くにさくロゴ
1970/05/13 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第24号
姉妹サイト
 
1970/05/13 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 内閣委員会 第24号

#1
第065回国会 内閣委員会 第24号
昭和四十六年五月十三日(木曜日)
    午前一時三十七分開議
 出席委員
   委員長 天野 公義君
   理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君
   理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君
   理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君
   理事 鈴切 康雄君 理事 和田 耕作君
      阿部 文男君    伊藤宗一郎君
      加藤 陽三君    笠岡  喬君
      辻  寛一君    中山 利生君
      堀田 政孝君    上原 康助君
      木原  実君    横路 孝弘君
      伊藤惣助丸君    受田 新吉君
      東中 光雄君
 出席国務大臣
        国務大臣
        (総理府総務長
        官)      山中 貞則君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議官      城戸 謙次君
 委員外の出席者
        内閣委員会調査
        室長      本田 敬信君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 環境庁設置法案(内閣提出第六〇号)
     ――――◇―――――
#2
○天野委員長 これより会議を開きます。
 環境庁設置法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。鈴切康雄君。
#3
○鈴切委員 公害から人命を守り、破壊される自然をどうすれば保護することができるかということは、いまや国民生活にとってあまりにも切実な題題であるばかりでなく、七〇年代の政治に課せられた最も重大な問題ではないか、そのように思います。それだけに環境庁設置法案は国民の期待をになっている注目の法案であろうかと思うのであります。
 そういう意味からいうならば、環境庁ができるということは、いままでばらばらであった行政が一元化をするということに対しては私は一応評価はできる、そう思うわけでありますが、しかし、できたことはできたが、相変わらず各省のなわ張り争いがあって一向に効果をあげることがなく、ただ行政を複雑することのみであっては何の意味もないと私は思うのであります。それゆえに、今度できる環境庁に対して、はたしてそれを十分に効果あらしめることができるであろうか、これは国民のひとしく注目するところでございます。そういう意味からいうならば、大臣としてこの環境庁に対する今後のビジョン、それをどのようにお考えになっているか、それについてまずお伺いいたします。
#4
○山中国務大臣 まず、国際的には各国のいろいろの機構や姿勢について、これまでもたびたび議論をしてまいったとおりの状態にございますし、日本の環境庁の発足は、諸外国は非常に注目しておるところでございます。発足を前に将来どういう機構になるのかの問い合わせ等もずいぶん参っておりますし、それらの諸外国の環境保全に立ち向こう姿勢に対して、日本において公害が最も一進んだ現象になっておりますことの反省と、さらにそれを克服した新しい姿勢を示す役所としての機能を十分に備えなければならぬ、まずそういうふうなことを基本的に持っております。
 国内的な環境庁の姿勢として、全く異例のことでありますが、内閣法を改正して大臣を一名増員し、兼任でない専任の長官を置くということは、よほどの重大決心をしなければならない問題であります。大臣多きがゆえに政治がとうといわけではありませんから、この決断については、やはり環境庁というものが、兼務の大臣では、いま申しましたような国内的な要請、そして国外的な要請、並びに国内的には日本において環境保護という問題は、すでにそれを通り過ぎて公害と呼ばれる現象になって、国民の生命、健康、財産に被害を与えつつある現在まで進んでしまっておる、こういうことを考えまして、初めてここに専任の大臣を一名増員しても環境庁をつくりたいということでございますので、これはやはり単に環境庁長官を置いて大臣をもって充てる、結果は兼任であるというものとは非常に大きな違いがあると思います。また大臣を一人わざわざ増員したのにそれにたえ得られないあるいはそれに値しない環境庁の運用であり、内容でありましたならば、これまた私たちは後世の国民の大きな批判を受けることになると思います。その意味で、日本の国民に対して環境庁をつくり、大臣を増員してまで専任の大臣を置くことによって、国民が今日まで数多くの被害者の立場に置かれておりましたものをすみやかにそういう条件を解消するとともに、国民に被害を与えない国土の建設、そして経済の伸長をはかるとともに、環境汚染に対してこれを守り抜く姿勢、すなわち自然保護というものを新たなる角度から環境庁行政の大きな柱に据えていくというような形をとっていかなければならぬと考えます。
 現在の内容の機構、人員その他においては今後環境庁のそのような施策にこたえるためになお検討をし、将来さらに環境庁の中に繰り入れていかなければならない分野等が残っておる点がございます。この点はいろいろの背景がありまして、御説明を申し上げたところでもありますが、すみやかにそれらの障害、背景を解消をして、名実ともに内外の批判にたえ得る役所でありたい、かように念願しながら産婆役をつとめておる次第でございます。
#5
○鈴切委員 この環境庁ができることによって大臣が一名ふえる、このよしあしについては、効果があがるかあがらないかの結果によって判断される問題ではなかろうかと思うわけであります。
 そこで、環境庁ができるとなれば、やはり何といってもその権限が与えられなければ、環境庁としての役目を十分に果たすことができないのではないかと思うのであります。率直にお伺いをいたしまして、今度できる環境庁は、企画に重点が置かれる官庁であるのか、あるいは実施をするための官庁であるのか、その役割りについていろいろ議論がなされているわけでありますけれども、大臣は企画官庁かあるいは実施官庁かという点について、ウエートについてどういうふうに御判断になっているか、具体例をお示しになってお答え願いたいと思います。
#6
○山中国務大臣 これは双方の役目を備えていると言わざるを得ないと思いますが、第一に、実施官庁たるべき使命まで持って行動いたします分野は自然保護行政というもの、現在の国立公園部を中心にしたそういう行政は第一線のレインジャーまで含めてすべて行動の中に業務として入ってくるわけであります。他方、水質や大気等については、現業業務の大半はそれぞれの所管庁で一応仕事として残りますので、その意味においては企画調整局においてそれらの全体を調整していく政府内の調整官庁でもある。したがって、予算等についてもそれを総合調整して、環境庁の考え方が入ったものが各省庁の予算になっていく。もちろん研究費については一括環境庁が計上して各省に配分するという姿勢をとっておりますから、一がいにどちらともいえないわけでありますが、できれば将来は、きのう来申し上げておりますように、下水道やその他の水道等も含めたいわゆる社会資本の充実というようなものにまで環境庁が積極的に機構として取り組まなければならない。また姿勢としては、国土の事業立地から始まり、あらゆる都市計画、土地計画についても、やはりわれわれもアメリカの大統領教書等に見られるごとく、環境庁がもっと大局的な視野で都市計画やあるいは農村地域のいろいろの計画やそういうものを、日本列島のレイアウトというものについて主導権を持っていくような役所にしなければならぬと思っております。
 現在のところは、実施官庁の分野もあり、一方においてまた現在の能力においては現実に消化しかねる問題は調整官庁の機能を果たすということになるかと思います。
#7
○鈴切委員 この間からの論議を聞いておりまして、やはり第四条には「所掌事務及び権限」が明らかになっているが、第一号として、公害に関する基本的な政策の企画、立案と、第三号を見ると「自然環境の保護及び整備に関する経費の見積りの方針の調整を行ない、」とこうありますが、実際には実施部門を除いては予算がとれないということになっております。これであってはとうてい効果があがろうはずはないと私は思うわけであります。
 公害の見方でございますけれども、各省それぞれ公害の問題を取り扱っているにしても、たとえば力ある省においてはやはり予算が大きく計上される、あるいは自分の官庁の権限のもとにそのほうだけ力を入れようというそういうきらいがどうしても、各省がばらばらの予算をとるということになりますと、おのずとできてくるのじゃないか。たとえば環境庁自体が一つの大きな見地に立って、これは相当力を入れていかなくちゃならないというそういう部門、あるいはこれは相当研究をしていかなくちゃならないというそういう部門、それはおのずと公害という総合調整のもとにいろいろ判断をされた上において予算を各省に示すというふうでなくては、予算一括計上権というものはやはり環境庁で持たれないと、全くその点についての効果というものは相も変わらず環境庁としてはできないままに、各省のなすがままに置かれてしまうのではないか、それを私は非常に心配をするわけでありますけれども、そういう点について大臣は、やはり予算一括計上権を持って環境庁自体の予算を総合的に組んだ上において、各省にこういう公害の予算を与えるというふうなそういうシステムが私は非常に理想的な姿ではないかと思うのです。このところは非常に問題だと思うのですが、その点についてひとつお伺いいたします。
#8
○山中国務大臣 なるべく近い将来にそういうふうになるべき役所であろうと思います。これは仕事そのものも、一例をあげますならば下水道整備五カ年計画そのものも、改定するにしても、新しい五カ年計画をつくるにしても、やはり環境庁が所管をしなければならないように将来はなるだろうと思うのです。そういうようなことを全部整理をいたしますと、一括して公害関係の予算を環境庁が計上して各省に配分するということも部分的に可能になってまいります。ということは、残された部門が少ないということになるわけでありますから。しかしながら、現在の「経費の見積りの方針の調整」という表現は、いろいろのことを意味しているわけでありますけれども、具体的に申しますと、各省が八月末に大体大蔵省の要求方針に従った予算要求を出します。その際において、まず環境庁が公害関係各省庁の予算要求について具体的な説明を聞き、そしてそれについて足らざるところは意見を述べてつけ加える。あるいは重複、たとえばことしの予算要求では厚生省と通産省と両方に新宿副都心の集中暖房の予算なんか要求をしているわけなんですね、要求としては。そういうようなことなんかこれはもう全くおかしな話ですけれども、極端な例をとるとそういうことがありますから、そういう調整等を行なって、環境庁から見てまず環境行政のためにこういう予算を要求してもらわなければならないという要求をしてもらう。それから一次査定がありますから、今度はその大蔵省の第一次内示について、各省から聞きましたときに大蔵省に対して、環境庁としては各省の次の年度の予算に対する考え方というものはこういうふうな感触であるということをまず大蔵省に事の軽重、感触というものを伝えておきます。そして第一次の内示がございましたときには、今度は大蔵省がそれに対してどのような姿勢をもってこたえたかという第一次の答えが出るわけでございますから、そこでそれらの内示、各省庁の分を環境庁で集めて、そして環境庁自身の考え方として大蔵省の査定の考え方に対する反論と申しますか、さらに意見を加えていく。そして大蔵省と環境庁とが話し合うということで最終的な予算をセットする。そのセットする場合も、一応各省はどのような形で、環境庁から見たら国民の立場に立ってみて、公平な必要な予算、必要な金額というものがつけられ得るかということを判断した後に各省がそれぞれ予算要求の最終妥結をするというような運びに持っていくわけでありますから、今日の状態に比べますと非常に前進をすることは間違いないと私は思っております。
#9
○鈴切委員 産業立地行政が通産省に残されたわけでありますけれども、これはいろいろな問題があろうかと思うのです。純然として環境保全という問題を考えたならば、私は環境庁に権限を委譲されるべきではないか、このように思うのですけれども、その点についてお伺いいたします。
#10
○山中国務大臣 この問題は、やがてはそういうふうに企業立地というものに対しては環境庁が主導権を握る時代は遠からず来ると思います。しかしながら現在の環境庁の発足する姿勢としては、少なくとも公害企業というものはよほどの地域住民の認めるようなきびしい条件を満たしたものでないと、環境庁としては賛成できないというのが基本的な姿勢でありましょうし、また産業立地というものを環境庁の立場から認めていくとすれば、おおむね認めないという立場のほうが強いと思うのです。現に電力に例をとりましても、東京電力ならば銚子発電所あるいは関西ならば京都発電所等が行き詰まってすでに久しいわけです。したがって、関西あたりではそれのはね返りで尼崎の人たちが非常な約束不履行だというようなことで、老朽施設の運転をせざるを得ない、こういう現象があるわけでありますが、環境庁がこれを一義的に処理するということになりますと、やはり公害の見地ということから処理すべきであって、環境汚染を守る立場からの立地を認めるわけでありますから、電力供給がどのように必要になってくるか、その他のいわゆる国民需要の立場、反面の需要の立場等についてはやはり二義的な考え方を持つのが環境庁としては正しい姿勢だと思うのです。しかし、それをいま環境庁がやりまするには、あまりにも日本の産業というものが無計画に立地をし過ぎておりますから、したがって、これらの問題を先ほど申しましたように大きな日本国土の土地計画、そういうようなものが前提になって、そしてそれに向かって新しい感触の全国総合開発計画なりあるいはまたその他の経済振興計画なんというものが歩調を合わせていく、そして各種の企業を誘致するほうへめんどうを見るような立法が新産都市その他ございますけれども、そういうものと環境保護あるいは企業立地というものとはどのような関連性を持っているかという問題ができ上がって、そして環境庁にもう産業立地の許認可権というものを与えていいという時期はやはりいつかは来ると私は思っておりますけれども、現在はあまりにも無秩序でまいっておりますから、したがって、住民としては自衛のためにやむを得ず住民自身の力によって進出企業との間に、法律的な拘束は持たないことは承知の上でもなおかつ企業のモラルを求めてきびしい基準を要求し、それを要求した者に対して初めてイエスを言うという状態が進んでおるわけでございます。この点は私は、政府の政治というものがその意味において大衆のパワーというものに遅れているという感じがしてなりません。こういうことはやはりすみやかに政治の努力によって、まず政府がきちんとした姿勢を示すのだというようなことを確立しなければならないと考えておる次第でございます。
#11
○鈴切委員 確かにいまの公害というのは一歩一歩おくれた手しか打たれていないという感じを受けます。たとえば公害発生工場の立地に対しては、工場団地をつくってからその上である公害が出た、こういうことに対応していま基準をつくるというふうな行き方ばかりで、すべて公害行政は後手後手という姿になってきたわけであります。当然公害発生防止のために、その場所は広域的に考えてどうしてもこれだけの基準以内の工場団地しかつくってはならないのだ、そういう基準を含めて工場を誘致する。そのために工場も十分それだけの公害防止設備をしながら、あるいはそういう気がまえで工場団地をつくっていくという本来の姿でないと、環境庁ができてもこういう点が取り残されてまいりますと、どうしても行政のほうがあとにあとにというふうな姿になってくるのじゃないか、私はそのように思うわけであります。
 いまおっしゃいましたけれども、電気、ガスのように公害発生源になる行政の認可権、またこれは通産省に残されているわけでありますが、火力の場合においては化学工場以上に公害を発生することはもはや明らかであります。そういう意味において私は、少なくとも行政の権限をこの環境庁をつくるというときに移すべきではなかったか、こう思うわけでありますが、現在のいろいろの事情は別としても、将来は環境庁に移すお考えがおありであるか、この点をお伺いします。
#12
○山中国務大臣 これは昨年の臨時国会において十四法中、大気、水質、騒音等について電気、ガス専業等についての適用除外を定めました。これは従来からそうであったわけですけれども、これをめぐってずいぶん議論をいたしましたし、また私どもも政府内において議論をしたところであります。
 きのうも申しましたので詳しくは申しませんが、広域供給という公益事業の立場をやはり政府が一義的にとる場合に通産省であろう。さらにそれに対して、公害の立場からのローサルファ原油の供給というものもやはり環境庁だけの手には負えないであろうというようなことで、一応適用除外というものの法律を通していただいたわけであります。しかし、その場合でも騒音あたりは適用除外までしなくてもいいじゃないかという議論も内部ではいたしたのですけれども、しかし、騒音発生施設といえども、他の法律によって指摘をされて、その部分の騒音発生の施設について運転をとめられるといったらやはり電力なり何なりそのものが結果的にとまってしまうということになるということで、一応しぶしぶでございますけれども、適用除外例を法律で残したわけであります。でありますから、今回環境庁をつくります場合に、一応昨年でき上がった法律を踏まえて、その上に立って展開しようとしておりますので、今回も適用除外になっておるわけでありますが、将来もやはり電力の広域供給確保というようなものについて責任が持てる国のはっきりとした基準が、そういう責任の基準が果たせるというような時期が来ましたら、これは適用除外というものは除いてよろしいのではないかと私は思うのです。アメリカあたりは、ことにむしろ司法権というものをまともに強力にこれに対して発動させておるようでありますが、反面においては、やはり歩行者天国の発案者であるニューヨークのリンゼー市長あたりも、ニューヨークにおいてそのような大気汚染への克服の努力をしながら、一方においては、やはり大ニューヨーク市の電力事情のピンチということから、発電所の許可の申請を二分の一、半分は認めざるを得なかったというような現実等もやはり例としてあるわけでございまして、これは今後慎重に検討をして、将来はどのような形になすべきかということは、国家的な見地から環境保護の立場においても十分検討を加えてまいりたいと思いますが、将来の方向としては、やはり環境汚染の立場からは、電気、ガスというものを適用除外に置くことは、いつまでも許されることではないというふうに考えております。
#13
○鈴切委員 本会議になりましたので、一応質問を終わります。
#14
○天野委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後二時休憩
     ――――◇―――――
    午後五時三十一分開議
#15
○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 環境庁設置法案を議題とし、質疑を続行いたします。鈴切康雄君。
#16
○鈴切委員 休憩前に引き継ぎまして質疑に入る前に、私は厚生大臣の出席をお願いをしてあったわけでありますけれども、厚生大臣が御都合で出られないということでございますので、その分については保留をしてあとに残したいと思いますが、委員長、その点は御了解を願いたいと思います。
 それでは引き続いて質問をさせていただきますが、先ほど電気、ガスのように公害発生源になる行政の認可権が通産省に残されてしまったということについて山中総務長官は、現在のいろいろの事情があるにしても、将来は環境庁に移す考えを明らかにされたわけでありますが、さらにこの電気、ガスの場合におきましては広域性を持っている、そのようにお話がありました。それまでが大体先ほどの質問ではなかったかと思うわけでありますが、広域性があるということは、裏を返してみると、やはり公共性があるということにもなってくるんじゃないか。公共性ということになってきますと、やはり公害の発生という問題に対しては少なくとも相当厳格にしていかなければならない問題だ。利潤の追求でないわけでありますがゆえに、その公共性のある電気、ガスの問題から、公害がどんどん発生するということをあえて見のがしておくことは、公害に対する姿勢としては私は非常にまずいと思うわけでありますが、その点について御答弁をお願いいたします。
#17
○山中国務大臣 公益性のありますことは、もちろん電気料金は公共料金でございますし、そういう意味においては明確なものであります。私が申し上げましたのは、広域性ということからのことをまず一つの理由といたしまして、それがすなわち一火力発電所のみを停止せしめた場合における瞬間的なスイッチの電力の供給をやらなければ、今日の電気がま、洗たく機、テレビ等とにかくあらゆる日常生活そのものが、完全に一地域についてのみ突如として切断されるという状態は、場合によっては人命の危機もそこに、手術その他病院等においてはあり得るわけでありますから、そういうようなことを考えて、広域供給の義務をやはり国が一義的に負うべきであろう。でありますから、そういうような場合において、やはり国の広域供給義務というものから、環境庁がそういう広域供給義務を負うにはいまの段階では少し早過ぎるような気がするということを申し上げたわけであります。当然それに従って起こってくるのは、広域供給義務と同時に公益性を持っておる、いわゆる公共のためのものである、したがって、利潤追求のみに終止できないものであって、まず率先してそのような公益事業というものは国民のために存在する姿勢というものを持たなければならぬ、そういう理論は当然の理論であります。
 でありますから、やはり電力会社等においては、その公益性というものをみずから省みて、高い次元において、全企業のうちまず率先して公害防止等に投資をしていくような姿勢をとらなければ、東京、大阪等の電力会社の例を引きましたように、なかなか新規立地は困難である、こういうふうなことを申し上げておるわけでありますから、御見解のとおりだと思います。
#18
○鈴切委員 大気汚染防止法から硫黄酸化物の公害防止については火力発電を適用除外にしているわけであります。そういうような状態において、確実に公害防止ができるかという問題がいわれてるわけでありますが、その点について……。
#19
○山中国務大臣 これは大気、水質、騒音ともに適用除外をいたしておりますが、しかしながら、それぞれの単独法においてはいままで公害という概念が全然法律に出ておりませんでした。でありますので、その適用除外された、いわゆるひとり人歩きをする――基本法についても公害の概念を入れたことは御承知のとおりでありますから、一般の公害関係の諸法律、すなわち大気、水質、騒音、そういうものの精神規制、そういうものをそのままやはり親元である通産省というものがその単独法に従って運営をしていく、したがって、単独法の運営にあたって、公害規制法というものを適用していって、姿勢を誤りないようにするということが要求されておるわけでありますから、その意味において公害法の適用除外になっております公害の規制を免れ得るものではないということは明確に言えると思います。
#20
○鈴切委員 たとえば尼崎でございますけれども、尼崎市には三つの火力発電所がございます。そして市の調査によりますと、全市の八〇%の亜硫酸ガスを三つの火力発電所から出している。基準が〇・〇五PPMというのにかかわらず、〇・
○八四PPM、これは随時尼崎の空をおおっているという状態である。しかも先ほど申し上げましたように、三つの火力発電所で全市の八〇%を占めている。となれば、大気汚染防止法から硫黄酸化物の公害防止について火力発電を適用除外にしたということは、いつまでたっても尼崎の問題は解決しない、そのように私は思うわけであります。そういう点について、少なくともこういう問題を含めて、環境庁が全部、環境保全の上においてこれを監視していかなければならぬ問題じゃないか、このように思うのですけれども、御見解をお聞きします。
#21
○山中国務大臣 尼崎市の特定地域の問題は、私専門家でありませんので、通産大臣あるいは通産省の説明が的確かと存じますが、私の知り得ておる範囲では、一、二号発電所というものは非常に老朽施設である、そのために現在では考えられないほどの亜硫酸ガス等排出しておる。しかし、それも地域の人たちには新しい発電所を京都に立地を予定しているからということで納得を求めて操業をしていた。ところが、それが一方において新規立地がなかなか困難であるということから、一、二号発電所を動かさざるを得ない状態にあるらしい。そしてそれに対しては、その事情のもとに地域住民の非常な批判もありますために、極力公害発生を防止する措置をいま一号発電所はすでに大体完成をしておるように、私の知っておる範囲では聞いておるわけであります。
 ところで、それらの問題は、ただ単に亜硫酸ガスという物質のみならず、火力発電所については許認可業務その他についてのいわゆる基一本法というそれぞれのもとの法律がそのまま残るというわけでありまして、公害規制の法律からいえば、これは火力発電といえどもそのような状態においてはむしろきびしい直罰規定の対象等にも入るわけでありますから、それをのがれ得る範囲にはないと考えるわけであります。
#22
○鈴切委員 将来環境庁に移すほうがよりベターであるという御見解を出されたわけでありますけれども、こういうふうな問題等が火力発電にはいつもつきものでございます。そういう関係から、当然環境庁が発足をされてから具体的なスケジュール等に、いろいろと通産省との関係もあるでしょうけれども、大体どれくらいなめどでそういうものを解決する方向に環境庁として考えておられるか、その点について承りたい。
#23
○山中国務大臣 環境庁としては考えているかということですけれども、環境庁はいまからできるわけでありますから、いまの公害対策本部副本部長、公害担当の国務大臣としての考えでございますが、まず法律でいいますと、騒音の適用除外はなるべくすみやかにこれを解除すべきものではなかろうか。順序はそうなると思います。騒音の次にあと大気、水質という順序になると思いますが、一方においては別な角度からこれを見ますと、ガスと電気という問題でありますから、どちらかといえば、ガス会社、ガス事業というものは分離して、電気と一緒に扱わなくても、場合によっては電気のような広域供給性というものがそう広く要求されておりませんし、あるいはその低硫黄重油の問題についても、電気事業所のような公害貢献度というものは、若干ガス会社のほうは私としては薄いような認識を持っておりますから、企業を分けていえば、電気、ガスの適用除外ということは、その別な角度からいえば、ガスのほうは電気よりも早くやはり環境庁の所管のほうへ適用除外を解いていくべきものであろう。そういう法律の種類からいっての順序、企業の優先の順序というものがあり得るのではないかと私は思っております。
 しかし、これは環境庁発足後、新長官がどのような手腕をもって姿勢を示していかれるか、その問題になると思いますが、私としてはやはり国民から通産行政というものの本来の姿勢を疑われておる一面もございますので、それらの面についてはまず現在でも通産省が、適用除外であっても公害に関する限りは普遍的なひとしい姿勢をとり続けられることを要望するとともに、なるべくそういう適用除外といったところから起こる無用の誤解というものを解くような方向で努力しなければならぬと考えます。また、それが政府全体の方針でなければならないというふうに考えるわけでございます。
#24
○鈴切委員 環境庁は、地方の出先機関を持っていないので、自然都道府県知事の権限にまかせられ、それを監督、指導する立場になると思うのでありますけれども、しかし、都道府県知事に権限が委譲されない各省の業務に対しては、各省に対する資料の提出要求権及び勧告権、並びに首相指示要請権のみにとどまっておるのであります。各省に残された行政の運営の実情について、強力にやはり監視するために、各省の業務については、ここにあります行政管理庁設置法の第四条四項、「長官は、監察を行うため必要な範囲において、各行政機関の業務について実地に調査することができる。」というこの四条四項、やはり私はこれを環境庁に入れるべきではないか、こういう姿がなければ、ほんとうの徹底した環境に対する効果があがらない、そのように思うのですけれども、その点の御見解をひとつ……。
#25
○山中国務大臣 将来はむしろ優先することは、環境庁が一元的にすべて行なっていくということが優先すると思います。しかし、現在の状態は、完全とはいえない部分的な問題があることは御指摘のとおりでありますから、そういう御意見も私としては傾聴に値すると思いますが、行政管理庁長官の権限というものは監察業務でございますので、やはりこれは監察というものはそういうような性格を持っていませんと――いわゆる公害でいえば、公害関係の職員の立ち入り権と同じものであろうと思いますけれども、公害行政について行政管理庁長官の監察権というようなものまでいくべきであるかどうか。それよりかやはり監察――立ち入りではありませんが、実地調査というようなことを要しないような環境庁の権限の確立ということがやはり望まれるのではないかと思います。一つの経過としては、有力な御意見として承りたいと思います。
#26
○鈴切委員 例の石原事件等の例もありますけれども、企業に対する監視体制をやはり企業側に立つ官庁にまかしておくということは、これはちょっと国民のほうからいうならば大きな疑惑を残すわけであります。環境庁として自然を保護し公害をなくすという立場に立って、やはり国民の側に立った目で見ていかなければならない。その上に立つならば、やはり私が先ほど申しましたように、第四条四項ぐらいの権限を環境庁に与えて、効果ある環境保全というようなものをしていかなければならないのじゃないか、このように私は思うわけでありますので、その点についてぜひとも前向きに検討していただきたいと思うわけであります。
 予算面から見た場合でありますけれども、四条三号にある「関係行政機関の公害の防止並びに自然環境の保護及び整備に関する経費の見積りの方針の調整を行ない、」とありますけれども、各省ばらばらで見積もりされたのでは、一元化した行政機構をよりベターにすることはできないと思うわけでございます。予算一括計上権を持たすべきであるというふうに私は思うのでありますが、その中においても、各省の問題を解決するための調整費、あるいはきのうなんかももうすでに光化学スモッグが発生した、そういうようにいつ何どき公害が発生するかわからない緊急な現在の状態において、やはり私は緊急対策費というものを持つべきではないか、このように思うのでありますが、その点について……。
#27
○山中国務大臣 まず最初の問題でございますが、要望でございましたけれども、たとえば水質等については全部関係大臣の権限を地方に公害国会前に移してしまったということは御承知のとおりでありますから、今後あのような問題は起こり得ないわけであります。まあ許認可業務でそういうことまでなれ合うということはちょっとむずかしいわけでございます。私は、むしろ地方にほとんど委譲してしまいましたから、そうすると、財政の手当てをするとかいろいろな補完はしますけれども、しかし、今度はローカルの問題として、身近な問題として取り締まりもしやすいかわりに、今度は間々ありがちな、地方の首長の権限と地方における巨大企業ですか、そういうものとの間の関係等を少し逆に心配をする向きもあります。たとえば田子の浦の問題などをやっておりまして、現在の竹山知事さんが当時の責任者ではなかったわけでありますが、なぜああなってしまったのかということを考えると、どうも知事に全部権限を委譲してしまったあと、逆に地方ごとに感触の違った、癒着とまでは言いませんが、いわゆる甘いとかきびしいとかいう差が出てくるのではなかろうか。そういうような点について地方の姿勢というものが変わってはならないということで、公害研修所みたいなもので立ち入り権等を持つ者は全部絶えず中央研修しては帰り中央研修しては帰りというようなことで、そういうようなこと等で補完をしていきたい、こういうようなことも考えておるわけであります。これは念のために私の感想を申し上げておきます。
 次に、予算の緊急な場合等に対応する調整費の問題、これは何と申しますか、たいへん痛いところをつかれたわけですが、実は大蔵省ともう少し詰めませんと、私のほうで答弁してよろしいかどうか確信がなかったものでありますから、いままで質問に対して答弁をいたしておりませんが、私の考えとしては、まあ産婆さんで、環境庁をつくって出発させるにあたってどうしてもやはりそれは必要だと思っております。いままでの質問では、一般の公害関係については総合調整あるいは大蔵省との間に入るという、そういう権能を持つということにとどめたわけであります。研究費は一括上程して配分する、そういう答弁にとどめておったわけでありますが、これからの折衝でございますので、あるいはおまえは言ったけれども実現しなかったと言われると困るのですが、私としては、いまの調整費の問題は環境庁としては非常に重視すべきではなかろうかと実は思いまして、大蔵の同意を得て来年度予算の編成には環境庁が今度はぜひ要求することになりますので、そういうことを引き継いで側面から援助してやりたい。要するに経企庁や科学技術庁というものに調整費がございますので、こういうもの等との若干の部門的な、ことに科学技術庁との間の重複は避けなければなりませんが、そういうものを公害プロパーの立場から見て、公害調整費としてどうしても持っておかなければならないもの等を、重複を避けることはもちろんのこと、今後の展望において、たとえば一年間なら一年間の間において新しく解明された技術による公害対策、あるいは予想せざる公害の現象というものが起こった場合に対応するというような緊急措置費というものは、やはり私は持たしておくべきだろうと考えております。法律にはそういうことは書いておりませんが、予算措置上はそういう調整費的なものを、科学技術庁を主とする関係省庁の調整費とうまく調和をはかった後、環境庁自体が調整費を持って弾力的に、機動的に処理するようなものにしてやりたいものだと思っておりますので、これは一応法律上のことばとしてはどこにも節も出てきませんが、ぜひ環境庁の予算上の初年度の処理としてそういう措置をつくり上げたいと念願をしております。どうもまだ答弁する域に来ておりませんが、質問をされましたので、私の立場からぜひそういうふうにしたいという程度の答弁にしたいと思います。
#28
○鈴切委員 第四条の中に、「試験研究機関の公害の防止等に関する経費及び関係行政機関の公害の防止等に関する試験研究委託費の配分計画に関する事務を行なう」ということがありますが、やはり予算の裏づけがなければ何にもできませんし、予算があれば環境庁としても当然強いことが各省にも言えるわけであります。そういう意味において、私は公害防止に対して一般予算面においても同じくにすべきではないか、こういうふうに思うわけであります。先ほど山中長官は、まだ大蔵省との話は煮詰まっていないけれども、調整費あるいは緊急対策費等の予算というものはぜひとも環境庁としては必要だという前向きな御答弁があったわけでありますけれども、その点についてはどういうふうにお考えでありましょうか。
#29
○山中国務大臣 研究費は明らかに一括計上で配分をする。ただし、国立大学とその付属の試験研究機関というものは文部省の専管行政のほうがよろしかろうということでやっておるわけですが、しかし一般の経費については、やはり現在見積もり方針の調整というようなことで一応処理できるだろうと思っております。何ぶんにも初めてできる役所でございますから、実際上の能力をどこまで与え得るかも、これから課の数とかあるいは人員とか詰めてまいりますし、やはり相当歴史のある、あるいは誇りのあるまとまった役所にするのには時間もかかることだと思います。したがって、さしあたりは調整権限でもって、先ほどの御提案になりました緊急予算的な調整費等を持たしておけば何とか泳いでいける。しかし、将来はやはり諸権限を全部公害行政として整えることによって、予算も一括して各省の分も計上していくという方向に行くかもしれませんが、現在のところはそういう方向に行く姿勢というものもあり得るということでとどめたいと思います。
#30
○鈴切委員 組織の面でちょっと見てみますと、第五条に、環境庁に長官官房及び四局が置かれるということになっておりますけれども、この間の御答弁で、大体環境庁としては人員の構成は約五百人ぐらいにしたいというお話がございました。課の組織はどれくらいにおつくりになるおつもりでしょうか。
#31
○山中国務大臣 人数は、本会議でもすでに総理の意向として私が申しました五百名を下らざる物価の経企庁、公害の環境庁という体制をもって出発させていきたいと思っております。一方において課をどれくらいにするかは、これはもっぱら行政管理庁の考え方というものが、なかなか行管には行管のかたい姿勢というものがございまして、まだ結論を得るに至っておりません。しかしながら、やはりこういう新しい役所が出発するときには、行政管理庁にもそういう意向を示して話しておるわけでありますけれども、ただ既存の概念だけで処理するのではなくて、どこまで課を認めてやったらこの新しい役所の誕生に最低ふさわしい姿勢がとれるかという角度から議論をしてほしいということで、直接課の数について、環境庁設立にあたり公害対策本部側が何課を要求し、そうして行政管理庁はそれに何課しか認めないというような議論の中に私まだ入っておりません。事務当局同士でいまのところ議論をさせておりますが、やはり法律でも通過する段階においては早急にそのあたりを詰めなければなりませんが、私の報告を受けております範囲では、二十をこえる課というものがこの四局並びに長官官房というものに従って置かれるのではなかろうかというところの感触でございますが、この発言だけでも行管はあるいはびっくりぎょうてんするかもしれませんので、これからの問題として相談していきたいと思います。
#32
○鈴切委員 課の数についてはこれから行管といろいろ折衝をきれるわけでありますけれども、少なくともこのようにして環境庁設置法ということになりまして、やはり行政組織に関する法律が出されてきているわけでありますので、これについて少し具体的にお話を聞きたいと思います。
 たとえば経企庁の国民生活局に水質公害課、水質調査課と、やはりそこに所属している人が大体二十四名ばかりいますけれども、これは全部環境庁に移る予定でございましょうか。
#33
○山中国務大臣 私のほうも答弁できますが、そういうのは事務当局でよろしゅうございましょうか。
#34
○鈴切委員 けっこうです。
#35
○城戸政府委員 ただいま経済企画庁の二課の話でございますが、これは全部移ってまいることになっております。人数は二十一名を予定いたしております。
#36
○鈴切委員 厚生省に国立公園部がありますが、その中の管理課、計画課、休養施設課等に相当の人数がいるわけでありますが、それは環境庁にどれくらい移されるか、その点についてちょっと……。
#37
○城戸政府委員 国立公園部は全部移ってまいりますので、三課全部含めまして二百八名を予定いたしております。
#38
○鈴切委員 厚生省に公害部がありますけれども、庶務課、公害課、環境整備課等約三十数名いますけれども、それについてはどういうふうになりましょうか。
#39
○城戸政府委員 ただいまの三課の中で、公害部の庶務課と公害課、これは全く公害関係を専門にやっておりますから、全員移ってまいります。それから環境整備課のほうは、廃棄物の処理の関係が入っておりますので、その基準の関係を環境庁でやります関係から、これは一名程度を一応予定いたしておりますので、合わせて二十一名、こういう形になっております。
#40
○鈴切委員 通産省の公害部に公害第一課、公害第二課がありますけれども、それは大体二十数名いますが、これは環境庁のほうに移すのかどうか。
#41
○城戸政府委員 通産の公害部は第一課、第二課ございますが、第二課の関係は全部移ってまいりまして、十一名を予定しております。それから第一課では、直接的には公害防止事業団の指導程度だったと思いますが、これはごくわずかでございますので、まだこの辺は今後詰めてまいりたいと思っております。
#42
○鈴切委員 農林省の土壌汚染関係の人員は全部というわけにはいかないでしょうけれども、どれくらい大体移譲される予定ですか。
#43
○城戸政府委員 農林のほうもまだ最終的には詰まっておりませんが、農薬と土壌が一緒に参りますので、それを合わせまして大体十一名程度と現在の段階では予定をいたしております。
#44
○鈴切委員 鳥獣の保護関係も今度移ってまいりますけれども、それは人員については大体どれくらいでしょうか。
#45
○城戸政府委員 鳥獣の関係は、いま申し上げましたように十一名程度と思っております。
#46
○鈴切委員 それくらいだけ組織の面をお聞きしておきますが、環境庁に公害部門、それから自然環境保護の権限が移るのでありますから、当然組織のほうも環境庁に移るべきではないかと私は思う。人の問題でありますけれども、公害関係のベテランを移していかなければ、この環境庁はほんとうにその面においてはなかなかむずかしい問題をかかえておるだけに私は効果があがらない、国民の期待に沿うことができないのではないか、このように思うわけであります。アメリカにおいてはこれらの問題に携わっている人たちは約五千六百五十人もおりまして、日本と比べものにならないほど実はその陣容があるわけであります。私は少なくとも腰かけ的にこういう人たちを環境庁に出されては困る。一年、二年たったら従前の本省に戻るということになると、やはり出てきた官庁のほうを向いて仕事をするというようなおそれが出てしまうのではないかと思うわけでありますが、そういう点について、人を動かすという問題は非常にむずかしい問題ではありますが、長官がどのようにこの組織の問題、それからあるいは人の配置という問題についてのお考えをお持ちになっているか、それについてお伺いします。
#47
○山中国務大臣 その問題は、私は非常に強固な決意を持って人選にあたりたいと思っております。その強固な決意とは、環境庁ができて単に組織が一つできたということでなくて、その姿勢というものが国民から見て、なるほど環境庁という役所は今度は相当やるぞと思われるようなものでなければなりませんから、そういう姿勢を貫く人選をしたいと思っております。そういう姿勢を貫く人選をいたしました後は、やはり環境庁というものは諸外国とも絶えず比較をしたり連絡をしたりする、ある意味において未来に向かって大きな夢を持ち、国民からはまた一つの期待を持って誕生する役所でもあると思いますので、それを途中から移った人はそこに最後までいる、あるいは新しく採用されていく者あるいは新規に今後卒業生が門をたたく者、こういう者たちは環境庁の職員であることを誇りに思い、そしてやがては自分も環境庁の事務の最高の責任者に行くのだという決意を持ってくる、先ほどお話しになりました腰かけ的な、いわゆる出かせぎ的な、そういう役所にしたくないものだと念願をしておりますので、人事についてはきびしい態度をもって私としては有終の美をあげたいと考えております。
#48
○鈴切委員 四十六年度の公害予算は御存じのとおり九百三十一億円で、公害予算としては非常にお粗末であるという国民からの評判にもなっております。その中で下水道の整備費が六百二十三億円だとしますと、きわめて少ない予算の三百八億円程度が公害防止のための予算になるわけでありますが、今度環境庁ができるとすればどういう配分で三百八億円というものの予算がなされるか、その配分計画について伺いします。
#49
○山中国務大臣 ちょっとその配分計画というものは示しにくいと思うのですけれども、これは大体地方に権限を委譲して実務をやっていただくことになりますから、そうするとやはり自治体の交付税の最終的に算定の対象となる職員、こういう者が三千数百名から逐次ふえていくことになるでありましょうし、また厚生省の保健所の立ち入り権を与える補助職員というような者も年次計画でだんだんふやしていくことになるだろうと思うわけでありますが、問題は公害の予算の中で下水がほとんどじゃないか。というのは、これは実はアメリカにおいても十四億ドルの中身のおも立ったものは大体いまの下水関係の費用、終末処理等の費用が占めておるわけであります。これはまた当然そのウエートを高くしなければならないわけでありますし、日本においてはさらに将来はそのウエートを高めていかなければならない数字であるとも考えます。したがって、現在の国の下水道予算そのものが、環境汚染の根をまず断ち切るという仕事であることから考えると、はたしてこれでいいかどうかは、せっかくことしできた五カ年計画でありますけれども、建設大臣等とも相談をしているわけでありますが、これは大蔵大臣も含めて、環境庁が出発したあとはもう少し前進をした姿勢でもって、やがてはそういう姿勢とともに予算、行政ともに環境庁に移していって、あるいは都市局とかあるいは水道局となりますか、いずれにしても厚生省の水道課あたりも含めてそういう部門も加えた新しい機構も入れていかなければならぬだろうと思うわけであります。
 したがって、同じ金額、予算でありましても、金額に当初出るものと、たとえば今国会で通過いたしました公害関係の事業に関する地方財政の補助率の特例、こういうものはことしの予算では手当てがしてございませんでしたから、一応ことしの予算については来年度の予算で精算をするという形になると思いますので、これらはやはり事業量その他を考えますとその精算のかさ上げ分というものは相当な金額になるのであろう。来年度からはそれも当初において見込んでいくわけでありますから、やはり質的にも充実した金額が示されるのではないかと期待をしておるわけであります。
#50
○鈴切委員 人も組織も権限も環境庁ができれば移るわけでありますから、当然予算も強力につぎ込んで、そして初年度から実効のある行政をしていかなければならない、私はそう思うわけでありますが、まだ現在何億というはっきりとした予算が環境庁に移されるという配分についてはおわかりにならないという……。
#51
○山中国務大臣 その数字ならあります。
#52
○鈴切委員 それならひとつその点についてお伺いします。
#53
○城戸政府委員 これは現在の段階でまだ正確に大蔵省と詰めておるわけではございませんので、わかっておる範囲で申し上げますと、一番大きな金額になりますのは厚生省の関係でございまして約二十億程度でございます。そのうちの半分が公害関係、残りが自然保護、国立公園等の関係でございます。それからそのほか経済企画庁から水の関係が約二億まいりますが、そのほか農林省、通産省、運輸省、自治省等からまいるわけでございます。その細部につきましては現在整理をしておる段階でございます。
 それからいま申し忘れましたが、総額といたしましては、いまの予定では大体三十億見当と思っております。
#54
○鈴切委員 その中の一割ということになりますと非常に少ない予算ではないかと思うわけでありますが、私は、先ほど申し上げましたように、少なくとも環境庁に移る以上は相当な予算をつけて初年度から実効ある行政をしていかなければならない、このように思うわけであります。
 第八条の中の国立公害研究所及び第九条の規定するこれらの国立公害研究所の公害の試験研究及び調査は昭和四十九年三月三十一日とありますけれども、公害をこのまま瞬時なりとも放置することができない現状下において、私は、予算をつけてもっと早く発足させるべきではないかと思うわけであります。それについてはこの間の答弁で、やはり公害研究所の建物をつくるためにおくれてしまうというお話でございますが、その点について、何とか早く建設をすべきだ、やはり期限を縮めても早くしなくてはならないと私は思うわけであります。また、場所はどこに大体予定されておりますか、その点についてお伺いします。
#55
○山中国務大臣 これは施行期日の文章の表現でございますが、国立公害研究所は「昭和四十九年三月三十一日までの間において、」となっております。でありますから、いま予定しております計画では二年かかるということでこういう表現をしておりますけれども、しかし、予算を計上して、それがすみやかに消化されるということであれば、これは建築予算でございますから、したがって、この時日は短縮できるものと判断をして、「までの間において、」という表現にしておるわけであります。場所は、国立公害研究所は筑波学園都市に予定をいたしております。したがって、いままで議論いたしてまいりました厚生省の構想である国立公害衛生研究所の換骨奪胎した姿勢で大きくこれを練り直すということになろうかと思います。一方、御質問ありませんが、公害研修所は、これはやはり全国の公害担当職員の研修を行なうわけでありますから、東京が一番よろしかろうということで、いまのところ東京を予定しており、新しい独立の建物にするか、もしくは今後いろいろと総合庁舎等で建物の中のやりくりがありますので、研修機関でありますので、そういうところで場合によっては間に合うのか、今後検討してみたいと考えておりますが、場所は東京がよかろう、こう思っております。
#56
○鈴切委員 国民の税金を使うわけでありますから、二重の研究のむだを省く意味においても各省に、たとえば厚生省、農林省、林野庁、通産省あるいは運輸省、建設省等に試験所あるいは研究所、調査所というのですか、そういうものがありますけれども、各省の試験研究機関を統合して早急にやったらどうかというふうに私は思うのですけれども、その点についてはどうですか。
#57
○山中国務大臣 方向はそのとおりでございますが、各省庁の試験所、研究所というものはこれは公害の問題ばかりをやっておるわけではありませんから、したがって、今回の環境庁に関する問題としての公害の研究分野というものは、広く普遍的に各省庁の研究機関、試験所、そういうところから人間も研究課題、テーマ、そういうものも全部引き継いで、そしてまた有機的にやりませんと、通産省の自動車の研究所の中から排気ガスのところだけを連れていきましても、自動車の車体の構造、能力、性能、そういうもの全部の中で排気ガスにどういう効果をあげ得るかという、エンジンも含めた研究の中から出てくるわけでありましょうから、ここらのちぎり方と申しますか、区別のしかたはたいへんむずかしい問題があると思いますけれども、要するに排気ガスなら運輸省あるいは通産省の現在分かれておりますような研究も、一本化されて国立公害研究所にいくというようなことで、公害分野に対する研究はまず国立公害研究所である。そしてそれらが応用され、もしくは有機的に生かされる場合における研究というものは、その成果を踏まえて各省庁の研究機関が実用化あるいは試験等を行なっていくということにしなければならぬだろうと思っております。
#58
○鈴切委員 企業あるいは業界サイドの関係官庁の研究内容は、往々にして不十分であったりあるいはゆがめられてきたり、あるいは実際には研究をしてあったけれども、放置をされてきたというような、そういう場合も現在までは実はあったわけであります。しかしやはり私は、環境庁という国民サイドの立場から、各省の試験研究機関に関連のある研究技術者あるいは公害研究等を公害研究所等に移管して、そして国民的な立場から公害を徹底的にやるべきではないか。もしも各省で必要ないろいろのデータ、研究等がほしい場合には、むしろ公害研究所あるいはそういうふうに統合したところからデータをもらってやっていくというふうにしていかないと、たとえて言うならば、この間のカドミの総点検によりますと、いろいろ違ったデータが出てまいりました。通産省並びに農林省あるいは厚生省等のカドミの数値が総点検によると違ってまいりました。そういうことでは国民は安心していられない。そういう状態ではどうにもならないではないか。やはり少なくとも国民サイドに立った基準のもとにおいての発表がなされなければならない。その各省、各庁それぞれの立場においての基準の測定のしかた、取り方ということは許されるべきではない、私はそのように思うのですけれども、その点についてお伺いします。
#59
○山中国務大臣 これは私も全く同感であります。ことにこの研究所の権威ある科学的な試験研究の成果というものは、やはり国際的にも説得力を持ち、場合によっては日本のほうが国際的に指導力を持つようなものでなければならぬと思います。アメリカでマグロの水銀汚染について議論がある。ところが日本では、インド洋の外洋を泳いでいるマグロというものは、天然の水銀をその程度は含んでいる。日本のマグロ漁船の乗り組み員はほとんど主食みたいにマグロをずっと食べて生活していても、念のために調べても、毛髪に若干常人より蓄積が多いかなという程度で何の心配も要らない天然水銀であるが、アメリカでは非常に騒いだ。したがって、かん詰めは没収するし輸入は禁止するし、廃棄処分にするというような処置をとろうとしたけれども、急遽水産庁、厚生省の係官を相談させて向こうへやりまして、日本のそういう心配ないというデータをやりましたために一応これがおさまって、ヨーロッパヘも波及しかかっておりましたものが静まったわけであります。もっともいまメカジキについてはまだ議論があるようでありますが、こういうような場合に、やはり国立公害研究所の権威あるデータというものが一本に国でしぼってありませんと、私はまずいと思いますし、国内的に見ても、たとえば通産省の研究成果というものは、場合によっては企業と通産省の間だけを循環したデータとなってしまう、あるいは通産省で研究したデータであっても、それがほかの省庁に知らされていないデータのままでとどまっているような状態もあり得るでしょうし、あるいはまた厚生省あたりの研究データというものは、今度は他の関係省庁と関係なく一方的に数字を発表してしまうというように、、積極的なために、たとえば米の汚染状態とその要観察地帯に指定する基準との問題で、食管の行政で国民に非常な混乱を与えたようなのは典型的な例であります。
 こういうようなことを考えますと、研究機関は建物ができるまでは具体的に出発できないということを申しましたが、まずデータバンクというものはどうしても早くつくらなければいかぬ。したがって、国の各種研究機関にあるデータというものあるいは得られた成果というものは、全部環境庁のデータバンクに統一をして、そこで普遍的に広く国内の国民全部に向かって開放してしまう。国際的にもまたそういうものの交流を行なうという姿勢が必要でありますので、データバンクの予算は本年度予算に約八百万計上いたしておりまして、データバンクだけはことしから出発をして活動を始めるということになっておりますから、とりあえずはデータバンクで泳いでいくということになると思います。
#60
○鈴切委員 今度のカドミの公害の調査に対して、同一地域を対象とした調査でありながら、厚生、農林両省の調査数値に大きな格差があった。厚生省の調査結果のほうは農林省の調査結果よりも約六倍も高い。かりに厚生省の数値をとれば、現地農民は汚染米の廃棄処分を迫られることになるし、農林省の数値をとればその必要はなくなる。こういう廃棄処分をしなくてはならないというふうに言われているカドミの汚染米、それから片一方は、廃棄処分しなくてもいいと言いながらも、やはり国民に対する不安というものはぬぐい切れないと私は思うわけであります。そこで七月から発足はするであろう環境庁が総合的な調査方針を確定して、引き続いてやはり全国的な汚染調査を進めていかなければいけない。その場合特に重要なことは、事前に調査目的、方法、実施主体、調査対象、期間などを公表して、調査の区切りがついたらすべてのデータを公表して、こういう状態だということをはっきりと明記をしなければいけない、そのように私は思うわけでありますが、その点についてはどういうふうにお思いになりますか。
#61
○山中国務大臣 この点は私もたいへん申しわけなく思っております。ただいまの調査は、農林省においては既定予算ですでに独自の調査を準備してやっておりましたし、通産省も既定予算がありました。さらにその上に緊急的な予算支出を関係閣僚協でやったものでありますから、さらに厚生省が一斉検査をやった。でありますから、全部がばらばらに自分たちの目的だけの調査をやっておりまして、同じ地域でありましても全部調査の場所が違うのです。これなどはまことに国民に対して申しわけない予算の使い方をしたと私は思っておりまして、あとでその報告を受けてずいぶんきびしい雷を落としたわけでありますが、環境庁が出発いたしましたら、当然そういうものは何のための調査であって、何を調査して、そしてどこをという基本的な問題で役所ごとに違う調査をするようなばかなことはもう今後は起こらないだろう。環境庁の完全なる統一された方針のもとに、場合によっては各省庁の手足の協力が要るかもしれませんが、もちろん国民のためにいまのような指摘されたことは二度とあってはならないと私も深く反省をしておるところであります。
#62
○鈴切委員 確かに私もそう思うわけであります。たとえば、同じ川の流域でもはかった場所によってそれだけ六倍も違う数値が出たとなれば、やはりその全域の調査の総点検をしなくては、国民の皆さま方が安心した生活ができない。こういうふうに非常に不安をかもし出すような行政のあり方であってはいけない、私はそのように強く思うわけなんであります。十四本の法案が昨年の暮れに通ったわけでありますが、その中で六カ月間の施行期日になっている法案があります。その政令は、環境庁が七月の一日に発足する前にすでに政令基準等を定められるということになると思うわけでありますが、これらの政令等の詳細部分については公害対策本部との相談はどのようになっているか、その点についてお伺いします。
#63
○山中国務大臣 すでに私の所管いたしております公害防止事業者費用負担法、これはもう十日付で政令を発表いたしました。もちろん環境庁が出発するまでには全部の政令をきちんと整えて出発させなければならないと思いますが、しかし、法律の施行上、海洋汚染防止法の一部とさらに廃棄物の関係の一部が若干環境庁の出発後の政令になるかもしれないと思いますが、おおよそはお話のような方向できちんと明らかにして出発させたいと思っております。
#64
○鈴切委員 いよいよ環境庁が発足をする段階になって、政令の部分についてやはりまずい点があって手直しをするなんて、そういう不手ぎわなことがあってはならない。少なくとも環境庁ができる前にそういうふうな政令をきめるという部分においては、公害対策本部とよく打ち合わせて基準を設定しなくてはならないのではないか、私はそのように思います。
 今後の環境行政は、自然環境保全を含めたものでなければならないわけでありますが、そのためには中央公害対策審議会の委員には人類学者それから生態学者等幅広い人々の英知をすぐって、こういう問題に対しての行政をしていかなければならないと思っております。その点についてまず第一点お伺いします。
 それから最後に、さらに環境保全全般という立場に立って、昭和四十四年の五月三十日閣議決定を見た新全国総合開発計画を環境庁の立場から、少なくとも環境保全計画を策定する上においても見直していかなければいけないのではないか。ただそのままにほうっておいたのでは、ほんとうの環境保全というものはできないのではないか、私はそのように思うわけでありますが、その点について最後にお伺いいたします。
#65
○山中国務大臣 ただいまの審議会の人選の問題でありますが、当然そういうことは念頭に置きまして、現在の中公審の定員を、現在二十名でありますものを八十名ということにふやすわけであります。しかも、それについては先般も他の委員に御答弁申しましたとおり、それぞれの各専門の分野のまた部会をつくりまして、それで部会の責任者は必ずその委員に入っている。したがって、生態学から人類学からそういうものを全部踏まえた基本の審議会にしたいと思いますので、非常な大世帯でありますけれども、そういう意味で手落ちのないものにしたいと考えてやっておりますので、そういう方向でまいりたいと思います。
 なお、新全総は昨年改定されたばかりでございますが、すでにその中には若干公害防止、環境保全の立場からの検討がなされておるわけであります。しかしながら、その作業は、おそらく一昨年あたりから続いた作業の結果でありますから、はたして去年の公害国会ともいわれた臨時国会等の足あとを振り返ってみますときに、それで完全であるかどうか、この点についてはもう一ぺん見直す必要というものは私も感じます。
 ちょうど問題が別になりますが、新全総で沖繩を九州ブロックとせずに一つのブロックとしたいということで、新全総の手直しということも考えておりますので、それらの機会に、ただいま言われたような現在の時点から見て、しかも将来にわたって相当長期にたえ得る環境汚染に対抗する新全総というものを見直しをする必要があるということを考えておりますので、そういうことも努力をしたいと考えます。
#66
○天野委員長 次回は明十四日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト