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1970/12/16 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
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1970/12/16 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号

#1
第064回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
昭和四十五年十二月十六日(水曜日)
   午前十時三十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         井川 伊平君
    理 事
                高橋文五郎君
                柳田桃太郎君
                林  虎雄君
                多田 省吾君
    委 員
                大竹平八郎君
                後藤 義隆君
                中山 太郎君
                平島 敏夫君
                渡辺一太郎君
                戸田 菊雄君
                松本 賢一君
                安永 英雄君
                横川 正市君
                中尾 辰義君
                向井 長年君
                岩間 正男君
   衆議院議員
       修正案提出者   堀  昌雄君
   国務大臣
       自 治 大 臣  秋田 大助君
   政府委員
       警察庁刑事局長  高松 敬治君
       自治省行政局長  宮澤  弘君
       自治省行政局選
       挙部長      中村 啓一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
   説明員
       法務省民事局第
       二課長      田代 有嗣君
       法務省刑事局青
       少年課長     木村 榮作君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等
 の臨時特例に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(井川伊平君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 公職選挙法の一部を改正する法律案及び地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案を一括議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。秋田自治大臣。
#3
○国務大臣(秋田大助君) ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案についてその提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 政党その他の政治団体の政治活動につきましては、選挙の期間中におきましても、選挙の秩序を害しない限り、なるべく自由に行なわれることが望ましいことは申し上げるまでもありません。しかしながら、最近の選挙では、政治活動の形による選挙運動がますます活発かつ大規模に行なわれる傾向が見られ、このままでは、文書図画等選挙運動の方法手段について一定のルールを定めている公職選挙法のたてまえが失われてしまうことになると思われますので、政府といたしましては、政治活動のうち特に選挙の秩序に及ぼす影響が著しいものについて、公職選挙法に所要の改正を行なうため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容について、御説明申しあげます。
 第一に、選挙についての報道評論を掲載してある確認団体の届け出機関紙誌で引き続いて発行されている期間が六カ月に満たないものは、選挙の期間中は政談演説会の会場でしか頒布できないことといたしました。
 第二に、政党その他の政治団体のシンボル・マークを表示したポスター等の掲示またはビラの頒布は、政治活動用のポスター、ビラ等に含むことといたしました。
 第三に、確認団体が選挙運動期間中に頒布することができる政治活動用のビラは、国会議員の選挙については三種類、その他の選挙については二種類をこえることができないことといたしました。
 第四に、都道府県の議会の議員及び指定都市の議会の議員の選挙の際の政党その他の政治団体の政治活動について、国会議員選挙の際に準じる制度を設けることといたしました。この場合、当該選挙において確認団体となるためには、三人以上の所属候補者を有しなければならないことといたしております。
 第五に、これは政治活動に関する事項ではありませんが、次の二点について投票に関する制度の整備を行なうことといたしました。
 その一は、地方公共団体の議会の議員の選挙においても、条例の定めるところにより、記号式投票を採用することができること、
 その二は、選挙当日にその属する投票区の区域外で職務または業務に従事中であるべき選挙人は、不在者投票を行なうことができることとし、あわせて不在者投票の手続の簡素化をはかることとしたことであります。
 最後に、この法律は、公布の日から一カ月を経過した日から施行することといたしております。
 以上がこの法律案の要旨であります。何と慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
 次に、ただいま議題となりました地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について、その提案理由と内容の概略を御説明申し上げます。
 御承知のように、都道府県及び市区町村を通じて、全国大多数の地方公共団体におきましては、議会の議員または長の任期が明年三月、四月または五月中に満了することとなるのでありまして、現行法によりますと、その任期満了前三十日以内にこれらの地方選挙が集中して行なわれることになるのであります。
 政府といたしましては、前例にもかんがみ、これらの選挙の円滑な執行と執行経費の節減を期するとともに、国民の地方選挙に対する関心を高める意味において、これらの選挙の期日を統一して行なうことが適当であると考え、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の概要について、御説明申し上げます。
 第一に、期日を統一する選挙の範囲につきましては、一、明年三月から五月までの間に任期が満了することが予定されている地方公共団体の議会の議員または長について、その任期満了による選挙を三月以降に行なう場合、二、これらの議会の議員または長について、任期満了による選挙以外の選挙を行なうべき事由が発生し、三月から五月の間に選挙を行なうこととなる場合並びに三、明年三月から五月までの期間に任期が満了することが予定されていない地方公共団体の議会の議員または長について、選挙を行なうべき事川由が発生し、三月から五月の間にその選挙を行なうこととなる場合について、これらの選挙の期日を統一することといたしております。
 第二に、選挙の期日につきましては、四月中に任期が満了するものが最も集中していること、年度末の地方議会の会期、選挙運動期間等の諸事情を考慮して、都道府県並びに指定都市及び特別区の選挙についてはこれをまとめまして四月十一日とし、指定都市以外の市及び町村の選挙についてはこれをまとめまして四月二十五日とし、いずれの期日も、選挙人の便宜、投票所施設の確保の必要性等を配慮して日曜日といたしております。
 第三に、この法律の規定により統一した期日に行なわれる各選挙は、同時選挙の手続によって行なうものとして選挙管理事務の簡素化をはかるとともに、都道府県の選挙の候補者となった者は関係地域において行なわれる市町村の選挙の候補者となることができないこととして重複立候補による弊害を除くことといたしました。また、任期満了による選挙について、後援団体に関する寄付等の禁止期間を各選挙の期日前九十日から選挙の期日までの期間とすることといたしました。
 そのほか、この法律の規定による選挙を行なう場合における議員の定数の基礎となる人口については、選挙の期出前相当早い時期に確定させることができるよう、都道府県、指定都市及び特別区の議会の議員の場合にあっては、昭和四十五年十二月一日現在において官報で公示されている国勢調査人口によることとし、指定都市以外の市及び町村の議会の議員の場合にあっては、昭和四十六年二月一日現在において官報で公示されている国勢調査人口によることができることとするが、選挙期日の告示日前までに昭和四十五年国勢調査人口の公表が間に合う場合にはこの人口を用いることもできる道を残すことといたしました。なお、この場合、最近指定統計調査を行なった地域についてはその人口を用いることといたしました。また、都道府県の議会の議員の選挙に立候補するため昭和四十六年三月三十日に退職する市町村の議会の議員の在職期間について特例を設け、年金の計算その他の処遇に不利がないようにいたしております。
 以上が地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(井川伊平君) この際、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員堀君から説明を聴取いたします。堀衆議院議員。
#5
○衆議院議員(堀昌雄君) 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案に対する衆議院修正部分につきまして御説明申し上げます。
 修正点は、本法律案の附則第二項後段を削除いたしたことであります。すなわち、地方公共団体の議会の議員の算定の基礎となる人口については、国勢調査の結果のみによることとし、他の指定統計調査の結果は用いないことといたしたものであります。
 なお、本修正は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五派共同により提案され、全会一致をもって修正議決いたしましたことを申し添えます。
 以上であります。
#6
○委員長(井川伊平君) これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○横川正市君 まず最初に、今回行なわれております国勢調査の結果についてでありますが、新聞の報道では、ほぼ確定された内容が報道されているように思われますが、この国勢調査の結果が正確に確定する時期というのは大体いつごろが予定されていますか。
#8
○政府委員(中村啓一君) この十月一日に行なわれました国勢調査の確定の時期についてお尋ねがございました。この点につきましては私どももたいへん来年の特に統一選挙を控えまして議会議員定数の算定ということにかかわりますので、従来非常に関心を持ちまして、統計当局と連携をとってきておったところでございます。で、ことしの調査は十年に一回の重い調査に当たりまして、その他いろんな事情がございまして、現在統計局の見込みといたしましては、最終的に全都道府県の確定人口が出そろうのは五月に入ってからであるということに承知をいたしておるところでございます。
#9
○横川正市君 そうすると、実際には、この国勢調査の、正確に人口が決定されなければ、新しい四十五年度の国勢調査の結果による人口比で議員の定数をきめるということは考えられない。そこでこの特例、選挙期日に関係するいまの法律からいきますと、参議院の選挙だけはこれは間に合いますけれども、その他の選挙には確定された人口は間に合わないと、こういうふうに明確に確認してよろしゅうございましょうか。
#10
○政府委員(中村啓一君) ただいま横川先生のお話のありました点は、私どももできるだけ新しい人口を基礎にいたしまして来年の統一選挙等におきまする議員定数算出の基礎に用いたいということで検討してきたところでございます。で、先ほど申し上げましたように、新国調がすべて確定をいたしますのは、五月もかなり末になるということでございますが、しかし、かなりの府県につきましては、四月に入ればある程度は確定数を出すことが可能だというのが、統計局の作業段階でございます。そこで今回お願いをしております特例法によりまして、四月の中旬に選挙期日を告示をして選挙に入ります一般の市町村につきましては、かなりの府県において新国調の確定が可能でありますので、この市町村につきましては新国調によれる道を開いておきたいということにいたしておるわけでございます。しかし、四月十一日に予定しております都道府県段階の選挙につきましては、三月の中旬以降から選挙が始まるわけでございますので、新国調の確定はとうてい間に合いません。したがいまして、特例法案にお願いをいたしておりますように、都道府県段階につきましては、ことし十二月一日の現在で確定されておる人口によることにさしていただきまして、市町村につきましては、来年二月一日の現在人口によることもできるし、また、新国調が間に合いそうなところにつきましては、新国調によることも可能であるという道を開かしていただいた次第でございます。
#11
○横川正市君 そうすると、まあ結果からすると、各種別の選挙に今度の新国調が間に合うところと、間に合わないところとで新旧の人口調査の結果に基づいて選挙が行なわれる、そういうことになるわけですか。
#12
○政府委員(中村啓一君) ただいまの点は、仰せのように、四年に一回の統一選挙と、五年に一回の国調ということで、二十年に一回こういう事態が出てまいるわけでございますが、横川先生の御指摘のありましたように、市町村につきまして、新国調が四月の半ば以前に一部出ますその部分につきましては、新国調を用いてもよろしいという道を開かしていただいておりますが、一般の都道府県、あるいは新国調の間に合わない市町村につきましては、従来の確定しております国調人口によって議員定数並びに選挙区配当をできるようにさしていただきたいということで、今回この法律案を提案をいたしておるところでございます。
#13
○横川正市君 それから、第七次の審議会の発足はすでに新聞では何か人選はほぼ決定を見たような報道をされておりますが、いつ新たに発足をさせるのか、段取りになっておりますか。
#14
○国務大臣(秋田大助君) 大体人選は終わり、特別委員の御推薦も各党から明日で了するというようなことになっておるそうでございます。大体総理の御都合等を伺っておりますが、二十四日には第七次選挙制度審議会の第一回会合、発足ができるのではなかろうかと存じております。
#15
○横川正市君 七次の審議会の発足に伴って、実は私ども前から主張いたしておりましたが、一つは任期の問題ですが、これは従前のとおりいくわけですか。その途中で任期期間の改正だけでも行なうのですか。
#16
○国務大臣(秋田大助君) この点につきましては従来いろいろ御議論がございます。私の私見も申し述べた記憶がございます。ただいまのところ、これが法律をあらためて改正の提案をしようとは考えておりません。皆さまの御意見等を伺い、コンセンサスを求めまして、その段階で適当な処置を善処いたしたいと思っております。
#17
○横川正市君 いままでの審議会の審議の速度といいますか、それから審議内容のきわめて複雑で困難な状況、それから求められるものがきわめて正確で、国民の意思を十分反映させなきゃいけないというそういう重要さ、そういう点から勘案してみますと、一年は短か過ぎて審議を尽くすことはできないというのが、一般の審議会委員の私は意向であったように思うわけですが、自治省としては、実際に担当しておって一年の任期で一体どうなのか、お考えになっているか、実は私はさきの審議会に初めて参加をしていろいろ論議をいたしましたが、論議した結果、最近の、たとえば定数是数の問題、これなんかは結果から見ればせっかくの一年の審議会の審議がその志とは全く違った結果が現実に生まれてきておって、取り扱いが非常に困難だというような状態にあるわけです。それからもう一つは、たとえば全国区の取り扱いの比例代表制をどうするかという問題もほぼ全会一致とまではいかないが、ほぼ多数できめられておりましても、そのこと自体はまだ十分審議に至らなかったということで六次の審議会が終わり、こういう結果になっているわけです。そうすると、言い足りないとかなんとかということよりか決定そのものにも問題がある、あるいはしなければいけないものにも実は委員会としてその使命を果たすことができない、こういうことになるわけで、私どもは最低二年は必要なんではないかというふうに考えますが、この点は、自治省ではどういうふうにお考えか、それが絶対の要望だとすれば、これに対してどういう対策をとられるのか、手続をとられるかお聞きをいたしたいと思います。
#18
○国務大臣(秋田大助君) その点に関しまする自治省の一定の所見というものはまだきめてございません。しかし、先ほども申し上げましたとおり、この点につきましては両説ございまして、一年でも依然としていいのではなかろうかという説もございます。しかし、先ほども申し上げましたが、私この際私見を申し上げますことははなはだ恐縮に存じますが、私は横川先生がただいまお述べになりましたような考え方で大体いいのではないかと考えております。そこで、先ほども申し上げましたとおり、皆さまの御意見を伺い、適宜善処をいたしたいと考えております。
#19
○横川正市君 手続上もし二年にするとすればどういう処置をとりますか、事務局が。
#20
○政府委員(中村啓一君) 現在審議会につきましては、選挙制度審議会設置法という単独法によって絶せられておるところでございまして、その法律に任期が一年とございますので、当該部分の手直しをお願いをいたさなければいけないというふうに存じております。
#21
○横川正市君 これはあなたのほうが発議をするわけですか、それとも各党で議員で手直しをする手続をとるのか、私は皆さんのほうから積極的に出されることが至当じゃないかと思いますが、またその議がまとまっておらないということですが、この点できるだけ早く、ことに発足が二十四日ということになりますと、委員一年としているわけですから、もしそうでないとすればその意向も伝えていただかないといかぬのじゃないかと思うのですがどうでしょうか。
#22
○国務大臣(秋田大助君) この点につきましては、さらに関係方面の御意見も伺いまして善処いたしたいと考えております。
#23
○横川正市君 公職選挙法の一部改正の法律案について今度改正された部分の趣旨についてお聞きをいたしたいと思うのですが、まず第一点は、公職選挙法を改正するという手だてからいきますと、ずいぶん長い論議の過程というものがあるわけでありまして、この部分に対して五次までの答申の結果から見ますと、日本の選挙立法というものが非常に取り締まりを中心とした立法であって、もっと国民全体が選挙に関心を持ち、それから恐怖心を持たないで開放的に選挙に参加のできるような方法が望ましい、この方向としては政党もそうですし、一般の国民はもちろんこれを望む、さらに取り締まり当局の方々の意見は、これはもうぜひ必要である、こういうことがたび重ねて表明されているわけなんです。そこで、第一に私ども問題といたしたいのは、たまたま改正法律が施行されましてから京都の選挙があり、その京都の選挙を一つの例として改正しなければならないということは、いかにも経過から見て前法律のでき上がったいろんないきさつを考えますと、いささか妥当を欠く、面があるのじゃないか、こういうふうに思われるわけであります。そこで私は実はこの改正について前回自治大臣に御質問いたしましたように、政党が公正な選挙を行なうのに妥当な方法を裏づけとして改正される、このことが望ましいのであって、その望ましい方向が明確にならないで、一部現象だけをとらえて改正をすることは、これは決して好ましい改正ではないのではないか、こういうふうに質問を申し上げたわけであります。一例を申し上げますと、たとえば選挙のための運動として許されている範疇、これは車とか費用とか、あるいはまた政党活動とかいろいろなものがあるわけですが、そういうものの矛盾点はこれは少しも是正されない。これはぜひ是正をしてくれというのが一般の声である。その点の取り扱いはどうしますか。たとえば車でありますと、候補者は一台しか車が使えないという厳格な規定が存在をしておる。ところが、それに対してまぎらわしいというよりか、もう全く候補者の車と変わらない車が何台も出て選挙活動が行なわれる。法律的に言えば、これは政党活動であるとか、あるいは確認団体の車であるとか政策活動であるとかということになっているが、現実にはこれは選挙運動と全く同種のものがちまたにはんらんをしている。これをもう少し妥当な線で考えられないだろうか。この妥当な線ということになれば、逆に言えば選挙カー一台というのはこれは十分でないから三台にしなさいということも一つの妥当な線じゃないかと思います。しかし、一台が妥当だとすれば、それに見合ったものが考えられていい。その点の取り扱いは一体どうするか。それからもう一つは、法定費用として厳格にきめられて、その法定費用の範疇で運動というものが規制をされ、もしはみ出せば当落に影響するような規定があり、非常にきびしさを持っておりますのに、たとえば京都の場合には選挙費用としては何百万という法定費用で、これは法定費用内の選挙をやりましたという、こういう自治省への届け出がある。しかし、実際にかかった確認団体その他の例を見ますと、Aの候補は一億数千万円、Bの候補は七、八千万円もの選挙費用が届け出られている。一体これは選挙法というものをも無視された状態ではないか。しかし、その時期に集中して行なわれたこの活動、いわゆる当選せしめるための活動ですから、選挙運動とまぎらわしい状態になる。これは一体どうなるか、こういう点が論議をされて、それらに妥当な一つの結論がつくならば、私は経過から見て改正をされるべき点は改正をしてもいい、こう思っているわけですが、今度の改正のいわばきっかけ、それからその改正に踏み切った自治省としての考え方をこの際明確にしていただきたい。
#24
○国務大臣(秋田大助君) 今度の改正案は、政党の政治活動、これの自由にまっこうから反するような趣旨でできていないことは当然のことでございまして、御指摘のように、京都の知事選挙にあらわれました文書図画等、その他の行き過ぎに刺激をされたことは事実でございます。しかし、この事例だけをもって改正するのはいささか早計ではないかという御趣旨かと存じますが、この経験は容易に他に波及されることが予想をされる。また、その後に行なわれました各地の市長選挙等におきましても、その傾向が見られるという状況でございました。そこで行き過ぎの文書図画等の点につきまして、この行き過ぎと思われる点を関係者の同意を求めつつ是正に踏み切ったものでございます。
 しこうして、それならばもっと各方面にわたり諸点にわたってもっと検討をすべきではなかったかという御趣旨でございますが、この点につきましては、車の点その他いろいろと検討をいたしたのでございますが、なかなか実際上むずかしい点がございます。かつ自由という原則の点を考えますと、特にむずかしい点があるというようなところから、皆さんの大体の御意見のまとまった点に限って改正案を出したというわけでございまして、車等詳細につきましては、事務当局から説明を補足させていただきます。
#25
○横川正市君 例として申し上げたのは、前回も私のほうから指摘をいたしておりますので、再度の説明をいただかないで、その基本だけを明らかにしていきたいと思うのですが、今度の改正案を見るまでもなしに、世間の中にはこういう意見があるのです。これは自治大臣もおそらくお読みになっていられると思いますし、よく聞いていられると思うのですが、まず一つは、政党次元の立場に立って選挙法をひんぱんにいじり過ぎるのではないか。これは選挙の前になると多数を持っているものの最も有利な立場とかあるいは現職の議員の有利な立場とかいろいろの立場を、これを中心とした手直しがひんぱんに行なわれる、こういうそしりがあるわけなのです。で、私はいま大臣の言われるように、京都の問題だけが一つの理由ではなくて、その後行なわれた各種の選挙にもその傾向が出ていると、こういうことでありますけれども、この改正手直しが、前段申し上げたようなそしりをやはり再び受けているという事実は、これは否定することはできないじゃないかと思うのです。そういう点からすれば、前回も私は申し上げたのですが、一体この選挙制度審議会の答申の取り扱いとそれから答申を得ないで改正する場合の取り扱いとは、一体これはどうお考えになっておられるのかという点について、もう少し明確にする必要があるのではないだろうか。で、私は、実は選挙制度審議会をたいへん申しわけないのですが、私はどうもあまり信用しなくなりつつあるのです。それは何かといいますと、選挙制度審議会そのものが一生懸命やった結果であっても、その結果が取り上げられないケースが多過ぎるという点が一つあって、今度はそれが逆に選挙制度審議会の委員の意欲を阻喪さしている、この悪循環をどこかで断たないとこれは実際に非常に何といいますか、形式的な一つの手続を踏むということになってしまいそうなんです。これを明確にするためには私はやはり選挙制度審議会の答申を尊重して法律改正、これは根本的な不動なものをつくり上げていくことの努力が実は担当の大臣、自治省に必要なんじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。そういう一般の世論の中で、自治省としては、一体今回の場合、審議会の意見を聞かないでこういう改正をしたことについての言いわけでなしに、本音ですな、私ひとつ聞かしていただきたいと思います。
#26
○国務大臣(秋田大助君) この改正は文書図画等の頒布の量を中心といたしまして、それが行き過ぎの点に限られているわけでございます。しこうして、この範囲のものは政党の政治活動、選挙の際の、ことに政治活動の自由の大原則に反するものではなくて、その行き過ぎの是正であって、この原則の正常な適用の一態様と考えましたので、いろいろ御意見等も聞きまして慎重に考慮した結果、このものならばあえてまた選挙制度審議会にお問い合わせをしなくても政府の責任においてやって至当であろうという判断に立ちまして、あえて選挙制度審議会に諮問をすることなく改正案を提案し、御審議をお願い申し上げておる次第でございます。
#27
○横川正市君 そうすると、第六次の審議会の中でも多くの方々が選挙の自由化のことで発言をし、ほぼ自由化の傾向では審議会の委員の意見はまずこれは一致しているように私どもは看取をいたしております。ですから審議会の意見が大体自由化の方向に一致しておるのに、その方向とはやや逆行といわれておりますが、そうではなしに、逆行といわれれば選挙法の本質というのは、選挙運動制限法とか取り締まり法とか国民の選挙参加に対して制限法とかいわれているわけですが、そういうものではないという明確な一つの理由というものがあるはずなわけです。ことにこのことについていち早く取り締まり当局が反対の意見を出しました。私は、ビラとか何とかの形式的なものでなわつきが出るということは、これは選挙のイメージを明るいものにしようとする努力には明らかに逆行すると思うのですよ。そこでこの法律が施行されることによって一体取り締まり当局はどう受け取っているかという点を考慮されたかどうか。新聞で私ども拝見するところによれば、相当これは困るという意見が強かったように思うんですが、その点は自治省としてはどう判断をされたのでございましょうか。
#28
○国務大臣(秋田大助君) その点は、この内容に対する判断、考え方のいかんによることでございますが、私どもは機関紙誌、ビラ等行き過ぎを是正したのでありまして、自由化は自由化でございまするけれども、これ以上いたずらに出す必要はないんじゃないか、実際問題として非常にそれでは選挙をするものとして全体の秩序を乱すような感じもするし、という点に行き過ぎをとめようというわけでございまして、事実私はこの規定の内容につきましてもその範囲にとどまっておると確信をいたしております。したがって、この点につきましては、その基本の観念に基づき取り締まり当局とももちろん内部で御相談をいたし、大体御賛同を得ておるという心証のもとに出したわけでございます。
#29
○横川正市君 これは見解がだいぶんすれ違っているようですが、実は私はもしもこういうようなことが行なわれればあわせて公営化の方向が強化されて、そして政党の正当な活動というものをこれを政党自体にまかしておかないで、国がある程度その費用を出して公爵化を強化するということが出てくれば、ある意味では一つの方策になるのではないか、こう思います。一例を言いますと、たとえば自由民主党の皆さんが地方首長選挙のときには、中央と直結しなければ地方自治体の皆さんは損をしますよという宣伝を、これはもう百人が百人いたしますね、選挙のときに。これは政党のいわゆる政策活動の一つの私は利益誘導みたいなものだと思うのですが、これをやらない人は一人もおらないんですね。これは皆さんもおそらくやっておられると思いますが、一体この中央直結がそれほど言われるほどのものかどうかということは、一体その政党次元の判断か、それとも公正な選挙々、する場合の判断かという問題になりますよね。私はそれに対して反対党の意見も十分に伝える必要があるが、これは公営の中で、お互いに言わせたものを、これがもう正しいものですというやつを自治省として配布をする。たとえば選挙公報は経歴だけにとどまっておりますけれども、政策の一面も当然載せて、そして政党間で行き過ぎのないような方策をとらせる。こういうことが行なわれればある一つの問題が出てくると思うのですよ。ところが、いまの選挙はもうデマ宣伝の渦ですね。たとえば社会党が何か出しますと、国会の中で過半数を占めておらないものがそんなこと言ったって何ができるかという攻撃が加えられる。それからまた、私どものほうから、政策はこうで、これは間違いだという攻撃が加えられる。そういう中で妥当を欠くものについては公正な判断を私はやはりしてもらうような、そういう機関があれば――これは新聞が実は果たしておると思うのですけれども、そういう機関があれば一応の方策にはなると思うのですよ。
 それからもう一つは、たとえば選挙を見ますと、テレビの宣伝それから週刊誌の宣伝、新聞の宣伝、これなんかをとってみますと、一候補者は三回なら三回に限定されて、公営化がされておりますから、それに限定されておる。ところが政党活動はおそらく自由民主党さんでチャンネルを利用して、電波料がどれくらい払われたかというと、相当な金額を払って回数が乱発されておりますね。ところが、金のないほうはこれはやれない。そうすると、同じことをPRするにしてもそこに大きな差が出てくる。その差を金のかからない方法で埋め合わせようというのがこれがビラのたくさん出てくる理由になるわけですね。それならばテレビの利用も政党としては何回とかあるいは金額で制限をするとか、こういう方法がとれれば私は一つの次元、公正な次元というものが生まれてくる思うわけです。ところが、そっちのほうは野放しにしておいてかってに宣伝をさせる。そうすると対抗するものがないからガリ版の印刷物が出てくるということになるので、この点の取り扱いは一体どうなのか。まあいわば片一方である程度の制限が設けられれば片一方はそれを補えるだけのものを考え出して初めて公正な選挙というものが行なわれるのではないか、こういうふうに思いますが、片一方のほうが少しおろそかじゃないかと思うのですが、この点はどうお考えでしょうか。
#30
○国務大臣(秋田大助君) お説は確かに考うべき点であろうと思います。その点につきましては、御検討を関係方面にも従来お願いをしておったと思いますが、さらに検討を深める必要がございます。できますれば、これまた所要の結論を得たいと思いますが、とにかくその点はさらに検討を要する問題と思っております。
#31
○横川正市君 一つは、いまの問題でもう一つ明確にしていただきたいのですが、行き過ぎという形のものが出た場合の、これは選挙の管理のたてまえと、それから文書図画の違法な文書としての取り締まり、これの点については一体どういう関連を持っているとお考えでしょうか。私は、文書がかりに三種というふうにきめられまして、枚数は制限されておらないですね、これなんかもどう考えたのか。ちょっと、枚数の制限を取り払っているならば種類を制限するのはどうも片手落ちのような気がしますし、枚数が制限されているんならば、これは種類で制限する必要が――どうもその相関関係がわからないのですが、私の本音から言えば、形式犯でなわつきを出さない、これを考えたかどうかという問題なんですがね。これは自由化の精神と非常に関係が私はあると思うんですが、この点ばどうでしょうか。まあ違法だから、なわつきになってもしかたがないという考え方でしょうか。その点をどうお考えでしょうか。
#32
○政府委員(中村啓一君) 横川先生のお説のように、選挙につきましてはイメージが大事だと、なわつきがねらいではないという御所論につきましては、私ども事務当局としても全く同様に考えておるところでございます。
 今回提案しております内容は、先ほど先生からも御注意がありましたが、取り締まりの当局ともいろいろ相談をいたしましたが、とにかく機関紙等あるいはビラ等の頒布が、あれよあれよという間にエスカレートして、たいへんな物量作戦になったのが現状であって、やはりここにはかえって選挙の自由なり公正の担保ができないような事態になったということから、各党の御相談によって今回お願いしたような形でございます。
 特に具体的に御指摘のありましたビラの点につきましての取り扱いでございますが、お話にもございましたように、どうしたらいいだろうか、やはり一番問題は、あまり大量の物量作戦になってはかえって情報のはんらんにもなって困るので、何か有効な方法はないかということで、その道の御専門の政治家の方々の御体験等に基づいて、かなり時間をかけて論議をいたしました。しかし、現時点で枚数を限るということは、技術的にも、あるいはそれの確認という意味にも難点がございますので、いわゆるビラの本来の性格から考えて、政策の周知徹底にあるとすれば、一定の種類に限ってはどうだろう、同じ内容のものがそんなに何回も何回も、毎日毎日配られるということにもなるまいというような発想の経緯をたどりまして、今回のような結論でお願いをいたしてはいかがかということになった次第でございます。
#33
○横川正市君 そうすると、これは一体頒布すべきビラか、頒布できないビラかという判断ですね。たとえばある一つのデマが――あるいは私も今度の選挙で非常に遺憾だと思うのは、スキャンダルで相手側に不利益を与えるためのはがき戦術とか文書だとかが出ますね。これは大体やり方を見ていますと、地方の場合には東京の郵便局の消し印で、差し出し人は一識者だとかあるいは何とかという全くわからない人の名前で、しかも大量に出されるものがあります。そのようなものを打ち消すために印刷物が各戸に配布された。これは一体選挙のときのビラの取り締まりの範疇かどうかという、この判断はどうですか。
#34
○政府、委員(中村啓一君) ビラの回数を、いわゆる種類にいたしまして三種類あるいは二種類というふうにきめられるに至りました間には、いま横川先生からお話の出ましたようないろいろな問題も論議に供されました。で、むしろいろいろなスキャンダルその他で非常に活用される、というと語弊があるかもしれませんが、よく用いられるのは、むしろビラにつきましては候補者の名前を書くことができませんので、やはりビラは政策周知用のもので本来あるべきであるし、実際もそうならざるを得まい。で、個人の名前をあげてその中傷というような点になりますと、主として機関紙活動に名をかりての問題ではないかというようなことになりました。
 で、機関紙の発行の態様につきまして、それをめぐりていろいろな議論をされたわけでございますが、結局のところ、機関紙につきましては、選挙まぎわの急造機関紙、これがいわゆる通常の頒布の態様がないということで、エスカレートしてきているのが実情であるから、したがって、りっぱな、いま国会に議席をお持ちになっているような政党がお出しになっております機関紙誌、これは何ら手を加える必要はあるまい。で、いままでの、りっぱな政党の機関紙誌の御活動によって選挙の公正確保ということは十分に考えられるんじゃないか。そういうようなこともあって、ビラにつきまして種類の制限ということに落ちついた次第でございます。
#35
○横川正市君 これは判例を待ってなわつきが無罪になったり有罪になったりするような余地を選挙法の中にたくさん残しておくことは、私は明るい選挙をやるたてまえには反すると思うわけで、そういうことから関連して聞いているわけですが、たとえば、この問聞きましたように、一地方紙がたとえば二万部――二万部でも二十万部でもいいですが、それが固定読者である。ところが、一時期に限って数十万部これを増刷する。その増刷の内容を見ますと、ある議員が橋をかけたとか、学校を建てたとか、線路をつくったとか、あるいは農業のあれに努力したとか、もう記事よりか写真のほうがでっかいやつを載っけて、そしてこれがもう各戸にくまなく配られる。それに総理大臣まで出てきたりするわけですから、そうすると、一体これはどうなのか。こういう対抗処置のないものがかりに出てきますね、これは一体どうですか。前回も聞きましたが、大臣からは、どうもそれは違法じゃないかという意見がありましたけれども、しかし、実際上は取り締まって、出版社とか何かが罪に問われたという例は、まずないわけです。そういうようなのはどうふうにお考えですか。
#36
○政府委員(中村啓一君) 横川先生のお話しのように、選挙になりますと、急に選挙目当ての政治団体がいわゆる機関紙活動に名をかりまして、実質的には政治活動というよりは選挙運動を側面的に、しかも非常に高いウエートでやるということがかなり行なわれておるのは御指摘のとおりのようでございます。それにつきましてお話にもございましたが、平常は固定的な、固定部数、固定読者があってのことでありましょうが、選挙の際にそれが非常にたくさんな量になるというようなこともまた事実のようでございます。結局、それらの点につきまして法律が予想をしておりますのは、通常の頒布、通常の方法による頒布を予定をしておるわけでございますが、その通常の方法というものが従来のままの立法でございますと、ここがそれだという明確なスタンダードがきめかねておるうちに、いつも選挙戦がたけなわになって、エスカレートしてとどめがなくなるというのが実情のようでございます。そこで今回いわゆる急造機関紙につきまして手当てをすることによりまして、通常の方法というものが、したがって逆に明らかになってくる、それによって機関紙活動というものについての節度が確保されるのではないか、というふうに取り締まり当局とも相談をいたしまして、今回お願いをいたしておるわけでございます。
#37
○横川正市君 法律はそういうかっこうなんだが、個々の問題としては、いつか例を出しましたが、これは想定する、されるものではなしに、現実にそれが行なわれているということなわけです。ですから私の言いたいのは、法律では出される種類というものがきめられて、枚数は制限をしないともきめられている。ところが、その法にきめられている以外のものでいま言ったようなものがぼんぼん今後出てくる。これは一体どうするんですか。取り締まるんですか、取り締まらないんですかということなんです。いわゆるその一方だけは自由に便法でやられて、一方は法律で拘束されておるものがやられないという不公平さというものは、この際ですから明らかにしておいたほうがいいだろうと、私はそう思うんですよ。ある新聞の号外というのが出ますね。新聞は日常固定数で配布されていますが、号外というのはこれはまた随時発行されているんで、通念上からいいますと枚数の制限はありませんし、内容は個人の宣伝にわたらなければこれは別に問題はない。こういうことになりますが、そのビラが出た場合はどうするか。それからいま言ったように、地方紙が通常十万か十五万のものが一ぺんに何十万も印刷して頒布する、そういうようなものは一体どうなのか、この点のひとつ取り扱いについて明確にしていただきたい。
#38
○政府委員(中村啓一君) 第一点のいわゆるいかがわしい機関紙が選挙目当てに大量に頒布されるという事態の点につきましては、横川先生の御指摘のように、いままでは法のたてまえはそうでございませんでしょうが、どうも歯どめがはっきりしないというままに見のがされる傾向があったということは、取り締まり当局も事実として反省をしておるようでございます。そこで今回提案をしておりますように、選挙目当ての機関紙というものについて、頒布の態様を明確にいたしますことによってこれからのいわゆる機関紙活動について無軌道なものの制限、あるいは無軌道なやり方の規制ということについて、取り締まり当局としは、一つの確固たる方針が立て得ることになるというふうに申しておるわけでございます。
 それから二番目のお話しのビラの点でございますが、私どもは当然ビラは政策活動に終始をすべきだということであります。中には必ずしも政策というよりは特定の人の中傷なり誹謗なりということに堕する場合も、もとより現実としてはないわけではないと存じます。今回の改正によりまして、ビラの種類が限定をされるということになりますと、おのずからそのワクの中で処理をされなきゃいけませんので、私どもとしては、これは実際の政治を知らない者というおしかりを受けるかもしれませんが、本来のビラのあり方というものに立ち戻ってこれが活用されることを期待いたしたいというふうに存じておるわけでございます。
#39
○横川正市君 結局、その問題は少しもそのことによっては解決をしない。やっぱりしり抜けのところはそのまましり抜けにしておいて、そして取り締まられるほうだけは厳格に取り締まられる。結果的には不公平が選挙の中に非常にたくさん出てくる、こういう結果になりそうに思うんですが、それで大臣どうでしょうか。たとえば民放のチャンネルを利用しての政党活動ですが、これは非常に影響力が大きいし、それから言ってみれば非常に格差がつく、情報化時代にそういう結果が予想されるわけですが、これを公営にしてそして政党としてやる場合の政治活動の回数は何回と、こういうふうにきめたらどうかというふうに思いますが、この点はどうでしょうか。そのやる意思がありますか。
#40
○国務大臣(秋田大助君) その点は、先ほども申し上げましたとおり、そういうものを含めて、ことにいまおっしゃった点は検討を要する問題と思います。大いに研究を積極的にいたしてみたいと思います。
#41
○横川正市君 それから前の野田自治大臣のときから問題になっておったんですが、たとえば今度の法律できめられるような三種のビラがありますね、政策ビラですね。これは戸口をあけて読んでくださいと言うのは戸別訪問か、それともそれまでは一体自由なのか。いわゆる三種で枚数を制限しないときめられた法律と、それを手渡す、いわゆる散布はできないが頒布はできるというふうな法律用語になっておりますけれども、その頒布の場合、今日はと言って相手側に手渡すことと一体戸別訪問との関係をどういうふうに区別をされておりますか。その点をお聞きしたいと思います。
#42
○政府委員(中村啓一君) ただいま横川先生の御指摘のありました点は、私が選挙部長になる前からたいへん御論議があって、その点は速記録等でとくとお教えをいただいたところでありますが、それにつきましては、横川先生のお話もありまして、自治省といたしまして、取り締まり当局とも相談をして、一定のスタンダードをきめております。それによりますと、まず各戸の郵便受けに頒布する、あるいは街頭で通行人に手渡す、新聞にビラを折り込んで頒布をする、あるいは選挙事務所にビラを置いて、来客に自由に持ち去らせる、これらはいわゆる政治活動というビラの典型的な頒布のしかたであるというふうに存じます。で、問題の戸別訪問との関係で問題になりますのは、各戸に訪問をして、居住者に面接を求め頒布をする、これは戸別訪問のおそれがきわめて濃い、したがって、避けていただかなければ困る、ということで関係方面に御連絡をいたして、それにのっとって措置をいたしておるところでございます。
#43
○横川正市君 これは、玄関の戸をあけて入れるのと郵便箱に入れるのとどれだけ違うかという問題ですね。(「相当違うよ」と呼ぶ者あり)
  〔委員長退席、理事高橋文五郎君着席〕
相当違うという判断もあるかもしらぬけれども、この点は私たちは、ビラを三種にきめて、しかもそれが皆さんの選管の了承を得て、そして出されることにきまったものを、これをもし頒布するのに庭先に投げられるような、そういうことでまあ取り締まりの対象にするかしないかという考え方というのはいかにもおかしいと思うのですよ。当然そうではなしに、だめというやつを配った場合、これは戸をあけたら戸別訪問の疑いがかかってもしかたがない。しかし、明確にきめられて合法だとされたビラを、戸をあけて配ったらそれが戸別訪問だという判断は、非常に無理な判断だと私はそう思うのですよ。こんな簡単なことでなわつきが出るようなそういう考え方というのはおかしいので、これはひとつ私はいま言われたようなものに、郵便箱とまず同じような意味で戸をあけて入れた分について、ここぐらいまでは戸別訪問ではないという判断をつけてもらう必要があるのではないか、そう思います。これはもう一回ひとつ検討していただきたい。
#44
○中尾辰義君 関連。一つだけ。ビラ活動は何でしょう、戸別訪問というのは、とびらをあけてビラを読んでくださいと手渡すだけで、何ら候補者の依頼のことをしなかった。そうであればその程度のことはいいんじゃないですか、どうでしょうか。
#45
○政府委員(中村啓一君) ビラの頒布をめぐりましては従来から特に横川先生がたいへん御熱心に御主張をなさっておるところでございますが、私どもは関係者ととくとその点は相談をいたしました。結局、各戸を訪問して居住者に面接を求めて渡すということになりますと、それはやはり単にビラを渡すという目的以上に選挙運動としての効果を持つというふうに言わざるを得まい。したがって、ビラの各戸頒布、これは認められても、それにつきましては面接を求めるという態様は御遠慮を願わなければいけないという結論で関係省庁と意思統一をしているところでございます。
#46
○向井長年君 関連。そういう問題について戸別訪問を禁止しておる、この立法精神というか立法趣旨は那辺にあるかということですよ。問題は、私たちから解釈するならば、いわゆる金品の授受がそういう公の場所でなくて個々の場所でそういうものが行なわれ得る要素があるというところからこれはやっぱり禁止しておると思います。そうなれば、その政策ポスターとかあるいはビラを渡すとか、そういう問題について戸別訪問の問題について、そういうふうに解釈されるということは私は非常におかしいと思う。だから私が聞きたいことは、戸別訪問のいわゆる禁止しておる立法精神は何かということをまずお聞きしたい。だから、たとえば私の言うようなそういう理由であるとするならば、法定費用の中において運動員が戸別に行っても、中に入らずに奥さんに出てもらって、そして私のほうはこれを推薦している、これを公認しているからよろしく頼みます、こういう政策を持っておりますということは、公正な選挙運動ではないか、こういう点を明らかにしてもらいたい。
#47
○政府委員(中村啓一君) 向井先生のお話にございますように、戸別訪問の禁止が立法化されましたのはたしか大正十二年の普選のときからでございまして、この立法理由の多くは、向井先生の御所論のとおりだと存じます。しかし、現在のいわゆる戸別訪問、百三十八条に規定をしております構成要件からまいりますと、必ずしも金品の授受ということが要件に入っておりません。要するに、戸別に回って選挙運動をすることを禁止をしておるという現在の法制でございます。そういう法制のもとにおける解釈論でございまして、立法精神にさかのぼって根本的に検討し直さなければいけないという御所論につきましては、それはとくと拝聴をいたしまして、なお関係の方々とも十分御相談をしなければいけないと思います。実は、選挙制度審議会でも、戸別訪問というものについてこれを禁止をしておる実益が現在の社会情勢であるかないかという点については、非常に議論のあるところでもございますので、それらの点も考えあわせ、向井先生の御指摘も十分拝聴をして、なお十分研究をさしていただきたいと思っております。
#48
○横川正市君 私は、何回か選挙制度で質問をいたしまして、それでそのときの見解でだいぶ左右にゆれるわけですが、このゆれるのをもう一回確認しておきたいのですが、いまの選挙部長の意見とは一時違う解釈をしたことがあるわけなんです。それは金品の授受ですね、実質犯に当たる、そのこと自体が戸別訪問を禁止しているものであって、それで金品授受を、いわば取り締まる側からすれば、戸別に訪問をして運動をするということについてまで取り締まりの対象としておかなければ金品授与したという現実の問題をつかむわけにはいかない。そこで戸別訪問というものを厳格に取り締まる。こういうふうに、玄関に入って「こんにちは」と言ってやったことが取り締まりの対象か、それとも結果的に金品の授受をされたことが取締まりの対象か、この幅が私はあるんじゃないかと思うのですが、この見解がはっきりいたしておりますと、「こんにちは」と言ってビラを渡せば、ビラは合法ビラですから、これは別に形式犯として厳重注意ぐらいなものになるわけですね、現行でいけば。ところが、それよりも踏み込んで現金を渡すとかたばこを置くとかいうことになれば、これは実質犯として犯罪に触れてくる。この点の解釈はもう少し明確にしておかないと、簡単なビラ配りで逮捕者を出して選挙そのものにおそれを抱くような結果になるのであって、これをひとつもっと明確にしてもらいたいと思うんですよ。もう玄関に一歩入ったら戸別訪問として三カ月とか公民権の何ぼとかいうことになるのかどうかという問題ですね。それからもう一つは、合法ビラですね。違法ビラならば文書頒布の問題と関連して戸別訪問が成立するわけです。合法ビラですからこれは明らかにもう一つ罪というのは解釈としては軽くなる。こういうふうに理解をするのが私は正しいんじゃないかと思うのですね。ことに、ヨーロッパへ行きますと、ベテランの大竹さん御案内のように、みんな戸別訪問して、あなたは何政党を支持しますか、だれを支持しますかとやっておるのですよ。それでもなおかつ、英国なんかの場合は、労働党絶対勝利といっても保守党が勝ってみたりするわけで、この点は、GNP第三位の日本の国で、民主国家をもって看板にしているのですから、選挙立法を取り締り一方の考え方で考えないで、もう少し選挙の自由濶達、明朗なもので考えるという方向に私はいくべきだと、だからいま言ったように、合法ビラを持っていくわけですから、違法ビラを持っていくならこれは問題だけれども、合法ビラを持っていくのに、玄関をあけたら戸別訪問ですという解釈は、いかにも私は当たらないんじゃないかと思います。こういうふうに思いますので、これは取り締り当局との話し合いで、形式犯ではなわつきを出さない、これは根本として考えていただく。これはもう審議会の精神ですから、このことはひとつくみ取っていただいて、そういう解釈を統一していただくようにお願いいたします。これはぜひやっていただくようにお願いいたします。
 時間が過ぎましたけれども、最後に、一体自治省としては、このことに関してどれだけの予算を今度とるわけですか、四十六年度予算に。いわば、選管からは選挙管理委員会としていろいろな要望が出ていますね、人員の問題とか、それから機構その他の問題が出ております。これも審議会では一致した意見である。それから、これはうらはらの問題としては、警察に依存をするところと選管自体が公正な選挙をやるためにやらなければならない分野と、これは明確にあるわけですよ。だから、なるたけ私は取り締り当局がそう神経をやらなくても、選管が十分リードしていけるように、たとえば選挙費用なんかは、この間も自治大臣はそのほうが望ましいということでございましたが、各政党が使う範疇というものをきめて、それ以上はやったほうが得だという金の使い方をしないというように各政党がきめればこれは一番いいわけです。それと合わせて選管がきめれば、これは次善の策としてなおいい。取り締まり当局がやるということは、実際には下の下なんですよ。そういう意味では、一体来年度予算でどういう予算の要求をしているのか、これは、私たちとしては非常に注目をいたしておるわけですけれども、その点はどういうふうにお考えになっておりますか、予算要求なり何なりに。
#49
○政府委員(中村啓一君) 前段の横川先生の仰せになります、いわゆる戸別訪問の是非の問題は、私ども個人的にはもとより十分理解をいたしまするし、共感をする面もあるわけではございます。ただ、先ほど向井先生も仰せになりましたけれども、戸別訪問は、いわば、当初に立案をされましたその立法精神からその後少しずれてきておるように思います。むしろ、いまの法制自体が、たとえば百三十八条の二項で、どんな名目をもってしても各戸に回っちゃいけないという趣旨の規定を置いたりいたしまして、そういう意味でこのこと自体はたいへん問題が多いと思ってはおります。それはそれといたしまして、なおこの点について、しかし現行法のもとでも研究の余地はないかという横川先生の御指摘でありますので、研究はむろんいたしますが、なお、立法論としても御議論いただかなければいけない問題も残されておるのじゃないかというふうにも存じます。
 それから選管が選挙のルールというものが守られますようにさらに努力すべきである、取り締まり当局によって担保されるというようなごときは下の下であるという御所論も仰せのとおりでありまして、選管の機能の強化という点につきましては、私どもは機会あるごとにお願いをいたしております。もとより現状は御指摘のように不十分でございます。来年度ぜひいまより一歩を進めていただくようにお願いをしたいというふうに存じておるところであります。
#50
○横川正市君 予算どうですか。
#51
○政府委員(中村啓一君) まあこのこと自体につきましては、直接の管理経費というようなものはございませんですが、選管の一般的な機能強化という点につきましては、これは地方交付税の配分にあたりまして、いまの配分基準にかなり傾斜をつけて強化をしてもらいたいというふうに関係方面と話し合いをしておるところでございます。
#52
○戸田菊雄君 本論に入る前に大臣に二、三質問したいのでありますが、それは第六次選挙制度審議会で、参議院地方区是正問題について答申があったわけですね。で、この答申に対して、過日の公選法のこの委員会で自治大臣は、所定どおり実行したい、こういうことを言われたのですが、そのお考えについて、どう考えておるか、まず御回答を願いたい。
#53
○国務大臣(秋田大助君) 御答申の趣旨を尊重いたして処置をいたしたいと考えております。ただし、御答申のときに使われました四十年国調と四十五年の十月一日に行なわれました国勢調査の結果、その概数が去る十二月二日でございましたか、発表されたところを見ますと、非常な違いがあり、多数の県で人口の移動がございます。順序の逆転がございます。したがいまして、あの答申の趣旨を現実に当てはめることにつきましては非常に苦慮をいたしておるのでありまして、その点検討をいま重ねに重ねておるところでございます。
#54
○戸田菊雄君 その大臣が言う、今後検討というその内容についてでありますけれども、これは自治省として検討して、そして正式に選挙制度審議会に再度かけて、そういう順序を経て一定の結論を出す、答申を受けて実行に移す、こういう筋道でいくのか、それとも自治省自体の中において何か特別技術的なそういう方法によって一定の結論を出し実行していくのか、その辺の経路はどうですか。
#55
○国務大臣(秋田大助君) 第六次に御答申をいただいておりますから、その趣旨を尊重したいというたてまえでございます。したがって、現実の人口概数調査結果に照らしまして、あれをあのまま、答申のまま実行することは、これはかえって不都合だと、したがって、その趣旨にのっとりまして、現実にはどういう案が可能であろうか、どういう具体案が答申の趣旨に合うだろうかということについて、自治省として検討をいたしておるところでございます。
#56
○戸田菊雄君 もうともかく総理府の昭和四十五年の国勢調査が概数として発表されて資料としていただいておるわけであります。で、これによりますと、「都道府県別人口の順位」 「昭和四十五年」という資料がありますが、これによりますると、だいぶ順位が入れかわっている各都道府県があるわけですね。一つの例としては、従来愛知よりも北海道が多かったのでありますが、北海道が下がって愛知が上に上がったと、それから第六次選挙制度審議会で一定の結論が出されました、答申が出されましたその内容の群馬、岡山、栃木の二名県の各県というものが熊本等から入れかわって、さらに宮城、岐阜が現行四名定数の鹿児島、熊本よりも多い、こういうことになっておりますね。ですから従来の六次制度審議会の答申によれば、一つはこの辺がやはり検討の対象範囲に入るんじゃないか、こういうふうに考えるんでありますが、その検討の範囲はどの辺において自治大臣は検討されているのか、その点について明快な回答を願いたい。
#57
○国務大臣(秋田大助君) ただいま先生が御指摘ありました人口の順位、これは全部検討の対象にしなければならない、やはり人口割りに考える、そう考えざるを得ません。常識的な考え方であります。人口の多寡によって定数の配列を考えていく、そうなりますれば、ただいま御指摘の諸県は全部対象に当然入れるべきだと、こう考えております。
#58
○戸田菊雄君 従来の参議院の全国区、地方区を含めた定数是正論、参議院発足以来、戦後、二十二年と記憶をいたしますけれども、それから一貫して定数の配分基準についてはいろいろ論議され、あの議事録をずっとながめてみますと、どうもやはり一定の基準性というものはないようでありますね。当初、発足の二十二年のあの地方区配分の基準定数、それは大体三・〇〇〇、当時宮城県だと思うんですが、それを〇・〇〇三こえた栃木県から当時四名区と二名区というぐあいに分割をされてたいへんいろいろと論議されておるのでありますけれども、そういう配分の基準の、定数配分について明確な論拠というものはないのであります。そういう問題については今回どういうふうに考え、かつ結論を出そうとしているのか、その辺の内容についてもう少し詳しくひとつお答えを願いたい。
#59
○政府委員(中村啓一君) 戸田先生からお話がございましたように、初めて参議院の制度をつくります際には、たしか昭和二十一年四月二十六日の臨時国勢調査、臨時人口調査でございますか、臨時人口調査をとりましてその総数をどうするか、各都道府県への配分をどうするかについて幾つもの案がつくられ検討した経緯がございます。で、結論としては、戸田先生の仰せのように、参議院地方区につきましては半数改選制、全国区も同様でありますが、半数改選制をとるということになりましたので、どんなに小さな府県も二名を保証をしなきゃいけないというようなことになりまして、まあ発足の当時から参議院地方区につきましては都道府県という区域を基礎にし、かつどんな人口が少ない県につきましても二名を保証しようというような見地から配分をいたしまして、現在のような形に相なりました。その接点がいまお話のありましたように、宮城県と栃木県であったことも全く御指摘のとおりでございます。そこで、その後二十五年たった今日におきまする人口の移動の点もまた全く御指摘のとおりであります。これをどう手直しをするかという点につきましては、私どもも技術的には参議院制度を設けた際のあの当時の議論、あるいはあの当時に立てられました幾つかの案、それを援用して今日の時点でそれをプリンシプルに考えてみるというようなことも事務的にはやってみております。しかし、いずれにしてもそういうやり方をとりますと非常にドラスティックな配当がえということになりますので、現実の案としてはいかがであろうかということで私ども現時点ではできるだけ六次選挙制度審議会が考えましたような発想を基礎にして、かつ実現可能な案を考えられないだろうかということで検討を続けております。しかし、考えれば考えるほどむずかしくなりまして、まあ根本的に地方区の議員配当についての原則に、また昔にさかのぼって論議をし直さなきゃいけないような面も事務的にはございますけれども、まあいずれにいたしましても、先ほど申し上げましたような線に従いまして鋭意研究をいたしております。
#60
○戸田菊雄君 本題じゃありませんからあと二点だけきょうは簡単に聞いておきまして、いずれ機会をあらためて再度質問したいと思うのでありますが、その第一点は、総理府の全国都道府県市町村別人口概数、この速報の十二月二日、この資料によりますと、現行の六次選挙制度審議会で出た結論よりも熊本の場合は約五万八千、約六万ですね、この程度減少を見ているわけですね。それから鹿児島の場合は約三万、この程度の減少を見ている。おそらく私は、この人口概数の、総理府のこの調査はそう動くまいと見ている。大体これで結論が出てくるのではないだろうかというふうに思うのでありますけれども、そこで自治省の考えとしては、当面検討され、この概数を土台にしてあるいは改定することになったときにやっていくのか、そういうことであるいは具体的に次期通常国会において決着をつけようとしておるのか、その時期の見通しですね、こういう問題について自治大臣は一体どういうふうに考えられておるか。
 それからもう一つは、大体第七次選挙制度審議会が近く発足されるということを承っておるのでありますが、七次選挙制度審議会と本問題に関する関連は一体どういうふうにとらえられておるか、この二点について簡単にお伺いをして、あと本論に入ってまいりたいと考えます。
#61
○国務大臣(秋田大助君) これは四人とか二人とか定員をどこで、人口何人以上をどうするとかという考え方によりまして、実際的にその発表された概数とも関連性がありますけれども、大体において概数はたいして差がない、そうして地方選挙の議員の定数を定める場合と違いまして、この場合は大きな線で線が引けますから、概数をもって今日いろいろ検討の対象にいたしましても不都合はまずなかろう、こう考えておりまして、概数を一応基にしていろいろ検討をいたしております。したがって、第六次の選挙制度審議会の御趣旨は那辺にあるだろうか、この人口の現状にこれをいかに当てはめたらいいだろうか、その点を考えております。
#62
○戸田菊雄君 それじゃ本題の公職選挙法の一部を改正する法律案について質問してまいりたいと思うのでありますが、まず政府の提案によりますると、いろいろ理由が述べられておるのでありますが、ことに政党その他政治団体の政治活動につきましては、選挙の期間中におきましても選挙の秩序を害しない限り、この点が私は今回の改正の動機になったのではないかと思うのでありますが、今回のこの公職選挙法の一部を改正する法律案を出されることになった動機は一体どういうところか、そういう点について大臣から詳細に説明をしていただきたい。
#63
○国務大臣(秋田大助君) しばしば申し上げておりますとおり、京都における知事選挙の経験がこの改正を促す動機になったことは否定できない事実でございます。しこうして、その際いろいろ世人の口にものぼり、関係者の間で議論になりました点は、ここにも触れておりまする文書合戦並びに使用自動車の台数、あるいは選挙期間前に設置されましたいわゆる選挙事務所とまぎらわしいいろいろの事務所活動、その開設状況、選挙に入る前の活動で選挙運動とまざらわしいいろいろの活動の態様等につきましても、いろいろ論議の対象になったのでございます。しこうして、自由の中においても、あまりの行き過ぎはかえっていろいろ不都合を生じ、かつ金もかかり過ぎるのではなかろうか。これをある程度の態様に改正をいたしましても、自由の原則をそこなわないと思われる点につきましていろいろ過去に経験あられる方々の御意見も伺い、そのコンセンサスを求めて、最も妥当だと思われる改正にとどめて今回の提案をいたしたような次第でございます。
#64
○戸田菊雄君 私は、いま自治大臣の答弁ではどうも納得しかねるんですね。直接の動機は京都の知事選挙だと、こう言っているんです。確かに多くの宣伝戦が行なわれたことは私も聞いておりまするけれども、しかし、そういう宣伝戦というものはいまの政党活動の範囲の中においては私は最も大事なことじゃないかと思うんですね。やはり選挙を公平に、そして国民に良識的な判断を求めるということになれば、大量のやはり各政党間の宣伝というものが唯一の私は判断材料になるんじゃないか。ですから、こういうものについて、私は、そういうことを理由として今回の改正を行なって、何か一面きびしい規制措置をとって、こういう民主的な選挙形態というものを封じていくような、こういう考え方には私は同調できないんです。ことに、自民党があの選挙で負けて、私から言うならば、それは謙虚に自民党はそういうことに対する負けた反省というものをむしろ私はやるべきじゃないか。それを、何といいますか、そういう正当な宣伝を封じ込んで、そうして選挙法の改正をする、こういうことについてはどうも私は納得がいかないんであります。ことに、自民党がいろいろ今回の検討の中で、いま自治大臣もちょっとおっしゃられたんでありますが、金のかからない公正な選挙という立場からいって好ましくない、こういうようなことを言うんですね。そういうことを言うならば、私はむしろ政治資金規正法、これはきょう詳細な資料持ってきておりませんから詳しく申し上げることはできませんけれども、しかし、前回の総選挙の際に、自民党の派閥の一番大きい派閥は約五億円ぐらいの政治献金を受けておるわけでしょう。あるいは当該候補者に対しましては、二百万の貸し付け金と二百万のもち代、計四百万ぐらいを運動資金としてやっておる。だから、むしろ私は、いまの腐敗選挙といわれるそういうものを防止していくためには、もっともっとそういう面の、金の、面の規制を逆にやるべきであって、こういう正当な民主主義に基づいた宣伝活動というものを規制をしていくというか、これは逆じゃないか。ことに本問題の改正が昨年の六月にあの特別国会の中で誕生を見たばかりですね。そうしてそれは選挙制度審議会の答申を経て実行されたものなんです。そういうものを今回あえて無視をして単に政府が一方的にこういう措置に出てくる。こういう問題について私はどうしても納得がいかないのでありまするけれども、そういう面に対する具体的検討の内容についてもう少し詳しく大臣からひとつ説明を願いたいと思うのであります。
#65
○国務大臣(秋田大助君) ビラ合戦を中心にそこまで出さなくてもいいだろう。あれではたいへんだ、文書のはんらんにもなる。一日のうち朝に夕にいろいろ出てくる。これはやはり行き過ぎである。したがって、これにある程度の節度を設けることは決して――その態様にもよりますが、ひとつ関係者で御相談を願いまして、ある程度の節度を設けるほうが望ましいのではなかろうか。私はこういうような世論が起きてまいったと思うのであります。いろいろ同僚議員の間にも、また各党間にもそういう声を聞きましたので、この点についていろいろ関係者の御意見も伺いまして、ある程度の改正を加えることはむしろ公正にして秩序ある選挙を行なうゆえんではなかろうかというので、この提案に及んだわけでありまして、こういうふうにしてやはり節度ある政治活動を行なうということが政治資金規正法等を改正するやはり一つの大事な点ではなかろうか、こう考えておる次第でございます。
#66
○戸田菊雄君 憲法の上では、政党、政治団体あるいは個人、こういった団体や個人は、選挙期間中であるといなとを問わず、言論、集会、出版、こういう政治的自由を原則として保障されておる。だから、前回の改正はそういう意味合いにおいては、憲法に照らし合わせて一歩近づいていっていると思うのですね。今回の改正はそれは逆行すると私は思うのです。ですから、こういうことは、まして公職選挙は国民が主人公であるわけでありますから、国民が国政に参加をするいわゆる基本的な形態ですね。こういうものにもとるのではないか、私はこういうふうに考えるわけであります。さらに、国民自身に政治活動というものは最大限に認められておるわけでありまするから、そういういわば憲法の趣旨からいえば、今回の改正というものは大きく後退をし、逆行しているのではないだろうか、こういうように考えまするけれども、その関係どういったように一体お考えになっておりますか。
#67
○国務大臣(秋田大助君) もとより政党の政治活動は自由であるべきでありまして、その点の基本を変えようとこの改正案は考えてはおりません。ただ、選挙期間中は各党の運動が熾烈になりまして、不必要な行き過ぎがありはしないかというところで、関係者及び一般世人の間にその点について考慮を加えてしかるべきではなかろうかという常識論がありましたので、その点を考えまして、いろいろ関係者の御意見も承りまして最小限度の改正をいたした、御提案を申し上げた、こういう次第でございます。
#68
○戸田菊雄君 私がいま質問したのは、憲法のそういう保障された態様、こういう問題のかね合いの問題について一体どうお考えになるか。私は、後退しているし逆行していると思うが、大臣は一体どういう御判断ですかということです。
#69
○国務大臣(秋田大助君) これは自由に関するむずかしい根本的な問題、論議にもかかわってまいるかと存じます。自由の原則は自由の原則でございますけれども、その中においてその本旨を達し得るに十分なるいろいろ現実的な運動につきましては十分な保障がある限りにおきましては、行き過ぎを是正することは、決して自由の原則、憲法の原則に反するものではない。自由といえども一定の秩序の保持を前提とするものでありまして、その秩序を害さない限りにおきましては、私は、表面上一つの規制というように見える形が出ましても、実質的には決してそれは自由の原則を害するものではなく、憲法違反にはならない、こういうふうに考える次第でございます。
#70
○戸田菊雄君 これまでの施行制度の一つの歴史といいますか、そういうものを調べてみますと、やはり原則的に憲法で保障された内容とは多く異なっていると私は理解する。むしろ逆だといっていいのではないか。きわめて制限のきびしい公選法の態様になっているのではないか、こういうふうに思うのであります。ですから、いままでわれわれが選挙をやって、金がないからいろいろ創意くふうをこらして、現行法律の範囲内でいろいろな宣伝活動、伝単活動、そういうものを知恵をしぼってやるわけですね。先ほど横川委員の御質問にもありましたように、そういうものは全く形式犯といいますか、罪にならないようなものなんだけれども、徹底的に調べられるのですね、家宅捜索その他をやられながら。しかし一面においては、大量に実質的な買収、供応ですね、そういったものをやった形跡が多分にある。たとえば、いま参議院選挙の前哨でありますから、私どももいろいろなことを耳にする。新聞に出たことだけを列挙しても、四件も出ている。これがすべて高級官僚といわれる人たちですね。前に何省の次官をやったとか、そういう人たちですね。この間わが地元に来ても、そういう何か、土地改良を名目にいたしまして、そして役場の金を二百万程度出資をして、農協あたりが強制カンパをして四百万近いあれでもってそういうことをやった。ところが、それは土地改良の祝賀会ではなくて、ねらいは何かその道の高級官僚の選挙対策なんですね。こういうことが大幅にいまやられておりますね。ですから私は、こういう実態を、大臣が国民の世論を聞いたと言うならばむしろこういう実態――買収、供応、こういうものに対して選挙法はきびしく規制をするのが当然ではないのか、こういうふうに考えるのでありまするが、それが全く私は、単に京都府知事選挙を振り返ってみても、自民党候補者が敗れたから、そういうことがまた東京でやられたら困るから、あるいは各地でやられたら困るから、こういう党利党略に基づいた結果、今日の挙に出てきたのではないかと思うのであります。その辺は一体どうお考えになっているか。
#71
○国務大臣(秋田大助君) これが改正は、ただいま申し上げておるような理由から出ておるのでございまして、私は世論にも聞き、決して党利党略ではないと存じております。しこうして、もう一方の選挙運動の取り締まり法規違反と思われるいろいろの事象につきましては、これはケース・バイ・ケース、取り締まり当局のお取り締まりに待つところでございまするけれども、こういう点につきましても、将来大いに検討を要すべきものがあろうかと私は存じております。
#72
○戸田菊雄君 私はこの機会にぜひ、大臣が答弁をされた検討の内容について、その買収、供応等についてはやはり徹底的に検討していただきたいと思うんですね。この点はひとつ要望しておきたいのであります。
 それで、いま政府の提案をした内容を見ますと、おおむね五項目が改正要点ということに理解をするわけなんです。この第一項目は、六カ月に満たない確認団体の機関紙誌が発行できなくなるわけですね。政党の選挙戦で大切なのは、私がさっき申しましたように、政策だと思うのですね。そうしてこの政策並びに考えを克明に国民に知らせる、それは政党の持つ機関紙誌を利用していままでやってきたのが私は慣行だと思うのです。そうしてまた、国民が受ける知識、理解というものはやはりそういうものを通じて、各政党の機関紙誌を通じて大方はやはり判断をするわけだろうと思うわけですね。ことに最近の首長−知事選とか六大都市の市長あるいは政令都市、こういうものの各首長というものが多く国民の意思に従って、要請に応じて――市民団体とかいろいろございます。政党のほかにございます。そういうものがやはり政治的に目覚めて、そうして今回はああいう人でりっぱな人がいるから、そういう人を全部われわれでひとつ応援してやっていこう、自主的にそういう立ち上がりが、非常に喜ばしい現象がいま国民の中から私は出ているのだと思うのです。そういうことの要請に応じて各政党が幾つか集まって一定の統一政策を持って、そうして首長選挙とかそういうものの戦いをしておる。これはいまの日本の趨勢じゃないかと私は思うのです。そういうものに対して、あえて、確認団体が六ヵ月前でなければ政治活動と一体的な機関紙活動というものができないという、こういう不合理性といいますか、特に六カ月の問題、こういう問題については非常に私は抵抗を感ずるのでありますが、そういう規制措置はあまり酷ではないか、この辺は一体どう具体的にお考えでしょうか。
  〔理事高橋文五郎君退席、委員長着席〕
#73
○政府委員(中村啓一君) 機関紙誌のあり方をめぐりまして戸田先生の御指摘になりましたように、本来自由に行なわるべきだという議論はやはり基本的には強うございます。しかしながら、ただほんとうに選挙目当てにできました、選挙のまぎわになって急に活動をする機関紙というようなことになりますと、結局先ほど横川先生にも申し上げたところでありますが、頒布の態様が、従来の実績がありませんので、いわゆる通常の頒布というものが明確でございません。そのために結局その機関紙誌の配り方がどんどん物量によって威力を発揮しようという方向になりがちでございしまて、それが非常にエスカレートをしてきた原因のようでございます。したがって、一般の機関紙につきましては、これはいささかも従来のやり方につきまして手を触れるべきではないが、選挙目当ての機関紙につきましては一般の機関紙と分別をして扱っていいのじゃないかという考え方に関係の皆さん方と御相談の末で達した次第なのでございます。
#74
○戸田菊雄君 それはいま部長がおっしゃられましたようにわかるのでありますが、私が、ことにいま質問の中で指摘をしましたのは、最近の首長選挙にあたって、おそらく近い将来とも、東京都知事選挙でもそういうことになるでありましょうが、そういうことになった場合に、あらかじめ六ヵ月前に確認団体というものを設定をして届け出をし、機関紙活動をやっていなければ、選挙期間に入ってもその団体は機関紙誌活動、そういうものができないと、このことは全く酷ではないかと思うんですね。それは明らかに、先ほど指摘しましたように、根本的には憲法の保障上からいっても、それからいまの、おそらく自治大臣もそれは同じ考えを持っているんだろうと思うんですが、国民の大多数は、なぜ一体いまの現行政治に対して不信感を持っているのか。私はもうあきあきしたというのがいまの国民の実態じゃないか。そういうところが、過去の総選挙においても三割以上の棄権となってあらわれた。だから、むしろそういうものに対して政治家は反省をし、政党は反省をし、どうして一体国民の政治意識を高めるかということで、りっぱな民主政治をしていくかということで、私は常々関心を持ち、検討を加えていかなければいけない問題ではないかと思う。そういうものが今回逆な現象で、ことにこの地方首長選挙なんていうものは全くの住民直結政治ですよ。だからそういうものに対する市民や都民の関心というものは私は非常に大きいと思う。そういうものに対してあえて六カ月前に確認団体なりそういう政治団体というものをつくって、そして一定の機関紙活動をやっておらなければだめだという、こういう期間の設定について、きわめて私は抵抗を感ずる。ですから、なぜ一体六カ月ということにしたのか。もっと掘り下げて、一体いまのこの国民のそういう政治に対する不信があるなら、これを検討し、関心を持たせ、信頼感を持たせるということになれば、やっぱりこの原則でありますけれども、どだい政治の主人公というものは国民であります。それに対して、ある政党の考え方の周知というものは常に各政党とも怠ってはならないだろう。それがああいう六ヵ月でもってそういうことがやられる。ことに京都知事選挙に負けた、あるいはああいうことになったという微細な理由を取り上げてきてこういう設定をしてきたということについて、これは理解がいかない。ですから、その辺の内容について、もう少し詳しく説明をしていただきたいと思う。
#75
○政府委員(中村啓一君) 戸田先生の御所論のように、政党というのはたいへん大きな役割りを果たされますし、たいへんえらいお立場にあられるということは、仰せのとおりに思っております。そういう政党のあり方につきまして、選挙の際に現在の法制が確認団体という仕組みをとっておりますが、そのこと自体が制度論として非常にいいかということになりますとやはり議論の余地は多々あると思います。しかし、いまの法制は一つの便宜的な措置として確認団体制度というものをとっております。このこと自体は確かに制度論としては議論の余地がありますので、根本的な問題としては私どもはやはりりっぱな政党がりっぱにいつでも御活躍なさいますような形に本来は持っていってもらいたい。しかし、それにつきましては論じなければならない問題点があまりにも現在では多うございます。私どもは、そういう点はやはり選挙制度審議会の大きな論点になってしかるべきではないだろうかというふうにいま存じておるわけであります。
 それはそれといたしまして、今回六カ月ということをとりました。来年の東京都知事選挙を控えて六ヵ月はひどいじゃないかという点は、それはまあ仰せのとおりでありまして、その点につきましては、関係の各党との御相談の際にもいろいろ論議が出まして、これは猶予期間を置かなければいけないということになっておりますので、できますれば、この法律がお認めいただければ、それから猶予期間を置いて、この六ヵ月というものの起算が始まるような形に当然附則で手当てはいたしておるわけでございます。なお、そもそも六ヵ月がいいものかという点になりますと、これはもとより議論の分かれるところかと思います。しかし、戸田先生仰せのように、首長選挙にあたりまして、幾つかの政党が相集まって一人の候補を擁されるという事例は確かにあるのではありますけれども、まあその際に、そういう動きというものがいつごろから始まるのが好ましいか、この点は関係者の間でかなり議論されました。政治論的にも論議が非常にあったところでありますが、しかし、やっぱりそういうふうな場合でありましても、少なくとも六カ月くらい前から機関紙活動があるということが政治論としても好ましいのではないかということを、六ヵ月でひとつ踏み切ってみようじゃないかというふうに、関係者の間で話が大体落ちついたというのが実情でございます。そういう意味で六カ月という一応の要件を当てまして、一般のりっぱな政党の本来の機関紙誌と分別をした頒布の態様というような形にお願いをいたしたいと存じたわけであります。
#76
○戸田菊雄君 これは将来の議会制民主主義を守る上においても、あるいはその主人公である国民を土台にして政治をやっていこうという日本のこの憲法制定の趣旨からいっても、あるいはそういうことに基づいて公選法というものが設定をされ、それでこの前の改正点は一歩前進であるという評価をしておったのですね。しかし、今回の改正は、私はいま選挙部長が言うような、単に純粋ないまの過般の情勢検討の上に立って、万々十分な検討をしてやったというよりも、非常に私は党利党略に基づいた深慮遠謀という、そういうものが入っているのじゃないかと思う。それはなぜかといえば、一つの例ですよ。一つの例ですから当たっているかどうかわかりません。わかりませんが、この総選挙が行なわれて一年この方、首長選挙をはじめ各市長選挙、私の記憶ではおおむね十九カ所やられております。そういう中においてこの六カ月に抵触する確認団体を中心としてやられた選挙がおそらく私の理解では十五ぐらいあるのじゃないか、そうして結果的にはその中で自民党というものが当選をしたのは、私の記憶では、正確な資料はいま持っておりませんが、記憶ですから間違っておったら指摘をしていただきたいと思うのですが、四つぐらいだと思う。こういう情勢をつまびらかに検討されてそうして今回の改正というものに踏み切っているのではないだろうか、こういう推測ができるのです。ですからもしそういうことが土台になって、今回のこの選挙法改正に踏み切ったということになるとするならば、まさしく私は、これは一党の党利党略に基づいて、深慮遠謀に基づくそういう結果である、こういうことを非常におそれるのです。ですからそういう内容というものが一体ないのかどうか、これは自治大臣から高度な判断でひとつ明快な回答をお願いしたい。
#77
○国務大臣(秋田大助君) ここいらはやはり過去の経験あるいは知識等の判断によるものと思います。具体的に六ヵ月がいいのか、何ヵ月がいいのか、しこうして、この点につきましては関係方面といろいろ事務当局が接触をいたしまして、そうしていろいろ御意見を伺い、この辺ではというところで、こういう具体的数字になったと私は考え、心得ております。したがいまして、決して政府・与党の、一党の党利党略による独断的見解から出たものでは断じてないのでございます。
#78
○戸田菊雄君 次の改正の内容はシンボル・マークの規制の問題ですね。これは今回改正で新しくとられてきたものだと思うのです。前回の改正でもこの問題については問題にならなかったと私は思うのでありますが、なぜ一体現行法上この規制をしなければいけないのか。いわゆるシンボル・マークというものが、提案によるところの選挙権の秩序、こういうものを阻害することになるのかどうか。もしなるとすれば、そういう具体的な内容、これはシンボル・マークですからそういういわば一つの選挙示威だろうと思うのです。別に強制したものではないのですから……。ですからそういうものに対してなぜ一体規制措置をとらなければいけないのか、この点はどうですか。
#79
○政府委員(中村啓一君) お話しのように、シンボル・マークそれ自体を使用を認めるとか認めないかというようなことはそもそも公選法がいうべき限りのことではないと存じます。従来はそういうことでもありますので、いわゆるシンボル・マークはそれ自体政治活動用のものではないという言い方で公選法は割り切って一応きておったわけでございます。ところが、最近の選挙の実情になりますと、こういうポスターに大きくシンボル・マークが書かれて、それが一枚や何枚という程度であればむろんそれじゃだれもそれ自体大きな効用も持ちませんので、問題にしないところでありますが、これがたいへんたくさん張られ、非常に効果的に選挙人に訴えるというような形に使用されてまいるようになりました。したがいまして、シンボル・マーク入りのポスターというものはいわゆる選挙民にその政党のイメージなりを訴えるという効用の面におきましては、いわゆる政治活動用ポスターと何ら変わりないという実情になってきたようでございます。そこで、今回そもそもの議論として、政治活動用ポスターの枚数なんか何枚あったっていいじゃないかということであるならば別でありますけれども、現行法では、たとえば一選挙区で千五百枚とか、二千枚とかそういうふうに限定されております。ところが、限定のワク外にシンボル・マークつきのポスターがどんどん出るということになりますと、いわゆる政治活動用ポスターの枚数を一定枚数にしようという公選法の立て方が問題になってまいるわけでございます。そこで、今回あらためていわゆる政治活動用ポスターの中にはシンボル・マークを記載をしたポスターも含むものでありますと念のために書こうということになったわけでありまして、あるいは突き詰めていえば、従来もそういう形であったものかもしれませんが、法律上明らかでなかったということで手を触れかねておった面でありますが、政治活動用ポスターの枚数というものの制限をしておる現在の法制というものを確保していく上においては、あるいは形成的というよりか確認的というかもしれませんが、シンボル・マークをポスターの枚数の中に入れますということを明らかにさしていただきたいというのが、今回提案をしておる内容でございます。
#80
○戸田菊雄君 非常に法律的判断はむずかしいと思うのでありますが、しかし、選挙でありますから、政策の上に立ってさらに人間のイメージというか、そういうものをやっぱり訴えていく、それは決して何といいますか、選挙民を愚弄するというようなことではなくて、正しくやっぱり清潔ムードを持っているとか、あるいはそれを象徴するものとして、たとえば青空をいうんだとか、あるいはまたそういう色彩でポスターを色どっていくとか、これはやっぱり私は選挙にあってもいいんじゃないか、こう思うのです。ことに欧米諸国家の選挙のやり方なんかを見ますると、非常に政策がきびしく戦われる、それは政党としての政策が、これは当然であります。しかし、それに加えて非常にユーモラスのある、非常にほがらかな選挙をやっている、しかも悲壮感なんというのは持たない、そういうところにあらゆる表現をイメージアップをしてどんどん国民に関心を持たせながら自分の正しい政策を訴えていく、やっぱりこれは一つの選挙の技術ないし手段である。そういうものが一つの何といいますか、形態としてシンボル。マークというものが長年やってこられた選挙の方法の中で私は発見されたと思うのですね。ですから、そういうものについて私は今回ああいう規制を、いま選挙部長がおっしゃられますように、前回なかったものにさらに加入をして制定をするというようなことは必要ないというふうに実は考えるわけでありますが、それでどういう一体シンボル・マークが、いま選挙部長は主としてポスターをさしておられるわけですね、しかし、いろんなマークが出されておる。たとえばワッペン、バッジもあると思うのです。それら一切全部だめだという、そういうことを考えておるわけですか、それはどうなんですか。ポスターに限ってそういうもので考えられているのか、その辺はどうですか。
#81
○政府委員(中村啓一君) シンボル・マークは先生仰せのように、できるだけ選挙がほがらかにユーモラスにやっていただけることが好ましいところかと思います。そういう意味で、シンボル・マークも効果的にお使いいただくことは当然あるべきことであろうと思います。ただポスターの点につきましては、政治活動用ポスターは限定されておりますわけでありますので、そういう意味合いとのつり合いで、単にシンボル・マークを書きましたポスターも枚数の計算に入れるということにさしていただかざるを得ないというふうにして今回提案をしたところであります。
 そこで、御指摘のありましたワッペンであるとかバッジ、これはいわゆるポスターとは言えません、ポスターには当たらないというのが関係各省の統一した考え方でございます。したがって、ワッペン、バッジ等をからだにおつけになっておやりになるというような点につきましては何らの制限も今回加えようとしているものではございません。
#82
○戸田菊雄君 内容はわかったのでありますが、そのワッペンやマーク、そういうものとビラの関係については、いままでも公選法の政治活動の制限の問題について百何条かと思いますが、明確にきめられているんですね、選挙期間中の制限事項というのは、候補者数に応じてポスターがどのくらいということで。だからこれで私は現行十分じゃないかと思う。そういう規制措置はどうしてもいま選挙部長が言われますように、そういうイメージアップのために一定の何らかの表現というものを別途ポスターや何かでくふうされたものについてこういうものは認めていったほうが非常に選挙の明朗性から言っても私は非常にいいんじゃないか、こう思っているわけでありますが、いまの説明で非常に不満でありますけれども、時間がありませんから前に進みます。
 次に、国会議員選挙は三種類、その他の選挙は二種類というビラの制限ですね、今回の改正の結果。で、これは必要のつど状況に応じて利用するというビラの存在意義、こういうものを私はなくしてしまうのじゃないかと考えるのですが、実際問題としては、事実上ビラ活動というものは、もう何といいますか禁止する、こういうふうに考えられるわけですね。ことに金のない政党として、いま残されたこの運動の最大のものは何かというと、ビラ活動ぐらいしかないわけですね。これは具体的にいろいろといま公選法できめられている選挙活動の各般の活動範囲というものを見た場合、ほんとうにもう金のない選挙をやる者はこのぐらいしか生かされる道はない。これはわれわれやってみてそうなんです。そういう唯一の貴重な宣伝材料というものを規制されるということは非常に痛いですね、全く痛いです。だから、こういう問題について私は二種類と三種類というぐあいに規制をすることはどうも問題ではないか、さらには公平な選挙という立場から見ても、この点は若干行き過ぎではないか、こういうふうに考えるのでありますけれども、本問題についてはどういうお考えを持っておりますか。
#83
○政府委員(中村啓一君) ビラの種類を限ることの可否につきましては、仰せのようないろんな議論があり得るかと思います。まあ、その点につきましては、関係者の間で格別慎重に御論議を願ったところなのでございます。で、結論は、このビラはいわゆる政治活動用のビラでございますので、個人の候補者の名前等はもとより一切出せないところでございます。政党の政策の普及ということでございます。で、政策の普及ということになりますと、十日とか二十日という選挙運動の期間中にそんなにたくさんのものを出すのは、あるいはむしろ意味がないのではないか。やはり政党の政策ということになりますと、むろん常時おやりにならなければいけないところでありましょう。常時の点についてはもとより一切公選法が触れるところではございませんが、選挙運動期間中につきましては、あまりはんらんをするよりも一定の種類に限ってはいかがであろうかということから、国会議員の選挙等につきましては二十日前後ということでありますので、前期、中期、後期というような三段階くらいでお出しをいただくようなことが好ましいルールというふうに見ていいのではないかということに落ちついた次第でございます。地方議員選挙あるいは知事、市長選挙等につきましては、やはり国の選挙のような、政策面と申しましてもニュアンスも違うことでもありますので、国の選挙よりも少し種類は減らしていいだろうというようなことで、結局国の選挙は三種類、その他の地方選挙は二種類ということに案をまとめた次第なのでございます。
#84
○戸田菊雄君 いろいろと質問してまいりまして考えることは、どうもやはり国民の考えとはだいぶ離れているのではないかという気がするのですよ。二、三年前でありますけれども、私のほうの地元新聞で、あなたは一体選挙のときに何を見て選挙をしますかという、いろいろあるでしょう、テレビですか、ラジオですか、それとも新聞ですか、あるいは政党の機関紙ですか、こういうような各般の世論調査が実はあったのですね。それを見ると、当時は四五%の方が新聞だという。それが最近の傾向としては、やはり新聞より一歩進んで、この政党はどういうことをこの問題について考えているか、たとえばいま農村なんか非常に停滞し、危機を招いている。どうしたら一体われわれ生きられるだろうというような関心が持たれつつあるわけですね。そうした場合に、何を一体土台としてそうした自分の生存権というものを、未来に向けての希望を託するかといえば、それは徐々に変わってきていると思う。最近の世論調査によると、それは各政党の機関紙、政党の活動、こういうものに大体行きつつあるようでありますね。ことに都市なんかはいまそういう傾向が顕著じゃないでしょうか。だからそういうことだとするならば、こういう問題に対しての一つの規制というものは、そういう意味からいって私は非常に逆行するのではないか、こういうふうに実は考えるわけなんですがね。選挙する国民のそういう判断材料、こういうものをやはり規制をするということは、民主国家において非常に私は不当だというふうに考えるわけなんです。だから、それはいまの趨勢を見て常識的な法律改正ないし制定、こういうふうにいくのが私は一番円滑なやり方じゃないか、こういうふうに考える。どだい法律というものは私から言わせれば、一定の常識をまとめたものだと思うのですね。そういうものが極端に国民の考え、意識から離れてつくられるということはどうも私としては理解に苦しむ、そういう考えを持つのでありますが、もう一度本問題についてひとつお答えを願いたいと思います。
#85
○国務大臣(秋田大助君) この点も第一の届け出機関紙の発行されている期間が六カ月という、こういう六ヵ月をきめた問題と同じような私は性格を持つものじゃないかと思うのでございます。自由の原則をそのまま文字どおり適用すれば、ここに何種類とか何枚とか制限を置くべからずということになりましょう。置かなければ一目りょう然はっきりとしておるでございましょう。しかし、この点に、やはり実際に即して反省が行なわれたわけでございます。おそらくあんなに出さなくてもいいじゃないかというのもやはり健全な常識じゃなかろうかと思うのでございます。そこにいろいろ世論が出てまいったわけであります。そこでビラ、機関紙あるいはテレビにおける公営の発表の回数、時間等の勘案が行なわれまして、関係者の間のこれまたいろいろ御意見等も伺いまして、こういう数字になったわけでございます。この点につきましては、皆さま方の中にいろいろの御意見があろうと存じますが、しかしながら、自由の原則を殺そうというつもりで出したわけではないのでありまして、その範囲内において、常識上これで選挙活動の目的を達するに足るものではなかろうかという点を、経験のある方、知識のある方々のコンセンサスを求めてこの数字になった次第でございます。
#86
○戸田菊雄君 時間がありませんから最後にいたしますが、政治活動の規制を都道府県会議員、指定都市会議員、これまで今回拡張してありますね。さらにいまわれわれが考えますと、その同一選挙区内で候補者三名以上立てるというような政党は、これは大臣が所属する自民党くらいしか私はないじゃないかと思う。で、そういうことにならないと、何といいますか、確認団体としての要件からいろいろな制限を出されるような状況になっておると思う。そのことによって実質的には当該政党は政治活動が凍結をされてしまう、そういう事態になりやしないか。これは現にそうですね。だから、いま指定都市など政府が指定したあと、大体いま市行政が全体にアップしているのが国の方針のように理解をするのですが、そういうことになるとするならば、もっともっとこの指定都市というものは私はふえていくと思いますね。そういうことになって、なおかつ同一選挙区内で三名以上の候補者を持たなければ一定の制限を加えるということでは政治活動は凍結をされる。これは全く不合理じゃないかと思うのですね。これはおそらく拡張解釈をしていくと、これは各市議員選挙、公職選のですね、こういう選挙にまで私は引き伸ばされていくんじゃないかという危惧の念を持つわけなんですが、この辺はどう一体御理解しているんですか、御回答願いたい。
#87
○政府委員(中村啓一君) 戸田先生からお話のありましたように、今回提案をいたしております中に、都道府県会議員の選挙並びに政令指定都市の市会議員の選挙につきまして、新たに確認団体の制度を導入をしようとしております。その理由等につきましては、あえて申し上げるまでもございませんが、その要件といたしまして、それぞれの都道府県、あるいは指定市で三名以上の候補者を持つ政治団体に限るといたしたわけでありますが、これは衆議院議員の選挙の場合におきまする確認団体の要件が、御案内のように、二十五人ということでございます。たしか定員に対しまして五%強というような程度でございます。それから参議院議員の選挙の場合の確認団体の要件は、所属候補者十人以上ということでございます。定員に対しまして約八%くらいというのが、いわゆる確認団体の要件にしてあるわけであります。そこで、都道府県会議員選挙、あるいは政令指定都市市会議員選挙についてどういう要件を持ったらいいかということになると、大体従来のそういう前例ということで、それぞれの定員の五%から四%程度でどうだろうかということで、いろいろと試算をいたしてみました。結局都道府県なり指定都市を単位にして三名という要件でいかがであろうかという結論になったわけでございます。
#88
○委員長(井川伊平君) これにて暫時休憩いたします。
 再開は午後二時といたします。
   午後一時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十三分開会
#89
○委員長(井川伊平君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を再開いたします。
 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 公職選挙法の一部は改正する法律案の審査のため、十二月十八日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(井川伊平君) 御異議ないと認めます。
 なお、参考人の人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(井川伊平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#92
○委員長(井川伊平君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
#93
○多田省吾君 第五次選挙制度審議会及び第六次選挙制度審議会を通じて、佐藤総理の諮問の根大事項というものは、金のかからない政党本位の選挙制度の確立に種極的に取り組んでいただきたい、こういうものであったと思います。その諮問を受けまして、第五次選挙制度審議会におきましては、緊急に措置すべき事項といたしまして、政治資金規正法の改正案の答申が行なわれたわけであります。これは、黒い霧等の問題もございまして、また、金のかからない政党本位の選挙を実施するためにも、どうしてもこの政治資金規正法を改正していかなければならないということは、大かたの国民の大きな世論ともなったのでございます。ところが、残念ながら、三回ほど国会に政治資金規正法改正案が提出されたのでございますけれども、それが非常にひどい骨抜き法案であった。総理は小骨一本抜かないと申されたのでありますが、事実は、大骨も全部抜いてしまったような改正案だったわけでございます。そしてそれすら、せっかく政府が提出したこの改正案を、与党でおる自民党が寄ってたかってこれを廃案にしてしまった。そういう姿もあったわけであります。
 私たち公明党といたしましては、前から、政治献金は個人に限るべし、会社や団体の法人の政治献金は禁止したほうがよろしい、こういう主張をしてまいりました。第五次選挙制度審議会の答申案にも私たちは手ぬるいとして反対したわけでありますけれども、政府から第一回目に提出された、藤枝自治大臣のときに提出された政治資金規正法改正案につきましては、これは答申案よりも一歩後退するものではありましたけれども、いままでの政治資金規正法のザル法よりはまあ一歩前進したものであろうということで、私たちの党は、これは通すべきだということを主張したわけです。ところが、残念ながら、他の野党は手ぬるいということで反対され、そして肝心の自民党が、どういうわけか、これに反対しまして、とうとう通らなかったといういきさつもございました。もしあれが通っていれば、一歩前進したものとして、今日のように国民全般から指弾を受けるようなことは私はなかったろうと思います。そして、三年たった今日においては、もう政治献金の、いわゆる会費名目の隠れた政治献金も明るみに出されて、ガラス張りにはなったろうと思われるわけです。私たちは非常にこの点は残念だと思います。しかしながら、これは絶対多数を誇る与党が寄ってたかって廃案にしてしまったのですから、一野党はどうすることもできなかったのです。
 ところが、二回目に出された政治資金規正法案というものは、まさに政治献金助長法案のような姿でございまして、もう天井もないようなものである。それから税金の問題でも非常に優遇されているというようなことで、これは政治資金規正どころか、政治献金助長じゃないかということで、これは私たちも大反対しました。私たちが望むものは、やはり少なくとも第五次選挙制度審議会において答申された内容、しかも総理大臣が小骨一本抜かないと国民に公約した内容のものは少なくとも出すべきではないかと私たちは思うわけでございます。
 そういうことで、この前も大臣に御質問したのでありますが、時間もありませんで、はっきりしたお答えがいただけなくて、非常に残念でございます。私は、ここでやはり、第七次選挙制度審議会が発足するまぎわになっておりますし、この際、次の通常国会には少なくとも政治資金規正法改正案は出すべきじゃないか、そして、第七次選挙制度審議会の発足する以前に、大臣から、次の通常国会には必ず出しますという確答があってこそ、初めて第七次選挙制度審議会も発足できるんじゃないか、このように思うわけでございます。いまのところ、肝心の政治資金規正法改正案も提出する見通しがなくて、しかも、第六次選挙制度審議会において答申された参議院地方区の定数是正の法案もまだ煮詰まっていないような現状において第七次選挙制度審議会を発足するということは、やはり選挙制度審議会に対する冒涜であり、国民に対する裏切りではないか、 このように感じます。この際、やはり国民の多くが望んでいる政治資金規正法改正案の提出を次の通常国会には必ず前向きのものを出したいという確約をお願いしたいし、また、それこそ金のかからない選挙、本来の選挙ができる根本ではないか、このように思うわけでございます。大臣の確たる御答弁をお願いしたいと思います。
#94
○国務大臣(秋田大助君) しばしば申し上げておりますとおり、また、ただいま多田先生から御説明のございましたとおり、過去三回にわたりまして各種の案が提出されたわけであります。しかし、不幸にして廃案になりました。につきましては、やはり、そこに何らかの問題点があったことを感じないわけにはいかないのでございまして、何と申しましても、政党の政治活動のあり方、並びに選挙のあり方、これらについての根本的な検討が必要なのではなかろうか。政党本位、政策本位の金のかからない公正な選挙の仕組みが全般的にでき上がっていることが必要なのではなかろうか。こういう点を考えましたので、これらの点にわたり総合的に検討することが、やはり政治資金規正法の改正を考えるにあたって必要なことじゃなかろうか。こういうふうに考えましたので、この点につきまして多角的に総合的に検討をいたしておるところでございます。したがいまして、いま直ちに必ず次の通常国会に提案するかどうか確約せいというお話でございますが、その点は、いましばらく検討にひとつまかしていただきたい、いましばらくお待ちを願いたい、こう考える次第でございます。
#95
○多田省吾君 検討、検討とおっしゃいますけれども、もう政府案として三回も政治資金規正法案が提出された現実の姿もあるわけでございます。また、二年以上もかかって検討を続けているということは、先ほども申しましたように、やはり国民や選挙制度審議会に対する裏切りであり、冒涜であると私は思うわけでございます。そして、総理大臣も、今国会の本会議におきましても、はっきりと、政治資金規正法改正案の提出の方向を答弁しているわけでございます。来年の通常国会に提出できないで、一体いつ提出なさろうとしておるのか、はなはだ了解できないわけでございます。それじゃ、総理大臣の本会議における答弁も、これではまた、うそになってしまいます。それじゃ、大臣としては来年の通常国会に提出できるとは確約できないとおっしゃるなら、一体いつごろまで提出できることを国民に確約できるのでしょうか。その点を、もう一回はっきりおっしゃってもらいたい。
#96
○国務大臣(秋田大助君) いつという年時日を切ることは、この際検討の結果によるわけでございます。しかし、この問題は、大事な、過去三回どうしても廃案になったいきさつにかんがみまして、基本のところをよく固めておく必要があろうと思います。そのつもりで、たとえば、この法案等もその一つの段階にもなろうかと存じますが、第七次選挙制度審議会で、やはり選挙制度のあり方の基本に立ち返りまして、いろいろ御検討を願った結果によりたいと思っております。
#97
○多田省吾君 昨年の第六次選挙制度審議会の発足にあたりましても、高橋審議会会長はじめ、ほとんど全員が、政治資金規正法改正案も提出しないで第六次選挙制度審議会を発足きせ、しかも審議を続けるということはできないということで、高橋会長が先頭に立って総理大臣の官邸におもむいて、はっきり通常国会に政治資金規正法案を早急に出すようにという申し入れを行なったこともあったわけでございます。で、昨年は、残念ながら、他のいろいろな法案があったためか、ほとんど審議が行なわれずに終わったわけです。しかも、政府の提出のしかたも非常におそかったわけです。そういう実情にかんがみまして、やはり今度の第七次選挙制度審議会におきましても、通常国会に総理や自治大臣が政治資金規正法改正案を出しますという確約もしないで発足させ、また審議をお願いするということは、これはもう昨年からの経過を考えて、これは非常によくないことだと思うのです。そういう意味で、もう来年の通常選挙にはっきり確約もできないし、日にちもまだ何とも言えないというのでは、これは政府が政府資金規正法改正案を提出する気持ちがないのじゃないか、このように疑われてもやむを得ないのじゃないか。で、自治大臣は、根本的な基本的調整というようなことをおっしゃいましたけれども、いま提出されている公選法改正案もその一つだとおっしゃっておりますけれども、これは私たちはそうは思いませんし、そうは受け取れません。そのことはほとんど関係のないことでございます。
 じゃ、大臣のおっしゃる、基本を固めてから、与党と相談してからとおっしゃる、その基本とは一体どういうことなんでしょうか。
#98
○国務大臣(秋田大助君) やはり一番問題は、選挙のあり方だろうと思うのです。そこで、現在の選挙のあり方がやはり個人本位になっておるところに、やはり問題の基本があるのではなかろうか。ここをよくひとつ検討をしていく必要がなかろうか。それには、やはり政党本位、政策本位、こういう考え方で、衆参両院を通じて選挙のあり方を再検討してみる必要が十分あるのではなかろうか。その間に、金のかからない仕組みは、やはり政党本位なればこそできていくのだ、個人本位ではどうしてもそこがうまくいかない、こういう点を考えまして、ひとつ十分第七次選挙制度審議会で、いままでも論ぜられましたが、この際、再検討をしていただく必要があるのではなかろうか、こういう点を考慮いたしておるようなわけでございます。
#99
○多田省吾君 ですから、政党本位、政策本位の選挙を貫くためには政治活動の自由化をもっともっとはかるべきであって、このような政治活動の自由化を規制するような法案は逆行だと私たちは言っているわけです。その問題は別としましても、個人本位の選挙であるから政党本位の選挙にしなければならないと、その点が確立しないうちは政治資金規正法改正案を出せないというようなふうにとれますけれども、それでは、前から言われている、いわゆる衆議院の選挙制度改正、すなわち小選挙区制との車の両輪制、このようにも考えられるのですけれども、この問題は、佐藤総理大臣も、政治資金規正法改正案を出すときに、小選挙区制との車の両輪制はとらないと、はっきり国民に発表しているわけです。それを自治大臣は持ち出すわけですか。
#100
○国務大臣(秋田大助君) 私は、選挙制度の基本にかかわるいろいろの仕組みの考慮をされる中には、あるいは小選挙区制度論も入ってくるかもしれませんが、しかしながら、それにかかわらさして、それに条件をつけて政治資金規正法を考えなければならぬ、こういうふうには考えておりません。総合的に選挙制度の仕組みについて考慮願うことがこの際必要ではなかろうかという点を配慮しながら、政治資金規正法の基本的な改正というものを考えなきゃいかぬのではないか、その点をいましばらく考慮してみたい、こういうような考え方でございます。
#101
○多田省吾君 この政治資金規正法改定の問題は、もう二年前に緊急に措置すべき事項として第五次選挙制度審議会において早急に提出された答申でありますし、たびたび総理も約束していることでありますから、これは来年の通常国会にもはっきり提出できる見込みはない、それから日にちについてはいつになるかわからないと、こういう態度では、ほんとうに私はもう自治大臣としての政治生命にも関することじゃないかと、こう思うのですよ。しかも、総理だって、この前の本会議でも、この政治資金規正法の提出については、将来提出するということをはっきり明言しておるわけです。しかし、自治大臣が、来年の通常国会、しかも来年の国会も、あと二回ぐらいあろうと思いますけれども、そのときにすら、来年じゅうにおいてすら、提出できることをはっきり明言しないというのでは、これじゃ、もう第七次選挙制度審議会がまあ一年なら一年続く間において提出曲れるかどうかもわからないわけですね。それで第七次選挙制度審議会を発足させ、終わりまで審議を願うということは、あまりにもこれでは厚顔無恥ではないか、このように思わざるを得ません。この第七次選挙制度審議会の期間中も提出できるというお約束はできないのですか。
#102
○国務大臣(秋田大助君) ただいまも申し上げましたとおり、第七次選挙制度審議会で、ひとつ基本の点について御検討を願う、その審議の次第等によりまして、所要の結論が得られれば、それでは提出をするということになろうかもしれませんが、その時期等につきましては、いま明言ができないと、こう申し上げておるわけであります。
#103
○多田省吾君 これは非常におかしい考えだと思うのです。政治資金規正法の改正の方法につきましては、第五次選挙制度審議会で緊急措置すべき事項として答申されたのですよ。それに対して、第七次選挙制度審議会の審議過程において自治大臣が納得できるような審議ができなければ政治資金規正法改正は出せないというのじゃ、これはもう選挙制度審議会をほんとうにばかにしていることじゃありませんか。そんなばかなことはありませんよ。これは、私は、はっきりと来年の通常国会において政治資金規正法改正案は出すべきだと、このように思いますし、はっきり出すという総理大臣や自治大臣の明言がなければ、私は、今度第七次選挙制度審議会において審議を重ねる意味がないと思うのです。それは考え方は反対だと思う。第七次選挙制度審議会の審議の過程において納得できれば政治資金規正法改正案を出す、そんな審議会をばかにした話がありますか。どういう意味ですか、それは。
#104
○国務大臣(秋田大助君) 申し上げておりますとおり、過去三回いろいろな提案を試み、それがいずれも廃案になっておりますので、この点についてやはり考慮を深くいたしまして、いまもう一度基本にさかのぼって再検討をしてみたい、いたずらに過去の廃案の前轍をまた繰り返すことのないよう、その点も考慮いたしまして、十分再検案をしてみたいと、こういう考え方でございます。
#105
○多田省吾君 ですから、もう総理大臣は自民党総裁でもあるのだし、佐藤総理という方がはっきり国民に約束したことはやる――まあ藤枝自治大臣のときの法案だって、政府が法案を出して、そして自民党が反対して廃案にしてしまうというようなことすら、非常におかしいことでございます。これはもう、政府と自民党の話し合いの上でそうしたとしか思われませんし、それではもう幾ら議会制民主主義とか政党政治とかいっても、総理や自治大臣のあり方については、これは国民はだれしも納得できないのじゃないか。三回出した出したとおっしゃるのですけれども、肝心の自民党が三回とも反対しているような法案を出してお茶を濁している。それじゃもう、ほんとうに出したことにはならない。
 で、もう一点、この政治資金規正法についてお尋ねいたしますけれども、政治献金の規制、そして黒い霧にまつわる政治を是正するという問題は非常に大事な問題だと思います。その点にからんで、今度は、ことしになりましてから大きな問題になりましたのは、全国的な政治団体が千四百九十五もありながら、報告をしている団体が六百ぐらいしかない、こういう、まあ報告義務がありながら報告しないという問題で、ほんとうはこれは罰則もあるのでありますけれども、全然その罰則の適用を受けた団体がないわけでございます。で、この前は四人の現大臣が、またその現大臣が関係する政治団体につきまして告発さえ行なわれたわけであります。その当時、自治大臣あるいは選挙部長は、はっきりと、この次の政治資金規正法案にはいわゆる幽霊政治団体を一掃するような法改正をしたいのだと、このようにおっしゃっていたのであります。まあ、昭和四十五年上半期の政治団体の報告も、ほんとうはもうとっくに終わっておるはずなんでございますけれども、非常にその官報に記載する報告もおくれておるわけでございますが、一体いつごろその報告を発表するおつもりなのか。それから、今度の政治資金規正法改正案には、どのようなそれに対する対策を出そうとしておられるのか、これをお尋ねしたいと思います。
#106
○政府委員(中村啓一君) 政治資金規正法の届け出の励行につきましては、多田先生からたびたび御注意をいただいたところでございます。私どもは、御注意もございまして、何としても少なくとも現行政治資金現正法が守られるということはぜひ確保いたしたいということで、特に今年努力を続けております。で、ことしの七月並びに十月の二回にわたりまして、全政治団体、全国的に活動なさっておることとして届け出のあります全政治団体につきまして一つ一つ御連絡をし、督促をいたしたところでございます。四十五年の上半期につきましては、さようなことで、従来にな督促に督促を重ねまして、できるだけ、収支を現実におやりになっている団体は届け出をしていただく、それを全部取りまとめようということで相つとめました。大体まとまりましたので、できるだけ早い機会に公表の段取りにいたしたいと思っております。
 というような次第で、政治資金規正法につきまして、私どもは、いわゆる罰則等でこれを云々するよりも、何としても行政上相手方に御連絡をし、行政上相手方の御納得を得て、この届け出が励行されるように相つとめておるわけでございますが、多田先生から御指摘のありましたように、届け出はありますけれども事実上は活動をしていないというものがかなりございます。これにつきましては、現在の法律では、それを自治省なら自治省で抹消をするというような手続がございませんので、いわゆる活動をやめてしまったような団体も政治団体の中に入っております。したがって、なお報告の義務の励行が十分でないような印象を必要以上に与える面もございます。そこで、私どもとしては、いまの法律の中にはいわゆる職権的な抹消という手続はありませんが、事実上、今年二回にわたって調査をし督促をした結果に基づいて、約千五百の団体の中で、この団体は事実上活動を停止したものというような形で分別できるようなことにいたしたいというふうに存じております。いずれ、政治資金規正法全体につきまして、技術的にも問題点が幾つかございますので、その中の一つとして、事実上活動を停止し、かつ解散の届け出をしない場合の措置というようなものにつきましても、しかるべき機会がありました場合には、ぜひ手直しをいたすようにお願いを申し上げたいと思っておるところでございます。
#107
○多田省吾君 昭和四十五年度の上半期における千四百九十五の政治団体のうち、もう届け出の済んだ団体は大体幾つほど確認しておりますか。
#108
○政府委員(中村啓一君) 四十五年の上半期につきましては、現在七百五、六十になっておりまして、従来五百から六百というところから見ますと、百五、六十団体は提出がふえたという形になっております。
#109
○多田省吾君 次に、最近たいへん問題になっております参議院地方区の定数是正問題でございますが、佐藤総理も、昭和四十三年八月の参議院本会議あるいは衆議院本会議におきましても、はっきり参議院地方区の定数のアンバランスは認める、早急に選挙制度審議会にも諮問したい、このように答弁しておりました。このために第六次選挙制度審議会においてその答申が出たわけでございます。そして自治大臣も、たびたび、来年の通常国会の初めにこの定数是正案を提出したいと答弁していたわけでございます。ただ、今度の昭和四十五年十月一日に行なわれました国勢調査の概数の結果におきまして、やはり答申のときに用いた昭和四十年度の人口調査あるいは昭和四十四年十二月三十一日現在の住民基本台帳というような資料と比べて、非常にまた人口のアンバランスが進みまして、そして私も八月ごろからたびたび、昭和四十五年三月三十一日現在における住民基本台帳をもとにいたしまして、岡山県と熊本県がもう逆転しているじゃないか、これに対してどういう考えで臨んでいるのかと、こう毎月、この委員会で質問したわけでありますが、自治大臣はあまり深刻に何カ月間か考えておられなかったらしくて、そのたび答弁を濁しておられたような姿がございました。ここでは、案の定、この国勢調査の概数が発表された結果、ことしの三月三十一日の住民基本台帳の人口よりもまたさらにアンバランスが進んだような傾向があるわけでございます。もうすでに愛知県も北海道の人口を追い越しておりますし、ここにもアンバランスが生じております。神奈川県におきましては、北海道を越え、さらに愛知県も越えて、このアンバランスが目立っております。この神奈川県は、もう二段階逆転現象が生じたわけです。また、群馬県、栃木県、岡山県のほかに、やはり鹿児島県、熊本県のアンバランスが目立っております。これは、宮城県や岐阜県と比べますと、やはり逆転現象を生じているわけであります。
 まあこういった結果で、自治大臣としては非常に苦慮されていることはよくわかりますけれども、総理大臣も、はっきり、参議院の定数是正はやりたいと答弁しているのだし、また、自治大臣もたびたび、通常国会の初めに改正案を出したいとおっしゃっておられるわけですから、ここでやはり答申の精神に最も合致した改正案というものを早く考えなければならないんじゃないか、このように思うわけです。で、もう今月の暮れには通常国会が始まるわけでございますから、いまにしてその改正案の骨子すらできてないということは、非常にこれはゆゆしき問題である、このように思うわけでございます。
 で、やはり私たちが考えましても、この前も申し上げましたように、群馬県、栃木県、岡山県のほかに、熊本県、鹿児島県というアンバランスがあるのですから、この五県を二人ずつ減少させて、そして大阪、神奈川、東京の三県のほかに宮城県、岐阜県の五県を増加させるという案も、当然これは考えられるでありましょうし、まあ朝日新聞の社説等にもこうした案が示されております。これも一つの案だと思うのです。これはやはり答申の神神に沿ったものである、このように私たちは思うわけでございます。
 そのほか、二番目の考えとしましては、この前の第六次選挙制度審議会の審議過程におきまして三つの調整案が出されておるのです。その第三案と申しますのは、最小限度の暫定的な是正ということで、東京、神奈川、大阪、この三つは二人づつ増加させる、減はしない、この案は、やはり残念ながら一票の差で否決されたわけでございます。しかしながら、審議過程におきましては、相当な有力な案であったわけでございます。私たちは、こういった第三案を用いてもよろしいじゃないか、このように思うわけです。
 それからもう一つの考え方は、やはり四人区、二人区のことだけでなしに、八人区、六人区という面も考えますと、愛知県、神奈川県というのがアンバランスが非常に目立っております。ある場合には北海道よりも人口増を示している。その結果、逆転現象を起こしている愛知県等をやはり二名ふやすべきが答申の線に沿った考え方ではないか、こういう考え方もあるわけでございます。
 ですから、東京、神奈川、大阪だけではなしに、愛知県も二名増、そして群馬、栃木、岡山、熊本、鹿児島、これを二名減にする。ほんとうならば、いまの神奈川だって、いまの四人区を八人区にしなければ、北海道との逆転現象は防げないわけでございますけれども、やっぱり四人増というのは、この前の審議会でも、最小限度の増ではありませんから、いろいろ抵抗があったようでありますが、こういうことは具体的に自治大臣は考えられて、そしてその改正案を進めなければならないんじゃないかと思われますけれども、私たちがこのように具体案を示しているんですから、ひとつ、大臣におきましても、どういうお考えで臨んでおられるのか、現在のお考えをやはり示していくのがほんとうの民主政治じゃないか、このように思うんですが、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
#110
○国務大臣(秋田大助君) 先ほど戸田先生からもお話がございました、東京、大阪、神奈川、愛知、宮城、岐阜、鹿児島、岡山、熊本、ここいらもアンバランスが相互間にいろいろありますので、やはりここは考慮の対象にならざるを得ないと考えておると、はっきり申し上げたわけであります。しからば、その間にどういう案が考えられるか、合理的な案をどういうふうにするか、ただいま先生から御指摘のあったとおりでございまして、その点については具体的に数字に即して考えておるわけでございます。そうしますと、それと第六次選挙制度審議会の答申――これはもちろん四十年度の国調を基礎としたのでありまするから、形は違っておりますし、数字ももちろん違ってまいるわけであります。これを実際にその精神を適用するという場合に、プラスマイナスゼロにすべきなのか、しかもその場合に、数字は六名から最小限度十名になります。これはプラスマイナスゼロにすればいいんだという考慮だけで足りるものであるかどうか。そこに数がふえてくるということは一つの大きな要素でございまして、六名なら、十名ならどう考えるかという点も推測し、いろいろ考えてみなければなりません。なおかつ、いまお示しのございましたとおり、宮城、岐阜という点を考慮するといたしますれば、ここに四名増が予想されるのでございまして、十名減の十四名増、差し引き四名増ということも考えられないわけではないと思います。それには、やはり、神奈川なり愛知なりの人口と北海道のアンバランスの是正ということが基礎にあるわけでございますが、そういう点をいろいろ案をつくってみておるわけでございます。そうして、それと第六次選挙制度審議会の、お示し願いました趣旨との彼我検討、それとの相違ありやなしや、これらの点をいろいろと検討をいたしておるわけでございます。
#111
○多田省吾君 いまから二、三週間前あたりからこの問題が論ぜられましたときに、一部に、自治大臣は来年の通常国会にこの是正案を出すのをあきらめて、そして第七次選挙制度審議会にまた諮問し直すんじゃないかというような観測も行なわれたわけでありますが、もちろん、私たちはそういうやり方は反対でございます。大臣は、こういった問題につきまして第七次選挙制度審議会には諮問することなく、第六次選挙制度審議会の答申をもって、その精神を尊重して、従来言われてきたように、次の通常国会に必ず出すという、そういうお考えはお変わりございませんか。
#112
○国務大臣(秋田大助君) 第六次審議会の御答申の趣旨を尊重してまいろう、こういう趣旨には変わりはございません。ただし、基本が変わっております。第六次と、ただいまの人口のあり方と、この点につきましてはやはり考慮をしなければならない、この考慮はどの範囲にとどめるべきかということにつきましては、なかなか苦心の要るところでもあるし、簡単な結論はよう出しかねる、慎重を期さなければならない、この点についてはいろいろ検討し、とつおいつ考慮いたしておるところでございます。
#113
○多田省吾君 それじゃ、第六次選挙制度審議会の答申の趣旨を尊重していくものであって、第七次選挙制度審議会に諮問し直すことはないという、そういうお考えでございますか。
#114
○国務大臣(秋田大助君) いまのところ、第六次選挙制度審議会の意図は、この国勢調査の結果をいかに反映すべきか、こういう点についていろいろ苦労し、検討をいたしております。
#115
○多田省吾君 次に、この前も御質問したのでありますが、ちょっと時間がなくて、中途はんぱに終わりましたので、もう一回お尋ねいたしますが、いわゆる政党法の問題です。衆議院の特別委員会におきまして、自治大臣は、丹羽委員の質問に答えられて、政党法の問題を第七次選挙制度審議会に諮問するような御答弁をなさったように聞いております。この前は、政党法ではなくて、政党のことについて論議してもらいたいのだ、こういう御答弁だったと思います。実は、第六次選挙制度審議会におきましても、土屋委員等から政党法の問題が持ち出されたのでございますけれども、その土屋委員すら最後には、これは公職選挙法の範囲内でもだいじょうぶであろう、何も政党法に固執することはないのだというように最終的にお話をしておるようでございます。
 そういった点から考えまして、どうしてもこの政党法という問題は――西ドイツには憲法にありますから政党法ができておりますけれども、これは政治活動を助長するような意味で、何か、得票によって政府から政党にお金を出すという考え方で政党法ができておるわけでございます。そうしてまた、五%条項というような、よけいのものまでついております。また、そのほかに、韓国やアルゼンチンの政党法もありますけれども、これはむしろ政治活動を規制し、束縛するような政党法であると考えております。こういった点から見て、アメリカ、イギリスをはじめ、西欧の近代的な政党といわれるような政党は、別にこの政党法というようなものは設けていないわけです。私たちも、公職選挙法、政治資金規正法の中にある政治団体の定義で十分ではないかというふうに考えておるわけでございます。もちろん、私たちは参議院の選挙区の比例代表制には反対しておりますので、比例代表制のような問題が生じた場合は、政党の問題は、また政党の定義は、いろいろ考えられるものでありましょうけれども、現在のところ、そういう姿はないのでございますから、私は別に政党法の問題を諮問する必要はないのだ、こういうふうに思うわけです。
 実際、三年ほど前に、私自身も佐藤総理大臣に、予算委員会におきまして、その当時政党法の問題がまた持ち出されたようなことがありましたので、その当時、政党法を諮問するのか、また、政党法をつくる意思があるのか、こういう質問をしましたときに、その意思はない、こういうことでございました。ですから、この前の衆議院の特別委員会におきまして、大臣が、政党法の問題を諮問する用意があるという答弁をなさったということを聞きまして、非常に意外に感じたのでございますが、この前の御答弁では、政党法の問題ではなく、政党のことを論議してもらいたいということだったのだ、そういうお話で少しは納得したのでございますけれども、ここで、はっきりと、政党法そのものを第七次選挙制度審議会に諮問をするということはないんだと、そして委員の間において政党の問題が論議されることは、これはよろしいんだというような御意向かと承りましたけれども、この問題もはっきり、もう一回お答え願いたいと思うのです。
#116
○国務大臣(秋田大助君) 衆議院の公職選挙法特別委員会で、過般、丹羽先生の御質問に答えて、私が政党法のことを審議してもらいたいというように答えたつもりはございませんが、もしそうなっておれば、それは私の用語のまことに的確を欠いた点でございまして、その点はそのつもりでないということを、はっきりここにも申し上げる次第でありまして、ただいろいろ政党本位の選挙のあり方につき御論議を願いたいと思いますので、ただいま先生のおっしゃったとおり、政党のことについて、審議会の席上、委員の方々からこの問題が論議されることを拒むものではない、否定するものではない、いわんや、政党法と名ざしまして、これが御審議願うように処置をとるというようなことは毛頭考えておりません。
#117
○多田省吾君 法律案に入る前に、もう一点だけお聞きしておきたいことは、いわゆる選挙年齢十八歳までの引き下げの問題でございますが、この前、時間をとりましてこの問題は御質問したわけでございますけれども、その後、行政局長が欧米に行かれまして、そしてこの選挙年齢引き下げの問題につきましていろいろ調査してこられたと、このように聞き及んでおりますので、簡単でけっこうですから、どういう調査をなさってこられたのか、御説明願いたいと思います。
#118
○政府委員(宮澤弘君) 最初にお断わりを申し上げておきますが、ヨーロッパへ参りましたわけでございます。期間も比較的短うございます。かつ、ほかのテーマも持っておりましたので、必ずしも十分な調査というわけにはまいりませんので、その点だけ御了承を、まず得ておきたいと思います。
 主として、イギリス及び西ドイツの事情について調査をいたしたわけでございます。
 まず、イギリスでございますが、この問題につきましては、一九六五年前後から、つまり、いまから五、六年前から、いろいろ世上で議論が行なわれたようでございまして、労働党も、一九六六年でございましたか、この選挙年齢の引き下げを労働党の公約の一つとして掲げてきたようでございます。ちょうど一九六四年でございますか、イギリスの国会の下院に、選挙制度につきましての下院議長の諮問委員会が設けられました。これは選挙制度一般について議論をしたようでございますが、その中で、選挙権の年齢の引き下げということも一つの主要なテーマとして議論を続けたようでございます。その結果といたしまして、一九六八年に、二十一歳から二十歳に引き下げる、こういう結論を得たようでございます。その間に、労働党、保守党、いろいろ意見の相違もあったようでありますけれども、とにかく下院議長の諮問委員会としましては、二十一歳から二十歳に引き下げるということで決定を見たようでございます。同時に、ちょうど同じころに、内閣の、政府の諮問委員会といたしまして、成人年齢一般について調査をする委員会ができました。この委員会は、公民権の問題、選挙権の問題を除きまして、そのほかの成人年齢の問題について調査をするということが使命であったわけであります。この委員会も、一九六七年でございますか、成人年齢二十一歳を十八歳に引き下げる、こういうふうな結論を出したわけでございます。そこで、当時の労働党内閣といたしましては――先ほど申しましたように、下院議長の諮問委員会におきましては、選挙権の年齢を二十歳に引き下げる、一方におきまして成人年齢一般といたしましては十八歳に引き下げる、こういう二つの結論が出たわけでございます。その辺をいろいろ勘案をいたしました結果、当時の労働党政府は、選挙権年齢を十八歳に引き下げるという提案をいたしまして、議会におきましては多数で可決をされたと、こういう経緯になっているようでございます。
 議会におきましても、この法案をめぐりましていろいろ議論が行なわれたようでございます。それにつきましての賛成、反対、積極、消極両論いろいろな議論があったようでございますが、そのうちの幾つかを参考までに御紹介を申し上げてみますと、まず、積極論と申しますか、賛成論でございますが、これは、たとえば最近の若い人は肉体的に成熟が早い、結婚も早い、社会に出るのも早い、したがって、それだけの責任を持たせるべきであるというような意見でございます。あるいは、一昔前に比べまして教育も進んで、知識も豊富になっているではないかというような意見でございます。あるいは、政治に新風を吹き込む、活気を与えて、理想主義と申しますか、アイディアリズムを吹き込む必要があるというような意見というようなものがあるようでございます。なお、そのほかにも、イギリスにおきましても、御承知のように、学生運動その他若い人の問題が世論の関心の的になっていたようでございますが、若い人たちの疎外感というようなものを政治に参加することによって克服をさせる必要があるというような意見もあったようでございます。さらに、若くて社会人になっております人たちの多くは税金を払っているわけでございます。税金を払っている以上は、やはり国政に参加をさせるべきだ、こういうような意見もあったようでございます。
 以上のような賛成論と申しますか、積極論に対しまして、その裏になるわけでございますけれども、消極論といたしましては、なるほど肉体的に成熟は早くなっているけれども、肉体的な成熟というのは精神的な成熟と異なるのではないかというような意見でございます。たとえ肉体的に成熟をしておりましても、その上にやはり一定の社会的な経験を積む必要があるというような意見でございます。政治に新風を吹き込むといいましても、未熟なアイディアリズムを入れることは危険ではないかというような意見でございます。あるいは、なるほど若い人たちの一部は政治に早く参加することを望んでいるけれども、大多数の若者はそれを望んでいないのではないかというような意見でございます。さらには、なるほど私的な事件については若くして判断がつくかもしれないけれども、それと社会的、公的な事件についての判断能力、私的な事件に対する判断能力と、公的な事件に対する判断能力というのはおのずから異なるのではないか、こういうような意見、消極論と申しますか、反対論というようなことで戦わされたようでございますが、結論といたしましては、先ほど申しましたように、十八歳の案件が多数で可決をされたという経緯でございます。
 なお、これに関連をいたしまして、選挙権年齢を引き下げまして、それではそのほかのいろいろな制度上の年齢、これについてはどうなっているであろうかということでございますが、これにつきましては、イギリスにおきましては、大体他の年齢も、成人に関する年齢も、十八歳に引き下げているようでございます。ただ、刑事法上の成年、未成年の違い、これは相変わらず従前のとおりのようでありますけれども、それ以外の多くのものは十八歳に引き下げているようでございます。たとえば、結婚の年齢にいたしましても、二十一歳から十八歳に引き下げております。不動産の売買の場合の年齢でございますとか、あるいは訴訟能力でございますとか、そういうようなものも選挙権の引き下げに合わせて引き下げるというようなことになっているようでございます。
 それからその次に、西ドイツの事情でございますが、西ドイツにおきましても、やはり五、六年前からこの問題が世の中で議論をされておりまして、最初は大多数の人たちが消極的な意見のようでありましたけれども、若い人の考え方も成人とあまり違わないというような数次の選挙の結果を見まして、賛成論が多くなった、こういうように聞いております。ドイツにおきましては、御承知のように、連邦国家でございます。各州がすべて年齢を十八歳に引き下げている。おそらく各州が引き下げているということも一つの事実と申しますか、論拠になりまして、連邦議会におきましても、ことし二十一歳から十八歳に引き下げる、こういう法案を可決をいたしたのだろうと思います。
 この法案の審議をめぐりましての議論は、イギリスの議論と大体同じような賛成、反対の議論があったようでございますが、特にドイツにおきましては、しばしば公聴会を開きまして、公述人なども呼びまして、その意見も非常に参考にいたしているようでございます。その中で、たとえばある学者の、青年層におきます政治的関心の度合いについての研究、それは、政治的関心というのは大体十八歳をこえて上昇をしていく、十九歳になればさらに強くなる、これが一定の年齢に達しまして、二十一歳から二十五歳ぐらいまでは上昇が比較的少なくなるというような研究というようなものも大いに参考にされたというふうに聞いているわけでございます。なお、ドイツにおきましては、御承知のように、徴兵制がございます。兵役の義務が十八歳からございます。そのことも、ドイツにおきます選挙権の年齢の引き下げの推進の要素になったというふうに聞いているわけでございます。
 それから、西ドイツにおきまして選挙権の年齢を引き下げた場合に、そのほかの年齢の引き下げという点についてどういうことになっているかということでございますけれども、これはイギリスと対照的でございまして、選挙権の年齢だけは引き下げておりますけれども、そのほかの刑事法なり民事法なり等の年齢については、現在のところは手を触れられていないというように私ども調査をいたしてきたわけでございます。その理由につきましては、なるほどドイツ的だというふうに私どもも感じたわけでございますけれども、ドイツにおきましては、やはりそういう法体系におきまして一定の年齢の体系があるようでございます。十八歳に引き下げますと体系全般を動かしていかなければならないというようなことで、そのほかの成人年齢については手を触れられていないというのが現状のようでございます。
 それから、なお、デンマークにおきましても多少の調査をいたしたわけでございますが、デンマークにおきましては、現在、年齢は二十一歳でございますけれども、これを十八歳に引き下げるという法律が昨年国会を通過をいたしました。デンマークの憲法の規定で、国民投票に付さなければならないということで、国民投票をいたしましたところが、かなりの多数で否決をされたという経緯があるようでございます。なお、この点も多少突っ込んで聞いてみましたところが、十八歳に引き下げるということは非常に反対が多い、しかし、これがもし二十歳の程度であるならば、おそらく賛否相半ばするぐらいではなかったか、こういう観測もあるようでありますけれども、デンマークの憲法の規定で、国民投票につきましては三〇%以上反対がありますと成立をしないという規定があるようでございます。二十歳に引き下げましても、なかなか国民投票では通らないのではないか、こういう観測もあるようでございます。
 大体概略以上のとおりでございます。
#119
○多田省吾君 私は、この前の当委員会におきましても――やはり十八歳まで選挙年齢を引き下げる考えというものは、自民党はじめ各党全部そのように言っておりますし、イギリスの選挙の例にもかんがみまして、私たちは決して党利党略で言っているわけではございません。この点に関しまして、自治大臣に、やはりこれは重大問題でございますから第七次選挙制度審議会に諮問したらどうかと、このように御質問いたしましたところ、諮問の考えはない、ただし、委員の中からどうしても審議したいという声があったら、それは御自由である、というお話があったわけです。私は、やはりイギリスの例等にもかんがみ、また、各国においてもこれは十分調査研究あるいは審議を重ねているようでございますし、これはなるべく早く手をつけたほうがいいと思いますから、そのためには、最も公正な、最も妥当な線として、選挙制度審議会というものがあるのですから、それに諮問なさったらどうかと、このように私は思うわけです。一部伝え聞くところによりますと、どうも選挙制度審議会に諮問しないで、そのほか別に調査会というようなものをつくって研究したいというようなお考えも伝え聞いておりますけれども、もしそういうお考えがあるとすれば、これは重大問題でございまして、あくまでも総理の諮問機関としてある選挙制度審議会を愚弄するものではないかと、このように思うわけでございますので、この点をもう一回はっきり御答弁いただきたいと思います。
 それからもう一点は、この前の委員会におきましては、憲法、民法等の関係におきまして、法制局のある方が、憲法を改正しなくても選挙年齢の引き下げはできるだろう、ただし、民法は、別に違法ではないけれども民法と一致するのが望ましいような、そういう答弁があったように聞いております。これは、法務省の方も来ておられるようですから、この民法との関係において、また、青少年の意識の問題におきまして、法務省としてはどのようにお考えになっているか、自治大臣と法務省の方にお尋ねしたいと思います。
#120
○国務大臣(秋田大助君) わが国の現行二十年をもって選挙権があるというこの規定は、ヨーロッパ各国二十一という年齢が非常に多いことを見ますと、勘案いたしまして、決して年齢高しとはまあ言えないと思います。しかし、英国の現状、西独の決定等に徴しましてこの点を検討をする必要はもちろんございます。しこうして、英、西独、アメリカ合衆国等におきましても――アメリカ合衆国はただいま行政局長は調査をしたわけではございませんが、いずれも多年のやはり研究の結果、慎重な検討、調査、研究の後に結論を出しているわけでございます。したがって、わが国におきましても、わが国の事情も勘案し、かつまた、ただいま憲法との関係等お聞きでございますが、この点は法制局等にお譲り申し上げたいと思いますが、いろいろの御意見がございまして、また、他の民法、刑法その他との関係におきましても、これをいわゆる成年年齢という概念において選挙年齢とは切り離すという考え方もございますが、常識上の観点もまた軽視できない点がございまして、これらは法体系全体にわたり、また実際にわたりまして十分検討する必要がある、また、青年の政治意識そのものの程度、実質、実態等も十分調査をしておく必要があろうと思います。したがって、これらの点につきまして関係官庁間に連絡をとっての研究は必要であろう。これはどうしても省くことのできない段階であると思います。
 そこで、直ちに選挙制度審議会に答申をするということは、選挙の観点からだけの点では、あるいはいくでございましょう。また、当然ここはないがしろにできない機関ではございますが、その他の法体系全体との関連を考慮しなければなりませんので、いま直ちに選挙制度審議会に、やるやらないは別にしても、ここに検討をゆだねるということはどうかと思うのでありまして、十分ひとつ総合的な、多角的な研究、検討、調査を要すると、こう考える次第でございます。こういうような趣旨におきまして、直ちに別途の調査機関を設けると、いま直ちに考えてはおりませんが、関係官庁間におきましてこの点をひとつ検討をし、青年の意識調査等も検討をしばらくして後に政府の態度を決定しても決しておそくない、かように考えている次第でございます。したがって、これが検討を否定するものではございません。しかし、いま直ちにこれを選挙制度審議会の議に付するということは、いましばらく待ちたいと、こういう考えでございます。
#121
○説明員(田代有嗣君) 申すまでもございませんが、民法上の成年の制度といいますのは、今日の経済社会、取引社会におきまして一人前の能力者として取引ができる年齢、通常そういう能力を持つであろうという年齢を二十歳としてきめてあるわけでございます。選挙の年齢と申しますのは、私の思いますには、やはり国民のために政治を行ないます国民の代表者を選ぶ能力を持った年齢ということでございまして、確かに、心身の発達に伴いまして、一定のことを十分判断できる年齢という点では、きわめて密接な関係があろうかと思いますが、ただいま申し上げましたように、それが必然的な関連があるというふうには考えていないわけでございます。しかしながら、常識的にそれがあまり離れてもおかしいことでございますので、そこのところは非常に微妙な関係があろうかと思いますが、その点は、私的な判断、取引の判断がむずかしいか、あるいは公的な代表者の選定がむずかしいか、どちらがむずかしいかということになりますと、これはいろいろ見方があろうかと思います。ただ、従来、この成年年齢の改正の問題につきましては、一般からは要望がなかったわけでございまして、最近イギリスの年齢引き下げのときに新聞論調で若干あらわれたのが、私どもの知る限りでは唯一のもののように思うわけでございます。
 私、思いますのに、選挙の場合には選挙権があるかないかということでありまして、あるかないか、ゼロか百かということでございますが、取引の場合においては、未成年者ば絶対に取引が禁止されるというわけではございませんで、やはり、学生でありましても、本屋に行けば本を買える。小学生でありましても、母がパンを買いに行ってこいと言えば買ってきまして、取引の場合におきましても、意思能力があれば、一応そういった金額の少ないものでありますれば、取引をしまして、その取引と申しますのは、投機的な不動産の取引というようなことでありませんで、等価交換といいますか、物を交換するというようなことでありますので、その取引につきまして、その後、未成年者のほうから、あるいは取引の相手方から、その問題について事後のトラブルが生ずるというようなことがないように思います。裁判例もそういったのはないと思います。
 そういったような観点から、未成年の制度と選挙の制度とは若干ニュアンスが違うと思うわけであります。そのような状態で、私どもといたしましては、まあ従来までは特にこれを早急に検討すべきものとは考えないできたわけでございます。現在もそういったような気持ちでおるわけでございますが、まあ今後の問題であろうかと、こういうふうに考えるわけでございます。
#122
○説明員(木村榮作君) ただいま民事年齢について御説明がございましたが、刑事の少年法の適用年齢との関連について申し上げます。
 少年法の適用年齢は、少年全般の問題ではございませんで、犯罪を犯した者につきまして成人と異なった特別の処遇をするのは何歳までのところが適当かという観点から判断をするわけでございます。で、犯罪の能力という観点、あるいはその犯罪人の改善、更生のためにどういう処遇をしたほうが適当かという観点から考えるわけでございまして、選挙年齢と民事年齢がやや近いのに比べますと、この少年法の適用年齢は少し異質なものがあるわけでございます。したがいまして、少年法適用年齢と選挙年齢、あるいは民事年齢とは本質的に本来一致しなければならぬというような必然性はないわけでございます。
 ちなみに、先ほど行政局長から御説明がございましたが、立法例の多くは、選挙年齢と民法上の成人年齢をやや高く、数から言いますと、満二十一歳程度のものが多うございます。それから少年法の適用年齢はそれよりも低く、大勢から申しますと、満十八歳とするのが多いのでございます。御説明のございましたイギリスにおきましても、選挙年齢、民事年齢は十八歳に引き下げられましたが、少年法適用の年齢は従前どおり十七歳ということになっております。西ドイツにおきましても、少年法の適用年齢は、従前どおり、二十一歳と十八歳で二つに分けまして、青年と少年という区別を設けておるものでございまして、外国の法制から見ましても必ずしも一致するものではないと考えます。
 ただ、若い世代に社会的な責任を自覚させるという考え方からは、この少年法適用年齢を引き下げるというような考え方、それから選挙年齢を引き下げるというような考え方、その基本的な考え方には、基礎において通ずるものがあると考えております。
#123
○多田省吾君 こういった選挙年齢の引き下げの問題、あるいは政党法の問題、政治資金規正法の問題、参議院議員地方区の定数是正の問題、もういろいろな問題が数多く山積しておりますので、私たちはこの委員会において、もっともっとお尋ねしたいのでございますが、肝心の法案審議も時間をかけて私たちはやらなくちゃならないというふうに思っておりますので、この辺でこの問題は打ち切ることにしたいと思いますが、ほんとうは、少なくとも毎月一回当委員会を設けて、こういった問題は十分に検討しなければならないわけでありますけれども、残念ながら、十月も当委員会は行なわれなかった。前回も、わずか二十分間の大臣の御出席で、非常に審議の時間がなかったということで、なかなか残念に思っております。私は、法案につきましても五時間ほど時間を要求して、政治活動の自由化を規制するようなこういう改悪につきましては、十分時間をかけて検討しなければならないと、このように思っておるわけでございますが、きょうだけではこれは検討できませんので、きょうは時間のある限り検討を、審議をしたいと、このように思うわけです。
 先ほど申し上げましたとおり、金のかからない政党本位の、政策中心の選挙制度の確立に積極的に取り組んでいただきたいということは、第五次、第六次選挙制度審議会を通じて佐藤総理の諮問事項でございました。そして、第五次審議会の自由化の方向というものは、この諮問を受けて、現行制度を前提にして、さしあたっての具体策であったことは自治大臣もよく御承知のことだと思います。今回の改正案というものは――まだ前回の答申に基づく改正が施行以来一年余で、国の選挙といいますと総選挙をわずか一回経験しただけでございます。通常選挙はまだ一回も経験しておりません。ところが、世論におきましても、逆行するものだといわれているような、こういう公職選挙法の改悪案を提案されているということは、非常に私たちは納得できないことでございます。この前も茨城県議会の選挙が行なわれましたが、買収、供応の事件が非常に多くて、もうすでに投票日の前日までに十一名も逮捕された。これはほとんど全部買収、供応ですね。こういった問題がなおざりにされておりまして、しかも、この政治活動の自由化ということは逆に規制しようとしている。全く私たちは納得できないことでございます。この法案の改正の真意をまずお尋ねしたいと思います。
 また、大臣は、選挙制度の改善の基本方針、あるいは政党本位、政策中心の選挙制度とおっしゃる。この将来のビジョンについて自治大臣はどうお考えになっておられるか。まず、それをお尋ねしておきます。
#124
○国務大臣(秋田大助君) 選挙及び政党の活動が自由でなければならないし、かつまた、この政党本位、政策本位の運動というものは、やはり文書活動が中心で、これの自由が確保されなければならない。これはもう動かすべからざる原則として考えておるところでございます。しこうして、これが行き過ぎ、また不必要な、過度にわたる点については、これは経験と実際に徴しまして、これをある程度改善をしたいということもまた当然なことであろう。要は、そのとろうとする改善の内容、実質が問題でございます。これが不必要に自由を制限するということであってはならないと思います。この点につきまして、やはり経験者その他関係者等のコンセンサスを求めつつ、慎重な配慮を要するものと心得ております。
#125
○多田省吾君 はっきり私たちもわからないのでございますが、いまの大臣の御答弁は、将来の選挙制度全般に対するビジョンとか、そういうことではなくして、現在の目先のことしか考えていないような御答弁じゃないかと思うのです。
 選挙のあり方につきましては、表現の自由というものが一番大事だと思います。そして個人の表現の自由が集団の表現の自由、そういうものに発展しまして、そして集団の認識の分布状態に応じて代表が選出されるというのが民主政治の理想形態であると、そのように思います。そして、それはあくまでも表現の自由によってのみ保障されるということが言われると思います。
 特に強く考えなければならないのは、選挙制度の改善、合理化というものは、ただ単に選挙をやる側、管理者側の考えとか、あるいは取り締まりの側の考えとか、そういうことではなくて、あくまでも有権者本位に考えるということが大事だと思います。すなわち、有権者が、はたしてほんとうに各党の政策なり、あるいは候補者の考えなりを真実に知ることができるということが、これは一番問題だと思います。そして、このような考えに立って有権者の政策中心の真実の一票が投票されるかどうかということが、第一の大きな主目的でなければならないと思うのです。自治大臣は、今回の改正案につきまして、自由の原則のワク内の処置であって、不必要な自由を排除したにすぎないという意味の答弁を九日の衆議院の委員会で答弁しておられますけれども、それは候補者の運動の自由についてのお考えであって、有権者が真に政策を知る自由、そうして真実の一票を行使するという自由というものではないと思うわけであります。
 いま、知事選挙をはじめ、現在まで二十の地方選挙を通じて、やはりこの政治活動が行なわれているところでは、あまり買収、供応というような県はないわけです。逆に、この前の、先ほども申しました茨城県の県会選挙なんかで、ほとんど自民党同士で争っているようなところに、買収、供応がわっと猛然と起こっているわけです。そこでは、そういう政策活動なんというのは、ほとんどないわけです。ただ買収、供応で、中には、千円札封筒に入ったのが八百枚押収されたというような、そういうものも逮捕されている。そういうところは、政治活動とか、選挙活動とか、こういうビラの活動、チラシの活動は全然なく、ただ買収、供応だけが選挙活動の主手段であるように行なわれている、実際。ですから、私たちは、ほんとうの政策活動が行なわれているところにおいては買収、供応が少なくなり、反対に、政策活動が行なわれないところにおいて買収、供応の事件が多くなるのじゃないか、このように考えております。だから、候補者本位に考えるのではなくて、一般の有権者の方々がどのように政策を間違いなく知り得るかということを中心に考えれば、こういった政治活動を束縛するような改悪案は私は出ないと思います。かりに多少の行き過ぎが見られたということがあったにしましても、有権者の声を無視してこの改悪案をつくるということは私は間違いであると、このように思うわけであります。
 それで、衆議院の答弁でも、自治大臣は、意識調査はまだしていないとおっしゃっているわけです。それは選挙に関心のある人の意見を参考にしたとおっしゃいますけれども、実際選挙制度審議会のメンバー等にどの程度御相談なさったのか、御意見を聞かれたのか、それも非常にあぶないものだと考えているわけです。ですから、きょうの理事会におきましても共産党さんからも申し入れがあったのですが、私たちも強力に主張しまして、各党全部賛成して、あさっての本委員会におきましては参考人を呼ぼうということに決定したわけです。これはやはり、自治大臣が意識調査もしていないと、関係者の意見を参考にしたとは言っても、私たちから見れば、ほんとうに有権者各位の意見を聞いていないように思いますから、このような、先般集まって、最後の、会期の最終日でありますけれども、参考人を呼ぶ、こういうことになったのです。これは、私は、自治省側の怠慢であり、非常に遺憾なことだと思います。こういったことにつきまして、ほんとうに改正について、選挙制度については有権者本位の制度ということを真剣に考えられて立てられたものかどうか、ひとつお伺いしたい。
#126
○国務大臣(秋田大助君) もちろん、選挙制度あるいは運動等を考える場合に、有権者本位であるべきは申すまでもございません。われわれがこの改正の提案をいたすにあたりましても、その基本的態度は、もちろん有権者本位であるべきであり、その点を十分考慮したつもりでございます。要するに、京都知事選挙におきまして、文書活動等が過度にわたりました。この点につきまして、やはり一般市民の間に、ここまでしなくてもいいじゃないかという声もあがっておるということを、私自身京都に行きまして、いろいろの市民の口から聞いたこともありますし、また、そういうことを言っておるということを運動員その他の諸君も言い、かつまた、国会内におきましても、同僚議員の間からそういう声があるという点を考慮いたしまして、事務当局をして関係方面をいろいろ検討いたさせまして、接触をいたさせました結果、大方の声というもの、要望というものを察しまして、この提案に立ち至った次第でございます。
#127
○多田省吾君 それは非常にわれわれには異論があります。というのは、私は行きませんでしたけれども、同僚の上林議員が行っておるんですが、京都に、この参議院公職選挙法改正特別委員会のメンバーが正式に調査に参りましたときにも、有権者の側からは、そういった大臣のおっしゃるような声は出てなかったのです。これが何よりの証拠でございます。もう一つは、有権者本位の考え方だとおっしゃるけれども、党利党略の一つに尽きるということは、はっきりした証拠があるじゃありませんか。これは、一昨日十四日、統一選挙臨時特例法案に、あの福本議員の総務会における申し入れがそのまま自治省案として、おととい出てきたんじゃありませんか。そして、大臣、あなたの目の前で全会一致をもってそれが削除されたんですよ。これはあくまで党利党略だと、自民党の議員でさえ反対が巻き起こっておるじゃありませんか。こういった削除をされたといっても、この選挙法を党利党略から私物化したという責任は、これは大臣はのがれることができないと思うのです。これは、はっきりした党利党略の姿があるじゃありませんか、現実の姿として。ですから、私は、選挙法改正の改悪案も、これはもう幾ら理屈をつけようとしても、党利党略で行なわれたと断ずる以外にないと思います。これは、はっきり、選挙運動の自由化ということは、有権者の立場で考えなければならない問題であると思うんです。この考えが常に大臣のお心にあれば、あのような一自民党総務の暴言が統一選挙の臨時特例法案につけ加えられるというような暴挙はなかったはずだと私たちは思うわけでございます。
 こういう面で、私はお尋ねしたいのですけれども、自治大臣は、選挙運動における自由化と、その範囲について、どのように考えておられるのか、それをまずお伺いしたいと思います。
#128
○国務大臣(秋田大助君) この改正案が党利党略であって、その証左がいわゆる地方統一選挙に関する特例法案、そこにあらわれておるじゃないかという御所論でございますが、統一地方選挙の特例法案も同時に審議されておるわけでありますが、あの点にちょっと触れさしていただきたいと思いますが、これは決して党利党略ではございません。自民党の総務会におきまして、三万都市を制定する際に使いました指定統計調査というものをどう考えるかという御指摘があったわけでございます。そこで、いろいろ議論が総務会で出まして、その結果、自民党三役の裁定によりまして、その点を考慮するという案が採用になったわけであります。これは、形の上で一地域に結果的には適用されるというような形をとりますので、いかにも恣意的な意図に出たように誤解を受けておるのではなかろうかと思います。指定統計調査というものも、れっきとした一つの人口調査でございまして、その結果は確定的なものでございます。人口調査に関する一つの確定数であることは間違いがないと思います。さればこそ、三万都市の設定と相なったわけであります。要は、この統計調査を確定人口数として見るか見ないかという判断の問題でございます。で、他の考慮から、これを見ないということも十分意味があると同時に、これを一つの確定人口として考えるということも、また一つの大きな意味があるのではなかろうかと考えておるのでございまして、要は、いずれをとるかの価値判断の問題ではございますが、決して党利党略に出たものでないことを、ひとつ御了解を聴いたいと思うのでございますが、これは各党の御修正には、もちろん政府としては服するつもりでございます。
 同時に、今回の公職選挙法の一部改正につきましては、自由の原則の実際適用におきまして、過ぎたる点についてはこれを取り除いていくということは、その内容が、しばしば申し上げるとおり、問題であることはもちろんでございますけれども、自由の原則を侵さない範囲において過度な点を取っていくということは、関係者の一つのコンセンサスの上に許されるものであって、それは決して自由の原則そのものを圧殺するものではないのではなかろうかと、こう考えて御提案を申し上げた次第でございます。
#129
○多田省吾君 大臣はいろいろ弁解されましたけれども、これはほんとうにお笑い草でございまして、このようなあやふやな、いわゆる指定統計調査、しかも志木と桶川の新しい人口を繰り入れたところの指定統計調査をもとにして定数をきめるというようなことは、非常な暴挙であることは、だれが考えてもわかることでございまして、たとえば、県内の各地から志木、桶川に入ってきた者があるなら、県内のどこかで減っているわけである。そういうあやふやな人口をもとに自治省が一総務の討論に押されてこういった改正案を出すということは、私はとんでもないことだと思う。それよりは、よほど四十五年度の概数のほうが、むしろ正確だと言えるんじゃありませんか。ダブって計算なんかしてありませんよ。とんでもないことです。ですから、自民党の奥野さんのような、いわゆる選挙制度審議会委員であり、元自治省の事務次官であり、そして公職選挙法の特別委員であるという、こういう有名な奥野さんですら、こういった案に反対しておるじゃなりませんか。だから、それはどこまでも詭弁でございます。
 それだけにこだわっておりますと時間がなくなりますので、申し上げますけれども、選挙運動の自由化というものが選挙の公正を害する明白にして現在する危険を排除できない場合には、その自由化というものは制限されることもあるかもしれません。しかしながら、現行の選挙法に今回の改正案を必要とするような明白な現在する危険というものが施行面のどこかにあったかということをお尋ねしたいわけです。で、もしこれを行き過ぎとするならば、現行制度というものを総合調整することによって、現在の立て方というものをくずすことなくこれはできたはずでございます。また、金がかかるといいますけれども、買収、供応に比べたらとるに足りないものでございます。また、ビラの洪水だなんていっても、読みたくなければ読まなければいいわけでございますから、捨てたらいいわけでございますから、どこにこの今回の改正を必要とするような理由があったのか。外部者から改正の必要があったとしましても、先ほどから申し上げましているように、これは理由にはならないことです。あくまでも有権者がその各党の政策なりあるいは各人の政策なりを知るということが一番大事な問題でございますからね。特に私たちは、総理大臣や自治大臣が政党本位の、政策本位の選挙と言っているから、よけい言いたくなるわけです。
 で、いま参考までに申し上げますけれども、確かにいま若年層の投票率低下が憂えられております。特に都市部の二十代の投票率というものは四〇%台と言われまして、二人に一人以上は棄権しているわけでございます。これは四十五年の三月二十二日に自治省が発表したものでございます。ところが、京都のある青年代表が、棄権するのはやはり知らされないからだと、政策争点がわかれば必ず投票している、これは真実の一票だから若年層のほうが真実の投票率はいいのだと、こういうことも言っているようでございますし、また、昨年の総選挙に対して公明選挙連盟というのが四十五年の二月に世論調査を行ないました。棄権した理由を問いただしたところが、やはり政策がわからないというのが五・三%、非常に多いんですね。そのほか関心なしとか、めんどうだからとか、選挙ではよくならない、あるいは私一人くらいはしなくてもよい、他に用があったとか、いろいろな理由がありましたけれども、やっぱり政策がわからないということで棄権した人も五・三%に及んでいる。こういった点から考えまして、やはり私は、こういう政治活動の自由を束縛するようなことではなしに、むしろそれをよりよく進め、また、ある場合は、われわれの年来の主張であるやっぱり政党本位の戸別訪問の自由化とか、こういったことも進めるべきでありますし、もうこれは非常に逆コースである、このように思うわけです。この点をどう考えますか。
#130
○国務大臣(秋田大助君) 再三申し上げておることでございますが、この内容によりまして自由の非常な制限であると、むしろ自由の原則がこれでは死んでしまう、こういうようにお考えになっての御所論でございますが、しかし、京都の実情ではただに選挙をやる側だけではないと思います。朝に夕なに変わったビラが出る。これが選挙民の啓蒙のために、政策宣明のために必要であると、もちろんそのためにやられたものでありましょうが、同時にここまでしなくても足りているという百もやはり一部にあったのでございまして、この点につきましてひとつ経験者なり関係者の御意見を承り、世論にも徴して――もちろん世論にもいろいろございますけれども、われわれは大勢を察しまして、この程度の改正を加えることは決して自由を束縛するものではない、むしろその範囲において正常にして公正な秩序ある選挙を維持するゆえんではなかろうかと、こう思いましてこういうふうにしたのでございまして、ひとつ内容につきましていろいろ御意見もございましょうけれども、同時に決して恣意的な自治省の考え一つに出たものでない点をひとつ御了解を願いたいと思うのでございます。
#131
○多田省吾君 大臣のこういった個人的な考えの御答弁では私たちは納得できないわけです。京都には朝な夕ないろいろなビラが舞い込んで、迷惑をしたとかなんとかとおっしゃいますけれども、それじゃ京都において自治省とかほかの団体のいわゆる世論調査の結果が出ているか、意識調査をやられたかというのです。こういった本院の公職選挙法改正特別委員会のメンバーがきちっと行って、有権者からの声を聞いたときも、そういった声は出ていないわけです。ところが、大臣は、そういう声は出ているのだ、出ているのだ、それでそういう関係者の声を聞いたのだ、一体どういう関係者に会われたかと私たちは言いたくなります。それから、これからますますやはり政党本位、政策本位の選挙ということで考えなければならないのは、たとえば政党の討論会とか、立ち会い演説会のテレビによる徹底的な実施とか、第三者主催の演説会、あるいは座談会、あるいは先ほど申しましたように、政党の戸別訪問の自由化、これこそほんとうの政治活動の自由化であり、文書、言論の自由化ではないか、このように思うわけです。この中には第五次選挙制度審議会の答申に含まれているものもかなりございますし、まだ実施されてはおりませんが、こういったことは大臣はなぜ実施できなかったのですか。いま言ったような立ち会い演説会のテレビによる徹底実施、あるいは第三者主催の演説会とか、政党の戸別訪問というような、まだまだやるべきことはたくさんあります。これはいつも言うようでありますが、あくまでも大臣は候補者本位とか、政党の都合だけを考えているだけであって、やっぱり有権者本位の選挙活動というものを考えていらっしゃらないからそういうことになるのじゃないかと思います。ですからこれは、政府一般の、また自民党一般の考えでございますけれども、政治資金規正法の改正をうやむやにする、あるいは定数の是正も積極的じゃない、こういった面にもはっきりあらわれているじゃありませんか。もうあれですよ。定数是正の問題なんかも、今度の国勢調査で参議院地方区でさえも一対五をこえているのですよ。もう時間もありませんからあまり申しませんけれども、私たちの調査でも、もう一対五は、鳥取と東京の場合は、はっきり一対五をこしています。昭和三十七年には、最高裁の判決ですか、それは昭和三十五年度の国勢調査をもとにしての告発事件でございましたけれども、現在そういう告発が行なわれたら、最高裁判決だって私たちはひっくり返るのじゃないかと思っていますよ。そういったことは全然やらない。それから先ほど申しましたように、十八歳の選挙権問題、こういった問題だって、非常に消極的である、このように思います。こういった問題について、私はあくまでも有権者の声を聞いて、そうして公正な、妥当な改正をなすべきであって、まだそういう政党本位、政策本位の選挙活動については、やるべきことがたくさんあるのじゃないか、えりにえって、なぜこんな制限をしなくちゃいけないかということです。先ほどからたくさん大臣の言いわけは聞いていますが、どうして前向きにやらないのか、第五次選挙制度審議会の答申が、そのほかにも出ているのですから、それをやる考えはないのかどうか、それをまずお尋ねしたい。
#132
○国務大臣(秋田大助君) 先ほどもお答えを申し上げましたが、テレビの放映による利用等々十分自治省といたしましては考慮いたしておるところでありまして、関係者の間に、いろいろこの点については御検討をわずらわしておるわけでございます。しかしながら、いろいろ複雑な性格がありまして、皆さまの結論を得るに至らなかったので、さしあたりの改正を提案いたしたわけでございまして、これらにつきましては、今後十分各位の御意見、その他関係方面の御意見を伺いまして、所要の結論が得られました場合には、それを基としてひとつ処置をいたしてまいりたいと考えております。
#133
○多田省吾君 あまり具体的ではありませんけれども、次に、この改正案の基本的な考えについて若干お尋ねをいたします。
 提案理由の中に、「政治活動の形による選挙運動がますます活発かつ大規模に行なわれる傾向が見られ、このままでは、」云々、「公職選挙のたてまえが失われてしまうことになると思われますので、政府といたしましては、政治活動のうち特に選挙の秩序に及ぼす影響が著しいものについて、公職選挙法に所要の改正」云々と言っておりますけれども、このことは、原理的には選挙の自由、公正の確保と、政治活動の自由の保障と調和をはかるためであるということだと思いますが、提案された改正案では、このような考えからの運動の態様の規制ではなくして、たとえば政治活動そのものであるところの機関紙に本質的に差別を設けているではありませんか。そのほかシンボル・マーク、これだって有権者や個人個人の政治意識がなしたわざでございますが、そのシンボル・マークをなぜ百四十六条において、候補者の名前とか政党の名前と一緒にこのシンボルはだめだと規制しておる。何ら具体的な意思表示をしていないシンボル・マークそのものにも制限を加えている。それからビラそのものにも制限を加えている。それからさらに首長の選挙とダブる場合規制を考慮する方法は、そのときだけ確認団体制をとるということが技術的にも可能であると思います。これは選挙部長だってお認めになると思います。それを都道府県議会の議員の選挙まで一緒に県知事選挙が行なわれる場合でも規制しておる。それからまた、東京の特別区なんか、別々にやるときは規制しないで、一緒にやるときはアンバランス是正に進む、そういうような法案をつくればいいのに、途中の案においては両方規制するような、そういう途中案でございますけれども、案をつくってみたり、これは非常に私たち納得できない。規制を受ける選挙そのものの種類を拡大するという意味において提案されておりますけれども、こういったことはどういう理由によるものか、はっきりこれは御説明願いたい。
#134
○政府委員(中村啓一君) 多田先生からお話のございましたように、今回の提案の具体的なそれぞれにつきましては、私どもは先生の仰せのように、選挙の公正と政治活動の自由、この二つをぜ調和をしなければいけない、そういう大前提は全くくずさないでまいらなければいけないというふうに存じておるところであります。そういう考え方は当然私ども事務当局といたしましても頭におきまして、いま御指摘になりました四点についての具体案をつくったところでございます。あるいは、十分御案内のところかと存じますけれども、第一点にお話のありました機関紙につきましては、やはりただいま国会に議席をお持ちになるような政党の機関紙と、選挙目当ての急造機関紙とでは、やはりそこにおのずから頒布の態様に差があってやむを得ないのじゃないだろうか。むしろそうすることによって、ほんとうにりっぱな政党のりっぱな機関紙が伸びていくことになるのではないかというふうな発想に基づいておるところでございます。
 二番目のシンボル・マークにつきましては、これを制限をしてシンボル・マークを決して使っちゃいけないというような考え方じゃございませんで、個人の選挙運動なりあるいは政党の政治活動につきまして、それぞれ文書図画の枚数なんかの制限がありますので、そういう制限のワク内に入れて御活用をいただいたほうが選挙の実質的な公正という面から見てふさわしくなってきたのではないだろうかと考えたからでございます。
 まあいろいろあるわけでありますが、特に、多田先生からお話のありましたのは、確認団体制度の技術的な仕組みにつきまして格別に力をおいて御発言があったところであります。この点につきましては従来も申し上げてきたところでありますが、都道府県会議員選挙並びに政令指定都市の選挙につきましては、問題点が二つありました。一つは、その選挙自体が最近たいへん政党が選挙の際に活動をなさる分野がふえてまいりましたので、したがって、その選挙の際の政治活動についても国会議員の場合と同じようなルールのもとにやってはどうだろうかということが一つであります。もう一つは、そういう都道府県会議員あるいはまた政令指定都市の市会議員の選挙が、知事なり市長選挙と重なりますと、知事なり市長選挙の確認団体でないと、選挙運動期間中その地域において一切政治活動ができないという現在の仕組みにおかしさがないか。その二つの点を解決する仕組みとして、今回提案をいたしましたようなしかたの技術的な解決策を御提案申し上げたのであります。しかしながら、もとより、お話のありましたように、もっと違ったやり方でこれをやることができないのか。このやり方でまいりますと、たとえば都道府県会議員等の選挙について制限を拡大をすることにならないかという仰せでありますが、その点につきましては、先ほど申し上げましたような形で、一つの要請としては、やはりその選挙についても、最近の政治活動の実態から国会議員選挙等に準じた一定のルールでやろうという要請もございます。そういう面等を考えあわせまして今回のような技術的な解決のしかたを御提案申し上げたところでございます。
#135
○多田省吾君 いま選挙部長の御答弁は答弁になっていませんよ。こちらは制限しなくてもきちっとアンバランス是正はできるんじゃないかとはっきり申し上げておる。それはできるけれどもいろいろな要請があるからということでごまかしている。この委員会でも、自由化の方向にアンバランス是正をしていくんだ、制限したアンバランス是正じゃないとはっきり自治大臣おっしゃったじゃありませんか。それにすら反している。
 時間もありませんから具体的に質問します。シンボル・マークの定義というのはどういうことですか。
#136
○政府委員(中村啓一君) 確認団体のシンボル・マークにつきましては、そもそも法律自体でこのシンボル・マークという表現をそのまま持ってくるかどうか、それが法制技術的に適当かどうかという点についてもいろいろ論議をいたしましたが、現在の社会通念でシンボル・マークというものは十分それで通用をするんだということになりまして、こういう表現を法制の中に入れさしていただいたわけであります。私ども関係各省と思想統一をしておりますところは、確認団体のシンボル・マークというのはその団体を標章をするために用いられる記号でありますとか図形等であって、具体的には、たとえばその団体のイメージでありますとか、あるいは基本的な姿勢や性格というようなものを図形化したものであるというふうに存じておるのであります。
#137
○多田省吾君 そういう御説明では私は納得できないのです。これはまたあさって質問しますけれども、具体的に質問します。ポスターという項目の中にはポスターに類するものというものが含まれていないわけです。ビラにはビラに類するものというものが含まれておりますが、ポスターにはポスターに類するというものは含まれておりません。たとえば懸垂幕とか横断幕とか旗、ワッペン、こういったものにシンボル・マークを記載して掲示した場合は一体どうなんですか。
#138
○政府委員(中村啓一君) 先ほどたしか戸田先生の御質問の中にもあったかとも思いますが、今回シンボル・マークの使用についてそれが用いられます際に、いまあります公選法の規制の中でやっていただこうと存じますのは、いわゆるポスターについてでございます。シンボル・マークを用い表示をしたポスターについて、それはいわゆる政治活動用ポスターとしてその枚数の中でやっていただきますという改正を提案をいたしておるわけでございます。ワッペンでありますとかバッジというような、通常衣服に着用して用いられるようなものにつきましては、ポスターには当たらないというふうに存じておるのでございます。したがいまして、確認団体のシンボル・マークの表示をいたしましたようなワッペンやバッジを使用されることは今回の法案によりましても、全然これを規制をしておるというようなことはございません。もっともワッペンとしてつくられたものでありましても、これをへい等に掲示するということになりますと、ポスターとしての使用になるわけでありますので、これは政治活動用のポスターの枚数の範囲に入ってくるということになるわけでございます。
#139
○多田省吾君 ですから、懸垂幕とか横断幕、旗、ワッペン、こういったものにシンボル・マークをつけてもポスターの枚数の中に数えられるんですか。
#140
○政府委員(中村啓一君) 多田委員からお話のございますポスターには、ポスターに類するものは含まれない。そこで懸垂幕なり横断幕なりというようなものの取り扱いについてどういうふうになるのかということでございます。懸垂幕なり横断幕ということにつきましては、これはいわゆる私どももポスターではないと考えております。しかしながら、懸垂幕なり横断幕は現在公選法でいっております立て札、看板の類に当たるのではないかと存じます。したがいまして、実質的にその規制のワクの中にこれは入れていただく必要があるというふうに存じておるところであります。
#141
○多田省吾君 ワッペンにシンボル・マークつけてもこれは看板の類にするわけですか。
#142
○政府委員(中村啓一君) 先ほど申し上げたかと存じますが、ワッペンでありますとか、バッジ、これは通常衣服に着用をして用いられるのでありまして、ポスターに当たらないと考えております。したがって、これは幾らお使いになりましても何ら今回提案しておるものにかかわりはございません。
#143
○多田省吾君 じゃ警察庁の刑事局長にお尋ねしたいのですが、いま選挙部長がそのような御答弁なさったのですけれども、懸垂幕とか横断幕とか旗とか、こういったものにシンボル・マークつけても立て札、看板の類の掲示として数が規制される、このように警察庁当局もお考えなんですか。
#144
○政府委員(高松敬治君) 従来、私どもとしましては、懸垂幕、横断幕というのは立て札、看板の類であるということから、従来からそのようにやってきております。
#145
○多田省吾君 旗はどうですか。ワッペンは選挙部長は幾らつけても、無制限につけてもかまわないと言っておりますが、これは取り締まらないのでしょうね。
#146
○政府委員(高松敬治君) ワッペン、バッジにつきましては、この改正の立法の経過において、そういうふうに取り扱うということでこの条文ができたように記憶しております。
#147
○多田省吾君 次に、今回の改正案の立案の前提として、世論調査を行なったのかどうか、京都の場合でもたびたび自治大臣はおっしゃっていますけれども、京都市の実施している世論調査はまだ公表されていないように聞いておりますけれども、まだできていないのかどうか、この二点をお尋ねいたします。
#148
○政府委員(中村啓一君) 京都市の選挙につきまして、特に市民の間から御意見を伺うというような意味での世論調査はやっておりません。
#149
○多田省吾君 それから、今度も選挙制度審議会に一切かけなかったわけです。私たちも政治活動としての選挙運動の態様における公正の確保と自由の保障のための総合的調整のための具体案、こういうことであるならば、これは所管大臣としても内閣としても審議会の議を経ることは必ずしも必要ではあるまいと思っております。しかしながら、今回のように、いわば政治活動そのものに規制を加えようとするのでありますから、当然審議会にかけてその議を経るべきであると思っておりますが、これは大臣はかけなかったわけです。これは私たちは非常に遺憾だと思っておりますが、なぜかけなかったのか、これを最後にお尋ねして、きょうは時間がありませんので明日にあと譲りたいと思います。
#150
○国務大臣(秋田大助君) 他の諸先生からもしばしばこの質問が出たのでございます。また衆議院でも出ましたが、われわれは、これは政党の政治活動の自由そのものを制限するものではなくて、その自由の原則の中における態様の問題である、こう考えましていろいろ関係方面にも相談をいたして、かけなくてもよろしい、こう考えましてかけなかった次第でございます。
#151
○岩間正男君 端的にお答えを願いたいと思うのです。時間が制限されております、むろんあさってまたやるわけでありますが、第一にお聞きしたいのは、あなたは国民の立場に立って改正案を提案したと先ほどから何回も繰り返していられる、ところが、国民は納得していない、大体なぜ公約である政治資金規正法や参議院定数――地方区の定数是正法を優先的にかけないのか。そして逆に、昨年改正したばかりのこの公職選挙法をかけるのか、だれも納得していませんよ、これはどうなんです。
#152
○国務大臣(秋田大助君) 参議院の定数是正の問題につきましては、これは第六次選挙制度審議会から御答申をいただいておるその趣旨を尊重するという趣旨におきましてはいまも変わりはございませんが、しばしばお答えを申しておりますとおり、これが基礎になりました人口が、第六次においては四十年国調、今度四十五年十月一日の国調の概数結果、人口による各府県の順序に非常な変更がありましたので、これが従来の実際的な適用はどうなるのであるか、この点について検討をいたしておるところでございます。政治資金規正法につきましては、この必要を認めておりますけれども、過去三回提案したがどうしても廃案になる、そこでいろいろ考慮をいたしまして、いろいろ選挙制度の基本についてやはり検討すべきものがありはしないか、その点を十分考慮しないとまた同じ運命になりはしないかという点も考慮いたしまして、第七次選挙制度審議会の発足にあたりましても、基本的にこの政策本位、政党本位、公正にして金のかからない選挙のあり方、これが政治のあり方を変えていく、この点もあわせ考えて政治資金規正法の改正を考えてみたい、こういうふうで、いませっかく検討をいたしておるわけでございます。
#153
○岩間正男君 大体、第五次審議会が自由化の方向を答申して、昨年改正したわけです。それをあなたたちどんなに言いくるめようとも、また制限の方向に向かっておる。逆行なんです。これは明確な事実なんです。あとで具体的に立証しますよ。それなのに、第五次審議会のこれは精神に反するのですから、当然に審議会にかけるのはあたりまえです。ところが、それは全くあと回しになって、そうして当然公約のそういうものは出さない。これはだれも国民は納得しませんよ。三歳の童子といえどもわかることです。自民党に有利ならこれはやる。それから必要でないことに手を出して、そして不利な問題はたな上げにする。これは明らかに党利党略だと言われておりますが、まさにそのとおりじゃないですか。私はお聞きしたいんです。民主主義を守るためには、これは一党にとって少々不利益なことがあっても、これは公正の原則というものは貫く、ここに立たなければ絶対民主主義は守ることはできないでしょう。そうでしょう。そう思うのですが、自治大臣、これはどうお考えですか。
#154
○国務大臣(秋田大助君) その点についてはおっしゃるとおりに考えます。
#155
○岩間正男君 そうすると、あなたの答弁とこれは反してくるのですね。明らかに反してきます。これは自己矛盾です。とにかく、基本に関する問題で、選挙権の平等、それから選挙の公正、こういうことが失われたら、これは国民主権と議会制民主主義というものは重大な危機におちいる、これもお認めになりますか。
#156
○国務大臣(秋田大助君) 理論としてまさにそうだろうと思います。
#157
○岩間正男君 ところが、全くこれに反していることをやられておるということは、これは事実が証明しておる。そうすると、全くあなたの答弁というものは、結局、これはことばの上でいろいろ言いくるめておっても、事実がはっきりあなたに答弁しておるのですよ。こういうことじゃまずい。
 そこで、私は、とにかくこれに入る前に、政治資金規正法について二、三ただしておく必要があると思う。これを当然出すべきなのに出さないで、出さなくていいもの、出すべからざるものを出したのですから、まずこれを明確にしておくことが必要だ、こう思う。もう一ぺんあらためてふえんします。多田委員に対する答弁ははっきりしていますけれども、もう一ぺんただしておきます。出すのですか、出さないのですか。出せないなら出せない理由、これをはっきり言ってください。
#158
○国務大臣(秋田大助君) 過去三回提案いたしましたが、そのつど廃案になりました。これについてはいろいろ見方もございましょうけれども、やはりそこにはそれだけの理由があったのだと、やはり選挙制度の基本に関し、政党の政治活動の基本等に関しまして十分検討を要するに諸点があるのではなかろうか、それらを十分考えあわせないでまたいたずらに出しましても、同じ運命をたどるのではなかろうかというような点について深く省察を加えながら、ひとつこの問題を検討しているところでございまして、したがって、この提出の時期は、いましばらくお待ちを願いたい、こう考えておる次第でございます。
#159
○岩間正男君 腹の底を言ってください。出せないというより、出したくないのでしょう。そう言えばはっきりするのです。そうでしょう。ずばりそういうことでしょう。大体、党内の内ゲバがあったでしょうが……。三回目なんかどうです。最後はもう自民党が内ゲバを起こして、この法案通したらたいへんなことになるぞ、こういうすごみがあって、そうしてそれをえたりかしこしというのだろうと思いますけれども、そういうかっこうでこれは出さなかったのでしょう。これは天下周知の事実ですよ。こういうなれ合いで廃案にしたというのが、これはもうはっきりした事実ですよね。そんなことでは話になりませんよ。もう一度伺います。いいですか、いまのような答弁は全くつくらうための答弁ですよ。
#160
○国務大臣(秋田大助君) 表面いかに御批評があろうとも御自由でございまするけれども、要するに、いろいろ諸論が出たというゆえんのものは、やはり私がただいま申し上げたような基本線についてのやはり検討をいましばらくする必要がある、これを示しておるのではなかろうかと考えておるわけでございます。
#161
○岩間正男君 そういうことを言われますから、私はどうしてもお聞きせざるを得ないのですね。そもそも、そもそも論に入ります。政治資金規正法のこういうものの改正が必要になった原因、動機というのは、ここでこれを振り返ってみなければ話になりません。これは大臣、どうお考えになっていますか。いつ、何年前に、何が一体原因でこういうことになったのか。
#162
○国務大臣(秋田大助君) 数年前に黒い霧等の発生がございまして、それを契機にこれが問題になったと承知をいたしております。
#163
○岩間正男君 そのとおりでしょう。私はあのときに、決算委員会に関係しておりました、参議院決算委員会。砂糖自由化の前後をめぐる農林官僚の無定見な施策の結果として共和製糖という、ここにあります。見てください。「共和製糖事件」、これは詳細に書いてある。これは私が書いたのじゃありません。これはわれわれがいまだかつてない、参議院のおそらく歴史をつくるような戦いであった。私もその中の一人として――しかも政治資金規正法の問題のこれは私は端緒を開いた当時の責任者ですよ。明確ですよ。そうしてともかく共和製糖という泡沫会社に数十億の政治資金が融資された。そうしてその一部分が新友会なる共和グループの政治団体を通じて自民党その他二、三の政党に政治工作資金としてこれは横流しされて、さらに数十人の議員がはっきり受けております。この中に明細に出ております。たくさんの名前が出ております。その実態が参議院決算委員会の月余に余る追及で明るみに出されるにつれて、いまさらながら政界、財界、官僚人の不正腐敗がはなはだしいものであるということが明らかになって、社会の耳目を聳動した。これが一つの大きな突破口となって野党四党連合が結成され、その結果、大小無数の汚職が摘発された。このとき、私は俳句をつくっています。「汚職一つばれぬ日はなし秋の暮」、こういう俳句をつくって、これは朝日新聞も書いたはずです。
 こういう形で、全くこれは日本の醜態、政治のきたない姿というものが明らかにされた。そうして、こうした中で最大の問題になったのは何かというと、これは政界と財界の癒着の問題です。ま、ことにもう体質的に切り離しがたく結びついている。そうしていわゆる政治資金という培養基によって養われている政党の姿、醜い姿。そうして当然これらのことから、どうしてもこれは政治の民主化がやられなければならない。そうでないと、国民の利益も、民主主義も、公明な政治も期待できない。そうしてこのようにして献金によって培養される政党や政治の実態がきびしくこれにメスを入れられた。政治姿勢を正すということが広範な世論、国民監視の中で強く要求されたはずであります。こうして佐藤内閣は、まあ佐藤総理も、積年の悪弊などということばを使っておりますが、政治資金規正法の制定、これを国民の前に公約したのではなかったですか、どうでしょう。私がいま申し上げたこと、事実相違ございましょうか。
#164
○国務大臣(秋田大助君) 経過はそのとおりでございます。
#165
○岩間正男君 のど元過ぎれば熱さを忘れるということがある。そのときはあんなに騒いで、そうしてあの黒い霧解散になった。この解散の中でも、政治資金をやります、そうして自民党が必ずこれは多数をとりましたら政治資金規正法を出します、これがあのときの選挙の公約でなかったでしょうか。政治姿勢の問題は、これはこの前の前の衆議院の大きな政策論争の一つになったわけです。そういう中で、私はここでお聞きしたいのでありますが、全くこれが四年間ほっかぶりでごまかされてきたわけです。きのうも私は言いました、公約公約と言っているが、公約はどんどんやる、しかし実行は何もしない、そのしわは一切国民に寄せられる、これは公約公害だということを私は言ったのです。この公約公害はまさに今日国民の生活をむしばんでいるのだという点を私は具体的に指摘しなければ、この政治資金規正法を出さないという問題の正体を明らかにすることができない、そう思います。私はお聞きしたいのですが、どうです、政界と財界の癒着というものは、そうしてこのくされ縁は依然として今日続いているのじゃないですか、いかがですか。
#166
○国務大臣(秋田大助君) それがくされ縁と、こうおっしゃいますけれども、それは見る人の見方であろうと思います。
#167
○岩間正男君 もうたとえば昨年の選挙だって、昨年のいまごろ選挙のまつ最中です。自民党はあの選挙資金で数十億の金を国民協会からもらったことは事実でしよう。実際はあの何倍といわれている。二百億だか三百億だか、われわれこの実態を把握する機関を持っておりませんからつかんでおりませんけれども、もう巷間はっきりそういわれている。大体金持ち、財界というやつはただで金を出しますか。金を出すやつは必ず何百倍かの利益がほしいから金持ちというのは金を出す。金持ちというのはころんでもただで起きないというのが彼らの信条なんです。どうですか。これはとにかくさっきも届け出について話がありました。千七百もある政治団体の中でわずか六百、それが少しふえて、たいへんな成績をあげましたと――まだ半分もいってないでしょう。そういう実態です。そうしてそういう実態の中で実際はどんどん国民の利益が奪われているのです。だから、これはまあ官報で報知されるわけでありますが、あれは九牛の一毛、実際は底に深く沈んだこの全体の把握、これは何百億になるのかわかりませんけれども、そういう金が出されている。しかし、それはエビタイなんだ、エビなんだ。実際はそれをおとりにして何百倍の反対給付、利益を強要している。
 そこで私は言いたいのですが、公害は根本的に解決されそうにない。いま公害国会の最中でありますが、これはとても根本的に解決しそうにない。物価に対してはどうですか。佐藤総理は六年の施政の中で、物価は安定させます――どっちのほうに安定だかわからない、上のほうに安定だ。しかし、とにかく安くしますとかなんとか言わなかったことはないです。一度だって物価は安定してない。これは公害だ。
 それからいまの物価の問題でお聞きしたいのです。これと政治資金というものは関係がないのか、大ありなんです。そうでしょう。自治省のあれをお聞きしましょう、あなたのほうで調べているでしょう。これを調べたものを少し説明してもらいたい。たとえばこれは日産自動車、これは自動車産業関係でありますが、これはまあ公害の問題と非常に深い関係があるのですが、これはどのくらい出していますか、自動車産業関係で。これは調べておりませんか。さっきあなたに調べておくように言ったのですが、どうですか。これ言ってください。どのくらいの金が出ているのか。
#168
○政府委員(中村啓一君) 先ほど岩間先生から四十四年でどのくらいあるのかというお話がございまして、急遽集めてみたわけでございますが、私どもがいま承知をしておる額は約五千四百万円見当でございます。自動車業界全体の寄付をしておる額は五千四百万見当でございます。
#169
○岩間正男君 次に、いまカドミウムとかそういう問題でイタイイタイ病とか、さらに窒素ですね、有機水銀、そういう問題で水俣病を起こしているのですが、三井金属とかそれから昭和電工こういうようなところから出ている金ですな、これはどういうふうにつかんでいますか。
#170
○政府委員(中村啓一君) 公害企業と申しますとなかかな微妙な問題にからみますので、具体的に岩間先生からこれはどうかと言われた分だけここでやってみておりますが、昭和電工でありますと約七百万円でございまして、一番大口は国民協会、あと各政党あるいは各政治団体、かなりたくさんに分かれて、総額で約七百万見当であります。
#171
○岩間正男君 三井金属……。
#172
○政府委量(中村啓一君) 三井金属につきましては、私どもが現在調べておりますのには、五百万円以上の寄付をした団体の中には入ってはおりません。
#173
○岩間正男君 ここで名前を一々上げればいいのでしょうが、時間もありませんから個人名でずっとやっていきます。こういうかっこうで三十万、五十万、百万、中には一千万出ているのですが、これは国民の前に明らかになりますからね。いいですか。それから大昭和製紙、たとえば製紙会社、ヘドロのもう元凶、これはどうですか、どのくらい出ていますか調べておりませんか。
#174
○政府委員(中村啓一君) 大昭和製紙につきましては二口で四十四年中は四十三万円という報告でございます。
#175
○岩間正男君 これなんかもね、実際に詳細にあとでこれだけでやりたいが時間もありませんから概略聞いておきます。
 私鉄はどうですか。私鉄は運賃上げないといって上げちゃつた。これはどうですか。
#176
○政府委員(中村啓一君) 私鉄関係につきましては約三十五団体でありまして、いわゆる五大政党も中に入っておりますが、それ以外各種政治団体に対しまして、四十四年中千七百万円の寄付がなされておるようでございます。
#177
○岩間正男君 これはまあとにかく捕捉したものの何分の一なのか、天網恢々粗にして漏らさずということだが、まことにこの網は捕捉しておりません。実際は底に重く沈んだものが何倍あるのか、何十倍あるか、この国民の疑惑は四年前のあの黒い霧の国会の中で出されたわけです。これが政治資金規正法を要求したはずだ。ですから絶対にこれは消えていないのですよ。のど元過ぎれば熱さを忘れるということでは絶対許されない。ところで私が言いたいのは、この金をもらっているのですから、たとえば私鉄から運賃上げてくれと言われたって断われますか。いま一千何百万の金をもらっている。スポンサーから金をもらっている。私鉄運賃の値上げは国民生活を破壊するからまかりならぬ、公共料金は絶対上げられないといって断われますか、どうです……。
#178
○国務大臣(秋田大助君) 政策施策の決定と献金とはこれは別問題でありまして、いろいろ御批判は自由であろうと思いますけれども、政策の決定はその見地から正しく信念に基づいてされているものとこう考えています。
#179
○岩間正男君 ただいまの御答弁は国民が批判するでしょう。
 もう一つどうです、いま三井とかそれから昭和電工とかそれから大昭和製紙、これあげたわけです。こういうのが実際は公害を全部起こしている公害源です。発生源です。これはまぎれもないことだが、今度の国会ではっきりした。ところが、こういうところから金をもらっている。規制できますか、規制できますか。これも同じような御答弁だと思いますが、念のためお伺いしておきます。
#180
○国務大臣(秋田大助君) 誤解を生ずるといけませんので、今回公害基本法第一条の精神をはっきり述べまして、経済との調和を打ち切りまして、住民の健康、生命を守り、かつ快適な生活環境の保全につとめるという趣旨を明らかにし、公害に関する事業者の負担等につきましても、これを明定した次第でございます。
#181
○岩間正男君 なぜその根を断ち切らないのです。われわれ共産党はこのような財閥、それから企業、大資本から金をもらうべきじゃない。なぜか。日本の政治を根本からこれは民主化し、ほんとうに国民の利益を守る、そういう政治にするためには、そういうくされ縁を断ち切るべきだということを、これは四年前に明確にいたしました。そして政治献金というものは、必要ならこれは個人に限る。それもその額は四十万に限定をする。国会において調査機関、監視機関をつくる。そうして政党のほんとうに公明な政治資金を明確にするということを明らかにしたはずであります。この道をとる以外にないじゃないですか。金はどんどんもらう。全くこれはたいへんでしょう。派閥があって派閥がもらう。今度は党がもらう。それからいろいろな会費だ、なんだかんだで損金として落としていく、そういう抜け道が見える。そういうことで捕促されていない。この捕促されているというものは、これは全く申しわけの一部分なんです。これは天下周知の事実だ。こういう体制の中で、どうして一体国民の命を守る公害問題を解決できますか。できません。物価の問題どうです。たとえば私鉄を例にあげましても、私鉄の運賃を上げてくれと言われたのに対して、これは断わることはできるだろうか。これは名前をあげればわかるけれども、これを一体議員の一人一人がほんとうにこれを断わることができるだろうか。だからあのような公害対策自民党の委員長のようなことばが出るのです。「光化学スモッグなどというのは架空のことだ、そんなことは言い過ぎだ、とんでもない話」。私はここではっきり、政治資金の問題というのは単なる選挙の問題じゃないのです。国民の生活と切り離しがたく結んでいる。まことにもう不可分の問題。だから政治資金規正法というものはどんなに必要か、この点を明確にしない限りは、この政治資金規正法に対するこの全く公約違反のやり方に対する国民の憤りはわからないのだということを、私は特に申しておきたいと思います。
 第二の問題、参議院の定数是正の問題は、昨日もこれは自治省の御出席をいただき、佐藤総理にも私は一部を質問をいたしたわけです。ですから、ここで多くを触れようとは思っていませんけれども、きのうの御答弁を聞いていますと、こういうふうに言っておられます。速記をとってきたんですがね。「まだ検討をして次の通常国会に出せば間に合いますので、検討をせっかくいたしているところであります。」、こういうふうにきのうは答えた。第七次審議会にかけるのかという質問に対して、あなたは、「ただいまかける意図はございません。」、ただいまと言っても、ただいまじゃわからない。国会が終わればどう変わるかわからない。国会が終わると、二十四日に第七次選挙制度審議会が発足をする、そういうことになるわけでありますが、ただいまはかける意図はありません。しかし、臨時国会が終われば、情勢は変わりました、これでは話になりませんね。ですから、せっかく検討いたしておるところでございます、通常国会壁頭にあなたは出すとおっしゃったんです。これは速記録でございますから、もうくどくどこれは申し上げる必要はない。七月九日ですか、私がこれを質問したとき、あなたはそうおっしゃった。そうすると、そのつもりでせっかく検討準備中でございますと、こういうことでございますが、私はこの中で、ただいまかける意図はございませんでなくて、かけない。そうして通常国会の壁頭に出すのだと、壁頭と言っても、それは私は三日や四日のことを言っているわけじゃございませんけれども、とにかくこれはちゃんと間に合うように出すのだ、政府の責任、第六次審議会の答申の精神、趣旨を尊重して、そしてそういう方法はあり得るのだからそうするのだ、こうおっしゃっていただけますか、いかがですか。
#182
○国務大臣(秋田大助君) この点は、先ほども多田委員の御質問に答えましたとおり、いろいろの案が考えられます。何が第六次選挙制度審議会の御答申の本旨にかなうかという点に問題がございます。基礎が非常に変わってまいりましたので、単純に機械的な結論を下し得ないと思います。その点についていろいろ考えておるところでございまして、検討中でございます。
#183
○岩間正男君 まあこれはきのうもやったわけですけれども、とにかくアンバランスの現状をおつかみになっていらっしゃいますか。私は佐藤総理に質問した。佐藤総理は、相当なアンバランスでございますと言った。相当どころじゃないのです。東京なんか二倍にもなっている、二十五年前の。そうして全くこれは東京の人口がこういうふうにもう過剰になって、大都市地区におきましては、過疎地帯、そういうところを持っている地方に比べるというと、もう五倍の得票で落選しておる、そういう事態が佐賀と東京の場合はある。私はきのうも申し上げました。東京の人は五分の一でいいのですか。選挙をする権利、選挙権といいますかな、これは五分の一でいいんでしょうか。どうなんでしょう。
#184
○国務大臣(秋田大助君) それらの点につきましては検討を要する問題でございまして、一応その検討に基づくところの御答申をいただいたのでありますが、基礎がまた非常に変わってきたという、こういう過渡的時代にいま際会しているわけでありまして、この点検討をいたしているわけでございます。
#185
○岩間正男君 非常にと言ったって、それは傾向が、ちゃんと一つの方向があるんですよ。六次審議会のそういうところがいわゆる拡大されたということですね。私は根本的に言えば、二十五年前の戦後のどさくさの中で人口の移動も激しくいろいろしている時代にきめた、それが今日生きている。まさに幽霊が生きてるんだ。そんなばかなことあるものですか。ですから、これから少しは変わりますけれども、そんなに移動ないですよ。そうでしょう。経済がとにかく安定したとか、GNPが世界第三位だとか何とか言って、そういう事態の中にあるのです。だからこれはもう定着を始めているのですから、そういう中でこれを根本的に改正すればいいわけですね。しかし、暫定的なとりあえずこの六次審の精神というものをどうつかむのか、これはできるか。これはできるはずだ、そういうふうに私は思うのです。どうでしょう。
#186
○国務大臣(秋田大助君) 確かに抽象的にはそういうことになります。さて現実に各府県における人口順位の急激な変更、逆転、これが各所にございます。そうしますと、プラス・マイナスということが、そうしてゼロにするということが沖繩を除いての答申の本旨のように見受ける。またある人はそういう結論の出たについては、これは早々の間であって、プラスをこそ考うべきではなかろうかという議論をされる方もございます。しこうして、答申をいただきましたときには、プラス・マイナスおのおの六という範囲でございました。これが十に、あるいは十四にと、考え方によりましていろいろの変化を見せるわけでございますが、ただ機械的にプラス・マイナス幾りになろうとやっていいかどうかという点になりますというと、責任ある者といたしましては、なかなか簡単に機械的に結論が下し得ない。十分慎重な考慮を要するという考えでございまして、ただいまその点をとつおいつ検討をいたしておるという次第でございます。
#187
○岩間正男君 まあ佐藤四選、三百の議席の上にあぐらをかくと、そうなりますかね。とにかくだれでも知っていますよ、改正をやると自民党不利なんだと。大都市の定数がふえて、そこでは革新が強い、自民党の議席はふえない、不利だ。これが渋られている一つの原因です。だから朝日も書いておりますが、人口の多い県の定数が人口の少ない県の定数よりも少ないという全く矛盾した状態が見られる。いわゆる定数のさか立ちだ、だれが何よりも先に、この問題は政策以前の問題でしょうが、いわば相撲の土俵をどうきめようかという問題じゃないですか、そうじゃないですか、土俵をしょっちゅういじって、そして全く、五十何回選挙法を改正したそうでありますけれども、全部自分の都合のいいほうに土俵を持っていく、土俵を割りそうになると、ばっと土俵の輪が広がっていく、百メートルのテープを切ろうとすると、百メートルのテープが二十メートル向こうにいくという、はかなことをやっている。これがどうして民主主義と言えるか。政策以前の問題です。土俵の問題です。こんなこともできないほどの弱い、弱体の三百議席ですか、これは総理に言いたいので、秋田自治相には少しお気の毒かもしれませんが、しかし、あなたが一番問題をなしているので、私はお聞きしたい、どうですか、これはどういうふうになっておりますか。もし地方区を全国一区制にしたらどうか、われわれ計算してみました。一区制にしたら、いいですか、そうすると、自民党は、当選得票、この前の参議院選挙の得票から考えてみますというと、三十四人しか当選しない。実際は四十八人当選しているから十四人これは多くふえて、得している。公明党は、これはこの前のときよりか五人取れるのに四人しか取れないから一人損している。民社党は五人当然議席を持っていいのが三人になっているから二人損している。社会党は二十二人これは議席を持っていいはずですが、ところが十六人です、六人損をしている。共産党は六人取れていいのに、一人ですから、五人損している。得しているのは自民党だけです。それで各政党、つまり野党側の損によって自民党のこういう議席増というのはまかなわれているということなんですね。これは来年も続けていいですか。
#188
○国務大臣(秋田大助君) 選挙区の定員という問題は、いろいろ基本につながる問題でございまして、したがって、いろいろ改正が行なわれましたが、この問題がおくれておるわけで、この点についてのいろいろの不合理性を御指摘であるわけであります。これを訂正しなければと考えておるわけでございますが、ただいまのところ、非常な人口の基礎条件、激変がありまして、この点をいろいろ苦慮をいたして、第六次選挙制度審議会の御答申の趣旨にいかにしたら合うかという点を検討しておるわけでございます。
#189
○岩間正男君 とにかくひどいですね。とにかく昭和二十四年の人口調査が生きているのですから、先ほども幽霊と申しましたが、何のために人口調査をやっているのです、国勢調査をやっているのです、五年ごとにやっている、あれから五回やっても少しも是正されていない。
  〔委員長退席、理事高橋文五郎君着席〕
 だから、これは当然公職選挙法の別表、「本表は、この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」例とするですから、例としないで、ごまかしてきたので、これは「しなければならない」というわずか九文字を入れればいいんだな。その九文字を入れて参議院にも衆議院にも適用すればいい。なぜそうしなかったか。しておけば、こんなことはなかったんです。たいへんなアンバランスですよ。きのう私は図表で明らかにしましたけれども、必要なら、また持ってきますがね。どうなんです、これは。こんなことはね、だれが考えたって了解できない問題ですから、こういうものはあとざりになって、慎重、慎重と、そうして京都で負けた、ぐあいが悪い、そうして今度の公選法改悪。これはとにかくもう、いきなり、審議会にかけないでやるということは、どうもこれは木の葉が沈んで、石が流れる、こう言われてもしかたがないと思います。いかがでしょう。
#190
○国務大臣(秋田大助君) 人口がもちろん傾向として変わってきたんですが、最近非常な激変があって、顕著になってきたわけでございます。従来、この点についてやはり基本的な問題だけに慎重を期しておった。それが今回の五年間における非常な激変によりまして、その点が顕著にあらわれたのでございまして、過去は過去といたしまして、最近の趨勢がこの点をさらに激化した。この事実に徴しまして、検討をいたしておるわけでございます。
#191
○岩間正男君 原則の問題がもう一つある。具体的な選挙制度審議会の問題についてお聞きしたいんですね。選挙制度審議会の性格のことですが、自治省は、参議院是正案は近く発足する第七次審議会にこれはかけるのかどうか、こういうことを明らかにしないんですね。
  〔理事高橋文五郎君退席、委員長着席〕
 しかし、先ほど言いましたように、かけるのか、かけないのか、いまのところとしているから、かけないという保証はない。かけるというと、なかなか浮かんでこない。来年六月の参議院の選挙には間に合わない、こういうことにもなるんですが、この審議会というものは非常に便利なものじゃないですか、暗箱じゃないですか。都合のいいときは審議会、都合悪ければ無視、こういうふうに思いますが、これはいかがですか。
#192
○国務大臣(秋田大助君) 私はさようには考えておりません。この参議院の定数のアンバランスの問題は、これを、第六次選挙制度審議会の答申の趣旨を尊重して、終了いたしたいと考えておるわけでございますが、申し上げておるような、いろいろ激変がございますので、これが趣旨の適用の実際的運用という点についていろいろと苦慮をいたしておる、こういうことを申し上げておるのでございまして、これらの事実に徴し、審議会の意思を尊重いたしておるのでございまして、これを便宜的な存在というような考えは毛頭持っておりません。
#193
○岩間正男君 まあそうおっしゃらないと、ぐあい悪いですから、そうおっしゃっているんですが、事実は何よりも事実、事実が証明するですからね。ことばのまやかしじゃだめなんです。いいですか、とにかく自民党の党利党略に奉仕する機関、御用機関、そういうふうにしたくない人もあるだろうと思うんです。しかし、そうされつつある、そうされている。これが先ほどから多田委員からも指摘されましたが、大きな問題になっている。何よりもこれは世論に聞けばいい。今度新しく第七次審議会の委員に選ばれた成績大学教授の久保田キヌさん、この人は、十二月五日の毎日新聞でありますが、こう言っている。「いくら答申しても、政府がいうことを聞いてくれない。ああいう審議会にはいっても無意味なんですがね……」こう前置きして、こう言っています。「選挙制度は民主主義を実質的にささえていくものなんですが、現状は制度自体が民意を反映しない方向になっている。こういうことでは大きな政治不信を招く。落ちて行く先がどうなるか、私はこわい」こういうように率直に批判している。そうしてまた「審議会自体のあり方にも問題があるでしょうね。そこへかけてお茶をにごす――政府の政治的な逃げ場に使われている。民主的装いをこらすための飾り物にされているだけですからね。名前どおり、選挙制度を全部洗って、政党の立場からはいやなことでも変えていかないと、政治はよくならない」これはたいへん私はほんとうに審議会に入られた所信、この所信は生かされなければならぬと私は思うのです。どうでしょう、この点どう考えますか。
#194
○国務大臣(秋田大助君) 選挙制度審議会委員の御意見は謙虚にこれを聞いてまいらなければならないと考えております。
#195
○岩間正男君 もしそうだとするならば、第五次審議会の答申、第六次審議会の答申はあくまで尊重して、その精神や趣旨をくみ取って政治資金規正法、参議院地方区定数是正法、こういうものは即刻国会にこれを出し、反対に審議会の意向をじゅうりんする公職選挙法改正案は、直ちにこれを撤回すべきだと思いますが、このような勇断をおやりになるお気持ちがございますか、いかがでしょう、大臣。
#196
○国務大臣(秋田大助君) 遺憾ながら所見を異にいたしますことはまことに残念でございます。われわれといたしましては、公職選挙法の一部改正法律案、その他のもう一件、これをぜひとも御審議願いたいと存じております。
#197
○岩間正男君 それじゃもうこれから本題に入って法案に入ります。
 本法案を出すにあたってどんな手続を経たのですか。各方面の意見を聞いてということを言われますが、どこの意見を一体聞いたのですか。
#198
○国務大臣(秋田大助君) いろいろ各方面から御意見がありまして私の耳にも入りました。そこで実際問題といたしましては、事務当局をしてこれが改正の必要ありと考えましたので、関係方面の方々の御意見をよく伺って、その大体の志向するところを待って具体案をつくるように指示をし、事務当局におきましては、いろいろ御意見を伺った上でこの案を作成した次第でございます。
#199
○岩間正男君 先ほど中村選挙部長は、各党と御相談をしてと言われましたが、各方面というものは、大部分はこれでしょう、いかがでしょう。
#200
○政府委員(中村啓一君) 今回の提案にあたりましては、先ほど大臣からお答えがありましたように、政治活動自由化の旗じるしのもとに現実の政治的なお立場に立っての必要な手直しがあればそをしようということでございましたので、主として……。
#201
○岩間正男君 肝心なところを言ってください、時間がない、制限されている。五時間ほしいのですが、三時間ぐらいでがまんしなければならぬだろうから……。
#202
○政府委員(中村啓一君) 主として御相談の相手を衆議院の公職選挙法改正特別委員会の理事さんをおもに政治家のお立場での御相談相手にいたしまして立案の作業に携わったところでございます。
#203
○岩間正男君 それが大部分の各方面ということになるのですね。やはりこれが問題だと思います。
 第二に、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、東京新聞などの有力新聞がほとんどこれに反対をいたしております。反対の意向を私まとめてみました。第一には、昨年自由化の方向に改正したばかりなのにまた改正することは朝令暮改ではないか、これは国会の権威をまさに失墜するものではないか、こういう意見があります。第二には、半歩踏み出したばかりの未熟児である、そういうものはもっと長い目でこれを育てるために見守る必要があるじゃないか。第三には、角をためて牛を殺すことにならないか。第四には、全く自由化の方向に逆行しているじゃないか。第五には、選挙は騒がしいのは運動が活発であればやむを得ない現象だ。第六には、自由化の制限はかえって暗黒な抜け道を横行させる、そういう結果を醸成するのではないか。こういうふうにこれは私は各新聞の論調を分析してみまして私なりにまとめてみたものです。この世論にこれはどうお答えになります。どうお考えです。
#204
○国務大臣(秋田大助君) 御批判は御批判でございます。しかし、やはり実際を経験された関係者の御意見というものも、これは十分尊重しなければならないと思います。
 そこでいま未熟児のまま、この状態でというようなお話もございましたが、その子供のすこやかな将来の肥立ちを考えまして、やはり経験のある産婆役の御意見を伺って、こういうふうな処置をとったようなつもりでございます。
#205
○岩間正男君 黒い手の産婆役、たいへんな産婆役ですね。未熟児の、あんた手と足を縛って、どうしてすこやかに育つことができるんですか。そういう議論というのは私はあまりにもひどいと思う。というのは、新聞のこれは論調はたいしたことがない。しかし、あすこで聞いた、ここで話し合ったことは大切なんだ、こういうことですか。
#206
○国務大臣(秋田大助君) 新聞の御意見ももちろんこれは謙虚に聞かなければなりません。しかしながら、過去のやはり経験による人の考え等もあんばいいたしまして、私は趣旨におきましては、何べんも申し上げますが、私はこの自由の原則の基本は侵してならない、ただ態様につきまして行き過ぎを是正しておる点が問題であって、その点についての配慮をしておる、実際問題といたしまして、その点につきましては単なる恣意的な結論を早急に出したわけではなくて、いろいろ検討し御相談もしておる、こういうことでございます。
#207
○岩間正男君 第五次審議会の全委員はどうこれに対して意見を述べておられるか御存じですか。これ調べられましたか。これは少なくとも第五次審議会の答申によって、あれは昨年の六月改正したのですから、当然私はこの意見くらいは聞いて見なければいけないと思うのですが、聞いたのですか、出すについて。
#208
○国務大臣(秋田大助君) 先ほども申し上げましたとおり、自由の原則を侵すものではないという確信を持っておりますので、審議会委員の御意見は承らなかったのでございます。
#209
○岩間正男君 この確信がさっぱり、あんたの確信間違っていました。私たちこれお聞きしたのですが、十氏が反対意見、賛成はわずか一人、これは名前あげることはないでしょうが、小島憲さん、それから土屋正三さん、大浜英子さん、千葉雄次郎さん、高田元三郎さん、取り締まり本位は好ましくない、自由化したばかりなのに法で規制すべきではない、法律の信用にかかわる自由化逆行は感心せん、こういうことになっていますよ。意識調査の問題は先ほど出ました。ところが、これは何だかこわいように触れていない。少なくとも私はここに相談して意見を徴するくらいの配慮はあってしかるべきだと思うのです。そうでしょう。第五次審議会が答申したのだ、この人たちは責任を持っているわけだ。ところが、実際はそれにも何らはかっていないということが明らかになったわけですね。それではどうも感心できないですよ。国民信頼しませんよ。それからこれには毎日毎日これは反対が高くなってきているわけですね。これはまあほんとうに民主団体が、たとえば憲法会議とか、安保反対の中央実行委員会、自由法曹団、婦人有権者同盟、それから学生の全学連、青年、学生のそういう集会もこれは開かれております。何よりもこれは総評、それから東京地評、こういうところはどんどんやっている。警察庁もこれは反対している。そうすると、これはどうもおかしいと思うのですね。まさにこれは反対の空気に包まれているのが現状ではないですか。これを世論を聞く、各方面の意見ということは政府はさっぱり聞いていない。そしてそこのところだけ、一部分のところだけで、一体これだけでこの法案が出されたというのは明快じゃないでしょうか。いかがでしょうか。私の言うのは言い過ぎでしょうか。ここでお示し願いたい。
#210
○国務大臣(秋田大助君) いろいろそれはもう日本人大ぜいの中でございますから、反対の御意見の方を取り上げれば著名人の中にも多数おいでであろうと思います。しかしながら、私どもは、過去の経験あるいは京都府知事選挙の際のいろいろの世間からの声等々を考えまして、経験豊かな同僚議員の間の世論を代表される方々の御意見も徴して結論をまとめたのでありまして、決して恣意的なものではないと私どもは思っておる次第でございます。
#211
○岩間正男君 とにかくまあ議員というのは、これは選挙法というのはしょっちゅう利害関係を持つのですから、ここがいいとか悪いとかいうことは実際は多いわけであります。だから、これは国会からはずして、これを基本をはずして、そしてほんとうに公正な民主的な、そういうものできめるべきだということが言われている。これは土俵を設定する問題ですからね。だから、いまのような局部、全くそこだけでもってものをきめるということは、これは日本の民主主義のために正しくないと私は思います。
 それでは提案の理由に入りますけれども、まあ佐藤さんは目にあまる活動などを規制するのだと、これは衆議院本会議で答えられております。それから秋田さん、あなたは、京都の選挙で行き過ぎがあったのでこれを是正するのだ。制限ではない、自由化の方向で規制するのだと、こう言っているのです。これはそのことばがおかしい。自由化の方向で規制するというのはどういうことなのですか。自由化の方向で規制する。たとえば、ビラがいままでたくさん出せた。この前のときも田中幹事長が京都でデマ宣伝をやった。これが大量に出された。これはいままでだったらできたわけです。あの中で、あれはちょうど中盤戦でしたが、これは大量のビラを出して対決することが正当防衛上これはやることができた。今度は三種類使っても出すことはできない。これで自由化と言うことができるのですか。これは具体的に言ってどういうことなのですか。だれが考えたってわかるのです。三歳の童子だってわかるでしょう。これが自由化ですか。手足を縛られて、これが自由化ですか。どうですか。
#212
○国務大臣(秋田大助君) その点、いろいろことばの上でははっきりといたさぬところがございますので、単純に規制とか制限とか改正とか申しましても、解釈する人の意思によりましていろいろととられると思います。そこで、実質的に選挙の際、政党なりが自由にその政策を表現することが必要であり、またそれを選挙民が聞くことが必要である。しかし、およそ政策を発表するにいたしましても程度がありまして、無制限にやるということがかえって選挙全体の秩序を害し、あるいは公正に反するような状態も出てくるというような批判も出てくる。金もかかり過ぎる。無益なことである。だから、必要の限度にとどめれば自由の原則を侵すものではない。しかしながら、何が必要の限度であるかにつきましては、これは一自治省がきめてはいかぬ。関係者等の御意見も伺っていくというような、いろいろ過程を経てきめてきたわけでございます。したがって、原則はくずしていない。しかしながら、必要以上なものはしなくてもいいという経験者その他の関係者のコンセンサスを求めて一応の線を出した。そこで三種類とか、これだけをとられますといろいろ問題がございましょうが、全体の仕組みの上に考えられているものと――したがって、それだけをとらえますといろいろ論ずる人によりましていろいろの御批評がありましょう。しかし、全体として、機関紙の取り扱い、ビラの取り扱い、それからポスターの取り扱い、あるいは一部テレビでもって公営の制度がございますが、これらを総合してこの程度あれば十分ではなかろうかという御見解に立ったものではなかろうかと、こういう経過を経ているわけで、手だてを経ているわけでございます。御了承願いたいと存じます。
#213
○岩間正男君 どうも哲学的でむずかしくてわかりません。これはだれも納得しないだろうと思います、国民はね。とにかく手足を押えているのが事実なのだ。具体的な例ですから具体的にこれはお答えいただければいいのですね。とにかくあなたたちの解釈する問題ではない。それはためにする解釈ということになります。
 それでは世界の例はどうです。世界各国でこんな例がありますか。もう簡単でいいですから、これは時間の関係で一々触れられないから。
#214
○政府委員(中村啓一君) 各国の立法例につきまして詳細に申し上げる時間はございませんが、ビラの頒布について種類の制限をやっているという立法例は見当たりません。
#215
○岩間正男君 いま私はイギリス、アメリカ、西ドイツ、フランス、イタリア、こういうところを調べたのでありますけれども、日本のようなこんなきびしい制限をやっているところはございません。日本のやつはまさに官許――何というか、官が許す官許選挙なんですね。こんなばかなこと、これは世界に通用しませんよ。これが第五次審議会で、結局このような世論に押されて、自由化しろという世論に押されまして、言論文書に対しては選挙運動が公正に行なわれる最小限度の規制を除き、そうして自由化すべきであると、この原則を打ち出した。そういうことですね。しかし、この前の改正案でも、まだまだ私たちは、たとえば戸別訪問の問題とか、そういう問題で不自由だと、決して満足だとは思っていない。ところが、逆にまたこれを縛ってきた。それからこういう問題について、これはやはり議会の先覚者の声を聞く必要があると思うのです。たとえば昭和二十三年にやはり公職選挙法の改正案が出されました。二十三年のこれは衆議院であります。あの斎藤隆夫氏、これは民主自由党、その時分の民自党ですが、こう言っていますよ。「立憲政治は国民が議員を選挙し、その議員が国会に集まって国政を審議決定し、政府はこれに基いて国政を行う。これが立憲政治の真髄であるから、立憲政治の根本は選挙であると同時に、国民の政治意識と政治運動は、選挙の時に当って、最も高揚すべく、これを拘束することは選挙の意義を没却し、立憲政治に反逆するものである。」、こう言って、実はやはり制限法に反対しているわけですね。その中で、この反対意見の中で、このようなやり方は全く角をためて牛を殺すものだと、こういうことを言っている。また、自民党の大村清一国務大臣の参議院の昭和二十一年の十二月二十日の参議院選挙法の提案理由、これを調べてみたんでありますが、この中にこう言ってますよ。「選挙運動の費用に関して煩雑な取締制限を設けますことは、選挙をなんとなく近づきがたいものと致し、その明朗濶達性を失はしめるのみならず、かえってこれに対抗する新たな脱法的措置を誘発するような結果となる場合もあります。」。ここのところは私はこの法案を私たちが審議するに非常に重要な問題だと思うんです。だからこの際、むしろ選挙の自由ですね、これをもっともっと自由化しよう、こういうふうにこれは言っているんですね、ですからこのように新憲法下の選挙は自由化の方向をとろうとした。しかし、その後、五十数回にも及ぶ改悪案で全くこれはこれと反する方向に追い込まれているわけです。まるでこれは選挙民の目をふさぎ耳をふさぎ真実を知る権利、こういうものを奪う、そういう方向にこの法案は作用することは明らかだと思う。もう一つは、金がかかる金がかかるという。しかし、この金、それもこれは衆議院でも問題になりましたが、政治資金規正法はゆるめている。そこからは何百億かの金が流れている。そうして一方だけは手足を奪っておる。そうすれば当然何が起こるか。これは汚職、腐敗、堕落の選挙、そういうものが起こることは明らかでありましょう。私は、何よりもこの問題の中で答えているのは、この選挙の――あなたたちが京都で行き過ぎがあったと言っている、これはこの次評論したいと思います。この問題も私は具体的にこれはお聞きしたいんです。京都のその後についてお調べになりましたか。京都のその後、一体どういうふうになっているか、これはお調べになりましたか。あれから半年くらい――半年以上ですね、もうあれは四月ですから、三月から四月ですからもう八カ月。その後一体京都でどういうことが起こっているのかお調べになりましたか。調べてない……。
#216
○政府委員(中村啓一君) 私どもといたしましては、選挙管理委員会等を通じまして極力選挙の実態について調査したところであります。
#217
○岩間正男君 あんたたちもう少し全体を見てくださいよ、縦横をね。京都のあそこのところだけ何してきているけれども、京都ではすでにもう当委員会が責任ある委員長はじめ各党の責任者が参加して出された結論知っているでしょう。これは私くどくど申し上げる必要ないだろう。この前もこれはやったわけですから。この結論として出したのは、あの京都の選挙は非常に明るかった、陽性で明るかった、買収、汚職というのは一件もなかった、そうして非常に選挙民の意識を高揚した、こういうことをこれは言っているわけでしょう。これが当委員会の結論なんだ。どうして一体そこからこのような改悪案が必要だということが起こってくるんでしょう。どう考えたって私たちわからないのはこれなんです。どうでしょう。
#218
○国務大臣(秋田大助君) 確かに買収等の従来見られたような悪弊がなかったということは言えると思います。同時に、やはり文書活動において行き過ぎがあったという世評があることも事実でございまして、この点をわれわれは勘案した次第でございます。
#219
○岩間正男君 これは十二月十一日毎日新聞七面――これは夕刊ですが――に出された記事お読みになりましたか。こういうのを少しお続みになるといいですね。こういっているんですよ。毎日の記者がスクープしているんだ。その後の京都の場合、こう言っている。「京都府の場合。十一月末までに計二十の地方選挙があったが、買収事件として検挙されたケースは一件もない。府選管は「金で票を買う時代は終わった」と誇らかにいうが、同知事選でみるように保守、革新の対決がするどく、組織をあげて戦う選挙となると買収、供応のたぐいは、うわさが流れただけで、決定的な敗因につながるようだ。」、これは身にしみて自治省、この問題検討してください。あの京都の選挙はまずかった、やり過ぎた、そういうことまで言っておりますけれども、これこそ選挙の本体じゃないですか。本命じゃないですか。買収をなくすため、腐敗、堕落をなくすため、そうしてほんとうに選挙民が意識を高揚してそうしてあの人たちの力、そのものの団結の力によってこのような腐敗選挙というものを一掃して、ほんとうに真の民主主義を打ち立てるということは何よりこれが証明しているじゃないですか。京都のこの選挙に対して、これがやり過ぎた、これが非常に誤った方向があると、どこから、どこを押せばそういう音が出るのか、これが私はわからないのです。これは御存じですか。私がこれは出したのじゃない。明らかにこれは毎日新聞のスクープなんです。私はこれね、非常に重大な意味を持っていると思うのです。こういうものがいま黒い霧によってまた再び審議されて、その結果はどこに落ちつくか。さっき大村さんが、いまから二十五年前にはしなくも参議院選挙法のこの提案説明の中で言っておるのが、これで縛る、そういうことで制限すれば必ずこれによって腐敗選挙のほうに道を開くと、こう言っている。そうしていまのやり方――先ほど私は壁頭に質問いたしましたように、日本の政治の暗黒は依然としてそのまま続いている、そうしてそのまま暗黒の中から大量の金がばらまかれている、それはどこに行く、はっきりしているじゃないですか。この根源を断ち切るのがこわい、こわいためにこのような法案出して規制をするのだと言われてもしかたがないじゃないですか。私はそれに、政治の民主的粛正をはかりそうして憲法のこの精神というものをほんとうに前進させ、さらに議会制民主主義を守るという、そういう原則に立つならば、当然このような法案というものはこれは了承することができないと、はっきりしているじゃないですか。これに対する反逆じゃないですか。いかがですか。
#220
○国務大臣(秋田大助君) 京都の府知事選挙に買収なりあるいは腐敗的な事件がなかったということでございます。大勢そうであったろうと思います。その点はまことにけっこうなことだ、その点をわれわれは言うておるわけではございません。しかし、文書合戦等についての行き過ぎはこれは是正をしてしかるべきではなかろうか。で、大村先輩あるいは斎藤隆夫先生等、われわれの先輩が申された、先ほどお読み上げになりました所説は謙虚にこれを聞かなければなりません。また、その所説は当然民主政治体制下における選挙のあり方につきまして方向を示された大文字であると思います。しかしながら、これら諸先生が考えられているところは、あの京都の知事選挙におけるがごとき文書のはんらん、過度の文書合戦ということをもし目前に見られたならば、その点についてあれはあのままでいいとはまさかおっしゃらないのではなかろうか、こう思うのであります。原則とその精神は大いに尊重をし、これが適用におきましては現実に即したひとつ措置をとる、こういうことは必要ではなかろうかと思うのでございます。
#221
○岩間正男君 まことにそらぞらしい御答弁がありますが、残念ながらこれは自治省に奉らなければならぬと思うんですね。ほんとうに先人が泣きますよ。ことばだけじゃないのです。これはことばだけで議論してそうしてつじつまを合わせるというやり方じゃだめです。ことに、もうあなたは京都のことをいかにも詳しいように言っておられますけれども、この前のあれ、どうなんです。私は速記録、これ、先月、十一月の六日に、あなたたち、私は全部あげたでしょう。京都の知事選で目に余るビラ合戦というが、その火ぶたを切ったのはだれか、これはまさに柴田派である、それから三月十八日の告示までに柴田派の「京都を明るくする会」が十数種類のビラをまいた、機関紙、そして「若い京都」が一号から三号まで各五十万枚、その他がまかれた。さらにそれが警察の承認のもとに各戸に配布された、この内容は「京都はこれでよいのか!!」 「蜷川府、政独裁と暴政の二十年、」「蜷川はんは、こわい人どすワ」。それから「〃暗黒〃と〃恐怖〃の二十年間」という、政策とは全く関係のない民主府政と共産党に対する中傷と誹謗に終始した文句、それでこのために、こういうようなことに対して、これらの中傷を打ち破るために、蜷川派の明るい民主府政をすすめる会が、ずっとおくれて発足していますね。それからこれに対決をするわけですが、こういう事実について一々詳しくお聞きしたでしょう。そうしたらどうです、秋田自治大臣、全然こういうことは、いろいろの事実と時と前後とを私は知りませんとお答えになりましたね。それから同じように中村部長も、私そういうことを詳しく存じませんと、ちゃんと速記録にそう出ている。これは間違いございませんね。念のためにそうですね。
#222
○国務大臣(秋田大助君) そのとおりでございます。
#223
○委員長(井川伊平君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#224
○委員長(井川伊平君) 速記を起こして。
#225
○岩間正男君 そうする、あなた方、京都で行き過ぎだと言うけれども、何を根拠にして行き過ぎだと言うのですか。知らないで行き過ぎと言えますか、知らないで。先ほど世論調査もしてない。それから京都のいろいろの、これはあとでやりますけれどもいろいろな具体的な問題もあげますというと 全くあなた方は御存じないという形でこの法案が出された。そうすると、先ほど科学的に何とかというようなことをこれはおっしゃいました。科学的でもなんでもないですよ。これ全くこういうやり方、科学的検討調査をするというようなことを言われましたけれども、全然この上に立っていないで、この法案というものはとんでもない。どこからか別な動機によってこの法案がまかり通ってきているということは明白でしょう。担当大臣が京都を理由として、京都の行き過ぎを是正するといって、この法案を出した、ところが、京都の行き過ぎというものを具体的に一つ一つ私はお伺いしたところが、いま申されたように、その事実を知りませんでしたという御答弁をなされている。その基礎の、知らなかったという上におして ただ行き過ぎだけはあったという、そういうことを口実にして出してきたのがこの法案なんだ、これは認めざるを得ないでしょう。いまになってこれは何ぽか調べたか知りませんけれども、あの階段の十一月の六日にこれははっきりした、ここに速記録がございます。だから私はあのとき質問を終わるにあたって言っておいた、きょうのこの質疑応答のはっきりした結論は何か、成果は何か、あなたたちは何もそういう事実を知らないで、その上に立ってこのような反動的改悪法案を出したのだということは、まぎれもない事実だということが今日の結論だということを私は結論づけておいた。これは何ともいかようにしたって、これは言いのがれできない事実である。そうでしょう。こういう基礎の上にこの法案ができ上がっておるのだという事実、これは厳たる事実です。むだにやったのじゃありません。この前、一時間の時間をいただいて、私は詳細にこれは相当ある程度許される範囲内における詳細な結論をして、それに対して御答弁をいただいた、その結論がそういうふうに出ておる。これは重大ですよ、この法案をやる上において、われわれはこういうような基礎の上に立っているというこの事実、ここでこの問題の性格を明確にしなければならぬと思うのであります。委員長のお許しをいただきまして、十分ほど時間をいただいたわけですが、あさってまた時間をいただいて、もう二時間ほどやらしていただきたいと思うのでございます。このことをお願い申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。
#226
○委員長(井川伊平君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
 次回は明後十八日午前十時から開会いたします。
   午後五時三十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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