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1970/02/09 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第6号
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1970/02/09 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第6号

#1
第065回国会 本会議 第6号
昭和四十六年二月九日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  昭和四十六年二月九日
    午後二時開議
 第一 昭和四十五年度の米生産調整奨励補助金
  についての所得税及び法人税の臨時特例に関
  する法律案(大蔵委員長提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を
  求めるの件
 昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第1
  号)
 日程第一 昭和四十五年度の米生産調整奨励補
  助金についての所得税及び法人税の臨時特例
  に関する法律案(大蔵委員長提出)
 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
    午後九時五十三分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(船田中君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。
 古井喜實君から、海外旅行のため、二月十七日から二十八日まで十二日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意
  を求めるの件
#5
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 内閣から、中央社会保険医療協議会委員に圓城寺次郎君及び土屋清君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#6
○議長(船田中君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)
 昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)
 昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第
  1号)
#7
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#8
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)、昭和四十五年度特別会計補正予算(特第1号)、昭和四十五年度政府関係機関補正予算(機第1号)、右三件を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#10
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。予算委員長中野四郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔中野四郎君登壇〕
#11
○中野四郎君 ただいま議題となりました昭和四十五年度一般会計補正予算(第1号)外二案につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 この補正予算三案は、去る一月二十二日に予算委員会に付託され、二十八日に提案理由の説明があり、二月八日及び九日の二日間質疑を行ない、本日質疑終了後、討論、採決をいたしましたものであります。
 まず、補正予算の概要を簡単に申し上げます。
 一般会計は、歳入歳出ともそれぞれ二千六百三十三億円を追加するものでありまして、歳入におきましては、租税の自然増収等、総額三千百三十三億円を追加するとともに、公債金五百億円を減額することとし、歳出におきましては、公務員給与改善等の経費千六十五億円、食糧管理特別会計への繰り入れ七百三十億円、地方交付税交付金千八十六億円等、総額三千百三十七億円を追加するとともに、予備費を含む既定経費を五百四億円減額することといたしております。
 また、特別会計におきましては、一般会計予算の補正に関連して、交付税及び譲与税配付金ほか六特別会計に所要の補正を講ずることといたしており、政府関係機関においては、日本国有鉄道に対し四百億円を追加融資することといたしております。
 次に、質疑について申し上げます。
 質疑は、税負担の問題、財政投融資計画の性格、管理価格を中心とする物価問題、商品取引所の許可制等を中心とする許認可行政のあり方、国鉄再建問題等、国政各般にわたった行なわれましたが、ここでは補正予算についての質疑にしぼって、その概要を申し上げます。
 まず、予算の規模について、「このような大型の予算を組んだことは、政府の標榜してきた総合予算主義をやめたものと理解してよいか。歳入の大きな見込み違いの原因は何か。自然増収見込み額は最終的に幾らとなるのか。増額分あらば給与所得者の減税に充ててはどうか」との趣旨の質疑がありました。これに対して、政府は、「総合予算主義は今後とも堅持していく。ただし、異常事態があらば補正予算の編成もあり得る。昭和四十五年度では、公務員給与が一二・六七%という非常に高いところにきまり、また米の政府買い入れ量の増加や過剰米の処理が必要となるなど、予想外の事態が起きたので、補正を組まざるを得なくなった。また歳入が当初見込みを大きく上回ったのは、景気調整が予想よりずれ込んだことにより、法人税が千三百億円の増収となったこと、また春闘による賃金上昇が予想をはるかに上回ったので、所得税が大幅増収となったためである。四十五年度の最終的な自然増収は、三千百億円見込まれるが、法人決算の動向により若干ふえるかもしれぬ。その場合は公債の縮減に充てたい。給与所得に対する減税は、四十六年度において実施することとしている」との趣旨の答弁がありました。
 次は、給与に関してでありますが、「給与改善のための補正予算は、さきの臨時国会における給与法の改正と同時に提出するのが当然の筋道ではないか。またこのように補正予算を必要とする原因は、当初予算に給与引き上げ分として計上した五%があまりにも低過ぎたからではないか。四十六年度も五%を計上しているが、これは政府提出の租税収入見積もりの、一人当たり給与額一四%アップをはるかに下回っておる。これでは明年度も補正予算を必要とするようになるのではないか」との趣旨の質疑が行なわれました。これに対し、政府より、「給与法改正案と補正予算とを同時に提出するのが本筋であろうが、経済の推移がきわめて流動的であって、当時法人税の収入見込みを得ることが困難であったこと、また給与予算のワク内でやりくりができ、公務員給与の支払いに支障を来たさないという見通しもついたので、補正予算をおくれて提出した次第である。なお、給与改善の五%という数字はやや低いという気持ちはあるが、当初において幾らに見積ればよいかは困難であり、また微妙な点もあるので、人事院勧告の基準線である五%にとどめている。四十六年度は、人事院勧告の内容も本年度とは違うと思うが、予備費も増額計上してあるし、極力、節約でまかない、補正がないようにつとめたい」との趣旨の答弁がありました。
 次は、「この補正予算で既定経費の節減四百四億円を織り込んでいる点は一応了解できるが、その中に、たとえば中央卸売市場の整備費八億三千万円など、むしろ緊急必要な経費まで削っているのは納得できない」との趣旨の質疑がありました。これに対して、政府は、「既定経費の節減四百億円の内容は、半分が節約であり、半分が不用額である。中央卸売市場整備費八億円の減は、卸売市場法案が国会で成立を見なかったため不用額を生じたものであり、決して無理な削減をしたわけではない」との趣旨の答弁がありました。
 さらに、万国博覧会会場あと地について、「政府は当初一括して国が買い上げるという考えであったようだが、大阪府と折半して買い上げることとしたのはなぜか。またその利用方法をどうするのか」との趣旨の質疑が行なわれましたが、これに対し、政府より、「当初全部政府で買い上げるつもりであったが、地方団体の要望もあり、半々としたものである。あと地の利用については、一括利用の方向で万博跡地懇談会で検討してもらっているが、緑に包まれた文化公園にするという意向が強いようだ。またあと地の管理に当たらせるため、何らかの認可法人をつくるのが適当と思い、検討中である」との趣旨の答弁がありました。
 以上のほか、大気汚染防止対策とエネルギー、たばこの害、公共料金等のきめ方と財政議会主義、またタマネギ輸入問題、海外経済協力等について、きわめて熱心に質疑が行なわれ、政府からそれぞれ答弁がありましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。
 本日、質疑終了後、補正予算三案を一括して討論に付しましたところ、政府原案に対し、日本社会党は反対、自由民主党は賛成、公明党、民社党及び日本共産党は、それぞれ反対の討論を行ない、採決の結果、補正予算三案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(船田中君) 三件につき討論の通告があります。順次これを許します。西宮弘君。
  〔西宮弘君登壇〕
#13
○西宮弘君 佐藤内閣の閣僚中には、この予算審議なるものを、ただ単なる時間つぶしのためのお祭り騒ぎだと、こういう認識に立つ者があるのでありまするが、私どもは、この予算審議のあくまでも重要性を自覚をし、真剣に熱心に審議をいたしてまいりました。ただしかし、残念ながら昭和四十五年度補正予算については同意いたしかねますので、私は、ここに日本社会党を代表し、反対の討論をいたそうとするものであります。(拍手)
 佐藤内閣成立以来すでに六年有余、その間政府は、相も変わらず大企業中心、産業優先の成長政策を続け、国民生活の安定、福祉の増進を置き忘れてまいりました。
 その結果、著しい経済成長の反面、経済の矛盾は次第に深刻化し、ために、物価の恒常的上昇、大衆重税、農業の破壊、中小企業の倒産、あるいは公害、交通事故の激増、社会保障の停滞、民主教育の後退等を招き、国民生活への重圧は年とともに加重されつつあります。
 しかも、このように民間設備投資に導かれた大企業中心の経済の発展は、当然に資産と所得の偏在と格差、不公平を拡大し、少数の大企業やあるいは資産所得者の繁栄の陰に、勤労大衆の生活が無視される結果を招来することとなりました。
 このことは、国民所得の分配において明らかであります。つまり、雇用勤労者は、佐藤内閣発足以来五百万人増加をいたしておりまするが、国民所得の中の雇用者所得の割合は、逆に低下をし、法人所得や個人資産所得が増加をしておるのであります。また、国民総支出の中で個人消費割合が、昭和四十年に五六・六%だったものが、四十五年には五〇・五%と著しい減退を示していることは、まさに重大であります。このような事実は、単に勤労者家計を苦しめるだけでなしに、最終需要を鈍化させ、経済不況の一因をもなしておるのであります。
 かくして、佐藤内閣六年のあまりに片寄った政治が、国民生活の上に大きくおおいかぶさっておりまするが、今回の補正予算等は、まさにこの失政の累積の結果であります。(拍手)
 次に、反対の理由を申し上げます。
 まず第一に、今回の補正に対する財源措置についてであります。
 今回の補正のための財源となった租税及び印紙収入は三千十一億円となっており、実際にはさらにこれを上回る収入が予想されるのでありまするが、このような自然増収は、当然に納税者に還元さるべきであります。佐藤内閣誕生以来の六年間に、税の自然増は実に十九兆に達したのでありまするが、減税はわずかに三兆円程度にすぎないのであります。われわれは、法人税や資産課税の減免が不公平な税制として大きな問題となっておりまするときに、この自然増収は、ためらうことなく勤労所得減税財源に振り向けるのが当然だと考えます。政府としては、この自然増収を単に公債発行の縮減に回すだけではなしに、年度内減税に踏み切るべきときにあることを知らねばなりません。公債発行の縮小についても、公債発行のあり方それ自体については、何ら手を加えることなく、事実上の日銀引き受けの公債を前提として縮小したにすぎず、結局、不況含みの景気動向を背景として、市中金融機関の金繰りを助けるための便宜的手段にすぎないことを指摘いたします。
 第二は、ここに計上された農業関係経費についてであります。
 いまや農業者の不安は、ひときわ深刻さを加えてまいりました。今日までの政府の全くの無定見、無方針、無計画な場当たり農政に振り回されてまいりました農民の被害は、まことにはかり知れないほど甚大であります。今回の補正予算には、食管繰り入れ金と、生産調整実施のための経費が計上されておりまするが、これらの経費は、いずれもこの無責任な場当たり農政の所産であります。
 昭和四十二年ごろから米の過剰傾向があらわれ始めたにもかかわらず、政府は、みずから巨費を投じて大規模干拓事業を推進しながら、農民に向かっては、ただひたすら増産を督励し続けたのであります。今日かかえる過剰在庫米は、もちろんその結果でありまするが、かかる状態を招いた以上は、一刻もすみやかにこれを処分しなければならないことは申すまでもありません。
 今回の予算では、たとえばえさ用などはわずか五十一万トン分を計上するだけでありますが、できるだけ古米の値段を引き下げ、配合工場に直送する等の方法をもってすれば、これに数倍する需要があるのでありますから、万難を排してこれを断行すべきであります。現在この過剰在庫米のために支弁される金利、保管料は千五百億円の巨額に及んでおるのであります。およそこれほど不合理、不経済な非生産的な支出はないと考えます。
 次に、米の生産調整のための多額の経費を計上しておりまするが、四十六年の減反面積は五十一万四千ヘクタールでありまして、これは、たとえばこの周辺に例をとりますると、関東大平野を含むこの関東一円、すなわち、東京、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川の各都県、さらに、そのほかに静岡県を加えたこの水田面積に匹敵するのであります。つまり、このような広大な地域の中には、一本の稲も、一粒の米もつくることを許されないという数字でありまするから、まさにあだやおろそかな減反ではありません。しかも、この物価高の中で、逆に奨励補助金を減額をして、この減反を強要するのでありますから、ただただ冷淡無慈悲だという以外に形容のことばがないのであります。(拍手)もちろん、われわれも需要に見合った生産をするのは当然だと考えまするが、それは他の農産物へのあたたかい誘導策によってのみ行なうべきものであることを声を大にして強調いたします。
 第三は、中小企業対策を忘れた義務的経費のみの計上についてであります。
 不況含みを背景として、中小企業の経営悪化、企業倒産の増加は、まことに憂慮すべき問題であります。中小企業がそのしわ寄せを一身に引き受けて苦しんでいるとき、不況対策の方向を、中小企業に力点を置いて再検討すべきであるにもかかわらず、これを全く対策のらち外においていることは、政府の政治姿勢を端的に物語るものであります。
 さらには、義務的経費の増大として、国民健康保険補助、生活保護費、義務教育国庫負担金の増があげられております。これらは、単に義務的経費の追加にとどまらず、国民健康保険の事務費の完全補てん、保険会計の抜本的立て直しをはじめ、政府の責任を完全に果たすべきであります。また、人口急増地帯の義務教育費の増大に伴う抜本対策、物価上昇に伴う生活保護基準の実態に見合う引き上げなど、この機会に手直しするのが当然だと考えます。
 第四に、国家公務員の給与改定についてであります。
 もともと国家公務員の給与改定については、六十四国会において、すでに法律の成立を見ているのでありまするから、法制定と同時に財源措置を講ずべきが至当であります。しかるに、期限切れ直前まで対策を放置し、あたかもそのことによって補正予算をなしくずしに通過せしめようとするがごときは、本末転倒であります。しかも、予備費においてわずか五%程度しか給与値上がり分を認めず、予算を通ずる事実上の賃上げ抑制をはかろうとする態度は、きわめて遺憾であります。
 消費物価の上昇は、四十五年度は七・三%に及びましたが、民間給与の賃上げは平均一八%程度が当初から予想され、さらにまた大蔵省自身、所得税の増加分を一四%以上に見込みながら、公務員給与を押える方向をとろうとしたことは、許しがたいところであります。
 最後に、第五として、地方交付税についてであります。
 今回の補正で、地方交付税交付金の増額とたな上げ分の返還金三百億が計上されております。言うまでもなく、地方交付税は地方自主財源であり、政府の思惑によって左右さるべきでないことは、申すまでもありません。しかるに、国の景気調整への協力を口実として、なしくずしに国の恣意的運用に地方財源を組み込もうとする行き方は、地方自治を破壊し、住民福祉に背を向けるものといわなければなりません。政府は、地方交付税の自主財源たることをあらためて確認をし、直ちに特別会計へ繰り入れ、地方の自主的運営にゆだねるべきであります。むしろ、これまでの借り上げ分にさかのぼって返還する義務があるといわなければなりません。
 以上、私は、反対の要点のみ指摘をいたしましたが、今回の補正予算は、明らかに佐藤内閣六年余の失政の累積の結果であり、ますます経済社会のアンバランスを激化し、悪政に拍車をかける結果となっていることを強く取り上げなければなりません。佐藤内閣は、この際みずからの失政を謙虚に反省をし、経済財政運営の根本的転換をはかるとともに、さらには、この補正予算審議の過程においてはしなくも露呈をした、国権の最高機関たる国会の権威をみずから冒涜するがごとき閣僚の言動があり、さらに同前閣僚は、辞任直後の新聞記者会見を聞きまするに、何らの反省が見られないことはまことに遺憾のきわみでありまするが、これらの点を、総理としての深刻なる反省を強く要求しながら、私の反対討論を終わるものであります。(拍手)
#14
○議長(船田中君) 坂井弘一君。
  〔坂井弘一君登壇〕
#15
○坂井弘一君 私は、公明党を代表いたしまして、昭和四十五年度補正予算三案に対し、反対の討論を行ないます。
 討論に入る前に、本日の予算委員会で問題となりました法務大臣の浜松における発言は、その根底においては議会制民主主義を否定するものであります。再びかかる事態を引き起こすことのないよう、この際政府の反省を要望するものであります。
 さて、補正予算についてでありますが、反対理由の第一は、政府の財政運営に対する一貫性の欠如と無責任な姿勢についてであります。
 政府は、昭和四十五年度予算編成にあたり、引き続き総合予算主義の原則にのっとり、追加補正要因の解消につとめるとの基本方針を打ち出しております。しかしながら、総合予算主義が採用された昭和四十三年度に、早くも補正予算の提案を余儀なくされ、四十四年度も、さらに四十五年度も、三たび総合予算主義の原則を掲げたものの、大型補正予算案を提出し、すでに総合予算主義は事実上崩壊しているのであります。
 私どもは、かかる総合予算主義につきましては、当初から反対を表明し、補正の事由が出てくれば、実態に即応して補正を組むべきであると再三指摘してきたのであります。このわれわれの主張が正当であったことは、昭和四十六年度予算編成にあたり、総合予算主義については一言も触れていないことによっていみじくも証明されたのであります。このような経過は、政府の財政運営の失敗をあらわすものであります。
 反対理由の第二は、税の自然増収の予測が旧態依然として過小に見積もられていた点であります。
 今回の補正予算案を見ますと、租税及び印紙収入は、当初予算に比較して実に三千十一億円の年度内自然増収を見込んでおります。政府は、当初予算で意識的に過小な見積もりをしたことによって、国民的要望である大幅減税を実行しない口実にしたばかりでなく、財政配分の適正を欠くに至ったのであります。毎年度続く歳入の過小見積もりの理由は、歳入はあくまで見積もりであるという政府の放漫な姿勢から生ずるものであるといわざるを得ません。歳出予算は予算金額を超過しては支出し得ない事実を考えるときに、歳出の前提となる歳入の見積もりに正確さが要求されることは、けだし当然といわなければなりません。
 私は、政府の財政政策の責任を明確にするためにも、歳入の見積もりのあり方を根本的に改革すべきであると考えます。と同時に、見積もりが誤り、自然増収が発生した場合、特に所得税は国民に還元する方途を講ずべきであると思うのであります。
 反対理由の第三は、政府の公債政策に対するあいまいな考え方であります。
 政府は、本補正予算案におきまして、当初予算に四千三百億円計上した公債を五百億円削減しようとしております。もちろん公債の減額についてはわれわれの主張するところであります。しかしながら、政府は、昭和四十五年度当初と同額の四千三百億円を発行する一方、政府保証債の増額ワクを規定するなど、公債発行による景気浮揚政策を重視した予算を編成しているのであります。
 本補正予算案における公債の減額は、税収の好調を理由にしているものの、実際は公債の市中消化が困難になったからであり、政府の公債政策の破綻を物語っていると言えましょう。政府の場当たり的な公債政策はきびしく追及されなければならないのであります。
 反対の第四の理由は、中央集権的な財政政策をとる政府の基本的姿勢であります。
 現在、地方自治体が地方交付税の減額特例措置による国への貸し付け合計は九百十億円であり、本補正予算で三百億円の繰り上げ償還による減額をはかっても、いまだ国は地方に対し六百十億円の借り入れ残高があるのであります。私は、三百億円を地方に返済することについて異議を差しはさむものではありません。しかしながら、本来の地方自治の精神から、国と地方自治体とが地方交付税の貸借を行なうことは、好ましいことでないことは言うまでもありません。加えて、自治省の公害白書によって明らかなごとく、地方自治体、たとえば都道府県では、九月補正後、当初の公害予算を三七%を上回る支出増加があり、公害関係の財政需要は急速に増加しているのであります。
 このような現実を見るときに、政府は当然残りの六百十億円を本補正予算において返済すべきが妥当だと考えるものであります。
 反対の第五の理由は、米の生産調整についてであります。
 政府は、四十五年度に予想される過剰米百五十万トンの減産をはかるために、百万トンを休耕、転作に、残り五十万トンを宅地、工場用地等に転用させる計画が実行に移されたのであります。農業者は、一割減反という未曾有の生産調整に対し、努力の結果、目標を四〇%も上回る百三十九万トンの減産を行なったのであります。それにもかかわらず、政府責任のもとに転用を行なう計画であった五十万トンについては、転用目標の十一万八千ヘクタールに対し、転用はわずか三万六千ヘクタールであり、毎年自然転用される二万ヘクタールを差し引くと、実質約一万五千ヘクタール程度しか実行されなかったのであります。このような観点から、補正予算に計上された政府の買い入れ量の増加は、ひとえに政府の生産調整の失敗によるものであり、政府の失敗による補正を認めるわけにはいかないのであります。
 以上、本補正予算案に対する五点にわたる反対理由をあげましたが、この際、政府に強く要求いたしたいことは、今日までの急速かつ生産至上主義に偏重された経済社会発展の中で多様化する行政需要に対し、政府は国民福祉優先の財政基調を確保すべきことであります。したがって、政府は、旧来の予算編成技術を弄する態度を改めるべきであり、予算案の提案ないし審議については積極的な配慮をすべきことであります。同時に、政府は、予算編成権に固執した従来の硬直姿勢を改め、少なくとも国民福祉の充実、向上をはかる問題については、修正に応ずる度量を持つべきであると主張するものであります。
 以上申し上げ、本補正予算に対する反対の討論を終わります。(拍手)
#16
○議長(船田中君) 岡沢完治君。
  〔岡沢完治君登壇〕
#17
○岡沢完治君 私は、民社党を代表いたしまして、昭和四十五年度補正予算三案に対し、反対の意見を申し述べます。
 政府は、一昨々年以来強く主張しておられた総合予算主義を完全に撤回され、当然の任務であるかのように、二千六百億円規模の補正予算案を提案されたのでありますが、政府は、財政法に規定する補正予算の編成について、明らかに編成権の乱用におちいっておられるのではないかと私は思います。
 本案には、歳出補正に七百三十億円の食管会計繰り入れ、すなわち米の買い入れ増加経費が計上されております。これは、当初の見込み以上に米の増産があったから、食管制度のたてまえとして当然に補正すべきであるというのが政府の意見でありましょうが、国内米の買い入れ数量について、当初予算では六百五十万トンと予想し、今回は七百一万トンと改定しておられます。すなわち、五十万トンという大幅な見込み違いであります。私は、米の買い入れ追加をこの際非難するのが目的ではありませんし、ここはその場所でもありませんが、このような大幅な買い入れ数量の見込み違いが平然として横行し、しかも、てんとして恥じない態度をとっておられる行政府の無責任さを非難したいのであります。(拍手)
 もう一点、具体的に指摘いたします。政府は歳入補正で租税及び印紙収入として三千十一億円を計上されました。この金額は、昭和四十五年度の所得税減税規模二千四百六十一億円を五百五十億円も上回っております。また、三千十一億円の増収のうちには八百一億円の所得税増収が含まれておりますが、私は、これらの増収より推定して、昭和四十五年度の減税水準が低きに過ぎたことをこの際指摘せざるを得ないのであります。
 財政法第二十九条は、「内閣は、次に掲げる場合に限り、予算作成の手続に準じ、補正予算を作成し、これを国会に提出することができる。」と規定し、「法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」云々とうたっております。しかし、今回の補正予算案に計上されている食管繰り入れ追加七百三十億円は、予算作成後に生じた事由に基づく緊急の支出ではありません。明らかに予算編成時に予測されており、当初予算に当然に計上されるべき性格のものの計上漏れであります。また、三千十一億円の租税等の収入補正は、当初予算において歳出財源及び減税財源の双方に充当されていたはずの金額でもあります。
 私が繰り返し申し上げたい点は、政府は、毎年度の当初予算の規模を政治的にことさらに低く想定し、最初から補正予算の必要を予想してかかる、二重構造予算の編成を繰り返しているという点であります。これは、当初予算の段階では、予算規模を控え目に計上して、減税規模を圧縮する効果をあげることになります。また、補正予算の段階では、政策上の見込み違いを一挙にしりぬぐいする効果をあげます。いずれにせよ、補正予算の編成が官僚独善の手段として利用され、政府の見通しの誤り、失政の隠れみのになっている事実を私は指摘したいのであります。
 近年は、幸いにして大きな自然災害がなく、大幅な災害復旧予算を編成する必要もほとんどありません。したがいまして、真に歳出の補正をなさざるを得ない機会が少なくなっておりますが、予算補正をあとう限り小規模に押える努力について、政府はもっと反省すべきではありませんか。
 私は、もとより補正予算の機能を否定するものではありません。また、政府が神のごとく賢明で、当初予算ですべてを完全に予測し、いささかのあやまちをもおかしてはならないというような無理を求めるものでもありません。私が指摘いたしたい点は、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出」を補正するという財政法第二十九条の規定を乱用するなということであります。今回の本補正予算政府案は、明らかに政府の予算編成権の乱用といわざるを得ません。
 なお、当補正予算の審議中、本日の予算委員会において明らかにせられました小林前法務大臣が本年一月十八日浜松市においてなされた発言は、まさに憲法無視、国会軽視、議会制民主主義を根底から否認するもので、野党の存在価値並びに国会の予算審議権をもまっこうから否定するものであり、その上、予算執行の自由民主党による私物化、予算編成にからむ政府と自由民主党の癒着、政府の予算編成権の乱用等をはしなくも政府の一員みずからが国民の前に明らかにしたものであり、(拍手)それが当時の現職国務大臣、しかも法務大臣である小林氏から、「事実として報告しているのであり、ほんとうのことを申し上げているつもりである」という注釈つきでなされたものであるだけに、佐藤内閣の本質をはしなくも暴露したものとして、断じて看過できないところであります。(拍手)一法務大臣の辞任をもって政府の責任を免れるものでは断じてないと私は思います。
 私は、この機会に、野党の一員として、国会議員の一人として、また国民の立場からも、佐藤総理以下全国務大臣、自由民主党政府の猛省を求めてやみません。
 以上の諸事由により、私は、本補正予算案に反対の意見を明らかにして、討論を終わります。(拍手)
#18
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 三件を一括して採決いたします。
 三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#19
○議長(船田中君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 昭和四十五年度の米生産調整奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(大蔵委員長提出)
#20
○議長(船田中君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一、昭和四十五年度の米生産調整奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
#22
○議長(船田中君) 委員長の趣旨弁明を許します。大蔵委員長毛利松平君。
  〔毛利松平君登壇〕
#23
○毛利松平君 ただいま議題となりました昭和四十五年度の米生産調整奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、去る二月五日、大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出いたしましたものであります。
 御承知のとおり、政府におきましては、最近における米の需給状況の著しい変化に対処するため、米の生産調整対策を講ずることとし、その一環として、稲作の転換または休耕を行なう者に対して奨励金を交付し、米の減産をはかることといたしております。
 本案は、このような米の生産調整奨励のための補助金が交付されるに至った経緯等に顧み、昭和四十五年度において交付された同補助金にかかる所得税及び法人税について、その税負担の軽減をはかるため、おおむね次のような特例措置を講じようとするものであります。
 すなわち、同補助金のうち個人が交付を受けるものについては、これを一時所得として取り扱うとともに、農業生産法人が交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に固定資産の取得または改良に充てた場合には、圧縮記帳の特例を認めることといたしております。したがいまして、個人の場合は、その所得の計算にあたり三十万円までの特別控除が認められ、これをこえる部分の金額につきましても、その半額が課税対象から除かれることになるのであります。
 また、法人の場合には、固定資産の取得価額から、その取得に充てた補助金の額を減額した価額を当該資産の帳簿価額とすることにより、その減額にかかる損金と補助金の取得にかかる益金とを相殺することが認められるのでありまして、補助金を受けたことに伴い直ちに課税関係が発生せず、課税の繰り延べがはかられることになるのであります。
 なお、本案による国税の減収額は、昭和四十五年度において約五億円と見積もられるのでありまして、大蔵委員会におきましては、本案の提案を決定するに際しまして、政府の意見を求めましたところ、中川大蔵政務次官より、米の生産調整対策の必要性に顧み、あえて反対しない旨の意見が開陳されました。
 以上がこの法律案の提案の趣旨とその概要であります。何とぞすみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
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#24
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
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 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
#26
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#27
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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#28
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
#29
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長菅太郎君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
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  〔菅太郎君登壇〕
#30
○菅太郎君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及びその結果を御報告申し上げます。
 本案の内容の第一点は、昭和四十五年度分の地方交付税につきましては、さきに三百億円を減額繰り延べすることとされていたのでありますが、地方財政等の状況にかんがみ、この減額措置を行なわないこととし、これに伴い地方交付税の総額の特例を改定しようとするものであります。
 第二点は、昭和四十五年度に限り、公共用地の先行取得を促進するため、道府県分について土地開発基金費を算入し、あわせて大都市分の土地開発基金費を増額しようとするものであります。
 第三点は、昭和四十五年度限りの措置として、沖繩に対し、特別交付税から三十億円を限度として交付することができるようにしようとするものであります。
 本案は、一月三十日本委員会に付託され、二月二日秋田自治大臣から提案理由の説明を聴取し、慎重に審査を行ないました。
 本日、質疑を終了し、討論の申し出もなく、直ちに採決を行ないましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により、政府は、地方交付税制度の趣旨にかんがみ、国の責任において負担すべき経費については、地方交付税により措置することは避けるべきであるとの附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#31
○議長(船田中君) 採決いたします。
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 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#32
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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#33
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
  午後十時四十分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        自 治 大 臣
        法 務 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 佐藤 一郎君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
        国 務 大 臣 西田 信一君
        国 務 大 臣 保利  茂君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
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ソース: 国立国会図書館
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