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1970/12/17 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 公害対策特別委員会 第6号
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1970/12/17 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 公害対策特別委員会 第6号

#1
第064回国会 公害対策特別委員会 第6号
昭和四十五年十二月十七日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         占部 秀男君
    理 事
                鬼丸 勝之君
               久次米健太郎君
                杉原 一雄君
                内田 善利君
    委 員
                長田 裕二君
                川上 為治君
                古池 信三君
                矢野  登君
                渡辺一太郎君
                小野  明君
                田中寿美子君
                竹田 四郎君
                小平 芳平君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣審議官    城戸 謙次君
       経済企画庁審議
       官        西川  喬君
       経済企画庁国民
       生活局長     宮崎  仁君
       厚生政務次官   橋本龍太郎君
       厚生大臣官房国
       立公園部長    中村 一成君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    曾根田郁夫君
       通商産業省公害
       保安局長     莊   清君
       通商産業省公害
       保安局公害部長  柴崎 芳三君
       通商産業省公益
       事業局長     長橋  尚君
       運輸省自動車局
       長        野村 一彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       中小企業庁指導
       部長       西田  彰君
       運輸省港湾局技
       術参事官     竹内 良夫君
       運輸省自動車局
       整備部長     隅田  豊君
       運輸省航空局飛
       行場部長     丸居 幹一君
       建設省都市局参
       事官       石川 邦夫君
       自治大臣官房調
       査官       冨崎 逸夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害対策基本法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○公害防止事業費事業者負担法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○騒音規制法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 公害対策基本法の一部を改正する法律案、公害防止事業費事業者負担法案、騒音規制法の一部を改正する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案、以上四件を一括して議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#3
○小野明君 総務長官が三十分だそうですから、十時半までということのようでございますから、最初に長官にお尋ねする分だけまとめてやりたいと思います。
 それで、基本法の十九条によりまして、汚染のきびしい地区に対しましては基本方針を示して公害防止計画をつくると、こういうことに規定をされております。それで簡略にお尋ねをいたしたいと思いますが、北九州市の汚染の状況がきわめてひどい状況にあるということは御承知だと思いますが、この北九州市に対しましてはいつ基本方針を示されるのか、それをお尋ねをいたしたい。
#4
○国務大臣(山中貞則君) 北九州市は四十六年度に基本方針を指示することをめどにしていま作業を進めておりますが、それと一緒に行なわれる予定のものが鹿島、名古屋、尼崎、大分の鶴崎というところで予定しております。
#5
○小野明君 四十六年度、明年示すということですね。そういたしますと、これが具体化されてくるのはいつになるわけですか。
#6
○国務大臣(山中貞則君) 先般三地区について指定をいたしました際は、昨年の五月の指示がようやく本年の終わりごろになってきまったという初めてのケースでもございましたし、財源担当の大蔵省としても地域ごとに先取りと申しますか、公共事業の中の下水道予算等が固定されて五年間先取りという感じになるものですから、それらの基本的な姿勢の問題で少し議論を交換いたしましたので、おそきに失した感がございます。しかし、これは一つのルールができたということになりましたので、これから先は、規模の大小その他は別にいたしましても作業は相当スムーズに進むと思いますから、これは指示をいたしますと、そう遠くない間に県側との間に意見の調整をはかって最終的な総理大臣の承認行為というものができれば同じ年度内に行なわれるようにしたいものだと私は考えております。
#7
○小野明君 同じく福岡の県内でございますが、大牟田市も最近非常に汚染がひどい状況になっておりますが、同時に大牟田市に対しても基本方針を示されるお考えであるかどうか。それはいつごろになるかお尋ねいたしたい。
#8
○国務大臣(山中貞則君) これは来年度から始まるわけでございまして、一応その次のランクとして大牟田市が入っております。それについては大牟田地区でありますが、八戸、木更津、君津、富士、瀬戸内海沿岸等と一緒のランクでただいまの北九州の次には大牟田ということで作業がいま進められておるわけでございます。
#9
○小野明君 そうしますと、年度が一年おくれてくるわけですね。
 それから、これは厚生省にちょっとお尋ねをいたしておきますが、この前から何度もお尋ねをしておりますが、そのたびに資料がそろわないということで明確な答弁があっておりませんが、最近の調査によりますと、尿検査もかなり高い数値が出ておりますが、例の要観察地域の指定の問題でございますが、これはどうなのか、ひとつ明確なお答えをいただきたいと思います。
#10
○政府委員(曾根田郁夫君) ただいまお尋ねの大牟田市の要観察地域の指定の件でございますが、先般県の健康調査の結果が発表になりまして、第一次検診二千五百四十人のうちで尿のたん白プラスにあらわれた者が百四十人ございました。この百四十名について第二次検診を実施いたしましたところ全体の平均が一リットル当たり一〇・三マイクログラムというふうに要観察地域のいわば九マイクログラムをこえておりますし、また、暫定対策要領による第二次検診のスクリーニングの基準になっております三〇マイクログラムをこえる者が五名というように非常に高い数値が出てまいりました。その他の米等の資料も全部出そろいましたので、できるだけ早く、もうすでに県から指定申請書が出ておりましたので、来週早々県の係官が上京するということになっておりますので、そこでいま残っておりますのは具体的な線引きの作業だけでございますから、そこでできるだけ早く話をまとめまして年内に指定を終わりたいというふうに考えております。
#11
○委員長(占部秀男君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#12
○委員長(占部秀男君) 速記を起こしてください。
#13
○小野明君 それじゃ一体この基本方針を示して、公害防止計画といいますと、その地域、圏内というものが一貫してスムーズな計画のもとに公害防止計画が立てられるように思います。それで問題の北九州市における洞海湾というのは国が基本方針を示して公害防止計画の中に入れるべきものかどうか、その辺のお考えについてはいかがなものでしょうか。
#14
○国務大臣(山中貞則君) 長年にわたって海底に堆積しております有毒物質等も含んでおるらしいといわれておりますヘドロ、こういうものは公害防止事業費事業者負担法案の仕事の内容で処理できるのではないかと思いますが、ただいま北九州市、福岡県あたりが計画をしております埋め立て緑地、公園等の造成、こういうもの等はこの基本法の問題でなじむ範囲と、場合によっては公害防止の事業計画、公害地域ごとの計画の中に入っていく部分もあるいは出てくるかもしれないと考えておるわけでございます。
#15
○小野明君 そうすると、全体として入れるということではなくて、部分的には入ってくるということのようですが、一体どういうふうになるんですか。
#16
○国務大臣(山中貞則君) これは地元の御希望にもよりますが、公害防止事業費事業者負担法案でやったほうが早いのじゃないでしょうか、防止法のほうが五年ですからね。いま緊急調査は、この前、一千万と小野委員の質問に対して私が明らかにいたしましたが、それによってどのようにやるかは、調査は緊急調査として始まっておりますので、これが行きますと関係事業場の負担の金額が定まって、国が四分の三から十分の十という範囲内において負担がされるものと思いますけれども、それに伴って行なわれる事業としての、埋め立てた上に対して何をつくるかという問題、これ等がまあどちらの分野に属するかくらいでございますし、少なくともしゅんせつで、そのしゅんせつしたヘドロを捨てる場所として埋め立てをはかっていくということは公害防止事業費事業者負担法案の中で処理していったほうが早さはあるようにいまのところ感触としては思っておりますが、関係地方公共団体の方々の御意見を聞いて最終的には処理したいと考えております。
#17
○小野明君 負担の問題が出ましたから、洞海湾についても続けてお尋ねをいたしたいと思います。ヘドロですね、この負担率というのは一体どういうふうになるのか、これをお尋ねしておきます。
#18
○国務大臣(山中貞則君) 費用負担法の第七条第二号、「たい積物中に人の健康に有害な物質が相当量含まれ、又は汚でいその他公害の原因となる物質が著しくたい積し、若しくは水質が著しく汚濁している場合四分の三以上十分の十以下の割合」、このイの条項にほぼ水の色といい――今回は色も言うことになりましたから、色はすなわち著しく汚濁しているということの中に含まれるわけでございますから、中には、堆積物中に人の健康に有害な物質も相当含まれているやの、これはデータを分析しないとわかりませんが、そういうこと等もうたわれておりますので、おそらくこのケースの中に入っていくであろうと考えられますが、しかし、その場合に、ある特定企業は専用埠頭を持っておりまして、その専用埠頭をつぶしてそこを使わないこともこれはデメリットの一つでありましょう、あるいは社会奉仕の一つでありましょうが、そういう専用している埠頭等が埋め立てられる場合に同意をいたす場合なんかについては、これらの負担について、負担額そのものについて、あるいは率について都道府県知事のもとに置かれる審議会等を通じてその議論がなされた結果、それの減額その他をはかられる余地は、場所によってはあるのではないかという気もいたしているわけでございます。
#19
○小野明君 七条二号のイの項が適用されて、四分の三以上十分の十以下、これになるだろうという御答弁であります。そこでこの条文を見ますと、非常に判断の基準が立たないことばがあるわけですね。たとえば「人の健康に有害な物質が相当量」、こういうことばがあります。「有害な物質」とは何かという問題もありますし、「相当量」とはどういう分量なのか、あるいは「原因となる物質が著しくたい積し、」という「著しく」についてもわかりませんし、あるいは「水質が著しく汚濁している」、こういうふうに判断基準に苦しむことばが多いのですが、これらは一体どういうことになるわけですか。
#20
○国務大臣(山中貞則君) 「人の健康に有害な物質」と言えば、洞海湾では砒素と水銀等がすでに検出をされているということも報告がありますし、この「相当量」というのは、やはり「人の健康に有害な物質」というものが含まれることについては相当きびしい意味の「相当量」ということであろうと思いますし、また、これらが判断に苦しむような表現がしてあるということは、ここでかっきりと書き分けるというには非常にむずかしい微妙なケースが多い。そこでやっぱりその地方の実情に一番ふさわしい判断が最終的な判断として選択されることが必要だろう。こういうことで、ある程度の解釈のしようがありそうな表現にはなっておりますけれども、たとえば、「著しくたい積」するという場合に、洞海湾の場合は海底上に二メーターほど積もっておる、しかし、それは港則法違反に問われるような、航行に障害を来たすところまでいっておるかどうか。これらのところは、地域の場所は別にして、大体はそういうふうにはなっていないだろう。だから、ここのところなどは、あるいは田子の浦のように一律には読めないという感じがしておりますし、「水質が著しく汚濁している場合」は、先ほど申し上げましたように、もう汚濁は当然なことであるし、色そのものまで今回は考えるわけでありますから、明らかにそういう該当になる。判断は、このようなものさしを示しておきまして、そして大体地方において施行者である都道府県知事が最終的に判断をするということになるわけであります。ただし、このイとロに分けてありますのは、イの場合は、これは別に緊急にやらなければならないものという性格も持っておるわけであります。でありますから、洞海湾の場合は緊急調査費というものを政府が支出いたしまして、したがって、これはもう明らかに初めから緊急を要すると見て、このイの条項に該当するものとしての調査費が出されておるわけでございますから、これはイの範疇に属することは間違いはない。あとのこまかな判断はそれぞれの都道府県がなさるであろうという感触でございます。
#21
○小野明君 この二のイの条項については、おっしゃるように、洞海湾とか田子の浦といった場合には明らかにこれはこのことばで該当するわけですね。しかし、これから日本全国、公害がますますひどくなると、こういった場合に、この条項に該当するかどうかということについては、いま私が指摘をいたしましたことばにつきましては当然一つの判断基準というものが政府から示されてしかるべきではないか。地方の審議会まちまちの判断になるおそれもありますし、そういった基準というものが示されてしかるべきではないかと思います。この点はいかがでしょう。
#22
○国務大臣(山中貞則君) 私たちは、これは法律によっておおむねよるべき基準を定めておけば、大気や水質のように、知事さんの当てはめということでおおむねその付近の県民が納得する線に落ちつくだろうと。一応の良識は持っておりますし、しかし、知事によっては、特定のまた企業ないし企業に対する考え方というものにおいてそれぞれの開きのある知事さん等、これは千差万別だと思わざるを得ません。そういうことで、もし地方の知事の判断が大きく基準を狂わせるというようなことでもある場合はこれは困りますので、それらの点は、今後この法律を施行いたしまして、具体的に本部のほうでも関係各省と相談をしながら、大体このイのカテゴリーに入るであろうと思われる地域とか、あるいはロの範囲でやらなければしようがないであろうと思われる地域とかというもの等についての判断の基準とか、中央の考え方というものは何らかの形において――これは押えつける形じゃなくて、よるべき解釈の、中央の見方というようなもの等は参考にしていただくような措置をとる必要があろうかと考えております。
#23
○小野明君 私は、一応判断基準を示すべきであると、このように思います。まあ長官はそのように御答弁なさるわけですが、今後検討願いたいと思います。
 次に、先般の質問から――調査費が一千万円、本年度繰り上げられてつけられました。いま調査をされておると思いますが、年度内にされると思いますが、これらについては――大体汚染状況の調査は、昨年でありますか、一応やっておるわけですね。今後の調査というのは、どういう項目にわたって調査をなさる計画であるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
#24
○国務大臣(山中貞則君) 具体的には港湾地域が主でございますから、運輸省において答弁をしてもらいたいと思うのですけれども、要するに、ただいま北九州市並びに福岡県からあげられております計画、その計画を具体的に実施するために、はたしてできるかできないかも含めて、その地方で予定された計画の実施のための調査ということが重点になろうかと思います。
#25
○小野明君 そこで港湾局にお尋ねをいたしたいと思いますが、一体、どのような調査になるのか。
 もう一つ重ねてお尋ねをいたしておきますが、すでにしゅんせつが行なわれておるわけですね。これは公害防止ということではなくて、航路、港湾機能維持という目的かもしれませんが、すでにしゅんせつ事業が始まっておる。この費用総額あるいは負担区分、公害防止の観点というのは、あるのかないのかお尋ねをいたしたいと思います。
#26
○説明員(竹内良夫君) まず、調査でございますが、長官からお答えいたしましたとおり、国費といたしまして本年約一千万円程度、一千一万六千円という、調整費から支出をしております。そのほかに、一般的な港湾調査といたしまして、いわゆる洞海港と申しますのは、洞海湾と小倉、門司等含めまして、運輸省の国費分といたしまして、百二十四万五千円の金額で調査を実施しております。これのほかに、港湾管理者がみずからこれとタイアップして行なう事業――先ほどの一千万円にタイアップして行なうのが一千万円でございます。それから運輸省分の百二十四万円に対応して行なうものが約二百万円ございまして、運輸省と地元港湾管理者一緒に行ないます総計が約二千万円強というような形で調査を進めていきたいというように考えております。
 じゃあ、どのような調査をするかということになりますと、先ほど長官のお答えいたしました一千万円のいわゆる調整費のほうの調査は、洞海湾が非常に湾形になっておりまして、これは海の潮汐が非常にきかないわけであります。どちらかといいますとデッドウォーターになっておりまして、水が死んでいるわけでございます。このようなところに悪い水が入ってきたときに、一体どのように拡散していくかとか、そういうような一つの汚濁機構といいますか、汚濁のメカニズムを研究していきたい。そして、それをむしろ洞海湾を一つのモデルとしまして、全国的な将来のこれからの港湾をどうやってつくっていくかという、一つの参考にもしたいというのが主としてこの一千万の調査でございます。そのほかの残りの調査とか、あるいは港湾管理者の行なう調査は、現在の洞海湾がどのようによごれているか、たとえば流量がどういうふうに流れているとか、あるいは水質がどうであるとか、底質がどうであるとか、海底の堆積物はどうであるとか、そういうような、現在の具体的な洞海の汚染の状況を調査していきたい、こういう調査でございます。
 それから二番目の御質問の、しゅんせつがすでに行なわれているという状況でございますが、これは相当昔からしゅんせつが行なわれております。で、現在関門海峡から洞海のほうへ、ずっとこう奥深く航路を掘っておりますが、これが関門海峡から若戸大橋まで、この間の航路を大体三百五十メートルから二百五十メートルの幅、水深が九メートルの航路にこれを整備しつつあります。それからまた、奥洞海から奥のほうに至りますと、大体八メートル五十から九メートル、幅も二百メートル程度に狭くなりますが、このような航路に整備をしていく。大体におきまして、この整備は国がみずから直轄で行なっております。
 それから、それに付属いたしまして、いろいろな泊地というのがございます。泊地と申しますのは、例の船がとまっていくところでございますが、これは補助事業で行なう。補助事業と申しますのは港湾管理者が実際に実施するわけでありますが、これに対して国が補助をしていくというたてまえをとっております。
 それからもう一つ、機能を維持するための事業は、港湾管理者みずからの費用で毎年維持のしゅんせつを行なっています。これはずいぶん昔からあるわけでございますが、第三次五カ年計画という昭和四十三年度から昭和四十七年度までの一応の洞海だけの計画を申し上げますと、直轄、補助、維持合わせまして約六百五十万立米をしゅんせつしたいというように考えています。そのうち、四十五年、本年度までに完成する予定のものは約三百五十万立米でございますので、四十六年と四十七年、来年度と再来年度でやるのは約三百万立米残っているという形でございます。このうち直轄と補助につきましては、いわゆる改修事業でございますので、たまったものじゃございません。要するに地盤を掘っていきます。維持のほうになりますと、これはたまったものでございます。したがいまして、維持のほうにむしろ、たとえば毒素が入っているとすれば沈でんしたものでございますから、維持事業のほうにあるわけでございまして、地あまのほうにはどれだけ入っておるかまだよくわからないわけでございます。しかし、いままでの工事に関しましては確かに公害面からの調査はしてございませんが、土砂を捨てますと漁業の問題に非常に関係がございます。そこで従来は、甘り土砂を掘って捨てるわけでございますが、捨てたときの土砂が漁業に支障のないように、拡散しないように、たとえば埋め立て地を利用してそこに捨てていくとか、あるいは現在では、特にヘドロが外に飛び出さないようにワクをつくりまして、そのワクの内側にビニールを張りましてその中に捨てていくというようなことを、たまたまといいますか、実施してまいってきております。今後も、公害防止対策の面から考えましてもその方法が最上ではないかというように私どもは考えております。
#27
○小野明君 六百五十万立米といいますが、ここのヘドロの量というのはどれくらいあるわけですか、推定してみますと。
#28
○説明員(竹内良夫君) それはことしの調査で当然わかるわけでございますが、陳情書等がございまして、そこら辺のところから見ますと、八百万立米とかなんとかということで出ております。ただ、その数字は、私どもとしては、あれはたしか二メートルというふうに推定をしてございまして、それは明確であるとは断言できないと思っております。
#29
○小野明君 それから、当然これは「四分の三以上十分の十以下」の負担ということになっていますね、費用負担からいきますと。それで、こうなりますと、産業排水の量と一般分の区分とか、これは港湾局になるか公害対策本部になるかわかりませんが、こういう問題それから過去の堆積を何年前にさかのぼるのか、こういった問題があると思いますが、これらについてすでにおわかりであったら答弁をいただきたいと思います。
#30
○説明員(竹内良夫君) 先ほど申し忘れたのでございますが、直轄事業と補助事業のような改修事業、すなわち地あまを掘っていくのが現在までの大部分の補助事業でございます。これに対しましては国が二分の一の補助をしております。それから、維持事業につきましては管理者がみずから自分の費用でやっております。今後の問題につきましては、公害対策本部のほうと一緒に考えていくということになります。
#31
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの洞海湾につきましての、関係事業者から出てまいりました分とその他の家庭排水等からのヘドロの区分けでございますが、これにつきましては現在調査がございませんので、今後、費用負担が行なわれる時期までに調査をしました上で確定するということになろうかと思うわけでございます。
 それから過去の分をどうするかということでございますが、費用負担法では、当然、過去に堆積しました有害物質のしゅんせつ等の経費も、現に関係事業者がおります限り負担さすことができるというようになっております。
#32
○小野明君 通産省お見えですね。一番肝心なのは工場の排出規制ですね、こういうものがどのようになされておるか、改善をされておるのか、それが非常に問題だと思います。汚染源ですからね。その辺の規制を強化しておられるならばひとつ簡略に説明をいただきたいし、今後の見通し等についても説明をいただきたいと思います。
#33
○政府委員(莊清君) 洞海湾関係では多数の工場がございますが、特に大口の二十数工場がございます。この二十数工場につきましては、洞海湾の水域指定に備えまして、従来から、行政指導の形で各工場ごとに排水状況を調べまして、設備の取りつけ、改善強化について指導を個別にやってまいりまして、大体現在のところほぼ基準に合格し得る線まできておる次第でございます。
 なお、洞海湾の場合には、特に問題になりましたのがシアンがございまして、シアン関係では、大企業も含めまして六工場ほど、特に排水状況の悪い工場が調査の結果判明いたしましたので、洞海湾については企画庁のほうでもシアンについてはきびしい基準をつくるという大体の御方針もかねがね承っておりましたので、六工場については特に念入りの指導をいたしました。その結果、現在のところ、問題は現在の排水についてはなくなっておるものと判断しておる次第でございます。
#34
○小野明君 六工場のシアンについて、最近の調査のデータがございますか。
#35
○政府委員(莊清君) 手元には持っておりませんが、さっそくに工場ごとに御報告いたします。
#36
○小野明君 次に、総務長官にお尋ねしますが、大牟田川のヘドロというのもこれは問題になって久しいわけですが、これはしゅんせつがすでに行なわれておるように聞いておりますが、これの負担区分というのはどういうふうになりますか。
#37
○政府委員(城戸謙次君) 大牟田川の場合でございますが、これもまた、主として流域に存在します工場群からの排水によるヘドロという問題が非常に大きくクローズアップしているわけでございます。私の聞いています範囲では、県の単独事業としてしゅんせつのための経費を計上しておりますが、実際には、処分の場所その他の関係がありましてまだ実施されていないということでございます。実は、費用負担の関係から申し上げますと、負担法に規定がございまして、附則の一項でございますが、「この法律の施行後に実施する事業について適用する。」と、かようになっているわけでございます。まだ実施していませんが、むしろ費用負担をかけていくには好都合だということでございます。この費用負担法が施行になりましたあと実施されました場合の負担の割合等でございますが、これは事業者が審議会の意見を聞いてきめるということでございまして、ただ大牟田川の場合、非常に汚染の度合いがひどいということでございますから、おそらく概定割合としましては先ほどの第七条第二号のイの「四分の三以上十分の十以下」という基準が適用されることになろうかと思います。
#38
○小野明君 負担法の関係で続いてお尋ねをいたしますが、総務長官、先般衆議院で、負担法の関係は住宅と学校移転にも適用するというふうに御答弁になったと思う。そこで、現に学校がやっております防止施設たとえばエアークリーナーをつけるとか、あるいは防音施設、騒音防止の施設、いろいろな施設がすでに必要としてやられております。また、今後こういうものが実施をされる可能性も非常に強い。これらも当然にこの負担法が適用されてしかるべきだと思いますが、これはいかがでしょう。
#39
○国務大臣(山中貞則君) この負担法は、言うまでもなく公共事業として国及び地方公共団体が行なう場合でございます。でありますから、学校の移転等は公共事業で行なうことが当然の自明の理でございますので、一応例示いたしたわけでございますが、しかし、防音、その他のそれに付帯するさしあたりしておく必要がある工事、これ等については文部省のほうにおいて騒音や、あるいはそういう公害のひどい地域等についての何らかの措置を考えるような意向も聞いております。その際にそれが、やはり学校建築でございますから、公共事業として行なわれる場合はその部分についてもおそらくこの負担法はきいてくるであろうと考えておりますけれども、具体的な文部省の計画基準になると私もちょっとわからない点がございます。
#40
○小野明君 そうしますと、これはやはり総務長官の見解では、たぶんこれも適用になるだろう、こういう見解ですね。
#41
○国務大臣(山中貞則君) あくまでも公共事業として行なわれる場合でございますから、したがって、学校は大体公共事業でやる範囲の中のものだと思うのですが、部分的な改修とか、あるいは設備をちょっと改良するとかいうものを公共事業として文部省が補助もやってやらせるのかどうか、そこらのところがやはりこの負担法に関係が出てくるか出てこないかの問題点であろうと考えます。
#42
○小野明君 そうすると、かなり多額にのぼってまいる施設、これが公共事業としてやられる場合には、当然この負担法が働いてくる、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
#43
○国務大臣(山中貞則君) 金額じゃないと思います。その行なわれる事業の性格が公共事業であるかないかということだけで仕分けるのであって、金額の大小は関係がないというふうに私は受けとっております。
#44
○小野明君 そうしますと、学校なんかでやります公害防止の施設というのは、ほとんど公共事業としてやられるのではないのですか、いかがですか。
#45
○国務大臣(山中貞則君) 文部省がおりませんから確定的なことは言えませんが、学校、なかんずく小中学校、義務教育については、まさにその範疇に属するものと常識上考えられると思います。
#46
○小野明君 長官に重ねてお尋ねをいたしますが、今度の法案では調和という条項が削除をされました。ところが、しかし削除をされたけれども、一体具体的な効果といいますか、どうあらわれておるかということになりますと、環境基準は変えない、あるいは排出基準は変えないというふうな御答弁がありまして、一向に効果というものがないように思います。それで調和の条項を削除したことによりまして、一体どういう施策に変化というものが考えられるのか、この辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#47
○国務大臣(山中貞則君) これは一つは政府の公害に取り組む姿勢の問題に疑問を持たれるような条項はないほうが当然のことであろうということで、いわゆる政治姿勢論がまず出発点の一つであります。さらに具体的には、ただいま排出基準も変えないとおっしゃたのですが、これは今回の法律が通りますと、相当きびしい排出基準、しかも全国一律ということになりますので、これはやはり変化が出てくると思いますが、さらに具体的には、法律その他の条項ではどうなっているかと言えば、第三条の事業者の責務に産業廃棄物という形で前処理を義務づけておりますし、さらにこの負担法案に踏み切ったということも、法律の要請があって三年ぐずぐずしていたと言えばそうですけれども、踏み切るには踏み切るだけの非常にむずかしい議論を克服してここまで持ってきたということはそのあらわれの一つだろうと思いますし、第十七条の二項に自然環境その他の問題について触れたのも、そういう姿勢の一つでございます。さらに、大気や水質について、全国一律にしてこれの地域指定制を廃止する、さらに知事の上乗せ権限を認めているというようなことも、そういう具体的な面のあらわれの一つであると認めていただきたいと私たちは念願しておりますが、さらに、海洋汚染防止法、これを単に油濁防止法としないで普通の廃棄物もこれにとらえていった。さらに、清掃法等の概念も、今日までの市町村固有事務としての単なるいわゆる清掃法であったものが、これは廃棄物処理法というような名前を一応かぶせて衆議院に出しましたように、広義の広域清掃処理体制、産業廃棄物というものの前処理を義務づけつつも、これらの施設をつくって、少なくともその使用料を払いながら処理して、第三条第二項にいう公害の現状が起こらないように事業化することを余儀なくする体制をつくった。これらの問題が、私たちとしては、基本法第一条第二項というものを削除したことによって起こった政府の姿勢の具体的な変化であり、具体的な法律内容の改正であるというふうに考えておるわけでございます。
#48
○小野明君 それでは、大気汚染関係でお尋ねをいたしたいと思います。
 これによりますと、硫黄酸化物の排出基準については、これは従来どおり地域の汚染の程度に応じて規制をする、これは上乗せは認めないということになっています。ところが、粉じん、カドミウム、弗化水素、これらについては、先回の衆議院のほうで、上乗せを認める、こういう次官の御答弁があったようであります。それで、肝心な硫黄酸化物の排出基準については上乗せを認めないとすることは、非常にこれは問題ではないかと思いますが、この辺の御見解をまず承りたい。
#49
○政府委員(橋本龍太郎君) 最初に、小野先生にちょっとお断わりをいたしますが、私の答弁と申しますよりも、上乗せについての中身は、これは政府の統一見解であります。その点だけ最初に申し添えさせていただきます。
 確かに硫黄酸化物を除く他のものについては、今回の改正法の中で私どもは、上乗せは都道府県知事の力でやっていただくようにきめました。しかし、硫黄酸化物の場合には、実は二つの問題点がございます。もうすでに先生御承知のことと思いますから、むしろこまかく申し上げる必要もないかと思いますが、一つは、それを規制を強めるということと同時に、硫黄酸化物特有の大きな問題として低硫黄の燃料をどこまで確保できるかという大きな実は問題点があるわけであります。世界的に見て、現在の原油供給体制の中でわが国が入手し得る低硫黄原油というものの量はおのずから一つの制約がございます。各国が同じようにやはり低硫黄原油というものを争って入手しようとしておる。その中で限られた供給量しか想定し得ない低硫黄原油を実際に最も効果的に必要な場所に必要な量の供給をしていく。野放しの法体制でほかのものと同じように必要以上の上乗せもできるという体制をとってまいりました場合に、この原油の供給体制そのものにも大きな実は問題が出てまいります。硫黄酸化物の場合には、そうした状況が別にありますために、その限られた低硫黄原油を汚染状況から見て必要とする地域に必要な時期に必要な量を供給するという全国的なたてまえをひとつ考え、国が都道府県知事の意見を聴取しつつ地域の実情に応じて定めていくという考え方をとりました。ただこれは、いずれにいたしましても、国としては燃料の需給状況の中で低硫黄原油というものを量的にも確保しなければなりませんし、また、低硫黄原油そのものが入手できない場合に脱硫装置等の開発、効果的な操作等を必要とし、その意味での合理的な政策というものがその裏打ちになければなりません。現況において私どもとしては、硫黄酸化物に関してはやはり従来どおりの方式をとることのほうが実情に合うという考え方をとりました。こういう形で御審議を願っておるわけでございます。
#50
○小野明君 次官が率直に言われておりますが、その辺が私は一番盲点であろうと思います。現に私は北九州市に住んでおりますが、この公害法案によって大気の汚染が幾らかでもよくなるかというと一向によくならないわけですね。これはデータを見ましても昭和四十三年から北九州においては上がり始めておる。これは大牟田市も同様ですが、これは全国同じデータになっておるんではないかと推定がされます。で、四十四年になりますとまたさらに上がってきております。環境基準を北九州の場合なんかは各区軒並み越しておるという実情でございます。大牟田市のほうも環境基準に不適合という地区がかなりふえてまいりました、四十四年度ですね。
 そこで、やっぱり燃料使用実績というのを見てみますと、北九州の場合は増加率が三二%ぐらいになっています。大体四十三年が二百四十五万一千キロリットル、四十四年で三百二十四万二千キロリットル、三二%の増加率なんですが、これに従って大気汚染というのが現状よりさらに悪くなっている、こういう実情なんですね。ところが、規制のほうは硫黄酸化物の上乗せを認めない現行、まあ特別排出基準はありますけれども、この辺が非常に私は問題点のようであります。で、いま言われたミナスなり低硫黄重油の確保をどうできるのか、あるいは脱硫技術ができるのかどうかと、この辺が今後の一番のポイントのように思います。いま先に答えを次官が言われたわけですが、それではこの問題は放置したままにしてよろしいかどうか、国のエネルギー政策から見ましても重大な問題になるわけですが、この辺の問題はそれでは壁に突き当たったままかと、規制はできないというままでもこれは問題ではないのか、どうひとつこの壁を越えていくかと、この辺の見通しをお聞かせいただきませんと、どうにもなりません、お手上げでございますという状況ではこれはちょっと問題ではないかと思います。見通しなどについてひとつお答えいただきたいと思います。
#51
○政府委員(橋本龍太郎君) エネルギー政策全体の分野に関しましては、むしろ私がお答えをすべきことではございませんが、私どもの範囲内でお答えできる点だけ申し上げたいと思います。
 たとえばいま先生が例に引かれました北九州市、これは前に本委員会で先生に御質問をいただきましたことがございますが、地形的な要因も非常にありまして、非常に複雑な汚染状況を来たしております。いまいわゆるランクづけをしていきますと、北九州市の場合第三順位くらいの汚染度になっておりますが、こういう特殊な要因を考えていきますと、そのランクを一つ繰り上げていくというようなこともこれは可能でありましょう。そしてそれと同時に、硫黄酸化物の基準そのものについては、私どもは四十六年度、そして四十八年度、関係の各機関における技術開発その他の状況とにらみ合わせながら規制を強化していく方針を今日持っております。
 一応私からそれのみお答えをさせていただきます。
  〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕
#52
○小野明君 これは通産省とも関係があると思いますが、担当者来ておりますかね、いまの燃料問題。
#53
○政府委員(莊清君) 現在の硫黄規制につきましては、先ほど厚生政務次官からお答えありましたように、八段階ございます。北九州市につきましてもその他の地域につきましても四十六年度中に大体四割は少なくともK値を切り下げよう、四割以上ということで今後厚生省と御相談いたしまして作業をすることにしております。なお、このK値につきましては、関係の都道府県知事の御意見を聞いて決定をしなければならぬというふうに現行法でもなっております。改正法におきましても同様でございますので、それぞれの地域の実情を工場ごとに詳細に調べてK値を決定するわけでございますけれども、決定前には当然に地元の県知事さんともよく御相談をしてやるという方針でございます。
 なお、直接御質問のございました低硫黄の重油の供給体制はどうなっているかという問題でございますが、まず低硫黄の原油を輸入するということが一つの柱でございます。現在、ことしでは約三千五百万キロリッターほどの低硫黄の、硫黄分が一%以下の原油を輸入しておりますが、四十八年にはこれをインドネシアその他ふやしまして五千五百万キロリッターの線まで持っていく、大体これは見通しを持っております。これを、これから重油をつくりますと当然に〇・三ないし四%程度の非常に硫黄含有率の低い重油が出てくるわけでございます。しかし、それでは数量が少なうございます。四十八年でも、五千五百万キロリッターの約半分の重油でございますから二千六、七百万キロリッターしか供給できない。残りのほうはどうするかということになりますと、結局一%以上の硫黄含有率のある中硫黄重油とかあるいは高硫黄重油というものをどうしても輸入せざるを得ない実情でございます。これらについては脱硫装置を石油精製業者につけさせまして、この設備も現在のところ約十六基、三十八万バーレルくらいは今年度中にできる予定でございますけれども、これを、倍増とまではいきませんけれども、現在の計画では四十八年度までに約二十七基にふやす、で、日産七十一万バーレルの能力のものにしたい。石油業界では、現在までのところ脱硫装置で約八百五十億円くらいすでに投資しておりますけれども、四十八年度までの総投資額というものはそれを含めまして大体千五百億円程度を予定しております。で、これは日本開発銀行からの融資も来年度も増額したいと考えているわけでございます。なお、関税還付という制度を脱硫についてことしから採用していただいたわけでありますが、これも来年度以降は脱硫について百億円以上の関税還付を計画している。さらに低硫黄の原油の輸入そのものを促進するという意味で、来年度から新たにこの原油の輸入についても関税の還付をひとつ制度として創設してもらいたいということで、現在財政当局と交渉をいたしているところでございます。そのほか重要なものは、やはり火力発電所でございますとか、製鉄所でございますとか、その他大口の排出源に、重油の中の硫黄分を切り下げるが、そこから出てくる煙からもう一度硫黄を取ると、いわゆる排煙脱硫でございます。これは現在技術開発中でございますけれども、電力業界、鉄鋼業界等も、これはぜひ実施しなければならないというこういう姿勢に立ちまして、相当な資金を投入して鋭意研究を現在始めつつあるところでございます。これが技術のめどが立ちましたならば、その成果も取り入れて、さらにK値を大幅に引き下げるということが実はわれわれ通産省としてこの技術開発にかけておる将来の夢でございます。八〇%ぐらい脱硫率があれば、煙からさらに八割も落としてしまうということができますと、これは非常な効果があるわけでございますので、研究費なりあるいは建設の資金なりこういう点でいろんな助成策を講じておりますし、さらにとりあえず火力発電所につきましては、新設の場合にはそういう排煙脱硫装置を取りつけるだけの将来の用地をあらかじめ確保しておくようにということを条件に発電所の新増設の許可をしておる、こういう努力をいたしております。
#54
○小野明君 大体現状わかりましたが、調和の条項は削除されましても、一番肝心な硫黄酸化物について上乗せ規制が認められていない、姿勢の問題ということを長官おっしゃるけれども、やっぱりこの辺が大きく抜けているように私は思います。先ほど御答弁もありましたけれども、この硫黄酸化物の上乗せ規制という方向に進まないと大気汚染の現状というのは救われない、北九州におりますわれわれとしては、不安でたまらぬわけですが、再度政府の姿勢とも言えるような前向きの方向というものを厚生省のほうからひとつ出してもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
#55
○政府委員(橋本龍太郎君) おしかりを受けますけれども、率直に申し上げて現実にできないことを法律に書くこともできません。いまわが国の燃料政策、技術開発その他についての問題点を通産省としてお答えがありました。私どももそれは硫黄酸化物そのものについても上乗せ規制ができるような状況であれば、当然それは取り入れていくべきものだとは思います。しかし、現実の問題としてそれが不可能である、実質的に不可能な状況の中で、いまの時点で硫黄酸化物についても上乗せを認めるということを申し上げるわけにはまいりません。ただその中で、少なくとも四十六年、四十八年と基準変更をして強化をしていくということも先ほど申し上げましたとおりであります。それと同時に、むしろそのバックグラウンドにある問題点が解決すれば、当然やはりこうしたものも上乗せ規制の対象として将来考える時期はまいると思います。ただ今日の時点では、私どもそこまでの、率直に申し上げて責任がとれない燃料供給状況でありますので、今回はお許しをいただきたいと、将来においてできる体制になった場合にはむろん取り入れていくことも考えたいと思います。
#56
○小野明君 最後に長官に、この国会ではかなり、まあ十四の法律案が出されまして、いろんな規制というものが行なわれてきた。しかし、あんまり実質的な効果があるというようなものは、私もこれは不勉強かもしれませんが、期待をすることができないように思います。長官の御努力は認めますが、今後調和条項を削除されて新しい取り組みをなさる方向としてはどういったものをお考えでございましょうか。
#57
○国務大臣(山中貞則君) 調和条項の点だけに限って言われますと、具体的になかなか申し上げにくい……。
#58
○小野明君 全体的でよろしい。
#59
○国務大臣(山中貞則君) ことになりますが、私たちは、法律をつくったのみで終わりとしてはならない、つまり公害国会というようなものをもう一回開いてはならない、開くようになったら私たちはいわゆる敗北である、敗北というのもおかしいのですが、挑戦をし得なかったということに、結果言われてもしかたがないということになるわけでありますから、法案を全部閣議で承認を得ましたときに、総理から、法律は全部出そろったようであるが、これでもって実効を期するためには、それぞれの所管大臣が本部を中心に一体となってその目的達成のための実効をあげる行政努力を展開しろというわざわざの指示がありましたのも、公害国会を終わったら公害問題はおしまいではないのだぞ、公害は何をなし得たかということになるのだということを私は言われたものと考えておりますし、われわれはこの国会を終わりましても、引き続き残っております立証責任転換論の各規制法の検討やあるいは挙証責任の転換や無過失賠償責任論等にどのように取り組んでいけるか、
  〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕
基本的な問題として、これはまさしく経済条項削除の問題を乗り越えていって初めて可能な問題でもございますので、真剣にこれに取り組んでいって、次々と成案を得次第、国会にこれはお許しを得て、法案締め切り日等が過ぎていてもお受け取りを願う、というのは、与野党の同意の上に立って、できたものはどんどん実行に移していくし、法律で制定をされたものの実行については責任をもってわれわれが国民の負託にこたえ得ているかどうかについて絶えず自戒しながら実際の効果をあげていく努力をしたいと考えます。
#60
○小野明君 もう一つ最後に通産省にお尋ねをしておきます。北九州市に戻りますが、ここでは工場立地の規制というものがまだ行なわれておらぬように思いますが、この規制は今後どうなりますか。
#61
○政府委員(莊清君) 御案内のとおり、首都圏と近畿圏につきましてはそれぞれ法律がございまして、過密地帯の工場等の新増設の制限といいますか原則禁止ということを都道府県知事の権限でやっておるわけです。北九州につきましては、私どもちょっと地域開発を直接担当いたしておりませんので、包括的な規制の問題でございますから、ちょっと私の立場から現在お答えする資格がございませんが、首都圏、近畿圏等におかれましても、現行法の運用の強化あるいは制度のあり方等についてもいろいろ御検討なさっておるという話を実は聞いております。そういうこともありますので、今後政府全体として北九州市のような地帯は日本にも数多くあるかと存じますが、結局それらを通ずる問題でもあり、あるいは全国総合開発計画を今後推進していく上での一つの基本的な重要な非常に大きな問題であるかとも考えます。そういうことで、結局政府の関係部局の中で今後検討さるべき問題かと思います。そういうところにまた具体的な個別の規制法を首都圏、近畿圏並みにつくるかどうかという点については、残念ながら私いまのところ存じておりませんので、ちょっとお答えいたしかねる次第でございます。
#62
○小野明君 終わります。
#63
○田中寿美子君 私、この間の連合審査で質問申し上げましたことをもう少し深く御質問したいと思っているんですけれども、山中長官はほかへおいでになるわけですか。
#64
○委員長(占部秀男君) 午前中だいじょうぶです。
#65
○田中寿美子君 それでは質問の順序をひっくり返さないで、いまちょうど小野委員から出ています硫黄酸化物の排出基準のことで、せっかくその問題が出ておりますから、私もその問題から入っていきたいと思います。
 いまの橋本政務次官のお答えですと、低硫黄の重油が手に入りにくいから、排出基準をきびしくしてもとてもそれは各企業がそういうふうな基準を守れないだろう。だから当分はそこに上乗せというようなことをしても無理だと、こういうふうなお答えでございますね。そうでしょう。そうじゃないですか。それじゃもう一度はっきり、なぜ上乗せ規定がないのか、上乗せできないのかということについてもう一度それじゃおっしゃっていただきたいと思います。
#66
○政府委員(橋本龍太郎君) ちょっと小野先生の御質問自身の中に一部が含まれておりましたので、私のほうから答弁の中で申し上げますことを避けました点でございますが、あらためてその点は申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、硫黄酸化物に関しては確かに上乗せを認めておりません。そのかわりに、むしろ、全国を通じて八段階のいわゆる規制を加えております。そうして、その中で限られた燃料、低硫黄燃料というものを、その最も必要な時期に必要な場所に必要な量を供給しなければならない。そういうことを私は申し上げました。そうして、小野先生のお話の中そのものにいわゆる八段階制度というものが含まれておりました。私はその点をわざわざ繰り返す必要もないと思いまして、小野先生に対する御答弁では申し上げなかったわけでございますが、その部分と、いわゆる規制の強化、同時に燃料政策と、その両方の要因があるわけであります。あらためてその点は申し上げさせていただきます。
#67
○田中寿美子君 それじゃ、この間私も連合審査のときにお尋ねしたのですけれども、たとえば硫黄酸化物の環境基準のほうは〇・〇五PPMですね。そうしますと、〇・〇五PPMに合わせるためには八段階のK値がある。東京のように非常にたくさん事業場があって、たくさんの煙突から硫黄酸化物が出てくるようなところは、この八段階のうちの一番上にランクされているわけですね。そうでしょう。このランクされた一番上のK値というのが一一・七ですね。この一一・七のK値で東京の排出基準をくくりましても、一万も硫黄酸化物を排出する事業場があるわけでしょう、東京には。そうすると、はたして〇・〇五PPMの環境基準になるかというと、それはならないでしょう。それはいかがですか。
#68
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに即刻改善されるとは私も申しません。これは環境基準の達成目標期限というものに一応十年という期限がございます。その間において私どもはその目標を達成しようとしているわけでございます。
#69
○田中寿美子君 つまり、〇・〇五PPMの環境基準に合わせるために十年の期間がかかるという考え方でございますね。はたしてそれがそうなるかどうかということなんですが、たとえば東京都内に次々と高層ビルが建つわけです。この高層ビルの排出基準も高いと。東京なら高い。高さに応じて基準をきめるようになっておりますでしょう。それで、今度は超高層ビルもできてくるわけですね。そこから出てくる煙が拡散するから着地濃度は基準に合うのだという東京都の考え方ですね。そういうふうになりますでしょうか。かえって私は、だからいまの場合、いまの排出基準でやっていっては、かえって空はどんどんよごれていくのではないかというふうに思うのですが、確かに十年以内に下がっていくという見通しを持っていらっしゃいますか。
#70
○政府委員(橋本龍太郎君) いまの御質問の中で、問題点として提起されましたものが二つございます。
 一つは新設工場群ですが、これは特別排出基準をかぶせてまいります。同時に、いまお話しになりましたような人口稠密地帯における高層ビルその他、これに対しては燃料規制をあわせて行なってまいるわけであります。私どもは実施できると考えております。
#71
○田中寿美子君 その燃料規制ですけれども、「燃料の使用に関する措置」というところですね。これを見ましても、ちょっとはっきりしないのですがね。「当該ばい煙発生施設で燃料使用基準に適合しない燃料の使用をしていると認めるときは、その者に対し、期間を定めて、燃料使用基準に従うべきことを勧告する」と。この「期間を定めて、」というのはどういうことですか。そうして、どういうときに、どういう燃料を使えというふうに、どういう期間にさせるのですか。
#72
○政府委員(橋本龍太郎君) 十五条の燃料の使用に関することは、条文の一番最初に書かれております「都道府県知事」の権限の問題であります。しかし、非常に簡単に申し上げてしまえば、大量の燃料を一斉に各ビルその他が必要とする時期というものは、おおむねやはり暖房を必要とする、すなわち冬期間であろうと思います。たとえば、その「期間」という点には、当然暖房を必要とする期間というものがその目安になるかと思います。また私どもは、都道府県知事に与えられた勧告権、命令権というものを当然駆使してこれには対処していかれる、私どもとしては、これで十分仕事をしていただけると考えております。
#73
○田中寿美子君 その場合に、たとえば北九州とか東京とか大阪とか、たいへん施設が多くて、いまの排出基準、K値でやってもとてもきたなくなりそうなところ、事実非常によごれているわけなんですが、そういうところで、都道府県知事が、この法律よりはきびしい排出基準をもし使ったとしたら、つくったとしたら、それはどういうことになりますか。つまり、もっときれいにしたいという考え方なんですね。空をきれいにしなければいけない、だからいまの排出基準ではきれいにならない、そう考えて知事がもう少しきびしい排出基準をつくるということだったらどうなんですか。
#74
○政府委員(橋本龍太郎君) もう一つ御質問の趣旨がはっきりしませんのですが、それは硫黄酸化物についてでございますか。
#75
○田中寿美子君 ええそうです、硫黄酸化物。
#76
○政府委員(橋本龍太郎君) 硫黄酸化物についてであれば、先ほどから繰り返し御答弁を申し上げておりますような私どもは考え方をとっております。
 それと同時に、もう一つ考え方としてお聞きを願いたいと思いますのは、おおむね、大気汚染の場合、一つの都道府県それ自体で処置できるのには限界があります。今日の東京の上空の汚染度、これはただ単に東京都内で排出される有害物質のみで汚染をされているわけではない。あるいはその日の風向きによっては神奈川県方面から流れてくるものもあるでしょうし、あるいは日によっては千葉県方面から流れてくるものもあるかもしれない。逆に、東京で排出されたものがそのほかの府県をよごしておる場合もあるかもしれません。そうしてまいりますと、一つの行政目標としてお考えになる場合はともかくとして、その基準は、もしその都道府県そのものだけで御処置になろうとすれば、むしろかえって一つの限界にぶち当たるのじゃないかという気が私はいたします。
#77
○田中寿美子君 硫黄酸化物の環境基準が〇・〇五PPM、排出基準のほうは八つの段階がある。東京都内の汚染の状況を見ますと、〇・〇五PPMの環境基準をこえているところは非常にたくさんありますね。年平均、大田、品川、東京湾寄りの千代田、中央、江東、荒川と、みんな〇・〇五PPMの環境基準をこえたという非常に汚染された地域なんです。これは、だから人の健康にとって非常に悪いことであり、そして、環境基準をこえているという意味では、これは直さなければならない地域でございますね。それで、東京都条例では、知事が排出基準をつくることができるとなっておりますね。それをどうお考えになりますか。
#78
○政府委員(橋本龍太郎君) 私はその東京都条例の中で「環境上の基準」ということばを使ってございますけれども、はたして先ほど申し上げましたことがちょうどそれに当たるわけであります。はたして、それなら東京都の汚染を東京都だけで解決なさることができるかどうか、それをお考えいただきたいと思うのであります。そうしますと、その場合に――私は、ですから行政目標としてお考えになること、それが決していけないと申し上げるつもりはございません。しかし、その一つの都道府県のみで大気汚染というような広域の被害を及ぼす性格のものを、これを処置することは実質上先生お考えいただいてもよく御承知の困難さがあります。そうしますと、私どもは、むしろ、やはり都条例で使われておる「環境上の基準」ということば、これは一つの東京都としての行政目標というふうに実は読ましていただいております。それについて私どもはいかぬと申し上げるつもりはございません。ただ、実質上の問題から見て、これは行政目標と解さざるを得ない、私はそのように考えております。
#79
○田中寿美子君 お考えはわかりました。行政目標と考えるからこれを否定する気はないということだろうと思います。もちろん東京都だけで東京の空がきれいになるなんてだれも思っていないと思いますから、それは少し論点をずらしていらっしゃると思います。それぞれ、もしそうであれば、神奈川県ももっと注意しなければいけないし、それから千葉県のほうも注意しなければいけないわけですね。ですから、お互いに非常に亜硫酸ガスを、硫黄酸化物を排出することの多い地域では、努力目標は高く掲げていく。そうして、政府のほうで〇・〇五PPMの環境基準を達成するのには十年かかるというときに、十年。もっと実は〇・〇五PPMよりも高いですからね、事実は。悪いところはもっとたいへん高いですからね。ですから、十年でなくて五年でしたいという、こういう目標を自治体が立てたときには、そのために基準をもっときびしくしていくということは、これは、私はけっこうじゃないかと思うのです。そのことを申し上げたかったわけです。法律というものは、みんな最低の基準だと考えていいじゃないか。だから、その法律よりは高く、現実をよくしていこうという努力があったらそれを認めるべきではないかということなんです。
#80
○政府委員(橋本龍太郎君) ただ、現実問題として、たとえば東京都だけが非常にほかの府県のことを抜きにして、低硫黄原油を全量確保されてしまったとしますと、なるほど確かに東京はそれで済むかもしれません。しかし、日本の国土全体を考えた場合に、やはりそれでは困る場合もあります。そういう点が、現実の問題として先ほどから何回も申し上げておりますように、原料の供給という、低硫黄原油の確保という、また脱硫技術の開発という、こうしたものを背後に控えて実質的に八段階の方式をとってきびしくする。あるいは、汚染の度合いの少ないところは、比較的に規制をはずしながら、必要な時期に必要な量を必要な場所に送りたいという燃料政策からのからみで先ほどから御答弁を繰り返しているとおりのことでございます。
#81
○田中寿美子君 いまの低硫黄重油のことなんですけれども、つまりもっとおそらくはっきり言えば、東京都だけは低硫黄重油を確保しているじゃないか、ほかの県にはそれが行かないようになるじゃないかというような言い方だったと思いますけれども、低硫黄重油の問題は、いま中近東から重油を入れておりますが、それも非常にS分の高い重油を入れているわけですね。ですから、その辺をもっと考慮できるのではないか。ミナス原油みたいに非常に低いものでなくてもS分が一・一%以下なんというそういう低いものでなくても、一・五とかあるいは現在使っているものが二・五であればそれよりもう少し低いものというふうにすることは可能なんじゃないかというふうに考えるわけなんですが、それはいかがですか。さっきから脱硫装置で排煙から硫黄を取ること、これももちろんしなければなりませんし、 いまさっきからおっしゃったことは全部私はそれは必要なことだと思っている。ぜひその燃料政策をとっていただかなければいけませんけれども、同時に、もう少しこれは輸送してくる過程で非常に高いS分の石油とそれからこちらの需要に応じてそのS分を重油をまぜ合わせるというようなことを聞いております。ですから、こちらからもっと指定したらいいじゃないかしらというふうに思うのですが、その辺はいかがですか。
#82
○政府委員(橋本龍太郎君) 原油の供給体制につきましては、私どもお答えをする資格を持ちませんので、これは通産省から答えていただきたいと思います。ただ、たまたま先生から、先ほどから東京都の例を聞かれましたので東京都と申し上げましたが、私は何も、東京都が低硫黄重油を全部確保しておるというようなことを申し上げておりません。それは東京都をほかのいずれの府県に当てはめてお読みかえいただいてもけっこうでございます。
#83
○政府委員(柴崎芳三君) ただいまの低硫黄重油の輸入に関する問題点でございますが、われわれ原油を三種類に分けております。低硫黄重油という場合には一・〇%以下、それから中硫黄重油、これが一・〇%から二・〇%の間、それから高硫黄重油、これが二%以上のものを言っておるわけでございますが、低硫黄重油の輸入の見通しにつきましては、先ほど荘局長が御説明したとおりでございますが、四十八年五千五百万キロリットルを一応予定しておりまして、中硫黄重油につきましては現在約一億キロリットル輸入しておりますが、これを一億六千万に増大する、それから高硫黄重油につきましては、現在四千九百万キロリットルを五千三百万キロリットルに押えるということで、現在の供給体制から見まして、最大限に低硫黄並びに中硫黄の輸入を考えた結果が現在通産省で持っております低硫黄供給計画の内容として織り込まれておるわけでございます。これらの供給源から出てまいります低硫黄重油を最も効率のいい形でいろいろブレンドいたしまして、過密地帯あるいは既汚染地帯、その他低硫黄重油を要求いたします地域に最大限に効率的に流れるような体制を考えていくというのが基本的な態度であるわけでございまして、なおこの数字そのものにつきましても、現在西アフリカの供給力を増大させる方法がないかどうか、あるいはインドネシア地域における供給力を増大させる余地がないかどうか、われわれとしては最大限に開発面まで目を向けまして努力しておるわけでございますが、現在の段階ではしLS計画で持っております数値以上になかなか確保しがたいということになっておる次第でございます。
#84
○田中寿美子君 世界各国とも低硫黄重油をほしがっているわけですから非常にたいへんだと思いますけれども、特にこれまでS分の高い重油を買っていたのですから、その方向としてはいまおっしゃった方向をもっとさらに強化していただいて、それこそ日本の空を守っていくという意味で、それこそ佐藤総理以下いまの政府の皆さん、政治生命をかけてでもというぐらいの決意を持っていただきたいと私は思っているわけなんです。それは山中長官いかがですか。
#85
○国務大臣(山中貞則君) 政府は昨年の閣議で、三つに分けまして、過度の人口集中、無秩序な工場立地等によって、広範に、また局地的に著しく大気汚染が生じている地域は、ただいま御議論になっている達成期間十年のランクですね。さらに第二は、現に大規模の工業開発が進行している地域で、著しい大気汚染が生じつつあるか、またはそのおそれのある地域の達成期間は五年前後ということで、その半分ぐらいで達成しよう。さらに第三は、新たに大規模の工業開発が予定されている地域については、当初から環境基準を維持するようにさせよう、こういう閣議決定に基づいて、先ほど来通産省が、その目標を達成するための条件としての前提条件である低硫黄重油を確保する、さらにまた、その周辺の問題としての液化ガス、あるいは水力ももう一ぺん可能性があれば見直される範囲もあるでしょうが、いろいろの研究をしておりますが、その課題にこたえるための努力を通産省が説明しておるのが先ほど来の答弁の内容だというふうに考えております。したがって、私どもは、これが達成しようとする目標でありますから、目標は早く達成したほうがよろしいという意味のことでもって、締め切り時間というふうには考えておりませんので、これに対してわれわれの科学技術を結集していろいろの新しい分野から硫黄酸化物を出さない、そういうような発電所その他も可能でありましょうし、あるいは国際的に日本が確保し得るならば、天然ガス、液化ガス等の入手も開発していく、あらゆる手段を講じながら実質この目標を早く達成するための努力を続けていかなければならぬと考えておる次第でございます。
#86
○田中寿美子君 横浜なんかの硫黄酸化物の環境基準は〇・〇三とやっていたわけですね、条例で。それで国のほうが〇・〇五になって、そしてその達成目標も十年でなくてもっと五年とか、早く縮めたいと思っていたわけなんですから、そういう努力をそれぞれの自治体がやることについてむしろ国はバックアップしてほしい、それが私は申し上げたかったことです。それから、もちろん個々の企業も、千葉もそうですし、東京もそうですし、全国的に企業と自治体の間に防止協定を結んで、そして実際に国の基準よりも早くよくなるような努力をするということも非常に必要だろうと、そういうことで、十年間ということを言わないで、ぜひそれより早く目的を達成し、さらにもっと高い水準に持っていくように、私はそういう心がけを持っていただきたいと思います。で、大気汚染のことを続いてやりたいのですけれども、長官がおいでにならなくなる可能性がありますので、別のほうに移りまして……。
#87
○委員長(占部秀男君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#88
○委員長(占部秀男君) 速記を起こして。
#89
○田中寿美子君 それじゃ、大気汚染に関係していることを続いてやりたいと思いますが、一酸化炭素のことですけれども、COの環境基準は二十四時間平均で一〇PPMをこえてはいけないということになっておりますが、ところがこれもたいへん基準をこえているところが多いと思います。たとえば東京都内だったら、どういうところがこの基準をこえている場所かということがおわかりになりましょうか。
#90
○政府委員(曾根田郁夫君) 東京都内の七測定点がございますけれども、四十四年度について申しますと、非常に不適合率の高いところは年間の延べ時間でいたしますと、測定時間でいたしますと、三割近くになっております。また、特に汚染の著しいとされておりますのは、たとえば大原交差点あるいは霞ヶ関あるいは板橋あるいは糀谷保健所等が指摘されております。
#91
○田中寿美子君 七つの測定点だけでとっていらっしゃるわけですが、やはりもっと方々で、きたないところがあるわけです。ぜひその測定点をもっと広げなければいけないと思うのです。例の柳町の問題ですが、あれは鉛公害で騒がれましたけれども、同時にCOが非常に高かったのですね。五月の二十八日にCO一三・九PPMというのが二十四時間以上続いた。あそこはそのあと始末はどうなりましたでしょうか。
#92
○政府委員(曾根田郁夫君) 柳町の問題につきましては、ことしの春の鉛害事件以来、交通その他いろんな面で都が非常に指導をいたしまして改善されたということは聞いておりますが、具体的なその後の数字についての報告をまだ受けておりません。
#93
○田中寿美子君 あれくらい騒がれたところなんで、やっぱりこれは把握しなければいけないと思うんです。当然、東京都も把握しなければいけないと思いますけれども、騒いだときだけ一時的にそうであって、あとはそのままというようなことになっております。一酸化炭素の環境基準をこえた場合にしなければならないことというのはどういうことがあるんですか。どうなさるのですか、厚生省は。
#94
○政府委員(曾根田郁夫君) 一酸化炭素につきましては、御承知のように、現在すでに自動車排出ガスにおけるCOの許容限度というものをきめて、これに基づきまして具体的に道路運送車両法に基づく保安基準で所要の規制が行なわれておるわけでございますが、これは一つ一つの車の規制でございますから、交通状況等によって道路のある部分が非常に高濃度のCOを排出されておるという場合に、従来の規制が必ずしも十分でございませんので、今回の改正法ではそういう場合に、環境基準をこえるような場合が生じた場合は、都道府県知事は道交法に基づく所要の交通規制等を公安委員会に要請できる、そういうことで具体的な規制をはかってまいりたいというふうに考えます。
#95
○田中寿美子君 それでこの間の連合審査会のときに、山中長官が「要請」というのは非常にきついものなんで、知事が知事の権限で公安委員会に要請したら、それは行なわなければならないものであるというふうにおっしゃいましたが、そうですか。
#96
○政府委員(橋本龍太郎君) そのとおりだと思います。
#97
○田中寿美子君 その場合、交通規制ということがなければならなくなるだろうと思います。それを判断するのは公安委員長ですね、そうしますと、はたしてそれはどういうことをやるんでしょうか。やれるんでしょうか。
#98
○国務大臣(山中貞則君) これは国家公安委員会並びに都道府県公安委員会という、いわゆる委員長でなくて委員会の判断によるということになるわけでありましょうが、いわゆる道路交通法というものの持っております固有の権限というものでしか自動車のそのような制限ができないたてまえでありますので、そのような知事の要請等があった場合において、自動車の一時通行禁止あるいは迂回あるいは低速、あるいはエンジンをふかしながら駐車している状態をやめさせる等のいろいろの措置がとれるものと考えておりますが、公安委員会、警察庁が来ておりませんので、私がかわりに答弁いたしておるわけであります。
#99
○田中寿美子君 この間、山中長官が、私がCOの基準をこえた場合に知事の権限というのは、これをやめさせる権限はない、交通規制したりあるいは何かする特別の権限はなくて、知事が公安委員会に要請すると申しましたらですね、その要請というのは非常にきついものであるから、知事が要請したことは公安委員会が実行するはずであるというふうにおっしゃったですね。そうしますと、非常にCOの濃度がひどくなって、その付近の住民の健康があぶないというようなことを知事が判断した場合に、事実上これを規制をすることを要請するということがあったら、これは事実できますか。できなければこの条文の意味はあまりなくなってしまうんですね、二十一条です。
#100
○国務大臣(山中貞則君) これはまずそういう責任は交通の責任の衝である公安委員会が行なうのだということがはっきりいたしておりますから、それしかまた技術的にも不可能であるということもありまして、たとえば現在の道交法の一部改正の中でも百十条の二で、「都道府県知事その他関係地方公共団体の長に対し、当該交通公害に関する資料の提供を求めることができる。」ということで、絶えず資料提供等も公安委員会自体の独自の責任としても、
  〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕
道路交通公害として求めていかなければならぬ。しかし、それでは完全なものとして独自の判断ができかねる場合もあるわけですから、絶えず状況を把握しておると思われる都道府県知事の手元で、集まった資料により緊急に公安委員会の措置を要請するということがその裏として生まれてくるわけであります。そこで私はそれをもし要請を受けてできない、あるいはやらないという場合においては、少なくともできない理由というものを明確にして、しかもそれができない理由がだれが見ても公正なものであるということでない限り、要請した知事も納得し、あるいはその関係住民も納得するようなよほどの理由がない限りは、これは少なくとも要請を受けて行動を起こす義務が課せられておるというふうにこの要請というものは受けとめるべきものであろう、実質またさようなことになるであろうということを答弁いたしたつもりでございます。
#101
○田中寿美子君 その辺は念を押していただきたいと思います。公安委員会というのはほかの機関とは違うけれども、やはり公害に関しては、私は道路交通法の権限だけではないと思いますので、公害に関しては十分連絡をとっていただいて、そのように実行できるようにしませんと、この二十一条をせっかく改正した意味がなくなると思います。
 ところで、この一酸化炭素の排出基準ですけれども、これは全国一律でいいものかどうかということなんですね。たとえば北海道の山の中、東京のようにたくさん車がふくそうするところ、しかもとまってアイドリングのときに非常に高い濃度のCOを出す、そういうところにいいものかどうか。
#102
○政府委員(野村一彦君) 先生のお説のように、確かに交通の混雑度というものは全国において違いますし、したがって、それから排出される排出ガスの量も、それからその濃度等においても違いますので、きめのこまかい排出基準というものが必要かと思いますが、現時点におきましては、私ども日本で一番交通のそういう排出ガスの公害が多いと思われる主要都市――東京都とか、大阪府とか、名古屋とか、そういうところの実例を調査いたしまして、そうして外国の例等もしんしゃくをして全国一律ということで使用過程車については五・五ということをきめておるわけでございますが、これはいま申し上げましたような交通公害の排出ガスによる公害が一番はなはだしいところでもこの程度で出発をしていって、漸次これを強化していくということを考えております。
#103
○田中寿美子君 昨日も東京都が五%で、それから警視庁のほうが五・五というふうなことで基準の違うのは困るという話が出たんです。私は一律に五・五というふうなことは非常に不合理なような気がします。ですから、非常に自動車台数をたくさん持っていて、しかもそれがふくそうするような都会の基準は、もっとCOの排出量を引き下げるべきだと、こういうふうに思うんですがね、いかがですか。
#104
○政府委員(野村一彦君) 東京都は五・〇に条例で定めておられます。これにつきましては私どももいろいろと東京都のほうと事務的な連絡をいたしておるわけでございますが、御承知のように、自動車というものは県境を越えて移動するわけでございまして、東京に籍を置いている自動車でございましても埼玉、千葉、神奈川、いろいろなところに行くわけでございます。そうしますと、私どもとしては、やはりその自動車の最も可能性のある行動圏というものを見ますと、県境との境を越えたもっと広い基準が必要だというようなことから五・五にきめたわけでございます。これは別の問題で先ほど橋本政務次官がお答え申し上げましたように、たとえば排出基準でいいますと五・〇というのは、私どもとしては行政目標といいますか、もちろん低いにこしたことはございませんので、それが実現されるということは非常に喜ばしいことでございますが、道路運送車両法に基づく法律の強制的な措置としてやるというものは現段階においては五・五%はその強制力を伴う規制値としては五・五でやむを得ない。これは将来の計画といたしましては、だんだんと平均濃度の規制から重量規制になっていくというような方向で規制を強化をしていくということでございます。
#105
○田中寿美子君 東京に二百万台も車があるわけですね。ですから、少なくとも東京で登録している車にはもっときびしくする。東京だけではありません、大きな都会でそういう規制の方法もぜひ考えてもらいたいと思いますね。それで県境を越えるから低いほうに合わせるというのは私はどうかと思います。将来のことですが、いま法的の強制力のあるものは五・五とおっしゃった。それは現在の法律がそうだからですけれども、それは非常にたくさんの車の通るところで一酸化炭素の濃度が減っていくということは考えられないと思いますね。ですから、もっとその辺を考えていくべきではないかということを申し上げているわけです。
 それから自動車の規制なんですけれども、たいへん抜け穴だらけな感じがいたします。五・五という基準を守っているかどうかということ、車検のときに調べるわけですね。で、車検から車検までの間はほとんど野放し状態ですね。こんなことでいいんでしょうか。何か方法はありませんか。
#106
○政府委員(野村一彦君) 本年の八月から使用過程車につきまして五・五という規制を実施いたしたわけでございますが、その後私ども、メーカー、ユーザー等の協力を得まして、また警察当局にいろいろ御協力を願いまして街頭指導ということをやっておりまして、そこで現在この期間を延長してやっておりますが、合格したものについてはステッカーを張って、そうしてステッカーを張っているものについては警察で街頭検問をされる場合に、これは合格しているから対象にしない、ステッカーを張っていない車を対象にするということで、これは法的な裏づけのあるものではございませんが、一種の啓蒙運動というようなことで警察はじめ関係方面と連絡をしてやっておりまして、その効果は相当私どもから見てあらわれているものと考えておりますので、今後こういう機会を通じまして、警察には随時街頭検査をしていただくというようなこと、それからユーザー団体等にも随時自分で定期点検整備をする、これは道路運送車両法にもございますけれども、自分の自動車の整備については定期点検整備、車によってその期間は違いますが、自分でみずから車の整備状況をチェックして適正な整備状態に置いていくというようなことをさらに励行させたい、かように考えます。
#107
○田中寿美子君 何か時間がたいへん妙になってしまって困るんですけれども、たとえば東京に二百万台ある、そうして車検のときだけ五・五になっても実は七%、一〇%というものは幾らでも中古車にはあるわけですね。それでなかなかそれはつかみにくいと思いますけれども、それでいまユーザー等にもとおっしゃったですけれども、ユーザーはもちろんそういう心がけが必要だけれども、これはもっとメーカーに義務づけるべきじゃないかと思います。ですから、たとえば欠陥車の場合、メーカーは全部回収したでしょう。そのくらいの熱意があってもいいはずだと思うのです。ですから、メーカーが生産するときにはCOの除外装置を必ずつけさせる。それから中古車について点検して直させるというぐらいのことはできませんか。
#108
○政府委員(野村一彦君) メーカーに対して規制の実施をきびしくやるということは、私ども先生のお説のとおり、非常にけっこうなことと思います。ですから、たとえば排気ガスに対しまして道路運送車両法の保案基準に合わないものがあれば、これはそういうものについては、当然型式認定時におきまして、新車につきましてはこれは型式認定時においてチェックしてそういうものは不合格としてそれを使用することを禁止することは当然でございますが、使用過程車につきましては、これはやはり私ども考える場合、型式認定にあたって永続性というようなことを考えるわけでございますから、その意味で型式認定を、新車を売り出す場合は、そのことをチェックするわけでありまして、使用過程車につきましては、これはユーザーというものに点検、整備というものが義務づけられておりますので、その点を励行していただくということと、それから先生おっしゃいました清浄器と申しますか、そういう有害な排出物をクリアーにするものについて、いろんなものが現在公的にも私的にも研究され、試作され、一部使用されておりますけれども、現在の段階では決定的にこれならば性能においても、また永続性においてもだいじょうぶだというものが残念ながらございませんので、現段階においては勧奨と申しますか、そういうものでもという段階でございまして、まだ義務づけの段階に至っておりません。将来できるだけ早く解決をしたい。これは、私どもだけではできませんので、通産省の御協力を得てやっていきたいというふうに思っております。
#109
○田中寿美子君 いま道路運送の関係、輸送の観点からおっしゃればそれですけれども、私どもは、公害という新しい現象に対して新しい取り組みをしようとしているわけなんです。そういう立場からしまして、一酸化炭素の排出量七%も一〇%もあるような車は欠陥車と考えていいと思うんですね。ですから、メーカーに欠陥車を点検させるというぐらいのことを考えられないかどうか、研究してみてもらいたいと思います。それくらいの責任を負わせなければならない。時間が何かないようで、山中長官行ってしまわれるというので、私は長官に主として質問をいままでしていないんですけれども、その点は不満ですけれども、そこで、一酸化炭素の排出量を今後どういう計画を立てて減らしていくつもりなのか。そういうきちんとした計画があるかどうか。そのことが空気の中の一酸化炭素を減らす大きな理由になるわけですけれども。
#110
○政府委員(野村一彦君) 私ども本年の七月に、諮問機関でございます運輸技術審議会から御答申をいただきまして、自動車排出ガスの規制についての長期計画を立てております。
  〔理事杉原一雄君退席、理事鬼丸勝之君着席〕
それによりますと、二段階に分けまして、昭和四十八年までを第一段階、昭和五十年を第二段階といたしまして、ただいまの排出ガスの規制は濃度つまりパーセンテージでやっておりますが、これを重量規制に移行をしたい。つまり、先ほど先生がおっしゃいました自動車の台数はこれからも非常にふえるであろう。したがって、空気の中の有害ガスのパーセンテージを押えておっても、全体の量を押えなければ意味がないということから、自動車の伸びは大幅な伸びを予想しまして、四十八年にはそれがこうなる。四十八年度から規制を第一段階をして、それが五十年にはこうなる。五十年度から規制をして五十五年にはこうなるということで推定いたしまして、つまり、一日に一つの車から排出されます一酸化炭素、たとえば一酸化炭素の量について言いますと、昭和五十年にはあと五年後には昭和三十八年のその当時の一酸化炭素の量にひとしくなる程度の量に押える。昭和五十五年には昭和三十六年、それよりもっときれいな状態でございますが、そういう状態に押えるように重量規制をしようということをこれは運輸省の方針として確立いたしておりまして、関係の省にもいろいろ御連絡をして御協力をお願しておるわけでございます。したがいまして、私どもは、先ほど先生のおことばの自動車の数、非常にふえるじゃないかという御指摘まことにそのとおりでございますので、それを十分考慮に入れてパーセンテージでなくて、グラムの単位でもって、有害ガスを押えるというような計画を立てて、それを少しでも早く実現できるような方向で努力をしておるところでございます。
#111
○田中寿美子君 それは、ほんとうに日本の自動車の生産の過程できちんとやりませんと、おそらく国際市場でも排斥されるようになるだろう。例のアメリカのマスキー上院議員の提案ですね。あれは最初、一九七六年までに有害な排気ガスを出す自動車を禁止するということは両院で合意を決議しております。その後の報道によると、それをまた五年繰り上げておりますね。だから、七一年中にということになる。それがもしほんとうに決議されて実施、実行されるということになりますと、だから、日本の自動車業界がたいへんあわてているということを聞いております。ですからこれはメーカー側からすれば、国際的な市場でも排斥されるような車をつくっていくことになりはしないか。そのことは、われわれ住民からすれば、非常にまた空気をよごす一番大きな原因になっている自動車ですから非常に大事なことで、計画はなるたけもっと早く繰り上げていくように努力をしていただきたいと思います。じゃあ、山中長官行かれるそうですから……。
#112
○国務大臣(山中貞則君) 私は、ただいまのマスキー法案ですが、これは大統領が議会に勧告したのは一九八〇年まで現在の自動車の排気ガスの九〇%をカットしろという勧告であったと思います。それを上院でマスキー上院議員の提案による一九七五年までの五年繰り上げというものが満場一致可決された。これが下院に回りまして、下院との間で上下両院の協議会が持たれておるところでございます。
  〔理事鬼丸勝之君退席、理事杉原一雄君着席〕
どうなるかわかりませんが、最もゆるい場合でも、大統領勧告の年次における九〇%カットというものがはずれることはないだろう。これは、ビッグスリーが幾ら巻き返ししても、大統領勧告の線をくずすことはできないだろうということを考えますときに、ただいま田中委員の言われたような日本の自動車業界がひとりわが国のみにおいてかってなことをやっておるということはもう許されないし、現在でも排気ガスについてアメリカ向け等については大体コスト四万程度の部品をバーナーその他をつけて出しておいて、国内ではつけていないという姿勢は私は前から批判をしているところでございます。国際的な批判というものも受けるし、あるいは国際的に市場をみずからが失っていくということは存立を危うくすることでありますから、やはりわれわれとしては、これを通産省が中心になって、自動車業界のあり方について今後の生き延びていく道、そして、国民のためにあるべきメーカーの態度というものについて十分に年次計画その他について指導をしていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。
#113
○小平芳平君 山中長官の質問だけ二十分やるようにということで、いま田中委員からも御指摘がございましたが、きのうの私の環境基準に対する地方の上乗せが、環境基準を地方が上乗せすることを政府が積極的に支持なさるかどうかという質問に対しまして、山中長官は、政策目標としての数値は別段差しつかえない、こういうようにお答えになっていらっしゃるんですが、内田厚生大臣は、それは環境基準というものは東京でも大阪でも京都でも同じものを全国きめるべきものであって、都道府県の知事が上乗せをするとか、自分の理想値をつくるべきではないと私は考えますと、このように厚生大臣はお答えになっていらっしゃるわけです。そういう点、いま田中委員からるる大気汚染についての理由はお述べになっていらっしゃいましたので、私からまだきのう説明した分は私が説明したこともありますので、理由は省きますが、こういうように山中担当大臣が差しつかえない、むしろそれはたいへんけっこうなことだと、こういうように国の姿勢としてそうした地方団体の動きを積極的に支持すると、こういう姿勢でしかるべきじゃないかと思いますが、大臣の御見解を、また厚生大臣の御見解を伺いたい。
#114
○国務大臣(山中貞則君) きのうはここに同席しておったわけですから、私もその発言は聞いておりました。大臣、内田君とも話をしたのですが、表現はそういう表現になったようでございますが、実際は変わりはありません。まあ統一見解というほどのものではありませんが、これは地方自治体がそれぞれ地域の住民のために、あるべき理想的な環境を求めていくということにおいて政策目標を立てられることは差しつかえないことである。ただしかし、基本法にいう環境目標とその自治体がつくられた環境というものは、また目標においては性格を異にする。しかし、それは自治体の政策目標であるという限りにおいては、何ら私たちとして、それに対して批判したり、反対であるという立場にはないということで、むしろ傾向としてはそのような努力を積み重ねていかれることは、国家的に見ても望ましいということを申したわけでありまして、政府側の意見の食い違いというほどのことではないと私は思っております。
#115
○政府委員(橋本龍太郎君) 私は、実はきのうその御質問に対し、厚生大臣が答えた時点、本委員会におりませんでしたので、その前後の状況はわかりません。しかし、先ほど田中先生にもお答えを申し上げ、またいま山中副本部長が公害担当大臣としてお答えを申し上げた中で、私どもはそれと同一の考え方を持っております。ただおそらく大臣、もしいまのお話しのようなお答えをしておりますとすると、おそらく環境上の基準ということばにとらわれて、あるいはその基本法にいう環境基準、各自治体における条例で定められる環境基準というものを同一ととり、もし同一のものであるとしたら、それはいかぬということを申し上げたのじゃないかと思います。先ほど申し上げましたとおり、各自治体が行政目標として、それぞれのお立場で一つの理想値を描かれることを私は妨害をいたすつもりはございません。
#116
○小平芳平君 そういう意味において、山中長官にもう一つ、きのうのことでありますが、経済条項を削ったことによって、経済との調和条項を削ることによって、今後の環境基準に対する考え方、厚生大臣はきのうの答弁では、どこまでよごれて人間の健康がもつかという基準を云々というふうな表現をしておられますが、要するに、そういうふうな環境基準あるいはこの公害防止の基本姿勢として、経済との調和を削ったということが、ただ条文でそこから落ちたというだけではなくて、もっとそうした環境保全ということに対する積極的な政府の姿勢が打ち出されるべきがこの経済との調和条項の削除であろうと、このように私は受け取るわけですが、いかがでしょう。
#117
○国務大臣(山中貞則君) これはきのうも小平君ではなかったと思うのですが、私、説明をしたと思うのですけれども、基本法の第二章第一節の「環境基準」というところの第九条の中の第二項を削除したということにもつながるわけですから、そうすると、第二項がなくなって、三項が「第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなされなければならない。」、これは基本法が絶えず科学的な判断を進めつつ、そして必要な改定を加えていけということを要求しておるわけでありますから、定められた環境基準にしがみついて、そして確固不動のものであるなんということを政府はこの基本法に対して言えないという立場にありますから、やはり科学的判断が積み重ねられて、しかもまた現実に現象として地域において起こった問題について、科学的な分析の結果、あるべき環境基準の改定が必要であるということであるならば、これはもうちゅうちょすることなく、常時それの改定に心がけて作業していかなければならぬということを基本法が要求をしておるものであると考えておるわけでございますから、この点もそういう意味から御了解を賜りたいと思います。
#118
○小平芳平君 いや、そのお答えはきのうありましたのですが、ただ私が科学的な進歩はこれはまた別の問題としまして、科学技術の進歩は別の問題として、次の問題として、要するに公害がはたして減るかどうかというその点、今回の十四法案によって公害がどの程度減ることが期待されるかという点、そのことに対して最も大きな関心を持っているわけです、国民は。したがって、いままでは政府の姿勢は企業寄りであるということは、もうどのくらいか言われてきているわけです。その企業寄りの姿勢じゃならない、そしてまた、今回、経済との調和も削って、そして企業寄りでない公害政策を、国民の健康と福祉あるいは環境保全のためのこういう姿勢の、公害の防止に取り組むのだという点が、科学の進歩とは別の問題として、その企業寄りでない福祉優先の姿勢が今回の十四法案の改正であり、したがって、環境基準についても排出基準についても、そうした経済との調和でなく、それこそ福祉なくして成長なしの、そういう新しい観点からそうした環境基準にも排出基準にも取り組むのだ、こういう御答弁があってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
#119
○国務大臣(山中貞則君) そういう表現をとれとおっしゃるなら、私もそのとおりだと思うのです。私はただ基本姿勢の問題ということを言われたものですから、第九条の二項の削除に伴なう第三項というものを例をあげて言ったわけでありまして、姿勢はあなたの言われるとおりでありますから、これから私たちは、まさに企業寄りでないことを証明する最も大きなものとしての個別法律によって、あるいは物資をとらえて規制するか、さらに進んでそれらの実績を基礎にして民法の特別法たる挙証責任転換、無過失責任、こういうものに進んでいこうということをお約束しておるのでありますから、それが明瞭に私は証明された行為だと思いますので、もしそれを怠っておるようなら、なまけておるとお感じになるなら、これから先の問題でありますけれども、まさにこれは政府の姿勢は羊頭狗肉であるという御判断をされる結果になるかもしれませんが、私としてはそういうことにならないように努力すべき義務があると考えております。
#120
○小平芳平君 それでは次に、大気汚染防止にあたって、要するに先ほども田中委員からそれに類する御指摘があったのですが、全体としての質の規制ですね、大気も、水もそうですが、要するに何PPM以下という、そういう質の規制だけだ、煙突の低い中小企業、零細企業は煙突の低い企業なるがゆえに、もうすぐ排出基準違反にかかってしまう。ところが、ただ大工場のほうは煙突を高くして大量に出しても基準内である、こういうような点、あるいは水の問題でもある毒物を中小企業、零細企業の場合、わずか流してもこれは濃度が高いといってすぐ規制にかかっちゃう。大企業は大量に流すけれども、薄めて流すからそれにかからないというような不合理がこれから起きるのじゃないか。今日までも起きていたわけです。したがって、そうしたこの規制だけじゃなくて、量の規制も政令を定める段階でぜひ取り入れるべき、考慮すべき点じゃないかと思いますが、いかがでしょう。
#121
○国務大臣(山中貞則君) これは別段質を規制しないという意味じゃなくて、非常に技術的にむずかしいという問題で、今日はまだ解決を見るに至っていない問題でありますが、しかしながら、中小企業の問題というのは、繰り返し申し上げておりますように、今回の基本法の中の二十四条にも厳然として存在しておりますし、今回新たに提出いたしました公害防止事業費事業者負担法案というものの中にも中小企業に対する配慮を具体的に説明いたしたとおりのことで、なるべく中小企業というものがそのために倒産し、あるいは操業ができなくなるというようなことのないような配慮を進めてまいりたいと思います。
#122
○小平芳平君 いや、それはしかるべきと思いますが、要するに、水の場合でも大気汚染の場合でも〇・五PPM以下とか、あるいは一PPM以下とかいう、この規制はいままでも絶えずかかっているものがあるわけですが、そうした規制をする場合に、全体の量を規制していかなくては、全体の量の規制が考慮に入らなければ大気汚染の防止にしても水質の汚濁にしても達成できない、それが現実、いま工場地帯がひどく大気が汚染される、あるいは大都市の汚染がはなはだしいということは、一体そこの事業所なら事業所からどれだけの量が出るか、そういう点を考慮に入れなければ期待できないじゃないかという点なんです。
#123
○政府委員(曾根田郁夫君) 現在の大気汚染について申し上げますと、これは現行の排出規制は一応量規制の考え方をとっております。大気汚染防止法の前身のばい煙防止法ですか、当時は一本一本の煙突から排出される硫黄酸化物について、その濃度の規制をやっておったわけでありますけれども、それでは結局施設が集合して大量に発生する場合に濃度規制だけでは不十分だということで、現行では拡散方式を前提とした量規制に改まっておるわけです。ただ、先生のおっしゃるのは実際問題として、環境基準は何PPMというようなことで押えられておるので、実態として、いまの排出基準のやり方では不十分ではないか、あるいはまた、煙突口の高さに比例するような排出総量をきめるいまの排出基準そのものも、拡散の方式については地域によって必ずしも十分の拡散が行なわれないというような意見もございますので、そういう拡散の方式そのものにも問題があるのではないかということでございますならば、確かに現在の拡散方式を前提とした排出規制が唯一絶対のものではございませんで、まあ現に今度の改正で都心部のビル暖房等の燃料規制を行なうということも一つはそういうことに対処しようとするものでございますので、この点につきましては先般連合審査会で厚生大臣からも申し述べられましたように、私どもとしては今後とも検討を続けていきたいというふうに考えます。
#124
○小平芳平君 それじゃカドミウムが全体として幾ら、大気の場合でも水質の場合でも、カドミウムは全体として幾らとなっておりますか。
#125
○政府委員(曾根田郁夫君) カドミウムは今回初めて有害物質としてこの法律の規制対象に加えることになりまして、具体的な規制の方法につきましては、今後検討をいたすわけでございますけれども、一応の考え方としましては、一定容量における重さといいますか、そういったことで規制の具体的数値がきまるものと考えております。
#126
○小平芳平君 一定の何ですか。
#127
○政府委員(曾根田郁夫君) 一定の大気の容量の中に、たとえば何グラム以下でなければならぬ、そういうような具体的な規制方法になろうかと思います。
#128
○小平芳平君 ですから、そこを、一定の大気の中に何ミリグラム以下というふうにきめますから、そこでもって全体としての量規制がないわけでしょう、それだけじゃ。したがって、大きな煙突なら遠くまで吹き出せば大量に出るところは大量に出ちゃうわけです。
#129
○政府委員(曾根田郁夫君) その点は先生御指摘のように、カドミウム等のように、長期にわたる蓄積というような問題もございますので、いまの規制の具体的数字についてはかなりきびしいもので、先生の御指摘になったような問題の起こらないようにいたしたいというふうに考えております。
#130
○理事(杉原一雄君) 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十三分開会
  〔理事杉原一雄君委員長席に着く〕
#131
○理事(杉原一雄君) ただいまから公害対策特別委員会を再開いたします。
 午前に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#132
○田中寿美子君 山中長官がまだお見えになりませんから、厚生省に関係するほうを先にいたします。
 産業廃棄物の処理の問題でございますが、今度公害対策の基本法の中で公害の定義の中にも産業廃棄物が入れられましたことは、私、年来主張しておりましたので、たいへんその辺はよかったと思いますが、新しい形のいわゆる高分子化学物質といいますか、プラスチックス性のもの、そういう廃棄物が非常にふえていくわけなんで、公害の対策をやるときには、私やっぱりその廃棄物の処理の内容、廃棄物そのものの全体の量を把握しなければいけないと思うんです。一体産業廃棄物というものが出ているというふうに把握をしていらっしゃって、その中で特にいわゆる高分子化学物質といいますか、プラスチックス製品ですね、そういうものはどれくらいあると見ていらっしゃいますか。
#133
○政府委員(橋本龍太郎君) いま私どもが把握しています限りでは、いわゆる産業廃棄物といわれるものは日量大体百十万トンぐらいにのぼっております。ただ中にいわゆる高分子化学製品というものがどの程度含まれているかということは、その数値はつかめておりません。
#134
○田中寿美子君 その一日百十万トンというのはどういう廃棄物を含めてあるわけでしょうか。
#135
○政府委員(橋本龍太郎君) いわゆる産業廃棄物といわれる各企業から排出されるもの、その工業過程において出される不用物質、これが私どもは産業廃棄物だと思いますが、こうしたものが大体日量百十万トンであります。
#136
○田中寿美子君 その内訳はわかりませんか。
#137
○政府委員(橋本龍太郎君) 内訳としては私どもはとっておりません。
#138
○田中寿美子君 その全量をつかむのは、やっぱり何が幾らずつというふうにつかむのじゃないでしょうか。
#139
○政府委員(莊清君) 海洋投棄の概要について申し上げたいと思います。
 御質問の御趣旨は、海洋投棄されているプラスチック類ということであったと存じますけれども、その数量は私どももいまのところ明確でございませんので、産業廃棄物の海洋投棄の内訳について申し上げますが、通産省で本年春に全国の主要五千工場について調査いたしまして、二千五百工場程度から回答がございましたが、この二千五百工場はわが国の工業出荷額の約七割弱を占めております。この二千五百工場分の産業廃棄物の発生量が一年間で約四千万トンという数字になっております。したがいまして、これを全国に引き伸ばして考えますと、少なくとも五千万トンは優にこえ、五千数百万トンないし六千万トン程度の産業廃棄物が一年間に発生しておるものと考えます。これは四十四年度のベースでございますから、四十五年度にはさらに当然にそれが鉱工業生産の伸びに少なくともスライドして同じ比率では少なくとも伸びておる、一五%程度は伸びてきておると、かようにマクロ的には考えておるわけでございます。それでその中で一番多いものが固体状の不燃物というような種類のものでございまして、石炭のかすとかいろいろなダスト類を中心にしました固体状の不燃物が約半分くらいを占めておるようでございます。
 それからその次に多いのが泥状、液状の不燃物でございまして約一千万トン程度ということでございます。これは、中身としましては耐酸類、耐アルカリ類、それからカーバイドのかすとか、活性汚泥のあとの汚泥とか、その他の廃化学物質――廃物になった化学物質ということでございますが、こういうものを締めまして約一千万トン程度でございます。
 それからわりあい簡単に燃焼できる産業廃棄物が案外ございまして九百万トン程度でございます。これは繊維のくずとか、それから古紙、古い紙でございます。こういうものを中心に九百万トンでございます。
 それから残りがいろんな雑多なものでございまして、五百万トン程度ということになります。
 それで、この中で工場から出ました五百万トン程度の中に、工場から直接出ます合成高分子のくずというものの数字はわかってございます。これはわが国全体から出ておりますプラスチックの廃棄物の中で占める比率は非常に小さいかと思いますが、この合成高分子くずというものが約十万トン程度。あまり十分なデータではございませんが、概要は以上のとおりでございます。
#140
○田中寿美子君 先ほど橋本政務次官の産業廃棄物という場合は、産業活動から出るすべての排出物のことをおっしゃったわけですね。百十万トンというのはそうですね。その中でいま通産省おっしゃったのは海洋投棄されるプラスチック類についておっしゃったわけですね。この調査ですか。
#141
○政府委員(莊清君) 産業廃棄物でございますから、直接工場から出たものを私ども調査してその数字を申しまして、合成高分子のくずが約十万トンと申し上げましたのは、出ておる量でございまして、そのうち海洋に投棄されておりますのは、これは非常に少のうございまして八百トン程度、これは工場から直接出たものでございます。
#142
○田中寿美子君 そうしますと、いまの通産省のお答えが工場で生産されたプラスチック類のかすとして出たものと、こういうふうに考えてよろしいですか。五千万トンないし六千万トンというお話、最初に、海洋投棄されているプラスチック類の数量というふうにおっしゃったからそういうことかと思ったんです。そうでなくて、工場で生産されているプラスチック類のくず、廃棄物と、こういう意味ですか。
#143
○政府委員(莊清君) 仰せのとおりでございます。約十万トンと申し上げたのはその数字でございます。うち、約八百トン程度は海洋に工場から投棄されておる、こういうことでございます。
#144
○田中寿美子君 もう一度、それじゃはっきりさしていただきたいと思いますが、最初に、五千万トンないし六千万トン出ているとおっしゃったのは、これは工場で生産されるプラスチック類の総額ですか、そうじゃないですか。
#145
○政府委員(莊清君) 説明が至りませんで非常に申し訳ございませんでした。
 約四千万トンとか五千万トンとか申し上げましたのは、これは工場から発生しておるあらゆる産業廃棄物の総量でございます。
#146
○田中寿美子君 そうしますと、最初の百十万トンというその数量ですね。その中にはそういう固型の廃棄物でないものも含まっておるわけですか。
#147
○政府委員(曾根田郁夫君) 百十万トンと申し上げましたのは、事業活動に伴うすべての廃棄物の推計でございまして、この中には当然、物の製造、加工等に伴う廃棄物のほかに、たとえば下水終末処理場あるいは屎尿浄化槽の、そういう都市施設からの残渣として出てくるもの、そういうものが、いわゆる経済活動に伴うもの以外の都市施設等からの廃棄物、そのほかにもちろん畜産関係もございますけれども、すべてを要するに家庭ごみ以外のすべての廃棄物というふうに広い整理をしておるわけでございます。
#148
○田中寿美子君 そうしますと、一日に百十万トンというと、ちょっと三億トン以上になるんです。年間にすれば。大体そういうふうに推定していいのですね。それで、これはアメリカのニクソンの公害教書の中では、非常にはっきりと、その排出物の、これも推定ですけれども、数量として出ております。これは二億一千四百二十万トンというのが総計で、これの中には運輸機関から出されるいろいろな一酸化炭素とか、微粒物質とか、硫黄酸化物とか、炭化水素、窒素酸化物、そういう、ものも入れてありますし、それから固定汚染源から出た燃料の燃焼物質、それから固形廃棄物その他全部を含めて二億一千四百二十万トンという数量が出ております。やはり、ぜひこういうつまり公害の対策を立てるときには、数量を把握していただきたいと思うのです。そうでないと、一体どれだけのものが出ていて、どれだけこれは施設が必要であり、投資が必要なのかということがわからないと思いますので、すべての公害を数量でつかむということが必要なんじゃないですか。そういうものが、はっきりと、いままでいただきたかったけれども、なかなかいただけませんでした。それで、そこで、家庭廃棄物を除いてというふうにおっしゃいましたね。私は家庭廃棄物というのを、それは何と何、どういうものを含めて考えていらっしゃるか。つまりこの廃棄物処理法案の中で家庭廃棄物を含めた一般廃棄物となっておりますね。その中にはプラスチックの容器なんかも入っているのですね。いかがですか。
#149
○政府委員(橋本龍太郎君) 入っておるというより、入り得ると申し上げたほうが正確かもしれません。先生御承知のとおりに、今日国の実態の、清掃業務の実態、そういう意味では、いわゆる産業廃棄物あるいは粗大ごみ、家庭から排出される種々の廃棄物の中の高分子合成物質等の区分をしないで処置をしてまいりましたけれども、各御家庭から排出される時点においても、実はそういうものはごっちゃなんであります。それだけに私どもとしては、そういう意味では家庭から排出されるもの全体を先ほど申し上げたわけであります。私ども、いま完全な推定でありますが、大体家庭から排出されるいわゆる廃棄物の中に一割程度合成高分子製品が含まれておるというように承知しております。
#150
○田中寿美子君 そこで問題になるのは、産業廃棄物の処理については、国と、それから地方自治体と、それから企業と、それぞれが負担して処理をするということになっておりますね。私は家庭廃棄物の中に入ってくるプラスチック容器は、非常に多くが、これは産業廃棄物として考えるべきではないかと思われるものがあると思うのです。たとえば化粧品の容器、それから食品の容器もこのごろどんどん新しくつくられておりますね。それから例のヤクルト、これは厚生大臣みずからがおっしゃったのですけれども、ヤクルトなんかは非常にたくさんの容器を出しておる。こういうものは、私は企業の活動に必要で開発した容器なのですね。ですから、それが家庭を通りましても、やはりその責任は企業が負うべきではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#151
○政府委員(橋本龍太郎君) 私は原則的に、確かに先生のお話しのとおりであろうと思います。ただ先般来問題になりまして、私どもとしては許可をしない方針にきまりましたたとえば牛乳容器における合成樹脂製品の容器の採用問題等でも非常に明らかになりましたように、そうしたものが必ずしもこれは企業の必要というような形で出されてきたものばかりとは私は思いません。いわゆる消費者に実際の価格を少しでも安くしていくということ、いわゆるワンウェイ方式の容器等も従来採用してまいったわけであります。ただむしろその中に今度は新たに、逆に公害発生源としてそれらのものが別の立場からながめられなければならない時代がやってきた。そしてその中で私どもは、産業廃棄物、家庭廃棄物、いろいろな呼び名に分類はできましょうけれども、いわゆる廃棄物全体というものを新たな観点から考え直し、処理の体系を考えていかなければならぬということを今日考え、そして現在社会労働委員会において御審議いただいておる廃棄物処理法というものを出したわけです。そうした中でまいりますと、たとえばいま一つの例として名前の出ましたヤクルトというもの、これは一つのプラスチック容器の採用ということによって非常に消費者に歓迎された時代もあったわけであります。使い捨て容器ということで非常に歓迎された時代もあった。しかし、今日ではこれは清掃という観点から考えたら非常に大きな問題である。回収ということを私どもは逆に業者に指示し、協力を要請しておるのもそうしたことの一つのあらわれであります。そうして本来これは社会労働委員会のほうでお答えすべきことになるかと思いますけれども、たまたま関連いたしますので簡単に申し上げてみたいと思いますが、高分子化合物がいわゆる廃棄物として清掃業務の中に入ってまいりました場合に、それはきわめて多くの問題を起こしているわけでして、その中には、一つは要するに非常に高分子化合物による製品というものがふえて、あらゆる分野にこうしたものが使われるようになりまして、量的に非常に増大をした、しかもそういう状況の中で廃棄物として扱う場合の処理技術のほうは、処理、処分のほうは、技術的に非常に困難な問題を含んでおる、またいわゆる家庭から排出されるものを考えました場合には混合収集されていっている、混合収集という形で処理をされておるというところに今日私どもが逢着している一つの問題点があったわけであります。そこでいま、むしろ今回新たな観点から清掃業務というものを見直していく場合に、総合的な処理体系というものを考えていかなければならぬ。その場合に、一つは廃棄される量そのものを減少させていくための手法、回収あるいは再生利用の促進というようなことも一つの方法として打ち出していかなければいかぬ。その例がいまのヤクルトのところで申し上げたものに当たるかと思います。それと同時に、これがいわゆる消費者サービスということ、あるいは物価対策の観点からしばしばその方面の関係の方々からはいわゆるワンウェイ容器の転換ということを今日までもずいぶん言われてまいりました。そしてそういうものを私どもは決して必要ではないとは思いません、しかし、ワンウェイ容器というものに必要以上に転換をされると、これは私どもとしては非常に困ったことである、こういうものを少し抑制をしたいという部分もあります。それから同時に、今日私どもはたまたま買いものにまいります場合にも非常に包装紙等がていねい過ぎるくらいていねいになりました。むしろ過剰包装というものが一つの問題点としてやはり私どもには出てまいっております。こうした過剰包装というものを抑制する、これも一つの問題点であります。同時にプラスチックそのものの質的な改善をはかるために、これは高分子化学の分野として御検討願っておるものでありますけれども、素材としてのプラスチックの再生、同時に処理面の開発、いわゆる低カロリー分解の非常に容易な型のものを開発をしていく、これも一つの方法であります。同時に、製品化をしてまいります場合に、再生及び処理面というものを最初に考えておいていただきたい、そういう分野まで配慮を払った製品化を願う、これは技術指導その他の問題はむしろ私どもの所管外のものでありますけれども、こういうものをやっぱりやっていただかなければならぬ。同時に今度は、私ども自身に課せられる責務でありますけれども、いわゆる合成高分子廃棄物というものを、処理技術を進展させていくために必要なものとして専用の焼却器及び再生技術というものの研究開発、同時にそれとは別に、どうしてもやはり私は家庭から排出される廃棄物の中にはどれだけ、それこそ御家庭の協力を得ましても混合されて排出されるケースが多いと思います。そうした場合の混合焼却に関する技術開発、これがもう一つの大きな問題点として私どもに課せられた責務であります。同時に合成高分子廃棄物、そういった一連のものの収集処分体制というものを解決をしていかなければならない、そういうことを私どもとしては基本的に考えております。そして今回御審議を願っております、本日社会労働委員会で審議を願っております廃棄物処理法というものの中にそういった考え方を実は盛り込んでまいりました。
#152
○田中寿美子君 この新しいプラスチック製品の容器を使うということは必ずしも企業のためではない、消費者サービスであるというように言われました……。
#153
○政府委員(橋本龍太郎君) の部分もあると……。
#154
○田中寿美子君 それはわかります、その辺でこれは議論になりますが、消費者は便利なものを買いたいわけで、そういうものをつくるのはまた企業によって必要なことですから、ですからそしてワンウェイにいたしますのは牛乳の場合、かりに牛乳の場合をとってみますと、これは回収をしないでも済むわけですから、ですから、牛乳販売業者にとってはそれが便利なんですね、ですからそういう意味で企業にとって必要である、企業はもし消費者が買わなかったらそれをつくったってしょうがないわけですから、私はやっぱり、ですからこういう焼却しにくいもの、開発されたこの高分子化学合成品ですか、こういうものについてはやっぱり企業が最後までめんどうを見るべきではないかというように考えております。それは、やり方が非常にむずかしいでしょう、いまおっしゃったように、混合して出てくるし、家庭の中から出てくるのだからということですけれども、やはりそれがたとえばごみを焼きます焼却炉の場合も、そういうものが入ってくると非常に高熱を出しますわけでしょう、それから同時に有毒なガスも発生する、こういうことを考えますと、公害の立場からいえば、これは獨特の特殊な処理をしなければいけない、そうすると、現在東京都に出ておりますごみの中で一〇%くらいがいまのプラスチック関係のごみになります。これがもし一五%までふえますと、いまの焼却炉ではとうていかなわないわけですね、熱が非常に高いはずでありますから、焼却炉が破損してしまう、だからやっぱりこういうものはえり分けて別の焼却炉を設けなければならない。たとえば、そういうことに対する施設の費用、それから焼却していく費用、これはやっぱりそれをつくって使った企業が負うべきではないかというのが私の考えなんです。それはいかがですか。
#155
○政府委員(橋本龍太郎君) 率直に申し上げまして、非常に私はそれはむずかしい、実際行なおうとした場合にはむずかしい部分が出てくると思います。たとえば、その牛乳容器、たまたまこれは現実にないものでありますから、ないものに例をとって考えてみたいと思いますが、牛乳容器を、要するに人件費というもののコストを少しでも下げたいということで業者は採用をした。そしてまたそれによる価格の引き上げがないということで消費者もそれを歓迎する、そうしてメーカーがそういう要求を開発し、それを牛乳屋さんのほうに販売をし、そしてそれが採用された。これは消費者にその責めを課すことは当然できないことでありますけれども、省力化あるいは人件費を押えるためにそういうものを採用したメーカーに問題があるのか、あるいはそのメーカーの要請によってそうした製品をこしらえた高分子化学に従事する企業のほうに問題があるのか、そういうふうなことを言い出しますと相当これはいろいろな問題が出てくると思います。しかし、これはいま公害部長ととっさに相談したところでありますけれども、確かにそういう場合もある程度責任を明確にできるもののような場合には応分の負担をさせるような方法も今後やはり考えるべきことの一つかもしれません。そういう意味で、私どもも一度考えさせていただきたいと思います。
#156
○田中寿美子君 私、いまのおことばで、ぜひそれを研究していただきたいというふうに思います。技術的にはいろいろ問題があるでしょうけれども、そういうことで、特別、非常に過去何億円もかかる焼却炉を新しく備えなければならないということになりますと、これは東京都でしたら都民の税金、あるいはほかの市でしたら市民の税金を使うわけでございますが、やはり公害を発生する企業が責任を負うべきだという原則からしますと、そこはやっぱりこれは考えていただきたいと私は思うわけです。
 それからもう一つ別の点から産業廃棄物のことですが、この処理にいま困ってしまって、先ほど海洋投棄の話がありましたけれども、たとえばこれは静岡県の浜名湖畔の可美村というところの例ですけれども、ビニール加工工場がプラスチックをつぶして土壌の中に、その辺は農地なんですが、水田に穴を掘って埋める、こういうことになりますと、そこから有機塩素系の物質が出てくる、シアンなんかも発生するということですね。非常に有害なものに転化するおそれがある、こういうようなものの処理についてはどこでどういうふうに指導しているかということです。ここだけの問題じゃないと思います。方々でそろそろ困ってきていると思います。
#157
○政府委員(橋本龍太郎君) 最初に、先ほどの点についてもう一度申し上げますけれども、私ども検討はいたしてみたいと思いますが、先ほどのプラスチック・メーカーそのものに責任を負わせるということはきわめて私は困難だと思います。しかし、先生の御指摘でありますから、私どもとして検討はいたしてみたいと思います。
 それと同時に、いま第二点で先生がお話しになりました点でありますが、むしろたとえばプレスしてあるいは粉末状、粒状にしたものを土の中等にまぜて埋めてしまった場合、実はむしろ容易に変化するようなものでありますと、これは実は焼却その他私どもの担当する分野での処理についても実はわりあいに楽なのであります。ところが、高分子化学製品は、先生御承知のとおり、非常に種類がたくさんあります。中には、スチロール系の樹脂のように溶融温度が非常に低い。百四、五十度で溶融してしまうものもある。逆に、それこそ金属のかわりに機械部品等に採用されても硬度、質的変化一切含めて金属以上の能力を持つものもある。一概に私はその点で、土壌の中に、プレスした粉状あるいは粒状のものをまぜて処理をして種々の問題が発生するかどうか、この点については私は詳しい知識を持ちません。ただ今回新たに御審議を願っている産業廃棄物の処理に関する法律というものが、幸いに本院の御賛成を得て通過し成立をいたしました時点で、私どもはその基準を設けていきたいと今日考えております。
#158
○田中寿美子君 いまの問題、プラスチック製品の処理の問題はまだまだこれから研究しなければならない部分がずいぶん多いと思いますので、ぜひその辺をよく指導するようにしていただかなければいけないと思います。
 それでは山中長官にお尋ねいたします。衆議院の段階でも、あるいは参議院にまいりましても、公害については監視員を持つことが非常に必要ではないかということが議論されました。たとえば労働基準監督官や食品衛生監視員を使ってはどうかという議論も出たかと思います。私は、住民の知恵をもっと借りてほしいということを連合審査のときに申し上げたら、自民党のある議員は、人民裁判だなんということばをお使いになりましたけれども、そういう感覚だと公害対策は非常に困る、ほど遠いと思います。現実に公害が起こっているところでは、住民がまず一番被害者になっているから、だから立ち上がるわけなんですね。それで、それを住民の感じているものをちゃんと科学的に分析も与えることができたり、それから不安を取り除くことをするのが行政の責任だと思うのですね。ですから住民が最初に問題を発見してくれるということについては、私は十分その力を借りたらいいと思う。東京や横浜で市民運動を活用しているわけなんです。東京都の公害白書、「公害と東京都」というのがありますけれども、あの中に「公害防止には天才は要らない」、「市民の監視は力である」ということばが書かれております。やっぱり公害の問題というのは、まだほんとうの専門家というのはそんなにたくさんいないと思うのですね。しかも公害の状況といったら、とてもどうしようもないくらいたいへんな量で、また質的また種類がいろいろで起こってきているわけです。ですからぜひ市民に協力してもらう、住民に協力してもらうということは必要だと思う。東京都の条例の改正の中で、公害監視委員会という制度をつくって都民による公害の監視委員会、この中には婦人団体、消費者団体、労働組合その他一般市民なんかを入れて、そして被害の状況、発生源、企業の監視もそうですけれども、東京都の公害行政の監視もしてもらうということを今度改正案の中に出しているわけです。こういう考え方を長官はどうお考えになりますか。
#159
○国務大臣(山中貞則君) そのようなものを設ける気はございませんが、公害監視官的なものについては、労働大臣が、公害罪法案の審議に関連をして衆議院法務委員会で検討することを約束いたしましたので、閣議でこれを取り上げまして、ただいまお話しになりましたような労働基準監督官あるいは地方の公害対策関係の各種法によって立ち入り権等を与えられるであろう職員あるいは現在都市型保健所と俗に言っておりますところまで置かれている保健所の職員等の能力の活用、いろいろの問題を念頭に置きながら、いま私の本部において予算をどのような形で要求するかについて詰めをいただいておるわけでございます。でありますから、それらの人たちが、場合によっては相談員と申しますか、そういうような地域の人たちの相談にものれるような、単に一方的なGメン的なものでない性格のものが与えられないだろうかというような気持ち等をいま持ちながら進めておるわけでございます。なお、今国会でついに提案は許されませんでしたが、政府としては法律案としてつくり上げました悪臭防止法等においては、その基準設定等について十分俗に言うモニター的なものの活用によって基準をつくっていきたいという気持ちでいるわけであります。しかし、政府――この場合を置きかえれば政府でございましょうが、政府も監視し、そして、それぞれの行政についてもどれくらいの権限を持つのか知りませんが、そのような委員会というものを設ける気持ちは、私どもは現在のところございません。
#160
○田中寿美子君 非常に各地で地域的に公害が起こっているわけですから、とても、たとえば衆議院段階で監視員のことが問題になって千五百人くらいとかということを言われましたね。そのくらいのことでは間に合わないと思うんです。それで最近の報道でも、鹿島の臨海工業地帯ではもう政府を待っていられないというので公害対策協議会でSO2の、亜硫酸ガスの測定器を十台購入して、そして、その公害対策協議会の市民たちが観測を始めたというようなことも発表されております。で、横浜では薬剤師さんを使いまして、そして大気汚染の防止のための連絡員という、つまり立ち入り権なんてそういうものはないけれども、簡単な試験方法で空気が非常によごれているということが発見された場合に、保健所だとかそれから公害研究センターに連絡することをやる、そういう連絡員の制度を設けているんですね。ですからいろんな形で住民の協力を求めるということをしないと、とても公害は簡単なことではいかないだろうと、こういうふうに思います。ですからそういう点をぜひひとつ考えて、ことに悪臭防止の場合はそれは必要でしょう。ですけれども、空気にしましても水にしましても、そういう連絡員がいたら非常に早くわかるんじゃないかという意味でそういうことを必要だと。それから先日和歌山へ行きましたら、住友金属による大気汚染で悩んでいる市民の協議会の人たちが、公害対策審議会のメンバーを公選にしてほしいというようなことを言っておりました。つまり企業の代表者やら何かがどうしても比重として多く出てくる、もっと市民を中に入れてほしいということを言っていたんですが、この辺もどういうふうにお考えでございますか。
#161
○国務大臣(山中貞則君) 地方の今度必置制となる公害対策審議会にどういう人たちを入れろという指示をするつもりはありませんが、中央においては公害対策審議会というものがございます。それには現在主婦連代表等もお入りになって、私も出てよく議論をするんですけれども、いろんな御意見を吐いておられるわけでございますが、なるべくこれが地域住民の納得する構成でやってまいりたい。ことに利害が全く極端に金の問題で対立するおそれのある公害防止事業費事業者負担法に基づくそれぞれの部会が設けられる場合には好ましくないものとして、それらの公害を発生する企業に関係のある人は、財界人の立場であってもどういう商工会議所その他の肩書きであっても入ってもらいたくないという指導は強力にするつもりであるということは申しておるわけでありますが、御趣旨はわかりますけれども、地方に一々こういう構成でやれという指令を出すことはかえって問題があろうかと思うわけであります。
#162
○田中寿美子君 私の言いたいのは、結局、公害というのはしろうとの住民だといってむげに軽べつしないということなんです、そういうことがよくあるもんですから。このごろは公害の問題ではみんな非常に敏感になっておりますので、自分たちでいろいろと研究して、地方には非常にそういう公害の、自分のところの公害に関する限り非常にエキスパートだという人たちが出てきているわけですね。ですからそういう人たちの意見を十分聞くような姿勢が公害の行政には必要だろうということなんです。
 それじゃその次に、公害対策基本法の中で、もうきのう田渕委員からも出ましたけれども、それから竹田さんからも出たと思うのですが、公害対策基本法の一条の中から、経済との調和条項を抜いたのはけっこうなんですけれども、公害の定義にまだ問題があると思うのです。で、例の「相当範囲にわたる」というのがありますので、非常にこれが一つの制限項目になっている、「相当範囲」というのは一体どういう、はっきり言ったらどのくらいの面積あるいは人口、そういうものを考えておるのですか。
#163
○国務大臣(山中貞則君) それは典型公害の事柄によって違うと思います。それは振動というようなものでも、工場騒音とかあるいは建設現場とかいうものになりますとごく限られた範囲ですけれども、やはりそれでもその工事、公害の性格によっては相当な範囲に及んでいる、あるいは悪臭、騒音等もやはりそういうことのものさしで一応言えると思うのです。あるいは水質の汚濁や水底の底質の悪化、水の状態、こういうものもやはりおのずから範囲というものはそう広いものではない、しかしながら、大気というようなものになりますと、それが相当な範囲のものが念頭に一応置かれているということで、それぞれの公害のいわゆる典型公害というものを起こす現象というものの性格によってそれぞれの範囲というものはおのずから定まってくる常識上の範囲であるということであろうと思います。
#164
○田中寿美子君 それは常識的に判断するのですか、それともはっきりと政令か何かできちんとこの公害に関してはこうというふうな規定があるわけですか。
#165
○国務大臣(山中貞則君) これは基本法でございますので、その一応公害の考え方についてそういう意味のとらえ方を言っているわけでありますから、それに制限をつくって、悪臭の場合には周辺五百メーター以内とか、騒音の場合には二百メーター以内とか、振動の場合には百メーター以内とかいうことをきめるよりも、やはりその地域地域において、同じにおいであっても絶えず一定の方向に風が吹いてそっちの袋小路の人たちだけが年じゅうにおいがするとかいうようないろいろな違いがありましょうから、そういうものはむしろきちんと定める必要がないと私は思っております。
#166
○田中寿美子君 ところがそれが基本になりましてね、昨日も指摘されましたように、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法の中でやっぱりこれがそのまま使われていますね。ですから、公害の医療の救済を受ける対象者をきめるときに、「相当範囲にわたる著しい大気の汚染」、そこでまた「相当範囲にわたる」というのと「著しい大気の汚染」というのがあって、そしてそこで「疾病が多発した場合」と、三つチェックするポイントがあるのですね。それで公害病の認定が非常にされにくくなっておるのですね、これは。そして現在のところこの救済法は、今度は別に改正法案として出てはおりませんけれども、救済法で認定されているのは水俣病とイタイイタイ病と四日市ぜんそくと尼崎ぜんそくですね。大気汚染と水質汚濁だけにしてありますね。実際にはまだほかの典型公害の中からでも医療救済を受けなければならない人が出てくると思います。それで、「相当範囲にわたる」、「著しい大気の汚染」、「疾病が多発」と、この三つの制限を設けているということは、基本法にこういうのがあるからというように思うのですがね。ですから、将来この基本法の「相当範囲にわたる」というようなものを、これを取るわけにいきませんか。
#167
○国務大臣(山中貞則君) これは健康被害の救済の法律ではそういうことでもって締め出そうということでやっているのではなくて、きっちりととらえにくい、公害によって病気の状態になった、いわゆるそういう救済法を適用しなければならない人たちの範囲を明確にするための条件を示しておるわけでありましょうから、その意味で基本法でたとえば書き方を改めて、それを一定の狭い範囲ということにくみ取れるような書き方をするとまた今度はそれを受けて救済法のほうも狭い範囲になるおそれもありますし、これはやはり公害の性格によってそれぞれ違うからということにすなおにおくみ取り願っていいんじゃないかと思うので、救済法のほうはまた別な議論を数日来やっておりますから、適合しないもの等あるいは新しく考慮しなければならないものなど、その他の基準の問題、その他は引き続き検討もしていくでありましょうし、厚生省自身予算要求、その他の措置もいたしておるようでありますから、それらの内容の問題にまたさらになっていこうかと存ずる次第でございます。
#168
○田中寿美子君 救済法のほうはもう議論いたしません。ただ、いまの救済法のほうで、きっちりわかる、はっきりさせるためというけれども、やはり「相当範囲」というのはあいまいな規定ですし、「著しい大気の汚染」というのもあいまいな規定です。多発する疾病というのもはっきりしない問題が私はあると思うのです。それで基本法に「相当範囲にわたる」ということばがあるので私は将来とってしまっていいんじゃないか、人の活動に伴って生ずる大気の汚染でいいんではないかというふうに思うのですが、実は地方の条例を見てみますと、この公害対策基本法が四十二年の八月ですね。それでその前にできている、地方の、つまり国の公害対策基本法ができていない前にできた地方の条例では、千葉県の公害防止条例でも、それから埼玉県、茨城県、それから神奈川県、それから東京はそのあとですけれども東京都条例、みんな「相当範囲にわたる」ということばがないんです。ところが、公害対策基本法でこれを入れたもんだからだと思いますが、その後の、公害対策基本法ができたあとの地方条例にはみんなこのことばが入っちゃっている。だから公害対策基本法は非常に重大なもので地方の条例をも左右していくわけです。だから経済との調和条項も基本法にあったからみんなまねして入れたところが多い。そういう意味では公害というものを非常にもっと広く把握していくためには基本法のその辺もぜひ検討してみていただきたいと思うのですが、この点いかがですか。
#169
○国務大臣(山中貞則君) まあどういう表現にするかでしょうけれども、しいて議論するつもりはありませんけれども、いま言われたように、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる大気の汚染、水質の汚濁といきますと、もうそこではっきりとその因果関係というものも証明される範囲内というふうにとれるおそれも逆に私はあるんじゃないかと思うのです。これはまあ私の率直ないまの御提案に対する疑問でありますから、そうすると「相当範囲」ということであれば、その因果関係が直ちにこの工場からこの範囲にわたって被害が、これらの典型公害が起こっているということ以上にその原因となった公害がこれらの現象を相当な範囲にわたって起こしているということでつかまえるわけでございますから、これによってどうもしり抜けになるということはないのじゃないかと私は思っております。
#170
○田中寿美子君 それはもう水かけ論になりますので、ただ私はそれが地方にも影響を及ぼしているし、その他の法律にも影響を及ぼしているという意味で考えていただきたいということを問題にして提起しただけです。
 次に、無過失賠償責任制の問題で、この前の連合審査会のときに、山中長官も法務大臣もそう言われましたけれども、私は、もう公害に関しては新しい法体系を考えていいんじゃないか、だから民法の特例なんという考え方でなくて無過失賠償責任制をつくらないと公害の被害者が救われないという立場で申し上げたんです。しかし、いますぐそういうことはできない。そこで個々の問題について無過失賠償責任制をつくることを検討していると言われて、そしてたとえばどういうものですかと言ったら、劇物毒物取締法などであると言われましたが、それは確認してよろしゅうございますか。
#171
○国務大臣(山中貞則君) そのとおりでありますし、さらに物質をとらえて有害・有毒物質、亜毒性のものまで広げるかどうか問題がありましょうが、そういうふうにはっきりとしたものについての物質をとらえて、それを各規制を横断をして、この物質にかかる被害が起こった場合には被害額の立証責任はその物質を排出した企業にあるというようなこと等も、作業の過程でどちらをとるべきかについて研究をしていくと申し上げておるわけでございます。
#172
○田中寿美子君 それで、通産省の方にお伺いいたしますが、通産大臣が連合審査のおり、鉱業法百九条で無過失賠償責任はこれまでもあったということについて、だから今後もこれを拡大していくつもりはないかということをお尋ねしたときに通産大臣は、技術革新によって無過失賠償責任の必要がなくなると思うというふうな答えをなさいました。あれはどういう意味であったか、おわかりになりますか。
 つまり無過失賠償責任制度は私はむしろ今後採用していくべきものだと思っているんですけれども、通産大臣のお考えではむしろこれはなくなっていくべきものというふうにとれましたので、誤解であるかどうか。
#173
○政府委員(莊清君) 通産大臣が申し上げましたのは、たしか鉱山におきます鉱業法の無過失責任を例に出して見解を述べたと思いますが、その場合に通産大臣は、決して――技術的に処理可能な産業について公害が生じた場合には無過失責任は問うべきでない、こういう姿勢でお答えになっておったのでは絶対にないというふうにこれは間違いなく私ども了解をいたしております。
 鉱業法の無過失責任というのは戦前にできた規定でございますけれども、ある当時はまあ現在と違いまして、公害といえば金へんの山の鉱害ということばしかなかった時代でございます。その当時鉱山というのは非常に始末の悪い産業であって、いろいろな水を出したり突発的なことが起こったり、相当注意義務を果たしておっても近隣の社会に御迷惑をかけることが以前から多々あった。技術的になかなか処理し切れぬ、こういう特殊な産業だということが一つの理由になってとりあえずこのとき問題産業であった鉱山について特別の規定ができたものだと、そういうふうに理解しておると過去の経緯を申し上げただけでございまして、その裏を返して、技術的に処理が可能な産業の場合には鉱山などと違って無過失責任は問うべきでないと、そういう意味では全然ない、こういうふうに理解いたしております。
#174
○田中寿美子君 山中長官ね、有害・有毒物質をとって無過失責任制を入れることができるかどうか検討するということですね。公害にあらわれてくる物質一つだけ別に取り出すということは可能でしょうか。たいていいろいろなものがまざり合っているもんですね。企業の活動の中から公害が出てくる。その公害の状況というのは、何か一つだけはっきりした物質を取り出すということはできますかしら。
#175
○国務大臣(山中貞則君) 私はいま検討にかかっておるということを申したのであって、それができるのかできないかも含めて検討しているわけでございますが、そういうものをつくらなければならないという背景を係争中の事件等をながめながら感想も持ちつつそういう方向に努力をしてみますということを言ったので、事実、検討を始めておりますが、まだここで明確にたとえば毒物劇物取締法に関するものであっても、それはもうそういうものを、有毒なものが人体に入るような行為そのものができないようにしておるのが毒物劇物取締法なんだから、それはもう立証責任もあるいは無過失賠償もあり得ない法律なんだということも言って言えないことはないと思うのです。しからば薬事法はどうだとか、あるいは農薬はどうだとかいろいろといま検討をしておるわけでございまして、いまここで一つだけ取り出してどうこうということができるかできないかも検討中の問題であるということでございます。
#176
○田中寿美子君 私は、どうしてもその無過失賠償責任制を、いま非常に抵抗があるようですけれども、そういう制度を設けませんと公害の被害者が、被害者ばかり――いつも加害者がないような形でいつまでも自分で自分たちが治療もし、苦労もしていかなきゃならない、こういう被害者が一ぱいいるのですから、ぜひとも無過失賠償責任制をとるような方向にしていただきたいという希望を述べておきたいと思います。
 それで最後に処罰法に関してですが、二つの問題をまずお聞きしたいと思います。一つは、この法案を作成する過程で山中長官と通産大臣とで、基準を守っていれば処罰はしないというような条項を入れてほしいということを法務省のほうに申し入れた。だけれども、そういうものを入れるのは法務当局としてはおかしいというのでやめた。しかし、その心は、基準を守っていれば処罰を受けないでも済む、こういう了解をしているんだというようなことが報道されていますけれども、それは事実でございますか。そしてどういう意味でございますか。
#177
○国務大臣(山中貞則君) 事実でございません。関係閣僚協で公害罪法を次の国会に出そうということをきめましたときに、通産大臣から、法治国家で法の定めた基準を守っていても、なおかつ別な法律でひっくくられることはないでしょうね、それは当然そうだと思いますということで、関係閣僚協はそれを、いわゆるはやりことばで言うならテークノートした形で作業にかかったわけです。そこで関係閣僚の間において合意した問題でございますので、立法技術上可能であるかどうかについては法務省とも相談をいたしました。法務省はそれを書き入れることは可能であるということでございました。しかし書き入れますと、――ここまでしゃべるとよくないのかもしれませんが、書き入れますと、いま政府がせっかく苦心してたくさんの法律をつくって、そして基準を設けて直罰をやろうとしておられるわけだけれども、その政府の定める場合の人の健康にかかわるきびしい基準というものを守っていても、いわゆる公害罪でひっかかることがあり得ますよ、しかしそれは守っていたんですから、この対象にしませんよということをわざわざ刑法の名においてそれを証明することになる。それは一体政府の姿勢としてはどうなんでしょうかという、いわゆる法務当局の素朴な純法理論上の疑問が出されました。これは私もどうも、言われてみると、なるほど基準を守っていれば公害罪法の適用にはならないんだという条項を刑法の中に書き加えることは可能である。反面において、それを書き加えたら逆に政府の定めんとする人の健康にかかわるきびしい基準というものを守っていても、刑法で本来ならばひっくくらなきやならないような事態が起こることの基準であるということの証明になるということを言われますと、一言もなかったわけです。そこで、その時点で関係閣僚協の取り上げた問題は純刑法の問題としては問題にならない。これは純法律上の問題だとかりに総理大臣が統一見解として、そういうことでこの法律を提案をいたしましたと述べたところで、そして国会がそれを一応認めたという形で終了したところで、司法権というものは立法と行政とが合意に達した前提条件があろうとなかろうと、法律は一人歩きするもんだということになるわけです。したがって、そのような性格のものでもありますから、この際公害罪法案に関しては法務省のほうへ全部作業を一任いたしますという対策本部の作業の過程から、そこでカツトしたいきさつがございます。でありますから、先ほど申されたようなことは何もございませんが、ざっくばらんに申し上げまして、話してはまずいような裏幕まで全部お話し申し上げましたけれども、そういうことで十四法案のうち公害罪法だけ法務省の単独作業で閣議まで持ち込んだということに、結果なったわけでございます。
#178
○田中寿美子君 まあ財界の圧力でなんということが報道されたものですから、それで、ただ私は疑いを持ちましたのは、この間の連合審査のときに、厚生大臣に、硫黄酸化物の排出基準、COの排出基準がたとえば東京などで低過ぎるのではないかと言いましたのに対して、いやそんなに簡単にきれいになるはずはないのだから、まあ徐々にやっていくんだと、しかし、それなのに、それは理想的にもうちょっと高くすれば今度は直罰主義ですぐやられますからねとおっしゃったものですから、そこに手心を加えて、基準を守っていれば処罰されないのだぞということをはっきりさせたんじゃないかという気がしたものですから、それでお尋ねしたわけです。
#179
○小平芳平君 私は最初この公害についてのこの技術の開発について、
  〔理事杉原一雄君退席、理事鬼丸勝之君着席〕
あるいはこうした研究機関の充実について、これが非常に大事だということは山中長官もそれから厚生省ももちろんお認めだと思いますが、きのうきょうあたり起きてきている具体的な問題を二、三あげまして、具体的にまたこういう面の技術が、研究機関の充実が必要だという点を指摘して御意見を承りたいと思います。その一つは、アメリカでもって日本のマグロかん詰めが水銀に汚染されていると、で、水銀が基準をこしたものは輸入しない、新聞の報道によりますと二三%が〇・五PPMをこえている。そうした〇・五PPMをこえているものについては輸入しないと、こういう報道があります。ところが、私たちが東京歯科大学上田喜一教授の水銀に対するいろいろな研究があります。この上田喜一教授のこの研究資料と、それからアメリカの今回の新聞に報道されているこの内容とを比較しますと、やはり、また厚生省の談話も出ておりますが、厚生省の談話とこの上田喜一教授の研究報告と比較しますと、いろいろとこう違いがあるわけです。したがって、上田喜一教授の報告によりますと、マグロは南アメリカあるいはインド洋、この辺のマグロはメチル水銀で〇・五、それから乾体――乾燥したもので一・二一PPMというものがあるということが報告されております。つまり、天然の、南アメリカやインド洋でとれたマグロが工場排水による水銀による汚染ということはまず考えられないと思いますが、そうした天然のマグロに〇・五、それから乾体にして一・二一PPMというものがあるということが報告されております。それに対して、アメリカのほうでは〇・五PPMをこえるものは危険と見て輸入しないというふうに発表しているというのですが、この辺についての御見解を承りたい。
#180
○政府委員(橋本龍太郎君) アメリカのFDAが、食品の中の水銀含有量を〇・五PPM未満というものをガイドラインとして設定し、指導を行なっているということは私どもよく承知しております。まあこれは環境汚染を防止する意味から定めたものであろうと思います。そうして、ところが、これは先生、その上田教授のリポートを手元にお持ちになりましたが、むしろ私より詳しく御承知かと思うのですが、マグロという魚、これは本来海洋を回遊している魚類でありますから、いまお話の中にもありましたとおりに、工場廃液等の人為的な汚染原因によって水銀を蓄積する可能性のある海岸には生息しておる魚類ではございません。しかし、従来からこれは、マグロという魚は天然の水銀を相当よく吸収する性格は持っておるようであります。私はしろうとでありますから、持っておると断言をすることはできませんが、持っておるようであります。インド洋方面その他において単体汚染〇・五PPM以上の個体が漁獲されたというようなことを私どもも聞いております。インド洋あるいは南アメリカ海域、中南米方面の海域等で人為的な汚染があるとは考えられません。私、いつごろの事例かよく存じませんけれども、わりあいに最近日本の近海でとれたものにも〇・四PPM前後の水銀が含まれておったものがあるようであります。これは従来一つの問題点として専門家の意見も聞いてまいりましたところであります。食品衛生調査会の毒性部会の専門家の意見も、天然に存在して天然に生物に含まれるものが無害であると。ただしこれは客観的なデータに基づくものであるというよりは経験の積み重ねによる一つの考え方でありますけれども、そういう見解を示されておりました。私どもとしては、その意味ではFDAの基準というもの、ガイドラインというものを設定された理由というものは、つまびらかにいたしませんけれども、今日天然に生息をするしかも人為的汚染の考えられない地域において生息をしている魚類、その体内に蓄積された水銀というものは〇・五PPMは無害であると言われた食品衛生調査会毒性部会の専門家の見解を私どもの考え方の基礎としたいと考えております。
#181
○小平芳平君 ただここでもってひとつ厚生省の――はっきりした名前が出ておりませんが厚生省食品衛生課の話として、問題は水銀の総含有量ではなく人体に影響のあるメチル水銀の量だとなっておりますが、この点は厚生省の現在の行政とちょっと違っておると思うんですね。要するにメチル水銀に限らず総水銀として規制をするということ、それからもう一つは、この談話ではメチル水銀は一〇ないし三〇%である。要するにトータル水銀に対しての意味だと思いますが、一〇ないし三〇%でほとんど問題にならないと、こういうように言っておるようですが、やはり上田教授の報告書によりますと、毛髪を検査した場合のメチル水銀の総水銀とメチル水銀の比率というものは一〇ないし三〇%というものではなくて、毛髪の場合はほとんど同じ量くらいが出ておるようです。
 それからまた、このメチル水銀に比べて総水銀になるとメチル水銀の倍くらいになると、倍以上になるというふうに報告されているようです。したがって、このアメリカの発表の場合は水銀が厚生省でいうような、新聞に載っているような厚生省の見解ではなくて、むしろ総水銀自体が問題だということが一点。
 それからもう一つは、これに対するメチル水銀の比率というものが一〇%やないし三〇%というものじゃないという二点をお尋ねしたいです。
#182
○政府委員(橋本龍太郎君) 私、たいへん申しわけありませんが、その厚生省としての談話でありますか、あるいは見解というもの、私どもの役所の中のだれがどのような形で出したのか存じません。しかし、もしこれは厚生省の職員でありましてそのようなことを報道機関を通じて国民に対して申しておるとすれば、これは非常に申しわけのない次第であります。これは決してメチル水銀だけを対象として考えるべきではありませんし、当然総水銀でものごとを判断されるべきでありますし、また、厚生省そのものも魚類調査を行ないました結果からしまして魚族の場合に大体総水銀量に対してのメチル水銀というものは三〇%から七〇%くらい含有しております。ですから一〇%から三〇%というような数字をもし申し上げておったとしたらこれは非常に申しわけありません。この際おわびをすると同時に、この場をかりてその点は訂正をさしていただきたいと思います。
#183
○小平芳平君 こうしたことは、これは結局いまやっている十四法案とは直接関係ないですけれども、長官、結局こうした点、非常に研究機関をより一そう充実すべきだということが私の申し上げたい点なんですが、それで、この問題についてはどういうお考えですか。
#184
○国務大臣(山中貞則君) やっぱり、日本も政府としては、国際的な論争なり意見の交換に耐え得る研究成果というものを絶えず持っているという必要があるということを痛感いたします。まあこれも内輪話ですけれども、アメリカのラッセル・トレイン大統領環境問題諮問委員会の委員長が日米会議のために日本に来られたそのときに、われわれはもっと早くこの会議を持つべきであった。それであれば、われわれはアメリカの五大湖とか、湖沼河川等の水銀の問題について、より必要な手が早く打てたであろうというようなことを言ったわけです。どういうことかと、さらに聞いてみますと、カナダのほうでミシガン湖から流れる川の魚をとって食べてはいけないということをカナダの政府が言った。そこで、問い合わせたところが、それは水銀の問題であって、そこで五大湖をはじめとして調べてみたら、いずこにもその蓄積が認められ、もしもっと早く会合を持っていたならば、われわれは日本の貴重な、水俣から始まった水銀、そういう資料をわれわれは得ていたであろうし、それに対処する手が打てたであろうというようなことを言っておりました。どうも私としては、そういうふうに日本をほめられることは、たいへん日本が、それによって病気になったり、死んだ人まで出ておる体験値を、向こうは非常にほしがっていたということになるわけでありますから、これはまことに申しわけないことで、くすぐったいような気持ちもいたしたのでありますが、アメリカの見方というものも、ちょっと皮相的な観察のように思われて、くすぐったい気持ちもしたわけでありますけれども、やはりそういう問題は今後貿易規制とかなんとかいう問題に直接つながってまいりますから、そうすると、自動車の大気の問題にしても、いまのマグロの水銀の問題にしても、アメリカが一体どのような根拠でもってかん詰めについてそういう規制を組んでいこうとしたのか、これはもう当然それが反証できなければ輸入は禁止ということになるのです。そうすると、マグロかん詰めの輸入禁止は、同時に日本のカツオ、マグロ漁業にとっても甚大な被害を与えるでしょうし、それに伴ってかん詰め業者あるいは製かん業者等の倒産続出という事態に当然なるべきウェートをアメリカ市場は持っていると思うのです。こういう場合、日本がアメリカ側と常時、単にアメリカのみでなくて、日本と貿易のあるような国々については、そういうようなデータの交換をし合っておくと、それは、そうすれば総水銀なのか、好機水銀なのか、無機水銀なのか。ならばどの程度までならばお互いが許容してしかるべきものであるかどうかが確認されておりますと、一方交通的な道路遮断的なものが行なわれる心配がないわけです。その点においては、日本の今日の研究機関というものが、それぞれ各省庁に置かれて、りっぱな仕事をし、研究開発の努力を日夜続けておりますけれども、いつも申しておりますように、国家的な統一された形において有機的なつながりを持っていない。その意味では来年度予算に、昨日の段階までは六百十万一千円の調査費を要求いたしておりましたが、やはりもう少し諸外国の実態等をきわめる必要があるということで、学者、有識者等の方々の国外調査ということなどの予算をもう少しふやしまして、最終的には一千百八十一万六千円を昨夕、夕方、大蔵省に対して要求をいたしました。これは国立公害研究所の設置及び今国会において終始繰り返された環境保全省もしくは環境保護庁みたいなものをつくる場合にはどのようなことが考えられるかという問題の調査研究、この二つの課題を踏まえて、ただいま申しました一千万を上回る金額を追加要求をいたしたところでございます。
#185
○小平芳平君 そうしたとにかく研究に対する積極的な姿勢を私は望みたいために申し上げておりますので、たいへんにいまの御答弁で了解いたします。
 それからもう一つ、これも報道によりますと、仙台からですが、国会のこの席上でも再三論議されているところのカドミウム汚染米を公害課員が家族ぐるみで人体実験を始めているということ。このカドミウム汚染米は一・三五PPM、したがいまして厚生省の安全基準をだいぶ上回っておりますが、この一・三五PPMのカドミウム汚染米を家族――妻とそれから子供二人、四人で食べているという、こういうことが報道されております。これについては、一方では非常に研究熱心でりっぱな行為だと言われる、一方では、およそ非常識だ、そういうことは世間一般が危険だということをわざわざやるなんということは非常識だという声も起きているというのです。このことについての政務次官あるいは長官の御見解も承りたいのですが、こういう点も私が申し上げたい結論は、こういうことが起きないでも済むだけの実際の調査機関、研究機関というものがあればそういうことは起きないで済むのではないかと思うのですが、これについての御見解を承りたい。
  〔理事鬼丸勝之君退席、理事杉原一雄君着席〕
#186
○政府委員(橋本龍太郎君) 結論を最初に申し上げて恐縮でありますけれども、私どもとしていかなる形であれ、人体実験というようなものは非常に好ましいものとは思いません、率直に申し上げて。昨夕私もその夕刊で見ましただけでありますけれども、特定の御家庭においてみずから実験ということ、ある意味ではこれはたいへん確かにりっぱなことかもしれません、しかし、私どもは、人体実験というような形というものは決して好ましいものだとは思いません。まず最初にその一点を申し上げたいと思います。
 ただ、玄米において〇・九九PPMというものを一応の安全値として私どもが設定いたしました段階で、これが一日の摂取量五百グラムというものを一つの線にしまして、毎日五百グラムずつの米を摂取される方が、ある程度長期間連続してもしその汚染した米を知らずに食べ続けられたとしても安全であるという限界を〇・九九PPMというものに置きました、その意味では、あるいは一カ月、二カ月程度の期間一・三PPMというような高濃度の汚染をしておる米を摂取されたとしても、その量にもよりますが、必ずしも危険とは言えないかもしれません。しかし、やはり私どもは、そういうお話は非常にこわい気持ちがいたしましたし、安易にそうした形で人体実験というようなものが行なわれるということは非常にこわいという感じがいたします。そういう意味で、この人体実験というものについては、私は、これが公的機関で、公的な研究機関で行なわれる場合におきまして、非常に厳重な注意の上に、その上にも注意を重ねて行なわるべき性格のものだと思います。ただ、いま御指摘になりましたように、先ほどまた山中長官から全体についてお答えがございましたように、私どもの省に属する研究機関において個々それぞれに非常な努力を重ねた研究が行なわれております。横の連携に欠ける点もあります、また、横の連携の欠けている点には気づいても人員等の不足、そういった問題のために連携をとり切れておらないようなケースもございます。そういう意味では研究機関の整備がおくれておるという御批判は甘受しなければならぬと思います。
#187
○小平芳平君 これは、山中担当大臣の御意見を承りたい。あるいは心にとめておいていただくことでもいいのですが、要するに、厚生省の白米のカドミウム安全基準が〇・四か〇・九かということでだいぶこう、やったわけですが、論争になったわけですが、そのときに、結局問題は、尿中カドミウムの量が問題だというところから、岡山大学の小林教授たちが大学のほうから、どれだけのカドミウム摂取量によって尿中カドミウム量がどれだけ出るかということを、これはある程度期間をかけて食べたものと出たものを分析していけば出ていくわけですが、それだけの研究をしたいということでその予算要求をしたが、それは文部省で通らなかったということで、私はこの委員会で言ったら、ちょうど橋本政務次官が他省の予算のことは、ほかの省の予算のことはとやかく言うべき筋合いのものじゃないということでありました。まあそういう点もありますけれども、要するにこうしたものを、調査研究ということに特に力を入れて、いまの一千万円のお話もありましたので、これはひとつ力を入れていっていただきたいということ。
 それからもう一つお尋ねしたいことは、これは厚生省の機関ですが、国立公衆衛生院、この国立公衆衛生院の大喜多博士がこの会場でもって、当委員会の参考人として意見を述べられたわけですが、それで私たちがそのとき聞いたお話だと、国立公衆衛生院はわずか七人の人が教育に当たっていると、実際教育をしているのですが、研究と教育を受け持っているのですが、それはわずか七人のメンバーであるということ、したがって、現在の技術者、公害に関する公衆衛生を担当する幹部技術者、その教育を目的とする機関は、国立公衆衛生院というものが厚生省のまあほんとうの、ほかの省にもあると思いますけれども、こうした公衆衛生に関する幹部技術者教育というものを目的としてずっとやっているわけですが、その辺がどうもわずか七人であるということ、それから外国のほうが終了者に対してはある称号を与えてくれるが、日本ではそういう資格、称号等も与えてくれないとか、そのほかいろいろ、もっと拡充してもらいたいと、要するに中央官庁のみならず各県にこうした公衆衛生の幹部技術者がきわめて必要になる段階でありますので、こういう点について拡充してほしいというような御意見が述べられておりましたが、この点についての御見解を承りたい。
 山中担当大臣から総括的な御意見と、それから国立公衆衛生院の格づけとか位置づけとかいう、そういうような点については政務次官からお答えをいただきたい。
#188
○国務大臣(山中貞則君) いまの文部省が予算を受け取ったとか受け取らないとかいうような話でわかりますとおり、どうも各省の研究機関は熱心なんですけれども、それが政府全体としてお互いが足らざるを補い合い、知らざるを償い合い、そして補足し合って、さらによりよき研究成果を求めていくという姿勢がどうしても政府の研究機関全体としては欠けているのです。だから、たとえば科学技術庁の科学情報センターというのはたいへん膨大な人と資金をもって活動しておりますが、この肝心の医学の分野になったら全部厚生省しかわからないので、向こうではわずかにアメリカの医学専門図書館の資料を四万ドルぐらいの委託費で受けているだけであるというようなことで、全部有機的なつながりがない。通産省の試験所で開発された優秀な何か技術がある。こういうものは今度は厚生省にもやはり知らしておいてあげたほうがいいというようなことがあっても、それが企業で実用化されることもなくして、また開銀融資等が伴う一つの技術革新が行なわれても、そのことが厚生省の研究機関で知っておいたほうがいいということの連絡がなかなか現実にはとられていない。そこらの辺がたくさんあるものですから、私は実際にデータバンクをつくることはたいしてむずかしくないと思うのです。しかし、実際は国立公害研究所というのは言うべくしてつくるのはたいへんむずかしいと思っております。思っておりますが、このままではいけないということで、調査費というのもおかしい話ですけれども、やはりよきものは学ぶ必要がありますから、諸外国の、文献でない、実際にそれが国民のために動いているかどうかを調査するための経費等も今度は考えてやっておるわけであります。ただいまの御指摘の点はまさに数え上げればきりがないほど、たとえば文部省が、各国立大学の先生方が産業界と一緒になって研究をしているような研究成果は全然入手もしておらない、全然知らないということなども含めて、非常に大きな問題があると思いますから、今後国はもちろん民間の研究所なり、あるいは民間の企業内の研究成果なりのすべてが国の機関で収集できておるというような所究所というようなものに持っていきたいものであると考えております。国立公衆衛生院は厚生省のほうから。
#189
○政府委員(橋本龍太郎君) 先日参考人として本院において陳述いたしました大喜多氏の陳述の中から、国立公衆衛生院の公害衛生学及び研修について強化をはかれという御指摘が行なわれました。これは私どももむしろそのまま率直に受けなければならないことであると思います。この戦後約四分の一世紀の間、遺憾ながらわが国の教育体系の中で、技術系に関しては非常に生産工程と密着した部分が急速に伸びてきている。それに比して衛生工学あるいは都市工学といった、それを裏打ちをしていく部分が比較的おくれてきている。こうしたしわが実は今日出てまいりまして、私どもにとって一番頭の痛い問題をつくる原因になっているわけであります。そういう中で、いま国立公衆衛生院の公害衛生学部というのは部長以下七名でございます。そのために外部からの招聘講師等をお招きし、それによってまあ公害学科の技術者養成を行なっておるわけであります。しかし、これで十分だとは決して思いません。同時に財団法人である日本環境衛生センターにおいて短期の研修課程を設け、四十一年から今日まで実施をしてまいりました。主として地方公共団体の技術職員等に対する研修をやりました。大気汚染、水質、騒音の三コースを四十一年から毎年百八十人ずつ研修を行なってまいったわけでありますが、四十四年度からこれにつけ加えて悪臭もコースの中に取り入れてまいったわけであります。しかし、それでは非常に少ないことは大喜多参考人が述べられたとおりの実情であります。私どもとしてなお力を入れなければならない部分の一つもここにございます。ただ、この機会にむしろもう一つ実は率直に実情を聞いていただき、本院においてもお力添えを願いたい点がございます。実は先般来の本院また衆議院において、さまざまな部分で国が地方自治体のデータを待たなければ国自身がそのデータを入手することができないというのはおかしいという御指摘を実は何回か受けました。本日、先ほど田中先生から御指摘のありました柳町の鉛害のあと始末について東京都からの報告をまだ受領していないということを申し上げざるを得なくなったのもその一つの例であります。しかし、これだけ大きな問題となりました公害対策の中で、その被害者サイドに専念すべき役割りを持っております厚生省の公害部というものの実情が、そのわりに実は世界に知られておりません。この中に、公害部という名の中に一体何人の職員がいるのか。わずかに三十三名であります。そうして各局からの応援を求めて現在兼任でようやく五十数人を確保して公害行政に私どもは取り組んでおります。そうしてその中にはわずかに技官は十七名しかおりません。それこそ自分の役所の職員を私は何もおせじを言うつもりはありませんけれども、厚生省の中で常に一番おそくまで灯がつき、一番おそくまで責任者である部長以下が執務をしておるのは公害部であります。全国に起こる各種の公害で被害者サイドの役割りをカバーしていくべき厚生省の公害部、その能力の限界をむしろこえるところまで実は今日きております。私どもは、現在せめてこの人員を倍にして少なくとも六十六名までの定員をもらい、局をつくらせていただくということを要求をいたしております。いわゆる総定員法の中でそれだけの体系をつくること自体にも相当な困難に逢着をしております。私どもは、研究機関の整備と同時に、実際実務の中心にすわるべき公害部というものをもっと大きく伸ばしていかなければならない。そうして少なくともこの国の公害行政の中で被害者サイドのみに専念できる官庁である厚生省の公害部を名実ともにそれだけの機能を備えるよう、研究機関の整備とともに今日つとめておるわけであります。ただいま小平先生から研究機関について御指摘をいただきましたその点の叱正は、私どもも甘受しなければなりません。同時にそれを受けております公害部の職員たちに対しましても同じようなお心づかいを院においても賜わりたいと、これは厚生省の責任者としてこの機会にお願いを申し上げる次第であります。
#190
○理事(杉原一雄君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#191
○理事(杉原一雄君) 速記をつけて。
#192
○内田善利君 関連して。
 いま厚生省に一言お伺いしたいと思いますけれども、昨日の新聞だったと思うのですけれども、イタイイタイ病の人体実験の記事が出ておりましたが、私も水俣に三回行きましたけれども、あのリハビリテーションセンターの胎性水俣病の子供たちがひとつもよくなっていない、こういう事実ですね。また、イタイイタイ病患者もほんとうになおったという姿を見ない、こういうことから、一体この公害病として認定された水俣病にしてもイタイイタイ病にしても、治療効果といいますか、完治する方法といいますか、そういうものが得られるのかどうかですね。
 せんだって、十月ごろ、東大の研究室で朴という韓国の博士が、PPCRというクローム化合物でネズミを三万匹実験して二カ月くらいで完治したという報道がなされておりましたが、あるいは群馬大学の小川講師が糸口を見つけたというようなことも報道されておりますが、この水俣病あるいはイタイイタイ病に対する完治といいますか、そういう方法はあるものかどうか、ひとつお伺いしたいと思います。
#193
○政府委員(曾根田郁夫君) はなはだ残念でございますけれども、水銀等によってすでに脳神経等が破壊されているものについての完全な有効な医学上、医療上の措置はないようでございます。
 ただ、水俣の患者の一部に、特に胎児性の方につきましては、リハビリテーションによる効果を期待できるものもございますので、現在地元と話し合いまして、その方面の施設を児童福祉法に基づく施設としてでき得れば設置いたしたいというふうに考えております。
 それから先生ただいま御指摘の、韓国の朴博士の論文等につきまして新聞に報道されまして、さっそく私どもそのほうへそのデータをいただきたいということで照会いたしておりますけれども、まだ具体的に入手していないようでございまして、まあカドミウム等につきましてまた今後ともいろいろな学説なり研究がなされると思いますけれども、できるだけ前向きに参考にいたしてまいりたいと思います。
#194
○小平芳平君 先ほど政務次官の述べられた点は、私も同感の点があります。要するに、いままでは技術もそれからお金も財政も、すべて生産増強、生産増大、そちらのほうへ投入されてきたのがいままでの日本の経済成長の原動力であったのじゃないかと思います。しかし、いま社労委員会でやっているところの廃棄物の関係にしましても、その面の技術開発がもうきわめて緊急の課題だと、このように考えます。
 で、ちょっと以上で技術開発を終わりまして、下水道のことについてお尋ねしたいのですが、要するに、どれだけ公害が減るかという点については、一番の最大の関心事なんですが、水をきれいにするには、一つは企業の排出規制をやることと、もう一つは、なんといっても下水道が飛躍的に整備されないことには水はきれいにならないわけです。その点については、連合審査会を通じて総理大臣から、あるいは山中長官から、あるいは建設大臣から、いろいろなお話はもうありましたから、そういう理念的なお話はもうけっこうですから。
 で、パリの下水道の話をされていたようですが、私たちも参議院としてパリに行ったとき見ましたが、確かにそういう点、日本が立ちおくれているということはもう重々いままで述べられてきたとおりだと思います。
 そこで、私は、建設省に、まず下水道計画、整備計画と、それから特に流域下水道で何カ所か建設省が調査されているパンフレットがございます。この流域下水道の建設について、ひとつ具体的に長野県の諏訪湖ですが、長野県の諏訪湖の場合は、あのきれいな湖が、いまはこのまま置いたら全く手おくれになる寸前で、よごしほうだいというのが現状なんですが、諏訪湖周辺の流域下水道の着工の見通し、まず下水道整備に関する基本的なこれからのプランが質問の第一点です。
 第二点は、具体的に諏訪湖の流域下水道についての着工の見通しについて。
 以上二点についてお答えいただきたい。
#195
○説明員(石川邦夫君) 下水道の整備計画につきましては、先ほどもお話しございましたように、たびたび問題にされておるわけでございますが、われわれ現在第二次五カ年計画といたしまして、昭和四十二年度から四十六年度にかけて五カ年間で九千億円の下水道投資の計画を遂行しているのでございます。しかしながら、水質の汚濁の進行の問題あるいは新しい都市計画等に基づきます社会的な課題、こういった観点からこの計画を拡大する必要があるということで、昭和四十六年度を初年度といたします第三次五カ年計画を発足させたいということで、現在投資規模二兆六千億の下水道第三次五カ年計画につきまして関係当局と折衝中でございます。まあ下水道投資、先ほど先生お話しございましたように、非常におくれておりますので、この第三次五カ年計画をもってしましても、たとえば排水面積にいたしましても、市街地面積の三八%、排水人口五五%というふうなことで、まだまだ遠いわけでございますが、さしあたりこの第三次五カ年計画を発足いたしまして整備を進めてまいりたい、こういうふうに現在考えておるわけでございます。
 それから第二点の流域下水道、特に諏訪湖を中心とする流域下水道でございますが、諏訪湖につきましては先生御指摘のとおり、あの周囲が内陸新産都市という形で、精密工業あるいは特に食品工業が多く立地している、あるいは温泉が多いというふうなことで、市街地人口が増加している。そういう工業並びに市街地の排水が諏訪湖に流れ込みまして、非常に汚濁の程度が進んでおることは御指摘のとおりでございます。昭和四十四年度に諏訪湖周辺の流域下水道を前提といたします調査が行なわれました。この流域下水道の可能性なり事業化についての検討が行なわれたわけでございますが、その結果、御承知のとおり、県が主体になりまして、岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町というような三市一町を関連の事業主体とする流域下水道の計画が現在策定されつつあるわけでございます。約四千百六十ヘクタール、対象人口二十万人ということで、この計画を現在検討中でございまして、まあ諏訪湖以外にも流域下水道、これは今後の下水道整備の非常に大きな根幹になる事業でございますが、この五カ年計画の中でこの流域下水道――諏訪湖の流域下水道を発足さしたいということで、やはりこれにつきましても現在計画し、折衝中でございます。
#196
○小平芳平君 着工は……。
#197
○説明員(石川邦夫君) 流域下水道、これは当然予算関連でございますので、第三次五カ年計画の中で確定しまして、できれば明年度から着工いたしたいというふうに考えておるわけでございますので、これはまあ折衝の結果によりましていろいろ変わると思いますが、現在われわれの考え方ではそういうことでございます。
#198
○小平芳平君 その点ですね。下水道の場合、これは建設省に御検討願いたいわけですがね、まあ起債のワクがあるわけですね。それで従来の環境汚染防止、環境保全というこの新しい法律ができ、新しく法律が制定された段階でいままでどおりの下水道のやり方でいいかどうか、つまり起債のワクがあり地元負担があり、そこのところを特に公害防止計画を策定する地域とかあるいは特に緊急に汚染防止をやり、汚濁防止をやるべきだというような地域について、全くいままでどおり、起債のワクとか地方負担とかいっていて間に合うのかどうか。私たちは、むしろ特定な地域は新しい方式をこの際編み出して、そしてワクがどうこう、地元負担がどうこうでなく、飛躍的な下水道建設の促進がはかられるような新しい方式はないかと思っているのですが、またそうすべきだというふうにも考えるのですが、その点ひとつ御検討願えますか。
#199
○説明員(石川邦夫君) 下水道の建設財源といたしましては、国庫補助金、それから先生御指摘の地方債、さらに地方の負担というふうなもので構成されておるわけでございます。これは国と地方と、それから場合によりましては住民なり企業なりの負担ということも当然あるわけでございますが、そういうものをどういうふうに合理的に区分けしていくかということが一つの問題でございまして、それは補助対象にあるいは補助率あるいは起債の率というふうな問題等が全部からんでくるわけでございますが、二兆六千億というかなり巨額な財政負担になるわけでございますが、その辺につきましてはやはり国と地方と住民、企業、こういったものが一体となりまして合理的な負担のもとに事業を実施していきませんと、なかなかこれは前進してまいらぬというふうに考えておるわけでございまして、われわれとしても事業が円滑に遂行できるような負担区分を考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#200
○小平芳平君 ちょっと別の問題ですが、通産省、それから厚生省の関係だと思いますが、水質汚濁防止法第二十二条で「特定事業場に立ち入り、特定施設その他の物件を検査させることができる。」とあります立ち入り検査ですね、大気汚染防止法の場合も第二十六条で「ばい煙発生施設、ばい煙処理施設、特定施設、粉じん発生施設その他の物件を検査させることができる。」とありますが、この条文によりまして、この法律によりまして工場、事業場内に立ち入って生産工程まで点検をし、検査することができるということであるかどうか。要するに、排水だから流れ出す段階で検査してくれということなのか、それとも中へ入って生産工程まで点検できるという御趣旨かどうか、その点いかがですか。
#201
○政府委員(柴崎芳三君) 工場の中に立ち入りまして具体的な生産工程まで厳密に調査、検査するという趣旨でございます。
#202
○小平芳平君 それから測定ですが、先ほどの煙突の一本一本についてすべて調査、検査する趣旨ですか、その点はどうですか。
#203
○政府委員(柴崎芳三君) いわゆるK値と申しますのは特定の施設ごとに与えられる値でございますので、煙突の一本一本といいますか、一つの施設ごとにその値が与えられる、その順守の状況を監視するというたてまえになっております。
#204
○小平芳平君 結局一つの施設ですから、工場の中に煙突が二本とそれから粉じんの出るような作業場が一カ所とあった場合は、三カ所で監視測定をするわけですね。
#205
○政府委員(柴崎芳三君) そのとおりでございます。
#206
○小平芳平君 これは先ほども申しましたことですが、煙突の高さによって通産省がこれはきめるのだそうですが、やかましくいうのだそうですが、煙突の高さによって要するに高いほうは一〇が限度だとすれば九の段階だとよろしいわけですね。高いほうの煙突は、実際一〇が規制値だとすれば九ならそれで合格するのですが、低いほうの煙突は一が限度だとしますと、排出基準だとしますと、一・一を出してももう規制違反になってしまうわけですね。そういうふうに大量に出す大きな煙突はわりあいに違反にならないで、少量だけれども煙突が低いからすぐ違反になってしまう、そういうような中小企業泣かせの結果になるのではないか、そういうおそれはいかがでしょう。
#207
○政府委員(柴崎芳三君) ただいまの規制の方法がKイコールHeの自乗を分母としqを分子とする方式を用いておりまして、Heというのは煙突の有効高さでございまして、煙突の有効高さの自乗に反比例し、それからqはSO2の量でございまして、SO2の量に正比例するという数値で規制を行なっているわけでございます。したがいまして、煙突の高さが二倍になりますと四倍の数値の分母が出てまいりますので、煙突の高さが高くなればなるほど拡散効果が出るという意味で、量の排出については、それだけでは、その拡散効果の範囲内では量の排出が認められるというたてまえになっておるわけでございます。したがいまして、高い煙突のほうが比較的量の面におきまして多量に排出できる形になっておるのは、先生が御指摘されたとおりでございますが、ただ一般に煙突の高さとそれからボイラーの容量というものはある比例関係にございまして、中小企業が低い煙突で排煙しておる場合に、それに応ずるボイラーの量というのも大体はそれに比例した小さなボイラーを使っておるというようなことで、御指摘のような中小企業いじめというような点をこの方式の中自身に織り込んでおるということは私は言えないのではないか、かように考えます。
#208
○小平芳平君 それはその方式の中に織り込んでいるつもりではないかもしれないが、結果は私の指摘するような結果が起きる可能性はずいぶん出てくるのじゃないですか。
#209
○政府委員(柴崎芳三君) この点は基本的な考え方といたしまして、特にSO2につきましては、拡散効果とSO2の量の減少という二つの効果を完全にかみ合わせてやることが、SO2の濃度を減らす上につきまして最も有効であるという基本的な考え方に立っているわけでございまして、中小企業の場合でもやはりある程度は煙突を高くいたしまして拡散効果をねらうということは、十分出てくるわけでございます。
 それからもう一つの点は、煙突の高さと申しましても、現在二百メートルないし二百三十メートルというのが一番高い煙突でございまして、煙突の高さにもおのずから技術的な限度がございまして、その技術のマキシマムにいきますと、量を減らす以外に方法がないわけです。そういう意味におきまして、煙突が高くてかつ大量にSO2を排出する工場においてすら、現在は量の減少に最大の重点を置かなければならないということが現実の状態として進んでおります。そういう意味におきまして、まあ中小企業と大企業と態様にはいろいろ違いがございますけれども、原則的な点で、特に不利であり特に有利であるというような点はないのではないか、かように考えております。
#210
○小平芳平君 それはその辺で終わりまして、要するに中小企業の場合ですね、公害防止施設を設置しようとした場合、中小企業金融公庫から融資ワクがあって融資されるということですが、これは利用率はどのくらいになっているかおわかりですか。
#211
○説明員(西田彰君) 中小企業金融公庫から中小企業への公害施設についての貸し付け状況の比率がどのくらいになっているかというお話でございますが、これは四十一年度から設けられました制度でございまして、四十一年度から四十四年度まで毎年大体十億程度のワクを用意いたしておったのでございますが、実績は毎年二億円程度の貸し付けになっておりまして、多少――多少といいますか、かなり目的に達しておらないような状況になっております。しかしながら、本年度になりまして、十五億のワクを用意いたしまして、現在までの貸し付け状況は二億程度でございますけれども、現在申し込みが六億をこえておりまして、さらにこの傾向は本年の九月以降急増いたしてきておりますので、最近の公害関係に関します一般の意識の向上に伴いまして、大体本年度はこのワクに十分達するようになるのではないかというふうに考えられます。
#212
○小平芳平君 その点につきましては中小企業庁のほうに申し上げますが、融資を受ける条件として証明書が要るというんですね。それが窓口で地方通産局長や都道府県知事から公害企業である証明書をもらって出さなくちゃならないという、そういう条件のためにそれをいやがって利用の率が低いということも言えるんじゃないかということもありますので、そういう点はひとつ御検討願いたいと思います。そればかりじゃもちろんないと思いますが、最後に、行政管理庁から、環境保全と公害防止という点についてのこれが出ておりますが、こういう点は政府のどなたが答弁してくれますか。国民から見た公害、これは行政管理庁が指摘しているところはたくさんあるわけですが、私は絶えず地方の人と、各地の方々といろんな話し合いの中から出てきた問題、特に管理庁も指摘しておりますが、私が痛感している点を二、三申し上げて御返答願いたいんですが、一つは国民の立場から見た公害、その国民からの公害の苦情は実定法に定められた公害よりももっと幅広いものだ、この点が見落とされていると思う。実際に典型公害として大気汚染、水質汚濁等々が定められておりますが、実際の国民の受けている公害というものは、そこに定められたものよりもはるかに幅広いものだという点、そういう点が見落とされていやしないか。それから次は、国民からの公害の苦情をどこへ持っていっていいか、適切な窓口がわからない。県へ持って行けば市へ行け、市へ行けば保健所へ行け、そういうような点。それから第三には、市町村における住民相談室等の相談部門は公害苦情の処理に大きな役割りを果たしているが、この位置づけがなされていない、こういう点も指摘されております。そういうような点についてどうお考えですか。
#213
○政府委員(城戸謙次君) ただいまの三点でございますが、第一点の公害の範囲でございますが、これに関しましては、今度の基本法の改正で土壌の汚染を加えるとか、あるいは水底の底質悪化、それから水の状態の悪化ということも加えるという、ある程度幅が広がってまいったわけでございますが、さらにまだ残されておる点もないとは言えないわけでございます。ただ残りました問題は、どちらかといいますと、公害という考え方で一つのルールに乗っけて処理していくというのには若干ニュアンスが違うものが多いわけでございまして、たとえば日照権についての苦情もあろうかと思いますが、こういう点につきましては、まず建築主管部門というようなところでさばいていただけるものだという気がいたすわけでございます。この点、この所管でございます中央公害審査委員会のほうにも連絡いたしまして検討いたしたいと思っております。
 それから窓口の問題でございますが、これにつきましては、従来確かにこういうような陳情、苦情の受け付けということにつきまして、若干その辺が整備されていなかったわけでございますが、紛争処理法がこの十一月一日に施行されるに伴いまして、都道府県では公害苦情相談員を置く、それから市町村は置くことができるということで整備されておりまして、この統計等も現在正確なものはまだとれておりませんが、大体三十六都道府県で設置されており、あと六県がまだ回答が参っておりませんが、四県は未設置になっております。これらの県につきましては、さらに設置を早くいたしますよう指導してまいりたいと思っております。なお、市町村につきましても必要な相談員を置くように行政指導する、こういうことが一番いいんじゃないかと思います。
#214
○須藤五郎君 きょうは騒音について少し質問いたしたいと思います。自動車騒音規制が新たに加えられることになっておりますが、この規制によります実際効果について少し伺いたいと思いますが、具体的には交差点や高速道路で起こる自動車の騒音が、現在より何ホンぐらい低くなるのか、ちょっと伺いたいと思います。
#215
○政府委員(橋本龍太郎君) 実はこれは運輸省からお答えをいただくべき事柄でありますが、運輸省、見えておりませんから……。
#216
○理事(杉原一雄君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#217
○理事(杉原一雄君) 速記を起こしてください。
#218
○須藤五郎君 運輸関係の方が見えるまで……。厚生省の方、私の手元に、こういう資料があるんですよ。現行はあらゆる自動車が規制が八十五ホン、普通走行騒音ですね。それから加速走行騒音も、これも八十五ホンと、こうなっているんですね、これまで。ところが今度新規制によると、乗用車が七十ホン、普通走行。それから加速走行騒音が八十四。小型トラックが普通は七十四、加速走行が八十五、普通トラックが、普通走行が七十八ホン、それから加速走行が八十九、大型トラックが、普通が八十ホン、加速走行が九十二、こうずっとあるわけですね、二輪車に至るまで。これはこういうふうに、今度は新規制で変えられるということは、もうきまっているんですか、どうですか。
#219
○政府委員(曾根田郁夫君) 運輸省から御答弁があると思いますけれども、私ども承知しておりますのは、ただいま先生御指摘のような規制が、現在保安基準で八十五ホンというふうにきめられておりますけれども、このたびこの保安基準を改正いたしまして、四十六年四月以降の新車につきまして、それぞれ車の種類ごとに、ただいま先生がお述べになりましたような規制の強化をはかるというふうに聞いております。
#220
○須藤五郎君 そこでこの車のホンを下げることはけっこうだと思うのですね。しかし、工場排気ガスの、一本の煙突から出る煙の規制があっても、それが数多くなれば、やはり環境というものは汚される度が非常に多くなるというと同じように、一台の車の規制がこのように下げられても、このモータリゼーション時代に車がどんどんふえれば、したがって騒音の環境そのものも私は悪くなると思うんですね。そこで政府は、排気ガスの環境基準があるがごとく、騒音に対しても環境基準というものを考えておるかどうかということですね。これはやはり騒音に対しても環境基準をつくっていかなきゃいかぬと私は思いますが、どうでしょうか、長官。
#221
○国務大臣(山中貞則君) 厚生省からすでに答弁しておりますが、今月末にはほぼその答申が出るので、環境基準の設定をしたいということを言っております。
#222
○須藤五郎君 その環境基準はいままだ発表できないですか、ちょっと見通しを立ててもらいたい。
#223
○政府委員(橋本龍太郎君) いま現に、実は生活環境審議会で審議中でありますので、いま私どもそれを申し上げることはできません。ただ、年内に答申をいただくことになっておりますので、非常に近い将来において騒音の環境基準というものは設定をいたします。
#224
○須藤五郎君 それじゃ環境基準もやがてできるというふうに……。
#225
○政府委員(橋本龍太郎君) 近い将来であります。
#226
○須藤五郎君 そこで公害規制の法律をつくるときには、公害で苦しめられておる被害者をどう救うのか、公害をどうなくすのか、そのための最善策は何なのかと、そういうことを私は考慮することが最も大切だと思います。この法律で、交差点や高速道路周辺の住民が日夜悩まされておる排気ガスや騒音から救われるのかどうかということなんですが、どのような対策が新たに行なわれるのか。
#227
○政府委員(曾根田郁夫君) 今度の騒音規制法の改正案によりますと、騒音につきまして都道府県知事が測定をいたしますが、それによりまして、その一定地域内における自動車騒音は、これは省令で定めることになるわけですけれども、一定の限度をこえる場合は、都道府県の公安委員会に対し、道交法の規制措置を要請することができるということになっておりますので、この際、近々答申が得られ、年度内に閣議決定の予定でございます。騒音にかかわる環境基準が参考になろうかと思いますけれども、そういうことで一応の基準を設けまして、それをこえる場合には、自動車の交通規制、これを知事が都道府県の公安委員会に要請する、そういうことによって規制を行なう考えでございます。
#228
○須藤五郎君 そういう場合には、自動車の交通規制も知事がやるようになるというのですか、どうなんでしょうか。
#229
○政府委員(橋本龍太郎君) これは知事が直接に交通規制を行なうということではございません。知事の要請に対して、都道府県の公安委員会が、交通状況、全体の状況を把握しつつ、交通規制その他の処置をとっていくということであります。
#230
○須藤五郎君 それじゃこういう例を私はあげて、こういう場合にどういうふうに処置するかという点を伺いたいのですが、大阪の東淀川区にこういう例があるのです。私この間行って調べてきたんですが、大阪府営東三国住宅、鉄筋十一階建て、二棟、百九十八世帯、六百人、こういう地域があるわけです。これは三月末に完成をしました。四月の入居ということになったわけですが、第一棟の窓先十五メートルのところを高速道路が走り、それから御堂筋線と地下鉄一号線が並行して走っているわけです。入居者は梅田から地下鉄で約十五分という便利さに魅力を感じまして申し込み四十五倍というこういう狭き門を突破して四月に入居したわけなんです。ところが、高速道路と地下鉄が万博用につくられて、万博開幕直前に完成したわけなんです。このときに大阪府は、三月十六日と二十四日の二回、騒音測定をしておりながら、そのあとの入居説明会では騒音について一言も言っていないのです。それから防音工事もしないまま入居させてしまったわけです。そのために今日入居者は騒音と排気ガスに閉口しておるわけです。騒音の状態は、こういうことになっております。大阪府公害監視センターが六月にはかった二回目の騒音調査結果では、午後一時から五時半までの時間帯で地上の最高が八十一ホン、平均でも七十ホンという非常な高い音になっておるわけです。十一階ではかりましても五十八ホンから六十七ホンです、こういうことになっております。しかも地下鉄始発の朝の五時過ぎから夜の十二時過ぎまでの間はもちろん、深夜でも自動車が、トラックからあらゆる種類の自動車が猛スピードで走るわけです。だから騒音が絶え間がないというような状態があるわけです。このために生活への非常に悪影響が起こりまして、ここで騒音公害対策委員会というものができまして、そこの調査によりますると、眠られない、いらいらする、頭が痛い、テレビが聞きにくい、家族と話ができない、精神安定剤を飲まないと眠れない、眠るためにアルコールを飲んだり、耳にせんをしたり、それから頭痛薬を飲んだり、月に二回ぐらいは病院通いをするというアンケートが出ておるわけです。また子供に尋ねますと、勉強しにくくなった、落ちつきがない、集中力がなくなった、けんか早くなった、もの覚えが悪くなった、夜中に目をさます、その他いろいろな影響が出ておるわけです。住民はこの騒音公害対策委員会をつくりまして、公害の防止対策を府や市に要求しておりますが、府、市当局には全く誠意が見られない。そこで問題が非常に大きくなってきているわけですが、府はこういうことを言うのです。現在の法律では自動車騒音は規制できないのだ、こういうことを府は言っております、これは住宅管理課の話です。それから市の交通局は、地下鉄車両、これは軽量で改善されておるから、異常な走行音は出ないはずだと、こう言っておるわけなんです。府、市もこういう態度なんです。そこで政府に伺うのですが、政府はこのような状態をどのように解決したらよいとお考えになりますか。大阪府や市当局は住民と話し合って、責任をもって一日も早く事態の改善をはかるべきだと思いますが、政府はどういうふうにお考えになりますか。
#231
○政府委員(橋本龍太郎君) 非常にむずかしい問題を提起されまして、私どもこれは実は運輸省のプロがおりませんのでたいへん恐縮でありますが、私どもわかる範囲内でお答えをしてみたいと思います。
 今度の騒音規制法の第十七条第二項に「都道府県知事は、前項の規定により要請する場合を除くほか、第二十一条の二の測定を行なった場合において必要があると認めるときは、当該道路の部分の構造の改善その他自動車騒音の大きさの減少に資する事項に関し、道路管理者又は関係行政機関の長に意見を述べることができる。」という条文を入れております。いまのお話のケースを伺っておりますと、一つは道路の構造を多少とも変えることによって多少とも騒音の減少をはかることができるならば、実際に測定をされた結果としてその測定をされた上に基づいた御意見というものを、市長さんは別としても、府知事さんはお出しになることができるはずであります。またそれと同時に、もし道路そのものの改善が非常にむずかしい場合、「その他自動車騒音の大きさの減少に資する事項に関し、」という語句を使ってまいりました場合に、防音工事、少なくとも騒音を多少とも減少せしめるための措置をその大きなビルを、建物をつくりましたその責任主体に対して知事さんとしても要請をなさることはできると思います。ただきょうまでの時点において府が、あるいは市が、関係法規でその自動車騒音等に対して手が打てないと言われたのはこれは事実でありましょう。自動車騒音の規制は、今回初めてこの騒音規制法に取り込んだわけであります。むしろこの審議が終結し、成立を見ました時点において、十七条の第二項の規定を知事さん方に生かしていただき、解決に資していただくものと思います。
#232
○須藤五郎君 今度この法案がやがて成立するということになるわけなんですが、その暁はこの法案でどういうふうな措置が実際にできるんですか、こういう問題に。
#233
○政府委員(橋本龍太郎君) これはむしろ運輸省または建設省のほうからお答えをしたほうが的確かと思いますけれども、少なくともその当該道路の改善、改良――路線の変更までできるかどうか、これは私はちょっと申し上げかねるのでございます。それと同時に、その道路の改良等で、構造改善だけでは騒音の減少をはかれないというような、特に都市の密集地域等はそういうケースが多いと思います。たとえばそれが公社、公団によってつくられた住宅であれ、都道府県の仕事においてつくられた住宅であるというような場合、今度は逆にそういう住宅あるいは建造物をつくりましたその事業主体に対してそうした騒音に対する対処策というもの、防音工事、あるいは少なくとも音を減らすための措置というものを、知事の権限として要請をなさることはできるはずであります。
#234
○須藤五郎君 私はしろうと考えですけれども、まず騒音をなくすためには、その公団の道路に面したほうを二重窓にするとか、それからその公団の住宅のある間、自動車がスピードを落とすということ、これもできることだと思うのです。スピードを落とせばそれだけ騒音が少なくなりますから。それからその道路に防音壁といいますか、こう立ててもいいし、それからそういうところの道路だけトンネルをつくってそこを通すということにすれば相当騒音を防ぐことができるように、これは私のほんとうにしろうと考えですけれども、そういうこともできると思うんですね。その道を撤去してしまえと言ったって、これはなかなかそう簡単にできるものでもないだろうと思いますね、常識的に考えて。それじゃその家を、アパートをよそへ持っていけと言っても、これもなかなかむずかしい。そうなると、実際に具体的に常識的に考えて、できるものはそういう三つ、四つの方法があると思うのですね。これはぜひ私はやらなければならないことだと思いますし、今度の法案が通ればそういうことはできることであり、またさせなければならぬことじゃないでしょうか。どうでしょうか、長官。
#235
○国務大臣(山中貞則君) いまの話の途中から私入ってきたので確認しますが、公団住宅でございますね。
#236
○須藤五郎君 そうです。
#237
○国務大臣(山中貞則君) 公団住宅だと、国のやはり責任のある建物でございますから、それらについては、公団がまず建てたあとにおいて、住民者が予想しなかった事態によって居住環境というものがこわされているということについての責任は、やはり幸いに――幸か不幸か同じ建設省がつくったものですから、道路も建物も。そこらはやっぱりいまおっしゃったような、常識で普通私どもが考えるような防音壁なりトンネルなりあるいは防音の建物そのものの施設なり、あるいはスピードをその間は落とすというようなですね、これは今回の道交法によって可能になることでありましょうが、そういうようなこと等一連の措置がとられなければならないことだろうと思います。場合によっては、それらが完全でない場合は、やはり入居者の家賃を支払う条件を、著しく結果虚偽になったことでもありますから、それらの人たちでまあ家賃を安くすればがまんするわいというようなことがあれば、家賃を安くする配慮もしなければならぬのじゃないか。これも常識論ですけれども、これらの点は、きょうの問答等、質疑応答について、速記録その他を建設省に見せることにして検討をさせたいと思います。
#238
○須藤五郎君 公害というものを家賃を下げることで解決するとか、補償金を出して解決するというのは、これはもうぼくは愚の骨頂だと思うのですね。それは邪道だと思うのですよ。
#239
○国務大臣(山中貞則君) トンネルなんかができるまでの間。
#240
○須藤五郎君 そう理解しておきましょうね。
 私は邪道だと思うのです。そのとおりでしょう。公害というのは、なくすのが目的で、金や補償で解決するのは邪道だと思う。ぼくはそう思います。どうして、このような、あってはならない状態が起こってきたのか。また、どうすればこのような事態の再発を防ぐことができるかということなんですね。それをひとつお答え願いたいのです。どうしてこういうことが起こってきたか。どうしたらこういうことを防ぐことができるか。こういうことであります。
#241
○国務大臣(山中貞則君) いまの場合は、たまたま高速道路も建設省が関与し、公団も建設省の公団として一応の所管役所でございますから、そういうようなことで、同じ役所の中でさえそのような連携がとれていない。たとえば、ビルを建てる際に、そのアパートを建てれば道路局のほうの公団の道路計画はどうなっているのだということは、その時点でも調べればわかったはずだと思うのですね。そのようなこと等がなされていないことは、これは極言すると、省内においてすらもそうでありますから、おそらく今度は役所が違うということになりますと、こういう問題がばらばらにやっぱり行なわれていくだろう。そうすると、基本的な日本の土地政策あるいは企業立地の基本的な政策、いわゆる企業そのものを制限し立地を制限するような政策、基本的な政策というものが打ち出されないと、そのような珍現象というものが起こる可能性がこれからもある。これは私どもの戒心していかなければならない点であると考える次第でございます。
#242
○須藤五郎君 このような事態が起こりますのは、根本をただせば、やはり人間不在と申しますか、住民不在といいますか、そういう政治から私は起こってくるのだと思うのですね。道路をつくる者はとにかく道路をつくったらいいんだと。住宅を建てる者はとにかく建てればいいんだと。住民の生活環境のことも公害のことも、何にも考慮しないで、できてしまったらあとは知らぬ顔だと、こういうのが私、今日のこういう、私がいま例にあげたようなところに起こっている問題だと思うのです。道路にしましても、住宅にしましても、つくるときには、当初の計画段階から騒音や排気ガス等公害のことを考え、住民が快適な生活を営む環境を保障する十分な対策を講ずる、このようなあり方こそ私は国民生活優先のあり方ではないかと思いますが、長官どうですか。
#243
○国務大臣(山中貞則君) それは全く同感でございます。今後はそういう方向に向かわなければならぬと思います。また、それ以前の問題として、いままでは、道路はつくりさえすればいいという考え方で、いわゆる道路をつくれば自動車が走る、その自動車が道路を快適に走ることによって生み出すものは、結果、交通事故、人身被害の増加であるというようなこと等々が、道路局の五カ年計画等においては念頭にありませんでした。そこで、これからは、まず道路をつくれば自動車がよけい走る、スピードを出す、まず人がけがをするおそれがあるということで、一年おくれになりますけれども、道路五カ年計画と合わせてさらに五カ年計画を、交通安全施設という面から立てることにもさしたわけでございます。こういうようなことを逐次配慮をしながら、やはり道路は道路、家は家というようなことでばらばらに行なわれないようなことの配慮はぜひとも必要なことであり、やはり日本全土の土地政策というものがわが国の政府にいままで確立されていないということが大きな問題であるので、今後検討を余儀なくされるであろう。私たちもまたそれを反省し、またそのような計画の立案に努力をしなければならぬと考える次第でございます。
#244
○須藤五郎君 そこでもう一つ問題を提起しますが、十三日の毎日新聞によりますると、世田谷区の烏山北住宅では、現在もう建っている団地のまん中に高速道をつくる。その着工目前にそのことを通知してきたわけですね。で騒音とガスをどうしてくれるかと、住民がいま猛反対を起こしている。これは新聞に出ております。私たちのほうも現地へ行って、いろいろ住民の声も聞いてまいりましたし、調べてまいりました。新聞記事のとおりのことが起こっておりますが、この新聞記事にはこういうことがあるのですね。「世田谷区烏山の都供給公社・烏山北住宅の敷地を真っ二つにして、中央高速道路と都道が貫通することになっている。ところが、三年前に入居が終わっている同団地の九百九十六世帯の人たちが、そのことを知らされたのはことし七月。最も近い棟などは、ベランダから道路端までわずか一・四メートル。」だというのですね。家の一・四メートルのところへ高速道路がつくというようなことなんですね。これはどうも、住民はがまんのならないことだと思うのです。また、「団地の敷地を住宅地以外の用途にして売る場合は、都市計画審議会の審議をまたなければならないのだが、手まわしよく”道路予定地”は団地敷地とは別ワクにしてあった。」と、こういうことなんですね。非常にぼくはこの計画は悪質だと思うのですね。大阪の例でも、先ほど申しましたように、ひどい公害であることはお話ししたとおりでございますが、ここではそれよりももっとひどい公害が起こるということがもう予想されるわけですね、一・四メートルですから。政府は、大ぜいの住民が生活しておる団地のまん中を高速道路を通すなどということが、国民生活優先の立場にかなっておると思うかどうか。こういう点をひとつ長官どういうふうにお考えになりますか。こういうことが国民生活優先にかなうかどうか。こういうことでわれわれ黙っておれるかどうか。
#245
○国務大臣(山中貞則君) 建設省が来ておりませんので……。
 中央高速道路ですね、須藤さん。
#246
○須藤五郎君 中央高速道路です。
#247
○国務大臣(山中貞則君) 私も新聞で拝見した記憶しかありません。しかし、私がその新聞を読んですぐに考えたことは、中央高速道路については、これはもう計画はずいぶん前におおよその路線は決定を予定線として持っておるわけですから、そういうところにまず住宅を建てたこともおかしいわけであります。しかし、かといって、住宅はすでに建ってしまっておる。それでベランダから一・五メーターのところを高速道路が突っ走る計画が初めて知らされた。これは、住民の戸惑いと迷惑と申しますか、不信感というものは相当なものがあるだろうと思うんです。ここらのところはいかなるわけでそのようなことになったのか、私もその新聞を読んでおかしなことをやるもんだという感想を確かに持ちましたけれども、建設省をいま呼べといっているのですが、ちょっと具体的ないきさつについては私もつまびらかにいたしておりませんが、政治の姿勢としてははなはだ遺憾なことであると思っております。
#248
○須藤五郎君 しかも、その道をつくるときだけ道路予定地は団地敷地と切り離してちゃんと置いているということですね。もちろん、団地の敷地内だったらできないはずなんですが、ところが道路を別にしているんですね。道路の通るところだけ。これはよほどの前々からちゃんと計画的にやられたことで、住民の側からいったら最も悪質なやり方だというふうに理解せざるを得ないわけですね。だからこういうことが平気でなされていいということにはどうにもならないと思うんですね。これは政府のほうでもこういうことはなされないように、こういうことをすることは認めることができないといって、ぜひともこういうことが実現しないようにひとつやっていただきたいと思うんですね。ひとつこういうことが、団地があるところへ両側から中央高速道路が攻めてきたのです。団地のところだけあいているんです、まだできないで。それはみんなが反対しておりますからできない。それじゃここまで団地を両方から攻めてきた道を中止してやめてしまうといっても、中央高速道路をやめることもなかなかむずかしいことだと思うんですね。そこでこういう意見もあるんですよ。これは住民の中からの案ですがね。高速道路を途中から地下へもぐらしたらどうだ、それで地下へもぐらしてまた上へ上がったらいいじゃないか、こういう意見もあるわけなんですが、多少費用はかかります。そうなれば費用はかかりますけれども、そういうことをすればこの問題も団地の人もしんぼうできる形で解決することができるのじゃないか、こういうことも一つの方法ではないかということを私はいま申しあげるだけなんですが、とりあえず、とにかくこういう実際に窓ぎわ前一メーター四のところを高速道路が通って、そこを朝から晩まで自動車が排気ガスを出し、音を立てて走ったというんじゃこれはとてもがまんのならないことだと思うんです。政府当局としましても、こういうことの起こらないようにひとつ努力してもらいたいということです。
 それからこれと同じような問題が関西にもあるんですが、滋賀県と京都を結ぶ京滋バスというやつですね。この間私ここへ行きました。大学教授もたくさんおるんです。どっちかというと排気ガスで攻められて、騒音で攻められて、また山の中へ入ってきた人たちが大ぜいいるんですね。せっかくなけなしの金を払って、退職金を先取りして、そしてやっと家をつくって静かで環境のいいところだと安心したら、ここへバイパスが通るというんですね。これはとてもがまんならぬというんで大ぜいの人が現地でいま反対運動をやっています。この間行ったら、大学教授が私にそういうことを訴えましたよ。何とかしてこれをわれわれの居住地以外のところを通してもらいたい。ところが、ほんとうはその居住地のまん中を通ることになっているんですね、設計で。これも私は一つの例だと思うんです。先ほど人間の健康を、生活を守る立場からいったらこれも私はやめるべきことじゃないか。これも建設省が来ましたら私ははっきりと意見を聞きたいところですが……。
#249
○理事(杉原一雄君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#250
○理事(杉原一雄君) 速記を起こして。
#251
○須藤五郎君 その次に飛行場の問題ですが、伊丹空港の飛行機が最近もう五分おきぐらいに発着があるわけですね。そうして非常な騒音なんです。私も飛行機の通路をずうっと歩いて、騒音を機械を持っていってはかりました。そうすると飛行機の発着時は百ホンから出るわけですね。それから上のほうへ来ますと、やはり八十ホンぐらいの音が通過するんですね。そこでこの通路に当たっている人たちは、これはたまらぬ、朝から晩までこれに悩まされるのではかなわぬというので、どうするかということになっているわけですね、いま。そして気の早い人は転宅している人もあるんですね。転宅するには金がない、どうしたらよいかといって、この間、私行ったら相談を受けたわけなんですが、こういう場合にはここに飛行場部長見えていますが、航空局として、政府としてどういうように処置をしようとしていらっしゃるんですか。
#252
○説明員(丸居幹一君) 飛行機騒音につきましては、いろいろ御迷惑をおかけしておるわけでございますが、いま先生御指摘の立ちのきというのがまあ一番手っ取り早い効果的な方法であろうと思います。そこで私たちもいままでは学校の防音、それから幼稚園といったようなところの防音を中心にして騒音対策を行なってきておったんでありますが、やはり進入表面の直下はどうしてもやかましくて人が住めぬ。そこで立ちのきをしていただくようにしようというので、本年度の予算に初めて立ちのき補償費を組んでいただきまして、それを大阪に回しておりまして、ただいまどういうふうに立ちのきをしていただこうかということを寄り寄り相談している最中であります。この立ちのきにつきましては、立ちのき先の土地が必要でございますので、立ちのいていただく方にお金を差し上げたからそのまま立ちのけるというわけでもありませんので、立ちのかれる先の土地のお世話をしなければならぬ。これはわれわれにはちょっとできかねますので、県とか、市にお願いいたしまして、ただいまその土地のあっせんをしていただいている最中でありまして、その土地をあっせんをしていたださましたら、直ちにこれを実行に移したいと、そういうふうに考えております。それからなお来年度につきましては、これを大幅に予算を増額いたしまして、もう少し広範に立ちのきをしていただこうというふうに考えております。
#253
○須藤五郎君 まあ何事も住民とよく話し合って、そうして住民の意思を尊重するという態度で、あらゆる関係者はものごとを解決するようにひとつ努力していっていただきたいと思うんです。私たち立法府の者といたしましても、法律はつくったが、その法律がほんとうに住民に満足してもらえるように、これがうまく運営されていくかどうかということにつきましては、私は常に法案審議のときに非常に責任を実は感ずるんですね。立法府は法律さえつくったらあとはどうなろうとかまわぬという問題じゃないと思うのです。特に私たち地方へ行くと、先生たちは何であんな法律をつくったんですかと、こう言って責められることがたびたびある。いやおれは反対したと言っても、反対したから責任がないというものでも私はないと思うのです。だから、私たちは法律をつくる場合は、よほど審議を慎重にして、そうしてこれが実際に行政府で行なわれる場合はどうしたらいいかということを念頭において審議していかなきゃならぬですね。それでただいま行政府の人は、先生たちがこの法律をつくったのじゃないかと、その法律の結果を私たちは守っているんだと、それに先生から私は苦情を受ける必要はありませんよというふうに逆襲する行政官すらも出てくるわけですね。ですから、私たちも法律をつくる以上は法律を慎重に審議し、責任を明らかにしていかなきゃならぬ、こう思うのです。そこで、今度は行政官の立場に立ったら住民に満足してもらえるように、できるだけ話し合ってすべての問題を解決していってもらいたいというのが立法府の一員である私の願いでもあるわけなんですね。
 そこで、いま運輸省の方が見えましたから、先ほどの質問について、京滋バスのバイパスですね。こういう問題が一つ、反対運動が起こっています。静かな環境をやっと手に入れたと思って、そこで私生活を楽しんでいると、そこへバイパスが通ってきて排気ガスや騒音をまき散らすということで、その住民が反対運動やっています。また先ほど申しましたが、東京の北烏山ですか、ここの住宅のまん中を中央高速道路が通るというので、そこでもまた何か起こっておる。東淀川区におきましては、アパートのすぐそばを高速道路や地下鉄が通って騒音を出して困っておる、問題が起こっておる。こういう問題に対して運輸省としてどういうふうに処置したらいいか。
#254
○説明員(隅田豊君) 運輸省の自動車局といたしましては、一応騒音に関しましては一台一台の車の排出規制を担当しているわけでございますが、先ほど厚生省のほうからかわってお答えがあったと思いますが、最近その規制の強化を一応はいたしまして、排気ガスを含めまして、安全もすべてそうでございますが、私たち現行規制が十分なものとは決して考えておりません。今後できるだけ技術の解決し次第強化をする方向で進んでいきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#255
○理事(杉原一雄君) ちょっと待ってください。
#256
○須藤五郎君 一問だけ、運輸省に。
#257
○理事(杉原一雄君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#258
○理事(杉原一雄君) 速記起こしてください。
#259
○田渕哲也君 それでは、初めに総務長官にお伺いしたいと思いますが、公害関係の法律がいかに整備されても、具体的にこれを解決するとなれば、技術開発というのが非常に重要だろうと思います。したがって、この技術開発に積極的に取り組まない限りなかなか解決が進まないのではないか。ところが、日本では公害除去の技術の開発について少しでもいいものはどんどん取り上げていごうとか、あるいは開発を助成しようというような国の姿勢がないということを、これはアメリカの専門家がこういう批判をしているようであります。そこで、防除技術の開発について今後の構想とか施策についてお伺いしたいのであります。国立公害研究所の構想をかつて長官がおっしゃられたことがありましたが、今回の国会の論議を通じてだんだんこれが後退していった印象を受けるわけですけれども、ここら辺の構想についてお伺いしたいと思います。
#260
○国務大臣(山中貞則君) これは後退をしておりませんで、私としては一応決定しているのは公害データバンクまでである。しかし、はたしてこれで国際的な日本の立場等も考えて、そのデータバンクだけで耐え得るかどうかということも念頭にありましたし、また、総理のほうもそれだけで済むかどうか、できれば国立公害研究所みたいなものを研究するようにという指示がありました。その指示によって一応私の研究データは総理の手元に出したのでありますけれども、しかし、まだ総理もそこまで、研究機関だけの独立をかりにしたと仮定をいたしますと、今度は研究機関は独立をした、ところが、その研究の成果を実行する役所がまた各役所ごとに今度はばらばらな行政施策をとるわけですね。ここらのところでまた問題を提起しやしないだろうか。そうすると、さらに百尺竿頭一歩を進めて、環境保護庁もしくは公害対策庁、公害保全省、環境保護省みたいなものまで、いわゆる行政機構ぐるみ、人間ぐるみ、予算ぐるみ全部ひっくるめて機構が必要になりはしないか。もちろんその中には国立公害研究所も入ってくる、包含されるというようなことでの決断がまだありませんので、とりあえず私のほうとしては、先ほど一千百万以上の要求をしたということを申し上げたのでありますが、それらのものをいかにして早急に検討を終わるかということで、予算要求を昨日の夕方大蔵省に対して対策本部としてしたわけでございます。
#261
○田渕哲也君 まあそれに関連しまして、次に、公害研究のための職員養成体制の充実についてお伺いしたいのでありますが、一昨日の参考人の意見を聞きましても、たとえば光化学スモッグの原因となるオキシダントの問題あるいは窒素酸化物の問題、さらには自然公園の植生に対する自動車排気ガスの影響、あるいは重金属の毒性とか農薬、ヘドロの実態、そういうものについてもっともっと研究して解明しなければならない分野が非常に多く残されておるというふうに考えるわけです。しかし、この研究者が不足しておりまして、研究組織も不十分である。特にこの研究者になり手がないというような状況も報告されておりました。やはり優秀な技術者はややもすれば民間に流れやすい。これはやはり研究技術者の待遇が悪いのではないか。もっとその給料も上げる、あるいは管理職に登用されるような可能性もつくって待遇改善をすべきではないかと思いますが、この点についての長官の御意見をお伺いしたいと思います。
#262
○国務大臣(山中貞則君) 私は国家公務員給与担当大臣でもあります。その意味で人事院勧告を受けてそれを実施する場合の責任者でもございますが、それらの問題点は確かにございますので、今回の人事院勧告についても私が人事院と交渉をいたしますと、いわゆる第三者としての中立機関の尊巌をおかすことになりかねませんので、各省大臣が閣議決定とかなんとかということでなしに、各省が問題として人事院に検討してもらいたい事柄について、たとえば科学技術庁長官はそのような研究者なりあるいは科学技術開発について日本がいかにあるべきか、そのためには公務員たる研究者に対していかなる処遇をしてもらいたいというようなことについて個別に陳情の形で人事院総裁のところに行く形式をとっておるわけです。その結果今回の人事院の勧告の中にそれらの研究者の処遇について改善の第一歩が認められたというふうに私は受け取っておるわけでございますが、今後なおたとえば地方の保健所のお医者さんが一番定員の充足率の低い職階でありますけれども、なぜ来ないかという原因ははっきりわかっていて、なお現在の給与体系の中には限られた研究その他をやってみたところで開業医の人々が生活するような社会的な地位なりあるいは経済水準というものに保健所の医師としては満足させてあげることができない、こういうようなこと等からその原因がはっきりわかっておってなおかつ処理ができない。もちろん国家公務員において医官その他の待遇等についてもはなはだ遺憾な点がございますので、それらの点について今後さらに問題点を、科学技術あるいは今回の公害の問題等に関する日本の頭脳を開発していく人々に対する処遇という問題を十分考えていきたいと思っております。
#263
○田渕哲也君 大臣はあまりもう時間がありませんようですから、大臣にもう一つだけ御質問したいと思いますが、今回の公害防止費用の事業者負担法によりまして衆議院の改正によりまして住宅移転がつけ加えられたわけです。今度はこの住宅移転の条件、住宅移転を公害防止事業とする場合の条件というものは私きめる必要があるのではないか、これについてどう考えておられるかお伺いしたいと思います。
#264
○国務大臣(山中貞則君) 私は、委員会の答弁でも、政令に書こうと思っているのは学校移転、住宅移転等である。事業移転の事業所の移転そのものは現在の事業用資産買いかえの特例で措置できると思うからという答弁をしておったわけでありますが、ところが修正のほうでは「住宅の移転」が入りまして、私としては公共事業に一番なじむのは学校移転だったと思うので、できれば「学校移転等」と書いてほしかったのでありまして、倉皇の間でありまして、感触がそのまま入らなかったというきらいがございます。
 さてそこで一たん法律に書き込まれた標準的な政令で定める代表的なものとして住宅移転が出ておりますけれども、これは公共事業として住宅の移転を行なう場合というのが前提となっておるわけでございますから、たいへんむずかしい問題があると思う。しかしながら、これがたとえば公害防止事業団等で行ないます事業をこの公害防止事業費事業者負担法案に取り入れることができるような条項が入っておりますので、今後の事業団の宅地造成その他の場合において一定の地域の人たちが公共事業として行なわれた事業団の工事によってそちらのほうに住宅を集団で移転していく、残りはグリーンベルトや公園等になっていくというような計画的なものに沿っていく場合にはこれは対象になると思うんですが、きのうもずいぶん議論をいたしました。自分は公害のために立ちのきたいという人々に対してどうできるかという問題は公共事業に乗らないだろうというようなふうにお答えしたとおりでございます。
#265
○田渕哲也君 そうすると、この場合の条件というのは、たとえば環境が悪いとかあるいは被害が大きいとか、そういうことが条件にはならないということですか。環境が非常に悪くて、この地帯空気が悪くて人が住めなくなったから移転しようとかそういうこともあるわけですか。
#266
○国務大臣(山中貞則君) これは受け身の立場と積極的にやる場合と二通りあるだろうと思うんですね。ここの町内会全部が自分たちは引っ越したいと、まああんまりそういう例はないと思うんですが、そういう希望をどういうふうに受け入れられるかという問題と、あるいは国のほうなり地方のほうなり積極的に公共事業で宅地造成をやる、あるいは建物等を造成しておいて、それを代償にして引っ越してもらうかわりにあとを公共的なものとして使用するケースと、いずれにしても人間が住んでいる場所を公害のために避難して、場所を変えるというのは、政治としては最も拙劣な最終の追い込まれた策だと思うんです。決してこれは誇るに足る例示ではないんでありまして、でありますから、住宅移転等の事情が起こらないような状態にして、その地域に住んでおる人々が公害から身を守っていく手段を講ずるのが公害防止事業であると考えておりますので、そういう意味ではなるべくこういう事業を行なわないで済むような状態をつくるべきだということをまず考えていきたいと思っております。
#267
○田渕哲也君 大臣はもう時間がきたようですから、けっこうでございます。
 それでは先ほどの問題に戻りましてお伺いしたいと思いますが、先ほどの研究職員の充実の問題ですが、特に地方公共団体の公害関係職員、研究所についてお伺いしたいと思います。
 地方公共団体の公害関係職員は三千六十四名ということが言われておりますけれども、このうちで一般職員と技術職員の内訳はどうなっているか。さらに、地方公共団体の公害関係職員というのは兼任が多いと思いますけれども、専任の人とそれから兼任の人との内訳はどうなっているか、この点お答えいただきたいと思います。自治省は見えてないですか。
#268
○説明員(冨崎逸夫君) お答えいたします。地方公共団体の公害関係職員の中で事務職員と技術職員との区別でございますが、現在の調査では、都道府県、指定都市関係だけしかわかりませんが、一応都道府県約千三百名の中で事務職員が五百六十名前後、技術職員が七百数十名でございまして、都道府県段階では技術職員のほうがやや多いわけでございます。指定都市につきましてもおおむね四百数十名おるわけでございますが、その中で事務職員が八十数名、技術職員が百十名前後でございまして、この限りにおきましては技術職員のほうがややウエートが高い。ただ市町村段階につきましては、現在事務、技術の区分が分明でございません。これは総体的な感じといたしましては、都道府県、指定都市については事務職員よりやや技術職員のほうが多い現状でございまして、市町村段階ではこの辺が、技術職員のほうのウエートはおのずから低いのではないかというふうに考えております。また、兼務職員は、先ほどおっしゃられました三千四十六名と計算しておるのでございますが、このほかに約一千名前後の務兼職員がおる。その内容といたしましては、たとえば保健所の職員、その他兼務の態様はいろいろございましてこの実数は実のところ正確にはつかんでおりません。
#269
○田渕哲也君 地方の公害関係職員の待遇のあり方につきましても、一昨日の参考人の意見の中にはやはり公害関係職員を別途の、特に技術職員ですね、国との関係とかあるいは自治体の固有の事情もあろうかと思いますけれども、特に待遇の問題を考える必要があるということを指摘しておられましたけれども、その辺について自治省はどうお考えになっているかお伺いしたいと思います。
#270
○説明員(冨崎逸夫君) 公害の職制につきましては、いろいろ測定監視、立ち入り検査その他の現業的な部門と、それから調査、分析、観測等の技術的な部門あるいは研究部門があるわけでございます。そのほかにいろいろ公害の一般行政部門を担当する職員等もございましていろいろ多岐にわたるわけでございますが、ただいま御質問の専門的な分野での職員の待遇につきましては、現在自治省といたしましては、給与問題の研究会を委嘱をいたしまして、そこでこれらの一般的な専門職員に対する待遇改善の問題を実は諮問をしておるわけでございます。その研究会に対しまする諮問内容、それからそれに基づく答申等を基礎といたしまして現在専門職に対する待遇改善の方途はいかにあるべきかという点を具体的に検討しておる段階でございまして、考え方といたしましては、これらの専門分野に応じました職員の待遇につきまして特に職制等にとらわれず、一般職員との均衡等を考慮いたしまして在職年限その他の関係等によって必要な待遇を受けられるような措置を講じようと、こういう考え方でございます。なお、現業的な職員につきましては、いわゆる特殊勤務手当その他の給与の方途によりましていろいろ待遇を考えていくべきじゃないかというふうに検討いたしておるような状況でございます。
#271
○田渕哲也君 次に、公害研究所の問題についてお伺いしたいと思いますが、これも山中長官が、前に公害研究所の構想を出されましたけれども、やはり公害専門職員養成のためにこういう施設が必要だと思いますけれども、
  〔理事杉原一雄君退席、理事鬼丸勝之君着席〕
しかし、連合審査会のときの答弁を聞きましても、この構想も若干後退したような感じを受けたわけですが、やはり来年度予算の中で重点的にこの実現の方向に向かって予算を組むべきではないかというふうに考えますけれども、この点についてお伺いしたいと思いますが。
#272
○政府委員(城戸謙次君) 中央に公害の研究所を設ける問題でございますが、これにつきましては、いろいろ一カ所に集めるということに伴います問題点も多々あるわけでございまして、私どもとしましては、来年度はこのための調査費を要求いたしております。
#273
○田渕哲也君 職員の研修養成のための講師自体が非常に少ないということも聞いておるわけですけれども、現在の国や地方でとらえておるスタッフではやはり足りないというような感じがします。したがって、職員の養成のために、こういう公害研修所、研修所での養成というものを早くやらないと間に合わないという気がするわけですけれども、調査費の要請程度のことでいいのかどうかお伺いしたいと思います。
#274
○政府委員(橋本龍太郎君) これは、先ほど、午前中でありましたか、山中副本部長が副本部長として答弁せられましたのをそのまま申し上げたいと思います。調査費程度でいいのかどうかと言われますが、しかし実際上、公害のための研究所というもの、研究施設あるいはそれに付帯するデータバンクあるいはそれに伴う研修機関施設、こうしたものを考えてまいります場合に、相当大規模な基礎的な調査をしておきませんと、いったんつくった、すぐ足りなくなった、これではだめで建てかえたというようなラフなものをつくるわけにはまいりません。その場合に午前中の副本部長としての御答弁の中に、海外の資料収集、専門家を海外の類似の研究機関等へ派遣して、それらのデータを持ち帰る。そうした諸点について、たしか六百万でしたか忘れましたが、調査費を要求しておりましたもののほかに、昨日の夕刻一千万円余りを追加して大蔵省に要求をしたという趣旨の御答弁がありました。これが一体どこにつくられるものであるかは別として、やはり私どもは十分な基礎的な調査をしつつ建設をすべき性格の研究所だと考えております。
#275
○田渕哲也君 先ほどの住宅移転の問題について、若干質問し足りなかった面を続けたいと思いますが、長官は、住宅移転よりも学校移転を優先すべきだというお答えがありましたが、学校移転の場合にしても、それぞれ条件があろうと思いますが、たとえば住宅を移転する場合にそれを公害防止事業として認める場合の条件、それからあるいは学校を移転する場合に、それを公害防止事業として認める条件、この辺についてどう考えておられるか。同じような条件、たとえば環境の悪化にしても、その他の条件にしても同じように考えていいものかどうか、どうなんですか。
#276
○政府委員(城戸謙次君) 今回の公害防止事業費事業者負担法におきましては、公害防止事業の種類は二条にはっきりいたしております。ただ、それを実施しますいまおっしゃった意味での厳密な条件というものは、私どもこれ自身には書いてないわけでございまして、たとえば農用地の土壌汚染におきましては、農用地の土壌汚染の体系におきまして計画を立て、農林大臣の承認を受けて主として動いていくということがございましょうが、その他一般的に申しまして、地方公共団体あるいは国が実施します事業をどういう条件で行なうかということにつきましては、特に触れていないわけでございます。したがって、今回、いまのような住宅なり学校の移転につきましては、少なくとも地方において、公共事業として実施される。で、公害防止の目的でやられるということで二条の二項の各号に該当するものがございますれば、それは私どもとしては、当然費用負担の対象になると考えております。ただ、その辺、ほかの条項にもいろいろ関係がございますが、たとえば事業者が特定できるとか、あるいは原因結果の関係がある程度はっきりしているとか、いろいろなそれぞれの条項には問題点はございますが、一般的に申しますと、実施主体自身、施行者自身が公害防止のための有効な事業として取り上げていくということを前提といたしておるわけでございます。
#277
○田渕哲也君 それから、公害防止事業に認定された場合は、そういうようないろいろな助成が行なわれるわけでございますけれども、これは必ずしも被害を受けておる住居のすべてがそういうふうに認定されるとは限らないわけで、むしろ現実の問題としては、私は、いまの環境の悪い住居の中でも、そういう事業で移転される住宅というものはごく限られた部分ではないかというふうに考えるわけです。そうしますと、そういう防止事業以外の住居の移転に対して、先ほど長官が言われましたように、一軒一軒が疎開したいと、環境のいいところへ行きたいと言っても、それに対してどうこうということはなかなかしにくいと思いますけれども、ただ、この場合、やはり住宅を移転するとなれば、たいへんなことで、たとえば土地の購入とか、あるいは新しい住宅の新築とか、いろいろな費用がかかるわけですけれども、少なくともこの資金の資し付け程度を考慮されないものか、この点についてどう考えられるか、お伺いしたいと思います。
#278
○政府委員(城戸謙次君) 私ども具体的に住居の移転につきまして、災害復興の場合の例にならって、そういう貸し付けをしたらどうかという御意見のようですが、具体的な案は持っておりません。むしろ必要があれば、今後検討いたしますが、現在のところ、あくまで公共事業としてそれらの事業を行ないます場合の事業の負担ということを、今回の事業者負担法で提案をいたしておるわけでございます。
#279
○田渕哲也君 それでは、あまり残り時間もありませんので、最後に、環境基準と排出基準の問題についてお伺いしたいと思いますが、環境基準というのは望ましい基準というふうに指定されておるわけですが、望ましい基準というのはそれに到達する目標だというふうに解釈されると思います。しかし、本来から言うならば、この基準をこえたら危険だと、この基準以上は絶対やってはならないという意味の基準が必要ではないか。私は、現在の環境基準のきめ方からいいましても、大体健康被害を起こさないという基準できまっておるように思います。そうすると、これは望ましい基準じゃなくて、これ以上こえたら危険だという基準じゃないかと思いますが、この辺どう理解したらいいですか。
#280
○政府委員(橋本龍太郎君) 確かに先生言われるとおり、環境基準は健康被害を起こさない基準でということを私ども再々申し上げております。しかし、環境基準、これをきめていきます場合に、住民一人一人を個々に調査して影響が出ない場合であっても、一つの人口集団として疫学的に調査した場合には、差異が生じてくるようなケース、こういうことをやはり基本に考えないわけにはまいりません。その場合、大気汚染が進行して大きな差異を生じないように、レベルを採用していくことが環境基準の本旨であります。そうしますと、要するに、これ以下のところであれば、疫学的にいって、まあ先天的にからだの弱い方あるいはお年寄りの方あるいは抵抗力の弱い乳幼児、それでもこれ以下に押えているなら、健康に被害が出ないというので、これは安全率を見込んだものが出てきます。で、確かに基本法で述べているように、維持することが望ましい基準ではあります。その意味ではお話しのとおりのことに違いはありません。しかし、したがって、これ以上のところでも、個々の人々の健康にすぐ影響が出るというものではありませんから、私どもとしては、これ以上の汚染は決して望ましいものではないという基準としてこれを定めています。
#281
○田渕哲也君 環境基準につきましての、いままでの審議の中での御答弁によりますと、これ以下なら老人や子供でも大体被害が出ないと思われる基準だと思います。ということは、環境基準を越えた状態のところでは老人や子供には被害が出るおそれがあると考えられるのではないかと思いますが……。
#282
○政府委員(橋本龍太郎君) そういう誤解を生じないように、いまも安全率を見込んだということを申し上げました。越えた瞬間にお年寄りあるいは抵抗力の少ない乳幼児にとたんに健康被害が出てくるようであってはこれは大問題であります。それだけの安全率は私どもは見込んであります。
#283
○田渕哲也君 どのくらい安全率を見込んであるのですか。
#284
○政府委員(曾根田郁夫君) これは具体的にどの程度の安全率というそういう具体的な数字ではございませんで、先般も先生の御質問にお答えしましたように、閾濃度という考え方は、これ以下ならば有害危険ということは立証されない。しかし、それ以上になれば直ちに有害あるいは危険ということではない。つまりその点がいわゆる許容限度という考え方と違うわけでございますから、いま具体的にそれがどの程度の安全率かといいましても、具体的な数値で、たとえば食品の安全基準のように何%というような正確なものではございません。
#285
○田渕哲也君 それから排出基準の問題ですが、これは法律によりましてもこの排出基準は大体環境基準に適合するように定めることが趣旨だろうと思います。ところが最近、各地において結ばれておる公害防止協定によりますと、大体国がきめた排出基準よりもかなりきびしい基準できまってるわけですね。先日も大分県の臼杵市の大阪セメントが県並びに市と結んだ協定によりますと、この排出ガスに含まれる粉じんの量は、国できめた量の十分の一という非常にきびしい基準できまっております。最近、各自治体においてこういうことが行なわれつつあるというのは、いままで国がきめておった基準ではその地域の住民が安心できないということを示す何よりの証拠ではないかと思います。したがって、国がいままできめた排出基準というものをやはりこの際再検討して全面的に改正する必要があるのじゃないかと思いますが、この点いかがですか。
#286
○政府委員(曾根田郁夫君) 今回の改正によりまして新しく排出基準をつくらなければならぬ物質がかなり数多く規制対象に取り入れられましたが、それに合わせまして既存の排出基準につきましても、たとえば硫黄酸化物等につきましては、もともとスケジュールの上からいきましても四十六年度が強化改善のスケジュールに組み込まれておりますので、さらにまたばいじん等につきましては、これは従来から懸案になっておりまして、現在の排出基準は現行の大気汚染防止法以前からの、どちらかというと非常に古い基準でございますので、こういったものもきびしく強化してまいりたいというふうに考えております。
#287
○田渕哲也君 それから今回のこの大気汚染防止法によって、知事に上乗せ権限を与え、かつ政府が上限を定めないということは非常に大きな進歩だと思います。ただ、残念ながら現在の大気汚染の中で一番重要な問題である硫黄酸化物が除外されておる。これでは全くしり抜けだという感じも一般には受け取れるわけですけれども、これはまあたびたび委員会で審議をされておりますけれども、この硫黄酸化物が除外された理由を簡単にお伺いしたいと思います。
#288
○政府委員(橋本龍太郎君) 大きく申し上げて二つの言い方ができるかと思いますけれども、一番やっぱり根本にあるものは、何回も、実は本院におきましても、また衆議院におきましても申し上げてまいりましたとおりに、世界的な原油の供給態勢の中で、低サルファの重油を確保できる量というものにおのずから限界があるということであります。それと同時に、脱硫装置その他の技術開発の上においてもまだ改善を望み得ない今日の状況において、私どもとして一番頭の痛い問題点ではありますけれども、いわゆる八段階に全国の地域を区分した。そして汚染度のひどいところほどきびしく網をかぶせていったわけでありますけれども、その状況に応じて一番必要な時期に、必要な場所に、必要な量の低サルファの重油を届けていくためには、むしろ国全体をやっぱりとらえた形でないとその行政がやりにくいということでございます。これは非常に内輪話のような形で御答弁申し上げて恐縮でありますが、世界の燃料供給体系、原油の供給体系というものは田渕先生よく御承知のとおりであります。その中において実質的にわが国が確保できる低サルファの重油の量並びに脱硫装置の能力、技術開発、こうしたものが今日のネックであるということを申し上げたいと思います。
#289
○田渕哲也君 現在の硫黄酸化物による汚染の中で占める電力並びにガス事業の寄与率はどのくらいになっておりますか。
#290
○政府委員(莊清君) 大体C重油を工業用に使いまして、そこで亜硫酸ガスが出ておりますけれども、C重油消費量のうち約四五%が火力発電です。ガス事業のほうはこれは石炭を乾留して石炭ガスを取る法でございますので、亜硫酸ガスとしてはほとんどあまりたいしたことはないのではないかと思います。
#291
○田渕哲也君 そうすると、電力が大体半分ぐらいということになると思いますが、今回この大気汚染防止法の中でやっぱり電気事業法、ガス事業法に規定する施設についてはかなりの部分が適用除外になっているわけです。第六条から第十二条までの届け出とか、いろいろな手続、それから第十四条の第一項改善命令、第十七条特定物質に関する事故時の措置、さらに第十八条粉じん関係、肝心のところはこれはほとんど適用除外になっているわけですが、現在の電気事業法、ガス事業法において十分カバーされるようになっているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#292
○政府委員(長橋尚君) お答え申し上げます。
 現在の電気事業法、ガス事業法におきまして、電気工作物、ガス工作物につきまして、その工事、維持、運転という面につきまして、一つには公益事業といたしましての安定供給を確保いたします見地から、また二つには公共の安全、今回また従来の解釈をさらに明文化いたします意味で、公害の防止という点も明記いたす改正案が御審議中でございますが、そういうふうな面からの規制という点をあわせて一つの法体系のもとでやっているわけでございまして、ただいま御指摘の大気汚染防止法の適用除外条項につきましては、まず電気事業法で申し上げますならば、ばい煙発生施設等の設置の届け出の面につきましては、電気事業法第四十一条ないし四十二条におきまして工事計画の認可、――軽微のものにつきましては届け出でございますが、認可の手続を要することになっております。それから大気汚染防止法上の計画変更命令ないし改善命令に相当いたしますものといたしまして、認可を受けました工事計画についての変更命令、あるいはまた基準に不適合になりました事態におきます基準適合命令という規定がそれぞれ四十一条ないし四十二条にあるわけでありまして、そういった措置をもって同じ公害防止の目的に沿いまして電気事業法に基づく規制が行なわれる体制になっております。ガス事業法につきましても、これに準じた規定がガス事業法の中に規定されているという次第であります。
 なお、今回の改正案におきましては、従来以上に都道府県知事がその地域におきます総合的な公害対策の円滑な推進をはかっていく立場にあるわけでございます。そういった都道府県知事との立場をさらに円滑に調整していく。その両者の関係を緊密化するというふうな意味合いにおきまして、先ほど御説明申し上げました大気汚染防止法、電気事業法におきます相当規定に基づく認可申請というふうなものがございました場合には、これを知事に通知いたしますと同時に、また都道府県知事の側からは改善命令、使用停止命令あたりを発動してほしいというふうな場合におきます要請権が規定されております。要請がございました場合にはそれに基づきまして通産大臣がとりました措置を都道府県知事に通知する。まあ両者の対応関係をさらに緊密化して所期の目的に沿ってまいると、かような考え方に相なっておる次第でございます。
#293
○田渕哲也君 電気事業法に確かに届け出とか設備の改善とかいろいろなことが規定されておりますが、特に公害に関してそういうことをやることが明文化されていないように思いますがね。それはどこできまっているわけですか。
#294
○政府委員(長橋尚君) 技術基準につきまして電気事業法の規定がございます。そこで、人の健康、人体への危害の問題、それから環境の問題といたしましては、物件の損傷というふうな見地から、そういうことのないように万全を期するための基準が整備されているわけでございます。そしてそういった電気事業法の規定を受けまして大気汚染防止法上の排出基準がきめられました場合には、それをそのまま電気事業法に基づきます委任省令の中で取り入れまして、これをそのままに電気事業に対する規制面で適用している次第でございます。
#295
○田渕哲也君 大体省令できまっているわけですか。
#296
○政府委員(長橋尚君) 基準につきましては法律の委任を受けまして省令できまっております。排出基準は大気汚染防止法上のものがそのまま取り入れられているわけでございます。
#297
○田渕哲也君 まあ大気汚染防止法のほうは大体法律においてかなりこまかなことがきまっておりますし、それから知事の権限も非常に強いわけですが、電気事業法においては法律にはあまりそういうところが明確にされないで全部省令でこまかくきまっておると、やはりかなり格差があるように思うわけですね。だからやはり抜け穴というふにな感じにどうしてもとられるわけですけれども、この点やっぱり電気事業法においても、この大気汚染防止法が適用されないならそれにかわるべきものを法律として定めておくほうがいいんじゃないかという気がしますが、これに対して御意見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#298
○政府委員(長橋尚君) 電気事業法の第一条の目的規定におきましては、公共の安全の指示とあわせまして、公害の防止をはかることを目的とする今度の改正法案におきましては、従来の解釈を明文化して、はっきりいたしたわけでございます。基準の問題につきましても、つまり排出基準を、電気事業法において受けとめます基準の規定におきましても、人体への危害の問題、それから物件の損傷というふうな非常に広い表現をもって法律的規定があるわけでございまして、あとは省令でそれを受けて明確な規定を整備すると同時に、その実効をあげていくことが肝心であるという角度で行政に当たっている次第でございます。
#299
○理事(鬼丸勝之君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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