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1970/12/14 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 公害対策特別委員会 第3号
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1970/12/14 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 公害対策特別委員会 第3号

#1
第064回国会 公害対策特別委員会 第3号
昭和四十五年十二月十四日(月曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月十一日
    辞任         補欠選任
     青木 一男君     玉置 猛夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         占部 秀男君
    理 事
                鬼丸 勝之君
                杉原 一雄君
                内田 善利君
    委 員
                長田 裕二君
                川上 為治君
                木島 義夫君
                古池 信三君
                矢野  登君
                山本敬三郎君
                田中寿美子君
                竹田 四郎君
                小平 芳平君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
   衆議院議員
       産業公害対策特
       別委員長     加藤 清二君
       産業公害対策特
       別委員会理事   島本 虎三君
   国務大臣
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣審議官    城戸 謙次君
       中央公害審査委
       員会事務局長   川村 皓章君
       経済企画庁審議
       官        西川  喬君
       法務省刑事局長  辻 辰三郎君
       大蔵大臣官房審
       議官       吉田太郎一君
       厚生政務次官   橋本龍太郎君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    曾根田郁夫君
       通商産業省公害
       保安局長     莊   清君
       通商産業省公害
       保安局公害部長  柴崎 芳三君
       通商産業省公益
       事業局長     長橋  尚君
       工業技術院長   太田 暢人君
       運輸省港湾局長  栗栖 義明君
       労働省労働基準
       局長       岡部 實夫君
       建設省道路局長  高橋国一郎君
       自治大臣官房長  岸   昌君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       近畿圏整備本部
       次長       播磨 雅雄君
       経済企画庁調査
       局長       小島 英敏君
       法務省民事局参
       事官       味村  治君
       大蔵省主計局主
       計官       海原 公輝君
       文部省管理局教
       育施設部長    菅野  誠君
       厚生省環境衛生
       局公害部公害課
       長        山本 宜正君
       建設省計画局宅
       地部長      朝日 邦夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○公害対策基本法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○公害防止事業費事業者負担法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○騒音規制法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事杉原一雄君委員長席に着く〕
#2
○理事(杉原一雄君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十二月十一日、青木一男君が委員を辞任され、その補欠として玉置猛夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(杉原一雄君) この際、おはかりいたします。
 山本敬三郎君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○理事(杉原一雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 つきましては、直ちにその補欠選任を行ないたいと存じます。
 選任は、先例によりまして、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○理事(杉原一雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に、鬼丸勝之君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○理事(杉原一雄君) 公害対策基本法の一部を改正する法律案、公害防止事業費事業者負担法案、騒音規制法の一部を改正する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件について、おはかりいたします。
 ただいま議題となりました四案の審査のため、明十五日午後一時から参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○理事(杉原一雄君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○理事(杉原一雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#9
○理事(杉原一雄君) 次に、公害防止事業費事業者負担法案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正点について、衆議院産業公害対策特別委員長加藤清二君から説明を聴取いたします。加藤清二君。
#10
○衆議院議員(加藤清二君) お許しを得まして、衆議院において修正をいたしました諸案件について御報告申し上げたいと存じます。
 内閣提出の公害防止事業費事業者負担法案に対する衆議院修正及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、公害防止事業費事業者負担法案に対する衆議院修正でありますが、事業者の事業活動による公害を防止するために、公害対策基本法第二十二条第一項の規定により、事業者にその費用の全部または一部を負担させるものとして、国または地方公共団体が実施する公害防止事業の範囲に、住宅の移転の事業を明示することとしたことであります。
 次に、大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する衆議院修正についてでありますが、第一点は、ばい煙の定義に例示として鉛を、自動車の排出ガスの定義に同じく炭化水素及び鉛を加えることとしたことでございます。第二点は、都道府県がきびしい排出基準を定めることができる場合における政令で定める基準に従うべき旨の規定を、政令で定めるところによるべき旨の規定に改めたことであります。第三点は、特定物質に関する事故時の措置について勧告を命令に改めたことであります。第四点は、ばい煙発生施設の緊急時の措置としての勧告を命令に改めたことであります。
 以上でございます。
 なお、社会党、公明党、民社党三党提出にかかわります環境保全基本法案の経過につきましては、御質問があればこれに答えたいと存じます。
 どうもありがとうございました。
  〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕
#11
○委員長(占部秀男君) 引き続き、四案に対する質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#12
○竹田四郎君 公害問題がたいへん大きな世論になってまいりまして、政府も今度は十四法案を国会に提出するという運びになった点は、非常に一つの前進ではあろうと思います。しかし、本会議から、あるいは連合審査、こうしたものを通じて、公害防止に対する政府の基本姿勢というものについて、私は、いささか疑問を持たざるを得ない点がいろいろあるわけであります。したがいまして、まず、私は、総務長官から、政府の公害に対する基本姿勢というものは一体どういうものなのか、あらためてお伺いしたいと思います。
 最近、未来学者のいろいろな意見等もたいへん新聞紙上に言われてきております。一体、地球というものはどうなるのだろう――この間の連合審査でも、そうした趣旨の御発言があったことは事実でありますが、バートランド・ラッセルなどの発言は、人類が二十一世紀に生き残れる可能性は五〇%だということすら言っているわけです。いろいろな科学的な論理をたどっていきますれば、ラッセルの意見にいたしましても、その他の未来学者の意見にいたしましても、それはただ単なるまぼろしではなさそうな気もいたします。ある程度論理的にそうしたことの起こり得る可能性というものを示しているということも言えるのではないかと思います。今度の公害対策基本法をつくるにあたりまして、政府は、われわれが一番公害の媒体と考えている水とか空気を、こうしたものを一体どう考えておられるのか、この辺からお聞きをしたいと思います。
 地球上の酸素にいたしましても、これは、ただ単に、酸素が初めから自然に存在していたものではなさそうであります。何百万年あるいは何億年もかかって、地球上の生物がおのおのその活動の中から、こうした酸素というものをためてきた、こういうふうに言っている学者もあると思います。水にしても、空気にしても、人間の活動が、特に企業活動がないということでありまするならば、おそらくきれいであっただろうと思います。それが、人間の主として事業活動によって、こうしたものがよごされてきている。
 そこで、空気とか水というようなものを一体どう考えるべきなのか。――私はこう考えております。いまや、空気も水も、これは企業にとっては一つの原料だと、こういうふうにすら言っていいと思う。また、同時に、私どもが公共の広場を使い、あるいは公共の場所を使った際に、それは、一応のわれわれの態度としては、そこはもとどおりきれいにして返す、こういうことが、いわゆるわれわれの常識であろうと思います。それこそ、近代社会における人間のエチケットではないだろうか、こういうふうに思うわけでありますが、実際には、そうした空気や水を借りて、そして企業活動をやる、こうしたならば、それらの水や空気は、もとどおりきれいにして返す、こういうのが、事業家であれ、また個々の人間であれ、私は、それが当然のたてまえではないか、こういうふうに思うわけであります。しかし、今度の十四法案を通じて見ますと、そうした思想というものは非常に少ないのじゃないか。そうした思想が貫かれるところに、排出基準も守らなければならない、あるいは海洋汚濁についても、廃油をその辺に流してはならないという思想が出てくるだろうと思う。今度の十四法案の規定の中では、ただ単に取り締まるという形で、ほんとうにきれいにして返すんだ、これがあたりまえのことだという思想が、私は政府案の中に非常に欠けていると思う。こうした点から見まして、総務長官の公害に対する基本姿勢という問題は、もう少し、そうした立場、そうしたきびしさというものは持つべきである、そうした立場から公害規制というものを行なっていかなければいけないのではないか、私はこういうふうに思いますけれども、重ねての議論になろうと思いますが、総務長官のお考えを承りたいと思います。
#13
○国務大臣(山中貞則君) ほとんど私も、御意見については、意見を差しはさむ余地はないと思います。私たちは、この問題は、ただいまの御意見と私の意見が基本的に違わないことでもわかりますように、あるいは衆議院において数多くの修正等が合意を見ましたように、やはり政党も思想も、ときに越えた問題としてこれをとらえなければならない緊急な事態に日本列島が置かれておるこの認識は、現状については同じであると考えます。ただ、しかし、これを将来どうするのか、そして今国会に臨む政府の基本的な姿勢はどうかという点になりますと、また、私たちは私たちなりの考えも一応あるわけでございますけれども、すなわち、方向は同じでありますが、あるいは表現のしかたが違うのかもしれませんが、たとえば、私としてはこのようなふうに考えております。
 総理は、私に、ホタルのいる野原と、ドジョウの泳ぐ小川を取り戻すことはできないかなと、担当大臣をきめた直後に、つぶやくように言われたのですけれども、このことは、単にホタルやドジョウという問題だけではない大きな問題を含んでいると私は思いました。それは、私たちは、この自分たちの知っているのは太陽系の惑星だけしか知らないわけですけれども、現実に地球というものを客観視して、地球の天体としての姿をとらえることが可能になったのは、ごく最近のことでございます。すなわち、ソ連やアメリカの宇宙飛行士が、カラーによって天体をわれわれに見せてくれた。その天体の中で、私どもの子供のときの、美しい夜空のウサギが、もちをついておると言っていた、おとぎの天体は、死の砂漠みたいなものだった。そうして、自分たちのいまや汚染されようとしているこの天体が、それでもなお、この宇宙の中では最も美しいすばらしい天体であることを知らされた。そのことを、やはりカラーテレビを通じてわれわれ全部が知ることができた、思うのです。したがって、われわれは、この宇宙の中においても最も美しい天体を、われわれ地球人全部がきれいにし、もとの、もっと美しかった時代に取り戻す義務が基本的に課せられているのではないかと思います。
 これは、東西の対立も、あるいは国境もない、全地球的な問題ではなかろうかと思うわけでございますが、さらに今度は国際的な地球上の中の日本ということから考えれば、やはり、日本の公害に対する考え方というものが、公害の現象というものに対処するための姿勢から出発した点において、諸外国の、あるべき美しい環境や自然というものをこれ以上こわしてはならないし、これを保持する義務があるという考え方からは、一歩後手に回った感は私たちは認めざるを得ないと考えるわけでございます。それはもちろん私たち政府の責任でもありますし、あるいはまた、国民全体が、そのような考え方がそう抗抵がなかったという時代をここ十年くらい過ごして高度成長をやってきたというような見地に立って、私たちは、ここで、諸外国に考え方の面でおくれていると認める点を、まず自分たちも諸外国並みに、あるいは、汚染された日本列島であるならば、それ以上もっときびしく、自分たちの自然というものに対して環境保護の立場から取り組むべき姿勢を打ち出さなければならぬ、かように考えたわけであります。
 そこで、表現は、いろいろ御議論もあると思いますけれども、憲法の条章を引用して、第一条の目的に、「健康で文化的な」――憲法のいわゆる個人の生活の権利でありますが、この権利を守ることが、まず基本なんだという趣旨で表現をいたしたつもりでございます。もちろん、第一条第二項の削除は、これはもう三年前につくった法律でありまして、言わずもがなで、最初に姿勢として削除をきめたわけでございます。さらに、十七条の二に、緑地の保全その他自然環境の保護に政府がつとめるということを明記いたしましたし、産業その他の公害が基本法第二条にいう典型公害の現象を示す前に、産業自体が自分たちの生産活動の過程において不要になったものを排出する場合においては、基本法の第二条にいう公害の現象になる前の前処理の義務があるということを第三条において明確にしたつもりでございます。
 個々の小さい問題をこれ以上申し上げるつもりはありませんが、海洋汚染防止法にしても個々の問題点をかかえてはおりますものの、今日の海洋汚染に対する国際条約の批准、調印の状況等から考え、また、その内容等から考えて、昨年度改正されたものにそのまま忠実に従っておる点で、次の通常国会の批准等を前提にして国内法の整備という点からいけば、日本は世界の中で相当早くその前進ができるのではないかと思うわけです。したがって、われわれは、このような立場からの新しい第一歩を踏み出したということを意義のあることだと思っておりますが、これはまたそれぞれの党において問題点ごとに角度の違った御議論があると思いますので、私たちは虚心たんかいに、今国会の議論を通じて、今国会で処理し得たものは処理するし、処理できなかったものは次の国会、そして絶えることのない不断の努力を始めなければならぬと思っております。すなわち、今国会でかりに十四の法案を通していただきましても、公害の対策、環境保全への挑戦というものは、今国会が終わったときから始まるのだという決意を持っておるわけでございます。
#14
○竹田四郎君 私も、いまの総務長官の発言を否定しようとは思いませんし、相当部分は私と同じ考えでございますけれども、しかし、この公害防止という事業は、おそらくこれはただ単に行政だけの問題で解決する問題ではなかろうと思います。これは、かなり国民的な立場、国民運動の一つとして、公害をなくしていくという思想というものがなければどうにもならないと思います。連合審査でも、大気汚染やあるいは河川の汚濁に対する監視をどうするのかという議論もいろいろされましたけれども、まあこれに対して労働基準監督官を使うとか、あるいはその他のいろいろな既設のものを、制度を使って監視をするとかいうお話もありましたし、まあいろいろありました。しかし、私は、幾ら人をふやしても、それはできることではおそらくないだろうと思います。今回の場合、大気汚染の地域にいたしましても、あるいは水質汚濁の水面にいたしましても、これが全国的な形になっていったとしますれば、これはたいへんな、日本全国すべてのところにわたるといたしますれば、いままでみたいのように、特定地域あるいは特定の公有水面ということであるならば、あるいはそうした行政のみでできたかもしれません。しかし、今度の場合ではそういうわけではありませんから、これは全国民的な運動として展開をしていくべき問題であろうと思います。そう考えますときに、一体公害に対する考え方、公害防止というものに対する姿勢というもの、これはただ行政面だけの姿勢であっては私はその前進は期せられない、こう思います。海上保安庁の長官が言っておりますように、海上の汚染を防ごうとしてもいまの人員で、夜陰にまぎれて海上にあけられればどうにもしようがない。これこそ私はそういう廃油を処理する人のモラル、これこそが一番重要ではないだろうか。あるいは水質汚濁の問題にいたしましても、夜陰にまぎれて排出口から出してしまえば、これはその証拠をつかむということは非常に困難であります。こういうことを考えますと、私は公害防止に対する社会的な一つの考え方というものをはっきりと打ち出していくということがまず必要であろうと思います。そうした意味では、私は非常にいまの長官の答弁はそうした面にももう少し触れるべきである。公害対策基本法にそうした一つの理想というものですか、考え方というものを私はむしろ掲げるべきである。憲法にたとえば前文のあるように、基本法にも私はそうした理念というものが掲げられるべきであったと思う。そうした面で、一体基本法にはそうした点が含まれてはいると思いますが、非常に明確に出ていない、こういう面について、一体総務長官は、今後の公害防止の施策を進めていく上において、そうした面についてどういうふうにお考えになりますか、伺っておきたいと思います。
#15
○国務大臣(山中貞則君) 衆議院の段階において、産業公害特別委員会で環境保全に関する与野党一致の決議がなされました。この点はまさに私たちがこれから国際的な立場においても日本のとるべき姿勢というものを明らかに出していくためには大きな示唆を与えたものだと私は率直に受け取ります。したがって、日本が環境保全にどのような姿勢で取り組もうとしておるのか。これは一つにはただいまおっしゃいましたように、国内のそれぞれの立場の人たちの問題と政府の中の行政のあり方の問題も含まれてくるかと思います。私たちもしたがって政府の行政のあり方、あるいは機構、権限の分野等についてもさらにどのような形がよろしいか、野党側等のいろいろ御提案等もございましたし、また、政府部内の検討等も進んでおりますので、いろいろなことも考えてそれに対応する柔軟なそして強力な対応策をつくっていかなければならぬと思います。そしてまた、われわれが今後この日本列島というものを地球的にとらえた場合にでも、世界から見て日本が何をやっているのだ、あるいは日本はどういう状態にいまこの環境保全の問題に取り組んでいるかが明瞭になるような基本的な姿勢もあるいは必要になるかと考えるのであります。私たちとしては、そのようなつもりで基本法その他の法律をつくったつもりでありますけれども、しかし、それだけではあるいは取り締まり法規は幾らつくってみても、ただいまおっしゃったような例は企業側のモラルでございますが、そういうものが伴わなければこれは夜陰ひそかに海上へビルジを捨て、あるいは排出口を大量に広げて公共水域に流すような姿勢が改められなければ、これは完全な自動観測を機械によって政府が直接なし得ない限りあるいは不可能なことかもしれませんけれども、しかし、やはりそういうことはなくしなければならないという自覚をまず企業側も持たなければなりませんし、また、国民全部も自分たちのうちの中の清潔までは考えても、その他の一歩外に出た公共の場所における清潔とかいうような問題についてはあまり関心がないという傾向に過去二十数年の間になってきつつありますこと、そのような大勢に見られますことも、私たちはやはりこの環境をきれいにしようという問題においては国民全部として、もう一ぺん考え直してみる必要も個々にあるかと存じます。そしてわれわれは日本列島のこのまことに利用分野の少ない平地面積の中における異常な生活環境なり生活活動をしておるわけでありますから、自動車の台数と死者数との国際比がありまして、日本がいかに狭い土地で過密なその限りにおいては世界最大の許容面積の中における自動車台数というものを走らしているか等もあらためて念頭に置かされたわけでありますが、このようなことを考えながらこの日本の国土利用政策というものを基本的にさらに公害の感触を強く出しながら、日本列島のレイアウトをやり直すという土地政策もひとつ大きな柱に登場してこようか、むしろこれが先行すべきであったのではないかということをアメリカのニクソン大統領の議会に対する教書の中からも私たちは学びとることができるのではないかと考えて反省しておるわけでございます。
#16
○竹田四郎君 ここに二つの調査の報告がある新聞に載っていたわけであります。
 一つは、中小企業経営研究会の行なった中小企業の経営者に対する公害の加害者意識の調査であります。一つは京浜の「京浜に青空を取り戻す会」が行ないました京浜の大手七十九工場に対するアンケートであります。この二つを比べてみまして、一体こういうことであっていいのかということを私は非常に疑問に思いますが、京浜の大手七十九社に対しましたアンケートの回答数はこれは四〇%、中小企業の加害者意識を有する企業は回答数の五二・一%であります。
 そしてその内容を見てみますと、現在企業の公害があるかという問いに対しまして、ないと答えているのが十三であるし、あると答えているのが十二であります。回答の中で半数を割っているわけです。ところが、中小企業のほうはこの加害者、私はことによると公害を出して住民に迷惑をかけているかもしれない、こういうふうに考えている人たちが実に五二・一%、こういたしますと、公害に対してほんとうに大量のものを出しているというのは一般的に大きな企業のほうが量的にははるかに多いだろうと思います。大気の汚染にいたしましても、水質汚濁にいたしましても、大手企業のほうがそうした面では大きいだろうと思います。しかし、公害に対する意識においてはむしろ大手の企業のほうが薄い。中小の企業のほうが強い。これはほぼ同時期の調査であります。こう考えてみますと、私はまさに先ほど申しましたように、一番責任を持つ大手の企業が公害に対する意識というものをもっと強く持ってもらわなければ、幾ら法律的に整備をされたといたしましても、私は水質汚濁、大気汚染その他の公害の問題は解決されないと思います。特にこの点では大手企業に対する公害防止に対する理念というものを強く政府が指導をしていくべき義務があるだろう。そうした面で長官はこれからそうした大手企業に対して公害防止意識をどう植えつけていくか、具体的な何らかの案がありましたら、ひとつ発表をしていただきたい。
#17
○国務大臣(山中貞則君) そこまで具体的な企業施策になりますと、通産大臣の御列席をいただきたいと考えるわけでございますが、基本的な考え方において、まず一つの現象として、企業側はこのままの姿勢ではやっていけないという現象が起こっておることをまず指摘したいと考えます。たとえば東京電力、関西電力等の新規電力需用に対応するためにぎりぎり必要な企業の立地が、地域住民の賛成を得られないでできないままでいる、あるいは公害企業というらく印を世間から押されたために、どこにいっても、ある一カ所で断わられると、次のところに行けばまた次で断わられるという現象が起こりつつある。すなわち政府も、市町村長まで含めた全体の姿勢としては、一応後進地域やあるいは日の当たらない地域等については、工業整備特別地域整備促進法とかあるいは新産都市とか、いろいろな施策を持ってまいりました。しかし、それだけでは地域住民の幸福はすべてではないのである。その陰に幸福と相反する不幸を誘い込むことになるのだという、いわゆる住民意識というものが燃え上がりつつある。そのために国家的にも必要なそのような電力需給等に対して対応しなければならないものであっても立地できなくなるという現象が一つあると思います。これらについては通産大臣も、たしか衆議院の段階でありましたか、今後やはり電力のあるべき需用、それに対する電力企業の立地についてもっと基本的に国民の賛成を得るような何らかの基本的な方針を考えてみたいということを話しておられたように私も記憶いたしております。さらにいま一つは、かりにそこに立地をしておる、産業活動もしておるといっても、その活動自体が排出その他について地域住民の非難苦情で、よき隣人たる資格を失うということになりますと、企業活動そのものが地域において歓迎されざる企業になりますから、いろいろな税制上のめんどうとかなんとかいうことが見られなくなりますし、あるいは地域住民からよき隣人としてのまなざしを向けられなくなる。しかも具体的には反社会的な企業としてのらく印を押された公害関連産業についてどうしても必要な人員を募集をいたしましても、それに対して応募者は数名という、何十分の一という、企業にとってまことにショッキングな現象がすでに起こっておるということは、すでに立地して産業活動をしていても、なおかつ企業側の良心的な反省が社会に受け入れられない場合には新入社員すら迎えることが困難になってきた。すなわち会社の存立がそこに危機に瀕しているということを具体的に脅威づけられておるということを証明しておるものと私は見てとっておるわけでありますけれども、このような現象面から考えて、企業側というものは、この際、自分たちの今日までの産業のあり方について、十分いわゆるモラルの面から考え直すべきときにきているのではないかという点が一つでございます。
 さらに、そのような現象とは別に、企業というもののあり方というものについて、やはりもし企業が、かりに公害企業――公害を出さない企業もあるわけですから、大手でありましてももちろんそうでありますが、そのような企業がそこに来なかったとしたならばそのような公害騒ぎが起こっていたかどうかということを考えたときに、やはり人の生命、健康等に影響のあるような騒ぎはその工場が来なければ起こらなかったのだということは現実に明白な事柄でありますから、これらのことを考えるときに、何ものにもかえがたいものが生命であり、健康でございますので、これらの点について、自分たちのあるべき姿勢というものにもつときびしい姿勢で臨まなければ、先ほど申しましたような第一点の周辺の現実の事情というものにみずからの企業も取り巻かれていって、ついには企業活動そのものを断念せざるを得なくなるということもあるのではないかと考えます。
 さらに第三点は、中小企業の問題でありますけれども、全国のメッキ屋さんは大体が中小企業の方々が多い。それらの方々が、カドミウムを使ってメッキする場合において、それの処理をするためには資本金よりも、年間収益よりも、あるいは企業の投資額よりも大きいそれらの除去装置をつけなければ活動ができないことがわかって、そしてカドミウムメッキはやらないという宣言をされた。昨夜も私はNHKのテレビを見ていて、メッキ企業の中小企業の社長さんたちが、おそらく同族法人みたいなものでありましょう、小さい工場でありましたけれども、自分たちはどうしていいかわからない、結局はやめるしかないのではないかというようなことを話しておられました。やはりこれらの方々には、今回の公害防止事業費事業者負担法等の中身について中小企業に特別の配慮をしているのだ、あるいは金融や税制で見ますから、やはりあなた方も社会の一員として正しい活動を続けるようにしてくださいという意味のよりよき指導とPRというもの、徹底したそういう人たちに対する指導というものが必要であろうと考えます。
 ここらの点は、基本的には通産行政になりますので、私はまず担当大臣としてのそれらに臨む姿勢という意味において、私の見方を加えながら、御答弁を申し上げた次第でございます。
#18
○竹田四郎君 総務長官の御意見はよくわかりますが、先ほどの企業の公害に対する意識調査にいたしましても、私はむしろ、いま総務長官からは、通産大臣が来て答えられるのが適当である、こういうふうにおっしゃられた。しかし、これは私はそうではない。むしろ総務長官が公害防止の対策本部の一番中心的な役割りとしてそうした形での国民運動に発展さしていかなければ、通産省の関係では私は直っていかないだろう。その点では、総務長官のお仕事の役割りというものは非常に大きなものだというように私は評価をしておりますし、同時に、公害防止が進んでいかない一つのゆえんというものは、いままでの縦割り行政ということが問題になりましたので、政府に公害防止中央対策本部というものをお置きになったゆえんであろうと思う。その辺はひとつ総務長官もよく心得て、総合的な公害防止という立場で施策を進めていかなければ私はいけないだろう、こういうふうに思うわけでありまして、その点とくとひとつお考えをいただきたい、こういうふうに思います。
 次の問題に入ってまいりたいと思いますが、なるほど基本法におきまして産業との調和条項を削除したということは、確かに一歩の前進かもしれません。しかし、この条項を除いたというならば、その他のいろいろな公害防止の施策の中において産業との調和という観念が私は残っているような気がする。払拭されているような感じはいたしません。これは公害罪法においてもそうでありますし、過日来問題になっております無過失責任の問題についてもそうであります。あるいは排出基準にいたしましても、そうした考え方というのが私はあるだろうと思う。たとえば、企業の排出するところの大気汚染によって、いまかなり多くの人が公害病にかかっております。それが公害病患者として認定されているかされていないかという問題はあるにいたしましても、かなりの人々の健康が公害によってそこなわれているということは事実であります。しかし、その被害者が具体的にそうした公害と自分の病気との因果関係、あるいは加害者と被害者との社会的な関係、こうしたものを具体的に突っつき出すということは、いまの非常に複雑化された科学の中で、私はこれはほとんど不可能だろう。そうすれば被害者だけが、健康にいたしましても、環境におきましても被害を受ける、それに対する補償というものはほとんど見られていない。こういう点にも私は決して、産業との調和条項というものが法文の上からはなくなっているけれども、少しもなくなってない。水質汚濁の排出の基準にいたしましても、あるいは大気汚染の排出基準にいたしましても、他の空気、他の水で埋めてしまえばいいという思想だ。たとえば煙突の高さを高くすれば、それで薄めて亜硫酸ガスの人間に対する被害というものはなくなってくるんだと、水も埋めてしまえばそれによっていいんだ、こういういわゆる容量比の考え方をしているわけであります。このことはもう一つ、先ほどの大気とか水とはきれいなものなんだ、またきれいなものにしておかなければならないんだという考え方から言いますと、そうしたばい煙あるいは有毒物質、こうしたものを埋めるのにさらにきれいな空気をよごしてしまうということ、さらにきれいな水を、埋めるためによごしてしまうということ、むしろそうした公害をより広く広げていくということ、こういうことになるのではないかと私は思います。きょうの新聞においてもイギリスとアメリカにおける煙突の高さの論議がたいへん問題になっているという記事がありましたけれども、煙突を高くするということはいままでのきれいなところの空気をよごすということです。より公害の及ぼす範囲というものが広がるということです。こう考えてみますと、私は産業との調和条項はなるほど削除したけれども、結果的には公害による被害というものは一向に救われぬ。その責任は不明確である。さらにわれわれが持っているところのきれいな空気やきれいな水を希釈するということによってよごしていく。より多くのものをよごしていく、より公害の範囲を広める、こういうような私は思想であると思う。そう考えますと、はたして産業との調和条項は削除したけれども、その考え方はことばの上では消えましたけれども、具体的な基準のあり方、あるいは補償のあり方、あるいは負担のあり方、こういうところから考えてみますと、ちっとも産業との調和条項が消えていない。こういうふうに私は思いますけれども、この点についての総務長官のお考えを伺いたいと思います。
#19
○国務大臣(山中貞則君) たとえば煙突の問題等は確かにことしの夏の例の杉並の光化学スモッグによる高校生を中心とした被害が出ました。それに私たちがいままで経験したことのない街路樹その他の意外な時期における落葉、紅葉というものを見ますときに、人体が感じないまでも、そのような現象というものが相当ひんぱんに起こっているのではないかという心配を私もいたしておるわけでございます。その点煙突を高くすればするほどいい、七十メーター以上なら特別償却を認めましょうという税法等も二、三年前からつくっておりますが、その考え方というもので果してそのままでいいかどうか。これはやはり高い煙突をつくればつくるほど、むしろ本来ならばきれいな空であったところにそのままそのくらいの排煙が排出され、それがやはりスモッグを構成して、場合によっては太陽光線との関係や、その他のスモッグの滞留状況等によって、やはり光化学と言われる現象が起こり得る可能性をかえって強めていくのではないかという疑問は私も持っております。ただ、それが完全に解明されておりません。したがって、いまの手段では、着地濃度ということでいま議論してここまできているわけでありますので、これはやはり問題点として今後われわれは検討をしなければならないというふうに私も考えます。なお、排出基準の問題で容量で薄めればごまかせるという問題も確かにございますが、もし薄めて大量に出している場合にはさらにきびしい排出基準が適用されていくということで、今回は因果関係というものは、その意味における量と物質との因果関係というものはつかまえていくような考えでおりますから、これまた将来の問題として、新しく基本法で水質汚濁だけというものの中へ水の状態というものを入れまして、温熱排水という、将来原子力発電等によって必ず問題が日本でも提起され、アメリカ、ソ連等で問題になっているという問題、そういう問題についても法律が必要ならばさらに法律をつくりますし、今回の水質汚濁防止法でもそういう状態に対処する方法を入れてあるというようなことで、一応、現時点において対処すべきものを対処したわけでありますが、御指摘の点はわれわれともに、これは日本の科学技術なり科学の発達による究明というものによってやはりきめ手をつかまなければいけない、惰性ではいけないのだということは私も考えております。
#20
○竹田四郎君 私が前段において非常に公害防止の理念ということを申し上げた理由というのは、私はそういうところにある。でありますから、今度の、いままでもそうでありますけれども、排出基準さえきめればそれで大気汚染防止になるのだという考え方、あるいは薄めさえすれば、これは下水に流していいのだという考え方、私はこの考え方は間違っていると思うのです。あくまでも出すときに、社会からきれいな空気を借りた、社会からきれいな水を借りたのだ。それは当然きれいにして返すというのが、そういう思想が私は今度の十四法案の中に貫かれていない。これは今後の検討を待たなくちゃならぬ問題かもしれません。しかし、理念だけはそういう理念というものが私は法律の中に貫かれてなければいけないだろう、こういうふうに私は思うわけです。でありますから、先ほど申しましたように、なるほど産業調和条項は除かれたけれども、しかし、一つ一つの具体的な基準や施策の中にそういうものが抜けていない、こういうことを言わなければならない、こういうふうに思うわけであります。この点は、ひとつ長官も私はそういう理念に賛成なのかどうか、大体賛成されているように私は受け取っておりますけれども、そういう理念でいかなければ、これほど問題になり、これほど国民が苦しんでいる問題というものを私は解決する道というものはおそらくなかろうと思う。この間の連合審査の中において隅田川のあの黒い水がいつになったらきれいになるのか、これはきれいになる時期がだんだんだんだん延びていくだけであります。片一方できれいになれば他の河川がよごれていく、汚染が一つの地域から一つの地域へ移動するにすぎない。新全総の中におきましても、既存の工業地域がまた新たな六つの地域にコンビナートを中心とする新しい重化学工業地帯をつくろうとしているわけであります。これにいたしましても、私はそうした理念がない限りは京浜地帯から、あるいは中京の地帯から、あるいは京阪神の地帯から他の地域にそうしたものが移るにすぎない、そういう意味でひとつさらに御検討をいただきたいと思うわけでありますが、次に、これは総務長官にお聞きするのがいいかどうかちょっとわかりませんけれども、日本のエネルギーというものと大気汚染あるいは水質汚濁の問題を考えていかなければならないと思いますが、総合エネルギー調査会の需給部会の考え方を見てまいりますと、今後十五年後には石油の消費量というものは四・九倍にいくのではないか、こういうことも言われています。そして通産省あるいは運輸省は全国に石油パイプラインを張りめぐらして、それによって石油の陸上における運搬というもののコストを引き下げていこう。このことは同時に、私は石油の消費量がさらにふえていく、こういう結果になるし、その結果は若干脱硫の技術が進んだにいたしましても、おそらく大気汚染というものは非常に深刻な状態になっていくだろうと思います。そういう意味で今後の大気汚染あるいは水質汚濁を防止するという立場で、政府は今後のエネルギー計画というものについてどのような考え方で進んでいくべきか、特に公害防止対策の責任であられる総務長官は、こうした問題について今後どう主張されていくか伺わせていただきたいと思います。
#21
○政府委員(莊清君) 総合エネルギー調査会は通産省でエネルギーの需給に関して長期的な展望を行なっておりますので、私から答弁をさしていただきます。
 御指摘がございましたように、昭和六十年までの長期のエネルギーの需給でございますが、大体昭和五十年までが実質経済成長率が一〇・六%程度、それから五十年から六十年までが同じく実質成長率で九%前後という一応の前提に立っての試算でございますが、御指摘がございましたように、その中で石油系エネルギーの占める比率は昭和四十四年度で約六八%でございます。昭和五十年まで、残念ながら原子力の立ちおくれもございまして、総エネルギーの中の比重では石油系が若干上がりまして五十年時点では七三%程度、原油の輸入量で五十年は三億二千万キロリッター程度に達する。六十年では経済の成長に伴いましてエネルギーがふえますから、原油の輸入量も七億キロリッター程度まで上がりますが、石油の占めるウエートというのは七三%台から順次下がりまして六十数%台までくる。そのかわりに原子力発電でありますとか、LNGを含めました天然ガス等の新しい将来のエネルギーと言われておるものが、これはS分がないわけでございますけれども、これが十数%まで上がっていかなければならない、こういう前提に立ちまして今後のエネルギー政策を進めることになっておるわけでございます。で、御指摘ございましたように、原子力なり天然ガス系統を積極的にふやす場合においてもやはり原油の輸入というのは著しくふえるのではないか、この中には当然硫黄が入っておるのではないか、こういう御指摘がございましたけれども、現在の脱硫技術というものは石油精製企業にとりましてまだかなり技術的には今後開発に努力すべき分野を残しておるわけでございます。特に脱硫効率の非常に高い直接脱硫装置というものが現在全国で三基ほどございますけれども、まだ技術的に、これは世界でも完成を見ていないと言われるわけでございますが、通産省でもその面の今後の技術開発を国をあげて大いに促進しなければならない、こう考えておるわけでございます。同時に、燃やします重油の中のこういう脱硫によるS分の低下と同時に今後の非常に大きな課題といたしまして、出てくる亜硫酸ガスを含んだ排気の中からもう一度硫黄を取るということがどうしても必要だと存じます。現在電力企業におきましても約三十万キロワットの発電機に相当する煙の量を処理するということで中央電力三社がかなりの規模の実験装置を建設しつつございますけれども、この研究を一日も早く進めましてこれを実用段階に持っていく。脱硫率が煙から約八〇%ないし九〇%程度というのが技術開発の目標になっておりますので、この排煙脱硫技術が完成いたしました場合には火力発電所等で消費いたします重油の量も当然伸びてはいくわけでございますけれども、直接脱硫等の脱硫技術の進歩及びそれを燃焼させたあとの煙から直接また排煙脱硫をすることの技術の完成、この両方から攻めていくということによりまして、石油系燃料の増加に伴うS分の増加というものは大幅に減らしていくということを基本にしなければならないと存じております。それともう一本の柱は最初に申し上げました天然ガスとか原子力発電、これの積極的な開発、建設、こういうことでなければならないと考えておる次第でございます。
#22
○竹田四郎君 お話はわかりましたけれども、いまのお話で、具体的にその硫黄の含有分ですね、これを一体どのくらいの傾向でどのくらいまで下げるという計画というものはつくられますか、つくられないですか、どうですか。
#23
○政府委員(莊清君) 昭和六十年までの長期展望で具体的には実はまだ固まっておりません。と申しますのは、先ほど申し上げましたとおり、重油の脱硫技術の完成、あるいは燃しました排気ガスの中からの排煙脱硫技術の完成ということがどの程度将来具体化するかということを、今後の課題でございますけれども、まだ具体的に計数化して見込んでおらないために、六十年時点でどうかということは、具体的な数字はございませんですけれども、さしあたって昭和五十三年までの数字というものをわれわれは具体的に行政目標として、現在の大気汚染防止の柱として明確に立てておるわけでございます。で具体的に、端的にひとつ申し上げてみたいのでございますけれども、東京、大阪、四日市等のいわゆる過密地帯というのがございます。現在その過密地帯で今年でございますと重油量で約三千百万キロリッターの重油を燃しております。このS分が平均で今年度約一・六五%、したがいまして、その中に入っております硫黄が約五十一万トンというふうに思われるわけでございます。これは過密地帯だけでございます。当面予定されております低硫黄原油の開発輸入と、それから現在すでに建設を計画しておりますところの脱硫装置の建設を基礎にいたしまして、四十八年度におきまして同じく過密地帯向けに重油は四千三百万キロリッターほど供給が増加いたしますけれども、同時に平均S分のほうは切り下げまして、四十八年度で平均〇・九%、したがいまして、過密地帯に落ちる硫黄の量が三十九万トン程度、こういうふうに具体的な計画を持ち、輸入の促進とかあるいは脱硫装置の建設を法の運用によりまして精製業者にも実は義務づけておるわけでございます。その先五十三年でございますけれども、過密地帯向けの重油というものはS分を〇・五五%まで下げていく。重油の使用量は五千五百万キロリッターまで上がりますが、S分の切り下げによりまして、総硫黄量としては現在の五十万トンから三十万トンまで下げていく。こういうことで五十三年までの展望でございますが、具体的な政策の裏づけを極力しながら進めておるということだけは申し上げられるかと思います。
#24
○竹田四郎君 公害による被害というのはイタイイタイ病にいたしましてもあるいは水俣病にいたしましても、あるいは硫黄酸化物による被害にいたしましても、これは逐次ふえております。現実にそうした事態が発生したときはむしろ終わりだと言ってよろしかろう。だから未然に防止をする立場が私は非常に必要だろうと思う。しかし、通産省の公害部でお調べになりました従業員三百人以上の二千五百十二工場におけるところの公害防止の投資を見ますと、年間実に千四十九億円ですか、非常に少ないわけです。これは通産省でお出しになった資料のようでございます。しかしながら、一方では同じ時期に広告宣伝費が千七百四十億、実に公害防止の投資総額よりはるかに上回っているわけです。あるいは交際費におきましては、四十三年度では実に七千億だといわれております。四十年度において五千七百億だといわれておる。こう考えてみますと、具体的にこれがどのようにふえていくのか、通産省のほうとしては公害防止の対策に対する指導というものが、そうした投資総額の中に占める公害防止対策の費用というものをどのようにしていこうとする計画をお持ちなのか。こういう状態ではいつまでたっても公害をなくしていくということはおそらく私はできなかろうかと思う。御意見を承りたいと思います。
#25
○政府委員(莊清君) 企業の公害防止投資の問題でございますが、私ども通産省として基本的に考えておりますことは、従来企業はとかく口を開くと、公害防止投資というのは生産に直結しない、したがってそういう投資をすれば資本費がふえる、さらに運転経費、人件費、ランニングコストもかかるということで生産性の向上に寄与しない投資である、こういうようなことがよくいわれたのでございますけれども、われわれとしてはその基本的な考え方というものはもう完全に払拭しなければならない。今回の公害関係諸法令の改正も通産省といたしまして参画したわけでございますけれども、その際にわれわれ自身今後の産業というものは公害防止というものを基本前提に企業家自身が真剣に考えなければならないという前提に立ってやってまいったつもりでございます。企業におきましても、ここ最近は公害防止というのは企業の本来的な使命として前向きに取り組まなければならないという公害防止マインドというのがようやく浸透し始め地につき始めたかと存じますので、行政指導等通じましてさらにこれを完全に徹底させるということがわれわれ通産省に籍を置く者として通産行政の基本的な使命である、こういう覚悟で取り組もうと全省をあげて考えておるわけでございます。
 それで具体的な公害防止設備投資の予定金額の点でございますけれども、私どもが調べました計画でございますと、四十四年度の実績でございますが、三百人以上の二千三百工場の総平均で総投資額の投資実績が約五%になっております。その中で火力発電、鉄鋼、石油精製、石油化学、非鉄金属、紙・パルプというふうな、いわゆる公害型産業と呼んでおりますが、こういう業種の平均が約七・五%になっています。明年度におきましてはこの比率は、公害型産業では規制の全国化とかあるいは基準の強化等見込みまして相当上がるのではないか、こういうふうにわれわれは考えております。現に火力発電や石油精製等では現在すでに十数%の投資比率を見るに至っておるわけでございますが、長期的には規制の全国化とかあるいは基準の強化という結果、おそらく現在五%ないし六%程度の全産業平均が一〇%程度に向かって急速に上がっていかざるを得ない、それだけの投資は最優先の投資として当然に企業が行なわなければならないし、また政府としても、償却面でありますとか、あるいは固定資産税の上とか、そういう点については当面少なくとも助成措置を講じなければならないと考えますけれども、企業に対してはあくまでも公害防止投資最優先という姿勢で、強い姿勢をもって臨もう、こういうように考えておる次第でございます。
#26
○竹田四郎君 どうもあまり歯切れのよいお話ではないような気が私はいたします。先ほどのエネルギーの問題にいたしましても、公害防止のための設備投資にいたしましても、どうもこういうことでは一体公害というものがなくなっていくのかどうか、おそらく時間がずれていくに従ってその計画というものはどしどしと延びていってしまうような気がせざるを得ないわけです。ひとつ総務長官に、いまの通産省の御意見をお聞きになって、私はここで日本のエネルギーというものを石油に依存するということから大幅に転換しなくちゃいけない、低硫黄原油の輸入というようなお話もありましたが、それにいたしましても、その産地というものがそうたくさんあるわけじゃない、限られているわけです。ということになりますと、あるいはおそらくそういう脱硫の技術というものも急速に伸びていくということは考えられないわけです。そうした意味では、私はここで大幅にエネルギーというものを石油から天然ガスへと切りかえていくべき時期に来ているのじゃないか。なるほど、今日確かに天然ガスの輸入先は、あるいはアラスカあるいはボルネオあるいはアブダビ等になっておりますけれども、日本の財界も主張しているように、すぐ近くのソ連から持ってくる場合には、これはパイプラインで持ってこれる可能性が非常にあるわけです。こういうことを考えていきますれば、私は急速にエネルギーをLNGに転換をしていくということもそう非常に困難な仕事とは言えないと思います。こういう意味で、政府として私は、いままでの石油に依存しているところのエネルギー政策を公害を出さないエネルギー、こうしたものに急速に転換をしていく施策をとらなければいけないと思います。また、石油精製のいろいろな施設というものも私はこの辺で新しく新設するものについてはストップをかけるべきだ、このことこそが私は産業調和条項というものを削ったゆえんの具体的な政策がそういうところにあらわれてくるのではなかろうかと期待していたわけでありますが、そうした面においてもあまりそうした施策が出てまいっておりません。政府としてどうですか、このエネルギー政策というものを再検討する必要があろうと思うのですが、政府としておやりになる気ありませんか。
#27
○国務大臣(山中貞則君) 私が政府全体の政策をきめるわけではありませんけれども、確かに示唆に富んだ御意見であろうかと思います。ただ、パイプによる直接外国からの天然ガス、あるいは中には電力そのものの計画もあるやに経過の中では聞いておりますけれども、これもたいへん地形的にいって可能であるならばけっこうなことであると思うのでありますけれども、しかし、エネルギーの相当な部門を外国にゆだねる、それは持ってくる場合は別でありますが、送ること自体直結してゆだねた場合において、その他の外交交渉の場合等においてどのような問題をそれが提起することになるであろうか、これはやはりまたもう一つ議論があるかもしれません。しかしながら、基本的にはそういうなるべく国際的に全部が友好ムードの中でお互いが足りないものを補てんし合うということは確かに必要なことだと考えます。また、同じ低硫黄重油の国際的な日本側の獲得の努力についても、民族資本として日本がまず中近東に進出をしたアラビア石油、これが非常な高硫黄のものである、これらがやはり外国で有害なものを出すというつもりはありませんが、その産地は幸か不幸かたいへん砂漠の地帯であって、人家密集地帯でもない、まあ長い目で見ればそれもいけないことかもしれませんが、どこかでやるならば産地におけるアラビア石油の脱硫による、いわゆる低硫黄化されたものが全量しかも喜んで需要家に引き取ってもらうというような、毎年毎年金額と数量で押し合いへし合いして、国策と現実とのそういう高硫黄と金額という問題で押し合いへし合いすることはどうかなあと、私はかねてから思ってながめているわけでありますが、これらの問題も含めて、やはり日本の伸びていく道というものは、ある意味では経済のその質を保持しながらの成長ということが、国際社会における日本人のまたあるべき一つの目標でもありますし、本来天然資源の少ないわが国の原料そのものを外国から輸入して、それを製品化して、日本国民の生活の向上というものをはかっていく客観的な不利な状態等を考えますときに、これらの問題に対する、良質のエネルギーの確保ということは、これはもう官民あげて協力していかなければならないことである。国際的な協力が得られるならば、これに対してちゅうちょしてはならないということは原則的な問題だろうと思います。
#28
○竹田四郎君 この点はひとつ政府としても、また通産省としては当然でありますけれども、これは十分考えていただいて、急激に公害防止の立場から、エネルギーの転換をはかるべきだと、こういうように思いますが、ただ私は、ちょっといまの総務長官のお話の中に気になることがある。外国なら少しくらい公害を出してもいいんだと、向こうがOKだと言っているようだから、かまわないのだと、この考え方は私はぜひ直していただきたい。おそらく日本ほど人口密度が過密ではないとは思いますが、やはりその地域に、われわれが苦労している公害というものを先ほど言ったように移しかえる、こういうことはぜひ慎んでいただきたいと思います。日本だけが公害から逃げられるという問題では今日なくなってきている。全世界が公害問題で悩んでいる七〇年代の世界の公害問題という立場に視点を置いていただかなければ、おそらくそれは天につばをするものと同じように、やがてそれは日本に返ってくる問題にきっとなるだろうと私は思うのです。でありますから外国であろうと日本であろうと、ひとつ公害というものを出していかない、空気はよごしていかないということを私は理念に持っていただかなければいけないだろう。この点は先ほど何かそういうようなことがいいんではないかというようなお考え方のようですが、これはひとつ直していただきたいと思いますが、どうですか。
#29
○国務大臣(山中貞則君) 私は慎重な言い回しをしたつもりであります。すでに国内において、新全総で公害産業をきれいなところに分散させるべきではないかという御指摘もあったのでありますから、ましてや国際的に分散して外国の人に迷惑をかけるということは基本的には考えていないのは当然のことであります。ただ脱硫過程を産地において可能な場所があるならばということで、幸か不幸か砂漠の入り海の、その周辺に密集人口等もないので、脱硫過程だけならばということが念頭にあったものですからそういうことを申し上げたわけで、公害産業の国外輸出ということを今後の国是とすべきであるということは考えておりません。
#30
○竹田四郎君 通産省の方にちょっとお聞きしたいのですが、今度通産省で案を発表しております全国の石油パイプライン網ですね、これは大体この石油パイプライン網というものが完成した場合には、いまより石油の消費量というものはどのくらい伸びていくか。
#31
○政府委員(莊清君) パイプライン関係の私ちょっと手元に数字を持ち合わせておりませんですが、先ほどの御質問に私お答えいたしました際に申し上げました石油の伸び、これとパイプラインとは特に関係はないものと理解いたしております。関係ないと申しますのは、パイプラインが布設されたら、さらに石油過消費型のエネルギー構造のほうに変わっていくのではないか、それを促進するためのパイプラインではないかという御懸念があるといたしましたら、そういうこととは関係ございません。こういうことは明確に申し上げられるだろうと思います。
#32
○竹田四郎君 その点、ひとつ、そういう関係は私、非常に懸念をしているわけです。ここにおいて新しいパイプライン網を全国に敷くということは、エネルギーの転換政策を考えるべき時期に来ておるにもかかわらず、そういう投資をしていくということは、当然それは石油の消費量を全体的に伸ばしていく、ただ白い系統の石油を伸ばすということは、同時に黒い関係の重油というものをより多く生産をしていくという裏返しになるわけです。これのいま資料がなかったならば、その資料をひとつ、通産省のお考えの石油パイプライン網で一体どれくらいの石油を輸送するつもりなのか、ひとつあとで資料をいただきたいと思います。ただ私は、おそらくいまの段階の石油の消費というものを考えてのパイプラインの施設網ではないだろうと思う。当然、このパイプラインというものは十年なり十五年先の消費量というものを考えながら施設をしていくのだろうと思います。こういうふうに考えてみますと、私はいまのパイプライン網というのはなくしろとは言いません。計画をなくしろと言うわけではありませんけれども、エネルギーの転換政策という立場から、むしろガスのパイプライン網を考えるべきではないか。石油のパイプライン網というのは縮小をすべきである、こういうふうに私は考えるのですが、いかがですか。
#33
○政府委員(莊清君) パイプライン関係は現在検討中でございますけれども、検討段階の数字は後ほどできるだけ御報告をさしていただきたいと考えます。
 なお、この際に一言つけ加えさしていただきたいのでございますけれども、われわれが現在考えておりますパイプライン構想と申しますのは、外国から輸入されます原油の量の増加に伴いまして、港湾等におきます荷役の能力等の問題もございますので、なるべく輸入の集中基地というのをつくりまして、そこに一たん集めてから海中あるいは陸上のパイプラインで、十分保安の措置を講ずることはもちろんでございますが、そういう保安の措置を伴いながら輸送をするというふうにしていかないと、港湾の能力あるいは船の混雑というふうな点からいって、非常に限界がくるのではないかという点が発想の根本にあるということを一つつけ加えさしていただきたいと思います。
 資料のほうは、現在われわれが勉強しておる限りのものを御報告さしていただきたいと存じます。
#34
○竹田四郎君 これは通産省にお聞きするのがいいのか、あるいは建設省にお聞きするのがいいかわかりませんけれども、そうした、先ほどのエネルギーあるいは過密都市における公害の問題、こういう立場から考えて、若干新全総にもその点は触れられているわけでありますけれども、やはり過密におけるところの公害というのが一番やっかいな公害であろうというふうに私は思うわけなんですけれども、今後そうした立場で、公害を防止するという立場で、先ほども都市計画等のお話がございましたけれども、現在主として公害がひどい地域、いうならば東京湾を中心とする圏域、伊勢湾を中心とする圏域、大阪湾を中心とする圏域、あるいは北九州、こういう圏域の工場立地のあり方というものを一体どう考えているのか、この点をお伺いしたいと思います。
#35
○政府委員(莊清君) 過密地帯における工場立地の問題でございますけれども、公害が過密地帯におきましては過密化における公害という日本的な形で、いろいろな形で公害が重複し、錯綜し、さらにかけ合わさった形で結局大きな公害になっておるということはもう御指摘のとおりでございます。それで、現在大気汚染防止法等におきましても、特に過密地帯につきましては亜硫酸ガスの排出規制一つをとりましても特にきびしい特別排出基準ということが法律にも出ておりますが、東京、大阪、四日市等についてはそういう特別の規制を行なっておることは御案内のとおりかと存じます。その規制面だけでなくて、立地そのものにつきまして、すでに首都圏、近畿圏につきましては工場制限等に関する法律というものに基づきまして、都道府県知事の例外許可がない限り、新設の工場、事業場というものは、これは公害及び過密という両方の見地から新増設というものは原則として禁止するというふうな政策がとられており、首都圏整備委員会等におかれても現在そういう法律の運用の改善なり、あるいは法律そのものの再検討というふうなことも進めておるように伺っておるわけでございます。
 なお、私ども通産省といたしましては、やはり過密地帯におきまして規制すると同時に、むしろ都市の再開発というふうな見地も含めまして、公害型の産業などはできるだけこれを地方のほうへ、むしろ、過密地帯から移すというふうなことも非常に大切であろうと考えておりまして、現在でも、公害防止事業団でありますとか日本開発銀行の融資等を通じまして、公害を起こす、これは主として町なかに散在しております中小企業の場合が実はそういう金融助成の対象になっているわけでありますけれども、団地化するような形で外へ出していく。出した際に完全な形での公害防除施設も同時にその団地に備えつけさせるというふうな形の政策を進めておるわけでございます。
 なお、政府全体といたしましては、御存じのように、先般改正されました都市計画法に基づきまして、特に過密地帯を中心にその周辺地域も含めました土地全体の有効利用という見地から、いわゆる線引きというものがこれから実施されるという段階になっております。なお、先ほども総務長官のほうから御答弁があったかと思いますけれども、いわゆる過密地帯と過疎地帯全体を含めまして、新全総の理念にもありますように、やはり公害を未然に防除するだけの十分な配慮をしながら地方のほうに新しい工業基地をつくっていく。過密地帯は制限をしてしまう、この二本立てで今後やはり進んでいくということが基本的な政策でなければならない、通産省ではかように考えておる次第でございます。
#36
○竹田四郎君 言っていることはよくわかるのですが、おっしゃっていることと現実というのがかなり違っているわけですね。私は横浜市の港北区に実は住んでいるわけであります。ちょうど東京を中心とする三十キロ圏内にあるわけであります。ここは数年前は実は空気の一番きれいなところで、公害問題に対する陳情というものも若干の騒音くらいで、なかった地域です。ところが、いまや横浜市における公害防止の陳情の一番多い仲間のグループの三つの区の一つになってしまったのです。その当時は確かに中小企業団地、いまおっしゃられた中小企業団地をつくって、そこで事前に公害を排除するという形のあり方というものは比較的少なかった時代でもあったと思いますが、実際には東京の公害を私の住んでいる地域へ持っていって移しかえているにすぎない。これは私の地域だけではなくて、おそらく三つないし四つの日本の工業生産基地の周辺も私は、おそらくそういう事態であろうと思います。そういうものを解消するだけの、いまおっしゃられた中に一体計画と予算――長期的な予算措置、そういうようなものが国民に納得できるような形であるのかどうか。あなたがおっしゃっていることは私も、おっしゃっているとおりだろうと思います。と思いますけれども、現実はそれと違っているということであります。中小企業団地をつくるにいたしましても、おそらくむしろそういう事業というものは非常におくれている。ある新聞の報道によりますと、いま東京の近郊で住宅公団が中小企業の工業基地というものをいままでもつくっておりました。そこへ企業の誘致をやっていたことも事実であります。しかし、現実にそのあとをたずねてみると、住宅公団などの政府とぴったりした機関がつくっても、むしろそういう住宅公団のつくっている団地はむしろ東京の公害をそっちへ持っていっているにすぎないんだと、こういうふうに言っております。でありますから、私はいま通産省の方がおっしゃた、おっしゃったことはわかります。そうしたものは具体的に国民にこう実行するんだという、実行計画を示さない限りは、ただ法律の文章から産業との調和条項をただ抜いただけにすぎない、現実には幽霊のように基本法の中に生きている、各法律の中に生きている、私はそう言わざるを得ないと思います。具体的な実行計画をつくって、国民に示す計画があるのかどうなのかお伺いしたいと思います。
#37
○政府委員(莊清君) 過密地帯における公害防止に関しましては、公害対策基本法に基づく公害防止基本計画というものが作成されることになっておりまして、現在千葉、四日市、水島等につきましてはすでに一応の計画が、政府としても地方自治体としてもお互いに合意したものが最近でき上がるに至っております。その他の過密地帯につきましても、逐次、関係各省と各関係都道府県の間で今後長期的な総合計画というものがつくられることに方針はすでに確立しているわけでございます。結局、先ほども私申し上げましたけれども、特に過密地帯の場合、現在すでに企業が立地しており、公害が多発しておるわけでございますから、まず企業自身が最善の公害防止努力をする、設備投資もさらに一そう努力する、これなくして公害防止ということは絶対に成果はあがらないと思いますが、同時にそういう過密地帯につきましては公共投資等の面につきましても、今後特に重点を置いて促進を、政府自治体一体になってやっていくということが国としてきわめて大切だろうと思います。それで、それぞれの過密地帯については長期的な基本計画が逐次つくられ、これが国民に示されてまいるわけでございますけれども、もう一点、いま御指摘のございました中小企業団地と言っても、それは近隣の地帯に公害をまたばらまくだけではないかという問題でございます。これは確かに先生御指摘のとおり、過去においてそういう事態というのは間々あったと存じます。まことに遺憾なことでございますけれども、これは否定することができない事実であろうと存じます。これはたとえば住宅公団の場合、いろいろ実施面におきまして、先に用地を造成しておいて切り売りというと語弊がございますが、逐次企業を集めて相当期間内に団地というものを造成してまいり、どういう業種が入ってくるか必ずしも用地造成の段階等ではっきりしていないというふうな、必要に迫られてやっていったと、追われてやっていったということからくる長期的な計画の不足という面も過渡期としてやむを得ずあったかと存じます。そういう結果、企業が逐次立地してくる過程におきましては、団地全体としてのたとえば排水設備一つとってみましても、あらかじめ十分な下水道がつくられておるわけでもない。排水処理施設が団地内に設けられているわけでもない。こういうところから、団地ができると近所の方はかえって公害の迷惑を当分の間受けられたというふうなまずい点があったのかと思いますが、今後におきましては、団地造成一つとりましても、あらかじめ移転させる企業、そこへ入れる企業というものはやはり計画的につかんでおいて、そうしてその周辺における下水道の整備もそれに見合って計画もし、それから団地をつくって企業を入れると同時に、その際には共同の排水処理施設等も整備しておく、こういうふうな計画的な配慮がぜひとも必要だと存じます。通産省といたしましても、関係の公害防止事業団でございますとか、中小企業振興事業団でございますとか、そういう団地造成に関係しておる多くの政府関係機関もございますので、十分指導監督し、また関係の都道府県の方とも十分お打ち合わせをした上で、団地が公害をばらまく団地に絶対ならないように、御注意の趣旨をよく体しまして努力をいたしたいと考えております。
#38
○竹田四郎君 通産省の方のおっしゃっておることはことばの上で私は非常によくわかる。なるほどそうあらねばならぬ。ことばの上では非常によくわかるのですが、ことばの上だけで、いままで通産省のおやりになったことで、実は公害防止に対して通産省がほんとうに真剣だと、こういうふうに国民から納得を得られるような点というのは私は比較的少なかったのではないか、こう思いますので、おっしゃることはわかるのですが、具体的に計画を国民に示してもらわない限りは、ただことばだけにすぎない。これはいつごろまでにそういう計画というのは出して国民に示していただけますか、いまおっしゃったようなことを具体的に。そうしたものを国民に出していただかなければ、せっかく公害国会として国民が非常に期待しているのに、どうも国民が得るものは何にもなかった、何を大騒ぎしたんだということだけになるんじゃないですか。通産省の公害防止計画というものをはっきりと国民に私は提示される義務があると思うのですが、どうですか。
#39
○政府委員(莊清君) 先ほどの御答弁とまた若干重複するかと思いますけれども、公害対策基本法に基づきます各過密地帯ごとの具体的な長期的な公害防止基本計画というものは、通産省だけでなくて、政府全体として地元の都道府県と十分御相談しながら、逐次つくってまいると、こういうことになっておるわけでございまして、すでに千葉、四日市等については、申し上げましたとおり、最近計画が打ち立てられたわけでございます。通産省といたしましては、そういう計画の中で、各企業に対しまして、今後は基準も一そう強化されてくる、関係の都道府県のほうで排出基準の上乗せ等も行なわれるというわけでございますから、各企業に対しましては、やはり行政指導を十分行ないまして、いささかも基準に違反することのないように十分指導をするということが、これがまず公害防止に貢献する最も基礎的な通産省としての職責ではないか、かように考えておるわけでございます。また、地方への企業の分散の問題、特に御指摘がございましたので、先ほどもお答えしたわけでございますけれども、どういう企業を早急に地方に移転させる必要があるかということにつきましては、通産省では従来から中小企業庁等が中心になりまして、各都道府県等の御協力のもとにしばしば調査等も行ない、あるいは商工会議所等を通じまして零細企業につきましてもそのような調査というものを行なって、その基礎をもちまして、中小企業振興事業団でございますとか、あるいは公害防止事業団等を通ずる財政資金による団地の先行造成というふうな問題を手がけてきたわけでございます。明年度におきましてもこの面の予算措置というものは相当努力をしておるつもりでございますけれども、今後はさらに一そうこういう方向については努力をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#40
○竹田四郎君 通産省の方、あとよろしゅうございますから、どうぞお引き取りいただいてけっこうです。
 総務長官にお聞きいたしますけれども、今度の改正案を通じて公害に対する責任というものは企業が第一義的に負うべきだと、こういう趣旨が述べられております。特に公共的な公害防止事業の費用というのは主として企業が負うのだと、それに関連する事業については、なるほど他の県とかあるいは市町村が一部を負担するということがあり得る、こういうふうに思うわけでありますが、今度のこの法律の中で、私的な公害による損害補償というものは、これも同じように企業が負うべきだという原則、これには変わりがないと思うんですが、どうですか。
#41
○国務大臣(山中貞則君) いま言われる法律は、公害防止事業費事業者負担法案のほうですか。
#42
○竹田四郎君 そうです。
#43
○国務大臣(山中貞則君) この場合の補償あるいは補償に至る前の疾病その他が公害によって原因づけられたもの等に対する措置は、ことし出発いたしました厚生省の公害にかかる医療の対策について、内容のよしあしあるいは条件等の問題等々いろいろありますけれども、一応そちらの分野でまず処理いたしますし、紛争の中で直ちに法廷に持ち込む以前のもの、あるいは法廷に持ち込む以外のものは、これは中央、地方に設けられました、先国会で通過いたしました公害紛争処理法というものに基づいて、中央公害審査委員会あるいは地方にそれぞれ設けられる審査委員会等が窓口となって、その場でそれぞれの当事者間のあっせん等につとめるということになっておりまして、今回の事業は公共事業として事業を行なう際について企業の負担割合を定めたという基本法の第二十二条を受けて、その範囲のものを書いたつもりでございます。
#44
○竹田四郎君 確かに、公共事業の負担についてはこの負担法の精神、これでやっていくわけでありますが、長官のお話の中にも出ている個人的な被害というものはたくさんあるわけです。これが、あるいは公害病に認定された場合には公的な機関から補償を受ける、あるいは給付を受ける、こういうことになっておりますが、しかし、そこまでいくというのはこれは実際問題たいへんなことで、たとえば今日においてもSO2の大気における含有量といいますか、PPMと、慢性気管支炎あるいは肺気腫等の有症率というものですか、こういうものは、疫学の立場から見てみると、大体〇・三PPMならば慢性気管支炎等の有症率というものは三%だと、〇・〇五PPMならば五%だと、大体疫学的にそういうふうな関係があるわけでありまして、したがいまして、その慢性気管支炎の患者が公害病に認定されるまではなかなかたいへんでございます。おそらく認定されない場合が多いだろうと思います。そういうことによってさらに他の病気がこれに加わりまして、健康を非常に害するという例もあろうと思います。あるいは工場の近くにおきましては、トタン屋根が腐るだとか、あるいは畳とかじゅうたんがばい煙によってその普通の、何といいますか、耐久期間よりも短くなるとか、こういうことが、私的の障害というものが、非常にあると思います。そういう被害というのは、原則的に企業がその損害を負担すべきだという考え方は、今度のこの十四法案あるいはいまお話がありました紛争処理、あるいは健康の障害に対する救済という趣旨の中に、全体に入っているというふうに理解してよろしゅうございますか。
#45
○国務大臣(山中貞則君) ただいま言われましたような、健康と病気との間という表現は、ちょいちょい聞きますけれども、かような状態、あるいは健康でなくても、生活環境に受けておる被害、それが自分自身の財産とか、生活の内容に被害を与えるというような問題が、やはり広範に存在することは間違いないと思います。これはもうやはり理論的にいえば企業の責任であるという御主張は、企業があるからそういうことが起こるわけです。当然の帰結点だと思いますが、その点を法律で明確にするということになりますと、今回出してある法律の中には、そのような問題は含んでおりません。でありますので、先ほども申し述べましたような既存の法律のもとの範疇以外のものというものでありますれば、紛争処理としては、これは何でも入るわけですけれども、ただ紛争処理法だけではこれは片づかないという問題において、やはりこれは憲法の定める何人も裁判を受ける権利を持っているわけでありますから、その場におけるそれらの人々の被害者としての立場がいかに守られるかという法律の議論になるだろうと思うのです。そうするとやはり立証責任転換もしくは無過失賠償責任等の問題にまだ詰めなければならない問題が残っておる。これはもう衆参両院のたび重なる委員会等において問題とされてきたところでありますし、今国会もそこに焦点の一つが議論としてなされてきたということで、その点はこれから私たち検討いたしますと、しかも精力的にいたしますということを申し上げておるわけでございます。
#46
○竹田四郎君 まあその無過失賠償あるいは挙証責任の転換という問題が討議されてきたことは私も承知しておりますけれども、しかし、一般の公害による被害地の住民というものは、むしろそういうところにこそ不安が非常に多いわけですね。たとえば私の知っている工場地帯に住んでいる、たとえば鶴見に住んでいるおとうさん、おかあさん、これは子供だけは何とかひとつ公害による被害を避けたいから、たとえば遠くの学校にやる、近くの学校では学校もろとも被害を受けますから、遠くの学校へやる、こういう形での負担というものも負わざるを得ない。昔だったら夏休みに自分のうちに住んでいればそれでよかった。しかし、いまは夏休みにそういう地域に一カ月も置くということはできないから、子供をどっかのいなかのほうへレクリエーション施設に預ける、こういうような被害というものもこれはばかにならないと思う。しかし、それがいまの形での法律のあり方で一体救えるだろうか、おそらく救えないものが大部分だろうと思う。因果関係にいたしましても、一つや二つの公害発生源があるところならば、ある程度わかるでしょう。しかし、その発生されるばい煙なり、あるいは有害物質と病気の関係あるいは損失の関係というものは、必ずしも明確にはなかなかならないというのが実態だろうと思う。しかし、そういうことで悩んでいるという人は非常にたくさんあると思う。こういう問題を解決しようというところに、おそらく挙証責任の転換なり、あるいは無過失責任なりの話が私は出てきたと思う。しかし、無過失賠償責任の問題にいたしましても、これは検討するということで、まあ長官はおそらく精力的に検討させているだろうと思います。しかし、そう簡単に、これがすぐそういうことになって、そうした損害賠償が得られるというわけのものでもないように私は思うわけです。一体、その間、こうした被害を受けている人たちはどう救われるのか。おそらく受忍の限界というものを私はオーバーしていると思います。そういうものに対して一体政府はどういうふうにこういう人たちを措置しようというのか。健康の問題でも同じであります。その中間の人たちというのは非常に困っているわけです。いまの法体系の中で、どういうふうにそうしたものを救済する道があるのかないのか、これは国民が一番聞きたいところだと思います。これは、法務省でも、長官でも、どちらでもけっこうでございます。ひとつ、その辺を明らかにしていただきたい。
#47
○国務大臣(山中貞則君) 病気以前の状態であって、健康でない公害を理由とする障害、こういうようなもの等の処理等については、現在の厚生省の法律をどこまでそれを適用することができるかの検討が、やはり一そう必要であろうと思いますが、先ほどの学校等の問題等については、今回の公害防止事業費事業者負担法案の定義の中で、「政令で定める事業」となっておりましたのを、衆議院で「住宅の移転」等ということばが入りました。私どもとしては、住宅移転という状態まで工場周辺の人たちを追い込むことは全く政策の行き詰まりを示すものとして、政令で書くことは考えておりましたけれども、法律に書くことは、そこまでは考えていなかったわけですが、しかしながら、それ以外に、学校等は、ただいま御指摘のように、まず弱い子供たちでございますから、学校移転というのは現実に例もございますし、そういう問題は書かなければいけないと考えて、政令では、学校移転、住宅移転あるいはオイルフェンス等の場合も水産物、動植物を守る等の意味においてあり得ますので、そういうことも書きたいと思っておったわけでありますけれども、一応衆議院で住宅移転が書き込まれたわけでございます。これは、差し迫った問題としては、せめて学校移転ということを、出すならば私は先に出したかったのですが、法律でそのように直りましたので、先ほどの御説明がありましたとおりでございます。でありますので、政令の中で学校移転、オイルフェンス等を明確にして、欲せざるところでありますけれども、そこまで来ている事実を認識するために、やはり政令にそのことを明確に定めて、学校移転の際も事業者に負担をさせるということをはっきりと打ち出したいと考えている次第でございます。
#48
○竹田四郎君 いま、何か、住宅移転も、修正があったからそこでできるだろうというようなお話のように私は聞き取りました。私は、おそらくそういうことはできないだろうと思います。これは、一つの地域を全体として動かす、公共事業として動かすということの場合でしょう。たとえば、ここに、ある程度まあほんとうの意味でからだの頑健でないという一家があったとしますと、それがそういう公害を受けて、とてもだめなのだ、しかし、移るには金がない、しかたがなしに、子供だけをぜいぜい少し遠くの学校にやって、一日のうち四時間でも五時間でもきれいな空気を吸わせよう、こういうのは移せないでしょう。移せますか、どうなんです。
#49
○国務大臣(山中貞則君) たとえば、数百軒あるうちで一軒、自分は移りたいと言われた場合に、この事業の対象になるかどうか、これらについては、ちょっといま即答をいたしかねます。もう少し検討したいと思いますが、非常にむずかしいケースではなかろうかと思っております。
#50
○竹田四郎君 この会期中ぐらいにその結論を出していただけるんですか。私は、そういう人というのは、公害の汚染のひどい地域には、かなりあると思うのです。しかし、そう言って、いまおっしゃられたように簡単に公害のない地域に移すということは、その人の通勤関係もあるでしょうし、そういう関係で、私はそう簡単にそういうことはできないだろうと思うんですけれども、先ほどの修正案で、そういうこと、できますか。
#51
○国務大臣(山中貞則君) 修正案では、住宅の移転というのは、はっきり書いてありますから、住宅の移転は対象になるのですが、対象になる前提は公共事業ということでありますので、その一軒の場合は、企業体とその被害者たる家族、家庭という問題になって、やはり私法上の争いということに、どうしても分ければ、なるんじゃないか。今国会で明らかにせよということでありますが、公共事業として一軒移転のために事業が行なわれるというケースは、ちょっと考えられない範囲のものであろうと思います。
#52
○竹田四郎君 そこで、私は先ほど伺ったわけであります。実際にはそういうことで困っているという人は、汚染のひどい所ではたくさんあると思うんです。しかし、それじゃ、いま長官のおっしゃられたように、企業との話し合いでそれは解決するか、それは、特定な原因がはっきりしている、因果関係がはっきりしている場合にはできるわけです。しかし、そういうところというのは大体因果関係というのがぼやけているところが私は多かろうと思う。たとえば、京浜地帯なんというのは、まさにぼやけている。一体どこの企業が一番そういう大気汚染をやっているのか、行ってまいりますと、なかなか因果関係というのはわからぬ。しかし、現実にその人たちは困っているし、あるいは健康が浸されているのかもしれない。一番困っているのは私はそのところだろうと思う。あまりひどいところは公害病の認定ということで、ある程度対策が立てられている。それから、発生源が非常に少ないところでは、ある程度その因果関係というものは推定できるわけです。一番困っているところは私はそういうところだと思うんです。何か救済の方法を政府で明記してもらいたいというのが、そういうところの住民の考え方だと思うんです。それは、わかる方でけっこうですから、お答えをいただきたいと思います。
#53
○国務大臣(山中貞則君) 政令の内容でございますので、場合によっては事務当局に頼むこともお許し願いたいと思うのですが、最も困難な場合なんか考えますと、東京の柳町が鉛で騒ぎましたですね。そのときに、一体加害者は自動車会社なのか、それともその燃料を精製した石油会社なのか、一人一人の不特定多数のドライバーなのかということで、いわゆる負担をさせる相手方というものの特定がなかなか困難であるというケースは、そういうことも私もよくわかるわけでございます。柳町一角だけならば、これは、特定地域の、建設省で行なっております新しい改造とか、改造住宅みたいなものがあるいは考えられるかもしれませんし、あるいは道路の立体化、迂回路、いろいろなことができると思うのですけれども、しかし、基本的な考え方としての、どこで救済をするかという場合については、やはりこれは不特定であって、加害者が特定されない、それは困難であるという場合において、それはやはり訴訟等になるのではないかと思うのでございます。あまり具体的な例ですので、私のところの対策本部の城戸首席に答弁をさせます。
#54
○政府委員(城戸謙次君) 今度の事業者負担法におきます原因と、この具体的な事業を行なう必要になりましたこととの関係でございますが、これは、基本法三条に基づきます事業者の社会的責任ということを根底にしまして、二十二条第一項の規定で課せられました特定の公法上の負担である、こういうことでございますので、従来のような、たとえば民事上の損害賠償の請求の場合あるいは刑事事件の場合というような、きわめて厳密な意味での因果関係、これは求められていないわけであります。したがって、個々の原因者と、それから具体的な被害との関係、それによりまして必要となりました公共事業の関係、これを個別的に因果関係を立証するということは必要ないわけでございますが、やはり事業者全体が因果関係があるということが必要でございまして、この点につきまして、この法律におきましても、事業者を特定いたします場合には、やはりその特定の場合に、地域でとらえるとか、あるいは業種でとらえるとか、そういうような具体的客観的な事由によりまして原因者であるということを確定をする、こういうたてまえになっておるわけでございます。したがって、そういうような意味で、事業者全体としても因果関係がはっきりしないという場合には、この費用負担の対象にはならない、こういうことになるわけでございます。
#55
○竹田四郎君 私の質問に対してお答えいただかなかったわけですが、それは、この法律におそらく関係はないと思いますから。先ほどもそれは公共事業だと、こういうふうに言ったわけなんです。実際、一番いま国民の中で公害で困っているのは、そういうところだろうと思うのです。それに対して一体どうするのか、これは政府としても考えてもらわなくちゃならぬ問題だろうと思う。法律の解釈にいたしましても、あるいは民法等の改正まで考えなくちゃならぬ点なのかもしれない。そういう点でどう考えますかということを私はお聞きしている。それについてお答えをいただきたい。
#56
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの点は、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、第二条第二項第五号の「政令で定めるもの」というのは、あくまでも公共事業としてやります場合の事業でございまして、一軒だけを移転させるための公共事業ということは考えられないわけでございます。したがって、「類するもの」として拾っていくということは私ども考えておりません。
#57
○竹田四郎君 何か非常に法律だけにこだわっている御答弁のような気がするのです。これは法務省関係の方、もしお見えになっているならば、その点は今後一体公害救済という立場で、どう考えるか。
#58
○説明員(味村治君) 現在、私法上の救済といたしましては、不法行為の規定があるわけでございます。御指摘のように、不法行為の規定は、これは加害行為と被害との間に因果関係が存在するということが必要なわけでございます。そして、まあこの因果関係の存在ということは、これはあらゆる不法行為を通じまして――これは、無過失損害賠償責任を規定いたしました原子力に基づきます賠償措置法でございますとか、鉱業法でございますとか、そういうものはすべて、たとえ無過失賠償責任の規定を置いてありましても、因果関係が必要だということになっているわけでございまして、これは私人間の損害の分担という見地から、このように定められているわけでございます。
 御指摘のように、公害の特殊性、公害の困難の特殊性ということは、発生源が非常に多くて、そうして加害者が特定しがたいという点に非常な困難性があるというふうに考えるわけでございますが、私法上の、つまり私人間の法律関係を規定するものといたしましては、そのように因果関係が認められない場合におきましては、なかなかこれを私人間の法律関係、私法上の問題として解決することは困難であろうかと存ずるわけでございます。
#59
○竹田四郎君 だから、これは厚生省のほうに聞きたいのですが、そういう健康と病気との境、そういうときには、厚生省としては、それはどういうふうに救済をすべきだと考えておりますか。
#60
○政府委員(橋本龍太郎君) 先生よく御承知のとおりに、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法が本院また衆議院で審議されました時点でも、その点は相当な議論になった場所であります。そして、そのとき、結果的に、そのちょうど境にある健康状態である、また、病理学的にはっきり病気と明定できる、その中間にあるものを対象とするかしないかという議論がなされた結果、むしろ、もう病理学的に、はっきり病気と明定できるもののみを救済の対象とするということで答弁をなされ、当時国会を通過いたしました。したがって、今日の時点として、いわゆる健康にかかる被害者救済制度の法律を利用して、いま御指摘のようなケースに対処するということは私どもは困難だろうと思います。その当時、同時に審議をしておりました紛争処理制度のほうをむしろ活用すべきではないかという当時の考え方を政府としても主張をされておりましたように私は記憶いたしております。現行において、やはりそうした方法をとっていく以外に対処の方法はないように考えております。
#61
○竹田四郎君 同じようなことで、国民の大多数は、それによって救済の道はない。私法上の問題として損害賠償の請求を起こしても、先ほどお話があったように、因果関係ということがなかなか確定できない。したがって、損害賠償の責任は負わなくてもいい、こういうことになってしまうのじゃないかと思うのです。これは何らかの形で、たとえば無過失賠償責任というようなものを入れていくのか、あるいは共同不法行為の考え方の中にそういうものを含めていくのか、そうした問題は私法上もはっきりさしていかなければ、この間話が出ましたように、受害者負担ということで自分を防衛していくか、それでなければ、かつての浦安の漁民のように、公害を発生していると思われた工場に、なぐり込んでいくか、そうした方法しか私はないかと。しかも、大体そういう工場の近くに住んでいる方々というのは、所得の面から見ても決して高い所得の人では私はなかろうと思います。どちらかと言えば、低い所得の人たちが多かろうと思います。こうした人たちは一体こうした公害の被害からどう救済したらいいか、救済の道というものを私は政府として示すべきだと思いますが、どうですか。
#62
○国務大臣(山中貞則君) どうも、一軒、二軒の例をとられているものですから、なかなか説明ができかねるのですけれども、これもまた紛争処理法による審査委員会になじむか、なじまないかも、やはりこれは相手方が特定をされた場合、交渉が持たれるわけですから、それを、ただ、大気が汚染しているので自分はもう東京都心に住むのはいやだ、したがって多摩のほうに行きたいのだがという場合に、なかなか、そこらのところは、ごもっともですとは言えるのですけれども、それを公害防止として、あるいは公害のための被害を受けた人の救済として、法律上どこがカバーできるかと言うと、たいへんむずかしいケースだろうと思うので、これは法務省の助太刀を求めます。
#63
○説明員(味村治君) これは、先ほども申し上げましたとおり、たいへんむずかしい問題でございます。先ほど共同不法行為として扱うというお話があったわけでございますが、数人が共同いたしまして一人の人に損害を加えるという場合には、その数人が連帯の責任を負うという規定になっておるわけでございます。ただ、その場合にも、やはり数人のそれぞれの行為というものとその被害との間に因果関係がある――非常にこまかい例か申し上げますと、三つなら三つの企業がありまして、四十ずつ出したと、そして百二十で――まあ、かりに百で被害が発生したといたしますれば、三人で連帯で損害を賠償しなければならないという規定はあるわけですが、その場合にも、やはりそれぞれの行為の間に因果関係は必要であるわけでございます。つまり、この被害は三つの企業からこうむった被害であるという、そういう因果関係の存在が必要なわけでございます。それからさらに、先ほど無過失損害賠償というものによって救えないかというお話もございましたけれども、これも、先ほど申しましたように、無過失損害賠償におきましてもやはり因果関係は必要なわけでございます。因果関係があって、過失がないけど賠償しなきゃならぬというのが無過失損実賠償でございますから、因果関係の存在は必要なわけでございます。現在のところ、私法上の規定といたしましては、これはとにかく因果関係が証明されるということが――その証明は、これはまあ終局的には裁判になるわけでございますけど、裁判の場合は、厳格な証明が原則でありましょうけれども、裁判官が因果関係について確信を得た状態が必要なわけであります。もちろん、それにつきましては、いろいろな状況を総合いたしまして、間接的な事実からもそういう確信を得ることもできるわけでございますが、そういう確信も得られない、はっきり言えば、通常の人たちから考えて、なかなか因果関係があるということがはっきり断定できないというような状況でございますと、これはちょっと私人間の法律関係を規定する私法上の問題といたしましては、なかなかむずかしいというように考えられるわけでございます。
#64
○竹田四郎君 民法四百十六条の規定で、こういうことをすればこういう害がある――初めて工場をやった、近附の人から困るという陳情が来たとしますね。そういう場合には、ある特定でなくても、幾つかの会社に対してそういう申し入れをした場合には、これは、そういうことをすればそういう被害が出てくるだろうということは、少なくともある工場地帯においては、あらかじめ、そういう見通しといいますか、そういうことがあり得るという可能性、そういうものはわかるわけですね。そして、確かにそういうことで相手の健康を害する、それも、公害認定病に認定される以前の、それには達しないところの病気にかかる、あるいは先ほどの生活環境においても、そういう形での被害は受ける、こういうことが明らかに私はそうした会社が個人の生活の上の権利を侵害しているということになると思うんです。その四百十六条あたりで救済するという道はございませんか。
#65
○説明員(味村治君) 先ほどから申し上げておりますように、因果関係が証明ができますれば、これはまあ不法行為として救済ができるわけでございます。ただいま御指摘の民法四百十六条は、これは債務不履行の条文でございまして、債務不履行という場合は被害者と加害者の間で事前に契約があることが必要なわけでございまして、一般的に申し上げますれば、こういう公害の場合には、債務者と被害者、つまり企業と被害者との間には契約はございませんので、通常の場合はこれは不法行為の規定になるわけでございます。先生の御指摘のように、因果関係が存在するかしないか、そこがまあ非常にデリケートな問題であろうかと思うんでございますが、因果関係があるんじゃないか、ごく。大乗的観察をすれば、あるいは因果関係があるかもしれないということが言えるのでございますが、具体的、個別的ケースになりますというと、因果関係があるかないかということがはっきりしないケースもあるわけでございまして、まあ、きめ手は、やっぱり因果関係があるということに帰着するかと思うわけでございます。
#66
○竹田四郎君 公法的なものについては、若干、法の精神はできてきたというふうに申し上げてもよかろうと思いますが、そういう私法的な面では、救済の道は、いままでの御説明だと、全然ないということになるわけですね。しかし、国民というのは一番この層が多いと思うんです。公害防止を願う人たちも、やはり私はこの層に一番多いと思うんです。これに対して何らか政府が手を打たない限りには、私はどうにもしようがないと思う。そうして、先ほどからお聞きしているように、それではこういう公害というものは一体いつになったらなくなるだろうか、それまでわれわれは一体どうするのか、こういう疑問というものが、率直に言って、いまの国民の公害国会に対する私は期待だろうと思う。それに対して何ら答が出ないということになりますと、この公害国会で大騒ぎをして何をやったのだ、産業との調和という条項というものを抜いたけれども、それは一体ほんとうに抜いたのか、文章上で抜いただけなのか、こうした問題は、これは国民から当然提起される。公害国会をやって一体国民はどれだけの利益をこれによって得たかということは、若干制限がきびしくなった程度のものである、これだけはどうしてもしていただきたいという国民の願いというものは結局しり抜けになった、何だか私は、そういう意味で、ただ単なる公法上の問題だけに限らず、公害については私法上においても法改正をしていく当面の急務があるのではないかというふうに思いますけれども、長官、いかがですか。
#67
○国務大臣(山中貞則君) 何か具体的な名案があったら教えてもらいたいのですが、一件の場合を例にとると、なかなか説明しにくいのでございますが、われわれの姿勢としては、やはり公害というものに対して弱い立場の住民たる国民を守るということに徹しておることは間違いございませんが、いまのケースについてはたいへんむずかしい問題で、いわゆる相手方がだれであっても、たとえば国を相手どって、国がそういう――われわれ個人個人が希望する場合、あるいは追い詰められて逃げ出そうという場合も何の手も打てない、このことは国が国民を守る立場において怠慢であるのだというような訴え等が起こせるかどうか、こういう問題もあろうと思いますが、どうも私もそういう専門家でございませんので、そのケースについて、気持ちはわかりますけれども、具体的にどのようにすることがよろしいのかについては、いまのところ、即答いたしかねるということでございます。
#68
○竹田四郎君 私も、わかればここで具体的に提案しようと思うんですが、これは法律の構成のたいへんむずかしい点であろうと思う。ですから、私は、こういう私的な公害の関係ということについて政府としても何か検討機関というものをつくって、救済方法というものを考えてもらわなければいかぬだろう、こう思うんですが、そういうものは検討に値しないとおっしゃるのか、なるべく早くそういう方針をひとつ考えて、何かそういう検討の研究機関をつくろうという考えなのか、その辺もまだお答えができないんですか、その辺、ひとつはっきりしていただきたい。
#69
○国務大臣(山中貞則君) 一件のケースの場合においては比較的議論をしておりますけれども、私は、実はその議論は、むちゃな議論とは受け取っていないわけです。というのは、NHKでございましたか、ほかのテレビでしたか、テレビ局に呼ばれて私出ましたときに、川崎の現場と結んだ番組がございました。そのときに、主婦の方が、もういいんです、私たちは長年住みなれた所だけれどもほかの場所に移りたいのだ、せめて政府のほうで、移るときに、そのときには資金を貸してくれという話だったが、これはできることなんですけれども、とにかく移りたいという声でありました。これは、私にとって、やはり政治というものは……。人間は住んでいるところに愛着がある。しかも、長年住めば住むほど自分の住んでおる土地、家というものについては、みんなが愛着を持っております。それが、その愛着を断って、いいからとにかく自分はもうよそへ行こうというようなことは、自分は政治の敗北だなと思って、そのとき感じたことがあるのです。ですから、何とかそういうものに明快なお答えができる道はないものかと、私いままでも思ってまいりましたから、これは審議会その他をそのためにつくらなくても、私のところに中央公害審議会もあるわけでございますが、それに至る前の、具体的に、ただいまも御指摘のありますような、行政法規上あるいは私法上の純粋の法理論として、どのようなことが実際考えられるかということについては、公害対策本部のメンバーも優秀なメンバーがそろっておりますので、その問題についても、もう少し検討さしてください。
#70
○委員長(占部秀男君) これで午前の会議を終わりますが――ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#71
○委員長(占部秀男君) 速記を起こしてください。
 午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十六分開会
  〔理事杉原一雄君委員長に着く〕
#72
○理事(杉原一雄君) ただいまから公害対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続いて質疑を行ないます。
 質疑のある方は、順次御発言を願います。
#73
○竹田四郎君 きょうの私に与えられた時間があまりございませんので、まだかなり基本的な問題についてお尋ねをしたいと思いますが、これはひとつ、あとに譲らしていただきまして、建設省の方が何かたいへんお急ぎだということですから、そのほうからひとつ入っていきたいと思います。
 交通騒音あるいは自動車による排気ガスの問題がたいへん問題になっているわけでありまして、実際にはいろいろな道路をつくる場合も、こうした問題が解決されないところにいろいろ問題があろうと思うのですが、実際、大きな道路ができて、その道路に面した住宅というものはまことにこれは迷惑であるわけですが、こういう道路の交通騒音というものは、もちろん車両自体の騒音や排出するガスの規制をきびしくしていくということはもちろんでありますが、おそらくはそれでも私は道路の沿線の騒音、排気というようなものは生活環境として適当なものに押えられるかどうかということは、これは非常に疑問であります。私、常々考えているのですが、こうした自動車の通行がかなり多い道路、こうした道路にはもちろん通行区分というようなこともあると思いますが、あるいは道路を何か――音を遮音するということは一体できないのか。私のこれは一つの提案でありますけれども、これは道路に限らず鉄道等においてもそうだろうと思いますが、住宅地域とその道路との間に私はグリーンベルト的なもの、あるいはグリーンスクリーンと言ったらいいかもしれませんが、むしろそういうようなものを今後つくっていくべきではないだろうか、こういうふうに私考えるのです。こういうようなことは一体できるのかできないのか。確かにそのための用地費というようなものは非常にかかると思います。しかし、騒音を防止していくという立場では、当然私はそのくらいの投資をやっていくべきである。すべての道路というわけにはこれはもちろんまいりませんけれども、少なくともかなりの量の自動車が通る道路というようなものは、そうした形でのグリーンスクリーンというようなものを私はつくっていくべきだ、こういうふうに思いますけれども、建設省の方いかがでしょうか。
#74
○政府委員(高橋国一郎君) 御指摘の住宅街を道路が通過する場合に、グリーンベルト等をつくって、騒音、排気ガスを防止してはいかがかという御質問でございますが、われわれといたしましても、そういう方策も騒音防止ないしは排気ガスの防止のための一つの方策として検討しております。最近、道路を新しくつくるという場合に、特に住宅地を通る場合大きな社会問題になっております。全国の各地でかなりのこれに対する反対の運動等もございます。したがいまして、われわれは道路構造上いかにして、騒音が少なく、排気ガスが少ないような構造がとれないかどうかということは真剣に検討しておるわけでございますが、その一つの方策としてただいま先生御指摘のございましたグリーンベルトの方策というものも十分今後取り入れて道路の建設に当たりたいと考えておる次第でございます。
#75
○竹田四郎君 まあ私はこれはぜひ、少なくとも道路幅ぐらいのものはグリンベルトを両脇にとるというようなことをやっていただきたいと思うのですが、もしそういうことをやるとしたならばどうなんですか、国の負担関係は。そういうものに対して、建設省はグリーンベルトをつくる費用についても公共事業として今後出してくれますかどうですか。それから具体的に、いまおっしゃったんですけれども、このグリーンベルトをつくっていくというのは、もう具体的に来年度の予算あたりからそういうものを大幅に取り入れる意思があるのかどうか、その二点。
#76
○政府委員(高橋国一郎君) 騒音の規制につきましては今国会でも提案されておりますし、なお厚生省といたしましては基準を省令で定めることになっております。現在のところは基準がございませんので、住宅街では何ホン以下とか、あるいは商業地区には何ホンという規定がございません。したがいまして、それに伴う道路構造を現在のところまだ完全に確立しておりません。こういうふうな基準がきまりますれば、それに従ってこの基準の範囲内のような道路構造を考えたいというふうに考えております。
 なお、つけ加えて申しますというと、グリーンベルトだけではなかなかむずかしいのじゃないかと私たちは思っております。これは簡単なわれわれの調査でございますというと、単に緑地を取っただけでは、百メートル離れましてもわずかに十ホーンぐらいしか減らぬというふうに聞いておりますので、おそらくその間に遮音的な植樹――木を植えたり、その他の施設も考えなければならぬと思います。そういうふうなこともあわせ検討中でございます。なお、これらにつきましては、厚生省令のきまった段階において、それに従った基準を今後つくっていく必要があると思いますが、グリーンベルトはその一つの方策にすぎないと考えております。たとえば、両側をカットいたしまして――掘り割り方式とわれわれは申しておりますが、掘り割り方式を行ないますと騒音が相当防止されるのであります。つまり、路面よりも道路が下になりますので、騒音がかなり防止されることがわかっておりますので、そういう方法等もございますし、場所によりましては高架によって通過することができる場合もあります。そういうものを含めまして、いまのグリーンベルトの方式につきましても今後十分一つの方向として検討を加えていくつもりでございます。
#77
○竹田四郎君 ちょっと私の言い方が悪かったのかもしれませんけれども、ただ単に芝生を植えたぐらいじゃいかぬ。いま私はそのグリーンスクリーンという考え方を申し上げたわけであります。その点ひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。
 もう一つ、一番困る問題は、道路計画と住宅との関係だろうと思います。その一つの関係というのは、これは私の住んでる地域にもいろいろ問題がありますが、たとえば茅ケ崎の浜見平団地、これはかなり大きな団地であります。その団地のまん中に自動車がかなり通るような道路をつくっていくというようなことは私どもはたいへん非常識だと思うんですね。それから相武台――これは神奈川県がつくっておりまして、相武台団地のまん中にやっぱり道路をつくる、相武台のほうは若干掘り割るようでございますが、いずれにしても、そういう生活の場というものに、そういう自動車道路の大きなものを入れるということが私はたいへん問題だろうと思うんです。どうしてこういうふうな計画というものをもう少し調整しないのか。道路のほうに言わせれば、あれは前からの計画道路だということであります。そういう計画道路を知って、それじゃ公団はその団地をつくったのか。こういう点の調整が一体できないのかどうか。
 それからもう一つ、建築の構造について私はお聞きしたいのですが、道路に面してつくる建物の壁面というようなものは、私はかなり問題があると思うんです。私もそういう経験をしているわけでありますが、道路の騒音がその建物の壁面にぶつかりまして、それが騒音地域をむしろさらに広くする、こういうことも私はやはり改善しなければいかぬと思います。たとえば道路に面した面は吸音的な構造にしなければいかぬとか、こういうようなことは一体できないものなのか。私はできるんじゃないかと思いますが、この二点についてお伺いします。
#78
○説明員(朝日邦夫君) ただいまの先生のお尋ねの点でございますが、多少お答えをいたしますのに私の所掌をはずれている点もあるかと思いますけれども、私どもが関係いたしております、たとえば日本住宅公団が団地を造成いたします場合に、主としていわゆる大規模な団地といいますものは、それぞれ新住宅市街地開発法であるとか、あるいは公団の行ないます区画整理事業であるとか、そういったいわば都市計画事業として当初から計画をして造成にかかり、住宅を建設いたしておるわけでございます。したがいまして、その最初の計画決定の段階におきまして、やはりその地域の土地の利用あるいは交通施設等の都市計画、こういったものを先生も御存じのとおり、地元の県なり市町村と十分協議をいたしまして着工いたすのが例でございます。したがいまして、そうします場合にはある程度通過交通と申しますか、団地が大規模になればなるほど、たとえば駅への通勤のための道路が必要である、それがその団地と駅の間だけでなくて、当然通過する道路が必要であるというふうな場合が団地の建設上も非常に必要がある場合が多いわけでございます。ただ、そういたしました場合にも、計画上、もし明らかに通過交通を主としているものでございますれば、極力これは団地の外回りを通るようにできる限り計画をいたすようにいたしております。しかし、これも団地が大規模になりまして外を回るということが非常に不経済というふうな場合には、やむを得ず団地の中央を通る、また団地自身にとりましても外を回るよりはまん中を通ったほうが交通上は便利だという場合も、居住者自身にとっても便利な場合があるわけであります。そういったやむを得ざる場合には、ただいま先生がお話しのように、住宅の建設にあたりましては極力そういう大きな道路から住宅そのものを離す、必ずしも中にグリーンベルトをつくるとかいうところまでただいまのところまいっておりませんけれども、極力騒音を避ける意味で住宅を離すという措置は建設の計画上とっておりますし、さらに住宅の建て方につきましても、あらかじめどこを道路が通るという場合には、たとえば南北を道路が通っております場合には住宅の向きは東西に長いように、極力、居室の窓が道路に並ぶと、そういうような方法でなくて住宅を建設する、もちろんこの場合には南北の日照等の関係もございますから、必ずしも直角にするというわけにはまいらぬ面があるようでございますが、そういった場合におきましても極力騒音を避けるような建て方をする、住宅の配置そのものをそういうふうにいたすということをいたしておるわけでございます。
 しかし、場合によりましては具体的にやはりその後の状況によりまして、非常に騒音が激しい、あるいはどうしても土地の利用上そういった余裕がとれないというような場合におきましては、遮音性の高いサッシを使うというふうな措置も講じておる例がございます。ただいま御提案の壁面を吸音の壁面にするということも、私、技術的にしかとわかりませんけれども、伺いました限りでは、これが工事費の額との関係もございますと思いますけれども、技術的にさしたる経費を要しないでできるものであれば当然検討される余地がある、そういった意味におきましては、御趣旨の点も十分検討の余地があると考えますので、そういった面のいわば設計と申しますか、という方面を担当いたします向きにも十分御意見を伝えたいと考えております。
#79
○竹田四郎君 大体わかったんですけれども、どうもこういうところにもほんとうに公害防止のために積極的に金を出す、積極的に変えていくという姿勢が私はちょっと足りないように思うのですよ。もう少しその辺を真剣に建設省でもひとつ考えていただきたい、こういうふうに思います。建設省の方、御苦労さまでした。
 それから、いまの交通騒音に関連して、文部省の方にお伺いしたいんですが、大体いままでの学校のあり方というところにも問題が私はあろうと思いますけれども、道路の過去のいろんな都市づくりの形からそうであったかと思いますけれども、学校の近くに道路ができる、あるいは学校の近くに鉄道が通る、こういうことで、その騒音によって授業が妨げられているという例は非常に多いわけです。私が経験した点でも、新幹線が通る、ここは新幹線が通ってもこうした防音壁をつくる、こういうロングレールを使う、レールとまくら木との間にはこういうゴムパットを入れる、そういう条件でつくったにもかかわらず、一年足らずの間にその学校はその騒音のために引っ越さざるを得なくなった、こういう例が非常にあるわけです。あるいは文部省のほうであまり予算をくれないせいかどうかわかりませんけれども、二重窓にするのはいいけれども、木造で二重窓にしてもこれはほとんど効果はございませんね。それから鉄筋にいたしまして二重窓にする、あるいは大気汚染の関係で二重窓にするという場合もありますけれども、この場合もほとんど換気装置だけしかつくってくれない。鶴見の学校あたりにいたしましても、換気装置はできているんですけれども、それに四十人、五十人の熱を発散する子供たちが教室の中にいる。一体勉強ができるのかどうか、結局は六月、七月ごろの日になり、あるいは九月という時期になれば、二重窓をつくっても実際窓をあけちゃう、あけざるを得ない、換気装置だけですと。私はこういうものについては、公害という立場から当然冷房ができるようなものをつくる、そうして冷房のための費用というものも私は国で見るべきだと、こういうふうに思いますけれども、そういう学校の騒音によって悩まされているところ、そういうところについて、それはまだ危険度は規定に達していないかもしれない。そういうところの教育環境の整備をするというために、私は文部省としてはそういった学校に対しては当然建てかえの費用なり、いま申し上げましたような二重窓にするなりによって避けられるならば、それに対して冷房の施設あるいはその運営費まで含めて私は措置をすべきである、こういうふうに思いますけれども、文部省の方、どうですか。
#80
○説明員(菅野誠君) 文部省の教育施設部長の菅野でございます。
 ただいま御質問のありました学校公害の問題でございますが、お話しのように、学校施設は、被害者と申しましょうか、道路騒音その他の被害を受ける立場にあるものでございまして、これに対しまして、やはり子供の健康また教育の立場からもこの防除措置を講じなければならないことは申すまでもないことでございます。したがいまして、ただいまお話がありました公害のために改築しようという場合、あるいは公害のために移転しようという場合、あるいは公害のために冷房装置をしようという場合、あとお話にありました公害のために二重窓にする、その他換気装置をつける、技術的な若干の問題があるわけですが、こういう問題につきましては、一次的には原因者と申しましょうか、それぞれの原因者がこれの防除措置をとってもらうのが第一でございますが、午前の山中大臣のお話にもありましたように、不特定多数でなかなかそれの原因究明まで時間をとっておることができないという場合に対しまして、文部省関係におきまして、学校公害防止工事予算補助というので、これは法律的な根拠ではございませんが、予算補助といたしまして、これに対しまして四十三年度以来補助を行なっております。ただこれは公立学校の場合、お話の場合も公立学校のように思いますが、設置者でありますところの公共団体がその計画を立てまして文部省に申請をするという形になりますので、その計画を受けまして検討いたしまして、前向きに検討いたしたいと思います。改築、移転、冷房ともに補助した例はございます。
#81
○竹田四郎君 それ、どのくらい出しているんですか。その一つの工事に対して工事費の何分の一とか、あるいは何%だとか、そういう基準があるんですか、それともつかみで出しているわけですか。
#82
○説明員(菅野誠君) 予算額を申し上げますと、四十三年度約二億六百七十五万三千円、それから四十四年度の予算額は二億九百万飛び飛びの三千円となっております。四十五年度予算は二億二千八百四十万円になっております。補助率は三分の一でございます。
#83
○竹田四郎君 私は、全体としてどのくらいの学校がこの対象になったか、学校数もこれはあとでけっこうですからひとつお教えをいただきたいと思います。おそらくこれだけの予算ではそうした要求にマッチしていないだろうと思います。ひとつこれはせっかく予算を多く取って事業対象をふやしていくようにしていただきたいと思います。文部省の方けっこうです。
 時間があとございませんので、ちょっと話が飛んで、あるいはこの委員会の問題でないかもしれませんけれども、私の住んでいる近くで、これはプラスチックの処理、これについて一つの提案がありましたから、私ここでひとつ提案を申し上げて御検討いただければいいと思うんですが、この人の研究でいきますと、工場から出るごみ、あるいは家庭から出るごみ、この中でいままでお話がありましたように、プラスチックのくずというものの処理というものは非常に問題だと、こういうふうに言っておりますが、これはあるいは厚生省あたりでも御研究になったかと思いますが、国民の一人がせめてこれをひとつ検討してくれという要請がありましたので、ひとつ申し上げたいと思いますが、この人の考え方でいきますと、工場、家庭から出るいろいろな廃棄物のうち、プラスチックはこれを粉にしろ、そうしてその他燃えるものはこれは燃料用に使え、そしてガラスとかあるいはせともののくず、金属のくず、こうしたものもある程度これを粉砕――粉にはしないのですが、ある程度小さくいたしまして、そしてこうしたそれを石とか砂とか一緒にがらくたを混ぜまして、そしてこれは四百度の温度にしろというふうに言っておりますが、まあ簡単に言えばなべでいるような形でやって、まあ四百度ぐらいのときにプラスチックのくずを粉砕したものをそれと混ぜて、こういうことによってかなりかたいものができるわけなんです。これをある一つの型に入れまして、そしてたとえば海の埋め立てにこれを使う、あるいは場合によって型のつくり方によっては魚礁等にも使えるだろう、あるいは道路の舗装等にもかなり使えるだろう、こういうふうな意見が出されて、ぜひこれは一回検討してみてくれ、そうすればそういう形でいわゆるプラスチック亡国といままで叫ばれた問題がある程度解決する可能性があるではないか、こういうことでありますが、もし御検討しているというならけっこうでございますが、こういう方法というものはいいのか悪いのか、検討されたことがあるかどうか。現物を持ってきておりますからひとつごらんをいただいて、いいのか悪いのかひとつ御検討いただきたい、こういうふうに思うわけです。御答弁いただきたいと思います。
#84
○政府委員(橋本龍太郎君) 直接いま先生のお話のように、要するに合成樹脂製品をクラッツュしてその他の製品あるいは石、土のようなものとミキシングし、それをプレスをかけて固めるという、そのような形そのものの直接のものは、私どもはいままで研究してまいった過程にはないと思います。いま御示唆になりましたような方法も、私は合成樹脂製品を始末していく上での非常に一つの方法だと思いますし、その意味では現在いわゆる産業廃棄物の処理に関する法律を本院の社会労働委員会において御審議を願っておるわけでありますが、こうした一連の施策の中の一つの題材として研究の価値のあるものではないかと思います。ただ、いまお話を伺っておりました中で、一、二、これはしろうとでありますからあるいは誤りがあるかもしれませんが、ただ四百度ぐらいに加熱をするというお話がございました。合成樹脂製品、いま家庭用に使用されておるものは主として電気製品が多いように思いますけれども、びんのような形に成形されておるものの中には非常に可塑性に富む材質としてスチロール系の樹脂が多いように聞いております。スチロール系の樹脂でありますと百四十度ぐらいで実は溶融点に達する。ところがこのプラスチックの処理で一番私どもにとって頭が痛いのは、結局燃焼させる場合あるいは溶融させる場合、それ自体で実は有毒ガスを排出するわけであります。それだけに四百度という温度を加えた時点においてそのガス処理をいかにするか等、これは技術的に私どもむしろもう少しこまかく伺いたい面もございます。今後の一つの方向づけとして、もし先生のほうからその方を御紹介願えるなら専門家にむしろお引き合わせをし、そのお考え等もお聞かせいただくことも一つの方法かとも思います。
#85
○竹田四郎君 時間がありませんので、これでひとつ、材料ここにありますから、ひとつ御検討をいただきたいと思います。
 私の時間これで切れましたので、ほかから来られた方非常に恐縮なんですけれども、その点ひとつお許しいただきたいと思います。
#86
○川上為治君 この国会に出されました公害関係の法律案は、一歩も二歩も前進しているという意味におきまして私はその成立を望んでやまないものであります。しかし、法案を成立せしめただけでは何にもなりません。これを動かす行政機構の問題にもまた重要さがあるのであります。公害に関する国家公務員は現在幾らぐらいですか。また地方公務員は幾らぐらいですか。担当官でいいですから答えてもらいたい。
#87
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの数字でございますが、手元に正確な数字がございません。国家公務員の関係、たとえば厚生省では実際的には約五十人ぐらい公害関係に従事しております。各省それぞれに定員で定められたもの、あるいは関係各部局からの応援、いろいろあろうかと思いますので、その辺を調べました上でまた御報告申し上げます。
 また、試験研究機関につきましても実際ほかの分野と相かねながらやっている人が多いのでありますから、なかなかこれは計算むずかしいわけでございますし、この点若干の推定を含めながら後ほど御説明申し上げたいと思います。
 地方公共団体は大体県市町村合わせまして三千二百人程度でございます。
#88
○川上為治君 これでは少ないと思います。これを拡大しなければなりません。そこで公害省あるいは環境保全省のごときものをつくって、そして行政機構を強化する必要があると思うのであります。私は中小企業の問題を専門的に勉強しております。中小企業の問題はなかなか簡単にいきません。しかし、中小企業はわが国の人口一億三百万人のうち四千万人以上を占めております。これは従業員あるいは家族、経営者等を含めまして全部一切がっさいを含めまして四千万以上を占めております。貿易におきましては四二、三%を占めているのであります。しかし、一般予算につきましては九兆億の中にたった四百五十億、財政投融資につきましては三兆何千億の中で八千億を占めております。私は中小企業省をすみやかにつくって、朝から晩まで中小企業の問題のみをやっている国務大臣をつくる必要が絶対にあると考えて、機会あるごとに世間に訴えているのでありますが、一向に成功を見ておりません。これは中小企業省をつくるとならば通産省がまず反対します。従来の通産行政の縦の行政を乱すといっております。しかし、中小企業者の数は農林省関係の物資が約四〇%、通産省関係の物資が約五〇%、その他が約一〇%程度であります。通産省に中小企業庁があって、そして農林物資までもやっております。そこにトラブルというものは何らありません。また行政管理庁が反対します。反対の理由といたしましては省が多いということであります。私は、この反対に対しましては、むしろ北海道開発庁とか、あるいは行政管理庁とか、こういうものをつぶして、中小企業者あるいは公害省のごときをつくる必要があると思うのでありますが、公害省をつくる考えに対しましては、どういうふうにお考えでありますか。
#89
○国務大臣(山中貞則君) スエーデンの環境保護庁、イギリスの環境省、最も新しいものとしては、アメリカの環境保護局、各国それぞれに、その国の公害あるいは環境汚染問題に対する姿勢を行政の分野でも明らかにし始めておりますこと、われわれの承知しておるところであります。私たちの日本の組織の中では、七月の末に総理から公害対策本部の発足を命ぜられて、私がその担当大臣として、あるいは本部の副本部長としての出発をして、まだ四カ月未満の浅い経験しか持っておりません。したがって、現在は、各省のエキスパートを集めまして、わずかな手勢でございますが、各省それぞれのプロパーの法律を調整、配分、案分等をやりながらまいったわけでございます。その成果として、今国会に十数本の法律をお願いしておるわけでございますが、さらに国会が終わりますと、今度は、やはり各省ばらばらの予算要求という形のものを本部で統括して、その見解等も大蔵に述べておりますので、これらの予算が全体として対策本部から見ていかにバランスの保持されたものにするか、あるいはそれが日本の公害に対する姿勢として具体的な裏づけとしての財政措置として正しいかどうか、これらについての緊急な当面の課題がいま控えておるわけでございます。でありますので、現在のところは、総理も言っておられますように、いまの対策本部の機能、機構というものを十分に生かして緊急対処していってもらいたい――しかしながら、長期的展望に立っては、総理も、年頭において、すなわち、野党諸君からもいろいろと環境保護庁等の、省等の、専任大臣も含めた要望等がございました。これらは十分検討したい、いますぐここで明言できかねる、というような話をしておられたわけでありますが、これは私自身はどうであるかという御質問でございましょうから申し上げますけれども、私は、いま与られた任務に最も忠実にして、かつ最高の能力を発揮するために全力を傾けておりますから、私どもの手に負えませんということを言えば、これはいわゆるめめしいことでありまして、私自身は、いまの機能の中で十分に国家の要請、国民の要請にこたえていく努力を発揮するべきであると考えております。しかし、短い間でございますが、自分の得た体験から考えますに、やはり、先ほど来、午前中から申しておりましたように、国際的な問題としても、私たちは、国連もしくはOECD、あるいは日本とアメリカとの会談等を持ってみまして、私たちの国が環境を守るためにどのような前進を開始すべきかについては、考えさせられる点がありました。そうして、これからは、たとえデータバンク等をつくりましても、研究機関は、なお実務者として試験管を握って結論を出し、分析をしていく人たちは、各省ばらばらの試験研究機関に所属しており、ましてや、行政機構というものも、各省それぞれの役所の中においてその部門を担当しておる姿は変わらないわけでございますから、このままで日本がいっていいかどうかという問題は、大いなる問題のあるところであろうという、体験から割り出した考えは持っております。でありますから、やはり国際的な立場においても、日本が環境保護庁もしくは環境省というようなものを持って、そうして日本の、みずからの国を処し、そして先ほど申しました全地球的な義務にこたえ得る姿勢というものを持つためには、そこまでいかざるを得ないのではないか。しかし、これは、事行政機構の抜本的な再編成の問題であり、またさらには、大臣増員等の議論等も起こりかねない問題でもございます。これらは、やはり国の政治のあるべき姿の全体から見て、そして公害に対する政府の姿勢を行政機構の上でどう取り組むべきかという問題で、大所的な判断がなされなければならぬと思います。したがって、総理には、御判断をしていただくための材料は私のほうで全部提供いたしてございます。日本の政治の責任者としての総理、内閣の責任者としての総理大臣が、次の国会にでも考えるところの結論が見出せますならば、国会議員各位の御同意を得るための措置をとるでありましょうし、より慎重に考えたいと思うならば、来年度の予算等においてどのような方向をたどるかについての予算的措置が講ぜられると考えておりますが、いずれにしても、いまのままでいいというわけにはまいらぬだろうという気がいたしております。
#90
○川上為治君 この次の通常国会におきましても、鋭意そういう問題を研究されて、そして公害省または環境保全省をつくってもらいたいと思います。
 次に、公害研究センターというのをつくるやに聞いておりますが、これは何カ所くらい、またはいかなる構想でつくるのでありますか。
#91
○国務大臣(山中貞則君) いままで問答いたしてまいりました公害研究センターというのは、これは国立公害研究所ということでございますから、一つだということです。いわゆる国の中央に一つ、ただし、これは現在科学技術庁がその方面の主として総合調整に当たっておりますし、科学技術情報センター等も附属的な機関として持っております。あるいはまた、人の健康その他の問題からいえば、厚生省の公衆衛生院とか試験所というものが一番権威のあるものでございましょう。あるいは産業等の分野からすれば、通産省の試験所が最も権威のあるものでございましょう。しかしながら、これらがお互いに有機的なつながりを持っていない。データの交換なり研究成果等がお互いに政府の中において交流し合っていない。ましてや、民間に公表されたり民間のデータ等が国に集められていないという欠点等も内蔵しておることは事実でございますので、私ども関係閣僚協議会では、公害データバンクというものはきめておりますが、さらに一歩前進をして、各省の人間、機構、予算ぐるみで一カ所にたばねてやる場合には、これを国立公害研究所と言わざるを得ないだろう、しかしながら、これもまたたいへんむずかしい問題でございますから、どこまでを持ってこれるのかという問題になりますと、先ほどの環境省等の構想等一つを考えてみても、建設省の下水道は、明らかにこれは公害防止のための最も基礎的な条件でありますが、しかし、公共事業の中で建設省から、環境省ができるからといって、下水道が、直ちに人間、機構あるいは予算ともに全部引き抜けるかというと、その限界が非常にむずかしいと同じように、研究機関にもたいへんむずかしい点がございます。でありますので、私もまだ、国立公害研究所をつくるべきであろうが、しかし、つくるに結論を得るについては、まだ、なおかつ総理の手元にもデータは一応出しておりますけれども、私自身の総理に対する進言の材料としての判断も固まってはおらないということで、さしあたりは、公害データバンクというものを来年度予算で実現をしてみたいと思っておりますけれども、これ、しかし、研究所をつくるべきだという総理の意向が最終的に固まりますれば、これは予算編成の過程においても実現可能なことでございます。
#92
○川上為治君 いまの問題も、いろいろ研究されて、すみやかにこれを出してもらいたいと思います。
 それから、公害監視員とか、そういうものを配置するというようなことを聞いておりますが、これはどういう構想ですか。
#93
○国務大臣(山中貞則君) これは、私ども対策本部で預かりまして、研究しておるところであります。このいきさつは、公害罪を審議する衆議院の法務委員会において、小林法務大臣が、法律をつくったあと、この法律の適切な運用のためには公害監視員的なものがどこかに置かれるべきではないかというような意向を表明されたことを、閣議においてその必要ありと認めて、その際、労働省は、現在の労働基準監督署というものに置かれている監督官というものの権限を拡充運用すればよろしいのではないかという意見があり、あるいはまた、厚生省のほうでは、食品衛生監視員等の角度からのほうがむしろ必要なのだ、公害は単に工場内の労働者の安全問題とは違うというような反論等がいろいろ出始めましたので、これではいかぬというので、実行する方向については、これを国家公務員として置くか、あるいは都道府県のそれぞれの公害対策室あたりに専門の公害Gメン的なものを置くか、あるいは保健所等の構想の中にそれらのものを取り入れた監視員的なものを常時パトロールできるような人を置くか、これらについては、来年度予算の編成も一応の態勢としては間近に迫っておりますので、私たちの公害対策本部で、これらの各省の意見をまとめつつあるところでございます。
#94
○川上為治君 これまた非常に重大な問題であります。でありますから、今度の通常国会に、ぜひともこういうものを実現してもらいたいということを要望しておきます。また、この公害監視員は、立ち入り検査ができないというと、何にもなりません。そういう点も含めて、これを御一考願います。
 その次は、何よりも国民の健康を守り、生活環境を保全することが大事でありますけれども、経済の発展もまた大事なことであります。公害対策を極端にまで進めますというと、許可制あるいは認可制、登録制をやっていかなければなりませんが、これがあんまり行き過ぎますというと、いろんな問題に支障が生ずるのであります。一つは憲法上の問題であります。憲法上の営業の自由の原則に違反しやしないかというおそれがあります。また、経済の発展を阻害するということになりやしないかという問題があります。これをどういうふうにお考えになりますか。それをお伺いします。
#95
○国務大臣(山中貞則君) 憲法の営業の自由というのは、これは侵すことのできない権利でありますし、反面、経済の成長というものが結果として押えられる可能性があるということは、これはもうはっきりと押えられる方向に回るはずであります。ということは、公害の投資というものは収益を生まない分野でございますから、この収益を生まない分野を最終的に消費者に転嫁しないような努力をするということになると、これが、消費市場の競争に、正当にして、そしてかつ耐え得る企業の合理化が伴わなければなりませんし、今後公害防止設備投資というものは一〇%前後に原則的に到達することを要求される社会環境にあると思います。それらの場合において、それらは人件費やその他の材料費と同じように、製品市場の中には吸収された形で出ていく。収益の部門であるからといって、それが上乗せされるいうことは、消費市場において、これはもう、国際的な市場においても、そのようなことの約束を……。その義務を怠ったために安く売れるというような問題は、アメリカあたりでは問題が提起されているわけでありますから、そういう意味では、経済の成長ということは、少なくとも公害防止に関する限りは基本法からも削除をいたしますと。いわゆるそれとは関連のないものとして、われわれとしては公害防止を第一義に考えていく。しかしながら、私たちの生活の向上なり、あるいは民族の発展というもの、経済成長というものを、経済そのものを全然無視するということは、これは私たちの一人一人の生活の向上を放棄することになりますので、あるいは一企業単位からいっても、単に企業は企業経営者だけではなくて、そこに多くの従業員や家族、下請け、関連等の人たちが一ぱいいるということを考えれば、企業をつぶすような公害防止をきびしくやるというような、極端な二者択一論を私たちはやってはならないことですし、むしろ、いままでの、量を求めてやまなかった経済の発展から、これから人間の尊厳という角度から、われわれは質を求めてやまない、そして、それでかつ公害を克服して進む経済の成長という姿に変わっていく過程であるこの曲がりかどにおいては、若干スピードがダウンせざるを得ないだろうと思いますけれども、しかし、これは、その次に世界の中で最もりっぱな経済成長を続け始めた国家としての新しい価値を得るための停滞の一つの曲がりかどであるということで、私たちはそれを克服して、そこで参らないようにしなければならぬと考えております。
#96
○川上為治君 それはわかりました。
 次に、中小企業の問題であります。公害防止事業費事業者負担法案によりますというと、第十六条に、「この法律に基づく中小企業者の費用負担に関しては、施行者が費用を負担させる事業者を定める基準及び負担総額の配分の基準の決定並びに事業者負担金の納付について適切な配慮をするほか、国及び地方公共団体は、税制上及び金融上必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」、こう書いてありますが、この中で、「適切な配慮をする」というのは、どういうことでありますか。また、「税制上及び金融上必要な措置を講ずる」というのは、具体的にはどういうことでありますか。それをお伺いいたします。
#97
○国務大臣(山中貞則君) 御承知のように、公害対策基本法の中に、二十四条で中小企業への配慮がうたわれておりますが、この法律は二十二条を受けてつくる法律でありますので、当然、基本法の二十四条の精神は流れてつくられた法律であると思えるのでありますけれども、しかし、これは現実に負担する金額等を定める法律でございますので、中小企業についてはこの公害防止事業費事業者負担法の中でも特別に掲示して定める必要があると考えたわけであります。そこで、この十六条をつくったわけでありますが、この配慮は非常に具体的になっておりまして、たとえば、事業者負担金そのものについても納付について配慮することはできるわけですから、これについては延納とか分割納等が認められることになるわけでありますし、さらに、税制上、金融上必要な措置というものも、いま大蔵との間で話を進めておりますが、たとえば、これらの負担金を中小企業の場合においては損金に算入することを認めていこう、あるいは現在特別償却は初年度三分の一の償却が原則でありますけれども、これを初年度二分の一まで持っていったらどうだろうか、これらも話は進んでおるわけでございますが、そうすると、御承知のように、実質七割の償却が可能になるわけでありますし、場合によっては、特別下水道建設等の負担金等については、現行は二十八年の繰り延べ費用等の対象にしかなりませんけれども、これを中小企業の場合には一時償却というようなものにしてしまったらどうだろうかというようなことで、現実にそれらの公害に関連する企業であったばかりに、中小企業がこの負担に定められた瞬間、自分たちはもう営業放棄だというようなことにならないよう、営業も続けられるような配慮をここででき得る限りやっておるつもりでございます。
#98
○川上為治君 そうしますというと、たとえば、公害に関する施設をつくる場合においては、金融機関――政府の金融機関です。その政府の金融機関は、いつでも、幾らでも貸し付けるということになりますか。
#99
○国務大臣(山中貞則君) 融資のことはいま触れなかったための御質問だと思うのですが、これはもう開銀は大手が多いといっても、開銀、それから現在の開発業団あるいは中小企業金融公庫等々の他の金がございますし、高度化資金等の対象等もあり得るわけでございますが、来年度の予算の感触としては、これを、今日までの感触の金額のワクなり、あるいは貸し付け条件等をもう一ぺん洗い直してみて、金利等についても、たとえば事業団ならば貸し付け金利を下げることにより、あるいは償還年限等を延ばすことによって直ちに原資のほうに逆ざやを生ずるわけでありますから、それらは利子の補給等をしなければ予算上運営ができないことになりますので、まだ大蔵とこれから詰めるわけでございますけれども、私ども本部もこれに参加いたしまして、いわゆる大所高所から、各省の、たとえばいまの関係では通産省の要求の中に入っておりますけれども、われわれはわれわれとして、この負担法というものをつくった以上、中小企業の金融について特別の配慮をするように、大蔵と最終的に詰めていきたいと考えております。
#100
○川上為治君 公害に関するワクを設けるわけでありますね。これは、国民金融公庫とか、あるいは中小企業金融公庫あるいは商工中金の中に一定のワクを設けていく、そしてその公害に対する金融をするわけですね。また、金利につきましては、大体二割、三割安くするように、はからうのですね。
#101
○国務大臣(山中貞則君) 公害防止事業団の融資については、これはワクは要らないと思うんです。総ワクの中の配分をすればよろしいんですが、その他については、特利特ワク、特定条件というものがやはり要るかもしれません。これらは編成上のテクニックの問題でもあり、あるいは場合によっては、やはりその姿勢を示すための一つの型でもございますから、明確にするために、そういうことが必要になるかもしれません。現時点においては、そこまで大蔵との間に、すべての関係金融機関において特定の公害防止事業のための融資ワクを別に設定するというところの議論は詰まっておりません。
#102
○川上為治君 それから、本年度の公害に対する、関係する予算は幾らですか。あらゆるものを考えて、どれくらい予算がついておりますか。
#103
○政府委員(城戸謙次君) 本年度の予算でございますが、公害対策費が六百七十一億、公害関連が九十三億、合わせて七百六十四億。それから財政投融資の関係が合計千百九十六億でございます。
#104
○川上為治君 来年度の国の予算の要求は幾らですか。これには脱硫装置の予算もついておりますか。
#105
○政府委員(城戸謙次君) ただいま申し上げましたところに、それに相応するわけですが、公害対策費は千六十九億、公害関係が百三億、それから財政投融資の関係が二千三百九十六億でございます。脱硫施設の関係につきましては、この中には含んでおりません。
#106
○川上為治君 来年度の予算も、また財政投融資も、今年じゅうにきまると思うのであります。これでできる限りの多くのものをとっていただきたいということをつけ加えておきます。私は、公害の問題は非常に重大な問題であると思いますので、何よりも公害の問題につきまして、予算とかあるいは行政機構の問題とか、そういうことを一次的に考えてもらうようにお願い申し上げます。
#107
○国務大臣(山中貞則君) 私ども、そういうつもりで、本来は対策本部はそのような実務というものをやらないたてまえでございますけれども、この際は、閣議の了承も得ましたので、私としては、そのような実務、いわゆる予算編成等についても、国の姿勢を示す問題でございますから、これを対策本部がバックアップしていく、あるいは対策本部が整理していくということについて了承を得ております。
#108
○小平芳平君 私は、基本法、それから基本法に関連する水質、大気汚染等について御質問する予定でありますが、その前に、山中長官が非常に御熱意をもって公害対策に取り組んでおられることを重々私も感じますが、一体、地方の実情はどういうふうなことが行なわれているかという点について、ひとつ、福島県磐梯町のことについて申し上げたい。そして厚生省に御質問をしたいわけです。
 福島県磐梯町には、私たちが東北公害総点検として九月五日に参りまして、それでそのときの調査の採集した検体は岡山大学小林教授の手元で分析をしておりまして、十月十二日に第一回の分析発表をし、また、きょう第二回の分析結果が来ましたが、どうも県当局からいままで私たちが聞いていたことと私たちの分析結果とは非常に傾向あるいは数値が違うというふうに感じられますので、厚生省から、磐梯町の調査結果、結論をどのように出されておられるか、簡単でけっこうですから、初めに御説明願いたい。
#109
○政府委員(曾根田郁夫君) 磐梯町につきましては、先月の九日付をもちまして要観察地域に指定をいたしましたが、その際の基礎となりました幾つかの数値について御参考までに申し上げてみたいと思いますが、代表的な保有米のカドミウム濃度で申し上げますと、四十四年度産米につきましては、玄米で平均値が〇・八六九PPM、白米、これは二十三試料でございますが、白米で〇・五一四PPM、最高値は玄米で一・四一三PPM、最低値は白米で〇・〇七四PPM、それで、厚生省のいわゆる安全基準とされております玄米の一・〇PPMあるいは白米で〇・九PPM以上の試料数は全部で五試料でございまして、一五.二%ということでございます。次に、四十五年度産米について申し上げますと、試料数が百四十六で、すべて玄米でございますが、平均値が〇・二五五PPM、最高値一・一一二PPM、最低値〇.〇〇一PPM、安全基準の一・〇PPMをこえるものは一つという試料でございました。
 なお、土壌につきましては、まだ分析結果全部報告されておりませんが、いままでの最高値は四〇PPMをこえるということでございます。
#110
○小平芳平君 そこが、いま厚生省の説明どおりならば、四十四年産米よりも四十五年産米のほうがカドミウム汚染度が減ったという、そういう報告ですね。玄米だけで申しまして、四十四年産米は平均〇・八六九PPM、最高値が一・四一三PPM、それに対して四十五年度産米は平均が〇.二五五PPM、最高値は一・一一二PPMという結果ですね。
#111
○政府委員(曾根田郁夫君) さようでございます。
#112
○小平芳平君 ところが、私たちの調査によりますと、全く反対です。四十四年度産米は、玄米で平均が〇・七八六PPM、四十五年度産米は、四十四年度が〇・七八六に対して一・二八PPM、かえって上がっているのです。平均が上がっている。最高値も、四十四年の産米が一・八一PPMに対して、四十五年度産米は、最高値二・二一PPM、かえって上がっているのです。しかも、非常に注目しなければならないことは、この磐梯町に葉の木谷地という地区があるわけです。葉の木谷地の渡辺喜代次さんという、この同じ家の産米が、四十四年度は〇・六九PPMに対して、四十五年度は一・〇一PPM、しかも白米。それから、一ノ沢の喜多見進さんという方の産米が、四十四年度は〇・六七PPMに対して、四十五年度産米は一・二四PPM。しかも、これは白米です。厚生省は直接調査されたわけじゃないでしょう。県の報告をそのまま言っているのでしょう。違いますか。
 それから、その点と、もう一つは、土壌汚染についても、いま四〇PPMが最高だったと言いますが、私たちが調査したところでは、土壌の汚染も、いまだかつて見たことがない、このような高度汚染は。と言いますのは、群馬県の安中で私たちの知っている範囲では、最高、水田が五二・二PPM、富山県黒部で五三・二PPM、これに比べて、磐梯町が、いま公害部長のおっしゃるように四〇なら確かに低いですが、私たちの依頼した分析結果によりますと、水田、畑十カ所で採集したものを分析した結果、十カ所のうち六カ所は四〇をこえております。しかも、一番高いところは葉の木谷地で、遠藤勇さんという人のたんぼは六五・二PPM、金上壇というところで大沼吉信さんという人のたんぼは六三・一PPM、同じく金上壇で穴沢徳衛さんという人の畑は五六・七PPM、このように、土壌汚染としては、私たちがいままで知っている範囲では最高の汚染値が出ている。そういう点、厚生省は、ただ県から四十五年度は安心だというようなことを言われて、そのままにしておくのかどうか。
 なお、念のために、屋根から採集したばいじん、これは、ばいじんの問題はあとで詳しく、また大気汚染防止法によって質問をいたしますが、屋根から採集したばいじんの中からも、カドミウムが四二二・六PPM、こういうおそるべき数字が出ている。そういう点、要観察地域に指定したから安心だと思っておられるのかどうか、お尋ねしたい。
#113
○政府委員(曾根田郁夫君) ただいま先生の御指摘になりました数字につきまして、県の発表した数字との違いにつきましては、具体的に承知しておりませんので、採集方法その他も違いますので、そういう数値の開きというようなものが当然あるいは出てこようかと思いますけれども、四十五年度産米の数値が前年度より多少下回ったからといって、私どもは決してそれでよしとしているのではございませんで、今回、地域の指定にあたりましても、当初私どもが県、地元を通じて聞いておりましたいわゆる線引き作業、最終的に落ちついたところは、当初の案よりも地域的にも相当広がりをもった線引きをいたしましたので、今後要観察地域として、引き続きいろいろの調査あるいは検診を進めるわけでございますけれども、十分遺漏のないようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
#114
○小平芳平君 何か、部長のお話だと、採集の方法が違うから分析の数値が違うんですか。では、どんな採集の方法をやるんです。私たちは、ちゃんときめられた容器を持って、そしてまた、各社の記者団の方も同行されて、そこで採集したのであって、したがって、政務次官、どうですか、その点。要するに、県の報告を厚生省が聞いているだけでいいものかどうか。健康調査にしましても、県は県でやったことを報告していると思いますが、それに対する厚生省の姿勢を私は聞いているのです。
#115
○政府委員(橋本龍太郎君) 私どもは、要観察地域にしたということ自体、先生お考えをいただきたいと思いますのは、いま部長がデータの取り方云々ということを申し上げました。これは、私は専門家でありませんから、手法によってどのような開きが出てくるか、あるいは出てこないものか、こういうことに対する知識はございません。ただ要観察地域に指定したということは、私ども自体がこの地域はよく調べなければいかぬということを頭において仕事をしていくということでありまして、私どもは、たとえば前年度に比して米の中のカドミウム濃度が落ちたという報告があったからといって、それでその地域に対する仕事をほうり出そうと言っているのでは決してないのです。むしろ、そういう意味では、先ほど部長が最後に申しましたように、私どもとして要観察地域に指定した以上、なおこまかい調査を続けていくということを申し上げておる次第であります。
#116
○小平芳平君 要観察地域に指定したのだから、ほうり出す意味じゃないくらい当然ですよ、それは。私は、ほうり出せなんと言っているのじゃないのですよ。ただ厚生省が県の報告を聞いて、四十五年度は減ったというようなことでは、とんでもない結果になりますよということを申し上げているのですよ。それについて、いかがですか。
#117
○政府委員(曾根田郁夫君) その点につきましては、御指摘のとおり、決して私ども安心しているわけではございません。
#118
○小平芳平君 それというのも、この公害対策に取り組む姿勢が一番問題だと思うのです。といいますのは、そこでこの基本法についてお尋ねしますが、基本法第九条では、政府が水質汚濁の基準を定める、全国一律に基準を定めると、こうなりますね。で、地域または水域を指定すべきものを定める場合には、政府はその指定を都道府県知事に委任することができると、こうなっているわけですが、これがいわゆる環境基準として、今日までも環境基準として発表になっているもの、人の健康にかかわる環境基準、それから生活環境にかかわる環境基準、これを意味するわけですね、第九条のこの基準は。よろしいですか、それで。
#119
○国務大臣(山中貞則君) そのとおりです。
#120
○小平芳平君 ところが、いままでの環境基準というものは行政目標だということを厚生省では再三言っていたようですが、人の健康、それから生活環境、この環境基準が大事なのであって、この環境基準によって人の健康を守り、生活環境を守る。したがって、この環境基準に反するときは、それは今度の公害罪立法によるところの「公衆の生命又は身体に危険を生じさせた者」というふうにみなして、この環境基準を厳格に守るようにすべきだ、単なる行政目標だとか、そういうことじゃなくて、いま国民の健康を守り生活環境を守るための環境基準なんだ、このように理解できませんか。
#121
○政府委員(橋本龍太郎君) 環境基準というものは、いま先生御指摘になりましたような性格のものであります。
#122
○小平芳平君 それでは、環境基準が守られていない場合は、直ちにこの公害罪にかかりますね。
#123
○国務大臣(山中貞則君) ちょっと、この第九条の「都道府県知事に委任することができる。」というのは、これは、国の定めた環境基準の六類型、AAからEに至るまで、こういう六類型に基づいて当てはめを知事さんにお願いをするという規定でございまして、この条項違反ということが直ちに公害罪ということにはならない。有害、有毒物質は別途またきびしい規制が行なわれるわけですから、これはあくまでも水質の基準ということでございます。
#124
○小平芳平君 環境基準は守るべきものですか。それとも、少々環境基準が汚染されていてもかまわないものですか。それはいかがですか。
#125
○国務大臣(山中貞則君) 環境基準は守るべきものであり、それをまた守らせるための排出基準その他を定めていくものでございます。でありますが、あまりにもこまかな支流その他に至るまで国のほうでこれを設定しようとしても、なかなかたいへんでありますし、六類型の中で、さらに自分のところはもっときびしいものにしたいという知事さんがあれば、その当てはめは可能になるわけでございますから、したがって、守るべき目標としてそれぞれきびしい規制をかけていくということでございます。
#126
○小平芳平君 そうすると、政務次官は目標じゃないと言ったじゃないですか。現実に守るべき基準だと。その辺はどうなんですか。
#127
○政府委員(橋本龍太郎君) 山中長官がお答えになったのと私がお答えしたのと全然違いございません。守るべきことであるということを申し上げたのであります。
#128
○小平芳平君 守るべきことですか、守るべき目標ですか。現実に、ある環境基準をわが国の各河川や各環境に実現すべきものなのか、それとも、努力していって、いつかこうなるであろうというものなんですか。それを尋ねているのです。
#129
○政府委員(橋本龍太郎君) 基本法第九条に、「政府は、大気の汚染、水質の汚濁及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準を定めるものとする。」、書かれているとおりの中身であります。
#130
○小平芳平君 したがって、その望ましい基準に違反することがあったら、それは公害罪として――要するに、刑事局長、公害罪は複合汚染は適用しないというのですか。そういう答弁でよろしいのですか。
  〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕
#131
○政府委員(辻辰三郎君) 私どもの御審議を願っておりますいわゆる公害罪に複合公害が適用されないかどうかという点でございますが、複合公害というこの意味の問題でございまして、私どもが申し上げておりますのは、多数の工場、事業場から人の健康に有害な物質を排出いたしました場合に、その一つ一つの工場から排出しておる量だけでは、公衆の生命、身体に危険を生ぜしめない、しかしながら、多数の工場が一緒になって排出した結果――一緒にというのは、てんでんばらばらに、その間に相互の連絡なしに排出しました場合に、多数の工場が排出した結果として公衆の生命、身体に危険を生ぜしめた、こういう場合、これを私どもは複合公害と一応理解いたしまして、そのような意味の複合公害につきまして公害罪は適用されない、かように申し上げておるわけでございます。
#132
○小平芳平君 それは何の理由もないです。複合公害といっても、じゃ、私がいま読み上げた福島県磐梯町の、ここはおそらく一社でしょう。もとはその一社から、このように土壌汚染から白米の汚染まで著しい汚染が出ている。こういう場合は、土壌汚染は、そこへ米をつくるから米の汚染なんです。実際上は土壌だけ汚染されて、米はきれいだということは、まずまずない。そういう場合は、一社であろうと何社であろうと、公衆の生命または身体に危険を生じさせた場合は、それを罰するのが公害罪なんでしょう。一社であろうと何社であろうと。私が読み上げたのは一社だから当然入るでしょうけれども、その入るという時点も、どの観点から、どこからどこまで汚染されたときに公罪害で捜査をするわけですか。適用になるわけですか。それはどうですか。
#133
○政府委員(辻辰三郎君) 先ほど私が申し上げましたのは、多数の工場、事業場が排出いたしております場合に、それぞれの一つ一つはそれだけでは公衆の生命、身体に危険を生じさせる状態にはならないという場合、これを複合公害というならば、その場合にはいわゆる公害罪は適用されないということを申したわけでございまして、要するに、この公害罪が適用されますのは、一つの工場と申しますか、ひとりで公衆の生命または身体に危険を生ぜしめたと評価できるもの、これが公害罪の対象になるということでございます。そういうわけでございますから、かりに一つの工場でたいへん多量な有害物質を出しまして、その工場だけで公衆の生命、身体に危険を生じさしたという場合、たまたまそこにまた違う工場がありまして、そこの小さい工場で多少の有害物質を排出しておる、こういう場合は、これはひとりで、大きいほうが公衆の生命、身体に危険を生ぜしめたと評価できます場合には、この大きい工場は、もちろん公害罪の対象になるわでございます。
#134
○内田善利君 関連。
 一言お聞きしますが、どの工場も排出基準を守っている、ところが、環境条件が悪くなったためにたくさんの人が病気でなくなった、こういう公害病とも匹敵するような、たくさんの人がなくなったという場合には、公害罪は適用されないんですか。
#135
○政府委員(辻辰三郎君) ただいまの御質問は、各工場、事業場がそれぞれ所定の排出基準を守っておるという場合と承ったわけでございます。その場合には、私どもは、排出基準を守っておる限りにおきましては、これはいわゆる公害罪法案にいう公衆の生命または身体に危険を生ぜしめる状態、そういう状態は発生しないということで、事実問題として公害罪の適用がないということを申し上げておるのでございます。
#136
○小平芳平君 ですから、先にひとりのほうを申し上げますと、ひとりのほうは、福島県磐梯町はカドミウムが出る可能性は一社です。そういう一社で、土壌汚染が六五・二PPM、お米の汚染が玄米で二・二一PPM、こういうような汚染の状況があれば、これは相手が一社だから、公害罪がかかるわけでしょう。どうですか。
#137
○政府委員(辻辰三郎君) その場合には、具体的な事例でございますので、これは具体的事実関係というものを調査した上でないと、私は、この公害罪法案の適用があるかどうかということは申し上げかねるわけでございます。いまの一社か数社かという場合につきましては、ただいま私が申し上げたとおり、一社で公衆の生命、身体に危険を生じさしたというふうに評価できる場合には、たとえほかに違った事業場があっても、それはこの一社が処罰の対象になるわけでございます。ただいまの御説明の場合には、一社か数社かという場合には、一社でもなり得るわけでございますけれども、当該一社の、ただいま御説明のカドミウムの場合に、その公衆の生命または身体に危険を生じさしたこの状態が、いかなる状態をそう言うのかということは、具体的な事例の関係でございますから、この席でこれはなるというようなふうにとうてい断言はできないというふうに考えるわけでございます。
#138
○小平芳平君 それはけっこうです。それでいきなり刑事局長に、カドミウムが何PPMから危険かということを、ここできめてもらおうというわけじゃないですから。ただ、その場合、国の定める環境基準に反する、国の定める環境基準をこえた汚染が生じた場合、そういう場合は、山中長官、それを一つの目標とする以外に、一体、公衆の生命または身体に危険を生じさせるということは、どんなことを言ったらいいんですか。それは、長官が先ほど言われた個々の排出は、これは直罰のほうになるわけです。したがって、公害罪は公衆の生命または身体に危険というんですが、その一つの目標としての環境基準でなくては、何のための環境基準か、全く意味がないじゃないですか。いかがでしょう。
#139
○国務大臣(山中貞則君) これは、環境基準はあくまでも基本法にいう環境基準というものでありますから、環境基準が結果的に、たとえ一社というものであって、長年の蓄積その他でそういうことが守られない状態になっておるという場合に、それは環境基準から出発して公害罪の適用になるかどうか、私は専門家でないからわかりませんが、そこのところは、ちょっと環境基準違反という形で公害罪という形には直結しないんではないかと思います。
#140
○小平芳平君 直結しないまでも、排出のほうは排出規制があって、規制されるわけです。したがって、公害罪でいうところの危険は何で判定するかです。ただ何となく判定するということじゃないわけでしょう。
#141
○政府委員(辻辰三郎君) 公害罪法案にいいます、公衆の生命または身体に危険な状態、これを何で判定するかという点でございますが、これは、当該具体的な事案事案に即しまして、その具体的な事案の具体的状況に応じて、科学的な鑑定と申しますか、科学的な知識を前提にして認定されるべき問題であると考えております。
#142
○小平芳平君 それは、局長、だって、法務大臣は連合審査のときには、米が汚染されたら捜査を開始すると、こう答弁しているじゃないですか。
#143
○政府委員(辻辰三郎君) これは、法務大臣は一つの大きな抽象的な捜査の開始の段階の問題で御答弁なさったものと理解をいたしておるわけでございまして、この米が幾ら汚染されたかという、そのまた汚染状況を科学的な知識をもって認定いたしまして、これが公衆の生命または身体に危険な状態である、こういうことがやはり科学的知識で確定されて、その段階から、この生命、身体に危険な状態が生じたということでございます。そして、そこからそういう状態になれば、当然に、この公害罪の対象として捜査が開始されるであろうという御答弁になったものと理解をいたしております。
#144
○小平芳平君 カドミウムは科学的に生命に危険を及ぼすということは、もう厚生省も公害病に認定していることであるし、米の基準も厚生省が出していることであるし、これは当然でしょう、カドミウムが危険だっていうことは。それは当然なんです。したがいまして、環境基準というものが――これは長官と厚生省にお尋ねしますが、環境基準というものが、単なる努力目標だという基準ではなくて、実際に環境基準が著しく破壊された場合、くずれた場合にはこの公害罪を適用するとか、それはまあ直接結びつかないと長官言われますが、少なくとも財産被害ですね、財産被害、これは亜硫酸ガスその他弗化水素等によるいろんな植物や農作物や、そういう財産被害には挙証責任の転換を認めるか、あるいはそうした環境基準がはなはだしくくずれているような場合の健康被害ですね、健康被害は、企業とか、または公費で負担するとか、そういう点、何かなければ、環境基準をきめる意味がないじゃないですか。
#145
○国務大臣(山中貞則君) 環境基準から直ちに罰則とかあるいは挙証責任転換ということは生まれてこないものと私は思います。これは、あるべき環境基準というものを、望ましい条件を設定をして、それに向かって各種規制というものをきめていくわけでありますから、その規制違反は直罰でいかれるという法律の体系をとりました。したがって、これらの、いま言われた不特定多数の地域の財産、そういうような生活権侵害というようなもの等については、公害紛争処理法なり、あるいは今後民事裁判の過程における挙証責任転換等の理論の法制化、こういうものによって進められるべき範囲の中のものであろうというふうに考えます。
#146
○小平芳平君 挙証責任の転換は、そこに考慮に入れて進めるということですか。
#147
○国務大臣(山中貞則君) 挙証責任の転換並びにそれを踏まえた無過失責任というものも、法務省を中心に勉強してもらうということで閣議でお願いをしておるのでありますが、さらに、法務大臣のほうの希望として、やはり一挙にそこに行く前に、各種取り締まり法規の中で、物質ごとにか――物質をつかまえるか、あるいはなじむ法律をつかまえるかして、一般行政法規の中で、たとえば原子力法あるいは鉱山法等のような形のものを、まず事実をつくってもらって、そういうもので民事の特例というものが踏み切れるという時点があるならば、そういうことも一ぺん検討したいから、両方一緒に作業しようということになりまして、そういう作業は引き続き続けていくつもりでございます。
#148
○小平芳平君 この環境基準は、すでに決定しているところの、人の健康にかかるものと生活環境にかかるもの、それが河川、湖沼、海域と、これが閣議決定になっておりますけれども、これは当分変えないわけですか。
#149
○国務大臣(山中貞則君) これは、いまのところ、環境基準そのものは、設定された日浅いものでありますから、これを全面的に、新しい法律ができたから変えなければならないという、実態においてその必要はない。もし、しかしながら、実態に必要が生じたならば、もちろん変えることをちゅうちょすべきではない。そういう心がまえでおりますが、現在はそういう必要はないものと思っております。
#150
○小平芳平君 そこで、環境基準をどの程度守るべきだという見地で水質汚濁防止法で排水基準をきめるかということだと思うのですが、この水質基準は、排出される水の水質基準、つまり排水基準ですが、排水基準は、従来は水域ごとに各種多様の排出基準があるわけですが、こういうものを今後全国一律で排出基準をきめるということは、どうするわけですか。
#151
○政府委員(西川喬君) お答え申し上げます。
 現在の指定水域制度をとっておりますところは、すでに環境基準的なものが守られないということで、排水規制を相当強化しなければいけないというような考え方から、現行法におきまして逐次指定をしてきたわけでございますけれども、新法の考え方といたしましては、公共用水域を排水路として使うという観点から、環境基準にかかわりなく、社会的、道義的責任といたしまして、一律基準というのがまず設定されるということでございます。ですから、従来の考え方でまいりますと、きれいなところであれば、よごれるまではある程度そのままたれ流してもいいんだというような考え方があるわけでございますが、新法におきましては、全国一律に、第三条によりまして総理府令で定めます基準がかかるわけでございます。これは、きれいであろうとなかろうと、全国に排水基準がきめられるわけであります。それによりましても環境基準が守られないような地域――そこに「自然的、社会的条件」と載っておりますが、自然的と申しますのは、非常に川の流量が少ないというようなことを念頭に置いております。それから社会的条件と申しますのは、そういう排出する事業場が非常に集積をしてきまして、それぞれの事業場は、一律基準を、全国一律できまりました基準を守っておっても環境基準が守られないというような、そういう条件、そのような条件がありましたときには、都道府県が、さらに一律基準よりも、よりきびしい基準を上乗せすることができるということによりまして環境基準を守るようにしたい、このような考え方に立っておるわけでございます。
#152
○小平芳平君 いままでCOD、BODの場合だったら、高いところは、パルプの製造業のある木曽川水域で一三五〇PPM、BOD、そんなところもあれば、五〇〇、三〇〇、二五〇、それからBOD二〇以下というところもたくさんあるわけですね。これを全国一律というのは、どのくらいできめるわけですか。
#153
○政府委員(西川喬君) 現在、まだ最終的な数値は詰まっておりませんが、考え方といたしましては、いわゆる内陸のほうにおきまして排水路として川はどうしても使わなければならないということは、これは自然の条件から、やむを得ないわけでございますが、古来、排水路としては、一般の場合には人類が生存するためには必ず水が必要である、それに伴いまして必ず汚水が出てくるということでございます。これは人間の生存のための権利として一応認められておったのではないかというようなことから、それが企業におきましても同じ立場をとるならば、少なくとも一般家庭の汚水ということは、これは一つの基準になり得るのではないだろうかというふうな考え方を持っております。それによりまして、企業におきましても排水路として公共用水域を使うとするならば、道義的責任としては、少なくとも一般家庭の汚水並みには浄化してもらわなければ困る、これが最低の基準ではないだろうか、このような考え方を持っておるわけでございます。ただ、一般家庭の汚水と比べますと、事業場のほうの出しますのは量が非常に多うございます。この量の点も勘案いたしまして、一般家庭の汚水の水質並びに量というものを勘案いたしまして、一律基準を定めたいというふうな考え方を持っております。一般家庭の汚水と申しますのは、大体BODでいたしますと、一〇〇から二〇〇PPMの間くらいにございます。その中におきまして、できる限りきびしいようなところで一律基準を定めたい、このように考えております。ただし、いま先生が御指摘なさいましたパルプ業でございますが、パルプのうちの木曽川の例で、非常に高い一三五〇とか、あるいはもっと基準がきびしくなっておりますけれども、これはSPの製造設備を持っておるわけでございますけれども、これらは、現在といたしましては処理技術がございません。そのような基準を強制いたしますことは、企業をやめろという問題とひとしくなるものですから、非常に処理技術のむずかしいものにつきましては、年限を定めて、ある程度一律基準よりもゆるめざるを得ないんではなかろうか。そのゆるめる業種というものは、できる限り最小限度にしぼりまして、しかも期間を限りまして、その期間内に処理技術の研究開発というものを促進して、できる限り早い機会に一律基準に持っていきたい。このような考え方を、いま現在のところは持っております。
#154
○小平芳平君 山中長官にお尋ねしますが、今度の国会で十四の法案が審議されている。それでは、その十四の法案が成立した段階では、どのように公害が減っていくか、これが最大の関心事だと思うのです。したがって、全国一律の考え方としまして、いま経企庁から御説明のように、一〇〇から二〇〇PPMということになりますと、二〇くらいのところがたくさんあるわけですがね、現在の規制では。ですから、そういう点、現在すでに二〇以下でやってきているものは、それよりよけいよごすということは許されないわけでしょう。それから、パルプは技術的に困難だというのですが、それは専門的なことは私わかりませんが、あの田子の浦にしましても、やればできることをやらなかった面が多分にあるわけですよ。そういう点についてのお考え方をお伺いしたい。
#155
○国務大臣(山中貞則君) 原則的には、これは全国一律になりますから、それらの地域において知事さんの上乗せが可能ということで、いまの問題は解決するわけです。さらに、指定水域というものも、なおそれはそれとして残っていくわけですから、一律の基準になったからといって、指定水域はまた別にそこでゆるくなってしまうということはない、現実には処理されると考えます。
#156
○小平芳平君 それから、クロムとかシアンはいかがですか。クロムの場合は、二〇で規制になっているところ、一〇で規制になっているところ、二で規制になっているところ、――いずれもPPM、非常にばらつきがある。シアンは大体一PPMで規制になっております。これはどうでしょうか。
#157
○政府委員(西川喬君) いま先生が御指摘になりましたクロムにつきましては、環境基準では、現在のところ、六価クロムしかきめておりません。六価クロムにつきまして、はっきり有毒だ。トータルクロムにつきましては、環境基準ではきめずに、現在問題点となっております。現在、健康項目を全部かけました一律基準といたしましては、ト−タルクロムにつきましては二PPMということをすでに実施いたしております。先生がおっしゃいました二〇PPM、一〇PPMというようなものは、これは実は皮のなめしに使っておりますクロムでございまして、非常に零細企業が多くて、処理施設をつくることがなかなかむずかしいというような問題がございまして、従来一〇ないし二〇というふうなものをきめた水域があるわけでございますが、皮なめしの問題につきましては新法におきまして、この一〇ないし二〇PPMというものをどう措置するかということは、今後、企業を所管しております通産省のほうともよく相談いたしまして、今後の方針をきめたい、このように考えております。
#158
○小平芳平君 そこで、先ほどの環境基準に戻るのですが、どこまでも環境基準を守らせる、この環境基準を実現するという姿勢で排出基準に取り組むかどうかということが出発点だと思うのですね。つまり、シアンは健康項目として検出されないことになっているのですが、一PPMでいいのかどうかですね。県の条例では、私が当委員会で指摘したように、二PPMときめているところもあったわけですね。そういう点、クロムの場合でも、あるいは砒素等の場合でも、この環境基準をあくまで実現するんだという目標で排出基準をきめようとなさるのかどうか。その点はいかがでしょう。
#159
○国務大臣(山中貞則君) それは、いまおっしゃったとおりで、環境基準達成のために目標を定めていく。しかし、有害・有毒物質についてはきびしい基準をきめていくということでございます。
#160
○内田善利君 関連。
 私が連合審査で質問した問題に関係ありますので、質問したいと思いますが、私が懸念するのは、環境基準は国民と関係がありますから、これはもう一律にわっときめることはできます。健康に関する基準あるいは生活環境基準はランクがつけてありますけれども、これはけっこうだと思います。しかし、排出基準は、同じ系統の、同じ生産量の、排水量の工場でも、川の流量、あるいは速度、あるいは海に流した場合は海の尺度、湾の状況によっていろいろ違いがあると思うのです。それに全国一律。一体どこにかけるのか。一三五〇PPMにかけたならば、どの工場だって、たれ流しけっこうです。ところが、二PPMにかけると、工場は全部つぶれてしまう。一体どこに一般の網をかけるのか。いま六価クロムのお話をされましたが、シアンとか砒素とか水銀、そういうものは一体どこできめるのか。これは非常にむずかしい問題です。たとえここできめたとしても、今度は、それに上乗せするまでの期間、これは私は相当期間がかかるんじゃないかと思います。いままでの例からしましてね。それまでの間は一体どうするのか。
 それから、いままで水域が指定され、排出基準もきめられまして、それをいま守っていないところもありますけれども、一応基準がきまっておりますが、これまでにもたいへんな作業がなされて、洞海湾はことしやっと十一月にきまったばかりです。あんなによごれてしまって、魚一匹もいなくなってから、やっときまっている状態。今回法律が制定されて一律な網がかけられるのはいつか。いますぐ基準を私たちに示していただけるならばけっこうです。だけれども、そういう作業はまだまだいまからの状態、しかも、県で独自に各工場ばらばらの状況、あっちは上乗せ、こっちはどうこうということになりますと、たいへんな作業です。一体、そういう作業員が県におられるのかどうか。これはたいへんなことが私は起こるのじゃないかと、このように心配しておりますが、その点、どうなんでしょう。
#161
○政府委員(西川喬君) 健康項目につきましては、現在とっておりますのは、環境基準の十倍値を排水基準といたしております。十倍といいますのは、いわゆる川の流量等で申します希釈という考え方では実はございません。川の流量ではございませんで、海あるいは湖沼のことを考えていただきますと、わかるかと思いますが、海や何かにぼとっと一滴落とした、その場合に、直ちに落としたものが、濃度としては約十分の一に薄められるということを念頭に置きまして、現在十倍というものをとっておるわけでございます。実際的には、有毒物質を含みます数量というのは、一般的には非常に流量が少のうございまして、排水量が少のうございます。それですから、川などで申します場合には、とうてい十倍程度の川の流量ではございません。何百倍という流量がございますが、一応ぽとっと落としたときに約十倍に希釈されるということを念頭に置いて、十倍ということにいたしておるわけでございます。ただし、その場合でも、川の流量が非常に少ない、排出量が多いというような場合には、守り得ないということになるわけでございまして、その点は内田先生も御存じかと思いますが、洞海湾につきましては、非常に大規模に排水しているものにつきましては、シアンを全国一律基準できめております一PPMでは環境基準が守り得ない、一部のところで検出されるということが計算上出てまいりましたものですから、さらにこれをきびしくいたしまして、〇・五、一般の全国一律基準よりも半分にいたしました〇・五PPMというものを排水基準といたしてございます。〇・五PPMにしますと、海域の中でシアンは検出されない、このような計算結果が出てまいりまして、そのような基準を設定したようなわけでございます。やはり自然的な条件によりましては、排水量との関係で、ぐあいの悪いところは、それなりに上乗せ基準ができるということになるわけでございます。
 それから、生活環境項目のほうにつきましては、先ほど申し上げましたように、一般家庭の汚水が一〇〇ないし二〇〇PPMであるということを勘案いたしまして、量の関係を勘案いたしまして、私どもといたしましては、一〇〇PPMに近いところの数字で一律基準をきめたい。これはBODだけの問題でございますが、それに見合いまして、SS等につきましても同じような考え方できめたい、このように考えております。
 それで、これの上乗せのほうでございますが、いま時間がかかるという問題がございましたが、現在すでに指定水域になっているところ、並びに県条例によりまして、認定条例ではございませんで、規制条例で、罰則その他も本法と同じような罰則をかけました条例を整備しておりますところにつきましては、現在の条例なりあるいは現在の指定水域における水質基準、これが一律基準よりもきびしいものは全部経過規定におきまして生きるようにいたしてございますので、まあ現在指定水域になっていないところ、そのようなところが、もしよごれているところがあれば、早急に作業を進めなければいけないというようなことになっております。ただし、私どもといたしましては、今年度中に現在作業中のものがさらに十七水域ございます。これを全部指定いたしますと、大体人口数におきまして総人口の五五%、工業生産額におきまして七五%という、概数でございますが、これをカバーするようなことになります。それによりまして、問題になっております汚濁のはなはだしいところは相当カバーされるのではないか。現行法におきましてカバーされるのではないか。今後は、さらに、その現行法できまりました水質というものが上乗せ基準と同じに変わっていくわけでございますが、一律基準よりもきびしいものに変わっていくわけでございますが、その状況を、環境基準の実際状況とにらみながら、常に測定をいたしまして、必要があれば、さらにこれは強化していくということに進めていきたい、このように考えております。
#162
○内田善利君 もう一つ聞きます。
 大体いつごろまでにこの網がかけられるでしょうか。それから、いつごろまでに地方でそれが徹底できるか、見通しがありましたら。
#163
○政府委員(西川喬君) 総理府令で定めます一律基準につきましては、法施行のときと同時に定めるつもりでございます。その後の作業につきましては、現在、今年度等におきまして調査をやっております水域も相当ございます。そのような水域につきましては、来年度以降につきましては、従来は、指定水域としておりましたときに、企画庁は中央庁におきましてスタッフが作業をしておったわけでございますが、中央における作業がなくなるわけでございますから、今度は県の指導に全部スタッフが当たって、いままで資料が取れております調査済みの水域につきましては、できるだけ県のほうを指導いたしまして、早く上乗せ基準を、必要になれば、設定するようにいたしたい、このように考えております。
#164
○小平芳平君 以上のことに関連いたしまして、山中長官に考え方だけお尋ねしますが、いまのこのシアンの場合――一例をとって、シアンの場合でいいますと、一PPM以下に押えるという確実な機械があるかどうかということが、業者にとっては心配の種なんです。といいますのは、あるところでは、保健所からはシアンの処理装置をつくるようにということをきびしく申し渡された。そこで、浄化装置をつくったところが、半年ぐらいで、それはだめになっちゃった。だめになったって、まるっきりだめなわけじゃないんですが、少なくとも一PPMは守られなくなっちゃった。こういう問題があるんですが、そういう点に対する責任ですね、それはどうお考えになるか、それをお聞きします。
#165
○国務大臣(山中貞則君) 私ではちょっと思案に余りますので(笑声)、通産省からお願いいたします。
#166
○政府委員(柴崎芳三君) 小平先生の御指摘になりましたシアンにつきましては、現在四つばかり技術があるわけでございますが、第一は、アルカリ性にいたしまして、塩素を注入して酸化分解するという方法でございますが、塩素のかわりに次亜鉛酸ソーダというものを注入する方法もあります。第二の方法といたしましては、シアンの濃厚廃液を電解槽に入れまして、直流の電流を通じまして、それを分解する。三番目の方法といたしましては、イオン交換樹脂膜で吸着する。第四番目は、活性汚泥法で分解するということでございますが、ただいま申し上げました順序に応じまして、実は技術が非常に高度になっている。したがって、金額も非常にかかるということで、おそらく先生の御指摘の技術は第一番目の塩素を注入する等の技術であろうかと思います。この点につきましては、その運営管理というのは非常に細密な注意を要する技術でございまして、運営管理の方法がまずくいきますと、途中で一PPM以上のシアンが流出するケースが多分にあるわけでございます。したがって、その責任につきましては、私は第一義的には、その設備を持っております、設置した業者が負うべきものであろうかと思います。また、その技術の、そういった設備をつくりましたメーカー、これも定期的にいまいろいろ相談に応じまして、その維持管理の実態につきまして十分指導監督するというようなことをやっておりますので、そういったメーカーにもある部分の責任は免れない問題があろうかと思います。通産省としては、そういう問題全体をとらえまして、現在、メーカーの中に品質維持の準カルテル的な組織をつくりまして、そういった設備をつくる場合に、まず設備の質として、なるべく耐久性の強い正確なものをつくらせると同時に、設置したあとの指導につきましても、責任を持ってこまかいところまで手の届くような形でやるようにという指導をやっておる最中でございますが、こういう方法で、できるだけ異常の現象をカットしていきたいと思っております。
#167
○小平芳平君 責任の所在をはっきりさしてくださればけっこうです。
 それから、この問題はどうでしょうか。中小企業あるいは零細のメッキ工場などでは、シアンやクロムのような毒物を排出するような作業だけを親企業から下請けするわけです。したがって、親企業のほうでもメッキはやることはやるけれども、それはあまり毒物を使わないで済むようなものは親企業がやるけれども、そういう零細企業に対してはクロムやシアンやあるいはカドミウムや、そういうものは下請に押しつけちゃう。それを受けないことには企業として成り立たないというような事実。それから、パルプ工場、紙工場などで、製品としては全く大企業の製品として売っているんですが、実際はまるまる下請企業で受けて、要するに、排水が問題になるような作業はまるまる下請企業が受けてやっている。こういうような現実があるわけですが、こういうものに対する公害対策の費用ですね、公害対策の費用といい、またそういう企業のやり方については、お考えはどうですか。
#168
○政府委員(柴崎芳三君) 先生御指摘のような問題点が確かにございます。まあ、大きく言いますと、日本産業の構造的な問題の一番悪い部面が出ておる点であることは確かでございますが、特にこのメッキ工業につきましては、そういう関係が非常に強いために、現在、通産省の指導方針といたしましては、非常に危険のものについては大手企業がその自社内で処理するように最大限の努力をいたします。で、かりに下請に出す場合には、その下請の排水処理につきまして下請が責任もってやれる程度の費用をコストの中に織り込むか、あるいはその設備に対しまして親会社の責任において何らかの世話をするように、というような指導を現在強力に進めておるわけでございますが、東京都で問題になりましたメッキに伴うカドミウムの排出問題につきましては、この方針が相当徹底いたしまして、中小企業の中ではカドミウム自身はあきらめるものも出ると同時に、専門化されたカドミウムメッキ工場に対しましては、大手企業その他からの融資体制、設備の充実というような方策が目下進められておるところでございます。
#169
○小平芳平君 それでは次に、大気汚染防止法について、時間がないので、一、二点お尋ねしますが、この大気汚染防止法の第二条、この三号、カドミウム、塩素、弗化水素、それに鉛、そのほかにも毒物としてはマンガン、クロム、砒素、こういうようなものも検討するという答弁が大臣からあったのですが、こうした毒物の許容限度というものがあり得るかどうか。その許容限度を定めるというんですが、許容限度というものが、一体どのくらいが許容限度なのか。それはいかがですか。
#170
○政府委員(曾根田郁夫君) 今回の改正法案が施行になるまでの間に、政令で新しく有害物質等に取り入れられたものにつきましては、それぞれ排出基準等の作成をいたさなければならぬわけでございますので、いろいろ検討を進めておりますが、有害物質のうち、相当のものにつきましては、あるいは労働衛生の基準なり、あるいはまた、諸外国等での文献その他の資料もございますので、そういったものを参考にして、具体的な基準の数値をきめてまいりたいというふうに考えております。
#171
○小平芳平君 許容限度は幾らかということを聞いてるんです。あるいは、こうしたクロムとか、砒素とか、鉛などが、どの程度で人体にどういう影響があらわれるか、その点はいかがですか。
#172
○政府委員(曾根田郁夫君) たとえば、弗化水素等の場合、日本産業衛生協会の許容濃度としては三PPM、あるいはシアン化水素等は一〇PPM、硫化水素等については一〇PPM、塩化水素五PPM、そういうふうに、すでに具体的に数値の定められておるものもございますし、ないものにつきましては、先ほど言いましたように検討いたしたいと思います。
#173
○小平芳平君 すでに私がこの前も指摘したように、長野県の塩尻市では、工場付近の粉じんか、ばいじんか、とにかく、舞ってきたものの中から、鉛が五三〇PPM、クロムが五五〇PPM、それから富山県婦中町の工場付近のばいじんと粉じんのまざったものだと思うのですが、その中からは、砒素が五九二PPM、鉛が四八二PPM、こういうような、砒素、鉛、クロムというようなものが、四〇〇、五〇〇PPMというものが検出されているという事実、しかも、この付近の人たちは、ぜんそく、気管支炎は、もうほとんどざら。そして貧血とか、腰が痛いとか、そういうことを訴える人が多い。そういうものが、この重金属に関係あるものかどうか。そういう点に対する研究はどうですか。
#174
○政府委員(曾根田郁夫君) 富山県の婦中町の日産化学の富山工場周辺地域における弗化水素、あるいは有毒ガス等による人体影響、植物被害等につきましては、県、市等の調査等も進められ、また、先生方の御調査の結果も承知いたしておりますが、御指摘のように、弗素等による被害といいますか、人体影響といいますか、これは、たとえば小中学生徒等の検診にも、まだ必ずしもはっきりした結論ではございませんけれども、班状歯というような形で、すでに指摘されておりますし、そのほかに、砒素等が、非常に検体は少のうございますが、多量に発見されたというようなことも承知しております。そういうことを踏まえまして、まあ弗化水素の場合は、今度法律で、はっきり排出基準の規制対象物質に取り入れられたわけでございますけれども、砒素等につきましても引き続き検討を進めまして、具体的な規制の対象にできるだけ早い機会になるように努力いたしたいというふうに思っております。
#175
○小平芳平君 まあ、私たちが専門家の先生と一緒に行って検診をした、そのときには、長野県大町にも、富山県婦中町にも、典型的な班状歯があると、これは県も認めておりますですよ。それからまた、塩尻市では市が健康調査をやった。市が健康調査をやったところが、その結論としては、汚染地区と非汚染地区を比べて、汚染地区のほうが約倍の精密検査該当者、要注意者というものが出ている。したがって、こうした被害地域に対しては――厚生大臣は、厚生省には出先機関がないんだということを盛んに言われますが、それは厚生省が全国をかけめぐるわけにもいかないでしょうけれども、こうした典型的な班状歯が出ている地域、あるいは市当局が健康調査をやって、こういうような被害を訴える住民が非汚染地区に比べて倍も出ているというようなところは、厚生省が積極的に取り上げていただきたい、こう思いますが、よろしいですか。
#176
○政府委員(曾根田郁夫君) 弗化水素につきましては、四十四年度の調査結果等もございますが、その後、各地で具体的なデータ等も発表されておりますので、私ども、できるだけ急いで取り寄せまして、今後の施策の参考にいたしたいというふうに考えております。
#177
○小平芳平君 それから第十六条、ばい煙量等の測定、ここでは、ばい煙の測定と記録が定められております。ところが、粉じん発生施設については、このような測定、記録の条文がないようですが、これはどういう理由ですか。
#178
○政府委員(曾根田郁夫君) 今回の改正法で粉じんあるいは粉じん発生施設としてとらえましたのは、たとえば、原材料やあるいは石灰石等の選別、破砕、そういった設備、どちらかと申しますと、その粉じんの及ぼす影響あるいは被害等が局地的といいますか、そういった事情もございまして、硫黄酸化物のように相当地域的に広がりを持ったものとは、やや規制のやり方を異にしております関係で、そういった点を見送ったわけでございます。
#179
○小平芳平君 私が、前回の連合審査会でも、また、きょうも声を大にして言っているのは、結局、ばいじんなのか、粉じんなのか、とにかく地域は広いわけですよ。しかも、山奥の採石場ならばともかく、こうした住宅密集地区の粉じん発生施設に対しては、それなりの規制なり、あるいは測定、記録の義務を当然課すべきだと思いますが、いかがですか。
#180
○政府委員(曾根田郁夫君) 先ほどの私の答えがやや不十分でございましたので、もう一度申し上げたいと思いますが、従来、粉じん、すすその他の粉じんといっておりましたのが、今回の改正法では、「ばいじん」として、ばい煙の中に含めて定義されてございますので、そういう特定工場の煙突あるいはその他の作業工程等から出てくるようないわゆる粉じんでございますね、それらは、「ばんじん」として、十六条の測定、記録の対象になるものでございます。私が先ほど申しました粉じんは、これはばい煙以外の粉じんで、たとえばセメントの選別・破砕設備、鉱石等のそういった施設、あるいは原料置き場等から出るものでございまして、これは飛散するものでございますから、それ自体が測定も非常にむずかしい、したがって、規制のやり方も、排出基準というやり方ではなくて、管理基準なり使用基準ということで規制しようという考えでございます。
#181
○小平芳平君 これが「ばいじん」なのか、粉じんなのか、受ける被害者は、わからないことじゃないですか。要するに、山奥の採石場と、それから住宅街のそうした工場と、しかも、その工場も実際ごらんになったのですか、公害部長、どの程度のものが石をこなし、どんな状態でふき出してくるか。それは、もちろん、煙突から出るものは煙突から出るからつかまえやすいけれども、つかまえにくいからといって、その工場から猛烈に何百メートル、一キロにもわたって舞い上げてくるものを、規制の対象にすべきは当然じゃないですか。
#182
○政府委員(曾根田郁夫君) 「ばいじん」あるいは粉じんとして、主として、たとえば有毒物質等を含むようなものは今度の新しい法律の、いわゆる今度の広い意味でのばい煙発生施設として処理できるのではないかというふうに考えております。
#183
○委員長(占部秀男君) 小平君、予定の時間が過ぎておりますので……。
#184
○小平芳平君 どうも要領を得ないのですが、それじゃ、ばい煙のほうは、「ばいじん」、ばい煙は、規制する、それから、そのほかの、そういう作業場からふき出してくるものも、ばい煙、「ばいじん」と同じに、有毒物は規制する、煙突と同じに規制しますか。それはいいですか、それで。
#185
○政府委員(曾根田郁夫君) たとえば、代表的例で、アルミ精錬工場の製造過程から発生する弗化水素等は、排出基準の形で、ばい煙の中で処理するということで……。
#186
○小平芳平君 ですから、それならば、同じように、測定、記録、これをつけるべきが当然じゃないですか。どうですか、長官なり次官なり……。
#187
○政府委員(曾根田郁夫君) そういう弗化水素あるいは将来予想されるような砒素等、そういったものは、法律上はばい煙のほうでとらえることができますので、当然、測定・記録義務についても、その対象物質になるということでございます。
#188
○田渕哲也君 まず、総務長官にお伺いしたいと思いますが、今度の国会で、公害対策基本法の改正あるいは費用負担の法律、さらには公害罪、そのほかたくさんの公害関係の法律ができましたけれども、しかし、具体的にどのように公害が改善されるか。これは、こまかな点が政令、省令等に全部委譲されておりますので、なかなか明らかにはわかりにくいわけです。しかも、この基本法においては、経済の健全な発展との調和規定がなくなった、これも非常に抽象的な問題で、どうこれが具体化するのか。あるいは費用負担にしましても、最終的には各地における審議会がきめるというようなことになります。それから、公害罪にいたしましても、適用の範囲が必ずしもはっきり明確になったとは言えない。そういう点で、きょうは特に、経済との健全な発展との調和規定が削られたことによって具体的に今後の公害対策はどのように変わるのか、まず基本的な点についてお伺いしたいと思います。
#189
○国務大臣(山中貞則君) この基本法第一条第二項の削られたこと、そのことが公害防止に具体的にどう貢献するかという問題は、なかなか答えにくい問題と思いますが、しかし、やはり公害罪法というようなものが刑法の特別法で出てきた背景というものも、そういうことにありますし、また、費用負担法等が新しく基本法の要請に応じて国会に提出されて、法定された基準に基づいて、企業の費用負担がまず一義的に企業の責任に置くことが明確にされた、さらに、防止施設そのもの、これは明らかに企業自身が全額みずから負担をして、しかも消費者に迷惑をかけない状態で生き延びていくより道がないことは、これは文章にはそう書いてありませんけれども、そういう背景というものを持って論ぜられておる、そういう姿勢を持っておる、ということ等が、数えていけば数えられる点ではなかろうかと思うのでありますが、同時に、それに対応する法律は何かということになりますと、むつかしいと思います。
#190
○田渕哲也君 公害対策基本法の第九条に、環境基準について定められておるわけです。それから、従来は、九条にも経済の健全な発展との調和という規定があったわけですけれども、今回は削られております。これが削られたことによりまして、いままで閣議できめられた環境基準をやはり改正する必要が出てきておるのではないかと思いますけれども、これは改正される意思があるのかないのか、お伺いしたいと思います。
#191
○国務大臣(山中貞則君) 確かに、環境基準というものを第一条第二項という立場から見れば、変えなければならぬという見方も成り立つと思います。しかし、環境基準そのものが、すでに議論されている最近の状態で設定されたものが大部分でございますので、これらのものは、それらに耐え得られない基準ではないという判断が一応ございます。しかし、新しく各種法律を、規制法をつくりまして出発してみて、私たちがさらに念頭に置いて進まなければならない環境保全という意味から考えて、その環境基準がちょっとどうもぐあいが悪いのではないか、もう少し洗い直す必要があるとなれば、ちゅうちょすることなく、私たちとしては、それを新しく出された方向に向かって改定をしていくつもりでおります。
#192
○田渕哲也君 従来は環境基準をきめるについて、健康保護の面についてはこれは経済との調和ということは考えないんだ、これは絶対条項だ、それから、しかし生活環境保全については経済との調和を考えていくんだと、こういうことが大体基本的な考え方としてあったと思います。今後この基本法の改正によりまして、生活環境保全についても経済の発展との調和ということはもう考えないのか、この点をお伺いしたいと思います。
#193
○国務大臣(山中貞則君) 考えません。
#194
○田渕哲也君 いままでの環境基準の設定の基準についてお伺いしたいと思いますが、いろいろな基準がありますね、たとえば労働環境では恕限度というようなものがある。それから建築衛生基準では至適度ですか、それから裁判上では受忍限度というようなことが使われております。それから健康上の絶対限度としては閾値というようなものがあります。このようなものと環境基準設定についての関連はどうなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#195
○政府委員(曾根田郁夫君) 大気の中の硫黄酸化物あるいは一酸化炭素、これにつきましてのすでに決定されました環境基準についての考え方は、これは生活環境審議会の専門委員会の専門的な御討議の結果が基礎になっておるのでございますが、その際の基礎としては、一応疫学的調査に基づく閾値と申しますか、敷居の数字というふうに承知しております。
#196
○田渕哲也君 硫黄酸化物についての閾値は、二十四時間平均で〇・〇五PPM、一時間では〇・一PPMということが言われております。ところが環境基準のほうは、一時間値で〇・二PPM以下のが年間の九九%、あとの一%は〇・二PPMを越えてもいいということになっておりますね。それから〇.一PPMを越えてはいけないのが八八%。こういう点から見れば、閾値イコール環境基準とは考えられないと思いますが、この点どうなんですか。
#197
○政府委員(曾根田郁夫君) これは年間平均〇・〇五PPMを維持するためには、たとえばいまおっしゃったような数字で何%前後が確保されれば結果として年間平均が〇・〇五になるかということにつきまして、汚染地域についていろいろと実験をいたしましたデータを基礎にしてそういう一定のパーセンテージが定められたものというふうに承知しております。
#198
○田渕哲也君 それでは一酸化炭素についてお伺いいたしますけれども、一酸化炭素の環境基準は、二十四時間で一時間平均一〇PPM以下、それから八時間平均で二〇PPM以下ということがきまっておるわけですけれども、一酸化炭素の閾値というものはどうなっているんですか。
#199
○政府委員(曾根田郁夫君) おおむね年間平均の一時間値として四PPM程度がいまのような数字に該当する、これが閾値でございます。
#200
○田渕哲也君 そうすると、二十四時間平均で一〇PPM以下というのは、やはり閾値から見ればかなりゆるい基準ではないかと思いますが。
#201
○説明員(山本宜正君) いま一酸化炭素で申し上げました四PPMという数字は、年間値の平均で考えた――先ほどの硫黄酸化物と同様に、過去におきまして日本の大気汚染のデータから見てまいりますと、絶えず同じ数値でございませんで、一つの波を打った数値になっておるわけでございます。したがいまして、その波の形によりまして、発生する頻度を頻度別に分布をつくりまして、その結果といたしまして年平均では幾ら、一日八時間では幾ら、あるいは二十四時間では幾らというようにその発生頻度を考えて、さらにそれを押えるという思想を入れまして基準値をきめた、こういうような仕組みになっておるのでございます。
#202
○田渕哲也君 そうしますと、いままでの環境基準のきめ方は、大体閾値に基準を合わせておると解釈していいわけですね。そうすると健康保護に関する限りは、いままできめたものを公害対策基本法の調和条項がなくなっても何ら変える必要はない、こういう御見解ですか、総務長官にお伺いしたいと思いますが。
#203
○国務大臣(山中貞則君) 基本的には結論はそのとおりだと思うのですが、ちょっと専門的なものですから、厚生省のほうから。
#204
○政府委員(曾根田郁夫君) 一応いまのとおりでよろしいと思いますが、ただ将来医学等の進歩でまた疫学的調査研究の進歩ぐあいによりましては、従来測定できないものが測定できるとか、従来得られなかったデータが得られるとか、そういうことはあろうかと思います。
#205
○田渕哲也君 健康保護の面からの考え方は大体わかったわけですけれども、次は生活環境保全の面から考えて、たとえば植物が枯れるとかあるいはといが腐るとか、こういう植物や器物についての判断尺度をいままでは環境基準をきめるにあたって考えられたのかどうかお伺いしたいと思います。
#206
○政府委員(曾根田郁夫君) 大気関係の二つの環境基準につきましては、先生御承知のように、人の健康にかかわる環境基準ということでございますので、直接的には疫学的研究による閾値をもとにしておりますが、結局人の健康の保護をはかることによって自然環境の保全も達成されるであろうという考えで整理いたしたものでございます。
#207
○田渕哲也君 まあそれはあくまで推定であって、これから調和条項がなくなったとするならば、人の健康について害はなくても、植物が枯れるとか器物が破損するとかいう場合には、環境基準をさらにきびしくしなければならない、理屈上はそうなるわけですけれども、この点はいかがですか。
#208
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに御指摘のようなケースがあり得ると思います。ただ私どもいまとりあえずの時点として、必ずしもそのために変えなければならぬとは考えておりません。むしろその意味からいきますならば、今回条文上に明記されましたいわゆる地域における上乗せの基準、これを当面やはり活用すべきだと考えております。
#209
○田渕哲也君 それから今度大気汚染防止法で、一酸化炭素以外の炭化水素、鉛ということも加えられたわけですけれども、もちろんこの大気汚染防止法ではこの排出の許容基準をきめるわけですが、この炭化水素とか鉛についての環境基準ですね、これはやはりきめる必要があるのではないかと思いますが、この点いかがですか。
#210
○政府委員(橋本龍太郎君) 鉛については、おそらく年度内に環境基準を出せると思います。炭化水素についても検討中でありますが、まだいつに出せるということを申し上げるところまで作業が進んでおりません。
#211
○田渕哲也君 それから自動車の排気ガスの中には、一酸化炭素、炭化水素、鉛のほか窒素酸化物があるわけですが、これについても環境基準作成を考えておられるわけですか。
#212
○政府委員(橋本龍太郎君) 実は衆議院の御審議の場合にも、自動車の排出ガスばかりではなくて、いわゆるばい煙発生施設そのものについても窒素酸化物が問題になりまして、ただ今日の時点で技術的にこれを確実に捕捉するだけの手段がございません。大体四十八年ぐらいまではかかるだろうということが言われております。実は私どもは技術的にそういうめどのついた時点で取り入れて考えるということで衆議院においては御答弁してまいりました。現在炭化水素等と同じく検討は加えておりますし、将来において追加すべきだとは存じておりますが、ただいまの時点で追加する考えはございません。
#213
○田渕哲也君 環境基準で、もう一つお伺いしたいんですが、いままでの環境基準のきめ方は、健康保護の見地から、一つ一つの閾値を基準にして考えられたと思いますが、一つ一つで健康保護の面を考えても、これは複合的な作用もあると思いますが、これはどうなんですか。
#214
○政府委員(曾根田郁夫君) 硫黄酸化物に例をとって申し上げますと、硫黄酸化物の環境基準をつくる際には、当然その中に含まれておる浮遊粉じん、ばいじん等は、当然硫黄酸化物が一定の濃度であれば、その状態の中で存在しておるわけでございますので、そういう意味では、現在の環境基準は複合状態を一応考えた上での環境基準であるというふうに言えるかと思います。しかしながら、今後いろいろと対象物質がふえてまいりまして、そういったものについての、さらに具体的な複合を考えての環境基準ということになりますと、今後、そういったほかの物質との、数値とのにらみにおいて検討していかなければならぬというふうに考えております。
#215
○田渕哲也君 それから次に、硫黄酸化物と一酸化炭素の環境基準がすでにきめられておるわけですけれども、これの適合状況、実際これに合っておるところがどれぐらいあるか。これはそれぞれ自動測定ステーションが設けられてデータが出ておると思いますけれども、四十二年、四十三年、四十四年の比較でお答えいただければと思いますが。
#216
○政府委員(曾根田郁夫君) 硫黄酸化物の関係の適合状況について申し上げますと、全国指定地域内の適合状況でございますが、四十二年度測定点百四十点のうち、不適合のものが六十二、不適合の割合を申しますと四四%でございます。四十三年度、測定点百七十点、不適合地点六十三、不適合の割合三七%、四十四年度、測定点二百一、不適合地点七十七、不適合の割合が三八%でございます。
 一酸化炭素で申し上げますと、これは東京都内の代表的な測定点、霞が関、板橋、大原町、この三ヵ所で申し上げますと……。
#217
○説明員(山本宜正君) 一酸化炭素につきましての都内の四十四年度の不適合状況でございますが、一平均が一〇PPMをこえましたのが霞が関で七回、板橋で十七回、大原の交差点で約七十日程度となっております。ちょっと詳細な数字は後ほど出させていただきます。
#218
○田渕哲也君 詳細な数字はあとでいただくことにしまして、いまこの四十二年、四十三年、四十四年と比べて、一酸化炭素の場合、傾向としてはどうなんですか。悪くなっているのか、よくなっているのか。
#219
○政府委員(曾根田郁夫君) 傾向としては、やや悪くなっております。
#220
○田渕哲也君 環境基準の目標達成の計画ですね、何年ぐらいかかって環境基準に適合させるようにするのか、この点についてお伺いしたいと思いますが。
#221
○政府委員(曾根田郁夫君) 硫黄酸化物につきましては四十四年に閣議決定を見たわけでございますが、原則としては全国一律に直ちに適用すべきが望ましいのでございますが、すでに汚染が著しく進んでおる地域、あるいは現にコンビナート造成中でございまして、やはり汚染が進行中であるというようなこともございまして、前者については達成期間一応十年、後者については五年、その他は直ちに達成する、そういうふうに三段階に分けてございます。
 それから一酸化炭素につきましては、事柄の性質上、当然全国直ちに達成すべき目標とするということでございます。
#222
○田渕哲也君 この硫黄酸化物の十年という目標が少し長過ぎはしないかと思うんです。この十年というきめ方も、やはり低硫黄化政策とかいろいろなことを考えた上きめられたと思うんですが、技術的に困難な面もあろうかと思いますけれども、対策基本法の経済調和条項がなくなれば、もっとこれは早まるのではなかろうかと思うんですが、この点いかがですか。
#223
○政府委員(曾根田郁夫君) 私どもとしましても、十年はやはりかなり長いような感じもいたしますので、できるだけの努力をしまして期間の短縮に努力いたしたい考えでございます。
#224
○田渕哲也君 次に公害防止費用についてお伺いしたいと思いますが、これ、来年度において、これは非常に大ざっぱな質問になると思いますが、全部でどれくらいのものが見込まれるか、概算でけっこうですが、お伺いしたいと思います。
#225
○政府委員(莊清君) 公害防止費用という御質問でございますが、公共投資なども含めまして、それから企業の防止設備投資ももちろん含めまして、最近策定されました公害防止基本計画というのがございますが、これはとりあえず千葉県の市原、それから四日市、岡山県の水島と、三地区だけになっておりますが、ここで向こう五カ年間で全部で約三千億でございます。公共投資関係と企業みずからの投資額とがこの三地区では大体半々ぐらいになっておるわけでございます。それでございますから、東京とか大阪とか名古屋とか、今後基本計画の策定が進むにつれまして、この金額は、三千億というふうな金ではなくて、非常に大きな金額になろうかと思いますが、これはいずれ四十六年度中にはこういう計画の策定が進みますので、その段階で非常にはっきりした形で出てくると思います。
 で、私ども通産省といたしまして、この際御報告したいと思いますのは、民間企業が行なう設備投資の問題でございますが、零細企業までなかなか調べが現在ついておりませんが、通産省で従業員三百人以上の工場約二千三百について調査いたしました結果では、四十四年度の実績が、大体設備投資総額の五%でございます。四十五年度の計画は約五・八%、それから電力、鉄鋼、石油精製等、公害型産業と言われる数業種につきましては、四十四年度の実績が七・五%、四十五年の計画が七・九%でございます。ただし、このうちでも電力は、たとえば一二・七%を四十五年度に計画しておりますし、石油精製は、脱硫装置等ありまして約一六・七%、こういう状況になっております。
#226
○田渕哲也君 ただいま企業の設備投資額に占める公害投資の割合の説明があったわけですけれども、もちろんこの日本の場合と外国の場合とかなり条件が違うと思いますが、外国の例、わかっておりますか。
#227
○政府委員(莊清君) 外国の例、たとえばアメリカの例などあまり数字が入手されておりませんですが、昭和四十四年度に相当する数字でございますけれども、これは統計の取り方等いろいろあるようでございますが、アメリカの場合に五%弱程度という数字がございます。
#228
○田渕哲也君 いままでの論議の中で総務長官も言っておられますが、やはり将来は一〇%ぐらいが必要じゃないかということを言われております。ということは、やはりいまの公害投資の倍くらいやらないと日本の場合いけないんではないかということですか。
#229
○国務大臣(山中貞則君) 私がおおむね日本の企業も、主として公害関連企業ということになるでありましょうが、一〇%ぐらいは国際的に見てもそのような投資に振り向けるべきであると申したわけでございまして、事実、先般総理の承認を得た三地区の公害防止計画にも大体それに近い数値のものが盛り込まれておるわけでございます。なおそういう体制をとってまいりませんと、日本の製品というものが海外市場において国際対比でもってダンピングの条件の一つとして指摘をされるおそれが出てきておるということは、前にも私が申したとおりでございますが、日本の貿易の生き抜いていく上にもこれはどうしても到達しなければならない国際的な目標でもあろうと私は考えておるわけでございます。
#230
○田渕哲也君 もし日本の産業の総投資額の一〇%を公害投資に回したと仮定した場合に、これは経済企画庁にお伺いしたいのですが、日本の経済成長に与える影響ですね、これはほかの条件がいろいろありますから、簡単には出ないと思いますが、ただその面に限って言えばどのような影響があるという見通しを持っておられるか。
#231
○説明員(小島英敏君) なかなか公害防止投資と経済成長の関係というのはむずかしい問題でございまして、たとえば公害防止投資というものが生産に直結いたした投資ではございませんから、もしその公害投資がふえました分だけ一般の投資を減らして、全体の投資額を一定ということにいたしますと、これはいわゆる生産効率としては落ちるわけでございますから、経済の成長率もそれだけ鈍化することになります。ところが、従来の投資はそのままにして、その上に公害投資をプラスするということにいたしますと、これはむしろ公害防止関係の需要増加になりますし、そこからまた波及する効果もございますから、むしろ経済成長をふやす力、効果もあるということでございます。ただ実際問題としては、やはり公害防止投資をいたしますということは、その分だけ利益を減らすか、コストを節約するか、あるいは価格を上乗せするか、三つしか逃げ場がないわけでございますから、どの場合をとりましてもやはり従来と同じように公害以外の投資をやっていくという余力は企業にとってはない、だんだん減っていくということになると思います。したがって、やはりいままでの正確な計算はできませんけれども、アメリカのこの間の環境委員会でも言っておりますように、やはり公害投資をふやします場合には、基本的に見ますと、資本係数をふやすことに、つまり生産効率が下がることによって経済成長を鈍化させる方向に働くであろう、われわれもかように考えておりますが、なかなか五%から一〇%になりました場合にどれだけ減らすか、減るかということになりますと、先ほど申しましたいろいろなファクターがございまして詳細な計算ができかねる状態でございます。
#232
○田渕哲也君 それでは大蔵省にお伺いしたいのですが、この間の連合審査会で公害防止については国が第一義的責任を負うべきである、財政負担を地方に押しつけることがあってはならないという政府の統一見解が出されたわけですけれども、そのために国も多額の財政措置というものが必要になると思います。これについて具体的にどう考えておられるのかお伺いをしたいと思いますが……。
#233
○説明員(海原公輝君) お答えいたします。
 先般の統一見解におきましては、国とそれから地方公共団体というものが、それぞれ異なった立場で立っておるということでございます。で、基本法の四条におきまして、国は、公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策の策定及び実施の責務を持っているわけでございますし、他方におきまして、地方公共団体は、当該地域の自然的、社会的条件に応じた公害の防止に関する施策の策定、実施に当たる、こういうふうになっておるわけでございます。国と地方公共団体がどのように公害問題に取り組んでいくかという基本的な姿勢を明らかにしたものでございまして、大蔵省といたしましても、大蔵大臣が物価と公害というのは二つの眼目であるということを申し述べておりますので、公害対策の推進にあたりましては、この統一見解並びに対策基本法二十三条の趣旨を尊重して必要な措置を講じていく考えでございます。
#234
○田渕哲也君 私も本会議で大蔵大臣にお聞きしたときには、来年はかなり自然増収があるから特別に税をふやすとか、特別な収入面での措置はとらなくともだいじょうぶだということの答弁があったわけです。そういう面について私は必ずしもそうは言えないんじゃないか、かなり公害投資ということは多額になるのではないかと考えております。政府の来年の予算の中の公害関係を見ましても一千六十二億ですか、ところがその七割くらいが下水道関係である。あとかなりの、百数十億ですか、幾らかは基地関係の騒音対策、そうするとほんとうに地方で公害事業を進める場合にそれだけの財政措置でいけるのかどうか非常に疑問であります。その場合にやはり大蔵大臣の答弁にありましたけれども、何かの財源を求めないと、今度のたくさんできたこの法律を全部実行するにあたってはとてもお金が足りないと思うのです。その点についてどう考えておられるのですか。
#235
○説明員(海原公輝君) 国が地方公共団体に対しまして財源措置を講じていくにあたりましては交付金を出すとか、あるいは補助金をやるとか、あるいは起債だとか、いろいろな方式があろうかと思います。それに交付税の問題もあろうかと思います。財源措置といたしましてはいま申し上げましたように、こういういろいろな措置があるわけでございまして、それらをどうかみ合わせていくかということは、四十六年度の予算編成の段階におきまして、公害問題の重要性にかんがみ対処していきたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#236
○田渕哲也君 私は、公害の財源というのはやはり、それは目的税にするかどうかは別にしまして、やはり何らかの措置が必要ではないかというふうに考えるわけです。たとえば自然増収があってもこれはやはり一般国民大衆の負担にすべき性格のものではない。したがって、企業といいますか、企業にやはり適正の税金というものを考える必要があるのではないか、たとえば公害を出すような業種からは公害税的なものを取るとか、あるいは過密対策として過密地域に事業場を持っておる企業というのは、それだけ集中の利益というものを得ておるわけです。だからそういうところで事業をやる場合には税金が高くてもいいんじゃないか、そういう考え方で公害対策のための税制というものが必要ではないかと思いますけれども、この点どうなんですか。
#237
○政府委員(吉田太郎一君) 公害対策に関する税制としていままでいろいろ検討され、あるいは提案のあったものは大体三つのカテゴリーに分けられるかと思います。一つは、公害対策のための費用を調達するために何らかの税を起こすべきであるという考え方、第二番目は、公害の発生源というものに対して税を賦課することによってその公害の発生を最小限にとどめようという考え方に出るもの、第三番目には、そもそも公害をなくすために何らか税制上の措置を活用していく、田渕委員の御指摘のお話はおそらく第一にも関係ございます。場合によりますと、たとえば過密対策とあるいは土地税制というようなお話でございますと、第三のカテゴリーの問題でもあろうかと思います。
 で、第一の公害の財源を調達するために、収入にリンクした形で財源を支出していくという考え方につきましては、先ほど政府の統一見解にも示されておりますように、公害対策の重要性というその優先度に応じて財源配分をいたすべきものでございまして、特に収入とリンクする形で財政運用の弾力性をそこなうということは適当ではないと考えております。
 第二の公害を発生する企業、あるいは特定の集団等に対して税を賦課することによってこれを最小限にしていこうという考え方でございますが、基本的にはその裏にまず企業の責任においてこれをなくしていくということが関わるべきであり、現在直接規制という形でのいろいろの政策が行なわれているわけでございまして、さらにその直接規制の範囲内においてさらに税をこれに賦課していくということであるのならば、むしろ負担金あるいは課徴金という形で行なわれることが地域的あるいは特定の集団という点からいって望ましいというように考えておる次第でございます。
 第三の公害を発生することを極力少なくするために、税制上何らかの誘導的あるいは抑止的な機能を働かすべきでないかということにつきましては、特別措置の問題といたしまして、今後いろいろ検討していかなければならないことが多々あろうかと思います。その場合にはその裏づけとなる政策の合理性あるいは税の公平とのつり合い、あるいは現実に税の執行上の問題とをかね合って具体的な問題として今後検討さしていただきたい、かように考えております。
#238
○須藤五郎君 きょうは総務、それから厚生大臣、それから建設大臣に御質問申し上げるわけですが、連合審査の席上で時間の関係もありまして十分論議ができませんでした。きょうはもう少し突っ込んで質問をいたしたいと思いますが、公害が激しくなった今日の状況から見まして、従来の過密都市の臨海部を埋め立て、工場を誘致する政策は政府として反省しなければならない、こういうふうに山中長官はあのときにお答えになりました。私もそれは当然のことだと思うんです。臨海工業地帯は公害の大きな発生地帯となっておること、これも長官もお認めになると思いますが、これを見ましても、もはやこれ以上工業用地のために大阪湾や東京湾を埋め立てることは許されない。またすでに埋め立ててまだ工場の進出していない土地は公園や緑地帯として住民のための生活環境改善の目的に使わなければならない、こういうように私は思います。公害をなくすために今日問題をこのように考えることが国民生活優先ということの具体的内容の一つであると思いますが、この認識につきましてそのとおりだと思われるかどうか、総務長官、厚生大臣、建設大臣にお答え願いたい。
#239
○国務大臣(山中貞則君) 連合審査の際の須藤委員の質疑に対する建設大臣の答弁等も聞いております。これはまあ建設省のいわゆる土地の埋め立て造成というものの費用の回収等のやはり定められた財政法上のものがございますから、そういう意味であのような答弁をしたんだと思いますが、しかし、私としては、企業を立地させるためにその目的で埋め立てたものである、造成したものであるといっても、いわゆる公害型企業というものをなるべく誘致しないで、そしてやはり償還その他にも計画の立てられるようなものにまず配慮すべきである。そうして、大阪がどうだ、東京がどうだと言われますと、私もちょっと具体的に御返答できませんが、たとえばいま洞海湾が一つの計画を北九州市、福岡県というものが検討しておる内容を拝見してみますと、この洞海湾の長い間顧みられなかったものを、あらためて足もとを、みんなが自分たちの海はどうだということから、やはりあそこをしゅんせつをして埋め立てをして、そうしてその上に緑地や公園等をつくろうという計画のようでありますので、私は一番理想的な一つのケースだと思って緊急な調査費も企画庁に相談して、一千万円急遽支出をして調査に当たらせることにしたのですが、原則は先生の言われるような考え方で進むべきものと考えます。したがって、ただ私と建設大臣との答弁が食い違っておると追及されると困るわけですが、それは食い違いではなくて、建設大臣の実際上のどこどこにおける問題点ということで答弁になると、あのような答弁をせざるを得なかったのじゃないかということは私もわかるわけでございます。
#240
○政府委員(橋本龍太郎君) 海面の埋め立てによる土地造成そのものは運輸省所管事項でありまして、私ども直接口をはさむ権限はございません。私どもとして一般的に言えることは、新たに土地造成をされ、そこに企業が新たに立地をする場合に、それが従来からある企業の公害と相乗効果を持ち、なおその地域全体の汚染の度合いに拍車をかけるような形のものでは、私どもとしては決して好ましいものではないということを申し上げます。
#241
○説明員(播磨雅雄君) 大阪湾沿岸につきまして昭和四十年に近畿圏の基本整備計画ができましてから、工業用の新しい埋め立てはやらないことを根本原則といたしております。またそれまでに着工いたしておりましたもの等につきましては、先ほど総務長官からお話がございましたとおり、従来の行きがかり上の問題もございます。そういう意味で工場はできましても、なるべく公害型の企業は排除いたしますように、各公共団体のほうにおきまして行政指導いたしておる次第でございます。
#242
○須藤五郎君 なるべくということにこだわりますが、その点はあとで問題を出したいと思います。
 この公害問題は内政の第一の問題である。これと積極的に取り組み、国民生活優先の立場に立って勇猛心をふるい、蛮勇をふるって事に当たると佐藤総理は再三再四国民に決意を示していらっしゃいます。国民は総理の決意が口先だけのことなのか、ほんとうに実行されるのか、この点を非常に注目をしておるわけなんです。先日、これは毎日新聞の漫画、那須さんという方の書いた漫画です。最近、毎日の那須さんの漫画、それから小林さんの時事漫画、なかなかうがった漫画が出まして私も非常に楽しんで毎日新聞を見ておるのですが、先日の漫画ですと、企業と書いた大きな大男に向かって佐藤総理が公害というこぶしを上げておる。ところがその佐藤総理の上げたこぶしがぶるぶるとふるえている。手がふるえていると下に書いてあります。だから漫画にこたえる立場上、佐藤総理は真の蛮勇を発揮しなければ、こういういま全国的に起こった公害問題は解決できないと思うのですよ。それができなかったら、あの漫画家の言うとおり、佐藤総理は大企業に対しては手がふるえているぞと、こう国民は理解しますよ。私もそういうふうに理解しますよ。そこで、佐藤総理の代理者である山中さんが佐藤総理にかわって大勇猛心を発揮してもらいたいと思うんです。いま先ほどの問題ではあなたは非常に観念的な答弁ですけれども、積極性のある答弁をなすった。厚生省もそういう意見を述べた、しかし、建設省に至ると二人の答弁と逆にずっと後退してしまう。ああいうことでは、私は、佐藤内閣の姿勢というものが言えないと思うんです。
 さて、公害を内政問題の最重要課題として、国民生活優先の立場に立って勇猛心をふるって事に当たるということはどういうことか。私はこう思うんです。その重要な柱の一つは、これまでの経済発展第一の政策や立法を、今日の公害の観点からすべて検討し直し、経済優先、産業優先の個所はこれを大胆に改める、国民生活優先の内容を確立していく。こういうことでなければならないと思います。昭和四十二年にできた公害対策基本法、今回改正するということも、この例だと思いますが、この考え方が正しいと思いますかどうか。総務長官、厚生大臣、建設大臣、お伺いしたいと思います。
#243
○国務大臣(山中貞則君) 原則的にはそういう方向で日本は大きな転換の曲がり角をいま曲がりつつある、また曲がらなければ、日本経済というものが国際経済の中でひとりぼっちの蛮勇、それこそ蛮勇ふるったって通用しない時代が来つつあるというふうに認識しています。それから、総理の蛮勇、もしくは大勇をふるって取り組むという姿勢でございますが、内輪話みたいなことを申し上げて恐縮ですが、私を副本部長にして担当大臣にしたということについては一見筋違いでもございますし、いままでのいきさつから見ておかしい点も少しあると思うんですが、しかし、総理は、そのときに君の若さと実行力でやれということを申しました。その後私は、総理に相談しないで、十五の法案をつくり上げるべく、各省庁のそれぞれの私の耳にまで入ってくる反発等の声を聞きながら、なおしかしわれわれが取り組まなければならない課題である。これは、締め切り日に間に合わせるべきことなんだ、至上命題と思ってやってきました。その過程において私が十五法案を全部一応まとめていただいて調整を終わりまして、総理に三時間近く報告を私たった一人でしました。官房長官は立ち会ったわけですが、説明者は私一人でございましたけれども、総理からは法案の行き過ぎとか、あるいは時期尚早である、あるいは内容についてその点はもう少し慎重に扱えというような一切のいわゆる逆方向への指示はなかったということだけは、私良心に誓って申し上げることが可能でございます。しかし、その判断は、これは立ち会い人、保利さんでもいないと御信用なさらないかもしれませんが、私は、何ら総理から逆方向への指示も圧力も受けていないと思っております。
#244
○政府委員(橋本龍太郎君) 一般的に申し上げるならば、厚生省としての立場は、先ほど先生がお話しなさったこととほとんど同様であると思います。
#245
○説明員(播磨雅雄君) 近畿圏におきましても、京阪神の大都市地域のような場所におきましても、特に産業優先の考え方に対しまして修正を加えましてやってまいらなければならないと、かように考えております。
#246
○須藤五郎君 それじゃ、修正を加えるという返事が出たわけですが、そこで私は、西淀川、それから外島地区という問題について少し具体的に認識をしてもらうために述べてみましょう。西淀川区は御承知のとおり、日本一汚染されておるところなんです。これは御存じだと思います。大阪市はここで公害防止計画の先行事業としまして、総額百二十五億円に及ぶ緊急対策を実施しておるんです。今日、西淀川は、いますでに公害工場を移転させなければならない、ここへ新しい公害工場が入ってくるのはもってのほかである、こういうように言っておるわけです。ところが、その外島地区へ、いま五つの公害工場がやってくる。そうして、そのうちの四社はすでに操業を開始しておるんです。外島地区四十万坪です。ここに外島開発株式会社という会社ができまして、工場団地造成会社、これはね。その外島開発株式会社という会社が三十に近い企業を引っぱってこようとしておるんです。そうしてそのうちの五工場はもうすでに来ている。そうしてこの五工場は実は札つきの工場なんです。よそのところで公害工場だといって追い出された札つきの工場がここへやってきておる。こういうことになるわけなんです。そうしてさらにこれだけじゃなくて、たくさんの工場が進出を予定をしております。西淀川を含む大阪市は全域が公害関係のない学校の建設さえ制限されておる過密防止の工場等制限区域です、それも御存じでしょう。ところが、この外島地区四十万坪は政令によって制限区域からはずされておるわけです。そのために公害の状況とは関係なく工場がどんどん入ってくるんです。これでは住民はたまったもんじゃないので、非常におこっておるわけなんですね。だから、私は連合審査会のときにも、こういう矛盾があるんだから、もう十年前に公害の何ら問題にならなかったときにつくった政令だから、今日は勇猛心を発揮してその政令を変えなさいと、そういって私は尋ねたんです。ところが建設大臣は、私のこの言に耳をかそうとしない、そこは厚生大臣や総務長官とは違うわけです。そのことをあくまでもあなたが固執するなら政府内の解釈の相違ということになってきますよ。私は統一見解を述べてもらいたいと、こう言わざるを得なくなるわけです。だから昔つくった、公害と関係なくつくった法案だから、だからいまその政令をやめて、制限区域でありますならば、制限区域にするならば、自治体に一定の権限がありますね、いわゆる千平方メートル以上の工場は市長の許可制、こうなっておりますね。しかし、制限区域外では工場進出は野放しということになります。住民や自治体は手の施しようがない、こういうことになっております。だからこの政令を定めた昭和四十二年、公害のなかったそれを考慮すれば、私は率直に申しまして時代が変わっているんですから、公害から何十万、何百万の市民の生命と健康を守ることが、何よりも重要な時代となっておるんですから、政令はあれはもう時代おくれだと、こう言わなければならない。だから西淀川のような過密地帯の、しかも公害日本一の臨海部にこのような土地をそのまま放置しておくことが間違っておる。こう言わなければならないと思うんです。そこで、外島地区は工場ではなく、ああいう政令を廃止して、市長の自由に裁量できるところにして、市民のための緑地帯、緑の公園をつくることが、私は最も必要なことだと思うんです。だから公害を防ぐという観点から、時代おくれの政令を改めることを市民は心から求めて、私のところへもその点を訴えてきておるのですね。だから、政府は勇猛心を発揮してそうしてこの政令をやめるということ、これがぼくは総理大臣の言うところのいわゆる蛮勇をふるい、勇猛心を発揮して当たると、公害解決に当たると言われたそのことばの内容ではなかろうかと思うのです。これができなかったら、総理大臣のあのことばはぼくは取り消さなければならぬことになると思いますね。どうですか、総務長官、厚生省の方、それから建設省の方、もう一ぺん私のこの意見に対して答えをしてください。
#247
○説明員(播磨雅雄君) ただいま先生のお話のございました西淀川区がかなり大気汚染のひどい地域であるということも知っております。現に救済法によりまして指定を受けている地域でございまして、大阪市におきましては昭和四十七年を目標といたしまして何とかこの汚名を返上いたしたいということで、ただいまお話のありましたように、特に大気汚染関係で被害の大きい工場十四工場、そのほか騒音の大きな工場三工場等をできれば買収しまして移転したいという計画を持っておることは事実でございます。で、そういうふうなときに、いかなるいきさつがあるにもせよ、なぜ新しく工場を建てたかという点につきまして個々にお答えを願いたいということだろうと思うのでありますが、現在百三十七万平方メートルの例の埋め立て地に大体二十九社の会社が進出を予定されておるわけでありますが、そうして現在私どもの聞いておりますところでは、七社が大体操業をしておるという状態で、今後どんどん建っていくという形でございますが、私どもが聞いておりますのは、地元のある会社の土地を分譲したわけでございますが、その土地をこうして分譲いたしますときに、その町のつくり方、企業の入れ方等につきまして、大阪市はただいま御指摘ございました外島開発株式会社と十分な連絡をとりまして、できれば公害型企業に売らない。その結果は、名前を見ますと若干心配のある会社も現実には入っておるのですが、そういった工場につきましては、特に設備計画の段階におきまして強力なる行政指導を行ないまして、そういった場所でございますので、矛盾したようなことにならぬように責任を持って行政指導を行ないまして、第一次的には流通関係、流通加工関係のあまり公害型でない企業に入ってもらうということを趣旨といたしまして、極力指導をしてまいったということを申しておるわけでございます。何ぶんにも地盤沈下の極度にひどいところでございまして、ここに住んでおられる中島地区の方々にもいろいろ問題があるわけでございますが、中島地区も含めまして、将来の広い意味の再開発といたしまして、この地域にいろいろ公園をつくりましたり、あるいは道路を整備いたしましたりいたしまして、地域の方方に少しでも環境を回復するように十分努力をするという目標で大阪市もやっておりますので、そういった意味で私は現在の時点におきましては政令を改正する予定はないと、こういうふうにお答え申し上げたいのでございます。
#248
○須藤五郎君 そういう公害の心配がなければ住民は騒ぎはせぬのだ。若干公害のある工場が来ているのではなくて、みんな公害の関係ですよ、いま来ているやつは。あなた調べたのか。調べてないだろう。調べてなくてそんなことを言ってはだめだよ。五つとも公害工場ですよ。言いましょうか。大阪有機合成、摂津鉄線、山友シャフト、三豊工業、大阪特殊合金、みな公害工場です。それがいま来ている。そのほかに三十近い工場が土地造成会社に呼ばれているわけです。ここに持ってこようというのです。そこに土地を造成した会社は土地を売らなければもうけにならないというのはわかる。しかし、一土地会社のために公害を起こしていいという問題ではないですよ。だから、前の政令さえやめたら市長の権限でものができるようになるのですよ。それがないから自由に公害工場が入ってくるということなんです。これは大谷重工が倒産したときに三井物産やそういうところが差し押えた土地なんですよ。だから、それを売ろうといって、要するに公害であろうが何であろうが、境目なしにどんどん工場を引っぱってこようということをいまやっているから住民が問題にしているわけですね。だから、こういう時代離れの、時代おくれのしたこういう政令は即刻やめなさいというのがぼくの主張なんです。それをやめなかったらこれはどうにもならないのですよ、市長の権限にならないのだから。総務長官や厚生政務次官はそうしたほうがいいと言っているじゃないですか。建設省だけががんばっているのだ。政府部内の意見の対立ですよ。話にならぬじゃないですか。総務長官、この点はっきりとぼくはしてほしいのですよ。こういうことをほっておくとやはり西淀の公害がどんどん大きくなっていくということはもう明らかなんですね。そうしてそれはおそらく佐藤総理の本心でもないのじゃないですか。総務長官の本心でもないだろうと私は思うのです。そういう状態がこれから生まれてくるので、もう一ぺん総務長官、ちょっとはっきり答えてください。
#249
○国務大臣(山中貞則君) お話の意味はよくわかりますが、建設大臣がこの政令による制限除外地区を排除するということについてはいまのところ考えていない、こういうことを公式に申しておりますので、私が言っているのは、特定の場所ではございません。そういう御主張のような方向に今後いかなければいかぬのだということはそのとおりであると思いますと、ただし、いまの当該場所については、建設大臣の御答弁というのが一方にありますから、その意味で私が建設大臣の発言を否定することはできない。そのことについてはさらに今後やはりそういう措置を、政令解除という措置をとらなければできないのか。あるいは御主張の方向に近畿圏整備を主管する建設省というものが政府全体の姿勢として前進する、あるいは変わるということであれば足りるのか。これはまた手段によっては達せられ得る手段もあろうかと思いますから、その意味で建設大臣不在のところで私がこれ以上は申し上げられない。しかし、方向はそういう方向に進むべき時期にきているということは私も同感でございます。
#250
○須藤五郎君 それじゃね、きょうあなたがぎりぎりのお答えはすることはできないかわかりませんが、どうか持ち帰られて、建設大臣や厚生大臣とも相談をなすって、そうしてこの西淀川区の区民の期待にこたえるような方向でこの問題を解決するように努力していただきたい。どうでしょうか。
#251
○国務大臣(山中貞則君) 特定の場所の話でありますので、たいへん答えにくいのですが、全体として申しますと、そのような場合に国が総合的に見て必要であると認める地域を市長さんあたりまでその権限をおろした場合ですね、場合によっては企業とのある意味の、また悪い意味の癒着等もありますから、市民の上に立った市長であることには間違いはないけれども、そのような場合において国策から見て好ましくないような許可等も出されるおそれもある。これは表裏問題があると思うのですね。だから、その特定の場所について言えば、それは市長は何という人でどんな人格の人か、私も知っておりますから、その限りにおいてはひょっとオーケーと言いたくなるのですけれども、しかし、これは基本的な議論でもございますので、それらの点はやはり建設省の方針で処理できるものならばそういうことで処理するということで、一ぺん建設大臣がそういう答弁をしておりますので、これ以上私の口からいま否定できないということでございます。
#252
○須藤五郎君 まあそれ以上あなたにここではっきりしたお答えを要求しても無理だろうと思いますが、いささか山中長官の手も少しふるえているのじゃないですか。そういうことがあっては困るということを私は申し添えますよ。どうぞあなたも勇猛心を発揮してこういう矛盾はこの際私はなくしていくことが一番重要だと思うのです。何よりも国民の健康が第一だという見解に立つならば、政令を変えるぐらいのことは私は何でもないと思うのですよ。そうですよ。私はそう思いますよ。だからその点よく配慮していただきたい、こういうことを申し添えます。
 それから次に、きょうの朝日の論説なんかでも、「公害の監視にパトロールをつくれ」という見出しで、いろいろ書いていらっしゃいますが、全国的に見ましていま公害発生の工場は何工場あるか、ひとつ聞かしていただきたいんです。
#253
○政府委員(莊清君) ちょっと意表をつかれた質問を受けましたので、数字はちょっといま申しかねますが、後日正確な数字をひとつ、正確といいますか、業種別にこまかい数字を整えまして御報告に上がりたいと思いますが、まあざっと考えまして、大体製造工業の中で、機械工業の一部は町中にございまして騒音というふうな問題を中心に公害を起こしておりますが、比較的機械工業というのは数は多うございますが、この大気汚染とか水質汚濁という点では関係が薄いかと思います。まあ機械工業の数が非常に多うございますので、いわゆる全国総工場数に対してのいわゆる公害に責任のある工場数というのは、私はそう多くはないんじゃないかと、こう思います。
#254
○須藤五郎君 それはあなたのほうが数が出なきゃ議論になりませんから、それは数を出してください。それからの話にしましょう。
 そこで次に問題になりますのは、この、ずいぶん多いと思うんです、私はね。私も数はわからないんですよ。だから政府に出してくれというんだ。しかし、少なくはないと思うんですね。その数が多い工場から出る公害をだれがどのようにして調査し、また監督するかと。どうですか、それは。
#255
○政府委員(橋本龍太郎君) まあ第一義的にこれは都道府県――地方自治体の首長が責任をお持ちをいただいてチェックを願いたいということです。
#256
○須藤五郎君 そうすると、調査監督権は地方自治体の長に与えると、こういうことですね。そこをはっきりしてもらわぬとね。やたらと地方自治体やれと言ったって、調査権もない、監督権もない地方自治体ができるわけはない。そこをはっきりしておいてください。
#257
○国務大臣(山中貞則君) 厚生政務次官が原則論を言ったんですが、まあ原則はそのとおりで、ただ、企業自体も今度は規制違反には直罰を受けるわけですから、常時監視――監視というのはおかしいですが、観測して、それを記録しておかないと、直罰の際に反論ができないということ等もありますし、それを踏まえて、それぞれ公害の種類によって市町村の固有事務のものもありますし、都道府県にほとんど今度はおろしますから、都道府県の委任事務もしくは固有事務、あるいは広域の処理体制、こういうようなことでそれぞれの立ち入り検査から停止命令まで含めたあらゆる権限の行使ができるわけでありますから、それらは企業内の常時観測、測定と相まって、それらの監督官庁というものがそれぞれの地方――都道府県、市町村というものの段階でそれぞれ把握していくようになると考えます。
#258
○須藤五郎君 企業にまかしといてちゃんと行なえるものならもう心配ないんですよ。国民は安心して高まくらで寝ておることができるんですがね。企業というものはそういうものじゃないですよね。自分のもうけるためには、これまでやってきたことをずうっと見てみたらよくわかるじゃないですか、もう公害たれ流しで平気な顔ですよ。それでどんどん金もうけることしか考えないのが、これが今日の日本の企業、だからたいへんなことになったんです。国民の健康などに対して企業などというのは良心的な一片のかけらもないんですよ。だからこういうふうになってしまったんです。朝日新聞こういうふうに書いていますね。「地方公共団体で「公害監視センター」や「大気汚染監視センター」などを設置しているところは、いまは十三くらいしかない。大気汚染についてはテレメーターが利用されているものの、水質、騒音などについては、まだそこまで進んでいない。その結果、四十四年度に出された施設の改善命令は二十七件にとどまった。」こういうふうに書いてありますね。そして朝日新聞は、たとえば公害Gメンみたいなものをつくってパトロールさせることも検討してもらいたい、こういうふうに朝日は書いているわけですが、私たちのほうも公害対策基本法を、衆議院のほうで修正案を出しました。やがて参議院においても私たちは修正案を出したいと思っておりますが、その中で住民運動の尊重、公選制の公害委員会の設置など私たちのほうは主張しておるのです。やはり住民運動というものは一番重要だと思うんですね。その住民運動の中には、その工場工場の労働者の諸君も入るがいいでしょう、いろいろな形の住民をその中に含めてその監視をやらないというと、この数の多い公害工場ですね、それはとても監視できるものじゃないし、監督も調査もできるものじゃないと思うのです。公害委員会公選につきましては、衆議院本会議におきまして、総理から、私たちのほうが、公選制による公害委員会をつくったらどうだという質問をしましたら、共産党らしい提案だ、こう総理は言われましたが、いいとも悪いとも賛成とも反対とも、何ら返事がきておらないのです。
 そこで、総務長官が総理にかわってお答えになるならばお答えを伺っておきたい。また、今回東京都が提案しました公害監視委員会、これは東京都の公害監視委員会条例をつくりまして、百人ほどから成る公害監視委員をつくるという制度をきめました。その制度の中、百人の内訳を申しますると、特別区長または市町村長の推薦を受けた者が七十人以内、民間諸団体の推薦を受けた者が三十人以内、――民間諸団体の推薦を受けた者三十人以内をもっとふやしたほうがいいと私は思いますが、とにかく東京都はこの百人以内をもって公害監視委員会をつくるという条例をつくりました。こういう制度を政府もひとつ推進なすったらどうだろう、取り入れられたらどうだろうと思いますが、その点はどういうふうにお考えになりますか、これは総務長官に答えていただきたい。
 もう一つ一緒にお答え願うために、時間の関係ありますから。住民運動の尊重ですね。私がいま申しました、住民に監視、調査をさせるという、この住民運動の尊重を基本法に取り入れられるおつもりはないか、この二つをお尋ねして私の質問を終わります。
#259
○国務大臣(山中貞則君) 住民運動については基本的には、今日住民運動が地域の住民の自衛手段として盛り上がっておりますから、政党の介入等に反対する、われわれだけでやるというような傾向はたいへん好ましいことだと思っておりますが、しかし、住民をそこまで追い込んだ政治責任というものを私たちはこれからとっていかなければならぬということを考えております。したがって、基本法にそれをうたい込むのにはちょっと異質のものであると考えますので、そのようなことは考えておりませんが、第二点の、衆議院において委員会で出されました修正案、これに対して、公選制の委員会というものをつくれ、こういうことでございますが、これは圧倒的少数をもって否決されましたので、その否決された意思を尊重せざるを得ませんが、しかし、われわれとしては、今回地方に必置制にいたしました公害対策審議会というものの中に、なるべく関係地域の住民を代表すると思われる者が入るようにしてもらいたい――それはまあ地方にまかせますけれども、そういう指導方針並びにそういう公害発生企業の代表らしい者がどんな、たとえば商工会議所の会頭等の肩書きであっても、そういう者が委員会の構成メンバーにならないような配慮をするような行政指導はしたいものだ、かように考えております。
#260
○須藤五郎君 圧倒的少数をもって否決されたという、それはお返しいたしたいと思います。少数であっても、かりにりっぱな意見は尊重するというのが民主主義の私はたてまえだと思います。それでなかったら、ほんとうの民主主義というものにならないということを申し上げます。これで終わります。
#261
○国務大臣(山中貞則君) 今国会では、たとえば衆議院において、私たち自民党が三百議席以上の議席を背景としてわがままをやったという形跡も、これはないということを認めてくださると思うのです。ことほどさように、この問題は政党、党派、思想を越えた問題であるということで私たちも取り組みましたし、野党の皆さんもさようでございました。したがって、委員会においては、一人の提案、一人の賛成であったといっても、私たちはそのことを無視してはおりません。耳はかたむけておるつもりでございます。したがって、そういう意味において御意向の、今後進むべき方向等で掬するべき点があるならば、これには謙虚でなければならないと考えております。
#262
○委員長(占部秀男君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時四十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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