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1970/02/05 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第5号
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1970/02/05 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第5号

#1
第065回国会 本会議 第5号
昭和四十六年二月五日(金曜日)
    ―――――――――――――
  昭和四十六年二月五日
    午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員辞職の件
 裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員の選挙
 北海道開発審議会委員の選挙
 福田大蔵大臣の昭和四十四年度決算の概要につ
  いての発言及び質疑
    午後二時六分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(船田中君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。
 田川誠一君、永田亮一君及び藤山愛一郎君から、海外旅行のため、二月十一日から二十八日まで十八日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員辞職の件
#5
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員美濃政市君から、予備員を辞職いたしたいとの申し出があります。右申し出を許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員の選挙
 北海道開発審議会委員の選挙
#7
○議長(船田中君) つきましては、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員の選挙を行なうのでありますが、これとあわせて、北海道開発審議会委員の選挙を行ないます。
#8
○加藤六月君 裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員の選挙及び北海道開発審議会委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名せられ、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員の職務を行なう順序については議長において定められんことを望みます。
#9
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員に内藤良平君を指名いたします。
 なお、その職務を行なう順序は第三順位といたします。
 また、北海道開発審議会委員に篠田弘作君、佐藤孝行君、箕輪登君、美濃政市君及び斎藤実君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 福田大蔵大臣の昭和四十四年度決算の概要に
  ついての発言
#11
○議長(船田中君) 大蔵大臣から、昭和四十四年度決算の概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣福田赳夫君。
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#12
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十四年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 昭和四十四年度予算は、昭和四十四年四月一日に成立いたしました本予算と、昭和四十五年三月四日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。
 昭和四十四年度本予算は、わが国経済の持続的成長の確保と物価の安定を眼目として、財政面から景気を刺激することのないよう、財政規模は度のものにとどめ、国民の負担の軽減をはかるため、所得税及び住民税等の減税を行ない、財政体の改善をはかるため、公債発行額を縮減して、一般会計の公債依存度を引き下げるとともに、歳出内容について、限りある財源の適正かつ効率的な配分につとめ、国民福祉向上のための諸施策を推進することとして編成されたものであります。
 なお、補正予算は、公務員の給与改善をはじめ、本予算成立後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費その他公債金の減額等につきまして、所要の補正を行なったものであります。
 昭和四十四年度を顧みますと、わが国経済は、引き続き好況に推移いたしました。経済活動は、春以降活発な盛り上がりを示し、九月には日本銀行は景気の行き過ぎを未然に防止し、物価の安定をはかることを目的として、一連の金融引き締め措置を実施いたしましたが、結局、実質経済成長率は一二・六%となり、ここ四年間高い成長率を維持いたしたのであります。
 なお、卸売り物価は前年度比三・二%、消費者物価は同比六・四%の上昇と相なりました。
 こうした経済の好況をささえた大きな要因は、設備投資や住宅建設の増勢等による国内需要の伸びと、世界貿易の活況、国際競争力の向上等を背景とした輸出の高い伸びでありました。また、国際収支も、輸出の増大と外人証券投資の大幅な流入超過を主因として、十九億九千万ドルの黒字と相なりました。このように国際収支が黒字を続ける中で経済は拡大を続け、企業収益は九期連続の増収増益、賃金は前年度比二八・三%の大幅な上昇を記録するなど、所得面でも著しい伸びが認められたのであります。
 このようなわが国経済の状況を背景として昭和四十四年度予算が執行されたのでありますが、以下、その決算の内容を数字をあげて御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は七兆千九十二億円余、歳出の決算額は六兆九千百七十八億円余でありまして、差し引き千九百十四億円余の剰余を生じました。
 この剰余金のうち七億円余は、空港整備特別会計法附則第四項の規定によりまして、空港整備特別会計の昭和四十五年度の歳入に繰り入れ、残額千九百六億円余は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和四十五年度の歳入に繰り入れ済みであります。
 なお、昭和四十四年度における財政法第六条の純剰余金は六百九十七億円余であります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額六兆九千三百八億円余に比べて、千七百八十四億円余の増加となるのでありますが、このうちには、昭和四十三年度の剰余金の受け入れが、予算額に比べて九百五十三億円余増加したものを含んでおりますので、これを差し引きますと、昭和四十四年度の歳入の純増加額は、八百二十億円余と相なるのであります。
 その内訳は、租税及び印紙収入、雑収入等の増加額千二百四億円余、公債金における減少額三百七十三億円余と相なっております。
 一方、歳出におきましては、予算額六兆九千三百八億円余に、昭和四十二年度からの繰り越し額七百二十二億円余を加えました歳出予算現額七兆三十一億円余に対しまして、支出済み歳出額は六兆九千百七十八億円余でありまして、その差額八百五十三億円余のうち、昭和四十五年度に繰り越しました額は七百二十六億円余となっており、不用となりました額は百二十六億円余となっております。
 次に、予備費でありますが、昭和四十四年度一般会計における予備費の予算額は七百十六億円でありまして、その使用額は七百十五億円余と相なります。
 次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し述べます。
 財政法第十五条第一項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は二千四百四十六億円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は二千三百七十七億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額二千二百十六億円余を加え、昭和四十四年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額、千四百八十九億円余を差し引きいたしました額三千百四億円余が、翌年度以降に繰り越された債務額に相なります。
 次に、財政法第十五条第二項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は六十四億円余でありまして、既往年度からの繰り越し債務額五十一億円余は、昭和四十四年度中に支出その他の理由によって、その全額が消滅いたしましたので、六十四億円余が翌年度以降に繰り越された債務額と相なります。
 次に、昭和四十四年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十二でありまして、これらの特別会計の歳入歳出の決算額を合計いたしますと、歳入決算において十六兆二百九十二億円余、歳出決算において十四兆三千九十四億円余と相なります。
 次に、昭和四十四年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は六兆千七百八十三億円余でありまして、この資金からの歳入への組み入れ額等は六兆千六百七十六億円余でありますので、差し引き百六億円余が昭和四十四年度末の資金残額となります。これは、主として国税にかかわる還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。
 次に、昭和四十四年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。
 以上、昭和四十四年度の一般会計、特別会計、国税収納金整理資金及び政府関係機関の決算につきまして、その大要を御説明いたした次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 昭和四十四年度決算の概要についての発言に
  対する質疑
#13
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。高橋清一郎君。
    〔高橋清一郎君登壇〕
#14
○高橋清一郎君 ただいま、大蔵大臣から昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算外二件につきまして報告ありましたが、自由民主党を代表いたしまして、総理並びに大蔵大臣に対し、質問いたしたいと存じます。
 申し上げるまでもなく、四十四年度決算は、これから審議されるものであり、したがいまして、きわめて総括的なものであることをお断わりしておきたいと存じます。
 予算執行にあたっては、政府及び関係当局は、常に適正かつ効率的に執行して、財政運営の健全化に努力されていることと思います。
 しかしながら、会計検査院の四十四年度決算検査報告によりますと、収入関係で三件、六億八千四百万円、支出関係で百五十件、十九億九千二百万円、その他制度の改善処置要求事項十七件が指摘されております。
 このような事例に対する政府当局の見解と是正処置はどのようにされたのか、御説明を承りたいと思います。
 歳入関係で、一般会計及び各特別会計の収納未済歳入額に、国税収納金整理資金の収納未済額を加えますと、二千六百二十八億七千六百四十三万円になりますが、このほかに、既往年度の収納未済額で、本年度にもなお収納されなかったものが八百八十億五千六百四十四万円あります。収納未済のおもな理由と、毎年数十億円の不納欠損が生じていますが、債権の保全措置は万全を期しておられますか。収納未済の徴収にあたっては、多々困難なこともあろうと思いますが、早期に収納して財源確保につとめるべきと思われます。
 歳出関係で、翌年度へ繰り越した額は七百二十六億三千五百八十七万円で、そのうち財政法第四十二条ただし書きの規定による事故繰り越しは、二十二億二千二百三十万円でありました。事故繰り越しは、当該年度の予算執行中に避けがたい事故の発生により繰り越したと思われますが、財政法の規定による会計年度独立の原則に沿って予算執行するのが本来の姿と考えますが、所見を賜わりたいと思います。
 各特別会計、政府関係機関及び政府が資本金の二分の一以上出資している法人の四十四年度損失状況を見ますと、食糧管理特別会計外四件で四千八百八十九億七千五百五十万円、日本国有鉄道外二件で千三百五十二億五千百万円、日本航空機製造株式会社外二十五件で二百十億千七百万円となっております。
 すなわち、食糧管理特別会計の四十四年度損失額は三千四百六十二億円、三十五年度から四十五年度までに約一兆八千三百八十一億円が一般会計から赤字補てんのため繰り入れる見込みであります。このような食糧管理特別会計への繰り入れは、財政支出の効率という点からも問題であるだけでなく、さらに、古米在庫の累増に伴う赤字の発生も見込まれるに至ったのでございます。したがいまして、食糧管理運営の改善は、国家財政上も急務と思われまするが、いかがでございましょうか。
 政府管掌健康保険の累積赤字は、四十四年度末には千三百十九億円、さらに四十五年度末には千九百億円、四十六年度末には三千億円と激増する見込みでありますが、このままで推移すると、やがては財政の破綻にもなりかねないのであります。
 政府は、健康保険法の一部を改正して、収支の均衡を確保しようとしておるようでありますが、それでは、いままでに生じた赤字はどうなるのか。政府においても何らかの対策を考えておられることと思いまするが、所見を承りたいと存じます。
 日本国有鉄道の四十四年度損失額は約千三百十五億八千九百万円でありますが、四十四年度末の繰り越し欠損金は四千百三十八億九千百三十万円となっております。鉄道事業の線別の経営成績を見ますと、二百四十七線のうち、利益を生じているのはわずかに九線にすぎず、残余の二百三十八線は直接費をもまかなえない状況になっております。このような事情に対して、赤字解消の具体的な方針がなければならないと考えられますが、いかにお考えでございましょうか。
 日本航空機製造株式会社の四十四年営業年度末における損失累計額は百五十四億六千九百七十七万円になり、資本金の七十八億円を七十六億六千九百七十七万円上回っております。回収困難となっておる賃貸料等の債権が十億三千八百七十六万円、借り入れ金の残高は五百九十四億六千九百七十五万円で、その支払い利息は四十一億二千七十万円であります。販売代理店に手数料として、十億三千五百八十七万円を不当に支払っております。このような経営に立ち至ったのは、会社首脳部の責任はもとより、監督官庁である通産省にも重大な責任があると思われます。かかる事態に対する政府の見解と、今後の対策についての御所見を承りたいと存じます。
 経済が成長し、近代化されるにつれて、中小企業分野への大企業の進出は世界的風潮のようでありますが、最近のように国際経済のきびしい環境下においては、世界の貿易関係が少し悪化すれば、これまた、わが国の中小企業に影響するところは大きいのであります。
 こうした実情によって、政府は、中小企業対策として、通産省、大蔵省、労働省を通じ、その近代化、合理化、組織化及び企業金融の円滑化等のため、四十四年度の一般会計だけでも四百三十億円を支出し、これに中小企業金融公庫、国民金融公庫等の財投関係の資金を加えると、多額の金額が中小企業関係に投じられているわけであります。ところが、中小企業は、最近に至って倒産するものが多く、資金の調達にも円滑を欠き、輸出貿易すら不振におちいりつつある状態であります。政府は、こうした事情に対してどのような方策をお立てになっておられるか、御所見を承りたいと存じます。
 一九六九年のわが国の対外援助の実績は、十二億六千三百万ドルでありますが、五年後の一九七五年には、その目標として四十億ドル、邦貨にして一兆四千億円もの大金が、開発途上国に支出されることになっているのであります。しかし、ここに幾つかの問題点があります。
 たとえば、技術協力一つを例にとってみましても、米、英、仏、独等の諸国に比し、わが国の技術協力費はきわめて少なく、相手国からは、ほんとうに民衆のためになる技術協力関係のものを多くしてほしいという声が高いのであります。また、民間ベースによる経済協力と政府ベースによる経済協力との比率も、欧米諸国と反対になっており、さらに、わが国の対外協力の実施機関も幾つかに分かれており、それを所管する政府の窓口も、外務、大蔵、通産、農林等各省にばらばらになっておるのであります。
 こうした諸点をあげてみましても、いろいろ考えていかなければならないことが多いのでありますが、政府はどのような対策をお考えでありますか、総理の御所見を承りたいと存じます。
 以上、四十四年度決算の概要に対する質疑といたします。明確なる御答弁を期待いたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 高橋君にお答えいたします。
 昭和四十四年度決算におきまして、会計検査院から百五十三件の不当事項、さらにまた、十七件の制度改善処置の要求事項の指摘を受けましたことは、まことに遺憾であります。
 租税等の徴収不足について指摘のあった事案については、すでに徴収決定等を完了し、収納に鋭意努力しているところであります。今後とも、納税者等に対する法令の周知と指導の徹底を期し、内部において職員の専門知識の向上につとめるとともに、内部監督の充実等により、適正な徴収をはかってまいります。
 また、補助事業における工事の設計施工の不良等については、すでに手直し工事を施工させ、または補助金の返還をさせる等の処置を講じました。今後とも、事業主体に対する指導の徹底、関係職員の資質の向上等につとめて、このような事態が再び起こらないように努力するつもりでございます。
 次に、健保の赤字問題でありますが、この問題は、単に財政上の問題にとどまらず、国民の健康を守る見地からもきわめて重大な問題であります。このため、政府は、健保財政の健全化をも含め、抜本改正の第一歩として、今国会に改正法案を提出する予定であり、ただいま関係審議会に御検討を願っております。このうち、赤字対策については、四十六年度末までの累積赤字はこれをたな上げとし、四十七年度以降は、定率補助の措置等を講ずることにより、単年度収支の均衡をはかることとしております。
 次に、国鉄の赤字問題についてでありますが、その原因が、わが国輸送構造の変化に根ざす問題であるだけに、根本的な検討を要する問題であります。このため、政府としては、総合交通政策の検討を進め、将来の総合交通体系における鉄道の役割りを把握して、適切な再建計画を樹立すべく、せっかく努力中であります。四十六年度予算におきましても、日本国有鉄道合理化促進特別交付金を新たに計上するなど、積極的に赤字線対策を取り上げました。さらに、再建計画の再検討をまって、四十七年度予算から、本格的な国鉄再建策に取り組みたいと考えております。
 日本航空機製造株式会社の赤字問題や、中小企業金融等についてのお尋ねは、大蔵大臣からお答えしたいと思います。
 最後に、発展途上国に対する経済協力の額は、わが国の経済力の充実に伴って近年著しく増大し、国民総生産に対する経済協力のウエートにおいても、ようやく国際的水準に達してまいりました。技術協力にいたしましても、昭和四十年から四十四年にかけては、三倍をこえる伸びを示しております。しかしながら、わが国の技術協力がおくれてスタートした関係もあって、先進諸国に比べては満足すべき状況にまだ至ってはおりません。そのことは、高橋君御指摘のとおりであります。今後さらに一そうの拡充強化につとめてまいる決意であります。
 また、政府ベースと民間ベースの援助の比率につきましても御指摘がありましたが、現状においても、西ドイツやイタリア等に比べて、すでに政府ベースの援助の割合は高くなっております。特に、最近の政府ベース援助の伸びは、世界各国に比較してもきわめて高い水準にあります。
 政府は、七五年までにGNPの一%を援助に振り向けるとともに、その中で、政府開発援助のウエートを増大させるという意図を国際的にも表明しているところであり、この傾向をさらに進めることによって、発展途上国の要望にも十分こたえ得るものと考えます。
 また、援助の内容について、発展途上国の民生の安定と真の発展のための、血の通ったものでなければならないことは申すまでもないことであります。教育や社会資本の充実等の分野の拡充にも十分力を注いでまいりたいと考えております。
 次に、経済協力の実施機関や政府の機関がばらばらではないかとの御指摘でありましたが、経済協力の問題は、外交、貿易、海外投資、国際金融、技術訓練等の多くの分野にわたっているため、各機関がそれぞれの特色を生かしつつ、機能的に事業を推進するという立場を重視しているものであります。しかしながら、これが密接な関連を持って進めらるべきことは当然のことでありますので、閣僚ベースの経済協力閣僚懇談会において、経済協力行政の基本方針を決定し、関係各省はもとより、官民の緊密な協調のもとに、その組織的な運用を心がけてまいりました。今後とも一そう円滑な連絡、調整がはかられるよう十分配意してまいるつもりであります。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#16
○国務大臣(福田赳夫君) 高橋君にお答え申し上げます。
 四十四年度決算におきまして、収納未済額が非常に多いという御指摘がありましたが、数字はそのとおりでございます。これが出た理由は、収納未済額のおもなものは租税でありまして、この租税が、課税がきまりましてからその企業が倒産になったとか、あるいは業況不振になったとか、そういうような事情に基づくものが多うございます。対策といたしましては、担保物件を取るように努力をいたしております。それから、なお督促等は努力はいたしておりますが、場合によりましては、履行期限を延長するようなことも認めまして、取り立てを容易ならしめるということも考えておるのであります。非常に問題がこんがらがった、そういうような場合においては、訴訟を提起することもあります。
 いずれにいたしましても、収納未済額の確保につきましては、今後とも全力を尽くしてこれに当たりたい、かように存じます。
 次に、歳出の面におきまして、翌年度繰り越しが多いのじゃないか、こういう御指摘でありますが、これも御指摘の数字のとおりのものがあるわけでございますが、繰り越し明許に基づく繰り越し、これは国会の御承認を得ておるわけでありますが、いわゆる事故繰り越しにつきましては、なるべくこれがそういうような事態にならないように今後とも気をつけてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
 次に、日本航空機製造株式会社の累積赤字の指摘でございまするが、これは、大蔵省といたしましても、たいへん頭を痛めておる問題でございます。昭和四十六年度予算において、これが暫定的な措置をいたしましたが、根本的な対策につきましては、その予算の執行の過程において深く掘り下げた検討をいたしたい、かように考えております。
 次に、中小企業の問題でありますが、これは本席におきましても、また予算委員会におきましても、すでに政府の考え方につきまして、詳細にこれを明らかにしておりますが、今日、景気が非常に流動的である、そういう際にはどうしても中小企業の方に及ぼす影響、これが見のがすことはできない、かように考えておるのでございまして、景気の変動に抵抗力の弱い中小企業の対策につきましては、金融の面におきまして、また税の面におきまして、特に配意してまいりたい、かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(船田中君) 華山親義君。
    〔華山親義君登壇〕
#18
○華山親義君 決算委員会において、この一年の間に特に論議になりました幾つかの問題について、日本社会党を代表しお尋ねをいたします。
 一つは、米のことであります。今日、食管会計は余剰米をかかえ苦しんでいますが、これをえさその他に処分するために、四十五年度に約八百億円、四十六年度から四十九年度までに約六千億円が必要であると推計されています。この合計は六千八百億円に相なるわけであります。また、米の生産調整には、四十五年度に一千百億、四十六年度に一千七百億円を計上し、さらに、四十七、八年にかけて三千七百億が必要と予定され、生産調整に要する額は六千五百億であります。したがって、余剰米の損失補てん及び生産調整に要する国費の合計は、実に一兆三千五百億にのぼるのであります。
 このような積極性を持たないうしろ向きの巨額の出費を招いたのは、四十二年当時の農政の失敗によるものと私は考えます。もし政府に当時先見の明があったならば、少なくともこの損失は縮小することができたと思うのであります。四十一年以前の米の傾向を見ますと、生産量は千三百万トンに近い千二百万トン台に安定し、その中に増産のきざしが見えておりました。消費は千三百万トン台から次第に千二百万トン台に落ち込む傾向を示しておりました。私は、この推移の中で、農政よろしきを得るならば、米の需給は近く平均するものと考えておったのであります。しかるに、四十二年、各地方においては、県あるいは農協を中心として、思い思いの目標を掲げて米の増産を推進してまいったのであります。私は、その年の予算委員会分科会において、このような情勢が続くならば、近い将来米の生産過剰になることはないかと質問をしたのに対し、時の倉石農林大臣は、何ゆえか答弁を回避して、政府委員は、米の生産確保の方針を述べ、近く生産過剰になるのではないかということには確答を避けたのであります。はたせるかな、四十二年は一割三分の増産となって千四百万台に乗せ、これが四十三、四年と続き、消費は次第に減少して千二百万台を割り、今日の巨額の財政負担を生み出したのであります。
 農林大臣、あなたは四十二年当時とられた米の増産対策について、今日の事態と思い合わせ、責任を感じておられるかどうか、所懐を伺いたいのであります。(拍手)
 しかし、日本の農政は出たとこ勝負であり、その日その日の農政であります。農林大臣は短い期間で幾たびかかわった。この間、かわらなかったのは佐藤総理大臣であります。任長ければその責任も重いはずであります。総理大臣は、米の今日の一兆三千億円にも及ぶむだな出費について、これが国民の税金によってまかなわれることについて、どういう責任感を持っておられるか、お伺いをいたしたいのであります。(拍手)
 さらに、今日の米の減産政策に関連し私の憂うることは、都会と農村の人心の隔離であります。かつて、物価の上がるのは米価の上がるためだと宣伝され、私にこのように答えた農林大臣もありました。しかし、米価は上がらなくても物価の上昇はとどまるところを知りません。そして、いま物価の上がるのは野菜の上がるためだと言い、物価の上がるのは農民の責任であるかのごとき印象を与えております。しかし、一般農民は決して裕福ではありません。米作地からの出かせぎは米収入の減少とともに増大し、彼らは都会の中で最も下積みな重労働に、不安定な労働条件と最悪の生活環境の中で黙々として働いているのであります。農村の主婦は、大雪の中で家と子供を守りつつ、都会に表象される日本の繁栄をテレビで見ているのであります。しかも、ときどきこのテレビは、物価について都会と農村の主婦を集めて対談させ、露骨な反感の中に論争することを、私は見るにたえないのであります。ここにおのずから日本人の間に調和の乱れを生ずることはないかを憂うるのであります。
 総理大臣は、このことに重大な関心を持っていただかなければならない。これについて、いまでもすぐできることは、都会の人と農村の人との接点である出かせぎ者に対し、保護のための立法に踏み切っていただきたいのであります。今日までわれわれの主張によって、関係各省はそれなりの施策をいたしてまいりました。しかし、いまだ不十分きわまるものであります。これらの施策の前進、制度化のために立法に踏み切っていただきかい。百万にもなんなんとする出かせぎ者を暗やみから日の当たる場所に引き上げ、労働者として堂々と日本産業発展のための重責をになわしていただきたいのであります。
 次に、委員会において論議されました薬の問題であります。
 わが国の薬の生産額は、四十四年八千四百二十五億円であって、世界第二位、おそらく今日は一兆円の巨大産業になっているでありましょう。しかし、その輸出は生産の三%にも達せず、まことに話にもなりません。世界に通用しない薬なのであります。売り上げ高に対する研究費の割合はわずかに三%、英国の一〇%を筆頭とする文明諸国に比して、これまた話にも何にもなりません。しかるに、広告費の売り上げ高に対する割合は五・四%の高率であって、文明諸国においては、薬品の広告は専門誌以外には許されておらないのであります。薬に関して日本は特別の国であり、薬天国といわれるのはこのゆえんであります。
 この一兆円に及ぶ製品の大体七〇%は医療用であり、三〇%が一般用として市販されておりますが、今日、赤字に苦しむ政府管掌健康保険において、治療費の四〇%は薬品代であり、外来においては四九%が薬品代なのであります。薬価及び投薬のあり方に手をつけないで、健保の立て直しはでき得るはずがありません。健保改革の第一歩はここから始まらなければならないと思うのであります。(拍手)これについて、根本的には、医師の技術に対する報酬が低額であるために、このような結果を招いているのではないかとも思うのであります。これについて厚生大臣の所見を伺いたい。
 市販される薬品について、日本特有のものとして、広告がはんらんし、広告料の額は四百億円に達するものと推計されます。これが薬価を高めるとともに、国民の間に薬の乱用、多用を招くことになり、これが国民の健康にまことに危険なものであることを思わねばなりません。これについて、昨年十一月、国民生活審議会は、「大衆保健薬については、消費者との関連も深く広告の及ぼす影響が大きい上、消費者がその品質を判定しがたい点にかんがみ、マスコミ広告の禁止を含めて、制度の検討を行なうこと」と総理大臣に答申いたしておるのであります。この答申を受け、総理はいかなる検討と措置を今後なさるおつもりか、お伺いしておきたいと思うのであります。
 私はここに、決算委員長が委員会の精力的に論議された中から取りまとめた要望を中心として、次の提案をいたします。
 一、今日世にはんらんする薬は二万から二万五千種類ともいわれ、その薬効について疑わしいものがあります。ここで薬の効果の再審査を行ない、審査は二重盲検法、科学的、客観的審査によるものとし、審査に当たる者には薬学系に限ることなく、医学系、生物科学系の学者を入れるべきであります。
 二、薬品の一般向け広告は、前に述べた答申のとおり、廃止を目途とし、その前提として、広告内容については直ちに許可制に移すべきであります。現在の薬事法や厚生省の指導あるいは業界の自粛申し合わせでは不十分であり、これにさえ違反する者が七〇%あったと報道されておるのであります。
 三、販売薬品には製造年月日及び有効年月日を記入していただきたい。あのような化合物質に、いつつくったものともわからないものが、変質したとも保しがたいものがわれわれの健康のために飲まされることは、まことに危険きわまりないのであります。(拍手)
 これらにつき、厚生大臣の方針を承り、さらに、決算委員会の要請により昨年十一月厚生省内に設けられた、薬効洗い直しのための懇談会のその後の活動と、今後の方針を承っておきたいと存じます。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 華山君にお答えいたします。
 まず、過剰米の問題に関連して、これまでの農政は大体失敗であるとのおしかりがありました。確かに、過剰米の処理は当面の課題でありますが、この問題が発生するに至った経過については、ひとつ大局的に見ていただきたいと思います。食管制度が戦後の国民生活の基盤を守った功績は高く評価さるべきであるし、また一面において、それが農民諸君の所得の向上、生活水準の改善に寄与したところもきわめて大きいことは、華山君も十分お認めいただけるものと思います。
 私は、戦後二十数年間の日本農業の支柱となった食管制度の改善、合理化を適切に進めることが当面の農政の課題であり、過剰米の問題もその一環として解決してまいりたい、かように考えております。また米の生産調整対策は、決して単なるうしろ向きの政策ではなく、この対策を通じ、稲作から他作物への転換を促進し、新しい近代的な農業を育成するための前提となるものであります。農業の特質と戦後の食糧問題に源を発する根の深い問題として、これらの措置に十分の御理解をいただきたいと思います。いずれ他の機会に詳細についてお話しいたしたいと思います。
 次に、出かせぎ労働者の問題についてでありますが、出かせぎに伴い発生しがちなさまざまな社会的問題につきましては、私もかねてから心を痛めている問題であります。このため、出かせぎ労務者の援護については、政府として労働基準法、職業安定法等の法律に基づいてできる限りの措置を講じてまいりました。華山君は特に単独立法を提案されましたが、私は、以上により、十分弾力的に対処できるものと考えております。
 さらに、今後の出かせぎ労働対策につきましては、総合農政の進展とも相まって、できるだけ地元に雇用機会が得られるよう農村地域への工業の導入を促進するとともに、なお、出かせぎに出ざるを得ない方々の援護、また留守家族の方々につきましては、各種援護措置の充実によりまして、万全を期してまいる所存であります。
 次に、国民生活審議会から答申のあった不当広告排除の問題であります。特に御指摘のあった薬につきましては、昨年さっそく厚生省から、医薬品の過量消費や乱用助長を促すような広告宣伝を厳に慎むよう、関係方面に通達したところであります。また、不当広告の是正について、公正取引委員会が最近活発に活動していることも御承知のことと思います。さらに、四十六年度予算におきましては、業界の自主規制について日本商工会議所が実施する広告向上事業に対し、新しく補助することといたしましたが、広告の適正化につきましては、国民の消費生活を守る立場に立って、今後一そう強い姿勢で取り組んでまいる所存であります。
 その他の問題は、担当大臣からお答えいたさせます。(拍手)
    〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#20
○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げます。
 米の需給見通しにつきましてお話がございましたが、政府といたしましても、昭和三十七年五月に公表いたしました農産物の需要と生産の長期見通しにおきましては、長期的には米の生産は需要を若干上回って、米の需給は均衡を失するおそれが強いということを見通しとして発表いたしておりましたことは、華山さんもよく御存じのとおりであります。
 しかしながら、昭和三十七年の長期見通し公表後の実績を見ますると、需要は、昭和三十八年の千三百四十一万トンをピークといたしまして、だんだん減少傾向に転じてまいったわけでありますが、米の生産は、四十一年まで、気象条件その他の原因によりまして、千三百万トンを大幅に割る水準でしばらく推移いたしてまいりました。そのため米の需給はかなり逼迫いたしたものでありますから、御存じのように、外国米を大量に輸入いたさなければならなくなったことも御存じのとおりであります。
 そういうような情勢のもとでございましたので、政府は、米の増産がはかられた、こういうことでありまして、当時といたしましてはやむを得なかったと思うのであります。
 しかし、その後の推移を見まするというと、需要は予想を上回って毎年毎年減少してまいる傾向であります。一方、生産作付面積の増加等によりまして、逆に今度は生産のほうは大幅に増大いたしました結果、今日のように米の過剰が決定的となりました。さらにまた、この傾向がわれわれの見るところ恒常的なものと認められるに至りましたために、政府としては、四十五年度から本格的に生産調整対策を講ずることといたした次第でございます。
 お答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣内田常雄君登壇〕
#21
○国務大臣(内田常雄君) 華山さんから、薬の広告費が大き過ぎるという御意見でございましたが、このことにつきましては、総理大臣からもただいま御答弁がございましたとおり、また、当院の決算委員会からも御意見がございまして、昨年の六月に、法律に基づきまする規制のほかに、医薬品等の広告適正化基準というものを私どものほうでつくりまして、それを業界の指導の指針といたし、業界はまた、これを受けまして、広告自粛のあの規制案をつくってこれまでやってまいってきております。
 いろいろ御批判はあるようでございまして、私どものほうでも、これからさらに一そうこの指導強化の体制をとってまいりますが、ただ、昨年さような指導をいたす前、すなわち昨年の六月とその後の九月ごろの広告の状況を比較いたしてみましたところが、新聞などの広告におきましては、新聞の広告面積及び広告回数が三〇%ほど減ってまいってきておりますことも事実でございます。しかし、さらにこれは御批判にこたえ、また御警告にこたえまして、善処をいたしてまいります。
 それから、医療報酬のたてまえについて、薬偏重の弊害があるという御意見でございまして、これにつきましても、私どもは、診療報酬の適正化と同時に、合理化というたてまえから、お説のように、この技術料の問題をさらに合理的に取り上げると同時に、薬についての薬価基準というようなものを合理化する必要があるという見地に立っております。今般、薬の添付の廃止等を思い切ってやらせることになりましたのもその一環でございますが、要するに、診療報酬の適正化につきましては、皆さま方の御意見も聞きつつ、また、私どもの官僚独善の立場だけでもなしに、中医協の公益委員等からも公正な検討項目をお出しをいただいておりますので、それらの項目をあわせまして、私は、今回の医療保険の抜本改正とあわせて処理をいたす考え方でおります。
 それから、お尋ねがございました三点のことでございますが、二重盲検制等につきましては、これは一つの方法であることももちろんでございますが、これの効果あるいは安全性等を確認いたしますために、私どものほうに薬効問題懇談会という専門の学者の方々の集まりをつくっていただきまして、それでせっかく検討中でございます。おおむね、そのやり方の方法、たとえば動物実験、あるいは二重盲検制の対象にいたします臨床試験等の方法の課題、あるいはどういうものを再検討すべきかというような範囲の問題等も検討が進みまして、何とかひとつ、私の気持ちでは今年度中、おそくもことしの春くらいまでにはおおむねの方向づけをいたしたいと考えております。
 それから、すべての薬に製造年月日あるいは有効期限等を付すべしという御意見でございますが、御承知のようにワクチンとか抗生物質につきましては、すでに製造年月日、有効期限をつけるようにいたしました。しかしその他の薬につきましても、これを再検討して、漸次同じようなやり方の幅を広げてまいりたいと考えております。以上でございます。(拍手)
#22
○議長(船田中君) 鳥居一雄君。
    〔鳥居一雄君登壇〕
#23
○鳥居一雄君 私は、公明党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十四年度決算等につきまして、総理並びに関係大臣に対し質疑を行なうものであります。
 まず、決算書の具体的内容に入る前に、会計検査院が行なう検査の機能を十分発揮できるように、改善すべき点を指摘したいのであります。
 決算審査のあり方は、予算の使用実績や、事業の施行実績、その効率性などが審議され、文字どおり行政府の実績が明確にされなければならないと考えるのであります。言うまでもなく、現行の決算審査の制度は憲法第九十条を根拠とするものので、会計検査院の検査報告を中心にした審査であり、この審査報告で指摘した不当事項が行政上大きな効果を生み出さなければならないのであります。
 会計検査院は、院法第一条により、内閣に対して独立の地位を有していることは言うまでもありません。しかし、行政府とは独立した地位にあるとはいいながら、実際には行政府に従属した実情にあることに私は疑問を抱かざるを得ません。
 検査院の予算は、財政法第十九条で、行政府に予算を削られたときには、検査院が要求する予算原案をそのまま国会に提出して承認を求めることができる二重予算制度になっており、検査院の立場が守られております。しかし、実際には、検査院に関してこの制度が働いたことはいまだにないのであります。そればかりか、検査院で最も大切な検査のための検査旅費は、昭和四十二年以来大幅に削られてまいりました。ちなみにこれは取り上げてみますと、検査院が出した昭和四十二年度の概算要求一億八千三百万円に対しまして、当初予算一億一千万円、四〇%削減であります。昭和四十三年度は、概算要求一億八千五百万円に対し、当初予算一億一千五百万円、三八%の削減であります。昭和四十四年度も三五%削減、昭和四十五年度も二八%削減、新年度予算案におきましても、二億一千三百万円の要求に対しまして一億七千七百万円、一七%削減と、要求額を大幅に削っております。これでは実地検査の充実は望むべくもないのであります。
 検査院の検査業務は、現在質量ともに充実が望まれております。年々予算規模が拡大し、常識的に見ましても、国民の血税の適正な執行という観点から、その会計検査の充実は急務であり、増強されなければならないはずであります。しかし、会計検査院の陣容は、検査院制度が事実上動き出しました昭和二十四年千二百五十五人が、むしろ減って、昭和四十年に千二百十二人になって以来、現在千二百十二人のまま来ております。政府は、各省庁に対しまして、三年間に五%人員削減を閣議できめ、削減の方向に進んでまいりましたが、検査院に対しましても、特別機関である関係から、要望とはなっておりますけれども、人員削減を呼びかけ、検査院もこれに従いまして、応じているのが現状であります。まことに奇妙な行政府からの独立といわなければなりません。
 さらに、第一線で活動する調査官の待遇であります。調査官は国家公務員の一般職となっております。諸外国の例を見ましても、彼らは司法官としての待遇を受け、調査官の誇りを持って活動しております。わが国では昨年も、接待を受け、買収、供応の悪弊が決算委員会で取り上げられております。この悪弊を一掃するには調査官の姿勢を正すことが根本でありますが、調査官の待遇を改善し、身分保障を十分に行なう制度の改善が必要であります。このため、まず第一歩として、三年にわたって人事院、大蔵省が削ってまいりました調査官の俸給の調整額を、会計検査院の概算要求どおり承認すべきであります。政府は税務職員や、裁判所職員の特殊性を認めていながら調査官の立場を認めない考え、これはやや会計検査を等閑に付してきた感を深くいたします。私はこの責任がやはり佐藤総理の政治姿勢にあると思うのであります。(拍手)検査を受ける行政府の長の立場の佐藤総理並びに大蔵大臣の御所見を伺いたいのであります。
 次に、昭和四十四年度決算を通して、問題は、まず雪だるま式に増大し、さまざまに論議されてまいりました三大赤字であります。米、国鉄、健保、いずれも欠損額の点で横綱級でありますが、私は政管健保の赤字についてお尋ねしたいと思います。
 昭和三十七年度に十六億円の赤字を出して以来、二度まで料率を改め、国民の負担で赤字の穴埋めを行なったのでありますが、制度の根本的な欠陥を放置したためにその効果がなかったことは、その後の累積赤字を見て明らかなとおりであります。昭和四十六年度末には累積赤字約三千億に達すると見られ、まさに破綻寸前の危機に瀕しております。
 この原因は、現行の診療報酬制度、出来高払い方式にあることは、今日では明白な事実となっております。医薬分業の先進諸国に比べ、国民総医療費に占める薬剤費の割合が、わが国ではきわめて大きくなっている点、制度の欠陥を端的に物語るものであります。これを昭和四十四年度で見ますと、総医療費が約二兆円と推定されますが、薬剤費はこのうち四五%を占めるまでになっております。さらに、先ごろの総理府の調査で、医師が投薬した薬剤を患者の三割が飲み残しております。民間の別の調査でも、六七%が飲まずに捨てたと答え、薬剤費のむだを明らかにしております。
 また、制度の欠陥は、悪徳医の架空請求、水増し請求等に寛大な結果となり、赤字を増大させてきております。昭和四十四年度の保険監査結果によりますと、架空請求等の明らかになったものだけでも、不正金額が前年度の五倍、一億四千万円に達したことを明らかにしております。
 こうして増大する赤字に対しまして、政府は、再び健康保険法の一部改正で、保険料率に直すと実質二〇%から四〇%の値上げを意図し、国民の負担において赤字補てんをあえて行なおうとしているのであります。二十数年前、社会保障制度審議会は、医療給付費の二〇%を国庫補助すべきであると勧告しておりますが、いまだに五%のみの補助でありまして、国民にしわ寄せするのは明らかに誤りであります。
 国民皆保険となりました今日、辺地といえども、よい医師、よい医療機関が確保できること、また医療費のむだを省くこと、こうした政府公約の医療保険制度の抜本改正を断行すべきであると私は考えますが、総理並びに厚生大臣の所信を伺いたいのであります。
 次は、公営住宅の建設のおくれについてであります。
 わが党は、さきに住宅総点検を行ない、特に東京、大阪など大都市での住宅難がきわめて著しい、逼迫した事態にあることをつぶさにつかんだのであります。公営住宅の大量建設は緊急課題であります。
 そこで、昭和四十四年度の公営住宅建設のための国庫補助金は五百九十九億円でありましたが、このうち百八十五億円が翌年度への繰り越し金となって、当初予定した建設戸数が建たずに、計画が大幅におくれたことを示しております。おくれの最大の原因は、大都市における地価高騰による用地取得難であることは言うまでもありません。この用地取得難は、地方自治体だけで解決できる問題でないことは明白であります。年々二〇%以上の地価上昇の中にありまして、現在三・三平方メートル当たりわずか六万円程度に押えられた地方債のワクでは、新規に土地を求めることは不可能に近い現状であります。政府は、用地取得難の現実とどう取り組む考えか、伺いたいのであります。
 最後に、わが党は、決算を議案にすべきことを繰り返し主張してまいりました。この決算が議案である点であります。憲法第八十三条は、国会中心財政主義を認めたものでありまして、国の財政処理に関する最高の議決権を国会に与えたものであります。である以上、国会が予算の議決で定めたことについて、決算は国の財政処理に締めくくりをする意味から、議決の対象とすることは当然の帰結であります。単なる決算報告ではなく、議案として国会に上程すべきであります。総理は、国会の議決対象となることはなじまない、こう述べておられますが、事は決算審議の重要問題でありまして、重ねて御所見を伺いたいのであります。
 以上、総理並びに関係大臣の明快なお答えを期待しまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#24
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 鳥居君にお答えいたします。
 まず、検査院が質、量ともに充実した検査ができるようにすべきだとの御指摘は、私も異論ありません。
 ただ、予算が行政府によってチェックされているからといって、検査院の独立性がそこなわれているというものではありません。これは国会や裁判所等におきましても、同様に大蔵省の査定は受けておりますが、しかし、それかといって、それぞれの機関が独立をそこなっているとは私は思いませんので、この検査院の場合も同様であります。
 また、予算の充実あるいは検査官の待遇その他についてのお尋ねがありましたが、これは大蔵大臣からお答えいたさせます。
 次に、健保の赤字問題について御指摘がありました。現行制度に欠陥があればこそ、私どももこれと取り組んだのであります。
 なお、今回の改正は、単なる小手先の赤字対策ではなく、これは抜本改正へのアプローチとなるものと考えております。抜本改正そのものは、広範かつ多岐にわたる複雑な問題でありますので、関係審議会の十分の御検討をいただいて適切な成案を得るよう、今後とも一そう努力してまいります。
 次に、住宅問題についていろいろお尋ねがございましたが、これは建設大臣に譲ることにいたします。お聞き取りをいただきます。
 最後に、決算を議決対象とせよとの御意見でありました。私は、決算は過去の事実についての計数的な記録であり、その性格上、国会の議案とするにはなじまないというこれまでの考え方には変わりありません。しかしながら、決算の重要性につきましては私からあらためて申すまでもないととろであります。国会において十分の御審議をいただき、その結果は率直に行政の運営なり予算の編成なりに反映させてまいりたい、かように考えております。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#25
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 鳥居さんのお話をいま承っておりますと、どうも内閣が検査院を圧迫する、あるいは検査院の機能発揮に冷淡であるというようなお話でありますが、私はそうは見ておりません。これはお互いにお互いの立場がありますから、それを尊重し合っておる、しかも相互不干渉、しかも仲がよろしいというのが内閣と検査院の関係じゃあるまいか、そういうふうに考えております。いろいろ鳥居さんから御指摘がありましたけれども、いままでかつて、予算につきまして二重予算というような案件が持ち上がらなかった、これが論議されなかったということの一事を見ても、私は逆にそれは両者の関係が円滑に動いておるという証左ではあるまいか、そういうふうに見ております。
 具体的に申し上げますと、検査官の給与の問題でありますが、検査官の給与につきましては、これは給与体系の中で特別の格づけをしておる、つまり専門職という地位が与えられておるわけなんです。またさらに、調整額、これをどうするかというお話でございますが、これは人事院で検討いたしまして、その検討をまちまして内閣におきましても検討いたしたい、かようにいま考えておる次第でございます。
 なお、予算の要求に対して、非常に大蔵省が査定、削減をするということでございますが、これはもう各省ともそういうことはあるのです。また、検査院ばかりではない、裁判所につきましてもあるのです。これは削減をするというのではなくて、話し合いで最後にはそう落ちつけるという性格のものでありまして、削るとかなんとかというさような考え方に立っておるものでないことだけを申し上げます。
 なお、定員の問題でありますが、政府・内閣におきましては、御承知のように、定員削減の方針をとりまして、そしてきびしい態度で行政管理庁も大蔵省も、各省に対して臨んでおる次第でございますが、会計検査院につきましては、三十九年にきまりました千二百十二名という定員、これがずっとそのままきておるわけです。各省のほうはだんだんと減るような傾向でございますにかかわらず、検査院の機能を尊重いたしておる。その証左としてひとつ御評価を願いたいと存じます。
 なお、二重予算の問題につきまして最後にお尋ねがありましたが、先ほど申し上げたとおりでございます。(拍手)
    〔国務大臣根本龍太郎君登壇〕
#26
○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。
 昭和四十四年度で公営住宅建設補助費百八十四億円が繰り越しになったことは事実でございます。これは主として東京都が用地取得が困難になりまして、これが大きな原因でございます。これらのような大都市における用地取得が困難になったということは御指摘のとおりでございまするが、このために政府といたしましては国有地、公有地、これの活用、あるいは工場あと地を活用いたしまして、これに中高層建築を建てるというふうな措置によりまして、用地取得をできるだけ緩和したいと考えております。
 そのほかに、すでに相当古くなった二階程度の公営住宅がありまするので、これらを改造して中高層にすることも指導しております。なおまた、大都市におきましては、ことしから初めて農住政策をとりまして、買わずに農民の方々から借りて、これに公営住宅をつくるような措置等、広範な手段をもちまして、都市における公営住宅の建設を促進してまいりたいと思う次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣内田常雄君登壇〕
#27
○国務大臣(内田常雄君) 医療費の中で薬剤費が高過ぎるというお話につきましては、先ほどの華山さんのお話と同じでございますが、これにつきましては、お答え申し上げましたように、医者の技術料というものを私は適正に評価いたしつつ、薬価基準の合理化というものをはかるというようなたてまえを診療報酬の中ではとらるべきものであると考えるものでございますが、先ほどまたお説がございました現物給付とかあるいは出来高払いが悪いというようなお説もございましたが、これはいろいろ問題がございますので、そういうようなことにつきましては中医協でせっかく検討項目を出しておりますので、合理的な方法で適正化をはかってまいります。
 また、一部の心得の適用ならざる方々の架空水増し請求というようなものがあとを断たないということは、まことに遺憾にたえません。しかしながら、これにつきましては、私は、医師の方々の誇りある立場を高めるというような考え方はとりつつも、その指導や監査を厳重にしてまいる、強化してまいるという立場をとってまいりたいと思います。
 また、健保の改正問題につきましては、総理からもお答えがございましたとおりでございますが、これは抜本改正への第一歩と私どもは心得まして、累積赤字の一般会計へのたな上げその他のいい方法をたくさん取り入れまして今度の改正案を出すものでございます。決して小手先の赤字対策ではないつもりでおりますので、よろしく御審議をお願いをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(船田中君) 吉田賢一君。
    〔吉田賢一君登壇〕
#29
○吉田賢一君 私は、民社党を代表して、昭和四十四年度決算につきまして、以下若干の質疑を試みんといたします。
 由来、国策の真の姿を具体的に示すものは、これは総理大臣以下大臣の国会演説ではございません。財政でございます。実に財政は思想や主張ではなく裸にせられた国の骨格といわるるゆえんであります。
 四十四年度決算審査にあたりまして見のがしがたい二つの大きな柱があります。
 その一つは、同年度予算の性格で、前年度予算以来の財政硬直化打開の旗じるしが後退しまして、総花的放漫財政に移ったことであります。また、総合予算主義が後退して補正予算を組まざるを得なくなりました。公務員の給与、国保助成、食管会計繰り入れ、地方交付税交付の増、修正減少などで千九百余億円が数えられ、一般会計に加算せられまして、結局は同年度予算は、他の因子も加わりまして、国民生活上幾多重要な問題を未解決にならしめた次第であります。
 いま一つの柱は予算効率の軽視でありまして、これはまた国策の遂行難の要因となったことであります。予算効率化の問題は、ただわが国のみではありません。全世界の要請でありまして、現にことし九月、カナダで開催の国際最高検査機関の会議の一重要議題とさえなっておるのであります。
 これら二本の柱が交互作用いたしまして、公害、物価、その他重要諸問題が錯綜しまして未解決なのが現状であります。
 以上のような財政、予算の憂慮すべき、言うなれば一種の病的傾向に対しまして、総理の御見解を伺っておきたいのであります。
 私は、以下、二、三の問題を例示いたしまして、その解決難の真の要因を明らかにし、あわせて政府の所信を伺います。
 一つは、例の食管会計の食糧証券であります。四十四年度中の食糧等買い入れの経費は一兆三千六百余億円にのぼって、集荷、運賃、保管料などが六百七十八億円、食糧証券の償還、利払いなと国債整理基金への繰り入れが一兆二千五百億円になりますので、総計二兆七千二百億円でございます。その財源は食糧の売り払い代金のほか、一般会計よりの赤字受け入れ三千五百五十億円余、食糧証券の収入が一兆三千六百億円であります。
 この食糧証券の発行高は毎年累増しまして、残高は、三十九年には三千三百億円であったものが、四十四年度には一兆四千億円にのぼりました。さらに四十六年度予算では、同証券と借り入れ金の収入を、計一兆四千四百億円と予定しております。
 また、証券の利払いは、四十四年度だけで六百六十四億円、元来食糧証券は米の買い入れの代金、その他管理費用などに引き当てるはずのところでありますが、現実には食管会計の赤字充当、利払いに引き当てられておるのが実情であります。一方、百姓は米づくりでは食えず、総合農政は進展しません。米過剰の時代で、古古古米の豚の、えさへの払い下げは、皆さん、トン当たり二万三千円です。そこで膨大な過剰米の処分による赤字の見通し、結局食糧証券の残高は一兆五千余億円にのぼります。さらに金利は七百億円も加算せられますというような累積赤字は、食管会計をまさにどろ沼に追いやる以外にはありません。まことにこれは政策の不在あるいは財政の欠陥、予算効率を無視した典型的な弊害の一例であるといわねばなりません。
 この際、びほう的な予算措置を排しまして、食管会計の運営を金利不要の財源に切りかえるという、こういう構想のもとに抜本対策を立てるべきではないでしょうか。福田大蔵大臣の御所見を伺っておきたいのであります。
 二は、既定経費の整備の問題です。顕著な一例は、例の補助金の整理、合理化の問題です。四十四年度の予算作成にあたりましては、閣議決定もせられ、また池田内閣以来の懸案でもありますが、一向に進みません。同年度の目の単位で減少が十二件、増加四十九件にのぼっております。かつても福田蔵相に、その推進方を強く要請しましたが、実績はあがってきません。この際、すべからく総花主義を排して、最適の資源配分を行なって、国民の血税を大切にすべきではないでしょうか。大蔵大臣、いかがでしょう。
 三番目は、天井知らずの物価高の問題であります。カラスの鳴かぬ日があっても、物価問題が論議されぬ日がない。それほどやかましい時代ですが、また、この原因は幾多ふくそういたしまして招いておるのでしょう。いずれにしましても、政府のことしの公約の最大のものの一つであります。これは行政の怠慢と予算効率の無視、これを厳に反省せねばならぬ段階に来ております。二月二日、物価安定政策会議も一年間百七十余の消費品目につきまして、年率一割以上の値上がりを指摘しました。政府の見込みをはるかに上回っております。過去幾たびか物価懇談会の提案、閣議決定等、物価安定対策が定められました。また、物価安定の予算措置についても、食管会計の分を除きまして、四十五年度には関連予算は一般、特別両会計合計しますと六千百五十億余円にのぼっております。
 こうして閣議の決定、諮問機関の提案と各省にわたる膨大な物価予算の配分がある。ことに佐藤総理は、二週間前この席で、政策の未来の夢を説き、特に物価対策は五・五%で押え、総合施策を強力に推進すると約束された。その総理の諮問機関によって裏目に出る資料が公表せられた。企画庁長官のことばではないが、物価対策は作文はあれど実行はないというのが実態でしょうか。しからば、政府の行政の怠慢なのか。財政の総花主義がいたずらに予算、血税を浪費したことになって、ここに給与生活者を苦しめ、台所を預かる主婦を泣かすものでありましょう。すべからく国民の協力を求め、総理の勇断と実行をもってその最大の責務を果たすべきではないでしょうか。総理大臣の御所見を伺いたいのであります。
 以上、二、三の例示であります。四十四年度予算を通して、幾多の原因が重なり、また逐次、悪の花の成長のごとくに、予算効率化無視の結果となってあらわれてまいっております。
 私は、最後に、会計検査院の問題に一言触れたい。
 これも幾たびか各方面で論議されたのでありまするが、検査報告について、決算のうち、毎年指摘される数千項目に実際はのぼっておるこの不当事項であります。その性質なり影響の重要度に応じまして、政府は、厳密に検討せねばなりません。特に予算効率促進の見地から、政策目的に合致し得るよう、適切なる対策を考慮しまして、次年度予算に重要資料として組み入れ、効率豊かな予算とその執行を期することが肝要であります。
 このことは、しばしば国会の議決もありましたし、特にまた、現時、国民生活を取り巻く重要諸問題が山積いたしまして、他面、インフレ下の不況を思わず現在の経済の実情にかんがみまするとき、財政の健全化と予算の効率化など、積極的な姿勢をもってこれに対処する必要があります。
 総理も、安易に考えたり、あるいはまた与党多数の上にあぐらというようなことで、じんぜん日時を徒過することは許されません。はたしてさようなことがあったならば、国民への重大な裏切りというほかはありません。総理大臣、御所信を明らかにしておいていただきたいのであります。
 以上をもちまして私の質問は終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#30
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 吉田君にお答えをいたしいます。
 四十四年度予算は、特に補正追加の結果、結果的に総合予算主義を放てきして、総花的放漫財政に終わったとの御意見でありましたが、決してそのようなことはありません。公務員給与の改定は既定経費の組みかえによって措置したものでありますし、その他も義務的経費の増や、あるいは異常、非常な追加需要のみにとどめたものであり、これが総合予算主義を放棄したものでないことは、この追加予算の国会審議に際しまして十分御説明したとおりであります。
 次に、物価についてでありますが、消費者物価が依然として根強い上昇傾向にあることは、まことに遺憾であります。しかしながら、わが国経済は、西欧諸国のインフレ下の不況現象とは根本的に異なっております。すなわち、先進工業国の多くが景気停滞の中で、消費者物価のみならず、卸売り物価の上昇にも悩まされていることを考えますと、わが国における卸売り物価の安定と実質一〇%程度に及ぶ成長力は、一きわ目立っております。このことは、過去における総合予算主義のもと、適正な総需要の規模を堅持してきた成果であると考えます。
 吉田君は、物価対策は、作文あれど実行なしと言われましたが、さきの代表質問の際にも申しましたように、あとは実行あるのみとの決意を強めております。消費者物価は、問題が根深いだけに、即効的効果は期待できませんが、今後とも粘り強く、あらゆる対策を強化してまいります。
 最後に、多数与党の上にあぐらをかき、国民を裏切ることなかれとの御叱正がありました。もちろん、国政をあずかり、真に国民福祉の向上を願う者として、そのような安易な態度が許されるはずはありません。吉田君の御叱正は激励のことばとして、また、検査院の指摘された事項や決算についての国会の御審議は率直にかつ十分に反映させつつ、今後一そう決意を新たにして、多くの課題と取り組んでまいりたいと思います。
 以上、決意を述べながらお答えといたします。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#31
○国務大臣(福田赳夫君) 吉田さんが、食糧管理制度の現状を憂えられまして、その改善策として食糧証券をやめたらどうだ、金利のない金を使ったらどうだというお話でございます。
 食糧証券は、この種の企業会計といいますか、会計の中におきましては、これは普通常識的なものであります。つまり米を買う、そしてこれが売れるまでのつなぎは食糧証券で泳ぐ、これは、私はそう奇異な制度じゃない、こういうふうに思います。
 問題は、食糧証券の発行額がだんだんふえていく。何でふえていくかというと、売る必要のない米までも買わなければならぬという今日の食糧事情なのです。政府の手持ち米がだんだんふえるものですから、古米、古々米というようなことで、食糧証券の発行額が多くなってくる。
 これを改善する道は、食糧証券の制度そのものにあるのじゃなくて、生産調整をする、そのことにあるのだ、こういうふうに思いますので、いま政府が進めておる生産調整政策、これを機軸といたしますところの食管制度の改革、これ以外には名案はない、私はかように考えます。
 しかし、食糧証券の負担が重くなる、これは私もよく承知をしておりますので、国庫余裕金の繰りかえ使用というようなことを、できる限り食管制度にも適用してまいりたい、かように考えております。
 それから、四十四年度におきまして、補助金の整理に非常に無関心であった、怠慢であったというおしかりであります。
 四十四年度予算の編成にあたりましては、特にこの補助金問題には意を用いまして、編成に先立ちまして、特に閣議におきまして補助金整理要綱を決定しております。これに基づきまして、廃止、減額、補助率の引き下げ等、四百十七件にのぼるところの整理をいたしたわけでありまして、いま、吉田さんは、目の単位でかえって十二案件ふえているようなお話でございますが、それは逆でありまして、私どもの計算では、減少せるもの六十一件、増加せるもの四十九件、差し引き十二の減少、そういうふうになっております。しかし、それはそれといたしまして、補助金の整理、これは厳粛にやっていかなければならぬ、それはそのように心得ております。今後また御指導を得まして、精進をいたしたい、かように存じます。(拍手)
#32
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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#33
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十二分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
 出席政府委員
        内閣法制次長  吉國 一郎君
ソース: 国立国会図書館
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