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1970/05/18 第65回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第32号
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1970/05/18 第65回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第065回国会 本会議 第32号

#1
第065回国会 本会議 第32号
昭和四十六年五月十八日(火曜日)
    ―――――――――――――
  昭和四十六年五月十八日
   午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
 宮澤通商産業大臣の中小企業基本法に基づく昭
  和四十五年度年次報告及び昭和四十六年度中
  小企業施策についての発言及び質疑
   午後二時六分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣提出)
#3
○加藤六月君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(船田中君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#6
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。法務委員会理事小澤太郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔小澤太郎君登壇〕
#7
○小澤太郎君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における市町村の廃置分合等に伴いまして、取手簡易裁判所ほか五つの簡易裁判所の所在地及び立川簡易裁判所ほか六十六の簡易裁判所の管轄区域について、その表示を改める必要があるため、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の別表について所要の整理を行なおうとするものであります。
 本委員会は、三月十日提案理由の説明を聴取した後、慎重審議を重ね、本日、質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 宮澤通商産業大臣の中小企業基本法に基づく昭和四十五年度年次報告及び昭和四十六年度中小企業施策についての発言
#10
○議長(船田中君) 通商産業大臣から、中小企業基本法に基づく昭和四十五年度年次報告及び昭和四十六年度中小企業施策について、発言を求められております。これを許します。通商産業大臣宮澤喜一君。
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#11
○国務大臣(宮澤喜一君) 中小企業基本法第八条に基づきまして、先般、政府が国会に提出いたしました昭和四十五年度中小企業の動向に関する年次報告及び昭和四十六年度において講じようとする中小企業施策の概要を御説明申し上げます。
 昭和四十四年秋に実施されました金融引き締めの効果は、昭和四十五年度に入って次第に実体経済面に浸透し、中小企業の事業活動も鎮静化を示しました。政府としては、これに対処して、年末及び年度末の中小企業向け特別金融措置を講ずるとともに、昭和四十五年末から三次にわたる金融緩和措置をとり、新たな景気局面の展開を期待しているところでございます。
 次に、今回の白書で述べております構造問題について御説明いたします。従来、中小企業問題の根幹をなすものとして指摘されてきたのは、低賃金と低生産性の悪循環でありました。
 しかし、わが国経済の高度成長の過程において、中小企業者みずからが設備の近代化、経営管理の合理化等諸般の努力を積み重ねてきたのに加えて、所得水準の向上に伴う需要の高級化、多様化や産業の高加工度化などは、中小企業の活躍する分野を広げ、こうした中小企業の努力にとって有利な条件を提供してまいりました。この結果、今日、大企業と中小企業との間における生産性格差、賃金格差は総じて縮小しつつございます。
 こうして、中小企業を全体として見れば、豊富低廉な労働力を主たる存立基盤とする中小企業から、物的生産性の向上、品質の高級化あるいは規模の適正化などを追求しつつ、中小規模であることの有利さを主たる存立基盤とする中小企業へと変化しつつあると申すことができます。
 もとより、一口に中小企業と申しましても、その中には、業種業態や規模の大小によってその実情はさまざまであり、前近代的経営や単純労働に依存し過ぎる生産方法をとっているものもいまだ少なくありません。
 また、労働力不足と急激な賃金上昇は、引き続き中小企業にとって克服しなければならない大きな課題でありますし、特恵関税の供与を新たな契機とする発展途上国の追い上げや、近時、とみに重要性を増しつつある物価問題、公害問題など、中小企業に新たな適応を迫る課題も山積しております。
 このような事態に対処して、中小企業が健全な発展を持続していくためには、物的生産性の向上や製品の高級化、多様化によって付加価値生産性を向上させるだけでなく、販売力や情報収集力を強化するなど、いわば総合的な企業力の充実につとめ、また、今後発展の望めない分野にあっては、成長の期待される分野に積極的、機動的に転換をはかっていくことも必要と思われます。
 このような適応策を進めるにあたっては、共同化、協業化等により適正な経営規模を達成し、あるいは業界ぐるみの構造改善を推進することも必要でありますが、基本的には、個々の中小企業の創意くふうの発揮にまつべきであることは申すまでもありません。
 政府といたしましても、中小企業基本法の精神にのっとり、中小企業のこのような自主的努力を助長するとともに、事業環境の整備をはかることが責務であると考え、中小企業施策を最重点政策の一つとして取り上げております。
 昭和四十五年度におきましては、協業化、共同化等による中小企業構造の高度化を推進するとともに、設備、経営、労働等各般にわたる中小企業の体質強化及び金融面、税制面その他中小企業をめぐる事業環境の整備に重点を置いて施策を講じました。その際、環境変化の影響を最も強く受け、経営基盤の弱い小規模企業の体質改善には、特に配慮を払ってまいりました。
 四十六年度におきましては、中小企業の一そうの近代化、体質の改善をはかり、内外のきびしい環境変化を乗り越えていくため、次のような施策を推進していくことといたしております。
 まず第一に、中小企業振興事業団の融資事業を大幅に拡充し、中小企業の共同化、集団化を一そう進めることとしております。
 第二に、国際競争力を強化するため、業界ぐるみの構造改善を引き続き進めることとし、金融面、税制面等から強力な助成を行なうこととしております。また、特恵関税の供与によって事業の転換を余儀なくされるものにつきましては、今国会で成立を見ました中小企業特恵対策臨時措置法に基づいて所要の措置を講ずることとしております。
 第三に、下請中小企業につきましては、さきの臨時国会で成立を見ました下請中小企業振興法に基づいて下請中小企業の体質改善を強力に推進いたしますとともに、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用によって、下請取引の適正化につとめる所存であります。
 第四に、中小企業の公害防止対策につきましては、従来から技術開発、指導、金融、税制を通ずる施策を講じてきており、今国会においても中小企業信用保険法を改正し、公害防止のための特別保険制度を設けたところでありますが、これら制度をさらに拡充するなど、時宜に適した施策を講じてまいる所存でございます。
 第五に、中小企業の旺盛な近代化投資等に必要な資金の円滑な供給を確保するため、政府関係中小企業金融三機関に対する財政投融資を大幅に増大するとともに、信用補完制度については、今国会において中小企業信用保険法の改正による付保限度の引き上げ等を行なったところでありますが、さらに本制度を拡充、改善し、民間資金の中小企業への円滑な導入を促進する所存であります。
 第六に、小規模企業対策につきましては、経営改善普及事業を充実するとともに、設備の近代化と金融の円滑化にも特段の配慮を払い、また、所得税における青色事業主特別経費準備金制度の創設等により、税負担の軽減をはかることとしております。
 第七に、中小企業の経営管理の合理化と技術水準の向上をはかるため、診断指導等指導事業を充実するとともに、中小企業者の技術開発に対する助成、公設試験研究機関等による技術開発、技術指導を中心とする技術対策の拡充強化につとめることとしております。また、中小企業における労働力の確保とその資質の向上、従業員の福祉の増進等のための労働対策をさらに一そう推進することとしております。
 第八に、製造部門に比較して近代化のおくれが著しく、物価対策の見地等からも早急にその近代化が求められている流通部門の近代化を推進するため、卸商業団地の建設やセルフサービス化、ボランタリーチェーン化等について、金融、税制面の助成措置を講じるとともに、地域ぐるみの商業の近代化を目的とする商業近代化地域計画を拡充する所存であります。
 以上が昭和四十五年度中小企業の動向に関する年次報告及び昭和四十六年度において講じようとする中小企業施策の概要でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 中小企業基本法に基づく昭和四十五年度年次報告及び昭和四十六年度中小企業施策についての発言に対する質疑
#12
○議長(船田中君) ただいまの発言について質疑の通告があります。順次これを許します。石川次夫君。
  〔石川次夫君登壇〕
#13
○石川次夫君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十五年度中小企業白書に関して質問を申し上げます。(拍手)
 現在、中小企業の数は全企業数の九九・三%に達し、従業員数も七八%、二千七百万人をこえておりまして、農業就業者数一千万人そこそこの数をはるかにこしておる現状であります。しかるに、国の予算面では、中小企業者の納税額の七%程度のわずか一般会計で五百七十億円にすぎません。農業関係予算には、食管会計を含んでおりますけれども、その予算額一兆八十五億円であるのに比較いたしまして、あまりにも過少であり、国全体の予算の〇・六%を占めておるにすぎないのであります。中小企業の納める法人税、所得税が全体に占める割合が三七%、三八%というのに比較いたしまして、いかに政府が中小企業対策を軽視しておるかということを如実に示しておると思うのであります。
 加えて、昨今、資本と輸入の自由化、特恵関税の実施、後進国のキャッチアップ等の国際的な至難な条件や、国内不況や労働力不足等の波を主として負わなければならない中小企業に対して、このままの施策をもってしては、当然冷酷非情のそしりを免れないでありましょう。わが党は、前々から、中小企業庁は、その使命の重要さ、かつ、運輸、建設、農林などの各省にまたがる中小企業指導の責任から見ても、当然中小企業省に昇格をすべきであるということを強く要請をしてきておるわけでありますけれども、二重行政の煩を避けるという理由で一蹴されてきておるわけであります。しかし、通産省は、体質的に、大企業擁護を重点として行政を行なっておりますので、この通産省の中にある限り、予算の思い切った増額も、飛躍的な政策展開もとうてい望むことができないのであります。従来どおり、こま切れ予算、総花的の予算対策で当面を糊塗するにすぎないでありましょう。
 わが党は、また、大企業と中小企業間の生産分野を確定すべきことを立法化し、提案をしてきておるのでありますけれども、これまた、営業の自由を侵害するというような形式的法律論をたてにとって、今日まで顧みられておらないことは、返す返す遺憾千万といわなければなりません。この質問を繰り返しても、しょせん同じ答弁を聞くだけでありましょうから、あえて重ねて質問はいたしませんけれども、との要望は、わが党として、無為無策を憤る中小企業家とともに、強く今後とも要求し続けることをあえて申し上げておきたいと思うのであります。(拍手)
 そこで、実現可能なきわめて謙虚な案を提示をして御賛同を得たいと思うのでありますけれども、次官会議には、中小企業庁長官は現在は出席をいたしておりません。しかし、各省にまたがる中小企業対策の重要性を考えるときに、せめて中小企業庁長官を次官会議くらいには出席させてしかるべきではないかと思うのでございますけれども、総理大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。
 さて、現在は景気停滞の時期でありますけれども、大蔵大臣は、昨年金融引き締めを行なっていた際、再三にわたって、大企業には引き締めを行なうけれども、中小企業には影響のないよう十分な配慮をしておると言明され続けてまいったのであります。しかしながら、私は、ちょうどそのころ、関西の超大企業から二年サイトの手形で泣き寝入りをさせられた下請業者の実態というものを知っておるのであります。
 また、私の知人で、これは中堅企業家でありますけれども、売り上げ先の大手会社から手形がもらえない、やむを得ず、そのかわりに売り掛け残高証明書を出してもらうように要求したところが、それも拒否をされまして、昨年の暮れ、倒産寸前に追い込まれたという実例も聞いておるわけであります。
 かくのごとく、大蔵省が、机上のプランで中小企業の融資を十分に考えたつもりでいたといたしましても、現実問題といたしましては、大企業の金融難の波を下請や取引先がかぶらざるを得ない、このような実態というものをおそらく御存じないと思うのであります。
 総理は、財界の代表と定期的にあるいは随時会合を持ちまして、金利引き下げや金融緩和などの措置、その他十分な意思疎通をはかっておるわけでありますけれども、これらの代表は、全体の企業のわずか〇・七%程度の意見にすぎないということをよく考えていただきたいのであります。
 そこで、一つの提案をしたいのでありますけれども、中小企業の苦境、その実態、これを把握するための一助といたしまして、総理みずからが、中小企業家の代表との対話の場を定期的に設ける意向があるかどうか、これを伺いたいと思うのであります。これを拒否するというような態度であるならば、だれかが言ったように、財界の財界のための財界による政治と批判をされましても、弁解は不可能であります。
 さて、最近の不況に伴い、予期されたように倒産が増加いたしておりまして、昭和四十四年の八千五百二十三件を大きく上回りまして、昭和四十五年では九千七百六十五件となり、一件当たり負債額も大口化をしておるわけであります。以前と異なりましてその倒産の原因もきわめて複雑であります。新たな社会的要請をとらえることができなくて、拡大化と近代化を急いだための倒産とか、公害倒産の増加も最近続出しておるというのが特徴でありましょう。
 通産大臣に伺いますけれども、最近の倒産の特色、そうしてそれに即応する倒産対策はいかが相なっておりますか、お知らせをいただきたいと思うのであります。
 なお、白書によれば、二重構造の解消の方向に向かっているという説明がされておるわけでありますけれども、これは統計でとらえ得る範囲内においての話にすぎません。零細企業、家内工業等は、社会保障等も含めて抜本的な対策を必要とするのが現実でございます。
 また、中小企業にとって、公害防止あるいは日進月歩の技術開発などの資金需要というものはますます大きくなる一方であります。大企業に比して付加価値生産性がわずか六〇%というような現実がこれに拍車をかけておりまするし、かてて加えて国際化のきびしい波も乗り越えていかなければなりません。
 ところで、金融機関の中小企業向け貸し出し残を調べてみますというと、昭和四十年においては全体の中で四二・九%だったものが、最近四五・九%と向上いたして、若干配慮のあとが見えるわけであります。しかし、昭和四十三年においてすでに現在と同じ四五・九%であったことを考えますと、ことさら中小企業金融に特別に配慮をしたというあとは見えません。この従業員数の比率から言いましても、大企業二二%、中小企業七八%に比較いたしましても、少なきに失するということもまた論をまたないところであります。
 中小企業対策のための資金対策について画期的な目標を立てて、具体的に進めない限り、将来大きな社会問題化するおそれがあります。この方策について総理並びに大蔵大臣に具体的な答弁を求めるものであります。
 次に、公害対策でありますけれども、白書によれば、中小企業の七〇%は公害発生源を持ち、二〇%は表面化し、この対策のため倒産も続出しつつある現実であります。現在、中小企業金融公庫、振興事業団、公害防止事業団でそれぞれ対策をされておることは承知いたしておりますけれども、きわめて不十分、不徹底であります。無利子二十年程度の融資とその大幅な増額が考えられなければ、借りるに借りられないという現実を見詰めて対処していただきたいと思うのでありますけれども、大蔵、通産両大臣の所見を伺いたいと思います。
 次に、中小企業の低生産性が物価高の原因であるとよくいわれておりますけれども、ここにも政府の責任があらためて問われておるわけであります。同時に、物価安定の見地から流通の近代化をはからなければなりません。流通費用の中で、たとえばGNPの中で卸・小売業の占める比重だけを見ましても、昭和三十五年の一四%に比して、最近は二〇%になろうとして、漸次増大の傾向にございまして、庶民の生活を著しく圧迫しておることは現実であります。
 これに対応する流通機構近代化のための法律といたしましては、小売商業調整措置法、百貨店法、商店街振興法の三つにすぎませんで、いずれも現実に即応し切れない、きわめて古めかしいものだけであります。また、第二次物価問題懇談会において二件、物価安定推進会議において二件、物価安定政策会議において一件、計五件、かなり適切な流通機構改善についての提言がなされておるわけでございますけれども、これらは単に、政府が物価に取り組んでおる、流通機構に取り組んでいるという姿勢を国民に示すための隠れみのになってしまっておりまして、いずれも法律化をされ、実現化をするところまでは至っておりません。まことに怠慢といわなければなりません。経済企画庁長官並びに通産大臣は、抜本的流通機構近代化対策を早急に講じて国民にこたえる責任があると思いますけれども、その具体策をお示し願いたいと思うのであります。
 なお、白書によれば、経済に占める中小企業の地位は今後とも不変と予測をし、ただし、種々の変化に対応していくことが前提条件であると述べておることは、全く楽観論といわなければなりません。このきびしい急速な変化に対応するためには、新しい技術を身につけ、新しい頭脳集約型産業への転換にも応じられるようにして、さらに情報を的確に把握するとともに、みずからも大企業との情報化格差を解消し、情報化時代に適応できる技術と資本を伴わなければ、情報化時代には当然脱落を余儀なくされることは火を見るよりも明らかであります。現在では、まことに不可能に近い難事といわなければなりませんけれども、情報提供その他この対応策を指示、指導していくことこそ、当然政府の責任といわなければなりません。ポスト・インダストリアル・ソサエティーに対する技術と資本供与の用意と決意は、現在の情報化対策予算からは全然くみ取ることができないのであります。また、新しい技術を指導するには、現状ではあまりにも貧困といわなければなりません。この対策のための予算と組織を今後どうするか、大蔵大臣、通産大臣に伺いたいと思います。
 最近、発展途上国の追い上げは目ざましいものがございまして、昭和四十年から昭和四十四年の四年間に、台湾、韓国、香港からの輸入は、繊維で十一倍、電気機器に至っては実に二十九倍という驚異的な伸びであり、この中で特恵関税が施行されようとしておるわけであります。しかるに一方では、自由貿易の旗手をもって任ずるアメリカからのきびしい輸入制限があります。これに対応することは、中小企業にとって全く至難なことといわなければなりません。この特恵実施に伴って生ずる混乱、特に、倒産による不要機械の買い取りとかその他の対策について、通産大臣に伺いたいと存じます。
 最後に、これに関連して総理大臣にお伺いをいたします。
 特恵実施は、労働集約型産業の多い日本の中小企業にとって特に打撃は深刻でありますけれども、世界の趨勢としてこれは認めざるを得ません。
#14
○議長(船田中君) 石川君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#15
○石川次夫君(続) はい。しかし、この実施に伴って、日本の大資本が韓国、台湾に多く進出して、その逆輸入によって日本の中小企業を苦しめるだけでなく、日米共同声明の線に沿って日韓台の結びつきを特に強め、共産圏ないし中国敵視政策につながる懸念が持たれておるわけであります。
 ANCTADに加入していない国であるからとか、あるいはまた、先方から特恵供与の申し入れがないからとかいうような形式論にとらわれることなく、いやしくも各国に対し不平等のないように配慮をしてもらいたい。同時に、アメリカがわが国にとっておるところの輸入制限政策の論拠を認めるならば、特恵実施後、発展途上国に対して、わが国の中小企業もまた同じような輸入制限を要求するようになることは明らかでありますけれども、そのときに、これにどう対処するか。もし発展途上国に輸入制限を行なわないとすれば、現在のアメリカのとっている態度に対し、厳然たる方針でその是正を求めるべきであると考えるのでありますけれども、総理のき然たる所信を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えをいたします。
 石川君からは中小企業省を設置せよとの御意見でありましたが、中小企業行政は、本来、産業行政と一体となって運用されることが望ましく、かつ必要であります。この意味において、製造業や流通業など産業の大部分を所掌する通産省が中小企業行政をも取り扱うことが適当だと考えております。この点では、社会党から毎年中小企業省を設置しろといわれますが、政府は同じように毎年ただいまのような答弁を繰り返しております。この点を御了承いただきたいと思います。
 そこで、せめて次官会議に企業庁の長官でも出せ、かような御提案でございました。私は、現在の次官会議の構成で十分事足りておると思いますが、なお、せっかくの御提案でございますから、これは検討することにいたします。
 中小企業を重視せよとの御意見については、何ら私にも異存はございませんし、中小企業政策は国の最重点施策の一つとして重視し、関係省庁間の緊密な連絡のもとに施策の一そうの充実をはかってまいります。
 次に、不況下においてはややもすると大企業からしわ寄せを受けやすい立場にある中小企業、下請企業のため、必要な指導、監督を行なってきておりますが、なおその実態把握には一そう留意してまいります。石川君は、このため中小企業者と対話の場を持てとの御意見でありましたが、具体的には所管大臣からお答えするとおり、従来とも多くの門戸を開放しております。今後一そう中小企業者の直接の意見、希望を反映し、適切な中小企業行政を展開してまいります。
 次に、金融問題についてでありますが、特に最近の中小企業は、内外の環境変化に直面して、体質改善をはかることが急務となっており、このための資金の確保が不可欠になっていることは十分承知しております。このため政府は、政府関係中小企業金融三機関の貸し出し規模の大幅な拡充、信用補完制度の充実等をはかるとともに、公害防止技術の企業化など、特に緊急を要する分野に対する政策金融の拡充につとめているところであります。今後とも中小企業金融の強化については十分配慮してまいる考えであります。
 最後に、特恵関税についてお触れになり、この問題がしばしば特殊の意味を持つ、あるいは中共を敵視する政策の一つのあらわれだ、かような御批判まで受けましたが、私は、この特恵関税は、いわゆる開発途上国に対して特にわれわれが考慮していかなければならない先進工業国としての責任のある問題だと思います。しかし、この特恵関税を与えることによって、ただいまのような政策的な疑惑を持たれることは別といたしましても、国内の中小企業に及ぼす影響等は私ども十分考えていかなければならない、かように思いますので、特恵関税の供与については、この上とも在来同様慎重なる態度をとるつもりでございます。
 以上、私から答えまして、その他の点は所管大臣からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#17
○国務大臣(福田赳夫君) 不況下の中小企業金融についてのお尋ねでございますが、私は、不況の時期におきましては、中小企業の金融に特別に配意をしなければならぬ、これは石川さんと全く意見が一致します。そういう見地から一般の金融につきまして行政指導、これはかなり効果をあげておると、こういうふうに見ております。また政府金融、つまり三機関等におきましてその資金量を拡大する、そういう措置をとっていることはただいま総理から申し上げたとおりであります。
 特に、石川さんは、公害対策、このために資金を大幅に増大せよと、こういうお話でございますが、そのとおりにやっております。貸し付けの総量は、三機関はもとより、中小企業振興事業団において本年度の予算では二四%も増加しておる、また公害防止事業団では三倍にいたしておる、こういうような状態でございますが、金利につきましても、中小企業公庫、また国民公庫では特別ワクを設定いたしまして、最優遇金利を適用しておるわけであります。また、中小企業振興事業団におきましては、その公共公害防止施設、これにつきましては無利子の貸し付けまで行なう、こういうような状態でありますが、なお今後とも中小企業に対しましてはさらに配意をいたしてまいりたい、かように考えます。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年、昭和四十五年に中小企業の倒産が心配すべき状態にありましたことは、御指摘のとおりでございます。その特色は何であったかというお尋ねでございますが、やはり調査をいたしますと、販売の不振、過剰投資などがおもな原因となって出ておりますのは、おそらくやはり金融引き締めとの連関であったろうと存じます。今年になりまして状況は多少落ちついてまいりました。これは年度末の融資をいたしましたことも幾らか効果があったと存じますし、また倒産関連の信用保険、佐藤造機などに見られましたような場合の関連倒産でございますが、この措置もあずかって力があったのではなかろうか、こう見ております。
 なお、今年これからでございますが、金融も正常化してまいりましたし、企業間信用がかなりほぐれるような傾向にございますので、まず平穏に推移できるのではないかと存じますが、引き続き注意をいたしてまいります。
 次に、公害の問題につきましては、ただいま大蔵大臣からお答えもございましたが、公害防止事業団あるいは中小企業振興事業団、中小公庫、国民公庫などが特別の中小企業向けの公害関連の貸し付けをしておるわけでございます。ただ、制度としては整い、金も準備されておりますけれども、御指摘のように直接利潤を生む投資ではございませんので、はたしてこの制度がうまく使われ、有効に動くかどうかということにつきましては、十分私ども注意をしてまいるつもりでございます。その結果、改善を要するものがあれば、なお改善をいたしたいと考えております。
 流通の近代化の問題は、中小企業問題の中で一番むずかしい問題でございます。従来の施策についてはもう石川議員が御承知のとおりでございますが、何か全体について根本的に考える必要はないかということにつきましては、実は私どもも同じような感じを持ちまして、ちょうど昨年の暮れに産業構造審議会に、この流通問題を今後どうすべきかという諮問をいたしたところでございます。この答申をまちまして基本的な問題を取り上げていきたいと思っております。
 それから情報の問題についてお尋ねがございました。石川議員の言われますような、いわゆるポスト・インダストリアル・ソサエティーと仰せられましたが、その際における中小企業の強みは、やはり情報価値を実現するということでございますから、そのような情報処理のシステムを中小企業の経営に向くような標準的なものを開発いたしつつございます。それから使います機関としては、中小企業はやはり共同計算センターのようなところを一番使うわけでございますから、それらに対しての特別の融資をいたしておりますし、また、小型の電子計算機を信用賦払い、機械類の信用保険の対象にいたした次第でございます。
 特恵につきましては、総理からお答えがございましたが、やはり一般的な構造改善対策のほかに、先般お認めをいただきました中小企業特恵対策臨時措置法によりまして、万々一の場合の策あるいは転換に対する援助等を規定いたしておりますので、これを要すれば発動をして有効に活用いたしたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣佐藤一郎君登壇〕
#19
○国務大臣(佐藤一郎君) 流通の近代化において特に中小帝業の問題が重要である、そういうことからして今後の対策いかん、こういうことでございます。
 物価、特に消費者物価の問題から言いましても、労力確保の点から言いましても、また格差の是正の点から言いましても、全くいま御指摘の点は私たちも同感でございます。そういう意味においては、いま通産大臣からもすでにもうお話がございましたけれども、やはり新しい生産、消費、成長に対応した姿の流通機構というものを実現するために、いろいろと制度の改正その他も相当行なわなければならないところがございますし、特にその段階の簡素化ということをわれわれはいま提唱いたしております。
 また、物的な投資については、先ほども御指摘がありましたように、さらにこれを過剰でない、むだのない集中投資を行ないまして、そうして近代化をはかり、労力を少しでも省いていく、こうしたことがまた必要になってまいります。
 その他系列化についての手直しの問題、ボランタリーの問題いろいろございます。これらは産構審の答申をまちまして、われわれもさらに積極的に進めてまいる予定にいたしております。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(船田中君) 宮井泰良君。
  〔宮井泰良君登壇〕
#21
○宮井泰良君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま御説明のありました昭和四十五年度中小企業の動向に関する年次報告並びに昭和四十六年度において講じようとする中小企業施策を通して、政府の中小企業政策全般に関して総理並びに関係大臣に所信をお伺いします。(拍手)
 今回の中小企業白書は、高度成長により大型化し、環境の激変と構造の変動にゆれ動く日本経済の中での中小企業の位置づけと、今後の発展の方向を探ろうと試みております。二重構造の変化、労働力不足の進行、物価問題と流通、公害問題等々、中小企業が当面する問題を意欲的に分析し、急激に成長してきたサービス業の動向を取り上げ、さらに事業転換の追跡調査を行ない、その結果をまとめておられる、その努力を買うに私はやぶさかではありません。しかし、白書はただそれだけにとどまっております。問題解決の具体的な掘り下げの甘さと、大きく変わりつつある産業構造に即応した新しい中小企業政策が示されておりません。
 そこで、私が本日お尋ねすることの一つは、中小企業の基本的政策路線についてであります。
 今日、景気の停滞下にあって、政府の中小企業近代化政策の有効性が再び問題となってきていることは、総理もすでに御承知のところであろうと思います。政府の中小企業政策のあり方、なかんずく近代化政策の有効性ということについては、昨年度の中小企業白書に対する質問でわが党がすでに指摘したところであります。それぞれの業種で、製品と市場の多様化が進み、企業類型も多様化している今日にあって、なお従来と変わらぬ近代化方式に固執している政府の姿勢は、明らかに現状認識に背を向けるものであると思うのであります。
 すなわち、政府は中小企業近代化の唯一のきめ手として構造改善政策を昭和三十年代より今日に至るまで一貫して強力に推進してこられた。企業集約化によるスケールメリットをひたすらに追求する政策をとってこられております。そして今日、白書によると中小企業は大企業との格差を縮小して、二重構造は大きく改善され、中小企業はもはや保護されるべき経済的弱者としてとらえることは妥当ではなくなったと見ておられるようであります。
 しかし、これは一方的で非常に甘い見方であると思います。賃金及び付加価値生産性格差の縮小にしても、過度の労働力不足とそれによってもたらされた高賃金によるところが大きいのであって、必ずしも高度化政策の成果ではないと申し上げたい。今日もなお、企業倒産は毎月一千件近くの高い水準で発生しておるのでありますが、倒産原因は非常に多様化してきているといわれております。従来のごとき、単なる構造倒産論では割り切れない面が多く出てきております。倒産状況を見たとき、そこにはこれまでに見られなかった全く新しい産業構造の上での変化があらわれておるのであります。この変化について、白書も指摘しておりますが、政府が従来講じてきた近代化方式に疑問が持たれるゆえんはこの辺にあると思います。(拍手)
 すなわち、企業集約化によるスケールメリットの追求によって、量産体制の確立と企業規模の拡大をはかろうというのが政府の中小企業政策の基本路線であり、最も力を入れておられる構造改善政策であろうかと思います。しかし、今日においてはこのような路線は昭和三十年代的な発想であるとさえいわれております。確かに、ある時期においてはかなりの成果をあげ、あるいは今日においても業種業態によってはなお有効必要な政策であることは私も認めるものであり、必ずしも全面的に否定するものではありませんが、昭和四十年代の後半に入った今日、事情は大きく変わってきております。このことは総理も認められるところであろうかと思います。
 今日、脱工業化社会ということばが広く用いられていますように、産業社会は量産型重化学工業の成熟によって、研究開発あるいはデザイン開発等々の特徴を持つノーハウがリーリングポイントとなって中小企業の成長パターンを激しく変化せしめつつあります。そして、そこに知識集約型産業というか、頭脳会社的性格の強い企業――既存の産業分類では割り切れない企業の台頭が見られるようになったのであります。
 このような経営資源の時代的変化という認識に立つならば、単純なマスプロを追求するスケールメリット論的な政策はもはや一〇〇%有効な政策とはなり得ないと思うのであります。政府は、もはや規模の概念が企業の優劣と結びつく時代ではなくなったとの認識の上に、長期的展望に立って適切な基本路線を打ち出すべきであろうと思います。私は、中小企業が適正に発展していくための有効な政策を早急に検討し、明示しなければ手おくれになると断言したいのであります。総理及び通産大臣はどのようにお考えになっておられるのか、産業構造審議会で新しい通産政策が検討されているやに聞いておりますが、そこに示された基本姿勢とあわせて所見を伺っておきたいのであります。
 質問の第二は、中小企業にとってそのいずれもが古くて常に新しい問題でありますが、中でも特に中小企業金融、労働力確保、貿易政策、事業転換対策、公害対策などについてであります。
 最初に金融対策についてでありますが、政府は中小企業施策に占める融資対策の位置づけをどのように見ておられるか、総理に伺いたいのであります。
 近年の激しい環境の変化に対応するための中小企業の努力は、並々ならぬものがあります。政府は、企業の自助努力ということを強調しておりますが、従来のような中小企業金融のあり方では努力のしようがないのであります。そこで、現在多く存在する中小企業金融問題点の中から、一つの問題を指摘したいと思うのであります。
 それは、歩積み・両建てなどの拘束預金が依然として巧妙に行なわれているということであります。拘束預金の自粛通達は、これまでに幾度か出されており、年ごとに漸減してきているとはいえ、四十五年十一月においては、貸し出し額に占める拘束性預金の比率は、中小企業が一五・三%となっており、大企業の一・六%から見ても、中小企業が不利な条件にあることが明らかであります。また、信用保証協会が保証した貸し付けですら拘束預金を強要する金融機関があることも耳にしております。
 独占禁止法では、特定分野における特定の不公正な取引方法を指定しておりますが、その中に銀行業における不公正な取引方法を定めて、拘束預金を禁止する方向に持っていくべきであると考えます。この点について政府はどのような措置を講じられるつもりか、大蔵大臣、通産大臣並びに公取委員長に所見を伺いたいのであります。
 次に、労働力確保の問題であります。
 中小企業の労働力不足は、かねてから労働集約的である中小企業にとって、最も重大な問題であります。白書でも指摘されているように、経済の大型化と産業構造の変化の中で、特に若年労働力や熟練労働力の確保は、今後一そう深刻化すると予想されております。このような現状に対して、政府はどのような対策で問題解決をはかろうとされておられるのか、総理並びに通産大臣に伺いたい。
 白書によりますと、労働問題解決策の一つとして、パートタイマー及び家内労働者の利用を示唆しておられますが、今後の方向についての所見を伺いたい。
 さらに私は、人材銀行をもっと充実強化するとともに、システム化による有機的運営をはかっていくことを提案したいと思いますが、関係大臣の所見をお伺いします。
 次に、事業転換の問題についてであります。
 中小企業の転廃業は、国際化の進展とともに、静かに拡大し、特に転出専業の軽工業部門に多いといわれております。留意しなければならないことは、中小企業にとって、この事業転換が、きびしい経済環境に適応し生き延びていくための余儀ない方策であり、そしてまた、一般的には、転換企業は新規開業の企業よりその業績が劣るという結果が出ているということであります。したがって、政府はこの問題に本腰を入れて取り組むべきでありますが、その考えがおありかどうか、基本策並びに具体例で示していただきたい。
 政府は、昭和四十六年度において講じようとする中小企業施策の特恵関税対策の中で、わずかに転換企業に金融、税制、指導等の助成措置を講ずることにしておられますが、その内容はいまだ不十分といわねばなりません。事業転換はあくまでも企業の自発的な意思によるものであり、政策的に推進することには検討の余地があろうかと思います。転換を望む事業に対しては、的確な情報を提供するなど、適切な方向性を指導することは必要であります。また、政策金融の拡充と廃業者に対する保障制度の充実を強力に推進すべきであると考えますが、所見を伺いたいと思います。
 次に、貿易政策について一、二の点をお尋ねいたします。
 わが国の貿易は、今後ますます大型化し、新経済社会発展計画によると、昭和四十五年から五十年における貿易の伸びが、年率七・五%になることが予想される中で、わが国の輸出の伸び率は一四・七%となっております。政府は中小企業の輸出をどの辺まで伸ばそうと考えておられるのか、今後の中小企業貿易の基本政策とともに伺いたい。
 また、最近の米国における保護主義の台頭と、発展途上国との米市場における競合問題などにより、わが国の輸出市場も再検討の必要に迫られております。そのような意味から、通商立国として、わが国が長期的に見て今後さらに貿易を発展させていくために、共産圏貿易を含め、どのような具体策を持っておられるのか、所見を承りたいのであります。
 次に、中小企業の公害対策についてであります。
 最近の公害意識の高まりの中で、中小企業は公害防止対策を講ずる必要に迫られ、多額の資金負担に追われていることは、白書も指摘しているところであります。
 しかし、その資金調達はきわめて困難であり、金利負担などの点からも対応策をとり得ない状況にあって、政府の抜本的な手厚い支援を必要としております。政府は中小企業の公害対策について、特に資金面、用地の取得、技術開発等の援助の面から、どのような施策を講じていくつもりなのか、総理大臣及び総務長官の所信をお伺いしたい。
 また、白書では、公害防止対策の有効な方法として、共同公害防止事業を示唆しておりますが、政府はこれらの事業を助成するため、いかなる施策を用意しておられるのか、通産大臣にお尋ねいたします。
 以上、中小企業が当面する諸般の問題について伺いました。私どもがこれまで機会あるごとに幾度となく政府に申してきましたことは、政策の一貫性ということであります。いまさら申し上げるまでもなく、一個の事業活動は点の連続ではなく線であり、一つの流れとしてとらえるべきであります。したがって、一つ一つの政策がすぐれており、それを講じたとしても、そこに一貫した流れが存在しなかったならば、真の効果は期待できないのであります。
 このような観点から、この際、政府はあらゆる施策を総点検し、総合的に整理するとともに、その施策が中小企業者にどれだけ普及、浸透しているか確かめる必要があろうかと思いますが、政府はいかなる努力を払っていかれるつもりか、最後にこの点をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 宮井君にお答えいたします。
 中小企業の近代化を進めるにあたって、企業規模は単純にこれを大きくすればよいというものでないことは御指摘のとおりであります。技術の特性や市場の大きさなどに見合った適正な規模を達成することが必要であります。特に産業構造の地域集約化という新しい動きを考えるとき、創造力の発揮のしやすさということも、適正規模を考える際に重要になってくると思われます。政府としては、こうした点にも留意しつつ、中小企業近代化を目標として、常に新しい時代に即応した適切な対策を進めてまいります。御提案のありました中小企業施策の再検討にも十分留意してまいります。
 次に、中小企業に対する融資の問題でありますが、さきに社会党の石川君に対しお答えしたとおりであります。当面の中小企業の金融逼迫に対しては、昨年末、年末財投、年度末金融措置等により対処してきたところでありますが、今後とも中小企業金融の円滑化については十分配慮してまいります。
 この際に、歩積み・両建て、その他資金の拘束化等についての御意見をまじえてのお尋ねがありましたが、これは大蔵大臣からお答えいたします。
 次に、労働力確保の問題でありますが、長期的に見て、若手を中心に人手不足は激化する一方であろうと思います。機械化などで極力人手を省く努力をするとともに、中高年齢層や婦人などの労働力を利用するくふうも必要であります。しかしながら、その基本は中小企業全体の向上であり、近代化であると、かように考えます。
 中小企業の事業転換も、今日のような目ざましい経済発展のもとにおいては、新しい分野、より成長の期待できる分野を求めての積極的な転換の反面、労働力不足の深刻化や発展途上国の急速な追い上げなどのきびしい環境変化に直面して、転換を余儀なくされる場合もあることは、御指摘のとおりであります。政府としても、業界全体の構造改善事業の一環として、転廃業対策もあわせ行なうとともに、一般的な転廃業対策を進め、特に特恵関税の供与によって事業転換を余儀なくされる中小企業者については、本国会で成立を見た中小企業特恵対策臨時措置法、これによりまして助成措置を強化したところであります。
 次に、貿易に対してお尋ねでありましたが、わが国経済の長期的な発展をはかるためには、いかなる国、いかなる市場に対しても、可能な限り貿易の拡大をはかっていかなければならないと考えます。社会主義国との貿易の拡大については、ソ連、東欧等すでに正常な国交関係にある国々とは、今後とも貿易を進めるとともに、中共のようないまだ国交関係のない国とも、前向きに貿易の拡大をはかっていきたいと考えます。
 その他の、中小企業と貿易の問題あるいは公害防止の問題につきましては、それぞれ所管大臣からお答えをいたします。
 以上で、私からの答弁は終わります。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#23
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 拘束預金についてでありますが、この問題につきましては、数年前から計画的にこれが整理に着手したわけであります。かなり実効をあげてまいったのですが、どうも最近の金融逼迫状況下でその実体がまた復元をしてきた、こういうふうに見ておるのであります。これは、お話しのように、けしからぬことでございますので、これが実体をまず突きとめたい、そして、それが解決をしてみたい、こういうふうに考えておりまして、今月、この問題だけにしぼりまして特別検査を実行いたしております。必ずこれは成果をあげる。ことに、いま金融緩和の情勢でありますので、これが進むにつれまして、この行政指導と相まちまして効果をあげるであろう、こういうふうに考えております。
 拘束預金は、これは銀行という債権者とそれから事業家との間の債権債務の関係、債権者、債務者というきわめて複雑な関係のもとに生ずる、こういう現象でありますので、これを法的に規制する、これは私はなかなかむずかしい問題じゃあるまいか、そういうふうに考えておりますので、せっかくの独禁法改正の御提案でございますが、これについては、私は現在のところ賛成いたしかねます。しかし、法の改正をまたずとも、ただいま申し上げましたような行政指導を通じまして、これが是正には万全を期してまいりたい、かように存じます。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#24
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、脱工業化社会にあっては規模の利益だけが万能ではないと言われましたことは、私どももまさしくそういうふうに考えておりまして、それがこのたびの白書でも指摘をいたそうとした点でございます。
 そのような事態に、しかし、どうやって対処をするのか、その対策のほうはどうかと言われる点が、御質問の第一点でございました。
 最近、比較的若い年齢層が、自分たちで新しい、付加価値の高い、情報価値のある仕事を始めたいという人たちが確かに多くなってまいりまして、最初にぶつかる問題は、やはり資金の問題のようでございます。たいてい国民金融公庫あたりにそういう話がまいりますので、そういうところでそういう話にできるだけ応じることができるような、そういう体制をさらに徹底をしてまいることが、比較的お互いに効果の多い方法ではなかろうかと思っております。なお、同時に、国の内外の情報を提供する、あるいは、先ほど申し上げましたが、標準的なシステムを開発して使ってもらうというようなことも有効であろうと思っております。また、そういうことをいたしつつございます。
 拘束預金につきましては、ただいま大蔵大臣からお答えがございました。
 それから、労働問題につきましては、総理大臣から御答弁がございましたが、人材銀行というものをこれからどう考えるのかと言われます点につきまして、労働省では、さらにこれを本年度も増設をしていきたいというお考えでありまして、今後とも活用するというのが政府の方針でございます。
 それから、転換の問題につきまして、先ほど特恵臨時措置法についての御答弁が総理からございました。この法律は今回御可決をいただいたわけでございますけれども、どの部分が特恵に基づくものかということは、必ずしも現実の問題としては判定がしにくいわけでございますから、なるべくその点は、広く読んで法律を適用していきたい、広く解釈していきたいというふうに考えております。
 それから、輸出の問題でございますが、中小企業の輸出の伸びは概して順調でございますが、特に中小企業にとって必要なことは、やはり見本市を開いてあげるとか、あるいは輸出取引秩序を確立していくとか、また、海外の情報を提供するとかいうようなことが一番きき目がございますので、そういうところに重点を置いております。
 なお、昨年度御可決をいただきました、中小企業のいわゆる統一ブランドの問題でございますが、これはその後、金属洋食器、西陣織り、めがねなどに実施をいたしまして、わが国の中小企業製品の信用を維持し高めるという方向で、すでに実施を始めたところでございます。
 公害につきましては、先ほど石川議員に申し上げたとおりでございますが、何ぶんにも利潤を生まない投資であるということから、現在設けられました制度が実際に利用されていくかどうか、私ども十分注意をして見ておりまして、要すれば、さらに改善をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
  〔国務大臣山中貞則君登壇〕
#25
○国務大臣(山中貞則君) 公害防止施設は、ただいまの通産大臣のお話のように、収益に貢献しない部門を強制的に国家、地域社会のために投資を余儀なくされるものでありますから、それに対する資金量、あるいは金利あるいは償還条件等については、先ほど大蔵大臣のお話がありましたように、特別にめんどうを見るようにいたしておるわけでございます。
 なお、一般にも、同じような、普遍的に利潤を生まないということで、特別償却を初年度二分の一という制度をとるようにいたしましたが、中小企業については、特別に、五千万円以下、従業員三百人以下に条件を付しまして、三〇%ずつ、三年間九〇%の特別償却を、選択制を採用することにいたしております。
 なお、固定資産税等の軽減率の引き上げ等も、二分の一から三分の一に引き上げておりますし、公害防止事業費事業者負担法に基づく負担金の支出につきましては、その財源の貸し付けを新しく開きますとともに、その支出いたしました負担金は、早期償却の道を開くようにいたしておるつもりでございます。(拍手)
  〔政府委員谷村裕君登壇〕
#26
○政府委員(谷村裕君) お答えいたします。
 歩積み・両建て預金につきましては、まず、監督官庁である大蔵省が、積極的かつ適切に指導されることを望みたいと思います。
 独禁法に基づき金融業における不公正な取引方法を指定するという、いわゆる特殊指定を行なうかどうかにつきましては、今後の、私ども公正取引委員会の調査や、また、大蔵省の検査の結果等を検討いたしまして、総合的に判断いたしました上で態度をきめたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(船田中君) 吉田泰造君。
  〔吉田泰造君登壇〕
#28
○吉田泰造君 私は、民社党を代表し、ただいま御報告のありました、昭和四十五年度中小企業の動向に関する年次報告に対して、若干の質問をいたしたいと思います。(拍手)
 現下の中小企業を取り巻く情勢は、まことにきびしいものがあります。高度経済成長を続けてまいりました日本経済も、ようやく鎮静化の方向に向かい、景気の停滞が続いております。特に中小企業は、この不景気の影響を強く受けるとともに、発展途上国の激しい追い上げ、対米輸出環境の悪化、人手不足、公害問題の深刻化など、従来にも増して、その前途は容易ならざるものがあります。
 そこで、私は、これら中小企業問題の解決の方策について質問をいたしたいのでありますが、その前に一点だけ、現在、中小企業経営者が非常に関心を持っております今後の景気動向について、お伺いをいたしたいと思います。
 今回の景気調整は、白書の指摘にもありますように、従来のそれと比較して軽微であるといわれておりますが、その是非は一応別にして、景気は現在すでに底入れの段階に入っているのかどうか、また、その時期はいつごろであるかどうかを、経済企画庁長官並びに通産大臣にお伺いしたいと思います。
 あわせて今後の経済見通しについて、巷間、中期停滞論がしきりにいわれておりますが、政府としてはどのような見通しを持っておられるのか、お伺いをいたしたいのであります。
 中小企業問題に関する質問の第一は、政府の農業を含めた産業政策に対する姿勢についてであります。
 今年度の政府予算案を見ましても、中小企業対策費はわずかに五百七十九億円と、全予算の一%にも満たないのであります。ところが、一方において農業対策費を見ますと、実に一兆円をこえる予算が計上されているのであります。千六百六十万人が働く中小企業に対しては予算が一%にも満たず、中小企業に比較して三分の一強の就業者しかいない六百三十万人の農林業に対しては一兆円の予算が組まれている現実は、あまりにも農林業偏重、中小企業軽視の施策と断言せざるを得ません。(拍手)まして、一兆円の予算を計上している農業政策において、米はますます余るとともに、生鮮食品の価格が暴騰している状態を見るとき、まさに、予算のむだづかいもはなはだしいといわざるを得ないのであります。(拍手)
 かつて、物価問題に関連していわゆる大川報告が発表されましたが、その中で、GNPの最低一%を低生産部門へ投入すべきであるという勧告がなされております。政府はこの際、これまでの農業偏重の産業政策を根本的に改め、中小企業を重視する政策に転換すべきであります。具体的には、少なくとも一千億円の中小企業予算を計上するのが至当であると考えるのでありますが、総理並びに通産大臣の御見解を承りたいのであります。(拍手)
 質問の第二は、今回の白書に関連して、大企業と中小企業との格差についてであります。
 白書によりますと、戦後の中小企業問題は二重構造の存在にあったと規定し、その二重構造はいまや解消されつつあると、楽観的な見方をしているのであります。はたしてそうでありましょうか。確かに資金格差をとりますと、大企業のそれを一〇〇として中小企業は七〇%強になり、欧米並みの構造に近づいていることは、白書の指摘のとおりであります。しかし、最も重要である付加価値生産性は、大企業に比べ中小企業は依然として五〇%強にしかならず、その格差はあまりにも大きいといわなければなりません。欧米の場合、その格差は、大企業を一〇〇として中小企業は八〇%前後であり、わが国との差は歴然としているのであります。一人当たりGNPがヨーロッパ並みになった現在において、なおかつ、中小企業と大企業との生産性格差がかくも大きいということは、一体何を物語っているのでありましょうか。言うまでもなく、政府の大企業中心の経済政策の結果であると断言せざるを得ません。(拍手)
 この生産性格差を縮める道は、一つは物的生産性の向上であり、もう一つは、価値実現力の高まりでありますが、そのための政策として、私は、金融並びに税制についてお伺いしたいのであります。
 現在、三つの政府系中小企業金融機関がありますが、全体の中小企業向け融資に占めるその比重は、ことしの一月で一〇・一%にしかすぎません。この比率は、昭和三十七年当時の八・九%から、わずかに一・二%だけ向上したにすぎないのであります。今回の景気調整を見るまでもなく、民間金融機関の融資態度は、金融引き締めと同時に、まっ先に中小企業向け融資を削減しているのでありますが、その中にあって、中小企業者の政府系三金融機関に対する期待は、まことに大きいものがあります。この期待にこたえるべく、政府は、少なくとも三金融機関の融資比率を二〇%にまで高めるよう、年次計画を作成すべきであると思います。同時に、わが国の全般的な金利引き下げ傾向に伴って、三機関の貸し出し金利も、現在の八・二%から八%に引き下げるべきであると考えますが、大蔵大臣の所見のほどをお伺いいたしたいのであります。
 あわせて、大蔵大臣に、税制問題についてお伺いをいたします。
 今年度から青色事業主特別経費準備金制度が発足いたしましたが、これは、確かに中小企業者にとって一歩前進の措置であるということは認めますが、従来から中小企業者の要求である個人企業の事業主報酬の創設は、今回の措置で代替されるものであるかどうか。また、付加価値税の創設は、中小企業者にとって不利な制度であり、これは今後とも導入すべきでないと思うのでありますが、大臣の率直な見解を承りたいのであります。
 質問の第三は、商業政策についてであります。
 わが国の商業は、現在非常に大きな転換期に直面していることは、いまさら申し上げるまでもありません。一方においてデパート、スーパー、農協、生協などに見られる大量販売機関が進出するとともに、他方、全国百三十万の中小小売り商は、依然として零細で、低生産性に苦しんでいるのであります。にもかかわらず、政府の商業政策は、従来のからから一歩をも出ず、あまりにも消極的、制限的であり、積極的振興政策はほとんど見られないのであります。すでにわが党は、一昨年の国会において、商業政策の基本をなす中小商業振興法案を提案いたしているのでありますが、政府は、今後の商業についていかなるビジョンと、その実現のための計画を持っておられるのか、この際明らかにしていただきたいのであります。
 質問の第四は、中小企業と公害問題についてであります。
 いまや、公害追放は全国民的課題であり、もはや、産業発展を口実にした公害の発生は、中小企業といえども許されないことは言うまでもありません。この観点から、無過失損害賠償責任制度を早急に確立すべきでありますが、この制度の確立により、中小企業の負担がますます増大することは明らかであります。この問題を解決するため、中小企業者に、公害防止義務を守る意思が明らかであり、かつ防止措置を講じたにもかかわらず発生した被害の賠償については、それを救済するため、賠償責任保険制度を同時に創設すべきであると思うのでありますが、通産大臣並びに総務長官の御見解を求めたいのであります。(拍手)
 以上、私は数点にわたり政府の所信をただしてまいりましたが、最後に、中小企業者に希望を与え、今後の進むべき道を明らかにするためにも、政府は中小企業五カ年計画を早急に確立をし、五年後の目標を設定することが急務であると思うのでありますが、総理並びに通産大臣の所信のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 吉田君にお答えをいたします。
 吉田君は、現在のわが国の産業政策が農業中心であるとの御意見でありましたが、私は必ずしもこの御批判は当たらないのではないかと、かようにも考えます。
 中小企業は、規模、業種、業態がきわめて多岐にわたっておりますので、政府の施策も単に一般会計だけでなく、財政投融資、金融、税制の各般にわたって、総合的に中小企業対策を進めているところであります。また、社会政策にしても、住宅政策にしても、その相当部分は直接間接、中小企業に寄与するものでもあります。中小企業につきましては、今後の産業発展をになう重要な経営主体として期待していることは、白書においても明らかにしたとおりであり、今後ともその健全な発展のために十分留意してまいる考えでございます。
 以上で私は、直接のお尋ねに答えたつもりでありますが、最後に、中小企業に期待を持たすために五カ年計画を立てろ、こういう御提案がございました。これについては、通産大臣からもさらに具体的にお答えすることだと、かように思います。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#30
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず、中小三機関の機能を充実せいと、こういうお話でございますが、まあ融資の量にいたしましても、また質にいたしましても、逐年充実を進めてきております。なお今後とも努力をいたしたいと存じます。
 それから、付加価値税の導入に慎重であれということでありますが、これは私、そう思います。私は付加価値税には魅力を感じています。つまり私は、かなり思い切った所得税減税を近い将来に行なうべきである、こういうふうに考えておるのですが、さて、それを行なうための財源をどうするかというと、どうも付加価値税以外にいま私の頭に見つかるものはない。そういう意味において大きな関心を持っておりますが、しかし、御指摘のように付加価値税を導入するということは、わが国の税制の根本的改革になるわけなんでありまして、また与える影響も実に広範で深刻である、そういうようなことを考えますと、これは慎重に検討せざるを得ない。ただ、すでにEEC諸国では、これは採用することを決議をいたしております。また、逐次これを実行いたしておる。それからその他の国におきましても、これの検討を始めておる。こういうよなう世界的な潮流もありますので、わが国においてもこれをぽつぽつ検討をするということは適切なことであるというふうに考えまして、税制調査会においてこれが御検討をお願いいたしたい、かように考えております。
 それから、青色事業主特別準備金制度につきまして、これは事業主完全給与制へ移行する前提としての措置であるかというようなお尋ねでございますが、そうじゃございません。事業主完全給与制、つまり事業主が給与を受け取るのだという考え方、これは税法においては許されない考え方である。したがいまして、青色事業主特別準備金制度は、暫定的なものではなくて、これは固定的なものである、かようにお答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#31
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、一般的な経済の見通しにつきましては、後ほど経済企画庁の長官からお答えがあろうかと存じますので、中小企業との関連を中心に申し上げますと、金融緩和の最初の政策がとられましてから半年になりますので、まず従来の経験から見まして、ぼつぼつそれが下のほうにも浸透する時期でございます。ことに今年度は、公共事業の出足が非常に早うございますので、そういうこともありまして、企業間信用がかなりほぐれ始めるのではないかというふうに考えております。
 そこで、これからあとの今年でございますけれども、大企業の設備投資意欲が御承知のようにかなり弱いようでございますから、そうだといたしますと、中小企業にとって省力投資、あるいは高度化投資をするのにはかなりいい環境の年になるのではないか、またそのように経済政策を運営してまいるべきだと思っております。
 農業との関連、対比につきましては、先ほど総理から御答弁がございました。
 それから格差の問題でございますけれども、白書でも申しますように、中小企業の生産性の格差、生産性の高低につきましては、かなり業態によりましてばらつきがございます。ございますが、おそらくこのように人手が不足になってまいりましたので、中小企業におきましても、やはりどうしても機械装備率を上げる、省力化投資ということは、もうますます必要になってまいりますから、私は、大勢として格差は縮まる方向にあるのではなかろうかと考えます。
 なお、御指摘のように、その際物的生産性の向上ばかりでなく、むしろ付加価値、あるいは情報価値と申しますか、製品の高級化あるいは多様化、個々人の好みに応じたような製品という方向で中小企業の生産性をあげていくべきものだ、かように考えます。
 それから金融につきましては、先刻大蔵大臣から御答弁がございましたので省略をいたします。
 それから流通、中小商業の近代化の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたが、一番私どもが頭を痛めているむずかしい問題でございます。
 いま御指摘のありましたビジョンが確かに必要なのでありまして、従来のようなボランタリーチェーンでありますとか、あるいは商店街の近代化、商業団地といったようなもののほかに、基本的なビジョンが要るといわれますことは、私どももそう思います。昨年の暮れからそのビジョンづくりを産業構造審議会にお願いしてございます。それができましたら、政府の施策として取り上げてまいりたいと思っております。
 それから、無過失賠償責任の問題でございますが、これはただいま総務長官が中心になられて検討しておられます。
 その際、責任保険制度というものを中小企業のためには考えるべきではないかということは、示唆に富んだ御指摘だと思います。同時にということができるかどうかは別といたしまして、そういうことは私ども検討してみたい。何かそういうことが必要かもしれない。これは御指摘をよく考えさせていただきたいと思います。
 最後に、ビジョンの問題でございますけれども、中小企業全般についての将来像、未来像というのは、事実問題としてはなかなか容易でございませんが、個々につきましては、御承知のように、中小企業の近代化促進法で指定を受けて、そして近代化を進めていくこの業種はずいぶんございますが、それらにつきましては、大体三年とか、五年とかいう、その業種としての計画をつくっておりますので、これが、実際には、個々の業種についてかなりの部分についてビジョンとして役をなしておる、働いておるというふうに考えます。今後とも、近代化促進法で指定をいたしますときには、そのような手法でやってまいりたいと思います。構造改善につきましても、やはり大体何年間かということでビジョンを描いてやっておるわけでございまして、これからもそうしてまいりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣山中貞則君登壇〕
#32
○国務大臣(山中貞則君) 無過失賠償については、公害に関するいろいろな考え方で具体策がいろいろあるわけでありますが、現在のところ、最後の陣痛状態でございまして、しかしながら、この法律が成立をして、制定された後における一つの御提案でございます。これについては、今回の予定いたして検討中のものは、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等に指定されておる物質にかかる健康被害に限定をいたしておりますので、それらのことを前提に考えますと、ただいま通産大臣の答えられました御提案は、示唆に富む点がございますので、検討はいたしますが、はたして保険理論になじむかどうかの点について、少し公害の実態から考えて、掛け金をかけておりました人たちが、それらの起こりました人身被害についての支払うべき相手との因果関係、最終的な賠償金額の確定に対する本人の持ち分の関係、それと掛け金との相関関係等、なかなかむずかしい点を含んでおると考えますから、通産大臣の御答弁のごとく検討をいたしてみたいと考えます。(拍手)
  〔国務大臣佐藤一郎君登壇〕
#33
○国務大臣(佐藤一郎君) 景気の動向についての御質問でございます。
 一月――三月は、十月――十二月の、その前の四半期に比べまして、ずっと数字が明るくなってまいりましたが、特に三月、いろいろな数字が出そろった中での出荷が非常にふえてまいりました。そういうようなことで、また卸売り物価等につきましても、ある意味における安定的なラインに来ているように思います。ただし、ちょうど三月というのは、時期的にドレッシングの時期でございますし、むしろ輸出がドライブがかかって相当伸びてまいりました。そうしたことを十分差し引き勘定いたしまして、あまりこれを一ぺんに喜ばしいものとして過大評価することは、われわれも慎まなければならない、こういうふうに感じております。
 政府は、御存じのように、三回にわたる公定歩合の引き下げを行ないました。また、財政につきまして、公共事業費の支払い促進をはかってまいりましたが、これらに対応いたしまして、銀行の貸し出しが急激にふえてまいっております。そうして同時に、いわゆる在庫資金その他の手当てというようなうしろ向きの資金需要が、ここのところに来て急に減ってきております。そして金利も逐次低下しまして、金融緩和が表面化しつつございます。
 こういうようなことから判断いたしまして、景気も大体底をついた、そしていわゆる在庫調整は、この四月から六月の間に、ほぼ一巡調整が終わるであろう、こういうふうに考えております。
 これらをもとにいたしまして、なお沈滞ぎみであります民間の設備投資というものも徐々に回復してまいるであろう。ただし、今回は相当供給力の過剰がございますので、従来のように一挙に回復するというよりも、徐々に回復していく。これの主導をなすものは、むしろ製造業以外のものである、そういうふうに大体考えております。すなわち、下期以降徐々に回復が行なわれる。
 御指摘のありました中期停滞論ということでございますけれども、打ち続く設備投資の増大が四年も続いたのでございます。でございますから、一時的に設備の過剰が生ずるということは、これは過去の経験からいっても十分あり得ることでございます。ただし、わが国の潜在成長力は、今日なお相当に高く、四十年の不況のときとでは日本の経済力が格段に違ってきております。そういうような意味もございまして、これが御指摘のように直ちに自律的に停滞期に入る、こういうことには政府は考えておりません。また、よくいわれておりますテレビその他の普及一巡論、これらも、なお日本の普及率は決して国際的に見て、まだそう高いというところまでいっているわけではございません。今後まだまだ伸びる見込みでございます。
 ただし、同時に私どもは、この機会に、いわゆる安定成長のラインに軌道修正を行なってまいりたい、こういう考えを持っておりますので、成長率を従来の実質一三%というような高いものを維持することは無理である。これを徐々にスローダウンをいたしまして、一〇%前後のところにスローダウンをして、いわゆる軌道修正を行なうべきである。そうして、そのためには、民間設備投資を主導型とする経済から、社会投資に相当重点を置くところの経済に持ってまいらなければならない、大体こういうふうに考えておりまして、そういう意味からいきましても、中期停滞論というのは政府は考えておらない次第でございます。(拍手)
#34
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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#35
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時四十二分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        通商産業大臣  宮澤 喜一君
        国 務 大 臣 佐藤 一郎君
        国 務 大 臣 山中 貞則君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     谷村  裕君
        中小企業庁次長 外山  弘君
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ソース: 国立国会図書館
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