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1970/03/02 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 法務委員会 第6号
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1970/03/02 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 法務委員会 第6号

#1
第065回国会 法務委員会 第6号
昭和四十六年三月二日(火曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 高橋 英吉君
   理事 小澤 太郎君 理事 鍛冶 良作君
   理事 福永 健司君 理事 畑   和君
      石井  桂君    江藤 隆美君
      河本 敏夫君    島村 一郎君
      羽田野忠文君    松本 十郎君
      村上  勇君    黒田 寿男君
      日野 吉夫君    三宅 正一君
      林  孝矩君    青柳 盛雄君
 出席政府委員
        法務政務次官  大竹 太郎君
        法務大臣官房長 安原 美穂君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 貞家 克巳君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局民事局長  瀬戸 正二君
        法務委員会調査
        室長      福山 忠義君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関す
 る法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七
 〇号)
     ――――◇―――――
#2
○高橋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。羽田野忠文君。
#3
○羽田野委員 この法案につきまして、貞家調査部長に御答弁をいただきたいと思います。
 まず、本案の内容に入ります前に、執行官制度のアウトラインについてちょっと御質問したいと思います。執行官という制度は、執達吏、執行吏、執行官というようにいろいろ名前が変わっておりますが、この執行官制度の沿革、それから現在の執行官の身分、仕事の内容、こういうことを簡単にちょっと御説明願います。
#4
○貞家政府委員 執行官と申しておりますこれに相当する官職は、執行官法制定までは執行吏でございまして、さらにさかのぼりますと執達吏ということになるわけでございます。
 執達吏につきましては、明治二十三年の裁判所構成法、それから執達吏規則という名前の法律がございまして、これによって制度の骨格が定められていたわけでございます。執達吏は各区裁判所に置かれまして、手数料を受けて裁判の執行あるいは裁判所の発する文書の送達その他の事務を行なう裁判所の職員として置かれることになったのでございます。
 ところが、昭和二十二年、新憲法とともに裁判所法が施行されることになりまして、その名称が執行吏と変えられたのでございます。仕事の内容、身分につきましては従前とほとんど変わりはございません。ただ戦前におきましては、これは官吏と申しましてもいわゆる待遇官吏というようなことでございましたが、戦後国家公務員法、裁判所職員臨時措置法というような法律が施行されました後は特別職の国家公務員であり、そして裁判所の職員であるということになった点がやや異なる点でございますが、ともかく執行吏という名称で戦後ずっと来たわけでございます。
 そこで、その身分は、特別の公務員であり裁判所職員臨時措置法の適用を受けるわけでございまして、国家公務員法等の規定が準用されるのでございますが、一般の公務員と著しく異なります点は、定員の定めがなく、国から給与を受けない手数料収入の制度をとっているという点が非常に違っていたわけでございます。
 その執行吏につきまして、昭和四十一年の法律第百十一号執行官法でございますが、これによりかなり大幅な変更が加えられました。この法律は昭和四十一年十二月三十一日から施行されたのでございます。この法律におきまして、従来の執行吏と異なりまして公務員的性格が非常に強化されることになりました。名称も執行吏から執行官という名称に変更されることになったわけでございます。
 それでは、どういうような点で従来の執行吏と異なることになったかと申しますと、おもな点としては次の三点があげられると思います。
 まず第一に、従来の執達吏あいるは執行吏は、執務の本拠といたしましてそれぞれ各執行吏が役場を設けまして、裁判所とは別に自分の維持経営する役場を執務の本拠としていたのでございますが、執行官におきましては、公務員性格を強化いたしまして、裁判所の職員という性質をはっきりさせることになりまして、執務の本拠は所属の地方裁判所であるということになったのでございます。したがって、性質上外回りの仕事が非常に多うございますけれども、執務、デスクワークは事実上裁判所の庁舎内でするということが通常の状態になったのでございます。
 次に、従来の執達吏、執行吏は役場をそれぞれ設けて、いわば自前の営業をしているという感じもぬぐえなかったのでございまして、同じ裁判所に数人の執行吏がおりますときには、当事者はその中から任意に一人を選択して事件の処理を委任するというような形になっておりましたけれども、執行官になりましてからは、当事者は自由にだれそれの執行官にお願いするというような自由選択性というものを廃止いたしまして、事務の分配は所属の地方裁判所が定めるということにいたしたのでございます。
 さらにもう一点といたしまして、従来執行吏、執達吏もそうでございますが、当事者から直接手数料等を受け取りまして、予納を受けまして、また予納金を保管いたしますほかに、差し押えの金銭等も自己の責任においてみずから保管の責めに任じていたのでございますが、執行官法のもとにおきましては、手数料などにつきましては当事者から所属の地方裁判所に予納する、そして地方裁判所の会計におきまして、一般の事件の金銭と同じように裁判所の責任をもって保管する。そして執行官はそういった裁判所の予納金の中から手数料その他必要な費用の支払い、償還を受けるというたてまえにいたしましたのと同時に、執行官が職務の執行として差し押えた金銭あるいは交付を受けた金銭は、直ちに債権者に交付するというような場合は別としまして、所属の地方裁判所がこれを保管するということにいたしまして、金銭保管の事務は裁判所の会計で責任をもってやるというような点で改革が行なわれたわけでございまして、その点非常に従来のあいまいな性格を払拭いたしまして、裁判所の職員である、公権力の行使に当たる公務員であるという性格をはっきりさせたのでございますが、ただ給与の点につきましては、これは完全な俸給制ということをとるにつきましてはなお非常に無理があるということで、手数料収入をもって、手数料収入の制度を維持するということにいたしたわけでございます。
 大体の制度の沿革は以上のとおりでございます。
#5
○羽田野委員 執行官の実情をちょっと聞きたいのですが、いま全国で執行官というのはどのくらいおるのか、どういう経歴の人をいかなる方法で任命をしておるか、それからその執行官の待遇、大体年齢はどのくらいの人がおるのか、そういう実情をちょっと御説明願いたい。
#6
○瀬戸最高裁判所長官代理者 執行官法が施行せられましたのは、昭和四十一年十二月三十一日でございますが、当日現在における執行官の数は三百三十七名でございました。本年一月一日現在の執行官の数は三百五十七名でございます。年齢の平均は五十八・八歳。
 執行官法施行後における執行官の任命状況について御説明いたしますと、その任命者数は百三十九名でございまして、これに新任用資格、新しい任用資格によるものと旧任用資格によるものと二種類ございますが、新しい資格によるもの、すなわち四等級以上の者が九十七名ございます。旧任用資格による者、これが四十二名でございます。新任用資格による任命者の任命前の経歴を申し上げますと、裁判所書記官出身者が七十名、裁判所事務官出身者が四名、家裁調査官が三名、検察事務官が十一名、法務事務官が二名、その他七名ということになっております。任用は試験を経まして各地方裁判所で任命するということになっております。
  以上で説明を終わります。
#7
○羽田野委員 従来、この執行官の恩給についてはどういうふうな方法で支給されておるか、その支給の実情をちょっと御説明いただきたい。
#8
○貞家政府委員 非常に古いことになって恐縮でございますが、便宜のために執達吏時代からの沿革を御説明いたしたいと思います。
  先ほど申し上げました執達吏規則によりまして、執達吏は官吏恩給法に照らして恩給を受けるということになっていたのでございます。実は恩給法が改正されまして、大正十二年に現行の恩給法が制定されたのでございますが、その後は恩給法に照らして恩給を受けるということになったわけでございます。そこで昔の官吏恩給法時代には普通恩給と増加恩給、これは傷病のために廃疾になった場合の定額の恩給でございますが、普通恩給と増加恩給が官吏恩給法に規定されておりまして、これを受けるということになっていたのでございます。ただ御承知のとおり、恩給法におきましては退職当時の俸給年額を基準として計算するのでございますが、執達吏、執行吏には俸給というものがございませんので、国庫補助基準額、これは収入が一定の額に達しないときにある限度までは国が補償するという意味で国庫補助基準額というものがございますが、これを俸給年額とみなして恩給の年額を計算する、そうして官吏恩給法に規定されていたところの普通恩給、増加恩給を支給するというようなたてまえが明治以来とられていたのでございます。そこで、そういった年額の計算の基礎となる俸給の点につきましては違いがありますけれども、恩給権の受給資格でございますとか、恩給の計算の方式でございますとか、恩給権の発生、消滅に関する事項とか、そういったものはすべて官吏恩給法に照らして、恩給法になりましてからは恩給法に照らしてこれを受けるという解釈、運用がずっととられていたわけでございます。
 そこで、ことに戦後になりまして社会情勢に応じまして、いわゆる恩給のベースアップということがたびたび行なわれるようになりました。つまり、退職当時の俸給年額をそのまま基準としていたのでは現在の経済状態に合わないということで、恩給年額を少しずつ上げるということが一般の恩給について行なわれてきたわけでございます。つまり、基礎となる俸給年額を改めまして、仮定俸給年額というものを設けて、それによって恩給の年額を計算するということになってまいりました。そこで執達吏、執行吏で退職された方につきましても、ほうっておきますとこれは昔の国庫補助基準額のままで計算されることになりますので、その国庫補助基準額を少しずつ引き上げるという立法が一般の恩給法の改正と相並んで行なわれていたのでございまして、その方法といたしましては訴訟費用等臨時措置法、これは現在は訴訟費用臨時措置法ということになっておりますが、この法律の一部改正、昭和二十四年の法律五十五号でございますが、この一部改正の附則におきましてこういった執行吏、執達吏の恩給のベースアップを行なっていたわけでございます。そうしております間に、先ほどもお答え申し上げました執行官法の制定になったわけでございますが、この附則十二条、十三条、十四条におきまして執行官の恩給、それから従前の執達吏、執行吏の恩給に関する規定が行なわれることになったのでございまして、これはお手元の資料の六ページにございますけれども、執行官法の附則十三条におきましては、今後執行官につきましても従来の執行吏と同じように恩給法の例によって恩給を受ける。それから従前の執行吏恩給、執達吏恩給、これは執達吏規則に基づく恩給といっておりますが、それにつきましても「従前の例による。」というような規定が置かれることになったのでございます。
 そこで、旧執行吏の恩給につきましては、昭和四十二年の法律六十四号によりまして、それが旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律でございますが、それによってベースアップを行なった。さらにその翌年、昭和四十三年法律六十四号におきまして、お手元の資料の二ページでございますが、四項におきまして、これは逐一幾らのものが幾らになるというような形態を改めまして、同額である一般の文官の恩給が増額された場合には、それにスライドして必ず同じような計算方法で同じ額に上がるというような基準を定めまして、それによって一々金額が幾らになるというような改正を行なうことなしに当然引き上げられるというような仕組みをつくったわけでございます。
 ところが、これに反しまして執行官のほうにつきましては、執行官法の附則第十三条に規定がございますけれども、従来これは制度発足以来日がわずかでございますし、実際上これに見合う一般公務員の恩給の増額に見合ってその引き上げを行なわなければならないその事態がいままで発生しなかったわけでございます。したがって、執行官の恩給につきましてはベースアップの規定がなかったのでございますが、この法律案におきましてやはり執達吏規則に基づく恩給と同じように、同額の一般公務員、つまり具体的に申しますと四等級七号俸あるいは七等級三号俸というような基準が大体同額になっておりますので、そういった一般公務員につきまして恩給年額の増額があった場合には、これにスライドして執行官恩給についても引き上げることにしようというのがこの法律案の趣旨でございます。
#9
○羽田野委員 非常にややこしいことになっておりますが、この恩給の支給方法について、いま御説明に出ました執行官法の附則十三条、これによりますと、執行官の退職後の年金に関する措置が講ぜられるまでの暫定的措置だ。結局は抜本的に執行官の退職後の年金あるいはそれに関連する固定俸給制あるいは退職手当、こういうふうなものに関する抜本的な措置が講ぜられることを前提としておるようでございますが、こういう問題に対する検討ですね、これは現在どの程度に行なわれておるのか、ちょっとその点をお尋ねいたします。
#10
○貞家政府委員 御指摘のとおり、執行官法附則第十二条以下の規定によりまして、執行官について現在適用されております恩給法の例によって恩給を受けるという制度は、執行官の退職手当及び退職後の年金その他の給付について検討が加えられて何らかの結論が得られる、それまでの措置だということになってくるわけでございます。つまり、執行官の退職後の給付ということを考えますと、恩給法の例によって普通恩給及び増加恩給に相当する年金たる恩給を受けるにとどまりまして、国家公務員の共済組合の組合員になるとかあるいは公務員の退職年金を受けるということができないわけでございます。これはそもそもは俸給制をとっていないというところから来たのでございます。
 そこで昭和四十一年の執行官法の立案過程におきましても、種々その点の検討が行なわれたのでございます。ただ先ほども申し上げましたように、執行官制度を発足させるにつきましては、従来の非常に長い、明治二十三年以来ほとんど実質的に放置されて顧みられることのなかった執行吏制度にメスを入れまして、公務員性を強化するというような点、職務体制の改善というような点が非常に急を要する問題であるというふうに考えられまして、鋭意その点について改善を行なうということになったのでございまして、その際俸給制をとるべきかあるいは手数料制を維持すべきかということは、相当長年にわたって慎重に検討されたのでございますが、遺憾ながらその当時の段階では完全な俸給制を発足させるというところまでは踏み切ることができなかったわけでございます。したがって、それに関連いたしまして、退職後の給付というような点についてもいろいろ溢路があったのでございます。そこで、従来の恩給の制度を維持するということになりまして、退職後の給付の点について新たな構想を固めるということができなかったのでございます。
 暫定措置として残されたのは以上のような経緯によるものでございますが、この問題は執行官の処遇の改善に関する事項のうちでもきわめて重要なものでございまして、執行官法の成立後も私どもといたしましては非常な関心を払い、何とかいい方策はないものかというふうに研究を続けているのでございますが、ただ何ぶんにもここで申し上げておきたいと思いますのは、執行官法による執行官の制度というものはいろいろな新しい施策を取り入れることになったのでございますが、これはこの附則十二条、十三条以外にも種々の点におきまして直ちに実施することができない、準備期間が必要だというようなことから、いわば移行措置のようなものがいろいろあるわけでございます。
 たとえば、先ほども申し上げました金銭の保管の仕事を裁判所が全部責任を持って取り扱うということにいたしましても、これは一挙に会計事務を担当する職員を見つけることができない。そこで昭和四十二年、つまり執行官法の成立の翌年から執行官関係の会計事務を担当する職員として裁判所事務官の増員の措置が逐年講ぜられてまいりまして、四十五年までで大体全国の地方裁判所のうち三十数庁が会計事務を完全に掌握することになっている。しかしながら、本年度もさらに二十人の職員の増員措置を講じまして、その拡充をはかっているというような経過をたどっておりまして、なおいわばこういった執行官法の本来の姿を実現するための移行措置の段階であるということが一つ言えるわけでございます。
 また、執務の本拠が裁判所であるということは、観念的には法律によってきめられるわけでございますが、現実にすべての執務を裁判所の庁舎内において完全にとるということも、非常に裁判所庁舎の設備の充実ということが必要になってくるわけでありまして、この点につきましても、裁判所当局は非常に努力をされまして、いまや完全に執行官が裁判所の庁舎内で執務できるような状態になっているというふうに私どもは聞いているのでございます。
 こういった諸般の執行官法本然の姿に移行するための措置が完全にとられておりませんと、あるいは執行官の執務の実態、手数料収入あるいは必要経費というようなものにつきまして、完全な把握をするということは非常にむずかしいことでございます。したがって、そういった事実の調査というようなものに立脚いたしまして検討し、さらによいくふうはないものかと頭をしぼっていきたい。ただ、この問題を解決いたしますためには、非常に困難な問題があるわけでございまして、手数料を取りながら一般の公務員と同様に退職手当を支給することができるかどうか、あるいは公務員の共済組合に加入させるということができるかどうか、それについてはいろいろ問題があるわけでございまして、簡単にはまいりませんけれども、さらに執行官法の打ち出しました方向が、できるだけ一般の公務員との差別を少なくしていこう、公務員的な性格を強化しようという態度でございますので、おのずからやはり給与の面につきましても、一般の公務員のあり方に近づけていく、そういう方向であることには変わりはございません。しかしながら、それにつきましてはいろいろな隘路がございますので、私どももできる限りの努力をいたしまして、何らかの適切な対応策を見出すべく努力を続けておりますし、今後は、そういった裁判所内への踏み込みと申しますか、俗なことばで申しますと、裁判所の完全なかさの中に入るわけでございますが、そういった事態の進行と相まちまして、さらに積極的に検討を続けて、妥当な結論を見出したいというふうに考えております。
#11
○羽田野委員 大体制度としてはわかりましたが、具体的に提案されている本案の内容につきまして二、三御質問さしていただきます。
 第一に、この提案理由の説明書を読んでみますと、この二ページのまん中辺に、一般公務員に関して恩給法等の一部を改正する法律案を提出した、これに伴って一部退職執行官の恩給についても増額の措置を講ずる必要が生じた、こういうことを書いておりますが、これは具体的にはどういうふうなことを示しておるのか。ちょっと説明していただきたい。
#12
○貞家政府委員 資料の一四ページをごらんいただきますと、「六 執行官法の規定による恩給の受給者数」という表題がございまして、「執行官法附則第十三条の恩給の受給者数」とございます。そこに区分してございますが、その一番上欄の昭和四十一年十二月三十一日から昭和四十二年七月三十一日という欄がございますが、これが給与事由の生じた日、つまり退職日でございます。この執行官法施行以来四十二年七月三十一日までの間にやめた執行官が七人ございます。これにつきましては、当時の国庫補助基準額が、これは二種類ございますが、二十八万七千円という基準額がございます。これが現在恩給の年額の計算の基礎とされているいわば仮定俸給年額でございます。ところが、これは一般公務員で申しますと、七等級三号を受けている者に相当するのでございますが、それが今度の恩給法の一部改正によりまして、四十六年一月から二十七万六千六百円、四十六年十月分から二十九万九千八百円ということになるわけでございます。そこで十月分以降におきましては、二十八万七千円から二十九万九千八百円に引き上げられることが必要になってくるわけでございます。ところが、その七人のうち、現実に恩給を受けるのは四人ということになるのでございますが、それでは残りの三人はどういうことかと申しますと、残りの三人は、在職年数等の関係がございまして、現実にいま受けております金額が恩給の最低保障額である十二万円ということになっております。つまり普通の計算の方法をそのまま当てはめてみますと、たとえば九万円とか十万円とかという金額になるのでございますが、これは恩給法の一般原則によりまして七十歳以上で十二万円に満たない者の恩給年額を十二万円まで保障する、十二万円にするということになっております。そこでそういう方々につきましては、今度二十九万九千八百円という基準を用いましても、やはり在職年数が短いということで、十二万円に達しません。したがって、現在も十二万円でございますし、ベースアップをしてみたところで十二万円だということで、その人たちは影響はないわけでございます。そこで影響のある残りの四人につきまして計算いたしますと、これは従来の金額よりも多くなる。したがって、改正の実益があるということでございまして、そういった方がこの一番上欄の二十八万七千円という基準額によって現在計算をされているそのうちの四人でございまして、これは金額としては非常にわずかでございまして、今年の十月、十一月、十二月、この三カ月分が昭和四十六年度予算になるわけでございますが、その所要経費は合わせまして五千九十八円という計算になっております。
#13
○羽田野委員 次に、やはり提案理由説明書の二枚目のいま質問したところの次ですが、「この際、執行官法による執行官の恩給の年額の改定につきましても、すでに旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定についてとられている方法にならうこととし、」こういうことをいっておりますが、これは具体的にいうとどういうことになるのか。もう少し詳細説明してください。
#14
○貞家政府委員 執達吏、執行吏の恩給につきましては、この法律、つまり旧執達吏規則に基づく恩給の年額の改定に関する法律の現在の一項から五項までに定められているのでございまして、先ほどもちょっと御説明いたしましたように、四項、五項によりまして恩給について同額と見られる一般公務員のほうの恩給をフィックスいたしまして、その恩給が増額されることになれば、それにならって執達吏規則に基づく恩給のほうも増額されるということになっております。したがいまして、お手元に差し上げました資料の一五ページの参照というところがございますが、「執行官法附則第十四条の旧執達吏規則に基づく恩給の受給者数」というところに、退職日が昭和四十一年八月三十一日以前である執行吏、執達吏が四十一人ございます。これらにつきまして、現在仮定俸給年額、つまり恩給年額の計算の基礎となっております年額が二十四万二千百円ということになっておりますが、これに見合う二十四万二千百円という恩給法上の金額は、昭和四十六年一月からは二十四万七千百円、十月分からは二十六万七千九百円というふうに改定されることになっております。したがって、これは特段の立法措置を講じませんでも、この現行法の規定によりましてスライドしていく、つまり、執行吏の恩給につきましても、仮定俸給年額は、現在の二十四万二千百円から二十四万七千百円になり、二十六万七千九百円になるという結果になるわけでございます。
 それと全く同じように、執行官のほうにつきましても、同格である一般恩給法上の恩給というものを固定いたしまして、その恩給が今後引き上げられることがあれば、それに応じて引き上げられていく。別段の立法措置を講じて何円にするというようなことをいたしませんでも、一定の恩給法上の恩給にフィックスしておいて、それが上がればスライドしてこちらも上がるというような仕組みになるわけでございまして、それを当てはめました結果が、今年度におきましては、先ほど申し上げました二十八万七千円という金額が二十九万九千八百円になる、こういう結果になるわけでございます。
#15
○羽田野委員 結論的に、今回の改定によって現実に恩給が増額されることになるのは何名であるのか、また、その増額される内容はどういうふうになるのか、伺いたい。
#16
○貞家政府委員 今回の法律によりまして現実に昭和四十六年度に増額されますのは、昭和四十二年七月三十一日以前に退職した執行官のうち四人でございまして、先ほども申し上げましたように、その金額は、たとえば現在の恩給年額が十二万五百四十円である方が今後は十二万五千九百十六円になるというふうな、これは計算上、在職年数とそれから仮定俸給年額を掛け合わせた計算の結果でございますが、わずかではございますけれども、そういう増額をされる方が四人おられるわけでございます。この法律によりまして、先ほども申し上げておりますように、一般の恩給にリンクいたしますので、今後一般の恩給法につきましていわゆるベースアップが行なわれた場合には自動的にそういった額が上がっていくという結果になるわけでございますが、本年度におきましては、さしあたって、現実にこの法律案によります増額の恩恵を受けると申しますか、影響を受けるのは四人でございます。
#17
○羽田野委員 最後に、大竹政務次官にひとつお答えを願いたいと思います。
 いま聞きまして、この改正案の内容はよくわかったのですが、この執行官制度、いわゆる裁判の判決が迅速公正に出るというこの裁判体制というものが充実されることと、それからその出た判決に基づいて早く確実に執行するという執行体制の充実をすることは、これは車の両輪だと思うのでありますが、この執行関係が、執達吏から執行吏、執行官というふうに制度がだんだん充実しておることはわかります。ところが、制度の上でも、いま御説明のように、この執行官は、身分は官吏であるけれども俸給は受けていない、手数料によってこれを処理しているというような非常に不安定な状況のようであります。したがって、この恩給制度なども変則的なもので、いま説明を受けてもわかりにくいようなこと、結局基本的なこの給与体系というものが違うからこういう変則的なものになるのだと思いますし、その一つのあらわれとして、実情としても執行官の平均年齢が五十八・八歳、いま平均寿命が非常に延びているけれども、普通の働く人の平均年齢としてはきわめて老齢、ということは、実際に実効をあげることが非常に困難な制度並びに実情にあると思うのであります。これは制度をだんだん変えて、この執行制度を充実しているということはわかりますけれども、より強力な制度を早急につくることが必要ではないかということを痛感いたします。この点に対する政務次官のお考え方を示していただきたいと思います。
#18
○大竹政府委員 羽田野委員のお説のとおりに私どもも考えるわけでございまして、実はこの前法律を改正して、執行吏から執行官になるとき、ちょうど私やはり衆議院の法務委員でございまして、いまの御質問のような質問を、やはり私もしたような記憶があるわけでございます。先ほどの説明にもございますように、明治以来の古い制度のもとに逐次改正してきたといういきさつもあるわけでございまして、なかなか一時に改正ができないということで、いま御説のように中途はんぱ、給与の面あるいは年寄り仕事にやるというようなかっこうになっている面等々、まだまだ改正すべき余地がたくさんあるということを、法務省としても、また裁判所におかれましても、おそらくお考えになっていることだろうと思うわけでございまして、いまの御説の線に沿うて今後とも考えてまいりたいと思います。
#19
○羽田野委員 終わります。
#20
○高橋委員長 次回は明三日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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