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1970/02/16 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第7号
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1970/02/16 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第7号

#1
第065回国会 本会議 第7号
昭和四十六年二月十六日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第六号
  昭和四十六年二月十六日
   午後一時開議
 第一 証券取引法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第二 外国証券業者に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 国土総合開発審議会委員の選挙
 日程第一 証券取引法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第二 外国証券業者に関する法律案(内閣
  提出)
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣
  旨説明及び質疑
   午後一時十八分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(船田中君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。
 八百板正君から、海外旅行のため、二月十七日から三月四日まで十六日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 国土総合開発審議会委員の選挙
#5
○議長(船田中君) 国土総合開発審議会委員の選挙を行ないます。
#6
○加藤六月君 国土総合開発審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#7
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、国土総合開発審議会委員に中村重光君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 証券取引法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第二 外国証券業者に関する法律案(内
  閣提出)
#9
○議長(船田中君) 日程第一、証券取引法の一部を改正する法律案、日程第二、外国証券業者に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#10
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長毛利松平君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔毛利松平君登壇〕
#11
○毛利松平君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、証券取引法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、最近におけるわが国経済の国際化、自由化に即応いたしまして、投資者保護の一そうの徹底をはかり、また企業の長期資金調達の円滑化及び証券市場の秩序維持に資するため、次の改正を行なおうとするものであります。
 第一は、企業内容開示制度に関するものでありまして、企業が増資等に際して大蔵大臣に提出する有価証券届出書について、その提出基準を引き上げる等、最近における増資の実態に即応し得るよう改めるとともに、企業が毎事業年度提出する有価証券報告書について、提出会社の範囲の拡大、半期報告書及び臨時報告書制度の創設等により、会社の企業内容が投資者に適時適切に開示されるようにすることとしております。
 また、企業の粉飾についての民事上及び刑事上の責任に関する現行規定を整備強化するとともに、粉飾決算を行なった企業に対しては、相当の期間内は増資等ができないように、大蔵大臣が行政処分を行ない得ることとしております。
 第二は、株式の公開買い付けの規制に関する制度の創設でありまして、すなわち、ある会社の株式を一定割合以上取得するため、市場外において不特定多数の者に対して買い付けの申し込みをしようとするときは、あらかじめ買い付けの期間、価格等、公益または投資者保護上必要と認められる一定の事項を記載した届出書を大蔵大臣に提出し、かつ、その効力が発生した後、これを公告しなければならないこととしております。
 本案につきましては、去る二月十日質疑を終了し、十二日採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しましては、連結財務諸表制度の採用、監査基準の整備等三項目にわたり附帯決議を全会一致をもって付することと決しました。
 次に、外国証券業者に関する法律案について申し上げます。
 この法律案は、わが国資本市場の健全な発展に資するため、外国証券業者が国内において証券業を営むことができる道を開くとともに、その営業活動について適正な規制を行なおうとするものであります。
 まず第一に、外国証券業者は、国内に設ける支店ごとに大蔵大臣の免許を受けた場合に限り、当該支店において、その受けた免許にかかる証券業を営むことができることとし、免許の種類、免許の審査基準、拒否要件等については、国内証券会社の場合とおおむね同様といたしております。
 第二に、免許を受けた外国証券業者は、営業の開始に先立って、営業保証金を支店ごとに供託しなければならないこととし、供託にかわるべき所定の契約を締結した場合には、営業保証金の一部を供託しないことができることといたしております。
 第三に、免許を受けた外国証券業者の支店の業務及び財務に関する規制につき、証券取引法の規定とほぼ同旨の規定を設けております。
 本案につきましては、去る二月十日質疑を終了し、十二日採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(船田中君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#13
○議長(船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明
#14
○議長(船田中君) 内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣中曽根康弘君。
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#15
○国務大臣(中曽根康弘君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について、御説明いたします。
 第一は、自衛官の定数を、海上自衛隊六百六十三人、航空自衛隊六百四十三人、統合幕僚会議五人、計千三百十一人増員するための改正であります。海上自衛官の増員は、艦船の増加、対潜航空機の増強及び後方支援部隊の充実等のため必要となる人員であり、航空自衛官の増員は、主としてナイキ部隊の編成のため必要となる人員であり、統合幕僚会議の増員は、情報機能強化のため必要となる人員であります。
 第二は、防衛庁の付属機関として、自衛隊離職者就職審査会を設けることであり、これは学識経験者を含めた五人の委員をもって構成するものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について、御説明いたします。
 第一は、自衛隊の予備勢力確保のため、陸上自衛隊の予備自衛官三千人、海上自衛隊の予備自衛官三百人、計三千三百人を増員して、予備自衛官の員数を三万九千六百人とするための改正であります。
 第二は、現在、離職した隊員が営利企業の役員等へ就職しようとする場合には、防衛庁長官の承認を要することとなっておりますが、この承認を、前述の自衛隊離職者就職審査会の議決に基づいてすることとしようとするものであります。これは隊員の営利企業への就職の際の承認について、一般職の例に準じ、部外者を含む特別の機関の審査にかからせることによって、その公正さを担保しようとするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#16
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。大出俊君。
    〔大出俊君登壇〕
#17
○大出俊君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、以下若干の質問を行ないます。
 昨年の十月二十日に、題して「日本の防衛」、いわゆる防衛白書が発表されましたが、これが十年来の懸案でありましただけに、世上中曽根長官の力量と評する人もありますが、そうではなく、今年をもって二十年になる違憲の軍隊、自衛隊の成長と、一昨年の日米共同声明路線という大きな情勢の変化と、自主防衛、兵器国産、さらに兵器輸出を求める財界の動きと、近くは三百余議席を持つ政府・与党の諸君の世論操作に対する自信等が織りなされまして、四次防計画を背景に、むしろ出るべくして出たものといわなければならぬと存じます。その意味では、この白書は決して不明確でもあいまいでもありません。十分な計算と世論操作と、自衛隊の認知を求める巧妙な手の内さえ読み取れるのでございます。
 そこで、質問の第一は、白書の第一部「現代社会における防衛の意義」の「1 新しい日本の進路」によると、「日本は、明治以来富国強兵による国力の向上が行なわれて、日清・日露の両戦役に勝利をおさめ、国際的地位は飛躍的に高まり、第一次世界大戦で戦勝国になり、列強の仲間入りをした。しかし、満州・シナ事変のころになると軍の力が強大となり、ついに第二次大戦に突入した。そして、欧米の文明に追いつこうとする願望は、敗戦によって打ち砕かれたが、しかし国民の総力によって、今日米国に次ぐ第二の経済大国になり、七〇年代は、日本の国力が世界に対して前例のない重みと影響力を持つ時代となるであろう」と書かれております。ここには、そしてまたこの白書のどこにも、誤れる第二次大戦に対する反省も、多くの国民の犠牲も、広島、長崎における悲惨な原爆の被害についてさえも、一言半句も触れられていないのであります。このことは、まことに不可解千万だといわなければなりません。
 白書の趣旨に従えば、第二次大戦に突入したのも、それは欧米の文明に追いつこうとした民族的努力であったということになり、誤れる第二次大戦も、数知れぬ国民的犠牲も、すべて美化されてしまうわけであります。この発想は、靖国神社法案の提出にも相通ずるものでありますとともに、この白書の、つまり日本の防衛姿勢の性格でもあり、いわゆる軍国主義なる発想だといわなければなりません。そうである限り、この項の最後に触れている、「日本は経済大国にはなるが軍事大国にはならない」、「歴史の先例を打ち破り、歴史に挑戦しようとしている」ということばも、全く色あせた世論操作のための政治用語であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 広島の平和公園にある原爆被災者のためのいしぶみには、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれております。国民の心を離れたこの白書に、憤りさえ感ずるわけでありますが、この点総理は何と一体釈明をなさるおつもりなのか。また、平和憲法の名において総理は第二次大戦を正当化しようと考えておられるのか、明確に所信のほどを承りたいのであります。
 第二に、この白書が何よりも明確にしている点は、政府の軍事戦略思想についてであります。一言にして言えば、力によるアジア支配、つまり、近隣諸国に軍事力による強圧をかけることによって平和を維持しようというものの考え方であり、さらに言えば、アメリカ型の抑止戦略の論理でありまして、共同声明路線による、核戦争以外の戦争計画における日本の分担を明らかにしたことになります。その限り、防衛力の限界などがあるはずもなく、また限界を明らかにできるわけもないのであります。
 いますでに、ミサイルの受注をめぐりまして血の雨が降るといわれ、三菱重工神戸造船所には、潜水艦専門のドックヤードが完成をし、防衛庁内部では、海上自衛隊は五次防以降、原子力潜水艦装備を迫られることになろうと言っております。総理は、国民の前にこの点を肯定なされるおつもりかどうか。もしそうでないとするならば、当然防衛力の限界を逆に国民に明らかにして、大かたの疑いを解く責任があると存じますが、所見を承りたい。
 第三に、この白書の発表にあたって、中曽根防衛庁長官は、テレビ記者とのインタビューにおきまして、「文民統制を貫くことが大切であり、仮想敵国を設定しないためにも、どこの敵がどこから攻めてくるかをわざと明らかにしなかった」と言い、防衛の規模はどうかとの質問に対して、「あちらが兵器を拡大した、こちらが兵器を拡大するという兵器競争を避けたいので、わざと明らかにしなかった」と述べております。
 しかし、白書の本文には、「特に中共及び北朝鮮は引き続き硬直した対外姿勢を堅持しているが、アジアにおいて核兵器を開発している唯一の国である中共の動向は、今後の紛争生起の可能性に、大きな影響を与えると見られる」と述べて、わざと明らかにしなかったはずの仮想敵国をわざわざ明らかにし、さらに、兵器拡大競争を避けたいという口の下から、その翌日には、第三次防の二・二倍にも及ぶ新防衛力整備計画、いわゆる四次防を発表しているのであります。わざと明らかにしなかったと言う以上、仮想敵国はあることになります。歴代の長官は、再三、仮想敵国はないと言い切ってまいりました。仮想敵国をつくっておいて、ないと言うならば、これをうそというのであります。仮想敵国はあるのかないのか、あるとすれば、どの方面をさすのか、あらためて、しかと承っておきたいと存じます。
 今日、日本を取り巻く海外の論調は、四次防の進行に伴って、相手国もまたその軍事体制を強化する方向を示唆しております。長官が、またほんとうに兵器競争を避けたいのであれば、四次防、五次防を通じて、具体的な日本の防衛のワク組みを内外に明らかにすることが先決だと存じますが、この点あわせて所見をいただきたいのであります。
 第四に、平和が叫ばれなければならないとき平和は危機にある、と先人が教えています。佐藤総理や中曽根さんが平和を叫ぶときに、日本の将来の安全と平和への危機を感ずるのは、私一人ではないと存じます。白書の発表にあたっての中曽根長官の談話によれば、「日本の防衛は人類の防衛に連なり、世界の運命の一端の責めに任ずるものである」といい、白書もまた、「世界で独自の役割を果たす日本の新しい像」などといっております。しかし、一体今日の日本は、世界の安全保障に何をやったというのでありましょうか。だれの目にも明らかなように、白書のいう、世界で独自の役割りを果たしたこともなく、その意味では、何らの寄与もしていないし、将来もまたしないであろうといわざるを得ないのであります。これが米国追従の日本の姿でもあり、白書は、つまり世界政策を放棄したものといわなければなりません。
 佐藤総理は、国連演説でことさらに平和を強調し、中曽根長官訪米にあたっても、「日本の自衛隊はトラではなくネコである」ことを強調しておりますが、もし単なる政治用語でないのであれば、なぜ中国との関係改善に真剣に取り組もうとなさらぬのでございましょう。これなくしては、今日の日本の防衛は語れないはずであります。
 日本の防衛は、憲法に基づき戦争の根源を絶つという国民的願望を、正しく政治目的としてとらえなければならぬはずであります。日中関係を改善しながら、専守防衛の防衛負担を軽減をしていくという方針を、なぜおとりにならないのか。四次防予算が大幅にふえる、日米経済外交は世界に孤立するというのであれば、まさに逆コース日本というほかはないのであります。総理の御所見を承りたいと存じます。(拍手)
 さらにこの際、米、南ベトナム軍のラオス進攻について承りたいのでありますが、ここ数日の様相は、一九六七年のマクナマラ・マジノライン構想の再現をはかろうとする意図が明確になってまいりました。つまり、ケサンから国道九号線を切断して、タイ国境のサバナケットに至る南北ラオス分断作戦でありまして、当然のことながら、一部には中国介入の動きさえ伝えられつつあります。三年前のケサン攻防戦にあたり、エンタープライズの佐世保寄港、朝鮮半島におけるゲリラの紛争、引き続くプエブロ事件、エンタープライズ以下の日本海回航に見られるように、極東地域においてもまた無縁ではないのであります。白書のいう、世界で独自の役割りを果たす日本というのであれば、このことばが単なるうたい文句でない限り、日本独自に、米国をきびしく糾弾をし、国際世論に大きく貢献すべきときであると考えますが、ラオス情勢に対する今日的判断と、日本政府のこれに対する態度について、総理並びに外務大臣に、突っ込んだ御所見を賜わりたいのであります。
 特にこの際、もう一つ申し上げたいのでありますが、昨年末、十二月の二十一日の日米安全保障協議委員会で通告されました、基地労働者の皆さんの解雇についてでありますが、横須賀では五千余人が首を切られたのでありますけれども、去る十三日、十四日、土曜、日曜であります、約半数の方々に対して解雇取り消しの通知が行なわれました。そのやり方は、職場の米人の責任者が自分で各家庭をたずねまして、県の渉外労務管理事務所などを全部度外視いたしまして、トランスポーテーションにおきましては運転手十九人中十五人に働いてくれという通告、モータープールではディーゼル機関自動車修理工二十五人中十五人、こういう形で口頭で通知をいたしているのであります。防衛庁が横須賀の司令部の人事部長に連絡をとったようでございますが、昨年末の基本方針のとおりという回答であって、それ以上のことはわからないという回答であります。しかし、ネコや犬の子の首を切るわけではありません。総理、ほかに就職口をもうきめている方々もいる。出てきてくれといって出ていかなければ、退職に対する割り増し金が出ない。そのことまでにおわせて口頭でものを言っている。横須賀の市内は、五千人も首を切られた人がいるわけであります。たいへんな混乱の状態に今日あります。しかも、責任を感じた横須賀市の責任者の方々が、第七艦隊司令官ウィズナー中将に会っております。ウィズナー氏は、非公式に何を言っておるかというと、第七艦隊は佐世保には行かない、当分の間横須賀でお世話になります。しかも、佐世保には住宅建設計画はあるが、住宅も建てられていない、こういうふうに言っておる。一体これは、共同コミニュケまで出たのであります。その間、四者会議でずっと打ち合わせをしてきて出した発表であります。いつの間に一体これが変わったか。国際機関の共同コミニュケを信用できないとすれば、一体だれを信用すればいいのか。総理にしても、外務大臣にしても、あるいは防衛庁長官にしても、首になってほかに就職をしている、出て来い、行かなければ割り増し金が出ない、自己退職、これでは事は済まないと私は思います。そういう意味で、この点は特に明確に、その理由について、方法について明らかにしていただきたいと存じます。(拍手)
 第五に、白書の第一部「現代社会における防衛の意義」では、「この国の民族は一つである」、「独立に対する侵略にはいかなる犠牲を払っても守り抜かなければならない。」と書いてあります。しかし、一昨年の日米共同声明では、「韓国の安全は日本自身の安全にとって緊要である」、「台湾地域における安全もまた日本の安全にとって重要な要素である」という趣旨を述べて、米国が沖繩を含む日本の基地を使用する意思決定をした場合は、「前向きにかつすみやかに」対処するとも言って、事前協議に対するイエスを予約しておられます。
 そしてまた、共同声明にいう韓国、台湾ともに、決して専守防衛、戦略守勢の国ではなく、米国とともに激しく戦略攻勢をとろうといたしております。したがって、白書のいう日米関係は、共同声明を通じて、戦略守勢に立たないこれらの国々と共通な関心や緊密な関係を持ち合うことになり、インドシナ戦争の発展の度合い、中国のICBMが米国に届く七〇年代後半におきまして、三十八度線や台湾海峡の緊張は、全くないとは言い切れないのでありますから、白書にいう「いかなる犠牲を払っても守り抜かなければならない」のは、核を含む日本列島周辺の緊張緩和への努力であり、日本国民を他国の紛争に巻き込ませない絶対の保障についてでなければならぬと存じます。
 今年一月二十日に、米海兵隊のチャップマン司令官は、沖繩返還後も米海兵隊はその作戦行動を自由に行なうと述べており、ジョンソン次官も秘密聴聞会におきまして、いままでどおりの機能を沖繩で維持するために新しい協定または取りきめが必要だと述べ、さらに米政府から、このほど日本政府に対して、非公式ながら、沖繩返還後も自由使用できるよう確実な取りきめを結ぶとの方針を伝えてきたという新聞報道も行なわれておりますが、これらのできごとは一体事実かどうか。事実とすれば、その真意は那辺にあるのか。また、政府の方針はどうか。そしてまた、事前協議については断じてノーと言うべきであると考えますが、総理並びに外務大臣からその所信を承りたいのであります。
 第六に、徴兵制度について承りたい。
 白書は、英連邦諸国が志願兵制度であり、他はほとんど徴兵制度をとっているとして、その必要を強調しておいて、原案にあった徴兵制度は行なわないの文章を削除しているのであります。
 昨年十月二十八日の内閣委員会におきまして、私の質問に高辻法制局長官が答えて、「徴兵制度は、国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる国民皆兵制度である、すなわち、軍隊を平時において常設し、これに要する兵を毎年徴集し一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるもの」、「このような徴兵制度は、憲法の条文のどこに当たるか、憲法第十八条「その意に反する苦役に服させられない。」という規定か、少なくとも憲法第十三条、個人的な存立条件の尊重の原則に反する、そのいずれかの議論の余地はあるが、いま申したような徴兵制度は憲法の許容するところではない」、「つまり、わが国憲法のもとでは許されない」と答えております。いまだかつて憲法上徴兵制度は許されないという政府見解は出されておりませんでした。したがって、総理から、政策としてではなく、憲法上徴兵制度は許されないというこの高辻長官の答弁を、あらためて再確認を願いたいと存じますが、御所見をいただきたいと存じます。(拍手)
 第七に、新防衛力整備計画、いわゆる第四次防について承りたい。
 これは単なる装備計画でありまして、基本作戦計画や五段階のアラートや、年度統合作戦見積もり等は、米軍との関係を踏まえて、軍事機密の壁の向こうにこれらのものはあります。それにもかかわらず、一九五八年からの第一次防は、日本に陸海空三軍をつくり、引き続く第二次防は、朝鮮半島から台湾に至る作戦行動、そして軍事力を持つに至り、現在進行中の三次防では、シベリア、中国の一部と東南アジア地域を結ぶ作戦行動へと進みつつあることは、専門家の多くが指摘するところであります。したがって今回の四次防は、戦車、対戦車ロケット、上陸用舟艇、渡洋輸送機、落下傘降下部隊、対地爆撃機、寒冷地用兵器体系、熱帯地用兵器体系など、さらにミサイルを主体とする近代兵器、ELINT兵器の体系まで備わるとすれば、これはまさに隠しようもなく、台湾地域、韓国地域を想定する大規模戦争への白米共同戦略が背景にあり、一つ間違えば、外国で十分に戦い得る戦力といわなければならぬと存じます。
 そこで総理に承りたいのは、日米共同声明路線を軍事的に裏づける装備計画であり、日米共同戦略の中における装備計画であると考えてよいのかどうか、とくと承りたいところであります。
 さらにまた、陸上十八万体制はこれを維持し、部隊の戦闘力の向上をはかることになっておりますが、その理由は、陸上定員、正確には十七万九千でございますが、恒常的な欠員が二万五千人内外あるという現実に立って、要員確保の見通しがないところから、十八万体制とおっしゃるのか。さらに、十八万体制は、昭和二十八年十月、池田・ロバートソン会談による取りきめでございますが、その根拠は、攻撃に対する防御は兵員比率におきまして一対一となるというNATOの戦略基準による、と、かつて防衛庁は答えておりますが、十八年前のこの根拠が、今日なお適応できるとするその背景、情勢の分析等について、あらためてこの席で承りたいのであります。
 また、防衛庁長官は、さきの国会で、わが国周辺の制空権、制海権の確保と述べ、後に航空優勢、制海の確保と改められておりますが、これは今回の四次防の基本構想となっております。そこで、久保防衛局長の説明によりますと、航空優勢、制海の確保というのは、制空権、制海権に比して概念的には弱いものだと言っておりますが、この違いは、見方によりましてはたいへん重大でございますので、この点を納得のいくようにお答えをいただきたいのであります。
 さらにもう一つ、四次防計画は、航空警戒管制組織強化のため、移動警戒隊などの整備を推進するとあります。つまり、これは、中曽根長官がさきの国会でその必要を強調いたしましたところの空飛ぶレーダー、AEW機のことをさすものだと存じますが、グラマン社のE2型を買うとすれば、何と一機七十億円もかかるのであります。さらに、一単位主ないし四機を必要としますから、数単位と考えても、優に一千億円にものぼるたいへんな金額になるはずであります。長官は、一体この事実を御承知なのかどうか。公害、物価、社会保障、減税等、多くの国民的要求のある中で、何ゆえあってこのような税金のむだ使いをなさろうとなさるのか。四次防予算全体を含めまして、中曽根長官並びに大蔵大臣に、しかと承りたいのでございます。
 予備自衛官は、旧来、戦争時における兵員の損耗の補充のためという理由がつけられておりましたが、四次防計画によりますと、三万九千人を六万人にふやし、有事の際は、予備自衛官を警備部隊として十三個師団の後詰めとすると述べております。一個連隊かりに二千人とすれば、三十連隊の編成ができることになりますが、後詰め警戒隊というだけでは、まことに不明確であります。なぜ一体、予備自衛官の性格をかくのごとく変えたのか、そして警備の目的、対象は一体何であり、どこまで……
#18
○議長(船田中君) 大出君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#19
○大出俊君(続) その内容等につきまして、明確にしていただきたいと存じます。
 また、連隊という以上は、当然佐官以上の予備自衛官も出てくるわけでありますが、誤解のあるところでございますので、国民に明確にしていただきたいと存じます。
 最後に核について承ります。
 白書は「(5)防衛力の限界、イ政策上の限界」の「(ア)核兵器に対しては、非核三原則をとっている。小型の核兵器が、自衛のため必要最小限度の実力以内のものであって、他国に侵略的脅威を与えないようなものであれば、これを保有することは法理的に可能」ともいっております。つまり、政策の限界である限りは、いつでも変えることができる、しかし、当面は核兵器は持たない、法理的には持てるのですよと念を押していることになります。ここに、今日いわれる自主防衛の性格があり、その行き着くところが核武装であって、名目はどうつけるにせよ、攻撃的兵器の保有である。
 七〇年代の日本の電力の将来をまかなうといわれる原子力産業、特に三菱、日立、東芝、第一、住友などの原子力グループは、天然ウランは海外に依存し、濃縮ウランは米国依存、米国及び英国の企業や公社からの技術導入にたより、また、原子力発電炉建設の資金は大部分は米国の輸出入銀行にたより、機械もまた米国から輸入する。そして、この問題は、沖繩返還交渉のかけ引きとも微妙にからんでおり、米国は、沖繩における核兵器保有に固執している、したがって、国民に対して核抜きと言って核隠しを行なって返還交渉を妥結する場合、米軍の核を認めるのだから、日本側が核を持つことを米国は拒否しにくくなるという論理さえ財界は唱えております。現に三菱電機の大久保社長は、昨年八月十九日のエコノミスト誌上におきまして、この核保有を強調しております。
 あらためて承りたいのでございますが、非核三原則と憲法との関係はどうなるのか。白書の表現は、従来から見ると、まことに大きな後退であります。財界の動きを一体どこまで押え切れるのか。中曽根長官は訪米にあたり、濃縮ウランの技術提携を提案しているはずであります。小型の核は法理的に可能という表現こそ、この間の事情を端的にあらわしたものといわなければなりません。念のため、核拡散防止条約の国会批准をお求めになる気が政府には一体あるのかないのか、最後にこのことを総理に御質問申し上げまして、質問を終わりたいと存じます。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 大出君から、防衛白書を中心にして、わが国防衛のあり方について種々お尋ねがありましたので、基本的な問題の諸点についてお答えをいたします。
 まず、われわれ日本国民は、過去の苦い経験から、自由を守り、平和に徹することの重要さを、世界のいずれの国民よりも痛感しているのであります。そのため、政府の防衛政策も、国力、国情に応じ、他国に脅威を与えないというのが基本であることは御承知のとおりであります。今後とも、この基本方針に変わりのないことを明確にしたいと思います。
 私としては、第二次大戦を正当化しようとするような考えは毛頭ございません。このことも、はっきり申し上げておきます。
 次に、わが国の防衛力の限界を示せとのことでありますが、かねがね申し述べているように、わが国の防衛力は、国の安全を確保するため、万一の場合に備えて保持するものであって、あくまでも自主的なものであります。また、防衛力というものは相対的なものでありますが、わが国の場合は、憲法の許容する範囲にとどまる点におのずから限界があると、かように御承知願いたいのであります。
 次に、日中関係の改善は、もとより政府の望むところであります。しかし、それとわが国防衛の基本方針とは全く別個のものであります。政府としては、専守防衛に徹するとともに、総合的な内外の施策を積極的に推進することにより、真に安定した国力を保ちつつ、世界の恒久平和達成に貢献したいと念願している次第であります。
 ラオス問題について、政府としては、すべての外国軍隊がラオスより撤退し、一九六二年のジュネーブ協定に従って一日も早く和平が回復することを希望しております。また、政府としては、現ラオス政府の中立政策と和平への努力を支持するものでありますが、具体的な点については外務大臣からお答えをいたします。お聞き取りを願います。
 なお、第七艦隊の佐世保移駐に関する安保協議委員会の決定の問題についても、これまた外務大臣よりお答えをいたします。
 次に、大出君は、沖繩返還についていろいろ疑問をお持ちのようでありますが、返還後の沖繩に対しては、安保条約及び関連の諸取りきめが何ら変更なく適用されるのであります。したがって、沖繩に関する事前協議制度の運用についても、本土の場合と何ら異なることはなく、この点、日米間に何らの見解の相違はありません。いずれにしても、事前協議制運用に際しての政府の基本的態度は、わが国益を確保するという見地から、具体的事案に即して自主的に決定をいたします。
 また、徴兵制度についていろいろ言われますが、現行憲法のもとにおいていわゆる徴兵制をとらないことは、すでに再三申し述べたとおりで、この答えに毛頭変わりはございません。
 新防衛力整備計画については、現在防衛庁案を策定中であり、まだ具体的に申し述べる段階ではありません。しかし、わが国の防衛力の整備は、国防の基本方針にのっとり自主的に進めるものであって、日米共同声明とは関係がありません。この点、はっきり申し上げておきます。
 次に、政府はいわゆる非核三原則をとっております。いろいろの御議論があるようでございますが、その議論は別といたしまして、いま政府がとっておる非核三原則、これは守り抜くというその政府の態度、これも変更のないことを御承知願います。
 そこで、核拡散防止条約については、政府声明で述べたとおり、この条約に基づいて、わが国が国際原子力機関との間に締結される原子力平和利用に対する保障措置協定の内容が、他の諸国と比べて、わが国にとって実質的に不利にならないとの見通しをつけた場合は、批准手続をとってもよい、かように考えております。
 このほか、政府は、軍縮交渉が順調に推移しているかどうか、また、万一、核兵器を持たない国が核攻撃を受けたり、核の脅威を受けた場合に、国連安保理事会の決議が円滑に実施されるかどうかも注目するものであります。
 以下、私からお答えをいたしまして、その他は関係大臣の答弁をお聞き取りいただきます。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#21
○国務大臣(愛知揆一君) ラオスの問題でございますが、ただいま総理からお話がございましたように、政府といたしましては、一九六二年のジュネーブ協定の精神によって、一日もすみやかに外国軍隊がラオス領域から撤退をする、そしてラオスの中立を堅持していきたい、こういう考え方に基づきまして、ラオス政府とはもとより緊密な連絡をとりながら、米国をはじめ関係諸国に、すでに外交ルートを通じまして活発な活動を展開いたしております。
 そして、まず、ジュネーブ協定の共同議長国であります英ソ両国政府に対しましては、ジュネーブ協定に基づく会議が一日もすみやかに開催されること、また、国際監視団の構成メンバーでありますポーランド、カナダ、インド三国政府に対しましては、その活動をすみやかに再開すること、これらについての要請をいたしております。また、太平洋アジア諸国をはじめ友邦諸国に対しましては、こうしたやり方だけでは不十分のような場合には、さらに広い範囲の国際会議等の開催の提唱等につきましても、日本政府としては、あとう限りの努力をする意図のもとに協力を求めつつ、現にいろいろと話し合いを進めておる次第でございます。何とかしてかような努力によりまして、ラオスの状況がすみやかに平定されることを期待し、努力を続けてまいりたいと考えております。
 次に、横須賀に関連する安保協議委員会の状況でございますが、先ほども御指摘のとおり、昨年十二月二十一日に、日米安保協議委員会を開催いたしました。その結論の中に、横須賀における米軍の活動規模が縮小されることになり、第七艦隊の旗艦は佐世保に移動するということがきめられまして、その旨公表されましたことは御承知のとおりでございます。この方針につきまして、その後変更があるという協議の申し入れを受けたことや、報告を受けていることは、ただいまのところございません。
 そして、政府といたしましては、本件に関連する労務者の解雇問題、再就職の問題等については、この上とも政府一体となりまして万全の措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#22
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府の防衛方針は、平和に徹して防衛に必要な限度にとどめるということでございまして、隣国との軍備拡張競争を避けるということは、もちろん一貫した方針の中にあります。したがいまして、仮想敵国を持たないということも当然でございまして、白書の中に、北鮮、中国が記述されましたのは、ほかの近隣諸国と同様に、周囲の情勢説明の一部として記述されているのでありまして、これを仮想敵国として取り上ぐべきものではないのであります。
 次に、過去の戦争からの防衛に関する教訓といたしまして、日本の防衛の特色といたしましては、総理もおっしゃっておりますように、経済大国にたとえなっても軍事大国にはならない、この基本方針のもとに憲法を守り、文民統制を全うして、そして徴兵を行なわず、海外派兵を行なわず、攻撃的兵器を持たない、こういうことは世界に最も特色のある性格であると思います。
 次に、予備自衛官につきましては、新防衛計画の末期に六万整備する方針でございますが、これは後方支援を分担いたしまして、警備ないし兵たんを分担させる予定でございます。
 十八万人体制につきましては、五方面十三個師団という割り当てから、大体十八万程度で適当である、特に現在の社会経済情勢との調和も考えてみまして、十八万体制を当分維持してやっていけるという考えであります。
 制空権につきましては、これは固定的な、独占的な、排他的な支配圏をつくろうという考えではなくして、本土領空及び本土の周辺海域等において、優勢地域をその場、その場で確保しなければ防衛が全うされない、そういう考えによって起こっている考え方でございます。
 なお、AEWにつきましては、超低空で侵入する敵機を現在のレーダーでは把握することができませんので、それに対する考え方として、目下慎重検討中でございます。
    ―――――――――――――
#23
○議長(船田中君) 中川嘉美君。
    〔中川嘉美君登壇〕
#24
○中川嘉美君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、わが国防衛の基本問題にも触れて、佐藤総理並びに関係大臣に質問を行ないたいと思います。
 この法案のおもな内容は、海上、航空及び予備自衛官の増員でありますが、昨年十一月末現在の自衛官の欠員は、海上千八百九十七名、航空千五百五十五名、さらに陸上も加えますと、実に二万六千二百七十七名の欠員があるのであります。こうした大量の欠員がありながら、今回もまた増員しようとしていることは、一体どういうことでありましょうか。今日の社会情勢、適齢人口の減少等から判断して、将来の見通しをどう考えているのか。昨年度、隊員募集、広報費に五億円近くを使ってみても達成できなかったこの欠員は、防衛庁自身が最もよく理解しているはずであります。現行制度のもとで定員増だけを国会に提出することは中止して、少なくとも現状凍結をはかり、国民の不信をこれ以上高めるべきではないと思うのでありますが、防衛庁長官の見解をまず承りたいのであります。
 昭和四十六年度予算の政府原案では、防衛関係費は六千七百九億円となっており、昨年度より約一千億円も増加しております。一般会計における公害関係予算は約九百億円、防衛費の増加額にも及ばず、しかも、毎年の予算編成にあたりましては、防衛庁の予算要求額はまるで聖域化されているのであります。このような国民不在の軍事最優先予算の編成方式は、断じて排撃さるべきであります。したがって、このような予算編成を改める考えがあるのかどうか、総理の率直な見解を伺いたいのであります。
 防衛白書におきまして、わが国の安全保障にとって重要なことは、外交、経済、社会保障、教育など、国内基盤の確立が大切であると述べております。政府は、真にこのように考えるならば、現在山積している公害、物価、社会福祉など、緊急で重要な問題解決が優先されねばなりません。軍事費の増大をはかる前に、防衛政策のこれらの諸問題との関連、優先順位を全政策体系の中で再検討し、国民の期待にこたえるべきであると思うのであります。
 防衛庁は、昨年、五兆八千億円という、これまで二十年間の自衛隊経費の総額を上回る第四次防衛計画を発表いたしました。この計画をそのまま実行するならば、毎年一兆円以上の予算を計上しなければならないことは明らかであります。政府は、少なくともこのような第四次防計画の中止をすみやかに決定することが当然であると思うのでありますが、総理の所信を伺いたい。
 また、他の内政上の諸政策とのバランスをどう考えているのかも明らかにしていただきたいのであります。
 佐藤総理は、国連総会をはじめ、機会あるごとに平和国家日本を強調しておりますが、わが国が平和に徹するというのなら、具体的な事実と行動をもって示すべきであります。特にアジアの緊張緩和に不可欠な日中国交回復に背を向けていることは、これに逆行するものといわざるを得ないのであります。もし政府が、イデオロギーや社会体制の相違を越えて、将来わが国がアジアにおいて平和的共存を実現しようとするならば、対立や緊張を増大させる軍事力増強政策を中止し、すみやかに日中国交正常化に取り組むべきであると思うが、総理の見解を伺いたい。
 また、日中国交正常化が実現されるならば、わが国の防衛政策は変更するのかどうかも、あわせて伺いたいのであります。
 平和的外交活動がきわめて消極的である一方、軍事力増強の防衛計画が急進的に行なわれていることは、まさに時代錯誤であるといわなければなりません。そこで、わが国がこのように世界第一位の伸び率で軍事力を増強しなければならない必要性は何か、具体的な根拠をここに説明していただきたい。
 さらに、わが国周辺にはいかなる脅威が存在するのか、また、どのような侵略の可能性を考えているのか、具体的に示していただきたいのであります。
 政府は、自衛力の限界を示すべきであるという国民の要求を拒み続けてまいりました。そこで、私は次の諸点について政府の明確な答弁を伺いたい。
 その第一点は、自衛官の人的な限界についてであります。防衛庁長官は、昨年十二月の外人記者クラブにおける演説で、すでに自衛隊は人的には限界にきていると述べたのでありますが、人員的には限界を考えているのかどうか。
 第二点は、自衛隊の行動について、防衛白書においては、わが国自衛隊は、防衛の範囲を越えて行動はできないと述べておりますが、自衛の範囲とは何か、すなわち行動力についての限界を具体的に承りたいのであります。
 第三点として、装備上の限界について、原潜や中距離弾道弾は保持できるのか、また、わが国が保持できない兵器は何かを列挙していただきたい。
 第四には、わが国は自衛のための小型核兵器保有は法理的に可能であるが、政策として核装備はしないとしている。これは政策の変更によっては核保有もあり得るということに通ずるものであるか、この点について国民の疑惑に答えていただきたい。
 第五には、第四次防でのファントム百数機、AEW、大型艦艇などは、すでに他国に脅威を与えているわが国軍事力の増強に拍車をかけるものであるが、これら兵器は他国に脅威を与えないというこれまでの政府の見解を上回っていると思われるが、どうか。
 次に、昨年十二月の日米安保協議委員会でも明らかなように、七五年までにすべての在日米軍の引き揚げが実施されるとも聞いておりますが、これによって日米安保の将来をどう考えているのか。また、米軍撤退後の米軍基地の将来の形態はどういうものになるかを伺いたい。
 さらに、日米防衛分担はどのように変化するのかも、具体的に説明していただきたいのであります。わが国の防衛戦略や第四次防に変更はあり得るのかどうかも、あわせて明らかにしていただきたい。
 米軍は、撤退後も在日基地再使用の権利を留保しようとしているのでありますが、このことは、政府が安保条約並びに地位協定締結当時予想しない事態であり、もちろん再使用の規定もないのであります。政府は、将来地位協定の改定を考えているのかどうか。もし改定しないとするならば、米軍の全面撤退後の米軍基地の再使用の際における法的根拠は何かを明らかにしていただきたいのであります。
 次に、沖繩返還と防衛問題についてであります。
 佐藤・ニクソン共同声明に関する疑惑は、返還が近づくにつれますます濃いものとなってきておりますが、次の点についてお伺いしたいのであります。
 第一は、沖繩返還時においては、米軍基地は縮小されるのか、それとも強化されるのか、あるいは現状のままなのかどうか。
 第二には、返還後の沖繩からベトナム等への米軍の出撃に対し、事前協議の対象となるケースはどういう場合か、その場合イエスと言うことはあるのかどうか、いかなる条件が満たされればイエスと言うのか、また、ノーと言う場合の条件は何かということであります。
 第三には、沖繩における核兵器はいつ撤去されるのか、また、撤去の確認は県民の納得できる方法で実施できる見通しを持っているかどうか。
 第四に、中曽根防衛庁長官が県民から総反撃を受けた沖繩への自衛隊の配置計画を撤回するつもりはあるのかどうかであります。
 以上、総理並びに外務大臣、防衛庁長官に明確な答弁をお願いしたいのであります。
 第三次防以来、政府は兵器国産化を強力に推進してまいりました。これを歓迎する防衛産業界は、さらに増額する意欲と、兵器輸出の要請を一段と高めております。わが国が、危険な産軍複合体の形成や、これにつながる兵器輸出に対し、あらかじめその芽をつみ取っておくことこそ政治に課せられた使命であると私は思うのであります。(拍手)そのためにわが党は、今国会にも武器輸出禁止のための法律案を提出しているのでありますが、総理はこれに賛成するおつもりはあるのかどうか、伺いたいのであります。
 最後に、自民党内におきまして、沖繩以後の政治課題として、憲法改正、小選挙区制実施を取り上げようということが報じられております。言うまでもなく、この真意は、戦争を放棄した憲法第九条の改悪を意図し、これを実施するために小選挙区制を強行しようとするものであることは明らかであります。佐藤総理のこの問題に対する所信を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 中川君にお答えいたします。
 これは基本的な考え方でございますから、どうも中川君と私の基本的な考え方が違うようでありますので、少し説明をしてみたいと思います。
 わが国の防衛力は、憲法の許容する範囲のものであり、かつ非核三原則に基づくものでありますから、おのずから限界があります。さきにお答えしたとおりであります。
 また、近年わが国の経済的発展に対して、ためにする発言も間々見受けられますが、われわれは、日本国憲法のもとに平和政策を一貫して推進しており、わが国の防衛努力もまたこの政策に従って、文民統制の原理のもとに、節度を保ちつつ進められているのであって、わが国が軍事大国を志向しているなどということは、全くあり得ません。この点はどうか与野党とも――与野党を問わず御認識をいただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、防衛予算でありますが、四十六年度の防衛予算は、第三次防衛力整備計画の根幹を尊重しつつ、他の諸施策との均衡を保持した妥当な額であります。公共事業関係費、社会保障関係費、文教及び科学技術振興費などとのかね合いを見ても、このことは御理解いただけるものと信じております。
 また、中川君から、防衛政策の優先順位を、全政策体系の中で再検討すべきだとの御提案がありましたが、この点は、政府の常に留意しているところでありまして、各年度の防衛予算の策定にあたっては、民生安定など、国民生活と直接関連する他の諸政策との均衡をはかることを主眼にしているのであります。どうか御了承いただきます。
 次に、中川君御指摘のように、公害、物価、住宅等、内政上の諸問題が重要な課題であることは申すまでもありませんが、国の安全保障もまたきわめて重要な基本問題であります。政府としては、内外諸施策との調和を考慮しながら、今後とも防衛力の整備を推進する方針であります。
 次に、私は、平和に徹するということはきわめてじみなことであると考えております。偏狭な自国中心主義を排して国際主義に徹することこそ、平和確保の最良の手段であると思います。
 また、日中関係の改善と防衛政策との関連にお触れになりましたが、今後日中関係が次第に改善され、日中両国をはじめ、わが国周辺のアジア諸国がすべて善隣友好関係を持つようになれば、これこそ願うところであり、わが国の防衛という観点からも望ましい姿であると考えます。
 また、政府は、現在わが国に対する差し迫った脅威があるとは考えておりません。しかしながら、防衛力は一朝一夕には整備できないので、不断の努力が肝心であると考えるものであります。
 なお、防衛費の伸び率が高いとの御意見でありますが、わが国の防衛力はなお整備の過程にあるものの、相対的には均衡が保たれているものと私は考えます。
 自衛力の限界についていろいろ具体的にお尋ねがありましたが、これは後ほど中曽根防衛庁長官からお答えをいたします。
 次に、在日米軍の整理縮小は、国際情勢などの変化や軍事技術の進歩に関連して行なわれるものでありますが、これによって、わが国の防衛構想を変更する必要はないと考えております。
 また、米軍基地は、防衛上必要あるものについては自衛隊が管理いたしますが、その他のものについては、できるだけ整理する所存であります。特に、市街地に存在し、または市街地に隣接する基地については、地元住民の福祉及び地域の発展についても十分配慮する必要がある、かように考えております。
 次に、今般の在日米軍の整理縮小、これは沖繩返還後についての地位協定の改定を考えているかというお尋ねに対する答えであります。今般の在日米軍の整理縮小は、安保条約のワク組みの中で行なわれるものであって、これによって、日米安保体制の変革につながるものではないのであります。したがって、政府としては、現在の地位協定を改定することは考えておりません。
 返還後の沖繩において提供される施設、区域は、安保条約及びその関連取りきめに基づいて決定されます。その際、政府としては、沖繩県民の希望が十分に反映された形になるよう目下鋭意努力しているところであります。事前協議の問題についても、本土の場合と同様であります。
 また、核兵器の撤去については、日米共同声明の第八項に示されたとおり明確な保証を得ていることは御承知のとおりであります。はっきりお答えをしておきます。
 次に、わが国からの武器の輸出についてお尋ねがありましたが、いわゆる三原則で明らかなとおりであります。外国為替及び外国貿易管理法、及びこれに基づく輸出貿易管理令の運用上、これに抵触する場合は輸出を認めないことになっておりますので、特に武器輸出禁止の法制化は考えておりません。
 最後に、憲法改正と小選挙区制の問題でお答えをいたします。
 わが党は、党の綱領に憲法改正を盛り込んでおりますが、この問題は、何と申しましても、国民とともにこの問題と取り組む、これがわが党の姿勢であります。私の在任中は、かような問題は取り上げないと、かように御了承を願っておきます。
 小選挙区制の問題につきましては、党内にこれを推進すべきだとの意見のあることは承知しておりますが、まだ党議としてはきまっておりません。また、いずれ選挙制度審議会等の答申も得なければならない問題だと思いますから、さように御了承をいただきます。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣愛知揆一君登壇〕
#26
○国務大臣(愛知揆一君) 一点だけ総理の御答弁を補足してお答えいたします。
 それは安保協議委員会関係の在日米陸海空軍の整理縮小の問題でございます。これは、今般も若干の整理縮小が行なわれたわけでありますけれども、これは安保条約のワク組みの中で行なわれるものでございまして、このような動きが行なわれましても、これがいわゆる常時駐留の廃止ということにつながるというふうにお考えになるのは少し行き過ぎではないかと思うのであります。
 同時に、常時駐留が廃止されれば現行の日米安保体制が変革されなければならないではないか、こういうふうな議論の発展になろうかと思うのでありますが、こういう考え方は、現在日米両国政府とも全く考えていないのでございまして、現在の安保条約の仕組みの中で適切な改善を行なっていこう、今後ともこれが適切なやり方である、かように考えているわけでございます。たとえば、これに関連して、板付とか厚木とか、こういったような飛行場については共同使用というものが行なわれることになりましょうけれども、いずれにしても、これは現行の地位協定のワク内で行なわれることになることは言うまでもないと思います。
 したがって、結論として、現在、地位協定の改定ということは、政府としては考えておらないわけでございます。
    〔国務大臣中曽根康弘君登壇〕
#27
○国務大臣(中曽根康弘君) 陸上十八万体制は当分このまま維持する予定でありますし、それも可能であると思います。大体、民主主義国家で先進国にありましては、定員の九〇%程度が維持されているのが通例であります。これで教育訓練及び部隊管理は可能であります。わが陸上自衛隊においても、十八万体制は維持できるものと考えます。
 なお、予備自衛官が若干欠員しておりますが、これは四十五年度期末においては大部分充足可能と見ております。
 それから、限度につきましては、前に御説明申し上げましたように、必要最小限の防衛に徹するという考え方に立ってやりますが、国策との調和ということも大事でありますが、本年度予算を見てみますと、公共事業関係費が一兆五千億、社会保障関係費が一兆三千億、教育科学研究費が一兆七百億に対して、防衛費は六千七百億でございまして、まずバランスはとれているものと考えます。
 原子力潜水艦の問題につきましては、原子力推進の商船が通常化した場合には、自衛隊も保有可能であるというのが従来の見解でございますが、現在はまだその条件下にはございません。
 ファントムが攻撃的脅威の兵器ではないかという御質問でございますが、ファントムの航続距離を見ますと、大体朝鮮半島の三十七度線ぐらいまでがいまの限度でございます。日本のように海をめぐらしている国にありましては、十分これは防御的な兵器であると考えます。
 さらに、沖繩に対して自衛隊の進出を撤回しないかということでございますが、沖繩も日本に復帰しますればわが憲法が通用する主権下の領土でございまして、全国民をもってこれは守るべき地域であると考え、撤回の意思はございません。
#28
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出)の
  趣旨説明
#29
○議長(船田中君) 内閣提出、郵便法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。郵政大臣井出一太郎君。
    〔国務大臣井出一太郎君登壇〕
#30
○国務大臣(井出一太郎君) 郵便法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、郵便事業の運営に要する財源を確保するため郵便料金を改定するとともに、新しい役務を弾力的に提供する道を開く等、利用者に対するサービスの改善及び事業の能率化をはかるために所要の規定の改正を行なおうとするものであります。
 まず、郵便料金の改定について申し上げます。
 郵便料金は、昭和四十一年に改定されて今日に至っておりますが、最近における諸経費、特に人件費の著しい上昇のために、事業財政は昭和四十五年度において相当の不足を生じておる状況でありまして、このまま推移いたしますときは、昭和四十六年度以降において収支の不均衡がますます大きくなることが予測されております。
 また、増加する郵便物を円滑に送達し、郵便業務の正常な運営を確保するためには、大都市を重点に、必要な要員を確保し、局舎、施設を拡充し、事業の近代化、機械化をさらに推進することが急務であります。
 これらの問題を解決し、郵便に負託された社会的な責務を達成するため、かねて郵政審議会にその方策を諮問しておりましたところ、旧臘、答申を得ましたので、その趣旨を体し、業務の正常な運営を確保し、郵便事業の収支の均衡を維持するため、郵便料金を改定するほか、その他所要の改正を行なうことといたした次第であります。
 郵便料金の改定のおもな内容といたしましては、第一種郵便物のうち、定形郵便物は二十五グラムまで二十円、定形外郵便物は五十グラムまで四十円とし、通常葉書は十円といたしております。
 第二、郵便料金関係の規定の整備について申し上げます。
 まず、事業の運営に必要な費用は、郵便料金による収入によってまかなわなければならない旨の条文を設けております。
 次に、第一種、第二種郵便物は、国民生活に密着したものでありますから、その料金は法律で定めることといたしておりますが、その他の郵便物である第三種及び第四種郵便物並びに小包郵便物は、その内容となるものが他の手段でも運送、集配をすることができる性格のものでありますので、その料金は、法律で基準を定め、そのワク内で決定を省令に委任し、事業運営に弾力性を与えることにいたしております。
 また、特殊取り扱いの料金もその決定を省令に委任することといたしております。
 第三に、新しいサービスを弾力的に提供することができるよう、省令の定めるところにより第一種郵便物のうち一定の条件を具備するものについては料金を軽減する道を開き、また、特殊取り扱いについても省令で新しい取扱いが行なえるように改めることといたしております。
 なお、これらの省令に委任される料金は、郵政審議会に諮問した上、決定いたすことにいたしております。
 このほか、転送する速達の取り扱いを改善し、また、料金還付の範囲を広げるなど、サービスの向上をはかることとしております。
 この法律案の施行期日は、本年七月一日を予定しておりますが、第一種及び第二種郵便物につきましては、これらが国民生活に最も密着したものであることにかんがみまして、その料金の改定の時期は明年二月一日といたしております。
 以上、今般の法律改正のおもな内容について申し上げましたが、今後、さらに事業の近代化を推し進め、安定した郵便の送達を確保し、もって国民各位の期待にこたえる所存でございます。
 以上をもって、この法律案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出)の
  趣旨説明に対する質疑
#31
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。阿部未喜男君。
    〔阿部未喜男君登壇〕
#32
○阿部未喜男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま郵政大臣より趣旨説明のありました郵便法の一部を改正する法律案について、佐藤総理並びに関係大臣に対し、次の諸点について質問をいたしたいと思いますが、この法律案は、最近の諸物価急騰の中で、政府が公共料金値上げの先がけとして提案したものでありますから、全国民が深い関心を持ってその審議を見守っていることを肝に銘じて、明確な答弁をいただきたいと思います。(拍手)
 まずお伺いをしたいのは、政府の物価抑制に対する政治姿勢であります。
 昨年十二月一日、佐藤総理は、主婦連など消費者五団体の代表に対して、「郵便料金については、一般への影響の大きい封書やはがきは値上げを押えるよう指示してある」と語って、代表者の理解を求めたと、各新聞が報道したところでございます。
 総理はまた、さきの施政方針演説におきましても、物価の問題に触れまして、昭和四十六年度の物価上昇率を五・五%と見込み、この線で総合政策を強力に推し進めるとし、さらに、主要公共料金は据え置き、きめのこまかな消費者行政を行なって、一段と国民生活の安定、向上に努力をすると約束をされました。
 しかるに、本案による郵便料金値上げの構想は、封書で三三%、はがきは四二%以上、その他の料金も二倍以上にわたるという大幅値上げでございます。かかる郵便料金の大幅値上げは、明らかに消費者五団体の代表を欺瞞したものであり、総理みずからの施政方針とはなはだしく矛盾するものであると断ぜざるを得ません。(拍手)
 巷間、佐藤総理は二枚舌だなどと申されていますが、このような政府の、総理の無責任な政治姿勢こそが、国民の政治に対する信頼を失わせていることを、率直に認めていただかなければなりません。(拍手)総理、あなたはいま、この郵便料金の大幅な値上げについて、消費者五団体に何と弁解をされるつもりですか。また、みずからの施政方針演説との矛盾をどう説明されるおつもりですか。さらに、物価の抑制について、具体的にどうなさるおつもりですか、総理のお考えをしかと承りたいのでございます。(拍手)
 次に、経済企画庁長官にお伺いをいたします。
 昭和四十六年度予算編成の大詰めを迎えましたときに、長官が、公共料金一年凍結を閣議に提案されたことは、記憶に新しいところであろうと思います。長官がこのストップ令を提案をされた背景には、何よりもまず、四十五年度当初からの消費者物価の急騰に対し、物価担当の大臣としての危機感があったと思うのでございますけれども、時あたかも郵政審議会が郵便料金値上げを内容とする答申を行なった直後であっただけに、長官の提案に国民は大きい期待を寄せていたのでございます。
 しかるに、十二月九日、物価対策閣僚協議会において、大蔵大臣は、公共料金の値上げをストップすれば、四十六年度予算の編成は事実上不可能となるとして、経済企画庁長官の提案が退けられたと聞き及びますが、その間の事情を明らかにしていただきたいと思うのであります。
 申すまでもなく、昭和四十六年度予算は、中規模機動型などと称して、別途に公債発行のワクを持ち、大資本擁護の予算を組みながら、一方では財源がないという理由で公共料金の値上げを行なうという、国民不在の予算編成であります。かかる不当な予算編成の中で、公共料金の一年凍結を実現できなかった長官の責任は重大であるといわなければなりません。今後の物価対策とあわせて所信を承りたいと思います。
 次に、この際、特に郵政大臣の所信をただし、強く反省を促したい問題は、郵政当局の労務管理の姿勢であります。
 最近における郵政省の職場には、労務管理はあるが、業務の対策はないと申し上げても過言ではないと思うのであります。たとえば、労働組合の組織に介入し、これを切りくずし、弾圧をする管理職のみが優遇をされ、幾ら業務の成績を向上させても、組合切りくずしのできない管理職は左遷をされる。これではまじめな管理職は事業に対する意欲を失い、職場は暗くなり、業務の混乱は避けられない状態となってまいっております。加えて、組合を脱退した職員は昇進をさせ、法で認められた労働組合の組合員を差別扱いする。かかる当局の悪質陰険な労務政策は、広く社会の指摘を受けているところでありますが、昨年の四月でした、郵政職員二十三万名をもって組織する全逓労働組合は、郵政当局の不当な労務政策の変更を求めて戦いを起こし、郵政当局もその非を認めて、全逓との間に覚え書きを締結いたしました。その覚え書きの中で、郵政大臣は、「全逓を敵視し、組織切りくずし的な行為があるとすれば、私の大臣在任中にこれを根絶し、不当労働行為が行なわれることのないよう、新しい通達を出してもよい」と約束をされまして、紛争が終結したと聞いております。この確認事項が実行をされないのみか、当局による組合の切りくずし、差別扱いがますます露骨となり、そのために、全逓は再び当局に対して、労務政策の変更、確認事項の実行を迫って戦わざるを得ないことになり、その結果が年末の郵便事業を著しく混乱させ、国民に多くの迷惑を及ぼしたところであります。
 こうした郵政当局の労務政策の実態については、あなた方が信頼しておる郵政審議会の藤井委員長でさえ、去る十二月七日、答申直後の記者会見において、「労務管理にしても、郵政省の労務管理は、民間経営者の立場から言わしてもらえば落第です」と発表いたしております。(拍手)さらに、各新聞の論調も、筆をそろえて郵政の労務政策は前近代的であると指摘し、郵政当局の望む職員の事業愛や義務感は組合への敵視政策からは生まれてこないと論じておるのであります。
 郵政事業、とりわけ郵便事業は、予算の八〇%までが人件費でありますように、人手にたよらなければならない仕事であることはいまさら申し上げるまでもありません。このような性格を持つ仕事であるだけに、人間関係こそ事業を動かす中心でございます。しかるに、今日郵政の職場にあるものは、管理職に対する不信と憎悪、職員相互の猜疑の目、これで郵便事業の正常な運営が期し得られましょうか。かりに郵便料金の値上げを行ない、収支のつじつまを合わしてみても、それで郵便の遅配や欠配が解消できるものではありません。いや、むしろ、労使関係の正常化なくしてサービスの向上を訴えることは、木によって魚を求むるにもひとしいといわなければなりません。(拍手)まず労使関係を改善し、利用者へのサービスの向上を実現をした上で、郵便料金値上げを世論に訴えるべきだと思いますが、労務政策の基本的姿勢を改める意思がおありかどうか、郵政大臣の確たる答弁を承りたいと思います。(拍手)
 次に、雇用難に対する労働力の確保について提言いたします。
 郵政大臣は、法案趣旨説明の中で、「郵便業務の正常な運営を確保するためには、大都市を重点に、必要な要員を確保し、局舎、施設を拡充し、事業の近代化、機械化をさらに推進することが急務である」と述べていますが、郵政事業は、本来、その作業の大部分を人手に依存しなければならない宿命的性格を持っています。したがって、機械化にもおのずから限度がありますから、労働力の確保と労使の協調こそ事業の正常運行の基本でなければなりません。郵政審議会の答申、来年度予算、いずれを見ましても、主婦労働力の活用などが示されていますが、これは応急こそくの手段であって、本来とるべき方策ではなく、中核はあくまで正規の職員を確保し、事業の運営をはかるべきであると思います。そのためには、職員が将来に希望を持って働ける職場でなければなりません。そこで、この際、郵便外務職の職員について思い切った待遇の改善を行ない、外務職から内務職への職種の変換または年金の加算等について検討を加え、明るい希望の持てる施策を打ち出すべきであると考えますが、これについて、大臣のお考えを承りたいと思います。(拍手)
 次に、この改正案は、第三種及び第四種並びに特殊郵便物の料金等の決定を省令に委任することにしてありますが、これはまさしく租税法律主義または財政民主主義の根本原理に反する改悪であるといわなければなりません。財政法第三条は、「法律上又は事実上国の独占に属する事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と明定をしてあります。一種、二種が国の独占に属する事業であることは論をまちませんが、他の郵便料金といえども、公共性の強い事業料金であるからこそ、従来法律をもって定められているものと理解をしなければなりません。政府は、三種以下の料金を省令に委任をする理由として、郵便以外の手段でも送達、配達ができるものであるとしていますが、本改正案によりましても、第三種、第四種は明らかに採算を無視した政策料金でございます。かかる政策料金を設けること自体、郵便事業の公共性を物語っているのでありまして、まして郵便事業が独立採算制をとる限り、第一種、第二種の料金収入を度外視して、他の郵便料金が決定できる道理がありません。したがって、第三種以下の郵便料金といえども、郵便収入全体の中で決定さるべき政策料金でありますから、第一種、第二種とあわせて法律をもって決定することが至当であると考えられますが、郵政大臣の明確な答弁を望みます。
 以上、政府提案にかかる郵便法の一部を改正する法律案について、特に重要な数点のみ政府の見解を求めてまいりましたが、今日、国民はひとしく郵便物送達の不安定に悩み、正確、迅速な送達の確保を願望しています。郵便事業最大の課題は、この国民の願望にこたえることであります。政府があくまでもこの郵便法改正案の成立を願うならば、この際、業務処理の実情に即した標準送達速度を確立し、その完全実施を国民に公約し、国民の理解と協力を求めるという姿勢こそ大切であろうと思います。
 わが党は、もとよりかかる大衆料金の値上げには反対であります。政府が翻意して本案を撤回されることが最善であると信じまするがゆえに、いさぎよく撤回の措置をとられることを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 阿部君にお答えいたします。
 まず、今回の郵便料金の値上げは、昨年末の消費者五団体の代表に対する約束と違反するものではないかとのお尋ねでありましたが、(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そのとおりと言うのはちょっと早いので、しまいまでお聞き取りをいただきたい。決してそのようなことはありません。当日の記録を取ってありますので、正確に申し上げますと、「郵政事業が行き詰まりつつあるので、郵便料金のうち第三種などは上げてもよいと思う。はがきや封書については、ことしの問題としてはなるべく上げないようにしたい」という趣旨のことを申し上げたものであります。
 その後、郵政審議会は、郵政事業の現状と将来から見て、はがきと封書についても本年の七月一日から値上げすることもやむを得ないとの答申を出されたのでありますが、政府はあえてこれを来年の一月まで据え置くこととしたのであります。
 また、公共料金一般としては、電話通話料、国立学校授業料、定期航空旅客運賃、公団家賃等の値上げを行なわないこととしておりますので、主要な公共料金の値上げはほぼ全面的に抑制されたといって差しつかえないものと思います。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣佐藤一郎君登壇〕
#34
○国務大臣(佐藤一郎君) 昨年の十二月に御存じのように公共料金の抑制方針を打ち出しましたが、その際に、閣僚協議会の決定といたしまして、郵便料金についてはこの趣旨に沿いながら、なお大蔵大臣、経済企画庁長官、郵政大臣、三大臣においてすみやかに協議決定する、こういうことにきまったわけでございます。この趣旨にのっとりまして、三大臣が協議いたしたわけでございますが、御存じのように、八割が人件費というこの郵政事業の特殊性、そうして四十四年からすでに赤字に転落いたしまして、四十六年度には約四百億円の赤字が出てまいる、こういう情勢を十分見ながら、これを一体税金で負担すべきか、利用者が負担すべきかには議論がありますが、本来公共企業としてのたてまえからいいまして、合理化を前提としながら、最小限やむを得ないものは、これは利用者負担にせざるを得ないであろう、こういう結論が出たわけであります。ただし、国民生活に最も関係の深い封書、はがき等につきましては、一年間これを据え置く、なお三種、四種はその値上げの率を手直しをする、こういうことにきまった次第であります。(拍手)
    〔国務大臣井出一太郎君登壇〕
#35
○国務大臣(井出一太郎君) 阿部さんにお答えいたします。
 郵政省としましては、国民から負託された郵政事業を円滑に運営するために、職員が全力をあげて安心して働けるような明るい職場をつくるということに眼目を置いておるわけでございます。特に労働組合とは相互信頼に基づく労使関係を樹立するということがぜひとも必要でございまして、このために関係労働組合に対して誠意をもって臨んでおるところであります。
 しかし、先ほど御指摘のありましたように、残念ながら昨年は労使の間に紛争がございました。そこでこれを大いに教訓として、それから組合側もこれはたいへん犠牲を払ったと思うのでございます。これをくみ取って、私は、ただいまの段階においては漸次前向きの方向に向かっておる、こういうふうに思っておるわけでございます。
 そこで、管理者の側をも戒めまして、いやしくも法の禁止に触れるようなことがあっては相ならぬ、これはもう当然でございまして、この点については、従来もあらゆる機会を通じて徹底をはかってまいったわけであります。しかしながら、労使の関係は、これは相対的なものでございますから、管理者の側を戒めると同時に、同時にまた組合の側にも、そういう点十分な認識を持っていただくという努力を、ただいま払いつつあるわけであります。
 次に、雇用対策の問題にお触れになりましたが、郵便事業の運営は、もうおっしゃるように、本来本務者をもって行なうというのが望ましい姿であることは間違いございません。そこで、定員を確保し、職員の給与の改善をするとか、あるいはおっしゃるように外務から内務への職種の変更もはかっておりまするし、職員の待遇改善等にも意を用いて、要員の確保につとめておるわけでございますが、何せ最近の雇用難深刻化の状態にありましては、必ずしも十分にいかない場合を補足する意味において、婦人の労働力の活用ということもあわせ行ないまして、全体としての労働力の確保を期してまいりたいと考えております。
 次に、省令で料金を決定するということにお触れになりましたが、これは第一種、第二種、これが郵便の大部分を占めておりますので、同時にこれは国がその送達を独占しておる仕事でございますから、あわせてまた国民生活にたいへん密着をしておりますので、これはもう言うまでもなく法定事項であります。第三種等につきまして、今回省令にしたゆえんのものは、同じような送達手段が、ほかにもこれは競争相手があるわけでございまして、こういう仕事というものはもう少し弾力性を持たせて事業の運営の便をはかるということも、これは例の郵政審議会の答申にもございまして、今回こういう方向に踏み切ったわけであります。しかしながら、この料金決定にあたって、一般的な決定基準というものを設けてございますので、かんぬきは一本入っておる、こういうふうに御了承をいただきたいと思うのであります。
 それから、標準送達日数というふうなものをきめたらどうか、たいへん専門的な御指摘があったわけでありますが、これは、実は、サービス向上のために、私ども確立をしたいと思っているのであります。ただ、御承知のように、郵便物は、時間的にあるいは季節的に繁閑の差が非常に多いものですから、こういう点を技術的にどう解きほぐしていくかという問題が一つございます。同時に、都会地などはいろんな困難な事情が山積をしておるものですから、こういう点は、もう少し研究のために時間をお与えをいただきまして、そして、今後合理化、近代化の施策を推進をいたし、標準送達日数等の確立ができるように努力を払う所存でございます。
 最後に、本案を撤回せよと、たいへん激しいことをおっしゃいましたが、どうも残念ながら、さようなわけにはまいりかねるわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#36
○議長(船田中君) 和田一郎君。
    〔和田一郎君登壇〕
#37
○和田一郎君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま郵政大臣から趣旨説明のありました郵便法の一部を改正する法律案に対し、総理大臣並びに関係の各大臣に質問をいたします。
 まずお伺いしたいのは、料金値上げのこの法律案と、政府が言っているところの物価安定策との関係についてであります。
 昨年十二月、佐藤経済企画庁長官は、公共料金一年間凍結の考えを発表され、大きな反響を呼んだのでありますが、各省の強い抵抗を受けて、この公共料金値上げストップ令は、あえなく後退してしまったのであります。すなわち、十二月九日の物価対策閣僚協議会で、公共料金の値上げを厳に抑制するとの方針をきめたにすぎなかったのであります。なぜならば、昭和四十五年度中の対前年度物価上昇率の平均は七%台に乗り、政府見通しの四八%を大幅に上回ることが予想されたからであります。佐藤経済企画庁長官の腹づもりは、すべて公共料金を最低一年間凍結することにあったといわれますが、閣僚協議会では、電話料金の時分制及び電話の設備料金の値上げを認め、さらに郵便料金の値上げについて、郵政省は、大蔵省の予算案内示に合わせて値上げ案を決定したのであります。これによって、経企庁長官の構想は、全く骨抜き同然となったのであります。
 昨年十二月一日、佐藤総理が、消費者五団体代表に対し、郵便料金値上げは、第三種についてはしかたないと思うが、はがき、封書については値上げを押えるよう指示すると約束されたのでありますが、今回のこの約束違反について、国民の前にどのように弁明されますか、総理大臣にお尋ねをいたします。
 次に、物価安定という問題は、当面の国民生活にとって最大の課題であります。政府の手によって十分抑制できる立場にある公共料金を、このようにみずから引き上げながら、どうして一般物価の値上げを抑制することができるか。この点を具体的に、かつ国民が納得のいくように、物価に取り組む姿勢と決意を総理大臣にお尋ねいたします。
 特に、公共料金値上げ一年間凍結の方針がたちまちのうちに骨抜きにされた、その反省について、具体的な内容をもって説明してもらいたい、このように思います。
 さて、今回の郵便料金値上げについては、全く安易に企画されたものであるとの印象が非常に強く感じられます。
 まず、郵便料金のうち、第一種の封書については十五円から二十円、三三%の値上げ、第二種のはがきは七円が十円に、実に四三%の値上げであります。第三種の新聞、定期刊行物は、驚くなかれ平均二倍の値上げ、第四種等については一・五倍から二・五倍の値上げとなり、小包郵便物では、平均八〇%の値上げ率になっているのであります。
 このような措置については、あくまでも慎重であるべきで、これが回避のためには最大の努力を尽くすべきが当然と考えられるのであります。
 その第一点は、現在の特別会計制度のあり方であります。
 現在、郵政省の経理は、三つの特別会計から成り立ち、独立採算制を原則としておりますが、郵政事業の公共性を考えるならば、一般会計からの繰り入れも検討する必要があると思うのであります。年間百数十億通にも及ぶ郵便物は、国民一人当たり一年間百二十通以上の利用がある公共事業であります。大蔵大臣は、いままでの答弁の中で、値上げはしたくないと言いながら、独立採算制をたてにとって、料金値上げやむなしといわれたことがございますが、この点について、大蔵大臣のお答えをお願いいたします。
 第二点は、きわめて一般化された遅配、誤配が郵便事業の不信の大きな要因となっていることであります。
 これこそまさに国民不在の最たるものといえましょう。政府みずから策定した標準送達日時が守られているのはわずかに四〇%、郵政大臣はこの責任を痛感すべきであります。この国民の不信をよそに、何のおくめんもなく値上げ案を提案される神経を疑います。この際、いさぎよく値上げ案を撤回して、遅配、誤配の絶滅を国民の前に約束されるべきが当然と思いますが、郵政大臣の責任ある答弁を求めます。(拍手)
 第三点は、郵政事業の将来の展望についてであります。
 さきに郵政審議会より答申のあった公社化案について、その後の経過について、郵政大臣の所信を明らかにしてもらいたい。国民不在の安易な料金値上げを云々するその前に、郵政事業の体質改善のビジョンが当然示されるべきであると考えますが、これについて総理大臣、郵政大臣はどのように考えておられるのか、政府の基本的な態度を説明していただきたいのであります。
 次に、お聞きしたいのは、新聞などの定期刊行物を内容とする第三種や第四種等の郵便物料金は、現在では採算を割って設定され、これらによるいわゆる公共負担ともいうべき赤字の解決を、本案は郵便利用者のみに転嫁したという点であります。特に第三種郵便物制度の特色として、郵便法には、「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるもの」とあり、公共的な性格のもとに、低料郵送になっておるのであります。特に、そのほとんどが郵送によっている過疎地域へのこれら文化的出版物にあっては、結局、過疎地域への文化の流入をはばむ大きな要因となります。かかる公共負担が郵便利用者のみにかけられるということは、きわめて不当であると思うのであります。諸外国を例にとりましても、米国の場合、原則として収支相償うたてまえをとりながらも、国民の福祉と公共的目的のため、公共的サービスによって発生した不足分は、一般会計から補充をしておるのであります。その額も、一九六七年では、円に換算して約四千百八億円、事業総支出額の一八・一%にも達しているのであります。
 このように三、四種等の郵便物については、この特典を受ける郵便物を厳格に再検討を加えるとともに、一般会計よりの大幅な財政援助を与えるべきだと考えますけれども、大蔵大臣、郵政大臣の内容ある答弁を求めるものであります。
 最後に、料金規定の整備と称して、封書とはがき以外のすべての料金を、法律事項から省令事項へ移そうとする点であります。すなわち、事業の弾力的運用の名のもとに、郵政大臣が、郵政審議会に諮問した上で、省令できめようとすることであります。
 これは明らかに財政法第三条に抵触すると思うのであります。この法律には、「事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と明記されているのであります。今回、これが省令に移されれば、封書とはがき以外の料金決定は、郵政大臣の自由裁量となり、赤字などを理由にいつでも値上げができる体制になるのであります。
 これでは、ますます国民生活から遊離した郵政事業となり、国会軽視もはなはだしいと思うのでありますが、この点について、総理大臣と大蔵大臣、郵政大臣の明快なる答弁を期待するものであります。
 以上、数点にわたり政府の見解を求めてまいりましたが、この郵便法の一部を改正する法律案については、値上げ法案である以上、わが党はもとより反対であります。政府が翻意して撤回されることが最善であると思うのでありますが、いさぎよくその措置をとられることを再び要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#38
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 和田君にお答えいたします。
 いろいろお尋ねがありましたが、第一問、郵便料金アップは公約違反というその点につきましては、さきに社会党の阿部君に詳細にお答えいたしましたので、十分御理解いただけたと思いますので、答弁は省略させていただきます。
 また、公共料金全般の問題としても、主要な公共料金はほぼ全面的に据え置くという方針を堅持したものであり、政府が率先して物価引き上げの先頭を切っているかの御批判は当たらないものと私は考えます。むしろ、最近の物価上昇の中にあって、公共料金の物価上昇に及ぼした寄与率は、他の部門に比べて相対的に著しく低い事情にあることを率直にお認めいただきたいと思います。今後とも、政府主導型の物価上昇になるようなことは厳に避けてまいります。
 物価の安定、これは当面の経済政策にとりまして、基礎的な課題として重視してまいる決意であります。よろしく御鞭撻のほどをお願いします。
 次に、公社化についての郵政審議会の答申でありますが、何ぶんにも制度の基本に触れる大きな問題であるだけに、なお時日をかけて、慎重に検討いたしたいと考えております。ただ、この答申の公社化案の一つの眼目であった「高い能率の発揮」と「サービスの向上」という要請については、現行経営形態のもとにおきましても、十分追求さるべき課題でありますので、当面の措置として、答申に指摘された問題点の実質的改善をはかることとし、その一環として、今回郵便法の一部を改正する法律案を提案したものであります。
 政府としては、郵便事業が、今後の情報化社会の進展につれて、ますます増加する郵便物を円滑に送達し、真に国民の基本的通信手段として、その役割りを全うし得るよう、必要な要員及び施設を確保するとともに、事業の近代化、機械化を推進し、その体質改善を積極的に進めてまいる考えでありますので、よろしく御審議のほどお願いをいたします。
 次に、一部、郵便料金決定を省令事項に委任することについてのいろいろのお尋ねがございましたが、これは大蔵大臣並びに郵政大臣からお答えすることにいたします。(拍手)
    〔国務大臣井出一太郎君登壇〕
#39
○国務大臣(井出一太郎君) 総理から、ある程度お答えをいただいてありますが、私に関連する三、四点についてお答えをいたしたいと思います。
 郵政事業の赤字の補てんを一般会計からしたらどうか、こういう御意見でございますが、これは、たてまえをやはり受益者負担ということに置いておりまするし、また、一般会計となりますと、これはやはり納税者負担ということに相なりますので、私どもは、合理的に独立採算、受益者負担、こういう割り切り方をいたしておるわけであります。
 それから、公社化案についてもお触れになりましたが、公社化についての審議会の答申はいただいております。これはそれなりに、私、非常に評価すべき内容だと思うのでございますが、郵便の仕事のごとき、ちょうどことしは郵便百年の年でございますが、百年の長い歴史を根本的にここで改めるという大きな問題になりますから、これを決して放棄しておるのではございませんが、なおひとつ十分に慎重な検討をいたしたい、こう考えるわけでございます。
 そして、その答申の中に、もっと合理的な、能率的な運営をはかる部分が幾多あるわけでございまして、それを取り上げて、今回の法律改正の中にも部御審議をわずらわす、こういうことにいたしておるわけでございます。
 それから、第三種、第四種を省令事項に移したのはけしからぬという仰せでありまして、これは先ほど阿部さんにもお答えをいたしましたが、原則としては、一条、三条に明確にしてございますように、第一種と同じ重量の郵便は、三種、四種の場合といえども、この額を上回るということは決してしないという一条が入っておるわけでございます。そして、郵便のほうは、総合原価主義とでも申しましょうか。そういうものを計算してみますと、まだまだ三種、四種は非常に原価を下回っておる、こういう次第でございまして、政策割り引きという意味もございましょうけれども、まずこの程度が妥当なところではないかというふうに考えておるわけでございます。
 さらに、遅配、誤配の問題にお触れをいただきましたが、これは私どもも十分に反省をしておるところでございまして、今後、こういう法律を御審議をわずらわす以上は、ほんとうに郵便関係者が相戒めまして、これを未然に防ごう、こういう心がまえで臨んでおりますることを申し上げて、答弁にする次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#40
○国務大臣(福田赳夫君) 私に対する質問の第一点は、郵便事業は公共性が高いから、一般会計から赤字は補てんすべきじゃないか、こういう話でございますが、いま郵政大臣からお答えがありましたように、公共性は高いのです。しかし、同時に企業体である。郵政事業特別会計法第一条にも、企業的に経営しなければならぬ、こういうふうに書いてあります。当然独立採算制をとるべきである、かように考えております。これを赤字が出たら一般会計からというと、どうしてもいわゆる親方日の丸式になりまして、合理的、近代的な経営の妨げになる、かように考えております。
 質問の第二点は、郵便料金を省令に委任することは、財政法第三条の違反ではないか、こういうお話でございますが、財政法第三条は、御承知のように、公共料金法定主義をきめております。法律または国会の議決に基づきこれをきめる、こういうふうに書いてあるわけでありまして、今回は最高限度をきめる。また、郵政審議会の議を経る、こういう制約のもとに省令委任をするものでありまして、しかも、今度、本日御提案をいたしておりまするこの郵便法改正案、この中にそのことが織り込んであるわけであります。十分御審議を願いたいと思いまするし、また、これは法律に基づく御委任でございまするので、この法案が成立いたします場合におきまして、これは財政法第三条違反になるものではありませんとはっきり申し上げます。
    ―――――――――――――
#41
○議長(船田中君) 栗山礼行君。
    〔栗山礼行君登壇〕
#42
○栗山礼行君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま郵政大臣から御提案のございました郵便法の一部を改正する法律案につきまして、若干発想のニュアンスを異にいたしまして、総理大臣及び関係閣僚諸氏に御質問を申し上げたいと存ずるのであります。(拍手)
 私は、本法案に関しまして、まず佐藤総理からぜひとも伺っておきたい基本的な事項がございます。
 それは、最近激しくなっております消費者物価の異常な高騰を前にいたしまして、この物価高騰を引き起こす大きな原因であり、かつ、波及効果のきわめて大きな公共料金に対する佐藤内閣の基本姿勢についてであります。
 総理及び経済企画庁長官は、政府主導型の物価値上げは厳にこれを慎み、これを抑制することをしばしば言明されましたことは、国民周知のところでありますが、明年度予算の編成にあたりまして、郵便料金をはじめ電信電話料金など、政府直轄の公共料金をみずから引き上げることとしたのは、明らかに政府主導型の物価引き上げムードをかもし出しつつあるといわねばならぬと信ずるのであります。(拍手)したがいまして、満を持して待機いたしておりましたところのタクシー料金の大幅の値上げ申請を誘い出すほか、次々と各種の物価値上げが、このムードに便乗いたしまして行なわれようといたしております。
 特に、郵便料金につきましては、現状で維持すべき企業的努力が十分に行なわれたであろうか、これを忘れてのいわゆる安易な値上げは、国民の同意できるところでは断じてございません。
 先般、物価安定推進会議からも、公共料金については、積極的な構造改善がない限り引き上げるべきではない趣旨の提言がなされておりますことは、すでに御承知のとおりであります。政府自身が国民に対しまして責任を持って抑制すべき公共料金を、政府みずからが引き上げることと、「昭和四十六年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」の中で「公共料金の引き上げは厳に抑制する」と示されていることとは、一体どんな関係があるのか。そして、どちらが佐藤内閣の真の姿であるのか、国民は大きな疑問を持っているのであります。(拍手)この点、佐藤総理より、率直に、かつ明快な御方針をお示しいただきたいと願うのであります。
 次に、郵便法の改正に対しまして、その第一は、郵便法第一条で「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。」と規定をいたしております。公共事業たる郵便事業の性格を、最も明確にいたしておるのに対しまして、今回の改正案では、第三条に「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な費用を償い、その健全な運営を図ることができるに足りる収入を確保するものでなければならない。」という規定をわざわざ設けましたことは、その趣旨の上において大きく相矛盾するのみならず、特に「収入を確保するものでなければならない。」と、強い文章をもって規定しておりますことは、政府の独占する郵便事業であるだけに、国民の意見など考慮する必要なしという、いわゆる官僚的、反民主的な解釈論へと発展するおそれを私は抱くものでありますので、この点について、総理から納得のいく御説明を伺いたいのであります。(拍手)
 次に、今日国民が、郵便事業に対しまして端的に抱いております感情といえば、このように料金だけはしばしば引き上げるけれども、サービスはそのつど、年々悪化するということであります。こうした原因の一つには、率直に申し上げまして、郵政当局の親方日の丸的考え方、安直なる姿勢があります。国民が最も強く感情の不満をぶちまける最たるものがここにあると私はかたく信ずるのであります。(拍手)
 すなわち、郵便物の遅配は常習化しているのみならず、ところによりましては、週に二回程度まとめて配達するところさえあるような状態でありまして、国民の郵便事業に対する不信感は、まことに深いものがございます。このような事態に対処いたしまして、政府は、かつて能率的な郵便事業を実現させる目的をもって、郵政公社案を検討されていたと聞き及ぶのでありますが、どのような案であるか、そのよしあしは別といたしまして、現在もなお公社案を検討中なのか、それともそれを放棄したのか、この辺の事情を郵政大臣に承りたいと思うのであります。
 また、昨今の郵便業務の不正常状態は、政府の施策の貧困と、事業運営の不手ぎわに由来するところが多いと思われるのでありますが、当局は、業務の正常化について、いかなる方策をお持ちであるか伺いたいのであります。
 なお、事業の正常化に関しましては、郵政省の労務政策にも問題がございます。私は、今日の郵政当局の労使関係は、不健全でかつ円滑を欠き、正常運営の確保の上で、大きな障害となっている実情にあると信ずるのであります。国民は、郵政当局の労使関係に大きな不信と疑惑を抱いております。本来労使関係は、一方を責めて他方を是とするということはあり得ないものであると申せましょう。郵政大臣は、郵政当局の労務管理に関して、この際えりを正して、健全な労使関係の樹立にいかに具体的に対処されるのか、その御所信のほどをお伺いを申し上げたいのであります。(拍手)
 第四に、国民生活において重要な役割りを果たす郵政事業を、政府直接の事業体をもって国民に保障することが、郵便事業に課せられました使命でございますから、この意味で、学識経験者により郵政審議会を構成し、積極的に事業の健全かつ能率的な運営をはかるための調査、審議を行ないますことは、まことに意義深いものがございますが、特に国の経営する重要な公共事業という立場からすれば、郵政審議会の委員の任命については、郵政大臣による任命とするだけでなく、積極的かつ公正な調査、審議が十分行なえるよう、国会承認の人事案件とすべきであると思うのであります。今後ますます郵政事業の公共的な役割りを高める必要がございますとき、郵政審議会の役割りもまた一段と重要性が増すのでありまするから、政府は早急にこの方針にのっとり制度を改めるべきだと思うのでありますが、総理並びに郵政大臣の御所見を承りたいのであります。
 最後に、私は、郵便法の改正と照らし合わせまして郵政予算を検討いたしまするとき、この重要な郵便事業が、郵政事業特別会計によってまかなわれておりますことは、制度上やむを得ないものと承知をいたすのでありますけれども、公共事業といたしまして国民に大きく貢献すべきこの事業に対し、何ら一般会計から助成されていないのは、公共事業としてのあるべき真の姿を求めるためにも、遺憾しごくだと申さざるを得ないのであります。(拍手)少なくとも私は、郵便事業を営む上で基幹となる施設、設備の整備に要する費用に対しては、一般会計予算から相当程度の助成を行なうことによってその健全なる事業運営に資すべきであろうと思うのであります。このような新たな道を開くことによって、諸物価の上昇による苦しい生活にあえいでいる現実の国民に対し、さらに郵便料金の引き上げをもってむちうつことを避けることができると考えるのでありまして、この点について、大蔵大臣及び郵政大臣のお考え方をお伺いをいたしたいのであります。
 以上、この改正案には、矛盾と撞着に満ちた種々重要な問題を含んでおるのでありまして、私は、本改正案を撤回すべきであると考えるのでありますが、政府にその御意思がありやいなや。あえて、私も望まざる態度でございますけれども、本案の撤回を強く要求いたしまして質問を終わることにいたします。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#43
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 栗山君にお答えをいたします。
 まず、公共料金に対する政府の姿勢でありますが、公共料金の値上げを厳に抑制し、政府みずからが物価上昇を主導することは厳に避けるという基本方針は、あくまで堅持する考えであります。
 郵便料金については、事業の円滑な遂行を確保するため、やむを得ない範囲で利用者にも負担を願うこととしたものであります。国民生活上最も影響の深い封書及びはがきの料金は、本年中は据え置くこととして、物価には十分の配慮を払っているのであります。
 六大都市のタクシー料金については、当面これが引き上げを認めるつもりは毛頭ございません。いやしくも便乗値上げのごときは厳に排除してまいりますので、御安心いただきたいと思います。
 次に、郵便法の第一条と第三条の関係についてでありますが、第一条の「なるべく安い料金」という規定は、従来から、収支を度外視してまで安い料金であることを意味したものではないのでありますが、このたびの第三条は、この点をさらに明らかにしたものであって、事業の能率的な経営のもとにおいて必要とされる費用は、郵便料金の収入によって確保するという考え方を明らかにしたものであります。郵便料金は、この要請を満たした上でのなるべく安い料金であって、第一条と第三条との間に矛盾はないものと考えております。
 次に、郵政審議会の構成について御意見が述べられましたが、郵政審議会はきわめて公共性の高いものであるだけに、その任命も慎重に行なっているところであります。これをさらに国会承認人事に改めることは、郵政事業の今後の推移をも見て検討したい、かように考えております。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#44
○国務大臣(福田赳夫君) 栗山さんからの御質問は、郵便事業に一般財源を繰り入れるべきではないか、こういうことであります。先ほどるる和田さんにお答えをいたしたところでございます。したがって、結論だけを申し上げますが、郵便事業は公共性は高い、これはお話しのとおりでございますが、同時に、これは企業体である、企業体としてこれを合理的に運営いたしていくというためには、安易に一般会計からの繰り入れに依存すべきではない、設備費をという御指摘でございますが、これに対しましては、借り入れ金の制度を設けておるのでありまして、これをもって支弁すべきかと、かように考えます。
    〔国務大臣井出一太郎君登壇〕
#45
○国務大臣(井出一太郎君) お答えいたします。
 最初に、公社化の問題でございますが、先ほど来大体はお答えをしてまいりましたが、この公社化というものは、確かに採用に値する経営形態である、こういうふうに考えておりますので、決して問題を放棄してはおりません。ことに、米英等においては公社化の方向もございますから、十分それらも踏まえて検討をいたしておるわけであります。郵便の仕事というのは、なかなかたいへんであることは、昨年アメリカにおいて、本年初頭イギリスにおいて、あのストがあるのにもかんがみて――私は決して顧みて他を言うわけではございませんが、なかなかどこの国でもこれには悩んでおるのが現状だろうと思うのであります。
 そこで、この公社化答申の内容の中で、ともかくいま直ちに、とってもって用いられる弾力的な運営であるとか、あるいは合理化の方法であるとか、こういうものを、今回、これは郵便のみならず、郵便貯金や簡易保険や、こういう方面にもこれをかなり取り入れておるわけでございまして、いずれこういう問題は御審議をいただきたいと考えております。
 それから、業務の正常化についてお触れになりましたが、正常運営をずっと志しておるのでございますが、その第一点は、やはり労務の問題であろうと思うのであります。現在の労使関係というものは、先ほど来御批判のありましたとおり、幾多改善を要する点があろうと思うのであります。これは相対的なものでございますから、郵政管理者の姿勢も十分に正さなければなりません。同時に、組合の側にも要求し、お願いをしなければならぬ点も多々あるわけでございまして、そういう点を、私の見るところをもってすれば、去年、二度にもわたるような労務姿勢を正せというような組合の要求もありまして、この紛争というものが一つの教訓になっているということは、私は評価していいと思うのでございます。これはなおひとつ御鞭撻をちょうだいしながら努力をする所存であります。
 それから、労務とあわせて施設の問題でございます。これはやはりもっと職場の環境整備という点に意を用いなければならぬのでございまして、それは局舎の改善もしかり、その他機械化等々、そういう問題をもう一つの柱というふうに考えるわけでございまして、その他もいろいろございますけれども、これはいずれひとつ逓信委員会等で御論議をいただきたいと考えております。
 それから、先ほど来郵政審議会の問題は、総理からお答えがございましたから、それで十分と思うのでありますが、今回はこの料金等の問題についても、郵政審議会の議を経るということに大きなウエートを置いておりますから、御趣旨のような点は十分に考究をしてまいろうかと考えております。
 大蔵大臣からお答えをいただいた一般会計から繰り入れたらどうだ、栗山さんの御主張は単に赤字ばかりではなくて設備などの財源をそうしたらどうか。これは現に借り入れ金としては一部充当をしておるわけでございまして、これは現在たいした利子負担というふうなことでもございませんので、こういう方向はこれからも考えてしかるべきか、かように思うわけでございます。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
 御三方それぞれ撤回というふうに言われましたけれども、さっき来申し上げるように、なかなか郵便の仕事がたいへんであることは、栗山さんもお察しをいただいておろうかと思うのであります。したがいまして、この程度のことをせめてさせていただいて、そうしてひとつその中から正常化の方向へ努力をしたい、かように考えるわけでございます。(拍手)
#46
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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#47
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        郵 政 大 臣 井出一太郎君
        国 務 大 臣 佐藤 一郎君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        防衛庁長官官房
        長       宍戸 基男君
        郵政省郵務局長 竹下 一記君
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ソース: 国立国会図書館
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