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1970/12/18 第64回国会 参議院 参議院会議録情報 第064回国会 公害対策特別委員会 第7号
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1970/12/18 第64回国会 参議院

参議院会議録情報 第064回国会 公害対策特別委員会 第7号

#1
第064回国会 公害対策特別委員会 第7号
昭和四十五年十二月十八日(金曜日)
   午前十時三十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         占部 秀男君
    理 事
                鬼丸 勝之君
               久次米健太郎君
                杉原 一雄君
                内田 善利君
    委 員
                長田 裕二君
                川上 為治君
                木島 義夫君
                古池 信三君
                玉置 和郎君
                玉置 猛夫君
                矢野  登君
                山本敬三郎君
                渡辺一太郎君
                小野  明君
                田中寿美子君
                竹田 四郎君
                小平 芳平君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  内田 常雄君
       国 務 大 臣  山中 貞則君
   政府委員
       内閣審議官    城戸 謙次君
       経済企画庁審議
       官        西川  喬君
       厚生政務次官   橋本龍太郎君
       厚生省環境衛生
       局長       浦田 純一君
       厚生省環境衛生
       局公害部長    曾根田郁夫君
       農林大臣官房技
       術審議官     加賀山國雄君
       林野庁長官    松本 守雄君
       通商産業省公害
       保安局長     莊   清君
       通商産業省公害
       保安局公害部長  柴崎 芳三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       通商産業大臣官
       房審議官     牟田口道夫君
       運輸省自動車局
       整備部長     隅田  豊君
       海上保安庁次長  上原  啓君
   参考人
       公害防止事業団
       理事       鈴村 信吾君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○公害対策基本法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○公害防止事業費事業者負担法案(内閣提出、衆
 議院送付)
○騒音規制法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○大気汚染防止法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○中小企業公害防止施設に対する税制上の優遇措
 置に関する請願(第四号)
○光化学スモッグ等大気汚染追放に関する請願
 (第二三号)(第五五六号)(第五五七号)
 第七一五号)
○滋賀県米原町の明治興業公害に関する請願(第
 六六号)(第五二二号)
○生活環境保全に関する請願(第七六号)
○公害対策基本法外関係法令の抜本的改正等に関
 する請願(第二七三号)
○公害に関する請願(第六六八号)(第六六九
 号)(第六七〇号)(第六七一号)(第六七二
 号)(第六七三号)(第六九九号)(第七〇〇
 号)(第七〇一号)(第七〇二号)(第七〇三
 号)(第七〇四号)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を開会いたします。
 公害対策基本法の一部を改正する法律案、公害防止事業費事業者負担法案、騒音規制法の一部を改正する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件について、おはかりいたします。
 本日の委員会に、参考人として、公害防止事業団理事鈴村信吾君の出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(占部秀男君) 前回に引き続き、四案に対する質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○竹田四郎君 きょうは、若干、公害防止事業の負担問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 公害防止事業というものが公害防止事業団によって実際に行なわれていくわけでありますが、いろいろな事業が計画されているようでありますけれども、この事業の、国、それから県、市町村、あるいは事業者、これの負担割りの原則というものは一体どういうふうになっていますか、御説明いただきたいと思います。
#6
○国務大臣(山中貞則君) これは、提案いたしております法律の第七条の一号より三号に至る負担率を基準として明示いたしましたもののほかは、第四号によって、先日来議論になっております学校移転とか、住宅移転とか、ここで申したかどうか知りませんが、連合審査で、たしか申した、オイルフェンスというものも含む、こういうことで、一応の基準を示しているわけでございます。
#7
○竹田四郎君 事業団の方にお伺いしたいと思いますが、公害防止事業団でなさっております事業の概略、各事業におけるところの国・県・市・事業者の負担割合、こうしたものを、わかっている程度でお示しいただきたいし、第二点としては、事業団として今後どういう事業が具体的に仕事をされていく予定になっているのか、これもあわせてお尋ねしたい。
#8
○参考人(鈴村信吾君) 公害防止事業団といたしましては、いわゆる直接事業と融資事業と両方をやっておるわけでございますが、直接事業の中に四つございまして、第一が、いわゆる共同公害防止施設の設置及び譲渡であります。それから第二が、共同利用建物と申しまして、典型的なものは、いわゆる工場アパートでありますが、それの設置、譲渡であります。それから第三が、工場移転用地の造成と譲渡でございます。第四が、共同福利施設、これはいわゆる緩衝緑地でありますが、その設置、譲渡、この四種が建設事業として行なわれております。このほかに、融資事業があるわけであります。
 それで、この最初の三つ、つまり共同公害防止施設と共同利用建物と工場移転用地につきましては、それぞれ譲渡の相手方を事業団がきめまして、施設を建設して譲り渡すわけでありますが、おおむね相手方は中小企業の協同組合であります。一号、二号、三号につきましては、中小企業の協同組合にこの施設を譲り渡すわけであります。したがいまして、費用負担は全額中小企業の協同組合が負担するわけであります。それから第四号の共同福利施設、つまり緩衝緑地につきましては、若干事情が異なっておりまして、譲渡の相手方は地方公共団体でありまして、多くは市でございます。この譲渡の相手方は市でありますが、その費用負担につきましては、事業団としては直接関与いたしておりませんが、市のほうで、当該地域に立地しております企業から、まあ寄付金の形で一定額を市のほうへ納めてもらっておるわけであります。また、県から若干の金額が市のほうへ出る仕組みになっておるわけであります。さらに、事業団から市に譲渡いたします場合に、国庫補助金の額を差し引いたもので譲渡する。つまり、十億かかっておりましても、国庫補助金が二億かかっておりますと、八億の負担で市に譲渡する、こういう形になっておるわけであります。
 この四つの事業につきまして、いまのような費用負担等の原則があるわけでありますが、緩衝緑地について申しますと、すでに市原に緩衝緑地ができ上がっております。それから四日市もでき上がっており、大阪府の泉北、それから現在造成しております緩衝緑地には、赤穂、姫路、徳山、この三つがございます。それからさらに、本年度から新たに着工することになっておりますのが、宮城県の多賀城、それから茨城県の鹿島、それから愛知県の東海市、それから四日市の霞ヶ浦、こういう予定になっている次第であります。
#9
○竹田四郎君 厚生省の方にお聞きしたいのですが、市原等については、すでに緩衝緑地が完成しているというふうに伺っておりますが、緩衝緑地が一体どのくらいの効果があるか。これはお調べになったことがあるのかどうか。私ども承っている点ですと、どうも最近は煙突を高くして、ばい煙を広く拡散するということになりまして、ずっと審議の中でもお話が出ておりましたけれども、今後、市原地域の石油コンビナートにいたしましても、その他の重化学工業にいたしましても、煙突が高くなる、おそらく百八十メートル、あるいはさらに二百メートルという形になっていると思いますが、一部の話には、どうも緩衝緑地をつくっても、高いところをよごれた空気が飛んでいってしまって、具体的にはあまり効果がないじゃないかという説をなす人もありますけれども、しかし、実際には、かなりの緑地でも、松等においてはすでに枯れたものもあるのです。効果はあるというわけでありますが、具体的に緩衝緑地をつくって、はたして防止の効果がどのくらいあるのか、これを一つ……。私どもよくわかりません。
 しかも、この緩衝緑地の中に、実は他の計画を見ましても、陸上競技場だとか、あるいは野球場だとか、球技場だとか、かなりの激しい運動をやる施設があるわけです。激しい運動をやる際になりますれば、人間の吸う呼吸の量というものも、私はかなりたくさん吸うようになるのじゃないか、おそらく、普通の、平常のときの倍ぐらいは空気をたくさん吸うだろうと思う。そういう関係の影響というものは、むしろ、こういう緩衝緑地にこういう公園をつくる、競技場等をつくるということは、なるほどいまの市町村でそうした施設がないから、それにかまけてつくりたいという希望はわかりますが、こういうものをたくさん入れてつくるということが、ほんとうに住民の命と健康を守る点で、はたして効果的なのかどうなのか、この辺、ちょっと私、疑問があるわけです。むしろ園路とかいう形で、あまり激しい運動をするものでないような施設ならば、これは、空気を吸う量もあまり多くはならないし、静かな空気だと思う。その辺、検討されたことがあるのか。
 この二つの点、ちょっとお伺いをしたいと思うのです。
#10
○政府委員(曾根田郁夫君) グリーンベルトにつきましては、ただいま御指摘のように、四日市にいたしましても、市原にいたしましても、竣工しましたのは本年に入ってでございますので、まだ必ずしもそのグリーンベルトの効果が具体的にどこまでかということにつきましては、もうちょっと年月が必要かと思いますけれども、しかし、少なくとも私どもこれによる効果として考えておりますのは、何といいましても、大気汚染の緩和ないし防止、これが本来の目的でございますけれども、そのほかに、工場騒音、あるいはまた自動車騒音等もあるわけでございますが、そういう騒音の緩和がございます。それから、これは直接いわゆる公害防止ということとは結びつきませんけれども、たとえば工場災害等の場合の影響の緩和、それから先生ただいま御指摘のように、これも直接公害の防止とは関連ございませんけれども、やはりこのグリーンベルトにスポーツ施設あるいは公園的施設が整備されることによって、工場の従業員あるいは地域住民の、何といいますか、憩いの場、そういったものを期待されますので、やはりグリーンベルトの公害の防止を中心としたこの効果というものについては、かなり大きなものがあるのではないかというふうに考えております。
#11
○竹田四郎君 どうも、あまりよくわかりませんけれども、緩衝緑地というのは、公害を防止されるものじゃなくて、公害関連あるいは公害防止関連事業にどうも重点があるような、いまの感じです。せいぜい、お話しになった点は、騒音の緩和とか、あるいは災害の場合の避難地といいますか、そういうことで、あとはどうも公害防止という線より、だいぶはずれてきているように思うのですけれども、確かに、町を緑化するという意味では、これはやはり全体としては価値がないことはないというふうに思うのですが、そうなってまいりますと、一体こういう緩衝緑地――おそらく防止事業団が昨年から負担をしてやっている施設というのは、緩衝緑地以外には、まだほとんど手がつけられていないと思う。河川、港のしゅんせつとか、あるいは農地の客土事業なんか、ほとんど仕事されておらないと思う。
 そう考えてみますと、一体、これに対する事業者の負担割合という、事業者を中心としてこういうものにひとつ事業費を出してくれという考え方、この考え方とだいぶずれてくるんじゃないか。むしろ、どうも、公害関連事業のほうに重点が移ってくるということになりますと、この法律で述べられておりますところの、たとえば五条ですね、「各事業者の事業活動が当該公害防止事業に係る公害についてその原因となると認められる程度に応じて、負担総額を配分した額とする。」という、こういうことでありますから、それは、公害を出している、工場が出している公害の、何といいますか、量並びに質に応じて負担割合というものがきまっていくわけですが、そういう、いま厚生省の方が申されたような形でいきますと、どうもそれは事業者がそんなに負担するということは、これは何といいますか、直接公害というよりも、そこに工場が来ているという、そういうことによって負担が出ていく可能性のほうが非常に強くなってくるのじゃないか。したがって、それは、市の、特に所在の市の負担あるいは県の負担、そういう自治体の負担という点に多くを依存せざるを得ないし、また、そこに大きな金がかかっていく、こういうことになるんではなかろうかという気がいたします。
 たとえば、市原の場合におきましての事業費が三十七億かかっておりまして、企業者の負担というのは約八億、県が十五億、市が十三億ということで、全体としての事業の中で、ほとんどの経費というものは県市が負わざるを得ない。それから四日市の緩衝緑地におきましても、全体で十八億の中で四日市市が十一億を負担をする、こういうことで、むしろ、そういうものをつくることによって、企業のほうの負担というのはわりあい少ない、そして結局は地元の県や市が大きな負担を負わされてしまう、こういう結果になってしまう。それは同時に、企業者が公害という観点でお金を出すよりも、会社の大きさとか従業員数だとか、あるいは工場の敷地面積だとか、工場出荷額だとか、そういう形によって金を出してしまうということになりますと、その事業が公害を出さないような措置、公害を防止する措置、あるいは企業自体の公害に対する責任感ということよりも、うちは会社が大きいから多く出してやったんだよ、と、非常に恩恵的な考え方に変わっていってしまうのじゃないか。むしろ、この法律の趣旨は、公害を出さないようにしていく、そうした公害を出さないために、むしろ外部の不経済というものを企業自体の経費の中で埋めていく、こういう趣旨のものであろうと思う。
 たとえば、千葉の市原の場合に、具体的にどういう負担割合、どういう割合でこの負担をきめられたのかどうなのか、その辺についても、これは負担法のできる前ですから、ある意味ではそういうのは許されただろうと思うのです。市原の例について、こういうような負担のあり方というものは是正さるべき問題が私は内容的にもかなりあると思うのですね。どういうふうに是正をしていくべきか。公害の発生原因と認められる程度に応じてというようなことばがあるのですが、これは具体的にどういうことなのか。ただ単に重油の使用量ということだけで分けられるべき問題なのか。おそらくその他の有害物質も私は出しているだろうと思う。そういうものについては重油の使用量あるいは重油の質という形だけでいけば、ほかのものは公害については免責される、こういうことに私はなってしまうのじゃないかと思いますが、その辺の御説明をよくしていただかないと、結局、公害防止事業というものを大きくつくっても、それはその地域における会社の恩恵として市民に与えられるということであれば、法の趣旨より私はだいぶ、ずれてしまうのじゃないか、こう思いますが、その辺のこまかい基準、あるいは市原の場合にどういう形で割り振ったのか、こうした点についても、ひとつ御説明いただければ幸いだと思います。
#12
○国務大臣(山中貞則君) 市原の例については、参考人に説明をしてもらうことにいたしたいと思います。
 ただ、ただいま竹田委員の言われましたような考え方が、現行事業団法に基づく工事をやっておりますと、いわゆる寄付金という形で出すわけですから、あなたのおっしゃるように、地域に対して、おれたちは金を出してやったのだぞという大きな顔をしがちな感じもしないでもない。そこで、今回は、この防止のために費用を負担する義務を負わせるという意味の公害防止事業費事業者負担法案の中にそれを取り入れていこう、すなわち、義務によって負担をさせるのであるという考え方に変えたわけであります。現在は、国が緩衝緑地の造成事業に、事業の補助金としての支出を、まず事業団に対して四分の一補助いたします。そして事業団は、それによって造成をしたものについて、おおむね市でありますが、市に譲渡をする。この譲渡をする事業を、第二条第三項によって、公害防止事業団が公害防止事業団法に基づいて設置する施設の譲り受けというものも対象にするのだということを、まず明らかにしております。その際に市の実質負担は四分の一でございまして、これは、御承知のように、県の四分の一と、いままでは寄付金といわれる名称でとられていた企業の四分の一というものが入ってまいりますから、四分の三のうちの実質事業費の市の負担は四分の一ということで、それについて二年据え置きの十八年償還という条件が事業団に対してなされるわけであります。そこで、この法律に戻りまして、第二条第三項を受けて第十八条で、ただいまの御意見のありました点でございますが、公害防止事業団が公害防止事業団法に基づいて設置する施設の譲り受けの事業であるという場合においても、いまのままで、この条項を設けませんと、国庫補助の四分の一カットの後の四分の三について企業が四分の一負担すればいい、四分の一ないし二分の一の負担をすればいいということになりかねませんので、それを避けるために、国庫補助の四分の一も、これを含めた事業費の中の四分の一は企業が持つものであるぞということを十八条で明確にしておるわけであります。いわゆる国の補助分も総事業費の中の企業が負担する四分の一の前提になるということを、まず明らかにしております。
 さらに、第五条に戻りまして、このただいまの負担金の計算のしかた、すなわち事業活動の規模という問題でグリーンベルトの場合を例にとられたわけでありますけれども、たとえば、敷地の面積とか、生産額とか、燃料使用量、こういうものをとった場合、燃料使用量一本でいっていいんじゃないかという御意見等もあったようでありますけれども、そういう形でなくて、やはり、この場合においても中小企業というものも配慮しなければなりません。でありますので、やはり従業員数というようなものも、この算定の基礎にはしていきたいと考えておるわけでございます。ここらで今回の思想の根本的な変換が行なわれたことは、いままでの、当初申し上げました寄付金をしたんだという顔つきと申しますか、そういう姿勢を、そうではない、公害防止事業費事業者負担法による義務によって負担をさせられたものであるぞという形を明確に定めたものであると御理解を賜わりたいと思います。
 あと、具体的な市原地区については、事業団のほうより御説明をお願いします。
#13
○参考人(鈴村信吾君) 御説明申し上げます。
 事業団が当初市原の緩衝緑地の事業を行ないます際には、まだ国の国庫補助制度も確立しておりませんでしたし、また、公害防止計画もまだできておりませんでした。そういう事態におきまして、最初は三十億という大体の予算で立案されたわけでありますが、この際に、おおむね県、市、企業が三分の一ずつくらいということで、千葉県知事が中心になられまして、京葉地帯の企業の協議会というものがございますが、協議会の代表と知事が折衝されまして、大体三分の一の線でございましたが、結局、八億程度ということになったようでございまして、その八億、実質は七億三千万になりましたけれども、最初は七億三千万ということで落ち着いたわけでございますが、その後大体八億という線までなりました。それで、その八億の配分につきましては、京葉地帯の企業の協議会のほうと、それから県当局といろいろ折衝の末、各企業の配分がきまったように承知しておりますが、その配分の細部の原則等につきましては、当事業団では直接タッチしておりませんでしたので、私からちょっと説明いたしかねますが、そんな経緯で八億の配分がきまったように聞いております。
#14
○竹田四郎君 どうもその辺が、私、今度の法案の中で、わりあい明確でない点だろうと思うんですが、まあ大きな企業が地域のために出すということは、私は決して悪いとは思わない。しかし、それがほんとうに公害防止という観点で出されるのか、さきに言った寄付金的な立場で出されるかということになると、私は、企業の公害に対する責任というものをのがれるような感じがするんです。特に十三条の「共同納付の場合の特例」ということがありますが、市原でも、そういう形で協議会をつくって共同納付ということになりますと、これは各企業の公害に対する寄与度といいすすか、そういう形から負担割合がきめられるんじゃなくて、おれのところは大きいから少し余分にやろうとか、おまえのところはどうもいつも公雲で注意されるからよけい出せよとかというような形だけで費用負担がされるということになると、これはかなり問題ではないだろうか。たとえば、既存の地域においても、あるいはこれからできる工場地帯においても、こういうものを事前につくるというようなことが計画されていくだろうとは思いますが、たとえば排出基準を常に守っている工場、排出基準はあまり守らないで、かなりいろいろ警告を受けたり、地域から非難されたり、そうした工場もその条件が同じになる、金額が同じだということには私はならないだろうと思う。当然、そういう工場はよけい負担をすべきであると思うのです。どうも先ほどの五条の関係、その他そういうことばが、あちらこちらにありますけれども、「公害についてその原因となると認められる程度に応じて」、非常に私は抽象的なことばだと思うのです。こうしたことはどこで明確にされるのですか。将来政令が何かの形で、SO2をどれだけ出すから、おまえのところはどれだけの割合をかけるのだとか、おまえのところは有害物質のカドミウムを出しているからおまえのところはこうだ、こういうような形になるのですか。どうもその辺が全然わからない。そこのところがわからなければ、共同納付にいたしましても、あるいは負担の割合にいたしましても、それはほんとうに政治的な折衝であって、公害防止という社会的な責任を負うべき事業者の自覚というものが欠けてしまう。
 それで、それは単に寄付金だ。しかも、そこにできているものは、先ほどの話のように、野球場やグラウンドや、そういうものだ。おれのところはたくさん金を出したのだから、おれのところの従業員に優先的に使わせろ、こういう話は当然その中に出てくる。そうすれば、公害防止の市民に対する奉仕でなくして、企業のレクリエーション施設を、自治体やあるいは国の補助を得て、むしろ自分たちのレクリエーションの施設をそこにつくってしまう。当初の目的より非常にはずれてしまう。こうした結果に私はなってしまうのじゃないか。そうした点では、この負担の割合というもの、事業者の負うべき負担総額にいたしましても、各企業者に対する配分にいたしましても、何かそうした科学的な根拠がなければ、名前は事業負担金という名目であっても、意識的には寄付金の性格になってしまう。そうして、おれのところはあんなに金を出したのだから、管理のほうは市でやれよと、管理費も出すことになっておりますが、結果的には企業のための管理費を自治体が持たなければならない、こういうことになると思うのです。
 そういう意味で、防止事業そのものの効果というものも考えてもらわなければいけないし、先ほど言ったそのグラウンド等についての考え方というものも私は慎重に考えていかないと、市民のものでなくて企業のものにこれが取られてしまう可能性というようなことも非常に強くなる、こういうように思うのですが、その辺をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#15
○国務大臣(山中貞則君) 最後の点から、まず御答弁を申し上げますが、第二条の第一項、ここにおいて、「実施される緑地その他の政令で定める施設の設置及び管理の事業」ということになっておりますが、御説明を、まだ御質問等もなかったせいもありまして、政令でございますので、これから作業するわけですが、答弁もいたしておりませんでしたが、ここらの緑地というものの概念には、今回は、グラウンドとかプールとか体育館とかいうものは、ただいまのような御意見もありますので、排除する、いわゆる入れないというつもりでおります。ですから、それじゃ政令で定めるものは何かというと、たとえば非常に広い、不必要なまでの、都市計画ならばとてもそんな道路は要らないような、いまの緩衝街路と申しますか、そういうものとか、あるいは地形によっては水を運河みたいにたたえる方法がありますから、そういうようなこと等を考えております。でありますから、まず、この第二条の第二項第一号においていう緑地の中には、グラウンド、プール、体育館等は含まないのだということであります。
 さらに、共同納付の場合でございますが、原則はまず事業者の負担で、それを事業者ごとに、公害を発生しておる度合いに応じて、それぞれの都道府県知事及び特定の市等の施行者が審議会等に相談してきめる場合には、おおむねこれは常識上わかるわけであります。しかしながら、それがきわめてはっきりしていて、みんなが文句がない場合には割り振りが簡単でありますが、そうでない場合に、みんなで、総額は了承いたします、しかし、あとで私たち内輪で相談をして共同納付という形をとらしていただけませんか、という場合の特例として、第十三条で「共同納付の場合の特例」と、こういうことになっておりまして、原則はそうではございません。しかも、その特例を適用いたしまする共同で納付する旨の申し出の前提としては、その当該各事業者が負担すべき額について納付の方法を明らかにして共同で納付する旨を申し出なければならぬとなっておりますが、その場合には、どの事業者が幾ら負担をして、そして納付の時期、そういうもの等も明確にするということを条件にいたしておりますので、先生のただいまのような御批判、御心配というものは大体排除できるものと考えております。
#16
○竹田四郎君 その、野球場とかなにかをつくらない、その中には含めない、という趣旨はよくわかるんですけれども、これは市の、あるいは県なんかの、いろんな面と、生命と身体とにかかわる関係、こうした問題をやはり十分検討してやっていただかないといけないんではないだろうか、その辺の問題点を、さらにひとつ、でき上がったいままでの市原なり四日市なり、あるいはその他の地域をよく精査されまして、その結果というものをひとつ出していただいた上で、そうした点を考えてもらわなければいけないだろうと思います。
 それから第二番目の問題、私どうもわからないんです。これは何かはっきりした基準というのをつくられる用意があるんですかどうですか。公害の寄与度に応じて負担するというのが私は原則だと思うんですがね。金を出していく、そういうものがはっきりしないと、これは、もうけとして返ってくる投資じゃございませんので、ただ単にその社会的な費用という形になるものですから。その辺の、もう少し明確な算定の基準というようなものを私は必要とするだろうと思うんです。それでないと、やはりこの施行者になりますところの県にいたしましても、市にいたしましても、そうなった場合には結局それの穴埋めを自分でするというところに追い込まれてしまって、企業のほうは、ごたごた文句さえ言っていれば出す金が少なくなり、あとは県、市が負担し合う、これは市原の場合も結局私はそうなるだろうと思う。ですから、その辺をもう少し客観的科学的な方法で、各企業の負担する割合というものをきめていく一定の基準というようなものをつくらないといけないんじゃないか。そうでないと、そのしわ寄せというものは結局住民に最終的にはかかってしまう。その基準をひとつ明確にしてほしい。
#17
○国務大臣(山中貞則君) これは、あるいは議論をいままで詰めていなかった点で、御理解の不足の点もあるかと思いますが、事業者の負担する総額は、これは明快に大体基準を定めて計算が出せるようになっておるわけであります。やはり問題があるとすれば、グリーンベルトだと思うんです。その場合においては、先ほど申しましたような敷地の面積や生産額やあるいは燃料費、使用量というものを参考にしますが、さらに、中小企業のための配慮で従業員数というようなものを考えたいということでございますので、これも負担の総額はワクはきまっておるわけでありますから、これらの配分の問題として、若干、御指摘のような法律そのものでずばり明示できないという点もあろうかと思いますが、それでも、四分の一ないし二分の一の範囲内ということを基準にしてきめるわけでありますから、あとはやはり、地域の知事、特定市等の場合において定められる審議会の構成等も当然重要な問題になりますが、そういうことで、地域で、客観的に申し上げまして、これならという点が割り振られてしまえば、その点の御心配はないんではないか。これを法律できめろと申しましても、グリーンベルトというものについては各種の態様がございますから、それを一々書き分けて、このような場合にはおおむね三分の一であるとかというような、そういうような書き分けがたいへんむずかしいのでございます。ですから、そういう意味で、おおむねそういうものについての算定に事業活動の規模というもの等に配慮をしていただければ、妥当な結論が出るものと私どもは考えておるわけでございます。
#18
○竹田四郎君 どうも、そこが長官と私と非常に意見が違うところです。長官は、何か、何でもいいから、極端なことを言えば、企業は金を出して、それだけの事業をまかなえる金が出ればそれでいいんだ、こういうふうなお考えのように私には聞こえるんです。私は、この負担法ができた根本のゆえんのものは、公害を出す企業が公害をなくしたり公害を防止するために金を出せ、そして、そういう金を出すことによって外部不経済に対する補償をすることによって、みずから公害防止のための施設をよくしていく、あるいは、ばい煙にいたしましても、排水にいたしましても、よごさないで出す、こういう理念、そういうようなものを企業者に植えつけるという、そういう観点がどうも非常に欠けている。でありますから、従業員数だとか、資本金だとか、工場面積だとか、出荷額とか、こういうものは率直に言って公害と直接関係ないわけです。そうなりますと、公害を出しているところにはその責任負担というものは少なく、たまたま工場が大きくて従業員数も多い、工場面積も広いところはたくさん取られてしまう、こうなってしまう。そこで、公害防止の観念といいますか、そういうものが非常に希薄にされてしまう。ちょうど、濃いばい煙を大空に薄くするのと同じような形で公害防止の観念というものがなくなっちゃうんじゃないか。横浜市の京浜地帯における調査で共通的に見られることは、企業者は大気汚染についての関心よりも通産省の指導対策にのみ関心があるという報告が出ております。私は、こんなふうになっちゃうんじゃないかと思う。公害をほんとうに防止しようということよりも、通産省がこう言ってきたから、政府がこう言っているんだから、これに対して応じてやればいいんだ、金さえ出してやればそれでいいんだ、これでは私は公害というものはなくならないと思うんです。ですから、特に公害を出しているその程度に応じて、やはりその辺を明確にしていかなくちゃ、いつまでたったって、金さえ出せばいい、金さえ出せば防止事業団が何か適当にやってくれるだろう、これでは私はいけないと思う。さっき言ったように、これから通産省の指導によって煙突を高くすれば、はるか上を越して、緑地から先へ行ってしまう、こういうことになってしまう。一つのものができればいいんだということではいけないと思うんですが、その辺、どうも長官の考え方と私の考え方と非常に何か違うような気がしてしようがない。長官は、とにかくそれだけの事業をやる金さえ集めればそれでいいんだ、あとはうまく内部で企業者の間でやってくれ、というような感じがしてならないんですが、どうなんですか。
#19
○国務大臣(山中貞則君) 私は口べたで有名でございますので、(笑声)説得力があるいはないのかもしれませんが、いまの、今度は逆に最後の疑問点から解明していくとしますと、やはり通産行政という企業育成の立場の役所の中に、今度は公害を出さないようにする行政が分野として機構の中にある、そのことは確かに問題だと思います。これは荘君もたいへん苦労しておられ、通産省の中でつらい立場に立っていると私は考えておりますが、こういう個人的な事情は別にしても、やはり外国の例等をわれわれも静かに見ますときに、これらの問題点を、アメリカあたりにおいても、内務長官が不満で辞任するまで追い込んで、機構ぐるみ、人間ぐるみ、権能ぐるみ、全部一ヵ所にまとまっております。ですから、やはり日本の場合にも、環境保護省なり、あるいは環境保全庁と申しますか、いずれにしても省庁等の行政機構まで持った予算、人員、機能権限、こういうものが一緒くたに集められませんと、いま言われましたような、どうしても疑問が残る、あるいは疑いが残るという点を晴らすことができないのではないかという気が、私は率直に言って、いたします。
 そこで、具体的な問題点について、もう一ぺんおさらいをいたしますが、まず、企業は公害を出してはならないんだ、公害を出したら直罰をかけるぞ、この規制基準を守るための公害防止の施設については全額自分の負担でやりなさいということが、まず第一義であります。その次には、そうでない場合において、それらの防止施設をやっていても、しかもなおかつ公害というものが起こる、その場合においては公害防止事業費事業者負担法において、そこでいわゆる公害の発生の度合いというものが出てくるわけでありますが、完全に自分の工場は公害を出していない、あるいは出していてもわずかである、あるところは本来の大前提である公害防止施設の設置そのものもなお未完成である、いろいろのケースがありましょう。その場合において、この度合いによって、負担金というものがそれぞれ減額されたり、廃止されたりということがなされていることになるわけでありまして、あくまでも原則は企業負担が原則である。でありますから、企業は最後に金さえ出せばいいということではないので、金を出させるぞという法律でございます。その出させるについて、その公害に関係のある度合いというものが定まっていく。ですから、逆に言うと、本来企業の責任において全額自分の負担でやらなければならない施設を怠っている者は、将来その施設を完全にするにしても、この公害防止事業費事業者負担法案が施行されて、その公示が行なわれる時点において、それだけの努力を怠っておれば、負担の額が非常に大きくなるという、いわゆる因果応報の負担をさせられることに結果としてなってくるというふうにお受け取りをいただければ幸いだと思いますが、どうしてもまだいろいろ口べたでだめならば、城戸首席より答弁をさせたいと思います。
#20
○竹田四郎君 私の時間もたいへん過ぎちゃったんですが、どうもその辺は私ちょっと理解できません。私の持ち時間がありませんから、きょうだけでこの問題は終わるわけじゃおそらくないと思います、将来についてもこの問題は私は提起をしていきたいと思います。対策本部のほうも私の意見もわかってもらえたと思うのです。そういう形で、出す企業のほうも、ある程度納得してもらわなければ困るわけです。納得しなかったら、あと、それを負う負担の金額というものは市町村や自治体に大きくなっていくにきまっているわけです。そうすれば、公害防止をやっていく県や市町村もまた困るわけです。私どもは、こうした事業の負担というのは、もっとふやしてもらわなければ困ると、こういうふうに思っております。その点は、また今後の機会をひとついただきたい。私の時間もオーバーしておって、田中さんにご迷惑をかけておりますが、どうもそれはまだ私、長官の答弁で疑問が晴れませんので、今後に残しておきます。
#21
○国務大臣(山中貞則君) 企業が納得しない場合は、いわゆる計算された金額を徴収することはできないんだと、負担させることができないんだということはありませんので、その金額が定まりますと、納得をしなかった場合には、国税徴収の原則にのっとって、これを強制取り立てということをするわけでありますから、その点の御疑念に対してだけは申し上げておきたいと思いますが、なお、公害防止対策は今国会をもって終わるものではない、いわゆる今国会が出発点であるということを申しておりますので、さらに政令の具体的な制定、具体的な実効がどうあがっていくかということについては、公害対策特別委員会等を主たる場として、なお私たちはたゆみなく論戦なり努力を重ねていって、国民の合意する線に努力しなければならない義務があると考えております。
#22
○田中寿美子君 騒音のことだけに、きょうは、しぼってお尋ねしたいと思いますが、公害の中でも騒音の防止の場合は非常にむずかしい問題でもあるし、それから非常に対策もおくれていると思います。で、今度自動車の騒音を騒音規制法の改正の中に入れたことは、これは一つ進んだことと思いますが、きのう須藤委員が自動車騒音のことをお尋ねになりましたけれども、騒音に関する苦情というものは公害の苦情の中では一番数が多うございますね。しかし、公害対策基本法でいうように、相当範囲にわたる健康の障害あるいは生活環境の破壊という考え方からして騒音に関してこれを適用いたしますと、騒音にはいろいろ種類がございますから、都会地の場合に、住宅と商店と工場と入りまじっているところが一ぱいあるわけですね。ですから、この騒音規制法が一体これにひっかかるのかということを考えますと、ひっかからないところが非常に多い。それで、現状としては、たとえば高速道路の下に住んでいる者何軒かが特に困るということがあったり、建設作業があったりして、そこの何軒かが困る。あるいは工場のすぐそばにある家庭、家族が非常に困る。しかし、広範囲にわたっていない場合もあるわけですね。こういうことのために、今度の改正法案でもやはり地域制になっておりますね。特定の地域になっておりますね。住宅の集合している地域とか、病院とか、あるいは学校なんかの周辺の地域というような地域を特定に指定するわけですね。これでは騒音に悩んでいる人たちが救われないのではないかと思うのですが、この点をもっと広範囲に広げることはできないのかどうか。
#23
○政府委員(橋本龍太郎君) 御承知のとおりに、いま御審議をいただきます騒音規制法の中に指定地域制を今回とっておりますし、相当その基準等もゆるめておりますので、いま御指摘のようなケース、たとえば住宅の集合地域の中で交差点のある場所、そういう場所についても相当範囲のものまで私どもは指定し得るだけの要件を備えたものと考えております。
#24
○田中寿美子君 そうしますと、たとえば、これは板橋区の例でございますけれども、これはある会社の住宅団地の中で、買って入ったわけですね。そうすると、そのあとで、その住宅の前に大きな工場ができた。そうしてそこは非常に大きな騒音を出すわけですね、圧延工場で。こういうような場合に、住民が住宅地域に指定してほしいということを陳情したわけです。で、住宅地域にはなったけれども、住宅地域というものは商店や工場が来てもいいんですね。住宅専用地域でないと、だめなんですね。それで、ほとんど、らちがあかないのですが、こういう場合は適用になりますか。
#25
○政府委員(橋本龍太郎君) 第三条の第一項の中に、「都道府県知事は、住居が集合している地域、病院又は」ということで文章を書き上げております。これは私どもは、当然、都道府県知事さんそれぞれの権能の中において処置し得る法律上の要件を備えているケースだと思います。
#26
○田中寿美子君 そうしますと、非常にたくさんのケースになるだろうと思いますね。で、いままで、たとえば大蔵団地なんかでも、ボーリング場に対して、環境破壊から暮らしを守る運動というものが起こっております。こういうところも住宅地域なんですね。で、住宅地域というものは、法的には、いわばそこに企業が入ってきてもいいということなんですね。その辺はどういうことになりますかね。
#27
○政府委員(橋本龍太郎君) これは、私どもがお答えできる範囲を越えますので、建設省をお呼び願いたいと思います。
#28
○田中寿美子君 それでは、きょうは時間がありませんけれども、東京都内では一ぱいそういうところがあるわけなんです。そうして、個々に騒音に悩まれている市民が一ぱいいるわけなんですが、これは東京ばかりじゃありません。全国。だから、騒音に対する苦情というのが相当に多いだろうと思うんです。それを、はたしてカバーできるかということは非常に疑問なんです。よほど騒音に対しては騒音の被害というものがどんなに重大なものかということの認識をちゃんとしていかなければいけないだろうと思う。で、厚生省では、どのくらいの音が生活環境として望ましいというふうに考えていらっしゃるんですか。騒音規制法では、「特定工場において発生する騒音の規制に関する基準」というところで、一種類から四種類までのクラスに分けての騒音の基準を出していらっしゃいますね。ですけれども、全体としてわれわれが生活していくのに、昼間はどのくらいで夜はどのくらいを基準としようとしていらっしゃるのか。次の通常国会では騒音に関する環境基準を出す予定だと、山中長官、この間おっしゃいましたですけれども、それでどの辺のところに基準を置いて考えていらっしゃるんですか。
#29
○政府委員(曾根田郁夫君) 環境基準につきましては、来週中に生活環境審議会の総会を開きまして、答申が得られる見込みでございまするので、最終的な数字はなんでございますが、一応専門委員会の段階で、その骨子になる案がほぼ固まっておりますので、その考え方について申し上げますと、先生御承知のように、当然、騒音の環境基準は、住宅地区あるいは商工業地区というふうに、地域別に、それからまた時間帯によりまして、夜間あるいは昼間、朝夕と、そういうふうにきめられるわけでございますけれども、通常の住宅地区について申し上げますと、昼が五〇ホン以下、朝夕が四五ホン以下、夜が四〇ホン以下というふうに一応考えております。ただ、これは一般の基準でございまして、交通騒音等のことを考えまして、今回、道路に面した住宅地区については、さらにこれを若干、緩和といいますか、その事情を考慮いたしまして、別な規制を考えております。その場合も、その道路が二車線以上であるか、以下であるかに分けまして、二車線以下の場合で申しますと、先ほどの昼の五〇ホンが五五というように、五ホンずつそれぞれプラスしてございます。それから二車線以上の場合は、さらにそれに五ホンプラスした数字になっております。
#30
○田中寿美子君 そのような環境基準をつくっても、それを守ることは非常にむずかしくなるわけですが、これに対して対策をどのように打つのかということは非常に重要な問題だし、簡単にはできないんじゃないかということを心配するわけです。特に騒音の場合、非常にしばしば振動と一緒になるわけですね。ですから、工場なんかで非常に重たい圧延機なんかを使いますと、ドスンという音が絶えずするわけです。こういうものに関して政令の規制というのは、はたしてできるつもりでいらっしゃるのかどうかということなんですね。
#31
○政府委員(曾根田郁夫君) この環境基準につきまして答申が得られました後、これを行政的にどう受けとめてまいるか、これは当然、公害対策本部を中心に関係省庁と調整をはかっていかなければならぬ問題だと思いますけれども、先生御指摘のように、ただいまの数値をそのまま受けとめますと、たいへんきびしい数字、規制値でございますので、少なくとも道路ばた、道路沿いのただいまの基準は、これを直ちに実施、適用するということは、現状から見まして、とうてい不可能ではないか、やはり、従来一部の環境基準に見られましたような、何がしかの猶予期間といいますか、達成期間について、ある程度の年限は必要ではないかというふうに考えております。
#32
○田中寿美子君 問題点として、さっきの地域制というのを考えていただきたいと思うんです。というのは、ほんとうにまじり合っていますね。いまさっき私が例にあげました板橋区の前野町のほうの例なんかもそうなんですが、住宅地として入って住んでいた。そこへ工場がやってきた。しかし、住宅地には入ってもいいことになっているわけですからね。住宅専用地域というものでないと。ですから、これは都市計画も関係してくると思いますが、非常に大きな問題を持っているけれども、事実上市民が騒音に非常に悩まされているということを十分考慮してもらわないと困る。騒音から起こる障害というものも十分つかんでいらっしゃるかどうか。神経をどんなふうに刺激するとか、騒音からくる被害ということについては、どういうふうにつかんでおいでになりますか。
#33
○政府委員(曾根田郁夫君) 最初のほうの御質問の、地域の具体的な指定の問題は、環境基準は、これは率と同じように、類型別に定めますので、具体的な当てはめは都道府県知事にまかせる、そういう考えで、いまのところはおります。
 それから騒音の人体影響でございますけれども、これは、まだ必ずしも医学的に十分立証されておりませんで、相当騒音の程度がひどくなると、たとえば安眠妨害というような形での、あるいはその他の不快感ということでございますけれども、どの程度ならば人体に悪影響があるかということについては、航空機騒音につきまして、伊丹の国際空港の騒音の関係で、私ども四十四年度から年次計画で騒音の人体に及ぼす影響の研究を進めておりますけれども、
  〔委員長退席、理事杉原一雄君着席〕
さしあたり四十四年の分の報告としては、まだ予備的実験しか出ておりませんので、今後多少の時間はかかろうかと思いますけれども、その調査を継続してまいるつもりでございますので、その結果、ある程度の医学的なデータが明らかになろうかと思っております。
#34
○田中寿美子君 そういうのを非常に急いでいただきたいんです。でないと、公害関係のいろいろな法律ができて、たとえば公害にかかわる健康の障害の医療救済ですね、ああいうもの、あるいは今度できる処罰法だとか、この被害がはっきりしていなかった騒音に関しては、ほとんど適用にならないわけですね。そういうことを考えますと、たいへんすることは多いんですけれども、ぜひ騒音が人間の健康に及ぼす障害、それからもう一つ、生活環境を破壊していく面、そういう面についての実態の調査と、それからそれについての方針をなるべく早く出していただきませんと、それこそみんな神経衰弱になってしまいます。そして、地域指定ということは一応わかるけれども、東京とか大阪とか、それから大きな都市では、ほとんど全体にわたって、全域にわたって、そういう騒音の発生源がまじり合っているわけですから、こういうことに対しても十分考慮を入れて、広く適用できるような方法を考えていただきたいと私は思っております。
 それから、その騒音を非常にひどく発生する、そういう公害に対して、どういう対策をとるかという対策のほうを伺いたいと思います。どういうことをしようとしていらっしゃいますか、都市の騒音について。
#35
○政府委員(曾根田郁夫君) 固定発生源等につきましては、遮音壁といいますか、そういう防音設備等の設置をこれから考えていかなければならぬと思いますし、それからまた、交通騒音等につきましては、今回の改正法案で、一定の限度をこえる場合には都道府県知事に都道府県の公安委員会に対する交通規制要請権を与えたほかに、関係行政機関の長に対する道路の構造等についての意見具申と申しますか、意見を申し述べるという規定も新しく設けましたので、こういった改正案に盛られました新しい規制の運用によりまして、できるだけ努力いたしたいと考えております。
#36
○田中寿美子君 工場地帯、比較的小さな工場がたくさんあって、その付近に住宅があるという場合は、厚生省は騒音団地なんかを考えていらっしゃいますね、移転させるというようなことを。しかし、そういう移転に応じない企業というのがばらまかれているわけです。私も決して企業を責めるわけではない。企業は企業で立ち行かなければならないわけですから、ちゃんと場所がほしいわけです。しかし、市民はそのそばに住んでいて騒音の被害を受けるということになりますと、これは非常に大きな計画を必要とするのですが、それの雄大な計画はいかがですか、山中長官。
#37
○政府委員(曾根田郁夫君) 大都市の人家密集地帯における工場騒音等につきましては、すでに公害防止事業団で工場団地の造成、そういったものも相当始めておりますので、今後できるだけそういう方面に努力いたすことによって、この問題の解決をはかってまいりたいと思っております。
#38
○田中寿美子君 まあ、そういう工場に関しては通産省の関係もあるだろうと思います。そう簡単ではないかもしれませんけれども、私はぜひ御要望したいのは、住民の健康、生活環境を守る保護官庁である厚生省、それから公害問題に対して積極的に取り組むためにできた公害対策本部、この二つが主軸になって、産業官庁に対して強い発言をかけながら、予算もたくさんとれるようにして、強力に対策を進めていっていただきたいということを御要望しまして、時間がなくなりましたので、これでやめます。
#39
○理事(杉原一雄君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#40
○理事(杉原一雄君) 速記を起こして。
#41
○内田善利君 いままでの質問とダブる面もあるかと思いますが、確認の意味もあって質問いたしますので、御了承いただきたいと思います。
 まず最初に、政令についてお伺いしたいと思いますが、先日の質問では、水質汚濁防止法で一律に基準を設定する場合に政令できめるわけですけれども、この政令は法律が施行と同時に発令すると、このように答弁をいただいたわけですが、同様なことが大気汚染防止法でも言えるのか。大気汚染防止法の場合は、厚生省令と通産省令に分かれて出ることになるわけですが、この省令はいつ出されるのか。大気汚染は水質汚濁防止法同様、法の施行と同時に省令は出されるのかどうか、通産、厚生両省にお伺いしたい。
#42
○政府委員(橋本龍太郎君) 六カ月以内に出さなければならぬということになっておりますから、その期間には必ず間に合わせるつもりでおります。
#43
○内田善利君 通産省も同じですね。
#44
○政府委員(莊清君) これは、省令と申しましても、厚生省と通産省の共同省令と申しますか、連名で一体のものでございまして、ばらばらな別々のものを制定するわけではございません。時期は、いま政務次官のお答えのとおりでございます。
#45
○内田善利君 非常に政令についてはいろいろ疑問があるわけですけれども、私は、通産省令、厚生省令というふうなことでなしに、できれば総理府令のようにして出されたほうがいいのではないかと思いますが、この点はどうなのか。
 それと、政令が非常に今度の法案に多かったことは、各審議会でいろいろ審議されたわけですけれども、法律に明示するということと政令に委任すると、こういう場合とではどのような効果に違いがあるのか、この点、まずお聞きしたいと思います。
#46
○国務大臣(山中貞則君) まず、厚生、通産両省で省令をつくりまする場合、場合によっては、やはり意見の対立もあり得ると思いますが、そのような省令作業の過程においてのトラブルを奨励するわけではございませんが、そういう場合には、もちろん対策本部が中に入りまして、法律の趣旨が完全に具現できる省令の制定を責任をもって当たりたいと思います。
 なお、法律そのものに書かれてある事項と政令にゆだねられる事項とは、大別すれば、法律は、あるべき、書かなければならない法律上の必要なものを一応全部網羅しなければならないものと思います。しかしながら、法律に書く必要はない、しかしながら明らかにしておく必要があるというような基準とか、こまかな範囲とかいうものを定める場合、そういうものは政令にゆだねても、これはまた国会で聞かれれば答弁もいたしますし、もちろん閣議決定で公布されるわけでございますから、その以前においてもその以後においても、これを秘匿してやるものではございませんので、法律の趣旨を逸脱しない、こまかな技術的な問題等を中心に政令にゆだねることは、これはもちろん普通の法令の場合と同じでございます。ただ、今回の十四の法律について、ことさら政令というものが多い、多いように思うという御意見は、衆参両院でございました。この点は、私どもも、もし議論が詰まっておれば政令でなくて書けたものというようなもの等もありましたし、あるいは衆議院で、公害防止事業費事業者負担法案の中で、学校、住宅の移転等は考えます、政令に書きます、とお答えをしたのですけれども、しかし、それはやはり何か一つ出しておくべきだということで、住宅移転のほうを書き込まれました。これは国会の御意思でございますから、依然として、さらに学校移転も、あるいはオイルフェンス等も考えていくべきであることは、答弁で明確にいたしておりますので、なるべくならば、これは法律ででき得る限り国会の御審議のときに明らかになるように書き込むべきものが原則である。しかし、そこまでいく必要のないもの、あるいはそうでないものについては、必要のないものと、そうでない範囲のものというものについては、実務上の問題として政令で処理するということで原則はそれでよろしいかと思いますが、今国会では、政令事項が比較的ほかの法律に比べて多かった点は、私も四カ月間ぐらい、四カ月足らずで、これだけの法案の調整に当たったわけでございますので、最終的に法制局段階等の純法理論等において政令にゆだねざるを得なかった点がありましたことは、率直におわびを申し上げたいと思います。
#47
○内田善利君 この政令の運用いかんで非常に大きく変わるのじゃないか、その効果も違うのではないかと、このように思うわけですが、この政令を議会できめるとか、そういうことによって国民に明らかにするというような方法は考えられないかどうか。
#48
○国務大臣(山中貞則君) これは、今回の法律に関係なく、やはりできるだけ国会に中身は明らかにするということが当然の政府の義務でございます。租税等においては法定主義ということが確立をいたしております。しかしながら、やはり物品税等については、こまかな品目ごとの数多くのものの免税点とかというようなもの等は、やはり政令に譲らざるを得ないというような実情等が、租税法定主義をとっておりましても、なおかつ残る。やはり、各種法律についても、政令を全くなしに法律を書くことは非常に繁雑になり、また、法律そのものがおかしな形になり得るという逆な現象も予想されますので、政令にゆだねることはなるべく少なくはいたしますが、政令というものの根絶ということはなかなかできないであろうと考える次第でございます。
#49
○内田善利君 次に、基本法の典型公害に地盤降下があるわけですけれども、臭気、悪臭に関する防止法は次期国会に延ばされたわけですが、地盤沈下の点については、やはり典型公害として基本法にあげてあるわけですから、地盤降下についても、その基準として、この法律がなければならないと思うのですけれども、地盤降下についてはどのように考えておられるか。各種公害同様、次期国会等で上程される予定であるかどうかをひとつ。
#50
○国務大臣(山中貞則君) 地盤沈下並びに振動も、実はそのための法律がございません。私も、いろいろと典型公害に掲げてある以上は、それのための独立した規制法が必要である、これは原則であろうと考えまして、やっと悪臭だけは政府の段階においては法律案をつくり上げたわけでございますが、これは一応国会に提出が不可能になりまして、たいへん残念でございますけれども振動、地盤沈下等については非常に態様が複雑でございますので、むしろ、それぞれのための規制法、たとえば今回の道交法の中に振動あるいは騒音等が入ってまいりましたけれども、それぞれ――騒音について言うならば工事現場の騒音とか、振動とか、それぞれいろいろ具体的になっておりますので、それらの範囲でやはり典型公害というものをとらえて、現象ごとにとらえていくということのほうがいいんではないか。逆に言うと、地盤沈下についても、これはきのうも答弁申し上げたのですが、単に地下水の汲み上げだけだということでありますと現在の洪積層まで掘ればだいじょうぶだと言われておりますが、工業用水、ビル用水等も、どうも洪積層の汲み上げも深いばかりが能ではないということも言われておりますし、あるいはまた水脈の関係で、遠く他県の、東京で言うならば北関東あたりの普通の井戸水汲み上げ等についても影響があるような意見もございます。これらの問題を取り上げますと、独立して地盤沈下という法律をつくるのはたいへんむずかしいことである。しかし、かといって、典型公害でないとは言えない現象であるということで、その点は、一応、今回の土壌汚染を含めて七つになるわけでありますが、これの中の、独立法をつくらなくてもやっていける、あるいは逆に言うと独立法をつくるのが非常に困難であるというのが、振動と地盤沈下ということになろうかと思います。
#51
○内田善利君 次に、水のことについて厚生省にお伺いしたいと思いますが、国民の共有物としての水ですが、国民の健康にとっては飲み水が最大の関心事であります。私も、今夏欧米を回りまして、水で非常に苦しみましたが、日本ほど水が豊富にあって、うまい水はないと、このように痛切に感じたわけですけれども、その水が、だんだんだんだん日本の水も汚染されつつある、そういうことでありますが、安心して水は飲めるように、いつまでも誇りとしていきたい、このように思うわけですけれども、まあ大牟田でも水源地の水にカドミウムが相当入っておりまして、汚染されておったわけですが、ここ二、三年の間に水道の水が危険になった例があれば教えていただきたいと思います。
#52
○政府委員(橋本龍太郎君) いま御指摘になりましたケースもその一つでありますけれども、ことしの夏、たとえば東京において多摩川の汚染が問題になりました。一部上水の取入口を閉鎖するというような事態もございました。これはいわゆるカシンベック病の疑いがあるということからであります。いま私どものほんとうに頭の痛い点は、全体に各水源に汚染の度合いが広まってまいりましたために、上水道用の水源として使えるものが非常に少なくなった。同時に、上水として使うことはできるが正常な飲料水として供給するためには非常に多額の費用を要する程度の汚染にまで進んでしまった場所がある。これらが私どもの悩みの種であります。しかし、現実にその仕事を放てきするわけにはまいりませんし、私どもは全力を尽くして飲料水の少なくとも質のよいものを確保しようとして今日仕事をしているわけであります。私どもとして申し上げられることは以上まででありまして、水全体についての問題点になりましたら、企画庁または通産省のほうにお尋ねをいただきたいと思います。
#53
○内田善利君 この水源の確保が問題と思いますけれども、特に大都市の水源はだいじょうぶなのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
#54
○政府委員(西川喬君) 一応水源につきましては、環境基準におきまして、AA、A、B類型までは、上水道の原水としましての水質に対応するものとして厚生省のほうの基準に合致するものといたしております。水道水源を持ちますところは、その水道の持っております処理施設の能力に応じまして、AA級、A級、B級、これまでに類型づけるようにいたしているわけでございます。ただし、現状におきましては、生活環境項目のほうにつきましては必ずしもこの類型が達成されているとは限らないので、五年以内に、あるいは場合によりましては五年以上のあれを考えておるわけであります。その点で、高級処理をいたしておりますところで一応水道の原水の基準としましては、BODで表現すると三PPM、実際問題といたしましては、これが四か五になっているところが大都市近辺では相当多いわけです。その点については、決して四PPMが五PPMになったから浄水場で浄化できないということではなくて、厚生省のほうの努力によりまして、蛇口の水はあくまでも水道の給水基準をはっきり守っていただいているというわけでございますが、水質のほうを担当いたしております企画庁としても、できるだけ水道の取水源となっておりますところにつきましては目標類型に早く到達するように努力いたしたい、このように考えております。
#55
○小平芳平君 関連して。
 この問題は、自然水自体が汚染していく場合と、それから工場排水による汚染と、両方の場合があると思います。そうしてまた、担当する政府の窓口は、水道自体は厚生省であり、また今度は水質は企画庁であり、その辺の非常に複雑な点、実際問題、水道は地方団体がやっている。そういう点で、はたして安心して水を飲めるかどうかということを国民一人一人非常に神経質に考えるわけです。いま政務次官から多摩川の上水のストップしたのはカシンベック病の疑いが生じたからというお話がありましたが、実は私そのころ、あるお医者さんの話を聞いたときに、カシンベック病はもう発生しているというのですね。特に東京なら大田区等のあの多摩川浄水場系の水を常時使用している小学校の検診をやって、相当数のカシンベック病が発生している、そういうことを報告しておられる。その後週刊誌に出まして、週刊誌の記事だと、非常にカシンベック病が発生したことについて東京都で水質の調査会を設けてやり始めたところが、その後調査会はうまく進んでおらないように記事にはなっておりますが、そのような点について何か厚生省で把握しておられますか。
#56
○政府委員(橋本龍太郎君) 実は、従来カシンベック病というものは、シベリア方面その他いわゆる泥炭地帯において発生する病気であるという学問的な定説がございます。そして、日本においてカシンベック病に対して知識を有しておられる学者の方々も、多くは、第二次世界大戦以前、満州方面に日本の方々が非常に大量に生活をしておられた当時、現地で実は知識を得て帰られた方ばかりであります。そしてその後継続して研究を加えておられるのは千葉大学の滝沢名誉教授及びその学問上の系統に属する方々のみと私は記憶をいたしております。千葉大の滝沢教授以下の方々の従来からの研究も、実は北海道方面の、たとえば根釧原野等の泥炭地帯、その方面にカシンベック病発生のおそれがあるということで相当長い研究をしておられます。そして、そのお話は、厚生省――それこそ私が初めて国会に出ました当時でありますから、たしか三十九年か四十年くらいだったと思いますが、のほうにもお話があり、北海道庁ともその当時相談をし、データをとったことがございます。この時点では、幸い疑いだけで、直接ほんとうにカシンベック病と認定されるような症例はほとんど見当たらなかったように記憶しております。ところが、その後東京都、特に多摩川水系の上水の汚染というものが心配をされるようになりましてから、滝沢教授のお弟子さん方が、多摩川を取水源としておる上水を配給されておる地域、すなわち大田区方面を中心にして何回か検診を繰り返されておったようであります。
 先生よく御存じのとおり、カシンベック病の場合、骨の成育がとまる、あるいは骨関節に異常を生ずる、そういう状態でありますが、実は、昨年まで私どもが伺っております範囲では、直接カシンベック病として認定されるようなケースというものはまだ見当たらないというお話でありました。ところが、本年の夏になりまして急にそういう症例が出てきたというお話で、新聞等にも非常に大きく報道され、都民の間にも心配の種を投げかけたわけでありますが、遺憾ながら、研究者そのものが実は滝沢先生のグループしかございません。東京都のほうにおいて御調査を願っておるわけでありますけれども、滝沢教授はじめ関係者の方々が提出をされたレントゲンフィルム等が、はたしてそのカシンベック病によるものであるかどうか、実は関係医学者の中でも意見が分かれているようであります。私どもは行政府でありますから、その病気そのものについては、しろうとであります。専門家の見解というものが示されれば、当然それに従うわけでありますが、専門家の見解そのものに実は意見の分かれがあるということで、都のほうとしても苦慮しておられるように私は伺っております。
#57
○内田善利君 次に、話題を変えますが、これは直接法案とは遠いかとは思いますけれども、私たちの生活を営む上において衣食住が非常に進歩を遂げておるわけでありますけれども、衣類ですね、非常な科学技術の進歩によって、衣類等の中で、機能増進ということから、しわをつくらないというようなことから、加工処理剤、これによる種々な危害が懸念されているわけでありますが、私はいたずらに不安を起こしたいとは思いませんが、名古屋の市立大学の青山助教授のお話によりますと、ことしの七月から十月まで、衣料品で皮膚障害があったかどうかというアンケートをとられたところ、主婦の二百人のうち七五・八%が、かゆみやあるいは痛み、炎症などの障害があった、女子学生は二百五十人のうち六〇・五%が、同じように、かゆみ、痛み、炎症などの障害があった、しかもその衣類は、八〇から九〇%のものが買ったばかりの新製品を着たときに皮膚障害が起こったと。で、同助教授は、その原因として、一つには、しわを伸ばすための加工処理剤にホルマリンが使われておる、それが未処理のものが皮膚を刺激していると。あるいは漂白剤、あるいは防虫剤、あるいは柔軟剤などが刺激をするのではないか。あるいは三番目に、繊維そのものの固さ等々、に原因があるかもしれない、あると思うが、かなり危険な薬品が使われておると、このように指摘されておるわけですけれども、この衣類等の、特に化学繊維なわけですが、これを許可するにあたって、あるいは行政指導の現状として、通産省ではこれをどのようにチェックされておるのか、お聞きしたいと思います。
#58
○説明員(牟田口道夫君) お答えいたします。
 繊維品の仕上げ加工の過程におきましては、ただいま先生御指摘のように、しわや縮みをなくすために、あるいはホルマリンの樹脂加工をいたしたり、あるいは防虫加工とか、白さを増す螢光漂白加工とか、あるいは燃えないように防炎加工をしたり、あるいはカビが発生しないように衛生加工いたしましたり、ただいま御指摘のように、柔軟性を増すために加工をいたしますために、あるいはこれによって人体に影響を与えるのではなかろうかという原因及び御指摘がある等の点にかんがみまして、通産省といたしましては、かねてから、そういう意味における処理加工につきましては、まあ行政指導的にそういうような事態が起こらないような処理加工をするようにという通達等を出してはおりましたけれども、さらに明年度からは、学識経験者、メーカー、消費者団体等のお集まりをいただきまして、安全対策委員会というようなものを設けまして、これらをもう少し幅広く基本的に検討いたしまして、これに対する対策を立てたいということで、新しく予算も要求しておるような次第であります。
#59
○内田善利君 私も、一〇〇%ナイロンの下着と、それからワイシャツがナイロン製なんですが、ぬぐときに静電気がパチパチと、相当、着たときなどは光まで見ることがあるのですが、これは大して危険はないかもしれませんけれども、やはり健康上のこういった被害というようなものがあれば、これはたいへんなことだと思いますので、国民の健康保全という立場からよく検討されて、場合によっては製造中止というようなこともあるいは考えられるのではないかと、このように思うわけですけれども、その具体的な計画等ございますか。
#60
○説明員(牟田口道夫君) これは、いま申し上げましたように、現在準備段階でございまして、大体のところといたしましては、先ほど申し上げましたように、加工工程では六種類加工の中で、まあそういう問題が起こるとすれば起こるのではなかろうかということで、六つの工程につきまして、おのおの、たとえばホルマリン樹脂加工でありますと、大体四十六年中とか、そういうような大体の見通しに基づく計画を立てましてやっていこうと思っておりまするけれども、
  〔理事杉原一雄君退席、委員長着席〕
その詳細につきましては、まだ検討中でございます。
 なお、本件につきましては、御承知のように、かつて科学技術庁の資源調査所というところがかなり長時間をかけて検討をして、ことしの五月に発表いたしました基礎調査もございますので、それらを参考の上、さらにそれらをもとにした計画を立てていきたいと考えておる次第でございます。
#61
○内田善利君 次に、これも報道によりますと、東京の主婦の母乳の中から、BHC、DDTあるいはディルドリンなどの有機塩素系の農薬が検出されたと、まあその他報道が行なわれておりますが、こういった有機塩素系の農薬は、人体内では、じん臓あるいは肝臓等、内臓をおかして、特に神経系統に大きな影響を及ぼすわけですが、母乳からこういうものが発見されたということは、さらに乳幼児に与える影響も非常に大きいわけですが、こういった食品中の残留農薬基準については、もうすでに検討はされておるとは思いますが、厚生省の許容基準はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
#62
○政府委員(橋本龍太郎君) 現在、農薬の取り締まり法を御審議願っておる最中でありまして、むしろ農林省のほうからお聞きをいただいたほうが正確かと思います。
#63
○政府委員(加賀山國雄君) ただいま橋本政務次官のほうからお答えがございましたけれども、人体の許容量ということになりますと、厚生省のほうでお答えになられたほうがいいのじゃないかと思いますが、農薬全体につきまして私から考え方を申し上げますが、現在、農林水産委員会のほうで農薬取締法の一部改正につきまして御審議をいただいておるわけでございますが、ただいま内田委員から御質問のございましたように、BHC、DDTが牛乳の中に入っているという話、あるいは最近は、ただいま御質問のように、母乳の中に入っているというようなことがございまして、われわれといたしましては、BHC、DDT、有機塩素系の農薬の規制につきましては非常に前向きにきびしく規制を、これまでも行政的に進めてまいりましたし、まあ将来改正案が通りますれば、さらにきびしいことになると思います。
 それで、先ほど厚生省の橋本政務次官からお話がございましたように、厚生省のほうでいろいろな食品に対して残るBHCの許容度といいますか、それをお定めいただきまして、それに対してわれわれのほうはどのように農薬を使ったらいいかという、そういうことで、われわれのほうは安全使用基準というふうな言い方をいたしておりますが、主たる農作物、重要作物につきまして、九農薬につきまして、安全使用基準をすでに公表いたしまして、都道府県のほうに通達をいたしておるわけでございまして、われわれのほうといたしましては、どのような経路で母乳にBHC並びにDDTが入っておるか、そういうことがよくわからないわけでございますが、われわれの立場といたしますと、そのようなことがないように、すでにきびしい規制を行なっていると、このように承知いたしておるわけでございます。
#64
○内田善利君 土壌の汚染と、それから植物の汚染、特に稲等の汚染ですが、そういった規模はまだわからないわけですか。
#65
○政府委員(加賀山國雄君) 最近問題になっております牛乳にBHC、DDTが残っておるというのは、われわれのほうの判断といたしましては、わらを相当飼料の中に使っておりますので、わらにそのBHC、DDTが残留して、それを牛が食べて、それが牛乳の中に残っておるというような判断をいたしまして、家畜が食べますわらにつきましては、BHC並びにDDTの使用を、すでにかなりきびしく規制をいたしましたし、ただいま申し上げました安全使用基準では、来年の稲作からはBHC、DDTは使えないと、そういうことになるわけでございます。
 それから土壌のほうでございますが、土壌のほうに有機塩素系農薬の残留というのは全然ないとは申し上げませんけれども、これも、最近問題になっておりますディルドリン、アルドリンというようなものにつきましても、すでに安全使用基準ということで、きびしい許容量をいただきまして、それに対する使用というのを規制してございますので、そういうことのないようにというふうに考えておるわけでございます。
#66
○内田善利君 そうしますと、BHC、DDTはもう使用禁止されておるわけですか。製造禁止はされておるわけですけれども、使用禁止は全面的にされておるかどうか、また、在庫品があるかどうか、この点はどうなんですか。
#67
○政府委員(加賀山國雄君) ただいま申し上げましたのは、来年の稲作から、BHC、DDT等は一切使わないというふうにいたしておりますけれども、他の農作物、野菜等につきましては、その許容量に従いまして使用をきつく規制いたしまして使ってまいりたいというふうに考えております。現在、DDT、BHCの製造は中止いたしましたが、なお若干すでにつくられましたBHC、DDTが残っておりまして、それをその許容量にしたがって、安全使用基準にしたがって、間違いなく使用をしていく、そのように考えておるわけであります。
#68
○内田善利君 次に、二四五Tの使用についてお伺いしたいと思いますが、ベトナムのトン・タット・ツン・ハノイ大学の医学部教授は、この二四五Tが大量に散布をされたために、その地域では、上あごが裂けた子供や、手足が異常にねじれた過屈曲の子供が非常にたくさん生まれていると発表し、さらに染色体まで異常を来たしておるということですけれども、このおそろしい二四五Tが日本では使用されておるわけですけれども、その使用状況、こういうひどい農薬は使用を禁止すべきであると思いますが、この点はいかがでしょう。
#69
○政府委員(加賀山國雄君) 私からお答えいたしてもよろしいのでございますが、林野庁の長官が参っておりますので、特にその二四五Tは林野関係の使用になっておりますので、林野庁の長官のほうから詳しくお答えいただきたいと思います。
#70
○政府委員(松本守雄君) まず、使用状況につきましてお答えをいたします。
 二四五Tは、国有林では四十二年から実験的に開始をしておりまして、本格的には四十三年からでございます。その散布しております面積は、全面的に散布しておりますのは六千ヘクタール、そのうち空中散布が三千ヘクタール、そのほかに、スポット散布――木の株とか、つるの根に部分的に手で散布する、スポット散布と言っておりますが、それが大部分でございまして、一万三千ヘクタール、合計して一万九千ヘクタールでございます。それから民有林では、正確な数字はつかめませんが、推定も入れまして六千ヘクタールくらいが使われておるだろうという状況でございます。
 それから今後の方針ということでございますが、これは農薬として登録をされておりまして、その登録の際の使用方法に従ってやっておるわけであります。さらに、林野庁では使用制限をいたしまして、人家とか農耕地、牧場という、人体に接触をする危険のあるところを避けまして、山の奥のほうへ散布をするということにつとめております。また、ベトナムで使っております二四五Tは、濃度の点からいいましても、わが国で使うものの数倍濃い、十倍近い濃度のものを使っている。しかも繰り返し繰り返し散布をしておる。それで、日本で使っておりますのは、一つの林地に何十年かに一、二回という、その頻度が問題にたりません。また、残留性につきましても、まあ比較的早く分解をしてしまうという実験結果もございまして、現時点では、そういう使用の制約を守る限りにおいては影響はないだろうという判断でやっておりますが、ともかく、いま問題が出ておりますので、鋭意外国その他の文献も取り寄せまして早急に検討いたします。なお、念のためお答えいたしますが、現在は、二四五Tは散布のシーズンオフになっておりまして、来春まで使われることもほとんどございませんので、それまでには十分検討して、しかも慎重に今後やっていくように考えております。
#71
○内田善利君 鹿児島の川内川の河口に病変魚がたくさん出たわけです。最初はパルプ工場の廃液だろうということだったのですが、鹿児島県内及び宮崎県内にもたくさん病変魚が出ているということであります。おそらく、でん粉工場の廃液だろうということでしたが、最近は、でん粉工場のないところからも病変魚が出るようになった。志布志湾に注ぐ安楽川では、百匹とれた中で九十匹までは病変魚だった。私も見てみましたが、魚のしっぽがほとんど、だんだんなくなってくる。それと、かいようができまして――変なかいようなんですけれども、はれものができておりますが、そういった病変魚がだんだんできてきたと。最近の、研究されておる東大あるいは宮崎大学等の先生の話では、学者の話では、農薬が相当内臓にあったということで、農薬汚染説がいま有力になっておるわけですけれども、このように生活環境がだんだん汚染されてきまして、非常に危険な状態にあると思います。こういったことから、農薬に対する使用については十分ひとつ御検討いただいて、生活環境を破壊したら、次は国民の健康をむしばんでいくわけですから、農薬の使用については、まだ危険な農薬が使用されている現状でありますので、この段階で十分ひとつ検討していただきたい。そして対策を講じていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。
#72
○田渕哲也君 それでは、自動車の排気ガスの問題につきまして質問したいと思います。
 まず、運輸省にお伺いしたいのでありますけれども、十六日に、アメリカの議会の両院協議会におきましてマスキー法案が承認されたということが報道されております。マスキー法案というのは、御承知のように、現在の排気ガスに含まれておる有害ガスというものを一九七五年までに九〇%減らすという非常にきびしい法案であります。現在、運輸省のほうで「自動車排出ガス対策基本計画」の中間答申という、運輸技術審議会の中間答申が七月に出ているわけですけれども、これの五十年目標を見ましても、一酸化炭素五〇%減、炭化水素は現在の一四%に減らす、さらに窒素酸化物は一五%に減らす。このマスキー法案に比べるとかなりゆるやかな基準であります。今後これとの関連で手直しをする必要も出てこようかと思いますけれども、これについてどう考えておられるか、お伺いをしたいと思います。
#73
○説明員(隅田豊君) マスキー法案に関しましては、私どもはまだ新聞紙上で拝見するだけでございまして、正確な資料をまだ入手しておりません。しかし、いままでにも一応聞いておりますところでは、非常にきびしい内容を持っておるということを承知しております。七月に運輸技術審議会の答申によって私たちいただきました五十年までの努力目標というものを、このマスキー法案に対してどういうふうに考え直すかということは、運輸技術審議会の先生方の御意見もこれから再び伺いながら、われわれの態度をきめていきたいと思います。
#74
○田渕哲也君 通産省、見えていますか……。現在の中間答申の五十年目標でも、現在の日本の技術水準ではきわめて困難だということが言われておりますが、これがマスキー法案でさらに強化されるとなると、これは、わが国の基準をどうこうするにかかわらず、現在はかなり対米輸出をしているわけですから、日本の自動車工業にとっては非常に重要な問題だと思いますが、このマスキー法案のように強化されると、現在のエンジンそのものが使えなくなるのじゃないか。基本的に違ったエンジンを開発しなければならない、こういうことになると思いますけれども、無公害エンジンの開発について現在どのように取り組んでおられるか、お伺いをしたいと思います。
#75
○政府委員(莊清君) 私、あまり自動車の専門じゃございませんけれども、一つには、御指摘のような、将来の自動車というものは公害防止の見地から理想を追うような形で先進工業国の間で非常に激しい競争が起こるだろうということは既定の事実でございます。一つの新しい技術としましては、御案内のように、電気自動車というものも各国で注目されておりまして、通産省の大型プロジェクト制度に乗せまして約五十億円の規模で早急に来年度からこれの開発を、国が中心になって、学界及び民間の技術力、それと国の試験研究機関の技術力、三つを総合しまして、全額国が持った形で開発しようとしておることは御案内のとおりだと思います。ただ、無公害自動車といま先生おっしゃったのですが、普通のガソリン式エンジンがマスキー法案のもとで直ちに死滅するとは、いまのところ、専門の業界のほうでも見ておらないんじゃないかと私は実は思っております。ただ、アメリカのさすがのビッグスリーでも、この時点においてここまでのカットというのは、技術的に、ビッグスリーのあの力をもってしても実行がはたしてできるのか、非常に自信がないと申しますか、たいへんな難問題であるという意向を率直に表明しているところから見ましても、わが国の自動車工業にとっても、この水準をこの時期に実現するということは容易ならない課題であろうと思います。ただ、マスキー法案におきましても、全くCOもHCもNOxもゼロというわけじゃございませんで、そういう意味で、結局、アメリカも日本もヨーロッパも、今後は自動車産業の命運をかけまして、現在のエンジン、ガソリンエンジンの開発に死力を尽くすということがやはり技術開発の本道であろうと、私どもは現時点では思っております。
 それと、もう一つ、エンジンだけでこれだけの目標を達成することは技術的にも非常に片寄り過ぎる無理があるわけでございまして、当然に除去装置の開発を早急に進めまして、排気ガスそのものからこういうものを全部除去するというための触媒コンバータの開発でありますとか、あるいは排気を再循環させて、もう一ぺん燃焼さすとか、いろんな技術を最高限度開発しまして、それらの各技術の最も効率的な、効果の高いコンビネーションということが、やはり今後のエンジンの開発と並んでの対応策の根底になるのじゃないかと、こう思っております。
#76
○田渕哲也君 最後に、総務長官にお伺いしたいと思いますが、公害除去という面から考えても、それから産業政策という面から考えましても、私は公害規制というものをもっと積極的に強化していくべきではないかという意見を持っているわけです。現在の自動車の排気ガスの問題にしましても、日本の場合は常にアメリカ追随的である。アメリカが何か規制を強くすれば日本もそれに追随して強化する。したがって、この公害対策についても、やっぱりアメリカのあとを追っかけてやるというかっこうになるわけです。これからこの自動車の排気ガス問題は、日本の問題だけではなくて、世界的問題になる、しかも、日本の自動車産業というものはこれは輸出産業である、こういう面から考えて、産業政策面からして、国内の大気というものがすでに非常に汚染されておる、こういう状況を改善しなければならないという公害除去の見地、この二つの見地に立って、もっとこの公害規制の強化、さらには安全対策の強化をやるべきではないか。この規制を強化することが産業の発展を阻害するということは、この自動車に関する限りは当てはまらないのであって、むしろ日本が世界に先がけて、この公害なり安全という面に強力に取り組んでいくことが将来この自動車産業の発展につながるんではないか。
 それから、もう一つ、現在自動車新税のことが、すでに自民党、政府間で、かなり論議されているようでありますけれども、大衆課税であるという税制上の問題もありますけれども、それはともかくとしまして、私は、この公害除去という面から考えるならば、必ずしもこれはいい効果をあげ得ないのではないか。なぜならば、これだけ税が上積みされてきますと、メーカーはやはり、数を売らんかなということで、 コストダウンということに血道をあげるだろう。そういうことが、ひいては公害対策に自主的に取り組む努力というものをにぶらせるのではないか。それで、むしろ、税金をかけて自動車を規制する、あるいは需要を抑制するというよりも、公害規制の強化なり安全対策の強化という面に真剣にもっとメーカーにも取り組まして、それが自動車の安定的な普及につながるという方向に持っていくべきではないかと思いますけれども、この点についての総務長官の御意見をお伺いしたいと思います。
#77
○国務大臣(山中貞則君) まず第一点の、マスキー法案の上下両院の合意、これは一九七五年までに九〇%をカットする、窒素酸化物については九七六年までである、ただし業界の技術的な困難性によって延期する場合も一年を限度とする、というたいへんきびしい、ニクソン大統領が一九八〇年までと言った勧告も、直ちにビッグスリーその他は、できない相談であるということで反撃したにもかかわらず、上下両院の合意がそのような形で、よりきびしく得られたということは、アメリカの国民の世論というものが、ロスあたりに象徴されるような自動車の排気ガスによる不特定多数の過密地帯の汚染というものに対して非常に神経質である、あるいはまた、より進歩的な考え方を持っていることを明確に物語っているものと考えます。それを受けるわが国の業界は、輸出産業の面から見れば、今日自動車は、関連産業の底辺の広さから考えても、その従事者数から考えても、基幹産業であることは間違いありません。これが単に、対米市場というものをマーケットから失っていくんだということだけでなくて、いずれそれまでの時点においては、もちろん部品自由化に伴うノックダウン工場の設立もあり得るでありましょうし、自動車そのものの自由化もそれまでにはすでに解決されて、自由化された市場として逆にアメリカ車というものが日本の市場に入ってくる状態になっているものと考えます。そのときに、日本側の自動車メーカーにおいては、国内用についてのみ、アメリカの輸出のための規制をかりになし得たとしても、それを放置するということは、国内において自由に外国の、ことにアメリカ車のような、そのような基準をきびしく守ったものが進出してくるという時代を想像して対処していかなければならないとすれば、国内の国民の消費者の選択市場においても国産車が破れ去るというおそれがないとは限らないわけでございます。そこで、私たちが、先ほど通産省から答弁がありましたが、少なくとも今日の運輸省の考えておりまするような四十八年、五十年への段階を分けた規制のあり方というものの再検討をすると言っておりますし、メーカーに対して通産省も、これはある意味においては国力に一大打撃を与える結果にもなりかねませんので、やはり国においても相当部門の技術的な検討等については、すべてのメーカーをこえた意味で基幹産業を防衛し、基幹産業の維持をするという意味において、国の仕事にも大きな分野があるというふうに考えておるわけでございます。もちろん、自動車産業界がこれに対して、ただ衝撃でなくて、深刻な問題として自分たち自身でもその解決に努力をすることは当然のことであると思うわけでございます。
 さらに自動車新税の問題でございますが、これはいま予算編成の緒につこうとしているところでございますので、目下の時点における方向は、少なくとも政府サイドにおいて具体化していこうと考えておりまする範囲は、現在の物品税の中で、営業用という名目のもとに非課税になっておりますトラック、ライトバン、バス等についての課税を復活させようということが一応の、自動車新税と申しますか、自動車を道路財源としてさらに税源を求める場合の対象としてとらえた作業がなされていることは事実であります。しかしながら、党のサイドにおける車検税的な構想でもって、これを恒久的な自動車の賦課すべき負担、国民負担という形でいこうとしております構想については、これはまだ政府・与党の合意を得ておりませんので、その点については、私は、その一つのアイデアではあるとしても、自動車業界にそのような負担をさせつつ、あのマスキー法案の成立、あるいは大統領のそれに対する承認という行為が確実であることを前提にいたしますと、やはり政策上のある程度の勘案というものを、よくじっくりと詰めて検討していかなければならない分野の問題に関連してくるものと考えているわけでございます。
#78
○須藤五郎君 ぼくも実はマスキー法案の問題について質問を予定をしておりましたが、いま田渕君がだいぶん質問なさいましたから、その点にあまり触れないで、一点だけ伺っておきたいと思うのです。
 おとといですか、私は運輸省に対して自動車のことを質問をいたしました。私たちは、排気ガスを下げなければ外国へ車が売れなくなるよという点からではなく、日本国民の健康のために一日も早く排気ガスを少なくせいということを私は申したわけです。ところが、運輸省の答えは、やはり技術の点や、いろいろなことで、なかなかそういうふうにいかない、五十年まではどうにもならぬというような答えだったわけです。そういう答えの中で、今度はマスキー法が十六日に成立したわけですね。そうなると、今度は通産省に、運輸省のようなああいう答えをしておって、はたして今後自動車がアメリカに輸出できるものかどうかという――それじゃ運輸省の言うように、五十年、五十何年まで、とにかくアメリカの技術に日本が追いつくまではアメリカに自動車は売れなくてもよいのかということなんですが、先ほど通産省の答えを聞いていると、何だかまだ内容もどういうふうなことか、はっきりしないしというようなことばで、何とかなっていくのじゃないかというような考えを通産省としては持っているような感じもするのですが、向こうがきびしくなって、売れなくなってもいい、こういう決意なんですか。売るためには、どうしてもアメリカのそれに合うように自動車業界を鞭撻してやる、こういうことなんですか、そこをはっきり答えてください。
#79
○政府委員(莊清君) 私は、実は先ほども御指摘のような姿勢ではお答えしなかったつもりでございます。当然のことでございますが、現在、アメリカに生産の一割くらいを輸出をいたしておりますが、ただ輸出振興とか輸出市場の確保による量産効果をねらって国内向けの自動車のコストを下げていく、そういうありきたりのことだけでなくて、当然、アメリカと同水準の自動車の排気ガス規制というものは、日本の工業力からいっても、また日本の公害の状況からいっても、これは国全体として追求する目標になるだろうということは当然の前提に考えているわけでございます。したがいまして、それに積極的に対応していくのは、この期間にこれだけのことを達成するというのは、アメリカでも業界もびっくりしているようでありますけれども、日本の業界にとっても非常にたいへんな努力を要する事態であるということを率直に認めつつも、これは国も業界も一体になって積極的に取り組んでいくべき問題だし、それ以外に進路というものはないだろうと、当然にそう思っておるわけでございます。
#80
○須藤五郎君 あなたたちは、商売ができなくなると、売るためにはどうしても努力しなければならぬ、国も業界も一緒になって努力しなければならぬ、という答えをするわけです。それは、努力することはけっこうですけれども、私が一昨日質問したときに、日本の国民の健康のためにはどうしても努力しなければならぬという答えをなぜしないのです、運輸省は。国民の健康のために、まずやらなきゃいかぬ。売るためよりも健康のためにということを考えなきゃならぬ。これは売れなくなって困るから、だから一生懸命努力するというのでは、国民は笑います。何ですか、そんな態度。私は売るためにやれということを言っているのじゃないのです。国民の健康のために一日も早く達成できるように、こうしたらどうだということまで、私は例をあげて話しているのです。ところが、そうじゃない。あなたたちは、できない、できないと言っている。じゃ、できなきゃ売れなくなるのですよ。今度は、通産省も一生懸命になって、業界も政府も力を合わせて、売るために一日も早くアメリカの線に近づくように努力します――これはおかしいじゃないですか。長官、こういう態度では私は国民は納得しないものだと思いますよ、どうですか。
#81
○国務大臣(山中貞則君) そのとおりでございます。ですから、私は日本の国内の消費者からも外車を買って国内車は買わないという選択をされるぞということを言っているのは、商売のことじゃなくて、国民が自分たちの健康の環境というものを守るために、自衛手段としてそういう行動に出ることも明らかだ。だから、その意味で、国民の健康のために外国でやっていることを日本の国内ではできないなんていう姿勢では、もうやっていけなくなったということを申し上げたつもりでございます。
#82
○須藤五郎君 排出基準を守る責任は、これは各企業にあると思うのですが、環境基準を守る責任はどこにあるのでしょうか、長官。
#83
○国務大臣(山中貞則君) それはやはり、環境基準を設定し、それの目標達成のために各種の規制基準を定めていく政府側にあると思います。
#84
○須藤五郎君 それじゃ、環境基準がもし守られなかったら、その責任は政府がとるということなんですか。
#85
○国務大臣(山中貞則君) 守るべき環境基準を定め、それが守られない状態、すなわち環境基準そのものが適合しないとなったら、きのうも私が申し上げましたように、基本法が命じているとおり、われわれは国民の健康を守るための新しい環境基準の改定、設定に努力しなければならないし、そうしなければならない義務を負っておるものと思います。
#86
○須藤五郎君 きのうも私この席上で申し上げたのですが、やはり、その法律をつくる場合には、立法府である国会も、これは一人一人も責任を感じなきゃならぬと思うのですね。せっかく私たちが法律をつくっても、それが守られないときにどうするかということなんですね。ですから、やはり政府が提案して、そして成立した法案ならば、その法律が守られないというようなことが起こった場合は、やはり基準をつくった政府が責任を私はとらなきゃならぬと思うのです。政府の責任を追及するだけでなしに、つくった基準はあくまでも守っていってもらいたい、こういうことです。そして、今日つくった基準が、はたして満足できる基準かというと、そうでもないので、やはりもっともっと環境基準というものはきびしくしていかなきゃならぬという立場ですから、そういう方向に、責任を感じて、政府や当局がこの法律の精神を守るようにしていってもらわなきゃならぬ。守っていけない場合は政府が責任をとるという、これぐらいの腹がまえで当たっていただきたいと思うのです。もう一度はっきり言っておいてください。
#87
○国務大臣(山中貞則君) 政府はそのような決意をもって今後進んでいくつもりでございます。
#88
○須藤五郎君 この委員会にはかかりませんでしたが、海洋汚染防止法の中で、ちょっと私理解できないことばがあるので、その点を聞くのですが、「船舶からの油の排出の規制」というところに、「何人も、海域において、船舶から油を排出してはならない。」、また第四項のところに、「海岸からできる限り離れて」排出することという、この四項の中にそういうことばが使われているのですが、この海岸ということば、海域ということばを、どういうふうに理解したらよいのか、伺っておきたいと思うのです。
  〔委員長退席、理事鬼丸勝之君着席〕
#89
○説明員(上原啓君) 海域はまさに、何と申しますか、海面という意味でございまして、特段の意味は持たしておらないつもりでございます。御質問の意味がちょっと受け取りかねるのですが……。
#90
○須藤五郎君 それでいいんですよ。それじゃ、「海岸からできる限り離れて」というのは、どれだけ離れていくかということがわからないわけですよ。「できる限り離れて」ということを、どういうふうに理解していいんでしょうか。
#91
○説明員(上原啓君) できる限り海岸から離れろということは、海難などを予想した場合のことで、やむを得ず排出せざるを得ないということを予想しての規定の部分だと思いますが、その場合に、一律に何海里ということを規定することは困難でございますので、極力離れろ、外洋に出ろということだと思います。したがって、具体的に判断しなければならぬということでございます。――たいへん恐縮でございました。まことに申しわけないことでございますが、第四項は、その意味では、精神規定と申しますか、できるだけ遠くということでございます。やむを得ず排出せざるを得ない場合のことでございますので、一律に何海里ということをきめることは困難だというぐあいに理解いたしております。
#92
○国務大臣(山中貞則君) 私、本部で調整に当たりましたために、もう少し説明させていただきますが、第四条第二項の問題について、「船舶から次の各号に適合する油の排出(タンカーにあっては、ビルジの排出に限る。)については、適用しない。」ことについて一条、二条、三条に条件がつけてございます。これらの条件は、この程度の方法で行なわれるならば、こういうやり方で行なわれるならば大体海洋油濁というものを防止できるという国際条約というものを受けて、これに書いておるわけでございますが、それについて、いまの同じ第四条の第四項が、第二項のいま申し上げました、国際条約でもその程度ならば、そういう手段とか方法ならば、けっこうであるといっているものを受けて、これは海岸からでき得る限り遠く離れてやるということで、この程度ならばよろしいのであるが、しかし、それはなるべく遠くでそうしなさいということを言っておるわけでありまして、精神規定というのもおかしいんですけれども、これは国際海洋油濁防止条約の内容に沿って書かれておるものであるというふうに御理解賜わりたいと思います。
#93
○須藤五郎君 これは海域ということばが二つ使われて、それで「海岸からできる限り」というのは――海域というのは、あなた、海だと、こうおっしゃるわけですね。太平洋みたいなものも海なんですね。海域という中に入るわけですね。そうすると、「海域において、船舶から油を排出してはならない」ということなんでしょう。そうすると、海というのは、どこででも油を排出してはならない、こういうことになるわけです。そうでしょう。あなたの言った、海域というのは海でございますということで、その次には「海岸からできる限り離れて」なんて、これは矛盾して、法の解釈に困っちゃうと思うんです。
  〔理事鬼丸勝之君退席、委員長着席〕
船に乗っている人たちは、だから、海域というのは一体どういうことなんで、海岸というのは一体どういうことなんだ、「海岸からできる限り」というのは一体どういう程度のことを常識として考えていらっしゃるのかどうかということを、ここを明らかにしておかぬと、ぼくは実際困ちゃうんだろうと思う。どうですか、あなた、海へ行って、海域というのは太平洋まで全部入るのですか。
#94
○説明員(上原啓君) お答え申し上げます。
 本法の精神は、若干の例外規定は設けておりますが、およそどこの海域でも油の排出はいけない、そういう根本精神に立っております。
#95
○須藤五郎君 そうすると、海岸からできる限り離れて排出することというのは、非常に限られた特殊な場合なんですか。特殊な場合というのは、どういうふうにはっきりさしたらいいんでございましょうか。
#96
○説明員(上原啓君) やむを得ない場合につきましては、本法の第四条第一項第一号、二号等に例外がございますし、第二項その他に、やむを得ず油が排出される場合として規定がございます。これは、あくまで、やむを得ず油が排出されるということを想定しておるわけでございまして、原則は、ただいま申し上げましたように、およそどこの海域でも油を排出して海洋環境を汚染するようなことはすべきでないという基本精神に立っておるわけでございます。
 なお、先ほど非常に妙なお答えをいたしまして恐縮でございましたが、ケース・バイ・ケースと申しましても、特に第四条の第四項のような場合は、これは船の大きさにより、また、航行区域、たとえば沿岸とか近海とかいうふうな航行区域が船舶安全法の規定で定められておりますけれども、それによりまして出てくる距離というものもおのずから異なってまいりますので、その点では抽象的にならざるを得ない、このようにお答え申し上げたわけでございます。
#97
○須藤五郎君 まだ、あなたの説明は、やむを得ない場合という、非常にばく然としたことば、やむを得ない場合というのはおかしいですよ。私はやむを得なかったと言えばそれっきりの話ですよ。そうでしょう。やむを得ないというのは、そんなことばを法の上に使われたら、はなはだ迷惑千万になると思うのですよ。だから、こうこうこういう場合と、ずっとあげていかなきゃ不親切ですよ。この法律、やむを得ない場合、困っちゃいますよ。
#98
○国務大臣(山中貞則君) これは、海上保安庁は、今回こういう油濁防止等について、あるいは廃棄物等について初めて海上保安庁として独特の権限を持って登場するわけでありますから、少し答弁があるいはまごつく点もあるかと思いますが、お許し願いたいと思います。
 いまの第四条の考え方は、今日までは五十海里以遠ならばいいという考え方を改めて、すべての海域、公海であろうと、太平洋であろうと、大西洋であろうと、絶対に日本の船は――少なくとも国際条約のすべての船はということでしょうが、油を出してはならないのだということを受けて、第四条の第一項一、二号は、こういう人命救助のための場合とかなんとかいう全く特殊の場合というのは掲示してあります。しかし、なるべく海岸から離れて行なえというのは、第二項各号に適合する油の排出及びビルジの排出でございますから、したがって、これは国際条約でも、この程度のものならば、すなわち、第二項では、「次の各号に適合する油の排出」ですから、航行中であること、「油分の瞬間排出率が一海里当たり六十リットル以下であること。」、「油分が排出される油一万立方センチメートル当たり一立方センチメートル未満であること。」、並びに、タンカーのビルジについては、「前項」すなわち第三項というものも受けるということで、これは出してよろしい、その程度の油ならば出してよろしいときめてあるものを、しかし、なるべく海岸から遠く離れなさいよということを言っておるわけですから、具体的でありますけれども、その具体的なものの行為も、それもなるべく遠くでやりなさいということを言っておるので、その意味では具体的な規定とお受け取りいただいて間違いではないと思います。
#99
○須藤五郎君 これはこの程度にしましょう。
 もう一つ、小さい問題ですが、厚生省の方に伺いたいんですが、この間私は歯医者へ行ったんですね。歯医者さんの言うのには、先生、いま水銀問題が非常にやかましく言われておる、だから、私たちが水銀アマルガムを使って歯に詰めておるが、これもしないほうがいいんじゃないですか、と歯医者さんは言うんですよ。厚生省として、水銀アマルガムを使うことが好ましいことなのか、どうなのか。好ましくなければ、やはり水銀がからだの中に入るということになるのですから、こういう小さい問題ではありますけれども、この際、水銀アマルガムは使わない、こういうことになすったほうがよかろうと思うんです。これは歯医者さんが現にそう言っておるんですよ。これはほうっておくのはおかしいですよ、先生、と、こう私は言われました。詳しいことは、私はそこまでの科学的な知識はありませんから言えませんが、厚生省はどういうふうに考えていらっしゃるか。
#100
○政府委員(橋本龍太郎君) 実は、須藤先生からその御質問が出そうなので、昨日、薬事課で調べました。一つは、訂正させていただきますが、水銀アマルガムということばはございません。アマルガムというのは合金、歯科の場合でありましたら、水銀と銀などを合金した、いわゆる合金ということであります。歯科の領域において虫歯の充てん材その他に使われるものはいろいろあります。しかし、現実に使って、耐用年数、効果、そうしたものから判断をいたしますと、いわゆるアマルガムというものは非常に高性能のものだそうでございます。ただ、そういう御懸念があるいは生じ得るということから前に調べたようであります。一たんアマルガムとなったものから水銀が遊離することは、実験上はなかったようであります。そうして、動物実験等においても、その結果は、確かに遊離することがない、安全であるということが確認をされた。今日なお使用を認めておるようであります。
 ただ、むしろ、これはアマルガムを使うことがいいか悪いかということよりも、それは安全性の問題としては一応確認をされておりますが、歯科の充てん材として、よりよいものが出てきた場合に、当然それにとってかわられることになるでしょう。ただ、現在においては、安全であるということであります。
#101
○委員長(占部秀男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認めます。
 四法案に対する質疑は終局いたしました。
 これで午前の会議を終わります。
 午後二時三十分まで休憩いたします。
   午後零時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後六時五十七分開会
#103
○委員長(占部秀男君) ただいまから公害対策特別委員会を再会いたします。
 休憩前に引き続き、公害対策基本法の一部を改正する法律案外三案を一括して議題といたします。
 須藤君から委員長の手元に、四法案に対し、それぞれ修正案が提出されております。修正案はお手元に配付してあるとおりでございます。
 修正案について須藤君から趣旨説明を願います。
#104
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表いたしまして、すでに委員各位にお配りしてあります公害対策基本法の一部改正法案、大気汚染防止法の一部改正法案、騒音規制法の一部改正法案及び公害防止事業費事業者負担法案に対する修正案の提案理由と、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、公害対策基本法の一部改正案についてであります。
 私は、第一に、良好な環境の中で健康で安全、快適かつ文化的な生活を営むことは国民の基本的権利であり、公害対策はこの権利の侵害から国民を守ること、第二に、公害防止は人間の生存の条件を破壊から守ることであり、それは後の世代に対するわれわれの義務を果たすことでもあります。この立場から今回の改正案を見るとき、なお不十分な点が多くあるので、所要の修正を行なうものであります。とれが提案の理由であります。
 修正するおもな点は、
 第一に、公害の定義に、海洋汚染、産業廃棄物、農薬、放射能汚染等を加えること、
 第二に、事業者の責務として、公害防止装置の取りつけ、国及び地方公共団体が行なう公害防止策に協力する義務と損害賠償の義務を明記したこと、
 第三に、国は公害を発生源で防止するため、総合的施策の策定と実施の責務、地方公共団体は国の基準を越え、その地域の実情に合ったきびしい基準を定めることができるようにするとともに、住民の意思の尊重を加えたこと、
 第四に、公害の防止に関する基本的施策として、科学的で厳密な環境基準と、それに基づく規制基準の設定と、その他必要な措置を定めたこと、
 第五に、被害の救済及び紛争の処理に関し、国と地方公共団体の被害の救済制度の確立、事業者の無過失賠償責任制と因果関係の立証責任制の確立をはかるようにすること、であります。
 最後に、公害の監視、摘発、公害の発生防止に関する行政事務の権限を持った公選制の公害委員会を地方公共団体に置くようにするほか、所要の修正をいたしております。
    ―――――――――――――
 次に、大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について御説明申し上げます。
 その第一は、排出基準の項を改め、硫黄酸化物についても、国の定める排出基準に、都道府県の条例により上乗せができるようにし、
 第二に、ばい煙発生施設の設置の届け出制を許可制にいたしました。
 第三に、電気、ガス事業、鉱山等の適用除外の廃止、その他であります。
    ―――――――――――――
 公害防止事業費事業者負担法案につきましては、わが党の公害対策基本法の一部改正についての修正案により、公害防止事業における原因者負担の原則を明らかにしました。
 また、公害防止事業の範囲に、地盤沈下対策及び住宅、学校、その他の移転の事業を明記し、負担総額の決定のしかたについて、減額できる例外規定等をはずし、原則に戻したものであります。
    ―――――――――――――
 最後に、騒音規制法の一部を改正する法律案に対する修正点でありますが、自動車騒音の規制に関し、都道府県公安委員会への措置要請は、指定都市の長をも含むものとし、本法によって、新幹線、鉄道等の騒音も規制できるように定めました。
 以上、日本共産党の修正案について御説明申し上げました。
 何とぞ委員各位の慎重な御審議の上、可決くだされんことを強く希望するものであります。
#105
○委員長(占部秀男君) それでは、これより四法案及び修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#106
○杉原一雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました公害対策基本法の一部改正案には反対、大気汚染防止法の一部改正案には反対、公害防止事業費事業者負担法案に対して反対、そして騒音規制法案については賛成、右の立場から討論いたします。
 間もなく一九七一年になります。七〇年代は環境問題の世代であるとニクソンが公害教書の中で国民に訴えています。私もそうだと思います。米議会上院本会議において、一月、ネルソン議員は、すべての国民が正当な環境を享受することができるという奪うことのできない権利を認め、かつ擁護するよう憲法を改正せよと迫ったそうであります。そのアメリカの上下両院協議会は、十六日、大気汚染防止法案に対して、上院・下院の見解の食い違いを調整し、一九七五年一月一日まで自動車排気ガス中の有毒成分を現在より九〇%減らし、無公害車をつくらせなければならないとの厳重な規定を承認したと伝えられているのであります。しかし、その無公害車規定の草案者は、七二年大統領選のときニクソンの有力な対立候補、民主党のマスキー議員であるところに、すぐれてすばらしいアメリカの公害に対決する姿勢を読みとることができます。
 一方、わが国では、佐藤首相が繰り返し、福祉なくして成長なしと言い、各法案から経済との調和条項を削除したことを訴えております。だがしかし、その訴えも、国民には実にむなしい、うつろな響きしか与えなかったのではないでしょうか。それは、各法案について検討してみると、きわめて大切な点が、ところどころ骨抜きになっているからであります。
 朝日は十二月八日の社説で、次のように訴えています。「ここでわれわれは、政治と企業に、改めて公害問題の原点に立返ることを望みたい。原爆問題で広島、長崎の惨情の原点が強調される」ように、その原点の第一は、患者・家族の窮状である。「第二点は、公害被害者は、戦後の技術革新、高度経済成長の犠牲者であるということである。往年の軍事大国が兵士のかばねの上をばく進したように、戦後の経済大国は公害という名の人柱の上をばく進している。とすれば、その人柱には最大のつぐないがされて当然ではないのか。」、そして最後の結びにおいて、「「腐敗した社会には、多くの法律がある」ということばがある。公害関係法の整備も大切だが、つぐないの良心がなければいかなる法も死ぬ。そして国際社会の笑い物になるだけである。」と論じ、われわれに痛烈な批判と要求をしているのであります。
 私は、国民の悲痛な願望と、アメリカの教訓、朝日社説等の警告を大切にして、法案審議に参加してまいりました。
 四日、五日の衆議院連合審査会を傍聴し、がっかりして帰った富山の小松みよさん、約四十年イタイイタイ病と戦い、夫婦の生活を断絶し、病気と貧乏と戦い、身長約三十センチ縮小した不自由なからだを東京に運び、むなしい思いで帰郷されたと伝えられているのであります。
 そしてまた、去る十一月十二日、公害都市川崎、年平均亜硫酸ガス・国がきめた環境基準〇・〇五PPMをこえる〇・〇七PPMの汚染都市川崎、その川崎市で、二十七才の若い主婦が公害病の気管支ぜんそくで死んだ。死んだ主婦は、親戚などから引っ越しをすすめられていたが、やっと公害病と認定されて医療費をもらっているのが、川崎から引っ越したら、ふいになってしまうと拒否し続けていたという。川崎市では、この一月から公害病と認定されたものには医療費はただ、症状によっては月二千円ないし四千円の医療手当を支給しているのであります。ただし、公害病認定地域から転居すれば認定が取り消され、医療費は自己負担となる。とすれば、低所得者層の人々が病と貧乏の二重苦の戦いをしていることは、如実にこの死をもって証明されているのであります。実に悲惨な死であります。
 イタイイタイ病公害病認定患者九十八名、その他水俣病患者、四日市ぜんそくの患者や、その遺家族に対し、医療費はもとより生活費に対し十分のめんどうを見ることができぬという冷たい政府答弁を委員会等でたびたび耳にしたことは、実に遺憾きわまりないことであります。
 原点を忘却した公害論議は実に空虚であります。しかもなお、その原点から再出発するなら、まず第一に、公害排除には環境権の確立こそ重要かつ欠くことのできぬことは、ネルソン議員のことばを待つまでもありますまい。何人も、憲法二十五条の生存権に基づいて、よい環境を享受し、環境をよごすものを排除する基本的権利があります。きれいな空気、水、騒音のない静かな環境などの自然は、その地域に住む人の共有財産であり、もともと企業が、ときには自衛隊という名の国家機関が、その環境を一方的によごす権利はない。断じてない。環境権の確立が認知されるならば、地域住民はだれでも妨害排除の請求権を持つとともに、公害発生そのものをやめさせる差しとめ請求の根拠となる。国や自治体が法令できびしく公害を規制する根拠となるでありましょう。そして、公害発生源側に故意や過失がなくても、環境が侵害されていれば排除できる。すなわち、無過失責任主義の根拠となるのであります。だから、各法案のバックボーンとして、環境権の確立を原点とし、無過失賠償責任制度の採用が大前提であります。これが骨である。その骨が抜けているので、環境権の確立、無過失賠償責任制度の確立が認知されるならば、防止事業費の負担は、三分の一だの四分の三だのという議論の余地はない。全額企業者負担の大原則を確立すべきであると思います。建築現場で上から鉄骨が落ち、通行人が死亡したら、建築業者が死亡者の補償責任をとるのは当然であります。石油精製業者が亜硫酸ガスをまき散らして一般市民の健康を奪ったら、その弁償費用をどうして第三者であるものが負担する必要があるでありましょうか。とりわけ資本家、企業者のモラルの堕落しておる今日、われわれ政治家は、もっとしっかりと腹帯を締めるべきであろうと思います。
 私は、十一月二十一日、富山地方裁判所法廷に立ち、二年八カ月にわたるイタイイタイ病裁判を傍聴しました。鑑定申請却下、事実上結審となろうとした瞬間、被告三井金属は、昭和四十三年五月八日、時の園田厚生大臣が、イタイイタイ病は神岡鉱山から神通川に流れ出したカドミウムが原因であり、公害病であると認定したことに対し、せせら笑い、原告がこの政府決定を鬼の首でも取ったように言いふらしているが、全くナンセンスである、と言うのである。これが今日の資本の本質であり、論理であります。
 去る十一月三十日、労働省の公害総点検の結果の発表によると、有毒物質たれ流し七五%、全国一万三千六百六十五工場のうち特に一千九百四十五工場に警告を発したと報じられているシアン、クローム、カドミウム、そして鉛、日本列島は侵害されつつあります。一月十六日現在、交通事故死一万六千名突破が記録されております。スモッグ追放に成功したロンドンは、いま明るい空を取り戻しているという。
 日本が今日、公害問題の深刻化しているのは、企業に公害防止についての自覚が足りないからである。このような企業に社会的責任を果たさせるため、しっかりとした歯どめが必要であります。しかるに、今日上程されている法案は歯どめとしてきわめて弱体であるから反対いたします。
 最後に、政府に要望します。今後、法改正の努力、そして政令、省令の制定の過程では、法の欠陥を補完するように努力するとともに、公害行政の一元化、強化を目ざし、環境保全省設置に向けて努力されたい。今次国会において提出されなかった悪臭防止法をすみやかに提出されんことを要望します。国民から、くさいものにふたをする政府として、非難やそしりを受けぬように最大の行政努力を要望して、反対討論を終わります。
#107
○内田善利君 私は、公明党を代表いたしまして、政府提出の騒音規制法の一部を改正する法律案に賛成、公害対策基本法の一部を改正する法律案、公害防止事業費事業者負担法案並びに大気汚染防止法の一部を改正する法律案の三法案に反対するものであります。
 以上の立場から討論を行なうものであります。
 今国会に臨む政府の姿勢は、政治本来の目的である国民福祉と、その原点である国民の生命を尊重する立場から、公害に対する認識と対策を明確にすべきであったはずであります。しかるに、政府は、公明党をはじめ野党の修正案も、基本法と公害罪に関しては一切認めないという姿勢であり、国民待望のそれぞれの公害関係法案にしても大幅の後退をしたことは、公害絶滅を宣言し、また、それを望む国民に対しての大きな裏切り行為であったと思うものであります。
 公害憲章ともいうべき公害対策基本法の理念の表現が明快にうたわれていないことは、今後の公害発生と人間の健康とを考え合わせたときに、重大な問題と言えるのであります。国民は、経済との調和の条項を削除し、国民の健康と生命の最優先を掲げることを切望していたのでありますが、国民の健康最優先を明記することを完全に避けてしまったのであります。今後の何よりの課題は、産業発展に伴って生ずる公害から人命と自然を守ることであることは明確であります。しかるに、この基本法に基づいて施行される公害防除政策が大きな障害をかかえ込んでしまったことも明確であります。本来、公害対策の基本は、人間生命の尊厳という原点に立って、自然の循環浄化作用を正常化し、生命の保全という指標がなくてはならないのは当然であります。
 次に、公害の定義についてでございますが、今回の改正にあたり、公明党、社会党、民社党の三野党で環境保全基本法案を提出いたしましたが、政府提出法案には、食品公害並びに日照障害については何ら触れていないのであります。まず、食品公害について言えば、生命の保持、健康の増進に欠かすことのできない基本的なものであり、しかも、その食品公害により、かえって健康増進を阻害し、生命を危険に追い込んでいるのが現状であります。いまや、有害食品のはんらんにより、国民はその選択のすべも知らないのであります。また、日照障害についても早急な規制が必要なことは時代の要請であり、都市の近代化に伴い、建物は高層化の一途をたどっております。現に、日に日に太陽を奪われ、健康をむしばまれているのであります。そして不安な毎日を過ごしている人々が増大し、苦情が絶えない現状であります。このような食品公害並びに日照障害に対して、政府は世論を無視しようとしておるのであります。政府は対症療法的に処するという姿勢そのものを修正しない限り、抜本的な公害対策にならないと思うのであります。
 公害による被害者の最大の願いは、一日も早く公害を除去することと、被害者に対する損害賠償であります。ところが、現在のこのための法律は民法の損害賠償の規定しかなく、その上、民法では、因果関係、過失、違法性のすべてを被害者が立証しなければならないことになっており、被害者が力の強い企業に立ち向かうことはいかに不可能であるかということは、だれの目にも明瞭であります。そのため、国民は一日千秋の思いで無過失責任制度の立法化を待ち望んでいたのであります。しかし、政府は、公害防止の宣言とはうらはらに、現行法を改正することの困難さを理由に、無過失責任の立法化を次期通常国会に見送ってしまったのであります。政府がその根本的姿勢を変えない限り、企業によって発生する公害に苦しみ、死んでいく人があとを絶たないことは明々白白であります。人間尊重を最優先する公害対策に基づき、無過失責任制度の立法化を強く訴えるものであります。
 次に、地方への権限委譲について、公害対策基本法第五条及び第十八条に、地方公共団体の施策と責務があくまで「国の施策に準じて」または「法令に違反しない限り」等のただし書きがつけられている点であります。このようなあいまいな地方への権限委譲の精神は、各個別法に如実にその実体をあらわしております。大気汚染防止法案については、大気汚染の七〇%を占めるといわれる硫黄酸化物の汚染についても一切地方公共団体の上乗せを否定するものとなっております。これに対して、政府は、低硫黄石油の不足、技術開発のおくれのため、現在のエネルギー政策上やむを得ないと釈明につとめているのであります。公害対策基本法には環境基準があっても、あくまで達成の目標でしかなく、しかも、実効ある立地規制のない今日、川崎地区の例をとってみても、重油の消費量は四十三年度から四十四年度に増加しております。年々増加の一途をたどっております。そして、それに比例して亜硫酸ガスもますますふえているのであります。このような実情にもかかわらず、政府は、エネルギー政策上、排出規制、環境基準について地方の上乗せはできないというワクをはめ込んだのであります。これでは、四日市ぜんそくも、川崎ぜんそくも、ふえる一方であることは火を見るよりも明らかであります。また、ばい煙の定義に窒素酸化物と硫化水素を加えるべきであります。自動車排気ガスの定義にも窒素酸化物を加え、排出規制を強化し、複合汚染を防止すべきでありますが、法案にはこれがなされていないことは、仏つくって魂入れずと言えるのであります。
 次に、被害者の救済対策の改善についてであります。この問題について、厚生大臣も、現行の制度は不十分であり、あくまでも、つなぎのものであると再三説明しているようでありますが、つなぎとはいつまでをいうのでありましょうか。イタイイタイ病や水俣病、川崎ぜんそく、四日市ぜんそく等の被害者の悲惨な実情に対する現行法の救済制度はあまりにもお粗末であります。今回の法案成立によって、はたして水俣病が、イタイイタイ病が、絶滅できるというのでありましょうか。被害者の救済なくしては公害対策も無にひとしいと思うのであります。政府責任のもとに早急に救済対策の改善をはかるべきであると強く訴えたいのであります。
 最後に、企業負担法についてでありますが、汚泥その他公害の原因となる物質が堆積し、または水質が汚濁している河川、湖沼、港湾その他の公共の用に供されている水域において実施されるしゅんせつ事業、導水事業等、また、カドミウムによって汚染された農用地について、その客土事業、施設改築事業等は、当然、その汚染源である事業者に全額負担させるべきであると主張するものであります。
 以上、私は、これらの点について政府の猛省を促し、三法案に対し反対意見を申し述べ、私の討論といたします。
#108
○田渕哲也君 私は、民社党を代表して、政府提出の公害対策基本法の一部を改正する法律案に反対、公害防止事業費事業者負担法案、大気汚染防止法の一部を改正する法律案、騒音規制法の一部を改正する法律案に賛成の意を表明し、また、日本共産党提案の修正案にそれぞれ反対の意向を表明いたします。
 政府提出、公害対策基本法案に反対の理由は次のとおりであります。
 現在、わが国の公害の実態は、大気汚染によるぜんそく、水俣病、イタイイタイ病など、多数の公害病患者を続発させており、死亡者もすでに二百名をこえるに至っております。また、公害病とは認定されていなくても、明らかに公害に基因する患者が数万にも達していることは明らかであります。こうした状況の中で、国民の切望するものは、企業利益の追求のために自然環境が破壊されるのを放置してきた政府の基本姿勢の転換であります。しかるに、政府は、自然環境保全の重要性を認識し、その基盤の上に立った公害対策を確立しているとは言えません。私が本法案に反対する第一は、こうした自然環境保全の理念がこの法案に十分取り入れられていない点であります。
 反対の第二の理由は、地方公共団体の公害の監視測定網を整備するための費用、公害防止事業の費用あるいは公害対策に従事する専門職員の養成確保等に要する費用などに対する国の財政援助措置がきわめて不明確だということであります。
 第三の理由は、企業活動がこのように活発に展開されている現在、このことに原因して多くの国民が受けている生命・身体・財産上の損害ははかり知れないものがあります。しかも、現在、事業者側の故意・過失を被害者側が立証しなければならず、訴訟による被害者の救済はきわめて実効性の乏しいものとなっております。したがって、当然、事業者の無過失賠償責任制度を確立しなければなりません。政府が立法の困難性を理由に今回それを見送ったことは、まことに遺憾でありまして、国民の期待を裏切るものと言わねばなりません。
 以上、反対の理由を申し述べ、私の討論を終わります。
#109
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表いたしまして、公害対策基本法の一部改正案及び同修正案、大気汚染防止法の一部改正案及び同修正案、公害防止事業費事業者負担法案及び同修正案、騒音規制法の一部改正案及び同修正案について、わが党の見解を表明いたします。
 まず、公害対策基本法の一部改正案についてであります。
 政府改正案が経済発展との調和条項を削除している点では、一定の前進面があることを否定するものではありません。しかし、現実に重大化しつつある公害に十分に対処でき、公害を追放し、良好、安全、快適で、かつ文化的な環境をつくり上げていく上で、きわめて不十分な面を残しております。
 わが党は、この立場から、一、公害の定義の拡大、二、事業者の責務として公害防止装置の取りつけ、国及び地方公共団体が行なう公害防止策に協力する義務、損害賠償義務の明記、三、国と地方公共団体の被害者に対する救済制度の確立、事業者の無過失賠償責任制と因果関係の立証責任制の確立、四、公選制の公害委員会、等の諸点を基本法に明記すべきであると、基本法より前進した法律にするため修正案を提出いたしました。わが党の修正案が可決されるならば賛成する考えでいましたが、反対意見が多数のようであります。これでは今日の深刻な公害に対して積極的な効果は期待できないので、本案に棄権いたします。
 大気汚染防止法の一部改正案につきましては、指定地域主義の廃止、自治体の若干の権限強化、規制物質の拡大など、部分的な改善点は認められます。しかし、今日の大気汚染の元凶である火力発電所を知事の規制権限からはずすなど、不十分であると言わざるを得ません。これを補強する立場から、一、硫黄酸化物の排出基準を地域環境を考慮して知事が国の定める基準に上乗せできる、二、火力発電所、ガス事業の適用除外の廃止、等の修正案を提出いたしましたが、これまた反対多数のようでありますので、本案についても棄権いたします。
 公害防止事業費事業者負担法案については、公害を発生させた原因者に全額負担させる原則が確立されていませんが、これまで自治体にやらせてきた公害防止事業を、限界を設けているが、企業にも負担させるようにした点を評価するものでありますが、本法案についても棄権いたします。
 最後に、騒音規制法の一部改正案及び修正案についてであります。
 政府案が新たに自動車騒音の規制の姿勢を示したことは認めますが、なお、工業騒音、鉄道騒音に悩む多くの国民がいるときに、これでは不十分と考えますが、今後の改善を希望し、賛成いたします。
 以上、日本共産党の四法案に対する見解の表明を終わります。
#110
○委員長(占部秀男君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより公害対策基本法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、須藤君提出の修正案を問題に供します。須藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#112
○委員長(占部秀男君) 少数と認めます。よって、須藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。(「棄権」と呼ぶ者あり)
  〔賛成者挙手〕
#113
○委員長(占部秀男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 次に、公害防止事業費事業者負担法案について採決を行ないます。
 まず、須藤君提出の修正案を問題に供します。須藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#114
○委員長(占部秀男君) 少数と認めます。よって、須藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。(「棄権」と呼ぶ者あり)
  〔賛成者挙手〕
#115
○委員長(占部秀男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、騒音規制法の一部を改正する法律案について採決を行ないます。
 まず、須藤君提出の修正案を問題に供します。須藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#116
○委員長(占部秀男君) 少数と認めます。よって、須藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#117
○委員長(占部秀男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 竹田四郎君。
#118
○竹田四郎君 私は、ただいま可決されました騒音規制法の一部を改正する法律案に対し、各派の共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    騒音規制法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行にあたり、左記事項につき適切な措置を講ずべきである。
 一、鉄道、軌道、とくに新幹線による騒音について、その防止方法に関する技術的研究開発の積極的な推進強化と、関係法令における規制を講ずること。
 二、航空機騒音対策について、騒音の小さい航空機の採用に努力するとともに、ローカル空港における対策も進めること。
 三、電気工作物及びガス工作物の騒音について、電気事業法及びガス事業法に基づく監督を厳しく実施するとともに、地方公共団体との連絡を密にし、その騒音規制に遺憾なきを期すること。
   右決議する。
 以上であります。
 何とぞ御賛同くださるようお願いいたします。
#119
○委員長(占部秀男君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題といたします。
 竹田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#120
○委員長(占部秀男君) 全会一致と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 引き続いて、大気汚染防止法の一部を改正する法律案について採決を行ないます。
 まず、須藤君提出の修正案を問題に供します。須藤君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#121
○委員長(占部秀男君) 少数と認めます。よって、須藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。(「棄権」と呼ぶ者あり)
  〔賛成者挙手〕
#122
○委員長(占部秀男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 鬼丸勝之君。
#123
○鬼丸勝之君 私は、ただいま可決されました大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対し、各派の共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行にあたり、左記事項につき適切な措置を講ずべきである。
 一、ばい煙の定義に、ちつ素酸化物、硫化水素等を加えるよう検討すること。
 二、自動車排気ガスの定義に、ちつ素酸化物を加えるよう検討するとともに、排出規制の強化に努めること。
 三、重油脱硫装置の技術開発に努力するとともに、これに対する助成措置を講ずること。
 四、火力発電所、製鉄会社など燃料の大口消費企業に排煙脱硫装置をつけさせるよう努力すること。
 五、低硫黄原油の輸入に努力すること。
 六、監視測定体制の整備及び専門職員の養成に努めること。
 右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同くださるようお願いいたします。
#124
○委員長(占部秀男君) ただいま鬼丸君から提出されました附帯決議案を議題といたします。
 鬼丸君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#125
○委員長(占部秀男君) 全会一致と認めます。よって、鬼丸君提出の附帯決議案は本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 両決議に対し、内田厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。内田厚生大臣。
#126
○国務大臣(内田常雄君) ただいま御可決になりました騒音規制法の一部を改正する法律案並びに大気汚染防止法の一部を改正する法律案に対しましての附帯決議につきましては、政府におきましても、その御趣旨を尊重して極力善処いたす所存でございます。
#127
○委員長(占部秀男君) なお、ただいま可決いたしました四法案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#129
○委員長(占部秀男君) 次に、請願の審査を行ないます。
 第四号、中小企業公害防止施設に対する税制上の優遇措置に関する請願外二十件の請願を一括して議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会におきまして慎重に検討いたしました結果、請願第四号は採択することとし、他は保留することに意見が一致いたしました。
 右理事会の申し合わせどおり、請願第四号は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#132
○委員長(占部秀男君) 継続調査要求に関する件についておはかりいたします。
 公害対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#133
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#134
○委員長(占部秀男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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