりますので、各方面に御検討を願うことはやぶさかでございませんし、御意見がまとまりましたところで、私どもは世論に従って、課税の強化を行なうべきであるという世の中の御意見が大勢を制したというようなときにはその方向を考えてまいらないといけませんが、ここのところ御承知のように毎年毎年増税案を持ってくる。ことしも、私どもとすれば自動車のあの程度の課税は世論のおもむくところだと思ったわけですが、これですらなかなか通らないというような世の中でございますので、ひとつあらゆる点についての御意見を聞いてまいりたいと思います。
#39
○平林委員 たとえば不当表示であるというふうに指摘された広告、あるいはうそつき広告、虚偽の広告あるいは誇大広告、そういうふうなものについては損金の算入を認めないとか、私は部分的でもできると思うのです。つまり広告の倫理として。全般的な量の規制というのは非常に困難かもしれない。しかし、総売り上げ高の何%をこえるものについてはこれは損金の算入を認めないとか、あるいは誇大広告、不当表示、うそつき広告そういう指摘を受けたものについては損金の算入を認めないとか……。つまり、正しい広告のあり方を大いに奨励せねばならぬ。しかし同時に、そうした一定の限度を越えるものとか世の中の指摘を受けたものについては損金の算入を認めないとかいら形を通じて、税の面から広告の規制というのも考えてもよいのじゃないかということもひとつあわせて検討すべきであるということを申し上げておきたいのでございます。どうですか政務次官、ひとつ簡単にあなたのお答えをいただいておきます。
#40
○中川政府委員 御指摘の点、ごもっともな点もあるのでございますけれども、内容と量の問題があるのじゃないか。内容がよくないというものと量が多過ぎるという二つの点があろうかと思いますが、内容の認定あるいは量の一定の水準ということばを平林委員お使いになりましたが、何が一定かというような非常にむずかしい問題を含んでおると思います。特に、先ほど局長が言いましたように、後発企業抑制ということになるとこれまた非常に大きな問題ではないかということもあります。それらもありますが、今日における広告の行き過ぎという点は国民ひとしく認めておるのじゃないか、私もかように考えております。したがって、こういった状況を勘案しつつ、十分検討して対処してまいりたいと考えるわけでございます。
#41
○平林委員 広告費課税の問題につきましてはきょうは第一ラウンドくらいでありまして、この次また資料を十分検討いたしましてお目にかかりたいと思っておりますから、大蔵省も、他の官庁が一生懸命やっているのにあなたのほうがのほほんとしていることのないように、あらゆる角度から検討していただくことを希望いたしまして、次の質問に移ります。
 次は課税単位の問題についてちょっとお尋ねいたします。
 主要な諸外国におきましては、課税単位は日本の場合と違っています。日本は所得の稼得者ごとに課税をするというたてまえをとっておりますが、アメリカにおきましては、課税の単位は選択によって夫婦合算の二分二乗課税の方式がとられております。イギリスの場合も夫婦の所得は合算してこれに課税をするという形がとられています。西ドイツは選択によって二分二乗。フランスは世帯員の所得を合算して、これはすべてN分N乗課税というのですか、そういうやり方をとっております。スウェーデンでも夫婦の所得は合算して課税しておるという方法がとられておるのでございまして、最近主要な諸外国の課税の単位は日本の場合とかなり違っておる。
 そこで、諸外国の課税単位の選び方、それは一体どこに根拠があるのか。また、なぜそういうことを課税単位としておるのかという点につきまして、大蔵省のお考え方はどういうふうに理解をなさっておるのか、その点をひとつ御解明をいただきたいと思います。
#42
○細見政府委員 それぞれの国にはその国その国の独特な社会制度があることは当然でございまして、ヨーロッパの諸国は原則的に夫婦の共有財産制になっております。それからアメリカにおきましても、いわゆるコモン・ローでない旧スぺイン系の植民地であった州におきましては共有財産制になっておるわけであります。したがいまして、夫が所得を得てまいりまして、その余剰と申しますか、余裕、蓄積された財産というものはすべて共有財産になるわけでございます。そういう社会的な家族制度の背景がございますと、やはり所得について稼得者名義で課税するというのはおかしかろうというのが、ごく素朴に国民感情として出てまいりまして、そういうことでアメリカなどにおきましても沿革的には、御承知のように相続税につきまして二分二乗といいますか、夫婦共有財産制を認めていくという考え方があって、そういうところにおいてはその所得の段階でも二分二乗にしなければおかしいじゃないかという議論、したがって合算して二分二乗にしてまいったというのがアメリカの沿革でございますし、ドイツにおきましては御承知のように夫婦財産制がございまして、所得税のほうにおいては稼得者名義で課税をしておったわけでありますが、これが連邦裁判所におきまして、家族法のたてまえと違う、その所得税は違憲であるという判決が下りまして、急遽二分二乗方式といいますか、夫婦合算方式を採用したというわけでございます。そういう意味で、コモン・ローを持もっておりまするカナダにおきましてはいまなお夫婦別のいわゆる稼得者名義で、稼得者主義の課税をいたしております。
 そういうわけで、この所得税の二分二乗の課税方式につきましては、それぞれの国の沿革を見てまいりますと、いずれも家族法のあり方というものとかなり深い関係を持っております。しかしそうは申しましても、フランスでいま御指摘のございましたようにN分N乗というような考え方のあるところからいたしましても、フランスにおきましては財産がN分制度になっておるわけではない、ことごとく均分になっておるわけではありませんから。そういうわけで、N分N乗方式というようなものが民法のたてまえを離れてできるということからもおわかり願えるように、民法の制度が共有財産制になっておらなければ必ずこういう二分二乗、夫婦合算制度はできないのだという必要はないので、むしろ課税単位のあり方として考えればいい問題であろうと思います。
 したがいまして、日本におきましてもそういうふうにしたほうがあらゆる意味で−共かせぎの人あるいは独身の人あるいは家族、つまり日本の家計における働き手というようなもののあり方を総合的に考えて、たとえば法人化した中小企業の場合でございますと、御主人が社長で奥さんが専務になっておる、そういう家庭があるわけでありまして、一方では、普通のサラリーマンは奥さんが働きに行こうにも育児の問題その他があって収入が得られないというような人がある。その辺のバランスをどう考えるか。また一方では、非常に巨額な財産収入のあるだんなさんの場合に、その奥さんまでに半分所得があるような形で税制を考えていいのか。その辺、国民感情のおもむくところも十分考えながら慎重に処置しなければいかぬ問題だと思います。
#43
○平林委員 諸外国の例につきましていまお話がございまして、日本においても国民世論のおもむくところ、大蔵省としても、もし二分二乗方式がよいということであればその方向に進んでも別にふしぎはないという趣旨のお話があったわけであります。私はある意味では、わが国においても諸外国にならって二分二乗方式を取り入れるしいう時代があるいは来ておるのでないかという感じはいたしておるわけであります。そこで日本の場合、かりに二分二乗方式による課税方式を取り入れるという場合に、現行税法のままでどの程度の財源が必要であるか。そういう試算をしたことがございますか。
#44
○細見政府委員 なかなかむずかしい計算ではございますが、いわゆる勘程度の数字としてお聞き取り願いたいと思いますけれども、二千億円をかなり上回るのじゃなかろうかというような感じを持っております。
#45
○平林委員 現行の税率のまま二分二乗方式を導入した場合の負担、つまり財源は、大まかに言うと二千億円を上回るものであろう、こういうお話であります。したがって、逆に言えば、いまここに二千億円をやや上回る財源があれば二分二乗の課税方式に移るということは可能である。問題は財源の問題であります。
 そこでもう一つの問題点は、たとえば大蔵省の資料によりますと、現行の税率のまま二分二乗を導入した場合に、課税所得によって軽減税率というのが変わってくる。たとえて言うと、だんなさんが百万円の課税所得を得ていた場合、現在の税額は十二万四千円取られるけれども、二分二乗による税額によると十万八千円になり、差し引きの軽減額は一万六千円で、軽減の割合は一二・九%である、こういう試算が出されておるわけでありますが、もし課税所得が二百万円であると、これは二一・三%の軽減割合になってしまう。三百万円の所得の場合には二六・三%の軽減割合になる。最高は、七百万円の場合には三三%の軽減割合になる。こういうことで、現行の税率のまま直ちに二分二乗を導入した場合には、その負担の軽減の割合にアンバランスができてくる。こういう場合、やはりある程度税率を調整していく必要があるのではないかと考えられるのですけれども、その点はどういう考え方を持っておられますか。
#46
○細見政府委員 その点は、おっしゃるようにある程度高額になるほど税率というか負担の軽減割合が大きくなっていく。その中では七百万前後のところが一番軽減されるかっこうになっておりまして、その辺の階層における現在の税率の累進構造が国民感情から見て少し高過ぎるのだ、もうその辺をある程度ゆるくしてもいいのではないかという御判断、つまり全体として税率軽減をこの際考えるのだということであれば一つのお考えであろうと思いますが、そういう意味での金額の大小によるアンバランスもさることながら、いま平林委員の御指摘になりましたのはいずれも夫婦の場合でございまして、独身者はこの場合に一文も軽減にならない。その辺のバランス、独身者と結婚した人との問にそう差をつけていいか。三十何%も軽減になるというのは三十何%の差がつくということですから、そういうことでいいのかどうか。その辺がむずかし問題で、たとえば外国の立法例なんか見ますと、独身者の税負担は合算した場合の税負担の二割増ぐらいにとどめるというような措置もとっておる。むしろ独身者とのバランスもあわせ考えなければならないむずかしい問題であろうと思います。
 それからもう一つ、独身者という場合に、文字どおり親がかりの独身者の場合と、きのうも参議院でいろいろ言われたのでありますけれども、寡婦でありますとか鰥夫でありますとか、つまり世帯をかまえておらなければならない人――奥さんというべき人はいない、しかし家庭には子供もあり老人もかかえておる、そういう人たちより、とにかくいわば夫婦ともに元気でおられる、むしろ家庭的には恵まれた人のほうが税金が甘くなる、その辺をどうするかというのがむずかしい問題であろうと思います。
#47
○平林委員 結局二分二乗方式を導入する場合には、一面、独身者、共かせぎ夫婦、これが相対的に不公平な扱いを受けないようにせねばならぬ。税の公平的な原則から考えてみてその調整が行なわれなければならぬ。この場合の調整は、独身者や共かせぎ夫婦の税率を総合的に比較をいたしまして緩和をするとか、あるいは最低限度をある程度大幅に引き上げていくことによって税制のバランスをとるとかということを考えてよいと思うのですが、その点はいかがですか。
#48
○細見政府委員 現在でも私どもが一番頭を悩ましておりますのは、未亡人の方が子供をせっかく育て上げて独立したら、そのとき段階で税金も重くなる、残酷じゃないか。子供が育ってしまって先の希望がだんだん減ってきたら税を取られる。あるいは奥さんをなくされた方で、家政婦を雇ったりいろいろなことをして家計がかかる人が、奥さんのぴんぴんしている人よりも税金が重い。軽くするところまでいけば二分二乗をやらないということになりますし、その辺が一番むずかしい問題でございます。
#49
○平林委員 大蔵大臣は、二分二乗方式を税制調査会に諮問するという意向を参議院の審議の段階で示したと伝えられておるわけですが、大蔵省事務当局としては、昭和四十七年度の税制改正でこれを採用できるという見通しがございますか。
#50
○細見政府委員 採用するしないになりますと、たとえば源泉徴収税率などが、奥さんのある人、ない人、奥さんに所得のある人、ない人で非常にむずかしくなりまして、かなりの方に申告書を出していただいて調整しなければならないとかいうような問題もありまして、税務行政の実際がそこまでついていけるかどうかということで、もう少し検討してから結論を出したいと思いますが、大臣も参議院で申し上げ、またこの衆議院のほうでもそれに近いことを申し上げておりますように、この問題は所得税の大きな問題として検討しなければならない。そういう意味では、もう御存じのことと思いますが、先般の税制調査会の長期答申におきましても、この問題は課税単位のあり方として検討するんだということをいっておりますから、当然税制調査会では検討願えると思っております。
#51
○平林委員 大蔵省並びに大蔵大臣が二分二乗方式の導入について、従来よりはかなり積極的な態度を示唆しておるという理由はいろいろ考えられるわけでございますけれども、この理由の中に付加価値税の導入という問題と何らかの関係がございますか。
#52
○細見政府委員 その点に関しては、全く関係ございません。
#53
○平林委員 たとえば、付加価値税を採用するという場合に、ある意味では税の転嫁ということになりまして、当然一般の消費者の負担にはね返る、それを埋め合わせるものとして二分二乗方式による減税を考えるというようなことがあり得ると私は思うのですが、全く考えられないというふうに言下に否定なさる理由はいかがなものでしょうか。
#54
○細見政府委員 私は平林先生ほど頭が回りませんので、そういうふうに関連づけられるということをいま初めて教えていただきました。では検討はいたしますが、私どもは別々の問題として従来は考えてまいっております。
#55
○平林委員 二分二乗方式につきましてはこの程度で終わりまして、次に法人税の転嫁の問題について伺います。
 法人税は本来、企業がこれを負担をする税金の制度になっておるわけでありまして、この点は所得税の個人を対象とするという税金の制度とは対照的になっておるわけであります。しかし法人税についてはいろいろな議論がございまして、私どももかなり議論を重ねてきたのでありますけれども、どうしてもまだ解明できない問題がある。それは、法人税は実際には各消費者に転嫁されているのではないかという問題についての解明が私どもまだ十分でないわけであります。ある学者は、企業が負担をする法人税はそのまま製品の価格に転嫁をされているのだ。それは製造段階、卸売り段階、小売り段階、どの段階に属するかは別にして、買い手の価格の中に転嫁をされている、こういう説を唱える者があるわけなんでありますけれども、主税局はこの問題についてどういう分析をなさっておりますか。
#56
○細見政府委員 前回の基本問題の検討段階につきまして、木下和夫先生を中心にして法人税の転嫁の問題を御検討願ったわけでありますが、結論は、転嫁しておるような部面もあり転嫁しておらない面もあり、一律に断ずることは困難であるというような結論を得ておるわけであります。これはやはり外国におきましても、法人税が転嫁するかしないかということについてはいろいろなモデルをつくっていろいろな学者が研究をいたしておりますが、その結論も、転嫁するという立場の報告と、転嫁しないという立場の報告とがあって、その論争はいずれとも決着がつかず、ある場合は転嫁しておるようであり、ある場合は転嫁していないというような議論でございまして、そのことを一義的に断ずるというのは非常にむずかしいのではないか、かように思っております。
#57
○平林委員 法人税は転嫁するかしないかという学説はいろいろなことがあるので、非常にむずかしい問題であるということはわかりますが、私もいろいろな条件を考えてみると、たとえていえば、商品に対する需要が非常に強いというような場合、企業はこの税を価格に転嫁しても十分さばける、そういう場合には私は転嫁する要素はあり得ると思うのです。それから企業が非常に寡占が強い場合、他に競争相手がない、これを買うよりしようがないというような場合には、ある場合はその力を利用して法人税を商品価格に転嫁してもだいじょうぶだ、こういうことになりまして転嫁される。たとえばたばこの価格のようなものですね。これははっきりいって消費者に転嫁しているわけであります。そういう場合は十分転嫁され得る。それから小規模経営の場合、とにかくどんぶり勘定であるから、いずれにしてもだれかが負担しなければならないとすれば、自分のふところで負担するよりは価格に上乗せさせるということはあり得る。つまりいろいろなケースを考えてみますと、転嫁され得る場合と、また転嫁されにくい場合、転嫁したならば企業として成り立たぬという場合もありましょうけれども、総じていうと転嫁をされる可能性は私は強いんじゃないかと実は考えておるわけなんであります。
 そこで大蔵省は、この問題はむずかしい問題であると言うだけでなくて、もう少し真剣に、法人税は転嫁し得るものなりやいなや、モデルケース一を定めてそうした問題についての研究をなさるというおつもりはないのですか。学者の論説を読んで、いやこれはたいへんむずかしい問題だというようなことでやるだけではなくて、私は、わが国の税体系というものはいまやあらゆる角度から根本的に検討しなければならぬ時代が来ているという認識に立っておるわけです。これは直接税、間接税、すべての税制を問わず、総点検をしなければならぬという段階に来ておる。その段階におきまして、法人税の転嫁の問題は長いこと議論されておるのにかかわらず、大蔵省におきましてはむずかしいということだけで、具体的、積極的な取り組みの姿勢がない。私はやはりこの点につきまして、ひとつ思案投げ首の態度を一歩前進させて何らかの措置をとって、この問題についての積極的な姿勢を示すべきだ、こう思うのですけれどもいかがでしょう。
#58
○細見政府委員 私どもも法人税の本質というものがわかりたいことはやまやまでございまして、何か有力な御示唆をいただければ、そういうものを中心にして大いに今後とも勉強いたしてまいるつもりでございます。
#59
○平林委員 実は三年ほど前の本会議で、私は内閣総理大臣に対しまして、法人税の転嫁問題を取り上げまして、そして政府の検討を要求いたしました。総理大臣は、まことに重要な問題であり、この問題については政府も真剣に検討をしなければならないと思うというお答えがございました。具体的に何も着手していない。ほんとうをいうと、時間があれば総理大臣にこの問題を私は質問するつもりだったのですけれども、時間がなくなったからできなかった。総理大臣の本会議における言明、それを果たす部署はどこであるか、すなわち大蔵省主税局である。有力な示唆があれば検討するなんというようなことではなかったわけですね。積極的にこれは取り上げますと総理大臣が言明してはや三年の歳月が流れている。ひとつぜひ私はこの問題について来年あたりもう一回お目にかかりましょう。私がこの法人税の転嫁問題もう一度議論しますから、一年の間の猶予期間を与えますから、十分この問題についてのひとつ御研究をいただきたいということを希望いたしておきたいと思います。
 そろそろ時間でありますから、最後に、納税貯蓄組合の問題についてちょっとお尋ねいたします。自治省の府県税課長おいででございますね。
 昨年、私この納税貯蓄組合の補助金につきましてお尋ねをいたしましたが、昭和四十五年度の納税貯蓄組合に対する補助金の総額、組合数等につきまして、現状の御説明をまずいただきたいと思います。
#60
○近藤説明員 四十五年度分につきましてはまだ決算が出ておりませんので、予算でしかわかりませんが、納税貯蓄組合の補助金、都道府県が出します総額が八億三千百万になっております。なお四十四年度の決算では七億二千七百万と相なっておりまして、納税貯蓄組合数といたしまして十万二千百四十となっております。
#61
○平林委員 大体一組合当たりの補助金額はどのくらいになっておるのですか。
#62
○近藤説明員 先ほど申し上げました四十四年度の七億二千七百万で約十万組合でございますので、一団体平均が七千百十八円となっております。
#63
○平林委員 この納税組合によるところの税金は全納税額の何%になるのでしょうか。かつ、十万二千百四十組合の組合員数ですね、つまり納税者に対して納税組合を構成する納税者の割合というのはどのくらいになるのですか。
#64
○近藤説明員 全体の税額に対しまして納税貯蓄組合を通じて納めましたものの割合、年度によって差がございますけれども、四十四年度では一三・五%、それから前年の四十三年度では一四・九%、約一五%程度ということになっております。
 それから、先ほど申しました十万二千の組合に加入しております組合員数は四百二十万人ということになっております。それで、全体の納税義務者に対するこの組合員数の割合というのが、重複している関係もございましてなかなかつかみにくいのでありますけれども、推計いたしますと約二割程度ではないかと思います。
#65
○平林委員 そこで、この十万二千百四十組合のグループ別の調査というのはございますか。
#66
○近藤説明員 グループ別の調査と申しますか、どういった性質のものであるかということを四十四年度で調査いたしましたところ、そのうち地域的組合、地域別に組合をつくっておりますものが八二%の八万四千三百十一組合でございます。そのほか勤務先別につくっております組合が、これはわずかでございますが、六百三組合、〇・六%。それから業種別に組合をつくっておりますのが一万二百七十、一〇・一%。それから窓口組合三千四百六、三・三%。あとはその他こまかいものとなっております。
#67
○平林委員 そこで、いま地域別の組合、勤務先別、業種別とありますが、地域別はこれはおくにいたしましても、たとえば勤務先別とか業種別というようなものは、その業種の大多数を占めているものなのか、あるいはその業種の一部一部であっても、組合を設立して届けてくればそれに対して補助金を与える仕組みになっているのか。そういう制限はあるのですか、ないのですか。
#68
○近藤説明員 業種別でございましても、大体地域的にその大多数が入っておるようであります。
#69
○平林委員 大体入っているようですということは、少なくとも、たとえば業種別でいいますと、旅館業だとか飲食店だとか、いろいろな業種がありますね、その業種の五〇%以上が加盟しておるというふうに確信をもって言えますか。
#70
○近藤説明員 この業種別組合は数も少のうございまして、現実に一つ一つ実態調査したわけではございませんけれども、その内容を見てみますと、大体特定の地域の旅館、料理屋、こういったもののグループ、いろいろな団体があるようでございまして、それが納税貯蓄組合をつくっておるという形になっておりますので、ほとんど入っておるのではないかと思っております。
#71
○平林委員 私はこの問題についての実態調査を進める必要があるということを実は非常に感じておるわけなんであります。理由は、たとえば十万幾らかあるそのグループ別の組合の中で、業種別のようなもの、その地域におきまして同じ業種の中でも、全般の数の占めるウエートというのが非常に少なくて、いわゆる仲よしクラブ的な形でグループをつくり、そこに補助金がおりる。一組合平均七千幾らでありますから、あるいは納税額が多いところはもっと割合が多いかもしれませんけれども、実際には仲よしクラブ的な、つまり、一ぱいやるための経費に使われるというような実態がかなりある。したがって私は、業種別の納税組合をつくるならばその地域の中の少なくとも半分以上入るとかいうようなことでないと、いわゆる仲よしクラブのお金を貴重な税金を使って補助金として支給するという形になるという感じがするわけであります。
 それからもう一つは、同じことでございますけれども、大体一組合の補助金の割合が少ないわけでありますから、実際には何に使っていいかわからぬというような形になるわけでありまして、その運用がどうされておるかということは、私は非常に疑問を感じておるわけであります。またあるところにおいてはこれを利用して、他の活動にこれを流用する。具体的にいいますと、政治活動にこれを利用するというようなこともないわけではございません。そんなことを考えますと、金額としては非常に少ないのでありますけれども、数が多いその中においては運用よろしきを得ずして、本来の目的にはずれた運営がされておることもなきにしもあらずというわけでございますので、私はこの実態調査をある程度モデルケースごとに進めてほしいなと考えておるわけなんであります。いかがでございましょう。
#72
○近藤説明員 御案内のようにこの納税貯蓄組合の補助金につきましては、これは事務費補助でございまして、現実問題といたしましては、納期内納入の一%の額というものを基準として出しておるよべでございます。したがって、先ほどもお話しございましたように、非常にわずかな額でございます。そうして、県によって予算の範囲内となっておりますので、一%出しておるところあるいはそれ以下のところ、いろいろございますけれども、県内に関する限りは平等に出しておるようで、特定の組合につかみで出すというようなことは現実問題としては行なわれておりません。
 それから、県がどういう形で出すかというところまでは実はわれわれ調査したわけでございますが、結局これは事務費の一部をまかなうにすぎないわずかな関係もございますし、現地の納税貯蓄組合がどのように使っておるかというところまでは、実は調査をいたしておりません。まあ何らかの方法をもちまして、県などを通じまして、できる限りの情報はとってみたいと思っております。
#73
○平林委員 できる限りの情報をつかんだ後において、またこの問題については議論をしたいと思いますが、大体いまの補助金を支出しておる法律の根拠は何でございますか。
#74
○近藤説明員 納税貯蓄組合法の第十条に「補助金の交付」という規定がございます。
#75
○平林委員 第十条の「補助金の交付」という規定には「国又は地方公共団体は、納税貯蓄組合に対し、組合の事務に必要な使用人の給料、帳簿書類の購入費、事務所の使用料その他欠くことができない事務費を補うため、予算の範囲内において、補助金を交付することができる。」と書いてある。国は幾ら出しておりますか。
#76
○細見政府委員 四十四年度六千八百七十万……七十一万くらいになっております。
#77
○平林委員 国の出しておる金額は四十四年度六千八百七十一万、四十五年度、四十六年度予算に示されておるものは幾らなのか。
#78
○細見政府委員 手元に資料がございませんので、後ほど御報告させていただきたいと思います。
#79
○平林委員 国は出しておらぬのじゃないですか。
#80
○細見政府委員 国は税務署単位の納税貯蓄組合に補助金を交付しておるようでありますが、数字は後ほど……。
#81
○平林委員 国は税務署には出しておるけれども、納税貯蓄組合には出していないんじゃないですか。
#82
○早田説明員 直接の担当でないのでたいへん恐縮でございますが、国も各年現実に納税貯蓄組合に補助金を出しておるはずでございます。
#83
○平林委員 その金額が四十四年六千八百七十一万ということになるというふうに一応承っておきましょう。私の承知しておるのでは、この第十条に基づく補助金ではなくて、税務署単位の納税貯蓄組合連合会に対して支出さている予算補助である。それはそうとして、地方の税については昭和四十五年度予算で八億三千万円も支出をしておる。国はおそらく六千万円か七千万円である。これはなぜこういうふうになるのでしょうか。国のほうがいろいろな意味で、納税貯蓄組合その他納税を促進する意味では、大きな金額を持っておるし、かなりの機構の援助も必要であるというのにかかわらず金額はあべこべになっておりますね。これはどういう理由なんでしょう。
#84
○細見政府委員 税額が御承知のように地方税に比べて国税が全体で倍になっておるというようなことで、しかもその税のうち相当の部分が源泉徴収になっておるとか、あるいは法人税も比較的大法人の所得が多いというようなことで、率直に申しまして中小企業の方々と税の接触という点については、地方税におきましては事業税もあり法人税割りもあり、あるいは市町村民税もあり、それに個人については事業税もありというようなことでいろいろ接触も多かろう。しかもまた地方公共団体でありますので、そういう地域団体のことについてお世話を願うのには比較的適しておるのではなかろうかということでむしろ国のほうの補助金が少ないのであって、地方公共団体のほうにいろいろそういう面でお世話になっておるという感じであろうかと思います。
#85
○平林委員 納税貯蓄組合法に基づいて国または地方公共団体が必要な予算の範囲内で補助金を交付するということが非常にアンバランスである。地方税とそれから国税と一体どちらが正しいのか。私は不必要な額なら出すべきではないと思う。また出しても役に立たない程度の零細なものならむしろ出さぬがましである。しかもその運用の実態がはっきりしていない。同時に少数グループの仲よし会費になっていたのでは、せっかくの補助金は、大義名分はあるかもしれないけれども、税の浪費であると考えておる。国は賢明なのかわからぬけれども、あまりむだな経費は使わないような形になって金額は少ない。どちらかがほんとうだと思う。私は、この比較の上におきましてこの問題は検討してしかるべき問題であると実は考えておるわけであります。もし地方税におきまして八億数千万円の金額が必要とするならば、国もそれ以上の大きな金額が必要であろうと考えておる。これらの団体にもし支出するのが正当であるならば、各民間会社は源泉徴収をやりまして国の事務を相当やっておるわけであります。こういうところにも人件費その他の補助金を与えてしかるべき性質のものでございます。一貫しておらぬ。そういう点が私はこの問題にはあると思うのであります。私自身もまだ、しからばどうすべきかという結論をきょうは出しておりませんので、一応問題を提起いたしまして次の機会に譲ることにいたします。
 きょうはこれで質問を終わります。
#86
○毛利委員長 竹本君。
#87
○竹本委員 主として租税特別措置法についてお伺いいたしたいと思いますが、先ほど来平林委員からも、全般について総点検をやるべき時期ではないかという御提言がありました。租税特別措置法全体については、主税局長としてはどういうあり方を今後考えていこうとしておられるのか、子の基本的な考えをまずお伺いをいたしたい。
 あわせて、時間を節約する意味で一緒に申しますけれども、租税特別措置法の期限を付する問題ですけれども、現在期限を付してない問題がどのくらいあるか、その件名、その内容等を例示的でけっこうですが一応出してもらいたいし、それについてまたどういうお考えであるかもあわせで伺いたい。
 それから三番目になりますけれども、これは資料として、期限の付されていない特別措置の件名と内容についてあとで与えていただきたい。
#88
○細見政府委員 たいへん広範な御質問でございまして、うまくお答えできるかどうかわかりませんが、租税特別措置につきましては、租税が、いろいろな経済政策を遂行するにあたりまして非常に有効な誘引的な機能を果たしておるという評価は得ておるわけでありまして、そういう意味で、日本の経済が当面いたしますいろいろな問題に対しまして、租税が有効な手段となり得るときにはかなり大胆に取り入れてもいいんじゃないかと思います。ただしかし、こうした特典を与えますと、それは大なり小なり税の負担の公平を害しておることも事実でございますし、そういう形で負担の軽減というものを一度受けますと、なかなかその負担をもとの水準に戻すということについて反対が強くて、結局既得権化しやすいという要素がありますので、それらの点については特に期限を付すというような形で、期限が来るたびに見直しができるような制度を制度の中に組み入れておくのがいいだろうということで――ある意味におきましては、政策効果として、一年、二年とかあるいは三年とかいう期限を付すことがおかしいじゃないかという議論も一方では出ようとも思いますが、二年とか三年とかいう期限を付しておりますのは、その機会に、延長するにいたしましても見直そうというような姿勢を示しておるつもりでございます。
 その意味で、期限を付しておりません制度は比較的少ないのでございまして、貯蓄の関係に若干ございますほかは、医者の特例、それから収用の場合に千二百万円の控除をいたします課税の特例、それからインターバンク間の利子の非課税をきめております。むしろこれは特別措置といわないほうが適当なのかもしれませんが、そういうようなもの、それから合理化償却の関係の特別措置、価格変動準備金、異常危険準備金、 渇水準備金といったようなものが期限を付さずにございます。正確な件数は後ほど調べまして御報告いたしたいと思いますし、御要望の内容につきましては、それぞれの特別措置の内容について資料を差し上げたいと思います。
#89
○竹本委員 次は、現行の貸倒引当金の問題ですけれども、一番最近で幾らになっておるかということ、それから有税で積み立てたものがあるか、無税の積み立てだけであるか、その内訳はどうなっておるか。
#90
○山内説明員 全国銀行で申し上げますと、貸倒引当金の残高が四十五年の上期で七千六百億余りでございます。正確に申し上げますと七千六百八億、これは有税分と無税の引き当ての分を合計をいたしておるわけでございます。この七千六百八億のうちで五千六百五十四億円が非課税で引き当てた金額でございます。
#91
○竹本委員 回収不能になる貸し出し金というものは最近では全体のどのくらいになっておりますか。
#92
○山内説明員 先ほど申し上げました数字に並べて申し上げますと、四十五億円でございます。四十五年度上期に回収不能になった結果償却いたしました金額が四十五億円。これは貸し金の総額に比べますと千分の〇・一になっております。
#93
○竹本委員 これは一・五ということになるわけでしょうけれども、主税局長にお伺いしたいけれども、これは何かあまりにもちょっと開きが大きいということで、改正する、これは大体四十七年度ぐらいにはもう改正をしようというように理解しておるんですけれども、そうであるか。また、改正をしようという場合には、どの程度までの改正をしようという大体のお考えであるか。
#94
○細見政府委員 四十七年度までには何らかの改正をいたすということは、大臣もこの席でお約束いたしておるわけでございますから、私どももいま関係当局と鋭意折衝中で、何とかそれまでに結論を得て改正案を提出いたしたいと思っております。ただその場合に、一つは、かなり銀行業界全体を取り巻きます状況も変動期でございます。それからもう一つは、やはり銀行の貸し倒れの特性、つまり、この問も申し上げましたように、普通の企業であれば回収不能ということで、たとえば即刻担保の実行ということもできるわけでありますが、銀行の公共的一面というようなことで、たとえば二年待てば回復するような企業については、貸倒引当金を積みながら再建をなお続けていくというようなことも必要である。その点について金融検査官の貸し倒れの認定のあり方その他を含めまして早急に結論を出し、しかもその措置はできるだけ漸進的であり、課税の公平ということについては少なくとも一歩、漸進的という方向へ行きたいと思っております。
#95
○竹本委員 具体的な内容をはっきりつかまえられませんけれども、しかしその前に一つの前提として、貸倒引当金の積み立てを幾らにするかという問題もありますが、貸し付けを、貸倒引当金の必要のないようにあまり貸さなければ何にもならぬことですから、問題は、貸し付けることについて企業の内容にどれだけ干渉するか、指導するか、いろいろこれもまた問題がありますが、もう少し地域別あるいは規模別に、裏からいえば地方における中小企業にも銀行が出ていって、そこの預金の吸い上げ機関にだけなるということのないように、地域別にまた規模別に一定のワクを与える、と言うとことばが強くなり過ぎるかもしれませんけれども、われわれはそういう考えを持っているんだけれども、少なくともそういう方向で指導するということについてはどういうお考えを持っておられるか。
#96
○細見政府委員 事柄が銀行行政にわたることでございますが、私どもがこの租税特別措置としての貸倒引当金の改正を考えます場合には、いま御指摘のように金融機関が公共的な使命というものがあって、地域的にも業種的にも、また企業の大小に応じても、危険のない安全な企業に金を貸すだけが金融機関であってはならぬわけで、やはり国民経済的な要請にこたえて、弱小な企業あるいは足のひ弱な企業を育て上げるという一面が要る。そのために、いたずらに貸倒引当金をきびしく査定することによって、銀行がそういう方向で向かう意欲を失わせるというようなことも当を得たことではなかろうということで、先ほど申し上げましたように漸進的な措置を考えておるというようなことで、いま御指摘のようなことを銀行行政のほうに要望いたしながら、私どものほうはそれに応じた適宜な措置を考えていきたい、こう考えております。
#97
○竹本委員 これは、銀行行政はおっしゃるように問題ですけれども、そういう面の指導がもう少し強く前面に出されないと、ほとんどナンセンスになってしまうと思うけれども、これは要望にとどめて次へ移ります。
 次は交際費課税の問題ですけれども、これは限度をどこまでにするかという問題についてもいろいろ御議論がすでにありましたから、それは一応やめて、その限度を越えた超過額については一〇〇%課税をするということになった場合には、実際は全体の交際費のどのくらいにかけることになるのか。また一〇〇%課税ということを考えられたことがあるかないかという問題についてお聞きします。
#98
○細見政府委員 計数はいま調べておりますが、一〇〇%課税ということになると、よほど基準となるものを、何といいますか、企業の実態に合ったものにしなければならなくなるわけでありまして、そこまで各企業の千差万別の態様を一定の基準の中に盛り切れるかどうか。八〇%が限度かあるいは九〇%が限度かわかりませんが、やはり水際費の課税がある程度否認割合が大きくなってきた段階では、考え方に質的な転換が要るんじゃないかなという感じを持っております。その辺を今後どうするか、いろいろな方面の御意見を聞いて検討いたしたいと思っております。
#99
○山内説明員 四十四年度の数字で申し上げますと、現在交際費につきまして損金不算入の金額の合計が一千九百八十億でございます。これを交際費につきまして全額損金不算入ということにいたしますと、金額が九千百五十億程度に相なります。
#100
○竹本委員 主税局長のいまの御答弁に関連してですけれども、実態把握がむずかしい点もありますけれども、しかし今日でも四百万円なら四百万円というものも、いわゆる実態を把握した上にたてまえ上は立って計算をしたわけですから、一〇〇%課税するということになっても、今日の状態がある程度適正を期し得たものであるならば、そうむちゃな話ではないというふうに思いますがどうですか。
 それからもう一つ、ついでに。先ほど来議論にもなっておりますけれども、その四百万円なら四百万円を実態に即して再検討した場合には、引き下げようという意見が当然出るということになるのですけれども、その点についても念のためにひとつ……。
#101
○細見政府委員 四百万円という金額を事業の規模の大小に関係なく基礎控除にしておるわけでございまして、その辺は取引金額の大きさとかあるいは業態によって幾らか違うじゃないかという議論が必ず出てまいるわけで、この四百万円を改正するときに、それをいまの否認の実情から見ますと、むしろこの四百万円というのは小規模企業あるいは中規模企業に非常に有利になっておるという御批判があってこれを改正したらどうかという話がございましたが、その場合も、あまりこまかく改正基準をつくっていきますと、先ほどお話もこざいましたように、広告費を使う業感、交際費で商売を伸ばしていく業態、その辺に差を設けなければならぬかというような議論も出てまいりまして、旧税は良税というわけでもございませんが、一つの基準というものはそれなりにこう世の中に受け入れられておりますと、それを変更することはなかなかむずかしいことではなかろうかというふうに思っております。
#102
○竹本委員 適用期限を二カ年延長して四十八年までにするという意味はどういう意味ですか。
#103
○細見政府委員 先ほど来申し上げておりますように、これは規制するほうの特別措置でございますが、誘引の特別措置に同様にやはり二年ごと二年ごとくらいのところで、そのときそのときの社会経済情勢にこの特別措置が合っておるかどうか、あるいは社会の要請にこたえておるかどうかというのを見直していきたいということでございます。
#104
○竹本委員 そうすると、次の二年後にはまたパーセンテージが変わるとか、四百万円のところが少し数字が変わるとかということだけを考えておる、こういうことですか。
#105
○細見政府委員 いまおっしゃるようなこともその一つでございますし、さらにもっと交際費の規制の課税、税制上の扱いについて、基本的な考え方の変更をすべきだというような御議論がございますれば、それも取り入れるにやぶさかではございません。
#106
○竹本委員 さらに基本的なものがあればと言うのだけれども、それはいま主税局では考えていない、こういうことですか。
#107
○細見政府委員 なかなかむずかしい問題で、いろいろ検討はいたしておりますが、これという結論を持っておりません。
#108
○竹本委員 これはもっと基本的に考えらるべきではないかという意見だけを付言をしておきたいと思います。次に、青色申告会等からの事業主報酬制度の創設について、御承知のように熱心な希望、要望があるわけですけれども、今回それに似たようなといいますか、それとも関連があるかのごとき特別経費の準備金制度というのが出てきた。特別経費とは一体どういうことを意味しているのか。それから事業主報酬制度については大蔵省としてはどういうお考えであるか。
#109
○細見政府委員 事業の計算にあたりまして、実体は事業主準備金ということでございまして、事業主勘定に積み立てることによって企業の蓄積を厚くし、また企業の変動に耐え得るような方法を考え出したというわけでございまして、この性格は、積み立てまして、事業所得であるということには変わりないわけでございます。
#110
○竹本委員 ちょっと、もう一度よく伺いたいのだけれども、この事業主特別経費準備金という名前やそれから全体の性格がどうもぼくに的確にのみ込めないので、もう少し詳細にその性格、使命、それの考え方をひとつ伺いたいと思います。
#111
○細見政府委員 三つぐらいの考え方がこの制度の創設の背景となったわけであります。
 その一つは、何と申しましても青色申告を奨励する、正確な記張によって正確な納税をしていただくというのが申告納税制度の基本でありますので、そういう意味で青色申告者に、税制のたてまえを大きくくずさない限り、何らかの優遇措置というものを考えていくというのは当然であろうということで、そういう意味で青色申告の奨励。
 それから第二番目は、青色事業者につきまして、サラリーマンといいますか、つとめ人と違うところは、老後になったときに、つとめ人であればある程度のまとまった退職金の積立金という資金が入ってくるわけでありますが、それがないというようなことを考えまして、青色申告の事業者の老後の保障というようなこと、そういう意味で一つ考えております。それから、申しおくれましたが、この場合にいわゆる小規模企業共済制度があるわけでありますが、これは資金が外へ、つまり共済組合に積み立てられるわけでありますので、資金が外へ出てしまう。中小事業者にとってはなかなか資金も忙しかろうということで、内部で積み立てても積立金をその期の経費にできるようにしておるという意味で、一種の老後保障であり、老後保障のしかたとして、より手厚い、優遇した保障の方式になっておるというわけであります。
 第三番目は、この制度が活用されることによりまして、事業のことでありますから所得に変動が生ずるわけでありますが、そうしたときに事業の安定を期する。つまり、利益のあるときに積み立てておくということによりまして、事業の利益が少ないときにそれを取りくずすというような形でこういうような企業経営の安定がはかれる。
 目的としてはこの三つぐらいのものが考えられるわけでございます。
#112
○竹本委員 いまいろいろ多目的に並べられましたけれども、そのわりには十万円では額は少ないじゃないかという感じもする。それから先ほど申しました事業主報酬制度とこの制度は関連があるのか、あるいはそれにかわるものであるのかという点。それからもう一つは、いわゆる事業主報酬制度についての最近の大蔵省の考え方を聞きたい。
#113
○細見政府委員 事業主の勘定として一定の、自分が他部門で働いた場合であっても得られるであろうというような金を予定されまして、それを一種の企業上のコストとして事業の成果を見ていかれる、これはそれなりに企業経営の合理化という意味でけっこうなことでありますが、私どもが考えますのは、事業所得というのは、先般も申し上げましたように、事業用の資産、それから個人の才覚、それから場合によっては個人の肉体労働を加えることによって、それが事業所得でございますので、そのこん然一体となった事業所得というものの中に事業主報酬、自分から自分に給料を支払うというような考え方というのは、これは法律的な問題としてあるいは税のたてまえとしてやはりおかしいので、そういう意味の事業主報酬というのは私どもは無理だといまなお考えておるわけでございます。
#114
○竹本委員 これは議論はいたしませんけれども、ぼくは、法律的な問題としておかしいという議論のほうがおかしい。なぜかといえば、たとえば内閣総理大臣の佐藤榮作が佐藤榮作殿で伺いを立てれば協議をするわけでしょう。そういう、法律的には二つの人格を持っている場合は幾つもあるのですから、事業主だって事業主であるとともに従業員の一人でもあるのだから、これはいろいろ議論があろうと思いますけれども、あらためて議論をいたすことにいたしましょう。
 それから、あと二つ簡単に伺いたいのだけれども、一つは、政府の新経済社会発展計画によりますと、昭和五十年度における税、税外負担というのは四十四年に比べて二%ぐらいふえるというのだけれども、これは大部分付加価値税その他のいわゆる間接税の増強によろうという考えであるかどうかという点をひとつ伺っておきます。
#115
○細見政府委員 具体的な税体系のあり方というところまでは、この計画は詰めてございません。全体として税負担が二%程度ふえようということでございまして、この中身は間接税の増徴で充てるというようなところまではまだきめておるわけではございません。
#116
○竹本委員 最後にもう一つ伺っておきたいのですが、いわゆる間接税、付価値税の問題でありますけれども、いろいろ政府・自民党の中では前向きの議論がされておるし、調査も進んでおると思うのです。ただ、私は純技術的というか事務的に考えても、一つは、税務署の職員が付加価値税で各段階ごとに税金をかけようということになれば、フランスその他の外国の例を見てもそうでありますが、たいへんに職員がふえなければならないということですけれども、現実にどのくらいふえるか、そういうことを想定されたことがあるかどうかをひとつ伺いたい。
 それからもう一つは、オランダの例なんかもありますように、これが物価上昇に非常に拍車をかけるという重大な問題があるわけです。したがって、日本のように毎年これだけ物価が上がって、政府の経済見通しの去年は倍上がった、こういうような段階において、これをわが国に導入することは経済政策的に見てほとんど不可能であると私は思いますが、その点に対する基本的考えはどうであるか。この二つを伺いたい。
#117
○細見政府委員 税務職員の増加がどの程度必要であるかということにつきましては、一方企業と申しますか、納税者側にどれほどの協力をお願いをするかということと密接な問題でございますので、具体的な税制を考えます段階で、どこまでを税務当局がやり、どこまでを納税者にやっていただくかということの輪郭ができた段階で考えなければならないと思いますが、ある程度の税収をあげ税る目であり、それが新しく税体系の中に加わるということでありますれば、常識としてある程度の人間はふえざるを得ないということになるのではないかと思います。それから第二点の物価上昇との関係におきましては、おっしゃるように、物価上昇と付加価値税の問題というのは非常に微妙なむずかしい関係がございまして、ドイツとかあるいはフランスのように、付加価値税に移行いたしましたときにも物価の上がらなかった国もございますし、オランダとかベルギーのように物価が上昇した国もございます。そういう意味で他の経済政策との関連、あるいはそのときの経済全体がデフレ基調であるかとか、インフレ基調であるかとか、あるいはそのことに対する国民の協力の出方、あるいは物価騰貴に対する監視の具体的政策の有効性というようなものと非常に関連しておりますので、むずかしい問題であろうというふうに思いますが、そういうふうにある国におきまして物価に対して上昇というようないろいろな問題を起こすということは、逆の面からいえば経済政策としてはかなり有効な間接税になるという一面もあるわけでございます。その辺は慎重に検討いたさなければならないと思います。
#118
○竹本委員 これで終わりますが、問題は人数の問題です。これは税務署の職員が一また議論をすれば長くなりますからやめますけれども、数千人の増加でとどまるものか、あるいは二、三万ぐらい要るものか。それはやり方によって変わるでしょう。しかしA、B、C、いろいろの場合を想定して、事務当局はこのぐらいは要るのだということを具体的に結論を早く出さないと、やるのだ、やるのだ、導入するのだということを、政治家がただいろいろの立場からそういうことだけ言っておると――しかし実際問題として見れば、ドイツの例、フランスの例を見てもわかりますように、一番大事な問題は税務機構をどうするか、税務担当者をどうするかという問題が一つの決定的なポイントだと思うのですね。それに対して事務的に、この程度の準備と、これだけの人数は当然要るのですよということを首脳部にも、政治家にもデータを出さなければならぬ責任が主税局長あるのだと思うが、数字についてはいまだに、相当要るでしょうと言う以外はないのですか。それをひとつ聞きたい。
 それから経済政策の問題はむずかしいとおっしゃるのですが、ドイツ、フランスの場合には、これは慎重にやって、タイミングの選び方が非常にうまかった。ところが日本の場合には、へたすればオランダのようになる危険が非常に多い。現実がそうなんだから、そういう点についても――政治家の悪口を言うわけにはいきませんから言いませんけれども、少なくとも事務的良心において、事務当局は相当真剣に問題の検討のポイントを示すべき責任がある、そして補佐を誤らぬようにしてもらいたいということで、私はその点をむしろ心配しておるのだけれども、日本の場合においては、経済政策の観点からいうならば、かりに賛成の立場でも、それを導入する場合、うまい契機があるかどうかということになると、非常にむずかしい。へたするとオランダ的な失敗のほうが多い、可能性は。そういうこともひとつ慎重に検討しなければならぬから、事務当局としてはその過程も十分に検討して、用意しておいてもらいたいということなんです。人数の点、その他はどうですか。
#119
○細見政府委員 まだ、政府として付加価値税を採用するとか、あるいは採用の年次計画を立てなければならない段階に入ったとかいうことでございませんので、いま申し上げたような程度のお答えをいたしておるわけでありますが、いろいろ税制を執行する場合には、その執行の体制がどうなるかというのは最大の問題でございますから、その点については御指摘のとおり十分検討してまいらなければならないと思いますし、後者の経済政策としての問題につきましても、諸外国の実例あるいはわが国の経済のあり方というようなものについて十分勉強しながら、タイミングあるいはその採用の可否を誤ることのないようにしなければならぬ、かように考えます。
#120
○竹本委員 政務次官にひとつ伺いますが、経済政策のほうは大体みんな政治家もわかるから、慎重にというポイントを指摘すればそれで一応事が足りるかもしれませんが、ところが実は税調でも東畑さんもそれを言われる、それから大臣も大体それに近いことを言っておる。自民党でも言っておる。いろいろそういう議論が出ておるときに、いまだに人数については全然見通しがないような答弁だけれども、私はそれはしかし無責任だと思うのです。そういうことで、政治だけが先行というか先走りをするということになって、これは重大な問題で、フランスの場合なんかでも相当この点は悩んだ問題だ。ドイツが取り上げるときにもその点が一番ポイントであったとぼくは理解しておる。非常にじみな問題で、政治家が取り上げるときにちょっと注意が及ばない問題だと思うのだ。しかし実際問題となれば、税をかけようといったってかける人が足らないとか、徴税の方が不十分であるということになれば大問題で、私は、賛否は別にして、そのことが可能であるかどうかということを考えた場合に、もう少し主税局長のところで努力をしてもらって、私が言っておるように、こういう場合にはこうだ、こういう場合にはこうだという二つか三つの場合を想定して、税務職員がこのぐらい要るのだ――その点からだけでも非常にこれは将来マイナスの条件が出てくると思うのですが、それに対する研究といいますか、検討があまりにもなされていないような感じを受けるのだけれども、政務次官はどう考えるか。これでまたよろしいと思われるかどうか、この点について……。
#121
○中川政府委員 この問題については、大臣あるいは党の中の動き、あるいは東畑税調会長の発言等からだいぶ前向きのような空気が出ておることは事実でございますが、大蔵省としてはまだ踏み切ってもおりませんし、また計画も立てておらぬというところから、十分検討しておらない点もあろうかと存じます。また、いま言ったようなことを申し上げないのも、うっかり人数はこれくらいかかるなんということを言って、かえってまた御迷惑をかけてはという配慮もあって慎重になっておるのじゃないかという気がいたします。いずれにしても、御指摘のようにそっちのほうはずっと進んでいった、さていよいよという段階になってところが人の問題でおかしくなったというようなみっともないことになっては困りますので、人間の問題、どのくらい要るかということが基本をなす問題でありますから、これは鋭意ひとつ、御指摘もありましたので、さっそく検討をさせたい、このように思っております。
#122
○竹本委員 以上で終わります。
#123
○毛利委員長 関連質問がありますので、許します。広瀬君。
#124
○広瀬(秀)委員 一つは、相続税の改正で生命保険金の控除額が五百万円から百五十万円限度に引き上げられたわけであります。そうなりますと、法定相続人が五人いるということになりますと、七百五十万までは生命保険金は控除される、こういうことになるわけであります。そういう制度が新しくできたということは、やはり生命保険の加入の額がやはりだんだん大型化してくるということを意味すると思うのですね。そういうことに結果的にもだんだんなってくるだろう、そういうことを、ある程度実態がそういうものになってきているということを踏まえてそういう改正も行なわれた、こういうように理解するわけです。そうなりますと、保険の掛け金のほうも、保険料のほうですね、保険料のほうもかなり高額になってくるだろうということでありますが、今日の段階では最高限度三万七千五百円が非課税限度である――非課税限度ということばは適切でありませんが、それだけしか控除されない。控除限度額がそういうことだということなんですが、これについて、やはりそういう実態に見合って、これを据え置く年限というものがかなり長いことになっておるだろうと思うのですね。したがって、そういう改正と見合ってこの面も若干でも引き上げるのがやはり彼此一貫、首尾一貫した施策ではないのか、こういうように感ずるわけなんですが、その点についての見解をまず一点お伺いをいたします。
#125
○細見政府委員 私どもは今回の措置で事柄としては一貫しておると思います。と申しますのは、いま広瀬先生の御指摘のようにいたしますと、かける段階で全部控除されて、もらう段階で控除されるということになるわけですね。そうするともうばっさりかからない、所得税が控除される、こういう形はやや、私は、今日のように貯蓄の形態が多様化しておるときについて問題があるのではないか。ただしかし、生命保険金控除のほうを引き上げましたのは、率直に申し上げまして、生命保険金がたくさん入ってくるというような方はしあわせな方でないわけでございまして、むしろ生命保険金が、現在のように貨幣価値その他からいたしますと、もう長く生きておられた方というのはほとんどうまみのない金額になっておろうかと思います。むしろ私どもは、ここで生命保険金控除が一人百五十万に引き上げられた。だから、自分のふところの中から蓄積したのではとても七百五十万も貯金ができない人が、保険に入られることによって七百五十万が保証されるということが、むしろ保険の勧誘といいますか、保険に国民の皆さんが入られるときにあたっても一番の有効な方法じゃなかろうかという意味で、私どもはこの相続税における保険金の非課税というのが、社会政策的に見てもある意味で気の毒な方を救済することであり、意味があるのじゃないか、こういうふうに考えたわけであります。
#126
○広瀬(秀)委員 この問題はきょうは問題提起だけにしておきますが、これはやはりある程度検討の必要があるのではないか、こういうように考えるわけであります。
 それから貯蓄奨励及び住宅対策ということで、勤労者財産形成促進法がたぶんきょう委員会を通過する予定に聞いておりますが、これを前提にいたしまして、今回少額貯蓄非課税制度の別ワクで、元本百万円を限度としての利子の非課税措置をとろう、こういう提案があるわけであります。今日の勤労者財産形成促進法、初めての制度でありますから、これがどのように活用されていくか、これからの問題なんでありますけれども、ただこの郵便貯金なども利子非課税の限度が百五十万に引き上げられるという、別途やはり法案も出ておる。こういうようなことから考えまして、やはり今日の住宅建設費の増高というものがかなり激しいし、都会などではマンションなどを買ったり、あるいはアパートの中で二部屋、三部屋というようなものを買ったら、やはり一千万近くかかるというような現状なわけですね。そういう場面もありますし、一家、標準家族、夫婦子供三人としても、それにふさわしい家屋、住宅というものを持つということになりますと、少なくとも三百万、四百万とかかるような今日の状態になっているわけでありますから、そういう問題の中でこの百万円という限度はやや低きに失するのではないか。少なくとも少額貯蓄非課税制度、特に郵便貯金の場合でも百五十万までというようなことにもなっておる。これとむしろ平仄を合わすくらいのところに、せめてこれは私どもは二百万くらいまでのところはどうだということを言いたいのだけれども、郵便貯蓄の問題についてそういう改正案も出しておるのだから、その程度のところまでは当然いっていいものじゃないか、こういうように考えるのですが、これについてはかなり弾力的に考えられる、こういう気持ちがありますか。その点をお尋ねをして、きょうは関連質問ですから終わっておきますが……。
#127
○細見政府委員 全体としての貯蓄非課税の場合の元本の大きさをどういうふうに割り振っていくかということについては、今後も総合的に考えていかなければならない問題だと思います。
 ただ、今回の勤労者財産形成措置は、貯金というよりは、もう広瀬先生御承知のように、家を建てさせるとかいうことに目的があるわけでありまして、今回の制度によりまして、百万円の元本ができるところまではこの勤労者財産形成が動いていく。一方で、御承知の住宅建設についての税額控除というのを従来の倍にいたし、つまり年五十万まで、住宅に使われれば、それは税額で引きますということにいたしておるわけで、それらを総合的に――あるいはまた、こういう勤労者財産形成のほかに、先ほどお話がありましたように郵便貯金でも百五十万できるし、それからその他の少額貯蓄非課税についても百五十万、あるいは国債があるとかいうことで、この間松尾先生からむしろ多過ぎるといってしかられたぐらい非課税のワクもございますし、現実に家を建てられたときには、いま申し上げましたように年五十万まで、住宅費の弁済に充てていかれるときにはこの金が使えるというわけでございますので、その辺あわせ考えればかなりの金額になっておろうかと思いますが、総合的に、金額の大小については今後とも検討いたしてまいりたいと思います。
#128
○広瀬(秀)委員 勤労者財産形成促進という、しかもその中身は大体持ち家制度ということは、そもそもこの法案がつくられる原点にあったわけですね。ですから、大体いわゆる持ち家を勤労者に保証していこう、こういう趣旨でありますから、そういう非常に特定の目的というものがある場合には、かなりそれに対しては集中的に――いまやはり社会開発の問題という中では住宅難ということが今日依然として続いておるわけだし、しかもその住宅建設の費用というようなものも、土地代の値上がりなどを含めてさらに建設費の値上がりということを見ると、今日の非常に重要な政治課題になっている。そういうものに焦点を合わした場合には、かなりの優遇というものをやって、年限などもある程度切ることはけっこうだけれども、かなりの優遇というものを、そういう特定の目的、しかもだれもが望んでおる目的、国民の共感を得られるこういうものに対してはもっと弾力的に一いま最後のお答えのところでそういう気持ちはあるんだというお答えですからこれ以上申し上げませんけれども、以上二つだけきょうは問題を提起して、質問を終わります。
#129
○毛利委員長 本会議散会後直ちに再開することとして、暫時休憩いたします。
   午後零時五十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時二十五分開議
#130
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。坂井君。
#131
○坂井委員 租税特別措置制度の中におきます探鉱準備金及び新鉱床探鉱費のいわゆる特別控除制度の問題でございますけれども、この適用期限を今回また三カ年延期するということでありますが、延期の理由はいかがな理由でございましょう。
#132
○細見政府委員 御承知のように、日本は天然資源に恵まれておらない国でございまして、新しい日本の経済をささえていくための資源を国内、国外を問わず広く求めて生きていかなければならないわけであります。その意味におきまして、鉱物資源の開発に非常に有力なインセンティブとなっておるこの制度を、他の海外資源の開発、あるいは海外投資の促進というような特別措置とあわせまして、広い意味で日本経済の必要な資源の確保をはかっていくというために、一様に三年間延長
 したわけであります。
#133
○坂井委員 お答えによりますと、昨年も同じような答弁だったかと思うのです。そこで、いろいろこの制度の是非について論議がありまして、そういう経過の結論として、大蔵省としてはこの制度はやはり改善しなければならない、いわゆる合理化をしなければならぬというような結論になったような答弁であったかと承知いたしております。特に政務次官の答弁によりますと、この一年間の間に十分検討を加えて、よりよきものに改めたいということを約束されておったわけですけれども、いままた三カ年同じような理由でもって延長される。そうなってまいりますと、前回お答えになりました大蔵省の見解なり政務次官の御答弁といささか相違するのではないか、こう思うわけでございますけれども、いかがでございましょう。
#134
○細見政府委員 政務次官が一年かけて検討いたすと申しましたように、その後一年間におきまして、通産省あるいは関係の識者を含めまして、この減耗控除のあり方について海外に使節を派遣されたというようなこともございますし、またカナダその他の国から、わが国の資源開発に対する取り組み方、その中の税制のあり方というようなものにつきましての視察団も参るというようなことで、各方面について検討をいたしたわけでございます。主税の当局といたしましては、午前にもお答えいたしましたように、特別措置が既得権にならないようにするために絶えず期限を置いて検討いたしておるということは、むしろそういう態度で臨めという御激励を午前中受けたわけでありますが、そういう意味でこの制度につきましてもいろいろ改善、合理化の方策はないかということで検討をいたしたわけであります。結果といたしまして、先ほど申し上げましたように、資源開発の重要性、わが国を取り巻きます資源確保の困難性というようなものを考えましたときに、これをむしろ延長すべきではないかと考えたわけでございます。
#135
○坂井委員 それでは重ねてお伺いしますが、昨年末に大蔵省は、この減耗控除制度を四十五年限りで廃止をしたい、こういう結論をお出しになったと私は承知をしておるのですが、私のいまの受け取り方が正しいかどうか。同時に、税調に対しし当然大蔵省は打ち切るという方向を示されたと思うのですけれども、税調の答申はどう出たのか、その辺のところをひとつ経過を明らかにしていただきたい。
#136
○細見政府委員 税調でこの減耗控除のことが論議されましたのは前回、今回の改正の前の段階におきまして、なお期限を一年間延長して、この制度についてはいろいろ論議があるから、その辺について、この制度の有効性あるいはこの制度の果たす役割りというようなものについて慎重に検討するというのがあったわけでありまして、ことしの改正にあたりましても、もちろんわれわれ主税当局といたしましては、およそあらゆる租税特別措置につきまして、それは廃止すべきではないかというたてまえに立って検討をいたすわけでございますが、結果として有用なものは、午前にも申し上げましたように、これを取り入れていくのが広い意味での経済政策にかなった税制であり、それがまた、税のささいなわずかな公平を害することはあっても、日本経済のために有効な税制上の施策である、こういうふうに判断いたしたわけでございます。
#137
○坂井委員 その判断が、私をして言わしむればきわめて不可解な判断であるといわざるを得ないわけであります。大体この制度が始まったのが昭和四十年、四十三年まで三年間でもって始まりました。そこでさらに二カ年の延長がございまして、四十五年まで、そして一年間の延期で四十六年。こういう三年、二年、一年という経過を踏んできているわけですね。その間、いまお答えになりましたようなことがしばしば論議されながら、昨年におきましては一年間という単純延期をしたということ、これはもうこの制度が非常に不合理であるから合理化をしなければならぬ、ないし廃止でしょう、そういうことを十分踏まえた上での一年間である、私はそう理解しているわけであります。したがってことしあたりはこれは三、二、一ですからゼロになるのが当然であろう、こう予測しておりましたところが、あにはからんや、また逆に戻りまして三カ年の延長だということになってまいりますと、こういう減耗控除制度を税制の中で基本的にこれを是認するのかどうか。私は、本来はこういう制度は国策的なあるいはまた国際的な、そういう見地から設けられた制度であって、決して税制の基本からいいまして好ましくない、こういう減耗控除制度は是認した形では始まったのではない、こう理解しておるわけですけれども、三年間の延長ということになりますと、またいまの説明を聞いてまいりますと、海外資源の開発等、そういう問題があるのだ、政策目標があるのだということになってまいりますと、基本的にこの種の減耗控除制度を是認されるという立場をおとりになるのですか。
#138
○細見政府委員 すべての特別措置がそうでございますように、その段階段階におきまして、その措置が日本の国民経済にとって有効な施策として働いておるかどうかということを判断するわけでございまして、それが特別措置である限り、税制としては、たてまえとして特別措置は整理縮小する方向の基本的な方向はとりますが、そのときそのときの政策としての有効性に立って、そういう税の公平一本やりというわけにもいかないという面もあるというわけでございます。
#139
○坂井委員 そうしますと、縮小という方向は、元来そういう方向でなければならぬと私は思うのですが、そのときそのときの政策目標で、今回三カ年間延長されたということは、一応拡大の方向をとったと理解してよろしゅうございますか。
#140
○細見政府委員 拡大でも縮小でもなくて、文字どおり延長でございます。
#141
○坂井委員 本来この制度の目的は何ですか。
#142
○細見政府委員 地下資源の開発を促進するためのインセンティブでございます。
#143
○坂井委員 そうすると、この制度は国内、国がともに及びますか。
#144
○細見政府委員 この制度そのものといたしましては、国内資源のほうに重点がかかるわけでございます。
#145
○坂井委員 いまの問題は一応おきまして、たとえばこの制度の適用を受けることによりまして、税法上非常にこの特典にあずかっておるのがいわゆる非鉄金属大手八社である。この減収額が全体の税の減収に対する大体何%くらいに当たりましょうか。
#146
○細見政府委員 御質問の趣旨は、その企業の所得に対する減収の割合でございますか。
#147
○坂井委員 はい、そうです。
#148
○細見政府委員 大体おしなべまして、鉱業所得の半分くらいはこれによって軽減されておるというわけでございます。
#149
○坂井委員 額はいかほどになりましょうか。
#150
○細見政府委員 四十年から四十五年までの合計で、減税額で見まして百四十億、まあ六年間でございますから二十四、五億というのが軽減になっておるというわけでございます。
#151
○坂井委員 百四十億、これは八社、六年間の総額ですか。あとの二十四億というのはどういう意味でしょうか。
#152
○細見政府委員 四十年上期から四十五年上期までの問のいまお話しの鉱山会社八社の合計額が百四十八億、こういうわけでございます。先ほどかりに六年として年割りにしてみただけのことでございます。
#153
○坂井委員 私、手元に少し資料があるのですが、たとえばこの大手八社のうちA社は、四十二年の三月期におきまして二十四億円の鉱業所得がありまして、その中でこの特例を受けますために課税の対象になったのが大体半分くらい、五〇%ですね。約十二億、そういうことであります。そこで五年間にこの大手八社の中で筆頭が四十一億円、これだけの税金をまけてもらった――ことばが適当かどうかわかりませんが、それを筆頭にしまして、二十八億、二十一億あるいは十二億、合計いたしますと百三十一億にのぼる減税を受けておる、こういうことに資料がなっておるわけですけれども、間違いございませんでしょうか。
#154
○細見政府委員 こまかいところは若干違っておるかもしれませんが、おおよその数字としては合っておると思います。
#155
○坂井委員 おおよそそのとおりだということでありますが、そういたしますと、この制度の適用によって、一般の企業に比べました場合に、法人税は大体半分くらいになっている、こう私理解しておるのですけれども、それでよろしゅうございますか。
#156
○細見政府委員 鉱業所得に関する限りはそのとおりでございます。
#157
○坂井委員 それでは通産省にお尋ねしたいのですが、現在国内鉱、それから海外開発、二つの行き方があると思うのですが、これら非鉄金属、主要金属のこの減耗控除制度が発足する以前の需要の状態、それから四十年に発足いたしまして今日に至る需要の推移、これのあらましのところをひとつお聞かせいただきたい。主要金属でけっこうです。
#158
○礒西説明員 主要金属、銅、鉛、亜鉛で申し上げますと、三十八年度におきまして銅の需要は約四十万トン、そのうち国内鉱が十万トン。本制度かできました最近の、四十三年度の統計によりますと、供給が七十五万トンで、そのうち十一万トンが国内鉱ということになっております。なお、鉛につきましては、三十八年度におきまして供給か約十四万トン、そのうち国内鉱は五万四千トン。四十三年度におきましては供給が十八万トンで、そのうち国内鉱が約六万トン弱。それから亜鉛につきまして申し上げますと、三十八年度におきまして供給が三十三万トン、国内鉱が二十万トン弱、四十三年度におきましては供給が五十五万トンで、うち国内鉱が二十四万トン。こういうことになっております。
#159
○坂井委員 四十三年はわかりましたが、一番近い年度でおわかりにならないでしょうか。
#160
○礒西説明員 銅につきましては、四十四年度八十三万トンの供給につきまして国内は十二万トン。それから亜鉛につきましては、七十三万トンの供給に対しまして国内は二十六万トン。それから鉛につきましては、四十四年度二十万トンの供給におきまして国内は約六万トン。こういう状況でございます。
#161
○坂井委員 そういたしますと、むしろ国内依存よりも国外依存が比重がきわめて大きくなっている、こういうことだと思いますが、そのとおり間違いございませんか。そう解釈してよろしゅうございますか。
#162
○礒西説明員 さようでございます。たとえば銅につきましては七三%が四十三年度において海外からの依存度でございますが、これが将来、五十年度になりますと約八〇%になる予定になっております。
#163
○坂井委員 そういたしますと、先ほどの御説明によりますと、たとえば銅の場合、昭和四十四年度は全体で八十三万トン、国内依存分が二十三万トン、あとは全部海外となりますと、国内分が四分の一で海外が四分の三、こういうことになるわけでございますが、海外に依存している分の形態と申しますか、たとえば地金であるとか一般買鉱だとか融資買鉱あるいは自主開発鉱だとか、いろいろそういうように分かれると思うのでございますけれども、それはいかがなことになっておりますか。
#164
○礒西説明員 御承知のように、銅を海外から入れる場合におきましては、みずからやる分と共同でやる分と、あるいは銅そのものを買う場合と銅の地金にして買う場合と、いろいろございます。かりに銅の場合の四十三年度分をとってみますと、輸入が五六でございますが、そのうち自主開発分は約四万トン、買鉱といいまして、鉱石をそのまま買うのが約二十万トン、それから地金あるいはブリスターにして買う分が約三十一万トン、こういうふうな状況になっております。
#165
○坂井委員 そうすると、先ほど海外資源の開発を目標とする、こういうことでございますが、いま海外依存のいろいろな種別を聞かしてもらったわけですが、いまの中で一般買鉱だとかあるいは地金であるとかブリスターであるとか自主開発鉱だとか、いろいろあるわけですが、その中のどれに力を入れていくのですか。
#166
○礒西説明員 もちろん自主開発に力を入れていくのが当然でございます。
#167
○坂井委員 そうしますと、銅の場合で自主開発による分が四十四年度の場合、八十三万トンのうちどれくらいありますか。
#168
○礒西説明員 約四万トン、国内生産の約三分の一でございます。
#169
○坂井委員 そうすると、その自主開発による四万トンの分には減耗控除制度の適用は受けておりますか、どうですか。
#170
○細見政府委員 部分的に受けておるものもまざっておるかと思いますが、大半はこの制度でなくて、海外資源開発のための探鉱のための税制のほうの特典を受けておる、こういうわけでございます。
#171
○坂井委員 部分的に受けているといいますと、実際にはどういう具体的な例でしょうか。
#172
○細見政府委員 探鉱の場合の技術者の人件費その他の点について、あるいは向こうで開発したあるいは探開した開石の分析とか、そういうようなものである程度のものがあろうが、区分が明確になっておりませんので、全然受けておらないというわけにもまいりませんし、受けておる量はどれくらいかと言われれば、なかなか明確にはきめがたい。いずれにいたしましてもそう大きな部分でないことは事実でございます。
#173
○坂井委員 じゃ、通産省にお尋ねしますけれども、自主開発による分はいかなる形態をとっておりますか。たとえば合弁会社という形もあるでありましょうし、海外での資源開発でありますから、これは鉱業権の設定をしなければならぬという問題があろうと思います。そういたしますと、いわゆる現地法人でなければ、日本の資本が海外に進出をしても掘れない。鉱業権の設定ということがまずその前提になってくるというような問題。あるいは投融資をして委託をした形で海外で探鉱する。いろいろな形が予測されるわけでありますが、現在自主開発によって――具体的にいきましょう、たとえば銅の分で四万トンやっているわけですね。この銅の四万トンの分はいかなる形態によって行なっておりますか。
#174
○礒西説明員 一般に海外で探鉱をやる場合におきましては、その会社が向こうの探鉱権者と探鉱契約を結びまして、日本の企業が直接あるいは間接に相手方と共同で探鉱事業を行なうという形が一般的に多く行なわれております。それで探鉱いたしました結果、探鉱の次に開発でございますが、開発の目途がついた場合におきましては、現地側と交渉いたしまして現地法人を設立する、そうしてその法人にその企業が投資あるいは融資をする、こういうふうな形になっております。一般に、海外におきまして鉱業権の取得が現地人でないとできない、こういうふうな形になっておるものでございますので、そういうふうな形態をとっております。先ほどおっしゃいました銅の四万トンの問題につきましても、カナダにおいていま申し上げました形をとっております。
#175
○坂井委員 そういたしますと、カナダにおいていまのような形をとっておるということになりますと、現地法人に対して投融資の形をとっておる。したがって、この減耗控除制度の適用は受けておらない、こういうことでございますか。
#176
○礒西説明員 さようでございます。
#177
○坂井委員 そうすると、先ほど答弁のありました大蔵省の、部分的にはこの制度の適用を受けるというのは一体どういう部分ですか。
#178
○細見政府委員 正規に会社を設立いたしまして探鉱いたしておる場合には、御承知のように現地法人にならなければならぬわけでありますが、技術者を派遣してその前の段階のいろいろな調査を行なうとかいうようなことがあるわけでございます。だが、それらがどの程度のものであるかということはわかりませんし、割合としてもそう大きなものではなかろう、こう申し上げているわけでございます。
#179
○坂井委員 重ねて通産省にお伺いしますが、将来の形として、合弁会社の形をとろうというような動きはございませんか。
#180
○礒西説明員 将来の問題でございますが、探鉱の形におきましては、先ほど申し上げましたように、向こうの探鉱権者と折衝してやっていく。開発段階になった場合においてはそういうふうな形になる場合が、現地の事情によりまして起こり得るケースがふえるんじゃなかろうかというふうに考えております。
#181
○坂井委員 開発ということになりますと合弁会社という形も考えられる。むしろそういう方向に行くのではないか、私はこう判断するわけであります。その場合には減耗控除制度の適用を受けられると判断されておられますか。
#182
○礒西説明員 開発段階は探鉱の次の段階でございますので、本制度は探鉱でございますから、その辺は違うと思います。
#183
○坂井委員 そのとおり、大蔵省、間違いございませんか。
#184
○細見政府委員 そのとおりでございます。
#185
○坂井委員 そうしますと、なお私非常に納得のいかないことは、海外資源の開発、これは重大な一政策目標であり、国策等から考えて大きな目標として、今後進出をしていかなければならぬという点についてはよくわかります。よくわかりますが、そうした場合に、先ほど御答弁のありました海外進出、これを促進していかなければならぬために最低この制度の必要があるのだという御答弁は当たらない。海外資源の開発とこの制度の関係性において、一体どのような、海外資源開発のためのこの制度を置くことによってのメリットがあるのかという点を明確にしていただきたい。
#186
○細見政府委員 この点につきましては、御承知のように企業が海外に出ていきますためには、企業がみずから力をつける必要があるわけでありまして、この減耗控除制度というのはそういう意味で企業に力をつけるということに非常に役立つわけでございます。その場合に、投資会社あるいは探鉱会社をいろいろな形態の日本の企業が集まって合弁でつくることももちろん可能であります。しかし何と申しましても、もち屋はもち屋と申しますか、多年探鉱の仕事に当たり、その技術と開発の能力を持つ日本の鉱山会社というのがそうした場合の中核になるということはあるわけで、そういう海外に出ていく余力もできますし、それからあわせて、いま銅とかその他の重要資源が、海外に対する依存度が多くなったという説明がございましたが、それは相対的に、需要がふえていくという中におきまして海外に対する依存が大きくなりますが、国内におきましてもそういう資源があればこれを一方で開発していくことが、資源を一方的に海外に依存することがいかに危険であるかということからしても重要であろう、こういうわけでございます。
#187
○坂井委員 企業の力をつけるためにこの制度が必要である。その企業の力をつけるにはこの制度のメリットは何かというと、国内における探鉱でありあるいは新鉱床の探鉱である。そういたしますと、国内の今後の探鉱の見通しはいかがなものでしょう、通産省。
#188
○礒西説明員 ただいま主税局長から御答弁ございましたように、海外に進出するためには、やはり企業自体の力をつけざるを得ない。企業自体の力をつけるにはどうしたらよいかという問題につきましては、国内資源を開発してその収益をたくわえなくちゃいけない、こういうことでございます。したがいまして、現在四万トン程度の銅におきます国内生産でございますが、これを将来十二万トンということを目標にしております。自主開発が四万トンで国内が十二万トン、そういうふうな形になっております。
#189
○坂井委員 十二万トンの開発が国内で可能だ、そういうことですか。
#190
○礒西説明員 ちょっと数字を間違えまして恐縮でございますが、国内は現在十二万トン、銅で生産しておりますが、その十二万トンを漸次ふやしていきたい、こういうふうに考えております。
#191
○坂井委員 ふやしていきたいというのは希望的な見通しではないかと私は思うのですけれども、国内資源の枯渇ということは常々非常に言われておることです。どれぐらい国内資源を開発していくという見通しを持っていらっしゃるか。
#192
○礒西説明員 現在十二万トンでございますが、これを十三万トンないし十四、五万トンにしたい、こういうふうに考えております。
#193
○坂井委員 十三万トンから十四、五万トンということでございますが、そういたしますとさらに将来の目標といたしまして、たとえば昭和五十年ないし五十五年には国内、国外全体で、銅の場合どのぐらいの需要の目標をお立てになっていらっしゃいますか。
#194
○礒西説明員 昭和五十年度における銅の需給の問題は先ほど申し上げたのでございますが、五十年度におきまして百四十二万トンの供給のうち、百十五万トンが海外からのあれでございまして、十三万トンが国内、十四万トンがスクラップ、こういうふうな形に一応目標を立てております。
#195
○坂井委員 百四十二万トンの供給の目標だ、こういうことでございますが、その根拠はどこにありますか。根拠としてお立てになったものは何でしょうか。
#196
○礒西説明員 それは通産省内部で需給をいろいろとりまして、その需要に見合う数字を供給として充てたものでございます。
#197
○坂井委員 いずれにいたしましても海外依存率がきわめて大きくなってくるということは事実のようであります。そういたしますと、国内資源の開発ということは、今後も銅の場合には十二万トンから十三、四、五万トンぐらいまで伸ばしていきたい。これによってこの減耗控除制度の恩典、特典を受けて企業の体質、力をたくわえて、さらに海外に進出する力としたい、こういう御説明広ありますけれども、これは私はおかしいと思う。国内資源自体はいま十三、四万トンとおっしゃっておりますけれども、現実には非常に資源が掘り尽くされて、開発し尽くされて、もうすでに下畑に来ておるのが現状ではないか。もっぱら業界におきましても、国内鉱にはもう力は入れておりません現状であります。こういう制度をそのままに置いておいて、それが国内資源の開発によって力を得て海外進出への足がかりとなるんだという、そういう趣旨でこの制度を存続さすということは私はきわめておかしい、そう判断するのですけれども、大蔵省、いかがでありますか。
#198
○細見政府委員 資源の問題でございますので、絶えざる探鉱を続けておりましても、いま坂井委員の言われるようになかなか生産は伸びないかもしれません。しかし、資源のすべてを海外に依存するということがいかに危険であるかというのは、今度の石油のようなときに端的にあらわれるのでありまして、国内における努力を続けていかなければならぬわけでありますし、いまお話は出ておりませんでしたが、たとえば日本海の海溝におきまして石油その他の多大の鉱産物があるということもいわれているわけでありまして、この場合には日本の領海の中でございますから、もちろん減耗控除制度がそのまま働く、現地会社をつくらなければならないというようなものはございませんので。そういうこともございまして、資源の問題はおっしゃるようになかなかむずかしい問題であり、多方面の展開が予想される問題でございますので、そういうものを見通す意味においてこれを三年間延長したわけでございます。
#199
○坂井委員 そういたしますと、一方においては、従来の石油開発投資損失準備金制度、これを改組いたしまして、今回資源開発投資損失準備金制度に改める。この中には、いわゆるいま言うところの非鉄金属等が含まれる。したがって、海外資源の開発は、今回されておりますところの資源開発投資損失準備金制度によって、海外資源の開発を進めていく方向をとろうということでこの制度が出てきたんだと、こう理解しているのですけれども、それでよろしゅうございますか。
#200
○細見政府委員 制度の一面はおっしゃるとおりでございますが、御承知のように、今回その制度を拡充するにあたりまして、いわば特別措置の整理の範囲内で特別措置を拡充するという、その整理したものは御承知のように輸出振興の税制であったわけで、われわれ日本の経済がここまで大きくなってまいりました段階におきましては、やはり、日本だけが輸出をしていけばいい、日本の輸出能力があればいいということだけでは足らないわけでありまして、相手方に物を輸入する能力を与え、また相手のその輸入能力というのは、相手の国の産業を開発して相手の国が富んでいく、富んだ過程で日本の物をどんどん輸入もできるようにしていく。いわば単なる輸出振興でなくて、日本経済全体を国際経済の中にすんなりと位置づける。その中の推進力になるという意味で行なったわけでございまして、資源を得るという意味におきましては御指摘のとおりでございますが、同時に、いまだ十分発展しておらない国の発展を助け、日本の新しい国際経済の役割りを果たしていくというもう一面があると思います。
#201
○坂井委員 では、もう一回もとに戻りますが、この制度による減収が非常に大きいわけですね。鉱業所得の五〇%をまた免税にしておる。特に大手八社であります。私はこれははきわめて公平を欠いておると思う。税制の制度としてこれほど――好ましくない制度はほかにもありますけれども、その中の一つの大きなガンだ、こう判断しているわけでありますけれども、公平さを欠いているという面については大蔵省も異論はなかろうと思うのですが、いかがですか。
#202
○細見政府委員 特別措置でございますので、それなりに、税の公平という観点だけから見れば問題があることは事実でございます。
#203
○坂井委員 そこで、この税の公平という問題と、一方におきますところの海外資源の開発、この二つを、このバランスの問題ということで御判断されて先ほどからの御答弁が返ってきておるのだろうと思うのですけれども、私はこれはバランス論ではないと思うのです。むしろ、税法上こういう特別措置をもって税の公平を著しくそこないながらこういう制度を存続する必要が一体どこにあるのか。もしその海外資源開発ということで必要があるとするならば、むしろ他の政策手段によるべきである。たとえば融資であるとかあるいは補助金であるとか、そういう方法がとられてしかるべきである、私はこう思うのですけれども、いかがですか。
#204
○細見政府委員 おっしゃるようにいろいろの方策があろうかと思いますが、特に日本の企業などが海外に資源を求めていきます場合におきまして、企業の自主的な判断で動いておるというのがいいのか、国家が非常に厚い補助金その他を出しておるという形が相手国に対する刺激を与えないのか、その辺につきましては非常にむずかしい問題があろうと思いますので、この問題の処理も含めまして、今後日本の海外資源開発の方式としてどういうものがいいかということにつきましては、絶えず検討を加えていかなければならない、かような問題かと思っております。
#205
○坂井委員 まことにむずかしい御答弁を局長はなさる。こういう税制を、好ましくないものをいつまでも置いて、さらに検討を重ね重ねしていく、三年が二年になり、そして一年になり、また三年に逆戻りして、これからあと一体どうなるのか。こういうものを置いておきますと、他の産業、企業から見ましても、きわめてこれは納得できない。そのことが国民意識の中で納税意識の低下につながってくる。税の公平ということは一番基本的なことであって大事な問題だと、私が言うまでもないことでございます。常にそういうことをおっしゃっていながら大蔵省はいまのような苦しい御答弁をなさるということは、私は、本来この制度が出発したときからそもそも問題が、複雑な政治上の問題もあったかのように伺っております。しかし、ここはひとつ勇断をもって、こういう制度はやはり改めなければいけない。
 大蔵大臣にお伺いしたいのですけれども、いままでのやりとりをお聞きになって、大臣として、決してこういう制度を置いておくことは好ましくないとお考えであろうと思うのですけれども、しからば一体いつどういう方向に合理化をしていくか、改めていくかぐらいのところの、ひとつ前向きの御答弁をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょう。
#206
○福田国務大臣 この制度は法人税法の中で特別措置である、こういう意味合いにおきまして、一般原則から見るとかなりの例外を設けている措置である、そういうふうに見ております。さようなことで、これは廃止あるいは改革についてずいぶん昨年以来検討をいたしたわけなんです。そういう努力をしてみましたが、ちょうどそれと時を同じくしまして資源問題、とにかく国の総力をあげて内外の資源を開発しなければならぬ、こういう要請が出てきた。そういうときに、国内資源の開発上、それがまたひいては海外への投資上かなりの役割りをしておるこの制度、これを廃止するということになると、どうも政策に対して大蔵省は理解というものがない、資源政策に対して理解がないというような反論を受けることになるわけです。そういうことで、これはずいぶん主税局長も苦心したのでありますが、各方面とも渡り合い、苦心に苦心を重ねた結果、三年間延長、こういう結論に立ち至ったわけなんです。もとより私は、これが税制の姿として好ましいというふうには考えていないのですが、資源開発という政策的要請の今日より大なるときはない、そういう際にこの特別措置をいらうというのが、いかにもこれがまた税法にとらわれた考え方だという印象も与えるおそれはないか。それらを考えましてこのような措置をとりましたが、なお、こういう問題は一応三年というふうにしてありますけれども、資源政策全体の中においてよくまた見てまいりたい、かように考えます。
#207
○坂井委員 大蔵大臣、語尾がはっきりしないのですが、十分見てまいりたいのですが、三年間延長しまして――少なくともこの前には一年間の延長期間をもって、その間において合理化を検討したい、改めたいということをおっしゃっておるわけです。きわめて不合理であるということはお認めになっていらっしゃるわけです。だから合理化したい、いわゆる不合理な部分をなくしたい、こういうわけであります。今度はまた三年間延長し、三年間延長されたあと今度は合理化されるのですか、いかがですか。
#208
○福田国務大臣 今度の措置は何といっても資源政策の立場からとっていることでありますので、全体の資源政策をこれからどういうふうに進めていくか、これは大蔵省としてもいままでのような固定した立場をとってはいかぬ、ほんとうに思いを新たにした考え方を出さなければならぬ、私はこういうふうに大蔵事務当局にも申しておるわけなんですが、そういう資源対策のまとまりぐあい、そういうものとも深い関連を持ってくると思うのです。一応三年ということで延長にはお願いしておるわけでございますが、そういう諸政策の効果が十分であれば、税法を待たぬでもいいということであれば、これは税率でも、税法というものは変えてもいいわけでありますから、その辺を見てまいりたい、かように申し上げておるわけでございます。
#209
○坂井委員 大臣、重ねてですが、考え方の方向として、こういう税制は改めて――海外資源の開発、資源政策の面から見てきわめて重要であることはよくわかります。したがって他の助成手段、政策手段をもって検討していくべきが筋である。少なくともこの税制については、そういう手だてをしながら合理化をしていきたい、いかなければならぬ、こういうお考えには立たれませんか。
#210
○福田国務大臣 予算編成の時点、つまりそれと並行しましてこの税制を考える、そういう時点におきましては、資源対策として有効な手段というものがなかなか発見できなかったのです。したがいましてこれは税制によらざるを得ないという結論でありましたが、なお資源政策全体として検討いたしまして、税制に匹敵するような有効な手段があるということになれば税制によるささえというものは必要ないし、税制としてすっきりする、こういうことなんでありまして、そういうことも全体としてよくにらんでまいりたい。税制はその一環として考えたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
#211
○坂井委員 もう一回重ねて聞いておきたいのですけれども、この制度の適用は海外進出、海外において探鉱あるいは開発をやる場合には税法上の適用は受けることになっておりますね。
#212
○細見政府委員 探鉱活動であります限りは、国の内外を問わず適用できるわけでございますが、先ほど通産省からのお答えがありましたように、現実問題として開発の段階に至ったものにつきましては、これは現地法人によらざるを得ない。そうしますと、探鉱はコストばかり出るわけでありまして、開発になって初めて利益が出てくるわけでありますので、そういう点からして現実に準備金を海外に使うか使わないかというのは企業の総合的な判断によっておる。ただ制度としては両方に適用できるわけでございます。
#213
○坂井委員 制度として両方に適用できるのだが、現実の問題としては海外においては適用されない、となってまいりますと、この制度自体がきわめてあいまいではないか。このままこの制度を置いても、そういう点では制度上、税法上問題はございませんか。
#214
○細見政府委員 日本の自主開発の今後の方式にもよりますし、いまお話の出ておりますように現地の会社でなければ、つまり外国の会社には資源開発を許可しないというような国に出ていく場合でございますと現在のようなあり方でございましょうし、それが大陸だなであるとかあるいは領海外であるとかいうようなことになりますれば、これもまた可能であるわけでありまして、その辺は今後の情勢の推移に応じまして判断する問題ではなかろうかと思っております。
#215
○坂井委員 だんだん時間が参ったようですから終わりますが、私一点要望しておきたいことは、いわゆる資源開発という国策的な見地あるいは国際競争の上から、わが国も海外資源の開発に伍していかなければならぬというきわめて重大な問題があろうと思います。そのことを認めるにはやぶさかではございません。しかしながら、海外資源の開発がより重要であるとするならば、やはり国際的な大資本に立ち向かうだけのばく大な投資がこの資源開発には必要である。いまのようなこういう制度を温存することによって海外資源の開発が促進されるんだとお考えであるならば大きな誤りであろう。これは少なくとも通産省においても考えていただきたい。将来において、五十年あるいは五十五年等の目標において非常に大きな資源を海外に依存しなければならないとするならば、これはいまいち早く大きな日本をもって海外の資源開発に当たらなければならぬ。それは別途考えなければならないことであって、この方法によって促進されるんだ、そう考えておられるならば、これはたいへんな錯覚であろうと私は考えるわけであります。したがって、結論的に申し上げますならば、こうした制度は税法上からも、税制の基本的な立場から考えましてきわめて好ましくないことでありますので早く改めなければならぬ。同時に、海外資源開発のためには他の政策手段あるいは助成手段によるべきだ。なおまた大きな立場からは、さらに海外資源開発のための別途の方法を講じてしかるべきではないか。同時に、いまの非鉄金属鉱山大手八社については他の一般企業の税金の半分までまけてもらえる。現実には出ておらない分までもその所得の中から控除されるということをこのまま存続させていくということは、先ほども言いましたように他の企業から見ましても決して好ましいことではない。むしろ今回出されておりますところの資源開発投資損失準備金制度、この制度の適用によって海外資源の開発に方向を向けていくべきである。ですからそういう点を十分にひとつ御検討、判断いただいて、少なくとも三年、二年、一年の経過をたどって、今回三年ということにつきましては私ははなはだ遺憾でありますが、早い機会において是正されるように強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
#216
○毛利委員長 堀君。
#217
○堀委員 最初に、予算委員会で少し議論いたしましたことで詰まっておりません点がありますので、お伺いをいたしたいと思います。
 この前の予算委員会の総括質問の際に、福田大蔵大臣は、七〇年代においては国民所得に対する負担率というものが現在の一九%台から二一、二%台ですか、二、三%ふえていくだろうという御答弁がございました。確かにこれから財政需要というものはいろいろな角度からふえるであろと思います。ふえるであろうと思いますけれども、私はそこに大蔵大臣とやや見解の違う点があるのであります。財政需要にこたえる財源というのはすべて租税負担でいいかどうかという点についてはやや意見が違いますけれども、それは後段で議論をすることにいたしまして、いまの国民所得の伸び率でまいりますと、大蔵大臣はこの前から大体一〇%程度ということが望ましい、こういうお話になっているようでありますが、事務当局にちょっと、いまの一〇%程度ということで、七〇年代でありますから、いまは七一年でありますが、そう先でもあれでしょうから七五年にしましょうか、七五年の国民所得は一体幾らになって、その時点で――いや計算はいまの一〇%で計算してもいいのですが、その時点で、もしかりに二一、二%のうちの二%といったら相当な金額になると思うので、それをいますぐ答えられなければ計算をしてから答えていただいてけっこうですが、実は相当大きな金額になるわけであります。
 今度もう一つ伺いたいのは、何に求めるのかということですね。要するにこれから税金の負担がふえるということは、いまのままでいけば、実は減税もあるからでありますけれども、国民所得の伸びが一応ありますから、その国民所得の伸びだけは毎年ふえるわけですね、自然増収というかっこうで。その上にまだふやすわけですから、二%、三%。そのふやすというのは、これはやけり新税によってふやす以外にはふえないのじゃないか、増税になるのじゃないかと思うのです。その点は大蔵大臣いかがでしょう。
#218
○福田国務大臣 結局増税になるのです。それがけは。つまり国民に対する負担率が今日一九・三%、これが二一ぐらいになる、こういうことになりますればそれだけ国民負担は実質的にふえていく、こういうことになる。そういう意味において国民負担がふえる、こういうことです。ただそのふえ方が増税によってふえるのか、あるいは自然増収によってふえるのか。これはいま累進税率をとっておりますから特にそうですが、所得がふえますれば自然に税収はふえていく、そういう形もあり得ると思います。
#219
○堀委員 そこで大臣、そういういまお話しの二、三%ふえるということが、自然増収のままでふえるというのならこれはあまり問題のないことだと私は思うのです。それは減税をしないということになるのではないか。減税をすればそこまで負担率が上がらないけれども、減税をしないでいきますから負担率が上がる、こういうことになると思いますから、問題は二つあると思うのです。今後は、この間から御答弁を聞いておりますが、しかし小規模でも減税はしたいんだというお話があるのです。ですから、減税をするということといまの考えとはやや相反することになる、そういう問題が一つと、そうじゃなくて、この間から少し議論になっております、適当な時期に付加価値税を設けたいということになると、これは要するに直間比率を変えるという意味、要するに付加価値税ができた分だけ増収になるならばそれだけ所得税は減らしていくという意味の、要するに財政的に見るとニュートラルに取り扱うことになるのか、もしかりに付加価値税が導入されたとすればそれがいまの二、三%増税になる分に役立つように考えておられるのか、そこらの点は一体どうなるのでしょうか。
#220
○福田国務大臣 まず私が減税したいというのは、直接税、特に所得税の減税をしたい、こういうことを言っておるのです。所得税の減税を、しかもこれは少し長い目の問題になりますが、思い切ってやってみたらどうだろう、こういうふうに考えておるのです。そうするとかなりの財源が必要になってくる。その財源を何に求めるかというと直間比率の是正、ここに求める、こういう考え方の骨格になるわけなんです。付加価値税という問題がある。それはまだなかなか慎重でございますが、かりにそういう税制が取り入れられるということになれば思い切った所得税減税ができるのではないか、こういうふうに思います。ただ、今度は付加価値税という新税を考えないで、減税をしないで自然増収ということを放置しておきますと、これはかなりの負担率の上昇ということになるだろう、こういうふうに見ておるのです。でありますから、どっちが、自然増収を放置しないで減税をしないというのが二、三%に響くのか、新税の設定が響くのか、その場合にはもとより減税というもの、が一方において行なわれるでしょうが、どういう仕組みになるかわかりませんが、とにかく総体として国民所得に対する負担割合というものはどうしても二、三%近い将来においてふえそうな傾向にある。それでなければ適正な減税というようなこともできないし、それからまた同時に、必要とされるところの社会の資本の充実、社会保障の整備、そういうものも円滑にいかないというように考えております。
#221
○細見政府委員 計数が出ましたので、概要を申し上げます。
 七五年になりますと約九十四兆、現在一九・三の負担率で大体税収が十八兆、おっしゃっておる二%というのが一兆八千億ばかり、こういう数字になります。これは実質所得で計算しております。
#222
○堀委員 いまの話でありますと、もう租税負担率を上げなくても、実は十八兆にもなれば全体から見ましてかなりな財源になるわけでありまして、そんなにふやすことに意味があるかどうか、ちょっとわからなくなると私は思うのでありますが、それはさておきまして、大体の見当がつきました。
 実は私は、いまお話の中で二つ問題点があると思います。非常に大臣は直間の関係に比重を置いておられるわけでありますけれども、私は、今後の国民の所得の動きはどうなっていくか、こう考えてみますと、次第に高額所得者というものがふえてくる。しかし、低額の所得者ももちろん所得がふえますけれども、やはりかなりの低額所得者というものは依然として残ってきて、日本の所得階層の姿というのはかなり下に幅が広くなってくる、こういう姿が実はやはり将来に予測されると思うのです。これがだんだん縮まってくるということでありますならば、実はこれは直間の比率の問題というのがおっしゃるような考え方で導入されていいのでありますが、所得階層がこう開いてくるということになりますと、租税公平の原則からするならば、私はやはり直接税に比重がかかっておるほうが税制の公平という面では正しいのではないか。これが間接税になりますと、どうしてもやはり――もちろんそれは消費の様態は違いますけれども、しかし消費の様態というのは、この前も予算委員会で申し上げましたように、所得が倍になり、十倍になり、百倍になったからといって消費がそのようにふえるわけではございません。やはり人間の消費というのは、私はよくこういう議論をするのでありますけれども、食べられる量というのは一定の限度があるわけです。ぜいたくなものを食べるという考え方はもちろんありましょうけれども、そのぜいたくなものが普通の食物の百倍の価格、千倍の価格のものが日常に食べられるわけではないと思います。今度はたとえば衣服の問題一つをとりましても、一ぺんに私どもは十枚の着物を着るわけにはいきません。常に着るのは一枚しか着られないわけであります。そうしますと、その必要の限度いうのは――格別ぜいたくする方があります。閣僚の中にも毎日服をかえるような方もあるわけですから、まあこういう人は私は例外だと思いますけれども、一般的には大体一つの服装を一週間か十日、私などはもうずぼらなものですから一か月も二か月も同じ服を着ておりますけれども、そういうようなのが私は本来の姿だろうと思いますから、消費の面から見ますと、私は、所得階層の広がりに比べて消費の上下の幅というのはごく小さいものだ、こう考えるわけです。卑近な例でよくたとえばたばこの量にしても、松下幸之助さんが吸うか吸わないかは別として、あの所得でそれでは所得の少ない人の何十倍、何百倍も吸うか、そんなことにならないわけであります。ですから私はそこに、非常に間接税に重点を置くということは、いまの所得階層が広がるという前提ならば不公平を拡大することになる、こう考えますけれども、大蔵大臣、その点はどういうふうに租税の公平の点で考えていられるのでしょうか。
#223
○福田国務大臣 私は少しそれは見方が違うのですがね。私は、まず前提として、直接税中心主義を間接税中心主義に持っていくということを言っているのじゃないのです。いまほうっておきますと一これは堀さんもよくそういうふうに御理解されるのじゃないかと思いますが、いまこの税制をほうっておいたら一体どうなるか。多少の減税をいたしましても直接税中心ということがますます進行する、こういうふうに思うのです。現に最近の傾向を見たって、もう年とともに直接税中心主義が進行するわけです。私は、それはどうも税の体系として好ましくない。やはり直接税、ことに所得税については、もう少し納税人員も減るべし、またその免税率も引き下げられるべし、また最低限も引き上げられるべし、こういうふうに考えるのです。そういうことを考えますが、しかし、所得税中心主義というものはこれは依然としてまず堅持していく、こういう考え方であります。ただそのウエートが租税全体の中で減っていく所得税ではあるけれども、それが中心の柱になっておる。しかも、その中心の柱になっておる所得税の体系の中で所得の再配分ということを考えていく、こういうことを意図しておるわけでありまして、所得税、直接税をうんと減らして、直間比率も逆転をさして、それを実現するために何か特殊な間接税を創設する、そういう考え方じゃないのです。
#224
○堀委員 そうすると、いまの直接比率が大体この程度で推移をすればいいということなのか。一体福田さんの場合は、どのくらいの直間比率になればちょうどいいとお考えになっておるのか、ちょっと伺いたいのです。
#225
○福田国務大臣 まだそこまで考えてはおりませんけれども、もう直接税偏重傾向がとまる。とまるのみならず、いままでの比率にやや食い込むというような事態をもうとにかく最小限実現をすべきだ、こういう考えでおります。
#226
○堀委員 ちょっと局長にお答えいただきたいのですが、五年前の直間比率とそれから最近の直間比率はどうなっておるか、ちょっと……。
#227
○細見政府委員 正確なお答えになるかどうかわかりませんが、四十年が直接税が五九・二、間接税が四〇・八であったのですが、四十六年かりに改正をいたすといたしますと、六六・六と三三・四、そういう形になるわけでございます。
#228
○堀委員 大臣、いまお聞きのような数ですね。そうすると、いまの話からいくと、六六対三四といいますか、そこらから少し食い込むということになると、やはり四十年のところへ戻って六〇対四〇といいますか、そこらまでを期待する、こういうことになるでしょうか、感触としては。
#229
○福田国務大臣 まあその辺は固定した数字を置かぬでいいと思うのです。妥当な振りかえ財源、こういうものがどのくらいのものであるか、またどのくらいの課税がそれによって期待できるか、むしろそっちのほうからくる問題であって、六、四が目標である、そういう固定的な考え方でなくていいんじゃあるまいか、そういう感じです。
#230
○堀委員 間接税を考えますときには、大臣、やはりまず財源といいますか、必要財源からきめてかからないと、私はちょっと間接税という体系は少し無理になるのじゃないかと思うのですね。それは試行錯誤でこうやってくればいいわけですけれども、やはりどこかにめどを置かないと、ある一つの制度そのものが多少変更される場合には、その点少しむずかしいのじゃないかという気がするのです。
 これはここまでにいたしまして、もう一つ、参議院の議論の中で大蔵大臣がおっしゃっておる中に、しかし付加価値税というのは物価が安定してこないとやれない、こういうふうな御答弁があったようでありますが、これは私もそういうことだろうと思うのですが、事実はそうでございましょうか。
#231
○福田国務大臣 そのとおりです。
#232
○堀委員 そこで、この問当委員会で総理は、物価の安定というのは三・五%というのが、ここが下限だろう。要するに、三・五%くらいになれば、まあこのくらいはやむを得ないのだ、こういうことを初めておっしゃったわけでありますが、そうすると、いまの物価が安定をして付加価値税がやれるというのは大体三・五%程度のところにならないと無理だ、こういうことになりますかしら。
#233
○福田国務大臣 それは私は、そういう物価上昇率というある一年度の上昇率、そういうものをとらうべきじゃない、こういうふうに考えます。問題は傾向だ。四%でも、かりにずっと先はさらに下がる傾向を持ってきた、こういうことですね。その辺が問題なんであって、ある時点が三・五いったから、さあ何をしてもいいというのではなくて、その三・五が内在する勢い、これを評価してやるべきじゃないか、そんなふうにいま考えます。経済社会発展計画では昭和五十年には三%台を実現したい、こういうことをいっておりますが、まあその辺になればけっこうなんですが、しかし三%台、それが勢いとしてどういうものを内蔵しておるか、こういう辺をよほどつかまぬといかぬだろう、こういうふうに考えております。
#234
○堀委員 そうすると、いまの御答弁からすると、三%台とか四%台とかということよりも、傾向値として先が下がるのだという傾向値になればいいのだ、こういうお話に受け取れるのですが、私はどうも世界的な諸情勢――この問だいぶ総理も、この物価問題は国内だけの問題ではない、世界情勢に関係があるとおっしゃっておりますが、これは私も確かにあると思うのです。あると思うのですけれども、世界的にどうもインフレがビルトインされつつある傾向が非常に顕著になっておる今日、私は、いまおっしゃるように単年度的には確かに昨年度が七・七で、今度が六・七になるかわかりませんが、六・七になる。そうするとやや下降傾向だ、こうなると思うのですけれども、下降傾向といえどもやはり五%以上にこえておるような状態での下降傾向なんというのは、これは問題にならぬのでありまして、やはりそういうあの程度絶対値と傾向というものがかみ合ってきませんと、これはなかなか、いまのような付加価値税が行なえる条件とは見にくいと私は思うのです。ですから、その点はやはり少なくとも四%から三%台ということになって、それは三・五%にならなければいかぬという問題ではありませんけれども、そうしてその先が下がるというなら話はわかりますけれども、下がり方がきわめてゆるくてもわかるのですが、いまの高いところからちょっと下がってくるということだけではちょっと適切でない。それをやればまたすぐはね上がる、こうなると思いますので、その点のかね合いから見ると、やはり四%以下というくらいのことでなければいかぬのじゃないかと思いますが、その点はいかがですか。
#235
○福田国務大臣 まあ勘としてはそんなところでしょうね。
#236
○堀委員 そこら辺ひとつ少しはっきりしておきませんと、物価が五%から四・八になった。これはもうそろそろチャンスだなんということになりますと、これはたいへん問題が起きますので、まあ勘としてでもけっこうなんです。大蔵大臣として大体の目安を四%から以下に下がるという方向でものを考えるということになれば、これはいまの全体の傾向からしてそこらが一つのめどになろうと思うのですから、それはけっこうです。
 そこで、その問題は一応ここまでにいたしまして、私はもうこの前から大臣とも少し議論をいたしておるわけでありますけれども、これからの社会資本の充実という問題が当代の者の税だけでまかなわれなければならないかどうか。要するに社会資本の効用というのはきわめて長期にわたるものでありますから、たとえばこれは一つ非常に興味のある点だと思いますけれども、現在道路をつくるときにはかなり国が補助をしたりいろいろやっておりますね。ところが地下鉄の穴を掘るとき、今日になると私は、地下鉄で穴を掘るのも、それから上に高架の道路をつくるのも、上と下との相違はありますけれども、この穴を掘っているというのは道じゃないかと思うのです。だから地下鉄の穴掘りというのは道と同じ考え方で発想をとって、国が少し負担をすべきではないのか。その上を走る電車というのは、これは上を走ろうと下を走ろうと同じですから。ですから私はいまの地下鉄問題などというのは、地下鉄の穴を掘るのは道路と観念して、少し国が補助するというような発想に立つほうが都市交通の問題を円滑化することになるのじゃないか、こんな気持ちがあるわけですが、そういう問題を含めて確かに非常に財政資金の必要があると思います。
 その場合に、私はかねてから長期国債論ということを最近ずっと言っているわけですが、もう少し長期の国債によってそういうものを後代の国民にも負担をさせるという必要があっていいのではないか。特に非常に成長が高い時期にはいまの急激な社会開発が必要とされるわけです。その社会開発の伸びは先にいけばだんだんと小さくなる。その一番成長期におる国民だけが一番大きな負担をしなければならぬというのは、所得分配といいますか、そういう面で−いまの所得分配というのは、現在の地点における水平とか垂直の議論ですけれども、やはり私は時系列的に見た分配ですね、こういう問題をどうしても考えなければならぬところにもう来ておるのじゃないか、こう思うんですけれども、大臣その点はいかがでしょうか。
#237
○福田国務大臣 そういう議論もあるのです。つまり大きな一つの事業をやる。それは末代までの効用があるのだ、だからこれは末代までの人がみんなしてこの費用を負担したらいいじゃないか、こういう議論がある。ところが、それは地方団体には非常によく当てはまると思うんです。ある村が、ある町が小学校を建てます。小学校を建てるなんていうのは三十年、四十年あるいは五十年に一回のことなんです。そういうものは一回限りのことでありまして、それに匹敵するような大きな社会開発事業がその村や町にあるわけじゃないのですから、これは私は後代までの人がみんなそれをしようという考え方が成り立つと思うんですが、しかし国はそんな簡単なものじゃない。国は全国をにらんでいるわけです。地下鉄の話が出ましたが、地下鉄を東京にどんどんふやさなければならぬ、かと思うと大阪にもふやさなければならぬ、神戸にも問題がある、こういうようなことで、全国的にそういう問題が起こってくるわけです。しかもそれは地下鉄ばかりじゃない。さあ高速道路をつくらなければならぬ。いろいろな問題がある。さあまた、そういう交通ばかりでなくて、公害の問題、あるいは上水道だ、下水道だ、そういうものも整備しなければならぬ。これは無限にそういうあれがあるのです。そういう際でありますから、かりに三十年後の子孫のことを考えてみると、三十年後においてもまだわれわれが完成し得ないものがたくさんまた新しく出てくるであろうと思うのです。だから、いまそういう市町村というか町村の例をあげましたが、そういう場合と国の場合、これはもう考え方が同じであるべきじゃないと思います。それが一つ。
 それから、やはりこれは国会で予算委員会なんかを通じましてずいぶんいろいろ御意見がある。きのうあたりも佐々木日銀総裁が参議院予算委員会に、これは参考人として出頭いたしまして聞かれることは、日本銀行は今日の物価上昇をつくり上げた元凶ではないか、なぜ国債をあんなに引き受けるのだ、こういうようなことです。そういう方面の何というか通貨対策、物価対策との関連の問題もあります。ですから、私はいま七年ものなんていう国債、これは期限とすると少し短過ぎる、こういうふうに思いますが、まあいかなる時期においても長期国債によって仕事をすべし、こういう議論は私は非常に安易な議論である、こういうふうに思うのです。ただ、景気が非常に鎮静している、財政によって需要喚起機能というもの、これを発揮させなければならぬ、そういう際に、さあ税による財源がないからそんなことはできません、これはいかぬと思うのです。私はそういう際には、思い切って長期国債、国債でいいと思います。思いますが、常日ごろの、何というか、財政に立ち向かう態度といたしまして、国債の累積がきてもかまわぬというのは少し安易な考えに過ぎるのじゃないか、そういうふうに思います。
#238
○堀委員 実はいまのお話の点は、私、ちょっと必ずしも設例が適切でないような気がするのです。それは、いまおっしゃるいなかの村の学校の話のようですが、都市はなかなかそうはいかないのです。いま幾らでも学校を次々に必要としているわけでしてね。ですから、地方とか国とかいう問題じゃなくて、そこは何が問題になっているかといいますと、成長しておるところと成長していないところの問題だろうと思うのですね。国全体としては成長している、しかしその中には、いまの地方全体の問題を考えますと、国の水準よりもはるかに成長している地域と、逆に全然成長しないところがあって、成長しないところの一つの設例の中で、一ぺん学校を建てたらという話では、ちょっと私はその話では必ずしも論理的な設例のような気がしないのですよ。私がいま申し上げておることは、要するに、たとえば鉄の使用量の問題を取り上げましても、大体国民一人当たり五百キログラムですか、くらいになると、年間消費量がそこへくると、大体少しカーブになる、こういわれているわけですね。何によるかといえば、結局すでにいろいろな都市がかなり完備してきて、再投資というものが当然あるにしても、それはだんだん減ってこなければならぬ。
 私は、道路の問題一つを取り上げましても、いまのようなかっこうの政策がそのままに放置されておればどういうことになるかといいますと、幾ら道路をつくっても私は実は追っつかないと思うのですよ。だからそこらには政策の転換が当然必要になってくる。この前もある大学の先生から聞いたのですけれども、ニューヨークの都市学の皆さんがいろいろ検討して、ニューヨークで一体どれだけの道路面積ができればニューヨークの自動車事情というものが問題がなくなるかといったら、ニューヨークの八〇%くらいを道路にしたら問題はなくなるというのですが、それじゃ道路ばかりになってニューヨークはなくなってしまう。そういうようなことが今後、いまの発想のままでは残ってくるのじゃないか。やはり全体としての効率化の問題というのを財政の上でも考えなければなりませんから、いま大臣がおっしゃるように、そう無限に私は社会資本の投資が続くとも思っていないのです。やはり下水道なら下水道がある程度完備すれば、その先はやはり非常にスローになる。
 ですから、地方自治体の問題を例に引いてたいへん恐縮ですけれども、たとえばいま私が住んでおります尼崎という町では、いま人口がどんどんふえるために非常に投資財源を必要とするわけですね。しかしその人口というのは、ある一定の面積に一ぱいになる時期というのは必ずあるわけですね。ちょうど私どもの周辺では芦屋市というのがすでに一ぱいになっているわけですね。人口はふえない。しかしいま少しずつふえているのはどうしてかというと、高層化によってふえているのです。使用できる面積は全部人間が住んでおるとなると、そこにおける、市における社会投資というのは大体それで満度になってくる。こうなってくるわけですから、そういう意味では、現在日本の成長問題というようなものも、ある段階までになってくれば、いろいろな社会資本というものが、その範囲に見合ったかっこうで安定してくる時期は必ず来る。いま大臣がおっしゃるように無限にそういうものがふえてくるとは私は思わないのです。
 そうすると、いまの成長が非常に高い時期、この非常に成長が高い時期に−私は七〇年代一〇%、大臣もおっしゃっていますけれども、七〇年代一〇%ではとてもいけないと思う。先はだんだんスローになるだろうと思います。だんだんスローになるにつれて、要するにいまのその他の問題もスローにならざるを得ないという時期が来るわけですから、そのときに、いまうんと成長している、要するにその成長している時期の者だけが負担するということじゃなくて、前後の関係の問題として考えるということが、いまおっしゃった国と地方とは違うという点の設例では、必ずしも私は論理的でないという感じがいたします。第一点。
 第二点は、渡辺さんが参議院でおっしゃったことも、日銀引き受け国債になっているところに問題があるわけでございまして、これはもう私も全く同感なんです。日本銀行が一年たったら国債を引き受けるという発想は、これは一年前も、昨年の予算委員会で佐藤経企庁長官の発言を引いて議論したわけですけれども、佐藤さんがここにいらっしゃる坊先生がやっていらっしゃる財経詳報に、経済企画庁長官になってさっそく記者対談をしておられるわけで、日銀引き受け国債だと、はっきり経企画庁長官は言っておられるのです。これはよくないわけです。そこで佐藤さんも言っておられるように、やはり金利が適正な基準になるべきだと言われる点は私も同感なんで、金利がもし国民の納得して買える金利になっておれば国民が買うのであって、長期国債というものは本来やはり国民が買うべきではないか、買えるような金利にすべきだ、こう私は考えておるわけです。そうすれば、いまおっしゃるような通貨対策上の問題というようなものはなくなるわけで、国民の貯蓄で国債が買われる、こうなってくると思いますね。国民の貯蓄で国債を国民が多数に持ってきたときに、その次の状態がどういうことになるかというと、今度は国民が、しかしそうだからといって長期国債をじっと持っておられないと思います。必要があれば売りたいと思います。そこで売り買いの行なわれることが、新しい一つの国債の市場というものが日本にできる道になってくるのじゃないだろうか。そのことは、いま電電債、御承知のように非常に広い範囲に持っておりますから、日本の債券の中でほんとうにオープンマーケットを持っておるのは電電債だけです。そうすれば国債が国民に適正に買われるわけで――めちゃくちゃに発行しろということを言っておるわけではありません。適正な限度が必要でありますが、少しそういうものをも併用しながら問題の処理をしていくことが、私は今後の財政需要を考える場合に、これは今日の世代の国民の理解、納得を得ることになるのじゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけです。
 ですからそのことは、いま申し上げたような金融サイドの問題として、マーケットオペレーションの中から日本銀行がそれを買ったり売ったりするというなら、これは私は非常にフェアな問題だと思うのですが、いまのような相対のかっこうで都市銀行から国債を引き取っておるというかっこうというのは、これは私は金融政策上必ずしもフェアな道とは思っていないわけであります。ですからそういう意味では、後段でおっしゃった国債の引き受けの形が物価、通貨問題にかかわるという問題は国債の金利のきめ方によってきまるのであって、それは単純に現在のようなシンジケートに押しつけるような国債の発行のあり方、そういう発想に立つ限り、これは大臣、問題があると思うのですね。やはり国民が喜んで買う国債を発行ずるという前提に立つならば、私はいまの物価、通貨対策の問題は解消できるのだ、こうなると思うのですが、二点とも私、大臣とたいへん考えが違うのですが、私の考えと大臣の考えの中に、どこに問題があるのか、ちょっともう一ぺんお答えをいただきたいと思います。
#239
○福田国務大臣 まず第一点、後世の国民にも負担せしむべしという議論、これは私はさっき町村の例を引きましたが、ああいう際にはそういう議論が立つと思うのです。しかし、国はもう無限な社会資本の充実という問題に当面をいたしておるわけです。もう三十年後の世代が何も社会資本の充実をしないでいい、そういう世の中であるかというと、決してそうは考えません。そのときはまたそのときで、新しい需要というものが山積している、こういうふうに思うのです。だから私はその議論はとらない。
 にもかかわらず、私は公債の発行をちっともぎくしゃくはしておらぬ。おらぬのはそういう議論からじゃないのです。経済の成長は波を打ち、その底の時期におきまして財政需要というもの、これが必要になってくる。その際に租税にその財源を求めるか、こういうと、私はこれはなかなか困難だ、政策に逆行しますから。そういう際には公債を出して、そうして需要を喚起する、こういうふうに思うのです。堀さんのような考え方でやりますと、金利は幾らでも上げましょう、これがどういう影響があるか、日本全体の金利が上がっちゃう。それで非常に負担の重い国になっちゃうのです。そんなことは簡単にはできない。できませんが、しかし有事の際には、財政がどうしても出動しなければならぬという際において、他に財源をどこに求めるかという際において公債によらざるを得ないという場合、これは私は何の心配もなしに公債発行に踏み切ってもいい、こういうふうに考えるわけなんです。ですから、堀さんの御所見を伺っておりますとちょっと安易な考え方――いま恩給の経費がずいぶんかさんできた、これが硬直化の原因をなしておる、こういいますが、国債を安易な気持ちで発行する、しかも堀理論によると相当の高金利をもってこれに報いる、こういうようなお考えですが、そういう考え方を進めていったら財政というものはたいへんな硬直状態になっちゃって動きがつかないようなことにならないか、その点を心配しているのです。ただ、私は恐怖症じゃありませんからその点はひとつ……。
#240
○堀委員 そうすると大臣の国債論というのは、要するに景気調整手段としての国債、こういうことですね。ですから、もし景気調整手段としての国債ということなら長期にする必要ないですね。七年でもいいですね、そうなると今度は、議論としては。要するに短期的な処理ですから、景気調整手段というのはきわめて短期的な処理ですから、どっちかというとその短期的な処理が終われば、大臣の発想からいえば早く償還したほうがいいということになると思うのですよ。ところがその点は、大臣もやはり七年は短過ぎるから十年、こうおっしゃっているわけですね。ですから私は、やはり国債というものの効用は、単に景気調整政策の手段として国債があるとは実は考えていないのですよ。国債がここへ導入されてきたときの議論は、そもそも公共投資に充てたいということが御承知のような問題提起になっているわけですね。これは福田さんのときに踏み切っておやりになったのですから、ですからそのときは公共投資に充てるということが主であって、要するに最初に起きたのは、これは確かに景気調整ではなくて歳入欠陥に対する処置ですから、これはいまの次元とは別ですね。いまのは赤字公債ですから、これはもうやらないということになっているわけですから。そうするとそのあとのものは、公共投資に充てる分を国債でやりたいという発想は、私がいま言っている発想と土台は同じじゃないかと思っているのですよ、公共投資に充てるということなんですから。ただその公共投資に充てるという充て方を、大臣は短期的な景気調整の手段だ、こういうふうに割り切っていらっしゃるけれども、私は何もそれは割り切る必要はない。私も何も安易に長期国債をどんどん出せ、こういうことを言っているわけじゃないのですが、少なくとも国民の所得の負担能力に応じてある程度の長期国債を出して、それを後代に均てんすることは、公共投資に国債を使うという発想なら少しもおかしくない、こう考えておるわけなんです。どうもそこら、大蔵大臣が国債を発行してこられたときの経緯と今日の発想がたいへん変わっておるような気がいたすのですが、変わったのでしょうか、やはり同じなんでしょうか。そこはどうなんでしょう。
#241
○福田国務大臣 その辺は私が一番よく知っているのです、私が公債政策導入ということにふん切りをつけたのですから。つけたゆえんのもは何だといえば、あの四十年、四十一年にわたっての大不況だ。このときには財政が景気浮揚の役割りを演じなければならぬ。しかし、減税はできると言っても増税ができますか、そういう状態の景気情勢です。ですから国債を発行しましょう。しかしこれが乱に流れてはいかぬぞ。そこで歯どめというわけで、あなた方からもずいぶんうるさく言われた。歯どめは何だというから、それは建設投資に見合うものであって、決して不健全なものじゃありません。また日本銀行にこれを抱かせるものじゃありません、一般にこれを消化する、こういうたてまえであります。こういう二つの歯どめを踏んまえてその景気調整公債というものを出したわけなんです。結果においては、そういう歯どめ論として国債は建設投資に見合う額以内だということになったわけでありますが、考え方の基本は何も、これは後代の負担に課せしむべきものだからここで公債を出してやっていくんだという考え方じゃなかったわけです。
#242
○堀委員 そこで、それではちょっと私伺っておきたいことがあるのですが、七年の国債でありますから四十七年にはいよいよ償還がくるわけですね。最初の償還が四十七年にきます。しかしことしは四千三百億円出しているわけです。まあ結果としてこれが幾らになるのかは年度が終わらなければ、また財政収入によって減額する場合もありましょうからわかりませんが、その次の四十七には、たとえ四千三百億が減らせるとしても、この前のところでダブルになるわけです。大体八千億くらいになるんですかね。その程度のものを四十七年には国債として発行していかなければならない。この次から毎年それがずっとしばらくダブルになる。結局大臣、いまの形は短期国債ですけれども、これをずっところがしていくわけですから、いま大臣が言われるように、いまのそういう過去に一ぺんやった、スタートでやった景気調整政策は、今日、本来景気調整政策の必要がないにもかかわらず国債を出しているわけです。そういうことでございましょう。ちょっと理財局がいないとまずいんだけれども、そうしたら一体これ、どこへいったらこの国債の根が切れるかといようと、私はやはりまだ二十年やそこら今後かかるんじゃないだろうか、こういう感じがするわけです。結果としては長期国債になる。しかも、その中でたてまえとおっしゃった、一般に国民が消化をして日本銀行に抱かせないというたてまえは完全にくずれた。確かに最近少しは一般消化もふえていますけれども、主として金融機関に抱かせて、日本銀行に抱かせる、こういうことに結果としてはなっておる。こうなっておるんですよ。おっしゃっておる気持ちは別としても、実態は必ずしも私はそういう方向にいくかどうかについては非常に疑問があるわけです。
 時間がありませんから、国債論はまた日を改めてひとつ主計局、理財局を入れて議論をいたしますけれども、そういう観点に立てば、財源として税だけを重視しなくて、もう少しいろいろなそういう政策を併用することも国民のニードとしては必要があるんじゃないか、こういうふうに私は思います。だいぶん大臣と見解の相違がありますが、私は、大臣がおっしゃっておることと実態の推移の中には、多分にどうもそうなってない部分があるというふうな感じがいたします。
 時間がありませんから次へ参りまして、参議院の予算委員会で大臣は、今度所得税については二分二乗方式を税制調査会にはかりたい、こういうようにおっしゃったように報道が伝えておりますが、それは事実でございましょうか。
#243
○福田国務大臣 一部報道が伝えておるようにニュアンスじゃないんです。私は、二分二乗方式を非常に熱心に唱道される人がありましたので、また税制調査会にもおはかり願いたい、こういう要請もありましたので、税制調査会にはこれを付議します。しかしこれが実行はなかなか容易なものじゃありませんよ、こういうことを付言してお答えをいたしておるわけです。ですからこれを活字にし新聞に出しますと、前のほうをとりますとばかに積極的なように響くし、またあとのほうを見ますと消極的のようにも見えます。ですから、新聞を見ましたけれども、両様の取り上げ方をしております。
#244
○堀委員 そこで、これは幾つかここに問題点があるわけでありますが、この間東畑調査会長は、二分二乗方式というのを導入すると高額所得者が非常にフェーバーを受けるんじゃないかということで、ちょっとこれは問題がありますという御意見がありました。しかし主税局長、私は東畑先生もまだあまり御研究になってないからだと思うのですが、アメリカの二分二乗でも、独身者に対する税率とその他二分二乗適用税率には、税率に差があるわけですから、私はその問題は税率の建て方いかんによるのではないのか。二分二乗にするときにいまの税率をそのまま持っていく必要はないわけですから、二分二乗にすれば税率のカーブのかき方によって、高額所得者に――もちろん高額所得者というのは二分二乗でフェーバーを受けるわけですが、その受け方が上のほうに片寄って下に少ないということでなしに税率をかくことは、技術的に不可能ではないし、独身者と、配偶者のある場合、配偶者が働いておる場合の、要するに個々における稼得者層の場合、これらはいずれも税率カーブを補正をすることによって、われわれの期待するような、所得階層の低いところへの減税効果を期待するということは必ずしも不可能でないと思いますが、事務的な問題としてどうでしょうか。
#245
○細見政府委員 税率問題でございますから、現状の負担をどういうふうに持っていくか。その場合、結婚した夫婦者と独身者との問にどういうふうに持っていくかということは、技術的に研究すれば実現不可能なことではなくて、現にアメリカとかあるいはその他の国におきましても、たとえば独身者の税率は夫婦合算で課税した場合の税率の二割負担増にとどめるというような方法があるわけであります。ただしかしその場合に、日本におきまする非常にめんどうな問題としまして、そういうような税率で、共がせぎのような場合の人につきましても、奥さんに別途の所得があるというような場合に、源泉徴収で大部分の納税者がカバーされておる日本の状態でございますので、アメリカなどのように源泉徴収を受けている人も申告書を出すのがたてまえだというところまでいっておりますとその調整というのは比較的楽なんですが、日本の場合はむしろ大部分の方は迷惑だ。国としては御迷惑をかけておるわけですが、源泉徴収で終わっておる納税関係、その辺の調整が外国にないめんどうな問題の一つと、それから昨日も大臣のお伴で行っておったとき、参議院でいろいろ議論が出たんでありますが、夫婦ともに健在な家庭はむしろ望ましい家庭であって、幸福な家庭であって、扶養家族をかかえて、子供さんをかかえて奥さんをなくした家庭、あるいはまた未亡人でだんなさんをなくした家庭、しかも子供がある場合、ない場合、それぞれ負担というのはむしろ税率の上で優遇してほしい階層が、こういう形をやりますと独身者になって、その辺をどういうふうに考えるか。アメリカなどのように世帯主控除とかあるいは世帯控除という概念を取り入れてくるのか。その辺はかなりまだ日本独特の問題が、解決しなければならぬ独特の問題があるのじゃないか、かように思います。
#246
○堀委員 確かに問題あると思うのですよ。実は私はいまのそういう問題はどちらかというと技術論だろうと思うのです。ですから技術的な問題はやり方によって解決ができる。そうなりますと、さっき大蔵大臣が、直接税、特に所得税をひとつ減税していきたい、こうおっしゃっておるわけですね。所得税を減税していくとすれば、残っておるのは基礎控除を上げるとか、配偶者控除をふやすとか、扶養者控除をふやすとかいう、控除を引き上げるということがまず第一にありますね。その次には税率の緩和という問題がこうあると思うのです。私ども二分二乗方式の問題というのはずいぶん長き歴史を含めてここで議論をしてききおるんですけれども、だんだんといろいろな控除額というものが大きくなってきますと、はたしてそういう量的な減税だけで問題が解決するか、やはり今後の減税というものは質的な変化というものがある程度導入されることが必要になってくるんじゃないか、こういう感じがいたしておるわけですね。ですからそういう意味では私は、税制調査会にせっかく諮問をしていただく以上、ひとつ大蔵事務当局としてもその諮問にこたえ得る事務的な作業、要するにこういういまのいろいろなネックの問題は確かに、未亡人の場合、あるいは奥さんをなくした独身の男の方の場合、これは奥さんがいる以上に多くの負担がくるのは間違いありませんから、それはまたそれなりに、税率だけの問題ではなくて、何らかの控除を考えれば調整できる問題だと思いますね。そこら辺はおおむね私は技術論の問題じゃないか、こう思うので、技術的な問題を十分詰めて、ひとつ税制調査会が審議のできるように、同じことならやってもらいたい。
 いま大臣がおっしゃる消極的な問題というのは、私は財源のほうだろうと思うのですよ。実はそういう二分二乗にするために起きてくる財源、やれる財源がその他からあるのかないのかという問題で、そう来年からやりますということにはならないかもしれません。やはり減税なんですからね、この制度をとるということは。しかし減税の手段の一つとして、大臣さっき、所得税の減税はしたいんだ、それが直間比率の間接税は少しふやしても直接所得税のほうを減らしたいんだ、こうおっしゃっておるならば、これまでの単なる控除を引き上げるという発想だけではなくて、こういう質的変化もこれは当然取り上げて、ある段階で財源上の処理ができるならばそこへ移行できるような準備を整えておく必要があるのではないか。だから私は、前段の諮問はけっこうですが、後段の消極的とおっしゃる意味は、私がいま言うような財源的に解決のできない間にやることはできないと思いますから、その点はこれは財政としてやむを得ませんから、財源的なめどがついたらやれる体制をつくっておく。そういう作業をしておくということは、当面税制調査会としての重要な課題となることだし、大蔵省の事務当局としても十分ささえて、事務的ないまちょっと提起した問題を、こういう手段によればこうなりますというように、やはりアメリカだって西ドイツだってフランスだって、二分二乗にしてそれなりの配慮をいろいろな角度でしておるわけですから、そういうものを参考にしてやっておく必要がある、こう思いますけれども、大臣いかがですか。
#247
○福田国務大臣 これはお話しのように減税になるとも限らないんです。要はこれは税率のきめ方なんですから、税率を高いところにすれば何も税収が減るんだという結論にはならないわけでございますから、それは仕組みの問題だと思います。ただ問題がありますのは、どうせこれは累進課税――二分二乗でも累進課税です。そうすると高額の人はどうしてもいままでの割合よりは楽になる、軽減される、こういう結果になる。その辺が一体調整できるかできないかというところだろうと思うのです。とにかく諮問をいたす以上は、主税局長にも材料を整えてもらって納得のいくようにいたしたい、こういうふうに思います。よく検討することにいたします。
#248
○堀委員 実は私はいまおっしゃることの中にちょっと問題があると思いますのは、二分二乗をわれわれが主張しておりますのは減税を前提としているのであって、いま大臣がおっしゃるように、税率を考えたら減税にならぬというんなら何も二分二乗にする必要はないんでして、そこを大臣割り切っておいてもらわぬと困りますよ。二分二乗方式を導入するということは減税なんだと割り切っておいてもらわないと、何もそんなことならば手数をかけて税制をひっくり返すことはないんですから。その点は確認をしておきますが、これはひとつ二分二乗方式は減税の手段だと認識する、もし減税にならないんならする必要はないんだ、こういうふうに確認をさせてもらいたいんですがね。
#249
○福田国務大臣 減税にかえるならば減税になるようにしたいものだなあ、これはもう大蔵大臣として当然そういうことです。しかし財源の問題なんだ、こういうことを言いますから、理論からいえばそうじゃないので、これは税率のきめ方によっては減税にもなりますし増税にもなります。これは御理解願えると思うのです。しかし気持ちは、何もわざわざ制度を変えて、これをみんなにだれ一人残らず増税になります、こういうようなことはいたしたくありません。
#250
○堀委員 どうもそこがちょっとおかしいと思うのですね。私が大蔵省の立場に立って、財源ができなければ無理があるだろう、こう言っていたら、大蔵大臣は財源は関係ないんだ、こうおっしゃるんですからね。それならわれわれたいへんけっこうなんですがね。しかしそこらはもうちょっと筋道を立てて答弁しておいていただきませんと、何の議論をしているのかさっぱりわからなくなります。その点はっきりしていただきたいと思うのですがね。一体それじゃ、もしかりに二分二乗が採用できるというときには、やはりある程度の財源があるというのが前提じゃないのですか。財源がなくてもやれるということでしょうか。
#251
○福田国務大臣 この議論は税の高さ低さから出ておるのではないというふうに思います。どういうのが社会の実態に合った課税のしかたであるか。またここに小林さんおられますが、婦人は婦人の立場で妻の座を尊重せよ、こういうことになる。そういうたてまえ論から出ているのじゃないかというとらえ方を私はしているのです。
#252
○堀委員 参議院の予算委員会の二分二乗はたてまえ論かもしれません。私どもがここで主張してきたのは実はたてまえ論じゃないのです。これは質的な減税の一つの新しい手段だと考えているわけです。たてまえ論ということになりますと、これはなかなかむずかしい問題がいろいろあるわけです。特にアメリカにおける二分二乗と、フランス、西ドイツにおける二分二乗は、財産制の問題では必ずしも共通してないのですよ。アメリカは共有財産という発想から二分二乗ができておる、こういっていますが、よそは必ずしも共有財産になっているわけでも何でもないわけであります。ですから、私どもはその問題を離れてかねて主張をしてきておるわけです。あわせて、そのことが結果として妻の座を高めることになるということであって、妻の座を高めることが目的で、そういうたてまえのために二分二乗にしたけれども減税にならないという議論なら、それは私は論理がさか立ちしておると思うのですね。私は、妻の座の問題というのは萩原さんが当選なさる前から長年にわたってやっているわけですし、その点については私のほうがかなり専門的に税をやってきているわけですが、そこは大臣、参議院の議論はそれでいいですけれども、衆議院の議論では、二分二乗というのは単に妻の座を高めるということがたてまえになっていないということはひとつ認識をしておいていただきたいと思うのです。これは減税の質的な変更としての一つの新しい手段だ、こう考えておりますので、衆議院においてはひとつそういうふうに確認をしておいていただきたいと思います。ちょっと答えてください。
#253
○福田国務大臣 これが唱えられる理由はいろいろあるようですが、堀さんの御所見は減税論から出発している、しかも質的に減税しなければならない、こういうところから出発しているというふうに理解してお答えを申し上げます。
#254
○堀委員 それではけっこうです。いまの二分二乗はそういうことで税制調査会で議論をしていただくことになると思うのですが、それでは、大臣にちょっと伺いたいのは、さっきお話しの所得税をずっと減税したいんだということの手段は、これからは基礎控除をただ引き上げるだけだということになるわけでしょうか。
#255
○福田国務大臣 所得税につきましては基礎控除の引き上げという問題もあります。また税率の調整という問題もある。それからいまお話しのような質的な改革ということを考える必要があるかどうか、こういう問題もある。財源がたくさんあればいろいろなことが考えられるのじゃないかというふうに思います。
#256
○堀委員 質的問題の中で特に私がもう一つだけ触れておきたいのは、塩崎さんが主税局長時代、私はかねてだいぶ議論をしたことがあるのですが、要するにいろいろな控除をいたしますと上積み、レーズの高いものほど実はたくさん減税が起こるという実態があるわけです。おわかりになりますね。いまの控除システムというものは、下でともかく十万円控除をすれば、一〇%の税率のところはその十万円の控除によってはね返るのは一〇%しかない。また税率が六〇%のところは六〇%はね返るわけですね。なるほどその人の所得から見ればたいしたことはありませんけれども、基礎控除方式でいくと減税効果は常に上の人が有利に受け取るということにいまなっているわけですね。
 そこで、これはどこかで少し補正していく必要があるのじゃないかということで消去税率問題というのを議論をしたことがあるのです。これは消去法税率といいまして、たとえば、かりに五百万円までは現行税率でいく。そこからはあまりきかないようにするということです、いまの下で十万円減税したものはですね。上のほうは十万円の基礎控除なんというのはあまり意味がない。何千万円、何億の所得のある人にとってはあまり意味がない。下の低所得のところに意味があるのですけれども、しかし財政効果としては上のほうに個々には作用する。ただそれが、財源全体で見ると高額所得者の数が少ないですから、ピラミッド型になっていますから、実際には効果は下のほうに及んで上には効果は少ないけれども、私どもから見れば、基礎控除方式というものにはややむだ使いがあるような感じがする。ですからそこらの問題は、さっきの二分二乗においても基礎控除においても、いまの減税のシステムはおおむね高額所得者に非常に有利になって、低額所得者には税率が低いだけ比率が低い、こういうことになっていろわけです。こういう問題もあわせて少し検討してもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか、大臣。
#257
○細見政府委員 この問題は確かにそういう御議論もありまして、税制調査会でも議論をされておるのでありますが、私ども不敏にして、その後勉強してみまして、いたずらに制度を複雑にするだけであって、世界の国どこにもやっておりませんし、これは少しむずかしいんじゃないかというような感触にいまなっております。
#258
○堀委員 いまはそうでしょうけれどもね。というのは、二分二乗にしても結局いまの問題が起こるわけですね。だから二分二乗を今後議論するとすれば、どうしても消去税率という形を税率構造の中にある程度入れていかなければ、この問題は、二分二乗でも高額所得者を有利にするだけになってしまう。だからどうしてもこれは今後の税制の問題として、基礎控除システムで上げようと二分二乗にしようと、どこかでそういう税率のカーブによって高額所得者に――その程度になれば減税の必要のないところですから、五億も十億もある人が百万円や五十万円減税になったからどうということにならないわけですからね。そういう意味では私は検討課題として行なうべきだ。それをやらないといまの二分二乗も前へ出られない、こう考えておるので、それは基礎控除方式をとろうと二分二乗にいうこと、今後の検討課題として進めてもらいたいと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
#259
○福田国務大臣 理論的にはそういう問題があるんです。手続上の問題、これも残っておりますが、検討課題といたします。
#260
○堀委員 次は交際費課税の問題であります。実は交際費課税も予算委員会で少し議論をいたしました。私はあそこで、一応現在の四百万円、千分の二・五というのを昭和三十七年当時の三百万円と千分の一におろしたらどうか、こういう議論をしたわけですね。主税局、いま三十七年の税制のとおりでいったとしたら一体これはどのくらいになりますか。四十四年の九千百五十四億というのは、もし三百万円と千分の一ということでやったとしましてどのくらいになるでしょうね。ラウンドナンバーでけっこうです。
#261
○細見政府委員 九千百五十五億の中で、基礎控除を四百万円から三百万円に引き下げることにより否認割合がどれほどふえるかは、資本金階級別の支出構成など基礎的なデータを手元に持っておりませんので、正確な推計はできませんが、かなり金額がふえてくるだろうと思います。
#262
○堀委員 それじゃ少し計数的にお答えをいただきたいのですけれども、中小法人の交際費でありますが、交際費の支出階級別でいま一体どういうふうになっているのか、これをちょっとお答えいただきたいと思います。
#263
○細見政府委員 百万円未満の交際費の支出が八一%――これは会社の構成比です。会社の数です。百万円以上が九・六、二百万円以上が三・六、三百万円以上が二・〇、四百万円以上が一・二、五百万円以上が一・〇、七百万円以上が〇・六、一千万円以上が〇・七というようなことになっております。
#264
○堀委員 大臣に聞いていただくために、今度は資本金階級区分で、一応中小企業といわれる一億円以下の資本金階級で一社当たりの平均交際費支出額ですね。これはこの前税制調査会長のときに答えていただいたのですが、大臣に頭に置いていただくためにちょっと答えてください。
#265
○細見政府委員 四十四年度で一社当たり七十九万九千円、約八十万というわけでございます。
#266
○堀委員 違うのですよ。資本金階級別に答えてください。
#267
○細見政府委員 資本金階級別に申し上げますと、資本金が百万円未満の階層で二十八万九千円、百万円以上で五十九万八千円、五百万円以上で百三十五万円、一千万円以上で二百九十八万七千円、五千万円以上で七百八十万円、それからそれを平均いたしましたものが先ほど申しました七十九万九千円、約八十万円というわけであります。今度は資本金一億円以上になりますと一千八百二十九万六千円、十億円以上になりますと八千二百九十七万九千円、五十億円以上が一億九千九百九十九万二千円、百億円以上が四億九千九百十万九千円、それをトータルいたしました平均が四千五十六万五千円というようなことになっております。
#268
○堀委員 実はこの前の予算委員会で私が四百万円を三百万円にしたらどうかという御提案をしたときに、大臣から、中小企業に与える影響が大きいからという話がありました。しかし、このデータから見ますと、中小企業といわれておるものの中で五千万円から一億円のところにいきますと、一社当たり平均が七百八十万円になっていますから、ここには影響はかなり出ると思いますけれども、それ以下のところはほとんど平均値以下になっているわけですね。そうしますと、平均値がこうなっているということは、それ以上に使ったものもあるが、しかし少ないものもあるわけですね。ですから、少なくともこのデータから見て、要するに中小企業の中で実際に一社当たり三百万円以上の交際費を使っているところは、比率としてわずかに三・五%にしかすぎないわけですね。それ以下は全部三百万円以下だということになりますと、これは大臣、ほかの新しい抜本的な対策があれば別ですけれども、それもドラスティックにすぐやれというのじゃなくて、たとえば来年は三百五十万円に下げ、その次は三百万円に下げるとか、そういうふうに経過的に三十七年のベースまで戻すことは、私はそんなに中小企業に対して大きな影響を与えないと思います。それから、資本金別のほうも、中小企業の場合は実はあまり影響しないわけですね。千分の二・五なんだといいましても、資本金が小さいから問題になりません。ですから、これも千分の二・五を千分の一に戻すために、ひとつ三年なら三年計画で、二・五を二にし、二を一・五にし、一にしたっていいと思うのです。要するにそういう経過措置を伴いながら、交際費課税を三十七年ベースに戻すことはそんなに困難なことではないと思うのです。これだけが交際費問題ではありませんけれども、今度も提案になっておりますように、いまのどんどんふえてきている方向から見て、否認比率を六〇から七〇にしたところで実は大勢に影響しないと思うのです。そう思いますので、やはり何らかの抜本的な交際費課税についての処理をすることが私は非常に重要な段階に来ているんじゃないか。特に私は、今後国際化に伴いまして、外国の企業というのはごちそうなどをして商談をまとめようなどという発想に実はないわけです。やはりいいものを安く買うということが原則であるとすれば、こういうところに非常にロスをすることは国際競争力の点から見てもいかがであろうか、こういうふうにも考えますので、私は企業の姿勢をただすためにも、国民間な課税上の公平の問題から見ても、交際費課税の問題というのはぜひもう少し詰めた処置をしておくことが必要だと考えるのでございますけれども、大臣、この点いかがでありましょうか。
#269
○福田国務大臣 これは四十六年度税制でもいろいろ議論をしたところなんです。結局、この前予算委員会でお答えしたとおり、中小企業に与える影響ということで見送りにしたのですが、お話のような問題点もあると思います。それは十分検討いたします。
#270
○堀委員 検討していただくのはいいのですけれども、ひとつ来年度税制でかなり思い切って処置をしてもらいたいと思うのです。私はそれはドラスティックに全部やれと言っているのではないのです。方法、手段は何も私の提案の三百万円、千分の一に限りません。自民党でも何かもっと手きびしい案を御検討いただいておるようですが、それならそれでけっこうですから、何らかひとつ交際費課税は来年もう一ぺん踏み込んだ処置をする。ただ七〇を八〇にするというようなことでお茶を濁さないということだけ、大臣、お約束をいただきたいのです。
#271
○福田国務大臣 来年はむずかしいという話ですが、とにかく次の機会にはこれをどういうふうにするかという目標で検討してみます。
#272
○堀委員 ちょっと主税局長に聞きますが、来年できないということはないでしょう。今度七〇で二年間でしょう。どういうことですか、来年交際費課税の変更ができないというのは。
#273
○細見政府委員 二年間の措置として今回お願いしておるのですから、その期間中は無理でございましょう、こういうことであります。
#274
○堀委員 税制の改正というのは、二年間の形で出していたら、租税特別措置などというものは変えられないのですか。要するに、そのときの政策効果によって判断するものであって、そういう意味では私は恒久立法だと思いませんよ。これはやはり一種の時限立法です。時限立法というのは一応二年と限っておるだけで、それがさらに必要があれば時限立法の途中で税制改正をすることは何ら問題はない。それは国民が納得し、国会が納得することなら。別にいま二年のやつをやったから途中でやれないということにはなってないと私は思うのですよ。どうですか。
#275
○細見政府委員 おっしゃるとおりでございますが、一応適用期限が二年という形で法律を世の中に公布いたしましたときに、期限が来て改正になるというのはわりあい受け入れられやすいことでありますが、その期限内に、しかも二年と期限を切ったものを一年で直すということになりますと、よほど大きな理由がなければ――私どもできないと申しているわけではありませんが、非常に困難ではなかろうかということを申し上げております。
#276
○堀委員 大臣、しかし国民の交際費課税を適正化しろという声は非常に強いと思うのです。だから与党でも御検討いただいたと思っているのです。もしそういうことなら、いまの租税特別措置の二年を一年に変えましょうや。その点だけ修正しましょう。そしてフリーハンドにして、もしいい案ができなければそれはもう一年やったっていいけれども、そういう二年にきめたら二年間は手を縛られるのだということは、私は当委員会の論議として納得できませんので……。これは与党どうですか、これはいまの二年を一年にして、また来年はフリーハンドで残しておくというのは、私は与党でも別に反対はないだろうと思うのですが、どうですか。――それじゃこれは理事問でひとつ話し合っていただいて、この点だけは一年にして、来年度はやはりフリーハンドで残すというのは私は国民の期待にこたえるものだというふうに思いますので、あとで理事間でひとつ御検討いただきたいと思います。
 それでその次は、交際費の課税は大臣もそういうことで踏み込む方向でやりたいというお話でありますから、次は、この間から少し私ども議論しておりますように、広告税の問題なんです。これもだいぶ前から私ども長く議論しておりますけれども、最近はなかなか実は広告の費用というものの比率が大きくなっております。ちょっと事務当局のほうで、一体全体として最近どのくらい広告の費用が伸びておるのか、御答弁をいただきたいと思います。
#277
○細見政府委員 四十年には三千四百四十億であったわけでありますが、中間は飛ばして申し上げますと、四十三年には五千三百二十一億になり、四十五年には七千五百六十億になっておる。この問一貫して増加しておるわけであります。
#278
○堀委員 大臣、私は広告の問題は、これもやはり国際競争力との関係で非常に問題があると思うのです。日本の場合は諸外国に比べて少し広告が過当に過ぎるのではないか、こういうふうな感じがしてしかたがありません。もう少し外国の一般的な企業と同じ形にある程度広告も合理化をしていきませんと――それは外国における広告というのはこれは問題は別でありますけれども、国内だけでともかく過当競争をする手段として広告がふんだんに行なわれておるということは、あまり私は意味がないのじゃないかという気がしてしかたがないわけであります。そこで私どもはこの間から提案をしておるわけでありますけれども、これもやはりいまの交際費課税的に、一つのある一定限度を限って、要するに標準的な業態には――いろいろ業態によってずいぶん差がありますから、これは業態別で考えませんと一律にはいかないと思いますが、ある程度業態別の平均値を考えて、それを上回ったものについてはどのくらい否認をする。そういうことである程度この伸び率を少しスローにする。伸びることはやむを得ないと思います、当然経済も伸びておるのですから。しかしいまの形のままでいけば、これがまたやがて一兆円になる。交際費も一兆円、広告費も一兆円ということで、そういうことでは実際にはたいへん価格に転嫁をされてくるわけですね。製品の価格に転嫁をされる。それは裏返せば物価対策にも役に立つことであるし、国際競争力にも役に立ってくることである。こういう二つの側面から、この問題はひとつ税制上の手段によってコントロールをかける。こういうことが私は今日の日本の経済社会の中で非常に重要なファクターである、こう考えるのでありますけれども、大蔵大臣いかがでありましようか。
#279
○福田国務大臣 広告につきましては、私もどうも少し一般的な見方として行き過ぎの状態じゃないか、こういう感じがします。これを矯正する税ということも考えられないことはありません。が、しかし、これが税で完全な対策であるかというと、そうもいかぬと思います。ですから、これは価格政策だ、物価政策だ、こういう面からの取り上げ方、こういうことも考えられるのじゃないか、そういうふうに思いますが、とにかく税がこの問題に影響力がないとか、こういうふうには考えませんから、これは検討してみることにいたします。
#280
○堀委員 ぜひこれはいま私が提起しましたように、感じとしてたくさん広告が出るからという問題よりも、私はやはり広告料が物価に転嫁されてくるという点をより重視する必要があると思いますので、これはひとつ交際費と一体として少し検討を進めていただきたいと思います。
 そこで、これはひとつ主税局にお願いしておきたいのですけれども、交際費課税の場合も平均値が出ておるわけですね。あらゆるこういうもので資料をちょうだいするときには平均値しか出ないのです。われわれはやはり課税のいろいろな問題を考えますときには、分布がある程度把握をされておると非常に私は処理を考える場合に役に立つと思うのですね。ところが平均値というのはかなりの幅がありまして、全体で平均した額ですから、どういうかっこうでその分布があるかによっていろいろなものを考える対策ができると思いますので、これはひとつ国税庁とも相談をしていただいて、急にはいきませんから、今後の法人企業サンプル調査ですね、あれの中に交際費の分布がとれるような集計のしかた、あるいは原票のつくり方、同時に広告の費用が、いまの資本階層別、場合によっては業種別もあるでしょうが、そういう形でどういう分布になっておるか、これをひとつこの次に行なう法人サンプル調査のときに調査項目に入れて、いま大臣も検討したいとこうおっしゃっておるわけでありますから、この検討を進める参考にしてもらいたい、こう思うのですが、そういうひとつ準備を――きょうは国税庁見えておりませんけれども、主税局のほうで、これは税制上の参考資料でありますから、国税庁と連絡をとって、ひとつ処理をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#281
○細見政府委員 交際費のほうは、交際費という科目になっておるので比較的わかりいいと思いますが、広告宣伝費の関係は、いろいろな会社がいろいろな費目を使っておるものをああいうサンプル調査でうまくとれるかどうか、国税庁とよく相談いたしまして、なるべく――なるべくといいますか、前向きに善処いたしますが、かなり技術的にはむずかしい問題があるのじゃないかなという感じだけいたしております。
#282
○堀委員 時間が参りましたので以上で終わりますけれども、最後に、実は本年度の所得税の中で給与所得控除が三万円引き上げられました。昨年私どもは強く五万円の引き上げを主張いたしましたけれども、まあ三万円引き上げられて、不十分でありますけれども、私どもの希望が一部達成されたわけでありますが、私どもはこれまで当委員会で論議がずっとされておりましたように、やはり依然として給与所得者とその他との公平の問題というのは違和感が残っておるというように判断をいたしております。そういう意味では、どうか給与控除についても今後ともひとつ十分検討を進めていただいて、金額の問題はさておきながら、やはり一般的な減税も、確かに所得税減税も必要でありますけれども、特にいま各国に例がないと主税局長みずから申しました源泉徴収なる手段によって税金を先払いさせられておる日本の給与所得者には、やはりそれらの問題を含めて、給与所得控除について今後ともひとつ来年度税制を含めて考慮をしてもらいたいということを強く要望したいのですが、その点いかがでしょうか。
#283
○福田国務大臣 十分お考えはわかりますから、そういう点も頭に置きながら税制の改正に取り組みたい、かように考えます。
#284
○堀委員 終わります。
#285
○毛利委員長 小林君。
#286
○小林(政)委員 時間もあまりございませんので、私は、先般の委員会で調査の上回答すると言われました標準率効率表の例の問題につきましてまず質問をしたいと思いますが、その前に私、実はきょう大臣お見えになるのでしたらぜひお聞きをしたいと思っていることがございましたが、大臣お帰りになってしまいまして、今回のこの税制問題を審議する委員会で、残念ながら共産党、少数党ということで一度も大臣に質問の機会を与えられなかったことはきわめて遺憾だというふうに考えます。前回のときは、税法の問題等につきましても何回かにわたって大臣に質問をいたしたわけでございますけれども、今回はいつもはずされているような、こういう結果になることをきわめて遺憾に思います。今後委員長においてもよろしくお取り計らいを願いたいというふうに考えます。
 それではまず国税庁に、先般の問題等について調査の結果を御報告をしていただきたいと思います。
#287
○江口説明員 先般先生から御質問のございました、渋谷税務署の標準率表を署側で正式に、応援に来てくださった税理士に対して開示したのではないかという御質問、並びに、その結果は守秘義務違反の公務員法百条違反になるのではないか、こういう御質問であったと思いますが、渋谷税務署について私ども調べました結果、先般先生がお手持ちになっておられましたメモのコピーでございますか、ああした種類のものは一切出しておりません。したがって、どういう経路で先生御入手なすったか、私、存じ上げませんが、おそらく税理士先生が、自分の仕事の関係その他でなしくずし的に耳に入れられた点をメモにしておられまして、当日は納税者が大ぜい来署いたしまして、申告の手続あるいは申告書の代筆等を依頼いたします。その場合に収入と経費との関係等で、先生に手持ちの資料等で御相談をなさると思いますが、必ずしも白色申告者等につきましては十分の資料をお持ちでない、あるいは、もちろん白色でございますから十分な帳簿書類も持っておられない方が大ぜいおられるというふうな段階で、倉卒の間に先生が代筆その他の相談に応ずる場合の必要なメモ的なものとしてお持ちになっておったものが、先生のお手元の資料ではないかと思うわけでございます。そこで、そのほか私どもの調べました範囲内では、標準率表そのものを税理士先生にお渡しするということは、私の知っている限りでは一切ございません。ただ部分的には、たとえば賃貸料関係、これは法定資料でほとんどのものが基本所得が把握されるものでございますが、そうしたもの、あるいは源泉徴収の制度に乗っかっております、たとえば外交員といったような方が非常に多くその管内にあるような税務署につきましては、場合によってはそのごく一部について、すでに慣例的に大体標準的なものが知られておるような内容につきまして、便宜的になしくずし的にお教えするというような取り扱いはあるようでございます。
#288
○小林(政)委員 いま渋谷の実態について調査をされた結果について、そのような事実はないというお話でございますけれども、私はあのとき質問をいたしますときに、渋谷も見せていただき、そしてそこで税理士さんが一応その納税者の代筆をされている姿も見た。しかし私どもの住んでおります地域の税務署においても同じようなことが行なわれていたということも申し述べたわけでございまして、あの問題等については決して渋谷の例だけを取り上げてやったことではなくて、これは明らかに私自身も実際に調査をいたしました結果、事実の問題でございます。このようなことは私は決して事実に基づかない立場から発言をしているのではなくて、もし何であればそれこそ具体的にこれはもっと明らかにすることもできるわけでございますけれども、事実に基づいての発言であるということを、まずひとつ前提にしっかりと踏まえていただきたいというふうに考えます。そしてこのような事実があった場合に――私はこのような事実というものは、あった場合ではなく、現実にあったというふうに申し上げて何らはばからないわけでございますけれども、このような事実があった場合に、標準率効率表というものについては秘密性を持つものとして、罰則を持つ国家公務員法百条第一項に違反をしている、こういう見解を持っている国税当局が、これを一般の民間人に渡したというような、こういう事実について、はたしてこれが事実であるとすれば百条違反になるのかならないのか、この点についてまずお答えを願いたいと思います。
#289
○江口説明員 若干ことばが足りなかったかと思いますが、先般先生が手元に持っておられました資料について先ほどちょっと御説明したわけでございますが、確かに先生御指摘のように、渋谷だけではなしに、私ども数局の数署につきましても実は確かめてみたわけでございます。そこで、東京局管内の場合も数署について調べた結果では、先ほどちょっと一部申し上げましたように、賃貸料関係、それから外交員関係、それらの納税者の比較的多い署につきましては、標準率表、これは相当大部の書類の形態をなしておりますが、そのうちのいま申し上げたごく一部のものにつきまして書き抜きをいたしまして、この管内ではたとえば外交員の方が多いといったような呼び出しの状況等を見まして、当日の朝そうしたメモをお渡しして、納税相談の際に参考に使っていただく、夕刻にはそれを置いていっていただくという事実はあります。そうした場合になぜそれがやられるかと申しますと、東京管内の場合には外交員の数が非常に多い、比較的まとまってある税務署管内に多いことがございます。それから賃貸料等についても同じような地域があるわけでございます。従来、別に公開したということではございませんけれども、毎年毎年のことでございますので、納税相談の段階で、あるいはその業種団体あるいは代表の方々といろいろな形での意見交換が行なわれるわけでございますが、そうした場合には大体の水準というものが年を経るに従ってわかってくるというのが現実だろうと思います。そこで、数年そうした経過を経まして、局の署長会議あるいは担当の課長会議等で、あの二月から三月にかけての繁忙な申告の時期に、せっかく税理士の方が署に自発的に応援に来られる。その中で多数の方々を処理をしなければいかぬといったような場合に、効率的な事務の進行をはかるためには、すでに相当程度一般的と一言っては言い過ぎかもしれませんが、当該業界等につきましてはかなりわかっておるといったような種類のものについてどう扱うかといったようなことを、いま申しました署長会議あるいは課長会議あるいは専門家会議等の際に議論をするわけでございます。もちろん標準率表あるいは効率表というのは局長の責任をもってつくるものであり、局の段階でもって秘扱いにしておるものでございますが、内容的にはいま申し上げたようにその業界等にはかなりわかってきつつあるといったようなもので、しかも基本の把握が比較的簡単と申しますのでありましょうか、明確なようなものにつきましては、できるだけ申告納税制度に実害のない範囲内において、スムーズな事務処理の進行をはかるというような考慮のもとに、局でもって、この範囲内のデータについては申告指導の段階で活用してもさしっかえない、こうした決定を下すわけでございます。したがいまして、私の調べました署の関係につきましては、先ほど例としてあげましたような賃貸料収入、これは法定資料で出てきますので基本の把握がきわめて明確であります。それから外交員収入等につきましては、これは源泉所得税の対象になって、一〇%ということで完全に基本が把握されるという性質のものでございますので、そうしたごく限られたものにつきましては、いま申し上げたような便法を講じまして、事務の短期間でのスムーズな処理をはかるということをいたしております。したがって、局の了解のもとに一部のものについてそうした取り扱いをした場合には、守秘義務違反という問題は起きないわけでございます。
#290
○小林(政)委員 局が一応判断をして一部の者に渡したものについては、それは違反ではないのだ、こういう見解でございますけれども、この一部といえども標準表とか効率表というものは、いままで国家公務員の中でもごく限られた一部の人たち、そしてこれは部外秘というようなことにもまたなっておりますし、このような点で、限られた一部の者にしか渡していないというようなものを、一応局側がどう判断するかは別としても、判断をしたということによってこれを渡したことは何ら法に触れるものではないのだ、こういう見解を一方的にとられているわけですけれども、それは法的にはどういう根拠に基づいてそういう見解がとられるのか。たとえば国家公務員がそのような行為を行なったということでいま裁判になっております問題については、これは明らかに百条一項の違反だ、しかし局側が判断をすれば、それは罰則の伴う国家公務員法百条の違反には該当しない、このような判断の基準というものは法的には何を根拠にこういうことが一方的にできるのかどうなのか、その点ひとつ明確にしていただきたいと思います。
#291
○江口説明員 役所の中にはかなり数多くのいわゆるマル秘資料というものがございますが、そのマル秘資料につきましても、国税庁できめるものあるいは国税局できめるものあるいは税務署できめるものと、いろんな段階がございます。したがって、そのマル秘をきめた段階の者が了解を与えれば、守秘義務が解除になるということに相なるわけでございます。したがって、いまの場合には国税局でつくっております標準率表のごく一部について、従来の経験に応じまして局の判断のもとに一部の解除と申しますか、ある時期でのなしくずし的な使用の方法を考慮したということでございますので、いまの場合には局の了解のもとに行なわれたということで守秘義務が解除される、こういう形になるわけでございます。
#292
○小林(政)委員 私はその法的な根拠というものについて納得できません。この問題については、その実質的な秘密性を有するか、形式的な秘密性を持つかというようなことについて、これは一体いつどのような根拠のもとにだれが判断するかというようなことが、一方的にきめられるということについてはもっと明確に――片一方では百条違反だというこういうことが進行している中で、局がやる場合には、それは何ら支障がないというようなことでは、これは私はちょっと納得ができないと思います。この問題につきましては、きょう時間がございませんけれども、これは相当大きな問題でもございますので、あらためてこの問題についてはもう一度はっきりここで質疑を行ないたいというふうに考えますけれども、それについて一、二点だけお伺いをしておきたいというふうに考えます。
 この問題について大阪の高裁がいま進行中でございますけれども、一審の判決が出ました場合、あるいはまた差し戻し等によって第二回の大阪地裁の判決の出た段階で控訴されているわけでございますけれども、これについては検察当局が控訴をいたしておるわけでございます。この段階で何らかの形で国税庁側が意思表示をされたことがあるかどうか、この点についてまず第一に伺っておきたいというふうに考えます。
#293
○江口説明員 大阪の事件は岡田禎勝事件だと思いますが、正式の見解と申しますのは、訴訟の維持の段階で当然国側が被告になっておりますが、その場合のいわゆる標準率表、効率表の取り扱いの問題いっどういう形において秘の扱いになったか、どういう場合にそれが先生御指摘のような解除のことになるのか、その責任の所在はどうなるのかというような点についていろいろ議論が行なわれまして、第一審の段階での当事者でありますところの大阪国税局に指示を与えたということはございます。それからなお、元所得税課長であった人あるいは直税関係の担当者であった者、そういう者が証人等でも法廷に出ておりますが、その場合ももちろん事前打ち合わせとしてはいろいろ意見の交換をし、あるいは必要な指示をしておるわけでございます。
#294
○小林(政)委員 この問題につきましては後日に譲りたいと思いますが、確定申告について税務署が、幾らサービス業務とはいえ、税理士に一般の納税者の代筆をさせるというような行為は一体どのような根拠に基づいて行なわれているのですか。
#295
○江口説明員 税理士さんは、税理士法第一条の目的にありますとおり、納税者の代理人としていわゆる税務事務に携わるということになるわけでございますが、確定申告で会場でということにたりますと、不特定多数の納税者ということで多少問題があるということで、もうすでに十数年前からわれわれ部内でも議論したことがございます。ただ私の承知しております限りでは、全部の署でそういう体制をとっておるかどうか、悉皆調査したことがございませんが、局によりまして、若干税理士さんの応援体制の厚いところ、薄いところ、あるいは場合によってはないようなところもあるやに承知しております。この場合に、大体私のほうからお願いをしたというよりは、むしろ税理士会のほうからこういう機会をとらえて納税者の便をはかりたいという申し入れがございまして、税理士さんのほうの自発的な応援体制ということでやっておるのがほとんどすべてでございます。したがって、私どもとしましては、こちらからお願いしたものであれば、たとえば日当を差し上げるとか、いろいろなお礼の点も考えなくちゃいかぬというようなことも実は考えたわけでございます。こまかなことを申し上げて恐縮でございますが、あの繁忙の時期に、かなりの御年配の方が見えた場合には、まあ茶菓はもちろんのことでありましょうが、お昼の御飯も差し上げなくちゃいかぬというようなことで、全国の問題になりますとかなりの予算になります。これらも予算の段階で検討したわけでございますが、逆に税理士さんのほうから、午前と午後とメンバー交代をするから昼めしの用意は要らぬのだというようなお申し入れもあったぐらいで、きわめて積極的に税理士さんのほうから御協力をいただいておるということでございます。
#296
○小林(政)委員 何らの契約も委託も行なっていないということですか。
#297
○江口説明員 毎年二月の十六日以前に税理士会のほうと、恒例によりまして事前にこの納税相談の時期の取り扱いについての御相談がございまして、計画もすべて税理士会のほうでお立てになりまして、それを受けて私どものほうは場所あるいは備品等の設備をしてお待ちをする、こういう形のものが最近の一般の例でございます。
#298
○小林(政)委員 私はやはりこのような措置というものがいろいろ問題点を含んでいるんではないだろうか。たとえば、これは慣例というようなことによってこのところ行なわれておるようでございますけれども、しかし信頼関係のない納税者に対して、実際には知らない町の税理士がその納税者の具体的な相談に応ずる、しかも代筆にも応ずる、こういうようなことになるわけでございますけれども、これは明らかに、納税者が特定の税理士にお願いをして、そして業務の相談をするなりあるいは自分の企業の実態を話すなりということとは、これは不特定多数という点から、質的におのずから異なってくるであろうというふうに考えられます。全く知らない町の税理士が、ああ、あそこの企業はどうもだいぶ左前らしいとか、いや、あそこの企業はどうもだいぶもうかっているらしいというような事実関係が、このような事態の中で一民間の税理士に全く知られてしまう。しかし、知った秘密についてはこれを漏らさないという規定はあるにしても、公務員と税理士とは違うわけでございます。このようなことを伴う業務に積極的なサービス協力というようなお話でございますけれども、このような内容を伴う業務に税理士をこのような形で協力をさせるということについては、相当の問題点があるのじゃないだろうか。こういうことはむしろやめるべきではないか、私はこういう見解を持っておりますが、国税庁側の見解をまずお伺いをいたしておきたいと思います。
#299
○江口説明員 当日税理士さんのお見えになったいきさつは先ほど申し上げたとおりでございますが、当日税理士さんの席まで見えるのは納税者の全く自発的な行為でございまして、別にだれそれをどの税理士さんのところに割り当てるといったスケジュールは全くないわけでございます。そのほかに、税理士さんのほうのいろいろな事業が毎年行なわれておりますが、たとえば私どものほうの年間行事の一つでございます「納税者の声を聞く旬間」というのが十一月の上旬十日間ございますが、そのときにも税理士さんはそれぞれの町の人の集まりやすい場所を借りられまして、いわゆる一般納税相談あるいは苦情相談というようなことをやっておられます。ここ両三年は、たしか二月二十三日かと思いますが、税理士さんの記念の日というようなことにいたしまして、これも全国的なベースでもって、それぞれ必要なところでもって無料相談ということをやられまして、毎年かなりの納税者がそこに相談に来られ、あるいは苦情処理をしておられる、こういうことでございますので、税理士さんが秘密を知るということは、もちろん強制的にそうした行事をやり、強制的に特定の人あるいは不特定多数の人をある目的のもとに引っぱってくる、ことばは悪いのでございますが、そういうことがあれば多少問題かと思いますが、相談に来られる納税者の方々は全く自発的に来られるということになりますと、これを妨げる理由は私たちにはないのではないかという感じがするわけでございます。特に帳面等をつけておられない納税者の方が、二月から三月にかけて私どものところにも、普通の状態とは違う一種の異様な雰囲気と申しましょうか、そういう会場に来られた場合にはなかなか、税務職員が直接相応待するということは精神的にもある種の苦痛があるということであろうかと思います。これが税理士さんということになりますとワンクッションを置かれまして、かなりエキサイトした気持ちもなだらかになるという効果も聞いております。そうした意味で、毎年同じような状態を続けるかどうかということにつきましては、私の聞きます限りでは、税理士部内でも毎年討論をし、また税務当局のほうとも相談をされて現在まで毎年継続を
 しておられるという事情でございますので、なる
 ほど先生の御指摘されるような問題があるかもしれませんが、私どもの意識の範囲内では、むしろ納税者のほうにサービスをして喜ばれておるというふうに理解をしたい、かように考えておるわけでございます。
#300
○小林(政)委員 この問題については私もいろいろな意見を実はお聞きいたしております。これは、一般の確定申告に参ります納税者は、一応税務署の職員ということで相談をしてみよう。しかし、私は税理士である、町の近くの税理士だけれども、あなたの問題についていろいろと代筆をして差しあげたい、それについてよろしかったら、というような意思表示が一々されているのかどうか。一般の人たちの話を聞きますと、職員なのか税理士なのかということは全く関知してない、こういった中でこのような業務が行なわれる。そういう中で先ほど私が申し上げた弊害が起こる可能性というものが当然考えられるのではないか、このようなことを指摘したわけでございますけれども、私は、このような誤解を招いたり、あるいはまた一部の中には弊害等もいろいろといわれているこういうやり方等については、いやしくもこれは個人の財産権に関する重要な内容を持っている問題でもございますので、これらの点については検討して、直ちにこれはやめるべきではないだろうか、このような考え方を持っております。政務次官にひとつお伺いをいたしたいと思います。
#301
○中川政府委員 先ほど来答弁申し上げておりますように、この制度は決して納税者に迷惑をかけたり、納税者に支障があるようなことを意図してやっておるわけでは毛頭ございません。これは納税者の人が、いま言うように直接役人では言いにくいのではないか、税理士さんならばという人もあるだろう。それから非常に込んでもおりますから、納税者の人にサービスして差しあげようという気持ちからやっておることでございまして、ただ、やり方についてあるいは御指摘のような点があるとすれば、これからそういうことのないように十分反省はしていきたいと思っております。この制度をやめるなんということは毛頭考えないで、合理化あるいは皆さまから苦情のない方向への検討はいたしますが、これをひとつ強化して納税者の方々のサービスをはかるようにしていきたい、このように考えるわけでございます。
#302
○小林(政)委員 時間がもう過ぎておりますという催促でございますので、私は先ほどの税率表、効率表の問題等については質問を留保いたしまして、私の短い時間の質問を終わりたいというふうに考えます。
#303
○毛利委員長 次回は、明二十四日水曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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