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1970/02/23 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 法務委員会 第4号
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1970/02/23 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 法務委員会 第4号

#1
第065回国会 法務委員会 第4号
昭和四十六年二月二十三日(火曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長代理理事 小島 徹三君
   理事 小澤 太郎君 理事 鍛冶 良作君
   理事 田中伊三次君 理事 福永 健司君
   理事 畑   和君 理事 沖本 泰幸君
   理事 岡沢 完治君
      石井  桂君    江藤 隆美君
      羽田野忠文君    松本 十郎君
      村上  勇君    勝澤 芳雄君
      黒田 寿男君    林  孝矩君
      青柳 盛雄君
 出席政府委員
        法務政務次官  大竹 太郎君
        法 務 大 臣
        官房司法法制調
        査部長     貞家 克巳君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局総務局長  長井  澄君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  瀬戸 正二君
        法務委員会調査
        室長      福山 忠義君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  勝澤 芳雄君     阪上安太郎君
  沖本 泰幸君     鈴切 康雄君
同日
 辞任         補欠選任
  阪上安太郎君     勝澤 芳雄君
  鈴切 康雄君     沖本 泰幸君
同月二十三日
 辞任         補欠選任
  勝澤 芳雄君     安井 吉典君
同日
 辞任         補欠選任
  安井 吉典君     勝澤 芳雄君
同日
 理事沖本泰幸君同月二十二日委員辞任につき、
 その補欠として沖本泰幸君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一一号)
#2
○小島委員長代理 これより会議を開きます。
 本日は、委員長が所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。
 理事補欠選任の件についておはかりいたします。
 昨二十二日、理事沖本泰幸君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○小島委員長代理 御異議なしと認めます。よって、委員長は、沖本泰幸君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○小島委員長代理 内閣提出の裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑和君。
#5
○畑委員 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、質問を若干いたしたいと思います。
 まず、お尋ねいたしますのは、今度の法律案で増員になっているのは判事補が十二名、簡易裁判所判事が二名、裁判官以外の裁判所の職員の員数十九人増、合計してわずかに三十三名、去年よりもまたはるかに少ないと思うのでありますが、一体裁判所の概算要求では何名出しておりますか。
#6
○長井最高裁判所長官代理者 概算要求の総計は五百九十七名でございます。
#7
○畑委員 その内訳は……。
#8
○長井最高裁判所長官代理者 裁判官と裁判官以外の裁判所職員に分けて御説明申し上げます。
 判事が十七名、判事補三十四名、簡易裁判所判事三十五名、以上裁判官合計八十六名。次に裁判官以外の裁判所職員の総計は五百十一名で、そのおもな内訳は、裁判所調査官九名、裁判所書記官九十六名、家庭裁判所調査官は、三十六名の減がございますのでその減を差し引いて四十九名ということになりますが、八十五名が増員の総計になるわけでございます。裁判所事務官百九十七名、それからタイピスト二名、それから医療職関係が二十五名、それから行政職俸給表(二)表の準用を受ける職員、たとえば自動車運転手、汽かん士、こういうような職務内容を有する職員が合計九十七名であります。
#9
○畑委員 概算要求の数字が五百九十七名、認められた増員が三十三名、まあ概算要求に比べて幅があるのはあたりまえですけれども、しかし、これはちょっと幅があり過ぎるのじゃないか。大体必要だと思って概算要求するわけだと思うのだが、それに比べて、あなた方の努力が足りないのか、あるいはまた大蔵省が理解が足りないのか、全体として予算が足りないからというのであろうかどうかわからぬけれども、概算要求に比べて実際の増員の数字はきわめて少ない。最近、一体こんな少ない数字がありましたか、ちょっとお聞きしたい。
#10
○長井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 過去十年間の比較をとってまいりますと、今年度三十三名という少ない数字は御指摘のとおりでございますが、昭和四十年には合計十六名、四十一年には八十五名、四十二年には五十四名、四十三年には二十五名という数字が出ております。そして本年の増員数は三十三名で、結局反則金制度採用によりますところの事務量の減による家庭裁判所調査官の減、及び内閣の方針に基づきますところの機構の簡素化、事務処理の能率化という線に沿いました裁判所事務官四十九名の減になっておりますので、それを合わせますと、プラスマイナスで純増が三十三名という結果になるわけでございます。そういう要素をごしんしゃくいただきたいと思います。
 なお、昨年に比較いたしますと非常に少ないのではないか、三十名台に下がっているではないかという御質問もございますと思いますけれども、昨年は事件の処理以外に学生事件の関係の警備要員としての百名を増員していただきました。これは広い意味で事件の処理に関係がございますが、実質的な審判の内容について関係を持つものとしては、これを一応除外して考えますと、昨年に比べまして事件の処理の上からの人数といたしましては、むしろ上回っているのではないかというふうに考えているわけでございます。
#11
○畑委員 内閣の削減の方針に協力したという点、また家庭裁判所の反則金関係の手数がなくなったという点での削減というものがあるので、結局差し引き三十三名の増員は比較的いままでの実績と比べてそんなに遜色がない、こういうような結論的なお話だと思うのです。しかし、それはそうといたしましても、概算要求に比べてだいぶ実際が少ないわけです。これは私は、最近の裁判所関係の職員を中心とする増員がなかなか思うように認められておらぬということだと思うのです。そういう習慣がついてしまっているから、大蔵省でも甘く見てやっているのではないかと思うのであります。これはよく毎回出るのですけれども、二重予算の制度等もあるのですから、こういう点を活用するぞというような姿勢で、ひとつ要求をしてくれればもっと取れるのじゃないかと思うのです。各地において非常に職員が足りない、裁判所関係で非常に足りないというふうに聞いておりますし、また現にわれわれも法曹にある一人としてそういうことを実際に経験いたしておるわけであります。今後ともひとつ、ぜひもっと増員をするようにやってもらいたい。
 それから次にお聞きいたしたいのは、この中で指定管理職の職員の全職員との間の比率、それはどのくらいになるのか聞きたい。
#12
○長井最高裁判所長官代理者 管理職員に指定されております者は約三千人ございまして、裁判官を除きますところの一般職員に対します比率では、一四%ということに相なるわけでございます。裁判官、これは管理職といえるかどうかわかりませんが、裁判官を管理職員に加えますと二五%ということになります。
#13
○畑委員 これはこの前、去年のときにも質問したのですけれども、ほかの役所と比べてえらいパーセンテージが高い。裁判官なんというのを同じように管理職という立場で計算すると二五%ということになるのだが、それを除いても一四%ということで、ほかの役所と比較してだいぶ高いと、私は去年の質問のときの経験でも承知しているのですが、いかがでしょうか。
#14
○長井最高裁判所長官代理者 他庁の関係、昨年の三月三十一日現在で申し上げますと、高いところでは法務省関係が一八・二%、低いところでは労働省関係の八・七%、それから農林省の八・六%、厚生省の七・六%というようなところもございまして、指定率はかなりな幅をもって管理職員の指定がなされておるようでございます。これは職務の内容、その庁の所管事務の内容にもよることと存ぜられますが、裁判所が一四%という数字は、この中ではそれほど高い順位には入らない、このように解しております。もちろんこれは裁判所の事務の内容の特殊性ということを勘案いたしましての数字でございます。
#15
○畑委員 場所によると役付職員が五人に平職員が一名というようなところなんかあるそうですが、どうでしょうかね。職場によってはそういう逆のような形になっているところもあるようですね、これはもっとも仕事の性質かどうかわからぬけれども。
#16
○長井最高裁判所長官代理者 先ほども職務内容と申しますか、事務の性質によるということを申し上げましたのですが、御承知のように、裁判所は特殊な系列に職員がございまして、裁判の関係では裁判長と書記官の系列は独立してございます。一方、書記官の職種におきましては、その職務内容につきまして、書記官の職務の指導監督というような系列関係を含めまして、事務処理の性質と内容の向上をはからなければならないという要求がございます。これを調和させますために、裁判所におきまして主任書記官というような職種を置いてございます。主任書記官も、主任の指名を受けていない書記官と同様に裁判事務に従事いたしておりまして、この面では上位の首席書記官の指導監督を受けるわけでございますけれども、取り扱っております裁判事務自体につきましては、当該の裁判官以外の指揮監督は受けないという関係にございます。したがいまして、管理職員でも一般の書記官職と同じような職務内容を処理しなければならないという制約を受けているわけでございまして、その意味で管理職員が実務に全くタッチしないというような系列の職制にはなっておりませんので、その点をお考えいただきますと、必ずしも管理職の指定が多いという観点から実務の処理に当たる職員が少ないということはいえない、このように考えております。
#17
○畑委員 結局仕事は管理職になろうがそうでなかろうが、たいして違いないんだ、平職員と同じような仕事もするんだというようなことのようですね。そうだとすれば、あまり管理職を数をよけいにしたってたいして効果はないんじゃないかと思うのだけれども、場所によると、裁判所に資料室というのがありますね。資料と、本だとか何だとか参考のものを保管したり、あるいはまた統計などもそこで担当しておるようです。そういうところで、北海道の旭川か釧路ですか、あの辺あたり、聞くところによると、家裁と地裁と両方から二人ずつ管理職がいて四人、そうして一人しか平職員がいないという。そういう資料室が北海道にも、ほかにもどこか知らないけれどもあるという話を聞いたのですが、それは事実ですか。旭川、釧路、そういう現実の話を聞いておる。家裁と地裁と両方で一緒に資料室をやっているのでしょうが、両側から二人ずつ管理職が出て一人が平、場所によると全部が管理職だという話を聞いておるけれども、一体そんなことでいいのか。
#18
○長井最高裁判所長官代理者 御承知のように、資料室は、資料つまり図書の受け入れ、整理、貸し出しというような事務と、それから裁判所の司法統計の事務と、二つを処理いたしております。そのような関係で、事件数の少ない庁におきましては、資料の利用関係、統計の作成関係、それぞれさほど事務量が多くございませんために、管理職の指名を受けた者以外には、一般の平職員と申しますか、そういう職員の数が少ないところがございますが、職制の関係から管理職の指定をしないわけにはまいりません。これは責任の所在を明らかにいたします関係上必要でございますので、御指摘のような職員の構成のところもあるわけでございます。ただ、係長は管理職の指定は受けておりませんので、その点、申し添えさせていただきます。
#19
○畑委員 そうすると、いまの私の聞いた例はちょっとわかりませんか。それはどういうわけで家庭裁判所から二人、地方裁判所から二人、これは統計と資料と両方別々にあるんだから、おのおの一人ずつ管理職を指定した、こういうことでしょうか。家裁が二人、地裁が二人管理職で、平は五人のうち一人しかいないというようなところ、調べてくださいよ。釧路や旭川、私は現に聞いたんだから。それは間違いなのか。
#20
○長井最高裁判所長官代理者 係長は、私どものほうでは管理職と考えておりませんので管理職員に入っておりません、考え方の相違かと存じますが。
 なお、御指摘の点は調査いたします。ただいまここに資料を持ち合わせておりません。
#21
○畑委員 係長は管理職にしてないのですか。主任書記官というのはどうなんですか。
#22
○長井最高裁判所長官代理者 主任書記官と課長、課長補佐までは管理職にしてございますが、係長は管理職ではございません。
#23
○畑委員 そのいまの話は、二人とも課長で一人が係長だという話です。全部管理職のところは旭川かどこか。一人の平職員というのが釧路かどこか。その一人というのが係長だ。とにかく全部、仕事の関係かどうか知らぬけれども、どうも幾ら何といったってそれはおかしい。それよりも実際給与をたくさんやればいいので、役職だけを与えて、ということもおかしい。同時にまた、それは全司法の労働組合あたりの勢力を弱めようというととじゃないかという見方すらあるわけです。また管理職が多くなれば、それだけ一般職の人数が少なくなる。そうすると、労働強化につながる。こういう主張も組合などでしておるわけですが、その辺はどうなんでしょうか。
#24
○長井最高裁判所長官代理者 正確な数字に基づかない答弁となりますので、まことに申しわけないわけでありますけれども、旭川もしくは釧路の場合も、地方裁判所、家庭裁判所それぞれ独立の庁として設置してございますので、それぞれの庁におきまして資料室を設け資料課長を置いてございます。そういうわけでございますから、課長は管理職でございますけれども、そのほかに係長あるいは係長の指名を受けない職員がおるといたしましても、管理職としては二名くらいになるのではないかと思います。
 なお、労働組合の勢力を弱めようということすら勘ぐられるというお話でございましたけれども、私どもは、そういう気持ちではやってはおらないのでございまして、なお御指摘の点は十分に反省さしていただきたいと思います。
#25
○畑委員 全司法の組合を圧迫するというようなことは毛頭考えないと言うのだけれども、全司法の労働組合ではそう思っていない。あなたたちとしょっちゅうやっているでしょう、やはりそういう考え方をしておるのですから。そうでないとすれば、ないように十分納得がいくような説明もし、また実際にそういう扱いをしなければならぬと思うのです。いまの北海道の例なんかひとつ調べてみてください。
 それから管理職の最近の歴年の増加の状況、これは説明できなければ、あとで資料をちょうだいしてもよろしいと思うのですが、どんな程度にふえておるか。それはふえておるのは間違いなさそうですね。
#26
○長井最高裁判所長官代理者 管理職の増加の状況は、昭和四十一年の七月二十二日に裁判官及び裁判官の秘書官以外の裁判所職員の管理職員等の範囲に関する規則が施行されまして、その当時より今日までで合計三百四十八名の増加となっております。
 内容を申し上げますと、高等裁判所におきまして、課長補佐が十二名、これは一般の司法行政事務の系統に属するわけでございます。それから裁判部の主任書記官が十三名。この主任書記官の職務内容につきましては、先ほど御説明申し上げましたような事情にございます。地方裁判所におきまして、事務局次長三十八名、課長七名、課長補佐五十四名、主任書記官五十五名。次に家庭裁判所では、事務局次長が三十八名、課長二十五名、課長補佐二十五名、首席書記官三十九名、主任書記官十三名、次席家裁調査官七名、主任家裁調査官二十二名、合計三百四十八名でございます。
#27
○畑委員 そうすると、それだけ三百何名ふえたわけですね、その何とかという規則が出たことによって。
#28
○長井最高裁判所長官代理者 昭和四十一年の七月二十二日以降増加した数が三百四十八名でございます。
#29
○畑委員 なぜそんなに増加させる必要があるのですか。
#30
○長井最高裁判所長官代理者 裁判所も発足以来二十数年になりまして、事務の処理につきまして漸次検討を加えてまいりました結果、このような指揮監督ないしは指導監督の系列が必要であると考えたからでございます。
#31
○畑委員 それがいろいろ問題になっているのですね。要するに、そういった管理職をどんどんふやしていく、ふやしていって締めつけをやるということが、また反発を買ってということで問題になると私は思う。同時に、早く役づきになりたいという心理もありますから、そういうことを巧みにとらえてやっている向きがあるんじゃないか、私もそんなふうに考えます。それは時間が来ましたから、もうやめにします。
 いま職員が足りない。特に東京あたりは職員が非常に足りないですね。それで北海道や東北方面から一カ月交代で填補に来ておる職員が多いようですが、これはやはり足りないのでやっているんだと思うのですね。これはほとんど恒常的に続いておるようですね。
#32
○長井最高裁判所長官代理者 御指摘のような填補の制度が、現在東京地方裁判所の刑事部において活用されているというのは、そのとおりでございます。これは東大その他をめぐりますところの学生の事件が、東京地方裁判所――その他の地方裁判所にもございますけれども、相当数係続いたしまして、このための事務量の増大が相当量にのぼっている次第でございます。ただ全体として、裁判所の事件数と申しますか、事務量を見ますと、お手元に資料も差し上げてございますけれども、数としてはむしろ減少傾向にございまして、東大事件、学生事件のみをとらえて増員の要求をするというには根拠が薄弱なわけでございます。全国的な見地で人員の配置を事務量に合わせて適正にやるということが望ましいわけでございますけれども、学生事件の処理についての見通しがまだ十分にきまっておりませんために、この事件のみを取り上げまして、事件数の少ない庁から東京へ配置がえをするということは、一面配置の転換について無理をするという事情も出てまいりますし、また、この事件の処理が安定いたしますれば、従前からの事件量というものは大体落ちつきを見せておりますので、各庁の基本的な配置はかえないというような見地から、実態を見まして填補をいたしている状況でございます。
#33
○畑委員 そうすると、いまの東京地裁の填補は、おもに刑事と学生事件が中心だ、それで事件量としてはそう多いわけではないが、時間が長くかかったりして−東京地裁で刑事事件が相当時間がかかるわけだ。事務量が多い、こういうことで、それも一時の現象であろうということで、北海道あるいは東北等の比較的ひまなところから填補をせているのだ、これを配置がえをするほどのことではないという答弁、事情はそれでわかりましたけれども、これがあまり長く続くと、いっそのこと配置がえをしたほうがいいと思ってぼくは質問したのです。しかも一カ月も妻子と別れて出てくるのですから、相当人権問題にもなると思うので聞いたのですが、こういうことは、やはりできるだけ早く解消したほうがいいので、増員と関連して聞いたのですが、大体それでわかりました。
 それから次に、書記官の欠員というのはいまどのくらいあるのか。書記官の研修所を修了してきた人たちが着任する、四月が切りかえですから。そうすると、また新しく研修所へ入る連中があるということになって、いつもそれだけほとんど欠員の状態、帰ってくると、また同じ数だけ出る、こういうような関係になって、恒常的なそれだけ不足する状態が出てくる。そういうことでも残った人たちが事務量が多くなる、こういうことになるのではないか。この辺どのようにお考えですか。
#34
○長井最高裁判所長官代理者 裁判所書記官の定員が六千三百九十三名、現在は六千三百十七名、欠員が七十六名となっております。書記官研修所の卒業生は百五十名ないし百八十名、第一部、第二部を合わせましてこの程度の卒業生が出てまいりますので、書記官の欠員を充足することは数字上は可能でございます。
 問題は、書記官研修所に入所して教育を受けております二年ないし一年の期間は、書記官の実務を離れて、それだけ研修所に送り出している庁は負担の過重をしょい込まなければならないではないかというのが御質問の御趣旨と考えます。書記官研修所は、部外のと申しますか、一般の学校と違いまして、職員の能力の向上というような見地からの研修、教育を施しておるわけでございまして、二年、一年の手不足ということを原庁に負担をかけるわけでございますけれども、そこでの教育は非常に効果をあげておりまして、それは一般からも高く評価されているところと存じます。したがいまして、卒業して戻りました書記官の諸君の能力というものは飛躍的に向上するわけでございますので、負担を持っておる庁にはまことにお気の毒でございますが、卒業した人の能力の向上ということをあわせ考えますと、実質的には処理能力はかなり向上しているというように考えるわけでございます。研修所にいる間この人員を増員するということも、現在の予算要求のたてまえからは困離でございますので、裁判所事務官という職で教育を受けてもらうという形にしておるわけでございます。
#35
○畑委員 教育を受けて帰ってくると優秀な書記官になる、したがって事務能率も上がるから、結局それが差し引きそんなに増員しないでもいい。増員してもらいたいと思ってもなかなか増員をしてくれない、この程度である、こういうことなんだろうと思うけれども、とにかくそういった状態がずっと続いているわけです。入ると同時に出る、出るとまた入ってくる、こういうことで、現実には同じ数だけいつも欠員状態でしょう。帰ってくればそれは能率が上がるけれども、そうたいした違いはないと思うのですね。ですから、こういうのは、もっと大蔵省に要求して増員をはかったらどうですか。あまり弱いことでなくて、もっと強い立場で主張して増員をしてもらうことにしたらどうですか。
#36
○長井最高裁判所長官代理者 姿勢が正しくないのではないか、弱いのではないかという御指摘でございまして、努力の不十分まことに申しわけないことと存じます。ただ、先ほども申し上げましたように、事件数全体からいたしましては、逐年むしろ減少の傾向をたどっておりまして、増員要求の根拠がいささか薄弱であるという点でございます。
 なお書記官は、先ほども定員として六千余名の数字を申し上げましたけれども、書記官の資格のある職員はこれを上回っておりまして、事務局系統の職についている者もあるわけでございます。
 欠員の関係は、現在書記官の充員につきましては書記官研修所の研修修了者、書記官の昇任試験合格者、この二つの系列があるわけでございますが、いずれもこれは時期が限られておりまして、年度の当初と申しますか、四月の初めには卒業いたしまして書記官として任命されるわけでございますけれども、その後欠員が生じました場合には、これを充員する給源がございませんので、こういう形で欠員が出てくるということになるわけでございます。
#37
○畑委員 書痙とかあるいは頸肩腕症候群という職業病がありますね。タイピストとか書記さんの特殊な職業病、この発生状況はいまどうでしょうか。実際にまだはっきりしなくても、潜在的な症状を訴える者が相当いるのではないか。その辺で、職業病を出さないための方策をどうしているかという点を簡単に説明してください。
#38
○長井最高裁判所長官代理者 職業病の発生が非常に多いのではないか、潜在的な症状を持っている人、症状を訴えている人が多いのではないかという御質問と承りますが、公務災害の認定として裁判所には数字が出てまいりますので、その点を数字で申し上げますと、昭和四十三年から四十五年の三年間におきまして、公務災害の認定申請は百五十二件ございました。そのうちで、規定によりますところのいわゆる職業病といたしましては書痙だけでございますが、このほかにこれに類するものといたしまして、先ほど御指摘の頸肩腕症候群及び腱鞘炎、この二種類がございます。今日のように生活の内容が向上しましたときに、執務上このような障害が出るということはいかにしても残念なことでございまして、この点については十分配慮すべきだということは申し上げるまでもないわけでございます。
 裁判所といたしましては、その防止策といたしまして、このような症状の発生する職種に配置になります前に、適性検査と健康診断をいたし、なお配置後も一般の定期健康診断をいたしております。そのほかに、このような症状の発生しやすいタイピスト、速記官、このような職員につきましては、年に二回、特別の定期健康診断を行ないまして、職業病の発生の予防指導、それから診断の結果、自覚症状を訴えておる職員につきましては勤務を軽減するというような措置をとっておるわけでございます。そしてまた、このような点につきまして医師の診断あるいは指示によりまして、報務量の軽減その他必要な措置をとっておるわけでございます。
#39
○畑委員 ついでですけれども、死亡者あるいは病人、そういうものの発生状況についてはどうか。――これは時間がかかるから、あとで資料を提出してください。いいですか。
#40
○長井最高裁判所長官代理者 公務上の問題かどうかということについては、なかなか認定の困離な場合がございますが、ここにございますから簡単に申し上げまして、不足分は資料で出させていただきたいと思います。
 死亡者の発生状況につきましては、裁判所職員は年間約四十名程度でございまして、全職員の〇・二%くらいに当たるわけでございます。他の省庁におきましても、実は大体同様のようでございます。そのうち一五%、〇・二%のうちの一五%はいわゆる交通事故等の事故死でございます。八五%がガン、脳卒中、心臓疾患、そのようないわゆる病死の類型に入るものでございます。
#41
○畑委員 いま速記官タイピストの話が出たけれども、速記官の欠員はいまどのくらいあるのですか。その補充はいまどうしているか。
#42
○長井最高裁判所長官代理者 約二十名でございます。
#43
○畑委員 補充はどうしているか。
#44
○長井最高裁判所長官代理者 裁判所書記官研修所に速記官の養成部がございまして、ここで欠員補充のための養成をいたしております。
#45
○畑委員 それからタイピスト、女の人だが、タイピストの健康管理のためにはどういう注意をしているか。
#46
○長井最高裁判所長官代理者 タイピストの健康管理者は、先ほども申し上げましたが、配置前に適性検査その他のことはございますが、そのほかに特別の措置といたしまして特別定期健康診断を年二回実施しております。その検査の内容といたしましては、基本検査といたしまして、自覚症状の調査、手指機能の検査、問診、それから異常を訴える者につきましては、エックス線の直接撮影、血液検査その他医学上の精密検査をいたしておるわけでございます。
#47
○畑委員 タイプライターの耐用年数は一応幾らになっておりますか。五年と聞いておるが、そうですが。何か話を聞くと、五年の耐用年数を倍近く使っておるということで、大事にするのはけっこうですけれども、タイピストも古いやつを使うと、それだけたいへんだろうと思うのですが、その辺どうなんですか。
#48
○長井最高裁判所長官代理者 耐用年数の問題は、大蔵省の省令によりますとただいま御指摘のような形でございますが、これは何ぶん機械でございまして、使用者によりまして非常に長く使用できるような使用方法をしている者と、非常に早く故障を生ずるというような使用者等もございまして、新しい機械に取りかえるということを合理的に行なうためにはなかなかむずかしい問題がございます。正直のところ、更新の年限は九年ないし十年ということでございまして、まことに不十分で申しわけないところでございます。
#49
○畑委員 ほかの役所は一体どうしているのですか。どうもほかの役所は五年くらいでかえているのに裁判所だけがそんなに長く使うのは一ほかの役所と比較して実際調べてみたことありますか。
#50
○長井最高裁判所長官代理者 ほかの役所とは比較して調べてないので申しわけないところでございますが、実は裁判所は特殊事情がございまして、御承知のように、判決は、民事につきましては言い渡し前に原本を作成しておかなければならないということで、最近は判決文が長くなりましたので、判決文のタイプということは非常な事務量にのぼっているわけでございます。それで他省庁に比較しましてタイプ量というものが非常に多いわけでございます。
 そのような関係で、タイプの更新に要します予算関係を簡単に御説明申し上げますと、現在千三百台余りのタイプを使って処理しておりまして、これを九年ないし十年で更新するというのが現状でございます。したがいまして、年に百五十台弱の更新ということでございます。更新を五年でするということになりますと年間千三百万円余りの更新の予算が必要となるわけでございます。もちろんこの金額が多いか少ないかというようなことは議論の余地のないところでございますけれども、この関係で十年というのは確かに長いわけでございますので、これは縮めるように努力いたしますのと、一方やはり現在のタイプのしかたが、このように機械が進歩した今日、このままでよいかということも問題があろうかと存じますので、この点も研究を開始したい。実は内々で検討を始めておるわけでございます。
#51
○畑委員 これはそうすると、予算をもらうのは耐用年数五年でもらうのですか。そうじゃなくて、実際に使っている、ほんとうにだめになったときに新しいものをもらうようにするのか、どういうふうにやっているのですか。それによってえらい違うと思うのですがね。
#52
○長井最高裁判所長官代理者 これは予算の技術的なことを申し上げても責任の解除にはならないわけでございますけれども、標準予算と申しまして、年々内容を査定せずに金額が入ってまいりますので、手をつけてかえって中身を洗われて、十分使えるじゃないかという指摘がございましても、やはり税金の問題でございますから、税金のむだづかいという問題がからまりますので、このような予算の要求の方法をとっておるわけでございます。したがいまして、五年、十年というようなことが予算要求の前提として検討されているという形にはなっておりません。
#53
○畑委員 もう一、二点。
 今度の増員の要求では、行政職(二)、行(二)というやつですか、あの職員ですね、電工とか汽かん士とか、そういった技術者が、新庁舎がどんどんできるということになると、ふえなくちゃならぬ、また要求では相当ふやしているのです。ところが結果は、査定はゼロですね。これはどうなんですか。
#54
○長井最高裁判所長官代理者 この問題につきましては、先ほど来先生が御指摘のように、たくさん要求してわずかはかり――初めに要求するほうがおかしいのか、入れない方が非常識なのかというような議論になろうかと存じますが、現在の職員構成の考え方からいたしますと、政府の方針として、いわゆる行。職員の関係、このような職務内容のものについては、公務員というよりもむしろ外部のこのような仕事を処理してくれる機関に委託する。外部に委託する方向で解消できるではないか、国家公務員をふやすということは職務内容の観点からいろいろ問題があるというような見地から、この予算が通らないというのが現在の実情で、これは裁判所だけではないわけでございます。庁舎も新築されましてどんどん床面積も大きくなる、それの設備も充実させるというようなことで、この関係の管理要員が必要なことは御指摘のとおりでございますが、庁舎の新築の際には、現在の職員を前提といたしましたところの設計と建築の施工ということになりますので、庁舎の増大ということでは増員の理由としては通らない。むしろそれは外部に、清掃の委託であるとかあるいは電力関係の保守契約というようなことで、専門の機関に費用を支出してゆだねるというような形態にただいま変わりつつあります。したがいまして行(二)職員が、要求は多く出ておりながら入らないというのは、裁判所の希望ではございますけれども、予算の全般的な体制から申しますと、非常に困難で、ほかの方法で解決していくという形をとっておるわけでございます。
#55
○畑委員 そうすると、そういう技術職員を公務員として採用するということよりも、外部にそういった清掃その他を委託したり何かをしたほうが得だというような、まあ大蔵省のほうの方針で削られた、そういう方針ならやむを得ない、こういうことですか。ただボイラーマンや何かはそんなわけにいかないが、どうやら何とかなるのですか、新しく庁舎ができても。
#56
○長井最高裁判所長官代理者 大蔵省に削られたといっては理由になりませんので、これは予算の要求は話し合いが成立した段階で責任をもってやっているわけでございます。ボイラーマンは新しい設備ができました際にはもちろん配置されることになりますが、ボイラーそのものが、やはり石炭をたいておりました時代と重油の今日ということで、人員の使い方にかなりの変動がございます。なお、清掃関係につきましても外部に委託するというようなことで、欠員を生じました場合にはボイラーの関係者をもって補充するというような内部的の措置によりましてこれをまかなっておるわけでございまして、それでどうやら……。
#57
○畑委員 最後に一点だけ宿日直のことについて聞きます。
 これはほかの役所と裁判所は違う、令状などがありますからね。違うと思うのですけれども、ほかの役所はだんだん宿日直を減らすような、廃止するような傾向にあると思う。小学校などもだいぶそれでもうガードマンに委託したりなどしている傾向にあるのですが、ほかの官庁でも、労働省あたりもそういうふうになってきている。ところが、まあ裁判所のほうは令状などの関係もあるというようなこともあろうとは思いますけれども、これはやはりだんだんと宿日直も廃止していく方向に進むべきだと私は思う。裁判所といえどもそう例外ではないと思う。場所によると令状も、まあへんぴなところは別なんだろうけれども、そうでないところなどは、たとえば埼玉県の県南地帯あたりどこでもすぐ自動車で行けるのだしするから、令状を出すところを大体警察と話してきめておいて、それで何カ所かにして、たとえば浦和にはすぐ行けるのですからね。そういう交通関係を配慮してそういう立場で独立簡裁などだんだん減らしていったらどうですか。特に独立簡裁でも小さいところはへんぴなところもありますが、三人から四人の独立簡裁では三日から四日ごとに回ってくるんだね。それで場合によると北海道のへんぴなところなんかはもう書記官によっては裁判所へ泊まる日のほうが多いというようなところすらあるらしい。子供が、おとうさんきょうはうちで泊まるのかといって質問するくらいに、おかあさんとは毎晩一緒だけれどもおとうさんはどうもめったにうちにいないというようなところもあるそうだ。これは私は相当人権問題でもあると思うのですね。宿直すれば少しは手当はふえるだろう。ふえるだろうけれども、それよりはむしろやはりそう宿直はあっては困るので、その辺を裁判所は考えているのですか。これも人権問題につながると思うので、どう考えているのでしょうか。
#58
○長井最高裁判所長官代理者 宿日直問題はまことに御指摘のとおりでございまして、勤務時間が過ぎましてから職員に事務の処理ないしは庁舎の管理などをなさしめるということは、今日時代おくれであると考えざるを得ないと思います。したがいまして、これは何とか改善したいと存じておりますが、御承知のように令状それから上訴の申し立て、これは法律で申し立て期限がきめられ、また申し立てるべき庁も法律で規定がございます。それと裁判所の数が、今日のような発達した交通を前提として設けられておりません。不便な時代のままで存在しておりますので、これを合理的な配置に改めるということ、あるいは上訴の問題も、申し立てが、交通が便利になったのでその方法を改めるというような配慮、これなどは当然検討すべきことと考えておりますが、御承知のように裁判所の所在地の合理化という問題は地元の方々の御意見等もございましてなかなか困難な問題でございます。
 なお、ただいまのそのような形での処置で、おとうさんきょうはうちへ泊まるのかというような事態は何とか解消いたしたいと思いまして、庶務課長の官舎を独立の簡易裁判所の近くに設けるというような物的な配慮もしながら、これをなるべくなくす方向に持っていきたい、このように努力しているわけであります。法律の改正を要しますことではございますが、この点はただいま検討中でございます。
#59
○畑委員 庶務課長の官舎を裁判所の近くに置くというようなことも一つの方法かもしれないですね。ともかくそういった三、四人の独立簡裁などというところはほんとうに気の毒な状態のようです。そこでとりあえず日曜だけでもそれを廃止することはできないか、そういうことは検討はしておらないかということ、どうでしょうか。
#60
○長井最高裁判所長官代理者 まことに願わしい方向でございますけれども、ただいまやはり裁判記録がその庁に保管してございまして、それと上訴期限という問題がございます。これは上訴が予定されない日は当直がなくてもよいではないかという御意見もあろうかと存じますけれども、ただいまのたてまえといたしましては、やはりその記録の関係等もございますので、すぐにこれを実現することは困難かと存じますが、貴重な御示唆でございますので検討させていただきたいと思います。
#61
○畑委員 裁判所は特別だ特別だと言うけれども、裁判の書類はあるけれどもほかの役所だってやはり重要な書類もあるので、まあ裁判所は特に重要な書類ということかもしれぬけれども、やはり裁判所の職員だって人間だから、そういう立場で、ほかのところが休むのに裁判所は休めないというようなことはないと思うのだな。そういう点でひとつ一歩踏み込んで、人道上の立場からも何とか打開の道を講じてもらいたいということを一つつけ加えて、きょうは質問を終わります。
#62
○小島委員長代理 岡沢完治君。
#63
○岡沢委員 最初に、昨年の六十三国会で裁判所法の一部改正、事物管轄の簡裁移行の問題がございました。その際、附帯決議をわれわれ当委員会でもつけさしていただきました。御承知のとおり、日弁連の強い反対のままにこの法案が成立したわけでございますし、七月一日から施行されているわけでございますが、その事物管轄改正後の民事事件の一審裁判における地裁、簡裁の状況、対応措置、特に附帯決議はどのように生かされているかということについてお尋ねいたします。
#64
○長井最高裁判所長官代理者 事物管轄成立の際に附帯決議が両院の法務委員会において付せられましたことは御指摘のとおりでございます。この趣旨の実現につきましては、裁判所といたしましても特に努力いたしたいと存じまして、まずは法務省、弁護士会、裁判所三者間の意思疎通ということが大切であるというような見地から、昨年の九月以来裁判所と弁護士会で、従来行なわれておりました連絡協議会におきまして、法務省の参加も求めて附帯決議の趣旨の実現に努力したいという話し合いを進めておりますが、法務省の参加が、いろいろな関係で三者の意見が一致を見ないまま今日に参ってしまったわけでございます。
 裁判所ででき得ますことは、極力実施したいと考えまして、おもなるものを申し上げますと、一つは、簡易裁判所の民事事件において特則の活用をするようにという御趣旨がございまして、特則活用につきましての通達を出しておるのでございます。
 なお、これに関連いたしまして、口頭受理も東京簡易裁判所及び大森簡易裁判所において特にこの関係を取り上げまして、その成果を見た上で漸次これを広めて、当事者の利用に便なるようにはかる努力をいたしておるわけでございます。
 それから事件の受理の関係でございますけれども、事物管轄が、簡易裁判所の最高限が引き上げられましたが、事案によりまして、たとえば不動産関係事件等は法律的にも複雑な内容がございますので、当時者の希望がございます場合には、特に地方裁判所においてこれを受理する、あるいは簡易裁判所から移送をするというような配慮をするというような、従前からございます民事訴訟法の規定の活用及びその運用についての通達を出しております。
 また。このたびの国会につきましては、即決和解等の請求異議事件が、従前は簡易裁判所の専属管轄とされておりましたが、検討いたしまして、これを六十三国会で改正されました事物管轄の改定に合わせまして、訴訟物の価額に従いまして、専属管轄を地方裁判所と簡易裁判所に分けるという法案を準備いたしまして、今国会に不日提案されることとなると思っております。
#65
○岡沢委員 附帯決議の中で、特に簡裁の質的あるいは人的、物的充実の問題がございました。
 それから、時間がありませんので続いて聞きますけれども、たとえば即日和解が、大阪なんかの場合、即決和解と申しますか、実際は申し立ててから二月も以後に期日が指定される、当時そういう心配がありまして、事物管轄が広げられるとさらにおくれるんじゃないか、それに対しては十分裁判所は対応するという御答弁がございましたが、即日和解の期日等についての大都市簡裁における実態等、おわかりでございましたらお答えいただきたいと思います。
#66
○長井最高裁判所長官代理者 大阪の簡易裁判所につきまして御指摘のような事実があることは私どもも承知いたしておりまして、実情を調査いたしましたが、御質問の実態に関する数字をただいま持ち合わせておりませんので、後日資料としてお届けいたしたいと思います。
 大阪につきましては、そのようなこともございましたが、向こうと協議いたしまして、そのような支障の解消に努力してもらうように話をしてございます。
#67
○岡沢委員 簡裁の人的、物的充実の問題は……。
#68
○長井最高裁判所長官代理者 それから人的の関係につきましては、簡裁の事件数が、当時予定しておりました数字は多少下回りますけれども、簡易裁判所は事件数がふえておるわけでございます。だた、簡易裁判所につきましては、大都会の簡易裁判所とそれから地方の独立の、むしろ過疎化しつつあるような土地の簡易裁判所とで事情も非常に異にしておりまして、いなかの簡易裁判所におきましては、一庁当たりの事件数というものが、裁判官一人に期待される事務量の〇・二とか〇・三とかいうような庁が多数ございます。裁判官以外の職員につきましても、処理の体制といたしましては書記官、事務官がございまして、〇・一人前、〇・二人前というような庁につきましてもそのような人員が配置されております。ただ、あまりに少ないところは、二庁ないし三庁をまとめまして、裁判官につきましては一人あるいは二人配置するというような形になっております。このようなところでは、事件数がふえましても、現在配置されております職員で十分処理能力があるということになるわけでございまするが、大都会につきましてはかなり簡易裁判所におりる事件が多くなるわけでございまして、これは地方裁判所と簡易裁判所で合理的な配置を考えなければならないわけでございますが、なおそれで不十分な場合には、定員の配置を増加するという措置をとることを検討中でございます。何ぶんにも、まだ昨年の七月施行になりましたばかりで、事件数がかたまってまいりませんので、ある程度この事件数が見通しがつきました上で、必要な定員、適正な定員の配置を考えたいと思っておりますが、その間に非常な増加があります庁につきましては、所要の職員の配置の増加をやる考えでございます。
 それから物的の関係でございますけれども、おもに庁舎の整備と裁判に必要な資料、図書の整備ということになるかと存じますけれども、庁舎の整備につきましては、地方裁判所もしくはその支部と併設されておりますところの簡易裁判所、これを私ども併設庁と申しておりますが、これが二百八十九庁。そのような上訴審級の裁判所のないところの簡易裁判所が独立してございます、私ども独立庁と申しておりますのが二百六十六庁ございます。で、併設庁のほうにつきましては地方裁判所あるいはその支部の営繕事務というような問題になるわけでございますので、このほうの関係で庁舎の整備を進めております。独立庁といたしましては、整備の済みましたものが二百四十九庁、これは新築されまして、庁舎としての面目を保ち得る程度の建築ができておるわけでございます。未整備の独立の庁といたしまして十七庁ございますが、これは今後四十六年、四十七年、四十八年の三年の年度計画に組み込みまして、三年内に営繕の計画を完了することに予定しております。なお併設庁の関係を申しますと、整備の済みましたのが二百七庁、これは建築のできました地方裁判所もしくはその支部の中に簡易裁判所が併設されておりまして、建築が完了しているわけでございます。建築がまだ未整備の庁が、併設庁につきましては八十二庁ございまして、これも下級裁判所の営繕の計画で大体今後三年間に未整備の庁を解消したいという目標を立てて、予算の要求と営繕の実施に努力しておる段階でございます。
 なお、図書、資料につきましては、執務環境の整備という十カ年計画を立てまして、第二次の五カ年間が昨年の昭和四十五年度から開始されまして、簡易裁判所の関係はこの第二次計画に組み込みまして、資料室の整備その他に当たっております。そのほかに能率器具あるいは科学的な器具と申しましょうか、写真機あるいは複写器具の整備、電動複写機、こういうものが考えられるわけでございますが、電動複写機は今年度で全庁に行き渡る計画を立てております。そのほか録音機あるいは卓上電子計算機、このようなものも所要の庁には配布したい計画で、ただいま立案中でございます。
#69
○岡沢委員 この問題はこの程度で、次の質問に移りたいと思います。
 この一月十八日に、東京地裁でサリドマイド裁判の第一回の口頭弁論が、五年間の予備審査的な事務手続を終えてようやく開かれたと新聞で報じられております。四大公害裁判等、いわゆる特殊損害賠償事件というものが、現在全国でどれくらい受理件数があるのか、あるいはその審理の状況はどうか、あるいはそれに対する審理促進の対策について裁判所としてはどういう御用意、御計画があるのか、お尋ねいたします。
#70
○瀬戸最高裁判所長官代理者 民事関係でございますので私からお答えしたいと思います。
 昨年の六月三十日現在の統計でございますが、いわゆる公害基本法にいう公害事件が訴訟として二百十二件、調停事件として五十四件、合計二百六十六件ございます。医療過誤の事件、これが訴訟としまして二百七十三件、調停事件として九件、合計二百八十二件ございます。薬品、食品関係の事件、これが訴訟として二十五件、調停はございません。航空機、船舶関係の損害賠償事件、これは訴訟としまして六十四件、調停はございません。それから労働災害事件、これが訴訟が三百八十九件、調停が五件ございまして、合計三百九十四件ございます。それから欠陥自動車の事件、これが訴訟として十四件係属しております。以上をわれわれは特殊損害賠償事件、こう呼んでおるわけでございますが、これを合計しますと、訴訟として九百七十七件、調停事件が六十八件、総合計が千四十五件、これが昨年六月三十日現在の特殊損害賠償の係属件数でございます。
 特に今年の予算要求をしておりますのは、特殊損害賠償は科学的な因果関係ということが特に問題となりますので、一般裁判官には科学的な知識が乏しいのが現状でございますので、しかるべき大学講師等にレクチャーを受ける、そのための講師謝礼を相当額予算要求して、科学的知識を裁判官が身について因果関係の解明に当たる、審理の促進をはかるという方向を考えております。
#71
○岡沢委員 この問題はもう少し突っ込んで聞きたい気もいたしますが、やはり時間の制約がありますので、次の質問に移りたいと思います。
 先ほど畑委員の宿日直の質問とも関連して、総務局長からお答えがございました問題の一つでございますけれども、いわゆる裁判所の整理統合の問題、これは行政機構の合理化、簡素化等からいっても当然の要求でございますし、先ほどの御説明の中にもありました交通、通信機関の発達等を考えました場合、あるいは職員の立場からの宿日直を考えました場合、あるいは裁判官の転勤を考えました場合、子弟の教育を考えました場合、思い切って統廃合をすることのほうが、税金のむだ使いをなくするという点からも非常に利点の多いような感じがいたします。先ほどの御答弁では、地元の市民感情、これが非常に存置を希望するという趣旨の御答弁であったかと思いますが、これはわからぬことはありませんけれども、市民、国民にいたしましても、やはり税金がむだ使いされることを決して好んでいるわけではない。思い切った整理統合をすべき時期に来ておるのではないか。はるかに利点のほうが、裁判所側から見ても国民側から見ても多いのではないかというふうに感ずるわけでございます。この問題につきましては、与党の羽田野委員からもたしか質問がありました。期せずして与野党一致しての要望でもあるわけで、私は本年度にすぐというようなことを申し上げるわけではありませんけれども、やはり計画的に、あるいは反対に対する節度ある説得のもとに統廃合をお考えになるほうが、いろいろな意味で裁判のためにもプラスになる。
 また、あわせまして、私はいつかこの委員会で巡回裁判所の制度の採用を御提案したことがございます。検討するという御答弁をいただいておりますが、先ほど申し上げましたような意味で、地元が裁判所の存置を希望する場合に、建物そのものについてはそうたくさん経費がかかるわけでもございませんから、せめて裁判官の子弟教育等を考え、通信交通の発達を考えました場合に、裁判官は大都市に常駐をして、定期的に裁判所を回って歩くというのも一つの折衷案として考えられてしかるべき措置ではないかというように考えるわけでございます。特に電話の即時化が全国的に行き渡り、あるいは道路網、車の発達ということを考えました場合、十分検討に値する。近代化、合理化の点からも価値ある制度ではないかと考えるわけでありますけれども、最高裁の御見解を聞きます。
#72
○長井最高裁判所長官代理者 御指摘のように、ただいまの裁判所の配置は、卑俗な表現かもしれませんけれども、いささか総花的な感じがぬぐわれませんので、ただいまのようなおことばを伺うことができますのは、私どもにとっても、非常にありがたい、また心強いことに存じます。裁判所は、充実すべき庁は充実する。そのためには、やはり事件の少ない庁についてはこれを検討しなければならないという気持ちは非常に強く持っておりますので、御趣旨の線に従って大いに努力したいと考えておるわけでございます。
 ことに、日本の裁判所におきましては、裁判官としての識見、能力のすぐれたと申しますか、粒のそろったと申しますか、そのような方が、全国、裁判所がございますところ津々浦々に配置されておりまして、事件の処理に当たり得るということでございまして、これは諸外国に比べましても、非常にすぐれた点ではないかと考えます。このすぐれた点を維持してまいりますためには、御指摘のようなことは絶対に必要であると私ども考えておりますので、支部につきましても、簡易裁判所につきましても、充実すべきものは大いに充実する。標準に達しないものについてはその取り扱いを検討さしていただくという線で進みたいと考えます。ただ、やはり地元の方々の御意見にさからうということになりますと、いろいろな障害が出てまいります。やはり法意識につきまして十分に伸長しなければならないというような要請もございますので、こういう点は十分に御意見を承りまして、批判にたえ得る整理の計画を立てさせていただきたい、このように考えるわけでございます。
#73
○岡沢委員 この点も時間が足りませんが、先ほどの局長の御答弁でも、裁判所によったら、裁判官の事務量が〇・一くらいの過疎裁判所も現実に存在しているようでございます。国民の税金のむだづかいをなくする意味からも、ぜひ前向きで、また、この席における答弁だけではなしに、ぜひ具体的な実施計画の作成に入っていただきたいと思います。
 次は、きわめて小さい問題になるかもしれませんが、いわゆる裁判官以外の裁判所の職員の定数に関連してお答えいただきたいのです。
 いただきました資料、提案理由の説明等によりますと、事務官の増員はわずかに五名、ところが、いわゆる執行官関係の会計事務処理のための裁判所事務官には二十名の増員、これは数字が矛盾しておりますけれども、予算定員と法律定員との関係だろうと思いますが、この際、執行官関係の会計事務処理のために、全国ではありますけれども、二十名も増員された理由、その配置計画等価をお尋ねいたします。
#74
○瀬戸最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 御承知のとおり、昭和四十一年十二月三十一日に執行官法が施行せられまして、執行官の国家機関性、公務員性が強化せられたわけでございます。従来、執行官は、差し押えた金銭あるいは競売の売得金等をみずから取得し、あるいは手数料は、委任を受けた債権者から自分の役場で受け取って、自分の責任においてその収支を行なっていたわけでございますが、執行官法の施行と同時に、これらの会計事務は全部、裁判所が取り扱うということになりました。すなわち、従来執行裁判所が競売する場合には、競落金はすべて裁判所へ納める、裁判所で配当するという方法をとっていたのでありますが、執行官の執行についてもそれと同様な方法をとるということになりますので、金銭の出し入れば、すべて裁判所の会計を通すという方向に向かったわけでございます。このため、会計職員の大幅な増員を必要といたしまして、昭和四十二年度においては二十人の増員が認められ、昭和四十三年度も同様二十名、四十四年度は三十名、四十五年度は二十名が認められてきたわけでございます。本年度も同様に会計職員二十名の増員を要求した次第でございます。
#75
○長井最高裁判所長官代理者 ただいまの御説明に補足いたしまして、裁判所事務官の五名の増員と執行官関係の事務官の増員が矛盾するようであるという御指摘がございましたので、技術的なことでございますけれども、ちょっと御説明さしていただきます。
 御承知のように、昭和四十二年に職員の定員管理についてという内閣の方針が出まして、定員の削減が行政庁におきましては問題になっております。裁判所におきましては、裁判事務の関係につきましてはこの方針に沿うことはできませんが、一般の行政事務に関しては各省庁と同じような立場にあるわけでございますので、この関係といたしまして、四十三年度以来五十名、五十名、四十九名、合計百四十九名の削減計画を立てたわけでございます。
 一方、今年度の増員の関係を申し上げますと、執行官関係の会計事務処理の要員の充実といたしまして二十名、先ほど御質問のございました特殊損害賠償事件、公害事件を含みますところのこの関係の処理につきまして二十四名、簡易裁判所の交通事件の処理につきまして十名、合計五十四名の増員が認められたわけでございます。したがいまして、増員と、それから簡素化、能率化に伴う減員と差し引きいたしますと、法律上及び予算上の定員が五名増員という数字になるわけでございます。中身は減員と増員と双方ございますので、端的に申し上げますと、簡素化、能率化による減員のうち二十名が会計事務処理要員として転換を認められたということになるわけでございます。
#76
○岡沢委員 そうすると、結局、執行官関係の会計事務処理のための事務官といいますと、これはほかの司法行政事務からの配置転換増員と解していいわけですね。
#77
○長井最高裁判所長官代理者 そのとおりであります。
#78
○岡沢委員 もう一点、裁判所の調査官の現状、これは一人の定員の増加もないわけでございます。ところが、われわれの感覚からいたしますと、先ほど質問いたしました特殊損害賠償事件等を考えましても、調査官の充実があってしかるべきだ、ちょっと疑問に思うわけですが、その点をお伺いします。
#79
○瀬戸最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 現在、特殊損害賠償事件で一番問題になりますのは、先ほど申し上げましたとおり、科学的な因果関係の問題でございます。これはやはり大学教授級の方の応援を得ませんと解明できない問題でございまして、現状におきましてはこういう程度の人を調査官として採用することは困難である。そこで先ほど申しましたように、しかるべき専門家から講義を受けるという講師謝金を要求しまして、そういう方向でこの面の弱いところを補っていくということを現在考えておりまして、特殊損害賠償事件に調査官を活用する、あるいは調査官に人を得るということは現状では少し困難ではないか、こういうぐあいに考えております。
#80
○岡沢委員 わかりました。
 沖繩関係の裁判について予算委員会等でも幾らか質疑があったようでございますが、ここは所管の委員会でもありますので御質問したいと思うのです。復帰前に沖繩でされた裁判の効力と申しますか、これは復帰後にどうなるのかという点が一つ。それから復帰のときに係属している事件の取り扱い、復帰後どういうふうに扱われるかという問題、それから裁判権に関する琉球政府の裁判所と米国民政府の裁判所の関係についてお教えをいただきたいと思います。
#81
○長井最高裁判所長官代理者 琉球高等裁判所以下の系列が沖繩にはただいま設置されておりますほか、アメリカの関係といたしまして米国民政府裁判所という系列の裁判所も設置されておりますことは、ただいま御指摘のとおりでございます。
 司法権が本土に復帰いたします問題は、復帰協定の問題といたしまして外交ルートでまず検討されております。なお、国内的な問題といたしましては、閣僚会議か閣僚協議会――ちょっと名称を失念いたしましたが、あとで正確なものを申し上げますけれども、その下に沖繩関係の担当官会議が沖繩・北方対策庁に設置されまして、そこで検討され、裁判所もオブザーバーとして参加してその内容について意見を申し述べております。
 裁判権の関係におきまして、係属中の事件につきましては、民事と刑事とに分かれるわけでございます。内容的に、まだ基本的な協定のほうが固まっておりませんので、確定した将来の計画として申し上げるわけにいかないのが残念でございますが、民事事件につきましては係属の事件は、ことに琉球高等裁判所、那覇地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所、この関係につきましては、組織の関係も本土の裁判所に合わせるように非常に涙ぐましい努力をいたし、訴訟法あるいは実体法につきましても、その多くのものが本土のものを準用いたしておりますので、そのまま民事事件を引き継いでいくことが現実的に可能ではないかというふうに考えるわけでございます。刑事事件につきましては、奄美大島が復帰いたしました際には、その効力はすべて引き継がないことといたしまして、あらためて必要な日本の法令の適用されるべきものについて手続を進めるという形をとったわけでございますが、沖繩は戦後四半世紀にわたりまして一つの法秩序を形成いたしてまいりました。これを無視することがきわめて困難でございますので、これをどういう形で引き継ぎができるかということにつきましては、いろいろな案がございますけれども、これは返還協定、外交交渉の問題にも響きますので、私どもから申し上げるべき筋合いではないと申しますか、お答え申し上げられないのが残念でございます。これはすべて政府の関係で処理さるべき問題でございまして、引き継ぐ場合を予想しましての私のほうの見解を申し上げただけでございます。もちろん、先ほど申し落としましたが、民事事件につきましても、公序良俗に反するようなものの効果を認められないことは当然でございますが、大勢はそのような形で復帰の措置がとられるのではないかという構想で復帰後の組織、手続について鋭意検討中でございます。
 それから、琉球政府裁判所と米国民政府裁判所の関係の問題でございますが、沖繩の現行の司法制度は、沖繩自体の民立法に基づく琉球政府裁判所と、それからまた占領軍である米軍の布告等に基づく米国民政府裁判所の二つの系列になっておるわけであります。琉球政府裁判所は、民事事件につきましては、原則として沖繩におけるすべての人に対して民事裁判権を有しておるわけでございますけれども、高等弁務官が合衆国の安全、財産または利害に影響を及ぼすと認める特に重大なすべての事件、米軍人、軍属、米国民である米国政府被雇用者またはこれらの者の家族を当事者とする事件で、当事者のいずれかの訴願に基づき高等弁務官が琉球の安全、外交関係あるいは米国もしくは米国民の安全、財産もしくは利害に直接間接に重大な影響を及ぼすと認められるようなものにつきましては、民政府が裁判権を行使すべきであるという見地から、その旨の決定がございますと、民政府のほうに事件が移送されるという扱いを受けておるわけでございます。なお、このような事件が琉球政府の裁判所に係属して最終的な決定、命令または判決がなされます以前においては、いつでも高等弁務官はこれを米国民政府裁判所に移送するよう命令し得る、以上申し上げましたような事件についてとられるわけでございまして、このような措置によりまして民政府裁判所の手続が開始されるということになるわけであります。
 刑事事件については、米軍人、軍属、米国民で米国政府の被雇用者である者、これらの者の家族を除いて、沖繩におけるすべての者に対して刑事裁判権を行使できるわけでございます。しかし、高等弁務官が米国の安全、財産または利害に影響を及ぼすと認める特に重大な事件は除かれます。このような事件につきましては、民事事件と同様、琉球政府裁判所に係属いたしました場合にも、米国民政府裁判所のほうへ移送されるということになっております。
 さらに、米国民政府上訴裁判所は、琉球高等裁判所が裁判権を有し、そこで裁判がなされた民・刑事事件で、一つは、琉球政府の最高の裁判所の裁判と米国民政府の最高の上訴審裁判所の裁判とが相反する場合、つまり両系列の最上級審の裁判の結果が相反する場合、それから二といたしまして、合衆国法、外国法または国際法の問題について当事者から上訴のあったとき、または上訴がない場合でも、民政府首席法務官が特に理由を示して裁判所に申請した場合には、その事件を再審理する権限を持つわけであります。米国民政府上訴審裁判所は、再審理をした裁判を確認し、変更し、無効にし、取消し、または差し戻すことができる。刑事事件については、有罪判決を取消し、刑罰の種類を変更し、減刑しまたは刑の執行を停止する、このような関係になっているわけでございます。
 なお、民・刑事事件を問わず、米国またはその機関に対する裁判権は、米国議会によって特にその権限が与えられない限りは、米国民政府裁判所も含めて、一切認められていない。これは国際法上の原則でもあろうかと存じます。
 以上要するに、現在の琉球政府の裁判所の裁判権は、民・刑事事件を問わず、米国民政府裁判所との関係で大きな制限を受けているということができるものと存じます。
#82
○岡沢委員 最後にしたいと存じますが、実は私は、裁判所だけの問題ではありませんが、最近の日本の社会経済の急激な変化に対応した裁判所の措置、先ほど申しました整理統合の問題も一つですし、庁内の近代化、合理化の問題も含めて、基本的な大きな問題を質問したいと思いましたが、時間の制約がございますので、最後に、司法研修所の拡充の状況、いま新しく庁舎を建設中だと聞いておりますが、特に私が指摘いたしました、修習生の採用を大幅に広くして、そのかわりに二年間の修習期間中、まじめな修習をしない者、能力のない者等は思い切って二回試験を通さないという方向で、環境的に、研修所の修習期間をまじめに、しかも意義あるものにする努力を司法行政の立場から強要する――と言ったら語弊がありますが、慫慂するような方法が必要だと思っておるわけでございますが、こういう面も含めて、物的あるいは質的な司法研修所の拡充の状況、あわせまして二十三期修習生の判事補志望の実態をお聞かせいただきたいと思います。
    〔小島委員長代理退席、福永(健)委員長代理
  着席〕
#83
○長井最高裁判所長官代理者 司法研修所の修習の基本的な問題に関連いたしますが、ただいまは司法試験の合格者のうちから、研修所において研修を施すというたてまえをとっておりまして、合格者数が御案内のような状況でございますので、その方法に変更がございません限り、現在御指摘のような修習方法をとらざるを得ないわけでございますが、これを大幅に収容者数を増加して、もっと違った形での司法修習の徹底ということ、これも一案であると存じますが、この関係につきましては、基本的には政府、法務省で司法試験管理委員会の機関を通しての実施をされておりますので、そのほうからお答えいただきたいと思っております。
 なお、二十三期の司法修習生のうち、ただいまのところ裁判官志望者は七十五名という数字になっております。
#84
○岡沢委員 これは従来に比べてどうなんですか、初任給の特別手当が生きていますか。
#85
○長井最高裁判所長官代理者 大体いままでも六十名から八十名の間を増減しておりまして、初任給調整手当の影響と目されるものは出ていないように見受けられますが、まだその点が徹底しておりませんのか、あるいはいろいろ考えておられるのか、来年になれば実を結ぶのではないかと期待をかけている状況でございます。
#86
○岡沢委員 終わります。
#87
○福永(健)委員長代理 青柳盛雄君。
#88
○青柳委員 ことしの裁判所職員定員の増加につきましては、例年よりも非常に少ないということが印象的にいわれております。そこで、先ほども畑委員のほうからお話がありましたが、本年度の増員要求について、最高裁判所は大体五百九十七名の増員を概算的に要求された。その内訳は、先ほどの御説明によりますと、判事については十七名であったということでありますが、これはゼロである。それから判事補は三十四名であったけれどもわずかに十二名。簡裁の判事は三十五名であったけれどもこれも二名にとどまった。書記官は九十六名であったけれども十四名。事務官は百九十七名であったけれども五名。家裁の調査官は、結局は差し引きゼロ。あと、行政(二)の職員についても、百名前後の要求があったに対して、これは全然ゼロだ。こういうわけで、ゼロ回答といいますか、全くわずかの増員にとどまったというのは、これはどういう理由によるものか。裁判所が概算要求をしたときに、ただかけ引き的に、そんなに必要ではないんだけれども、どうせ削られるから大まかに出しておこうという程度のことであったのか、それとも、やはり事実上の要請からいえば、この程度は増員してもらわなければ正しく法の運用ができない、国民の権利や利益を守ることは困離である、あるいは職員の労働が非常に強められ過ぎて、事実上病人が出たり退職する者が出たりしてしまって支障を来たす、そういうような観点があればこそ出されたんではないかと私は想像するのでありますが、このように減ってしまった理由はどこにあるのか、これをお尋ねしたいと思います。
#89
○長井最高裁判所長官代理者 先ほど来御指摘を受けておりますように、非常に多くの増員の要求をいたしまして、最終的に妥結いたしました人数がこのように少ないという状況は、確かに異常なものとお考えになるのはたいへんごもっともと存じます。増員の要求がかけ引きでなされるのか、あるいはこれだけの増員がなければ責任を持てないという観点からなされるのかという問題になりますと、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、かけ引きの要素が全くないと申し上げるのもいかがかと存じますけれども、結局交渉のことでございますから、やはり争点を明らかにするという意味で、問題の幅を広げて提出するということは、訴訟事件をお手がけの先生にも御了解いただけるのではないかと存ずるわけでございます。ただ、減り方がひどいのではないかという点でございますけれども、これも毎年御指摘にあずかる、二重予算をなぜやらないのかという御質問に帰着するわけでございますけれども、毎年毎年予算の折衝の最後に、これだけあればともかくも来年の事件の処理については支障のない程度に遂行し得るという考えに到着いたしまして妥結をしているわけでございます。したがいまして、理想的な定員構成というわけにはまいらないわけでございますが、予算の当初には意気込みを新たにしまして、来年度こそ理想的な人員構成をしたいという見地からこのような大幅な数字が出るわけでございます。結局来年度はこれでともかくも遂行できるというようなことが積み重なりますと、慢性的な不足症状といったものが出てまいるわけでございますが、予算の理屈の上から申しますと、本年度はそれで責任を負ったではないかということが前提となりまして、先ほども申し上げましたように、事件数が民事、刑事とも漸次少なくなっております。お手元に差し上げました資料によりましても減少いたしておりますが、昭和三十年以来の資料を後ほど提出してもよろしゅうございますが、指数の関係ではかなり減退いたしておりまして、これがやはり大幅な増員をはばむ要素であり、当初要求の人員の数を強く主張するための根拠として、薄弱にならざるを得ない原因になるわけでございます。そのような事情が総合されまして、御指摘のような増員の数字で落ち着いたわけでございます。
#90
○青柳委員 大蔵当局のほうとすれば、一般的に公務員の定員を減らして合理化をやっていこうという全般的な方針がある。裁判所も例外ではないという見解があるのかもしれません。また、いままでそうたいして増員しなくともやってこれたじゃないか。いままた説明のように、事件数も必ずしもふえているのではなくて、漸減方向にあるというようなことも原因になっているのではないかと思います。刑事事件などが減ることは好ましいことでございます。しかし、犯罪白書などを見ると、必ずしもそうばかりでもないし、それから民事事件などにつきましては、サービス機関としての裁判所が充実していれば、これを活用しようという要望は国民の中に非常に強いわけなんです。裁判所に持っていっても思うようにいかない、費用もかかるし、時間もかかるしというようなことで、裁判事件にならないというのも相当数あると思うのですね。これは、簡裁を充実することの必要性などが叫ばれているところから見てもわかりますし、また前回の委員会でも、裁判官のいない支部がたくさんある、弁護士もそこにはいない、こういうようなことで、おそらくそこでは需要がないのじゃないかというふうに思われますけれども、それは逆であって、そこに裁判官もおられる、また弁護士も仕事になるからそこにいるということになれば、交通機関が発達したから必ず本庁のほうに行くとか、ほかへ移るとかいうことじゃなしに、近いところでやってもらうということになり得るわけなんです。よく、新しく弁護士を開業すると繁盛するということもあるように、便利になれば国民の皆さんは弁護士も使うし、裁判所も利用するという傾向はあると思うのです。これが基本的人権を尊重するゆえんでもあるわけなので、事件が減っておるから職員は予算的に減らしてもかまわないのだという議論は、前向きではないと思うのです。やはり権利意識というものが国民の中に大きく養成されていかなければ民主主義になりませんから、そのためには、サービスをよくするということが必要なのであって、そのために司法機関が膨張するということは、必ずしも逆コースではない。もちろん私は、警察とか検察の機構が非常に膨大になる、刑務所が一ばいになるというようなことで治安が保てるとかなんとかいう、そういう反民主的なことを言っているのではなくて、むしろ裁判所の機構というものの果たす役割りを正しく理解するならば、増員要求というものは決して反動的なものではなくて、進歩的なものであろうというふうに考えるわけでありますが、それを大蔵省がむやみと削ってしまう。そうして事件数はふえてないじゃないかというようなことに裁判所もまた屈服するといいますか、迎合するというようなことでは、これは、今度やります今度やりますと、幾ら言ってみてもだめではないかということを、私は申し上げたいわけであります。
 それから、定員はふやすけれども、どうもそれが充足されないという問題、これはなかなか頭の痛いところであると思うのです。これもまた大蔵省あたりでは、定員ばかりふやしても欠員が出てくるようだったら意味ないじゃないか、予算ばかり取ってもそれが充足できないのだったら、予算が余ってしまうじゃないかというような議論にもなっていく傾向はあると思うのです。定員の不足というのを四十四年度と四十五年度を十二月を標準にして資料で拝見いたしますと、裁判官について言うならば、四十四年十二月一日現在で、高裁の判事の欠員が六名であった。それが、四十五年十二月一日現在で十六名にふえている。それから地裁の判事の場合で言うならば、これは四十名あったのが二十五名に減っておりますから、これはいい傾向だと思いますけれども、今度は判事補になりますと、ゼロであったものが三名にふえる。それから家裁の判事で言うならば、十名であったものが倍の二十名になる。それから同じく家裁の判事補について言うならば、六名であったものが十四名になります。簡裁の判事は、十名であったものが十六名になる。合計いたしまして、判事は五十六名が六十一名に、それから判事補は六名が十七名に、簡裁判事は十名だったものが十六名、結局七十二名が今度は九十四名というふうにふえているわけであります。このような欠員が裁判官について生じたという理由ですね、その特殊な理由は那辺にあるのか。これは検討されたことがありますか、どうですか。
#91
○長井最高裁判所長官代理者 欠員の状況につきましては、ただいま御指摘のとおりでございます。前年におきまして欠員数が本年より少なかった、このような状況の原因を検討したことがあるかという御質問でございますが、毎年退官もしくは死亡により欠員が生じまして、その年度の末には相当の数になるわけでございますが、それが司法研修所出身者の採用というような関係で充足される、そのような状態を毎年繰り返している。その間の欠員の発生というのは、その年々によりまして多少の増減、変化がございますが、最終的には多少の増員ではございますが、ふえた裁判官数を含めまして、四月初めには全体が充足されるというような関係になっているわけでございます。したがいまして、昭和四十四年の十二月一日現在と四十五年の十二月一日現在との欠員数の差は、それ以前の年度におきましてもその程度の多少がございましたので、特に検討はいたしておらないわけでございます。
#92
○青柳委員 十二月一日現在では例年この程度の欠員はあるのだけれども、四月になれば判事補が入ってくるから、そしてそれぞれ判事補が判事に再任されるというような状況、さらに地裁の判事が高裁の判事に移っていくというようなこともあって、結局つじつまが合うんだというようなお話のように聞こえるのでありますけれども、しかし、裁判官の不足というのは慢性的なものになっているではないか。これは常識のようです。この補充についていろいろ知恵をしぼる、在野法曹から特別に採用するということはできないものか。あるいは学者からというようなこともよく言われるのでありますけれども、いろいろ生活の形態が違うとか、収入や待遇の点で違うというようなことで、必ずしも簡単にはそういかない。また任地の関係で、弁護士はいなかのほうに赴任するということでは裁判官になりたくないというような話も聞きます。
 したがって、基本的には修習生の中から判事補に採用する数をふやすということが、一番給源としては確実なやり方だと思うのです。ところが、この判事補に対する方策といいますか、判事補から何名くらい毎年毎年補充していくならば裁判官の欠員はいずれは解消する、そういうことが科学的に検討されたことがあるかどうか。先ほどの御答弁でも、いままでは六十名から八十名くらいが志望する。これは志望しない者を強制的に徴用するわけにいきませんから、当然志望者を標準にして六十名ないし八十名、こういうことになるわけでありますけれども、たとえば毎年百名ずつ採っていったら欠員というようなことはなくなるだろうし、定員をふやすことも別にそういう面からは支障を来たさないだろうということもいえると思うのでありますが、大体どのくらいを目安にやっておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
#93
○長井最高裁判所長官代理者 裁判官不足の問題につきましては、裁判所だけではございませんで、政府の重大な関心事でございます。したがいまして、臨時司法制度調査会というような機構を設けまして、多額な予算をさいて、この問題につきまして裁判官任用制度の根幹に検討のメスを当てたわけでございますけれども、その結論の実現につきましては、思うような結果が得られないで今日に至っているというのが現状でございます。何名くらい修習生から志望者があれば、裁判所らしい裁判の構成ができるか、裁判官が確保できるかという問題は、検討をいたすべき問題でございますけれども、その数字がはるかかなたにあるというのが現状でございまして、とにかく来てもらえるだけ採りたいということで、毎年努力を重ねているような状況でございます。
 ただ、もう少し志望者をふやしたいというような観点で、監時司法制度調査会の結論を実現するまでにはまいりませんでしたけれども、本年度初任給の調整手当というようなことで、初任者には二万三千円の手当をプラスすることによりまして、弁護士さんとの報酬上の格差を少なくしまして、裁判所に迎え入れる人をふやしたいという努力をしたわけでありますが、いまだその成果が、PRの不足もあってか徹底いたしません。先ほども御指摘のように転勤の問題、また生活上のいろいろなきびしい規律の要求、仕事の内容等の関係がございまして、御指摘のような計画を検討するまでに至らない段階でおるわけでございます。
#94
○青柳委員 いろいろこの問題については議論が行なわれているわけであります。その原因はどこにあるかというようなこと、もちろんそれは大いに検討しなければならないし、それで法務省あたりがアドバルーン的に上げた分離修習などという議論も、また一つの方便として考えられたりするわけでありますし、また初任給云々というお話もあります。それはむしろ計画を実現する上において何をなすべきかというところに帰着するわけでありますが、計画がどうも立っていない。毎年毎年どのくらい判事補を採用したらいいかという計画が立っていないところが問題だと思うのであります。だから、成り行きまかせだ、何かいいえさでも与えたら食らいついてくるかもしれないといったような、あるいは機構を変えて分離修習というような形をとってみたら、半強制的に判事あるいは検事にすることができるのではないか、こういったような民主的でない方向へ走ってしまう。その前にどのくらい必要なのかということが、まずもとになければ、いろいろ知恵を出してみても、結局あれこれと原因の問題に入ってくるにすぎないということなんで、年々どのくらいが必要かということは、これからも大いに計画性をもって検討し、それを実現するにはどうしたらよろしいのかというふうに、目的というか目標とそれからその実現のための手段、方法、そういうものを順序を立てて研究することが必要ではないかと思います。
 それから、裁判官以外の職員のことでございますけれども、このほうもやはり四十四年は合計にして三百十三名だったのが三百五十名になった。これも慢性的な欠員だろうと思いますが、本年度の要求などを見てもわかりますように、非常に多いわけであります。二百名以上、大体二百五十名から三百名近い要求をされて、ほとんどゼロに近いというような状況を見ますと、これもやはり計画的に考えるならば相当補給源を考えなければならないのじゃないかというふうに思います。書記官はどうも制度からいうと研修所を卒業された方、それが書記官の給源のようであります。だから、まずその研修所に入る資格を持つ事務官の採用が相当数なければ、いつまでも不足状態というものが解消しないのではないか。事務官の不足ももちろんさることながら、書記官の不足も絶えず起こってくるというわけなんで、事務官を多数採用するということについて、どういう措置をとっているのか。また書記官を一年あるいは二年の研修に出すというその人数は、聞くところによると短大、高卒の方々は二年、大学卒は一年というような修習期間になっているようでありますけれども、しかもそれが百名とか五十名とかいうようなわずかな数のようであります。もし書記官の数が非常に不足しているのであれば、この研修制度ももっと拡充するというようなことも考えられなければならない、そのように私は考えるのです。まず事務官の補充について、上級試験合格者とか中級試験合格者とかいうようなことが前提にありますから、そうむやみとふやすというわけにいかないかもしれませんけれども、裁判所に勤務する人たちを多く募集するというようなことについてどういう対策をとっているのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。
#95
○長井最高裁判所長官代理者 書記官の充員の基礎になります事務官の採用の問題でございますけれども、待遇を前提といたしました学歴及びその待遇自体、これは国家公務員との関係、他の一般省庁の公務員との関係等がございまして、学歴に比較して特段の待遇を与えるということはなかなか困難な現状にございます。したがいまして、事務官の採用につきましては、裁判所の職務内容を広く周知して、その自覚に満ちた職員に来てもらうという方策をとることと、将来書記官に昇進いたしまして相当の待遇が得られるというような希望を持って裁判所を志望することを勧誘するというような方策をとっているにとどまるわけでございます。
 書記官につきましては、先ほど御指摘のように、大学の法学部を卒業した上書記官研修所において一年の研修教育を受けて、書記官任官の資格を取得する。短大卒の人、大学の法学部以外の人につきましては二年間の研修を必要とするというような任用のしかたがございまして、これは現在の職務遂行能力との関係で下げて充員するというのは困難であります。一方、またこれを飛躍的に希望者を増加させるための待遇上の手当ということも、一般の公務員との関係上困難でございまして、これを実現可能な員数にするということになりますと、百名と五十名というような研修所の収容人員に相なるわけでございます。先ほども御指摘がございましたように、その間は第一線の事務から遠ざかって研修に専念するために、残された者でその分量を消化するために負担過重になるのではないかというような御指摘もございまして、そのために、この収容人員を大幅に増加するということもまた困難な実情となっているわけでございます。
#96
○青柳委員 欠員が多いというお話があるさなかに、四十六年度の予算案を見ますと、人件費の部類で退職手当というのが非常にふえておるわけであります。前年度は二十七億二千四百万円余りであったものが、四十六年度は四十一億二千六百九十八万九千円というふうにおおむね十四億二百万円もの増で、その伸び率は五一・五%、総額が四十一億ですから、たいへんな額が退職手当の予算の中に組み込まれているわけです。ほかの人件費の伸びと比べて異常にこれが高くなっている。ということは、これは退職する人のために大いに給与を上げてあげましょう、退職金の額をうんと上げましょうという趣旨であるのか、それとも退職を大いにふやそうという意味であるのか。まあふやそうというんじゃ変だが、ふえるであろうという予測を立ててこれだけの予算を立てたのか。見ようによれば、退職金をたくさん組んだということは、額をふやして退職を勧奨する、あるいはこれだけ予算が取ってあるからあなたもやめなさい、やめなさいといってやめさせる。一方的に退職させるというようなことはいまの労働法のたてまえからいってもできませんから、勧奨になるわけでありましょうけれども、こうやって定員そのものは必ずしも十分需要に合っているとはいえないのに、そして欠員もあるというのに、このような退職金手当をふやしたというのは、一体どういう観点からなされているのか、お尋ねしたいと思います。
#97
○長井最高裁判所長官代理者 人件費が多いということが必ずしも予算の姿として望ましい形ではないわけでございます。裁判所の人件費は総予算額の七〇%にも及ぶわけでございまして、その他の予算がございませんと、その中での――家庭に比較いたしますれば生活費が非常に貧弱になるという結果を招来するわけでございますから、決して人件費を総額として高めるという努力をしている気持ちは毛頭ございません。これは全く機械的に推計をいたしまして、翌年度の人件費というものが算出されるわけでございます。
 御指摘のように、退職金が非常な伸びを示しておりますけれども、これは昨年度給与の改善が大幅になされまして、裁判所におきましては、他の省庁に比較いたしまして報酬が比較的高くなっておりますのと、勤務年限が非常に長いために、退職金の額が一般の場合に比較しまして高額になるというような関係から、退職金の額が多くなっているわけでございます。裁判所といたしましては、人員の不足に悩んでおりますことは先ほど来御指摘のとおりでございまして、そのために、昨年、裁判官につきましては定年延長の方策が何とかできないかというような法務大臣の提唱もあったのでございますけれども、これもなかなか検討が進まないという状況でございまして、勧奨退職を大いにやろうというような気持ちで退職金をふやしているというようなことは全くございません。このことは、一般の職員につきましても平均年齢がかなり上回ってまいってはおります。したがいまして、勤続年限がそれだけ延びるわけでございますから、退職金の額が計算上勢いふえてくるということはやむを得ない状況である、このように考えております。
#98
○青柳委員 いまの説明は私の質問に対してまともなお答えになっておられないように考えられるのですよ。というのは、ほかのほうが伸び率が一〇%か一二、三%だというようなのに比べて五割も上がる。これは特段の飛躍的な増額だと思うのですよ。毎年毎年五割くらいずつ上がっていくというのであれば、これは別に退職手当だけどうこうというのじゃないんだという説明にもなりましょうけれども、私は例年のやつを調べてみませんから論拠が必ずしも正確とはいえませんけれども、本年度の予算は、やはり第二次人員削減計画というのが政府のほうから出ておって、それに見合うように裁判所としても大幅にふやした。だから、ほかの役人に比べれば勤続年限が長いとかあるいは給与も案外高い、だからふえたんだというような説明ではあまり説明として合理性がないように思うのですが、その点いかがですか。
#99
○長井最高裁判所長官代理者 政府から人員削減計画があるから退職を勧奨するんじゃないかという御質問と存じますけれども、私どもは定員を予算上認められました以上は極力充員してフルに事務処理に当たってもらいたいという気持ち一ぱいでございまして、定員の削減があるからやめてもらう、こういうことには結びつかないわけでございます。政府の人員の削減は、これは定員を削るということでございまして、むしろ予算上定員が認められ、人件費が計上されました以上は、それを十分に執行いたすことが私どもの義務でございますから、退職を勧奨するために退職金を予算上ふやすとかいうようなことは全くございませんし、またそれは結びつかないところでございます。やはり根本の原因は、給与の額が比較的高いことと、勤続年数が長いという関係から、そのはね返りが退職金としては給与の増加率よりは上回るということが機械的に出てまいっておるわけでございまして、特に折衝して退職金を高額に取るというような要求はいたしておらないわけでございます。
#100
○青柳委員 じゃお尋ねいたしますけれども、前年度の伸び率はどのくらい、その前はどのくらいか。ほかとは別にいつでもここは五割くらいずつ伸びているというような状況があるのですか、ないのですか、それをお尋ねしたい。
#101
○長井最高裁判所長官代理者 ただいま伸び率は、資料を持ち合わせておりませんので、これは正確な資料に基づまして計算してお出しいたしたいと思います。
#102
○青柳委員 その資料を拝見した上で、いまの問題はさらに検討したいと思うのでありますが、もう一点だけ時間の関係でありますのでお尋ねいたします。
 裁判官の転任については、これは本人の同意がなければ法的にできないわけでありますが、一般職員の配置転換というような問題については、法的な規制は一応ない。しかし、労働慣行からいえば、これは一般の行政職の場合でも、司法関係の行政職の場合でも、本人の同意を得た上で配転をするというのが常識だと思います。これは沖繩の施政権が返還になって、沖繩の裁判所に勤務している人が北海道へ転任させられるなどということは困るのだということを強く言っておられたことに関連して、前の委員会でも私は質問したことがありますけれども、これは本土内においても当然だと思います。
 ところで、最近裁判所のほうの人事関係のほうでは、いろいろのことを考えて、本人の意思いかんにかかわりなく、職務命令のような形で配置転換をあえて行なうというようなことをやろうという計画があるのではないかということをちょっと情報として耳に入れております。これがほんとうに行なわれるということになれば、非常に紛争の種をまくわけだし、また職員としてもその人権が脅かされるという危険を感ずるわけでありまして、この点を明確にしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#103
○長井最高裁判所長官代理者 裁判官のように同意がなければ動かせないというたてまえでないことは、法律上明らかでございますので、同意がなければ動かさないということは申し上げることはできないわけでございますけれども、従来の人事行政をことさらに変更するというようなことは、何も私、当の主管者でございませんけれども、聞いておらないところでありますし、また実際できないことではないかと思っております。あるいは実際の人事の計画におきまして、ポストの関係等で、ここへ一応行ってもらえないだろうかというような話がありまして、それが表現が強過ぎたというようなケースは、あるいはあるかもわかりませんけれども、最終的には配置転換を強行するというようなことは従来もございませんでしたし、また将来もなかなかそういうことができるというような客観情勢にもないものと考えております。沖繩の件につきましても、そのような点について十分な配慮をしたいということは、以前の委員会でも先生に申し上げたつもりでございまして、私、そのように今日も申し上げて差しつかえないものと確信いたしております。
#104
○青柳委員 終わります。
#105
○福永(健)委員長代理 次回は来たる二十六日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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