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1970/03/24 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第24号
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1970/03/24 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 大蔵委員会 第24号

#1
第065回国会 大蔵委員会 第24号
昭和四十六年三月二十四日(水曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 上村千一郎君 理事 藤井 勝志君
   理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君
   理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君
     稻村左近四郎君    奥田 敬和君
      唐沢俊二郎君    木野 晴夫君
      木部 佳昭君    木村武千代君
      佐伯 宗義君    坂元 親男君
      高橋清一郎君    登坂重次郎君
      中島源太郎君    原田  憲君
      坊  秀男君    松本 十郎君
      向山 一人君    森  美秀君
      山下 徳夫君    吉田 重延君
      吉田  実君    阿部 助哉君
      佐藤 観樹君    平林  剛君
      堀  昌雄君    貝沼 次郎君
      坂井 弘一君    伏木 和雄君
      春日 一幸君    小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       大塚 俊二君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        大蔵省理財局長 相澤 英之君
 委員外の出席者
        林野庁林政部経
        済課長     小笠原正男君
        通商産業省鉱山
        石炭局鉱政課長 林 信太郎君
        通商産業省公益
        事業局業務課長 北山 昌寛君
        日本専売公社総
        裁       北島 武雄君
        日本専売公社総
        務理事     園部 秀男君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十四日
 辞任         補欠選任
  田村  元君     唐沢俊二郎君
  中村 寅太君     向山 一人君
  原田  憲君    稻村左近四郎君
  村上信二郎君     山下 徳夫君
同日
 辞任         補欠選任
  稻村左近四郎君    原田  憲君
  唐沢俊二郎君     田村  元君
  向山 一人君     中村 寅太君
  山下 徳夫君     村上信二郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国
 会の議決を求めるの件(内閣提出、議決第一
 号)(参議院送付)
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五号)
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 六号)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第六一号)
 塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置
 法案(内閣提出第二九号)
     ――――◇―――――
#2
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、会の議決を求めるの件を議題といたします。
#3
○毛利委員長 まず、政府より提案理由の説明を求めます。中川大蔵政務次官。
#4
○中川政府委員 ただいま議題となりました国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるの件につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
 本件は、大蔵省所管の普通財産を総理府(宮内庁)所管の皇室用財産とすることにつきまして、国有財産法第十三条第二項の規定に基づき、国会の議決を求めるものでありまして、その概要は次のとおりであります。
 宮内庁におきましては、現在大蔵省所管の普通財産となっております東京都港区高輪に所在する本件土地に、高松宮殿邸を建設することとし、昭和四十六年度において、その準備に着手することを予定いたしております。
 これに伴いまして、本件土地を、大蔵省所管の普通財産から総理府(宮内庁)所管の皇室用財産に所管がえするものであります。
 以上が本件を提案いたしました理由であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○毛利委員長 本件に関する質疑は後日に譲ります。
     ――――◇―――――
#6
○毛利委員長 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。阿部助哉君。
#7
○阿部(助)委員 通産省の方にまずお伺いしますけれども、いま電力の発電量は、火力、水力はどれくらいの比率になっておりますか。
#8
○北山説明員 現在、四十四年度末で見ますと、これは設備能力でございますけれども、全体の電力量は四千百六十七万キロワット、そのうち水力が千二百八十二万キロワット、火力が二千八百八十五万キロワットということになっておりまして、水力のウエートは三〇・七%ということであります。
#9
○阿部(助)委員 ここにたしか四十五年度上期と四十四年下期の決算が出ておりますけれども、昨年一年間で九電力はどれぐらいの利益をあげておるのですか。
#10
○北山説明員 四十四年度におきましては約八百億の利益をあげております。
#11
○阿部(助)委員 そうしますと、これだけ利益をあげておって、まだ渇水準備金なんというものがなければならないと通産省のほうではお考えになっておるのですか。
#12
○北山説明員 ただいま申しました八百億の利益のうち、大部分が配当及び法定の準備金としての利益準備金に積み立てられているわけでございます。したがいまして、その他の余裕金というものはほとんど売り上げの一%以下というふうな状況でございます。この渇水準備金の趣旨は、そもそも出水率の大小によりまして収益が変動することを防ぐために設けられているものでございますので、しかも水力のウエートがまだ三〇%あるというふうな現状から見まして、この渇水準備金制度が収益の安定化に寄与している面が非常に多いというふうに考えております。
#13
○阿部(助)委員 配当や準備金に相当金が回っておると言うけれども、それならば、電力のこの準備金というもの自体が、ある意味で毎年毎年留保されているので、各種の準備金、引当金というのは九電力で幾らあるのです。
#14
○北山説明員 四十四年度末の引当金でございますが一引当金の残が渇水準備金、退職給与引当金等を含めまして二千百六十億ございます。
#15
○阿部(助)委員 その中に渇水準備金は幾らあるのです。
#16
○北山説明員 渇水準備金はそのうち約三十五億でございます。それから、二千三百六十億の大部分が退職給与引当金であります。これが約二千二十二億ございます。
#17
○阿部(助)委員 退職引当金というのは、私、この前この委員会で大蔵当局に質問をしたのでありますけれども、大企業はちょっとつぶれることはない。これだけは無利息で貸し与えておると言っても間違いじゃない。しかも小さな炭鉱とか、そういうところがつぶれるときは、退職引き当てというものはパーになって、みななくなってしまっておるのが実情でありまして、会社が倒産するときにはもうみな洗いざらい使い果たして倒産する。大きなところほこれがずっと社内留保されながら会社が活用しておるということであって、その存在自体に私は多くの疑問を持っているのです。いずれにせよ八百億から――配当がどうだこうだ言うけれども、それは利益があるから配当するのであって、しかもその中で八百億からの利益をあげながら、いま三十五億の渇水準備金がなければ会社が運営していけないというようなふうに、通産省は電力の関係でそんなふうにお考えになっておるのですか。これは、この渇水準備金という制度ができたときの経緯自体あなたも御存じだと思う。当時は何といったって水主火従といわれて、水力はほとんどその大半であって、火力というものはあったには違いないけれども、ほんとうのぼろ火力、わずかばかりしかなかった。したがって渇水期と農水期では収入に非常に大きな差があるということは私も承知しておる。いまあなたがおっしゃるように、もう火力のほうが主力になって、発電の事情というものは当時と今回とはもう格段の差異を来たしておるくらいのことは、しろうとだってわかるわけです。そういう中でなおかつ特別措置というものを皆さんのほういろいろ要求ざれるけれども、これはもう税の原則をくずしておる制度であって、税調等でも、これが慢性化されないように常に再検討しろ、こういわれておる。それを大企業の、これだけ大きな利益をあげておる、もう日本の最大の企業だといわれておるのがそれぞれの電力会社です。ここでなおかつ減税の恩典を与えるなんということに通産省は血道を上げておるとすれば、これは全く国全体、国民全体、大衆における税制、税制民主化というものを無視した全く筋違いな考え方じゃないか、こう私は思うので、この三十五億が、これがなければ電力はとまるというほど、それほど重大な問題だとあなたはお考えになっていますか。
#18
○北山説明員 四十四年度末で約三十五億の渇水準備金の残高でございますけれども、実はここ数年渇水状態が続いております。したがいまして毎年毎年取りくずしが非常に多くなっております。四十四年度下期で申し上げますと、取りくずし額は三十八億でございます。そういうふうな状態で、現在の残高は、渇水状態が相当続きましたものですから非常に少なくなっております。現在までそれを取りくずすことによって収益が安定してきたというふうにも見られるわけであります。われわれとしましては、この渇水準備金制度によりまして、確かにウエートは下がっておりますけれども、まだ絶対額が相当多いというふうにも考えられますので、ここ当分やはりこの準備金制度は存続していただきたいというふうに考えております。
#19
○阿部(助)委員 最近年々ずっと大きく取りくずしたと言うが、ひとつ五、六年間の数字を教えていただきたい。
#20
○北山説明員 ただいまここ数年間というお話でございますが、いま手持ちの資料を持っておりませんので、四十三年度からちょっと申し上げたいと思いますが、四十三年度の上期が十五億の取りくずし、それから下期が十二億の取りくずしでございます。四十三年度としましては、合わせまして二十七億でございますけれども、そのほかに実は渇水準備金が底をつきまして、取りくずし不能額というものも一約十七億ございます。それから四十四年度は、上期は十六億のこれは積み増しでございます。それから下期が、ただいま申しましたような三十八億の取りくずし、そのほかに取りくずし不能額が三十五億程度でございます。
#21
○阿部(助)委員 これがなければ発電ができないなんというようなお考えであるならば――私はきょう時間を非常にせかれておりますのできょうは深く入りませんけれども、できれば一ぺん、電力会社の資産内容を全部検討しておりますので、皆さんに来てもらってこの委員会でやりますけれども、こんな大ざっぱな数字を見ても一、八百億から利益をあげておる。特に東京電力、関西電力等の利益というのは、日本の大企業の中で最高のクラスにあるわけでしょう。そういう中でなおかつ――勤労者やなんかには非常に重い税金がかかっておる、しかも税制の原則をくずしておる、こういう中でなおかつ、通産省の立場として要求をされるのはあれでしょうけれども、こんなものをいつまでも残しておかなければこの大企業が運営できないなんという段階ではないと私は思うのであって、もう少し国全体、税制全体のことも、通産省といえどもお考えになってもいいのじゃないですか。どうなんです。どうしてもこれがなければ電気がとまってしまうのだというくらい、昔つくったときのように重大なウエートを持っておるのですか。
#22
○北山説明員 先ほど申しましたように、渇水準備金制度は、電気がと計るというよりもむしろ料金の安定に資するという考え方で運用しておりますので、時期によりましては非常に豊水ということで内部留保されることもございますけれども、またいま申しましたように、最近の情勢ですとそれが取りくずされる、そういうことによって料金の年々の変化を避けるという趣旨でございますので、一方的にといいますか、常に内部留保されるという形ではございませんで、そういう形での運営でございますので、今後も続けさしていただきたいというふうに考えております。
#23
○阿部(助)委員 料金の安定とおっしゃるけれども。料金自体にも一私は問題があると思うのですよ。一般の小口電力は幾らです。家庭電力は幾らです。
#24
○北山説明員 家庭電灯の場合ですと、四十四年度の実績は全国平均いたしまして十一円九十一銭、それから小口電力は七円十五銭という形になっております。
#25
○阿部(助)委員 家庭電力を使っておる電気量はどのくらいの量で、大口はどれくらいの量を使っていますか。
#26
○北山説明員 ごく大ざっぱに申しますと、電灯の消費量は約二〇%、産業用の電力は約八〇%ということになります。
#27
○阿部(助)委員 それで料金のほうは、パーセンテージは大体どれくらいになっておりますか。
#28
○北山説明員 これも非常に大ざっぱな数字でございますけれども、電灯収入が四〇%、産業電力収入が約六〇%という形になっております。
#29
○阿部(助)委員 料金の安定ということからいえば、零細な家庭の電力が高くて、そして消費量はわずかであるけれども、おおむね半分近くを占めておる。料金のあり方自体にも私は問題があると思うのです。そういう点を通産省は配慮をしない。しかも八百億も利益をあげておる、そういう中でなおかつ減税をしてくれなんということは、全く通産省は電力会社の代弁者だと国民から非難をされてもしかたがないじゃないですか。もっとどぎついことばで言うならば、結局高級官僚は終わったら二度のつとめで民間へ天下りするというようなことが非難されておる。そういうときだけに、これくらい大きな利益をあげておるならば、これくらいのことはもうやめにするのが私はほんとうだと思うのだけれども、あなたもここの公式の場でやめたほうがいいということは言いにくいのだろうけれども、もう少しこの辺を真剣に国民全体の立場も役所としてはお考えになってしかるべきじゃないかという感じがするわけであります。
 そこで大蔵省当局にお伺いしますけれども、渇水準備金の問題について、これはずっと検討しておられたのか、まずそのことからお伺いしたいと思います。
#30
○細見政府委員 検討はいたしておったわけでありますが、通産当局におきまして、この制度は電力料金の平準化のために非常に有用な制度だからぜひ置いてほしいということで、毎年毎年の議題に上げたということではございませんが、検討は必要に応じていたしておったわけでございます。
#31
○阿部(助)委員 先ほど申し上げましたように、税調の答申でも特別措置は不公平である、また慢性化するおそれがあるから、絶えずその効果を検討しろ、こう答申をしておるわけであります。いまお聞きのとおり、料金そのものにも私たちに言わせれば問題があるけれども、これだけ大きな利益をあげておる中で渇水準備金をいまだに温存しておく。しかも情勢は、この制度をつくった当時は水主火従といわれた、いまや火主水従という時代に入ってきておる、そういう時代が変わっておるにかかわらず今日まで温存をさせたということは、私はいささか検討を怠ってきたのではないかという感じを持つわけでありまして、もうここあたりでこの制度の廃止の方向で検討をすべきだ、こう思うのでありますが、大蔵省のほうではいかがですか。これは政治問題だろうと思うので、政務次官からひとつお答えをいただきたいと思います。
#32
○中川政府委員 この制度について御批判はあろうかと存じますが、先ほど通産省からも答弁がありましたように、最近においてもなお取りくずしがかなり顕著でありますし、残っておる額も三十五億という、そう大きな額ではありません。しかし、この制度について今後また時代も変わってまいりますし、先ほど御指摘のような御意見もありますから、関係方面と協議をいたしまして十分検討をしてまいりたい、このように存じます。
#33
○阿部(助)委員 次官のいまのあげ足をとるようで悪いのでありますけれども、三十五億という金額は大きな金額ではないとおっしゃることは私ちょっと不満があるのです。これは大きな不満を持たざるを得ない。庶民の生活にとってみればたいへんな大きな金額であります。先般も私、農業の問題も申し上げたけれども、この最低限の問題、生活費に食い込むのじゃないか、こう思われる。庶民からはたいへんな税金を取っておる。しかも八百億も利益をあげておる。それになおかつその八百億の利益というのは、いろいろな準備金とか引当金とか、とれるだけの特別措置を全部適用して、削って削って削ったものが八百億じゃないですか。その八百億ももうけておる大企業に、しかも独占企業になおかつ時代おくれのこの制度を温存する。それが三十五億くらいだからたいしたことないというお考えというのは、私はこれはちょっと聞き捨てがならないと思うのですが、もう一度はっきりと答弁を願いたいと思うのです。
#34
○中川政府委員 三十五億はおろか一億でも大きな金であることはもちろんでありますが、私が申し上げましたのは、電力会社全体の金の動きもさることながら、先ほども答弁がありましたように、四十四年の下期においては三十八億の取りくずしをいたしております。あるいは四十三年上・下合わせますと二十七億。ですから、ちょっと渇水期になりますと三十億、四十億というものが取りくずされる。取りくずし不能額もそのほかに十数億、三十億とあったということから考えますと、三十五億程度ではまた来年あたり渇水期が来ますと一ぺんになくなってしまうという意味で大きな額ではないと言ったところでありまして、庶民感情からいって三十五億が大きい小さいという趣旨で言ったことでございませんので、御理解いただきたいと存じます。
#35
○阿部(助)委員 そういう意味でおっしゃられたことば自体は理解をいたします。私も、八百億という利益のことから考えれば小さい、こうおっしゃったのだということで了解をいたしますけれども、それだけに渇水準備金という制度はもう電力会社にとってはそれほどのウエートではないのだ、しかも特別措置という、税体系を乱す制度であるから、そこでこれは本腰を入れてこういう制度はなくする方向で検討すべきである、こう言っておるわけでして、そういう点での御答弁を願って私は次へ移りたいと思うのですが、いかがですか。
#36
○中川政府委員 先ほどもお答え申しましたように、今後関係各省と協議をいたしまして、ただいま御指摘もございますので、十分検討さしていただきたいと思いますが、ただ八百億の利益というものがあるからということだけでこれを廃止すべきかどうか。私は、電力料金というものは公共性の強いものでありますから、利益があがるとすれば、税制の優遇措置を排除することも考えなければいけませんし、一方ではやはり電力料金の引き下げというのですか、改定というのですか、そこら辺に振り向けるべき性質のものではないか、そういうことも含めまして、ひとつ前向きで検討さしていただきたいと存じます。
#37
○阿部(助)委員 電力料金の引き下げの問題は、別途またこれは通産省でおやりになることだろうと思うのであります。もちろん大蔵省が関与するかどうか、私は知りませんけれども、これは通産省の所管だと思うのです。私は大蔵省の立場においては、やはり税の公平というものが一番大きなウエートでお考えになる筋合いではないか。しかも事態は、渇水準備金をつくったときの状況と今日の状況とは違う。しかもこの九電力はそれぞれ大きな利益をあげておるという中で、この制度で保護しなければ動きがとれないというものではなくなっているのではないか。これだけの利益をあげ――もし何ならば、時間さえ許してくださるならば私はやりますけれども、たとえば東京電力、これは土地を持っておる法人の中で最もよけい土地を持ち、資産を持っておるということになっているじゃないですか。こういうものになおかつ税制面でカバーしてやらなければいかぬということはもうなくなっているのではないか、私はこういう指摘をしておるので、次官の答弁に要らないことをあまりつけ加えられるとかえって混乱をするようですから、そこをすっきりとあれしてもらって、検討するなら検討する、こうおっしゃってくだされば私は次に移りたいと思うのですが、いかがですか。
#38
○中川政府委員 御趣旨を体して検討さしていただきます。
#39
○阿部(助)委員 では、通産省ようございます。
 次に、商品取引準備金のことについてお伺いをしたいのですが、この制度は、四十年から四十五年までの準備金は幾らで、取りくずしは幾らかをひとつお答えを願いたいのであります。
#40
○細見政府委員 四十一年度が繰り入れ額が十二億八千四百万円、取りくずしが四千九百万円で、そのときの残高が十二億三千五百万円。四十二年が十三億一千二百万円を繰り入れまして、取りくずしが二億三千五百万円、残高がしたがいまして二十三億一千二百万円。それから四十三年が十七億五千万繰り入れまして、取りくずしが一億四千九百万、したがって期末残高はさらに加わりまして三十九億一千三百万。四十四年度は繰り入れが三十億六千万円ございまして、取りくずしが二億四千四百万円、したがって期末の残高は六十七億二千九百万、こういう姿になっております。
#41
○阿部(助)委員 いまの数字をお伺いしたところを見ますと、四十四年ですか、これは少し取りくずしが多いようですね。だけれども、この年は認可から許可制にかわるというときで、したがって各会社もここであまり事故件数をよけいかかえておったのでは許可がおりないのじゃないかというような観点もあって、おそらくこの年には取りくずしが相当あったと思うのでありますが、それにしてもこの残高と取りくずしとが見合っていない、実情に沿わない。この残高が大き過ぎるということになりませんか。事故発生の総額で見ても二倍、四十四年ですか、異常な取りくずしのあったといわれるときでも、それのはるかに大きな五倍の積み立てをしておるということになりますと、一万分の一の積み立て、一万分の三を限度とするというこの皆さんの決定は、少し実情から遠いのではないか、あまりにも過保護であるのじゃないかという感じを受けるわけですが、いかがですか。
#42
○細見政府委員 そのような御指摘もあり、商品取引所の形態からいたして、その事業のあり方というようなものについても、あるいは顧客の勧誘のしかたというようなものについても、免許制を機会に基本的に見直すべきではないかというような意見がございまして、この制度は、他の特別措置はおおむね二年間の延長になっておるのでありますが、これだけは一年にいたしまして、その免許制に切りかわった後における商品取引所の実態、それに即応する制度に改めていきたいという意味を込めて一年にしておるというわけでございます。
#43
○阿部(助)委員 そういたしますと、ほかは大体二年ですが、これだけは一年だけの延長ということで、これだけは大いに検討するという立場で一年にされた、こう理解をするわけでありますが、それについても私は、この積み立てを百歩譲って認めるとしても、もう少し実情に合う数字であるべきじゃないかという感じがするわけであります。まあこの商品取引というのは、実態は私よく存じませんけれども、どうも一庶民がだまされたとか、いろいろな問題を起こしておるようであります。取引業者は大きな邸宅を建てておるけれども、実際ここで財産をすってしまった、あるいはいろいろな事故が起きた、なかなか弁済がしてもらえないというような問題をいろいろな方面から聞き、新聞等でも拝見をするわけでありまして、もう少しこの辺で考え直すべきときじゃないか。一つは、大蔵当局はスペキュレーションの保護をしておるのではないか、こんなものにまで税制面から保護をせにゃいかぬということは一体どういうことなんだろうという疑惑も一あるわけですが、皆さんはそういう感じをお持ちにならないのでございますか。ただ業者のほうからの強い要請があるので、皆さんがやむなくしぶしぶこれは認めておるのじゃないかと私は推測をするのだけれども、どうもスペキュレーションにまで税制面で保護せにゃいかぬということは、私はちょっと了解をしがたいわけでありますが、いかがですか。
#44
○細見政府委員 御指摘でございますがむしろ逆でございまして、商品取引所というようなところには本来いわゆる庶民といわれるような人は近づかなくて、取引所の発生の形態からいたせば、御承知のように、これらの商品を大量に使う、しかもそれを大量に使って製造工程等に入るような人たちが、その製造期間における価格の変動というものに対処するため、いわゆるヘッジの役割りを果たすべきものが本来の商品取引所であったわけでありますが、残念ながら日本の現況におきましては、多数のいわゆる大衆あるいは庶民といわれる人たちが参加してしまっておる。といたしますれば、そういう過程におきまするいろいろなトラブルあるいは事故というようなものが起きてしまっておった。起きてしまっておったのに対して、少なくとも強制的にこういう準備金を積ませることがそうした庶民の保護になるということであって、投機を助長するのではなくて、投機の行なわれるような事態になっておった、そのいわゆる庶民といわれる人たちを何らかの形で保護する。それにはやはり強制的にそういう準備金を積ましたほうが少なくとも一次善の策ではなかろうかということでやったわけで、決してこれによって投機をあおったというようなことでないのを御理解願いたいと思います。
#45
○阿部(助)委員 いや、皆さんの御意図はそうであろうけれども、それならばむしろそういうときには企業自体が負担をするという制度にして、その取引業者が自粛自戒をするという、そうしてエラーがあったときにはその企業が負担をするという制度にウエートを置くべきであって、取りくずしを見ても、実情に見合わない大きな金額をここに積み立てておる。強制ではあろうけれども積み立てておることは、むしろ多少不正があっても、問題が起きても、どうせ積立金から支払うんだというようなことでは、かえっていいかげんなことになるんではないか。皆さんの志とは違った面も出ておるやに聞いておるわけでありまして、その辺もう一ぺん、これは再検討するために一年ということでありますが、この点はもっと真剣に検討され、実情に合うように、そうして企業自体が自粛をするようにという方向で私はこれは検討をしていただきたいというふうに考えるのですが、いかがですか。
#46
○細見政府委員 御指摘の趣旨の方向で検討いたすべきものだと思っております。
#47
○阿部(助)委員 それでは次に、土地税制のことでちょっとお伺いをしたいのでありますけれども、大体この土地税制を行なって土地の値段は安定をしたんでありましょうか。
#48
○細見政府委員 なかなか社会現象を適正に評価することはむずかしいのでありますが、私どもは、この土地税制なかりしならば値上がりしたものが、この税制によって幾らかでも値上がりが押え得た、かように考えております。と申しますのは、たびたび申し上げておりますように、かなり供給がふえたということは事実でございますので、そういう意味でこの税制も役に立った。もちろんそれにあわせまして金融引き締めというような措置がとられましたので、なかなか不要不急の土地を持ちにくくなったというような一面もこれに加わっておるので、どちらがこれだけの効果を来たしたと言うことはむずかしいと思いますが、そういう効果はあったと思います。
#49
○阿部(助)委員 いまの御答弁をお伺いしておっても、なかりせばもう少しどうだこうだじゃないかという程度であって、これはどだい、はっきりさせるということはむずかしいことでありますが、あまりはっきりしていないというふうに私は感ずるのであります。
 これは土地の場合、個人で土地を売った場合、いまは一〇%の分離ですかもできるということですが、逐次変わってくる。四十九年、五十年には二〇%と、こうなっておる。ところが法人の場合はこれはどうなるのですか、法人が土地を売買したときは。
#50
○細見政府委員 通常の利益として通常の税率で課税いたしております。
#51
○阿部(助)委員 ところが、土地を譲り受けたり、また買ったりしておるものは、個人よりも法人のほうが面積においても金額においても大きいですね。これはどれくらいか、ごく最近でけっこうですが、比率はわかりますか。
#52
○細見政府委員 サンプル的なものでしかございませんが、八王子、神奈川、松戸、川越、春日部といった税務署、つまり大都市近辺で住宅地価が非常に急速なテンポで進んでおるところにつきまして調べたものでありますが、譲り受けの面積で見ますと、個人が百万平米ほど買っておりまして、それに対して法人が百四十万平米程度を買っておる。この法人につきましてもある程度のサンプル調査をいたしておるわけでありますが、それらは宅建業者のようなものもございますし、いわゆる工場用地に取得したものもございますが、宅建業者のようなものについて調べました場合には、すでに土地造成にかかっておる。したがって次の段階では個人に渡るであろうというような調査が一応出ております。
#53
○阿部(助)委員 そこで、大体法人がより大きく買っておる。しかもその法人の場合には一般の所得と合算をされる。たとえば片方の部面で損をして土地の部面でうんともうけたとしても、それは一緒になりますから、土地税制としてはこれが適用されないということになると、何かこの税制そのものがしり抜けになっておるんじゃないかという感じを受けるわけです。実際問題としてこれが実施されてどれだけ土地問題にプラスをしておるのかということになると、私はどうも少し疑問を感ぜざるを得ないんでありますが、法人の場合なぜこれを個人と同じように処理をしなかったのか。それはどういう理由なんですか。
#54
○細見政府委員 個人の土地税制を施行いたしましたときに、法人についても何らかのいわゆる区別した課税の方式というのがなかろうかということでいろいろ研究をいたしたわけでありますが、第一の問題は、いわゆる不動産業者といいますか、土地あるいは宅地造成業者といいますか、こういう人たちの土地売買を重課するということになりますと、現状においてはそのものが結局土地を買う人、家を買う人の負担になってしまう。だからこれは幾ら法人を重課しろといいましても、軽課しなければならぬ。結局阿部委員のおっしゃるのも、投機的に値上がりを待つために買っておるという法人の問題であろうかと思いますが、そういうことで、それじゃかりに長期の土地は安くし、短期の土地は重くするというようなことも一応考えてみたわけでありますが、法人の場合で、たとえば赤字企業で、いろいろ不要の資産を売ってそして企業の再建をはからなければならないというような、これは幾ら何でも一気の毒じゃないか。赤字は赤字、黒字は黒字で別途課税する、そういうようなことでいたしますと、非常にむずかしい。さらに基本的には、法人の場合、いろいろな経費の案分その他のことについてなかなかむずかしいというような問題がございました。しかし私どもといたしましても、法人に不当に土地が買い占められておるという事例の最たるものは、当時のこの土地税制を検討いたしましたときにおきましてはいわゆる買いかえという制度がございまして、これは東京の旧市街地の中で土地を売ったという場合には、地価が相当高いものですから、一万坪の土地を売ったら川越とかあるいは高崎のほうへ行けばその代価で十万坪も二十万坪も買える。しかもそれが買いかえをしないと税金がかかるので、会社のあり方としてどうしても不要の土地であっても買っておく。土地のことだから買っておけば大体損することはなかろうということになっておった。それが一番法人のいわゆる不要の土地需要を醸成しておった根本でなかろうかということで、土地の買いかえにつきまして原則として禁止している。工場の疎開とかあるいは新しい地域の開発というような国の政策として望ましいものだけに買いかえを認める。法人の土地売買の重課の問題はもう少し技術的な点を検討したいということで、いまなお検討いたしており、しかも税制調査会にはかっていろいろやってみたのですが、むずかしいいろいろな問題をかかえておるということで頭を痛めているのが実情です。
#55
○阿部(助)委員 まあ検討されているそうでありますが、やはり税金の分よりも土地の値上がりを待つというほうがいまなお傾向としては強いのではないか。そして不動産会社であるとかあるいは企業自体が――先ほども申し上げました東京電力はたいへんな土地を持っておるんですよ。こういう企業の含み資産として持っておるほうが得策だということで、なおかつ買い占めを行なっておるというのが私は実情だと思う。そういう点でこの税制はもう一ぺん検討する。私、どっちにしてもあまり税金を取るほうは好きじゃないものだから言いにくいんだけれども、たとえば空閑地税のような形のものでもしなければ、やはり法人というものは土地の値上がりを、税金の面よりも値上がり分を待つという傾向になるのは、これはやむを得ないんじゃないかという感じがするわけであります。幸い税調も検討するということでありますが、ことに今年は税調のメンバーも任期切れ、たしか七月だと思うのですが、これまでにひとつ税調にも大いに勉強してもらうということがしかるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
#56
○細見政府委員 土地問題が現下の最大の問題であることは私どもも承知いたしておりますので、税制がお役に立つ方法があるかどうかというのは今後も最大の関心事の一つとして検討してまいらなければならない、こう思っております。
#57
○阿部(助)委員 それでは時間を急ぎまして、輸出関係の特別措置をお伺いしたいのでありますけれども、ことしで期限が切れるというこの措置は、輸出関係ではどれくらいあるんですか。
#58
○細見政府委員 現在輸出関係の措置で今年度末で期限が切れますものは、輸出割増償却制度、それから技術等海外取引による所得の特別控除、それから海外市場開拓準備金、それから外航船舶の保存登記の税率の軽減、それから交際費につきましては輸出交際費の特例の問題、大体輸出関係として、あるいは漏れておるかもしれませんが、いま取り急ぎ見ました限り、そういうものが期限が来る輸出関係の税制であったと思います。
#59
○阿部(助)委員 ことしは輸出関係、幾らか手直しをする、そういう前ぶれであり、何がしかの手直しをしたようでありますけれども、いま日本の経済、まあGNPは資本主義国で第二位になったとかあるいは国際収支が五十億ドルをこえたとか、円の切り上げがどうのこうのという問題があったり、またそれだけにダンピング問題というようなことが国際的に問題になっておる。こういうときにこれだけ手直しをしたと言うけれども、このあれで見てまいりますとほんのわずかの手直しをした程度であります。これではいろいろな問題を起こすだろうし、手直しをしたというのには少し値しないのではないだろうか。さっき申し上げた外貨、国際収支あるいはGNPというようなときに、輸出関係にこれからもなおかつこんなにまで保護しなければならないという理由はあるのか。ただ、いままでの惰性という形でこれがこういう形になっておるのかどうか、その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#60
○細見政府委員 阿部先生からたいへんきびしい御批判をいただいたのでありますが、ふだん大体政府のやっていることをほめたことのない、この間参考人に見えた法政大学の高橋先生ですら、まあある程度やったというふうに言っていただいたので、私どもはかなりのことをやったつもりです。金額で申しましても、輸出振興税制の改正によりまする、いわゆる整理によってふえてまいった金額は三百二十二億くらいございまして、特別措置の改正の規模としては近年最大のものであろうかと私どもは思っておるわけでございます。
 しかし私どもは、いまいろいろ御指摘もございましたが、やはり資源の乏しいわが国のことでありますから、海外貿易に依存して国を立てていかなければならないという基本的な国の経済の命題、宿題は変わっておらないわけで、輸出のことをおろそかにしては一日といえどもいけないというふうに思っております。ただその場合、輸出を大事だと考えるにいたしましても、従来のように輸出そのものをそれこそ直接に振興するような施策ということを行ないますと、これは日本のように海外市場に広く商品を売っていく相手の国が、日本に比べて小さい国もあり、弱い国もあるわけでありますが、そういう国に向かって、日本は国としても直接の助長政策をとりながら輸出を伸ばしていくというのはいかがなものであろうかということで、そういう直接の振興じゃなくて、全体として日本の企業が国際競争力を強化していくというような方向によって、相手の国に与える感触もよくしながら日本の国際競争力を強くしていこうというので、二百二十二億を輸出振興の税制のうちで削減いたしまして、一方では相手の国の産業も開発し、あわせて日本の必要な資源を取得するというような意味で、海外投資でありますとかあるいは海外の鉱物資源の開発のための措置に切りかえて、相手の国も豊かになる、その過程で日本の輸出が伸びていくというふうにしたわけで、私どもといたしましては輸出振興税制の改正は今年度の改正の中のかなり大きな目玉であった、かように思っております。
#61
○阿部(助)委員 輸出関係でたいへん手直しをしたとおっしゃるのですけれども、たとえば鉄鋼に例をとってみますと、四十四年度に六百三十億の割増償却を行なっておりますね。そうすると、これは申告所得の四三・四%という大きなものを償却をしておる。しかも大企業は次から次へと年々設備投資をして、投資は増額をしておりますからますます特別償却は大きくなっていく。これだけとにかくめんどうを見なければならないのかということになると、ほんとうに利用しているのはごくわずかな企業じゃないですか。しかも日本の一流といわれるような大企業だけが恩恵を受けておる。もちろん輸出が大事であるとかどうだとかいうことはわかりますが、今日日本の輸出競争力は強い、こう自負しておるわけでありますが、よくよく調べてみれば、競争力もさることながら、日本の税制の特別措置のほうが、国際的に比べてみるならば輸出競争力よりもはるかに強いということになりはしないですか。
#62
○細見政府委員 いろいろ御議論もあろうと思いますが、そういう御批判もありまして、今回の改正をいたしますとおそらくこの特別償却の金額その他は半減する。それらの半減されたものは直接輸出を担当しておる企業だけでなくて、そのすそ野にあって、中小企業として、あるいはこれらの関連企業として、下請その他の事業に当たっておる産業の償却率の引き上げというようなことに使われることになるわけでありますので、いまの御指摘のようなことにはある程度おこたえしたというようにも言えようかと思います。
#63
○阿部(助)委員 この輸出振興税制のこれは、皆さんが税調にお出しになった資料のようでありますが、これを拝見しますと、技術の輸出関係が、資本金百億以上が六十八社、これで全体の五八・七%を占めておる。また、海外投資損失準備金の場合には、百億以上五十二社、積立金が百八十一億、全体の七五・五%をこの百億以上の会社が占めておるわけでありまして、こうやって見てまいりますと、ほんとうにこれを活用し得るものは日本の大企業だけだ。ほんとうに大企業だけに税制面でこれだけめんどうを見なければいかぬということならば、もう少し農業の最低限を引き上げるとか、あるいは勤労者の最低限を引き上げるというように、大蔵当局は税の原則に立ち返って、そして公平の原則に立ち返って税法を直すというかまえがあるのかないのか、いささか疑問を持たざるを得ないのでありまして、その辺でことしは相当に直しましたと言うけれども、今度は別の面をふくらましておりまして、その辺もう少しこれらについて小手先の検討ではなしに本腰を入れた検討をする必要があろうか、こう思うのですが、もう一度局長から御答弁を願いたいと思うのであります。
#64
○細見政府委員 現在の特別措置でございますが、割合から見ますと七割が所得税の関係になっており、その所得税の関係は、御承知の少額貯蓄の非課税でありますとか、あるいは保険料控除でありますとかいうような、かなり国民一般に広く利用されておる制度による減収額ということになっており、法人税のほうはいまの残りの三割程度、しかもその中は大体、いま阿部委員は非常に大企業のほうを御指摘になりましたが、私どものほうで計算してみますと、これはなかなか区分はむずかしいとは思いますが、企業関係のものの特別措置にいたしましても一大体半々ぐらいにはなっておる。たとえば、いま輸出関係のお話がありましたが、一般的に輸出関係の税制を切った中におきまして、中小の商社でありますとかあるいは中小企業のいわゆる海外市場開拓準備金、中小企業にとって輸出振興、輸出に対する最大のインセンティブになっておる中小企業の海外市場開拓準備金の率は、一方は切っておって一方は上げるというようなこまかい配慮もいたしておる点をお認め願いたいと思います。ただしかし、特別措置が既得権化し、あるいは大企業に片寄り過ぎる、このような御批判、これは御批判として、私どもも常にそれらの批判にこたえる姿勢で検討を進めていかなければならない、かように思っております。
#65
○阿部(助)委員 輸出関係は少し減らした、しかし今度は特別償却でおやりになるという話も伺っておるのでありますが、その辺はいかがですか。
#66
○細見政府委員 御承知のように、技術は日進月歩でございまして、機械の耐用年数というものを法定化しておること自身がなかなかむずかしい時代になっておるわけでありますが、それらの耐用年数を全面的に改定するということはなかなかむずかしい。そういうかなりの減収を予定しなければならないというようなことでありますので、それらの点を総合的に考え、しかも技術革新が非常に速いスピードで進んでおる部門につきまして、耐用年数の改定にまで至らないけれども、少なくとも何か特別のことを考えなければいけないというような分野については、特別償却で当面対処していくということもあるいは一つの行き方ではないか、かように考えておるわけであります。
#67
○阿部(助)委員 それでは、いろいろな技術革新だとか、理由はあろうけれども、この特別措置のほうで手直しをしたその分を特別償却でやるとすれば、結局名前をかえて、保護をする点においてはちっとも変わらないことになってしまうのじゃないか。しかも、これは政令ですか、省令ですか。何でおやりになるのですか。
#68
○細見政府委員 それぞれの基本法に基づきまして、関係各省庁とも協議した上で、告示で機械その他の指定をいたすことになろうと思います。
#69
○阿部(助)委員 そういたしますと、特別措置は何だかんだ、こうやって批判をされながら国会で論議をされるけれども、これが告示だけでやられたのでは国会もさっぱりわからない。しかも行政官庁だけでこれがやられるとすると、かえってこれは何かたちの悪いやり方――たいへんことばは悪いけれども、たちの悪いやり方で、国会はなるたけつんぼさじきにしておいて、そうして行政官庁だけで独自にこれをやってしまうというようなことは、私はますますこれは間違った方向に行くおそれがあるのではないか。それならば、この告示の準備をしておる段階をいまここで発表願って――それでなければ特別措置を何ぼ論議をしてみましても、こっちのほうはだんだん減らしていって、別の、国会にかけない部面でふくらましていくということになるならば、私は国会の論議というのはほんとうにナンセンスになるのじゃないか、こういう感じがするので、その告示の概要はきまったんだろうから、それをここへやはりお出しを願うのが当然だろうと思うのでありまして、それはひとつ出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
#70
○細見政府委員 この国会にお願いいたしておりますのは、そういう形で特別償却に幾らぐらいの減収額を充てますということを予算で提案もいたし、また今回の税制改正においてもその大ワク、基本をおきめ願っておるわけで、その内容の技術的な問題であろうかと私どもは思っておりますが、どうせ世の中に公表して皆さんに見ていただくことでありますので、それを隠すというような気持ちはございませんし、必要な相談はする、それをお断わりするという理由も毛頭ございませんが、現在のところこのワク内で実施するために準備をいたしておる程度で、具体的な案というところまでまだ至っておりません。本委員会で措置法を通していただいて初めて私どもも本格的に組めるわけで、法律が通らぬ前からいろいろなことをするのも不謹慎かと思いまして、具体的な検討は今後にいたしたい、かように思っております。
#71
○阿部(助)委員 それは告示をすれば国民に隠したのじゃないからいいじゃないかという考えは、私はやはり間違いだと思います。それならば国会というところは、この前の小林さんじゃないけれども、ほんとうにこれはナンセンスになってしまう。私はこういう、特に税というものは法律できめていくべきものと考える。そうすれば、いまやるのは越権行為だからと言うけれども、こうしたいというその案くらいはこれに並行して審議の素材として提供するほうが、ほんとうに議会を尊重するやり方であると私は思うのです。国会が終わってしまえば――小林さんじゃないが、二カ月間とにかく、はしかみたいなもので、じっとがまんしておれば、あとは何をやってもいいんだというお考えなら、それはそれでわかりますけれども、私はそれでは国会軽視だと思うのです。それを出さないで、法律はこうやりました、輸出関係はこう減らしました、こう言っておる。そうして特別措置のほうは国会が終わって国会議員のわからないうちにやってしまう。告示したからいいじゃないかということは、あまりにも私は国会軽視だと思うので、ちょっとこの点は承諾をするわけにまいらぬのですが、これは政務次官いかがです。
#72
○中川政府委員 国会軽視を決してしておるわけではありませんで、従来のやり方もこういう形式をとっておりますし、この金額の範囲内においてという法律の御審議を願って御決定をいただきますならば、法律に従って、機械等が自動的にといいますか、技術的に出てくるところでございますので、早く出せるように努力はいたしたいと思いますが、その辺のところはしばらく御猶予のほどをお願い申し上げたいと存じます。
#73
○阿部(助)委員 私はそういうわけにはいかぬと思うのですね。この特別措置というものをこうやって時間をかけて論議をしておるのです。そうしてこっちのほうは手直しをしましたという。輸出関係は手直しをするという前宣伝はずいぶんやられておる。しかし、国民のほうはそうかと思っておれば、告示だけで特別償却をして税金がかからないようになっていく。しかもそれが国民全体ならば、大半ならば私はそれも百歩譲って認めるのでありますけれども、先ほど来申し上げておるように、これを活用しておるものはほとんど大半が百億以上、せいぜいが五十億以上の大企業だ。大企業がこの特別措置、こういうものを壟断しておるといっても過言ではない。そういうものを告示だけでおやりになるのでは国会の審議というのは全くしり抜けになるということで私はこの質問をしておるわけでありまして、皆さんがいま法律の通る前にきめることは越権だと言うならば、これと一緒に、こうしたいのだ、告示でこれこれはこうしたいのだという案をともに示して、国会の審議というものがもう少し実のあるような努力を大蔵当局もすることが私は国会尊重だ、国会の審議を実らせることだ、こう思うのでして、これを伏せておいて、これが終わったらかってにやりますというのでは、私は話は通らないと思うのですが、いかがです。
#74
○細見政府委員 歳入予算の説明の中にも提示しておりますように、企業体質の強化等といたしまして初年度で六十九億、平年度で百七十三億、そういうことでございまして、そのワクの中で特別償却を考えるわけでありますが、その特別償却の基本になりますのは合理化機械等の特別償却というような法律上の制度があるわけでございまして、そういう法律、あるいは中小企業用合理化機械等の特別償却、そういう制度としておきめ願っておる、その制度の運用ということになりますので、この金額がきまり、その行政官庁が判断をいたすべき基本の法律がきめられておるということであれば、これで十分御審議を願っておるということではないかといままで私どもは思っておるわけでございます。
#75
○阿部(助)委員 皆さんはこれで十分御審議を願う素材を提出した、こうおっしゃるのだけれども、一体われわれの委員会でそれがわかる人、何人おるのです。私は不敏にして存じませんです。
#76
○細見政府委員 合理化機械にどういうものが指定されておるかというのは、お手元へお配りしておる税法の中に、どういう業種とどういう機種を指定しておるかというのは全部お配りいたしてあるわけでございまして、そういう意味で十分に素材は差し上げておると私どもは思っておったわけでございます。
#77
○阿部(助)委員 それをもう一ぺん出してみてください。ちょっとそれを見せてください。
#78
○細見政府委員 いまお手元へお渡ししたようなことで、どういう業種、どういう機種というようなことは全部この国会でおきめ願っており、あるいは行政的にそれはどういうふうに内訳をつくっておるかというのもすべて明らかにいたしておるわけでございます。
#79
○阿部(助)委員 こういう法律がかかったときは、これは専門でなければなかなかわからぬのだから、もう少し親切に検討の素材を出すということぐらいのことはやったほうがいいと思うんですがね。
 それで、もう一つ資源開発の関係でありますが、海外投資損失準備金なんていうのは、大体これを活用しておる会社は何社あるのですか。
#80
○細見政府委員 海外投資損失準備金は、むしろ旧いままでは特定の後進国でございましたので。一番典型的なものはブラジルのウジミナスに投資された会社が活用しておられたのが一番顕著なもので、そのほかは東南アジアあるいはそのほかの国での石油関係の投資に使われておったものがあると思いますが、会社の数までは実は調べておりません。
#81
○阿部(助)委員 先ほど来皆さんのほうは、中小企業のことをどうだこうだ言いますけれども、大体いままでのこういう特別措置はほとんど大企業なんです。この損失準備金を活用しておる会社は、私の調べたところ二百六十五社しかない。まあ日本の法人約八十万と、こう大ざっぱにいわれるけれども、そのうち二百六十五社、これだけがこれを使っておるわけであります。こうやって見ますと、大体輸出関係であるとか大手であるとかというところにこれが集中しておる。いまのような税制面でこれだけの過保護をやっていったら、先ほど申し上げましたように、ほんとうに日本の海外進出はまことに目ざましい。アジアの諸国ですら日本の侵略だ、こう警戒の目を向けられておるわけでありまして、やはり税制面でこれだけ税の公平の原則というものを侵して保護をする、過保護に走るということには私は多くの疑問を持つわけでありまして、もう一ぺん検討を十分されまして、そしてその検討した資料をひとつわれわれ委員にもお配り願いたいのであります。特に私は前にも大蔵大臣に要請をしたのでありますが、検討する検討すると言うけれども、特別措置、一体ほんとうに検討しておるのかどうか疑問だ、こう言ったところが、税調のあれもあり、検討しております。じゃ、検討しておるならば、検討した資料はあるはずだと言ったら、あります。あるなら出せと、こう言った。ところが皆さんのほうは数字がないんだ。こういうことで、いままで見込みは出るのだけれども、実績は出していただいたことがないわけであります。実績のないところに見込みというのが立つのだろうかという疑問を私は持つわけであります。たとえば、いま出しにくいけれども、命ずるならば、税金の申告のときに項目別に、どの特別措置で幾ら取った、どれで幾ら取ったという形の資料は、どうせ大企業は公認会計士や専門の経理事務担当者がおるわけですから、それをやる気になれば、一年後、二年後には実績が出てくるはずなんです。それをあえて皆さんはおやりにならないで、見込みだけは出されるけれども、実績も出さないで、そうしてこの特別措置は検討しましたなんていうことは、これは通らないのじゃないか。もう一ぺんひとつ実績を出す努力を私はすべきだと思う。それは当然各会社は、自分の利益の中からどの特別措置でどれだけ取り、準備金でどれだけ取って、そして利益はどうだという計算の上で所得申告をしておるに違いないのですから、当然しておるのですから、そうしたら、その項目を命ずるならば、明らかにこれは実績が上がってくるはずなんです。これだけ長い間租税特別措置について批判を受け、いろいろな論議をするけれども、見込みは出てくるけれども実績が出ない。実績なしに見込みを出すなんというのは、まあ大蔵当局、神さまみたいなものかわからぬけれども、ちょっとわれわれには合点がいかないわけでありまして、これはこれからは努力のしかたを考えるならば、それくらいのことはできないはずがないのでありまして、その点は実績をつかむという努力は当然なさるのがほんとうだと思うのですが、それをおやりになる決意があるのかないのか、それをお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
#82
○細見政府委員 私どもも実績を知りたいのはその政策を立案するにあたりまして当然のことでございまして、その場合に、実績を知るために相手方にかけるめんどうと、私どものその実績を知って使える効用といったようなものとを比較勘案しなければならないとは思いますが、しかし、御指摘のように実績を把握するための努力というのは当然行政当局として続けていかなければならない、あるいはまた十分に努力しなければならない問題である、このように考えます。
#83
○毛利委員 長春日一幸君。
#84
○春日委員 私の持ち時間三十分ですから、質問も簡単、答弁も簡単に頼みます。
 いま阿部君の質疑応答の中で、気にかかるのですけれども、とにかく国会の意思に基づいて行政を行なう、もう当然の事柄だと思うのです。そこで、去年の四月十七日のこの法案が成立するときの附帯決議、これはごらんのとおりだと思うのですが、特にこの第一項目については、所得税負担の軽減合理化をせよ、これを決議し、その提案理由の説明の中で、この第一項目の趣旨とは何ぞやと、この内容がここに明記してあるわけであります。この中には部分的に取り上げられた部分もありますけれども、しかしなおサイレントになっておるのが相当ございます。未成年勤労者の控除の創設、それから独身者の負担の軽減、それから住宅控除及び教育費控除の創設、さらには個人事業所得についての勤労所得部分の控除、こういうものが第一項の趣旨だと書いてありまして、その第一項ではこういうような負担の軽減合理化することのために努力せよと、こういうふうに院の意思は決定をして、政府にそのことを申し渡しておるわけでございます。いま阿部君の質問に答えて細見君は、国会の意思に基づいて行政を行なっていくと、こう答えられておるが、ならば、どういうわけでこういう問題がなお実現を見ないのであるか。この点についてお伺いをいたしたい。
#85
○細見政府委員 いろいろいま御指摘の点につきましては、税制調査会にもはかり、われわれ部内におきましても十分検討いたしたのでございますが、私どもの考えでは、それらの措置はこの際は取り入れないほうがいい、適当であると考えたわけでございます。
#86
○春日委員 私はおかしいと思うのですよね。各党が意思を固めて、しかも院の決議としてこれこれのことをやれ、こういうぐあいにこれを政府に申し渡しておるのですよ。だのに、政府がそれに対してそういうふうにしないほうがいいと思うというのはどういうわけですか。
#87
○細見政府委員 私どもは各党の御趣旨として承りましたものは、ここにございますように、所得税につきましては、「今後においても、所得、物価水準の推移等に即応して、所得税の負担の軽減合理化」、その中としては、「給与所得者のその他の所得の確定申告不要限度の引上げ等」とありまして、それに「努力すべきである。」こういうものとして私どもは受け取っておるわけでありまして、いま春日委員のおっしゃったような点につきましては、いろいろ論議はございましたが、それがこの国会の御意思としては必ずしも受け取っておらないというわけでございます。
#88
○春日委員 そのことだけにこだわっておりましたら質問が前へ進みませんけれども、各党の合致した意見についてはおおむねこれを取り上げておると言われておりますけれども、高橋清一郎君が提案説明の中で第一項目の中身はこれだと言っておるのでございまして、なおその委員会においては、それらいろいろ列挙されておりまする特別措置の問題については、これは反対だとかなんとかいうことはないわけです。おおむね各党の意見合致したからこういうような附帯決議がなされておることにかんがみまして、やれるものならやるし、やれないものはやめておく、そうしてそのことによって減収を大きくもたらすようなものはなるべくさわらないようにするというようなことでは、国会論議が空転してしまう。いま阿部君が言っておるように、野党の言うておることはそんなものは雑音みたいなものだという、まさに小林イズムそのものを細見君も踏襲するみたいなことで、こういうことは私はよろしくないと思うのですよ。われわれが貴重な意見をさまざま国民世論を代表してここで論じ、せっかく苦労して附帯決議に取り上げられたような問題については、これはやはり国権の最高の機関の意思として、行政府はすなおにそれを受けて施策を講ずべきであると思う。しかしそのことを言っておってもなんでございますから、じゃあ一つ一つ具体的に項目をあげて今後の所見をただしたいと思います。
 で、教育費控除の問題ですけれども、やはり教育国家を建設しようという大理想、これを実現するためには国家的規模で子弟の教育を推進すべきである。当面教育費が非常に増高しておるから、部分的に年額五万円程度はこういう控除制度を設けるべきである、こういうことを先国会以来強調してまいったところですが、これが今度取り上げられなかった理由はどうか、将来どうするつもりか、御答弁願います。
#89
○細見政府委員 教育費控除につきましては、教育の、何といいますか、普及をはかるためには、教育の機会均等という形でだれでもが教育を受けれるような教育施設の拡充をはかるのが本筋でございまして、教育費控除ということになりますと、一定の所得限度以上の納税者の方だけについて教育費が控除される。そういう納税者でない方についての問題があるだけでなくて、私どもは教育費というものはやはり扶養家族の扶養手当の増額というような形で対処していくべき問題であって、やはり所得税におきまして個々に控除できる項目にもおのずから限度があって、やはりそういう一般的な控除で対処していくのがいいだろうということで、御承知のようにここ数年の改正におきましては、基礎控除の引き上げ額の倍額を引き上げてきたというようないきさつもあるのは、その教育費控除にこたえたつもりであったわけでございます。
#90
○春日委員 そういうような均衡の関係がどうなるかは詳しいデータを見なければわかりませんけれども、しかしその政策大綱から判断しまして、教育国家を建設しよう、教育費がいま相当かさんでおるのだ、なかなかえらい、だから税金の面からこれについて合理化をしていこうというような常識論は、実際、案外科学的基礎も踏まえておると思うのですよ。だから所得税を納める人が相当増加しておるのだというようなことが単なる歯どめの役割りを果たして、実際的にはそれがどういうふうになっておるかという問題について一ぺん私どもはあらためて判断をし直すように、所得税を納めていない人がその子弟に対しでどういう教育費を払っておるか、こういう問題をひとつ資料として出していただきたい。だとすればわれわれもその見地から判断をし直してみたいと思います。
 次は未成年者控除の問題ですけれども、これまた昨年論じたところでございますが、進学しないで就業しておる未成年者、これらの諸君が税金を納めておる。東大なんかは一年間でとにかく百何万の国の費用が教育費にかかっておる。アンバランスにならないか。そういうような学校へも行かないで勤労に携わり、かつ税金を納めておる諸君については、必ずしも学校そのものでなくても、本を買って独習したりあるいは他の機関によって勉学をするというような方法もあろうし、そのためにはそれに要する費用もかかろう。そういうような費用を考慮する意味で、その未成年者に対して特別の控除の制度を設けるということは非常に心あたたまる施策ではないか。こういうことでこれまた数年来強調されておるところですが、あえてこれを、昨年度の附帯決議にもかかわらずオミットしたのはどういうわけか。将来どういう考慮の上にのぼされておるか、これを伺います。
#91
○細見政府委員 所得税といたしましては、未成年者であるとかないとかということでなくて、基本的には所得の大小で判断すべきだと思います。これはやや書生論にわたりますのでそのようなことを繰り返すつもりはございませんが、今後の方向といたしましては、やはりそういう未成年の人たちまでが所得税を納めなくてもいいような形で、一般的に控除あるいは給与所得控除といったようなものの引き上げで対処していくのが筋ではなかろうか。一般の未成年者――特殊の未成年者には御承知のようにあるわけでございますから、そういう子弟を除きまして、一般的にそういう方向で対処していくべきではなかろうかと考えております。
#92
○春日委員 これはあくまで主観と独断によって、何と言っても一聞く耳持たぬということであれば、石壁に向かって演説をやっているようなもので全く意味のないことなのでありますけれども、そういうような悪平等の観念で何もかもやってしまうということになれば、政治なんというものはあってもなくてもいいということになるのですよ。実際問題として未成年者の諸君が学校にも行かない。学校に行く連中は国の費用を大きくむさぼって、とにかくああいうフェーバーを受けておる。片っ方の連中は税金を納めておる。そのアンバランスを何らかの形で均衡をはかる。そういう未成年者の諸君が他の方法によって、学校に行かざる方法によってみずから教育を身につけていく、そのためには費用がかかるだろう。費用のかかる分を税金で見てやるということは好ましい、合理的だと思うのですよ。この点についても一同じことを言っていないで、細見さん、そうして中川君も、この点についてはあなたなんか賛成だと思うのだ。だからそういう意味でもう少し心あたたかくして――それは細見さんは調査査察部長だった経験があまり多いので、残酷無類なことについてはなれておられると思うのだけれども、しかし心のあったかい、やさしい方向にもアプローチされるようにぼくはアドバイスしておきます。
 次に通勤費控除はどうなっておりますか。給与所得の計算上やはり通勤費は全額控除するようにしてはどうか。これは現在住宅事情がいろいろと複雑多岐にまたがっております。こういうような事情から実費は弁償する。本人がそれによって得をするのじゃないのだからという意味で全額控除すべきである。現在の通勤事情、住宅事情、あるいは産業構成上の実態に即してこういう要望が多いのだが、これはなぜやりませんか。
#93
○細見政府委員 通勤費につきましては、おおむねの給与の形態が通勤費の実費を支給しておられる企業が多いというわけで、それに対応いたしまして、人事院の勧告によりまして標準的な金額であると思われるものまでを非課税にいたしておるわけでありまして、現在非課税の範囲で、東京で申しますれば小田原あたりから通勤しても一通勤費は課税にならないというわけでございますので、特殊な人を除きおおむね通勤費は非課税になっておる、かように私どもは考えておるわけでございます。
#94
○春日委員 実害がないならば、問題は制度の問題なんですよ。実際問題として実害がないならば制度に踏み切ったってかまわないわけであって、通勤することによって所得が発生するのですから、その所得を得るに必要なそういう実費は制度として控除されてしかるべきだと思うので、御検討願いたい。中川次官、これはわかるでしょう。
 それから家賃控除の問題。今度は住宅貯蓄控除の問題について若干の措置がとられましたが、家賃控除ですね。われわれの主張は年所得二百万円以下の者に対しては十二万円を限度とする家賃控除の制度を設けろ、これを言っておるわけなんでございます。だからぜいたくな住宅についてというわけではなくして、家賃というものです。これは生活する上において原始的な経費でございます。しかもそれも一月額一万円、年額十二万円という程度のことならば、これは最小必要なる実費なんです。これを控除するということは私は当然客観的に妥当性を持つ要請だと思うのですが、これはどうですか。
#95
○細見政府委員 住宅の問題は基本的にいわば生活の衣食住と申しますか、三大要素の一つでございますので、これは当然基礎控除というようなもので配慮しなければならない分野にわたっておる。いま春日先生のお話しの家賃がかなり高いというような要請も踏まえまして、今後も基礎控除等の引き上げについては、物価などの情勢を見ながら努力していかなければならないというのは、この委員会におきましても大蔵大臣がしばしば言明いたしておるところでございます。
#96
○春日委員 家賃控除ですよ。
#97
○細見政府委員 そういう意味で基礎控除の中においてこの問題を処理していきたい、こういうわけでございます。
#98
○春日委員 基礎控除の中にこれを包含するか、家賃控除という項目を設けるかの問題ですけれども、実際問題としてこういう個性のある経費については、やはりそういうような独立項目を設けることが好ましいと思うのですよ。これは他の税法上のいろいろの均衡論等もありますけれども、説明がつきやすいと思うので、ぜひともそういう点については、基礎控除の中にこれを包含して処理しているのだということではなしに、できるだけ細分的にこれを明示されたほうが私は納得を得る上においても客観性を持つと思う。御検討願いたい。
 次は事業主給与制度の確立の問題、これはもう私どもが十年来主張してまいった問題でございまして、これにこたえると称して青色事業主特別経費準備金制度が設けられたというのでございまするが、これは必ずしもその理論にこたえた対応策とは受け取りがたいと思うのでございます。われわれが主張しておりまするのは、まあ細見さんは御理解願っておると思うのだが、所得の種類の中では、日本の税体系はこれをわずか二つにしか分類してはいない。すなわち給与所得と資産所得としか分けていない。その二つのものに対して税の体系が組まれておる。ところが現実の所得の中には資産所得と給与所得の合算所得というものがあるんだ。中小企業がそれに該当するであろう。だから中小企業の所得というものは、おやじが働いた所得とそれからまた経営者自体が出資しておりまする資産関係から発生する所得がある。だからおやじの働いたいわゆる勤労の対価として発生したとおぼしき所得、これをどうとらえるか。この間社会党の赤松君の質問に答えられてはおりますけれども、法人にも擬制説、実在説というものがあって、経営者が本人に給与を払うことはおかしいとかどうとかという疑義も、こういうような擬制説を援用してまいれば説明がつかないことはないと思う。なおボーダーラインがどこまでか、勤労の対価がどれ以上のものか、資産から発生した所得か、分別しがたいというのですけれども、これも所得の最高限度額を押えてまいりますれば大体のバロメーターは設定することができると思うのですよ。だから、今度の青色事業主特別経費準備金制度というものはなるほど経営者自体に対する若干のフェーバーにはなるけれども、税の体系の問題としてこれを正すとかあるいは矛盾を是正するとかいう答えにはならないと思うのですよ。だからこれは引き続いて御検討を願うべきではないかと思うがいかがですか。将来の方向。
#99
○細見政府委員 私どもの考えでは、事業主控除という考え方はやはりいま税制としてなじみにくいのじゃないか。むしろ、いま春日先生がおっしゃいましたが、事業所得という概念は資産と個人の才覚と勤労というものによってでき上がっておる所得であって、そういうものが事業所得である。私どもは、それも一つの所得のカテゴリーとしてでき上がっておるのではないか、かように考えており、またそういうカテゴリーに組み立てるのが適当ではないかというふうに考えておりますが、しかし青色申告の問題あるいは個人の事業所得者の負担の軽減の問題、これらについては考え得るいろいろな施策について弾力的に御意見を聞いてまいらなければならない、かように思っております。
#100
○春日委員 この問題は昨年税制調査会長との間に応酬がありまして、あなたも聞いておっていただいたと思うのですが、税制調査会においても建設的に検討したいということでした。私は現在の所得の種類、カテゴリーを給与所得と資産所得の二つだけに分けておるのは実態に即しない。ここにこの理論の根源があるわけでございますから、ならば租税実態主義という至上命令からいきますれば、実態に即しないような税制のあり方は是正してしかるべきである。是正しなければならぬこと論をまたざるところです。これは十分ひとつ御配慮願って一いろいろむずかしいことはわかります。答弁書を見ました。なるほどお互いにむずかしいと思うが、しかしむずかしいからこそ研究してやらなければ国民の非難というもの、当事者たちの要請というものはいつまでたったってやみませんから、この点は十分御留意を願いたい。
 それから次は、退職所得の特別控除額の引き上げという問題なのですけれども、これは五百万円に引き上げることをめどにして、勤続年数に応じて控除額を一年二十五万円程度、こういうふうにしようということはかねてわれわれが主張したところなんでございますね。これは老後の生活保障等のための最終所得であるという、このことにかんがみまして、現在のこの制度というものは必ずしも退職所得の性格に合致したものとは言いがたい。この点は将来改善、改革する意思はございませんか。
#101
○細見政府委員 退職給与額の支給の状況、物価その他の状況を見まして、所得税の負担の軽減がはかられると同様の意味において今後この制度についても軽減を考えていかなければならないのじゃないかと思います。
#102
○春日委員 善処を求めます。
 それから今度は法人税関係のほうについてでございますが、いま二年間の特別時限立法として三六・七五%というのでございまするが、これはやはり大法人に対する税の負担が諸外国の例に比べて非常に安過ぎるのではないかと思うのでございます。こういうような立場から、この問題についてはやはりすみやかに三八%の基本税率に復元すべきものである。日本の経済もだんだんと好転しておりますし、諸外国の税率も調べてみると四十何%というのが多いようでございますから、三八%程度の基本税率に復元するということは、負担の均衡をはかる意味においても、担税力の強い者に重い税金を持ってもらうということはいいと思う。同時に、それに並行して若干段階制を設けて、担税力の弱い中小法人に対しては二段階あるいは三段階の軽減税率をかけていく、これが実態に即した課税のしかたではないかと思うが、これはどうでございますか。
#103
○細見政府委員 法人税につきましては、法人税そのものをどういうふうに観念するか、どういうふうに構成するかという問題も含めまして、その負担のあり方につきまして今後十分検討してまいらなければならない、かように思っております。
#104
○春日委員 それから同族会社の留保所得課税の廃止の問題、これまた歴史的な課題なんでございますが、この同族会社の留保所得課税、これは大企業にはかかっていないわけでございますね。そういうようなわけですから、何といってもこの中小企業の内部留保ということは、資本充実、こういう他の中小企業政策というか、大きくは経済政策そのものから考えて推進をすべき課題だと思うわけでございます。現在二百万円までというマキシマムの設定は、現状に即して何としてもこれは低過ぎやしないか。かつて山中君が次官のときだったが、いっそ六百万円までくらい引き上げたほうが現在の経済実勢に見合う形にならないかと話し合ったことがございましたけれども、今日こういう状態になっております。中小企業者は何としても内部留保を充実したい、そうして自分の資本力を強めたい、こういう意味でこの問題を強く要請しておりますが、何とかこの六百万円までに引き上げるというような方向、これはひとつ大いに検討を要する問題だと思いますし、全国の中小企業法人、同族法人が特に切望してやまないところだが、いかがでございますか。
#105
○細見政府委員 昨年この措置につきましては引き上げを行なったわけでございますし、これらの適用になっておる法人は中小企業法人の中の非常に一部分でございます。それらの点もあわせて負担の公平という面からは十分検討しなければならない問題であろうと思います。
#106
○春日委員 前向きの形で、これは要望でございますから、国民世論にこたえていただく。大企業の配当しないところの留保部分が非課税措置であることにかんがみて、いまやこの制度というものの改善、改革は非常な焦眉の急にあるように思います。
 次は、金融業の貸倒引当金の積立率というものを引き下げてみたらどうか、この問題なんでございます。いま貸倒引当金というようなものは相当の額になっておると思います。金融業の場合、その積立率は貸し金残高の一・五%となっておる。ところが銀行の場合、実際に回収不能になる貸し出し金は貸し出し総額の約〇・一%ときわめて少ない。これは担保設定その他の関係等があって、債権保全の道が十全の措置がとられておるからだと思うのでございます。だから積立金の大部分は無税の内部留保になっておるというのが現状でございましょう。したがいまして、この引当金は金融機関の過大な利益蓄積の手段となっておって、制度の本来の趣旨、すなわち貸し倒れをカバーするというその任務を背負うものではない。むしろ逸脱をしておる、あるいは過保護になっておる。だから、こういう理由で現行の積立金率の一・五%というものを、うんと大幅に引き下げる必要はないと思うが、実態に即してそうして負担の均衡をはかる。大いなる担税力を持つものにこういうような特別の措置を講じて、その税金をことさらにまけなければならぬ積極的理由はないし、政策的理由もない。実態は貸し倒れは〇・一%でしょう。そういうことから考えて、いまの一・五%というものは多過ぎると思うが、どうですか。
#107
○細見政府委員 この問題につきましては、いろいろの御批判がございますので、明年度の改正にあたりましては何らかの成案を得る方向で、御趣旨のようなことも体しまして検討いたしてまいりたいと思います。
#108
○春日委員 時間が来てしまったから、じゃもう一つだけ。
 酒の醸造業について、いまああいうような生産カルテル、不況カルテル、いろんな特別措置がとられておるわけなんでございますが、そのために相当の国の助成もなされておるのが現状でございます。しかし現実にはどんどんと零細企業というものは立ち行かなくなってしまっている。あるものは破産、倒産、あるものはかろうじて余命をつないでおるとはいいながらおけ売りに転落してしまっておる、こういう現状。これは局長御承知のとおりであろうと思うのでございますね。私は、やはり日本には中小企業政策という政策の柱もあることにかんがみて、これら中小醸造業者が存立し得る、こういう基礎を固めてやる必要があるのではないか。それはどういうような方法があり得るかということになると、今度のいまやっておりまする構造改善事業といったところで、あのような構造改善事業をやりながらも中小酒造業者がどんどんつぶれていくのでございますから、私は必ずしもそれがきめ手にならぬと思う。わけても昭和四十九年にはこういうようなものが全部廃止されて、ことごとくフリーになってしまうから、なおさらビールのように酒の醸造業も寡占の方向へ直進していくということが考えられる。
 これを何とかしてささえる方法はないかということになりますると、私はやはり税率によって何らかの措置をとるしかないのではないか、こういうことにならざるを得ないと思うのでございますね。政府において調査されておりまするように、また先般来本委員会でもわれわれが論じておりまするように、造石高の高いものは大量生産だからコストが安い、造石高の少ないものは少量生産だからコストが高い。高いものには安い税率、安いコストのものには高い税率ということで、蔵出しをするときの税込みの価格というものがおおむね一つのラインに立ち得る、こういう体制をつくれば、その小規模醸造業者も大規模に太刀打ちして、公正なる競争の条件を政策的にカバーしてもらうというか、サポートしてもらうということができると思うのでございますよ。このことは、ぼくは何も日本独自の、あるいはわれわれの独創的な着想でもなく、現にヨーロッパ諸地域で、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、西ドイツもやっておる、イギリスもやっておると思うのでございますね。そして五十人、百人というような小規模のビール醸造業者もあそこで存立でき得るという実態がそれを立証している。日本ではビール会社の中小企業はない。それと同じように、私は、あと十年もすれば結局寡占によって、小企業の醸造業者はことごとく併呑されるか、みずから併置するか、どちらかだと思う。いまにして中小醸造業者の存立をささえ、かつ今後の経営は、その製品に個性、特性を持たして、そうして大企業との間の競争条件を確保できる体制をつくってやるためには、そのような税率に造石税の立場において何らかの格差をつけて、そうして政策的に競争ができるようにしてやる必要があるのではないか。そのことがなければビールと同じように酒もなっていってしまうのではないかと思うのでございますが、この問題についていかがでございましょうか。
#109
○細見政府委員 確かにドイツとかあるいは北欧諸国におきます酒の税金のかけ方については、御指摘のようなやり方をいたしているわけであります。ただ日本にそのまま持ってくるということになりますと、現在の酒税法あるいは間接税の全体の立て方とかなり根本的に違う面がございますので、相当慎重な検討はいたさなければならないと思いますが、日本の酒造業界がいろいろな意味で大きな試練にだんだん遭遇してくるだろうということは御指摘のとおりでございまして、考え得るあらゆる方策について十分勉強しなければならぬ、かように思っております。
#110
○春日委員 およそ寡占の弊害は、ビールばかりではなくて、あるいはテレビばかりではなくて、寡占ということになれば価格は寡占価格になってまいります。そして自由にして公正な競争の原理というものは阻害されてくるんでございますね。ですから、そういう寡占状態になっているものを、これを何らかの措置をとって解決しなければならないと思います。なるおそれのあるものは、予防措置、事前措置によって、そのような寡占事態を発生させないように調整する必要があると思うんでございますね。だから、そういう意味で酒の醸造業界からも自主的な要望があるでございましょうが、ともすれば、その要望というものは、大企業の発言力というものが非常に大きな影響力を持つことにかんがみまして、いずれにしても国会としてもある程度の政策のリーダーシップを持つ必要があると思う。十分御検討願って、こういう問題についても前向きの御検討が願いたい。なお、藤井代表理事は、私のアイデアに対してスプレンディッドアイデアと申しておりましたから、このこともあわせてもって各党の御検討をお願いいたしたい。
 以上をもって私の質問を終わります。
#111
○毛利委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時三十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時五分開議
#112
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。堀昌雄君。
#113
○堀委員 きょうは税制上の問題でありますけれども、ちょっとやや角度の違うことをひとつ論議をしておきたいと思います。
 税というものは本来きわめて形式的に処理されるという仕組みになっておるわけでありますけれども、その形式的な処理ということが実体との間で、国民常識的に見てきわめて不当と感じられるような問題が最近生じておるわけであります。
 この問題は、東京都周辺その他の新しく開発が行なわれておる地域で現在起きておる問題でありますけれども、耕作者がある地域に自分の耕作地を持っておる。たまたまその町なり村に新しく企業が進出をして――それは企業であるかないかは別でありますが、まあ私が承知をしておる案件は企業の例でありますけれども、企業がそこに進出をしてくる、その周辺の土地はおおむね話し合いによって買収ができたけれども、その予定をされた地域内に耕作者でその土地を手放す意思のない耕作者がいる、こういう場合があると思います。その耕作地を手放したくない耕作者というのは、なお耕作を継続したい、農業を継続したいということで耕作地を手放す意思がない。こうなりますと、いまの当該進出企業にすれば、かなり広い面積の中のある一部が買収できないために実はそこに工場なりその他を建設することができない、こういう事態が起きておるようであります。このことは特例のことではなくて、一般的に十分起こり得る現在の状況だと考えるわけであります。その耕作者がしかしがんばっておるのでは、いかようにも問題は解決をしない。私が聞いております例では、その町があっせんをしてその土地を会社側に売らせる、ただしその土地と同じ条件の土地を会社側があっせんをしてその耕作者に与えるということで話し合いがついて処理が済んだ。耕作者にすれば、自分が耕作をしておった土地をどうしてもそういうことで町のあっせんで企業に譲り渡して今度は新しい土地を取得したけれども、それはこれまでの耕作地と同じ条件であるということであれば、この間に耕作者の側にすれば売買をしたという意識はなくて、まさに交換をしたという認識の上に立っておると思うのであります。ところがそれがある時間たった後に、これは譲渡所得税がかかるんだ、こういうことで、農民にすれば金を一円ももらったわけでもないし、本来土地が交換をされて、自分は耕作をしている限りにおいては何らそういう経済的利益を受け取っていないにもかかわらず、経済的利益が生じたとみなして課税されておるということについては、強い不満が起きておるという例があるわけであります。
 これはいま私が申し上げたように、現在の首都圏のようなところではかなり起き得る問題だと私は思うのであります。確かに税の立場から見れば、明らかにその耕作者はその会社に土地を売り払い、一応形式的には対価を得たことにして、その得た対価をもって会社側が提供した土地を買ったのだ、こういう解釈が実は税法上はされておると思うのでありますけれども、現実の問題としては、耕作者側としてはきわめて常識的な感じとして、そういうことで税がかかるということは承知していないものでありますから、不当な課税が行なわれておるという感じを持っておるという案件があるわけであります。これは確かに税法としては、そういう新たに生じた所得を把握するということに瑕疵なきために、形式的にかなり広い範囲にわたって網がかぶせられて譲渡所得というものが発生するのだ、こういう考えに立っておると思いますけれども、実際にそういう実体経済上、譲渡所得が発生をしていないという場合に、なおかつ形式的処理で譲渡所得ありとみなして課税をしておるという問題は、これは私はやはり税法としての一つの盲点だというふうに考えるのでありますけれども、政務次官、これについてはどのようにお考えか、ちょっとお答えをいただきたいのです。
#114
○細見政府委員 税制の一番むずかしいところを突っ込んだ御質問でございますので私からお答え申し上げたいと思いますが、いまのような事例をとりまして、税はすぐれてバランスをとらなければいかぬわけでありますが、同じような土地を同じ状態でその工場主に売ったといたしますと、その土地を売ってやはりそれぞれの人が生業を持たなければならないので、それによってたとえば機械を買ったりあるいは建物に投資したりする方は、やはり税金のかかった、縮減した形で再投資ができるわけでございます。この場合におきましても、たまたま農業の農地という形でございますので、いま堀委員の御指摘のような面がわりあい強く出てまいりますが、同時に現金で売った人も同じくやはり税負担をして、再投資のときには税負担は減ったというその方とのバランスをどう見るかというあたり、なかなかむずかしいところであろうと思います。
#115
○堀委員 いまの話は私は、税制の問題としては確かに耕作地の問題であろうとなかろうと、単に土地であろうと、何でも同じだ、こういうことになると思います。ただ、いまの問題というのは、この間から農地の問題、いよいよ解決がついたようでありますが、やはり農地の問題というのは少し特殊性があると思うのです。その他の土地と違って、特にこの間から案件になっておる土地は耕作されている土地とされてない土地の問題ですけれども、この話は耕作をしておる土地の問題なんですね。ですから、耕作をしておる農地を大体工場が買い取ること自体には、私は農地法上本来問題が少しあるのではないか、農地法の面に問題があるのじゃないかと思うのですが、それは当委員会の課題ではありませんから、そこのところはどういう経過になったか知らないけれども、要するに工場用地に転換される。転換されるということについては、しかしその耕作者は依然として耕作を続けたいということでその他の土地を要求して、本人は交換されたと思っておるわけですね。ところが、実際は交換なんだけれども、形式は実はいま前段で私が申したように、課税の方法としては一回譲渡して、その譲渡してきた対価によってその他の土地を買ったのだ。こういう実は架空の認識をして、そういう、言うならば架空の認識の上における課税が起こるというところに、国民感情的にいって非常にこれは実は問題が残っておると思うのです。確かにいまの所得税法ならば、それがそういう形でなくて、交換のあっせんだけということになれば済むわけだけれども、もしかりにここで交換のあっせんをしたとしても、今度はその先がまた問題になってくるわけですね。だから農地に関しては、特に耕作しておる農地に関しては何らかの配慮があって相当ではないかと思うのです。だから、このことは税法技術の問題としてはやや問題の処理がむずかしいのですが、やはり政治的な課題の問題ではないか、こういうところこそ政治的課題ではないかと思うのですが、政府次官、その点についていかがでしょうか。
#116
○中川政府委員 御指摘の点、税法上からは先ほど局長が答弁いたしましたように、譲渡のあるところ課税をされる。課税をされる結果、再投資の場合、ほかのものをやる場合あるいは農地そのままをやる場合、いずれにしても縮小されるのが税法上のたてまえです。ところがいま御指摘のように、何にも変わらない。農地を売ってまた同じだけの農地を取得したということからすれば、そこに増加所得というものは一つもない、同じ形のものである。そこへ税金がかかる、譲渡税がかかるということについて疑問を持つのはこれまた当然だと思うわけです。しかし先ほど申し上げたように税法上はむずかしい。そこで政治的配慮として、今後農地の工場化あるいは都市化、住宅化、いろいろと土地政策上そういうことを促進しなければならぬという面も考えなければいけないということでありますれば、どうその二つの矛盾する面をバランスをとって合理的なあり方があるかについて、今後ひとつ研究課題として預けさしていただきたい。いま結論を出すのにはちょっと税法上からいって問題があるのじゃないか、またノーと言える性質のものでもないのじゃないかという意味で、しばらく検討さしていただきたいと思います。
#117
○堀委員 実は御承知のように居住用の不動産については買いかえを認めるという時代もあったわけですし、やはり政策上の問題としては、いまの問題というのは今後にまだまだそういう当該事案が発生する可能性というものはかなりあると思います。そうしてもしそれが事実そういうことで課税がされておるということで非常に問題がクローズアップされますと、今度は逆にそれではがんばって売らないほうがいい、こういうことが起きてきて、いま政務次官のお話しのように、土地利用の効率化という点にマイナスになる面も十分出てくるおそれがある。私はこういうふうに考えますので、ひとついま政務次官の御答弁のように、そういう現実の政策上の問題を踏まえ、またそういう耕作農民の立場、そういう素朴な感情といいますか、感覚といいますか、こういうものを十分配慮をされて、何らかの救済の措置がとられるようにひとつ検討されることを要望いたしまして、私の質問を終わります。
#118
○毛利委員長 広瀬君。
#119
○広瀬(秀)委員 租税特別措置の関係について、ほかの委員の触れられなかった問題を補充的に質問をしたいのです。
 まず最初に、農林業対策としていろいろ出ておるわけですが、その中で植林費の特別控除制度、これについてちょっとお聞きをいたしたいのですが、「一定の樹齢に達した山林を伐採または譲渡した場合に、通常の必要経費のほかに特別の控除を認める」こういうことになっておりまして、四十五年度分については山林一ヘクタール当たり十二万円、こういうものを認めようというわけでありますが、山林の伐採及び、これは植林を容易にする観点から、「大蔵大臣の定める再植林費を特別に控除する制度」だとされておるわけなんですが、山林所得についてはすでにもう所得税法において非常に――植栽してから伐採するまで、そして所得が得られるまでかなり長期の年限がかかるということから、五分五乗方式、しかも分離というような、きわめて優遇措置がとられておるわけなんです。しかもこの特別控除をいたしましても、それがほんとうに一体植林に充てられるかどうかというようなことも必ずしもきっちり確認されない。しかし一定の樹齢に達した――針葉樹の場合は十五年以上だというのでありますが、それでかなりの大きな所得を得ておっても、その中から必要経費以外に特別の控除をする。一ヘクタール十二万円の控除をしよう、こういうことはまさにこれは過保護に過ぎるのではないか。しかも植林を促進するという目的なのでありますが、必ずしもそれが植林をされたかどうかということが確認をされない場合が多いのではないか、こういうように思うのでありますが、その辺のところを主税当局の御見解をお聞きしたいと思うわけなんてす。
#120
○細見政府委員 この制度につきましては、まさにいま御指摘のような御批判があり、一方森林法が四十三年に改正になりまして、それぞれの施業主が一定の森林施業計画をもちまして適正な森林計画造林を行なっていくということになったわけであります。したがいまして、森林の重要性につきましてはいまさら言うまでもないことでありますが、しかもその森林がより計画的に行なわれ、しかもその実施が担保されるという、その施業計画に従った森林のほうが森林政策としては望ましい、このほうをむしろ政策のあり方としても推進していこうというようなことで、ことしの改正におきまして御存じのとおりこの条項は落としまして、ただ一方で森林所得につきまして控除される金額が三十万から四十万に引き上げられましたことに伴いまして、かなり負担は軽減されておるとは思いますが、一挙にこれを廃止するということにつきましては、激変緩和という配慮も要ろうかということで、一年間だけ附則のほうにおきまして延長いたすことにしておりますが、制度としてはこれを廃止した、こういうわけであります。
#121
○広瀬(秀)委員 そうしますと、これはもう附則に移して、ことし、昭和四十五年度だけということで、四十六年度はないということでございますかどうか。四十六年度の一年だけで、それから先は完全に打ち切る、こういうことでございますか。
#122
○細見政府委員 この制度、附則で四十七年十二月三十一日まで延ばすことにいたしたわけで、現行が四十六年末までになっておるわけでございますから、一年間だけ延長いたす。所得税でございますから、年計画でございますからそういうふうにいたしておるというわけでございます。
#123
○広瀬(秀)委員 それはそれで、こういった過保護が、しかも必ずしも植林のインセンティブを与えるということに結びつかない。伐採したときに必要経費のほかに一ヘクタール当たりで十二万円の特別控除を認めるという、これは実に過保護であったというわけで、その点を反省されて、絶対延長することはやらないということでありますから、その点はけっこうであります。
 それから森林計画特別控除、これはいま前段に説明があったように、明確な「施業計画に基づいて山林の伐採または譲渡をした場合」こういうことになっておるわけであります。その際に「収入金額の二〇%相当額を、通常の必要経費のほかに特別に控除する。」この二〇%というのは、説明によれば「伐採の平準化」ということだというのでありますが、伐採のあとのいわゆる植えつけ植林、こういうものについてもやはりインゼンティブをこの面で与えていくのだ、こういうことがねらいの法案でございますか。
#124
○細見政府委員 御指摘のとおりでございます。
#125
○広瀬(秀)委員 林野庁は、森林計画特別控除制度、こういうようなものがいま租税特別措置として、特に森林施業計画に基づいての山林の伐採あるいは譲渡というようなものに対して特別控除を二〇%、一般経費のほかに認める、こういう控除を認めることになっているわけですが、このことによってどういう政策効果というものが期せられるのか。こういうものをやらなければ、やはり新しく施業計画を立てて伐採、それに続く植林ということがなされない今日の状況なのかどうか、この点について現状をお伺いいたしておきます。
#126
○小笠原説明員 お答え申し上げます。
 昭和四十三年の森林法改正の際に、森林計画の認定制度というものを始めたわけでございますが、その際に、あわせましていまお話に出ました森林計画特別控除制度、これによる恩典も付与いたしまして、計画的な伐採、それからそのあと引き続きまして計画的な植栽、こういうものを推進いたしているわけでございます。まだ始まりましてから三年目でございまして、現在それに基づきまして認定を受けまして計画的に植伐をやっております民有林面積はわが国の全体の民有林の一割程度でございますが、これを今後十カ年間に七、八割程度まで伸ばしていきたいということで計画を進めております。
#127
○広瀬(秀)委員 森林施業計画をちゃんとつくって認定を受けて、こういう政策上の恩典を受けるというようなものが、四十五年度でも四十四年度でもけっこうですが、どのくらいあったのか。どのくらいの山林所得者の数がこれに該当するような形で施業計画をちゃんとつくっておるのか。そしてどの程度それが認定されておるのか。この辺の数字をひとつ。
#128
○小笠原説明員 十カ年計画の年次計画で、昭和四十三年度から十年間に民有林おおむね一千万ヘクタール、これを認定制に乗せてまいりたいということで、年平均いたしまして八十万から百万ヘクタールの認定を促進するという目標がございます。これに対しまして初年度の昭和四十三年度、昭和四十四年度、二カ年間合わせまして面積で約百六十万ヘクタール、おおむね当初二カ年間で所期の目的に近い線を達成していく結果に相なっております。
#129
○広瀬(秀)委員 該当者の数は……。
#130
○小笠原説明員 数につきましては、まだ分析調査、そこまでいっておりませんで、現在面積について集計をいたしております。
#131
○広瀬(秀)委員 どうもその辺のところがおかしいので、面積の集計ができるならばどれくらいの――森林施業計画を個人で立てるという人はそう数は多くないと思うのですね。面積もかなり広大なものを持っている人たちだろうと思うのです。施業計画を立て、ことしはここを伐採して、次の年には植栽、そこについてどれだけ植えるんだというようなことで、順々に伐採、植栽、伐採、植栽というようなことで施業計画としては立つわけですから、そういうものを立てる山林地主さんというのは数はそう多くはないと思うのですが、面積の集計ができて数がわからぬというのは私はないだろうと思うのだが、全然わからないわけでありますか、それは。
#132
○小笠原説明員 現在、先ほど申し上げました一千万ヘクタールの目標に対して面積のカバーがどうなるかということを主眼に推進をしているわけでございまして、面積についての集計をいたしているわけでございますが、いまお話に出ましたように、保有階層別に若干の進度の違いがございます。たとえばこの計画の目標、三十ヘクタール未満の階層、それから三十ヘクタールから五百ヘクタールの階層、五百ヘクタール以上の階層と三つに分けてそれぞれ目標を立てておりますが、現在の実績約百六十万ヘクタールのうちの百万ヘクタールは、五百ヘクタール以上の階層が認定を受けた面積であります。それから三十ヘクタールから五百ヘクタール、これが約五十万ヘクタール、それから三十ヘクタール未満の階層が認定を受けましたも一のが最近二カ年間ではまだ六万ヘクタールでございまして、四十六年度以降こういう零細所有者といいますか、こういう人たちの認定に力を入れていきたいという方針をとっておる次第でございます。
#133
○広瀬(秀)委員 どうも私の質問に答えていないんで、そういうように面積を階層別に調べていると言うんだけれども、五百ヘクタール以上のものが何万ヘクタール該当しますというようなことではなくて、何人、個人がその所有する森林の全部について作成した森林施業計画ということですね、その個人の数はどれくらいなんだ。件数でもいいのです。件数ではダブる面もあるかもしれませんけれども、おおよそのつかみ方ができると思うのですが、それがわからぬというのは非常に遺憾なんですが……。これはやはり収入金額の二〇%相当額を通常経費のほかに特別経費として認めようというわけですね。この二〇%というのは一体どういう根拠なんでございましょうか。その点について数字的に御説明をいただきたい。合理性を持った説明をいただきたい。
#134
○細見政府委員 大体経費が三割くらいかかっておるというのが平均的な経費の率でございます。したがいまして、二〇%をさらに控除するということは、およそ収入の半分くらいを引きましょうということでございます。
#135
○広瀬(秀)委員 そういうことだということで、特段の科学的、合理的な基準というものはこれはおそらくできないだろうと思うわけなんです。山林所得については、これは山のことですから、おそらく国税庁で、実際にどれだけ伐採をしたのかというようなことも非常に調査しにくいものなんですね。したがってそこでは、これは前にもだいぶ問題になったことがあるのですけれども、非常に所得額を隠蔽しやすい、こういうことが前から指摘をされている。これは山間地に行きますと大きな山持ちさんがそういう中で、非常にそういう点が、地域の住民からもこれはおかしいということが指摘をされてきた問題なんです。おそらくこれはもう、山の中へ行ってどれだけ切られているかというようなことは、税務署でもこれの調査は不可能に近いものだと思っているのです。そういう点でいわゆる所得の過小申告というようなことはずいぶんあるだろうと思う。その上にしかも、その過小申告をした者が五分五乗で分離し七優遇されて、その上にまたこういうことで伐採というような大義名分、なるほど治山治水ということはきわめて大事なことだし、失われつつある緑を保護しなければならぬという、そういう大きな国土保全の目標というものがあるけれども、それにあまりにも便乗し過ぎて、このような過保護ともいうべきインセンティブを与えなければ木を植えないという持ち主のマインド、ビヘービアというものに対して、やはりこれをここまでやらなければほんとうに植林をしないのだというようなことではまことに困るわけであって、そういう点は林野庁における指導監督の体制というようなものも十分考えていっていただかなければならないし、また主税当局にも、そういう非常に大きい国土保全の目標、日本の山をはげさせない、緑でおおわなければならぬという政策目的はあるけれども、これだけ税制でめんどう見なければならないという理屈はない。しかもこの面では山間地における住民の非常に疑惑の種になっている面が非常に多い。そういう面では税の公平を非常に害しておるといわれ、こういうことが出るということは、政策目標はなるほどあるにしても、もっと違った形においてその目標は達成さるべきであって、税制でこれだけ過保護ともいうべき優遇をしなければならないという理屈には非常に乏しいのではないか、こういうことを考えるわけでありまして、しかもこの問題については半分くらいということでいま二〇%にしたということでありますが、この二〇%がいいか悪いかというような問題についても相当問題があるわけで、きわめて腰だめ的な数字でしかない。この問題は一部の大山林地主に対する過当な優遇である、こういうように考えますので、十分真剣にひとつこの問題については検討をされて、税制として考え直していただくようにしたい、こういう意見を申し上げて、次の質問に入りたいと思います。
 技術等海外取引所得の特別控除制度、この中で工業所有権だとか著作権の譲渡だとか、コンサルティング役務の提供など、いろいろ今回改善されている問題点があるわけですが、この工業所有権等につきましても、いわゆる対外支払い手段を対価として得るという、こういうことにだけ限られておるのはどういうわけでございますか。
#136
○細見政府委員 工業所有権その他の輸出というのが物の輸出と同様、いわば知識の輸出という意味で非常に重要だ。その輸出という面をとらまえますときには、対外支払い手段によって得たということになるわけだと思います。
#137
○広瀬(秀)委員 日本ではそういう知識の輸出というか、そういう工業所有権というようなものの輸出が非常に少ないということで、とれを大いに促進させよう、こういう政策目的でございますか。
#138
○細見政府委員 そのとおりでございます。
#139
○広瀬(秀)委員 それならば、対外支払い手段といえば、これは国内通貨である円で支払った場合には適用されない、こういうことですね。
#140
○細見政府委員 外貨の獲得ということになっております。
#141
○広瀬(秀)委員 そのほかに、租税特別措置法の第七条の三で特殊の外貨借入金の利子の税率の軽減というあれがあるのですが、いわゆる「特殊の外貨借入金」というのはどういうものでございますか。
#142
○細見政府委員 わが国の国際収支が必ずしも好調でなかったころに、外貨準備を補強するというような意味もありまして、金融機関がインターバンクで金を借りるということがあったわけであります。そういう特殊な外貨借入金でございますので、いわゆる普通の民間の会社が外債を発行した、そういうものとは違うものでございます。
#143
○広瀬(秀)委員 この条文によりますと「居住者又は内国法人が非居住者又は外国法人である政令で定める金融機関から借り入れる外国通貨による借入金につき租税特別措置法の一部を改正する法律」云々、こういうのですが、「外国法人である政令で定める金融機関」からの借り入れということですね、これはたとえばどういう金融機関をさしているわけですか。
#144
○細見政府委員 相手方の金融機関につきましては特別な指定をいたしておりませんので、ほとんど銀行業、信託業、保険業といったような金融機関でございまして、現実の借り入れもかなりいろいろな金融機関からになっておると、たしか記憶いたしております。
#145
○広瀬(秀)委員 それでは「政令で定める金融機関」というのは、もう政令で定めようが定めまいが、とにかく外国法人である金融機関から借りたものは全部これに該当するわけですか。
#146
○細見政府委員 御承知のように、銀行法とか金融業法というものはそれぞれ国によって違いますので名称できめかねる。そういうものについては政令で区別をしようというために、そういうときの用意として政令に委任しておるわけでございます。
#147
○広瀬(秀)委員 そうすれば「特殊の外貨借入」という、「特殊」というようなことは要らないのじゃないですか。特殊の外貨借入金の利子の税率の軽減の「特殊の外貨借入」というのはどういうものか。「特殊」とわざわざ断わっている。そうでなければ、単に外貨借入金の利子の特例でいいのじゃないですか。そこには何か意味があるのじゃないでしょうか。
#148
○細見政府委員 いま申し上げましたように、こちらの借りているほうは主として金融機関でございますし、相手の金融機関から借りる。つまり一般に外債を公募して借りてくる、そういうものではない、そういう意味で特殊なものというわけでございます。
#149
○広瀬(秀)委員 いわゆる外債というようなことで公募をするということでないならば、外貨借入金だけでいいわけですね。外貨借入金でわかるわけですよ。法律の用語としてどういう差別があるかは別として、常識的にいって何も「特殊」というようなことを言う必要はないと思うのですね。
 そのことが主題じゃないのですが、大蔵大臣、いかがでしょう。先ほどのように工業所有権などの譲渡などはいわゆる対外支払い手段を対価とするというもので、これも外貨を獲得したいということで特別に必要経費を収入金額の七〇%もその控除を認めるというインセンティブを与える。それからもう一つの問題は、いまの特殊の外貨借入金の利子の税率を分離二〇%の本則に照らして半分にする。これもまた外貨をどんどんふやしたいというための制度なんですね。いまや外貨事情というのは、どうやって外貨を有効に使って減らしていくかということが緊急な今日の問題だといわれる段階で、なぜこういうようなものを依然として存続させなければならないのか。もはやこれこそ政策目的を達成して、もう使命は終わった、こういうような事態ではないのか。こういうことを一方においてやって、外貨をためるためのインセンティブをどんどん税制で与えて、しかも不公平だと言われながらこういうことをやっている。しかも一方では、自由化しなければならない、やがては円切り上げまでやらなければならぬというようなところまで日本の外貨事情がきているというようなことからいえば、ここらはどんどん勇断をもってこういうものは廃止をしていくということでなければまさにおかしい事態になっているのではないか、こう思うのですが、大臣、いかがでございますか。
#150
○細見政府委員 今後どうするかは大臣からお答え願うといたしまして、なぜこういう措置を置いたかということだけ概略御説明申し上げておきたいと思います。
 御承知のように、日本の源泉徴収税率は二〇%になっておるわけでありまして、租税条約が結ばれておる国との間には一〇%になっておる。実はこの特殊な外貨建て借入金の中にスイスからのものが一割くらい入っているわけでございます。スイスにつきましては、いま参議院ですでに御可決を願ったスイスとの租税条約というのがございまして、これができれば一〇%になるわけですが、ここで一年間を、一〇%ということで借りておるものを二〇%にいたしますと、相手方に対する信義の問題とか、あるいは条件が変わるとかいう話があるもので、ここにもございますように一年間だけ延長を願ったというのは、その辺の条件の変更を避けるということであったわけであります。
#151
○福田国務大臣 広瀬さんのおっしゃること、これはごもっともだと思います。私どももそういうふうな考えを持っておるわけでありますが、ただいま主税局長から申し上げたようないきさつもありまして、一年間は置かなければいけないというふうに考えておりますが、次の税制改正におきまして、つまり四十七年度からこれを廃止いたしたい、かように考えております。
#152
○広瀬(秀)委員 きわめて明快な答弁がありましたので、次に移ります。
 通産省入ったようでありますから一問だけ質問したいのですが、探鉱準備金、新鉱床探鉱費の特別控除、こういう二つの制度があって、これは非常に優遇で、税の公平という見地から見れば非常に過当な優遇が行なわれて、公平を害しているということが言われるわけなんです。海外の資源に対する開発、こういうようなものにこれから、資源の乏しい日本でありますから力を入れていく。したがって、そういう海外資源開発投資に対するある程度のインセンティブを与えるということについて、私ども理解は十分するわけなんですが、ただこういうようにして、これほど税の面において、所得金額の五〇%も控除をするというようなことになってまいりますと、これだけやっておるのならば、開発輸入する鉱物資源等についてそれだけインセンティブを与え、メリットを与えてきたものに対して、価格の面で何なりとこれに対する規制の措置というようなものに至るまで、やはり政府みずからがそういう開発輸入の金属に対して価格面で介入をして、その税制はなるほど生きた税制だったと言われるようなそういう方向を、これだけの優遇を与えるのだからとるべきだ、こういうふうに考えるのですが、そういう面、通産省のお考えはいかがですか。
#153
○林説明員 局長が商工委員会に入っておりますので、かわりまして鉱政課長でございます。
 いま先生から御指摘がございましたように、日本の資源需要がきわめて大きくなり、輸入べースでは世界第一のような状態になっております。したがいまして、その取得条件いかんが日本の物価水準一般にも響く、こういう事態になっております。卑近な例を申し上げますと、一昨年の秋から去年の春ごろまでは、銅の値段が通常の値段の二倍ないし三倍になりました。そのために日本国の経済が受けました影響は、いろいろ推察がございますが、千億ないし二千億くらいというふうにいわれております。それから去年の夏から秋にかけまして原料炭の値上げ問題が起きております。これも日本側の負担が千億にもなろうかといわれております。さらに去年の秋から現在なおくすぶっております原油の値上げ、これがやはり二千億をこえるような負担になりかねないというふうな情勢にあるわけでございます。したがいまして、いま先生から御指摘がございましたように、日本はあげて資源開発を大いに海外においてやらなければならぬのですが、同時に、御指摘のように、その開発の目的は原価で原油なり鉱石を取るというところにあるわけであります。従来は買鉱条件、でき上がったものを国際価格で買うという状態でございました。したがいまして、国際的に価格が動揺してまいりますと、それをそのまま日本国の経済としては受けざるを得ないというような弱い立場で、それを脱却する方向は、探鉱し、調査し、開発するという段階にまで入らなければならない。そこで世界各国がとっておりますようないわゆる減耗控除制度をなお引き続き延長していただいて、原価で鉱山資源を取得し得るような体制を政府としてもとっていただくということになったわけでございます。したがいまして、当然、その減耗控除制を援用いたしまして資源開発を促進するという意図は、日本側が取得いたします原油なり原鉱石の値段をより安く入手するという意図でございます。そこでいま先生御指摘になりましたような、それが直接安くなるように何とか通産省は介入すべきではなかろうかという御示唆でございますけれども、量が少ない段階で、しかもたいていこういうものは国際的な商品でございまして、相場というものがございます。銅で申し上げますと、ロンドンに国際金物取引所というものがございます。それで世界一般が取引されておる、そういう状況でございます。私どもといたしましては個々の価格に介入するという形よりも、世界全体の鉱山資源に関する需給がゆったり供給のような状態になることのほうが、資源輸入第一等国の日本の立場としてスムーズに取得条件を改善する道かと考えております。そういうところに焦点を合わせまして自主開発、それに対しまして減耗控除制度の引き続きの援用というような形で考えてまいりたいと思っております。
#154
○広瀬(秀)委員 時間もありませんからこの問題、深くやるつもりはないのですが、大臣、このいろいろな租税特別措置は、税の公平を害しながら特定の政策目標を期待するというようなことで措置をするわけであります。ところが一体どれだけ政策効果があったのかということについては、その政策効果というのは、帰するところは国民の生活条件にいい影響としてはね返ってくるのだ、こういうようなものがない限りは受け入れられないわけですね。そういう点でどれだけ政策効果があり有効性があったのか、そうしてどれだけ国民生活にそのプラスが還元されるか、こういうような面をきちんと追跡してトレースしていく、こういうようなことが何もない。もう優遇しっぱなし。それがどれだけほんとうに国民大衆のためにはね返ってくるかというようなことについては全く視点が抜けている。そういう面に租税特別措置をつけるからには、それだけの優遇を与えるからには、それだけのメリットが回り回ってでも国民大衆のほうにはね返ってくるのだ、こういう点について非常に考え方が足りない、このことを私どもいつも指摘をするわけですが、その点について大臣から御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
#155
○福田国務大臣 特別措置は特定の政策目標をもって特例を設ける措置でありますので、その特例措置の政策効果がどうであるかということについては常にこれを追及しなければならぬと思います。そうでないとそれがあたりまえのようなことになって、特例が特例でないというような形で定着をしてしまう、これは税法としてはなはだ妥当を欠く、こういうふうに思うわけでございます。そこで広瀬さんがおっしゃるのは、数字というような意味でありますれば、私はこれはなかなかむずかしい問題かと思います。数字で出るものもあるいはあるかもしらぬが、しかし数字ばかりが政策効果判定の資料ではございませんから、各方面から検討いたしまして、その政策効果を踏んまえ、この問題の処理に当たっていきたい、さように考えます。
#156
○毛利委員長 これにて所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#157
○毛利委員長 これより各案を一括して討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。木村武千代君。
#158
○木村(武)委員 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました三つの法律案に対して賛成の意向を表明するものであります。
 初めに、所得税法の改正案について申し上げます。
 御承知のとおり、所得税につきましては、昭和四十四年度及び四十五年度の税制改正において、諸控除及び税率を通じた大幅な減税が行なわれ、四十三年七月に税制調査会が提案した所得税の改正内容は、すべて完全に実施されました。その結果、わが国の所得税の課税最低限は、アメリカ、フランスには及ばないとしても、イギリス、西ドイツを上回ることになり、また、累進税率を加味した実効負担率においても、中堅所得層以下のところでは、イギリス、西ドイツよりもかなり軽くなっているのであります。
 こうしたことから、当初、政府においては、四十六年度の所得税減税はそれほど大きな規模とする必要はないのではないかと考えておられたようでありますが、最近における所得水準や物価水準の動向、これを反映した給与所得者を中心とする所得税納税者の著しい増加傾向、国民の蓄積水準の低さ等々を考慮すれば、なお中小所得者を中心として所得税負担の軽減をはかる必要があるとして、四十六年度においても引き続き相当規模の減税を行なうこととされたものでありまして、私はこの点に関し、政府の努力を大いに多とするものであります。
 さて、政府案の内容でありますが、給与所得者の課税最低限は、四十五年分に対し、各世帯ともおおむね一〇%程度の引き上げとなります。したがって、政府の経済見通しによる昭和四十六年度の消費者物価の上昇率をかなり上回っており、十分実質的な減税を行なっていると言うことができるのであります。
 さらに、このような一般的減税のほか、配偶者控除が適用される所得限度の引き上げ、サラリーマンが確定申告をしなくてもよい副収入の限度額の引き上げ、白色専従者控除の引き上げ、一時所得などについての特別控除額の引き上げ等、最近における所得水準や物価水準の推移に対応してきめのこまかい措置が広範囲にわたってとられておりますが、これらは国民の多年の要望を実現したものであり、いずれも適切な措置であると確信いたします。ただ、この際政府に要望しておきたいのは、今後とも課税最低限の引き上げにつとめるとともに、なお一そう納税道義の高揚と適正公平なる税務執行に留意されたいということであります。
 次に、法人税法の改正案については、完成工事補償引当金制度を一般的な製品保証等引当金制度に改める等、課税所得計算の合理化を行なうほか、若干の規定の整備をはかることといたしておりますが、これまた時宜を得た改正であると考えます。
 終わりに、租税特別措置法の改正案について申し上げます。
 今回の改正で特に目立った点は、輸出振興税制の見直しを行なったということであります。すなわち、最近における社会経済情勢の推移に即応して、最近とかくの批判があった輸出税制にかなりの圧縮を加え、少なくとも昭和四十三年における拡充改正以前の姿に戻すことを目途として、これが整備合理化をはかっております。さらに、これに伴う増収額は、公害防止対策、基礎資源の安定的確保、企業一般の体質改善、貯蓄の奨励及び住宅対策等に関する施策の拡充強化に振り向けることといたしております。また、新たに青色事業主特別経費準備金の制度を設けることとし、交際費課税についてはさらに一段と課税の強化をはかることといたしております。
 これらは、当面する経済社会情勢の進展に即応して特別措置の弾力的な改廃を実施しようとするものであり、いずれも時宜に適した措置と考えます。しかも、ここ数年来の方式に従い、特別措置の新設、拡充等の財源は既存の措置の整備合理化によってまかない、初年度においては増減収を生じないようくふうをいたしております。
 ただ、租税特別措置につきましては、その政策目的の合理性や、政策手段としての有効性のテストを厳格に行ない、既得権化や慢性化を極力排除するように努力すべきことは言うまでもないところであり、この点、政府に対し強く要望いたしておきます。
 以上申しました理由により、私は三つの改正案に賛成の意向を表明するものであります。(拍手)
#159
○毛利委員長 佐藤君。
#160
○佐藤(観)委員 私は、日本社会党を代表して、所得税法、法人税法、租税特別措置法の一部を改正する法律案につき、反対の討論をいたします。
 まず、所得税法について申し述べます。
 減税額というのは、政府が国民の税負担をどれだけ軽くするかをあらわすバロメーターの一つだと考えます。この観点からいいまして、本年度の所得税減税は、減税という名に値しないほどのわずかです。すなわち、自然増収が一兆四千九百六十五億円にのぼっているのに対し、その減税額は千三百八十七億円、所得税減税分だけでも千六百六十六億円にすぎません。物価上昇の激しい今日、政府の当初見通し五・五%の物価上昇に押えられたとしても、七百四十億円がこの物価調整に食われてしまいます。加えて、税金の一種である健保料、厚生年金保険料、失業保険料などの社会保険料の引き上げ等を合わせると、今度の減税は、単なる物価調整あるいは税法上の減税にとどまり、実際は自然増収を考えれば増税になっているのであります。
 次に、課税最低限の問題ですが、現行夫婦子供二人で八十八万三百二十八円が九十六万三千七百二十七円となりましたが、この額も物価上昇と国民生活の高度化、多様化から考え合わせると、決して満足なものとはいえず、まだまだ勤労者の生活費にまで食い込んで課税されております。
 また、妻の内職収入については、社会党の年来の主張をいれ、その配偶者控除の適用限度額が引き上げられはしましたが、その額は低過ぎます。せっかくパートタイムで働き、物価上昇で悩む家計の一助にと思っていても、かえって税金が重くなってしまうからやめようという人たちがふえています。せめて独身者並みの三十九万円、これは改正案ですが、にすべきであります。
 さらには、未成年者、独身者に対する課税が重いこと、給与所得者の必要経費の問題等、再三論議されたところでありますが、残念ながら今回の改正案には何ら考慮が払われておりません。
 次に、法人税法についてであります。
 今回の改正の一つに、従来、建設業を営む法人が建設工事の完成後に起こった補修の費用を一定金額損金で算入できるという、完成工事補償引当金制度をさらに拡大して、造船業、テレビ、カメラ製造業などに新たに製品保証等引当金制度を創設しております。しかし、この制度には多大の疑問があります。従来、アフターサービスは企業の独自の支出というより、すでに販売価格の中に入っているのが普通であります。したがって、新たにこの制度を設ける必要は認められず、過度の企業擁護としか考えられません。
 また、法人税率については今回は何の改正もされませんでした。現在の三六・七五%という数字は昨年百分の百五上げられたもので、それ以前は不況を理由に、三十年の四〇%から三十三年に三八%、四十年に三七%、四十一年に三五%と三度引き下げられました。しかし、現在の経済情勢は不況を脱して、逆に景気が行き過ぎ、総需要の抑制、物価騰貴、インフレを抑制しなければならぬ。加えて、社会資本の絶対的な立ちおくれを一日も一早く脱却しなければならない状態にあります。また、日本の法人税率は外国に比べてまだ低い税率となっております。これらの観点から、法人税率はせめて、不況対策の名のもとに引き下げられる以前の四〇%に一挙に戻すことは無理だとしても一、三%程度は引き上げられるのが適当だと考えます。
 租税特別措置法が税の公平を欠く法律であることは論をまちません。これに対して政府は、この点は認めながらも、特別な経済目的と称して今日まで毎年拡大を続け、その数、百四十項目、また、四十六年度の減収見込み額は国税、地方税合わせて六千四百六十三億円になろうとしております。
 政府は、特別な経済目的といいながらも、それでは一体その経済目的のためにこの法律が具体的にどれぐらい効率的に働いたのかというと、確固たる数字をあげての答弁ができておりません。
 政府の諮問機関である税制調査会の四十五年十二月の答申においても一、その整理、合理化について次のように述べております。
 「租税特別措置については、その政策目的の合理性や政策手段としての有効性の判定を厳格に行ない、既得権化や慢性化を排除するよう努力すべきことはいうまでもないところであるが、これらの措置が税制を通じて経済諸施策を遂行しようとするものであることからみて、経済社会情勢の進展に即応して、随時、弾力的な改廃に努めるべきものと考えられる。
 また、新たに税制上の誘導措置を講ずる場合においては、名目的な政策目標のもとにいたずらに措置の数をふやすことなく、真に緊急に必要とされるものについて重点的に措置することとし、かつ、新規の措置の創設及び既存の措置の拡充は、既存の措置の整理合理化に伴う増収額の範囲内にとどめるべきである。」
 しかし今回の改正案は、明らかにこの方向と逆であり、既存の制度はできるだけ温存し、期限切れになったものについては、それにかえるに直ちに新たな制度の創設をもってするという、既得権の保護に偏していることや、経済の国際化など新たな段階に対応できるよう制度を組みかえ、海外進出を助ける税制に改められていること、また戦略産業を保護するために新制度を創設していることなど、あげていったら枚挙にいとまがありません。すなわち、銀行の貸倒引当金、鉱業所得に対する特別措置など、不当に多い積み立てを認める制度を是正する件や、時代に合わない輸出振興税制を思い切って改廃すること、高額所得者を優遇し過ぎるという非難の多い利子・配当所得に対する特別措置や株式譲渡所得非課税の制度の廃止など、これらの問題は、昨年の当委員会で、佐藤首相、福田大蔵大臣ともその検討を約束したところでした。ところが、たとえば輸出振興税制一つをとってみても、本改正案は部分的な圧縮にとどまり、税制面の援助体制を新たな段階に質的に振り向けるという改正を行なっており、その額は平年度で三百二十二億円にのぼります。
 このようにして、租税特別措置は全般的に改廃の方向に行くべきことはわかっておりながら、当委員会の附帯決議や税制調査会の答申に沿うことなく、別個にますます複雑に、そして税体系をいびつなものにし、国民の間に、大企業と高額所得者ばかりを保護しているという、納税をきらう気持ちをかもし出す原因をつくっております。
 また、問題の交際費課税については、損金不導入割合を現行の六〇%から七〇%にしたにとどまり、根幹である四百万円プラス資本金の千分の二・五については何ら改正をしておりません。これでは一兆円にのぼるといわれる交際費について、何ら実質的な抑制効果はありません。
 また、来年度から創設される青色事業主特別経費準備金の制度は、青色事業主が死亡、転廃業の際に取りくずしができるよう、年間最高十万円まで損金に算入できることになりましたことは、青色事業者にとって一歩前進といえます。しかしこの制度は、長年青色事業者が要望している事業主報酬を必要経費として認めるかわりの、すわかえであることは、福田大蔵大臣も認めているところであり、しかも最高十万円では、三十年積み立てても三百万円、この物価上昇率では、おそらく三十年後の三百万円では価値がなくなっているでありましょうし、青色申告をやめた場合には積立金は事業所得とみなされるなど、まだまだ大企業の優遇措置に比べれば月とスッポンと言えます。
 以上が、われわれが税三法の改正案に反対するおもな理由であります。
#161
○毛利委員長 松尾君。
#162
○松尾(正)委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法、法人税法、租税特別措置法の一部をそれぞれ改正する法律案に対して反対の討論を行ないます。
 まず、所得税法でありますが、昭和四十六年度減税額一千五百五十億円は、一兆四千九百六十五億円にものぼる自然増収額に対してわずか一割にすぎず、これでは国民の重税感は少しも緩和されるものではありません。特に最近の物価上昇は高騰をきわめ、史上最大の大幅な減税といわれた昨年度も、政府見通し四・八%を大きく上回る七・七%という、朝鮮動乱以来の物価高騰を記録し、本年度の減税の基礎となっている政府見通し五・五%の物価上昇率も、これを上回ることは明らかであります。したがって、かりに低く見積もっても、政府見通し五・五%の物価調整減税分を差し引くと、本年度の所得税減税額はわずか八百十億円という超ミニ減税であり、これがわれわれの反対の第一の理由であります。
 第二に、中小所得者の負担の軽減についてであります。このたびの改正で、給与所得控除の定額分を三万円引き上げた点は一応評価できるものの、なお不十分であり、今後さらに引き上げるべきであります。また基礎控除、配偶者控除等もおのおの一万円ずつ引き上げられたにとどまり、所得が上回ってもさらに一ランク上の税率が適用されるために、中小所得者にとって、物価上昇も重なり、税負担が一そう重くのしかかってくることになり、したがって公平な税率の調整を前提に、二分二乗方式を採用する等、中小所得者の実質税負担の軽減をはかるべきであります。
 第三に、個人企業の事業税につきましては、青色事業主特別経費準備金の創設、さらに個人事業税の事業主控除の引き上げがあったものの、零細企業の保護育成という観点から見てもまだ不十分であり、なお一そうの優遇措置を講ずべきであります。
 さらに課税最低限でありますが、このたびの改正でも夫婦子二人の四人世帯で百万円にも満たない。わが国の一人当たり国民所得が諸外国と比べても劣っていること、さらに最近の消費生活の高度化、衣食住を中心とした物価の高騰、納税者の給与所得の伸び率が前年度対比で見ると低下している現状を見ても、低過ぎるわけであります。公明党の主張する夫婦子二人の四人世帯で百三十万円の課税最低限に引き上げるべきであります。
 次に法人税についてであります。
 中小法人と大法人の税負担率を見ると、中小法人のほうが大法人よりも法人税負担率が高い。さらに昨年度の税改正で一・七五%の税率引き上げがあったものの、戦後の著しい日本経済の高度成長による法人所得の伸び等を考えれば、当然法人税引き上げがあってしかるべきであるにもかかわらず、何ら改められておりません。不況対策として三%引き下げられた昭和四十年以前の税率までは少なくとも引き上げるべきであります。税負担の公平という観点からも、また大企業優遇税制という政治不信をぬぐい去るためにも、国民の納得いくよう、改正がはかられるべきであります。
 次に租税特別措置法であります。
 不公平の典型であるこの租税特別措置については、従来から委員会等を通して一貫して縮小の方向へ整備合理化すべきであることを主張してきたにもかかわらず、社会保険診療報酬、非鉄金属の減耗控除、金融機関の貸倒引当金等、ほとんど洗い直しをされずに、期間の延長、対象拡大等がはかられ、既得権化を一そう強めておるのが現状です。
 さらに、手直しされたという輸出振興税制については、輸出偏重政策による外貨準備の膨張、円切り上げの不安等を考えると、あまりにも中途半ぱな改正に終わっております。
 最後に、交際費についても、あれだけ世論の不評を買ったにもかかわらず、国民を納得させるものに改められてはおりません。したがって、なお一そう課税強化について検討をはかられるべきであります。
 以上の理由によりまして、公明党はこれら三法案に対して反対するものであります。
 以上で討論を終わります。
#163
○毛利委員長 竹本君。
#164
○竹本委員 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました三法律案に対して反対の意向を表明するものであります。
 まず、所得税法の改正案について申し上げます。
 昭和四十六年度の税制改正に盛られた所得税の減税額は千六百六十六億円で、物価調整減税に相当する七百四十億円を差し引いてみると幾らでもありません。はなはだ不徹底であります。
 政府は、四十六年度の減税規模を小幅にとどめた理由としては、四十三年に税調が答申をしたいわゆる長期答申の内容を、その後の二カ年間でほとんど完全に実現し、いまやわが国の課税最低限は先進国と肩を並べるまでになったという点を指摘されておりますけれども、わが国の一人当たりの国民所得や蓄積水準がなおこれらの諸国よりもかなり低いという現状、あるいは所得階層分布が著しく下寄りで、なお多くの中小所得者層にかなりの所得税負担を課しておるといったような実態を考えますと、表面的な数字だけで満足することは誤りであります。少なくとも、われわれの主張するように、サラリーマン世帯では夫婦子供二人の場合最低限百三十万円程度に引き上げるべきであります。
 また、政府は、わが国の課税最低限は欧米先進国並みになったと申しておりますけれども、それは所得税のみを考えた場合でありまして、住民税込みで見た場合は欧州先進国のどれよりも劣っておるでありましょう。すなわちアメリカを除き、これらの国にはわが国のような所得税の分身たる地方税の制度がありません。しかもアメリカの場合は国税の最低限より地方税のそれのほうが大きいのであります。したがいまして、今後は地方税を含めて先進国並みにすることを考えるべきであります。
 次に、法人税の改正案について申し上げます。
 申し上げるまでもなく、銀行の貸倒引当金は貸し出し金が回収不能になったときに備えて積み立てておくもので、現在は法人税法の規定により貸し出し残高の一・五%までの無税の積み立てが認められております。しかし実際に回収不能となる貸し出し金は、総貸し出し額の約〇・一%にすぎないのであります。したがって、大蔵事務当局の中にもその積立率を半分程度に縮減すべきであるという考えがあるというようにも聞いておりますし、また佐藤総理も昨年の国会の答弁では、十分検討してみたいと述べておるのであります。ところが実際にふたをあけてみますと、そうした面については何らの改善措置が講じられておりません。また、法人税の基本的な仕組みについては法人利潤税を肯定する方向において検討することが望ましいとしながらも、ここ数年間その検討が中断したままになっておりまして、何らの進展を見ていないことははなはだ遺憾であります。
 次に、租税特別措置法の改正案について申し上げます。
 四十六年度の同法の改正の特徴は、一口で言えば輸出税制を縮減した財源で公害対策や一般の企業体質の強化等をはかったということであります。そしてそのこと自体については一応の評価を惜しむものではありません。しかし、残念ながら他の幾つかの点で合理化が徹底いたしておりません。
 たとえば、中小企業の体質強化のための努力も不十分であります。医師の社会診療報酬の特例にも一手をつけておりません。
 また交際費課税については、今回若干の手直しを加えることにいたしておりますが、交際費の支出額が一兆円をこすであろうといわれておる現状におきまして、この程度の改正ではなまぬるいといわざるを得ません。交際費の乱用の弊害は、単に社内の規律を乱すだけではなく、物価つり上げの原因ともなっているので、英米の例にならい、もっときびしく規制をすべきであります。すなわち、交際費のうち一定限度額をこえる部分についてはその全額を課税の対象に取り込むべきではないでしょうか。
 以上申し述べましたとおり、所得税の課税最低限はいまだ不十分であり、依然として大衆課税の域を脱しておらず、租税特別措置においても既得権益の排除に勇断がふるわれておりません。すなわち、佐藤内閣の内包する矛盾と限界がそのままこの三法改正に端的に反映しておるようであります。したがいまして、この三つの法案に対しては遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。
 なお、毎年毎年同じような税制改正を繰り返しておるということはあまりにも定見がなさ過ぎるし、またきわめて非能率であると考えますので、改善措置を検討してもらいたい。また、減税にあたっては、物価調整減税は当然なすべきでありまして、これは別ワクで取り扱うようにしてもらいたい。国民の納税意識の高揚に資するためには、租税白書をつくること等について検討してもらいたい。
 こうしたことにつきましては法案の審議過程でその趣旨を十分に申し述べましたので、政府においてもこれらの点を十分御検討の上、早急にその実現方につとめられますよう強く要請いたしまして、私の討論を終わります。
#165
○毛利委員長 小林君。
#166
○小林(政)委員 私は、日本共産党を代表して、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対して反対を表明し、討論を行ないます。
 所得税法の改正につきましては、政府は提案理由の中で所得税の負担軽減をはかるためと述べておりますが、今回の減税は、その内容、規模において減税というに値しないものであるにとどまらず、実質的には増税になるといわなければなりません。
 政府は、経済の停滞が予想されている中で、一兆四千九百六十五億円という大幅な自然増を見込み、所得税の自然増の六千九百四十七億は自然増総額の四六・四%を占め、法人税の自然増が占める割合三〇%をはるかに上回る増収を見積もっているのであります。
 このことは、政府の増税政策の中心が所得税に置かれているということを示しているものであります。従来、景気の停滞や不況が予想され、不安があるときには、ことさら納税者に対し大幅減税を行なうことは当然であろうと考えます。しかしながら、今回の減税は初年度千六百六十五億円で、自然増収のわずか一一・一%にすぎず、所得税の自然増収に対しても二三・九%にすぎないもので、昨年度減税額二千四百三十億円の七割にも満たないわずかなものでしかありません。生活様式の多様化や消費者物価の高騰する中で、これでは減税どころか増税になるといわなければなりません。これがわが党が反対する第一の理由であります。
 第二に、政府は七一年度の物価上昇見通しを五・五%と押え、これらの相当額として七百四十億円を物価上昇分として差し引いても九百二十億円の減税であるとしております。基礎控除、配偶者控除、扶養控除の基本控除の引き上げはそれぞれ一万円ずつであり、その引き上げ率は六・二五%で、昨年の物価上昇率七・七%を下回っています。これは人的控除の水準が実質的には昨年以下に切り下げになることを示すものでございます。
 第三に、課税最低限の引き上げについてであります。本来所得税は生活費に課税しないことを原則とすべきであります。基本的な人的控除を、生活費をはるかに下回る低い水準に押えているということは問題であると思います。独身の事業者所得者の課税最低限が一級地における生活保護基準をはるかに下回っています。この点については昨年指摘したにもかかわらず本年も改善されず、ことしは一そうその開きを拡大しているのでございます。また夫婦子二人の給与所得者の課税最低限についても、栄養所要量を最低限満たす食料費、住宅費で課税最低限の七七%を占めていることを見ても、いかに生活費を下回る課税最低限であるかは明らかであります。わが党は標準家庭四人家族で百四十万円に課税最低限を引き上げるべきだと考えます。勤労者の大幅減税を行なうことを主張いたすものでございます。
 次に、法人税、租税特別措置についてでございますが、完成工事補償引当金を製品保証引当金に改正し、その適用業種を拡大するものでありますが、租税特別措置とともに産業優先の措置であり、税負担の公平を欠くものであるというふうに私は考えます。特にこの租税特別措置は、産業優先、税制の根本原則である負担公平の原則を著しく害するものとして世論の強い非難を浴びているものでございます。しかるに本年度の改正案は、これを縮小するのではなく、重点的特権的減税を一そう強化するものになっているのでございます。
 その第一は、公害対策という理由で、公害発生のもとである大企業にまで、公害防止施設に対し特別償却率を三分の一から二分の一へ拡大し、その恩典を与えていることであります。公害をまき散らして国民に大きな被害を与えている大企業が、その企業の責任において公害防止の費用負担をすることは当然であるにもかかわらず、税金をまけてやるということは全く国民の意思に反するものであります。
 第二に、海外投資や資源開発投資に対する優遇税制についてであります。この制度を見てみますと、資本金百億以上の会社が全利用額の七六%以上を占めているのであります。機械的に計算しましても一社平均の準備金額は約四億にものぼることになるわけでございます。いまでもこのように少数の大企業にだけ著しく有利になっているものを、さらに今回の改正によって、海外投資の場合は後進地域から全世界へと対象地域を、また資源開発の場合はその対象資源を石油だけからウランを含む非鉄金属、鉄鉱石、原料炭、木材を加え、それを大幅に拡大して、原料資源確保の名のもとに海外進出を意図する大企業への特権的な援助を与えていることでございます。その他、輸出振興税制など、若干の縮小をすれば、その見返りに企業体質の強化という名目で、大型船舶や大型ジェット機など、特定のものに特別償却を拡大するというように、特定の大資本の利益だけをはかっているものでございます。
 以上、この改正案によれば税制の不公平はますます大きく拡大されることになるわけであり、わが党は、大資本に対する特別な減免をしているこの租税特別措置を廃止して、正当に課税することを要求いたします。
 以上述べてまいりましたように、所得税を中心に勤労大衆に対しては増税の方向が打ち出され、実質的減税を放棄し、税制のいわゆる経済政策的効果を重視する特権的減免税制度を改めるよう強く要求するものであります。
 以上、反対の理由を明らかにし、改正法案三法について反対をするものでございます。
#167
○毛利委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより各案を順次採決いたします。
 まず、所得税法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#168
○毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#169
○毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#170
○毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
#171
○毛利委員長 ただいま議決いたしました三法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、坂元親男君外四名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。坂元親男君。
#172
○坂元委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨と内容を簡単に御説明申し上げます。
 案文は、お手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。
 まず第一は、今後とも引き続き所得税の負担軽減等につとめるべきであるというものであります。すなわち、今回の改正案により、夫婦子二人のサラリーマンの課税最低限は、平年度べースで九十万円から九十八万円に引き上げられるのでありますが、わが国の一人当たりの国民所得や蓄積水準が、なお先進諸国よりもかなり低いという現状等を考慮すれば、今後においても、所得、物価水準の推移等に即応して、一そう所得税負担の軽減合理化につとめるべきであるというのがその趣旨であります。
 なお付言して申し上げますと、配偶者控除の適用要件である所得限度につきましては、今回若干の引き上げが行なわれたところでありますが、労働力不足のおりから、潜在的家内労働力を活用する見地から、今後ともこの限度額の引き上げについては、十分努力されるよう要望いたしておきます。
 第二は、中小企業について、今後とも税負担の適正化につとめるべきであるというものであります。すなわち、今回の改正案においても、諸般の中小企業対策を講ずることといたしておりますが、御承知のとおり、わが国の法人の自己資本比率は著しく低く、わけても中小企業は資本蓄積の底がきわめて浅いのであります。したがいまして、今後ともその体質の強化に資する税制上の措置の拡大につとめるとともに、個人企業についても、今回新設される青色事業主特別経費準備金制度の利用状況等の推移を見つつ、税制上適切な措置を講じていくべきであるというのがその趣旨であります。
 第三、そもそも租税特別措置は、税制を通じて特定の経済施策を遂行しようとするものであります。しかし、また同時に、多少にかかわらず税負担の公平をそこなうものであることもいなめないところであります。したがって、常にその政策目的の合理性、政策手段としての有効性等について慎重な検討を行ない、その整備合理化に努力すべきであるというのが、その趣旨であります。
 第四、交際費課税については、今回、限度超過額の損金不算入割合を七〇%に引き上げることといたしておりますが、交際費乱用の弊害は、単にモラルの低下を招くだけでなく、物価高の要因ともなっているので、今後においても課税強化の方向で、一段とその制度の適正合理化に配意すべきであると考えます。
 また、広告費については、不当または過大な広告に対する社会的な批判が強まっており、そのような広告に対する規制を求める声も少なくないようであります。したがって、かりにそのような規制が可能であるならば、その一環として税制上の課税措置を設けることも一案かと考えます。そこでこれらの問題について検討すべきであるというのがその趣旨であります。
 以上が附帯決議案の趣旨とその内容であります。
 何とぞ御賛成くださいますようお願いを申し上げます。
    ―――――――――――――
   所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
一 政府は、今後においても、所得、物価水準の推移等に即応し、所得税の負担の軽減合理化に努力すべきである。
一 政府は、中小企業について、個人及び法人を通じ、企業体質を強化するため、その税負担の適正化に努めるべきである。
一 政府は、租税特別措置については、常にその政策目的の合理性、政策手段としての有効性等について慎重な検討を行ない、租税負担の公平の原則とのバランスに配意しつつ、その整備合理化を当り、国民の信頼に応える税制の確立に努めるべきである。
一 政府は、交際費の支出が社会に与える影響にかえりみ、課税の強化措置につきさらに検討するとともに、過当広告及び不当広告についての規制措置の一環として、これらの広告に対する税制上の課税措置を設けることについて検討すべきである。
    ―――――――――――――
#173
○毛利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 おはかりいたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#174
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
#175
○福田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、今後とも税負担の適正化に努力いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
#176
○毛利委員長 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#177
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#178
○毛利委員長 引き続き、塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案を議題といたします。
 本案につきましては、昨二十三日提案理由の説明を聴取いたしております。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬君。
#179
○広瀬(秀)委員 塩業の整備及び近代化の促進に関する臨時措置法案について、若干質問をいたしたいと思います。
 日本の長い歴史と伝統を持って発展してきましたいわゆる塩田製塩法からイオン交換膜製塩法への転換を促進するために、この塩田の製塩法を解消することによって、近代的な工業としての製塩企業をつくって、塩の価格を国際水準にさや寄せをする、輸入塩価格に大体近づけていこう、こういう目的のもとに、このスクラップ・アンド・ビルドの中で整理をされていく塩田関係に携わった経営者並びに労働者に対して交付金を交付しよう、こういうことと同時に、さらに将来の塩業の生産あるいは流通の面について近代化を促進しよう、こういう目的でこの法律が制定をされたわけでありますが、私どもこの法案の審議に入ります前にまず伺っておかなければならないことは、今日の日本の塩の需給状況、国内の生産量、輸入量、そういうものが一体どういうぐあいになっておるか、このことをまず数字をもってお示しをいただきたいと思うわけであります。
#180
○園部説明員 日本における塩の需給につきましては、ソーダ工業用塩を含めまして約八百三十万トン程度の需給でございます。
  〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
そのうち輸入塩が約七百二十万トン程度でございまして、そのほかの百万トン程度を国内の生産に仰いでいるという状況でございます。四十五年度の見込みでございます。
#181
○広瀬(秀)委員 この私の手元にある資料はやや古いんですが、四十四年度の資料しかないわけですが、四十四年度の資料によりますと、国内で生産する塩の生産額が百四万七千トンだ、こういうことになっておるわけですが、主としてこの国内の塩を生産をしておられる業者の数について見ますと、塩田製塩業者が現在十六ある。イオン製塩業者が二つである。塩田とイオンと併用する業者は五つでございますか、あるいはまた機械製塩業者、こういうものが三つある。こういうことで、大体二十六業者で百万トン程度の生産をしているということになっておるわけでありますが、一体四十六年度中に塩田製塩業者十六、これを全部整理した場合に、塩田製塩分が大体四十一万トンあるといわれておるわけであります。これをイオン製塩に切りかえる。生産量が一体需要をカバーできるのかどうか。現在の家庭用塩、食品工業用塩の需要、消費、こういうものに混乱なしにやっていけるのかどうか、この辺の見通しをひとつはっきりお示しいただきたいと思うわけであります。
#182
○園部説明員 先生御指摘のとおり、本年中に塩田製塩の生産を全部やめて四十七年度以降イオンによる製塩にかえていこうということでございます。
  〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
法案が成立次第、今後、四十七年以降のイオン交換膜による大規模に製塩をしていく近代化企業の選定をできるだけ早く行ないまして、四十七年度の初めからそういった大規模なイオン製塩がスタートできるように配意してまいりたい、かように考えております。
 いま御指摘の四十六年度における需給につきましては、こういった変革期でございますので、四十五年度におきまして、家庭用その他の食料用塩について不安がないように、生産及び在庫を増加させますとともに、輸入塩もよけい輸入いたしまして、現在三月末の段階で国内塩約二十五万トン、輸入塩約二十五万トン、両方で五十万トンの在庫で四十六年度いけるような手当てをしております。塩田製塩業者がいつの時点でどういうふうにやめていくかということについては、まだいまの段階でつまびらかでございませんので、こまかい需給、四半期ごとの計画というのは立ちにくいのでございますけれども、現在の段階で、今年中の需給には支障のないような手当てになっておりますし、来年度へ向かっての需給につきましても、年度後半において引き続き、イオンで生産をやっていく企業に輸入原塩を渡しまして、再製された塩として受け入れまして、需給には絶対支障のないように措置する所存でございます。
#183
○広瀬(秀)委員 専売公社にお伺いしますけれども、先ほど私は数字を申し上げました。塩田製塩業者が十六、イオン製塩業者二、塩田・イオン併用業者五、機械製塩業者三、こういうような数字を申し上げたのですが、現在国内製塩業者というのはこういう状況に分布されているわけですね。
#184
○園部説明員 四十五年度の段階でそういうことでございますけれども、四十六年度へ向かっては、イオンの設備が三十五万トン程度になり得る体制にございますので、そういった点からも支障がなくいけるものというふうに考えております。
#185
○広瀬(秀)委員 イオン交換膜製塩導入企業というのが、一番新しい資料によりますと八企業で、三十五万五千トンくらいの規模になっているということがあるのです。いままでの塩田製塩業者が廃業をする、業種転換をやるということがやはり一番大きい問題点であろうと思うわけですが、この第三条によりますと、「昭和四十五年十二月一日から昭和四十六年十二月三十一日までの間に塩専売法第十二条第一項の許可を申請した」云々、こういうも一のについて交付金の交付が行なわれる、こういうようになっているわけですね。そうしますと、塩田製塩業者十六というのは四十四年の数字だと思うのですが、これがこの期間中にその製塩廃止の申請を出す、こういうことにならないとこの交付金の交付も受けられない、こういうことになるわけでございましょう。その見通しについては一体どの程度に進んでおるのか。この期間中に全部塩田製塩というものを廃止される見込みがなければならぬと思うのです。そうでなければ新しいイオン製塩へのビルドがスムーズにいかないわけですね。その辺の見通しは一体どういう状況になっておりますか。
#186
○園部説明員 先生御指摘のとおり、塩田業者はこの法案に示された期間内、したがいまして本年の十二月末までに全部廃業の手続を行なう見込みでございます。時期等についてはまだつまびらかではございません。
#187
○広瀬(秀)委員 機械製塩業者が四十四年では三つあったというのは、これもそのとおりでございますね。それから、塩田とイオンの併用をしておるというものは現在あるのかないのか、この点……。
#188
○園部説明員 機械製塩がいま三社ございます。そのうち、四十七年度以降イオン交換膜を入れて近代化企業に参加しようという業者も、そういう希望があるというような趣も聞いております。それ以外は廃止申請をするということになろうかと思います。塩田・イオン併用の業者につきましては、たいへん小さな業者で、近代化企業として申請しないものは、塩田もイオンも含めて廃止申請をすることもございますし、塩田部分だけを廃止申請をするという業者もございまして、塩田部分は全部十二月までに廃止申請をするものという見込みでございます。
#189
○広瀬(秀)委員 そこでお伺いしたいのは、イオン交換膜製塩によって――昭和四十六年度からこの新製塩法に変わっていくわけでありますが、イオン交換膜製塩法に切りかえて、どの程度までこの国内の製塩の生産量というものを上げていく気持ちであるのか。ソーダ工業用というのは別にして、大体家庭用、食品工業用あるいは一般工業用塩の需要にほぼ近いものを、いままで塩田、イオン混淆で、機械製塩などでやってきたわけですが、どの辺まで国内の生産量を上げていくのか。これは近代工業化するわけでありますから、しかも、日本のように四面環海という国では、これは考えようによっては無限に――いわゆる労働力の問題だとか経費の問題だとかいうようなものも非常に近代化されて、しかも技術が高度化されていくわけですから、理論的には幾らでもこの生産量を上げることはできるはずなんですね。しかし、いろいろな条件というものもあるわけで、専売公社としてどの辺まで国内の生産量というものを上げるのだ、そういう見通しというものはどういうことになっておりますか。
#190
○園部説明員 今日イオン交換膜製塩による塩業の近代化にあたりましては、どれくらいの量を考えるかということと同時に、国際競争力のある製塩にして塩産業の自立化をはかりたいということが当面の目標になっております。そういう点から考えますると、現在までも一応収納限度量制度で九十二万トン程度を国内の需給の最小限としてはかるように考えておりますが、同時に、輸入塩を国内で再製あるいはまた加工して家庭用なりあるいは食品工業用なりに供給した場合の国際競争力のある価格は一体どれくらいかという両面から推察いたしまして、塩業審議会でも御審議をいただきまして、当面としては九十万トン程度を国際競争力のある産業に仕立てたい、こういうのが第一次の目標でございます。ただ、前回の整備のときは一万円を目標にはいたしましたが、今回の場合は単に七千円の価格が実現すればいいということにとどまるものではございません。七千円になったら、とたんにその後の物価上昇で七千円が上がっていくというような体質のものではほんとうの近代化というわけにはまいらぬかと思います。また同時に、イオン交換膜の技術そのものは、御承知のようにソーダ工業に関連のある企業が二十年にわたって開発してきたものでございまして、そういう開発を続けている膜メーカーのほうも、ほんとうに輸入塩に裸で対抗する塩ができることを今後とも目ざして開発を続けておるという状況でございますので、当面九十万トン程度ではございますけれども、その後、技術の進歩とコストの低減によりましてその供給する範囲も拡大していくものというふうに思っております。
#191
○広瀬(秀)委員 端的に伺いますが、いま九十万トンくらいのところを目ざしているのだという、これでは何かどうも――イオン交換膜製塩技術というものが今日相当なレベルに達しておる、そういうことで国際価格にさや寄せしていこう、競争力のある製塩業にしていこうということで、百八十九億の大金を投じて塩業整備をやろうというわけですね。それにもかかわらず、四十四年度ですら国内塩だけでも百四万七千トン、輸入塩で三十九万六千トンというようにして、国内塩は家庭用、食品工業用、一般工業用、こういうようなものの需要から見ましても、その八割程度くらいしか自給してないわけですね。こういうようなものについて、将来はソーダ工業用の塩、輸入に全面的に仰いでいるそういう分まで、イオン交換膜の生産性の高いそういう新しい製塩法を取り入れるのだ、大胆にしかも積極的に取り入れるのだということで初めて百八十九億の塩業整備費というものも生きてくるわけです。ところがやはりそういうスケールの大きい見通しを持っているのではなくて、まあイオン交換膜で九十万トン程度つくるというのでは、何か塩業整備の長期ビジョンというようなものが何となくきわめて消極的なものではないのかという感じがするわけですが、総裁、いかがでございますか。
#192
○北島説明員 ただいま御説明申し上げましたのは、当面スタートする場合にどの程度を目標として新規企業を認めていくか、こういう問題でございます。これにつきましては、さしあたり現在国内で製塩いたしておりますのは九十万トンではございますが、これには非常に大きな将来の可能性を秘めておる。最近におけるイオン交換膜の技術の進歩は非常に著しいものがございまして、九十万トン程度でスタートいたしまして、そして技術の進展によってこれが非常に大きな力となって将来伸びてくる、こういうふうに考えます。したがって、当面としてはあまり大きなところで企業をたくさん認めない。将来国際競争に十分対抗できるような企業を選定いたしまして、当面九十万トン、こういう目標でございます。九十万トンで固定するつもりではございません。むしろ無限の可能性があるように私は思います。
#193
○広瀬(秀)委員 私もそう思うのですよ。先ほども申し上げたように、四面海に囲まれている、特に海洋資源開発の一環でもあるだろうと思うのです。貴重な外貨を使って五、六百万トンも工業用ソーダ塩を輸入している、こういうようなものについても、まわりじゅうが海である日本において高度の製塩技術ができたわけですから、国内で自給する面というものはもっともらと飛躍的に拡大していっていいのじゃないか。また、長い伝統のある塩田製塩という農耕的なものを一気に切りかえていこうというかなりドラスティックな法律の趣旨というものも、そういう展望を持って初めてほんとうに効果があったといえるだろうと思うのです。
 ところで、当面というのは、大体五年くらい先のところでイオン交換膜による製塩を九十万トンくらい、こういうことに予想しておるわけですか。
#194
○北島説明員 これは、四十六年度から発足いたします新規企業についての当面の能力は一応九十万トン程度というつもりで許可いたしました。これがやはり年々技術の進歩によって拡大されてまいる、こういうふうに考えております。これは五年後の目標ではございません。
#195
○広瀬(秀)委員 現在イオン交換膜製塩法をやっている企業の数は八つあるわけですね。この人たちはいわば一種の既得権のようなものを持っているのじゃないかと思うのです。こういう八つの企業体があって、塩業審議会の答申の中でも、今後少なくとも一企業の生産規模が十五万トンくらいにならないと国際塩価格のトン七千円というものは実現しないのではないか。そういうものを実現するためには、やはり生産規模は十五万トン以上にならなければいかぬということが答申されているわけですね。十五万トンということに一企業の生産規模を誘導していけば、大企業あれば九十万トンというものは達成されてしまうわけですね。この企業の数というものは、今後いまの八企業にどんどんプラスしていく気持ちがあるのか。それとも九十万トンというところで六企業ということにしておいて、一企業当たりの生産規模を十五万トンではなく倍にも三倍にもというような方向で考えるのか。この辺のところの構想といいますか、計画はどうなっているのですか。
#196
○園部説明員 先生御指摘のように、いま八企業に入ってはおりますが、ごくわずかしか入ってないという企業もございますので、八企業が必ずしも既得権とはこちらも考えておりませんし、塩業をやっているほうでも考えていないかと思います。
 それといまの九十万トンとの関係でございますが、御指摘のように九十万トンを十五万トンで考えれば六企業程度ということになろうかと思いますが、十五万トンよりも二十万トンのほうがやはり規模の利益といいますか、原価の低減という点もございます。さらに、同じ十五万トンの設備で許可をいたしましても、現在試験中のイオン交換膜の設備あるいは電流等の流し方、その辺がまだ工業の段階まで入っておりませんけれども、そういう現に芽が出ているような技術、新しい技術を今後入れますと、同じ十五万トン設備でも十七万トンなり十八万トンなりできる。そういうような技術の内容でございますので、今後の需給なりあるいは技術の進歩なりという点から考えますれば、どちらかといいますと十五万トン規模のものが発展して大規模な生産になるほうがベターであろうか、かように考えております。
#197
○広瀬(秀)委員 そこで、現在八企業ある。さらに有力な企業がやりたいということで、法案にもありますように、事業計画書なども適格であるというようなことになってこれを認めるということになりますと、非常に小さい三千トンくらいのイオン交換膜をやっているところも岡山県あたりにあるわけですね。あるいはまた一万七千トンだとか一万五千トンくらいだとか、こういうようなものがあるのですが、やはりどんどんスケールメリットを追求して生産性の高いものというようなことになってくると、こういうようなものが整理されていくのではないかと思うのです。そういった場合に、これをうまく工業立地の問題を含めて吸収合併が可能だとかなんとかいう場合ならばそれはいいと思うのですが、どうしても立地上この企業はとてもよそに太刀打ちできない、だからまいっていく、こういうような事態があって、またこの部分は整理をしなければならぬというようなことになりはしないかという、われわれにも懸念があるわけですね。こういう状況、現況を見まして、たとえば三千何トンなんというところは、十五万トンあるいは二十万トンというようなことになったら、これはもう全然追っつかない話なんですね。こういうようないま三千トンくらいのその工場が、十五万トンに、二十万トンにというようなことに伸びていく力を持っているかどうかということも心配なんです。そうすると、今度塩田をつぶして、スクラップにしてイオン製塩のビルドをするというようなのが、今度はイオン製塩が始まったけれども、小さくてとてもだめだからというので、それも今度はスクラップにしなければならないというようなことになれば、また今回と同じような措置をそういう面について、小さなイオン交換膜製塩の企業に対してまたこういうようなことが適用されるようなことになるのかどうか、この辺のところはどうなっておりますか。
#198
○園部説明員 今次近代化が国際競争力のある塩の産業を目ざしてやってまいります以上、イオン交換膜の設備でございましても、小規模なものではとてもそういう目的を達することができませんので、塩田のうちに小規模にイオンが入っているという企業につきましては、むしろ塩田とともに今次塩業の整備において塩業を廃止するという方向になるものと期待しております。
 また今度、こういった整備がイオン交換膜の製塩で再び起こらないように、この法律が成立次第行なわれますところの、四十七年以降に残ってやっていく近代化企業の審査にあたりましては、厳重に審査をいたしまして、今後再びそういうことが絶対ないような配慮をしてまいりたい、かように考えます。
#199
○広瀬(秀)委員 どうも私、納得ができないのですが、現在八企業ある。八つあるわけですよ。それを専売公社では大体六つぐらいにしたいのだ、こういう考えを持っておられるというわけですね。しかも、現在ある八つの企業のほかに、新しく申請を出して許可を受ける業者も出てくるだろう。そういうものを含めるならばもっと業者の数は多くなる。それを六つぐらいに集約したい、そうしてスケールメリットが追求できるようなものにしたい、こういうわけでしょう。その場合に、小さい脱落せざるを得ない業者に対しては一体どう扱っていくのだ。もう一ぺん今回の塩業整備みたいな補償交付金というようなものが考えられるような事態になるのか。それがかくかくの考えをもってそういう心配はないのですということを、もう少しはっきり答えてもらいたいのですね。そういう事態というものはないのだという……。
#200
○園部説明員 先ほども申しましたように、この法案成立後に、四十七年度以降近代化企業として大規模で残っていきたいという申請は、確かにあるいは御指摘のように八ないしそれ以上の申請があるかもしれません。しかし、その審議の過程におきまして、今後の見通しについて十分審査いたしまして、後々になって、イオン交換膜製塩をやりながら国際競争力も持てず脱落せざるを得ないという企業にならぬようにいたしまして、その審査の結果によって脱落したものにつきましては、本年中に廃止申請をして塩業を廃止するようにさせていくのが妥当だろう、かように考えております。
#201
○広瀬(秀)委員 イオン交換膜製塩を現在やっているものでも、今回の四十七年度以降の事業計画というようなものが、これは当然無理だという場合には事業廃止を誘導してこの交付金の対象に、この法律の対象にしていくというようなことをしながら、そうして立地の問題もあるでしょう、スクールの問題もある、それらの問題を考えて大企業くらいにしていくということは、大体そのとおりなんですか。
#202
○園部説明員 いま先生が言われましたような方向でものを考えていくのが、今次の塩業近代化なり、あるいは今後の見通しからいってベターなものだ、かように考えております。
#203
○広瀬(秀)委員 答申では「当面の目標を達する過程においても、ソーダ工業用等輸入原塩を直接使用する分野にまで需要を拡大していくことが望ましいと考えられ、そのためには、企業自らの努力で製塩技術の改良開発を進めるのみにとどまらず、海水総合利用、発電とのコンビナート化等を含めて、たえず技術革新を続けることが必要である。」こういうように答申では言っておるわけでありますが、この総合的な海水利用というもの、それから発電、こういうもの等を組み合わせたいわゆるコンビナートをつくろう、こういうことでありますが、これについてのどういう具体的な構想ないし計画というものを持っておられるか、この点を明らかにしていただきたい。
#204
○園部説明員 現在の段階において具体的な構想という段階までは来ておりません。しかし、イオン交換膜による大規模な製塩といいますものは、結局来年以降残っていく各企業は、おそらく自家発電の設備をつくったりしながら、絶えず新しい煎熬及びイオン交換膜の技術開発を進めていくもの、かように思っております。そういう場合、発電のコストあるいは発電に伴う蒸気のコスト、安い電気と安い蒸気が結局塩の生産原価の低減にたいへん貢献するという点が一つございますので、そういう意味で民間等におきましてはそういう結びつきがうまくできないかとか、あるいは原子力発電との結びつきができないかとかいうようなことのいま研究をしている段階でございます。まだ具体的な構想というまでには至っておりません。
 また、御承知のように、現在の段階におきましては、海水のかん水化、淡水化は、淡水の水のほうはとれるわけでございますけれども、片方で希釈するかん水のほうは、別にすぐ塩になるような濃厚な塩水はとれません。あるいはまた、イオン交換膜におきましては、イオン交換膜でたいへん塩田より濃いかん水の塩水がとれるわけでございますが、片方の捨てる側の海水はそれほど淡水化された海水にはならないということで、淡水化の問題におきましても、イオン交換膜の段階におきましても、まだ両方並び立たずという段階でございますが、数年後にはこれも技術的においおい開発されて結びついてくるということも考えられないことではないのではないかというような指摘もございます。そういった点でございまして、具体的な構想を云々という点についてはお答えできるような段階でございませんが、そういう研究なり、あるいは構想なり、民間における検討なりというものが行なわれている段階でございますので、塩素審議会としては、そういったものをさらに進めて今後に期待したいということを述べたものというふうに推察しております。
#205
○広瀬(秀)委員 総裁、この塩業審議会もたいへんスケールの大きいビジョンを出したわけですね。しかしこれはなるほどそういうことにいけば、海水の総合利用という問題それから発電との兼ね合わせによって、一大製塩化学コンビナートというものができればたいへんけっこうなんだけれども、いますでにもう八企業もあって、それがそれぞれのいい立地のところで始まっておるのですね。こういうようなものをこういう理想的な形態にしていく、これは可能性としてはあると思うのですが、実際の姿としてここ数年なりあるいは十年くらいの間にコンビナートというようなものができる状況というものについて、総裁はどのように見通されておりますか。
#206
○北島説明員 私も、イオン交換膜製塩の技術の問題につきましていろいろ、学者あるいは工業技術院などの方々の御意見も伺ったのですけれども、将来はこれは海水の総合利用、発電とのコンビナート、こういった方面に結びつけていかなければならない問題でありますので、目下研究もされているわけであります。しかしこれの実現にはやはり少なくともまだ十年はかかるだろうというのが、どうも一致した意見のようでございます。十年ではまだ少しむずかしいのではないか、こういう意見も私は聞いております。
#207
○広瀬(秀)委員 次に質問を移します。
 技術革新によって一大化学工業としての製塩法に転換をしていくという道が開かれたわけですけれども、こうなってきますと、いままでの塩の流通というような面について、いままでの専売制度のかたいワクの中でやってきた流通機構というものは、何かもう、いわゆる新しい酒は新しい皮袋に盛らなければならぬと同じように、生産の面でそういう変革が遂げられてきたという場合に、それに対応する流通面での改善という問題についてどのようにお考えになり、措置されようとしているのか、その点をお答えいただきたいと思います。
#208
○園部説明員 先生御指摘のように、確かに生産構造が画期的に変革をしてまいりますと、当然それに相応して流通なり何なりにも検討を加えなければならない問題であろうかと思います。塩業審議会の答申におきましても、審議を重ねてまいりましたけれども、大綱におきましては問題点の指摘にとどまりまして、今後近代化企業が国際競争力のある七千円へ向かってこの五年間の経過があるわけでございますが、その期間に御指摘のような流通関係についての検討を進めて具体化をはかるべきであるという指摘でございますので、私どもといたしましても、四十七年以降あるいは四十六年の終わりからも、こういった点について検討を加えていかなければならないのではないか。
 ただ一点、塩業審議会としても、先ほどお話ししましたように、イオン交換膜による技術は年々あるいは半年ごとに変わるというような進み方をしておりますので、たとえば十五万トンが、公社が買い上げるという以上に、同じ設備でコストが安くなって生産塩量がふえた場合、法案にございますように、販売特例塩というようなものを承認いたしまして、販売人を通じて消費者に四十七年度以降流れる塩の流通形態の制度をつくったのも、今後の改善の検討の一助になるのではないか。もっとも量的にはわずかだと思いますけれども、そういう点が今後の流通問題についての検討のしかたの第一歩でなかろうか、かように考えております。
#209
○広瀬(秀)委員 流通機構の問題で、審議会の答申にもいわゆる一次卸というものを新たに設け、また組織化していかなければいけないじゃないかということがいわれておったと思うわけでありますが、この一次卸と今日の元売りとの関係というようなものについてはどうお考えでございますか。
#210
○園部説明員 確かに塩業審議会の答申におきまして、一次卸という構想について触れておりますが、現在の段階でいまの元売りとここに指摘しております一次卸とどういうふうに具体的に結びつけたらいいかという点については、まだ具体的な内容にまで立ち至っておりません。ただ先ほども申しました販売特例塩につきましては、実際消費者と産地との間にたいへん距離的に離れておるという点もございますので、一次卸という機能ではございますけれども、あえて一次卸というものを創設するというのではなしに、その産地の元売りなりあるいは消費地の元売りなりという関係において、元売り人から元売り人に販売できるというものを置いた次第でございます。
#211
○広瀬(秀)委員 イオン交換膜製塩でかなり大規模な工場ができる。そこから船である港へ着けて、その近辺一帯の元売りに出そう。たとえばある東北の港に着けた。そこではそう大きい元売り、一気に船で何千トンというように積んできたものを買うだけの資金の調達力もないという場合に、新たに一次卸的な力のある、金融力のあるものを設けて、その近辺に今度は流していく、こういうようなものが考えられているのだという説もあるわけなんですが、そういうことは考えておらないわけですか。
#212
○園部説明員 案の一つとしては、いま先生御指摘になったような案も検討の段階では出ておりますけれども、具体的にそういう方向で今後考えるというところまではいっておりません。
#213
○広瀬(秀)委員 流通機構の問題は、新しい生産にふさわしい新しい流通機構をかみ合わせた、やはり対応する関係において十分効率的な流通機構を考えていっていただきたいという希望だけ申し上げて次に移ります。
 この塩の価格を段階的に引き下げていこうということで、現在の収納価格トン当たり一万二千五百円、これを年々千百円ずつ引き下げて、五年後には七千円に、いわゆる国際価格水準と同一にしよう、目標価格をそういうことで設定をする、こういうことのようでありますが、意外に早くイオン製塩のスケールメリットが実現をして、二十万トンあるいは三十万トンというような、高性能の工場がどんどん高生産をあけるというような場合には、そういうものに従って、必ずしも五年間は固定的に千百円ずつ下げていくんだというのではなしに、もっと技術の進歩が早くてコストダウンが見られるというような場合には、これはどういうことになりますか。やはり固定的に千百円ずつ下げていくんだということを固定していく、こういうことがこの目標価格の基本になるわけですか。
#214
○園部説明員 目標価格につきましては、いま先生の言われましたように毎年千百円ずつ引き下げて、昭和五十年の当初におきまして七千円にしたい、かように考えております。しかしながら現実の収納価格につきましては、この目標価格を基準としてその他の経済事情を参酌して収納価格をきめるということでございますので、先生御指摘の点等につきましては収納価格の問題という考え方にもとれるのではなかろうか、かように考えますが、基本的な考え方といたしましては、先ほどいろいろ先生御指摘のように、今後どういうふうに技術が進んでいくかという関係がございますが、この五年くらいの時間帯を過ぎた段階でもう一つさらに飛躍した設備なり技術というものがあり得るのではないかということも、絶対の確信というわけではございませんが、いままでの経験からそういう感じがございますので、今度の十五万トン規模のイオン交換膜の製塩設備につきましてはできるだけ早期に投下資本の回収をし、蓄積をして次の発展に備えをするというのも一つの趣旨になっております。先生等の御指摘の点につきましても、今後の推移を見て十分検討してまいりたい、かように思います。
#215
○広瀬(秀)委員 次に質問を移します。
 四十七年四月以降、今度の法律によって、従来は専売公社が一手に収納する、それからまた売り渡しも専売公社が全部やるのを、今回の法律によって、製塩業者が収納数量以上につくった場合には、食管制度の中における自主流通米のように、直接公社を通さないで需要に応じて特定の企業などに塩を売ってもよろしい、こういう道を開いた。あるいはまた、いままで禁止されておった元売り人の間の売買というのも認めた。こういうことを考えてみますと、食管制度が自主流通米によって大きく穴があいたと同じように、塩における専売制度というものが実体的にくずれてきておる、こういうことにも考えられるわけです。しかもこの塩業審議会の答申も、最後のところで「近代化が達成された暁において、塩専売制度は廃止されるべきもあと考えられる」こういうことがいわれておるわけです。この点について一体、将来近代化が達成された暁というようなところでは、やはり塩専売制度を廃止すべきもあと専売公社自体考えておるのかどうか。また、政府が特に慎重に検討しろ、こうあるわけだけれども、大蔵省もそういう前提を置いて、これはもう条件さえ整えばやがて廃止すべきものなんだ、こういうお考えでおられるのかどうか。その点、専売制度の廃止の問題についての公社側の立場とそれから大蔵省側の立場について御所見を伺いたい。
#216
○園部説明員 先生御指摘のように、塩業審議会の答申の最後に、近代化が達成された暁には専売制度は廃止さるべきものと思うけれども、塩の需給、価格の安定等について、政府において慎重に検討せられたいということで結んでございます。いまの御指摘の販売特例塩は塩専売の一角がくずれたという感じではないかという御指摘でございますけれども、塩専売制度は、御承知のように明治三十八年、日露戦争のときに戦費調達と財政収入ということで発足いたしております。御承知のように途中の段階において財政収入というのを放棄したわけでございますけれども、同時に大正七年の段階でソーダ工業用塩につきまして自己輸入を認めるということをやっております。これも塩専売制の時代に即応した適応のしかたではないか、かように考えますし、戦中、戦後におきましての若干の時間におきましては自給製塩制度というようなことで、その時代に即応した塩の自給なり何なりの体制をとったということだというふうに思っております。
 今回の措置につきましても、こういったイオン交換膜の技術の年々の進歩とその発展が阻害されないように、また阻害しないことが国民経済全体の利益になるものでございますので、こういう措置が考えられたわけでございます。したがいまして、塩専売の制度の機能を時代に応じて補完すべきものだ、こういう制度だというふうに私ども考えております。
 なお、塩の専売につきましては、先生御承知のように、消費者は、一般家庭から、生産財として多量に購入する大企業から、たいへん多様でございます。この多様な塩の需要者に対する、その需要に即応した安定した供給体制と価格の安定化ということの配意は何らかの形で必要だというふうに考えますので、今後ともこういうものを通じて塩の事業が円滑に運営されることを私どもは願うというのが立場でなかろうか、かように考えております。
#217
○広瀬(秀)委員 私どもは、ここずっと日本経済の高度成長とともに諸物価が軒並みにたいへんな、むしろ世界一といっていいくらいの物価高騰をしている。その中で塩だけは人間の生活にとってまさに基礎物資であり、米塩の資と昔からいわれるように、米と塩というものはまさに人間が生きていく上にとってなくてはならないものだ。それが二十九年以降価格が据え置かれたということは、これはもうやはり専売制度の非常に大きな、国民の生活に奉仕をしたたいへんなメリットだと思うのです。そういうようなことを考えまして、これからなるほど近代化の、近代工業としてイオン交換膜製法があって、しかも六企業程度、あるいはさらに縮小整理されて寡占化の傾向をたどるかもしらぬ。そういうことにだんだんなるんじゃないかと見られるわけですね、こういう新しい技術体系というものに乗った製塩ということになればですね。そういった場合にはやはり専売制度が廃止されるというようなことになると、この塩の場合でも寡占価格、管理価格というようなものが出て、安定した供給と価格の安定というものが保障されなくなるのではないかというおそれを国民の一人として抱くわけなんです。この答申を受けて、まず総裁はこの問題についてどういう気持ちでおられるのか。この問題について、専売を廃止すべきものと考えられると、こういっているのだけれども、それについて専売公社の総裁の立場において、この答申をどのように考えられたか。そうしてまた、政府が特に慎重に検討すべきだ、廃止さるべきものと考えられるが、諸般の情勢を十分慎重に考慮してやるべきだということがいわれているわけだが、政府のこの問題に対する見解というものは一体どこにあるのか。これについて御両氏から所見を伺いたいと思います。
#218
○北島説明員 たいへんむずかしい問題でございますが、私はこう考えておるわけでございます。塩の専売制度というものは国の専売であって、これを専売公社がお預かりしている、こういう立場にございます。したがいまして、私のほうからこれを廃止するかどうかということはあまり言うべきじゃなくて、やはり政府でよく御検討願って、そうして私どもも十分それについて御協議申し上げて、そうして廃止すべき時期が来たらやはり廃止したらいいのじゃないか、こう思います。ただし、塩の専売制度につきましては、明治三十八年からずっと今日まで至っております。ことに戦後の塩の需給の安定、価格の安定については非常に大きな功績を持っているわけであります。ただ現状といたしましては、この専売制度があるがために、非常に非能率的な塩田製塩というものをかかえ、一方においては非常に技術革新で、将来のあるイオン製塩というものをかかえておる、こういった予盾があった。これを今度近代化いたしまして、大規模な近代化工業にしよう、こういうわけでありますが、これに伴ってやはり流通機構もだんだんそれに伴って直さなければなりませんでしょうし、それから、これら近代化企業がその発展を妨げられるような規制とか桎梏がもしあるならば、やはりこれは政府としてもそういった桎梏ははずして、そうして自由な民間の創意を生かせるような組織にするのがいいのではなかろうか、こういうふうに考えます。ただし、その場合にやはり一番心配されるのは、塩の需給はどうか、価格はどうか、こういった問題であります。需給の問題につきましては私はあまり心配いたしません。価格の問題はどうかというと、これは非常に大規模なイオン近代化製塩方式によれば、はるかに現在より低減するわけでございますが、これは全体の傾向といたしましては、もしそうでなかった場合よりも価格はやはり安定するだろうというふうには考えられます。現在のような製塩制度を続けていくよりも一確かに安定した価格になるのじゃないか、こう思われます。こういった点、非常にむずかしいのではございますけれども、ただ、もうすでに十数年前から各種の委員会や調査会において、そのつど塩の専売制度を廃止すべしと、こういう御意見があるということも私ども十分考えなければならぬことだと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#219
○中川政府委員 今回御提案申し上げております内容は、先ほど来お話がありましたように、非能率的な塩田からイオン交換膜へ、より近代化されたも一のへ転換をはかって、コストの引き下げによって近代化していこうという趣旨がねらいであります。御承知のように塩につきましては、先ほど広瀬委員御指摘のように、昭和二十九年から値段も上がっておらない、安定的に供給をされてきた。そういう意味では非常にいい制度であったのですが、先ほど総裁からお話がありましたように、専売制度なるがゆえに非能率なところもあった、それを今回改正して近代化へ持っていこうというわけでありますが、一方、近代化された暁には、長年ありました専売制度を廃止の方向でという審議会からの答申のあることも事実です。この近代化をはかった上さらに、長年消費者に迷惑をかけなかった安定的な供給と、しかも値段が保証されておった、この二つの道が、この近代化が進められた上においてできるという見通しがはっきりしたときには、これは廃止の方向を考えてもいいのではないかと存じますが、これはそのようになるかどうか、今後先々、行きました上で、情勢を判断した上で改廃についての結論を出したい、このように考えておるわけでございます。
#220
○広瀬(秀)委員 この塩の専売制度の廃止というようなことは、審議会がこんなことを出しましたけれども、これは国民生活に及ぼす影響というものはやはり非常に大きなものがあるのではないかと考えますから、この点については軽々の措置をとらないように、ほんとうに十分慎重な立場というものを堅持されるように、国民の不安をかもすようなことにならないように――専売公社も北島名総裁のもとに、大いに経営効率をあげ、またいわゆる公共企業体に伴う硬直的な運営ということが非常に改善をされていると思いますので、そこら辺のところには、総裁、もっと自信を持って、軽々しく専売制度をはずすというようなことのないように要望をしておきたいと思います。
 それから最後に、四十四年度に二十四億七千万円でしたか、四十五年度で三十五億、こういう塩専売の面では赤字が出ておるわけですね。これは今度の一連の措置、近代化促進ということで生産体制が大きく変わっていくという中で、どういうような年次的な、これからの四十六年度以降の措置によってこの赤字というものはいつになったら解消され、あるいは若干でも利益が生まれる――国民大衆に犠牲を負わせるのではなくて、黒字が出るというような体制に持っていけるのか、その辺の見通しを伺っておき、それで終わりたいと思います。
#221
○園部説明員 先ほど先生からもお話がありましたように、いま包装並塩トン一万二千五百円で買っておりますものを、包装並塩七千円に五十年段階で下げるということは、五千五百円下がることになります。五千五百円を九十万トンで考えますと約五十億ということになります。現在の赤字が三十八億程度でございますので、五十年段階には赤字が解消して若干の黒字になる。ただ、この五年間に運賃その他についての上昇があろうかとも考えられますので、五十年段階の黒字がどうなるかはまだはっきりしたことは申し上げかねますけれども、四十九年から五十年の段階で赤字が解消する、かように思っております。
#222
○広瀬(秀)委員 これ一問でやめますが、減価補てん費であるとかあるいは退職金であるとか、あるいはまた施設の撤去費であるとか、こういう交付金ですね、これについては、それぞれ長い歴史と伝統の中で苦闘をして日本の塩業を育ててきた人たちでありますから、この法律が通り次第、なるべく早くそれぞれ事務処理を急いで、特に労働者の退職金というようなものがスムーズに末端まで渡されていくように、事務的な面でごたつかないように、この点を特に要望しまして、私の質問をこれで終わります。
#223
○毛利委員長 関連質問を許します。藤井勝志君。
#224
○藤井委員 ただいま広瀬委員から塩の専売制度の存廃論をめぐって質問が出たわけでありますが、この問題はたいへん重大な問題で、もう長い間国民生活に定着しておる制度であります。世の中は、敗戦当時のことを考えるとたいへんな変わり方が現在われわれの周囲に出現をしておって、米は余り過ぎて生産調整に踏み切らなければならないという状態です。しかしながら、私はこの米、塩というものは国民生活に欠かせない重大な要素だと思うのです。特に塩の専売というものは、この制度があるがゆえに幾ら山間僻地でも都会地でも同じような価格で手に入るということは、専売制度の大きな貢献だと思うのです。したがって私は、この塩の専売については単なる企業の合理化とか近代化とか、こういったことだけでなくて、国民生活の必要不可欠な大切な要素であるという面から慎重な検討が必要であるというふうに思います。ところが、何か答申に専売についての存廃論が出ているということの背景、ものの考え方、これはどういうところからそういう線が出ているか。この場でひとつ総裁から、あるいは大蔵省のほうからでもけっこうですが、イオン交換膜製塩法によって今度塩業の整備をやるというこの時点において、塩の専売制度そのものが議論されるということについては私はまだ理解に苦しむ点がありますので、この機会にひとつ御答弁を願いたい、こう思います。
#225
○大塚政府委員 先ほど総裁から、各種の調査会、審議会等で専売廃止の意見が出ているというお話がございましたが、現在そういった調査会、審議会で専売廃止ということをいっております意見を大別いたしますとおおよそ二つになろうかと思います。
 一つは、御承知のように現在の塩専売制度はいわゆる公益専売というふうにいわれておりますが、国内製塩が輸入塩に比較しましてコスト高である。もっと消費者には安い塩が供給できるんじゃないかという面、輸入塩よりも国内製塩が安いというならばともかく、自由化するならば消費者にもっと安い塩が供給できるのに高い塩を供給しているということが一つございます。それからもう一点は、いわゆる管理価格、物価政策上からの問題で塩専売の廃止ということがいわれているように考えられます。管理価格と申しますか、自由にしたほうがやはりもっと安い塩が消費者に供給されるのではないかという面からの意見でございます。その中には、専売公社は公共企業体でございますが、先ほどからも話が出ておりますように、民間企業に比較いたしまして非能率な面があるとか、公社を通しますことによりまして経費が増高するとか、そういったことが考えられているようでございます。現在まで塩専売廃止ということをいっております理由としましては、おおよそそんなところではないかと思います。
#226
○藤井委員 いま二つの理由からその考え方の背景の御説明がありましたけれども、これはなかなか重大な問題でありますし、また別の機会によくお話を聞かしていただきたい、こう思います。
 質問を終わります。
#227
○毛利委員長 次回は、明二十五日木曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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