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1970/02/26 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第5号
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1970/02/26 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第5号

#1
第065回国会 内閣委員会 第5号
昭和四十六年二月二十六日(金曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 天野 公義君
   理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君
   理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君
   理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君
   理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君
      阿部 文男君    加藤 陽三君
      笠岡  喬君    鯨岡 兵輔君
      辻  寛一君    中山 利生君
      堀田 政孝君    上原 康助君
      木原  実君    横路 孝弘君
      山田 太郎君    東中 光雄君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  竹内 黎一君
        外務大臣官房長 佐藤 正二君
        外務省アジア局
        長       須之部量三君
        外務省アメリカ
        局長      吉野 文六君
        外務省条約局長 井川 克一君
        外務省情報文化
        局長      藤山 楢一君
        建設大臣官房長 大津留 温君
        建設省都市局長 吉兼 三郎君
        建設省住宅局長 多治見高雄君
 委員外の出席者
        通商産業省化学
        工業局窯業建材
        課長      倉部 行雄君
        内閣委員会調査
        室長      茨木 純一君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十六日
 辞任         補欠選任
 稻村左近四郎君     伊藤宗一郎君
  横路 孝弘君     阪上安太郎君
同日
 辞任        補欠選任
  阪上安太郎君     横路 孝弘君
    ―――――――――――――
二月二十五日
 環境庁設置法案(内閣提出第六〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する
 法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇
 号)
 建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二三号)
     ――――◇―――――
#2
○天野委員長 これより会議を開きます。
 在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
#3
○上原委員 外務大臣にいろいろお尋ねしたいわけですが、これまでも予算委員会あるいは沖特その他の委員会でもいろいろお尋ねしてまいりましたが、ある面では重複する面、あるいは同じ答弁というものが出てくるかと思いますが、なお不明確な点がありますのでお尋ねしたいと思います。
 きょうはまず最初に、ごく簡単に、日中国交回復の問題についてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。御案内のように、昨年の暮れに超党派で日中国交回復促進議員連盟が結成をされて、中華人民共和国との国交回復ということは、国民各階層の根強い要求になってきていると思います。さらに最近は、藤山氏並びに岡崎氏らの一行が訪中して、日中覚書貿易交渉も順調に進んでいる。あすじゅうにも覚書交渉の共同声明に調印をするという段階にまでこぎつけていると伝えられております。本来、国交回復というものはやはり政府ベースでなさるべきものだと考えるわけですが、遺憾ながら現在の政府の日中問題に対する姿勢というものが前向きでないといいますか、あるいは非常に慎重に考慮をするというような空気を出ていない。そういう面で、一方においては民間外交的に何とか日中国交回復を打開していこうという非常に積極的な動きも出ております。さらに日本国際貿易促進協会代表の訪中によって、中国側との話し合いが進められまして、周恩来首相も経済界の関係者の訪中というものを歓迎をしたいということも伝えられております。こういう動きに対して、国の外交問題を担当なさる外務大臣として、覚書貿易交渉に臨んでおる方々の積極的な日中打開策というものをどう評価しておられるのか、それが一つ。
 質問の第二点としては、沖繩が戦後二十五カ年間の長期にわたって米国の占領、支配下にいまなおあるという現状、そしてその過程で米軍の巨大な基地というものが構築をされ、この沖繩の米軍基地というものが、日中の国交回復なり、あるいはこれから進めていこうとする国交回復の面において、どのような影響をもたらしているとお考えなのか、そのあたりをまずお伺いをして、沖繩問題の中身についてさらに御見解を賜わりたいと思います。
#4
○愛知国務大臣 第一の問題につきましては、政府の姿勢や見解はすでに明らかにしているとおりでございまして、一面において、国民政府との間の日華平和条約というものが存在しておることも御承知のとおりでございますが、また一面において、中国大陸におけるところの状況についての認識というものも十分持っておるわけでありますから、この日中間の正常ならざる関係をより正常化したい、そのためには政府間の対話も持ちたいという態度はかねがね表明し、また提唱もしているわけでございますから、そういう気持ちを持っております政府の立場からすれば、覚書貿易はもちろんでありますし、まだ正常化されていない現状におきまして、各方面の方がいろいろの立場から国交のより正常化ということについて、現在の両国関係の正常ならざる関係をより正常化しようという努力を積み上げられておることについては、敬意を表しておる次第でございます。
 それから、第二の沖繩返還問題との関係におきましては、私は、本件は直接の関係はない、かように存じておるわけでございまして、いずれまたお尋ねも出ようかと思いまするけれども、よく共同声明というものが論議の対象になりますけれども、やはり基本姿勢としては、中華人民共和国の体制というものも、激しい対決とか武力行使とかいうことにならないように、またそういうふうにならないであろうという願望を込めて、国際情勢を見ているわけでございます。こういう関係からいたしましても、日中関係のことと沖繩返還問題というものは直接な関係はない、こういうふうに存じております。
#5
○上原委員 あとで私が進めていく質問内容なり国の根本的な外交姿勢という面で、私は、日中国交回復ということと沖繩問題の根本的解決というものは密接につながる問題だと判断をいたしますので、いま一つ尋ねておきたいと思います。
 政府のこれまでの国会での御答弁なり、いろんな面で、日中問題に対するお考え方、姿勢というのは、いま大臣がおっしゃるところもある程度理解をいたします。しかし、この段階で真に極東の平和ということ、あるいはアジア近隣諸国との友好関係というものを考えた場合に、中国側も何とか門戸を開こうという立場でいまアプローチをしてきていると受け取れます。政府という外交ベースで積極的にこの機会をとらえて、日中問題の回復ということに、ことばだけの大使会談とか、何とか国交を回復したい、正常化したいということでなくして、ほんとうに一歩踏み込んで政府の代表を派遣するとか、あるいは中国側からお招きをするというような立場でやるというお考えはないのかどうか、その点お尋ねしておきたいと思います。
#6
○愛知国務大臣 ことばがなければ行動もないわけでございますから、日本の姿勢というものは明らかにされておると私は思います。それから、先般来もいろいろ国会を通じてお尋ねがございましたように、具体的な動きもないわけではないわけでございますが、なかなかこういうことは、あしたかあさってどうこうということになるものではないので、忍耐強く、また姿勢を正して積み上げていくべき問題であろう、かように存じております。政府としては、積極的に対話を持ちたい、こういう姿勢でありますことは前々申し上げているとおりでございます。
#7
○上原委員 先ほどの二点目の私の質問に対して、沖繩の返還ということは日中国交回復とは直接の関係はない、そういう御判断だということでしたが、私がお尋ねしていることは、沖繩に巨大な米軍基地があるということが、日中の国交回復、あるいはもっとはっきり申し上げると、社会主義、共産主義近隣諸国との国交回復という面でどのような影響を及ぼしてきた、あるいはまた及ぼしているかということについて、どう御判断をしておられるのかということですので、返還協定そのものはやはりアメリカとの関係であるということはわかりますが、しかし国際外交、特にアジア外交という面から考えた場合に、沖繩の今日の状態というものが多分に影響しているということは、一般の常識論からして判断できると思います。その点についてはどういうお考えですか。
#8
○愛知国務大臣 先ほどもお断わりしておきましたように、いずれ御質疑があるでしょうということを私も前提にしているくらいで、これはいろいろの論議の対象であることは私もよくわきまえておるつもりでございます。ただ、私が関係が直接ないと申しましたのは、日中関係が現在のような状態でずっと続いていくとかりに仮定いたしましても、あるいは逆に言えば、日中間に何か政府間の対話が持てなければというような、積極、消極両方の条件が整わなければ返還協定の作成、調印が延びるとか促進されるとか、そういう意味の関係は直接ないということを申し上げただけでございまして、事実はそのとおりでございます。かりに日中間の政府間の接触や対話がこの夏までに行なわれないとしても、この夏までに返還協定の話が煮詰まることは確実であろうと思いまするし、またそれを前提にして年内に国会の御審議をいただく。そのときには凡百の関係、国内立法も御審議を願うことになると思いますけれども、そういうスケジュールが、かりに今年内に日中間の政府間接触がなくとも、そのスケジュールには何らの影響はない、こういうふうな関係を申し上げたわけでございまして、後段でお述べになりましたようなことは、日本全体の外交政策の問題であるし、あるいは日本全体としての安全保障政策に対する御意見、御論議の問題である、かように私は承知いたしております。そういう関係から見ますれば、日中問題のみならず世界情勢に対する日本の外交姿勢というものが大いに関係がある――意見は別として、関係があるということは、これはもうお示しのとおりだろうと思います。
#9
○上原委員 いまアジア情勢あるいは国際情勢の面で意見を異にしても、沖繩に米軍基地が存在しているということは関係があるという御答弁だと受け取りますが、論議を進めていく上で、まず沖繩に巨大な米軍基地が存在をしている、そのことは意見を異にするというだけでは解決のできない面が――解決というよりも、とらえ方の本質そのものに食い違いがあると思います。これはまた後ほど結びの中で申し上げたいわけです。
 そこで政府は、これまでたびたび、沖繩の復帰というものは核抜き本土並みで七二年中に実現をするんだということを強調してまいりました。とらえ方、受け取り方いろいろ違う面、納得のいかない点もあるわけですが、一応政府のおっしゃっていることを前提として考えました場合に、当然沖繩の現在米軍が使用している基地、施設、区域というものは、その一部あるいは地域的に返還をすべきであるという前提で、核抜き本土並みですから、交渉を進めなければならないと思います。その施設、区域の提供について、どういうようなお話し合いなり交渉が進行しているのか、その点についてお聞かせを願いたいと思います。
#10
○愛知国務大臣 返還になりますれば、安保条約は何らの変更なしに関連取りきめを含めて沖繩に適用になるかけでありますから、いま基地といわれておりますけれども、現在はアメリカの施政権が働いておりますから、沖繩に現在ある米国軍隊というものは、たとえてみれば米本土にある米軍と同じようなものであるということが言えると思いますが、安保条約が適用されますれば、日本の安全と日本を含む極東の安全に寄与するというのが日米安保条約であり、その性格、使命、両国で合意され成規な手続で締結された条約の規定するところによってすべてが律せられなければなりませんから、日本政府としては、その目的のために駐留する米国の軍隊の使用に供するために、施設、区域を両国政府が合意した上で提供するということになるわけであります。したがって、現在の通称基地といわれておる米軍が使っておる地域や施設は、自由な米軍の使用にゆだねられておるわけですけれども、安保条約が適用になりますれば、米軍が使い得るところの施設、区域は、日本の合意したもので、そしてその合意というものは、安保条約の目的に沿って日本として提供するものでなければなりません。したがって現在とは法の構成あるいは軍の性格、使い得る施設の性格というものが、そういうふうに基本的にまるで変わってくるわけであります。したがって、この施設、区域を使用する場合におきまして、米軍としては一定の装備、編成、行動については制約を受ける義務を負っているわけであります。その制約下でしか使えない、つまり非常に大きな制約を受けておるわけであります。こういうわけでありますから、政府が現にアメリカと話をしておるところは、それを基本にして、安保条約の目的に沿うように使われるような施設、区域、そういったものを提供するつもりで話をしておるわけでございます。つまり基本的にはいま申しました現状とは違うわけであります。その立場に立って提供すべき施設、区域はどういうところが適当であるかという角度で話し合いをして、さらに進んで沖繩県民のために特に有効に活用したいというものはその中からはずしたい、この基本的な方針をもとにしてただいま鋭意話し合いをいたしておるわけでございますが、その内容等については、非常に御関心の深いところでございますし、事柄がきわめて重要なことであり、政府といたしましても念には念を入れて交渉しなければならない問題でございます。どことどこが提供されそうだとかいうことについて、まだ具体的なお話しをする段階に至っておりません。
#11
○上原委員 まだ具体的に明らかにできないということですが、話し合いは進めているが具体的に明らかにできないということですか。それとも基地の返還なり施設提供の範囲をどうするかということは具体的に話し合いが進められていないということですか。
#12
○愛知国務大臣 事柄の性質上、この話し合いというものは方法論としてもなかなかむずかしいものがあることは、私は御想像いただけると思うのです。
 それから、これは私も、もちろん日米折衝の当事者であり責任者でございますけれども、防衛関係ということになりますれば、専門的な立場に立って専門的な意見の交換ができる立場にございません。これはちょうど資産の引き継ぎ問題について、大蔵省、財務省の間の検討に専門的にゆだねなければならないと同じように、相当煮詰めた話し合いというものは防衛担当者の間で相当に話してもらわなければならないという性質のものでもございますので、詳しく申し上げれば、本件について日米交渉の最終の責任担当者であるところの駐日大使と私との間のテーブルの上に――この基本原則はもちろん話し合っておりますけれども、それ以下の具体的にアプライされるべき原則や地域、こういうところまではまだ私どものテーブルに出てきておらぬのが実情なんでありまして、出てきておりませんものを、この最高の国会の大切な場所で私が想像をまじえて当てずっぽうに申し上げることは、私の責任上できないのでございまして、その点はどうか事情を御了察賜わりたいと思います。
#13
○上原委員 大臣のこれまでの答弁は、非常に慎重を期しておられる、また国の外交責任者として慎重な態度をとらざるを得ないという立場は、理解しないわけでもありません。それと非常に困難な問題で複雑な要素があるということも理解をいたしますが、本土並みという大前提、大ワクがついているわけなんです。先ほど安保条約の目的に沿ってということですが、安保条約の目的に沿うという前提で沖繩の基地、沖繩が返還をされる、そのことは本土並みになるというお考えですか。
#14
○愛知国務大臣 本土並みになるのでございます。ただ、この点は、こういうことを政府から言質としておとりになりたい点だと思いますけれども、政府が非常に重点を置いておりますのは、本土並みということは、安保条約、関連取りきめがそのままずばりとかかることによって、提供することのあるべき施設、区域というものが、完全にこの安保条約下にあるということがまず何よりも基本的に大切なことであるということに非常な重点を置いておることは御了承いただきたいと思います。つまり、このことによって核が抜かれるわけでございますね。それから、このことによってB52その他のいわゆる自由発進、戦闘作戦行動が自由に活動することができなくなる、こういうことが完全に実現されるのでありまして、 この点が、政府としてこの交渉に当たりまして一昨年の十一月に至りますまでも非常な努力をしたところであり、私は成果があがったと思います。本土並みということばを、一九六〇年以降いままで本土に安保条約が適用されておりますが、たとえばAならAという県がこの十年間に、当時十カ所あった基地が現在は一カ所になっておる、その一カ所同じになることが本土並みである、こういうふうにお考えでございますと、その間には私はヒッチがあると思います。この本土の中にも多くの都道府県があるわけでございますけれども、おのずからその都道府県の間には、もしそういうものさしでおはかりになれば画一的にはなっていないわけでございますから、そういう点もお考え合わせをいただきたいと思います。
 それからもう一つ大切なことは、本土並みになりますれば、その返還の日に提供された施設、区域につきましても、常時合同委員会を通じまして、その施設、区域のあり方等については日米間で協議ができることになります、これは一九六〇年に、日本の本土におきましても、幾つでございましたか正確な数字は忘れましたが、たとえば千の基地があったとしてこれがいま百程度になっておる。この合同委員会が所掌することになりますれば、情勢の変化もありましょう、たとえば私どもは国際的な緊張が緩和されることをひたすら望んでいるわけでございますが、そういう世界情勢の変転も期待しながら、この本土並みということになりますれば、提供したときよりも、また将来においてはその角度からどんどん縮小も整理もされていきましょう。その基本が非常に大事なことである、私どもはかように考えていることを御了承願いたいと思います。
#15
○上原委員 本土並みという中身がだんだんわかったような、明らかにされたような気もいたしますが、そうしますと本土並みということは、基地の密度、いわゆる基地の形態といいますか、そのことを意味するのでなくして、安保条約、地位協定その他の関連取りきめというものを沖繩にかぶせる、そのことが本土並みだというふうに受け取っていいわけですか。
#16
○愛知国務大臣 それは率直に申しますと、非常に狭く御解釈になるとそうなるのでありますが、先ほど来るる詳しく申し上げておりますように、通常、基地といわれているところはいま完全な自由使用でございますね。これが安保条約に基づいて日本政府として提供する施設、区域になるのでございますから、現状のような野放しじゃなくて、これが整理、縮小されることはものの考え方としては当然なことなんであります。ですから、本土並みということを私申しますことは、実際の適用の上においても現状より狭くなるということは自然の帰結だと思います。ですから、いまのお尋ねにイエスかノーかと割り切ってお答えすれば、縮小するのであります、とお答えをするのが正しいのであります。
#17
○上原委員 なぜ私がこの点を強調するかといいますと、狭くとらえると私が申し上げた点になるということですが、少なくとも核抜き本土並みということは、共同声明が発表された段階において、あるいはその以後国会論議を通して、いろいろなマスコミを通していわれていることは、基地の形態が本土並みになるのだ、そうして核抜きで七二年に沖繩は返還されますということが、私は政治的に大きく言われてきていると思うのです。また沖繩の百万県民も、本土にいる多くの国民も、沖繩が本土並み、せめて本土並みの基地の状態で返されるならいいんじゃないかということで受け取っていると思うんですね。そのことがこれまで非常にぼかされてきた、非常に重要な問題だと思うのです。
 そこで、先ほど、現在進めている返還交渉の中で、基地の縮小なり、施設、区域の提供ということでの交渉をどのように進めておられるかという私の質問に対しては、まだ具体的に言える段階でないということでしたが、少なくともいま沖繩の米軍基地というものを考えた場合に、大臣も何度か行かれて、軍事基地あるいは施設そのものが住民生活と密接につながっている面、ある面においてはオーバーラップしている面もあると思いますが、その実態というものは御案内だと思うのです。たとえば那覇市の例をとってみましょう。いま那覇空軍基地の返還について交渉されているとか、あるいは那覇軍港の返還の問題、与儀にあるガソリンタンクの返還の問題、那覇商業高校地域にある住宅地域の返還問題等が、那覇市内からも琉球政府からも具体的に提起をされていると思います。この那覇市内に散在している軍用地の返還なり交渉の中で、少なくともこの地域は、というようなことさえも出されていないのかどうか、その点についてまずお尋ねしておきたいと思います。
#18
○愛知国務大臣 これはたいへん情けないことを言われるような気がするのです、卒直に申しましして。私は、先ほどからるる申し上げておりますように、核抜き本土並みということは、全くこれは疑いのない事実であり、それから提供する施設、区域というのはこういう観念であります、その上に立って交渉しております、なおそのほかに、沖繩の県民の方々のお立場からすれば何としてもこれは民生用に役立てたいというものは、施設、区域の提供すべきものからはずしたい、こういう立場に立って交渉しておるのでございますし、それから先般、二、三日前の沖繩特別委員会でも、まあちょっと口がすべったようなかっこうで申し上げましたけれども、那覇空港の問題などちょっと一言触れましたが、私は、いま上原委員がお述べになりましたようなお気持ちは、全く私も同じような気持ちでいま折衝に当たっております。何しろまだ協定の署名の時期もいろいろに伝えられておりますけれども、私はいつも公式に申しておりますように、夏ごろまでにと申しているわけで、それを目標にいたしましていま一生懸命諸般の話し合いを煮詰めております。まず何といっても、いま二月なんでございまして、もう少し時間をお待ちくだされば、だんだんにそういう点も明らかにしていくことが私はできると思います。ただいま、まるで何か、何にもおれたちの気持ちも無視して、何もせぬで手をこまねいているかというようなお尋ねでございましたが、これはまことに情けない、われわれとしては、もう泣いても泣き切れないような気持ちでございます。いましばらく、これは御信頼をしていただきたいと思います。
#19
○上原委員 何も情けない質問を申し上げているつもりじゃないんですよ。それは、大臣のそういった心情なりお気持ちは私も理解をしているという前提で尋ねているのでありまして、そういう情緒的なことを言われると、こっちも困る。
 私がなぜこのことを言いますかというと、本土並みだ、いわゆる基地の態様そのものが本土並みになるということは、どうしてもいまの段階でわれわれとしては理解できない。たとえば那覇市の総面積を申し上げましょう。いかに基地の密度が沖繩が高いかということ。三十三・九四平方キロメートル、一千二百六十七万坪なんです。その三十三・九四平方キロメートルの中にどれだけの軍用地があるかといいますと、十・七五平方キロメートル、総面積の一二・六%も現在軍用地に占められている、那覇市でも。さらに中部地域においては、市町村の七五から八〇%も軍用地に接収されているわけなんですね。こういう密度の高い軍事基地というものがどう縮小され、返還時点でどう本土並みになるのか、そのことを県民は知りたがっているわけなんですよ。もう、七二年といいましても一年そこいら。はたして七二年の返還の時期において、核の問題はまたいつかやりますが、基地の形態なり、あるいは態様やその密度そのものが本土並みになるか、それを具体的に明らかにしていただきたいというのが、私は沖繩の県民の率直な立場だと思うのです。むずかしい条件があるということはいろいろわかりますが、あまりにも本土並みであるということが、あたかもバラ色のように描かれた、しかし実態はそうでないということは否定できないわけですから、その点を私はお尋ねしているわけなんです。
 具体的に申し上げましょう。この三十三・九四平方キロメートルのうちの十・七五平方キロメートルの軍用地というものは、那覇市のいわゆる住民地域にある与儀のガソリンタンク、これが〇・二二平方キロメートル、六万七千坪、それから県有地として一万一千六百坪、さらに那覇軍港の面積も八・一四平方キロメートル、二百四十六万二千坪、その他国・県有地として一・八三平方キロメートルあります。さらに上ノ屋の住宅地域一・九六平方キロメートル、こういうものは市民生活、県民生活と密接につながっている。そのことが七二年までにほんとうに県民の手に返されて本土並みになるというように受け取っていいですかということ、また、政府としては本土並みと言った手前、どうしてもその段階まで持っていかなければいけない、責任とまでは申し上げなくても、そうおやりになるという立場でやっていると思いますが、その実現の可能性はどうですか、ということなんです。
#20
○愛知国務大臣 先ほど来申し上げていることに尽きるわけですけれども、もう当然のこととして私ども――那覇市のいま具体的な面積の提示もされましたが、個々の施設その他については、もう十分に私どもとしても実態の把握をいたしております。そして先ほど来申しておりますような基本的な考え方で具体的な折衝に入っております。したがいまして、いま断定的に何も変わらぬのだなというふうにおっしゃるのは、そうではなくて変わるんですけれども、どういうふうに変わりますかということを、地図の上あるいは具体的な建造物等について、あるいは施設等について、まだ申し上げるところまで話が煮詰まっておらぬ。私さっき率直に申し上げましたように、実はもういろいろの問題がございますから、それぞれの専門のタスクボードが双方から一生懸命真剣な討議をやろう、そういう点について協議をしておる。そして私が最終的な取りまとめと談判をやるわけでございますが、まだそこまで出てきておりませんということを率直に申し上げているわけでございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、非常に急ぎますが、同時に日本側の主張というものも十分貫徹をしたいというところで、現在ほんとうの血みどろの努力をしているわけでございますから、いましばらくこういう形になりますということを申し上げる時期が先になるということを御了承いただきたいと思う次第であります。
#21
○上原委員 具体的な内容を、いまはっきりこうなりますということを言っていただきたいということまで問うておりません。そうしますと、私が那覇市の例をとっていま一例を申し上げましたが、中部の場合ですと、もっと密度が高くなる。そういう県民が返還をしてもらいたいという基地――自衛隊がそれを使うとか、そういうことは、また別の角度からとらえますが、少なくとも県民の日常生活なり、沖繩の地域産業開発に必要だと県民がいま要求している土地の返還について、基地の返還については、現段階で具体的にこうだということは出ないにしても、その意を受けて交渉をなさる、そして返還の時点まではその要望を満たしていくという立場でいま日米の返還交渉が進められているというふうに受け取ってよろしいですか。
#22
○愛知国務大臣 これは、また基本論に戻るわけでありますけれども、要するに安保条約の目的に沿うような施設、区域を日本側としては供与する、そしてそのために日米間で合意をしてこれを供与するという、政府として義務を負うわけでございますから、このことを、その義務を負いますまでの過程におきまして、十分に先ほど来申しておりますような気持ちで折衝に当たりたいと思います。そういうことで民有地の場合ならば、できるだけ民有地の地主さんの方々の御理解、御協力を得たい、こういうふうに考えるのが、私は筋合いだろうと思います。
#23
○上原委員 じゃ端的にお伺いしますが、沖繩返還という場合、沖繩の軍事基地というものを政府がとらえる場合に、安保条約、地位協定というものを第一義、大前提として考えられるのか、それとも沖繩県民の実際の生活、軍事基地あるがゆえに被害を受けている、人権が侵害されている、この県民生活をほんとうに本土並みに解決をしていくということを大前提にしておられるのか、どちらを優先にしているのですか。
#24
○愛知国務大臣 それは、いまさら申し上げるまでもないと思いますけれども、返還とともに完全な主権が日本国に戻ってくるわけでございますから、これはもう完全な本土並みでございます。そして私よく御説明いたしますように、憲法、一切の法令、本土と同じような国家体系の中で組み入れられるわけでございますから、日本の本土政府が同時に外国に対して成規の手続で約束しておりますところの条約は、全部それに均てんし、これが沖繩に適用されることは当然でありますので、当面一番論議の対象であります安保条約もその一つでございますが、この安保条約につきましては、特に関連取りきめが大きな役割りをいたしておりますから、関連取りきめも含めて何らの変更なしに適用されるということになって、これによって、この面におきましても、本土並みにということが完全に保障される、こういうわけになる。ですから、どちらが先かどっちがあとかというお尋ねですが、どっちが先かといえば、完全に日本の主権が行なわれる、そして完全に日本の法令にまって、憲法のもとにおいて人権が保障される、これが完全復帰の最大の使命であり、メリットであろうと考えております。
#25
○上原委員 条約論あるいは法律論からいうと、いま大臣がおっしゃるように、一応形式上といいますか、主権の回復になると思うのです。しかし私は、そういった条約論とか法律的、観念的なことではなくて、一般論、現実面からいって、安保条約の眼目に沿うように地位協定をかぶせるというだけで本土並みとなるのか、沖繩県民の主権というものが完全に回復するというふうには受け取れないわけです。先ほど申し上げたように、これだけ基地の密度の高い地域の中で軍事基地とともに生活しているこの問題を解決することが、私は本土並みになるし、沖繩の真の復帰だと思うんですよ。そこらを、ぜひ実態からとらえて問題の解決というものをおやりになっていただきたいと思うのです。だから、政府があまりにも本土並み本土並みと言うことが、いかに県民に疑問を与え、疑惑を与え、そして実態とかけ離れた情勢になっているかということ、このことを十分にとらえた上で基地の問題について、これからいずれ明らかにするということですが一早急に明らかにしていただきたいと思うのです。
 時間がありませんので、もっと突っ込んでお聞きをしたいわけですが、あと一点だけ。この基地の形態、態様そのものが本土並みにならないというふうに、私はきょうの御答弁の中から受け取るわけですが、資産の買い取り問題でもう一点だけ確かめておきたいのですが、電力公社あるいは水道公社、あるいは開発金融公社あるいは軍用道路、通信施設等の問題があるといわれておりますが、たとえば水道公社の場合に、買い取りということばはお好みにならないというから、譲渡する、その場合には、軍施設内にあるダムまで含めているのか。いわゆる水道公社の財産という形でダムも含むのか。それとも現在軍が民の水源地を使っておりますが、那覇市の水源地を多数接収しているが、それは当然那覇市に返しなさい、あるいはその他の町村も軍が接収している水源地というものは返すということになっておりますが、そういう面の取り計らいはどうなるのか。ダムまで含めて水道公社の資産という形で買い取るのか、そこいらどうですか。
#26
○愛知国務大臣 この間うちからお答えしておりますように、ただいまこうしたパブリックユーティリティーの評価の問題や、中の入り組んだ関係につきまして、双方の専門家にデータを洗い上げて検討をしてもらっているわけでございます。ただいまお述べになりました、御質問の趣旨とされているお気持ちは、日本政府といたしましても十分取り入れて、そして結論づけるようにいたしたいと思っておりますが、いまたまたま、本日も大いにそういった問題についての双方の準備段階の打ち合わせ会も行なわれておるような状況でございますので、これらにつきましても、もう少し時間がたちましたら、その成り行きあるいはその他をお答えいたすことができるかと思いますが、本日のところさような状況でもございますから、御容赦いただきたいと思います。
#27
○上原委員 スナイダー公使も二十二日にお帰りになって、いろいろお話が進んでいるような報道もあるわけですが、いま少し時間ということですが、おおよそのめどとして、こういった返還協定の中身、調印の段階あるいは日米が合意に達するという見通しの時期は、春から夏にかけてというばく然としたことでなくして、そろそろ大体この時点が調印の段階になる、合意に達する時期だということは、外務大臣のまあ感触でもよろしいし、あるいははっきり聞かしていただけばそれにこしたことはないわけですが、そのめどはどの時期なのかお聞かせ願いたいと思います。
#28
○愛知国務大臣 私は、おそくも夏までにはと申しておりますし、たまたまきのうも、お気づきになったかと思いますが、ニクソン大統領の外交教書の中にも返還が触れられております。そのほうでは、この交渉については大体春ということばがたしか使われておったと思いますが、春ごろには何とか決着をつけたい。――春ころ協定に署名することを目標として云々と書いてございますので、まだこれは双方の立場がそういうふうに表現されているくらいでございますから、何月ということまで双方ともまだ見当をつけかねております。これはひとえにかかって中身にあり、また両国政府の合意に円満に達し得るかどうかということにかかっておると思いますし、同時に先方でも、きのうのニクソン教書に明らかにされておりますように、必要な立法府の支持を得ることにしたいと言っておるとおりに、こちらも、ですから前々から申し上げておりますように、まだ協定の案文もできておりません段階でも、私どもとしては誠意を尽くしてお答えをするし、また謙虚に国会を通じても御意見を拝聴するということが、また双方ともに、たいへんこういう重大な問題につきましては実りのある結果に役立つことである、かように私は考えております。
#29
○上原委員 時間が参りましたので……。春とか秋とか、外交用語は非常に理解しにくいわけですが、私がなぜその点を申し上げるかといいますと、七二年の四月か七月に返るということは、おそらく合意だと見ていいと思うのです。しかし、いろいろな準備を進めていくにおいては、逆算してこうこうなるんだという政府の方針というものが出てこないと、いましばらく時間をかしていただきたいとか、明らかにできないということでは、どたんばに行って、先ほど申し上げたようないろいろな問題が、努力をしましたがなかなか相手のあることなのでできませんでしたということになっては、県民の期待する復帰というものは私は実現できないと思うのですね。そういう面でも、たいへんむずかしい外交交渉の問題であるということは一応理解しながらも、ぜひ早急に返還協定の中身なり資産買い取り、先ほど申し上げた施設、区域の提供の問題、安保と地位協定をかぶせるというだけでは、それが拡大解釈されるとどうにでもなるわけですよ。そういうことでなくして、ほんとうに沖繩県民の立場ということ、平和ということ、そしてほんとうに人権の回復ということを第一義的にとらえて御努力を願いたいと思うのです。だから私が最初に中国問題を聞いたことも、沖繩が今日の状態にあるということは、やはり日中国交回復が二十年余りなされていない、日本の外交姿勢そのものが絶えず米国との協力関係だけを結んでいる、そのことに根本的な問題があるんじゃないか。私はアメリカを敵にしなさいとは言いません。アメリカと仲よくするとともに、日本の外交政策そのものは近隣諸国、社会主義、共産主義諸国とも国交を正常に回復する、そのことがやはり沖繩問題の本質的な解決になるんだと私は思うのです。時代はもうそういう段階にきていると思いますので、大臣も国の最高の外交政策をあずかる立場にある方として、ぜひそういう面で大所高所から沖繩問題というものをとらえて解決していただくように要求いたしまして、質問を終わりたいと思います。もしこれに対する御見解があれば賜わりたいと思います。
#30
○愛知国務大臣 非常に建設的なかつ大局的な御意見を承ることができまして、たいへんありがとうございました。先ほど申しましたように、私としては、沖繩の返還というような問題はほんとうに大きな問題でありますし、一言で言えばほんとうにこれが喜ばれるというような形で結実をさせるようにしなければならない。そのためには念には念を入れてと考えておりますが、同時に先ほどもちょっと御質疑がありましたが、逆算してどうなるかというお話なんですが、これは年内に双方の立法府の手続が完了いたしますれば、私は七二年早期返還の実現ができる、これは年を越すようになったらたいへんだ、こういうふうに考えております。逆算してのそのぎりぎりの線は、十分いまからでやっていけそうに思います、こう申し上げたいと思います。
#31
○上原委員 質問を終わります。
#32
○天野委員長 和田耕作君。
#33
○和田(耕)委員 昨日ニクソン大統領が外交教書を発表されまして、きょう日本の新聞でもその詳細が載っておるのでございますけれども、これはいろいろな重要な問題がたくさん中にあります。私ここでお伺いしたいのは、中華人民共和国と中華民国の問題を、二つの政府をまともに取り上げて、アメリカの新しい考え方を明らかにしているわけでございますけれども、この中華人民共和国と中華民国に対するアメリカのこの考え方を、愛知外務大臣はどのようにお考えになっておられるか。
#34
○愛知国務大臣 私は、ニクソン大統領のこの外交教書の中で、中国に関する部分は、まあアメリカとしてはこう考えるんだろうなというような感じを率直に申しまして受けたわけでございまして、日本としては、もうこの国会始まって以来もそうでございますが、政府は態度を明らかにしない、ぐずぐずしているといわれておりますが、それが偽らざる現状でございまして、こういうふうに中国政策はやったらいいということについて、新しい政策をまだ打ち出しておりませんものですから、またそれを打ち出すのには相当の時間がかかるのはやむを得ない、政府としてはこういう姿勢をとっておりますので、自然、ニクソン大統領の見解はかなり具体的でございますので、これに対して特にコメントするということは差し控えておきたい、かように存じております。
#35
○和田(耕)委員 ニクソン大統領は、つまり中国を国際外交の舞台に呼び込んでくるということには賛成であるということをはっきり申しております。といって、台湾――中華民国との条約上の義務も守る、こう申しております。そして将来の問題として、中華人民共和国と中華民国との今後の問題については予測しがたいけれども、平和的な解決、平和的な交渉を望みたい、こういうふうなことを柱にしていると思うのですけれども、これは外務大臣あるいは総理大臣が、しばしばこの中国問題について言及されておった方向とよく似た印象を受けるのですけれども、その点についてはどうでございますか。
#36
○愛知国務大臣 その点は確かにそうであると思います。と申しますのは、日本政府としても、本件のむずかしさの大きな一つは、いわゆる一つの中国問題であるということは、かねがね明らかにしておるところであります。そうして問題の筋合いとしては、両当事者間でこれは平和的に話し合いをして解決してもらいたい問題であって、その結果がどういうふうに出ても、その結果については、日本としては尊重してまいります。ただ、戦争、武力行使だけはやめてほしい。この考え方は、このニクソン大統領の教書の中にもやや似た見解が出ているかと思います。
 それからもう一つ、これもいまお示しになりましたが、中華人民共和国と政府間の対話と申しますか、これととにかく話し合いをしていかなければいけない。それから今後のアジア問題、あるいは、ひいては世界問題は、ソ連と中国、そして自分たちアメリカ、それから日本の四つが柱だというようなことを言っておりますが、日本政府としては、そこまで評価されることが正しいかどうかということは別といたしまして、政府間としても、日中間のより正常な関係をつくり上げたいために政府間の対話を持ちたいと考えている、あるいは提唱している点は、多少筋が似ているかなと思われる点もございますけれども、ただ先ほど申しましたように、もう少しずばりと言っているところがある点がございますので、そういう点についてまでコメントすることは、この際としては差し控えておきたい、こういう趣旨を先ほど申し上げたつもりでございます。
#37
○和田(耕)委員 ニクソン大統領が申されておる中華人民共和国を国連の舞台に迎え入れたいというかなり積極的な主張があるように思うのですけれども、この主張は間違っておるとは思わないでしょうね。どうですか。
#38
○愛知国務大臣 「その点に関連して米国は、中華人民共和国が国際社会で建設的役割を果すのを受入れる用意があることを私は明確にしておきたい。」、それから「過去数年間、中華民国の国連加盟国としての権利を奪おうとする努力が続けられてきている。われわれは今後もこれに反対する。」というような点に、かなりずばりと意見が表明されておると、私はかように感じます。
#39
○和田(耕)委員 しかし台湾との条約上の義務は今後も守り続けていくということもはっきり言っているわけですけれども、この点は、政府がかねがね強調している点でございまして、この点についても、日本政府として違った考えだということはないでしょうね。
#40
○愛知国務大臣 まあ日本政府といたしましては、実は総理大臣の施政演説や、あるいは外交演説などに盛りました中国政策以外のことについて、まだどうこうと申し上げる時期は来ていないと思っておりますので、それに関連するようなコメントのしかたは、なかなか私としてはむずかしい。この立場を御了承いただきたいと思います。
#41
○和田(耕)委員 日本にとって大陸中国という存在は、アメリカにとっての大陸中国よりはもっと直接的な、もっと重要な国として重要な問題を持っておると私思っております。したがって、アメリカが現在の状態でこのような問題について態度を明らかにしてくるということよりは、日本の総理あるいは外務大臣として明らかにしがたいという気持ちはわからぬではないのですけれども、しかしこの問題について、いま問題を起こしておるアメリカという一番の原動力になっている国が基本的な方針を打ち出した。この段階で、アメリカと密接な友好関係を持っている日本として、いまだにこの問題についてはっきりした見解を出されない、何か肝心な点でもやもやしているということは、国益にとってどうかと私は思うのですけれども、この問題で、そろそろ日本政府の腹を明らかにして、積極的に、国民に対して、あるいは世界に対して説得をしていくというような段階にすでに来ているという感じがするのですけれども、そのような判断について、外務大臣、どのようにお考えになりますか。
#42
○愛知国務大臣 その点はまことにごもっともだと考えておるわけでございまして、私が一月以来あらためて明らかにしておる政府の姿勢というものも、決してあとずさりをしているわけではなくて、このまことに重要な問題に現在として対処する姿勢と、それから基本的な考え方をはっきりしておきたいということで、ああいう打ち出し方をいたしたわけでございまして、たまたまある部分については、先ほど御指摘がありましたように米大統領の教書も似ているところもございますけれども、同時に、たとえば十一月ということになっております国連の二十六回総会で中国代表権問題がどういうふうに扱われるかということについては、日本はもちろん最大の関心を持つ国でございますが、やはり昨年の経過もありましたので、国際的に各国それぞれがいろいろの立場で、いろいろと考え方を検討しているようでございます。急ぐことももちろん急がなければなりませんけれども、十一月ということについては、まだ若干の余裕もございますし、やはり各国の動向、それから国連においての取り扱い、また国連加盟国としての立場ということについて、加盟国がそれぞれ二国間その他の関係以外に考える要素があるようでもございますので、過去二十五年間の国連の経過や、これからの国連のあり方ということから考えて、いまそれぞれの国がそれぞれ苦心し、あるいは新しい考え方をいろいろ模索している段階ではなかろうかと思っておりますが、そういう状況も十分見抜いて、日本として最も妥当だと思われる態度をとりたい。それには急ぐことは急ぐけれども、まだまだ時間がある、率直に申しましてこういうふうに私としては考えておる次第でございます。
#43
○和田(耕)委員 中国問題については、時間の要素、時間が解決していく要素が非常に大きいということは、私もそう思います。思いますけれども、この秋の十一月に迫りました国連総会における各国の、中華人民共和国を国連に加盟さしていくというこの動きは、かなり切迫した問題であるわけです。これは中国問題解決の中の一つでありますけれども、切迫した問題になっておるわけですね。この問題について、ニクソンさんは相当はっきりとした基本的な態度を表明しておるわけでございます。大臣、このようなニクソン大統領の教書を出すにつきまして、日本の政府との内々の情報交換があったでしょうか。
#44
○愛知国務大臣 この教書をつくることについて、前もって連絡とか協議とかいうことはございません。しかし、友好国の間でございますから、正確に公表される直前などに、これはもう友好国相互間でよくあれすることですが、そういう意味では十分連絡を受けております。同時に、友好国との間におきましては、それぞれ政策の基礎になるような情勢分析などについては、いわゆるワーキングレベルの随時協議を最近はかなりひんぱんにやっておりまして、日米間においてもこれがかなり活発に行なわれておりますから、相互の意思疎通ということについてはかなりの成果があるものと考えております。しかしそれが、こういう大統領教書の上にどれほどの影響を持っているかということについては、これは向こうさんのことであって、こちらとしては何とも申し上げることはできないと思います。これは、あくまでアメリカとして自主的につくり上げたものでございます。
#45
○和田(耕)委員 よくわかりますけれども、結局はこのニクソンさんの新しく出した中国に対する基本的な態度を、日本政府としても、いろいろこれに付加したり、あるいはデリケートな問題について意見はあるけれども、大筋としては日本政府はこの方向を認めてもいい気持ちであるというようにはお考えになりますか。
#46
○愛知国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、また御指摘がございましたような点では、似通っているところがかなりあるということは言えると思いますが、ただ、何べんも申しますように、かなりずばりずばり言っておりますですね。たとえば、現実的見通しを持たなければならない、「北京が敵対姿勢を保ち続ける限り、われわれだけで関係改善を計る余地はあまりない。」というようなことも言っておりますししますので、こういうような点について、日本政府がこれを是認するとか否認するとかいうことを申し上げるのは、これからの日本の立場といたしましてもいかがかと思いますので、こういうところどころにつきましては、あえてコメントせざるほうが妥当かと考える次第でございます。
#47
○和田(耕)委員 これは、これ以上は追及はしませんけれども、ある新聞によりますと、ニクソン大統領のこの教書を、二つの中国に対する態度を明らかにしたという評価をしておるのですけれども、ニクソン大統領のこのような声明は、明らかに二つの中国という、そういう願望を持ってこのような態度を宣明しておると判断されるのですけれども、日本政府の態度はともかくとして、この教書はそのようなものだと判断しておられるかどうか、大臣にお伺いしたい。
#48
○愛知国務大臣 これは客観的に見ましても、必ずしもそうではないのでございましょうか。そこに触れて一つの態度を明確にすることを非常に賢明に避けているような感触も、一面におきまして私実は受けるわけでございます。これは御承知のように、中華人民共和国とアメリカは大使級会談を何回も何回もやっているわけでございますね。そういう関係を一方に持っております。それから台湾に対しては、国交関係のことを触れていないのですけれども、「安全維持に対する現在の米国の約束は五四年の条約に基づいて」これは維持する、こう書いてございますですね。やはり非常に重大な問題だけに、アメリカの大統領としても言い回しその他には、率直に言ってなかなか苦心のあとが見えるような感じがいたします。
#49
○和田(耕)委員 いろいろと言い回しはありますけれども、やはり中華人民共和国という名前をはっきりあげまして、この中華人民共和国を国連の舞台に積極的に迎え入れるという態度、と同時に、中華民国という名前をあげまして、この民国との条約は守っていくというこの言明は、これは何と考えても二つの中国という、このようなイメージ以外には出てこないような感じがするのですけれども、大臣、重ねてこの問題について、二つの現にある国の名前をはっきりあげてこのような態度を出しておるわけでございますので、二つの中国へのアメリカの願望のあらわれである、このような判断ができると思うのですけれども、これはまだあいまいでしょうか。
#50
○愛知国務大臣 その点は、この文章によりますと、「米国と中華民国の名誉ある平和的関係が、米国と中華人民共和国の間の正常な関係への動きの障害とならねばならないとは私は考えない。台北と北京の間の相違点の最終的解決を予想することはできないものの、」という以下は先ほど御指摘のあったとおりと思いますが、その前段の触れ方も私は非常に苦心の存するところがわかるような感じがいたしますが、これはどうでございましょうか、必ずしも二つの中国を示唆し、願望したものかどうか。ということは、この後段において、相違点の最終的解決を予想することはできないものの、平和的に解決せらるべきだと確信している、というくだりであとを押えてございますね。そういうような点から申しましても、必ずしも二つの中国をずばりと願望したものではなさそうにも見える、そんなふうに感じますです。
#51
○和田(耕)委員 これは意地の悪い質問ですけれども、やはりアメリカは、従来どおり中華民国を主体に考えていて、それを基盤にして、それを条件にして、中華人民共和国を国連にも招じたいというふうに政府は読んでおられますか、このニクソン教書を。
#52
○愛知国務大臣 実は、その問題等につきまして、先ほどもちょっと申しましたが、ワーキングレベルとか、それからそのほかの接触をしょっちゅうやっておりますけれども、具体的にこの次はこうするというところまで、まだアメリカ政府としての態度はきまっていないように見受けます。おそらくそういうことがもうはっきりきまって、不動の姿勢ということになっておるならば、この教書などにももっと具体的に、もっとずばりと言えたのではないだろうか、やはりアメリカとしても諸般の状況を十分検討しつつあるのではなかろうかと想像されます。
#53
○和田(耕)委員 もう一つだけ。つまり、この時期にニクソン大統領がこのような外交教書を出す、この中で中華人民共和国を国連の場に迎え入れたい、あとの段で、しかし台湾との条約は守りたいというこの文章上のニュアンスを考えますと、アメリカの中国に対する政策というものが、中心点が台湾からむしろ中華人民共和国のほうに移ってきた、つまり中華人民共和国を国連の場に迎え入れる、しかし台湾との義務は守るということですから、バット以下の、台湾の地位はバット以下に扱っておるという印象を私受ける、そういうふうな意味で、いままでのニュアンスとはたいへん違った感じを受けるのですけれども、その問題等について政府間の情報交換等はなかったのですか。
#54
○愛知国務大臣 政府間の情報と申しますより、やはりアメリカはワルシャワの米中会談というものに現在でもなみなみならぬ意欲を示しておりますが、ただこれは、いままたストップの状態になっております。それから外交教書に書いてありますけれども、中国問題の転換が今後十年間でこれほど大事なことはないという点では、非常に積極的な姿勢を見せておることは御指摘のとおりでございます。ところが、今度は国際社会の問題の具体的なことになりますと、中華人民共和国が国際社会で建設的役割りを果たすのを受け入れる用意があることを明らかにしておきたいということで、この具体的なあれになりますと、国連ということをメンションしていない。それから建設的な人民共和国という、建設的なという頭が入っているというようなこと等を、私はさらに注意深く分析してみたいと実は考えておる次第でございまして、これを要するに、事前に日本政府としては相談を受けておりませんし、それからいままでのところ、御承知のように、昨年の秋のニクソン・佐藤会談でも、国際情勢特に中国問題のようなことについては、お互いに始終勉強し、情報を交換し合いましょうという合意ができておりますが、そういう考え方に基づいて、情報交換等、共同に研究しておりますけれども、そういう線からも、アメリカが中国政策に対して、新しいこういう線で出ようというような姿はまだ私としては読み取るところまでいっておりません。やはり非常に慎重なかまえのように見受けておるわけでございます。
#55
○和田(耕)委員 この問題は、現に中華人民共和国と中華民国というものがある、国の大きさはずいぶん大きく違いますけれども、その二つがあるということを前提にしての当然の政策になるわけですから、二つの中国だ、いやそうじゃないというような議論よりも、アメリカ政府がどちらに重点がかかってきたかという、この判断が重要だと思います。いますぐに北京の中華人民共和国を国連に迎え入れるからといって台湾を切ってしまうとか、いや台湾があるから中華人民共和国の問題は全然脅えないというような議論ではなくて、その二つを当然考えなければならない段階になっておる。しかも今後の問題として、中華人民共和国というものをアメリカの中国政策の中心の場に次第に据えてくるという、そのような考え方のウエートの違いが、このニクソン教書の中に私は見られると思うのです。そういう変化が実は非常に大事なことでありまして、ここで私は、あえて二つの中国論だとか一つだとかということを申し上げませんけれども、そのようなアメリカの基本政策の変化が次第に大陸中国のほうに移りつつあるというような、重要な傾向としてこの問題をとらえてみるという角度で、本質的な問題として検討してもらいたいと思います。ここにある文章のいろいろのニュアンスの問題は、これは重要ですけれども、全体の姿勢としてアメリカがいよいよ中華人民共和国との本格的な話し合いを始める気がまえ、態度をとり始めたのではないかというところが重要なんですね。そういうような点で、あえていろいろとお聞きしてみたのですけれども、そういうような面から見ると、いまの御答弁を全体的に理解しますと、政府はちょっと困惑した状態であるというふうに私は受け取るのですけれども、困惑してはおりませんか。
#56
○愛知国務大臣 あるいはそうお受け取りになるだろうかと私も思いますが、困惑というふうにおとりになったとすれば、要するに政府として、中国政策というものについては、先ほどから申し上げたように、今国会の冒頭に陳述いたしました以上にまだ政策をつくり上げて持っておりませんものですから、政府の中国政策についての答弁はいつも同じことばかり申し上げて何ら進歩がないという、そういう意味で政府もこれは困惑をしておるわけでございますが、そういう意味を含めまして、困惑とおとりになりますれば、私はそうだな、こういうふうに感ずるわけでございます。
 それから同時に、私どもの経験上、アメリカも大統領教書として年頭といいますか、もう二月でございますがこれを出しますに際しては、やはり練りに練り上げた文章であると想像することは、私は当然だと思いますので、やはりこの文章について行間にあふれるところ、あるいはよって来たるところ、あるいは今後予想される等のことにつきましては、この教書につきましても十分新しい目で検討していかなければならぬ、こういう気持ちでおります。
#57
○和田(耕)委員 最近日本の国会でも、日中議員連盟のようなものができております。これは事実、私どもも他の党の人の考え方とはかなり違った考え方を持っておりますけれども、次第にこの中国政策の焦点を中華人民共和国のほうに移していくのが日本の国益である、このような判断で、私どもも日中議員連盟のほうに入っておるわけでございます。台湾を追放しろとかいうことは私は適当でないと考えております。おりますけれども、中国政策の一つの基本的な姿勢、焦点は、やはり中国、つまり中華人民共和国の方向に移っていって、それをどのように実現していくかという現実的な課題、現実的な処理は、その角度から次第に時間をかけて考えていかなければならない、こういうふうな姿勢を持っておるわけでございますけれども、その点について最後に愛知大臣、そういう姿勢でものを考えることは現在から見て間違っておると思いますか、その点どうでしょう。
#58
○愛知国務大臣 私は、世界情勢というのはきわめて流動的で、どんどん進化発展してまいりますから、やはりそれに即応して、幅のある、フレキシブルな態度で常にものを前向きに考えていくということは、姿勢としては非常に必要なことである、かように存じますが、同時に外交政策というようなことは、やはり一国として継続性といいますか、コンティニュイティがなければならないので、ぐらぐらとひっくり返るようでは、それこそ大きな意味での国際信義というものに対してもいかがかと思います。常にコンティニュイティということを考えながら、しかし情勢の流動性に対しては十分フレキシブルに対処すべきである、基本的には私はさように考えております。
#59
○和田(耕)委員 具体的な問題、こういうことですと、アメリカがこういう態度を打ち出してきたということになりますと、秋の国連総会で重要事項指定方式というものは、もうこれは問題にならなくなったのではないかと判断をするのですけれども、大臣どうでしょうか。
#60
○愛知国務大臣 まだこれの判断、判定をするにはちょっと尚早ではないかと考えます。まあ私平たいことばでこのごろよく申しておりますが、大切な、重要な問題であるということには間違いがない、これは国連加盟国の大体の認識であり、コンセンサスではないかと思われます。そういう点も考え合わせまして、政府としてこの秋いかなる態度をとるかということについては、もう少し真剣に考えさせていただきたいと思います。
#61
○和田(耕)委員 まあずっと前から、日本がぐずぐずしているとアメリカが日本の頭を飛び越して、アメリカが先に中華人民共和国との交渉を持つようになるぞという、いろいろなあれがあったのですけれども、そういうことにはあえてそう神経をいらだたせることはないと思いますけれども、日本の自主的な外交の立場から見て、日本として、こういうふうに世界の状態が変わってきた、特に日本が一番友好国として防衛的にも頼みにしているアメリカの態度に相当大きな変化がきておるというわけですから、この問題について至急に政府は検討をして、そして日本の自主的な立場での態度を明らかにしていく。そうしないと、国民も、どういうふうなことになるのか、どんなことを考えているのかというふうなことで無用な憶測が出てくるというような問題も出てまいりますから、至急にこの問題についての態度をおきめになる、それに対して私どもは賛否の両態度で国民に説得をしていくということになろうかと思いますが、いまのように、ちょっとつかみどころのない、ぐあいのいいときにはぐあいのいいことばで説明をする、悪く言えばごまかすというような態度ではいけないというように私は思いますので、この点は要望しておきたいと思います。
 それから次に、最近日本の軍国主義という問題がいろいろと騒がれてきておるわけでございますけれども、私は率直に言って、日本は軍国主義化しておる、現にもう軍国主義大国になっているということは考えておりません。おりませんけれども、現在の日本は平和を欲するのですね。世界平和というものなしには日本の国民は生きてはいかれません。日本の国民のしあわせはありません。こういう立場から見て、軍国主義云々の世界のあちらこちらに起こっておる議論というものには、かなり神経をとがらしてこの議論を正しく説得していくことが必要だと思うのですけれども、現在いろいろな立場で日本の軍国化を論議しておる各国の論調があるのですけれども、大分けにしてどのような区分になっておりますか。
#62
○愛知国務大臣 なかなか御所望のような分類をすることは非常にむずかしいと思いますけれども、抽象的になって恐縮なんですが、しいて申しますと、ばく然たる日本のイメージというものが戦前につながっているということではないかと思います。ですから、現状や戦後二十五年のわれわれの足どりや考え方をいかに説明してみても、それにはあまり耳を傾けられなくて、戦前のイメージをもって日本を判断する。ことに経済的に非常に大きくなってきたから、これは過去の歴史の示すところによれば、必ずもう一つ軍事力を大きく持つに違いない、そして軍国化、軍国主義化し、そしてアジアの脅威になるであろう、私は一つの分類はそういうことになるかと思います。これはばく然たる抽象的なものではありますが、やはり一般的には過去の事実ということの上に踏まえているだけに、やはりこれは何と申しますか、鎮静させていくためには、よほどの努力が末長く要るところではないかと思います。
 それから、その次に言えることは、これは主として誤解か、あるいは正解でない点だと思いますけれども、たとえば、四次防でありますとか、国内の一部にあります憲法その他の改正の動きであるとか、そういうことを誇大にとらえて、そらこれがこうなってきているではないかというふうな、正解ではないんだけれども、やや具体的な一つの資料をもとにした見解がもっともらしく伝えられる。これについては、もう私ども一生懸命に、たとえば、一番端的にこれに対抗し得るのは徴兵のできないこと、海外派兵のあり得ないこと、非核三原則というようなところは、事実ほんとうに行なわれ、かつ国民の支持を受けていると思いますので、やはり具体的なそういう点で対抗しPRすることが、こういう意見に対しまして説得力があるのではないかと思います。
 それから、第三に分類できると思いますことは、きわめてやはり国際政治的な点でございまして、たとえば日本に領土問題の大きな国民的運動がありますと、これはある国から言わせれば、一部復讐主義者の帝国主義運動であり、軍閥主義の復活であり、これは世界の平和に対する非常な障害である、こう言います。それからある国は、放送その他を通しまして、たとえば総理大臣どころではなくて、さらにそれ以上の象徴の立場にあるような方に対しての誹謗的な言動というようなもの、それを軍国主義とかその他に結びつけておるとか、こういうのは、まあ大きな意味で国際的な宣伝戦といいましょうか、そういうものとしてとらえるべきであって、これは意図が別にあるわけだと思いますから、これに対しては、まあそんなにこちらも神経質にならずに、おのずから真の日本の姿というものがわかってくるはずでございますし、もともと根のないことであり、もともと別の意図を持ってやっておることでございますから、まあそんなに気にしないで自信をもって対処していけばいいのである。
 私は、こういう種類の問題を分類することは非常にむずかしいと思いますけれども、いままで見聞しております私の見解をしいて分類して申し上げますと、おおよそ以上のとおりと思います。
#63
○和田(耕)委員 あまり長い時間をおとりしましてもどうかと思いますので端的にお伺いしますけれども、いま大臣は三つの分類をされたわけでございます。日本の軍国主義の問題について、戦前の日本という一つのイメージが残っておるという問題を第一にあげましたけれども、これと関連をして、いま靖国神社国家護持法案というのが、ある強力な一部の団体の推進だと思いますけれども出ておりますが、この靖国神社国家護持法案というこの名前は、戦前の日本の軍国主義のイメージと二重写しになるような、そのような国際的な影響はお考えになりませんか。
#64
○愛知国務大臣 この法律案の問題は、これは御承知のように、実は政党として取り上げている問題でもございますから、私もその立場に立って、結論的に申せばこれを支持する立場にございますけれども、その趣旨とするところは、よく説明すれば、対外的にこれが過去のイメージに直接つながって、そして軍国主義を復活するというようなことにならないことは、私は十分説明できると思っております。先ほども第二にあげましたように、現実にいまの日本の立場というものは、ほんとうに戦争なんということを考えていないわけで、憲法上も放棄しておりますし、そして、徴兵もなければ海外派兵も考えられない、非核三原則もある、安保体制によって日本に降りかかる火の粉を未然に防止しようとしている立場でございますから、この姿の上に、一身を祖国の急にささげた方に対して、国家的に敬弔のまことをささげるということと、これはさい然と考えを違えているものではないか、私は、これは外務大臣としてもそう考えますし、また、この法案を支持する者としてさように考える次第でございます。
#65
○和田(耕)委員 私は、この法案を審議する、それについて言っているわけではありません。いまの軍国主義という、一つの国際的にいろいろな形で広がりつつあるこの問題を、不必要に国内的ないろいろな政治のとらえ方によって刺激することをおそれているわけなんです。いま大臣がおっしゃるように、戦没者に対して、そのたいへんな犠牲をおなぐさめをする、そのために国家が、あるいは国民がこれを追悼をするということは必要だと思います。と思いますけれども、そういうふうな国民的な一つの願いを、軍国主義のシンボルとしてすでに外国に定着しておると思われるようなことばを、このような行事に使うということについて、外務大臣として、それはぐあいの悪い、なかなか説明しにくいことだ、がしかし、まあというような、そういう感じを――どういう感じを持っておられるかということを御質問しているわけなんですけれども……。
#66
○愛知国務大臣 先ほど分類した中でも、私率直に申し上げましたように、たとえば憲法改正論議とか、そのほかの法令の問題なんかで、またそういうことを結びつけていわれるということ、私は積極的に情勢分析をして提起いたしているくらいでございますから、この靖国神社の問題につきましても、十分趣旨とするところがわかるように、過去のイメージに結びつかないようにするということは、政府といたしましても十分注意してやらなければならないと思います。たとえば、これがはたして適当な例かどうかわかりませんけれども、建国記念日の問題にしても、取り上げようによれば、また、過去のイメージに結びつくというようなこともいわれるかもしれませんが、この点については、先ほどいろいろあげました中にも、外国におきましても、特に取り上げてこういうわけだから――最近二月十一日もあったわけでごさいますが、特にそういうことについては、私は、海外情報その他で特に注意すべきことは見ておりませんので、これはやはり実態と、その実態の内容の正確な認識を求めることが必要であって、こうすればこうだろうということをあまりオーバーに考えて、国内でやるべきことをやらずに済ませるというのも、少しまた遠慮がし過ぎることではないだろうか、こんなふうに考える次第でございます。
#67
○和田(耕)委員 この問題をいま私は、軍国主義的な日本、こういうふうな外国のいろいろな取り方に対して、そういうふうな材料を与えてはいけないという立場でこの問題を取り上げたわけでございまして、靖国法案、これはやがて何とかという動きもあるようですけれども、この根本の問題は憲法問題ですね、日本の国内問題からすれば。この問題については、憲法二十条の問題、実質的にこれを変えていく問題というふうに私どもは受け取っておるわけでございまして、この問題についてはこれ以上触れません。ただ、軍国主義のイメージをあらためて国際社会に、特にアメリカとか西欧諸国に植えつけるような、このような一つの動きは慎むべきであると私は思う。そういう立場でこの問題についての外務大臣の見解をお聞きしたわけでございます。
 もう一つの問題は、特にこれは与党が権力を握っているわけですが、最近、憲法改正の動きが与党の中にあると聞いておりますけれども、これは他の党の動きに対していろいろ文句を言う筋合いではありません。ただ、総理大臣にも中曽根長官にも、特に私はその問題について何回となくただしたことがございましたけれども、そのたびに総理大臣も防衛庁長官も、憲法改正の意思はありません、少なくとも私の目の黒いうちはやりません、こういうことを言われまして、私は、それを真実の気持ちから言っているというふうに何回かの答弁を通じて判断をしておったのですけれども、この問題が日本の平和国家としての国際的なイメージを確立していくために一番大事なことなんですね。いま外務大臣も、徴兵はしない、あるいは核兵器は持たないということをおっしゃいましたけれども、やはり基本は日本の平和憲法なんですね。だから、平和憲法に対して、総理大臣も、政府の責任のある他の大臣も、憲法改正はしないということをはっきりと言明されてきて、これは本会議の席上でも総理大臣は何回かおっしゃったと思うのですけれども、この内閣委員会でも何回かそのことをおっしゃいました。私はかなりしつこくその問題の確認を求めたのですけれども、かなりはっきりとそれを言明されておる。こういう状態のもとであるのに、まあその憲法改正の動きの内容はよく存じておりませんけれども、憲法改正という問題を与党の中から、こういうふうな形のものを提起をしてくるというその国際感覚を私は疑うわけなんですね。それは軍国主義の問題は、事実私はいわれのない誹謗が多いと思います。特に中国とかソ連のほうは、いまでも二百五十万もの陸上兵力を持っている。あるいは二万八百機もの空軍を持っている。核兵器を持っている。また、数千万の民兵といわれるものを持っている。そういうふうな国みずからが日本を軍国主義なんて言うことは、これはとんでもない話だと私は考えておる。しかし、そういうふうな状態でも、将来の問題として、日本のこの経済大国という事実に裏づけられて、しかも憲法を改正をする、あるいは靖国法案を出してくるというような、こういうかまえに対して、政府は一体どういうことを考えておるのか。つまり、平和なしには生きられないというのが日本の現在の状態である。これは総理大臣も愛知大臣も身にしみて感じていられると思います。平和を欲する日本の国民のしあわせは、世界の平和ということなしには得られない。こういうような観点に立てば、憲法改正などという動きは、たとえそれは憲法のいろいろな条章については非常に欠陥もありましょう、ありましょうけれども、こういう問題の政治的な意味というものを考えれば、平和なしには生きられない日本のこの状態を考えれば、それを基盤にして大臣は外交を展開しているという状態から考えれば、そういうふうな問題を軽々に出すべき問題ではないと私は思うのですけれども、大臣、どうでしょう。
#68
○愛知国務大臣 これは問題を二つに分けてお答えをいたしたいと思いますが、第一段は、われわれ憲法改正ということを全然考えておりません。のみならず、御承知のように私は、この平和憲法ということをむしろたいへんな日本の平和外交の大看板としてやっておりますたてまえから申しましても、憲法改正ということは考えておりません。
 それからもう一つは、私もかつて憲法の問題については、実はずいぶん打ち込んで勉強したつもりでございますが、これは憲法改正ということばが出ますと、即九条の問題であり、再軍備の問題でありと、こういうふうにとらえられるのが通例のとらえられ方でございますけれども、そうでない、たとえば憲法制定の手続等より着目いたしますれば、ほんとうに民主主義国における憲法というものは、ほんとうに何らの制約もない伸び伸びとした状態において、伸び伸びとした国民の手によってつくらるべきのが、ほんとうの民主主義の規範である憲法であるべきである。そういう立場にたちますと、できたときの経緯などからいうと、欲が出ると私は思います、率直に申しまして。ですから、その内容がよりよきものであり、そして内容がよりよきものというのは、より平和的なものであり、そしてつくられ方が真に民主的で、だれもが愛唱し得るような、たとえば文章にいたしましても、もっと日本語というのは私はりっぱなものだと思うのですけれども、そういうふうな意味合いで、よりよきものが、将来われわれの時代におきましてでも、またすなおに考えられる時期が来れば、私はそれを期待したいと思いますが、われわれの現在の世代におきましては、全然考えておりません。その第二段のような意味合いにおきまして、政党が勉強するということならば、これは許さるべきことではないだろうか、私の私見はそうでございます。
#69
○和田(耕)委員 これは与党の特定の個人ではなくて、与党の正式の機関が――政府の与党ですけれども、正式の機関がそういう決定をしたということは、これは重大ですね。政府はそういう試みはとられないということは言われますけれども、しかし政府としては――総理大臣に聞くことですけれども、与党の一部の動きを苦々しく思っておるということが言い切れますか、現在の段階で。
#70
○愛知国務大臣 私はその取り上げ方、あるいは研究のしかたによると思いますので、ただいま現在どういうふうなこの問題に対するアプローチのしかたをしようと思っておるか、党内でどういうふうにやろうとしているかということを、もう少し確かめてみないうちは、私もコメントができないのですけれども、私も、先ほど申しましたように、前々から憲法問題には興味を持っており、そして党内におきまして熱心に勉強したこともございますので、そのときのムードからいえば、先ほどいいましたように、再軍備憲法というようなことは考えていないはずであると、私はかように存じております。
#71
○和田(耕)委員 いま一時の問題を取り上げまして、つまり外国で軍国主義の問題についていろいろな宣伝が行なわれる。しかしそういう実情は、少なくとも現在においては、外国でいわれるようなおそれは少ない。現在はない。将来としてもかなり少ないようにしていかなければならない。その一番の中心の問題は、やはり現在の平和憲法というものの基本的な点を、まぎれもない形で国の行政の責任者は明らかにしていくというところに根本がなければなりません。その憲法の問題を事実上違ったものにするような試みに対しては、政府としては非常に気を配った対策が必要だと思います。そういうふうな意味で、靖国法案の問題もそうですし、与党における憲法改正の動きもそうですし、そういうふうなものが憲法の実質上の改悪に連ならないような、ひとつ真剣な御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#72
○天野委員長 東中光雄君。
#73
○東中委員 外務大臣に地位協定の改定、変更のことについてちょっとお聞きしたいのですが、昨年の十二月二十四日の衆議院外務委員会で、外務大臣は、「地位協定の将来考えられなければならない改善案については、いろいろな検討はいたしております。」という答弁をされております。もちろん沖繩返還問題との関係での地位協定の改定ということではないと言われておるわけですが、私もそういうものとして、沖繩返還協定との関係でお聞きしているわけではございません。地位協定の検討はいたしておりますと言われておりますが、この点はどういう点についての検討をされておるか。
#74
○愛知国務大臣 ただいま御指摘のとおりでございまして、地位協定というものにつきましては、研究していることは事実でございますけれども、ただ沖繩問題が全部決着がついてから、少し長い目で見ての、末長くと申しましょうか、少し長い先の問題としてよりよきものにするとすれば、そういう個所があるだろうかという意味で検討しているのでございます。ところが、率直に申し上げますけれども、先ほど来沖繩問題についてもいろいろ御質疑がございましたが、とてもいまのところ将来の地位協定の勉強をするどころの騒ぎでなくなってしまいまして、いまのところは沖繩その他当面の問題に全く没頭いたしておりますものですから、地位協定の問題というものはその後しばらくたな上げの状態になっている、率直に申しましてそういう状態でございます。
#75
○東中委員 前に言われておりましたのを掘り起こすわけじゃございませんけれども、昨年の十二月二十四日の外務委員会では「全体の状況が変わるのに従って、好ましい姿になりつつあるのですから、」こういうふうに外相は言われておりますが、地位協定もそれに応ずるように改善すべきものだと考えています、と、改善の余地はあるのだ、こう言われておるわけなのですが、その全体の状況が変わるに従っていまの地位協定を改善していくということを検討される、そういう作業なり検討を現にしておると言われている。その後中断しているかもしれませんけれども、全体の状況が変わると言われているそういう情勢ですね、どういう点について言われておるか。
#76
○井川政府委員 たしか御指摘の点は共同使用の問題に関連があったと思います。共同使用の問題がだんだん変わってくると地位協定云々というところで、外務大臣から実は私も検討を命ぜられたわけでございまするけれども、先ほど外務大臣からおっしゃっていただきましたように、私たちといたしまして、もうとてもその余裕がございませんし、さらにまた外務大臣の御方針でも、いかなる場合にあっても地位協定の改定は現在行なわないという御方針でございますので、検討は命ぜられておりまするけれども、もろもろのそういうふうな事情で検討が進んでおらないというのが実情でございます。
#77
○東中委員 昨年の十二月二十一日の安保協議委員会で基地縮小の問題が相当大きく出されまして――基地縮小の方向が出たからといって、それがいわゆる地位協定の改善の方向に向かっていく必然性はないと思うのですが、むしろそれは地位協定の二条三項からいって「合衆国軍隊が使用する施設及び区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することに同意する。」という規定があるわけでございますから、これの適用でそれでいいわけですが、いま御答弁にありましたように、共同使用という方向で検討するということになれば、単に基地縮小という問題ではなくて積極的な問題がそこにあるということになるわけですが、全体の状況が変わるといわれておる内容とあわせて、どういう点で検討を命ぜられて改善の余地があるとされておるのか、その点をお聞きしたいわけです。
#78
○井川政府委員 先ほど申し上げましたように、その問題の発端は、共同使用に関連していたと私は了解いたしております。そして、それにつきまして御答弁があったものと記憶いたしております。しかし、先ほど来申し上げました事情によりまして、私どもその共同使用の形態がどうなるか、しからばこれが第二条との関係においてどうなるかというふうな検討は、ほんとうに時間的余裕からいたしましても、とてもできないので、全く現在のところはいたしておりません。
#79
○東中委員 久住忠男氏を座長とする安全保障問題研究会というのが「米軍基地問題の展望」という報告書を出されておることは御承知のとおりでありますが、ここで「常時駐留の廃止は、有事における米軍の機動性と基地の再使用を基礎とする協力戦略への意向を予期させる。」こういうことをいっております。こういう見解に対して外務大臣、どうお考えになっておりますか。
#80
○愛知国務大臣 いまおあげになりました一つの勧告というかレポートは、いわゆる有事駐留といいますか有事進入といいますか、とにかく常時はいないで、そして事あるときに入ってくるという思想が相当そこへ反映しているように思われます。私率直に申しますと、そうなりますと、現在の安保のワク組みの考え方と終局的にはだいぶ変わることになるので、そこにはメンションされて、いないのですけれども、安保条約自体の改定になる考え方じゃないかと思いますので、私はそのレポートに対しては、そういう意味で疑問を持っております。そのままの姿で政府でやるつもりはございません。同時に、そのようなお考え方でいけば、したがって地位協定というものも相当根本的に改正しなければならないというような御趣旨がそのレポートの中に出ておるはずでございます。そういう意味も含めまして、私といいますか、政府として、いまこれを積極的に取り上げるという意思はございません。
 それから、先ほど来条約局長が御答弁しているとおりでございまして、この地位協定改正云々という話が一時――やはり現在提供している施設、区域の、常識的に申しますと米軍専用というものが仮定においてなくなって、共同使用が多くなることが考えられる。そのとき日本の国益に立って改正ということを考える必要があるならば、改正案を考えておこうではないかという私の発想だったわけでございますけれども、先ほど来申しておりますように、その作業はただいま中断の状況でございます。
#81
○東中委員 いま言われました安全保障問題研究会のレポートの中に「「有事協力」戦略を実効あらしめるため、一連の法的措置を講ずる必要がある。現行の地位協定も同じ目的に即応するよう再検討すべきである。」、こういうふうに書かれておるわけですが、この安全保障問題研究会の考え方と、たとえば外相が、いわゆる基地の共同使用について「現在の地位協定のもとにおいてなし得る限りのことを具体的に進めることがまず第一必要」だというふうに言われておりますし、中曽根防衛庁長官がこういう答弁をせられておることがあります。「安保条約を前提としてその弾力的運用という考え方に立ちますから、これはアメリカが持っておる権原というものは、日本側としてはある程度尊重しなければならない。」ということを前提にして、「一朝有事の際や、その他必要が出てきた場合には、またもとに復して帰ってこれるということをしておくことは、日本の安全保障上からも必要なことであって、このことをちゅうちょする必要もなし、拒否する必要もない。」、いつでもアメリカが撤退をした後もとへ帰ってくるということ、それをちゅうちょする必要もないし拒否する必要もない、こう言われておるわけです。「しかし、この点は明確にしておかなければならぬと思います。」と言って、とにかく改定の方向へ向いているけれどもいまはそこまではやらないのだ。だから改定の方向へ行こうとしている点を、どういう点を考えて、あるいはどういう背景でその点を出されておるのか、そういう点外務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
#82
○愛知国務大臣 これは、先ほど来ありのままにお答えいたしておるわけでございまして、ちょうどいま御指摘になりました問答がありましたころは、先ほど私が申しましたように、ちょうどもう明けて一昨々年以来ですが、ずいぶん米軍の施設、区域が、急速に撤去ムードがレールに乗ってきたわけです。それがいま進行中でございますけれども、その過程におきまして共同使用、あるいはいまのところは米軍が使用しなくとも、また使用するということがあるような場合に、米軍の立場からいえばそういうことを考えたいという気持ちがあったようですし、それから日本側としては、そういう場合に地位協定を直すとすればどういうふうに直したら日本の国益を守りつつその要望にこたえ得るか。要するにさっき私が申しましたような、安全保障研究会の提案の中にあるような、有事駐留というような問題ではないのです。このいまの考え方は、相当長く将来も安保のワク組みがずっと続く、しかし施設、区域をできるだけ日本に返還したい、あるいは共同使用という形にしておいて、そのワク組みの中でアメリカとしてまた必要があったときには使わせてもらえるという考え方に立てば、施設、区域ももう少し返せるものがあるかもしれないという話、あるいはそういうムードがあった最中でございまして、ひとつそれじゃ地位協定の改正をするとすればどういう点を改正したらいいかという点を研究しましょう、そういう状況になりまして、防衛庁長官とも話し合ったわけでございます。ただそこに一致した意見としては、とにかく沖繩問題が片づくまではこの問題に手をつけない、こういう取りきめといいますか話し合いが二人の間でできまして、そういう経過になりましたものですから、その後沖繩問題等に時間をとられておるものですから、ただいまのところは研究が中断しておる、こういう状況でございますし、また中断しておることによって何らの現在不便はございません。
#83
○東中委員 アメリカの新しいアジア戦略といいますか、ニクソン・ドクトリンは、米軍の緊急時の作戦展開を保障するそうした基地体系をつくろうというふうにしているように思われるわけであります。けさの新聞にも出ておりました三月三日から行なわれるというフリーダム・ボールト作戦ですか、米韓大空輸演習を見ましても、結局緊急事態が発生した場合に、米本土から戦闘部隊を敏速に展開する能力を内外に誇示するというか、同時にそのための演習をやっている。そういうアメリカの緊急時の作戦展開というものに即応するような、いわゆる基地共同使用という形でいわれている問題は、そういう方向での検討を始められたのではないかというふうに思うのですが、いかがでございましょう。
#84
○愛知国務大臣 ただいまありのままにお話し申し上げましたように、そういうこととは関係ないのでございます。もう少し事務的と申しますか、大作戦あるいはアメリカの大戦略体制が変わるから、それに即応するように地位協定を変えよう、そういうふうな発想で出た地位協定研究の問題ではございません。これは性質として、そういうことに関連を持たせてお考えになるということも私はわからぬではないのですけれども、あの当時の地位協定改正問題というものは、少なくともそういう発想から出たものではない、経過がそうでございます。
#85
○東中委員 そうしますと、これはどうも理解ができないのですが、基地縮小ということであれば、先ほど申し上げた地位協定の規定で別に再検討あるいは改善の余地があるというふうな発想は出てくるわけがないのですけれども、なぜそれが出てきたのか。要するに沖繩の問題が済むまではやらない。済んだあと問題にされておる改善の研究をされる。その方向というのは一体何なのか。共同使用ということを言われておるわけですけれどもそれは具体的にどういうことになるのか、どういう点についての検討をやろうとしておられるのか、ちょっとよく理解できないのですが……。
#86
○井川政府委員 先ほど来大臣が申し上げておられます、全くそのとおりに私も理解しておるのでございまして、この前問題が出ましたときは、いわゆる共同使用が問題の発端であるということを申し上げましたけれども、確かにそのとおりでございまして、それはアメリカの極東戦略云々ということは全く関係がございませんで、だんだん基地を縮小していくというかっこうのもとにおきまして、なるたけ早く基地を返してもらいたい、しかし全面的に開放ということができないかもしれない、さらにわれわれ日本側といたしましては、たとえば二4(b)というふうなかっこうになりますれば、管理というものは日本側に移るわけでございます。そういうふうな関係があるというふうな観点で考えておったわけでございまして、したがいまして現在のところは、先ほど来申し上げておりますように、私たちまだほんとうに研究も勉強も何もしておらないわけでございます。現在は全くこの二条のワク組みでやっているわけでございます。ただ、繰り返しますが、その当時の問題の発端は、何とかしてこの基地を縮小し、また日本側に主体性を移すもっといい方法があるであろうかどうかということが、いわゆる私が申し上げました共同使用の意味でございます。
#87
○東中委員 現在の地位協定では、一度返還された基地について米軍が緊急時に再使用しようと思えば、あらためて新規の手続といいますか、協定をしなければなりませんね。その点はどうです。
#88
○井川政府委員 わが国に完全に返還されましてそしてそれをアメリカが使用するためには、また基地として、二条で、合同委員会の決定によりまして提供いたさなければなりません。
#89
○東中委員 その提供といわれるのは、提供するための合同委員会にかけて協定を結ばなければいけないということでありますね。
#90
○井川政府委員 仰せのとおりでございます。
#91
○東中委員 その共同使用という場合は、これは概念が非常にばく然としておるわけですけれどもこの場合には、現にある自衛隊の基地にアメリカ軍が来ることによって共同使用ということになるわけなんで、そこで構想されることというのは、あらためて基地使用についての協定を結ばなくてもいい、個々の基地使用の協定を結ばなくてもいいということになるのではないかと思うので式か、そういう点は、そういうふうに変えていこうということではないのですか。
#92
○井川政府委員 先生まさしく御指摘のとおり、共同使用の概念さえまだわかっておりません。いろいろな方がいろいろなように共同使用ということばを使っておられると思うのであります。したがいまして、もし沖繩返還後こういう問題を再び勉強いたすことになりましたならば、共同使用の概念からまずきめていかなければならないと思っている程度でございまして、ただいまの先生の御質問にお答えするような検討はまだ全然進んでおりません。
#93
○東中委員 米韓行政協定を見ますと、一九六六年七月九日締結の分ですが、合衆国軍隊が再使用するという保留権をつけて、返還した施設、区域は、両政府間に合意された施設、区域とみなすというのが協定の中にあります。結局返還するけれども、しかし保留権をつけておけば、あといつでも協定を結ばないで共同使用ができる、こういうことになっているわけですが、いまの地位協定二条四項(b)では、弾力的運用をやっても、こういった米韓行政協定で出されているようには進まないということは言えるのじゃないでしょうか。その点どうでしょうか。
#94
○井川政府委員 ちょっといま米韓協定を手元に持っておりませんので、申しわけございませんけれども、もしいまの米韓協定の内容が、一ぺん返還したものを、それを韓国軍隊が使用しているものを、何らの協定なしにアメリカがまた来れば使えるというのでは、現在の二条の対象から完全にはずれます。
#95
○東中委員 二条の体系の弾力的運用という範囲のワクを越す分が実際米韓行政協定の中にある。現在は二条あるいは二条四項(b)の弾力的運用で共同使用についてはやっていくということが、沖繩問題が出てくる前に、大体の政府側の見解として出されたわけですが、それであと沖繩返還後に検討するということになれば、ワクをはみ出す米韓協定のような、そういう線に向かっての検討ではないのかということを私たちは思うわけなんですが、その点そういうこともまだはっきりしていない、こういうことなんですか。
#96
○井川政府委員 米韓協定につきましては、私ただいま申したとおりに、協定文を持っておりませんので、私がこう仮定したならばということで御了解願いたいと思います。その後の問題につきましては、とてもそこまでほんとうに考えて検討もいたしておりません。
#97
○東中委員 それではもう質問を終わりますが、いずれにしましても、新しい基地体系といいますか、アメリカ側はそういうふうに言っている。そしてジョンソン国務次官は、有効な基地態様というようなことも言っています。その背景になっておるのは、先ほど来有事協力とかいろいろ言われましたけれども、中曽根防衛庁長官は非常時駐留なんだというふうなことばも言われましたけれども、実際上のアメリカ側のとっているアジア戦略からいえば、米軍の緊急時における作戦展開の保障ということと、そして同時に自衛隊が基地を管理しているということによって、極東における日米間の有事における協力戦略体制というか、そういう体制を確立していく、積極的な協力体制をつくっていくという二つの面を持っておるように思うわけであります。
 私たちは現行の地位協定そのものに反対でありますけれども、しかしアメリカが、一昨年のフォーカス・レチナ作戦、そしてまたこの三月にやられる作戦演習というような点から見ましても、基地の共同使用ということがいわれてきておるその軍事的な背景というのは、まさに緊急時の作戦展開に日本が協力する方向として出されているように思うわけであります。そういう点で、そういう方向を絶対とるべきではないということを強く主張したいわけであります。その点を申し上げておきたいと思います。外相の御見解がありましたらひとつ承りたい。
#98
○愛知国務大臣 先ほど来こもごもありのままを経過を申し上げているわけでございまして、さらに率直に申し上げますならば、われわれの気持ちの中にも、アメリカの戦略の変化に対応するような意味合いの地位協定の改正というようなことを考えたことは、その当時全然なかったわけでございます。
 それから、現状におきましては、地位協定の改正というふうなことの勉強はしばらくたな上げにいたしております。これが現状でございます。
 それから将来沖繩返還などが無事に済みまして将来の研究課題として地位協定をテーブルの上に乗せます場合には、ただいまの東中委員の、御心配をもとにしての御意見等につきましては、十分念頭に置きまして研究することにいたしたいと思います。
#99
○天野委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、この際暫時休憩いたします。
    午後一時二十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時五分開議
#100
○伊能委員長代理 休憩前に引き続きまして会議を開きます。
 委員長が所用のため、出席がおくれますので、委員長の指示により、私が暫時委員長の職務を行ないます。
 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田太郎君。
#101
○山田(太)委員 このすぐあとに大臣はまた交通委員会を控えているということで、非常に時間的にお急ぎのようでございますので、できるだけ質問をしぼって、時間を縮めていきたいと思っております。
 そこで、このたびの下水道部が設置されることにつきましては、私どもといたしましては賛意を表わしたいと存じておりますが、そこで数点お伺いしたいことは、この前のやはり内閣委員会だとも存じますが、下水道のことについてお伺いした覚えがありますが、この第三次下水道整備五カ年計画をもう一度たんねんに見てみますと、このたびの四十六年度の国庫補助費が六百六十五億三千六百万円、こうなっております。そこで、これを毎年どの程度の伸び率にしたら、総額二兆六千億円、予備費が一千億円といたしまして、この五カ年間の国費六千七百四十二億二千五百万円とこうなるわけでございますが、この六千七百四十二億二千五百万円が、どのようにして五カ年間に補助となっていくのかという点についてお伺いしてみたいと思います。
#102
○根本国務大臣 まず第一に、この下水道の要求が非常に最近強くなりまして、先般も他の委員会で申し上げましたが、実は経済企画庁を中心としてつくりましたいわゆる新しい経済社会発展計画の総投資額を五十五兆円と見ておりました。その中に二兆三千億円しかなかったのです。それではいかぬということで、経済企画庁長官あるいは大蔵大臣にも話をして、特にこれは総理の指示もございまして、あの総投資額を上回る、これは初めてのことでございますが、二兆六千億にしていただいた。ところで山田さん御指摘のとおり、こんなにワクをとったけれども、いままでの伸び率からすれば非常に不安があるじゃないか、そのとおりです。従来はせいぜい三〇%そこそこの伸び率が最高でございますが、今回は去年に比べると約四〇%の増です。それで四十六年度以降は大体三五、六%程度ずつ伸び率を持っていきますと計画どおりにいく。しかもこれについては、わざわざ国会において、公害国会といわれるほどの重点の入れ方をせられて、しかもその中で人間生活の一番大事な問題として水が取り上げられておるので、それの基準を維持して快適な生活をするためには下水道がどうしても重点になりますから、絶対にこれだけの伸び率は確保できる、こう信じておる次第であります。
#103
○山田(太)委員 いまの大臣の御答弁を、来年度あるいは再来年も引き続いて大幅に予算の伸び率をはかっていく、この御決意である、こう受け取ってよろしいでしょうか。
#104
○根本国務大臣 そのとおりでございます。
#105
○山田(太)委員 そこで、私も専門の立場ではありませんが、四十六年から五十年の国庫補助、先ほど申し上げた六千七百四十二億二千五百万円、この内訳を見てみますと、公共下水道に四千六百二十九億円、それから流域下水道が千六百二十億円、それから都市下水路、これが二百六十六億日特定公共下水道に六十一億円、約でございますが、このような内訳になっておりまして、先ほど大臣のお答えのように、予備費を一応除いて総事業費ということになりますと、対前年比が四〇・四%、公共下水道が三一・一%、それから流域下水道が八八・〇%、都市下水路が二五・〇%、それから特定公共下水道、これが四七・〇%となっております。そこで金額的に見ますと、やはり一番大きいのは公共下水道になっています。この公共下水道においては対前年比が三二%、私の計算が間違っておったら失礼いたしますが、こういうようになっておるのでございますが、これが四〇%と対比したときに差があるわけですね、一応大きい金額だけれども。そういう点についてはやや不満な感もするわけですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#106
○吉兼政府委員 ただいまお尋ねの、四十六年度私どもが一応予定しておりますところの事業種別の事業量、対前年の関係の伸び率は、先生御指摘のとおりでございます。五カ年計画との関係でありますけれども、新しい三次五カ年計画におきましては、環境基準対策ということが非常に大きくクローズアップされておりますので、環境基準対策を達成いたしますためには、やはり流域下水道というものを強力に推進していかなければならない、そういう観点から、私どもは流域下水道の事業量を旧計画に対しまして大幅にふやすということを計画をいたしておるわけであります。そういうこと等から勘案いたしまして、大臣からお答えございましたように、この五カ年の達成はそう簡単なものだとは決して私は思いませんが、しかし現在置かれております状況等からいきまして、この計画達成は実現できるものだというふうに私どもは考えております。
#107
○山田(太)委員 私のお尋ねしたのは、公共下水道、これが一番金額が多いんだ、これについてのパーセントというものが、四〇%と対比したときにこれだけ低くなっておる、この点についてはどのようなことになっているのか、どのような意図のもとにこれがされておるのかということをお聞きしたかったわけです。それは次の質問を持ってくるための一つの前置詞の質問でございますかへ時間の関係でそれはもうお答えにならなくてけっこうであります。
 そこで、この予備費を除いて二兆五千億円です。このうち先ほど申し上げましたように、国費は六千七百四十二億二千五百万円、そういたしますと、それを差し引きいたしますと一兆八千億あまりです。この膨大な金額が地方公共団体からの持ち出しになってくる。そうなってきますと、大幅に地方財政を圧迫するのではないか。そこで、もし地方財政を圧迫した結果が、地方においてその金の手当てができないというふうな場合になってくると、この総事業費の二兆五千億円、一千億円の予備費を除いたその総事業費の達成が不可能になるのではないかという点をおもんばかるわけですが、その点についてはどのような御見解でしょうか。
#108
○根本国務大臣 一応ごもっともな危惧でございます。実はざっくばらんに申し上げまして、下水道を促進するために、地方自治体、あるいはこれを実行するところの地方からすれば、まず第一に補助率を多くしてほしい、それから補助対象を多くしてほしい、そうして総事業費も多くしてほしいということが当然の要求だと思います。
 ところで、昨年私はこの下水道問題で取り組んだときに、下水道を急速に整備しなければならないという客観情勢にある都道府県知事、それからおもなる市町村長と会ってみました。ところで、これらの方々の要求をまとめてみますと、この三つを具備してほしいが、しかしいま何としても必要なのは事業量をまず多くさせてくれ、そうでないともう全然都市機能を喪失するような状況になってきておる。だからまず事業量を多くしてほしい。その次に補助対象を多くしてほしい、それからでき得れば補助率を多くしてくれ、こういう状況でございました。
 そこで、財政当局にその要求を全部といってもなかなかできないから、そこで私は一つの戦略を考えてみたわけです。事業量を達成しつつ、しかも地方もたえ得る方法はなかろうか。その結果、地方自治体のほうでも将来のことはあとで始末してもらうことにして、いわゆる一般起債のほかに、下水道のために特別なる起債を設けてもらえば、地元でも相当起債能力は出てくる、ぜひこれをやらしてくれというのが、東京都知事それから大阪府知事、それからおもなる知事並びに市町村長の要求でございます。それを受けて、いま御審議を願っておる新しい下水道五カ年計画をつくったわけでございます。これに対しては、自治省も大蔵省も起債を認めよう、こういうことになっております。したがいまして、いま山田さんが言われたように、地方負担が非常に大きくなるから事業ができないんじゃないかという危惧は、その点では解消しました。
 その次に、しからば起債はいずれは借金を返さなければいけない、そのときにあたって、その償還財源がどうだというところになって、いわゆる補助対象の拡大と補助率の問題が出てきます。これは五カ年間やっておる過程において、おのずから地方財政の状況とあわせて考えなければならぬと思っているのであります。現在のところは、公共下水道等ができますれば、使用料をとるし、それからまた御承知のように今度の環境基準ですか、これが示されたところでは、どんどんと企業負担が出てくるわけです。そうしますれば、相当程度改善される余地もあると思いますが、まずこの五カ年間の実行の過程でいろいろ綿密に検討する。その結果、いまの補助率をどうしても上げなければいけないとかいろいろの問題が出てくるので、そのときにまたあらためて検討したい、こう考えておる次第でございます。
#109
○山田(太)委員 つまびらかではないわけですが、いま大臣のおっしゃった企業負担がこれからふえてくるという、これは当然可能性もありますが、その企業負担がふえたときには、国庫補助費のほうはそのままにして、そして地方公共団体のほうにそれだけしわ寄せを少なくする、そういうふうに解釈していいでしょうか。
#110
○吉兼政府委員 御指摘のとおりでございます。
#111
○山田(太)委員 そこで、いま大臣から補助対象と補助率の話が出ましたが、しろうとなりにこの補助対象の表を見て計算してみますと、総事業費については国庫補助対象率が六三・五%になっている。それから公共下水道が五七%、こうなっているわけです。これが一番金額の大きい分ですが、それに対しての国庫割合といいますか国庫補助率といいますか、これが公共下水道に対してはそれの十分の四、四〇%です。そのように公共下水道に対しては一番金額も大きいが、五七%。先ほどの御答弁の中にもあったとも存じますが、これが妥当な線かどうか。一般では七〇%くらいなければどうにもならぬというふうにもいわれておるのですが、それに対してなぜこのように他と比較して違うのか。ほかのほうは九〇%あるいは一〇〇%、八五%となっております。この金額の一番大きい公共下水道については五七%と下げてある。この建設省の意図するところはどの辺にあるのだろうか、これを確認しておきたいと思います。
#112
○吉兼政府委員 補助対象率がどのくらいの割合が妥当であるかということは、率直に申し上げまして非常にむずかしい議論があるものでございますから、私どもなりに五ケ年計画の作業をいたしました過程並びに財政当局に要求いたしましたときの考え方は、下水道事業といいますのは、処理場から始まりまして幹線、準幹線、枝線、そういうものが一体をなした事業であります。他の公共事業とやや性格を異にしておる。国が助成をすべき範囲はどの範囲であるかという場合に、やはり骨格的な処理場でありますとか、幹線また幹線に準ずるような準幹線、そういうところまで国の助成する対象にすべきだと思います。全部いけばけっこうでございますけれども、これもたいへんでございます。そういう考え方のもとにいろいろ試算をしたのでございますけれども、このときの考え方は、平均的に見ますと七七%程度のものを補助対象の割合にすべきじゃないかという数字が出てまいったわけであります。そういうことから、それを踏まえまして、さらにいろいろ企業負担でありますとか、受益者負担とかいうような面で国、公共団体以外のものが負担すべきものは、これから控除すべきではないかというようなことを勘案いたしまして、私どもは補助対象割合を六〇%ということで財政当局に要求したわけでございますが、結果的には先ほど先生の御指摘がございましたようなことになりまして、大体私どもの考え方どおりの補助対象割合が確保されたというふうに私どもは理解をいたしております。
#113
○山田(太)委員 そういたしますと、いまの御答弁だと七七%、それを企業負担等がふえてくるので、そのほうも見込んで大蔵省当局には六〇%の要求をした、こうだったですね。そうすると、この差し引き一七%というものは企業負担を見込まれておるわけでございますか。その内訳はどういうものがありますか。もし今度それをオーバーしたときには、それではどのような処置をするのか、それが足りないときにはどのような処置をするのか、それもあわせて落ちなく答弁を願いたいと思います。
#114
○吉兼政府委員 これは、私ども一応全国平均的な考え方でもってやっておりますので、個々の都市におきましては、若干出入りが当然あると私ども思うのです。それからこの補助対象割合につきましては、公共下水道で申し上げますならば五七%ということでございますが、これは大都市と一般都市で差をつけております。
#115
○山田(太)委員 ぼくのお尋ねしたポイントを落とさないでもらいたい。
#116
○吉兼政府委員 それで、公共下水道で申し上げますならば、五七%ということで補助対象を私ども考えていきたいと思いますが、この五七%が補助対象でございまして、残りの分が約四三%になりますが、これが地方負担ということになります。その地方負担の中で受益者負担金というような制度もございます。それから私どもは、今度新しく水質使用料と申しますか、企業者に対しまして一般の使用料のほかに特別な割り増しの料金を負担していただくというふうなこともこれから考えてまいりたいというようなことで、そういうようなものが単独事業の四三%の中で地方負担の中の公共団体以外の負担ということになっております。その割合といいますものは、これは都市によって必ずしも画一的なセットというものは私はできないと思います。都市都市の事情がございまして、受益者負担料を取っておる都市と取っていない都市とございまして、それは一概には私は申し上げられませんが、少なくとも五七%は、公共下水道でならしてみますと、この五ケ年間において補助対象の割合を確保してまいりたいと思います。
#117
○山田(太)委員 ぼくの聞いたのはそういうことを聞いたわけじゃないのです。あなたのお答えでは補助対象割合が七七%くらいになる。しかし、企業負担等もあるので六〇%でもって大蔵省と折衝した。それが現実には五七%になっているわけです。そうしてその企業負担等がそのパーセントより以上になったときはどうなのか、あるいはそれが足りないときにはどうするのか、それについての質問をしたわけですから、それに対しての答えというものをやってもらわなければならぬ。
#118
○吉兼政府委員 お尋ねの点の企業負担といいますものが以上になるとか以下になるというようなお尋ねでございますが、これは、これから企業負担といいますものを、私どもは方針を立てまして指導してまいりたいということでございまして、地方が単独で持つ負担の中でどのくらい企業負担をさせるかということでございますが、それがどの程度に落ちつくかということはこれからの検討事項でございますので、お尋ねに対して、以上になるか以下になるかということは、いまの段階では正確にお答えできないということをお許しをいただきたいと思います。
#119
○山田(太)委員 では、これから策定する面も多多あるので、いまの段階ではちょっとお答えしかねるというふうな御答弁だと解釈して、この点は大切な問題になってきますから、また別の機会に時を移すことにしまして、問題を次に移していきたいと思います。
 これは住宅の問題です。先般建設省において、本年の四月一日から実施するということで公営住宅の収入基準の改正について発表されておりますが、それと、物価の上昇あるいは勤労者の収入の増加及び公営住宅の入居収入額との間にギャップが出ている。その点についてはわが党においても早くから主張してまいったことではございますが、標準四人世帯で、第一種、第二種ともに、現行と改正された後ではどれほど違うのか。これは大臣でなくてもけっこうでございますが、国民の皆さんによく周知されてないという点もありますので、標準四人世帯で現行はこうである、それが四月一日の改正ではこうなるのだという点を少しこまかく答えていただきたいと思うのです。
#120
○多治見政府委員 お話のように、四月一日から施行せるということで収入基準を改定いたしました。お尋ねの現行と新しい収入基準の差でございますが、現行の収入基準によりますと第一種が四万円、第二種が二万四千円ということできまっておりますが、これを今回、四月一日から第一種四万六千円、第二種二万七千円というふうに改定をいたしたわけでございます。これを具体的に申し上げますと、これは規定上の問題でございますが、お尋ねの四人家族ということでこの規定を適用いたしまして今回の収入基準に当てはめてまいりますと、先ほど申し上げました第一種四万六千円というのが、勤労者給与所得控除、同居親族の数等によりまして一応四人世帯ということで標準的に計算いたしますと、八万四千五百八十三円ということになります。
#121
○山田(太)委員 そこをもっと国民一般にわかりやすく言ってください。ではもう一ぺんぼくが聞きますが、今回の改正によって第一種は、標準四人世帯の収入は、これは家族に収入があろうとなかろうと、あるいは御主人一人の収入であろうと四人世帯であるならば総収入が月額八万四千五百八十三円、それから第二種は、規定は二万七千円であろうとも、標準四人世帯であるならば総収入の月額は六万八百三十三円である、このように解釈していい御答弁だったのですか、どうですか。もう一ぺんそれを言ってください。
#122
○多治見政府委員 はい、そのとおりでございます。
#123
○山田(太)委員 はい、そのとおりですでなく、もう一ぺん言ってください。
#124
○多治見政府委員 そのとおりでございますが、最後の六万八百三十三円とおっしゃいましたのは六万八百五十三円で、その点だけ……。
#125
○山田(太)委員 第一種からもう一ぺん言ってください。
#126
○多治見政府委員 第一種が四万六千円以下という規定になっておりますが、これが標準四人世帯の給与所得者といたしまして八万四千五百八十三円、第二種が二万七千円ということになっておりますが、これが標準四人世帯で六万八百五十三円ということでございます。
#127
○山田(太)委員 この点が非常に不明確なわけですね。総収入がこれだけならば入れるんだというふうにはっきりしておりませんと、世間の一般国民はこれを勘違いしております。これを一般国民に周知徹底する必要もありますので、この点を特に強調したいためにこの質問を設けたわけです。
 そこで、次にお伺いしたいことは公営住宅の収入基準についてでございますが、昭和三十七年、四十三年、四十五年と次々に変わってきております。この金額は時間がたちますしおわかりのことでありますから言いませんが、この基準は何を基礎にして算定されたのかという点を一ぺんお聞きしておきたいのです。
#128
○多治見政府委員 公営住宅の入居資格に関します収入基準につきましては、これは御承知のとおり住宅政策の基本でございますので、公営住宅だけではなく、住宅政策全般の施策の中の公営住宅の果たす役割りということでこの収入基準をきめる必要があるわけでございます。したがいまして、公団住宅、公社住宅、公営住宅ということで、公営住宅が果たします役割りは、御承知のように低所得階層に対しまして国が一番手厚い援助をする住宅ということで考えておりますので(山田(太)委員「その基準の算定基礎を言ってください」と呼ぶ)はい。それで、ただいまお話がございましたように一番最近改定いたしましたのは四十三年でございます。その後改定いたしておりませんので、実態に合わなくなってきているということで今回の改定を考えたわけでございますが、その改定にあたりまして、考え方といたしましては、四十三年以降の勤労所得の上昇率、消費者物価の上昇率、それから公営住宅が収入基準によりまして入居できる階層をどれだけカバーしているかというカバー率でございます。それからもう一つは、建築費の値上がりによります公営住宅の建設に伴います通常の家賃計算による家賃の値上がり分、それから公営住宅で入居できる階層と公団住宅に入居してもらう階層との接続の問題がございます。したがいまして、いろいろな要素を勘案して公営住宅の収入基準をきめる必要があるわけでございますが、今回は四十三年の収入基準をもとにいたしまして、消費者物価の指数を主体として計算いたしてこういう数字を出したわけでございます。この結果、先ほど申し上げましたいろいろな要素も大体満足できるというわけできめたわけでございます。
#129
○山田(太)委員 要するに今回は収入基準を、主として勤労者の収入と、それから消費者物価指数というものによったということでございます。そこで、これは基準を出すについての根拠が少し薄弱じゃないかという気がするわけですね。それはどういうわけだといいますと、昭和三十年の消費者物価指数、それからもう一つは建築費指数というものを出してみます。それから住宅の地価指数、それぞれを一〇〇といたします。そういたしますと、昭和四十二年度においてすら非常に大きな開きがあるわけです。消費者物価指数は、御存じのとおり一七六・五、それから建築費指数は二〇二・九、住宅地価指数になってくると一二一〇になっています。主として消費者物価指数等を基準として入居基準をきめるということは、このような地価、建築費等の上がり方から見て、この収入基準を低くきめたということになっていくおそれがありはしないか。ただ単に消費者物価指数を主としてきめていくということは、その点真の公正を欠くきらいがある。地価の問題あるいは建築費の問題等を兼らあわせて、当然賃貸価格においてはその点もある程度は加味されておるはずです。そうですね。ところが入居基準について、それが大きくカットされておるという点は、現状の公営住宅に入るには収入が多過ぎるし、公団住宅に入るには自分と家族の収入は足らないし、そこでしょうことなく狭い六畳の部屋や、あるいは八畳の部屋に家族が入らざるを得ない状態になっている階層が、相当数どころか、非常にふえてきております。そこで主として消費者物価指数というものを基準として入居基準をきめるということは、賃貸価格自体が、もう一ぺん繰り返すようでございますが、建築費あるいは地価というものも含まれておるのに、入居基準は消費者物価指数でやっていく、そこに非常にバランスがくずれていく。競争率はふえるかもしれません。どんどん建てていくのなら別だけれども、競争率はふえるかもしれませんが、いわゆる入れる可能性があるという階層をもっとふやしてあげる必要がある。そのためには入居基準というものを、そのような点も加味して、そしてもっと金額を上げるべきじゃないかと思うのでございますが、その点についてはどうでしょうか。
#130
○多治見政府委員 お話の前段にございました物価指数、特に地価の指数、建築費の指数等を比較いたしますと、今回、消費者物価指数の上昇を原則としてとったわけでございます。これは確かにアンバランスといえばアンバランスでございます。ただお話の時点のとり方が少し違っております。先ほど申し上げましたように、昭和四十三年の公営住宅の収入基準をきめた場合の指数と比較いたしまして、消費者物価指数を一応の基準としてとったわけでございます。そういった面でお話のような指数の上の多少のアンバランスはあるかと存じますが、現在の一番実情に合った取り方としては、昭和四十三年の収入基準をとったときの条件から考えまして、われわれといたしましてはこれ以上にとる必要はないのじゃないかという結論が出たわけでございます。
 ただ、お話の後段にございましたように、自分の収入では公営住宅に入るには多過ぎる、公団住宅に入るには少な過ぎるということで、どっちにも入れない階層があるというお話でございましたが、実は今度の収入基準の改定をもし行なわなかった場合には、確かにそういう現象が出るということで、われわれも収入基準改定に踏み切ったわけでございまして、今度の改定で、ごく平均的なお話を申し上げますと、公営住宅は先ほど申し上げましたように、四人世帯で八万四千五百八十三円という収入の方まで入れるようになったわけでありまして、公団住宅につきましては昭和四十六年度の予算単価からはじきました数字でございますが、この公営の八万四千五百八十三円に対しまして、七万九千六百円以上の収入の方が入れるという公団住宅の家賃にほぼなりますので、その問題は今回の収入基準の改定で解消したというふうにわれわれは考えているわけであります。
#131
○山田(太)委員 そうすると、公団が七万九千六百円、それから標準四人世帯とした場合、第一種ならば八万四千五百八十三円の収入の人が入れる。そうするとそこがクロスしているから、この収入基準においてはそういう点が金額の上では防げるのではないか、そういうことでございますね。
 そうすると、もう一点お伺いしたいのですが、そして最後に大臣からもお答え願いたいのですが、それだけ入居資格者の数がふえることになります。そうすると倍率がどれくらいになる見当であるか、この倍率の見当によっては、今度は住宅計画というものも、それによって来年度においては、あるいはもう来年のことなんていまから言うのもどうかと思いますが、こういうふうな計画でやっていこうかということを、大臣の答弁もあわせてお願いしておきたいと思います。先に局長から答弁願って、それから大臣の御答弁をお願いしたい。
#132
○多治見政府委員 先ほどちょっと申し落としましたが、公営住宅の収入基準をできるだけ上げていく、それによって国の一番手厚い資金的援助のある住宅の入居資格をふやしていく、これは非常に非常に望ましいことでございますが、そういたしました場合に、目的といたします低所得階層の入居の機会が相当少なくなる、比較的減ってくるという問題がございます。こういった点も考えて、公団住宅との接続というものをどの程度考えるかという点も、収入基準の改定の際には一つ考慮に入れているわけであります。
 それから、ただいま御質問の倍率の問題でございますが、これはなかなか一がいに申せませんが、現在公営住宅について申し上げますと、第一種は全国平均、これはあくまで平均でございますが、十六・三倍の数字が出ております。第二種につきましては三・九倍の数字が出ております。ただ、これは全国平均でございますので、必ずしも公営住宅の収入基準を設定する場合に、大きなウエートとして考えるべき数字ではございません。ことに第二種につきましては、大都市におきましては非常に倍率が高い、地方都市におきましては低いという問題でございます。したがいまして、こういった事情を勘案しながら、大都市と地方都市とのバランスというものも考えて、今後の建設の計画なり、収入基準の状況なりを考えていくということになろうかと考えております。
#133
○山田(太)委員 大臣の御答弁をいただく前に、それについての御答弁と、それからもう一つ、いまの局長のお話にありましたように、大都会と地方と非常に違うわけですね。それが、収入基準は全然同じなんです。この辺が事実上のアンバランスになる、この点については一考する必要があるのではないか、そういう点について、あわせて大臣から御答弁願って、質問を終わりたいと思います。
#134
○根本国務大臣 山田さんも御承知のように、ことしから新しい方策も考えました。それは、何しろ絶対量が足らないというところに、いろいろの競争率が激しくなってくる、御指摘のようにギャップが出てきたりする。そこで農住政策で――相当収入のある人、必ずしも公営でなくてもいけるという者も出てくると思います。これが農住政策で、近郊のわりあいに環境のいいところに半分政府施策住宅みたいなものもできてきます。
 それからもう一つは、御承知のように、労働省が勤労者の財産形成の立場から、いわゆる勤労者住宅のことも進めております。
 それからもう一つは、企業が持ち家政策をなるべくやりなさい。これは、相当の大きい企業ですと、まだ資金的余裕もあるし、これはある意味における勤労対策としてもいいのじゃないか。これもやるわけです。
 それからもう一つは、今度近く法案が郵政省から出ると思いまするが、郵便貯金、これを優遇して、持ち家のための資金に充てる、こういうことをずっとことしやってみるつもりです。
 その結果によって、なおかついま御指摘になりましたように、いまの入居者の収入のワクをさらに検討すべき問題が出てきたときに、その時点においてもう一回入居者の資格のスライドをもう少し考えていかなければならない。これは上限と下限をじょうずにバランスをとっていかないと、上のほうの上限をうんと高くすると、今度は低所得者が非常に強い競争にあおられてしまって入れないというようなことにもなりかねません。
 それからもう一つ、地方によって非常に収入の差もあるし、またしたがって、入居基準も考えてもいいということは、確かにそのとおりだと思います。ところがいま主として問題になっておるのは、大都会のその状況が一番問題なのでありまして、中小都市と申しますか、そこのいわゆる公営住宅のほうは大体いまの基準でやってもいいのじゃないか。特にいま地方からこれについて強い要望もありませんので、まあ観念的に指摘されれば確かにアンバランスであるが、そのために非常に弊害が多いのだという指摘もありませんので、いましばらくこのままでやってみたいと思う次第でございます。
#135
○山田(太)委員 これで質問を終わりたいと思います。
 そこで、やはり先ほど大臣の御答弁になりましたように、低所得層これは別途第二種等々に対しての配慮を講じていただいて、そしてこれをカバーしていくという点も、あるいは特別の制度を考慮していくという点も、これをことに要請もし、要望もしておいて質問を終わりたいと思います。
 ただ一つ、通産省の方に、きょう質問をする予定であったのですが、時間が時間でございますので、不燃住宅、新建材の問題で質問を用意しておりましたけれども、きょうはたいへんに御苦労さまでございましたことをお礼を申し上げて、質問をいたしませんけれども、よろしく……。御苦労さまでございました。
 それでは、以上で終わります。
#136
○伊能委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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