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1970/05/12 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第23号
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1970/05/12 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第23号

#1
第065回国会 内閣委員会 第23号
昭和四十六年五月十二日(水曜日)
    午後五時七分開議
 出席委員
   委員長 天野 公義君
   理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君
   理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君
   理事 大出  俊君 理事 和田 耕作君
      阿部 文男君    伊藤宗一郎君
      加藤 陽三君    笠岡  喬君
      辻  寛一君    中山 利生君
      葉梨 信行君    山口 敏夫君
      上原 康助君    木原  実君
      横路 孝弘君    伊藤惣助丸君
      鬼木 勝利君    受田 新吉君
      東中 光雄君
 出席国務大臣
        国務大臣(総理
        府総務長官)  山中 貞則君
 出席政府委員
        総理府恩給局長 平川 幸藏君
 委員外の出席者
        内閣委員会調査
        室長      本田 敬信君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十二日
 辞任         補欠選任
  木原  実君     久保 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  久保 三郎君     木原  実君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 五三号)
     ――――◇―――――
#2
○天野委員長 これより会議を開きます。
 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますのでこれを許します。鬼木勝利君。
#3
○鬼木委員 今度の恩給法の一部改正につきまして、項を追って長官並びに皆さん方にお尋ねしたいと思います。
 今回の夫に対する扶助料の支給の緩和についてでございますが、公務員たる妻が死亡した場合、妻の死亡当時から不具廃疾である夫、しかも生活資料を得る道がない、こういう者に扶助料を支給するとなっておったのを、今度のは従来より一歩前進しておるように思われるのですが、不具廃疾であるから扶助料を支給する、生計の資料云々ということには関係ない、こういうふうに今度なっておるようです。これはまあ確かに一歩前進だと思いますけれども、これをもうちょっと考え直していただきたい。妻といえども公務員として長年勤務をしたということになれば、扶助料の受給に対して差別をつけるということはおかしいと思う。男女同権という意味からしても、妻であっても公務員として長年勤務したということに対する扶助料であって、私はどうしてもその点がちょっと了解に苦しむのですよ。何の根拠をもってそこにそういう条件をつけられるのか。共済年金の場合には、これはまたわれわれに関係ないとおっしゃるかもしれぬけれども、この条件はないのです。これはまあ御承知かどうかわからぬけれども、さすれば、恩給制度よりも今日の共済制度は一歩後退しているとは考えられない。近代的に、最も合理的にできているものが共済制度だと私は思う。それには条件がない。まあ共済組合のほうも条件といえば条件がないでもない。奥さんよりも御主人の収入が多い場合にはそうじゃない、こういうことなんですね。だけれども、御主人が不具廃疾であろうがなかろうがそんなことは関係ないじゃないか。公務員で長年つとめたならば扶助料として行くんだ。ところが、恩給のほうは不具廃疾でなければやらぬ。そこに差別があるのですね。それはいかなる根拠でおやりになったか。これはおれがつくったんじゃないとあなた方おっしゃるかもしれないけれども、その点についてお答え願いたいと思います。
#4
○山中国務大臣 確かに、今日の共済の実態から見ますと、恩給の場合だけ不具廃疾の条件によって、若干条件を緩和したといえども、それが一律になされてないということは、事実においてそのとおりだと思います。ただ、夫が健在であって、そしていまの共済の概念と同じような概念を恩給法にもさかのぼって適用できるかどうか。この点は、私は先生の御意見というものは、そういう御意見があってしかるべきだと思います。しかるべきだと思いますが、過去において妻が公務員であった場合の死亡に伴う遺族たるべき夫の支給条件について、やはり不具廃疾という、いわゆるその当時の恩給法時代の日本の大体の家庭の所得の概念と申しますか、夫がかせいで妻が家庭を守るという概念からして、妻が働いていた、そしてそれが公務員であって死亡に伴う恩給がもらえる、その場合に、夫がどんなに元気であって収入があってももらえるんだという概念に恩給法の時代にはなっていなかったのだろうと思うのです。そこで、今回は審議会答申の御意向も受けて、若干の条件の緩和もいたしておりますが、純粋に議論をいたします場合には、先生のような議論が成り立ち得ると私も思うわけであります。しかし恩給というものは新しい事態が次々と発生をするわけではなく、すでに恩給を受けておる人々に対して、なるべく公正妥当、公平なる客観的に納得できる――支払う者は国民でありますから、国民が国家、公務のために長いこと働いてくれた人々に対する感謝として許される範囲という、範囲の一ぱい一ぱいで、現在まで各種の手直しをいたしてまいっておるわけでございます。したがって先生の発言に、それは反対であるというような意見を私は別段持っておるわけではありませんが、旧恩給法体系の概念というものの成り立ちから考えて、一挙にその問題まで、恩給法にさかのぼるということはなかなか困難である。審議会答申をはずれたことにもなりますし、そういう点においてそのまますぐに問題があるから、元気であってもやるのだというようなふうには恩給法としてはなかなかいけない筋合いが、法そのもののたてまえとしてあるのではないかという気がいたします。
#5
○鬼木委員 それは、昔の恩給法について是正すべきものを、だんだんやっていくのだ、恩給審議会あたりから出たことによってそれを直していく。これはいま長官のおっしゃるとおりであって、昔の恩給法が今日のわれわれの生活の実態に合わない、そういうことを是正しておるのであって、その当時はその当時として、いま長官のおっしゃったようなことが考えられると思うのですよ。日本の家族制度というような点から考えても、それはおっしゃるとおりだと思う。しかし今日、その恩給法というようなものを非常に合理的に近代化されたのが共済組合なんですから、いままでどおりの恩給法の適用で満足であれは、改悪の共済組合に賛成するわけがないでしょう。改悪でなくして、皆さんが望んでおるとおりに、これも全部満足をしていらっしゃるかどうかそれはわかりませんけれども、いずれにしても皆さんが非常に喜んでおられるような方向にこれは変わったのだと私は解釈するのです。ですから昔こうであったからということは長官がおっしゃらなくたって、だから恩給法の改正で改正していくのだから、たとえ夫が健在であっても、妻の収入によって家庭の生計を大きく保っておるというような家庭がたくさんあるわけなんですよ。でございますから、そういうような場合に、妻がなくなったという場合に不具廃疾でなければやらない、元気であればやらないということでは、いささかそこに私は納得がいかないと、こういうのです。今日、男女同権、民主主義ですよ。公務員にも何も差別はつけてないわけなんですよ。それを古い概念において男女に差別をつけようとするようなのがややともすればあるから問題なんです。だから問題になっておる。ですからそれはいま長官がおっしゃるように、いま直ちにそれをどうするということは自分としても言い切れない。それはそのとおりでしょう。何でも問題になって、それがそのまま右から左に即決できればこれは問題がないですけれども、これは一考も二考も要することだと私は思うのですよ。今日そういう声がたくさんあがっているのです。私どもがこうして皆さん方にお話し申し上げることは、単に私個人の考えで申し上げているのではない。いまの長官のお話では、ちょっと私は耳はじくことばがあるんだな、これは国民の税金だからというのは。それは国民の税金であることはわかっていますよ、どれでも全部そうなんです。しかし国民がそういうことを要望していらっしゃるから私は申し上げておるのであって、だれもこんなことを言わないことを私言うわけがない。だから、君の言うことに反対の立場はとらぬけれども、君の言うこともよくわかるが、いますぐにどうということはできない、これは将来大いに検討しょう、大いに考えようとおっしゃればわかりますけれども、これは昔の恩給法できまっているんだからどうだとか国民の税金だから簡単にいかぬとか、そういうことは私は長官の答弁としては受けとめられない。たいへん賢明な長官の答弁としては私いささか不満です。きょうはそこにおすわりになってだいぶお疲れぎみであるかもしれないが、もう一度長官のお話を承りたい。
#6
○平川政府委員 それでは私から制度的なことを兼ねて御説明申し上げたいと思います。
 恩給法が大正十二年にできましたときに、七十四条に夫につきましては不具廃疾にして生活資料を得る道がない者につきまして扶助料を給する、こういう規定がありまして、現在まで変わってきておりません。それは実は御承知のように、恩給法は先ほど申し上げましたように既裁定恩給がほとんどでございまして、新たに権利を取得するという人は傷病恩給の一部を除きましてはほとんどないということでございます。そういう意味も兼ねまして、実は恩給法と共済制度との相違というものはいろいろいわれております、内容的に検討いたしましていろいろ相違点がございます、基本的なことはやめまして、この問題につきまして先生が御指摘になりましたようなことを若干申し上げますと、確かに共済におきましては妻と夫は同じ条件でございますが、片方におきまして、先ほど先生も御指摘になりましたように、やはり共済制度は収入の面が一つの制約になっているんです。ところが恩給におきましては、普通恩給以外につきましては停止制度というものはない。こう旧いうことで一長一短と申しますか、そういう言い一方が適当かどうかわかりませんが、制度それぞれの特色は違うと考えておるわけでございます。
 ところで、いま申し上げましたように、夫につきましては不具廃疾にしてかつ生活資料を得る道がないという非常に厳格な条件がついておったわけでありますが、先生がいわれました趣旨等、お話も含めまして、かつまた審議会の答申におきましてはこの条件を緩和することが適当であるということでいっておるわけであります。緩和する場合に、やはりどういう条件がいいかという判断の問題であるとは思いますけれども、やはり妻がなくなった場合におきまして、たとえば教職員等におきまして妻がなくなったような場合におきましても、夫が不具廃疾である、七項症以上程度の傷病をいいますけれども、そういう人につきましては、やはり何らかの相当程度の打撃を受ける、そういう人につきましては配慮をするのが適当であろうというのが審議会の答申でもあり、われわれの考え方であります。
 以上経過を御説明した次第でございます。
#7
○鬼木委員 あなたの御説明で大体わかりますけれども、しかしこれは非常な矛盾があるんですよ。恩給を取っておる方はこれは適用されない。ところが共済組合に入っていけば、将来は御主人が収入が少なければ、たとえ元気であっても収入が少なかった場合には扶助料は渡る。ところが恩給のほうだったらそうはいかない。これは大きな矛盾があるんですよ。両方にまたがった人は非常に気の毒になるのです。恩給から共済組合に移った人は非常にいいけれども、そのままの人は非常に損ということになる。そういう矛盾が出てくるんですよね。これは恩給から共済組合にまたがっていく人はたくさんおりますからね。そういう人は非常な恩恵に浴する。あるいは奥さんがまだ健在で公務員をしておる、御主人のほうが早く何らかの関係でやめた、いままでやっておったがやめて収入がもうずっと少なくなってしまったというような場合だったら、共済組合でやったら、もらえるのですね。恩給のほうでやったら、ぐあいが悪くなければ、廃疾でなければもらえない。こういうことになるのですよ。そこのところで共済組合が、そういうふうに非常に民主的に合理的に変えたという根本精神は、やはりあとの生計ということに非常に重きを置いたのだと思う。しかも恩給法にもはっきり載っておるでしょう。恩給法にもはっきり精神が載っておるのですよ。「公務員及其ノ遺族ハ本法ノ定ムル所二依リ恩給ヲ受クルノ権利ヲ有ス」、恩給を受ける権利を有しているんだから、当然扶助料をもらえる権利があるわけですよね。扶助料というものは、恩給があるから、恩給に対して扶助料というものが生まれるのですから、恩給という前提がなくて扶助料というものがぱっと生まれてくるわけがない。そうでしょう。だったら恩給をもらえるところの権利があるのだから、当然扶助料は行くべきじゃないのですか。そこを合理的に共済組合のほうでは、夫の収入がずっと多ければそれはそれでいいけれども、収入が少なかった場合はと、こうなっているのですよ。なお共済組合のほうは、たとえ元気であろうが不具廃疾であろうが、それは関係ない。そういうところをもう少しお考えいただかないと困ると思うのですがね。恩給審議会のほうから答申云々ということを言われましたけれども、恩給審議会の答申がどうであろうが、それはむろん尊重しなければならぬことは当然です。だからそのとおり今度やっておられるのだけれども、恩給審議会がやってはならないということもあなた方はやっておられるのです。それはまたあとでお聞きしますけれども、好ましくないということをあなたたちはやっておられるんだから、それはどのようにお考えになりますか。
#8
○平川政府委員 実は先生御指摘になりましたように、昭和三十四年、国家公務員につきましては恩給制度から共済組合に移行したわけであります。その場合に前提といたしまして、すでに公務員であった者の権利をそのまま共済としては保障するということになりました。したがいまして、共済制度をいまの時点で見ますと、三十四年以前から恩給公務員として在職していた者につきましては、いわば木に竹をついだというような感じにもならないことはないわけであります。したがいまして、それぞれの既得権を保障するがゆえに、若干時代をまたがりまして、処遇において相異なるということはやむを得ないことと考えます。たとえば一例を申し上げますと、現在の共済制度によりますと、五十五歳にならなければ年金を給付されないということになっていますが、恩給期間を持っている方につきましては五十歳でも恩給年金に相当する部分は給付されるというような形になります。そういうぐあいに、これは一例を申し上げたわけでございますが、既得権を尊重するということ、給付制度そのものをそのまま持ってきたためにそういったことも十分考え得るわけでありますが、ただ、やはり社会保障制度の保険給付形式である共済組合制度と恩給制度というのは、やはり基本的な考え方におきましては明確な差がある、こう考えざるを得ませんし、そういう古い制度をそのままの形で持ってきた共済組合というものにつきましては、細部の点においてはいろいろ彼我、得失と申しますか、相違点がかなりあるということは御理解いただきたいと思うのです。
#9
○鬼木委員 それは共済組合と恩給法とが全面的に一緒だとは言いませんよ。同じだったら二つつくる必要はないんだから、そんなことはもう当然わかり切ったことで、性格も違うことはわかっていますよ。それはわかっていますけれども、女性であるがゆえに、なくなったら扶助料をやることに対して条件をつけるということに私は納得がいかないということなんです。公務員として、三十年なら三十年、二十五年なら二十五年を営々としてつとめたということに、男子がつとめたのと何ら変わりはないじゃないですか。恩給を受給する当然の権利があるじゃないですか。恩給法第一条によってそれが書いてあるんです。ところが、なくなったらそれをやらない。そこにどうしても非常に合理性を欠いている。なぜそこに男女の差別をつけるか。これはひとつ十分検討していただきたいのです。寂として声がないがどういうわけですか。じゃあ長官……。
#10
○山中国務大臣 感情としては鬼木委員の言われるとおりであると思って聞いておりますから、寂として声がない。しかし、この法の成立の過程、発足以来の沿革を振り返ってみて、ここでまた新たなる資格を付与するという問題については、単に不興廃疾の条件を拡大するというものと根本的に違いますので、したがって、それを、では、来年は考えましょうというようなふうに端的に申し上げるわけになかなかまいらないという点が存在しておるわけでございます。しかし、鬼木委員の言われる御意見というものは、言われる立場というものを越えて、これはやはりそうあってもおかしくないではないか、差別しているのがおかしいではないかという、共済の現在の時点における制度を踏まえての御議論でありますから、それは寂として声がないのがほんとうでありまして、それが暴論だとは言えないわけなんです。しかし、それを実行する場合においては、なかなかここに、古い法律であった恩給法の制度の中で新しいものを付与される、権利を取得するという問題につながりますので、簡明直截に賛否を表明できないという立場にあるわけでございます。
#11
○鬼木委員 長官にそういうふうにイエスノーがはっきり言えないと言われれば、あとの方はこれは何とも言われぬと思うのですが、それをここで無理やりに言わせようと思ったって、それは時間の問題で、あと採決をせいている、こういうような状態で、まことに進退きわまってしまったのですが、しかし、この点は来年はどうだこうだじゃなくして、はっきりいま私はここで皆さん方の言質をとろうとはしないけれども、これはひとつ本気で検討、研究はしてみていただきたいと思うのですが、そういう点もお約束はできませんか。
#12
○山中国務大臣 これは大体数はそう多くはないと思いますし、ことに、こういうケースの場合は、女の先生あたりのケースがわりと多いのではないかと思います。したがって、この問題についてはその実態、それらについて調査をいたしましょう。そしてこれについて、恩給法のたてまえからいってはたして御意向どおりに沿い得るものであるかどうかも含めて検討さしていただきます。
#13
○鬼木委員 そうした答えが出ればまことに私もいいと思います。
 次に、旧軍人等に対する一時恩給の支給についてでございます。
 これは旧軍人等に対する恩給処遇の改善ということでは私もいろいろ問題が残されておると思うのですが、ことに、この不合理、不均等という点では確かに問題があるように私は思われる。今回改正されるところの旧軍人等に対する一時恩給の支給の中で、これも私のところに陳情が来ておるわけですが、実在職年が三年以上七年とこうなっておるわけですが、下士官については在職年一年以上の者またはその遺族に対して云々、ところが、その当時の、昭和二十八年の旧軍人恩給がちょうど復活したときと思いますが、一万円ベースということで計算し、また、扶助料なんかは支給するとこういうことになっておったと思うのですが、ところが、私は、この資格を「下士官以上としての在職年が一年以上の者」、こうしてあるが、当時の下士官の問題ですが、終戦直前ですか、これは聞くところによるので、私が別に確めたわけでもなければ、当時の軍籍に身を置いておったわけでもないのですけれども、相当多くの人が異常的に下士官にみななったというような話があるのです。下士官へ任官をされるのが異常であったというようなことも今度この陳情書にも書いてあるのですが、そこで、一般の兵に対してもこれは支給すべきじゃないか、こういう問題でございますが、最初私が申しましたように、一万円ベースによって計算した、ここにも私は問題があるんだ。一時恩給を昭和三十八年当時の仮定俸給によって算出するということは、私は、これは恩給法の規定から、あるいはまた、今日の貨幣価値、経済ベースという、ような点から考えても、これは適当じゃないと私は思う。そういう点についてどういうふうなお考えを持っておられるのですかね。
#14
○平川政府委員 まず第一点の下士官としての在職年の問題でございますが、御指摘になったのはおそらく、陸海軍において終戦当時任用のしかたが違う、そのことによる不公平がないかという御趣旨かと思いますが、実はこの条件の中に、実在職年が三年以上であり七年未満であるという条件のほかに、下士官としての在職が、これは加算を入れていいわけですが、一年以上なければならないということになります。そういたしますと、ポツダムで下士官になったというような人は該当しない。したがってその点における不公平は生じないということでございます。
 それから、第二点の給与ベースの問題でございますが、実はこの法案におきまして、公職追放者に対する一時恩給をやはり支給することにしております。これはやはり三年以上七年未満の公職追放を受けた方の一時恩給の支給でございますが、これは明らかに恩給審議会の答申におきまして、追放解除時のベースで支給するということが書いてございます。そうしますと、このベースは昭和二十七年当時でございますから一万円ベースでございまして、やはり軍人と文官との給与のバランスを考えますと、いわゆる軍人における給与可能の時期と申しますと、結局二十八年の一万円べースということになりまして、そういうことからも考えまして、一万円ベースで給するというのが恩給審議会の全体の考え方であるというようにわれわれは考えておるわけでございます。そういう考え方で処置させていただいたわけでございます。
#15
○鬼木委員 いまあなたのおっしゃったように、これは陸海軍は多少違っておったかと思いますけれども、資格者を下士官以上として、しかも下士官としての在職一年以上の者としておる。ところが、いま私が言いましたように、いまあなたもちょっと答弁されたようですが、終戦当時とかあるいはその後におけるところの下士官への任官というものは、全般的に非常にはなはだ異常であった。だから、多量にできた。しかもこの加算されておった加算の年数も除外されておった。こういうことを考えたならば、一年以上の兵にも私は支給すべきだ、こう考えるのですよ。ぞろぞろやってしまったんだから、ほとんど同じなんだから、そこにはっきりした区別はないんだから。ただ、そのときに、それになりそこなった兵は非常に気の毒なんですね。これはむしろ考えようによっては下士官も兵も同じであって、考え方によっては兵のほうが軍務に対しては非常にきびしい面が私はあったと思うのですよ。ですから、これらの点から考慮しても、兵も下士官と同じように支給すべきだ。また旧軍人及び遺家族等に対するその恩給処遇の問題が、先ほど私が言いましたように、戦後二十五年も経過した今日、旧文官等に比較して著しく差別扱いをされておる、私は非常に不公平だ、こう思うのですよ。これは今度の改善の措置として、実在職が三年以上七年未満の軍人に対する一時恩給、こうなっておりますが、これらの処遇の不均衡を私はぜひこの際是正してもらいたい。そして、兵にも支給してもらいたい。このように考えるのですが、これはどういうふうに……。いまの御答弁ではすこぶる簡単で、事務的で、もう少しはっきりわかるようにひとつ御説明願いたい。私が納得するように。納得できないのですよ、これは。
#16
○平川政府委員 御承知のように戦前の恩給制度におきましては、下士官以上の軍人でなければ一時恩給が支給されなかったわけでございます。それがまず第一点でございます。なおかつ下士官として一年以上在職したことが条件になっております。今回措置いたそうとするものは、実在職年が三年以上七年未満の下士官以上の軍人であって、かつ下士官としての在職年が一年以上でなければならない、こういう条件がございます。その実在職年としては三年以上七年未満の下士官ではございますけれども、下士官として在職する一年以上は加算を入れてもいいわけでございます。したがいまして、ポツダム伍長といいますか、そういう下士官でございますが、幾ら加算を入れましても一年以上の在職年にはならない。そういう意味におきまして、バランスを欠くということはないと考えます。
 もう一つ、兵に対する問題でございますが、先ほど私が申し上げましたように、戦前におきましては、兵に対する一時恩給はなかったわけでございます。そういう戦前の制度になっております。
#17
○鬼木委員 下士官以上でなければ恩給の資格がない、そんなことはわかっているから、それで私はいまお尋ねしているのですよ。これは文官だって昔は判任官、それから高等官以上は奏任官、勅任官、親任官こうあったわけです。判任官以上でなければ恩給はつかない。昔、雇員といったのですが、雇員などというのはこれはつかない。ところが兵隊は下士になれば判任官、少尉以上が高等官、高等官八等。そのくらいのことは私知っておるのですよ、あなたがおっしゃらなくても。かえって私のほうが詳しいかもしれぬ。私はその当時高等官だった。ですから、そんなこと聞いているのじゃありませんよ。そんなことを聞いているのじゃない。当時は異常に下士官にどんどんしたから、兵とそこに差別はないじゃないかとそれをお尋ねしているのですよ。長官が最初言われたこと、それをまねして、何とか何とか言うて、一つ覚えというが、そればっかりあなた……。そんなこと私は知り過ぎていますよ。そんなことを聞いているのじゃないのだ。当時の情勢からして一万円仮定俸給というのはこれはおかしいじゃないか。それから、兵が下士官になるのは、その当時ぞろぞろ、ばたばたなってしまっているのだから、ならない兵との差別はほとんどなかったじゃないか。これはきょうの、あとの附帯決議にも載っていますよ。これは私が言おうと思っていることだ。「旧軍人に対する一時恩給の支給に関しては、引き続く実在職年が三年以上七年未満の兵に対しても、前向きの検討を加えること。」と、私が考えることをもう先にやっている。それをいま初めて聞いたような顔をしないで、もう少しはっきり答弁してくださいよ。
#18
○平川政府委員 実は、先ほど先生が言われましたように、恩給法では、公務員には恩給を給するということでございますが、問題は給するしかたにつきましても人によって若干条件を変えているということでございます。したがいまして兵にも普通恩給が給されるわけでございます。戦前におきましては一時恩給は兵には給しなかったということを私は申し上げただけなのでございます。さらに説明申し上げますと、実は恩給審議会の答申におきましては、やはり下士官以上の軍人で三年以上七年以下の実在職年を持つ者について措置すべきであるということをいっております。現在は昭和四十四年から三カ年計画で恩給審議会の答申を実行中でございますから、そういうことを申し上げただけでございます。
#19
○鬼木委員 だから結論として、これは兵にまで支給するというように大いに検討していただいて、実現方に対して努力していただくのですか。まず長官にその点ひとつお尋ねしたい。
#20
○山中国務大臣 これはいずれ附帯決議で若干、全部の兵という意味ではありませんが、新しく第一、第二項に加うるに第三項ということで入るようでございますので、おそらく全会一致になると思いますが、政府としてはそういう議院の決議については尊重の上検討しなければならぬと思っておりますから、鬼木委員にここで検討いたしますと言うのも附帯決議の際に言うのも同じでございますので、願わくは御進行を賜わらんことをお願いします。
#21
○鬼木委員 いま長官のおっしゃるとおり全部の兵について言っているのじゃないですから、三年以上七年、こういうことになっておるわけですから、その問題は大体わかりました。
 では、その次にお尋ねをいたしたいことは、職務関連の罹傷病者に対する特別傷病恩給の支給ということでございますが、旧軍人が本邦等においてその職務に関連して負傷しあるいは疾病にかかる。これがために死亡したというような場合には特別扶助料として遺族に渡されておったが、今回生存者にも支給する、こういう制度であるようですが、増加恩給または傷病年金の七割五分相当の特例傷病恩給を支給する、こうありますが、これはどなたかお聞きになったように私も記憶しておりますが、七割五分という算定基準ですね。どうしたことの根拠によって七割五分と御決定になったか、その点を明確にひとつ承りたいと思うのですね。
#22
○平川政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、実は昭和三十一年に、内地等におきまして旧軍人が職務に関連し受傷、罹病した、その結果死亡した者に対しましては、その遺族に公務扶助料の七割五分に当たる特例扶助料という、われわれ俗に特例扶助料といいますが、そういう年金を給しておるわけであります。ところが御指摘のように、死亡者の遺族に対しては給しておったわけでございますが、受傷、罹病して現在まで生存しておられる方には措置がされていなかったわけでございまして、これは給与の公平上おもしろくないということで、公平をはかるために生存者に対しても給しようというものでございますが、七割五分の根拠は、先ほど申し上げましたように遺族扶助料の場合は公務扶助料の七割五分を給しておるということで、やはり職務関連の増加恩給ないしは傷病年金になりますから、それで本来の増加恩給及び傷病年金の七割五分をそれぞれ給しよう、こういうことでございます。
#23
○鬼木委員 ところがここに本邦、それから朝鮮、台湾、満州とあるが、この点についてちょっと私意外に感ずるのですが、当時本邦と朝鮮あるいは台湾、満州というものが何か変わりがあったのですか。内地発病と同じでなければならぬはずでしょうね。ところが「本邦、朝鮮、台湾及び満州等の地域における在職期間内において」と、これは内地発病と、内地とは書いてないですが、同じでなければならぬはずです。当時は内地も外地も全部日本と解釈していいのじゃないかと思うのですがね。だから内地発病と全部一律にすべきだ。それを七割五分。むしろこれは当然十割にすべきだ。朝鮮、台湾、満州は内地とどこに変わりがあるか。差別はないわけじゃないか。全部当時は日本人であるはずだ。どうですか、その点。
#24
○平川政府委員 ちょっと詳しく御説明申し上げますと、この地域は、特例扶助料で、政令で指定されておるわけであります。内地それから台湾、朝鮮、樺太、満州等をいっておりますが、逆にいいますと、戦地以外の地域をこのような職務関連の遺族扶助料として三十一年に給したわけでございます。したがいまして、内地、朝鮮、台湾それから満州等は同一に取り扱っております。要するに、これは御承知のように大東亜戦争以降でございますから、昭和十六年十二月八日以降の受傷、罹病に限っておりますから、それ以外の、戦地以外の地域を包括的に指定したわけでございます。
#25
○鬼木委員 だから私は七割五分ということに対しては納得がいかないのですよ。当然十割にすべきだと思う。何もそれを変える必要はないと思うのですよ。そこをどうしてそういう差別をつけたか。七割五分としたその的確な、明確な根拠ですね。いままでそういう点について論議はあっておったかと思いますけれども、そういう点についてはもう少しはっきり納得のいくような説明はできませんか。
#26
○平川政府委員 本来恩給法におきましては、公務扶助料あるいは増加恩給、傷病年金を給する場合におきましても、公務に起因し受傷、罹病するということが書いてございます。これは公務が受傷の原因である事実と現在の症状との間に社会通念上相当因果関係がなければならないということになっております。したがって、本来の恩給法にはいわゆる本来の公務の考え方しかなかったわけでございます。ところが昭和三十一年におきまして職務関連の遺族扶助料という制度をつくったわけでございまして、これはいわゆる本来公務ではなくて、職務に関連する受傷、罹病であるというようなことで、実は七割五分を給するという一つの政策を打ち立てたわけであります。今回はそれに対する、生存者に対する処遇ということになるわけでございます。
#27
○鬼木委員 いや、事実現に受けておるところの非常な精神的、あいは身体的、心身ともに非常な苦痛を感じて、さらに通常社会生活といいますか社会的活動といいますかそういう面においても稼働能力の非常な減退ということを考慮したならば、何も私は傷病者と遺族との間に処遇を異にする理由はないと思うのですよね。当然現に受けておるところの傷病者を十分に優遇すべきである、この点からも私はあくまでも十割支給ということが妥当だ。何がゆえに七割五分というそういうことでやったのか。どうしても的確な本質的な理由が私にはわからないんです、どうもあなたの説明では。単なるこれは経過やいきさつだけであって、こういうことを決定された根本精神がわからない。それをもう一度ひとつ。
#28
○平川政府委員 この職務関連の受傷あるいは罹病でございますが、本来の恩給、少なくとも昭和三十一年以前の恩給制度におきましては、公務扶助料あるいは増加恩給、傷病年金を給されなかったものでございます。したがいまして、恩給法の処遇の中に入ってこない部類に属する傷痍疾病でございます。それをわれわれといたしましては遺族の実態等を考えまして、昭和三十一年には職務関連という新しい考え方を打ち出しまして、しかし給与上におきましてはやはり本来公務と区別するのが適当であろうということで、七割五分という制度を打ち出したわけでございます。そういうことでございますから、本来ならば恩給のワクに入ってこなかったであろうと思われる傷痍疾病につきましてのいわば特例的な一つの優遇方法であるというように考えていただきたいと思います。
#29
○鬼木委員 では、いまあなたの説明では、いままでは何らこれに対しては措置がなかった、しかしながらそういう人たちを今度新たにこういうことをするから、だからほぼ七割五分ぐらいでよかろうといったような、ばく然とした根拠のもとにやられた、かように解釈してよいのでございますね。
#30
○平川政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和三十一年の特例扶助料の額が本来公務の公務扶助料の七割五分になっております。そういうことで、それとバランスをとる上におきましても、生存者と傷病者につきましてもやはり七割五分を支給することが適当であろうという考えに立っておるものでございます。
#31
○鬼木委員 ようやく数的に多少初めてわかりましたが、これは将来また出しますから、何回でも出しますから、きょうは時間の関係でこういう事情を追及しても労してあまり効果がないかもしれぬから、これはまた次回には必ず私は十分ひとつ検討してもらいたい。
 次に、この恩給外所得による普通恩給の停止基準の緩和、こういうことです。これは六十三国会であったかと思いますが、長官にもお尋ねしてだいぶいろいろここに御答弁いただいておるが、こ・の制度は、答申にもあるようですが、昭和八年当時における異常な緊縮財政の要請により、恩給費節減の一方法として特に設けられたものであるということを、長官もおっしゃったし私もそれの被害を受けた一人である。私は濱口内閣の緊縮財政で当時月給を下げられたんだから。そこでこの答申にも「昭和八年当時における異常な緊縮財政の要請により、恩給費節減の一方法として特に設けられたものであり、年金制度本来のあり方から見れば異例の措置ともいうべきで、現に被用者年金でこのような制度をとっているものはない。また、今日ではこの制度を存置しなくとも税法上の措置によってほぼ目的を達し得るものであるとともに、この裁定に要する事務手続はすこぶる煩さであり、行政事務の能率化の観点からもこれを存置する必要性ははなはだ乏しい」このように答申があるんですよ。まことに答申はあざやかなみごとなものである。これは恩給外所得による普通恩給の停止ということはまさに異例の措置であって、この審議会の答申を見てもこれは一日も早く撤廃すべきである。長官に開いて見せてあげなさい。そのために横におるんでしょう。だからもう恩給審議の答申でもはっきり言ってあるんですからね。今日の制度を存置しなくとも税法上の措置によって目的を達しておるではないか、それを何がゆえにいつまでもいつまでも、しかもこの裁定に要するところの事務が非常に煩瑣である。これは行政簡素化という点からも十分再思三考すべきことなんですね。行政事務の能率化という点からもこれは当然考えなければならない。それをじんぜん今日までいつまでもそのままにしておく。だから今度少し緩和するようにしたんだ。そういう毎年毎年牛歩のごとく、前進は前進かもしれないけれども、そういうびほう的な態度では、これは国民は承知できませんよ。長官もこの前おっしゃっているんですよね。だから私もここへ議事録を持ってきているんですよ。これは私もこの前に御質問したんです。長官は「基本的な問題としては、私の在任中に片づけることはあるいは困難かと思いますが、」――非常に消極的だな、これは。「このような考え方に近づける努力はしたいと考えます。」日ごろの積極的な闘志満々な山中長官としてはいかにもこれは消極的ですな、お考え方が。これは恩給審議会にも言ってあるんだ、引き受けました、万難を排して私はこれは必ず解決いたします。こう言ってこそ山中長官の面目躍如たるものがある。その点いかがですか。
#32
○山中国務大臣 これは答申のあとのほうも読んでもらわぬと困るのですね。「したがって、さしあたっては少なくともその停止率を制度創設当時の率に改めるとともに、その停止基準額についても、制度創設当時の額を基礎として今日の貸幣価値にしたがって引き直すよう改めることが適当である。」、これは明快に答申が出してございますから、そのとおりの改正内容を予算化し、法律化して提案いたしておるということでございます。
#33
○鬼木委員 たいへん長官うまいことをおっしゃるけれども、これは逆ですよ。答申は、はっきり本質的な問題はぱっと前に打ち出して、これをいま直ちにばんとやれといっても、これは山中長官に特定したわけじゃないでしまうけれども、まさかみんなようやらぬだろうからと遠慮してこれは書いているのですよ。それをいいことにして――私はここに全部赤まるをつけて書いているのだから、最後まで読んでもらわぬと困ると言って、読んでいますよ、私だって。そういう抜かったことはいたしませんよ。むしろあなた方に仕事がやりいいように、これ言ってもとてもできぬだろうと……。だからこれは審議会、非常に考えて答申を出しておる。前もって本質的な、こうあるべきだということはばんと出しているのだ。もうそういう必要はない、これをとるべきところの理由は乏しいということをはっきり出しておる。だがしかしいつまでもいつまでも山中長官が総務長官であるわけでもなかろうから、山中長官ならできるけれどもほかの者には無理かもしれません、これは言外にこういう考えを持っておるのですよ。そんなことがわからないで、まだ長官も若い。もう少し国民のほんとうの真意を把握しなければ、こういうことをおっしゃったんでは、…。じゃ答申答申とおっしゃるけれども、答申でやっていけないということもあなた方はやっておられるのだから、それはまたあとで出てきますけれども、だからそういうことを私は責めているのじゃないけれども、これは当然あなた方考えらるべき問題なのですよ。どうですか、何か話がまとまったらひとつ。
#34
○平川政府委員 われわれも先生の言われるとおり、恩給審議会の答申をよく検討しております。そこで実は経過をちょっと御説明申し上げますと、先生の言われたとおりでございますが、その後昭和十五年におきましても、実は最初二割だったものが昭和十五年に三割に強化された、それから昭和三十三年に五割まで強化されて現在に至っておる。こういうふうに逐次強化されたような経過をたどっております。そういうことでございまして、実はやはり当初の二割までさしあたってやるのが適当であるというので、われわれといたしましてはこの線に沿って措置したわけでございます。確かにその恩給審議会の答申に書いてございますように、他の年金等におきましては、こういう制度はないわけでございまして、いわば恩給法特有、これは昭和八年に初めてできた制度でございますけれども、現在まで約三十年以上経過しておる制度でございまして、それを八年当時にさかのぼって二割にしようということでございます。
#35
○鬼木委員 だから私が毎年毎年少しずつ少しずつ――あなたいま経過を申し上げますと言われた、それを私は知って申し上げているのです。そんな一年刻み二年刻みでわずかずつ、微温的なことをやらないで、これこそ勇断をもってやるべきだということを申し上げておる。長官のおっしゃるとおり、これはもうこういうふうに答申してありますけれども、私が申し上げましたように根本的な、本質的な原則論はぴたっと出ているのだから、それを前提にお考えになるべきだということを申し上げている。だから、いままであなた方が全然やっておられないということは言っていないのです。そういう消極的な微温的なことではいけない。審議会のほうも租税の措置によって財政的には何ら関係ないということを言っている。こういうことが出ているのだから、今日普通恩給を停止するところの理由はすこぶる薄弱だ、乏しい。あとの問題はつけたりであって、そのつけたりをわが意を得たりというようなことで長官がだんびら振り回すようなことを言っても、そんなことは児戯にひとしい。どうですか、もう一度。
#36
○山中国務大臣 この精神は確かに先生のおっしゃるように、こういう昭和八年の緊縮財政で、本来権利として取得すべき恩給に対してまで節減の一方法を加えたということについて批判をしておるわけですから、先生のおっしゃるところの精神をもって答申をしておると思います。しかしさしあたりはその当時の制度まで戻らないと、それがさらに制限が加えられていることは問題だ、さしあたりはそこまで戻りなさいということを言っているわけであります。また一方、その精神の一つにはその後のわが国の所得税制度というものが累進高率課税ということによって実際上もう果たされているのだから、現在においては昭和八年の考え方というものは本来の恩給法の精神にも反するし、実際上の所得に対する負担という意味においても、租税の上でその思想は今日成り立っているのだからということが書いてございますから、精神はまさに先生のおっしゃるとおりだと思うのです。しかしながらここで、先生のおっしゃることは大部分がごもっともな点でございますので、それを全部予算化を単年度にしてみろと言われても、これは容易なことではございません。したがって三カ年計画でもって答申項目の明確なものについて、その限度において八項目、八項目、十項目というふうに、ことしをもって一応答申に関する限り明確なものは二十六項目について終わるという姿勢をとっておるわけでありますから、それらの御論議については決して論議されていることが空疎な議論にはならない。したがって私たちは、やはり過去の古い恩給法というものが残っていて、そのための受給者が年々減っていくことになっておりますけれども、存在しておる以上はやはり現状から見てふさわしいもの、しかもまた恩給法の精神、制度に照らしても盛り込み得るものというものに対する議論あるいは検討、あるいはこれに対する見直しというものは今後も行なっていかなければならぬ。しかしことしまでの三カ年計画というものは、答申において明確にされた二十六項目の完全なる遂行にあったということでございまして、その意味では一応全体として、私どもの審議会の答申に対する予算上の約束ごとを果たしたという意味においては、予算を四十六年においてさしあたりは当面の明確な問題について終わったということをいえるかと思うわけでありますので、その精神は先生のおっしゃることを否定するものではありません。
#37
○鬼木委員 ここに私議事録を持ってきていて、ずっと読もうと思っておりましたけれども、時間の関係でそれはやめますが、その点はひとつ将来もなお前向きで検討していただきたいと思います。
 そこで次にお尋ねしたいのは、これも前国会で長官にお尋ねをして御返答いただいたのですが、この実施時期の問題ですが、実施時期の変更についてはどうしてもお考え直すお気持ちはないのかどうか。山中長官は、「これは四月一日が望ましいことは申すまでもありませんが」云々、そして「いまのところ十月ということがむしろかえって時宜に適しておるように考えておる次第でございます。」これは中は省略したのですが、この前こういうふうに答弁されたのですが、四月一日実施ということはもう少し検討はされないのですか。これはもう十月が一番いいのだ、最高だというふうにお考えであるのか。気持ちとしては四月一日が望ましい、こうあなたはおっしゃっているんだが、そういう点については事務当局あたりに検討なんかさせられましたのか、それとも全然何も考えておられぬのか。その点ちょっと。
#38
○山中国務大臣 国会における御意見でございますから当然検討を命じました。これについては事務的にたいへんな数の受給者の証書の書きかえその他の作業等も要りますし、その前提には予算できめたものについて改正法を国会に提出をして、それをきめてもらわなければならないわけであります。したがって、こうして議論している現在ももう五月でございますし、国会の意思が最終的に決定いたしましたあと作業を開始いたしますので、どうしても十月実施でそれが通年化されていくということしか事務的に手段がとりようがないということでございましたので、やはり恒例に従うのはやむを得ないであろうと私も考えまして、今回も十月実施という年額改定を行なったわけでございます。
#39
○鬼木委員 予算の操作の上から四月にさかのぼることはなかなかやりにくいというような御意見は、私も多少わからぬこともない。しかしこれとても解決の方法はあると思いますが、事務処理のために非常に数も多いし困難だということは私はちょっと納得できない。国民優先であるのか事務が優先であるのか。大衆はみな一日も早くという気持ちで待望しておる、待ちあぐんでおる。それなのに事務の繁雑のためにできないということは、ちょっと通りにくいのじゃないかと私は思うのです。国民の要望しておるところの恩給を支給していくその事務処理をやるのが恩給局であって、極論すれば、その国民の要望にこたえ得ないというそんな恩給局などは要りませんよ。当然国民の望んでおるがごとく、希望どおりに万難を排してやるべきが官庁ではないか、政府ではないか。長官のおっしゃることもよくわかります。それはよくわかりますけれども、私は話はわかっても実際はそういうことは承服できないですね。国民はみんな承知しませんよ。恩給証書の書きかえが忙しいとかできぬとか、だったら人間をふやしたらいいじゃないか。多くて余っているところもあるじゃないか。だからただ単に人間を減らすことが行政改革でもなければ事務の簡素化でもない。仕事の能率をはかっていくことが行政の改革であり事務の簡素化である。だから、できないところはできるように人員を配置すべきなんです。長官どうですか。事務が忙しい、事務的にできないということが通りますか。
#40
○山中国務大臣 これは、私が検討を命じたことがありますかという質問に対して、検討を命じ、私のところの下僚の責任者の諸君が実情をいろいろと私に説明をいたしまして、そして最終的には私自身が、やはり四月実施は困難であるな、今日までもずっと十月実施できているし、十月実施で予算を要求するしかあるまいという判断をしたのでございますから、事務当局が事務手続でとても間に合いませんからとかなんとかという理由だけで、たとえ六カ月でも受給者の権利というものを制限しようというような気持ちは、私も毛頭持っておらないわけでございます。
#41
○鬼木委員 だからそれは、そういうことの検討を下僚に命じられたことがあるかという私の質問に対する率直な御答弁であった、さように私も了解しますが、しかしもし恩給局のほうからそういうお答えがあったとするならば、長官としては、あ、そうかと言われるのは私はちょっとおかしいと思うのです。だったら長官はそれができるように、可能であるように機構を変え、組織を変えて、人員でもふやすとかいうことができるようになさることが長官のお仕事だと私は思うのですよね。とても仕事が忙しくてできませんよ、あ、そうかじゃ、これは長官のお考えはちょっとどうかと私は思うのです。だから私が申し上げたいことは、大臣のお立場としたら、じゃそういう煩瑣な事務処理ということはどういうふうにすればできるかということをお考えにならなければならぬのじゃないか。大臣の職権に私が介入し干渉するわけにはいきませんけれども、差し出がましいことを申し上げるのははなはだ恐縮千万でございますが、こういう点はこういうふうにすれば解決ができる、こういう点はこうすれば解決ができる、さすれば国民優先で恩給受給権者に対してはこういうふうなことができる、そして要望に沿うことができるというような点をお考えになったかどうかということをお尋ねしているんですよ。いかがでしょう。
#42
○山中国務大臣 もちろん、私は役人ではございませんから、当然政治家としてそういう角度から検討をさせたわけであります。しかしながら一方、国会において予算措置は一応じたとしましても、形式上じゃなくて実質的に国会においてその法律案が審議され、通過決定されて最終的に法律というものになりませんと支給はできないわけでありますし、それによって定まったものについて、三百万名に達する受給者の証書を書きかえて、それによって交付をするわけでございますから、単に事務当局を督励して四月以前に全部証書を書きかえておくというようなことをかりに逆にやるとすれば、これは国会の審議権をどうしてくれる、まだ審議しておらぬということに、逆に言えばつながるわけでございますから、やはり国会審議というものをきちんと終えた後にしなければならぬと思います。一方、人事院勧告等はさかのぼって五月からやっているではないかというような御意見もあるかもしれませんが、これは何も一人一人の証書を書きかえて交付をするというものではありませんで、その勧告を受けた予算を支給するため。法律を国会に提出して、それが通過したならばその繰り上げ支給が行なえるというケースでございますから、やはり恩給の場合には特殊な交付の形式という形を踏まなければならない。そのためには国会の意思の確定を待たなければならない。これはやはり尊重すべき前提であると思いますので、私の判断が加わってさようにしておるわけでございます。
 しかし長期的な展望から見ますると、大体十月実施の前年度の実績である公務員給与、率の問題は議論がありましょうが、物価等を勘案したアップについて十月から実施することがほぼルール化を見たいうことになりますと、これからあとはそれをいつ実施するか、あるいはアップ率を幾らにするかの議論にやはり入ってくるでありましょう。そういうものを考えますと、単に事務処理能力だけでもって、これを私は不可能でありますと言う意思はありません。したがって、国会の審議のあり方その他等も勘案しながら、将来についてはそういうようなことも、恩給受給者の数もふえていくわけではありませんし、やはりそういう権利というものが公平に守られていくように措置をするための研究というものはあってしかるべきだと、私も考えておる次第でございます。
#43
○鬼木委員 いま大臣の御答弁によって、これは私もたいへんむずかしい問題だと思うのです、実際の話が。しかしこれはときに触れおりに触れてひとつ十分御検討願いましょう、その程度でとめておきます。
 次に、元満州拓植公社員であった公務員等に対する恩給法等の特例制度のことでございますが、そういう請願がどんどん来ておりますが、本件に関しまして前々から大出議員さんも去る六十三国会でも取り上げておられるのです。ところが旧満鉄外八特殊法人の職員であった者にはその特例を適用する道が開かれておる。これはたしか四十三国会だったと思います。これは勤務を、当事の政治情勢から考えまして実質的には日本政府における勤務の延長とみなして特例措置が講じられた。処遇の公平を期したまことにこれはけっこうな、時宜を得たものだと私は思うのです。ところが満州拓植公社は除外してある。日満両国政府間の条旧約に基づいて設立された満拓であります。満鉄とほとんど同性格のものである。ところがいまだにその在職期間を恩給法等の在職期間に通算するという措置の対象外になっておる。これは旧満鉄ほか八特殊法人の職員と同様とすべきであると思うのですが、どうした理由によってこれは除外されたのか、差別ができたのか。これは六十三国会の大出先生の御質問になっているのも私は議事録で拝見しておりますが、これに対しても何ら的確なあれが出ていない。その点について明確な御答弁を承りたい。
#44
○平川政府委員 満鉄、満州電電等につきましては恩給通算の措置を講じましたときには、内地におきましてやはり満鉄それから電電、専売等の公社につきましては恩給制度そのものが全面的に適用になっておったという経過をそのまま満州国のその三公社等に適用したわけでございます。したがいまして、実は満州拓植公社等におきましては、これらの三公社と性格が違うわけでございまして、たとえば全く同種と思われる北海道拓殖公社等につきましては内地等におきましては通算の措置が講ぜられおりません。そういうことで実は恩給審議会の答申も現在以上の公社あるいは機関に新たに通算措置を講ずることは適当でないという趣旨も現在の段階においては出ております。そういう趣旨を体しまして、実は三公社等に限定して内地とやはりバランスをとる、そういうことで通算措置を講じてまいったようなわけでございます。これは現在までの経過を申し上げたわけであります。
#45
○鬼木委員 あなた、そういう答弁をされるからこんがらかってしまりのです。それは話が違う。簡単に、はいそうですかというわけにはいかぬ。何ぼ時間が来てもそういうわけにはいかぬ。恩給審議会の答申には、満鉄社員に対する恩給に関する問題――いまごろそんなものを出して、読むようじゃ話になりませんよ。公務員としての経歴を有しない満鉄社員に対し恩給を給するかどうかの問題、その問題に対して審議会は、「恩給制度は、公務員を対象とした年金制度であり、公務員の経歴を有しない者に恩給法を適用することは、この制度の趣旨に合致しない。よって、長期間満鉄社員として勤務した者であっても、これに恩給を給することは適当でない。」こう書いてあるのです。あなた、恩給審議会から答申があったからやった、答申は「適当でない」とある。しかるに満鉄は通算恩給を認めておるじゃないか。審議会、審議会――恩給審議会からこう出たからこうやっておる、審議会から出たからこうやっておる。全部審議会、審議会で、審議会でやってはならないということをやっておるじゃないか。それに満鉄と性格においても一切変わらないところの満州拓植は除外しておる。何がゆえにこれを除外したか。満鉄はやっちゃならぬというておるのに、やったじゃないか。ところが血を振りしぼるようにやってください、やってくださいということはやらない。しかも同じ性格のものである。これは大出議員が、議事録を見ますと、私が言うより以上に徹底的に、もっと合理的にもっとじょうずに、もっとうまく御質問なさっておるのですが、これを読んでも、これはりっぱな特殊法人ですよ。「公社ノ総裁及理事八日満両国政府之ヲ任命ス」とある。「日満両国政府ハ公社ノ業務ヲ監督ス」とある。そうして委員会を設置して、「委員会ノ経費ハ日満両国政府ニ於テ均等ニ之ヲ分担スルモノトス」これは満鉄と何ら変わりはありませんよ。同じ性格のものです。しかも同じ性格どころか、満鉄よりもこれは先にできているのですよ。昭和十二年から十年間、そうして満拓が一切おぜん立てをしたあとに満鉄が来ております。だから、満鉄はこれを適用していたことは非常にありがたい。私は心から喜ぶものであり、敬意を表しておりますが、極論すれば満鉄は残っても拓植のほうを先にすべきである。私に言わせれば、これは本末転倒しておる。あなたたちが答申にあるからなんて、何を言っているのですか。ほんとうに答申をお読みになっておるのかね。これは話にならぬじゃないですか。これはもうはっきりしておりますよ。「満州帝国駐剳大日本帝国特命全権大使 植田謙吉」「満州帝国国務総理大臣 張景恵」これでちゃんと条約が結ばれておる。当時の近衛総理大臣、広田弘毅外務大臣、そうして大谷拓務大臣、ちゃんと議定書が結んであるどれもはっきりと議事録に、大出先生がやっておられる。それをあなたたちは何がゆえにこんな片手落ちなことをやられるのか。まことに私は、私は別に拓植の職員でもなければ満鉄の職員でもなかったのだから関係ありませんけれども、国民としてこういうことは許すことはできない。私だけ一方的に言ったのじゃいかぬから、一応答弁してください。その答弁いかんによって私また質問します。
#46
○平川政府委員 私がちょっと誤解しておりました点がございますので、あらためて御説明申し上げます。
 実は現在満鉄等を通算しておりますのは、その前提といたしまして、前後に公務員期間がなければならないわけでございます。先生がおあげになった条項は、満鉄だけではやはり通算措置を講じないという趣旨でございます。そういうことでございますから、満鉄、電電専売等におきましも、前後に公務員期間があって初めて通算措置が講じられるわけでございます。御承知のように、私が申し上げました審議会の答申は実はその上の(8)を受けておるわけでございまして、「旧北支新民会および在外国策会社等の職員期間の通算に関する問題」というのがそれでございます。そういうことにつきましての答申が出ておりまして、この職員期間を通算することは適当でない、あくまでもこれらの問題は前後に公務員期間があるという前提のもとでのことでございますから、私その点説明を抜かしまして非常に恐縮でございますが、そういうことでございます。
#47
○鬼木委員 いや、それは当然ですよ。通算ということを言っておるでしょう。通算されるということはただ一カ所につとめたのが通算じゃありませんよ。むろん、公務員であって拓植公社に行ったとか、ある在籍公社から帰って公務員になったとか、その通算ですよ。そんなことはわかり切っていますよ。何も一カ所につとめて、恩給法を適用しろなんていうことを言っているのではありませんよ。ですから、「元満州拓植公社員であった公務員等に対する恩給法等の特例制定に関する請願書」、この内容にもはっきり通算のことが言ってあるのですよ。これは満鉄の場合にもそのとおりです。全部じゃないですよ。だからわずかなお人ですよ。四百五十名程度だ。いまあなたのおっしゃるように、両方にまたがらなければいけないから、わずかな人数です。向こうだけでやめたというのはこれは通算じゃないです。そんな答弁なんかだれも聞いているのじゃないですよ。なぜ差別をつけたかということを言っているのです。満鉄であろうが拓植であろうが同じ性格のものなんです。しかも満鉄や電電にはもう適用してある。それで拓植だけがはずしてある。何にも変わりはない。これははっきりした特殊法人です。だれが見たってこれに対するところの異論があるわけはないと思う。それをどうしてそういう片手落な、不公平なことをやったか。あなたのいまおっしゃっていることは、それに対する答弁にはなっていないですよ。それは拓植だけにおったのじゃいけません。こっちの公務員もなければ通算できません。そんなことはあたりまえですよ。それを私は尋ねているのだもの。あるいはこちらで公務員をしておられた方が向こうへ行かれたその通算措置なんだ。それを満鉄や電電はやっている。どうしてそういう片手落ちなことをしたか。あなたがやったわけではないだろうけれども、これは絶対に一日もゆるがせにできないことです。請願書を読んでもわかるのですよ。いま私がはっきり申し上げましたように、日満両国間におけるところのりっぱな議定書があるのですよ。協定なんです。どういうふうにお考えになりますか。長官どうですか。あなた、寂として声がないが……。
#48
○平川政府委員 先ほど私初めのほうにちょっと申し上げましたが、内地の公務員が北海道拓殖公社に行きましても通算にならなかったということを申し上げたかったのでありますが、それをちょっと説明が不足しましたので、あるいは誤解があったかと思いますが、例をとりますと、そういうように内地の公務員が北海道拓殖公社に行った場合におきましては、内地に通算が認められておりません。現在満州等におきまして通算措置を認められておりますのは、満鉄、電電、専売等のように、内地等におきましてもいわゆる公務員との通算措置を講じておる。そういう法人だけに限定したということを申し上げたわけでございます。恩給審議会の趣旨もそういうことで答申が出ておるということを申し上げたわけであります。
#49
○鬼木委員 しかし答申にはそう載っていないでしょう。これは不適当だと書いてある。それをあえてやっているでしょう。やったことが悪いと言っているのじゃない。私はやってもらいたい。それを満拓だけ除外しておるということ、これをどのように解釈されるか。ですから、先ほども言いましたが、これはたいへんありがたいことだが、附帯決議もきょう出ていますよ。これは、またあとで当然出るべきことなんですけれども、附帯決議も出ていますよ。こういうことは、あなた方がはっきりされなければ、さようは採決しませんよ。だから、これは超党派で考えていることなんですから、もう少しはっきりした、右顧左べんして答弁しないではっきりしたことを言ってくださいよ。
#50
○山中国務大臣 はっきりしたことを申し上げます。
 恩給審議会の問題で、一五ページ「ア 問題点
 公務員としての経歴を有しない満鉄社員に対し恩給を給するかどうかの問題である。」「イ 意見 恩給制度は、公務員を対象とした年金制度であり、公務員の経歴を有しない者に恩給法を適用することは、この制度の趣旨に合致しない。よって、幕期間満鉄社員として勤務した者であっても、これに恩給を給することは適当でない。」この「恩給を給することは適当でない。」ということを読んでおられるわけですけれども、その答えは、公務員としての経歴を有しない満鉄社員ということに対して答えているわけでありますから、先生の答申にないことをやっているのではないかということは明らかに誤解でございます。
#51
○鬼木委員 いや、わかりました。それは満鉄社員であっても、先ほど言われたように、公務員でなかった、ただそれだけで終ったというような人には適当でないということであると思います。しかしながら、公務員であって、そしてまた満鉄社員であったという人には通算されておりますから、だから拓植の職員にもなぜやらないか。同じ特殊法人じゃないか。特殊法人という性格には変わりはない。内容においては変わりはない。その点ですよ。
#52
○平川政府委員 確かに満州拓植公社も特殊法人ではございます。しかしながら、特殊法人として通算する部類に入るかどうかの判断は、先ほどから再々申し上げておりまするように、内地におきまして同種の通算されておるものに限ったわけでございます。参考までに申し上げますと、先生の御指摘になりました特殊法人は、実は康徳六年の監察令に満州国政府が監察できる特殊法人として六十六あげております。そういった中に満州拓植公社がございまして、おそらく満州のような新しい開拓地におきましては、かなり数多くの特殊法人をつくったということは想像にかたくないところでございます。したがいまして、特殊法人といいましても、事業内容等においてもあるいは異なるかもしれない、あるいは同一であったかもわかりません。しかしながら、私が申し上げましたのは、内地等におきまして恩給公務員の期間があって、通算されておる法人というもの、そういうものについてのみ満州における法人について認めたということを申し上げたわけでございまして、そのように御了承願いたいと思います。
#53
○鬼木委員 いや、あなたのおっしゃるのは昔のことであって、それは昔公務員と同じように恩給制度を適用しておったからそうである、こうあなたいまおっしゃっているのでしょう。しかし、それは現時点においては同じ特殊法人だったら、むしろそれは押し通ったのだから、だから、拓植は満鉄や電々と同じ内容を持った同じ性格なものであるから、特殊法人であるから、これを追加すべきだ、このように考えていくのが恩給法の改正であり、恩給法を合理化していくことじゃないですか。昔がこうだからどうだこうだ、それじゃ恩給法の改善、近代化、合理化ということは、いつまでたったってできないじゃないですか。だから私の言うことに対して、ただああだこうだ言わずに……。じゃ、この問題について、全然検討する考えもなければ、何とか努力しますというような気持ちがないのですか。それがなければ、きょうは法案を採決できませんよ、ほんとうに。もう一度やり直しだ。
#54
○山中国務大臣 採決される、されないは、委員会の御意思でございますから、そのことには私は意見はありませんが、附帯決議の案が、まだ上程はされておりませんが、一応手元にあります。その中に、ただいま問題になっている点が、「満州拓植公社等」ということではっきり出ていて、おそらく与野党一致の可決がされるものでありましょう。それに対しては、院の御意思に対して政府はそれを無視することはできませんので、政府の見解は、その際に当然予想されるような答弁をいたす予定でございますが、ただ、ここで附帯決議にあることを、先ほども三年以上七年未満の兵の問題で先生はお詰めになったわけでございますが、附帯決議に入っているならば、大体ここらでほこをおさめて、そして今後附帯決議について政府がどういう姿勢をとるかということでおやり願いたいと思います。
#55
○鬼木委員 これは大体前後して、附帯決議のほうが早く出ているかう、いささか勇み足のきらいがないでもないのですけれども、われわれこれは与野党一致した超党派の意見ですから、これを十分ひとつ検討してもらわないと……。ただ、ああだこうだと言って弁解ばかりしておっては困るんですよ、実際問題として。
#56
○大出委員 関連して。いまの満拓その他六十ばかりあるわけでありますけれども、この席においでになる方で関係の機関においでになった方まであるわけですけれども、これはいま鬼木さんからお話がございましたけれども、私も何回か取り上げてまいりまして、また資料等の提出要求もいたしましたし、また出してもいただきましたが、人員その他もできるだけ調べてみているわけです。ただ一つ問題は、審議会答申の中で私どもが考えている方向になっていない面がございます。そこで先般私が山中総務長官に何がしかの質問を申し上げたときに、今回出ている法案というのは、審議会答申の懸案として残っているものを十ばかりこれは最終整理をする法案である、だから、この際ひとつこの法案を上げて、審議会答申に基づくものの――もちろん、これは制度化が残っております、大きくは。しかし懸案事項というものは一応ここで決着をつけたい、つまり審議会がものを言ったことについての整理は、ここで全部終わったという形をまずここでとりたい、そして新たな問題ということで――なぜならば恩給というのは、三十幾つもの、議員立法までここにはあるわけでありますから、ある意味での過去の戦後処理式なものでもあります。そういう意味で審議会答申の整理は全部したが、なおかつまだ矛盾があるということになれば、これは新たな問題として満拓の問題なども、そのケースに入るわけですから、そういう角度でとらえてひとつ検討しようじゃないか、実はこの間こういうやりとりになって、総務長官からは、最終的にひとつ審議会答申の整理は全部した、その上に立って新たに問題を検討しましょう、こういう前向きの答弁さえも出てきているわけでありますが、いまのやりとりを聞いておりますと、それが後退したままで締めくくりになりますと、私が前に質問しておりますだけに、これは立場上困るわけでありまして、そこのところをひとつ御勘案いただきまして、先般私にお答えをいただいた御答弁を下回らないように、再度御答弁をいただいておきたい。そうでないとこの間のせっかくの答弁があと戻りをしたのでは困る、こういうように思いますので、関連質問させていただきました。
#57
○山中国務大臣 なるほど満拓に関係した御質問であったことはそのとおりでありますが、私は恩給審議会の二十六項目に一応振り分けられる答申を完全に今回の予算で終わりました、したがって、諸種の問題点等についてなおまだ議論が残っておるところがありますが、これらは今後の問題として検討したい、という意味の答弁をしましたので、満拓だけを検討するといっている意味ではありませんから、そういう意味においては答弁は決して後退はいたしておりませんし、また本日は附帯決議がつくという見込みのことでございますから、決して意見の後退というものがあるわけではないということだけを申し上げておきます。
#58
○大出委員 私も確かに御指摘のように一つだけ質問したわけじゃございません。満拓の問題も大きく取り上げた形にはなっておりますが、含む。つまり数々の問題を審議会答申の決着をつけた、さてその先の問題ということでとらえてひとつ検討していこうじゃないか、こうなっておるわけでありますから、それが後退をしていないといういまの御答弁ですから、その点は後退していない。満拓は含まぬとおっしゃられると困るのですが、そうではないということでありますから。ただし満拓だけじゃない、いろいろな問題があるというワクでこの間お答えいただいたことが後退ではない、この一点だけ明確にしておいていただければ、私は納得できるのです。
#59
○山中国務大臣 そのとおりでございます。
#60
○鬼木委員 それで、いまの満拓の問題は一応それでいいと思うのです。
 それで、いま大出先生が言われたことを私は日後に長官にお尋ねするつもりであったのですが、いま大出先生が言われたように、四十三年の恩給審議会の答申を基準として四十四年、五年、六年と恩給法の改正が順次行なわれてきた。大体今回の整理で一応終わる。でございますが、将来の恩給のあり方ということに対してはあるいは方向ということに対しては、なお検討を加えるものがたくさんあるから、前向きにやると、長官がおっしゃった、大臣おっしゃった。そこで満拓を含むことは当然でございますが、ほかにまだたくさん問題があるのです。
 特に私が取り上げて申し上げたいことは、老人の恩給でございますが、改正すべき点がまだたくさんあると思うのです。一応これで整理がつきましたけれども、今後恩給受給者は数においては漸次減っていくと思いますけれども、私は恩給受給者の老齢化ということが大いに問題になると思うのです。だんだん生活能力も、減退する、かてて加えて物価は上昇していく、こういうことになりますと、その点において大臣に考えていただかなければならぬことは、若年の場合は恩給を停止しておる、そうでしょう。若年の場合は恩給停止という法を適用しておる。おまえたちは若いから恩給はまだやらないんだ、そういうことをして、恩給法の第一条には、先ほど私読みましたように、当然の恩給を受給する権利があるにもかかわらず、若いがゆえに若年停止ということになっておる。ところが今度は年をとるというと何にもそれに対して恩恵がない。若いときにはストップしてがまんしろ、おまえたちはほかで働け、こうしたことをやっておって、今度は年をとって生活能力も減退してくる、非常に老後の生活は困るという者に対しては、何ら国はこれに対しての政策がない。これは私は非常な矛盾だと思う。これはおよそ民主主議に反しておる。一方的な封建的なやり方だと思う。これはいま大出先生が言われたように、たくさんの問題があるから、そういう問題を全部含んで将来はなお検討する、こう言われましたが、その点について長官はどのようにお考えになりますか。
#61
○平川政府委員 実は老齢者の問題でございますが、現在恩給がとっておる老齢者の優遇措置につきましてはいろいろございます。二、三例をあげますと、最低保障につきましては、老齢者につきましては九万六千円の最低保障を十二万に引き上げております。それから加算恩給受給者につきましては加算減算撤廃という制度をとっております。ただし仮定俸給におきまして老人優遇対策を実は昭和四十三年まではとっておったわけでございますが、恩給審議会の答申によりますと、年齢別によって仮定俸給を異にするということは恩給制度と矛盾するという答申をいただきましたので、現在といたしましては本来の形である、年齢にかかわらずすべて仮定俸給は階級によって一本であるという形になっております。しかしながらいま申し上げましたように、他方恩給審議会の答申におきましては、老齢者のみならず遺族、傷病者等につきまして従来先ほど申し上げましたようないろいろな措置を講じられております。そういう処置を講じていくということはやはり適当な措置だということをうたっております。そういう趣旨を体しましてわれわれといたしましてもいろいろ処置してまいらなければならないとは考えております。
#62
○鬼木委員 措置をしていかなければならないと思うのじゃなくって、措置をしなければ困る、若年停止をしているのですからね。そういう一方的なことは、昔はそれでよかったかもしれぬけれども、今日は承知できませんよ。そんな国が一方的に、しかも封建的な、非民主的な、若いがゆえに当然の権利は停止する、年をとったらそれに対しての恩恵はない、加算も加給もない。そういうむちゃなことは恩給法の最もよろしくない点。お年寄りというのは国の宝だ。しかも佐藤内閣は人間尊重で人間を大事にしなければならぬ……。年をとった者は大事にしなくてもいいというようなことではとんでもない。断じてこれは許されない。これは十分検討してください。長官、いかがですか。
#63
○山中国務大臣 制度についてはただいま申し上げたとおりでありますが、私は恩給と社会保障とはやはり違うと思います。恩給をもらう人たちは誇りをもち、権利をもってそれを要求しておるものであり、国は義務をもってそれにこたえているものである。社会保障制度と混淆すべきものではないと思います。したがって、老人だから自動的に恩給も社会保障的な概念から特別な措置をすべきであるという基本的な思想は持っておりませんが、しかし現実において恩給受給者というものが老齢化していく一方であり、さらに減っていく一方であるという現実の事態を考えた場合に、そこに政治として理論は理論、たてまえはたてまえ、そうして現実の問題は現実として配慮しなければならぬ点がなおあるという点については私も否定するものではありません。
#64
○鬼木委員 恩給が社会保障制度でないということは、それは不肖なりといえども私はわかっております。これは老人福祉法もあるのですから、老人年金もあるから。しかし私が言っておるのは、若年であるがゆえに停止しておいて、今度老人に対しては何にもないじゃないか、そういう一方的な、当然の権利を一方的に押えていくというようなことは、およそ民主社会においては逆行することではないか。その点においてはやはり社会保障で保障はしてありましょうけれども、年寄りは大事にする、若いときは若いがゆえにがまんせよと言ってあるのだ、その点を私は申し上げておる。その点は長官も私の気持ちを大体わかっていただいておると思うのですが、社会保障云々ということは、長官、私はそれくらいのことは知っております。これは先ほど言われたように、その点におきましてまだいろいろな問題がたくさんございますので、これは将来前向きで検討するという長官のおことばを私も了解いたします。長官、えらいきげんの悪い顔をしておりますが、私はあなたに文句ばかり言っているんじゃないんだ。まあ最後はあなたが笑ったからこれでやめましょう。じゃこれで私の質問を終わります。
#65
○天野委員長 受田新吉君。
#66
○受田委員 それじゃ短時間にやります。結論の出るような質問を二つ申し上げたいと思います。
 先般の委員会における質問にちょっと残った大事な問題でございますが、公務の扶助料の中で、旧軍人、つまり英霊の遺族に対する公務扶助料の支給について、多年の私の持論があるわけです。長官、これは初めて御披露申し上げますが、靖国の神となられた英霊に対する法案の御提出もいまあるわけでございますが、それに当然関連する問題だ、こう思います。それは、英霊となられた方の御遺族に対する公務扶助料に、依然として兵の階級、下士官の階級、準士官の階級というものが残っておる。神となられた英霊の差はないわけです。神としては同等である。ところが遺族に支給する扶助料は、将校、準士官、下士宮、兵として差等がある。兵はかって四階級あったのを兵長に統一をしたわけです。そういう歴史がある。それにあやかるならば、護国の神となられた英霊の御遺族に対しては、せめて将校の最下級の少尉かあるいは中尉のところまで、扶助料の最下位を全部引き上げるべきではないかというのが私の多年の主張でございます。これに対して考慮されるという歴代の長官のお答弁がございました。検討する、つまり神となられた英霊の遺族に対して報いるに、せめて将校の最下級並みの扶助料を差し上げる。階級差は金額の上で非常に圧縮されております。私の主張が採用されて金額では差が少なくなっている。差は少なくなっているけれども、差がある。兵、下士官、準士官、将校と差がある。この点神としては同等であるという立場から考えるならば、せめて準士官、下士官、兵の階級でなくなった人のその遺族に対しては、将校の最下級、少尉あるいは中尉のところへ一律に最下位を引き上げるべきであるという私の提唱について、賢明な長官には御同感いただけると思います。
#67
○山中国務大臣 私になってから初めての御意見でございます。これはもう軍人恩給が復活したときから、復活のあり方について、第三者的な見解も批判として述べられていたところであり、ことに高級将校等においては、場合によっては戦犯の立場に問われた人もあれば、あるいは、そうでなくとも兵はただ黙々として高級将校の指揮に従って動いただけにすぎない。私どもの体験からもそうでありますが、そういう者について国が遺族等に何らかのめんどうを見る場合、当然見なければならぬのですが、階級というもので差があるのはおかしいじゃないかという、これは私は正論だと思います。したがって、国家のために殉じられた方々の遺族に対する処遇というものは、本来先生の言われたような考え方であってもいいものだと思うのです。しかし、それらの考え方も反映をして、位の高い人ほど倍率を低くしてそれを押えてある。元の階級を全く無視できなかった、いろいろなそういう階級や年限による資格というものがございますから。そういう意味において若干倍率等による反映はされておりますけれども、しかし全部を一律にという御意見ではなくて、額をもう少し、せめて将校の最下級ぐらいのところまでは、兵を少尉に並べたっていいのじゃないかという御意見でありましょうから、これは暴論だとは私も思いません。それに御遺族たちもだんだん年をとっていかれますし、そういう意味において私としてはやはり耳を傾けなければならない御意見だと思いますが、いまここで即答して、では少尉の位に全部合わせましょうというところまでは、突然の御質問でありますので、用意がございません。その点はあしからずお許しを願いたいと思います。
#68
○受田委員 これは突然の質問であったわけですけれども、長官、非常に的確な答弁でした。私、これは三十二年の臨時恩給調査会の答申に基づく法律の措置がされたときに、この問題を提唱したときには、兵の四階級を兵長までまとめたならば当然将校の最下位まで漸次引き上げてもいいじゃないかという理屈は一応筋としては通る。その趣旨を尊重して、当時は非常な差があったものを、当時の金額で百円ないし二百円刻みの、非常に少額の差に将校、準士官、下士官、兵を縮めたわけです。この主張をその意味で採用したという御答弁でございました。しかし、どうしても階級があるということだけは一応前提とするものが恩給のたてまえだから、兵、下士官、準士官、将校――将校から上は全部階級があるのですが、将校から以下は、準士官、下士官、兵の階級は認めていただきたいという御主張でした。しかし兵の四階級を三階級整理して、兵長でまとめた。この原理を押し進めれば、当然少尉のところに持っていく、あるいは中尉のところまで引き上げていく、それから上の階級は全部あるのですから。そして英霊の御遺族にしてみれば、せめて将校並みの待遇を扶助料としていただいている。兵の扶助料じゃないんだ、将校並みの扶助料にさせていただいたというならば、十分の九までは準士官以下の遺族でございますから、遺族に対する非常な処遇の改善になる。靖国神社の国家護持以上の実質的な処遇改善という効果があると私は思うのです。長官、そこを十分含まれて、次の法案改正に英断をもって取り組まれるように要望申し上げておきます。
 もう一つ、倍率というやっかいな規定があるのでございますが、三十二年の調査会答申には、こうした倍率という算定基礎方式というものが複雑であるので、できれば定額制に改めてもらいたいという要望が出ておる。こういう定額制に改めるいう行き方というものは、倍率というものの計算というものが非常に複雑である。この複雑な倍率を定額に切りかえるということ、仮定俸給そのものもまた複雑になってくるわけでございますが、この倍率を簡素化するという形をもっとわかりやすく、一番的確なのが、定額というかっこうがみんなに一番わかりよい。階級別の倍率の計算方式というのは非常に複雑である。これを改めるということは事務処理をする上にも非常に簡素化されてけっこうだとお思いになりませんか。これは恩給局長でけっこうですが、課長さんでも次長さんでもけっこうです。倍率制度を簡素化して、できれば定額に切りかえるということについての御見解。
#69
○平川政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生がお述べになりましたように、階級によって倍率が異なっておりますが、実は事務的に処理いたす場合には一覧表ができておりますから、それをグループにくくりまして一定することはさほど事務的にはあれするとは考えませんが、問題は倍率というのはやはりそれなりの意味があるわけでございますから、そういった点につきましてやはり問題があるかと思うのですが、先ほど先生が言われましたように、兵の階級によっては若干そういう操作をしたことは間違いでございません。
#70
○受田委員 だから倍率というものは結局扶助料に対する倍率でございますから、それぞれの力関係で比率が違ってきておるというので、一般の人が見ると非常に複雑でわかりにくい。これをもっとわかりやすくするということ、恩給局の人以外にはなかなかわかりにくい。あなた方のほうには一覧表があっても、国民は一覧表を持っていない。それで自分の扶助料がどういう算定基礎から出たのかわかりやすい説明をされる必要があると思うのです。ひとつ検討をされたい。
 最後にこれは、私この前結論として質問したかったことなのですが、すでに他の議員からも質問されておると思いますが、はっきり昨年の当委員会における附帯決議の扱い方について御答弁願いたいわけなのです。昨年ここでわが委員会が「恩給法第二条ノ二の規定について、その制定の趣旨にかんがみ、国家公務員の給与を基準として、国民の生活水準、消費者物価その他を考慮の上その制度化を図ること。」という要望をいたしました。「その制度化を図る」ということについてどういう御準備をされているかを御答弁願います。この制度化の点について、そして「国家公務員の給与を基準として」と明記してある。そしてそれによる制度化、この附帯決議の線を、国家公務員の給与を基準にしてどう制度化するかについての具体案をお持ちなのか、まだその具体案ができていないのかの御答弁を願います。
#71
○山中国務大臣 昨年の附帯決議については、恩給法をわかりやすくつくり直せというような御意見等もあったように思いますが、それは先般お手元にお配りいたしましたものによって代えさせていただくということでやったわけでございます。
 なおただいまのお尋ね、この間からの質疑応答で、われわれの附帯決議は国家公務員の給与を基準としてというところに強いアクセントを置いているのだ。したがってそのあとに国民の生活水準、消費者物価その他を考慮の上その制度化を考えろという意見なので、したがって国家公務員の給与そのものをずばり基準にとるべきであるという強いアクセントの御質問がずっと続けられたわけであります。その締めくくりの御意見でありましょうから、私どもとしても国家公務員の給与については、民間の物価に伴う賃金上昇分等はすでに反映をしておるものではないかという御意見は多分に説得力を持っております。
 ただしかしその給与というものに対して、別表指数としての物価水準、物価の値上がり等もやはり相乗作用としてプラスを示すわけでありますから、それらのものもやはり捨てがたい計数ではなかろうかという気持がございますから、実際上の運用としてはこういう考え方をとっておるわけでございますから、さらにこれを制度化ということになりますと、いわゆる俗に私どもが言っておりますスライド制ということだと思いますが、恩給法に関する限りは、昨年より今年の予算編成の経過を踏まえてみますと、大体四十六年度予算においてこのベースアップの問題についてはこれ序ルール化したという表現を私用いております。ということは、これは完全に制度化されたのだと言いたいのでありますが、それを言うにはやはり他の年金その他について制度化の問題が議論をされておりますので、公的年金制度審議会等において、いま三つのブロックに分けながら、どのような手段でもって要望の線に沿い得るかの検討をいたしておりますので、はっきりとここで恩給だけは制度化いたしましたという御答弁を、実質はそう思っておりますが、明言いたしかねておるということでございます。
#72
○受田委員 長官、ちょっと私いまの御答弁ではっきりしない点があるのです。つまりもう実質的には制度化されているというような意味の御答弁と承るわけです。しかし現実にスライド制というものは、国家公務員の給与を基準にして「その他」が多少ある。その「その他」はほんにわずかな配慮という意味であって、事実はこれは削ったほうがいいのです。はっきりしている。もう国家公務員の給与という一本、これを基準にして、お互い委員の気持ちはそういうことになっているのですが、そういう意味からいうと、国家公務員の給与が上がると、それにスライドして退職者が一定比率で引き上げられる、こういう形の制度化という意味に私は理解しておるわけです。長官は現にやっておられることが制度化という意味におとりのようですが、私がいま指摘した、いまの現職の公務員の給与を基準ということになれば、その給与を基準にしてスライドして退職者の退職年金がきまるという意味のことが制度化ということになると思うのでございまするが、私の言っているほうが間違いかどうか。それが一応筋としては通るのだ。しかし自分のほうが言うのも、いまの暫定措置としてはそれが一応成り立つと思うのだがという意味なら、私了解しまして質問を終わります。
#73
○山中国務大臣 おっしゃることは、内容において少しやはり違うかもしれません。というのは国家公務員の給与そのものをスライドしていくのだとすれば、やはり鬼木先生もそういう御意見を持っておられるようでありますけれども、実績というものをたとえばことしは昭和四十四年度の公務員給与と物価をとっておりますから、それが実績が出ていないでも、昭和四十五年の国家公務員の給与そのものをとって四十六年度の予算に取り込めるということになると思うのですけれども、予算編成をいたしまする作業は八月、昨年八月の時点において締め切るわけですから、そうするとその時点においては、なかなかまだその年の国家公務員給与の実態というものは明らかでないというような現実の問題があります。しかしそれもおくれて持っていってもいいじゃないかというようなことで、かりに操作するとすれば、そこにやはり一年の短縮は可能であるという、その点が少し違うと思うのですが、私の申し上げているのは、そういうことは承知の上で、やはり実績の上に立って予算要求をするために、結果若干の年次のズレというものがあることはまことに申しわけない結果でありますけれども、その前置きに立ったならばスライド制というものが実際上私はルール化されたということを言って、実現をされたと申し上げて、その背景は先ほど申し上げたとおりである。したがって恩給に関する限りは大体その取り方の基準について、いまおっしゃることと若干の違いがありますが、実際上は予算編成において国家は義務的に、計算された計数をもって支払う義務を予算編成上示したということの基礎は確立されて、これは動かないと私は思っております。そういう意味でございますから了解をしておるわけでございます。
#74
○受田委員 それで了解の度合いが濃厚になりつつあるのですが、私が結論として申し上げたいのは、公務員の給与を基準にすると一年のズレくらい起こります。けれどもそれは明確に現職の公務員の給与が、現時点における給与を基準にした退職者の年金という形に、制度化というのは法律としてそれが制度化されることを私は筋として期待しておるわけなんです。そのことを私は法律案として提案がされることを制度化という意味に了解したいという意味ですが、いかがでしょうか、それで。
#75
○山中国務大臣 実質そうなっておるわけでありますから、私はいずれそういうことはしなければならぬのだと思います。しかし、それについては、やはり一方において公務員共済から始まり私学共済に至る、そういういろいろなカテゴリーに分かれた各種公的年金制度というものも、これをほうっておくわけにはいきませんので、やはり公的な年金でございますから、それに対してはどのように処理するかという基本的な姿勢をきっちりと固めて持って出ませんと、実質はそうなったにしても、この恩給法だけで、スライド化された実質というものを踏まえた法律を出すということになりますと、じゃ他の案件は、これはもっと数多くの現在の人たち、現職の人たちも含めた、多大の関心を持つスライド制の問題がございますから、そちらをおいてこちらだけというわけにはなかなかまいらないという現実の事情があるということを申し上げているわけでございます。そちらの他の問題については三つの範疇に分けて、ただいまどういうことをやったならば、いわゆるスライド制というものが制度化できるか、法律上ということでもけっこうでございますが、そういう意味の検討を公的年金制度審議会においていたしておりますということを申し上げておるわけでございます。
#76
○天野委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
    ―――――――――――――
#77
○天野委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 恩給法等の一部を改正する法律案を採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#78
○天野委員長 起立多数。よって、本案は、原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#79
○天野委員長 ただいま議決いたしました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、伊能繁次郎君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の各派共同をもって附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。伊能繁次郎君。
#80
○伊能委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党、民社党四党共同提案にかかる恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
   恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について速やかに善処するよう要望する。
 一、恩給法第二条ノ二の規定について、その制定の趣旨にかんがみ、国家公務員の給与を基準として、国民の生活水準、消費者物価その他を考慮の上その制度化を図ること。
 二、旧満洲拓植公社等の在外国策機関及び在外国策会社の職員期間については、外国特殊法人及び外国特殊機関の職員期間として、公務員期間との通算措置につき検討を加えるこ
  と。
 三、旧軍人に対する一時恩給の支給に関しては、引き続く実在職年が三年以上七年未満の兵に対しても、前向きの検討を加えること。
 右決議する。
 本案の趣旨については、先般来の当委員会における同僚議員の質疑を通じてすでに明らかとなっておることと存じます。
 よろしく御賛同をお願いいたします。
#81
○天野委員長 本動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#82
○天野委員長 起立多数。
 よって、本案に対しては附帯決議を付することに決しました。
 この際、山中総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。山中総務長官。
#83
○山中国務大臣 ただいま可決されました附帯決議の趣旨については、十分その趣旨を尊重し、検討してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#84
○天野委員長 なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#85
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#86
○天野委員長 次回は、明十三日木曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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