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1970/02/25 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第11号
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1970/02/25 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第11号

#1
第065回国会 本会議 第11号
昭和四十六年二月二十五日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程第八号
  昭和四十六年二月二十五日
   午後二時開議
 第一 選挙制度審議会設置法の一部を改正する
  法律案(公職選挙法改正に関する調査特別委
  員長提出)
 第二 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関
  する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 選挙制度審議会設置法の一部を改正
  する法律案(公職選挙法改正に関する調査特
  別委員長提出)
 日程第二 国会議員の選挙等の執行経費の基準
  に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 児童手当法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
 環境庁設置法案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
   午後二時四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 選挙制度審議会設置法の一部を改
  正する法律案(公職選挙法改正に関する調
  査特別委員長提出)
 日程第二 国会議員の選挙等の執行経費の基
  準に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#3
○議長(船田中君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 日程第一、選挙制度審議会設置法の一部を改正する法律案、日程第二、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
  選挙制度審議会設置法の一部を改正する法律
  案
右の議案を提出する。
  昭和四十六年二月二十四日
     提出者
      公職選挙法改正に関
      する調査特別委員会 吉田 重延
#5
○議長(船田中君) 委員長の趣旨弁明及び報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長吉田重延君。
    ―――――――――――――
    〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔吉田重延君登壇〕
#6
○吉田重延君 ただいま議題となりました両法案について申し上げます。
 まず、選挙制度審議会設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のとおり、選挙制度審議会は、昭和三十六年総理府に設置され、以来、数次にわたる審議会におきまして内閣総理大臣の諮問に応じ、選挙制度に関する重要事項などについて審議の上、答申等を行なっております。
 また、昨年末発足しました第七次選挙制度審議会におきましては、衆参両院議員の選挙区制、選挙の方法、政党のあり方などの基本的問題についての具体的改善策並びに議員の定数問題等、幾多の重要問題の審議が期待されております。
 本改正案の内容は、かかる重要問題の審議をになう審議会委員の使命の重要性にかんがみ、委員の任期を一年延長し二年とすることにより、本審議会における計画的かつ十分なる審議を促進し、もって諸問題の解決に資そうとするものであります。
 なお、本法律は、公布の日から施行することとし、現在の第七次選挙制度審議会の委員の任期は、昭和四十七年十二月二十一日までといたしております。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんとをお願い申し上げます。
 次に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における公務員の給与の改定、賃金及び物価の変動、運賃の改定等に伴い、国会議員の選挙等の執行について国が負担する経費で、地方公共団体に交付するものの現行の基準が、実情に即さないものとなっておりますので、所要の改定を加えようとするものであります。
 そのおもな内容は、超過勤務手当の積算単価、人夫賃等の単価及び投票管理者、開票管理者、投票立会人、開票立会人等の費用弁償額並びに旅費、燃料費等を、それぞれ実情に即するよう引き上げ、関係基準額を改定するものであります。
 なお、この法律は、公布の日から施行することにしております。
 本案は、二月三日本特別委員会に付託され、翌四日秋田自治大臣より提案理由の説明を聴取し、昨二十四日質疑を終了、直ちに採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(船田中君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 児童手当法案(内閣提出)の趣旨説明
#10
○議長(船田中君) 内閣提出、児童手当法案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣内田常雄君。
    〔国務大臣内田常雄君登壇〕
#11
○国務大臣(内田常雄君) 児童手当法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 御承知のように、児童手当制度はわが国社会保障制度の中でいまだ実現を見ていない唯一の制度であり、次代の社会をになう児童の育成の場である家庭の生活を安定させ、児童の健全な育成と資質の向上をはかるためには、この制度の創設がかねてより懸案となっておりました。
 特に、今後において老齢化が予測されるわが国の人口構成を考えますとき、将来の高齢化社会をささえていくこととなる児童の健全な育成と資質の向上をはかることは、わが国が将来にわたって活力にあふれた社会として発展を続けていくために、今日においてとるべき緊急の課題といわなければなりません。
 政府といたしましては、このような観点から、わが国の国情に即応した児童手当制度を実現いたすべく、鋭意検討を続けてまいりましたが、このほど成案を得ましたので、この法律案を提出いたした次第であります。
 以下、法律案の内容の概略について御説明申し上げます。
 第一に、児童手当は、満十八歳未満の三人以上の児童を養育している者に対して、義務教育終了前の第三子以降の児童一人につき月額三千円を支給することとしております。ただし、児童を養育している者の前年の所得が、おおむね二百万円以上であるときは支給しないことといたしております。
 第二に、児童手当の支給は、市町村を通じて行なうこととし、児童手当の支給に要する費用は、被用者の児童については、事業主の拠出金十分の七、国庫負担十分の二、都道府県と市町村負担十分の一をもって充て、農業従事者その他自営業者の児童につきましては、国庫負担二分の二、都道府県と市町村負担三分の一をもって充てることといたしております。
 なお、公務員及び公共企業体の職員に対する児童手当につきましては、国、地方公共団体または公共企業体が直接支給することとし、その費用は、それぞれ支給者において全額を負担することといたしております。
 第三に、本制度の実施につきましては、その円滑な発足を期するために、段階的にこれを行なうこととして、当初はとりあえず支給の対象となる児童の範囲を五歳未満の児童とし、昭和四十八年度からは、これを十歳未満の児童にまで引き上げ、昭和四十九年度から、義務教育終了前の児童に及ぼすことといたしております。なお、昭和四十六年度においては、明年一月分からその支給を開始することといたしております。
 以上をもって児童手当法案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 児童手当法案(内閣提出)の趣旨説明に対する
  質疑
#12
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。川俣健二郎君。
    〔川俣健二郎君登壇〕
#13
○川俣健二郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいま提案のありました児童手当法案に関し、わが党の考え方を提示しながら、総理並びに関係大臣に対して質問いたしたいと存じます。
 まず、具体的な質問に入る前に、佐藤総理に対し、過去何回となくたび重なる公約不履行の足取りを振り返りながら、国民とともに追及してまいりたいと思います。
 すなわち、池田政権に続いて、佐藤総理は、昭和四十年一月の施政方針演説の中で児童手当制度の検討を発表されました。しかしながら、四十年はもちろんのこと、明けて四十一年度も何ら児童手当らしきものを見ることができなかったのであります。さらに、昭和四十二年、総選挙を前にして児童手当制度創設を口にされ、さらに三月、予算委員会においては、わが大原委員の質問に対し、来年度、すなわち、四十三年度は必ず実施すると明言したわけであります。もちろん四十三年度も実現なくして、四十四年の十二月の選挙を迎えたのであります。この総選挙にあたっては、自民党の諸君は、あげて、私に投票してくれたらすぐさま児童手当を実現させる、と各地において公約していたものであります。
 その自民党政府から出された四十五年度の予算案には、児童手当の予算二千万円とだけ、すなわち日本の場合は、まだ時期尚早であるから、しばらく研究を要するということで、研究調査費二千万円であったわけであります。
 このように、一度ならず二度、三度、口先だけの大宰相の異名をとる佐藤総理とあらば無理からぬこと、この公約不履行を何と心得ていらっしゃるか、御解明願いたいと思います。(拍手)
 次に、自治大臣に伺います。
 佐藤内閣はまたうそをついたか、と国民がおこった。各自治体が立ち上がりました。すなわち、国がやらないならわれわれの手で、と立ち上がったのであります。すでに四十二年四月から実施されていた、東京は武蔵野市、岩手県は久慈市。続いて自治体が続々これにならっていったのであります。
 しかるに、この自治体の立ち上がりに対して、事もあろうに、自治省が待ったとばかり横やりを入れたことは、われわれの記憶にあるところであります。いわく、「全国一律にやるから待て」、わく、「特定な地方だけでは一般性がなく、財硬直性の原因となるからやめろ」と。かくて、地交付税による特別措置をとらなかったばかりでく、むしろ妨害に出て、ついには思いとどまれまで出たわけであります。これが世にいわれる政というものでありましょう。(拍手)
 しかしながら、各自治体は次のように反駮していきました。自治省の考え方は福祉行政を無視し、社会保障を忘れての、単なるお役所的しゃくし定木の見解である。政府の無策をたなに上げ、ストップをかけるとは承知できない、と、大阪市を先頭にこれに立ち向かったのであります。そして、いまや実に全国三百四十を数える地方自治体が制定実施しておるわけであります。秋田自治大臣、このいきさつをどう考えておられるか、行政指導とはいかなるものか、率直にお伺いしたいと思います。(拍手)
 再び総理大臣に伺います。
 昭和四十三年十二月、児童手当懇談会の報告がなされました。さらに四十四年七月、この懇談会が発展的解消をして、いわゆる児童手当審議会が正式に発足したのであります。ここに時の厚生大臣、斎藤構想なるものが出されたのであります。さきの懇談会の報告といい、この斎藤構想に基づく審議会の答申といい、さらにはその後有澤試案、それは、農民と自営業者については無拠出制、すなわち全額国庫負担とうたったものであります。これらはいずれもきわめて前進したものであったのです。ところが、このようにやっと組み立てられてきた児童手当構想なるものが、いつの間にやら、どこへやら、なくなってしまったのであります。姿を消してしまったわけであります。
 佐藤総理、これはいかなることだろうか。事業主の拠出制からくる財界の圧力に屈服したのか。それとも総理個人の見解の相違からくるのか。はたまた佐藤内閣の性格があらわれたと理解していいのか。はなはだ遺憾であります。佐藤総理の御所見を伺いたいと思います。(拍手)
 次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 昨年九月十六日、審議会から内田厚生大臣に対し、児童手当制度創設の中間答申が手渡されました。それに対して大蔵大臣は、一、児童手当よりも老人対策、住宅対策が先決だ。二、所得税の控除、家族給との調整が困難だ。三、諸外国の児童手当にはそれぞれ理由があり、わが国には該当しないのだ。四、公費負担の財源がないのだ、と、いかにも一つ一つもっともらしい。
 それでは伺いましょう。老人対策、住宅対策が先決だとはどういう意味なのか。また、すでに実施している諸外国は実に六十二カ国、しかるに日本は該当しないとはどういうことなのか。GNPが第二位で、国民所得は十数番目の日本が、なぜ該当しないのです。防衛費にはふんだんに出せる大蔵大臣、児童手当に出す金がないと言われるのか。せっかくの答申に対し、難くせもはなはだしいと思います。今後、この児童手当を発足させ、運用し、改善していこうとする担当官庁にかわっても、ここに大蔵省の考え方を伺っておきたいと思う次第であります。
 かくて、大蔵省の無理解と頑迷に出つくわし、せっかくの答申案も腰砕けとなり、ばらばらになってしまったわけであります。その結果、この法案によれば、この児童手当月三千円をもらうためには、次のような条件が必要だということであります。
 すなわち、一、十八歳未満の子供が三人以上いなければならない。一、対象になる子供は第三子から下でなければならない。一、年間所得は二百万円以下でなければならない。
 そこで、厚生大臣に具体的な問題について質問いたします。
 児童手当を実施しておる各国の多くは、十五、六歳までを支給の対象としており、なお大半の国が、児童が教育を受けている間は、年齢にこだわらず受給資格の年齢延長を行なっております。特に日本は、昨年の高校進学率八二%をこえました。教育費が家計を圧迫する大きな要因となることは、疑問の余地はありません。
 さらに、四十三年に行なわれた児童手当懇談会報告では、一定程度以上の心身障害児の適用年齢は別に定めると主張しております。これがまた世界各国の大勢でもあります。すなわち、重度障害児に対しては、多くの国が二十一歳前後まで延長しておるということであります。ちなみに、東京都で実施している児童手当も、障害児については二十歳未満を対象としています。障害児に対する年齢延長についてどう考えられるか。
 次に、今回提案された児童手当法案は、児童の健全なる育成をはかることを目的とする。しからば、なぜ全児童を対象としないのか。なぜ十八歳未満の児童が三人以上の場合に限るとか、義務教育終了までとか、制限、ワクもはなはだしいと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)さきの懇談会報告でも、児童全体の健全育成、あるいは雇用ないし賃金問題の見地を加味すれば、全児童に支給しなければ趣旨が一貫しない、と述べているではありませんか。なぜ第三子からとするのか、その理由を明らかにしていただきたい。そして、これを全児童に拡大する意思があるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
 次に、所得制限についてお伺いいたします。社会保障は、すべての国民にひとしく及ぼされなければならないものである。それである以上は、当然、所得制限を行なうべきでないものであると思います。さきの答申案でも、社会保障本来の趣旨からして、低所得者に限ってこの制度を考えようとすることは、問題の本筋を大きく誤るものであると警告しておるのであります。厚生大臣、将来も所得制限を続けるつもりかどうか、伺いたいと思います。
 次に、金額についてであります。四十三年秋、わが党の婦人局が行なった児童養育費の調査によりますと、一人当たり月額一万円という結果が出ました。調査時点からすでに三年、年々五%以上の消費者物価上昇の今日、いまは一万円をはるかにこえていることは明らかであります。諸外国の例を見ると、養育費は親と社会が分担するという考え方に立って、手当の額は養育費の半額程度を目安としているようであります。政府案の三千円ではどうにもならない。さきのわが党の調査結果からも、直ちに月五、六千円を支給すべきではありませんか。ここに三千円の根拠を明らかにしていただきたいと思います。
 また、保護世帯についてであります。現在、自治体等による各種福祉手当は、二千円を限度として収入認定のワク外にあります。児童手当についてはどうするのか、この点についても伺いたい。
 最後に、公務員、民間にある扶養手当との関係についてであります。一般の民間事業所についてはそれぞれの自主性にまかせるが、公務員については、民間の動向を勘案して調整するという。これは具体的にいうとどういうことなのか、お伺いしたいと思います。
 以上、その内容については、はなはだ多くの不備をかかえた法案であります。厚生大臣その他、どのような改善策を考えているのか、具体的にここにお示し願いたいと思います。
 結論を急ぎます。そもそも児童手当なるものは、言うまでもなく児童養育費の家計負担を軽減し、家庭生活の安定に寄与するとともに、次代をになう児童の健全な育成、資質の向上をはかる、これが趣旨であり目的であります。単なる人口政策でもなく、救貧対策でもない。ましてや選挙を前にしての人気取り政策であっては断じてならないのであります。(拍手)
 いわば、これこそが社会保障制度の根幹でありましょう。事社会保障制度である以上、強い者の弱者に対する救いでもなければ、富める者の貧者に対する恵みでもなく、それは社会連帯性からくる権利であり、当然なさなければならない近代社会の責務でありましょう。「福祉なくして成長なし」とはどなたのせりふであったでありましょうか。(拍手)
 わが日本社会党は、早くも昭和二十四年、社会保障制度審議会において、また昭和三十六年、母子家庭に贈る児童扶養手当の附帯決議として、そしてまた昭和三十七年の答申にあたって等々、二十数年間根強くたゆみなくこの制度の必要を説いてまいりました。今回、このかたわな、苦しまぎれな、いかにもよその看板だけを借りて、形だけで魂のないこの制度に対し、対案としてわが社会党は、後日各野党の協力を期待しながら、児童手当はこれだと高らかに提案することを予告申し上げながら、私の質問を終わりたいと思います。上りがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 川俣君にお答えをいたします。
 児童手当の創設を提案してから、かなりの時日がたっていることは、川俣君御指摘のとおりであります。児童手当制度は、わが国の社会保障の体系の中で欠けていた制度であり、それだけに、制度の内容及び他の制度との調和が大きな問題でありました。また巨額の原資を必要とするだけに、産業界や地方公共団体の十分の理解と協力とが必要不可欠であったのであります。昨年秋に至りましてようやく関係審議会の答申を得ましたので、このたび児童手当を発足させることとしたのであります。
 児童手当のように画期的な新しい制度が生み出されるまでには、以上のような、あらゆる面で機が熟し、関係者の十分なコンセンサスを得られることが必要であったわけで、実現までにかなりの時日を要したことは、率直におわび申し上げます。むしろそれだけに、この制度の持つ意義が高いのだ、こう高く評価していただきたいものだと思います。どうぞよろしく御審議のほどお願いをいたします。(拍手)
 以下の諸問題につきましては、それぞれ担当大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣内田常雄君登壇〕
#15
○国務大臣(内田常雄君) 長年の懸案であり、また、皆さま方から御鞭撻をいただいておりました児童手当が、とにもかくにも四十六年度から発足することになりましたことは、佐藤総理大臣の英断であり、また大蔵大臣の協力があった結果でございまして、厚生大臣といたしましては、深く満足をいたしておるものでございます。
 さて、今回の制度のたてまえは、先ほど申し述べたとおりでございますが、子供を持っているすべての者に対して児童手当を支給することよりも、今日の発足にあたりましては、義務教育終了前の期間がこの児童の将来の人間形成にとって一番大切な時期だ、こういうことに着目をいたしまして、この期間以前の子供たちを対象とすることにいたしました次第でございます。
 さらにまた、しかし、重度の心身障害などを持っております子供につきましては、川俣さん御心配のとおりのことがございますが、このことにつきましては、幸いにもすでにわが国には特別児童扶養手当の制度がございまして、二十歳まではこの特別児童扶養手当が支給をされますので、したがって、川俣さんのお尋ねの御趣旨は達成され、つながっておることと私は考えております。
 所得制限の問題につきましても御批判がございましたが、三人以上の子供に出す場合、それらの環境を考えます場合に、やはり出す手当の限界効用と申しますか、それが一番必要にして役に立つというような、そういう範囲に手当を出したいと考えますし、また所得のきわめて多い方々の子供を対象にするというようなことにつきましては、やはり国民感情にひっかかるものなきにしもあらずというようなことも考えまして、かなりゆるやかな所得制限だと思いますけれども、二百万円という所得制限を設けた次第でございます。
 また、生活保護世帯などにつきまして、そういうところの児童が児童手当支給に該当いたします場合には、それだけ生活の手当が削られてしまうことになりましては、趣旨が生きないと厚生大臣は考えますので、これはひとつ皆さま方から御鞭撻をいただきまして、収入認定にしないということにぜひやってまいりたいと考えております。
 最後に、民間や公務員等の方面におきまして現在存在する扶養手当、これは今回の児童手当とは全く無関係でございます。これは、国家公務員、地方公務員あるいは民間の給与制度の問題でございますので、したがって、直ちにそれを削減するとか、それに影響を及ぼすとかいうことは、私ども考えておりません。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#16
○国務大臣(福田赳夫君) 川俣さんから、今度の児童手当を創設するにあたりましては、大蔵省は消極的だ、終始文句をつけておった、こういうお話でありますが、文句をつけますのは、これは大蔵省のくせです。習性であります。大蔵省が各省から言ってくるのをうのみにする。これでは日本国は立ってまいりません。(拍手)しかし、議論はいたします。議論をいたしました結果、これは最善と思うところに結論が来るのです。今度の児童手当につきましても、ただいま厚生大臣から感謝しておるというおことばをちょうだいしたことで御了承を願います。
 しかし、今後、制度の充実には、経済力が伸びていきますそれに応じまして拡大に努力していくということを、ここではっきり申し上げさせていただきます。
 次に、事業主拠出制より法人税方式がいいのではあるまいか、こういうお話でございますが、本来これは、国と地方と企業、三者分担、三者で責任をとるべきが妥当である、かように考えるのであります。川俣さんは、そのうち企業をはずせ、こういうお話でございますが、やはり児童手当と非常に関連の深い企業主、その責任を除外することは妥当ではあるまい。これは、諸外国の例におきましても、いずれも企業者負担という制度をとっておる。これでも、妥当であるというふうに考えて差しつかえないのじゃありますまいか、さように考えております。(拍手)
    〔国務大臣秋田大助君登壇〕
#17
○国務大臣(秋田大助君) 昨年の九月現在で、児童手当といわれる手当を出しておった地方団体は、自治省の調査では二百八十一ございます。元来、この種の児童手当は、国の責任のもと、全国統一的な制度のもとに確立されるべきものと考えまして、そのように指導してまいりましたのでありますが、今回、政府提案の児童手当におきましては、児童福祉という点を主眼にいたしました新しい社会制度の創設に踏み切りました。しこうして、この児童福祉という点を通じまして、住民の福祉の向上に資するわけでありまして、このことはまさに新しい自治行政の責務でございますので、思いを新たにし、地方財政といたしましても、国とともに児童手当の一部を負担いたしまして、国及び住民の社会福祉充実向上に資するという趣旨から、この分担に任ずることにいたした次第でございます。
#18
○議長(船田中君) 多田時子君。
    〔多田時子君登壇〕
#19
○多田時子君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました児童手当法案につきまして、内閣総理大臣並びに関係各大臣に対して若干の質問を行ないたいと思います。
 かねてから、わが党はこの児童手当法の実現を強く要求をしてまいりましたところでありました。おそきに失したとはいえ、曲がりなりにも制度創設までこぎつけた政府の労を、一歩前進と評価をすることにやぶさかではございません。
 かつて署名運動を行ないましたときにも、国民の皆さんからは圧倒的な要望を受けましたが、これこそ国民が児童手当制度実現に大きな期待をかけていたことのあらわれであったと思うのでございます。
 また、国民の要望を受けて、昨年暮れまでに、三百五十八の地方公共団体では、国に先がけて乏しい財源の中からこれを実施してまいりました。こうして積み重ねられました実績の上に、またそうした土壌の上に今回の制度実現があったと思うわけでございます。
 私は、子を持つ母親の立場また家計を預かる主婦の立場に立ちまして考えますのに、それぞれの家庭で、一人の子供を社会に役立つ人間に育て上げるには、経済面、つまり養育費、教育費、また、ときには医療費など、それはなかなかもうたいへんな家計費の負担でございます。いずれの家庭でも同じことが言えるわけでございますけれども、物心ともに健全な家庭で健全な教育がなされて、そして初めて健全な児童が育成され、それがひいては健全な国家、社会の発展につながるものと思うのでございます。(拍手)
 こうした観点から考えますときに、児童憲章やまた児童権利宣言の精神を具体化するためにも、今後児童福祉の分野を一そう強化すべきではないか、このように思うわけでございます。
 ところが、児童家庭局の児童の健全な育成のための対策費、これの予算を見ますと、わずか全体の〇・四%で、まことに一%にも満たないという微々たるものでございます。また、今回の法案の中身を見ましても、社会保障制度審議会がその答申の中でも述べておりましたように、きわめて貧弱な内容でしかございません。すなわち一人三千円とはいうものの、それは段階的実施をうたったものであり、完全実施は昭和四十九年四月一日以降というかなり先の話でございます。しかも、対象者は第三子以下ということでございますし、また、十八歳未満の児童数が約三千万人といわれるのに対して、所得制限でふるいにかけられ、本法案による完全実施の段階でも、支給対象児童はわずか十二分の一の二百五十万人弱という数でございます。これは児童十二人に対してようやく一人という、まことに貧弱なものであるわけでございます。これでは児童手当の名に値しないといっても過言ではないと思うのでございますが、総理大臣はいかがお考えか、御見解をお伺いしたいと思います。(拍手)
 さらに、わが国の社会保障の中で大きく欠けていた制度の一つは児童手当であったことは言うまでもございません。今後社会保障の施策の中で、医療、年金、児童手当の三つの柱が重要な位置を占めるものと思われるわけでございます。しかし、考えてみますのに、国民が心から要望している児童手当は、決してこのような小範囲のものではなかったはずでございます。政府においても、これらを考え合わせて、今後大幅に内容の充実をはかるものと思われますが、その点どのようにお考えか、総理大臣の明確な御答弁をいただきたいと思うのでございます。
 次に、人口問題から考えましても、出生力の低下によりまして、わが国の人口は縮小再生産の途上にあること、またさらには若年労働力の不足がいよいよ深刻化していることなどによって、社会的な立場からもこの制度の創設が強く要求されるところであったわけでございます。このように児童の福祉向上に目的の重点を置くならば、従来の単なる救貧対策的な保護政策、つまり第三子以降とか所得の制限などを設けずに制度の発足をはかるべきではなかったかと、こう思うわけでございます。
 そこで、まず、所得制限を二百万円とされたことはどのような根拠によるものかということをお尋ねしたいと思うのでございます。単に福祉年金の所得制限が百八十万円であり、法案の趣旨からいって、それより多少高くすべきであろうなどという安直な考え方によるものでは、とうてい納得しかねるわけでございます。そこで、科学的な裏づけを持った納得のいく理由をここに明確にあかしていただきたいと思うのでございます。
 次に、三千円の支給額でございますけれども、この額の決定は、かつて昭和四十二年、厚生省の試算によって適正と判断されたものではありますけれども、変動の激しい今日の経済情勢の中でございますから、御承知のとおり、物価の上昇率はまことに激しい。そして、昭和四十年の物価指数を一〇〇とすれば、昨四十五年は二二〇・四、さらに、四十六年、四十七年と急激な物価上昇は避けられない情勢下にございます。これが政府に対する国民の不信を買う最大の因ともなっているわけでありますけれども、こうした物価高騰の中で、はたして三千円の支給額は適正かどうか。すでに四十二年から五年を経過した今日、すみやかに支給額の検討がなされるべきであると考えるのでありますが、厚生大臣、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
 また同時に、今後、児童手当の額については、物価上昇にスライドをいたしまして時宜に適した額に決定されるべきものと思いますが、この点もあわせてお尋ねをしたいと思います。
 さらに、費用負担の問題でありますけれども、これはサラリーマンなど被用者に対する児童手当の費用負担を一部事業主に求めていることは、これは大きな疑問があるわけでございますが、事業主がこの制度の費用の拠出を理由に、従来支給してきた家族手当等を縮小ないしは打ち切るというような問題が起きるのではないか、このような問題も起きております。他の諸手当との関連はどうなっていくのであろうか、こうしたことが国民の不安となっております。
 児童手当は国の重要な施策でありますが、また児童は国の宝でもあります。児童の健全な育成は、国家的見地に立って見ますならば、繁栄と栄光に満ちた日本の将来が約束されております。こう思いますときに、重大な意義を持つ児童手当制度は、全額国の財政負担によって行なうのがしごく当然と考えられるわけでありますけれども、厚生大臣並びに大蔵大臣の御見解を伺いたいと思うのでございます。(拍手)
 以上、数点にわたりまして、総理大臣並びに関係各大臣の御所見を求めてまいりましたが、本制度は、将来にわたって飛躍的に充実発展させることによってのみ本来の目的を達成できるものであると信ずるわけでございます。初年度は五歳未満から、次年度は十歳未満の第三子からというような段階的実施方法を直ちに改めまして、そして、せめて政府案の完全実施を発足当初から行なうべきであったと、こう思うわけでございます。今日のような経済社会の情勢下で発足するものである以上、社会保障関係予算が増加するのは当然のことと思うのであります。その決意の上に立って制度を発足させてこそ、初めて国民の強い期待に一応こたえることになるのではないか、このように考えるわけでございますが、この点を総理大臣並びに関係各大臣に強く要望をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 多田君にお答えいたします。
 次の時代の社会をになう児童の健全な育成をはかることは、国家と国民の将来の発展と繁栄を期する上から、ゆるがせにできない重要な課題であります。私は、直接的な児童福祉の施策を強力に進めていくことはもちろんのこととして、児童を取り巻く基礎的な環境である家庭あるいは地域社会を望ましい状態に保つことが、児童のすこやかな成長と資質の向上のため、何よりも必要なことと考えます。このような意味において、国民各位がそれぞれの分野なり役割りに応じて、児童の健全な育成のために御留意をいただきたいと考えるものであります。
 児童手当制度は、この児童福祉政策の重要な柱となるものであり、現在の財政事情、他の社会保障制度との関連あるいは財源負担のあり方等を勘案した場合、現段階においては、この法案の内容はわが国の国情にも即した最も妥当なものと考えております。多田君は、その拡充を主張されましたが、今後における制度の改善については、その時点における経済の成長、発展及び国民生活の水準等を考慮して検討すべき問題であると考えます。
 なお、児童手当は家庭生活の安定と次代をになう児童の健全な育成及び資質の向上を目ざしたものであることを特に強調する次第でございます。
 その他の問題につきましては、関係大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣内田常雄君登壇〕
#21
○国務大臣(内田常雄君) お答えを申し上げます。
 とにもかくにも児童手当制度が発足をいたしました。これは多田さん自身が私に教えてくださったと思いますが、ものごとは小さく生んで大きく育てろと、子供のことでもあるわけでありますので、多田さんなどの御激励や教えを受けまして、こういうことが出発をいたしました。
 三千円は少な過ぎるというようなことにつきましても、これは実施をいたしておる各国の事情でございますとか、あるいはまた、この手当をもって子供の全部の養育費に充てようということではない、子供の健全育成の一助、多子家庭の安定というようなことから出発をいたしますので、三千円といたしましたが、このことにつきましては、審議会の御答申にはございませんが、私どもは、今度の法律案の中に、物価その他の社会事情の状況に応じて、弾力性をもってこの金額にも増加あり得る旨の規定をも入れておきましたことを御注目をいただきたいと存じます。
 所得制限のことにつきましても御批判がございましたが、すでに先ほどお答えいたしましたとおりでございます。この種の所得制限のうちでは一番甘くいたしたわけでございますが、やはりこの金が限界効用とかいうようなことに感ぜられて使われるように、また、国民的感情をも考えました。税金などをかけられる限界が百万円と少しというようなところを考えますと、二百万円というような所得制限の金額は、私は適当なところであろうと考えてまいりました。
 それから、企業に従事しておる従業員の方々が現在受けられております家族手当と申しますか扶養手当、あるいはまた、公務員の方々が受けられております扶養手当と今度の児童手当との関係は全くない、現在あります家族手当のようなものは、これは給与体系そのものでございますので、私は別個に論じていいものであると、かように考えます。
 さらにまた、財源を全額国庫負担にせよ、一部といえども企業なり地方公共団体が負担をしないほうがいいというお説もございましたが、この種の社会福祉のことにつきましては、国が全額負担するということばかりでるしに、私は、むしろ進んで、関係の企業や地方企業団体にも、ともども負担をしていただいて、社会福祉というものを全国民的な課題として盛り上げてまいりたい、こういう気持ちもございまして、お金をけちして、大蔵大臣から切られたからということでは決してございません。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#22
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず、所得制限ということについて広く疑問を投げられましたが、そもそも社会保障は、これは弱い者、小さい者に対する対策でございます。高額の所得があるとか、そういう者に対して国民の税負担を使用する、こういうようなものは原則としていかがであろうか、かように考えております。
 児童手当において所得制限を二百万円としたわけでありますが、これは児童扶養手当の制限限度が百八十万円なんです。この百八十万円、二百万円の違いは何で出てくるかというと、扶養手当のほうは全額国庫が負担するのです。それから、児童手当のほうは、御承知のとおりこれは三者分担、こういうことになる。全額国庫負担という扶養手当において百八十万円である、それより一段高い二百万円というものを適用する、こういうことにいたした次第であります。
 それから、三千円は低きに過ぎざるやという質問に対しましては、ただいま厚生大臣からお答えがありましたが、これは児童手当懇談会で答申した額が、これが三千円なのであります。(「何年前だ」と呼ぶ者あり)昨年であります。これを採用する、これは当然のことと思いますが、なお、国際水準から見ても必ずしも低いものとは考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(船田中君) 寒川喜一君。
    〔寒川喜一君登壇〕
#24
○寒川喜一君 ただいま提案説明のございました法案に対して、民社党を代表して質問を申し上げるわけでございまするが、さきの御質問で、重要な点はほとんど出尽くしておりますので、私は重複を避けたいと思う。答弁者は、私の質問の真意を十分理解をして、親切な御答弁をいただきたいことをまず要望しておきます。(拍手)
 質問の第一点は、本法案に取り組んでこられた佐藤総理の政治姿勢についてお伺いをいたしましょう。
 社会保障制度審議会は、本月の十日、厚生大臣に対して意見を述べております。先ほど公明党の多田議員も述べられておりますように、その内容はきわめて貧弱だと言っております。平たく申しますならば、全くけちな制度であると直言しておるのにほかなりません。総理は、さきに制度審議会が提唱した児童手当制度に対する考え方を十分御理解をされておられるかどうか、伺いたいと思います。
 この機会に、特に関連をして伺いたいのは、総理の各種審議会、調査会に対する態度でございます。御案内のように、多額の国費と、多忙な各界代表の貴重な時間をたびたび割愛をしていただいたり、さらに夜を徹してまでの審議は、あなたの今日までとってきた態度から見ますると、必要がないのではないかと私は感ずるのでございます。特に、それぞれの重要なお立場にあられる委員諸氏を小ばかにしたような結果になっておると思うが、審議会、調査会等に対する総理の態度は今後改めていくかどうか、御所見を承りたいと思います。
 第二点は、本法案の提出で、社会保障制度それ自体の各項目が一応出そろった、また社会保障最低基準に関する条約の中で、ただ一つブランクであったこのことが埋まったという体形的な整え、これに重点を置かれたと思いまするが、総理の御心境を伺っておきたいと思います。
 さきにも申し上げましたように、本法案自体は問題が非常に多い。内容もまた、いわれるように貧弱である。総理はこのことを率直にお認めになられるか、お伺いをしたいと思います。多田議員も御質問されましたが、将来の拡充強化に対する展望の総理の御答弁は、まことに誠意なきものと私は断ぜざるを得ない。むしろ拡充強化について具体的な計画があってしかるべきだと思いまするが、このことについて御所見を伺いたいと思います。
 第三点は、大蔵大臣に対してお尋ねをいたします。
 大臣は、去る十九日のこの本会議場で、社会党の山口鶴男議員の質問に対する答弁の中で、児童手当制度は地方から先に制度化されたので、政府はやむを得ず提案をするようになった旨と受け取れる答弁をされておりまするが、その真意はどういうところにあったのか、伺っておきたいと思います。
 さらに、財政を握っておられる大臣は、常に経済大国を主張されます。経済大国における社会保障費の国家財政に占める割合をどの程度がよいと判断されておるのか、御見解を賜わっておきたいと思います。大臣の社会保障に対する御認識がもう少し深ければ、皆さんもおっしゃられるように、この制度はもっと早く私は実現しておったのではないかと思います。そのことは、法案の内容からも、特に事業主の負担七〇%にも財政当局の考え方を明確に出しておられるのではないかとうが、このことに対する大臣の御所見を伺ってきたいと思います。
 次に、厚生大臣に対して御質問をいたします。いろいろ問題点がございまするが、時間の関係で二、三に集約をして申し上げたいと思います。
 その一つは、先ほども述べられましたが、手当額の問題でございます。支給金額三千円というのは、先ほどの質問の中にもございましたように、これは五年前の実態調査が基礎になっておることは隠れもしない事実でございます。経済事情の激変で、現時点では全く通用しない額と言えましょう。にもかかわらず、厚生大臣はなぜ手直しをして増額をして提出しなかったか。この問題については、厚生大臣は政治生命をかけて努力すべき性質のものであったと私は思いまするが、何かそれができなかった事情があるのではないかと思う。率直に大臣の心境をお述べいただきたいと思います。
 さらに、事業主の七〇%負担の問題でございまするが、これに関連して伺いたいのは、小零細企業の事業主の負担が家族手当と重複をして負担をしなければならない。加えて、貧弱な政府中小企業対策予算の現状の中で、この七〇%を生産性向上というこの中で、はたして吸収できると厚生大臣はお考えか、明快な御答弁をお願いをしたい。
 また、被用者と非被用者についての費用の負担区分も将来必ず問題になる性質のものだと思いまするが、このことについて将来手直しをする御見解はお持ちでないかどうか、伺っておきたいと思います。
 最後にお伺いしたいのは、ともあれ社会保障制度が一応これで出そろったわけでございます。そこで残りますのは、現在の時点で老人対策でございます。この機会に、厚生大臣は、この急務である老人対策について御同感であれば、本格的な構想をここで発表していただくことを御要望を申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 寒川君にお答えをいたします。
 今回提案いたしました児童手当法案は、大筋としては児童手当審議会の答申に示された制度の大綱に沿ったものでありますが、一部の事項について、答申と相違している点のあることも、御指摘のとおりであります。これで私の答申に対する理解がどの程度かという答えになるかと思いますが、私は、また一般問題として、寒川君は多くの審議会の答申との取り組み方について、私に対していろいろ御批判があったように承りました。
 もちろん、忙しい方々に審議会委員をお願いして答申を得たのでありますから、十分に尊重さるべきことであるし、現に総体的に見て、答申の趣旨は忠実に実行しているものであります。
 ただ、御理解を得たいのは、財政負担としてたえられるかどうか、また、他の制度に対する資源配分とバランスがとれたものかどうかといった判断は、最終的には政府が下すべきものでありますし、どのような形で育てていくのが最も国民一般の、あるいは直接関係者のコンセンサスが得られやすいかどうか、あるいは具体的に取り上げる時期に来てこれが妥当であるかどうかというような点は、これは行政府として当然に考えるべき問題だと私は理解しております。
 このような意味におきまして、政府が答申の内容を多少の弾力性を持って実行に移していくことは、当然お許しを得られることと思います。もちろん、答申の趣旨なり基本が十分尊重さるべきであることは、もうあらためて申すまでもありません。と申しましても、以上のような点から誤解を受けるようなことがあってはなりませんので、私の発言をよく御理解をいただきたいと思います。
 次に、児童手当制度拡充の将来の問題についてのお尋ねがありましたが、支給対象が四十八年度、四十九年度と逐次拡大される計画であることは御承知のとおりであります。その後における制度の改善は、さきに公明党の多田君にお答えしたように、その時点における経済の成長発展なり、国民生活の水準などを考慮して検討さるべき問題であると、かように考えております。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣内田常雄君登壇〕
#26
○国務大臣(内田常雄君) まず費用負担分担の問題でありますが、このことにつきましては、児童手当制度の意義、それから国、地方あるいは企業等の負担能力を考えまして、先刻御説明申し上げたとおりにいたしたわけでございます。したがって、中小企業の問題をお取り上げがございましたけれども、事業の規模とかあるいは業種等にかかわらず、支払い賃金に着目をいたしまして、その支払い賃金に応じて企業の側からは一律に負担をしていただくことにしておるわけでございます。
 数字について申し上げますならば、当面は、発足当時は、支払い賃金の千分の〇・五ぐらいを企業が負担をしていただく、それからまた、これが満額に達しました平年度におきましても、千分の一・二ぐらいである、こういうようなことで、いろいろの点を考えましてこういうことに落ちつきました。私はこれが妥当であると思います。
 金額の三千円の問題につきましては、たびたびお話を申し上げましたが、諸外国の例も参照いたしまして、当面三千円ときめました。必ずしも古い資料ではございません。しかし、これと同時に、先ほども述べましたように、弾力条項をも用意をいたしまして、今後、年金問題その他との関連におきましても、私どもはこの金額は検討することもあることを示唆いたしておるわけであります。
 最後に、老人対策についてお尋ねでございますが、今日の日本は、本国会冒頭における総理大臣演説にもございましたように、活力に満ちた壮年期でございますけれども、やがては欧米諸国同様にいわゆる高齢化社会を迎えることが予想されますので、この時代、いまのうちから老人対策を十分樹立をしておくべきであると私は考えまして、御指摘の老人問題を社会福祉対策の大きな柱として重点的に推進してまいりたい考えでございます。
 要点だけを申し上げますと、第一には、寝たきり老人、一人暮らし老人などの援護を要する老人対策をまず強化すること、それから第二には、広くやはり所得保障、医療保障というものをいろいろな角度から前進をさせたいこと、第三には、年をとられても私どもの先輩としてまだまだ働き得る方々がたくさんいらっしゃいますので、これらの方々に対する生きがいの創造とそのエネルギーを開発する、こういう新しい老人対策の面を取り上げてまいりたいと思います。
 いずれにいたしましても、これらの措置のためには、年金、就労、保険医療あるいは住宅、福祉サービス等、物心両面にわたる幅広い施策を総合的に推進する必要がございますので、寒川さんをはじめ関係皆さま方からの御協力や御鞭撻をいただきたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#27
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一に、社会保障費は非常に大事だ、その位置づけをどうするかというお話でございますが、かねて申し上げておるとおり、わが国におきましては、社会資本並びに社会保障、これが非常に立ちおくれておる、これに重点を置かなければならない、こういうふうに考えておるのでありまして、現に、昭和四十六年度の予算を見ましても、予算の中の構成比、地方交付税が二三%で第一位でありますが、第二位が社会資本一八%、社会保障が一四%、かように相なっておりまして、この三つで予算総額の五五%に当たる、かような状態で、いかにこれらの問題に重点を置いているかということが御了解いただけるのではあるまいか、かように存じます。
 特に、社会保障費につきましては、ちょうど十年前には予算の中における構成比が一〇%台であったわけであります。これが逐次改善されまして、今日では一四・三%となっておるのであります。社会保障、社会資本の立ちおくれにかんがみまして、この二つの項目につきましては今後とも特に努力をいたしていきたい、かように考えております。
 次に、私が過日、山口鶴男君の質問に答え、児童手当は地方でやり始めたからやむを得ずやったというふうに発言したと言って非難をされましたが、これはさようなことはありません。よく速記録をごらん願いたいと存じます。私の申し上げました趣旨は、この制度は地方ですでにつとに始まっておる。地域社会でこれは非常に関心のあり、責任を持たなければならぬ問題でもある。したがって、山口鶴男君の、地方負担を求めるのは妥当ではないのではないかという質問に対しまして、さようなことはないんです、これは地方でも責任を持つべき問題でありますと、さように答えた次第でありまして、誤解のないように特にお願いを申し上げます。(拍手)
#28
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 環境庁設置法案(内閣提出)の趣旨説明
#29
○議長(船田中君) 内閣提出、環境庁設置法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣山中貞則君。
    〔国務大臣山中貞則君登壇〕
#30
○国務大臣(山中貞則君) 環境庁設置法案について、その趣旨を御説明いたします。
 国民の健康で文化的な生活を確保するために、公害を防止し、環境の保全をはかることは現下の緊要な課題であり、文化国家、福祉国家の完成への試金石でもあります。政府もかねてからこの点を重視し、さきの臨時国会において関係法制の抜本的な整備をはかるとともに、これに引き続き、今国会に提出した予算案等においても、公害防止を重点的施策として取り上げ、公害防止施策の拡充整備の裏づけとなる財政、金融、税制面について格段の配慮を払っているところであります。今回の環境庁の設置の構想は、このような環境問題に取り組む政府の基本姿勢を確立し、今後この問題に思い切って効果的に対処できる行政機構の整備をはかろうとするものであります。
 まず、環境庁設置にあたっての基本的な考え方について申し上げます。
 第一に、今回新設しようとする環境庁においては、公害の防止にとどまらず、広く自然環境の保護及び整備を含む環境保全に関するすべての問題をその行政の対象とすることにしております。公害の防止や自然環境の保護及び整備の問題の重要性にかんがみ、これらをばらばらにではなく、全体として総合的に取り上げることが重要であると考えられますので、公害防止施策とあわせて、自然公園行政等の自然保護施策をもその対象に含めることとしているのであります。
 第二に、これまで関係各省庁に分散していた各種基準の設定、監視測定取り締まり等の公害規制に関する権限をすべて環境庁に集中して、行政の一元化をはかることとしていることであります。従来、公害規制の権限が多くの省庁に分かれているため、責任の所在が不明確となり、その実施面でも統一性を欠き、不徹底となるおそれがある等の批判がありました点を改善し、今後公害行政を強力に推進することをねらったものであります。
 もっとも、下水道、廃油処理施設その他公害防止施設の整備などの問題は、関係各省の行政と密接に関連しているために、その事業の実施は従来どおり関係各省の所管としておりますが、環境庁は、現在の公害対策本部の機能を承継拡充して、広く、環境保全に関する基本的な政策の企画、立案、推進や予算面の調整を含む強力な総合調整機能を持つこととしておりますので、各省が一体となり、十分総合的、効果的な施策を推進していけるものと考えております。
 第三に、公害の防止に関する科学的な調査、研究の重要性にかんがみ、国立公害研究所を設け、従来必ずしも十分でなかった公害の人の健康及び生活環境に及ぼす影響の研究その他公害の防止に関する調査、研究等を行なうこととしております。
 次に、この法律案の内容の概略について御説明申し上げます。
 第一に、環境庁の所掌事務及び権限については、一般的事項として、環境の保全に関する基本的な政策の企画、立案及び推進、関係行政機関の環境の保全に関する事務の総合調整、関係行政機関の公害の防止並びに自然環境の保護及び整備に関する経費の見積もり方針の調整等を行ない、特にこれらに関する試験研究費などについては、環境庁に予算を一括計上し、これを適切な計画に従って関係各省に配分する方法を採用するなど、その総合調整機能の強化をはかっております。
 また、自然環境の保護及び整備に関する事項としては、自然公園法の施行、国立公園の公園事業の執行、鳥獣保護及狩猟二関スル法律の施行等の事務を行なうこととしております。
 さらに、公害の防止に関する事項としては、公害防止計画の基本方針の指示及び計画の承認その他公害対策基本法に基づく内閣総理大臣の権限の行使につき内閣総理大臣を補佐するとともに、環境基準の設定に関する事務を行ない、さらに大気汚染防止法、水質汚濁防止法その他の公害の防止に関する諸法律の施行、公害防止事業団の監督の事務などを行なうこととしております。
 第二に、環境庁の長は、環境庁長官とし、国務大臣をもって充てることとしております。環境庁長官は、環境の保全をはかるため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出及び説明を求め、さらに、重要事項について勧告を行なう権限を有するほか、特に内閣総理大臣に対し、内閣法第六条に基づく措置がとられるよう意見具申ができることとしております。
 第三に、環境庁の内部部局として、長官官房のほか、企画調整局、自然保護同、大気保全局及び水質保全局の四局を置くこととしております。
 第四に、環境庁に付属機関として、国立公害研究所及び公害研修所並びに中央公害対策審議会、自然公園審議会及び中央鳥獣審議会の三審議会を置くこととしております。
 第五に、環境庁の設置に伴い、内閣法及び各省庁設置法の改正その他関係法律の整理を行なうこととしております。
 最後に、環境庁は、昭和四十六年七月一日から発足するよう措置しておりますが、国立公害研究所及び公害研修所については、準備の都合上、一定の期間その設置をおくらせることとしております。
 以上が環境庁設置法案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 環境庁設置法案(内閣提出)の趣旨説明に対す
  る質疑
#31
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。横路孝弘君。
    〔横路孝弘君登壇〕
#32
○横路孝弘君 私は、日本社会党を代表して、ただいま御提案のありました環境庁設置法案に対して質問をいたしたいと思います。
 昨年の臨時国会におきまして、公害対策基本法の一部改正をはじめとする十四件の公害関係法が成立し、国民の期待と注視のもとに法が施行されようとしているのであります。
 こうして、七〇年代の公害行政がようやくスタートラインに立とうとしていたやさき、今国会予算委員会の冒頭、佐藤総理は、公害の防止に関して、「電力はほしい、しかし発電所は困るというのは何とかってな言い分だろうか」と発言され、国民多数のきびしい批判を浴びたのであります。
 続いて、石原産業の工場排水問題をめぐって、わが党の石橋書記長が明らかにしたとおり、企業ペースで進められている公害行政の実態に、国民はあ然とさせられたのであります。
 すなわち、激しい住民運動の突き上げと世論に対し、政府はうわべだけ公害対策の重要性を説きながら、相変わらず行政と企業の醜い癒着関係を陰に続けてきたことは、きびしく批判されるべきであり、その政治姿勢は国民の要求に背を向けるものにほかならないのであります。(拍手)
 いまここに、あらためて佐藤総理に対し、公害行政に対する佐藤内閣の基本姿勢を問うものであります。
 続いて佐藤総理にお尋ねしたいのであります。
 今日、世界的に大きな課題となっているのは、人間の社会経済的な活動、とりわけ企業活動によって、大気、水、土壌といった自然環境が破壊され、それが自然の持つ浄化作用や循環による還元回復作用のサイクルを狂わせている実態をいかにすべきかということであります。
 人間を含む自然界は、一つの生命から一つの生命へと微妙に作用し合ったバランスの中で、いつ果てるともなく循環を繰り返して存在をしているのであります。したがって、今日の公害防止行政の課題は、自然界を人為的な破壊からいかにして防止をするか、人間と自然の調和をいかにはかるかという環境保全行政でなければならないのであります。
 政府が、公害防止対策庁ではなくて環境庁として提案された背景には、環境保全という問題意識がわずかながらもその中にあると考えられますが、もしそうであるならば、事は官庁の名称の問題ではなく、これに照応するだけの実体的な規定の整備が必要であると思うのであります。
 わが党をはじめ野党三党は、環境保全基本法案を今国会に提案をしておりますが、この内容はまさに環境保全という世界的課題と傾向に即応しようと試みたものにほかならないのであります。
 この際、政府は従来からの発想を転換し、かかる観点から環境保全基本法を制定すべきだと思いますが、総理の明快なる答弁を御期待申し上げるのであります。(拍手)
 さらに、これに関連して、現在の環境基準の設定もまた、自然環境を保護し、これを次の世代に残していくという視点に欠けているといわなければなりません。環境保全という大きな立場に立った基準の設定が望まれているところであり、あわせて総理にお答えいただきたいと思うのであります。
 次に、総理並びに山中総務長官にお尋ねいたします。
 公害行政は、有機的、総合的かつ統一的に行なわれることが必要であることは言うまでもありません。そのためには、現在のばらばらな公害行政を一元化するととが何よりも必要であり、このことなくして、国民の健康を確保し環境を保全する国の責務は、果たし得ないのであります。今日まで、わが党をはじめ野党が一致して公害行政の一元化を強く要求してきたのは、そうした背景があるからであります。
 政府が今回環境庁の設置に踏み切ったことは、公害行政の将来へ向かって活路を開いたものといえなくはありません。しかし、提案された設置法案によりますと、国民が真に期待をしている一元的な公害行政を行なう機関となっていないことは、まことに遺憾といわざるを得ないのであります。
 今回の環境庁の機構と機能について、伝えられていた当初の構想が、各省庁の抵抗にあって大幅に後退していることは周知のとおりであり、ことに環境庁の設置に関しては、四十六年度予算編成において、公害問題解決のためあまり多くの予算をつけられなかったので、環境庁の設置を大きく打ち出すことによって、国民に対し政府が公害問題解決に熱意を持っているかのように見せる擬装的なものであるとの批判さえ一部にあるのであります。(拍手)
 今日、水質汚濁防止に関する行政機関を見ましても、経済企画庁をはじめ、通産省、運輸省、建設省、農林省、水産庁、海上保安庁など、八省庁十七部局に分かれているのが現状であります。私は、公害行政を前進させるため、公害行政権限を大幅に環境庁に移管すべきものであると考えるものでありますが、佐藤総理並びに山中総務長官の答弁をお願いしたいのであります。(拍手)
 さらに、公害行政の一元化に関して、厚生大臣並びに通産大臣にお伺いしたいのであります。
 まず、厚生大臣でありますが、公害行政について、これまで厚生省はそれなりの努力をされてきたのでありますが、環境庁設置に伴い、薬品及び食品公害関係の行政権限を環境庁に移管すべきだと考えるのでありますが、これらがなぜ環境庁に移管できないのかをお尋ねしたいのであります。
 次に、通産大臣にお尋ねいたします。
 今日、大気汚染の最大の元凶といわれているのは火力発電所でありますが、通産省においても、公害行政の一元化に協力するために、通産省における公害行政分野を環境庁に移管すべきだと考えますが、通産大臣の御見解を承りたいと思うのであります。(拍手)
 続いて、環境庁の事務の総合調整問題について、山中総務長官にお尋ねいたしたいのであります。
 総合調整機能を果たすためには、その運用にあたって、公害に関する産業政策、すなわち事業の認可、食品、農薬などに関する個別の許認可など、各省に残されている行政分野について、環境庁において、拒否権ないしは同意権を含む強い権限を実質的に持たせなくてはなりません。また、あらゆる公害の規制や基準の設定についても、同様の権限を持つことが必要であります。調整権の中にこれらを含ませていると考えていいのかどうか、明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、この環境庁は、いかなる人員といかなる予算が用意されているのか、明確でないのであります。政令事項であるという名目で、これらを明確にしないまま国会に審議を求めることは、行政の立法軽視であり、ぜひこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、研究と監視の体制の問題であります。
 今後公害絶滅と環境保全を進めていく上で大切なのは、われわれを取り巻く環境の現状が、全国的にどのように破壊されているのか、また、どう変化しているのか、その変化が人間をはじめとする生物にどのような影響を与えているのか、その事実の収集とそれを判断する知識が必要なのであります。現状では、残念ながら、水俣病、イタイイタイ病を見てもわかるように、多くの犠牲者が出て、事態が深刻になって初めて事の重大性を認識し、その対策に取り組んでいるのであります。こうした事実と知識を得るためには、全国的な規模の環境の調査がまず必要であり、監視体制、資料収集体制と研究体制の充実強化が何より必要なのであります。しかし、残念ながら、ここでもまた、各省庁の抵抗にあった痕跡が明確なのであります。
 そこで、山中総務長官にお尋ねしたいのでありますが、なぜ各省庁にある諸研究機関を一本化し、そこに有能な科学者、技術者を配置することができなかったのでしょうか。予算が一本化されたとはいえ、これではデータバンクの役割りを果たすことしかできないではありませんか。一体、政府は、国立公害研究所で何をやろうとしているのか、明確にお答えをいただきたいと思うのであります。(拍手)
 あわせて、先ほど申し上げました全国的な環境の現状調査、植生図、動態図などの作成をやるべきであり、また、公害研究所の資料は公開されるべきだと思いますが、答弁を求める次第であります。
 次にお尋ねしたいのは、監視の体制の問題であります。
 監視体制の強化なくしては、公害法案の実効を期待することはできません。そのために、地域の公害状況の監視をさせ、かつ、住民の苦情や相談に応じ、危険状態を発見したときは告発をするといった、準司法警察員的権限を持った公害監視の専門員を、特別立法措置をとり各地方公共団体に配置することが必要であると思いますが、総務長官の見解を承りたいのであります。
 最後に、総理に申し上げます。
 最近、ある海岸に、ウミガメの死体が打ち上げられていたというニュースが報道されました。驚くべきことに、このウミガメの腹の中から、おびただしいビニール製品が発見されたのであります。そのウミガメは、腹の中にびっしり詰まったビニールのため空腹を覚えることができず、餓死をしたと新聞は伝えております。
 おめでたい動物の象徴として、カメは万年とまでいわれてきた動物が、人類の文明の所産としてつくられたビニール製品によって滅びていくというこのニュースは、まさに現代の寓話であり、現代のイソップ物語そのものであります。それは、人類の未来を予言するおそるべき警鐘であり、限りなき環境破壊を続けてきた企業の生産体制と政府の行政に対する、自然からの告発といわなければなりません。(拍手)われわれ人類が、未来にこのウミガメの運命をたどらないと、だれが断言できましょうか。これまでの政府の姿勢に見られたような公害行政が今後も続くならば、いつかは、こうしたおそるべき事態が日本列島をおおうであろうことを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#33
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 横路君にお答えをいたします。
 私は、公害問題を、単なる公害問題としてのうしろ向きの対策にとどまることなく、公害を発生させないためにはどうしたらよいか、本来の美しい自然を取り戻すのにはどうしたらよいか、こういった積極的な立場から、環境問題を前向きの問題として取り上げてまいりたいと考えております。
 政治の課題である国民福祉の確保と増大、これを経済生活の面から見た当面の最大の課題は、申すまでもなく物価問題でありますし、人間生活面から見た課題が、ただいま議論になっておる公害問題であると考えます。いずれも一朝一夕に片のつく問題ではありませんが、今後とも全力をあげて取り組んでまいる決意であります。
 公害問題については、さきの国会で、各党の御協力を得て、十四にのぼる多くの公害関係法令を一挙に整備、充実し、さらに今回、環境庁を新設して、環境問題の一元的推進に資することとしたのも、その端的なあらわれであります。
 特に、環境庁の新設は、前国会において野党の諸君からも強く要望のあった事柄でもあり――これは庁ではありません、省を要求されましたが――その権限なり機構なりには、いろいろの御見解もあろうと思いますが、公害行政を大きく統べるものとして、よろしく御審議のほどお願いしたいと思います。
 なお、石原産業の問題に関連してでありますが、法律が改められ、行政機構がいかに整備されても、それだけで公害をなくすことができないことは申すまでもありません。深刻化し複雑化した公害から、国民の健康を守り、良好な自然環境を取り戻すために、公害行政の衝に当たる者、心を新たにして、公害行政の推進に当たる決意であります。
 次に、公害対策基本法についてでありますが、さきの臨時国会において、すでに、国民が健康で文化的な生活を享受するためには、人間環境全体を保全しなければならないとの考え方に立って、公害対策基本法の改正を行なったものであり、社会党、公明党、民社党、三党御提案にかかる環境保全基本法案の基本趣旨は十分織り込まれているものと私は考えております。
 次に、環境庁の権限に関する御意見について、具体的には後ほど総務長官からお答えをいたしますが、一般論として、公害対策は、各省庁本来の仕事と複雑、密接にからんでおり、その関連を一刀両断に断ち切らないほうがよい場合も少なくないと考えます。問題はそのかね合いでありますが、御提案申し上げた環境庁の構想は、現実に即した妥当なものであり、十分強力な総合調整機能をもって公害行政の一元的推進に資するものと確信しております。
 最後に、ウミガメの死を取り上げられて、いろいろ御注意がございました。私も、お話につきまして謹聴したような次第であります。ありがとうございました。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣山中貞則君登壇〕
#34
○国務大臣(山中貞則君) 公害行政一元化に対する御批判でございますが、各省庁の抵抗がなかったとは私も申しませんが、しかしながら、総理からただいま御答弁いただきましたように、実際上に、たとえば建設省における下水道等のごとく、実際の実務、あるいはまた、建設省の中においてのみ行なわれることが可能であると思われるような機構、予算等については、これはむしろ、環境庁長官の強力な勧告権限、あるいはまた意見を申し述べ、資料の提出、説明を求め、最終的には、内閣法第六条に定められた総理の各省の大臣を指挿する権限である閣議において決定した方針に基づいて、各省大臣を指揮していただくよう意見を具申するという強力なる権限を与えられておりますので、これらの問題については、実際上において支障のないところであろうかと考えるわけでございます。
 しかしながら、その問題について総合調整をするとはいっても、食品、薬品等の問題を具体的にあげられて、これらの問題というものが触れられていない、あるいは厚生省に残っておるというお話でありますが、やはりこれは食品衛生法なり薬事法なり、そういうきちんとした法律がございますので、これらの問題については、公害の概念としてのとらえ方にも問題がありますけれども、一応厚生省のそのような行政において、公害の角度から問題が提起された場合においては勧告権というものを行使することができるわけでありまして、各省大臣は、環境庁長官の勧告権を行使されました場合には、その勧告に基づいてとった措置を報告しなければならないということになっておりますから、相当強力なものでございます。
 それから、人員、機構、予算等の概要が示されていないということでありますが、一応七月一日発足の予定でありますので、予算には、大臣、政務次官、事務次官等必要なものは予算化いたしておりまするけれども、その他はおおむね各省の人員、機能、予算、権限そのものを移しかえてまいるわけでありますので、七月一日までの発足の間に、国会においてもし法律が御決定になりましたならば、それに付随をして間に合わせるように移しかえ作業、あるいは不足なる予算等については大蔵省と相談をしてまいるというたてまえになっておるわけでございます
 次に、研究機関の一本化でございますが、これはまあ各省の抵抗があってこの問題は一本化しなかったわけではございません。これは各省の研究機関それぞれ研究をやっておりますが、その中の公害部分だけを取り離して国立公害研究所に持っていくというのは、たとえば自動車の排気ガスの部門をそこだけをとって持っていこうとしましても、やはり自動車のエンジンからすべての構造、能力その他と関連して排気ガスの問題が起こりますので、それらの問題とは有機的につながりますけれども、それらの問題を直ちに部分的に切り離して集めることが国立公害研究所の実態に沿うものであるかどうかに疑問があります。したがって、国立公害研究所としては、公害物質と人の健康との関係、これらの因果関係が物理的に化学的に明確にされていない。これらの問題をまず国が責任を持って、国際的にも、国内的にも、国民のためにも、ものの言える機構となるような研究を中心に、測定の方法とか、あるいは機器の開発等についての重点的な研究機関になる予定でございます。
 なお、予定いたしておりますデータバンクに、いろいろの研究機関から集められた資料も含めて、集まりました資料は一般に公開するかということでありますが、これは当然公開しなければ、いまの各省内、あるいはそれぞれの研究機関内でむやみに閉鎖されて循環しておりまする貴重な資料が生かされないわけですから、これは国民のため広く公開するつもりでおるわけでございます。
 最後に、公害監視専門員というようなものを置いたらどうだという御意見であります。
 これは公害監視官あるいは公害監視員、いろいろ御議論、御提案のあるところであります。政府としては、今回の予算において、保健所の職員に各種立ち入り権限を行使することのできる職員を五十七名予算化いたしまして、これを三カ年計画で五十七、五十七、五十八名と増加させることによって、おおむね公害の発生し得ると予想できる地帯の地域については監視員が配置されることになりますが、そのほかに、現在三千数百名おりまする地方の公害プロパーの職員に対して、さらに今回千八十四名の交付税による措置をいたしておりますので、まず現在の体制において出発をいたしまして、不足の点がありましたならば前進するにやぶさかでない、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#35
○国務大臣(宮澤喜一君) 大気汚染防止法、それから水質汚濁防止法の適用につきまして、電力会社だけが完全にそれを免れるというのでないことはもう御承知のとおりでありまして、したがって、排出基準の規制も受けますし、違反した場合の直罰もございます。都道府県知事の立ち入り検査もございますし、非常の場合の緊急措置命令も受けるわけでございます。
 これらの権限を全部そのまま環境庁に移すわけでございますから、環境庁長官は、排出基準を定め、あるいは都道府県知事を指導し、また通産大臣に対して所要の勧告をすることができる、こういう構成になるわけでございますから、公害対策の総合的な推進に支障になるようなことはないというふうに考えております。(拍手)
    〔国務大臣内田常雄君登壇〕
#36
○国務大臣(内田常雄君) 厚生大臣といたしまして、公害対策には苦しんでまいりました私の経験からいたしましても、今度の環境庁を設置して公害行政を一元化する構想には、私は全面的に賛成であり、全面的に協力をいたすものでございます。
 そのために、厚生省の公害部で所掌いたしております仕事は、全面的に環境庁に移管をするつもりでございますし、そればかりではなしに、環境保全あるいは環境整備のためにやっておりまする自然公園関係の国立公園部の仕事も、これもほぼ全面的に環境庁のほうに移管をいたすことで計画をいたしております。
 山中国務大臣からも御答弁がございましたが、食品、薬品行政も公害源となる場合がございますが、これは御承知のとおり、国民の健康とか栄養とか医療とかいうような、そういう行政を主体とするものでございますので、それらを環境庁に持ってまいることは必ずしも適当でないという判断から、これらの行政部門は環境庁にはまいらないことにいたしておりますけれども、私は、公害面につきましては、原因のいかんを問わず、厚生省所管につきましては、環境庁と協力をいたしてまいる所存でございます。(拍手)
#37
○議長(船田中君) 大久保直彦君。
    〔大久保直彦君登壇〕
#38
○大久保直彦君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました環境庁設置法案に対し、佐藤総理並びに関係大臣に質問を行ないたいと思います。
 環境保全政策の本質は、単に被害が発生してから対策を講ずることにとどまらず、自然科学、社会科学及び生態学の見地から、自然環境の復元とその人為的環境づくり、また、歴史的、文化的遺産の保全にまでさかのぼって対処すべきものであると考えております。しかし、従来までの政府の姿勢は、常に問題発生の後手に回りまして、かつ、企業優位に立った、まことに徹底を欠くものであったと思わざるを得ないのであります一したがって、わが国の環境破壊の現状を必ず根絶できるという希望を国民に抱かせるものは、何一つなかったといわざるを得ないのであります。
 このような問題意識の低迷の中で、あえて立案されました今回の環境庁設置法案でありますが、予想どおり、各省の強い抵抗によって骨抜きにされ、環境庁を設置する本来の目的が一〇〇%発揮できるかどうか、まことに疑問と思わざるを得ないのであります。
 アメリカの環境保護庁は大統領直轄の独立機関であり、従来五つの政府機関及び審議会に分散したものから、十五部局を一挙に統合しております。また、イギリスでは、住宅、運輸、地方行政を統括する環境省をつくり、土地問題、公共住宅、輸送計画までを直轄して環境省がコントロールし、歴史的文化財の保護までをその目的としているのであります。その他、スウェーデンの環境保護庁やフランスの自然保護環境省など、先進国は、すでに環境破壊に長期ビジョンを打ち出して、その対策を講じております。
 私は、このわが国の環境庁が、単なる機構いじりで終わっては断じてならないと申し上げたい。なぜなら、公害防止も、環境保全行政も、現在各省庁に分散しており、それをできるだけ簡素化し、統合的に施策を推進するためには、環境庁の設置をはかることはすでに時代の要請でもあり、むしろおそきに失した感さえするのであります。少なくとも、国民の健康を守り、生活環境をよくするという立場で、この環境庁が、一切の活動に優先してその任を全うし、公害列島日本の汚名を断じて返上する、そういう使命と責任があると思うのであります。
 このような観点から、以下、若干の問題点についてお伺いしたいと思います。
 質問の第一は、環境庁は、企画調整官庁か、それとも企画実施官庁かということであります。
 法律案に見る限りでは、各省庁に分散しました行政事務を総合的に調整することが、環境庁のおもな任務となっていることが明らかでありますが、昨年一月、政府は、中央公害対策審議会を設置したにもかかわりませず、各省庁のなわ張り主義で、十分な調整機能すら発揮でき得ず、さらに、十月、総理みずからが本部長になられました公害対策本部なるものが誕生しましたわけでありますが、これも、いたずらに名のみあって実をあげることができずに今日に至り、そして、いまここに環境庁が設置されようとしているわけであります。
 ここで私が申し上げたいことは、この環境庁が、単に事務及び施策の総合調整機関で終わるならば、全く従来の延長であって、それでは、ここに環境庁として新設されることの意味を失うと思うことであります。すなわち、企画調整官庁としての任務を主とするのか、それとも各省の施策を執行することをおもな任務とするのか、公害防止、環境保全に関連するエネルギー政策、産業一致政策、都市再開発政策など、これらに対する環境庁の権限はどこまで持つことができるのか、その性格及び権限について明確にしていただきたいと思うのでございます。
 質問の第二は、環境庁が、行政官庁として公害対策の実務を行なうならば、各省に分散した公害関係部局を、どの程度その機構整備のために集結させるかを明らかにしていただきたいことであります。
 次いで、それぞれの事務官及び技官はどの程度を配置されるかにつきましても、あわせて明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、今後の問題としてお伺いしたいのでありますが、現在の各省出向の段階はとりあえずの対策としましても、今後、環境庁として、国家公務員採用試験により人材の確保及び養成をする考えがあるかどうか、これもお伺いしておきたいと思います。
 質問の第三は、予算配分に対する考え方についてであります。
 法案によりますと、関係行政機関の公害防止並びに自然環境の保護及び整備に関する経費の見積もりの方針調整をすることとなっているのでありますが、はたして、環境庁の予算配分に対する権限はどこまでなされるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、環境庁が予算配分に十分な力を発揮できないようでは、調整官庁と言われてもいたし方ないといわざるを得ないのであります。少なくとも、本来の任務を遂行するために必要な経費につきましては、環境庁に一括計上することを考える必要があると思うのでありますが、これにつきましてお考えをお伺いしたいのであります。
 質問の第四は、環境庁の実質的な行政の推進は、いわゆる大気の汚染、水質の汚濁及び騒音などの典型公害に限定されておりまして、そのほかは企画調整及び事務処理に終わっていることであります。
 現在問題になっております薬品公害、食品公害、農薬公害、農作物の土壌汚染及び電気・ガス事業などは、その規制が実質上各省に留保されてしまっていることであります。これでは環境庁本来の任務を達成するには、きわめて部分的色彩の強いものといわざるを得ませんし、また、なぜ公害防止、環境保全に関するすべての企画及び規制の権限をこの環境庁に移管しなかったのか、明確にしていただきたいのであります。
 第五は、公害防止及び環境保全に関する企画立案及び行政の執行に関して、その最終決定権とその後の監督の問題であります。
 わが国の行政機構の最大の欠陥は、例を通産省にとって申し上げますと、経済発展を助長すべき官庁に、その産業助長政策と実質的監督権が同居しているところにあると思うのであります。これでは、真の環境保全行政の推進はきわめて困難であると思います。今日に至る間も、数々と指摘されてきたとおり、企業との癒着は免れないと思うのであります。
 ここで、環境保全に関するすべての承認は、環境庁のもとで最終的判断を下すべきであり、少なくともその監督下に置かれるべきであろうと思うのであります。西ドイツにその例をとりますれば、ノルト・ライン・ベストファーレンでは、すでにその方向で法律が検討されております。早々に連邦議会に提出されるとも聞き及んでおるのでありますが、この点につきましての見解を承りたいと思うのであります。
 第六は、公害病患者の救済及び紛争事務の円滑な処理の問題についてであります。
 現在の中央公害審査委員会は、国家行政組織法第八条に基づくものでありまして、その性格的な弱さが目立ち、その成果はきわめて少ない現状であります。この際、環境庁設置を契機としまして、全国に苦しむ公害被害者の救済が大幅に促進され、さらに、環境庁の名誉にかけましても、より一そう敏速かつ円滑な公害紛争処理が推進される必要があると思うのであります。したがって、当委員会を国家行政組織法第三条に基づく行政委員会として改組し、公正取引委員会並みの権限を与えるべきであると思うのでありますが、これについてのお答えをいただきたいと思うのであります。
 第七は、環境庁に付属する国立公害研究所の問題であります。
 先ほども御質問がございましたが、その内容は、大気の汚染、水質の汚濁、騒音などについて、人の健康及び生活環境に及ぼす影響に関する監視、測定、試験研究及び調査など、公害の一部分に限られているのであります。当然、環境保全全般の総合的研究が行なわれてしかるべきであるものが、なぜ一部分に限られたのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
 第八は、現在、厚生、通産両省の共管となっております公害防止事業団の今後のあり方、すなわち、環境庁設置後のあり方を明らかにしていただきたいと思います。特に、中小企業などに有効かつ適切な貸し付け業務を実施するためには、環境庁にその運営をまかせるべきであると思うのでありますが、お答えを願いたいのであります。
 第九は、地方自治体との関連についてお伺いいたします。
 環境庁が、数々の行政事務及び企画立案を推進するにあたりまして、一々各省と調整をはかっていくようでは、従来と何ら大差のないものになってしまうと思うのであります。環境庁と直結する地方自治体の体制の整備を急ぐことは、有効かつ具体的な行政指導を実施するためにも必要不可欠の問題であり、この体制が整備されないままでは、全く環境庁も実のないものになってしまうと思うのでありますが、これについての御見解を承りたいと思います。
 最後に、行政改革に対する姿勢について伺っておきたいことがございます。
 今回のこの環境庁設置構想は、昭和四十六年度予算編成時に突然発表された、首相裁断によるいわば抜き打ち措置にもひとしいものであります。環境保全行政の一元化という非常に重要な行政改革案を、なぜ内閣が行政監理委員会に諮問しなかったかということであります。各省の事務次官クラスの準備委員会でまとめられた今回の設置法案は、きわめて官僚的色彩が強く、真に行政改革の名に値する改革を行なおうという政府の姿勢が全く見られないのであります。真剣に取り組む姿勢があれば、当然内外に広く意見を求むべきであったと思うのでありますが、この点につきまして総理の御見解を承りたいと思うのであります。
 以上、環境庁設置に関する基本問題につきましてお伺いしたわけでございますが、いずれにしましても、環境庁を断じて中途はんぱなものにしてはならない、このことを強く申し上げておきたいのであります。
 その意味において、先国会、野党三党で共同提案の環境保全基本法案にも明記しましたように、企業の繁栄が直ちに国民の福祉につながるという従来の観念に深い反省を加え、あらゆるものに優先して、人と自然との調和を基本とする新たな社会の建設を行なわなければならない。そして、現在及び将来の国民が、健康な心身を保持し、安全かつ快適な生活を営むことができるよう、国をあげて良好な環境の確保に全力を傾倒すべきであると思うのであります。
 以上、環境庁設置にあたりまして、佐藤総理の国民に対する確固たる決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#39
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 大久保君にお答えをいたします。
 環境庁は、公害の防止、自然環境の保護及び整備等の、環境の保全に関する行政を総合的に推進することを主たる任務としており、その所掌事務及び権限についても、これらの任務を効果的に達し得るよう、十分配慮しております。したがって、その性格も、大久保君の言われたように、関係行政機関の総合調整を行なう企画官庁というだけにとどまらず、大気汚染、水質汚濁等、公害規制の根幹となる事務については、その実施までも含む一切の機能を一元的に所掌することとしており、その面においては、実施官庁としての性格をもあわせ持つものであります。
 所掌事務やその権限あるいは要員計画、予算配分等につきましての具体的な問題については、総務長官から後ほどお話をいたしますから、お聞き取りを願います。
 また、環境保全に関する認可は、すべて環境庁の権限にすべきであるとの御意見がありましたが、この点については、公害防止に関する国の基準の設定及び地方公共団体が行なう基準の設定や取り締まり等に対する指導、監督は、各省との共管や協議事項とすることを避け、環境庁の専管で処理する方針をとりましたので、御了解をいただけるものと考えます。
 次に、中央公害審査委員会を三条機関にとの御提案につきましては、同委員会の特殊性にかんがみ、独立性、中立性を十分に確保し、また因果関係の究明等、事実関係をできるだけ明らかにし得る権限を付与するなど、法律上特段の配慮を加えております。八条機関であるからといって、必ずしも支障があるとは私は考えませんが、今後の公害紛争の状況等を見ながら、さらに慎重に検討してまいります。
 次に、地方自治体の体制整備につきましては、地方自治体が、先般の国会において強化された権限を責任をもって遂行し得るよう、四十六年度予算において必要な財源措置を講じております。これも御了承いただきたいと思います。
 最後に、今回の環境庁設置法案は、昨年末の臨時国会における審議の経過及び世論の動向などを配慮し、公害防止、環境保全をはかる決意に基づき提案することとした次第でありますが、御指摘になりましたように行政監理委員会に対しても、必要のつど事情を報告し、委員の御意見も十分伺ったものであります。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣山中貞則君登壇〕
#40
○国務大臣(山中貞則君) 総理の御答弁の以外の問題を答弁させていただきます。
 まず、環境庁の予算、人員、機構等の問題については、先ほど横路君に答弁いたしましたとおりでございますが、やはり七月までこれを、各省庁からの既定予算の移しかえその他も伴いますので、十分に慎重な検討を加えたいと思いますが、さらにつけ加えますならば、総理から、物価の経企庁、公害の環境庁というほぼ相並ぶ形のものにしろ、こういう御指示がございましたので、経済企画庁とほぼ似たような程度の規模の役所になることであろうということは、今後行政管理庁その他と御相談をいたさなければならない過程がございますが、言明いたしてもよろしいかと存ずる次第でございます。
 将来は、新規採用等をやるかという御質問は、趣旨がどこらに、那辺にあるのかよくわかりませんが、当然日本の環境保護行政、国際的な環境汚染への挑戦という課題に意欲を感じる若い学究の諸君等について門戸を開放して、国際的な規模の視野にたえ得る研究機関にしていくことは、当然のことであろうと考えます。
 さらに、予算の問題についてでありますが、本来の環境庁の各種規制基準その他の予算については、調整であるということでありますが、これは各省からの予算の要求の見積もりの調整、あるいは最終決定に至る場合等における大蔵大臣と環境庁長官との話し合い等が行なわれていくわけでありますから、相当な調整権というものが付与されているものと思いますし、また、国立公害研究所は、研究費を文字どおり一括計上してその配分をいたすわけでありますので、この研究機関の各省に残された部門についても、研究費一括計上、配分ということに伴って、それらの機能がばらばらにならないように十分の操作がとれるものと考えるわけでございます。
 環境保全に関しては、少なくとも全権限を環境庁が持つべきである、私も基本的に同感でございます。しかしながら、たとえば林野庁行政を全部環境庁が持つかということになりますと、なかなかむずかしい問題等も、現業業務等がございましてありましたために、森林法や保安林等についても勧告権その他を持たせることによって、一方的にそれらの国土の保全その他が破壊されたり、あるいは無計画に秩序ないままに進められたりすることのないように、配慮は十分いたしておるつもりでございます。
 それから、国立公害研究所の研究の範囲が限られておるということでありますが、これは法律上の例示形式をとっておりますので、一見そういうふうに見えるかと思いますが、研究所の分野は単にそれらの例示のみにとどまらず、広く公害に関する各種の研究を行なっていくことは当然のことであります。
 さらに、今後、公害行政を進めていくにあたって、反面において中小企業等への配慮等の措置は、当然講じていかなければならないという御意見でございますが、これは当然のことでございまして、幸い公害防止事業団は、全部の業務を環境庁の専管とすることによって、この事業団の融資内容その他事業内容等について、十分に中小企業等への配慮が行なっていけるものと考えておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣秋田大助君登壇〕
#41
○国務大臣(秋田大助君) 環境庁の新設、また公害関係の権限の地方委譲に対応いたしまして、地方公共団体としては、従来から必要な機構の整備につとめており、またわれわれとしても、指導いたしておるところでございます。現に四十六都道府県――一県だけ四月一日に公害関係の課の発足を例外といたしまして、全都道府県にわたりまして、関係局部課の設置を終わっております。
 また、地方公害対策本部につきましては、一府県、検討中のものを除きまして、全部に設置がされておるのでございまして、公害対策なり環境保全行政の円滑化、また敏速な連絡等につきまして、十分配慮をいたしております。
 自治省といたしましても、地方の自主性ということを尊重し、また行政機構の合理化ということを踏まえつつ、時代の要請に応ずべく、指導をしてまいりたいと思っておりますが、現に、先ほど山中長官からもお話がございましたとおり、四十六年度の地方財政計画におきましては、公害対策関係の職員増を一千八十四名、また、関連いたしまして、食品衛生の関係について、監視員につきましても五百五十二名の増ということを計画いたしまして、必要な研修事業の実施と相まちまして、公害の対策行政並びに環境保全行政の万全を期しておる次第でございます。(拍手)
#42
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#43
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十二分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        通商産業大臣  宮澤 喜一君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
 出席政府委員
        通商産業省公益
        事業局長    長橋  尚君
ソース: 国立国会図書館
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