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1970/04/27 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第24号
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1970/04/27 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第24号

#1
第065回国会 本会議 第24号
昭和四十六年四月二十七日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十号
  昭和四十六年四月二十七日
   午後二時開議
 第一 漁港法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 第二 海洋水産資源開発促進法案(内閣提出)
 第三 悪臭防止法案(内閣提出)
 第四 公衆電気通信法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、参議院回付)
 日程第一 漁港法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 日程第二 海洋水産資源開発促進法案(内閣提
  出)
 日程第三 悪臭防止法案(内閣提出)
 日程第四 公衆電気通信法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送
  手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送
  に関する通関条約(TIR条約)の実施に伴う
  関税法等の特例に関する法律案(内閣提出)
 倉石農林大臣の農業基本法に基づく昭和四十五
  年度年次報告及び昭和四十六年度農業施策に
  ついての発言及び質疑
   午後二時四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 建設省設置法の一部を改正する法律案(内閣
  提出、参議院回付)
#3
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 参議院から、内閣提出、建設省設置法の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 建設省設置法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
#5
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の参議院の修正に同意するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 漁港法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第二 海洋水産資源開発促進法案(内閣
  提出)
#7
○議長(船田中君) 日程第一、漁港法の一部を改正する法律案、日程第二、海洋水産資源開発促進法案、右両案を一括して議題といたします。
#8
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長草野一郎平君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔草野一郎平君登壇〕
#9
○草野一郎平君 ただいま議題となりました両案につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。
 まず、内閣提出、漁港法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、北海道の財政の状況及び他の補助制度との均衡を勘案して、国以外のものが北海道において漁港修築事業を施行する場合、基本施設のうち外郭施設または水域施設の修築に要する費用について、国の負担割合または補助割合を全額から百分の九十に改めようとするものであります。
 委員会におきましては、四月十三日農林大臣から提案理由の説明を聴取し、同日から四月二十六日までの間、五日間にわたり慎重な審査を行なった次第であります。
 かくて、四月二十六日質疑を終局いたしましたところ、自由民主党より、本案の施行日を公布の日に改める等の修正案が提出され、同日それぞれ採決いたしましたところ、原案は多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。
 次に、内閣提出、海洋水産資源開発促進法案について申し上げます。
 本案は、最近における水産物の需給の動向にかんがみ、沿岸海域においては、開発区域の指定及び開発計画の樹立等の措置を定め、水産動植物の増養殖を計画的に推進するとともに、沖合い、遠洋については、新漁場開発のための調査を行なうため、海洋水産資源開発センターを設立すること等の措置を講じて、わが国漁業の健全な発展と水産物の安定的な供給をはかろうとするものであります。
 委員会におきましては、四月十三日農林大臣から提案理由の説明を聴取し、同日以降四月二十六日までの間、五日間にわたって慎重な審査を行なった次第であります。
 かくて、四月二十六日、質疑を終局し、採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、附帯決議が付されましたことを申し添え、御報告を終わります。(拍手)
#10
○議長(船田中君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#11
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
 次に、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#12
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 日程第三 悪臭防止法案(内閣提出)
#13
○議長(船田中君) 日程第三、悪臭防止法案を議題といたします。
#14
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。産業公害対策特別委員長小林信一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔小林信一君登壇〕
#15
○小林信一君 ただいま議題となりました内閣提出、悪臭防止法案について、産業公害対策特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 悪臭につきましては、各地に公害苦情が山積し、国民の快適な生活環境を汚染し、看過できぬ公害問題となっておりますが、これまでその測定方法、防止技術等の開発のおくれなどから、国による一元的な規制立法が見送られてきたものであります。しかるに、ようやく今日に至り、防止技術の開発等も一応の水準に達し、主要な悪臭物質について、逐次規制対象に取り上げることが期待できる段階に至っております。
 本法律案は、これらの研究開発の成果を基礎として、公害基本法の精神にのっとり、悪臭公害に対する規制法を定めることとし、国会に提出されたものであります。
 次に、そのおもな内容について申し上げます。
 第一に、工場等の事業活動に伴って発生する悪臭物質の排出を規制する等の措置を講ずることにより、生活環境を保全し、国民の健康に資することを目的とすることであります。
 第二に、規制の対象とする悪臭物質は、アンモニア等の不快なにおいの原因となる物質について、政令で定めることといたしております。
 第三に、規制地域について、都道府県知事が市町村長の意見を聞いて指定することとすることであります。
 第四に、規制地域内に工場等を設置している者は、規制基準を順守しなければならないものとし、これに違反している者に対しては、都道府県知事が改善勧告及び改善命令を発することができることといたしております。
 第五に、国は、悪臭防止施設の設置または改善につき、資金のあっせん等の援助につとめるとともに、悪臭防止に関する研究の推進につとめると等について規定いたしております。
 本法律案は、去る三月十一日本委員会に付託され、同月十二日政府から提案理由の説明を聴取し、以後慎重に審査を重ねてまいりましたが、特に昨二十六日には、佐藤内閣総理大臣の出席を求め、零細企業、中小企業等に対する国の援助、法律案を条列との関係等について、総理の所信をただしましたが、これらの論議の詳細については会議録に譲ることといたします。
 かくて、昨二十六日、質疑を終了し、次いで、委員長より本案に対して修正案を提出いたしましたが、本案に対する修正の要旨は、
 第一に、第八条第一項中「その事業場の周辺地域における住民の生活環境がそこなわれていると認めるとき」とあるのを、「住民の生活環境がそこなわれていると認めるとき」に改めることであります。
 第二に、改善命令の規定については、附則第一項ただし書きにより、法施行後二年間は適用したいこととされているのを、政令で定める事業場に限り、法施行の日から二年間の猶予期間を設けることに改めることであります。
 趣旨の説明後、採決の結果、本案は修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しましては、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党共同提案にかかる附帯決議を付するに決しました。以上、御報告申し上げます。(拍手)
#16
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第四 公衆電気通信法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
#18
○議長(船田中君) 日程第四、公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#19
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。信委員長金子岩三君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔金子岩三君登壇〕
#20
○金子岩三君 ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審査の経過と結果とを御報告申し上げます。
 まず、法律案のおもな内容を申し上げますと、
 改正の第一点は、電報事業の健全化に資するため、電報の制度を改めようとするものでありまして、普通電報の基本料を二十五字まで百五十円、累加料五字までごとに二十円に改めるとともに、市内電報、市外電報の区別を廃止する等の改定をすることとなっております。
 次に、改正の第二点は、加入電話の大幅な増設をはかるため、加入電話の設備料を改定しようとするものでありまして、単独電話については、御行三万円を五万円に改めることとなっておりすす。
 改正の第三点は、最近における生活圏、経済圏の拡大と情報化社会の進展に即応する通話制度を確立しようとするものでありまして、自動通話については、単位料金区域内はすべて三分までごとに七円にするとともに、近距離通話の料金を引き下げる等、通話料金の体系を整備することとなっております。
 改正の第四点は、データ通信に対する社会的要請にかんがみ、データ通信に関する制度を法定しようとするものでありまして、民間企業等が、そのデータ通信のために、電電公社または国際電電会社の通信回線を利用する制度を新設するとともに、公社または会社が行なうデータ通信サービスについても、これを法定することとなっております。
 なお、この法律の施行期日は、設備料関係の規定は昭和四十六年六月一日、データ通信関係の規定は、一部を除き昭和四十六年九月一日、電報関係の規定は、昭和四十七年三月一日、その他の規定は、昭和四十七年九月一日以降政令で定める日となっております。
 本案は、去る二月十六日内閣から提出され、二月二十六日本会議において提案趣旨説明及び質疑が行なわれた後、逓信委員会に付託されたのでありますが、自来、委員会においては、政府並びに日本電信電話公社当局に対し詳細な質疑を重ねたほか、参考人の意見を聴取するなどの審査を行なった後、四月二十六日、質疑を終了し、討論、採決を行なった結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(船田中君) 討論の通告があります。これを許します。古川喜一君。
  〔古川喜一君登壇〕
#22
○古川喜一君 私は、日本社会党、公明党及び民社党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案に対し、反対の意を表明するものであります。(拍手)
 三党は、今回の公衆電気通信法改正案に対しましては、いわゆる情報化社会の根幹に触れる問題を含むものとして、きわめて重視し、本会議において質疑を行なったほか、委員会においても、多数の委員を質疑に立て、法案を内容のもちろん、その背景となった諸事情についても精細な審議を行なったのであります。
 その結果、この法案は、基本的な考え方において承服し得ないところがあるばかりでなく、その内容もきわめて欠陥の多いものであるとの結論に達し、三党としては、これに全面的に反対することといたしたのであります。
 以下、具体的に、その反対の理由を明らかにいたします。
 情報処理の問題につきましては、第六十三国会において、情報処理振興事業協会等に関する法律案に対する附帯決議として、情報化に関する基本法の制定等が要請され、政府も、その趣旨に沿って善処する旨約束してきたのでありますが、今回、この約束が果たされないまま、コンピューター利用の主流をなすデータ通信の制度をきめようとするのは、将来に大きな禍根を残すものであります。
 新たに設けられるデータ通信回線使用契約は、民間企業等に大幅に公衆電気通信回線の使用を認める、いわゆる通信回線の開放を行なおうとするものでありますが、現在、申し込んでもつかない電話は約三百万に達しているにもかかわらず、大企業等のためにこうした優先的な措置をとることは、はなはだしく問題でありまして、極言すれば、公共施設である公衆通信網を私するものであるともいえます。
 私どもは、データ通信の普及を否定するものではありませんが、現在は、まず、この三百万の人々に、一日も早く電話をつけることが何よりも先決問題であることを指摘いたしたいのであります。しかも、データ通信のための回線の大幅開放は、電話など公衆通信の疎通を阻害するおそれもあるのでありまして、安易な回線開放は、きわめて危険であります。その上、データ通信のための公衆通信回線の利用に関連して、市内通話の時分制が採用されようとしているのでありまして、これからくる料金負担の増大も、大企業等のために国民を犠牲にするものであります。
 また、現在、通信回線の大幅開放を実施することは、大型コンピューター、ソフトウエアの進んでいる外資系企業の進出を容易にするものでありまして、日本の情報産業のみならず、システムを通じて、産業経済が外資に隷属するおそれもあり、わが国の将来にとってゆゆしい大事でもあり、単に電気通信政策の立場からだけでは律し切れない問題を含んでいるのであります。
 また、プライバシーの保護に関しては、すでに問題も発生しているところでありますが、単に企業機密にとどまらず、個人のプライバシーの保護を含めた対策が強く望まれているところであります。
 このほか、データ通信に関しては、労働問題あるいは情報化のもたらす人間疎外の問題など、深刻かつ広範な問題が伴っているのであります。これらの問題に対する回答を見出せないまま、その推進をはかることは、きわめて危険というほかなく、三党は、大企業等の要求に押されていたずらにデータ通信の利用を急ぐこの改正には、とうてい賛成することができません。
 次に、電報制度の改定についてであります。
 今回の改正は、電報の料金を大幅に引き上げるとともに、その利用制度を全面的に改めようとするものでありまして、市内電報や翌日配達電報が廃止されるほか、法改正を待って、国民に最も利用されている慶弔電報も廃止することになっているなど、相当思い切った整理が行なわれることになっておりますが、こうした合理化措置の強行は、国民の利便に大きく影響するばかりでなく、従業員にも不安を与え、電報事業の将来を一そう暗くすると思われるのでありまして、三党のとるところではありません。
 次は、設備料の値上げについてであります。
 御承知のとおり、設備料は、昭和四十三年に単独電話の場合一万円から三万円に引き上げられたばかりのところ、今回はこれをさらに五万円に引き上げようするのでありまして、わずか三カ年の間に一万円から五万円という、他に例を見ない法外な値上げが行なわれることになるのであります。
 この設備料については、政府は、加入電話の大幅増設のため必要やむを得ざる措置であると説明しておるのでありますが、公社の資産である電話設備の費用を利用者の負担にかけることは本来適当でないのに、料額を連続的に引き上げ、なお当然のことのようにしているのは、はなはだしく不当であり、公社の都合により長期に待たされた申し込み者に設備料の引き上げを押しつけるなどは、独占事業の弊もここにきわまったかの感があります。電話申し込みの積滞解消を最大の課題と考えるのであれば、公社は、その責任において資金の調達をはかるべきであり、また、政府は、公社を助けて資金調達の便を与えるべきでありまして、今回の改正のごとき安易な国民への転嫁は、絶対に避くべきであります。
 最後に、通話料金体系の合理化についてでありますが、本案による電話通話区域の広域化は、一応国民の要望にこたえているかに見えるのでありますが、これと同時に導入される市内通話の時分制は、前述のように、データ通信のための回線の開放と関連するばかりでなく、従来時間制限のない度数制になれた一般利用者に、思わぬ負担の増大をもたらすことになるのでありまして、たとえ時分制採用による増収分は、すべて近距離通話に振り当てられることになっているとしても、その利益は、必ずしも全部の利用者に均てんするわけではなく、相対的には、やはり料金引き上げという結果になるものと見られます。
 かように、電報料金、設備料、電話使用料の三料金にかかる改定は、いずれも利用者に多額の負担をかけるものでありまして、物価問題の深刻なおりから、かかる公共料金値上げ改正は絶対に避くべきでありまして、制度的な不合理性とあわせて、三党は、これに強く反対を唱えるものであります。
 以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)
#23
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#24
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 コンテナーに関する通関条約及び国際道路運
  送手帳による担保の下で行なう貨物の国際
  運送に関する通関条約(TIR条約)の実
  施に伴う関税法等の特例に関する法律案
  (内閣提出)
#25
○加藤六月君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#26
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行なう貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律案を議題といたします。
#28
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長毛利松平君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔毛利松平君登壇〕
#29
○毛利松平君 ただいま議題となりました法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、別途今国会において提出されましたいわゆるコンテナー条約及び国際道路運送条約の両条約を実施するため、関税法等の特例その他必要な事項を国内法で定めようとするものでありまして、おもな内容は次のとおりであります。
 まず第一に、コンテナー条約の規定により免税輸入しようとするコンテナー等について、輸入の際、必要に応じてその免除した関税の額に相当する担保を提供させることができることといたしております。
 第二に、免税輸入したコンテナー等が本来の用途以外に使用されることを防止するため、使用状況の記帳義務、管理者が変わる場合の通知義務を課すること、用途外使用を行なう場合には税関長の承認を受けなければならないこと、原則として三カ月の再輸出期間内に再輸出されなかった場合は免除した関税を直ちに徴収すること等を定めております。
 第三に、国際道路運送条約に基づき国際道路運送手帳を発給する保証団体になるためには、大蔵大臣の認可を要するものとし、認可に関する手続、業務に関する大蔵大臣への報告義務等の規定を設けることといたしております。
 以上のほか、両条約の適用を受けることができるコンテナーの型式承認の手続を定める等所要の規定の整備をすることといたしております。
 本案につきましては、四月二十二日質疑を終了し、本二十七日採決いたしましたところ、全会一致をもって可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 倉石農林大臣の農業基本法に基づく昭和四十五年度年次報告及び昭和四十六年度農業施策についての発言
#32
○議長(船田中君) 農林大臣から、農業基本法に基づく昭和四十五年度年次報告及び昭和四十六年度農業施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣倉石忠雄君。
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#33
○国務大臣(倉石忠雄君) 農業の動向に関する年次報告及び講じようとする農業施策につきましての本年度報告は、農業基本法が施行されて以来、十回目の報告に当たっております。その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和四十五年度農業の動向に関する年次報告のうち第一部、農業の動向について申し上げます。
 わが国の農業は、近年における国民経済の高度成長に大きな役割りを果たしてまいりましたが、反面、その立ちおくれは次第に明らかになりつつありまして、その近代化が急務となっております。これに加えまして、今日の農業は、米の生産調整、生鮮食料品等の物価安定、農産物貿易自由化の要請、公害の克服など多面にわたる困難な問題に当面し、これら問題に対処しつつ構造改善という基本的課題を解決しなければならない、きびしい局面に立っております。
 このような情勢の中で、農業の他産業に対する比較生産性の格差は、前年度に引き続き拡大しております。これは、他産業部門の産業活動が依然活発でありましたのに対し、農業は、生産が前年度よりわずかながら低下したことに加えまして、青果物を除く農産物価格が停滞的でありましたことが主因となっております。
 しかし、農家の生活水準は、農外所得の増加等により年々向上しておりまして、勤労者世帯との格差も縮小しております。
 また、農業の構造について見ますと、農業就業人口は引き続き減少しておりますが、農家戸数の減少は緩慢でありまして、耕地規模の拡大による農業経営の規模拡大は、必ずしも順調な進展を見せていないのであります。このような中にありまして、いわゆる自立経営農家は、四十四年度には、前年度よりその割合が低下しましたものの、戸数で九%、農業粗生産額で二八%を占めております。
 以上のような農業動向を踏まえて、今後は、自立経営農家等専業的農家を中核として能率の高い農業の展開ができますよう生産の組織化を促進し、食料需要の動向に対応した農業生産の再編成を着実かつ計画的に進めることが肝要であります。また、そのためにも、地域住民の生活環境を整備するとともに、美しい自然、公害のない緑地空間を積極的に保全するため、農村環境の整備を総合的見地から進める必要があるのであります。
 以上が第一部の概要であります。
 次に、第二部におきましては、四十五年度を中心といたしまして、講じた施策について記述しております。
 最後に、昭和四十六年度において講じようとする農業施策について申し上げます。
 ただいま御説明申し上げました農業の動向に対処するため、政府といたしましては、農業基本法の定めるところに従い、諸情勢の推移を織り込みまして、総合農政を着実に推進してまいることといたしております。当面、昭和四十六年度におきましては、農業構造の改善、地域農業の総合的開発と新しい農村の建設、米の生産調整等農業生産の再編成、価格対策、流通消費対策の強化、自然環境の保全など各般の施策の推進をはかることといたしております。
 以上、昭和四十五年度農業の動向に関する年次報告及び昭和四十六年度において講じようとする農業施策につきまして、その概要を御説明申し上げました次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 農業基本法に基づく昭和四十五年度年次報告
  及び昭和四十六年度農業施策についての発
  言に対する質疑
#34
○議長(船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。千葉七郎君。
  〔千葉七郎君登壇〕
#35
○千葉七郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま説明のありました、昭和四十五年度農業の動向に関する年次報告並びに四十六年度において講じようとする農業施策について、佐藤総理並びに関係各大臣に対して質問をいたします。
 いま、麹町三番町の農林省分室において米価審議会が開会をされまして、本年産米の政府買い入れ価格の政府諮問案について、審議が行なわれております。全国の農民は、政府の増産政策による米の生産過剰に対する政府のとった緊急対策、すなわち、昨年の米の作付一割減反、買い入れ価格の二年連続の据え置き措置に協力をし、所得の減少にも耐え、歯を食いしばって農業生産に努力をしてまいったのであります。
 しかしながら、物価は、昨年において七・七%の値上がりであります。労働賃金は一七%の引き上げであります。いかに穏やかな農民諸君でも、この経済的な圧力には耐えきれるものではありません。各農業団体は、本年産米価格の三割ないし五割の引き上げを政府に対して要請してまいったところであります。この要請がいかに農民の切実なやむにやまれぬ声であるかは、去る二十一日の全国農業委員長大会、二十二日の全国農協大会、さらには、昨日の全国農民大会等における農民の悲痛な叫びとなって強調されているのであります。(拍手)
 しかるに、政府が米価審議会に提出した諮問案は、何たることでありましょう。昨年同様、百五十キロ当たり二万六百八十一円の据え置きであります。その内容は、初めから据え置きをきめておいて、いかにしたならば据え置き価格に算定基礎の数字のつじつまを合わせるかという、不合理きわまるごまかし案にすぎないのであります。(拍手)
 米の生産費は、農林省調査でさえも、一俵以上販売農家のそれは、百五十キロ当たり八百五十四円の増高であります。しかもそれは、従来の労賃の基礎を、都市五人規模労務者から農村地帯のそれに置きかえての計算であり、従来どおりの計算とすれば、少なくとも百五十キロ当たり二千円以上の増額となるのであります。しかも諮問案は、五俵以上販売農家の生産費を基礎として算定しているのでありますから、全農家の生産費と比較するならば、実態を無視した、不合理きわまるものといわざるを得ないのであります。(拍手)
 そこで、佐藤総理にお伺いをいたします。
 あなたは、今六十五国会再開の冒頭、一月二十二日の本会議における所信表明演説で、本年産米価は据え置くことを言明したのでありますが、一体米価の最終決定は、いかようなる制度上の手続経過を経てなさるべきかを御存じかということであります。米価は、農林省設置法第五十二条によって設置をされた米価審議会において、その決定に関する基本事項を調査審議をし、その答申に基づいて決定さるべきことが同法の第五十三条に明確に規定されており、しかも、その決定の主管担当者は農林大臣であるのに、あなたは、この手続経過を経ない以前に米価据え置きを、しかも国会の議場において表明するとは、政治、行政の秩序、ルールを無視した言明だと考えられるが、総理の御所見を伺いたいのであります。(拍手)
 福田大蔵大臣、あなたも、今国会の財政演説で、総理同様、本年米価は据え置くと演説をされましたが、米価決定の主管担当は農林大臣であるとすれば、行き過ぎた言明であって、以後慎むべきだと思うが、御所見はどうか。
 倉石農林大臣、あなたは、米価決定の主管担当大臣として、佐藤総理及び福田蔵相の言明をどのように受けとめられておられるか、伺いたいのであります。
 物の価格の決定は、まず生産原価が算定をされ、さらに包装、運賃、適正利潤等が加算をされて初めて最終決定がなされるのが、経済法則のイロハであります。日本の米価の決定はさかさまであります。総理大臣が、価格決定のルールも経済法則もおかまいなく、最終の価格を決定しておいて、決定担当主管大臣が、それに合うように生産費や諸掛かりをでっち上げて、形式的に米価審議会に諮問する、全くのサル芝居であります。かつて佐藤総理は、総理が推薦をして落選をした東京都知事の候補者秦野章氏から、サル芝居だと批判されたが、むべなるかなの感を禁じ得ないのであります。(拍手)
 私は、農林大臣に望みたい。こんなサル芝居的ごまかし諮問案はさっそく取り下げとして、まともな生産費所得補償方式による案を再提出すべきだと思うが、御所見を伺いたいのであります。
 この諮問案は、農民の期待を全く裏切るものであります。農民は、怒り、悲しみ、政府の場当たり農政、ごまかし農政に対して、強い不信の声を投げつけています。あの農林省三番町分室における農民の怒りの声、怨嗟の声は、この議場にも聞こえてくるではありませんか。しかも、農民は、価格の据え置きのみではなく、ことしは作付二割減反、買い入れ制限の措置を押しつけられるのであります。まさに農民は三重の苦しみを背負わされるのでありますが、米価据え置きといい、買い入れ制限といい、まさに政府の行政行為は食管法無視といわざるを得ません。米が不足のときには政府以外に売った者はきびしく罰せられ、多少ゆとりが出たら政府は一定量以外は買わぬという、余った米はどこへでも売れという、この全く相反することが、同じ食糧管理法の規定で可能だというのでありますから、佐藤内閣の法解釈はむちゃくちゃだといわざるを得ないのであります。(拍手)そのときどきの政府によってかってに法解釈が行なわれたならば、社会の秩序、規範が紊乱の極に達することは当然でありましょう。米が余って政府が買い入れる必要がなくなったというなら、堂々と食糧管理法の廃止なり改正を行なうべきではないかと思うのであります。現行食管法が存在する限り、産米全量を政府は買い入れるべきだと思うが、農林大臣の考えはどうか、お聞かせをいただきたい。
 このような佐藤内閣の食糧政策が続くとするならば、日本の農業は衰退をし、農家経済は急速に困窮の道をたどらざるを得ないと思うのであります。
 なるほどこの年次報告、いわゆる農業白書は、米の過剰に典型的にあらわれている日本農業の危機と農業政策転換の問題、経済の高度成長と農業との関連、物価の問題、経済の国際化の進展に伴う農産物貿易自由化の問題等について分析をし、それによって醸成される日本農業の危機を打開するための幾つかの方策を打ち出してはおります。すなわち、急速な米の生産の調整、農業構造の改善、そのための農地の流動化促進による自立農家の育成、農業生産の地域別分担等を掲げてはおります。この分析と方策とは、外からのそのものとしては一応評価すべきでありましょう。
 しかしながら、今日の全国の農民がおちいろうとしている農家生活の実態と、農業の将来に対する不安と動揺、その心理的な絶望的な焦燥感等に対しての内からの解明は何らなされていない。さらに重要なことは、経済の高度成長下における日本の全産業の中の日本農業をどのように位置づけるかという基本を明確にせずに、分析と方向づけが行なわれているという点であります。
 あらためて言うまでもなく、農業は全産業の基礎として、その国の経済及び社会において重要な使命をになっていることは、農業基本法第一条に示されているところであります。今日、佐藤総理が開口一番誇示される世界第二の経済大国に日本が発展いたしましたのも、その基盤は、国内における食糧の供給がある程度確保されていたからだと信ずるのであります。経済の高度成長政策がとられた当時、すなわち農業基本法制定当時において、国民食糧の過半が輸入によってまかなわれていたとしたならば、とうてい今日日本のこのような経済成長は果たし得なかったと思うのであります。
 以上の見地に立って、私は、佐藤総理に伺いたいのであります。
 その第一点は、農業基本法によって設置されている農政審議会では、日本の農業は外国農業の圧力によって衰退の方向もやむを得ずとの見解が強まっているようであり、また、財界筋からも、工業製品輸出の見返りとして農産物輸入をふやすために、食糧自給度を六〇%程度に引き下げようとの提言があったはずであり、また、過般政府によって採択された論文「二十一世紀の日本の将来」の一つには、日本の食糧自給は二〇%程度とする提唱があったが、これらの見解に対してあなたはどのように考えられるか、御見解をお示し願いたいのであります。
 白書によれば、現在食糧の国内需給は、米をはじめ大幅に緩和していると示されていますが、それは決して国内生産が上昇したためではなく、輸入が増大したためであります。白書によれば、農産物輸入は前年に対し九・八%増大をし、国内生産は前年に対し四十四年は一・七%減少しているのであります。
 私は、農業は全産業の基礎としての位置づけを確立し、主要食糧としての米、麦及び肉、乳等は、国内完全自給を農政の基本目標として、常にその実現に努力すべきだと思うのであります。
 工業製品による輸出超過は必ず行き詰まりを来たします。なぜならば、輸出超過は輸入超過の国が存在するからであり、その国は必ず貿易のアンバランス解消に努力するからであります。日本の輸出入が逆転をしたとき、国内農業を急速に発展させることは不可能であり、したがって、当然外国食糧の輸入をこれまた急に減らすことは困難なのであります。国家百年の大計のためにも、国内における食糧は完全自給を目標とすべきであります。
 さらに、工業の過度成長政策を改めまして、国内の全産業が調和のとれた発展が実現するよう経済政策を是正すべきだと思うのでありますが、総理の御所見を伺いたいのであります。
 農政の基本は、国民食糧を安定的に供給すること、そのためには常に需要に即応する方向において生産の増大につとめること、そして農民の所得を他産業並みに向上維持することにあることは農業基本法の示すところであります。それを実現し、今日の農業の危機を打開するための方策としては、いわゆる総合農政の確立と実施以外にはないのであります。すなわち、農業構造の改善と生産基盤の改善、長期的な生産計画の樹立、農産物価格の調整維持、さらに農産物の産地加工及び流通機構の整備と合理的近代化等が早急に総合実施されなければならないのであります。このことは白書においても随所に強調されておるのでありますが、その実現のための関係予算は、はたして満足すべきものでありましょうか。
 白書は……
#36
○議長(船田中君) 千葉君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#37
○千葉七郎君(続) 各部門において予算の増額をうたってはおりますけれども、しさいに検討いたしますならば、むしろ農林予算は実質的には年々減少されているのであります。
 たとえば、総予算は四十四年対四十五年一七・八%増に対して、農林関係のそれは一一・九%の増にすぎず、四十五年対四十六年のそれは一八・四%に対しまして僅々一一%の増加にすぎないのであります。
 このように、農林関係予算は年々減少をいたしておるのでありまして、少なくとも、私は、この農業危機を打開するためには、総予算の伸びと同様に農林予算も増加する必要があると思うのでありますが、この点に対しまして農林大臣並びに大蔵大臣の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#38
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 千葉君にお答えいたします。
 米価据え置きの方針は、先般の施政方針演説において触れただけではなく、昨年の施政方針演説におきましても同様の方針を明らかにしたところであります。
 私は、米の供給が需要を大幅に上回り、他の成長農産物への転換が農政の最大の課題である今日、もしここで、米価対策に再び返るような政策がとられるといたしましたならば、結局は、農業の構造改革を逆行させ、農業を再び混乱におとしいれるものと考えます。施政方針演説は、予算編成に際してこのような農業政策についての政府の基本的な半与え方を明らかにしたものでありまして、その所信は、いまもなお変わっておりません。私は、この米価政策に国民各位の、大局的立場に立って、冷静な判断を期待するものであります。
 なお、正式な米価決定は、御指摘になりましたように、米価審議会に諮問して、その御意見を尊重して行なうものであり、これより先に米価についての政府の考え方を明らかにしたことが、法の無視あるいは米価審議会を無視したことになるとは私は考えておりません。このところは、誤解のないように千葉君にもお願いしておきます。
 また、米価の算定方式は、米価据え置きを前提として逆算したつじつま合わせのものとの御非難でありましたが、米の需給の不均衡を是正することが当面の農政の最大の課題になっている今日、米の需給事情に即して生産費及び所得を考慮して決定する今回の米価の算定方式は、むしろ時宜に即した適切なものと私は考えます。
 次に、農産物の自給体制についてでありますが、私は、国民経済の健全な発展のためには、均衡のとれた農業の発展が必要であり、国民が必要とする食糧は、生産性を高めながら、今後とも現状程度の総合自給率は確保してまいりたいと考えております。特に、国民の主食である米につきましては、完全自給をはかることは当然であると、かように考えております。
 最後に、全産業が調和して発展するような経済政策をとれとの御意見でありましたが、政府としても、今後ともそのような方向で十分留意してまいります。経済の均衡ある発展のためには、農業が低生産部門から脱却し、近代的な農業へと歩を進めることが何よりも必要であり、このため、総合農政の展開に力を尽くしてまいりたいと考えます。特に、農業の近代化と地域住民の福祉向上をどう結びつけて調和させていくかが、今後の重要課題であり、そのための農政はもちろんのこと、国の総合的政策を傾注してこれに取り組んでまいる決意であります。
 以上、私からお答えいたします。他の部門については、それぞれ担当大臣からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#39
○国務大臣(倉石忠雄君) 米価のことにつきましては、据え置きの問題、ただいま予算編成当時における政府の方針につきましては、総理大臣から詳細にお話がございましたので、省略いたします。
 それからもう一つは、基本法の趣旨のお話がございました。お話のございましたように、昭和四十六年度予算におきましては、農業及び農村を取り巻くきびしい諸情勢に対処いたしまして、お話の総合農政の本格的展開をはかることといたしております。米の生産調整の計画的実施、稲作転換の推進、農業構造の改善、農業生産基盤の整備等、こういうことに力を注いでまいるつもりでございまして、千葉さんのお話を承っておりますと、私どもが申し上げております総合農政に全面的御賛成のようなおことばがございましたので、ぜひひとつ御協力をお願いいたしたいと思います。
 それから、米価決定のことは、ただいま米価審議会をいたしておりまして、私もこの本会議終了後米審に直ちに参加いたすわけでありますが、もちろん委員各位の専門的な御熱心な御討議を参考にいたしまして、米価を、最終的に実勢価格を決定いたすことは申すまでもないことでございます。
 それから、農政全体についていろいろ御意見がございましたけれども、いま私が申し上げましたように、私どもの政府の考えております総合農政を推進してまいって、米は余剰のものがありますので生産調整はいたしますが、他のものにつきましてはさらに堅実なる歩みを農政の上に続けてまいる。農村の人々も安定してその業にいそしんでいただけるようにいたすのが政府の申しておる総合農政でございます。そういう方面に、御存じのように昭和四十六年度予算では農林予算は一兆八百六十億円でございまして、伸び率におきましても国の総予算全体とほぼ同様であります。したがって、生産調整対策等についても、御存じのように大体四百億円は直接に投資いたしまして、千七百億円というものは生産調整奨励金等にも出しております。その他、生産調整及び転換をいたすためには、簡易なる土地改良と圃場整備等についてもそれぞれ手当てをいたしていることは御存じのとおりでありまして、生産調整があるからといって、われわれは他の農作物に対してはますますこれの国際競争力を増すように努力してまいりたい、このように考えておる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#40
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 米価は米価審議会の決定を待ちましてきめるわけです。これは千葉さんと所見は同じであります。ただ、米審に臨む政府の態度、これは明らかにしておく必要がある、こういうことで施政方針演説とか財政演説とか、そういうところで政府は据え置き方針を出しておる、かように御了承願います。
 自余の問題につきましては倉石農林大臣からお答えしたとおりでありますが、農業の生産性の向上、これにつきましては、今後とも財政当局といたしまして最大限の努力をいたしていきたい、ように存じておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#41
○議長(船田中君) 二見伸明君。
  〔二見伸明君登壇〕
#42
○二見伸明君 私は、公明党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十五年度農業の動向に関する年次報告に関連し、わが国農政について総理並びに関係大臣に質問をするとともに、政府に過去十年間の農政に対する深刻なる反省を求むるものであります。
 まず第一にお尋ねしたい点は、生産者米価についてであります。
 佐藤総理大臣は、今国会における施政方針演説の中で、生産者米価の水準を据え置くことを明らかにいたしました。政府の言い分は、生産者米価を引き上げたならば生産調整がスムーズに行なわれず、したがって、米の過剰問題も解決できないということにあると思います。しかし、私は、もしここで連続三年間も米価を据え置かれた場合、それが米作農家に物質的、心理的にどれほど多くの影響を与えるか、総理に深刻に理解をしていただきたいと思うのであります。すなわち、米作農家は、一方では生産調整、買い入れ制限によって減収を余儀なくされ、他方では物価の高騰によって生活費は大幅に増大をしております。しかし、生産調整にせよ物価高騰にせよ、それは政府のいままでの農業政策、経済政策の失敗こそ根本原因でございます。言うなれば、米作農家は、政府の失敗とそのしわ寄せの転嫁によってダブルパンチを食わされているのが実情でございます。生産調整は、買い入れ制限という歯どめ措置によって、米価とは無関係に行なわれることになっており、過剰米も四年間で解消することになっております。それにもかかわらず政府が米価の据え置きを行なうとするならば、その真のねらいというものは一体どこにあるのか、また、いかなる根拠に基づいて米価の据え置きを行なうのか、総理大臣にこの点を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
 また、農業基本法には、「農業従事者が所得を増大して他産業従事者と均衡する生活を営むことを期する」と規定してありますけれども、三年間に及ぶ米価据え置きは、農業従事者の所得を減少させることは明らかであり、したがって農業基本法の精神に違反するものであると思うけれども、総理大臣の見解を伺いたいと思うわけであります。
 ところで、政府の米価据え置き論を見聞きしながら、われわれが非常に不安を感ずるのは、一体政府は米価を今後どういう方向でもって解決しようとするのかということであります。二月の予算委員会で佐藤総理は、食管会計の赤字を解消する考えを明らかにされました。これを米価との関係で考えると、方法は二つしかないと思うのであります。すなわち一つは、生産者米価を今後とも据え置き、買い入れ制限をさらに強化するということが一つの方法です。もう一つの方法は、生産者米価は引き上げるけれども、一方ではそれ以上に買い入れ制限を大幅に行なうということであります。この二つとも、米作農家にとっては重大問題であります。また、本日の農林水産委員会で倉石農林大臣は、需給が緩和しているときに価格による刺激策をとるべきではないと答弁されましたけれども、総理大臣は、今後の米価についてどういう考えを持っているのか、この点を明らかにお示し願いたいと思います。
 さらに、農業の将来に不安を与えるような米価対策が今後ともとられるとするならば、農家が生産意欲を失い、ひいては米の需給にも影響を及ぼすおそれは十分にあると思いますけれども、農林大臣はいかがお考えか、あわせて明らかにしていただきたいと思います。
 大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、大臣は米価据え置きの強硬論者と聞き及んでおりますけれども、昨年も米価据え置きを強行しておきながら、一方では、いわゆるつかみ金を支給するというやり方でもってそのときどきの事態に対処してまいりました。こうしたやり方は正常でないことは当然といたしまして、農家をも満足させるものではありませんし、一般国民からも不明朗なものとしてすでに指摘されているところであります。言うなれば、こういうやり方は一種のごまかしの政策であります。したがって、つかみ金はやめて、むしろ米価水準を引き上げることのほうが私は筋論だと考えますけれども、大蔵大臣はいかがお考えか、その点をはっきりと具体的にお示しをいただきたい、この点を大蔵大臣にお願いするわけであります。
 次に、生産者米価に関連して、消費者米価について農林大臣に一点お尋ねをいたします。
 すでに政府は、ことしの秋から物価統制令の適用除外を明らかにしております。われわれはそれに対して、消費者米価が上昇するということで強い反対の意思というものを表明してまいりました。それに対して政府は、しばしば、消費者米価が上がらないように歯どめ措置を講ずると答弁をしてこられました。しかし、適用除外が数カ月後に迫っているにもかかわらず、具体的な歯どめ措置をいつから行なうのか、明らかにされておりません。歯どめ措置というものは、消費者米価が上がってから行なうものではなくて、上がらないように事前に行なうべきものであります。これについて農林大臣はどう考えているのか、いつからこの歯どめ措置をやるのか、本日この点を明らかにしていただきたいと思います。
 さて、伺いたい第二の点は、価格政策でございます。農業白書は、農業が当面する緊急の課題は農業生産の再編成を進めることであると述べております。農業生産の再編成とは、生産調整を通じて他作目への転換を推進することであろうと思います。他作物への転換は、政府は生産調整奨励金に格差を設けることによって行なおうとしております。しかし、言うなれば、これはあめとむちによって行なおうとするものであって、恒久的な形での再編成ではあり得ません。もし政府が真剣にこれを考えるのであれば、農業構造改善を強力に推し進めることは当然として、現行の農産物の価格政策、価格体系というものについて検討を加えるべきであると思いますけれども、農林大臣の所見を承りたいと思います。
 ところで、四十五年度農業白書は、実に重要な問題点を提起していると思います。それは農基法農政が限界に来たということであります。たとえば、農業基本法第十五条に「家族農業経営を近代化してその健全な発展を図るとともに、できるだけ多くの家族農業経営が自立経営になるように育成する」との方向を示しております。しかしながら、農基法十年の歩みは、自立経営農家を育成するどころか、むしろ四十三年、四十四年と減少の一途をたどり、一方兼業農家、特に二種兼業が増大しているのであります。しかも、こうした傾向は、生産者米価の据え置き、農産物の貿易自由化などにより農業環境が今後ますますきびしくなることが予想される以上、こうした傾向が激化することは明らかであります。また、政府の施策自体も、農村地域への工業導入促進など、むしろ兼業を是認する方向にあります。
 しかし、われわれが不安を感ずるのは、政府の農業経営というものに対する基本姿勢がどこにあるのか、はっきりしないということであります。私は、農業の将来のためにも、自立経営農家の育成ということは、これは等閑視してはならない問題であろうと思います。しかし、地価の高騰など、自立経営農家育成を阻害する要因も数多くございます。政府は、自立経営農家を中核として農業政策を展開していく方針のようでありますけれども、自立経営農家の育成は可能なのかどうか、また、今後どのような具体策を用意するのか、明らかにしていただきたいと思います。
 私は、自立経営農家の育成も大きな問題であり、重要な大事な問題だと思いますけれども、それと同時に、兼業が現実に増大しているという事実も無視をしてはならないと思います。したがって、わが国の食糧の確保及び農業の振興という観点からするならば、兼業対策というものを私は農業政策の今後は大きな柱としていってもよいのではないかと考えますけれども、農林大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。
 さて、農業白書は、農村地域内において、農家世帯が非農家世帯より数が少なくなっていることを指摘しております。そうして、こうした農村社会の変貌という事実に対して新しい村づくりの必要性を強調しております。このことは、とりもなおさず、農業政策が単に農林省のみの所管では行ない得なくなっていることを如実に物語っていると思うのであります。もちろん、これに対しては、農林省が建設省、通産省あるいは厚生省等々と協議して推進するということになると思いますけれども、現実には官庁間のセクショナリズムによって円滑な実施が期待できないのではないかと思う。円滑な実施がはたしてできるのかどうか、非常に疑問でございます。現実の社会が変化しているのだ。私は、そうした現実の社会の変化に対応する国家行政機構ということについては、これはもう真剣に考えなければならない問題だと思いますけれども、総理大臣はこういう点についてはどのようなお考え方を持っているのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
 以上数点について、総理大臣並びに関係大臣に質問をいたしましたけれども、以上の点について明確な答弁を求めて私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#43
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 二見君にお答えいたします。
 米価の据え置きについての私の考え方は、さきに社会党の千葉君にお答えしたとおりでありますが、私は、米価三年据え置きに反発される米作農民諸君の感情もわからないわけではありません。しかしながら、米の過剰という現実の中で、米価引き上げは問題の本質的解決になり得ないばかりでなく、農業ひいてはわが国の食糧問題全体の解決を長引かせ、混乱させることを考えれば、米価の据え置きは大局的立場から御理解いただきたいし、また十分御理解いただけることと考えます。
 政府は、このような立場から、食管法の定めるところにより、生産費及び物価その他の経済事情をしんしゃくし、四十六年産米の政府買い入れ価格については、昨日米価審議会の意見を求めたのでありますが、日本農業の将来にとってどうすべきかという長期的立場に立っての積極的な御意見を期待するものであります。
 また、米価据え置きは農業従業者の所得の増大を目的とする農業基本法の精神に反するとの御意見でありましたが、私は、米価の引き上げこそ農業の構造改善を逆行させ、長期的に見て農業に混乱をもたらすものであることをよくお考えいただきたいと思います。
 また、所得増大は、価格政策のみならず、構造政策の推進による農業の生産性の向上と農政の総合的な展開によって対処すべきものと、かようにも考えます。
 次に、食管の赤字の観点から御意見がありましたが、米価を据え置き、買い入れ制限が成功したとしても、四十六年に巨額の食管赤字が残ることは御承知のとおりであります。私は、食管の赤字を一挙になくしてしまおう、そのためには米作農業に打撃を与えてもかまわない、かように考えているものでは毛頭ありません。このことは誤解のないようお願いしておきます。
 ただ、国民的立場から見れば、税負担の圧倒的な部分は米の生産者よりも消費者が負担しており、本来ならば価格引き下げによって行なわれるべき米の需給調整を、生産の圧縮の形で行なうことについて税の面で協力させられている消費者の立場をも考えてほしいのであります。少なくとも、米価の引き上げは、こういう点でなかなか納得がいかないことではないかと私は考えております。
 次に、農業政策の重点を兼業農家に対する対策に切りかえろというお尋ねがありましたが、これは倉石農林大臣からお答えすることにいたします。
 最後に、農村が農業者と非農業者、専業農家と兼業農家とが混在する地域社会に変貌し、農村即農家即農業という伝統的な把握を困難にしていることは白書も指摘しているとおりであります。今後の新しい村づくりが農政だけでささえられないことも疑いをいれません。農政推進閣僚協議会などの場を通じ、関係各省の十分な協力のもとに、農業及び農村生活にわたる総合的な施策を進め、新しい農村の建設につとめてまいる決意であります。ただいま行政機構として特別なものは考えませんが、ただいまのような総合的な各種の協議機関、これによって総合的な対策を立てる、こういうことでございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#44
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 従来の加算金はやめて、むしろはっきりと米価引き上げをしたらいいじゃないか、こういう御所見でございます。私も、従来の加算方式、これにはいろいろな御批判もあり、異論のあるところであろうということはよく承知しているのです。しかしながら、米価の引き上げ、これにつきましては、総理からも、農林大臣からもお話がありましたように、これはどうしてもこれを行なうわけにはいかぬ非常に苦しい立場に置かれておるわけです。この苦しい立場に対しましては、ひとつ御理解、御同情いただきたいとお願いをいたします。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#45
○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げますが、米価据え置きのことにつきましては、総理大臣からもお話がございましたので、省略さしていただきますが、なおお話のございました、そのために農家の生産意欲を失わせるということはあってはならないのでございますので、そのようなことのないように、農林省においては、もちろん米に関する対策についても、その他についても、先ほども申し上げましたように、諸般の施策を講じてまいるつもりであります。
 なお、物統令の消費者米価適用除外のことのお話がございました。これはすでに予算委員会等でも十分申し上げてありますが、御存じのように、米の出回り時期までには、私どものほうで諸般の事柄を実行いたしまして、消費者米価は上がらないように、とにかくいまストックがこれだけあるわけでありますから、それの運用だけでもかなりの影響はありますが、そういうこと以外に、かねがね申し上げておりますような、たとえば大型精米工場の建設促進であるとか販売業者の新規参入等を含めまして、それまでには適切な措置を講ずるように準備をいたしておる次第であります。
 それから、米の生産調整を通じて農業生産の再編成を行なおうとしておるがというお話でございますが、これはもうそのとおりでございます。私どもは生産調整が当初の眼目ではもちろんございませんで、農政の転換ということのための一つの手段として、必要やむを得ずしてやはり生産調整はしなければなりません。農家の生産者の方々は十分この辺を御理解いただいておるはずであります。
 それから、構造政策につきまして、自立経営についていろいろお話がございましたが、御指摘のように、自立経営農家というものはなかなか成長しがたいものでございますけれども、農業基本法が示しておりますように、私ども、農業というのは、やはり中核的には自立経営農家を育成していくということをしなければなりません。もちろん、だんだん近代化、合理化されてまいるわけでありますから、農業従事者の数は減っても生産量はふえていくというふうにすることは当然なことであります。したがって、農業、その農業者がおられる農村、同時にその農村におられる、先ほどございました兼業のお話、私どもといたしましては、自立経営農家を中核にいたしまして、それに配するに、なお、小規模な農業者でも兼業をしながら農業を持続していきたいという方、あるいは農業から離れたいという方、それぞれございます。したがって、そういうそれぞれの方に対しては、それに適応したような措置を講じていくことは当然でございます。今回国会に御審議を願っております工業を地方に導入してまいる法律案などでも、ごらんのとおり、そういう趣旨で書かれておるものでございまして、すみやかにこういう法律案を成立させていただきたいと存ずるわけであります。
 最後に、先ほど農政審議会等のお話と同時に、価格政策のことがございましたが、私どもは、農業の発展というのは、価格政策だけではまずいということは、これは日本だけではございません、世界共通の考え方だろうと思うのでありますが、しかし、当分の間は、やはりわれわれの大事な農作物につきましては、ある程度の助成をいたしながら、逐次その近代化をはかって、国際競争にうちかてるような体質を整備するまでは、価格政策の面でも協力しなければならないのではないか。その間の取捨選択と調整がなかなかむずかしいわけでありますが、そういうことは政府全般の施策の中で考慮いたしていくべきものでありますが、農業については、特段のめんどうを見ておるのはひとり日本だけではございません。世界各国共通のことであることは、二見さんも御存じのとおりでございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#46
○議長(船田中君) 合沢栄君。
  〔合沢栄君登壇〕
#47
○合沢栄君 私は、民社党を代表し、先ほど農林大臣より御報告のございました、昭和四十五年度の農業の動向に関する年次報告並びに本年度において講じようとする農業施策に関連して、総理並びに関係閣僚に対し質問いたします。
 私は、この質問に先立って、総理に対しまずお尋ねいたしたいのでございますが、それは、先ほどから質問のございました本年産生産者米価についてでございます。
 昨年来、昭和四十六年度産生産者米価に関する米価審議会が開かれておりますが、まだそのような米価審議会の結論が出ていない前から、政府は四十六年産米価については引き続き据え置くということが、従来から報ぜられておるわけでございますが、米価審議会を開催する意義は一体いずこにあるのか、国民は大きな疑問を持たざるを得ないと思うのでございます。政府は米価審議会に先立って一定の結論を出して、米価審議会を政府の方針に従わさせようというような、そういった考え方を国民はするのではなかろうかと思うのでございます。それは明らかに制度を無視した政府の独善でございまして、民主政治に反した、許されがたき行為といわなければなりません。しかも、政府の提出資料は、明らかに据え置きを意図し、無理なつじつまを合わせようとする逆算米価でございます。
 これまで政府は、米価を引き上げることが消費者物価上昇の元凶であるとの見解に立って、過去二年間も生産者米価を昭和四十三年産価格で据え置く措置を講じてきたのでございますが、この間に、四十四年度は六・四%、四十五年度は七・四%と、据え置き以前にも増して高い物価上昇があった事実に照らしても、また、米価が米作農家にとっては労賃であり、都市勤労者のベースアップの現況から見ても、本年度も引き続き据え置くということは、何といっても不当であり、生産者としての怒りは当然なことであり、また、消費者サイドから見ても、過酷な措置だとの意見もあるのであります。しかも、昨年度は、政府の予期した以上の生産調整に協力している実態を考えるとき、政治の条理からしても、物価、労賃の上昇に見合う米価の引き上げは当然であると主張するものでございます。現に、政府・与党である自民党の内部においても、政府の方針に反発する動きのあることは周知の事実であります。
 佐藤総理は、これらの実態を踏まえて、再検討を迫られていると思うのでございますが、この議場を通じて、本年産米価に関する御所信のほどを明確にいま一度お示ししていただきたいと思うのでございます。
 次に、日本農業の内外を取り巻く諸情勢を見ますとき、まず、うちにあっては、依然として農業従事者一人当たりの経営規模は小規模、零細であり、さらに米価の二カ年連続据え置きをはじめとし、その他の農産物価格の全般的な停滞との両面作用からして、農業所得は製造業労働者の賃金に比較して六七・五%と低下し、格差は拡大の一途をたどり、その結果は、第二種兼業農家の急増という全面的な兼業化が進行していることは、農業白書の示すとおりでございます。
 したがって、国民の消費需要の高度化、すなわち畜産物、野菜、果実等の需要増大に即応した安定的な供給を確保することは不可能となり、農畜産物の輸入の依存度を高め、国民食糧の国内自給率を低下しつつあることは、単に農業の地位低下というにとどまらず、国民経済の総合的な運営の面からしても憂慮せざるを得ない問題でございます。
 また一方、ガット、ケネディラウンドの面からは、国内農業条件のいかんにかかわらず、農畜産物の貿易の自由化と関税の引き下げが、主として米国より強く要求されている現状からして、このまま推移するならば、日本農業は、この大きな外圧と内蔵する自壊の要素とが重なり合って、白書が単純に記しているような、きびしい条件に直面している程度のものではなくして、破滅の危機にあるといわなければならないと思うのでございます。この危機的な農業の現状を、総理並びに農林大臣は、はたして危機感を持って認識しておられるのかどうか、御見解をお伺いいたします。
 次に、総理、あなたも十分御承知のこととは存じますが、かつてのわが国の農村社会をおおっていた、あの暗くて悲惨な農民の生活は、今日の日本には、もはやその影はないと感じておられるのかもしれませんが、決してそうではないのであります。今日、農村においては、日本農業の中心であった米価の連続据え置き、さらに二百三十万トンの生産調整、買い上げ制限、農畜産物価格の底迷等、農家は将来の農業に不安動揺し、農政に対する不信と不満が満ちております。政府のいう総合農政も、農業縮小政策としか感じていないのが現実であります。農村は、先ほどから申し上げておりますような条件のもとで、他産業従事者との所得の格差が急増し、農業は衰微しつつあり、かつての暗い農村社会の再現を本質的に排除しているとは決して断言できないのであります。
 現に、毎年三月から四月にかけて、あどけない幼顔の一面を残した中卒の少年少女の集団が、最も安い賃金労働者を求める企業群のつくり笑顔に迎えられて集団就職する、そのさまを見るとき、それは単に成長による就業構造の変化を示す一面だと安易に見のがすことはできないのでございます。これは将来に向けて精魂を打ち込むに値する農業の条件に恵まれずして、やむなく両親と故郷に別れを告げて、ただ生活のかてを求めて都会に行かざるを得ないという悲劇を宿命的に背にした若者たちの、悲しくもまた痛ましい姿であり、現代版的な身売りといっても差しつかえないのではないでしょうか。
 また、小規模ながらも、開けゆく将来に希望をつないで農村に残り、懸命な努力を重ねた優秀な青年が、ついに志向する近代的農業への可能性が閉ざされ、中年期に至って、なれない賃金労働者へと変わっていかざるを得ないという多くの事例や、また、農業収入を補うため、妻子と別居して都市勤労者として働かなくてはならない、百万人をはるかにこえるといわれる農村の出稼ぎ労働者、あるいは、若者もいなくなった過疎地の老農夫が、廃屋の中で、だれにみとられることもなく死亡し、以後何十日もたってから発見されるという、人間には許されまじき悲惨な現実など、人間埋没の農村社会の悲劇は、いまなお現存することを忘れてはならないのであります。
 このような農村社会の改革こそ、政治に課された当然の責務であります。はたして総理並びに農林大臣は、明るい農村社会への改革の決意をお持ちかどうか、所信のほどをお伺いしたいのでございます。(拍手)
 次に、農業基本法が制定されて以来十一年を経過し、農業白書も今回で第十回目の提出でありますが、農業と他産業との格差の是正や、他産業従事者との所得の均衡等、基本法が目標とした諸点については、はたしてどれだけの進歩があったか。農業白書から見ても、これまた率直に、ノーといわざるを得ないのであります。したがって、法と制度だけは形式的に整ってはおりますが、実態としての農業が、それとはかかわりなく衰退の方向にあるとするならば、これこそまさしく農政の空転であり、根本的な再検討と一大転換をはかるときを迎えておると思うのであります。
 日本経済の今日の繁栄も、その原因をさかのぼると、食糧生産に励んだ農業者の努力、それによる外貨の節約、資金、土地、水の供給、そして何よりも労働力の供給と購買市場の形成があったからであり、いわば国民経済の基盤を形成している農業、農民を枯渇のふちに追いやるような事態は、広く民族として、また国益の見地からも、許されるものではありません。
 今日、わが国経済が、ソ連を除けば世界第二位の経済的地位を確保したといわれることからしても、日本農業と農村社会の近代化を目標とする画期的な財政投入計画を政治として決断することが、何よりも必要なことだと思うのであります。社会全体が調和と均衡のある発展を期するためには、産業及び社会として、構造的な欠陥を持つ農業部門への計画的、かつ、大規模な資金投入の決断こそ、政治の果たすべき使命でなければなりません。政府は一兆円の農林予算を評価されますが、その中身はうしろ向きであり、真の農業近代化を目標とした計画に基づくものでは決してないのであります。
 第二は、この決断のもとで、農業以外の産業、経済、社会部門の発展に即し、それとの調和のとれる農業の仕組みを目ざして具体的な改造計画を、地域的特性に立って、農業者の意欲的な参加を求めて樹立し、高い能率を持ち、恵まれた環境の中で確実に近代的農業の営まれる方針を明らかに示すことであります。この改造計画が、民主的にして、しかも、それを担当する農業者が積極的に参加して樹立されることによって、農業の前途に関する全国民的なコンセンサスが成立することは明白であります。わが国の内外政策の基本は、平和に徹し、平和以外を歩むべきでないことは当然でありますが、その平和経済構造の重要なる一面である農業の近代化計画に取り組まずして、五兆八千億にものぼる第四次防衛計画を先に策定せんとするごときは、政治の主客を転倒するもはなはだしいといわなければならないのであります。(拍手)
 以上述べたところの農業近代化計画の策定、実施こそ、真に政治次元から展開する本来の農政であり、高邁なる政治の課題だと信ずるものでございます。今日、米価問題をめぐって全国から東京に参集している農業者代表が要求している基本農政確立の真底にあるものは、実にこのような政治次元に立ち返った農政の確立であり、それへの転換にほかならないと思うのであります。
 以上、私の提案を兼ねた質問に対し、総理をはじめ農林、大蔵の各大臣から所信と見解を求め、質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#48
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたしま
 まず、米価審議会と政府の米価据え置きの方針との関係については、さきに社会党の千葉君や公明党の二見君にお答えしたとおりでありますので、詳しくは申しません。正式な米価の決定は、食管法の規定に基づいて適正に算定し、従来どおり米価審議会に諮問して、その御意見を尊重して行なう考えには変わりなく、米価についての政府の方針を明らかにしたことが米価審議会を無視したことになるとは、私は考えておりません。また、米価据え置きを妥当と考えるゆえんにつきましても、さきにるる申し上げたとおりであります。
 農業所得の確保は、もとより農政の重要な課題であり、農産物価格が農業所得形成の重要な要素であることは言うまでもありませんが、農業所得の確保のためには、規模が大きく生産性の高い農業経営や農作業単位の育成をはかることが基本であり、これを中心とする施策を総合的に推進して生産性を向上させ、農家所得の増大をはかってまいりたいと考えます。
 長期的に見ますると、米価の上昇は物価の上昇より著しい、かように考えます。米価算定のために生産費・所得補償方式が採用された三十五年から昨年までに、生産者米価は約二倍に上がったが、その間消費者物価の上昇は七七%、卸売り物価は一四%であります。したがいまして、米価の上がり方は一般物価のそれよりも上回っている、この点を御了承いただきたいと思います。
 次に、合沢君は、わが国農業の危機を指摘さもました。
 私は、その源泉が農外所得の増加にあるとはいえ、世帯員一人当たり家計費による一般勤労者世帯との生活水準の格差は年々縮小し、生活環境が類似する市町村における比較では、むしろ農家のそれが勤労者を上回っている状況から見ましても、農村に暗い影を強調されることは当たらないように思います。
 しかしながら、日本農業が米の過剰の問題、あるいは貿易の自由化の問題等、種々困難な問題に直面していることは十分注目しなければなりません。私は、このような困難に当面している農業の中にも、畜産物、野菜、果実の需要の増大等国民所得の向上に伴う食料消費構造の高度化、あるいは他産業における安定的な就業機会の増大など、経済、社会の発展の中に農業近代化の契機や条件が醸成されていることを考えれば、私はそこに近代的な新しい農業経営の萌芽を見出すことが十分可能であると考えます。私としてはこれらの条件や萌芽を積極的に生かしていき、きわめて困難ではありますが、農業の近代化を一歩一歩進めて、新しい近代的な農村の建設をはかり、農業がわが国経済、社会の中で均衡ある発展を遂げていくようつとめてまいる決意であります。この場合におきまして、農業基本法の示す基本的方向は今日でも妥当するものと考えておりますが、今後は今日までに生じた経済、社会の諸情勢の変化や新しい農業の動向を十分考慮して、現実に即した総合農政の展開をはかってまいりたいと考えます。
 合沢君は農業の近代化計画を策定せよとの御意見でありましたが、昨年二月に閣議了解された「総合農政の推進について」、あるいはさらには「農業生産の地域指標」、これなぞはその骨格を形づくるものと、かように私は考えております。そういう意味におきまして、この上とも御鞭撻のほどをお願い申します。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
#49
○国務大臣(倉石忠雄君) 私へのお尋ね、ことごとく総理大臣がお答えいただきましたので、あれをもってひとつ御了承願いたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#50
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 私は農業、農家というものはわが国の社会基盤として非常に大事である、かように考えておるのであります。その大事な農家が、農業がいま非常にむずかしい環境に取り囲まれておる。国をあげての工業化の中にどういうふうに農業を持っていくか、またその主力農業である米が非常な過剰な状態にある、そういう環境に包囲されておるわけですが、その包囲をどういうふうに突き破って近代環境にふさわしい農業としていくか、これは非常に重大な課題になってきている、かように考えるのであります。
 財政当局といたしましては、そういう大事な農業でありますので、その近代化、その合理化、そういう方向、また近代農村がりっぱにでき上がるようにと、そういう方向につきましては、今後といえどもできる限りの御協力をいたしていきたい。はっきり申し上げたいと存じます。(拍手)
#51
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#52
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十九分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        郵 政 大 臣 井出一太郎君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
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ソース: 国立国会図書館
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